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鈴扇霊

105ピーチ:2013/07/01(月) 04:24:41 HOST:em114-51-30-88.pool.e-mobile.ne.jp
―――第三章―――






「で?」
 開口一番、天音が言った。
「わざわざあんな時間に電話かけて、どうしたの?」
「率直だよねぇ、あんた……」
「下手に言葉濁すよりはずっといいと思うわよ?」
 うんまぁ確かに、と言いかけるめぐみに、天音が心配そうな表情を向ける。
「この前会ったときも思ったけど、痩せたんじゃない? ……もともと、痩せてるけど」
「まさか。これで痩せてたらあんたはどうなんの?」
 この場合互いに自覚がないだけだが。
「貧血、集中力の低下なんかを引き起こす原因よ?」
「それ、天音にだけは言われたくなかった」
 本気で嫌そうに顔をしかめるめぐみである。
「まぁ、この際それはいいわよ。……本題は?」
 友人の表情が硬くなった。
 不審に思いながらも、彼女の言葉を待つ。
「……最近、ね。夢を見るんだ」
「夢?」
「うん。……姉さんの」
 その夢の中で、彼女は止めているらしいのだ。夢の中での、めぐみの行動を。
「でも、あたしが起きたときにはどんな夢を見てたのか、姉さんが何を止めようとしてたのか分からない」
 だから、あるいはこの友人なら、自分が見た夢と同調することも敵うと思った。
 それを聞いた天音が首を捻る。
「…私自身は、無理があるかもしれないわね。でも……」
 彼女になら、容易なことではないか。
 しばらく思案する素振りを見せ、やがて彼女が笑った。
「貴方の見る夢、操らせてもらっていい?」






「じゃあ、頼んだわよ」
“任せてください。ちゃんと確認してきます”
 そう言って琥珀の髪を翻した少女を見送り、天音がめぐみに声をかける。
「もういつ寝てもいいから。寝られないようなら他にも手段はあるわよ」
 そう言って片目を瞑って見せる天音に、めぐみが問い返した。
「他の?」
「悠莉さんが、結構睡眠薬持ち歩いてるのよ」
「なんでっ!?」
 叫んだめぐみに当時の自分を重ね、天音が苦笑しながら返す。
「柊は眠りが浅いし、悠莉さんも眠りが浅いからって医者に相談したらもらったらしいわよ」
 天神家に行く度に知らない間に飲まされ、気付いたら朝になっていた、と言うことが天音自身ある。
「……天音が?」
「何よその言い方。私が年中寝てないって言いたいわけ?」
「違う違う」
 言いながら、天音が小さく息を吐いた。
「とりあえず、安全だとは思うけど」
 用心に越したことはない、とめぐみの周りに薄い膜を張る。
「じゃ、私ちょっと用事柊に連絡してくるわ。睡眠薬持ってきてもらうように」
「いやいいです!」
 友人の言葉にくすりと笑い、そのまま天音が部屋を出た。


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