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( ^ω^)は悪の教団に立ち向かうようです
10
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/08(木) 21:27:29 ID:afzt7yaQ0
( ´∀`)「内藤さん、私達は本当に初対面でしょうか? 」
(;^ω^)「は? 」
茂成の顔をまじまじと見つめた。
一度受けた依頼人の顔は、大抵覚えているという自負があったが、これといって心当たりがない。
(;^ω^)「……恐らく初対面ですお? 」
( ´∀`)「これを見ても、思い出せそうにありませんか? 」
胸元のポケットから折り畳んだ紙片を取り出すと、こちらへ寄越す。
広げてみれば、それは新聞記事の切り抜きのコピーだった。
黄色く劣化した記事の見出しには『F市母子殺傷事件』と書かれていた。
――F市母子殺傷事件。
今からおよそ十年前の1996年9月10日、S県F市の閑静な住宅街で起きた殺傷事件である。
被害者の女性と長男は、自宅アパートで鋭利な刃物で刺されていたところを、騒ぎを聞きつけた大家が発見した。
翌朝11日、女性は死亡。長男も重傷をおっていた。
犯行を行ったと思われる被害者の夫も首を吊った状態で発見された。
当時捜査にあたっていたF署は、男性が無理心中を図ったとみて捜査を打ち切った。
忘れもしない、僕がかつて勤務していたF署の管轄内で起きた事件だった。
11
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/08(木) 21:28:45 ID:afzt7yaQ0
( ^ω^)「……君は“モナー君”なのかお? 」
( ´∀`)「やっと思い出して下さいましたね。お久しぶりです内藤さん。いや、ブーン刑事。」
懐かしそうにこちらを見て笑う。そこには僕を咎めるような色はなかった。
笑うとできるえくぼは、幼い頃と何も変わらなかった。
男子三日会わざれば刮目して見よ、とはよく言ったものだ。
あんなにも小さく頼りなかった少年は、見違えるほど立派になっていた。
自分もそれだけ年をとったのだ、とふと思った。
なぜ彼を一目見たときに、ぴんとこなかったのか。いや違う、僕はあえて思い出そうとしなかったのだ。
僕は彼を一度見捨てたのだから。
12
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/08(木) 21:33:07 ID:afzt7yaQ0
ここで区切りたいと思います。
何か気になる点がありましたら、教えて下さいますと幸いです。
13
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:46:19 ID:7JueRr.QO
もうちょっと先まで読みたい!
14
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:48:51 ID:tdoBNY6gO
気になるのは続きです
15
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/09(金) 07:22:52 ID:6J0S4Yog0
>>13-14
短くなってしまい、すみません。
初投下の為、いまいち配分が掴みきれてないです。
今日の夜、もう少し長めのものを投下します。
16
:
名も無きAAのようです
:2012/11/09(金) 18:47:17 ID:/1xcq3mw0
乙乙
ゆっくり頑張れーー
17
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/09(金) 20:17:20 ID:OJnTl9O.0
――1996年8月5日。
国内各地は30度を越える猛暑に見舞われた。都心に近いS県F署に勤務する僕――内藤武運は、尋常ではない暑さに職務を投げ出しかけていた。
(;´ ω`)「あぢー。このクソ暑いのに、何で署内の冷房ついてないんだお。」
(,,゚Д゚)「署長がフィルター掃除したのが運の尽きだったな。まさか冷房がお釈迦になるとは、思ってもみなかったぜ。」
直属の上司であるF署刑事課強行犯係、義古(よしこ)栄一巡査――通称ギコさんはそう言いながら、缶コーヒーを僕に投げて寄越した。
(,,^Д^)「ほら、へばってんじゃねぇよ。情けねぇ面しやがって。それ飲んだら出掛けるぞ。」
( ´ ω`)「暑さに弱いのはデブの宿命なんですお。僕は署長を末代まで祟ると、今決めましたお。」
(;,,゚Д゚)「恐ろしい宣言してんじゃねぇよ。」
半分本気の冗談を彼は本気と受けとめたらしい。
目が据わってるぞ、と言って横に腰掛けた。
18
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/09(金) 20:21:56 ID:OJnTl9O.0
( ^ω^)「ところで今日はどこへ行きますかお? 例の空き巣事件、めぼしいところは大体聞き込みしてしたように思いますが。もう一度、近隣住民に聞き込みしに行くんですかお? 」
F市良雲寺町の住民は、ここ数日頻繁に起きている空き巣事件に頭を悩ませていた。
昼間の人気のない時間を狙い、金銭を盗み出していることから、窃盗団の可能性も視野に入れて捜査をしていた。
住民の目撃証言はゼロ、ほぼ八方塞がりというのが現状だ。
(,,゚Д゚)「いや、今日は別のところに行こうと思う。」
白髪混じりのごま塩頭を掻いて、何気ない口調で呟いた。
( ^ω^)「わかりましたお。車を回してきますお。」
半分ほど残っていたコーヒーを一気に飲み干す。
車のキーをポケットから探り当て、玄関の方へ駆け出した。
こういうときのギコさんは冴えている。
まだコンビを組んで日は浅いが、僕はギコさんのこの単なる思いつきにしか見えない発言が、幾度も事件を解決へ導いたことを知っている。
ギコさんの“ベテラン刑事のカン”が曇ることがないよう、僕は足早に歩き出した。
19
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/09(金) 20:24:54 ID:OJnTl9O.0
車をわざわざ移動させるまでもなく、まもなくギコさんが後ろからやってきた。
慣れた様子で助手席に乗り込む。
( ^ω^)「どこ方面へ向かいますかお? 」
(,,゚Д゚)「住宅街を抜けた先に廃ビルがあったろ。あそこへ行こう。」
( ^ω^)「あぁ、あの姦しいオバチャンが言ってた……」
(,,゚Д゚)「ガキの溜まり場になってるっていうのも気になるしな。」
先日行われた聞き込みで有力な手掛かりはなかったが、近所に住む女性から苦情をたっぷり賜ったところだった。
オバチャンは格好の獲物を見つけたといわんばかりに僕達を捕まえると、近くにある廃ビルが子ども達の遊び場になっている、危ないから注意してやって、とまくしたてた。
正直、窃盗団がそこに潜伏している可能性はゼロに近いのだから、わざわざ律儀に出向く必要はないが、行く宛もないのだから仕方がない。
( ^ω^)「了解しましたお。」
20
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/09(金) 20:29:43 ID:OJnTl9O.0
新速通りを抜けて脇道に入ると、件のビルが見えてきた。
廃ビルは都市開発から取り残されたようにぽつんと裏路地に立っていた。
放置されてかなりの時間がたっているらしく、窓は埃で白く曇っていた。
良雲寺がニュータウンとして開発されてから二十数年が経過しているが、ここだけは昔のままの風景を保っているように思えた。
( ^ω^)「こんな不気味なビルでよく遊ぼうなんて思うもんですお。」
(,,゚Д゚)「不気味だからこそだろ。冒険心がそそられるってもんさ。」
廃ビルの横には手入れされなくなって久しいであろう駐車場があった。
雑草がぼうぼうと生い茂っており、ここなら子供達が遊ぶのに丁度良いスペースになりそうだった。
21
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/09(金) 20:31:28 ID:OJnTl9O.0
(* ^ω^)ノ”「おっ丁度良いところに子供がいますお。おーい。」
(;^Д^)「やべえ! 大人だ! 怒られるぞ! 」
(;´∀`)「隠れるモナ! 」
( ^ω^)「いやいやいや、見えてるからね? お兄さん、隠れる様子ばっちり見てますからね? 」
(,,^Д^)「はっはっは。別に怒りに来たんじゃねぇよ。オジサン達は刑事でな、ちょっと捜査にご協力願いたくてな。」
普段は厳めしい顔付きのギコさんが優しく話し掛ける。
意外なことに彼は子供好きだった。
扱いも心得たものである。
22
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/09(金) 20:39:08 ID:OJnTl9O.0
(* ^Д^)(* ´∀`)「捜査ー!? 」
案の定少年達は目を輝かせて食いついてきた。自尊心をくすぐられたのだろう。
背の高い活発そうな男の子はプギャー、小柄でおとなしそうな男の子はモナーと自分から名乗った。
共に良雲寺小学校に通う四年生だった。
(* ^Д^)「俺達がわかることなら何でも聞いてくれよな! 」
(,,゚Д゚)「よし、プギャー。それじゃあ最近誰か怪しい人を見かけたりしなかったか? 」
( ^Д^)「うーん、ここいら一体は俺の縄張りなんだけどなぁ。特に怪しい奴なんかいなかったぜ。」
プギャーは少し考ると首を横に振る。
やはり、無駄足だったのか――期待してないとはいえ、落胆は大きかった。
(,,゚Д゚)「それなら何よりだ。プギャー、最近よからぬ奴がこの辺をうろついてるって、学校の先生やお母さんから聞いてないか? 」
( ^Д^)「あ!この辺のマンションで起きてるドロボーのこと?」
(,,゚Д゚)「そうだ。オジサン達は今そいつらを探してる。今でも奴らはこの辺を堂々と歩いてるかもしれん。」
(;^Д^)「お、脅かすなよー。」
(,,゚Д゚)「実際安全とは言い切れねぇ。」
だからな、日が暮れる前に早く帰んな、ギコさんは二人の頭をがしがし撫でて言った。
(;´∀`)「……。」
モナー君は、どこか不安そうに頭を撫でられている。
表情を読まれまいと爪先を見つめていた。
それは子供特有の、隠し事をして抱えきれなくなったような仕草だった。
23
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/09(金) 20:42:27 ID:OJnTl9O.0
( ^ω^)「? モナー君、何か言いたいことでもあるのかお? 」
( ´∀`)「絶対に怒らないって約束してくれるモナ? 」
(;^ω^)「うーん、絶対にかぁ……」
( ^Д^)「何だよ、ケチくせぇオッサンだな。」
( ;ω;)そ「おーん! 僕はまだ、ピチピチの二十代だお! それに内藤武運っていう立派な名前があるお! 」
( ^Д^)「ブーン? 」
(#^ω^)「ぶ・う・ん! 」
( ^Д^)「ま、何でも良いじゃねぇか。ブーン、コイツ約束しなきゃ絶対言わないぜ。」
24
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/09(金) 20:49:59 ID:OJnTl9O.0
(,,゚Д゚)「怒ったりしねぇよ。モナー、何か知ってることがあるなら教えてくれねぇか。」
僕達のやり取りでは埒があかないと判断したのだろう。
ギコさんは僕とプギャーの間に割って入る。
(,,゚Д゚)「指切りだ。」
(;´∀`)「……僕見たモナ。怪しいオジサン。」
(;^ω^)「いつ!? どこで!? 」
( ´∀`)「一昨日の二時頃、この廃ビルで……」
僕は小さく頷いて、ちらりとギコさんを見やった。
事件の犯行時刻と一致している。
(,,゚Д゚)「どんな奴だったか覚えているか?」
( ´∀`)「黒い帽子をかぶってたモナ。多分男の人だと思う。」
モナー君は、ゆっくりと記憶を探るように一つ一つ言葉にしていく。
焦るなーー自分に言い聞かせても、逸る気持ちを抑えきれない。
(;゚ω゚)「年齢は!? 何か特徴とか覚えてないかお!? 」
(;´∀`)そ「ごめんなさい……遠くてそこまではよくわからなかったモナ。でも、多分ブーンさんより年上モナ。」
僕の迫力に気圧されて、少し仰け反りながら申し訳なさそうに答えた。
( ´ ω`)「急に大きな声を出してゴメンだお。びっくりしたおね。」
( ´∀`)「ううん、大丈夫モナ。」
25
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/09(金) 20:52:27 ID:OJnTl9O.0
ところで――そう切り出して、ギコさんはゆっくりとした調子でモナー君に言った。
(,,゚Д゚)「この廃ビルの駐車場からだと向こうのマンションは見えないよな。どうやって怪しい男を見つけたんだ? 」
( ´∀`)「それは……」
言い淀んだ後、ちらちらとプギャーを見る。
( ^Д^)「何だよ? 」
( ´∀`)「プギャー、ごめんモナ。プギャーには黙ってたけど、このビル入れるんだモナ。」
(;^Д^)「え! だけど二人で試したとき玄関鍵かかってたろ!? 」
( ´∀`)「ううん、そっちから入ったんじゃないモナ。」
あっち、ビルの壁面の方へ指を指した。
ひび割れた灰色の壁にはたくさんのパイプが伝っていた。
その上には小さな窓が一つ。
( ´∀`)「あれをよじ登って中に入ったモナ。プギャーにも教えようと思ったけど、窓が小さいし、危ないから言うのやめたモナ。」
( ^Д^)「うーん、そんな裏技があったのかぁ。」
プギャーは壁の方を見上げて、感心したように頷いている。
確かにあの大きさの窓なら、大きなプギャーはうっかりはまって出られなくなりそうだった。
( ^ω^)「真似しちゃだめだお? 」
(;^Д^)「わかってらい! 」
一応釘を刺しておく。
プギャーのような子供はたとえ駄目だとわかっていても、一回は挑戦しそうな気がした。
26
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/09(金) 20:55:15 ID:OJnTl9O.0
(,,゚Д゚)「よく言ってくれたな。今日はもう遅い。さぁ、うちへ帰んな。」
ギコさんはお開きだ、という感じでぽんとモナー君の肩を叩く。
その時、彼が一瞬痛そうに顔をしかめたのに違和感を感じた。
ギコさんはそんなに力を込めて叩いてはいない。
( ^ω^)「モナー君肩、怪我してるのかお? 」
(;´∀`)「な、何でもないモナ! 行こうプギャー! さよさら、オジサン。ブーンさん。」
モナー君は僕の問いには答えずに駆け出した。
二人を見送って姿が見えなくなった頃、僕は肺の中にあるありったけの空気を吐き出した。
かなり頼りないが、手掛かりを一つ掴んだ。
(,,゚Д゚)「一歩前進、だな。」
( ^ω^)「お見事ですお。さすが“落としのギコ”さん。」
(,,-Д -)「言ってろ。」
明日からはきっと忙しくなる、そう思いなが署へ車を走らせた。
先ほど感じたモナー君に対する違和感も、ようやく得た目撃証言に消えていってしまった。
27
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/09(金) 20:58:14 ID:OJnTl9O.0
廃ビルに行ってから数日――
僕達は相変わらず例の空き巣事件の捜査に明け暮れていた。
だた、状況は以前とは少し変わっていた。
あれだけ駆けずり回って探しても見つからなかった目撃証言が、モナー君達に出会った日を境にぽつりぽつりと得られるようになってきたのだ。
だから、聞き込みを終えて帰路に向かう先で入った無線連絡を聞いたときも、僕達はモナー君のことなど、ちらりとも頭に浮かぶことはなかった。
「良雲寺町VIP荘にて男性からの通報がありました。近くの署員は至急現場へ向かって下さい。」
( ^ω^)「了解しましたお。内藤、義古の両名はすぐに現場へ向かいますお。」
(;^ω^)「ふぃー。何だか今日はバタバタしてますおね。」
(,,゚Д゚)「ま、こういう日もあるさ。もうひと頑張りだ。」
28
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/09(金) 21:00:31 ID:OJnTl9O.0
時刻は午後八時になろうとしていた。
日はとっぷりと暮れ、居酒屋の明かりが煌々と輝いていた。
新速通りを抜けて細い道に入ると現場のVIP荘が遠目からでもすぐにわかった。
アパートの前には黄色いビニールテープが巻かれ、制服警官が入り口に集まる野次馬達を整理していた。
(;=゚ω゚)ノ「はい、はい、押さないで下さいょぅ。」
( ^ω^)「ぃょぅ、お疲れ様だお。」
野次馬に揉みくちゃにされかかっている年若い警官に声を掛ける。
(=*゚ω゚)ノ”「あっブーン!お疲れ様なんだょぅ。」
制服姿の彼、伊葉洋輔は手を挙げて答える。
同い年ということもあってかお互い気安い所作で話す。
( ^ω^)「中の様子は? 」
(=´ ω`)ノ「一面血の海だょぅ。無理心中じゃないかって言われてるょぅ。」
(;^ω^)「ありがとだお。大体把握した。」
29
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/09(金) 21:02:52 ID:OJnTl9O.0
黄色いビニールテープをくぐり、中に入る。周りには野次馬からの視線をさけるため、青いビニールシートが張られていた。
ミ,,゚Д゚彡「二人とも遅かったじゃねぇか。」
厳つい中年の男が出迎える。
後ろにいるギコさんが手だけですまん、とポーズをとった。
(;^ω^)「申し訳ありませんお、吹西警部補。道が存外に混んでたんですお。」
(,,゚Д゚)「ガイシャの身元と被害状況は? 」
ミ,,゚Д゚彡「被害者は持南弓都、24才女性。包丁で頸動脈を刺され、我々が到着した頃には死亡していた。死因は出血多量と思われる。」
ミ,,-Д-彡「それと被害者の息子が腹部を刺されていた。重傷をおって今救急搬送された。全く、嫌んなっちまう。」
30
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/09(金) 21:09:26 ID:OJnTl9O.0
(;゚ω゚)「モナー!? まさか! 」
(,,゚Д゚)「被害者少年の意識は? 」
モナーと聞いて取り乱す僕の肩を掴んで冷静に質問する。
僕はこの時初めてギコさんをぶん殴ってやろうかと思った。
ミ,,゚Д゚彡「出血は多かったが意識はあった。おそらく命に別状ないと思う。」
(;゚ω゚)「こうしちゃいられないお。早く病院へ……」
(,,゚Д゚)「内藤。」
(#゚ω゚)「ギコさん! 」
肩を掴む指先に力が込められる。ギコさんの目は冷静になれ、と言っていた。
その手を無言で振り払う。
(#゚ω゚)「これが冷静でいられっかお! 」
気付いているのは僕だけではないはずだ。
終始冷静な態度を貫くギコさんを、信じられない思いで睨む。
31
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/09(金) 21:11:44 ID:OJnTl9O.0
(,,゚Д゚)「すまん、フサ。ちょっとこいつと話つけるわ。」
ミ,,゚Д゚彡「おう。」
ギコさんが強引に玄関へ押しやる。
掴まれた腕はひりつくぼとに痛かった。
(,,゚Д゚)「落ち着け内藤。被害者はモナー君かもしれん。だか、命は助かってるんだよ。」
(,,゚Д゚)「内藤巡査、俺達の職務はなんだ? 俺達は刑事なんだよ。まだやるべき仕事は残ってる。」
(;゚ω゚)「お……」
( ´ ω`)「すいませんお。少し取り乱しましたお。」
(,,゚Д゚)「よし。」
32
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/09(金) 21:13:21 ID:OJnTl9O.0
( ,,゚Д ))「フサ、ホシは? 」
ミ,,゚Д゚彡「犯行を行ったのは世帯主の持南見哉、38才男性。発見時そこのドアノブにロープを掛け首を吊って、死亡していた。十中八九無理心中だな。」
(,,-Д-)「そうか……」
視線をわずかにそらし、絞り出すような声でギコさんは言った。
握りしめた指はわななき、赤く染まっていた。
33
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/09(金) 21:14:57 ID:OJnTl9O.0
ミ,,゚Д゚彡「てな訳で実はそんなに仕事は残ってないんだ。俺達だけでも良いくらいだよ。」
二人は解散、あがって良い――そう言った後吹西警部補は僕達にぞんざいに手を振って、犬をあしらうような仕草をした。
(,,゚Д゚)「すまんな。」
ミ,,゚Д゚彡「かまわねぇよ。ガイシャはお前らの知り合いなんだろ? 病院に行ってやれ。事情は後日報告するように。」
( ´ ω`)「はいお。お心遣い傷み入りますお。」
病院に着くまで、僕達は一言も口をきかずにいた。
お互いに黙り込んだまま、ただただ、病院への道を急いだ。
34
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/09(金) 21:22:23 ID:OJnTl9O.0
以上で区切りたいと思います。
また、書き溜めましたら投下します。
感想を下さった方々、ありがとうございました。
すごくモチベーションに繋がりました。
何かアドバイスや、気になる点があれば教えて下さい。
35
:
名も無きAAのようです
:2012/11/09(金) 23:22:34 ID:Z8Hm/SOY0
キャラの特徴が分かりやすいな
ひたすら続きが気になるわ
乙でした
36
:
名も無きAAのようです
:2012/11/09(金) 23:26:42 ID:NGw3O7LQ0
1996年が十年前なのはミスだよね
細かくすまん
面白いので頑張って
37
:
名も無きAAのようです
:2012/11/09(金) 23:54:33 ID:Rf41EpIEO
文章が読みやすくていいよ
それから、次の分の書き溜め早く終わらせてほしい
38
:
名も無きAAのようです
:2012/11/09(金) 23:55:27 ID:WweB2ox60
>>36
現代の設定を2006年と仮定して考えればなんの違和感もないと思います
39
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/10(土) 07:31:39 ID:2rBWJaK.0
>>36
、38
大変失礼しました。正しくは
十年前→十六年前
です。
温かいお言葉、ありがとうございます。
これを励みに、できるだけ早く投下できるよう頑張ります。
40
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/11(日) 23:57:32 ID:aDSQagpU0
ようやく病院に着いた頃には、ぐったりとくたびれ果ていた。
強張った身体をぎくしゃくと動かす。
( ^ω^)「ギコさんはここで待っていて下さいお。面会が可能か聞いてきますお。」
ギコさんを車内に残して、夜間受付へ向かった。
車内でじっとしているよりは、何かしてる方が気が紛れるような気がした。
41
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/11(日) 23:58:51 ID:aDSQagpU0
ナースステーションの看護婦達は、ばたばたと忙しそうに動き回っていた。
対象的に院内は静かで、薄暗い廊下の先でそこだけがぽっかりと浮かんでみえた。
本来なら受付に向かうべきだか、直接看護婦に聞いた方が早いだろう、そう思って歩を進める。
歩くにしたがって病院特有の、鼻を突くような薬品臭い香りが強くなっていく。
気は滅入るばかりだった。
それを振り払うかのように少し大きめの声で呼び掛けた。
42
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/12(月) 00:00:27 ID:eeyefwYM0
( ^ω^)「警察のものですお。本日搬送された、持南さんというお子さんに面会願えますかお? あと、彼の容態はどうでしょうか? 」
手帳を差し出しながら、中の様子を伺う。
一人の看護婦が気付いて、こちらへ向かってきた。
胸には、今子供達に人気のアニメキャラクターのボールペンが刺さっていた。
ミセ*゚ー゚)リ「申し訳ありませんが、茂成君は今薬で眠っています。出血のわりには傷は深くありませんでしたから、できれば面会は明日以降にお願いできますか? 」
看護婦は簡潔に内容を話したあと、申し訳なさそうに眉尻を下げた。
( ^ω^)「わかりましたお。一度出直して改めて参りますお。」
43
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/12(月) 00:01:49 ID:eeyefwYM0
ミセ*゚ー゚)リ「刑事さん。」
立ち去ろうとする僕を看護婦が呼び止めた。
( ^ω))「何でしょうかお? 」
ミセ*゚ー゚)リ「茂成君の体には今日つけられたとは考えにくい、打撲痕が複数ありました。」
( ^ω^)「……。」
ミセ*-⊿-)リ「決定的ではありませんが、虐待の可能性があります。」
悔しそうに唇を噛む。
もし、モナー君虐待されていたとしても、彼女には何の責任もないというのに。
感情的にならないよう努めて事実だけを伝えようとしていた。
44
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/12(月) 00:03:17 ID:eeyefwYM0
ミセ*゚ー゚)リ「これは、私の個人的なお願いなのですが……。」
ミセ*゚ー゚)リ「あの子はまだ、お母さんとお父さんが亡くなった事を知りません。近くに親戚の方が住んでいるとの事だったので、連絡を取ったのですが、まだいらっしゃってないんです。」
看護婦は目を伏せる。
まるで自分が悪いことをしたような顔をしていた。
( ´ ω`)「そうですかお……。」
ミセ*゚ー゚)リ「だから、もし、お忙しくなければできるだけ早く茂成君に会ってあげて下さい。きっと寂しい思いをするでしょうし。ごめんなさい、勝手なことを言って。」
( ^ω^)「わかりましたお。容態が落ち着き次第、必ず会いにきますお。」
人を待たせていますので、と言って看護婦と別れる。
車内に戻るのが、なぜか気が重かった。
45
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/12(月) 00:04:36 ID:eeyefwYM0
( ^ω^)「戻りましたお。」
(,,゚Д゚)「おう。」
( ^ω^)「モナー君、傷は大した事はないそうですお。それと面会は明日以降に、との事ですお。」
(,,゚Д゚)「わかった。なら、明日の夕方頃に面会に行こう。」
淡々と報告していく。
その間、ずっとギコさんは前を見ていた。
ギコさん――あなたは今、何を考えているんですか? そう、横顔に問い掛けたかった。
( ^ω^)「それと……モナー君には今日受けた傷以外に、複数の打撲痕があるそうですお。看護婦は虐待の可能性を示唆していましたお。」
(,,-Д-)「……。そうか、明日フサに俺から報告しよう。」
ついに、僕を見ることはなかった。
46
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/12(月) 00:06:18 ID:eeyefwYM0
新速通り抜け、人もまばらになった商店街を横目に通り過ぎる。
そこに一組の親子がいた。
小さな男の子と、父親と母親。
男の子が父親を見上げて、上着の裾を引っ張る。
父親は笑うと、彼を肩車する。
男の子も嬉しそうに笑い、肩の上で跳ねる。
男の子が落ちそうになって、慌てて母親が捕まえる。
だめじゃない、あぶないでしょ、母親は叱る。
怒られてしゅんとする彼を父親は何にも言わずに抱き上げる。
母親に、これならあぶなくないだろ、そんな顔をして笑う。
怒っていた母親もつられて笑う。
幸福に満ち溢れた光景だった。
それは、モナー君にも訪れたかもしれない幸せな未来だった。
奪ったのは僕だ。
47
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/12(月) 00:07:35 ID:eeyefwYM0
( ´ ω`)「僕は……」
(,,゚Д゚)「何だ。」
自分が運転していて良かったと、心から思った。
今の僕は多分、ギコさんの顔をしっかり見て話せそうにはない。
48
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/12(月) 00:09:11 ID:eeyefwYM0
( ´ ω`)「僕はあの日モナー君と別れるとき、おかしなと思ったんですお。」
(,,゚Д゚)「……」
( ´ ω`)「あの子はギコさんに肩を叩かれた瞬間、痛そうな顔をしたんですお。」
( ´ ω`)「きっとプギャーと遊んで肩でもぶつけたんだろう、そう思って深く追及しませんでしたお。」
( ω )「……。」
( ;ω;)「いや、僕は何にも考えてなかった。単に面倒くさかったからモナー君をそのまま帰したんですお! 」
(,,-Д-)「もういい。」
明らかに苛立ちを含んだ声で制する。
その苛立ちは、僕に向けられたものなのか、それとも自身へ向けられたものなのか。
( ;ω;)「空き巣事件の方が大事だから! 疲れていたから! 彼の怪我のことをしつこく尋ねなかったんですお! 虐待の可能性があったのに! 」
(,, Д )「もうしゃべるな! 」
最後は嗚咽が混じり言葉にならなかった。
視界は涙で歪み、滲んでいった。
車を脇に止めると、そのまま泣いた。
49
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/12(月) 00:11:09 ID:eeyefwYM0
翌日、鉛のように重たくなった身体を引きずって職務をこなした。
周りの捜査員達はいつもより慌ただしい様子で動き回っていた。
例の窃盗事件は佳境を迎えていた。
一人の男が容疑者として挙げられたのだ。
喜ばしい事だと思う。
この一ヶ月間に及ぶ地道な努力は、けして無駄ではなかったのだから。
(,,゚Д゚)「ようやく片が付きそうだな。」
( ^ω^)「そう……ですおね。」
50
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/12(月) 00:13:52 ID:eeyefwYM0
喜び合う彼等をどこか他人事のように眺めていた。
思い返してみれば、大変な捜査だったはずだ。
手応えのない、暗闇を探るような日々が幾日も続いた。
日に日に同僚達は苛立ち、署内の空気は重たくなる一方だった。
それでも心に浮かぶのは、あの廃ビルでの出来事だった。
(,,゚Д゚)「もう五時だ。内藤、見舞いに行くか。」
( ^ω^)「はいお……。」
ギコさんは今日一日、上の空だった僕を一度も責めなかった。
いつものように仕事をし、いつものように話し掛けた。
彼が日常を取り戻そうとしているようにも、苦しみに耐えているようにも見えた。
ギコさんも辛いのだろうか。
掛ける言葉を探しているうちに、病院は目前に迫っていた。
51
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/12(月) 00:15:45 ID:eeyefwYM0
(,,゚Д゚)「ごめんください。F署の義古と申します。持南君に面会に参りました。」
ミセ*゚ー゚)リ「あぁ!昨日の刑事さんですね。ご苦労様です。」
運よく、昨晩の看護婦が僕達に気付いて応対してくれた。
昨日は暗く沈んだ顔していたが、今はその面影はない。
はきはきと手際良く喋り、僕達に説明していく。
52
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/12(月) 00:17:06 ID:eeyefwYM0
ミセ*゚ー゚)リ「今日の面会は、三十分までにして下さい。」
( ^ω^)「もしや、経過が思わしくないんですかお?」
ミセ;-⊿)リ「いえ、思わぬ侵入者がありまして……。はしゃぎすぎてモナー君、お熱が出ちゃったんです。」
(;^ω^)そ「侵入者?」
まるで賊に押し入られたような物言いだった。
ミセ*゚ー゚)リ「今度あんな事をしたら。私は奴を叩き切る所存です。」
拳を握り締める。
よくわからないが、未だに怒りが収まってないらしい、というのは伝わってきた。
53
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/12(月) 00:18:38 ID:eeyefwYM0
(;^ω^)「話の要領が掴めませんが、とにかくお見舞いは三十分までなんですおね。」
ミセ*゚ー゚)リ「失礼しました。そう言う事です。時間になりましたら、私も様子を見に参りますので。」
ミセ*゚ー゚)リ「今朝、モナー君に刑事さん達が来る事を話したんですが、あなたの特徴を言ったら、『きっと、ブーンさんとオジサンだ! 』って凄く楽しみにしてました。お知り合いなんですか? 」
(,,゚Д゚)「以前別件で彼に協力してもらいましてね。それでですよ。」
納得したのか、看護婦はモナー君の病室を僕達に伝えると、ナースステーションに戻っていった。
看護婦がいった言葉を反芻する。
事実を知れば、恐らく彼は僕に落胆するだろう。
重い足取りで病室へ向かった。
54
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/12(月) 00:32:13 ID:eeyefwYM0
短いですが、これで今回の投下を終わります。
まだまた悪の教団が出てくるのは先になってしまいそうです。
懲りずにお付き合い頂けたら幸いです。
あと、おかしなところがあれば、遠慮なくどんどん指摘して下さい。
アドバイスもお待ちしております。
追伸 遅くなってしまいましたが、
※このお話はハードボイルドファンタジーを目指して書いています。
55
:
名も無きAAのようです
:2012/11/12(月) 02:25:45 ID:M4I1.xhgO
別におかしいところは無いと思う
初投稿だとは思えないよ
56
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/12(月) 10:55:00 ID:HpKjw8BQ0
>>55
ありがとうございます。
実際に自分で書いてみると、単純なミスや時系列の管理がいかに難しいかを実感しています。
視野が狭くなるのかもしれません。
矛盾していたり、無理がある! とお感じになったら是非、
バシバシ突っ込んで下さい。
57
:
名も無きAAのようです
:2012/11/13(火) 03:33:41 ID:8JWeTgJY0
そういえば悪の教団と戦うんだったww
作者の力量もあるし、刑事物はやっぱりいいなー
58
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/13(火) 23:01:13 ID:E48FicK.0
扉の前で立ち止まり、大きく息を吸い込む。
――大丈夫、いつもの僕だ。
緊張でドアを握った手は、色を失ったように白くなっていた。
( ^ω^)「モナー君入るお。」
( ´∀`)「……。」
(,,゚Д゚)「寝てるみたいだな。」
( ^ω^)「ですおね。」
モナー君は熱のせいか頬を紅くしていた。
室内は冷房でひんやりとしていたが、時々暑そうにうーん、と唸る。
思っていたよりも、ずっと顔色は良かった。
59
:
名も無きAAのようです
:2012/11/13(火) 23:01:45 ID:MN3TyihI0
お 来たか
60
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/13(火) 23:02:30 ID:E48FicK.0
当てが外れて手持ち無沙汰になった僕達は、それぞれてんでばらばらに動き出した。
ギコさんは西日の差し込む窓にブラインドを引きに行き、僕はベットの脇にある備え付けの棚を見ていた。
棚の上には【良雲寺小学校4年2組一同】と書かれた冊子が置いてあった。
( ^ω^)「これは……。」
手にとってページをめくる。
最初のページは、担任の先生からのメッセージで始まっていた。
そこには綺麗な文字で、学校のみんなが心配している事や、モナー君ならお勉強に遅れたりしないからゆっくりと体を休めて早く元気になって ほしい、という内容のメッセージがしたためられていた。
61
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/13(火) 23:03:29 ID:E48FicK.0
( ;ω;)「お……。」
鼻の奥がつんとして、涙が零れそうになるのを何とか堪える。
この子の周りには彼を愛している人がたくさんいる。
( ^ω^)つ”(´∀` )「モナー君……。」
彼の額にそっと手をあてる。
髪の生え際が汗でじっとりと湿っていた。
62
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/13(火) 23:04:44 ID:E48FicK.0
(,,゚Д゚)そ「うおっ!? 」
(^ω^;))「え!? 」
突然、ガサリと紙が擦れたような音がした。
ブラインドを中途半端に閉めて、ギコさんは驚いたように当たりを見回した。
( う∀`)「ん……? ブーンさん? それにオジサン? 」
(;^ω^)「起こしてしまったおね、ごめんだお。」
(;,,-Д-)「面目ない。起きちまったか。」
モナー君は困り顔のギコさんに、大丈夫、と笑いかけ半身を起こそうとする。
63
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/13(火) 23:05:57 ID:E48FicK.0
(;^ω^)そ「まだ起きちゃ駄目だお! 」
( ´∀`)「今の音……鶴のせいモナ。」
( ^ω^)「つる? 」
( ´∀`)「千羽鶴……今日、プギャーが持ってきてくれたんだモナ。」
窓を見やると、ブラインドに不器用に括りつけられた千羽鶴がだらりと垂れ下がっていた。
これで何故、あの看護婦が怒り心頭していたのかよくわかった。
確か、今はモナー君は家族の方、もしくは親戚の方でもない限り、面会は許されていないはずだ。
(;^ω^)「なんつー雑な仕事してくんだお……。」
( ´∀`)「ふふっ、プギャーは運動は得意だけど……不器用モナ。」
64
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/13(火) 23:07:42 ID:E48FicK.0
起きあがろうとする彼を手で制し、そのまま寝かしつける。
モナー君は話を続ける。
( ´∀`)「今日プギャーは先生から、僕が怪我したって聞いたって言ってたモナ。」
( ´∀`)「でも、一週間はお見舞いに言っちゃ駄目って……。」
( ´∀`)「『どうしてもこれを今日、渡したかったから、忍び込んだんだ! スパイみたいだろ!? 』って言って、ここまで来てくれたモナ。」
(;^ω^)「あちゃー」
モナー君は、冊子と千羽鶴の二つを交互に見て微笑む。
65
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/13(火) 23:08:43 ID:E48FicK.0
( ´∀`)「お喋りしているうちにだんだん楽しくなってきちゃって……千羽鶴の飾り付けしようって事になったんだモナ。」
そう言う事か、と頷く。
確かに、いくら背の高いプギャーでも、ベットについたカーテンレールまでは、届かない。
だから、彼はしょうがなくブラインドに折り鶴を付ける事にした――。
( ´∀`)「どこに付けようか騒いでたら、美瀬里お姉さん……看護婦さんが凄い顔して入り口に立ってたモナ。」
(;^ω^)「椅子使えば、カーテンレールに届くおプギャー……」
あの看護婦が仁王立ちで、怒りに燃えている様子が目に浮かぶ。
可愛らしい顔の彼女が怒れば、さぞかし恐ろしいことだろう。
首根っこを掴まれて引きずられていくプギャーを想像してしまう。
( *´∀`)(^ω^* )「ふふっ。」
僕達は顔を見合わせると同時に小さく笑った。
66
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/13(火) 23:09:44 ID:E48FicK.0
(,,゚Д゚)「そろそろ時間だ。モナー、お大事にな。」
(;^ω^)そ「随分話し込んでしまったお。これじゃあ、プギャーの事笑えないお! じゃあモナー君、僕も帰るお。」
( ´∀`)「うんモナ……。」
少し寂しそうな顔をして僕達に手を振る。
まだ、親戚は来ていないようだった。
67
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/13(火) 23:10:52 ID:E48FicK.0
( ´∀`)「オジサン。」
(,,゚Д ))「うん? どうした? 」
( ´∀`)「……。」
( ´∀`)「お父さんは……悪くないモナ。ただ、失敗しちゃったんだモナ。」
(,,゚Д゚)「失敗? 」
ギコさんはベットの近くにある丸椅子を引き寄せて座る。
68
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/13(火) 23:11:56 ID:E48FicK.0
( ´∀`)「あの日……お父さんはお酒をいっぱい飲んでて……お母さんを刺した後、僕にみんなで一緒に天国に行こうって。」
( ´∀`)「お父さん、不器用だから……僕の時は失敗しちゃったんだモナ。」
( う∀`)「ずっと、お父さんは泣いてたモナ。」
ぽたりと一滴の涙が頬を伝った。
モナー君、きっとお父さんは失敗したんじゃない、君の顔を見て、刺すのを躊躇ったんだ。
父親は確かに不器用ではあったが、彼なりに愛していたのだろう。
(,,゚Д゚)「……。よく話す決心をつけてくれたな。いっぱい話して疲れたろう。」
(,,-Д-)「さぁ、もうお休み。」
( ´∀`)「うん、来てくれてありがとう。オジサン、ブーンさん。」
僕達は手を振り合って病室を後にした。
69
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/13(火) 23:13:09 ID:E48FicK.0
署に戻って、僕とギコさんの間に再び沈黙が訪れた。
二人して何となく自販機の前のベンチに腰掛けた。
聞き込みが終わる度にここに休憩しに来ていたので、癖になっているのだろう。
自販機の振動音だけが、二人の間に流れていた。
缶コーヒーを買い、ギコさんに手渡す。
( ^ω^)つ□「お疲れ様でしたお、ギコさん。」
(,,゚Д゚)「内藤、お前に話がある。」
( ^ω^)「……なんでしょうかお? 」
缶コーヒーを受け取りながら、僕を真っ直ぐ見つめる。
今日、初めてお互いの視線を重ね合わせた。
70
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/13(火) 23:14:26 ID:E48FicK.0
(,,゚Д゚)「お前はこの件からはずれろ。」
(#^ω^)そ「何を言うんですギコさん! そんな事できるわけないお! 」
(,,-Д-)「2、3日の休暇を取れ。今のお前は明らかに無理をしている。」
(,,゚Д゚)「上司命令だ。」
(#^ω^)「僕は無理なんかしてませんお! 」
愕然としていた。
ギコさんなら、僕の無念さを誰よりわかってくれていると思っていた。
信じていたのに突然突き放されたような思いだった。
71
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/13(火) 23:16:19 ID:E48FicK.0
│,,゚Д゚彡つ” コンコン「お取り込み中、ちょっとごめんよー。」
振り返れば吹西警部補が廊下の壁に寄りかかり、コツコツとノックしていた。
(,,゚Д゚)「構わん。わざわざ来なくても、言伝を残して置いてくれれば出向いたのに。」
ミ,,゚Д゚彡「あのなぁ、俺だってたまにはご足労する時だってあるんだよ。なんだよ、俺が歩けば『ご足労頂きありがとうございます。』って、俺が動くのがそんなに珍しいか。」
吹西警部補は飄々と言ってのける。
先程の僕等のやり取りなど、全く気にしていない風に見える。
72
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/13(火) 23:17:14 ID:E48FicK.0
(,,゚Д゚)「で、用件は? 」
ミ,,゚Д゚彡「昨日夜に起きた殺傷事件についての報告だ。方針が決まった。」
(,,゚Д゚)「詳しく教えてくれ。」
ミ,,゚Д゚彡「被疑者死亡で書類送検。以上だ。」
吹西警部補は邪魔したな、そう言って立ち去ろうとする。
打ち切るような言い方に、文句は言わせないという含みがあった。
73
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/13(火) 23:18:22 ID:E48FicK.0
(;゚ω゚)「ちょっと待って下さいお! 」
ミ,,゚Д゚彡「何だ? 」
怪訝そうな顔をして僕の方を見る。
見る、というよりは鋭い眼光が僕を射抜いていた。
(;゚ω゚)「被害者少年は虐待を受けています! もっとよく調べて事件を明らかにすべきですお! 」
ミ,,゚Д゚彡「無駄だ。本庁直々のお達しだよ。決定が覆ることはない。」
まさか、小姑みたいにこんな小さな事件にまで口出ししてくると思わなかったけどな、吐き捨てるように言うと胸ポケットから煙草を取り出した。
74
:
名も無きAAのようです
:2012/11/13(火) 23:19:11 ID:E48FicK.0
ミ,,゚Д゚彡y-「内藤、先月あった誤認逮捕の事覚えてるか? 」
もちろん覚えていた。
通り魔事件で捕まえた男が、実はただの目立ちたがり屋で、自供内容も新聞を読み込んで覚えたというお粗末なものだった。
ちょっとつつけばボロが出る。
なのに、焦った捜査員達は容疑者の証言を鵜呑みにしたのだ。
後に真犯人が現行犯逮捕され、事件が明るみに出たのだ。
かなりマスコミに叩かれ、本庁は神経質になっていた。
75
:
名も無きAAのようです
:2012/11/13(火) 23:20:51 ID:E48FicK.0
ミ,,゚Д゚彡「下手に虐待の事実を公表して、事前に気付いて事件を未然に防げなかったのかだの、児童相談所との連携はとれてたのかだの、痛くない腹を探られたくないんだよ。」
ミ,,-Д-彡「大人になれよ、内藤。」
(;゚ω゚)「待って下さい、吹西警部補! 」
短くなった煙草を灰皿へ投げ捨て、そのままずんずん歩いて行く。
吹西警部補が振り返ることはなかった。
76
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/13(火) 23:36:46 ID:E48FicK.0
以上で今回の投下を終了いたします。
読んで下っている方にとって、迷惑極まりないとは思うのですが、
どうやら私は10〜20レスくらいをこまめに投下する方が向いているようなので、
この形を取らせて頂きたいと思います。
目に留まった時に読んで頂けますと嬉しいです。
また、しつこいようですが、おかしな点や、アドバイスお待(ry
>>57
いつになったら探偵内藤が辣腕を振るうときが来るのか!?
細かい描写をし過ぎている感がありますが、お付き合い頂けましたら幸いです。
ミ,,゚Д゚彡「下手に虐待の事実を公表して、事前に気付いて事件を未然に防げなかったのかだの、児童相談所との連携はとれてたのかだの、痛くない腹を探られたくないんだよ。」
ミ,,-Д-彡「大人になれよ、内藤。」
(;゚ω゚)「待って下さい、吹西警部補! 」
短くなった煙草を灰皿へ投げ捨て、そのままずんずん歩いて行く。
吹西警部補が振り返ることはなかった。
ミ,,゚Д゚彡「下手に虐待の事実を公表して、事前に気付いて事件を未然に防げなかったのかだの、児童相談所との連携はとれてたのかだの、痛くない腹を探られたくないんだよ。」
ミ,,-Д-彡「大人になれよ、内藤。」
(;゚ω゚)「待って下さい、吹西警部補! 」
短くなった煙草を灰皿へ投げ捨て、そのままずんずん歩いて行く。
吹西警部補が振り返ることはなかった。
77
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/13(火) 23:39:44 ID:E48FicK.0
失礼致しました。
レス最後の方に文が……
無視して下さい。
78
:
名も無きAAのようです
:2012/11/14(水) 03:16:47 ID:wJ8a9i3sO
これで初投下とかすご過ぎだろ
79
:
名も無きAAのようです
:2012/11/14(水) 08:21:53 ID:DmZq7ZLQ0
面白いお。続き気になるおーw
80
:
57
:2012/11/14(水) 10:27:37 ID:eRsUipO20
ガチで忘れてた探偵物だったww
ごめんなさいw
81
:
名も無きAAのようです
:2012/11/14(水) 10:36:44 ID:K1FHz35o0
書き方もあってこの形式だと連載っぽさがあっていいんじゃない。乙です
ギコさんはこれを予見してたのかな
82
:
名も無きAAのようです
:2012/11/14(水) 13:29:24 ID:Hddv5HEI0
乙
83
:
名も無きAAのようです
:2012/11/14(水) 20:10:46 ID:Na06lvh.0
読みやすいし描写も好きだな
欲を言えばもっと読みたいが、無理して投下するよりはいいよな
続き待ってる。乙
84
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/15(木) 19:17:27 ID:i1d8.6Pc0
お話が読みずらくなってしまうため、少しだけ投下させて頂きます。
今回の数レスで、舞台は過去から現在へ変わります。
そして、暖かい励ましのお言葉や感想、本当にありがとうございます。
嬉しくて少し面映ゆい思いが致しました。
85
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/15(木) 19:18:33 ID:i1d8.6Pc0
(;゚ω゚)「吹西警部補にもう一度掛け合って来ますお! 」
(,,゚Д゚)「待て。」
(#^ω^)「僕を止めないで下さいお! 」
虐待の事実を世間に公表すれば、様々なバッシングを受けるかもしれない。
だか、それに伴って視聴者の虐待への関心度は高まるはずだ。
一時的な痛みに耐えれば、きっと大きな実りが待っている。
僕が、救うことのできなかった未来のかわりに、いくつもの新しい未来が救われる可能性がある。
86
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/15(木) 19:19:33 ID:i1d8.6Pc0
(,,゚Д゚)「良いから俺の話を聞くんだ。」
(,,-Д-)「俺はお前よりよっぽど罪深いんだ。」
ギコさんの弱々しい声音は、静まり返った廊下でも消えてなくなりそうなくらい小さかった。
(;^ω^)「何を……言ってるんですお、ギコさん? 」
(,,゚Д゚)「廃ビルに行った日は何日だ? 」
(#^ω^)「そんな事を答える暇はありませんお。」
(,,゚Д゚)「答えるんだ。」
( ^ω^)「……8月5日ですお。」
渋々答える。
どう考えても、ギコさんが僕をなだめようと、心を砕いているのをひしひし感じる。
子供扱いは、やめてくれ――余計に頭に血が上る。
87
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/15(木) 19:20:29 ID:i1d8.6Pc0
(,,゚Д゚)「モナーの目撃証言の日付と時刻は? 」
( ^ω^)「8月3日、午後2時頃。」
(,,゚Д゚)「そうだ。モナーは証言をする際に言い出すのを随分迷っていた。」
( ^ω^)「それは……! 勝手にビルに忍び込んだからですお。」
(,,゚Д゚)「違う。」
確信に満ちた声できっぱりと否定する。
(#^ω^)「何が違うと言うんです! 」
進まない会話に苛立ちが募る。
こうしている間にも、吹西警部補は帰ってしまうかもしれないのに。
88
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/15(木) 19:22:00 ID:i1d8.6Pc0
(,,゚Д゚)「あの日、モナーはビルに入り込んだ事を怒られると思ったんじゃない、“学校をサボった”のがばれるんじゃないかと思っていたんだ。」
( ^ω^)「……出鱈目を言うのはよして下さいお。8月3日は土曜日、午前授業で子ども達は遅くとも、13時には帰宅しているはずですお。」
そう、だからモナー君が14時にあのビルにいたって何の不思議もないはずだ。
(,,゚Д゚)「内藤、お前には子供がいないから、気付かなかったんだ。」
( ^ω^)「……? 」
(,,-Д-)「俺は……孫の梨里があすこに通っているから、すぐに気がついたよ。」
(,,゚Д゚)「8月3日、第一土曜日……。良雲寺小学校では【予備学習】が行われていた。」
( ^ω^)「……。」
頭の隅で、以前ギコさんが宝物のように差し出した、梨里ちゃんの写真を思い出していた。
校門の前で誇らしげな顔をしてピースサインをしていた彼女は、もう六つになったんだっけ。
(,,゚Д゚)「【予備学習】は一時間の昼食を挟んだ後、学校OBや元教師によって午後三時まで行われる。」
(,,゚Д゚)「俺も呼ばれて、一度非番の日に授業をしたことがあるんだよ。」
予備学習は昨年の四月から毎月一回行われていた。
学力低下に不安を抱いた父母からの訴えに、良雲寺小学校が応える形で実現した新しい学習プログラムだった。
昼食はお弁当持参、ボランティアで近所の人間が先生を努めた。
勉強について行けない子供達のための補習授業や、独楽回し、図書室でのお話会など授業内容はそのとき受け持つ教師に委ねられている。
89
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/15(木) 19:22:55 ID:i1d8.6Pc0
(,,゚Д゚)「俺はな、内藤。モナーが学校をサボったのは、弁当が持っていけないからなんじゃないかって、思った。」
(,,゚Д゚)「親が何らの理由で、弁当を用意する事が不可能な状況にあるのだろうと気付いていた。」
(;^ω^)「だけど! あれは正規の授業じゃありませんお! あの日はたまたまモナー君はサボっただけかもしれませんお! 」
(,,゚Д゚)「今のところ病欠以外で、授業を休んだ子供はいない。予備学習も授業の一部というのが生徒達及び、学校側の見解だ。」
(,,゚Д゚)「そして、別れる際のあの不自然な態度。」
(,,-Д-)「俺は彼が虐待を受けているだろうと確信を持った上で、引き止めなかったんだ。」
握り締めた拳がわなわなと震えていた。
やがてそれは全身に広がり、瘧のように痙攣し始めた。
震えを止めようと腕で身体を抑えつけると、肝の底から獣のような呻き声が洩れた。
90
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/15(木) 19:23:49 ID:i1d8.6Pc0
( ゚ω゚)「ギコさん、あなたは……」
(#゚ω゚)「あんたは僕と同じ、人殺しだお! 」
( ゚ω゚)「モナー君の未来を、両親を奪ったんだお! 」
(,,-Д-)「否定はしない。」
(.:.:;.ω)「……。」
( ω )「許せない……」
( ω )「僕達は……けして許されない罪を冒したんだ……」
( ゜ω:;.:.「おっ……」
91
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/15(木) 19:25:06 ID:i1d8.6Pc0
視界に映る全ての物の輪郭がぼやけ、醜く変形した。
目の前を包むのは赤く燃え上がった炎。
炎が指先をじりじりと浸蝕していた。
たちまち無数の水疱ができ、気持ちの悪い汁を垂れ流す。
腕の肉がとろけて骨が露出する様子を目の当たりにするのが、ひどく不愉快だった。
体は膨れ上がり、肩に隆々とした筋肉が浮かび上がった。
その変容に身体はついていけない。
肉はめきめきと音を出して裂けると、血を溢れさせた。
血液が纏わりつく不快感に吼えれば、火の粉が肺の肉を焦がす。
鋏の刃を摺り合わせるような、じゃ、じゃ、という耳障りな音が鳴り響いていた。
――その音の正体が、己の尖った獰猛な牙が擦れあう音だと気がつくのに、そう時間はかからなかった。
92
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/15(木) 19:26:11 ID:i1d8.6Pc0
(,,゚Д゚)「内藤! 」
(;,,゚Д゚)「内藤! おい、聞こえるか!? 」
(゚Д゚,,≡,,゚Д゚)「誰か! 手を貸してくれ、内藤が倒れた! 」
( ´ ω`)「お……」
気づけばギコさんががくがくと僕を揺さぶっていた。
ギコさんの声は裏返り、ひび割れていた。
当たりを見回す。
だいぶ低くなった目線の先には、いつも通り自販機が不満げなうなり声をあげて鎮座していた。
93
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/15(木) 19:27:54 ID:i1d8.6Pc0
( |||´ ω`)「あれ……僕は……? 」
(,,゚Д゚)「急に倒れたんだ。内藤、意識はあるな? 」
ぺちぺちと頬を叩かれ、しだいに自分が何をしていたのかを思い出す。
反射的に身を起こそうとするが、ひどい目眩に襲われ身体が崩れ落ちた。
(,,゚Д゚)「目眩が収まるまで、深呼吸しろ。」
( |||´ ω`)「僕は、僕はギコさんに、何て事を……。」
(,,゚Д゚)「気にしてない。」
ぼんやりとした視界に浮かぶギコさんは、泣き笑いのような顔をしていた。
あまり心配かけるなよ、そう呟いた。
94
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/15(木) 19:47:30 ID:i1d8.6Pc0
今回の投下は以上で終了させていただきます。
果たして内藤は年末までに悪の教団に立ち向かうことができるのか!?
お付き合い頂けましたら幸いです。
>>81
経験年数の差である程度は予想していた、という感じです。
フサと同じで『まさか、こんな小さな事件にまで口出ししてくると思わなかった。』
というのが正直な感想です。
描写も全くできておりませんが……
描写下手のこのお話からそこまで感じとって頂いて、恐縮です。
95
:
名も無きAAのようです
:2012/11/15(木) 21:02:53 ID:GV7E.Ndw0
面白いです
読みやすいですし、投下スピードも量もちょうどいい
続き楽しみにしてるお
96
:
<^ω^;削除>
:<^ω^;削除>
<^ω^;削除>
97
:
名も無きAAのようです
:2012/11/16(金) 19:27:34 ID:sjllt1U60
>>94
ちゃんと立ち向かえコノヤローw
98
:
名も無きAAのようです
:2012/11/16(金) 19:52:33 ID:UUj9zZGsO
年末まで今日入れて46日あるから、たち向かえるだろう
99
:
名も無きAAのようです
:2012/11/16(金) 21:20:04 ID:Xgpoz4VsO
乙
100
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 19:23:01 ID:E94DxOAU0
「火の燃える炉に投げ込みます。彼らはそこで泣いて歯ぎしりするのです。」
【マタイの福音書 13章50節】
101
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 19:23:48 ID:E94DxOAU0
( ^ω^)は悪の教団に立ち向かうようです
102
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 19:25:30 ID:E94DxOAU0
( ´∀`)「ブーンさん。」
追憶にどっぷりとはまり込んでいた頭を無理やり起こし、モナー君の方へ顔を向けた。
記憶の中にいるモナー君は、儚げで慎ましい少年のままだったが、目の前で小首を傾げ、少し困った顔をした青年は、僕とは違う今を生きていた。
(;^ω^)「ごめんだお。ちょっとぼーっとしてたおね。」
( ´∀`)「ははっ。なにせ、十六年振りですので、積もる話もたくさんあります。お変わりないようで良かった。」
否定とも、肯定ともとれる取れる笑みを浮かべた。
僕は四十路をとうに越えて、老いた。
老眼が入りますます物が見えにくくなり、記憶力は悪くなった。
そのまま過去も薄れ、記憶の淵に沈んでくれれば、と願うのだか、思い出にじっと息を凝らして潜み続ける黒い靄は、年を追うにつれてはっきりと姿を現すようになっていた。
103
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 19:26:28 ID:E94DxOAU0
( ^ω^)「久し振りだお、モナー君。」
( ´∀`)「えぇ、本当に。……ギコさんに今回の依頼の件を相談したときに、なら、内藤が適任だろうと。」
( ´∀`)「……まさか、刑事をお辞めになっていたとは思いませんでした。」
( ^ω^)「5年前に兄夫婦が亡くなって、ツンを……さっきの女の子だお、彼女を引き取ったんだお。子育てするのに刑事を続けるのは、ちょっと厳しかったんだお。来年やっとこさ中学生だお。」
( ´∀`)「それはそれは、おめでとうございます。」
あの時――ギコさんに当たり散らした日、僕は倒れ二週間の入院を余儀なくされた。
退院して、ややあってから、交通課への移動辞令が言い渡された。
モナー君の殺傷事件の事後処理は、僕の入院中にとっくに済まされ、結局調書すらまともに読むことがなかった。
兄が交通事故で死に、ツンをひきと引き取るために辞表を出した時も、自分でも驚くほどスムーズに書類を提出していた。
未練は、とうになかった。
紹介しようと首を捻るが、彼女は猫のように足音もたてずに奥の子供部屋へ引っ込んでいた。
104
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 19:27:53 ID:E94DxOAU0
(;^ω^)「思い出話に花を咲かせたいのは、山々なんだけれども……先に依頼の件、聞きましょうかお。」
(;´∀`)「あっ! 失礼しました。それでは……」
居住まいを正し、こほん、と咳払いをする。
( ´∀`)「私が『おおかみ園』で育ったことは、さっきお話致しましたね? 」
軽く頷いて先を促す。
( ´∀`)「実は……私が抱えている問題とは、そこで兄妹同然に育った娘のことなのです。」
( ´∀`)「ブーンさん達と別れてから、私はおおかみ園に入所が決まりました。」
(;´∀`)「元々、父は親戚と不仲で没交渉だったんです。会社を立ち上げる際に、彼等にお金の無心をしたそうですが、素気なく断られたようでして……。
祖父母も父が若い頃に他界したそうです。」
( ^ω^)「それから今までずっとおおかみ園に? 」
( ´∀`)「いいえ。中学3年生だった頃、今の柏木家に引き取られました。」
105
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 19:29:27 ID:E94DxOAU0
( ^ω^)「話の腰を折ってごめんだお。続けて。」
モナー君は温くなったお茶を一口すすると話を再開する。
きっと顧客や取引先の人間に、口を挟まれる事に慣れているのか。
気を悪くすることもなく、巧みに話の軌道修正をしていた。
( ´∀`)「私がおおかみ園に大方慣れた頃……二年位後です。一人の女の子が入所してきました。当時八歳でした。名前を紺野椎名と言います。」
( ´∀`)「彼女も私と同じく、父親から暴力を受けていました。ただ、私と違ったのはその期間の長さです。」
父が私や母に手をあげるようになったのは、会社が駄目になって、無理心中を起こすまで三ヶ月程の間でしたから、言葉を切ってかすかに首を振った。
気丈な青年がふと、小さな男の子に見えた。
106
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 19:30:45 ID:E94DxOAU0
( ^ω^)「紺野さんという女の子は、もしやおおかみ園に入るまでずっと? 」
( ´∀`)「もともと彼女は警察の通報を受けて保護する形で園に入ったんです。」
要約すると、こうだ。
彼女は生まれた時から虐待を受けていた。
いわゆるネグレクト――子育ての放棄を両親からされていた。
母親がいた頃はまだ良かった。
彼女が気まぐれに与える乳のおかげで、なんとか生を繋いでいたのだ。
椎名はひどく口数の少ない、自己主張のない子供に育ったが、この頃はまだ、身体的虐待はなかった。
父親の暴力が始まったのは、母親が男を作り家を出てから日常的に行われるようになった。
父親は毎日娘を責めた。
彼女の存在が母親を家出に駆り立てた、という事らしい。
働きにも出ず、毎日家に引きこもっていたため、すぐに金が底をついた。
困った父親は娘のよからぬ写真を撮り、インターネットで売りさばいた。
思わぬ報酬に味を占めた彼は、顧客を増やそうと活動を活発化させた……。
これが仇となり、翌年、男は性的虐待及びわいせつ物頒布の容疑で逮捕された。
107
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 19:31:37 ID:E94DxOAU0
( ^ω^)「そこで紺野さんはモナー君と知り合ったんだおね。」
( ´∀`)「はい。彼女は入所してしばらくの間、虐待されていたことを思い出すのでしょう、夜はいつも泣いていました。」
( ´∀`)「……私も少なからず経験がありましたから、彼女がとても不憫でした。」
( ´∀`)「そこで、私は毎夜布団を寄せて、彼女が眠りにつくまでお話をすることにしたんです。」
( ^ω^)「そしてどんどん距離が近くなっていった? 」
( *´∀`)「はい。」
頬を染めて恥ずかしそうに答える。
最近の若い子にしては、随分うぶな仕草だった。
近頃の若者について詳しく知っているのか、と問われれば、言葉に詰まりかねないが。
108
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 19:32:39 ID:E94DxOAU0
( ^ω^)「紺野さんと知り合った経緯は大体把握しましたお。して、彼女が抱える問題とは? 」
( ´∀`)「椎名もだんだん心を許すようになって、私達はまるで兄妹のようにすくすく育ちました。ですが……」
( ´∀`)「……一年くらい前、男が園に訪ねて参りました。ボストンバック一つ下げて、痩身のみすぼらしい男でした。」
口調に憎しみがこもる。
大方、誰がやってきたのか察しがついていた。
109
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 19:34:18 ID:E94DxOAU0
( ^ω^)「紺野さんの父親が出所して、彼女を迎えに来た? 」
( ´∀`)「はい……。あの時の椎名の絶望した表情……忘れられるものではありません。」
モナー君がつと、顔をあげた。
その表情は無慈悲で冷酷だった。
( ´∀`)「父親は今までしてきたことを詫び、また一緒に住みたい、と彼女に申し出ました。」
( ´∀`)「私は彼女が、問答無用で断るだろうと思っていました。」
( ^ω^)「彼女は断らなかった? 」
( ´∀`)「いえ、少し考えさせてほしいと……。その日は、父親は連絡先だけ園の職員に預けて帰っていきました。」
( ´∀`)「私は彼がどうしても改心したとは思えませんでした。」
椎名は様子を見るため、二ヶ月に一度の割合で一日だけ父親の家に泊まることにした。
最初の数ヶ月は何事もなく、職員達も順調に事が進むのを喜んだそうだ。
110
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 19:35:11 ID:E94DxOAU0
( ^ω^)「かなり自信がありそうな言い方だおね。」
( ´∀`)「初めは確信なんてありませんでした。」
モナー君の顔にふっと影が差した。
今日一日で彼の表情は次々と様変わりしていった。
それは、十六年前なら見ることのできなかった、大人びた顔ばかりだった。
111
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 19:36:01 ID:E94DxOAU0
( ´∀`)「柏木家と養子縁組をしてからも、私は月に一度は園に出向いて椎名と会っていました。」
( ´∀`)「その時です。あの日、私と椎名は喫茶店で随分話し込んでしまいました。」
( ´∀`)「園には門限があるので、椎名は慌てて身支度を整えていました。そして急いで椅子から立ち上がった時、誤って軽くお腹をテーブルにぶつけたんです。」
( ´∀`)「彼女はそのままうずくまって、痛みをこらえていました。普通なら、ありえない痛がりかたでした。」
( ^ω^)「腹部には真新しい打撲痕があった。 」
( ´∀`)「それもかなり酷いものでした。」
( ´∀`)「私は虐待がまた始まったのだと確信しました。」
112
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 19:36:50 ID:E94DxOAU0
ならば虐待の事実を話して、父親との接触を断てば良かろう――思ったことが顔に出ていたのか、モナー君は了解したように話し出した。
( ´∀`)「私も事実を知ってから職員に直談判しようとしたんです。椎名では、とてもではないけれど話せそうにありませんでしたから。」
( ^ω^)「だけど紺野さんから口止めをされた。」
( ´∀`)「はい、お父さんは心の病気なんだと。自分を殴った後に、必ず後悔して泣いて謝るのだそうです。」
お父さんは悪くない――かつて、寝台に横たわり、涙を零した少年と同じ事を彼女は言った。
113
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 19:37:38 ID:E94DxOAU0
( ´∀`)「それから椎名は、暴力を振るわれるのではないのかという恐怖半分、父親への心配半分、で家に赴いていました。」
それが、と言った後、モナー君はまた、黙り込んでしまった。
怒り、悲しみ、困惑。
様々な感情が彼の前を通り過ぎて行った。
114
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 19:38:37 ID:E94DxOAU0
( ^ω^)「それが? 」
( ´∀`)「それが……最近では嬉々として父親の家に向かうんです。二ヶ月に一度だったのか月に一度になり、最近では週末には家へ向かうようになったんです。」
( ^ω^)「明らかにおかしいおね。」
何が彼女をそこまで心変わりさせたのか?
( ´∀`)「はい、私もそう思いました。椎名に訳を尋ねても、笑うだけで、理由を話してくれませんでした。ですから、お節介かとは思ったんですが、休みをとって、一度学校帰りの彼女の後をつけてみたんです。」
あの、大人しい引っ込み思案な少年がよくそこまでしたものだ。
彼は見えない底力を会わないうちに培っていたらしい。
( ´∀`)「彼女は友達と別れた後、真逆の方向に歩き出しました。」
( ´∀`)「しばらく歩くと古い、アパートのようなものが見えてきました。彼女は周りを確認すると、扉を開け、中に入っていきました。」
( ´∀`)「彼女が出てこないことを確認して、建物に近づきました。ドアには【ヴィップの方舟】と粗末な看板がかかっていました。」
――遂に、彼の最初の動揺と話が繋がった。
115
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 19:40:08 ID:E94DxOAU0
│゚⊿゚)ξヒョコッ「ねぇ、おじさっ……お兄さんも、ブーンもお腹空かない? 」
ツンが戸口から顔を覗かせていた。
台所から温かい湯気と、なんとも腹の虫をくすぐるいい匂いが漂ってきた。
何の気なしに窓の外を見れば、すでに夜の帳が下り、当たりにちらちらと明かりが灯り始めていた。
( ´∀`)グー「……。」
( *´∀`)そ「わあっ! すみません。恥ずかしいなぁ、もう。」
モナー君の大きなの音が、狭い事務所に響いていた。
腹の虫はご飯をおくれ、とせがんでいた。
モナー君といえば、実に居心地悪そうに視線を泳がせている。
116
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 19:40:51 ID:E94DxOAU0
(;^ω^)「喋り通しだったんだから、仕方ないお。大した物はお出しできないけれども、良かったら食べてってほしいお。」
(;´∀`)「すみませんっ! 決して催促した訳じゃないんです! 」
しきりに恐縮するモナー君をツンは意に返さず、顔には不敵な笑みを浮かべふんぞり返って僕に指を突き刺すと、堂々と宣言してきた。
ξ゚⊿゚)ξ「食べてってよ。二人も三人も手間は変わらないの。夕食は大勢で食べたほうがおいしいし。」
ξ゚⊿゚)ξババーン!「ふっふっふ。ブーン、よく聞きなさい! 今日はス・キ・ヤ・キよ! 」
( ^ω^)「……。」
Σ(゚ω゚;)「な、なんだってー!? 」
有り得ない奇跡がここにおきてしまった。
117
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 19:42:48 ID:E94DxOAU0
今回の投下はここで終了させて頂きます。
すき焼きを前に犬のように涎を垂らす内藤。このまま内藤はただの聞き上手なオッサンで終わってしまうのか!?
木枯らしが吹き荒ぶ中、
>>1
の仕事は繁忙期を迎えていた。
大掃除、お節料理の下準備等やることが山積みな中、
>>98
さんが教えて下さった通り、残り時間は少ない!
全ては内藤、君の双肩にかかっている!!
挫けるな内藤武運!
お付き合い頂けましたら幸いです。
なお、ライトノベル祭に参加をしたいと思っておりますので、祭開催期間中は投下をお休みさせて頂きます。
また、目に留まった際に読み進めて頂けますと幸いです。
118
:
名も無きAAのようです
:2012/11/17(土) 19:46:32 ID:Jl58psKM0
おっつー
楽しみにしてる
119
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 19:49:27 ID:E94DxOAU0
失礼しました。
>>103
×ひきと引き取る→○引き取る
です。
120
:
名も無きAAのようです
:2012/11/17(土) 22:37:49 ID:J4W6t9kYO
話がちょっと動いてきたけど、まだ序盤みたいだな
121
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/17(土) 23:37:14 ID:120a6bc.0
感想、乙ありがとうございます。
毎回励みになっております。
今、改めて見直したのですが、
誤字、主語の重複などが非常に多いですね……
読みづらくなってしまい、申し訳ありません。
ここで、お詫び申し上げます。
次の投下は少し時間を置いて、じっくり推敲したものを投下致します。
【訂正】
>>115
大きなの音が→大きな腹の音
122
:
名も無きAAのようです
:2012/11/18(日) 01:19:47 ID:Ub.YQ.NI0
乙ー!
次も楽しみにしてるよ!
123
:
名も無きAAのようです
:2012/11/18(日) 10:32:43 ID:5RorgSPw0
乙乙
教団の名前かな
124
:
名も無きAAのようです
:2012/11/19(月) 06:53:13 ID:cGm5OKQM0
アパートの一室が本部ってリアルだなあ
いや本部とは決まってないか
椎名は22才か
孤児院ってそれまでいられるもんなのか
125
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/20(火) 06:11:57 ID:6B1S6CQ.0
ラノベ祭に無事投下が終わり、
やれやれほっと一安心していたら……
>>124
うわぁぁあ !!
ご指摘ありがとうございます !!
大変失礼しました。
どどど、どうしましょう、どうしたら矛盾を回避できるんでしょう……
ちょっと、落ち着いて考えます!
今回の投下はミスがひどいですね……
お見苦しいものをお見せしてしまい、本当に申し訳ありません。
126
:
名も無きAAのようです
:2012/11/20(火) 06:44:03 ID:6B1S6CQ.0
落ち着きました。
>>105
×( ´∀`)私がおおかみ園に大方慣れた頃……二年位後です。
一人の女の子が入所してきました。当時八歳でした。
○( ´∀`)「私がおおかみ園に大方慣れた頃……二年位後です。
一人の女の子が入所してきました。当時三歳でした。
うーん、若干苦しい気も致しますが、
これで一応は回避できるはずっ…… !
構成の甘さが露呈していますね。
本当に申し訳ないです。
127
:
名も無きAAのようです
:2012/11/20(火) 19:56:04 ID:9eZeUa1o0
まあまだ全然大丈夫でしょうww
関係ないがこのスレやたら安価つけられて嬉しい
128
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:20:39 ID:gjGtUwb60
ラノベ祭お疲れ様でした。
素晴らしいイラストを提供された絵師の皆様、
楽しい作品や思わず涙してしまうような作品を書き上げた作者の皆様
そしてお祭りを盛り上げてくれた読者の皆様、
本当にお疲れ様でした。
投下します。
129
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:21:53 ID:gjGtUwb60
ξ゚⊿゚)ξトンッ「はい、お待ちどうさま。」
つ■⊂
( *^ω^)「おぉ! 美味そうだおー。」
( *´∀`)「美味しそうですねぇ! 」
二人して身を乗り出し鍋を覗き込む。
鉄鍋の中で具材達が仲良さげに身を寄せあっていた。
いい大人が何をしているのか。
はたと気づいてモナー君と二人、顔を見合わせて笑った。
ツンはといえばはしゃぐ大人達をそっちのけでテキパキと皿や箸の準備をしていく。
130
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:22:48 ID:gjGtUwb60
ξ゚⊿゚)ξつ□「取り分けるから、先にビール飲んでて。」
( *´∀`)「ありがとう、ツンちゃん。至れり尽くせりだなぁ、ツンちゃんはきっと良いお嫁さんになるね。」
( ^ω^)「……。」
( ;ω;)「……。」
(;´∀`)そ「うわぁぁ! ブーンさん、ごめんなさいっ!! 」
(´∀`;))「気が早すぎたよね!? ツンちゃんにはまだ早い話だったよね!? 」
ξ゚⊿゚)ξつ◯ハイ、ドーゾ「光陰矢の如しって言うけどね。」
( ;ω;)「おーん! 」
(;´∀`)そ「傷口に塩を塗るような事言うのはやめてぇえ!! 」
やや疑問は残るが、終始和やかな雰囲気で食卓を囲んだ。
いつもツンと二人、こんなに賑々しい夕食は久しぶりだった。
131
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:23:35 ID:gjGtUwb60
たらふく食べて腹もなんとか落ち着いた頃、僕は再び話を戻すことにした。
食欲に負け、ないがしろにしていたが、彼は当事務所に依頼人としてやって来たのだから。
ツンはツンでリンゴを切ってくる(特売で詰め放題だった為、ツンが買いすぎた。)と言って台所へ戻っていった。
( ^ω^)「ところでモナー君、さっきの話に出てきた“ヴィップの方舟”とは一体なんなんだお? 」
( ´∀`)「はい、僕もこちらでやって来る前に自分なりに調べてみたんです。」
鞄を引き寄せクリアファイルを取り出すと、こちらへ寄越す。
中には【ヴィップの方舟概要】と題した数枚のレポートが入っていた。
手にとってざっとあらましを読んでいく。
132
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:24:17 ID:gjGtUwb60
──────────────────────────────────
【ヴィップの方舟概要】
[1] 恐らく宗教集団である。(宗教団体よりカルト的な印象を受けた為、あえてこのような表記をする。)
[2] 構成員は主軸となる五人の男性と幹部の女性数名である。
[3] 信者はほぼ十代から二十代にかけての少女である。
[4] ヴィップの方舟の活動目的は“救済”である。
[5] 活動自体はかなり消極的で営利目的とは考えにくい。周辺の地域住民にも存在を知るものは少ない。
──────────────────────────────────
133
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:25:26 ID:gjGtUwb60
( ^ω^)「よくこれだけ一人で調べられたおね。」
( ´∀`)「全て某巨大掲示板での情報です。PCで検索をかけて集めたものなので、噂に近いものだと思って下さい。」
( ´∀`)「特に気になったのは二番と四番対するコメントです。次のページに書き込みをそのまま抜き出してプリントアウトしたものがありますので、目を通して下さい。」
次のページは一転してとても読みづらい文字が並ぶ。
PCに弱い僕としては読み進めるのも一苦労だった。
****
35:以下、名無しにかわりまして??がお送りします:2012/**/**(日) 10:20:48.69 ID:????
ヴィップの方舟は神の御子率いる思想集団だよ
四人の御使いが彼を邪悪なる世界から御守りしてる
彼等は救世主なんだ 私達を深淵から導いてくれる
38:以下、名無しにかわりまして??がお送りします:2012/**/**(日) 10:20:48.69 ID:????
救世主?
それに御使いって何ですか?
41:以下、名無しにかわりまして??がお送りします:2012/**/**(日) 10:20:48.69 ID:????
救世主は救世主だよ 神の御子だ
御使いは四人いる
騎士様なんだ みんな素晴らしい力をお持ちなんだよ!
特に御子様は神通力が使える
予言もその一つ
****
134
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:26:33 ID:gjGtUwb60
(;^ω^)「うーん。」
読み終えて思わず唸ってしまった。
普段目にしないものを読んだので、目がかすむ。
( ´∀`)「お読みになってどうおもいました? 」
( ^ω^)「はっきり言って、稚拙。限定はできないけれども書き込みを行っているのは子供だろうおね。」
まず目につくのは文章の主張内容だ。
宗教とは往々にして日本人にとって馴染みのないものである。
ましてや無名な宗教団体であれば警戒心は殊更に強まる。
仮に、これが信者、または教団内通者の書き込みだとしても、このように支離滅裂な印象を与えかねない主張はしないだろう。
( ´∀`)「良かった。僕も同意見です。」
( ^ω^)「それと、この文章。どことは言えないけれども、違和感を感じるんだお。言葉を使い慣れてないというか……。」
あたかも耳障りの良い言葉を、切り絵のように貼り付けたような――そんな感覚を受ける。
( ^ω^)「四人の騎士って聖書に出てくる言葉だったかおね? 」
詳しくは知らないが、確かキリストによって封印を解かれたとか何とか書いていた気がする。
どの騎士も色のついた馬に跨がり、唯一人間を滅ぼす権威を与えられているんじゃなかったろうか。
( ´∀`)「正しくは新約聖書、“ヨハネの黙示録”にでてくる言葉だそうです。」
135
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:30:39 ID:gjGtUwb60
紙をファイルに戻してモナー君に向き直る。
嫌な予感がするがおよそ彼の身に何が起こっているのかは把握できてきた。
( ^ω^)「モナー君が調べてくれたものを読んで大体の検討はついたお。」
( ^ω^)「紺野さんはここの熱心な信者である可能性が高いんだおね。」
やはり、わかっていても他者から言われるには辛い現実だ。
モナー君は無言で頷いた。
( ´∀`)「ブーンさん。」
( ^ω^)「はいお? 」
( ´∀`)「今回お持ちした依頼は厄介なものになると思います。椎名……しぃが宗教に心を傾けているのかどうかもわかっていません。」
( ´∀`)「……ですから、もし無理だと思ったら、遠慮なく断って下さい。お返事はまた後日伺います。」
( ^ω^)「……わかりましたお。それではお受けするか否かは、決まりましたら連絡させて頂きますお。」
それだけを言うのが精一杯だった。
モナー君に心の中を見透かされ、先回りされたような気がした。
136
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:32:18 ID:gjGtUwb60
もう、行かないと、モナー君は荷物を集めると立ち上がった。
│゚⊿゚)ξ「リンゴ食べていかないのー? 」
ツンがモナー君の背中に声を掛ける。
ずっとタイミングを計っていたのだろう。
( ´∀`)「うん、ごめんね。長居しちゃったし、そろそろお暇するよ。」
駅まで送るという僕の申し出をやんわり断ると事務所出口へと向かった。
( ^ω^)「今日はごめんだお。遅くなってしまったおね。」
( *´∀`)「そのかわり美味しいご飯で芯まで温まりましたから。謝るのはこちらの方ですし。」
137
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:33:11 ID:gjGtUwb60
( ´∀`)「私がここでお二人をお待ちしていた時、ツンちゃんが良いましたよね。『おじさん、唇が真っ青よ。』って。」
( ^ω^)「そりゃあ、僕がモナー君を外で待たせてしまったからだお。」
ビルはお世辞にも立派とは言えない。
欄干部分は階段があるだけで丸裸だし、建物内も老朽化がすすんであちこちすきま風が吹く。
知らなかったとはいえ、モナー君にかなり寒い思いをさせてしまっただろう。
( ´∀`)「いいえ、僕はあの時ちっとも寒くありませんでした。寒さなんて忘れていました。」
ほんの僅かだが、口調が昔に戻っていた。
( ´∀`)「……僕はね、あなたに拒絶されるんじゃないかなって、内心びくびくしていたんです。」
( ´∀`)「あなたはずっと僕のことで責任を感じているんじゃないかって。僕と会えば嫌な事が全部蘇ってしまう。」
( ´∀`)「だから最初ブーンさんが僕に全然気がつかないので、かなり緊張が解けました。」
ちょっぴり寂しかったですけどね、と付け加えると僕を形だけ、睨んでみせた。
( ^ω^)「そんな事は……ないお。それに気づかなかったのは、モナー君が大きくなったからだお。」
( ´∀`)「今日は楽しかったです。ブーンさんの笑顔が見れて良かった。」
( ´∀`)「それでは、また。失礼します。」
歩き出すモナー君の背中を小さくなるまでずっと見つめていた。
138
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:34:19 ID:gjGtUwb60
炎が燃えていた。
相変わらず火の檻の中に閉じ込められた獣は吼え声をあげ、怒り狂っていた。
後ろを向いているので顔は見えない。
絶え間なく鳴り続ける歯軋りの音が、苦痛を恐怖を表していた。
暴れれば暴れるほど、もがけばもがくだけ苦しみが増すという事を彼は知らない。
ただ、本能に任せて叫び、嘆くのだ。
獄に繋がれた哀れな獣――。
憐憫の情を抱いても彼を救い出す術を僕は知らない。
もうやめてくれ、と叫んでも彼に声が届いた試しはない。
歯噛みの音が止まる。
かわりに硬質な鐘の音が鳴り響いた。
獣はうずくまると一心に何かを食らい出した。
口を無理やり大きく開こうとするので火膨れが裂け、血が流れ出す。
その奔流に任せて命が費えてくれたらどんなに心の落ち着くことだろう。
もう、見ていられない。
立ち去ろうとすると呼び掛けるように獣が吼えた。
彼が口で抱え上げ、見せつけるようにぶら下げているもの、それは僕がよく知る少年だった。
肉塊は喉笛が食いちぎられ、頭と胴体が皮一枚で頼りなげに揺れていた。
――モナー君だ。
獣と目が、あった。
139
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:35:16 ID:gjGtUwb60
( ^ω^)「……。」
自分のあっ、という声で目が覚めた。
時刻は午前12時半。
首を捻って正体を探り当てる。
夢の中で鐘の音だと思っていたものは携帯の着信音だった。
指先で掴んで三回目のコール音の後、通話ボタンを押し呼び出しに応えた。
( ^ω^】「もしもし。」
「あぁ、俺だ。おはよう内藤。もしかしてまだ寝ていたか? 」
一瞬誰だかわからず、しばし沈黙する。
身体がまだ起きていないのか反応が鈍い。
携帯を離し、ディスプレイに表示されている名前をちらりと確認した。
140
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:36:16 ID:gjGtUwb60
[ 義古栄一 ]
( ^ω^】「起きていたので大丈夫ですお。」
大丈夫と言った声が掠れてがさがさとしたノイズ混じりの音を出した。
昨日モナー君が帰った後、思いのほか深酒をして、そのまま寝てしまった。
何だかさっきから気持ち悪いなとは思っていたが、トレーナーの後ろ前が逆になっていたのか。
辛うじて寝間着に着替えているだけましかもしれない。
「なんだ、やっぱり寝てたんじゃないか。すまん、また掛け直そうか? 」
( ^ω^】「いや、大丈夫ですお。珍しいですおね、ギコさんが電話してくるなんて。」
141
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:37:22 ID:gjGtUwb60
あの日の事件以来、僕達の関係は少しぎくしゃくしたものとなっていた。
警察を退職した後、僕は進んで連絡を取ろうとはしなかったし、ギコさんも強制しようとはしない。
仕事の紹介があると、彼は依頼内容を話すついでに少しだけ僕の現状を聞いていく。
「……昨日モナーがそっちに行ったろ。」
( ^ω^】「はいお。随分立派になっていましたお。」
「話がある。内藤、今夜出られないか? 」
頭の中を様々な言い訳が駆け巡っていた。
忙しいから、ツンを一人にはしておけないから……どの言葉もしっくりとこなかった。
「時間はとらせない。良雲寺駅の駅前にバーボンハウスという小さなバーがある。お前の事務所から一時間以内に着く。必ず来てくれ。」
ギコさんにしては珍しく、押し切るような言い方だった。
142
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:38:13 ID:gjGtUwb60
( ^ω^】「……。わかりましたお。もし、場所がわからなかった場合はギコさんに電話して良いですかお? 」
ギコさんの、はっと息をのむ声が聞こえた。
多分色よい返事を期待していなかったのだろう。
僕自身も了承した事に少し驚いていた。
「わかった。電話してくれれば駅まで迎えに行くが。」
( ^ω^】「いえ、それには及びませんお。土地勘もありますし、迷うことはないはずですから。」
「なら20時にバーへ来てくれ。後で店の地図をメールしておく。」
( ^ω^】「はいお。では後程。」
携帯を閉じてベットに再び寝転がる。
自分の中で起こる些細な変化に戸惑っていた。
この十六年間僕は同僚達と誰とも会おうとしなかった。
年に一度か二度、ギコさんがくれる誘いの電話さえ無碍に断ってきた。
過去を遠ざけ向き合おうともせずに、ぬるま湯のような環境にただ浸り続けていた。
なのに、なぜ――。
143
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:39:05 ID:gjGtUwb60
ξ#゚⊿゚)ξ「ちょっとブーン !いつまで寝てんのよ!? 」
戸口にツンが立っていた。
ランドセルをしょったまま肩を怒らせている。
理由はわからないがこれは相当怒っている。
そのままずかずかとベットに上がり込むと、馬乗りになり思い切り僕の両耳を引っ張った。
(;゚ω゚)そ「痛だだだ !何すんだお、ツン!? 」
ξ#゚⊿゚)ξ「健康診断。病院から着信が入ってたのよ! 」
そういえばそんな予約を入れた気がする。
先日近所の町医者に商店街でばったり出くわした時の事だ。
ついつい長話になり、体調管理がどうこう話しているうちに、ならば健康診断をそろそろ受けないかと勧められたのだった。
慌てて携帯を確認すれば、病院からの着信が数件表示された。
144
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:39:55 ID:gjGtUwb60
(;^ω^)「あっ。」
ξ#゚⊿゚)ξ「あ、じゃないわよ! 『ブーン君に連絡がつかないんだけど、何かあったのかい? 』って先生めちゃめちゃ心配してたんだから! 」
今朝ツンを見送った時も、たしか病院に行けと念を押された。
あまりにも眠かったのでうんうん適当に頷いてそのまま二度寝したのが敗因か。
前回も忘れて行かなかったので前科二犯だ。
おずおずと顔色を伺えばぷーっと頬を膨らませて僕を睨んでいる。
(;^ω^)「つつつ、ツンちゃーん? 悪気はなかったんだお。」
ξ゚⊿゚)ξ「許さない。」
(;゚ω゚)「痛だだだ! 取れる! 耳が千切れちまうおー!! 」
悶絶する僕を尻目にツンは冷ややかな視線を送ってくる。
泣きを入れてようやく……しぶしぶといった感じで手を離してくれた。
145
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:40:47 ID:gjGtUwb60
( ^ω^)「あれ? こんな時間に何で家にいるんだお? 」
( ^ω^)「……。」
(;゚ω゚)そ「まさかツン、アナタ学校サボったんじゃあるまいね!? 」
ξ゚⊿゚)ξ「な訳ないでしょ。半ドンよ半ドン。今日は土曜日。」
やけに古めかしい言葉を知っているものだ。いつの間にかそんな言葉を覚えてきたのか。
もはやすっぽかした罪も忘れて感心していた。
親代わりとしては成長が嬉しくもあり、寂しくもある。
ξ゚⊿゚)ξ「後で先生に謝っておいてよね。」
( ´ ω`)「はいお。面目ない限りですお。」
146
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:42:49 ID:gjGtUwb60
( ^ω^)「ところでツン、今夜はちょっと野暮用で出掛けてくるお。今日は伊藤さんのところでお留守番してくれるかお? 」
伊藤さんとは、この内藤事務所が入っているビルの大家のおばさんで、最上階に居を構えている。
男手一つで育児をこなす僕を気遣ってあれやこれやと世話を焼いてくれる。
ξ >皿<)ξイーッダ!「留守番くらい一人でできますっ! 全く、ブーンは心配症なんだから。」
ξ゚⊿゚)ξ「まぁ、一応伊藤のおばさんに連絡だけ入れとく。心配しないで行ってらっしゃい。」
( ^ω^)「じゃあ、留守をお願いするお。ツン、くれぐれも戸締まりだけはしっかりするように。」
ξ゚⊿゚)ξb「はい、はーい。」
指で丸を作って、さっさと支度をしろと目で訴えてくる。
これ以上ぐすぐすしていると、ツンの正拳突きが顔にめり込みかねない。
僕は重たい身体を引きずってシャワー室へ行くことにした。
147
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/11/27(火) 22:45:29 ID:gjGtUwb60
ここで今回の投下を終了させて頂きます。
一体全体いつになったら序盤を抜け出せるのか!?
お付き合い頂けましたら幸いです。
148
:
名も無きAAのようです
:2012/11/27(火) 23:03:55 ID:Yu9jm4d.O
超長編になりそうだな
149
:
名も無きAAのようです
:2012/11/27(火) 23:09:15 ID:sh7slROE0
乙!
続きが気になるなー
150
:
名も無きAAのようです
:2012/11/28(水) 06:54:06 ID:w6PkeAX60
気付いたら回想編終わってた
話が動き出しそうで楽しみ
乙乙
151
:
名も無きAAのようです
:2012/11/28(水) 23:26:15 ID:k9UAN18MO
乙
現行で一番楽しみだ。
152
:
名も無きAAのようです
:2012/12/01(土) 19:44:28 ID:iLBFAaL.0
今日の22時頃、投下します
コメント、レスありがとうございます
いつも温かいお言葉に励まされます
皆さんのコメントにもある通り、話の進みが遅い……
今回の投下も少ないのですが、
ようやく葛藤する内藤はお仕舞いにして、話に一区切りつけられそうです
153
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 19:46:18 ID:iLBFAaL.0
トリップ付けるの忘れたあああ!
失礼しました
154
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:01:46 ID:iLBFAaL.0
駅前は人でごった返していた。
帰路を急ぐサラリーマン、それを捕まえる客引き、待ち合わせをする大学生のグループ……僕がまだ刑事だった頃なら見ることのなかった光景だ。
まるでよその土地のような良雲寺に感慨など湧くはずもなく、ぽかんと口を開けて眺めてしまった。
( ^ω^)(上京したての若者じゃあるまいし……。)
久しく見ないうちに、街は随分様変わりしたようだ。
ふと、自分が置いて行かれてしまったような寂しさを覚えたが、それもすぐに消えた。
ネオンの眩しさに一瞬目を細め、再び歩き出した。
155
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:02:33 ID:iLBFAaL.0
良雲寺横丁を道なりに――。
ギコさんの指示に従って歩いてはきたが、繁華街はとうに通り過ぎていた。
人込みはいつのまにか途切れ、さっきまでの混雑が嘘のように静かな通りに出ていた。
まさか迷ったのだろうか。
携帯ポケットから探り当て、添付された地図を再度確認するが、×印は確かに今見ている建物についていた。
目の前にあるのはとても酒を提供するとは思えない、小さな貸しビルだった。
【The Bourbonhouse.】
質素な金色のプレートが目に入った。
黒い扉の向こう側からは、かすかにジャズの音が漏れている。
どうやらここで間違いないらしい。
横に置かれたイーゼルに『本日貸切 義古栄一様・内藤武運様』と書かれたブラックボードが立てかけられていた。
156
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:03:26 ID:iLBFAaL.0
( ^ω^)「ごめん下さい、今日予約している内藤武運ですお。」
まず目に入ったのはピカピカに磨き上げられた床だった。
色鮮やかなボトルが反射して、暗い室内を明るく彩る。
店はカウンターのみでかなり狭いが、一つ一つの品物が抜かりなく手入れされ、光り輝いていた。
店の奥で、グラスを拭いていた銀髪の紳士は顔を上げると、微笑んで僕を店内へ迎え入れた。
赤いベストにシルクのタイがよく映える。
ぱっと見ただけでも、この人がかなり服道楽なことがわかった。
(´・ω・`)「やあ 、ようこそ、バーボンハウスへ。」
( ^ω^)「お邪魔しますお。」
(,,゚Д゚)「よう。」
( ^ω^)「すみませんお、遅くなってしまいましたお。」
157
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:04:18 ID:iLBFAaL.0
カウンターの前に腰掛けたギコさんが気づき、片手をあげた。
刑事時代の擦り切れたカーキ色のトレンチに、安い支給品のスーツを見慣れていたのでギコさんの私服姿は新鮮に感じる。
あの頃より、よほど洒落た格好をしているのに肩が一回り小さく見えた。
158
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:05:16 ID:iLBFAaL.0
(´・ω・`)「このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。」
( ^ω^)「ご馳走になりますお。……これは? 」
カウンターにはサラダと肉料理が一つずつ。
肉のほうはまだ作りたてらしく、湯気が立ち上っていた。
(´・ω・`)「若鶏のソテーと香草のサラダだ。
嫌いじゃなければ、一緒に召し上がれ。」
(,,゚Д゚)「俺が頼んだヤツだろ。」
(´・ω・`)「すまないね、ギコ。僕はここで毎週管を巻く老人よりも、新規のお客様を大切にするタイプなんだ。」
紳士は澄まし顔で答える。
会話の端々から親密さが感じとれた。
客と店主という垣根を越えた、気の置けない友人といったところか。
159
:
名も無きAAのようです
:2012/12/01(土) 22:05:23 ID:HGTe/afo0
支援
160
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:06:07 ID:iLBFAaL.0
(,,゚Д゚)「全く酷いな。到底客の扱いとは思えん。」
(´・ω・`)「残念。僕はギコを客と思った事はないよ。」
(,,゚Д゚)「不良マスターだな。」
(´・ω・`)「不良老人に言われる筋合いはないね。」
二人の間で交わされる言葉の応酬についていくことはできなさそうなので、とりあえずコートを脱いでハンガーに掛ける。
冗談の跳ばし合いが不毛な議論にかわる頃、店主が所在なげな僕に気づき席を勧めた。
161
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:06:57 ID:iLBFAaL.0
(´・ω・`)「積もる話もあるんだろう? ご覧よ、彼が困ってる。さぁ、掛けて。」
(;^ω^)「あぁ、どうもすいませんお。」
(´・ω・`)「飲み物のリクエストがあれば、声を掛けてくれ。つまみになるものをこしらえてくるよ。」
( ^ω^)「お願いしますお。」
162
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:07:56 ID:iLBFAaL.0
革張りの丸椅子に腰を落ち着かせると、やっと店に辿り着いたのだという実感が湧いてきた。
何だかこのままここに居座っていたくなるような、妙な安心感がある。
( ^ω^)「良いお店ですおね。」
気が緩んだのか、思ったことがそのまま口をついて出た。
(,,゚Д゚)「今喋っていた奴は俺の大学時代からの友人でな、仕事を早期退職してこの店をやりだしたんだ。」
(,,゚Д゚)「愛想もくそもないが、料理の腕と酒を選び抜くセンスは確かだから安心しろ。」
( ^ω^)「はいお。」
163
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:08:55 ID:iLBFAaL.0
僕は、ギコさんの昔と変わらない態度に少し面食らっていた。
積年の恨みつらみをわざわざ呼び出してまで語るような人ではない。
だか、ギコさんだってなにかしら思うところがあるからこそ僕に会いたいと言ってきたはずだ。
ここに辿り着くまで何を話そうか随分考えていた。
対面した時のことを思い浮かべ、何度もその光景を頭の中でなぞっていた。
しかし、いざ口に出そうとすると言葉は解けて消えていった。
口を二三度開いて、また閉ざす。
口の中が乾き、一口酒を含んだ。
164
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:09:45 ID:iLBFAaL.0
(,,゚Д゚)「モナーに会ったようだな。」
初めに口を開いたのは、ギコさんだった。
( ^ω^)「……えぇ、随分立派になっていましたお。」
(,,-Д-)「そうだな、あいつはもう一端の大人だ。」
ギコさんの傾けたグラスの中で氷がカラリと音をたてた。
165
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:10:43 ID:iLBFAaL.0
(,,゚Д゚)「内藤。」
( ^ω^)「なんですかお? 」
(,,゚Д゚)「俺はな、あの日……。内藤が倒れた日だ。」
(,,-Д-)「俺はおまえの中に修羅を見たよ。」
( ^ω^)「……。」
グラスを指先で弄ぶ。
旧式のレコードが奏でる旋律の中で、互いの声だけが静かに響いていた。
ギコさんはそっとグラスを置くと、自嘲めいた笑みを浮かべて僕のほうを見た。
(,,゚Д゚)「ただの白昼夢だよ。俺も暑さにやられたんだ。」
(,,゚Д゚)「周りを炎が轟々燃えていた。その中心に鬼のような化け物がいた。火中で皮膚が爛れて、苦しさに叫んでいた。」
お前だよ、そう続けた。
(,,゚Д゚)「あのまま、放っておいたらお前はいなくなっちまう、そう思ってお前の許へ無我夢中で走り出した。」
(,,゚Д゚)「お前の肩を掴むまで、何分もかかった気がしたよ。」
( ^ω^)「……。」
老人の戯言だ、聞き流してくれ、そう言って締めくくった。
何も答えない僕を見て苦笑すると、ギコさんはグラスに残ったアルコールを一気に飲み干した。
166
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:11:43 ID:iLBFAaL.0
( ^ω^)「ギコさん、あの日あなたは一番罪深いのは自分だ、と言いましたおね? 」
(,,゚Д゚)「あぁ。」
真っ直ぐ僕を見つめる瞳に迷いや、動揺はなかった。
( ^ω^)「ギコさんは嘘をついていますお。」
( ^ω^)「ギコさん、あなたはモナー君が学校をサボった事には気付いていた。しかし、あの時点では虐待には気付いていなかったんですお。」
(,,-Д-)「……バレてたか。」
( ^ω^)「僕と吹西警部補を庇うために、あの時とっさに嘘をつきましたおね? 一番悪いのは自分だ、と言って。」
(,,゚Д゚)「……俺の嘘にいつ気付いたんだ? 」
( ^ω^)「退職してからずっと後に。」
(,,-Д-)「そうか。」
167
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:12:41 ID:iLBFAaL.0
僕はギコさんからあの話を聞いた時、おかしいとは思っていた。
多忙な彼が事前学習に出席していた事実、モナー君の家庭環境の不和に対する関連付け、どちらもいささか強引で投げやりな印象があった。
はっきりとギコさんが嘘をついていると確信したのは、ツンを引き取ってしばらくたってからだった。
事故で唯一生還した彼女は、夜中になると父を、母を想って泣いた。
暗い布団の中で背中を丸め、声を殺して泣いていた。
ξ;⊿;)ξ『ブーン、お父さんとお母さんはどこへ行っちゃったの? 』
( ;ω;)『泣かないでくれお。泣かないでくれお、ツン。
ツンが悲しむと、お父さんとお母さんはお前さんが心配で、天国へ行けないんだお。』
背中をさすり、何度もあやしたのが今は懐かしい。
彼女を守り、支えると決めた時、ギコさんの優しさに気づいた。
( ^ω^)「十六年前のあの日から、僕には悪霊が取り憑いていますお。」
(,,゚Д゚)「……。」
( ^ω^)「したたかで、醜い、異形の化け物ですお。」
( ^ω^)「きっと、あれが僕の許から離れることはないでしょうお。」
(,,゚Д゚)「内藤……。」
レコードは曲を奏でることに飽いたようで、すでに音を出すのをやめていた。
ギコさんがどうとったかはわからない。
だか、事実を伝えておきたかった。
168
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:13:42 ID:iLBFAaL.0
(´・ω・`)「なんだい、湿っぽいね。」
店主が料理を抱えて戻ってきた。
彼は僕達を一瞥すると顔をしかめて、嫌だ、嫌だ、と呟いた。
(´・ω・`)「内藤君。お節介だけど老婆心ながら言ってあげるよ。」
やれやれと首をすくめて腕を腰にあてる。
芝居がかった振る舞いがやけに似合っていた。
(´・ω・`)「ギコはね、何とか君に立ち直ってもらいたいのさ。」
( ^ω^)「……。」
(´・ω・`)「無理だよね。何てったって、この男が一番過ぎ去ったことを引きずってるんだからさ、説得力ないよ。」
(,,゚Д゚)「……。」
ギコさんがすっと目を伏せた。
店主はそんな事はお構いなしに話を続ける。
けどね、言葉を切る。
顔に手をあてて、僅かに口の端を引き上げた。
斜に構えた店主はまるでいたずらっ子のような目で僕を見ていた。
169
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:14:32 ID:iLBFAaL.0
(´・ω・`)「ギコは十六年間毎年欠かさずモナー君に会いに行った。休暇が取れる時は、外へ連れ出したし、毎週末連絡を取っていた。」
(´・ω・`)「ギコは一度たりともモナー君から逃げ出したりしなかったよ? 」
( ^ω^)「……。」
(´-ω・`)「“自分を赦す”なんていう切ない問いに答えてくれる人はいないよ。自分の中にしか答えはないんだから。
それよりもっと建設的な事をしないか? 」
君は彼に何かしてあげた事はあったかい?そう言うと、ウィンクを一つ僕に投げて寄越した。
170
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:15:33 ID:iLBFAaL.0
(,,゚Д゚)「ショボン。」
(´・ω・`)「何だい?」
(,,゚Д゚)「言い過ぎだ。」
( ^ω^)「いえ、そんな事はありませんお。」
ギコさんを制して言葉を探した。
店主――ショボンさんは相変わらず取り澄ました顔をして、そっぽを向いている。
もう、僕は過去に縋って心を波立たせるような事はしない。
たとえ波が立ち、飛沫が心を打ったとしとても、おさまるのを静かに待とう。
かすかな力がひたひたと心の中に満ちていた。
新しい波の予感がした。
( ^ω^)「ギコさんが今まで心を砕いてくれた事、感謝していますお。」
( ^ω^)「……今度は僕の番ですお。」
(,,゚Д゚)「……。」
(,,-ー-)「そうか。」
ギコさんは下を向いて少しだけ笑った。
今度は心からの笑顔だった。
171
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:16:18 ID:iLBFAaL.0
(,,-Д-)「ショボンには適わないな。」
(´・ω・`)「弱気なもんだね。“落としのギコ”は返上かい? 」
(,,゚Д゚)「かもな。」
( *^ω^)「ふふ。」
(,,゚Д゚)「ん? 何だ? 」
( ^ω^)「いえ、何も。」
たわいないやり取りに自然と笑みがこぼれた。
ショボンさんは一瞬嫌そうな顔をしすると、レコードをかけに行ってしまった。
どうやら、照れ隠しをしているらしい。
172
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:19:31 ID:iLBFAaL.0
( ^ω^)「そろそろ帰りますお。」
勘定を置いて立ち上がる。
店の置き時計が10時の鐘を鳴らしていた。
ギコさんもおもむろに立ち上がると、僕のコートのポケットにお札をねじ込んできた。
(,,゚Д゚)「俺のおごりだ。悪かったな、ツンちゃん一人で待ってるんだろ。」
返そうとポケットに突っ込んだ手をそのままに、ギコさんがぐいぐい扉の方へ押していく。
(#^ω^)「ギコさん! 飲みに行く時はワリカンって、昔決めたじゃないですかお! こういう事はきっちりしないとなし崩しに……。」
(,,゚Д゚)「良いんだ。今日は良いことがあったからな。」
(,,゚Д゚)「なぁ、内藤。お前が最長記録だよ。」
( ^ω^)「?」
(,,゚Д゚)「十六年だ。お前を“落とす”までにがかった時間。」
ギコさんがニヤリと笑った。
僕の背中を押す手は、温かく、力強かった。
面映ゆくて、なんともいたたまれないので、僕は十六年前と同じ言葉を口にする事にした。
( ^ω^)「お見事ですお。さすが“落としのギコ”さん。」
173
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:20:49 ID:iLBFAaL.0
店に向かう際に降り出していた粉雪は、いつの間にかやんでいた。
道にいよいよ人はいなくなり、静けさだけを湛えていた。
携帯を取り出して、真新しいナンバーに電話を掛けた。
「……はい、もしもし? 」
くぐもった声が聞こえた。
もしかすると、電話の主はうたた寝か何かしていたのかもしれない。
( ^ω^)「モナー君夜分に申し訳ないお。ちょっと話があって。」
「ブーンさん? どうかしましたか? 」
( ^ω^)「モナー君。」
息を大きく吸ってはいた。
( ^ω^)「依頼お請けいたしますお。」
174
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/01(土) 22:24:32 ID:iLBFAaL.0
支援ありがとうございます
以上で今回の投下を終了致します
どんどん話が長くなっているが果たして終わるのか!?
お付き合い頂けましたら幸いです
175
:
名も無きAAのようです
:2012/12/01(土) 22:26:01 ID:yms47Dbs0
乙
次回も楽しみ
176
:
名も無きAAのようです
:2012/12/01(土) 23:58:24 ID:za1Kts8AO
大丈夫だ、なんせ超長編作品なんだから
177
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/02(日) 00:39:42 ID:zxh0OqnU0
乙ありがとうございます
>>176
300レスくらいにまとめてみせますとも!
えぇ、必ずや短く終わらせてみせます……
再三申し上げてきたので心苦しいのですが、
気になった点や、アドバイス、ご批判、いつでもお待ちしています。
もし、思った事があれば遠慮なく仰って頂けますと嬉しいです
178
:
名も無きAAのようです
:2012/12/02(日) 09:56:56 ID:pL3OI54U0
乙!
読みやすいし続き気になるなー
179
:
名も無きAAのようです
:2012/12/17(月) 03:10:04 ID:ApSCwxIQ0
久々に来たら結構進んでた
序盤はもう終わりかな
全うに面白いのはいいねやっぱ
180
:
名も無きAAのようです
:2012/12/17(月) 13:28:04 ID:O9FmkRug0
乙です。
非常に心をうたれました
181
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/17(月) 14:41:12 ID:gcVLmqGs0
更新が遅れ大変申し訳ございません
短編にうつつを抜かしていました
言い訳がわりに今まで書いたものを貼っておこうと思います
ミセ*゚ー゚)リ鏡面台の少女のようです(ラノベ祭)
|゚ノ ^∀^)母子像のようです( ・∀・)(ラノベ祭)
( ^ω^)は悪の教団に立ち向かうようです(スレ立て中編)
( ^Д^)影のお前のようです (^Д^ )(ラノベ祭)
(´<_` )深山に棲まうは のようです( ´_ゝ`)(スレ立て短編)
もしお暇でしたら、手にとって頂けますと幸いです
スレ立てするとき挙手してくれた人、総合で批判やってくれた人、本当にありがとう!
182
:
名も無きAAのようです
:2012/12/17(月) 14:55:48 ID:abzKb9vE0
あれとかあれとか書いてたのか!面白かったぞー
あとどうでもいいけど多分批評って書こうとしたんだろうねきっとね
183
:
◆RwfHkdJwVg
:2012/12/17(月) 15:06:12 ID:gcVLmqGs0
お察しの通りだよ!
批評だよ!自分のバカ!
184
:
名も無きAAのようです
:2012/12/17(月) 22:21:49 ID:AymytFwo0
>>181
一個も読んでねえww
むしろラッキーだわ。読んでくる
185
:
名も無きAAのようです
:2012/12/18(火) 00:35:23 ID:L2EtpUrc0
深山はあなただったのか
186
:
名も無きAAのようです
:2013/01/07(月) 10:04:03 ID:ukrMr6zQO
おーい、そろそろいいんじゃないかい!
187
:
◆RwfHkdJwVg
:2013/01/20(日) 23:20:17 ID:wcZ1f1Ro0
更新が遅れてしまい、申し訳ありません
かなり詰まってしまった為、大変心苦しいのですが一度このスレを削除し、
改めて書き直したいと思います
【最近書いたもの】
川 ゚ -゚)プルメリアの恋のようです('A`)(鬱祭)
( ´_ゝ`)卵が孵らないようです スレ立て(突発イベント参加作品)
( ・∀・)一握りの幸せ、のようです
188
:
名も無きAAのようです
:2013/01/20(日) 23:22:08 ID:MUyvOu/c0
一握りそうだったのか・・・
待ってるぞー
189
:
名も無きAAのようです
:2013/02/21(木) 06:33:28 ID:09gWSWa.0
待ってるから頼むぞ
190
:
名も無きAAのようです
:2013/11/15(金) 17:13:58 ID:x1JFPHZM0
まだかな
191
:
名も無きAAのようです
:2013/11/15(金) 19:19:32 ID:l22OPdZ20
待ってる
192
:
名も無きAAのようです
:2014/02/25(火) 00:27:38 ID:03y41Xi.0
いつまでもまーつーわ
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