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756巴津火『』 叡肖「」:2012/01/03(火) 15:44:37 ID:3FBgi9l6
>>753-755

巫女Bさんの妙に荒い鼻息には気づけても、その原因は巴津火には判らないのだ。
こちらをガン見する視線に、ただ不思議そうにちらりと見返すだけである。

『大丈夫じゃないだろこざる、急に熱あがったか?座っとけ』

巴津火なりの気遣いで、赤い顔の夷磨璃をひょいと持ち上げて、右隣の席に座らせようとする。
そして自分の分の飴の包み紙を剥がしながら、田中君の問いにも答えた。

『うー?ボクそんなに何か違う?確かに色々あったけど』

これからもまだ色々あるのだ。
雨邑の刺した釘と神代のことを思うと少々心が重く、苦い表情で目を伏せる。
その思いをぶち壊すように、衣蛸の一言がちくりと刺した。

「一皮剥けたんだよな、それも失敗しかけてw」
『黙れ蛸』

実質これといって何も変わっていない巴津火は、さっと頬に血を上らせて額に青筋を立てる。
脱皮の失敗は蛇にとっては恥ずかしい話なのだ。
茶々をいれた叡肖は、しれっと巴津火の左の席で花婿の入場を待つ。
やがて厳かに入場する牧師と、新郎の澪。
初めて目にするその様と、口に放り込んだ飴玉とに、お子様は不機嫌を忘れた。

『ぷふっ、澪すげー格好w』
「しーっ」

口内の飴のお陰で響かなかったその声は、幸いにも祝福の拍手にかき消される音量だった。
田中家父方祖父のくれたヴェ○タースオリジナル、GJ。

あまりにもいつもと違いすぎる澪の様子が巴津火には面白かったようだが、
式の形式は違えどあれが明日のわが身であることに、このお子様は果たして気づいているのだろうか。

(三凰のスピーチの間も、何もないと良いんだが。頼むぜホント)

叡肖は叡肖で、巴津火が最後まで落ち着いていてくれることを願っている。
零と三凰の間の静かな火花が、巴津火へも飛び火する可能性は高いのだ。


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