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ガルパン みほルートGOODエンド

1名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/10/25(火) 21:51:24 ID:g.8oTIO2
「おかーさん!おとーさん!はやくはやくー!」


「慌てると危ないよー」


 日曜日。
 休日と澄み渡る晴天が重なった絶好の外出日和ということもあって、家族三人で訪れた遊園地はまだ早い時間にも関わらず大勢の人で賑わっていた。
 そんな中、ひとり目当ての乗り物に向かって駆け出す娘に隣のみほが声をかける。といっても、普段からあの子は活発なタイプだ。みほも口で言うほど心配はしていない様子だ。むしろ元気にはしゃぐ姿を嬉しそうに見ている。
 
 「……それにしても、私もあなたももあまり活発な方じゃないのに、いったい誰に似たんだろう?」

 ふとそんなことを呟いた彼女に、小さい頃のみほにそっくりじゃないか、と答えた。

 「小さい頃?……あぁ、確かに戦車道を本格的に始める前は結構やんちゃなタイプだったかも……あれ?でもそんな昔のこと、あなたに話したことあったっけ?」

 納得したような表情を浮かべたかと思ったら、すぐに怪訝そうにこちらを見てきた彼女の視線を受け、思わずしまった、とつぶやいてしまう。

 「誰かに聞いたの?お姉ちゃん?もしかしてこの間実家に帰ったとき?」

 彼女には珍しいじとっ、という擬音がつきそうな視線と矢継早な質問に早々に白旗を上げ、その推理が正しいことを認める。本人がいると恥ずかしがって止めに入るだろうから、という理由で、まほさんがわざわざみほが席を外している時に教えてくれたのだ。

 「自分の知らないところで話される方がもっと恥ずかしいよ」

 ごもっとも。しかしせっかくの家族水入らずの外出だ。夫としてすっかりむくれてしまった妻をこのままにしておくわけにはいかないだろう。

 「小さい頃のみほも、あの子に負けず劣らず可愛かったよ」

 そう言いながら、軽く彼女の頭を撫でる。サラサラとして心地よいその髪の感触を味わいながら、我ながらキザすぎるな、と呆れる。知人がいたらとてもじゃないができなかっただろう。
 もしもみほにまで同じ感想を抱かれていたら、と不安になり彼女の顔を覗き込むと、少し頬を赤らめながらも、クスクスと手で口元を隠しながら笑っている。

 「もう、格好つけすぎだよ?今恥ずかしいでしょ」

 ばっちりとこちらの予想が的中したらしい。自分の顔まで熱くなるのを感じるが、どうやらみほの機嫌が直ったらしいことに安堵する。

 「ふたりともー!イチャイチャしてないではやくー!」

 「い、イチャイチャなんてしてません!……さ、私たちも行こう?」

 そういって差し出された彼女の手を握り、娘のもとへふたりで歩き出す。もうひとりのお姫様にまでへそを曲げられたらたまらない。

 「今日は頑張ってね?あの子への家族サービスと、私へのお詫びのために♪」

 ……どうやらこちらの姫にもまだ奉仕が必要なようだ。世界で一番贅沢なため息をつきつつ、このあとのプランを脳内で練り始める。まったく、夫と父という役割は、幸せすぎて楽じゃない―――。

452名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/08(日) 03:51:49 ID:AWCrKcE.
しかし主人公である男はあまり喋らず、幾多もの女性を虜にしているとかどこぞの屋根ゴミを思い出しますね。

453名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/08(日) 04:16:39 ID:DwcG8nfc
興奮する

454名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/08(日) 08:44:09 ID:bmbVxfeQ
>>271と同じ展開になりそうな辺りやっぱり姉妹ですね・・・

455名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/08(日) 11:53:53 ID:si.UkIqM
姉妹特有のドロドロやめろ
やめて…

456名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/11(水) 00:23:36 ID:91cLRn82

 【まほルート BADエンド Another】

 
 ―――これは、何? 私は一体、何を見ているの?

 一向に戻ってこないふたりが心配になって、お姉ちゃんの部屋にやって来て。どんなことを話しているか気になって聞き耳を立てて。その内容に驚いて、ドアの隙間から中を覗いて。

 ―――そこでは、私の大好きなお姉ちゃんが、私の大好きな恋人を犯していた。

 お姉ちゃんの口から出た私への恨み言も驚いたけど、目の前で実際に繰り広げられるその光景はその比じゃなくショッキングだった。

 私と彼は交際しているけど、いまだにそういった行為には至っていなかった。これは大洗女子学園の戦車道の隊長という私の立場によるものだ。全国優勝と大学選抜への勝利というジャイアント・キリングを成し遂げたことで、大洗女子、とりわけ戦車道関係者は注目を集めている。おこがましくもその中心人物となっている私にスキャンダルの類が発覚すれば、賞賛の声は簡単に非難の怒号に変わってしまう。

 彼も幸いそんな私の事情を理解してくれて、清い交際を続けられた。聞けば彼も恋人ができるのは初めてらしく、そういった行為の経験がないらしい。感じ方は人それぞれだろうけど、少なくとも私はこの事実が少し嬉しかった。初めて好きになった人の初めてになれる、ということが。

 でもどうだろう。今、目の前でそんな彼の初めては奪われてしまった。わずかな隙間から見えるのは、手足を拘束され、目尻にはわずかに涙さえこぼしながらも必死で抵抗しようとする彼の姿。そしてそんな彼に跨り、服をはだけさせて淫らに腰を振るお姉ちゃん。

 ―――どうしようか。

 不思議と、そんな光景を見ているとむしろ頭が冷え、冴えてくるのを感じた。予想外の状況でも動じず、適切な対処をする。それは戦車道の基本だ。私の思考は戦車道の試合の時と同じものになってきていた。

 バレないよう足音を殺しつつ、自室に戻ってカバンの中からひとつのものを取り出す。優花里さんに借りたデジタルカメラだ。うまく今日お母さんに交際を認めてもらえたら、彼と帰る前に観光をしようと思ってその時用に借りてきたんだけど、こんな形で使うことになるなんて。優花里さん曰く、潜入調査用のものだからほとんど音が鳴らないように改造してあるとのこと。これも今はこの上なく都合がいい。

457名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/11(水) 00:24:26 ID:91cLRn82
 カメラを携えつつ、再びお姉ちゃんの部屋へ向かう。この時、頭の中では冷静な思考の傍ら、良心がこれからよるとしていることを止めようとしていた。

 ―――今ならまだ間に合うんじゃないか。部屋に入っていって、お姉ちゃんと話し合えばもっと丸く収まるんじゃないか。

 しかし、そんな案を悪意が即座に却下する。

 ―――もうお姉ちゃんは彼に手を出した。だからこれは正当な復讐。それにそもそも、お姉ちゃんの言い分だって自分勝手だ。

 私だって小さい頃からお姉ちゃんと比較されてきた。あの試合のことだって、お姉ちゃんは口先の擁護だけだった。私が転校した後に連絡もしてこなかった。私は学園を守るために絶対に負けられないのに、お姉ちゃんは私を本気で倒そうとした。大学選抜との試合だって、私はお姉ちゃんに助けて、なんて言った覚えはない。

 全部、お姉ちゃんの勝手だ。勝手にやって、勝手に恨んで。しかも私じゃなく、わざわざ彼を傷つけた。もう無理だ。和解なんてありえない。

 わずかに残った良心が軒並み駆逐された頃、お姉ちゃんの部屋の前に到着した。無言でカメラを起動し、ドアの隙間から中の忌々しい惨状を撮影する。

 行為はクライマックスを迎えようとしていた。前に沙織さんから『勉強』ということで観せられた動画と同じように、上に乗るお姉ちゃんの腰の動きが速くなっている。今お姉ちゃんの頭にあるのは悪意か、快楽か。今彼の頭の中になるのは苦しみか、快楽か。

 いや、少なくとも彼の方はわかる。彼は私を想って、必死に耐えているのだ。間違いない。そんな彼をレンズ越しに捉えつつ、

 ―――ごめんね。でももう少しだよ、頑張って。

 と、心中で声をかける。私のこの策が成功すれば、彼は今受けている苦しみからも解放される。

458名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/11(水) 00:25:01 ID:91cLRn82
 それから間もなく、お姉ちゃんは甲高い声を上げて身体を震わせた。彼もまたわずかにうめき声を上げている。お姉ちゃんはすぐに脱力したように彼に覆いかぶさった。吐き気がするけど、それを必死にこらえつつ、カメラの録画を停止し、自室へと向かった。その後カメラを置き、今度はあえて大きめに足音を立てつつ、またお姉ちゃんの部屋へ向かい、扉をノックし声をかけた。

 「お姉ちゃん?」

 「ッ……みほか。どうかしたか?」

 「いや、なかなかふたりとも戻ってこないから……大丈夫?何かあった?」

 なるべく自然に話す。向こうも向こうで私と同じように、平静を装っている。―――全部筒抜けなのに。

 「ああ……問題ない。話ももうすぐ終わるから、部屋で待ってていてくれ」

 おそらくだけど、今お姉ちゃんはとても邪悪な笑みを浮かべているのだろう。憎い妹が何も知らずにいる、と思い込んで。

 「そっか。じゃ、待ってるね。お母さんももうすぐ帰ってくると思うし」

 そう言って自室へ向かう。おそらくだけど、今私はとても邪悪な笑みを浮かべているのだろう。憎い姉が何も知らずにいる、と確信して。

 ほどなくして、お姉ちゃんが彼を伴って部屋に入ってきた。表向きはいつも通りの表情だけど、その裏にあるもののどす黒さを私はもう知っている。

 彼の方は私と微妙に目を合わせないようにしている。表情もどこか気まずそうなものだ。ああ、大丈夫だよ。もうすぐ助けてあげられるから。

459名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/11(水) 00:26:07 ID:91cLRn82
 「待たせたな。おかげで有意義な話ができた。これでお母様の説得もうまくやれそうだ」

 白々しくそう言うお姉ちゃん。まあさっき言っていたことが本当なら説得自体はちゃんとするつもりなのだろう。
 
 「ありがとう。お姉ちゃんには助けられてばかりだね」

 笑顔を作ってそう答える。ピクリ、とお姉ちゃんの眉がわずかに動いた。私の今の言葉が気に食わなかったのだろう。―――もちろんわざとだけど。

 「気にするな。……ああ、ちょうどお母様も帰ってきたみたいだな。出迎えないと」

 外から聞こえてきた車の音に気付き、お姉ちゃんと一緒に玄関へ移動する。

 「「おかえりなさい」」

 私とお姉ちゃんが頭を下げてお母さんを出迎える。お母さんはそれにええ、と短く答えた。すぐに私の隣に立っていた彼が自己紹介をしようとすると、

 「話は居間で聞きます」

 と遮り、さっさと廊下を進んでいってしまった。

 「居間で待っていよう」

 お姉ちゃんの言葉に従い、三人で居間でお母さんが来るのを待つことにした。間もなく、書斎に荷物を置いてきたのだろうお母さんがやって来た。後から入ってきた菊代さんがお茶を出してすぐに下がる。

 お母さんはお茶を一口飲むと、口を開いた。

 「今日は常夫さんは仕事の都合でここには来られません。なので話の一切の判断は私が行います」

 もしも交際を認めてもらうだけなら、お父さんがいた方が話は上手くいきやすかったかもしれない。でも今日は目的が変わっている。むしろ好都合だった。

460名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/11(水) 00:27:29 ID:91cLRn82
 「みほ。前置きは必要ありません。貴女が話すべきことを簡潔に話しなさい」

 お母さんの鋭い眼光が私を射抜く。いつも怖かったそれも、今は何の脅威も感じない。

 「はい。……実は、話すつもりだったこととは別に、まずお母さんに伝えたいことが」

 「……?」

 私の発言が予想外だったのか、怪訝そうに眉をひそめるお母さん。
 
 「……みほ?」

 お姉ちゃんも同様に困惑しているようだ。大丈夫、すぐにわかるよ。―――あなたがどういう末路をたどるのか。

 「まず、これを見てください」

 「これは……?」

 カメラを取り出し、お母さんに差し出す。カメラの中にあるデータは『あれ』だけだから、すぐにわかるはず。

 「再生してみてください」

 「……」

 お母さんが無言でカメラを操作する。音声は流れないけど、その反応ですぐにわかった。―――私の勝利が。

 「……!これは……!まほ、どういうことです!」

 「は……?」

 困惑するお姉ちゃんに、お母さんが映像が流れているだろう画面を突きつける。

 「なっ……!」

 お姉ちゃんの目が先ほどのお母さんと同じように見開かれた。そんな姿に笑いがこみ上げてくるのを必死で我慢する。

461名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/11(水) 00:28:15 ID:91cLRn82
 「ここに映っているのは貴女と―――そこの彼ね?今すぐどういうことか説明なさい!」

 「あっ……あの……」

 顔を青ざめさせながら口をパクパクさせている姿は、まるで陸に打ち上げられた魚のようだった。

 「くっ……みほ!お前……!」

 「お母さん」

 お姉ちゃんがこちらを睨んできたのを無視し、お母さんに話しかける。いまだに状況が分からず困惑している彼には安心させるように一瞬だけ笑顔を向けておく。大丈夫、もうすぐ済むから。

 「その映像は先ほど、お母さんが帰ってくるまでの間に撮ったものです。お姉ちゃんは彼を話がある、と連れ出しました。そしてそこに映っている通り、嫌がる彼を拘束して性的暴行を加えたんです」

 淡々と感情を込めず、ニュースを読むキャスターのように話す。あくまで事実を伝えている、とわかるように。試合で作戦を他のメンバーに伝える時と同じように。

 「本当は、彼との交際を認めてもらうために今日ここに来ました。でも……」

 一瞬お姉ちゃんへ目線を向けてから、お母さんへ向き直る。

 「結果として、こういうことが起きてしまいました。……私はとても許せません。ましてこんな人が私の姉で、栄誉ある黒森峰の隊長で、由緒ある西住流をいずれ継ぐ人だなんて」

 一度息を大きく吸ってから、最後の言葉を紡ぐ。―――さあ、仕上げだよ。

 「お姉ちゃん―――いえ、まほさんはこの家にふさわしくありません。破門・勘当すべきです」

462名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/11(水) 00:28:57 ID:91cLRn82

 「……」

 お母さんは私の言葉に目を瞑り、しばらく沈黙した。そして目を開けると、わずかに嘆息してから立ち上がると、私の隣でいまだ混乱から脱せずにいた彼に近づき、腰を下ろして―――頭を下げた。つまり土下座の格好だ。

 「この度は娘が大変なご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありません。すべては親である私の不徳の致すところです」

 慌てた様子で、頭を上げてください、と彼が言った。その言葉を受けてもお母さんはしばらくそのまま頭を下げ続けた。たっぷり1分以上経った後、お母さんは再び立ち上がると、今度はお姉ちゃんに声をかける。

 「まほ」

 「……っ」

 それまで苦虫を噛み潰したような顔で震えながら俯いていたお姉ちゃんの肩がビクリと跳ねた。

 「一週間与えます。その間に自分のすべての荷物をこの家から撤収しなさい。また、今後この家の一員と名乗ることも、戦車道に関わることも許しません。―――失望しました」

 「お母様!!」

 お姉ちゃんの必死な声を無視して部屋を出ようとするお母さん。しかし途中で立ち止まり、こちらに声をかけてきた。―――お姉ちゃんを一切視界に入れずに。

 「みほ。交際の件はまた日を改めて話を聞きます。彼も気持ちの整理が必要でしょうし」

 「わかりました」

 私の返答を聞くと、今度こそお母さんは部屋を去った。残されたのは私と彼とお姉ちゃん―――だった人。

 「さ、私たちも帰ろう?ごめんね、色々。しかもまたここまで来ることになっちゃったけど、次は話もスムーズに行くと思うから」

 彼の手を取って立ち上がる。観光は次の機会にして今日は帰らないと。今夜は汚れてしまった彼の体を時間をかけてキレイにしないといけないし。―――と、その前に。

 私は放心した様子で俯いたままの彼女の耳元まで近づき、声をかけた。

 「これまで助けてくれてありがとう。大好きだったよ―――今は大嫌いだけど」

 虚ろな眼でこちらを見てきた。もはや睨む力も残ってないらしい。

 「お待たせ。さあ、行こう」

 再び彼の手を取ると、それはわずかに震えていた。
 
 ああ、かわいそう。怖かったよね。でも、もう大丈夫。あの人にも、誰にも、貴方を傷つけさせないから。私が守るから。

463名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/11(水) 00:29:58 ID:91cLRn82
というわけでなんとなく思いついた何かでした
みぽりん好きな人ごめんなさい

464名前なんか必要ねぇんだよ!2PutaGbC:2017/01/11(水) 01:54:57 ID:???
いい…凄くいい(クソザコ語彙力)

465名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/11(水) 02:01:04 ID:31itmS6U
このドロドロした感じいいゾ〜コレ

466名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/11(水) 02:02:29 ID:wAyUqmAA
いくあてもなくさ迷うまほさんをも匿ってあげたい

467名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/11(水) 02:04:40 ID:XVClRJG.
いいゾ〜これ

468名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/11(水) 07:15:20 ID:ddhPk5i6
姉妹だからか方向性が似てる・・・似てない?
まほさんに手を差し伸べたいですねぇ!

469名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/11(水) 07:18:18 ID:rkvVTMp.
戦車道に関われなくなって、昼は強襲戦車競技(タンカスロン)の野良賭け試合、夜は吉野屋で日銭を稼ぐ死んだ目の西住まほさん

470名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/11(水) 07:31:30 ID:ai.fXCSU
逸見と地獄姉妹を結成しそう

471名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/11(水) 16:38:02 ID:3/QQsx5s
>>470一時的に三女ダージリンが加わりそう

472名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/11(水) 17:00:38 ID:DLlsi83k
(どのみち西住姉妹からは)ああ逃れられない!

473名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/11(水) 17:10:27 ID:gak1v6LE
やべぇよやべぇよ…

474名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/11(水) 17:26:04 ID:CsAL2YR.
数年後にまほが西住家に復讐する姿が見える見える
(どっちにしてもバッドエンドからは)ああ逃れられない!

475名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/11(水) 17:29:45 ID:Fe7FHmjo
強い絆で結ばれた者同士がドロドロするのはいいっすねぇ^〜
カチューシャノンナコンビが蹴落とし合うのも見たいけどな〜俺もな〜

476名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/13(金) 23:54:50 ID:2zvEeoLA
明後日あたりに投稿できたらいいと思ってます(適当)
多分まほさんのほどじゃないけどドロドロしたやつになるかなぁ

477名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/14(土) 05:38:46 ID:7qn7eR3.
待ってるんでオナシャス!

478名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/14(土) 16:00:14 ID:UIz.5YRI
乙 しばらく見ないうちに良作が出てきてすごくうれしい

479名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/16(月) 00:06:19 ID:yR3JAIq2
2日連続で飲み会とかそんなん考慮しとらんよ・・・

というわけでまだ書けてないんです
楽しみにしてくれてる方すみません
なんとか早く投稿できるよう頑張ります

480名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/16(月) 00:29:04 ID:2XsEfNQs
>>479
まあそう焦んないで
(読者は待ってるから)大丈夫大丈夫ヘーキヘーキ

481名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/16(月) 06:08:25 ID:8ZplbynE
そうだよ(便乗)

482名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/16(月) 07:27:21 ID:V0x1rykQ
あくしろよ(ホせ)

483名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/16(月) 23:35:37 ID:yR3JAIq2

 【柚子ルート BADエンド Another】

 
 『ちょっと大事な話があるから、明日生徒会長室に来るように。ただし彼や小山には気付かれないように』

 あの忌々しい一件から数日後。会長から一通のメールが届いた。……このタイミングでの、しかも私一人への呼び出し。要件は間違いなくあのことについて、だろう。

 柚子が会長に全てをバラした、という最悪の事態が脳裏をよぎる。会長はその権力に加え、広い交友関係を持つ。下手をすれば私も彼もどこからどうなるかわかったものではない。

 ───だが、会長の命令は絶対だ。なんであれ逆らう事など許されない。否、そもそもそんな選択肢自体がない。どんな処分を言い渡されるにしろ、私には指示通りにあの人の元へ行くしかないのだ。

 そして翌日。緊張で卒倒しそうになるのをなんとか耐えて、生徒会長室のドアをノックし、声をかける。

 「河嶋です」

 「開いてるよ。どうぞ」

 会長の声の調子はいつも通り───ではなかった。平時の飄々とした雰囲気は消えており、それだけで足が竦みそうだったが、それでも私は部屋に入った。

 「失礼します」

 「ん。とりあえずそこに座ってよ」

 私が部屋に足を踏み入れるとすぐに会長は自分の椅子から立ち上がると、部屋の端にある長机やソファの置かれている、戦車道の試合前の会議にも使われる一角へ私を導いた。

 ソファに座った私の対面……ではなく、すぐ隣に会長は腰かけた。予想外の距離の近さに冷や汗の量が増大するのを感じる。

 「……まあ、今日呼んだ理由はわかってると思うけど」

 座って間もなく、会長が口を開いた。……やはり、私への処分の言い渡しか。死刑執行を待つ受刑者のような気持ちで次の言葉を待ったが、それは完全に予想外のものだった。

484名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/16(月) 23:36:42 ID:yR3JAIq2
 「───ごめん」

 会長は椅子から立ち上がると、深々と私に向かって頭を下げてきた。その事態に思わず呆然としている私に構わず、会長は言葉を続けた。

 「こんなことに……小山があんなことをやったのは私の責任だよ。本当に申し訳ない」

 「あ、頭を上げてください会長!今回のことは私の不用意さが招いたことで」

 我に返ると同時に慌てて会長に訴える。しかし、

 「いや、私はきっと止められたんだよ。でも『みんなならきっと大丈夫だろう』って思っちゃったんだ。それが間違いだった。読みが甘すぎたんだよ、私の」

 今まで見たことのないほど暗い表情の会長。私の心からは先程までの不安と恐怖は失せ、代わりに申し訳なさばかりが募った。

 「会長!私は大丈夫ですから!どうか頭を上げてください!」

 「……ありがとう」

 必死の説得が功を奏したか、ようやく頭を上げ、再び私の隣に腰を下ろす会長。安心して思わずふぅ、と息をつく。

 「こんな立場で言うのも……いや、こんな立場だからこそ、かな。───今回の件、私に任せてくれないかな」

 「……え?」

 またも予想外の言葉に、間抜けな声がでてしまった。こんな展開が待っていると誰が予想できるだろうか。

 「任せる……というのは……?」

 「そのままの意味だよ。小山のことと彼のこと。私ならなんとか出来ると思うんだ」

 真剣な表情で会長が言う。……確かに私ではもうどうしようもない状態だ。柚子には弱みを握られているし、彼のこともある。迂闊に動けばどうなるかわかったものではない。

485名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/16(月) 23:37:30 ID:yR3JAIq2

 「なんとか……なるのでしょうか……」

 「大丈夫。今までだって何とかなったんだ、今回もきっとうまくいくよ」 

 力強く笑みを浮かべながら言う会長。ああ、そうだ。この方がこんな表情をするとき、失敗したことはなかった。この方ならきっと───。

 「会長……お願いします……!」

 「うん、わかった」

 短く、だがはっきりと返事をしてくださる会長。その心強さに思わず緊張の糸が切れ、涙が溢れてきた。

 「会長……!会長……!」

 気付けば泣きじゃくりながら会長の体に縋っていた。

 「うん、辛かったね、頑張ったね。あとは全部私に任せてくれればいいから」

 会長は優しく私の頭を撫でてくれる。その小さいが温かい手のひらに、より一層感情が溢れてきた。ああ、もう大丈夫だ。私も彼も、そして小山も。きっとすぐにまたみんなで笑い合えるようになる───。

486名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/16(月) 23:39:49 ID:yR3JAIq2
というわけで柚子ちゃんルートBADアナザー前半でした
後半で若干ドロドロするからもうちょっと待っててね

(明日書けるかどうかはわから)ないです

487名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/17(火) 00:59:25 ID://oHxQiY
(ドロドロな終わり方が)見える見える、ヤバイぜ

488名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/17(火) 07:53:40 ID:pRbDzgNA
会長が全権を握る…?あっ(察し)

489名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/21(土) 00:30:36 ID:2eJOUVsg
  どうしよう。どうしよう。どうしよう。

 いや、どうしようもない。あんなことをしたんだから、もうどうにもならない。

 頭に血が上ったから、なんてことで許されるわけもない。それくらい私のしたことは重大だ。

 会長にあの写真を見せられた時、目の前が真っ暗になるのを感じた。それまで我慢してきたものが一気に破裂したみたいだった。

 そして気が付くと、桃ちゃんを生徒会長室に呼び出し、拘束して部屋の奥に閉じ込めた。その上で彼を呼び出して───。

 最低だ。最悪だ。まともな人間のすることじゃない。それでもその時の私は、自分の行動を疑わなかった。

 だって桃ちゃんが悪いから。私の気持ちも知らないで、彼を奪って。それでも周りが気を使って気づかないフリをしていてあげたのに、まんまと写真に撮られて。

 だって彼が悪いから。私の想いに気づかないで桃ちゃんを選んで。私が全部我慢してたのに、結局ボロを出して。

 全部、全部。あのふたりが悪くいから。だから私は悪くない、と。何をしても許される、と。本気でそう思ってしまった。

 彼はショックを受けていた。当然だ。桃ちゃんは怒っていた。当然だ。私は後悔している。───当然だ。

 あのふたりだけじゃなく、私は会長も裏切ってしまった。会長があの写真を私に見せたのは、ふたりにそれとなく注意をさせるためだった。

 『私から言うとかえって話が大きくなっちゃうからねぇ。小山ならいい感じにしてくれると思ってさ』

 いつものどこか適当な調子だったけど、会長がこういう大事な時にふざけることはないと私は知っていた。本当に私を信頼してん頼んでくれた。なのに。

 ああ、消えてしまいたい。すべてをなかったことにしたい。そしてそんな自分の無責任さがさらに嫌になる。私は、もう───。

490名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/21(土) 00:32:30 ID:2eJOUVsg
とりあえず柚子ちゃんサイド
待っててくれてた方、お待たせした上にオチまで行ってなくて申し訳ない
明日にはケリをつけたいです

491名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/21(土) 00:38:33 ID:Tz1oESMo
>>490

オチは気長に待ってるから>>1のペースで書いてほしいゾ

492名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/22(日) 00:25:00 ID:66FeLixk
すみません
オチが思ったよりドロドロできなくて苦戦中です

中途半端にはしたくないのでもう少し考えさせてください

493名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/22(日) 00:25:01 ID:66FeLixk
すみません
オチが思ったよりドロドロできなくて苦戦中です

中途半端にはしたくないのでもう少し考えさせてください

494名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/23(月) 00:13:27 ID:H8BzucYM
つい最近見つけたけどこのスレ最高やな
更新待ってます

495名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/29(日) 22:53:44 ID:xhDOdguw
あくしろよ

496名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/29(日) 22:55:22 ID:/XkRgK26
続き楽しみにしてるゾ

497名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/01/31(火) 14:07:03 ID:J9H3egoY
そろそろ続きを…病み成分が足りない…

498名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/02/01(水) 23:25:32 ID:5XPu/tds
お待たせして申し訳ありません……

今週中にはなんとかオチをつけたい……多分

499名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/02/04(土) 23:29:58 ID:wX9eDWcc
 プルルルルル……プルルルルル……ガチャ。

 あ、小山?やー、いきなりで悪いんだけどさぁ、このあと生徒会長室に来てくれないかな?……うん、例の件で。もちろん一人でね。ああ、いや大丈夫。全部わかってるよ。その上で、だから。

 ……いや、責めようってわけじゃないんだ。大丈夫。私が何とかするからさ。そのための話し合いをしたいんだよ。うん、うん……。いや、いいっていいって。うん、それじゃ、また後でね。


 ……ふぅ。しかし揃いも揃って人が良いねぇ。結局は互いが互いを思いやって。 まあそのせいでどうしようもなくなってるわけだけど。

 やっぱり欲張りはよくない。結局思いやりも、恋人や友達を全部手に入れてかつそれを丸く収めようとする、なんていう欲でしかないんだ。
 
 大事なもののためなら、何かを捨てる覚悟を持たないと。人がその手に持てるものなんてたかが知れてるんだからさ。その辺をわかってないんだよねぇ、みんな。

500名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/02/04(土) 23:30:29 ID:wX9eDWcc
 私は机に置いてあったフォトスタンドから、写真を取り出した。この前の大学選抜の試合のあとでみんなで撮ったものだ。みんな幸せそうな表情で写っている。

 キュポッ、と小気味いい音とともに、もう片方の手にあったサインペンのキャップを外した。そしてそのまま、写真にペン先を突き立てる。頭の中で、彼と私が結ばれ、笑顔で幸せを感じる姿を思い浮かべながら。
 
 そのハッピーエンドのためには何が必要か。何が必要ないか。───何が邪魔なのか。よーく考えないと。

 まずは河嶋。その次は小山。その姿を、黒いインクが塗りつぶしていく。次は……西住ちゃんかな。彼と仲良く話してるところを見たことがあるし。

 キュッキュッ、キュッキュッと写真とペン先が擦れる音だけが部屋に響き続ける。

501名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/02/04(土) 23:31:24 ID:wX9eDWcc






 

 写真は私以外、真っ黒に染まっていた。


 







 うん、やっぱりいらないよね。







 全員。

502名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/02/04(土) 23:32:53 ID:wX9eDWcc
というわけで柚子ちゃんBAD Anotherでした
お待たせした割にこんなんですみません

まだもうちょっと何か書きたいけど考え中





 

 写真は私以外、真っ黒に染まっていた。


 







 うん、やっぱりいらないよね。







 全員。

503名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/02/04(土) 23:39:39 ID:KLCha3MU
ひぇつ

504名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/02/04(土) 23:47:15 ID:C6RpQSkM
会長こわいなーとづまりすとこ

505名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/02/04(土) 23:50:55 ID:KFk6ySdo
ファッ!?

506名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/02/05(日) 01:57:24 ID:dOOrpq/2
いざ行動に移すと現実にしそうだから怖い
次もまた、期待してますんで・・・!

507名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/02/18(土) 23:45:43 ID:uRDQI8Q.
続き楽しみにしてる

508名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/02/24(金) 22:30:02 ID:MWKj6BWg
新作はまーだ時間かかりそうですかねぇ?

509名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/02/24(金) 22:44:59 ID:VCVF5k4A
まあ気長に待つさ

510名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/03/07(火) 22:08:03 ID:fVdDf2PU
あくしろよ

511名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/03/07(火) 22:10:03 ID:hF8qZ1IQ
パソコンが逝っちゃってね・・・
直り次第何かしら書くつもりでスゥゥゥ・・・

512名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/03/07(火) 22:12:44 ID:iI.pEg9k
>>511
お待ちしてナス!

513名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/03/07(火) 22:14:20 ID:fVdDf2PU
がんばれvがんばれv

514名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/03/07(火) 22:18:09 ID:clz1g5Vo
怖いのきらい
でも好き

515名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/03/07(火) 22:31:25 ID:ACacp7pY
どっちだよ

516名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/03/21(火) 00:26:08 ID:BzcJkhRc

 西住みほと交際して間もなく1年になろうとしている。きっかけは偶然の重なりとも言うべきものだったが、順調に仲を深めていけていると思う。
  
 恋人として過ごす中で、彼女に関するいろいろなことを知った。

 どちらかというと奥手で引っ込み思案なこと。

 戦車道に関しては冷静で優れた能力を発揮すること。

 それ以外では意外とおっちょこちょいなこと。

 友人はあまり多い方ではないが、その分一人ひとりとの関係を大事にしていること。

 ボコられぐまのボコが好きなこと。

 熊本の出身で、かつては名門・黒森峰に通っていたこと。

 戦車道に関することでいまだに実家と完全な和解に至っていないこと。

 みほ自身から聞いたこともあれば、彼女の友人たちからアドバイスとして聞いた話もある。もちろんこれらが西住みほという少女のすべてではないだろうが、すべてを知る必要なんてない。誰しも知られたくないのが普通だろう。───そう思っていた。

 だが、それは間違いだった。少なくとも西住みほという少女に関しては、彼女が知られたがらないことであっても、友人たちが知らないことであっても、知らなければいけないことがあったのだ。

 なぜ彼女が、月に1回程度でこちらの誘いを断るのか。

 なぜ誘いを断った日からしばらくやけに機嫌がいいのか。

 知らなければならなかった。あるいは、最後まで知るべきではなかった。すべては、あの日───。

517名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/03/21(火) 00:26:46 ID:BzcJkhRc
 なぜ遠方に用事があると言っていた彼女を近所で見つけたのか。

 なぜ彼女が作業着のような地味で動きやすい服を着ているのか。

 なぜ彼女が大きなバッグを運んでいるのか。 

 なぜ彼女が危ない輩のたまり場としてこのあたりでは有名な廃工場へ入っていったのか。

 なぜ彼女が床に下ろしたバッグがもぞもぞと動き、中から呻き声のようなものが聞こえるのか。

 なぜ彼女がそのバッグに向かって、近くに転がっていた鉄パイプを振り上げているのか。

 なぜ自分はそんな彼女の後をつけ、それらを目撃し、それを止めようとしたのか。

518名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/03/21(火) 00:27:20 ID:BzcJkhRc

 「わっ!びっくりしたぁ……。どうしてここに?」

 咄嗟に背後から羽交い締めにしたのに、みほはほとんどいつもの調子のまま言った。聞きたいことがあるのはこちらの方だ。

 「ああ、これのこと?うーん……できれば話したくない、かな」

 言いよどむも、そこに後ろめたさのようなものは感じられなかった。本当に、いつものような困った笑顔だ。

 「あ、貴方が悪いと思ったり、気を遣う必要はないんだよ?これは私が好きでやってることなんだから。なんたって私は貴方の彼女なんだから」

 ニッコリと微笑むみほ。……言葉から察するに、この狂気じみた行動は自分のためにやっているらしい。それがさらに恐怖を掻き立てる。
 
 「〜〜〜ッ! 〜〜〜ッ!」

 そんな中、バッグからまた呻き声が聞こえた。助けを求めるようなそれに、思わず駆け寄ろうとした。───が。

 「ダメだよ」

 がっしりと、その華奢な手のどこにそんな力があるのかというぐらいに、みほがこちらの腕を掴んで制止した。───まるで能面のような無表情になって。

 「触っちゃダメ。穢れちゃうよ」

 そんな彼女への恐怖がついに臨界に達し、思わず全力で手をを振りほどいた。

 「ひゃっ!」

 みほはその勢いで床へ倒れ込んだ。気づくと、彼女が手を付いた場所には、割れたガラスが散乱していた。

519名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/03/21(火) 00:28:18 ID:BzcJkhRc
 「痛っ……」

 自身の手のひらを見るみほ。そこからは赤い液体が滲み出ていた。

 そんな姿に先ほどのやりとりも忘れて近づこうとして、その異変に気づいた。

 「───ふふっ、ふふふっ」

 笑っていた。自身の手のひらについた傷を、そこから湧き出す血を見て。 

 「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」

 心底嬉しそうに、肩を震わせて笑っていた。

 「はじめて、だね。貴方が私に怪我をさせたの」

 満面の笑みでこちらに顔を上げた。この笑顔、どこかで───。

 「小さい頃ね、お母さん……いや、お父さんかな?それともお姉ちゃんだっけ?まあいいや。とにかく言われたの。『人をボコにしちゃいけない』って」

 笑顔のまま立ち上がり、みほは語り続ける。

 「大きくなるにつれて、その言葉の意味もわかるようになった。当たり前だよね、ボコにされるのは痛いし誰だって嫌に決まってるもん」

 一歩、こちらに彼女は歩み寄る。

 「でも、ボコを大好きだって気持ちは変わらなかった。だからいつもモヤモヤしてたの。誰かをボコにしたい。でもしちゃいけない。……特に好きな人は」

 また一歩、近付く。

 「貴方と出会って、恋人になって……どんどんそのモヤモヤは大きくなったの。自分が普通の人とは違う感覚を持ってる、おかしい子だっていう悲しさ含めて。でも、あの時、それが少し治まったんだ」

 さらに一歩。手からポタポタと垂れる血が、床を汚す。

 「ほら、貴方が事故にあった時。幸い軽い怪我で済んだけど、私は貴方が怪我をするのが、痛そうにするのがたまらなく嫌だった」

 思わず後ずさる。聞こえるのは彼女と自分の足音、そしてバッグから漏れるくぐもった声にならない声。

 「そのあとからだよ。貴方を傷つけたり、傷つけようとした人にこうして『オシオキ』するようになったのは」

 いっそのこと駆け出し、全力で逃げるべきか。しかし彼女の視線はそれを許さない。

520名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/03/21(火) 00:29:05 ID:BzcJkhRc
 「気分がスッとしたの。ああ、私は普通なんだ、って。好きな人が傷つくのは嫌で、傷つけた悪い人を傷つけるのは嬉しい。そんな普通の感覚を持ってるんだって」

 何かが背中に当たる感触があった。おそらく壁だろう。もう、後ろには下がれない。

 「でもね、やっぱり違った。今わかったの。ほら」

 みほは怪我をした方の手をこちらの目の前にかざした。ガラスによって思いのほか深く切れてしまったらしい痛々しい傷口から、鮮血が流れ出ている。

 「貴方がはじめてくれた傷。貴方がはじめてくれた痛み」

 うっとりとした口調でみほは言う。

 「私は最初からおかしくなんてなかった。だって、好きな人につけられた傷は、こんなにも素敵なものなんだから」

 彼女はその手で自身の頬を撫でる。べっとりと血がその白い肌を染めた。

 「ありがとう。私、目が覚めたよ」

 今度はそのまま、こちらの頬へ触れた。生暖かい感触に思わずひっ、と情けない声が出た。

 「ボコになるのも、ボコにするのも。どっちも好きな人でなくちゃいけなかったんだね」

 みほの顔が、互いの息が当たるほどに近付く。

 「私があの事故の時に感じたのは、嫉妬だったの。私以外の人が貴方を傷つけたことへの。だから犯人があんなにも許せなかった」

 間近に迫るその瞳は。

 「ごめんね、貴方も嫌だったよね?私が他の人を───貴方以外を傷つけようとしたこと」  

 ───どうしようもないほど、美しく澄んでいた。

 「でも、もう大丈夫。私たちの傷はもう、私たちだけのものだよ」

 みほの手には、いつの間にか鈍く光るナイフが握られていた。

 「さぁ、今度は私が『愛して』あげる番だね」

521名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/03/21(火) 00:30:59 ID:BzcJkhRc
というわけでみぽりんのBAD別ルート的ななにかでした

散々お待たせしておいてこんな感じで申し訳ない
またちょっとずつ書いていきたいと思います

522名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/03/21(火) 00:35:06 ID:6Bcz6pc6
ダークボコ怖いな〜…とじまりすとこ

523名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/03/21(火) 00:45:49 ID:0ip5Eykc
お前の書き込みを待ってたんだよ!

524名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/03/21(火) 01:30:42 ID:N0yOSTHM
おー、ええやん

525名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/03/21(火) 02:21:35 ID:mQv4CVUc
やったぜ。
みほにはどうしてこう闇が似合ってしまうのか

526名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/03/21(火) 13:54:45 ID:zXRG7jGw
新作ウレシイ…ウレシイ…
海楽フェスタでガルパン熱上がってるからたまらんな

527名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/03/21(火) 20:45:40 ID:X82zvgMk
よくもお前は長い間待たせてくれたなぁ全く・・・
(これからも色んな子のSSを)もっとちょうだい・・・!
明日からまた、期待してますんで!

528名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/04/21(金) 23:38:15 ID:DlHXquMM
新作はまーだ時間かかりそうですかねー

529名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/04/25(火) 22:53:47 ID:kjsa.ad2

「久しぶり。元気だった?」

 大学に入学して1週間ほど過ぎた頃、構内を歩いていると後ろから不意に声をかけられた。

 そこにいたのは黒髪の女性だった。艶やかな髪と膝丈くらいのスカートがふわりと風に揺れるその様に一瞬目を奪われる。……しかし。

 「あれ?もしかしてわからない?」

 先ほどの相手方のセリフからして知り合いのはずだが、どうにも思い当たらない。こんな美人を忘れることはないと思うのだが……。

 「ほら、私。アンツィオのペパロニだよ」

 ───っ。
 
 思わず息を呑む。それは目の前にいる女性が自分の記憶にある『彼女』とあまりにも雰囲気が違うから───だけではない。

 元々ペパロニと知り合ったのは高校生の頃だ。男っぽくサバサバとした性格の彼女とはすぐに気のおけない友人となれたが、あるときその関係は崩れた。

530名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/04/25(火) 22:54:46 ID:kjsa.ad2

 「カルパッチョは元気にしてる?」

 ───そう。自分が彼女の友人でもあるカルパッチョに告白し、交際を始めたときだ。その事実を伝えてから間もなく彼女は様子が変わっていった。

 学校が違うのでカルパッチョから聞いた話だが、あれほど熱心に打ち込んでいた戦車道や屋台での料理へのやる気を失い、次第に学校にも来なくなってしまったらしい。
 
 心底慕っていたはずのアンチョビさんの説得にも耳を貸さず、結局彼女は卒業を待たずにアンツィオを去ってしまった。

 タイミング的にも、自惚れでないなら彼女は自分のせいで───。そう考え悩んだこともあったが、

 『お前はお前が好きな相手に告白して恋人になったんだ、何も後ろめたく感じることはない。……ペパロニを止められなかったのは私が不甲斐なかったせいだ』

 アンチョビさんにそう諭され、カルパッチョとの関係を続けてきた。……ただ、口には出さずともお互いペパロニのことはモヤモヤと常に心の隅にあった。

 そんな彼女が、今こうして目の前にいる。この事実をいまだ飲み込めないでいると、ペパロニが再び口を開く。
 
 「あのあと高卒資格を取って、そこから必死で勉強したの。でもまさかあなたと同じ大学だなんてね」

 照れたように微笑む。その仕草も、口調も。どれもが自分の知っている彼女とは違っていた。戸惑いながらも、そうだったんだ、と返事を返す。

 「ねぇ、今夜は空いてる?せっかくだから色々と話したいの」

 その誘いに一瞬躊躇した。アンチョビさんにああ言われたとはいえ、やはり彼女の人生を大きく変えてしまったのは自分だ、という思いはある。

 「カルパッチョも一緒に、昔みたいに三人で楽しく過ごしましょう?」

 ───しかし、ここで彼女の誘いを断るのはそれこそ逃げだろう。愛情からの、そして友情から。過去からの、そして未来からの。

 意を決し、大丈夫だと答える。カルパッチョも今日は特に予定がなかったはずだ。

 「よかった。じゃ、場所は私の家で。住所は後でメールしておくね」

 それじゃあまた後で、と言って彼女は去っていった。その後ろ姿が見えなくなるのを確認してから、携帯電話を取り出した。

 『ペパロニが!?』

 電話口でカルパッチョが驚愕の声を上げる。

 『今夜は空いてるけど……大丈夫かしら』

 その“大丈夫”には様々な想いが込められているようだった。ペパロニとの友人としての付き合いは彼女のほうが長いのだ、自分よりその心中は複雑であるのも当然である。

 『でも……ええ、わかったわ。あとで住所を私の方にも送っておいて』

 カルパッチョは今日こちらよりも遅い時間帯の授業があるので、ペパロ二の家にはバラバラに行くこととなった。……本音を言えば心細いので彼女と一緒に向かいたかったのだが、わがままは言えない。

 それから3つ授業を受けたのだが、内容はまったく頭に入ってこなかった。

531名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/04/25(火) 22:55:27 ID:kjsa.ad2
 「いらっしゃい!待ってたよ」

 アパートのインターホンを押すと、すぐに笑顔のペパロニが出迎えてくれた。部屋の中はいたってシンプルで、そこにかつての彼女との共通項を見出したような気分になり、妙な安心感を覚えた。

 テーブルにはすでに美味しそうな料理が並べられていた。てっきりカルパッチョも来てから食事になると思っていたが、正直空腹だったのでありがたかった。

 「カルパッチョの分は別に用意してあるから。先に少しお腹に入れておいた方がいいと思って」

 そう言いながら飲み物を注いでくれるペパロニ。不意に近づいたその端正な顔立ちに少しドキリとした。

 「じゃ、一足先に───乾杯」

 チン、とグラスを鳴らす。緊張していたせいか自分でも気づかないうちにかなり喉が渇いていたようで、一気に中身を飲み干した。

 すかさずおかわりを入れてくれた彼女に礼を言いつつ、料理に手をつけた。一口含んだ途端に旨みが口中に広がった。料理の腕は相変わらず、否、さらに腕を上げているようだった。

 「遠慮せずにどんどんどうぞ」

 その言葉に従い、片端から腹に収めていく。ペパロニはニコニコ笑いながらそんなこちらの様子を眺めていた。

 ものの20分程度で、すっかり出された料理を平らげてしまった。満腹感に思わず気と顔が緩んでしまう。

 「お粗末さまでした。喜んでくれて嬉しいな」

 皿やグラスを片付けながらペパロニが言う。手伝おうかと思ったが、「お客様は座ってて」と制されてしまったので、おとなしく好意に甘えることにする。

 すぐに片付けを終えた彼女がテーブルを挟んで対面に座った。───不意に、自分の中に緊張感が戻るのを感じた。食事という間を埋めてくれるものがなくなり、いよいよ本格的な『会話』に移る時が来たからだ。

 意を決して問いかける。『あの時』のこと、それから後のことを。

 「うーん、そうだなぁ……」

 目を伏せて考えるような素振りを見せたが、すぐにこちらに視線を戻すと、

 「辛かった、かな。すごく」

 その彼女の言葉を聞いて一瞬心臓が跳ねた。なにか返事をしようとするが、あの、だのえっと、だのといった意味のない言葉が出るばかりだった。

 「でもいいの、気にしないで」

 ニコリと微笑むペパロニ。一瞬だが安堵を覚える。───本当に一瞬だけ。






 「その分、今返してもらうからよ」

532名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/04/25(火) 22:56:00 ID:kjsa.ad2
 
 目を細め、ナイフで切り裂いたかのような鋭い笑みを口元に浮かべながら、これまでと一転して低い声で彼女は言った。

 状況の変化に戸惑うよりも先に本能的な恐怖を感じた。───逃げなくては。

 こちら側へとやってくるペパロ二を避けて玄関へと急ぐ。───だが、その逃走は叶わなかった。

 急に全身が痺れるような感覚に襲われ、力が入らずその場に倒れ伏してしまう。

 「あー、無理無理。諦めなって」

 そう言いながら彼女はこちらを見下ろす。相変わらずその顔には猛禽類のような獰猛な笑みを浮かべている。

 「さっきの料理にいろいろ仕込んであったから。まあ普通に睡眠薬とかでもよかったんだけどさ」

 しゃがんで、こちらに顔を近づけて彼女は言う。

 「意識なくちゃ、つまんないだろ?」

 咄嗟にかろうじて力の入る腕で彼女を突き飛ばす。もはやなりふり構ってはいられない。

 「うおっと!」

 驚きの声を上げつつ、ペパロニが尻餅をついた。その隙になんとか携帯を取り出し、最もかけなれた番号───カルパッチョの連絡先を電話帳から探し出し、発信ボタンを押した。

 ───あるいはこの時、警察か親にでも電話をしていれば、結果は変わっていたのだろうか。

 プルル、プルルと呼び出し音が聞こえる。早く、早く出てくれ……!

533名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/04/25(火) 22:56:50 ID:kjsa.ad2
 しかし一向に着信に応じる気配はない。と、ここで違和感に気づいた。

 ヴーン、ヴーンと。携帯から聞こえる呼び出し音と重なるように、バイブレーションのような音が部屋に響いているのだ。

 ガチャッ、と。携帯の呼出音が途絶えると同時に声が聞こえた。───両方の耳で。

 「『あー、こちらの番号は現在使われておりませーん。諦めてくださーい』」

 ブチリと通話が切れる。なんとか視線を向けた先では、ペパロ二が携帯を床に放り捨てていた。とても見覚えのある携帯を。

 しかし、記憶の中のそれと目の前に落ちてきたものには違いがあった。覚えている限り、ディスプレイはこんなにひび割れてはいなかったし、こんな赤黒い───まるで乾いた血飛沫のような装飾はなかったはずだ。

 「諦めなって。もう本格的に動けねえだろ?」

 そう言いながら彼女は馬乗りになってくる。恐怖と、混乱と。いっそのこと失神でもしてしまいたかったが、むしろ意識ははっきりしていくばかりだった。

 「結局最後にものを言うのは、ココの使いようってワケだ」

 自身の頭を指さしながら嘲笑うように言うと、そのままこちらのシャツに手をかけ、一気に引き裂いた。胸板を這う彼女の舌のぬめりとした感触に、快感とも嫌悪感ともつかないものが全身を駆け巡る。

 「さってと。そんじゃあお楽しみの時間だ。お前は天井のシミでも数えながら何も考えないで───いや、せっかくだ。アイツのことでも思い浮かべとけ」

 どうしてこんなことになてしまったのか。悪いのは自分か、それとも───。

 問いかけようにももはや口も痺れ、喋ることは叶わなかった。否、仮に万全の状態でも何も言うことはできなかったのだろう。この心と頭を支配する絶望感の前では。

534名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/04/25(火) 22:57:28 ID:kjsa.ad2
 


 

 「Buon appetito(いただきます)」

535名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/04/25(火) 22:59:05 ID:kjsa.ad2
というわけでペパロニのBAD的ななにかでした
毎度毎度お待たせして申し訳ない

また思いつけたら(主にBAD系を)書きたいと思いまスゥゥゥ……

536名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/04/25(火) 22:59:18 ID:yHphhn/o
久しぶりの投稿いいゾ��これ

537名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/04/25(火) 23:00:17 ID:JgenqiiI
お前のSSが好きだったんだよ!

538名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/04/26(水) 19:00:10 ID:y68QpYT2
はぁぁあああっ…!!(畏怖)
BAD系多めになっていくのか、次は誰が来るのやら

539名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/05/21(日) 22:35:14 ID:txy2gVXU
あくしろよ

540名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/06(火) 19:17:46 ID:dSUdGJgs
「欲しいもの、ですか?」

洗濯物を畳みながらこちらの問いかけに妻───優花里が答える。

視線を壁掛けカレンダーに向けると、「ああ」と納得が言ったように声を出した。こちらの意図は無事伝わったようだ。

「もうそんな時期なんですね。早いなぁ」

まるで他人事のように優花里は言うが、今は他ならぬ彼女の誕生日プレゼントについての話をしているのだが。基本的に欲が薄い彼女はこういったことに割と無頓着であったりする。

「ふふ、ごめんなさい。でも欲しいもの……うーん」

手は止めないまま思案するような表情になる。これも毎年のお約束だ。

ちなみに本人に聞かずにサプライズプレゼントを用意する、というプランは最初からない。まだ結婚する前、戦車道グッズをいくつかセットで贈ったら見事に彼女のコレクションとモロ被りしたという前科があるからだ。

「うーん……毎年のことながら難しいですね。贅沢な悩みですけど」

ニコニコ笑いながら優花里が言う。こういう時に幸せそうに微笑んでくれるのは旦那冥利につきるが、しっかり答えを出してもらわなければ困るのも事実である。

「それでは……」

541名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/06(火) 19:18:56 ID:dSUdGJgs
たっぷり2分ほど考えてから、彼女が口にしたのは───。





1週間後、優花里の誕生日当日。

目的地に向かって車を走らせる途中、赤信号で停車した際に、助手席に座る優花里に「本当にこれがプレゼントでいいのか」と聞いてみた。

「もちろんです。これが私にとっての一番の幸せですから」

花が咲いたような満面の笑顔を見せられてしまっては、もう何も言えない。ちょうど信号も青に変わったので、おとなしく正面を見て運転に集中することにした。

「ねー、おかーさーん。今日行くところってどんなところ?」

後部座席にいる娘から優花里へと声がかけられた。いかにもワクワクしている、といった様子だ。

「今日行くのはね、戦車道の博物館だよ。いろんな戦車があってとっても楽しいところなの」

「へぇー!」

────彼女の誕生日のリクエストは、『家族3人で遊びに行く』というものだった。付け加えるなら、”今年も”。

そう、彼女は結婚して娘が生まれてからは、もっぱら毎年同じプレゼントを望む。まあ結婚前も『2人で出かけたい』というものばかりだったのでその頃から変わらないと言えるが。

結婚前は理容師の資格取得のため、結婚後は店の切り盛りでなにかと忙しく、出かける機会はかなり限られていた。そういう意味では、まさに『贅沢』といえるものなのかもしれない。

しかしこれは旦那として父として、平時の解消のなさの証拠なのではないか、と思わなくもない。

「そんなことありませんよ」

どうやら口に出てしまっていたらしい。再び信号で停まったので隣を見ると、とても穏やかな笑顔がそこにあった。

「私は毎日大好きな貴方とあの子と。大好きな人に囲まれて過ごしているんです。そんなただでさえ最高の幸せに、さらに今日みたいな贅沢をおねだりするとなっては、それは年1回くらいにしないとバチが当たっちゃいます」

「わたしもおとーさんだいすきだよー!」

……。思わず目頭が熱くなりそうだった。ごまかすように「ありがとう」と少し大きい声で言って、また正面を見る。

こうなっては仕方ない。元々そのつもりではあったが、より一層全力で今日という日を最高のものにしなくては。

最愛の妻の誕生日、そしてミリタリーバーバーアキヤマの休日は、まだまだ始まったばかりだ。

542名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/06(火) 19:20:31 ID:dSUdGJgs
超久しぶり&超短めですみません、秋山殿誕生日ネタでした
本当はまほさんの話考えてたけどそれは次に(すぐとは言っていない)

543名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/06(火) 19:21:21 ID:nJypQqxs
お前の投稿を待ってたんだよ!

544名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/06(火) 20:03:29 ID:4ZfQb/WA
おー、ええやん

545名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/06(火) 20:28:10 ID:NBVAa.iM
投稿ウレシイ...ウレシイ...

546名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/06(火) 20:40:28 ID:aSH0n2ZE
好評、絶賛!

547名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/18(日) 12:53:40 ID:ij//ikwA
アンチョビ「え?この鞭か?」

      「これを持ってると威厳が出るからな!みんなの気を引き締めるためにも重要なものなのだ」

      「へ?い、いやいや!人に向かって振るわけないだろ!ケガしたらどうするんだ!」

      「無自覚な趣味、って……そんなのないぞ!ホントだからな!」

      「え?試すって……お前を打てっていうのか!?」

      「アホなのか!?ケガしちゃうって言ってるだろ!」

      「彼氏として受け入れる、って……いやいや!だから私にそんな趣味はないんだ!」

      「……ああもう!わかったわかった!一回だけ!一回だけだからな!」

      「よ、よし……行くぞ……ていっ!」
 
      「ああっ!思ったより強くなってしまった!ご、ごめん!大丈夫か!?痛くないか!?」

      「そ、そうか。よかった……ふぅ」

      「……やっぱり私にそういう趣味はないみたいだ。全然いい気分じゃなかったよ」

      「逆も試す?わ、私を打とうっていうのか!?」

      「はぁ……わかった。どうせ言っても聞かないんだろ?でも一回だけだぞ!?おしりに一回軽くだけ!」

      「よ、よし!来い!」

      「〜〜〜〜〜!!!??ぁっ……!!」

      「っ……はぁっ……はぁっ……」

      「い、いや、大丈夫……大丈夫だ」

      「……」

      「い、今のだと少し弱すぎてわからなかったな」

      「だから……特別にもう一回だけ試して、いいぞ?」

      「今度はもう少し強く……」

      「〜〜〜〜〜っっっ!!」

      「はぁ……はぁ……い、今のでもわからなかったから……もう一回だ……」

      「彼氏として……受け入れてくれるんだろ……?」

548名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/18(日) 12:55:03 ID:ij//ikwA
なんとなく思いついた小ネタ
なるべく近いうちにまほさん(?)のやつを投稿したい(願望)

549名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/18(日) 12:55:03 ID:ij//ikwA
なんとなく思いついた小ネタ
なるべく近いうちにまほさん(?)のやつを投稿したい(願望)

550名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/18(日) 12:55:47 ID:9HFwV8zE
あくしろよ

551名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/18(日) 12:56:44 ID:NoSWNcK2
興奮する


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