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鈴扇霊

1ピーチ:2012/10/28(日) 21:00:12 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
一回スレ立てはしたけど挫折した上分かんなくなったのでもう一回←

とりあえず荒らしはなしでーす

92ピーチ:2013/06/15(土) 20:01:18 HOST:em49-252-234-80.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>

書きたい話あるのだw

頑張るよ! 駄文なりに!

93ピーチ:2013/06/15(土) 22:29:16 HOST:em49-252-234-80.pool.e-mobile.ne.jp







「おー! 居た居たー!」
 彼らの顔を見るなり、それまで周りとだべっていた電話主―――琉斗が片手を上げた。
 僅かに顔が赤く染まっているのと傍にある透明な飲み物を見て、昇が顔を引き攣らせる。
「お、お前酔って………?」
「いやー? 俺結構強いみたいでさー」
 確かに意識はしっかりしているようだが。
「来なきゃ、いや連れて来なければよかった……」
 頭痛でも覚えたのか頭を抱える青年に、天音と柊一の不思議そうな視線が注がれる。
「昇?」
「……なぁ柊一、お前絶対飲むなよ?」
 天音の呼びかけに大丈夫だと答えた後で、鬼気迫る表情で友人に言った。
「わ、分かってるけど……?」
 そもそも今回仕事で来てるんだよ? と問う青年に、昇はいいやと首を振って。
「仕事なくても飲むな絶対!」
「……? 分か、った…」
 未だに頭上で疑問符を躍らせている二人に気付くことなく、とりあえず三人が部屋を出る。
「―――…天音?」
 唐突に聞こえた声に、天音が振り返った。
 そして。
「……めぐみ、ゆうき!?」
「どしたの? こんなところで」
 ここ居酒屋だよと言う彼女―――神矢めぐみと神園ゆうきに、天音がしばらく目を見開いて。
「……私たちは、仕事で。貴方たちこそ、どうしたのよ?」
「へ?」
 めぐみが驚いたように問い返す。そして、
「あたしたちも………仕事、だけど…」
 依頼があったから来た、と答える彼女。
「…どんな、依頼?」
「変な物音が続いてるから、なんとかしてくれって」
 天音が頭を抱える。
 全く同じ内容だ。なぜわざわざ。
「あ、柊一、昇」
 突如聞こえた声に、次は青年二人が振り返る。
「ま、さと…」
「明人……?」
「俺らは居たらいけねぇのかよ」
 一応同窓会も理由の一つだぞ、と青年―――天野明人が低く唸り、誠人が苦笑気味に笑った。
「………同窓会、も?」
 その、も、と言うのが非常に気になる天音である。
 その彼女に、久しぶりと返し、誠人が簡単な説明を始めた。
 曰く。
 この店の店員に変な物音するから何とかしてくれと頼まれたとか。
「なんで………………っ!?」
 頭を抱える天音に、めぐみたちの訝しげな視線が刺さる。
「……俺らも、同じ内容で、ここに居るんだけど」
「――――――は?」
 全員の声が重なった。
「私たちだって言いたいわよ…苦情でも漏らしてこようかしら」
「いやあのね天音さん?」
 さすがに焦った昇の耳に、困ったような声が聞こえた。
「あ、すみません」
「へ?」
 天音たちが合ったときとはまた別の、中年の女性が姿を見せる。
「たぶん私たち、それぞれに違う所に依頼してしまったと……」
「……どういう、意味ですか?」
 昇の問いに、女性が恥ずかしそうに笑って。
「それが……ちょうど電話をしようとした直後に、家族親戚で大喧嘩をしてしまって。それで好き好きにかけてしまったんです」
 なんて身勝手な。
 口に出しかけたのは昇と明人だが、全員の胸中を同じ思いが駆け巡ったことは言うまでもない。
「本当に申し訳ありません……あの、どうすれば…」
「…仕方ありませんね」
 苦笑気味に笑い、天音がめぐみを見た。
「彼女に頼んでください。私たちには、荷が重いので」
「はっ?」
 彼女の言葉に、めぐみとゆうきがぐるんっと首を巡らせた。
「なんであたしら!?」
「だって今回の話聞いてたら、私たちよりもめぐみが死にかけの脅しかける方がいいかなって思って」
「お前のその視点もずれてるぞ!?」
 昇の叫びに、天音がうるさそうに耳を塞ぎ。
「じゃあ何? 私たちが請け負ってこの店の評判下げようって?」
 彼女の言葉に、昇がぐっと言葉に詰まる。
「そ、そりゃ確かに……」
 納得しかけた彼に、めぐみの叫びが響いた。
「あの飛鳥井さん!? あたしたちに任せた方が怖い結果ですよ!?」
 類は友を呼ぶ。まさに天音にぴったりな言葉だと思う昇である。
「…じゃあさ、もう面倒だから全員でやる?」
 そう言ったのは誠人で、明人が小さく笑った。
「俺たちも、何もしないで帰るのは癪だからな。やるならそれでもいいぜ?」
 彼の言葉に誠人が苦笑する。
 明人の言葉に、三人が顔を見合わせた。

94ピーチ:2013/06/15(土) 23:06:22 HOST:em49-252-234-80.pool.e-mobile.ne.jp







「…でも、あんまり人数が多いと」
 店に迷惑がかかる、と呟く天音に、柊一がうんと頷く。
「だよねぇ…いつもみたいに好き勝手できるなら、人数は関係ないんだけど」
「おーい双子ー!」
 誠人と明人が振り返る。
 琉斗と一緒に話していた男―――犬飼享(いぬかいりょう)が片手をぶんぶんと振っていた。
 既にアルコールが回っているらしく、彼の顔が赤い。
「お前らも飲めよー! ってか来てたなら顔くらい見せろよ双子ー!」
「双子双子連呼するな!」
 明人が半ば叫び、誠人が苦笑する。
「つか俺たちは一応仕事があるんだよ! 暢気に酒飲んでる暇なんか……」
「いーじゃんちょっとぐらいさー」
「駄目だっつったら駄目なん……」
 それまであーだこーだと言いあっていたが、やがて諦めたらしくそのまま同級生たちの輪へと戻って行った。
「ったくよ…あれだから享は……」
「まぁまぁ」
 たしなめる誠人と昇を横目に、明人があれ、と呟く。
「柊一は?」
「へっ?」
 昇の表情がさっと青ざめた。
「ま、まさかあいつ……」
 言いかけたとき、琉斗を始めとしてぞろぞろと一つの部屋から大勢の人間が出て行く。
「あー、お前らー。俺ら二次回行ってるからなー?」
「もう好きにしろ!」
 琉斗たちの言葉に明人が返し、やがてその場が静まり返る。
 刹那。
「―――っ……」
 来た。
 静かな物音を立てて、それが現れた。

95ピーチ:2013/06/15(土) 23:42:17 HOST:em49-252-234-80.pool.e-mobile.ne.jp







「猟陣隔依(りょうじんかくい)、本失総来(ほんしつそうらい)」
 早かったのは誠人だ。明人が彼の背後を守るかのようにゆっくりと彼の背に回る。
 誠人の痩身からゆらりと青白い霊気が立ち昇り、それが次第に姿(かたち)を持っていって。
 ―――やがて、彼を包み込むように尾を丸めた、龍の姿が。
「……やっぱ凄いな、天野さん」
 小さく呟いた天音の傍で、めぐみが笑った。
「確かに。………あんたが行かないなら、そろそろあたしがやらせてもらおうかな」
 そう言って口の端(は)に笑みを乗せ、彼女が片腕を突き上げる。
「天野さんとか天音たちには敵わないけど。あたしだって、一応それなりの能力(ちから)持ってるよ?」
 生まれついて持った異能の強さは尋常でない。
 それを自負していながら、彼女はそれを利用して。
「―――吉凶を見定める我が僕(しもべ)、我らに降りかかるそれを見定めよ」
 厳かな響きが木霊する。
 確かな威厳と威圧を持った彼女の声に反応するように、地が僅かに揺れる。
 めぐみの双眸が昏く輝いた。
 突き上げた片手に握られた細身の槍を振りかぶる。
 迷うことなく振られたそれは、正確に妖の位置を捕えていて。
「うわ……っ」
 昇が条件反射で避け、気付いた誠人が障壁を築いた。
「……お見事」
「そりゃどーも」
 軽く笑って受け流す彼女に、天音が半ば驚嘆する。
 そして、めぐみの祓った妖を見て、
「あ………っ」
 小さく呟いた。
「これ…」
「大方、何の害もないだろうな」
 たったこれだけのものに大勢で挑んだのか俺たち馬鹿じゃんと呟く昇に、天音が小さく苦笑して。
「同感ね」
 同じことを考える天音である。
 ということは、まだほかにも居るのだろう。
 こういった類の妖は、集団で行動する割に人間に害を為すことがない。
 だからあまり気にされないのだが、今回はたまたま遊び回っている音が聞こえたということか。
「………………………ぅー……」
 切り刻まれたはずの妖が小さく呻く。それを認めた天音が、さすがに目を瞠った。
「……手加減、した?」
「まさか」
 即刻切り返すめぐみに、確かにと返して。
「…ねぇ、天音ちゃん」
「はい?」
 誠人の呼びかけに応じ、少女が振り返る。
 彼が苦笑気味に笑った。
「……害はないみたいだから、助けてあげたら?」
「………そうした方が、いいですか?」
 あくまで嫌そうな態度を取る天音だが、誠人にうんと返されて大人しく雑鬼を救い上げる。
 そして。
「汝、この快癒の呪(まじな)いの力を知れ」
 薄暗い光が転じ、次いで雑鬼を包み込む。
 やがて、その雑鬼の身体が再生されて。
「……………あれ? 俺生きてる?」
 全身を見回して呟いた妖に、天音が一言。
「次この店に迷惑かけたら、ただじゃおかないわよ」
 貴方たちのせいで私たちが駆り出された、と言う天音に、妖が怯えたように頷いた。
「わ、分かったからそのおっかないものひっこめてくれ!」
 めぐみと昇の持っている剣と槍を見て言ったのだろう。二人が顔を見合わせて、大人しくするならと約束してからそれを戻す。
 それを認めて、妖がわーっと叫びながら屋根裏へと走って行った。
「………で」
 全てがひと段落ついたから言う。言わせてもらうが。
「柊、は?」
 ぴしっと青年三人が凍り付く。
「…昇?」
「うん、たぶんあそこだあの部屋だ。何なら行ってみて来ればいいさ!」
 変に爽やかな彼に合わせるように、明人が笑った。
「じ、じゃあ俺そろそろ帰るわ! たぶん薄情者じゃない誠人が助けてくれるから安心しろ天音ちゃん!」
「は?」
 わけが分からない。
 混乱している天音に、めぐみが苦笑気味に言った。
「あたしたちはもう帰るけど、行ってみれば? 飛鳥井さんが言ってる場所に」
「……えぇ、そうさせてもらうわ」
 頭の中での整理ができていないながらに、彼女は小さく笑って答えた。

96日陰:2013/06/16(日) 08:15:45 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 ピーチ>>

 皆さんお疲れ様ー! っで、良いのかな?

 やっぱりみんな優しいねぇー! 流石ピーチのキャラクター!←

 続きも楽しみにしてるよォー!

97ピーチ:2013/06/16(日) 17:31:59 HOST:nptka407.pcsitebrowser.ne.jp
日陰〉〉

うん、一応お疲れなんだけどまだなんだよね←

あと一歩で書きたいのが終わりだー!

98ピーチ:2013/06/17(月) 03:08:47 HOST:em49-252-123-0.pool.e-mobile.ne.jp







「天音ちゃん、ひとりで大丈夫? ついて行こうか?」
 たかだか幼馴染ひとり呼びに行くだけに、何をそんなに心配しているのだろう。
 疑問符を胸の内に留め、少女が小さく笑う。
「……大丈夫ですよ?」
 そう言って、つい先ほどまでうるさすぎるほどに賑わっていた奥の部屋の襖を開けた。
 そのまま中に入って―――
 唐突に携帯が鳴る。
 相手を確認して、誠人が呆れたように息を吐いた。
「もしもし?」
『あ、誠人か? 天音と一緒?』
「一緒も何も。ひとりで大丈夫だっていってそのまま行ったよ?」
 電話主―――昇がげっと呻いたのが分かった。
「……ていうか、俺ならともかく天音ちゃんまで残すってどういうつもりだよ? あぁなった柊一が簡単に止まるとは…」
 瞬間。
「―――……きゃあぁぁぁっ!?」
「…………は?」
  突如聞こえた、あの声は。
『…どうした?』
「……天音ちゃんの悲鳴が、聞こえたんだけど」
『頼む助けてやってくれ!』
 俺は行きたくない! と叫ぶ昇に分かったからと返し、そのまま通話を切る。
 そして。
「…何で俺って、こう貧乏くじ引くのが上手いかなぁ……」
 小さく苦笑しながら、青年が奥の部屋まで足を運んだ。






「天音ちゃん、ひとりで大丈夫? ついて行こうか?」
 その言葉に対して抱いた疑問を表に出さず、ひとりで大丈夫だと言ったのが失敗だったのだ。
「柊、居る?」
 言いながら襖を開け、直後に見えた青年の姿に天音が小さく息を吐いた。
 今は妖気の残滓も感じられない。つまりは僅かな力しか持たない雑鬼たちでさえ、今この場には居ないということだ。
 だから、彼はただ寝ているだけ。
 問題は。
「……何で、こんなところで寝てるのよ…?」
 呟いて、彼女が首を横に振った瞬間。
 ぴく、と唐突に柊一の身体が動いた。
 俊敏に動いたそれは、瞬く間も与えず天音の手首を捕えて。
 そのまま勢いよく彼女を押し倒した。
「……え…?」
 一瞬、何が起こったのかの理解ができない。
 だが、その混乱が完全に消え去ると。
「―――……きゃあぁぁぁっ!?」
 思わずと言ったように叫び、
「ちょ、柊!?」
「ねぇ、天音」
 彼女を遮るようにして、柊一の声が響いた。
 低く通りやすい、穏やかな声。
 肩よりも少し長い髪がはらりと落ち、彼の頬にかかる。
 それを気に留める風もなく、柊一が天音を捕えたままに問うた。
「―――“強い”って、どういう意味だと思う?」
「…え?」
 再び僅かな混乱の波が押し寄せる天音をそのままに、彼は続ける。
「俺さ、正直もう疲れたんだよね。……天音には、言ってなかったかもしれないけど」
 ぐっと柊一の両手に力が籠もった。微かに生じた痛みに顔を歪める。
「………ここで、―――…やったら、終わるかな……?」
 優しげな声とは裏腹に、彼の手に籠もる力は強まっていく。
 しかも、幼馴染とはいえ男の柊一に、人並み以下の腕力しか持たない天音のできる抵抗など、たかが知れていて。
「や……誰か…っ」
「―――柊一! やめろって!」
 唐突に聞こえた声に、天音が目を瞠った。






「あ……っ」
 部屋に入った瞬間、天音を押し倒した柊一の姿が視界に映った。
「ねぇ、天音」
 ―――“強い”って、どういう意味だと思う?
「…え?」
 問い返した天音に答えず、彼は自嘲気味な笑みを浮かべて。
「俺さ、正直もう疲れたんだよね」
 そう言って。
「………ここで、―――…やったら、終わるかな……?」
 天音には聞こえなかったのかもしれない。当然誠人に聞こえるはずがない。
 だが、彼は直感でそれを理解した。
 ここで。次に彼は何と言った。
 あのとき、あの場所で、同じことを口にしなかったか。
 ―――もう、これで終わりにできるかなぁ…
 本当にどうでもよくなったとき、彼はよくそうぼやいていた。
 だから、違う可能性ももちろんある。
 ぐるぐると考えていた誠人だが、柊一の行動を見て血相を変えた。
 天音本人は気付いていないが、あれは。
「………っ…」
 ぎり、と歯噛みして、誠人が叫んだ。
「柊一! やめろって!」

99ピーチ:2013/06/17(月) 05:12:38 HOST:em1-114-93-10.pool.e-mobile.ne.jp







 誠人が天音から柊一を引きはがし、小さく息を吐く。
「はぁ……大丈夫?」
「え? あ、……はい…」
 天音がしばらく呆然と柊一を見つめ、しばらくしてからやっと我に返った。
「あ、の……天野さん?」
「ん?」
 いつもの様子に戻った誠人が彼女を見る。
 天音が、恐る恐るといった体(てい)で幼馴染を視界に入れて。
「柊…、どうしたんですか?」
 幼馴染は自分だ。だがそれでも年齢が違う。だからそれなりに知らないこともある。
 自分が知らなくても物知りな誠人なら何でも知ってるんだと考えた天音なりの問いだった。
「うーん……知らない、かなぁ…」
「え?」
 しばらく答えあぐねるように視線を宙に彷徨わせ、やがて青年が小さく息を吐き出した。
 そして。
「…柊一ってさ、異常に酒に弱いんだ」
「―――は?」
 曰く。
 成人式を兼ねた去年の同窓会で酒を飲んだ際、最早見事なまでに人格が変わったらしい。
「それも、俺たちの前でだけね」
「………?」
「だからそれ以来、柊一にだけは何があっても酒は飲ませないようにしようって約束してたんだけどね…」
 今回は俺たちの対応が遅かった、と言う誠人に、天音が未だに唖然と柊一を見て。
「……お酒、に?」
「そう。まぁ俺たちも強いとは言えないけど、柊一は伝説になってもいいと思う」
 昇は意外と強いみたいだけど、と呟いた誠人に、天音がえ、と問い返す。
「昇が?」
「うん。まぁ、柊一がいるから飲まないんだろうけど」
 本人もあんまり好きそうじゃないしね、といって。
「……とりあえず、柊一をどうしようか」
「…あ……」
 かくして、次は柊一を言う人間をどうするかを言う問題が浮上した。






「柊一」
 胡坐をかいた昇が柊一を呼ぶ。
「え?」
「お前、昨日飲んだろ。あんだけ飲むなっつったよな?」
「………あー…」
 心当たりがあるのか、しきりに視線を彷徨わせ。
「いや、だって琉斗たちが」
「人のせいにするな」
「まぁまぁ」
 ゆうべ結局柊一を運ぶ羽目になった誠人が昇をたしなめる。
「……天音ちゃんが無事だったから、よしとしよう?」
「うんそうだな」
 誠人の言葉に昇が同意し、意味が理解できない柊一が首を傾げて。
「どういう意味? 天音だったら別に……」
「……………………」
 無言をもって返す昇である。
 しばらく言いあっていた二人が、やがてどちらからともなく息を吐いた。

100たっくん:2013/06/17(月) 12:11:08 HOST:zaq31fa529e.zaq.ne.jp
;;

101ピーチ:2013/06/24(月) 03:13:51 HOST:em1-115-17-26.pool.e-mobile.ne.jp







「あ、もしもし天音ー?」
『……どうしたのよ、こんな時間に』
「いやいや、あんたなら寝る暇さえ惜しんで色々やってるだろーなーと思って」
 飄々と笑う電話主―――めぐみが、天音に問うた。
「ところで、この前の天神さんどうしてたの?」
 ぴくり。
 電話の向こうで少女が僅かに身じろいだ。
 ような、気がする。実際に見てないから分からないが。
「? 天音?」
『ごめんめぐみ、その件に関しては二度と触れないでもらえる?』
「は?」
 あの天音をここまで言わしめるとは。一体何をしたんだ。
 非常に気にはなるのだが、それ以上追及しようものなら着信拒否までされてしまいそうなので聞かないことにする。
『で、用はそれだけ? 今寝てたんだけど』
「えっ? 天音が!?」
『何よそれ随分と失礼じゃない。まるで私が年中寝てないようないい方ね』
「実際そんなもんじゃない?」
 電話の向こうで僅かに機嫌を害した様子が容易に思い浮かび、めぐみが苦笑した。
「………ねぇ。明日、何か用事ある?」
『明日?』
「うん」
 天音がちょっと待ってと言ってしばらく沈黙が降り、やがてあぁと呟いた。
『午前中にちょっとした用がね。それがどうかした?』
「あ、いや、大したことないんだけど。それって、昼からは予定なし?」
『今のところは』
 彼女の返事を受け、めぐみがそっかと呟く。
『何? 何か用があるなら、付き合うわよ?』
 午前中もあの二人に任せれば問題なし。
 恐らく笑顔で言い放ったであろう友人に、めぐみが慌てたように答えた。
「い、いや! 別に朝から絶対ってわけじゃないし、別にあたし一人でも……」
『なら、何で電話したの?』
 ぐっと、めぐみが言葉に詰まる。
 確かにそうだ。本当に一人で大丈夫なら、めぐみがわざわざ電話など入れるわけがない。
 それに、いくら天音が起きている可能性が高いからといっても、彼女は時間帯を気にする性格だ。
 あんな適当な理由だけで、こんな時間に電話を入れるなどあり得ない。
『……ごめん、嫌なら無理に話さなくてもいいけど』
「ううん、やっぱりお願いしようかな。……昼からでも、いいから」
『そう、分かった。明日は空けておく』
「うん、ありがと。ごめんね、おこしちゃって…おやすみ」
 そう言って通話を切り、めぐみが思わず自分の手のひらを見つめた。
 今までの会話だけでも、僅かに息が上がっている。
「……………っ……」
「何隠してんの?」
 唐突に聞こえた声。
 はっと、めぐみが振り返った。
「あたしが居るのに、何でわざわざ天音に電話したの? そんなにあたしが嫌だった?」
 責めるような口調。それを聞いためぐみが、苦笑気味に笑った。
「そうじゃないよ。ゆうきには、まだ色々とやってほしいことがあるから」
 そう言って、彼女がすっと身を翻す。
 そのまま、彼女の黒曜の髪が闇に溶けた。

102ピーチ:2013/06/30(日) 10:08:28 HOST:em114-51-164-120.pool.e-mobile.ne.jp
短編〜出逢い〜






「だから………っ」
 肩を震わせながら、俺が怒鳴った。
「いい加減にしろ!!」
 そう叫びながら、俺は後ろに付き纏っていた雑魚霊どもを殴り飛ばす。
「ったくよ…」
 周りでは、クラスメイトやその親たちが気味悪そうな視線を俺に送る。
 でも、もうそんなの気にならない。
 こんな奴ら、視える人間が居るわけ―――
「―――あぶなっ」
 どっかで誰かの声が聞こえて、俺が振り返った。
 そして。
「………へ?」
 目の前に、小さな女の子の姿。
 でも普通の子供じゃなくて、それは。
「あ……」
 少女の細い手が、ゆっくりと伸びる。
 ―――薄青のワンピースを靡かせた少女は、笑いながら俺に近付いて。
 ―――ねぇ、わたしのこと、視えるでしょう?
 楽しげに、そう呟いた。
 正直、害がある妖怪の類とは思えない。大方、前に死んでしまってからそこに留まっているだけの霊だろう。
「…視えるけど?」
 俺の言葉に、少女が満足そうに笑い、そして。
 ―――…一緒に、来て?
 酷く楽しそうに、少女が言った。
 その笑顔が、どこか悲しそうに見えて。
「……分か…」
「駄目だ!」
「え?」
 さっきも聞こえた声がまた聞こえ、俺が後ろを見る。
「ふざけるなよ、幽鬼……」
 そう言った、肩より少し長い髪を一つに括った奴が、俺を通り越して真っ直ぐに少女を睨んでいた。
「…ゆう、き……?」
 幽鬼って、あの?
 ってそれ以上に!
「お前あれ視えんの!?」
「え?」
 ―――それが、出逢いだった。

103たっくん:2013/06/30(日) 14:30:01 HOST:zaq31fa4c60.zaq.ne.jp
ピーチさんのクソスレいつも拝見させてもらってます。
実にくだらない つまらない
しかし考え方によってはいい見方もあります。

104ピーチ:2013/07/01(月) 03:53:34 HOST:em114-51-30-88.pool.e-mobile.ne.jp







「うん、まぁ一応」
 苦笑気味に笑ったそいつが、次にその笑顔を引っ込めて。
「気を付けてね。あいつ……」
 何かいいかけた、瞬間。
 ―――邪魔を、しないで……?
 そんな声が聞こえ、少女の笑い声が木霊する。
 少女の細い腕があいつの首に届く寸前、彼女がひっと腕を引っ込めた。
 その反応を見て、そいつは満足そうに笑う。
「やっぱり、お前くらいにはこれがちょうどいい」
 そう言って不敵に笑い―――。
「次誰かを手にかけようとするなら、俺が止める」
 何があっても、と言い残し、そいつが俺に声をかけた。
「……行こう? そろそろ始まるし」
「……あぁ…」






「三組か……」
 どこのクラスでもいいけど、と呟きながら、その教室に向かう。
 がらりとドアを開けたら、いくらかの視線が一斉に向いた。
「…………」
 机の上に名前が載っている。自分の名前の場所に座れってことか。
 右側の一番前の席に自分の名前を見つけ、そこに腰を下ろす。
 すると。
「あれ?」
 …………………何だろう今ついさっきも聞こえた声を聞いた気が。
「やっぱり、さっきの」
 振り返ると案の定、さっき会った奴が居た。
「同じクラスだったんだ。何か心強いな」
「はぁ?」
 胡乱げに聞き返した俺に、そいつは笑いながら。
「さっき、そこら辺にいた霊たち殴ってただろ? あんな芸当できる人、そう居ないから」
「………るせ」
 あらぬ方を見て知らないふりをしている俺の席を覗き込んで、そいつが笑った。
「あすかいっていうんだ。俺天神。よろしくね」

105ピーチ:2013/07/01(月) 04:24:41 HOST:em114-51-30-88.pool.e-mobile.ne.jp
―――第三章―――






「で?」
 開口一番、天音が言った。
「わざわざあんな時間に電話かけて、どうしたの?」
「率直だよねぇ、あんた……」
「下手に言葉濁すよりはずっといいと思うわよ?」
 うんまぁ確かに、と言いかけるめぐみに、天音が心配そうな表情を向ける。
「この前会ったときも思ったけど、痩せたんじゃない? ……もともと、痩せてるけど」
「まさか。これで痩せてたらあんたはどうなんの?」
 この場合互いに自覚がないだけだが。
「貧血、集中力の低下なんかを引き起こす原因よ?」
「それ、天音にだけは言われたくなかった」
 本気で嫌そうに顔をしかめるめぐみである。
「まぁ、この際それはいいわよ。……本題は?」
 友人の表情が硬くなった。
 不審に思いながらも、彼女の言葉を待つ。
「……最近、ね。夢を見るんだ」
「夢?」
「うん。……姉さんの」
 その夢の中で、彼女は止めているらしいのだ。夢の中での、めぐみの行動を。
「でも、あたしが起きたときにはどんな夢を見てたのか、姉さんが何を止めようとしてたのか分からない」
 だから、あるいはこの友人なら、自分が見た夢と同調することも敵うと思った。
 それを聞いた天音が首を捻る。
「…私自身は、無理があるかもしれないわね。でも……」
 彼女になら、容易なことではないか。
 しばらく思案する素振りを見せ、やがて彼女が笑った。
「貴方の見る夢、操らせてもらっていい?」






「じゃあ、頼んだわよ」
“任せてください。ちゃんと確認してきます”
 そう言って琥珀の髪を翻した少女を見送り、天音がめぐみに声をかける。
「もういつ寝てもいいから。寝られないようなら他にも手段はあるわよ」
 そう言って片目を瞑って見せる天音に、めぐみが問い返した。
「他の?」
「悠莉さんが、結構睡眠薬持ち歩いてるのよ」
「なんでっ!?」
 叫んだめぐみに当時の自分を重ね、天音が苦笑しながら返す。
「柊は眠りが浅いし、悠莉さんも眠りが浅いからって医者に相談したらもらったらしいわよ」
 天神家に行く度に知らない間に飲まされ、気付いたら朝になっていた、と言うことが天音自身ある。
「……天音が?」
「何よその言い方。私が年中寝てないって言いたいわけ?」
「違う違う」
 言いながら、天音が小さく息を吐いた。
「とりあえず、安全だとは思うけど」
 用心に越したことはない、とめぐみの周りに薄い膜を張る。
「じゃ、私ちょっと用事柊に連絡してくるわ。睡眠薬持ってきてもらうように」
「いやいいです!」
 友人の言葉にくすりと笑い、そのまま天音が部屋を出た。

106ピーチ:2013/07/01(月) 05:26:50 HOST:em114-51-30-88.pool.e-mobile.ne.jp







 すぅ、と規則正しい寝息が聞こえ、天音が小さく息を吐く。
 机の上に突っ伏したままなのだが、この際それはいいかと思うのが雨音らしいと言えばそうなるのだが。
「……ねぇ天音」
「何?」
 幼馴染の声に反応し、少女が振り返った。
 柊一が苦笑気味に笑う。
「めぐみちゃんなんだけど、普通に寝かせた方が…」
「今更?」
 確かにねと言いかけた柊一を遮り、昇が呆れたように息を吐いた。
「あの状態じゃ苦しいんじゃねぇの?」
 そう言って部屋の中へ入り、彼女を床に寝かせて。
「じゃあ、俺ら帰るから」
「…えぇ……」
「めぐみちゃんのこと、気を付けてあげてね」
「分かってるわよ」
 確かにゆうきには荷が重いだろう、これは。
「……ある意味、こっちに来て正解だったわね」
 小さな含み笑いを零し、少女が身を翻しかけたとき。
「―――何の用?」
 鋭く、容赦のない言葉が放たれた。
「貴方様のお傍に居るようにとの命が、下っておりますので」
「今まで居なかったのによくそんなこと言えるわね」
「そう怒るな。俺たちには俺たちの仕事があったんだ」
「そう。なら今すぐその仕事とやらを増やして永久にこの神社に入らないで」
 無論神気が届く範囲に居られるのも困る。
 彼女の言葉に、光陰と雷鬼が苦く笑った。
「夢月が行ったか」
「……何で、知ってるの?」
 友人を伺い、天音が問う。
「今、聞こえてたからな」
「あら、盗聴が趣味だったの。なら人間に化けて専門的な方向に進めば?」
 やたらと食ってかかる天音である。よほど水月のことが気に入らなかったか。
「………天音」
 呼ばれた少女が視線を投げる。雷鬼が言った。
「俺たちは、確かに夜空から命が下ったという理由もある。だが一番は、俺たちの意思だ」
 主の意思であると同時に、己の意思でもある。
「最終的に俺たちは自分で、お前を守るということを決めた」
 天音が軽く目を見開いた。なら、この二人は自分の意思で此処に居るのか。
「私たちが居ることで、できる限り貴方様の助けになれば。夜空様がそう仰っていました」
 穏やかに微笑んだ光陰が、そのまま姿をくらませる。
「どうする? お前が望まないのなら、俺も光陰も勝手なことはしないが」
 そう言って彼女を見て、雷鬼が笑みを浮かべた。
「……少し、待って」
 いきなりそんなことを言われても、簡単に納得はできない。
 彼女の言葉に、雷鬼はあっさりと隠形した。
『心が定まったなら、呼べばいい』
 その一言を残して。

107たっくん:2013/07/01(月) 11:46:55 HOST:zaq31fa4c60.zaq.ne.jp
またクソスレかピーチ・・?
お前も好きやな〜

とっとと消えろカス

108たっくん:2013/07/01(月) 11:54:55 HOST:zaq31fa4c60.zaq.ne.jp
とっとと逝けよピーチ
お前クソだからな

109日陰:2013/07/06(土) 22:06:53 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 ピーチ>>

 うぅ〜ん……( 。_。)

 やっぱり、ピーチは天才としか言いようがない……うん←

 そして、柊一君が天音ちゃんを押し倒した時には少しドキッとした←

 「っえ、っちょ、柊一君んんんん?! 何してんの?! っえ、何してんの!?」

 って、脳内でヤバめ口論があったwww

 そして、その後の天野さんの言葉に少しッホとした……www

110ピーチ:2013/07/07(日) 00:44:01 HOST:em1-114-140-221.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>

いや全然天才じゃないし! こんなんで天才だったら世の中天才だらけだし!

100スレ超えたの忘れてたからって遅いけどちょっと短編も入れてみた←

そして異常に酒に弱いっていう完璧に見える柊一の弱点でしたw

111日陰:2013/07/07(日) 13:15:52 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 ピーチ>>

 そっかぁ〜 柊一君はお酒に弱いのかぁ〜

 良い弱点だねぇ〜←

 よし!

 天音ちゃん! これから柊一君の痴態を晒したい場合はお酒を飲ませると良いy((殴蹴殺殺殺

112ピーチ:2013/07/07(日) 13:32:39 HOST:em114-51-17-244.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>

完璧な人間の唯一の弱点w

いい弱点なのか……?←

まぁ柊一だってそう簡単には飲まないよきっと((

113日陰:2013/07/07(日) 13:55:47 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 ピーチ>>

 まぁ、人間一個や二個くらい弱みあるからねぇー

 私もいろいろあるしww

 カエルが嫌いな事とか、カエルが嫌いな事とか、カエルが嫌いな事とか、カエルが嫌いな事とか……((以下略

 とにかく私は、カエルが苦手だよ……

114ピーチ:2013/07/07(日) 18:26:13 HOST:em114-51-27-205.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>

あたしも色々ある! ありすぎる!

カエル始めとして両生類爬虫類昆虫絶対むり!

…あ、でも小さい蜘蛛だけは平気かも←

115ピーチ:2013/07/08(月) 14:03:23 HOST:em49-252-8-59.pool.e-mobile.ne.jp







「…そう簡単に、決まるものじゃないわよ」
 まだ夢月が出てくる様子はない。元凶(もと)が現れないか。
「天音?」
「え?」
 先ほど帰ったはずの幼馴染の声が聞こえ、天音が振り返った。
「どうしたの?」
「………気付かな、かった?」
 柊一の言葉に不審げに眉を顰(ひそ)め、はっと辺りを伺う。
「いつの間に……」
「少なくとも、俺たちが帰るときは居なかった」
 なら、それ以降か。当たり前だが。
「夢月……」
 言いかけて、はっと思い当る。彼らが居た。
 非常に気に入らないが、それでも。
「……光陰、雷鬼」
 呼びかけると、ふっと神気が降り立った。
「呼んだか?」
「えぇ」
 不満そうに答えるが、一大事なのだから仕方がない。
「契約、必要なの?」
「まぁ、形式的にはな」
「そう。じゃあ、それは後に回させてもらうわ」
「は?」
 少女の言葉に問い返し、雷鬼が訝しげに土色の瞳を細める。
「その人に変なものが近寄らないように、しばらく守ってて?」
 そう言って、天音が柊一を促して部屋を出た。






「っ………」
「天音!」
「問題ない」
 眼の前に突如現れた妖。その妖の爪が、少女の腕を掠めた。
「柊こそ大丈夫なの? 少しは自分のことも…」
「……それ、天音にだけは言われたくないなぁ…」
「うるさい」
 ぴしゃりと言い放ち、天音が漆黒の髪を翻す。
 そして。
「―――これで、終わりよ」
 壮大な音を立てて、地が割れた。

116【下平】:2013/07/08(月) 14:06:42 HOST:ntfkok293007.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
【ピーチちゃん、学校どうした。】

117【下平慎(シン)】:2013/07/10(水) 13:06:36 HOST:ntfkok293007.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
【ピーチちゃんがいじめられている、かなしいよ。】

118【下平】:2013/07/10(水) 13:44:56 HOST:ntfkok293007.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
【ピーチ、記事を荒らされてかわいそうに。】

119ピーチ:2013/07/11(木) 04:08:09 HOST:em114-51-3-85.pool.e-mobile.ne.jp







“主様!”
 戻るなり夢月が叫ぶ。彼女が戻ったということは、めぐみも起きたということだろう。
「ごめんね、ちょっとしたものが居て。……で、何か情報あった?」
 夢月が頷いた。
“めぐみさんのお姉さんが止めているのは、過去と、それから……”
 言いにくそうに言葉を濁す夢月に、天音が日を傾げる。
「夢月?」
 どうかしたのかと問われて、少女が視線を彷徨わせた。そして、やがて諦めたように口を開く。
“―――……過去が、未来を縛っています”
「………未来って、めぐみ、の?」
“はい”
 ただし、その発端が現れることはなかったらしい。元凶を見つけ捕えるまでには至らなかったということだ。
「そう……分かったわ、ありがとうね」
“いえ。また何かあったら遠慮なく言ってください”
 そう言って、少女の姿がふっと掻き消えた。






 柊一も昇も帰った。めぐみは突然仕事の依頼を受けたということでやはり帰った。
 広い部屋に一人、彼女は小さく呼びかける。
「―――光陰、雷鬼」
 呼ばれたふたりがさっと現れた。
「お呼びでしょうか?」
 直接口を開いたのは光陰だ。雷鬼は顕現しただけ。
「えぇ。……契約が、必要だって言ったでしょう?」
 ふたりが軽く目を瞠った。そういうことか。
「どうしたらいいのか、教えてくれない?」
「さて。我らには、お前の心は視えない」
 唐突に口を開いた雷鬼に、天音が視線を投げる。
「……心?」
「そう。我らを従えたいと思うなら、ありのままの心をさらけ出す。そして、その心にある言葉を放てばいい」
 光陰を見ると、彼女は黙って微笑むだけだ。彼の言葉に補足を入れるつもりはないのだろう。
 心。時として己さえも違(たが)えることのある心。その心の言葉を放つと。
 なら。
 小さく息を吐き、目を閉じる。
 十六将というくらいだから、十六人はいるのだろう。まだ数名しか知らないが。
 その彼らを従えるための、絶対条件。
「―――汝、我との契約を誓え。不死に近しいその御魂(みたま)に、我が名を刻み給え」
 短く息を吸い、天音が言った。
「我が配下に下(くだ)る意思を示せ。十六将光陰、雷鬼」
 刹那。
 己を取り巻くかのように、それぞれの気がふたりを覆い尽くす。
 ふたりがそれぞれに笑った。
「やっと心が定まったな」
「……うるさい」
 他を配下に下すと決めたわけでは、まだない。特に、水月などは天変地異が起ころうとも配下に下すつもりはない。
「天音様」
 呼ばれた彼女が視線を投げる。
「水月は、夜空様のことを心の底から慕い、お守りしています。夜空様の前の方に対しても、同じです」
 要するに、水月は変わり目が訪れる度に反発していたということか。
「……子供ね」
 自分も他人のことを言えるものではないが、心の底から思ってしまう天音である。
 光陰と雷鬼が苦笑した。
「まぁ、これからは知らない顔も増えてくるだろうさ」
 それだけ言い残し、ふたりの姿がふっと掻き消えた。

120たっくん:2013/07/11(木) 16:14:55 HOST:zaq31fa5a1a.zaq.ne.jp
頭がパーMANソング♪


1 名前:たくや:2013/07/11 16:14:00 IP:49.250.90.26



パーマン替え歌メドレー

作詞・たっくん


       【同性愛パーMAN】

パンツ♪パンツ♪パンツ♪
遠くで呼んでる声がする
きてよ〜パーンツ♪私のアソコへ〜♪
ウンコついてるあのパンツ♪

パンツ♪パンツ♪パンツー♪
ぬ〜くよ〜待ってて〜♪ホモだちになろう♪
チンポとチンポとチンポつなげてみんなでシコろう
アホぞろい

パンツ♪パンツ♪パンツー♪


男同士の友情を凌駕してしまいました。。
友情を超え、同性愛パーMANになろうとしています。
いわゆる、ホモです。

121日陰:2013/07/12(金) 20:18:46 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 ピーチ>>

 私も、虫とか無理!

 でも、中学生になって虫とか少し平気になった……←

 天音ちゃん……

 何か……大きな背中が瞼の裏に浮かぶよ……←

122ピーチ:2013/07/13(土) 10:02:10 HOST:em114-51-137-187.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>

あたし今でも無視とか絶対無理! 天変地異が起こっても無理!

むしろ中学生になってから酷くなったというか←

あ、よかったら今勝手に更新してるこれの短編的なスレもあるから読んでみてねー!

123名無しさん:2013/07/13(土) 10:55:54 HOST:zaq31fa5a1a.zaq.ne.jp
誰も読まねーよアホ

顔面殴るぞコラァ!

124日陰:2013/07/13(土) 16:25:07 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 ピーチ>>

 りょうかーい!(>д<)ゝ”!!

 読ませてもらうねー!

 っていうか虫ね……うん……

 人に害を与える虫はドロップキックを噛ましてこの世界から抹消したいって友達と言ってた←

125ピーチ:2013/07/13(土) 20:43:57 HOST:em114-51-40-197.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>

ありがとう!

っていうか虫なの、うん……←

日陰の友だちいいこと言うね! あたしもそれ賛成!((おい

126日陰:2013/07/13(土) 21:20:48 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 ピーチ>>

 イヤ、イヤ、イヤ、イヤ!

 ど、ど、ど、ど、ドロップキック!?!? お前何考えてんの?! 気持ち悪いよ!
 
 って、私は震えたよ……((アハハ……

 私はドロップキックも噛ませられないんだぁ……フフ……

 きっと、天音ちゃんは大丈夫だろうね……虫……

127ピーチ:2013/07/14(日) 06:29:06 HOST:em114-51-10-247.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>

いやいや、虫が怖い人間からすれば普通の発想だと←

先に言わないでぇー! 天音の意外過ぎる弱点これから見せるつもりだったのにー!?

128ピーチ:2013/07/14(日) 07:46:57 HOST:em114-51-10-247.pool.e-mobile.ne.jp







「光陰」
 異界に戻ったばかりの光陰に、鋭い声が突き刺さる。
「なんで、余計なことを言ったの?」
 水月の問いに、光陰は僅かに首を傾け。
 しばらくしてから、あぁと呟いた。
「天音様が、水月のことを勘違いしていたから」
「いいのよ。わざわざ訂正するでもないわ」
 自分の主は彼女だけ。何度その言葉を吐いただろう。
 初めて自分たちを使役と成した初代の時音から、何度も主が代わった。
 そして、それは自分たちにとっての屈辱でもあった。
 ―――あんたの配下に下るくらいなら、私は約定を違(たが)える。
 何度もそう言い、何度もその人間を主としてきた。
 だが、他の同胞とて思っているはずだ。こんな不甲斐ない主があるか、と。
 表に出しているのはごく僅かだが、それでも。
「……大体、光陰は何でこんなにあっさりと主を捨てることができるの?」
 思い入れが強ければ強いほど、困難なことを。
 水月の問いに、光陰が薄く微笑んだ。
「…だって、それが主の願いでしょう?」
 主の願いは自分たちの願でもある。それくらい、水月とて分かっているのだ。
「……でも」
「私は、時音様の仰ったことも夜空様が仰ったことも、同じだと思うわ」
 ただ、言い回しが違うだけ。
「時音様は、ずっと神代に仕えて欲しいって仰ったでしょう?」
 その願いが彼女の口から洩れた瞬間、それは十六将の願いにもなった。
「そして、夜空様だって同じことを仰った」
 孫の天音に仕えてあげて欲しい。娘に仕えてもらうことはできなかったが、せめて未来のある彼女を護って欲しい。
「…………私だって、分かってるわよ」
 どれだけ反発しても、結局は主たる夜空の命に従ってしまうのだ。そして、天音が同じことを言って同じように反発をして、でもやっぱり従って。
 今までどれだけ嫌だといっても、彼女たちは口を揃えて言ったのだ。
 先の短い自分よりも、未来のある彼女を護れ。
 初めのうちは、走った衝撃がなかなか静まらなかった。でも、ひとりふたりと従っていくうちに、反発するのは自分だけになってしまった。
 透き通る薄青(うすあお)の瞳が伏せられる。やはり、自分にできることは主に従い、彼女以上の実力のある術者に、天音を育てること。
「水月」
 水月が視線を投げる。光陰が微笑んだ。
「貴方の心はもう、決まっているでしょう……?」
「……心が決まっていても、簡単には認められないわよ」
 小さく息を吐いて、水月が立ち上がる。
 そのまま、彼女はふっと姿をくらませた。

129日陰:2013/07/14(日) 20:12:45 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 ピーチ>>

 っえ…… 

 まさかの、天音ちゃん……

 アレか。我らと同類のアレが無理ってヤツかぃ?←

 て、展開がドンドン面白い方へ転がっていくね……((ワクワク(笑)

 これからも、目を離さず読まなきゃ!((目が悪くならない程度に←

130ピーチ:2013/07/15(月) 06:26:24 HOST:em49-252-96-248.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>

まさかのアレなんです……

そこが柊一が惚れる要因の一つでもあるけどw

面白い方向に進めてるならよかったよ!

……ちょっと待って日陰? あのね、目悪くならない程度にじゃなくて目腐らないように注意しないとだよ!?

131ピーチ:2013/07/15(月) 10:32:45 HOST:em49-252-96-248.pool.e-mobile.ne.jp







 異様な気が感じられないことを認めて、天音が小さく息を吐く。
 やっと物事がひと段落ついた。
 額に手を当てて、外に出る。
 折れた竹箒(たけぼうき)を見て、天音がふと思った。
「そう言えば、これって私が折ったんだっけ」
 確かあの時は笑っていたはずなのだが。なぜか霊力が左手に集中して、気付いたら折れていた。
 片付けないとなと思った天音が手を伸ばした、瞬間。
「―――え?」
 がさがさと蠢く、長い尻尾を持つそれは。
「き…………っ」
 伸ばした手を引っ込め、
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!?」
「どうした!?」
 天音の悲鳴を聞き付けて飛び込んできた昇を見て、彼を目の前に突き出す。
「あ、あれなんとかして早く!」
「は?」
 既に涙目になっている天音の指すものを見て。
「………蜥蜴(とかげ)?」
 たったかと走り回っている小さいそれは、昇がつまみ上げると驚いたように両足をばたばたと暴れさせる。
 昇が苦く笑いながら天音にそれを見せた。
「これでいいの?」
「早く捨てて神社の外に!」
「……酷い言われようだな、お前」
 思わず蜥蜴に同情してしまった昇である。
 だがこれでからかおうものなら半殺しどころか本気で殺されかねないので、言われた通り神社の外に放してやる。
「ほら、もう来るなよ」
 そう言って再び神社に入ろうと―――
「手、洗ってきて」
 したところで、天音に怒鳴られる。
 いや、怒鳴ってはいないのだがそれがまた怖いというかなんというか。
 大人しく手を洗ってから神社に戻り、彼女の傍に控えていた夢月に声をかけた。
「お、久しぶりだな夢月」
“そうですね”
 平然と返した夢月が彼の横を通り、入り口を見て。
“今日は、柊一さんはいらっしゃらないんですか?”
「あ、そうだった」
 そう言って、昇が天音を見る。
「今日、一葉の命日だろ?」
「……そう、ね…」
 小さく頷き、天音が言った。
「私も行くつもりだったけど。一人で行っちゃったみたいね」
「俺もついて行こうとしたけどな、あいつに止められた」
「止められた?」
 どこか納得のいかないように、少女が問い返す。
「一人で行かせてくれ、って言われた」
「…じゃあ、後から行こうかな」
「いや、先に行って花の水を変えたりするだけらしいぞ。その後一回こっち来て、そのあとでまた行くって言ってたから」
 青年の言葉を受け、天音がそうと呟いた。
「じゃあ、柊が来てから行きましょうか」
 結局、昇はそれまで神代神社に出没した虫の駆除作業をさせられる羽目になった。

132たっくん:2013/07/15(月) 10:59:25 HOST:zaq31fa5a6f.zaq.ne.jp
作詞・作曲
たくや



【ピーチさんのソング】

ババアが死んだ〜♪ババアが死んだ〜♪
いい気味だ〜♪いい気味だ〜♪
さよならす〜るの〜は〜ツラ〜いい〜けど〜♪
寿命だよ♪仕方がない♪

ピーチが逝くまでごきげんよう!



さよならするのはツライけど・・・の替え歌でした。

133ピーチ:2013/07/16(火) 05:14:28 HOST:em1-115-94-31.pool.e-mobile.ne.jp







 肩よりも少し長めの漆黒の髪が、さらりと風に靡いた。
「……久しぶり、一葉」
 珍しく髪を結っていない青年が哀しげに笑む。
「やっぱり、出てきたくない……か」
 苦笑気味に笑い、柊一が供えてある花に手を伸ばした。
 花瓶から花を取り出し中の水を変え、再び花を入れてから元あった場所に戻す。
「ごめんな、この時期に桜は咲いてなくて」
 できることなら、妹の好きだった花を供えてやりたいのだが。
「……何か俺、虚しいなぁ…」
 苦笑しながらそう言って、青年が身を翻す。
「また後で来るよ、今度は天音たちと一緒に」
 だから、せめてそのときは。
「………」
 物言わぬ墓石を意味ありげに見つめ、柊一は幼馴染の家へと急いだ。






「―――…で」
 これは一体どういうことだろう。
「えーと、確か…」
 確かも何も、つい数分前のことを忘れるわけがない。もしそんなことがあれば、それは認知症の類だ。
「墓行って花の水替えて、その後に天音の家に行こうとしてたはずなんだけどなぁ……」
 要するに、単純すぎる罠に簡単に嵌ったということか。
「…天音にばれたら、どうなるかなぁ……」
 ―――ぼーっと歩いてるから、そんな馬鹿でも分かるような罠にかかるのよ。
 あっさり切り捨てるような一つ下の幼馴染の台詞が容易に想像でき、柊一が困ったように笑った。
 とにかく、この空間から出なければ外の状況も掴めない。
 両手を胸の前で組み合わせ、
「―――天地空海(てんちくうかい)、呪詛異術(じゅそいじゅつ)」
「ちょっと、余計なことしないでくれる?」
「え?」
 闇を破るための術を施そうとした矢先、少女を思わせる可愛らしい声が聞こえた。
「別に無理に破らなくてもいいわ。ここは、貴方を休ませるための場所だから」
 唐突に姿を現した少女の紅い瞳が異様に光る。闇とは対照的な白い髪がぶわりと広がった。
「休ませ……?」
「そう。無理に霊力解放するからよ、馬鹿みたい」
 そう言ってくすくすと笑う少女の言葉が引っ掛かり、柊一が問い返す。
「…ちょっと待ってくれ。今、何ていった?」
「『馬鹿みたい』」
「その前」
「え? 『無理に霊力解放するからよ』?」
「それだ」
 少女の言葉の違和感に気付いた柊一が、彼女に問うた。
「どういうこと? 俺、妹と先祖の墓に行って帰ろうとしてただけだよ?」
「え?」
 今度は少女が驚く番だった。
「なに言ってるの? 確かに貴方だったわよ、魔獣にやられかけたの。だから私が貴方を引きずり込んだんだもの」
「いや、だって確かに……」
 少なくとも、自分にそんな記憶はない。
 だが。
「っ………!?」
 左手は確かな熱を持ち、それは痛みとなって柊一を襲っているのだ。
「なん……っ」
「貴方、もしかして」
 柊一が視線を投げる。少女が腕を組んだ。
「今日今までの記憶、ある?」
「は?」
 今日今までの記憶、だと。
 そんなもの、あるに決まっている。
「朝起きて雑鬼たちと話し……あれ?」
 雑鬼と会話などしただろうか。
 何とも形容しがたい表情を浮かべる青年に、少女が問うた。
「ねぇ。貴方、今日が何の日か覚えてる?」
「……今日、が…?」
 何か特別なことがあっただろうか。
 何も思い当らない。
「何か、特別なこと……」
「そう。貴方にとっては、何よりも大切な日よ?」
「何よりも……大切…?」
 全く思い出す様子のない柊一を見て、少女がやれやれと息を吐いた。
「思い出せないなら仕方ないわね。……問題は」
 彼女たちに、どう伝えるかだ。
 しばらく思案していた風情の少女が、やがてすっと音もなく柊一に近付いた。

134たっくん:2013/07/16(火) 11:40:28 HOST:zaq31fa5a6f.zaq.ne.jp
またクソスレですか
ピーチさん・・・?

貴方のスレ見ると
ついウンコをしてみたくなります。

135たっくん:2013/07/16(火) 11:45:20 HOST:zaq31fa5a6f.zaq.ne.jp
近々、新しい話作ろうと思っています。
ピーチという人物(貴方)を題材にした創作です。

大まかな内容・・・
ピーチさんに詐欺師を紹介して
後に、莫大な借金を負わせるというのがテーマです。

136たっくん:2013/07/16(火) 11:45:57 HOST:zaq31fa5a6f.zaq.ne.jp
私が見たところ、ピーチさんのようなタイプは
人に騙されやすいので注意が必要です。

137日陰:2013/07/21(日) 15:38:19 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 ピーチ>>

 天音ちゃん、可愛いなドン畜生ー!?

 柊一君! 天音ちゃんファンクラブを開こう!

 大丈夫! 一夜君達も参加させるから!

 にしても、ホント天音ちゃん可愛いねぇー(^ω^)

 まぁ、私もトカゲみたら悲鳴上げると思うけど……。

 って言うか、柊一君大丈夫か?!

 記憶無くなったって……

 超私好みの展開じゃないッスかー!((黙れ

138ピーチ:2013/07/21(日) 18:35:46 HOST:em49-252-192-63.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>

可愛いの!? ただ悲鳴あげただけで可愛いの!?

よし一夜くんさっさと逃げるのが賢明だ!←

記憶なくなっちゃいましたね柊一さんや。さてこれからどうなるやら((

139たっくん:2013/07/22(月) 11:22:29 HOST:zaq31fa59cb.zaq.ne.jp
またクソスレですかピーチさん・・?
・・相変わらずですね〜貴方も

ところで肉ミンチ元気ですか?
肉ミンチ・・いわゆるピーチさんのアソコというやつです。

140たっくん:2013/07/22(月) 11:26:52 HOST:zaq31fa59cb.zaq.ne.jp
ところでクソスレの意味ご存じですか?
知らない方もおられると思うので一応説明しておきます。

2ch用語で、ダメな掲示板、ムダ掲示板、削除依頼確定掲示板
全てブレンドしてクソスレと申します。
ではまた

141たっくん:2013/07/22(月) 11:28:38 HOST:zaq31fa59cb.zaq.ne.jp
しかし私は暖かく見守ろうと思っています。


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