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お気に入りのローマ皇帝

1カイザー:2002/06/13(木) 23:16
人気投票にも、『ごく稀に』参加して頂いてる方もいらっしゃるようで
すので、ここでもカキコしてくれたら嬉しいです。

好き嫌いはともかく、オクタヴィアヌスはやっぱり偉大です。
アントニウスじゃ、どう考えてもライバルとしては役不足。いっそのこ
と、カエサルが暗殺されずに2人が天下を巡って争うという歴史IFの
方が面白そうです。

180カイザー:2002/09/13(金) 23:40
ギボンでもガルスは雑魚キャラ扱いですね☆副帝に取り立てられて、すぐに解任&
謀殺というだけの記述でした。

コンスタンティウス2世は、何とも言い難い人物ですね。父コンスタンティヌスの
死後に起きた皇族の大量粛正事件の黒幕と言われていますが、具体的には根拠がな
さそうですね。
基本的にコンスタンティウスはラッキーマンですね。兄と弟は自滅で滅んでしまい、
反乱を起こした対立皇帝のヴェトラニオが一戦もせずに降伏したのも幸運です。
唯一のゲルマン皇帝マグネンティウス戦の間も修道院に閉じこもってお祈りに毎日
の時間を費やしていて、配下の軍がムルサで勝利を収めたそうです。
ローマ(に限ったことでもないでしょうが)では、君主たる者は自ら戦場で戦うべ
きだという考えが支配的なんで、自然と評価が低くなったというのはあると思いま
す。
偏見なんでしょうが、謀略とかが得意そうなイメージが固定観念になってます。

181マッティアス:2002/09/13(金) 23:48
謀略家って別に悪い事じゃないと思うのに、心理的嫌悪感を感じる人が多いせいか、
それだけで悪役決定ですよね。マキャベリストな私は、結果的に良い方向へもって
行けるなら、そして被害が最小限に押さえられたなら、全然アリだと思ってしまう
ほうですね。
「背教者ユリアヌス」を読みながら、怖い人だけど、コンスタンティウス2世のが
結果的にはユリアヌスより良い皇帝だったとしか思えませんものね。
そこは好き嫌いとは切り離せるのですが。それも人によりけりだから、いい加減。

182カイザー:2002/09/14(土) 11:58
ユリアヌスよりも、コンスタンティウスの方が無難な人物でしょうね。でも、何とな
くコンスタンティウスの帝国統一事業には結果オーライ的なイメージが根強く頭にあ
るんですよね。親父さんが凄すぎるだけなんですが。

ユリアヌスの異教復興政策はキリスト教に完全に侵されつつある帝国にとっては、マ
イナス面の影響しか与えてないんでしょうね。どう頭の中でシミュレーションしても
、最後はキリスト教が異教を駆逐してしまうという結果以外が思いつきません。
シャープール2世を相手にしたペルシア戦争で勝利してても、いずれは暗殺されちゃ
いそうですね。

183マッティアス:2002/09/14(土) 22:15
そうなんですよね。なんだろう、哲学は得意だけど、下々の心理学に疎いというか、
何かすがるものが欲しいけど、学問に費やすお金も時間もない一般民衆の存在が、
まったくあたまにないんですよね、ユリアヌスって。

コンスタンティヌスがホントに洗礼を受けたのかは、ちょっと疑問ですが、そのへん、
すっごいクールですよね。民衆にとっての宗教の重要性がちゃんとわかってる。
キリスト教徒を公認はしたけど、多神教を否定したわけではないし、ユダヤ教徒も
保護したりしているでしょう。そういうところはすごいと思います。

184カイザー:2002/09/16(月) 16:03
コンスタンティヌス大帝はキリスト教徒とは違うでしょうね。洗礼によって、洗礼前
の罪が許される(っていいのか!?)ということで、死の直前まで洗礼を受けなかっ
たというエピソードは功利的なコンスタンティヌス1世らしいですね。
ただ、コンスタンティヌス1世も自分が保護したキリスト教がローマの古代宗教を叩
き壊してしまうことになるとは予測出来てなかったような気がしますね。キリスト教
徒でありながら、異教にも寛容だったというヴァレンティニアヌス1世にも言えるこ
とですが。
民衆は皇帝が思ってるほど、理性的ではないんですよね。そういう意味でユリアヌス
異教復興政策には賛成なんですが、成功率が限りなくゼロに近かったとしか言えなく
なってしまいまうんですよね。

185マッティアス:2002/09/16(月) 22:22
う〜ん…やっぱり識字率が低い国と時代にあっては、最高の教育を受けられる特権階級と
一般民衆の精神世界はかなり違うでしょうね。
哲人皇帝なんて、民衆にはとても理解しがたい、知的で内省的な文章をお書きになって
いらっしゃいますが。(ていうか私もついていけません)
ユリアヌスには共感も同情もできるけど、皇帝として評価する場合、あの民情への疎さは
どうしてもマイナスにならざるをえませんよね。
理想家肌の人は、大体、失敗しますね。プラトンじゃないけれど。

186カイザー:2002/09/16(月) 23:14
考えれれば、ローマ皇帝史上最も潔癖好きとも言える、マルクス・アウレリウス帝が
20年以上に渡って帝位を保持し続けて軍隊からも支持を得ていたというのは、凄い
ことなんですよね。私なら3日ぐらいで妥協してしまいそうです。
そんな偉大なる哲人皇帝でもコンモドゥスの様な野獣の本性を見抜けなかったという
のは痛恨の極みです。息子は可愛いんでしょうねえ。
読んでないのですが、マルクス帝の著作は愚痴を小難しく書いてあるだけだと聞いて、
そんなもんなのかと勝手に納得しているのですが、違うんでしょうか?

187マッティアス:2002/09/17(火) 10:28
なんて直截的な表現(;^-^A。 でもそうかも。愚痴とノスタルジーかな。
マルクス・アウレリウスって14人くらい子供いたわりに、自分の死後まで生き残った
のがよりによってコンモドゥスとルキッラしかいなかったんですよね。
わりと有名ですが、彼はめっちゃ愛妻家だし。ファウスティナって肖像みる限り、
フェロモン系美人ですからね。わがままなとこも可愛かったのかなあ、とか。
コンモドゥスもね、多分母親と似たような愛らしいわがままさがあって、父親は
溺愛しちゃったんですよ(かなり強引な解釈)。
ていうか、自分の息子で健康体で成人したのがいるのに、わざわざ他を後継者には
普通しませんよね。そのへん、「グラディエーター」ちょっと不思議。

188カイザー:2002/09/17(火) 20:19
「グラディエーター」を見てても、何でマルクス帝がコンモドゥスを帝位候補者から
外したか理解出来ないですね。・・・というか、史実に忠実であればマルクス帝の死
ぬ前に正帝(アウグストゥス)に昇進してるのを製作陣は知らなかったのでしょうか?
せめて、マクシムスにアントニヌス家の血縁者と結婚させてコンモドゥスとの共同統
治体制を取らせようとしたというストーリーの方が、リアリティがありますね。

せめて「利家とまつ」ぐらいのリアリティが欲しかったです。
こんなとこに拘ってあの映画を見るのは多分普通じゃないんだろうなあ(笑)。

189マッティアス:2002/09/18(水) 22:17
まあ、モブがジーパンはいてたりする映画ですからね。ただのスペクタクルなんです。
グラディを観て、哲人皇帝のあまりのじじいっぷりに驚いた方も多そうですよね。
コンモドゥスは長身で美形で金髪だもん、という批判(?)もありましたよ☆
ホアキン・フェニックスはうまい役者だけど、体育会系には見えないので、ほんとに、
ネロとかカリグラとか、カラカラとかドミティアヌスあたりのほうがハマリかも。

でも、ハリウッドの歴史スペクタクルの史実無視を気にしていたら、オペラはもっと
びっくりですよ! モンテベルディ「ポッペアの戴冠」はアリなのか?

オクタウィアを厄介払いして、ポッペアはネロをゲットしました。愛の勝利だね!
メデタシメデタシ。(ネロとポッパエアの愛の二重唱で幕)

こんな展開、許されるのかなあ、と思うけど。一応、当時のコンセルヴァートリオ
(音楽院)ではプルタルコスとスエトニウスがほぼ必須だったらしいのに。

190カイザー:2002/09/19(木) 02:49
ジーパンを吐いてるエキストラがいてたのですか?全然、気付かなかったです。

「ポッペアの戴冠」というオペラがあるのですね。
ネロとポッパエアがカップルになってハッピーエンドというのはふざけてますね。
オクタヴィアはこの世から消され、ポッパエアの夫オトは離縁させられてるし、そ
もそも肝心のポッパエアがすぐに不審な死に方をしてるということを無視してると
いうのは、何でもありですね。
オペラとかミュージカルとは無縁の人生を歩んでいるので良くしらないのですが、
そんなもんなのでしょうか?プルタルコスとスエトニウスを読んでるのなら、悪女
ポッパエアの策略を見せたダークなお話にしても良さそうですよね。

191マッティアス:2002/09/19(木) 10:50
バロックの基本は愛のすべてへの超越、ですからね。
正義と貞淑の女神が幸運の女神とどちらが優れているか言い争っている所に、アモール
が現れて、愛がいちばんだろ?っていうのが序章ですから。ポッパエアはアモールの
恩寵を得ているわけです。貞淑の女神のひいきのオクタウィアに勝てちゃうのですよ。
オトはポッパエアの侍女で、もっと若くてオトに夢中の乙女(オトのためなら死ねる)と
くっついて、ネロに死罪一等を免れ追放刑(ていうかハネムーン?)になるから、全然
不幸じゃないのです。

まだ粗筋がよくわかっていない(図書館でリブレット入れ忘れられた)モーツァルト
の「皇帝ティートの慈悲」とか「ポントスの王ミトリダーテ」も多分、歴史人物に名を
借りたメロドラマでしょう。そういえば、ネロ時代ものは多いみたいですね。カエサル
とともに。やっぱり派手だから?「エラガバルス」なんてのもあるらしいです。

192カイザー:2002/09/19(木) 23:28
ティトゥスとベレニケの悲恋ネタはヨーロッパではポピュラーだと聞いたことはあり
ますね。モーツァルトもそれをモチーフにしてるんでしょうか?
タキトゥスがあれこれ書き残してるからでしょうが、フラウィウス朝あたりまでは、
比較的メジャーな時代なんでしょうね。

最近、東ローマと密接に関連してる、アヴァールとかブルガリアについて調べよう
と本屋さんの棚を眺めてるのですが、手頃な本が全くありません(涙)。世界の歴
史が一番詳細な記述がるというのは、寂しい限りです。もし、手頃な本とかご存じ
でしたら教えていただけると嬉しいです。

193マッティアス:2002/09/19(木) 23:45
ああ、わかりますよ、その気持ち。
かつてルーム・セルジューク朝に興味を持ったものの、「アラブが見た十字軍」以上の
記述はほっとんどなく、三橋先生の「トルコの歴史」ですら、2,3行みたいな。
大国の隣国って、実はあまり詳しくないですよね。戦争でもしないと取り上げてもらえ
ない気がします。
もし、書店でそれらしいのあったら、お伝えしますね。早稲田とか神田の古書街にも、
近いうちいく予定なので。

「ティートの慈悲」は、愛妾(たしかドルシッラとかいう名前)と寵臣がラブラブに
なってしまい、処刑ものだわ、とおびえる二人を皇帝が許し、祝福するとかいう筋だと
思います。ベレニケじゃあないんだな。部下の名前はセストだった。
ミトリダーテなんて、ミトリダテスとその愛妾、息子のファルナーチェの三角関係が
中心で、恋のために父を裏切りローマにつこうとした息子が、父と和解し、許婚と
よりをもどしてハッピー・エンドとかですよ、多分。
実の所、この二つのオペラは、いくつかのアリアを聴いた事がある程度。
その解説からの推測にすぎませんが、脚本がメタスタージオならこんなとこでしょう。

194カイザー:2002/09/21(土) 01:20
恥ずかしい話なのですが、私はオペラというものが全く分かっていません。歌と芝居
が合体したものというような認識をしているのですが、決まり事とか色々あるんでし
ょうね。

とりあえず、「ローマ人の愛と性」は読了しました。何かエロネタを俗っぽく記述し
てあって、個人的にポイント高かったです。

195マッティアス:2002/09/21(土) 23:31
「ローマ人の愛と性」も面白かったですけど、同じく本村先生の「薄闇のローマ
奴隷制と嬰児遺棄」も興味深い本ですよ。エジプトではセウェルス朝くらいまで、
普通に近親婚が行われていたらしい、とか。
「愛と性」は読んだあと、どうしてもマルティアリスを読まねばという使命感に
かられました(笑)。ドミティアヌス賛歌以外は面白いですよ。実はドミの禁令を
からかうネタも多いし。去勢禁止令とか特に。

196カイザー:2002/09/22(日) 08:21
「薄闇のローマ奴隷制と嬰児遺棄」というのは、本屋さんで見たことないですねえ。
帝政期以降に捨て子が増大し、離婚率がUPしたのがローマ衰退の原因の一つという
説を聞いた覚えがかすかにあるぐらいです。
セヴェルス朝以降に近親婚がなくなったというのは、やっぱり古来からの多神教崇拝
が衰えてしまった辺りも原因なんでしょうか?

197マッティアス:2002/09/22(日) 11:51
近親婚が無くなったのかよくわからないんですが、3世紀頃って碑文文化みたいのが
あるじゃないですか。それで確認される、という話です。
エジプトがわりにアラブとかと同化しやすかったのって、近親婚と関係ないかな、
とかふと思いました。キリスト教は、わりに血縁厳しいけれど(中世だけかな?)、
ムスリムというかアラブは、従兄妹が理想の結婚相手でしょう。わりに近い関係。
そういえば、ユダヤ教はそのへんどうなんでしょう?ヘロデ王の一族は、わりに
叔父と姪の結婚があるのですが、アグリッパ2世とベレニケの兄妹の近親相姦は
スキャンダルになったし。傍系は3親等以上離れればいいのかしら。

198カイザー:2002/09/23(月) 07:43
アラブ人というのも、それほど近親婚をタブー視していないのですね。そういえば、
アラブ人というのは、イスラム以前からアラビア半島に定住していたのでしょうか?

私も素人なので想像でしか言えないのですが、エジプトでは正統派信仰が主流でなく
コプト派やグノーシス派とかの異端信仰が有力だったような覚えがあります。
異端を平然と迫害する正統派のコンスタンティノープルに対する帰属意識も薄く、貢
納さえすれば宗教に寛容だったアラブ人に抵抗しなかったというように私は思ってい
ました。ホスロー2世のペルシア人の占領政策でも宗教政策は寛容だったようで、ヘ
ラクレイオス1世帝の再征服に伴う異端迫害の再開がシリアやエジプトのローマへの
忠誠心を著しく失わせたという様な話も聞いたことがあります。

ウマイヤ朝やアッバース朝の支配を受けた地域で、イスラムを駆逐したのはスペイン
ぐらいでしょうか?後は、今でもイスラム教国ですよね。イスラエルはおいとくとし
て。

199マッティアス:2002/09/23(月) 21:49
そうですね。イスラムって結構、根強いですね。アメリカでもブラック・ムスリムは
結構いるみたいだし。第二次大戦前は、別にユダヤ教徒とムスリムは仲悪いイメージ
ないんですけど、欧米のおかげで中近東は怖い事に。やっぱり鬼畜米英(笑)?
キリスト教徒は、仲間内の異端迫害がものすごいですが、イスラムもシーアとスンナ
はやっぱり険悪でしたが。異教徒には寛大なんですよね。近親憎悪ってヤツか?
アラブ人はアラム語系、のアラビア半島に住んでいた民族ってくらいしか憶えてません。

先日、ちょっとアブー・ヌワース(千一夜物語でおなじみ、ハールーンに使えた詩人)
を読んでみたんですけど、あの時代のバグダードではギリシア・ローマの研究がさかん
だった影響か、結構ラテン詩人と作風似ているんですよね。

200カイザー:2002/09/23(月) 23:04
200ゲット〜☆

元々、シオニズム運動はパレスチナに拘っていた訳ではなく、ユダヤ人国家の樹立を
目的としたものです。社会主義運動もこのシオニズム運動の展開の一つとして展開さ
れていて、スターリン以前のソビエト共産党の主導権をユダヤ人が持っていたという
事実もあります。スターリンの台頭とトロツキーの失脚で、ユダヤ人系の(というか
スターリン以前の)勢力は一掃されてしまうのですどね。

ハールーンの頃のローマというと、ちょうど女帝イレーネの頃ですね。イスラム帝国
への貢納と蛮族フランク人の皇帝即位宣言という、ローマ苦難の時代です。

201マッティアス:2002/09/23(月) 23:18
え!ビザンツって女帝OKなんですか?(←おいおい)
だから「緋色の皇女アンナ」(トレーシー・バレット、徳間書店BFTシリーズ)では
アンナが最初はアレクシオスから後継者に指名されていた、という筋なんですね。
(史実もそうなのかしら?)

それにしても、この対話編(ほかの人参加しないからなあ)もついに200突破ですか。

202カイザー:2002/09/25(水) 00:54
ローマ史における女帝の先駆者はパルミュラの女王ゼノビアですね。夫オダイナトゥ
ス(もアウグストゥスを名乗ったそうです)の死後に東方属州を支配し、アウレリア
ヌス帝と激闘を繰り広げたという女傑です。ガリア帝国の創始者ポストゥムス等と共
に軍人皇帝時代の30僭帝の一人に数えられているそうです。オダイナトゥスの方が
政治のバランス感覚は遙かに上に見えるんですけどね。

ローマ史のメインロードでは、テオドシウス2世の姉でマルキアヌスの妻として50
年に渡って権力を保持したプルケリアや、レオ1世の娘でレオ2世の母親として、ゼ
ノン、アナスタシウス1世の妻として帝位継承の決定権を持っていたアリアドネ、ユ
スティニアヌス1世の皇后テオドラ、ヘラクレイオス1世の後妻のマルティナといっ
た女性達は、一般的な評価はともかく実質的には共治帝として認めてもいいのではと
思います。(別に彼女たちが能力的に皇帝足りうると考えている訳ではないです)

ちなみに上記カキコのイレーネはコンスタンティヌス6世の母親で、小アグリッピナ
の様に息子を傀儡として実権を握っていたのが、コンスタンティヌス6世の成人によ
って権力を喪失しつつあったため、クーデターでコンスタンティヌス6世を捕らえて
目を潰して廃位。女帝として単独統治を行ったという経緯の持ち主です。

他には、コンスタンティヌス8世の娘のゾエと同じくテオドラがいます。ゾエはロマ
ヌス3世、ミカエル4世、ミカエル5世、コンスタンティヌス9世を自身の夫や養子
とすることで擁立。妹のテオドラはゾエの死後単独帝となり、ミカエル6世を皇帝に
指名しています。この辺のバシレイオス2世死後のマケドニア朝はややこしくて私に
も良く理解できていないのです。

203マッティアス:2002/09/25(水) 23:23
ううっ、ビザンツも勉強しようしようと思ってほったらかし状態がもはや10年近い
です(T_T)。ビザンツ聖歌CDとかも売っていたのですが、4枚組だったりで、
なんか挫けてしまったまま。

イレーネ女帝って、なんか則天武后みたいな人ですね。カッコいい。
ゼノビアは女王だとは思っていたけど、僭称とはいえ女帝に数えられていたのか。
個人的にはアウレリアヌスもちょっと気になっている人です☆

皇后や皇太后が、実質的には共治帝だったとしても、実際に皇帝として即位したか
どうか、っていうのはやはり問題が違うのではないかと。何となくそう思います。
西太后と則天武后では、一線を画すのと一緒で。

204カイザー:2002/09/26(木) 00:25
中国だと皇帝かどうかの違いというのは明白なのですが、ローマの場合は必ずしもそ
うでもないんですよね。

女帝=アウグスタなのですが、この称号自体は皇后にあたる女性や皇帝の近親者にも
与えられる称号なのはマッティアスさんもご存じの通りかと思います。ちょっと、ギ
ボンを読んでも詳しく書いていないので、考え違いなのかもしれませんがイレーネや
ゾエの法的地位は単独統治時も共同統治時も同じ筈です。
イレーネやゾエ、テオドラが女帝として一般的に認識されているのは、この単独統治
の時代があったかということのみがポイントなのだと私は認識しています。テオドシ
ウス2世の姉プルケリアはマルキアヌスと結婚するまでの短い期間が単独統治だった
為、女帝として書かれていることもあったりします。
いずれにしろ、これらの女帝の統治は前皇帝の近親者であることを拠り所にした一時
的なものなのですけどね。

205マッティアス:2002/09/26(木) 01:00
やっぱり一時的にしか単独統治はできないんですね。アイバクを立てるための、
シャジル・アル・ドゥッルくらいの地位かな?
アウグスタという、皇后とか皇太后とか内親王にあたる地位に用いられる称号は
甚だ曖昧ですね。アウグストゥスの女性形というビミョ〜さ。
ただ、中世以後の神聖ローマやロシアの女帝を表現するには、英語ではエンプリス
になるから、最高司令官=インペラトールにあたる女性として、もっとずっと女帝、
ってカンジがするんですよ。単に語感の問題かも。

206カイザー:2002/09/28(土) 12:34
日本でも称徳帝以外の女帝は一時的な存在としての即位ですからねえ。君主が軍事的
指導者を兼ね備えているような政権では、女帝(女王)が恒久的に存在するというの
は、難しいかと思いますね。そういう意味じゃ、女帝が何人も出現したロシアって変
わっていますね。

そういえば、イスラム世界の君主達の称号って、どういうものがあるのでしょうか?
カリフ、スルタン、シャー(イラン系?)ぐらいしか思いつかないのですが、今のア
ラブの王様達はどんな称号を自称してるんでしょうか?

207マッティアス:2002/09/29(日) 20:56
どうなんでしょうね。そういえば、スルタンってのも本当に名乗った人は少ないと、
昔ゼミの先生が言っていました。教科書などでスルタンとして扱われる人は、
カリフ(ハリーファ)から「ルクン・アッディン(信仰の柱)」という称号を与えられた
人なのだそうです。
あと、王ではないけど、中世ではトルコ系のアターベク(父侯)は実権を持ってたし。
シーア派のイマームとかいう称号もありますよね。
いまの王様たち(ヨルダン王国とかアラブ首長国連邦など)って何て称号なのでしょう。
近現代の歴史や世界情勢に興味を持っていない不届きものなので(爆)。

女王、女帝ということでは中世以降のヨーロッパの女主君はなかなか迫力ありますね。
スウェーデンのクリスティーナ女王とか、引退した後も格好良いんですけど。
教皇に嫌がらせしながら、イタリアで楽しく暮らしたりして。

208カイザー:2002/09/29(日) 23:29
日本でも、大王、天王、上皇、法皇、関白、太政大臣、征夷大将軍といった称号は
小学生でも区別していますが、海外から見れば、天武天皇も平清盛も源頼朝も織田
信長も豊臣秀吉もみんな、日本の王(皇帝?)として、同列に見えるのでしょうね。

そもそも、この辺の人物で世界的に有名な人っていてるんでしょうか?葛飾北斎とか
はおいとくとして。

209マッティアス:2002/10/01(火) 00:10
信長…とか?ルイス・フロイスのおかげで知られてたりしないのかしら?
あとは、伊藤マンショほか少年使節団あたり、有名だったりして☆
でも、日本の最高権力者って、ほんと称号違った所でどこまで差異があるかは、
外国人から見たらわかりづらいでしょうね。
まあしいていえば、天皇家はちょっと宗教的価値観が付与されていて、他とは違う、
くらいのものでしょうね、

東西の交流、っていっても、所詮は大陸内でしか行われてないから、ローマと中国
とかが限界ですよね。
未だに、マルクス・アウレリウスというと、大秦国王安敦、と書きたくなります。

210カイザー:2002/10/01(火) 22:22
大秦国王安敦がマルクス・アウレリウスだと主張する根拠って一体どこにあるんでし
ょうね?時代的にはマルクス帝の頃の様ですが、根拠となる資料って後漢書ぐらいし
かないんじゃ。
一応、歴史教科書的なストーリーで言えば、ネルヴァ時代に西域都護班超の部下甘英
がシリア辺りまで使者として、ローマに訪れたことに対する返礼にマルクスが使者を
送ったということのようですが、その間70年間もほったらかしだったというのは、
どういうことかという、素朴な疑問の答えは良く分からないです。

マルクス帝が使者を後漢に送ったのが事実だとしても、あんまり甘英とは関係ないん
じゃないかなという気がしますね。

211マッティアス:2002/10/02(水) 00:20
ローマの使者が後漢についたのが哲人皇帝の時代ってことかなあ?でも、治世初期
ならアントニヌス・ピウスだって安敦でしょう?とか思ったのですが。
ていうか、よりにもよってネルウァなんて短いマイナーな皇帝のときに行ったのか、
甘英。シリアに来たら会えそうな皇帝っていったらむしろ、トラヤヌスとか
ハドリアヌスのほうなんですけどね。
ほんとに、70年もたっちゃうと、甘英とは関係なさそげ。なんだろう、気まぐれ?

ぜんぜん、話変るんですけど、この間、「西洋古代史料集」という本を借りて
来ました。偶然、コンモドゥス時代の、皇帝と属州(?)の往復書簡みたいのが
載っているようです。
そこで訴えられているのが、請負人頭のアリウス・マクシムスとかいう人で。
「グラディエーター」でコンモドゥスに敵対する主人公にマクシムスという名が
つけられたのはここからか?とかふと思ってしまいました。
この史料ではどう考えても悪いのはマクシムスですけど。

212カイザー:2002/10/03(木) 00:45
ヴェトナムに大秦国王安敦の使いが訪れたのが166年。マルクス帝の治世が161
〜180年なので、年代的にはマルクス・アウレリウスの使いだという主張自体は分
からないでもないです。
ただ「後漢書」が書かれたのは三国志や西晋よりも後の六朝時代(宋だったかな?)
なんで、デタラメということではないにしても信用性には疑問符をつけざるを得な
いかと思います。

「西洋古代資料集」は昔にざっと目を通したことはありますね。コンモドゥスの書簡
なんて載ってたんですね。多分、当時は興味がなくて思いっきり読み飛ばしたんでしょ
うね。

213マッティアス:2002/10/03(木) 12:28
そういうものですよね。通史とか、その類って、読んだ時に興味あること以外、
結構読み飛ばしたり、読んでも頭入らなかったりしますよね。
スエトニウスも実は岩波文庫上巻のほうの内容って、あんまり頭に入ってません。
68〜69年の内乱とフラウィウス朝のほうが、いろいろ記憶に残ってます。

ともあれ、『西洋古代史料集』をちらっと眺めて思ったのは、コンモドゥスでさえ
一応、それなりに政治していたのだなあ、という。当たり前か。
でも、ヘリオガバルスとか、なんとなく政治しているイメージが全然わかない。
その点、ユリウス・クラウディウス朝の人たちは、ちゃんと仕事している姿が想像
できるんですけどね。カリグラだろうとなんだろうと。

214カイザー:2002/10/03(木) 23:01
性的倒錯者=怠け者というのは、根拠がないのですが、私もエラガバルスがマジメに
裁判の書類に目を通している姿が想像できません(笑)。『英雄色を好む』というの
とは、何かが(というか何もかもが)違うのです。

カリグラは何だかんだ言って、政治をしてますね。ブリタニア遠征(の未遂だけど)
をしたということは、細部はともかく大まかな軍隊の進軍とか補給の計画を立てたか
少なくとも部下の計画を吟味ぐらいはしたのか、不思議なところです。
塩野七生がカリグラに従来の只のキチ○イという風評と比べて、比較的前向きな評価
を与えているのも、分からなくはないです。

215マッティアス:2002/10/04(金) 11:15
塩野さんのは、やや夢見ているような気がしないでもないですが。頑張ってますよね。
金銭感覚がちょっとおかしかったのと、自己神格化妄想が激しかったことは、ちょっと
ついていけませんが。まあ、初期に人気取りをしてみたり、少しは政治をする気が
あったかなあ、とか。

エラガバルスは、完全に電波ですからね。色を好むとか、そういうレベルじゃない。
やっぱり、政治関係は母マンマエアとか祖母ソエミアスが、配慮してたのかなあ。
セウェルス朝はホント、最初だけですよね。マトモな皇帝。
何だかんだで、ユリウス・クラウディウス朝とフラウィウス朝はマトモ。
「ローマの平和」と教科書で言われてるのが、アウグストゥス〜五賢帝ですが、
その時代でまったくダメってのは、ウィテリウスくらいじゃないですかね。

216マッティアス:2002/10/04(金) 21:00
あ、上のカキコ、多分ユリア3人の名前ゴッチャになってますね。
よく考えたら、ソエミアスがお母さんだ。マンマエアが叔母さんでマエサがお祖母さん
だったような気がします。間違ってたらごめんなさい。

217カイザー:2002/10/05(土) 13:31
セヴェルス家のユリア軍団の名前を資料なしでスラスラと言える人が、日本に何人ぐ
らいいるのでしょう?私も思わず手元の本を確認していましました(笑)。

「敵の死体の臭いもいい臭いだが、味方の死体の方がもっといい臭いがする」という
有名なウィテリウス陛下の電波な発言は、何かの間違いか微妙に言葉のニュアンスが
違うんじゃないかと思っているのですが、どうなんでしょうか?
まあ、エラガバルスと比べればどんなダメ皇帝でも名君に見えてしまいますね。エラ
ガバルスって凄いなあ。

218マッティアス:2002/10/05(土) 14:12
偉大ですね、エラガバルス(笑)。あの人の壊れ方って何なんでしょう。
ウィテリウスの例の発言は、実際、ただの強がりだった説も有力ですね。史料も
そうだった気がします。ホントはこっそり吐き気を催していたという。
ヤツの悪行の数々って、スエトニウス読んでも、大食漢というか欠食児童というかで、
TPOをわきまえずに食っていた、っていう以外にあまり見当たらないのですが。
ネロ様の歌の大ファンだったのも、マジみたいですけどね。
でも、スポルスを自害に追い込むほど辱める必要は、一体どこにあったのでしょう?
嫉妬(笑)?実はネロのこと激ラヴだったの?とうがってしまいます。

219カイザー:2002/10/06(日) 10:57
ウィテリウスがネロに横恋慕してたなんて、想像力が貧困な私には思いもつかない
新説ですね。まあ、ネルヴァ時代ぐらいまではネロの部下だった連中が皇帝になっ
ているわけですから、ネロの評価というのも必ずしもマイナスだけではないんです
よね。
もし、ネロに子供がいたり他にユリウス家の血を受け継ぐ男子がいれば、ガルバの
クーデターも簡単には成功しそうにないですね。ユリウス家の皇帝達が代替わりに
度に皇族を粛正しまくってきたというのが、致命的ですね。

220マッティアス:2002/10/06(日) 21:44
本当にねえ。初期のオスマン帝国かって〜の☆
ああ、ウィテリウスがネロに横恋慕は、あんまし本気じゃないですけど(一応確認)。
ネロにラブなのはお前だろ、ってカンジですね(苦笑)。
ほんとに、スポルスを競技場で性転換したかどうか確認する見世物、なんて悪趣味
としか思えなくって。何でそんな発想が出たのか、頭開いて確認したいくらい。
スポルスはニュンフィディウスやらオトやらにも、愛されていたようなので、そうは
しなかったウィテリウスは、お稚児趣味も宦官趣味もなかったのかなあ、とか。
このヒトについても考え出すと、いろいろ怖い考えになります。

221カイザー:2002/10/06(日) 23:45
ウィテリウスの統治期間は1年にも満たないのに、色々やってますね〜。一番有名な
のはベドリアクムの戦い後の敗戦処理で、ドナウ軍の残党に強制労働&見せしめ的な
100人隊長生き埋め強制だと思うのですが、偽善的なパフォーマンスをさせたら天
下に並ぶ者なしのカエサルなら間違ってもしそうにないデタラメですね。

まあ、ウィテリウスがそこまでお粗末な皇帝だったからこそ、ウェスパシアヌスの出
番がやってくるんですけどね。もし、ベドリアクムでオトが勝利して鱈、ウェスパシ
アヌス&ムキアヌスはオトに忠誠を誓ったんでしょうか?

222マッティアス:2002/10/07(月) 01:03
確か、ティトゥスはオトに忠誠を誓うために派遣されたんですよね。
さすがにウィテリウスはどうよ、ってカンジでユダヤに帰ってきましたが。
そういえば、ユダヤ戦役当時にはトラヤヌス(父)がティトゥスと同格でしたね。
第十軍団長だったはず。『ユダヤ戦記』読んだらなにげに活躍してました。
まあ、そのおかげでパトリキに昇格できたんですけどね。

223カイザー:2002/10/07(月) 23:30
トラヤヌスの父親って、ティトゥスと同時代人なんですね。ブリタニクスのお友達だ
ったり、何げにティトゥスって有名人の親類と接点があるんですね。

テオドシウス1世の父親の大テオドシウスもイスパニア出身の軍人だったみたいで、
ヴァレンティニアヌス1世時代に活躍していたそうです。次代のグラティアヌスの時
に冤罪(?)で処刑されてしまうのですけどね。良く分からないのは、有能だとして
もそういう罪人の子をグラティアヌス自身が、西ゴート族との戦いでヴァレンスが戦
死した為に空位となった東の皇帝として指名してること。
ギボンにはこの辺の経緯がちゃんと書いてないんで、良く分かりません。塩野女史が
こういうマイナー時代をちゃんと書いてくれると、心底嬉しいなあ。

224マッティアス:2002/10/08(火) 00:20
そうですね。塩野女史が萌えてくれれば、かなり詳しく書いてくれるかな。
ギボンもそのうち、ちゃんと読まなくっちゃなあ。PHPのほうが読みやすそうだけど、
持ち運びには文庫なんですよね。その辺り、ジレンマ。

トラヤヌス父の生没年はまだ調べてませんが、おそらく66年時点で法務官経験者だった
と思われるので30代にはなっていたでしょう。ネルウァやオトくらいの年齢かと。
だから、ティトゥスより5〜10歳上じゃないかな、と推測してます。
もっとも、トラヤヌスがドミティアヌスと2歳しか違わない事、多くの議員が法務官級
どまりだったことを考えると、上の分にはいくらでもありえますね。
ちなみにティトゥスはまだ20代後半で財務官しか経験せずに、父親が特別司令官
になったから、法務官になる前に軍団長になってるんですよね。だから、
「同時代史」でもスエトニウスでも書いてあった気がしますが、ガルバへの恭順の
意を表明に赴いた時、法務官に立候補するため、という説があったくらいで。
よく本に載っている任官順序は、きっとフラウィウス朝か五賢帝時代に確立した
コースなんだな、となんとなく思ったものです。

225カイザー:2002/10/08(火) 17:33
そうか、ウェスパシアヌスのユダヤ(シリアも?)軍が忠誠を誓う代わりにティトゥ
スの法務官や執政官の就任を交換条件として持ち出すぐらいのことは、十二分にあり
そうですね。ウィテリウスがいなければ、オトの下でそれなりの安定政権が誕生した
のかもしれませんね。

「ローマ帝国衰亡史」のPHP版は省略しまくっているので、お奨めしません。初心
者でも比較的読みやすいという意味では悪くないのですが、折角なら全10巻のちく
ま文庫版を読んだ方がいいと思います。
博学なマッティアスさんなら多分大丈夫ですよ。私は読んだ端からどんどん忘れてし
まってますが(笑)。

226マッティアス:2002/10/08(火) 23:11
博学でも勤勉でもないから、学士どまりなんです。(←いばることじゃない)
本を読むのがマジでトロくさいので、友人に奨められた「ウェルギリウスの死」なる
小説に1ヶ月を要しましたからね。ギボンも2,3ヶ月必要かな。資金も。
ちくま文庫や中公文庫、講談社学術文庫って高いですよね。「アラブが見た十字軍」は
今は亡きリブロポートの写真付きの75%くらいの値段でした。

いま「ガラリヤからローマへ」という本を読んでいるのですが、なんとなく笑ったのが
コンモドゥス、エラガバルス、ウァレリアヌスの三人が古今東西のお約束暴君的行動を
取っていた事です。っていうか、有名なことなのかも知れませんけど。
少年をいけにえにしたり、妊婦の腹を開いて見る、というアレです。
やっぱり、ただの暴君と電波ではやることの格が違いますね。

227カイザー:2002/10/09(水) 00:26
「ローマ帝国衰亡史」のお値段はちくま文庫版なら、1300×10、PHP版なら
2,700ですね。文庫本を2、3ヶ月で読破出来たら、凄いと私は思います。時間
的には楽勝でしょうが、私なら気力が続きません。トルコで1人旅してる時に2、3
冊持っていったのですが、日本語が恋しくて仕方なかったのに1回通して読むのが精
一杯でした。

ヴァレリアヌスまで、そんなアホタレなのですか?
キリスト教徒の迫害をしてたことが、不当に評価されてるのではないかと思うのです
が、そうでもないのでしょうか?少なくともコンモドゥスやエラガバルスと比べられ
る様な、(結果はともかく)真のダメ皇帝とは違うと私は評価してるんですけどね。

228マッティアス:2002/10/09(水) 12:12
ダメ皇帝というより、残虐だったのかなあ。雄略天皇のようなカンジ?
キリスト教迫害に関しては、ネロ時代の大火以後、皇帝が率先して国家規模で行われた
のは、ディオクレティアヌスが最初らしいです。そうなんだ〜、って思いました。
松本宣郎先生と弓削達先生は、フラウィウス朝〜五賢帝は迫害の事実ナシ、という
主張ですね。ドミティアヌスの場合、むしろ対象ユダヤ教でしょ。

229カイザー:2002/10/09(水) 23:02
ディオクレティアヌスの時にしても、西の副帝コンスタンティウス・クロルスがキリ
スト教徒を保護していたりしてて(裏切りちゃうんか?)、全然徹底した迫害が出来
てないのですけどね。
基本的にローマのキリスト教迫害は手ぬるすぎますよね。踏み絵から始まり、蓑踊り
でケジメを取らせたという、江戸時代の鍋島班のキリシタン弾圧をもっと見習って欲
しいもんです。(←危険発言)

日本のキリシタン禁令政策はこれ以上ないというぐらい完璧に成功してますよね。歴
史の授業では、あたかも間違ったことをしたかのように教えられていましたが、基本
的には大正解の政策ですよね。確かにキリシタンの人達には同情しますが。

230マッティアス:2002/10/10(木) 00:57
あはは。確かに危険思想だと言われそう。授業とかで教えたら、始末書ものかも。
でも、ローマが日本くらい徹底してクリスティアノイを弾圧していれば、西欧世界も
もうちっと面白い事になっていたかも知れませんね。
実際、何であんまり迫害されなかったかといえば、キリスト教徒自体があまり数多く
なかったことと、初期には大した影響力もなかったことが原因でしょうね。
ユダヤ教徒のように反乱するでもなく、まあだからこそ気味悪いってのもありますが。
そうやって野放し(暴言)にしている間に、教会のシステムも整い、信者の数も増えた
わけですが、実はコンスタンティヌスが公認する前は、さほど多くなかったという、
最近の見解があるようです。↑が元凶か(笑)。

231カイザー:2002/10/10(木) 22:39
聖アンブロシウスがテオドシウス1世を破門して、皇帝が泣きついて許しを請うたと
いう情けないエピソードの頃にも、人数の上ではキリスト教徒は完全な少数派だった
ようです。
完全にキリスト教徒が多神教勢力を凌駕するのは、西ローマ帝国の消滅後ではないで
しょうか?絶えず、蛮族の襲撃にさらされ市場経済が失われると共に、地方共同体の
中核としての教会の存在意義が高まっていったとかいう論文(コラム?)に、成る程
と思っていたことがあります。

ヴァレンティニアヌス1世〜グラティアヌス時代に元老院議事堂でローマ古来神の彫
刻を撤去するかしないかで、キリスト教派と多神教派が散々揉めてたりとかもしてま
すね。最終的にキリスト教徒側の言い分が通るのですが。

232マッティアス:2002/10/10(木) 23:12
なんだよ〜、偉そうなコト言って、やってることイスラム過激派と一緒じゃん!
とか言うと、クレーム来そうですね(苦笑)。
キリスト教も初期は多神教の偶像を、徹底的に攻撃してましたからね。途中から
ずいぶん妥協したけれど。
キリスト教やイスラム教によって、ギリシア・ローマの彫像はだいぶ破壊されましたが、
アウグストゥス像は数も多かったので、結構残っているという話は有名ですよね。
肖像関連で、ふと思ったのですが、アウグストゥス像とアンティノオス像はどっちが
より多数作られたのでしょうね。ちょっと気になります。

233カイザー:2002/10/11(金) 22:34
イスラム教にはシーア派という、カトリックに対するプロテスタントの様な存在が
あるんですが、宗教改革らしきものがないのは不思議なところですよね。イスラム
世界では未だに教義解釈権の独占の様なものがあるのでしょうか?

アウグストゥスの石膏像はローマのテルミニ(中央)駅で買ったやつが、我が家に
飾られています。もちろんレプリカですが。(←当たり前)タオルにくるんで、旅
行中一月ほど持ち歩いてました。

234マッティアス:2002/10/14(月) 22:18
この間まで、うちの両親が会社の企画のイタリアツアーに行っていました。
母から見ても、アンティノオスは美形だったようです(笑)。
でも、ワタクシ的にはアグリッパかドミティアヌス(ありえねえ)が欲しいです。

イスラムも、シーア、スンニ両派ともまた細かい解釈の違いで、いっぱい教義が
あるんですよ。神学はムツカシイので、パス1です。
しょっちゅう新しい宗派ができたりしているところをみると、あんまり独占はない
と思われます。基本的に、個人の信仰ですからね、イスラムって。

スエトニウス岩波文庫下巻を見返しながら、ウィテリウスも電波なので好きではない
けれども、やはり面白いエピが多いなあ、と思いました。
彼が太ったのは、大食漢だったせいばかりではなく、カリグラとハマりまくった戦車
競技でのケガ(片足故障)による運動不足もあるんじゃないかと、ふと思いました。
ウェスパシアヌスも法務官時代、カリグラに追従してかなりえげつないことをやって
いるので、人間、やっぱ最後さえ良ければなんでもアリだと感慨深し。

235カイザー:2002/10/15(火) 20:58
イタリア旅行いいなあ。アグリッパの彫像のレプリカは私も欲しいです。(ドミティ
アヌスはどっちでも・・・ごめんなさい〜)
そういえば、大英博物館でローマ皇帝の生首の彫刻を写真に撮ってる筈です。もしか
したら、ドミティアヌスはその中にあったかもしれません。虫眼鏡で拡大しないと生
首の下に書いてる名前が何て書いてるか読めないのです(笑)。さすがに、顔では見
分けつかないなあ。

スエトニウスはあんまり、ウェスパシアヌスは好きじゃないのかな、とは思ってまし
た。カリグラ時代に出世してた筈ですから、相当おべっかはつかってそうですね。カ
リグラの機嫌を損ねたりしたら、命とりだからしょうがないとは思いますが。

236マッティアス:2002/10/15(火) 22:09
そうでしょうとも。しかも新人ですからね。いっそ小気味いいですよ。
友人と話していたんですが、一見ノンケなウェスパシアヌスも、カリグラやネロとの
付き合いにおいて、美少年と懇ろになったり、うっかりアグリッピナあたりと関係
したりしたかもですよ。なかなか見上げた根性ですよ。
ていうか、電波ともうまくやってけるのね、この人。
フラウィウス朝の人たちは、本宮ひろ志に描いてもらいたいものです。マジで。
いま読んでるホガード「さいごのとりでマサダ」という児童書は、ユダヤ少年視点
だからってのもありますが、卑怯なカンジのぬぐえないヨセフスと、凶悪なローマ
軍の最高司令官ティトゥス(言いすぎ)が、設定的に面白いです。

237カイザー:2002/10/16(水) 01:04
本宮ひろ志のドミティアヌス!?
見てみたいなあ(笑)。

どっちかというと、頑張って虚勢を張ってるという感じのドミティアヌスも本宮先生
お約束のビッグマンとして描かれるとどうなるのでしょうか?

「皇帝はなあ、自分が殺されるまで、己がテロの標的だなんてぬかすこたあできね
えんだよ!!文句ある奴ぁ、前に出てきやがれ!!」

というイメージでOKでしょうか(笑)?

238マッティアス:2002/10/16(水) 13:56
…私的にはティトゥス主人公で想像してました。ウェスパシアヌスは想像しやすい。
ドミティアヌスは「雲に乗る」の阿修羅王みたいの想像してました(爆)。
でも、↑のイメージも面白いかも。私は悪役かなあ、と思っていたので。
ドミティアとかフラウィア・ユリアあたりがすごそうだなあ。脱ぎっぷり良さそう。
ユリアちゃんをいびるドミティア(「赤竜王」の呂太后みたいなの)とか。

239カイザー:2002/10/17(木) 00:39
誰を主役にするかで、イメージは大夫変わりそうですね。

本宮ひろ志ではないのですが、「蒼天航路」の董卓の死ぬ間際のセリフを紹介します。

「天下万民!我を尊ぶべし!呂布!おまえごときにわかろうはずはない!およそ天下
の悉くを自らの手に有し、天下の悉くを意のままにふるまい、欲望・快楽を極め尽く
す!贅の限りをつくし、善悪さだかならぬ果てに届いてこそ尊重な王となるのだ!我
はその王の姿をかいま見たにすぎぬ!!」

長い〜。
これ、呂布(とその他大勢)に斬り殺されてる時にこんだけペラペラ喋ってるのです。
ドミティアヌスの死に様もかくあるべきではないかと(笑)。

ちゃんと覚えてないんですが、吉川英治版とかだったら、「裏切ったな、呂布!!」
ぐらいのセリフだったと思います(笑)。

240マッティアス:2002/10/17(木) 00:52
素敵…。少々太めすぎるけど、格好いいなあ。ボウクンスキー発動中。
「蒼天航路」はあまりにも演義の描写どおりのキャラ容姿(特に孫権)にびびって、
読んだ事ないのですよね。やはり必読ですか。

フラウィウスは少年漫画とか少女漫画じゃなくって、青年誌でやってほしいです。
劇画調が似合いそうだから。キラキラしくて細身のティトゥスはダウト!です。
ウェスパシアヌス主人公も、リーマン向けっぽくていいな、と思います。
ドミティア主人公で、女性誌(女性セブンとか)連載とかなら、まあアリかな。
ちゃんと絵を描く練習して、投稿してみようかしら(笑)。って、ドコに?

241カイザー:2002/10/17(木) 23:59
「蒼天航路」は必読です!!(断言)
曹操が死ぬほど嫌な奴なのを見ないことにして、敵役に感情移入するとグッドなの
です。袁尚(袁紹の三男)が微妙に格好良かったです。

ドミティアのマンガですか?私のHPで良ければ、デジカメで撮影して掲載させて
いただきますよ(笑)。

242マッティアス:2002/10/18(金) 00:14
じゃあまず、レディコミ(しかもやや古め)風の絵柄を身につけるため、3年ほど
修行をしてまいります(笑)。ドミティアヌスとの愛欲ドロ沼系(爆死)。
それともハーレクインでも読んで、ものすごい色ボケした話を書けるようになるべき
なのでしょうかね(イヤすぎ)。

「蒼天航路」読んでみます。昔、「東周英雄伝」なら読んでいたのですが、あれより
話はキツそうですね(笑)。孫策の髪型にもちょっとビビり気味☆
敵役がキャラ立っていないと、話は盛り上がらないッスよ兄貴(馴れ馴れしい)!
なので、今度気合入れて読んできます。ハイ。

敵役にされがちなオクタヴィアヌス(いきなり話題が変る)ですが、実は悪役の彼を
見てハマったんですよね、子供の頃(笑)。何でだったか忘れたけど。
でも実はガンダムで喩えると、カエサルはシャアでオクタはカミーユ系ですよね。

243カイザー:2002/10/19(土) 11:40
「蒼天航路」の諸葛亮は、今まで見てきたどの三国志ものよりインパクトでかかった
です。何をここで書いても信用して貰えそうにないので(笑)、実物を見るのが一番
だと思います。でも、エロ大魔人の孔明も、あの作品の中ではしっくりくるのが不思
議な所。

オクタヴィアヌスもののフィクションって、あんまりイメージ沸かないんですよねえ。
敵対者に情け容赦がなかった辺りは、悪役向きの人物ではありますよね。カエサルみ
たいなエセ善人より、余程人間らしいです、ハイ。

こう見えても、「ローマ皇帝伝」のハチャメチャな記述を読んで、ローマ史に傾倒す
るようになった経歴の持ち主なのです。その割には、皇帝伝の内容がすっぽり頭から
抜け落ちてますが(笑)。E・ギボンの「ローマ帝国衰亡史」にも同じことが言える
のです。(←あかんやろ)

244マッティアス:2002/10/19(土) 21:01
スエトニウスは面白いですよね。通史もわからず、これ読んでみよう、と思った
高校生時代はティベリウスの途中で挫折しましたが。
カエサルの「ビチュニア王の厩」ってのが生々しく頭に残っていました(笑)。
まともに(?)ローマ史関連の本を読むようになってからはまだ2年くらいですが、
何故か最初に手にとったのが「ローマ帝国愚帝列伝」というあたりで、私の進むべき
道が(笑)決まりました。

カエサルのことを「エセ善人」なんて言って、クレーム殺到しても知りませんよ。
私はもっと穏当に「偽善者」とよんでいますけど(笑)。←同じだよ。
カエサルファンは大勢いるし、熱そうですからね。

245カイザー:2002/10/19(土) 21:57
クレームが殺到するほど、ここを見てる方はいないので心配無用です(笑)。もちろ
ん、だから何を書いてもいいというつもりはありませんが。

ローマの本って、10年以上に渡ってちょっとずつ読み続けているので、きちんと頭
の中で整理が出来てないのですよね。それと、全時代を通史的に俯瞰出来るような本
がないんですよね。
それで、とりあえず全時代の概略史を簡単に見れるものを作って見ようかと思って作
成しているのが、「ローマ帝国史略」なのです。内容の薄さに割に時間がかかりすぎ
ていますが。
というか、共和制時代が完全に無視されてるのはダウトっぽいですね(笑)。

246マッティアス:2002/10/19(土) 22:13
共和政か帝政のどっちかにしないと、キリないですよ。アリ×2〜。
一番人気の時代が共和政末期ですから、その辺は他の方に任せておけばいいでしょう。
むしろ、帝国末期というかユリアヌスより後になると、やってる人も少なそうなので、
カイザーさんがそこは押さえるっていうことで。

ローマ関連、10年以上ですか。そりゃあ、昔に読んだのは忘れますよ。
その頃だと、私はイスラム中世というかヨーロッパ中世というか、十字軍関連の本を
漁っていた頃ですね。当時読んだ本、かなりウロです。
最近読んだ本でも、興味なかったりするとすぐ忘れちゃうし。基本的にいい加減。
でも、Webサイトだと多くの人の目に触れることが想定されるから、結構大変そう
ですよね。私にはできなそうです。

247カイザー:2002/10/19(土) 23:23
10年前なんていうと、高校生ですからねえ。当時のパソコンは98(もちろんPC
9801のこと(笑))の5インチフロッピードライブでハードディスクもなしとい
う、今からは想像も出来ない時代です。

どの分野の歴史でも言えることでしょうが、詳細に記述がある時代と、数百年の営み
をたったの1行で終わらされる時代があって、何か納得できないことありますよね。
確かに西ローマの皇帝全員の名前を空で言える人は、何かが間違っているのかもしれ
ません(笑)。

248マッティアス:2002/10/20(日) 00:18
すごい!言えるんですか?アンタ間違ってます(笑)!
一般人は受験の知識もウロになるので、五賢帝をさらさら言うだけで引くのに。
ちなみに私はコンモドゥスまででいっぱいいっぱいRev.です(爆)。

っていうか、↑の発言でカイザーさんの年齢が大体、わかりますね(笑)。
めっちゃ同世代(誤差は最大2歳)やないですか。急に親近感湧いたわ〜。
ちなみにその頃うちはまだ88でしたよ。10年近く使ったんじゃないかな。

249カイザー:2002/10/20(日) 16:41
言えるのは西ローマ皇帝だけですんで、ご心配なさらないように(←何の)お願いし
ます。軍人皇帝時代は結構あやふやなんで、そこさえクリア出来ればイサウリア朝ぐ
らいまでは大丈夫です。(多分)

結構、微妙なのがコンスタンティヌスという名前の皇帝達。
最後のブリタニア軍を率いてガリアとイスパニアを占領したコンスタンティヌス、第
4回十字軍にコンスタンティノポリスを占領される時に一夜だけ帝位にあったコンス
タンティヌス。この2人を皇帝として扱うかどうかで、最後のコンスタンティヌス・
パレオロゴスを何世にするかが変わってしまうのです。ちなみに私は前者は×で後者
は○なので、ラストエンペラーはコンスタンティヌス12世パレオロゴスと主張する
予定です。

250マッティアス:2002/10/20(日) 17:07
う〜ん。第4回十字軍、ロベール・ド・クラリとか読んだのに忘れてる…(汗)。
とりあえず、占領したコンスタンティノープルに、皇后としてフィリップ2世の妹が
いたことだけは憶えてるんですが。

軍人皇帝はもうゴチャゴチャでわかんないっす。(投げやり)
個人的にはアウレリアヌスにちょっと興味はあるけど。教科書に載ってなくていいよ。
ディオクレティアヌスも、皇帝4人とかややこしいことするなよ、っていうくらい、
暗記のニガテな学生でした(爆)。

ビザンツも末期頃だと、完全に私はイスラム方面しか教わった記憶がないです。
まあ、東洋史(西アジア史)専攻だったから、そういう講義だったんですが。
我らがアル・ファーティヒ、まだ21くらいだったんですね、ビザンツ終焉の時。

251カイザー:2002/10/20(日) 22:00
ラテン帝国の家系はあんまり私も分かってないんですが、アンジュー家とは建国当初
から(ボードワン1世でしたっけ?)血縁関係があったんでしょうか?
末期のラテン帝国がシャルル・ダンジューと姻戚関係を結んで同盟したりしてたイメ
ージは何となくあったのですが・・・。私も勉強が足りないです(汗)。

軍人皇帝時代の人名なんて、教科書に載ることはさすがにないでしょう。日本史でも
歴代全天皇を暗記させたりしませんもんね。(本当はしてもいいと思うけど)

ところで、アル・ファーティヒっていうのは、メフメト2世のことなんですか?

252マッティアス:2002/10/20(日) 23:20
そうです。すみません、イスラム仲間ではそう呼んでいます。征服王ってイミなんですが。
あと、フィリップの妹はどうもコムネノス朝だか何だかわからないけど、ビザンツの
皇帝だったか皇子に嫁いでいたみたいなんですよね。妹なんていたんだ、と思った。
ラテン帝国ではないんですよ。あんまり細かい事憶えてないんですけどね。

ビジュアル重視な意見で恐縮なのですが、ディオクレティアヌスの4皇帝共存を
イメージした像、キショいですよね?おっさんが4人ひしっと抱き合ってるヤツ。
スクール・ウォーズか?と思いました。

253カイザー:2002/10/21(月) 22:08
以前にも私は主張したことがありますが、あの4人は絶対に出来上がってます(笑)

ディオクレティアヌス、マクシムス、ガレリウス、コンスタンティウス・クロルス
の4人はイリリクム出身の軍人で、熱い友情パワー(笑)で結ばれていたそうです。
実際にディオクレティアヌスが主導権を握っていたころの四分統治は、良く機能して
いたようで、各国境での防衛や征服に成功しています。
史上名高いキリスト教の迫害を4人仲良く行ってれば良かったのに(←本当か?)西
方副帝のコンスタンティウス(1世)・クロルスは、逆にキリスト教徒を保護すると
いう裏切り行為に及んでます。

俗説ではあるのですが、このディオクレティアヌスの大迫害をマネージメントしたの
は、東方副帝のガレリウスでディオクレティアヌスの意志ではないという逸話もあっ
たりします。

254マッティアス:2002/10/21(月) 23:05
いや、やはり四人仲良く迫害すべきでしたよ!クロルスの裏切り者め。そして…
ディオ様(笑)が迷信深いナザレ人どもを保護なんてしようとしちゃダメ☆(←誰だよ!)
あの四人出来てるって兄さん、どうしてそんな面白い発想をなさるんですか!
私如き者の浅知恵では、到底そんなことは思いつきません。ダメ、負けました(笑)。

キリスト教迫害というと必ず出てくるユリアヌス。辻さんの小説で、アンブロシウスと
対話するシーンが結構好きだったんですよね。どちらも頑なでまっすぐで。
いい文章だったと思うんですが、だからってそれを引用するのはどうかと思うよ、
「ユダヤ教とローマ帝国」(とかいうタイトルの講談社現代新書)。
塩野さんもユルスナール「ハドリアヌス帝の回想」から引用しまくってたけど。

255カイザー:2002/10/22(火) 22:32
同時代人の書いたものならともかく、最近(ってこともないけど)の小説から引用し
てもいいのは、素人だけですよね。一応、一次資料に近いのを何とか探してくるのが
学者先生の専門家たる由縁ですもんね。
塩野七生が学者かどうかは疑問ですが(笑)。

アンブロシウスはユリアヌスと面識があるんですね。(小説の中だけなのかな?)
ガチガチのキリシタンとストア派的な理想主義者のユリアヌスは、宿命のライバルに
なったかもしれません。結局、ユリアヌスが戦死してしまったので、アンブロシウス
の不戦勝ですね。

256マッティアス:2002/10/22(火) 23:21
多分、小説の中だけだと思いますが。興味深いからって、そんなもん使うな!
しかも小説ではやたら「う〜む」「え〜む」を連発するうざったいしゃべりは省略。
半端な引用の仕方するなあ、この人、と思いました。大学のレポでやったら叱られます。

塩野さんは本人も言ってるけど、あくまで売文家なので、学者でも専門家でもないです。
でも、彼女の本だけを参考文献にゼミ・レポート作ってきた馬鹿者がいて、先生に
叱られていました。(ちなみに「コンスタンティノープルの陥落」でした)
だから、彼女が学術系の文庫やら新書、選書に執筆することはまずないでしょう。
させたとしたら、出版社の不勉強ぶりをさらすだけだと思います(毒)。

257カイザー:2002/10/23(水) 23:47
そういえば、「ローマ人の物語」を参考文献に入れてて怒られてた学生がゼミでいま
したね。
塩野七生は自称専門家という位置づけで私は見ているのですが、小説家の範疇で満足
されてるんでしょうか?だとしたら、ちょっと塩野七生の評価が変わってきますね。
何にしても、政治家が塩野七生をちやほやしてるのは、どこかが間違ってる気がしま
す。

コンスタンティウス1世って何げに重要人物なんですよね。キリスト教の保護につい
ての是非は置いとくとしても、彼の死が四分統治体制崩壊のきっかけとなってる訳で
すからねえ。

258マッティアス:2002/10/24(木) 00:01
ああ、そうか。彼が父から共同統治者にされていた親族を打ち破って、まずは2人
(正帝・副帝)体制にして、彼の死後また単独皇帝になりましたよね、確か。
結構エウセビオスやらなにやらの言いなりになってる、イヤなイメージもありますが。
無能では決してないし。わりと強運な気もします。

塩野さんは「ローマ人」の10巻で、私は売文家だから専門家とは違う自由な発想が
できることもあるのよ、みたいなことを言っていたような気がします。多分。
政治家や、はては北野たけしまで塩野さんをちやほやしているのを見ると、何かが
間違ってるなあと思いますね。彼女に素っ気無い態度を取ったヒデはすごい。
(友人に聞いた話ですけどね。ヒデの件は)

259カイザー:2002/10/24(木) 22:56
マッティアスさんの思っておられるのはコンスタンティウス2世(1世の孫)じゃな
いですか?
コンステンティウス2世は、初めにハンニバリアヌスとかダルマティウス(2人とも
コンスタンティヌス1世の甥)といった、予定では共治帝の候補者を含む皇族の大粛
正を行ったと言われていますね。この辺の事情は検証の余地は大いにあるかと思いま
すが。
コンスタンティウス1世の構想では、自身の3人の息子と2人の甥による5分統治を
計画していたようですね。その反動という意味はあると思います。

コンスタンテヌス2世とコンスタンスの内戦も、マグネンティウスやヴェトラニオと
いった対立皇帝との争いもどっちかというと、偶発的な気はしますよね。何しろ、コ
ンスタンティウス2世は臆病風に吹かれて教会でお祈りに明け暮れてた(本当か!?)
とか書かれてるし。

ヒデはイチローと並んで嫌いなスポーツ選手だったりするんですが、塩野七生に無関
心だというのは、真っ当な人間の反応ですね。そもそも、彼女の小説を面白いと思わ
ない人がちやほやする必要なんてどこにもないですよね。
中田が「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」を読んでるイメージが沸き上
がって来ないのは偏見でしょうか?

260マッティアス:2002/10/25(金) 13:40
確かに思い浮かびませんね、ヒデが塩野小説を読みふける姿。
村上龍とは友人なのにねえ。彼も謎の多い人物です。

コンスタンティウス、完全に2世と間違って書いてます。ヤバイ、注意力散漫。
1世の5分割って、どこをどう分けるつもりだったんでしょう。
2世のほうは教会でお祈りに明け暮れている、というよりも陰謀家ってイメージが
何故かあります。
しかし、ユリアヌスの兄・ガルスの顛末はなんかお粗末。

261カイザー:2002/10/26(土) 12:01
ガルスは別に野心があったわけでもないでしょうし、皇族として生まれたことが不幸
だったということかと思います。

ちなみに、コンスタンティウス2世が実際に対立皇帝と戦争したのは、ゲルマン人の
僭帝マグネンティウスとだけです。マグネンティウスに勝利したムルサの戦いは古代
最大の戦いの一つと言われている(らしい)です。この時に前線から放れた教会で、
お祈りしていたということを、ギボンが書いています。
ちなみに、コンスタンス1世とコンスタンティヌス2世との内乱の時には、ササン朝
のシャープール2世とアルメニアやシリアを巡って紛争の真っ最中だった筈です。

262マッティアス:2002/10/26(土) 13:52
シャープール2世というと、狩りをしている図柄のコインが思い浮かびます。
だからって、別に優雅な生活してただけじゃないんですね(爆)。そうかあ、あの時代
なんだ〜。もうすっかり何もかも忘れている気がしてなりません(泣)。

いま、フラウィウス・ヨセフスの『アピオーンへの反論』を読みながら、ユダヤ人は
中世のキリスト教徒よりも余程、論理的な考えを持っていたのだろうかと検討中。
ヨセフスがちょっと教養人すぎて異端だという噂もありますが。
戦争に勝とうと負けようと、それは神の摂理で、信仰が薄いから負けたとかじゃない、
というのにいたく感動していました。
でも、帝政後期の皇帝とか一般信徒って、何でもかんでも信仰心の問題に帰してしまい
そうなイメージありませんか?(←思いっきり偏見)

263カイザー:2002/10/27(日) 11:06
フラウィウス・ヨセフスが当時の一般的なユダヤ教徒とは思いにくいですね。
塩野七生さんの「ローマ人の物語」を読んだ記憶しかありませんが、ローマ軍に包囲
されてしまい降伏せずに集団自決する中で、自分だけが生き残ってウェスパシアヌス
(ティトゥスかな)に降伏して協力したというのは、一神教徒らしからぬ日和見ぶり
に思えてしまいます。
私も宗教方面の知識は完全に素人なんで断定する気はありませんが、ヨセフスは(本
人の意志はどうあれ)裏切り者以外の何者でもないんじゃないでしょうか。

後期帝政の皇帝達は以外に思うかもしれませんが、キリスト教一辺倒の政策を採って
いるという事でもないんですよね。
一番、酷い(って書き方もどうかと思いますが(笑))テオドシウス1世にしても、
聖アンブロシウスに脅迫されて渋々キリスト教絶対主義的な政策を打ち出していると
いうのが、当たらずとも遠からずという所かなと思います。

264マッティアス:2002/10/27(日) 11:44
ああ、中世以降なのかな、そういうあほな考えに染まって行くのって。
皇帝たちとか議員とか、知識のある人々はそれなりにもうちょっと広い視野も持って
いたのかも知れませんね。宗教関係者が必要以上にのさばるのは、大帝国にとって
あまり望ましい事態じゃないのかも。

ヨセフスは、当時どころか死後1900年経った今でさえ、ユダヤの同胞達の多くに
許してもらえていないそうですね。そりゃそうか。
著作を読むと、彼なりのジレンマやら自意識やらが垣間見えて、なかなか切ない
のですが。でも、ちょっぴり御用史家なので、「ユダヤ戦記」のウェスパシアヌス、
ティトゥス両帝はカッコよすぎて嘘です。

265カイザー:2002/10/27(日) 12:12
やはりヨセフスは売国奴扱いなんですね。しょうがないと言えばしょうがないですね。
ローマから見れば、信仰と現実の両面に柔軟に対処出来るヨセフスタイプの人材がい
っぱいいれば、ティトゥスのエルサレムの破壊とかハドリアヌスのユダヤ人追放政策
なんてことはしなくてすんだんですけどねえ。
そんなんだったら、ユダヤ教のアイデンティティが軽く2000年以上も続くことも
なかったでしょうが。

ウェスパシアヌス時代のイスラエルって、ローマからみればキリスト教徒はユダヤ教
の一宗派みたいなものだと「ローマ人の物語」に書いてました。それが正しいとすれ
ば、ネロ帝のキリスト教迫害ってユダヤ教も一緒に迫害されてたんでしょうか?

266マッティアス:2002/11/01(金) 21:46
キリスト教徒って言い方は、多分ネロ時代頃には出てきたんじゃないですかね。
始めは「ナザレ派」「イエズス派」みたいな呼称でユダヤ教の異端みたいな扱い。
パウロの伝道あたりから、クリスティアノイという括りで認知されるようになった
ように思います。イエスの弟を中心にする、原始ユダヤ教への回帰を説く一派と、
ユダヤに限らず他民族へも伝道する方針のパウロの一派に分かれたようです。
なのでネロに迫害されたのは、多分、キリスト教徒のみでしょう。
ユダヤ教徒は近親憎悪で、キリスト教をとても憎んでいたようですね。

こうしたユダヤ教とキリスト教の考えの違いと、写本作成者の恣意的な挿入により、
ヨセフスの著書がキリスト教世界に生き残ったわけですから、不思議です。
(「ユダヤ古代誌」ヨセフスのキリスト証言というやつです)

267カイザー:2002/11/02(土) 00:41
イエスの弟なんていてるんですね。
聖書や伝説でしか確認できない人物なのか、実在が間違いない人物なのかどうなん
でしょうか?

12使徒の中で歴史学的に実在が疑いないのはパウロだけらしいですね。パウロは
イエスと面識はないんですよね。幻覚が説教をかましていたというマンガみたいな
設定。
ティトゥスの行ったエルサレムの破壊がなければ、原始キリスト教の史料も現存し
ていたんでしょう。本当に残念なことです。

268マッティアス:2002/11/02(土) 13:43
イエスの弟、だと伝えられてる使徒ヤコブってのがいるんですよ。
まあ、マリアもイエスのあとヨセフの息子を産んでいるので、それと同一視される
人物ですね。
この人とパウロが、非ユダヤ人改宗者の割礼を強制するか否かで、分裂したんですよ。

イェルサレムの破壊は、ティトゥスもやったけど、なんだかんだであの後復興して、
決定的に破壊されたのは、第2次ユダヤ反乱のとき、ハドリアヌスによるものですね。
原始キリスト教資料かよくわかりませんが、いわゆる死海文書なんかに含まれていそう
ですよね。ユダヤ商人の実態とか。気になるけど、全然手付かずです。
基本的に、ネロやドミティアヌスの迫害が騒がれだしたのって、3世紀以降らしい
です。実際には、同時代のキリスト教徒は皇帝による迫害を、特別記述してないという
のはよく話題になりますね。

いま友人に貸したきりなんですが、ちくま学芸文庫『ヨセフス』(秦剛平)はそのへん、
結構いろいろな推論が載っていて面白かったです。

269カイザー:2002/11/04(月) 02:45
マッティアスさんの読まれている「ユダヤ戦記」もちくま文庫ですよね。訳本は読む
のが骨だなあと思うと、なかなか手を出す勇気がないんですよね。
いつか読まなければいけないと、心に誓うだけに留めておきます(笑)。

ネロやドミティアヌスの迫害は小規模なものなんでしょうね。もしかしたら、今で言
う南京大虐殺みたいなものなのかもしれませんね。

初代ローマ教皇とされるペテロ(が実在したかどうかはおいとくとして)が死んだの
は、一般的にはネロ帝の迫害とされていますが、ウィテリウスのローマ占領〜アント
ニウス・プリムスのローマ占領の間のゴタゴタに巻き込まれたという説もあるようで
すね。

270マッティアス:2002/11/04(月) 10:55
そうそう、後代になって教父作家の人たちが、暴君に迫害された人を無理やりキリスト教徒
にしちゃったり(ドミティアヌスの従兄弟クレメンスなど)、殉教物語を華々しく創作したり
してますからね。年代のズレなんかは小さな作為にすぎませんよ。

むしろ、ドミティアヌスはユダヤ教徒を迫害ってイメージだし。実際には、税を取り立てる
ために割礼チェックを細かくしたってだけですが。

271カイザー:2002/11/04(月) 15:30
現代のキリスト教徒って、刑死後のイエスの復活とかを素朴に信じてるんでしょう
かね?
ローマへ伝道に行く途中のペテロやパウロの前に突如現れて啓示を与えてまたすぐ
消えてしまうとかの伝説なんかもありますよね。
西洋人の聖書に対する意識っていうのも良く分からない。ルターとかだと原理主義
的に全部信じてそうで、かなり怖いです。

日本人なら古事記に記述されてる神話を真面目に信じてるなんて、考えられません
もんね。

272マッティアス:2002/11/04(月) 22:40
研究者と宗教者は微妙に考え方も違うみたいですね。
素朴であまり教育を施されていない人ほど、聖書の記述をそのまま信じているカンジ。
ものすごい偏見ですが。キリスト教徒でも、イエスの行為や言葉は認めつつ、使徒らの
言葉や教会には疑問を持つ人とかもいるみたいです。
いかんせん、自分が不信心な人間なので、あまりよくわからない感覚ですね。

そういえば、(単に勉強不足なのですが)皇帝が死後神格化されたのって、大体、いつ頃
までなのでしょうね?とりあえず、始まりはカエサルの神格化だとして。
キリスト教を公認したコンスタンティヌス以後は、まず削除。ああ、急に気になって
きました!

273カイザー:2002/11/05(火) 00:10
コンスタンティヌス1世までは死後神格化されてますね。
それ以降のキリスト教皇帝達は多神教の神格化はされてなかったと思います。ユリ
アヌス辺りは神格化しようという動きがあっても良さそうですが、聞いたことはな
いですね。

コンスタンティウス2世はアリウス派信徒なんで、聖アタナシウスを迫害してるん
ですよね。3兄弟の領地をたらい回しにされてるという不憫なお方です。

274マッティアス:2002/11/05(火) 10:25
聖アタナシウスがどうなろうと、知ったことではありませんが(笑)。
正統派による異端の迫害って、凄まじいものありますよね。近親憎悪?
イスラムでいうシーアとスンニ以上。ほとんど虐殺に近いでしょう。怖いっす。
十字軍のときは、イスラム教徒よりもユダヤ教徒や東方教会の信徒のが殺されてたし。

コンスタンティヌスって神格化されたんですか。じゃあ、やっぱりキリスト教改宗は、
教会側のでっち上げ?聖人に列するならわかるけれども。
ユリアヌスやその部下の軍人皇帝は長期にわたらなかったし、一般民衆の支持がない
から、神格化は難しかったでしょうね。

275カイザー:2002/11/05(火) 22:49
コンスタンティヌス1世が洗礼を受けたかどうかは、最近では疑問視する見解を良く
見るようになりましたね。
私も詳しくは知りませんが、2次史料・3次史料でしか記述がないんでしょうね。
あってもキリスト教徒の偏見だらけの史料だったりしたら価値が低いでしょうし。

ヨヴィアヌスはペルシア遠征の敗戦処理も満足に出来ずに死んじゃったんで、仕方
ないでしょうね。というか、この人はキリスト教徒じゃないんでしょうか?
次のヴァレンティニアヌス1世と弟の共治帝ヴァレンスはキリスト教徒の皇帝なん
でやっぱり神格化されてないでしょうね。
このヴァレンスがハドリアノポリスの戦いで西ゴート族に無謀な戦いを挑んで、ゲ
ルマン人のローマ領定住化を決定的にしたお方なのです。

276マッティアス:2002/11/05(火) 23:42
ヨウィアヌス、「背教者ユリアヌス」ではなんかユリアヌスに心酔してる部下、って
印象があるのですが、手元にないから確かな事は何も言えません。

ヴァレンティニアヌスって名前の響きが好きなんですけどね。兄弟で共同統治、そこは
うまく行っていたんですか?兄弟って、めっちゃ仲良いか仲悪いか、どっちかですよね。
実は途中までしか読んでいなかった、クリス・スカーも読みたいのはやまたまですが、
現在借りている図書が多すぎて、手が回らないんです(泣)。

277カイザー:2002/11/06(水) 21:10
ヴァレンティニアヌス1世とヴァレンスは仲良し兄弟でしたよ♪
ヴァレンティニアヌス1世は死ぬほどマイナーな皇帝ですが、名君と呼ぶに相応し
い人物です。ゲルマン人との戦争中に講和の使者の生意気ぶりに激怒して、脳卒中
で死んでしまったという、おもろい人です。
ヴァレンティニアヌス1世はキリスト教徒でしたが、古来からの多神教にも寛容だ
ったそうです。西方領土を基盤とする最後の強力な皇帝としてギボンもベタ誉めし
ています。タイプで言うならハドリアヌスが近いかな?

弟のヴァレンスはコンスタンティヌス家の生き残りの僭帝プロコビウスにコンスタ
ンティノポリスを占領されるという屈辱を味わいながらも、東方領土を維持してい
たという所まではなかなかのものだったのですが、西ゴート族のドナウ渡河の阻止
に失敗し、ローマ軍との軋轢から暴徒化したゴート人にグラティアヌス帝(ヴァレ
ンティニアヌスの息子)の援軍を待たずに、戦端を開いて討ち取られる
という致命的な失敗を犯したのが全てを台無しにしています。

ちなみにクリス・スカーではこの両帝の記述はおざなりでした。

278マッティアス:2002/11/06(水) 21:26
ああ、やっぱり。
何か、クリス・スカーの叙述も、コンスタンティヌス以降、いや五賢帝あたりから結構、
おざなりになってる気がしたのは気のせいじゃないんですね。
っていうか、やっぱりタキトゥスとかスエトニウスとか、割に近い時代の人が書いた
史料残ってる時代のが、まとめやすいんだろうなあ。ユリウス・クラウディウス朝は
どの本見ても、それなりにきちんと書かれてますよね。
塩野さんも今年の分は苦労したんだろうなあ。

何と!ヴァレンティニアヌスは憤死ですか。ローマ教皇にもいましたねえ、憤死した人。
高校の授業のあと、あほな相方が「憤死って格好良いよね。憧れだわ」とかぬかして
いましたが、私はちょっぴり格好悪いと思います。ある意味、格好良いのか?

279カイザー:2002/11/06(水) 23:41
軍人皇帝以降がおざなりなのは、どの本も共通ですね。
四分統治制→コンスタンティヌス1世の統一戦争前後とユリアヌスの宗教改革に若
干の記述があって、残りは手抜きという本の何と多いことか(涙)。
テオドシウス1世以降は教会関係に偏ってるけどそれなりに史料もあるらしいので
すが、普通に売ってる本ではいいのがないんですよね。

ヴァレンティニアヌス家の怒りんぼうは家系だと思います。
 ヴァレンティニアヌス1世:アレマンニ族の使者に激怒して憤死
 ヴァレンティニアヌス2世:側近のアルボガストの専横に怒って殺害を実行した
              ら返り討ち
 ヴァレンティニアヌス3世:功臣アエティウスの野心を疑って自ら惨殺、後に残
              党によって殺される

 みたいな感じです。
 ちなみに、血縁関係は2世は1世の息子で3世は1世の曾孫です。
(1世の娘ガッラがテオドシウス1世の後妻となって3世の母親ガッラ・プラキ
ディアを産んでいます)




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