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イベント優先スレ
694
:
名無しさん
:2011/11/17(木) 08:03:00 ID:HbHPxpxY
追加
(今回の目的の為だ、巴津火。)
姉妹へと手を出そうとした巴津火へ、大剣を投げた。
もっと方法はあったんじゃないか、と後悔しながら。
695
:
穂産姉妹神大社
:2011/11/17(木) 18:08:10 ID:EK/9fLvc
>>692
巴津火が慟哭して、あれだけ自身を侮辱された。
両親までも雨子神に口汚く罵られて、それでもまだ神代には、
彼女たちに襲いかかるような素振りは見えなかった。
『屑が英雄になれるチャンスだったのに!!
宿敵のとどめすらもできないんだ!!塵の子は塵だな!!』
そんな神代に更に降りかかるのは、顔をひくつかせている雨子神の罵声。
それによってなのだろうか、巴津火が丁度堪忍袋の緒を切った時、
神代の手に黒炎の槍が握られた。
明らかに今までの雰囲気と異なる神代は、全身から夥しい力を発している。
「もう、止めてください」
小さな声で呟く神代。
この因果の怪物は、標的への照準合わせも振りかぶる態勢も、
槍に力を込める事も全ての動作が目にも止まらぬほど早かった。
神代の黒炎の槍は、巴津火の速度すらも上回って、
彼の牙が穂産姉妹へ到着する前にはもう、槍は標的を射たのであった。
神代の激情がこもった一撃は、巴津火に胴体に命中した。
>>693
、
>>694
「それは困るなぁ?」
討伐の意を明らかにした彼の後ろから、
含み笑いのある上機嫌な男性の声が聞こえてきた。
その声に稀璃華が振り返れば、目の前にはあの農夫がいるだろう。
「せっかくいいところなんだ。
それに、あんな姉妹を助けたいと思うような場面でもねえと思うがな」
実は、秋牙羅未の大剣を手に持たれた時に農夫は、
それで神代に果敢にも挑むものだと思っていた。だが予想は外れ、
大きく光る刃の向かう先は巴津火。
その為、笑顔の農夫だがこの稀璃華の対処をどうするべきか、
若干決めあぐねているというのが本音である。
696
:
巴津火「」
:2011/11/17(木) 18:58:21 ID:1gBuqmPQ
>>693-695
姉妹の力を奪わんとする巴津火の、神体への攻撃は防がれる。
秋牙羅未の大剣はようやくその役割にふさわしい使い手を得た。
二心を持って姉妹を狙うのでなく、ただ守るがためにこの神器を振るう者の手を。
稀璃華の手の中で力を増した大剣は、真っ直ぐに投げられて巴津火を貫く。
その長い蛇体の中ほどを串刺しにして、大地へと縫いとめたのだ。
そして動きを止めた大蛇を、神代の一撃が襲う。
神代のその一撃を、黒い蛇は待っていた。
破邪の剣に貫かれ、雷の業に焼け焦げて尚、全ての運命を歪め全てを打ち壊す紫狂として
暴れ狂う悦びのほうを選んだのだ。
「ボクは許さないぞ!!天の卑劣漢どもめ!!」
黒い蛇の背は苦しげに反り、その頭は高々と持ち上がり、焦げた胴は大剣に巻きついて
尾は稀璃華たちへ横なぎに地を払う。
そして神代の呟きに、黒い蛇が答えた。
「神代が、神代の言い分を、はっきり突きつけてやらないのならば、ボクは止めない」
黒い蛇は天に向かい、哄笑と共に瘴気を吐き散らす。
「どうする神代!!お前がペテンとやらを明かさずに何時までも何もしないならば、
ボクが今ここでお前を含めて全てを無にしてやるぞ!!」
雨子神の罵倒とはまた違う形で、巴津火もまた神代に行動と選択を迫ったのだった。
697
:
稀璃花
:2011/11/17(木) 20:00:13 ID:HbHPxpxY
>>695-696
秋牙羅末の剣を当て、攻撃を防ぐ事の出来た稀璃花だが、安心できない。
農夫、彼が立ち塞がったのだ。
「いいところだって?あれはバットエンドにしかならない。」
今すぐにでも戦闘できるであろうが、稀璃花には武器がない。
槍も剣も、自分から取れる位置にはない。
しかも、春宇知厄との戦闘もあって稀璃花はかなり不利であった。
(姉妹連れて逃げられれば・・・・・・。だがこの戦況。
僕も死ぬかもな。)
「農夫、君が止めるなら、この稀璃花、押し通る!」
698
:
穂産姉妹神大社
:2011/11/17(木) 20:21:15 ID:EK/9fLvc
>>696
飛びかかる激怒とはまったく対照的に、
迫られている神代の顔に浮かぶのは、何故か焦りと苦笑。
哀しげに笑う様は今までもあったとはいえ焦燥については、
おそらく巴津火の言葉を契機にして隠せなくなったものと思われる。
「農夫が途中遊んでいた為に遅くなったが、
問題なく結界は発動できる」
それ故なのかちらりと、榊の方へ振り向く神代に彼女は、
冷淡な顔で返答をした。それに伴って榊は片手を空へ向け上げて、小さく呟く。
するとその一瞬を持って、この空間は銃弾を遮る防弾のガラスのような、
いわゆる亜空間と呼ばれる結界によって全体を覆われた。
辺りを見渡して確認したらしい神代は、ようやく穂産姉妹神のもとに歩み寄る。
「急かさないでください巴津火さん。僕も今ようやく、自由になったのですから」
『だったら早く殺ってみろよ!!ぐだぐだ言ってないではや』
「・・・。僕は神体を得た、ここも遮断された。
もう全て終わったんです。だからもう頑張らなくても良いんですよ?
だからもうこれ以上、自分を傷つけないでください、穂産雨子さん、穂産日子さん」
あろうことか巴津火の歯牙も恐れず、姉妹に接近した神代から出た言葉は、
今までにも、そして神話にも刻まれなかった、優しいものだったのだ。
>>697
「そうだ、バッドエンドにしかならねえ。
それも上手くいきゃあ史上最大、前代未聞、空前絶後なワーストエンドだ」
神代たちと、稀璃華を直線で結んだ間の地点に割り込む農夫の顔は、
つい先ほどまでの彼とは別人物と思わる程に、
醜悪で、邪悪で、凶悪で、狂悪に笑い歪んでいた。
だが彼に構えるそぶりはない。
しかしそれは、何もしてこない訳ではなく、既に事は起していたからであった。
「させねえよバカたれが。
おらは、おら達は、この瞬間こそをずっっっっっっと待ってたんだ!
長さはそれぞれだがおらの場合は、人類の始まりのあの時からな」
そう言って稀璃華の意識を逸らした農夫の術は既に、
稀璃華の足元で発動されている。
突如地面が二か所隆起を始めたかと思うと、その二つから、
太い木の幹が異常な早さで成長して、
それらは稀璃華の体のそこらじゅうに絡まり、身体を拘束した。
699
:
巴津火「」
:2011/11/17(木) 21:22:49 ID:1gBuqmPQ
>>697-698
「榊も榊だ。
ぼさっと見てる暇があったら、そっちの金髪の首根っこ引っつかんでさっさと連れて来いっつの」
いつの間にか大剣にその身を巻きつけていた黒い蛇は、人の姿に化身していた。
「ぐああっ、くそっ!」
地に両膝を付き無事な左腕でなんとか上体を支えているが、その背は大きく焼けただれ胴を大剣が貫いている。
右腕と肩は土の顎に噛み潰されて腕らしい形を成していない。
「いいざまだな稀璃華、この落とし前としてしばらくはその格好でいろよ」
拘束された稀璃華を首だけで振り返ってニィッと笑った顔は血の仮面をつけたように赤く、
紫濁の瞳には橙色の煌きが混じり始めている。
「おい金髪。これ抜くの手伝え」
立ち上がって大剣を地から引き抜くことには成功したものの、背から腹へ貫いたその刃は
この姿の巴津火の身の丈ほどもあり、左腕一本では到底抜くことが出来ない。
(このくらいのハンデはありだな)
突き刺さったままの秋牙羅未の大剣は、巴津火の邪神としての力を徐々に削いでいた。
その影響で巴津火には神格としての自覚が強まってゆく。
憤りはもちろんまだあるが、感情とはまた違う理由で担うべき役割を自覚し、
神代と天界との間の真実を見た巴津火は限界まで己の我侭を貫くことにした。
(あの時も正々堂々と戦ったなら、ボクは決して負けはしなかった)
遥か昔に敗者として全ての栄光を奪われ貶められた、かつての強大なる神格は
今度こそ正攻法による戦いをするつもりなのだ。
(神代、ボクはそうしなければならない。『悪い』な)
700
:
稀璃花
:2011/11/17(木) 21:47:44 ID:HbHPxpxY
>>698-699
「離せ農夫っ!今すぐこれを解け!!!」
もう無理なのは分かっている。
だが体を無理に動かしたり、懸命に振りほどこうとした。
「巴津・・・・・・・・・。」
巴津火が言い放った言葉は、深く突き刺さった。
何も出来なかった自分が惨め過ぎて、泣けてくるのだ。
事は一向に進み、ただ稀璃花は見ているしかなかった。
701
:
穂産姉妹神大社
:2011/11/17(木) 22:06:08 ID:EK/9fLvc
>>699
,
>>700
「私は堕天術の調整がある。
それに急がなくとも良い筈。結果は同じなのだから」
巴津火の悪態を聞きながらもまったく変化のない榊は、
巴津火に事情を説明するために、神体が未だ置かれている陣を指さす。
それにここから動く気もなく、農夫を急かす気もないらしい。
「まあ無理だ。
お前も最後まで見ればいいじゃねえか
それに巴津火、お前も刺さったままにしておくぞ。どうせ死なないだろ?」
ここで暴れられても困る、そう判断した農夫は稀璃華を残し、
呑気な口調で巴津火たちのもとへ歩み寄る。
先に見せた笑みが、まるで嘘のように暢気な顔であった。
『なにがだよ!?良いから早く殺しゃあいいいじゃねえか!!』
「嘘までついて自身を殺させ、でもそれももう意味が無くなったんですよ?」
『な、何が意味ないだ!せっかくの神命・・・神命・・・を』
面に浮かんでいた邪悪よりも、どこか必死な雰囲気が雨子神からは、
いや、穂産姉妹から滲みだしていた。
下劣な笑みもなく、今は唯、視線は定まらなくなって。
「僕はもう、全てを知ったんですよ。禁伝の部分も」
『・・・いやだ。やめ、やめて・・・・』
「お願いだから!これ以上は言わないでください!!
私たちは貴方を、貴方をのろ」
「守っていた、ですよね・・・?」
最後に神代の言葉を聞いた頃の穂産姉妹は、
唇はわなないて、既に泣き出しそうな顔色を浮かべている。
目には涙を浮かべて、まるで子供の駄々のように首を振っていた。
702
:
巴津火「」
:2011/11/17(木) 22:20:30 ID:1gBuqmPQ
>>700
>>701
「バカヤロー!まだ死なないけどこのままじゃ動きづらいんだ!」
何としてでもこの剣を抜いてやる。そして暴れてやるのだ。
巴津火は剣が刺さったままうろうろと辺りを見回し、手ごろなものを見つけた。
(刃先を押して抜けば何とか)
稀璃華のほうへふらふらと歩み寄って、その剣先を木に当てた巴津火は力いっぱいに寄りかかる。
上手くすれば刃先を押し戻して抜くことができると踏んだのだ。
「うああああっ!!」
綺麗に抜くのとは違い、ごそりと刃で傷口をかき回される感触に、流石の巴津火も苦鳴を上げた。
剣を抜けば酷く出血するだろう。
「あの金髪め…、後で同じ目見せてやる。おい稀璃華!その手で握れるか」
最終手段として巴津火は、捕縛された稀璃華の手に大剣の柄を握っていてもらうことにしようと
思ったらしい。
703
:
稀璃花
:2011/11/17(木) 22:30:50 ID:HbHPxpxY
>>701-702
「・・・・・・。」
ただ大剣を無言で握る。
溢れ出る血を目に止めず、神代達を眺めていた。
「(な、なんだ?あのさっきまで狂ってた奴の雰囲気が変わった?)」
非常に気になるが、縛られていて何も出来ず。
704
:
穂産姉妹神大社
:2011/11/17(木) 22:47:37 ID:EK/9fLvc
>>702
、
>>703
今度は巴津火の声をシカトして、穂産姉妹達の近くに立つ。
背中は見せても巴津火たちの動きの警戒は怠らず、
仮に今巴津火が出し抜けに襲いかかろうとも、迎撃はできるようだ。
「やっぱりこうなったな!!ペテンなんて無理なもんだ!
復讐の相手をずらすなんて荒業、最初からできると思う方がおかしい!!」
農夫のしばらく後にやってきた包帯男。
馬鹿デカイ声を上げてやってきたために、農夫は彼の首元に拳を決めた。
邪魔しないように黙らされた包帯男は、気道を確保するために地面でもがいていた。
「僕だって最初は、神話どおりに実行しようとしました」
『だったら・・・だったらその通りに・・・お願いだからぁ・・・』
「でも、復讐すべきは穂産日子さん穂産雨子さんじゃない」
雨子神はもはやすがりつくように涙を頬に伝わせて、
力なく神代に訴えかけた。
そして彼らの間で理解不能なやり取りがなされている最中に、
巴津火の中の禁伝第二項、それの更なる続きが溶け出した。
そこはより機密として封印されていたらしく、情報の流出までに時間がかかっていたようである。
―大きな力を手に入れた二柱の神は、
人々に結実豊作と、子宝児童安全の恵みを与え、より江戸の人から信仰を集めていました。
そしてそんな優しい神々にはその時、特に愛おしい存在があったのです。
それは、悪魔と尊の垣根を超え、固い愛によって結ばれているとある夫婦でした。
悪の骨頂の彼と、それに相反する巫女がここまでの愛を生み出したのには、
彼らの間で数々の死闘、論争、それらを超えていったからなのです。
黒と白、善と悪、それらを二分せず中庸して愛する彼らが子を宿した時、
同じく中庸を愛する、穂産姉妹神は大変喜びました。
全ての子を愛する母性神は特にこの子供を可愛がり、
安産、児童安全、彼女たちの持ちうる全ての力や祈りを用いて祝福しました―
705
:
穂産姉妹神大社
:2011/11/17(木) 22:50:29 ID:EK/9fLvc
>>704
訂正
悪魔と尊×
悪魔と巫女○
706
:
巴津火「」
:2011/11/17(木) 22:59:52 ID:1gBuqmPQ
>>703-704
稀璃華が大剣の柄を握ったのを確かめると、一つ深呼吸して思い切り身体を前へと投げ出した。
「がほっ!!」
破邪の大剣からずるりと解放されて、膝を突いた巴津火は血混じりに咳き込む。
しかしその顔には不穏な笑みが広がっていた。
「よし、ボクには左腕一本あればよい」
夥しい量の血を足元に零しながら、巴津火は立ち上がった。
その時、機密とやらが胃の腑で溶けたらしい。
「…ペテンってよりも茶番か。蛸の言うとおり、神格ってやつはめんどくさい代物らしい」
大剣から解放された巴津火の表情は、既に紫狂のそれである。
「稀璃華、その剣よこせ。ボクがさっさと終わらせてやる」
ボロボロになりもはや邪魔な上衣を苦労しながら脱ぎ捨てて、ニタリと笑った血まみれの半邪神は、
振り返って稀璃華に左手を差し出し大剣を渡すよう要求した。
今、秋牙羅未の剣は新しい主と定めた稀璃華の手に、重さを殆ど感じさせずに握られている。
その気になれば、稀璃華はこの剣を振るうことが出来るだろう。
707
:
稀璃花
:2011/11/17(木) 23:16:04 ID:HbHPxpxY
>>704-706
秋牙羅末の大剣は、稀璃花を新しい主として認めてくれたらしい。
それは気持ちの問題か、元を辿れば鉱石と言う同じ原子だからか、理由は解らないが。
「巴津火、僕は君の事、凄く好きだ。だけどね、その捻くれた性格だけは好かない。だから剣も渡さない。(ちょっとの間、僕の武器として力を出してくれ。)」
植物を瞬時に切り落とすと、傷が深いであろう巴津火に一発、殴りかかる。
「(何が終わらせる、だ。いい加減にしろよ・・・。)」
708
:
穂産姉妹神大社
:2011/11/17(木) 23:27:27 ID:EK/9fLvc
>>706
>>707
―しかし穂産姉妹には祝福された夫婦の愛も子供も、
善と悪、絶対的な極端を信ずる天界の神々は決して許しませんでした。
彼らの不実に激怒した神々は、穂産姉妹神の術を打破しなおかつ死産させるよう、
数人がかりのアマツカミに命令し、赤子を呪いました。
秘密裏の呪術を穂産姉妹が知ることはなく、
更には赤子に重ね重ね祝福を彼女達は続けるのでした。
そうして知らず知らずに行われた術比べの結果は、誰もが勝つことはなく、
強いて言うのならば、誰もが完全敗北を喫したのです。
悪魔の邪、神気の正、胎児が受け継ぐであろう二つの力を両方活性化させ、
巫女の子宮の中で胎児を、正邪の衝突によって殺す目的の呪術。
どのような障害があろうと全てを退け、無事に出産を促す祝福。
これらの力が招いたのは、正邪の衝突を体内で起こしながらも全て中和し、
その分を外界へ全て発散してしまう、呪われた赤ん坊でした。
そこから、全てが狂いだしたのでした―
「ずっと待っていたんです。
大きくなった僕があなたたちの前に立って、立派な姿を見せる瞬間を」
ローブの中から神代は何かを取り出して優しく言った。
神代の手に握られたものは、穂産姉妹神の祝福の込められたお守り。
自らの邪気で黒く浸食しながらも、効力はまだ消えていないようであった。
「っと何してんだお前ら?」
そのようなやり取りの中、
後ろの不審な動きを察知して農夫は、やれやれと呆れながらも振り返った。
するとそこで見えるのは巴津火を切りつける稀璃華。
当初から彼らを今一理解していなかった分、この状況を、
まだじゃれあいの延長だということでしか見ていない。
709
:
巴津火「」
:2011/11/17(木) 23:35:48 ID:1gBuqmPQ
>>707
「ごふっ」
稀璃華の拳を、巴津火はたたらを踏んで持ちこたえる。
「…よりによって傷のある腹を殴るか?それにボクは前から言ってるとおりお前が大嫌いだ」
ぺっ、と血を吐きながら巴津火は稀璃華の売り言葉に買い言葉。
稀璃華を嫌いな理由は、もちろん撫で回されて触られるからだ。
「お前今、良い加減にしろ、って思っただろ」
巴津火は稀璃華の表情を瞬時に読み解いた。
「ボクは神代に対して、それと同意見を持ってる。
だからあいつを一発殴ってこの茶番を終わらせてくるんだ」
紫濁の瞳に強い橙色の輝きが混じった。
「手伝うか稀璃華?
ボクをコケにしてくれた天界への意趣返しに、神代とあの姉妹の殺し合いに
全く違う形で決着をつけさせてやるんだ」
一段声を低くして、農夫たちには聞こえないように稀璃華にそう囁いた巴津火は
邪気と神気の両方を入り混じらせ、その声にはぞくりとするような真剣さがあった。
今ならこのひねくれ者は、稀璃華の問いへ正しく答えることだろう。
710
:
巴津火「」
:2011/11/17(木) 23:37:41 ID:1gBuqmPQ
//安価ミス、
>>708
まで含みます。
711
:
稀璃花
:2011/11/17(木) 23:48:53 ID:HbHPxpxY
>>708-709
「ごめ・・・勢い付けすぎた・・・。」
軽く涙目になりながら、謝罪。まさか血を吐くなんて思わなかったからである。
「巴津火らしい、一発、やって来い。僕は見届けてやる、茶番の最後を。」
巴津火の肩を叩き、走り寄って行く先には・・・春宇知厄だ。
「生きてるか?あんたの主含め、一緒に見届けよう」
712
:
穂産姉妹大社
:2011/11/18(金) 00:01:30 ID:EK/9fLvc
>>709
、
>>710
「全てを知っているあなた達なら、これから僕達がやることも知っているでしょう?」
「だから、それは駄目です!」
『死しか見えてないじゃないか!なんで生きようとしないの!?』
再び大事そうに、お守りを懐にしまった神代に大声でそう叫ぶのは、
今もまだ必死な形相で止めようとしている穂産姉妹。
心ではもう、目の前のこの少年がこれから一生、
体の全てが絶えて血に伏すその時まで止まらないことは分かっていても、
やはり穂産姉妹の神格の元になった心は、それでも否定するのだ。
「それで、お前らは何してんだ?」
途中から意識が巴津火と稀璃華へ向けられていて、
更に榊の進言があったことで、農夫は余計に警戒を強めていた。
なんとか回復できた包帯男も、彼の隣に立って、
状況を飲み込んでいないながらも警戒を強めた。
「・・・。」
稀璃華が駆け寄った、縛られたままだった春宇知厄の顔は、
目や口を大きく開けて、驚愕の様相を浮かべている。
何も言葉を発さないのでなく、発せないのだ。
713
:
穂産姉妹大社
:2011/11/18(金) 00:02:10 ID:EK/9fLvc
/安価ミス
>>711
も含みます、スイマセン
714
:
巴津火「」
:2011/11/18(金) 00:08:15 ID:1gBuqmPQ
>>711-712
「…って見てるだけかよおい!」
いやむしろお前手伝えやコラ、と慌てて巴津火は稀璃華を追う。
「せめてその剣だけでもよこせ。これじゃないと出来ないことがあるんだ」
足を引きずりながらのろのろと追いすがり、稀璃華の手から秋牙羅未の大剣を奪おうとする。
大剣を手にしたら、今度はそれに縋りながら穂産姉妹の所へ取って返すだろう。
(もう一度あの因果を漱ぐ。この剣でなら雨子神を殺さずに漱げる)
半分しかない神格にで双子神の因果を背追うことは出来るだろうか。
やってみなければ判らない。
(死にたがりが3人か)
姉妹と神代の間の会話が巴津火にも聞こえてきた。
「稀璃華、包帯と農夫の注意引いてろよ」
(榊は多分、最後にしか動かない)
黒衣の人物、と衣蛸が言っていたのを今更に思い出す。
715
:
名無しさん
:2011/11/18(金) 00:17:39 ID:HbHPxpxY
>>713-714
「は?なんで僕が?・・・後さ、その剣、使い終えたらくれない?」
不思議と剣に興味を示した稀璃花。
一旦巴津火に手渡した。
「春ちゃん、こんなんなっちゃったね。君はこれでもいいか?」
解きながら、稀璃花は話した。あまりに、驚くべき事だろうが、現実だ。
農夫さん、包帯さん、と手を振りながら、注意を引くことも忘れず。
716
:
穂産姉妹大社
:2011/11/18(金) 00:31:03 ID:EK/9fLvc
>>714
、
>>715
「・・・。」
返答は、まだ出来ないでいる彼女。
確かに神代と穂産姉妹の因縁自体がペテンであり、
今、彼らはお互いを守ろうとしているこの光景を見たときのこの驚きは、
春宇知厄から言葉を奪うのは簡単だったのだろう。
彼女の驚きのほとんどが、そんなことじゃないことを除いても、
やはり驚きは大きすぎるほどに大きかった。
「なんだ?おらはあれと絡むのは嫌なんだがな・・・」
警戒をしていたが、いや、ある意味警戒していた分稀璃華の動きに敏感になり、
半ば条件反射のように手を振り返す。
それゆえ警戒は稀璃華にだけ注がれ、
状況を理解できていない包帯男も役に立たないので、まさに今は巴津火の独断場であった。
717
:
巴津火「」
:2011/11/18(金) 00:42:12 ID:1gBuqmPQ
>>715-716
「使い終わったらお前に投げるから上手く掴め」
巴津火の手を嫌がってキシキシと剣が軋むところを見ると、
投げ渡さなくても剣自らで稀璃華の元へと飛んでゆきそうではある。
(もう一度、もう一度だ)
既に血の気のない頬を、流れた血が汚して誤魔化してくれる。
稀璃華が作ってくれた隙に、穂産姉妹と神代の元へ巴津火は左手に大剣を引きずりながら向かう。
既にこの刃は巴津火の血で汚れているのだ。
(この血が流し損になったら、それこそ本当の茶番だな)
そして目の前には雨子神の背中。
神代と目が会えば、愛想良く笑って見せながら禊の刃を雨子神に突き立てねばならない。
(今だ!)
日子神を漱いだ時と同じく、形式上雨子神を殺害することで、残るもう半分の因果を巴津火は引き受けた。
あのニヤニヤ笑いを神代に向けて貼り付けたままである。
「死にたがりの2人目を始末。三人目がいたら名乗り出ろ」
巴津火が秋牙羅未の大剣を抜き去ると、雨子神の身体はゆっくりと日子神のほうへ倒れた。
息はまだある。
718
:
稀璃花
:2011/11/18(金) 00:54:52 ID:HbHPxpxY
>>716-717
「春、おーい。・・・ダメだこりゃ。」
しばらく彼女はほっぽっとき、絡むのをいやがる農夫へと近寄った。
きっといい迷惑である。
「おっさん、僕と結婚しよう?おっさんは正義って決まってるからね。」
女装があったならいいかも知れないが、今、話してるのは完全なる男。
農夫にはかなりのダメージを与えられた・・・と思う。
ちなみに包帯さんには無関心だ。
719
:
穂産姉妹大社
:2011/11/18(金) 01:09:20 ID:EK/9fLvc
>>717
ほんの少し前まで、巴津火は穂産姉妹の命を狙っていた。
その事を知っていた神代でも長年の悲願、
それを果たしかけていたこの瞬間には油断して警戒は意識の外へ。
贈られた笑みに本心からのそれを贈り返し、
それでも巴津火に真意を把握できていなかった神代は数秒後、
彼の行おうとして現に成功せしめた事実を、目の前に叩きつけられることとなる。
「な・・・んで?」
自らの片割れを突然刺された日子神は状況が呑みこめず、声が掠れていた。
雨子神の生存は、体が崩れていない事で分かるがやはり、
巴津火の凶刃は彼女から思考を奪うことは容易いことである。
「僕もたいがいそうだと自覚していたつもりなのですが。
巴津火さん、今あなた以上に、死にたがりな方はいませんよ」
だが、金縛りにあったように動けない日子神と対照的に、
呪われた怪物はこの出来事を見てまだ優しく明瞭ながらも、
かの地獄の王ルシフェルの姿を後ろに見える程の憤怒を体から発して、
巴津火にゆっくりと喋りかける。
【ジャッジアンリーゾナブル】
言葉の後、数秒も待たず巴津火には、計6本、
先ほどよりも長く太く、強靭な黒炎の槍が凄まじい轟音とともに放たれた。
>>718
「(にしてもあの守護神・・・
神だから当然の報いっちゃあ報いだが、お気持ちはお察しするぞ)」
遠くの彼女を眺めながら、農夫は顔をしかめた。
そして稀璃華がこちらへ残念なことに接近して、余計に顔のしわが増える。
「は?
結婚って・・・・てか駄目だありゃあ。
おい稀璃華、今はどうでもいいから避難しとくぞ」
いつも通り稀璃華のようなキャラに翻弄されるかと思っていたが、
農夫は目の前の神代を見て、それはない事を知る。
今はただ逃げるだけ、それほどの危機が存在しているからだ。
720
:
巴津火「」
:2011/11/18(金) 01:28:30 ID:1gBuqmPQ
>>718-719
稀璃華のほうへからん、と大剣を放りなげて巴津火の様子が変わった。
もともと邪気は持っていたが、それがさらに純粋なものとなる。
「ふふ、神格が重荷で押さえ込まれたか」
その瞳は鬼灯色に赤く輝き、神代を真っ直ぐに見た。
「死にたがり?残念だが私はまだまだ生きるつもりだ」
物柔らかに力強く語る大人びた口調は、とても巴津火とは思えない。
「さもなくば、天に仕返しできないからな」
指先で軽く天を指すと同時に、地下では水脈の中に広がった、あのガラス玉が一斉にはじけた。
八本の水柱が大地に固定された大蛇の周囲から鎌首を持ち上げ、
各々口を開いた蛇の形となって、黒炎の槍に襲いかかっていく。
6本の槍とそれにに絡みついた水蛇は互いを相殺し、2匹の水蛇を残して消えた。
「このくらいの挑発は許してもらおう。お前達のペテンに付き合ってやったんだからな」
巴津火は呆然とした日子神を見て笑う余裕があった。
雨子神も日子神も、因果を漱がれたことで悪影響は出ていないようだ。
「次は私の番だな。多田羅!」
その手には明々と輝く鉄の刃があった。
薄紫の炎を纏うその灼熱の刃を神代に叩き込むべく、清々しい笑みを浮かべて巴津火は跳んだ。
残った二匹の水蛇がその身を守っている。
721
:
巴津火「」
:2011/11/18(金) 01:34:56 ID:1gBuqmPQ
//
>>720
訂正です
×八本の水柱が大地に固定された大蛇の周囲から鎌首を持ち上げ、
↓
○八本の水柱が巴津火の周囲から鎌首を持ち上げ、
722
:
穂産姉妹神大社
:2011/11/18(金) 01:52:11 ID:EK/9fLvc
>>720
、
>>721
神代の顔には笑顔、だが厳密に言うとそれは正しくなく、
神代は顔だけに笑みを浮かべそれ以外には、
七つの大罪の一角、憤怒を結晶化させたような激情が迸っているというのが正しいだろう。
「いいえ、あなたには死んでもらいます。
こんな言葉を使うのは、おとうさんおかあさんは喜んでくれないでしょう。
でもたまには子供らしくわがまま言って、我を通させてもらいましょう
死ね、死ね死ね死ね死ね死ね。
死んでしまえ!!」
投げられた槍の数は6。
だがそれは、一度に、投擲できる数の最大であって、
必ずしもこの技の本数が6本までと限られた訳ではないのだ。
目にもとまらぬ、風すらも追い越すような速度で、
神代は黒槍を投げ二匹の水蛇を一瞬にして破壊し消滅させた。
守るものが無くなった無防備の巴津火へと、神代も衝突するように接近した。
手にはどの術なのか定かではないが、雷迸る両手剣が握られていて、
その刃は巴津火の眉間を目指して、煌めいている。
しかしそこへ、正体不明の長さは10cmにも満たない、
小さな妖気を纏っただけの針が、神代の手の甲へと突き刺さった。
大したダメージにならなくてもそれによって、刃をふるう際の動きに、
若干の遅れが生じるだろう。
723
:
巴津火「」
:2011/11/18(金) 02:13:18 ID:1gBuqmPQ
>>722
憤怒する神代を、ニコニコと微笑ましげに鬼灯色の瞳で見つめて、巴津火が迫る。
使い物にならない右腕では黒槍を叩き落しながら、かまわずに左手で逆手に持った灼熱の刃を神代につきたてようとする。
その途端、じゅんっ!と、赤熱の刃が音を立てて消えた。
その時にはもう、紫濁の瞳が神代の目の前でニヤニヤと憎たらしい薄笑いを浮かべている。
「バーカバーカ、ひっかかってやーんのー。あと、誰が死ぬか」
その台詞と同時に、ぺろりと二股の舌がつき出た。
上手いことペテンが成功して、この小憎らしいお子様は大喜びである。
「守ってやるって、言っただろ。
さっきので、お前とあの二人の因果は全部消えた」
姉妹神の代わりに因果を背負い、巴津火は神代と戦った。
そう笑いながら、満身創痍な巴津火は満足そうに神代の腕の中に倒れこんだ。
神代の懐で、お守りのあのガラス玉は割れてしまっていることだろう。
「あと、ボクを打ち負かした奴には、ご褒美をやるんだ。
神代におとうさんとかおかあさんはやれないけど、何かいらないものを捨てさせてやれる。
捨てられなくて困ってるものがあったら、ボクが水に流させてやるよ」
(そうだ。昔々に罪人を一人漱いだ。罪を漱いで英雄にした)
「何か捨てたいもの、いらないものあるか?」
巴津火は僅かに動く左手で不器用に神代を撫でてやった。
724
:
穂産姉妹神大社
:2011/11/18(金) 02:33:21 ID:EK/9fLvc
>>723
「!?」
剣の衝突を予期して、自らの手に精一杯の力を込めていた分、
フェイクを振り切った時の力は空へと発散し、神代の体勢は崩れ切る。
しかしそれと同時に神代の眼に映るのは、
こちらに倒れこんでくる力を使いつくしたであろう巴津火の姿。
「ぼ・・・・僕の・・・僕の因果が」
自らの体で支えるために倒れはすまいと踏ん張ったおかげで、
巴津火は地面に身を叩きつけることは無くなった。
しかし支え切って見せた神代の顔には、言い知れないほどの虚無が生まれていた。
「おい!!榊!!
これもお前の筋書き通りなのか!?坊ちゃんは鎖をなくしちまったぞ!!」
そこへ怒鳴り込むのは、かなりの剣幕な農夫である。
榊の胸倉に乱暴に掴みかかった農夫は小声で、榊と密談を始めている。
一方巴津火を抱く姿勢になった坊ちゃんは、しばし呆然自失としていたが、
すぐに気を取り戻して巴津火を突き飛ばした。
固くはなく丁度戦闘で、隆起した柔らかい部分に飛ぶ巴津火だが、
やはり満身創痍なだけに体にはこたえるだろう。
「捨てる?流す?
そんなもの、いる物もいらない物も、生まれた時から全部なかったですよ!!
半妖の僕には!!なにも得ることができなかったんです!
やっと・・・やっと手に入っていたところなのに・・・」
ひざから崩れ落ちた神代。
笑みを浮かべた顔が邪魔をするが、それでも伝わる悲愴はあった。
725
:
巴津火「」
:2011/11/18(金) 02:47:47 ID:1gBuqmPQ
>>724
「捨てられるもの、あるじゃないか」
弾き飛ばされて尚、ニヤニヤ笑いは巴津火に張り付いていた。
力を使い果たして横たわって居るというのに、さらに相手を挑発するのだ。
「たかが半妖生まれというだけで一々悲壮に暮れているなら、いっそ命でも流してしまうか?」
慌てる農夫や榊に対しても、おちょくったような物言いをする。
「自分たちから協力を頼んでおいて、ボクに目的を隠したりするからさ」
(よーし、怒れ。もっともっと怒れ)
紫濁の瞳は、先ほどまでとはまた違った風に輝き始めた。
726
:
穂産姉妹神大社
:2011/11/18(金) 02:57:47 ID:EK/9fLvc
>>725
榊に掴みかかったままの姿勢で農夫は振り向き、
今まで怒っていた、どの表情よりも本物の憎悪ある眼差しを巴津火に向ける。
何か言おうと言葉を探すような素振りがしばらく見てとれたが、
悔しそうに声を漏らしただけで、後はまた榊に怒鳴り散らすだけであった。
明らかに事態の雰囲気は異様で、
この中でも空気を読まない立ち位置の筈の包帯男にも、言い知れない激情があるのだ。
「たかが半妖?どこにも混じれない!嫌われも好かれもしない!
他者の悪意の最大で赴く無関心が、どれほど恐ろしいかも知らないのに!!」
もう心が止まりきれないのだろう、顔に張り付かせた笑顔の仮面も皹が入り、
ところどころに怒り顔の特徴が神代の顔に浮かび始める。
声は今や怒鳴り散らして、面影は声のまだ声変わりのなさだけであった。
「流せるものなら!捨てられるものなら!!
いつだって!!なんなら生まれた瞬間に死んでやるさ!!」
727
:
巴津火「」
:2011/11/18(金) 03:04:15 ID:1gBuqmPQ
>>726
「だってたかが半妖だろう。お前一人が半妖だと思うなよ?
今までにもこれからも、半妖なんて幾らでも生まれてくるんだ」
澪と夜夫婦の間にも、まもなく半妖は生まれてくるだろう。
同じ「ぼっちゃん」のくくりではあっても、巴津火と神代は多分絶対的に違う。
巴津火はいじめっ子なのだ。
「お前だって他の半妖に出会ったこと位はあるんだろ?
そいつら皆、お前みたいなぼっちだったか?」
巴津火は神代の笑顔の仮面をその激情で剥がそうとしている。
体力は無いが余裕はある様子だ。
728
:
穂産姉妹神大社
:2011/11/18(金) 03:17:03 ID:EK/9fLvc
>>727
「巴津火さん、あなたが僕を撫でた手、黒く変色していませんか?」
当然来るだろうと思っていた質問。
かつて神代も、誰もいない空間で何度も自問し、
何度もその答えを出して、何度もその答えが自分に該当しないことを思い知らされた、
当てもなく同じことを繰り返した質問。
逆に沸点の上がっていた神代の怒りは醒め、
いやに冷静に、いやに感情を手放して、表情に笑顔を取り戻した。
巴津火が神代の言葉通りに自分の掌を覗き込めば、
おそらくいつかの牛神神社の姫君がそうであったように、黒く変色して、
はっきり言えば邪悪に汚染されているのがわかるだろう。
「禁伝にもあったはずですよ。
僕は僕の正邪に殺されない代わりに、周囲に正邪を振りまく。
清きものと触れあえば邪悪によって焦がし、悪しきものとじゃれあえば、
清純さによって体は清められ消滅するのですよ。
だからあの時あなたを突き飛ばして、穂産姉妹にも抱きつけなかったんですよ」
呪われし赤子、怪物。
その由縁とは、ただの半妖のジレンマではない。
陽のあたる世界では生物を焼死させ、陰の世界では怪物を消滅させる。
どこにいても殺して、どこにいても害してしまうのだ。
729
:
巴津火「」
:2011/11/18(金) 03:27:10 ID:1gBuqmPQ
>>728
「んー?ああ、黒いな」
巴津火は左の手を持ち上げてみる。
ついで、泥だらけのズボンのポケットに手を突っ込んでぐいぐいと拭う。
「ま、ほぼ泥と煤だな」
先ほどは焼けた鉄を握り、今は泥の上に寝転がっているのだ。
「正邪を振りまく?禁伝にそんなことあったんだ?
ボク自分の伝承の方に夢中になってたからなー」
事情を聞いてしばらくポカンとしていた巴津火が、困ったように呟いた。
「神代に言ってなかったっけ?
ボク半分は神格だけどもう半分は、邪神格なんだって。
それに今までも何回か神代にさわったりしてたぞ?ほら、あのお守り渡した時とか」
730
:
穂産姉妹神大社
:2011/11/18(金) 03:41:21 ID:EK/9fLvc
>>729
「もちろん撫でただけですよ。
でも一瞬僕に触って、一瞬で巴津火さんの手の表皮は焦げた」
赤熱した鉄なのか、神代の邪悪なのか、
巴津火の手を焼いた方はどちらなのかは分からないが、どちらもかも知れないが、
ただ、触れる機会が一瞬であった巴津火が、
体に大きな黒点を作ってしまう機会を失ったことは確かである。
「あの時も一瞬ですよ。それにそれで済んでいるのは、
何よりもあなたが上位神格を所持できる程の存在だからです」
人間であったならば、身に禊という自己修復能力もなく、
神代の残す黒はより深くより長く残っていたのであろう。
今や完全に落ち着いてしまった神代は顔に笑顔を浮かべ、ちらと穂産姉妹の二人を見た。
どうやら二人は心労でいつかのタイミングに意識がなくなったらしい。
「あなたは日本の神の邪と、西洋の邪を同一視しています。
災厄や災害の神たちの持つ邪な力は、生きる上でどうしようもなく切り離せず、
自然にとっても人間にとっても避けられない、業、なのです。
でも、僕にある悪魔の邪は、人間たちの切り離せるはずの、
それでも手に取ってしまった邪な心による、罪、なのです」
731
:
巴津火「」
:2011/11/18(金) 03:59:15 ID:1gBuqmPQ
>>730
「ちょっとまて、その種類の邪の概念はこの国にもあるぞ?」
西洋の神の邪に相当するもの、人の心における悪の概念は仏典と共に流れてきている。
邪神とされる存在もいる。
「それにボクがお前に触ることができたり、こうして話していることは
さっき言ってた嫌われも好かれもしない、どこにも混じれないということは間違ってるだろ?
あの二人だって、結局はお前が憎いなわけじゃなかったようだし?」
巴津火は、左手をしげしげと眺めた後に神代のほうへ再び手を伸ばしてみた。
「これ握ってみろ」
ニヤリと笑いながら、神代に言った。
732
:
穂産姉妹神大社
:2011/11/18(金) 04:14:00 ID:EK/9fLvc
>>731
「この国にも確かに罪の邪は存在しているでしょう。
でもだからって、全身全霊の悪がいたって、
僕がその者を慕って近づけば今度は禊の力で、彼を害するんです」
ちなみに巴津火の邪は前者のほうであるといえる。
自然に罪はない、というより人間ごときが自然の一部分を観測して、
流れを悪と決め付けることはできないのだ。
たとえそれが母、窮奇の残した罪の邪があっても邪神の神格の部が上回って、
結果神代の呪を無効化できるようなものでもない。
「だからあなたは僕の友達で、穂産日子さん穂産雨子さんは恩人なのです。
ですが世界はあなたたちほどはみ出しや、中庸に寛大ではないんですよ。
人の世界では退魔士が、妖怪の世界では界の神格が、
それぞれ僕の追ってとなるんです。弾劾する代表となるんですよ」
そう説明していると巴津火は手を差し出していた。
「あなたはひどい方ですね」
しかし神代は、笑ってそれを拒否した。
今まで可能性を信じて様々な者と触れ合ってきた神代。
そしてその全ての結果を受けて神代は、他者に触れることにすら臆病になっているのだ。
733
:
巴津火「」
:2011/11/18(金) 19:19:31 ID:1gBuqmPQ
>>732
>>715
神代の口から「友達」という言葉と、「ひどい」という台詞を聞いて、
今度は自然なニヤニヤ笑いが巴津火の顔に広がり始めた。
そして少しばかり皮肉げに神代に言う。
「差し出されたものすらそうやって拒否してたら何も手に入らなくて当然じゃないか。
そうやって他の何かのせいにしてきた奴がボクの友達? 笑わすな。
生きるに足るだけの身体も考える頭もちゃんと持って生まれておいて、
いる物も要らない物も何も無いだとか、親が聞いたら泣くか呆れる」
ほんの少し口調を和らげ、
「この手はボクの意思で差し出した。お前が握りたいなら握り返して良いんだ。
多少焦げたってボクにはそんなの日に焼けるのと大差ないんだから。
それでも何にも触れないとか気にするなら、あらかじめ手袋でも嵌めておけ」
既に巴津火の背中も右腕も、神代の術で黒く焼け焦げているのだ。
この左手を拒否したところで、何を今更である。
そしてこちらの様子を伺っている稀璃華に向け、神代が拒否したその左手を振って招こうとする。
絶対に友達なんかではないと互いに言い張るだろう稀璃華と巴津火だが、
それでもこの二人の行動は神代とのそれよりもずっと親しげだ。
「お前が今後あの双子どう馴れ合おうが、ボクが天に文句は言わせない。
望むならその化け物の汚名も漱いでやれる。だから自分の居場所はこれから作れ」
何時までも因果になどしがみついてないで、姉妹とは新しい繋がりを作れば良い。
巴津火が祓ったのは、姉妹と対立しなくてはならぬように天が仕組んだ因果のみ。
彼らの間の想いまでは祓ってはいない証拠に、神代の持つ姉妹からのお守りは無事だ。
「それも嫌なら捨てたいというその命、いつでもボクが喰ってやるから安心しろ。
お前の言う『友達』ってのが手すら掴めない程度の仲のことなら、簡単なことだ」
安心させるつもりの欠片も無い言葉が、遠慮無く神代に注がれる。
神代が悩もうが農夫が怒ろうが天が揺るごうが、巴津火にとっては知ったことではない。
734
:
稀璃華
:2011/11/18(金) 19:33:02 ID:HbHPxpxY
>>732-733
「おっ、巴津火、ある程度は整理ついたっぽいな。」
槍と剣を持った稀璃華はなんだか男っぽい。(実際男だが。)
友達でないにしろ、スキンシップは大切にする稀璃華は、神代にも馴れ馴れしく抱き着いた。
「ほぉら、僕が友達になってあげるよー?神代もぐじくじしてないて、我を通せ、子供らしくな。」
稀璃華には清い物だの、邪悪だのないし、ましてや石の塔。
神代に触れたところで、問題ないのだ。
735
:
穂産姉妹神大社
:2011/11/18(金) 23:41:40 ID:EK/9fLvc
>>733
「ふふ、ありがとうございます。
でもやっぱり僕はこの力を認めることはできなくて、
だから、その懐に甘えても誰かにこの力で、害なすことはしたくないのです」
神代の臆病になった他者への関心も、
多少手荒であれ優しい言葉はゆっくり染み入って、神代には笑い声が戻った。
それでもまだ、こう言われようと神代の意思は変わらず、
巴津火には見えないようなところでその手は、悔しそうに握り拳を作る。
神代にとっての巴津火は、友達ということを否定されてもやはり、
人生の中でも特に大事な存在であることに変わりない。
そうであるからこそ、神代は自分の手で大事なモノを汚したくはないのだ。
「くすくす、やりたいことはまだまだありますよ。
穂産姉妹さん達を引き入れることはできなくなりましたが、
僕にはまだやりたいことも、やるべき事も残っている、死ねませんよ」
討伐が終わったなら、全てが終了したなら、その時に神代が生を諦めたら、
この目の前に立つ巴津火が殺してくれる。
以前話したその内容と、今の彼のまったくの不変さに神代は思わず笑みを強くした。
「そうですか、僕の消された因果は穂産姉妹さん達のだけ。
なら僕はまだまだ、安心して死ぬために生きることができます」
遠くで聞いていた農夫も、巴津火によって拭い去られた因果の内容は聞いていた。
そして彼の顔に浮かぶのは、心の底からの安堵であった。
>>734
まさか近づくどころか後ろから、抱きつかれるとは思っていなかったために、
神代は目を少し丸くして驚いている。
先ほどまで警戒を解いていた分稀璃華の体に触れてしまった神代は、
少しの焦りを顔に浮かべて、素早く彼の方へ顔を向けた。
「・・・はは、まったくこの街は本当に恐ろしいですね。
触れても逃げようともしない暴れ神、むしろ手を差し出す邪神、
さらには正邪の外にいるあなたですか」
しかし彼の体に変化はない。
しばらく経て意味を理解して、深く安堵のため息をついた。
「これから、どんどん我を通しますよ。
実はこれでも穂産姉妹さんに対しては、意思を無視して我儘したつもりなのですけどね」
736
:
巴津火「」
:2011/11/19(土) 00:08:54 ID:1gBuqmPQ
>>734-735
「おい、稀璃華……」
稀璃華が神代に抱きつくのを反射的に止めようとした巴津火だったが、途中で思い直した。
下手をすると今動けない自分のほうが稀璃華のターゲットになりかねないのだ。
自分の安全のために神代には犠牲になってもらおうと決めた巴津火は、稀璃華へは
黙っておくことにする。
「神代。安心して死ぬまでにお前の運命の中で強くなれ。
お前はさっき上位神を殺した。だからその神殺しの因果を新しく背負ったんだ」
喰らった巴津火も共犯ではあるのだが、殺したのは神代だ。
「確かにお前の生まれには波乱が付いて回る。
けどそれは、その中で揉まれても諦めなければもっと強くなれるってことだ」
因果を背負い続け、いつか殺した神格の立場を担える強さを証明できたなら。
「お前は神にもなれる」
その時にはお前の背負わされた呪いも縛り付ける因果も漱いでやるよ、と、
友達という関係を早くも諦めたらしい神代にそう約束した。
(あの笑顔の仮面を引き剥がして泣きべそかかせてみたいけど、それはまた次だな。
あーあ、もうちょっと苛めてやりたかったのに……限界だ)
既に巴津火の瞼は半分落ちかけていた。
「お前ら、何時までこそこそしてる」
半ば目を閉じた巴津火の叱責に、直ぐ傍の水溜りがぷくりと泡を吐いた。
737
:
稀璃華
:2011/11/19(土) 07:29:40 ID:HbHPxpxY
>>735-736
「巴津火の言う通り。神代、今の自分の壁を乗り越えろ。きっとお前の世界観は変わるから。
にしても、巴津火とは違った肌の感触だな。これが純粋な男の子か。ぷにぷに」
(そう言えば、あの時の墓の火の子供、今何してるかな。)
少し昔の事を思い出しつつ、神代を撫で回す変態。
巴津火よりも優しく、繊細に撫で回している変態は、もう倒れそうな巴津火を見て、ニヤリと笑みを浮かべた。
「巴津火は僕の背中に乗ってく?フフフ」
なんやかんやで一件落着なのだろうか。戦いの場となった神社を眺めながら思った。
738
:
穂産姉妹神大社
:2011/11/19(土) 09:59:24 ID:EK/9fLvc
>>736
,
>>737
なおも対処をせずに、稀璃華に抱きつかれたままの神代。
笑顔の崩れていないその顔は、巴津火の声で少し俯いて、
神代もその言葉をかみしめるように小さく、しかし意思を持って呟いた。
「・・・もう、殺しちゃったんですよね。
ふふ、これで僕も神殺しですか」
状況の終息を感じた神代の一派は各々が神代の元に集まる。
榊に変化はないが、農夫の方の怒りは何かしらの安心によって収まり、
理由の判明しない包帯男も、あの足取りに考えの無しな雰囲気を見れば、
しっかりと冷めているのが窺えた。
「くすくす、神にもなれる、ですか」
しかし最後の巴津火の言葉に対する神代の笑いには、
どこか悪辣な、それでいて無邪気な雰囲気が見える。
農夫は神代のその笑みを見て、また彼も静かに笑ったのであった。
「なんだ?俺たちは今ここに巴津火の前にいるじゃないか!
近眼なら俺のほうが近づいてやるぞ!!」
「多分今お前以上の近眼はいねえ」
一方水溜りの変化に気付かず、
巴津火の言葉通りに馬鹿らしい返答をして歩み寄る包帯男。
「あはは、くすぐったいです、止めてください。
は、巴津火さんだって稀璃華さんだって男の子じゃないですか」
そんな包帯男とは違う地点では、
嫌がるでもなくただ困ったように笑う神代の姿が。
巴津火のような拒否反応はないらしい。
今まで女性男性関わらず、しっかりと肌で触れ合ったことのない神代にとって男性であろうが、
それが同性との触れ合いであっても拒絶反応は出ない。
だがある意味巴津火と同じように、こしょばいのは苦手なようだ。
「おいおい稀璃華、いつまで坊ちゃんを抱き枕にしてんだ」
しかし農夫は無理やりにでも稀璃華を神代の体から剥がす。
まだあの肌の感触が残る神代は笑いながら、農夫に伴って黒炎を発した。
人の伸長の大きさまで炎を大きくさせると、
彼らは炎に飛び込もうとする。
739
:
巴津火「」 叡肖・ミナクチ
:2011/11/19(土) 12:20:50 ID:1gBuqmPQ
>>737-738
「誰が!!!お前にっ!……おい包帯」
今この場で一番余裕のありそうな稀璃華に、一番余裕の無い巴津火が噛み付くように答える。
もはや包帯男のボケに突っ込む余力はない。
そして帰り支度の神代に巴津火は、最後に念を押した。
「あの建物を作る約束は守れよ。場所は決めておくからな」
いつか敵対するであろう友達と判っていても、このいじめっ子は神代から
目を離すつもりは無いらしい。
「いるなら出て来い。帰るぞ」
その声に答えて、さして深いとも思えない先ほどの水溜りから現れたのは、
等身大の少年の姿のミナクチと、彼を乗せて半ばまで水面に現れた衣蛸の殻だった。
「蛸、お前ガラス玉に何か細工してたな。水蛇が海水だったぞ」
巴津火は半眼のまま、恨めしげに衣蛸を睨む。
『そりゃだって殿下が暴走したら止めるのが俺の役目だしぃー?
あのガラス玉に力を封じるの手伝ったの俺だしぃー?
普段から殿下の行動パターン見てたら、あらかじめ保険掛けておくなんて当然ですよねー』
殻からぬるりとその身を覗かせた大蛸は、その触腕をゆるゆると伸ばして巴津火を抱き上げる。
「お前のせいで傷に塩が沁みるじゃないか」
目を閉じて尚怒りながら、巴津火は衣蛸の殻の中へと引き込まれていった。
『私は稀璃華さんと穂産姉妹を夜行集団へ送り届けてから参ります』
衣蛸のためにこの水溜まりと川を水脈の道で繋げながら、下級の水神はそう伝える。
『判った、なるべく急いでくれ。
このまま宮に戻ると爺ィが煩いし、急ぎだからまず小鳥遊の所で応急処置させる』
水溜まりに沈んでゆく衣蛸に一つ頷くと、ミナクチは稀璃華を招く。
稀璃華の手を借りて夜行集団の本拠地へと姉妹を送り届けるつもりだ。
740
:
稀璃華
:2011/11/19(土) 14:01:12 ID:HbHPxpxY
>>738-739
「うおぅ!?」
農夫に引っぺがされた稀璃華は残念そうにしつつも、楽しそうに笑っていた。
「ははーん、農夫のおっさん、僕が神代に抱き着いたのに嫉妬したの?これだからツンデレおっさんはっ☆」
そして、稀璃華の抱き枕となる残念な農夫だった。
「・・・・・・・・・っと、僕も帰ろー。よろしく、えーと・・・可愛い男の子☆
神代達もまたどこかでな。今度会ったら、たくさん遊んでやるからな。」
本当に男は可哀相だと思う。姉妹を呼び、ミナクチへと送られるだろう。
741
:
穂産姉妹神大社
:2011/11/19(土) 17:09:07 ID:EK/9fLvc
>>739
「?なんだ!?
俺の顔にはなにもついてないぞ!!布以外な!!」
「ほいほい、訳分からねえ事言ってねえで帰るぞ。
それとおらたちの母国じゃあ、そんくらいは普通だ。
なんならヨーロッパにでも吹き飛べよ、稀璃華」
さっぱり返答の意味を理解していないので、立ち止まって聞き返そうとする。
そんな包帯男の後頭部を軽く小突きながら、
稀璃華に馬鹿にしたような指差しと惜しみない呆れかえりを送った。
「くすくす、なんにせよ約束は守りますよ。
建物を建てるのに苦労はありません、目印ぐらいはつけておいて下さいね」
口元に手をあてて笑えるほどにゆとりを取り戻して、
神代は去り際に巴津火に念を押す。
そして隣の彼に対して別れの笑みが巴津火より少し輝いているのは、
スキンシップを好きなだけ出来た稀璃華に、神代が懐いたからかも知れない。
そんなやり取りをして炎の中に消えたのは、
叡肖たちが水たまりから姿を現すほんの数秒前であった。
「『・・・。』」
未だに意識を戻さない穂産姉妹は叡肖の言葉通り、
重くはないがやはり本拠地まで届ける、
その手間を彼らに負わせることになるのである。
/僕はこれを落ちにさせてもらいます。
/とても長い間付き合っていただき本当にありがとう&お疲れさまでした
742
:
ミナクチ
:2011/11/19(土) 18:06:23 ID:1gBuqmPQ
「え?はい。稀璃華さんにはお初にお目にかかりますね。
私はミナクチ、巴津火殿下に仕えております」
可愛い男の子と呼ばれてしばし戸惑ったミナクチは、稀璃華に一礼した。
「夜行集団の皆様にはこのお二人を護るとお約束していたのですが、
正直申し上げて危ういところでした……」
主の暴走にやや疲れた表情である。性格的に蛸よりもストレスに弱いのだろう。
「初対面の方にお願いしてしまってすまないのですが、
どうかこちらのお二人を支えていて下さいませんか」
稀璃華には姉妹神を頼み、自らは穂産姉妹の神体を丁寧に白布に包んで大事そうに抱くと、
そのの足下の水溜りが揺らいで、雨に煙った夜行集団の本距離が映しだされる。
そして次の瞬間にはもう水をぬけて、店の扉が全員の目の前であった。
//お二人とも絡みどうもありがとうございました!
743
:
稀璃華
:2011/11/19(土) 18:51:48 ID:HbHPxpxY
>>741
「ヨーロッパ?田舎者の僕でも行けるのか?」
懐く懐かないは別として、あそこまで普通にスキンシップさせてくれた子供は久しぶりだ。
今だにぷにぷにっとした感触の残った手を振り、神代と別れた。
「なんだな、呼びにくいな。
よし、ミナチー!運んであげるから、これからはこう呼ぶぞ!」
姉妹を支えながら、訳の解らぬことを言う稀璃華。
(春宇知厄もまたな。)
ミナクチに続き、そこに入ればホストの扉が。
中にはきっと、露希達が待っているはずだ。
//中々参加できず、長引かせてすいませんでした。
夜行さん、蛇さん、長い間お疲れ様でした!
744
:
巴津火
:2011/11/21(月) 23:33:11 ID:1gBuqmPQ
退屈しきった我侭なお子様は、白いベッドの上で泣き言を言っていた。
「こざると一緒の部屋がいい!お菓子欲しい!暑い、痒い、蛸、どこ行った!」
しかし、誰も応答しない。
ナースコールはとっくに鳴らせないようにされてしまった。
ベッドの傍らには水を注いだガラスボトルが置かれ、監視役の水神は水を通して
何時でもこの子供の様子を見ることが出来る。
「うーーっ!!」
右の肩から腕には分厚く包帯が巻かれ、その長さは上腕の半分しかない。
今の巴津火は唯一自由になる左手で、上掛けをばたばたと叩くことしかできないのだ。
それもやりすぎると、他の傷に響く。
病室の扉の前に誰かが来た時、一瞬、期待するようにその子供の表情が輝いた。
745
:
巴津火
:2011/11/21(月) 23:35:02 ID:1gBuqmPQ
//投下ミス 取り消します
746
:
結婚式当日
:2012/01/02(月) 22:20:44 ID:BQ990e1A
新年があけて、数日が経った。
そんなおめでたい時期に、更におめでたい事が。
それの始まりは刻々と迫ってきている。
―――ここは少し山奥にある大きな教会。
辺りには森や湖が広がり、天気も快晴。
本日はここで、結婚式が行われる予定である。
スタッフA「本日、ここで行われますので、参列者の方々はここへ。」
スタッフB「では奥から座っていってください。式はもうすぐです。」
露希「(すっごぉい、こんな大きなところでやるだなんて♪)」
黒龍「(俺も零と…)」
零「」ニコニコ
スタッフの誘導と共に、参列者は席へと移動する。
全員が座った時、式は始まる。
747
:
田中家
:2012/01/02(月) 22:41:19 ID:c1.PBF/s
>>746
そんな人生の幸せを祝福する場所の親族席。
そこに人間……だけどなんか首を傾げたくなるような人達が座っていた。
祖父(父方)「……………………」
祖母(母方)「おやぁ?澪くんの関係者かねぇ?」
下駄をはき、右手に縦に長い何かが包まれたモノを持ち、白いい袴に、長い白髪で白目のおじいさんと
小柄で、花柄の着物を着て、椿の簪をオカッパの白い髪につけ、狐の御面をかぶった女性。
一人は明らかに人の身でありながら鬼に近い存在。もう一人はおばさんみたいな喋り方なのに明らかに声が若い。
けど座ってるのは祖父母の席…
そしてもう一カ所の祖父母の席には…
祖父(母方)「ヘーイ!!!そこのカワイイ子!!僕とお茶………イタタタタ!!!冗談だからヤメテー!!マイハニー!!!」
祖母(母方)「まったく……孫のめでたい席どアナタは…」
黒いスーツに、サングラスをして、三日月のような白い髭を生やした陽気なイタリア人のおじいちゃんと
桜色の着物を着て、少し人間とも妖怪ともつかない中途半端な雰囲気の優しそうなおばさんが座っていた。
従業員のお姉さんにナンパしようとしたおじいちゃんはおばあさんに膝を抓られていた。
田中「おーい!零!露希!黒龍!!こっちだよー」
田中母「おや?あの子達が澪くんの友達かい?」
いつもの田中くんと火傷傷が目立つ田中母が三人に気付いた。
748
:
宝玉院 三凰
:2012/01/02(月) 22:46:53 ID:SmXQZqJk
>>746
,
>>747
「澪の奴、ついに結婚か。」
ゆっくりと辺りを見回し歩いてきた三凰。
「で、友人代表のスピーチは僕が読んでいいのか?」
立ち止まり、スタッフに尋ねる。答えを聞いたら席へ移動するだろう。
749
:
巴津火『』 叡肖「」
:2012/01/02(月) 22:56:42 ID:3FBgi9l6
>>746-748
『蛸ー…。これ苦しいー』
「こら、タイを勝手に解くな。これでも束帯よりは楽なんだぞ」
会場が教会なので二人とも人間の姿、かつ洋装ではあるが、
しっかり糊付けされて硬いカラーとその上のタイが、逆鱗を持つ巴津火には少々苦しいものらしい。
勝手に服の喉元を緩めようとする巴津火を、せめて式の間だけはきちんとさせようと叡肖は苦労している。
「結婚式がどんなものか見てみたいって言いだしたのは坊ちゃんだろ。そんなじゃ姫に笑われるぞ」
『だってこれ、喉にあたるんだもん…』
同じ蛇である雨邑なら、逆鱗に何かがあたる不快さは判ってくれる筈なのに、と口をへの字に結んで
幼い竜宮の次期当主はせっかく緩めたタイを、再びきっちり締め直す守役を恨めしげに睨んだ。
「公の場ではきちんとしないと、恥かくぞ」
叡肖に背中を押され、巴津火は席へと着かされる。
〔露希がいるぅ…〕
流石にこういう場所で露希も抱きついたりはしないだろうが、
巴津火の気持ちをさらに凹ませるには十分な存在だった。
元気のない巴津火を他所に、叡肖のほうはへらへらと田中家の面子へ愛想よく会釈している。
750
:
名無しさん
:2012/01/02(月) 23:16:53 ID:BQ990e1A
>>747
露希「あ、田中君だ。今行くねー。」
黒龍「よ、夕。お前の姉ちゃんが結婚だなんてな、驚いたよ。」
零 「夕君のお母さんですね?初めまして。」
三人は夕に気づくとそちらへと移動した。
黒龍はとんでもない田中家を見て口をあんぐりしている。
一方で零は礼儀正しく挨拶した。
露希「もうすぐだね。きっと夜さん、奇麗なんだろうなぁ。」
>>748
スタッフC「祝辞の方ですね?それは披露宴で行う予定になっております。」
先程ナンパされてしまった若い女性スタッフは
きっちりと三凰に説明した。
丁度零の隣の席が空いているはずだ。
零「」ニコニ……ずぅぅん
それを知った零はなんというか、落ち込んでいる。やっぱ怖い。
>>749
露希「叡肖さんに巴津火君!こっちです。(ピリっとしてる巴津火君萌えッ)」
黒龍「よっ、巴津火。なんか似合わないな〜(笑)」
零 「三凰が…ぇぇぇッ?」
一人を覗き、にっこり挨拶。
確かに式場は儀式の様な堅苦しい場で、まだお子様の
巴津火には辛いかもしれない。もとい、露希まで。
しかし、まだいるのだ。ちっちゃくて気づかれていない白髪の男の子。
巴津火の声を聞くと、直ぐに振りかえった。
夷磨璃「巴津火お兄ちゃんっ、わぁい♪」
説明しよう。夷磨璃は、纏さんの許可を得て、ここへやってきたのだ!!
751
:
田中家
:2012/01/02(月) 23:40:20 ID:c1.PBF/s
>>748
田中母「あの子が、澪くんの友人代表の子か
今日は澪さんとうちの娘の結婚式に来ていただきありがとうございます」
礼儀ただしく来た人(妖怪)達に礼儀正しく挨拶する母。
……火傷傷のせいでなんか怖いが…
祖母(母方)「山の妖怪に海の妖怪もいるねぇ?随分澪くんは親友に恵まれてるみたいだね。君から見て澪くんはどんな子かい?」
三鳳に向かいそうきく狐面の女性。
>>749
祖父(父方)「…………………………」
父方の祖父が、ハツビーを睨むように見つめてる。
すると懐から飴を取り出しハツビーに渡そうとする。
田中「ハツビー!おじいちゃんが飴食べて元気出して!だって」
そして田中くんがその行動の意味を通訳した。
祖父(母方)「おやー?なかなか礼儀いいねー!君!!僕と同じ匂いするけど、どうだい?この後一緒に僕と女の子をナンパしにいか……グギャッ!!!!冗談だぜー!!!!!痛いよ!二人とも」
祖母(母方)「まったく…ごめんなさいね。うちの人が」ニコリ
田中母「パパの言ってる事は気にしないで叡肖さん。今日はわざわざありがとうございます。娘の店の常連でお世話になってますし」
叡肖に向かい、なんか感じたのかそう言うが隣のおばあさんと田中母に殴られてるおじいちゃん。そしておばあさんは不思議な気配を出しながらも田中母と一緒にニコッと挨拶した。
あ……巫女Bもいるけど夜の友人達が押さえてるから問題はないよ!
>>750
田中「あれ?黒龍に言ってなかったけ?
露希もやっぱり女の子だからこういのに憧れるの?」
普通にそんな会話をし、キョロキョロと色々来る人を見ている田中くん。
田中母「わざわざどうも。
今日は澪さんとうちの娘の結婚式に来ていただきありがとうございます」
零に丁寧にお辞儀し挨拶する田中母だった。
752
:
巴津火『』 叡肖「」
:2012/01/03(火) 01:35:59 ID:3FBgi9l6
>>750-751
(,>>三凰)
「やあ露希ちゃん!それじゃお誘いに甘えて」
叡肖が誘われてしまったから仕方ない。
喉元を締め付ける礼服でできる最大の溜息をつきながら、巴津火は席を移動する。
『るっさいっ。好きでこの服着てるんじゃないやい』
黒龍の冷やかしには、じろりとにらみ返して拗ねた返事をする。
ここが式場じゃなかったら黒龍の逆鱗をくすぐってやるところなのだが、巴津火はぐっと堪えた。
気に食わなければすぐ暴れていた以前に比べれば格段に成長しているのだ。
ただし、その身長だけは別だが。
『こざる来てたのか。……あまり無理するなよ?辛くなったら言うんだぞ?』
ここで現れた苛立ちを拭ってくれる存在に、巴津火はどこかほっとしたような表情を浮かべる。
一時は失われていたその右手で夷磨璃を招き、顔を寄せてかがみこむと、
巴津火は夷磨璃の額に自分の額をそっと当てた。
〔熱は…ないな。顔色も、大丈夫そうだ〕
夷磨璃を伏し目がちに観察し、無言で顔を寄せているその様子が、
巫女Bさんや露希の変なスイッチを入れてしまう可能性には気づいてすらいない。
『飴?…どうもありがとう』
伏せていたその視線を上げさせたのは、田中君だった。
田中君とお爺ちゃんへ戸惑いがちに、しかし表情を和らげて巴津火は礼を言い、
貰った飴を夷磨璃と分け合おうとする。
「ナンパ!いいですねー、では早速こちらのお嬢さんなんてどうです?」
叡肖は叡肖で、イタリアン爺ちゃんに意気投合しつつも、茶目っ気たっぷりに
お婆ちゃんの手をお爺ちゃんに握らせようとしている。さりげないイタリアン爺ちゃんへの牽制だ。
(そういうのはねー、隠れてするのが嫁さんへの礼儀ってもんだと俺は思うのよ)
決まった相手がいる場合、余所見はそれを感づかせないようにするのが叡肖の信条。
逆に言えば相手を決めていないうちなら、それこそ遊び放題というものだ。
「こちらこそ何時も美味しい珈琲を飲ませて貰ってますよ?
ノワールに通えない間は他の珈琲じゃ物足りなくてホント困りました、ハハッ」
卒なく田中母に答えているうちに、三凰に気づいた叡肖。
「三凰殿、スピーチ期待してるよっ」
田中家親族に会釈して場を辞し、三凰へと軽く手を振ってから、叡肖は席に着いた。
753
:
宝玉院 三凰
:2012/01/03(火) 13:30:10 ID:SmXQZqJk
>>750
「そうか、わかった。答えてくれて感謝する。」
無表情ながらも珍しくちゃんと礼を言い、そのまま零の隣の席まで行き座った。
「…貴様も来ていたのか。」
特に嫌そうな表情をするでもなく無表情のまま零に言った。
>>751
「随分と妖怪に慣れているようだな。
僕から見た澪?そうだな……絆や繋がりを大切にする奴、かな。ま、それは今日ここに集まった面々を見たら分かるな。」
これも、澪の人柄が良かったからだろう。それに三凰は澪に出会えて良い方向へ変われたのだ。
>>752
「フッ…期待しているがいいさ。」
いつも通りの三凰。緊張とかはしていないようだ。
754
:
名無しさん
:2012/01/03(火) 14:00:36 ID:HbHPxpxY
>>751
黒龍「聞いてないし!!」露希「お嫁さんは女の子の夢だからね。ボクもいつか・・・・・・キャッ/////」
黒龍はちょっぴりぷんすか。いや、聞いたところで誰得って話だけど。
一方、別の待合室にて。
スタッフ「そろそろ式が始まりますよ。」
澪「はいっ!夜のパパさん、どうかよろしくお願いしますね!」
ぴっちりとした姿で、縛っていた髪も、切られている。
澪は夜に軽くウインクして、一足先にスタッフへついていった。
>>752
黒龍「ぷっwwww」
露希「叡肖さん、中々似合ってますよ、巴津火君も☆」
夷磨璃「ひゃぁ/////お兄ちゃんっ?どうしたでござるかっ!?」
巴津火がなぜおでこを付けたのか、夷磨璃には解らない。なぜか体が触れ合ったことで顔を真っ赤にする。
夷磨璃「せ、拙者は大丈夫でござるよっ!お兄ちゃんも無理したらダメでござるからね!!」
露希「(腐・・・/////)」
>>753
零「ちっ、お前、ふざけんなよ!?(あ、本性が)」
三凰への色々な想いがついに言葉へ。
これはまずい。
零「おい、式終わったら覚悟しとけよ?」
うん、三凰君、スルー奨励。
スタッフ「では、人数が揃いましたので、式を開始致します。本日、御結婚なさる婿さん、入場です。」
入口の扉が開き、そこから現れたのは、澪とフォードさんが出て来た。
どうやらフォードさんは牧師のようだ。中々様になって・・・いるのか?
755
:
田中家
:2012/01/03(火) 14:33:01 ID:c1.PBF/s
>>752
ハツビーと夷磨璃の行動に反応し、巫女Bは息を荒げながら暴走しようとしてるが、友人の結婚式のためなんとか押さえてるようだ。
祖父(父方)「………………」
表情は変わってないのに(*・ω・*)←こんな風にしてるような気がする
田中「ハツビー。なんか雰囲気変わったね。しっかりしたというか何と言うか。なんかあったの?」
不思議そうにそう話す田中。脱皮のことも、神代との因縁も彼はまだ知らない。だが何かハツビーが成長したような気がしてそう聞いたのだ。
祖父(母方)「オー…、フハハハハハ!!コレは一本とられたぜー!!!」
祖母(母方)「ふふふ。わざわざお気遣いありがとう」ニコリ
そういいながら、結局二人は仲良く手を繋いでたりしてる。なんだかんだ言いながらこのおじいちゃんは妻を大事にしてるようだ。おばあさんもそれがわかってるみたいだが…
田中母「よかったら今後ともよろしくお願いします」
>>753
祖母(父方)「私は忍の里出身だからねぇ。妖怪とも関わって暮らしてるからねぇ
それもそうだねぇ……ありがとうねー。スピーチとやらを頑張りなさいな」
そう言うと三鳳の肩を叩き戻っていった。
>>754
田中「ごめんね…黒龍」ナデナデ
何故か黒龍の頭を撫でて機嫌をよくしようとする。
田中「じゃあ今日の姉さんが投げるブーケとるの頑張ってね」
《待合室》
田中父「ええ。こちらこそよろしく頼むよ。澪くん」
黒髪で、スーツ姿の優しそうな糸目の男性がそう澪に言う。
夜「いってらっしゃい♪私もすぐ行くからね〜」
純白のウェディングドレスをきて、普段しない化粧をし、眼鏡からコンタクトにした夜がいた。
756
:
巴津火『』 叡肖「」
:2012/01/03(火) 15:44:37 ID:3FBgi9l6
>>753-755
巫女Bさんの妙に荒い鼻息には気づけても、その原因は巴津火には判らないのだ。
こちらをガン見する視線に、ただ不思議そうにちらりと見返すだけである。
『大丈夫じゃないだろこざる、急に熱あがったか?座っとけ』
巴津火なりの気遣いで、赤い顔の夷磨璃をひょいと持ち上げて、右隣の席に座らせようとする。
そして自分の分の飴の包み紙を剥がしながら、田中君の問いにも答えた。
『うー?ボクそんなに何か違う?確かに色々あったけど』
これからもまだ色々あるのだ。
雨邑の刺した釘と神代のことを思うと少々心が重く、苦い表情で目を伏せる。
その思いをぶち壊すように、衣蛸の一言がちくりと刺した。
「一皮剥けたんだよな、それも失敗しかけてw」
『黙れ蛸』
実質これといって何も変わっていない巴津火は、さっと頬に血を上らせて額に青筋を立てる。
脱皮の失敗は蛇にとっては恥ずかしい話なのだ。
茶々をいれた叡肖は、しれっと巴津火の左の席で花婿の入場を待つ。
やがて厳かに入場する牧師と、新郎の澪。
初めて目にするその様と、口に放り込んだ飴玉とに、お子様は不機嫌を忘れた。
『ぷふっ、澪すげー格好w』
「しーっ」
口内の飴のお陰で響かなかったその声は、幸いにも祝福の拍手にかき消される音量だった。
田中家父方祖父のくれたヴェ○タースオリジナル、GJ。
あまりにもいつもと違いすぎる澪の様子が巴津火には面白かったようだが、
式の形式は違えどあれが明日のわが身であることに、このお子様は果たして気づいているのだろうか。
(三凰のスピーチの間も、何もないと良いんだが。頼むぜホント)
叡肖は叡肖で、巴津火が最後まで落ち着いていてくれることを願っている。
零と三凰の間の静かな火花が、巴津火へも飛び火する可能性は高いのだ。
757
:
宝玉院 三凰
:2012/01/03(火) 15:52:19 ID:SmXQZqJk
>>754
「はぁ?僕が何をしたと言うんだ?」
露骨に嫌そうな顔をし言う。
「…決闘なら受けて立つが、今日は武器を持ってきてないんでな。また今度だ。」
>>755
「忍の里…?」
(そんなもの現在もあるのか?)
「ああ、まかせておけ。」
忍の里に疑問を覚えつつも自信満々に言った。
>>756
「澪の奴、なかなか似合っているじゃないか。」
巴津火とは違った反応をしながら澪を見ている。今のところ飛び火の危険性はなさそうだ。今のところは。
758
:
名無しさん
:2012/01/03(火) 16:06:14 ID:BQ990e1A
>>755-757
バージンロードを歩いてくるフォードと澪。
教会にはよくあるステンドグラスの中心にフォード、右側に澪が立つ。
これで準備は整った。
次は新婦さんの入場である。
一般的には新婦とその父が腕を組み入場→新郎と父が礼をして新婦受け渡し。
…といった手順である。
新郎さんにとっては凄く緊張するところだと思うが、
澪はいつも以上にのんびり笑顔である。
それはありのままの自分を見せる為であって、
この式を準備してくれた方や参列者、田中家に感謝しているからである。
……それ以前に。
澪「(夜のこと、誰よりも愛してるから。)」
759
:
田中家
:2012/01/03(火) 16:38:43 ID:c1.PBF/s
>>756
>>757
>>758
そして、新婦の入場がはじまった。
いつもの恰好と比べ、化粧をし眼鏡からコンタクトに変えた花嫁姿の夜が
黒髪で、スーツ姿の優しそうな糸目の男性と共に入場してきた。
夜はどこか緊張しているのか、動きは少しぎこちない…けど新郎の顔を見て、緊張がとけたようにホッとした表情になっていた。
田中父「……娘をよろしく頼むよ」
ボソッとそう言うと、一礼するだろう。
何事もなければそのまま新婦引き渡しが行われるだろう。
760
:
巴津火『』 叡肖「」
:2012/01/03(火) 16:52:15 ID:3FBgi9l6
>>757-759
〔澪の奴、にやけ過ぎ〕
(人間の冠婚葬祭はいろんな形式があるもんだな。後で詳しく書いておくか)
記録の担当もする叡肖にとって、この人妖婚は貴重な経験の場だ。
人と妖の距離がどんどんと広がりつつある昨今、このように双方から祝福された
珍しい例については、事細かに記して残しておかねばならない。
(好事魔多し、この先邪魔が出ない事を俺も祈るか)
人なり妖なり神なり、この先の夫婦の縁に横槍を入れる者が出た場合は、
こうして参列し祝福している以上、竜宮は澪たちの後ろ盾となる立場だ。
(…そうなった場合、坊ちゃんは喜んで守るんだろうが、下の者には災難だな)
『わぁっ!こざる見ろよあれ、すっげーっ!』
場が沸き立ち、現れた華やかな花嫁にすっかり視線を奪われている巴津火を、
叡肖は冷静に、幾分の危惧を含んだ視線で見ている。
(いつか、天からの通達でこの夫婦の子孫の住む地に災害を起こすよう
求められた時、この思い出は坊ちゃんの枷となるわけだ)
神代の件など、これからの巴津火の担う責務を思えば、まだ小手調べのようなものだ。
今は物珍しげに目を輝かせている巴津火の、瑞々しい子供そのものの表情が、
この先失望と諦めの中に傷つき失われゆく様を、叡肖はずっと見守ることになる。
(まったく、爺ィも因果な役目を押し付けてくれやがったもんだ)
祖父アッコロカムイの口車に乗ったことの意味、その持つ苦さと重みを
この華やかな空気のなかで、叡肖自身もようやく悟ったのだった。
761
:
宝玉院 三凰
:2012/01/03(火) 17:00:53 ID:SmXQZqJk
>>758
,
>>759
,
>>760
(澪、もっと緊張してるかと思ったが大丈夫そうだな。)
密かに澪のことを心配していた様だが、澪の様子を見てその心配はなさそうだと安心した。
(まぁ、澪のことだし心配する必要はなかったか。)
762
:
名無しさん
:2012/01/03(火) 17:20:41 ID:BQ990e1A
>>759-761
深々と夜のパパさんにお辞儀をした。
その返答には短く、こくリと頷いた。
夷磨璃「わぁっ、てんちょーさん、奇麗でござるねっ。」
夷磨璃が見ても奇麗だと分かるくらいの姿。
その姿を誰よりも間近で見ている澪は本当に幸せ者である。
二人が祭壇に立つと、司祭であるフォードはにっこりと微笑み、
聖書を読み始める。
露希「巴津火君、夷磨璃君、目を閉じて二人を祝福するんだよ。三凰さんもね。」
小声で露希はそう伝え、目を閉じた。
やはり天使なだけにそこそこは知っているようだ。
そして静かな教会にフォードの声が鳴り響き終わる頃、アレが来るのだ。
フォード『夜さん、澪さん、貴方方はお互いを永遠に愛し続けますか?』
澪は、そっと夜の手を握る。
一緒に言おう、と言う合図かなにかだ。
きっと夜さんが望めば、一緒に言う筈だ。
763
:
セツコ中
:2012/01/03(火) 17:35:45 ID:c1.PBF/s
>>760
>>761
>>762
静かに聖書を聞いている。
先程さわがしかった祖父母もこの時は静かに聞いていた。
祖父(父方)「…………………」(´;ω;`)ブワァッ
おじいちゃん!?もう泣いてるの!?早くない!?
そして誓いの言葉が始まり、澪が手を繋いでくれ、暖かさが肌まで伝わり、彼の意図に気付き、小さく頷く。
そして、澪と一緒に言うだろう。
「はい♪誓います」
764
:
巴津火『』 叡肖「」
:2012/01/03(火) 17:38:13 ID:3FBgi9l6
>>761-763
『祝福するのに、あいてを見ないで目を閉じちゃうのか?』
祝福する対象をしっかり見据えなくて良いのかと、巴津火は不思議に思う。
それに、何もかもが物珍しくて目を閉じるのが惜しいのだ。
「坊ちゃんは坊ちゃんで祝福すりゃいいんだ。ただしあまり目立つなよ」
慌てて耳元で囁いた叡肖に頷き返した巴津火は、一つ息を吸うと掌を地に向けた。
もう片手は天を指す。
呼応した地下の水、天の雲行きが共に夫婦を寿ぐ。
見えない場所の水が障りを拭い、太陽を一時隠した雲が晴れると、
ステンドグラスから差し込んだ日差しが、宣誓する新郎新婦をさっと照らした。
辺りには清浄な気配が、大地から染み出すように満ち始める。
それでよし、と叡肖は教え子に及第点を出した。
765
:
宝玉院 三凰
:2012/01/03(火) 17:45:02 ID:SmXQZqJk
>>762
,
>>763
,
>>764
「………」
黙って静かに目を閉じ、二人を祝福した。
(おめでとう……澪……)
766
:
名無しさん
:2012/01/03(火) 18:01:10 ID:HbHPxpxY
>>763-765
澪「誓います♪」
巴津火の行った行為のお陰で、ステンドグラスから暖かい光が差し込む。
このタイミングで、スタッフの一人が夜の近くへ近づく。フォードも同時に、祭壇にある物を持って来た。
誓いの後は指輪交換&キスなのです!!
スタッフは夜の持っているブーケ、それから手袋を預かりにきたのだ。
それを預ければいよいよ・・・。
フォードは婚約指輪をそれぞれに手渡した。
澪「夜、手を出して。指輪交換♪」
767
:
田中家
:2012/01/03(火) 18:15:31 ID:c1.PBF/s
>>764
>>765
>>766
夜はブーケと手袋をスタッフに渡し、頬を赤く染めながら
指輪を受け取った。
夜「はい♪」
そう言って、夜は手を出すだろう。
/ちょっとご飯落ちしますOTL
768
:
巴津火『』 叡肖「」
:2012/01/03(火) 18:21:05 ID:3FBgi9l6
>>765-767
(こらこら、ここで蛇になるなよおい)
手渡される小さな結婚指輪が、近眼の巴津火にはあまり良く見えない。
あれは一体何だろうと目を眇めて首を伸ばし、あわや立ち上がろうとするその襟首を、
叡肖はすかさず捕まえる。
『ねぇ蛸、あれ何?』
「指輪だ、結婚指輪。結婚の誓約のしるし。
いいから大人しくしてろ、きょときょとするなっての」
小声のやり取りの後、むりやり椅子に尻を落ち着かされた巴津火は、目を丸くして見つめている。
//わかりました、こちらも1時間ほど落ちます。
769
:
宝玉院 三凰
:2012/01/03(火) 18:53:55 ID:SmXQZqJk
>>766
,
>>767
,
>>768
(いよいよか……父上と母上もこんな感じだったのだろうか?
母上……どんな方だったんだろう…)
自分の記憶にない母親のことを考えつつ、結婚というものの深さを考えた。
770
:
名無しさん
:2012/01/03(火) 19:24:51 ID:HbHPxpxY
>>767-769
澪「よし♪今度は夜の番だね。」
夜に嵌めると次は澪の番。澪も手を差し出し、入れて貰うだろう。
入れて貰い、キスへと入る訳だが、澪は少しそわそわしている。
澪「夜、そのっ・・・・・・。」
その時だ、婚約する二人と参列者の間を隔てるように、白い煙が上から降り注ぐ。
参列者側からは、二人の影だけしか見えないようになってしまったのだ。
澪「キスは・・・本当の姿の僕と、して欲しいな・・・/////」
露希「綺麗だね。あ、あれって・・・!」
参列者側からは信じられないだろうが(一部)影は大きなヤマタノオロチと新婦になっていた。
オロチの一匹が先の裂けた舌を出して、夜の顔に近づく。
澪「・・・っ」
771
:
田中家
:2012/01/03(火) 20:27:55 ID:c1.PBF/s
>>768
>>769
>>770
夜「ええ♪」
嬉しそうに微笑みながら、澪に微笑み指輪をはめてあげるだろう。
そして、白い煙がおおい
澪が本当の姿でキスしたいという言葉に
夜「もちろん♪」ニコッ
そう言い蛇の舌に怯えることなく、上手く口にいれ舌を絡ませながら口づけをかわした。
田中「なんか凄い演出だね」
田中母「確かにね。なんかロマンチックだけど」
祖父(母方)「なかなか面白いぜ!!!」パチパチ
田中家のこの三人だけはなんかの演出と思っていた。
まあシルエットだからね…
ついでに他の田中家四人は普通に妖怪と気付いてたりする。
/ただいまー
772
:
巴津火『』 叡肖「」
:2012/01/03(火) 20:46:54 ID:3FBgi9l6
>>769-771
シルエットになにやら興奮した様子で、小声の会話がひそひそと。
近い席の者には聞こえたかもしれない。
『見るの!?これ、見てるの!?ねぇ!マジ?見てていいの!?』
「あぁ、見てるんだよ」
『本当!?大丈夫なの!?人前なのに!?』
「あぁ、しきたりだから大丈夫だよ」
『そうかぁ!ボク式みるの初めてで色々わかんないから!』
「そうだね。わかってないね」
『うん!でもしきたりなんだ!じゃぁボクの時もしていいんだよね!」
「さぁね。いいんじゃないかね」
『そうかぁ!じゃぁボクも式ではキスしよう!』
興奮した面持ちで招待客やフォード達の様子をきょろきょろと見回そうとする巴津火の頭を、
叡肖はキスの間中がっちり押さえつけておく羽目になった。
(あー…どう見てもうちの主は思春期のお子様だわ)
茹でられても居ないのに、衣蛸は赤くなった。
巴津火のようにシルエットの二人へ目が釘付けなせいではない。
//おかえりなさい
773
:
宝玉院 三凰
:2012/01/03(火) 20:53:37 ID:SmXQZqJk
>>770
,
>>771
,
>>772
(おいおい……ここで妖怪の姿になるのか…
ま、ここに居る者達なら特に問題はないか…)
チラッと田中家の者達を見ながら思う三凰。
774
:
名無しさん
:2012/01/03(火) 21:27:46 ID:HbHPxpxY
>>771-773
澪「ぷはっ//////」
少し荒い息を上げた澪はそのまま人間に戻ると、ぽおっとしていた。
フォード「これにて、この二人の結婚を認めます。」
そして霧が晴れると、ニコニコした表情のフォードが二人の婚約を宣言した。
おめでとう、夜店長!!
露希「す、凄いっ・・・!ね、ねぇ、黒龍?」
黒龍「俺も零と挙げるんだぁっジュルリ。」
夷磨璃「拙者達がこんなの見ていいんでござろうか/////」
何かと騒がしい参列者だが、フォードの宣言後、暖かく拍手した。
澪「・・・夜っ/////」
そして式は二人の退場で幕を閉じる。
澪は夜さんと手を組み・・・・・・いや、お姫様抱っこ!
775
:
田中家
:2012/01/03(火) 21:52:20 ID:c1.PBF/s
>>772
>>773
>>774
田中「ハツビー達には刺激が強すぎかな?」
ハハハと苦笑いしながらハツビーと夷磨璃を見てる田中くんだったが…
田中「………………うん。うすうすは気付いてたけど黒龍
日本じゃ同性の結婚はできないはずだけど?」
ツッコミ所はそこか!?田中!?
祖父(母方)「いいね!!!サイコーだよ!!!!僕は猛烈に感動したぁぁぁあ!!!!!!ちょっとファミリーにこの感動を国際電話で」
祖父(父方)「……………………」(TДT)
祖母(母方)「アナタ達。静かにしなさい」
祖母(父方)「だらしないねぇ。男共はさぁ」
祖父母たちはなんか騒がしくしている。
夜「////……澪っ♪」
キスの余韻に浸りながら、頬を赤く染め、澪にお姫様抱っこされ退場するだろう。
776
:
巴津火『』 叡肖「」
:2012/01/03(火) 22:00:00 ID:3FBgi9l6
>>773-776
興奮冷めやらぬ表情で新郎新婦を見送る巴津火に、叡肖が小さな布袋を押し付ける。
「ライスシャワー用に持ってきたから、後で澪達にぶつけてやれ」
『らいすしゃわー?何それ?』
「この形式の挙式は、新郎新婦の挙式会場から披露宴場への移動のときに、
花とか米を振りまいて祝うんだとさ。
それは式場が用意する筈だから、俺らはこれぶつけてやればいい」
ふーん、と判ったような判らないような表情で、巴津火は袋の中身をざらざらとかき混ぜた。
「露希ちゃん達も、どうだい?豆まきならぬ、真珠撒きでも」
誘いながら叡肖が見せた袋の中身は芥子真珠。
ちょうど米粒ほどの大きさの虹色を纏った白い粒である。
「次はいよいよ三凰殿の見せ場だな」
披露宴でのスピーチは、三凰の担当なのだ。
777
:
宝玉院 三凰
:2012/01/03(火) 22:15:11 ID:SmXQZqJk
>>774
,
>>775
,
>>776
「澪の奴大胆なことするじゃないか。」
澪と夜を見てそう呟く。
「ま、澪らしいな。」
親友の結婚を心から祝い言った。
「ああ、いよいよだ。」
叡肖に向け、自信ありげな笑顔で言った。
778
:
名無しさん
:2012/01/04(水) 13:59:51 ID:BQ990e1A
>>775
黒龍「そんな常識、通用する訳ないぜ♪だって俺は魔法少zy(ry」
露希「お姫様抱っこ〜//////
そ、それより田中君のおじいちゃん泣いちゃったりしてるけど大丈夫?」
式が終わった途端、急に騒がしくなるのだ。
澪「披露宴はもうすぐだね。一緒にケーキ食べたり、ぎゅってしたり♪」
澪は澪でこの後が待ちきれないらしい。
>>776
露希「ぉぉっ!やりたいです、叡肖さんっ!!」
零 (思ったけど叡肖さんって結婚とかする気あんのかな。)
式で真珠まきなんてしたことがない露希は
わくわくしながらその案に乗った。
>>777
黒龍「スピーチ、お前がやるのか?噛むなよ♪」
夷磨璃「緊張しないでござるか?」
決して馬鹿にしたつもりはないが、そう聞こえるかもしれない。
スピーチはかなり重役だったりする。
スタッフ「では披露宴会場へと向かいます。準備したバスへお乗りください。」
…とは言っても、披露宴会場はここから湖の反対側のホテルで行うらしい。
きっとすぐにつくはずだ。
ついたら、スタッフの誘導があり、席まで案内があるだろう。
779
:
田中家
:2012/01/04(水) 23:01:50 ID:c1.PBF/s
>>776
>
>>777
>>778
田中「俺もやりたい」キラキラ
祖母(父方)「真珠とは洒落てるねぇ。私もいいかい?」
メリー「私もやりたいんだよー」キラキラ
叡肖が真珠をライスシャワーにするときいて田中くんと巫女Bと一緒に友人席の方にさりげなくいたメリーが目を輝かせた。
そして興味をもったのか狐面の女性(田中祖母)が真珠を見て自分もいいか?と聞いてきた。
田中父「おや?君が澪くんの友人代表かね?スピーチ頑張ってください」ニコッ
三凰にスッと足音立てずに近づきニコッと微笑み浮かべた新婦の父が挨拶しにきた。
田中父「君にとっては余り娘とは面識はないと思うが、澪くんと一緒に娘と仲良くしてやってください」
紳士のような丁寧なお辞儀をし、そう三凰に頼んだ。
田中「魔法少女だったの!?」ガビーン!!
信じるな!!田中!!!
田中「大丈夫だよ!おじいちゃんはいつもの事だから」
祖父(父方)「……………」(TДT)
そう言うが、おじいちゃんは何処からか《孫成長記録帖》と筆で古めかしく書かれた本を取り出し見て泣いてる。
澪が見たら喜びそうな小さい頃からの夜の写真が!!
何故か白黒だが…
というか両親より先に泣くおじいちゃん……
夜「うん♪食べさせっこしましょうね〜
あと…優しくね///」
頬を染めながら周りにお構いなしにイチャイチャするのは変わらず、澪に抱っこされながら向かうだろう。
田中家や夜の友人たちもスタッフに案内され向かうだろう。
780
:
巴津火『』 叡肖「」
:2012/01/04(水) 23:31:19 ID:3FBgi9l6
>>777-779
『魔法少女っ?黒龍って女?』
芥子真珠を一握りとってから、巴津火は真珠の袋を露希へと渡す。
「もちろん皆さんのもありますよ、順繰りにどうぞ。メリーちゃんから回そうか」
そして叡肖も、もう一つの袋から一握り真珠をとって三凰に差出し、残りを袋ごとメリーに渡した。
これで皆に回るだろう。
この他に式場側の用意するライスシャワーや花もあるのだ。
『その記録帖、ボクにも見せて!』
式場から音楽に送られて出てゆく新婚夫婦に、ライスシャワーの祝福を振りまいた巴津火は
田中家父方祖父の所へよってゆき、お爺ちゃんの手元を覗き込もうとする筈だ。
「夜店長、お幸せになー。俺に祝福される女性は数少ないんだぜ?」
叡肖もお姫様だっこの新婦に、気障なウインクをかましつつ、粉を…もとい、芥子真珠の雨を降らせる。
祝福される女性の数が少ない理由は、この蛸の場合、口説く女性の数のほうが圧倒的に多いせいだろう。
781
:
宝玉院 三凰
:2012/01/05(木) 13:00:51 ID:SmXQZqJk
>>778
,
>>779
,
>>780
「フッ…僕はいずれ百鬼夜行の主になる男だ。スピーチなんてどうってことないな。」
三凰を応援する皆に余裕の表情を見せる。
「フッ…華やかなライスシャワーじゃないか。」
そう言って、一握りの真珠を受け取りライスシャワーを振りまいた。
782
:
名無しさん
:2012/01/05(木) 13:37:17 ID:HbHPxpxY
>>779-781
黒龍「実はな、m「嘘は駄目だよ、黒龍。」」
何かを言おうとしたが、零の制止が入る。
勿論、魔法少女ではない。魔法使えるけど。
露希「いつか氷亜さんとこんな・・・・・・/////」
妄想世界に突入してしまった。
主役の澪、夜が会場に到着、いよいよ披露宴である。
フォード「皆様、この度はこの会場にお集まりして頂いたこと、真に感謝致します。先程、式を無事に終えた夫妻から一言どうぞ。」
澪「皆様、どうもありがとうございます♪僕は凄く感動して、ぐすん、います・・・っ」
夜さんも一言どうぞ。
それが無事に終了したら、新郎側、新婦側の順でスピーチが。三凰の出番だ!
783
:
田中家
:2012/01/05(木) 15:48:19 ID:c1.PBF/s
>>780
>>781
>>782
メリー「わかったんだよー」
袋を貰うと、小さな手で真珠を掴み、祖母(父方)へと渡しそこから次々と回されていくだろう。
祖父(父方)「……………………いいぞ」グスッ
(´;ω;`)←な顔でハツビーや近くの人達に見えるようにアルバムを見せてあげた。
そこには
クロコと一緒にお昼寝してる赤ちゃんの夜。
手裏剣を持ちながら笑顔の赤ちゃんの夜。
着物姿で綿飴を食べてる5歳くらいの夜。
忍装束みたいのを着て木の枝からぶら下がってる5歳くらいの夜。
着物を着て茶道をしてる小学生の夜。
父親と母親と手を繋いではしゃいでる小学生の夜。
髪をミツアミにし、眼鏡をかけた中学生の時の普通な感じの夜。
などだ。多分澪に見せたら鼻血モノだが…
様々な皆が知らない過去の夜が写っていた。
きっと中学生の時まで田中くんみたいな普通じゃない普通な子だったんだろう。
田中「ええー!嘘なの…」
黒龍の魔法少女発言が嘘だとわかり、なぜかがっかりする田中だった。
夜「叡肖さん!!ありがとうございます〜!!」
ライスシャワーならぬ真珠シャワーを浴びながら感謝の気持ちを伝え、会場へと移動した。
そして、会場につき披露宴が始まった。
フォードさんに促され、夜からも一言言う事にした。
夜「……コホン。皆さん今日はお忙しい中わざわざ式に参加していただきありがとうございます。
私達がこうして無事に結婚式が迎えられたのも……皆さんの……お…かげです。」グスッ
普段と違い間延びした喋り方ではなく、真面目にスピーチをするものの、涙を堪えながらも感極まり泣きそうな声で喋り始める。
夜「この先……辛い事が…ありゅかも…しりぇましぇんが…ヒグッ……
皆さん!どうか……私達を…澪を…暖かく…見守って…くだしゃいっ!!」ポロポロ
我慢できなくなったのか段々呂律がまわらなくなり涙を流しながらそう言い、澪にそっと寄り添った。
………ところで、皆さんは気付いてると思うが一つ。恐らく夜側の友人代表のスピーチは巫女Bになるだろう。
普段、ショタ発言や変態行動が目立つ為、彼女を知ってる人は不安になるかもしれないが……
784
:
巴津火『』 叡肖「」
:2012/01/05(木) 17:58:19 ID:3FBgi9l6
>>781-783
式場からの移動中、バスの中でも巴津火はずっと、お爺ちゃんと記録帖に張り付いていた。
写真に写っているあれこれについて矢継ぎ早に尋ねて、お爺ちゃんに息つく暇も与えない。
「こらこら、ご親族をあまり困らせるな。ちゃんと自分の席に着け」
会場ではお爺ちゃんの傍ではなく席次どおりに座らせようと、叡肖は巴津火の襟首を引っ張り、
喉もとに圧迫を受けた巴津火は嫌な顔をする。
「席に着いたら、ご馳走もでるから」
美味しいものにつられた巴津火は、けろりと機嫌を直して大人しくなると、
新婦のスピーチの間、勝手に服の喉元を緩めている。
『あ、やべ』
散々引っ張られて緩んでいたのだろう、ぷちん、とちぎれたシャツの喉元のボタンが
ころころと床を転げていった。
「よっ、三国一の花嫁っ!」
しかし叡肖のほうは、涙と一緒に、その髪からライスシャワーの真珠の粒を零す新婦に
拍手を送るのに気を取られて、巴津火が勝手にタイを緩めているのを見咎めることはなかった。
〔どこへ落ちた?〕
落ちたボタンを拾おうと、座ったままテーブルの下を覗き込んだ巴津火。
かがんだその腰の後ろ、シャツの裾と黒いズボンのウエストの間からちらりと背中が見えている。
着席しているのもあって参列客の席からは気づかれないが、高砂の新郎新婦と親族席、
スピーチに立った巫女Bさんからは、ばっちり見えてしまうかもしれない。
785
:
宝玉院 三凰
:2012/01/05(木) 18:27:55 ID:SmXQZqJk
>>782
,
>>783
,
>>784
スピーチの為に立ち上がり、前へ出る三凰。コホンと咳払いをし、スピーチを始める。
「澪君、夜さん、ご結婚おめでとうございます。この度友人代表スピーチを勤めさせていただく、宝玉院三凰でございます。
新郎の澪君とは、実を言うとそんなに長い付き合いという訳ではありません。しかし、私と澪君は心から信頼しあった親友同士と言えるでしょう。」
澪との出会い、そして今までの思い出を思い出しながら言う。
「そもそも、私と澪君の関係は澪君が怪我をしていた私を助けたことから始まりました。見ず知らずの者を助けるなど、並大抵の優しさではできないことだと思います。そんな澪君だからこそ、沢山の良い友人達がいるのでしょう。この出来事がきっかけで、私達は仲良くなっていきました。」
その言葉からは、嘘偽りの無い信頼関係が伝わってくるだろう。
「この出会いが、お互いの運命を変えたと言っても過言ではないでしょう。それほどまでに、支え合い、励まし合い、助け合って生まれたものは大きいのだと思います。
出会った当初は、澪君に対し、まだなんとも言えませんでしたが、今だから言えます。
澪君は、この私、宝玉院三凰のかけがえのない親友だと。
……こんな彼と結婚できる夜さんは、間違いなく幸せ者でしょう。
最後に、飾らない言葉で祝福させてもらいます。」
ここで一息つき、再び口を開く。
「――澪、本当におめでとう。心から祝福する。良い家庭を築けよ。
以上をもちまして、お祝いの言葉とさせて頂きます。」
心から澪を祝福し、最後に一礼をし自分の席へ戻っていった。
786
:
名無しさん
:2012/01/05(木) 20:10:39 ID:HbHPxpxY
>>783-785
澪「三凰・・・・・・僕のこと・・・ぐすっ、あり、ありがとうございます!!」
三凰が親友と認めてくれた、もうそれだけで幸せである。
普段はツンな彼であっても、このようなときは正直に言ってくれる。
・・・凄く、嬉しかった。
後で礼を言おうと思いながら、そっと夜に寄り添う。
・・・が。
澪「(巴津火!?)」
見えてしまった。
これをみた澪は叡肖にアイコンタクトし、なんとかして貰おうとした。
次はBさんだ。
787
:
田中家
:2012/01/05(木) 22:44:51 ID:c1.PBF/s
>>784
>>785
>>786
記録帖についてのハツビーの矢継ぎ早に尋ねる事に思い出し泣きをしながら口数少ない言葉ながら説明していた。
が、ハツビーが叡肖さんに連れてかれ(´・ω・`)ノ~←と淋しそうに見送った。
三鳳のスピーチが終わり涙ぐみながらお辞儀をする夜。
親族席からも拍手をし感動がこみあがる。
そして、いよいよ巫女Bこと橘 美月の番である。
だが…ショタスキーの心を揺さぶり狂わせるハツビーの背中チラ。
巫女Bのショタ狂いぶりを知ってる澪は慌てているが、夜は意外にも慌ててなかった。何故なら
巫女B「まずは同じ言葉の繰り返しになると思いますが
澪さん。夜さん。結婚おめでとうございます。
新婦の友人代表を勤めさせていただきます。橘 美月です」
…………誰?と言いたくなるほど凜とした雰囲気になっていた。
あ…けど、一瞬だけ鼻押さえた。
「私と夜さんは高校からの友人であり、生徒会で私が会長。夜さんが書記として活動を共にしました。彼女には幾度なく助けられました。私だけではなく彼女が在学した時の生徒には沢山いるでしょう。貴女は知らないかもしれないけどファンクラブあったのよ?
ただ変わった趣味があり、それを自覚し、自ら男から離れ、恋愛も苦手だった貴女がこうして結婚できたのは、分け隔てなく接してくれた澪さんのおかげだと思います。」
顔を手で覆うようにし口だけだしてスピーチをしてる様は泣いてるように見える。
多くの人はそう思うだろう。
「だから………夜。澪さんを絶対離さないであげて……幸せになりなさい……
澪さん……夜をよろしく…お願いします…
以上で終わらせていただきます」
礼をし、急いで退場していった。
向かうのは…外。
誰もが思う。泣くのを見せたくないから外にでたんだと……
実際は鼻血を噴射させるためだったとわかるのは夜と澪だけだろうが
788
:
巴津火『』 叡肖「」
:2012/01/05(木) 22:56:35 ID:3FBgi9l6
>>785-787
三凰の堂々たるスピーチに賞賛の拍手を送っていた叡肖は、
澪の視線に気づいて巴津火の席を見る。
(何やってんだおい)
「こら、スピーチの間くらいはしゃんとしてないと駄目だろ」
テーブルクロスの下を覗き込んでいる幼い主に声を掛けると、巴津火の頭がもっそりと
クロスの下から出てきた。
『蛸ー、これ取れた。どっか行っちゃった』
「取れたんじゃなく、取ったんだろ。
それに、どっか行っちゃったじゃなく、どっかやっちゃったって言うんだそれは」
叡肖はしかたなくボタンの取れてしまった巴津火のカラーの上にタイを締め直し、
奥の手としてカラーピンを刺して止めてしまう。
「正装のマナーなんだから、もうタイは弄るな」
『喉んところに尖った金属なんて嫌だぁ…』
「下手に弄らなきゃ刺さりゃしないっつの」
蛇妖が苦手とする針状の金属でタイを留められてしまったら、
巴津火はもう下手にタイを弄れない。
そしてかがんでいた間、巴津火の背中が出ていたことに、叡肖は気づいていない。
『ううう…』
他人のスピーチはちゃんと聞け、と叡肖に頭を巫女Bさんのほうへ向けて抑えられてしまったら
巴津火も大人しく拍手するしかないのだ。
視線を左右に投げかけても、メリーも夷磨璃も助けてはくれない。
「二人ともいい友人を持ったな」
スピーチが終わり、乾杯の準備に給仕たちが卓の間を慌しく動き、卓上のグラスが満たされ始めた。
叡肖は機嫌良くグラスを手にしたが、巴津火のほうは大気中に血の匂いを感じて首をかしげている。
〔なんか血腥くないか?どこからだろ〕
きょろきょろと辺りを見回すが、それが外で噴出した巫女さんの鼻血の匂いであり、
自身がその遠因であることを巴津火は知らない。
789
:
宝玉院 三凰
:2012/01/06(金) 13:12:38 ID:SmXQZqJk
>>786
,
>>787
,
>>788
「ふぅ…」
(僕も変わったな……
だが、あの時父上が言っていたこと今なら完全に理解できるな。)
スピーチを終えた三凰は、自分が良い方向へ変われた事、父の言っていた友情の大切さを理解できた事を実感していた。
790
:
名無しさん
:2012/01/06(金) 16:50:07 ID:HbHPxpxY
>>787-789
澪「(任せて下さい、夜は幸せにしてみます。でも・・・鼻血落ちって・・・。)」
フォード「お二人共、良い御友人をお持ちになりましたね。では、ケーキ入刀をお願いします。ゲストの皆様もお立ち下さい。」
2mはあろうかと言うケーキがスタッフによって運びこまれた。
澪「夜、切ろうか。皆、僕達を祝ってくれてるんだから、ぐすっ、泣くことないよっ・・・。」
うむ、澪、泣いてます。
ここは夜さんにリードして欲しいところだ。
黒龍「なあ、夕。お前はこの結婚、嬉しいと思うか?姉が結婚なんて受け入れられたか?」
黒龍は一つだけ気になっていたことを夕に問う。
零「三凰さん、よかったよ。貴方なら、お気づきでしょう?友人の大切さを。」
791
:
田中家
:2012/01/06(金) 17:44:02 ID:c1.PBF/s
>>788
>>789
>>790
親友の久々に聞いた真面目な言葉にウルッとくるが………安定の変態ぶりに思わず苦笑いしてしまう。
夜(…けど、ありがとう)
そして、ケーキカットの時間になり、立ち上がり澪の方を見て緊張が少しとけ、クスっと笑う。
夜「澪が泣いちゃってたらダメよ〜
…じゃあ、切りましょう」ニコニコ
いつもの調子にもどり、澪の手をにぎりながら一緒にケーキ入刀するだろう。
田中「ん?もちろんだよ?
少し淋しいけど…別に二度と会えなくなるわけじゃないし、姉さんが幸せなら俺はいいと思うんだ」ニカッ
黒龍の発言に、夕は正直に答えた。それが彼の答えだ。
メリー「ハツビー。あともう少しでご飯だよー」
落ち着かないハツビーに対し、メリーはそういってあげた。
巫女B「ふぅ…」
あ…なんかスッキリした顔の巫女Bが戻って来た。
792
:
巴津火『』 叡肖「」
:2012/01/06(金) 21:04:20 ID:3FBgi9l6
>>789-791
『ケーキ!ご飯!』
メリーの言葉の前に既に、スタッフの運び込むケーキに巴津火の注意は全力集中している。
起立を促されたからというよりも、好奇心と食欲の両方から突き上げられるように立ち上がり、
伸び上がって何が起こるか観ようとしている。
「ここで見てるだけだよ」
ふらふらとケーキのほうへ出て行こうとする巴津火を、叡肖が引き止めた。
しかし食べ物を目の前にして、巴津火の空腹と煩悩はMAXだ。
『はーなーせーェ!』
「わー待て!お預け!ここで変化を解くな!」
筆で抑えの呪文を描こうにも、暴れる巴津火を抑えるのに叡肖は手一杯なのだ。
ケーキ入刀のこの場では、一部とは言え蛸の姿を出すわけにもいかない。
「あー、美月さん!すみませんがちょっとこの坊ちゃんを捕まえててもらえませんか」
妙にすっきりした表情の巫女Bさんに、叡肖が声を掛けた。
巫女Bさんが抑えていてくれれば、叡肖は筆で巴津火を抑える文字を記すことが出来る。
793
:
宝玉院 三凰
:2012/01/06(金) 21:39:04 ID:SmXQZqJk
>>790
,
>>791
,
>>792
「そうかもしれないな。」
零の問にそっけなく答える三凰。
とは言え、内心ではそれをきちんと理解しているだろう。でなければ、あのようなスピーチを読むことは出来なかったはずだ。
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