[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
メール
| |
恋敵アリス
1
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/08(日) 17:24:07 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
「キミも不思議の国においでよ!
きっとアリスに一目惚れしちゃうよっ」
不思議の国のアリスは、誰もが一目惚れしてしまうような可愛らしい子でした。
* * * * *
どうも、ねここです*
今回は恋敵(こいがたき)アリスという小説を書きたいと思います^^
相変わらず駄作なのですが、是非読んで頂けると嬉しいです。
お友達募集中なので気軽に話し掛けてくだry←
それでは、出来る限りお楽しみください〜((
2
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/08(日) 19:42:41 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
Rino side
「おはようっ!」
にこにこと笑顔で手を振りながら挨拶をした私は恋花りの(こはな りの)。そして、手を振った相手は友達の桃音桜(ももね さくら)。
「おはよー!」
桜ちゃんも挨拶を交わしてくれたけど、その目線は片思い中の藤堂蓮(とうどうれん)の方にあった。蓮君は人気者だけど俺様系で、私はちょっぴり苦手。だけど、そこが女子にとって萌えポイントなのかな。みんなキャーキャー騒いでる。
「………かっこいいよね、蓮君。」
桜ちゃんが蓮君を見つめ10分、やっと口が開いたと思ったらお決まりの言葉。つまんないなあ、なんて溜め息を吐くと、急に校庭に人が集まるものだから、人混みに流されて校内まで入ってしまった。
因みに此処は清水高等学校。私と桜ちゃんと蓮君は一年生で、クラスは三人ともAクラスなんだ。だから蓮君と一度は話したことがある。……というより、毎日話している。
「りの! 見てみ、外。もう月出てるぜー!」
無邪気な笑顔でそう言って、私の腕を男の子らしい大きな手で窓際の蓮君の席まで引っ張る。そして蓮君の椅子にストンと座らせれば、窓の外を指差して月のある場所を教えてくれた。
「……わあっ、きれー! 満月だよっ、蓮君!」
私もかなり素直だなあって、改めて実感した今、誰かからの視線にも気づかずにいた。
Sakura side
折角ゆっくりと蓮君を見ていたのに、人混みに流されてしまった。気づけばりのも、もういなくなっている。今日は諦めて教室に行こう、教室でも蓮君は見れるし。
「(あれ……蓮君がりのの腕引っ張ってる。仲良さそうだなあ……。)」
りの、私が蓮君のこと好きって知ってるくせに。むっと顔を歪ませて見ていれば、蓮君がさりげなくりのを見て頬を桃色に染めていた。もしかして、蓮君はりののこと………。
「(なーんて、そんなことあるわけないよね。りのは所詮お子様だもん。蓮君が相手にする筈ないよ。)」
「ねえ、むかつくよねー。りのちゃん! 前あたしの友達が蓮君に告ったんだけどさー、蓮君「好きな人いるから。」って振ったんだってー! で、友達は誰か聞いたんだよー! そしたら、「恋花りの。」って言ったんだよ! あんな餓鬼のどこがいいのかなー!」
所詮お子様って馬鹿にしてみたけど、廊下を通り掛かっている女の子達の話を聞いて、よーく分かった。蓮君はりのが好きだって。でも、私が告れば付き合ってくれるんじゃない?
この時に、さっぱり蓮君を諦めていれば良かったのに。
「またアリスに惚れてる子がいるっ! それに、その子超イケメンじゃんっ! モテそうだし、もしかしたらアリス、ヤバイんじゃない?」
* * * * *
3
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/09(月) 16:35:59 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
Rino side
「今日は学園祭でやる劇、【不思議の国のアリス】の役を決めるぞー! 高校生にもなれば皆楽な方を選んでしまう為、全て推薦で選ぶ! 推薦された奴は絶対に断れないからなー!」
お月様、綺麗だったなあ……なんてぼんやりと考えていると、先生の言葉が急に耳に詰まるように入ってきて吃驚した。私は一番楽で楽しそうな衣装係をやろうと思ったのに、出来ないかもしれないよーっ! という私の思いは無視され(というよりも口に出していない。)役決めが始まった。
「まずは主役のアリス! 誰か推薦してくれー! 因みに推薦された者は他の人を推薦出来ないからな!」
うわあ、熱血な担任は嫌だよおっ……! 皆一生懸命手挙げてる。やっぱり、自分は嫌だもんね。最初に当てられたのは、一乃瀬優(いちのせ ゆう)。優君も蓮君と同じくらい人気者で優しいんだ。
「アリス役は恋花りのさんが良いと思います。」
え、私?! 嫌だけど、断れないからしょうがないよね。……折角だから頑張ろうかな。
「んじゃ、アリス決定なー! で、次―――――………。」
Sakura side
劇かー……主役のアリス、やりたいなあ。まあ、誰か推薦してくれるよね。あっ、優君が手挙げてるー! 優君に推薦されたいなあ。
「アリス役は恋花りのさんが良いと思います。」
り、の………? あのりの……? 何それ、信じらんない!
結局私は帽子屋マッドハッターになった蓮君の衣装係になったから、まあ、今日のところはこれで良いかな。今日から、一生懸命作ろう!
* * * * *
4
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/09(月) 17:37:13 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
Rino side
「主役だよー……本番までまだまだなのに、今から緊張しちゃうなあ!」
放課後、私と桜ちゃんは教室に残って劇の練習と衣装作りをしていた。はあ、と溜め息を吐くと、ちらりと桜ちゃんに睨まれた気がした。何か最近、桜ちゃんと仲が悪いっていうか、ちょっぴりごたごたがある気がする。
「(なんて、今は気にしてる場合じゃないよね! さあ、練習練習っ!)
はじめまして、私はアリス。あなたは?」
「はじめまして、帽子屋のマッドハッターです。可愛いお嬢さんですねえ!」
ここはちょうどマッドハッター役の蓮君と絡む場所だったので、そのセリフを耳にした蓮君が私の傍にきて、左手を自分の口元に持ってきて軽くキスをされた。そんなこともお構いなしに蓮君は続けて、と言うようにウインクして見せる。仕方なく、恥ずかしさの紛れたセリフを言った。
「ありがとう。でも、私はお嬢さんじゃなくてアリスよ!」
「はいはい、可愛いお嬢さんのアリス。お茶でも如何ですか?」
「あら、貴方は帽子屋なんじゃないの?」
「マッドハッターとお呼びください、私は帽子屋ですよ。けれど、お茶だって美味しく淹れられます。」
「そう……ねえ、マッドハッター。私、あまーいコーヒーが良いわ。苦いの、嫌いなの。」
「ふふふ、可愛らしいですなあ! はい、どうぞ。甘くなるおまじないもしましょうか。目を閉じてください。」
「目を?」
「はい、そうです。」
交互にセリフを行っていき、マッドハッター……蓮君の言われるがままに目を閉じた。すると、そっと優しいキス。吃驚した。セリフにはそんなこと書いてないのに……。周りの皆、キャーキャー大騒ぎだよ。私はキスをされたときから頬が赤いまま、口を開いた。
「ね、ねえ……台本にキスなんて書いてないよ……!」
それに、今は桜ちゃんがいるんだよっ……! ちらりと横目で桜ちゃんを見ると、ちょうど今、トイレか何かでいなかったらしい。けれど、キスしてから結構間もあったし、その後機嫌悪くして行っちゃったのかも……。どちらにせよ、これは桜ちゃんに謝った方が良いのかな。私がちらりちらりと桜ちゃんを見ると、桜ちゃんは首を傾げて聞いてきた。
「なーに、りの。隠し事しないで話してよ。親友でしょ?」
桜ちゃんはにっこり笑顔。だけど、やっぱりキスしただなんて言えないよ……!
「ご、ごめん。桜ちゃん……内緒、だよ。」
* * * * *
5
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/09(月) 19:53:26 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
Rino side
「……そう、言えないなら仕方ないよね。でも、もし何かあったら言ってね。後……、」
桜ちゃんが苦笑して言った。私は気が抜けて溜め息を吐いたけど、きっと気づかれてないよね。それより、気になる「後……、」の次は何て言うのかな。なーんて、気にしてたから、そればっかりでよく理解出来なかった。
「私、今から蓮君に告白するから。」
そう言って、蓮君の服の袖をくいっと引っ張って、何やら話して行ってしまった。告白……しちゃうんだ。って、何で私がっかりしてるの! 折角友達の恋が実るかもしれないっていうのに……! またまたはあ、なんて溜め息を吐いていると、優君が私の元へ来た。
「りのちゃん、ちょっといいかな?」
連れていかれた場所は屋上。綺麗なお月様が、今度は黄色に輝いている。今は春だから、周りは全然明るいんだけどね。そんなことを考えながら、優君の話を聞いていた。
「あのさ、桃音さんが蓮のことを連れていったのって、告白だからだよね。」
「……う、うん。」
驚きの内容に、ちょっぴり考えが止まったけど、小さく頷きながら答えた。そして、私も話し出す。
「ごめんね、話を遮っちゃう気もするんだけど、蓮君が私に……そ、その……キス………したときって、桜ちゃん教室にいなかった、よね……?」
恐る恐る聞くこの質問に、優君はぷっと笑って頷き、話を戻す。
「うん、いなかったよ。……でね、俺もりのちゃんに言いたいことがあるんだ。」
「……な、なあに?」
優君、急に真剣な表情になるから吃驚したよ。話って、何だろうなあ……。
Sakura side
「ごめんね、突然こんな所に呼び出しちゃって……。」
此処は誰もいない教室。窓から見える景色が綺麗で、他の人から見たらきっと皆絵になるって言うと思う。
「桜ね、蓮君のことが……中学生の頃から好きだったの。覚えてる? 中学の時、同じ学校だったんだよ。同じクラスにもなって……お似合いコンビって言われてたよね。私、嬉しくて――――。」
「ごめん、覚えてない。」
私と蓮君の声が重なってしまったけど、よく聞こえた。そして、よく理解した。私は振られたんだって。でも、ここまでは分かってるわ。これからよ、これから! ちょっと苦笑して女の子らしさをアピールしつつ、蓮君に近づく。
「でも、お試しで付き合うくらい良いでしょ? ね、蓮君……私、中学生の頃から三年間くらい、ずうっと蓮君だけを思ってきたんだよ。」
一生懸命アピールして、蓮君の答えは「いいよ。」だと思ってた。確信してた。だから、蓮君が口を開いた瞬間、思わずキスをしてしまった。
* * * * *
6
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/09(月) 20:05:28 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
Sakura side
キスをした筈―――なのに、蓮君が見事に口を手でガードしていた。私は恥ずかしくなってきて耳の後ろに髪を掛けて頬を赤く染める。
「やだ……ごめんね。いきなりこんなことは嫌だよね。……これから慣れていこうね。」
「お前、何か勘違いしてる。」
蓮君が私の言葉を遮るように素早く言った。今まで見れなかった蓮君の表情は、とっても真剣。一瞬で分かったよ。私は振られたんだって。
「……俺、言っとくけど今日がファーストキスだから。キミの親友のりのと、ね。」
………りのが隠してたのは、そのことか、さいってー……!
「りのって、さいってー!」
蓮君の前でそれだけ言って、走って教室を出た。いいもん、次は優君狙ってやるんだから……!
* * * * *
7
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/11(水) 17:33:12 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
Rino side
「俺、りのちゃんのことが好きなんだ。もし良ければ付き合ってください。」
優君の驚きの告白に、私の頬は桜色に染まった。そんな私の頭を、優君がまるで落ち着いて、と言うように優しく撫でてくれた。触られるところ一つ一つがじんわりと暖かくなっていく。正直優君なら私を大切にしてくれそうだし、付き合ってもいいかもって思った。小さく頷こうとしたその時、バン!、と勢い良く屋上のドアを開ける音が聞こえた。
「……桜ちゃん!」
桜ちゃんが思いっ切り走ったのか、息を切らしている。そんな桜ちゃんの名前を呼ぶと、またドアが開いて、次は蓮君が息を切らしながらきた。
「……? 二人とも、どうしたの……?」
膨らむ疑問の中、優君と蓮君が二人で私の前に立った。まるで、私を守るように。そんな二人の目線は桜ちゃん。蓮君は強く睨んで、優君もいつもより怖い顔をしている。やっと二人が口を開き、少し低い声でハモりながら話した。
「「りのに何かしたら許さないから。」」
その言葉に、どきんと胸が揺れる。でも、桜ちゃんが私に何かするとは思えないし、悪い雰囲気もない。と、思ったその瞬間、桜ちゃんが蓮君と優君に不意打ちで、ある薬をのませようとした。勿論、二人ともそう簡単にはのまないけれど。
「……ふうん、のんでくれないんだ。のんでくれないんなら、りのに手、出しちゃおっかな。」
桜ちゃんの右手にはよく切れそうなカッターがあった。それを見た瞬間、私も蓮君も優君も、一斉に青ざめた。そして、桜ちゃんの左手には薬がある。その薬を、蓮君と優君が取ろうとしたその時!
「ダメッ!」
街いっぱいに響き渡るような大きな声で私は叫んだ。皆、目を丸くして私を見る。けれど、桜ちゃんはすぐに話し始めた。
「そう、じゃー……りのはどうなってもいいってことね? 可哀想に、二人の王子様が助けてくれようとしているのに。……まあいいわ、どちらにせよ二人は邪魔だから、一旦眠ってもらうわよ。」
そっとのまされた薬。二人とも、何も抵抗はしなかった。何故?、と思うと、私の首にいつのまにか、カッターがあたっている。怖くて逃げたくて、しょうがなかった。
「あんな女の子に、アリスを殺せるわけないのに。それより、そろそろあたしも出番かなっ」
* * * * *
8
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/11(水) 20:37:04 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
Rino side
「ねえ、アリス! 久し振りだねっ、覚えてる?」
何処からか女の子が出てきて、小さな手を元気良く振る。背は私より全然低い。140センチくらいかな。髪の毛は肩まで。制服のスカートはとっても短くして、かなりのアレンジを加えている。その子を見て10秒、やっと誰か思い出した。
「め、る……? めるなの? ……何だか可愛くなったねー!」
そう、彼女は私の幼馴染の……偽名がうさぎめる。漢字はよく分からない。何で偽名を使ってるかは、深い訳があるんだけど―――。
あれは、今から12年前の、私とめるが3歳だった頃かな。
「うあーんっ……ままあっ、いかないでよおー!」
私の偽物のお母さんが死んじゃったの。偽物っていうのは、本当のお母さんじゃないってこと。本当のお母さんは、今一緒に暮らしてるお母さんだよ。それで、3歳の頃……私とめるで遊んでた時に、急にお姉さんに腕を掴まれて、誘拐されたんだ。そして、「お母さんだよ。」って嘘吐かれて、二カ月程度、育ててもらったんだ。二カ月後には本当のお母さんと警察が迎えにきて、ショックで偽物のお母さんは死んじゃったの。だから、いかないでって叫んでるのは私なんだ。めるは、ただずうっと黙って私を見守っててくれた。その後、しばらくしてめるが言った言葉が今でもずっと心に刻まれてるよ。
「ままはいくんじゃないよ。待っててくれてるの! ……りのが悲しいんじゃ、アタシも悲しいよ。」
この言葉で、どんなに私は助けられたことか。でもね、私の心の傷は全然治ったけど、めるはまだ心にヒビが入ってたらしく、偽物のお母さんに呼ばれてきた名前を違う人に呼ばれると、泣き崩れたり、倒れたりしちゃうから、偽名にしたんだって。「アタシ、めるって名前にするから! うさぎめる。だから、りのはアリスになってねっ」
と、いうことがあったの。大変だったなあ、って改めて実感。してる場合じゃなくて、桜ちゃんとめるはどうしよう……?
* * * * *
9
:
槙
◆uXwG1DBdXY
:2011/05/12(木) 09:22:03 HOST:KD027082037068.ppp-bb.dion.ne.jp
始めまして、ねここ様
自分は槙(てん)と申します。
以前に此方で活動させていただいていたのですが諸事情(笑)により更新を一旦やめてしまいまして、それ以来書き込みはせず傍観していたのですがアリスという言葉に反応してこの作品を読ませていただきました
めるちゃんが登場するところまで読ませていただいたのですがとても面白くてキャラクター達も魅力的で、めるちゃんが出てきたところも予想外でなんというか…凄く胸をくすぐられました
自分のようなものに褒められても嬉しくはないとは思うのですが、これからも更新頑張って下さい。
突然申し訳ありませんでした><失礼します
10
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/12(木) 19:16:22 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
>槙様
初めまして、ねここという者です。
コメント有難う御座います!
とっても嬉しくて今、にやにやしながら返事を書いています←
いやいや、褒められて嬉しくない人間はいませんよー。
というよりねここは褒められなきゃ頑張れないタイプなのでとーっても嬉しかったです!
これからも駄作ですが書いていきたいと思うので、暇があれば是非見て頂けると嬉しいです^^
11
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/12(木) 19:44:45 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
Rino side
「………桜ちゃんっ、自己紹介遅れたねっ! アタシはうさぎめる。めるって呼んでねっ」
めるの明るい言葉に、桜ちゃんが微かに微笑んだ気がした。でも、私の心はほんの少し、傷ついた。まだ、「うさぎめる」っていう偽名を名乗っているんだって思って。
確かに、元の名前で傷ついた気持ちは分かるけど、それって何だか、逃れられない事実から逃げているみたいでずるいよ……!
「……める、一緒に、帰ろう………?」
頬を桜色に染めた桜ちゃんがそっと聞く。私も一緒に帰りたいな、なんて思っていると、めるがぐいっと私の腕を引っ張って元気良く言った。
「んっ、いいけどりのも一緒ねっ! 二人、何だか雰囲気悪いし早く仲直りしてよねっ」
めるが心の傷を隠してるなんて、この頃はまだ気付かなかったよ。
* * * * *
12
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/13(金) 18:59:58 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
meru side
きっとりのにも桜にも、心の傷なんか見えてない筈。
新しく出来た、深い深い傷が、心にぐっさりと残っているの―――。
「さっ、帰ろうっ!」
隣に眠っている二人の男の子を敢えて見ないようにしながら、りのと桜の腕を引っ張る。
「(………蓮と優が、こんなところにいたなんて。)」
Rino side
「(何だか、今日はめるが微妙に暗い気がする……まあ、大人びただけか。)」
何で私は気づいてあげなかったんだろう。めるの心の変化に―――。
* * * * *
最近内容を書いても消えることが多い……。
そんななか短く短く区切って書いています;
短くて見飽きちゃうかもしれませんが、
これからもよろしくお願いします^^
13
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/15(日) 12:25:45 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
Rino side
学校の帰り道、ごたごたが収まった私と桜ちゃんとめるは、三人仲良く話していた。ただ時々、めるが妙に暗い表情をするのが分かる。そのタイミングは―――
「あのさ、優君と蓮君が―――」
って、二人の名前を出した時。そういえば、屋上を去る時もめるだけ振り向いて二人を見つめていたような……気のせいかな。
私はどうしてもめるが二人を気にしていると思いたくなくて、早足で家へ帰った。
「ばいばーい!」
三人で手を振り合ってから、ほっと安心の溜め息を吐いた。その時、桜ちゃんがすたたたた、と走ってこちらへ向かってくる。
「ねえ、りの! その……めるがさ、蓮君と優君の名前を出すと落ち込むっていうか、とっても暗い雰囲気になってたんだけど……何か分からない?」
心配そうな、不安そうな表情で私を見つめる。けど、私も何でか分からなくてふるふると首を振った。ただ、何かあることは確かだ。
「………心配だよね。ちょっとだけ、後をつけてみようか。」
こうしてめるの後を追い掛けなければ、私と桜ちゃんの心に大きな傷を作らなくてすんだのに―――
* * * * *
14
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/17(火) 20:14:20 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
Rino side
「いたよ、桜ちゃん。」
制服の姿で学校の鞄を手に持ったまま、そっと小走りでめるの後をつけていた。やっと見つけためるを陰からこそっと指差し、嬉しそうな笑顔で桜ちゃんを見る。桜ちゃんも、整った顔をにこりと可愛らしい笑みに変えて見せた。
「ここからは静かに、ね!」
なんて呟いていると、めるが私達の通う清水高等学校に入っていくのが目に入った。小さく首を傾げてそっとついていくと、その先は―――
「屋、上………?」
そこには、意識が戻った蓮君と優君がいた。そしてその場に堂々とめるが入っていく。初対面なのに……って考えていると、めるがにこっと笑って言った。
「久し振りだね! 蓮っ、優っ」
知り合いではなさそう。もっと親しい関係……だよね。
* * * * *
15
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/18(水) 17:42:36 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
Rino side
「! ……花音!」
花、音……? 今、蓮君がめるのこと、花音って呼んだ……?
不思議でたまらなくて、桜ちゃんと顔を見合わせる。額には私も桜ちゃんも表情が強ばった。
「(何で……蓮君がめる……いや、花音の本名を?)」
そう、めるの本名は、一乃瀬花音(いちのせかのん)。一、乃瀬………? 一乃瀬って、どこかで聞いたことのある名前。
「(私は恋花りので、桜ちゃんが桃音桜で、蓮君は藤堂蓮で、優君は……………一乃瀬優…………?!)」
「二人とも、いるんでしょ? 出ておいでっ」
うぐっ……ばれてたみたい。はあ、なんて溜め息を吐きながら、悲しそうな表情でめる……花音の前にいく。
「……………花音。もう偽名はやめてよ……私、アリスになんかなりたくないよ! 花音が偽名なんか使うなら、アリスなんか嫌っ…………!」
泣き崩れながら、私は大きな声で叫んだ。その瞬間、花音に変化が見えた。桜ちゃん達が、心配そうな表情をする。
「……いたいよおっ……! もうこんな、いたいおもいしたくないよおっ……! か、のんは……りのが、ぎ……めいにしたら、よろこ…………ぶ……………」
そのまま倒れていく花音に、何もできなかった。偽名にしたのは私のため? そういえば、偽物のお母さんは私をりっちゃんって呼んでたけど、花音のことはそのまま花音ちゃんって呼んでた。本当のお母さんは私のことをりのって呼ぶけど、花音のことはやっぱりそのまま花音って呼んでた。
それを、思い出させて悲しい目にあわせなくなかったの?
「そんなの、よかったのに……!」
* * * * *
16
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/19(木) 17:15:21 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
Rino side
突然のことに私は何の行動も出来ずにいた。桜ちゃんも、驚きの表情を浮かべていて、目の前で倒れた花音を見るだけで精一杯だった。そんな私達とは真逆に、蓮君と優君はさっと動き出す。
「花音っ………!」
蓮君が花音の名前を叫ぶように呼びながらぎゅっと強く、でも優しく抱き締めた。何故か私の胸が痛み出す。
「(だめだよ……蓮君が花音のことを抱き締めると胸が痛むなんて、真剣に苦しい思いをしてる花音に失礼……!)」
正直に言うと、とっても嫌な思いをしていた。胸がぎゅうって締め付けられて、まるで刃物が刺さったみたいに痛いの。
必死に涙を堪え目を閉じる。すると、いつのまにか救急車の音が町中に鳴り響いていた。
「こっちです!」
優君が連れてきたのはお医者さん。蓮君はそっと花音を抱き上げ、救急車へと運ぶ。二人の表情はとっても真剣だった。
Kanon side
「(蓮、優…………。花音は生きてるよ……生きてる、けど………苦しくて、辛くて、意識があるのに体は動かないの………いっそのこと、意識も、体も、ぜんぶぜんぶ消してほしいな………。)
(りのがアリスじゃなきゃ、りのが「花音」って名前で傷ついてなきゃ、花音の努力は全部無駄になるのに……全然寂しくないな。)
(………蓮と優とりのと……桜のことを考えたら、死にたくなくなってきたなあ………。)
生き、たい…………!」
* * * * *
17
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/21(土) 04:58:31 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
Rino side
「花音………!」
花音が力なく呟いた一言が嬉しくて、思わず名前を呼んだ。花音が自分のことを死にたくないくらい大切に思うのは、初めてだから。
「大丈夫、花音は生きるよ。だから、心配しないで……!」
少しでも、花音の心が安らぐように、落ち着くように、小さく微笑んで呟いた私に、花音もほんのちょっぴり、微笑んだように見えたよ。
* * * * *
どんなお話にするか全く考えていないため毎回うんぬん悩んでいる私←
恋敵アリスは終わりが見えません((
で、そんな大変な小説を書きながらも短篇集を書きたいなあと思います。
こっちは更新遅めになるかもしれませんが、今まで以上に頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします*
18
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/22(日) 11:06:24 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
Rino side
花音が倒れてすぐお医者さんが来て、病院に運ばれた。けれど、お医者さんでも症状がよく分からなくて、一カ月様子を見たいと言って花音は入院することになった。
――倒れてから一週間経った頃にはもう、花音は全然元気になっていた。
ただちょっと、私の中で気になることといえば、「一乃瀬」って苗字のこと。
そのことを知る為に、優君を屋上に呼び出した。ついでに、告白の返事もしようかな。
「あのねっ、優君にちょっと聞きたいことがあるんだけど……っ!」
正直、聞くのが怖かった。手もカタカタ震えてたけど、優君がぽんぽん、と頭を撫でてくれたから、心が安らいだよ。
「その、花音とは……どんな関係なの……? 一乃瀬って苗字も一緒だし……っ! 偶然ってこともあるかもしれないけど、一乃瀬って漢字も珍しいからさ……!」
言い訳をするように、たくさん話していた。すると、優君がにこりと笑い言う。
「んー……花音と俺は双子なんだ。で、蓮は俺と花音の幼馴染。ついでに言うけど、蓮が何で花音に優しいかっていうと、蓮の初恋の人が花音だからなんだよね。初キスも桃音さんにはりのちゃんとって言ったらしいけど、それも嘘。」
何だか、この話を聞くのが怖くなってきた。優君は私が怖がってるのに気づいているけれど、話はやめないでそっと抱きしめる。そして、また話を続けた。
「蓮の初キスは花音だよ。というよりも、まだ付き合ってるしね。あの二人……。」
* * * * *
19
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/27(金) 17:21:55 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
Rino side
話を聞き終わると、まるで時間が止まったかの様に私と優君の動きが止まる。優君が、私を抱きしめている。
そんな状況に、どくんどくんと胸が鳴っていた。一つ一つ正確に、同じ音程で同じ速さで。
「(抱きしめられてることにどきどきしてるんじゃないの。ただ……蓮君と花音の関係の話を聞いて、ちょっと吃驚しただけ。だよね、きっと……)」
まだ気持ちの整理がついてなくて、考えれば考えるほど、おかしくなっていく。
それが嫌で、気持ち悪くて。だから「びっくりしただけ」って自分に言い聞かせてるみたい。
前、花音がめるっていう偽名を使ってたことを「ずるい……!」って思ったけど、結局私も真実と向き合えないずるい人間なんだな。
ぴくり……と、急に時間が動き出すように優君が私を見つめる。
それは、とっても真剣な表情だった。
「あの、さ……告白の返事、今……お願いしていい?」
* * * * *
20
:
槙
◆uXwG1DBdXY
:2011/05/30(月) 16:43:34 HOST:KD027082037068.ppp-bb.dion.ne.jp
一度コメントしたっきりですみません!
自分の小説のほうにもコメント頂いたようで有難う御座います!
同じくによによしながら返信させて頂いております←
僕はになら褒められても嬉しくないですねー←
本当ですか!ではこれからは毎日通いつめますのでry電信柱からじーっと見守ってry
毎日見てま(()更新されているたびにわくわくしながら見てます!
21
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/06/05(日) 11:32:35 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
>槙様
うあああああ、もうそんな勿体無いお言葉を頂いて私はどう生きていけばいいんd((
毎日通いつめるなんてそんな…((
一年に一回でも嬉しくてたまらないくらいなのに!
じばらくの間更新をしていませんでしたが、また書くのでよろしくお願いします^^
あれ、していませんでしたがっていう日本語は存在するのか?…ソンザイスルヨネ。((
22
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/06/05(日) 11:42:44 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
Rino side
「あ、そっか。告白……!」
優君に言われてやっと気づき、慌ててどうしようか考えると前に告白の返事を決めていたことを思い出し少しほっとした。
けれど、まだ心の中に「でも……」という迷いがある。
付き合いたい気持ちの方が大きい筈なのに、勢いで一言ぼそりと呟いてしまった。
「私は蓮君が好きだからな……―――っ?!」
私が優君を好きだったのはきっとただの憧れ。
今は違う。この瞬間、嫌というほどそのことが実感できた。
* * * * *
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板