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708穂産姉妹神大社:2011/11/17(木) 23:27:27 ID:EK/9fLvc
>>706>>707
―しかし穂産姉妹には祝福された夫婦の愛も子供も、
 善と悪、絶対的な極端を信ずる天界の神々は決して許しませんでした。
 彼らの不実に激怒した神々は、穂産姉妹神の術を打破しなおかつ死産させるよう、
 数人がかりのアマツカミに命令し、赤子を呪いました。

 秘密裏の呪術を穂産姉妹が知ることはなく、
 更には赤子に重ね重ね祝福を彼女達は続けるのでした。
 そうして知らず知らずに行われた術比べの結果は、誰もが勝つことはなく、
 強いて言うのならば、誰もが完全敗北を喫したのです。

 悪魔の邪、神気の正、胎児が受け継ぐであろう二つの力を両方活性化させ、
 巫女の子宮の中で胎児を、正邪の衝突によって殺す目的の呪術。
 どのような障害があろうと全てを退け、無事に出産を促す祝福。

 これらの力が招いたのは、正邪の衝突を体内で起こしながらも全て中和し、
 その分を外界へ全て発散してしまう、呪われた赤ん坊でした。
 そこから、全てが狂いだしたのでした―

「ずっと待っていたんです。
 大きくなった僕があなたたちの前に立って、立派な姿を見せる瞬間を」

ローブの中から神代は何かを取り出して優しく言った。
神代の手に握られたものは、穂産姉妹神の祝福の込められたお守り。
自らの邪気で黒く浸食しながらも、効力はまだ消えていないようであった。

「っと何してんだお前ら?」

そのようなやり取りの中、
後ろの不審な動きを察知して農夫は、やれやれと呆れながらも振り返った。
するとそこで見えるのは巴津火を切りつける稀璃華。

当初から彼らを今一理解していなかった分、この状況を、
まだじゃれあいの延長だということでしか見ていない。


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