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Desperado Chariots
29
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:13:55 ID:2BHtsTns0
『夢を追うのに年齢は関係ない』。成功した者だけが宣えるテンプレートが存在する。叫んだ彼自身も、入社式かどこかのタイミングでこんなセリフを吐いた覚えがあった
追った結果、叶わなかった者にとっては唾の一つでも吐き捨てたいほど不快な言葉であろうが、確かに『追う』だけならば、それこそ棺桶一歩手前のご老体でも容易いだろう
それ故に、彼は『追える者』が心底羨ましくてならなかった。何故ならたった今、社長室から社内全域に響き渡るような大きな大きな叫び声を上げたのは――――
( ´∀`)「子どもが生まれたのでチーム抜けます」
(;´゚ω゚`)そ「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!????????????????」
両の指では事足りないほどの『挫折』を、またしても味わう羽目になってしまったからである
『夢を追うのに年齢は関係ない』。彼はその言葉に唾を吐くほどの嫌悪感を抱いてはいないが、時折こうも返したくなる時がある
『スタートラインにすら立てない俺にも、同じセリフが言えるか?』と
( ´∀`)「ロクに練習も参加できず仕舞いで申し訳ありませんが……妻からもキツく言いつけられておりまして」
(;´・ω・`)そ「ハッ!?」
申し訳なさそうに頭を軽く下げる『元』チームメイトの謝罪が、停止した思考を再起動させる
抜ける理由としてはおめでたい事であるのだ。引き止めるのは元より、露骨に残念さを露わにすること自体が失礼にあたる
「すまない」。そう一言詫びて、彼は父となった社員に手を差し出した
(´・ω・`)「おめでとう。新たな門出だ。立派にやんな、お父さん」
( ´∀`)「お義父さんと呼ばれる筋合いはございません」
(´・ω・`)「そういう意味じゃねーよオメー俺が産まれたばっかの赤ん坊に唾つけとくような節操無しに見えんのかよ」
(;´∀`)「は痛たたたたたたたた」
日輪刀が赫く染まるほどの熱烈な握手(万力の握力)を交わし、社員は子犬に咬まれたかのような困り顔で手を擦りながら退室しようとする
(´・ω・`)「待て。オメー休みは?」
( ´∀`)「は、出産時に有休を頂きましたが……」
(´・ω・`)「あのなぁ……」
30
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:14:58 ID:2BHtsTns0
(#´^ω^`)「アホがーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
(;´∀`)そ「ええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!????????????」
それは、それは
(#´^ω^`)「育休を取れーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!ガキの可愛い写真を撮れーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!奥さんに負担をかけるんじゃねーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
(;´∀`)「あ、はい……」
大きく、大きく、社外にまで響き渡る
(#´^ω^`)「そしてこれが……俺からの祝い金と特別手当じゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
(;´∀`)そ「いやちょ……入金通知に凄い金額が記載されてる!?」
ホワイト経営者の雄叫びだった
(#´^ω^`)「今日もはよ帰れーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
(;´∀`)「あ、ありがとうございます!!失礼します!!」
うるさかった
31
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:22:27 ID:2BHtsTns0
『大潮 凡八』は恵まれた人間であった。産まれながらに老舗和菓子メーカー『参羽鴉』の御曹司であり、それに驕らず努力を怠らぬ野心家で
積み重ねた努力を確実な『結果』として残し、四十という若さにして社長の座まで上り詰めるほどの才能を持ち得ていた。俗な言い方をするならば『選ばれた者』である
しかし彼にとっては、ビジネスで収めた成功など取るに足らぬものであった。凡八が最も欲しいものは、金でも社会的地位でも無く――――
(´;ω;`)「チームメイトが集まんねえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜……」
『自転戦車』《チャリオッツ》に参加する為の、チームメンバーなのだから
(´・_ゝ・`)「これで何度目の辞退でしょうかねぇ」
(#´゚ω゚`)「うるせーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!ハゲがーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」
(´・_ゝ・`)「お前のそういうところ」
二十年来の友人兼秘書である盛岡は、ぎゃあぎゃあと喚く『上司』にやれやれとため息を返すと、手に持つ盆から団子が乗った皿と熱い茶の湯気を立たせる湯飲みをテーブルに置く
凡八は目の前に現れたそれを一串手に取り、まるでラノブンピック2020総合優勝作品『∵ Three dot ∴』42レス目でシリアルバーを貪り食ったディのように口の中へと詰め込み、熱さなど気にせず茶で流し込むと
(´・ω・`)「ハゲって言ってごめん」
まるで憑き物が落ちたかにょ……かの如く落ち着きを取り戻した。噛んでない。かにょとか言ってない
(´・_ゝ・`)「慣れています。気にしていませんよ。くたばれ」
(´・ω・`)「最後の最後で本音が漏れてんだよ」
32
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:23:47 ID:2BHtsTns0
(;´・ω・`)「今回もダメだったか……」
凡八は右手首のなんかすごい腕輪型通信端末『i-ring』に意識を送り、掌に7インチほどのホログラムディスプレイを表示させる
触り心地の無い画面を親指でスワイプし、人員管理アプリから先程の社員データを削除した
学生時代に『ガンナー』として慣らした腕前に期待してスカウトしたのだが、やはり仕事やプライベートを優先し、中々練習に付き合ってはくれなかった
そしてトドメが奥さんの出産である。こうなると彼の人生は巣立ちの時まで子どもに尽くされる。幾ら相手が社長であろうとも、他人の道楽に付き合う暇など無いのだ
(´・_ゝ・`)「社員をスカウトすると言うのがそもそも間違いなのですよ。長時間上司に、それも『社長』もとい『クソ野郎』に長時間拘束される上に残業代も出ない。いくら経験者であっても喜んで付き合う社員などいません」
(´・ω・`)「大ショボン八」
(´・_ゝ・`)「は?」※殺すぞの意
(´・ω・`)「なんでもない」
(´・_ゝ・`)「いいですか社長、貴方には三つの弱みがあります」
(´・ω・`)「無いです」
(´・_ゝ・`)「一つ、社会的地位のある人間であること。二つ、年齢。三つ、クソ野郎」
(´・ω・`)「クソなのは遺伝だから仕方ねーだろ赤ちゃんなんだから」
(´^ω^`)<オギャアアアアアアアアア!!!!!!!!!
(´・_ゝ・`)「テメー自身も努力しろっつってんだよ」
人が集まらない理由。一つは凡八が社長であること。肩書きを持つ人間、特に大企業の社長とまでなると萎縮する者は大勢いる
部下という立場ならいざ知らず、『チームメイト』という対等の立場となると、『権威』が関係構築の邪魔をしてしまうのだ
二つ目は年齢。現在42歳という年齢は、ビジネスを除いて『仲間』を集めにくい。十代、二十代であるなら同年代と組み、三十、四十となると仕事や育児に追われ、それ以上は家庭や体力の関係上、手を出しにくい
そして三つ目が致命的で、まともな性格の人間なら、『苛烈』を人の形にした情緒不安定のクソ野郎など出来る限り避けて通る。よほど胆力の据わった者か、凡八と同じくらいのイカレでなければチームメイトとして機能しないのだ
33
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:26:52 ID:2BHtsTns0
(´;ω;`)「俺ァいつになったら自転戦車の公式大会に出れるんだよぉぉぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜……」
オロロロ〜ンと泣き始めた中年の姿を、不憫半分いい歳した大人が泣くなよキッショいな死ね半分の気持ちを抱いて盛岡が眺める
成り行きが生じて二十年以上『右腕』として共に歩んで来たが、彼の長年の夢である『自転戦車』の公式戦への参加が上手くいった試しがなかった
(´・_ゝ・`)(それでも諦めない辺りは流石と褒めるべきか。往生際が悪いと言うべきか)
自転戦車《チャリオッツ》とは
BTD社が開発した古代の戦闘用馬車と自転車《チャリ》を掛け合わせた洒落の効いたタイトルのVReスポーツだ
『PUBG』や『APEX』のようなバトルロワイヤルに、『Wot』の戦車要素。それに『ロードレース』を掛け合わせた『バトルロワイヤルタンクレース』として知られている
三人一組のチームが三メートルほどの球状コクピットに乗り込み、他チームを蹴落としながらゴールを目指す。ここまで聞けば遊園地にもよくあるようなVRゲームと思われるだろう
だがこのゲーム最大の特徴は、動力源に『人の脚』が使われる処にある。三人の内の一人が実際にペダルを漕ぐと、彼らが乗り込む自転戦車も連動して動き出す仕組みとなっているのだ
当然、脚力が強ければ強いほど速度は上がるし、体力が多ければ多いほど走行距離も伸びる。つまりe『スポーツ』の名の通り、プレイヤーにはアスリート級の能力が求められる
走行距離は短くても10キロ。長いコースであれば100キロを越える場合もあり、『eスポーツ史上最も過酷なゲーム』とも呼ばれるようになった
(´・_ゝ・`)(しかし……たった二人がこうも捕まらんとは)
自転戦車は三人一組が揃って初めて参加できるゲームだ
一人目、指揮官。戦況を見渡し、瞬時な判断を下す『キャプテン』
二人目、砲撃手。揺れ動く車内で的確なエイム力を要する『ガンナー』
三人目、操縦手。鍛え抜かれた肉体と体力でペダルを漕ぎ続ける『ジョッキー』
頭脳、ゲームセンス、そしてフィジカル。三位一体のチームワークが勝敗を左右する
凡八のポジションは『キャプテン』。盛岡も幾度となくそのプレーを見ているが―――――
(´・_ゝ・`)(才能はあるのだがなぁ……)
若くして社長に成りあがっただけはあると頷ける大胆かつ豪快な戦法を得意とするが、問題は彼の手足となるガンナーとジョッキーが追い付かないことだ
上記三つの要素に加え、求める人材に妥協を許さない性格。人が定着しないのも頷ける。のだが
(´・_ゝ・`)(解せないな)
それでも、彼が『夢』を志して三十年以上。スタートラインに立つのにこれほどの時を要するほどの理由では無い
『マジ俺呪われてんじゃねえ?ちょっとお祓い行ってくるわ』と言って向かった神社が縁切りで有名な場所だったのがいけなかったのだろうか
34
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:28:37 ID:2BHtsTns0
(´・_ゝ・`)「それはそうと社長。仕事の件ですが」
不憫ではあるが、本業を疎かにしていい理由にはならない。空いた皿と湯飲みを下げ、自身のi-Ringから凡八の目前にホロ・ディスプレイを展開させる
都内のあるチンp店舗と、そこを仕切る店長の情報。凡八は眉を顰め舌打ちをする。この手の切り出し方で、良い報告を聞いたことが無かった
『|;;;;| ,'っノVi ,ココつ』
(´・ω・`)「あん……この……どこが目でどこが鼻でどこか口かわからんこいつ何したの?」
(´・_ゝ・`)「パワハラです。リークがありました」
(#´゚ω゚`)「クソ野郎がよぉぉぉ〜〜〜〜〜〜〜〜……」
本来ならば人事部が対処すべき問題だが、『信賞必罰』をポリシーとする参羽鴉は社長が直々に手を下す
社員(奴隷)の労働意欲を保ち、最効率で馬車馬のように働かせる為に必要なのは働きに対する報酬と充実した福利厚生であり
ハラスメントはその為に支払ったコストを台無しにし、著しくモチベーションを低下させる人為的な費用損失なのだ
(#´゚ω゚`)「会社の金を喰い潰すカスは生かしちゃおけねえ……」
(´・_ゝ・`)「左様で」
決して社員を想ってではなく、損益を優先して行動を起こすあたり、やはり経営者たり得る人物なのだと盛岡は常々感心する
だからと言って相応な人格も伴うワケではない辺り、世の中というのはバランス良く保たれているらしい
(´・_ゝ・`)「それとは別件で新商品の試作品評と海外出店の企画会議、お花見シーズンに合わせたドローン茶屋の新デザイン草案の確認が御座いますが」
(#´゚ω゚`)「んなもん秒で終わらせたわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」
(´・_ゝ・`)「そのクソめんどくせえ性格と自転戦車以外の手が掛からなくて助かります」
(´^ω^`)「ガハハ!!!!!!!!せやろがい!!!!!!!!」
35
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:29:37 ID:2BHtsTns0
(´^ω^`)
(´・_ゝ・`)
.
36
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:30:30 ID:2BHtsTns0
(´^ω^`)「今の褒めたの?」
(´・_ゝ・`)「では、早速抜き打ち監査に参りましょうか」
(´^ω^`)「なぁて」
.
37
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:32:40 ID:2BHtsTns0
―――――
―――
―
蒙g本八には、不思議な癖がある。ハラスメント報告を受けた時、この男は社長の衣を脱ぎ置き
/ ,' 3「っしゃーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」 ※(´^ω^`) こいつ
小汚い老人に化け、各店舗の監査に回るのである
そして最後はハラスメントを起こした社員の胸倉を引っ掴み、ただただ頭の中を空っぽにしてシバキ回すのだ
(‘_L’)「老人らしくなさってください。ベジット初登場時みたいになってますよ」 ※(´・_ゝ・`) こいつ
/ ,' 3「元気なお年寄りがいてもええやろがい」
(‘_L’)「オメーのは元気じゃなくて狂気なんだよ何べん説明させんだ頭悪ぃなほんと」
/ ,' 3「お前は毛根の調子が十年前から悪ぃな」
/ ,' 3 チッ
(‘_L’) チッ
変装用の小汚い電気自動車内の空気がギスってきた所で、二人は互いに舌打ちをして車を降りる
『OHANAMI』。参羽鴉が運営する茶屋だ。銘治時代、名古屋で始まった団子屋を、当時のイメージのまま再現した店構えは
「まるで時代劇の中にいるかのよう」「オー、ファッキンレトロファンタスティックキラヨシカーゲ(おお、ファッキンレトロで素晴らしいですね。下品なんですがその……フフ、『勃起』……しちゃいますね)」「このおちゃすごいおいしい」と評判である
(^A^)「いらっしゃいませ〜」
暖簾をくぐると、細身でやや小柄、見るも無残な顔面にブサイクな笑顔を浮かべた店員が、やや声高に出迎える
/ ,' 3「ブッs(‘_L’)「二名です」
(^A^)「かしこまりました〜。二名様ご来店で〜す!!」
<っしゃーせー……
<っせー……
38
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:35:17 ID:2BHtsTns0
(‘_L’)「……」
/ ,' 3「っふぅ〜……魚は頭から腐るっつーが」
(‘_L’)「組織に関しては一概にそうも言えないようですね。まぁ頭は元から腐ってますが」
/ ,' 3「新鮮だもの」
『魚は頭から腐る』。しかし命ある生き物であるならば、生き物が形成するコミュニティであるならば、『血』がせき止められれば『末端』から腐る
居心地の悪い店内に、覇気の無い店員。客が帰った後だというのに、一向に下げられる気配の無いテーブル上の空皿が現状を物語る
参羽鴉は二百年に渡って愛されてきた和菓子ブランドに胡坐を掻き、接客業の基本すら出来ていない。二人は渋い顔を見合わせ、頭痛を堪えるように額を抑えた
(^A^)「お決まりになられましたら、ビジョンメニューからご注文ください〜」
(‘_L’)「はい」
/ ,' 3「っあー……」
運ばれてきたお冷のコップは、くすんで触る気にもなれない。おしぼりはぬるく、生臭かった
/ ,' 3「爆撃って幾らかかる?」
(‘_L’)「国防長官にお伺いしてみてはいかがでしょうか。まずは記録を」
モリオカは自身のi-Ringを起動し、店内の撮影と同時に問題点を書き出していく。手持無沙汰になった本八は、『お品書き』である折り畳み式のビジョンデバイスを開いた
空間に浮かび上がる『オススメ』『一押し』『キャンペーンメニュー』等のホログラムアイコンから『定番』を押すと、団子やおはぎといった参羽鴉の売れ筋商品のビジョンへと移り変わる
/ ,' 3「そういや俺おやつ食ったばっか」
(‘_L’)「そうですか。煮込み雑炊でも頼めば宜しいのでは?」
/ ,' 3「それ来月からだよ」
(‘_L’)「集中してるんで話しかけないで下さいますか?」
/ ,' 3「ぴえん」
39
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:39:47 ID:2BHtsTns0
/ ,' 3「はぁ〜……トイレ見てくる」
(‘_L’)「撮影もよろしくお願いします」
/ ,' 3「今のやり取りだけ切り取ると普通に犯罪のやつ」
重い腰を上げ、手洗いへと向かう。その途中、厨房から怒号が響き渡った
<ったくオメーはよぉ!!何回言えばわかんだよカス!!
<スワセン……スワセン……
<ニヤニヤしてんじゃねえ!!気持ち悪ぃな!!
/ ,' 3(客おるのにこんな怒鳴る奴おる〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜???????)
こっそり覗くと、先ほどの小柄で顔面ブッッッッッッサイクな青年が叱られている
顔面がファッキンブサイクな以外は、従業員の中では一番まともに仕事をしていた筈だが、『パワハラをする側』からしてみれば関係ないらしい
40
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:40:36 ID:2BHtsTns0
|;;;;| ,'っノVi ,ココつ「ったくよぉ!!オメーよぉ!!」
(;^A^)「スワセン……スワセン……」
/#,' 3「スゾ……」
|;;;;| ,'っノVi ,ココつ「は?」
/ ,' 3「やっべ」
殺気を読み取られたのか、パワハラクソ野郎の視線から咄嗟に逃れる。改めて見てもどこが目でどこが鼻でどこが口かわからなかった。なんやこいつヤバ
パワハラクソ野郎は舌打ち一つ漏らすと、再び青年の『説教』に戻る。当然、彼の声はホールにいるモリオカにも届いていることだろう
/ ,' 3(分厚い書類になりそうだな……)
思っていた以上の悲惨な現状に、怒りを通り越して呆れへと至る。簡単にクビを切れるのなら楽でいいのだが、そうは問屋と労働契約法が卸さない
どんな地獄もといハラスメント研修を味わわせてやろうかと考えながら、本八はお手洗いの引き戸を開け
/#,' 3「あんのクソ……」
パワハラクソ野郎の性根と同じくらい汚いトイレに、悪態と小便を垂らしたのであった
41
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:42:14 ID:2BHtsTns0
/#,' 3 ジョロンジョロンジョロンジョロン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
/#,' 3
/#,' 3 ジョロ……チョロ……チョ……ジョロン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
欲しいと思ったんで放尿シーンも入れといたで
42
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:43:58 ID:2BHtsTns0
/ ,' 3「歳取ると尿切れが悪くなってダメだわ……」
そう、歳を取ると股間の栓の締まりが悪くなったりするのである。パンツの中に広がる尿の漏れ。これが中年の衰えなのである
最近勃ちも悪くなって膣内で折れたりするのが悩みの本八。手を洗ってi-Ringでトイレの中をビャッと撮影する所を
(;^A^)「あ」
/ ,' 3「あ」
先ほどまでボロクソに怒鳴られていた青年に、ガッツリ目撃されてしまった
(;^A^)「……」
/ ,' 3「……」
事情を話すのも面倒なんでぶん殴って気絶させようと秒で決意し、拳をガッチリと握りしめたが
(;^A^)「ご、ごゆっくりどうぞ〜」
/ ,' 3「それもちゃうやろ」
何か誤解を招いたのか。青年は気まずそうに目線を逸らし、いそいそとトイレ掃除の準備を始めた
/ ,' 3「なぁちょっと聞いてぇや」
(;^A^)「大丈夫です僕何も見てないんで」
/ ,' 3「やっぱ殴った方が早いわ」
(;^A^)そ「ヒエッ」
本八は拳をガチガチに握りしめ、振りかぶる
43
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:45:40 ID:2BHtsTns0
/#,' 3「死ね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
中年、しかし脂の乗った働き盛りの拳が容赦なくブサイクの顔面へと放たれるが
(;^A )「困りますお客様」
/;,' 3そ「!?」
青年は怯むどころか難なく受け止め、本八の手首を捻りながら背後に回り
/;,' 3そ「痛ぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
腕の関節を極めつつ壁に押し付けた
('A`)「耄碌なさってるのか何だか知らねえが、盗撮誤魔化す為に暴力を振るわれるのは此方としては非常に困りますお客様。長ぇこと生きてる分際でモラルもご存じ無いんでしょうか?」
/;,' 3「いや……ちょ……おま……」
厨房でヘコヘコと頭を下げていた頼りなさげな青年の影は鳴りを潜め、声色は低く口調は乱暴なものへと変化する
頭一つ低い身長と華奢な見た目に反して、一歩も動けぬほどの力強い拘束。そして『老人』に対する情け容赦の無さ
/;,' 3(こいつ……!!)
力づくで解こうとしても、まるで大木か岩を背にしているかのように動く気配がない。この時、本八から湧き上がった感情は『怒り』でも『恐怖』でもなく
/;,' 3(こいつ!!)
『驚愕』と、『感動』であった
44
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:47:52 ID:2BHtsTns0
『華奢』である事と『貧弱』は必ずしもイコールではない。ライト級のボクサーも脂肪という無駄を削ぎ落とし、殴り合う為のスマートな筋肉を身に着けている
手首を掴む彼の掌は、硬く『マメ』の感触がある。竹刀かバッドかラケットか、はたまた『ハンドル』か。いずれにせよ『アスリート』である事の証拠だった
/;,' 3(こんな所で……こんな場所で!!)
|;;;;| ,'っノVi ,ココつ「何を……お前お客様に何やってんだ!!!!!!!!!!!」
(;^A^)そ「えっあっはい!?」
騒ぎを聞きつけた店長が割って入り、ブサイクな店員を強引に引き剥がす。顔面には再び頼りなさげな作り笑顔が貼り付いていた
|;;;;| ,'っノVi ,ココつ「申し訳ございません!!ウチの従業員が失礼を致しまして!!」
/;,' 3「……」
(;^A^)「えと、あの、店長、そちらのお客様なのですが……」
|;;;;| ,'っノVi ,ココつ「うるせえ役立たずの疫病神が!!!!!!テメエなんか雇ったのが間違いだ!!!!!!俺のキャリアに泥を……」
/;,' 3「いやお前邪魔」
いきり立つ店長の後頭部を鷲掴みにして、洗面台に叩き付ける
|;;;;| ,'っノVi ,ココつ「ゴルシッ!?」
鈍い音と共に失神したどこが目でどこが鼻でどこが口かわからんパワハラクソ野郎はフラフラとよろめいた後、先ほど本八がジョロンジョロンした小便器に頭を突っ込んで動かなくなった
(;^A`)「ええー……」
/;,' 3「お前!!!!!!!!!!!!!」
(;^A`)「アッハ……触んな気色悪い」
45
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:49:21 ID:2BHtsTns0
/;,' 3「俺と一緒に天下取らねえか!!!!!!!??????」
(;'A`)「ハァ?」
/;,' 3「自転戦車、やろう!!!!!!!!!!!やれ!!!!!!!!!!やれやァァァ!!!!!!!!!!!」
(;'A`)「ハァー?????????」
.
46
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:52:47 ID:2BHtsTns0
三十と余年。実に長い、余りにも長い積年の時
(#∵)「とても優秀な警察だ!!!!!!!老人が暴れてると通報があってとても早く駆けつけた!!!!!!!」
('A`)「これですこれ。クz……店長もやられました」
/;,' 3「なぁ!!!!!ワイと自転戦車やろうや!!!!!!!!」
(#∵)「彼から離れなさい!!!!!離れ……とても力強いこのジジィ!!!!!!おい!!手を貸せ相棒!!!!!!」
(#∴)「あたぼうよ!!!!!!オラジジィ!!!!!!ジジィオラ!!!!!!!!」
/;,' 3「どけ!!!!!!!俺は社長だぞ!!!!!!!!!相棒ーーーーーーーーー!!!!!!!!相棒ーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
憧れは、未だ手の届かぬ遥か彼方
('A`)「お連れの方もいらっしゃったので其方も連行して頂けたら……右手の窓際でシコシコやってたハゲなんですが」
(#∵)「我々と入れ違いでとても颯爽と帰えられました!!!!!!!!!!!!」
/;,' 3「あの野郎逃げやがったァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」
それでも、この出会いは
/;,' 3「金なら払う!!!!!!!金なら払うーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
(#∴)「とても小汚いジジイの癖に何言ってんだ!!!!!小銭じゃ国家権力は動かねえぞ!!!!!!」
('A`)「それって暗に賄賂次第じゃ見逃すって言ってません?とても優秀って世渡りが上手って意味ですか?」
少なくとも本八を、『スタートライン』に立たせた
47
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:53:33 ID:2BHtsTns0
/;,' 3「金なら幾らでも払うからーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
夢に取り憑かれた男の、人生最大にして最高の挑戦。その始まりの―――――
.
48
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:55:51 ID:2BHtsTns0
第一話
『シグナルは鳴った』
.
49
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/17(土) 23:57:36 ID:2BHtsTns0
次回予告
(´・ω・`)「なんで帰ったの……?」
(´・_ゝ・`)「厄介払い出来て都合が良いかなって思ったんで」
(´・ω・`)「我社長ゾ?」
(´・_ゝ・`)「チッ……そうですね……チッ……」
(#´゚ω゚`)「二回も舌打ちしやがった!!!!!!!!!!」
(´・_ゝ・`)「そんなクソどうでもいい事より社長。彼はチームメイトになりますかね?何やら深い事情を抱えてそうですが」
(´^ω^`)「なぁに!!金と暴力で解決出来ねえ問題なんてねえよ!!!!!」
(´・_ゝ・`)「流石ですね社長。反吐が出ます」
(´^ω^`)「ガハハ!!!!!!!せやろがい!!!!!!」
(´^ω^`)
(´・_ゝ・`)
(´^ω^`)「今の褒めてねえよな?」
(´・_ゝ・`)「次回、『Desperado Chariots』第二話。『鬼を宿す男』」
(´^ω^`)「なぁて」
50
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/04/18(日) 00:06:27 ID:GDo9aqzs0
第一話終わりです
ウマ娘観てください
51
:
名無しさん
:2021/04/18(日) 00:09:18 ID:22zWyLGA0
otsu
52
:
名無しさん
:2021/04/18(日) 16:03:16 ID:eI9aunJM0
ジジイミーツボーイクソ笑った 乙!
53
:
名無しさん
:2021/04/19(月) 00:32:51 ID:2Qrpxu8E0
おつ
54
:
名無しさん
:2021/04/19(月) 12:19:59 ID:mhF2UO..0
乙!やはりショボンが暴れるとホント面白い。更新待ってます。
55
:
名無しさん
:2021/04/22(木) 14:45:12 ID:pZEqicrU0
面白い!!!!!!!
乙
56
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 20:44:34 ID:HvEjlB4M0
そいつは、嫉妬するのも憚られるほどの
( ∀ )
強く美しく、そして流れ星のように『速い』男だった
強いて欠点を挙げるとするならば、ダチを見る目は悪かった
( A )
俺みてえにガサツでブサイク、時にはクソ野郎に手を上げることすら厭わないクズを『親友』と呼んだのだから
烏滸がましくも路傍の石ころは、空を駆ける流れ星《スター》に憧れた。目の前で背を見せ続けるその煌びやかな姿を、追い抜きたいと望んだ
己を叩き、磨き、叩き、磨き、叩き磨き叩き磨き叩き磨き、ようやくその背に手が届く所まで、石ころは高く跳び上がった
ただの石ころでさえ、叩き磨けば、背中を突き刺す『凶器』に変わるとも気づかずに
:(; ∀ ):
ああ、違う違う違う
(; A )
俺が望んでいたのは、こんな決着じゃない
流れ星を堕とす『鬼』になんてなりたかったワケじゃねえのに!!
.
57
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 20:48:47 ID:HvEjlB4M0
第二話
『鬼を宿す男』
.
58
:
名無しさん
:2021/05/04(火) 20:51:03 ID:HvEjlB4M0
「あの変態を外に出してもいいのですか?」
「変態でも金を持ってる奴に、我々公僕は逆らえないのさ」
警察署の一室で、二人の刑事が忌々しく見下ろす先。窮屈な取り調べ室から解き放たれた金を持ってる変態は、春先の冷たい空気を肺いっぱいに吸い込み、ググと伸びをした
(´^ω^`)「うおおおおおおおおおおおおおおおおお半日ぶりの娑婆だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」シャバダバダーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!
うるせっ
(´・_ゝ・`)「お勤めご苦労様です。なに遊んでたんだクズ」
(#´゚ω゚`)「ああ楽しかったぜ……冷てぇパイプ椅子に座ってオマワリとにらめっこだ……誰かさんが釈明してくれなかったお陰でな……」
(´・_ゝ・`)「それは良かった」
朝日に目を眩ませながら、迎えにあがった盛岡の車に乗り込む。シートには竹皮の包みと、茶の入った水筒が先客として乗り込んでいた
ゴリゴリに凝り固まった肩を解し、一晩中叫び続けて嗄れ気味の喉を緑茶で潤す。高級車は振動も音もなく、静かに警察署を後にする
竹皮の紐を解くと、炊き込みご飯のお握りが三つとたくあんが鎮座している。ゴキゲンな朝食に口笛を吹き、一つ手に取り大口で頬張る
(´^ω^`)「うんめーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」
うるさすぎてAdoみたいになるわ
(´・_ゝ・`)「昨日は随分と興奮してらっしゃったようですが、お手洗いで白い粉でもキメてらっしゃったので?」
(´^ω^`)「馬鹿野郎オメエ俺がキメる白い粉は白玉粉だけよ!!!!!!!!!!!!」
(´・_ゝ・`)「それはそれでやべーな」
59
:
名無しさん
:2021/05/04(火) 20:52:31 ID:HvEjlB4M0
(´・ω・`)「ジョッキー候補が見つかった」
盛岡はバックミラー越しに本八と目を合わせ、それが『大本命』であることを察した。クリスマスの朝に、プレゼントの箱を前にしたかのような目の色の輝きは、かつて盛岡自身も向けられたことがあった
(´・_ゝ・`)(可哀想にな)
『何を差し置いても、奴が欲しい』。経営者は、人の上に立つ者は、時に金銀財宝や絶世の美女よりも、有能な人材を求める
二十数年前の大学時代。祖父や父と同じく官僚への道を見据えていた盛岡は、ギラギラと目を光らせる若かりし頃の本八によって人生を捻じ曲げられた
今となっては四十を過ぎた『赤ん坊』のお守り役だ。お陰で退屈はせずに済んでいるが、変態に目を付けられた候補者が不憫で仕方が無かった
(´・_ゝ・`)「店員ですか?」
(´・ω・`)「あのブサイクだよ」
(´・_ゝ・`)「ほう」
一目見たら忘れられない、あの似合わぬ愛想笑いのクッッッッッッソブサイクな若者の顔が思い浮かぶ
彼は店長の『お気に入り』だったようで、盛岡がいたテーブル席からも厨房での怒鳴り声が聞こえてきた
(´・ω・`)「お前から見て、どんな印象だ?」
(´・_ゝ・`)「……」
信号が黄色に変わったのに反応して、車は自動的に減速を始める。赤に変わった頃には、揺れを一切感じさせず停車した
しばらくの待ち時間。盛岡は視線を宙に浮かせハンドルを指で叩き、頭の中で昨日の光景を再生する
(´・_ゝ・`)「そうですね……一言で言えば、『不気味』でしょうか」
(´・ω・`)「その心は?」
(´・_ゝ・`)「昨日、誰かさんの手によって病院送りにされたクソ野郎の憂さ晴らしを一手に担っているにしては、妙な落ち着きがありました」
(´^ω^`)「ええことする奴もおるもんやな!!!!!!!!!国民栄誉賞もんや!!!!!!!!!!!!」
(´・_ゝ・`)「世も末ですね」
60
:
名無しさん
:2021/05/04(火) 20:56:15 ID:HvEjlB4M0
一見すると、腰が低く気も弱そうに見えた小柄な店員だが、少なくとも臆病では無いらしい
理不尽に怒鳴られる者は、そうでない者と比べて勤務態度に過剰なまでの緊張が見て取れる。失敗に対して敏感になり、客の目より上司の目を気にしてしまう
それにしては、あの店員の仕事振りは要領が良いとまではいかなくとも、萎縮した感じは無く、あくまでも自分のペースを維持し続けていた
(´・_ゝ・`)「余程上手く本心を隠しているか、そうでなければ……」
(´・ω・`)「さほど苦には感じていないのか」
信号は青に変わり、車はまたゆっくりと走り出す。本八は一つ目のお握りを食べ終えると、たくあんを一切れ摘まみ上げ、端っこを齧った
(´・ω・`)「実際、奴は錯乱した『老人』の腕を捻り上げて拘束した。躊躇も、容赦も無くな」
腕輪型通信端末『i-Ring』から、録画していた昨日のやり取りをディスプレイ搭載型フロントガラスに映す
前方の景色は映像へと切り替わり、車は自動運転へとシフトする。ちょうど、殴りかかった本八の腕が、若者によって捻り上げられたシーンだった
(´・_ゝ・`)「ほう……」
若者の表情や目の色を見て、盛岡はストンと腑に落ちた。『暴力に慣れ親しんだ者』の顔付きをしていたからだ
理不尽を振るう事によって満たされる些細な支配欲や征服する悦びなど、とうに過ぎ去っているのだろう。その行為を、さも当たり前のように実行に移せる静かな狂暴性を秘めている
思ってもみなかった掘り出し者は、本八と盛岡が求める『チームメイトとしての条件』を悉くクリアしている可能性がある。これほど気に入るのも納得の人材だ
(´・_ゝ・`)(彼ならばもしかすると……)
本八の『権威』を意に介さず、クソ野郎のパワハラを軽く受け流し、情緒不安定な老人の暴力をいとも容易く捻じ伏せた
年齢だけがネックだが、そこは交渉次第でどうとでもなるだろう。兎に角、件の若者は
(´・_ゝ・`)「あり、ですね」
(´^ω^`)「だっるぉぉぉぉ!!!!!!!!!!??????????」
彼ら二人がこれまで出会い、そして別れてきた他の誰よりも、『チームメンバー』として理想的な人物であったのだ
61
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 20:59:54 ID:HvEjlB4M0
(´・ω・`)「フィジカルも申し分ねえ。あの野郎、着やせするタイプだ。樫みてーにミッチミチに詰まった筋肉を感じ取れた」
(´・_ゝ・`)「鴨葱ですね。逃す手は無いでしょう。ですが……」
(´・ω・`)「待て。言いたいことは分かる」
『何故ここまで気合の入った人物が、劣悪な環境下でヘコヘコと頭を下げながら働いているのか』
(´・ω・`)「人には言えねえのっぴきならねえ事情かもしれねえ。だが俺には関係ない。そうだろ?」
(´‐_ゝ・`)「フ……確かに」
誰しも、人には言えぬ秘密の一つや二つ抱えながら生きている。それが他者の生活、要望の妨げになることは万に一つもありはしない
『掘り下げなくても良いこと』であるなら、その労力を他に向けるべきだ。盛岡は浮かんだ疑問をすぐさま頭から消し去り、切り替える
(´・_ゝ・`)「彼の情報を集めましょう。それと、シフトの確認を」
幸いにも、後部座席でお握りを貪る男は、若者が務める飲食チェーンを経営する『社長』であった
(´^ω^`)「頼むぜ相棒。さぁ『ハンティング』だ!!眠れる獅子とやらの尾を踏みに行こうぜ!!!!!!」
(´・_ゝ・`)「……」
「いや怒らせちゃダメだろ」。口から出掛かった言葉をぐっと飲み込んだ
二十数年間もの長い時を、本八に振り回され続けてきた盛岡だからこそ知っている『力』が一つある
(´・_ゝ・`)「そうですね」
『人の本性、本音を引き出すのが抜群に上手い』。そして、その起点はいつも
『怒り』から始まるのだ
.
62
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:02:18 ID:HvEjlB4M0
―――――
―――
―
|;;;;| ,'っノVi ,ココつ「お前さぁ、俺になんか恨みでもあるワケ?」
『別に恨みも興味もねえよ』。厨房でタバコを吹かしながら、いつも以上に不機嫌とストレスをぶつけてくる店長の言葉を
(;^A^)「い、いえ……」
出来る限り申し訳なさそうな作り笑いを浮かべながら、『宇都宮 徳雄』は聞き流した
仕事もしなけりゃ性格も悪い。その上、顔のパーツがどこにあるのかすら分かりづらいクズにしては、頭蓋骨が頑丈に作られているようで
あれだけ強烈に頭を打ち、小便器に顔面を突っ込んでおきながら、翌日には復帰する辺り、大した量も無い『中身』は無事だったようだ
|;;;;| ,'っノVi ,ココつ「ハァー……なんっでさぁ……イカレのジジイってわかっておきながら、ポリの到着まで抑えつけなかったの?」
(;^A^)「そ、それは店長が……」
|;;;;|#,'っノVi ,ココつ「ハァ!?俺の所為だって言うのか!?おお!?」
幼稚な苛立ちは調理台上のボウルにぶつけられ、床を跳ねては神経を逆なでする金属音を二度、三度と繰り返す
店長の背後、ホールでi-Ringのホロ・ディスプレイを眺めていた他のバイトが、心底迷惑そうな視線を此方へと向けてきた
(;^A^)(どうしろってんだよ……)
昨日の『愉快』な出来事について、徳雄は自身に非は一切ないと思っている。そもそも、目の前のアホが割り込んでこなければ、痛い目に遭わずに済んだのだから
もしも暴力沙汰が無かったとしても、難癖つけていびり散らすのは目に見えているが、ここまで理不尽だと腹に込み上げてくるものがあった
|;;;;|#,'っノVi ,ココつ「なんだその目は!?文句あんのか!?言えよ!!なぁ!!」
(;^A^)「い、いえ……」
|;;;;|#,'っノVi ,ココつ「あるんだろうが!!使えねえ分際で不満だけは一人前か!?ブッサイクなツラしやがってよぉ!!」
63
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:03:23 ID:HvEjlB4M0
フィルター際まで吸いつくされたタバコを、火も消さずに顔面に向けて指で弾かれる
(;^A^)そ「危ねっ」
反射的に避け、標的を見失った吸い殻は、作り置きの団子の上へと着地した
|;;;;|#,'っノVi ,ココつ「チッ!!ほんっと役に立たねえクズだな!!灰皿の代わりにもなりゃしねえ上に団子まで無駄にしちまいやがってよ!!どう落とし前つけんだ!?ああ!?」
(;^A^)「スイマセン……」
|;;;;|#,'っノVi ,ココつ「はいはいはいはい口だけの謝罪は聞き飽きてんの!!言葉じゃなく行動で映せっつってんの!!わかりまちゅか!?」
(;^A )「……スイマセン」
頭を深く下げながら、ギリリと握りしめそうになった拳を強い意志を以て解く。殺気が、怒りが漏れないように、重い蓋をイメージして感情を押し殺す
例えどれだけの理不尽や、圧力を敷かれようとも、決して己の中の『鬼』を出してはならない。これが彼が自らに科した『戒め』であった
|;;;;|#,'っノVi ,ココつ「耳が詰まってんのかよ!?きーこーえーまーせーんーでーしーたー!?」
(;^A )そ「っ……」
耳たぶを掴み上げられ、至近距離から鼓膜が突き破れんばかりの大声で怒鳴られる。思わず振りほどこうとして、それも必死に抑え込んだ
興が乗って来たのか、店長は徳雄の耳をグイと引きずり回し、タバコが鎮座する団子の前に押し出した
消えかけではあるが、まだ立ち上る紫煙と、か細い火で炙られた団子の甘い臭いが混じり合って、鼻腔の奥をツンと刺激する
64
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:04:55 ID:HvEjlB4M0
|;;;;|#,'っノVi ,ココつ「ここまでお膳立てしてやったんだからよぉ!?中卒の能無しでもわかるよなぁ!?」
:(; A ):「ぐっ……」
変わらねばならない。己の尊厳を守るために研ぎ澄ませた肉体と心を行使してはならない
自らに必要なのは『耐え忍ぶ心の強さ』。それを得て初めて、徳雄はこれまで培ってきた『鬼』から逃れられる
:(; A ):「は、い……」
もう二度と、あんな思いをさせなくて済むように
もう二度と、怯えた表情をさせなくて済むように
もう二度と、『親友』が歩むはずだった輝かしい未来を閉ざさずに済むように
:(; A ):「……」
宇都宮徳雄は、虐めと代わりないパワハラを、この『OHANAMI』で受け続けていた
|;;;;|#,'っノVi ,ココつ「サッサとしろよこっちも忙しいんだ!!いつまでもてめえみたいなカスに付き合ってられねえんだよ!!」
:(; A ):「……」
調理台に顔面を押し当てられながら、タバコで汚れた団子に手を伸ばす
『我ながら惨めだな』。自嘲こそ浮かべなかったが、自身の意志の固さ、『頑固さ』には呆れて感心してしまう
:(; A ):(『罰』にしちゃあ、上等だろうけどよ……)
なんとか顎を開き、団子を迎え入れる準備を整える。頭上からは、『グヒ』と卑下た嗤い声が降って来た
65
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:05:25 ID:HvEjlB4M0
「何してんだテメェ」
.
66
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:06:36 ID:HvEjlB4M0
|;;;;| ,'っノVi ,ココつ「ハァ!?見てわかんねえか躾だよしt……」
どこかで聴いたことのある声に、団子を運ぶ手が止まる。耳を掴む手から解放され、徳雄は身体を台から起こした
|;;;;|;,'っノVi ,ココつ「は……えと、あの……」
先ほどとは打って変わってビクつき始めた店長の前には
(#####´^#ω#^#`)「は???????急に喋れんくなったんか??????????」
信じられねえほどキレ散らかしている中年と
(´・_ゝ・`)「顔ヤバ」
信じられねえほどハゲ散らかしてる中年の姿
その内の一人は見覚えがあった。直接対面したことは無いが、店内に展示してある社長の顔写真は毎日嫌でも目に付くからだ。しかし―――――
(;'A`)「社長……?いや、でも……」
どういうワケか、つい最近会った気がしてならなかった
67
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:09:05 ID:HvEjlB4M0
(#####´^#ω#^#`)「昨日、お客から暴力沙汰に遭ったって聞いたもんで見舞いにきてやったんだがよ……ちょーっとそれどころじゃない現場見ちまったなぁ……?」
(´・_ゝ・`)「ええ。厨房での喫煙に行き過ぎた指導。これは見過ごせませんね」
今にも『エンコ詰めろや』とでも言わんばかりの迫力に、店長の膝はガクガクと震えだす
実際、キレ散らかしてる社長は包丁を手に取り、まな板に思いっきりぶっ刺した。こんなん社長やなくて組長やんって感じ
(#####´^#ω#^#`)「納得のいく説明……してくれるかな?」
|;;;;|;,'っノVi ,ココつ「あ……こ、こいつです!!こいつが隠れてタバコ吸ってたんで、キツく指導を!!そ、そうだよな!?な!?」
(;'A`)「……」
最早言い逃れは不可能に近いが、この期に及んで部下に責任を押し付ける根性と、クズ丸出しのしょうもない機転は大したものだと感心する
目尻には涙を浮かべ、怯えと嘆願が入り混じる腐った性根を映し出す目に救いを求められている。『ふざけんな』とでも一言漏らせば、彼は一瞬にして職を失うのだろう
(;'A`)「はい……そうです……」
|;;;;|;,'っノVi ,ココつ「!?」
(#####´^#ω#^#`)「ほぉ……?」
漫画や映画でよく見るような、『手を下すまでも無い』という気持ちはこういったものなのだろう
見るも絶えない人間性に、徳雄は自然と、諦念と呆れを含めて虚偽の白状をした
(´・_ゝ・`)「……社長」
(#####´^#ω#^#`)「おう……ちょっとツラ貸せや……」
(;'A`)「ハイ……」
二人の後に続き、バックヤード兼事務所へと続く。背後からは、心底安心したかのような大きなため息が聞こえたのであった
68
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:09:52 ID:HvEjlB4M0
―――――
―――
―
(´^ω^`)「磯野ーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!自動戦車やろうぜーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!」クズゥウウウウウウウンァァン!!!!!!!!!!!!
(;'A`)「え……????????????」
(´^ω^`)
(;'A`)
(#´゚ω゚`)「はいって言えやァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」ドンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
(;'A`)そ「いや何の話っすか?????????????????????」
69
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:12:31 ID:HvEjlB4M0
(´・_ゝ・`)「交渉下手ですか?順序を踏まえて一からご説明ください。お前、叫んだら大体の要求通るとか思ってんのか?四十過ぎて赤ちゃんと同レベルか?」
(´^ω^`)<オギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!
(;'A`)「ちょっ……あの、幾つか質問、いいっすか?」
余りの様変わりに頭が可笑しくなりそうなのを何とか堪え、徳雄はおずおずと挙手をした
(´・_ゝ・`)「ああ、すまないねウチの社長が人間クズで。どうぞ」
(;'A`)「あの、とりあえず貴方は……?」
(´・_ゝ・`)「申し遅れたね。私は『盛岡 出海(いでみ)』。社長秘書を務めさせて頂いている。そしてこれが」
(´^ω^`)「誰だいって顔してんで自己紹介させて貰うがね!!俺はお団子焼きの『大潮 本八』!!!!!テメーらクズ共を取り纏める社長さんだ!!」
(;'A`)「あ、はい……『宇都宮 徳雄』っす……」
今まで抱いていた『社長』という役職へのイメージは、物の数秒でガラガラと崩れ落ちる
厳格、誠実とは程遠い、悪い意味でそのままの『人間らしさ』に、取り繕うのも忘れて間抜けな自己紹介をしてしまった
(´・ω・`)「まぁ座れよ兄ちゃん。災難だったな色々とよ」
(;'A`)「ハァ……大体はご察しのようで……あの、間違ってたらアレなんですけど……昨日の爺さんですよね?」
(´^ω^`)「ご名答ォ!!!!!!!!!!!!俺と自動戦車やれやァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
(´・_ゝ・`)「だから順序」
(;'A`)「うわぁ……」
(´・_ゝ・`)「いやわかる。やべえのに目ぇつけられたって気持ち凄くわかる。とりあえず我々と話をしてくれるかな?」
(;'A`)「いっすけど……」
70
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:13:27 ID:HvEjlB4M0
(´・_ゝ・`)「交渉下手ですか?順序を踏まえて一からご説明ください。お前、叫んだら大体の要求通るとか思ってんのか?四十過ぎて赤ちゃんと同レベルか?」
(´^ω^`)<オギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!
(;'A`)「ちょっ……あの、幾つか質問、いいっすか?」
余りの様変わりに頭が可笑しくなりそうなのを何とか堪え、徳雄はおずおずと挙手をした
(´・_ゝ・`)「ああ、すまないねウチの社長が人間クズで。どうぞ」
(;'A`)「あの、とりあえず貴方は……?」
(´・_ゝ・`)「申し遅れたね。私は『盛岡 出海(いでみ)』。社長秘書を務めさせて頂いている。そしてこれが」
(´^ω^`)「誰だいって顔してんで自己紹介させて貰うがね!!俺はお団子焼きの『大潮 本八』!!!!!テメーらクズ共を取り纏める社長さんだ!!」
(;'A`)「あ、はい……『宇都宮 徳雄』っす……」
今まで抱いていた『社長』という役職へのイメージは、物の数秒でガラガラと崩れ落ちる
厳格、誠実とは程遠い、悪い意味でそのままの『人間らしさ』に、取り繕うのも忘れて間抜けな自己紹介をしてしまった
(´・ω・`)「まぁ座れよ兄ちゃん。災難だったな色々とよ」
(;'A`)「ハァ……大体はご察しのようで……あの、間違ってたらアレなんですけど……昨日の爺さんですよね?」
(´^ω^`)「ご名答ォ!!!!!!!!!!!!俺と自動戦車やれやァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
(´・_ゝ・`)「だから順序」
(;'A`)「うわぁ……」
(´・_ゝ・`)「いやわかる。やべえのに目ぇつけられたって気持ち凄くわかる。とりあえず我々と話をしてくれるかな?」
(;'A`)「いっすけど……」
71
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:15:05 ID:HvEjlB4M0
(´・ω・`)「オメーがどうしてあのクソ野郎を調子に乗らせるような態度を取り続けてるのかとか、なんであれだけされて辞めないのかとかは面倒だから聞かないとして」
(;'A`)「はぁ……それでいいんすかね社長が」
(´・ω・`)「どうせこの後リニューアルと称した大幅な人事異動と店内改装行ってマイナスイメージの払拭をするから」
(;'A`)「じゃあ自分もクビっすか?」
(´・ω・`)「暫く休業という形を取るから、収入は入らねえ。進退は各々に決めてもらう形になる。ただ、お前に関しては別の道も用意した」
i-Ringからホログラムの電子書類を映し出し、スワイプして徳雄の持つi-Ringへと送信する
受信した書類に目を通すと、参羽鴉が運営する自転戦車チームへの入団契約書であった
('A`)「『スカウト』っすか」
(´・ω・`)「せやで」
('A`)「あー……おたくの会社が自転戦車のチーム運営してるって話なんて聞いたことねえんすけど」
(´^ω^`)「おおこれから作るからな!!今んとこ俺しかいねえよ!!」
(;'A`)「はぁ……」
(´・_ゝ・`)「不安になるのもわかるが、これはれっきとした『正社員登用』だ。アルバイトとは給与も待遇も格段に違ってくる。勿論、トレーニング環境や成果に応じた賞与も用意する。悪くない話だろ?チームメイトが『これ』であること以外」
('A`)「そこめっちゃネックじゃないっすか?」
(´・_ゝ・`)「キミ、頭良いね」
(´^ω^`)「お前ら俺が社長ってこと度々忘れない?ぶち殺すぞ?」
('A`)「昨日の段階で腕折っても良かったんすよ?」
(´^ω^`)「聞かずにして置いといたんだけどなんでお前その性格で今まであのクソ野郎ぶっ殺さずに働けてたの?今すげえ感心してんだけど」
72
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:20:24 ID:HvEjlB4M0
('A`)「別に」
ふい、と目を逸らし、不貞腐れたような表情を見せる。本八はすぐさま椅子から立ち上がり、徳雄の視線へと納まった
(´^ω^` 三 ´^ω^`) ニコヤカサイドステップ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
とてもウザい顔で。死ねよ
('A`)「『耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶ』ってのが、大人じゃないんすか?わざわざ視界に入ってくんなジッと出来ねえクソガキかアンタ?」
(´・_ゝ・`)「こういう奴なんだ。殴っても良いよ」
('A`)「アンタはアンタで本当に秘書か?」
(´^ω^`)「なるほど、一理ある。俺なら普通にぶっ殺すが」
('A`)「……まぁ、俺も昔、相当キレやすいクズだったんで。その矯正も兼ねてっすかね」
(´^ω^`)「」
(´^ω^`)「ん??????????????」
本八と盛岡は顔を見合わせる。アレだけの仕打ちを受けて尚、これまで暴力沙汰を起こさずに済んでいるのだから、既に相当の根気強さは身についているだろう
他の職場へ移れば、並大抵のストレスじゃ動じない筈だ。それでもまだ足りないと感じているから、この場に籍を置いているのだろうか
徳雄にどんな過去があるにせよ、『異常』であることに変わりない。本八はいつものむかっ腹が立つ笑顔のままであった。盛岡は『どうかそのままでいてくれ』と願った
(´^ω^`)「まぁそれはもうええやろ!!クズでも生きていけるんだからさ!!俺と自動戦車やれやァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
('A`)「……その、折角のお誘いなんですけど」
(#´゚ω゚`)「はいって言えやァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
(;'A`)「うるさっ……辞退させてもらいます」
(#´;ω;`)「やってよぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおうおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!!!!!!!やってくれなきゃやだやだやだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
73
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:22:58 ID:HvEjlB4M0
床に仰向けになり、三歳児のように泣き散らかしながら手足をバタつかせる四十代のオッサンの姿はそれはそれは見苦しく
(;'A`)「うわぁ……」
(;´・_ゝ・`)「うわぁ……」
まだ頭がまとも(一名頭髪がまともじゃない)な二人は、『社長』に向けて嫌悪感を露わにした。それでもあまえんぼうよりはだいぶマシであった
(;´・_ゝ・`)「その……理由を訊かせて貰えるかい?」
(#´;ω;`)「ひぐっ!!うええええええ!!!!!!!ママーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
(;'A`)「は、はい……なんで俺?って疑問があるのと……」
(#´;ω;`)「やってやってやってえええええええええええええええええええええ!!!!!!!!やってくれなきゃやだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
(;'A`)「多分……やるにせよ長くは続かないっつーか……そうっすね。正直、自動戦車、に……あんま興味もねえし……」
(#´;ω;`)「な゛ん゛て゛そ゛ん゛な゛こ゛と゛い゛う゛ん゛だ゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
(#´・_ゝ・`)「失礼。オラァ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
(;´゚ω゚`)・'.。゜「ハヤヒデェ!!!!!!!!!!!!!!!!??????????????」
身体が若干浮き上がるほどの強烈な爪先蹴りを腹に喰らわせると、本八は蹲って静かに苦しみに狂い悶えた
(´・_ゝ・`)「どうぞ」
(;'A`)「アンタらみてーな危ない連中と付き合っちゃいけねえって本能が警告してるからっすかね一番の理由は!!」
(#´・_ゝ・`)「オメーが原因じゃねえかこのクズが!!!!!!!!クズッ!!!!!!!!!クズがよぉ!!!!!!!!!!!」
(;´゚ω゚`)そ「ちょっ、おま、やめ……やめろや!!!!!!!!!!!!!!!」
立て続けにストンピングで社長を攻め続ける秘書を見て、徳雄は自分の判断が間違っていないと確信した
(;'A`)「あの……もういいっすかね?とりあえず、休業になるまでは勤めさせて頂くんで……」
(;´・_ゝ・`)「ハッ!!い、いやもう少し考えて……」
74
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:26:34 ID:HvEjlB4M0
(´ ω `)「燻ってんじゃねえのか?」
.
75
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:28:00 ID:HvEjlB4M0
('A`)「……」
(;´・_ゝ・`)(始まった……!!)
徳雄の『本質』へと、本八は鋭くメスを入れた。よっこらしょと身を起こし、床に胡坐を掻いて徳雄を見上げる
('A`)「……なんすか、燻ってるって?」
(´・ω・`)「とぼけんじゃねえよ若造がよ。オメー、戦わずにはいられねえタイプの人種だろ?」
('A`)「ハハッ、ヤンキー漫画の読み過ぎじゃないっすか?」
(´・ω・`)「『マメ』だ」
(;'A`)「っ……!!」
掌を隠すようにように裏返すのを、二人は見逃さなかった
(´・ω・`)「何も戦いってのは喧嘩や殺し合いだけじゃねえ。『スポーツ』や『格闘技』。点数や順位つけて相手を蹴落とす競技にも当てはまる。鍛錬をすれば、マメや筋肉といった努力の証明が映し出される」
(;'A`)「……それが、何か?」
(´・ω・`)「マメが身に付くほどの努力は、言い換えりゃ『勝ちたい』っつー闘争心の表れだ。だが、今はそれを殺す為に躍起になっている」
(;'A`)「は……?」
(´・ω・`)「『ぶつけ先』を見失ったのか、そいつが原因で何かしら問題を起こしたのかは知らんが……よくもまぁ、無駄な事に体力使ってんな」
('A`)「は?」
(;´-_ゝ・`)「……」
怒りが燃え上がる前の、空気が冷める感覚。『これには、いつまで経っても慣れない』。盛岡のただっ広い額に冷や汗が流れたが、ハンカチを取り出すのも躊躇してしまう
これからそれを一身に受けるであろう男は、顔色を『心底愉快で堪らない』といったものへと変化させていく。喉の奥で、込み上げた笑いがクツクツと音を鳴らした
76
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:32:34 ID:HvEjlB4M0
(´・ω・`)「闘争心をぶつける居場所も、相手もいねえのに、『ただ鍛錬だけは惰性で続けてる』。そんなとこだろうと踏んだんだよ」
('A`)「……手のマメ一つで、そこまで妄想繰り広げられんのか。めでてえ頭してんな、アンタ」
(´・ω・`)「違うなら違うって言えや。俺が欲しいのは、惰性の鍛錬で作り上げた身体と、オナ禁してるみてーに悶々と抑え込み続けてる闘争心だけだ。ハッキリ言って、オメーの過去なんざこれっぽっちの興味もねえよ」
('A`)「ハハッ……一つ良いこと教えてやるよオッサン」
(;´・_ゝ・`)(マズっ……)
盛岡が間に入る隙もなく
(;´゚ω゚`)「ッ!?」
( A )「……」
本八は胸倉を掴み上げられ、ロッカーへと押し当てられる
徳雄からは、今にも喉笛を噛みちぎるんじゃないかと錯覚するほどの怒気が、鼻息となって荒く噴き出した
(#'A゚)「『触らぬ神には祟りなし』っつー、先人のお言葉をよ……」
(;´゚ω゚`)「カッ……ク……」
(;´・_ゝ・`)「……落ち着……!?」
首が締まっている。流石にこれは看過できないと、徳雄を引き剥がそうとしたが
当の本人が示した『止めるな』のハンドサインによって、辛うじて踏みとどまった
(;´・_ゝ・`)(まだ踏み入る気か……!!)
『怒り』とは、確かに本心を引き出すファクターだ。だが、『憎悪』や『拒絶』をも引き起こす危うさを孕んでいる諸刃の剣でもある
行き過ぎれば、修復が不可能なほどに関係にヒビが入ることは明白。いつもなら、いい塩梅で切り上げている頃だ
(;´・_ゝ・`)(こりゃ、相当入れ込んでやがるな……)
本八は、自他共に認めるクズではあるが、『愚か』ではない。考えあってのことなのだろう
ならば此方は静観を決め込む他ない。盛岡は、自身の胸中で早鐘を鳴らす鼓動を抑え込むように両の腕を組んだ
77
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:36:58 ID:HvEjlB4M0
(#'A゚)「俺からもハッキリ言うぞ?ええ?自動戦車なんてお遊び、付き合う義理も時間もねえ。幾ら金積まれようが、答えは同じだ。『嫌だね。断る』」
(;´゚ω゚`)「キッ……」
(#'A゚)「わかったらとっとと失せろ。そんで二度と俺に関わんじゃねえ。テメーが構えた店の中で死にたくなきゃあな」
(;´ ω `)「……」
決定的な拒絶が突き刺さったのか、本八はガクリと項垂れる。心が折れたと悟った徳雄は、胸倉を掴む力を緩めた
だが、彼は間も無く、身を以て知る事となる。本八の『本質』を
(´^ω `)「ガキが……」
本八が、クズの仮面の下に隠していた、燃え盛るような『怒り』を
(;'A`)そ「なっ……ッ!?」
胸倉の手を振り払い、今度は本八が徳雄の胸倉をキツく締め上げて大きく踏み出し、休憩用のテーブルへと押し倒す
額が触れそうなほど近く。しかしロマンチックな情緒とは程遠い、憤怒に満ちた表情で、困惑を隠しきれない徳雄を見下した
(#´゚ω゚`)「いいかよく……よく聞けよクソガキ……俺の店は、お前の情緒教育の為にあるんじゃねえんだよ……」
(;'A`)「……」
(#´゚ω゚`)「美味えもんと癒しを求めていらっしゃる、お客様の為だ……そしてお前らバイトや社員に、お客様に奉仕した報酬として、賃金を支払ってんだよ……『耐え難きを耐え』だのと『矯正』だのと、テメーの無意味な自己満足に支払う金なんて一銭もねえんだ……わかるか?ええ?」
(;´・_ゝ・`)(うわぁ……)
『もう取り返しつかねえなこれ』。盛岡は早々に諦めムードに入った
78
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:42:32 ID:HvEjlB4M0
(;'A`)「……店がこの有様なのは、俺に非があるとでも言いてえのかよ?」
(#´゚ω゚`)「オメー『も』だ……サッサと抵抗なり報告なりしてりゃあ、俺も高え金払ってリニューアルなんてしなくても良かったんだよ……当然、経営者である俺にも非はある……だけどな」
(;'A`)「……」
(#´゚ω゚`)「労働』に唾を吐くような自分本位の行為が、魂胆が、我慢ならねえんだよ……」
大潮 本八は、『人は感動を食べて生きていける』などと、世迷いごとを宣うような経営者ではない
労働とは金を貰う手段であり、それ以上の意味を持たない。社会貢献など二の次三の次。最優先すべきは労働者一人一人の生活であり、幸福だ
奉仕とは、自己が満たされているからこそ十二分に行える。故に、本八は社員やアルバイトへの賃金、休暇は惜しまず与える。それが更なる『利益』に繋がると確信しているからだ
(;´・_ゝ・`)(そりゃ、キレるわな……)
徳雄が、報復を恐れてパワハラの報告が出来なかったのなら、本八の怒髪が天を衝くこともなかった
だが、本人の口からハッキリと『自己都合』でズルズルと現状を放置し続けていると聞いてしまった
経営者である本八からしてみれば、徳雄は賃金を受け取りながら、客前で自傷行為をしているようなものなのだ。それが何より許し難かった
(#´゚ω゚`)「いいかガキ……俺が提示した自動戦車チームへの勧誘はな……仕事を舐め腐ってるボクちゃんには勿体ねえほどの高待遇なんだよ……高え金払うだけの価値を見出したからだ……」
(;'A`)「……だったらもうちょっとそれらしく振舞ったらどうだオッサン」
(#´゚ω゚`)「振舞ってやってるぜ……?今すぐ足腰立たなくなるまでぶん殴ってやりてえところを我慢してんだからよ……」
(#'A`)「そうかよ……そんじゃあ好きにしたらどうだ?」
(#´゚ω゚`)「言ったなクソガキ……」
言われるがままに、高々と振り上げた腕を
(´・_ゝ・`)「そこまで」
盛岡が、掴んで止めた
79
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:45:29 ID:HvEjlB4M0
(´・_ゝ・`)「頭を冷やして下さい。勝ち目のない喧嘩をする為に、わざわざ出向いたのでは無いでしょう?」
(#´゚ω゚`)「邪魔すんじゃねえ数少ねえ髪の毛毟り取るぞ」
(´・_ゝ・`)「本八」
名を呼ばれた本八は、自らを宥めさせるように目を瞑って深呼吸を繰り返し
(´-ω-`)「……わーったよ」
徳雄の胸倉から手を放した
(;'A`)「っ……恩に着せようってんじゃないっすよね」
(´・_ゝ・`)「こいつに怪我されて困るのは僕なのでね。キミも、これに懲りたら『仕事』に対する認識を改めるべきだ。苦行がしたいなら修行僧にでもなりなよ」
(;'A`)「……」
テーブルから身体を起こし、乱れた襟を整えた徳雄は
('A`)「すんませんでした」
深々と、頭を下げた
80
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:53:29 ID:HvEjlB4M0
(´^ω^`)「初めからそうやって謝っときゃ良いんだよこのバカ!!!!!!!!ブッッッッッッッサイクが!!!!!!!!!クソガキ!!!!!!!!!ヴァーーーーーーーーーーーーーーカ!!!!!!!!!!俺と自動戦車やれやァァァ!!!!!!!!!!!!」
(´・_ゝ・`)「はい台無し」
そしてこれが四十代のクソガキの姿であった
(´・ω・`)「で?どういう風の吹き回しだよ?」
('A`)「……反省しただけっす。正直、常識の欠片もなさそうなオッサンに説教されるとは、思いもしなかったっす」
(´・ω・`)「おいデミー、こいつ反省してねえぞ」
(´・_ゝ・`)「至極真っ当な意見だろ。オメーも彼を見習って自分を省みたらどうだ?」
胸倉を掴み合った中年を放っておいて、徳雄は取っ組み合いで大きく動いたテーブルを元の位置に戻し始める
それを見た四十代のクソガキ共も、静かに片づけへと取り掛かった
('A`)「……その、自動戦車の件すけど」
(´^ω^`)「やれやァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!!!!反省を行動で表せーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」
十秒も静かにお片付け出来なかった
('A`)「やっぱ、すいません、出来そうにねえっす」
(#´^ω^`)「クソがよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
(´・_ゝ・`)「出来ないってのは、キミの性格の矯正が関わっているのかな?」
('A`)「そうすね……社長が仰った通り、昔そいつで一悶着起こしちまって……」
(´・ω・`)「『それだけ』か?」
81
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:55:49 ID:HvEjlB4M0
('A`)「……すいません」
乱雑した丸椅子を、テーブルへと均等に並べた徳雄は、再び頭を下げる
('A`)「答えは変わりません。再三申し上げますが、今回の件は辞退させて頂きます」
(´-ω-`)「……」
(´・_ゝ・`)「……わかった。此方こそ忙しい中、時間を取らせて申し訳なかった」
('A`)「いえ、勉強させて頂きました。短い間ですが、お世話になりました」
(´-ω・`)「ん」
本八は軽く手を振って別れの挨拶に応えると、バックヤードから厨房へと出る扉に手を掛けた
(´・ω・`)「若造」
('A`)「はい?」
(´・ω・`)「何でもかんでも我慢して耐えるだけが大人じゃねえ。誤ちに、真っ向から刃向かえる芯の強さがあって初めて『大人』だ」
('A`)「……はい」
(#´゚ω゚`)「それと!!」
(;'A`)そ「はいぃ!?」
(´^ω^`)「テメーの間違いを素直に認め、反省出来るのも、子供の見本たる大人の姿だ。その点に関しては、オメーは及第点だぜ」
82
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 21:57:52 ID:HvEjlB4M0
(´・_ゝ・`)「……」
本八は抜け目のない男だった。僅かな可能性を増やす為に、最後はご立派な年長者の格を見せ、若者に尊敬の念を抱かせた
タチが悪いのは、語る言葉の全てが『偽り』ではないということ。ただそれを、事もあろうに『自分本位』に使った
相手が老獪な手練れであるならば、効果も薄い。だが標的は二十を過ぎて二、三年の若者だ。年の功は、十分に通用する
(´・_ゝ・`)(二枚舌がよ……)
他人には『自分本位が気に入らない』と言っておきながら、当の本人はエゴの塊だ
二十年前に同じような手口で言い負かされた盛岡にしてみれば、思う所の一つや二つあったが、懐刀となった今となっては、ただただ感心が勝る
(´・_ゝ・`)(狡猾なクズほど厄介なモンはいないな……)
『人の感情を手玉に取る、とんでもねえ畜生だな』と
(´・ω・`)「そんじゃあな。改装まで短い時間だが、後は頼む」
('A`)「……はい、ありがとうございました」
事実、別れを済ませてバックヤードの扉を閉めた瞬間
(´^ω^`)「チョロいぜ」
(´・_ゝ・`)「うわクズ」
盛岡にしか聞こえないほどの声量で、早速本性を表したのだから
83
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 22:02:22 ID:HvEjlB4M0
|;;;;|;,'っノVi ,ココつ「ああ、お疲れ様でした!!」
(´^ω^`)「あー、おめえか」
迫真の『仕込み』の余韻に浸る間も無く、ヘコヘコと情けないお辞儀を繰り返しながら店長が擦り寄ってくる
|;;;;|;,'っノVi ,ココつ「そ、その……奴はどうなされましたか……?ああいえ!!もちろん、監督不行届の私めにも責任はございます!!何なりと処分を!!」
口ではこう言うものの、内心は保身で頭がいっぱいなのだろう。表情がアレなんで傍目には読み取り難かった
(´^ω^`)「うん!!!!!!!悪いようにはしねえよ!!!!!!あいつ自分が悪いって言ってたしな!!!!!!指示あるまで営業続けてて!!!!!!!」
(´・_ゝ・`)「やれやれ……」
『お咎めなし』と捉えたのだろうか。店長の顔色はパッと明るくなった
いつまで経っても我が身が可愛い彼の姿もまた、一つの『大人』の姿なのだろう。徳雄と比べて歳を重ねている分、矯正も難しい
そもそもの元凶はこれなのだ。徳雄への説教など比にならない程の地獄を見せられるのは、そう遠くはない
(´^ω^`)「じゃあな!!お大事に!!」
|;;;;|;,'っノVi ,ココつ「は、はい!!今後とも、社長の為に粉骨砕身、働かせて頂きます!!」
(´^ω^`)「うん!!!!!!!じゃ!!!!!!!!!」
適当な挨拶を返し、本八の嫌に速い歩速に合わせて、二人は店を後にした
84
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 22:04:35 ID:HvEjlB4M0
(;´-ω-`)「ッハァ〜〜〜〜〜〜〜〜……」
(;´・_ゝ・`)「疲れる……」
車に乗り込んだ瞬間、崩れ落ちるかのように肩の力を抜く。救いようのないアホの店長の相手もそうだが、何より
(;´・ω・`)「めんどくせぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜……」
(;´・_ゝ・`)「やはり一筋縄ではいかない相手ですね……」
チームメイト候補の『頑固』さが、これから先の苦労を確固たるものにしたからだ
(´・ω・`)「はい、わかったこと」
(´・_ゝ・`)「過去に遺恨あり、闘争心の保持、そして根は『クソ真面目』」
(´・ω・`)「もう一つある」
(´・_ゝ・`)「ええ、恐らく過去の問題は『自動戦車』、あるいは『自動戦車に携わる選手』に関わっていると見ていいでしょう」
会話の中で、徳雄は詰まり気味に『自動戦車』と言った。些細ではあるが、『引っ掛かり』としては有効な証言だ
性格を理由に勧誘を断った際、本八が追加で問いただした時も、彼は答えずにただ謝罪しただけであった
(´・_ゝ・`)「つまり、彼の過去と、彼に関わる自動戦車の『何か』さえ突き詰めれば……」
(;´-ω-`)「野郎を陥落させる糸口は掴めるっつーこった……めんどくせえ……俺ァ一介の社長であって、カウンセラーじゃねえっつーの……」
(´・_ゝ・`)「やる気で?」
(´^ω^`)「たりめーだろオイ!!!!!!!!!!!!!あんな逸材は滅多にいねえ!!!!!!!何なら重役として働かせてえくらいだ!!!!!!!!」
(´・_ゝ・`)「よほどお気に召したようで」
(´^ω^`)「カカカ!!いーねぇ若いってのはよぉ!!オイ出せ!!時間はねえぞ!!改装や人事異動だってグズグズしてられねえんだ!!とっとと取り掛かるぞ!!」
(´・_ゝ・`)「了解致しました。社長閣下殿」
85
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 22:06:26 ID:HvEjlB4M0
盛岡は車のエンジンを始動させ、本社へと車を走らせる
(´・_ゝ・`)「そういえば」
ふと、最後に残った滓のような問題が気になった。『元凶』の始末である
(´・_ゝ・`)「アレの沙汰はどうするおつもりで?」
(´・ω・`)「ああ、あいつね。新卒相当までの降格と減給。地獄のハラスメント研修に送り込んでから半年ほど地下の餅米田園で農作業して貰う」
(´・_ゝ・`)「随分と軽い処罰ですね」
(´・ω・`)「法律とかいうクソルールさえ無けりゃ、切り刻んで生ゴミに出してやりてえよ。なーにが『社長の為に粉骨砕身』だ。この世で最も信用ならねえこと口にしやがって」
(´・_ゝ・`)「では何故、その程度で留めたのですか?」
(´・ω・`)「俺よりもツケを払って欲しい野郎が、あの場に残ってるからな」
(´・_ゝ・`)「ああー……」
(´^ω^`)「吹っ切れたあいつなら、キッチリ型に嵌めんだろ。心残りなのは……」
(´^ω^`)「あいつの中に宿る『鬼』を、この目で拝められねえって事くれえだ」
(´・_ゝ・`)「……今後、嫌というほど味わう羽目になるでしょう。その為の働きかけだ」
(´^ω^`)「おおその通り!!奴には俺の『脚』になって貰わなきゃなんねえ!!」
(´・_ゝ・`)「彼の痛い所を突っつき回して、矛先が此方に向かわなければいいのですが」
(´・ω・`)「そうなんだ大変だね」
(´・_ゝ・`)「大変なのはテメーだ」
本八は車内が揺れるほど、大きな声でガハハと笑う。『鬼』を御さんとせん者の、『悪魔』のような笑い声であった
(´^ω^`)「これからもっと楽しくなるぜぇ!!なぁ、デミー!!」
(´・_ゝ・`)「うるせえな静かに笑え」
盛岡の文句などお構いなしに、本八はまた大きく笑い声を上げたのであった―――――
86
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 22:09:54 ID:HvEjlB4M0
―――――
―――
―
二人が出て行ってから数分後、バックヤードから出てきた徳雄を迎えたのは、感謝でも謝罪でも無く
|;;;;| ,'っノVi ,ココつ「いつまでここにいるんだよ。クビ切られたんだろ?サッサと荷物纏めて出ていけやクズ」
('A`)「……」
侮蔑をこめた別れの言葉だった
('A`)「……もう暫く、お世話になることを許してくださいました」
|;;;;| ,'っノVi ,ココつ「ハァー……チッ、何考えてんだあのオッサンはよ……」
『ボス』がいなくなった途端、元の猿山大将に逆戻りだ。先ほど注意されたにも関わらず、またもや厨房でタバコを吹かしている
('A`)「……」
|;;;;|#,'っノVi ,ココつ「何だよ……文句あんのか!?ああ!?『助けてやった』とでも言いてえのか!?」
('A`)「いえ……」
|;;;;|#,'っノVi ,ココつ「お前みたいな役立たずを今まで置いてやっただけありがてえと思えよ!!お前が俺に掛けて良い言葉はなぁ!!『身代わりにさせてくださってありがとうございます』だ!!言えよほら……言えよ!!」
('A`)「……」
怒号を見に受けながら、徳雄は本八が言い残した『後を頼む』の意味を考えていた
社長に見込まれたとはいえ、現時点ではアルバイトでしかない自分に、彼は何を『頼んだ』のであろうかと
言葉の綾と言えばそれまでだが、『大人』である彼が、ただの社交辞令で意味の無い言葉を残すとは思えなかった
('A`)「……」
『後を頼む』。それは、若造である自分でも出来ることなのだろう。あの短いやり取りで、自分の本質を見抜いた彼が、任せられない仕事を押し付けはしないだろう
彼はこういった。「何でもかんでも我慢して耐えるだけが大人じゃねえ。誤ちに、真っ向から刃向かえる芯の強さがあって初めて『大人』だ」。と
87
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 22:11:08 ID:HvEjlB4M0
('A`)「あ」
|;;;;|#,'っノVi ,ココつ「ああ!?」
何となく、腑に落ちた気がした。労働を甘く見ていた自分に、あれだけ怒りを燃やした本八が、パワハラの主犯に何もせず去ったのは、その役目を自分に与えたからなのだ
('A`)「あーあー……」
|;;;;|#,'っノVi ,ココつ「なにを惚けてんだよてめえはァ!!!!!!!!」
低い沸点に到達した顔面崩壊太郎が、徳雄の胸倉に手を伸ばす。それよりも、遥かに早く―――――
|;;;;|;,'っノVi ,ココつそ「ングッ……!!」
('A`)「……」
徳雄の右手が、店長の首を鷲掴みにした
('A`)「謝るよ。いつまでも煮え切らねえ態度で、アンタをここまで調子づかせたことを」
|;;;;|;,'っノVi ,ココつ「はっ……カッ……!!」
('A`)「その上で、ずっと腹に抱えてたもんもぶちまけてやる」
息を大きく吸い、酸欠で赤く染まっていく顔に向かって
(#'A゚)「いつまでも調子乗ってんじゃねえぞカス野郎がァッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
店長の喚き声を上回る、怒号を発した
88
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 22:14:48 ID:HvEjlB4M0
|;;;;|;,'っノVi ,ココつ「っ……!!」
(#'A゚)「社長が来た意味をまだ理解してねえのか!?俺らが滅茶苦茶にしちまった店の有様を見に来たんだろうが!!この期に及んでまだ俺にご執心か!?ああ!?」
意識が落ちる寸前で、徳雄は首から手を放す。激しく咳き込む店長を、文字通り『鬼』の形相で見下した
(#'A゚)「これ以上店に泥を塗るような真似すんじゃねえ!!猶予は残ってねえが、少しはマシな営業出来るように足掻いてみせろや!!」
|;;;;|;,'っノVi ,ココつ「てめっ……俺にこんな真似してタダで済むと……!!」
(#'A゚)「あーあーあーあーお前本っ当にバカだな!!俺が何の対策も打たずに日々を耐えてたとでも思ってんのか!?」
i-Ringを起動させ、店長の目の前にホログラム映像を映し出す
|;;;;|;,'っノVi ,ココつ「なっ……」
それは、彼が徳雄に対して行ったパワハラの、紛れもない証拠映像であった
(#'A゚)「ちゃんと『保険』は掛けてんだよ!!マヌケなテメーと違ってな!!」
|;;;;|;,'っノVi ,ココつ「お前……最初から、これが目的で……」
(#'A゚)「……っんでそんな意味のねえことを……俺が求めてんのは!!ちゃんと!!しっかり!!仕事して欲しいだけだ!!こんなもん吹かしてる暇なんてねえだろ!!」
床に転がったタバコを踏み消すと、騒ぎを聞きつけた他のアルバイターが戦々恐々といった様子で厨房を覗いているのに気が付いた
(#'A゚)「てめえらにも言ってんだぞコラァ!!!!!!!!!!アホ面並べてねえで便所でも掃除してこねえか!!!!!!!!」
一喝すると、蜘蛛の子を散らすかのように業務に戻ったのを見て、頭に昇った血を鎮めようと深呼吸をする
店長は唖然としながらも、壁に背を預けて立ち上がろうとしたが、これまで侮っていた相手が見せた怒涛の剣幕に、足腰が怯えて言う事を聞かなかった
89
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 22:17:31 ID:HvEjlB4M0
(#'A`)「ああ、その……すみ……いや、謝るのは気に食わねえのか……とにかく、社長は店内の改装と人事異動をすると仰ってました」
|;;;;|;,'っノVi ,ココつ「は……な……?」
(#'A`)「ただ、すぐに手を下さなかったのは、我々に猶予を与えてくださったんだと思います。恐らく、少ない時間でしょうし、焼け石に水になるかもしれない。それでも……」
|;;;;|;,'っノVi ,ココつ「……」
(#'A`)「真っ当な社会人に『生まれ変わる意志』ってのを、示すだけ示してみましょうよ。例えそれが届かなくとも、自分が納得できるように」
返答を待たず、徳雄は開店の準備に取り掛かった。自動戦車に足を踏み入れるつもりは無かったが、それでも今日の出来事は、本八との出会いは
('A`)「ハァー……」
徳雄を、一歩『大人』へと近づけたに違いないのであった
90
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 22:19:47 ID:HvEjlB4M0
次回予告
(´・ω・`)「結局、アレの過去を掘り返さねえといけねえのクソめんどいわ……」
(´・_ゝ・`)「めんどいのは俺だよその辺の調査全部丸投げしやがって」
(´・ω・`)「それが仕事だろ」
(´・_ゝ・`)「俺の仕事は会社経営の補佐なんだよ」
(´・ω・`)「それはさておき、奴が中退した高校から一人、有力な自動戦車のジョッキーが輩出されてるってのはマジか?」
(´・_ゝ・`)「ええ。アイドルと自動戦車プレイヤー、二足の草鞋を履いています。面白い事に、宇都宮くんと同級生ですね」
(´^ω^`)「ほっほー!!良いねえ!!愉快な匂いが立ち込めてきやがった!!」
(´・_ゝ・`)「すいません屁をこきました」
(;´゚ω゚`)「ゲェェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ヴォオオオオオオオオオオッッッエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!!!!!!!」
(´・_ゝ・`)「次回、『Desperado Chariots』第三話。『流れ星』」
(;´゚ω゚`)「ウッッッエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!!!!!!!死ぬーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」
91
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/05/04(火) 22:25:41 ID:HvEjlB4M0
申し訳程度のライスシャワーちゃん要素です。よろしくお願いします
キングヘイローも好きです。誕生日にクラシック三冠成し遂げた一流トレーナーが僕です
92
:
名無しさん
:2021/05/04(火) 23:02:37 ID:3cKWRV6Q0
乙!!!!!! おもろかった
93
:
名無しさん
:2021/05/05(水) 00:59:42 ID:fxbmKoGo0
乙!
先が楽しみで仕方ない
94
:
名無しさん
:2021/05/05(水) 07:48:40 ID:NPt9lS4w0
おつです
95
:
名無しさん
:2021/05/07(金) 16:02:12 ID:.jA7Gthw0
乙乙
ショボンのクズだけど体張ってる案配が見てておもしろい
96
:
名無しさん
:2021/05/18(火) 13:31:01 ID:oEoavgvI0
おつ
次も読む
97
:
名無しさん
:2021/05/18(火) 20:24:21 ID:Ce3s8nNk0
ショボンのような上司が欲しい
98
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/06/19(土) 00:36:45 ID:SnGZq0Ao0
本編には何の関りも無いしウマとファークライ5で三話は全然書いてないんですが今週とてもショックな出来事があったので急に関連作の話をします
御華見衆の参羽鴉シリーズ
(´・ω・`) 信じられねぇくらいギチギチに三人同時に落とし穴にハマったようです ※御三家が酷い目に遭う話
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1517198071/
('A`) 大事なことは全部春画が教えてくれたようです ※御三家が酷い目に遭う話
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1559137734
( ^ω^)ビンビン敏感!!乳首一本釣りのようです ※デブの乳首が酷い目に遭う話
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1569672415
ブーン系と天華百剣を組み合わせたSSで、今作はこれの二百年後のお話です。勿論、天華百剣要素は何一つ絡まないのでご安心ください
本当はもっと後になってからマジ本編に一切関わらない裏設定として開示しようと思ってたんですが、僕が四年間続けていた『天華百剣』というゲームが八月でサービス終了となる為、タイミング的に今やなと思い立ちました
三話頑張って書きます
99
:
名無しさん
:2021/06/19(土) 15:00:00 ID:58ES51Wk0
ショックでかいよ・・・
100
:
名無しさん
:2021/06/19(土) 18:56:59 ID:zzZ3scoQ0
どんなジャンルだろうと4年触れてたモノと別れるのはキツいな……
101
:
名無しさん
:2021/06/21(月) 22:43:11 ID:1nViT9nE0
ムカデさんの作品を読んで天華百剣始めた
何故こんなことに…
102
:
名無しさん
:2021/06/26(土) 18:50:17 ID:vfpVttNM0
面白い
103
:
名無しさん
:2021/07/13(火) 23:03:40 ID:AwgMLhIg0
久しぶりにマッソとかを一気読みしちゃった
誕生日だったけど悔いは無い
104
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 11:52:39 ID:EXmg5ZGs0
三人一組で行うチャリオッツに置いて、最も人を見つけづらいポジションは『ジョッキー』と言われている
その所以は、自身を含めた三名分+装甲の重量をペダルに乗せて数十キロをこぎ続けなければならない『過酷さ』にある
勿論、ゲームである為、装甲の重量は常識の範囲内に収まる。それでも、一人分の体重のみで行うロードバイクと比べれば負荷の差は歴然だ
故に、eスポーツでありながら、ジョッキープレイヤーは総じて『超人』と呼ばれる人種の集まりなのだった
同時に、『チャリオッツの花形』とも称されるジョッキーを目指し、自転車競技から経験を積む選手も少なくない。有力な候補を見つけるために、名門校に足しげく通うスカウトも数多い
本八、盛岡の両名が訪れた『村人学園』もまた、チャリオッツに留まらず多くのスポーツ選手を輩出した名門校として知られていた
(´^ω^`)「校門を開門しろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!校門を開門しろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」
(#´゚ω゚`)「肛門を開門しろっっっつっっってんだろがーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!はよ開けんかいゴルァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」
(#∵)「とても優秀警備員だ!!!!!!!!!!!!不審者発見!!!!!!!!!!!!!速やかにぶち殺せ!!!!!!!!!!!!!!!」
(#∴)「了解!!!!!!!!!!!とても迅速にあの世に送ってやらぁ!!!!!!!!!!!!!チンカス野郎が!!!!!!!!!!!!!!!!」
<何すんだおまっ……流行らせコラ!!!!!!!!!
<警備員に勝てるわけないだろ!!!!!!!!!
<馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前!!!!!!!!!!!!!!!!!
(´・_ゝ・`)「はい、そうです。先日ご連絡させて戴いた盛岡と申します。あ、ここに署名ですね。これ……で。はい、よろしくお願いします」
警備員と殴り合いを始めた本八を放置し、盛岡は受付を済ませて校内へと足を踏み入れた
『宇都宮 徳雄』の過去を知る人物に話を訊く為に―――――
105
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 11:55:38 ID:EXmg5ZGs0
第三話
『流れ星』
.
106
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 11:57:20 ID:EXmg5ZGs0
「此方でお待ちください」と通された応接室で、盛岡は『村人学園』が輩出した数多くの著名人のデジタル・フォトを眺めていた
歴代最長任期を更新した内閣総理大臣『瓜畑氏』。その妻で、中、露の軍事力を大幅に削ぎ、日本の防衛力を大幅に拡大した国防長官『素直氏』
電子工学の分野では、スターク社にてロボット工学の発展に大きく貢献した『木原氏』。彼の親友でアカデミー賞を三度受賞した俳優の『上条氏』
スポーツでは、ラグビーワールドカップ日本代表のキャプテンとして勤め上げた『長岡氏』や、マスク・ド・ブーンの名で瞬く間にリング上のスターとして輝いたプロレスラー『内藤氏』
また、史上最年少でアカデミー助演女優賞を受賞した『鬱田氏』。そしてその両親も、この学園に在籍していたとある。言わずと知れた名門中の名門高校であった
徳雄の来歴を探り、真っ先にこの情報にぶち当たった時は、二人して感嘆を漏らした。無理を言って学校関係者から直接話を伺う機会を頂いたにも関わらず、クズは平常運転だった
(´・_ゝ・`)「ほぉー……」
「素晴らしいでしょう」
穏やかな笑みを浮かべながら応接室に踏み入れた白髪の男性は、輝かしい歴史を誇るかのように胸を張った
顔皺を見るに六十は越えた老人であったが、ピンと伸びた背筋と、笑顔の下で均等に揃った白い前歯が、年齢を感じさせない若々しさを醸し出していた
爪'ー`)「『黄金世代』。およそ百年前、この学校に在籍していた方々です」
(´・_ゝ・`)「ええ。話には聞いていましたが、彼らを育て上げた学び舎に訪れると、こう、身が引き締まる思いがします」
爪'ー`)「ハハハ。かくいう私も、ここの校門を通る度に尻の穴がキュッと引き締まりますね、校門だけに」
(´・_ゝ・`)「ハハハ」
盛岡はぶん殴らなかった自分の自制心を褒めに褒めちぎった
107
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 11:58:30 ID:EXmg5ZGs0
爪'ー`)「おっと、申し遅れました。校長の『稲荷』と申します」
(´・_ゝ・`)「参羽鴉グループの社長秘書、盛岡 出海です。この度は急な申し出を受け入れて下さり、誠にありがとうございます」
爪'ー`)「いえ、お気になさらず。所で……先ほど警備員と争っていたお連れの方は……」
(´・_ゝ・`)「社長ですが好きに処分してくださって構いません」
爪'ー`)「ええ……?」
『やべー奴らを招き入れちゃったな』と、稲荷校長は困惑を露わにする。程なくして
<応接室を開門しろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!応接室を開門しろーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!
<いたぞあそこだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
<次こそとても完璧にぶち殺せ!!!!!!!!!!!!!!!
扉の向こう側で、クソ騒がしい叫び声が響いたのであった
108
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 11:59:20 ID:EXmg5ZGs0
(´メ)ω(メ`)「このくらいで勘弁してやらぁ……」
(´・_ゝ・`)「完敗です社長」
爪;'ー`)「ええー……とにかく、お掛けください……」
そらぁもうボッコボコのボコにされた本八と盛岡に着席を促し、やべー連中を呼んじまったと額に浮かんだ汗をハンカチで拭った
爪;'ー`)「そ、それで……この度は、御社のチャリオッツプロチーム発足に当たり、我が校を卒業した競技者の話を伺いたいとのことですが……」
(´・_ゝ・`)「はい。百年前の黄金世代に勝るとも劣らない生徒を送り出し、彼らが作り上げたドラマを直に目撃したであろう稲荷校長ご本人から、スター選手育成のノウハウを学べたらなと」
爪'ー`)「ああ、いやいや、ハッハ。私の力添えなど些末なもの。彼ら本人の努力あっての活躍です。ですが、折角ご足労頂いたのですから、私の話で少しでも収穫を得て頂ければ幸いです」
(´・_ゝ・`)「よろしくお願いします」
互いに深々と頭を下げながら、盛岡は内心こう独り言ちた
(´・_ゝ・`)(分かり易い爺さんだ)
『豚も煽てりゃ木に登る』。謙遜を露わにしているものの、名門校での実績に、内心鼻を高くしているに違いない。『虎穴』ほど、気を張らずとも欲しい情報は得られるだろうと確信した
「それでは」と、盛岡は予め用意していたシナリオ通りに会話を進める。まずは当たり障りのない有名選手の話から始め、徐々に核心へと近づけていく
(´・_ゝ・`)(にしても……)
やや大げさに相槌を打ちながら、盛岡は本八とのやり取りを思い返す。話は徳雄との邂逅から二日後まで遡る―――――
109
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 12:01:38 ID:EXmg5ZGs0
―――――
―――
―
社長室に入室するやいなや、盛岡はこう切り出した
(´・_ゝ・`)「学校に行きましょう」
(´^ω^`)「失った青春は取り戻せても髪は取り戻せないゾ☆」
口を開けば煽りやがるクソ野郎の顔面を机に叩き付け、もう一度同じ言葉を繰り返す
(´・_ゝ・`)「学校に行きましょう」
(´メ)ω・`)「我社長ゾ?」
追加で二回叩きつけた
(´メ)ω(メ`)「情報が欲しいなら野郎のダチや家族に当たるのが先じゃねえのか?」
(´・_ゝ・`)「確かにそうですが、我々が嗅ぎまわってるという情報が彼に届けばその時点でゲームオーバーです」
(´メ)ω(メ`)「うむ……」
高待遇契約の『餌』に食いつかず、大人としての叱責で揺さぶっても、『NO』という回答は変わらなかった
最後に楔こそ打ったが、陰でコソコソと苦い過去を嗅ぎまわってると知られてしまえば、折角の仕掛けも怒りによって不発に終わるのは目に見えている
だからこそ、盛岡は徳雄と近しい人間からの情報収集は避け、『学校』に焦点を当てる作戦を提案したのだ。本八は頭の中でザっと問題点を洗い出し、すり合わせを始める
110
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 12:04:02 ID:EXmg5ZGs0
(´メ)ω(メ`)「学校には守秘義務があるぜ?」
(´・_ゝ・`)「勉強させて貰うという名目でお邪魔させて貰い、会話を徐々に核心に近づけていきます」
(´メ)ω(メ`)「訪問させて貰えるかも疑問だぜ?」
(´・_ゝ・`)「大企業の社長には社会的信用があります。大潮のネームバリューを存分に発揮させましょう」
(´メ)ω(メ`)「成績不良や暴力沙汰で退学という線も十分あり得る。ドラマが待っていなかった場合はどうするつもりだ?」
(´・_ゝ・`)「その点については、一つ手がかりが」
盛岡はi-Ringからの遠隔操作でホロ・プロジェクターから映像を映し出した
部屋の八隅に設置されたスピーカーから臨場感あふれる歓声と、腹の底から揺さぶってくるようなバンド演奏に乗せて
『( ・∀・)』『(,,゚Д゚)』『从 ゚∀从』
(´・_ゝ・`)「……」
(´・ω・`)「……」
話題のアイドルグループのライブ映像が流れ始めた。あ、本八の顔が治った。すごいね
(´・ω・`)「あー……見覚えがあるツラだな」
(´・_ゝ・`)「『ハヤテ』。二年前にデビューしてから瞬く間にトップアイドルに上り詰めた人気アイドルグループです」
(´・ω・`)「実質アンティーカ」※回せ、錆びついた運命の鍵を
(´・_ゝ・`)「はい。ネット配信の一環でチャリオッツもプレイしていますが、今ところ無敗。強豪チームの一角『ネイキッド・オッキイオッパイダイスキー』を下した事から、実力は本物と称されています。年末にある日本一を決める大会、『ジャパンカップ』に置いても、優勝候補の一つとして挙げられるほどです」
(´・ω・`)「俺それ見たかもしれない。で、どいつが関わりを?」
(´・_ゝ・`)「『獏良 良樹』(ばくら よしき)」
111
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 12:04:50 ID:EXmg5ZGs0
『(;・∀・)』
舞台上、センターで汗を光らせながら観客を魅了する爽やかな美青年の姿が拡大される。非の打ちどころのないイケメンに向かって、本八は露骨に舌打ちをした
(#´゚ω゚`)「クソが……顔がいいだけでチヤホヤされやがって……」
(´・_ゝ・`)「現在22歳。高校在学中にはヒルクライムの全国大会で二年連続入賞しています」
(´・ω・`)「ヒルクライムっつーと……」
読んで字の如く『丘登り』。上り坂を自転車で駆け上がるタイムレースである。上り坂48って感じ。46だっけ?わかんねえわ。283プロしかわかんねえわ
登坂故にスピード感こそ無いが、平地とは比べ物にならないほどのスタミナと辛抱強さを要求される競技だ
本八は椅子から立ち上がり、立体映像を中心にぐるりと回りながら全体像を眺める。ピッと人差し指を立てると、盛岡はすかさず一時停止を押した
(´・ω・`)「確かに、歌って踊れるってだけじゃ説明がつかねえくらい身体が仕上がってんな。それで?」
(´・_ゝ・`)「彼が唯一、入賞を逃した高三のヒルクライム全国大会。土をつけたのが宇都宮くんとされています」
(´・ω・`)「勝ったのか?」
(´・_ゝ・`)「いえ、両者ともレース中の事故による棄権です」
(´・ω・`)「なんだ?接触でもあったのか?」
(´・_ゝ・`)「見て貰った方が早いかと」
ライブ映像から、新緑が映える山の坂道へと切り替わる。舞台上で笑顔を振りまいていた彼は、サイクルウェアを身に着け、『愛馬』に跨り
(;´・ω・`)「は……?」
『まるで鬼か悪魔にでも追われているかのような恐怖の形相』を浮かべながら、ペダルを漕ぎ続けていた
112
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 12:05:58 ID:EXmg5ZGs0
ある種、『必死』ではあるのだろう。ただし、その目は『勝利』を見据えてはおらず、ただひたすらに怯えだけを伝えてくる
しきりに背後を振り返っては、その色は更に濃く、深くなっていく。呼吸のテンポも乱れ、とてもじゃないが競技など行えるような状態ではなかった
それでも脚を動かし続けているのは、単純に『背後から迫るモノ』から逃げる為。勝敗よりも重要な、『生命の危機』から脱する為
彼をこれほどまでに脅かしているモノは何か。問わずとも、自ずと答えは頭の中に浮かんでいた。すぐに口に出さなかったのは、本八の想定を遥かに上回っていたからだ
(;´・ω・`)「『あいつ』か」
(´・_ゝ・`)「はい。貴方がこれから御そうとせん者の……そうですね、あえてこう表現しましょう」
『 (#'A゚) 』
カメラの端に映った男の姿は、形相は
(´・_ゝ・`)「『御業』です」
徳雄が本八へと向けた怒り、殺意など、ほんの片鱗に過ぎないと知らしめたのだった
113
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 12:07:52 ID:EXmg5ZGs0
(´・_ゝ・`)「で、この後です」
徳雄が迫るにつれ、振り返るペースも早くなる。最早、前など気にしている余裕など無いように見えた
迎えたカーブ。辛うじてバランスを保っていた前輪が正規のルートを外れ、ガードレールへと衝突
(;´・ω・`)「あっ……」
自転車から投げ出され、『向こう側』へと消えていった
『 (;'A゚) 』
気迫から一転、酷く焦った表情へと変わった徳雄が、ロードバイクから飛び降りて後を追った所で
(´・_ゝ・`)「ここまでです」
映像は終了した
(;´・ω・`)「っふー……」
(´・_ゝ・`)「幸いにも、後遺症が残る怪我では無かったそうです」
(´・ω・`)「でなきゃジョッキーなんてしてねえだろうよ。ブサイクはこの後……」
(´・_ゝ・`)「御察しの通り、この時期に自主退学をしています」
(´・ω・`)「メディアの反応は?」
(´・_ゝ・`)「スタミナ切れによる事故と報道していますね。宇都宮くんを非難するような記事は調べた限りでは見つかりませんでした。ただ……」
(´・ω・`)「大衆はそうではなかった。と」
(´・_ゝ・`)「ええ。あのルックスかつ、初の全国制覇を期待されていただけあって、ファンの数も多かった。彼らの落胆と憤りの矛先が、宇都宮くんに向かったものかと」
(´・ω・`)「……」
114
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 12:08:35 ID:EXmg5ZGs0
何年、何十年、何世紀経とうとも、言葉の暴力は人を病ませ、死に至らしめる猛毒を持つ
SNSという文化が発展し、その威力は増すばかりで、犠牲者が増えようとも止まることを知らない。だが
(´・ω・`)「アレがその程度で病むタマたぁ思えねえ」
(´・_ゝ・`)「そうでしょうか?」
(´・ω・`)「株主総会でボロクソに言われ続けてる俺を前にしても同じこと言えるか?」
(´・_ゝ・`)「オメーはまともな神経してねーからだろどこの業界に株主総会で殴り合いする代表取締役がいるんだよ」
(´^ω^`)「ここに」
(´・_ゝ・`)「死ね」
兎も角、徳雄がチャリオッツの勧誘を拒み、バイト先で『性格矯正』を行っていた理由は判明した
(´・ω・`)「合わす顔が、ねえって所か」
(´・_ゝ・`)「彼にとっても想定外の出来事だったのでしょうね」
『贖罪』の最中に突如、事情の知らない連中がズカズカと古傷を抉りに来れば、頭に血が昇るのも無理はない
比較的頭がまともな盛岡には、徳雄が抱く感傷にある程度の理解を示せる。ひょっとすると、追い詰められた者よりも深いトラウマとして心に刻み込まれているのかもしれない
『だからこそ』
(´・_ゝ・`)「獏良くんの存在は、宇都宮くんを手中に収める『一撃必殺』の策となるかと」
徳雄の苦しみを、最大限利用させてもらおうと思い立ったのだ
(´^ω^`)「ククッ……そいつぁ……」
(´・_ゝ・`)「『ドラマ』、でしょう?」
時を経て、場所を変え、あの日の勝負のケリを着ける。少年漫画さながらのシチュエーションに相乗りさせて貰う
厚かましい作戦だったが、これより有効な手段は思い浮かばない。そして実行に移すには、『下準備』が必要だった
盛岡は、改めてニヤニヤと意地悪く嗤う本八に向かって、本日三度目の言葉を繰り出した
(´・_ゝ・`)「『学校へ行きましょう』」
115
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 12:10:39 ID:EXmg5ZGs0
――――――
―――
―
(´・_ゝ・`)(はてさて……)
彼らの母校を訪ねた目的は二つある。一つは、徳雄が学校を辞めるに到った経緯の確認と推測の裏付け
十中八九間違いないとは考えていたが、万が一他の理由があるならば作戦を考え直さねばならない
もう一つが、『獏良 良樹』との会合の場を設ける為。村人学園があるこの『松千代市』では、近々隣接する『VIP市』と連携して『勝良祭』が行われる
当日のスペシャル・イベントとして、村人学園を卒業した獏良が所属する人気アイドルグループ『ハヤテ』のライブが開催されるのだ
そこで、祭りの運営にも携わっている稲荷校長に取り入り、接触の機会を作ろうという算段だった
(´^ω^`)「ガーーーーーッハッハッハッハ!!!!!!!!そりゃ先生アンタが悪ぃよ!!!!!!!!」
爪'ー`)「私も若かったってことですな!!!!!!!ワーーーーーーーッハッハッハッハ!!!!!!」
(´^ω^`)「だからって六股は若すぎだろーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!チンポ大魔神かよーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
爪'ー`)「ワーーーーーーーッハッハッハッハ!!!!!!!チンポ!!!!!!!!!」
(´^ω^`)「ガーーーーーッハッハッハッハ!!!!!!!!!!!チンポ!!!!!!!!!!」
(´・_ゝ・`)(アレと同レベルのクズで助かる)
幸いにも、稲荷校長はクズと馬の合うクズだったようで、盛岡は『さほど苦労はしないだろうな』と肩の力を抜いた
それは、ガワが立派でも中身がこんなんだと途端にしょうもなく見えてくる脱力感から来るものでもあった
116
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 12:14:10 ID:EXmg5ZGs0
(´・_ゝ・`)「ゴホン。よろしいでしょうか、稲荷校長」
爪'ー`)「おお!!あいや、すみません。つい盛り上がってしまいましたな」
(´^ω^`)「盛り上がんのは股間のテントだけでいいっつーの!!」
爪'ー`)「ワーーーーーーーッハッハッハッハ!!!!!!!!」
(´^ω^`)「ガーーーーーッハッハッハッハ!!!!!!!!!!」
(´・_ゝ・`)「……」
埒があかないのでクズ(上司の方)の顔面をテーブルに叩きつけ
(´・_ゝ・`)「よろしいでしょうか?」
爪'ー`)「はい」
やや圧を込めて、仕切り直しをした ※本八は死んだ
(´・_ゝ・`)「御校を卒業したチャリオッツプレイヤーで、今もっとも注目されているのはやはり獏良 良樹さんでしょう。差し支えなければ、彼の在学中の活躍をお聞かせ願えますか?」
爪'ー`)「ええ!!それはもう当然でしょう!!」
両の拳をギュッと握り、目をキラキラと輝かせる様は、教育者と呼ぶよりもスポーツファンといった有様だった
何事も『好き』は原動力だ。彼がスポーツに向ける情熱は、そのまま生徒への教育、支援へと繋がっているのだろう
中身は六股するようなチンポクズだが、名門校の名を貶めないだけの実力はあるのだろうと察せた
117
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 12:14:33 ID:EXmg5ZGs0
爪'ー`)「ロマンのある、走りをする選手でした。脚質はパンチャーでね、団子状態の集団から流れ星が通り抜けるが如くスッと飛び出すんですよ。平地のレースなら、そのまま後続をグングン突き放してゴールを切りました」
爪'ー`)「美男子なことも相まって、学内外問わずファンも多かった。我が校に置いては『上条二世』とまで称されてましたね」
(´・_ゝ・`)「……ですが、彼が挑戦したレースはほとんどがヒルクライムレースですよね?」
爪'ー`)「ええ。唯一、彼が勝ち取れずにいたステージです。ヒルクライムは体重が大きな要素として絡んでくる。皮肉にも、力強い抜け出しを産む『筋肉』が、ネックになっていたんでしょうな」
(´・_ゝ・`)「それでも、一年時には三位、二年時には二位と順位を上げています。あの調子なら、最後の高校生大会では一位もあり得たのでは無いでしょうか?」
爪'ー`)「ええ……」
本題に切り込むと、途端に稲荷は表情に少しばかり暗い影を落とした
徳雄がきっかけで起きたであろう事故は、やはり関係者にとっては好ましい物ではないらしい
爪'ー`)「あのレースをご覧にはなられましたか?」
(´・_ゝ・`)「アーカイブで、少し」
爪'ー`)「そうですか……では、『宇都宮 徳雄』くんの事もご存知で?」
(´・_ゝ・`)「……軽く、調べました。あまり良い評判は、得られませんでしたが」
118
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 12:16:38 ID:EXmg5ZGs0
爪'ー`)「……皆、彼に対して酷い誤解を抱いています」
『好ましくない』。盛岡の認識は間違っていなかった
ただしそれは、徳雄に向けられたものではなく、起こった『事故』そのものに対してだった
爪'ー`)「確かに、彼らはコインの表裏のように正反対の性格でした。社交的で交友も広かった獏良くんに対して、宇都宮くんは『一匹狼』という言葉の似合う、孤独でクールな生徒でした」
爪'ー`)「レース運びも、先頭集団から力強いアタックで抜け出す獏良くんとは対照的に、後方に陣取り脚を溜め、終盤にプレッシャーを与えながらロングスパートで追い詰めていく展開を得意としてました。小柄な体格ながら、その迫力は凄まじく、『鬼』に『迫る』と書いて『鬼迫』と称されていましたね」
(´・ω・`)「顔面の格差も酷えよな」
生き返ったんでもう一度顔面をテーブルの角に叩きつけてぶっ殺した。二度と生き返んなクズ
(´・_ゝ・`)「クズが失礼しました」
:爪;'ー`):「こわい」
無表情で流れるように暴力を振るうこのハゲが一番やべえよと、稲荷校長は恐怖による身体の震えを必死に抑えながら話を続けた
一方、ぶっ殺されたクズはビクンビクンと乳首を突かれたかのように痙攣を繰り返していた。ご多分に漏れず敏感なのであった
爪'ー`)「そんな正反対の二人でしたが、仲は非常に良かった。獏良くんは宇都宮くんの孤高とも呼べる、誰にも靡かず従わず、そして屈しない強い生き方に憧れを抱いており」
爪'ー`)「宇都宮くんは、『スター』とも称される人気に胡坐を掻かず、己を磨き上げ続ける獏良くんを心から尊敬していた。互いに、リスペクトする間柄でした」
(´・_ゝ・`)「……」
盛岡は、言わずもがな両名の事情など殆ど知らない。断片的に得られた情報から、関係を察する以外無い
稲荷校長の話からすると、二人は恐らく『親友』とも呼べる間柄だったのだろう。だから、余計に混乱をしてしまう
(´・_ゝ・`)「その……失礼なのですが、あのレースを目の当たりにすると、とてもそうとは思えません」
爪'ー`)「ええ、無理もないでしょう」
迫る徳雄への『恐怖』は、獏良を追う『殺気』は、互いに親友へと向けるような代物では無かったからだ
119
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 12:18:15 ID:EXmg5ZGs0
爪'ー`)「……競技とは残酷でしてね、誰しもが『一位』にはなれません。たった一席の玉座の為に、時には友すら蹴落とさねばならない」
(´・_ゝ・`)「……」
爪'ー`)「お互いに本気で勝ちを狙っていたからこそ、獏良くんは背後より迫りくる『敗北』に恐れを抱き、宇都宮くんは『殺してでも抜き去る』という、気迫を放った」
(´メ)ω(メ`) 死 DEATH
爪'ー`)「結果、疲労と酸欠による視野狭窄も加わって、あのような事故に繋がってしまった。ですが、そこに他意は無かった!!誓っても良い!!」
(´・_ゝ・`)「クz……稲荷校長……」
爪'ー`)「今クズって」
(´・_ゝ・`)「は?」
:爪;'ー`):「ヒィン……」※甜花ちゃん
後に稲荷校長は、『六股した彼女達に監禁されてもう二度とウンコ出来ないねえされそうになった時よりあのハゲが怖かった』と語ったと言う
爪;'ー`)「と、とにかく、獏良くんも宇都宮くんも、互いを尊重した上で全力で競い合っていた。彼らの事も良く知らずに、宇都宮くんへ誹謗中傷を投げかける輩がいたのには、腸が煮えくり返る想いをしました」
(´・_ゝ・`)「……宇都宮くんは、その後どうされました?」
爪'ー`)「程なくして、自主退学を。両親にすら行き先を伝えず、姿を消しました」
(´・_ゝ・`)「ケジメ……でしょうか?」
爪'ー`)「そうかも知れないし、バッシングに耐えかねての行動だったのかもしれない。獏良くんを追い詰めて、誰よりも消沈していたのは他でもない、宇都宮くんでしたので」
120
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 12:27:35 ID:EXmg5ZGs0
(´・_ゝ・`)「なるほど……」
綻び始めた口元を手で覆い隠した。ここまで御膳立てをされていると、神やら運命やらといった陳腐な言葉が妙な具体性を帯びてくる
後は稲荷校長を『此方側』へ引きずり込めば良いだけ。予め用意していた台本通りに、会合の機会を設けようとしたその時
(´ ω `)「ククク……」
クズがまた息を吹き返した。もしかしたら隻狼の末裔かもしれないね、ハム太郎
(´^ω^`)「青いねえ……青過ぎてアオハルかよって感じ」
爪'ー`)「は、はぁ……」
(´^ω^`)「俺から言わせりゃくだらねえ感傷で、勝負をなぁなぁで終わらせたブサイクがカス過ぎる。殺んなら最後まできっちり殺るべきだろ?違うか?」
爪#'ー`)「なっ……」
中退しようと、生徒は生徒。いくらクズ同士、気が合うとしても、出会って数時間も経っていない馬の骨に『カス』呼ばわりされる筋合いはない
苦い過去で哀愁に浸っていた校長は、一転して額に青筋を浮かべた。そんな彼を前にして尚、本八はスタンスを変えない
(´・_ゝ・`)(先を越されたか)
盛岡はそんな態度を諫めようともせず、静観に切り替えた。計画性という点に置いては自身が勝るが、『ライブ感』では本八が遥かに上回る
言わずもがな、台本の内容は本八も頭に入れてある。その上でこの発言に出たと言うことは、より『勝算』があると判断した上だろう
本八が巻き起こす口先八丁の『ライブ』。その手順は三つ
121
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 12:28:30 ID:EXmg5ZGs0
(´^ω^`)「望む望まねえ抜きにしても、最大のライバルが勝手に潰れてくれたんだ。千載一遇のチャンスを不意にして、栄光を逃すなんざぁ……ハハ、損以外の何モンでもねえ。そいつをさも美談かのように語るアンタにも失笑を禁じえねえよ」
爪#'ー`)「な、なんて事を!!貴方の発言は二人への侮辱だ!!撤回なさい!!」
ステップ① 乗せる
(´・ω・`)「ほう?俺は間違ってるか?なら逆にお聞きしたいんだがよ、『その結末で誰が納得した?』」
爪#'ー`)「納得……?」
(´・ω・`)「事故った獏良はどうだ?自身をここまで追い詰めた好敵手が、勝利よりも下手こいたテメーを優先した時の気持ちを考えたことあるか?それはそれは美しい友情だ。涙が出るよ。側から見りゃあな」
爪#'ー`)「獏良くんを助けに入った、宇都宮くんの行為が間違っていると?」
(´・ω・`)「ああその通り。奴の行為は、『競技』への否定に他ならない。アンタさっきこう言ったんだぜ?『時には友すら蹴落とさねばならない』ってな」
爪#'ー`)「っ……!!」
(´・ω・`)「屈辱だったと思うぜ〜?テメーの到らなさを、更に助長するような行為だ。男がそんな無礼た真似されちゃあ、腹も立たぁよ」
ステップ② 揺さぶる
122
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 12:29:47 ID:EXmg5ZGs0
(´・ω・`)「アンタはどうだ?校長先生よ。心の何処かで、『ガッカリ』しなかったか?」
爪;'ー`)「は……ガッカリ?」
(´^ω^`)「ラストスパート!!最後のォ、大勝負!!」
ガバッと勢いよく立ち上がると、左腕をグッと前方へと差し出し、右腕はジワジワと伸ばしていく
徐々に狭まっていく両腕の距離は、『レース』の有り様を表していた
(´^ω^`)「逃げる『スター』を追い詰める『鬼』!!親友同士の一騎討ち!!高校生最後の夏を懸けた真剣勝負!!」
爪;'ー`)「……」
(´^ω^`)「現地で観戦してたであろうアンタなら目に浮かぶ筈だ!!手に汗握った筈だ!!望んだ筈だ!!青春と友情をぶつけ合う、男の戦いの決着を!!」
『だが!!』と、口上を一発の拍手と共に打ち切り、テーブルに両手を着いて稲荷校長へと身を乗り出す
声色を熱気から冷気へと変えて、続け様に口撃を放った
(´・ω・`)「結末は両者リタイアによるノーゲームだ。どうだ?『落胆』したんじゃあないか?求めてたのは、教科書にでも載りそうな友情物語だったか?」
爪;'ー`)「ぐっ……」
(´^ω^`)「即答できなかったなぁ!?ああ、恥じるんじゃねえよ!!教師である前にアンタはスポーツファンだ!!美談よりもスッキリとした決着が見てえってのはサガだ!!ってな所で白状しよう!!俺らが欲しいのはどうでも良い学校の自慢話じゃなくて、『宇都宮 徳雄』そのものだ!!」
爪;'ー`)そ「えっ、あ……!?」
矢継ぎ早に捲し立てられ、話の処理にやや時間を要したが、腐っても教員である稲荷は早々に一つの結論へとたどり着いた
爪;'ー`)「う……宇都宮くんの居場所をご存知なのですか!?」
(´・ω・`)「ご存知も何も、ウチのバイト従業員だ。近々、俺が率いるチャリオッツチームへと引き抜くがな」
爪;'ー`)「じゃ、じゃあ……この会合は!?」
(´・_ゝ・`)「申し訳ございません。正直に申し上げまして、そのクズの言う通り貴方の話はクソどうでもよくて、本来の目的は宇都宮くんの勧誘材料を集める為です」ゴメンネ ヨワクッテ
爪;'ー`)そ「ええーーーーーーーーーーーー!!!!??????」
123
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 12:30:39 ID:EXmg5ZGs0
『いやでもこんな正直に言うか普通?』と、稲荷校長は二人の神経を疑いながら頭を抱える
本来ならば今すぐにでも警備員及び警察に通報してしょっ引いて貰うべきだが、彼らが持ち込んだ二つの楔が、稲荷校長の判断力を奪った
行方不明であった徳雄の居所と、親友にしてライバルだった獏良がプレイヤーとして活躍しているチャリオッツへの参戦
本八の話術に『乗せられ』『揺さぶられた』彼は、今や校長という権威の衣を剥ぎ取られた、ただのスポーツファンであった
爪;'ー`)「わ……」
困惑と脱力感は、稲荷校長の尻をピタリとソファーにくっ付けて離さない。重力に逆らおうとも、脚に力は入らない
身体を蝕む感覚は、長らく味わっていなかった『敗北感』。これより先、どんな言い訳をしようと、否定をしようと、『彼らには一切通じない』
齢六十。円熟を迎えた身には、自分よりも強い相手に逆らう反骨心はなく、じわりじわりと広がっていく『期待』を抑え込むブレーキも効こうとしない
爪;'ー`)「私に、何をしろと……?」
気づけば、『降伏』と同義の言葉を口に出していた
(´^ω^`)「なぁに、ちょいとクチ利いて貰いてえだけさ!!このガッコを卒業した、人気アイドルが所属するグループにな!!」
爪;'ー`)「……っふぅー……」
理解していた。明らかな『職権乱用』だと。ましてや、持ち掛けた側は学校にも個人にも何一つ関係ない危険人物
公にされれば懲戒免職は免れない。きっぱりと『NO』を突き付けて、すぐにでもこの話は忘れるべきだ。『悩むまでも無いはずなのに』!!
爪;'ー`)「……それで、私になんの利益が?」
(´^ω^`)「クククッ……」
『待ってました』と言わんばかりに、本八は稲荷校長の耳元に顔を寄せ
(´^ω^`)「見せてやるよ。『スター』と『鬼』の、殺し合いを」
と、囁いた
124
:
名無しさん
:2021/08/12(木) 12:44:09 ID:1MoQMPwI0
やったあ来てる!支援
125
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 12:51:32 ID:EXmg5ZGs0
爪;'ー`)「ッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
『やった、やった、やってしまった!!』。稲荷校長はすぐさま後悔した。『これは悪魔との契約だ!!』と
教員として努めたこれまでの人生や、生徒や卒業生からの信頼。その全てを裏切ってでも―――――
爪;'ー`)「『見たい』ッ……!!」
流星が如く現れた新進気鋭のジョッキー『獏良 良樹』と、悪鬼が如く彼を追い詰めた好敵手『宇都宮 徳雄』の再戦を求めた
(´・ω・`)「決まりだな」
ステップ③ 掻っ攫う
本八が差し出した手を、稲荷は強く握り返す。己の欲望に忠実で、身勝手な大人たちが手を組んだ瞬間であった
爪;'ー`)「末恐ろしい方だ。ですが、貴方にあの『鬼』が乗りこなせますかな?」
(´・ω・`)「ただのジョッキーで満足するような俺じゃあねえよ。女と同じで、危ねぇくらいが興奮するんだよ」
爪'ー`)「フ……」
(´^ω^`)「クク……」
<ワーーーーーーーーーーーーーーーーーーッハッハッハッハ!!!!!!!!!チンポ!!!!!!!!!!!!
<ガーーーーーーーーーーーーーーーーーーッハッハッハッハ!!!!!!!!!!チンポ!!!!!!!!!!!!
(´・_ゝ・`)「じゃあ私は直帰するんで後はチンポクズ同士ごゆっくり」
盛岡は早々に席を立ち、校長室を後にする。入れ替わりで
(#∵)「とても神聖な学び舎で男性器を叫ぶ不審者がいる部屋はここかぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
(#∴)「とても卑猥な口を利けねえようにぶっ殺してやる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
警備員が突入し、二人分の悲鳴が響き渡ったのであった――――――
126
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 13:05:13 ID:EXmg5ZGs0
―――――
―――
―
二週間後、勝良祭当日
(;´メ)ω(メ`)「ハァ……ハァ……」
(;´メ)_ゝ(メ`)「ハァ……ハァ……」
金で雇った屈強な面々「「「「「ハァ……ハァ……」」」」」
|;;;;|;,'っノVi ,ココつ「ええ〜……」
(#'=`)「ンンンンンンーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
『OHANAMI』開店前、十五人掛かりで徳雄一人を確保した
まさかスタンガン読みして捌いた後に社長(クズ)と言えども容赦なく鳩尾、喉、人中(鼻の下にあるなんかすごいいたいところ)に三連撃かますとは思わんやんただのバイトやでこいつ
念の為に待機していた腕自慢の屈強な男たち十三人を導入してもたっぷり十五分の抵抗をされて、お互い満身創痍になったところでようやくお縄となった
因みに、腕自慢は八人が敢えなく失神。一部始終を目撃した店長のお膀胱は決壊寸前だった。後に彼は「やはりあなた達はワカってない。宇都宮 徳雄という人物を」と長きに渡って語る事となる
(;´メ)ω(メ`)「ブサイクが手こずらせやがって……おい、連れてけ」
金で雇われた屈強な面々「「「「「ウーーーーーーーーーーーーーーーーーッス!!!!!」」」」」
各々、屈強なポージングで応える面々。そこまで鍛えるには眠れぬ夜もあっただろう
(#'=`)「ンンンンンーーーーーーーーーー!!!!!全員ぶっ殺すンンンンーーーーーーーーー!!!!!!!」
猿轡を貫通する理にかなった殺意であった
( ´メ)ω(メ`)「ああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん??????聞こえんなぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜???????生殺与奪の権を他人に握られた負け犬の戯言はよぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」
(´メ)_ゝ(メ`)「お前本当に宇都宮くんを引き入れる気あんの?」
普通に考えたら拉致った段階で無理だろうが、クズは頭の中も都合の良いクズなんでここから逆転する気満々の満であった
127
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 13:05:37 ID:EXmg5ZGs0
( ´メ)ω(メ`)「よし、急ぐぞ。お騒がせ四万十川」
|;;;;|;,'っノVi ,ココつ「アッハイ……」
一礼の後、駐車場に停めていたヘリコプターに颯爽と乗り込むクズとハゲ
ドアを閉めると、ローターがバオー来訪者のような音を立てて飛び立った
ヘリコプター「バルバルバルバル!!!!!!!!」 ※バオー・ブレイク・ダーク・サンダー・フェノメノン
|;;;;|;,'っノVi ,ココつ「な、なんだったんだ……?」
小さくなっていくヘリコプター来訪者をポカンと眺めていると、新たに
「「「「「「「「「「「「「ウーーーーーーーーーーーーーーーーーッス!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」
割烹着姿の屈強な面々、総勢十三名が颯爽と現れた
|;;;;|;,'っノVi ,ココつ「な、なんだぁ!!!!!!??????」
筋肉の高圧洗浄機ことお片付けのプロ総勢十三名は、肉密度1000%で荒れた店内のお掃除を開始
乱闘でズタボロボンボンになった店内は、開店前には既に元通りになったという
128
:
◆L6OaR8HKlk
:2021/08/12(木) 13:06:56 ID:EXmg5ZGs0
( = ) スン……
B.A.バラカス通称コングメカの天才の側面がある可能性を考慮して、徳雄をヘリに乗せた瞬間に麻酔を打ち込み昏睡させる
常人ならば『ヤバ谷園……息してなくない?』と思わずオタクに優しいおギャル様になるくらい静かに眠っているので不安になる所だが、クズもハゲも人でなしなんで一ミリも動じなかった
(´・ω・`)「大人しく着いてくりゃあ、痛い目に遭わずに済んだのによ」
(´・_ゝ・`)「次からテーザー銃を用意しましょう」
(´・ω・`)「それより猛獣用の麻酔銃の方が手っ取り早くないか?」
金で雇われた屈強な面々は思った。「この人ら和菓子会社の社長と秘書やんな?」と
(´^ω^`)「さぁ時間はねえぞ飛ばせ飛ばせ!!!!!目指すは松千代市、勝良祭会場だ!!!!」
こうして、当の本人たちは一切の事情を知らされず、数年ぶりの再会計画は慎重かつ大胆、それでいて口当たりよくまろやかに進められていった
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