渡部名誉教授はこの頃を回想され、
「マッカーシー旋風のとき、『付き合っただけで有罪(guilty by association)』という言葉がアメリカで流行りましたが、田中氏に関しては、『裁判に批判的な事を言っただけで有罪
(guilty by vindication)』という言葉でも必要になりそうな、そんな異様な時代だったのです」と書かれている(渡部昇一著『朝日新聞と私の40年戦争』PHP研究所、一二五ページ)。
このような状況にあって、社会的に批判されている側に立って物事を発言するのは大変に勇気のいることだが、これから日本は、より厳しく、より混乱した世界情勢に否応なく巻き込まれるであろう。
若い世代も、渡部名誉教授のこのような「覚悟ある姿勢」に、大いに学ぶべきである。