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Ammo→Re!!のようです
1
:
名も無きAAのようです
:2015/02/08(日) 19:35:24 ID:F94asbco0
前スレ
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1369565073/
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配給
【Low Tech Boon】→ttp://lowtechboon.web.fc2.com/ammore/ammore.html
【Boon Bunmaru】→ttp://boonbunmaru.web.fc2.com/rensai/ammore/ammore.htm
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950
:
名も無きAAのようです
:2018/12/29(土) 09:14:39 ID:P5VaBOs60
(=゚д゚)「……話が分かりそうで助かるラギ。
なら分かるだろうが、この棺桶は個人でどうこう出来るレベルの代物じゃねぇラギ。
大規模な組織が関わっているのは間違いないラギ。
さっき“ゲイツ”が全滅したと言ったが、出発の段階で隊長以外はほぼ入れ替わった後ラギ。
どういうことか分かるラギ?」
その言葉を投げかけられたブームは、トラギコが持つジョン・ドゥの頭部を見つめながら、静かに言った。
| ^o^ |「つまり ジュスティア内で 殺されて 入れ替わった と」
(=゚д゚)「正解ラギ。 ワタナベ・ビルケンシュトックって女がゲイツの中にいたから間違いないラギ」
爪゚-゚)「ワタナベ……だと?」
その名前に反応したのは意外なことにジィだった。
爪゚-゚)「冗談だとしたら笑えないな。 そいつは、本部のモスカウ――難事件解決専門の部署――が追ってる快楽殺人鬼だ。
ジュスティアにそんな女が入り込むなど、有り得ない」
(=゚д゚)「だが事実ラギ。
この街で会ったから間違いないラギ。
キャメルストリートの536って店ラギ」
| ^o^ |「貴様 まさか 逮捕しなかったのか?!
女を 相手に 油断する ような――」
(=゚д゚)「あの女がどういう女か知っているんなら、酒場で奴が何をするか想像ぐらい出来るだろ。
あいつはニクラメンでプレイグ・ロードを使っていたラギよ。
第一、あいつをモスカウが追ってるなんてのも今聞いたことラギ」
プレイグ・ロード。
その悪名、そして非人道的な兵装については威力も合わせて報告書にまとめ――アサピーに書かせた――が済んでいる。
民間人を相手に容赦なくそれを使える人間は、感情的になった時が最も恐ろしい。
536でそういった兵器を使われる可能性を考えれば、あの場は相手を興奮させるようなことはしない方がよかったのだ。
実際、彼女を逃した結果得られた情報は極めて有用な物が多かった。
そして命を救われたことも合わせて、トラギコはワタナベを今はまだ泳がせた方がいいと考えている。
無論それを口にすれば、目の前で憤っている男は更に激憤するだろう。
(*゚∀゚)「このトラギコは確かに粗暴だが、女相手に手を抜いたりするような奴じゃない。
私が保証する」
思わぬところからの助け舟に、トラギコは思わずその声の主を見た。
記憶が確かなら、女犯罪者の顔が変わるまで殴った時、彼女はトラギコを罵倒したはずだ。
意外なことが信頼につながる物だと、トラギコは感心した。
(*゚∀゚)「それに、問題はそこじゃない。
トラギコ、その女、ジュスティアに入り込んでいたのは事実か?」
951
:
名も無きAAのようです
:2018/12/29(土) 09:15:50 ID:P5VaBOs60
ツーは状況を理解していた。
問題はトラギコがワタナベを逃がしたことではなく、どのようにしてワタナベがこの街に入って来たのか、だ。
快楽殺人鬼としてジィが知っているレベルの人間であれば、この街に入り込むことはまずもって不可能なはず。
スリーピースを力ずくで突破したのではないことぐらい、流石に頭の固い軍人でも分かるだろう。
(=゚д゚)「間違いねぇラギ。
このジョン・ドゥを使う組織、ジュスティア内に潜り込んでいるラギよ」
沈黙が部屋に訪れた。
どこかに置かれた時計の針が時を刻む音が静かに続く。
トラギコはコーヒーを飲み、息を吐いた。
(*゚∀゚)「お前の言わんとすることは分かった。
お前の言葉が全て事実だとして、そいつらの目的は何だ?」
(=゚д゚)「俺が知るわけないだろ。
それを調べるためには、まだ時間が必要ラギ。
俺の捜査を邪魔するなよ」
(*゚∀゚)「お前次第だ。
……ところで、デレシア、という人間の名前を聞いた事は?」
その名前は良く知っているが、どうしてそれが彼女の口から出て来たのかが分からない。
トラギコは咄嗟に嘘を吐いた。
報告書にも名前は載せにいるのは、別に恩義があるからではない。
ここでジュスティアが絡んでくると、デレシアに関する手がかりを逃す可能性が高いからだ。
(=゚д゚)「聞いたことねぇラギな。
誰ラギ?」
(*゚∀゚)「これまでの一連の事件に関わっているとされる人物の名前だ。
ニクラメンの事件を起こしたというタレこみがあった」
それについてはトラギコも考えていた。
あのビルで起きた爆破事件に関する証拠品はないが、まず間違いなくデレシアが関係していると言っていい。
実行犯か否かは重要ではない。
(=゚д゚)「へぇ…… ちなみに、誰からのタレこみラギか?」
(*゚∀゚)「内藤財団の西川・ツンディエレ・ホライゾンだ」
(=゚д゚)「デレシアってのは、どんな奴ラギ?」
思いがけないところでデレシアの名前が出てきたこともそうだが、内藤財団副社長の名前が出た事にも驚きがあった。
やはり、トラギコが思った通りティンバーランドという組織は、かなり巨大な規模の組織と考えた方がいいだろう。
後援に彼女がいるのか、それとも財団がそうなのか。
それはまだ分からないが、調べるべきは内藤財団であることが分かった。
952
:
名も無きAAのようです
:2018/12/29(土) 09:17:54 ID:P5VaBOs60
しかし、トラギコにとっては内藤財団の情報よりもデレシアに関する情報の方が欲しかった。
人間離れした強さを持ち、旅をする謎の多い女。
トラギコがオセアンで担当することになった事件の主犯と睨んでいる人物だが、あまりにも謎が多すぎ、その正体を推測する事すら出来ないでいる。
(*゚∀゚)「……ジュスティアの歴史を紐解けば、必ずその名前に突き当たる。
一部の人間だけが知る女の名前だ」
(=゚д゚)「ほぅ」
(*゚∀゚)「問題なのは、デレシアという女が数千年前の歴史に名を残してるという点だ。
その女の正体如何で、捜査が変わってくる」
人の名前など、いくらでも被るものだ。
数千年どころか数億年前の人間と同じ名前があったとしても、何一つ不思議はない。
同一人物でもない限り、気にする必要はない。
そう言うべきなのに、トラギコは何も言えなかった。
――デレシアと云う旅人について、トラギコは何一つとして正しい情報を知らないのだから。
(*゚∀゚)「もしもその女を見つけたら、参考人として連れてこい。
もしくは近くの警官に引き渡すんだ」
(=゚д゚)「見つけたらな」
(*゚∀゚)「そうしてくれ。
さて、次の話だ。
ティンカーベルでの一件、詳細を聞こうじゃないか」
実際、トラギコにとって今回の報告の中で最もやりにくいであろうと推測していたのが、ティンカーベルでの事件だった。
ショボン・パドローネ、ジョルジュ・マグナーニそして脱獄犯。
あまりにも多くの情報がありすぎるだけでなく、彼を困らせているのはすでに内通者の影を見つけてしまっていることだった。
どこから話せばいいのか、そう考えたトラギコはまずショボンの事から報告を始めることにした。
(=゚д゚)「まずはオアシズ、そこから話をしなきゃならねぇラギ」
今日はいつにも増して長く、そして充実した一日になりそうだった。
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編集・録音・テキストエフェクトデザイン【ID:KrI9Lnn70】
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警察本部の前に、一台の大型バイクが駐車されていた。
三つ目のライトは猛禽類の眼のように鋭く、車体を覆うカウルは、空気力学は勿論、航空力学をも参考に設計された物だ。
このバイクは世界に現存する僅か三十台の内の一台で、最も状態がよく、現役で走っている唯一の車輌だった。
その価値を知る人間は少ないが、その堂々とした佇まいは道行く人間の目をくぎ付けにした。
953
:
名も無きAAのようです
:2018/12/29(土) 09:19:30 ID:P5VaBOs60
開発名、Ideal――アイディール――はこの世に誕生したバイクの中で、世界最高の物と言っても過言ではない。
アイディールは大昔、人類がまだ科学と技術で栄華を誇っていた時代に作り出された、バイク乗り達にとっての理想形として設計され、生み出された。
搭載された人工知能は乗り手の好みや癖を理解し、自動的に操縦者の状況と環境に合わせて運転の最適化を行う。
例えば乗り手が背の低い女子供であればそれに合わせて車高を低くし、悪路を走破する際には車高を高くすることもサスペンションを柔らかく設定することもある。
個を理解するという概念、そして自己理解による進化を可能にした人工知能は、後にも先にも、バイクの中で搭載したのはこのアイディールだけだった。
このバイクには開発名とは別に、個体を識別するための名前が個人によって与えられていた。
それはその人工知能にとって、初めての経験だった。
これまでのどの持ち主も、バイクを道具として扱い、開発名以外の名前は呼ばれたことが無い。
たった一人、ある少年を除いては。
(#゚;;-゚)
一人の少年にディ、と名付けられたバイクは周囲の状況と現在地から、ここがジュスティアであることを認識していた。
前の持ち主がこの街の出身者で、ここを何度も走った事がある。
その時と街並みは少しだが変化をしており、地図の更新が必要だった。
無駄だと分かりながらも、短距離通信を行い、周囲にいる同型機からの情報共有を求める。
予想していた通り、返答はなかった。
何度か世界を巡った際にも応答はなかった。
現存するアイディールは金持ちにとっての鑑賞品となり、本来の用途で使われているのは自分だけだろう。
制作された日から現在までの時間を考えれば、それも当然だった。
(<::ー゚::::>三)「お待たせ、ディちゃん」
名を呼ばれ、ディはエンジンを始動させた。
その声は名付けた少年と親しい女性で、これまでの所有者の中で最も腕のいい人間だった。
そして、初めてディの声に気付いた女性でもあった。
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(<::ー゚::::>三)「お出かけしましょう」
その言葉でディはスタンドを自ら外し、声のした方に向かって走りだした。
ディは完全自動運転、そして二輪にも拘らず自動自立走行が可能だった。
独りで走り出すバイクを見て、通行人たちが驚きの目でディを見る。
(<::ー゚::::>三)「いい子ね」
954
:
名も無きAAのようです
:2018/12/29(土) 09:21:03 ID:P5VaBOs60
ディはカーキ色のローブをまとい、フードの下で笑みを浮かべる女性の前で停車した。
その女性こそが、ディの今の所有者だった。
名前は、デレシア。
詳しいことは、よく分からない。
(<::ー゚::::>三)「安心して。ブーンちゃんも一緒よ」
その名を聞いて、ディはエンジンを吹かし、喜びを露わにした。
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撮影監督・美術監督・美術設定・ビジュアルコーディネート【ID:KrI9Lnn70】
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ヒート・オロラ・レッドウィングは花屋のバックヤードで迎えが来るのを静かに待っていた。
殺し屋だった過去を持つ彼女でも問題なくジュスティアの街に入る事が出来たのは、トラギコの機転と協力があったからだ。
店の主人二人はどうやらトラギコと知己の仲であるらしく、詮索も何もせず、三人を受け入れてくれた。
この後に待ち受けているのは、エライジャクレイグを利用してラヴニカに向かう事だ。
先日の一件でヒートの棺桶である“レオン”は左腕に重大な損傷を受け、使えなくなっている。
それを修理するためにデレシアは目的地をラヴニカへと設定し、手段としてエライジャクレイグを選択した。
ラヴニカに行ったことはないが、どのような街なのかは聞いたことがある。
複数のギルドが混在し、職人気質な人間達が肩を並べる街。
発掘された棺桶は勿論、DATなどもその街に運び込まれることが非常に多く、修理や改修も行えると聞く。
何か目的のある旅ではない為、遠回りという事もない。
ヒート自身も右肩を骨折しており、満足に戦える状態ではない。
左手だけで銃を使えばいいが、やはり、利き手を使えないのは手痛い。
一カ月もすれば骨は治るだろうから、己の負傷については不安にならなくてもいいだろう。
しかし、ヒートはティンバーランドが手段を選ばないようになってきていることに、不安を感じずにはいられなかった。
不安の対象は、やはり、まだまだ子供であるブーンを守り切れない事だった。
今の状況で何か起きたら、ヒートは戦力として使い物にはならない。
彼が何か危険に巻き込まれる可能性は極めて高く、ヒートやデレシアのように武力である程度解決できる力はない。
今はまだ誰かに守られなければ、ブーンは生きていくことも世界を歩く事さえ出来ない。
最近は技術を身につけているが、それでも、武器や兵器を使う大人には勝てない。
実質、デレシアがヒートとブーン二人を守らなければならない状況であるため、極めて危険な状況であることは間違いない。
列車という閉鎖的な空間は、オアシズで起きた事件を想起させる。
逃げ場のない空間で襲われたら、反撃する以外に身を守る方法はないのだ。
最終目標や目的地の無い旅であるため、何も焦らなくてもいい事は重々承知している。
これ以上ティンバーランドの人間が彼女達を狙わなければ、ブーンの成長を見守りながら穏やかに余生を過ごすことも悪くはない。
だが、それだけでは駄目になってしまった。
ティンカーベルで遭遇した母親、クール・オロラ・レッドウィングを殺すという目的が生まれてしまった。
ヒートの弟、そして父を殺したあの女をこの手で殺さなければならない。
その激情に憑りつかれた結果がこの怪我であることは分かっているが、気持ちが萎えることはない。
955
:
名も無きAAのようです
:2018/12/29(土) 09:22:02 ID:P5VaBOs60
今もまだあの女を殺したくて仕方がないのだ。
(<:: ´ω::>)「ヒートさん、おはな……です……お」
物思いにふけっていると、ブーンがおずおずと歩いてきた。
彼の手には鮮やかな赤色の小ぶりな花束が握られている。
微妙に色が異なる複数の花が束にされ、ところどころに白くて小さな花が見えている。
店主が気を利かせてブーンに持たせてくれたのだろうか。
(<:: ´ω::>)「あの……これ……」
ノパ⊿゚)「ん? どうした?」
(<:: ´ω::>)「これ、ヒートさんに……」
花束を差し出され、反射的に屈んでそれを左手で受け取る。
花の芳香がふわりと漂ってきた。
生まれて二十五年を迎えているが、異性からこうして花束を貰ったのは初めての事だ。
(<:: ´ω::>)「おねーさんたちに……おねがいして、あの……つくってもらって……」
ノパ⊿゚)「お、おう」
驚いたのはブーンの行動力だった。
あれだけ人見知りが激しい彼が、全くの初対面の人間に話しかけたのだ。
ジュスティアは人種差別の激しい街であることは事前にデレシアから伝えられていたのにも関わらず、だ。
(<:: ´ω::>)「ヒートさん、げんきないから……」
ブーンの小さな手が、ヒートの頭に乗せられた。
そして優しく撫でられた。
(<:: ´ω::>)「げんき、だしてください」
ノパー゚)「ははっ、まいったな……」
元気づけたりしなければならない立場だと思っていたが、どうやら、ブーンは思った以上に成長を遂げているようだった。
旅の中で彼が成長していく様は、やはり、ヒートにとっては我が事のように嬉しいものがあった。
まさかこうして、慰められるとは思いもしなかった。
ブーンの手を取り、ヒートは彼を抱きしめた。
店の裏口から静かなエンジン音が聞こえてきたが、ヒートの心はそれに向けられることはなかった。
その時ばかりは、彼女の心の中にあった増悪は微塵も姿を見せなかった。
あるのは、愛おしいという感情だけだった。
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総作画監督・脳内キャラクターデザイン・グラフィックデザイン【ID:KrI9Lnn70】
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956
:
名も無きAAのようです
:2018/12/29(土) 09:23:05 ID:P5VaBOs60
ζ(゚ー゚*ζ「……あらあら」
裏口から入ってきたデレシアは、ブーンを抱きしめているヒートを見て思わず頬が緩むのを禁じ得なかった。
どうやら、二人の仲が更に親密なものになったようだ。
ヒートの手に小さな花束があることからある程度の推測をし、特に何かを言う事はしない。
どれだけ強くても、人間は完璧に強く在り続けることはできないのだ。
二人分のヘルメットを手に、デレシアは二人の様子を少し見守ることにした。
焦る旅ではない。
目的などあってないような旅なのだ。
ならば今は、二人の成長を見守ることに時間を割いても何ら問題はない。
仮にこの場にティンバーランドの人間が攻め入って来ても、デレシア一人でも対処できる。
ノハ;゚⊿゚)「おっ?!」
(<:: ´ω::>)「おっ?」
ζ(^ー^*ζ
ようやくヒートがデレシアの存在に気付いたのか、ブーンと共に奇声を発した。
ブーンは最初から気付いており、ヒートの声に驚いた様だ。
二人分のヘルメットを掲げ、デレシアは笑顔を浮かべる。
ζ(゚ー^*ζ「そろそろ行きましょうか。
準備はいい?」
ノパ⊿゚)「あぁ、あたしはOKだ」
(<:: ´ω::>)「だいじょうぶですおー」
ζ(゚ー゚*ζ「ヒートちゃんにお花をあげたの?」
(<:: ´ω::>)「はいですお」
これまでの旅を通じ、ブーンが花をプレゼントという考えを自ずと導いたとは考えにくい。
となれば、第三者の助力があったと考えるのが自然だ。
ζ(^ー^*ζ「いいセンスね。
お花屋さんが選んでくれたのかしら」
(<:: ´ω::>)「おー、そうですお」
ζ(゚ー゚*ζ「ちょっとお礼を言ってくるから、二人とも先にディちゃんのところにいてちょうだい。
ブーンちゃん、ヒートちゃんのお手伝いをお願いするわね」
(<:: ´ω::>)゛
ブーンは頷いて、ヒートと共に店の裏口から外に出ていった。
残ったデレシアは店先に向かい、二人の女店主に声をかける。
957
:
名も無きAAのようです
:2018/12/29(土) 09:24:25 ID:P5VaBOs60
ζ(゚ー゚*ζ「いきなり来た上に、色々とごめんなさいね」
( ゚ー゚)「いえ、いいんですよ。
もうお出になりますか?」
ζ(゚ー゚*ζ「えぇ、迷惑をかけるわけにはいかないもの。
そこにある小さなヒマワリを二輪いただいてもいいかしら」
∞
( ゚ー゚)「ありがとうございます。
十セントになります」
ζ(゚ー゚*ζ「ありがとう。
……はい、お釣りはいらないわ」
デレシアは店員の手に、百ドル金貨を一枚乗せた。
∞
(;゚ー゚)「えっ?! これはもらいすぎです」
ζ(゚ー゚*ζ「いいえ、正当な対価よ。
ちゃんとお手入れをしたお花なのは見ればよく分かるわ。
それに、貴女達があの子に選んでくれた花束、とても素敵だったもの」
(;゚ー゚)「でも、流石にこれは……」
ζ(゚ー゚*ζ「なら、一つだけお願いをしてもいいかしら?
多分今夜、トラギコはここに立ち寄るから、その時に美味しいものをご馳走してあげてちょうだい」
花を受け取り、デレシアは軽く礼をしてその場を去った。
実際、二人の仕事は丁寧で良いものだった。
本来、ジュスティアの人間ならば不審者を匿ったりはしない。
だが二人はトラギコの頼みを受け入れ、更にはブーンとヒートの距離をより一層縮める手伝いをしてくれた。
その報酬については、バックヤードに置手紙と共に置くことにした。
彼女達を経由してトラギコにも礼が出来れば御の字である。
扉を開くと、店の外に停めておいたディの前に二人は立っていた。
ζ(゚ー゚*ζ「お待たせ。
はい、これはブーンちゃんに。
それでこっちは、ディちゃんに」
そう言いつつ、デレシアは先ほど買ったヒマワリをブーンに手渡し、もう一輪をディのスクリーンの前に置いた。
極めて性能のいいウィンドスクリーンであるため、ここに置いておけば風で飛ばされることはない。
ヘルメットを被り、ディに跨る。
ディのメーターの色が変化し、感謝の意を示した。
958
:
名も無きAAのようです
:2018/12/29(土) 09:27:20 ID:P5VaBOs60
二人が乗りやすいよう、自動で車高が下がる。
ヒートがタンデムシートに座るのをブーンが手伝い、最後にブーンがタンクの前に座る。
そして車高が元の高さに戻り、デレシアはギアを入れてアクセルを捻った。
エンジンが静かに唸りを上げる。
三人と一台は次の目的地に向かい、走り出した。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
撮影・演出・音響・衣装・演技指導・編集【ID:KrI9Lnn70】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ジュスティア駅には複数の線路が走り、複数のプラットホームがあるが、スノー・ピアサーが停車している場所を見つけ出すのは極めて容易だった。
人だかりとカメラのフラッシュを見つけ出せば、この場に初めて来た人間でも見つけられる。
記者会見後、乗車を開始したスノー・ピアサーの前には鉄道ファンや記者が大勢詰め寄せ、写真撮影をしていた。
他に類を見ない新型車両はその性能の詳細を未だに発表しておらず、人々の好奇心と想像力を掻き立てた。
(ΞιΞ)「乗車券を」
駅員はこれまでにない人だかりの中で、淡々と業務をこなしている。
偽造不可能と称される乗車券を確認し、客を一人一人見てから乗車をさせ、不審者が入り込まないよう細心の注意を払っていた。
その補佐として、ジュスティア警察からも武装した警官が派遣され、様子を見守っている。
実際はジュスティアとエライジャクレイグは契約関係にないため、このような事をする義理はない。
だが、エライジャクレイグを利用するとスリーピースを通過しないという問題が発生する為、せめて乗車の際に不審な人間がいないかを確認する必要があった。
ニクス・バーキンは最も高額な特別車輌を担当することになり、他と比べて楽な仕事に内心で大喜びをしていた。
この高級車輌は他の寝台車とは違い、一両を個人の寝台として使う事が出来る。
その為、金持ちしか利用できない事から人はまばらで、しかも行儀がいい。
中途半端な金持ちは荷物を積み込めと命令をしたりするが、この車輌を利用する人間はそもそも大荷物を持ち歩かない。
荷物は特別車輌に供え付いている巨大なスペースに置けばいいのだ。
その日、スノー・ピアサーに一番の荷物を持ち込んだのは、ニクスが担当した客だった。
ζ(゚ー゚*ζ「荷物はどこに預ければいいのかしら?」
最初、ニクスはその女性の美貌と美声に心を奪われたが、後ろに控えていた大型バイクを見て正気に戻った。
見たことのないバイクだが、それが高級かつ普通ではないことはすぐに分かった。
スタンドはおろか、誰も乗っていないのにバイクが自立しているのだ。
かなりの大荷物を積載しながらも、まるでバランスが崩れる様子もない。
スノー・ピアサーと同じように、多くの技術が使用されているバイクに違いない。
そんな相手に無礼な真似は間違っても出来ない。
(ΞιΞ)「あ、あちら……です」
思わず上ずった声を出しながらも、彼は寝台車の後ろにある空間を指さした。
これを果たして乗せられるか、それが心配だった。
959
:
名も無きAAのようです
:2018/12/29(土) 09:29:27 ID:P5VaBOs60
ζ(゚ー゚*ζ「ありがとう。
じゃあ、またね」
女性がバイクに手を振ると、バイクはゆっくりと走り出し、タラップを上って車輌に入って行った。
誰も運転していないのに、とニクスは己が正気であることを確認する為、何度も瞬きをした。
夢でも何でもない、現実だった。
ζ(゚ー゚*ζ「はい、三人分」
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\ ノ / .:
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乗車券を三枚渡され、ニクスは一応人数を確認した。
赤毛の女性と、ニット帽を被った少年が一人。
特に問題はなさそうだった。
(ΞιΞ)「では、どうぞ」
半ば放心状態だったが、どうにか三人を車輌に案内することは出来た。
一人で走るバイクというのがこの世にある事を知り、ニクスは己の見識の狭さを知った。
規格外の金持がいるのと同じように、規格外の乗り物が存在するのだ。
例えば、目の前にあるこのスノー・ピアサーもそうだ。
強化外骨格という兵器を、まさかこうして交通の手段に変えるなど、誰も思いつきもしない。
発想というのは人間次第でいくらでも広がり、実現するのだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
制作協力【全てのブーン系読者・作者の皆さん】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
スノー・ピアサーの特別車輌の乗客には個室が割り当てられ、その広さは三人で過ごすには最適な広さだった。
ホテルの一室、とまでいかないが、ベッドやシャワーがあるのは嬉しい。
食事は食堂車輌に向かえばよく、特に不自由はしない。
一般車両は二階建てで一両に八人が寝泊まりする為、この部屋よりも半分以下の広さしかない。
960
:
名も無きAAのようです
:2018/12/29(土) 09:31:26 ID:P5VaBOs60
一人旅であればそちらで十分だが、三人旅ならばやはり、この大きさの部屋が一番だ。
一両を使い切る事が出来れば、人目を気にすることなく旅を楽しめる。
更に、食事を内線で依頼することも出来る為、ブーンを迂闊に人目にさらさずに済むというメリットもある。
(∪*´ω`)「おー」
ニット帽を外し、ブーンはようやく一息つく事が出来た。
彼は耳付きと呼ばれる人種で、人間の耳の代わりに垂れ下がった犬の耳を持っている。
身体能力も人間離れしており、彼の耳と鼻、そして筋力は大人をも凌ぐものがある。
部屋に入ってからすぐにローブの下で尻尾が揺れ、驚きと喜びが現れた。
ノハ;゚⊿゚)「おおぉう!」
ヒートも同じように驚きを口にした。
外装に窓が存在しないが、部屋から外の様子は驚くほどに見える。
壁があるはずの場所は透き通り、外の様子が全て見通せる。
継ぎ目のない外の景色は解放感に溢れ、列車の旅を退屈なものにさせない。
無論、外からは白い外装しか見る事が出来ない。
これは強化外骨格の演算装置を駆使して作られた映像であり、スノー・ピアサーの特徴でもあった。
一切の遅延なしに映像を同期させるこの技術は、デレシアの知る強化外骨格としての“スノー・ピアサー”の持つ力の一つだった。
豪雪地帯での高速戦闘に特化して作られたスノー・ピアサーは本来、全身をこの列車のような装甲で覆い、高周波振動発生装置を用いて雪の中を苦も無く移動する。
カメラが雪で覆われることを想定してスノー・ピアサーは全身に極小のカメラを取り付け、周囲の映像を使用者に見えるように工夫されている。
それをここまで巨大な構造物に用いるとなると、相当な技術が必要になるはずだ。
同じ技術自体は存在しているため、スノー・ピアサーを使う必要はないが、それでもかなりの金がかかっただろう。
シャルラへの高速鉄道需要は確かに存在しているが、ここまで金をかける必要はあるのだろうか。
採算を取る事の出来る算段があるからこそ、この列車を作り出したに違いない。
ブーン達が部屋の中を見ている中で、デレシアは新聞が置かれているのに気付き、その見出しに眉を潜めた。
内藤財団による、世界統一単位の発表。
新聞を開き、目を走らせる。
ζ(゚-゚ ζ「……」
新単位は世界中で採用され、すでにほとんどの街で置換が始まっているらしい。
ここまで唐突な発表にもかかわらず賛同者が大勢いるという事は、かなりの時間をかけて浸透させていたのだと分かる。
業腹だがブーン達にも新単位を学ばせ、適応してもらうしかない。
単位がヤード・ポンド法から切り替わるのは実に喜ばしい事だが、作為的な何かを感じる点が気に入らなかった。
人間が自力でそれを導き出したのならばいい。
それは人間の進歩であり進化である。
しかし、偽りの進化は歓迎できない。
今しばらく動向を見て、ティンバーランドの動きを予想しておいた方がいいだろう。
芽吹く前に潰すのは容易だが、思いがけない場所に根を張っていると再び彼らが現れないとも限らない。
潰すのであれば一気に、何もかもを、一切の容赦なく。
いつまでも叶わない夢を見せる組織が再興することなどないように、徹底的に滅ぼさなければならない。
ノパ⊿゚)「なぁ、ラヴニカについて訊きたいんだが、いいか?」
961
:
名も無きAAのようです
:2018/12/29(土) 09:33:02 ID:P5VaBOs60
ヒートの言葉で意識を切り替え、デレシアは答えた。
ζ(゚ー゚*ζ「私に答えられる範囲でならね」
ノパ⊿゚)「いくつもギルドがあるって話だが、どこに持って行けばいいのかは分かるのか?」
ζ(゚ー゚*ζ「えぇ、棺桶の修理が一番上手い所に持って行くわ。
ただ、あの街はちょっとギスギスしている事が多いから、そこがネックね。
ま、どうにかなるわ」
人が支配する組織である以上、やはり、衝突は避けられない。
ラヴニカでは水面下での探り合いや衝突があり、死人がよく出る。
観光客は護衛を生業としているギルドで腕の立つ人間を雇い、ガイドブックにない場所には決して近づかない。
長生きをしたければそうするべきだし、街の情勢について無知なのであれば当然だ。
ギルド同志の争いに巻き込まれないようにするためには、ギルドを知らなければならない。
棺桶の修理を依頼することは、実際、ほぼ全てのギルドで行える。
しかし、それをどこに持って行くのかによってその後が変わってきてしまう。
格安のギルドに持って行けば、その商売敵が機嫌を損ねるし、高額なギルドを選べばそれを面白く思わないギルドが腹を立てる。
目的によってギルドを慎重に選ばなければ、修理どころではなくなってしまう。
閉鎖的な部分と開放的な部分が入り混じる街、ラヴニカ。
混沌とした雰囲気の部分もあるが、常に活力に満ちているその街がデレシアは好きだった。
群雄割拠、という点で言えばデレシアの故郷に似ていない事もない。
以前までは一カ月以上の時間を要した旅も、スノー・ピアサーを使えば一週間もあれば到着するだろう。
道中、何事もないことを願うばかりだが、ティンバーランドが何もしてこないとは思えない。
ノパ⊿゚)「頼もしい限りだ。
あんたがいて助かるよ」
ζ(゚ー゚*ζ「あら、私も貴女がいて助かってるわよ、ヒートちゃん。
ブーンちゃんも、いてくれてとても助かるわ」
(∪´ω`)゛
気恥かしそうに頷き、ブーンは外の景色に目を向けた。
どうやら、ここからの眺めが気に入ったようだ。
ノパ⊿゚)「そういや、トラギコは大丈夫なのか?
あいつ、あんたの事をずっと逮捕したがってたが、この列車に誰か呼んでないとも限らねぇだろ」
ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫よ、ああ見えて、結構律儀な人なのよ」
もっと言えば、トラギコは律儀で愚直な男だ。
かつてのジョルジュ・マグナーニがそうであったように、トラギコもデレシアを追おうとしているのは分かっている。
それでも彼は、状況を読んで行動を切り替えるだけの自制心があった。
ティンバーランドが如何に巨大な組織であるか、その断片を見ることになったティンカーベルでの一件により、トラギコは一時的にだがデレシアから目を逸らすことにしたのだ。
962
:
名も無きAAのようです
:2018/12/29(土) 09:34:57 ID:P5VaBOs60
味方であれば頼もしく、敵であればこれほど厄介な人間はそういない。
彼は実に優秀な警官だが、優秀すぎることによる弊害で寿命を縮めなければいいのだがと、デレシアは切に思う。
ジョルジュと同じ道を辿るのであれば、それは極めて悲しい話だ。
ノパ⊿゚)「そういうもんかね」
ζ(゚ー゚*ζ「そういうものよ」
その時、デレシアは車外に並ぶ一人の男に気が付いた。
男の視線は正確にデレシアの方へと向いている。
ζ(゚ー゚*ζ「……あら」
その男は、何も見えないはずの外装を通してデレシアの姿を見ているかのようだった。
( ゙゚_ゞ゚)
オセアンで死んだと思っていた男が、そこに立っていた。
“葬儀屋”と呼ばれる腕の立つ人間らしかったが、その実、ただの雑魚だったことをよく覚えている。
しかしどうにも様子がおかしい。
ノパ⊿゚)「あの男、知り合いなのか?
ってか、こっちを見てるぞ」
ζ(゚ー゚*ζ「オセアンのビルから落としたんだけど、生きてたみたいね」
恐らく、運よくビルの下に停まっていた車にでも落ちたのだろう。
高所からの落下の衝撃を車が吸収し、更には棺桶も装着していたことと相まって、彼の命を救ったに違いない。
悪運の強い男だが、この場にいるのは果たして偶然か、それとも何者かが描いた必然か。
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、面白くなりそうね」
(∪´ω`)「おー」
そして三十分後。
定刻となり、オルゴールのチャイムが車内に響いた。
『それでは発車いたします。
皆さまのご協力、誠に感謝いたします』
静かに、そして大きくスノー・ピアサーが動き出す。
車輪が回り、巨大な車体が進みだす。
『これより皆様と旅を共にするのは、ジャック・ジュノ。
次の停車駅はジャーゲン。
ジャーゲンに停車いたします』
スリーピースを通り抜け、スノー・ピアサーは海岸沿いへと出た。
空は青く、雲は白い。
波は穏やかで風は微風。
963
:
名も無きAAのようです
:2018/12/29(土) 09:36:16 ID:P5VaBOs60
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ……」
デレシアははしゃぐ二人を見守りつつも、水平線の向こうに目をやる。
そこにあるものを確かめるように。
入道雲の果てに浮かぶ何かを見つめるように――
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これは、力が世界を動かす時代の物語
This is the story about the world where the force can change everything...
そして、新たな旅の始まりである
And it is the beginning of new Ammo→Re!!
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――ギルドの都、ラヴニカ。
最盛期は数千のギルドでひしめき合っていた街だが、今はそれも落ち着きを取り戻し、数百のギルドに収まっている。
街を束ねているのは複数のギルドの連合であり、彼らは街の利益のために決め事や祭事を行っていた。
理外の一致こそが彼等にとっての最大の目的であり、対立や排除はとうの昔に超越していた。
切磋琢磨し合う環境から生まれる様々な恩恵が街の発展を助長し、かつてあった排他的思考は消えつつある。
ギルドの連合による不可侵の取り決め――ギルドパクト――は形を成し、百年以上の平安をもたらしている。
しかし、街の中には今、対立の空気が生まれようとしていた。
ギルドパクトを破らんとするギルドが現れ出したのだ。
弱小のギルドが結束し、街の在り方を変えようと声を大にしているのだ。
これがただの弱小ギルドだけであれば、雑魚の蒙昧と軽くあしらわれるのだが、扇動しているギルドが問題だった。
最古参のギルドの一つ、“キサラギ”が先頭に立っているのだ。
街の観光や交通を束ねるギルドが何故、そのような事を言いだしているのか。
そして、何故今になって反旗を翻すような真似をし出したのか。
その背後に内藤財団の影があることに、まだ、誰も気づいていない。
964
:
名も無きAAのようです
:2018/12/29(土) 09:38:30 ID:P5VaBOs60
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Ammo→Re!!のようです
Ammo for Rerail!!編 序章【Train of beginning -始まりの列車-】 了
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965
:
名も無きAAのようです
:2018/12/29(土) 09:40:12 ID:P5VaBOs60
これにて投下はお終いです
質問、指摘、感想などあれば幸いです
966
:
名も無きAAのようです
:2018/12/29(土) 13:32:49 ID:J3luTgRg0
年内に投下来てすげえ嬉しい、めちゃくちゃ乙
デレシアが何者なのかまじで気になりすぎるな
967
:
名も無きAAのようです
:2018/12/30(日) 20:08:50 ID:4ZQF7kuE0
乙。相変わらず気になる引きだ
>>940
の
"気の抜けた返事を死"って部分は変換ミスかな?
>>948
の
"トラギコは決してヅーの事を"
"ヅーは内線を使い"
のヅーってツーの事かな?
968
:
名も無きAAのようです
:2018/12/30(日) 22:00:13 ID:3QlFcZec0
>>967
わわわ……死人が蘇ってしまっていた……!!
いつもありがとうございます……!!
969
:
名も無きAAのようです
:2019/01/03(木) 10:10:30 ID:.xv8yjxo0
今回の話も楽しみすぎる
どういう展開になるのかわくわくする
970
:
名も無きAAのようです
:2019/01/15(火) 23:27:36 ID:XYe28ac.0
ツーが本格的に絡んできたか
やっぱ組織のトップが動くとワクワクするね
次も待ってる
971
:
名も無きAAのようです
:2019/02/01(金) 21:08:47 ID:7AvZWAQo0
明日の夜、VIPでお会いしましょう
972
:
名も無きAAのようです
:2019/02/02(土) 00:08:27 ID:trnxRgxc0
楽しみにしてるぞ!!
973
:
名も無きAAのようです
:2019/02/02(土) 15:34:03 ID:LhfvVxHU0
うおおおお!!
974
:
名も無きAAのようです
:2019/02/03(日) 21:56:56 ID:gcv9OuRY0
次スレです
Ammo→Re!!のようです
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1549198601/
975
:
名も無きAAのようです
:2019/07/30(火) 08:04:51 ID:bHMOUkNk0
Amro→Rei!のようです
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