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読書紹介板
364
:
転載
:2018/01/16(火) 20:57:07
『刑務所の読書クラブ』 教授が囚人たちと10の古典文学を読んだら
ミキータ・ブロットマン 川添節子 訳
5つ星のうち5.0
刑務所の囚人に読書の楽しさを伝えられるか
投稿者フォート・リーベスト1000レビュアー2018年1月10日
この本は、男子刑務所の囚人たちに「アウトサイダー」文学作品の読書の楽しみを伝えようと試みた女性教授の三年間を記録したドキュメンタリーです。
この本の結論とも言うべき、最終部分を引用します。
「私は彼らを読書家にすることはできなかった。彼らは単に刑務所内の読書クラブに参加しただけなのだ。私には魔法が解けたように見える。塀のなかにいる彼らには愛情を感じていた。しかし、外に出た彼らは私から離れていく。 なぜなら、私が差し出せるものは文学しかないからだ」(299頁)
著者(「私」)は、読書クラブの活動を通じて、彼らにも文学から人生の学びの経験をしてもらいたい、という思いからこの活動を始めました。しかし、囚人たちが学びたがっているものは、「文学」以外のもっと実用的なこと。著者自身、そのことはよくわかっているつもりでしたが、著者が囚人たちに差し出せるものは「文学」しかないので、「文学」作品の読書クラブの活動を始めまたのでした。
「もし自分が独房にいるとしたら手元におきたいと思う」(38頁)「文学」作品を囚人たちのために選んだのでした。だから、著者が彼らのために選んだ「文学」作品十冊は、すべてアウトサイダーを描いたものになりました。「麻薬常用者の世界を迷いなくリアルに描いたバロウズの文章に彼らが興味を持つのではないかと思ったから」(114頁)という理由で、『ジャンキー』という小説を著者は選んだのです。
そして、著者は悟ります。
「本について彼らと話をして、ほとんどの受刑者にとって読書は単なる暇つぶしだということがよくわかった。安価で、煙草やサボキソンのように健康を害することもないが、結局のところ、ハイにもなれないつまらないものだろう」(132頁)
言い換えれば、囚人だけでなく、我々「読者」は、現実世界では得られにくいハイな気分にさせてくれるもの、幻想や幻覚を与えてくれるような面白いことを、文学作品に期待して「読書」をする、ということなのでしょうか。
いま、著者は、幻想がとけ去った後、自己憐憫のような悲しみを感じながら、この本を書き終えようとしているように思いました。刑務所内の読書クラブの試みは、著者にとって何かしらの残念感が漂う結果になってしまったようです。残念ながら、「著者が選んで、囚人メンバーが読んだ10冊の文学作品」は、暇つぶしのつまらないものになってしまったようです。
しかし、囚人各人が好きな本を選んで読む「読書」クラブなら、「暇つぶし」の「つまらないもの」にはならなかったのでは、と思います。だって、世の中には、つまらないとしか思えない、読み捨ての三文小説でも、暇つぶしとしての「読書」を十分楽しんでいる人たちがたくさんいるからです。特に、死期が迫っているような、死の病にとらえられたような老人でさえ「読書」は十分楽しめるものだからです。ですから、戦場で命をかけて戦いながら、戦場図書館で借りた本をむさぼり読む兵士たちの「読書」は、死刑囚の「読書」とどう違うのか、などと読書について考えさせられました。
この本に書かれたことは、あくまで男子刑務所の囚人たちの読書クラブでの結果のように思われました。
女性教授に対して、性的好奇心のある男たちの反応のひとつの結果に過ぎないのでは。刑務所内に囚われていても男はやはり男では? 女性への下心のような好奇心からの、興味本位の読書クラブへの参加動機がなかったとは言い切れないでしょう。やむを得ないことです、男の性(さが)なのですから。著者が選んだ10冊の文学作品は、純文学ではありませんでしたが、やはり男たちのこころをわしづかみにするような魅力を持つパンチのある文学作品ではなかったというだけです。たまたまスーパーボールの試合中継への興味のほうが、女性教授による読書クラブの本を読むことより魅力的で勝っていただけだと思いました。
できれば、著者にはもう一度、元気を出して女子刑務所の囚人たちに同じような試みをしていただければありがたいと思います。この本の結論と、どのように違ったものになるのか、ならないのか。そんな本が書かれれば、本書の読者たちもぜひ読んでみたいと思うかもしれません。
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