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タブンネ刑務所14

1名無しさん:2017/05/06(土) 00:36:57 ID:v4JFFnrY0
ここはタブンネさんをいじめたり殺したりするスレです
ルールを守って楽しくタブンネをいじめましょう。

211ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:49:46 ID:Dxc7CVbQ0
「ミッ… ミッ… ミゴォォォォォォォォーーッ!!!!!」

怒声と共に立ち上がり、兄貴分へ突進していった
儚くか細い力を、無垢で繊細な心を必死に奮わせ、母親の元に向かおうとする小さな、だが尊い命
それを大きな手で弄び、流す涙を嘲笑う… そのような非道、何が相手だろうと許せるものか!
両手足を縛っていた筈の紐は、怒りにより限界を超えた膂力で引き千切れていた
その時に相当な無理がかかったのだろう。手首と足首から床に赤い滴が落ちる程に流血している
だがその痛みも、烈火の如く胸に滾るものに遮られ前頭葉には届いてはいない
そして兄貴分はあまりに突然のそれに反応しきれず、タックルで転がされてしまった

「おお?!痛ってぇ!!何だいきなり?!!」
「あ、兄貴!大丈夫ですかい?」
「え、あれ?縛ってたんじゃないの?!」

次にタブンネが怒りの矛先が向けたのは社長だ
ベビを救うためにまずは兄貴分を攻撃した怒りのタブンネだったが
実の所、幼いベビの純心を弄ばれるのを笑っているこの女の方が許せなかったのだ

「ミ、ミィッ!!ミミィ!」

しかし踵が地から離れようとしたその瞬間、仲間の声が一瞬の正気を取り戻した

「ミッミ!ミッミ!」『ミィィィィィ!!ビィィィィィ!!』
「ミィ!」

ハッとして振り返ると、赤ちゃんを助けてと訴える仲間たちと、
異常な状況に張りつめた心が限界を迎え、怯え泣き叫ぶベビたち
踵を返し、ベビたちを救うべく駆け寄ると目の前にボールが落ち、閃光とともにポケモンが現れた

「ガウッ!」

ルカリオである
至近距離、驚く間もなく発射された真空波を怒りンネは避ける術はなかった

「ミグッ…」

急所である鳩尾に見えぬ衝撃がめり込み、床に崩れ落ちる
まだ意識と感覚はあるものの手足が言う事を聞かず、立ち上がることが出来ない
ポケモン勝負であれば「勝負あり」の状態である

「お〜、すっごい早わざ。ルカリオちゃんつよ〜い」

元来の無愛想な性格ゆえ、社長に褒められてもルカリオはムスッと黙り込んだままであった

「オメ、いちおう社長なんだぞ!ちっとは愛想よくしろや!」
「ワウ、ワウ」
「そんなことより社長、兄貴、いいかげん準備を始めましょうや」

呆気に取られるタブンネたち、そしてさらに激しく泣くベビたちの前で3人の人間は作業を始める
作業といってもタブンネたちの拘束を解き、べビを網から出すだけなのですぐに終わるのだが
「いちおうって何?」と兄貴分に言いたかった社長だが、
話題が変わると残念ながら完全に突っ込むタイミングを逃してしまった

212ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:53:00 ID:Dxc7CVbQ0
「…ミィ?」

ハッと起き上った怒りンネ、その眼前には2匹の友とベビたちの姿が
仲間たちは固く縛られていたはずの手足は解かれ、慣れない環境に怯えるベビたちを宥めようとしている
そして怪我をしていたはずの自分の手足には白いものが巻かれている
包帯で治療した後なのだが、野生のタブンネにその意味を理解することは出来なかった
先ほどまでいた人間たちの姿はない。が、そう遠くない場所に潜んでいる事は丸わかりだ
他に違和感があるものと言えば、天井から果実のようにぶら下がる見たことがない物体だ
シャー、ウィーンと聞き慣れぬ音がかすかに聞こえる事と、
目玉のような光る何かがこちらに向いていて、何かに見られているような気になる事が怒りンネの不安を煽る

「さ〜て、このタブンネちゃんたちで大丈夫かな〜」
「…期待できる気がしませんがね」


その頃、3人は別室でノートパソコンを見つめていた
ウィンドウの中に映るのは、先ほどの部屋のタブンネたち
一般家庭用の防犯カメラで監視をしているのだ
既に察している方も多いだろうが、
このママンネたちは商品となるベビの世話をさせるために連れてこられたのだ
わざわざモニターで監視しているのは。都合のいいタブンネかどうか見極め中というわけだ

「あっ、ベビちゃんたちがお乳をせがみだしたよ」
「へぇ、ちっとは環境に慣れてきたみてーですな」

さっきのドタバタした状況ではどれがどのタブンネかすら分かってなかったが、
腰を据えて観察してみるとタブンネそれぞれの個性が見えてくる
ちなみに男たちが一緒に連れてきたベビは8匹。どれがどれの子か3人ははわかっていない

「ミミィ!ミーミ!」「チィーチ!チィ!」「ヂャァァァァァ!!!ビャァァァァ!!!」
「…こいつぁガキの扱いが下手ですな」「うぇ〜、泣かせちゃってるよ〜」

連れてきた際に威嚇していたタブンネ。
後頭部に識別用の青いマーカーが付けられているので以後青ンネとしておく
8匹のベビの内なんと6匹がこいつの実子なのが観察のうちに判明した
だが見るからにベビの扱いが下手であり
母乳を飲ませる際、位置が悪いと尻尾を引っ張ったり顔を押して退かしたりと粗雑そのものだ
当然ベビも母の胸の前で泣くわ怒るわの大混乱だ
元来自信過剰で無鉄砲な性格であり、自分の親としての器を知らずに産み過ぎた結果である
ちなみに先ほどデコピンをされていた幼いタブンネはこいつの子だ

「ミミ!ミッ!」「チィチ!」「チチ…」

兄貴分に突進したタブンネ。
先のそれと同じ箇所にに黒いマーカーが押されたので黒ンネと呼称する
8匹中2匹がこのタブンネの実子である
こいつはなかなか堅実でしっかりした性格なのだが、母親としてはいささか頭が堅すぎるきらいがあるようだ
授乳を済ませると甘えようとするベビたちを諌め、胡坐をかいたまま聞き耳を立てて周囲を警戒している
このような状況ではベビに甘えさせてる場合ではないというのは賢明な判断だが
ベビ達にそんな理屈が分る筈もなく、泣きそうな顔でしょぼくれてしまうのであった

「ミィーミ、ミーミ」「チィィ…」「チーチ」

最後にベビ入りの洗濯ネットを開けようとしていたタブンネ
赤いマーカーが付けられたこいつは赤ンネと呼ぶ事にしよう
授乳をしないことからママンネではない事が判明した
青ンネと非常に仲がよく常にすぐ側に居るので、姉妹なのではないかと推測されている
このタブンネは青とは違い優しく気配りができる性格で
青ンネが授乳してる際に、泣いてしまったりお乳が上手く飲めなかったりしたベビのフォローをしている
泣くべビがいれば人間がするように抱っこしてゆさゆさと揺すってあやし
怒るベビがいれば抱き寄せて頭を撫でながら宥め
ウンチをしてしまったベビが居ればお尻を拭いてあげたりと授乳をしなくてもかなり忙しい
というか、授乳以外の全てを赤ンネに任せっきりと言っても過言ではない

213ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:53:59 ID:Dxc7CVbQ0
「青の奴はダメっぽいですなぁ、」
「そうだね〜、あの子と比べるとね。でも一応次の実験を見てからにしようよ。リマ君、おねがい」
「へい、行ってきまさぁ」

弟分は大きな袋を持って部屋に戻ってきた
中身はタブンネたちの餌となる野菜クズとそれからあと一つ大事な物だ

「ホレ、メシの時間だぜ」
「ミッ?!」「ミッミ!!」「ミィ!」

弟分はガチャリとカギを解いてドアを開け、大小の紙袋を置いて素早く外に出る
大きいものは30kgサイズの米袋、小さいのは社長のアレを買った時のドラッグストアの紙袋だ
大きいほうの中身はタブンネたちの餌として近くの町のスーパーや農場からタダ同然で調達してきた物で
言うまでもなくママンネたちの餌なのだが
餌が入っているのを知らないタブンネ達にしてみれば敵が置いて行った得体の知れぬ物体
もちろん警戒し、近づこうとしない

「ウミ〜〜ン♪」
「ミ!ミィ!」「ミッミィ!」

しかし不意に袋が倒れてキャベツの尻とサツマイモの端が姿を覗かせると
青ンネが授乳をおっぽり出し、黒ンネが止めるのも聞かず食べに行ってしまった
乳に吸いついていたベビは振り落とされ号泣し、赤ンネが慌ててあやしに入る
刈り取りが終わってしばらく経つ麦畑でわずかな落ち穂をチビチビ食べていたという行動からお察しの通り
青ンネはこの数日間かなり空腹だったのだ。ほかの2匹も同じくらい空腹だということはさておき
もちろんこの様子はカメラでバッチリ取られており、見ていた2人の失笑を買った

「ウハハ!あいつやっぱりバカタブですなー」
「ぷぷ〜っw いくらなんでも食い意地張りすぎだよ〜w」

「ンミ?」

聴力の賜物か、誰かにバカにされているのを感づいた青ンネ
無駄にプライドが高いタブンネであり、バカにされるのが大嫌いなのだ
それでも食べるのを止めない所が最高にバカなのだが

「ヂィィ…」
「ミ?」「ミィ?」

今度は小さいほうの紙袋がガサガサと音を立てながら倒れ、中からベビンネが這い出してきた
このタブンネたちのベビより少し大きい、ようやく立っちが出来るようになった位のベビだ
このベビが今回の実験の肝、このタブンネたちが仕事に使えるかどうかの試金石である
見知らぬべビにどう対応するかを見て、商品となるベビンネを保育させるのに使えるかを判断するのだ
ちなみに前日に調達して来たベビで、実験に都合のよい状態にするべく
閉所監禁24時間、絶食16時間の処置を施され、心身とも程よくやつれた状態になっている

214ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:55:15 ID:Dxc7CVbQ0
「チィィ、チィ…」
「ミッ? ミーミ」

まず最初に試金ベビの一番近くにいた青ンネである
一瞥してお互いに目が合ったものの、特に構う事もなくプイと顔を逸らしまた食事に戻ってしまう

「チィィ、チィチィ!」
「ミミ!!」
「ヂィィ… 」

それでも大人に助けてほしくて縋りつく試金ベビを、あろうことか手で押しのけて大声で威嚇
人語で表すなら邪魔するなと叱りつけて追い払ってしまった。
久しぶりのまともな食事を邪魔されたくなかったのであるが、あまりにもあんまりな対応である
哀れな試金ベビは半ベソかきながらのよちよち歩きで逃げて行ってしまった

「ミッ?」
「チーチ、チィ…」

次に試金ベビが頼ったのは黒ンネ、今だに寝そべって授乳中である
先ほどの青ンネから受けた心傷から、助けて欲しくて近づいたのは変わらないが若干恐る恐るだ
あのバカとは違い、迷い子を捨てては置けぬという良識が黒ンネにはあった

「チィーチィ… チィー…」
「ミミ…」

静かに眼を閉じ、聴覚を研ぎ澄ませて聞き耳を立てる
回り、いや、辺り一帯の音でこのベビの親タブンネを探そうというのだ
タブンネがタブンネを探す時はこれが一番確実なのである
しかし聞こえてくるのは聞きなれぬ人間の機械の音に十数匹の子タブンネの悲しげな声
さらに耳を凝らしてみても入ってくるのは車の音、タブンネではないポケモンの足音…
結局、試金ベビの母親と思しきタブンネは黒ンネの耳に入る範囲には居なかった
実際に居ないのだからその聴力は正確無比ではあるのだが

「ミッ、ミッ、ミミミ…」
「チィー…」

母親の不在を伝えられると、しゅんと耳が下がり、悲しそうな顔をする試金ベビ
ママがいなくて大ショックという様相でないのは、ベビ自身も聴覚で薄々分かってはいたからである
黒ンネはそんなベビを頭を撫でながら慰めた
「そのうち会えるさ」と何とも無責任な慰めをしなくてはならなかったのが
彼女にとってとても悔しい所だ

「チィィ…」
「ミグッ?!」

ベビの心は幾分かは落ち着いた
しかし、その視線が乳を飲む黒ンネのベビ達に移ると黒ンネはギョッとして体を強張らせた
前述のとおり黒ンネも腹ぺこの栄養不足、授乳できてはいるものの乳の量は僅かで
はっきり言って他タブのベビに分けてやる余裕などない

「ミッ!ミッ!」

サッとわが子を隠すように片腕で覆い、軽い威嚇の様にキツめに鳴く黒ンネ
体に余裕があれば分けてやったのだろうが、今はどうしても駄目だ
乳を飲んでる筈の自分のベビ達も肥立ちが良くなく、かなり不安なのだ
しかし、それでもベビはその視線を別に向けなかった。すごく怖がってはいるが
飢え切ったベビが母乳を目の前にして、どうして我慢ができようか、

「チィチィ… チィチィ…」

ベビンネは空色の瞳に溜めた涙をぽろぽろと零しながら、お乳をせがむ鳴き方でか細く鳴いた
『おちちちょうだい… おちちひとくちだけちょうだい…」
その切なく、悲痛な声は黒ンネの心を揺さぶり、息が詰まるほどの罪悪感で大いに苦しめる
そして、とても残念なことに、今の彼女はその心の痛みに耐えることは出来なかった

215ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:56:46 ID:Dxc7CVbQ0
「ミガァーーーーーーーーッ!!!!」
「ヂィィィィーーーーーーーーーー!!!!」
「ビビッ?!」「ヂッ?!」

切なる懇願によってベビにもたらされたのは、剣道の気合の如き怒声である
あまりの声量と迫力に部屋のタブンネたち
そして、別室に置かれている子タブンネたちすらもみな一様に驚きびくりと体を震わせる
罪悪感を怒りに変え、相手に叩きつける… ある意味逆ギレに近い心境か
これを至近距離で直撃した試金ベビは全身が凍てつくほどに恐怖し
コテンと尻餅をついておまけに糞までちびってしまう
そして恐れおののきながら早足のハイハイで黒ンネにしっぽを向けて逃げて行ってしまった

「ヂィィィィィ!ビィィィィ!!」「ビャァァァァー!!ヂュィィィィ!!」
「ミィ、ミィミィ、ミィミィ…」

試金ベビのみならず、乳を飲んでいた黒ンネのベビたちも巻き添えで泣き出す始末だ
慌ててわが子をあやそうとぎこちない手つきで頑張る黒ンネだが
生来どうにもこういった事は苦手である
決して表に出すことは無いが、心の中で目の前のわが子にも負けぬ程に泣いていた
お腹を空かせたベビを怒鳴って追い払うなど、誰が好んでやるものか
本当は助けてやりたい、抱きしめて乳だっていくらでも吸わせてやりたかった
だが今の自分は赤子の空腹すら十分に満たせぬ無力なママンネ
わが子の命を守るには鬼にもならねばならぬのだ
唇を噛みしめ、尻を汚して己から遠ざかる哀れな母無し子に胸の内で必死に詫びた

「ヂィ… ヂグゥ… グズッ…」

もはや同族のタブンネさえも信じられず、部屋の隅で丸まって震えながらメソメソと泣く試金ベビ
両親は消え失せ、他のの大人タブンネたちからは疎まれ拒まれる…
他者の助けが無くては生きられないベビにとって、この状態には死にも等しい
赤子にそんな小難しい理屈は分る筈もないが、その小さな心の中はは絶望で一杯だ
そんな時、急に手足が床から離れ、体が宙に浮く

「ヂヂッ?ヂッ!ヂヂーッ!!」

何が起きたかわからず怖くなって手足をバタつかせていると、背中に温かいものがふわりと触れた
どうにかベビたちをあやし終わった赤ンネが試金ベビを抱き上げたのである

「ヂヂィ!!ヂヂィー!!ヂャーーーー!!」
「ミィィ、ミィミィ♪」

未だ恐慌状態の試金ベビは訳も分らず腕の中で手足を振り回して大暴れするが、
赤ンネは手慣れた様子で宥めながらそれをいなし、
そして疲れて暴れるのを止めたのを見計らい、ベビの耳をそっと胸に押しつけながら抱きしめた
チビママンネや女子社員もやっていた、あの心音でベビンネを落ち着かせる方法である

「ヂヂィ… ヂヂ…? ヂヂィ… ヂィ…?」

ようやく優しい大人に出会って安心したのか、胸に顔を埋めて落ち着いた様子だ
こうすることで怖い他のタブンネを見ないようにしてるのだ
ところで、上記の鳴き声に不自然に疑問符が混じっているが
これはベビンネが安らぎつつも何か違和感を感じているからである

216ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:57:25 ID:Dxc7CVbQ0
「ミーミ、ミィ」
「ミンミ〜?」

さて、落ち着かせた後にどうするのかというと、赤ンネは姉の前へ向かった
既に食事は終わり、袋の傍で涅槃仏のように寝そべっている青ンネ
勢いづいて食べすぎたために見て分かる程に腹が膨れていた
だいぶリラックスしていて、至福の表情で歯に挟まった食べかすを爪でほじっている
そんな青ンネでも試金ベビはまだ怖いらしく、さらに脅え一層強く赤ンネの毛皮にしがみついた
なぜ赤ンネは青ンネの所になど行こうと思ったのか?それは乳を分けてもらう為である

「チィィ…」
「ミ〜ミィ〜」

満腹になった青ンネはとても上機嫌で、掌を反すようにあっさりと受け入れた
どんな生き物でも腹が減っているとふだんより凶暴になるものだが、こうも極端な奴は珍しい
受け入れたといっても「動かないから勝手に吸っててよね」といった具合の横柄な態度なのだが
ある意味無責任とも、軽率とも取れる寛容さだ

「チィ〜チ、チィ…」

少し怯えつつも青ン根のお腹に向かい、乳首を吸う試金ベビ
どんな奴から出てきても乳は乳。お腹が空いたベビにはお預けなどできない
青ンネの子が飲んだ後だったので3口吸ったら無くなってはしまったが
試金ベビにとっては大切な命の一滴だ

「チィィ…」
「ミミ、ミィ」

少ししか飲めなくてがっかりしているべビを赤ンネは頭を撫でて慰める
「もう少ししたら、もっと飲ませてあげるからね」と
自身は乳が出ないが栄養を取ると乳の出が良くなる事を
本能からか、もしくは経験からかは定かではないが知っていて、
腹いっぱいな姉の所に連れてきたのはその為だ

「ミミ〜ミィ〜」

青ンネも頭をポンポンとはたいて試金ベビを慰める
寝そべったままニヤついてそうやる姿は限りなくおっさんに近い
が、試金ベビはちょっと痛かった物のそれほど悪い気分ではなかった

「ミッ、ミッ…」
「ピィッ!!?」

黒ンネも泣く子を宥め終わり餌を食べに来た
青ンネよりかは我慢が利くが、空腹なのは変わりはない
当然近くにいた試金ベビは驚き叫ぶが
黒ンネの方はというともじもじしながら目を合わさない程度にチラチラ見て
なんとも居心地が悪そうな、申し訳なさそうな様子
仕方がない事情があったとはいえ、さっき怒鳴ってしまった事を気に病んでいるのだ

「ミミミ、ミミミミ」
「チィチ、チィ… チチチ〜!」

赤ンネが「怖いタブンネじゃないよ」と諭そうとしたが
一度焼きつけられた恐怖心はそう簡単に消える事はない
首を振ってイヤイヤしながら赤ンネのお腹に顔を埋めてしまった
こうすることで怖い黒ンネを見ないようにしているのだ

「ミグゥ…」「ミッミミ〜w」「ミー、ミ〜」

意気消沈の黒ンネとそれをすかさずからかう青ンネ。
そしてそれにムッとする黒ンネとやんわりと制止する赤ンネ
喧嘩の寸前というよりかは、仲のいい子供たちがじゃれ合ってるようにも見える
このタブンネたちは物心付いたころからの仲良しで、ずっと3匹一緒にいるのだ

「よーやく落ち着いてきたね〜」
「腹が減ってたら気が立つのは人間もポケモンも同じですからなぁ」

観察が続く中3匹で餌を食べ、曲がりなりにもいつもの調子を取り戻してきたタブンネたち
ベビたちも満腹とは言い難い所だが幾分か異常な状況への恐怖心も納まり、
どの青黒のベビも試金ベビも混じってチィチィとじゃれあっている
しかし、この平穏は10分も続かなかった

217ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:58:57 ID:Dxc7CVbQ0
「ミ!」「ミミ!」「ミンミ〜!」

ある時、一斉に緊張が走り、部屋の空気がピリリと張り詰める
人間の足音が近づいてきているからだ

「あれ?リマくん」「んあ、一体どうしたんだってんだいあいつ?」

餌を置いたら戻るはずの弟分がガチャリとドアを開けて入ってきたのだ
なにやら図鑑のような大きな本を開いて眺めていて、タブンネたちとそれを見比べている

「ミミ!!」

黒ンネは盾になるようにベビたちの前に立ちふさがり、
いつでも迎撃にうつれるように腰を落としタックル臨戦態勢だ
が、弟分はそれにまるで意に関さず、赤ンネの体全体を舐めるようにじろじろと見まわしている

「ミ、ミミ…」

赤ンネはその意図を掴み難い奇妙な様にたじろぎ、じりじりと後ずさりする
背を見せて逃げれば逃げ切れず、さりとて戦えばズタボロに負けて痛い目を見ること必至
生来の察しが良さによりそれを察する事ができた
が、その姉は真逆に場の空気がまるで読めぬ直情的な性格であった

「ンミィィーー!!」

赤ンネを守るべく両腕をぶんぶんと振り回し、勢い良く弟分に向かっていく青ンネ
しかし「邪魔」と言わんばかりに顔面を手のひらでドンと押され、ごろりとひっくり帰ってしまった

「ピュミィィ〜ン!」
「あっちゃー… わりぃ、痛ぇとこ当たっちまったな…」

弟分としてはぶちのめそうとしたつもりは毛頭なく、
驚いて咄嗟に手を突っ張って止めた程度のはずだったのだが
相手の方が顔面からぶつかりに来てしまってはそうはならない
青ンネは情けない声で喘ぎながら鼻を押さえて悶絶している

「ミィミ〜!」

赤ンネはあわてて介抱に向かって、傷を見るべく前かがみになった際、お尻が弟分の方に向いた
それを見た弟分は納得した顔でスタスタと部屋を出ていく

「…ミギ?」

肩すかしを食らったのは黒ンネである。あの人間が何をしたかったのか
いくら考えても野生のタブンネの知識と頭脳では分る筈もなく
今はただ青ンネの醜態に呆れるばかりであった

218ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 01:05:42 ID:Dxc7CVbQ0
「赤の子は必ず残すとして、青い子はダメダメ。黒の子もちょっと厳しいかな〜」
「いえ、青みたいな欲望に忠実な奴は逆に扱いやすいですし、
 黒いやつはまぁ、扱いにゃ気ぃ使わにゃですが責任感が強そうで悪くないですぜ
 乳はやらなかったですが、あの赤ん坊を嫌ってもなさそうでしたし」
「それもそーかも、うーんよく考えたらあんまり可愛がらせすぎるのも売るときに良くないし
 あれくらいがちょうどいいのかなー」

観察にもそろそろ飽きが入り、
社長と兄貴分だけでとりあえず3匹とも残す方針で話を進めてると、弟分が戻ってきた

「あ、リマくん。本なんか持ち出して一体どうしたの?」
「へぇ、赤いやつにちょいと気になる所があったもんで
「何ぞ変な病気でもあったのか?」
「いえ、あの赤いマークのやつ、♂でしたぜ」

予想からまりにもズレた答えに、一呼吸の間の混乱と沈黙が2人を包む

「そ、それは読めなかったよ…」

偶然から始まったこの雄雌のタブンネを一緒に放し飼いをするという状況
ここから「人間の管理下でタブンネを産み増やさせる」という手段に思い至るのに
そう時間はかからないだろう

219名無しさん:2018/04/07(土) 20:53:53 ID:NXAxh0Hk0
乙です
読むからに可愛いベビと小憎らしい親タブがどんな目に遭うのか楽しみ

220名無しさん:2018/04/08(日) 02:35:23 ID:UqQS.Plw0
乙ンネ
長く続いてくれて嬉しい限りです

221名無しさん:2018/06/01(金) 06:39:47 ID:GBGOBtd20
ピュミィィ〜ン!に萌えました

222名無しさん:2018/07/16(月) 17:47:42 ID:mniYbLQQ0
「タブンネここで少し待ってね」と言って、冷房着け忘れた車内に放置したい

223名無しさん:2018/07/16(月) 21:53:37 ID:Tyf2WuTg0
舌を伸ばしてハァハァ言いながら窓を叩くタブンネちゃんを見守りたい

そう言えばオーブンとか水槽の窓を内側から必死になって叩くタブンネってツボだわ
空き巣ベビンネまた読もうかな…あくまでベビンネちゃんを可愛らしく描写してるのがいいんだよねあれ

224名無しさん:2018/07/19(木) 06:19:14 ID:HDaWAiYI0
わかるわそれ
押し入れの隠し子に出てくるベビンネたちとかどうよ
押し入れから出てきて部屋の中を動き回る描写はなかなかほほえましい
そのあと洗濯機に放り込まれるんだけども

225名無しさん:2018/07/19(木) 20:01:14 ID:ECHF80io0
浅い川で遊んでいた親子ンネが、上流の大雨で鉄砲水に流されるのみたい。親タブンネは「なみのり覚えているから大丈夫!」って油断してて、あげくの果てに自分だけが助かる展開みたい

226名無しさん:2018/11/08(木) 15:57:13 ID:N8dxZW0A0
残念だけど公式での食肉ポケモンはイーブイだよ☆

227名無しさん:2020/01/04(土) 22:57:12 ID:LGGr5VLI0
テスト

228名無しさん:2020/01/05(日) 12:48:20 ID:0zEliRHw0
牢獄のベビンネ
話が進まなければ残った素直な善良ベビンネちゃん達は
ケージの中でいつまでもそれなりに平和に生きてくんだろうね
帰ってこない兄弟はどこにいるんだろうとか考えないでスヤスヤおねむしているところで話止まってるしね

229名無しさん:2020/01/05(日) 19:01:07 ID:UTI/z3f.0
すまん
牢獄のベビンネはここじゃなくて避難所の方だった

230名無しさん:2020/03/24(火) 14:33:56 ID:nEyPyToE0
ショーケースの裏側で
長すぎ
女性社員に虐待させてない時点で無能

231名無しさん:2020/04/24(金) 20:32:24 ID:7R46KfCU0
うちのタブンネ♀は食いすぎと運動不足で太ってしまいました(高さ1.0m・重さ80㎏)。

ある日、うんうんうなっているのでお尻を見たらタマゴが出てくる途中で肉に引っかかって詰まっていました。

「よしよし、油を塗って滑りをよくしよう。」

私はオリーブオイルを塗ってやりましたがタマゴは出てきません。

具合がおかしくなってきたので「こうなったら卵を諦めて割って出そう」と言いましたが、
タブンネはそれは嫌だと首を振りました。

本をめくってみるとポケモンは原則、「総排泄孔」という糞をする穴と卵を産む穴が同じだそうです。
「もしや?」と思いヘーデルというおならを増やす薬を飲ませてみた所、お腹がもこもこ膨れてきました。

「チィチ〜ィ!チィチ〜〜ィ!!」

あ、卵が少しずつ出てきたぞ!

シュッポォォォォンッ〜〜〜〜〜〜〜〜グシャッッ!

卵は壁に勢いよく発射されて割れてしまいました。
何のためにタブンネは今まで苦しんでいたんでしょうか・・・

232名無しさん:2020/04/30(木) 21:49:32 ID:pmVfzHWU0
久々の新作乙ンネ

233名無しさん:2020/05/07(木) 14:25:52 ID:EsiSqex60
ある所にポケモンの虐待が好きな悪〜い男がいました。

しかし、今度引っ越してきた街では条約で「ポケモン側から攻撃を挑んできた時(野生とのバトル)」と
「自分の飼っているポケモンへのしつけ(過剰なものはNG)」以外人間がポケモンを痛めつけてはいけないというのです。

男は捕まるのは嫌だったので「不器用なタブンネ」を手に入れるとそれを飼い始め、失敗するたびにしつけと称して叩きました。

ある日の事・・・

「チィ!」(あ!)

今日もその不器用タブンネが野良ポケモンの巣を見つけました。
ご主人様はこのタブンネがいたずらや失敗をするとビシビシ叩きましたが「子育てをする」のは褒めてくれるのです。

「おお、卵をこんなにいっぱい見つけてどうした? 飼いたいのか?」
「チィチィ!」(はい!親に捨てられたこの子を育てます!)
「だが前回、お前は卵を全部落として割って全滅させたぞ。」
「チィ・・・」(え、それはその・・・)
「それでも飼いたいというなら今度は注意して持って行け…そうだな、赤ちゃんが1匹死ぬたびに責任としてお前を10発ぶつぞ。」
「チィ!」(はい!覚悟はできてます。)
「よく言った。よーし、先に行きなさい。」

こうしてご主人様がくれた箱にタブンネは一生懸命注意して卵を5つ全部詰め込み、恐る恐る運んでいきました。

「・・・さて、襲い掛かってくるレパルダスからわしのタブンネを守らねばなぁ・・・」

そう言うとご主人様はコジョンドを出すと、卵を盗まれて追いかけてきたレパルダスを瞬殺させました。
「『ポケモンの卵を人間は盗んでない』セーフ、『ポケモン側から攻撃を仕掛けてきたのを返り討ち』セーフ・・・」

234名無しさん:2020/05/07(木) 14:26:43 ID:EsiSqex60
ご主人様のわくわくとは別に、今度はタブンネはちゃんと卵を家まで持っていきました。

そして、巣の中にそれをどきどきしながら置くと、その上にそっと乗って・・・

グチャッ!

タブンネは足を滑らせて卵を1つ潰してしまいました。

「・・・あれほど言ったのになぜ丁寧に扱えんのだ!」

「チ〜ィ・・・」(す、すいません・・・)

「こっちへ来い」

ベチーン!!!ベチーン!!!ベチーン!!!ベチーン!!!ベチーン!!!
ベチーン!!!ベチーン!!!ベチーン!!!ベチーン!!!ベチーン!!!

「チギャァァァッ!チギャァァァッ!!チギャァァァッ!!!」

ステッキでお尻を叩かれてタブンネは悲鳴を上げて逃げまどい、しばらくしてご主人様が見つめる巣箱に戻ると
割れた卵から出てきた目も空いてないチョロネコの赤ちゃんに触角を当て、間もなくその命が絶えるのを感じてしくしく泣き始めました。

ご主人様も死体と割れた卵を濡れた敷き藁ごとゴミ箱に入れ、新しい敷き藁をタブンネにくれました。

「よいな、生まれてくる前に卵を無理に割られて死んだこの子はどれだけ苦しかったか、その痛みでわかったろう。」

「チィ・・・」(うう・・・)

「ならば、お前が飼いたいといった以上、お前には残りの卵の面倒を見る責任があるのだぞ! もしお前の不注意で赤ちゃんが苦しむことがあればそのたびに1発叩く。」

「チィ!」(はい!)

ご主人様はよく言ったとタブンネを誉めましたが、内心ではもう40発タブンネを打てるのはいつかなと楽しみにしていました。

235名無しさん:2020/05/07(木) 14:28:35 ID:EsiSqex60
それからタブンネは真面目に餌も食べずにそっと卵に中腰で乗って温め続け、翌々日にチョロネコが生まれました。

ミャーミャー

そうやってうごめく目も空いてないチョロネコを見て、ご主人様はすぐに全部ぶち殺したい衝動にかられましたが、
タブンネが心配そうに見ているので理性でそれを抑え、ポケモン用の哺乳瓶とミルクを置きました。

それからご主人様の予想通り、チョロネコは数々の悲惨な目に遭い、そのたびにタブンネはお尻を叩かれました・・・

・熱湯ミルクを飲まされ喉をやけどするもの(でもママの癒しの心で回復) ベチーン!!!
・ママの抱っこ中に落とされるもの(これくらいで死ぬほどやわではありません) ベチーン!!!
・作り置きの腐ったミルクを飲まされ食中毒にry(でもママの癒しのry) ベチーン!!! 
・ご飯の最中に疲れてママが寝てしまい、素に戻ってくれず全部凍えてしまったりも…(でもママのry) ベチーン!!!ベチーン!!!ベチーン!!!ベチーン!!! 

1週間ほどしてお尻が2倍ほどに肥大したタブンネママと、ボロボロで成長不良のチョロネコ4匹を見てご主人様は、
「よくやったのぉ。もう今までほど付きっ切りでなくていいから、少しは遊んでストレス解消じゃ。」とおもちゃを渡しました。

タブンネはご主人様に褒めてもらったのが何よりもうれしく、与えられたかえんだまで遊び始めました。

「ミィミィ」「ミュー!」「ミィ!」「ミ…」(ママ それちょうだい)(わたしにちょうだい!)(わーたーしー!)(…)

「ミュッ? ミュィ!」(え? じゃあ順番よ!)

これを隠れて見ていたご主人様はもうすぐ合法的に嫌いな野良ポケモンがのたうち回るのと、
タブンネを合法的に打ち据えられる未来を思い浮かべ、鼻血が出るほど興奮しましたとさ。

236名無しさん:2020/05/07(木) 21:32:50 ID:aJ3fbKa.0
乙ンネ

237ゴールドラッシュの残渣(1/3):2020/05/12(火) 16:30:52 ID:87IdQaJw0
イッシュ地方から少し西に行ったところの山…と言いましても皆が思い浮かべるような大きな山じゃありません。

小さな町から少し離れ、柵に囲まれた標高百mもない、低木や草ばかりの山(丘というには切り立っている)です。

そこにタブンネの一家が住んでいました。

パパンネとママンネ1匹づつ・チビンネ3匹の5匹の家族です。

彼らは他の野良ポケモンたちと同様に麓の住宅地の河川敷や公園に住んでいたのですが、
ある日からそれまで餌をくれたりしていた住民が、なぜか狂暴化して野良ポケモンたちを襲うようになったのです。

例えば公園で人間から餌をもらうのが一番得意で、この一家にも食べ残しをよく分けてくれた優しいイーブイ・・・
彼女はママンネの見ている前で人間からもらった餌を食べた後血を吐いて死にました。
驚いて逃げかえる途中「この泥棒ネコ!」という人間の声に殴られる音とチョロネコの断末魔の悲鳴も聞きました。

無論同族たちも例外ではありません。

警戒してなかったタブンネたちはねぐらを囲まれ火をつけられ、逃げれないベビンネや卵はみんな焼け死にました。
焼け死ぬ前に飛び出した大人のタブンネ達も、みんな取り囲まれた人間によってぶち殺されてしまいました。

このタブンネの夫婦だけはママンネが前述のイーブイ達が人間に殺されたのを目の当たりにして警戒してたので逃げれました。

「皆、逃げるミィ!」 「もうダメ…チィ・・・」 

追いつかれる直前に土手を乗り越え、草むらの陰にあった窪地に5匹は飛び込みました。

5匹を見失った人間はさらに向こうの柵の金網の小さな破れ目を見て、そっちに逃げたと誤解し諦めて去っていきました。

「あっちに行ったなら追う必要もない、早く戻らないようにふさごうぜ。」

タブンネの夫婦はその時人間がキィキィ針金を動かす音を聞いて、初めてそこに破れ目があるのに気が付きました。
そして人間が去った後、何とかそこを広げて柵の向こうにあった山に逃げ込むことにしたのです。

238ゴールドラッシュの残渣(2/3):2020/05/12(火) 16:31:38 ID:87IdQaJw0
逃亡して一週間ほどの夕方・・・

「今日はごちそうがたっぷりとれたミィ。」

そう言いながらパパンネが尻尾にいれて持って帰ってきたのは、ドングリが数十個と干からびたような小さなオレンの実が8つ。

「うわーい!オレンがあるチィ!」「オレンだチィ!」「オレン!!」

大喜びするチビンネにオレンを2つづつ与え、自分達は1つづつだけで我慢する両親。

「街にいた時は、もっと簡単に食べ物も巣も手に入ったのにミィ・・・」

ママンネはそう心の中でつぶやくと、数か月ほど前の事を思い出しました。

毎日どこかのゴミ箱をあされば十数個は真黒くて甘いナナの実や、茶色のモモンの実がありました。
(ただここのところ奪い合いが激しくなっていたので、隙を伺って人間の家に上がって探すご飯探しも増えてました。
 タブンネはまだ音に敏感なのでつかまりにくいのですが、見つかったら危険だとは本能的に分かっていました。)

その辺をあされば段ボールという、触り心地のいい上に最初から覆うような巣材もありました。

でもここは人間がごみを捨てないので山中を捜索して食べ物を探さないといけません、水も麓の池しかないのです。
巣も穴を掘れないかと思ったのですが、この山は砂利の塊みたいな山で掘りにくいし、掘っても崩れるだけで無理でした。
木のうろを探してみたけど、これも大きな木がないここでは無理。毎日やぶの中で寝て、雨の日は寄り添って耐えました。

「でも生きていられるだけましだミィ、ここには僕たち以外誰もいないミィ。」

パパンネがそういって慰めてくれました。

・・・タブンネたちは気が付いていませんが、実はここは自然の山ではなく人間が鉱山の土砂を捨てた山だったのです。

ここは荒野に鉱山ラッシュで人間が住み着いた町で、タブンネを含むポケモンはほぼ全部人間が捨てた野良。
最初の内は人間も野良ポケモンを可愛がっていましたが、敵がいないのでドンドン増えてしまい、
それによって住民の迷惑になりつい先日に全種類の駆除が決まってしまったというわけ。

ママンネもこの山に他のポケモンがいない(耳がいいのに全然気配を感じない)のを変だなぁと思いましたが、
敵がいないのは安心ですし、殺されるぐらいならこの苦労も仕方ないなと思っておりました。

239ゴールドラッシュの残渣(3/3):2020/05/12(火) 16:33:17 ID:87IdQaJw0

そして暗くなって…それも月が雲に隠れた時を見計らい…夫婦は子供3匹を連れて麓の池に水を飲みにきました。

ここも他生物の気配はありませんが、周囲に草むらがなく丸見えなので暗くなるまでタブンネたちは寄り付きません。

「のどかわいたチィ…」
「でもここに水辺があってよかったでチィ」
「ここの水、甘くておいしいチィ。」

今日は乾物を食べたこともありごくごく水を飲むチビンネ達。

周囲を見張る(聞張る?)パパンネも溜め水なのに清んでいて底が見えるのを不思議に思いました。
飲み終えた後、パパンネはいつものように池のほとりの看板をゆすって見ましたがびくともしません。

「もし外せたら、雨除けの屋根に手ごろな大きさなのにミィ・・・」

もっともあてにしているわけでもないので、タブンネ一家は長居せず今日も平穏無事に山に戻りました。


・・・それからしばらくして、雲から月が出てきて先ほどパパンネがゆすった看板を照らしました。


 『危険 ここで泳ぐな』 『この水は重金属が含まれ有毒です』

240名無しさん:2020/05/14(木) 13:55:21 ID:VMvOdNuw0
>>223
個人的には密集・密室・密閉空間にベビンネがうじょうじょいるのが好き。

241名無しさん:2020/05/18(月) 21:45:01 ID:aQ.Rrg.A0
ある日いろんな♂とやりまくったタブンネがたくさん卵を産みました。

「ピィ、プゥ、ミィ…うわー、全部で6つもある。こんなに育てられないから、
 情が移る前にラッキーさんがやっているみたいに非常食にしましょう!」

そういうとタブンネは保存食に『ピータン』を作り始めました。

まず塩と灰と泥を混ぜ、それにもみ殻をまぶすと段ボール箱にそれを詰め込み封をしました。
…え?人間の作り方と違う? タブンネには用意できないものが色々あるんですよ。
そして段ボール箱を雨の当たらない秘密の所に置いて、そのままタブンネは遊びに行きました。


1ヶ月後・・・
保存食を食べようとして封を切りかけた時、タブンネは段ボールの中から音がするのに気が付きました。

(・・・あ、あれ?密封したんだけど虫か何かが湧いちゃった??)

少々もったいない気もしたけど捨てようと外に持って行って、向こう側を向けて封を切るとグチャッという音と共に、
中からは ド ロ ド ロ と 蠢 く 赤 茶  色 の 物 体 が出てきました。
ちょうど、工作が苦手な人が赤茶色の粘土でミミッキュを作れと言われて水を多めに混ぜるとこうなるかもしれません。

ウビィ・・・ウビィ・・

その物体は不気味な声を揚げながらタブンネの方に迫ってきます!

「ギェピィィィッ!!」

実はピータンの原料の灰に昔トレーナーから盗んだ「聖なる灰」を入れてしまってたのです。

この為、タブンネの赤ちゃんは灰のアルカリで体を溶かされ、泥に埋もれて窒息ても死ぬことが許されず、
だからと言って、丈夫な段ボールを内側から破ることもできないまま、お互いを共食いしあって(でも死なない)。
最終的に泥やもみ殻と混ざった化け物になってしまったのでした・・・

242名無しさん:2020/06/03(水) 23:44:57 ID:6SC9b4B60
ポケモントレーナーになって早半年・・・
バトルだけじゃなくタマゴから育成もちゃんとできるようになって一人前になった僕は、
その日もポケモンリーグ挑戦のために修行をやっていた。


そこにあったのは大人のタブンネ(多分お母さん)の白骨死体と、タブンネの赤ちゃん1匹。
赤ちゃんは何も知らないらしく、腹ばいでお母さんの死体のそばでモゾモゾしていた。

「…可哀そうに…」

きっと子育て中のママが病気か事故で死んじゃって赤ちゃんだけ取り残されたんだ。

そっと抱えてみると、プルプル震える柔らかくて暖かい感触が手に伝わり、
赤ちゃんはぼくの手に驚いたのかチィィーとか細い声で一声鳴いた。

以前、知り合いに見せてもらった卵から返したタブンネよりずっと小さくて目が開いてない。
きっとママが死んでご飯貰えないから餓死寸前で痩せちゃったんだろうね・・・

そんなことは絶対にさせない! 僕はこの赤ちゃんを家で育てることにした。
(あとで野生に返すつもりだからボールでゲットはしなかった)


帰り道、僕に抱えられて赤ちゃんはチィ‐!チィ‐!とずっと鳴き続けた。 ずっと寂しかったんだね。

そうして赤ちゃんに気を取られていると、「ピィーーッ!!」と甲高い声が聞こえ、この辺では珍しいピッピが赤ちゃんを狙ってやってきた。
“狙っている”と言い切れるのは、僕の手を狙って赤ちゃんをひったくろうとしたのだから間違いない。

僕は寸前で手を引っ込め、手持ちのラッタで迎撃した。(ピッピはそんなに強くなかった)


「・・・ふぅ…でもピッピってタブンネを食べるのかな…もしかして見た目が似ているから自分の子と間違えた?」
(念のため倒れているピッピの尻を確認をしたら♂だった。ピッピは♂も子育てするのかな?)

赤ちゃんはすっかり怯えてピッピの方に手を突き出し「やめてー!」とでもいうようにチビャァー!チビャァー!と悲鳴を上げていた。

もう大丈夫だよ。

243名無しさん:2020/06/03(水) 23:45:44 ID:6SC9b4B60
家に帰るとまずこの子のご飯を作ってあげた。

知り合いのタブンネは僕がラッタにやっているポケモンフード(ドライタイプ)と同じ奴を食べてたから、これで大丈夫。

「お腹すいただろ、たっぷりお食べ。」

お皿に山盛りのポケモンフードを置き、そばに水飲みも置いたけど赤ちゃんはチィ‐!チィ‐!と鳴き続けるだけで口にしようとしない。
ラッタならポリポリすぐに平らげるのに・・・
目が見えないからわからないのかと、口元にポケモンフードをつまんで当てたけどチィィーと泣いて顔をそむけてしまう。

・・・もしかして、弱ってて食べることもできないんじゃないかと“強制給餌”に取り掛かった。

まず少々高かったけどパチリスが喜ぶ缶詰の奴を注射器みたいな奴に詰めて、タブンネの口元を抑えて差し込む。

む?この子、歯がないじゃないか!! 病気で抜けたのか事故で取れたのか…だから食べなかったんだ。

でもこれなら柔らかいから大丈夫…でもやっぱり強制給餌されるのは嫌らしく、「チブチブッッ…チボッ!」って何度も吐こうとした。

食べなきゃ死んじゃうんだ!飲み込んでくれ・・・

そのうち赤ちゃんは大人しくなってくれたので、段ボールに布を敷いたベットに置く。

お腹いっぱい食べて赤ちゃんのお腹はぽんぽこりんだ、これならしばらく餓死の心配はないよね。


翌朝、もう慣れたのかほとんど鳴き声を立てなくなった赤ちゃんはすやすや眠っていた。

まだ赤ちゃんのお腹はぽんぽこりんで波打っている。
そういえば糞をまだ一度もしてないけど、お腹の中が空っぽだったのかな?
起こすと悪いからそのままにした。


夕方、もう一度見たら赤ちゃんのお腹は動いていなかった。

もしやと思って触ったら、赤ちゃんタブンネは冷たく硬くなっていた・・・

244名無しさん:2020/06/03(水) 23:47:56 ID:6SC9b4B60
>>242-243まとめ
【ウツギ博士のポケモン口座】
人が飼っているポケモンは安全だと分かるらしく、卵の中でだいぶ大きく育ってから孵化します。
だから孵化してすぐにバトルとかできますが、野生のポケモンはすぐ孵化する小さな卵をたくさん産み、
小さいままで誕生させるので、種類によっては動けないどころか目も開いてなかったり
固形物を食べれなかったり…場合によっては排便すら自力でできません。

こうした赤ちゃんポケモンは保温したり、乳や半分消化した食物を与える親がいないとすぐ死んでしまいます。

皆も野生の赤ちゃんポケモンを見つけたら、素人で育てようなんて考えずにそっとしておいてあげてね。

245242-244:2020/06/04(木) 08:27:38 ID:sDHG6Kqw0
すまん、>>242の3行目と4行目の文章(ベビンネ発見の下り)が校正時に抜けてた。

「修行が終わって帰ろうとした矢先、手持ちのパチリスが何かを見つけて僕を呼ぶ。
 こいつのものひろいには重宝しているけど、僕を呼ぶのは珍しいので行ってみると、」

がここに入る。
(缶詰フードの下りで唐突にパチリスの名前が出るのは本来ここで登場してたため。)

246名無しさん:2020/06/13(土) 17:19:42 ID:UX1bFx.I0
>>240
経験値34スレ目の小ネタでプラスチックのカゴに30匹単位で詰め込まれ泣きながら必死で助けを求めてるのとか
温泉で茹でタブンネにされる間際の鉄籠の中の阿鼻叫喚とか
牧場である程度育ったところを片っ端から捕まえて
籠に"ぱんぱんに"入れられる
(逃げ惑うけど無駄な抵抗)
やつなんか一押し
そう言えば冷凍子タブンネなんか麻袋詰めにされて
「ミィミィとママを探してもがいています」なんて一文にかなりときめいたっけな

247名無しさん:2020/06/22(月) 03:41:43 ID:X8b1wbgw0
>>244
リアル犬猫みたいだなw

248名無しさん:2020/06/22(月) 07:16:17 ID:1HGpw1E.0
リアル犬猫といえば
海外でこんな記事があったのでちょっといじってみた


これはある女性と子タブンネ達の心暖まる素敵なお話。

ある日女性は相棒のリオルと一緒の散歩の帰り道
側の草むらからチィチィと
悲しげな声が聞こえてきたのに足を止め
そっと覗き込んでみると
なんと10匹もの生まれたばかりの子タブンネ達が捨てられているのを発見しました。

女性はこれは大変と思い
まずは家に戻って車を取りに行こうと足早にそこを離れて先を急ぎました。
ところがしばらく行った辺りでリオルが呼ぶので後ろを振り向いてみてびっくり。
10匹もいた子タブンネ達がみんな必死に草むらから飛び出して来て
女性のあとをついてくるではありませんか。
ミィミィ、チィチィと口々に鳴きながら涙を浮かべんばかりにして両手を伸ばし
小さな体でテッテッと
走ってついてくる子タブンネ達。
それもそのはずでしょう
女性は車を取りに行くのにそこから離れたのですけど
子タブンネ達から見たら女性が立ち去ってしまったように思えたのでしょう
女性とリオルはひときわ体の小さなタブンネを何匹か抱き抱えながら子タブンネ達にあわせてゆっくりした足取りで家までつれて帰りました。
10匹の小さな小さな子タブンネ達は
みんなそれぞれの居場所を見つけ、一番小さな赤ちゃんタブンネは女性の家に引き取られる事になったのです。
10匹の子タブンネは生まれてすぐに捨てられて辛い思いはしましたが
心優しい女性のおかげでみんなそれぞれの幸せを見つける事が出来て良かったですね。
pokeTubeニュースより抜粋

249名無しさん:2020/06/22(月) 07:26:12 ID:wIgp.Emg0
(リオルside)

バトルガールの主と一緒に今朝も山越え修練に行ったその帰り道。

チィチィ、チィチィと脇の草むらから声が聞こえる。

さむい、こわい、おなかがすいた。
おもらししちゃった、
ママはどこ?
さみしい、さみしい、さみしいよぅ…

そんな波導が高い声よりキンキンと僕のところに響き渡って来る。
ああ五月蠅い。
主もその五月蠅さに目を丸くしてそっと草むらを覗いてみると
いるわいるわ、ピンクの毛玉みたいな生まれたばかりのタブンネが10匹

主の顔を見るとチーチーと歓声を上げて両手を伸ばす。
そんな五月蝿いとああ、ほら。
ハブネークが舌なめずりしながら寄ってくる

ひとっ走りして車を取ってこなくっちゃ!
そう言って主はダッシュでそこから走り出す。

あ、1匹ハブネークに呑まれてしまった。
みんなハイハイがやっとの赤ちゃんのように
抱っこをせがむ甘えた顔をしてよちよち草むらを這っていたタブンネ達なのに
途端に蜘蛛の子を散らすみたいに道路に飛び出し ピーピー泣きながら自分の足で全力で駆けていく。

なんだい、走れるんじゃないか
主、あいつら自分でついて来れるって。
まあ、とてもとても足は遅いけれども。
と、思ったら2匹ほどポーンと言ういい音とともに僕らを追い越し飛んで行った。
なんで道路に飛び出したんだろう。
車も走ってて危ないのに

夢中で僕らを追いながらころがるように走るタブンネ達
タスケテ、タスケテ、 ツレテッテ!って
必死の波導が一緒に追ってくるけれど

ファイトぉ!と主譲りの
激を飛ばしてあげたら
一番大きなコロコロした子がチィアーッ‼と叫びながら鳥ポケモンに持っていかれた。
続いてつがいにもう1匹が嘴に尻尾を捕まえられて
チギョェアー‼とか聞いた事もない奇声を上げてともに大空に消えていく。

道路の端でペタンコになっているさっき飛ばされた2匹を剥がすのに夢中になっていた主は
そちらに気付きもしなかったけど。
一番最初に漏らしたって言ってた奴が道路の真ん中に水の跡を引きずって
ハイハイしてくるのが見えたので
葉っぱで綺麗に後始末をしてやると目覚ましみたいに
ピーピー鳴いて止まらなくなったのでそのまま首の後ろを掴んで主の所に引っ張っていくと
追い付くまでに残り4匹がそれぞれに違う奇声を上げて別々のポケモンに引き取られていく姿が見えた。

みんなあんなに元気な声で僕らにお別れを言っている。
バイバイ、タブンネ幸せになるんだよ。

「ペタンコの2匹はガーディとムーランドがくわえて連れて帰っちゃったよ…ん、その子は?」

主に首根っこ掴んだタブンネを見せてあげると
タブンネは途端に鳴くのをやめて代わりにガクガク震えてる。
家の裏庭にぶら下がっている身欠きタブンネの声でも聴こえたかな?
数が減ったのは残念だけど主だっていつも言っているからね。
おいしいものは人とポケモンみんなで共有しないとね。
心優しいタブンネはそれが一番幸せなんだって。
人間と僕達ポケモンと
タブンネの心暖まる素敵なお話はこれで終わりだよ。

250名無しさん:2020/06/22(月) 23:02:53 ID:FjswN6Zw0
【この物語はタブンネをイジメる悪い奴は出てきません】

今日はパパに「ポケモンほごパーク」に連れて行ってもらえました。

そこにはたくさんのポケモンがほごされていて、つかまえたりイジメたりしてはいけないそうです。
だから人前でもポケモンたちはのんびりしてくらしていました。

そこにあった名物の「ポケモンオムレツ」のお店に行くと、ポケモンの卵でいろんな料理を作ってました。
「ここはほごくなのに卵を食べていいの?」と聞くと「ちゃんと親のポケモンがくれたんだよ」とのこと。

なんでもポケモンが増えすぎるとポケモンたちも食べる物がなくなって困るとわかっているので、
卵のうちにここに渡して自分たちの食べ物とこうかんしてくれるそうです。

「外に探しに行ったり、人の食べ物を取ったりはしないの?」と気になったけど、
ここのポケモンは外が危ないことや、人の食べ物を取ったらばつを受けると分かっているそうです。

「でもね、人間が『あげてもいい』という食べ物ならポケモンたちは食べていいんだよ。」

そういうとお店の人は「ベビミート」というのをポケモンたちにあげれる食べ物として紹介してくれました。

これは卵をよこすのが遅れてかえりかけの卵を割ると出てくる赤ちゃんの死んだのを加工したもので、
普通にえさとしても上げているけれど個数を決めてお客さんが食べさせてあげれるようにしたそうです。


そうしてぼくが餌やり場に行くとちょうど可愛いチビンネ達が「チーィ! チーィ!」と次々寄ってきました。
ぼくがベビミートを投げるとチビたちは「おいしぃおいしぃ♪」って言いたそうなえがおで食べてたけど、
親のタブンネたちは止めはしないけど悲しそうな顔でじーっとこちらを見ていました。

パパが横で「お前はどちらが悲しいと思う?」とボクに聞いたけどどういう意味だろう?

251名無しさん:2020/06/23(火) 20:58:59 ID:pf1cCE0w0
【この物語はタブンネを助けてくれる優しいポケモンしか登場しません】

ある晩秋の夕暮れ、カビゴンのおばさんが木の実をもいでバクバク食べていると、
「チィ!」という声が足元から聞こえ、下を見たら小さなタブンネ(チビンネ)がいました。

大きなカビゴンに見つめられておどおどするチビンネちゃんに、
おばさんは「どうしたの?」と聞くとチビンネちゃんは尻尾から木の実を出すと、
「このおちた木の実ちょーだい」と恐る恐る言いました。

おばさんは「別にいいのよ」というと、チビンネちゃんはほっとして近くのやぶに行き、
そこから出てきたさらに小さな赤ちゃん(ベビンネ)に木の実をあげました。

「貴方たち?親はいないの?」と尋ねると、数日前食べ物を取りに行って戻ってこないそうです。
心配になったおばさんは「今日はもう遅いし、今夜は私の家に止まりなさいな。」と誘いました。
2匹もおばさんから更に木の実をもらえて大喜び、すぐに承諾しました。

食事が終わってからカビゴンおばさんは2匹を連れて巣穴に戻ると入り口をふさぎ、
「私は地べたに寝るけどあなたたちはそこに寝るといいわ」と段ボール箱を差し出しました。

こうしてチビンネとベビンネのきょうだいは「おいしーおにく」と書かれた段ボール箱に入りました。


夜が更けると2匹は震えて目が覚めました。

カビゴンおばさんは太っているので平気ですが、この巣穴は隙間風だらけ・・・
おまけに段ボール箱は箱だけで巣材がないので寒いのです。
まだ自分たちの密閉が良くて枯草を敷いた巣穴の方が寒さをしのげたでしょう。

「ねえ、おばさんさむいよ・・・」

チビンネはそういってはみたものの、カビゴンおばさんは目覚めません。
その時、チビンネはカビゴンおばさんの毛皮はとても暖かそうだと気が付きました。

(そうだ、ママはねる時だっこしてくれてたよね。)

イビキをかくカビゴンおばさんの懐へ潜り込むと、そこは優しい暖かさでした。

「あったかいね」「チィチィ」

凍えてたベビンネちゃんも大喜び、2匹は今度こそ幸せな眠りにつきました。

252名無しさん:2020/06/23(火) 20:59:50 ID:pf1cCE0w0
「チ…」「いたぁっ!」

ふいに激痛が走り、目を覚ましたチビンネちゃんは体が動かないのに気が付きました。

ベビンネの方からは一瞬悲鳴が聞こえてから何も…心臓の音さえも聞こえません。
目の前は真っ暗で顔にふわふわしたものが当たり、カビゴン臭くてカビゴンの息や心臓の音。

(いたい・・・いたいよぉ・・・な・・・なに?)

「ウウーン・・・」

寝返りをうったカビゴンの胸の下でチビンネちゃんもつぶれていきました。
あばらはポキポキ折れ、内蔵はとっくの昔につぶれて息もできないから悲鳴も上げれません。

最後まで持ちこたえた頭蓋骨もミリミリと音をたてていきます。

苦しさと痛さはもう終わりでした、ペチッと脳がつぶれてチビンネちゃんは楽になったのです。


翌朝・・・

「うわぁぁぁ!何よこれ?!」

カビゴンおばさんは目が覚めたあと自分の胸でぺったんこになった2匹を見て絶句しました。

253名無しさん:2020/06/25(木) 20:46:22 ID:YrIO8i5Y0
SS作品いっぱいで嬉しい

どっかで見たリアル捨て猫記事とか(もちろん元記事は全員ちゃんと保護されてたが)
淡々と無邪気に酷い事を語るリオルの可愛さや
他のポケモンも保護されてても食べられる卵やベビミート達はきっとほぼほぼタブンネの奴なんだろうなと予測できる哀しさと
何をどう転んでも不運な方向に追いやられてしまう
チビベビタブンネに大草原

254名無しさん:2020/06/26(金) 01:49:13 ID:1z0zgqXA0
ここ最近新作SSが立て続けに投下されて嬉しい限りなのはもちろんだけど
なぜ急に…

255名無しさん:2020/06/26(金) 22:55:03 ID:/W3UuioY0
ヤブンネ先生シリーズ(仮)みたいなの書いてみたい。

藪医者のタブンネが言葉巧みにポケモンだまして治療(過失致死)しまくり、
最終的にみんなから報復されるまでのシリーズもの。

・・・ただこれ展開の都合上最終回までは他のポケモンが殺されまくるけどいいかな?
(ヤブンネ先生は最終回まで基本気が付かれないor逃亡、患者に同族のタブンネが来ることはある)

256名無しさん:2020/07/05(日) 16:26:59 ID:fBGZbTGQ0
>>250-252
よそで書け

257名無しさん:2020/07/18(土) 02:01:48 ID:yJpvEf5U0
箱詰め子タブンネって話があったけど
あれを増水した川の 流れに乗せてみたい
なあにみっちり詰まっていたから振り落とされて川の中にダイブするような子はいないでしょw

いない…かな?

258名無しさん:2020/07/21(火) 12:38:22 ID:uY4QcA920
川岸にいた母性ある♀ンネがそれを見つけて何とか陸に引き上げようとするも途中で箱が壊れてベビたちが川にぶちまけられてしまい
♀ンネの見てる前でバスラオとかに次々に捕食されていくのもいいなー

259名無しさん:2020/07/22(水) 02:04:02 ID:/VuBYaEI0
>>257>>258
いいアイデアいただきました!

260箱詰め子タブンネ2(その1):2020/07/22(水) 02:04:46 ID:/VuBYaEI0
「チィ、チィチィ…」「チィーチィー…」
子タブンネの鳴き声が、公園の隅っこにひっそり置かれた段ボール箱の中から聞こえてきます。
中にいるのは生後1か月足らずの子タブンネが4匹です。持て余した飼い主に捨てられました。
以前も見たような光景ですが、もちろんその時のとは別の子タブンネです。
どうやらこの公園は、捨てタブンネ場として有名になってしまったようです。

「あっ、またタブンネが捨てられてる」
通りかかった小学校高学年くらいの男の子が声を上げました。
この子は以前も、このような光景を見ていました。
気の毒には思ったものの、母親がポケモンを飼ってはいけないというので、見送っていたのです。
彼は一緒にいた友達と、段ボール箱の中を覗き込みました。
「チィチィ…」(おなかすいたよう、おちちほしいよう)
4匹の子タブンネは箱の中で背伸びして、男の子にすがろうとします。
男の子は友達と顔を見合わせました。
「またかよ、拾ってあげたいんだけどなあ」
「うちのママも相変わらずだよ。下手にお願いすると『勉強しなさい』って言われちゃうし」
「そういうわけだ、ごめんな」
男の子達は子タブンネの頭を撫でただけで、行ってしまいました。
子タブンネ達はがっかりしたのと腹ペコでへたり込みます。世間の風は相変わらず冷たいようです。

261箱詰め子タブンネ2(その2):2020/07/22(水) 02:05:32 ID:/VuBYaEI0
しばらくすると、また誰かが箱の中を覗き込みました。
「チィチィ!」
今度こそ救いの神が現れたと思い、子タブンネ達は小さな手を伸ばします。
ところがその顔が引っ込んだかと思うと、代わりに1匹の子タブンネが降ってきました。
「チィ!?」
さらに2匹、3匹…子タブンネはどんどん段ボール箱の中に投げ込まれ、
最終的には20匹以上となって、箱の中はぎゅうぎゅう詰め、身動きもとれません。
「チギィー!」「キュゥゥ!」(うごけないよう!)(くるちいよう!)
苦しくてもがいても、みんなで押し合いへし合いするため、余計みっちり詰まってしまいます。

子タブンネを放り込んだ男もまた、以前ここに大量の子タブンネを捨てて行ったトレーナーでした。
「だーかーら、恨むならお前らの母親を恨めっての!本当にあいつは学習能力がねえな!」
以前あれだけきつく言ったにもかかわらず、またも彼のタブンネがどこかで交尾し、
しかもこっそりと自分の目を盗んで20匹もの子を育てていたため、
さんざんしばき倒した上で、子タブンネ達を同じところに捨てに来たというわけです。
「ったく、肉屋にでも売ればよかったかな。でも衛生検査とか面倒くさいし…」
男はぶつくさ言いながら、子タブンネ達の入っていたモンスターボールを拾い集めて去っていきました。

262箱詰め子タブンネ2(その3):2020/07/22(水) 02:08:41 ID:/VuBYaEI0
「チィー!ヂィィー!」
苦しさに耐えきれず、子タブンネ達は必死で鳴いて助けを呼びますが、もはや公園には人影はありません。
日は傾き、天気は悪くなる一方。空は暗く、風が強くなり始めました。雨も降り始めます。
「チィーッ!チィーッ!」
恐怖でいくら泣き叫んでも、その声は風にかき消されるだけでした。
その内、一段と強く渦巻く風が近づいてきました。竜巻です。
枯葉や砂を巻き込んで近づいてきた竜巻は、一瞬で子タブンネ達の段ボール箱を吸い上げ、空高く吹き飛ばしました。
「チィィィーー!!」
何が起こったかわからず、泣きわめく子タブンネ達。ほとんどが失禁し、段ボール箱はおしっこまみれですが、
誰もそんな事を気にしている場合ではありません。

そして竜巻から外れた段ボール箱は落下していきます。その先には増水して流れが激しくなっている川がありました。
直接川面に落下していれば、衝撃で段ボール箱はバラバラになっていたかもしれませんが、
幸いな事に、ちょうど不法投棄されていたベッドのマットレスが流れており、その上にボヨンと落ちたのです。
「チィッ!?」
それでも衝撃を全て吸収してくれたわけではなく、勢いで1匹の子タブンネがスポンと振り落とされ、
マットレスの上にコロコロと転がりました。そのまま転がって流れに落ちそうになります。
「チィー!」「チィチィチィ!」
必死でマットレスの淵につかまった兄弟を、段ボール箱の上から顔が出せている子タブンネ達が励ましますが、
悲しいかな非力な子タブンネの力では、激しい風雨には勝てませんでした。
「チィィィーーー…!」
手が滑り、転落した子タブンネはかすかな悲鳴を残して激流に呑まれてしまいました。
残された面々ははらはらと涙を流しますが、その涙すら雨が洗い流していきます。

263箱詰め子タブンネ2(その4):2020/07/22(水) 02:12:50 ID:/VuBYaEI0
しかし悲しんでいる暇すらありません。ガクンと衝撃があったかと思うと、
段ボール箱はマットレスから滑り落ちて、川に放り出されました。
マットレスが水中の岩に引っ掛かって止まったため、箱だけが激流に放り出されたのです。
「チィー!フィッ、フィッ、ピヒィー!」
吹き荒れる雨風、闇の中を、地獄のジェットコースターは流れ続けます。
極限の恐怖に子タブンネ達は泣き叫びますが、無情にも段ボール箱の下の方が浸水してきました。
「チゴボボ…」
下の方に詰め込まれて身動きすらできない数匹が溺死します。箱の中の水位は徐々に上がってきます。

その時、子タブンネ達の声がようやく天に届いたのか、段ボール箱は川の浅瀬に引っ掛かりました。
しかしほっとしたのも束の間、ここから脱出しなくては死あるのみです。
浅瀬は川岸まで辛うじてつながっていますが、刻一刻と増水する水に沈み、面積が減っていきます。
何とか段ボール箱から出なくては…でも1匹減ったくらいでは密度はあまり変わらず、
ずぶぬれになった毛皮が重くて、ますます脱出は困難です。
「チィィーーーー!」(おかあしゃあん!)

264箱詰め子タブンネ2(その5):2020/07/22(水) 02:15:36 ID:/VuBYaEI0
その時でした。
「ミッ!ミィーッ!!」
「チィチィチィ!!」
奇跡が起きました。何と川の側の道路に、子タブンネ達の母親が現れたのです。
トレーナーに折檻され、顔も全身もボロボロでしたが、「公園に捨ててきた」と聞いて、
居ても立ってもいられず、悪天候の中を探しに出てきたところで、我が子達の悲鳴を聞きつけたのでした。

「ミッミッ!」(坊や達、すぐ助けるからね!)
ママンネはよろよろと道路から川岸に降りましたが、既に浅瀬はほぼ水没し、
段ボール箱は川の中央にかろうじて引っ掛かっているような格好です。
膝くらいまできている水の中、バシャバシャとママンネは段ボール箱に駆け寄ります。
「チィチィー!チィー!」(おかあしゃあん!はやくぅ!)
歓喜の声を上げる子タブンネ達にママンネは近づきますが、その顔が引きつりました。
たくさんの水しぶきを上げる何者かが、すごい勢いで段ボール箱に迫ってきたのです。

それはバスラオの大群でした。
運の悪い事に、先刻1匹だけ投げ出された子タブンネは、バスラオの住処に流れ着き、
あっと言う間に食われてしまいました。
「何やら美味い物が上流から流れてきた」と知ったバスラオ達は、荒れる川を物ともせずに狩りに来たのです。

265箱詰め子タブンネ2(その6):2020/07/22(水) 02:21:23 ID:/VuBYaEI0
「ミーッ!!」
顔色を変えたママンネは、段ボール箱を抱えて何とか持ち上げようとします。
しかしあいにく、20匹以上の、しかもずぶ濡れで重量の増した子タブンネ入りの箱を簡単に持ち上げられるわけがありません。
それ以前に、風雨に曝され、あちこちぶつかりながら川を流れてきた段ボール箱の耐久性はもう限界でした。
箱が半分に千切れ、ママンネは尻餅をつき、子タブンネ達は水面に投げ出されました。

待ってましたとばかりに、バスラオの群れが襲い掛かります。
「チギャアー!!」「ピャアアー!!」
ママンネの前で阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられます。頭から齧られる者、手足をもがれる者、丸呑みにされる者など、
子タブンネ達は次々とバスラオの餌食になっていきました。
「ミ、ミッ…」
ママンネは茫然となりながら、腰を抜かしてガクガク震える事しかできません。

その時、ママンネの目の前に1匹の血だらけの子タブンネが落ちてきました。
尻尾を噛み切られ、触覚も引き千切られた、見るも哀れな有り様です。
「チ、チィィ…」
バスラオが獲物を争って奪い合ったどさくさに、弾き飛ばされてきたのでしょう。
「ミッ!」
ママンネはその子タブンネを救おうとしましたが、ふとその手が止まりました。
その子は最初に段ボール箱に捨てられていた4匹のうちの1匹、すなわち彼女が生んだ子ではなかったからです。

266箱詰め子タブンネ2(その7):2020/07/22(水) 02:22:34 ID:/VuBYaEI0
「ミィ…」(この子は助けたいけど、他に助かったうちの子はいないかしら?)
ふとそんな淡い期待を抱いて、周囲を見回した一瞬が、子タブンネの運命を分けました。
「チィチ…チギャァァーー!!」
ママンネに手を伸ばそうとした子タブンネに、2匹のバスラオが容赦なく同時に襲い掛かりました。
1匹は頭に、もう1匹は下半身に食らいつきます。そしてお互いに「これは俺の獲物だ」と言わんばかりに、
左右に勢いよく引っ張ると、子タブンネは胴体から真っ二つに千切れてしまいました。
「ミヒィーッ!!」
悲鳴を上げるママンネの前で、絶望の涙を流したまま、子タブンネの頭はバスラオの口の中に消えていきました。

「ミ…ミギャアー!!」
そしてママンネは再び悲鳴を上げました。別のバスラオが尻尾に噛みついてきたのです。
さらに1匹、耳に食いついて引き千切りました。
振り払う暇もありません。次から次へとバスラオが食いついて、ママンネを水中に引きずり込もうとします。
その子だけでも助けて、すぐに逃げていればママンネも命拾いしたかもしれませんが、
躊躇している隙に、バスラオに周囲を取り囲まれてしまったのです。

子タブンネを食い尽くしたバスラオが、より大きな獲物を狙うのは自明の理。
1対1の体格だけならママンネとバスラオは同じくらいですが、多勢に無勢です。
「ミッ!ミッ!ミイギャアアアーッ…!!」
川に倒れたママンネに数十匹のバスラオが襲い掛かり、断末魔の絶叫はすぐに途絶えました。
後はひたすら雨と風が吹きすさぶのみでした。



翌朝。昨日の荒れ模様が嘘のように晴れ上がった中、トレーナーがママンネを探していました。
「おーい、ちょっと殴り過ぎて悪かったよ。出てこいよー」
彼は公園から川の辺りを探し回りましたが、ママンネや子タブンネの姿はどこにも見つかりませんでした。
水が引いた川の浅瀬には、わずかばかりの骨と毛皮が残っていましたが、彼が気付く事はありませんでした。

(END)

267名無しさん:2020/07/22(水) 10:16:42 ID:zsHkChu60
乙ンネ

268名無しさん:2020/07/22(水) 17:26:21 ID:yJltJWTw0
望まれない命そのものだと思われていた子タブンネ達にも
価値が見つかって良かったじゃないか
まさか実母(以前もやらかしたママンネ)が来るとはだけど
こんなタブンネは他にもいそうだからまた子タブンネ捨て場が賑わうんだろうなw

269名無しさん:2020/07/23(木) 12:52:35 ID:7pBJCOJI0
SS化ありがとうございます!
一瞬の気の迷いで地獄へ行ってしまうのが切なくて堪りませんな
我が子を優先してしまうという本能に抗えなかった屑とは言い切れない哀れなママンネだった

270名無しさん:2020/07/24(金) 21:01:17 ID:FW81yzOY0
>>269
たとえ箱のベビンネ全員助けられたとしも4匹増えた赤ちゃんを分け隔てなくなんてこのママンネには無理そうな気がするなぁ
最初の段階で(おちちほしいよう) ってチイチイ泣きながら見つめられても

「ごめんねご主人様におこられちゃうミィー!」とか言って自分の赤ちゃん20匹もつれてそそくさ帰っちゃったりなw

271名無しさん:2020/08/08(土) 21:57:04 ID:2Pjg3La.0
20匹ものベビンネか…
やっぱりカゴにミチミチに詰め込んで台車に積んで市場引き回したい
喧々囂々の殺伐とした雰囲気に怯えながらも
助けを求めずにいられずに
泣き叫んでは「うるせぇ子豚!」と怒鳴られてますますパニクって必死にママを呼ぶベビンネちゃん達は絶対にかわいい
抵抗虚しく競り落とされてお肉屋さんのトラックに載せて吹きっさらしのまま運ばれちゃうのもまた無情

272名無しさん:2020/08/09(日) 00:54:15 ID:vAi1vd1A0
>>271
ああ^〜いいですねぇ

鉄籠にギチギチに詰め込まれ、台車に乗せられて市場を引き回される20匹のベビンネたち
既に競り落とされ、これから捌かれ生肉か惣菜として今日のうちに店先に並ぶ運命なのだがベビ達には知る由もなく
ただ市場の喧騒に怯え、息苦しさに喘ぎ、そしてママンネと引き離された悲しみで
籠の隙間からか小さな手を伸ばしながら助けを求めてヂィヂィと絶え間なく悲痛に泣き叫ぶのだった

「ヂッ…? ヂヂーッ!!ビーッ!チーッ!!チーーッ!! チィ!!ピィィ!!ヂャァ!!チピィーーーッ!!!」

そんな折、火が点いたように突然ベビンネ達が一斉に騒ぎだした
そのうるささはキンと耳が痛くなる程で活ベビを扱って長い買い手のおじさんも辟易する程だ

「うるせぇ子豚!」

おじさんが怒鳴りながらガンと鉄籠に蹴りを入れるとベビたちは一瞬は怯んだのだが、すぐにまた更に酷い大声で喚きだした

「…ったく何なんだよ」

このまま市場を練り歩くのは迷惑だし恥ずかしい
そんなことを思いながらおじさんが何となく横を見ると小さな店があり、その奥に手を縛られて宙吊りにされた成獣のタブンネがいた
必死に足をバタつかせながら何やらミィミィと喚いている
だがそれは痛みや恐怖に怯えているのではなくこちらに何かを必死に訴えかけているかのように見えた

「あー、これか」

おじさんが何となく原因を察した時、店先にいた黒いゴムのエプロンをつけた若い男が話しかけてきた

「すごいイキのいい子豚ッスね〜」
「いやね、あの奥のタブンネが何か言ってきてるっぽいんだよ何か」
「メスのタブンネっスからね〜、まぁ、大方ママと勘違いでもしてるんでしょうねー」

吊られたタブンネは母性と愛情が強い♀ンネであり
閉じ込められたベビ達に見つけると自分の絶望的な状況も省みず今助けてあげると呼び掛け
ベビンネたちも助けてもらえると思ってここぞとばかりに全身全霊で泣き叫んでいたのだ

「あー、じゃあとっととここから離れた方がいいな、邪魔したな」
「いやー、それよりもいい手があるっスよ」

若者はおじさんをうるさい籠と一緒にタブンネのいる店の奥に入れると、刺し口に刺してあった包丁を手に取った

「子豚の籠はそこらへんに置いて下さい。スモーで言うところの砂かぶりってヤツっすよ〜」
「お、おう」

おじさんが籠を置くとベビたちは籠の隙間から一斉に手を伸ばし、クイクイと何かを掴もうと、触ろうとしているような仕草を繰り返す
それは天から降りてきた愛の女神に、を求めるかのようだ

273名無しさん:2020/08/09(日) 02:44:38 ID:vAi1vd1A0
間違って直してる途中で書き込んじゃった

おじさんが籠を置くとベビたちは籠の隙間から一斉に手を伸ばし、クイクイと何かを掴もうと、触ろうとしているような仕草を繰り返す
目の前にある愛と温もりに少しでも触れようと必死なのだ
思うままに泣き、息の限りに叫び、苦しみと悲しみを吐き出すように訴えかけている
それはまるで、天から降りてきた慈悲の女神に救いを求めるか弱き民衆を描く宗教画の構図だ

バチィ!!「ミ゙ッ!!」

宙を蹴り、身をよじらせ、子供たちを救うべく必死に地に降りようとする女神を
肉屋の若者は少し錆が目立ちだした小汚い電気ショッカーで黙らせた
聞いたことのない大きな音とタブンネの悲鳴に驚き、ベビンネ達はビクッと震えて騒ぐのを止めた

「それじゃあまずモツいきますよー」

若者はタブンネの腹に包丁を宛てがうと、慣れた手付きでザクザクと縦に腹を裂いていく
裂け目から血しぶきと共に腸が流れ出るように飛び出し、ベチャリと不快な液体音と共に下に置いてあったタライに落ちた
体外から出され、タライの中にあってなおひくひくと脈動している

「おー、でけぇと結構迫力あるなー」
「モツも最近はよく売れるんスよね。もつ鍋がここらの居酒屋でちょっと流行ってて」

おじさん達は呑気に雑談してるがタブンネの方はそれどころではない

「オゴゴゴッ!!オゴゴッ!」

メスタブンネは口の端から赤い泡を吹き、タブンネとは思えない声を出しながら身体をくねらせて悶絶している
切腹に介錯が必要な事が示すとおり、腹を裂かれた程度ではすぐには死にきれないのだ

「チッ…? チチッ…?? ヂー??」

ベビンネの方はというと何が起こったのか分からず狼狽えるばかりなのだが
タブンネが発した苦痛の音はベビの小さな耳と触覚にもしっかりと届いており、泣くことすらできなくなる程の強い恐怖が無垢な心を覆い尽くした

「だいぶ大人しくなってきたッスね、次は首やっちゃいますよ」

包丁をタブンネの首筋に突き刺すと、プシュウとスプレーのように血が吹き出したのち、ドクドクと滝のように血が溢れ出て胸を赤く染めた
こうなるとタブンネも悶絶を止め、ピクピクと痙攣するばかりとなった

「それじゃあ子豚ども、最後の挨拶しとけや」
「チッ?! チィィ…?? チ-? チ… チィ…」

そう言ってベビンネの檻をタブンネの檻に押し付けると、みるみる表情が変わっていった
目は瞬きを忘れ乾いたように輝きを失くし、口は声を忘れたかのように力なく薄く開いたままとなり
耳は張りを失いしゅんと下がる
つまりは絶望の表情である
たった今まですぐ側ににあった愛と温もりが想像を絶する苦痛の渦に飲まれながら闇のなかに消えていく、タブンネが死にゆく音
生まれて1ヶ月のベビンネの無垢で小さな心を殺すには十分をだいぶ過ぎていた

「あれ? おーい …ちょっと大人しくなりすぎたな?」
「死んではいないみたいスけど刺激が強すぎたみたいッスね」
「まあーいいや。 仕込みがあるもんでまた今度なー」

おじさんは今晩の肴にとこの店でモツのたれ漬けを一袋買ってから自分の店に戻り、早速仕込みを始めた

「ピィィィィ……」

おじさんが包丁を手にすると、まな板の上のベビンネはガクガクと震え上がる
自分があのタブンネと同じようにされることを幼いながらに分かっているのだ

その日、おじさんの店で売られたベビ肉や煮ベビンネや唐揚げは特別美味しく
買っていったお客さん達は当たりを引いたなと思ったという

おしまい

274名無しさん:2020/08/09(日) 10:39:55 ID:/UD3bEFo0
イイネイイネー! もつ鍋が食べたくなってきたw
他のベビちゃんたちもさぞかし絶望と恐怖で
ミィアドレナリン全開だったんでしょうね

275名無しさん:2020/08/09(日) 10:45:34 ID:RqmGN19Y0
出たな籠ベビンネマニア
乙です

276名無しさん:2020/08/23(日) 19:39:08 ID:QF7v1LXI0
>>272-273
文章化ありがとうございます
やっぱ籠ベビンネたまんねぇ
捕獲器の猫みたいにグニーンと肩まで檻の外に手を伸ばすような器用さなんて
ベビンネどもにはないんだろうな
短い両手をいっぱいに出して必死で高速
パタパタしてもすぐに息切れするし
後ろのベビに押しくらまんじゅうされて変顔になりながら両手抜けなくなって
ヂィヂィ泣くのもいい塩梅

277名無しさん:2020/08/26(水) 00:06:13 ID:/pp83iYU0
ベビンネと言えばやはり料理だが
そうやって籠とか網に入れたまま
茹でたり揚げたりする料理って何かあったかな?

278名無しさん:2020/08/26(水) 06:19:25 ID:mUCRzckY0
>>277
温泉卵ならぬ温泉子タブンネってのがあったな

ドジなママンネのせいで赤ちゃんが温泉で溺れてしかも喰われるとか草生えた
まあ全ては温泉街を荒らしたタブンネの群れが悪いんだがな

279名無しさん:2020/08/26(水) 07:22:07 ID:tql6/ows0
ちなみに調理法は
生まれたてのベビンネを
数匹ごとに鉄籠に入れ
クレーンで源泉にぶちこんで茹でる
この手の話では省略されるけど洗浄も下処理も何もなし
ちゃんと洗って調理したのって「レストラン始めました」か最初の方に親の前で洗って水遊びかと思わせてからの唐揚げってネタ位じゃないか

280名無しさん:2020/08/27(木) 21:50:52 ID:jEaLythA0
凍みタブンネもな
あれは仕込みの一環だけど

281名無しさん:2020/09/01(火) 18:29:48 ID:osmfLr0Q0
同じベビンネ食材系でも
希望いっぱいで生まれてきたはずの赤ちゃんが
最初のお世話すら受ける間もなく物理的な苦痛と共に調理されるのもいいけれど

ママンネの授乳を覚えた辺りで引き離されて精神的な触れ幅を狙うのもまた楽しからずや

282名無しさん:2020/09/12(土) 19:08:51 ID:ny.f9I9s0
最近の作品に多いけど
ベビンネ達がミルク取り合って
泣きすぎて吐いたりしてるやつ

283名無しさん:2020/09/12(土) 19:16:39 ID:PlBPnEJo0
>>282
途中で送ってしまったわ

個人的イメージだがタブンネって一度口に入れたものは意地でも吐かない感じがしてたから
普通の赤ちゃんのように
吐き戻しするようなか弱いタマかよなんて思いながら読んでたわw

284名無しさん:2020/09/21(月) 05:50:44 ID:10bg1vNk0
そう言えばタブ虐関係ないけれど
ここのしたらばってサーバー落ちしてるのか?
書き込みは出来るしここで読めるから利用してるけど新着レスが6月の末あたりからブラウザに出なくなってるわ

285名無しさん:2020/09/27(日) 07:24:51 ID:aBxvSDyE0
ハイハイするベビンネちゃんが可愛すぎてつらい
特にママンネやミルクを求めて泣きながら必死でよちよちしてるのがたまらん

分別日に回収されたり
保健所なんかに連れていかれるママンネを追いすがる姿なんて最高

286名無しさん:2020/09/30(水) 20:30:37 ID:S9cQAI/M0
>>277
籠はいくつかあったけど
網は見かけないなぁ
ベビンネ捕獲する時も
網とか使わないしね
何せ複数匹逃げ出したとしてもすぐ追い付いて素手で袋積めできる位だし

287名無しさん:2020/10/02(金) 16:49:28 ID:R6OfXppc0
網とか聞いて思い浮かぶのは…
タブンネチャーシュー?
それか駅でミカン売ってる網(赤いネット)にベビンネ無理矢理詰め込んで変顔させたいとは書いた事ある

288名無しさん:2020/10/03(土) 14:25:06 ID:NiGtVYBs0
食材系で思い出したけど、
PKMNカフェMixのアプリにタブンネが実装されてたね
ここまでそれをネタにした話が少なくて、ちょっと意外だった
このスレだとやっぱりタブンネは、
カフェの従業員っていうより、カフェメニューの具材になるイメージが強いんだろうか

289名無しさん:2020/10/03(土) 18:27:36 ID:edxWmQDQ0
>カフェメニューの具材

それな

しかもウェイトレスのママンネちゃんが
自分で生んだ子タブンネちゃんを調理してお出ししているイメージ

290名無しさん:2020/10/24(土) 13:57:25 ID:YZjrcFp60
冠雪原にタブンネちゃん出てきたけどこっち見た瞬間逃げだしてきてすっごい可愛い
後ろからウーラオスにインファイトさせてマウントポジションとってから水流連打撃たせたい

291名無しさん:2020/10/26(月) 07:39:50 ID:jUAQPd2E0
>>290
オンバットみたいに人が近付くと逃げるタイプなのか

子タブンネとかが人に追いかけられてヨチヨチ逃げる姿が再現できるとは素晴らしい

292名無しさん:2020/10/27(火) 01:03:15 ID:c0Y4E23c0
タブンネちゃんが出てきた時だけ、猟銃を使える仕様にならないものか。
散弾銃食らったベビンネの頭が吹っ飛んで、泣き叫ぶママンネが見たいよ。

293名無しさん:2020/10/27(火) 06:02:54 ID:bbUgqqdA0
>>291
実際追いかけ回してみるとおっそい逃げ足で必死に逃げるタブンネが再現できてめっちゃ楽しいよ
惜しむらくは時間経過でロストしてしまうところだけど

294名無しさん:2020/10/29(木) 22:37:17 ID:l5FCOxL.0
Newポケモンスナップ出たらイヤイヤボールぶつけまくりたいなぁ

295名無しさん:2020/11/04(水) 18:32:59 ID:1iCnJzds0
昔タブンネがミキサーにかけられる絵描いてた人の別の作品持ってる人いる?
Wikiの方にミキサーの絵だけあったんだけど他全然見つからなくて

296名無しさん:2020/11/04(水) 18:41:23 ID:18abRB6I0
どの人だろう
pixivにまとめてあがってるやつかなあ

297名無しさん:2020/11/04(水) 19:10:08 ID:1iCnJzds0
たぶんりょんぶさんって名前の人だと思う
pixivが消えちゃってるみたいで見つからないんだよね

298名無しさん:2020/11/05(木) 22:43:06 ID:A3mCn0v20
三つまたヶ原のタブンネはどうして吹雪の時だけ動きが活発になるのか
こういうところにSSの材料が転がってそうなんだよな

299名無しさん:2020/11/05(木) 23:15:23 ID:dQYOwhk20
>>295
「ryonbu audino」で画像検索すると出てくる海外の画像サイトにあるよ

ちなみに自分は「アチャモとベビンネ」の絵師さんが好き
兄弟タブ丼の絵は最高だった
彼の絵がwikiにあまり無いのが悔やまれる・・・
持ってる方、是非上げてくださると嬉しいです

300名無しさん:2020/11/05(木) 23:50:18 ID:A3mCn0v20
>>299
ほんとだ!出てきた!ありがとう
アチャモとベビンネの絵師さんいいよね
アチャモに啄まれるタブンネがすっごい可愛い

301名無しさん:2020/11/10(火) 09:36:12 ID:7YVIhKwM0
冠雪原ネタならわざと辛口のドガース級カレー食べさせてイヤそうな顔になるタブンネさんを見てみたい気持ち
(ヌルいじめなら後でお詫びに甘い木の実のデザートをあげるまでがワンセット)

302名無しさん:2020/11/17(火) 16:34:58 ID:DtyQgzJo0
wikiにリンクされてるミィミィうpロダってまだ見れるの?
パスワード分からないから入れない……

303名無しさん:2020/11/18(水) 23:31:30 ID:dsfgMZ4g0
>>302
あのwiki荒らし対策で新しく立て直してるから
確かに見れなくなってるな
タブンネさんお絵描きも
リンク切れてて残念

304カンムリ雪原のタブンネ 三つまたヶ原編:2020/12/20(日) 03:28:31 ID:T3kMW8xE0
吹雪が吹き荒れる極寒の雪原、三つまたヶ原。
意思無き者が足を踏み入れれば瞬く間に白い闇に飲まれてしまいそうなその土地を、一人のトレーナーが歩いていた。
トレーナーは鼻の下を覆うパリパリに凍った鼻水を手袋越しに指先で剥がす。しかし数分としないうちにまた鼻水が覆ってしまった。
何故トレーナーがこんな辺境へと足を踏み入れたのか。それはある噂を耳にしたからである。
曰くこの三つまたヶ原にある遺跡の中には恐ろしく強い伝説のポケモンが眠っていると。
トレーナーはその強いポケモンとやらには全くと言っていい程興味がなかった。既に手持ちには強力で全幅の信頼を置けるポケモンがいるからだ。
しかしこのポケモンがずいぶんと育つまでに時間がかかるポケモンで、加えて最近伸び悩んでいたためここはひとつ強いポケモンとやらを倒し多くの経験値を得ようと考えたのである。
やがてトレーナーは入口の開いた遺跡のような古びた建物を見つけると、まるで砂漠の中にオアシスを見つけたかのように駆け足でその遺跡へと入っていった。

古びた建物の中に入ると、そこはまさしく遺跡と呼んで差支えのないような場所であった。
意味ありげな石造に床には丸いタイルが左右対称になる形で並べられている。
トレーナーは如何にもなその遺跡の雰囲気に飲まれ浮足立つが、ふとその割にはポケモンの気配を一切感じない事に気付いた。
一通りあたりを散策してみる。銅像に近づいて触ってみたり、足元に置かれたタイルを踏んだりするが反応は帰ってこない。
嫌な考えがトレーナーの頭をよぎる。
その後も遺跡を調べ倒したが何の成果を得る事もないまま時間だけが過ぎていく。
噂が嘘だったのか、それとも既に誰かが捕まえてしまったのかは定かではないが、既にこの遺跡は主を失いもぬけの殻となっていた。
吹雪の中やってきてお目当ての物も無し。トレーナーは遺跡の中央で深く落胆した。

305カンムリ雪原のタブンネ 三つまたヶ原編:2020/12/20(日) 03:29:02 ID:T3kMW8xE0
何時までも落ち込んでいても仕方がない。気持ちを切り替えたトレーナーは遺跡の階段を降り外へ出る。
しかし相変わらず猛吹雪は継続中。トレーナーは折れそうになる心をグッと奮い立たせ、吹雪の中へ一歩踏み出した。
一歩一歩と歩みを進めているとふと視界の端に異物を捉えた。
視界が白が埋め尽くされ見通しが悪い中でもなお存在感を放つピンク色のシルエット。

「タブンネか……このまま帰るのも癪だしあいつだけでも狩って帰るか……」

幸いトレーナーの立ち位置はタブンネの後ろ側、吹雪による轟音のサポートもありタブンネはまだトレーナーの存在に気付いていない。
トレーナーは腰に携えたモンスターボールに手をかけ放り投げる。モンスターボールの中からジヘッドが勢いよく飛び出してきた。
モンスターボールの音を聞いたタブンネは異常を察知し背後へ振り替えるが既に手遅れだった。
逃げる間もなくジヘッドに飛びかかられたタブンネは頸動脈ごと喉元に喰らい付かれ、勢いよく左右へと振り回される。
ジヘッドの口元から溢れ出たタブンネの鮮血が積もった雪へ飛び散り赤く彩られる。

「ミゥッ……カハッ……」

抵抗もできないまま気道を噛み砕かれたタブンネはまもなく力なく項垂れ、その命を落とした。
ジヘッドはタブンネが絶命したことを確かめると勢いよく遠方へ放り投げた。すると放り投げた先から「ミィッ!」という叫び声が聞こえてきた。
先ほどのタブンネは確かに殺したはず、トレーナーが放り投げた先を注視するとそこにはもう一匹別のタブンネが存在していた。
首が折れ曲がり苦痛に歪んだ顔をした同族の死体を見てしまったタブンネはその場で腰を抜かし尻もちをついている。
トレーナーが自分の存在を検知したことに気付いたタブンネは這ってその場を離れようとするが、ジヘッドに上から飛びかかられ後頭部に噛みつかれてしまう。

「ミギィィィィィィ!!!!ミァァァァァァァ!!!!!」

タブンネは痛みから逃れるため必死にバタつき抵抗するが、ジヘッドから逃れる事が出来ないでいた。
頭蓋骨を砕き割ろうと渾身の力を込めるジヘッド。次第に分厚い骨にヒビが入る音が鳴る。
タブンネは痛みから逃れるため必死に手足をバタつかせていたが、抵抗空しくジヘッドにより頭蓋骨ごと脳みそを噛み砕かれてしまう。
「ア……ガァ……」と掠れた断末魔を上げたタブンネはそのまま雪原へ倒れ込み、わずかに痙攣した後動きを停止させた。

306カンムリ雪原のタブンネ 三つまたヶ原編:2020/12/20(日) 03:29:49 ID:T3kMW8xE0
トレーナーは珍しい事もあるものだと思っていた。
このカンムリ雪原ではタブンネの出現率はそんなに高くない。二匹連続で見かける事は極めて珍しい。
まぁ元より運が回っていなかったのだ、揺り戻しでもあったのだろうと思いジヘッドをモンスターボールへ戻そうとする。
その瞬間だった。再び遠方にタブンネの姿を捉えたのだ。しかも一匹だけではない、今度は三匹ほどの集団で行動している。

「これは流石にツキが回ってきたってだけじゃないよな……少し調べてみるか……」

興味の湧いたトレーナーはジヘッドと共に気配を殺し、タブンネの集団へとにじり寄る。
ジヘッドの攻撃圏内に足を踏み入れた途端、集団のうち一匹がこちらの存在に気付いた。
だがもう遅い、ジヘッドは真っ先に気付いた一匹に飛びかかり組み伏せた。

「ミィィィィ!!!!」─ 二人とも逃げろ!! ─

組み伏せられたタブンネが叫ぶと残りの二匹は一匹を見捨て逃げ出す。しかしトレーナーはそれも織り込み済みだった。
モンスターボールを放り投げもう一匹のポケモン、フーディンを登場させる。
フーディンは手早く電磁波で一匹を麻痺させた後残りの一匹をサイコキネシスで岸壁へ叩きつけた。
岸壁に叩き付けられたタブンネは脳震盪を起こし気絶してしまう。トレーナーは気絶したタブンネを縄で縛り上げた。
一瞬で無効化され目の前で仲間を生け捕りにされたタブンネ達は絶望の表情を浮かべる。

「調査には一匹居ればいいから残りの二匹はどうなってもいいな。ジヘッド、フーディン、そいつらは好きにしていいぞ」

ジヘッドとフーディンはその言葉を聞くと互いにそれぞれの獲物へと向き直った。
組み伏せられたタブンネは涙を浮かべ「ミゥ、ミゥ」と泣きながら首を左右へ振る。
そんな姿を心底面白そうに眺めながらジヘッドはタブンネの口元へと喰らい付き持ち上げた。
タブンネはジヘッドの頭に手をかけモゴモゴとくぐもった声を出しながら抵抗する。
するとタブンネへ喰らい付いた口の方から青白い光が漏れ出し始める。ジヘッドはりゅうのはどうをタブンネの口の中へと撃ち放ったのだ。
バァン!という激しい炸裂音が鳴り、タブンネの後頭部からりゅうのはどうが炸裂する。波動と共に脳漿、肉片、歯などの骨片が飛び散る。
その様はまるで風情のない打ち上げ花火のようにも見えた。
ジヘッドは咥えていたタブンネの死体を解放する。顎のあたりが欠損したタブンネの死体はどさりという音を立てて地面へ崩れ落ちた。

307カンムリ雪原のタブンネ 三つまたヶ原編:2020/12/20(日) 03:30:27 ID:T3kMW8xE0
「ミイイイィィィィィ!!!!!!ミヤアアアァァァァァ!!!!!」─ 嫌だぁ!!死にたくない!!死にたくないよぉ!! ─

先ほどのタブンネの姿を見ていた麻痺タブンネは半狂乱になりながら叫んでいた。
フーディンはそんなタブンネをサイコキネシスで宙に浮かせ、両手足を大の字に広げた状態で固定する。
首や手足を動かしなんとかサイコパワーの束縛から抜け出そうとするタブンネ。そんなタブンネの前後にフーディンは二枚のリフレクターを展開した。
リフレクターはタブンネの首から下、胴体部分を挟み込み徐々にプレスしていく。
ミシミシと骨が軋む音が聞こえ、苦しそうにもがくタブンネ。まだ多少自由の利く両腕でバンバンとリフレクターを叩くが割れる気配は無い。
やがて肺が圧迫され、呼吸が浅くなり始める。そしてバキッという音が鳴った後タブンネが口から血を吐き出した。
折れた肋骨が肺に刺さったのだ。まだ喉奥には血が溜まっている状態で、それでも酸素が必要なため血液ごと酸素を取り込もうとするタブンネ。

「ガハッ……ミ……ァ……」─ 助……け…… ─

死にゆくタブンネは光が失われつつある虚ろな目でリフレクターの操縦者であるフーディンに命を乞う。
その言葉を聞いたフーディンはタブンネを見つめフッと笑い、リフレクターでタブンネの胴体を圧砕した。
バン!というリフレクター同士が重なり合う音が鳴り、タブンネの体が肉の一片までぐちゃぐちゃに粉砕される。
タブンネの頭部は肉体から解放され、リフレクターからはみ出た血肉と共に地面へと落下した。
三匹いたタブンネの内二匹はトレーナーが従えるポケモン達の経験値となった。あとは残りの一匹からタブンネの多さについて調べるだけ。
しかしここはあられが降り注ぐ平原の真っただ中である。トレーナー自身の体温低下もそうだがポケモン達へ降り注ぐあられのダメージも心配だ。
トレーナーはひとまず生け捕りにしたタブンネを担ぎ、ジヘッド達と共に先ほどの遺跡へと引き返した。

308カンムリ雪原のタブンネ 三つまたヶ原編:2020/12/20(日) 03:31:14 ID:T3kMW8xE0
再び遺跡へとたどり着いたトレーナーはジヘッドとフーディンに傷薬を使いダメージを癒す。
その背後で生け捕りにしていたタブンネが意識を持ち直し始めた。
目覚めたら見知らぬ場所、目の前には恐ろしい人間とポケモン、自分は縛られて身動きが取れない。
微睡んでいた意識はすぐさま現実へと引き戻された。あまりに絶望的な状況を理解したタブンネは恐怖で身を竦ませ「ミッ…」と短い悲鳴を上げる。
その悲鳴でタブンネが目覚めたことに気付いたトレーナーはタブンネの方へと向き直り、フーディンと一緒にタブンネの元へ近づく。
カンムリ雪原に生息するタブンネ達は皆イッシュ地方でトレーナー達に虐げられてきたタブンネの子孫だ。
脈々と受け継がれる血筋と同時に口伝としてトレーナーの恐ろしさが語り継がれてきた。
初めて出会う恐ろしき伝承の存在。これから自分が味わう事象を想像すると恐怖で震えが止まらない。
タブンネがガチガチと歯を震わせながらトレーナー達を見上げていると、後ろで控えていたフーディンが前に出てきた。
フーディンは両手に持ったスプーンをかざし、さいみんじゅつをタブンネに向けて放つ。
一瞬強張ったタブンネだったが次第に意識が遠退いていき、寝息を立てて眠り始めた。

「タブンネは眠ったか……じゃあフーディン、ゆめくいでこいつの過去を遡って見てくれ」

トレーナーの指示を聞いたフーディンはタブンネへゆめくいを行い、タブンネの過去へとダイブしていった。

309カンムリ雪原のタブンネ 三つまたヶ原編:2020/12/20(日) 03:31:55 ID:T3kMW8xE0
タブンネという種族は頑丈な歯や武器を持たず、生存競争に置いては常に被捕食者としての立場を強制させられていた。
どこに居ても大型の肉食ポケモンの恐怖に晒され続ける日々。
そんな中、捕獲されたタブンネは海鳴りの洞窟に生息するバンギラスの群れと共に生活していた。
何故タブンネとバンギラスが共生しているのか、理由は三つある。
一つ目は回復要員として使用するため。
絶えず縄張り争いを繰り広げるバンギラス達はその分怪我をすることも多々あった。強敵との闘いで勝った後、手負いのままのバンギラスを放っておくポケモンは決して少なくない。
故に回復要員としてのタブンネを数匹確保しておこうと判断したのである。
二つ目はミストフィールドの展開要員として。
近隣の三つまたヶ原にはドラパルトやクリムガンといったドラゴンポケモンが生息している。
縄張り争いになった際それらを優位に撃退するために手元に控えているのである。
そして三つ目の理由は───

海鳴りの洞窟の一角で一匹の母タブンネが赤ちゃんタブンネへ授乳をしている。
母タブンネの周りには子供のタブンネが八匹存在していた。この八匹のタブンネ達は捕獲されたタブンネにとって妹や弟にあたり、彼女は長女ということになる。
母タブンネの近くで長女タブンネが弟の子タブンネをあやしていると、母タブンネの乳に突然痛みが走った。
「ミッ!」と声を上げた母タブンネは授乳をやめ赤ちゃんタブンネの口の中を確認する。口の中には数本の歯が生え始めていた。
赤ちゃんタブンネが母タブンネの乳を噛んでしまったのが痛みの原因だったのだ。
本来であれば喜ばしいはずの赤ちゃんタブンネの成長。しかしそれを見た母タブンネはさめざめとすすり泣き始めた。
長女タブンネはあやしていた赤ちゃんを置いて母タブンネに声をかける。

 ─ ママどうしたの?お腹痛いの? ─
 ─ 何でもないのよ、ごめんね急に泣き出して ─

母親は優しい長女タブンネを抱きしめ、頭を撫でた。
何でもない、そう口にする母タブンネだが触れている触覚からは悲しい気持ちが止めどなく流れ込んでくる。
母タブンネの悲しい気持ちに触れた長女タブンネも泣きそうになるが、それに気づいた母タブンネは長女タブンネを離した。

 ─ ママ、ちょっと行くところがあるからこの子と一緒に大人しくお留守番しててね ─

母タブンネは長女タブンネの頭を撫でながらそう告げると、抱えていた赤ちゃんタブンネを長女タブンネに預ける。
そして周囲にいた八匹の子タブンネを連れてその場を離れた。
きっと母タブンネの行く先に悲しみの原因があるはず。そう思った長女タブンネは赤ちゃんタブンネをその場に置いて母タブンネの後をこっそり付いていった。

310カンムリ雪原のタブンネ 三つまたヶ原編:2020/12/20(日) 03:32:33 ID:T3kMW8xE0
母タブンネが向かった先は海鳴りの洞窟にある小さな洞だった。
その中には母タブンネの他にも複数の子供を連れたタブンネが三匹ほど存在していた。その面持ちは皆一様に暗い。
洞の中で母タブンネ達が子供をあやしているとその場に緑色の巨大なポケモン、バンギラスが現れた。
岩陰に隠れて状況を見ていた長女タブンネは初めて見た恐ろしいポケモンに思わず悲鳴を上げそうになる。
しかし長女タブンネはすんでの所で悲鳴を飲み込む事に成功し、そのまま岩陰から状況を見守った。
バンギラスが現れた途端母タブンネ達はかしこまり、洞の中に居る子タブンネ達へこの場所に留まる様言い聞かせながら洞から出て行った。
子タブンネ達は母タブンネ達を不安そうな目で見つめる。そんな不安そうな子供達を他所にバンギラスは洞の中にいる子タブンネの数を数え始めた。
バンギラスの後ろで待機している母タブンネ達は顔面蒼白で今にも倒れてしまいそうだ。

 ─ 今回は全部で二十匹か……まぁ問題ねぇ。木の実はいつもの場所に置いてあるから持っていけ ─

バンギラスは子タブンネ達の数を数え終わると後ろの母タブンネ達にそう告げると、洞の近くに置いてあった岩を押して閉じようとする。
子タブンネ達は母の姿が見えなくなっていくことに不安を感じピィピィと鳴き始めた。
洞が閉じられようとしたその瞬間、出入口に近くに居た子タブンネが走りだし洞の外へと飛び出してきた。
先ほど長女タブンネがあやしていた弟タブンネだ。弟タブンネは泣きながら母の元へ向かう。
するとバンギラスは弟タブンネの耳をガッと掴み持ち上げた。タブンネにとって敏感な部分である耳を乱暴に掴まれた子タブンネは痛みで泣きながら暴れ狂う。

 ─ ちょうどいい、さっそく今日の分を頂くとするか ─

そう言うとバンギラスは大きな口を開けて子タブンネを飲み込んだ。
ざらざらとした舌の上に転がされたのも束の間、弟タブンネはバンギラスの歯で小さな足をすりつぶされてしまった。
バンギラスの口の中から「ピァァァァァァ!!!!!」という甲高い弟タブンネの断末魔が聞こえる。
母タブンネはついにたまらず耳を抑えその場に蹲ってしまった。隣にいたタブンネ達が母タブンネの背を摩り介抱する。
口の中で弟タブンネがたくさん苦しむ様に念入りに咀嚼するバンギラス。やがて弟タブンネの声が聞こえなくなるとペースト状になったそれをごくんと飲み込んだ。

これがタブンネ達と共生する三つ目の理由、食用である。
木の実さえ与え続ければその繁殖力で次々と数を増やしていく。バンギラスはその繁殖力に目を付けたのだ。
タブンネ達を子飼いにすることで食糧難を解決する。いわばポケモンによるポケモンの養殖である。




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