<< 「世界の終末なのに耳が聞こえない」。・・・今日のアメリカでは、科学者の意見は尊重されない・・・➀気候変動、②核の拡散、そして③人類に死をもたらす病原の創造について、社会は注意を払わないというのである。これら3つの深刻な問題が、科学者の警告にもかかわらず野放しにされていることへの怒りが表れた文章だった。何に対しての怒りか? 直接的には政治家だが、間接的にマスメディア・・・日本の政治は、ご存じのように“経済発展至上主義”に逆もどりしつつある。・・・端的に言うと、個人や団体の短期的利益の調整や増進に焦点が集まりすぎ、もっと長期的な、環境倫理や世代間倫理の観点をも取り入れた政策に結びつかないのだ。・・・血税を投入して整備した道路やトンネルを、次世代の人間が必要としているかどうかの問題は、考えない。オリンピックを誘致しようと目の色を変えるが、その競技場となる大都市の低地が、やがて海面上昇で使えなくなる問題については語らないか、考えもしないのである。・・・上掲の『トリビューン』紙は、昨年11月30日付の紙面で国連の気象学者の言葉を引用して、2012年が過去160年間では9番目に暑い年だったと報じた。また今年の1月10日付では、アメリカだけを対象にした気温の変化を調べて、2012年は1998年の記録を抜いて平均気温としては最高だったと書いた。・・・年末にアメリカ東部を襲った巨大ハリケーン「サンディー」の被害は「600億ドル」を超えるだろうという。・・・それだけ大きな被害が気候変動によっても起こり得るのである。少し乱暴な言い方かもしれないが、TPPに反対し加入を阻止できても、地球温暖化を抑制できなければ、日本の農林水産業が蒙る被害はより大きくなる可能性があるのである。ここ数日は、大雪の被害でアメリカやヨーロッパの空港が一部機能マヒに陥ったそうだ。アメリカだけで欠航便の数・・・経済的被害が深刻になっていかないかぎり、世界は気候変動の存在を「いつもの通り(business as usual)」と考えて無視し続けていくのだろうか。