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昔桃子やベリの学園小説書いてた者だけど〜新狼
222
:
1
:2015/08/31(月) 04:24:59
いくらオカマとはいえ…
ここまでやっていいものなのか。
(宮本…、合唱部辞めて大正解)と、俺が心の中で思ったとき、
「噂には聞いてたけど…、凄いね…」と、呆れたように鞘師が呟いた。
「あのな、優樹」
「なあに兄ちゃん?」
「菅井先生って、みんなにこういうことすんのか?」
「まーちゃんにはしない」
「何で?」
「歌の下手な子にだけするから」
「あのなあ…」
「でも菅井先生来てから、あーりーはすごく歌上手くなったよ」
「お前、ずいぶん上から目線じゃん(笑)」
223
:
1
:2015/08/31(月) 04:25:29
とはいえ…
確かに、植村本人も「菅井ちゃんの指導を受けたら実力がアップする」と真顔で言っていたし、
別に嫌がっている風ではなかったのだ。だとすれば俺たちが口を出す問題ではない。
「優樹、その写真、俺のスマホに送ってくれ」
「わかった」
優樹が俺に写真を転送したのを見届けてから、俺は優樹のスマホを取り上げた。
「あっ! ちょっと!何するの!まーちゃんのスマホ!」
「こっちの写真は消去するからな」
「きゃーっ!やめて!」
「悪いけどな、この写真はボツだ。これが世に出たら、菅井ちゃん叩かれるかもしれんだろ。そしたら一番困るのは植村だ」
「キャーッ!返して!キャーッ!」
優樹のキンキン声に耳をふさぐ鞘師。
224
:
1
:2015/08/31(月) 04:25:57
「酷い!兄ちゃん!勝手にまーちゃんの写真消すなんて最低!」と、優樹は俺に抗議した。
「あのな…、何でもかんでも撮ればいいってもんじゃないんだぞ」
「何でもいいから撮ってこい、って自分で言ったくせに!」
確かにそう言ったのは俺の方だったのだが…
「まあ…、また別なの撮ってこいよ」
「もういい!知らない!」
「でも優樹、写真の構図とかはすごく上手かったぞ」
「そんな見え透いたお世辞言って…」
すると、鞘師が助け舟を出すつもりなのか
「うん。本当に上手かった。表情もよく出てたし」と優樹に言った。
「ホント?」と鞘師を見上げる優樹。
225
:
1
:2015/08/31(月) 04:26:30
優樹はしばらく鞘師の顔をまじまじと見つめてから、
「じゃあいいや。まーちゃん、合唱部のみんなとお昼ご飯食べに行くから戻る!」と言うと、暗室を飛び出していった。
時計を見ると、もうすぐ12時になるところだった。
「鞘師、俺たちもそろそろメシにするか?」
「そだね」
俺が薬品を片づけだすと、鞘師が「ところで、優樹ちゃんの写真消す前に、何で自分のスマホに転送したの?」と聞いてきた。
俺は一瞬たじろいだ。
(植村の舌を触る妄想で、夜のおかずにするため)なんて、正直に言えるわけがなかった。
「ま、まあ…、見ようによっては確かにいい写真だったし…、植村本人には渡しておこうかと思って…」
「そうなんだ」
226
:
1
:2015/08/31(月) 04:27:06
薬品を片づけ終わり、俺たちはメシにすることにした。
暗室の中は涼しくていいのだが、さすがに薬品の臭いのするところでは食欲が湧かない。
俺と鞘師は手近な空き教室でメシを食うことにした。
鞄の中から、いそいそとお握りの包みを取り出した鞘師は、
「口に合うかどうか、分からないけど…」と、赤い顔で俺を見上げてきた。
鞘師の作ってきたお握りは…
正直言って、ちょっと大きすぎたし、形も不恰好で不揃いだった。
(きっとこういうの、あんまり作ったことないんだろうな…。でも、この手で一生懸命握ってくれたんだな…)
俺は思わず鞘師の両手を見つめた。
「えっと…、どうかしたの?」と怪訝そうな顔の鞘師。
俺は慌てて、「んじゃ、いただきます」と、そのうちの一つをつまんだ。
227
:
1
:2015/08/31(月) 04:27:29
俺がおにぎりを食べるのを、鞘師は不安そうな表情で見てから、「どう?」と聞いてきた。
正直言って…
塩味が足りなすぎる。
具のおかかも片方に寄り過ぎいて、こぼれてきそうだった。
俺はそんな気持ちを表情に出さないように頑張りながら、「うん、おいしいよ」と答えた。
「ホント?」
鞘師の表情がパッと明るく花開いた。
228
:
1
:2015/08/31(月) 04:28:00
「でも、鞘師は何でわざわざお握りなんかつくってきてくれたの?」と俺は聞いた。
「かえって迷惑だったかな?」と鞘師。
「いや、すごくうれしいけどさ」と俺。
「ほら、真野センセイに…」
「真野ちゃんに?」
「『○○クンがいい写真撮れるように、私もできることは手伝う』とか、私偉そうに言っちゃったじゃん」
「あー…」
「でも、よく考えたらさ…、私に手伝えることなんか何もないし…」
「そんなこと鞘師が気にせんでも…」
「せめてお弁当でも、って思ったんだけど…、おにぎりくらいしか作れなかったんだよね。ごめん」
俺は目の前のコイツを抱きしめたい衝動に駆られた。
229
:
1
:2015/08/31(月) 04:28:21
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、
鞘師は「さあ、あんまり時間ないから、早く食べて、練習しよう」と俺を促した。
「お、おう…」と俺も応じて、おにぎりをもう一個腹に詰め込んだ。
メシを食い終わって、練習を始めると、鞘師の要求はいつもよりも厳しかった。
「こっちも写真に協力するんだから、○○クンももっと気合入れてダンスの練習してよね」と、
鞘師は冗談とも本気ともつかない顔で俺に言った。
230
:
1
:2015/08/31(月) 04:28:45
二人きりの練習は瞬く間に過ぎ…、
練習が一段落したところで、俺は鞘師に聞いた。
「なあ鞘師…」
「何?」
「俺少しはうまくなってるのかな?」
「…まだ始めたばかりじゃない。焦ることないって」
「だけど、大会なんてすぐだろ。足を引っ張るだけじゃなあ…」
「…やっぱり、ダンス部辞めたいの?」
「そんなことないけど」
「じゃあ、そういうこと言わないの」
231
:
1
:2015/08/31(月) 04:29:17
まるで子供をあやす母親のように俺に言う鞘師の態度に、
俺はちょっと安心して、軽口を叩きたくなった。
「でも俺、自分のことはわからんけど、上手い人のすごさはちょっとずつ分かってきたぞ」
「へえ、どううこと?」
「上手い人って、軸がブレないよな…。鞘師もそうだけど、清水センセイは凄いな」
「あっ、そう思う?」
「うん。それと何ていうか…、清水センセイのダンスは生々しくて…」
「えっ?『生々しい』?」
「うん。うまく言えないんだけど、動きがエロいって言うのか…、清水センセイのダンスを見てるとすごくエッチな気分になる…」
232
:
1
:2015/08/31(月) 04:29:54
鞘師の表情が固まった。
(しまった!調子に乗りすぎたか…)と俺は後悔した。
何て言い訳しようか、と俺が焦っていると、
「やっぱりそういうのってあるのかな…」と、鞘師が真っ赤な顔をしてつぶやいた。
「すまん、何かスケベな話して」
「いや、実は私も薄々感じてはいたんだ。清水先生にはあって、私には決定的に足りない何かがあるって…」
「えっ?」
そこまで言うと、また鞘師は黙り込んだ。
「いや、変なこと言って、本当にゴメン」と、俺が慌てて言うと、
「いいよ。別に気にしてないから。それより、もうすぐ1時になるから、休憩しようか」
と、鞘師は変に取り繕ったような笑顔を見せた。
233
:
1
:2015/08/31(月) 04:30:24
1時の全体練習開始まで、10分くらい休み時間があった。
俺は今のうちに、合唱部が練習している音楽室に行って、
植村に例の優樹が撮った写真を渡しておこうと思った。
まあ、本当はそんなものをわざわざ渡す必要もなかったのだけど、
さっき鞘師に「植村本人に渡す」と言ってしまった以上、
何かの拍子に渡してないことがバレたら、変に勘ぐられるんじゃないかとか、
まあ、童貞特有の被害妄想があったからなのだが…
234
:
1
:2015/08/31(月) 04:31:29
音楽室に行くと、ちょうど合唱部も休み時間だったのか、人影はまばらだった。
俺は中を覗きこんで、まず優樹がいないのを確認すると、少しホッとした。
「あっ、○○君じゃん。何か用?」
後ろから話しかけられて振り向くと、同じクラスの小田さくらが立っていた。
「お、おう、小田か。そういえば、お前も合唱部だったっけ」
「そうだよ」と、ニコニコ笑う小田。
俺は周りを確認すると、思わず声を落として、「あのさ、植村いる?」と聞いた。
小田は一瞬、俺を馬鹿にしたように目を細めて、「ふーん…」と言った。
「『ふーん…』って、何だよ」
「はいはい。ちょっと待ってね」と言うと小田は、いきなり、「植村さーん!」と大声を上げた。
小田に呼ばれて、教室の奥の方から出てきた植村は、
「えっ、○○クンじゃん、何?」
と、ちょっとクールな表情で聞いてきた。
「あのな、実は…」
俺は、優樹が撮った例の写真について説明しながら、スマホの画面を植村に見せた。
怒るかな、と思ったけど、予想に反して、植村は写真を見ると、
「あはははは」と、豪快に笑い出した。
235
:
1
:2015/08/31(月) 04:31:54
「あははは。まさきちゃん、いつ撮ったんだろ?」
植村は手を叩いて爆笑した。
「あいつ、こんな写真撮ってきて…。すまんな。この写真はボツにするから。一応報告に来ただけ」
「えっ?何でボツにしちゃうの? 面白いじゃん」
「えっ?」
あっけらかんとした植村の返事に、俺の方があっけにとられてしまった。
236
:
1
:2015/08/31(月) 04:32:15
「私は別にいいよ。面白いじゃん」と植村は言った。
「そ、そうか? 確かに菅井ちゃんの表情もいいし、面白い写真ではあるんだが…」
「使おうよ」
「でもさ、このレッスン見たら、セクハラって思う人もいるんじゃないか?」
「えーっ?そうなの?」
「うん。それで問題になったりしたら、合唱部にも迷惑かかるんじゃないかと思って…」
「そうかな…?」
あまり納得してない様子の植村だった。
「うん。たぶんそう思う」
俺がそう断定すると、植村は思いもかけないことを言い出した。
237
:
1
:2015/08/31(月) 04:32:49
「なんだ。せっかく展覧会の写真に出してもらえると思ったのに。じゃあさ、
代わりに○○クンが責任とって、私の写真撮って展覧会に出してよ。そしたら許したげる」
そう言って、小悪魔のように俺を見上げる植村の表情に一瞬ドキリとした。
「いや…、そんなのはお安い用だけど…」
「じゃあ、今撮ってよ」
「スマン…。今カメラ、暗室に置いてきちゃって…」
完全に予想外の展開に、俺は焦りまくった。
「あー、ダメだなあ。写真部員ならカメラぐらいいつも持ち歩くんだぞ」と、
俺をからかうように植村は言った。
「す、すまん」
「それじゃ練習何時に終わるの? その後でいいよ」
238
:
1
:2015/08/31(月) 04:33:12
植村とそんな話をしていて、ふと時計を見上げると、もうすぐ1時になる寸前だった。
「やばい、俺戻らんと」
「うん。じゃあ後でね」
植村と別れてダッシュで練習場所に戻ると、すでに全員集まっていて、
清水センセイが話を始めている最中だった。
「あら、遅いじゃない」と清水センセイ。
「す、すみません」慌てて謝る俺。
そんな俺を咎めるような目で見つめている鞘師と、
ニコニコと楽しそうな目で見つめている宮本…。
239
:
1
:2015/08/31(月) 04:33:35
そのあとの数時間…
俺は雑念を振り払って、練習に集中した。
この間みたいに、鞘師に『心ここにあらず』なんて、見抜かれてはたまらない。
そんな俺を見て、
「あら、結構うまくなってきたじゃない」と清水センセイが微笑みかけてきた。
「そうですか?」
俺が思わず笑顔で聞き返すと、横から鞘師が
「いえ、まだまだ全然だと思います。○○君には、こんなレベルで満足されちゃ困ります」
と、冷ややかな口調で割り込んできた。
「えっ、まあ、それはそうだけど…」
鞘師に気圧された感じの清水センセイだった。
俺もまた、シュンとなった。
240
:
1
:2015/08/31(月) 04:34:00
その日の練習が終わると、清水センセイが、
「ところでみんな、明日の練習は休みにするから」と突然言い出した。
顔を見合わせて、ざわざわとする女の子たち。
「先生、明日は日曜でもないのに、何でですか?」と高木さんが聞くと、
「だって、日曜だと千奈美が休めないし…」と、清水センセイは独り言みたいに言った。
女の子たちはキョトンとしていたけど、俺にはすぐにピンときた。
(ははあ…。要するにセンセイや姉ちゃんたち、今晩飲む気なんだな…。それで明日は学校に来たくない、ってことか…)
正直、俺は少し呆れた。
241
:
1
:2015/08/31(月) 04:34:31
清水センセイの一方的な宣言で、練習はお開きになった。
鞘師が何か言いたそうな目で俺を見ていたから、近寄ろうとすると、
「○○クン!」と、俺は後ろから呼び止められた。
宮本だった。
「何?」と、俺は、鞘師の視線を気にしながら聞いたけど、
宮本はそんな俺の様子に気づいた風でもなく、
「あのね、今度の夏祭りなんだけど…」と、早口で話し出した。
その時、教室のドアが開いて、いきなり植村が入ってきた。
植村はまっすぐに俺の方に進んでくると、
「ダンス部練習終わった? こっちも終わったから来たよ。ねえ、どこで写真撮ってくれるの?」
と、ニコニコと微笑みながら聞いてきた。
瞬間、表情を凍りつかせる宮本。
鞘師の方は…、怖くて見られなかった俺だった。
242
:
1
:2015/08/31(月) 04:34:55
植村は宮本に気付くと、
「りんかじゃん! あっ、もしかして、何か話してる途中だった? ごめんごめん、割り込んじゃって。
先にそっちの話済ませちゃってよ」と、屈託のない笑顔で言った。
宮本はぎこちない作り笑いを浮かべながら、
「ううん。もう話済んだから、いいよ。うえむー」と言い出すと、
「じゃあね…」と、足早に教室を出て行ってしまった。
「ゴホン」と、わざとらしく咳払いをして、ゆっくり教室を出ていく鞘師。
ほかの女の子たちは、何事かと、好奇の視線でこちらを見つめている。
「ねえ、ここで撮るの?」と、何も気づかない様子で植村が首をかしげて聞いてきた。
「い、いや…。ちょっと近所の公園にでも行こうか」と、俺は植村を促した。
243
:
1
:2015/08/31(月) 04:35:20
「うん。いいよ」と、
植村はニッコリ笑って、教室の外に向かって歩き出した。
女の子たちの視線から逃れることができて、俺は一瞬ホッとしたけど、
教室の外に一歩出た途端、植村は笑顔を消して、
「ゴメン! 私、空気とか全然読めなくて! なんか悪いことしたみたいだよね?」
と、突然俺に謝りだした。
お気楽に見えたけど、植村だって何も気づいてないなんてことは、なかったのだ。
244
:
1
:2015/08/31(月) 04:35:43
「えっ、いや…、別に植村が謝るようなこと、何もないと思うけど」
「でも、りんかも行っちゃったし、鞘師さんも何か睨んでたし…」
「そ、そうか?」
「うん。〇○クン、りんかと何か話してる途中だったんでしょ? 何の話だったの?」
「いや…、俺もよくわからん」
何の話かはわからんけど、宮本が怒って帰ったのは事実なんだろう。
それに、確かに鞘師も怒っていたのか、呆れていたのか…。
もしかしたら、愛想を尽かされてしまったのかもしれない。
でも、そんなことを植村に言ったって仕方あるまい。
悪いとすれば、俺なのだ。
245
:
1
:2015/08/31(月) 04:36:09
そんなことを考えていると、
「なんか大変そうだね。女の中に男が一人って…」と植村が言った。
「う、うん。まあな…」
俺は言葉を濁した。
「でも、この間さあ、『〇○クンは佳林狙いなの?』とか聞いたけど…」
「ん?」
「なんかさっきは、むしろりんかの方こそ〇○クンに気があるみたいに見えたな」
「おい、待て…」
「りんかもハッキリしたらいいのに。私、りんかに言ってやろうか?」
「言うって、何を?」
「『愛してるわ』と言え、って」
植村が真顔で俺の目を覗き込んできた。
246
:
1
:2015/08/31(月) 04:36:32
「おいおい、いきなり『愛してる』とか、飛躍しすぎだろ…」
俺は慌てた。
「そうかな?でも…」
「でも?」
「そういうことって、はっきり口に出さなきゃ…」
「出さなきゃ?」
「すごいやばい、っていうのか…」
「ちょっと植村、お前何言ってるか分からない」
「あー、もう! 私国語苦手だから、うまく言えないよ!」
公園に向かって、俺の少し前を歩いていた植村が、
そう言うと、ようやく笑顔を見せて振りむいた。
「おっ、いただき!」
俺は思わずカメラのシャッターを切った。
<その時の植村・イメージ画像>
http://i.imgur.com/z6pfa4E.jpg
247
:
1
:2015/08/31(月) 04:38:01
>>245
と
>>246
の間にこれが抜けてた
<その時の俺の脳内イメージソング>
https://www.youtube.com/watch?v=rh8eeteWbHc
248
:
1
:2015/08/31(月) 04:38:31
俺たちは、そこからすぐの公園に移動して、何枚も写真を撮った。
ファインダーを通して見る植村は、可愛いというのか美しいというのか、
それはまあ、最高のモデルだった。
「しかし綺麗だな、植村…」
そんな言葉が、ため息とともに、ごく自然に何度も口をついて出た。
そのたびに植村は「あはははは。褒めすぎだよ」と笑った。
(少し馴れ馴れしいな、俺)と思ったけど、
それでもやはり、「うーん、綺麗だわ…」と、またつぶやいてしまう俺だった。
しばらく撮り続けた後、
「それじゃ、もういいかな? 写真できたら頂戴ね」と植村が微笑んだ。
「お、おう」と俺が返事をすると、植村は「じゃあね」と、電停の方に駆けていった。
249
:
1
:2015/08/31(月) 04:39:49
余韻に浸りながら植村の後ろ姿を見送っていると、
「呆れた…。本っ当に誰にでも『綺麗だ』とか言うんだね」と、後ろから声がした。
「えっ?」
慌てて振り向くと、そこに田村が腕組みをして仁王立ちしていた。
「な、なんだ…、めいかよ。見てたのか?」
「見てたのか、じゃないわよ! あー、もう鼻の下伸ばしちゃって…、見てらんなかったわよ!」
早口でまくし立ててくる田村に対して、俺は必死に言葉を探した。
「でもめい、実際植村綺麗だったろ?」
「そりゃあ、そうだけど…」
「それにな、俺は部活のために写真撮ってるんだ。撮るためならたとえ少々のブスにだって、
『綺麗だ』とか褒めて、気分よくポーズしてもらわんと、作品なんかできんだろ」
「そんなこと言って誤魔化して…! あー、もう、やっぱり頼むのやめようかな…?」
口をとがらせて俺を見上げる田村に、
「『頼む』って何を? 何か俺に用事でもあったの?」
と、俺は聞き返した。
250
:
1
:2015/08/31(月) 04:40:11
「うーん…」と、田村は言いよどんだ。
「まあ、座ろうぜ」と俺は言うと、公園のベンチに腰を下ろした。
少し遅れて、田村が俺の横に並んで座った。
「で、何の用?」
「実はね…、今練習してる演劇なんだけど…」
「うん」
「男の子とデートするシーンがあるんだけどさ…、めい、男の子とデートなんてしたことないから…、
うまく演じられなくて、失敗ばかりして…」
「そなの?」
「そしたら須藤さんが、『誰でもいいから男の子とデートしてこい。○○クンでいいんじゃないの?』って」
「『俺でいい』、だと…?」
「めいじゃなくて、須藤さんにそう言われたの!」
と、田村は耳まで赤くして、怒鳴った。
251
:
1
:2015/08/31(月) 04:40:35
「そりゃまあ…、須藤さんにそう言われたんなら、仕方ねえな…」
俺は照れくさくなって、田村と視線も合わせずに答えると、
「あのね、頼んどいてこう言うのも何だけど、めいだって仕方なくなんだからね!」
と、田村は口をとがらせた。
「須藤さんは、『一緒に花火大会見てこい』って。今度の夏祭りの…」
「ん、ああ…。分かったよ」と俺は返事をした。
そういえば、どこかで何か夏祭りの話を聞いたような気もするのだが、思い出せなかった。
252
:
1
:2015/08/31(月) 04:40:59
これから、例のANGERMEにバイトに行くという田村とは、その場で別れ、
俺は一人で学校に戻った。
今日のうちに、さっきの植村を撮ったフィルムを現像しておきたかったのだ。
誰もいない暗室で、フィルム現像をし終えると、夕方を通り過ぎて、夜になってしまった。
仕上がったネガは満足のいく出来栄えで、俺はすぐに引く伸ばしもしたかったけど、
さすがにそれは、今日は時間的に無理そうだ。それに少々腹も減ってきた。
(今日引き伸ばせなかった宮本の写真と合わせて、また後日にしよう)
と、俺は思った。
宮本と言えば、さっき何か俺に言いたそうにしていたけど、何か用でもあったのかな…。
そんなことを考えながら、俺は暗室の後片付けを済ませて、一人でチャリに乗って家に向かった。
253
:
1
:2015/08/31(月) 04:41:16
家の前は、電気も点いておらず、真っ暗だった。
「誰もいないのか?」と一瞬考えてから、
そういや、両親が今日から旅行に出かけていて、しばらく不在になることを思い出した。
それにさっきの清水センセイの口ぶりだと、千奈美姉ちゃんは、きっと今日、
センセイたちと飲み会なのだろう。帰りは遅くなるに違いない。
「自分でメシを作らなきゃな…」と考えながら、俺は家のカギを開けた。
254
:
1
:2015/09/07(月) 04:22:50
腹が減ってはいるものの、自分でメシを作ることを考えると、やはり億劫だった。
(コンビニにでも行こうかな…、いや、金がもったいないな)
そんなことを考えてダラダラしていると、どんどん時間が過ぎていった。
(もういいや。カップ麺でも食おう。台所の収納の中にあったよな)
部屋を出て、台所に向かおうとしたその時、玄関の方からガラガラと扉を開く音と、
ガヤガヤとした話し声が聞こえてきた。
(何だろう?)
見に行くと、千奈美姉ちゃんと嗣永、清水の両センセイ、須藤さん、
それに、背の高いお姉さんと、金髪のスリムなお姉さん…の、どちらも初めて見るけど、
すごい美人の2人…、全部で6人がぞろぞろと家に入ってくるところだった。
「飲み会やってたんじゃないの?」と俺が聞くと
从*´∇`)<うん。うちで二次会やることなった!
と、姉ちゃんが笑った。
255
:
1
:2015/09/07(月) 04:23:44
「うわー!キミ、ちいの弟さんなんだー、そっくりじゃん!」と、
金髪のお姉さんが俺を見て叫んだ。
「あっ、どうも」と俺が言うと、
「私は雅。ミヤって呼んでいいよ。こっちは熊井ちゃん」と、そのお姉さんがニコニコと笑った。
結構なテンションの高さに、
(ちょっと酔ってるのかな)と俺は思った。
嗣永センセイは俺を見ると、「よっ!邪魔するよ」と言って、笑った。
俺は嗣永センセイに聞いてみた。
「あの、この間見せてもらった写真に写っていた、赤いエプロンの人はいないんですか?」
「えっ、ちゃんりー? ああ、あの子だけ、今日は最初から来なかったんだ」
すると、清水センセイが
「えっ、ちゃんの話? 何で〇○クンがちゃんのこと知ってるの?」と、話に割り込んできた。
「この間、写真見せたら『一番かわいい』って、ちゃんりーを指さして…」と嗣永センセイ。
清水センセイも嗣永センセイも結構酔っぱらってるような雰囲気だった。
こんなところにいつまでもいるのは危険すぎる。
カップ麺のことは諦めて、部屋に戻ろうとしたとき、
从*´∇`)<あっ、焼酎買うの忘れた! ちょっとアンタ! おつかい行ってきてくれない?
と、姉ちゃんが俺を呼び止めた。
256
:
1
:2015/09/07(月) 04:24:10
「えっ、カンベンしてくれよ…」と俺が断ると、
从*´∇`)<いいじゃん、お小遣いあげるから、頼むよ!
と姉ちゃんが言った。
小遣いをくれるというなら、まあ行ってやってもいいのだが…
その時、嗣永センセイと目があった。
「やっぱ姉ちゃん、ダメだよ。未成年が酒なんて買いに行ったらまずいだろ」
と、俺は慌てて断ったけど、
「別に、いんじゃね?」と嗣永センセイ。
「うん。いいよね」と清水センセイ。
从*´∇`)<ほら、教師が二人ともいいって言ってるんだから、買ってきてよ!
と、俺は姉ちゃんに押し切られた。
257
:
1
:2015/09/07(月) 04:24:31
从*´∇`)<じゃあ、大五郎のペットボトルと、生ハムと…
千奈美姉ちゃんが言い出すと、
「私はさきいか!」
「私は抹茶アイス!」
と、あちこちから声が上がった。
俺は「はいはい」と、言いながら紙にメモをとって、家を出た。
258
:
1
:2015/09/07(月) 04:25:22
俺は近所のコンビニに向かって歩いて行った。
そのコンビニはいつも、やる気のないおじさん店長がレジにいて、
俺が未成年と知ってはいても、何にも言わずに酒を売ってくれるのだ。
だから俺は両親や姉ちゃんから、たまに酒のおつかいを頼まれるとここにくるのだ。
まあ、田舎にはよくあることだ。
そのコンビニに入った途端、
「いらっしゃいませー! ただいま、からあげクン揚げ立てでーす!」
と、いきなりかわいい女の子の声が聞こえてきて、俺はびっくりした。
レジを見ると、見たことのないお姉さんが、こちらを見てニコニコしていた。
<コンビニのお姉さん・イメージ画像>
http://i.imgur.com/4Ma9CRK.jpg
259
:
1
:2015/09/07(月) 04:25:57
俺はメモを見ながら、頼まれた品物を探して、かごに入れていった。
全部集めてレジに持って行くと、お姉さんがバーコードで商品を読み取り始めた。
大五郎のペットボトルにバーコードリーダーをかざした時、
「年齢確認が必要な商品です」と、電子音声がレジから聞こえてきた。
俺が何の気なしにタッチパネルを押そうとしたとき、
「ちょっと待って! キミ、高校生じゃないの?」と、
お姉さんが、訝しげな顔つきで聞いてきた。
「はい?」と俺。
「はいじゃないが」とお姉さん。
260
:
1
:2015/09/07(月) 04:26:44
(まいったな…)と、俺が思ってると、
「やっぱり君、高校生なんでしょ? ダメじゃない、お酒なんか」と、
お姉さんが咎めるように言った。
「いや、俺が飲むわけじゃなくて、家族に頼まれて…」と俺が答えると、
「あのね、たとえおつかいでも、未成年には売っちゃダメって決まってるんだよ」
と、お姉さんが、今度は諭すように言ってきた。
「でも、いつもここの店長さん、売ってくれますよ」
「えっ、パパが? 本当? しょうがないなあ…」
呆れたような口調だった。
「『パパ』って、お姉さん、ここの家の娘さんなんですか? 初めて見たけど」
「うん。普段は東京の学校に通ってて、今はたまたま帰省中だから、仕事手伝ってたの」
「あのー、都会の人には分からないかもしれないけど、
この辺じゃ、お酒のおつかいなんて、普通のことなんっすよ」
俺は柔らかくいったつもりだったけど、その一言にお姉さんはカチンときたようだった。
「あのさ…、キミ、どこの高校なの?」
261
:
1
:2015/09/07(月) 04:27:16
何か面倒くさい話になりそうだった。
逃げようか、と一瞬思ったけど、今さらそれもカッコ悪すぎる…。
「××高校ですけど…」と、俺が答えると、
「××高って、愛佳の学校じゃん」と、お姉さんはつぶやいた。
(えっ、愛佳って…、まさか…)
と、考える間もなく、いきなりお姉さんが携帯電話をかけ出した。
「ちょっと愛佳! すぐ来てくれる? 愛佳のところの生徒が、まいにお酒売れって…」
そんな成り行きに、俺が呆気にとられていると、それから10秒も経たないうちに、
店の奥の従業員用の通路のドアが開いて、
「ごるぁーっ!」と、光井センセイが怒鳴り込んできた。
262
:
1
:2015/09/07(月) 04:27:43
「高校生のくせに酒だとっ!? お前か!? お前か!?」
すごい勢いで、光井センセイが俺に詰め寄ってきた。
「ちょっ、センセイ、待って…」
「あっ、○○じゃねえか!? この野郎! 昨日二人乗りして逃げただろっ!?」
俺の胸倉をつかんで、にじり寄る光井センセイだった。
「ご、ごめんなさい、セ、センセイ、苦しいよ…。ちょっと離して…」
「うるさいっ!」
そんな俺を「いい気味」、とでもいいたげな顔で、お姉さんが見つめていた。
263
:
1
:2015/09/07(月) 04:28:13
ようやく手を放してくれた光井センセイに、
「な、何でセンセイがこんなところにいるんですか?」と問いかけると、
「何で、じゃねえだろ」と、俺は頭を小突かれた。
光井センセイの代わりに、お姉さんが、
「愛佳はうちに下宿してるんだよ」と、勝ち誇ったような表情で言った。
うちの近所にこんな鬼門があったとは…。
そう思っていると、
「呆れた…。こんな大きなペットボトルの焼酎、一人で飲むつもりなだったの?」
と、光井センセイがかごの中を覗きこんで言った。
「だーかーらー、俺が飲むんじゃなくて、おつかいで仕方なく来たの!
てゆーか、嗣永センセイや清水センセイも、今俺の家にいて、
うちの姉ちゃんたちと宴会やってるの! いわば俺はセンセイたちに頼まれて、
仕方なく、酒を買いに来たようなもんなんですよ!」
264
:
1
:2015/09/07(月) 04:28:43
俺は必死に弁明したけど、光井センセイは、
「そんなテキトーな出まかせ言って、言い逃れしようとしてるんじゃないでしょうね!?」
と、聞く耳を持たなかった。
「だったら電話して確かめりゃいいでしょ!?」と俺が聞くと、
「嘘だったら承知しないわよ」と言って、光井センセイは電話をかけ出した。
「あっ、嗣永先生? 光井です―。あのね、お宅のクラスの○○クンが…」
光井センセイが電話で話すのを、俺は聞き耳を立てて聞いたけど、向こうの声は聞こえなかった。
しばらく話をして電話を切った光井センセイは、
「嗣永先生も清水先生も、『そんなの知らない』って言ってたわよ」
と、冷たい表情で言った。
(あの二人…、鬼だ…)
と俺は思った。
265
:
1
:2015/09/07(月) 04:29:15
「いや!確かに、あの2人は俺の家に!」と、俺は叫んだ。
光井センセイは「うん。確かに○○の家にいるとは言うてたな。でも、お酒なんか頼んでないってさ」
と、クールな表情を変えずに言った。
「ひ、酷い…」
愕然とする俺に追い打ちをかけるように、光井センセイは、
「こりゃ停学かな…?」と脅かすように言ってきた。
すると、レジのお姉さんが、
「ねえ、愛佳…? それはちょっとかわいそうじゃない? 許してあげたら?」と、助け舟を出してきた。
「まあ、舞がそう言うなら…」と光井センセイ。
俺が「舞さんって言うんですか? きれいな方ですね」と慌ててお世辞を言うと、
「こらあっ!調子乗んなよ!」と、また光井センセイが怒鳴った。
舞さんが俺を見てクスリと笑った。
266
:
1
:2015/09/07(月) 04:29:51
「じゃあ、今回だけは許したるから、もう二度と酒なんか買おうとしちゃアカンよ」
と、光井センセイが俺を睨んだ。
俺は「は、はい」と答えてから、あらためて酒以外の買い物を済ませ、
そそくさと店を出ようとした。
すると、光井センセイが、
「あっ、これウチからの差し入れや。嗣永センセイたちに渡したって」
と、レジに置いたままの大五郎を袋に入れると、俺に突き出してきた。
「えっ?」と俺が驚くと、
「○○は飲んだらアカンよ!」と、凄む光井センセイ。
俺は袋を受け取りつつ、
「あー、だからみっついー好きだわ! 愛してるよ!」と軽口を叩いて、
走って店を飛び出した。
「だから、調子乗んなって言ってるやろ!」と、
光井センセイの叫び声が背中から聞こえてきた。
267
:
1
:2015/09/07(月) 04:30:24
走って家に向かいながら俺は思った。
光井センセイは、嗣永センセイや清水センセイが、本当は俺に酒を買わせるのを黙認してたことなど、
最初からお見通しだったのだろう。分かった上で、一応俺にもお灸を据えようと思ったのだろう。
光井センセイのそういうところは結構好きだ。
それはいい。
しかし、許せないのは嗣永センセイと清水センセイだ。
一体、どうしてくれようか…。
そう思いながら家に着いて玄関を開けると、
从*´∇`)<何やってたの? 遅いー!
と、姉ちゃんが飛び出してきて、出鼻をくじかれた。
「あ、あのなあ…」と反論しようとすると、嗣永センセイたちもぞろぞろと玄関にやってきた。
俺が口を開くよりも早く、
「みっついーに捕まるなんて、要領悪すぎ」と、嗣永センセイ。
「うん。どん臭すぎるよね…」と清水センセイ。
呆気にとられて二の句が継げずにいる俺に、
从*´∇`)<いいから早く家に入ってよ
と、姉ちゃんが言った。
268
:
1
:2015/09/07(月) 04:30:50
「酷えよ、センセイたち!」
俺が大声でそう言いかけたとき、
「ねっ、男の子なんだから、小っちゃなことで怒んないの。そんなことより、こっちおいでよ」
と、いきなり雅さんが俺の腕をつかんで、ぐいぐいと居間の方に連れて行った。
「そうそう」と清水センセイ。
「うんうん」と嗣永センセイ。
須藤さんは「ほら、さっきピザ届いたところだから、○○クンも食べなよ」と、
皿にとりわけて、俺に差し出してきた。
そういえば、すごく腹が減っていた。
「じゃあ…、いただきます」と俺はピザを食いだした。
こんなところにいつまでもいるのは危険すぎる。
俺はさっさと食って、自分の部屋に戻るつもりだった。
ふと見ると、熊井さんはピザ屋の持ってきたチラシを熟読中だった。
269
:
1
:2015/09/07(月) 04:31:22
その時、雅さんが、「○○クン、何か飲む?」と聞いてきたので、
俺は「あっ、それじゃウーロン茶お願いします」と答えながら、残りのピザを食っていた。
「ハイ、お待たせ―」と、雅さんが差し出してきたグラスに口をつけて、
俺は噴き出しそうになった。
「ちょっ、雅さん! これ、焼酎入ってるんじゃ…!?」
「えっ、薄すぎた?」
「いや、無茶苦茶濃いんですけど…」
「まあ、ちょっとくらいいいじゃん」と言う須藤さんに、
「いやいや、俺まだ高校生ですから…」と答えかけると、
「別に、いんじゃね?」と嗣永センセイ。
「うん。いいよね」と清水センセイ。
从*´∇`)<ほら、教師が二人ともいいって言ってるんだから、飲みなよ!
と、俺は姉ちゃんに押し切られた。
熊井さんはまだチラシを熟読中だった。
270
:
1
:2015/09/07(月) 04:32:08
从*´∇`)<そんなことよりアンタ、私に内緒でダンス部なんかに入ってたんだって?
と、姉ちゃんが言い出した。
それは姉ちゃんに報告する義務があったのだろうか…。
嗣永センセイは、「んでダンス部ってどうなの?うまくいってるの?」と、
さきいかをつまみながら、清水センセイに聞いた。
清水センセイが「うん。まあそれなりに上手いやつもいるし…」と言うと、
「鞘師だっけ? あと佳林ちゃんも上手いの?」と嗣永センセイが聞き返した。
俺は思わず姉ちゃんをシカトして、2人のセンセイの会話に耳を傾けた。
「鞘師はねえ…、確かに技術は凄いんだけどさ。何ていうのか、色気が足りないっていうのか、
あれは男を知った方がうまくなると思うんだけどなあ」
清水センセイも結構酔っているのだろうか? 大胆な放言に、俺はドキドキしてきた。
「ふーん。佳林ちゃんは?」
「うん。そこいくと佳林ちゃんの方が色気はあるかな。あの子はもう経験してるかもね…」
俺は焼酎を噴きだした。
从*´∇`)<ちょっとアンタ! 何やってんの!
と、姉ちゃんが叫んだけど、俺の耳には入ってこなかった。
(宮本が経験済み!? そんな馬鹿な!?)
動揺する俺に追い打ちをかけるように、
「あー、そうかもねー」と、ごく当たり前のように嗣永センセイが相槌を打った。
271
:
1
:2015/09/07(月) 04:32:48
(まさかそんな!?まさかそんな!?)
俺が心の中で叫び続けていると、突然清水センセイが俺に向かって言い出した。
「そんなことより〇○クンさあ、鞘師を好きなの?それとも佳林ちゃんを好きなの?
毎日鞘師とラブラブで練習してるかと思ったら、昨日は佳林ちゃん泣かせてたしさあ…」
从*´∇`)<えっ!?何それ!?何それ!?
と、食いつく千奈美姉ちゃん。
「そ、そんな…」と俺が答えるよりも早く、嗣永センセイが、
「えっ○○クン、アンタ、ズッキと付き合ってたんじゃないの?」と、俺の袖を引っ張った。
「い、いや」と弁解しようとしたけれど、今度は須藤さんが、
「ちょっと待った! 『○○クンがめいめいのこと好きみたい』って、りなぷーに聞いたから、
せっかくデートのお膳立てしてやったのに、一体どうなってんのよ?」
と、俺に詰め寄ってきた。
興味津々という顔で俺を見ている雅さん。熊井さんはまだチラシを熟読中だった。
突然、姉ちゃんが、
从*´∇`)<フハハハハハハ
と高笑いした。
272
:
1
:2015/09/07(月) 04:33:09
从*´∇`)<フハハハハ。さすが我が弟! 姉に似てモテモテだな!
と、姉ちゃんが高笑いした。
一瞬の沈黙の後、「でも、優柔不断すぎね?」と須藤さんが言った。
从*´∇`)<おい! 突っ込めよ須藤!
と、姉ちゃんが叫んだ。
「そうよね、優柔不断すぎるよね…」と清水センセイ。
「本当は誰が好きなの?」と嗣永センセイ。
273
:
1
:2015/09/07(月) 04:33:36
「誰が好きとか、そんな…」と俺が答えに窮していると、
ようやく話に加わってきた熊井さんが、「えっ?何?何?、四つ股? うわぁ…、本当!?」
とか、大げさに驚きだした。
「いや、そんなんじゃなくて…」と、オレは必死に否定したけど、
「だけどさ、みんなに粉撒いてるくせに、実際のところ、誰ともうまくいってないんでしょ?」
と、清水センセイが、冷酷で的確な一言をぶつけてきた。
「うっ…」
まさしくその通りだった。
「だめじゃん…」と嗣永センセイ。
「だめだな…」と須藤さん。
俺には返す言葉がなかった。
274
:
1
:2015/09/07(月) 04:34:02
俺が黙っていると、
嗣永センセイが、「よし。ここは恋愛マスターの夏焼センセイの意見を聞こう!」と、
ふざけた顔をして言い出した。
「どうなの、ミヤ?」と、須藤さんも、ふざけた表情で聞いてきた。
「そうね…」と、大真面目な顔で雅さんが話し出した。
「例愛とは…」、と、焼酎のコップを掲げる雅さん。
「恋愛とは?」と、真顔で雅さんを見上げる嗣永センセイたち。
「来た球を打つ!」と、夏焼さんがドヤ顔で言った。
「おー…!」と、清水センセイ。
「○○クンさあ、若いんだから小難しいこと考えずに、成り行きでもなんでもいいから、
好きな子と好きなことすりゃいいのよ」と、雅さんは言った。
从*´∇`)<いや…、それじゃダメだろ…
と、姉ちゃんが言った。
275
:
1
:2015/09/07(月) 04:34:29
俺はようやく気が付いた。
要するに、俺はこのお姉さんたちにからかわれているのだ。
こんな場所からは、早く退散するに限る。
俺はウーロンハイのコップを置くと、「じゃあ、俺はそろそろ自分の部屋に戻って寝ます」と宣言した。
すると、雅さんが、「じゃあ、みやもホテルに戻ろうかな…」と言い出した。
「えっ?」と俺は聞き返した。
夏焼さんは東京でファッション関係の仕事をしていて、今日はたまたま用事で帰ってきていたところに、
飲み会の話があって、急きょ、参戦したのだという。
ほかの4人はうちに泊まっていくみたいだけど、夏焼さんは明日の仕事の関係もあって、
ホテルに戻るのだと言い出した。
「そうですか、それじゃ…」と言いかけた俺に、
「みや、一人で帰るのちょっと怖いな。○○クン、送っていってくれないかな?」
と、夏焼さんが上眼遣いで俺の目を覗き込んできた。
276
:
1
:2015/09/07(月) 04:34:48
从*´∇`)<おい夏焼! そんなこと言って、うちの弟にちょっかい出す気じゃないだろうな!?
と、千奈美姉ちゃんが言ったけど、夏焼さんは、
「ちょっと、千奈美! 馬鹿なこと言わないでよ! 夜道は怖いから頼んでるだけじゃん!」
と、怖い顔をして言い返した。
呆気にとられている俺に、須藤さんが、
「そうね。○○クン、悪いけど、みやをホテルまで送っていってあげてくれるかな?」
と、真面目な顔で言い出した。
277
:
1
:2015/09/07(月) 04:35:08
雅さんと外に出て歩き出すと、雅さんはすぐに俺の腕をギュッと掴んで、思い切り密着してきた。
(ちょっ! くっつきすぎだろ、このお姉さん…!)
即座に息子が反応してしまう、情けない俺。
雅さんからは、清水センセイや嗣永センセイのとは全然違う、
もっと大人っぽい、高級な感じの香水の匂いが濃厚に漂ってきた。
「ねえ、○○クンって、女の子とエッチしたことあるの?」
雅さんがからかうような口調で聞いてきた。
278
:
1
:2015/09/07(月) 04:35:29
その時、電停に市電がやってきたので、俺たちはとりあえず乗り込んだ。
雅さんと2人並んで座席に座ってから、俺は小声でさっきの質問に答えた。
「エッチどころか…、女の子と付き合ったこともありませんけど…」
「えーっ!? じゃあまだ童貞ってことー!?」
酔っぱらっているのか、雅さんが車内中に聞こえるくらいでかい声で言った。
俺は慌てて車内を見回した。
車内には俺たちの他には、前の方に女子大生風のお姉さんが座っているだけだった。
明らかにお姉さんにも聞こえていただろうけど、そのお姉さんは聞こえないふりをしていた。
「ちょっと!雅さん!声がでかすぎですよ!」と、俺は抗議したけど、
雅さんは相変わらずでかい声で、
「そうかー。童貞なんだー。アハハハハ」と笑った。
正直、俺は傷ついた。
279
:
1
:2015/09/07(月) 04:35:54
俺がシュンとなっていると、雅さんは、
「ごめん、○○クン。怒った?」と言って、
俺の肩に手を回しながら、下から俺の顔を見上げるように覗き込んできた。
「別に…、怒りはしませんけど…」と、俺が震え声で強がると、
「そっかー。怒ってないんだ! 良かった!」と、雅さんがあっさりと笑った。
(いや、それは違うだろ…)と、俺が心の中で抗議するいとまもなく、
雅さんは「でも○○クン、高2でしょ? 17でしょ? まだ童貞とか、遅すぎない?」
と、相変わらずの大声で、憐れむように聞いてきた。
いくらなんでも、俺も腹が立ってきた。
「じゃあ雅さんは、いくつの時に経験したって言うんですか?」と聞き返した。
雅さんは、「みやはねえ…」と言いかけてから、
「ちょっと! 何言わせるの! もう!童貞のくせにエッチなんだから!」と、
俺の背中を思い切り叩いてから、けらけらと笑い出した。
280
:
1
:2015/09/07(月) 04:36:20
2人のセンセイや須藤さんもそうだけど、やはりこのお姉さんたちには、
俺みたいな小僧は、きっと最初から敵わないのだ。
俺はそう思って諦めることにした。
(無駄な抵抗はやめて、適当に相手して送って、さっさと家に帰ろう)
そんなことを考えているうちに、電車が駅前の電停に着いた。
電停を降りても、雅さんはまた俺の腕をとって、ぴったりと密着してきた。
電停の目の前には…
そういえば、例のANGERMEがあったのだ。
(もう遅い時間だから、いくら何でも田村やりなぷーはいないと思うけど…)
俺は顔をそむけるようにして、店の前を通り過ぎた。
すると、雅さんは、
「あっ、ココ! ここに私たちの働いていたベリーズ工房があったんだよ!
今は店変わったんだ…。ねえ、ちょっと入っていかない?」とか言い出した。
俺は慌てて、「いや、俺も早く帰らなきゃならないし、まっすぐ行きましょう」
と言って、雅さんを引っ張るように歩き続けた。
雅さんはちょっと不服そうな顔で俺を睨んだ。
281
:
1
:2015/09/07(月) 04:36:39
ホテルに向かって歩き出すと、
「でも、さっきの話だけどさあ…」と、また雅さんが話し出した。
「さっきの話?」
「ホラ、○○クンがモテモテって話。四つ股かけてるとか…」
「あのね…、四つ股なんてかけてませんから。人聞きの悪い…」
「そんなに周りに仲のいい女の子がいっぱいいるのに、何で童貞なの?」
大真面目な顔で聞いてくる雅さんだった。
「あのね、雅さん、いくら仲がいいからって、そんな手当たりしだいにやっちゃうなんて…」
「やっちゃえばいいじゃん」
「ええっ!?」
282
:
1
:2015/09/07(月) 04:36:58
雅さんは大真面目な顔で話し出した。
「全部、自分勝手、自分勝手選べばいいのよ」
「何で、自分勝手って2回も言うんですか?」
「大事なことだから2度言ったの!」
俺が呆気にとられていると、雅さんは、
「○○クンはさあ、単に結果ビビっちゃってるだけでしょ?
あのね、自分で決めたら、『何があったって後悔はしない』って、まず決めるの!
それにね、やらぬ後悔よりも、やっちまった後悔した方がいいんだよ!」
と、ドヤ顔でまくし立ててきた。
「雅さん、やるとかやらないとか、えげつなさすぎます…」
<その時の俺の脳内イメージソング>
https://www.youtube.com/watch?v=XBQ0v95I9RE
283
:
1
:2015/09/07(月) 04:37:19
そんな話をしながら歩いていると、ホテルの前にたどり着いた。
「じゃ、雅さん、俺はここで…」と言いかけた時、
「ダメ! 女の子はちゃんと部屋まで送るものよ!」と、
雅さんが怒ったように言った。
今さらこの人に逆らっても仕方ない。
宿泊客でもないのに、こんな時間に客室に入っていいのかどうか分からなかったけど、
俺は覚悟を決めて、雅さんと一緒にホテルのエントランスをくぐった。
フロントの前を通っても、ホテルの人が何も言わなかったので、ホッとした。
エレベーターに乗り込んで、ドアが閉まった瞬間、
いきなり、雅さんが俺に抱きついて、キスをしてきた。
「!!!」
無様に棒立ちになったまま、雅さんのベロチューを受け入れる俺。
俺の人生初のキスの味は、大五郎のフレーバーだった。
284
:
1
:2015/09/07(月) 04:37:58
童貞の俺が想像していたよりもずっと…、
(キスと言うのは生々しくて、気持ちのいいものだな)と、俺は思った。
目的の階についてドアが開くと、雅さんは俺の手をとってエレベーターを降りた。
俺がまるで、でくの坊のように、雅さんのなすがままに部屋の前までついて来ると、
雅さんはさも当然、という感じで、俺を部屋の中に導いた。
部屋のドアにカギをかけた雅さんは、俺の目を見て悪戯っぽく笑うと、
再びキスをしようとしてきた。
俺は思わず、それを制して、
「あ、あの…、雅さん…」と、問いかけた。
「なあに?」
「雅さんは…、東京に彼氏とかいないんですか?」
「もちろんいるわよ(笑)」
「それなのに…、いいんですか?」
「何が?」
「好きでもない相手と、こんなことして…」
瞬間、雅さんはまじまじと俺の目を覗き込んで、
「あら? ○○クンはみやのこと、好きじゃないの?」と真面目な顔で聞いてきた。
「もちろん、好きです!」と反射的に答えてしまう俺。
「じゃあ、いいじゃん。私も〇○クンのこと、嫌いじゃないわよ」
そういうと、再び雅さんは、俺にねっとりとしたキスをお見舞いしてきた。
285
:
1
:2015/09/07(月) 04:38:19
しばらく俺はまた、かかしのようにぶざまに立ち尽くしていたけれど…、
そのうち、雅さんの体に触りたいという欲求が、猛烈に湧き上がってきた。
すでに俺の愚息は、痛いほどビンビンに勃起しつくしていた。
思い切って雅さんの背中に手を回そうとしたその時、俺より先に、
雅さんの細い指が、いきなり俺の股間をまさぐってきた。
「アッー!」
思わず情けない声を上げて、前かがみになる俺。
「わあ!カチンカチンじゃん。すごーい! やっぱ10代は違うね!」と笑う雅さん。
俺の頭の中で何かが弾けた。
「雅さん!!」
俺が雅さんの体を強く抱きしめながら、ベッドの上に押し倒すと、
「あん!慌てちゃダメ」と、雅さんが甘い声で囁いた。
286
:
1
:2015/09/07(月) 04:39:05
俺にベッドの上に組み伏せられた格好の雅さんは、
「ね、一緒にシャワー浴びようか?」と、下から俺を見上げて笑いかけてきた。
「えっ!?シャワー!? い、一緒に、ですか…!?」
俺がうろたえていると、雅さんは、自分に覆いかぶさっていた俺をスルリと躱して起き上がり、
さっさと自分の着ていた上着とショートパンツを、恥ずかしがる様子もなしに堂々と脱ぎはじめた。
俺が思わず五クりと生唾をのみこんで凝視していると、下着だけの姿になった雅さんは、
バスルームのドアを開けたところで俺を振り返り、
「ほらあ! モタモタしてないで〇○クンもおいでよ!」と、妖しく微笑みかけてきた。
<バスルームに俺を誘う雅さん・イメージ画像>
http://i.imgur.com/LJNTvXk.jpg
287
:
1
:2015/09/07(月) 04:39:27
慌ててジーンズとTシャツを脱ぎだす俺を見て、雅さんが「あはは」と笑った。
パンツ一丁になった俺は、雅さんの後らから抱きつくようにして、バスルームになだれ込んだ。
「雅さん!!」
俺は雅さんの背後から、両手で雅さんの薄い胸を覆った。
「あん…」と甘い声を出す雅さん。
初めて触る女の人のオッパイ。
その柔らかさに陶然となっていると、
「小さいでしょ?」と雅さんが聞いてきた。
「いえ…、そんなこと…」
さすがに、はいそうですね、と答える訳にもいかない俺だった。
「小さいけれど感度はいいのよ」
そんなベタなことを言いながら、首をこちらにむけて、俺にキスしてくる雅さんだった。
288
:
1
:2015/09/07(月) 04:39:44
キスを続けながら、俺は雅さんのチューブトップのブラをずらして、
硬く大きくなっていた、雅さんの乳首をつまんだ。
「はあっ…」と、雅さんが吐息を漏らしながら、俺の腰に手を回すと、
あっという間に、俺のパンツをずり下ろした。
ビンビンに勃起した一物が露出して、思わず「あっ!」とうろたえる俺。
雅さんは俺の腰の前にしゃがみこみながら、俺を上目遣いで見上げてきて、
「ウフッ」と、妖しげに微笑んた。
雅さんは、「童貞のくせに、結構立派な物持ってるんじゃん」と言ってから、
俺の亀頭にチュッと、一瞬キスをした。
「ヒィッ!」と情けない声を上げて、感じる俺。
そんな俺の反応をいちいち楽しむように、雅さんは俺の亀頭に短いキスを繰り返した。
(遊ばれてるな、俺)と、思ったその時、
満を持して、雅さんが俺の一物を深くくわえてきた。
289
:
1
:2015/09/07(月) 04:40:01
「アッー」
思わず頭が真っ白になりかける俺。
今までこんなに勃起したことがあっただろうか、というくらい、
痛いほど硬くなった俺の一物を、雅さんは、ディープキスの時と同じような、
素晴らしい舌遣いで、チュバッ、チュバッといやらしい音を立てながら、攻めたててきた。
「雅さん! ダメです! ダメ! こんなことされたら、すぐに出ちゃいます!」
俺は情けない声で訴えた。
「それより俺の方も…、雅さんを舐めたいです」
290
:
1
:2015/09/07(月) 04:40:21
雅さんは、そんな俺の哀願を無視して、ますます強く早く、俺の一物をしごきつつ、
強烈なバキュームフェラ施してきた。
ジュボジュボジュボジュボ…
「あっ!ホントにいきそうです!ダメっ!」
思わず叫ぶ俺。
あと一しごきで暴発、というその寸前に、雅さんはピタリと動きを止めて、
ニヤニヤしながら俺を上目遣いで見上げてきた。
「ふう…、ふう…、ふう…」
深呼吸して、暴発を回避しようとする俺。
その瞬間、また雅さんが激しく俺の一物を口でしごきだす。
「ひいっ…!」
雅さんのなすがままに弄ばれながら、
(この人、もしかしたらドSなんじゃないか…?)
と、思う俺だった。
291
:
1
:2015/09/07(月) 04:40:42
このまま一方的に弄ばれるだけではたまらない。
俺の方からも、雅さんを攻めたいという気持ちが猛烈に湧き上がってきた。
というよりも、率直に言って、早く雅さんのマ○コをこの目でじっくり見たい。そして舐めたい。
童貞なら、いや、男なら誰しもそう思って当然なのではあるまいか。
「雅さんっ!!」
俺は雅さんのフェラを振り払うようにして、雅さんの下半身に向かって突進した。
しかし、雅さんは、まるで闘牛士のように、俺の突進をヒラリと躱すと、
スクッと立ち上がって、自分からさっさとパンツを脱ぎ捨てた。
(あっ! それ、俺が脱がせたかったのに!)
俺は思わず歯ぎしりした。
292
:
1
:2015/09/07(月) 04:41:01
一糸まとわぬ姿になった雅さんは、バスタブの中に進むと、シャワーのカランを大きくひねって、
全身にお湯を浴びだした。そして、自分の両手で、お腹のあたりから乳房のあたりまで、
ゆっくりとセクシーになぞっていった後、俺の方を見て、「おいで」と笑った。
「は、はい!」
バスタブの中に突進した俺は、
雅さんの丸いお尻の膨らみを両手で抱え込むようにしながらしゃがみこみ、
雅さんの立派な太ももの内側に口をつけた。
「ハァーン」と、甘い声を出す雅さん。
俺は太ももから上の方に向かって、舌を這わせていった。
俺の目の前に、雅さんのアンダーヘアがあった。
こんなところまで脱色しているのか、ヘアの色は、雅さんの髪と同じ金色だった。
そのヘアの奥の方をじっくり見たいのだが…、
雅さんの体をつたって流れてくるお湯が邪魔になって、よく見えないのだ…。
293
:
1
:2015/09/07(月) 04:41:19
俺は両手の親指で、雅さんのそこを押し広げるようにして、下から覗き込んだ。
流れるお湯の反射の中に、ピンク色の突起がちらりと見えた。
(これが女の子の秘密の恋のボタンってやつか…)
五クりと唾をのみこんでから、そこに口づけすると、
雅さんが「アアーッン」とため息をついた。
その声に興奮しながら、俺は猿のようにそこを舐め続けた。
もっと奥の方にどんどん舌を進めていくと、
さらさらとしたお湯の感触が、突然ぬるっとした感じに変わるところに行き当たった。
雅さんの陰毛も口の中に入ってきたけど、もう構わなかった。
「あっ、そこ…。そこ、いい…!」
雅さんがかわいい声であえぎながら、俺の髪の毛をつかんで、
自分に押し付けるような態勢になってきた。
お湯の味が、しょっぱいような味に変わってきた。
294
:
1
:2015/09/07(月) 04:41:36
「はぁん、はぁん…」と、リズミカルにあえぐ雅さん。
(このまま舐め続けて、イカせてやる!!)
と、俺は思ったけど、雅さんは、俺のそんな気持ちを遮るように、
「じゃあ…、ベッドに戻ろうか?」と、聞いてきた。
望むところだった。
俺もベッドに雅さんを押し倒して、もっとじっくりと、
雅さんのマ○コを観察したかったのだ。
「は、はい…!」
俺が返事をすると、雅さんは、バスタオルに身をくるんで、
俺を置いてすたすたとベッドの方に戻っていった。
俺は勃起した一物を持て余しながら、慌ててその後を追った。
295
:
1
:2015/09/07(月) 04:41:54
ベッドの縁に並んで腰かけると、雅さんは、
「ねえ○○クン、ゴム持ってる?」と聞いてきた。
「えっ…? ゴムって…」
「コンドーム」
「い、いや…、持ってないです」
俺がそう答えると、雅さんは呆れたように「はあ…」とため息をついてから、
「あのね○○クン、そういうのは男の子の方が用意しておくのがエチケットなのよ。
ちゃんと普段から持ち歩いてないと、ダメじゃないの!」と、
なじるような口調で言ってきた。
「…ごめんなさい」
俺がそう謝ると、雅さんは「仕方ないわね…」と言いながら、
自分のハンドバックの中を探って、「1個だけなら持ってるけど…」と、
コンドームのパッケージを取り出した。
296
:
1
:2015/09/07(月) 04:42:14
「横になって」
と、雅さんに命令されて、俺は慌ててベッドの上に、マグロのように横たわった。
雅さんはコンドームのパッケージを破ると、ビンビンに怒張したままの俺の一物に、
手慣れた手つきで、コンドームをスルスルと嵌めていった。
結局、主導権は雅さんに握られたままだった。
雅さんは俺の腰の上にまたがる格好で、俺の一物をつかんで自分の秘部にあてがうと、
ゆっくりと腰を下ろしていった。
297
:
1
:2015/09/08(火) 04:29:58
その瞬間は、意外にあっけなく訪れた。
ヌルッ、とした感触とともに、俺の一物は雅さんの下の口に呑み込まれていった。
「あんっ…、太い…」
雅さんが眉根を寄せて、ため息をもらした。
お世辞だとわかっていても、素直に俺は嬉しかった。
とはいえ…
正直なことを言うと、その時の俺の気持ちは、案外冷静だった。
ハッキリ言って、さっき初めてフェラチオしてもらったときの方が、
よっぽど痺れるような陶酔感があったのだ。
つまり、その時の俺は、実際の快感よりも、
「雅さんみたいな最高の女のオマ○コに、今、俺のチンポが奥まで刺さっている」
という、観念による嬉しさの方が勝っていた、とでもいえばいいのだろうか。
(もう、俺は童貞ではないのだ)
そんな気持ちを、俺は噛み締めた。
298
:
1
:2015/09/08(火) 04:30:26
雅さんが、前後にゆっくり体を動かし始めた。
(ふーん…。セックスって、こんなもんか)
と、俺はちょっと余裕をかましながら思った。
後で思えば、愚かであった。いや、愚かすぎた。
全く無警戒になっていた俺に、次の瞬間、
雅さんがギューッと、そこを締め付けてきた。
「アッー!!!」
あまりにも呆気なすぎる終局だった。
三こすり半も持たずに、俺は自分自身を放出してしまったのだ。
「えっ? まさか、もうイッちゃったとか?」
憐れみと不満の入り混じった目で、雅さんが俺を見下ろしてきた。
299
:
1
:2015/09/08(火) 04:30:45
「初めてとはいえ…、いくら何でも、ちょっと早すぎるんじゃない?」
雅さんの口調には、明らかに非難のニュアンスが込められていた。
「ご、ごめんなさい…」
穴があったら入りたい、とはまさにこのことだった。
「できなさすぎるよね…。ちゃんと練習してきたん?」
とは、さすがに雅さんは言わなかったけど、まあそういうことだろう。
「自分ひとりだけイッちゃうなんて、ダメよ、そんな身勝手なの」と、雅さんは言った。
「ごめんなさい。いや、もう一回…! 今度は頑張ります!」
俺がそう言うと、雅さんは、「もう一回って…、もうゴムないじゃん」と、
ちょっと呆れ顔で言った。
「やっぱり…、ゴム無しじゃ駄目ですか…?」
俺がそう聞くと、雅さんは、困ったような顔をして、しばらくの間考え込んでから、
「中で出さない自信あるの?」と、俺を試すような顔で聞いてきた。
300
:
1
:2015/09/08(火) 04:31:03
俺は思わず口ごもった。
「そ、そんな…、自信なんて…。だって、雅さんのあそこ、気持ちよすぎるし…」
俺がそう言うと、雅さんも満更でもなさそうな表情を浮かべて俺を見てきた。
「それに、雅さんに自由に動かれたら、俺すぐイッちゃいますよ…。
でも、俺が上になれば、少しはマシかも…」
雅さんは、じっと俺を見つめた後、
「じゃあさ、○○クンの好きなようにしてもいいよ。今度は頑張ってよね」
と、妖しげに笑った。
301
:
1
:2015/09/08(火) 04:31:21
雅さんは、ベッドの上に横たわると、
「じゃあ…、おいで」と、俺を誘った。
「は、はい! いただきます!」
反射的におバカな返事をしながら、俺は思った。
(とにかく、雅さんのマ○コを、じっくり見たい!!)
俺は雅さんの両膝を押し広げると、そこに顔を埋めた。
ぴたりと閉じたピンク色の花びらが、じっとりと濡れていた。
「綺麗だ…。綺麗です!雅さん!」
俺は自分の愚息がまたビンビンに復活してくるのを感じながら、そこに口づけした。
「ア…、アン、アンアン…」
雅さんがかわいらしい声で鳴きだした。
302
:
1
:2015/09/09(水) 03:23:24
俺の舌遣いに合わせて、どんどん高まっている様子の雅さん。
(このまま舐め続ければ、イクだろう)とは思ったものの…。
それではさっきのリベンジにならない気が俺はした。
それに、やはりここは、俺のチンポで雅さんをイカせなければ、
せっかく筆下ろしをしてもらった恩返しにもならないではないか。
「雅さん、挿れますよ…」
身を起こしながら俺が言うと、
「いいわよ…」と、雅さんが囁いた。
303
:
1
:2015/09/09(水) 03:24:28
雅さんの両膝を抱えるようにして、俺は一物を雅さんにあてがった。
単に先っぽが粘膜に接触しただけなのに…。
さっきゴム付きでしたときとは一段レベルの違う気持ち良さが、瞬時に俺を襲ってきた。
(やばい! こりゃ、またすぐにイッちゃいそうだ…)
慌てて挿れるのは危険すぎた。
俺は心を落ち着かせるために、ちょっとの間、先っぽだけを雅さんの中に、
挿れたり出したりしていたのだが…。
雅さんは、「あーんっ…、もう! 生意気にじらしたりして! 早く挿れてえっ…!」
と、泣き声を上げた。
304
:
1
:2015/09/09(水) 03:24:54
ズンッ!
雅さんのその言葉が終わらぬうちに、俺は一気に雅さんの奥まで一物を叩きこんだ。
「ひいっ!」と、雅さんが1オクターブ高い声で叫んだ。
すんでのところでこらえたけど、本当は声を上げたいのは俺の方だった。
生で味わう雅さんの中は、生温かくて、ねっとりと俺を包み込んでくるようで、
本当に、ちょっとでも気を抜いたら、すぐにでも暴発してしまいそうな気がしたのだった。
数秒、そのままの態勢で気を落ち着かせた後、
意を決して、俺は前後に動き出した。
「あっ、あっ、あっ…」と、俺の動きに合わせて、可愛い声で鳴く雅さん。
305
:
1
:2015/09/09(水) 03:25:16
何が何でも、今度は先に雅さんをイカせたい。
でも、それにはどうすればいいのか…。
ピストン運動を続けながら、俺は必死で考えたけれど、
つい今しがた童貞を卒業したばかりの俺に、そんな妙案が浮かぶはずもなかった。
(とにかく、若さに任せて力で押しまくるしかないッ…!)
そう思ってピストンのスピードを速めようとしたとき、力んだせいか、
偶然に、一物の当たる角度が変わって、雅さんの感じるところを捉えたようだった。
「あっ! そこ! そこ、イイッ!」
雅さんが、両足を俺の腰に絡めてきた。
306
:
1
:2015/09/09(水) 03:25:38
雅さんが足を絡めてきたせいで、俺の方も快感が倍増した感じになってきた。
(いかん! このままだと、また俺が先にイッちゃうかも…!)
そう思ったものの、今さら動きを止めるわけにもいかなかった。
(俺が先にイクか、それとも雅さんを先にイカせるか…!?)
俺は最後の力を振り絞って、もう一段ピストンのスピードを速めていった。
その時、雅さんが「アッ! イク、イクイク!」と叫んで、体をガクガクと痙攣させた。
たとえようのない征服感に包まれて、歓喜する俺。
しかし、次の瞬間、雅さんがさっきと同じく、ギューッとそこに力を入れて、俺を締め上げてきた。
「アッー!!!」
一物を抜き去る余裕などあるわけもなく、
ビュッ、ビュッ、ビュッ!と、俺は雅さんの奥深くに、愛の弾丸をたっぷりと撃ちこんでしまった。
307
:
1
:2015/09/10(木) 05:10:48
https://www.youtube.com/watch?v=J_P4Hb6upDc
308
:
1
:2015/09/10(木) 05:11:12
しばらく放心状態のまま、俺は雅さんの上に覆いかぶさっていたけど…、
やがて、我に返ってのろのろと起き上がった。
それにしても…。
雅さんのマ○コの締め付けは強烈過ぎた。
その時は、これが普通なのかと思ったけれど…、
その後、俺が同級生とか他の女の子とセックスしたときも、
こんな強烈な締め付けを味わうことはなかったから、
やっぱり雅さんが名器だったってことなんだろう。
それはともかく…
俺は雅さんの中にたっぷりと生で放出してしまっていたのだった。
(どうしよう…?)
そう考えていると、雅さんが、
「ちょ…、信じらんない。中で出すとか…」
と、体を起こしながら、俺をなじってきた。
309
:
1
:2015/09/10(木) 05:11:39
「ご、ごめんなさい…」
と、俺は謝ったけど…、
「『ごめん』じゃないわよ。妊娠したらどうすんのよ!?」
と、雅さんはご立腹だった。
当然と言えば当然な怒りだった。
「雅さん…! 俺と結婚してください!」
俺は思わず叫んだ。
「はあ?」
と、呆れた様子の雅さん。
「雅さん! 『妊娠したら』じゃなくて、妊娠してください! そして俺の子供を産んでください!」
「えっ…?」
「雅さん! 好きです! 雅さんと結婚したい!」
俺はそう言って、ベッドの上に再び雅さんを押し倒した。
それは実際、その時の俺の正直な気持ちだったのだ。
310
:
1
:2015/09/10(木) 05:12:11
雅さんは、俺の髪の毛を撫でながら、
「もう…、可愛いこと言っちゃって…。困った子ね…」
と、呆れたように言った。
「でも…、本気なんです! 俺、雅さんのこと…!」
「『結婚して』とか、どうやって生活するの?」
「それは…、学校辞めて、バイトとかして…」
「そんなこと、できるわけないでしょ」
沈黙が流れた。
「しょうがないなあ…。アフターピル持ってるから、まあ、いいよ」
と雅さんが言った。
「えっ、何ですかそれ」
「そういう薬があるの」
「そうなんですか…。良かった…」
「良くないわよ! それ飲むと、すごく体調悪くなるんだから」
「そうなんですか…。ごめんなさい」
しばらくの沈黙の後、
「あのねキミ、責任とって、もう一回、ちゃんとお姉さんをイカせなさい!」
と、言いながら、雅さんが俺にキスしてきた。
311
:
1
:2015/09/10(木) 05:12:33
それは俺も望むところだった。
俺はもう、二回も放出していたけれど、徐々に慣れてきた感じも、間違いなくあったのだ。
(次こそは、もっと雅さんを攻めたててやる)
そんな気持ちがこみ上げてきた。
「雅さん、今度は後ろからしてもいいですか?」
俺が聞くと、雅さんは「フフッ」と笑ってから、「好きにしていいよ」と囁いた。
「じゃあ…、そこの窓際に立ってください」
と、俺が言うと、「そんな、生意気なこと言って…」と雅さんが言いかけたけど、
俺は有無を言わさず、雅さんを後ろから抱きすくめると、再び硬直していた愚息を、
ズブリと雅さんの中に突き入れた。
「あっ!」と、雅さんが鳴き声を上げた。
「みやび!みやび!」
俺は雅さんの腰をつかみながら、激しく雅さんの中に一物を突き差しした。
312
:
1
:2015/09/10(木) 05:12:55
「あっ! あん!あん!あん!」
と、甘い声を立て始める雅さん。
窓の下は、街の明かり。
よく見ると「アンジュルム」の店の看板も、真下で光っていた。
「雅さん、あそこが『ベリーズ工房』のあったところですよ。見えますか?」
俺がそう言いながら、雅さんの背中を舐めて、ピストンを続けると、
「あんっ! それ! それ、いい!」と、雅さんが泣き声を上げた。
(この人…、ドSだと思ってたけど、ドMでもあるんじゃ…?)
そう思った俺は、試しに雅さんの立派なお尻をピシャッと、平手で叩いてみた。
その途端、
「ふあーっ!」
と、盛りのついたネコのような叫び声を雅さんが上げた。
(間違いない!)
313
:
1
:2015/09/10(木) 05:13:16
「みやび!みやび!みやび!」
真っ赤に手の跡がつくほど、俺は強い力で雅さんのお尻を何度も何度も叩きながら、ピストンを続けた
「ふあーっ!ふあーっ!ふあーっ!」
ガクガクと体を震わせながら、連続して雅さんがイッた。
(勝った!)
俺はそう感じながら、なおも雅さんを突き続けた。
崩れ落ちそうになる雅さんの腰を抱えて、一方的に突き続けた挙句、
俺も雅さんの中に再び放出した。
ミヤ━━━(゚∀゚).━━━!!!
俺は叫びながら、もう三度目なのにこんなに出るのか、と思うほどの量を、
雅さんの子宮の奥に叩き込んだ。
<その時の俺の脳内の叫び声>
https://www.youtube.com/watch?v=AvpgQ7Vjafk&feature=player_detailpage
#t=201
314
:
1
:2015/09/10(木) 05:13:32
俺たちはその後、しばらくの間、放心状態のままで、ベッドの上に佇んでいた。
「最初は童貞クンをつまみ食いしようと思っただけだったんだけど…、キミ、よく頑張ったね」
と、雅さんが笑った。
「雅さん! 俺は雅さんのこと、本気で好きになっちゃいました!」
「えっ?」
「雅さん! 離れたくない!」
俺は雅さんにしがみついた。
雅さんはしばらくの間、優しく俺の髪を撫でてから、
「ダメよ。○○クンは、ちゃんと本当に好きな子を見つけなきゃ」
と、囁いた。
「そ、そんな…。雅さん、また会えませんか?」
俺がそう懇願すると、雅さんは、
「ううん、もう会えない」と、優しく笑った。
315
:
1
:2015/09/10(木) 05:14:04
雅さんと別れてから…、
俺はのろのろと歩いて家に向かった。
市電はとっくの前に終電が出た後だった。
歩いて帰ると、40分以上の長い道のりだった。
俺はその道すがら、さっきまでの雅さんとの初体験を心の中で反芻し続けていた。
「俺はもう童貞じゃない。しかも、雅さんみたいな最高のオンナを征服した!」
そのことが、とにかく誇らしかった。
家に着いたときは、すでに午前3時近かった。
いくら何でも遅すぎた。
(姉ちゃんは、俺の顔を見たら何て言うだろう…?)
そう思いながら家のドアを開け、中に入った。
居間の明かりは既に消えていた。
姉ちゃんやセンセイたちも寝たのだろう。
俺は少しホッとして自分の部屋に戻ろうとしたとき、
「お帰り」と、後ろから声をかけられた。
316
:
1
:2015/09/11(金) 01:40:39
慌てて振り向くと…、
そこにはパジャマ姿の嗣永センセイが立っていた。
<パジャマ姿の嗣永センセイ・イメージ画像>
http://i.imgur.com/0KVe10m.jpg
「あっ、ただいま…。姉ちゃんたちは?」
と、俺が少し焦りながら聞くと、
「千奈美は結構前に潰れて寝ちゃった。佐紀ちゃんたちもさっき眠ったところ。
まだ起きてるのは、私と茉麻だけ」と、嗣永センセイは、声を潜めて言った。
俺はちょっとホッとしながら、
「そうですか。それじゃ、俺も寝ます。おやすみなさい」
と言って、部屋に戻ろうとしたけれど、
「待った!」
と、嗣永センセイは、俺の腕を引っ張った。
317
:
1
:2015/09/11(金) 01:41:12
「えっ、ちょっと…」
うろたえる俺に有無を言わせず、嗣永センセイは、
電気の消えた居間の中に、俺を引っ張りこんだ。
居間のソファーには、やはりパジャマに着替えた須藤さんが寝そべっていて、
俺を見ると、少しニヤりとしながら、「お帰り」と言った。
須藤さんも、もうかなり酔っているのか、
心なしか眼のふちが、とろんとしているように見えた。
<パジャマ姿でソファーに寝そべる須藤さん・イメージ画像>
http://i.imgur.com/qfgJXG3.jpg
本当はこっちを使いたかったんだけど…、ちょっと無理があるかな
http://i.imgur.com/6PCX2sc.jpg
318
:
1
:2015/09/11(金) 01:41:33
居間の隣の客間には布団が敷かれていて、
姉ちゃんや清水センセイたちが雑魚寝していた。
3人のスース―という寝息が、居間にも響いていた。
近づいて行った嗣永センセイが、そーっと客間の襖を閉じた。
すると、ソファーから起き上がった須藤さんが、
「じゃあ、話聞こうか」と、
真面目なのかふざけているのかわからないような口調で、俺に言った。
319
:
1
:2015/09/11(金) 01:41:55
「は、話って…、何のことですか」
と、俺が言うと、須藤さんは、
「まあ、そんな固くならずに、焼酎でも飲みなよ」と、
残り3分の1ほどにまで減っていた大五郎のペットボトルを取り出し、
グラスにドボドボと注ぐと、申し訳程度のウーロン茶を混ぜて、俺の前に突き出してきた。
「そうそう。飲んじゃえ飲んじゃえ」と、無責任に煽る嗣永センセイ。
俺はしばらくコップを見つめていたけれど、意を決してゴクンと呑み込んだ。
320
:
1
:2015/09/11(金) 01:42:17
「おー、いい飲みっぷりだねえ…」と、須藤さんは言いかけたけれど、
次の瞬間、俺は、「ゴホッ、ゴホッ!」と、むせてしまった。
須藤さんが注いだ焼酎は、ほとんど原液に近い感じの濃さだったのだ。
それに構わず、須藤さんは声を落として、「ねえ、ミヤに抱かれてきたの?」
と、単刀直入に切り込んできた。
興味津々、という感じで須藤さんの目が光っていた。
「どうなのよ。ハッキリしなさいよ」
と、こちらも目の光に力のこもる嗣永センセイだった。
321
:
1
:2015/09/11(金) 01:42:38
「そんなこと…」
と、俺は口ごもった。
そんなことをペラペラと、この人たちに喋っていいわけがない。
それが俺を男にしてくれた雅さんへの仁義というものだろう。
「雅さんを送って、途中で一緒にお茶飲んで、帰ってきただけですよ…」
との、俺の言葉が終わらないうちに、
「そんなんで、こんな時間になるわけないじゃん」
と、嗣永センセイが真顔で詰めてきた。
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