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恋敵アリス
4
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/09(月) 17:37:13 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
Rino side
「主役だよー……本番までまだまだなのに、今から緊張しちゃうなあ!」
放課後、私と桜ちゃんは教室に残って劇の練習と衣装作りをしていた。はあ、と溜め息を吐くと、ちらりと桜ちゃんに睨まれた気がした。何か最近、桜ちゃんと仲が悪いっていうか、ちょっぴりごたごたがある気がする。
「(なんて、今は気にしてる場合じゃないよね! さあ、練習練習っ!)
はじめまして、私はアリス。あなたは?」
「はじめまして、帽子屋のマッドハッターです。可愛いお嬢さんですねえ!」
ここはちょうどマッドハッター役の蓮君と絡む場所だったので、そのセリフを耳にした蓮君が私の傍にきて、左手を自分の口元に持ってきて軽くキスをされた。そんなこともお構いなしに蓮君は続けて、と言うようにウインクして見せる。仕方なく、恥ずかしさの紛れたセリフを言った。
「ありがとう。でも、私はお嬢さんじゃなくてアリスよ!」
「はいはい、可愛いお嬢さんのアリス。お茶でも如何ですか?」
「あら、貴方は帽子屋なんじゃないの?」
「マッドハッターとお呼びください、私は帽子屋ですよ。けれど、お茶だって美味しく淹れられます。」
「そう……ねえ、マッドハッター。私、あまーいコーヒーが良いわ。苦いの、嫌いなの。」
「ふふふ、可愛らしいですなあ! はい、どうぞ。甘くなるおまじないもしましょうか。目を閉じてください。」
「目を?」
「はい、そうです。」
交互にセリフを行っていき、マッドハッター……蓮君の言われるがままに目を閉じた。すると、そっと優しいキス。吃驚した。セリフにはそんなこと書いてないのに……。周りの皆、キャーキャー大騒ぎだよ。私はキスをされたときから頬が赤いまま、口を開いた。
「ね、ねえ……台本にキスなんて書いてないよ……!」
それに、今は桜ちゃんがいるんだよっ……! ちらりと横目で桜ちゃんを見ると、ちょうど今、トイレか何かでいなかったらしい。けれど、キスしてから結構間もあったし、その後機嫌悪くして行っちゃったのかも……。どちらにせよ、これは桜ちゃんに謝った方が良いのかな。私がちらりちらりと桜ちゃんを見ると、桜ちゃんは首を傾げて聞いてきた。
「なーに、りの。隠し事しないで話してよ。親友でしょ?」
桜ちゃんはにっこり笑顔。だけど、やっぱりキスしただなんて言えないよ……!
「ご、ごめん。桜ちゃん……内緒、だよ。」
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