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川 ゚ -゚)普通の恋の物語のようです

1 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:20:11 ID:nh13zq7M0


アノヒトノスベテヲテニイレタイ

2 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:20:44 ID:nh13zq7M0
さて、諸君。私は気になる人がいる。
彼の事を考えるだけで胸が高鳴り、彼の顔を直視してると体温が上昇し、彼が私に話しかけてくれると顔が緩むのを抑えなければならなく、
そして彼が他の女と話していると、ついその女を………
おっと何でもない。

それで私は考えたんだ。
この気持ちは何なのだろうかと……

3 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:21:16 ID:nh13zq7M0







おっと……自己紹介が遅れたな。

私の名前は素直空。
あだ名はクーだよろしく頼む。まあ、何をよろしく頼むのかはよくわからないがな。
それで私はヴィップ大学に通う学生だ。
今は親元を離れ一人暮らしをしているのだが、これが中々大変でな……
今までは家事などは分担してやっていたのだが、一人になると全て自分でやらなければならない。
つい億劫になっても誰もやってはくれないのだ………

ただ私も女だ。
身だしなみは気を付けるし、第一自分の部屋が汚いというのはどうにも許せない。
別に誰かを家に呼ぶわけでは無いが、その辺りはしっかりしておきたいのだ。

そして……もし………もしもだが、彼を私の家に連れて来る事が出来た時、部屋が汚くて失望されるのだけはゴメンだからな。







彼に、私の全てを………

4 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:23:05 ID:nh13zq7M0
おっとまた話しが逸れたな…まあ、あれだ。部屋を綺麗に保っておけば気分も晴れやかになるのではないのだろうかって事だ。
それに物が散乱していたら、必要な物をすぐに使えない可能性もあるだろう?
必要な物は何処に置いてあるのかをちゃんと把握しておく。これは結構重要な事だ。実践しておいて損はないぞ?

そう…必要なモノはな………

さて、私だけの話をしていても話が進まないな。
それじゃあ、君達にも彼の事を教えてあげよう。
……間違っても彼の事を………いや。なんでも無いんだ。気にしないでくれ。


彼の名前は欝田毒男。
私と同じ大学で同じ学年だ。
一応ヴィップ大学はそれなりの所ではあるから頭はそれなりに良い。
顔は人によると覇気がないだの元気が足りないだの言われてるが……そんな事は無いだろう?






なあ?

そうだろう?

5 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:23:33 ID:nh13zq7M0
……まあ、彼の事はまだよくわからないだろうからもう少し詳しく説明していこう。
そうすれば、なぜ私が彼が気になるのかを理解して貰えるだろうからな。

身長は私よりやや大きいぐらいだな。ヒールを履けば同じ位になるだろうな。
体重は大分やせ型なんだよな……私がちゃんと栄養がある物を食べさせてやりたいものだが……
別に私はがっしりした男が好みなわけでは無いので気にはしないがな。
趣味はゲームとかなのだろうな。彼と友人…勿論男だ。と一緒に携帯型のゲーム機を持って遊んでいるのを目にする事が多い。
後、スマホで何かをしている姿をよく目にする。

ゲーム好きの彼だが、講義は真面目に受けているのだ。
…当り前だろうって?
それがな…昔はどうかはわからないが最近は大学生となると講義は出るだけで何とかなる物もあるのだ。
講義に出れば卒業に必要な単位が貰える。だから出るだけ出て、後は知った事じゃない。って奴も多いんだ。
まあ…全ての講義がそう言う訳でも無いんだけどな。

だが、彼はどんなつまらない講義だろうと決してサボろうとはしなかった。
一度気になって彼に聞いたことがあるんだ。
そしたら彼は

('A`)「だって、折角大変な思いをしてまでここに入って、それなのにわざわざ高い学費まで払わされてるんだよ?
   だったらサボろうなんて考えは思い浮かばないと思うんだ。
   俺達は何かを学ぼうと思ってここに入って来たんだから。」

6 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:23:56 ID:nh13zq7M0
……わかっている。
わかっているさ。こんな人はそうそういないだろうと。
そう。彼はくそ真面目なんだ。
確か言い分は分かるが……大学生になったら羽目を外したくなるだろう?
今まで大変な思いをして合格して入ったのだ、遊びたくもなるだろう?
しかし彼はそんな風に気を緩めず今でも頑張っているんだ。
尊敬に値するだろう?

何?
真面目過ぎる男はつまらなくないかだと?

……わかってないな。
確かにつまらなく感じる人もいるのだろうが、彼は違う。

自慢じゃないが私は容姿は悪いとは一度たりとも言われた事は無い。
告白も何度もされた事がある。
しかし、どうにも付き合おうという気持ちが起こらなかったのだ。
どいつもこいつも私の顔や体目当ての奴しか来ないし、罰ゲームだか何だか知らないがヘラヘラ笑ってた奴もいた。
そんな奴と何が悲しくて恋人同士なってやろうと思えるのだろうか……
体から始まる恋もあるとか言うが、興味もない奴に体を開く気にもならん。
そのせいで同性愛者ではないのかと言う噂が流れていたようだが、私は男に興味が無い訳では無い。
私にだって選ぶ権利はあると思うんだ。
そのせいで誰とも付き合えず一人寂しく生きて行ってしまったのなら自分のせいだと諦めるさ。

しかし、私は出会ったのだ!
自分の全てを捧げても良いと思える相手に!!

7 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:24:29 ID:nh13zq7M0
それが彼…ドクオと言ったわけだ。

ドクオとの出会いは、入学時のガイダンスの時だった。
たまたま隣の席に座っていて最初は私も冴えない顔の男がいるな程度の印象だった。
わざわざ話しかけようとも思わなかったしな。
ドクオの方からも私に話しかけようとはしてこなかったさ。
まあ、入学そうそう異性に話しかけるよりは同姓に話しかけた方が気が楽だろうからな。
私には一緒に入った友人がいなく一人だったからな、どうしたものかと考えていたのさ。
その点彼は、友人がいたらしくガイダンスが終わったら友人がやって来て楽しく話していた。
一人でいてもしょうがないのでその日はさっさと家に帰る事にして、その場を去ったんだ。

そしたら次の日、結構厄介な事になってしまってな……
何故だか知らないが、私達の大学はグループワークに力を入れるとか言い出して、
社会に出れば初対面の人とも一緒に仕事をしなくちゃならないから、勝手に決めておいたから課題に取り組めとか言い出してな……
本当に困ったものさ。
残念な事に私は愛想が良い方じゃあないからな、初対面の人には大抵冷たく思われてしまうらしい。
それでも決まってしまった事だからやるしかないと思ってな、自己紹介を始めたんだ。

('A`)「鬱田毒男です。よろしくお願いします」

川 ゚ -゚)「素直空です。よろしくお願いします」

8 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:24:55 ID:nh13zq7M0
……自己紹介なのに随分味気無いって?
仕方ないだろう……こう言うのは苦手なんだ。
いきなり色々言ったって覚えきれないんだから、名前だけ覚えてもらえばいいんだ。
他にも四人程いたが特に仲良くなったわけでもないし、今でも親交があるわけではないから省略だ。
ドクオと私が出会った。
それを覚えてくれればいい。

それでグループワークだがな……それは酷いものだったさ。
大学に入ったばかりだから調子に乗った奴がいてな……
早々に口説かれたものさ。
鬱陶しいから適当にあしらってやったらへそを曲げてな。
手伝わないとか言い出してな、相手にする時間も惜しいから無視して進めていたら、
他の女がリーダーになったつもりだか何だか知らないが謝れだの一緒にやらなきゃ意味ないだの綺麗事ばかり言って来てな、腹が立ったものさ。
ああいう自分が全て正しいと思い込んでる奴は本当に迷惑だ。

そんな事があったから雰囲気は最悪でな、
各自バラバラにやる事にしたのさ。
それでも一人では出来ない事があったから誰かに声をかけなければと思いかけたのが……

そうドクオだったという訳さ。

9 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:25:23 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「あ〜えっと……鬱田君………だったかな?」

('A`)「あ……ハイ。鬱田です。素直さんでしたよね? どうしました?」

うむ。彼は最初は私に敬語を使って来たのだ。
何? 私がドクオの事を苗字で呼んでるだと?
……初対面の相手を名前で呼ぶほどフレンドリーな女では無いのだ私は。

川 ゚ -゚)「すまないが、少し手伝ってくれないか? 他の奴は私を目の敵にしていてな。手伝ってはくれないだろうからな」

(;'A`)「ああ…確かにあの人達、素直さんにだけ冷たいですね……」

('A`)「分かりました。自分でよければお手伝いしましょう」

この時彼と話していて気になったのだが、私と目を合わせようとしなかったのだ。
彼も私の事を避けているのかと思ったのだが……しばらく話していて分かったんだ
女慣れをしていないのだろうと言う事が。
正直に言うとその方が楽ではあったんだ。また調子に乗って勘違いして口説かれるよりもよっぽどな。
そうして二人だけでやる事にしたのだが、なかなか彼も頭が良くてな
私が手こずっていた物をスラスラ解いて行ったのさ。

…………流石に私もこんな程度では好意を持たんぞ?
ただ、覚えておいて損は無いだろうと思っただけだ。

………本当だぞ?
私はそんなに軽い女ではない。
むしろ身持ちは固いんだぞ?

10 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:25:57 ID:nh13zq7M0
話しがズレたな………まあいい。
それで彼と一緒に課題に取り組んで行き、発表まで何とか漕ぎつけられたんだ。
まあ、発表と言っても大した事はしていない。
流石に大学入ってすぐの私達に難し過ぎる事はさせなかったさ。

そして発表になったのだが、まあ酷い出来だったよ。
内容は私達二人は一緒にしておいたが、他の四人はバラバラ
結局何を発表しているのか訳が解らないと言った所さ。

発表が終わったらいきなり説教と来たものさ……
ちゃんと話し合ったのかだの、これじゃあ社会に出れないだの。
私としては知った事では無かったのだが、わざわざ前に立たせて説教するなんて、
小学生じゃあ無いんだからとは思ったがな。
私に敵意を向けていたその他の四人はどうでも良かったのだが、ドクオには悪いとは思ったさ。

川 ゚ -゚)「すまないな。鬱田君。私のせいで君まで下らない晒し物にしてしまって」

(;'A`)「いや。あの四人を上手く宥めて協力させられなかった自分も悪いんで……」

川 ;゚ -゚)「しかしだな……」

と押し問答を続けていると、いつの間にか他の人達……と言っても私達は最後から二番目だったがな、
の発表が終わったらしく講義の終わりを告げる鐘の音が鳴っていた。
最後にもう一度だけ詫びを入れようとドクオに声をかけようとしたのだが、
私よりも先に声をかけていた人物がいた。

11 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:26:40 ID:nh13zq7M0
( ^ω^)「おいす〜ドクオ。随分と怒られていたおね〜」

(´・ω・`)「まさか前に立ったまま説教するなんてね。大学生になったのに子供みたいな事をさせるんだね」

ちょっとデ……ゲフンゲフン! ちょっとふくよかな男性と垂れた眉が特徴的な男性がドクオに話しかけていた。

(;'A`)「全く……茶化すなよ。」

( ^ω^)「でも、どうしたんだお? この位の発表で躓くドクオじゃないお?」

(;'A`)「まあ…ちょっとな……」

この二人はドクオの友達なのだろうと思い、他人の私がいても仕方が無いだろうと思い席を立ち離れようとすると

(´・ω・`)「あっ! すいません。ちょっといいですか?」

川 ゚ -゚)「……私を呼んでいると受け取っていいのだろうか?」

(´・ω・`)「はい。あなたです」

川 ゚ -゚)「何だろうか?」

別にわざわざ話しかけられるとは思っていなかったので少々驚いたが、
警戒する相手でもないし話位は聞いても良いかなと思ったのだ。

(;´・ω・`)「あ…っとその……」

何故か言葉を選んでいるようだが、さっきまでの話の流れ的に、
私達の発表があそこまで酷かった理由でも聞きたいのだろうな。

川 ゚ -゚)「さっきの発表の事だろうか?」

(;´・ω・`)「はい。そうです」

やはり予想した通りだったか。
まあ、確かにちゃんとしていれば大して躓くようなものでは無かったし、疑問に思うのも当然だろうな。

( ^ω^)「君もドクオと一緒のグループだったお? だから、どうしてああなったのか知ってるかお?」

別に隠す必要もないし、正直に全てを話してしまおう。
彼らに嫌われようとも知った事でもないしな。

12 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:27:13 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「ああ。知っている」

( ^ω^)「良かったら教えてくれないかお?」

川 ゚ -゚)「簡単な話だ。私が原因でこうなった。ただそれだけの事だ」

(;'A`)「素直さん!?」

(´・ω・`)「……詳しく教えてもらっても?」

鬱田君は驚き、垂れた眉の男性はただの興味本位で聞いて来てはいないような真剣な顔をしていた。
だから私は全てを包み隠さず話した。
下らない男が口説いて来た事、リーダー気取りの女が騒ぎ立てた事、そのせいでグループ内の空気が悪くなった事。

(;´・ω・`)「それって……ξ#゚⊿゚)ξ「ちょっとあんた達! 何寄ってたかってその人を囲んでるのよ!」」

垂れた眉の男性が何かを言おうとしたらそんな威勢の良い声が聞こえて来た。
何事かと思ってそちらを向いてみると、
金色に染めた髪を縦に巻いた、ツリ目の女性がこちらを見ていた。
女の私から見てもなかなかの美人だと思ったよ。

ξ#゚⊿゚)ξ「ちょっとブーン! いないと思ったら三人してその女の人に何してんのよ!?」

(; ^ω^)「お…お…ちょっと待つおツン……別に話を聞かせて貰っているだけだお………」

この怒鳴り込んできた女性はツンと言う名前…なのか?
そしてこのぽっちゃりした男性はブーンと言う名前…か?
それとも二人共あだ名か?

从'ー'从「ふぇぇ〜ツンちゃん。その人が困ってるからまずはお話を聞こうよ〜」

なんかまた増えた。
今度はフワフワした感じの茶髪の女性が来た。
……一部分が私よりもデカいとわかるぐらいデカい。
……………クソウ

ξ;゚⊿゚)ξ「そ……それもそうね」

ξ゚⊿゚)ξ「コホン。失礼したわ。大丈夫? こいつらに何かされてない?」

ふむ? 彼女は私を心配して来てくれたのか?
別にこの位なんでも無いのだが、正義感が強いのか?

13 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:27:45 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「うむ。別に何もされてはいないぞ」

(; ^ω^)「そ…そうだお。ツン。ボク達はちょっとこの人にさっきの発表について聞いていたんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「さっきのって…」

ξ;゚⊿゚)ξ「あっ! あなたドクオと一緒に発表していた人ね!」

このツンと呼ばれた女性は鬱田君と知り合いなんだな。
と言う事は他の四人とも面識はあるのか?

川 ゚ -゚)「ああ。素直空と言う」

取りあえず名乗っておいた。
別に仲良くしよとは思ってなかったのだが名前がわからないと面倒だからな。

ξ;゚⊿゚)ξ「あ…ああ。ごめんなさい。名前を言ってなかったわね」

ξ゚⊿゚)ξ「あたしは津出麗華って言うの」

从'ー'从「ワタシは渡辺綾香って言うのよろしくね〜」

( ^ω^)「ボクは内藤ホライゾンだお。よろしくだお」

(´・ω・`)「僕は垂眉諸歩って言う者です。よかったらよろしくお願いします」

それぞれ名前を名乗ってくれたのだが、
ツンと言うのはあだ名だろうと言うのはわかったが……
ホライゾンと言う名前は彼はハーフなのか?

川 ゚ -゚)「よろしく。しかし、内藤君の名はホライゾンと言のか。ハーフなのか?」

私の言葉で内藤君と私以外がドッと笑い出した。
何かおかしな事を言ってしまっただろうか?

ξ゚ー゚)ξ「違う違う。ブーンの名前は地平線って書いてホライゾンって読むの。ハーフじゃないわよ」

( ^ω^)「よく間違えられるお」

何と随分と珍しい名前を付けられたものだな。
…しかし何故それがブーンと言うあだ名になるんだ?
気になって聞いてみたところ……

ξ゚ー゚)ξ「昔、こいつがブーンって両手を広げながら走ってたからそんなあだ名が付けられたのよ」

子供のころのあだ名は適当な物が多いからな。
それを大人になってまで呼ばれるのはそれ程仲が良いという事だな。

14 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:28:39 ID:nh13zq7M0
(´・ω・`)「悪いんだけど、話を戻させてもらっても良いかな?」

おっと随分と脱線してしまった。
彼が何かを言おうとして津出さんが乱入して来たからな。

ξ゚⊿゚)ξ「そうだった! それで、素直さんを囲って何やってたのよ!?」

(´・ω・`)「さっきも言ったけど、ドクオ達の発表があまりにも酷かったから理由を聞いていたんだ」

ξ゚⊿゚)ξ「それで理由は何だったのよ?」

さっき説明した事を新しく来た二人にも同じようにした。
そしたら津出さんがもの凄く激怒した。

ξ#゚⊿゚)ξ「はぁ!? 何その下らない理由!! 巻き込まれた二人が迷惑なだけじゃないの!!」

(;'A`)「いや…纏められなかった俺も悪いわけで……」

さっきまでずっと黙っていた鬱田君がおずおずと自分が悪いみたいな事を言うと、
四人が別に悪くない。
と言い切ってくれていた。

……いい友達なんだな。

そんな仲の良い五人の輪を乱すのも悪いなと思い話を切り上げ帰ろうとしたら

从'ー'从「あれれ〜もう帰っちゃうの〜?」

川 ゚ -゚)「うむ」

ξ゚⊿゚)ξ「素直さん。この後予定ある?」

別に予定があって帰ろうとした訳では無く、
ただ仲の良い彼らの間に他人の私がいるのもどうかと思っただけなのがな……

15 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:29:11 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「いや、特には……」

ξ゚⊿゚)ξ「だったら、この後みんなで何処かに行かない?」

川 ;゚ -゚)「しかしだな……」

ξ゚⊿゚)ξ「いいじゃない。別に予定は無いんでしょ?」

う〜む…思っていたよりも強引な性格をしているんだな……
気が強い事は最初から分かってはいたが……
さて、誘ってくれるのは嬉しいがどうしたものかな?

(;'A`)「つ…ツン。素直さんが困ってるじゃないか。」

ξ;゚⊿゚)ξ「あれ? 困らせちゃった?」

川 ;゚ -゚)「困った……という訳では無いのだが……」

(´・ω・`)「ん…あれかな? 僕達に遠慮してるのかな?」

垂眉君に考えていた事を当てられ少なからず動揺してしまった。
…これでもポーカーフェイスには自信があるのだが、そんなに分かりやすい態度をとっていただろうか?

ξ;゚⊿゚)ξ「なんで遠慮なんかするのよ?」

(´・ω・`)「そりゃあいきなり仲良し五人組が現れて一緒に行きましょ。
     なんて言われても遠慮するでしょ普通」

ξ゚⊿゚)ξ「なんだ。そんな事気にしてたの。素直さんと仲良くなりたいのよ」

(;'A`)「いきなり言われても困ると思うんだけど……」

('A`)「後、多分だけど、大学に入ってすぐに口説かれたものだから、男の俺達がいると警戒しちゃうんじゃないか?」

別に最初からみんなに対しては特に警戒はしていないのだが、
口を出すとまた話が脱線しそうだから黙っていよう。

从'ー'从「ふぇぇ〜大丈夫だよ〜」

从'ー'从「ドクオ君以外はみんな恋人がいるから〜」

川 ゚ -゚)「そうなのか?」

(;'A`)「残念ながら……」

ふむ。だとしたら、女性としての危険は減ったと考えても良いのかな?

16 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:29:45 ID:nh13zq7M0
…そうだな。折角誘ってくれているんだ。断るのも失礼だ。
学生の内の友人は大切にしろとよく聞くからな。
仲良くしておいてもいいだろう。
寂しい大学生活を送りたくはないしな。

川 ゚ -゚)「有り難い事に、熱心に誘ってくれているんだ。私も一緒に連れて行って貰おうかな」

ξ*゚⊿゚)ξ「そう来なくっちゃ!」

川 ゚ -゚)「まあ、つまらない女かもしれないが、よろしく頼む津出さん」

ξ゚⊿゚)ξ「ううん。あたしの事はツンって呼んで。友達にはそう呼んで貰ってるから」

川 ゚ ー゚)「そうか。よろしくツン」

ξ゚ー゚)ξ「こっちこそ」

( ^ω^)「ボクはブーンって呼んでくれお!」

(´・ω・`)「じゃあ、僕はショボンで」

从'ー'从「ワタシは好きに呼んでね〜」

(;'A`)「お…俺も好きに呼んでください」

ふむ? 鬱田君だけは距離があるのか?
一番最初に知り合ったから、少しは距離を縮んでるとは思ったのだが。

( ^ω^)「ドクオの事はドクオって呼んであげてお」

川 ゚ -゚)「よろしく頼むドクオ君」

(´・ω・`)「別に君付けしなくていいよ。ドクオはただ女性にあんまり免疫がなくて上がってるだけだから」

从'ー'从「ワタシと初めて会った時もこんな感じだったもんね〜」

(´・ω・`)「まあ、素直さん美人だもんね」

ξ゚⊿゚)ξ「全くよね。女のあたしから見てもかなりの美人だわ」

川 ゚ ー゚)「ありがとう。二人だって美人だけどな」

ξ*゚⊿゚)ξ「あ…ありがと」

从^ー^从「ありがとね〜」

皆して容姿を褒めるという変な状況になってしまったが、悪い気はしないので良しとしよう。

17 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:31:26 ID:nh13zq7M0
( ^ω^)「ドクオも美人と一緒のグループになったって喜んでたおね」

(;*'A`)「ぶ…ブーン!」

川 ゚ ー゚)「ふふ。まあ、容姿を褒められて悪い気はしないさ」

まあ、人を見た眼でしか判断しない奴には興味はないがな。

ξ゚⊿゚)ξ「ねえ、素直さんにも何かあだ名とかないの?」

川 ゚ -゚)「別に特にこれと言ったものはないな」

( ^ω^)「それじゃあ、空って名前でクールな美人さんだから、略してクーって呼ぶお!」

クールね…
昔はよく冷めただの無表情だの言われていたからそんな風に言われるとはな。

ξ゚⊿゚)ξ「いいじゃない。じゃあ、今からクーって呼ばせてもらうわね!」

川 ゚ ー゚)「ああ。よろしく」

ξ゚⊿゚)ξ「それじゃ、そろそろ移動しましょ!」

(* ^ω^)「最初はみんなでご飯を食べようお! 仲良くなるには一緒に食べるのが一番だお!」

(´・ω・`)「いいね。それじゃ近くをちょっと探してみようか」

从;'ー'从「あれれ〜学食に行かないのかな〜?」

発表は散々だったが、それはむしろ良かったのかもしれないな。
失敗したおかげで彼女らと出会えたのだから。
怪我の功名とはよく言ったものだ。

18 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:32:11 ID:nh13zq7M0
(;'A`)「す…素直さん」

川 ゚ -゚)「クーでいいぞ」

(;'A`)「クー……さん」

川 ゚ -゚)「さんもいらないよ」

(;'A`)「良かったの? 迷惑じゃないかな?」

川 ゚ ー゚)「大丈夫さ。むしろ助かっているくらいさ」

('A`)「どうして?」

川 ゚ -゚)「入ってすぐに素敵な友人が五人も出来たんだ。
     大学には一人で入ったから正直心細い所もあったからな」

('A`)「そうだったんだ…」

川 ゚ ー゚)「ああ。だから、これからよろしく頼むよドクオ」

('∀`)「こちらこそよろしく……クー」

これが私とドクオ、そしてツン達との出会いだった。

ドクオも最初はこんな感じでな、私に遠慮していると言うか、気を使ってる感じだったんだ。
私もこの時は別にドクオの事を特にどうとは思ってはいなかったのさ。
ただ、グループが一緒だっただけ。
そして少し頭が良い真面目な人と言う印象しかなかったのさ。

しかし、これが運命と言うものだったのだな。
私が彼と出会う。
これこそが、私にとって最高の運命と言う事だったのだ!

残念ながらこの時の私はそんな事は知りもしなかったがな。

19 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:32:36 ID:nh13zq7M0















ドクオ達と仲良くなりしばらく経った。
彼らがいつ知り合ったのか聞いてみたところ、
ツンとブーンが幼馴染で子供の頃からの関係で、
そこからショボンとワタナベが中学の時に知り合い、
最後に高校でドクオと出会ったという訳だ。

20 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:33:06 ID:nh13zq7M0
因みに今は実家暮らしなのか一人暮らしなのか聞いたら、
ツンとワタナベとブーンが実家暮らしでショボンとドクオが一人暮らしと言う事だった。

実家暮らしの三人は近くに家があるわけでは無いのだが、女の一人暮らしは危険だからと親に反対されたらしく渋々実家から通っているらしい。
私は別に危険だのなんだので反対はされなかったのだがな………
まあいい。
それでブーンはツンが実家から通うなら自分も一緒に通うという事で実家にしたらしい。
まあ、私にはわからなかったが、恋人とはなるべく一緒にいたいものなのだろうな。

…ん? 言ってなかったか?
ブーンとツンは恋人同士だぞ。
ショボンとワタナベにもそれぞれ違う大学に行った恋人がいるらしい。
因みにドクオはいないらしい。
勿体無いと思わないか?

私?
私の事は前に言っただろう?

……うるさいな。どうせ私は恋人いない歴=年齢だよ。
いいんだよ。
素敵な人に出会ったのだから気にする事は無いんだよ。

正直に言えば最初は、ドクオの事なんて別に何とも思っていなかったんだ。
ただ、今まで会った男とは違うような気がした。
私に近寄って来る男なんて外面だけ取り繕った中身のない男ばかりだったからな。

……もしかしたら違う奴もいたのかもしれないが、そんな事はもうどうでいい。
過ぎ去った事を振り返ってもきりがないからな。

だがまあ、そう言った奴は大学に行っても沸くものでな。
結構また変な男が近寄ってくるものだからどう対応しようか迷っていたんだ。

あいにく今までは頼れる男友達というものが存在しなくてな、誰かに恋人のフリをしてくれなんて事は頼めなかったんだ。
大学に入ってやっと出来たあの三人が初めての男友達という訳さ。
彼らに頼んでもよかったのだが、仲の良い彼らに亀裂が入ってしまう可能性もあったから、遠慮していたんだ。

21 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:33:30 ID:nh13zq7M0
よく言うだろう?
恋人が他の異性と仲良くしているのを見て勘違いして仲が悪くなってしまうと言う事を。
恋は盲目とはよく言ったものでな、自分の恋人には異性とは仲良くして欲しくないのだよ自分だけを見て欲しいものなのだよ。

私は知らなかったがな!

しかしまあ、中にはしつこい男もいてだな……あんまりにもしつこいものだからキツイ言葉をおみまいしてやった訳だ。

そしたらそいつが激高してしまってな、掴みかかられて殴られそうになった訳だ。
全く下らない男だ、顔が良いだけで女がついて行くと勘違いしている典型的な男だったよ。
私も黙って殴られてやる性格じゃあないんでね、抵抗しようとしたら救世主が現れたってわけだ。
まさかそんなドラマチックな展開が私に起こるとは思わなかったよ。

「その手を放せ!!」

誰が来たって?

……そんなの分かり切っているだろう?

「なんだてめえは?」

(#'A`)「その人の友人だ!!」

22 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:34:25 ID:nh13zq7M0
そう、ドクオさ。
正直意外だったよ。
私が出会った男はこういう場面に出くわすと見て見ぬふりをして関わろうとしなかったからな。
だから誰かが止めに入るなんて毛ほども思っていなかったのさ。

「はぁ? 友人つってもただの他人だろ。わざわざ痛い目にあいたいのかよ」

(#'A`)「他人じゃない! 友人だって言ってるだろ!!」

ドクオは決して体格がいい方では無い。
多分喧嘩もほとんどした事が無いのだろう。
だから本当は怖かったんじゃなかったのかな。

「はん。女の前だからってかっこつけてんじゃねぇよ!」

私の胸倉から手を放し、ドクオの元へ歩いて行く。
ドクオはそいつから目を逸らさずに真っすぐ見据えていた。

しかし、よく見ると少し震えているようだった。

「おいおい。ビビってんのか? 勇ましく出て来た割には情けない奴だ…な!」

(;゚A゚)「がっ!」

川 ;゚ -゚)「ドクオ!!」

その糞野郎が私のドクオの顔面を殴り付けやがったんだ!

…え? 私のじゃないって?

……話を続けるぞ!!

その時の私は色々な感情が湧き出て来た。
ドクオが殴られた事への驚き、殴った野郎への怒り、私のせいでドクオが殴られてしまった事への悲しみ。
だが、一番大きくなったのは怒りだった。

川 #゚ -゚)「お前!!!!」

「なんだ怒ったのか? こんな情けない奴のどこが良いんだ? 俺だったらお前を満足させてやれるぜ?」

私の体をなめまわすように見てくる。
こんな屑なんかに私の友人が殴られたというのか?
私がさっさとしていれば殴られる必要なんてなかったんじゃないか?

「なんだ? 友達が殴られるのを見てビビっちまったか?
 だったら俺が優しく慰めてやるよ」

23 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:35:11 ID:nh13zq7M0
下種な顔をしながら私に近づいてくる。
この時私は初めての感情に驚いていた。
友人とは言え他人の為にここまで怒りを覚えたのは初めてだったからだ。
だから、思わず口を開いていた。

川 #゚ -゚)「女を暴力で支配出来ると思っているとか哀れな男だな」

「ああ!?」

私の言葉で怒ったのか顔を真っ赤にして醜く歪ませる。

川 ゚ -゚)「暴力に頼らなければ女を手にする事が出来ないなんて浅ましい男だな」

「殴られなきゃわかんねえのか!!?」

川 ゚ -゚)「何をだ?」

川 ゚ -゚)「自分が情けない男だという事か?
それとも女を性処理の道具にしか見ていないという猿みたいな男だという事か?
     色んな女がいつでも自分の傍にいるって事を見せびらかしたい下らないプライドを持っている事か?
     それに……」

怒りのままにこいつへの暴言を言い続けていると、ドクオが止めに入った。

(;'A`)「止めるんだクー!」

私のせいで理不尽に殴られたというのに私を心配してくれるのか。
君は優しいんだな。

川 ゚ -゚)「心配するなドクオ。私はこんな男なんかに屈するつもりは無い」

それにこいつにもう触れてやられる気もない。
さっき触られた事だって非常に不愉快だ。

「だったらお望み通り殴ってやるよ!!」

今までだってこんな男に出会った事はよくある。
だから、こいつに殴られてやる道理はない。

逆に私がこいつを殴ってやろうとしたその時

(#´・ω・`)「そこで何をしている!」

(; ^ω^)「ドクオ! 大丈夫かお!?」

私達の友人がやって来た。

24 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:36:07 ID:nh13zq7M0
「ちっ!」

人が来た事で不利になったと思ったのか、逃げ出そうと私を突き飛ばし走り出そうとした。

だが、私はこいつを逃がすつもりは無い。

突き飛ばそうとした手を避け、走り出そうとした足を払う

「うわっ!?」

情けない声をあげ、転ぶ。

倒れた男のその頭にむかって思いっきり踏みつける。

「てめえ何すんだ!!」

私に踏みつけられた事がプライドが許せなかったのか怒声をあげる。
しかし、そんな程度に驚く事も怯える事も無い私は無言でもう一度その出来の悪い頭を踏みつける。

「てめえはぜってえ許さねえ!!」

許さない?
許さないだって?

川 - )「それは、こっちのセリフだ」

自分でも驚く程冷たい声を発していた。
頭の冷静な部分で私はこんな声を出せるのかと思ってたりした。

川 - )「お前は私の大事な友人を傷つけた。それが許される事だと思っているのか?」

川 - )「お前がどうなろうが知った事ではないが、ドクオを殴った事、必ず後悔させてやる…」

(;´・ω・`)「ちょ…ちょっとクー……」

こんな頭もう必要ないだろうと、このまま潰してしまった方が世の為だろうと思い段々と体重をかけていたらショボンに止められた。

(;´・ω・`)「これ以上やると大怪我じゃすまないからやめなって」

川 ゚ -゚)「こんな奴が大怪我しようが知った事ではない」

(; ^ω^)「クー! ダメだお!!」

ショボンとブーンが二人掛かりで止めてくるが足に込める力を緩めるつもりは無い。
二人だって大事な友人を傷つられたんだ。怒っているだろう。

そのまま怒りに身を任せているともう一人止めに入って来た人がいた。

25 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:36:38 ID:nh13zq7M0
('A`)「クー。もうやめなって」

その言葉で力を抜いてしまう。

その隙に糞野郎が立ち上がり逃げ出してしまった。

「絶対にてめえら許さないからな!!!」

そんな捨て台詞を残しながら。

だが、そんな事はどうでもいい。
今はドクオが殴られた傷の具合が心配だ!

川 ;゚ -゚)「大丈夫かドクオ! 殴られた場所は痛むか!?」

顔に手を当て傷の具合を確かめる。

(;'A`)「だ…大丈夫だって。そんなに痛まないし…」

川 ;゚ -゚)「何!? 痛むのか!?」

何という事だ!!
あの野郎……許すわけにはいかないようだな……!!

(;´・ω・`)「ま…まあまあ、クー。殴られた場所を触ったら余計痛むから取りあえず手を放しなって」

川 ;゚ -゚)「あ…」

ショボンの言葉で冷静になり、手を放す。

川 ;゚ -゚)「すまない…冷静さを失っていたようだ…」

('A`)「心配してくれてるのがよく分かったから気にしてないよ」

一旦落ち着く為に深呼吸をする。

…ふぅ。落ち着いた……

(; ^ω^)「それにしてもクーがあそこまで怒るなんて驚いたお」

川 ゚ -゚)「うむ……私も驚きだ」

今までは誰かの為……と言うよりも自分の為にもあそこまで怒った事は無かった。
何故だろうか?
……その時はわからなかった。

26 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:37:46 ID:nh13zq7M0
(´・ω・`)「それで、どうしてこんな事になったの?」

取りあえず一番冷静なショボンが場を纏める為に私に事情を聞いて来た。
簡単に今まで起こった事を説明し、疑問に思った事を聞いてみた。

川 ゚ -゚)「なあ、なんでドクオはここに来たんだ?」

(;'A`)「え…いや…それは……」

何故か、しどろもどろになり答え難そうな顔をしていた。
…なにか聞いてはいけない事を聞いてしまったのだろうか?

( ^ω^)「簡単だお。ドクオがトイレに行ったらたまたま出くわしただけだお」

川 ゚ -゚)「そうなのか?」

('A`)「うん…三人でいた時にちょっとトイレに行きたくなってね、トイレから出て来た所でクーが変なのにからまれてるから何とかしようとしたんだけど……」

(´・ω・`)「殴られちゃったと?」

(;'A`)「まあ……」

別に恥ずかしがる事では無いと思うがな。
トイレなんて誰だって行くんだし。

川 ゚ -゚)「それにしてもよく私を助ける気になんてなったな。
     私が出会った男なんて大抵こういう場合助けようなんてしなかったぞ?」

その言葉にドクオはしばらく考え込んでしまった。
助けた理由を纏めているのだろう。
ショボンとブーンは自分達は何も言う事は無い。と言った感じにドクオが喋るのを待っている。
私も急かさず黙って待っている。

('A`)「……俺はクーだから助けに行ったんだ」

嬉しい事を言ってくれる。
だが口に出すと茶化しているように感じさせてしまうだろうから黙っている。

('A`)「俺は、別に正義感が強いわけじゃないけど、友達が困ってたら助けてあげたいんだ」

他人が困ってたら助けるかどうかはわからないけど……
と小さく呟いていた。

(;'A`)「でも、勇ましく出て行ったけど何にも出来なくて殴られて終わっちゃったけどな……」

(;'∀`)「クーにはカッコ悪いとこ見せちゃったな……」

そう言って自嘲気味に笑う。

しかし、その言葉は流す事は出来ないな。

27 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:38:12 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「何がカッコ悪いものか」

川 ゚ ー゚)「君は私を助けに来てくれた。そんな姿がカッコ悪い訳が無いだろう?」

自然と笑みが零れていた。
異性にこんな顔をするなんて初めてだったんだ。
そしたらドクオが顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。
…何かまずかっただろうか?

(;*'A`)「で…でも、結果的にクーだけで何とか出来たんじゃないかな?」

川 ゚ -゚)「何を言っている」

川 ゚ ー゚)「確かに何とか出来ただろうが、私だって女だ。誰かに守って貰って嬉しくない訳が無いだろう?」

('A`)「そうなんだ……」

川 ゚ -゚)「なんだ? 私は男を目の敵にしているめんどくさい女だとでも思ってたのか?」

(;'A`)「いやいや……そんな事!」

何故だか彼をからかうのが楽しくてついイジワルな言葉が口から出てしまったのだ。
そんな事をしていると蚊帳の外にいた二人が

(´・ω・`)「……二人の世界に入るのも良いけど、まずは移動しよう」

( ^ω^)「そうだお。ここにいるとまた変な奴が寄ってくるかもしれないお」

移動を持ちかけられたのでまずはこの場を離れる事にする。

……それにしても誰かが私を助けてくれるのがこんなにうれしい事だったなんて、知らなかった。
いつも一人で何とかしてきてたから、初めての経験だったんだ。


この時から私はドクオの事が気になりだしたんだ。
簡単な女と思われるかもしれないが、私にはこういう男と出会うのは初めてだったから気になってしまったんだ。
だから、つい彼を目で追ってしまったり、彼の事を知ろうとあれこれ手を尽くしたものさ。
それが恋と呼ばれるモノだと気が付くのはもう少し先の話だがな。


ドクオを殴った男はどうなったかだって?
………世の中には知る必要が無い事が沢山あるんだ。
だがあえて言うとすれば、もう二度と私達の前に現れる事は無いだろうな。

28 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:38:52 ID:nh13zq7M0





















.

29 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:39:17 ID:nh13zq7M0
ξ゚⊿゚)ξ「へぇ。そんな事があったの」

从;'ー'从「ふぇぇ〜大変だったんだね〜」

川 ゚ -゚)「ああ。いい迷惑だったよ」

今、私達は大学の近くにあるファミレスにいる。
女子三人で仲良く話をしている、所謂女子会と言うものだ。

それで、折角だから大学に入ってからの事を話題にしているところだ。
ツンとワタナベの話が終わり、何か話題はないかなと考えてたところ前のドクオの雄姿を思い出したので二人にも知ってもらおうと思ったのだ。

ξ-⊿-)ξ=3「あんたもよく変な男がよりついてくるわね」

川 ゚ -゚)「何故だか知らんが、な」

川 - -)=3「私は男運が無いのだろうかな?」

从'ー'从「そんな事は無いよ〜だってドクオ君は違ったんでしょ?」

そう。ドクオは今まで会った男とは全く違う。
最初は何とも思っていなかったが、仲良くなってみればなかなかいい男じゃないか。
他人の為に体を張る人なんてそうはいない。
漫画やアニメの世界だったら主人公がカッコつけて弱者を助けるなんて事はよくあるが、現実はそうはいかない。
誰しも自分が一番かわいいものさ。
だからドクオの行動には本当に驚かされた。
彼だって怖かっただろうに私の為に体を張って守ってくれたんだ。

そう私の為にな!

物語のヒロインが守ってくれる男に簡単に好意を抱く理由が少しわかったような気がする。
だが、これはまだ恋ではない……と思う。
ただ今まで出会った事の無い男に出会ったから気になっているんだ。

彼の事をもっと知りたいと、そう思い始めたんだ。
どんな些細な事でも良い。
彼につながる事ならなんだっていい。

30 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:40:03 ID:nh13zq7M0
……気になる人を知りたいなんて普通の感情だろう?
よく知りもしない人をいきなり好きです。だなんて思わないからな私は
やはり深く知ってから、もしも私が彼の事を……になったら、彼の好みの女になる為に努力しなくてはならないからな。

……それこそ他の女に目がいかなくなるぐらい夢中になるぐらいのな。

そして、もしも…もしもだが、私が恋人になったのなら全てを受け入れてあげたい。
どんな事だろうと全てを。

だから、私に全てをさらけ出せるように、相手の事を深く…深く知る必要があるのだ。

……まあ、それは私にもしも恋人が出来たらの話だがな。

…………まずは知ろう。彼がどんな男なのかを。
そして考えよう。私の全てを捧げてもいいのかを。

だからまずはこの二人から聞き出そう。

彼の事を

川 ゚ -゚)「それで、疑問に思ったんだが、ドクオは昔からそんな事をする男だったのか?」

ξ;゚⊿゚)ξ「う〜ん……昔って言っても、あたし達がドクオに会ったの高校に入ってからだからね〜」

从'ー'从「初めて会った時は頼りなさそうな感じだったよね〜」

確かにがっしりした体系ではなくひょろひょろした体系だから、第一印象で頼りになるとは思えないな。
別におどおどしているわけでは無いのだがな。
背はそれなりにあるのに筋肉があまり無いのだろうか?

ふむ……

31 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:40:34 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「じゃあ、高校の時は何か面倒事に首を突っ込みたがる性格だったのか?」

二人はしばらく黙って考えこんでいる。
そこまで遠い過去という訳でもないが、三年間もあったのだ思い出すにも少し時間が掛かるのだろう。

待ってる間、急かす事をせずゆっくりと飲み物を口にする。

二人はうんうん唸りながら必死で思い出そうとしてくれている。

ξ゚⊿゚)ξ「そんな事はなかったわね」

从'ー'从「だね〜むしろ目立たない感じだったと思うよ」

川 ゚ -゚)「ふむ…」

じゃあ、やはりあの時言った言葉は嘘ではなかったという事だな。

…………私だから助けに来てくれた、か。

私だからか。

ふふふふふ……まさかそんな言葉を聞くことになるなんて思ってもみなかったな。
いざ言われてみるとなかなか嬉しいじゃないか。
ついつい何度も思い返してしまうな。

惜しむべきなのは、その時録音する機械を持っていなかったのと、そんな事を思いもしなかった自分自身だな。
ああいう下らない男に出会うのはただ迷惑なだけだが、守ってくれる人が来るのなら悪くないと思える……か?
いや…やはり、ダメだな。うむ。
また殴られでもしたら、彼が傷ついてしまう。
それは非常によろしくない。

だが、今度はさりげなく頼ってみるのもいいかもしれないな。ふふ…

ξ*゚⊿゚)ξ「それにしてもドクオが一人で助けに来てくれたんでしょ〜」

川 ゚ ー゚)「そうだな」

从*'ー'从「素敵だよね〜」

やはり二人も女子という訳だ。
そう言う事には憧れがあるのだろう。

私は別に憧れては無かったがな。
男なんて大体似たようなものだと思ってたしな。

川 ゚ -゚)「それで他にも聞きたい事があるのだが……」

と言った所で二人が何故かニヤニヤしている事に気が付いた。

…私が何かやらかしてしまったのだろうか?

32 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:41:17 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「どうした? 二人共ニヤニヤして」

从*'ー'从「クーちゃんさ〜」

川 ゚ -゚)「うん?」

ξ*゚ー゚)ξ「ドクオに惚れちゃった?」

……これは答えにくい質問が来てしまったな。
惚れた…とまでは行かないが、気になっているのは確かだ。
まあ、普通あんなドラマチックに誰かが助けに来るなんて無いからな、
それでドクオの事を聞こうとすればそう思われても当然か。

だから私はこう言おう

川 ゚ -゚)「まだ…惚れれはいない…が、気になってはいる」

これが今の私の本心だ。
決して誤魔化しているわけでは無く、嘘をついているわけでも無い。

从^ー^从「そっか〜」

川 ゚ -゚)「だから、悪いんだがドクオについて教えてくれないかな?
     どういう人なのか、私は異性をそんな風に気になるのは初めての経験なのでな……
     いまいちどうすればいいのかよくわからないのだ」

ξ゚ー゚)ξ「じゃあ、クーに協力してあげないとね。もしもどうすればいいか分かったら、あたしも協力してあげる」

从^ー^从「ワタシも頑張るよ〜!」

川 ゚ ー゚)「ありがとう。その時はよろしく頼む」

33 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:42:00 ID:nh13zq7M0
こうして私は二人にドクオの事を少しだけ教えて貰ったのだ。
基本的には私が知らない彼の高校時代の事、
私がいなかった時はどこに遊びに行っていたのか、
得意科目はどうだったのか、
どういった女に目を奪われていたのか、
どんな所に住んでいたのか……

まずは知らなければならない。
本人ではないから知らない事も沢山あるだろう。
しかし、他人だからこそ知っている部分もある。
だからまずは私と彼の友人達から話を聞いて、もっと気になるようだったら彼にも少しづつ聞いて行こう。

そして、さり気なく私の事も知って行って貰おう。
そうして私が彼をそう言う目で見るようになってしまったならその時は………

ああ…なんてもどかしいのだろうな、
自分の気持ちがよくわからないなんて…

……いや、もうわかっているのだろうか。

しかし、こんな気持ちは初めてだから大事にしていきたいんだ。
もしも実らなかったとしたらその時は………

我ながら支離滅裂な考えをしているな、少し落ち着くとしよう……























.

34 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:42:41 ID:nh13zq7M0
それからと言うもの私はさり気なくドクオの傍にいるようになった。
偶然にも彼と同じ講義を取り、彼の横の席に座り声をかける。
そしてたまたま食事の時間が被ったので二人で一緒に食べに行ったり、
二人以上いなければならない課題の時はドクオをまず誘っていたな。

何?
そんな偶然があり得るのかだと?

…そうだな。偶然がいくつも重なれば必然になるという言葉もある。
だからこれは必然だったのだな。

……何もおかしな事は無いだろう?

たまたま偶然が重なり必然になってしまった。
これは運命と言う可能性も出てくるのではなかろうか。

私がドクオの傍にいなくてはならないという運命と

そして、ドクオが私の傍にいなくてはならない運命だという事が。

そう。私は彼に惹かれていたのだ。
彼の事を知れば知るほど惹かれていき、
もっともっと彼を知りたくなっていったのだ。

だが、一方的に知って行っても意味が無い。意味が無いのだ。
互いの事を深く、より深く知って行かなければ、な。

一方的な思いはダメなんだ。
互いを思うからこそ美しく、長く続くんだ。
片方が思い続けてたって、ダメなんだ。
それじゃあ気が付かれない場合もあるし、気づいたとしても他の人を思ってしまっている可能性もあるのだから……

だから、他の人に奪われないためにもその人の好みを知り、そして好かれるように努力するのさ。

…何? それじゃあ相手を騙しているのではないのかだと?

人は演じながら生きていく生物だ。
誰にだって見せたくない自分があるだろう?

まあ、そんなに演じなければならない相手なら疲れてしまうかもな……

別にありのままの自分でいれる相手を探せとまでは言わないが、一緒にいて疲れないぐらいの相手が一番だろうな。

うん? 力説している私は彼と一緒にいて演じているか、もしくは疲れないのかだと?

………馬鹿な事を言う。
私は彼の前では素直な自分でいる…つもりだ。

35 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:43:20 ID:nh13zq7M0
そう。だからこそ彼と一緒にいたり、彼と一緒に食事をしたり………
嫌いな相手には絶対にそんな事はしない。
彼だってそうだと思う。
……少なくとも嫌われてはいないはずだ………

しかし、彼は優しいからな………ううむ……………

ええい! 考えていても埒が明かん!!
もしも彼が優しいから私と一緒にいるのなら、
彼も私と一緒にいたいと思わせればいいだけだ!!

その為にはどんな事だってして見せよう!

そうどんな事だってな………


だが、一つここで問題が出来てしまったのだ。

それはな……さっきも言ったが彼は優しいのでな、もし……もしもだが、私から一緒になって欲しいと言ったら彼は受け入れてくれるだろうという事だ。
しかし、それではダメなんだ……
何故かって?
もしも……もしも彼が私を悲しませたくないと思って同情で一緒になっても良いと考えていたらアウトなんだ。
同情で一緒になったって長続きしないだろうな。

……いや、まあ、私が経験した訳では無いのだがな………

私としては、同情ではイヤなんだ。
だからこそ考えた。どうすればいいのかを

そして私が出した答えは彼の方から一緒になって欲しいと言わせることだった。

誰だって自分から思いを伝えるのは難しいと思う。
もし、受け入れて貰えなかったら?
もし、他に想い人がいたのなら?

誰だって人の心の中は分からないものさ。
だからこそリスクを冒してでもやらなければならない時がある。
しかし、リスクを小さくする方法がある。

そう。自分がその人の事を好んでいるとアピールすればいいのだ。
そうすれば互いの思いが一致した時、リスクが小さくなる場合もある。

36 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:43:44 ID:nh13zq7M0
しかし、アピールにも色々あるからな、私の場合はあまりガツガツせずにさり気なくやって行っているのだ。
さり気なくさり気なく、気づいたら私が傍にいる。
私が傍にいて当り前だと。
周りから見ればあの二人っていつも一緒にいるなと思わせる程にな。

そう。外堀を埋めていけばいいのさ。
そして誰かがドクオに私と付き合っているのかと聞き、その時は否定しながらも、

そう言えばいつも一緒にいるよな……当り前だと思ってた。でもそれって大学にいる間だけなんじゃないかな……
もしも卒業したら会えなくなってしまうかも……そしたら…寂しいな…………
と思わせれば後一押しだ。
そこで私がさり気なく卒業したらこうして一緒にいられなくなるなと言い寂しそうな顔をすれば、
ドクオも私と同じ気持ちだと気が付く。
そして自分には私以外の女がよりつかなかったと思わせ、ここで別れたらもうチャンスは無いかもと思い、
私に告白する。

と言った流れだ。
どうだ完璧だろう?

……何? 穴だらけだって?
そもそもアピールが細かすぎてわからないだろって?
第一女性とは社会に出てからも出会おうと思えば出会えるだと?

……だったら、私がドクオにとってかけがえのない最高の女だとわからせればいいだけだ!
そして、ドクオから私にプロポーズをさせる!!

………さっきより飛躍しているのではないかだと?

いいんだ。目標は高い方がやる気か出るんだ私は

まあ、見ていろ。
私はドクオを誰にも渡すつもりは無い。

37 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:44:39 ID:nh13zq7M0














カレハワタシダケノモノダ






















.

38 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:45:10 ID:nh13zq7M0
今日は晴れの予報だったのに大雨が降ってるではないか。
う〜む…物凄いどしゃ降りだな……
いくら梅雨の時期とはいえ、これは傘を差しても足元がかなり濡れそうだな。

まあ、文句言っても仕方ない、か
帰るとしよう。
今日の講義は友人内で取ってるのは私一人だけだから、待っていても誰も来ないしな。







…ん? あの後ろ姿は……

川 ゚ -゚)「どうしたドクオ? 入口に突っ立ていて」

('A`)「あ、クー。今から帰り?」

川 ;゚ -゚)「ああ。だが、これは凄い雨だな…」

そうやって二人で眺めていたのだが、流石にこのままでいると体が冷えてしまいそうだ。
だが、いくら待ってもドクオが傘を取り出し歩き出そうとしないのだが……
どうしたのだろうか?
何か不都合な事でもあるのだろうか?
まあ、聞いてみよう

川 ゚ -゚)「それで、帰らないのか?」

(;'A`)「うん…それが、今日は傘持って来てなくって……」

なるほど。だから何もせずにただ立っていたという訳か。
そして、今の言い方的に置き傘も無く、折り畳み傘も持って来てはいないという事か。

………何と言う事だろう。

私はちょうど一つだけ折り畳み傘が持っているのだ。

39 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:45:59 ID:nh13zq7M0
そう……これはチャンスではないか?
二人で一つの傘の下に入れという…!
そう!! 相合傘のチャンスだ!!!!
そしてゆくゆくは愛々傘なんて事も……!!

これは私達の愛を育むいい機会なのだ!!!
ならば話は簡単だ。
私が傘を持っているから入って行けばいいと言えば始まる!

川 ゚ -゚)「なんだ、そうだったのか」

そこで、カバンの中から折り畳み傘を取り出す。

川 ゚ -゚)「折り畳みなら一つあるんだが、どうだ?」

(;'A`)「どうって何が?」

言葉が足りなさ過ぎたか……
しかし、こういうのは女の私から誘うものなのか?

いや! 人として当り前の事だ!!
下心はちょっとしかない!!!

と言うか、ドクオは傘を持ってないから私から誘うのが当り前だろうが!
何もおかしい事は無い!!!

川 ;゚ -゚)「すまない言葉が足りなかったな……」

川 ゚ -゚)「君がイヤでは無いなら、私の傘に一緒に入らないか?」

(;゚A゚)「へ!?」

…固まってしまったな。
う〜む…そんなに意外だっただろうか?
それとも……やっぱりイヤなのだろうか…?
しかしもう言ってしまったのだ。
吐いた唾はのめ無いのだ。
やるしかない……!

40 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:47:27 ID:nh13zq7M0
川 - )「……私みたいな女なんかとは一緒に入るのはイヤか?」

ワザとらしくならないぐらいに顔を俯かせいかにもショックを受けているような雰囲気を醸し出す。
まだ、本当にはショックを受けてる訳では無いぞ?
断られたら、雨の中、傘を差さずに肩を落として一人寂しく濡れながら帰るさ…

(;'A`)「そんな! イヤだなんて!!」

焦っているというのは作戦は成功しているようだな。
ならばこのまま畳みかける!!

川 ゚ ー゚)「ならば構わないだろう?」

(;'A`)「いや…でも……」

う〜む…私と出会って一年以上に経ったのだが、まだ慣れてくれていないのだろうか……
こういう反応を見るのも楽しいのだが、友人なのだから遠慮しなくても良いのだな………
このままではなかなか進展しないではないか。

それは非常に困るのだがな……

川 ゚ -゚)「何を遠慮する必要がある? このまま待っていても止むとは限らんぞ?」

(;'A`)「だね…じゃあ、お願いしようかな」

よしよし。上手くいった。

さて…ここからが問題だ。
ドクオの家は歩いて帰れる距離だが、私は電車に乗らなければならない。
駅はそこまで遠く無いのだが、ドクオの家は駅からは遠いのだ。
先に私が駅に行ってしまってはドクオが濡れて帰る事になってしまう。
それはよろしくない。

……え? コンビニでも何処でもに寄ってビニール傘でも買えばいいだろうって?

………聞こえんな

仕方ない。私がドクオの家まで一緒に行くしか無い様だな。
別にみんなで一緒に行った事があるし、場所を知らない訳では無い。
ただ、二人だけで行った事は無いがな。
非常に残念な事に!

まあ、今そんな事を考えていても仕方あるまい。
まずは移動を開始しなくては

カバンから折り畳み出し広げる。

折り畳み傘だからなあまり大きくは無いのが難点だ。
しかし、今は小さい方が好都合だ。

41 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:48:14 ID:nh13zq7M0
何故かって?

……これならば自然に密着出来るではないか!!
腕を絡ませても良いのだが、流石にいきなりすぎるからやめておくべきだな……
今は肩と肩が触れ合う程度に、そして互いに濡れないように気を使いながら歩く。
何だか互いを意識してるけど一歩踏み出せない初々しい関係に見えるだろう?

川 ゚ ー゚)「さて、行こうか」

(;'A`)「お…お邪魔します」

川 ゚ ー゚)「いらっしゃい」

右手に傘を持ち、ドクオも右に入ってもらう。
だが、まだ遠慮しているのか、恥ずかしのか少し私から距離を取っている。

川 ゚ -゚)「ほら、ドクオ。それでは肩が濡れてしまうぞ。もっとこっちに来い」

(;'A`)「う…うん」

少しだけ…ほんの少しだけ私に近づいたが、これではさっきとあまり変わっていない。
だが、それでは私が満足出来ないのでさり気なくドクオに近づき傘にいれる。

川 ゚ -゚)「こんな雨なんだ、遠慮する事は無い。こんな事で風邪を引いても馬鹿らしいだろう?」

(;'A`)「そ…そうだね…」

そして、二人の距離が縮まり密着するような形になる。

ここでドクオが私に傘を持たせている事に気が付き自分が持つと言ってくれた。
うむうむ。ちゃんと気遣いが出来るではないか。
二人で他愛のない雑談をしながら歩いて行く。

これはさっきは初々しい関係に見えると思ったが、
どう見ても仲睦まじい恋人同士にしか見えないな。

…おっと。いかんいかん。頬が緩む所だった。
こう見えてもポーカーフェイスには自信があるんだ。表情を出し過ぎないようにしないとな。

さて、駅への分かれ道に来たがここでドクオを一人で返すつもりは無い。
このままドクオの家まで直行するんだ。

('A`)「それじゃ、俺こっちだから」

そう言って傘から出ようとするドクオの腕を掴む。

42 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:48:40 ID:nh13zq7M0
(;'A`)「どうしたの?」

川 ゚ -゚)「ドクオ…こんな雨の中に連れ出して私はこっちだからって放り出すほど冷たい女ではないぞ」

('A`)「と言うと?」

川 ゚ -゚)「このままドクオの家まで一緒に行こう」

(;'A`)「ええ!? いいって! そこまで付き合ってくれなくたって。
    それじゃあクーが帰るの遅くなっちゃうだろ」

川 ゚ -゚)「気にするな。大事な友人を私のせいで風邪を引かせるよりはよっぽどマシだ」

……いや、待てよ?
ドクオが風邪を引けば、お見舞いに行き私のせいなのだからと言ってそのまま看病の流れにする事も出来る?
そしてご飯を食べさせたり、体を拭くといった事も……!?

……待て待て。落ち着くんだ私!
確かにそれも捨てがたいが、ドクオが苦しむのは良くないな。
今回はそれはやめておこう……
普通にドクオが体調を崩したら、そうすればいいんだ。
わざわざ辛い目に遭わせる必要は無いだろう。

今は遠慮しているドクオを説き伏せてさっさと行くとしよう。

川 ゚ ー゚)「それにだ。人の好意は素直に受け取るものだろう?」

(;'A`)「そうだけどさ…」

川 ゚ ー゚)「なら決まりだ」

腕を引っ張り傘の中に入れてしまい歩き始める。
多少強引だが、ドクオは遠慮がちだからな。この位で丁度いいのだ。


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