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二次元school
161
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/07(月) 21:51:48 HOST:119-231-180-87.eonet.ne.jp
秀ちゃん、好かれてますよ!(え
悶えたって言われた!どうしましょう((
うっそん← 知らないよー
いってきまーす!……え、どこに?
やだじゃないの!(黙
>>杏奈
162
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/10(木) 01:22:47 HOST:119-231-130-207.eonet.ne.jp
第33話「転校生」
「なんとか逃げれたな」
「うん。あー、変に問題にならなくてよかったぁ」
会長が生徒会室から出て行った為、俺と桜子はそそくさと出てきた。
まぁ、俺と桜子が出て行っても副会長は特に何も言わないだろうし、吹井先輩は副会長と2人になれるからむしろ喜ぶだろうし、
別にコソコソする必要はなかったようにも感じるが。
「なんで会長出て行ったんだろ?」
「ああ……」
そういえば、何で出て行ったんだっけ?
確か、梓川先生が入ってきて、それで――…………
「ああ、そういえば、転校生の事で何かあるから職員室まで呼び出されたんじゃなかったっけ?」
確かそうだったはずだ。
会長がかなりギリギリに追い込まれてる時に先生が入ってきたから、自分が思う以上に鮮明に覚えている。
「転校生? へぇー、転校生くるんだ! 何年だろ?」
「それも二次元だったりしてな」
転校生も二次元的。
…………ああ、ありえる。
「二次元だとしても、ミカちゃんとかナナちゃんみたいな子だったら大歓迎だけどな……」
「全く歓迎したくないけど」
俺の願望は、あっさり桜子によって切り落とされた。
「あれ? あの子――――…………」
ふいに、桜子が拍子抜けたような声を出した。
俺は、「何?」とか言いつつ、桜子の視線を追う。
「なんかうちの学校のとは違う制服着てるんだけど……」
あの子のことか?
桜子が言ってるのは、俺達が歩いてる廊下の反対側から歩いてくる女の子だった。
確かに、うちの学校のありがちなセーラー服とは違い、どこかの私立の女子中のような
上品なブレザーに小さな体を包んでいる。
遠目からだと、どんな子かは分からなかった。
分かるのは、その子は小柄で、甘い色の髪をしているということ。
だんだん、距離が縮まってくる。
「「…………――」」
そして、とうとう顔がハッキリと見えた。
俺も桜子も、同時に息を飲み込んだ。
……正直、メチャクチャ可愛い子だ。
常識を超えたんじゃないか、と言えるぐらいだった。
ハッキリ言って、優にも並ぶ。
今まで優より可愛い子を見たことがなかったが、その子は優に負けていなかった。
優より可愛い! とは断言できないが、優の方が可愛い! とも断言できなかった。
溶けそうなぐらい甘い栗色のフワフワした髪。
黒いのに、優と同様、ガラスのように透けそうなぐらい綺麗な瞳。それを縁取る長い睫毛。
日にあたったことがあるか聞きたくなるぐらい白くて滑らかな肌。
おまけに、守りたくなるような華奢な体。
人形かと錯覚してしまいそうだった。
ここまでは言いすぎか、だなんて思わない。
本当に美少女だった。
その子はすれ違う時、俺達がガン見しているのに気付いたのか、
挨拶代わりのような微笑みを浮かべた。
それだけで、バックに花弁がきてもいいと思った。
女の子はそのまま通り過ぎて行った。
「………………メグミちゃん」
「え?」
「あの子はメグミちゃんだああああああああああ!!
あの美貌! あどけない笑顔! まさに妹キャラのメグミちゃんだ!! あれで「お兄ちゃん」とか言われたら、俺もう死んでもいいわ!! 萌え―――――!!!」
「ああっ! ナゴがかつてないぐらいに興奮している!」
163
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/11(金) 21:28:09 HOST:119-231-179-161.eonet.ne.jp
第34話「メグミちゃんと対面」
「な……なんて美少女……」
桜子も、驚きを隠せず、顔にその表情を浮かべながら呟いた。
さっきの少女の顔が、頭から離れなかった。
「メグミちゃん……なんて可愛い子なんだ……あの子が、この学校に……ぐへへへへへ」
「もう最早ナゴは病んでる! 勝手にメグミとか呼ぶな!」
桜子は、そう言って俺の頭を軽く叩いて俺の暴走のしかけを止めると、「ナゴのバカ」と呟いた。
なんでそんな事言うのか尋ねたけど、答えてくれなかった。
「とにかく、あの子はまた近々学校に転校してくるんでしょ? また見れるんだから、今日はもういいじゃん。帰ろうよ」
「ああ……」
別に、最初からそのつもりだったけど。あえてその言葉は口にせず、俺は素直に教室に帰り、鞄を持ってから校舎から出た。
外の景色は、一面橙色に輝いている。
うっすら、雲がかかりかけた月も見えた。
俺は、ひとつ大きな伸びをして、桜子に別れを告げた。
「じゃあな」
「え?」
「なんだよ?」
「え、えーと……流れ的に、一緒に帰ったりするんじゃないかなって思ってたんだけど」
「は?」と、思わず声が出る。
一緒に帰る? 何言ってんの、コイツ。
「意味わからん」
「だ、だって、女の子1人じゃ可哀想だな、おくってやるぜみたいな感じに……」
「誰がそんな感じになるんだよ、キモい」
「キモくない!」
桜子の考えていることはよく分からなかった。
はぁ、とわざと大きな溜息をつく。
「とにかく、俺は1人で帰るし。お前なんか襲うバカはいねーから大丈夫だって」
そう桜子に告げると、さっさと歩きだす。
「ナゴのバカぁ――――!! 絶対私襲われるんだから! それはナゴのせいなんだから! バカ、ハゲろ!」
後ろの方で桜子はなんか言ってる。
誰がハゲるか! お前がハゲろ!
そのまま、(桜子を置いて)ぼーっと歩いていた。
「ちょっといーい?」
「…………え?」
目の前に、いきなり影が現れた。
それと同時に聞こえた高めの声に思わず反応する。
花さえも生えていない道を見るように下を向いていた顔を、声がする前方に向ける。
「――――」
顔を上げた先に見えたのは、さっきの廊下で会った美少女転校生、俺のメグミちゃんだった。
またもや、その可憐な姿に言葉を失いかける。
「さっき以来かな?」
「あ…………」
この子はさっき廊下ですれちがったのが、俺だと分かっていた。
予想を裏切らず、容姿に似合う少し幼くて高い声の、甘い感じの話し方に思わず顔が紅潮する。
やべ……可愛い。
「もう知ってるかもしれないけどね……今度、この学校に転校してくるんだぁ。だから挨拶しようと思ったの〜」
フフっと天使のように可愛らしく微笑みながら、目の前の美少女……メグミちゃんは言った。
ああ、ここまで花が似合いそうな女の子はいないだろう。ちなみに、男で一番似合うのは優だ。
「2年5組の雨照和……だよね?」
――――え?
なんで俺の名前知って……
「1年2組に転校してくる予定の、姫伊利 萌(ひめいり めぐみ)だよ。よろしくね、和お兄ちゃん!」
…………なんて言った?
『メグミ』?
『お兄ちゃん』?
164
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/14(月) 12:23:23 HOST:119-231-175-86.eonet.ne.jp
第35話「メグミとの関係」
『メグミはお兄ちゃんのこと大好きなんだ! だからメグミの夢は、お兄ちゃんのお嫁さんなの、お兄ちゃん!』
かつての、メグミちゃんのこの萌え死にそうなセリフ。
今、頭のなかでグルグルと走馬灯のように駆け巡っていた。
可愛い可愛い、俺のメグミちゃん。
この子がまさにそうだと思っていた。
本当に名前が『メグミ』なんて。
しかも俺のこと『和お兄ちゃん』って。
そんな事言われたら俺…………「フ……フフ」
「メグミちゃん――――――!! 俺のメグミちゃんが萌ちゃんだったぁあああああああ!! おまけに俺の事お兄ちゃんって! キタ――――――!!!」
「………………」
……あ。
やってしまった――――!!
今までは人にバレないようにオタク部分は隠してたのに!
こういう叫んでしまう発作的なものはあまり見せないようにしてたのに!
あまりの嬉しさに……よりによってこの子にバレた――――!!
やってしまった――――!!
あ―――――――! もう! 俺死ね――――――!!
「そんなに焦らなくても、大丈夫だよぉ?」
「……え?」
目の前の萌ちゃんの言葉で、俺の暴走は止まった。
萌ちゃんは先程からのニコニコとした表情を全然変えていなかった。
……引いて、ないのか?
「和お兄ちゃんは漫画がものすごく好きな人だって聞いてたから、別に萌は驚かないんだよ?
それに萌ね、和お兄ちゃんが漫画のキャラクターが大好きだって気持ちを叫んでるの、カッコイイって思っちゃった!」
「漫画が好きだって聞いてた……?」
俺の事をお兄ちゃんと呼ぶ上、カッコイイなんて言ってくれたからまた暴走しそうになったが、
それを止めて、俺は萌ちゃんの言葉で疑問になったことを聞いた。
漫画が好きだって、誰に聞いたんだ……?
「……誰に教えてもらったんだ?」
「萌と和お兄ちゃんのお父さんだよ!」
165
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/14(月) 12:57:51 HOST:119-231-175-86.eonet.ne.jp
*二次元school あらすじ*
どこにでもいる平凡少年。平凡すぎてそれが個性となりかけている雨照和は、
人には隠しているが、二次元を愛しすぎている、重度の漫画とアニメオタクである。
ある日、そんな平凡オタクに恋している幼なじみ、末木桜子が転校した。
和は何も告げずに転校していく桜子に怒ったが、家に帰ると、桜子が和に転校することを告げなかった理由が分かる。
それは、『和も桜子と同じ学校に転校する』から。
桜子と同じ転校先の学校、『椿園学校』。
そこも、今までのような平凡な学校だと思っていた。だが……
そこは、超美少女(男)がいたり、ツンデレ少女がいたり、SとMのカップルがいたり。
まるで、『二次元を三次元にしたような学校』だった――――……。
166
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/14(月) 13:39:52 HOST:119-231-175-86.eonet.ne.jp
>>1
プロローグ
>>165
あらすじ
>>2
第1話「自分の本性」
>>3
第2話「二人の転校」
>>7
第3話「二次元を三次元にしたような学校」
>>8
第4話「転校先は……」
>>14
第5話「隣の席の女の子」
>>22
第6話「非常識日常生活」
>>27
第7話「女好き男」
>>28
第8話「桜子との関係」
>>29
第9話「美少年の考え」
>>49
第9話「反対少女」
>>52
>>53
第10話「スタート」
>>62
第11話「部活」
>>74
第12話「やっぱり美少女」
>>85
第13話「オタクというより腐女子」
>>88
第14話「写真部入部しませんか?」
>>98
第15話「桜子の夏祭り作戦」
>>103
第16話「自分より可愛い男」
>>114
第17話「偶然?必然?」
>>121
第18話「第2の敵」
>>126
第19話「ツンデレ+浴衣」
>>131
第20話「SMデート」
>>132
第21話「怜次暴走、阻止」
>>133
第22話「腐女子なお姉様?」
>>134
第23話「終了の合図」
>>137
第24話「生徒会室に入場」
>>140
第25話「生徒会長、秀ちゃん」
>>143
第26話「関西少女」
>>144
第27話「愛しています」
>>145
第28話「そしてまた原点に」
>>146
第29話「悪いのは」
>>147
第30話「会長をいじめよう」
>>148
第31話「会長は助けられました」
>>153
第32話「波乱・プロローグ」
>>162
第33話「転校生」
>>163
第34話「メグミちゃんと対面」
>>164
第35話「メグミとの関係」
(以下続行)
167
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/14(月) 13:52:55 HOST:119-231-175-86.eonet.ne.jp
【二次元school】
>>1
プロローグ
>>165
あらすじ
>>168
登場人物プロフィール
>>2
第1話「自分の本性」
>>3
第2話「二人の転校」
>>7
第3話「二次元を三次元にしたような学校」
>>8
第4話「転校先は……」
>>14
第5話「隣の席の女の子」
>>22
第6話「非常識日常生活」
>>27
第7話「女好き男」
>>28
第8話「桜子との関係」
>>29
第9話「美少年の考え」
>>49
第9話「反対少女」
>>52
>>53
第10話「スタート」
>>62
第11話「部活」
>>74
第12話「やっぱり美少女」
>>85
第13話「オタクというより腐女子」
>>88
第14話「写真部入部しませんか?」
>>98
第15話「桜子の夏祭り作戦」
>>103
第16話「自分より可愛い男」
>>114
第17話「偶然?必然?」
>>121
第18話「第2の敵」
>>126
第19話「ツンデレ+浴衣」
>>131
第20話「SMデート」
>>132
第21話「怜次暴走、阻止」
>>133
第22話「腐女子なお姉様?」
>>134
第23話「終了の合図」
>>137
第24話「生徒会室に入場」
>>140
第25話「生徒会長、秀ちゃん」
>>143
第26話「関西少女」
>>144
第27話「愛しています」
>>145
第28話「そしてまた原点に」
>>146
第29話「悪いのは」
>>147
第30話「会長をいじめよう」
>>148
第31話「会長は助けられました」
>>153
第32話「波乱・プロローグ」
>>162
第33話「転校生」
>>163
第34話「メグミちゃんと対面」
>>164
第35話「メグミとの関係」
(以下続行)
168
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/14(月) 13:53:25 HOST:119-231-175-86.eonet.ne.jp
【二次元school】 *登場人物プロフィール*
>>75
雨照 和
>>78
末木 桜子 * 波谷 優
>>113
泉川 千里 * 波谷 風
>>119
鈴井本 鶇 * 松田 暁也
>>120
龍造寺 愛衣子 * 霧島 怜次
>>157
梓川 エナ * 田中 秀一郎
169
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/14(月) 13:57:10 HOST:119-231-175-86.eonet.ne.jp
>>19
小陽向 紫乃
>>34
椿 乃亜
170
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/14(月) 14:10:28 HOST:119-231-175-86.eonet.ne.jp
こんにちは、雪音です。
↑暇なのでやってみました。
レス数の割に、案外本編のレスが少なかったので((オイ 「えー、こんな駄文読めねー」っていう人も読んでください+←
とりあえず、
>>166
は失敗です。あ、別に
>>166
からでもワープできるんですが、気に入らない所があったので……。
ハッキリ言って、
>>168
も失敗なんですよね((
紫乃ちゃんと乃亜ちゃんを入れるの忘れてました……タヒってきます。
でもいつかまた話書いていくうちにこんなの必要になってくると思うので、その時に書きなおします。ゴメンなさい。タヒります((え
あ、そういえばオリキャラ募集をしていた気もするけど←
宣伝してもこんな駄文小説に素敵なキャラをプレゼントする気がある人はいないと思うので、そろそろ募集は終了です。
咲柚、誄、可愛いキャラをありがとうございました! 大切にしまs((
では、これを機会に読む気になってくれたら嬉しいです。ならないよね←
では、雪音からでしたノシ
171
:
瑚飴
:2009/12/15(火) 13:05:03 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
初めまして!
瑚飴と申しマス!!
小説読みました
とてもすばらしかったデスww
ちなみに私は雪音サンの事知ってますヨ☆←恐っっ
172
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/15(火) 14:36:09 HOST:119-231-174-170.eonet.ne.jp
はじめまして、コメありがとうございます!
そんな言葉私にはもったいないです……。
え、私の事しってるってどういうこt((
リアならなんとなく予想はついてます☆←
>>瑚飴さん
173
:
瑚飴
:2009/12/15(火) 14:50:36 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
陰からみてるんですよ((ストーカー!?
でも、今家にいるんだから………。
>雪音サン
174
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/15(火) 15:07:20 HOST:119-231-174-170.eonet.ne.jp
変態さんでしたk((ヤメロ
うん、少なくとも私よりかは変態じゃないよね+
やっぱりお前か――――!
……多分。←
>>瑚飴さん
175
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/15(火) 16:21:46 HOST:119-231-174-170.eonet.ne.jp
第36話「萌と和お兄ちゃんのパパ」
「め、萌ちゃん? なんて言った? 今」
「ん? 萌は和お兄ちゃんが漫画好きな事知ってるって……」
「そ、それを教えてもらった人!」
聞き間違いでなければ、「萌と和お兄ちゃんのお父さんだよ!」と言ったはずだ。
……いや、まさかな。聞き間違いだよな。うん。
「萌と和お兄ちゃんのお父さんだよ!」
………え、聞き間違いじゃない?
「……め、萌ちゃん。それは実のお父さん? 俺達の?」
「うん、そうだよ」
「萌ちゃんと俺は兄妹って事?」
「そうだってばぁ。もぉ、お兄ちゃんったら、何度萌に言わせるの?」
「なぁに?」と、目の前の美少女は首をかしげている。
一瞬でも気を許すと、見とれてしまって、口が聞けなくなるんじゃないかと思った。
一旦言葉を区切って、再度言い直す。
「や、俺確かに今親父は家にいないけど……。俺妹いるなんて聞いた事ないんだけど……」
そう言うと、萌ちゃんは意味深にクスクスと笑った。
「うーん、確かに聞かされてないかもしれないよね〜。だってぇ、萌達母親は違うからぁ」
……は?
「鏡(かがみ)さんも、そんな事言いたくないかもしれないよね〜」
鏡さんって…………俺の母さんだ。
俺と萌ちゃんは、母親が違って父親は同じの兄妹?
そんな事俺の母さんは言いたくないから、俺は知らなかった?
……何。
いやいやいやいやいやいやいや。
そんなドロドロした昼ドラじゃあるまいし。
「あーっ、和お兄ちゃん、その顔は萌の言うこと信じてないでしょお?ひどいよ〜」
「い、いや、悪いけど、いきなりこんな話信じれる訳……」
俺がそう言うと、萌ちゃんはいきなり俺の手をつないできた。
さっきから上手く思考回路が回ってないせいか、手を繋がれたことにすら理解に数秒かかった。
すっげー白くて細い指……。温かい体温……。
本当にこんな似て付かない可愛い子が俺の妹だと言うのか?
ていうか、そうだとしたら、今俺妹にときめいてんの?
「和お兄ちゃん、一緒に萌の家に行こ? 萌とお兄ちゃんのお父さんに会わせてあげる!」
そう行って、もしかしたら妹かもしれない萌ちゃんは、俺の手を引っ張って行った。
176
:
瑚飴
:2009/12/15(火) 16:31:49 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
私だ((言葉遣い変わった―!!
紫乃chanかわゆい☆
177
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/15(火) 16:34:23 HOST:119-231-174-170.eonet.ne.jp
お前だったのか((某芸人だぉ/タヒ
紫乃ちゃんは最近モテてるぜ+
出さないといけないですなー
>>瑚飴
178
:
瑚飴
:2009/12/15(火) 16:46:29 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
流石!
気づくのが早いne☆
紫乃は私の嫁だ!!
>雪音
179
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/15(火) 16:49:05 HOST:119-231-174-170.eonet.ne.jp
私は天才だかr((タヒタヒ
勝手に嫁にすんなww
私の嫁だ! 皆嫁だ!←
>>瑚飴
180
:
瑚飴
:2009/12/15(火) 16:52:38 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
……ごめんなさい((土下座
>雪音
181
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/15(火) 16:54:09 HOST:119-231-174-170.eonet.ne.jp
え、急にやめて((
じゃあ私も土下座する←
>>瑚飴
182
:
瑚飴
:2009/12/15(火) 16:59:08 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
じゃあもう一回土下座するぅ←
>雪音
183
:
瑚飴
:2009/12/15(火) 17:03:26 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
今日はココまで☆
バァイ←
>雪音
184
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/15(火) 17:03:42 HOST:119-231-174-170.eonet.ne.jp
おやめなさい←
あなたはMではないはずだ!
>>瑚飴
185
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/16(水) 09:38:01 HOST:119-231-171-134.eonet.ne.jp
第37話「感動ではない再会」
『ねぇ、お母さん。なんで僕の家にはお父さんはいないの?』
『何? 和、急に』
『だってぇ、この間の授業参観、皆がお父さんとお母さんに来てもらってたから……』
『そうね、和。寂しい思いをさせて悪いわ。だけどお父さんはね……
死んだの。私の中では』
****
いつだったか……確か、俺が小学校の低学年ぐらいの時だった。
物心がつきはじめたその頃から、俺の家には母親と俺しかいなかった。
俺はなんで父親が家にいないのか、母親に尋ねたことがあった。
あの時の、『死んだの。私の中では』という言葉。
『私の中では』という響きに少し疑問を持ったのを覚えている。
私の中では、ということは、実際には生きているという事だったのか? だったらなんで自分の中で殺したのだろうか……。そして、殺されるような親父とはどんな人なんだろうか。
「はい、和お兄ちゃん。着いたよ〜」
「あ…………」
萌ちゃんの声で、俺はハっと意識が戻った。
萌ちゃんに、俺と萌ちゃんの親父に会わせてあげると言われ、
萌ちゃんに連れられて歩いてくる中、ずっと俺は考え事にふけっていた。
顔を上げると、目の前には一軒、白い造りの可愛らしい家があった。
……ここが、萌ちゃんの家か。家までもが俺の理想のメグミちゃんだった。
「どーぞ、入っていいよ」
萌ちゃんが、小さなリースがかかった白くて大きいドアを開けた。
すると同時に、家の中の臭いなのか、甘い花のような臭いがふわっと俺に降りかかった。
玄関の中は、下を見ればレースがついたフワフワのピンクのマットが敷いてあり、横を見れば花のモチーフがついた花瓶に白と薄い黄色の薔薇がささってあり、上を見れば普通の電気にハートの装飾品がぶらさがっている……といった、玄関だけでもかなり乙女ちっくだった。
少し戸惑いながらも、俺なんかでは場違いのような玄関に右足を恐る恐る踏み入れた。
「お邪魔……します」
「はい、どぉぞ!」
萌ちゃんは嬉しそうに声を弾ませながら、俺の後ろから自分も玄関の中に入ってきた。
「パパー? ただいま――――!」
萌ちゃんが、玄関の奥に向かって声を張り上げた。
パパ……もしかしたら、俺の親父かもしれない人。
「萌か? おかえり――!」
低くて、まさに男の人……って感じの声が聞こえて、それと同時に足音が聞こえた。
それは、だんだん近くなる。 この人が俺の……?
「パパぁ、萌ね、和お兄ちゃん見つけたよ! パパに会わせようと思って連れてきちゃった!」
「え……?」と、低い声は呟いた。
「和―――――…………?」
そして、優しそうな男の人が……俺の目の前に現れた。
186
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/16(水) 09:45:27 HOST:119-231-171-134.eonet.ne.jp
第37話「萌ちゃんの家へ訪問」
『ねぇ、お母さん。なんで僕の家にはお父さんはいないの?』
『何? 和、急に』
『だってぇ、この間の授業参観、皆がお父さんとお母さんに来てもらってたから……』
『そうね、和。寂しい思いをさせて悪いわ。だけどお父さんはね……
死んだの。私の中では』
****
いつだったか……確か、俺が小学校の低学年ぐらいの時だった。
物心がつきはじめたその頃から、俺の家には母親と俺しかいなかった。
俺はなんで父親が家にいないのか、母親に尋ねたことがあった。
あの時の、『死んだの。私の中では』という言葉。
『私の中では』という響きに少し疑問を持ったのを覚えている。
私の中では、ということは、実際には生きているという事だったのか? だったらなんで自分の中で殺したのだろうか……。そして、殺されるような親父とはどんな人なんだろうか。
「はい、和お兄ちゃん。着いたよ〜」
「あ…………」
萌ちゃんの声で、俺はハっと意識が戻った。
萌ちゃんに、俺と萌ちゃんの親父に会わせてあげると言われ、
萌ちゃんに連れられて歩いてくる中、ずっと俺は考え事にふけっていた。
顔を上げると、目の前には一軒、白い造りの可愛らしい家があった。
……ここが、萌ちゃんの家か。家までもが俺の理想のメグミちゃんだった。
「どーぞ、入っていいよ」
萌ちゃんが、小さなリースがかかった白くて大きいドアを開けた。
すると同時に、家の中の臭いなのか、甘い花のような臭いがふわっと俺に降りかかった。
玄関の中は、下を見ればレースがついたフワフワのピンクのマットが敷いてあり、横を見れば花のモチーフがついた花瓶に白と薄い黄色の薔薇がささってあり、上を見れば普通の電気にハートの装飾品がぶらさがっている…………といった、玄関だけでもかなり乙女ちっくだった。
少し戸惑いながらも、俺なんかでは場違いのような玄関に右足を恐る恐る踏み入れた。
「お邪魔……します」
「はい、どぉぞ!」
萌ちゃんは嬉しそうに声を弾ませながら、俺の後ろから自分も玄関の中に入ってきた。
「パパー? ただいま――――!」
萌ちゃんが、玄関の奥に向かって声を張り上げた。
パパ……もしかしたら、俺の親父かもしれない人。
「萌か? おかえり――!」
低くて、まさに男の人……って感じの声が聞こえて、それと同時に足音が聞こえた。
それは、だんだん近くなる。 この人が俺の……?
「パパぁ、萌ね、和お兄ちゃん見つけたよ! パパに会わせようと思って連れてきちゃった!」
「え……?」と、低い声は呟いた。
「和―――――…………?」
そして、優しそうな男の人が……俺の目の前に現れた。
187
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/16(水) 09:48:20 HOST:119-231-171-134.eonet.ne.jp
何度もすいません、
>>185
は失敗です。
>>186
をご覧ください。……内容は変わってないんですが、題名が気に入らなかったんで。
「感動ではない再会」って酷いですね。私は酷い人間ですかr((
今の所は感動です。 もうすぐ感動じゃなくなります。←
……誰か読んでみないk((orz
188
:
瑚飴
:2009/12/16(水) 10:17:36 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
読んだゼ☆
ヒマだよぉ〜((あ・そ・ぼ
家に来い←
>雪音
189
:
未来
:2009/12/16(水) 16:19:39 HOST:204-205.h3.client.s-cnet.ne.jp
雪音さん>> 未来です。こちらにも来てみました
とてもおもしろいです。
続き楽しみにしてます!!そして、呼び捨てでいいですよ♪
190
:
水月
:2009/12/16(水) 23:35:25 HOST:w22.jp-k.ne.jp
よっす!来ました!
こんな時間だけどっ!!活発に行動するのは夜なんだよ。
たまに来てコメするだけだぜ(゜▽゜)あ、学級閉鎖中に14Pの大作(?)完成した!
なんかホント二次元から昼ドラに…紫乃をもっと出せっ!(命令系
またはショタでツンな子を出してくれっ!
191
:
水月
:2009/12/17(木) 13:12:23 HOST:w31.jp-k.ne.jp
無駄に電話してくんじゃねぇー!別に暇だったしいいんだけど起きた直後だよ…。
192
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/17(木) 13:20:21 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
ごめーん、気付くの遅かった!
今会いに行きます((
>>瑚飴
ありがとうございます^^
そんなことないでっす/
はい、そちらも頑張ってください☆ うー……じゃあそっちも呼び捨てで呼んでくださいー
>>未来
おー、夜行性め。
早く寝ないと身長のびませんよ←
大作完成? 見せろ!
昼ドラスクール? なぜお前に命令されなければいけないんだ!
ご め ん ☆
ていうか1行レスすんなよ←
もはや伝言板? ←違う!
>>水月
(今日は友達のpc借りてます)
193
:
咲柚
:2009/12/17(木) 20:53:16 HOST:proxy20039.docomo.ne.jp
お久しぶり♪
忘れられてるんじゃないだろうか…
咲柚です((ペコリ
面白い感じに進んでますな^^
てか、紫乃ちゃんモテモテ☆
そいじゃノシ
>雪音
194
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/17(木) 20:58:47 HOST:119-231-168-242.eonet.ne.jp
おお―――!!
忘れてないよ、咲柚は私の彼女だかr((
ありがとう>< 暴走しかしてないけど……
紫乃ちゃんはモテ期が爆発してるようです←
でぁノシ
>>咲柚
195
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/17(木) 21:27:55 HOST:119-231-168-242.eonet.ne.jp
第38話「感動の再会」
「和――――…………? 和って本当に……?」
「うん、いかにも! パパの息子だよっ!」
茫然とする、目の前の優しそうな30代あたりの男に対して、嬉しそうに言う萌ちゃん。
俺は、その男と同様茫然としている。
「……君は……本当に和なのか? 雨照和、なのか?」
まだ茫然とした色の声ながらも、その男は俺に尋ねた。
「雨照和」…………確かに、俺の名前。
「…………はい」
声が震えていた。思ったより俺は緊張しているらしい。
それもそうか……。
俺の小さくて曖昧にさえ聞こえる返事に、男の人は目を見開いた。
そして肩が少し震える。
「……な……ごみ。――――っ和!」
突然、俺の体に大きな衝撃が走った。
……目の前にいた男が、いきなり俺を力強く抱きしめた。
体勢はそのままだったが、その抱きしめられる力は、すぐに弱まった。
震える肩と、俺の背中に感じる、じんわりとした熱いものの感触で、すぐに泣いてるんだと思った。
「貴方は――……俺の、親父なんですか……?」
俺がそう言うと、震えていた肩はピタっと動きを止め、ゆっくり俺から離れて行った。
少し目が赤くなった男が、俺を向き合うと、少し口を開く。
「…………ああ。改め、俺が姫伊利萌と……雨照和の父親だ」
父親だと分かったら聞きたい事は山程あったはずなのに、俺は1分ほど何も喋れなかった。
196
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/20(日) 17:46:03 HOST:119-231-152-134.eonet.ne.jp
第39話「応接間にて」
「和お兄ちゃんも聞きたいことあるだろうしぃ、とりあえずお部屋行こう?」
しばらくの沈黙が続いた後、萌ちゃんにそう言われ、俺は言葉を返さずに頷いた。
萌ちゃんはフフっと微笑むと、「どうぞ」と言って、俺を家の中に案内してくれた。
****
「はい、ここに座って?」
案内された部屋は応接間らしい。
流石に客を対応する部屋というだけあって、先程の玄関のように乙女ちっくな感じは皆無だった。
どちらかといえば上品さが印象強く残る部屋だ。
俺が萌ちゃんに促されて座っているソファも、萌ちゃんの趣味ならハート柄っぽそうだが、この部屋のソファは大人っぽいワインレッドで描かれた細かい花が模様だった。
そして、上を見上げるとシャンデリア。さっきの玄関にあったハートの装飾品がついた電気からは考えられなかった。それほど高級な物でもなさそうだが、そこまで小さい物でもなかった。これ以上シャンデリアを見つめるのは眩しいから、俺は目線を元に戻すことにする。
「ちょっと待っててね、お茶入れてくるよぉ〜」
萌ちゃんがそう言葉とドアを閉める音を残すと、部屋から出て行った。
「ちょ、まっ…………!」
今、俺の親父と2人きりにしないでくれ!
『ちょっと待って』そう言おうとした言葉は萌ちゃんに届かなかった。
「「………………」」
……気まずい。気まずすぎる。
俺こういう空気苦手だー!
考えてみれば、今まで二次元学校でこういう静かな空気に出くわしたことがない。
だから慣れてないのか!?
あー、萌ちゃん早く帰ってこ――――い!!
「……大きく、なったな……」
「……え?」
唐突に低い声が聞こえて、思わず顔を上げた。
目の前の親父は、優しく微笑んでいた。……本当に、俺はこの人と血がつながっているんだろうか。
「俺は和が1歳の時に鏡と離婚したからな……。まさかこんなに男前になってるとは」
「……はぁ」
少なくとも男前ではないと思う。こんなどこにでもいそうな顔。
俺が微妙な心境に浸ってる時、親父が「あ」と声を上げた。
「そうだ、鏡は元気か?」
母さんか……。
「ええ、元気ですよ」
少しそっけなかったかな。
言葉を放ってからそう思った。
だが、親父はそんな態度は特に気にせず、ぼそっと呟いた。
「……七緒(なお)じゃなくて鏡にしとけばよかったかな…………」
「……え?」
それってどういう意味……
そう尋ねようとした時
「おまたせ! ミルクティー入ったよぉ!」
と、萌ちゃんが3つのカップが置いてある盆を抱えて部屋に入ってきた。
「さぁ、パパ。全部和お兄ちゃんにお話して?」
萌ちゃんが微笑みながら、親父に言った。
197
:
水月
:2009/12/20(日) 20:36:36 HOST:w22.jp-k.ne.jp
雪音ーーーーー!!!
早く続きを書いてくださーーい!!めっちゃ気になるんやけど?!
おまいはやっぱ神だったのか…(^p^)
198
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/20(日) 20:48:05 HOST:119-231-164-247.eonet.ne.jp
水月だ――――!!
土下座をしなさi(( 今、M−1見ながら書いてるよw
うん、紙←
>>水月
199
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/20(日) 20:55:32 HOST:119-231-164-247.eonet.ne.jp
第40話「母と父の過去」
「これ、美味しいんだよ?」
萌ちゃんは俺に微笑みかけながらカップを俺の前に置いた。
カップは、やはり乙女ちっくな物で、この上品な雰囲気の部屋にはあまり似合わなかった。
赤とピンクの、少し大き目の苺の柄の白い小さなカップ。その中からは、甘ったるい香りがした。
一口口をつけてみても、やっぱり味も甘ったるい。萌ちゃんには悪いが、これ以上飲めるような味じゃないから、もう口は付けないでいようと思った。
「……あの」
ミルクティー? を飲んだのをきっかけに、俺は親父に向き合った。
なんで俺の母さんと離婚したのか。なんで萌ちゃんの存在を、母さんは知らせてくれなかったのか。
なんで萌ちゃんは俺を知ってたのか。……なんで、萌ちゃんは第2椿園学校に転校してきたのか。
聞きたいことはありすぎた。何から聞いたらいいのか分からない。
少し困った様子が顔に出ていたのか、親父は微笑んで言った。
「いい、和。……俺から全部説明するよ」
「……はい」
「…………俺が大学生の頃……鏡に惚れられた。そしてそのまま付き合って……結婚までした」
親父は、ミルクティーを少し飲むと、話し始めた。
ああ……そこから?
「そして、和が鏡の腹に宿って……6月12日、和が産まれた」
「……はぁ」
そこまで言うと、親父は一拍置いた。
「実は、和が産まれた後、俺は――――…………」
次の親父の言葉で、俺にかつてない衝撃が走ることになる。
200
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/20(日) 21:35:59 HOST:119-231-164-247.eonet.ne.jp
第41話「母さんの言葉の意味」
「俺は、他の女……萌の母である七緒に妊娠させてしまった。それが萌」
…………
「ええええええええええええええええ!!!?」
「そ、それって……!!?」
親父は、話し始める前のような微笑みじゃなく、
子供のように悪戯っぽく笑って軽く言った。
「……俺、その頃かなり遊びたい年頃でさ。ちょっと浮気してたらやっちゃった」
「やっちゃったじゃねぇ! 最低すぎる!」
さっきまで敬語だった相手にも、あまりの衝撃にいつものノリでツッコんでしまった。
「そんなに怒らなくても。もう済んだことだし」
「怒るに決まってんだろ! いや、過去形にできねーだろ! それ!」
「いやぁ、男にはあるんだって、そういう時期が。和にもいずれ分かる」
「分かりたくねーよ! ていうか、結婚してるんだったら押さえろ!」
「で、まぁ」と、俺の中でかなり最低と化してきた親父が仕切りなおした。
「和が1歳の時、萌が産まれた。それでどうしたもんかと思ってな」
「どうしたもんかどころの問題じゃねーけどな」
本当、なんだこの人。この人っていうかコイツ。
コイツを初め、一瞬でも優しそうと思った俺が馬鹿だった。
「それで俺は考えた! 鏡か七緒、どっちか好きな方選んで、そいつとその子供と暮らそうと!」
「もう死ねよお前!!」
ここまで最低だとは思わなかった――――!!
「で、ぶっちゃけその頃は七緒の方が美人だったし、産まれた子供は女の子だったから、
俺は七緒と暮らす事にして、鏡と離婚することにした!」
「なんだよ! 俺が男なのが悪かったのかよ! しかもこんな話は絶対このノリで言ってはいけない!!」
「離婚するって言った時は、鏡はしぶったけど……俺が浮気してる上、子供がいるって言ったらあっさり認めてくれたよっ」
「何だそのコミカルなノリ……。最後に星マークがつきそうな」
ああ、分かった。
いつかの母さんの言葉……『お父さんはね……死んだの。私の中では』
ここまで最低男だったから、自分の中で消去したのか……。
母さんも、俺と同じように錯覚してたんだろう。優しい人だと。
ここまでだったから、あっさり離婚したのか?
「うーん、今の時代、一夫多妻制だったら鏡も七緒も俺のもんだったんだけどな……」
「本気で死んでください」
201
:
瑚飴
:2009/12/22(火) 18:29:00 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
うぃっす!
遊びに来たヨ☆
パパさいてー((ブーブー
萌チャン色々気に障るne☆ ←ウソだよ〜
またあそぼっ
>>雪音
202
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/22(火) 20:45:40 HOST:119-231-183-44.eonet.ne.jp
うぃっす!
ウェルカムw
パパは最低すぎた←
それはきっと正解だy(( これから萌ちゃんも動かしていくわノ
うん、あそびましょうっ!
>>瑚飴
203
:
水月
:2009/12/24(木) 18:39:11 HOST:w21.jp-k.ne.jp
パパのノリがギャグじゃ!!
続きが読みたくば土下座だとう?!いくらでもしてやろうじゃんか!orz orz orz…今度ジャンプ土下座見せたるわ!
204
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/24(木) 19:23:53 HOST:119-231-169-189.eonet.ne.jp
絶対いけないノリww
さぁ、跪きなさi((
ジャンプ土下座!? なんだよそれ!
>>水月
205
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/26(土) 22:35:11 HOST:119-231-155-2.eonet.ne.jp
第42話「成り立ちを知って」
「萌が成長して、やっと中1になって、女子中に入学した。その頃、俺は萌に和の事を話した」
深く関わりさえしなければ、本性を知ることがなかった、俺の親父。
「萌は1人っ子で寂しい思いをさせてな。実は腹違いの兄がいると知ったら、その兄の事を知りたがるようになった」
「…………」
「それで、和とは接した事はなかったものの、時々和と鏡が留守の最中に家に入って、色々偵察してたからな」
「家に入って偵察!?」
「そこで分かった事をありったけ萌に話してったら、萌が『第2椿園学校に通いたい』って言いだしてな」
それで、萌ちゃんは……
「女子中から、萌のお兄ちゃんがいる第2椿園学校に転校することにしたのぉ」
俺の心が読めてるかのように、萌ちゃんはクスっと余裕の笑みを浮かべて言った。
「じゃあ、萌ちゃんが、俺が漫画が好きだってことを聞いたっていうのは……」
「うん、萌のパパだよ」
……そういう事か。
萌ちゃんが聞いたってのは、このクソ親父。
こいつが俺の家に不法侵入した上、それを萌ちゃんに全部言ったとしたなら……知ってるハズだ。
「いやー、和の部屋に言ったら美少女がやたらいる漫画が大量にあってな。漫画が好きだと伝えておいた」
そう、俺の部屋はミオリちゃんやナナちゃん……メグミちゃんの漫画が大量にある。
漫画が好き、なんて言葉じゃ甘い量だったと思うが……。
余計な事言いやがって、理想の妹に……。俺はこのカスを思いっきり睨んだ。
……でも、これですべてが分かった。
萌ちゃんはなんで俺の妹なのか、俺がそれをしらなかったのか。
俺の親父と母さんが離婚したのか、萌ちゃんが椿園に転校してくるのか。
206
:
水月
:2009/12/27(日) 18:32:24 HOST:w21.jp-k.ne.jp
雪音>ジャンプ土下座とは階段の3段目ぐらいから飛び降りてするジャンプだっ!!((しょぼい
207
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/27(日) 18:49:21 HOST:119-231-152-174.eonet.ne.jp
そこまですごそうではないが、実際だと結構な事だ!
よし、雪音様が見てやろうではないか←
Σテメ、また一行レスしやがったな
>>水月
208
:
水月
:2009/12/28(月) 15:53:28 HOST:w21.jp-k.ne.jp
エ…ジャンプ土下座を見たがるやつがいるとわ…!
貴様はSかっっ!(違う)
一行レスしてるつもりはなかったんだけどなーー(-_-)また土下座しなきゃ…得意技なんです!
209
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/28(月) 21:22:53 HOST:119-231-186-212.eonet.ne.jp
え、Mだy((ry
犯人はみんなそう言うんだっ!←
そんなお前の得意技は見たことないぞ。
>>水月
210
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/28(月) 22:10:02 HOST:119-231-186-212.eonet.ne.jp
第43話「萌のお気に入り」
「……もう帰る」
聞くことは全て聞いたし、もうこんな奴の隣にいたくないし。
俺は帰りたいという意志を呑気な顔をしている親父に伝えた。
「あれ、もう帰るのか? せっかく親子の感動の再会だと言うのに」
「絶望しかなかったわ」
俺はそう呟きながら、持っていた学校指定の地味な鞄を手にとって帰る準備をした。
「そっか、じゃあいつでも遊びに来いよ!」
「誰がお前の所になんか」
「鏡に駆け落ちしないかって聞いといて!」
「聞かねーよ!」
「……じゃあ」
丁度支度も終わり、俺は一言ぶっきらぼうに呟くと、座っていたソファから立ち上がり、ドアの方へ歩いて行った。
「あ、待っておにーちゃん! 萌、玄関ぐらいまでは見送るよ!」
「俺も!」
「男の方は来んな!」
萌ちゃんはいいが、それに便乗した親父はこないでほしい。
……と言っても、やはり付いてきた。
そのままなんともいえない気分で、俺は玄関まで歩いた。
歩いている途中の廊下は右を見ても左をピンクや白やら。初め、この家に入ってきた時は少し緊張していたから、今のようにここまで見る余裕はなかったから、歩くのは2度目の場所なのに、初めて見るものはたくさんあった。
まだ見るのは2日目なのに、見なれたような感じのする玄関に着き、俺は靴を履いて外に出た。
外は、土っぽい臭いがした。萌ちゃんの家は甘ったるい臭いがしていた。
正直、あまり好きな臭いではなかったが、家の中にいるうち、鼻が麻痺していたらしい。
「じゃあね、和お兄ちゃん! また学校で〜!」
俺が外に出たのを目で確認すると、萌ちゃんは幼くて高い声で俺に別れを告げた。
「ああ」
正直、あんな奴が親父だって知ってしまったのは嫌だったが……。
こんな可愛い子が妹だなんて、考えるだけでニヤけてしまう。
微笑む……というよりかはニヤニヤだったかもしれないが、俺は少し笑いながら萌ちゃんに答えた。
「じゃあな、和! 鏡によろしく!」
「よろしくしねーよ!」
俺はそのまま、自分の家へ足を急がせた。
自分の親父と妹の姿を目に焼き付けて。
「どうだ? 萌、お前のお兄ちゃんは」
「うん、予想以上にいい人だったよ! 萌に優しいしね!」
「そうだろ」
「学校楽しみだよー。 早くお兄ちゃんと同じ学校に行きたいよぉ」
「本当に萌は和の事大好きになったんだな」
「うん!だから……
萌ね、和お兄ちゃんは誰にもあげないよ」
211
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/30(水) 13:40:48 HOST:119-231-176-21.eonet.ne.jp
第44話「萌と桜子対面」
*桜子視点*
「寒い……」
肌寒い朝、うっすら霧がかかった冷たい空気に息を温かく手に吹きかける。
「寒い……」と独り言を呟いた時、前方に、見なれた影が見えた。
あの身長、体型……私の愛しいナゴだっ!
ナゴと分かった瞬間、反射神経のように私の足は小さく足音を立てながら、ナゴの方に走って行った。
「ナゴ――――!」
市販の地味な色合いのチェック柄のマフラーにうずめていた顔を、マフラーを手で押しのけて上げる。
寒くて声も出そうにもないと思っていたが、ナゴがいると知ったらそんなことは関係なくなっていた。
周りに人がいる、なんてことは考えの範疇にはなく、夢中で声を張り上げ名前を呼んだ。
「…………桜子か?」
ナゴが振り返る。
ああ――! やっぱ今日もカッコいい! 神々しいほどに輝いてるよ……。
「ナゴ、おはよっ!」
顔が自然に解れる。
朝からナゴを見れるし、今日はいい日になりそう。
「ああ、そうだ桜子」
「何ー?」
「今日、俺お前に話したい事が……」
話し……たい事?
「何?」
「いや、ここじゃ人がいるからちょっと……」
話したい事?
人がいるから無理?
そ、それって……
『告白』!?
「きゃあああああああああああああああああ!!!」
「何叫んでんの!?」
やっと報われるのか……私の想い……!
グッバイ、片想い! ざまーみやがれ!
「あ、和お兄ちゃんだぁ!」
突然、高くて幼い声が聞こえた。
と、思えば、目の前に華奢な女の子がいた。
この子……この間、学校にいた子……?
でも、今日はこの間のようなブレザーじゃなくて、うちの学校のセーラー服に小さな体を包んでいる。
「あ、萌ちゃん」
萌? 萌って言うのか? ていうか、なんでナゴが知ってんの? ていうか、この子さっきナゴの事『和お兄ちゃん』って呼んでなかった?
「萌ね、今日転校してくることになったよ! 本当はまだもうちょっと先だったけど、お兄ちゃんに会いたくなっちゃた」
……え
「ね〜お兄ちゃーん、萌と一緒に学校に行こうよぉ〜」
……は
「ああ」
「やったぁ! お兄ちゃんだーい好き!」
…………
「じゃあ、桜子。また後で。 萌ちゃんと一緒に行くから」
………どーいう事?
212
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/30(水) 16:07:42 HOST:119-231-176-21.eonet.ne.jp
第45話「桜子ちゃんと和お兄ちゃん」
「じゃあ、また後で」
…………
「ちょっと待て――――――!!」
必死の声を絞り出した。
待て――――! その萌ちゃんとやらと一緒に行くんじゃね――――!
「きゃっ……!?」
萌ちゃんとか言う子は、小さく可愛らしい悲鳴を上げて驚いた。
ナゴも驚いた顔をして、私の方に振り向いた。
「わっ……私も一緒に行く!」
……とっさだった。
ただ、ナゴが私より可愛い女の子と並んでほしくなくて。
「うん、じゃあ萌達と一緒に行こぉ?」
萌ちゃんは驚いた表情から、すぐに天使の微笑みのような笑顔をみせて言った。
「ありがとう」と、複雑な心境ながら笑顔を急いで作った。
「行こぉ、お兄ちゃんっ!」
「……あ、ああ」
ナゴも戸惑いながらも了解してくれた。
よし、これでナゴを守った…………。
そして、そのまま静かに複数の足音を立てながら、私達は歩き出した。
(私のせいなのか)しばらくの沈黙が続いた後、ふいに萌ちゃんが口を開いた。
「ねぇ、お姉ちゃんは、お姉ちゃんはなんて言うの? クラスはぁ?」
お姉ちゃん……。
じゃあ、ナゴの事を『和お兄ちゃん』と呼んでいるのは、このような感じで愛称……という事なのだろうか。
「え、えと、末木桜子。2年5組だよ……」
私がそう言うと、萌ちゃんは小さく「桜子……桜子……」と呟いた。
名前を覚えようとしているのだろうか。
「萌は、今日1年2組に転校してくる予定の姫伊利萌だよぉ。2年5組って事はぁ、お兄ちゃんと一緒って事だよね?」
「う、うん」
「和お兄ちゃんの事よろしくね、桜子ちゃん!」
え? 桜子ちゃん……。
私の名前を知ったら『お姉ちゃん』から『桜子ちゃん』と呼ぶようになった。
でも、ナゴの事は『和お兄ちゃん』と呼んでるから、名前はしってるはず。
なのに、なんでナゴの事を尚『お兄ちゃん』と…………?
「ねぇ〜、お兄ちゃん。桜子ちゃんとお兄ちゃんってどういう関係なのぉ?」
何故そんな事を聞くっ!?
「えー……幼なじみ」
「へぇー、桜子ちゃんとは、萌よりも長い間一緒にいたんだね。萌、なんだか寂しい」
はぁ!?
「ね、早く学校行こうよ〜。萌、お兄ちゃんに学校案内してほしいな」
「ああ」
ナゴとそんな会話をした後、萌ちゃんは私の方にやって来た。
「桜子ちゃん、どぉしたの? 汗いーっぱい出てるよ?」
冷や汗だよ!
萌ちゃんは、ポケットからピンクのハート柄のイメージ通りのハンカチを取り出し、私の汗を優しく拭ってくれた。
そして、私の首筋あたりの汗を拭ってくれた時、萌ちゃんはそのまま顔を私の耳あたりに近付け
「和お兄ちゃんをたぶらかしたらタダじゃおかないから」
さっきまでの高い声とは違い、低くて脅しがかかった声が聞こえた。
「…………え?」
「うんっ、桜子ちゃん、キレーになった! 行こ!」
「ああ」
「…………え?」
今の、萌ちゃん?
213
:
水月
:2009/12/31(木) 13:18:38 HOST:w22.jp-k.ne.jp
年始に会ったらみしてやるって!この隠れMがっっ!!←
つーか萌ちゃんヤンデレですかー…似合うよ!(萌の何を知っているんだ!)
桜子テンションスゲー上がってるぜ!!
214
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/31(木) 18:02:22 HOST:119-231-168-30.eonet.ne.jp
じっくり見てやる。体の隅々まで← 雪音はMじゃねー!
萌ちゃん……ヤンデレなのか? お前は萌ちゃんの回し者か…!?
桜子は回を増すたびにテンションがアップします☆
>>水月
215
:
水月
:2009/12/31(木) 19:07:03 HOST:w11.jp-k.ne.jp
うぃ☆
私は萌ちゃんのまわしもの以外の何者でもない!萌ちゃんはそのうちヤン→ツンになりそうだ。
(忘れてなかったら)絶対あけおめcallするんで!よろ☆☆
216
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/31(木) 19:09:44 HOST:119-231-168-30.eonet.ne.jp
春日かお前は。((
貴様、いつのまに……! ならないy((((
どーぞw あ、家にいなかったらゴメン←←
今から続き書いてくるわノシ
>>水月
217
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/31(木) 19:27:26 HOST:119-231-168-30.eonet.ne.jp
第46話「
なんだったんだ……さっきの。
第2人格?
さっきの、あの一瞬鬼のようになった萌ちゃんを考えながら、私は教科書を机に片付けていた。
「ね、ナゴ」
「あ?」
自分の席に行こうとしたナゴを呼びとめる。
「あの、さ、萌ちゃんって……」
私がそこまで言うと、ナゴは何かを思い出したように被せてきた。
「あ、そーいやお前に萌ちゃんの事言わないとダメだったんだな」
「え?」
「ホラ、今朝言ってた……話しがあるってやつ。萌ちゃんの事でちょっとな」
……今朝?
ああ、そういえば、ナゴ今日話しがあるって……誰もいない所で。
え?
それって告白じゃなくて…………萌ちゃんの事!?
「チクショおおおおおおおおおおおおお!!!」
「なんでお前はいつも唐突に叫ぶんだよ!」
てめーのせいだ! 思わせ振りな事しやがって! おませさん!
「で、萌ちゃんの事で話しって……?」
私が仕切り直し、ナゴに尋ねた。
するとナゴは、私の耳に顔を近づけてきた。
「なっ…………!?」
「あんまり人に聞かれたくないからこうやって話すけど……」
これから話す内容は、人に聞かれたくないらしい。
ナゴはその為、私の耳元でささやくように小声で言う。
ああっ、耳に軽く息が……! 絶対ダメだって! 鼻血ふくって!
「萌ちゃんは、俺の妹なんだ」
「……もっかい」
「だから、萌ちゃんは俺の妹なんだって」
……………
「えええええええええええええええええええ!!?」
「だから唐突に叫ぶな! しかも鼻血出てないか、お前!?」
218
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/31(木) 19:29:35 HOST:119-231-168-30.eonet.ne.jp
第46話「理性ギリギリな桜子」
なんだったんだ……さっきの。
第2人格?
さっきの、あの一瞬鬼のようになった萌ちゃんを考えながら、私は教科書を机に片付けていた。
「ね、ナゴ」
「あ?」
自分の席に行こうとしたナゴを呼びとめる。
「あの、さ、萌ちゃんって……」
私がそこまで言うと、ナゴは何かを思い出したように被せてきた。
「あ、そーいやお前に萌ちゃんの事言わないとダメだったんだな」
「え?」
「ホラ、今朝言ってた……話しがあるってやつ。萌ちゃんの事でちょっとな」
……今朝?
ああ、そういえば、ナゴ今日話しがあるって……誰もいない所で。
え?
それって告白じゃなくて…………萌ちゃんの事!?
「チクショおおおおおおおおおおおおお!!!」
「なんでお前はいつも唐突に叫ぶんだよ!」
てめーのせいだ! 思わせ振りな事しやがって! おませさん!
「で、萌ちゃんの事で話しって……?」
私が仕切り直し、ナゴに尋ねた。
するとナゴは、私の耳に顔を近づけてきた。
「なっ…………!?」
「あんまり人に聞かれたくないからこうやって話すけど……」
これから話す内容は、人に聞かれたくないらしい。
ナゴはその為、私の耳元でささやくように小声で言う。
ああっ、耳に軽く息が……! 絶対ダメだって! 鼻血ふくって!
「萌ちゃんは、俺の妹なんだ」
「……もっかい」
「だから、萌ちゃんは俺の妹なんだって」
……………
「えええええええええええええええええええ!!?」
「だから唐突に叫ぶな! しかも鼻血出てないか、お前!?」
219
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/31(木) 19:33:56 HOST:119-231-168-30.eonet.ne.jp
あー、題名付け忘れた。
というわけで、
>>218
は訂正版です。
ここで挨拶いたしますが、今年もノロノロと変態小説をこんな素晴らしいサイトで書かせていただき、ありがとうございました!
二次元schoolは、ほとんど衝動で書いている小説な上、上記で言いました通り、変態小説です。そんな駄文が、今まで書いてこられたのは奇跡です。
でも、今までコメやアドバイスをしてくださったお方達のおかげでここまで続けてこられました。
来年も駄文を書き綴っていくことになるでしょうが、これからもよろしくお願いいたします。
220
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/03(日) 23:33:51 HOST:119-231-185-177.eonet.ne.jp
第47話「萌ちゃんへの疑惑」
授業が開始する時間だったため、会話はそこで途切れたが――……
昼休み、ナゴとちゃんとその話を屋上ですることになった。
その中で私はおそらく20回以上は叫んだんじゃないかと思う。驚く事がありすぎて。
……ナゴのお父さんは、ナゴのお母さんと離婚して、七緒という人と再婚し、萌ちゃんを産んだ。
そこで萌ちゃんはナゴの存在を知っていたが、ナゴのお母さんはお父さんの話なんかしたくなかったため、ナゴに萌ちゃんの存在は話さなかった。
一方、萌ちゃんは兄であるナゴに会ってみたかった。その為、女子中から第2椿園学校に転校してくる事になった。
「た、大変だね……」
これしか言葉のかけようがないだろう。
「ああ、あのクソ親父の家に行った日の帰り道、母さんに確認の電話をかけたんだけど……姫伊利って名字言った瞬間に着信拒否にされた」
「すごい徹底的に嫌ってるんだね、お父さんの事」
まあ、話によればかなり最低な人っぽかったけど……着信拒否?
「そっか……萌ちゃんは妹か……」
「腹違いだけどな」
「ぅよっしゃぁ、勝った!」
「何に? ていうか、ぅよっしゃぁっつった?」
萌ちゃんはかなーり可愛いからナゴがとられるかと心配したけど……兄妹なら心配ないよね!
……でも、萌ちゃんはナゴの事かなり好いてるっぽいし……しかも出会った今朝、見てはいけないような人格が一瞬現れたような気がするし。未だ信じられない。
やっぱり油断できない相手なのだろうか?
「――――おにぃちゃんっ!」
肌寒い風音と共に、高くて甘い声が聞こえた。
声が聞こえた方向はドアの方向だ。 私とナゴは目を向けた。
「萌ちゃんか?」
「………………」
正直、風でなびいて目に入った髪のせいで、よく見えなかったが、ナゴの言葉を聞かずとも、誰であるかはなんとなく分かっていた。
――――姫伊利萌ちゃん。
「お兄ちゃんっ、もぉ、お昼休みは萌を案内してよぉ。萌、お兄ちゃんがいないから怖かったんだからね?」
萌ちゃんはそう言って小さな顔の頬を精いっぱい膨らませながらひょこひょことやってきた。
なっ、何だこのハートが舞い散る話し方はぁ!
「あーっ、桜子ちゃんだぁ!」
私がまたもやその可憐な少女に驚いていた時、萌ちゃんの大きな目が私をとらえた。
……朝見せた態度とは違う。
やっぱ朝のは幻覚か何かか? うん、そうに決まってる。こんな弱々しい子がまさかねぇ……
「お兄ちゃん、やっぱり萌、桜子ちゃんに案内してもらう〜! ねっ、いいでしょ桜子ちゃん?」
萌ちゃんはそう言って、私の腕に腕をまわしてきた。
か、かわい……! うん、やっぱり朝のは気のせいだったんだ!
「あー、うん、いてら」
なんつー適当な答えだ、コイツは。でもカッコイイから許す!
「じゃあ、行こぉよ桜子ちゃん!」
「痛っ…………!?」
萌ちゃんが私に腕を絡めたまま引っ張っていく。
その時、私の絡められた腕に激痛が走る。
見ると――……萌ちゃんの腕がかなりきつく絡められていた。血の流れが止まりそうなぐらいに。
「桜子ちゃん? どうしたの? 早くいかないと昼休み終わっちゃうよ?」
「そーだそーだ桜子、さっさと行ってやれ」
萌ちゃんは何食わぬ顔で私を見つめている。
こんな力、本人の自覚無しで出るわけがない。
……まさか、今朝のは本当……?
221
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/04(月) 13:33:13 HOST:119-231-177-253.eonet.ne.jp
第48話「二重人格発覚」
「ちょっ…………萌ちゃん!?」
萌ちゃんはニコニコと微笑んでいたものの、ナゴがいる屋上から出た途端に顔が無症状になった。
しかも、それから一言も話さないし、未だに私の腕を思いっきり締め付けてるし。
この体型からは考えられないような強さの力でずるずる連れられて行く。どんなに声をかけても答えてくれないし。
そのまま歩いて行くと、人気が全くない体育館裏に辿りつき、そこで足は止まった。
「え、えーと……萌ちゃん? 私に学校案内してほしかったんじゃ……」
「は? んな訳ないでしょお?」
返事は返ってこないだろうと思いながらも、一応萌ちゃんに声をかけてみた。
……予想に反し、答えは返ってきたが、なんとも萌ちゃんとは思えない声色と口調だった。
思わず思考が停止してしまう。
「……え」
「学校の配置ぐらい覚えたしぃ。だって〜萌は天才だから」
私の腕をようやく放して、目の前の美少女は私と向き合った。
「め、めぐ「萌さぁ、和お兄ちゃんをたぶらかすなって言ったよね? あんた、何隣に座ってんの?」
大きな瞳から放たれる冷たい視線がつきささる。
この子、本当に萌ちゃん……!? 全然違うじゃん!
「和お兄ちゃんと同じクラスってだけでも吐き気がするのに〜」
「は!?」
「大して可愛くもないくせにさぁ、べたべたべたべたとぉ。ブス」
「ぶ……!」
「桜子っていうかぁ、ブス子だよね〜」
「えぇっ!?」
言い返せるはずもなく、ただただこの子の豹変に驚くばかり。
この子……やっぱり二重人格か!?
「まぁ、萌みたいに可愛くなれって言っても酷だけど〜ありえないな〜萌ならその顔じゃ生きていけなーい」
に、二重人格というより、猫かぶりじゃないか?
ていうかそんなに私可愛くないか!?
「め、萌ちゃん……その性格は」
「何か悪い? 萌、お兄ちゃんにひっつく害虫を排除するためなら何にだってなれるんだから」
「あ、そう……」
「だからブス子も近づかないでねぇ? お兄ちゃんが穢れちゃうから〜」
……誰がブス子だ。
だんだんイライラしてきた……。
「とにかく、それ言うためにわざわざあんたみたいなブス連れてきてやっただけだから、この美少女萌様が」
美少女萌様って言った!?
猫かぶりな上、ナルシスト!?
茫然としている私にむけて、最後に萌ちゃんは「じゃあね、ブス子」と一言不敵な笑みで言うと、そのまま私をほって体育館裏からどこかへ歩いて消えてしまった。
…………
……ムカつく。
ムカつくムカつくムカつくムカつくムカつく
「うあああああああああああああああああ!!!」
私は怒りのあまり、その怒りに思考と体を委ねて、体育館の壁をガンガン殴った。殴って蹴った。
「なんだあの猫かぶり娘――――!!」
そのまま壊れそうなほど力を込めて、壁を殴る、蹴る。
「ブリブリしやがって、ブリっ子――! ナルシ、ブラコ――――ン!!! イライラする、あの喋り方ああああああああ!!」
そのまま私は一心不乱に壁にむかって暴行を続けた。
「さっ、桜子ちゃん!?」
体育館の中にいた優くんが、驚いて出てきて止めてくれるまで私は壁に向かって殴り続けていただろう。
222
:
水月
:2010/01/04(月) 21:10:20 HOST:w12.jp-k.ne.jp
一応あけおめー(^人^)
ヤバい…萌ちゃんの性格が愛しすぐる!!
ヤンデレと思ったらただの猫かぶりだったかちくしょう!騙された!
実際にいたらボディーブローをくらわせてぇー…
223
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/04(月) 21:17:03 HOST:119-231-187-119.eonet.ne.jp
一応だな、ホント←
なんでだよ! 愛しくならない性格にしたつもりだよ!((え
だから違うと言っただろうが! お馬鹿さんめ!
どっかにはいるよ、多分((オイ
>>水月
224
:
水月
:2010/01/05(火) 13:30:01 HOST:w32.jp-k.ne.jp
なんでか女の子は腹黒い娘が好きだ!
でも一番は聖少女だろ。出してよ。聖少女。
でも聖少女のくせに好きな男の子がいるんだぜ!((聖少女じゃない!
な 訳でよろしく←
225
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/05(火) 14:47:53 HOST:119-231-149-43.eonet.ne.jp
お前はドMか! うん、萌ちゃんは腹黒キャラですよノ
聖少女!? 聖少女って…どうしたらいいんだよ!
よろしくされても、聖少女は無理だわ((オマ
>>水月
226
:
瑚飴
:2010/01/05(火) 14:59:43 HOST:119-231-163-23.eonet.ne.jp
おひさ〜☆
水月のワガママで私はヒマだ←
…というかあけおめ はぁと
今年もよろしく ((
萌チャンいいキャラしてんね! 私にそっくりだっ←
あと、聖少女いいne☆
ってな訳でよろしく!
≪雪音&水月
227
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/05(火) 16:52:20 HOST:119-231-144-176.eonet.ne.jp
おひさノシ
水月に断られたか…?
遅いよ、はぁと←
あけおめ、ことよろ☆
正直嫌われるキャラだと思ってたけど…;;; 瑚飴そっくりなのか!? 駄目だよ!
聖少女は出さないと言っているだろう!うあ――――!((ヤメ
>>瑚飴
228
:
水月
:2010/01/05(火) 17:48:35 HOST:w32.jp-k.ne.jp
雪音がぶっこわれたーー!!でも聖少女はヨロなんだす!←
えぇい!決して我が儘じゃあない!全て天気が悪いんだぁぁぁぁぁぁぁ!
わあぁぁぁぁぁぁ!
》瑚飴
229
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/09(土) 02:34:59 HOST:119-231-133-225.eonet.ne.jp
雪音はいつも正常だよ!←
聖少女ー?出さないy(((
>>水月
230
:
水月
:2010/01/10(日) 11:18:10 HOST:w12.jp-k.ne.jp
ひどい…ひどすぎるよ雪音…!
そんなやつと知っていたけどな(;_;)ちくしょー。
じゃあもっと萌ちゃんが腹黒化してくのを待ってるからな〜ノシ
231
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/10(日) 13:36:24 HOST:119-231-129-226.eonet.ne.jp
んだよー。私は悪くないっ!((
うん、もっと腹黒く進化させていくよノシ
でぁノシ
>>水月
232
:
みむ
:2010/01/10(日) 21:12:43 HOST:119-231-144-211.eonet.ne.jp
三年に一度しかない書き込み★☆
この書き込みであなたの運命がかわるよ♪♪
1、今片思いしている異性と両思いになれちゃう☆
(無視した場合→二度と両思いになる事はありません)>>>>>>>2、うまくいかない恋人と超ラブラブになれちゃう
(無視した場合→ラブラブにならないで恋人から別れを告げられちゃいます)
3、にがてな科目が大得意になる☆
(無視した場合→にがてな科目じゃなく、すべての科目がにがてになっちゃいます
4、仲良くなりたい友達と親友になれる☆
(無視した場合→仲良くなれずもっと、仲が悪くなります)
5、貧乏な生活が金持ちの生活に変わる☆
(無視した場合→貧乏どころじゃなくホームレスみたいになっちゃいます)
6、今友達と喧嘩中、又はいじめられたりする人はその問題から解放される
(無視した場合→喧嘩やいじめがもっとひどくなります)→これを14箇所にはってネ♪あなたの願い事が叶いま〜す!!
これをやった貴方は夢や学校一のモテ子に
なりますw
やんなかったら不幸が突撃します
もうココまで読んでしまった人は最低3ヵ所は回さないと絶対不幸が100%突撃して死亡するでしょう
これをやった人は実際に
両思いになれたり、
学校一のモテ子になれたり、
夢が叶ったり
欲しい物が手に入ったり
キスされたり
告られたり
一気に幸せが手に入ります
だから移せば移すほどお得!
その他にもたっくさん叶った人がいます
だから回してね失敗した人なんていません
233
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/14(木) 19:00:32 HOST:119-231-181-72.eonet.ne.jp
第49話「優くんが知らない事」
「……さ、桜子ちゃんどうしたんですか……」
優くんが、とりあえず私を落ちつかせようと優しい声色で声をかける。
そして、体育館の壁に死んだように引っ張りついている私を細い腕で支えながら起こしてくれた。
「……優くんはさ、姫伊利萌って子知ってる?」
私はしぶしぶ体を起こすのと同時に、優くんにそんな事を尋ねた。
とりあえずこの気持ちを誰かにぶつけたい。時速200キロぐらいで。
優くんは「ひめいり……」と、私が言った名前を小さく繰り返した。
すると、数秒後ぐらいに、優くんが「あ」と、何かを思い出したような高い声を上げた。
「姫伊利萌って……あの子じゃないですか、今日1年に転校してきた萌ちゃん!」
「え、優くん知ってるの?」
意外だった。
だってまだ今日転校してきたばかりの子だったし、優くんが知ってるはずがないとばかり……。
「当たり前ですよ〜。だって和くんの妹だし、有名人ですし」
「……有名人?」
ていうか、優くんも萌ちゃんがナゴの妹だって知ってたのか?
……あの話、ナゴは私に一番に話してくれたと思ってたけど、先に優くんに話してたんじゃ……
「ええ、確か……萌ちゃんって、転校してきた今日、男の子にかなり一目惚れされたっていう噂が広がってます」
「…………」
ああ、ありえすぎる話だ。 だって見た目は優くん並の美少女なのだから。
「僕もたまたま校内でチラっと見たんですが……本当に可愛い子ですよね」
「優くんの方が可愛いから! 自信もて!」
「……はい?」
畜生、あの野郎……。私なんて一目惚れされた事ねーよ!
優くんが女だったら絶対優くんの方がモテてるもんね!
「……で、その萌ちゃんがどうしたんですか?」
ああ……そういえば優くんに聞いたんだっけ。
どうしよ、言っていいのか? いいのか? 『姫伊利萌は猫かぶりでブラコンでーす』とか。
……絶対信じてもらえないだろ! あんな可憐な姿だと信じられないだろ!
「そ、その。ナゴとやたら仲がいいなーって」
……うん、これはこれで事実だろう。
「そうなんですか? 良かったですねー!」
「……何で?」
「何でって、兄妹で仲が良いっていい事じゃないですか! 母親が違うって、昨日和くんに電話で聞いたので……よかった、それでも仲が良いんですね!」
あ、決定。
ナゴは私より優くんに先に全て話してた。 付き合いが長い私よりも。
「でも……私としたらやっぱり複雑だしさ……」
やっぱり嫉妬してしまう。
例え、萌ちゃんがあんな猫かぶりじゃないとしても。
「何でですか?」
「……え?」
優くんが不思議そうな顔をした。
漫画的に言ったら、周りに花のトーンがきそうなぐらい素晴らしく可愛い顔で。
「何で複雑なんですか? 兄妹どうし仲良しなだけなのに」
……あれ、もしかして優くんって……
私がナゴの事好きなのを知らない!?
ああああ! そういえば、そんな事言った覚えない! 今まで自然にしてたのに……。
234
:
水月
:2010/01/18(月) 19:44:58 HOST:w21.jp-k.ne.jp
優くんどんだけ可愛い顔してんだだだだだだだだだだだだだだだだだ!!
早くお姉さまでてこないかな?!
まだかあああ?!
それにしてもやっぱし萌ちゃん一目惚れされやすいんだなぁ…
さすがだ!
235
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/19(火) 18:19:53 HOST:119-231-171-71.eonet.ne.jp
*水月*
私の妄想上、かなり可愛いんだよよよよよよよよよ(ry
もうすぐお姉さま降臨されます。←
うん、見た目も妹タイプ+ でも実際いたら嫌だ…
236
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/19(火) 19:47:55 HOST:119-231-171-71.eonet.ne.jp
第50話「割り込んできて」
―――考えてみれば。
そうだ、私って、ナゴが好きな事…人にあまり言った事がない気がする。
だって、ナゴが好きって言う女の子、前の学校でも今の椿園学校でもいないし。前の学校では生理的に無理という噂まで立っていたのに。
あまりにも危険な匂いがしなかったから、人に言って協力してもらった事ないんだ。
……ただ、あの優くんのようなのほほん美少女には言えないが。さっきも結局事実は何一つ言わなかった。
そんな事を考えながら、学校の通学路の砂利道を歩いていた時、前方に黒い影が見えた。
「……ナゴ」
数秒もしない間にその名前が出てきた。 そうだ、あれはナゴだ!
足が心なしか早くなる。そして、加速、加速。気付けば私の足は大好きな人に向かって走り出していた。
近づいていくうちに、あの影はナゴだという確信が比例するように強いものへと変わる。
憂鬱な学校が終わったという事を知らせてくれる夕焼けが、空をキャンパスにするように赤とオレンジを一つの色へ替えるようにと、ぐちゃぐちゃに混ざっていた。そんな光が、ナゴの広い背中に当たる。
……ああ、綺麗。 カッコイイじゃない。綺麗。
私とナゴの距離は縮んでいき、もう手を伸ばせば届きそうな距離に。
「ナ――…………「きゃあっ!」
ナゴに手を伸ばそうとしたまさにその瞬間。
私の左半身に衝撃がはしり、そのまま私はふっ飛ばされた。
「さ、桜子!? …………と、萌ちゃん!?」
愛しのナゴは、この衝撃音に気付き、私の存在にも気付いて、私が飛ばされた方に駆け寄ってきた。
……はぁ!? 萌!?
ナゴが最後に発した名前に過剰に反応し、私の近くにある物体に目を向けた。
それは、綺麗なウェーブを描いた栗色の髪を持つ、華奢な体の少女…………まぎれもなく萌ちゃんだ。
萌ちゃんはゆっくり体を起こすと、「いたた……」と呟きながら、白い足の膝にできたばかりの擦り傷を押さえて立ち上がった。
「あっ! 桜子ちゃん! 大丈夫!?」
萌ちゃんは、近くに倒れこんでいる私に気付くと、すぐさま手を差し伸べてきた。
私はそれに礼を言いながら手を素直に置くと、それはかなりの握力でつぶされかける。……またこのパターンか。
見た目には全くそんな様子が感じ取れない仕草で、萌ちゃんは私を支えながら起こしてくれた。
……腹部を支えてくれた時、目に見えないようなパンチ食らわされたけど。
「め、萌ちゃん……どうした?」
ナゴはもちろんの事ながら、そんな事に気付かずに萌ちゃんに声をかけた。
……私の方に一瞬目線はむけられたが、すぐにそれは逸らされた。……この野郎。
「えっとね、萌、お兄ちゃんと一緒に帰ろうと思って走ってきたの〜。でもね、萌が走ったせいで桜子ちゃんとぶつかっちゃった……ごめんね、桜子ちゃん?」
萌ちゃんは、私に浅く頭を下げた。
……う、こんな子が、本当にあの本性の持ち主なのか。
いや、そうだ。だって、普通にお互いが走っただけでは、あんなに派手に飛ばないはずだ。
恐らく、わざとかなり強くつっこんだのだろう。 ……自分の身も犠牲にして。恐るべし、萌。
「だから、ね? お兄ちゃん。萌と一緒に帰ろぉ?」
「ああ、いいよ」
ナゴの返答がくるなり、萌ちゃんはその細い腕をナゴの腕に絡ませて、体を委ねた。
ナゴは照れてはいるものの、まんざらでもなさそうだ。
……なんだ――――! この初々しいカップルみたいなのは!!
ナゴがこの猫かぶりにとられちゃう………!
「わっ、私も一緒に帰る!」
それを斬り裂くように、私が2人の間に割り込んだ。
お前の好きにさせるかぁぁああ!!
萌ちゃんは、私を一瞬思いっきり睨んだ。そりゃあもう、般若の如く。
でも、すぐに甘い表情に戻して、「いいよぉ」と言ってきた。
そして私達は、そのまま道を歩き始めた。
…………あれ、何かデジャヴじゃないか? コレ。
237
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/20(水) 16:46:32 HOST:119-231-165-36.eonet.ne.jp
第51話「妹が邪魔です」
「何でお前も一緒なんだよ」
「だって……」
不服そうな顔をしているナゴが、私に納得できていなさそうな顔で言ってきた。
だって、ナゴと萌ちゃん2人きりで帰らせるのは嫌なんだもん。そんな事は言えるはずもなくて。
「お兄ちゃん、そんなに桜子ちゃんに怒らないで? 萌、桜子ちゃんと一緒に帰れるの嬉しいもん!」
ああ、絶対心にもない事言ってやがる、このブリっ子野郎。
でも、この純粋な笑顔からじゃ全くそんな事を感じ取れないのは、逆に凄いと褒めたたえたいぐらいだ。
「萌ちゃん……」
「あー、お兄ちゃん! 萌、お兄ちゃんの妹なのに、何で萌の事を萌ちゃんって言うのぉ? 桜子ちゃんの事は桜子って言うのにぃ〜」
ナゴが申し訳なさそうに呼んだ名前に、萌ちゃんは不満そうな声をもらした。
どうやら、私の事を桜子と呼んで、妹である萌ちゃんの事を萌ちゃんと呼ぶのが不満らしい。ざまーみろ!
「だから、お兄ちゃんは萌の事、『萌』って呼・ん・で?」
次の瞬間、ナゴの体が一瞬で真っ赤になった。ナゴ自身がドバっと出したあり得ない量の鼻血で。
「きゃあっ! お兄ちゃん、大丈夫!?」
さっきの萌ちゃんの、可愛すぎる言い方と仕草と言葉が、体に影響を及ぼしたのだろう。
あの、ハートが飛び回りそうな萌ちゃんの仕草……まさにナゴが好きそうな漫画の中にしかいなさそうな感じ。
ただでさえ萌ちゃんに対してデレデレだったナゴはそれがかなりの大ダメージだったのだろう。そして、ノックダウン。
萌ちゃんは心配しているが、顔が若干ニヤついてた。
こ、この野郎……! 絶対策略だな! 何だ、あの最後の『呼・ん・で?』は!!? 語尾にハートマークついてるだろうが――――!!
「だ、大丈夫…………」
ナゴは、『萌がウルトラ可愛いからだよ、萌えー』とは言ってはいないが、間違いなくそういう心境だろう。
ふらふらと今にも倒れそうになりながら、そのまま歩き続けた。
「お兄ちゃん、無理しないでね? もしお兄ちゃんが体調悪いなら、萌が朝から晩までずっとお世話するから!」
今度は鼻血は出さなかったが、今度もナゴにかなりキたらしい。一瞬ナゴが転びかけた。
この猫萌……完全に確信犯だろう! わざわざナゴの好きそうな言い方しやがって!
なんだよ、朝から晩までって! 晩って、何、風呂まで世話すんのか!? 風呂もなのか!? そして一緒に寝るのか!?
「あ、ありがと萌ちゃ…「もぉ、お兄ちゃんったら、もう萌の事は『萌ちゃん』って呼んじゃダーメ!」
ナゴはまたもや転びかける。
萌ちゃんが、「次に呼んだらお仕置きだよぉ?」と言った後は、本気で転んだ。
…………邪魔だよ、この妹。
238
:
空梨
◆7MDPZC1Zvo
:2010/01/21(木) 14:44:56 HOST:217.85.112.219.ap.yournet.ne.jp
>>雪音さま←
始めまして、空梨と申します。
小説は意見させて頂きましたがなんと言う神作ですか!←
馴れ馴れしいと思われましたらすみません、スルーして下さい((
本当はオリキャラ投下したいのですが終了しているようなので諦めます…;;
また募集するような事が有れば言って下さいノ
ちょこちょこしか来れないと思うのですが、週に一回は見に来るので更新御願いします…v
239
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/24(日) 16:27:11 HOST:119-231-187-83.eonet.ne.jp
*空梨さま←*
初めまして。コメ有難うございます><*
神……!? 紙じゃないですか?むしろ髪じゃないですk((
慣れ慣れしいなんて思いまっせん!スルーなんてしたら、きっと天罰が下る(あぅ
申し訳ないのですが、私の都合上、レギュラーキャラはもう作れないんですよね……;;;
ですが、ゲストキャラという形でならこれから何人でも出すつもりなのですが、どうでしょう?
つまり、1つの話のゲストとしてのキャラなら出させていただきますが、その後は出る事はなくなる、という形になるのですが…;;;
あー、説明ヘタだ;; 私タヒれ←←
オリキャラの募集自体ならいつでも復活しますが、レギュラーにはなれません、という事ですね、ハイ←
少しでもイラっとされたら罵倒してやってください、Mなのd((
週に1度も来てくれるのですか……++ 神様ですn((
240
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/24(日) 18:05:46 HOST:119-231-187-83.eonet.ne.jp
第52話「最強由羽先輩」
「でな、桜子。萌が――……」
目の前の黒髪の男は、デレデレと嬉しそうに顔の筋肉を緩めながら自分の妹のノロケをだらだら喋っていた。
萌ちゃんのナゴに対してのアプローチは日に日に凄さを増していっている。
ナゴは、ベタベタとまさになついた猫のようにくっついてくる萌ちゃんに対して、嫌がる様子もなく嬉しそうにしている。
しかもあっさり『萌ちゃん』と呼んでいたのを『萌』と呼ぶようになった。
ああ、今日もナゴから萌ちゃんのノロケを聞きまくって終わろうとしている。
最近のナゴはずっとそう。まあ、しょうがないのかもしれないけど。だって、ナゴにとって萌ちゃんはストライクゾーンだろうから。
もしかしたら、妹じゃなかったら恋に落ちてるのかもしれない――…………。
「……もう帰る」
「……どうした?」
「ナゴのノロケ、長いから嫌。だから帰る。この両生類が」
「誰が両生類だ」
なんか、心臓が熱い。奥の方でギリギリするような、逃げ出したい感覚になる。
ああ、これかな? 胸が痛いっていうの。
****
憂鬱な気分ながら家に帰ろうと校門をくぐろうとした時、
私の今のテンションとは正反対の大きな声が聞こえてきた。
「えー、なんでなんよぉ、火野ー。一緒に帰りたい〜」
「アカン! お前と一緒に帰ったら、変な噂流れるやろ。はよ帰れ」
声の元にゆっくり足を動かして近づく。
……顔を見るまでもなく、独特の関西弁の口調と声で分かっていたが……
声の持ち主は、この学校の副会長である火野竜太先輩と、その副会長を熱狂的に愛している吹井由羽先輩。
副会長をどこまでも追いかける由羽先輩の姿は学校中でもよく発見されていて、よく痛々しい目で生徒に見られているが……
今なら由羽先輩の気持ちもちょっと分かる。好きならどこまでもついていきたいって思うから。
「しょうがない、今日は諦めたるわ。でも、次からは何が何でもどんな手段を使っても一緒に帰るからな!」
「やめろや! 何されるか分かったもんやないな!」
由羽先輩は渋々諦めたようだ。副会長は、安心したようにそそくさと帰って行った。
「――――……あれ、桜子ちゃんやん」
私が2人の様子を見ていた場所は、由羽先輩にとって帰る方向の場所らしい。
残念そうな顔で歩いてきた由羽先輩は、あっさり私を見つけた。
「あ、こ、こんにちは……」
「……どうしたん? 何かやたら辛気臭い顔してんなー」
由羽先輩は、私の挨拶には返事を返さずに、怪訝そうな顔で私を見てきた。
……辛気臭い顔? 一応笑顔作ってたつもりだったんだけど……。
「……まぁ、ちょっと」
「何や何や? 恋の事?」
「いや……違いますけど」
別に相談する気はなかったので否定したが、由羽先輩は不敵なニヤっとした笑みを見せた。
「あー、なるほど。ずばり雨照くんの事やな?」
「は!?」
た、確かにそうだけど……今私、違うって言ったでしょ!?
「人って嘘つくとき、右斜め上見るんやなかったっけ?」
「だ、だとしてもなんでナゴに……」
「だって桜子ちゃんって、雨照くんの事が好きやん。見ててバレバレやで〜?」
「…………」
由羽先輩は、ニコっと年上らしさを感じさせられるような笑顔になって言った。
「雨照くんがどうしたん? お姉さんに話してみ、桜子ちゃん?」
こ、この人結構凄い…………。
241
:
空梨
◆7MDPZC1Zvo
:2010/01/24(日) 18:24:56 HOST:118.126.150.119.ap.yournet.ne.jp
>>雪音様
いえいえ、紙じゃなく神です、神様の神でs((
僕をスルーしたって何も下りませんよノ←
そうですか、残念です;;ゲストキャラですか…では其れで御願いします+←
タヒんじゃ駄目ですよー、僕より断然説明お上手ですからね?だから死んじゃ駄目ですよ、ね…?←
それでも出していただけるなら本望です…!プロフは如何したらよいでしょうか…?
あら、其れは奇遇ですね、僕実はSなんですy((
神様なんてとんでも有りません、僕は地獄で死に絶えた堕天使でふ←
寧ろ神様は雪音様ですが??←
242
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/24(日) 18:33:32 HOST:119-231-187-83.eonet.ne.jp
*空梨たま(←タヒ*
紙に神って書いた奴ですよ、きっと!+((
いや、多分スルーしたら地獄におちます←
すみません;;受け付けたい所ではあったんですが……。
それでいいだと!? みんなー、ここに神が降臨されてるよー!
タヒんじゃ駄目なのですか、シュン← でもタヒってやる((
プロフはそちらで御自由に書いてくださって結構です。あ、それで困るようでしたら
>>18
を参照にしてくださったらよいかと。
御主人様……!(たひたひ
堕天使が一番美しいんですよ、キラン++←
私が神なら、とっくにこの世は壊れまくってますが??((オイ
243
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/25(月) 19:13:26 HOST:119-231-153-251.eonet.ne.jp
*空梨様*
>>242
のオリキャラの件での補足です。何度もすみません;; 言い忘れていた事がありました。
えっと、キャラの事なのですが、2年5組以外のキャラでお願いしたいです;;;
本当に我儘で申し訳ないです……。これも、私の事情……というか、話上2年5組だと矛盾というか可笑しい点が出てきてしまうので;;
あと、
>>18
を参照にしたら良い、と書いてありますが、キャラのプロフも参考になさるのなら
>>168
と
>>169
も参考にできると思います。
では、申し訳ありませんがよろしくお願いいたします;; これから自殺しよっかn((
244
:
水月
:2010/01/25(月) 21:54:52 HOST:w12.jp-k.ne.jp
ナゴってばシスコンのロリコンだったのね…←
うん、またキャラ募集して!!好きな要素つめこんでやるから!
由羽だっけ…?いいわp(^^)qいいキャラしてるよねぇ!
ていうかこの小説のキャラはほとんど好きです!
嫌いなのっていないかも。
245
:
空梨
◆7MDPZC1Zvo
:2010/01/26(火) 14:18:32 HOST:197.43.44.61.ap.yournet.ne.jp
>>雪音ちゃま←←
No!←/雪音様の書く小説は天下一品なのですよ!?((行き成り何
スルーしても何処にも落ちやしませんよ、(にこにこ←
いえいえ、ゲストとして出して頂けるだけでも嬉しい限りです+
あはははー、何を仰りますか、神様ならもう降臨してますよ!((相手に向かって指ビシッと←
駄目です!タヒんだら呪っちゃいますよ!?家のテレビチャンネル1しか映らない呪いかけますy((地味^p^
了解致しました、お返事遅れてすみません…;
さあ、跪きなさi((死 亡 グ ラ フ
えあ、じゃー悪魔で+(((
雪音様が神様でしたら世界はきらっきらに輝くはずです!←
2年5組以外ですね、了解しましたぁ!←
我侭なんてとんでも有りませんよノ自殺しちゃだm、駄目でs((噛むな
其れと、オリキャラは何人まで投下して大丈夫ですかー?←
246
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/26(火) 18:44:13 HOST:119-231-183-226.eonet.ne.jp
*水月*
ナゴは萌え要素があったら誰でもいいという最低な奴なんだよ←←
またっていうか、いつでも受付中← 好きな要素って、エロs((たひたひ
由羽はもうちょっと壊れたキャラの予定だったんだけど……あぅ
まじか!ありがと++ でも萌ちゃんは嫌われキャラだと思う((黙
*空梨様*
いえす、うぃーきゃん(何故/ 天下一品……テンカイッピン!?((イミフ
じゃあ上がりまs((ヤメロ
なんてお優しい……!
私? 疫病神ですよ!((さっと指をよけ←
いやああああああああああああああああああああああああああ!!!((
いえいえ、私もノロノロしてるんで;;
……悪ノ娘+((蹴
小悪魔とか好物ですノ((
きらっきらというよりかはべたっべたしてそうです!
すみません (/_;)グスン←
自殺しちゃいまとぅ((←噛み
オリキャラは最大2人までですかね……?
247
:
空梨
◆7MDPZC1Zvo
:2010/01/27(水) 01:46:43 HOST:197.43.44.61.ap.yournet.ne.jp
>>雪音しゃま←
のー、うぃーきゃんです!((/てんかいっぴんです!((平仮名自重ww
どうぞどうぞ舞い上がってください←/そして僕を貶して下さi((
優しいのは初対面と仲のい良い子だけです、兄や仲の悪い子には裏が出ますよぉー+←
疫病神何かじゃないです!雪音様は美しき愛と美の神・あふろでぃーてですよ!((
PCのマイピクチャのフォルダ全部消去してやr((辞めれって
この無礼者!のアレですか!←/個人的には召使の方が好きだったり←
小悪魔なんて温いもんじゃないです、僕の腹黒さは尋常じゃないですよ…?^言^←
べたべたは僕のココロだと思われます←
いえいえいえいえ!何かオリキャラでこう言う子が欲しいというのは有りますか?
自殺しちゃらめええぇえええぇえええぇえe((
了解しましゅ、しました!((噛むな
248
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/28(木) 18:00:35 HOST:119-231-141-137.eonet.ne.jp
*空梨しゃまちゃま←←*
のーなのですか!? いえすっ! 某中華料理店ですk((黙
天までふわふわと行きますよー! こんなksでは無理です←
大体私もそんな感じです;; いつも弟を罵倒してまs((ヤメ
私があふろでぃー…!? いや、汚さでできあがってる神ではありますが((
ガクガクブルブル……(゜口゜;;;))))
そうでございます+ あ、私も召使の方が好きです++
腹黒も萌e((ryry
心、糊でできてるんですk
特にはないですねー← あえて言うなら、二次元的、というのが条件なんですが、あまりメジャーではない感じのは控えてほしいでs((
樹海に行ってまいります★((ああ
了解ちてください!(たひ
249
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/28(木) 18:57:46 HOST:119-231-141-137.eonet.ne.jp
第53話「嘘の説得」
「――――ほほう。雨照くんの妹…………なぁ」
私は憂鬱の理由を全て由羽先輩に話をすると、
由羽先輩は、右手を顎に当てながら、意外そうな声を出した。
「すっごい可愛い子だから、ナゴがデレデレすんのも無理はないんですけど」
最後に『あいつオタクですから』と口からでかけた言葉は急いで飲み込んだ。
「姫伊利、やろ? ウチも一回見たけど……あんな子が猫かぶりってなぁ」
「ホントです!」
由羽先輩は私を疑ってるわけではないが、どうも信じられなさそうな表情だった。
いわゆる半信半疑の状態の先輩に、私は必死な声を出す。
「まあええわ。どっちにしろ、桜子ちゃんはその姫伊利って子で悩んでるみたいやしな」
「感謝しまくります!」
「何、その感謝の表現」
由羽先輩は私の微妙な感謝に冷静にツッコんだ後、「とにかくー」と仕切り直すような新しい声を出した。
「桜子ちゃんは、雨照くんに対するアピールが必要や!」
「あっ……アピール!?」
由羽先輩は不敵な笑みを作ると、「そや」と短く返事をかえし、右手の人差指をたてた。
「桜子ちゃんは雨照くんに対する気持ちがダダ漏れやけど、本人は全く気付いとーらへんし、気にもしとーらへん。
だから! 少しでも雨照くんの目に入るように、もっとアピールするべきや!」
私はすぐに「いやいやいやいや」と焦ったように両手をぶんぶんと振って否定した。
「む、無理ですよ! アピールだなんて……気持ちに気付いてもらいたくもないです!」
由羽先輩は、私の焦った声にも動じず、ふふんと余裕の笑みで言う。
「分かってへんなぁ。別に、桜子ちゃんの気持ちに気付かせなくてもええねん!ただ、もうちょっと雨照くんに積極的になって『アイツ可愛くね?』とか『ヤバくね、惚れんじゃね?』とか思わせるんや!」
由羽先輩の全くナゴの口調じゃない事も気になったが、
私はそんな事は気にせずに「でも……」と呟いた。
「桜子ちゃん! もっと自信もたなアカン! 姫伊利って子に負けるで!?」
由羽先輩が熱く私に言ってきた。
いや、もうこれ以上萌ちゃんに負ける事はないだろう。最初から何もかも負けていたんだから。
「桜子ちゃんはカワええで! 行け、桜子ちゃん!」
『桜子ちゃんはカワええ』その言葉に、私の耳が反応した。
私は可愛い、私は可愛い…………。可愛い由羽先輩から直々にそう言ってくれたんだから、そうなのかな?
私ったら可愛すぎて世の中の男を困らせてるほど可愛いのかな?
「そ、そう言ってくれるなら……やってみます」
「その意気や! ウチは嘘を単純に信じてくれる桜子ちゃんが好きや!」
「嘘!?」
嘘って、私可愛くないのか?
若干……というか、かなり傷ついた私をよそに、由羽先輩はしてやったりと言わんばかりの表情で腕を組んだ。
「じゃあ、お姉さんが桜子ちゃんに直々アピール方法を叩きこんだろ!」
……馬鹿でストーカー気質の先輩でも、恋愛面では信用します。
250
:
水月
:2010/01/29(金) 23:19:51 HOST:w21.jp-k.ne.jp
おいおい 嘘なんかよ(¨;)
つか桜子も褒められたら一気にすごいこと言っちゃってるよ!世界中の男は桜子のもんだぜ!
うちが思うに由羽先輩は最高に美人。
8ギガくらい…←どんくらい?
251
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/30(土) 13:25:36 HOST:119-231-137-22.eonet.ne.jp
*水月*
嘘でした☆←
桜子は暴走する子だかんねー。いや、別に世界中の男は桜子のもんにならない←
由羽先輩は可愛い系だと思う…。だけど、性格上モテないみたいな。
ギガ? いや、由羽先輩は人間だぉ←
252
:
空梨
◆7MDPZC1Zvo
:2010/01/30(土) 19:48:18 HOST:164.105.1.110.ap.yournet.ne.jp
>>雪音様と言う女神ちゃま←
いえすじゃないです、のーです!← さぁ?((黙
逝っちゃ駄目です!;;舞い上がって天国まで逝く気ですか!?
弟さんいらっしゃるんですか、僕も弟か妹が欲しいですよ全く、兄貴要らないし←
えー、じゃあ太陽の神アポロンとか←
あーもー!何かむしゃくしゃしてきたんで兄貴のPCのピクチャフォルダ消してきまs((
君は皇女、僕は召使、運命分かつー哀れな双子ー((
僕は萌えませんが腹黒きゃらって萌えますよn((
糊っつーか多分殆どが大好きな人への愛情と兄貴への憎しみと苛立ちとストレスと二次元で出来れ居ると思われます←←
そですかー、では小生意気な感じで大丈夫ですかー?
�彘社い棒造辰舛秣面椶�s((漢字ww
253
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/30(土) 22:00:05 HOST:119-231-141-69.eonet.ne.jp
*空梨様と言う名の人類の頂点←←*
いえすじゃなくてのーじゃなくて…やっぱりのーだよっ!(イミフ え、さぁですか←
逝ってきまーす☆ 三途の川を渡ってくるよww
私的には兄貴の方が欲しいです。弟なんかいらn((
某チョコ菓子のアポロなら(殴
兄貴、気をつけろ――――!!
君をーまっもーる、その為なーらば((
空梨たまに萌えまs((キモイ
大好きな人!? 兄貴への憎しみ!? 苛立ちとストレスと二次元…!? ツッコミ所が多すぎです!!(
はい、大丈夫な感じですbb
樹海じゃなくて、屋上でも逝けますy((
254
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/31(日) 03:07:50 HOST:119-231-133-95.eonet.ne.jp
第54話「ストーカーからのアドバイス」
「では1つ目のアッピールポイッントー」
「若干ウザいノリですね」
何故かさっきから誇らしげな由羽先輩が、私を無視して言い切る。
「雨照くんにもっとついていけ!」
「……ついていく、ですか?」
数秒たった後、私はゆっくり口を開いて言葉を発した。
由羽先輩は嬉しそうに「うんうん」と頷いている。
「え……私、けっこう日頃ナゴと一緒にいると思いますよ? これ以上ついていくったって……」
「甘いっ! 桜子ちゃん、ハヤシライス並に甘いわ!」
「何で例えがハヤシライスなんですか。しかも、甘さ的にもそこまで甘いわけではない食べ物ですね」
由羽先輩が、呆れたような表情で「ええか?」と私に詰め寄った。
「桜子ちゃんは確かにそれなりに一緒にいるけど、それやったらまだ甘い! まだもっと一緒にいなアカン!」
「……はぁ」
「好きやったらとことん行かんと! ウチを見てみぃ? いつも火野追いかけまわしとるやろ!」
「あ、そこ自覚あるんですね」
「おかげで火野はもうすぐウチにメロメロになるわ!」
「都合のいいところだけ自覚ないんですか」
幸せな人だなぁ。いつも追いかけまわすだけ追いかけまわしておいて。
「しかも、実はウチは転校してきた生徒なんやけど、一緒の学校やった火野の転校先が此処やったから、わざわざ追いかけてきたんよ」
「最早ストーカーどころか犯罪の域に入ってません!?」
由羽先輩は尚私の話は聞かず、次へと進めた。
「ほんじゃ3つ目。容姿にもっと気をつかう!」」
容姿、か。
確かにこれは一理あると思う。ナゴって、漫画ばっか見てるから、若干見た目にはうるさい。
「そうですね、容姿ですか……」
「そやな、桜子ちゃんはカワええよ。ただ、姫伊利って子に勝る部分は皆無やな」
「ばっさり言いましたね」
まあ、そうなんだけど。
目の前のちっこい先輩は可愛いから、余計に傷口がえぐられる。
由羽先輩は、全くそんな心境を知らず、テンション高く言う。
「ほな、桜子ちゃん。髪くぐってみようや!」
「髪……?」
私は無意識のうちに、自分の髪を指先で弄ぶ。
そういえば、私っていつも髪おろしてるなぁ。
その点では、由羽先輩はショートヘアーで前髪だけだがゴムでくぐって、ぴょんと立たせている。
小学生みたいな髪型になっているが、それはそれで様になっている髪型だ。
髪型自体は変えた所を見たことがないが、よく前髪をくぐっているゴムを変えている。
赤いまんまるの装飾品がついていたり、大きな星の装飾品がついていたり。そう考えると、私よりかは髪型に少しは気を使っているだろう。
「桜子ちゃんって、綺麗な髪の色やん。名前通り桜みたいな。だから、桜子ちゃんが髪型変えるのって結構ポイントでかいと思うねん」
結構説得力のある言葉だ。しかも、素直に私の髪を褒めてくれた。「まぁ、姫伊利って子の方がふわふわしてて綺麗やけどな」あ、前言撤回。
由羽先輩はまたもや私を傷つけつつも、透明のキューブ型の装飾品がついたゴムを取り出した。
「よっしゃ、ウチのゴム貸したるから、コレでツインテールやってみよっか!」
由羽先輩はそう言うなり、私の髪を手際よくまとめていく。
そして、1分も満たない内に完成したのだが
「……キモイな」
由羽先輩が、悪気もなさそうにあっさり言った。
「ひ、酷……」
「いや、ホンマやって。ほんなら自分で見てみ?」
由羽先輩はそう言うと、手鏡を渡してきた。
先輩の友達らしき人と一緒に写ってるプリクラが何枚も貼られている所から、恐らく毎日愛用しているものだろうなと思った。ちなみに、その手鏡の裏側には『あいらぶ火野』とピンク色の淡いペンで書かれていた。引いた。
私はその手鏡で、自分の髪型を見ると……
「うわ、キモッ!!」
と、思わず叫んでしまった。
…………うん、キモイです。
両サイドからぴょこんぴょこんと出ている桜色の髪。
かなり私に似合わなかった。
「……残念ながら、桜子ちゃんの容姿は改善できひんな」
私って何。
「あ、じゃあ次は3つ目――――…………「あ――っ! 桜っちとゆっぴーだにゃー!」
由羽先輩が若干躊躇いながらも言いかけた言葉は、どこからか聞こえてきた美声によって消された。
こ、この声とこのあだ名は…………
255
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/31(日) 03:12:11 HOST:119-231-133-95.eonet.ne.jp
第54話「ストーカーからのアドバイス」
「では1つ目のアッピールポイッントー」
「若干ウザいノリですね」
何故かさっきから誇らしげな由羽先輩が、私を無視して言い切る。
「雨照くんにもっとついていけ!」
「……ついていく、ですか?」
数秒たった後、私はゆっくり口を開いて言葉を発した。
由羽先輩は嬉しそうに「うんうん」と頷いている。
「え……私、けっこう日頃ナゴと一緒にいると思いますよ? これ以上ついていくったって……」
「甘いっ! 桜子ちゃん、ハヤシライス並に甘いわ!」
「何で例えがハヤシライスなんですか。しかも、甘さ的にもそこまで甘いわけではない食べ物ですね」
由羽先輩が、呆れたような表情で「ええか?」と私に詰め寄った。
「桜子ちゃんは確かにそれなりに一緒にいるけど、それやったらまだ甘い! まだもっと一緒にいなアカン!」
「……はぁ」
「好きやったらとことん行かんと! ウチを見てみぃ? いつも火野追いかけまわしとるやろ!」
「あ、そこ自覚あるんですね」
「おかげで火野はもうすぐウチにメロメロになるわ!」
「都合のいいところだけ自覚ないんですか」
幸せな人だなぁ。いつも追いかけまわすだけ追いかけまわしておいて。
「しかも、実はウチは転校してきた生徒なんやけど、一緒の学校やった火野の転校先が此処やったから、わざわざ追いかけてきたんよ」
「最早ストーカーどころか犯罪の域に入ってません!?」
由羽先輩は尚私の話は聞かず、次へと進めた。
「ほんじゃ2つ目。容姿にもっと気をつかう!」」
容姿、か。
確かにこれは一理あると思う。ナゴって、漫画ばっか見てるから、若干見た目にはうるさい。
「そうですね、容姿ですか……」
「そやな、桜子ちゃんはカワええよ。ただ、姫伊利って子に勝る部分は皆無やな」
「ばっさり言いましたね」
まあ、そうなんだけど。
目の前のちっこい先輩は可愛いから、余計に傷口がえぐられる。
由羽先輩は、全くそんな心境を知らず、テンション高く言う。
「ほな、桜子ちゃん。髪くぐってみようや!」
「髪……?」
私は無意識のうちに、自分の髪を指先で弄ぶ。
そういえば、私っていつも髪おろしてるなぁ。
その点では、由羽先輩はショートヘアーで前髪だけだがゴムでくぐって、ぴょんと立たせている。
小学生みたいな髪型になっているが、それはそれで様になっている髪型だ。
髪型自体は変えた所を見たことがないが、よく前髪をくぐっているゴムを変えている。
赤いまんまるの装飾品がついていたり、大きな星の装飾品がついていたり。そう考えると、私よりかは髪型に少しは気を使っているだろう。
「桜子ちゃんって、綺麗な髪の色やん。名前通り桜みたいな。だから、桜子ちゃんが髪型変えるのって結構ポイントでかいと思うねん」
結構説得力のある言葉だ。しかも、素直に私の髪を褒めてくれた。「まぁ、姫伊利って子の方がふわふわしてて綺麗やけどな」あ、前言撤回。
由羽先輩はまたもや私を傷つけつつも、透明のキューブ型の装飾品がついたゴムを取り出した。
「よっしゃ、ウチのゴム貸したるから、コレでツインテールやってみよっか!」
由羽先輩はそう言うなり、私の髪を手際よくまとめていく。
そして、1分も満たない内に完成したのだが
「……キモイな」
由羽先輩が、悪気もなさそうにあっさり言った。
「ひ、酷……」
「いや、ホンマやって。ほんなら自分で見てみ?」
由羽先輩はそう言うと、手鏡を渡してきた。
先輩の友達らしき人と一緒に写ってるプリクラが何枚も貼られている所から、恐らく毎日愛用しているものだろうなと思った。ちなみに、その手鏡の裏側には『あいらぶ火野』とピンク色の淡いペンで書かれていた。引いた。
私はその手鏡で、自分の髪型を見ると……
「うわ、キモッ!!」
と、思わず叫んでしまった。
…………うん、キモイです。
両サイドからぴょこんぴょこんと出ている桜色の髪。
かなり私に似合わなかった。
「……残念ながら、桜子ちゃんの容姿は改善できひんな」
私って何。
「あ、じゃあ次は3つ目――――…………「あ――っ! 桜っちとゆっぴーだにゃー!」
由羽先輩が若干躊躇いながらも言いかけた言葉は、どこからか聞こえてきた美声によって消された。
こ、この声とこのあだ名は…………
256
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/31(日) 03:14:11 HOST:119-231-133-95.eonet.ne.jp
>>255
は多重ではなく、
>>254
の改正版です。
まぁ、数字しか変わってませんが←
やべぇ……眠すぎてテンションがおかしくなってゆくよ……たすけt((
257
:
リュウ
:2010/01/31(日) 10:48:27 HOST:p024.net059084236.tokai.or.jp
一気読みしました。おもろいです。
天才天才大天才の雪音様〜
もうおれのとは比べものになりません。
応援します。
258
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/31(日) 14:40:39 HOST:119-231-184-145.eonet.ne.jp
*リュウ様*
一気読みだなんて……あなたの集中力を分けてほしi
天才の雪音様? 誰ですか、そr((あ
いや、私なんかと比べちゃダメですよ;;
ありがとうございます。頑張ります^^ノシ
259
:
リュウ
:2010/01/31(日) 15:05:48 HOST:p024.net059084236.tokai.or.jp
いえ雪音sは天才です(称えよww)
もしよかったら俺んとこきてくださいませんか?
あ!!嫌だったらいいんですよ(あせあせ)
その天才的頭脳でアドバイスがほしいんです
キングドラゴンレジェンドってやつです。
他のみなさまもよかったらきてください。
というわけで神様雪音様をおうえんさせていただきます。
260
:
空梨
◆7MDPZC1Zvo
:2010/02/02(火) 19:51:33 HOST:164.105.1.110.ap.yournet.ne.jp
>>雪音様という名の生命の頂点に君臨するお方、的な←
いえすいえすいえす!いえす以外に何が有りますか!← はい、さぁです←
�彔暗咾寮酖呂襪覆,△△,△△△,△△△ Ą�
弟さん僕に下さい、兄貴上げるんd((
ぇ、あぅ、他に神様の名前がわからない((・Д・;;))←
もう消してきちゃいましたもん!←
僕はあーくにだって、成ってーやーるー!((
僕は雪音ちゃまに萌えまs((
はい、其れでも僕のココロは出来ております、後好きなアニメのキャラへの愛情とか←w
では、ガンバって作ってきますノ←
�德討乏兩造唎覆,△△,△△△,△△ �
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