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昔桃子やベリの学園小説書いてた者だけど〜新狼

11:2015/07/24(金) 02:21:01
狼の本スレが落ちたときのために立てておきます
本スレでの誤字脱字等のミスも補完してここに置いておきます

本スレ
昔桃子やベリのエロ小説、じゃなくて学園小説書いてた者だけど久しぶりにばくわら世代あたりを中心に書きたくなった
http://hello.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1437026233/

4771:2017/06/11(日) 05:35:10
>>475
マイマイはまたの機会に

4781:2017/06/11(日) 05:50:39
俺は駅の方に向かって、ブラブラと歩き出した。

歩く気力は全然湧かなかったけど、いつまでもこんなところに立ち尽くしていても仕方ない。市電はとっくの前に終わっているし、タクシーに乗る金もない。自分の足で歩いて帰るしか他にないのだ。

歩き出すと、山木さんのこと、舞さんのこと、それに真野ちゃんのことも頭に浮かんできた。でも、そのたび、俺は頭を強く降って、とにかく歩き続けた。

4791:2017/06/11(日) 05:51:55
駅前を通り過ぎる時、駅舎の時計を見ると、午前1時半を回っていた。繁華街の飲食店も、ほとんどの店は既に電気が消えていて、明かりのついている店がぽつりぽつりとある程度だった。例の「ANGERME」も、もちろんシャッターが降りている…。

そのまま市電の線路に沿って歩き続け、高校の前まできたとき、このまま線路に沿って歩くより、毎日チャリで通る通学路をショートカットした方が近いことに気が付いて、俺は路地を曲がった。

4801:2017/06/11(日) 06:24:43
ずっと歩き続けて、ようやく高校と家の中間くらいまでたどり着いた。

(今はとにかく早く家に帰って、布団に入りたい)
それだけを考えていたのだが…。

小さな川沿いに「赤ちょうちん横丁」という、古い平屋の長屋が向かい合った、怪しげな飲み屋街があった。いつもは朝か夕方しか通ったことがなくて、店が開いているのを見たことは一度もなかったので、建物全体が空き店舗なのだと俺は勝手に思っていたのだが、今見ると、そのうちの数軒に明かりがついている。

(へえ…。こんな遅い時間にやっていたのか)

そんなことを考えながら、思わず立ち止まると、ちょうど一番手前の店のちょうちんの灯りが消えて、ガラガラと引き戸が開くと、中から割烹着姿の女の人が出てきた。

ちょうちんを店の中に仕舞おうとする女の人と、一瞬、目が合った。

4811:2017/06/11(日) 06:25:59

(こんな店のママさんなのだろうから、結構な年のおばさんだろう…)
そう思って何の気なしに見上げると、その人はおばさんどころかすごく若い、しかも相当な美人だったので、俺は一瞬たじろいだ。

(いくつだろう…、舞さんとどっちが年上かな? いずれにしても二十歳そこそこくらいかな…)

そんなことを考えていると、その女の人がいきなり「○○クン!」と、俺に向かって呼びかけてきたので、俺は二度驚いた。

(えっ… 誰だろう、この人…)

俺は無言のままドギマギした。

4821:2017/06/11(日) 06:27:55
「分からない?」とその人は小首を傾げながら、上目遣いに俺の目を覗き込んできた。その目つきで俺はようやく気がついて、思わず大声を上げた。

「お前…、小田か!?」

その人…、いや、俺と同じクラスの小田さくらは、恥ずかしそうに顔を赤く染めると、コクンと一つ頷いた。

「お前、前髪下ろしてるの初めて見たから…、全然気がつかなかった。てゆーか…」

話しをしながら、落ち着きを取り戻して周囲を見回すと、店の看板には「スナックさくら」と書いてあった。

「てゆーか、お前、高校生のくせにスナック経営してんの?」

俺がそう聞くと、「してるわけないじゃん。店をやってるのはお母さんで…、私は今日は夏休みだからたまたま手伝ってただけ…」と、小田は消え入りそうな声で答えた。

483名無し募集中。。。:2017/06/11(日) 16:38:23
ようやくばくわら世代に戻ってきたか

4841:2017/06/12(月) 04:04:45
「そうなのか…」と俺が答えると、「でも、学校のみんなには…、誰にも言わないでね。お願い!」と、小田が赤い顔のままで囁いた。

「あ、ああ…」と俺。

(それじゃ、これでお互いに秘密を一つずつ共有したってことになるのかな…)と、俺は思い出した。

今日は暗室で山木さんとあんなことをした後、山木さんに振られて混乱した俺は、優樹が「幽霊の声がした」なんてふれ回っていたせいもあり、カッとなって、ほとんど八つ当たり気味に、小田に本当のことを話してしまっていたのだった。

その時、「誰にも言わないから」と、生真面目な顔で俺に叫んた小田。

そんなことを考えていると、昨日からのことや、さっきまでのことが次々と脳裏に浮かびあがっては、止まらなくなってしまった。

(あれ、俺、泣いているのか…)
なぜだか、涙が出てきてしまっているのに気が付いて、俺は激しく狼狽した。

「どうしたの、○○クン?」と、驚いたように俺の顔を覗き込む小田。

「い、いや、なんでも…」

4851:2017/06/12(月) 04:53:34
「別に、なんでもない…」
俺は自分に言い聞かすように、そう答えたけど、涙は止まらなかった。

考えてみれば…。

これは前にも経験したような光景だった。

そう。昨年の宿泊研修の後の、2学期終了のクラスの打ち上げの後のことだ。

宿泊研修で宮本に告白して玉砕した(と思い込んだ)俺は、安酒に悪酔いして、泣きながらズッキの膝の上で介抱されていたのだが、その時も、今みたいにどうにも涙が止まらなかったのだ。

(俺って、女の前で涙腺が緩むタイプなのか…、情けない…)

「ねえ、何かあったの? 本当に大丈夫? …ちょっと落ち着くまで、うちの店で休んで行ったら?」と、小田が心配そうに言った。

4861:2017/06/12(月) 05:01:55
俺は慌てて、「いや、店の中に小田の母ちゃんいるんだろ? いいよ。いいよ」と断ったのだが…。

小田は「大丈夫。お母さんいないから」と、小さく微笑んでから、「お母さん、今日疲れてて体調悪そうだったから、さっき店閉めたらすぐ、先に帰ってもらったの。で、私一人で洗い物とか店の片づけしようとしていたところだったんだ。だから…」

そう言いながら、小田は俺を背中から押すような形で店の中に押し込んだ。

4871:2017/06/12(月) 05:15:01
店の中には、カウンターとボックス席が一つ。

外の看板には「スナック」とは書かれていたけれど、入ってみると、焼き鳥屋かおでん屋のような造りの店だった。それともこういう店を「小料理屋」というのだろうか。カウンターの奥にはカラオケのセットが置かれていた。

(それなら「和風スナック」とでもいうべき店なのだろうか…)

俺が店内を見回していると、後ろ手に玄関の引き戸を閉めて入ってきた小田が、「その辺にでも座ってて。あっ、そうだ。お茶でも飲む?」と言って、「サッポロビール」とロゴの入った冷蔵ケースの中を探りはじめた。

「そう言えば俺、今日はヤケ酒飲もうとして出てきたんだった。でも、酒なんて飲んでも、何もいいことなんてないもんだな」

ようやく涙のとまった俺がそう言って力なく笑うと、小田は真面目な顔をして数秒俺の顔をじっと見つめた後、無言のまま冷蔵ケースからサッポロ黒ラベルの中瓶を取り出し、俺の前に持ってきた。

4881:2017/06/13(火) 04:59:33
無言のままビールの栓を抜くと、俺の前に小さなコップを置き、注ぎ始める小田。

「えっ…」
おどろく俺を尻目に、小田は「私、注ぐのなかなか上手いでしょ。さっきもお客さんに褒められたんだ」と、小さく笑ってから、「ねえ、一体何があったの? これ飲んで、イヤなこと全部忘れちゃうといいよ」と、つぶやいた。

「小田、お前…」
思わず俺が真顔になって話しかけようとすると、小田は「ごめん! 詮索とかするつもりじゃなくて…。そうじゃなくて、元気出してほしいな…、って私思って…」と、言い訳するように言ってから、「私、洗い物済ませちゃうから、ゆっくり飲んでてね」と言って、カウンターの中に入った。

俺はしばらくコップのビールを見つめてから、一息にそれを飲み込んだ。

4891:2017/06/13(火) 05:02:40
空になったコップに手酌でビールを注ぎ足してから、「でも、小田が俺にビールを注いでくれるなんて、夢にも思わなかったわ」と、俺はつぶやいた。

カウンターの向こうで洗い物を始めながら、「えっ、どうして?」と生真面目な顔で俺を見上げてくる小田。

「小田とは1年生の時から同じクラスだったけど、俺たちあんまり接点なかったし、深く話したこともなかっただろ…。それにホラ、お前、俺なんかと違って頭もいいし真面目じゃん。去年は学級委員長もやってたし。そんな優等生のお前が、劣等生の俺に飲酒を注意することはあっても、まさか酒を勧めてくるなんて、想像もしてなかったから」

俺がそういうと小田は、一瞬、洗い物の手を止めて、「えっ、私はクラスの中では、〇○クンとは仲がいい方だと思ってたんだけど…。それに、私…、優等生なんかじゃない…」と言って、ちょっと寂しそうな表情を見せた。

4901:2017/06/14(水) 05:38:07
「えっ、いや…、その…」
小田の寂しげな表情を見て、俺は思わず言葉に詰まってしまった。

(俺はなんでいつも、物事を深く考えもせずに喋ってしまうのかな)と、俺は自分の軽口を後悔した。

「何か…、スマン」
俺がそう言うと、小田は「いいよ…、別に」と言って、また下を向いて洗い物を始めた。

沈黙が流れた。

何か話題を作ろうとして、俺は「ところで、あのあと優樹、どうなった?」と聞いた。そして、聞いてからまた後悔した。

小田は洗い物を続けながら、「優樹ちゃん…、あの後大変だったんだから。音楽室に戻ってきて大泣きして。『お兄ちゃんに突き飛ばされた』とか大騒ぎして。それ聞いて、合唱部のみんなも、そう、植村さんとかも『女の子に暴力振るうなんて最低』って、○○クンのこと、怒ってたよ」と、真面目な顔をして言った。

4911:2017/06/14(水) 06:13:55
(あの植村あかりに嫌われたのか…)
俺が何気にショックを受けていると、「でも、私はそうは思わないけど」と小田が言った。

「えっ?」
「いや、私もそんなによくは分からないけど…。○○クンが理由もなしに優樹ちゃんに暴力振るうなんて、私には想像つかないもん。きっと、何か行き違いがあったんじゃないのかな? 優樹ちゃんって、感情的になるとすごく大げさなこと言ったり、嘘ついたり、人の話聞かなくなったりするところあるし…」
「…」
「植村さんも、○○クンのこととかよく知りもしないくせに、優樹ちゃんの言い分だけを真に受けて、悪く言ったりしない方がいいのにって、私思った」

俺は恥ずかしさで自分の顔が赤くなるのを感じていた。と同時に、小田の俺への底抜けな買い被りにも似た同情に、正直言って戸惑ってもいた。

4921:2017/06/15(木) 04:19:08
「いや、小田、あのな…」
「何?」
「庇ってくれるのは嬉しいけど…、やっぱり俺が悪かったんだと思う…」

小田は数秒俺の顔を見てから、「ねえ…、いったいあのとき何があったの? あっ、いや…、言いたくないなら、別に言わなくてもいいんだよ」と、早口で言って、俺を見た。

俺は何て答えればいいか数秒迷ったけど、コップのビールをグッと飲み干してから、小田の疑問に答えることにした。

「あの時も言ったけど…」
「うん…」
「俺は暗室で、好きな先輩と、その…、抱きあってたんだ。声も響いてたと思う…」
「…」
「でも、俺、フラレてな…」
「えっ?」
「それで…、落ち込んでたところに、優樹が来て、幽霊だの何のって…。俺、ついカッとなって」
「そう、なんだ…」

赤い顔をしながら、俺を見つめる小田。

4931:2017/06/15(木) 04:32:13
「その先輩って、写真部の人? もしかして…、山木さん?」
「…」
「ごめん。詮索したりして…」

沈黙の中、小田が食器を洗い続ける音だけが響いた。

「でも…、こんなこと言ったら怒られるかもしれないけど…」そう言って、小田が上目遣いで俺を見上げた。

「何?」
「私、ちょっとホッとしたな」
「どゆこと?」
「私、○○君って、うちらのクラスの鈴木さんか…、もしかしたら植村さんのことが好きなんじゃないかって、勝手に思ってたの。でも、そうじゃなくて、その先輩が好きだったんだね」

俺は小田の言っている意味が分からなくて、黙っていた。

「別にフラれたっていいじゃん! 女の子なんて星の数ほどいるんだよ。○○君のこと好きな子だって、きっといるよ」
小田はまっすぐに俺の目を見て言った。

4941:2017/06/15(木) 04:46:44
小田は小田なりに俺のことを励ましてくれているのかもしれないけど…。
その無責任な口ぶりに、正直俺は少し腹が立った。

「何で小田にそんなこと分かるんだよ」
「だって…」
「だって?」
「私、知ってるもん!」
「何を?」
「○○君のこと、好きだっていう女の子がいること、私、知ってるもん!」
「誰だよ、それ?」
「そんなこと…、言えないよ…」

そう言うと、また小田は下を向いて、洗い物に集中してしまった。

4951:2017/06/15(木) 05:16:49
そのまま小田は黙って洗い物を続けた。

俺も黙ってビールを飲み干すと、コップと瓶を小田に渡した。

しばらくして小田は「じゃあ、後片付終わったから…、店閉めるよ」と言った。
「お、おう…」と俺。

2人並んで店を出ると、小田は玄関にカギをかけて、シャッターを下ろした。

「おい、こんな時間になったし、お前の家まで送っていくよ」と俺は言った。
「いいよいいよ。だいたい私の家、○○君の家とは反対方向だし」と言って、首を振る小田。
「えっ、お前、俺の家知ってんの?」と俺。
「あっ、いや…、よくは知らないけど…」と小田。

「まあ…、それはいいけど…。遠慮すんなって。てゆーか、こんな時間に、女の子一人じゃいくら何でも危ないだろ」と俺が言うと、小田は少し考えるような素振りをしてから、「それじゃ、お言葉に甘えて送ってもらおうかな…。ホントはね、正直言うと、一人で帰るの、ちょっと怖かったんだ」と言って、頬を赤くして俺を見上げた。

4961:2017/06/15(木) 05:31:47
小田の家は、そこから高校の方に少し戻ったところの、歩いて5分くらいの場所だった。

今まで小田のことは別に何とも思ったことはなかった俺だけど、こんな時間に、クラスの女の子と二人きりで歩いていると思うと、少しドキドキとしてきた。それに、正直に言うけど、割烹着を脱いでワンピース姿になった小田は、俺が思っていたよりもずっとオッパイが大きく見えて、俺は目のやり場に困って緊張していたのだ。

俺だけじゃなく、どういうわけか、小田もほとんど無言のままで歩いていた。

「私の家、ここなんだ」と言って小田が指さしたのは、お世辞にも立派とは言えない、古い木造アパートの二階の一室だった。

「小田…、今日は何かスマンカッタな…」
「えっ、どうして…」
「何か俺、酔っ払って絡んだみたいで…」
「そんなことないよ。私の方こそ、わざわざ送ってもらって…」
「あっ、そうだ。ビール代払うの忘れてた」
「えっ、別にいいよ。そんなの」
「よくないだろ」
「そんな…。あっ、そうだ!じゃあ、ツケにしておくから、また今度きてよ」
「えっ?」
「…機会があったら、でいいから」
「お、おう」

そう言うと、小田は早足でアパートの鉄製の階段を昇って行って、自分の部屋の前で一度俺に振り向いて手を振ると、部屋の中に消えていった。

497名無し募集中。。。:2017/06/15(木) 22:11:28
本命は小田ちゃんか

4981:2017/06/18(日) 04:31:05
家まで帰ってくると、玄関に電気がついていた。

カギを開けて中に入ると、居間のテーブルに千奈美姉ちゃんが突っ伏して寝ていた。

姉ちゃんの姿を見ると、またさっきまでのいろいろな出来事が一気に押し寄せてきて、俺は泣きそうになってしまった。(いっそ、姉ちゃんに話を聞いてもらおうかな…)と、俺は一瞬思った。

「姉ちゃん、こんなところで寝てると風邪ひくぞ」と声をかけて体を揺さぶると、千奈美姉ちゃんはむくっと起き上がって

从*´∇`)<ちょっとアンタ! こんな時間まで何やってたの!

と大声を上げた。

「いや、別に心配してもらわなくても…」と俺が言いかけると、姉ちゃんは俺の言葉を遮って

从*´∇`)<心配? ハァ?

と首をかしげてから

从*´∇`)<そんなことどうでもいいけど、それより聞いてよ! ちいちゃんの大活躍で、アシカの赤ちゃんたちが劇的に回復したんだから! それをアンタに話してやろうと思ってわざわざこうして待ってたんだから!

というと、姉ちゃんは早口で一方的にアシカを治した自慢話をし始めた。

(姉ちゃんに話を聞いてもらおうと思った俺が馬鹿だった)と思ったけど、姉ちゃんの笑顔を見ていると、なんだか元気が出てくる俺でもあった。

4991:2017/06/18(日) 05:02:07
姉ちゃんの長い話を聞き流し…、
部屋に戻って時計を見ると、すでに時刻は午前3時半を回っていた。
(疲れた…)と俺は思った。

パジャマに着替えてすぐに布団にもぐりこんだのだが…。
すごく疲れていて、すぐにでも眠りたいのに、どういうわけか神経が高ぶって、目を閉じても眠れない。

(困ったな)と俺は思った。

これはきっと…、舞さんとセックスするつもりでいたのに、直前で寸止めされたのも影響しているのではないか。

(だったら、一本抜いて、スッキリしてから寝よう)

俺はベッドから這い出ると、おもむろに部屋のドアにカギをかけた。

5001:2017/06/18(日) 05:05:01
ズボンとパンツを脱いで、一物を握りしめた。

すると、頭の中には舞さんではなく、自然と山木さんのことが浮かんできた。

(山木さん…! 梨沙!)

昼のことを思い出すと、気持ちが昂揚してはきたのだが、「〇○君とは、やっぱり付き合えない…」という山木さんの言葉を思い出すと、自然と萎えてきてしまった。

(これじゃダメだ! もっと鬼畜になって、舞さんの…、体のことだけを考えよう)

俺は目を閉じて、舞さんを後ろから抱きしめているところを想像した。

(舞さん!舞さん!)

後ろからオッパイを揉みしだくと、妄想の中の舞さんのオッパイは、さっき実際に触った舞さんのオッパイよりも大きかった。

(あれ、舞さんじゃない! キミは!?)

肩をつかんで振り返させると…
そこにいたのは舞さんではなく、顔を真っ赤に染めた、さっきのワンピース姿の小田だった。

(えっ!? 小田…)

俺が叫ぶと同時に、俺の胸の中に飛び込んでくる小田

(くそ…!)
俺は訳が分からなくなって、妄想の中で小田を押し倒し、奥深くまで貫いた

(小田…!、さくら…!、さくらッッ!)
小田の中で勢いよく果てると同時に、猛烈な睡魔が俺を襲ってきた。

5011:2017/06/20(火) 05:20:27
ドン、ドン、ドン
ドン、ドン、ドン
と、激しくドアを叩く音で目が覚めた

从*´∇`)<ちょっと! アンタ! 何で部屋にカギなんかかけてんのよ!

そう言って、姉ちゃんが俺の部屋のドアをガチャガチャと開けようとしている。

俺は慌てて飛び起きた。

気がつくと、俺は下半身裸のまま、ティッシュを握りしめてベッドで大の字になって寝ていたのであった。

急いでパジャマのズボンを履いてから、部屋のドアを開けた。

「ちょっ…、何だよ姉ちゃん…。まだ朝早いだろ!」

俺がそう抗議したのにも構わぬ素振りで、姉ちゃんは俺の部屋に一歩入ると、

从*´∇`)<何!? なんかこの部屋、男臭い!

と言って、顔をしかめた。

「そ、そりゃ、男だもん、男臭いに決まってるだろ…。それより、何だよこんな時間に?」
と、俺がしどろもどろになって言い返すと、姉ちゃんは

从*´∇`)<電話だよ、電話! それも、可愛い声の女の子から!

と言って、ニヤニヤと俺の顔を覗き込んできた。

5021:2017/06/20(火) 05:40:06
慌てて階段を降りて、電話の受話器を握る俺。

「もしもし!」と俺が話しかけると、「あっ、ごめんね。こんな朝早くに。私、あの…、鞘師だけど」と、声がしてきた。

「お、おう。お早う」
俺がそう言うと、鞘師も小さな声で「うん。お早う」と返してきた。

「あれ、お前、俺の携帯の番号教えてなかったっけ?」と俺が聞くと、「うん。聞いてなかったから、名簿見て家の方にかけたんだ。ごめん。やっぱり、迷惑だったよね…」と、鞘師が消え入りそうな声で言った。

「いや、別にいいんだけと、何の用?」
「あのね、実は昨日の晩にも電話かけたんだけど、誰も出てくれなくて…」
「えっ、ああ…、スマン。昨日遅くまで用事あって、帰ったの遅かったんだ」
「そうなんだ…。あのね…」

その時、受話器の向こうから「出発便のご案内を致します。○○航空××便で羽田へご出発のお客様は、ただいま最終のご搭乗の…」と、アナウンスが聞こえてきて、鞘師の声がかき消された。

「ごめん! ちょっと聞こえない」
「あ、あのね…」
「鞘師、今空港にいるの?」
「う、うん。実はね…」

5031:2017/06/23(金) 02:14:03
「本当は、昨日のうちに○○クンにも相談したかったんだけど…」
「何を?」
「ごめん。いま詳しく説明してる時間ないんだけど、私これから用事で東京に行かなきゃならないんだ」
「へえ、いいじゃん」
「あのね、それで私、二日ほど、一緒に練習に出きなくて」
「ああ、そのことか。別に気にすんなよ」
「あっ、でも、ちゃんと代わりの先生頼んだから」
「えっ、誰?」
「ごめん。もう行かなきゃ。○○クンはいつもどおりの時間に練習に行ってね。じゃあ」

鞘師が早口でそう言い終わると、電話は切れた。

5041:2017/06/23(金) 02:32:33
(へえ…、鞘師、東京に遊びに行くのか。いいなあ。俺も行きたいなあ。あっ、でも急用だったみたいだから、もしかしたら親戚に不幸でもあったのかな…。だとしたら『いいじゃん』とか言って、失礼だったかな)と、俺は思った。

そんなことを考えていると、千奈美姉ちゃんがニヤニヤしながら近づいてきて

从*´∇`)<ちょっとアンタ! 今の子誰なのよ? あれが一昨日キャプテンの言ってたダンスの上手い子なの? それとも桃が言ってたクラスの子? デートの約束でもしたの?

と、探るような目つきで俺のことを見始めた。

「ちょっ、姉ちゃんまで変なこと言わないでくれよ!」

そういうと俺は姉ちゃんを振り切って部屋に戻った。

(そうだ。爆睡していたけど、そろそろ学校に行かなきゃならん時間だ)と俺は思った。

鞘師と会えない寂しさももちろんあったけど、正直に言うと、鞘師の厳しいレッスンを受けずに済むという、単純な解放感もあった。

(ところで、代わりの先生って、誰なんだろう)

5051:2017/06/23(金) 02:47:15
準備を済ませてから、チャリに乗って家を出ると、今日も外は暑かったが、日陰に差し掛かると時折心地よい風も吹いていた。

家からちょっと行くと、例の舞さんの家のコンビニの前に出た。

俺は一瞬、昼飯を買っていこうかとも考えたのだけど、正直言って、今は舞さんに顔を合わせたくない気分だった。

仮に会ったとしても…、いったい何を話せばいいというのか。

通りがかりに、スピードを落として店の中を覗くと、レジには舞さんのお父さんと言う店長が一人でいるだけだった。俺は何とはなしにホッとすると同時に、この人の知らないところで、娘さんに手マンまでしたのかと思うと、一瞬背徳感に襲われた。俺はやっぱり、店には寄らないことにした。

しばらく行くと、昨日寄った小田の母さんの店、「スナックさくら」がある、赤ちょうちん横丁の前に差し掛かった。

建物は、昼間に見ると、昨日の夜に見た時よりもさらにみすぼらしく感じられて、俺は何だか胸が締め付けられそうな気持ちになった。

5061:2017/06/23(金) 03:02:38
(昨日も詳しくは聞けなかったけど、小田の家って、お父さんいなそうだよな…)と俺は思った。

お母さんが夜の店をやりながら、女手一つで小田を育てたのだろうか。確かに小田にはどことなくそういう陰がある。(でも、それにしてはグレたりせずに真面目に勉強してるし、小田は偉いよな…)と俺は思った。

店の前から自転車を漕いでいて、気がつけば、小田のアパートの前で俺は停まっていた。

アパートもやはり、昼間に見ればより貧相に見えて、生活感の感じられる建物だった。

(ここで待っていたら、小田が偶然ドアを開けて出てこないかな…)と俺はぼんやりと考えた。(そしたらチャリの後ろに小田を乗せて、全速力で学校までぶっ飛ばしてやるのに…)

そんなことを妄想しながらその場に1分ほど佇んでいた俺は、自分の考えていることの馬鹿馬鹿しさに気付いて頭を振ってから、学校に向かった。

5071:2017/06/23(金) 03:07:10
学校に着き、自転車置き場にチャリを止め、玄関に向かった。

上靴を履いて校舎に入り、階段の横を通り過ぎようとしたとき、
突然、階段の上から、「こらっ!DV男!」と、大きな声が降ってきた。

「えっ?」
驚いて見上げると、あの植村あかりが腕組みをして大股を開いて、ちょっと頬っぺたを膨らませて、俺の前に仁王立ちしていた。

508名無し募集中。。。:2017/06/23(金) 21:09:08
2年ぶりに学校まで戻ったかw

5091:2017/06/28(水) 01:22:11
階段の踊り場から、植村がゆっくりと降りてきた。

俺は思わず植村から視線を逸らして、「確かに俺が悪いんだから、何言われても仕方ないよ」とつぶやいた。

すると植村は、「えっ? ちょっと、何マジレスしてんの?」と、驚いたように目を丸くして、俺を見つめてきた。

俺は少し頭がカッと熱くなってくるのを感じながら、自分に(落ち着け)と言い聞かせて話を続けた。

「俺は優樹を殴ったりしたつもりはないけど、まとわりついてきたあいつにカッとなって、思わずちょっと強く払ったら、突き飛ばしたような形になってしまったんだよ。とはいえ、結果的に暴力をふるったのは間違いないから、植村に軽蔑されても仕方ないよな。ただ、優樹は別に俺の家族じゃないから、『DV』ってのは当てはまらない」

俺がそう言い訳すると、植村は「えっ、何? ○○クンって、冗談も通じないの?」と呆れたような目で俺を見上げてきた。

5101:2017/06/28(水) 01:24:22
「えっ?」と思わず俺が聞き返すと、
「優樹ちゃんの話なんて、割り引いて聞いてるに決まってんじゃん。それなのにそんなにマジレスされると、何かかえって私、心配になっちゃうな」と、植村は硬い表情で答えた。

俺は正直混乱した。
「でもお前、みんなの前で、俺のこと『最低』って言ってたんだろ?」
俺がそう聞き返すと、植村は「はあ!? 何それ!? 誰がそんないい加減なこと言ってんの!?」と、大声を上げた。

5111:2017/06/29(木) 04:41:17
「い、いや、それは…」

俺が言いよどむと、植村は「あのさ…、確かに私、『暴力はよくないよね』とは言ったよ」
と怖い顔をして言い始めた。

「そうでも言わないと優樹ちゃんも収まらないだろうと思ったし。でもさ、優樹ちゃんって、感情的になるとすごく大げさなこと言ったり、嘘ついたり、人の話聞かなくなったりするところあるなんて、みんなが知ってることじゃん」

(あれ、どこかで聞いたようなセリフだな)と俺が考えているのにも構わず、植村は続けた。

「誰も〇○クンが本気で優樹ちゃんに暴力振るったなんて信じてないけど、そういう体にしとかないと、いつまで経っても優樹ちゃん、泣きやまないじゃん」
「そ、そうか」
「そうだよ! そんなの分かった上でみんなであやしてたのに。それなのにまるで私が陰で〇○クンの悪口言ってたみたいに告げ口した人がいるわけ!? 誰なのそれ!? マジ許せない!」

植村は本気で怒っているようだった。

5121:2017/06/30(金) 01:56:34
「ねえ、それ一体誰が○○クンにそんな話したの?」
「誰って…、いや、それは…」

昨日の晩、優しく俺をあやしてくれた小田の姿が脳裏に浮かんで、俺は狼狽した。(俺は本当に、いつも余計なことばかり言ってしまうんだな…)と、後悔が襲ってきた。

「言えないの? じゃあいいよ。私これから合唱部の練習に行ったら、誰が言ったのか一人ずつ問い詰めて、ハッキリさせるから!」
「おい、よせよ、そんなこと…」
「はあ? ○○クンは、その子の肩持つわけ!? マジ、ムカつくんだけど。○○クンも本当はその子のこと好きなんじゃないの?」
そう言うと、植村は冷ややかな表情で、俺の目を覗き込んできた。

「好きとか、そんなんじゃないけど…」
「あのさ…、ハッキリ言うけど、誰だか知らないけど、その子は私のこと悪く言って、○○クンに取り入ろうとしてるんだからね。○○クンも、そんな子の言うこと信じるんなら、勝手に仲良くしてるといいよ。私、○○クンのこと、見損なったわ」

そう吐き捨てると、植村はくるりと俺に背を向けて、すたすたと歩きだしてしまった。

5131:2017/07/03(月) 23:47:44
「おい、ちょっ、待てよ」
俺は思わず植村の肩をつかんだ。

振り向いた植村の顔を見て、俺は驚いた。怒って怖い顔をしているのだろうとばかり思いきや、植村は少し涙を溜めたみたいに赤い目をして俺を見ていた。

(俺のバカ! 植村、見かけによらず傷ついているじゃねえか…)

後悔だけに包まれながら、言うべき言葉を見つけられずにいると、植村が「…何よ?」と、口調だけは強気なままで言った。

「…いや、何て言うか、その…、スマン…」
俺がそう言いかけると、「はあ? スマンって何? 一体何を謝りたいわけ? 意味わかんない!」

植村は怒りを倍加させながら言った。

「いや、植村、俺はな…」
俺がそう言いかけた時、後ろから「…こんなとこで2人で大声出しあって何やってんの? 痴話喧嘩ってやつ?」と、冷ややかな声が聞こえて、慌てて振り向くと、そこに硬い表情をした宮本佳林が立っていた。

「宮本…」
「りんか…」
俺と植村が同時につぶやいた。

俺はつかんでいた植村の肩から、静かに手を放した。

5141:2017/07/04(火) 00:01:53
何と言ったらいいのか…。

俺が呆気にとられていると、植村はさっきまでの泣きそうだった表情とは一変して、冷たい笑みを浮かべながら、「へえ…。りんか、ずいぶん皮肉っぽいこと言うじゃん」と、宮本に向かって啖呵を切った。

「別に…、そんなつもりないけど。でも、いちゃいちゃするなら、廊下じゃなくて、別の場所でした方がいいんじゃない?」

宮本の声はさらに冷ややかな響きだった。

「おい、宮本…」
俺は驚いて、思わずそう声に出したけど、宮本は俺には視線すら合わせず、植村を見つめたままだった。

宮本がこういうことの言えるやつだと思っていなかった俺は、ただただ呆気にとられていた。(俺って、宮本のこと、いや、女の子のことなんて、全然分かってないんだな…)

515名無し募集中。。。:2017/10/20(金) 07:03:02
こんなのがあったとは

516名無し募集中。。。:2018/03/19(月) 02:32:51
続きはもう来ないのか

5171:2018/04/18(水) 01:49:20
「りんか、こないだのこと怒ってるんでしょ?」と、植村が冷たい笑みを浮かべながら言った。
「こないだ? こないだって何のこと?」と、能面のような表情で答える宮本。

「こないだ私がダンス部の練習後に教室行ったときのことだよ。りんかが○○クンと何か話そうとしてた時に私が横から割り込んじゃったから、そのことまだ根に持ってるんでしょ?」
「えっ?何の話? 私そんなこと全然覚えてないんだけど」
「へえ…。そうなんだ(笑)。それにしては私にずっとガンつけてたじゃん」
「ちょっと! ヘンな言いがかりやめてくれない!?」

2人の女の子のエスカレートする言い合いを、オレはハラハラしながら見ているだけしかできなかった。

5181:2018/04/18(水) 01:51:02
あのさあ…、りんかが〇○クンのこと好きになるのは自由だけど、そんなことで勝手に私にヤキモチ焼いて難癖つけられるのは迷惑なんだよね」
植村がそう言い放つと、宮本は顔を紅潮させて「うえむーこそ、○○クンのこと好きだからこんなとこで痴話喧嘩してたんじゃん。私をダシにするのやめてよね」と叫んだ。

このまま放っておくと、二人の女の子がつかみ合いの喧嘩をするんじゃないか、と思った俺は慌てて二人の間に割って入った。

「スマン! 全部オレが悪いんだ! だから俺のことでお前ら二人が喧嘩なんかしないでくれよ!」
そう叫んだ俺を、宮本は数秒間見下ろしてから冷ややかに言った。

「馬っ鹿じゃないの! ○○クン、自分がモテモテのイケメンで、私たちが○○クンを取り合って喧嘩してるとでも思ってんの? この間、私が謝ったからって、私が〇○クンのこと好きだとか思ってるんなら背負いすぎだから。そういう勘違い、マジキモいんだよね」
そう吐き捨てると、宮本は俺と植村をその場に残して、すたすたと歩き出した。

呆気にとられて宮本の後ろ姿を見ながら立ち尽くす俺。

しばらく呆然としていた俺は、「ゴホン…」という植村のわざとらしい咳払いで我に返った。
「あのさ…、私はりんかほどキツく言うつもりはないけど…、それでもやっぱり今日の○○クンには腹が立つわ。ちょっとは本当に反省してよね」
そう言い捨てると、植村も小走りに駆けていった。

俺は一人その場に取り残された。

5191:2018/04/18(水) 02:10:34
宮本と植村。この二人の美女に俺はどうやら完全に嫌われたのだろう。
(それも仕方ない。自業自得というやつだ)と、俺は思った。

この間ウチに遊びに来た嗣永センセイや清水センセイは、俺のことを「優柔不断すぎる」と言っていたけど、そんなことはあの二人に言われなくても、俺が一番分かっていたことだった。

(俺は本当は誰のことが好きなんだ…?)
鞘師なのか、田村なのか、ズッキなのか、植村なのか、宮本なのか、それとも小田なのか…。

(いや、違う…)
眼を閉じると、俺の脳裏に浮かんでくるのは、やっぱり山木さんの面影だった。

(俺、結構重症なのかもしれないな…)
そんなことを考えながら、俺は一人とぼとぼと、ダンスの練習場所の家庭科準備室へと歩いた。

5201:2018/04/18(水) 02:51:25
家庭科室の前まで来て、俺は思い出した。

(そうだ。今日は鞘師がいないんだ。『代わりの先生』ってのはいったい誰だろう…)

恐る恐る教室のドアを開けると、ジャージとTシャツ姿の3年の稲場さんがそこに立っていた。
俺に気付いた稲場さんは「遅い―!」と言ってから、壁の掛け時計を見て、「2分15秒の遅刻!」と口をとがらせた。

5211:2018/04/22(日) 03:01:55
「あっ、稲場さん…」
予想していなかった展開に、俺は少しびっくりした。

「すみません、遅れちゃって…」慌てて俺が謝ると、稲場さんは
「えっ、冗談だよう。そんなに真面目に謝られると、まなか困っちゃうよ。それより早く着替えてきて」と言って、はにかむように笑った。

「は、はい…」慌てて俺は家庭科準備室に通じるドアを開けた。

5221:2018/04/22(日) 03:27:50
家庭科準備室に入って、急いで着替えを始めると、目の前に稲場さんの物らしい紙袋が置いてあった。
紙袋の中からは綺麗に折りたたまれたセーラー服の上着が覗いて見えた。

(これをさっきまで稲場さんが…)

と考えだして、俺は(あっ!)と思い出した。

数日前に、俺は体育準備室で偶然に稲場さんが竹内さんや高木さんと一緒に着替えているところを覗いてしまっていた。
その時見てしまった稲場さんの、真っ白な肌。そして、ブルーのブラジャーとパンツに包まれた、むっちりとした肢体…。

途端に自分の下半身がビンビンにうずきだすのを、俺は感じていた。

5231:2018/04/25(水) 03:32:20
思い起こせば…。
同じこの場所で、鞘師のセーラー服を見て興奮したり、今日は稲場さんのセーラー服を見て興奮したり…。

(俺ってクズだな…)
そう考えると、今までビンビンだった愚息が急速に萎えてくるのを感じだした。

(早く着替えて、行こう…)
俺は急いでジャージに着替えると、稲場さんの待つ家庭科室に戻った

5241:2018/04/25(水) 03:50:30
ジャージに着替えてきた俺を見ると、稲場さんは「それじゃ、練習始めよっか」と、はにかむように笑った。

「は、はい」と俺が答えると、
「まなかが先生でびっくりした?」と、稲場さんは俺の目をのぞきこように上目遣いで聞いてきた。

「え、はい…。い、いえ…」
「まなかもね、びっくりしたよぉ。昨日ね、練習休みって話だったけど、ダンス部のみんな、結構学校にきてて」
「えっ、そうだったんですか…?」
当然のように練習を休んで、暗室で山木さんとあんなことをしていた俺は少々焦った。

「うん。そしたらね、急に鞘師さんが2、3日学校に来れなくなるって話になって」
「はい」
「『○○クンのために、誰かが代わりの先生を』ってことになったんだけど」
「はあ」
「みんなは『佳林ちゃんがいいんじゃない?』って言って、佳林ちゃんも満更でもない感じだったんだけど…」
「?」
「鞘師さんが『稲場さんが教えて』って言い出して…」
「えっ?」
「まなかもびっくりしたし、佳林ちゃんに悪いから気が進まなかったんだけど…、鞘師さんが『どうしても』って言うから…」
「…」
「で、まなかが教えることになっちゃったの。ごめんね。佳林ちゃんじゃなくて、○○クン、ガッカリしたでしょ?」

そういうとまた稲場さんは俺の目を覗き込むように、上目遣いで見つめてきた。

5251:2018/04/25(水) 04:02:04
(そんなことがあったは…)

そういえば、ついさっき俺は宮本に「馬っ鹿じゃないの?」とか「マジキモい」とか酷い罵声を浴びせられていたのだった。
(たぶん俺が悪いんだろうとはいえ、何でいきなりそこまで言われたのか…)

そんなことを考えて俺が黙っていると、
稲場さんが「ごめん。ホントにまなかが先生でガッカリさせちゃったみたいだね…」と、シュンとした顔をしてつぶやいた。

「い、いえ、全然そんなことないです。てゆーか、俺なんかのために稲場さんにまで迷惑かけて、ホントにわざわざスミマセン」
俺は慌てて頭を下げた。

526名無し募集中。。。:2018/04/25(水) 11:00:34
新作きてる…(´;ω;`)

5271:2018/04/26(木) 03:25:28
>>526
すみません。仕事が忙しかったりいろいろあって
書く気というのは突然湧いてきたりまた消えたりして…
構想自体はいろいろあるのでちょっとずつでも前進できればと

5281:2018/04/26(木) 03:39:01
「それじゃ、練習始めよっか…」
「は、はい」

「ワン、ツー、スリー、フォー…」
稲場さんの手拍子に合わせて、俺は踊りだした。
(せっかく来てくれた稲場さんをガッカリさせないためにも、真面目に踊らなきゃ…)
俺は真剣だった。

一通り踊り終えると、稲場さんが「すごーい! 前より全然うまくなってるじゃん!」と叫んで拍手をしてくれた。
「いえ、そんな…。鞘師には『まだまだ全然ダメ』とか言われてるんですけど…」
「ううん、そんなことないよ! 本当に上手くなった! ○○クン、すごーい!」
「そ、そうですか…?」
「そうだよ! まだ初めて全然経ってないのに、普通こんなにできないよ!」

少々大げさに褒められすぎているとは思ったけど、悪い気はしなかった。

5291:2018/04/26(木) 03:51:48
「全体的にはすごくいいと思ったんだけど、ちょっとまなかの気になったところ言ってもいい?」
と稲場さんが上目遣いに俺の目を覗きこんできて言った。
「は、はい。もちろんです」と、弾かれたように俺は答えた。

「あのね…、ここの角度なんだけど…」
そう言い出すと、稲場さんはナチュラルな感じで背後から俺の体に密着してきた。
「えっ…?!」

前にも鞘師に手取り足取り教えてもらってドキドキしたことはあったけど…
それよりも稲場さんの密着度合いは遥かに強かった。

「あのね、肩の力抜いて…」
「は、はい…」
「ちょっと腰をひねって…、そう。このくらい…」

そう言いながら、稲場さんはほとんど俺の背中に抱きつくような体勢で指導をしてくるのだった。
俺の背中に稲場さんのオッパイがびったりと密着しているのが、薄手のTシャツを通じてハッキリと感じ取れていた。

「そう!そんな感じ!」
稲場さんの甘い吐息が俺の耳にかかった。

530名無し募集中。。。:2018/04/27(金) 03:36:11
>>527
ゆっくりでも全然大丈夫です!
気長に待ってます(^o^)

5311:2018/05/02(水) 02:28:24
(この間鞘師に密着された時は童貞だったから、不覚にもフル勃起してしまったけど…、今はもう俺も童貞じゃないのだから…)

そう思って平然を装っていた俺ではあったが、やはり背中に伝わってくる稲場さんの体の柔らかい感触に、愚息がギンギンに勃起してくるのは避けようもないことだった。

そんなことを考えていると、不意に稲場さんが俺の前に回り込んできて、
「じゃ、もう一回やってみて?」とほほ笑んだ。

(あっ)と、途端に顔が赤らんでくるのを感じる俺。

そのとき一瞬稲場さんの視点が俺の下半身に下りてきた。
ジャージのズボンに盛大にテントを張っていた俺の一物に、稲場さんもハッキリと気が付いたはずだ。

稲場さんが一瞬「ウフッ」と笑ったように見えたのは俺の気のせいだろうか?

「深呼吸して落ち着いてから、もう一回踊ってみて」と稲場さんは上目遣いで微笑んだ。
「は、はい…」と答えながら、俺はますます自分の顔が赤らんでいくのを感じていた。
深呼吸をしても愚息は一向に萎えてくる気配がなかった。

5321:2018/05/02(水) 02:49:06
(『落ち着いてから』って、稲場さん…、何が落ち着いたらなんだ…?)と俺は思ったけど、いくら深呼吸をしても愚息が落ち着かないものは仕方ない。
俺はそのままの体勢からやけくそになって踊りだした。

体の動きに合わせて、時折乱暴に暴れ出す我が愚息。俺はなるべく手足に神経を集中して踊ったつもりだったけれど、もはや稲場さんも確実に気づいているはずだ。というより、俺はさっきから稲場さんの突き刺さるような視線をハッキリと愚息に感じているのだ。

曲が終わってから稲場さんの方を向くと、稲場さんは上気したような赤い顔で俺の方を見ていたけど、一瞬してから慌てたように「うん。すごくよくなってきた」と舌足らずな口調で俺を褒めて拍手を始めた。

5331:2018/05/02(水) 02:58:55
(本当にうまくなってきているのかな…)と俺は思った。

愚息のことはさておいても…、というより、愚息から意識を逸らすためにも、俺は手の先や足の先まで意識を集中しようとして踊ったのは事実であって、(もしかして、今までで一番うまく踊れたんじゃないか)と素直に感じていたのも本当のところだったのだ。

「うん。本当に今のはすごく良かった。なんか生き生きした生命力がダンスにすごく出てたよ」と稲場さんは言った。

(ダンスにじゃなくて、愚息にじゃないか…)と俺は一瞬吹き出しそうになったけど、稲場さんに褒められるのは全然悪い気分ではなかった。(やっぱり俺、褒められた方が伸びるタイプだな)と俺は思った。

5341:2018/05/09(水) 02:16:21
{「稲場さん、すみませんけど…」
俺はこの際、もっと真剣にダンスを教えてもらおうと思って、稲場さんに切り出した。

「えっ、なあに?」
「俺、自分では鞘師に教わった通りに踊ってるつもりなんですけど、本当にこれであっているのかどうか…。もう一度ちゃんとしたお手本を見て確かめたいなと思って。俺のパートを、稲場さんが通しで一度踊って見せてもらえませんか?」
「あっ、うん。いいけど。じゃあちょっと見ててね」

そういうと、稲場さんは曲をセットし直して、俺の目の前で最初から踊り始めた。

(あっ、この人、ガチで上手い…)
稲場さんのダンスをじっくりと観察するのは初めてだったけど、踊りだすと、素人の俺にも一目でわかるほどの切れ味があって、俺の視線は思わず稲場さんの体にくぎ付けとなった。
(この人、もしかしたら鞘師よりも上手いんじゃないか…?)

5351:2018/05/09(水) 02:30:41
俺は一瞬そう感じたけれど、よくよく見ているうちに、
(技術的な面では、やはり鞘師の方が繊細なうまさがあるのではないか)と思い直した。

でも…。
何というか、鞘師のダンスより稲場さんのダンスの方が、生命感があるというのか、生々しいというのか…。
(一言で言うと、エロいのだ)と俺は思った。

(そういえば、前に鞘師自身も清水先生のダンスについてそんなことを言っていたし、当の清水先生も俺の家にきたとき『鞘師のダンスには色気が足りない』なんて言っていたな…)と、俺は思い出した。

稲場さんが動くたびにプルプルと揺れるオッパイと、プリプリ弾むお尻…。
俺は自分がだんだんと興奮してくるのを感じながら、ほとんど稲場さんの体をガン見するような体勢になってきた。

5361:2018/05/10(木) 01:00:18
あらためてじっくり観察すると、躍動している稲場さんの体はほどよく肉感的で、
(抱いたら気持ちいいだろうな…)と俺は想像した。

こんなことを比べるのはゲスだとは思うけど…。
俺を男にしてくれた雅さんの体は細かったし、山木さんだって細い方だ。
(稲場さんみたいなぽっちゃりした感じの女の子も抱いてみたい…)
薄手の白いTシャツにブラジャーの縫い目がくっきり浮かび出ている稲場さんのオッパイを凝視しながら、俺はそんなことをボーっと考えていた。

「あの…、一応一通り終わったけど…」
稲場さんの声に俺は我に返った。

5371:2018/05/11(金) 02:56:03
俺にエッチな目で見られていることに気付いたのか、稲場さんは、両手でちょっと胸のあたりを隠すような仕草をしながら、赤い顔で俺を見ていた。
俺は自分もたぶん赤い顔をしているんだろうと思いながら、「あっ、はい…。ありがとうございます」と、とってつけたような返事をした。

「で、ダンスは分かってくれたのかな?」と稲場さんがちょっと皮肉っぽい口調で聞いてきた。
俺は少し返事に困りながら、「ごめんなさい…。何か稲場さんのダンス上手すぎて、見とれちゃいました。だから、正直言って、細かい動きとかはよく分からなかったです…」と、言った。
エッチな気持ちもあったけど、そのこと自体は嘘ではない、正直なところだったのだ。

「そ、そうかな…。そんなに褒められるほどじゃないよ」と稲場さんがはにかんだ笑顔を見せた。

538名無し募集中。。。:2018/05/12(土) 01:12:42
更新はじまったから楽しみダァ!

5391:2018/05/15(火) 01:35:01
稲場さんはそう言いながら、壁の時計に目をやると、「あっ、そろそろいい時間だね。じゃあ今日はここまでにしようか」と、俺を見つめて言った。

「は、はい。ありがとうございました」と、俺が少々慌てながら答えて、教室を出ようとすると、稲場さんがびっくりして俺を呼び止めるように「えっ、○○クン、お昼ご飯は?」と言って、俺の目を覗き込むように上目遣いで見つめてきた。

(この人の上目遣いも強力だな…)と思いながら、俺が「は、はい。どっかコンビニでも行って弁当でも買おうと思ってたんですけど…」答えると、稲場さんは「ええっ!? 鞘師さんに『○○クンにお弁当作ってあげて』って頼まれたから、まなか頑張って早起きして作ってきたんだけど…」というと、寂しそうな目をして俺を見上げてきた。

「えっ? えっ!? 鞘師のやつ、そんなことまで稲場さんに頼んでいたんですか?」俺は驚いて声を上げた。

5401:2018/05/15(火) 01:42:37
「食べたくないなら、別にいいけど…」
と、消え入りそうな声でつぶやく稲場さん。

「い、いや、食べたくないなんて…、そんなこと、あるわけありません。むしろ喜んでいただきますけど…」
「けど?」
「そんなことまで稲場さんにしていただくなんて、何かすごく申し訳なくて。てゆーか、鞘師のやつもいったい何考えてんだろ…」
「なんか鞘師さんは、それが一番気がかりだったみたいだよ」と、稲場さんもちょっと不思議そうな顔をして俺を見上げた。

(そういや、俺の写真部との掛け持ちのこと気にして、『せめてお昼ごはんくらいは』とか、言ってたっけな、鞘師…)と、俺は思い出した。

5411:2018/05/15(火) 01:51:39
「鞘師さんが佳林ちゃんじゃなくて、まなかに先生頼んだのも、もしかしたらダンスの上手さじゃなくて、お弁当づくりの腕を見込まれたのかなあ、なんて」と、稲場さんは笑った。
何と答えればいいのか、「は、はあ…」と俺は困りながら相槌を打ったけど、稲場さんは気にする素振りもなく、「じゃあ、持ってくるね」と言って家庭科準備室に消えると、すぐにかわいい感じの袋に包まれたお弁当を手にして戻ってきた。

「それじゃ、一緒に食べようね」と稲場さんは包みを開いた。
中に入っていたのは、バスケットに入ったサンドイッチだった。

稲場さんは、おしぼりで自分の手を拭いてからそのうちの一つをつかむと、「ハイ、あーん!」と俺の方に近寄せてきた。

5421:2018/05/15(火) 01:58:27
「えっ!?」
俺は自分の顔が赤くなるのを感じていた。

そんな俺の反応を見た稲場さんは、「えっ?」と言って、俺を見つめた。

「あっ、いや…、そこまでしていただかなくても…」
「あっ…、いつも鞘師さんに、こうやってもらっているのかな、と思って」
「い、いや、さすがにそこまでは…」

稲場さんは「そうなんだ…」と言うと、少し顔を赤らめて、「なんか変な気を回しちゃったみたいで、ごめんね」と、はにかんだ笑みを見せた。

5431:2018/05/15(火) 02:01:37
>>538
ありがとうございます。気長に読んでもらえると助かります。

544名無し募集中。。。:2018/05/15(火) 22:05:07
キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!

5451:2018/05/16(水) 00:33:11
そんな照れた様子の稲場さんが不意にすごく可愛く感じられて、俺はドキドキしながら、「と、とにかく、いただきます」と、話題を替えるようにサンドイッチをつまんで一口食べた。

「どう、お口に合うかな?」とちょっと不安げな顔の稲場さん。
「あ、おいしい」
「ホント?」稲場さんの表情がパッと明るくなった。

「うん。すごくおいしいです」
サンドイッチはピーナツバターとイチゴジャムをはさんだものだった。

その時の俺の脳内イメージソング
https://www.youtube.com/watch?v=5k9cmZLKdaQ

5461:2018/05/16(水) 01:06:52
他にも、ポテトサラダとハムをはさんだものとか、レタスとトマトのサンドとか、バスケットの中にはいろいろな種類のサンドイッチが入っていた。そして、それぞれ食べてみると、胡椒や辛子が微妙に効いたりしていて、どれも素晴らしく美味しい出来栄えのものばかりだった。

俺は自分でもゲスだと思ったけど、つい鞘師がこの間つくってくれた無骨なおにぎりと心の中で比較してしまった。
(鞘師の気持ちももちろん嬉しかったけど…。正直こっちの方が格段に上手い…)

俺は結構な勢いで食べながら、「稲場さん、マジ旨いです。てゆーか、その辺の店で売っているやつよりずっと美味しいです。稲場さんって、料理上手いんですね」と、お世辞ではなし本当に感心して思わず言った。

稲場さんは、「そんなに褒められると、まなか照れちゃうよ」と言いつつも、まんざらでもない表情を浮かべてから、「あっ、そうだ。野菜スティックも作ってきたから食べて」と言って、別の包みを取り出した。

キュウリと大根、それにニンジンが結構な太さで切ってあった。

「あっ、ニンジンかあ…」と俺は思わずつぶやいた。食べられないというほどではなかったけど、生のニンジンはあまり得意ではなかったのだ。
稲場さんは俺のそんなつぶやきを聞き逃さずに「ニンジン、ニンジン食べなきゃ駄目だよぉ!」と言うと、頬っぺたを膨らませた。

※参考動画はカントリーガールズDVD MAGAZINE VOL.3
見当たらないので各自探してください(笑)

5471:2018/05/17(木) 03:03:40
そんな稲場さんの素振りを見て俺は、
(この人、姉さん女房みたいで可愛いなあ…)と、思わずポーッとした気分になってきた。

と、その時、教室の後ろの入り口の方から「ねえ…、あざといから、ホントに…」と呆れたような、笑いを押し殺したような声が聞こえてきて、俺は我に返って振り向いた。
見ると、ポニーテールの女の子が、耳まで真っ赤にして俺たちを見つめていた。

稲場さんも振り向くと、「あざ…、あざとくないよぉ、ちいたん」と、その子に向かって言った。

「ちいたん?」と俺が聞くと、稲場さんは「あっ。この子、ダンス部の1年生の森戸知沙希ちゃん。知ってるでしょ?」と俺を見て言った。

ダンス部の練習の時、何度か見かけている顔の子ではあったけど、名前を聞いたのはこれが初めてだった。

548名無し募集中。。。:2018/05/17(木) 22:37:43
やりとりが微笑ましい

5491:2018/05/18(金) 02:32:24
俺と目が合うと、その子、知沙希ちゃんははぺこりと頭を下げて「こんにちは」と言った。

「あ、ああ、こんちは。そんなとこでキミ、どうしたの?」と俺が聞くと、
「まなかんが普通にあざといから、ちょっと注意してるだけです」と、知沙希ちゃんは耳まで真っ赤にしたまま、笑いをこらえるような声で言った。

「あざといとか、嫌な言い方…」と稲場さんは拗ねたように口をとがらせてみせてから、
一転、ふざけたような声に変わって、「反抗期なのかな?」と、からかうように知沙希ちゃんを見上げた。
「違うよ!」
「反抗期かな?」
「ちが!もう、ホントに!」

じゃれあう2人のやりとりが、掛け合い漫才のように俺には見えた。







てから、稲場さんの方を向き直り、

5501:2018/05/18(金) 02:34:20
てから、稲場さんの方を向き直り、

ってのはただの削除ミス。お恥ずかしい

5511:2018/05/18(金) 02:49:30
そんなやりとりがしばらく続いてから、
「ちいたん、本当はどうしたの? 何か用だった?」と稲場さんが聞いた。

「用ってわけじゃないけど…。ちょっと心配で見に来たの」
「心配って、何が?」
「あ、いや…、その…」と言うと、知沙希ちゃんはチラリと俺の方を見た。

「俺、席外そうか?」と俺が言うと、
「あ、いや、そんな、いいんです…」と知沙希ちゃんは慌てたように言ってから、
「ダンス部の先輩たちが、まなかんと○○さんのこと、面白おかしく噂してたから、ちょっと心配になって…」ともじもじしたような仕草をした。

「噂って、どんな噂?」と稲場さんが口を尖らして聞くと、
知沙希ちゃんは「『まなかんがきっと何かあざといことしてるんじゃないか』って噂だよ!」と、相変わらずの赤い顔で答えた。

5521:2018/05/18(金) 03:02:42
(そうか、他の女の子たちがそんなこと噂してるのか)と俺は思った。
(他の女の子たちがみんなそう言うってことは、稲場さん、やっぱりあざといんだろうな)と思うと、俺はちょっと吹き出しそうな気持ちになった。

でも、そのあざといという感じは、きっとあくまで女の子から見た感じなのだろう。男の俺からすれば、稲場さんの甲斐甲斐しい感じというのは、たまらなく可愛いとしかいいようのないものだった。

553名無し募集中。。。:2018/05/20(日) 12:19:58
ちぃかわええ

5541:2018/05/29(火) 00:22:23
俺のそんな思いとは裏腹に、稲場さんはちょっと怒ったように口をとがらせて、
「みんな酷い! 勝手にそんな無責任な噂話なんかして…」とつぶやいてから、
「ね?」と俺を上目遣いに見上げて同意を求めるように問いかけてきた。

俺は反射的に「は、はい…」と答えたけれど…。
(そういう稲場さんだって、前には鞘師が俺を好きとか、宮本が俺を好きとか、無責任な噂話してたじゃねえか)
と思い出すとちょっと可笑しくなってきた。

それと同時に、あのときの、別に隠れて覗いていたわけじゃないけど、偶然見てしまった稲場さんの下着姿をまたもや思い出して、
知沙希ちゃんの前だというのに、再び下半身が熱くなってくる俺だった。

5551:2018/05/29(火) 00:35:58
「いちおう、それを教えにきただけだから。いろいろ気をつけてよ、まなかん。あっ! それと、ちゃんと遅れず時間通り全体練習にこないと、きっとまたみんなにいろいろ言われるよ」

知沙希ちゃんは早口でそう言い終えると、「じゃあ、また後でね」と、くるっと背を向けて小走りに去って行った。

俺と稲場さんは思わず顔を見合わせた。

「はあ…」と、俺はため息をついた。
(女の子ばかりのサークルというのは、面倒くさいものだな)と俺はあらためて思った。

女の中に男が一人なんて、やっぱりそんなに良いことばかりであるわけがない。
鞘師の熱意にほだされて残留してしまったダンス部だけど、(やっぱり辞めた方が良かったのでは)と、俺は少し後悔した。

俺がそんなことを考えているとは思いもしていない感じで、稲場さんは、
「知沙希ちゃん、あんな憎まれ口きいてたけど、本当は結構いい子なんだよ。今のもきっと心配してきてくれたんだろうし」と、俺の耳元で囁くように言った。

5561:2018/06/02(土) 00:58:48
「は、はあ…」といったん答えてから俺は、「知沙希ちゃんと稲場さんはどういう関係なんですか?」と、残っていたサンドイッチをつまみながら聞いた。

「どういう関係ってほどの関係じゃないんだけど…、ダンス部入ってから知り合って…、気が合うっていうのか、妹みたいで可愛くて」と、稲場さんは笑った。

それから稲場さんは俺の目を覗き込むように見上げて、「知沙希ちゃん、可愛いでしょ?」と意味ありげに聞いてきた。

俺は一瞬、サンドイッチを吹き出しそうになったけど、この場合、何と答えればいいのか良く分からなかった。
とりあえず、「は、はあ。確かに可愛いですね…」と相槌を打つと、稲場さんは、「ダメよ、そうやっていろんな女の子に色目遣ってちゃ」と、釘を指すように言ってから、ポン、と俺の膝を叩いた。

稲場さんは冗談のつもりでいったのかもしれないけど…。

ここ数日の自分のフラフラとした行動を思い出して、何気に俺は落ち込んだ。

「俺…、やっぱそういう風に見えますかね…?」
「えっ…、何? マジレス?」
稲場さんは困ったような顔をして俺を見上げた。

5571:2018/06/02(土) 01:14:13
「やっぱ俺って…、女の子だけが目当てでこの部に入って、いろんな女の子に色目遣ってるって思われてるのかな…って」

俺がそういうと、稲場さんは「そ…、そんなことないよぉ! でも…」と口を濁した。
「でも?」
「女の子ばかりの部だから…。女の子って噂話とか好きだし、いろいろ言う子もいるのは仕方ないよ」と声を潜めて言った。

俺はまたしても…、当の稲場さんと高木さんたちが着替えをしながら俺の噂をしていたのを覗いてしまったときのことを思い出して、頭がカッと熱くなった。

「俺は鞘師に色目を遣ってるってことになってるんですか? それとも宮本にですか?」

5581:2018/06/02(土) 01:38:47
一瞬ムキになって聞いてしまった俺に、
稲場さんは「…どうしたの?」と驚いたように目を丸くしてから、
「誰かにそんなこと言われたの? 鞘師さんがどうとか、佳林ちゃんがどうとか、そんな噂、まなかは聞いたこともないけど」
と、ぬけぬけと言い出した。

俺が二の句を継げずにいると、
「○○クンは同級生とか下級生より…、年上の女の子の方が合っているんじゃないかなあ…」と、稲場さんは上目遣いで俺を見た。

「えっ?」
雅さんや山木さん、そして舞さんとのここ数日の出来事を思い出して、俺は少し焦った。

そんな俺の気持ちには気づかぬように、稲場さんは「○○クンは確か写真部だったよね?」と聞いてきた。
「は、はい」
「写真部に山木梨沙ちゃんっているでしょ?」
「えっ? あ…、いるっていうか、いたって言うか…」
「梨沙ちゃんとか、○○クンには向いているんじゃないかなあ。○○クン、甘えん坊みたいだから、梨沙ちゃんみたいなお姉さんタイプが似合ってるよ」

俺はそのまま固まった。
(この人、俺と山木さんのこと、何か知ってるのか? それともただの偶然か?)

559名無し募集中。。。:2018/06/04(月) 00:04:36
まなかんこわいなぁ。笑

5601:2018/06/06(水) 01:44:00
背中に冷や汗が流れ出すのを俺は感じていた。

このまま黙っていたら、山木さんに振られた時のことを思い出して、また不覚にも涙が出そうな気がした。
慌てた俺は、弾かれたように早口で話し出した。

「でも、山木さん、確か彼氏がいたはずですよ」
そんなことを言って韜晦しようとした俺に、すかさず稲場さんが返してきた。
「あ…、それ、もう別れてるはず」
「え?」
「東京のK大に行った彼氏のことでしょ? それもう別れたって聞いたよ。梨沙ちゃん、振られたんだってさ」

俺は完全にフリーズした。
俺が山木さんを抱いて、まだ昨日の今日なのだ。
そして山木さんが彼氏に振られたって言うのも、夏休みに入ってからのごく最近の話なのだ。

なぜ稲場さんがそんなことまで知っているのだろう…。

5611:2018/06/06(水) 01:55:43
俺が口もきけなくなって完全に固まっていると、
「あれ、もしかして梨沙ちゃんのこと本当に好きだった?」と、稲場さんがからかうように俺の目を覗き込んできた。

俺はうろたえながらも、(そう聞くってことは、稲場さん、まだ俺と山木さんがセックスしたことまでは知らないのだろう…)と一応判断した。
(とはいえ、山木さんが彼氏と別れたことまでもう知っているのだから、山木さんと稲場さんには相当深いつながりがあるのだろう。だとすれば、いずれ俺とのことが知られるのも時間の問題かもしれないな)
俺は半分涙目になりながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。

「ねえ…、大丈夫? 遠くなんか見つめて…」
稲場さんの言葉で俺は我に返った。

5621:2018/06/06(水) 02:07:45
「あ、はい。い、いえ、別に…」
しどろもどろになった俺に、稲場さんは「本当に図星だったみたいだね。びっくり…」と、少し呆れたような口調で聞いてきた。

「そんなに好きならさ…、アタックすればいいじゃん」と稲場さん。
「い、いや…、俺と山木さんはそんなんじゃなくて…」
「あれ? もしかしてもうアタックしたことあったとか?」
「…」
「あのね、一度くらい断られたからって諦めちゃだめなんだよ」
「え?」
「梨沙ちゃんみたいな子って、ああ見えて押しに弱かったりするんだから」
「…」
「女の子なんて、勉強ができるからって、しっかりしてるとは限らないんだよ」

(稲場さん、何を言いたいのだろう? もしかして稲場さんと山木さんって、それほど仲がいいわけでもないのかな…)

563名無し募集中。。。:2018/06/09(土) 00:00:31
いいね!

5641:2018/06/10(日) 03:56:17
俺の気のせいかもしれんけど、稲場さんの口調の中に、何となく山木さんをディスっているようなニュアンスを感じて、警戒する俺であった。

そんな俺の気持ちには全く気づかぬ風に、稲場さんは「ねえ、もし本当に梨沙ちゃんのことがそんなに好きだったら、まなかから梨沙ちゃんに伝えてあげようか?」と、俺の目を上目遣いに覗き込んでくるのであった。

昨日、俺は山木さんにハッキリと振られているのだ。
この上、稲場さん経由でそんな未練がましいことを伝えてもらったりしたら、決定的に軽蔑されるだけに決まっている。

「そ、そういうのやめてください。だいたい俺、山木さんのことなんて、別に好きでもなんでもないし」
俺はしどろもどろになりながら、早口で言った。

5651:2018/06/10(日) 04:09:55
「そうなの?」
丸い目をして稲場さんが俺の目を覗き込んできた。

「そ、そうですよ」と反射的に答える俺。

稲場さんは、「ふーん。そっか…。まなかの考え過ぎだったのかな…」と考え込むような仕草をしてから、
「梨沙ちゃんがダメなら、竹内さんとかどう? あっ、それとも紗友希ちゃんの方がいいかな?」と、またニヤニヤしながら俺の顔を見上げてきた。

「そんな…、俺、そんなこと…」
「イヤなの?」
「イヤとかじゃないですけど…」
「けど?」
「そんな、俺、誰でもいいなんて風には…」
「じゃあさ…、まなかはどう?」
「えっ?」

不意に真剣な顔で俺を見上げる稲場さんだった。

566名無し募集中。。。:2018/06/11(月) 01:46:33
ワッフルワッフル

5671:2018/06/11(月) 02:19:10
(稲場さん、そんなこと言って、俺をからかってるのか…)
俺は思わず五クりと唾をのみ込んで、稲場さんを見つめ返したけど、稲場さんの真剣なまなざしにぶつかって、つい目を逸らした。

(それとも…、この人、もしかして本気で俺に告っているのか…?)
俺は自分の心臓がドキドキと早鐘を打つのを感じていた。

俺を見上げる稲場さんの表情は、さっきまでのお姉さんぶったものとは違って、一人のか弱い乙女のようにしか見えなかった。

(もし稲場さんが、真剣に言ってくれているのなら、この俺も真剣に答えないといけないに違いない…)と俺は思った。

稲場さんとは正直言ってこれまであまり接点がなかったけど…。
今日のこの数時間のやりとりで、俺の心が大きく稲場さんに惹かれだしているのも、認めざるを得ない事実だったのだ。

「お、俺は…」

568名無し募集中。。。:2018/06/13(水) 23:10:52
まなかんルートキターーーーー

5691:2018/06/14(木) 00:36:23
俺は深呼吸をしてから稲場さんの目をもう一度見つめた。

そして思い切って、「俺…、稲場さんみたいな人、す、好…」と言いかけた時、
稲場さんは「えっ、冗談だよ冗談! ○○クンって、ホント、マジレッサーなんだね(笑)」と、慌てたように早口で言った。

俺があっけにとられていると、稲場さんは顔を赤くして、
「ちょっと、○○クンが冗談通じないから、まなかも何か熱っくなってきた」と言って、両手の掌でパタパタと自分の顔を扇ぐような仕草をした。

5701:2018/06/14(木) 00:52:28
そんなふうに言って稲場さんはケラケラと笑った。

俺はからかわれていたと分かってカッとする気持ちと、冗談だと知ってホッとした気持ちと、稲場さんをモノにできなくてがっかりしたような気持ちが綯い交ぜになった、不思議な気持ちになっていた。

ただ一つハッキリしているのは、稲場さんとの会話は俺には刺激的で心地よいものだということだった。俺は目の前のこの可愛い先輩のことを数時間前よりも確実に好きになりつつあった。

571名無し募集中。。。:2018/06/14(木) 10:33:07
このタイミングでまなかんとは素晴らしい

572名無し募集中。。。:2018/06/14(木) 23:33:38
まったくだ

5731:2018/06/15(金) 01:00:41
3年もダラダラ続けているといろんなことがあるなあ(笑)

574名無し募集中。。。:2018/06/19(火) 00:49:07
地震大丈夫?

5751:2018/06/22(金) 01:29:58
ボクは東日本なので大丈夫ですが関西の方は心配ですね

5761:2018/06/22(金) 01:43:44
俺がそんなことをぼんやり考えていると、
稲場さんが「あっ、いけない! もうこんな時間。早くいかないと練習に遅れちゃう」と叫んだ。

壁の時計を見ると、集合時間までもうあと1、2分しか残っていなかった。
俺が「早く片付けて行きましょう!」と言うと、稲場さんは「そだね。遅れたりしたら、みんなにいろいろ根も葉もないこと言われちゃうかもしれないしね」と言って、上目遣いに俺を見上げてきた。

どう答えればいいのか分からないまま、「は、はあ…」と生返事をしながら、俺が弁当の包みを片付けていると、稲場さんが「コホン、コホン」と咳をした。

「?」と俺が振り向くと、稲場さんは口を押えて「コホン、コホン」ともう二回咳をした。

「どうしたんですか? 夏風邪ですか?」と俺が聞くと、稲場さんは「そ、そうかも。でも大丈夫…」と慌てたように返事をした。

(ずいぶん苦しそうな咳だな…)と俺は一瞬思ったけれど、「早く行こう!」と稲場さんが俺の袖を引っ張ってきたので、慌てて一緒に教室を飛び出した。


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