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貧困スレ

1チバQ:2009/10/21(水) 21:46:08
労働運動スレより独立
非正規雇用・母子家族などなど貧困にかかわるさまざまな話題を収集するスレ
主にルポ系の記事がメインになりそうな予感

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009102002000236.html
日本の貧困率15・7% 07年 98年以降で最悪
2009年10月20日 夕刊
 厚生労働省は二十日、全国民の中で生活に苦しむ人の割合を示す「相対的貧困率」を初めて発表した。二〇〇七年は15・7%で、七人に一人以上が貧困状態ということになる。十八歳未満の子どもの貧困率は14・2%だった。
 厚労省は国民生活基礎調査の既存データを使い、一九九八、〇一、〇四、〇七の各年にさかのぼり、経済協力開発機構(OECD)が採用している計算方式で算出。〇七年の全体の貧困率は九八年以降で最悪、子どもは〇一年に次ぐ水準だった。
 長妻昭厚労相は同日の会見で「子ども手当などの政策を実行し、数値を改善していきたい」と述べ、同手当を導入した場合に貧困率がどう変化するかの試算も今後公表することを明らかにした。
 政府は六〇年代前半まで、消費水準が生活保護世帯の平均額を下回る層を「低消費水準世帯」と位置付け増減などを調べていたが、その後は貧困に関する調査はしていなかった。相対的貧困率は、全人口の可処分所得の中央値(〇七年は一人当たり年間二百二十八万円)の半分未満しか所得がない人の割合。
 全体の貧困率は九八年が14・6%、〇一年が15・3%、〇四年が14・9%。〇七年は15・7%と急上昇しており、非正規労働の広がりなどが背景にあるとみられる。


関連しそうなスレ
労働運動
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1114776863/l50
社会福祉総合スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1225898224/l50
農業総合スレ(限界集落もこのスレの対象かも・・・)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1060165378/l50
人口問題・少子化・家族の経済学 (母子家庭など)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1148427444/l50
文部スレ (新卒採用問題なども・・・)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1116734086/l50

508チバQ:2015/10/10(土) 13:10:27
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151010-00087614-toyo-bus_all
「中年フリーター」のあまりにも残酷な現実
東洋経済オンライン 10月10日(土)6時0分配信

 アルバイト、パート、派遣、請負など非正規労働者の増加が止まらない。平成元年(1989年)に817万人で全体の約2割だった非正規労働者は2014年に1962万人まで増加。全体の37%と4割近くに迫っている。今や労働者の実に3人に1人が非正規だ。


 中でもこれから深刻な問題として顕在化してくるのが「中年フリーター」の問題だ。その中心は1990年代半ばから2000年代半ばに新卒として社会に出た「就職氷河期世代」の非正規労働者だ。氷河期最初の世代はすでに40代に突入。年齢的に正社員に就くのが困難であるだけでなく、体力の衰えとともに働けなくなってくる。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの尾畠未輝研究員の試算によると、35〜54歳の非正規(女性は既婚者を除く)の数は2000年から増加、直近では273万人に上る。

■ 親のためにUターンも派遣社員を転々

 「本当は正社員として働きたかった。安定した生活が保障された中で、自分の人生を設計したかったです。振り落とされないように必死になって、社会にしがみついている状態です」

 兵庫県に暮らすAさん(42)は就職氷河期世代。工業高校を卒業後、大手流通企業に正社員として就職したものの、家庭の事情から非正規労働者になり、職を転々。今はセールなどの掘り出し物を見つけてはネットオークションで売りさばき、生計を立てている。

 Aさんの人生が狂いだしたのは1996年、23歳のとき。母親の面倒を見るために兵庫に帰郷し、派遣会社社員として大手メーカーの系列会社で働き出した。

 最初の派遣先は半年ごとの更新だったが、わずか1年で雇い止め。Aさんは実家を離れて近隣県に「出稼ぎ派遣」に行く。仕事の内容はガラス工場のオペレーターだった。ただ3カ月で雇い止めに遭い、実家へ出戻り。近所の食品会社工場の契約社員になった。それも2年後に過労で辞職。しばらく休養した後、別の派遣会社に登録し、再び大手メーカー系列の会社で仕事した。

 正社員を募集していた職場では、次々に落とされた。「社員にならないか?」と誘う企業がなかったわけではない。リフォーム会社の訪問販売で給与は出来高制。ネットで調べてみると、“ブラック企業”だった。

509チバQ:2015/10/10(土) 13:10:48
 結局、阪神大震災の翌年である1996年から約10年間で、派遣や契約社員、嘱託などの非正規待遇で10社ほど渡り歩いた。時給はだいたい900〜1200円だった。

 さらにAさんを苦しめたのが2006年のライブドアショック。少ない資産を少しでも増やそうと株式投資をしていたが、裏目に出てしまった。これを機に残った株をすべて処分。現在は前述のようにネットオークションで生計を立てるようになった。

 「地元で面接受けられる会社はすべて行ってしまっていたので、事実上、就職できなくなった。車の免許を持っていないので、遠くに行くこともできない」

■ 人手不足でも正社員の求人は少ない

 オークションの1カ月の利益は「生活保護費の少し上くらい」と多くはない。母親と2人で住む公営住宅の家賃が安いから何とか成り立っているのだ。「今怖いのは、親が急に死ぬこと。公営住宅では配偶者であればそのまま住めますが、子どもが単身になると生活保護受給者や障害者以外は退去を求められる。もしそうなった場合は貯金をすべてはたいて、安い住宅でも買わないとやっていけなくなるかもしれない」

 足元では景気回復に伴って人手不足が叫ばれている。それに合わせて大きく期待されているのが非正規の正社員化だ。確かに8月の有効求人倍率(季節調整済み)は1.23倍と23年ぶりの高い水準だ。

 ただし正社員に限ってみると有効求人倍率は0.76倍と1倍を下回る。回復傾向にあるとはいえ、求人数が求職者数より少ない状況はいまだ変わらない。ずっと非正規で専門的なスキルも経験もない人になれば、なおさらハードルが高くなる。

 中年フリーターの「下流化」は今後ますます加速する。非正規の平均月収は約20万円。体力のある若いときは低賃金でも仕事の掛け持ちなど量でカバーすることができたかもしれないが、それができなくなってくる。

 貯蓄も少ない。連合総研「非正規労働者の働き方・意識に関する実態調査」によると、非正規が主たる稼ぎ手となっている世帯のうち「貯蓄なし」が28.2%、「100万円未満」の世帯も26.6%に上る。

 また社会保険の加入率が低いのも特徴だ。厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査報告」によると、雇用保険の加入率は65.2%(正社員99.5%)、健康保険52.8%(同99.5%)、厚生年金51.0%(同99.5%)と正社員を大きく下回る。

■ 企業のコスト削減が社会の負担に

 病気などで働けなくなり、社会保険などのセーフティネットからもこぼれ落ちると、最後に頼れるセーフティネットは生活保護しかない。生活保護受給者は7月時点で216万人と過去最多を更新。それに匹敵する中年フリーター273万人が生活保護予備軍として存在しているといっても過言ではない。

 厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」によると、非正規を活用する理由について「賃金の節約のため」と回答した企業が4割超と最多。企業が非正規を活用してコスト削減した分が、将来的に行政の負担として跳ね返ってくるようにも映る。

 Aさんのように親元で暮らしているから生計を維持できている人も少なくないだろう。親の高齢化するとそれが難しくなるのは必至。それどころか親の介護が必要になってくる。また自らの老後にも不安を残す。国民年金のみの場合、満額で6.5万円。保険料未納の期間があると受け取る額は減る。老後は今以上に厳しい生活になってしまうのだ。

 低い賃金、不安定な雇用、教育訓練機会の乏しさ……。非正規をめぐる問題は以前から指摘されてきたことだ。これまでにも氷河期世代をはじめとした若いフリーター層に対する就労支援も行われてきた。だが目立った成果が上がらないまま、中年フリーターたちは年齢を重ねてきた。これからますます苦しい立場に追い込まれていく中年フリーターをどうサポートするのか。手を打たなければ事態が悪化していくことだけは確かだ。

ジャーナリスト:池上正樹、週刊東洋経済編集部

510名無しさん:2015/10/10(土) 14:52:03
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151008-00000104-san-soci
「中国人居酒屋」急増100軒…あいりん地区、新たな悩みの種
産経新聞 10月8日(木)14時54分配信

 全国有数の日雇い労働者の街・大阪市西成区の「あいりん地区」周辺で、若い中国人女性がカウンター越しに接客する「カラオケ居酒屋」が増えている。3年ほど前から出店攻勢が続き、今や約100軒に上る。中国人女性の人懐こさや安価で楽しめる手軽さが人気を呼び、“あいりんのガールズバー”としてすっかり定着した。一方、生活習慣の違いなどから地元住民とのトラブルも目立ち、関係者は街の行く末を懸念している。(矢田幸己)

 ■空き店舗に続々

 9月下旬の週末の夜、萩之茶屋本通商店街の一角にある居酒屋。キャップ帽をかぶった男性(53)が、カウンター越しにアルバイトの中国人女性(23)の手に触れ始めた。女性から片言の日本語で注意されても、ほろ酔いの男性が意に介す様子はない。

 あいりんで長年暮らしているという男性は、1年半前の開店当初から通い詰めるという。理由は「女の子のレベルが高いから」。にやりと笑った男性はこう続けた。

 「けどな、あいりんはもう中国人に乗っ取られているようなもんや」

 同商店街や周辺の動物園前1番街(飛田本通商店街)、今池本通商店会などを歩けば「呑(の)んで、歌って、楽しんで」など似た文言、デザインの看板が目につく。飲食にカラオケ付きで3千円前後。客の多くは生活保護受給者か日雇い労働者だ。

 西成区商店会連盟会長の村井康夫さん(64)によると、店は約3年前から増え出した。中国人が経営するあいりんの不動産会社が、商店街の空き店舗を次々と買い取り、中国人コミュニティーの人脈で店の経営者を募ったという。中国人留学生がアルバイトで働く店も多いらしい。

 村井さんは「店舗跡地の買い手が見つかれば、後継者不足に悩む商店街のにぎわいにつながる」と話す。

 ■「やりたい放題」

 ただ、地元住民にとって中国人女性の居酒屋は悩みの種でもある。客引き行為や大音量のカラオケ、ごみの不始末…。今池本通商店会協同組合理事長の岸本人志さん(66)は「中国人女性の居酒屋は規範意識が乏しい。やりたい放題だ」と嘆く。酔客相手に堂々と料金をぼったくろうとする悪質な店もあった。

 カラオケの音が漏れる店のほとんどは、費用面の問題からか防音ドアでなく、単なるガラス戸。客さえいれば、明け方近くまで営業を続けているとみられ、周辺住民にとって騒音はとりわけ頭の痛い問題という。

 岸本さんは「注意しても『ニホンゴ、ワカリマセン』と言い逃れる。月々の商店会の会費(約6千円)を払わないぞ、といわれたこともあった」と明かす。

 中国人女性の居酒屋の急増で、街並みが激変したことを懸念する声も少なくない。今後は「コミュニケーションを取りながら、地道に信頼関係を築いていくしかない」(岸本さん)のが実情だ。

 ■生活保護狙い?

 行政や警察も見過ごしているわけではない。9月には、大阪市環境管理課や市保健所が、管轄の大阪府警西成署と合同で87軒への立ち入り検査を実施した。店員の在留資格を含め明らかな法律違反はなかったが、騒音・衛生面から指導を継続するという。

 あいりんでなぜ、中国人女性の居酒屋が爆発的に増えたのか、府警としては今一つ理由をつかみきれていないが、「(生活保護)受給者相手の営業なら、食いっぱぐれることはなく、一定の売り上げが見込めるからではないか」との見方が出ている。

 近隣住民とのトラブルが重なり、暴力団や犯罪組織と結びつくなどすれば、治安の悪化が懸念されることから府警は警戒している。

511名無しさん:2015/10/25(日) 12:10:38
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151025-00010000-yomidr-soci
貧困と生活保護 扶養義務ってどういうもの? 生活保護との関係は?
読売新聞(ヨミドクター) 10月25日(日)11時40分配信

 2012年、人気お笑いタレントの母親が生活保護を受けていたことをめぐって、一部の雑誌、民放テレビ、国会議員などが激しい生活保護バッシングを繰り広げました。その結果、2013年12月に行われた生活保護法改正では、扶養義務に関する行政の調査権限の強化が行われました。

 しかし、この問題は冷静に考える必要があります。

 法律上の扶養義務は、広範囲の親族に無条件に要求されるものではないこと、お笑いタレントのケースは、法律に触れる「不正受給」ではなく、道義的にどうかというレベルにとどまること、生活保護に関して親族の扶養義務を強調していくと、いろいろなマイナスの問題が生じることを、理解していただきたいと思います。

 今回はまず、法律的に見てどうなのかを確認していきましょう。

◆民法はどうなっているか

 扶養について定めているのは、民法のうち、いわゆる家族法の部分にある以下の条文です。


◇民法752条

 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。


◇民法877条

 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。


2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。


3 前項の規定による審判があった後、事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。


 その次の878条では、扶養の順位、扶養の程度・方法について協議がととのわないか協議できないときは、家庭裁判所が定めるとしています。その場合、扶養の程度・方法については、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して定めます(879条)。

 したがって、民法上の扶養義務が一般的にあるのは「夫婦、直系血族、兄弟姉妹」の範囲です。このうち直系血族というのは、親、子、祖父母、孫といった縦の関係です。

 それ以外の3親等内の親族が扶養義務を負うのは、特別な事情があって家庭裁判所が審判で定めた場合だけなので、例外的なケースです。たとえば過去に本人から多額の生活費援助を受けていためいが、何らかの理由で大金持ちになったような場合でしょう。

 前者(夫婦、直系血族、兄弟姉妹)を絶対的扶養義務者、後者(それ以外の3親等内の親族)を相対的扶養義務者と呼ぶことがあり、厚生労働省が定めた生活保護の実施要領にも登場しますが、これらは非常に誤解を招きやすい用語です。以下で説明するように、前者は、けっして「絶対的」な義務ではないし、後者は「例外的な扶養義務」とでも呼ぶほうが内容に合うからです。
 法学用語はいったん使われると、意味に問題があっても、漢字がむずかしくても、なかなか変わりませんが、民法関係の学会は、早急に用語を改めるべきだと思います(たとえば尊属、卑属という用語もそうです)。

512名無しさん:2015/10/25(日) 12:11:04
>>511

「生活保持義務」と「生活扶助義務」
 夫婦、直系血族、兄弟姉妹の扶養義務は、「生活保持義務」と「生活扶助義務」に分けて考えるのが民法学の通説(一般的な考え方)です。過去の判例でも、その考え方が確立しています。生活保護の実施要領や、実務用に出版されている『生活保護手帳 別冊問答集』も、同じ考え方に立っているのですが、ていねいな説明が書かれていないため、よく理解していない福祉事務所の職員もいます。

 「生活保持義務」は、夫婦間と、未成熟の子に対する親からの扶養が対象です。自分と同程度の水準の生活をできるようにする義務があるとされています。これは内容的に「強い義務」だと言えます。ただし、自分の健康で文化的な最低限度の生活に必要な費用(生活保護基準額)を削ってまで援助する必要はないという解釈が一般的です。

 「生活扶助義務」のほうは、成熟した子と親の関係、祖父母や孫との関係、そして兄弟姉妹の関係が対象です。自分が健康で文化的な最低限度の生活水準を超えて、しかも社会的地位にふさわしい生活を維持したうえで、なお経済的余力があるときに、援助する義務があるとされています。簡単に言うと、余裕があったら援助するべきという「弱い義務」です。

 改めて整理すると、民法上の扶養義務は、次の3段階に分かれるということです。



◇生活保持義務:夫婦間、未成熟の子に対する親=自分と同程度の生活水準を提供する

◇生活扶助義務:成熟した子と親、直系血族、兄弟姉妹=自分の生活に経済的余裕があるとき

◇例外的な扶養義務:3親等内の親族で、特別の事情がある=家庭裁判所が審判で定める


◆民法上の義務は、当事者間の問題

 勘違いしてはいけないのは、民法上の扶養義務は、基本的には当事者間の問題であって、第三者がどうこうできる筋合いのものではないということです。

 生活に困った人は、扶養義務者に対して扶養を請求する権利を持ち、話し合いで決まらないときは家庭裁判所に申し立てて扶養の実行を求めることができます。もしも審判や調停で確定した内容を相手が実行しないときは、裁判所を通じて強制執行することもできます。よくあるのは、別居中または離婚した妻が、子どもの養育費を夫に請求するケースです。未成熟の子に対する親の生活保持義務が、請求の重要な根拠のひとつになります。
 とはいえ、権利があっても扶養を請求しないのは自由です。また、扶養義務を果たさないからといって、公的に責められることはなく、刑事罰はありません。

513名無しさん:2015/10/25(日) 12:11:30
>>512

扶養は保護に優先するが、要件ではない
 では、生活保護との関係はどうなるのでしょうか。

 民法の扶養義務は、まともな公的扶助制度のなかった明治時代に作られた民法から引き継がれてきたもので、生活に困った人が私的扶養と公的扶助(生活保護)のどちらを選ぶべきかという規定は、現在も民法にはありません。つまりは本人の自由です。

 けれども、生活保護法には「補足性の原理」があります。民法にもとづく扶養は、保護に優先します。「優先」とは、実際にあるならば、そちらを先に使うという意味であって、保護の「要件」とは違います。したがって、生活に困っている人の身内に経済力のある扶養義務者がいても、実際に援助を受けていないとき、援助の確実な約束と準備がないとき、援助の金額が保護基準額に足りないときは、保護を受けることができます。

 実はかつて、扶養の請求が生活保護の要件であるかのような解釈を旧厚生省が示し、それに沿った運用が行われていたのですが、2008年度から2009年度にかけての実施要領の改正で、要件ではなく「優先」であることが明確にされました。扶養は自分の努力だけで得られるものではないので、活用すべき「あらゆるもの」には含まれないというのが厚労省の現在の見解です。

 生活に困って福祉事務所に来た人に対して、窓口担当者が「生活保護より先に身内に援助を頼んで」などと言って申請させずに追い返すケースがしばしばありましたが、扶養の位置づけを取り違えているという面でも、申請権の侵害という面でも、間違っています。

◆福祉事務所は何をできるか

 生活保護の申請があると、福祉事務所は、扶養の可能な近親者がいるかどうかを調査します。そして、扶養を期待できる扶養義務者がいれば、扶養を求めるよう本人に促します。正確に言うと、保護申請中の段階では「助言」しかできず、保護を開始した後に初めて「指導」できます。

 とはいえ、扶養を求めるかどうかを決めるのは本人であり、応じるかどうかを決めるのは相手です。福祉事務所が強制することはできません。お金の援助について、法律をタテにして扱うと、人間関係が壊れてしまいます。できるだけ当事者間の話し合いによって円満に解決するべきだ、と厚労省は説明しています。

 では、扶養義務のある近親者の中に大金持ちがいても、何もできないのか。生活保護法には次の条文があります。行政から、その近親者に対して事後的に費用を請求できるという規定です。

514名無しさん:2015/10/25(日) 12:12:05
>>513

お笑いタレントの件は、不正受給ではない
◇生活保護法77条

 被保護者に対して民法の規定により扶養の義務を履行しなければならない者があるときは、その義務の範囲内において、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の全部又は一部を、その者から徴収することができる。

2 前項の場合において、扶養義務者の負担すべき額について、保護の実施機関と扶養義務者の間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、保護の実施機関の申立により家庭裁判所が、これを定める。


 徴収と言っても、税金のように行政による強制徴収はできません。また、「生活保持義務」の関係にある場合を除いて、こういう強硬手段を取りうるのは、相手が明らかに富裕で、本人との関係も特に悪くない場合ぐらいでしょう。

 ここまで説明してくれば、お笑いタレントの母親のケースが不正受給にならないことはわかるでしょう。扶養は、保護の要件ではなく、実際にあったら「優先」されるという位置づけのものだし、子どもから親への扶養は、弱い義務にとどまるからです。このタレントは、お笑いの世界に入ってから貧しい時代が長く、収入が多くなってからは福祉事務所と協議して母親に仕送りを行い、途中で増額したそうですから、法律上の問題は何もない。あるとすれば、仕送りの額が当時の収入に照らして妥当だったかという問題だけです。

 不正受給とは、収入、資産、必要経費などを偽って保護費を得ることです。いいかげんな法律知識のまま、不正と印象づける報道や発言は、名誉毀損きそんにあたるし、母親の生活保護に関する情報の出所によっては、地方公務員法の守秘義務違反(刑事罰あり)かもしれません。(原昌平 読売新聞大阪本社編集委員)


 *参考文献:近畿弁護士会連合会編『生活保護と扶養義務』(民事法研究会)、二宮周平『家族法第4版』(新世社)

515名無しさん:2015/10/25(日) 18:37:50
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151023-00080434-diamond-soci
「生活保護で子だくさん」は罪なのか?体験者だから語れる本音の解決法
ダイヤモンド・オンライン 10月23日(金)8時0分配信

 生活保護利用者は、毎月、「過去最多」を更新し続けている。生活保護を必要とする人々が増加し続けている以上、致し方のない成り行きである。では、「生活保護が必要」という事情を少なくするためには、何が有効だろうか?  生活保護世帯で育った女性のインタビューを通して、考えてみたい。

● 「生活保護で子だくさん」は許されない?  「生活保護の子が大学」は高望み? 

 10年来の友人であるエツコさん(仮名・40歳)は、10代後半の約3年半、家族とともに生活保護を利用していた。

 エツコさんと私は、生活保護利用者に対する見方では、意見が合わないことも多い。たとえばエツコさんは、

 「このごろ、『生活保護のリアル』で、子だくさんの生活保護家庭を、よく取り上げてるでしょ?  でもさ、たくさん産むからいけないんじゃないの?  立て続けに生まれてるとき、医者が『おかしい』と思って強制的に避妊リング入れるくらいのことは、すべきなんじゃないの? 」

 と言う。私は返答に詰まってしまう。1996年、優生保護法が母体保護法へと改正されて以後、医師の判断により強制的に不妊・断種手術を行うことは許されていない。それに、親には生まれた子どもを養育する義務もある。自分の経済力だけで養育できない場合、生活保護を利用して悪い理由があるだろうか? 

 「生活保護に頼らないで暮らして子だくさんだった人が、何かの事情でどうにもならなくなって生活保護なら、しかたないと思うよ。でも、生活保護なのに子どもをたくさん作るのは、どうもね」

 エツコさんのその主張を、私は理解できない。2012年、京都府宇治市で、生活保護利用者に対し、

 「前夫・内縁の夫・異性の友人や知人などと生活を伴にしないことを誓います。保護受給中の妊娠・出産については母子世帯・夫婦世帯に関わらず相手にしっかりと話をしたうえで相手に経済的・精神的な責任をとってもらい、生活保護に頼ることなく養育することを誓います」

 という文言を含む「誓約書」を提出させたことが問題となった(誓約書全文)。行政は、各家庭の「家族計画」に干渉すべきではないし、生まれた子どもに罪はない。

 さらにエツコさんは、生活保護世帯の子どもが高等教育を受けたがることに対しても厳しい。

 「どうしても大学で学びたいなら、方法はあるでしょう?  学生支援機構の奨学金とか、新聞奨学生になるとか。私、その高校生たちに聞きたいよ。『今、家にお金がないのは、あなたのせいじゃない。でも、お金がないのに大学行かなくちゃいけない理由はあるの?  大学行かなかったら、就けない仕事はあるの?  夢とか希望とか言う前に、生きるために稼ぐのが先で当たり前じゃないの? 』って」

 私はふだん、原則として友人は取材対象にしない。でも、生活保護を経験したエツコさんが、現在の生活保護利用者に対して厳しくなる理由は理解したい。生活保護制度の現在の「煮詰まり」を解決するヒントも得られそうだ。そこで、10年来の友人に、改めてインタビューをお願いした。

516名無しさん:2015/10/25(日) 18:38:12
>>515

● 問題はあっても裕福な生活から 中学の制服も買えない状況に

 エツコさんは、溶接工の父親と病弱な専業主婦の母親の長子として、1975年、関東北部の中都市で生まれた。

 「ベビーブームの最後の年に生まれて、就職氷河期に当たっちゃって。人生、いつもストレートじゃなかった」

 2年後に妹、4年後に弟が生まれた。腕がよく、船の先端など困難な溶接をこなせた父親は、一軒家や外国車が買える収入を得ていたが、

 「酒飲みで、生活考えずに競馬に給料全部賭けちゃったりすることもあって」

 父親の当時の勤務先の社長は状況を熟知しており、父親には小遣い分だけを渡し、給料のほとんどは母親に渡していた。母親も、エツコさんが小学2年のころから、近所の工場でパート労働を続けていた。

 「暮らしぶりは、むしろ裕福で、憧れられるようなライフスタイルだったと思うよ。一軒家に外車、庭に白いバラを植えて」

 しかしエツコさんが中学校に入るころ、給料をすべて自分で使いたくなった父親が転職し、家庭に生活費をもたらさなくなった。エツコさんは、「給食費が払えない」「学校の修学旅行積立が払えない」「体操服が小さくなってるのに買い換えられない」といった問題に、妹・弟の分も合わせて悩むことになった。

 「私が中学に入るときは、制服を買うお金を捻り出すのが大変だった。学区の再編成があって、新しい制服になったばかりで、お下がりやリサイクルという方法がなかったし」

 あんなにお金のあった家が?  という近所の視線に耐えかねた母親は、パート労働を続け、就学援助も児童手当も利用し、さらに自分名義で借金を重ね、生活レベルを維持しつづけた。

 中学に入ったエツコさんは、柔道部に入った。中学1年で県大会に出場できるほどの実績を挙げ、周囲に将来を有望視されていたという。しかし顧問教師が問題を起こして退職し、柔道部は廃部に。ついで「とりあえずの現実逃避の術」として演劇部に入ったエツコさんは、またもや頭角を現し、文化祭で主役を演じた。しかし、悩みでいっぱいの中学時代だった。

 「貧困にも悩んだけど、自分の人生に悩んだ。『中卒で働きたい』と先生に言ったら、『頭いいんだから、とりあえず高校は出といたほうがいい』と反対されて。でも、先生がお金出してくれるわけじゃないからね」

 エツコさんだって、高校に行きたかった。

 「勉強は好きだったよ。読書が好きで、図書館が居場所だった。読んでた本は、人付き合いの本とか、人の騙し方とか、自己啓発とか、法律とか、福祉とか。可愛げのない中学生だよね」

517名無しさん:2015/10/25(日) 18:38:43
>>516

 その間にも、家庭の状況はさらに悪化していった。自慢の一軒家を売って借家に引っ越し、外国車も売った。それでも家計は火の車。父親が家にいるのは1ヵ月に1日か2日。家にお金を入れるのは「たまに」だ。エツコさんが中学2年の12月まで、なんとか工場で働き続けてきた母親も、中学3年の4月、持病を悪化させて入院。一家は、同居していた母方祖母の老齢年金と、母方叔父からの仕送りと、父親の当てにできない生活費だけで暮らし続けた。

 「母親の医療費が大変で、医療費貧乏だったよ。でも、母親が入院するちょっと前から、福祉の相談員のような人が、しょっちゅうウチに来るようになった。たぶん母親が民生委員さんか誰かに、『生活が立ち行かない』と言えたんだと思う」

 しかしエツコさんは、家事や妹・弟の世話を担いながら、乏しい生活費から母親の治療費の工面に苦労する中学3年生だった。

 「『お姉ちゃんなんだから』って期待されるのが、もうイヤで苦痛で、足かせで。逃げたかった。『親父を殺したら、どんなに楽になれるだろう』って、何回も思ったよ」

 エツコさんが中学3年の10月、母親は病院で亡くなった。エツコさん一家には、母親の遺体を家まで運ぶための搬送車を依頼する費用もなかった。母親が生活のために積み重ねた借金は、700万円にまで膨れ上がっていた。その借金を相続した父親は、しばらく逃げ回った末、結局は自己破産した。同居していた母方祖母は、父親とのトラブルから「泣きながら家を飛び出した」そうだ。

● 貧困の中での高校進学が 生活保護利用のきっかけに

 混乱の中でも希望を失わなかったエツコさんの行きたかった高校は、自転車で片道2時間の距離にあった。通学の交通費を考えると、断念せざるを得ない。エツコさんは、自転車で通える範囲にある「ヤンキー高校」を受験し、首席で合格した。しかし、高校進学に必要な制服など数多くの費用を用意することは困難だった。そこでエツコさんは中学校に事情を話し、生活保護ケースワーカーと面談。実情を話し、父親と子どもたち3人で生活保護の利用を開始することになった。

 エツコさん中学3年の3月だった。近隣の住民から相談を受けていた児童相談所も助言を行い、父親は別世帯扱いとなった。エツコさんを「世帯主」とする姉弟3人の世帯に、生活保護で給付された生活費は、1ヵ月11万5000円。なんとか暮らしは成り立つはずの金額だった。生活保護の医療扶助が利用できるようになったので、治療できずにいた弟の虫歯も治療を開始できた。

 「ケースワーカーは中年の男性で、よく相談に乗ってくれる、いい人だった。最初から『いつかは脱却するための生活保護だから』と言って、ウチの収入の状況がどうなったら生活保護を切られることになるのかを教えてくれて。高校時代の私のバイトも『働き損』にならないように、『収入認定で持っていかれないように、この金額までセーブして働いて』とかアドバイスしてくれてた」

 エツコさんは家庭を支えながら高校に通い、マクドナルドで毎日、1日3時間、時給1000円のアルバイトにも励んだ。しかし父親は、たまに帰宅してはエツコさんにお金をせびり、しばしば酒に酔って他人の車や塀を壊した。エツコさんは、生活保護費から弁償費用を工面することになった。

 「何回も、『高校辞めて働きたい』と、ケースワーカーに言ったよ。すると『でも、女の子が家族を養う仕事をするのは大変だよ。結局は水(水商売)になる。おじさんの目の前で、水はやってほしくないなあ。高校を出たら、事務でもなんでも、会社に入ればいいんだから』って言われて」

 エツコさんが高校を卒業した1993年は、「バブル経済」が終わり、就職氷河期にさしかかったところだった。正社員としての就職が叶わず、しかたなく派遣社員になったエツコさんは、仕事ぶりを認められて正社員になったが、結局「派遣上がり」は正社員と差別されつづけることに嫌気がさして退職。その後、さまざまな職業を転々とし、新聞販売店の正社員となった。

 その間に、2歳下の妹が中学を卒業してクリーニング工場に就職。4歳下の弟も、中学を卒業してスーパーに就職した。エツコさん18歳の11月、姉弟3人の収入で、一家は生活保護から脱却した。

518名無しさん:2015/10/25(日) 18:39:10
>>517

 「でも、子どもの労働だからね。定着して安定するまで、ケースワーカーが心配して、いろんな人とやりとりしてくれてたみたい。私の高校時代、バイト先に様子を見に来てくれたことがあった。妹や弟の就職先にも頭下げてくれた。私たち3人が仕事に就くとき、雇用契約とか、労働時間とか社会保障とか、親代わりにチェックしてくれたよ。私たちが生活保護を抜けるときは、『ダメ親父を捨てる気で働けよ、状況は、いくらでも自分たちで変えられるんだから』って言ってくれた。歪んでない、まっとうなケースワーカーだった」

 エツコさんはその後、約20年間、新聞販売店に勤務していた。20歳を過ぎた頃、生育環境との関連が疑われる精神疾患を発症したが、仕事は辞めなかった。新聞販売店では突出して優秀な営業成績を維持しつづけ、37歳で同業の夫君と結婚。38歳で男の子を出産した後も仕事を続けた。さらに仕事と育児のかたわら、通信制大学で法律学を学び、6年かかったが2014年に見事卒業。しかし優秀なエツコさんは、営業成績が良く報酬が高かったことから、職場で人件費削減のターゲットとされ、2015年5月に退職。現在は精神疾患の治療を続けるかたわら、失業給付を利用して、求職しながら起業準備を行っている。新聞の営業を通じて見た低所得層の困難を、法律の知識も活かしながら解決することを仕事にできればと、リサーチ・事業計画づくり・求職に余念がない毎日だ。

● 生活保護への「スティグマ」と 生活保護を必要とする状況をなくすには? 

 努力してきたとはいえ、就職氷河期に社会に出ることになったハンデを今も背負い続けていると自覚しているエツコさんは、

 「氷河期40代ニートが、『働けない』『結婚できない』、あれもこれもできない、と生活保護を利用する気持ちは、わかる」

 と言いつつも、生活保護を利用しているシングルマザーたちには、

 「生活保護があるから離婚できる、とか思わないでほしい」

 と厳しい。私が「わかるから共感してる一方で、わかるから反発してる感じがするんだけど? 」と言うと、「あ、それだ! 」という答えが返ってきて、会話の流れが変わった。

 「初めて『生活保護』という言葉を聞いた時、『ウチは自己破産よりひどい貧乏なのか』という絶望感があった。生活保護を受けていたころは、普通の生活をすることに、変な罪悪感を感じた。申し訳ないとか、情けないとか、苦しいとか、悔しいとか。『こんなものを貰わないと、暮らせないのか』って。でも、自分一人じゃ何もできなかった。だから、屈辱的だと思いながらも、自分の人生を変えて、ここまで来れた」

 では、経験者として、生活保護に望むことは? 

 「(生活保護という)名前が悪いから変えてほしい。病気の人・障害者・高齢者など、働けない人が認められた権利の中でちゃんとした生活をすることを恥じなきゃいけないのは、おかしいと思う。働けない理由に合わせて、それぞれ別の名前の制度にしてほしい。子だくさんの家庭に対しても、『生活保護』ではなく『育児支援給付』とか、別の制度にしてほしいよね」

519名無しさん:2015/10/25(日) 18:39:54
>>518

 働ける人に対してはどうだろうか?  たとえば、失業から生活保護に至ってしまう例は少なくない。

 「失業者の場合は、失業給付の『自己都合退職なら3ヵ月待機』が問題だと思う。あの3ヵ月を持ちこたえられなくて生活保護しかなくなる人は、結構いるから。雇用保険の穴が、生活保護に押し付けられているわけでしょ?  労災の場合も、労災認定を受けられるまでの期間の生活や裁判費用で持ちこたえられなくなって、生活保護しかなくなる人がいるわけだし」

 よく言われる、社会保障のセーフティネット3層構造(雇用のネット・保険のネット・扶助(生活保護)のネット)で言うと? 

 「雇用のネットと保険のネットの穴をなくして丈夫にすればいいんだと思う。それで日本人は、自主防衛できるようになって、憲法25条が機能するようになるんじゃないかと思う。蜘蛛の巣みたいな見えないネットでも、セーフティネットは必要だから」

 雇用保険の対象にならない人々も多い。

 「それがいけないんだよ。どんな仕事でも、パートでもアルバイトでも、雇用保険は全員強制加入にして、働けてないときは失業給付を受け取れるようにしないと。健康保険と年金は『国民健康保険と基礎年金でも、ないよりマシ』と割り切っていいと思うけど」

 それが実現すれば、働ける年齢層にとっての生活保護の必要性は、かなり少なくなりそうだ。でも今、雇用・保険のセーフティネットは脆弱で穴だらけだ。

 「だから、そこを『ナマポで勝ち組』とかいう言葉で終わりにしてほしくないんだ。生活保護は、決められた最低基準の暮らしのための支援金。マイナスをプラスにするものではなく、マイナスをゼロにするもの。プラスにするのは自分の力。それを日本人が理解したら、蔑みの言葉になるわけがない。でも、『生活保護』という言葉に染み付いたスティグマは、本来の意味に、もう全然合ってないけど」

 では、働ける年齢層の人々にとっての生活保護は、今、どのような存在になっているだろうか?  2013年の生活保護法改正以後、「就労促進的になった」とされる生活保護制度は、実際に就労を促進するものになっているのだろうか?  次回は、生活保護と就労の「今」をレポートする予定だ。

みわよしこ

520名無しさん:2015/10/25(日) 18:47:16
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151025-00000038-jij-soci
防げるか、薬の違法転売=生活保護制度悪用、大量処方―把握困難、新たな取り組みも
時事通信 10月25日(日)14時18分配信

 生活保護受給者が複数の医療機関を受診して入手した大量の向精神薬を転売していたとして、マンション経営の女(55)が受給者2人とともに麻薬取締法違反容疑で兵庫県警に逮捕された。
 受給者は原則的に無料で医療を受けられる制度を悪用した事件だ。薬の不正取得を把握するのは困難といい、行政や医療機関は頭を抱えるが、薬局や薬剤師と協力する新たな取り組みも始まっている。
 「自宅にはまだ数千錠の向精神薬があった」。京都市に住む受給者の女(31)を逮捕し、自宅を家宅捜索した同県警の幹部は、あきれたように話す。女は複数の精神科などを受診し、大量の向精神薬を入手。インターネット上で買い手を募っていた。
 マンション経営の女は、この女から買い取った向精神薬などを転売していた。ほかの受給者にもメールで「余裕があったら売ってくれませんか」などと持ち掛けていたという。
 受給者の収入や生活状況を監督するのは自治体の福祉事務所。京都市地域福祉課は逮捕された受給者の女について、「レセプト(診療報酬明細書)の調査を行い、向精神薬の処方はチェックしていたのだが」と困惑気味に話した。
 受給者の急増で事務所職員の仕事量は限界に近い。この地域の事務所は、約4500の生活保護世帯を55人で担当。薬の転売による収入増などについて、同課職員は「把握して指導する余裕はない」と説明する。
 新たな対策を打ち出す自治体も出てきた。青森市は、レセプトの確認に薬剤師を入れ、転売が疑われる処方などをチェックしている。大阪府東大阪市は、受給者ごとに薬局を決めて不要な処方を防ぐようにしている。

521とはずがたり:2015/10/26(月) 14:44:30
クインさんに幸あれ。

結婚式ドタキャンされた女性、料理をホームレスに提供 米
http://www.cnn.co.jp/fringe/35072236.html
2015.10.21 Wed posted at 10:38 JST

522名無しさん:2015/10/31(土) 11:58:29
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151030-00080822-diamond-soci
「このままでは生きていけない」生活保護削減で厚労省に涙の訴え
ダイヤモンド・オンライン 10月30日(金)8時0分配信

 2015年10月28日午後、日比谷野外音楽堂で、より劣悪になろうとしている生活保護政策に反対する集会が行われた。今回は、多様な4000名の人々が集まったこの集会と、集会後に行われた厚労省への申し入れの様子をレポートする。

● 多様な4000人が 「生活保護」のために集まった午後

 2015年10月28日木曜日の午後、日比谷野外音楽堂において、「人間らしく生きたい。」というスローガンのもと「10.28 生活保護アクションin日比谷 25条大集会(以下、25条大集会)」が開催された。

 「午後より小雨」という天気予報に反し、晴れ渡る秋空の下、日比谷野外音楽堂には約4000人の参加者が集まった。13時30分〜15時30分にかけて開催された「25条大集会」の終了後、日比谷公園から銀座方面へのパレードが開催され、参加者のほとんどがパレードにも参加した。またパレードと並行して、16時より、「25条大集会」実行委員の法律家・作家・支援者・研究者および生活保護利用者たち合計約15名によって、厚生労働省への申し入れが行われた。

 「25条大集会」は、弁護士の尾藤廣喜氏(当連載「政策ウォッチ編」第36回参照)による実行委員会を代表しての開会挨拶で開始された。20代のころ、厚生官僚として生活保護制度を「健康で文化的な生活」のために運用する努力を重ねていた尾藤氏は、格差の拡大と貧困の深刻さが進行し続ける日本の現状に対し、雇用・年金・医療・障害福祉・教育・住生活、もちろん生活保護そのものに対し、幅広く本質的な対策を行う必要性を訴えた。さらに労働社会福祉中央協議会事務局長の大塚敏夫氏が壇上に立ち、

 「国民の最後のセーフティネットをボロボロにして、政府は何をしようとしているのでしょうか?  安倍首相は『一億総活躍社会』というけれど、セーフティネットがボロボロなら死しかありません。貧困対策は政府の役割です」

 と述べた。

● 「飢えず凍えず」で充分なら奴隷と一緒 和田秀樹氏の「右翼」としての主張

 ついで、「25条大集会」呼びかけ人代表として挨拶した精神科医の和田秀樹氏は、自らを「右翼」と自己紹介し、「右翼の立場からも生活保護の引き下げは許せない」「同胞が1人でも死んでいくことは許せない」と述べた。さらに、消費が冷え込んで景気が悪化している日本の現状に対し、景気対策としても生活保護を改悪すべきでないことを指摘した上、精神科医として、生活保護を利用している精神疾患の患者が「生活保護だから」と差別や疎外の対象となりがちなことに対して、

 「屋根があってご飯があればいいというのは奴隷と一緒」

 と述べ、
 
「この国が文化的で、先進国でありつづけることが、右翼としての私の願いです」

 と発言を結んだ。

523名無しさん:2015/10/31(土) 11:59:39
>>522

 呼びかけ人の一人である経済学者の金子勝氏は、おそらく思想信条においては和田秀樹氏と真逆であろうと思われるが、発言を安保法制やTPPに対する批判から始めた後、

 「高齢者・障害者・失業者などが国民の半数近くになっているのに、生活保護の切り下げなどあり得ません。一方で、企業は史上最高益を上げています。ある種の詐欺です」

 と述べ、

 「多くの人が参加して、自立して社会に関われる仕組み作りが、本当の、一億総活躍社会ではないでしょうか?  そのために闘わなければならないのが今の社会ですが、連帯して闘っていきましょう」

 と結んだ。多様な「呼びかけ人」全員のリストは、「25条大集会」サイト内にある。

 壇上で発言やアピールを行った人々は、生活保護利用者や支援者にとどまらず、障害者・年金受給者・非正規労働者・法律家・研究者・政治家など極めて多様だった。訴えた内容は、生活保護制度そのものはもちろんのこと、年金制度・非正規労働・最低賃金・教育・高齢者や障害者に対する福祉サービスの提供など多岐にわたった。私は、生活保護をメインテーマとする集会に、これほど多様な人々が集まった風景を、過去に見たことがない。

 国会議員による挨拶は「先着順」で行われ、発言順は小池晃氏(共産党)・山本太郎氏(生活の党と山本太郎となかまたち)・川田龍平氏(維新の党)・吉川元氏(社民党)・山井和則氏(民主党)であった。私は、

 「なぜ、自民党と公明党からは一人も参加していないんだろう? 」

 と思った。自民党議員の一人一人に個人モードで話を聞いてみると、「社会保障に対する『タダ乗り』は良くないと思う」は概ね共通しているものの、「生活保護しかなくなる人を減らすために、雇用も税制も年金も医療も少しずつでも改革し、働けて稼げて納税できる状況を数多くの人々に拡大し、社会状況全般を『生きやすい』ものに変えていくことが必要だ」と考える人は少なくない。「25条大集会」で挨拶した国会議員の中には、日本という国の存続と将来・雇用の低迷と景気の関連について触れた人もいた。もし自民党・公明党の議員が来場して発言したならば、「生活保護などなくし、貧乏人は勝手に死んでもらおう」といった暴言の類でない限り、受け入れられ歓迎された上、「自民党も公明党も捨てたものではない」という認識を持つ有権者を少しは増やせたかもしれない。

 「25条大集会」は最後、「貧困は、お金だけの問題ではない」ではじまり「誰一人、貧困に殺されない社会。そんな当たり前のために、私たちは声を上げ続ける」で終わる集会アピールを採択して終了し、15時30分過ぎ、参加者のほとんどが銀座方面へのデモへと出発した。デモの様子は、朝日新聞などの記事(「いのちを守れ」生活保護費の削減反対訴え 銀座でデモ)で紹介されている。

 なお「25条大集会」では、2回にわたって、来場者に対するカンパの依頼が行われた。笑いを交えた「なるべく、軽いお金(紙幣)でお願いします」という依頼に応じて集まったカンパは、総額73万251円であった。生活保護利用者など貧困状態にある人々多数による、「このカンパの代わりに何を削ろうか? 」と考えながらのカンパに硬貨が交じることは、致し方ないであろう。

 以下、本記事では、現在のところほとんど報道されていない、パレードと並行して行われた厚労省への申し入れについて述べる。

524名無しさん:2015/10/31(土) 12:08:00
>>523

● 生活保護利用者たちの涙の訴えを 厚労官僚たちはどう受け止めたか? 

 「25条大集会」当日、16時より行われた厚労省への申し入れに対応した厚生労働省側の人々は、社会・援護局保護課の鈴木建一氏・保護課長補佐・保護課基準係長の3名の管理職に加え、保護課基準係員の4名であった。

 実行委員会が挨拶したあと、2名の生活保護利用者がそれぞれ、厚生労働省への要望書(全文)および大会アピールを音読し、保護課長の鈴木氏に手渡した。

 厚生労働省への要望書を音読したのは、病気のため働けない状況にある稼働年齢層の男性であった。要望の中心は、生活保護基準を2013年の引き下げ以前に戻すことである。

 「健康で文化的な生活」の最低ラインは物議をかもしがちであるが、その内容や必要な費用は、数多くの研究者が研究してきている。2012年時点の生活保護基準は、稼働年齢層の単身者の場合で、それらの研究結果から1万円〜1.5万円程度不足していた。その不足分は、たとえば回復しつつある傷病者が、就労への復帰訓練を兼ねた短時間のアルバイトで、大きな無理をせずに埋められる金額であった。生活保護基準の引き下げは、就労で「健康で文化的な生活」を送ることも困難にしている。

 大会アピールを音読したのは、精神障害を持つ夫と暮らす、自身も精神障害者である女性であった。女性は「25条大集会」で、福祉事務所のケースワーカーに就労を求められ、ハローワークで就労の努力を重ねたものの、「精神障害だから」「生活保護だから」と断られた悔しさを語っていた。その悔しさが込み上げてきたのか、厚労官僚の前で大会アピールを音読しながら、女性はむせび泣いた。

 引き続き、生活保護利用者の男性2名・女性1名が、

 「生活保護費が全く足りないため、まず食費を削っています。電気ストーブしか使えない住まいに住んでおり、電気代が冬季には6万円かかります。電気代のため、食事ができないこともあります」

 「生活保護費がまったく足りない状況を何とかしようと、また将来は脱却しようと、アルバイトをしています。しかし収入認定される金額が大きく、働けるだけ働いても、せいぜい2万円程度しか手元に残りません」

 「生活保護費が削減されたため、まず近所付き合いをやめ、町内会費がかかるので町内会からも退会しました。ついで食費を減らしました」

 「生活保護費を減らすことで、国は私たちをどうしたいのでしょうか?  単なる弱い者イジメに見えてしかたがありません」

 「生活保護の暮らしを見た上で、政策を決めてください」

 「今、生活保護基準引き下げに対する訴訟に原告として加わっていますが、厚労省さん側は、『資料は次回に出します』といって、いつも出してくれません。『物価は下がった(だから、生活保護費を引き下げた)』とおっしゃいますが、物価は下がっていません」

 と、実情を口々に訴えた。

 また実行委員会の人々は、厚労省の再三の通達にもかかわらず現在も行われている「水際作戦(生活保護の申請妨害)」、2013年以後の生活保護基準引き下げによる一年間の生活費の減額が既に10万円前後に達していること、一般就労できない障害者の10%が生活保護を利用していること、福祉労働への悪影響が懸念されることなどを訴えた。

525名無しさん:2015/10/31(土) 12:08:37
>>524

 保護課長の鈴木氏は、以上の訴えを受けて、

 「生活実態の貴重な話に感謝します。重く受け止めていきたいと思います。生活保護基準は、審議会の議論を経て、十分、慎重に議論して決めてきました。これまでもそうでした。これからも慎重な議論をしながら検討したいです。でも全体の消費の実態なり、そういうことも踏まえていく必要があります。そういう中で、いかにして全体の制度を作っていくかということです。今日いただいたご意見、要望書、アピールは、検討させていただきます。生活保護基準の議論はデータにもとづいて、進めていきたいと思います」

 と述べた。

 申し入れの最後に、「25条大集会」実行委員会の弁護士・尾藤廣喜氏が、

 「生活保護基準が、審議会(社保審・生活保護基準部会)を受けて決まっているという話は、裁判で私たちが主張している点です。でも、部会と違った形で引き下げされたという事実があります」

 「生活実態と生活保護基準が合わないために当事者が苦しんでいることは、(厚生労働省の)事務当局として実態を調べて、実態に合わせて対応してもらわなくちゃいけません。基準係は、そのためにあるんですから」

 と苦言を呈し、

 「財務省の圧力は、今の状況の中では、強いと思います。でも、国民生活を考えて検討し、必要ならば厚労省の立場で国民の生活権利を守ることこそが、厚労省の役割です。保護課長と基準係の役割は、重大です。厚労省をあげて考えて、取り組んでほしいです。今日(25条大集会に)これだけ多くの人が集まったという思いを、真剣に受け止め、いい制度にするために努力してください」

 と、元厚生官僚ならではの意見を述べた。

 この後、厚生労働記者会で行われた記者会見には、私を含めて6名の報道関係者が参加した。生活保護利用者たち・実行委員会関係者たちは、より具体的に言葉を尽くして、現在の状況と生活実態を語った。

526名無しさん:2015/10/31(土) 12:09:18
>>525

 記者会見の最後、直前の厚労省への申し入れを受けて、尾藤氏は、

 「日本は、貧困化が進んでおり、生活保護が唯一の砦です。でも、(政府は)崩そうとしています。何がこの国の地盤を支えるのでしょうか?  崩壊しかかっている状況です」

 「社会保障全体の底上げをはかることこそが、今の日本に求められていることです。当事者は、それを自覚しています。しかし政府には、自覚がありません」

 「今日(の申し入れ)も、課長さんと基準係の方がいらっしゃいました。私は『財政当局は、いろんな圧力をかけてくるかもしれませんが、厚労省は生活を守ることが役割です、生活を底上げするべきではないでしょうか』と言いました。でも(厚労省職員には)真剣な眼差し、真剣な気持ちが認められませんでした」

 と述べた。

 数多くの子どもが、育ちと学びの機会を得て力ある大人となり、大人になった後は「自分の力を使って、働いて貢献を認められ、稼いで、納得できる納税をしたい」と考え、実際に実行できること、それを支えることこそが、政府の役割であろう。

 厚労省に足繁く出入りし、顔見知りの職員が多数いて言葉を交わす機会も多い私は、厚労省職員に対して「真剣でない」と言う気にはなれない。しかし、自分たちの行う政策の結果が何をもたらしているのかには、もう少し関心を抱いていただけないかとは思う。帳簿上の数字の問題ではなく、場合によっては人の生き死にを左右する問題であるという実感を持った上で、政策を決定していただくことはできないものだろうか? 

 なお、記者会見終了後、記者たちは実行委員や生活保護利用者たちに対し、熱心に直接の取材を行っていた。取材の結果が、遠からず記事として多くの方々に読まれることを願う。

 次回は、生活保護利用者に対する就労促進の「今」についてレポートしたい。2013年の生活保護法改正と生活困窮者自立支援法は、どのように就労促進を進めているのだろうか?  期待された成果は、実際に挙がっているのだろうか? 

みわよしこ

527名無しさん:2015/11/03(火) 15:21:53
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151030-00090574-toyo-soci
「ひとり親を救え!」運動はなぜ炎上したのか
東洋経済オンライン 10月30日(金)15時0分配信

子どもの貧困率の高さにおいて、先進国の中では抜きん出る日本。背景にある、ひとり親世帯の困窮状況を改善するため、子どもが2人以上の世帯に支給される「児童扶養手当」の増額を訴えるキャンペーンがスタートしました。すると、意外なところから反対の声が上がりました。
■ 1人目は最大4万2000円、2人目は5000円!? 

 「児童手当」ではなく、「児童扶養手当」。聞き慣れない方が多いでしょう。これは、離別・死別・非婚(未婚)の「ひとり親」世帯に支給される手当のこと。母子家庭・父子家庭、どちらも対象となります。

 現在の支給額は、第1子で月額最大4万2000円(年収に応じ10円刻みでスライド)ですが、第2子は一律で5000円、第3子以降は一律3000円。1子目と比べ、2子目以降の額がたいへん少ないため、子どもが多い世帯ほど厳しい状況となり、「ひとり親家庭の子どもの54.6%が貧困」(国民生活基礎調査)という深刻な状況を生み出す原因のひとつとなっています。

 日本の母子家庭(約124万世帯)の就労率は「81%」と世界トップクラスであるにもかかわらず、平均年収は223万円(児童扶養手当や児童手当、養育費、年金なども含む)と低く、子どもがいる一般世帯の平均年収658万円と比べて、大きな格差がある状況です。

そこで、第2子以降の児童扶養手当の増額(複数子加算)を実現するため、支援団体らによるオンライン署名活動がスタートしました。 ちなみに、筆者が初めてこの事実を知ったのは約10年前。自分の離婚を機に、子連れ離婚の実用書を作り始めた頃でした。

 第2子以降の支給額があまりにも少ないのに驚いて、「もしかして、2人目以降の大学の学費は1人目の10分の1になる、という新制度でもあるのかな?」と思い、人に尋ねてしまったほどです(もちろんそんな制度はありません)。

 1子目に比べれば、2子目以降の養育費用は多少下がるかもしれませんが(洋服や学用品などを使いまわせる)、最もおカネがかかる教育費や食費については、1子目も2子目以降も同じです。支給額にこれほど差があるのは、不合理と言わざるをえないでしょう。

528名無しさん:2015/11/03(火) 15:22:13
>>527

 キャンペーンの開始から9日目となる現在、すでに署名数は3万筆を突破。この問題に対する世間の関心は高く、かつ賛同者も多いようです。

 しかし、意外なところから反対の声も上がりました。

■ 「配慮が足りない」ことを指摘する声も

 キャンペーンが始まった翌朝、政治家の橋下徹氏は、「ひとり親かどうかではなく、所得を基準とすべき」とツイート。

これに対し、キャンペーン呼びかけ人のひとりである乙武洋匠さんは、「所得を基準とすべき」という橋下氏の考えを認めつつも、少しでも迅速に貧困の現状を改善するためには、今ある児童扶養手当制度の中でできることに取り組む重要性を伝え、橋下氏もこれに理解を示しました。
(橋下氏・乙武氏のツイートまとめはこちら)さらに大学講師の常見陽平氏も、ツイッターやブログでキャンペーンに対する違和感を表明。自身は裕福なひとり親家庭に育ったものの、周囲から「母子家庭だから貧乏」などと決め付けられて傷ついた子ども時代の体験を振り返り、「ひとり親=貧困」を印象づける本キャンペーンは「当事者への配慮が足りないのでは」と指摘しました。 これに対し、キャンペーンの旗振り役である駒崎弘樹氏(NPO法人フローレンス代表)が当初、やや感情的に応戦したため、両者が炎上する展開に。

その後、駒崎氏はブログ上で常見氏に謝罪。そのうえで、あるカテゴリーの人々に多く見られる問題点を指摘した際に、該当しない当事者が「傷ついた」と主張するのは、問題解決を遅らせてしまう面があることを示しました。 このやり取りについては、筆者もいろいろと思うところがありました。

 まず、常見氏の気持ちも、当事者としてよくわかります。「貧困(貧乏)だと思われたくない」という気持ちは、貧困に該当しない当事者だけでなく、貧困のさなかにある当事者の中にもあるでしょう。

 けれど、そこに“配慮”して何も言わなければ、困っている人たちがいつになっても救われない、という駒崎氏の主張も正しいと感じます。そのようなシーンは実際、さまざまな分野の支援の現場で見かけます。

529名無しさん:2015/11/03(火) 15:23:47
>>528

 キャンペーンの共同呼びかけ人のひとりで、長年にわたって児童扶養手当の問題に取り組んできた赤石千衣子氏(NPO法人しんぐるまざぁず・ふぁーらむ代表)は、この件について、以下のようにツイートしました。

■ 「貧困と思われたくない」当事者の気持ち

 “常見陽平さんのコメントを読んで。ひとり親も子どもたちも、自分が貧困だと思われたくない、そのお気持ちをひしひしと感じる。わたしもそうだったから。”

 “私自身月収10万円で4歳の息子と暮らしていたとき、自分が貧困だと思っていなかった。それどころか『ゆたかに暮らしている』とインタビューに答えた覚えもある。相対的貧困率の定義にあてはめれば貧困だった。あなたは貧困(である)と言われれば傷つく。”

 “なぜひとり親の貧困という言葉を使うのか。なぜなら、(ひとり親の)半分以上が相対的に貧困である、ということは先進国で異常な事態であり、多くの人に知ってもらうことが必要だからだ。貧困はあなたのせいではない。社会のしくみが凝縮している。”

 “あなたのせいではない「ひんこん」「貧困」を解消するには声をあげなければ、変わらない。傷つけていたなら、ごめんなさい。声をあげずに傷ついている人たちもいるよね。でもあなたがつらかったり、生きにくい状況を変えたいのです。”

 “貧困だなんていわれたくない。自分でがんばるしかないという気持ちは結局、社会保障なんかに頼らないで自分でがんばろうにつながる。そして(それでは現状が)何も改善されない。自分がおかれている現状はなぜなんだろう、(と考えること)で解決をめざしたいと思う。”

 筆者も、この赤石氏の考えに同意します。

 同時に筆者は、橋下氏と同様、手当の支給対象は「ひとり親かどうかではなく、所得を基準とすべき」だとも思います。今回の児童扶養手当の複数子加算には賛同しますが、将来的には、対象枠を「ふたり親」の家庭にも広げてほしい。そのほうが、理にかなっていると思うからです。

 そもそも経済的理由で離婚する夫婦も多いので、結婚している家庭に支給枠を広げれば、離婚増加の歯止めにもなると考えられます。すぐには難しいかもしれませんが、遠くない将来、枠の拡大が実現することを望みます。

 さらに、所得を基準とすれば、居心地の悪さを感じるひとり親家庭当事者も減るでしょう。

530名無しさん:2015/11/03(火) 15:25:45
>>529

 ただし、私たちが「低所得」「貧困」=「恥ずかしいこと」「自己責任」という認識を改めない限り、新たに受給対象者となった当事者も「傷つく」可能性はあると思います。

■ 各界の専門家が、支援の必要性を指摘

 さて、炎上した部分ばかりが注目され、今回のキャンペーンの趣旨がまだ周知されていない面もありそうなので、ここであらためて紹介しておきます。以下に引用するのは、各界専門家が発表したコメントです。これを読めば、なぜ児童扶養手当の複数子加算が必要であるか、理解しやすくなるのではないでしょうか。

 会見で、低所得家庭の子どもたちへの学習支援を行うNPO法人キッズドア代表・渡辺由美子氏は、利用者の多くがひとり親家庭の子どもであることや、学力が上がっても経済的な理由から望む進路に進めない子どもが多いことなどを指摘。「この少子化の時代に、お子さんをたくさん育てている方は褒められるべきなのに、現実にはそういう方たちがいちばん大変な状況にある。これは非常におかしいこと」として、支援の必要性を訴えました。

 ジャーナリストで相模女子大学の客員教授の白河桃子さんは、ひとり親支援は少子化対策としても重要であることを解説。出生率が回復したフランスでは、子どもがたくさんいるひとり親は働かなくても手当だけで生活できることを挙げ、日本も「“どんな形で子どもを持っても安心安全に暮らせる”という社会にすることが必要」と指摘しています。

 児童養護施設に暮らす子どもを支援するNPO法人タイガーマスク基金代表・安藤哲也氏は、ひとり親家庭が経済的に安定すれば、施設に入らなければいけない子どもが減り、社会的擁護の予算抑制にもつながること、また父子家庭の中にも母子家庭と同様の窮状があるので、支援が必要であると述べています。

 さらに会見では、ひとり親当事者である田中直子さん(仮名)もコメントを発表。田中さんは日々、発達障害のある高校生のお子さんにかかりきりで、仕事に就くこともできない状況にあります。ただし、食べ盛りの4人の子どもたちのお腹を満たすことを何より優先し、「そこ(食費)だけは節約しない」と決めているとのこと。

 第2子以降の児童扶養手当が「1回の食費ですぐ終わってしまう」額であることや、子どもたちに「もうちょっと、いいものを食べさせたい」という思いがあることを、控えめな様子で語っていました。

 田中さんのような人が、安心して堂々と、子どもたちを育てられる社会がいいな、と思います。ひとりでも多くの方がこの問題に関心を持ち、一緒に考えてくださることを願っています。

大塚 玲子

531名無しさん:2015/11/07(土) 15:16:22
>>510

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151107-00000103-san-pol
「ポスト橋下」揺れる西成 どうなる暮らし、就労支援…立候補予定者の訴え注視
産経新聞 11月7日(土)15時0分配信

 8日に告示される大阪市長選(22日投開票)を控え、日雇い労働者の町「あいりん地区」を抱える西成区の民意が揺れている。就労支援施設の建て替えや他区に比べて高い生活保護受給率など課題が山積する中、西成区を「えこひいき」すると宣言して予算を投下した橋下徹市長(大阪維新の会代表)が12月に退任するからだ。住民たちは「ポスト橋下」をめざす立候補予定者たちの訴えを注視している。

 「兄ちゃん、仕事行かんか」。まだ夜が明けきらぬ午前5時。日雇い労働者支援の複合施設「あいりん総合センター」1階の「寄場」に集まる男性たちに、求人業者が声をかけていた。土木や鉄筋工などの日雇い仕事を斡旋(あっせん)し、契約が成立すれば現場へ連れて行く。

 センターは、高齢者や生活保護受給者らが暮らす市営住宅、医療機関も入るあいりん地区の中核施設。ホームレスが段ボールを敷いて体を休める「最後の砦(とりで)」(60代の求人業者)でもあるが、昭和45年築の13階建てビルの天井を伝うパイプや階段の手すりは赤茶色にさび、老朽化が著しい。

 平成21年には耐震性に問題があることが発覚し、建て替え論が浮上した。ただ寄場や職業安定所を管理する国と、労働福祉センターを管理する府、市営住宅や医療機関を管理する市の3者間の調整は難航。建て替え後のあり方をめぐり、地元の住民と労働者支援団体の間でも意見が分かれる。

 地元自治会の男性は「センターの建て替えは西成最大の課題。ただ、課題は他にも山ほどある」と話す。

 26年に区が取りまとめたデータによると、生活保護受給者の割合は23・1%でほぼ4人に1人。65歳以上の高齢者率37・2%と結核の発生件数237件も市内24区で最悪だ。中国人女性が接客する居酒屋が急増するなど、文化や風習の違う外国人との共生も新たな課題として浮上する。

 この4年間、橋下氏は西成区を大阪全体の縮図ととらえ、「西成が変われば大阪が変わる」として、特区扱いして福祉などの予算を重点的に配分。大阪府警と連携し、不法投棄対策や薬物取り締まりを強化してきた。

 その橋下氏の後継指名を受け、市長選に大阪維新の会公認で立候補する元衆院議員、吉村洋文氏(40)は「特区構想を引き継ぎ、地元の声を聴きながら発展させたい」と強調する。

 一方、自民党推薦を得て立候補する元市議、柳本顕氏(41)は西成区の出身。区長の権限を強化する「総合区」を28年春に導入して「課題を解決し、大阪全体の発展につなげる」と訴える。

 市長選にはほかに、元北区長の中川暢三(ちょうぞう)氏(59)と、テーマパークアルバイトの高尾英尚(ひでひさ)氏(33)も立候補を表明。あいりん地区内で衣料品店を経営する角田昇さん(73)は「西成の改革は道半ば。誰が市長になっても、この街のことをよく考えて市政に取り組んでほしい」と期待を込めた。

大阪市長選立候補予定者

吉村洋文(40)大阪維新公認、新人、元衆院議員

柳本 顕(41)自民推薦、無所属、新人、元市議

中川暢三(59)無所属、新人、元大阪市北区長

高尾英尚(33)無所属、新人、アルバイト

                 (敬称略)

最終更新:11月7日(土)15時11分

532とはずがたり:2015/11/12(木) 13:04:43
ADSLスレよりこちらか?なんか出来そうだけどほんとに居るのか??

ニコ生でカンパ300万円ゲット!一切働かずに暮らす女性たち
女子SPA! 2015年11月5日 16時11分 (2015年11月5日 16時42分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/woman_clm/20151105/Joshispa_20151105_00352855.html

 今、20代など若い世代のあいだで、モラルや金銭感覚などが一般的な感覚から大きくズレた女性が増えているという。なかでも注目されているのが、ネットの生放送を通じてカンパを募り、生計を立てている女性たち。

 90年代にはネットの掲示板や街中でのナンパをきっかけに行われる援助交際が問題になったが、それから10年の時を経て、“援助”のテクノロジーはかなり進んでいるようだ。

 一切働かずに暮らす彼女たち。そのうちの一人に詳しい話を聞いた。

◆労働収入ゼロ。ネットのカンパと“彼氏”の援助で生活

 ふじこさん(27歳)は、2年前にニコ生を通じてカンパを始め、これまでに総額300万円近くを集めたという。

「口座番号を公開して、『お金ください』って言っていたら、いつの間にかそれくらいになっていました(笑)。数十円を振り込む人もいれば、数万円振り込んでくれる人もいるし、金額はバラバラですね。でもある日突然、知らない人から10万円振り込まれたときはさすがにびっくりしましたね」

 それまでシェアハウスで生活していたふじこさんだったが、カンパが集まったのを機に引っ越し。念願の一人暮らしが叶った。

 現金だけではなく、物資などのプレゼントも届くという。

「アマゾンの『ほしい物リスト』を使っていて、そこでは主に水などの生活用品が届くようにしています」

 もともと、お金はあればあるだけ使ってしまうタイプだったというふじこさんは、カンパされたお金も振り込まれるそばから使ってしまっていたというが、最近はいかにうまく節約するかということに目覚めたという。

「どうやって無駄を省こうかと考えた結果、彼氏をたくさん持てばいいんだって気づいたんです。使うお金がかなり抑えられますよ」

◆愛人も分散投資の時代?

 ふじこさんは現在複数の男性と交際しており、それぞれを「家賃彼氏」、「お小遣い彼氏」、「送迎彼氏」と呼び、援助してもらっている。これはまさしく「愛人」とも言えるものだが、貢がれている額は最高額でも「家賃彼氏」が払う8万5000円。分散投資の低額愛人契約スタイルだ。

「『ご飯彼氏』と外食するときはただ奢ってもらうだけじゃないです。必ずタッパーを持っていって、余った料理を持って帰るようにしています」と浅ましさはプライドレス。それぞれの彼氏にバレる心配はないのだろうか。

「バレても別にいいです。バレたら、別れてまた新しい彼氏をつくるだけ。私にとって彼氏って消耗品なんですよね」

 20代の若いうちはいいが、年をとるごとに投資してくれる男性も減ってくることを考えると、今から働く準備をするか、“消耗品”より耐久性の高い品を探しはじめるかした方がいいのではないか、とお節介ながら思ってしまう筆者だった。

―女性たちのド底辺生活【2】―

533とはずがたり:2015/11/18(水) 12:37:12
本来母の介護の為に仕事辞めて(多分それで)困窮して死後遺体放置ってどうなってんのかねぇ。。

「葬式費出せず」母親の遺体放置に猶予付き判決 静岡
http://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e3%80%8c%e8%91%ac%e5%bc%8f%e8%b2%bb%e5%87%ba%e3%81%9b%e3%81%9a%e3%80%8d%e6%af%8d%e8%a6%aa%e3%81%ae%e9%81%ba%e4%bd%93%e6%94%be%e7%bd%ae%e3%81%ab%e7%8c%b6%e4%ba%88%e4%bb%98%e3%81%8d%e5%88%a4%e6%b1%ba-%e9%9d%99%e5%b2%a1/ar-BBn6KDQ?ocid=spartandhp
朝日新聞デジタル 11 時間前

 母親の遺体を自宅に放置したとして死体遺棄罪に問われた静岡県中部の無職男性(54)に対し、静岡地裁(川畑薫裁判官)は17日、懲役1年執行猶予2年(求刑懲役1年)を言い渡した。

 川畑裁判官は「遺体を放置したのは事実だが、経済的に苦しく葬儀費用が出せないなど動機は消極的だった」と量刑理由を説明。その上で男性に「困ったときは周りの人に相談すれば助けてくれることを忘れないでほしい。仕事に就き、生活を立て直すことを期待している」と説諭した。

 判決によると、男性は2月中旬ごろ、自宅で病死した同居の母親(当時86)の遺体を埋葬することなく部屋に1週間放置した。男性は病気の母親を介護するため、約5年前に仕事をやめていた。

534とはずがたり:2015/11/26(木) 11:06:37
フィリピンのホームレス邦人は日本社会の犠牲者か? 矛盾を照らす真摯なルポ
http://ddnavi.com/review/64942/a/
2012.6.21

日本を捨てた男たち ― フィリピンに生きる「困窮邦人」
ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 集英社
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:水谷竹秀 価格:1,296円
※最新の価格はストアでご確認ください。

果たして彼らは日本を捨てたのか、それとも日本に捨てられたのか。そんな疑問が読みながら頭の中を行ったり来たりした。女性を追って、借金から逃れて、自由を求めて…それぞれの極めて個人的な理由でフィリピンにわたった男たちが資金を使い果たし、「困窮邦人」とよばれるホームレスになり、心やさしい比人の貧困層に助けられているという状況が、現在静かに社会問題化しつつあるという。日本ではあまり知られていないその実像は、まさに日本社会の「矛盾」のふきだまり。正直なところ、自業自得、他人(比人)の親切心につけこむ、日本人の「甘え」では? と、そのダメさ加減を断罪するのは簡単だ。

だが、彼らが日本に「置いてきた」現実はどれも行き場がなく、いまどき1度ボタンの掛け違いが起きてしまうと一気に「転落人生」というのはお決まりのルートなのか、誰もが血縁者にも拒否され、日本に帰ったところで「厄介者」になるしかない現実を抱えている。彼らにしてみれば、ホームレスをするのが日本かフィリピンか、そんな究極の状態なのだろう。どちらにせよ八方塞がりなのだ。

ちなみに登場するのは、ほぼ男性ばかり。一応、比人男性を頼って海を渡った邦人女性も出てはくるものの、彼女たちは自分のポジションに対してかなり客観的で、たとえば騙されている、とわかったら、その時点であっさり身を引く。だからそこまで最悪な状況に陥りにくいが、なぜか男性は未練故かプライド故か、最悪の状況でもかの国で「ただ生きている」状況を選択する。その現実のしょうもなさに脱帽しつつ、どこかやはりと納得。女たちのたくましさ、男たちの悲哀に、なんかホントに大変、とため息も出てしまう。

なお、時に同情し、時に距離をおき、答えのでない問題に、とにかく真摯に対応しようという著者のスタンスは正直で好感がもてる。今回、電子書籍で社会派ノンフィクションを読んだのは初体験だが、容易に自分の立場が決められない問題に対峙する場合、電子書籍という「重みを感じない」メディアのせいか、リアルな本よりも、読みながらスタンスを自在にスイッチできる感じもした。こういう感覚、困難な現実を相対化するにはグッドなのかも

535とはずがたり:2015/11/26(木) 11:13:31
法学スレ相当か?

圧倒的経済弱者である若者が、圧倒的経済強者である高齢者に反逆の刃を向けているという構図 ー「老人喰い」の真実
http://ddnavi.com/news/229811/a/
2015.3.5

 警察庁のまとめによると、「オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」「架空請求詐欺」といった「特殊詐欺」の年間被害総額が、2014年、ついに500億円の大台を突破したという。これは2004年に統計を始めてから最悪の数字で、被害者の約8割は60歳以上の高齢者である。また催眠商法やリフォーム詐欺などの「悪質商法」で高齢者が契約当事者となった割合も全体の7割以上に上る。こうした高齢者を狙う犯罪“老人喰い”の手口は、日々巧妙化しており、今や「うちは大丈夫!」と自信を持って言える人などいない状況だ。

 『老人喰い 高齢者を狙う詐欺の正体』(ちくま新書)は、高齢者を騙して大金をむしり取る“裏稼業”に生きる犯罪者たちを取材し、その実態をあぶり出した興味深い書籍である。著者は『最貧困女子』(幻冬舎新書)や『出会い系のシングルマザーたち』(朝日新聞出版)など、裏社会や触法少年少女にスポットを当てたノンフィクションで定評のあるルポライター・鈴木大介さんだ。その衝撃的な内容を、少しだけ紹介したい。

“老人喰い”の犯人は「渇ききった若者の反逆」

 本著によると、特殊詐欺をはたらく犯人たちのほとんどは20代から40代の最貧困層の若者たちだという。見た目はどこにでもいるサラリーマンそのもので、高齢者を騙すために「(株)詐欺本舗」とでもいうべき組織をつくり、やり手営業マンさながらの高いモチベーションで詐欺を行っているというのだ。

 しかし「弱い高齢者が襲われている」という構図ではなく、そこには「圧倒的経済弱者である若者が、圧倒的経済強者である高齢者に反逆の刃を向けている」という構図があるのだという。これを著者は、高度成長期の時のように働けば豊かになれた時代と違い、働いても将来に希望を持てない若者たち(=砂漠の中で水に飢えた者)が、豊かな高齢者(=たくさんの水を持つ者)を襲うようなもの、と表現している。

一度ひっかかると、10年以上も狙われる!

 ターゲットを選び出す方法としては、かつては「名簿屋」から買い取ったDM用などの名簿を使い、かたっぱしから電話をかけまくっていたが、今ではまず公的機関名をかたって下調べの電話をかけ、「支払い能力があるか」「健康に不安があるか」といった情報を追加した“最強名簿”を作り上げてから、組織的に落としにかかるというのだ。

 特に狙われやすいのは言うまでもなく「資産があり消費・投資行動をしている人間」だが、一度被害にあった人の名簿「ヤラレ名簿」も狙われやすく、また合法的に営業展開しているDM系名簿業者の名簿に載っている人も、油断はできないという。

 しかもこれらの大量に出回っている名簿はストックされ、ことあるごとに情報が強化されて、将来的に使用される可能性があるというからゾッとする。実際、すでに10年以上前の名簿に載っていたために詐欺にあったケースも出ているので、まだ現役世代の人にとっても老後の詐欺被害は他人事ではない。

 筆者の両親のもとにも最近、「息子さんが事故で…」という電話があったのだが、幸い“息子さん”は在宅中だったため事なきを得た。その後しばらくは「どこぞのチンピラが電話してきたのだろう」と、家族間で話題になっていたのだが、本著を読んで「その考えは激甘だ」と分かった。徹底的に・かつ能動的に“騙そう”としている集団から身を守るには、いったいどうすれば良いというのか…?

 本著には、様々な“老人喰い”の手口が再現ドラマのようにリアルに描かれている。そこには具体的な防御策は書かれていないが、裏稼業に身を置く若者たちの心理を知る手がかりが散りばめられている。一読しておけば、自分や家族がターゲットになった時、被害者にならずにすむきっかけを得られるのではないだろうか。

文=増田美栄子

536とはずがたり:2015/11/30(月) 10:41:38
>米国の『ハウジングファースト』が素晴らしかったのは、1990年代にデータを集め、コストを明確にしたことです。そして、ブッシュ大統領がハウジングファーストを推進しました。ブッシュ大統領が、優しい人、人を助けたい人ではないことは、みんな知っています。我々の時も、サルコジ首相でした。」(Girard氏)そして「日本の現在の首相は、ブッシュ大統領に似ています」


>困窮者支援プログラムに対しては助成金が出にくいほどの状況となっている。
資金獲得が競争的な枠組みになってるのかな?

生活困窮者に「家」を提供すれば、社会保障費は削減できる
みわよしこ [フリーランス・ライター]
http://diamond.jp/articles/-/82306?page=4

「ハウジングファースト」は安上がり
米国では助成金の条件にも

?今回は、注目を集めている「ハウジングファースト」について、開始されて20年以上が経過している米国・展開しようとしているフランスでの状況を中心に紹介する。

「ハウジングファースト」は、住居を含む困難を抱えた人々に対して「安定した恒久的な住まいをすぐに提供する」ことを意味する。対象は、ホームレス状態にあったり、重度精神障害・薬物依存・アルコール依存などの問題を抱えていたりする人々だ。もちろん、一人の人に重なっていることもある。

?このような人々の「社会復帰」に際しては、10〜15年の時間をかけ、「シェルターなどの施設や病院からグループホーム、クスリも酒もやめて仕事ができることを認められたら、グループホームから一般の住まいへ」というステップを踏むことが一般的だった。しかし、「グループホームへ」「一般の住まいへ」というステップを上る前に脱落し、いつまでも一般の住まいへたどりつけないままの人々が多かった。

?発想を逆転し、「まず一般の住まいを提供する」ことを試みたのは、米国の精神科医・Sam Tsemberis氏だ。1992年、Tsemberis氏はニューヨーク市内でホームレス状態にある重度精神障害者や、同じくホームレス状態にある依存症患者に対し、シェルターではなく通常の住まいを提供した。「住まいがあればホームレス状態は終わる。簡単なことだよ」とTsemberis氏は語ったという(「Pathways to Housing」サイト内、「Pathways National History」による)。

?このアプローチは治療・社会復帰のいずれの面からも良好な成績を挙げ、その上にコストも減らせることが判明した。アパート家賃など住まいそのもののコストに生活を支援するための多様なコストを含めても、シェルターの74%、刑務所の25%、精神科病院の8%以下なのである。このことが広く評価されたため、2010年以後の米国では、「ハウジングファースト」の考え方を取り入れていない困窮者支援プログラムに対しては助成金が出にくいほどの状況となっている。

?今回は、2015年10月14日、東京・市ヶ谷の「JICA地球ひろば」で、医療・支援の専門家を主対象として開催された「ハウジング・ファースト国際シンポジウム ?なぜ住まうことから始める(ハウジング・ファースト)と回復(リカバリー)するのか?〜世界と日本の現場から〜」で発表された、米国ワシントンDCとフランス・マルセイユ市での実践から、米国とフランスでの状況を紹介する。

537とはずがたり:2015/11/30(月) 10:42:01

Amanda J. Harrisさんは、ワシントンDCで「ハウジングファースト」に取り組む「Pathways to Housing DC」の最高責任者だ。ソーシャルワークと公共政策の2つの修士号を持つHarrisさんは、「ハウジングファースト」の特色を、
「『ハウジングファースト』では、生活困窮者に対して最初に恒久的な住居、シェルターのような一時的な住居ではない住居を提供するわけですが、その際、条件を設けません。(アルコール依存症者が)断酒を誓ったりしなくていいんです」

?という。もちろん、依存症者が酒や薬物に手を出してしまい、住居や近隣との関係で問題を起こしてしまうことは起こりうるのだが、自分の行為の結果に責任をもつことも含めて「地域生活」だ。それにしても、シェルター・施設・病院の中ならば、被害は「一般市民」には及ばないかもしれないが、Harrisさんは、
「シェルターは、あまり良い場所ではないんです。自分の荷物が盗まれたりしますし」
?という。確かに、路上生活者向けシェルターにせよ、DV被害者のためのシェルターにせよ、シェルターを経験した人々が「良い場所だった」「快適だった」「楽しかった」と語るのを聞いたことはない。たいていは大部屋で、隣のベッドに来る人を選ぶことはできない。自分が数日ぶりの入浴と食事で一息ついたところに、妄想を語り続ける人がやってきたり、長期の路上生活で不潔な状態になった人がやってきたりする。ベッドには南京虫もいたりする。屋根があって食事は出るし、シェルターの外から危険がもたらされることはないが「短期間の仮の暮らしなら耐えられるかもしれない」という性質のものであるようだ。

?私は、自分なら耐えられそうにはない暮らしを、自分より悪条件にある人に「死ぬよりマシなんだからガマンすべきだ」と言う気にはなれない。自分より悪条件にあるということは、健康でいようとする力・ポジティブになる力・ガマンする力・そこでもできることを考える力・抜けだそうと考えて実行する力など、全ての力が発揮しにくくなっているということだからだ。

Harrisさんによれば、Pathways to Housingの活動のきっかけは、創設者である精神科医・Tsemberis氏が、刑期を終了して出所する人々や、精神科病院に入院している長期入院者に「何をしてほしい?」と尋ねたことであるそうだ。答えは、「アパートに住みたい」だった。Tsemberis氏は、その希望を叶えた。すると良好な結果につながり、コストも削減できることが判明したわけである。
「道義的に正しいだけではなく、安く上がるんです。病院・シェルター・刑務所にお金使うのは賢くないと社会が学習しました。2010年ごろからは、ブッシュ大統領が大きく後押ししてくれるようになりました。ハウジングファーストを取り入れていないプログラムには『費用対効果が悪いから』と資金が出なくなるほどの変化が起こりました」(Harrisさん)

?しかしながら、住宅手当とともにアパート探しを支援し、契約できたら「今日から、ここがあなたの住まいです」と支援終了、というわけにはいかない。… 「何年もホームレス状態だった人は、家族と縁が切れていますし、友人も少ないんです。コミュニティとのつながりを作るサポートも必要です」(Harrisさん)

「もちろん、リスクも与えることになります。失敗する権利も与えることになります。サービスを供給する側にとっては、怖いことです。でも、人間はすべてリスクや失敗とともに生きています。同じ権利は、すべての人に与えられなくてはなりません」(Harrisさん)

?80年代までの米国では、麻薬への依存は、脳に影響が加わったことによる身体の反応と考えられていた。しかしラットを使った実験で、そうではないことが判明した。ラットを麻薬依存症にした後、より魅力的な選択肢とともに麻薬を並べておいたら、ラットは麻薬を選ばなかったのである。

538とはずがたり:2015/11/30(月) 10:42:19
>>536-538
「なぜ、成功しやすく安上がりなのか」
フランスの調査研究からも明らかに

?フランス南部・マルセイユ市で「ハウジングファースト」を実践している精神科医のVincent Girard氏は、マルセイユ市とフランス全体での状況について講演した。Girard氏は移民が多い地域で育ち、移民の子どもが数多く通っている公立学校に通った。

?約6600万人の人口を抱えるフランスでは現在、全土で約14万人が「家がない」という正真正銘のホームレス状態にあり、350万人が「適切な住宅がない」という状況にある。ホームレス状態の人々は2001年から2012年にかけて44%増加し、うち30%は精神疾患を抱えており、平均寿命は一般の人々より30年〜35年程度短いそうだ。

「米国とは状況が異なります。比較的強固な福祉制度があるという意味では日本と似ていますが、米国・カナダのような公衆衛生文化は不在で、医師の権限が非常に強いです」(Girard氏)

?そのフランスでは、「いつかホームレス状態に陥るのでは?」と思っている人が多数いて、増加中ということだ。日本の場合、多様な差別とバッシングの対象となる生活保護受給者が、フランスの「ホームレス」と同様の位置づけにあるのかもしれない。そのフランスでは、どのような対策が取られているのだろうか?

「フランスのホームレス対策費は年あたり30億ユーロ(約4000億円)で、英国に次いでEU圏内で2位です。この他に、普遍的な住宅扶助があります。『社会政策は予防、医療政策は治療』と呼ばれています」(Girard氏)

?そのフランスで、ハウジングファーストの取り組みが始まったのは2006年のことだ。民間の運動体から始まった動きだったが、2010年には国の政策にも取り入れられた。

「ホームレス状態の人は、深刻な精神症状があっても回復できます。何年も路上生活ができた人は、とても賢明なんです。だから生き延びられたわけです。精神症状が出ていても回復する力がありますし、『自分の住まい』を手に入れて維持する力もあります」(Girard氏)

?現在、フランスの4都市で、ハウジングファーストの効果を評価する調査が進行中だ。対象となりうる人々を半分に分け、片方にはハウジングファーストの考え方に基く支援、片方にはこれまでの通常の支援を提供し、結果を検討するというものだ。2011年に始まったこの調査の結果は、今年、2015年に判明する。

「『世界を変える夢を見る』で終わらないためには、科学的な裏付けが重要です。米国の『ハウジングファースト』が素晴らしかったのは、1990年代にデータを集め、コストを明確にしたことです。政策立案者が知りたいことは、コストです。そして、ブッシュ大統領がハウジングファーストを推進しました。ブッシュ大統領が、優しい人、人を助けたい人ではないことは、みんな知っています。でも、そうしました。我々の時も、サルコジ首相でした。ブッシュに似ていました。似た人、世界中にたくさんいます」(Girard氏)

?そして Girard 氏は、「日本の現在の首相は、ブッシュ大統領に似ています」と言って、会場を笑わせた。

539とはずがたり:2015/12/02(水) 14:56:21
>厚労省は、「年金だけでは足りない1人暮らしの高齢者が増えている」と分析しています
下流老人ってやつか。。

生活保護受給世帯、過去最多を更新
TBS News i 2015年12月2日 13時51分 (2015年12月2日 14時50分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20151202/Tbs_news_47127.html

 全国で生活保護を受けている世帯が今年9月の時点で162万9598世帯となり、過去最多を更新したことがわかりました。
 厚生労働省によりますと、今年9月の時点で生活保護を受けている世帯は前の月と比べて874世帯増え、162万9598世帯でした。統計を取り始めた1951年以降で最も多くなっています。

 母子世帯や現役世代では減少傾向にありますが、65歳以上の「高齢者世帯」が増加していて、80万301世帯と全体のおよそ半数を占めています。

 厚労省は、「年金だけでは足りない1人暮らしの高齢者が増えている」と分析しています。(02日12:33)

540名無しさん:2015/12/07(月) 20:05:35
若年フリーターがそのまま高齢化しただけかと。

http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2015_1207.html
急増する「中年フリーター」
12月7日 18時20分

いま、中年のフリーターが急増しています。
35歳から54歳までの非正規労働者は、この15年間で2.5倍に増え、273万人に上っています。この中には、正社員になりたくてもなれず、アルバイトを転々とするなど不本意な形で働いている人も少なくありません。こうした「中年フリーター」とも呼ばれる人たちが高齢化する近い将来、社会的な負担が増えることも懸念されています。将来の生活に不安を抱える中年フリーターの実態と求められる対策について社会部の津武圭介記者と松尾恵輔記者が解説します。

中年フリーターの実態は

急増している中年フリーター。私たちは、都内の飲食店でアルバイトをしている38歳の男性から話を聞くことができました。
男性は、毎晩遅くまで働いて帰宅するのは午前0時過ぎですが、日当は7650円。週に5日ほど働いて年収は250万円余りです。

生活はギリギリで貯金をする余裕はないといいます。
男性がフリーターになったのは、大学時代の就職活動につまずいたのがきっかけでした。都内の有名大学に通っていましたが、就職活動を行ったのはITバブル崩壊で“氷河期”と言われた2001年。希望する会社から内定をもらうことはできなかったといいます。その後、引っ越しやビラ配りなどのアルバイトをして生活し、これまで正社員として働いた経験は一度もありません。
最近、長年交際していた女性とも別れることになり、男性はこうした生活から抜け出そうと正社員での就職を目指しています。しかし、40歳を前にして、アルバイトの経験しかないことが高い壁になっていると感じています。
男性は「学生時代は、将来、会社に勤めて家庭を築いていると自分の姿を思い浮かべていたが、こうした生活になるとは想像してもいませんでした。正社員になりたくても、年齢や経歴がハードルになってきて、このまま年を取ったらどうなるのか、とても不安です」と話していました。

支援に乗り出す東京都

総務省の調査によりますと、35歳から54歳までの非正規労働者(学生・既婚女性は除く)は規制緩和による働き方の多様化や、企業側が人件費を抑えようとしたことなどを背景に増え続け、ことしの時点で273万人と、この15年間で2.5倍に増えています。

国は、全国のハローワークなどを通じて支援に取り組んでいますが、企業は、若い人材を求める傾向が強く、30代以上のフリーターは敬遠されがちなのが実態です。

こうした状況を打開しようと、東京都は、ことしに入り、30歳から44歳の人を対象にした独自の就職支援に乗り出しました。そのひとつがビジネスマナーなど基礎的な訓練や企業訪問をしてもらい、3か月後に正社員になってもらおうというものです。先月下旬、都内の会場を取材すると、20人余りが新聞を使ったトレーニングに取り組んでいました。

配られた新聞から企業に関する記事などを選び感想を発表。みずから考え、表現する力を鍛えるのがねらいです。プログラムで講師を務める人材派遣会社の担当者は「アルバイトや派遣など非正規雇用の経験が長い人たちは指示待ちや受け身の姿勢が見られ、こうした課題の改善に力を入れている」と話していました。
また、企業訪問では希望する職種以外にも視野を広げてもらおうと、金融や建設、介護などさまざまな業種を訪ねていました。

受講者の42歳の女性は「自分には向いていないと思った業種でも実際に話を聞いてみると、興味が沸いてくることもあり、就職活動の幅を広げることにつながっています」と話していました。

541名無しさん:2015/12/07(月) 20:05:46
>>540

企業への働きかけも

東京都では、さらに、若い人の採用に偏りがちな企業側への働きかけも行っています。正社員を希望する中年の非正規労働者を試しに雇ってもらおうという取り組みで、期間となる1か月、東京都が給料を負担します。
この取り組みで働き始めた男性を取材することができました。坂元竹秀さん、41歳です。

坂元さんは、オフィス機器のシステム開発会社で営業社員として働いています。これまでアルバイトとしてコンピュータ関連の会社で作業員をした経験はありますが、営業の経験はありません。このため、当初は、営業の仕事は希望していませんでしたが、東京都の担当者から勧められ、今回、チャレンジすることにしたといいます。
一方、坂元さんの紹介を受けたシステム開発会社では、営業社員を募集していましたが人材が集まらず、頭を悩ませていたといいます。東京都からの申し出を受け入れ、営業経験のない坂元さんを試しに雇うことにしました。この会社の牧野幸雄社長は「営業経験がないために仕事を覚えるまで時間はかかるが、本人のやる気を評価して思い切って決断した」と話しています。

坂元さんは1か月の試用期間を経て、正社員として採用されました。慣れない仕事ながらも、これまでにない前向きな気持ちで働いているといいます。坂元さんは「今までは1年後に自分がどうしているかもわからなかったが、今は、仕事に励んでいる姿を思い描くことができる。正社員になれたことで安心感とやる気を感じています」と話していました。

問題解決に向けて

労働市場は今、人手不足と言われていますが、中年フリーターはその経歴や年齢から、いわば取り残されているというのが、今回の取材を通しての実感です。東京都は、人手不足のいまこそ、企業に対し中年の非正規労働者にも目を向けてほしいと変化を促しています。取り組みはまだ始まったばかりで正社員として採用されるケースはそれほど多くはありませんが、坂元さんのように働く側がこれまでの経歴にとらわれず、新しい仕事にチャレンジし、企業にとっても新たな人材の獲得につながるということになれば、ひとつの解決策になるのではないかと思います。
フリーターは多様化する働き方のひとつではあるものの、社会への影響も少なくありません。将来、高齢化した際に生活保護に陥るリスクも高く、社会保障などにかかる費用が14兆円に上るという試算もあり、より本格的な対策が求められていると思います。

542とはずがたり:2015/12/16(水) 02:56:15

年収600万円以上の大企業正社員が突然、貧困に! 低所得者を「自己責任」と突き放している中流クラスが危ない
http://www.excite.co.jp/News/column_g/20151215/Litera_1783.html
リテラ 2015年12月15日 08時00分 (2015年12月16日 01時56分 更新)

『今日からワーキングプアになった 底辺労働にあえぐ34人の素顔』(増田明利/彩図社)

 格差の広がりや社会保障の削減、競争の激化で、貧困層が急速に拡大している。本サイトはこれまで、高齢者、シングルマザー、奨学生、子ども、障がい者などの貧困についてレポートしてきたが、今や貧困はそういった社会的弱者だけのものではなくなってしまったようだ。

『今日からワーキングプアになった 底辺労働にあえぐ34人の素顔』(増田明利/彩図社)では、学歴もあり、新卒で正社員として就職できたフツーの人たち、ある時期までは中流以上だった人たちの"貧困"が赤裸々に描かれている。

 大学を卒業後、広告代理店に勤務した山口拓男さん(50歳)は順調に出世し、制作部長となった。もちろん賃金も高かったという。

 会社は各種企業のカタログ、ポスター、パンフレットなど紙媒体の広告宣伝物の企画、デザイン、制作や地方テレビ局のCMまで手掛けていた。

「社員の総数は20人の小所帯なんですが常にライター、デザイナー、カメラマン、映像作家、たまにですがタレントさんも出入りしていていつも賑やかでした」

 そんな山口さんだったが、東日本大震災で状況は一変する。企業の経費削減傾向が強まり仕事が減り、会社の資金繰りが逼迫。事業を停止する事態となり失業した。そうなると家計は途端に苦しくなる。住宅ローン、税金、2人の子どもの教育費。解約した定期預金は200万円になった。しかし50歳間際では再就職もままならない。

「失業手当が切れてからは、アルバイト、パート、期間限定の非正規労働を継ぎはぎして日銭を稼ぐような感じだね。(略)時給はどれも1000円が目安ですね」

 妻もパートを始めたというが生活費として使えるのは12〜13万円。家族4人ではかなりギリギリの生活だ。高脂血症で通院していたが、しかし月4800円ほどかかるので通院をやめたという。

 また工業系大学の情報工学科を卒業した垣沼寛貴さん(44歳)も、卒業後ソフトウェア開発会社に就職し、その後同業他社に引き抜かれ年収600万円ほどの給与を貰っていた。妻もインテリアデザイナーとして働いていたので世帯収入は1千万円以上。しかし勤務から10年目の2008年頃にリストラにあい失業してしまう。

 通算15年のキャリアがあった垣沼さんだが、再就職の活動をする中で糖尿病を発症していたことが判明。このことで、再就職は困難を極めた。そのため健康食品のフランチャイズに手を出したがこれも失敗。

「蓄えを取り崩すだけでなく、子どもの学資保健まで解約したりカードローンで借金を作ってしまったものだから妻がブチ切れてね。小学4年生の娘を連れて実家に帰ってしまった」

 その後離婚となった垣沼さんだが、仕事は月16万円ほどのパートのかけ持ち。家賃も滞納して家を追い出された。

543とはずがたり:2015/12/16(水) 02:56:31
>>542-543

「とりあえず手持ちのお金約2万円とスーパーのポイントカードで貯めた8000円を現金化してここ(山谷)に来たのが去年(13年)の8月でした」

 こうして日雇い労働者が集まる山谷で日雇い労働で月10万円ほどを稼ぎ、ベッドハウスや、マンガ喫茶で生活をする日々だという。 

 数年前まで、IT企業の一線でプログラマーとして年収600万円も稼いでいても、リストラ、そして健康問題が重なればたちまち行き詰まり、家も無くし日雇い労働に頼るしかなくなる。

 また意外に思えるかもしれないが銀行マンも貧困とは無縁ではないという。

 大学を卒業して、中京地域に本社を構える地方銀行に就職した永島圭介さん(26歳)の手取り給与は17万円。ボーナスを含め年収は280万円ほどだ。銀行は初任給が抑えられるが、順調に昇格すれば30代前半で500万円、40代では700万円ほどの年収になる。

 だからといって安泰とは決して言えない。

「1年上の先輩の代は80人中12人くらい辞めているらしい。ノイローゼになったり失踪した人もいるという噂です」

 銀行の仕事は決して奇麗ことばかりではない。プレッシャーも大きい。そのために辞めていく人も多いのだ。そうしたことを見てきた永島さんは切り詰めた生活を送っている。さらに将来にも漠然とした不安さえある。

「お上は地銀は1県1行体制にする構想を持っている。そうすると下位行のうちなんか飲み込まれる方だからリストラされる確率が高い。そうはならなくともある年齢に達すると関連会社に出されたり取引先に転職させられることもある。最後まで銀行員でまっとうできるのは一握りですから」

 他にも日本郵政の社員アルバイトとなったが5年経っても年収230万円ほどで正社員になれない30代男性、公立図書館に務めているが民間委託された管理運営会社の社員で年収200万円。そのためスーパーでパートもこなす30代の女性など、一見安定して堅い仕事だと思われている職業、職種にも貧困は大きな口を開けて立ちはだかっている。

 本書では34人の様々な"貧困"にスポットを当てた上でこんな指摘がなされている。

「問題なのは中流以上のポジションにいて危機感の希薄な人たちだ。『ふーん、世の中にはこんな貧乏人がいるのか』『こんな稼ぎで恥ずかしくないのかね』『自分の毛並み、経歴は一級品。間違ってもこんな惨めな人間に落ちぶれることはない』『ただ文句を言っているだけ、自己責任でしょ』。こんな感想を持つ人が多いのではないかと思うが、実はこういう人がデッドラインにいることがある」

 しかも彼らはそのことに気づかないばかりか、消費増税、法人減税、社会保障や生活保護の削減といった、自分たちのセーフティネットを断ち切るような安倍政権の格差助長政策を積極的に支持し続けている。

 彼らに、自分たちこそが将来、強者の餌食になってしまうということをわからせるためには、いったいどうすればいいのだろうか。
(伊勢崎馨)

544とはずがたり:2015/12/20(日) 00:34:01

高齢者の「貧困率が高い国」 1位韓国、日本4位
Forbes JAPAN 12月15日(火)13時30分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151215-00010540-forbes-bus_all

OECD加盟国の65歳以上人口のうち、12.6%が相対的貧困層に属することが最近の調査でわかった。相対的貧困層とは、所得がその国の世帯平均の50%に満たない集団を意味する。統計全体では高齢の女性は男性よりも貧困状態に陥るリスクが高い。この傾向は75歳以上のグループをそれ以下の年齢集団(66歳以上75歳未満)と比較した場合に、明らかになっている。

OECDのレポートによると、65歳以上の貧困率が最も高い国は韓国で、その割合はなんと50%にのぼる。オーストラリアとアメリカでも年金生活者の貧困率が高く、それぞれ35.5%、21.5%となっている。一方、年金生活者の貧困率が低いのはオランダとフランスだ。韓国では年金制度が十分に整っていないことが、高齢者の貧困率の高さにつながっていると、レポートは述べている。

OECD加盟国の65歳以上の貧困率

データ出典元:Pensions at a Glance 2015, OECD and G20 indicators

Niall McCarthy

545名無しさん:2015/12/20(日) 13:32:30
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151217-00000002-jct-soci
「生活保護者が朝からパチンコはよくない」 別府市の「巡回」「支給停止」にネットで称賛相次ぐ
J-CASTニュース 12月17日(木)18時22分配信

 大分県別府市がパチンコ店など市内の遊技施設に「生活保護受給者」がいないか巡回調査し、見つけた受給者の支給額を減額していた。ネット上では「どんどんやれ」「当然ですな」と称賛の声が巻き起こっている。

 今から2年前にも、生活保護費の不正受給やギャンブルへの使用を禁止した「小野市福祉給付制度適正化条例」が兵庫県小野市で施行されたことで、多くの賛辞が寄せられた。

■「市民感覚からすると、受け入れられないでしょう」

 別府市の調査は、2015年10月の計5日間、市職員35人が市内にある13のパチンコ店と市営別府競輪場を巡回。見つけた生活保護受給者25人を一人ずつ市役所に呼び出して注意し、次の巡回で再び見つけた場合は1か月分支給額を大幅に減らした。

 市によると、こうした調査は少なくとも25年前から年1回のペースで実施されていた。巡回する時間帯は10時頃から16時頃まで。3回以上見つけた受給者については、2か月にわたって支給額を減らした。

 これまで大きな問題は起きておらず、「パチンコ店からも苦情は来ていない」という。ただ、その調査内容自体は12月15日の市議会で初めて外部に明かされ、16日付け朝日新聞電子版に報じられた。

 調査を始めた理由について市の担当者は、「別府市は他都市に比べて生活保護の受給率が高く、遊興施設も多いです。市民感覚からすると、受給者が昼間からパチンコ店に入り浸る様子は受け入れられるものではないでしょう」と話す。

 実際、受給者が遊技施設に出入りする様子を見た市民から頻繁に苦情、抗議が寄せられていたようで、「(苦情が)来ない日はないくらいでした。今でも週に2〜3回は受けています」と明かした。そのためか、朝日新聞の報道後に寄せられたメールのほとんどが市の取り組みを「励ます」ものだったという。

市担当者「人権には十分配慮していると考えています」
 また、以前から生活保護制度そのものに否定的な意見が多いネットでも

  「どんどんやれ」
  「これを皮切りに全国展開だ」
  「当然ですな」

と別府市の対応を評価し、応援する声が湧きあがっている。

 ただ一方で、「受給者への人権侵害になるのでは」との指摘も上がっているのも事実。報道によると、厚生労働省は「調査は適切でない」との見解を示している。

 前出の別府市担当者にこの点をぶつけると、「人権には十分配慮していると考えています。受給者がパチンコを一切してはいけない、と言っているのではなく、『朝や昼間からパチンコ店に入り浸るのは良くない』というだけです。職員の巡回しない夜間については、あえて勧めませんが、(受給者が)気晴らしで行くことを厳しく咎めません。もちろん受給者にも楽しみが必要だと認識しています。ただ、出来れば地域活動やボランティアなどギャンブルとは違う部分で発揮して頂きたいとは思っていますが」との答えが返ってきた。

 実は、2013年にも今回と似たような議論が巻き起こっている。きっかけはこの年に兵庫県小野市で施行された「小野市福祉給付制度適正化条例」だ。同条例は、生活保護や児童扶養手当の受給者が過度の浪費で生活できなくなる事態を防ぐために作られ、生活保護費を不正受給したり、ギャンブルに使ったりするのを明示的に禁止する珍しい内容だった。

 支給の厳格化を目指すものと受け止められたためか、ネットでは称賛の声が比較的多かった。

546とはずがたり:2015/12/20(日) 19:25:36
沖縄の貧困率は全国平均の2倍、その深刻な理由
ダイヤモンド・オンライン 12月18日(金)8時0分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151218-00083468-diamond-soc

戦後70年。沖縄の本土復帰からは43年が経過した。しかし沖縄は現在もなお、深刻な貧困問題を抱える。特に、沖縄の子どもの貧困の「これから」と「いま」には、どのような特徴があるのだろうか? 

● 戦後70年の節目に 全国のケースワーカーが沖縄へ

 2015年11月27日・28日・29日の3日間、沖縄県宜野湾市において、全国公的扶助研究会の主催する「第48回全国公的扶助研究会全国セミナー」が、「戦後70年 今問われる 貧困・格差・不平等 〜沖縄で考える『命・くらし・平和』」というテーマのもとで開催された。参加者は約450人。うち約150人は離島も含む沖縄県からの参加者だったが、約300人は沖縄県以外からの参加者だった。

 「全国公的扶助研究会」は、前身から数えて50年の歴史を持つ研究会で、中心となっているのは福祉事務所で働くケースワーカーたちだが、会員の中には、関連する福祉職・公的扶助の研究者なども多数含まれている。…日本の生活保護・日本の貧困の「今」を知り、「どう解決していくことができるのか? 」を公共の果たすべき役割とともに知ろうとするならば、毎年晩秋〜初秋に開催されるこの全国セミナーは、絶好の機会なのである。
 この全国セミナーでは、毎年、初日に全般的な問題に関する基調講演などがあり、2日目・3日目は個別具体的な問題(例:就労支援・政策研究・子どもの貧困対策・精神障害者支援……)をテーマとした分科会の数々が開催される。

 今回は、基調講演で語られた沖縄の背負ってきた歴史と現在の沖縄の貧困の関係、2日目の「子どもの貧困」分科会で自らの経験を語った20代女性の話を中心に紹介する。

● 子どもの貧困率は全国で一番 貧困が止まらない3つの背景

 初日の2015年11月27日、プログラム全体の冒頭に、山内優子氏(沖縄大学非常勤講師)が記念講演を行った。1947年に石垣市で生まれた山内氏は、1970年に沖縄県庁に就職し、以後、女性相談所や児童相談所に30年間勤務。沖縄県中央児童相談所長を最後に沖縄県庁を退職し、その後も、沖縄の子どもの貧困問題への取り組みを続けている。2012年に制定された「沖縄振興特別措置法」に子育て支援・困難な状況にある青少年の支援に関する条文(第84条の4)が含まれたことも、山内氏の熱心な働きかけの成果として知られている。

 山内氏は最初に、概況から語りはじめた。県別の貧困率に関する最新データは2007年のものだが、全国の相対的貧困率が14.4%であったのに対し、沖縄県は2倍以上の29.3%だった。母子世帯率・児童扶養手当の受給率も、沖縄は全国の概ね2倍にあたる。生活保護率は全国で5位。10代女性が母親になる若年出産率は11.7%。いずれも、貧困の深刻な状況を伺わせる数字である。

 ついで山内氏は、

 「ひとり親世帯の貧困率は全国で54.6%ですけれど、沖縄県は全国で一番、貧困の子どもが多いんです」

 と、沖縄の子どもたちの貧困の状況を語りはじめた。高校進学率・大学進学率では全国を下回り、高校不登校率・高校中退率では全国を上回る。非行少年の補導率は全国の6倍。中卒後・高卒後の進路未決定率は全国の3倍という。深刻な状況を物語る数字の数々に、会場から重い溜息が漏れた。私も溜息をついた。この状況で生活保護率が高くならないわけはないのである。

 山内氏は、そのうち大きな背景は3点であると考えているという。

 1点目は、第二次対戦末期の沖縄戦が地上戦で、子どもも巻き込まれたこと。沖縄戦では県民12万人が犠牲になり、人口比では4人に1人である。犠牲者を年代別に見ていくと、10歳未満が2万4000人、10代が2万人、20代が2万8000人。合計で7万2000人。死者の60%は20代以下だったということになる。

 この事実を山内氏は「これからを担う世代と子どもが数多く死んでいるんです」と伝えながら、写真を何点か紹介した。米軍が設置した孤児院に収容されている子どもたちが全員、子ども服が用意されていなかったために全裸でいる写真・下半身に着るものがない孤児院の男の子が、局所を隠すために脚を組んでいる写真。もちろん、住環境も行政機能も何もかも、戦争で失われた。役所が爆撃を受けて戸籍が消失したことによる問題も発生する中での「すべて焼き払われた中からの、ゼロからの出発」(山内氏)だったという。

 2点目は、米軍の統治が1972年まで続いたことである。まず、沖縄戦で孤児となった子どもたちを米軍は一時的に孤児院に収容したが、養育し続けるつもりはなかったらしく、その後は県内で引き取り手を探した。簡単な手続きで子どもたちは引き取られていき、「新たな悲劇」(山内氏)につながったという。

547とはずがたり:2015/12/20(日) 19:25:49
>>546-547
 子どもの育ちを守るための法制度整備の動きも、占領下の沖縄では遅れざるを得なかった。本土ではGHQの指令により、1947年には「保護を必要とする子だけではなく、すべての子どもが対象の素晴らしい法律」(山内氏)である児童福祉法が制定され、同法に関連して授産所・母子寮・児童館が開設された。家賃無料の母子寮の中に学童保育があり、働く母親の帰りを子どもたちが待つための場が設けられたりもした。

 しかし沖縄県では、すべてが1953年に琉球政府が成立して以後のこととなった。基地は作られたが、学校は毎年の台風で飛ばされる劣悪なもの。児童相談所の設置は1954年のことであった。この後、捨て子・家出児童・浮浪児・人身売買の問題が表面化する。子どもが米軍基地内の食糧を盗もうとし、射殺されたり軍法会議にかけられたりすることもあったという。人身売買や家出児童の問題1955年以後に増加した。山内氏は「引き取った孤児を育てられなくなったのでは」と見る。

 この他、本土では1956年に制定された売春禁止法が沖縄にはなかったことから、「性的問題児」も発生した。1969年に122件があったという。米軍相手の管理売春に少女が巻き込まれており、幸いに保護されれば、本人が「問題児」とされるのである。また青少年非行・長期欠席児童の問題も大きく、1964年には長期欠席児童が小中学合わせて913人。学校に行きたくても行けないことから「親のある孤児」と呼ばれていた。この時期、山内氏は高校生で、小学校にも中学校にも行けない子供がたくさんいることにショックを受けたという。

 山内氏は最後に、1972年の本土復帰後についても述べた。戦後27年間の格差是正のための経済復興計画に、実に8兆円が投入されたが、対象は主に「道路・ダム・箱もの」。沖縄の地元に還元されなかったため「ザル経済」と呼ばれ、その間にも子どもの貧困は深刻化し、格差は拡大していった。…

● 「大学生がまぶしかった」 貧困の連鎖から脱出しつつある女性

 現在の沖縄県が抱えざるを得ない構造的・歴史的な問題に引き続き、沖縄県の20代女性・Sさんの話を紹介したい。Sさんは2日目の2015年11月28日、「子どもの貧困」に関する分科会で、貧困家庭に生まれて乳児院・里親・社会的養護のもとで育った自らの体験を話した。7人きょうだいの6番目にあたるSさんは、小学4年だった10歳から大学生だった20歳までの時期を、兄姉・弟たち6人とともに養護施設で過ごすことになった。

 Sさんは、養護施設の学習ボランティアだった琉球大学の女子学生に、
 「きれいで優しくて、『大人になったら、あんなお姉さんになりたい』と憧れた」
 という。学校で「施設の子」と差別され、施設にもなかなか馴染めず孤立しがちだったSさんは、「話を聞いて、自分のために時間を使ってくれる、初めての大人」であったその女子学生に、多大な影響を受けた。女子学生は、小学生だったSさんに、
 「勉強すれば選択肢が広がる。あなたも選べるようになる。選べるようになるための力をつけよう」
 という言葉をかけつづけ、Sさんの大学入学後まで寄り添い続けた。Sさんは見事、琉球大学に入学した。

 ところが大学で思い知ったのは、「自分は困窮している」という事実だった。20歳までは施設にいられるものの、その後はアパート生活。生活のためにバイトが不可欠、多い時には4つのバイトを掛け持ち。同級生の多くは、親の援助があり、バイトをしなくても生活ができ、運転免許も自動車も親の援助で所有していたりする。Sさんは、
 「友達と遊べないし、飲み会にも行けない。同じ社会に生きているはずだけど、違う社会の気がしました。同じ琉大生だけど、同じ学生と思えなくなりました」

 という。Sさんはその後、いったん大学を除籍となったが、「その後」を気にし続けていた施設職員・経済的支援を提供してくれた人々などの人的・経済的援助のもと復学。しかし、やはり居心地の悪さがつきまとう大学生活だった。

 そのころ、生活保護を利用していた両親が病気で入院。兄姉たち・弟は、結婚した相手や子どもと一緒に生活保護を利用して暮らしており、両親のために動けるのはSさんだけ。必死の対応を続けているうちに、結局は退学に至った。…

 この後、バイトでの仕事ぶりを評価した上司から「正社員になっては」という話があり、現在のSさんは、沖縄県の大手企業に正社員として勤務を続けている。…

 Sさんに、紆余曲折はあったとしても正社員としての現在があり、希望と実現を積み重ねていけそうな将来があることを、私は心から喜びたいと思う。しかし、Sさんの現在は、幸運と本人の努力によってご本人一人にもたらされた例外的な「まずまず」である。どのような状況の子どもにも「希望に向かって歩む」が可能になるために、誰が何をすることが必要だろうか? 

みわよしこ

548チバQ:2015/12/21(月) 21:58:13
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151220-00000042-asahi-soci
「うちはこれ以上無理」母子家庭、諦めさせたバスケの夢
朝日新聞デジタル 12月20日(日)23時22分配信

「うちはこれ以上無理」母子家庭、諦めさせたバスケの夢
保育園が閉まる直前に駆け込む北海道の女性。「おなかすいた。早くおうち帰ろう」と息子たちは車へ急いだ=内田光撮影
■子どもと貧困 シングルマザー編

 ジリリリリリリン。

 午前5時45分、携帯電話のアラームが鳴り出す。聞こえてはいるが、体は鉛のように重い。5分後、また鳴る。10分後。3度目のアラームで、北海道に住む介護職の女性(43)は体を布団から引きはがす。

 高1の長女(16)は部活の朝練へ。女性は長男(6)と次男(2)に食パン1枚を半分ずつ食べさせ、保育園に送る。7時半には職場の介護つき住宅に着く。

 職場では一日中立ったり座ったり。病院や役所にも足を運ぶ。甲状腺に持病もあり、調子が悪い日は汗が止まらない。職場の食堂で午後2時に食べる200円の定食が一番まともな食事。朝は食べず、夜も自分はご飯と砂糖だけだ。

 保育園が閉まる直前に滑り込む。帰って夕食を食べさせ、午後10時までに寝かしつける。洗濯と翌日の夕食の準備をし、持ち帰った仕事をこなし、午前2時すぎに眠りにつく。

 長女を連れ27歳で離婚。資格を取って働けば安定すると思い、介護の職場で長くパートなどで働いた。月収は手取りで約18万円。別の男性との間に長男、次男が生まれたが、結婚はしなかった。子どもが小さいうちは夜勤をやめ、手取りは一時11万円に減った。

 今年10月、正社員になったが、月収はパートの時とほぼ変わらない。正社員は全員ひとり親。パートも含め、子どもの病気で急に休むことも少なくない。勤務変更に追われ、土日出勤も多い。

 そんな暮らしの中で、諦めさせたこともある。

 長女は小1から校区のミニバスケットボールチームに所属。全国大会に行くほどの強豪で、小5でレギュラーになった。月謝の4千円に加え、遠征費が年15万円以上かかった。他の親のように遠征に同行できない代わりにと、夜練習の送迎を任された。1年は踏ん張ったが、小5の3月、長女に伝えた。

 「全国大会行けるけど、うちは、これ以上は無理なんだよね。6年生から転校しない?」

549とはずがたり:2015/12/23(水) 16:46:45

就職率はハローワークの2倍以上 横浜のジョブスポット
http://news.goo.ne.jp/article/kanagawa/bizskills/kanagawa-34066127.html
12月20日 12:09神奈川新聞

 横浜市がハローワークと連携して生活保護受給者らを就労支援する「ジョブスポット」が各区役所内に順次開設され、就職率を着実に上げている。2015年度は60.7%(9月末現在)でハローワークの約2.6倍に上る。利便性の良さに加え、専門の職業相談員がマンツーマンできめ細かい相談に応じられることなどが要因。市は本年度中に全18区で設置を完了する。
 ジョブスポットは2013年にスタート。区役所内の一角にハローワークの職業相談員3人が常駐している。生活保護受給者らは、日ごろ相談を受けている区の就労支援専門員を通じて、最寄りのジョブスポットを利用できる。相談は原則予約制で週1回程度。自己分析や書類記入、面接のアドバイスのほか、事業所とのマッチングなども行う。
 市によると、ジョブスポットでの就職率は13年度が48%、14年度が56・5%、本年度は60%台と堅調に推移している。今月には港南区と緑区でスタート。残る西、金沢、南の3区も本年度中に開設する。
 就職率がハローワークに比べて高い要因について、港南区の男性相談員は、同じ担当者がマンツーマンで定期的に対応できるため、相互に信頼関係を築けることが大きいと指摘。一方、ハローワークの個別相談は予約待ちになることもあるという。男性相談員は「これまでの経験を生かし、相談者の特性を把握して一日も早く就職につなげたい」と話す。
 9日に行われた市会本会議で高橋徳美氏(自民党)の一般質問に対し、林文子市長は「区役所内に設置されているため、支援を受けている人が利用しやすい。(区の福祉サービスとジョブスポットによる)一体的な支援が実績に結びついた」と述べた。

550チバQ:2015/12/26(土) 12:46:34
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151226-00504429-shincho-soci
中年フリーターの「老後破産」で生活保護費が5倍に いま政治家が取り組むべきは「中年フリーター対策」だ
デイリー新潮 12月26日(土)7時30分配信

 少し前まで夢ある子育て世代だったはずの中年の間に、フリーターが激増している。滅入る話は、そこに止まらない。彼らが老後を迎えたとき、一斉に「老後破産」状態に陥って、生活保護費が今の何倍にも膨らみかねないという。日本を覆すような話なのだ。ノンフィクション・ライターの白石新さんがリポートする。

 ***

 フリー・アルバイターを縮めた造語であるフリーターとは本来、少年や青年、いずれにせよ若者を対象とした言葉だったはずだが、最近、“中年”と呼ばれる世代のフリーターが激増している。

 彼らの収入は月15万から20万円程度と、生活保護受給者とあまり変わらず、家賃と光熱費を支払ってしまえば、やっと食べていける程度しか残らない。もちろん、年金を納める余裕などないし、それどころか、健康保険料すら支払えない。

 そんな人たちが増えているのはなぜなのか。そのことは近い将来、想像を上回る「老後破産」社会が到来することを暗示しているのではないだろうか。

■中年フリーター高田さんの場合

「不安は、ないんです。ただ……」

 と言葉を濁したのは、45歳になる高田淳史さん(仮名)だ。ある離島出身の高田さんは、高校卒業と同時に神戸にある石油関連企業に就職した。まだ、バブル真っ盛りの時代である。だが、それから数年して、

「阪神大震災があって、会社の先行きがあやしくなったんです。なにもかもが壊れてしまったあの地震のあとは、ぼくの価値観も大きく変わってしまって」

 勤め先の将来に不安をおぼえて退職し、東京に出てきたという高田さん。いったんは、ある会社に正社員として入社したものの、すぐに退職してしまった。それ以来、ずっとフリーターである。いろんな仕事をしてきたが、ここ5年ほどは、百貨店などの催事で使う冷蔵庫などの什器をリースする会社で働いている。といっても、日雇いである。おもな仕事内容は、冷蔵庫などの設営と撤去だという。

「早くて2週間前に、急なときは当日なんてこともありますが、会社から〈○月○日に○○百貨店○○店へ行けますか〉といった内容のメールが届くんです。自分の体力と相談して、1日にどれだけの仕事を掛け持ちできるか考えてから返信します。賃金は1現場につき4500円です」

 平均すれば、1カ月に30カ所ほどの現場を回る。4500円の“基本給”は1現場につき5時間までの金額で、労働時間がそれを超過すれば1時間1000円の残業代が支払われる。こうした合計で、手取りの月収は多いときで15万円ほどになるという。

「まず家賃を払います。次に光熱費。残りのお金でなんとか生活するという感じですかね」

 高田さんの自宅は東京都内にある。ひとり暮らしだから、なんとかギリギリの生活はできると語るが、

「蓄えはありませんし、年金も払っていません。病気になったりケガをしたりすれば、立ち行かなくなるのはわかっています」

 仕事は軽くない。生活にもまったく余裕がない。しかし、意外にも会社からは、それなりに“いい扱い”も受けているという。

「設営場所の周囲には高価なモノも置かれたりで、それなりに緊張感がある現場なので、なにも考えないで労働できる、というわけではないんです。それに、慣れる前に辞めてしまう人も多いだけに、長続きすると、会社も優先的に仕事を回してくれたり、仕事内容が比較的ラクなところを斡旋してくれたりするんです」

■ブラック企業の正社員にはならない
 会社から一定の評価を得ているのだろう。そうであれば、正社員にならないかと打診されたりしないのだろうか。

「そういう声をかけられることもあります。でも正直なところ、ぼくのような立場の、会社が責任を負わずにすむ人間を大勢雇っている会社は、本質的にブラック企業なんですよ。一部のポストに就ける人は潤っていますが、そうでない人は、精神を病むほど異常な量の雑務をやらされ、追い込まれているのを見ていますから。安易に正社員になったりすれば、それこそ病気やケガをするのと同じ結果が待っていると思います」

 そう冷静に分析する高田さんだが、その口調は重くはなく、意外なほど飄々としている。ただし、達観しているのではない。諦観しているのである。

「この時代にいまから正規雇用されることなんて、まずないと思っていますから。独身ですし、最後は国のセーフティネットに頼るしかないですよね」

551チバQ:2015/12/26(土) 12:46:56
■失われた20年で非正規雇用が爆発的に増加

 高田さんのような非正規雇用の、いわゆるフリーターが目立ちはじめたのは1990年代半ばごろのことだった。以来、その数は増えつづけている。

 厚生労働省によると、雇用者に占める非正規雇用者の割合、すなわち非正規雇用率は、80年代半ばには十数%だったものが、今年は40%近くにまで達している。いまや、この国の労働力の5人に2人、実に2000万人以上が非正規雇用者というのが実情なのだ。

 労働経済ジャーナリストの小林美希氏によると、

「80年代後半、自由な働き方を示すものとして“フリーター”という言葉が誕生する一方、労働者派遣法などが改正され、企業が責任を負わずに簡単に労働力を確保できるようになりました。その後、折からのバブル崩壊で、93年大学卒業組からはじまる、いわゆる“就職氷河期組”がどっと社会に出ました。彼らが不本意ながら非正規雇用で就労した結果、非正規雇用者は爆発的に増えたのです」

 それから、およそ20年が経過したが、

「景気は回復せず、“失われた10年”が“失われた20年”になるとともに、フリーターたちは中年世代にさしかかっています。彼らの多くは、老後を考えて生活を変えたくても、いまの職場から動けないという状況におかれている。休んで収入がストップしたら、生活が立ち行かなくなるからです。ほかの可能性を考える精神的な余裕もなくなっています」(同)

■中年フリーター馬場さんの場合
 続いて紹介する馬場弘明さん(仮名)は、現在46歳。すでに同じ仕事を10年以上つづけている“熟練”の中年フリーターである。九州出身で、大学を卒業すると、いったんはコンピューター関連企業にSEとして就職したそうだが、

「企業体質が合わなくて、研修期間中にやめてしまいました。以来、フリーター暮らしで、もう15年間、空調設備のメンテナンスをやっています」

 メンテナンスと一口に言っても、その内容は細分化されており、およそ100項目にものぼるという。仕事に赴くのは都内が中心だが、時に地方への出張もあるそうだ。

「空調設備が置かれているのは、狭い場所がほとんどなので、無理な姿勢がつづくのがつらいですね。時間帯も、相手先の都合などによって早朝から深夜まで不規則なので、体力的には最近、かなりきつくなってきました。そのうえ老眼がすすんできたので、細かい作業の時は、目がつらくて本当に困ります。近視なのでコンタクトレンズを使っているのですが、老眼になると、近くを見るのが本当に難しくなるんです」

 そう言って笑う馬場さんの表情からは、苦悩が透けて見える。それでも、15年間、この仕事ひとすじに磨いてきた腕をもってすれば、それなりの見返りは得られるのではないだろうか。

「毎月、1カ月ほど前に提示される予定表に、働ける日を書き込みます。1現場あたり1万円の日雇いです。夜勤の時は1万2000円になりますが、体力的にきついので、あまりたくさんの仕事を詰めこむことはできません。毎月、だいたい12から13カ所の現場に出ていて、それでなんとか生活できる感じですかね」

 むろん、生活できると言っても、ギリギリである。

「年金も払ってないし、生活に余裕はありません。好きな音楽活動をつづけるためには、自由な働き方はいいんですが、時々、ひとりっきりになると、いろいろ考えますね。友人からはよく“孤独死するよ”と言われるんです」

 それでも馬場さんに、いまの生活を変えようという気持ちはない。

「実家の両親は、僕に結婚してほしいと思っているみたいなんですが、いまは交際している女性もいないし、結婚なんてまったく考えていません。この仕事をやめて、ほかになにかがあるという気もしませんね」

 そこまで語って、馬場さんはぽろっと漏らした。

「“日本は厳しいな”とは思います」

552チバQ:2015/12/26(土) 12:47:21
■簡単に立ち行かなくなる
 たしかに、日本の状況は日に日に厳しくなっているが、そのことは、中年フリーターの増加と軌を一にしていると言っていい。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、35歳から54歳までの非正規雇用者(女性は既婚者を除く)の数は今年、273万人を超えた。これは大阪市の人口を若干上回る数字である。前出の小林氏はこう指摘する。

「デフレがつづいているかぎりは、彼ら中年フリーターも、たとえギリギリであっても、衣食住をまかなって生活を維持することができます。しかし、一度物価が上昇すれば、たちまち立ち行かなくなります。それに、いまは働いているからなんとか生活できていても、老後になればすぐに限界が訪れます。たとえば、健康保険料を払っていないから、体調を崩してもなかなか病院に行かない。病状が悪化してようやく医者にかかったときには、自己負担の医療費が大きくのしかかってくる。年金も払っていないから受給できません」

 その結果、どうなるのかと言えば、

「将来、生活保護などの社会保障費が、爆発的に増えることになってしまうと思います」(同)

■中年フリーターの増加で生活保護費が5倍に

 まさに「老後破産」へと向かってひた走っている感のある中年フリーター。これまで時代に翻弄されてきた彼らだが、将来、「老後破産」を迎えるようになった時、日本の社会保障費はいったいどれほど嵩むことになるのだろうか。小林氏はこう予測する。

「2008年に政策研究機関であるNIRA(総合研究開発機構)が発表したレポートでは、今後、就職氷河期世代が老人になった際には、生活保護に必要な予算が、約17兆から19兆円にのぼると試算されていました。非正規雇用の人々が現状のまま放置されつづければ、実際にそのくらい、あるいは、それ以上のコストがかかることになってしまうでしょう」

 ここ数年、生活保護の給付総額は年間3兆円台だから、その増加ぶりは、すさまじいばかりだ。17兆円といえば、先ごろ新規上場した郵政3社株の時価総額と、ほぼ同額であるが、それ以上に、日本の一般会計予算の5分の1に近い金額だと言ったほうが、より衝撃的かもしれない。

 それほどの巨費が、単年度の生活保護費として必要になるというのだ。しかも、それらはまさに、中年フリーターたちの“老後破産対策費”と呼ぶべきものなのである。

■非正規雇用者を正社員にできないのか? 
 ところで、先に紹介した2人の実例には、驚かれた読者も多いと思うが、

「1カ月で十数万円稼げる中年フリーターは、実はまだ勝ち組なんです」

 そう語るのは、一般社団法人officeドーナツトーク代表、田中俊英氏である。不登校、ニート、引きこもりから貧困問題まで、長年、子どもや若者の支援活動に従事してきた田中氏は、中年フリーターに接して、こう実感するという。

「ようやく仕事に就けても、時給800円程度のアルバイト。グローバリゼーションのなかで、一度この流れにはまってしまったら、もう正社員にはなれないし、月収が手取り15万円を超えたらラッキー、という人々が、非正規雇用者のなかにはかなりいます」

 このような流れを変えるべく、行政も取り組みはじめてはいる。たとえば東京都は、今年から「東京しごと塾〜正社員就職プログラム〜」を開始した。30歳から44歳という、まさに中年フリーター世代を対象に、3カ月の職務実習を経験させ、正社員として働けるようにうながす、という支援活動である。

 それに対して、前出の小林氏は、

「企業にとって、非正規雇用の労働力はメリットが大きく、大幅に控えることはできませんが、その一方で、雇用の分かれ目が人生の分かれ目になっているのが現状ですから、行政が乗り出して正社員化をうながすことは必要でしょう」

 と、一定の評価をしながら、続けてこうも言う。

「こうした支援に積極的に参加できるのは、おそらくなんらかの方法で、自ら現状を打開できるような人が多い。ですから、むしろこうした取り組みに挑めない人を支援する方法がないかぎり、中年フリーターが減るようなことにはならないと思います」

553チバQ:2015/12/26(土) 12:47:42
■最後は国のセーフティネットに

 このままでは中年フリーターと、彼らが行き着く将来の「老後破産」は、増える一方にならざるをえないのか。冒頭で高田さんが「不安は、ないんです」と言って言葉を濁したことに触れたが、彼の言葉は、実はこうつづいていた。

「なんというか、本当に不安は、意外なほどないんです。ただ、それ以前に、希望が、ない」

 その言葉を、田中氏はこう読み解いた。

「いまの若者は、たとえ低収入でも幸福感をおぼえている人が多い。一方、バブルの時代に、それを享受していなくても、少なくとも空気に触れた経験がある人たち、つまり、主として就職氷河期世代の中年フリーターは、いまの日本を見て絶望してしまうんです」

 激増する中年フリーターたちは、こうして絶望しながら「最後は国のセーフティネットに頼る」という流れに逆らえずにいる。このままの状態がつづけば、彼らはそう遠くない将来、具体的にはあと20年もすれば、一斉に「老後破産」状態に陥ることになるだろう。

 だが、そうなったときには、「希望」は中年フリーターのみならず、この国に暮らすあらゆる人たちの前から失われてしまいかねない。だからこそ、いま国家が、政治家が急いで取り組むべきは、中年フリーター対策なのである。

「特別読物 急増の『中年フリーター』で空前の『老後破産』――白石新(ノンフィクション・ライター)」より

白石新(しらいししん)
1971年、東京生まれ。一橋大学法学部卒。出版社勤務をへてフリーライターに。社会問題、食、モノなど幅広く執筆。別名義、加藤ジャンプでも活動し、マンガ『今夜は「コの字で」』(原作)がウェブ連載中。

「週刊新潮」2015年12月24日号 掲載

554チバQ:2015/12/27(日) 22:53:05
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/213139
【貧困の現場から】(1) 母と子3人、所持金200円
2015年12月15日12時30分 (更新 12月15日 13時00分)
 街がイルミネーションで彩られ始めた11月中旬の夜。九州のある街で、母の梓(42)と小学6年の美雪(12)、小3の直樹(9)、小2の沙織(8)=いずれも仮名=の3きょうだいが「子ども食堂」ののれんをくぐった。
 入るとき梓は少しうつむいていた。子どもたちを「ただで食べられるレストランがあるんだ。ママも料理作らなくて楽だから行こう」と連れ出した。「家が貧乏だと思われたくない」から、ごまかした。子どもたちは、食堂の和室に座ると「レストランじゃないじゃん」と口をそろえた。
 でも、ミンチカツの載ったカレーライスとナシが運ばれると、子どもたちは「すごーい、ナシだよ。カレーだよ」と声を上ずらせた。無言でカレーをかき込み、カチカチとスプーンが皿に当たる音が響いた。
 元気な声で「おかわり!」。美雪は3杯、直樹も2杯をたいらげた。「おなか、ぺこぺこで来たんです」と梓は涙声になった。
 来たときは緊張した様子だった子どもたち。カレーを食べ終わると、沙織が「しちろく しじゅうに」と学校で習ったばかりの九九を唱え始め、みんなの笑い声が上がった。久しぶりのだんらん。「おなかも心も満たしてもらった」と梓は感謝した。
   □    □  
 夫とは数年前に離婚。パート従業員としてスーパーで働き、賞味期限が切れた食品をもらっていたため、食べるものには困らなかった。
 ところが夏にスーパーが突然閉店し、働き口を失った。貯金もなく、月に16万円あった収入は10万円程度の失業保険だけになった。
 就学援助を受けて小学校の給食費は免除されているが、アパートの家賃に光熱費、持病を抱える子どもの通院代などの支払いは待ってくれない。豆腐ばかりの鍋やキャベツの千切りで我慢し、食費を節約してぎりぎりの生活を続ける。
 子どもたちは、給食以外に食べ物を口にできない日もあり、「おなか減ったよ」と繰り返した。
 そんな時、インターネットで子ども食堂の取り組みを紹介する本紙の記事を読み、「自宅近くにもないか」と探して見つかった。すがる思いで運営者にメールを送った。「財布に小銭しかなく、悩んでいます。子どもたちだけでもご飯を食べさせてください」
 初めて子ども食堂に来た日、梓の財布には200円ほどしか入っていなかった。
   □    □   
 「またレストランに行こうね」「今度はどんなごちそうが出るのかな」。子どもたちも食堂を気に入った。あれから何度か通い、古米をリュックサックいっぱいに詰めてもらったこともあった。美雪が熱を出して寝込んだ時は、家で雑炊を食べさせることができた。
 だが、失業保険はあと数カ月で切れる。来年、美雪は中学生になり学費もかさむ。せめて高校までは行かせたい。美雪と直樹が夢中になっているサッカーも月に4千円ほどかかるが、続けさせてあげたい。
 ハローワークで再就職先を探す日々。子育ての制約があり条件がなかなか合わない。ほかの公的支援が受けられないか福祉関係者に相談しながら、なるべく早く生活を立て直したいと思っている。
 「子ども食堂に偶然出合えて、ありがたい。生活が安定したら私が子ども食堂に寄付して支えたい」
 この子ども食堂が開かれるのは週に1度。梓のような親子のほか、住む家がない少女、子どもたちだけで暮らす少年たちが訪れ、寄る辺ない生活の中でひととき、空腹を満たす。
 関連記事「貧困連鎖、奪われる未来」
=2015/12/15付 西日本新聞朝刊=

555チバQ:2015/12/27(日) 22:54:04
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/213343
【貧困の現場から】(2) 公園で夜風に凍えた16歳
2015年12月16日 12時00分
 11月の夜風にさらされ、公園のベンチで震えていた。福岡県内に住む優(19)=仮名=は16歳だった3年前、公園で寝泊まりするホームレスになった。
 朝起きると当てもなく街を自転車でさまよう。夕方には高校に通う中学時代の友人と合流して遊ぶ。友だちが帰った後は、公園のテーブルに突っ伏して眠った。
 怪しまれないよう、近くの三つの公園で順番に寝泊まりした。風が強い日はトイレの壁際でうずくまる。おなかがすけばコンビニでおにぎりを盗んだ。ジャンパーとジーパンは着たきりだったが、下着だけは友だちが時々、洗濯してくれた。約60キロあった体重は1カ月で50キロを切った。
 「もう限界だ」。わざと事件を起こして、温かいご飯と寝る場所がある少年院に逃げ込もうと考え始めた時、見かねた地元の先輩(22)が手を差し伸べた。
 「俺の家に来い。遠慮しないで甘えろ」
    ◇   ◇
 床一面に弁当の空き容器や服が散乱し、食べ残しの酸っぱいにおいが鼻を突く。大量のコバエが部屋を飛び回る。小学生のころの優は、自宅だった市営住宅の押し入れに隠れて、毎日のように泣いていた。
 物心が付いたころから両親は離婚し、母は家にいなかった。父と、10歳以上離れた「腹違い」の兄の3人暮らし。父はわずかな収入もパチンコにつぎ込み、兄を殴ってはバイト代を奪っていた。「夕食も朝食も食べられず、学校の給食しか口にしない日が珍しくなかった」と振り返る。
 家に帰るのが嫌で暗くなるまで校庭で遊ぶ優に、事情を知る先生がこっそり給食のパンをくれたり、「ごみ屋敷」のような自宅を片付けに来てくれたりしたこともある。同級生の家に泊めてもらうことも多かった。お風呂と温かい夕食はうれしかったが、「俺んちがいかに駄目かを思い知らされた」。
 母と会えるのは年に1度、運動会の時だけだった。
    ◇   ◇
 中学に上がったころ、父が事故で働けなくなり、里親の元へ。居心地が悪く、中2の時に暴走族に入る。高校受験にも失敗。里親も手を焼き、16歳の春、児童相談所の仲介で再婚していた母に引き取られた。
 初めて暮らした母は豊かな生活ぶりで、広いマンションに高級バッグや時計がたくさんあったのを覚えている。当たり前のように与えられた1日3食と自分の部屋。だが、「勉強して高校に入れ」と繰り返す継父になじめず、2人の義弟妹にも気後れした。わずか1カ月で母の家を出た。
 所持金1万2千円はすぐに底を突く。「初めは友人宅を泊まり歩いたが、すぐに行き場がなくなった」。廃業した観光ホテルに忍び込み、寝泊まりしたこともある。やがてたどり着いたのが公園だった。
    ◇   ◇
 優はいま、少年の立ち直りを支援する団体の紹介で、契約社員として小さな事業所で働く。朝8時半から夜9時まで働き、給料は手取りで約20万円ある。義兄と2人でアパートも借りた。
 1カ月前、上司から「正社員になるチャンスがある」と告げられた。あの時、先輩から救われ、支援団体とも出合い、どん底から助けてもらえた自分は幸運だと思えるようになった。
 「今まで、その日生きていればいいという気持ちしかなかった。彼女もできて、ちょっとだけど、家族を持つことも考え始めた。子どもには自分のような経験を絶対させたくない。だから、正社員になりたい」
 かつて寝泊まりした公園で優は力を込めた。
 ひとり親家庭と離婚 ひとり親家庭となる原因の8割は離婚。厚生労働省の調査によると、年間の離婚件数は1950年代は7万台で推移していたが、2002年の約29万をピークに、14年も約22万2000と高い水準にある。11年度の調査で、母子家庭は約124万世帯、父子家庭は約22万世帯。一般世帯の男性の平均給与所得(10年)は507万円だが、母子家庭の母親の平均年間就労収入(11年度)は181万円。母子家庭の場合、パートやアルバイトなど非正規の割合は47.4%に上る。父子家庭の父親も360万円にとどまる。
 関連記事「貧困連鎖、奪われる未来」
=2015/12/16付 西日本新聞朝刊=

556チバQ:2015/12/27(日) 22:54:49
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/213774
【貧困の現場から】(3) 支援つながり母子再起
2015年12月18日 12時00分
 中学1年の海斗(13)は学校を休んで毎日、母陽子(46)の世話をし、料理を作り、洗濯もした。「お母さん、俺がおらんとトイレもいけんから」
 小5の美咲(11)=いずれも仮名=も学校に通いながら手伝った。陽子は重い糖尿病を患い、動けなくなっていた。収入は途絶え、冷蔵庫にあるのは卵とふりかけぐらい。海斗が安いもやしを炒め、美咲は文句も言わず我慢した。
 昨年暮れから今年春にかけ、母子3人の暮らしは追い詰められていた。
    ◇   ◇
 陽子は20年以上看護師として働き、建設関係の仕事をする夫と4人で普通に暮らしてきた。暗転したのは4年前に陽子の実父が亡くなってからだ。
 実母に認知症の症状が出始め、世話が必要になった。陽子自身も持病の糖尿病が悪化し、3年前、患者を抱えるような力仕事が難しくなり、仕事も辞めざるを得なくなった。
 同じころ、夫は酔うと陽子に手を上げるようになり、生活費を渡すこともほとんどなくなった。自宅マンションを売却したが、ローンの借金が残った。陽子はスナックでアルバイトし、何とか生活費や教育費を稼いだ。
 糖尿病のためインスリンを1日4回注射していたが、自己負担は月に2万数千円。どうなるか分かっていたが、お金がなく、注射をやめた。
 今年正月を迎えるころには足が痛くて外出もままならなくなり、スナックも辞めた。住民税も滞納し、1年近く支払いが滞っている水道がいつ止められるか-。
 「もう、母子で心中するしかないのか…」
 今年6月、陽子はつえをつきながら町役場の窓口を訪ねた。生活保護の受給を相談するためだ。
 「ここでは何もできませんよ」。役場の担当者からは受給資格がないと告げられた。代わりに、施行したばかりの生活困窮者自立支援法に基づいて、行政から相談業務を委託された民間団体の連絡先を教えられた。
 「生活保護も受けたいし、病院にもかかりたい」。陽子はすがる思いで民間団体を訪ねた。
    ◇   ◇
 対応は素早かった。困窮者に無料で食料を提供する福祉団体を教えてもらい、その日のうちに米などを受け取ることができた。
 離婚は成立したが、陽子には行き場がなく、前夫との同居を余儀なくされていた。これが、生活保護受給の妨げとなっていた。団体の担当者は初期費用なしで入居できるアパートを紹介し、すぐに母子で転居した。
 保護の申請方法も、身体障害者手帳の受け方も、担当者が付きっきりで教えてくれた。間もなく生活保護の受給が始まった。
 医療費の自己負担分も免除され、糖尿病の治療を再開させると足が少しずつ動くようになってきた。美咲が熱を出しても看病もできる。海斗は「料理の道に進みたい」と夢を口にするようになった。
 自立支援法は4月に施行されたばかり。従来のセーフティーネットでは網からこぼれ落ちていた母子は、ぎりぎりで救われた。
 「もしこの団体に出合わなければ、本当に心中していたかもしれない。私のように、どこに相談していいか分からない人は少なくないのでは」と、陽子は同じ境遇の人を思いやる。
 かつては家事もできなかったが、九州北部の町にある2DKの部屋は今、掃除が行き届く。「普通の生活がありがたい。海斗と美咲が元気であれば十分です」。母子3人は前を向き、新たな歩みを始めている。

 生活困窮者自立支援法 家計が苦しい人の生活再建を支援する制度を盛り込み、「第2のセーフティーネット」と呼ばれる。各県や福祉事務所を持つ自治体に、就労や住居など幅広い相談を引き受ける総合窓口を設置するのが柱。自治体が直接実施するケースと、民間団体などに委託するケースがある。
 ほかにも、子どもの学習支援や親の就労準備支援などのメニューもあるが、各自治体で差があり、支援の質の向上が課題だ。総合窓口の連絡先は自治体に問い合わせれば分かる。
 関連記事「貧困連鎖、奪われる未来」
=2015/12/18付 西日本新聞朝刊=

557チバQ:2015/12/27(日) 22:55:43
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/213997
【貧困の現場から】(4) 未婚の母夜の街に生きる
2015年12月19日 12時00分

 夜も9時を回ると、通りにはミニスカートのキャバクラ嬢や黒服のボーイが立ち始める。
 福岡県警の捜査員が踏み込むと、店内では16歳の少女が接客していた。県警は先月、福岡市内のスナック経営者を風営法違反(無許可営業、年少者雇用)の疑いで逮捕した。珍しい事件ではない。
 「今は暴力団対策の影響で警察の取り締まりが厳しく、未成年者は無許可の店で働くしかない」。九州最大の歓楽街、福岡市・中洲の事情通はこう明かし、「そういう子たちは18歳を過ぎて、九州各地から稼ぎのいい中洲のキャバクラに出てくる」と声を潜めた。
 そんなとある盛り場の一角。ラウンジのボックス席で奈央(仮名)は焼酎の水割りを作っていた。
    ◇   ◇
 「君、いくつ?」
 「21でーす」
 正直に答えられるようになったのは最近のこと。5年前、16歳から歓楽街で働いてきた。「ハタチ」と偽って。時給は2千円。客の勧めで酒を飲めば「ドリンクバック」は1杯200円、「同伴出勤」すればさらに加算され、一晩で1万5千円以上になる。
 奈央が小学2年の時、父親の暴力に耐えかねた母が自分と弟の手を引き、家を出た。縁もゆかりもない土地で、母は飲み屋で働き2人を育てた。奈央には、貧しかったことと、学校で方言が分からず苦労した記憶がある。
 中学入学後に母は再婚。継父は優しかったが、新しく弟や妹が生まれると、奈央は「居場所がない」と感じるようになった。友達の家を転々とし、中学卒業後、ラウンジでアルバイトを始めた。
 17歳のとき、同じ年の恋人との子を妊娠。中学時代に2度中絶手術をしており、「もうおろしたくない」と出産を決めた。客には「カクテルいただきまーす」と言いながらジンジャーエールを飲み、おなかの膨らみを隠して妊娠8カ月まで店に出た。
 女児を出産。恋人とは別れ、ラウンジは週2日に減らして居酒屋、エステ店、祭りの夜店と四つの仕事を掛け持ちして娘を育てる。「ほんとはもっと一緒にいたい。超かわいい。まじ親ばかになります」
 娘は昼は保育園、夜は近くに住む祖母宅で過ごす。生活保護で暮らす祖母も余裕はなく、「おむつ代」として月4万円渡す。残った分は娘の将来のために貯金に回す。もし祖母が体を壊したら、貯金が底を突いたら-。そんな不安が時折頭をもたげるが「立ち止まってはいられない」。
    ◇   ◇
 奈央が働く盛り場には、中卒で働き、10代で出産したシングルマザーが少なくない。彼女たちの多くもまた、母子家庭育ちだ。
 行き場のない少女を、時に法を犯しながら受け入れる夜の街。「みんな頑張って育ててる。でもどうしても駄目で、乳児院や児童養護施設に預けた人もいます」
 出勤前、アイラインを強調したメークの奈央に、3歳の娘が「ママー」と無邪気に駆け寄った。
 若年出産と貧困 人口動態統計によると、2014年の出生児のうち母親が10代なのは1万3011人(全体の1.3%)。その約8割は婚前妊娠。労働政策研究・研修機構の調査では、出産年齢が若いほど母子世帯、低収入となる割合が高い。子の養育環境も厳しいことが予測され、児童虐待が起きやすいと指摘される。
 DV被害者や子どもの支援に取り組む北九州市のNPO法人「FOSC」によると、貧困家庭で育つ少女は生活のために歓楽街に働きに出て、若年出産する傾向がみられる。野口真理子理事長は「寮を完備し、孤立した少女を迎えている性産業もある。彼女たちがそこに流れざるを得ない現状を改めなければ、貧困の連鎖は止められない」と指摘する。
 関連記事「貧困連鎖、奪われる未来」
=2015/12/19付 西日本新聞朝刊=

558チバQ:2015/12/27(日) 22:56:24
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/214350
【貧困の現場から】(5) 引きこもり15歳「夢ない」
2015年12月21日 17時00分


中学卒業資格で働ける求人情報を検索する彩と母親。条件に合うものはなかなか見つからない
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 彩(15歳、仮名)は毎日昼すぎに万年床から起き出す。母と2人、九州のある街に暮らす。自宅アパートは2DKで家賃4万5千円。収入は母が受給する生活保護費と児童扶養手当などの約16万円だけだ。
 毎朝、母が中学校の担任教諭に「今日も休みます」と電話を入れる。学校からは、そろそろ進路を考えてと言われている。
 しかし、もう2年間も学校に行っておらず、公立高校は受かりそうもない。私立は経済的に難しい。「小学生のころはイラストレーターになりたかったけど、もう忘れちゃった。将来の夢なんて、ない」。彩は、衣類や雑貨が積み重なり、足の踏み場もない部屋で力なく語った。
    ◇   ◇
 彩が記憶をたぐる。小学校低学年のころは幸せだった。父は会社に勤め、マンションも買った。
 だが、やがて父の母に対する暴力が始まり、それは激しくなる一方だった。「夜、ふすまが飛んできても目をつぶり、寝たふりをした」。父はギャンブルにも手を出し、約500万円の借金を抱えて自己破産。心を病んでしまった母は、彩が小学3年の冬に1人で家を出た。
 父はタクシー運転手となったが、手取りは10万円前後。家事を全くせず、食事は彩が見よう見まねでカレーやパスタを作った。そうしないと生きていけなかったから。家にはごみが散乱。頭にシラミが湧いていることに気付いた先生が、見かねて家の掃除に来たこともある。
 小5の春、親戚の家に引き取られることになり、クラスでお別れ会まで開いてもらった。だが親戚間でもめて、話が立ち消えになると「いまさら学校に行けない」と登校しづらくなった。その年の冬から小6が終わるまでは、ずっと学校の保健室通い。中学生となり、数カ月は教室に通ったがなじめず、以来ずっと引きこもったままだ。
    ◇   ◇
 中学進学と同時に、生活保護の受給が決まった母と一緒に暮らし始めた。母の精神状態は安定せず、パニックを起こして児童相談所の一時保護所に入れられた時は「捨てられた」と怖かった。
 母からは「あんたは私を恨んでいるんやろうね」とよく言われる。「恨みはない。母も大変だったのは知ってるから」。母が、自分を置いて家を出たことに苦しんでいるのを、彩は分かっている。一方で「大人は勝手だ」という拭いがたい不信感もある。
 彩は先日、がんばってハローワークに行き、「定時制高校に通いながらできるバイトを探したい」と相談した。この家を出て、アルバイトしながら学校に通いたい。そうしないと、このまま一生抜け出せない気がするからだ。
 しかし、職員からは「引きこもりなのに働けるの」と言われた。何も言い返せず、落ち込んだ。「将来」が見えないまま、彩は今日も、散乱した部屋の中で過ごす。
 精神疾患と貧困 精神疾患と貧困 貧困の背景には、ひとり親や低学歴、非正規雇用などさまざまあるが、病気で働けなくなった結果によることも少なくない。特に親に精神疾患などがあり、適切な支援が受けられなければ、子どもの生活や命にまで影響を及ぼしかねない。
 厚生労働省が2005年1月〜14年3月に子どもが虐待死した777事例を分析したところ、実母に「育児不安」があった事例が25%、「精神疾患」と「うつ状態」がそれぞれ15%(複数回答)みられた。
 一方、東京都の05年の調査では、育児放棄などの児童虐待が行われた家庭のうち、3分の1が貧困状態だったことが分かっている。子どもを守る観点から、精神科などの医療機関と保健所、生活保護担当部署、学校、児童相談所など相互の連携が求められている。
=2015/12/20付 西日本新聞朝刊=

559チバQ:2015/12/27(日) 22:57:16
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/214349
【貧困の現場から】(6) 働きづめが「養育放棄」に
2015年12月21日 17時00分
 麻衣(34)=仮名=は毎朝、小学生の3人の子どもを学校に送り出す時、千円札をそれぞれに渡す。午前中はコンビニのアルバイト。午後からはパチンコ店で働く。仕事が終わるのは毎日未明だ。休みはほとんどない。
 小学4年の聖也(9)、3年の広志(8)、1年の恵美(6)=いずれも仮名=は学校から帰ると、テレビを見て時間をつぶし、コンビニやスーパーで弁当を買って夕食を済ます。子どもたちだけでスープを作ることもあった。心配した担任の先生が時々様子を見に来た。母が帰るころには、3人とも眠っていることが多かった。
 2年ほど前に離婚して以降、こんな生活が続いた。
    ◇   ◇
 麻衣が無理をして長時間働くのには理由がある。かつて生活保護を受けていた時、役所の担当者から「ゲームなど売れるものは全部売ってください」と繰り返し言われたからだ。自分が働けば子どもたちが窮屈な思いをしないで済むと考えた。
 だが、働き始めてしばらくすると、子どもたちは親がいない家を抜け出し、深夜のスーパーやコンビニ、ゲームセンターをうろつくようになる。遠い母の勤務先の方向に足が向いていることもあったという。
 聖也が同級生の所持品を勝手に家に持ち帰り、麻衣は学校から呼び出された。そして今年の春、聖也はぬいぐるみを万引し警察に補導された。
 通告を受けた児童相談所の担当者が麻衣たちのアパートのドアを開けると、部屋にはペットボトルが散乱し、弁当の空き箱が押し入れの中にまで積み重なっていた。子どもたちはほとんど風呂に入らず、着替えもせずに寝起きしていた。
 収入は20万円以上。生活保護よりも多かったが、一日中働いた麻衣には家事をする余裕がない。児相は「養育放棄」と判断し、子どもたち3人は施設で一時保護された。
    ◇   ◇
 広志が算数の問題を解き、ボランティアの大学生と答え合わせをする。聖也と恵美は、同年代の子どもたちとのおしゃべりに夢中だ。母子4人はこの秋、九州南部のある街のアパートで生活を再スタートした。子どもたちは、地元のNPO法人が運営する学習支援の会に通う。
 一時保護された後、児相は子どもたちを里親に預けるか児童養護施設に入れようとしたが、旧知の支援者が自宅に母子を引き取った。支援者の家族が、麻衣に料理や掃除、洗濯の仕方を教えた。
 当初、子どもたちは支援者宅でお金を盗むこともあった。子どもたちが通う小学校の先生は支援者宅を訪ね、定期的に子どもの状況について情報交換した。学校では校長や担任らが3人を見守った。
 生活保護を申請する際には、校長が役所に「母親には当面、仕事より子どもとの生活を優先させてほしい」と頼んだ。受給が決まり、しばらくは子育てに専念できる環境が整った。
 多くの人に見守られながら支援者宅で数カ月間暮らすうち、子どもたちの表情は目に見えて明るくなり、問題行動もなくなった。「ぬいぐるみを万引したのも寂しかったからだろう」と、支援者は思いやる。
 3人とも勉強する習慣が付いておらず、学習支援でもボール遊びをしてしまうこともある。ただ、いすに座る時間は少しずつ長くなってきた。「子どもが宿題をするようになった」と麻衣は喜ぶ。
 その麻衣も、掃除、洗濯ができるようになった。子育てと家事のバランスを取りながら、母子で生活再建を目指す。「次は無理のない範囲で働き、生活したい」。そう再起を誓った。
 無料塾と学習支援 無料塾と学習支援 文部科学省が2014年に公表した調査結果では、学習塾や習い事などへの年間支出額(学年別)は、公立学校では中学3年が最多で36万4000円、私立学校では小学6年が最多で72万4000円に上る。受験競争が過熱する一方、貧困世帯の子どもたちが取り残される「教育格差」の拡大が指摘される。一方、各地の自治体やNPO法人が相次いで無料や低料金の塾を開設し、ボランティアの元教師や大学生らが勉強を教える活動が広がっている。4月に施行した生活困窮者自立支援法の事業としても、自治体や、自治体から委託を受けた団体が困窮家庭の子どもへの学習支援を実施できるようになった。
 =おわり
=2015/12/21付 西日本新聞朝刊=

560チバQ:2015/12/27(日) 22:58:16
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/206287
子どもに居場所を 善意の食堂、九州にも広がる
2015年11月10日 11時14分
連載「子どもに明日を」
子どもが集う「くるめこども食堂」。食後はお絵描きなどして過ごす=10月25日、福岡県久留米市
子どもが集う「くるめこども食堂」。食後はお絵描きなどして過ごす=10月25日、福岡県久留米市
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 経済的貧困や親のネグレクト(育児放棄)など、さまざまな事情で十分な食事を取れない子どもたちのための「子ども食堂」が、九州でも広がっている。ひとり親世帯の3割が経済的理由で食料を買えなかった経験がある、との調査結果もある。気軽に立ち寄って、悩みを相談できる居場所づくりを兼ねている場所も多い。だが、運営は自費や寄付で賄うところが大半だ。善意が、子どもたちの空腹を満たしている。
 「おかわり」「僕も」。ちゃぶ台を囲んだ子どもたちが元気な声を上げる。10月25日、福岡県久留米市の「くるめこども食堂」。商店街のイベントスペースで8月に開設され、毎月最終日曜日にカレーライスを提供している。子どもの負担は300円だが、絵を描いたら100円引きで、おかわり自由。この日は約40人に100皿を提供した。4皿平らげた母子家庭の子どももいた。
 運営する河野大助さん(38)は子どもたちにあえて事情は聞かない。「自分が子どものころは近所のおっちゃん、おばちゃんが何も聞かずに世話を焼いてくれた。そんな大人が必要」と思うからだ。
 子ども食堂は2012年8月に東京都大田区の青果店が始めた取り組みで、全国に広がっている。河野さんは今年7月、ニュースで取り組みを知り、電気やガスも止められ、満足な食事にありつけなかった自分の少年時代を思い返した。
 「同じようにおなかをすかせた子は今も大勢いる。見過ごせない」。支援者などから野菜の提供を受け、足りない分は自費で運営を続けている。
 国立社会保障・人口問題研究所の12年7月の調査によると、子どもを抱え、過去1年間に経済的な理由で食料が買えなかった経験のある世帯は、ひとり親世帯で32%、両親がそろう世帯でも16%に上る。福岡県の教育関係者は「給食頼りの小中学生で、夏休み明けにげっそりとやせてくる子もいる」と明かす。
  ◇  ◇  ◇
 長崎市の中心街近くのうどん屋を改装した「夢cafe…ひまわり」。昨年11月から、毎週木曜日の午後6時半〜9時にカレーを無料提供している。「今日初めてのごはん」とうれしそうに食べる子どももいる。今月5日夕、記者が足を運ぶと、女の子3人が黙々とカレーを食べていた。
 自費で運営している川井健蔵さん(68)は、子どもから相談を受け、学習会も開いている。「問題山積の子どもにも夢や目標を持ってほしい。必要な支援へと、子どもをつなげる場を目指したい」
 福岡市博多区の板付北公民館では、食育活動などに携わる人たちが今月28日から、毎月第4土曜日に昼食を出す準備を進める。子どもが持ち寄る200円と公の基金を活用するという。
 若者の貧困や孤立問題に取り組んできた、福岡市の一般社団法人「ストリート・プロジェクト」も昨年4月から、JR博多駅前のマンションで15〜25歳を対象に無料で食事を提供。支援者が寄付した食料を利用したり、古本の売却益を活用したりして賄い、これまでに31人が利用した。
 坪井恵子理事長(55)は「ここに来る子たちは虐待など重い課題を抱えているが、まずはおなかを満たしてほっとしてもらわないと本音も聞き出せない。『ご飯を与えれば解決』ではなく、長い目で多方面から支援していきたい」と語った。
=2015/11/07付 西日本新聞朝刊=

561チバQ:2015/12/27(日) 23:10:37
http://www.asahi.com/articles/ASHD36QRRHD3UUPI001.html
ひとり親 波打つ収入、綱渡り 児童扶養手当4カ月ごと
錦光山雅子2015年12月27日09時49分
困窮するひとり親世帯への公的手当は、数カ月分がまとめて支給されるため、家計に激しい収入の波をもたらす。その支給方法によって、貧困から抜け出せなくなる家族の姿を追った。

 大阪府の30代女性は11日、中学生の長男と外へ出かけ、串揚げを食べた。

 この日は待ちに待った、児童扶養手当の支給日だ。約17万円が振り込まれた。前日まで所持金数百円。1週間近く、ほぼ豆腐と米飯の食事でしのいできた。

 昨年末、体の不調で失業。今は月5万円の養育費と、2、6、10月に入る児童手当(4万円)と、4、8、12月に入るひとり親世帯が対象の児童扶養手当で暮らす。手当の入る偶数月と入らない奇数月で、収入は激しく波打つ。

 電気、水道、ガス、ネット、NHK、携帯、学校給食費や教材費。滞納していた公共料金を一気に支払うのも、手当の支給日だ。これで手当の半分が消える。

 手当で一息つくものの、長くは続かない。どの料金を滞納するか払うかで、じきに頭がいっぱいになる奇数月が、やって来る。「手当の支給前が、一番しんどい」

562名無しさん:2015/12/31(木) 09:41:58
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151231/k10010357381000.html
子ども貧困対策の基金 寄付呼びかけ強化
12月31日 5時01分

政府は、子どもの貧困対策を強化するため、子どもたちを支援しているNPOなどを助成する基金を創設しましたが、これまでに集まった寄付は600万円余りにとどまっていて、今後、企業などに対し寄付の呼びかけを強化していくことにしています。
政府は、いわゆる貧困状態の家庭における17歳以下の子どもの割合が、統計を取り始めた昭和60年以降、もっとも高い16.3%となっていることなどから、子どもの貧困対策を強化するための基金を創設し、集まった寄付の総額に応じて、助成する団体の数や助成額を検討することにしています。
しかし、基金の創設から2か月余りたった今月22日の時点で、寄付の総額は644万円5641円にとどまっています。寄付の内訳は、個人が218件だった一方、企業は4件となっていて、政府は、基金の創設に経団連の幹部ら財界人も関わっていることを踏まえ、今後、直接、企業を訪問するなどして寄付の呼びかけを強化していくことにしています。
内閣府の担当者は「寄付が十分に集まらなければ来年度の助成事業を十分に行えなくなる可能性があり、多くの人に関心を持ってもらい寄付を増やしていきたい」と話しています。

563チバQ:2016/02/08(月) 20:20:33
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160208-00000012-sasahi-soci
増殖する「中高年派遣」34万人の悲鳴 法改正を逆手にとった「派遣切り」も〈AERA〉
dot. 2月8日(月)16時12分配信

増殖する「中高年派遣」34万人の悲鳴 法改正を逆手にとった「派遣切り」も〈AERA〉
中高年の男性派遣社員が就けるのは現場の仕事ばかり。Cさん(54)は、写真の安全靴とゴム手袋を使って倉庫内でピッキング作業をする(撮影/写真部・植田真紗美)
リストラなどで増え続ける中高年の派遣社員。その数は34万人と、派遣全体の約3割に達した。人格まで否定されるブラックな現場では、法改正を理由にした雇い止めの動きも出始めている。(編集部・野村昌二)

「じゃあ、いつ辞める? 今月? 来月?」

 関東地方の派遣社員の50代男性Aさんは昨年9月、職を失った。その約1カ月前、派遣先のリーダーの男性社員(40)に事務所内のロッカールームに呼び出されて叱責された後、別の社員から突然そう切り出され、契約を切られたのだ。

 都内の有名私立大学を卒業後、正社員として流通関係の企業や学習塾で働いた。だが、40歳を前に勤めていた塾が廃業。必死に仕事を探したが、中高年に正社員のイスはなく、生活のため派遣会社に登録した。しかし、紹介されるのは警備、引っ越し、倉庫作業といった「3K」と称される仕事ばかり。15社近い派遣会社に登録し、倉庫を中心に働いてきた。

●パワハラを告発したら

 昨年3月から派遣されたのは、神奈川県内にある倉庫。医療品の「ピッキング」と呼ばれる作業だった。小学校の体育館くらいの広さの倉庫で、棚から商品を取り出し、箱に入れ、梱包し、配送の準備をした。倉庫では14〜15人が働いていたが、リーダーを除いて全員が中高年の派遣社員だった。

 Aさんの時給は、県の最低賃金ぎりぎりの900円。毎月の手取りは15万円にも満たず、交通費も支給されない。それでも、朝から夕方までまじめに一生懸命働いた。それが突然、契約終了を告げられたのだ。

 思い当たる節はあった。リーダーの社員は自分が気に入った派遣社員ばかりをひいきし、気に入らない派遣社員には仕事量などで露骨に差別した。たとえば、商品情報を読み取るスキャナーを気に入った派遣社員にだけ使わせたり、逆に気に入らない派遣社員の仕事を減らしてやる気をそいだり。少しでもミスをすれば「お前、飛ばすぞ」と怒鳴られた。そうしたパワハラに我慢できず、Aさんは会社の役員に訴えたのだ。

 ロッカールームに呼び出されたのは、その日の夕方だった。リーダーは、「不満があるなら直接自分に言え」と言った後、別の社員と相談するよう告げた。すると、いきなり冒頭の通告──。

 この社員は保身から、面倒な問題を背負いたくなかったようだ。後日、Aさんは派遣会社の営業マンに「どうにかならないですか」と頼んだが、翌月いっぱいで一方的に契約を打ち切られた。のちに理由は、役員に告げ口をしたことだと聞かされた。

「ショックでした……。お前は派遣だからさっさと辞めろといわんばかりですよね」(Aさん)

564チバQ:2016/02/08(月) 20:21:00
●部長の執拗なセクハラ

 労働者派遣法(派遣法)が施行されたのは、今からちょうど30年前の1986年。当初は、「専門知識を生かして自由な働き方ができる」として働く側からも歓迎された派遣社員だが、企業側からは契約期間終了で「雇い止め」にできることから、人手不足のときだけ一時的に雇える「雇用の調整弁」として扱われるようになった。その間、勤め先の倒産やリストラなどで正社員の地位を追われたり、親の介護のため仕事を辞めたりする中高年の失業者が増加。そうした人たちが働き先を求め、派遣市場に流れ込んだ。

 総務省の労働力調査によれば、中高年(45〜64歳)の派遣社員の数は2014年平均で34万人と、04年の2.4倍に膨らんだ。約119万人いる派遣社員の3割近くを占めるに至っている。

 だがその現実は厳しい。40歳を過ぎると仕事は極端に減り、職種はキャリアを問わない単純労働ばかりになる。提示される時給も、低くなる一方だ。現場では、派遣社員の経験やスキルばかりか、人格すら軽視した事態が広がっている。

 都内の大手飲料メーカーで、一般事務の派遣社員として働いていた女性Bさん(41)は、50代後半の男性部長から、たび重なるセクハラを受けた。14年8月から働き始め、翌15年1月に別の部署の仕事も兼任することになった。セクハラをしてきたのは、兼任先の部長だ。

 懇親会の席で、部長はBさんの年齢や結婚歴はおろか、夫婦生活にまで言及し、

「子づくり、がんばりなさい。年齢的にもあと1年くらい大丈夫だろう!」

 と言い放った。隣に座っていた男性社員には、

「なあ、子づくり教えてやれ!」

 などと、お開きまで2時間近く繰り返した。部長は勤務中も、

「ご主人と、年に数回は、ねえ?」

 など性生活を示唆する質問をしつこく続けた。

「不妊と絡んでいるので、私の中では笑って聞き流すことのできない話でした」(Bさん)

 精神のバランスを崩し、夫に声を荒らげたり、突然涙があふれて止まらなくなったりした。やがて、激しい頭痛にも見舞われ、脳神経外科を受診すると、ストレスからの「緊張型頭痛」と診断された。抗不安薬や睡眠薬が手放せなくなった。

●苦情の半数は人間関係

 派遣会社に環境改善を求めたが、対応は鈍い。そればかりか、処遇面で不利益を被らないよう、派遣先へは匿名で対応するよう強く求めていたにもかかわらず、実名を告げられてしまった。そのせいか、Bさんは週5日勤務だった契約を週3日に減らすと一方的に通告された。

 Bさんは昨年4月、1人でも入れる労働組合「派遣ユニオン」(東京)に加入した。派遣先と派遣会社を相手に団体交渉を行い、前者から和解金、後者からは和解金と謝罪文を勝ち取った。昨年5月で職場を離れ、問題も解決していくうちに、薬を飲まずにすむようになった。現在は別の派遣会社に登録し、別の派遣先で働くBさんが言う。

「いつも笑顔で正社員に気を使う一方、契約を切られたり、仕事を紹介されなくなったりするのではという不安から、何かあっても泣き寝入り。そんな派遣社員は多い」

 厚生労働省が4年に1度実施している「派遣労働者実態調査」(12年)によれば、派遣社員の苦情の内容(複数回答)は、「人間関係・いじめ」が51.7%、「セクハラ」も2.6%ある。派遣労働の現場で、「精神的に追いつめられる」「ストレスを感じる」「尊厳を傷つけられる」と嘆く中高年は少なくない。

「正社員は、僕たちが派遣というだけで頭からなめてかかり、バカにしています」

 そう話すのは、神奈川県内の男性派遣社員Cさん(54)だ。

565チバQ:2016/02/08(月) 20:21:31
●若い社員からモノ扱い

 大学を卒業後、正社員として学習塾などで働いた。だが、35歳の時に勤めていた会社が事実上倒産。正社員の仕事を探したが見つからず、アルバイトでつないだ。40歳で結婚して子どもが生まれ、少しでも収入がいい仕事に就こうと思い、3年前に派遣会社に登録した。以来、倉庫内での作業、引っ越し、事務所移転の現場などで働いている。

 派遣先ではプライドを傷つけられることばかりだ。親子ほど年齢が離れた正社員からモノ扱いされる。名前で呼ばれることはなく「お前」と呼ばれ、「使えないヤツだな」などと罵倒される。口にこそ出さないが、「派遣の分際で」と見下しているとしか思えない。

 今は倉庫で物置資材のピッキングの作業をしているが、毎日のように「スピードが遅い」と年下の正社員から怒鳴られる。決して遅いわけではないと思うが、言い返すことはしない。黙々と作業を続けるだけだ。

「バカなヤツを相手にしても仕方ないと思ってます。でも、そう割り切らないと、派遣ではやっていけないです」

 派遣法は施行以来、規制緩和の流れの中で幾度となく法改正されてきた。派遣業務の原則自由化(99年)、製造業への派遣解禁(04年)……。その都度、政府は「多様な働き方に対応できる」とうたったが、実態は企業の思いのままに低コストの労働力を調達できる歪んだ労働市場を生んだのではなかったか。昨年9月には、中高年の派遣労働者をさらに追いつめる改正派遣法が成立、施行された。

 今回の法改正最大のポイントは、業務内容を問わずすべての派遣社員が同じ職場で働ける期間の上限が「最長3年」になったことだ。それまで秘書、通訳、財務処理などは「専門26業務」と呼ばれ、派遣社員として同じ職場で期限なく働くことができたが、それ以外の業務と同様、最長3年になった。同じ派遣先でも違う部署に移らなければ、4年目以降は就業することができない。

●3年後の雇い止め通告

 これにより派遣社員は、正社員への道が狭まっただけでなく、失業して無職になってしまうリスクが高まった。求人の少ない中高年の派遣社員にとっては「死刑宣告」にも等しい。法改正を奇貨とした「派遣切り」の動きも出始めている。

「私がホームレスになろうが、行き倒れになろうが、餓死しようが、会社はそんなことおかまいなしってことですよね」

 都内に住む女性Dさん(56)は怒りをあらわにする。16年間働いてきた派遣先から、3年後の雇い止めを通告されたのだ。

 26歳で離婚し、シングルマザーとして2人の子どもを育ててきた。00年に派遣会社に登録すると、都内の大手コンサルティング会社に派遣された。業務内容は、専門26業務の一つ「事務用機器操作」だった。

 派遣先とは3カ月単位の契約を繰り返し更新し、ずっと同じ部署で働いた。今の時給は1830円と、16年前から100円アップしただけ。月収は手取り22万円程度で、ボーナスはない。月1万円近い定期券代は自腹を切っている。幸い実家に身を寄せているので家賃はかからないが、老いた母(86)と契約社員の娘(32)と暮らしているので、生活はぎりぎりだ。

 派遣会社から昨年5月ごろ、法改正などを理由に、3年後には契約が更新できないかもしれないと聞かされた。驚いて部長時代から知っている派遣先の社長に直談判した。事実なのかと問い詰めるDさんに、社長は言い放った。

「派遣でも人によっては部署を替えて残ってもらう人もいる。しかし、あなた、今56歳でしょう。3年後は59歳。60歳間近で、同じように使うということはありえない。よっぽど特殊技能とかあれば話は別だが、あなたはそこまで優秀じゃないんだ」

 一瞬、頭の中が真っ白になり、何を言われているのかわからなかった。我に返って抗議すると、社長はこう言った。

「3年あれば、辞めた後の準備期間としては十分だろう」

 後日、このことを派遣会社に伝えると、しれっと言われた。

「先様がそうおっしゃっているので、私どもは法令に則っているだけの話ですから」

「先様」とは派遣先のことだ。

566チバQ:2016/02/08(月) 20:21:45
●資格が10件あっても…

 Dさんは証券2種外務員、ビジネス能力検定2級、秘書技能検定2級など10件の資格を持っている。だが、いくら資格を持っていようが、還暦間近になったDさんに今と同じような派遣先があるとは考えにくい。3年後、仕事はあるのか、体力的に働けるのか、医療費が余分にかかるのではないか。日雇い派遣でつないでいくしかないのか──。日々、不安に押しつぶされそうになりながら暮らしている。家族には心配させたくないので、あまり詳しくは伝えていない。Dさんはこう話した。

「仕事を奪われるということは、収入が途絶えて生活の基盤を失うということです。法律が改正されたからといって、今まで頑張ってきた人間を切るのは、非人間的な行いだと思います」

 中高年派遣社員は今後も増えるだろう。これは、明日の正社員の問題でもある。

※AERA 2016年2月15日号

567名無しさん:2016/02/13(土) 11:24:12
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160212/k10010406261000.html
子どもの貧困対策強化 超党派の議連発足へ
2月12日 5時34分

子どもの貧困対策を強化しようと、超党派の国会議員の有志が近く議員連盟を発足させ、学習の支援や生活援助、それに親の就労支援などの提言をまとめ、政府に実現を求めることにしています。
内閣府などによりますと、貧困状態にある17歳以下の子どもの割合は平成24年の時点の推計で16.3%と、調査を始めた昭和60年以降最も高くなっていて、背景には所得の低いひとり親家庭の増加などが指摘されています。
こうしたなか、子どもの貧困対策を強化しようと、自民党の田村前厚生労働大臣ら与野党7党の国会議員の有志の呼びかけで議員連盟が発足することになりました。議員連盟では、各地の支援活動を視察したり、当事者から話を聞くなどして実態を把握したうえで、▽学習や進学の支援や▽食事などの生活援助、それに▽親の就労支援など具体的な対策を検討することにしています。
議員連盟は今月下旬に設立総会を開き、ことし夏をめどに提言をまとめ政府に実現を求めることにしています。

568とはずがたり:2016/02/13(土) 19:51:13
>>561

児童扶養手当の「まとめ支給」に隠された恐るべき貧困への罠
http://diamond.jp/articles/-/84310
みわよしこ [フリーランス・ライター] 【第35回】 2016年1月8日

2015年12月24日、政府予算案で児童扶養手当の増額が決定された。ひとり親家庭の一部しか対象にならず、金額も十分とはいえず、しかも政府予算案では「不正受給対策の強化」がセットにされている。

福祉給付、特に現金給付を増額するのは、容易なことではない。増額以外の方法で、「優しさ」「絆」「民間の力」といった精神論によるのでもなく、厳しい状況にある人々を経済的に助ける方法は何もないのだろうか?

?年明け早々の2016年1月4日、通常開会が開会された。審議の大きな柱の一つは、2016年度予算案だ。
?政府予算案には、ひとり親家庭を対象とした児童扶養手当の36年ぶりの増額が盛り込まれた。しかしながら増額幅は「充分」とはいえない上、ひとり親世帯に対する「不正受給対策の強化」がセットにされようとしている。児童扶養手当の「不正受給」とは、事実上、ほぼ「事実婚の疑い」。。

?さて、この政府予算案が発表された3日後の2015年12月27日、児童扶養手当をテーマとした記事が、朝日新聞の1面・2面に掲載された。デジタル版では、児童扶養手当を受給している世帯の収入が不安定であることの問題点を浮き彫りにした「ひとり親?波打つ収入、綱渡り?児童扶養手当4ヵ月ごと」、2013年9月に起こった関東地方の母親による女子中学生殺害事件を、母親の収入状態の変動から検証した「強制退去の日に娘殺害?収入波打つ中、借金重ね生活破綻」、低所得世帯への現金給付を「渡し方」に着目して経済的破綻を防ぐ方法を提示した「(視点)低所得世帯への公的手当、毎月支給が有効策」の3本となっている。いずれも、錦光山雅子記者の手になるものだ。ひとり親家庭が、貧困の上に数多くの問題を積み重ねてしまう構図が、背景とともに浮かび上がってくる記事に、私は強い衝撃を受けた。

ひとり親家庭へのダブルパンチ
収入の低さと激しい波

?最初の記事では、大阪府で中学生の息子と暮らす30代女性の暮らしぶりが描かれている。2014年、体調不良で失職したままの女性の収入源は、元夫からの月額5万円の養育費・月額1万円の児童手当・月額4万2000円の児童扶養手当。月あたりの収入は10万2000円。同じ家族構成に対する大阪市の生活保護費は、家賃補助を含めて約20万円。「持ち家に住んでいる」などの理由で住居費負担がないのであれば、「月あたり10万2000円」は「暮らせないわけではないけれど、苦しい」という金額であろう。

?ところが記事によると、児童扶養手当の支給日直前の1週間を、母と息子は「ほぼ豆腐と米飯の食事でしのいで」、支給日前日の所持金は数百円。「待ちに待った、児童扶養手当の支給日」、約17万円が振り込まれると、外に出て親子で「串揚げを食べた」。同じ日、「電気、水道、ガス、ネット、NHK、携帯、学校給食費や教材費。滞納していた公共料金を一気に」支払うと、「手当の半分が消え」、「手当で一息つくものの、長くは続かない」。

?なぜ、ここまで苦しい生活になってしまうのか。児童手当が4ヵ月に1回(2・6・10月)、児童扶養手当も4ヵ月に1回(4・8・12月)のまとめ支給だからだ。記事には、母親の月ごとの収入の激しい変動が、グラフで示されている。4ヵ月分の児童扶養手当が支給される月には22万円、手当支給のない月は5万円。同記事によれば、家計相談員養成講座の講師は

「収入が極めて少ないので、手当なしには生計が成り立たない。何らかの事情で滞納が生じ、その解消を数ヵ月おきの手当に一度頼ると、その分後で生活費にしわ寄せが来て、また滞納を繰り返すようになる」

?と語り、また九州地方で困窮者の家計再生事業を展開する生協「グリーンコープ連合」の乗務理事は、

「家計を支えるための公的手当がまとめ支給であるがゆえに、公共料金などの滞納とまとめ払いを繰り返す不健全な家計運営を余儀なくされている」

?と、公的手当を受けている低所得世帯に現れがちな「自転車操業」のメカニズムを、原因とともに指摘している。

?県営住宅を家賃滞納によって強制退去となる日にシングルマザーが中学2年生の娘を殺してしまった関東地方の事件で、追いつめられていく母親の姿を家計から浮き彫りにした2本目の記事にも、母親の収入のグラフが示されている。冬休み明けでパート収入が減り手当支給もない2013年1月、および児童手当4ヶ月分4万円が支給される2013年2月、中学に入学する娘の制服などの費用を工面するために厳しいやりくりを強いられた母親は、「ヤミ金」から借り入れてしまい、返済に苦しんだあげく、経済破綻に追い込まれ、娘殺しの悲劇へとつながっていく。…

569名無しさん:2016/02/23(火) 21:58:27
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160223/k10010419281000.html
子どもの貧困対策で超党派議連が発足
2月23日 20時43分

子どもの貧困対策を強化しようと、23日、超党派の議員連盟が設立総会を開き、ことし夏をめどに、学習支援や生活の援助、それに親の就労支援などについて提言をまとめ、政府に実現を求めていくことになりました。
議員連盟は与野党7党の国会議員の有志が呼びかけて発足し、国会内で開かれた設立総会にはおよそ50人の議員が出席しました。
会長を務める自民党の田村前厚生労働大臣は「子どもの貧困が解消していないのは、うまく支援が行き渡っていない点があるからだ。問題点を探り、早急に貧困を解消したい」と述べました。
貧困状態にある17歳以下の子どもの割合は、所得の低いひとり親家庭の増加を背景に、平成24年の時点の推計で16.3%と、調査を始めた昭和60年以降、最も高くなっています。
議員連盟では、学習や進学の支援や食事などの生活援助、それに親の就労支援などについて、ことし夏をめどに提言をまとめ、政府に実現を求めていくことにしています。

570チバQ:2016/02/26(金) 00:45:11
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/s/224803
いま、学校で(1) 生徒の食「配給」が命綱
2016年02月16日 03時00分
生徒指導室の食料は生活が厳しい生徒に提供したばかり。米を残すだけで、段ボール箱は空だった
生徒指導室の食料は生活が厳しい生徒に提供したばかり。米を残すだけで、段ボール箱は空だった
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 高校3年の大樹(18)はカップラーメンをリュックサックにいっぱい詰め込んでもらうと、頭を下げた。
 
 「先生、ありがとうございます」
 
 福岡県のある公立高校。「生徒指導室」に置かれた段ボール箱にはパック入りのご飯やカップラーメン、レトルトのカレー、缶詰が入れられている。家で十分な食事が取れない生徒が持ち帰る。他の生徒には知らせていない。
 指導室に米やカップ麺
 大樹は生活保護を受ける父親と2人で暮らし、奨学金をもらい高校に通う。生徒支援を担当する教諭の田中幸四郎(31)が大樹の異変に気付いたのは2年生の時。修学旅行費の積み立てなど、月に約1万円の校納金がまったく入金されなくなった。
 家庭訪問しても、父親は居留守。何度も通うと「うるさい! せからしい!」と怒鳴られた。父親は息子に食事を全く与えず、大樹の奨学金も流用していた。
 大樹は週に数回、夕方飲食店でアルバイトをし、店のまかないで食いつなぐ。生徒指導室の食料は、大樹の「生命線」だ。
 間もなく卒業。本当は専門学校に進学したかった。学力は申し分なかった。だが、田中はこう伝えた。
 「1年間で100万円かかる。奨学金をもらっても、お父さんが流用する。就職したほうがいい」。大樹は泣く泣く進学を諦めた。
 田中が生徒指導室で食料提供を始めたのは約3年前。生徒の相談に乗っているうちに、経済的な理由や養育放棄で食に困窮するケースが少なくないことに気付いた。がりがりに痩せ、「最後に何を食べたか覚えていない」と話す生徒もいた。
 民間の支援団体代表にそうした現状を話すと、「私たちが食品を提供しましょう」と申し出てくれた。これまで継続的に受け取った生徒は約10人。田中の個人的努力と民間団体の取り組みが、子どもたちの食をかろうじてつなぐ。
 「学校は子どもを救う最前線。子どもたちが抱える問題は、目を凝らさなければ見過ごしてしまう」
 家庭や行政の福祉部局を日々、走り回る田中は自らにこう言い聞かせる。
   ◇   ◇
 小学2年の葵(8)は、母子家庭で中学1年の兄と3人暮らし。母親は精神疾患を抱え、育児もままならない。自宅アパートは脱ぎ捨てた服やごみ袋であふれ、足の踏み場もない。
 母親は、体調がいい日は食事を作るが、それ以外はコンビニ弁当か菓子パン。一日の食事が給食だけの日も珍しくない。教師たちがおにぎりやパンを買い、職員室で隠れて食べさせるのが日課だ。
 スクールソーシャルワーカーの山田由希子(50)によると、葵がある日、口元に前日の給食で飲んだ牛乳の跡を付けて登校した。顔を拭きながら「ちゃんと顔を洗っている」と聞くと、葵は「顔とか洗ったことないよ」。「歯磨きは?」と聞くと、「保育園のときにしたことがある」。
 様子を見かねた山田が昨年夏、母親に「夏休みの間だけ、児童相談所の一時保護施設に預けませんか」と提案すると、母親は二つ返事で応じた。
 寂しい思いをしているだろうと山田が施設へ面会に行くと、葵は「ご飯が3回あって、おやつも出るとよ」「お部屋がきれいで、お布団も1人ずつにあるんよ」と満面の笑みで話した。
 「食事を満足に取れない子には、児相の保護施設ですら天国なんです」と山田は言う。
 葵にとって、1カ月間の施設生活は楽しい思い出。 「またあそこに行きたいんだけど、どうしたら行けると?」。葵が山田に尋ねる。「もう行かん方がいいよ」と諭すと、葵は不満そうにつぶやく。
 「なんで? また行きたいなぁ」 (登場人物はいずれも仮名)
   ◇   ◇
 深刻化する子どもの貧困。その現実を教育現場から報告する。
=2016/02/16付 西日本新聞朝刊=

571チバQ:2016/02/26(金) 00:45:33
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/225035
いま、学校で(2) 制服買えず入学式欠席
2016年02月17日 03時00分
福岡県古賀市教育委員会の窓口前に掛けられたリユース用の制服。希望者は名前や連絡先を届け出て、サイズを選ぶ
福岡県古賀市教育委員会の窓口前に掛けられたリユース用の制服。希望者は名前や連絡先を届け出て、サイズを選ぶ
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 3年前の春、九州北部のある公立中学校。入学式に新入生の陽介(仮名、12)の姿はなかった。2日目も、3日目も。母親は電話で「体調が悪いから」と説明するばかり。ぴんときた担任教諭は学校指定の制服業者に電話した。
 「ああ、その子、受け取りに来てませんよ」
 採寸して注文はしたが、約3万5千円のお金がなくて取りに行けず、登校させられなかった-。母親は、そう打ち明けた。
 校長が立て替え、制服を陽介の家に届けた。担任の勧めで母親は就学援助を申請し、校長に少しずつ返済すると約束した。
 4日目、陽介は真新しい制服に身を包み、ようやく校門をくぐった。
 翌年からこの中学では、制服を取りに来ていない生徒がいないか、入学式前に制服業者に確認するようにした。スタートから子どもがつまずくようなことがあってはならない。
   ◇   ◇
 「制服だけじゃない。収入のある家庭には何でもないことも、貧しい家庭の子にとっては関門なんです」。福岡市の学校関係者は打ち明ける。
 市立中学校に修学旅行をためらっている佳純(同、14)がいた。担任が「旅行代は就学援助で賄えますよ」と説明すると、母親は消え入りそうな声で答えた。
 「でも、きれいな下着やパジャマをそろえてあげられない。お小遣いも1万円なんて無理。惨めな思いをさせるくらいなら」。佳純は結局、参加しなかった。
 〈男子11万2972円。女子12万1572円〉
 福岡市のある市立中学校で、入学前後にかかる制服や運動着、通学かばん、校納金(テスト代など)の保護者負担金の合計だ。就学援助を受けても、1年生への年間支給額は約4万8千円で約4割しか賄えない。さらに部活に入れば、例えば野球部ならスパイク、グラブなどで初年度に約15万円かかる。
 「義務教育は、これを無償とする」。憲法26条はこううたうが、実際は公立校であっても保護者の負担は重い。家庭の懐事情によって学びの場に格差が生じる。それを防ぐため、対策に乗り出した自治体もある。
   ◇   ◇
 福岡県古賀市は2007年度から、中学、高校の卒業生に制服を無償提供してもらい、買うお金がない生徒に回す「制服リユース」の取り組みを続ける。毎年100人前後が制服を残し、すぐなくなってしまう。「小さくなった」と2、3年生がもらいに来る場合も多いが、新入生も30人前後が利用する。
 同県嘉麻市では、小学校で行う単元テストや、年間約4千円かかる中学校の学力分析テストを11年度から全額公費で行っている。部活のユニホームや中学の体育で使う柔道着なども学校が購入して、貸与する。
 旧産炭地の嘉麻市で、小中学生の就学援助率は41・6%と県内2番目の高さ。生活保護家庭も1割近い。
 「家庭環境が厳しい子が途中でつまずくことのないようにしたい。そのために公でできることはする」。同市教育委員会の木本寛昭教育長は力を込めた。
=2016/02/17付 西日本新聞朝刊=

572チバQ:2016/02/26(金) 00:45:53
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/225259

いま、学校で(3) 貧困が招く「10歳の壁」
2016年02月18日 03時00分
九州のある高校が実施する検定試験。小学生レベルの問題から始まる
九州のある高校が実施する検定試験。小学生レベルの問題から始まる
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 〈次のひらがなをカタカナにしなさい〉
 
 (1)ばなな(2)あいすくりーむ(3)しゅーくりーむ…
 
 これは、九州北部の高校が、全校生徒を対象に実施する検定試験の実際の問題だ。この学校では高校の授業と同時に、小学1年〜中学3年レベルの基礎的学力の埋め合わせを進める。
 きっかけは、10年前に行った学力調査。当時の3年生に小学校の問題を解かせたところ、6割の生徒が小学3〜4年レベルでつまずいていることが判明した。
 「このレベルが解けない生徒は、基礎的学力を身に付ける時期に両親が離婚したり、家庭の経済状況が苦しかったりするなど、何らかの要因を抱えていることが多い」。同校教諭の加藤信介(60)は言う。
 加藤の言葉をデータが裏付ける。全校生徒の約4割がひとり親家庭。低所得のため税金が免除される非課税世帯は3割超に上る。
 加藤は今年、3年生が進学のため日本学生支援機構に奨学金を申請した書類を見て驚いた。
 〈生活保護世帯 父の年収0 中学生の姉妹あり〉〈母子家庭 母の年収30万円 兄弟2人〉〈母子家庭 母の年収85万円 小中学生の妹、弟あり〉
 行政関係者からは「こんな学生を進学させてどうするんですか」と言われた。進学しても学費を稼ぐためアルバイトに追われ、疲れ果てて中退する卒業生は少なくない。
   ◇   ◇
 「10歳の壁」。多くの教師がこう呼ぶ現象がある。
 子どもは幼少期、親や周囲の大人から話しかけられたり、本を読み聞かされたりしながら言葉を学ぶ。養育を放棄され、大人との関わりが極端に少ないと語彙(ごい)の習得が遅れ、抽象的な概念や複雑な問題を考える能力が育ちにくいとされる。
 文章の読解や分数などが登場し、学習内容が難しくなる小学3年、4年時に、こうした問題が表面化することが多いという。背景に、貧困が横たわることも少なくない。
 九州中部の公立中学校に通う3年生の浩輔(15)も、そんな一人だ。
 〈王はりこうになりたかった〉。浩輔は授業の音読で、「走れメロス」のこの一節をうまく読めなかった。「利口」という言葉を知らなかったからだ。
 浩輔が小学校に入って間もなく、両親は離婚。母子家庭になり、母は昼間は仕事、夜は飲み歩いた。浩輔と3歳下の妹は「公園や商業施設のフードコートで夜遅くまで過ごしていた」。小学校からの申し送りには、こう記されていた。
 「幼いころから積み上げるべき思考力が育っていない」と浩輔を見守ってきた教諭の田尻和夫(55)は思う。中学卒業を目前に「俺、どうせばかやけん」と口癖のように話し、生活すべてに投げやりになっているような姿が、何よりも気にかかる。
 専願で私立高校に合格した浩輔。「このまま行けば高校を中退してしまいかねない。何とか踏ん張って卒業し、安定した職に就いてほしい」。祈るような気持ちで送り出す。
(登場人物はいずれも仮名)
=2016/02/18付 西日本新聞朝刊=

573チバQ:2016/02/26(金) 00:46:23
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/225523
いま、学校で(4) いつか高校に行きたい
2016年02月19日 03時00分
作業着のまま定時制高校で授業を受ける潤。1人暮らしのための蓄えは70万円を超えた
作業着のまま定時制高校で授業を受ける潤。1人暮らしのための蓄えは70万円を超えた
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 16歳の朱美は昨年3月に九州北部の公立中学校を卒業し、今はアルバイトをしながらお金をためている。
 
 2年前の春。スクールソーシャルワーカーの佐藤真由子(38)は、いつも黒ずんだブラウスを着ている3年生の朱美の姿が気になった。声を掛け続けると、1カ月ほどたったころ朱美が打ち明けた。
 
 「うちには、お金ないけんさ」
 派遣労働者の父親と2人暮らし。借金取りに気付かれないよう、公営団地の部屋の電気をつけず息を潜める夜があること。
 食事は、給料が出たときに父親が買い込んだカップ麺と菓子パンばかりで、制服のブラウスも1着しか持っていないこと。
 朱美が徐々に心を開いてきた1学期のある日、佐藤が家庭訪問すると、「暇だから勉強しとった」。手には使い古した参考書。朱美の成績は学年で中の上。生活は苦しくても勉強は欠かさず、公立の普通高校に合格する学力があった。
 担任は奨学金を借りて進学するように説得した。だが、父親は「奨学金も借金やろ。高校なんか行かんでいい」と拒み続けた。
 2学期に入り、3年生は進学の話題でもちきりになる。朱美は「学校は嫌いだから、高校には行かん」と言い張り、やがてほとんど登校しなくなった。結局、進学せずに卒業した。
 でも、朱美は進学をあきらめていなかった。卒業後しばらくして、佐藤の携帯に連絡してきた。
 「すぐに進学しなくても、高校に行けると?」。働きながら通える定時制高校があると伝えると、「お金をためていつか行くよ」。
   ◇   ◇
 朱美が目指す定時制高校。そのうちの一校に通う潤(17)は朝5時半に家を出て建設現場で働き、学校へ着くのは午後5時半ごろ。作業着姿で9時まで授業を受ける。
 「早く自分の力で生活できるようになりたい」。潤の表情は明るい。
 母親と2人暮らし。毎月約13万円の生活保護費が暮らしを支える。潤は毎月10万円の給料から7万円を蓄え、1人暮らしに備える。
 潤の頑張りには理由がある。従来、生活保護世帯の高校生が収入を得た場合、保護費が減らされていた。だが、国は、2014年度から進学や自立のための預貯金であれば、保護費は減額されない、と実施要領を改正した。
 そのことを潤は入学した2年前の春、担任の橋田進一(49)から教えられた。
 ただし、卒業後に就職しても、1人暮らしをしない限り「世帯収入」とみなされ、母親の保護費が減額される。蓄えは母親のためでもあり、「建設会社を起こして家を建てたい」という自分の夢のためでもある。
 この定時制高校で、生徒の3割は生活保護世帯。ただ、潤のように預貯金ができている生徒はまだ3人にとどまる。
 橋田は言う。「預貯金ができるようになり、貧困の連鎖を断ち切るチャンスが広がった。生徒たちを後押ししていきたい」
(登場人物はいずれも仮名)
=2016/02/19付 西日本新聞朝刊=

574チバQ:2016/02/26(金) 00:47:16
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/225746
いま、学校で(5) 担任が教室で子守代行
2016年02月20日 03時00分
教諭の合田は通帳を預かり、校納金の納入計画書を作って卒業まで支える
教諭の合田は通帳を預かり、校納金の納入計画書を作って卒業まで支える
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 「進級が厳しいから、面倒をみてもらえないか」
 
 九州北部の私立高校。昨年1月、同校教諭の合田保(52)は、1年生の担任から望(16)について相談を受けた。
 望は、ひと月約3万円の奨学金を受けているが、1月までに振り込みがあった学費などの校納金は、2カ月分の約6万円だけ。3月までに残額の約30万円を納めなければ進級ができず、退学処分になる。
 望は母子家庭で、母親は無職。生活保護を受けているが、奨学金も生活費に充てていた。「支払う金がない」と途方に暮れる母親に、合田は提案した。
 「奨学金の通帳と印鑑を私に預けませんか。学校側と掛け合って、何とかお子さんを卒業させます」
 合田はいま、望を含めて5家庭から通帳と印鑑を預かる。親から委任状をとり、卒業までの納入計画書を学校側に提出し、奨学金のやりくりを代行する。これまで、十数人の生徒を同じ方法で卒業させた。
 当初、学校側はトラブルを恐れて合田の活動に難色を示していたが、今では認めている。「本当はやってはいけない事かもしれないが、生徒を卒業させるためにはやむを得ない。親からも感謝されている」
       ‡
 九州のある小学校。4年生の担任教諭、大迫裕子(48)は、生後10カ月の赤ちゃんを抱いたまま、5時間目の授業をしていた。机に向かう児童の間を行ったり来たり。幸い、赤ちゃんはずっと寝息を立てている。
 赤ちゃんは、このクラスの遼(10)の一番下の妹。ほかに小2、保育所の年長、年中がいる5人きょうだい。生活保護を受ける母親と暮らす。大迫が教室や職員室で赤ちゃんを預かるのは、これで5回目。理由はこうだ。
 1学期、母親からたびたび「給食を食べたら遼を家に帰して」と学校に電話がかかり、やむを得ず帰していた。
 母親は子守を長男の遼に任せて、通院や買い物のため外出していた。遼は朝も弟妹を保育所に送ってから登校するため、たびたび遅刻。成績は落ち、友達は離れ、クラスでも浮き始めた。
 「どうしても出掛けなきゃいけないときは、学校に連れてきて」。昨秋、大迫がこう伝えると、母親はさっそく赤ちゃんを職員室に連れてきた。
 遼の早退は次第に減ってきた。休み時間に計算や漢字に取り組み、勉強の遅れを取り戻そうとしている。
 赤ちゃんが教室に来たことで、家庭事情を知った級友は「大変やな」と遼に声を掛けるようになった。昨年末には母親のパートが決まり、赤ちゃんも近く保育所に入ることが決まった。
 教師がそこまでする必要があるのか、と言う同僚もいる。大迫は、遼の母親も貧しいひとり親家庭に育ったことを知っている。教師にとって「困った親」も、かつて救われなかった子どもかもしれない-。「家庭が荒れていたら、子どもは救えない。家庭を変えていかないといけないんです」
 合田と大迫。一教師の踏み込んだ行動が、子どもたちを支えている。
 (登場人物はいずれも仮名)
 =おわり
=2016/02/20付 西日本新聞朝刊=

575とはずがたり:2016/02/26(金) 19:26:30
貧困の逆の話しだけど

北京に住む億万長者は100人、ニューヨークを抜き世界1位に=米国人は困惑「中国って共産主義国だよね?」
http://www.recordchina.co.jp/a129902.html
配信日時:2016年2月26日(金) 12時10分

25日、AFP通信によると、中国で富裕層を対象とした雑誌を出版する「胡潤百富(Hurun Report)」は、米ニューヨーク市を抜いて中国北京市が世界で最も多くの億万長者が住む都市になったと発表した。資料写真。
2016年2月25日、AFP通信によると、中国で富裕層を対象とした雑誌を出版する「胡潤百富(Hurun Report)」は、米ニューヨーク市を抜いて中国北京市が世界で最も多くの億万長者が住む都市になったと発表した。

胡潤百富がこのほど発表した調査結果によると、2015年に資産総額10億ドル(約1100億円)を持つ億万長者の数が、北京では100人、ニューヨークでは95人だった。北京の億万長者の数は2014年から32人増えたが、ニューヨークではたった4人しか増えなかった。3位はロシアのモスクワで66人の億万長者が在住している。また、40歳未満の億万長者の40%以上は中国在住だという。

576とはずがたり:2016/02/27(土) 13:05:34
2016年02月24日(水) 週刊現代
「たった62人」の大富豪が全世界の半分の富を持つ
?あまりにも異常な世界の現実ピケティ、クルーグマンも警告
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47989
賢者の知恵
週刊現代コラム一覧

大富豪が巨万の富を握り、庶民は重労働と薄給にあえぐ。そんな100年前の世界に、私たちは逆戻りしている。富める者はますます富み、一度落ちれば這い上がれない。これでいいわけがない。

ユニクロ柳井社長もその一人

もし、日本国民の半数が持っている資産と同じ額を、たったひとりが独占しているとしたら?多くの人は「いくら何でも、それはおかしい」と思うだろう。

実際には、日本でこのようなことは起きていないが、スケールを地球全体に広げてみると、あながち絵空事でもない。

世界経済に不穏な影が差し始めた今、国際貧困支援NGO「オックスファム」の報告が、各国に衝撃を与えている。

「世界のトップ62人の大富豪が、全人類の下位半分、すなわち36億人と同額の資産を持っている」

大ざっぱに言えば、1台の大型バスに収まる程度の金持ちが、世界の人口の半数を養える額、約180兆円を持っているということ。気の遠くなるような話だ。

現在、世界の総資産額ランキングのトップは、マイクロソフト創業者、ビル・ゲイツ氏の約9兆1000億円。以下、メキシコの通信王カルロス・スリム氏の8兆9000億円、投資家ウォーレン・バフェット氏の8兆3000億円……という具合に続く。

日本のトップであるファーストリテイリング・柳井正社長は、資産総額約2兆3000億円で第41位と、日本人ではただひとり、この「金持ちバス」の乗客名簿に名を連ねる。

上位10人の中には、米財閥一族のコーク兄弟や、ウォルマート創業家のウォルトン一家のように、家族・親族で複数ランクインしている金持ちもいる。まさに彼らは、生まれながらの「世界の支配階級」たちだ。

「この10年、世界中で金持ちと庶民の格差が広がり続けています。特に米国は経営者の年俸がうなぎ上りで、以前は100万ドル(約1億1500万円)もらっていた人物が、今は1000万ドルもらっているというケースも珍しくありません。

でも、いくら会社が儲かっていたとしても、社長の給料が10倍なんて、何を根拠に決めているんでしょう。説明がつかないと思いませんか」

こう肩をすくめるのは、'14年、著書『21世紀の資本』が日本を含め世界中でベストセラーとなった、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏である。

ピケティ氏は、同書の中で「資本主義社会では、長い目で見ると、格差がどんどん広がってゆく」「20世紀は、戦争などの影響でたまたま格差が小さくなっただけ」と、科学的裏付けをもとに主張し、大反響を呼んだ。

「彼らのような大富豪の資産は、世襲による相続分や、金融資産もかなりの部分を占めています。

ビル・ゲイツ氏やアップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏のように、一般家庭に生まれ、何か新しいものを生み出して一代で大金持ちになった人は、まだいいでしょう。

例えば世界2位のスリム氏は携帯電話を作っているわけではなく、国営電話セクターの民営化で巨万の富を得た人物です。また、ヨーロッパ屈指の大金持ちであるフランスのリリアンヌ・ベタンクールは、化粧品会社『ロレアル』創業者の娘というだけで、経営者としての実績はまったくありません。こんな状況は、あまりにも不公平だと思います」(前出・ピケティ氏)

577とはずがたり:2016/02/27(土) 13:05:44

ビル・ゲイツだけで1億人分

ゲイツ氏ら世界のトップ中のトップが持つ資産額は、ギリシャやデンマークの国家予算にも匹敵する。夏には貸出料が週5億円のクルーザーに乗り、家族とバカンスを楽しむゲイツ氏は、現在軽井沢に要塞のような「別荘」を建設している。

また、総資産2兆6000億円を誇る世界34位の富豪・サウジアラビアのアルワリード・ビン・タラール王子は、一機あたり400億円の最新鋭旅客機・エアバスA380の内部を一流ホテルのように改装し、プライベート・ジェットとして使っている。

さらに東京・渋谷にある柳井氏の自宅は、周囲に高さ4m近い塀がぐるりと巡らされ、中にはテニスコートもあるという、まさに「城」だ。

彼ら大富豪が、スーパーで買い物でもするような感覚で数千万円、数億円を使える一方で、世界には1日100円足らずの生活費で暮らす極貧層が約12億人、200円以下で暮らす人がおよそ30億人いる。全人類の半分近くは、雀の涙のような収入で何とか糊口をしのいでいるのだ。

ゲイツ氏の全財産を使えば、単純計算で日本国民よりも多い、1億3000万人の貧困層を1年間養うことができる。だからといって、当然ながら、彼の命に貧しい人々の1億倍の価値があるわけではない。それに、ゲイツ氏に普通のサラリーマンの何百万倍も能力があるとは考えづらい。


これからの「正義」の話をしよう
はたして、一人の人物が億単位の人を養えるほどの大金を手にすることに、妥当性はあるのか。著書『これからの「正義」の話をしよう』がベストセラーになった、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授が言う。

「普通に考えれば、数千億円、数兆円という富を一人の大富豪が独占することには、意味がありません。到底使い切れないですからね。せいぜい数十億円もあれば、一人の人間が満足できないということはないはずです」

'10年に来日して東京大学で授業を行った際、サンデル氏は学生に「イチロー選手の年俸はオバマ大統領の年俸の42倍(当時)だが、これは妥当か否か」という問いを出し、大激論となった。

影響力や責任の重さを考えれば、オバマ大統領の年俸はイチローより高くてもおかしくないだろう。しかし実際には、人は必ずしも世の中への貢献に見合った報酬がもらえるわけではないし、生まれた瞬間に莫大な資産を相続する者もいる。大企業の創業者ともなれば、自分の報酬額を自分で決めることさえできる。

日本もすでに超格差社会

その一方で、働けど働けど貧しいままの人は、世界中に数知れない。

「『カネを持っている』ということが、『休暇のあいだに贅沢をしたり、豪華なヨットや自家用飛行機を持つ権利がある』ということだけを意味するのであれば、あまり大した問題ではないでしょう。

でも実際には、高度な教育、手厚い医療、安全な暮らしといったものも、金持ちほど手に入れやすいわけです。政治権力への影響力もカネ次第です。事実、大富豪がやると決めた戦争で、今も庶民や貧困層が死んでいる」(前出・サンデル氏)

サンデル氏が教えるハーバード大学でも、学生の親の平均年収は約5000万円。金持ちの子は最高の教育を受けてエリートになり、ますます富と権力を得る。貧乏人の一族は、何代経っても貧乏なまま。今や、それが米国の常識だ。

金持ちと貧乏人の格差が、日に日に大きくなってゆく。すでに日本も、そんな「超格差社会」へ突入していると、前出のピケティ氏は警告する。

「日本の場合、少子化で人口が減っていることが大問題です。子供の数が少ないということは、これからは相続のとき、一人の子供に多額の資産が集中するということ。当然ながら、金持ち一族に生まれた子と、庶民の家に生まれた子では圧倒的な差が出てきてしまう。

出生率を上げない限り、日本国内の格差は今後、広がり続けます」

578とはずがたり:2016/02/27(土) 13:05:57
>>576-578

日本では今、上位1%の富裕層が、国富のおよそ1割を持つようになった。豊かな「1億総中流社会」が終わりつつあることは、国民も気づいている。何かと外国人を非難したり、かと思えば「日本はやっぱりすごい」と自画自賛したりする近年の風潮にも、もうすぐ「繁栄の終わり」がやってくるという心細さがかかわっているのだろう。

不安を紛らわそうとするように、日本政府は「トリクルダウン(富の浸透)が起きるから、心配はいらない」と連呼してきた。グラスタワーのてっぺんに注がれたシャンパンは、グラスのふちから溢れ出し、やがて最下層まで流れ落ちる。同じように、大企業が潤えばカネは末端まで行きわたり、庶民も豊かになる、と。

だが、アベノミクスの主唱者の一人、元経済財政担当相の竹中平蔵氏が、この年明けに突如「トリクルダウンはない」と発言。安倍総理以下、政権幹部もトリクルダウンを否定するようになり、国民を唖然とさせた。

ノーベル経済学賞受賞者の、ポール・クルーグマン氏が解説する。

「トリクルダウン説を支持する保守派の政治家や学者は、『富裕層の税金を軽くして、貧困層への福祉は削るべきだ』『さもないと、富裕層は働くのがバカバカしくなり、経済全体の成長が妨げられる』と主張してきました。

しかし、時が経つにつれて、トリクルダウンなど起きないということが次第に明らかになってきています。かくなる上は、高額所得者に重税を課し、その税収を貧困層支援に回すしか手はありません」

例えば、今春から所得の低い65歳以上の高齢者に配られる「臨時福祉給付金」は、予算額およそ3600億円。これで1250万人に一律3万円を支給できるというのだから、柳井氏が持つ2兆3000億円のうち、何分の1かだけでも召し上げて国民のために使うことができたなら、救われる人もいそうなものだ。

カネを転がすだけの人たち

とはいえ、相続で億万長者になった富豪ならまだしも、柳井氏のように、自らの才覚で富を築いた人物からウン千億円も巻き上げるのは、少し理不尽な気もする。日本の格差研究の第一人者で、京都大学名誉教授の橘木俊詔氏が指摘する。

「私は、自力で成功した経営者は世の中に貢献しているから、たくさんもらう資格があると思います。彼らは大きな会社を作り、何万人という雇用を生んでいますからね。

ただ、日本では所得税の最高税率が下がり続けています。30年前は最高で70%取られていたのが、今は45%。金持ちが税金を払うことを嫌がり、政府も彼らの言い分を認めているのです。

海外の富豪のように寄付をするなど、儲けた分だけ社会に還元するという文化が根付いていないことが、日本の金持ちの最大の問題点でしょう」

いつからか、日本人の間でも常識となった「自己責任」という考え方。これはつまり、「オレが手に入れたカネは、オレの才能のおかげだから、独占して当然だ」という論理の裏返しである。

しかし、どんな億万長者も、その事業にカネを払ってくれる庶民がいるから暮らしてゆける。それに、汗水流して働かず、他人のカネを転がして大金を得ているような人々は、本当に世の中を豊かにしていると言えるのか。格差・貧困研究が専門で、昨年度のノーベル経済学賞を受賞したアンガス・ディートン氏も言う。

「大富豪といえども、全員が自分の力だけで地位を築いたわけでは決してありません。たまたま金持ちの家に生まれた人もいる。単に運がよかっただけの人もいる。逆に、彼らに劣らぬ才能を持っていたのに、環境やチャンスに恵まれなかったために、消えていった人もたくさんいます。

このまま格差が拡大し続け、すでに地位を得た富裕層だけが世の中のルールを作るようになるのは、非常に危険です」

ごく少数の人々が、圧倒的な富と力を独占している??世界を覆うテロの恐怖も、そんな庶民の怒りが形を変えて噴出したものだとも言える。

少なくとも、この「異常な社会」がまだまだ続くことは、目の背けようのない事実である。

「週刊現代」2016年2月27日号より

579名無しさん:2016/03/12(土) 16:03:41
http://www.afpbb.com/articles/-/3073560
世界の最富裕層1%の保有資産、残る99%の総資産額を上回る
2016年01月18日 14:02 発信地:パリ/フランス

【1月18日 AFP】世界人口の1%にあたる富裕層が保有する資産は、それ以外の99%の人々の資産全てを合計したよりも多いとの報告を、英非政府組織(NGO)「オックスファム(Oxfam)」が18日に発表した。

 貧困撲滅を掲げるオックスファムは、「世界経済フォーラム(WEF)」年次総会(ダボス会議)がスイス・ダボス(Davos)で開幕するのを前に、報告書「最も豊かな1%のための経済(An Economy for the 1% )」を発表。「悪化の一途をたどる不平等は、62人が所有する富と、世界人口のうち所得の低い半数の人々が有する富とが等しい世界をつくり出した」と述べた。

 オックスファムによると、この62人という数字は「ほんの5年前には388人だった」という。

 また報告書は、世界の不平等の影響を受けるのは、圧倒的に女性が多いとも指摘。「悪化する不平等の背景にある主要な傾向の一つとして、ほぼ全ての先進国と大半の発展途上国で、労働者に分配される国民所得が減少していることが挙げられる。世界の低賃金労働者の大多数は女性だ」と説明している。

 その上でオックスファムは、経済的不平等への取り組みの重要性を指摘する声は世界の首脳レベルでも増しているが、「貧富の差は過去12か月間で劇的に拡大した」と指摘。前年のダボス会議に先立って発表した、世界の富裕層1%の持つ富はもうすぐ残る99%の持つ富の合計を上回るとの予測について「2015年中に現実のものとなった」と述べた。

 報告書によれば、世界の極貧層は1990年から2010年の間に半減したが、世界でも所得の低い10%の人々の平均年収は過去25年間で3ドル(約350円)も増えていないという。(c)AFP

580チバQ:2016/03/15(火) 00:23:52
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/229361

公立中の制服“経済格差” 素材、機能2万円違い 同級生との「比較」不安も
2016年03月08日 03時00分
福岡県内の公立中学校の新入生保護者説明会で配布された学生服のチラシ。高いものと安いもので2万円程度の価格差がある(写真の一部を加工しています)
福岡県内の公立中学校の新入生保護者説明会で配布された学生服のチラシ。高いものと安いもので2万円程度の価格差がある(写真の一部を加工しています)
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 教育の場に貧富の差を持ち込まない-。それが、学生服を公教育に導入した理由の一つとされる。九州の各教育委員会によると、8政令市・県庁所在地の市立中学校は全て制服を導入。多くは「標準服」と呼ばれる詰め襟やセーラー服だが、同じように見えてもブランドや素材などで価格に開きがある。同じ自治体で標準服、ブレザー型と学校で異なるケースも。義務教育の制服にも少なからず経済格差が生じている。

 「夏服を涼しく改良しました」「ブランド製品で高級感が違います」

 福岡県粕屋郡の女性(42)は2月、長女(12)が今春進学する公立中の新入生保護者説明会に参加して驚いた。同中は標準服を採用しているが、学校が指定する四つの制服業者から、それぞれ取り扱う標準服の特徴説明があったのだ。

 抗菌、瞬間消臭、形態安定、洗濯機で丸洗いOK、撥水(はっすい)、UVカット、ストレッチ素材…。各業者が3〜4種類の商品を扱い、価格で着心地やポケット数も違う。詰め襟の上下セットは一番安いもので2万4750円。最高値は大手スポーツメーカーの「数量限定品」で4万4千円だった。

 女性は「家計の状況に応じて選べるのはいいけど、友達と比べられてしまうのでは」。セーラー服のリボンも価格で光沢や質感が違い、ある女児(12)は「リボンだけでもいいものを買ってほしい」と話した。

 一方、ブレザーの採用校には、服装の乱れを防ぐために標準服から切り替えた学校もある。ただ独自のデザインが多く、同じ自治体の公立中でも進学先によって価格が異なっている。

 制服メーカー大手「トンボ」(岡山市)ユニフォーム研究室の佐野勝彦さんによると、現在の制服の始まりは、新たな学校制度が始まった昭和20年代。導入に法律的根拠はなく、物資不足のころ、子どもが日々の服装を気にせず、学校に行きやすいようにと、当時の文部省が「標準的な服の導入を」と提案したという。

 私費での購入は今も昔も変わらない。兄弟、親戚での「お下がり」も一般的な制服。支給品という考えもあるが、佐野さんは「現在まで、支給品にするかどうかを議論した形跡は見当たらない」と説明した。

 義務教育の現場で標準服に“貧富の差”が生じていることについて、文部科学省児童生徒課は「課題として認識はしているが、制服は校則に基づくもので国として一律の対応は難しい。貧困世帯への配慮など、自治体でも対応を検討してほしい」としている。

=2016/03/08付 西日本新聞朝刊=

581とはずがたり:2016/03/21(月) 23:27:36
ギャンブルやセックスそしてアルコール以外に,もしかするとジャンクフードみたいなささやかなものにしか楽しみがない貧困者の行き着く先の心の闇に理解を示さないとただ抑圧するだけではダメだと思うけどサンケイはその辺を思いやる優しさは無いようだ。。
その上で,甘えがあるならちゃんと正す方向にいけないと思うが,現代社会は行きにくく,心の優しい人間心が折れやすくなっているのは困った事だ。。

「することはセックスだけ」米国もか…生活保護を食い荒らす低所得者層の実態
http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/130924/evt13092415350048-n1.html
2013.6.8 12:30

 米フロリダ州が今年4月、低所得者に対して発行する生活保護費の支給のための「デビットカード」の使用制限を条例化した。来年2月から実施され、禁止されるのはカジノやストリップ、酒屋での使用。もちろん、生活保護者がそれらを利用していい理由は一切ない。公的扶助が少ないと思われがちな米国だが、生活保護を“食い物”にしたり、まるで自身が稼いだ金のように遊興費にあてる不届き者は少なくない。それは米国だけでなく、日本に共通する問題でもある。


 ■何でも使える“食料支援カード”

 「EBTを使用するのは自由だ」

 「あなたがすることはセックスをすることだけ。そうすれば9カ月後に大金が手に入れられる」

 これは、2011年夏にインターネット上で全米で話題となったビデオクリップ「Its Free Swipe Yo EBT」の歌詞だ。歌っているのは、チャプターという黒人女性歌手。EBTと呼ばれる生活保護費が振り込まれるデビットカードのありようとともに、子供を産めば働けないため低所得者として“保護”される米国の現状を揶揄(やゆ)してもいる。

 内容は過激だ。ビールを片手に、他の母親たちとタバコを吸ったり、ハンバーガーなどの高カロリーで栄養価の低いジャンクフードを買いにいく場面があったり…。「税金の行き着く先はここです」などといった指摘さえある。

 自助努力の国、低福祉国家と思われがちな米国だが、実はそうでもない。食料や住宅、医療などで支援制度は少なくない。

 そのうち食料支援は、低所得者向けの食料品購入補助制度「フードスタンプ」と呼ばれる。正式名称は「補助的栄養支援プログラム」(SNAP)。州によって基準は異なるが、目安は4人家族で月収入2500ドルとされ、月100ドルが支給されるという。

 この生活保護費が振り込まれるのがEBTカードだ。複数の米メディアによると、フロリダ州議会が条例で禁じたのは、ストリップやカジノなどの遊興費、ビールなどのアルコール類、タバコなどの購入にこのカードを使うことだ。

 同州議会は昨年、同様の形で、カードによるケーキやクッキーなどのお菓子類の購入を禁ずる案を提案している。いずれも栄養確保に悩む低所得者というよりは、過度な栄養摂取であったり、栄養とは全く関係のない、むしろ不健康になるための不正使用だ。

582とはずがたり:2016/03/21(月) 23:27:50
>>581-582

■増える受給者と生活保護詐欺

 これはフロリダだけでなく、米国内で全体の問題でもある。EBTをめぐっては、食料購入時に名前や住所の提示が必要ではなく、カード転売をはかる不届き者も多いとされる。

 例えば、今年4月、フロリダ州で、客からEBTカードを購入し、商品に変えていたコンビニエンスストアのオーナーと息子が詐欺容疑で逮捕された。覆面捜査官を使った捜査では、210ドルのEBTカードを安く買い、2人はそれを使ってビールやタバコなどを購入。2人は同様のやり方で8万8千ドル(約880万円)を詐取していたとされる。

 また、今年3月にはニュージャージー州の安売り店の店主が2年半もの間、EBTでは買えないような商品を客に購入させたとして詐欺容疑で取り調べを受けた。その額は520万ドルにも及ぶという。

 確かに、フードスタンプの受給者は増えている。

 受給者は2013年3月時点で4767万人。総人口が約3億1400万人で、その約15%が受給者になる計算だ。09年の受給者は3300万人だったから、約4年で1300万人も増えている。

 米農務省の統計によると、その経費は12年会計年度(11年10月〜12年9月)が746億ドル(約7兆6100億円)。ほぼ毎年、過去最高を更新し、13年は2月までの5カ月間で318億ドルに達した。低所得者対策が、その時の政権の政策として扱われてきたため、受給者の条件が緩和されてきたという経緯もあるが、増え方は尋常ではない。

 また、低所得者の増加は、一部の富裕層と貧困層との“格差”が広がっているという現実が理由だとしても、使い方のルールまで緩めて、甘やかす必要はない。

 ■10カ月連続で過去最多を更新

 一方、日本でも生活保護費の不正使用は問題化している。

 厚生労働省は5月22日、全国で生活保護を受けている人が2月時点で215万5218人(前月比1576人))となったと発表した。10カ月連続で過去最多を更新しており、受給世帯も157万4643世帯となった。

 都道府県・政令市別では、東京都が29万720人で最も多く、大阪市15万2321人、大阪府8万7763人が続く。

 生活保護費の不正受給が増加。平成23年度は全国で3万5568件、金額は173億1299万円で過去最悪となった。働いて収入があるのに申告しなかったケースが約45%にのぼる。生活保護受給者が多い関西圏でも不正受給・使用は問題化している。

 生活保護とギャンブルをめぐっては、兵庫県小野市が今年4月1日、生活保護費や児童扶養手当をパチンコなどのギャンブルで浪費することを禁止する条例を施行した。

 政府は、不正受給の罰金を30万円以下から100万円以下に引き上げるなど、生活保護法改正法案を国会に提出。今国会中に成立する見通しだ。

 もしこれらが“効力”を発揮しなければ…。ギャンブルや飲酒、ストリップの禁止など実にバカバカしい規制だが、米国を見習うべきかもしれない。

583とはずがたり:2016/03/23(水) 14:46:47
スタバが売れ残り寄付
飢餓撲滅へ米7600店で
http://this.kiji.is/85201362969313286?c=49769094296027144
2016/3/23 11:39

 【ニューヨーク共同】米大手コーヒーチェーンのスターバックスは22日、複数のNPOと連携し、米国内の約7600店舗で売れ残った賞味期限切れなどの食品を寄付する取り組みを始めると発表した。廃棄食品を減らすとともに、安定的な食事ができない生活困窮者を救済する狙い。

 米農務省によると、米国民の6人に1人に当たる約5千万人が十分な食事を得られていない。

 スターバックスは、NPOを介して食品を届ける「フードバンク」と呼ばれる仕組みを活用。開始から1年で500万食を配布し、2021年までに5千万食に拡大、飢餓撲滅を目指す考えだ。

584チバQ:2016/04/06(水) 17:16:20
http://mainichi.jp/articles/20160305/k00/00m/040/077000c
子どもの貧困
.経済損失 最も深刻なのは沖縄県
毎日新聞2016年3月4日 20時20分(最終更新 3月11日 18時19分)

日本財団、深刻度を都道府県ごとに偏差値にして発表
 日本財団は4日、子どもの貧困問題を放置した場合の経済損失の深刻度を都道府県ごとに偏差値にして発表した。最も深刻になるおそれがあるのは沖縄県(偏差値13)で、損失が小さいのは福井県(同63.9)だった。

 日本財団は昨年12月、15歳の子ども約120万人のうち、1人親家庭の15.5万人、生活保護家庭の2.2万人、児童養護施設の2000人の計約18万人を対象に、貧困対策がないまま64歳になった場合の生涯所得や納税額などを推計した。対策が進み、高校中退率などの教育格差が改善された場合と比較すると、約4兆円の損失があると試算した。

 集団の平均からどれぐらい離れているかを示す偏差値を、都道府県の経済規模(県内総生産)に照らした損失額の割合や、山形大の戸室健作准教授がまとめた都道府県ごとの子どもの貧困率などを参考に、独自に「課題深刻度」として算出した。その結果、沖縄県▽大阪府▽高知県の順に損失が大きくなる可能性があった。

 また、15歳未満の子ども1人当たりの児童福祉費(医療費、保育園の運営費など)を都道府県ごとに調査。損失が深刻になるおそれが平均値より高いのに、貧困対策につながる児童福祉費が少ないのは北海道▽奈良▽埼玉▽宮城▽神奈川▽愛媛▽広島▽兵庫▽岡山▽大阪−−の10道府県だった。

 日本財団は「有効な対策に予算をかければ、経済的なメリットは大きい。特に就学前や小学生の子どもに対する支援が手薄で、官民を挙げて取り組む必要がある」と分析している。【黒田阿紗子】

585とはずがたり:2016/04/06(水) 19:01:33

生活保護の受給世帯、過去最多に 昨年12月の速報値
http://www.asahi.com/articles/ASJ32563NJ32UTFL004.html
2016年3月2日19時38分

 昨年12月に生活保護を受けた世帯は163万4185世帯だった。前月より1965世帯増え、過去最多を更新した。受給者も前月より1210人増えて216万5585人だった。ともに2カ月ぶりの増加。厚生労働省が2日、速報値を公表した。

 受給世帯(保護停止中を除く)の種類でみると、高齢者世帯が前月より1877世帯増の80万5723世帯で、全体の49・6%を占めた。

586とはずがたり:2016/04/06(水) 19:02:07


<NY外為>円急伸、一時109円台
http://news.goo.ne.jp/topstories/business/160/962874ecad9769acfd4e543fc389b91d.html
(毎日新聞) 01:23

 5日のニューヨーク外国為替市場の円相場は一時、日銀が追加の金融緩和を決めた2014年10月31日以来、約1年5カ月ぶりの円高水準となる1ドル=109円台に上昇した。

 原油安が進むなか、投資家の間でリスクを回避し安全資産である円買いが強まったとみられる。

587とはずがたり:2016/04/20(水) 11:05:56
震災で職を失いAV女優になった66歳の現実
日本の底辺でいま何が起きているのか
http://toyokeizai.net/articles/-/114395
中村 淳彦 :ノンフィクションライター 2016年04月20日

588とはずがたり:2016/05/08(日) 23:19:59
不況だなぁ・・・。

「格安デリヘル」に流れ着いた25歳女性の現実
「風俗嬢は超高収入」は過去の幻想である
http://toyokeizai.net/articles/-/115480
中村 淳彦 :ノンフィクションライター 2016年04月27日

「風俗嬢は超高収入」は過去の幻想

1980年代、1990年代の性風俗の全盛期を知る中高年の男性を中心に、この数年間の風俗業界の深刻な不況と、風俗嬢の収入の下落を理解していない方が多いです。たとえば「風俗嬢は超高収入で、ラクして稼いでいる。消費と遊びが大好きな女ども」みたいな意識は、過去の栄光に基づいた時代錯誤な認識です。

風俗業界に大打撃を与えたリーマンショック以降、その傾向は特に顕著となって、現在風俗嬢の大半は中小企業のサラリーマンと同程度か、それ以下の賃金でカラダを売っています。カラダを売って中小企業のサラリーマン以下の賃金とは夢も希望もないですが、本当のことです。

風俗嬢たちがそのような厳しい状況なので当然、経営者たちも儲かっていません。風俗嬢への誤解と同じく、たまに「風俗経営者は女性たちから搾取して暴利を貪っている!」みたいな批難をする人がいますが、大きな間違いです。この10年間ほど、風俗業界から景気のいい話はまったく聞こえてきません。

歌舞伎町などの繁華街の活気が失われた原因のひとつは、堅実になった風俗嬢たちがお金を使わなくなったからです。理由は単純で、風俗嬢の可処分所得が減ったからです。性風俗の単価が下がり、さらに男性客数は減ってしまいました。この数年の性風俗店は志願者の半数を断っている状態です。もう、人並みの女性では裸になっても稼げないのです。

589チバQ:2016/06/17(金) 23:36:21
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160616-00122821-toyo-soci
中学生が売春に走る沖縄の貧困の残酷な現実
東洋経済オンライン 6月16日(木)5時0分配信

中学生が売春に走る沖縄の貧困の残酷な現実
5歳の子供がいるシングルマザー、照屋由美子さん(33歳、仮名)
女性、特に単身女性と母子家庭の貧困が社会問題となっている。前回に引き続き、平均年収全国最下位、離職率全国1位に苦しむ沖縄で貧困に苦しむ女性のルポをお届けする。このルポは「総論」を語るものではなく、あえて「個人」にクローズアップしている。そこから浮かび上がってくる真実があると信じているからだ。われわれは、現実に起きていることから目をそむけてはならない。 

 沖縄最大の歓楽街・松山には、性風俗が密集する。路上にはスーツ姿の若い男性キャッチがあふれ、一晩中立ち、ひっきりなしに声をかける。歓楽街の真ん中にある雑居ビル前で、男性ピンサロ経営者・上地氏(仮名)を待つ。沖縄の住人たちの夜の始まりは、遅い。21時を過ぎてから、出勤する女性が続々と前を通り過ぎる。雑居ビルでは、数店の風俗店が派手にネオンを灯す。しかし、上地氏が経営するピンサロは、いくら探してもそのビルにはなかった。

 「うちは違法店だから、看板はないのですよ。空テナントに見えるここが、うちの店です。白看板の営業です」

 現れた上地氏は、恰幅のいい男性だった。3階の真っ白のプレートが掲げられた店を指して、そう言う。22時に開店、朝5時まで営業する。風営法でキャバクラや店舗型風俗店の営業時間は深夜0時か1時までと定められているが、松山では基本的に誰もコンプライアンスを守っていない。

■ 「本番」の価格は40分1万円

 エレベーターを降りると殺風景な扉があった。インターホンを押すと中から若い店員が鍵を開ける。1メートル先の人が見えないほど暗い。大音量の音楽が流れている。店内には、べニア板で仕切られたプレールームがあった。学園祭のような手作りだ。

 「店舗型ピンサロは風営法の許可を得ようがないので、無許可。完全な違法営業です。だから、沖縄のピンサロは看板出さない。税金も払ってないですね。お客さんはキャッチが集める。価格は時期によるけど、40分1万円が基本。本番で1万円です。観光客が多い時期や週末は、1万3000円とか値段を高くする。暇なときは40分9000円とか8000円まで下げることもある。それと地元の人間と観光客で値段を変える。沖縄の人間はカネがないから、値切りの交渉に応じることもある」

590チバQ:2016/06/17(金) 23:36:46
価格は観光客か地元住民か、そして季節、天候、人出によって変動する。40分1万円は、安価な価格帯だ。路上で声をかけるキャッチが観光客か地元住民かを見分け、価格交渉して客を看板のない店に誘導する。女性はシャワーのない狭い部屋で、40分以内で客と本番する。女性の取り分は売り上げの半分、キャッチは売り上げの1割、残った4割が店の収入となる。

 貧困が蔓延する沖縄出身の風俗嬢たちは、ほぼ全員が経済的な理由でその仕事に就く。夜の仕事は大都市圏と異なり、職種によって階層がある。上からキャバクラ→デリヘル→店舗型ヘルス→ソープ→ピンサロ(抜き屋)→ちょんの間、という順位で、キャバクラで働けるスペックの沖縄出身の女性が、違法店で本番を売ることはない。

 「その職種で働けるかは、年齢と容姿の問題。容姿がよければ、飲み屋(キャバクラ)ができる。容姿と体型が悪かったり、中年女性だったりすると、うちのような抜き屋(ピンサロ)しかない。抜き屋には飲み屋は当然、ソープもできない子が流れてくるわけ。うちは本番店だから、松山では最下層ですよ。うちにいる女の子たちは学歴ないし、容姿もよくない。みんなほかに行き場所のない子たちです。だから、店をやってしまった以上、女の子への責任はあると思っている。ほかに行き場所のない貧困の子たちがうちで働いているから、摘発されるまで続けるしかないですね」

 上地氏は高校中退によってレールから外れた。10代後半から雇用がなくて苦労している。さまざまな職種を転々として20代半ばに松山の夜の仕事に足を踏み入れ、31歳から風俗店経営をしている。

 「沖縄は、僕が子供の頃からずっと貧しい。観光産業が潤っても、基本的に内地の会社が儲かっているだけ。沖縄の人間はそういう会社に安くコキ使われているだけ。自分で商売しようという知恵も勇気もないし、本土の人間に利用されやすいわけ。自分もずっと貧しかったから、行き場所のない女の子たちには情が入る。貧しい女の子たちを助けているといっても、売春斡旋だから売春防止法違反。それと無許可営業だから風営法違反がつく。警察に捕まれば、よくて執行猶予、悪くて実刑1年くらい。それは仕方のないことですね」

 上地氏は那覇市内で飲食店と風俗店を3店舗経営する。容姿に恵まれない貧困女性たちが集まるこのピンサロは、ほとんど儲かっていないという。

■ 夜10時から子供を保育園に預ける

 22時半、照屋由美子さん(33歳、仮名)が出勤する。早足に待合室へ入ってワンピースの下着に着替える。照屋さんは5歳の子供がいるシングルマザーだ。週に何度かの出勤日は、21時過ぎに子供と一緒にアパートを出る。バスで松山へ向かい、繁華街の近くにある夜間営業する保育園に子供を預ける。子供が保育園で眠る間、22時半から閉店の朝5時までピンサロで本番を売る。

 沖縄の離婚率は全国1位だ。2013年は人口1000人に対して2.59組が離婚している。2位は北海道2.09組、全国平均1.84組で圧倒的な都道府県1位だ。繁華街近くにある保育園は、続々と風俗嬢やキャバ嬢のシングルマザーたちが子供を預けに来る。20〜21時半が保育園のピークとなる。照屋さんは「お客が来るまで」という条件で、取材に応じてくれた。

 「正直、疲れています。睡眠時間は毎日3時間くらい。お店は朝5時に終わる。私だけ送迎で帰って、朝起きるのは9時くらい。10時〜16時までグループホームで介護職して、保育園で子供を引き取るのは夕方17時以降です。翌日に介護の仕事がないときは朝5時半くらいに迎えに行けて、一緒に過ごせるけど、ダブルワークしているから子供は保育園で過ごす時間が長い。かわいそうだけど、仕方ないです」

 グループホームは時給720円。週3〜4日出勤しても、月収は6万5000円ほど。週3日平均で本番を売ることで、なんとか月収17万〜18万円を確保する。アパート家賃4万円、保育園代4万円の支出が痛い。児童手当1万5000円、母子扶養手当4万円が支給されることで、なんとかギリギリの生活を送る。彼女は童顔でかわいらしい顔だったが、体型はぽっちゃりだった。キャバクラやデリヘルで働けるスペックはなく、5年前からピンサロ勤めである。

591チバQ:2016/06/17(金) 23:37:09
 「出身は北関東です。16歳のときに家出して沖縄に来ました。親とは縁を切っています。お互い興味がないので、もう8年くらい連絡は取っていません。それに地元には友達はいない、ゼロです。地元に戻ることは一生ないと思う、これからもずっと沖縄で暮らします」

 16歳で家出して沖縄移住、親と絶縁、地元に友達はゼロ――とは尋常ではない。いったいなにがあったのか。

 「ずっと、イジメられていました。小学校低学年から汚いとか死ねとか、全員から言われ続けた。田舎の小学校で1クラスしかなくて、イジメは沖縄に逃げる16歳まで、ずっと。小学生の頃から自分が生まれてこなければよかったって意識があって、どうして私を産んだのって親を憎んだ。だから、人と付き合うのがうまくない。人が怖い。中学校に入ってから誰か友達が欲しいと思っても、同じ小学校だった人たちに邪魔された。悪いウワサを広められた。中学でも友達は全然できなかったし、なにもできなかった。本当に誰とも話さないで16年間を過ごしました」

■ 地元を捨てて沖縄に逃げた

 高校進学はしなかった。コンビニで働きながら、30万円を貯めて家を出ようって決めた。コンビニの同僚に「沖縄って楽しそう」と冗談半分で言われ、地元を捨てて沖縄に逃げることを決めた。

 「那覇の飲み屋で働くことにして、18歳って年齢をごまかしてキャバクラで働いた。時給2500円くらいだった。求人広告で面接に行って、そのまま事情を話した。年齢がバレないようにバイトをさせてもらって、寮みたいなところに住めた。沖縄は親切な人が多くて、助けてくれる人がいた。1年後にはアパートも借りることができました。18歳になって飲み屋の仕事を減らして、居酒屋とかコンビニとか、エイサーとかいろんなアルバイトを転々として、20歳で最初の結婚しました」

 19歳のとき、出会い系サイトで沖縄出身のサラリーマンと知り合った。恋愛関係になって20歳で結婚。安定した生活だったが、26歳のときに旦那が地元に近い北関東に転勤となった。「内地には絶対に戻りたくない」と、離婚している。

 「おカネに困るようになったのは、離婚後。ずっといろいろな昼の仕事と、水商売の仕事でダブルワークした。どんなに頑張っても稼げるのは17万〜18万円くらい。今と同じくらい。離婚して生活どうしようって不安になって、その頃にヘルパー2級も取りました。学歴がないと仕事がない、介護がいいかなって思って。6年前、スナックに客で来た沖縄の人と付き合った。寂しかったし、一人じゃキツイってことですぐに再婚した。最初はいい人と思ったけど、ふたを開けたらDVとか生活費くれないとか、ギャンブル好きとか借金まみれとか、メチャクチャでした。とんでもない男だった。息子は、その男との子供です」

 妊娠したことを男に告げれば、ギャンブルやお酒を控えて普通の生活をしてくれるかと期待したが、なにも変わらなかった。子供が生まれて半年後、離婚した。バツ2となる。

 「今のグループホームで介護職しながら、風俗を始めた。最初からピンサロです。太っているのでデリヘルは断られた。子供のためにも売春みたいなことはしたくないけど、仕方ないです。飲み屋ができる年齢じゃないし、それしか生活する手段がありません。介護で社員になるには介護福祉士を持ってないとダメだし、家賃と保育園と生活費でどうしても17万円くらいは稼がないとやっていけない。だからすごく無理してダブルワーク続けています。子供は5歳でまだまだ先は長いけど、ずっと風俗はやるしかないかな」

 照屋さんは何度もため息をつきながら、暗い待合室でそう語る。50分間くらい話しただろうか。キャッチが酔客を連れてきた。照屋さんは店員に呼びだされ、酔客の手を引きながら本番する部屋へと消えていく。後ろ姿は疲れ切っていた。

592チバQ:2016/06/17(金) 23:37:34
■ 中学生も働く、未成年専門の「抜き屋」

 「近くに18歳以下の子供ばかりの抜き屋がありますよ。場所教えましょうか?」

 上地氏は、そんなことを言う。白看板のピンサロから歩いて2分ほど、セクシー系の店舗が営業する同じようなビルがあった。空テナントのような白い看板の店が、その未成年専門店のようだった。はやっているのか、キャッチと男性客の出入りは多い。

 「あそこは未成年専門の抜き屋、当然、本番もさせている。未成年の中には、中学生もたくさんいますよ。沖縄では18歳以下の子供を雇用するのは、本当に簡単なの。口コミですぐに広がって、沖縄中から働きたいって女の子が集まる。違法店はそもそも地下に潜っているから、子供を雇用するかしないかは経営者の判断。未成年だからって値段が高いわけじゃない、うちと同じ40分1万円だよ。逆に女の子を安くたたいている。リスクある営業ってことで店側の立場が強いわけ」

 未成年ばかりの本番ピンサロは、沖縄以外には基本的に存在しない。2000年代半ば以降、全国的に摘発されているからだ。事実上の治外法権となっている松山でも未成年だけは即摘発のリスクがあり、極めて危険な営業だ。ここ数年はヒエラルキー下位の職種である違法ピンサロに未成年が集まっているという。

 「シングルやネグレクト家庭が多いから、一部の子供たちはどうしても中学生で自立を迫られる。中学生は普通のアルバイトはできないので、どうしても夜に流れる。10年くらい前まではキャバクラがそういう未成年の働く場所になっていたけど、条例(青少年保護育成条例)が厳しくなって、ちゃんと看板を掲げるキャバクラは未成年を雇用しなくなった。だから違法ピンサロに、どんどん流れるわけ。結局、中学生を雇うところは少ないから集中する。賃金を安くしてもほかに移る店がないし、辞めないから買いたたく」

 早くに自立を迫られる貧困世帯の未成年たちは、ピンサロや援デリ(売春組織)、個人売春などをして、なんとか収入を得る。16歳を超えれば飲食店やコンビニなどの仕事がある。未成年の中でも、特に貧困家庭の中学生が経済的に困っているという。

 「キャバクラが昔みたいに未成年を囲えば、売春する未成年は減りますよ。子供はカラダ売るより、キャバクラのほうがまだいい。いろいろな人との会話、接客することが勉強になるわけだし。一度、中学生を雇用しちゃうと、県全体から集まる。一人が働くとその友達に口コミで広がるから読谷の子が多い年もあれば、コザや宜野湾が多かったり、バラバラ。未成年は松山だけじゃなくて、仕事ができる場所と店に集まる」

■ 中学生の娘を売る母親も珍しくない

 貧困と格差が蔓延する沖縄の現実は、とんでもないことになっていた。本土で生活するわれわれには信じられない話だったが、上地氏は当たり前のように語っていた。

 「10日くらい前、うちで働く母親が娘を連れてきましたよ。中学2年だったかな。“娘がおカネを返さない、働いて返してもらう”って言っていた。もうメチャクチャですよ。未成年を雇うのは簡単だけど、うちはできるだけ長く営業したいから手を出しません」

 沖縄は産業と雇用の多くを米軍基地やその周辺のサービス業、観光業などに頼ってきた。民間投資が多くはないため、圧倒的におカネが足りない。いびつな状況は、すぐに繁華街の現実に表れる。違法店舗を摘発しても、経済的に困る女の子たちは別の場所に流れるだけだ。大人の女性はもちろんだが、特に子供たちには、売春してほしくない。それを止める手段は、今の沖縄のどこにあるのだろうか。

本連載では貧困や生活苦でお悩みの方からの情報をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。 

中村 淳彦

593とはずがたり:2016/06/20(月) 15:17:07

米で路上生活86歳、帰国へ ネット募金、支援広がる
http://www.asahi.com/articles/ASJ6J62W9J6JULZU012.html?ref=goonews
平山亜理=ロサンゼルス、清川卓史
2016年6月18日11時43分

 米国で長年暮らし、数年前からホームレスになっている86歳の日本人男性が22日に帰国する。路上生活から救おうと、日米両国の支援者が連携。帰国費用を寄付で集め、日本で暮らす部屋もすでに確保した。

 男性は茨城県出身の宮田満男さん。日本の土を踏むのは44年ぶりで、「帰国したら親の墓参りをしたい」と話している。

 宮田さんは1970年代初めに渡米。和風住宅のリフォームを日本の会社に頼まれたからだったが、依頼主が倒産して帰国費用もなくなった。日本に残した妻と娘とは連絡がとれなくなり、米国にとどまった。

594とはずがたり:2016/06/29(水) 13:39:28
人間が人間らしく生きる為に暫くは正職について働くという行為が必要で非正規が増えて行く世界的な潮流は資本の論理と人間性が真っ向からぶつかる厳しい現実である。どうすりゃいいのかねぇ。。
世界的に共同して徴税しないと課税逃れを避けられないのと同様に労働者の搾取を避けるのも世界的に共通の基準を作らないとだめかも。
欧州は移民で低賃金労働を導入して社会の分断がテロをもたらした。日本は移民を排除してテロの風潮は起きていないが時折絶望する者による犯罪が発生している。。

やむなく非正規、ミドル男性の苦悩 気づけば40歳過ぎ
http://www.asahi.com/articles/ASJ2354NMJ23ULFA020.html?ref=goonews
古賀大己、北川慧一2016年2月3日22時04分

 契約や派遣社員など非正規の職から抜け出せない40歳前後の「非正規ミドル」が増えている。特に男性は「正社員の仕事がないため」が4割超と、「やむなく非正規」を続ける人の割合が他の世代や女性の同世代を上回る。低所得で老後への備えも十分積めないまま年を重ね、政府が1月末に打ち出した非正規支援策からも置き去りのままだ。

 昨年末、東京都内で開かれた就職面接会の会場。千葉県に住む41歳の男性が硬い表情でブースを回っていた。9月に派遣の仕事を辞め、正社員の職をつかもうと必死だ。だが、いまだ願いはかなっていない。

 1998年に九州の大学を卒業して18年。気づいたら40歳を過ぎていた。独身。結婚して子供を育てるという、若いころに思い描いた自身の姿は遠い。「ずるずると派遣社員で来てしまった」と肩を落とす。

 就職活動に取り組んだ90年代後半はバブル経済崩壊後の「氷河期」の真っただ中。地元の百貨店などを目指したがかなわず、地元の中小商社に入った。だが営業の仕事が合わず、転職するため3年で辞めた。パソコン関連の資格を取り、派遣で働きながら就活を始め、やっと東京のIT会社で正社員に。商社を辞めてから7年経っていた。

 ただ、喜びもつかの間。2008年秋のリーマン・ショックのあおりで、1カ月後に上司から突然、「来なくていい」。解雇になり、再び派遣社員としてコールセンターや携帯会社などの職を転々としながら、食いつないできた。「正社員の安定した職を得て、将来設計を組み立て直したい」。男性はつぶやくが、見通しは立っていない。

595チバQ:2016/07/03(日) 18:57:12
http://www.asahi.com/articles/ASJ6G0PCCJ6FPTFC036.html
「子ども食堂」全国に300カ所 開設急増、半数が無料
中塚久美子、河合真美江、丑田滋2016年7月1日21時50分
 地域の子どもに無料か安価で食事を提供する「子ども食堂」や同様の取り組みをする場所が、5月末時点で少なくとも全国に319カ所あることが朝日新聞社の調査でわかった。子どもの貧困への関心が高まり、今年に入って開設が急増。6月以降の開設も相次いでおり、今後さらに増える見通しだ。


 全国の子ども食堂を把握する組織はなく、各地の子ども食堂のネットワークや子どもの居場所づくりに取り組む団体などの情報をもとに、朝日新聞が1カ所ずつ聞き取った。困窮家庭の学習支援の場や、夜を独りで過ごすことが多い子どもの居場所などで、食事を共にする活動も数に含めた。

 調査の結果、都道府県別で最も多かったのは東京で50。滋賀29、神奈川、京都、大阪が22、沖縄17と続いた。全ての都道府県に最低でも1カ所はあった。

 2013年までに開設したのは21カ所だったが、この年に子どもの貧困対策法が成立。6人に1人という子どもの貧困率が14年に公表され、支援の機運が高まった。調理や食材提供、遊び相手など活動が身近で参加しやすいことを背景に、開設数は14年13カ所、15年100カ所、今年5月末までに185カ所と急増した。給食がなくなる夏休みを前に、6月以降も開設が相次いでいる。

 開催頻度は月1回が139カ所で4割を占めた。月2、3回が71カ所、週1回が57カ所。週5日以上も15カ所あった。時間帯は平日夜が目立つが、登校前の朝食のほか、給食がない土日の昼食や長期休暇中心に取り組むところもあった。

 子どもの料金は、「お手伝い」などの条件付きを含めて無料が175カ所で55%を占めた。有料の場合は50〜500円で、100〜300円のところが多い。保護者など大人については子どもより高く設定されているところが多かった。

596とはずがたり:2016/07/13(水) 13:35:54
会津若松市議の妻逮捕 生活保護費634万円を不正受給疑い
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160713-00010001-minyu-l07
福島民友新聞 7月13日(水)11時4分配信

生活保護費を不正受給したとして、会津若松署は12日午前9時50分ごろ、詐欺の疑いで、会津若松市、フィリピン国籍、自称ホステスの容疑者(45)を逮捕した。容疑者は会津若松市議(55)の妻。同署によると、容疑者は容疑を認めているという。

 市議は福島民友新聞社の取材に対し、自身が生活保護の申請を手伝ったとした上で「妻が働いているとは知らず源泉徴収票を見て驚いた。私が不正受給に関わったとの誤解が生じているので公人としてきちんと釈明したい」としている。

 逮捕容疑は、会津若松市から生活保護を受給していた2011(平成23)年9月から14年2月までの間、飲食店で働いていたが、収入がないように装って市に生活保護費の給付を申請し、生活保護費約634万円をだまし取った疑い。

 同署などによると、市が14年6月、容疑者の勤務先から源泉徴収票などの提出を受けて不正受給の疑いがあることが判明し、同署に詐欺の疑いで告訴した。容疑者は10年12月から14年9月まで生活保護費を受給していた。同署は同日、市議から容疑者の生活保護申請の経緯など事情を聴いた。

597とはずがたり:2016/07/27(水) 03:00:05
結局難関私立中高一貫校に合格してたんだから頭は良くてそういう人が最終的に成功したからどうのこうの云っても余り説得力は無い様な気もするけど。。

勝ち組がつくる「普通」を放棄し、何度でも「人生をあきらめ」れば人生は楽しくなる!
http://www.excite.co.jp/News/column_g/20160725/Bizjournal_mixi201607_post-7412.html
ビジネスジャーナル 2016年7月25日 06時01分 (2016年7月25日 21時10分 更新)

 本連載では、武蔵大学社会学部助教の田中俊之氏が「男性学」の視点から、「男」をめぐるさまざまな問題についてお伝えする。前回記事で、田中氏はお笑いコンビ・髭男爵の山田ルイ53世が自身のひきこもり経験を書き綴った『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)を取り上げ、同書に描かれる「生きるとは何か」「普通の人生とは何か」といった問題について論じた。

 かつては、「大学を卒業→企業に就職→結婚して子供をもうける→住宅ローンを組んで定年まで働く」といった流れが「普通の男の人生」とされていた感があるが、男爵は「中学受験に合格→中学校で留年→引きこもる→苦し紛れに高校受験するも、不合格→五年間、二十歳まで引きこもる→大検取得→大学合格→二年足らずで失踪→上京→芸人として、下積み生活始まる→借金で首回らなくなる→債務整理→やっと一回売れる!!……そして、今」と、壮絶な人生を送っている。

 今回、田中氏と男爵が対談を行い、男性の生き方からお笑い界の裏側まで、語り尽くした。連載特別編として、お伝えする。

●「勝ち組」がつくる「普通」の恐怖

田中俊之氏(以下、田中) 以前、男爵のラジオ番組に出演させていただいた時にもお話ししたのですが、僕の問題意識として、「“普通”って、けっこう大変なんじゃないか」というものがあります。そして、前回記事でも紹介したように、中年男性の約7割が「毎日がつまらない」と感じている現実がある。…

598とはずがたり:2016/08/02(火) 01:04:56
貧困の多くは「脳のトラブル」に起因している
「見えない苦しみ」ほど過酷なものはない
http://toyokeizai.net/articles/-/127404
鈴木 大介 :ルポライター 2016年07月16日

私事になるが、ここ半年以上、僕は外出をする際に、必ず首からヒモで下げられるようになっているガマグチ財布を持ち歩いている。別に妙なファッションにハマってしまったわけではない。このガマグチは、昨年初夏に僕自身が脳梗塞で倒れてからの、お守りだ。

なぜ首から下げるガマグチがお守りなのか??詳しい経緯などは先日出版させていただいた闘病記である拙著『脳が壊れた』(新潮新書)に書いたが、端的に言えば脳梗塞によって軽い高次脳機能障害となってしまった僕は、買い物先のレジでの支払いができなくなってしまったからだ。

高次脳機能障害とは、脳細胞が外的ダメージや虚血(血流が悪くなること)によって壊死してしまった結果から起きる障害で、身体のマヒなどとは別に、知覚、記憶、学習、思考、判断などの認知や情動などにトラブルが起きることを言う。

僕の場合、注意欠陥や情緒の抑制困難(脳梗塞を起こした右脳には感情の抑制をつかさどる部位があり、そこにダメージがあった)、そして初期は極度の集中力低下という症状が出た。

結果、できなくなってしまったさまざまなことのひとつが、レジでの支払いだ。指の動きにもマヒはあったが、それ以前に極度に低下してしまっていた集中力と認知能力で、小銭を数枚数えると何枚数えたかわからなくなり、端数をどのように出すかを考えられない。加えて感情の抑制もできないから、レジ前の店員のいらだつ顔や後ろに並ぶ人の気配にパニックを起こしてしまう始末。

そこでガマグチである。これならば、もう自分でカネを数えるのをあきらめて店員に財布を差し出して数えてもらえばいいし、札で出してお釣りを財布に戻してもらってもいい。リハビリを経て現在ではほぼ社会復帰できているが、今でもガマグチをお守りとして持ち歩いている。

それなりに地獄のような苦しさを伴う経験だったが、この脳梗塞発症は、僕にとっては本当に僥倖だった。なぜならば、この小銭が出せなかったりレジ前でパニックや感情の爆発を起こしてしまうという人たちを、僕はそれまでの貧困者や面倒くさい人たちの取材の中で、何度も見てきたからだった。

話すことの順序が立てられず、声が出ない

高次脳機能障害になった僕の行動は、そして訴える苦しさの内容は、驚くほどに彼ら彼女らに酷似していた。僕を襲った症状は、いわば「貧困当事者あるある大事典」みたいなものだった。

心の中がつねに何かでいっぱいで、何を見ても号泣してしまう発作。発作の後に訪れる、身体を縦にしていることもまぶたを開けていることも困難な極度の疲労感や虚脱感、猛烈な睡魔。

人に何かを合理的に説明しようとしても、何から話せばいいのかの順序が立てられず、声が出ない。出ない声にまごまごしているうちに、相手に言葉をかぶせられて、焦りといらだちと情けなさと悲しさがごっちゃになった、もう意味のわからないパニックになってしまう。

長文を読むと3行で睡魔が襲ってくるし、漫画を読もうにもそのセリフ、そのコマの次にどこを読めばいいのかわからなくなる。

理由のない不安の発作が始まると、サランラップで全身をぐるぐる巻きにされたように息が詰まり、窒息しそうな苦しみから逃れられない。それが不安なのかもわからない。

こんな僕の症状は、僕がこれまでの貧困者取材の中でさんざん聞き取ってきたものだった。

リハビリや妻と友人の支えで、この苦しさは徐々に緩和されはした。が、僕のデジカメの中に、入院中の僕が自分自身を写した1枚の写真がある。幸い下肢にマヒの出なかった僕は、入院中から再発予防と減量のためのウォーキングを始めていたのだが、病院のガラス窓に映る自分を写したその写真の僕は、おそらく誰もが「健康体」と太鼓判を押しそうな姿だ。…

599とはずがたり:2016/08/03(水) 21:31:39


相模原19人刺殺 植松容疑者が「生活保護」受給できたワケ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/186994
2016年8月3日

 一体どんな手段を使って受給資格を得たのか。神奈川県相模原市で起きた45人殺傷事件で、殺人容疑で送検された植松聖容疑者(26)が市から生活保護を受給していたことが分かった。

 市によると、植松容疑者は今年3月24日から31日まで8日分の生活保護費を受け取っていたという。分からないのは、小学校教師の父親もいて、自動車も所有していた植松容疑者がなぜ、生活保護を認められたのかということだ。

 生活保護を受け取る場合、ケースワーカーによる生活実態の確認や収入の調査を経て、審査を通る必要がある。植松容疑者のケースは果たしてきちんと調査したのか。市に問うと「詳細は個人情報なので答えられません」(地域福祉課課長)と回答した。

「『生活保護をどうやったらもらえるのか』と聞かれました」

 植松容疑者から相談を受けた知人は日刊ゲンダイにこう打ち明けたが、実は相模原市では生活保護の不正受給問題がたびたび起きている。

「昨年6月、生活保護費の架空請求手続きで約266万円を着服した市のケースワーカーの男が懲戒免職されました。受給者に現金で直接手渡すと偽って、飲食費や借金返済に使っていたのです。今年5月にも市内で生活保護費を横領した不動産会社社長が逮捕されました。社長は市内の十数棟のアパートの1室に数十人を住まわせる『貧困ビジネス』を行っていたようです。このうち、入居者3人が失踪したにもかかわらず、市は昨年まで生活保護費を支給していた。いずれも『相模原市は生活保護の申請が通りやすい』との噂を聞きつけ、犯行に及んでいたようです」(相模原市内の福祉関係者)

 措置入院となった病院の検査で、植松容疑者の体から大麻の陽性反応が出たにもかかわらず、県警に通報しなかった相模原市。今回明らかになった生活保護費をめぐる問題でもしっかりとした検証が必要なのは言うまでもない。

600とはずがたり:2016/08/16(火) 17:34:18
“高学歴下流”34歳男性は人生をやり直せるか
http://mainichi.jp/premier/business/articles/20160719/biz/00m/010/011000c
2016年7月20日藤田孝典 / NPO法人ほっとプラス代表理事

貧困は固定化している(4)

 私たちのNPO法人「ほっとプラス」(さいたま市)にある日、34歳男性から相談電話がかかってきました。「契約社員をしているんですが、仕事も暮らしも展望がないんです。話を聞いてもらせませんか」??弱々しい声でした。

 東京六大学の一つで法律を勉強し、学生時代は弁護士を目指していました。しかし、司法試験に何度も落ち、結局法律の道をあきらめました。ここ6年ほど、法律知識を生かせる実務書系の出版社で契約社員の編集者をしています。

妻と子供2人で世帯年収300万円

 給与は月平均でおよそ18万円、年収で約200万円。働き始めた当初は、がんばって働けば正社員にしてもらえるだろうと思っていましたが、会社には6年間何も言われず、契約も待遇も変わりません。

 妻と4歳、2歳の子供がいて、妻のアルバイト収入を合わせて世帯年収は約300万円。東京都内の2DKアパートの家賃が月10万円では家計にゆとりはありません。目の前の仕事と暮らしに追われながら、空回りした正社員登用への期待も捨て切れないでいます。

 「20代は司法試験を目指してがんばりました。でも、ずっと合格できず、生活のために受験をあきらめて働き始めました。夢を追ったのは自分で、合格できなかったのも自分の力のなさです。そのことはよく分かっています」

 彼が弁護士を夢見たことも、司法試験に合格できなかったことも、誰にでもある人生の一コマ。責められません。

 「最近、これからの子供の教育や、自分と妻の健康、老後のことを考えると、胸が締め付けられるような不安を感じるんです。今より収入の高い仕事を探さないと、暮らし向きが良くなる展望はない……ただ、この年齢で転職できるのか、正社員として働けるのか、不安ばかりで……」

 助けてほしいというよりは、誰かに話を聞いてもらいたかったのでしょう。とりとめもない話をじっと聞きました。その後、家賃を安く抑えられる公営住宅があること、仕事を探す場所はハローワークだけではなく、職業紹介・就労支援をする自治体運営のジョブカフェもあること、職業訓練プログラムがあることなどを説明しました。

601とはずがたり:2016/08/16(火) 17:34:32
>>600-601
34歳で非正規なら正社員はもう無理なのか

 契約社員としての職歴しかないことが、彼の正社員雇用への道を狭めています。非正規雇用が4割を超えてもなお、非正規の仕事は職歴とはみなされにくい現実があります。そこに34歳という年齢も加わって、彼は焦り、苦しんでいます。

 問題は失敗したことではありません。何らかの理由で新卒時に正社員になれず、非正規で職業人生をスタートさせた人が、その後の職業教育や職業選択をやり直す仕組みが、あまりに少ないことが問題なのです。その結果、ある年齢を超えた時点で低賃金や不安定雇用は固定化し、やり直せなくなります。

 就職氷河期だった1998年ごろ就職でつまずき、不安定な仕事に就いた若者たちがそろそろ40歳を超えます。そのまま非正規の仕事に就いている人は、年齢からいっておそらく今後も非正規のままの可能性が高い。年収が400万円に達することはなく、年を重ねるにつれて職を失うリスクも高まります。

 「努力が足りなかったのだ」「力がなかったのだからあきらめろ」と、彼らの雇用の不安定さと低収入を責めるのは簡単です。しかし、塊としての彼ら「貧困世代」が20年後、今度は生活保護を必要とする集団になる可能性があります。

不本意で不安定な働き方が続く

 厚生労働省「非正規雇用の現状と課題」(2015年)は、最新データとして次の数字を挙げています(総務省の労働力調査を基に集計したもの。別の調査では非正規率が40%超の結果もある)。

 ▽非正規雇用労働者1980万人▽非正規率37.5%▽非正規雇用者の内訳パート981万人、アルバイト405万人、契約社員287万人、派遣社員126万人▽25歳から54歳の非正規労働者は計約1070万人??。

 1990年に881万人だった非正規雇用労働者は、25年間で1000万人も増えました。また正社員として働く機会がなく、不本意ながら非正規で働いている人の割合は25?34歳で26.5%、35?44歳で17.9%、45?54歳で16.9%もいました。

 経済的な余裕がなく、教育や職業訓練への投資もままならない層がどんどんふくらみ、年を重ねるうちに、中間層だった人たちがしだいに下流に向かう現象が起きています。

 この流れを押しとどめることは、20年後の社会に対する私たちの責任です。

602籐吉郎:2016/08/17(水) 01:21:42
>>601
44歳までなら大丈夫
各業界とも少子高齢化で人手不足が進んでる
今の時代経験がなくても極端に選ばなければ正規雇用で雇用されます

603とはずがたり:2016/08/17(水) 19:21:38
日本が「本物の格差社会」になるのはこれからだ
http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2010/04/post-160.php
2010年04月08日(木)15時52分

 民主党が野党だったころ、「小泉改革のおかげで日本は格差社会になった」と自民党政権を批判するキャンペーンを張っていたが、最近はいわなくなった。民主党政権になっても、格差は縮小しないからだ。もともと所得格差の指標としてよく使われる「ジニ係数」でみると、日本はOECD(経済協力開発機構)諸国の平均より少し高い(格差が大きい)程度だ。見かけ上の所得格差が広がっている最大の原因は、高齢化による引退である。

 しかし世界的には、所得格差は拡大する傾向がみられる。特に英語圏では高額所得者の独占度が高まり、たとえばアメリカでは所得上位0.1%の高額所得者の所得総額は、1970年代までは全所得の2%程度だったが、2000年には7%を超えている。これに対して日本の独占度は、この30年間ずっと2%で、ほとんど変わらない。他方、所得格差の拡大した国ほど成長率の高まる傾向がみられ、この点でも英語圏が最高で日本は最低である。

 世界的な格差拡大の原因は、二つあると考えられている。一つはIT(情報技術)の普及によって知的労働者の情報生産性が上がったため、それに対応して高級ホワイトカラーの賃金が上がる一方、単純な事務作業がコンピュータに代替されて、ブルーカラーの賃金は下がったのである。逆に日本でこういう格差が広がっていないのは、雇用慣行が硬直的なためにITによる業務の合理化が進んでいないことが原因と考えられる。したがって成長率も上がらないわけだ。

 もう一つの原因は、グローバル化による新興国との競争で単純労働者の平均賃金が下がっていることだ。日本で起こっている「デフレ」の最大の原因は、実はこれである。中国のGDPは今年、日本を抜くとみられているが、人口は10倍だから、一人あたりGDPは日本の1割である。これが日本に追いつくには、少なくとも20年はかかると推定されている。逆にいうと、今後20年間は、日本の賃金は中国に近づく(下がる)傾向が続くわけだ。

 このような「格差拡大」は、グローバルにみると先進国と新興国の「格差縮小」なので、必ずしも悪いことではなく、それを止める方法もない。したがって日本がこれに対応する方法は、二つしかない。新興国と競合しない知識集約的な産業を発展させることと、新興国と競合しない内需産業に労働人口を移動することである。

 成長率を高める点では前者が重要だが、知識集約産業にはあまり雇用吸収力がない。日本の成長率が高まることが今後あまり期待できない以上、内需産業、特に福祉サービスの労働生産性を引き上げることによって、格差の問題にも対処することが賢明だろう。

 総合研究開発機構(NIRA)は、このような方向で福祉政策を効率化する提言を3月に発表した。日本の福祉システムは、老年世代への給付が手厚く巨額の政府債務も将来世代の負担になるなど、世代間の不公平が大きい。また「終身雇用」などによって企業が福祉コストを負担してきたため、見かけ上は「高福祉・低負担」にみえるが、このようなシステムは企業収益の悪化によって維持できなくなってきた。

 したがって現在の非効率な福祉システムを改め、年齢・地域・雇用形態・性別などに依存しないで低所得者を税で支援する「負の所得税」のような福祉システムが望ましい。日本の社会保障支出は、年間約30兆円に及ぶ。これだけの所得を合理的に再分配すれば、絶対的貧困を解決することは不可能ではない。必要なのは子ども手当のような無原則なバラマキではなく、福祉や税制の抜本改革である。

604名無しさん:2016/08/27(土) 10:54:42
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160824-00000059-mai-soci
<乳幼児栄養調査>ゆとりない家庭、魚や野菜少なめ
毎日新聞 8月24日(水)14時0分配信

 ◇菓子やカップ麺多め

 経済的な暮らし向きにゆとりがないと感じている家庭の子どもは、魚や野菜などを食べる頻度が低い一方、菓子やカップ麺などを食べる頻度が高い傾向にあるとの調査結果を、厚生労働省がまとめた。家庭の経済状況と子どもの食事内容の関連を調べたのは初めてで、24日公表した2015年度の「乳幼児栄養調査」に盛り込まれている。

 調査は乳幼児の食生活改善に役立てるため10年ごとに実施され、昨年度が4回目。全国の6歳までの子ども3871人の親から回答を得た。今回は初めて家庭の経済状況と、主な13品目を子どもが食べる回数の関連なども調べた。

 経済的に「ゆとりがある」(全体の8.4%)と「ややゆとりがある」(20.9%)と回答した家庭の子どもは、49.5%が魚を週4日以上食べていたが、「あまりゆとりはない」(28.3%)と「全くゆとりはない」(9.2%)とした家庭の子は34.7%にとどまり、15ポイント近い差があった。大豆・大豆製品▽野菜▽果物--も同様に約4〜12ポイント、ゆとりがない家庭の方が低かった。

 一方、菓子・菓子パン、インスタントラーメン・カップ麺は、ともにゆとりのない家庭の子の方がよく食べており、カップ麺などを食べたことがない子は「ゆとりあり」で24.7%、「ゆとりなし」で15.6%だった。厚労省母子保健課は「栄養バランスが取れていないとまでは言えないが、品目によっては比較的差がある」と分析する。

 調査では、子どもに増えているとされる食物アレルギーについても初めて聞き、23.6%がアレルギー症状が出る食べ物を食事から除いたことがあると答えたが、このうち42.1%は医師の指示を受けず自己判断していた。また「過去に除去していた」と答えた人の約6割は、医師の指示なく制限を解除していた。

 食物アレルギーは命に関わる場合があるが、保護者の自己判断で必要ない食品まで除くと、栄養バランスが崩れる懸念もある。同課は「医師の指示を仰ぐことが必要」と指摘する。

 朝食を食べないことがある子どもは6.4%で、対象年齢などは異なるものの、10年前と似た水準だった。ただし、保護者が「全く食べない」「ほとんど食べない」という世帯では、子どもが「必ず食べる」割合がいずれも約8割に下がり、親の食生活を反映していた。【堀井恵里子】

 ◇村山伸子・新潟県立大教授(公衆栄養学)の話

 小学5年生を対象とした厚生労働省の研究と同様の結果で、幼児の頃からの傾向だと確認できた。ゆとりがない層では大豆製品など安いものも摂取が少なく、お金がなくて買えないだけでなく、健康的な食生活のための知識や意欲、調理技術がないことが影響している可能性もある。

 ◇川端輝江・女子栄養大教授(基礎栄養学)の話

 生活にゆとりのない家庭は、ゆとりのある家庭と比べ、親の年齢が若く、共働きやひとり親も多いと考えられる。子どもの食事内容の差は、金銭的な問題だけでなく、親の食べ物の好みや栄養や健康に関する知識、調理にかけられる時間の差を反映しているのだろう。栄養バランスの偏りは年齢が低いほど将来の健康問題への影響が大きい。生鮮食品は買い物が重要なので、時間の余裕がない家庭でも買い物がしやすい流通システムがあるといい。

605名無しさん:2016/08/27(土) 11:06:38
>>604関連

http://news.livedoor.com/article/detail/11023256/
低所得者ほどカロリー過剰摂取…1日5000kcalな食生活
2016年1月3日 17時0分 デイリーニュースオンライン

 かつて肥満といえば裕福さの象徴だったが、今や肥満は貧困の象徴となった。厚生労働省は2015年12月初旬、「国民健康・栄養調査」で「低所得世帯は高所得世帯に比べて、肉や野菜の摂取が少なく、穀物の摂取が多く、栄養バランスが取れていない」と発表して話題となった。同報告書ではさらに、肥満者の割合でも男女とも低所得層のほうが高い傾向にあるとした。

 今や太っていると低所得者だと社会ではみなされるのだ。とりわけ日本、アメリカなどの先進諸国ほどその傾向が顕著だ。生活保護受給率全国ワーストワンを誇る大阪市役所の職員に聞いた。

「刑務所から出所したばかりの人を除けば、たしかに肥満傾向にあるという印象が強いです。気になるのはお子さん連れで来られる場合です。そのお子さんも例外なく肥満している。昔なら栄養状態がいいと我々も気にならなかったのですが……」

1日5000kcalも摂取する生活保護受給者の食生活
 貧困だからこそ太る。これはハンバーガーやファミレス、コンビニ弁当にみられるファストフードでの食事ばかり摂っているからだという。

「生活保護受給層の1日の食事を聞いてみました。30代女性ですが、朝、昼、晩と近隣で買ったコンビニ弁当3食、そしてインスタントの味噌汁です。これを毎日続けていたら、それは太りますよね?」(前出の大阪市職員)

 成人の男性で建築業や宅配業といった肉体労働をしている者ならば1日3500kal摂取しないと体力的にもきつい。だが丸1日家にいて動くことのない生活保護受給者が3食コンビニ弁当、それに加えてアイスクリームやチョコレート菓子を延々と食べ続ける。摂取カロリーは約3000kalを超える。これだけでも1日のカロリー摂取量は高い。太る原因がここにある。大阪市健康局に聞いた。

「成人男性なら1日に1800kal、成人女性なら1日1500kalも摂取していれば十分です。1日に3000kalの消費は明らかにオーバーです」

 先述した生活保護受給の30代女性の場合、コンビニ弁当3食に加えてチョコレート1枚、アイスクリーム1個は必ず1日に一回摂取しているという。消費カロリーは最低3500kalを超える。コンビニ弁当以外ではファミレスでの食事だ。高カロリーであることには違いはない。大阪市健康局関係者が語る。

「食事だけならいざしらず酒も呑み、つまみも摂っていました。1日の摂取カロリーは5000kal強。それでいて運動はしない。就職活動はできない状況だそうで。だから外にも出ない。太って当然です。そして太っているからこそ仕事も出来なくなる。悪循環です」(同)

子どもが過度に太っていればネグレクトとみなす
 こうした高カロリー摂取は大人だけでは済まない。生活保護受給者層ではその子どももまた大人と同じくジャンクフードにみられる高カロリー食品を摂取している。肥満傾向は増すばかりだ。大阪市子ども相談センター関係者は次のように証言する。

「小学校5年生児童で身長は140㎝ですが体重は55㎏という子がいました。もちろん虐待とかネグレクトではない。話を聞くと食事はファミレスかマクドナルドのハンバーガーばかりです。まずはカロリー面からのケアが大事と判断しました」

 児童相談所では現在、大人とまったく同じカロリーを摂取させるのも、「ネグレクト(育児放棄)」とみなすという。冒頭部で紹介した大阪市役所の職員が“太っている来所者”の印象をこう語る。

「太っている。つまりカロリー計算ひとつしない。これは金銭管理も出来ないことを現します。子どもがいること。これは自分の生活水準を考えず出産する、つまり避妊もしないわけです。すべての生活が無計画ということがわかります」

 今、日本、アメリカのホワイトカラー層では肥満、喫煙は、「自己管理できない」ことを現す指標とされている。都市銀行勤務の女性(35)が語る。

「禁煙は当然です。1日の摂取カロリーは1200kalに抑えてます。休日のジム通いはかかせません。健康であること、それが行内、ひいては社会人としての評価につながりますから」

606名無しさん:2016/08/27(土) 11:06:52
>>605

 この女性によると、今、都市銀行では太っている男性は管理職に就けず、若くして関連会社に出される傾向があるという。続けて都市銀行勤務女性が語る。

「都市銀行の頭取職を見て頂ければわかります。太っている人はいませんよね? 太っていること、それは自分を律することができないとみなされます。自律していない人を金融機関の管理職には据えられません」

 もちろん生まれながらにして肥満体質の人もいる。だがそれでも太っていることは、「自己管理出来ていない」ことを表に出すようなものだ。

「経済的に自立している人は、自分を律することができる。だから太らない。でも、自分を律することができない者は経済的にも自立できていない」(大阪市生活保護担当者)

 経済的自立と社会人として自律できているかどうか。ここを見極める鍵が、今、肥満かどうかであることのようだ。太っているだけで社会人としての信用にかかわる時代の到来だ。

川村洋(かわむらひろし)1973年大阪府生まれ。大学卒業後、金融業界誌記者、地元紙契約記者を経てフリーに。週刊誌や月刊誌で活躍中

607名無しさん:2016/08/27(土) 11:10:01
>>604関連

新たな飢餓…貧しいのになぜ太る?
米国をむしばむ貧困と高カロリー食品
トレイシー・マクミラン/ジャーナリスト
2014年7月29日(火)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140722/268982/?rt=nocnt

貧困と肥満率の関係
2015/2/18
http://socius101.com/post-983/

アメリカの貧困と格差の凄まじさがわかる30のデータ
2014/3/26
http://socius101.com/poverty-and-inequality-of-the-us/


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