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タブンネ刑務所14

214ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:55:15 ID:Dxc7CVbQ0
「チィィ、チィ…」
「ミッ? ミーミ」

まず最初に試金ベビの一番近くにいた青ンネである
一瞥してお互いに目が合ったものの、特に構う事もなくプイと顔を逸らしまた食事に戻ってしまう

「チィィ、チィチィ!」
「ミミ!!」
「ヂィィ… 」

それでも大人に助けてほしくて縋りつく試金ベビを、あろうことか手で押しのけて大声で威嚇
人語で表すなら邪魔するなと叱りつけて追い払ってしまった。
久しぶりのまともな食事を邪魔されたくなかったのであるが、あまりにもあんまりな対応である
哀れな試金ベビは半ベソかきながらのよちよち歩きで逃げて行ってしまった

「ミッ?」
「チーチ、チィ…」

次に試金ベビが頼ったのは黒ンネ、今だに寝そべって授乳中である
先ほどの青ンネから受けた心傷から、助けて欲しくて近づいたのは変わらないが若干恐る恐るだ
あのバカとは違い、迷い子を捨てては置けぬという良識が黒ンネにはあった

「チィーチィ… チィー…」
「ミミ…」

静かに眼を閉じ、聴覚を研ぎ澄ませて聞き耳を立てる
回り、いや、辺り一帯の音でこのベビの親タブンネを探そうというのだ
タブンネがタブンネを探す時はこれが一番確実なのである
しかし聞こえてくるのは聞きなれぬ人間の機械の音に十数匹の子タブンネの悲しげな声
さらに耳を凝らしてみても入ってくるのは車の音、タブンネではないポケモンの足音…
結局、試金ベビの母親と思しきタブンネは黒ンネの耳に入る範囲には居なかった
実際に居ないのだからその聴力は正確無比ではあるのだが

「ミッ、ミッ、ミミミ…」
「チィー…」

母親の不在を伝えられると、しゅんと耳が下がり、悲しそうな顔をする試金ベビ
ママがいなくて大ショックという様相でないのは、ベビ自身も聴覚で薄々分かってはいたからである
黒ンネはそんなベビを頭を撫でながら慰めた
「そのうち会えるさ」と何とも無責任な慰めをしなくてはならなかったのが
彼女にとってとても悔しい所だ

「チィィ…」
「ミグッ?!」

ベビの心は幾分かは落ち着いた
しかし、その視線が乳を飲む黒ンネのベビ達に移ると黒ンネはギョッとして体を強張らせた
前述のとおり黒ンネも腹ぺこの栄養不足、授乳できてはいるものの乳の量は僅かで
はっきり言って他タブのベビに分けてやる余裕などない

「ミッ!ミッ!」

サッとわが子を隠すように片腕で覆い、軽い威嚇の様にキツめに鳴く黒ンネ
体に余裕があれば分けてやったのだろうが、今はどうしても駄目だ
乳を飲んでる筈の自分のベビ達も肥立ちが良くなく、かなり不安なのだ
しかし、それでもベビはその視線を別に向けなかった。すごく怖がってはいるが
飢え切ったベビが母乳を目の前にして、どうして我慢ができようか、

「チィチィ… チィチィ…」

ベビンネは空色の瞳に溜めた涙をぽろぽろと零しながら、お乳をせがむ鳴き方でか細く鳴いた
『おちちちょうだい… おちちひとくちだけちょうだい…」
その切なく、悲痛な声は黒ンネの心を揺さぶり、息が詰まるほどの罪悪感で大いに苦しめる
そして、とても残念なことに、今の彼女はその心の痛みに耐えることは出来なかった




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