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金融政策スレ

975とはずがたり:2016/07/17(日) 21:53:01
2016年 07月 16日 15:57 JST
コラム:金融政策の限界、英利下げ温存が暗示=田中理氏
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-osamu-tanaka-idJPKCN0ZV0S8?sp=true
田中理第一生命経済研究所 主席エコノミスト

[東京 15日] - 英国の欧州連合(EU)離脱は、ことの重大性の割に経済的な影響が今ひとつ見えないイベントだ。その影響の大きさを測りかねているのは、英国で事業活動を展開する企業関係者や、筆者を含めた民間エコノミストばかりではないようだ。

イングランド銀行(英中銀、BOE)は14日、大方の市場予想に反して緩和を見送った(わずか2週間ほど前にカーニー総裁が「夏場に追加緩和が必要になる」と明言していたにもかかわらず)。

BOEの金融政策委員会(MPC)は、1人の政策委員が0.25%の利下げを主張したが、カーニー総裁を含む残り8人の委員が現状維持に投票し、賛成多数で追加緩和を見送った。同時に、「(次回8月4日の会合では)大半の政策委員が追加緩和を予想している」との異例の声明を発表し、8月の追加緩和を強く示唆した。3週間後の緩和実施がほぼ決定しているにもかかわらず、今回見送ったのは一体なぜだろうか。

それは、離脱リスクに対する金融市場の動揺が収まりつつあり、経済的な影響の大きさを精査し、必要な政策の組み合わせを検討する時間的な余裕ができたためだろう。夏場の緩和が必要と訴えたカーニー総裁の発言は、投票後の市場の動揺が続く6月30日だった。不安が先行する市場にまずは安心感を提供する必要があった。

投票結果を受けて、企業の設備投資や採用計画の手控えなどの伝聞情報は聞かれるが、投票後を調査期間としてカバーする経済データは、家計や企業マインドの慎重化、不動産市況の冷え込みを伝える一部のサーベイ調査を除いて、まだ発表されていない。より多くの経済データを確認したうえで、8月会合に合わせて発表される定例の「物価レポート」で新たな経済・物価見通しを作成し、必要な政策措置を発表する算段なのだろう。

<長期戦に備え、前のめりの緩和を回避>

13日に就任した英国のメイ新首相は、インフラ投資など財政支出の拡大に意欲を示している。ハモンド新財務相は14日、BOEの政策発表に先駆けてカーニー総裁と会談し、経済安定や国民生活の防衛に向けて、BOEとの間で政策協調を模索する方針を示唆した。

早期に緊急予算を取りまとめる予定はなく、夏場に協議を進め、恒例の「秋の財政声明」で新政権の経済政策や財政運営方針を発表する。今回の緩和見送りには、新政権との間で最適なポリシーミックスを模索するうえで時間が必要だったことも影響した模様だ。

カーニー総裁による「夏場の緩和」示唆後、市場参加者の間には7月に7年半ぶりとなる利下げを再開し、8月に連続利下げと量的緩和の再拡充に踏み切るとの観測も高まっていた。緩和観測が独り歩きするのを防止する狙いも、今回の緩和見送りにはあったと考えられる。ただ、単に緩和を見送るのでは失望が大き過ぎるため、8月の緩和を強く示唆する声明とセットにしたわけだ。

976とはずがたり:2016/07/17(日) 21:53:17
>>975-976
緩和期待を反映したポンド安は、輸出企業の業績改善につながる一方、輸入物価の上昇を通じて家計や企業の負担増を招く。国民投票後に対ドルで13%余り下落したポンドは、2014年央のピークと比べれば25%近くも下落している。貿易赤字国の英国では、少なくとも短期的にはポンド安による実質購買力の目減りの方が、経済的なダメージが大きくなる。

BOEの政策金利は現在0.5%。カーニー総裁は過去に、銀行収益圧迫などマイナス金利の副作用を警戒する発言を繰り返しており、当面の利下げ目処はゼロ%か、それをやや上回る水準にあると考えられる。BOEの過去の利下げの最小単位は0.25%で、7・8月に連続利下げをすれば、利下げ余地はほとんどなくなってしまう。国債や社債を購入する量的緩和策(資産買い入れプログラム)を再開する場合も、10年物の英国債利回りが0.8%前後と史上最低圏にある現在、金利高騰時ほどの効果は期待できない。

EU離脱リスクの英国経済への影響が本格化するのは年後半以降と見られている。初期の離脱ショックが一巡した後も、市場を覆う不確実性は向こう数年にわたって消え去ることはないだろう。離脱協議は最低でも2年続くとされるが、ハモンド新財務相は12日、離脱協議が6年程度続く可能性があると発言した。長期戦に備える必要があるBOEは、前のめりで緩和を打ち出していては、すぐに弾切れとなる恐れがある。

<相次ぐ危機に中銀の対応能力も限界へ>

こうしたBOEの苦悩は、他の主要国中銀にも伝播する可能性がある。サブプライム危機に端を発した世界同時不況、ギリシャ危機に始まる欧州債務危機、その余韻が冷めやらぬうちに起きた今回の英国EU離脱危機など、相次ぐ危機に各国・各地域の財政当局や中銀は対応能力を使い果たしつつある。リーマン・ショック時には巨額の財政出動と大胆な金融緩和を総動員して難局を乗り切ったが、その余力はほとんど残っていない。

米連邦準備理事会(FRB)に次いで利上げに踏み切ると目されていたBOEがその機会を逸し、自ら政策金利の下限としていた水準から利下げを再開し、EU離脱リスクの長期戦に挑もうとしている。どうにか利上げにたどり着いたFRBも、次の一歩を踏み出すのに躊躇(ちゅうちょ)している。

株式市場は先日の米雇用統計での「ほど良い数字」に安堵し、適度な経済成長と早期の追加利上げ見送りによる「ゴルディロックス相場(過熱せず冷めすぎてもない、ちょうど良い状態)」への期待を強めている。だが、FRBがこのままズルズルと利上げを先送りしていけば、次の景気後退局面が米国を襲った場合、政策対応余地はどれだけ残っているのだろうか。

相次ぐ金融緩和と原油価格の底入れ後も、ユーロ圏の期待インフレ率が低迷しており、欧州中銀(ECB)は今後も追加緩和を迫られそうだ。預金ファシリティ金利をマイナス0.4%まで引き下げたECBにとって、さらなる利下げは銀行収益圧迫や運用難加速の副作用との戦いとなる。来年3月に終了期限を迎える量的緩和を再延長するには、ドイツを中心に買い入れ可能な国債が不足する問題を解決する必要がある。

そして、BOEのさらに先を行く日銀は、「ヘリコプターマネー」や「永久債の日銀引き受け」と言った異例の政策議論が盛り上がる有り様で、金融政策の限界を露呈している。

*田中理氏は第一生命経済研究所の主席エコノミスト。1997年慶應義塾大学卒。日本総合研究所、モルガン・スタンレー証券(現在はモルガン・スタンレーMUFG証券)などで日米欧のマクロ経済調査業務に従事。2009年11月より現職。欧米経済担当。

(編集:麻生祐司)

977とはずがたり:2016/07/18(月) 07:39:50
欧州・米国・日本・中国から出すとして,ポストは専務理事(欧)・筆頭副専務理事(米)・専務理事(4人内2人が日,中から)と云う構図か。

IMF、中国の副専務理事退任へ
任期満了で7月
http://this.kiji.is/118101126652052980?c=110564226228225532
2016/6/22 06:31

 【ワシントン共同】国際通貨基金(IMF)は21日、中国出身として初めて副専務理事に就任した朱民氏が5年間の任期を満了し、7月下旬に退任すると発表した。既に後任の人選に着手。後任も中国出身者になれば、4人いる副専務理事の一角が中国の指定席化しそうだ。

 副専務理事は、組織のトップでフランス出身のラガルド専務理事を支える要職。朱氏のほかに、ナンバー2に当たる筆頭格の米国出身リプトン氏、日本の財務省出身の古沢満宏氏、ブラジルとイタリアの国籍を持つグラッソ氏がいる。

 専務理事は欧州、筆頭格の副専務理事は米国、副専務理事の一人は日本から出すことが慣例となっている。

978とはずがたり:2016/07/18(月) 07:48:09
IMF報告書
市場、混乱再燃の恐れ 中国に改革要請
http://mainichi.jp/articles/20160414/k00/00m/020/123000c
毎日新聞2016年4月13日 22時45分(最終更新 4月13日 22時46分)

 【ワシントン清水憲司】国際通貨基金(IMF)は13日、世界の金融情勢を分析した金融安定報告書を公表した。世界の金融市場は年明け以降の混乱から落ち着きを取り戻したものの、各国が追加的な措置を打ち出さなければ「再び混乱に陥る恐れがある」と警告。中国に企業の過剰債務(借金)対策などの経済改革を呼びかけた。

 年明けから続いた世界的株安について、IMFは「(最近は)大部分が値を戻した」としながらも、混乱の余波として「(経済の先行きへの)信認が低下し、金融の安定にもマイナスの影響が及んでいる」と分析。混乱が再燃すれば、企業が資金を借りにくくなって景況感が悪化し、一段と市場が不安定化する「悪循環に陥る恐れがある」と指摘した。

 中国は景気減速に伴って企業が抱える多額の借金が問題になっている。報告書によると、返済できない恐れのある借金は1兆3000億ドル(約140兆円)に上る可能性がある。中国の銀行が7560億ドルの損失リスクを抱えるほか、投資会社が高利回りで資金を集めた「理財商品」など、銀行以外の「影の銀行(シャドーバンキング)」などにも多額の損失が及ぶ恐れがあり、早急な不良債権処理を求めた。

 また、市場の混乱で欧州の銀行株が大きく売られたのは「長く残る負の遺産に市場が再び注目しているため」として、不良債権の抜本処理や銀行再編の必要性を訴えた。

979とはずがたり:2016/07/18(月) 16:44:53
中国の負債額「GDPの2.5倍」 政府系シンクタンク
http://www.asahi.com/articles/ASJ6K4JMQJ6KUHBI01H.html?iref=com_alist_8_02
北京=斎藤徳彦2016年7月18日13時06分

 中国全体の負債額が国内総生産(GDP)の2・5倍にのぼるとの試算を、中国の政府系有力シンクタンクが発表した。国際通貨基金(IMF)も「切迫している」と警戒を強める借金問題に、中国政府が抜本的な対策を示せるかが注目を集めている。

 借金の総額は2015年末時点で168兆元(約2650兆円)。GDPの249%に達し、うち企業分が156%を占める――。

 中国社会科学院国家金融・発展実験室の李揚理事長は先月、こうした試算を公表し、「企業の債務に問題が生じれば、銀行にも波及する」と警鐘を鳴らした。

 IMFの見方は「今日の借金問…

980とはずがたり:2016/07/18(月) 18:52:10
中国主導のAIIBは大丈夫? 待遇悪すぎ人材集まらず…韓国人副総裁は不祥事で退場
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160718-00000505-san-bus_all
産経新聞 7月18日(月)9時12分配信

 中国の主導で年初に発足したアジアインフラ投資銀行(AIIB)が求人難に苦しんでいる。AIIBの給与や福祉の水準が他の国際機関より低く、人材が集まらないのだ。AIIBでは今月に入り、韓国が送り込んだ副総裁が韓国造船大手の粉飾事件の余波で職を失うなど、人事関係でつまずきが表面化しており、機能不全を心配する声も上がっている。

 AIIBが6月末に開催した初の年次総会には、既に加盟している57カ国に加え、新規参加を希望する24カ国の代表も出席。参加が実現すれば、日米が主導するアジア開発銀行(ADB)の67カ国・地域を上回る規模となる。ただ、規模が大きくなっても中身が伴っていない。

 今回の年次総会では発足後初の融資案件として、バングラデシュの電力網整備など4事業に計5億900万ドル(約520億円)を投じることが報告された。

 ただ、4事業のうち単独融資はバングラデシュの事業(1億6500万ドル)のみで、パキスタンの高速道路建設(1億ドル)やインドネシアのスラム街の環境改善(2億1650万ドル)など3件は、アジア開発銀行(ADB)などとの協調融資に頼り、独自の資金調達は先が見えないのが実態だ。

 さらにAIIBの求人難も先行きに疑念を抱かせる。韓国経済新聞を翻訳した中央日報日本語版によると、AIIBの関係者の話としてAIIBは1月の発足当時、年末までに計100人の人材を採用する方針を決めたという。 

 採用対象は、ADBや世界銀行、国際通貨基金(IMF)などで勤務した経歴、またはグローバル投資銀行のインフラ関連プロジェクトのファイナンシング分野で勤務した経験がある専門家だ。だが、発足から5カ月余りで、採用者は33人にとどまる。

 採用者が集まらないのはAIIBの待遇にあるらしい。報道によると、AIIBの関係者は「AIIBの待遇が他の国際機関に比べてよくないため高級人材が志願しない」と説明。AIIBを主導する中国政府は当初、職員の給与を他の国際機関より10%高く設定したが、発足前に各国代表で構成された理事会は「給与が過度に高い」という批判が提起されると、他の国際機関より10%低くしたという。職員に住居費と学費も支援しないことにした。

 ちなみに、フィリピンのマニラに本部があるADBは、職員の住居費と国際学校の学費全額を支援している。米ワシントンDCにあるIMFは国際学校の学費を支援する。

 子供を学校に通わせている専門家らが、AIIBに手を挙げない理由はここらへんにありそうだ。

 AIIBの人事関連のつまずきはまだある。今月、創設メンバー国の韓国が副総裁職を失うことになったのだ。

 出資比率で中国、インド、ロシア、ドイツに続く5番目の地位を占める韓国は、副総裁(5人)の一角に洪起沢(ホンギテク)・韓国産業銀行会長を送り込み、洪氏は投資リスク管理担当の副総裁(CRO)を務めてきた。

 しかし韓国造船大手の粉飾事件の余波が洪氏にもおよび、同行会長時代の責任を問われた洪氏はこのほど副総裁の休職に追い込まれた。

 洪氏は朴槿恵大統領の経済ブレーン。中国側の強い圧力があったとも報じられている。経営モラルが疑われる不祥事によるAIIB開業後わずか半年での洪氏の「退場」は、中韓関係に影響する可能性も指摘されており、AIIBの先行きに影を落とす恐れもある。

981とはずがたり:2016/07/19(火) 21:37:14
教科書的な知識では高橋財政が日本の景気を下支えしたと云う事だけどニューディール政策も最近じゃあ大恐慌からの恢復に役立ったとは云えない(→結局戦争により恢復)と云う実証研究結果も出てる様だがそういうちゃんとした実証研究の結果なのかね?

高橋是清蔵相の生涯と死に見るヘリコプターマネーの功罪
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-19/OAJJCW6JTSEK01
Rich Miller、Enda Curran
2016年7月19日 12:25 JST

「ヘリコプターマネー」採用に向けた圧力に直面する日本銀行の黒田東彦総裁は、戦前の高橋是清蔵相の生涯、そして死をぜひとも思い起こすべきだろう。
  高橋蔵相は1930年代前半、日本経済の立役者として日銀による国債引き受けという、ヘリコプターマネーに相当する政策を打ち出した。金本位制からの離脱と相まって、高橋蔵相のリフレ策は「日本を大恐慌から見事に救った」と、当時米連邦準備制度理事会(FRB)理事だったバーナンキ前議長は2003年の来日時の講演で指摘した。円相場の急落も寄与した。
  残念ながら話はここでおしまいとならない。高橋蔵相はその後、軍事費削減による赤字抑制を目指したが、1936年の二・二六事件で反乱軍の将校に暗殺された。財政規律の破綻とインフレ高進に見舞われた日本は、第2次世界大戦に歩みを進めることになった。
  そして今、デフレ的な落ち込みを回避しようと黒田総裁が努める中、どのような教訓を導き出すべきだろうか。
  バーナンキ氏の言う通り、高橋蔵相の施策は効果を発揮した。だが、その後の歳出引き締めはできずじまいとなり、日本の財政と経済に悪影響を及ぼした。
  ノーベル経済学賞受賞者の故ミルトン・フリードマン氏が1969年に考案したヘリコプターマネーという言葉は、財政政策と金融政策の融合の簡略表現となった。政府が市中で国債を発行するのではなく、中央銀行から直接的に資金を引き出し、減税ないし歳出の形で経済にそのまま資金を投入する。それがどのように機能するか、正確な動きは十分に定義されていない。
  日本の場合、金融政策それ自体で経済に対してできることが最も限界に近づいており、ヘリコプターマネーに関する議論の最前線にある。だが、FRBのイエレン議長や欧州中央銀行(ECB)のプラート理事を含め他の中銀当局者も、事態が極めて切迫した場合は、こうした急進的な戦略の採用の可能性を排除していない。
  問題は、ヘリコプターマネーが破滅への道につながりかねない点だ。繰り返し活用されれば最終的にハイパーインフレーションに陥ることとなる。1861-65年の米南北戦争時の南部連合や2000年代のジンバブエの例が挙げられる。
  それこそがまさに、日銀をはじめとする中銀の多くがそうした措置を強く否定している理由であり、黒田総裁も4月に国会で、既存の法的枠組みの変更がない限り、ヘリコプターマネーは不可能だと語った。
原題:Helicopter Cash Clues Lie in Life and Death of Japanese Viscount(抜粋)

982とはずがたり:2016/07/21(木) 13:20:07

BRICS開発銀行、本格始動 新興国通貨で資金を調達
http://www.asahi.com/articles/ASJ7N4F53J7NUHBI01Q.html?ref=goonews
上海=斎藤徳彦2016年7月20日20時58分

 中国やインド、ロシアなど新興5カ国の共同出資で昨年、設立された「BRICS開発銀行」(正式名・新開発銀行=NDB)が20日、上海で年次総会を開いた。出資国の通貨建ての債券発行で資金を調達して融資を増やす方針で、新興国経済が減速する中でも存在感の発揮をねらう。

 総会では、初年度の融資として、ブラジルと南アフリカを含む出資5カ国それぞれの新エネルギー事業に合計9・1億ドル(約970億円)を貸し出すことを決めるなど、業務が本格始動したことが報告された。

 開幕式に出席した中国の張高麗(チャンカオリー)副首相は、「世界経済における途上国の地位は高まっているのに発言権は不足している」と強調。先進国主導の既存の国際金融機関に対して、NDBが「途上国同士が協力する新時代を切り開く」とした。

 総会前には、同行初となる債券…

983とはずがたり:2016/07/22(金) 00:34:28
文春砲またも炸裂♪

鳥越氏の文春報道に堀江氏と橋下氏が見解
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160721-00000076-nksports-pol
日刊スポーツ 7月21日(木)13時23分配信

 東京都知事選に出馬している鳥越俊太郎氏(76)について、21日発売の「週刊文春」が女性についての疑惑を報じていることを受け、ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏(43)が「女性問題とかで叩くのもういい加減止めにしない?」と自身の考えを示した。 同誌は、当時20歳だった女子大生に対し鳥越氏がキスを迫ったとする疑惑を報じている。

鳥越氏 文春報道に「一方的な証言」、抗議文を掲載

 堀江氏は20日にツイッターで「20歳は淫行じゃないっしょ笑」とツッコミを入れ、同記事による鳥越氏に対する批判の声を「もてない爺さんの嫉妬でしょ笑」と切り捨てた。

 堀江氏は「鳥越さんの政策とか一ミリも賛成できんけど」と前置きした上で、「女性問題とかで叩くのもういい加減止めにしない?」と政策に無関係なスキャンダルで立候補者を批判する風潮に疑問を示した。

 一方、前大阪市長の橋下徹氏(47)は21日にツイッターで、鳥越陣営が同誌に対し刑事告訴の準備を進めているとを明かしたことについて、「鳥越さん あれだけ報道の自由を叫んでいたのに自分のことになったらちょっとケツの穴が小さくないか?」と批判。「一方的な証言だけで僕の出自を差別的に取り上げた週刊誌に対して、鳥越さんは『連載を打ち切るな、覚悟を持って報道しろ』のように言っていた。今回の文春なんてチョロい記事。ちゃんと釈明しなさい」「政治家に対しては差別報道・人格攻撃を除いて、とことん報道するのが民主主義。鳥越さん、訴える前に、いつも政治家に言っていた説明責任を果たしなさい」と勧告した。

984とはずがたり:2016/07/31(日) 09:57:43
黒田の売国奴め。消費税増税延期した売国奴の安倍を刺す為に毅然と協調金融政策しないと宣言しろよなぁ。

小幡 績
転機の日本経済
日銀は死んだ
http://www.newsweekjapan.jp/obata/2016/07/post-9.php
2016年07月29日(金)18時52分

日銀は死んだ。

 自殺である。

 個人の自殺は、些細なことで行われてしまうことが多く、なんてもったいない、と第三者は思うし、周囲はやりきれない気持ちが残る。

 今日の日銀の自殺もまったく同じだ。

 なんのために自殺したのか。

 全く理解できない。


 金融政策の目的とは何か。日本経済の健全な発展に資することである。物価の安定を図り、景気に不安があれば、金利の低下を通じて、企業や家計の消費や投資を刺激し、需要を増やすことである。

 株価のつり上げはどこにもない。株価を上げて、日本経済に何の意味があるのか。

 株価は低いより高い方が良い。消費も刺激される。しかし、それは株価を無理に引き上げること、バブルを作ることではない。それは持続的でないし、実体経済はついてこれないから、実際の経済には恩恵がない。経済が良くなって、その結果、企業の価値が上がり、株価全体が上がるということでしか、経済は良くならないのである。

 デフレ脱却と株式の買い支えと何の関係があるのか。

 ない。

 投機家が、政策によって株価が動く、しかも需給に直接響く、これは乱高下するネタが増えた、と喜ぶだけだ。今後も、政策決定会合ごとに、ETFの買い増しを催促する相場となるだろう。買い増しがなければ失望で暴落させ、あれば急騰させ、また催促のために材料出尽くしで下げさせる。それだけのことだ。

 株価変動が大きくなることは、経済にマイナスだ。不安定性を自ら増すことになる。

 そのコストとリスクを払って、実体経済には無関係な政策をとった。

 日銀は、実体経済を支える組織ではなく、「株価支援機構」に成り下がったのである。奇しくも、我々の年金資金を運用し着実に増やすことを委託されたGPIFが、株価支援機構に成り下がった結果、5兆円以上の損失を昨年度出してしまったことを発表した丁度まさに同じ日に、「株価支援機構」というニックネームを日銀は自ら進んで引き継いだのである。



 今後、日銀はまったく政策の効果を発揮できなくなるだろう。中央銀行として、自らの存在意義、自国経済の健全なる発展という目的を捨て去り、存在意義を自ら葬り去ったのだから。

…そもそも、中央銀行で株式を購入しているのは、世界で日本だけである。日銀だけである。世界的には理解不能なのである。

 欧州はリスクのある国債を買って、国債市場の流動性を確保、金融の機能不全を解消し、米国では、金利低下で住宅投資を支えるために、住宅関連の長期債券を国債とともに買い入れた。しかし、社債を買い入れて、債券市場の金利低下を促すことはあっても、株式を中央銀行が買う例はどこにもない。しかも、6兆円という多額である。さらに日本の株式市場は、英国のEU離脱による下落を回復し、それ以前の水準に戻っているのに、である。世界的には株価は米国などで史上最高値を更新しているときに、である。

985とはずがたり:2016/07/31(日) 09:58:10
>>984-985
 まったく意味不明の株式買入という追加緩和だ。

 これを行った理由を、あえて日本銀行の執行部の立場に立って考えると、以下のようなストーリーしか思い浮かばない。



 ETFの買い入れなら、またマーケットの流動性はあるから買い入れは出来るし、額からいってもたいしたことはなく、ほとんど実害はない。日銀の財務にとっても値下がりするとしても多少のことであり、減損額は生じたとしてもほとんどない。しかも、株式市場は喜ぶ。米国にも為替操作と言われない。誰にとっても悪くない。経済政策として意味はないが、誰にも迷惑はかからない。非難されない。副作用という実害ももっとも小さい。ほとんどない。

 これでアリバイ作りをしよう。

****

 こういうことではないか。

 それが最悪なのだ。

 実害は、日銀への信頼と金融政策の理念の死。

 自殺である。

ETFを買って何になる。

 短期的な株価上昇だけだ。

 何のためだ。

 投機家たちを喜ばせるだけだ。

 最悪だ。

 株式市場、金融市場を弄んで、自分たちの利益のためだけに、金融政策を動きづらくする。そのような投機家のためだけに尽くす金融政策とは、いったんなんなんだ。

 マーケットに屈したのか。それは考えられない。マーケットに屈する必要は1ミリもないからだ。

 では、マーケットに屈した官邸に屈したのか。慮ったのか。

 株価対策以外に説明できない金融政策。

 最悪だ。

 そして、株価にもすぐに見放されるだろう。

 総会屋、ゆすりに屈したのと同じだ。

 たとえそれが官邸経由、あるいは勝手にそれを増幅させた日銀内部の慮りが理由であっても。それを振り払うために、マーケットを支配してきた黒田総裁がいたのではなかったか。

 日銀も、エコノミストも、経済学者も、まともな経済策論争も、言論も、すべて、今日死んだ。

 本当の終わりが始まった。

 ヘリコプターマネーよりは実害は少ないが、日銀は、精神的に殺されてしまったのだ。

 日銀にとっては、終わりの始まりではなく、終わりだ。

 今日は日銀の命日にとして歴史に刻まれるだろう。

986とはずがたり:2016/08/02(火) 17:10:43
栄養取らずにカンフル剤ばっか打ってたら死んでまうぞ(;´Д`)

日銀追加緩和は有害なのか、現実的なのか 各紙「社説」の評価がバラバラ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160802-00000002-jct-bus_all
J-CASTニュース 8月2日(火)15時26分配信

 日銀は2016年7月29日に開いた金融政策決定会合で、上場投資信託(ETF)の買い入れ額を現在の年3.3兆円から6兆円に倍増する追加金融緩和を決めた。

 黒田東彦総裁は同日の記者会見で、政府が8月2日に決定する経済対策と追加緩和が両輪となって「相乗的な効果を発揮する」と強調した。

■毎日「ゆがみ目立つ」、朝日「今や有害」

 ただ、市場には、政府の財政を日銀が事実上、丸ごと面倒をみる「ヘリコプターマネー」といった超大胆な政策に踏み切るとの予想まであっただけに、マイナス金利と国債購入ペースも現状通りでETF買い増しだけとした今回の決定はいかにも小幅緩和と受け止められた。大規模な経済対策を打ち出す政府との協力を演出しつつ、マイナス金利などの緩和策の副作用に配慮する必要があったというのが大方の見方だ。また、9月の時期決定会合に向け、より大規模な追加緩和を行うための布石との見方と、緩和姿勢は後退するとの見方が交錯。金融市場では円相場が一時、1ドル=101円台に円高が進み、その後も102〜103円台の水準で推移している。

 この日銀の決定を新聞はどう論じたのか。7月30日朝刊で各紙一斉に掲載した社説(産経は「主張」)を読んでみると――。

 「毎日」は「大規模な緩和を3年以上続けてもデフレ脱却の道筋は見えない。さらに小出しの緩和を加えても効果は乏しいのではないか。異次元緩和の限界をうかがわせるような決定だ」と指摘したうえで、「むしろ異次元緩和のゆがみが目立つ。......異次元緩和の軌道修正こそ急ぐべきだ」と、政策転換を要求。朝日も「企業や家計にとって、行きすぎた金融緩和は今や有害だ。マイナス金利政策では、金融機関だけでなく運用計画が狂った年金基金も悲鳴をあげている。日銀は正常な金融政策に立ち戻るため、早く異次元緩和からの出口政策を検討し始めるべきだ」と、早期の出口戦略の必要を説いた。

987とはずがたり:2016/08/02(火) 17:10:57
>>986-987
日経「現実的な判断といえる」
 「産経」は、「日銀が、経済対策を講じる政府との協調を強める必要はあろう」と一般論では言いつつ、今回の決定には「政府や市場の緩和圧力に応じざるを得なかったためだとみるほかない」と批判的でもあるが、「『バズーカ』と評されるような本格的な政策を9月の次回会合以降に温存したい思惑もあったのだろう」と書き、むしろ秋以降の大規模な追加緩和に期待する姿勢といえそうだ。

 これに対して「日経」は、「効果と副作用を踏まえ、緩和策をどこまで進められるのか、丹念に検証すべきだ」と、大規模緩和のマイナス面を指摘しつつも、「東証株価と連動するETFの買い入れ増は市場安定に一定の効果があろう」「マイナス金利の拡大を強行すれば、金融機関の収益悪化の懸念で株価下落を招きかねない。緩和策は現実的な判断といえる」と、基本的に今回の決定への支持を鮮明にしている。

 「読売」は全体に「緩い」書きぶりで、英国民投票後の金融市場の混乱が「ひとまず沈静化している」と、現時点の緩和の必要に疑問を示しつつ、政府との協調や市場の期待の高まりといった状況を踏まえ、「日銀として『ゼロ回答』は避けた方が良いと判断したのだろう」と、日銀の胸の内を推察。市場への「サプライズ」で政策を動かしてきた黒田総裁に対し「今後は......より丁寧に市場と対話を重ねていくことが求められよう」と注文するにとどめている。

「日銀の独立性」では各紙が懸念
 今回、麻生太郎財務相らが追加緩和への期待を公言していたこともあって、日銀の「独立性」という点も1つの注目点だった。これについて「朝日」は「政権の意を受けて追従したと見られても仕方あるまい」と断じ、「毎日」も、今後のも含め「政府の圧力でさらなる緩和を余儀なくされると見られかねない」と批判。「産経」も「主張」とは別の一般の解説記事で「日銀内では『独立性が脅かされつつある』(幹部)との不満もくすぶる。今後は政府との距離感をどう保ち、協調していくかが問われることになる」とくぎを刺しているほど。「読売」は「閣僚からも緩和を求める声が相次いでいた」と、わざわざ指摘して独立性への懸念をにじませた。

 さらに、「朝日」は今回のETF購入増反対が9人の審議委員のうち2人だけだったことに話を進め、「委員の任期が来るたびに、政権がアベノミクス賛成論者に替えてきたからだ。......今後ますます政権にとって都合のよい金融政策に傾きかねない点も気がかりだ」と、委員構成にも踏み込んで懸念を表明している。

 後世、批判にさらされない中央銀行の歴史を重ねられるか、1980年代にバブルを生んだ「戦犯」とされたような汚名を再び歴史に刻むのか。今回の「追加緩和」は、中身は小さいものだったが、日銀が歴史的な岐路にさしかかっていることを暗示しているのかもしれない。

988とはずがたり:2016/08/04(木) 08:01:30
長期金利が急上昇 日銀の決定会合後、国債手放す動き
http://www.asahi.com/articles/ASJ824Q7NJ82ULFA012.html
藤田知也2016年8月3日03時42分

 長期金利の上昇が続いている。2日の東京債券市場では、指標となる満期10年の新発国債の利回りが、一時、約4カ月半ぶりの水準となるマイナス0・025%をつけた。日本銀行が7月29日の金融政策決定会合で次回9月の会合でこれまでの緩和策を総括すると公表したことをきっかけに先行きの金融政策に不透明感が増し、国債を手放す投資家の動きが続いている。海外市場では円高が進み、一時、約3週間ぶりに1ドル=100円台後半をつけた。

 長期金利は今年1月の会合でマイナス金利政策の導入を決めた後、急激に下落。2月9日には史上初めてマイナス圏に突入した。6月24日に英国が国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めると、リスク回避の姿勢を強めた投資家が比較的安全な資産とされる国債を買ったことでもう一段低下。おおむねマイナス0・2%台後半で取引されてきた。

 ところが、7月29日の日銀の決定会合後は上昇が続く。日銀は追加緩和に踏み切ったものの、その手段は上場投資信託(ETF)の買い増しにとどまった。さらに次回会合でこれまでの緩和の効果や副作用などを検証すると表明したことが市場で「検証結果次第でこれまでのように国債の買い入れやマイナス金利政策を続けられない可能性もあると受け止められた」(みずほ証券の丹治倫敦氏)からだ。

 これを受け、これまでのように…

989とはずがたり:2016/08/06(土) 12:40:13
英中銀総裁・副総裁、追加利下げの必要性を示唆
http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20160806/Reuters_newsml_KCN10G2D0.html
ロイター 2016年8月6日 06時43分 (2016年8月6日 11時06分 更新)

[ロンドン 5日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行、BOE)の約7年ぶりの利下げから一夜明けた5日、英中銀のカーニー総裁とブロードベント副総裁は相次いで金利はさらに低下する必要があるとの考えを示した。
カーニー総裁は、必要に応じて金利は一段と引き下げられる可能性があるとの考えをあらためて表明。ブロードベント副総裁は追加利下げを支持するとの立場を示した。
英中銀は4日、政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ過去最低の0.25%としたほか、国債買い入れ枠を3750億ポンドから4350億ポンドに拡大。欧州連合(EU)離脱決定によって揺らいでいる安定性の回復に向け「必要とされるあらゆる行動を取る」方針を鮮明にした。
ブロードベント副総裁はこの日にロイターが他の報道機関2社と合同で英中銀で行なったインタビューに対し、「(金融政策委員会の)大半が英経済が予想通りの展開となった場合、再利下げに投票するとの見方だった。私もその一人だ」と述べた。
このほか、カーニー総裁はLBCラジオに対し、中銀が新たに導入した刺激策にもかかわらず、英国の失業者数は向こう数年間で約25万人増加するとの予想を示している。
エコノミストの間では、英中銀が一連の措置を導入したものの、政府が改革を推し進め一段の公共投資を行なわない限り、EU離脱決定を受けた下向き圧力に対応できないとの見方が大勢となっている。
ブロードベント副総裁は、減税や財政支出による追加刺激策や金融政策をもってしてもEU離脱に伴う悪影響を完全に相殺することはできないと指摘。「経済に対する構造的な影響を相殺するために金融政策、および通常の財政政策にできることには限界がある」との認識を示した。

990名無しさん:2016/08/07(日) 12:16:51
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160802/k10010618811000.html?utm_int=news-politics_contents_list-items_082
麻生副総理と黒田総裁が会談 デフレ脱却へ緊密連携を確認
8月2日 18時40分
政府が新たな経済対策を決定したことを受けて、麻生副総理兼財務大臣と日銀の黒田総裁が2日夕方に会談し、デフレからの脱却と持続的な経済成長の実現に向けて緊密に連携していくことを改めて確認しました。
麻生副総理兼財務大臣と日銀の黒田総裁の会談は2日午後4時半ごろから都内のホテルで行われました。このなかで麻生副総理は、2日に閣議決定した事業規模で28兆1000億円程度の経済対策について説明しました。
また黒田総裁は、先月29日に日銀がETFと呼ばれる上場投資信託の買い入れ額をほぼ倍増させる追加の金融緩和に踏み切ったことを説明しました。
そのうえで、麻生副総理と黒田総裁は、デフレからの脱却と持続的な経済成長の実現に向け政府・日銀が3年前に結んだ「共同声明」に基づいて、今後も緊密に連携していくことを改めて確認しました。
会談のあと麻生副総理は記者団に対し、「デフレ脱却や経済成長に向けて、率直に意見交換をした」と述べたうえで、今の極めて低い金利環境を生かして長期の資金供給を行うため満期までの期間が40年の国債の発行を増額することを市場関係者と協議して決めたいという考えを明らかにしました。
また、黒田総裁は「政府の経済対策の押し上げ効果は大きい」と述べたうえで、記者団から『金融政策を決める次回9月の会合で今の金融緩和策を検証し緩和を縮小する方向となるのか』と問われたのに対し、「2%の物価目標をできるだけ早期に実現するという観点からの検証であり、そういうことにはならない」と述べました。

991とはずがたり:2016/08/08(月) 16:35:32

イタリアを格下げ方向で見直し、国民投票めぐる不透明感で=DBRS
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160808-00000008-reut-bus_all
ロイター 8月8日(月)7時21分配信

[ミラノ 5日 ロイター] - 大手格付け会社DBRSは5日、現在「A(low)」としているイタリアの信用格付けを格下げ方向で見直す方針を明らかにした。イタリア政府はこれに反発し、異議申し立てをする可能性を示唆した。

主要格付け会社4社で現在、イタリアを「A」としているのはDBRSのみ。4社の格付けは、欧州中央銀行(ECB)が各国銀行に資金供給する際の担保要件設定に活用されており、格下げされれば、国債を担保にECBから融資を受けている銀行にとってコスト増につながる。

DBRSは、国民投票をめぐる政治的不透明感、銀行への圧力、ぜい弱な景気回復、海外環境の不安定化を理由に、見直しを定例のスケジュールに縛られずに実施することを決定したと説明。

この決定を、イタリア経済省はルール違反と批判し、異議申し立てを検討していると発表した。

DBRSのソブリン格付け責任者、ファーガス・マコーミック氏はロイターに対し、さまざまな要因によって「累積した懸念」が生じたとし、中でも国民投票が決定の決め手となったと述べた。

DBRSは3カ月程度で見直し結果を発表する見通し。「格下げする場合、2段階以上引き下げることはない」としているが、1段階の引き下げでも「BBB(ハイ)」となりA格を失うことになる。

992とはずがたり:2016/08/12(金) 23:02:26
日銀、株価を狙った政策に陥るも結果は不発
一本足打法で手詰まりを露呈
http://toyokeizai.net/articles/-/129771
山田 徹也 :東洋経済 記者 2016年08月01日

緩和の限界と、目標に到達できない苦しさを強くにじませる決定だった。日本銀行は7月29日、金融政策決定会合を開き、ETFの買い入れを増額し保有残高の増加ペースを従来の年間約3.3兆円から約6兆円とすることを柱とする追加金融緩和策を決めた。

今回の決定を市場がどう受け止めたのかは、右往左往する株価の動きが象徴している。同日午後1時前に決定が伝わると、日経平均株価はいったん300円を超す下落。その後リバウンドし、終値は前日比92円43銭高の1万6569円27銭で引けた。

日銀は黒田東彦総裁の下で2013年4月に異次元緩和(量的・質的金融緩和)をスタートさせ、年間マネタリーベースが60?70兆円増加するように、国債の買い入れを行い、合わせて、ETF年1兆円、REIT年300億円を買い入れることを決めた。この時、2年程度の期間でのデフレ脱却を念頭に、「政策の逐次投入は行わない」としていた。

しかし、2014年10月には国債買い入れ規模を拡大しマネタリーベースを年間80兆円増加させ、ETFとREITも買い入れ規模を3倍に拡大するとした。2016年1月にはついにマイナス金利政策を導入。マイナス金利導入時には、量、質、金利の3つの次元で緩和手段を駆使して金融緩和を進めていく、としていたが、黒田総裁になってから4回目の金融緩和は、ETFの買い入れ増額、いわば「質」のみの一本足打法にとどまった。

記者会見の質問は「総括的な検証」に集中

声明文では「経済・物価動向や政策効果について総括的な検証を行う」と記された。会合後の記者会見では、次回9月20、21日に行う、この「総括的な検証」がどのような内容であるかに質問が集中した。異次元緩和がうまくいっていないことをついに日銀が認め、3年3カ月にわたる異次元緩和を大きく方向転換する可能性が示唆されたからだ。

だが、黒田総裁は会見で「2%の目標がまだ実現されていない。2%をできるだけ早期に実現するために何が必要なのかという観点から、総括的な検証を行い、その検証結果に応じて、必要なら必要な措置をとることに尽きる」と繰り返した。「量的・質的金融緩和を導入後、すでに3年以上経過していることは事実だが、2%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現する方針に変化はなく、今後もこれを変更する考えはない」とも付け加えている。

これらを素直に聞くと、2%の旗をおろさない以上、目標に向けて異次元の緩和手段を一層強化するかのように受け止められる。過去何度かサプライズを演出してきた黒田日銀だけに読みにくいが、これまでの異次元緩和の枠組みを大きく見直し、国債買い入れを減額したり、マイナス金利政策を撤廃するといった金融緩和の出口を探る可能性は低そうだ。

今回の決定後、市場関係者から「市場の金融緩和の催促をまったく無視する決定」と残念がるコメントも流れた。しかし、期待外れでよかったのではなかろうか。

6月のBrexit(英国のEU離脱決定)以降、世界の金融市場は一時的に不安定さを増した。しかし、その後市場は落ち着きを取り戻している。7月26〜27日開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)の声明文では「経済の見通しに対する足元のリスクは減少した」と記された。FRB(米国連邦準備制度理事会)幹部からも「Brexit投票後、市場はきわめて秩序正しく推移している」(アトランタ連銀のロックハート総裁)というコメントが飛び出している。

993とはずがたり:2016/08/12(金) 23:02:37
>>992-993
黒田総裁「財政ファイナンスでもヘリマネでもない」

日本国内に目を転じると、個人消費は冴えず、高収益をあげているのに企業の設備投資意欲は鈍い。しかし、異次元緩和をさらに異次元の領域に踏み込むほど、日本経済は危機的な状態なのだろうか。

7月の月例経済報告の景気判断は「このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」だった。景気が悪化しているわけではない。実質GDP成長率が0%台程度と低いのは、そもそもの潜在成長率が低いせいだ。

6月に2017年4月に予定されていた消費税率10%へ引き上げの延期を決めたり、28兆円という、リーマンショック直後に次ぐ規模の経済対策を決めた政府の判断には、株価に一喜一憂して、今の経済を無理矢理持ち上げようとしている点で共通するものがある。しかし、こうした金融・財政政策は需要の先食いでしかない。

7月にバーナンキ・前FRB議長が来日し、安倍晋三首相と会談して以降、日銀がヘリコプターマネー政策に踏み込むのではないか、という観測が浮上した。さまざまな定義があるが、ヘリマネ政策とは、国債ではなく、返済予定のない貨幣でファイナンスした財政政策のこと。29日の記者会見でもヘリマネ政策に関する所見を尋ねる質問が出た。

中央銀行が金融緩和政策、政府が財政支出を拡大し、これらの相乗効果によって景気刺激効果をより強めることを「ポリシーミックス」と呼ぶ。29日の会見で、黒田総裁は「こうしたポリシーミックスは、政府による財政資金の調達を手助けすることを目的とする財政ファイナンスでもないし、中央銀行マネーの恒久的な増加を原資として財政支出を行う、いわゆるヘリコプターマネーともまったく違うと考えている」と述べ、現在年間80兆円のペースで国債を買い上げる政策は財政ファイナンスでもヘリマネ政策でもないと説明した。

だが、日銀がすでに国債の発行残高の3割超、400兆円近くを保有(7月20日現在で380兆円)していることを考え合わせると、もはや政府と日銀を一体として考えることが適当だろう。この点、29日の声明文で「きわめて緩和的な金融環境を整えていくことは、政府の取り組みと相乗的な効果を発揮する」と明記されたのは意味深長だ。

実態は財政ファイナンスではないのか

決定会合の3日前の26日、最新の内閣府による『中長期の経済財政に関する試算』が経済財政諮問会議に提出された。10%の消費増税を2019年10月に見送ったのにもかかわらず、2020年度のプライマリーバランス(基礎的財政収支)は5.5兆円の赤字、対名目GDP比で1%まで縮小することが示された。

しかし、これは名目で3%以上、実質で2%以上という相当無理のある高い成長率を前提とした試算だ。日本経済の実力により近いベースラインケース(名目1%半ば、実質1%弱)だと、20年度の赤字は9.2兆円、対GDP比で1.7%も残る。

今のところこれらの赤字をどうやって埋めるのか、明確な説明やプランはない。黒田総裁がいくら否定しようと、「国債を年間80兆円ペースでどん欲に買い上げる日銀」と「流れる赤字を止血しようとしない政府」という組み合わせは、財政ファイナンスというよりほかないのではなかろうか。

995とはずがたり:2016/08/12(金) 23:09:12
sageてもた。

996とはずがたり:2016/08/13(土) 00:49:49
田代尚機のチャイナ・リサーチ
中国経済が示すヘリコプターマネーの問題点
http://www.moneypost.jp/73014
2016年7月29日 16:00

 中国は流動性の罠に陥っている。

 中国人民銀行調査統計司の盛松成・司長は7月16日、2016年中国資産管理年会に出席した際、「(マネーサプライの)M1とM2の伸び率の差が大きく拡大している。中国企業はすでに流動性の罠に陥っている」などと発言、投資家の関心を集めている。

 M1とは“現金預金+預金通貨”から成り立っているが、こちらは6月末時点で前年同月比24.6%増となった。一方、“現金預金+国内銀行などに預けられた全預金”から構成されるM2は、11.8%増にとどまっている。

 M1はこの1年で伸びが大きく加速している。一方、M2は今年1月には14.0%増まで高まったが、その後は鈍化が続いている。

 この点について盛司長は、「資金は企業に流入しているのだが、企業は資金を抱えて投資をためらっている。企業は適切な投資プロジェクトを見つけられないでいる。だから、大量の資金が預金通貨(要求払い預金-保有小切手・手形)に滞留してしまっているのだ」などと分析している。

 18日の中国本土・毎日経済新聞の記事によれば、証券系アナリストの分析として、「資金が供給されても、それは実体経済に向かわず、たとえば不動産などに向かっており、資産価格上昇を引き起こしている。売買成立によって、企業、個人預金は不動産会社の要求払い預金に振り替わるが、不動産会社は次の投資に資金を向けられず、資金はそのまま要求払い預金に滞留している」などといった意見を紹介している。

 また、「工業企業の収益が回復しつつある。キャッシュフローが増えているのだが、使い道、有望な投資先・案件が見つからない。そのことが、要求払い預金の増加につながっている」などといった見方も紹介している。

 こうした状況では、資金を市中に広くばらまく形での金融緩和は、効果が薄いということだ。

 さらに、当局は、金利操作や公開市場操作、預金準備率操作といった伝統的な金融政策について、限界を感じているようだ。

 中国人民銀行は2014年9月にMLF(Medium-term Lending Facility、中期貸出ファシリティー)を創設している。これは、特定の金融機関に対して、国債などの担保を取ったうえで、3か月、6か月といった中期の資金を貸し出す方法である。特定の金融機関は当局の意向を受けて、零細企業、三農(農村、農業、農民)など経済的弱者に対して集中的に資金を供給する。

 不特定多数ではなく、特定の金融機関に対して資金を供給する方法であるSLF (Standing Lending Facility、常設貸出ファシリティー)、PSL (Pledged Supplementary Lending、担保補充貸出)などといった新たな金融調節手段も使い始めている。

 こうした中国金融市場の状況や中国人民銀行の政策スタンスは、日本にとっても参考になるはずだ。

 まず、中国のように、実質経済成長率(2016年4-6月期)が6.7%もあって、金利は1年物貸出基準金利が4.3%もある国ですら、流動性の罠に陥っている可能性があるという点に注目する必要がある。

 また、ゼロ金利政策のように、不特定多数に向けた政策は、当局が望むようには資金は流れていかない。中国では金融緩和の結果、株式市場や不動産市場、あるいは背後に強力な政治的発言力のある重厚長大産業に属する企業だけに資金が流れてしまったといった苦い経験がある。潜在成長力の低い日本では、中国以上に実体経済への資金供給は難しいだろう。

 実体経済に資金が流れなくとも、株価が上がれば資産効果が働くはずだといった意見もみられる。しかし、多数を占める海外投資家がより多くの利益を得るような市場においては資産効果も小さい。

 日本企業には、中国やアメリカ企業のように背後に大きな市場がない。また、少子高齢化で日本市場は縮小に向かっている。その上、多くの日本人は変化を嫌い、多くの経営者はアニマルスピリットをなくしている。経済成長といった観点から言えば、市場環境、供給サイド、社会そのものに根本的な問題がある。

 いろいろな側面から、ヘリコプターマネーに関する議論が進められている。残念ながら、日本銀行が無尽蔵に資金を供給し、その資金で政府が公共投資を行うといったスキームでは、日本経済の病巣を取り除き、安定成長を取り戻すのは難しい。

文■TS・チャイナ・リサーチ 田代尚機

997とはずがたり:2016/08/17(水) 10:06:38

マイナス金利半年
消費底上げ限定的…目立つ副作用
http://mainichi.jp/articles/20160817/k00/00m/020/146000c
毎日新聞2016年8月17日 08時40分(最終更新 8月17日 09時35分)

功罪入り交じるマイナス金利政策

 日銀がマイナス金利政策を導入し、16日で半年が経過した。企業向け貸し出しや住宅ローン金利が過去最低水準に低下した結果、不動産投資は拡大したが、設備投資や個人消費は活発にならず、期待された効果は限定的だ。一方、金融機関の収益悪化など副作用も目立ち、日銀への風当たりは強まっている。【安藤大介、和田憲二】

 「銀行や信用金庫から、低金利での融資の打診が増えている。しかし、仕事が増える見通しが立たなければ企業は設備投資に踏み切れない」。東京都大田区の製造業者などでつくる大田工業連合会の舟久保利明会長はつぶやいた。

 日銀は2月16日に導入したマイナス金利政策で、金利を引き下げて企業の設備投資や家庭の住宅購入を活発にする効果を狙った。実際に、企業向け融資や住宅ローン金利は過去最低水準に低下したが、消費も投資も盛り上がらない。

 日銀にとって不幸だったのは、年初から円高・株安が進む中、中国の景気減速や英国の欧州連合(EU)離脱などのリスクが顕在化し、企業や家計の心理が悪化したことだ。企業は積極的な投資に踏み切れず、国内銀行の貸出残高はマイナス金利導入後も、従来と同じ前年同月比2%増のペースが続く。

 逆に目立つのが、マイナス金利の副作用だ。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは一時マイナス0.3%まで低下。国債を中心に運用していた投資信託の販売停止が相次ぐなど、投資家は資産運用難に直面した。企業の退職金や年金の運用が難しくなり、業績を圧迫している。

 主要銀行の普通預金は過去最低の0.001%に低下。100万円預けても1年間で利息は10円しか付かない水準だが、6月末の個人の預金残高は441兆円と過去最高を記録した。マイナス金利導入前から貯蓄性の高い保険商品の販売停止が相次ぐ中、株安で投資先が消滅。ファイナンシャルプランナーの前川貢氏は「国債金利がマイナスとなったことで安定的な資産運用が困難になり、行き場のないお金が預金に逃げ込んでいる」と指摘する。

 生活防衛を迫られる家庭は、消費を増やす余裕を失った。6月の家計調査では2人以上世帯の実質消費支出は前年比2.2%減少。「利息収入の減少や年金・退職金の運用難が預金者の将来不安を呼び、家庭が財布のひもを引き締めている」(メガバンク幹部)との指摘も出ている。

 例外は不動産市場だ。国内銀行の貸し出し全体はペースが上がらないのに、不動産向け融資は6月末時点で68兆3206億円と過去最高を記録。総貸出残高に占める不動産向けの割合も14.7%と過去最高となった。高利回りをうたったマンション向け投資などが活発だが、どれだけ景気を押し上げるかは見通せない。

 日銀の黒田東彦総裁は4月の記者会見で、マイナス金利の効果が表れるのに「半年も1年もかかるものではない」と述べた。期待された効果が限られる中、日本経済は副作用の重しにさらされている。

銀行の貸し渋り警戒…日銀、来月に検証
 日銀は9月20、21日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和の政策効果の「総括的な検証」を行う。一段の金融緩和が必要との結論になれば、マイナスの金利幅拡大も議論されそうだが、マイナス金利が金融機関の収益を悪化させ、経済に悪影響を及ぼす懸念も強まっている。

 邦銀の2016年4?6月期決算では、本業のもうけを示す実質業務純益が軒並み減益となった。銀行にとって、もうけになる貸出金利が過去最低水準まで下がる中、コストである預金金利を引き下げる余地がほとんどなく、貸し出し利ざやが一段と縮小したためだ。

 資金運用の中心だった国債の金利も、償還(返済)まで10年の国債だけでなく、20年の国債までマイナスに転落。満期まで国債を持てば逆に金利を払わなければならず、信組の資産運用担当者からは「外国債券など為替変動リスクのある資産に手を出さざるを得ない」との悲鳴が上がる。

 マイナス金利による収益悪化が長期化すれば、銀行が「貸し渋り」に走る可能性もある。金融庁幹部は「マイナス金利をさらに引き下げれば、お金の貸手と借り手をつなぐ銀行の機能が失われかねない」との懸念を強める。

 日銀内でも「国内経済がよほど悪化しないかぎり、マイナス金利の追加引き下げのハードルは高い」との見方が出てきた。黒田総裁は7月29日の記者会見で「まだまだマイナス金利を深掘りする余地はあり得る」とマイナス幅拡大の可能性に言及したが、その手足は縛られつつある。

998とはずがたり:2016/08/17(水) 10:08:08
糞サンケイめ,ちゃんと批判しろよなぁ(;´Д`)

マイナス金利の功罪相半ば 導入半年、日銀検証へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160817-00000036-san-bus_all
産経新聞 8月17日(水)7時55分配信

■住宅ローン活発も物価下落、利ざや縮小

 日銀が「マイナス金利政策」を導入してから16日で半年を迎えた。市場金利の大幅な低下で住宅ローンや投資が活発になる一方、金融機関は収益悪化にあえぐ。また、消費者物価はマイナス圏に沈み、最大の目的である2%物価目標の達成は見通せない。「マイナス金利の功罪は相半ば」(エコノミスト)しており、日銀は9月の金融政策決定会合でこれまでの金融政策を総括的に検証する。

 「金利の引き下げ効果は非常に大きく、実体経済にもプラスの影響を及ぼしつつある」。日銀の黒田東彦総裁は追加の金融緩和を決めた7月末の会合後の記者会見でこう強調した。

 実際、1月末のマイナス金利導入決定前に0・2%程度だった長期金利(新発10年物国債利回り)は7月に一時マイナス0・3%まで低下(価格は上昇)。国内大手5銀行は8月に適用する住宅ローン金利(主力の固定型10年最優遇)を過去最低の水準に設定し、中でも三井住友信託銀行は前月比0・05%低い0・35%とした。

 この結果、1〜6月の新設住宅着工は46万戸強と前年同期比5・2%増えた。

 こうした超低金利環境を受け、JR東日本やJR西日本、三菱地所は満期40年の社債を国内企業で初めて発行。将来の設備投資を見据えた企業の長期の資金調達が活発化し始めた。

 その一方、導入から半年が経過しても消費者物価(生鮮食品を除く)は4カ月連続で前年比下落し、上昇する兆しは見えない。

 本来、マイナス金利は海外との金利差を広げ、円安を招く効果を持つが、中国や欧州など海外の景気不安から安全資産とされる円が買われ、円高で企業業績は悪化。個人消費も預金金利の低下などでなかなか上向かない。

 金融機関の貸出金利と預金金利の差である利ざや縮小も問題視されている。金融庁は3メガバンクの今期業績について、「マイナス金利は合計3千億円程度の減益要因になる」と試算した。

 9月の総括検証は、マイナス金利の評価も焦点の一つ。SMBC日興証券の森田長太郎氏は「金融庁の試算がマイナス金利の深掘りを牽制(けんせい)しているのであれば、市場は日銀の追加緩和カードがなくなるとみなし、円高圧力が増す」と指摘した。

 「(金融機関の)資金調達コストは下がり、保有国債は評価益が出ている。それなりの評価はあった」

 麻生太郎財務相は15日の記者会見で副作用に触れつつ、日銀をこう擁護した。(藤原章裕、万福博之)

999とはずがたり:2016/08/17(水) 10:10:05
総括的な検証するなら此迄の政策効果の否定と其れを受けた黒田総裁の責任取っての辞職しかないやろ。

国債購入の柔軟化検討=買い増し額に幅、年限緩和―日銀
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160806-00000034-jij-bus_all
時事通信 8月6日(土)8時1分配信

 日銀が9月の金融政策決定会合で、金融緩和の「総括的な検証」をするのに併せ、国債買い入れの柔軟化を検討することが5日、明らかになった。購入している国債の平均年限(現行7〜12年)基準を緩和したり、年間の買い増し額(同80兆円)に「70兆〜90兆円」など一定の幅を設けたりする案が浮上している。債券市場の金利動向を踏まえた弾力的な国債買い入れを可能とし、市場機能の維持を狙う。

 日銀がマイナス金利拡大など一段の金融緩和に踏み切った場合、すべての国債の利回りがマイナスになる恐れがある。日銀は、償還までの期間が最長の40年物超長期国債の利回りまでマイナスになれば副作用が大きいとの懸念を強めている。年金基金や生命保険などは資金運用が困難となり、企業が将来の退職金支払いに備える退職給付債務の負担増大などの弊害もあるためだ。

 日銀は国債の平均年限を維持するため、超長期国債を一定額買い入れている。超長期債の利回りがマイナスに陥る恐れに備え、購入額を柔軟に減らせるよう平均年限の基準緩和や撤回に加え、一時的に基準を逸脱するのを容認するべきだとの意見もある。

 一方、国債の買い増し額の柔軟化に関しては、上限と下限を設定することが考えられる。単純な減額は、市場で「緩和の縮小」と受け止められ、長期金利が上昇する恐れが強く、日銀内では否定的な意見が多い。

 日銀は長期金利を特定の利回り以下で推移させることを狙い、一定の金利水準で購入額に制限に設けず国債を買い入れる「長期金利ターゲット」を導入する可能性もある。

1000とはずがたり:2016/08/17(水) 10:10:28
sageてもた。

1001とはずがたり:2016/08/17(水) 10:16:50
酷い言説が罷り通ってるなあ(;´Д`)

日本再生には「バブルへGO」政策しかない?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160817-00131781-toyo-bus_all
東洋経済オンライン 8月17日(水)8時0分配信

セゾン投信・中野社長の「バブルによる日本経済復活」は平成バブルとはどう違う?(写真:ジュリアナ東京、HOSAKA NAOTO/GAMMA/AFLO)

 旧聞に属する話だが、あえて言うと、7月末の日銀金融政策決定会合の内容は、「残念」だった。マイナス金利を深掘りしたわけでもなく、マネタリーベースの供給額も年間80兆円で変わらず。少しだけ見どころがあったとすれば、ETFの買い入れ額を年間3.3兆円から6兆円に倍増させたことくらいだった。

 だが「ETFの買い入れ倍増」は、1年を通じてのものなので、株価を下支えする効果しかない。むしろ私は逆に思い切った金融緩和政策をとるべきだと考えている。マイナス金利をもう一段深掘りしたうえに、マネタリーベースの供給額も、年間80兆円から100兆円まで増額させる。さらに、銀行が日銀当座預金に預けている準備預金に適用される金利を、全面的にマイナス金利にする。

■ 「日銀当座預金金利」はすべてマイナスに

 もちろん、この積極的な金融緩和政策は、「劇薬」的な側面もありそうだ。たとえば銀行にとっては、かなりの収益悪化につながる。

 ただ、今のところ、マイナス金利が適用されているのは、日銀当座預金残高のごくごく一部に過ぎない。具体的な数字を挙げて説明すると、日銀当座預金残高は276兆円程度。このうち、今でも0.1%の金利が付いている部分が210兆円程度もある。また、金利がゼロ%の部分が約45兆円もあるので、マイナス金利が適用されているのは、21兆円程度に過ぎない。

 マイナス金利が適用されて以降、個人の定期預金に適用されている利率は、預入期間の長短、預入金額の多寡にかかわらず年0.01%でしかないが、銀行が当座預金に預けている資金の大半に適用されている利率は、それよりもはるかに高い年0.1%なのだ。しかし、この0.1%部分も含めて、日銀当座預金の適用利率をすべてマイナスにすれば、否応なく、おカネが動かざるをえなくなる。

 日銀当座預金の適用利率をすべてマイナスにするのは、「劇薬だ!」とお叱りを受けそうだ。なぜなら、ほとんどの銀行においては、この0.1%がきっちり予算化されている。それがなくなるどころか、マイナスになるわけだから、「銀行の経営に大きな影響を及ぼす」と批判されそうだ。

 それだけではない。一般企業が銀行に預けている預金の金利についても、実質的にマイナス金利が適用されることになるだろう。そうなった時、おカネはどのように流れるのか。さすがに「タンス預金」というわけにはいくまい。おそらく、銀行口座に滞留している余裕資金があぶり出されるだろう。マイナス金利の適用によって、企業が預けている銀行預金が目減りする事態になれば、企業は銀行預金を引き出し、一部の資金を株主への配当増や、自社株買いなどに回すはずだ。自社株買いはROE(株主資本利益率)の向上につながり、株価を押し上げる効果をもたらす。

1002とはずがたり:2016/08/17(水) 10:17:15
>>1001-1002

 また、日本企業の旧来的な資本政策にも変化をもたらす。多くの日本企業は、内部留保を厚くすることこそが、経営の安定化につながると考えてきたが、マイナス金利が常態化したら、外部からの資金調達を積極化させたレバレッジ経営が、改めて見直されるだろう。マイナス金利下では、資金を借りたほうが明らかにトクであり効率的だからだ。実際、一部の大企業はすでに、長期の資金調達を積極的に行っている。

 「貯めるよりも使うほうがトクだ」という価値観が世の中に広まれば、消費は伸びる。アベノミクスがスタートした時、日銀の黒田総裁は、「2015年までに期待インフレ率を2%上昇させる」と宣言したが、その目標は未達のまま、2016年も半ばを過ぎた。

 しかも直近の消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合で見ると、3月から前年同月比でマイナスの状態が続いている。これだけ金融を緩和し続けているのに、インフレになるどころか、逆にデフレ色が濃くなっている。もはや大抵の金融緩和策では、物価は上昇に転じないのではないだろうか。小出しの金融緩和では毒にも薬にもならない。ここまで冷えてしまったインフレ期待を再び盛り上げるためには、劇薬を注入するくらいでちょうど良い。

■ 日本経済に必要なのは「バブル政策」しかない? 

 より本格的なマイナス金利の導入によって、株価が再び上昇軌道に戻ったら、PFI(民間資金を活用した社会資本整備)の手法を用いて、空港や高速道路など、国が保有している資産を民間に売却すれば良い。必ず買い手が現れ、おカネが動く。日本の社会インフラは、かなりの程度、老朽化が進んでおり、それを修復するためには、公共工事を必要とするが、問題はその財源確保だ。いうまでもなく、今の日本は1000兆円規模の政府債務を抱える借金大国と化している。

 しかし、PFIも含めた民営化政策の推進で政府資産を売却すれば、財政再建への道筋が開けるだけでなく、新たな公共工事を行うための財源も確保できる。こうして需要を創造すれば、景気は再び回復軌道に乗る。この手の政策は経済のバブル化を招く、という意見もあるだろう。しかし、今の日本経済を回復させるためには、財政健全化にもつながる構造改革を絡めたこれくらいの荒療治が必要だ。ここで経済がデフレ化したら、日本経済は再起できず、アベノミクスは失敗に終わる。

 もし、本当に経済がバブル化したら、その時にこそ消費税率を、現行の8%から10%に引き上げれば良い。恐れずに「バブルへGO!!」(2007年の映画のタイトル)政策を実施すると宣言することから、最後のアベノミクスの挑戦がスタートする。

中野 晴啓

1003とはずがたり:2016/08/20(土) 18:41:32
>今回「苦し紛れの悪手」を放った日銀にとっての唯一の「救い」は、市場がすでに「日銀の追加緩和は効果がない」ことを織り込んでいたことかもしれない。
日銀無能やろ(;´Д`)
知り合い一人日銀で頑張ってるけどどう思ってるのかなぁ??

日銀はついに「ヤバイ」領域に足を踏み入れた
追加緩和で外国人も日本から遠ざかる?
http://toyokeizai.net/articles/-/129633?utm_source=yahoo&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=related
近藤 駿介 :金融・経済評論家/コラムニスト 2016年07月29日

市場の大方の予想通り、日銀は追加緩和に踏み切った。

内容は「ETFについて、保有残高が年間6兆円に相当するペースで増加するよう買い入れを行う(現行の約3.3兆円からほぼ倍増)」(7月29日付日本銀行「金融緩和の強化について」)という、ETFの買入れ額をほぼ倍増させるというものだ。

一方で、金融政策の目標となっているマネタリーベースについては「マネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う」と、現状維持とした。

「金融緩和の目標は株価」と暴露したも同然

日銀は、追加緩和に踏み切らざるを得ない状況に追い込まれていた。その日銀が今回打ち出した「苦し紛れの追加緩和」は、追加緩和手段が限界に達したことを示すとともに、中央銀行の信頼を失墜させる悪手だった、と筆者は考える。

なぜ悪手なのか。日銀は今回「マネタリーベース増加ペース(年間約80兆円)の現状維持とETF買入れ額倍増」という追加緩和策を打ち出したが、これは日銀の政策目標が「マネタリーベース」ではなく「株価」にあるという本音を暴露したようなものである。

中央銀行のタブーの一つは、「株価」を金融政策の目標にすることだ。「株価」を金融政策の目標においてしまう、あるいはおいていると見做されることは、株式市場の変動に合わせて金融政策の変更を迫られるようになるからだ。

株価が下落する際には市場で緩和期待が膨らみ、日銀がその期待に応えた政策を打ち出さなければ、さらなる株価の下落を招くという悪循環に陥ることになる。今回の「ETF買入れ額の増額」に対して、木内委員が「株価を目標にしているとの誤ったメッセージになる」として反対票を投じたのは当然のことである。

もしETFの買入れ額を3兆円増やすのであれば、少なくともマネタリーベースの増加ペースを83兆円に拡大するべきだったといえる。日銀は3兆円など、80兆円に比較したら誤差の範囲であり、緩和効果に大きな影響を及ぼすものではないと考えたのかもしれない。

日銀は「異次元の相場介入」の領域に足を踏み入れた

しかし、マネタリーベースの増加ペースを維持する中でETF買入れ額を増やすということは、国債の買入れ額をその分減らすということである。これは、国債の買入れによるマネタリーベースの増額が限界に達したこと、国債の買入れ額を減らしても金融緩和効果は変わらないというメッセージでもある。これは、これまでの緩和策の限界を認めるようなものである。

1004とはずがたり:2016/08/20(土) 18:41:47
>>1003-1004
今回の追加緩和によって、「マイナス金利付き量的・質的緩和」は「異次元の金融緩和」から外れ、中央銀行にとってタブーとされる「異次元の相場介入」の領域に足を踏み入れたといえる。

メディアではほとんど触れられていないが、今回ETF買入れ額増額とともに決まった緩和策に、「企業・金融機関の外貨資金調達環境の安定のための措置」がある。

これによって「企業の海外展開を支援するため、最長4年の米ドル資金を金融機関経由する制度」の総枠が現行の120億ドルから240億ドルへと倍増された。

これは日本の企業や投資家がベーシススワップを利用して外貨を調達する際の上乗せ金利が上がってきている(ドル調達コストが上昇している)ことに対応した措置だ。この措置によって、国内企業や投資家のドル調達コストは低下する可能性が高い。しかしそれは海外投資家からみれば、円の調達コストが上昇するということでもある。

日本国債の利回りは15年債までがマイナス金利となっている。こうした現象は、日銀が準備預金の一部にマイナス0.1%の金利を付利していることとは直接的には関係ない。

市場金利がマイナスになっているのは、日銀がマイナス金利下でも国債を積極的に買い入れている(日銀がマイナス金利に伴う損失を被る)ことに加え、海外投資家の円調達コストがマイナスになっていてマイナス利回りの国債を購入できる状況にあることを反映したものだ。

海外投資家は今後ますます日本に投資しなくなる?

今回国内企業・投資家の米ドル調達コストを下げるための措置によって海外投資家の円調達コストが上昇し、海外投資家による国債や日本株への投資意欲は衰える可能性があることには注意が必要だ。これは日銀のETF買入れ額増額による効果を打ち消すものになるからだ。

「英国のEU離脱問題や、新興国経済の減速を背景に、海外経済の不透明感が高まり、国際金融市場では不安定な動きが続いている。こうした不確実性が企業や家計のコンフィデンスの悪化につながることを防止する…」(日銀)

日銀は今回追加緩和に踏み切った理由をこのように説明している。しかし、英国のEU離脱ショック後の世界の金融市場は、米国株式市場が史上最高値を更新、新興国株価指数も5%近い上昇、日本株も英国のEU離脱ショック前の水準を上回るなど、不安定な動きどころか安定的な動きを見せている。

懸念されるのは、日銀が誤った世界経済認識に基づいて金融政策の舵取りをしているということだ。6月の時点では、英国民投票による米国経済や金融市場への混乱の可能性が指摘されていたにもかかわらず、7月26〜27日に開催されたFOMC(米公開市場委員会)ではFRB(米連邦準備制度理事会)が「短期的な経済見通しへのリスクは低下した」という認識を明らかにしている。

にもかかわらず、日銀は「英国のEU離脱問題や、新興国経済の減速を背景に、海外経済の不透明感が高まり、国際金融市場では不安定な動きが続いている」という理由で追加緩和に踏み切ったわけだ。

験を担いだのか、今回日銀は2013年4月の「異次元の金融緩和」と同様に「ETF2倍、米ドル資金2倍」という緩和策を打ち出した。しかし、世界経済に対する「異次元の認識」を示した日銀は、これで海外投資家からの信頼を回復することが出来るのだろうか。

今回「苦し紛れの悪手」を放った日銀にとっての唯一の「救い」は、市場がすでに「日銀の追加緩和は効果がない」ことを織り込んでいたことかもしれない。

1005とはずがたり:2016/08/20(土) 18:42:56
もう市場はカンフル剤頼みのヤク中患者にとっくになりさがってるやろう。。(;´Д`)
安倍が消費増税延期で財政再建の旗を降ろした以上付き合って金融緩和は出来ないと政策転換すべきである。

日本株は「日銀ETF中毒」の一歩手前だ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160820-00132518-toyo-bus_all
東洋経済オンライン 8月20日(土)14時0分配信

 8月19日の日経平均株価は1万6545円で終了した。前週末比では2.21%下落。史上最高値を更新していたNYダウや、年初来高値推移だった英FTSE100指数など主要国の株価指数もそろってマイナスとなった。

■ 「日銀ETF買い」の有無に振り回される日本市場

 英米株価指数は高値圏での利益確定が入ったようだが、日本は事情が違う。日銀による上場投資信託(ETF)買い入れ実施のタイミングが不透明となったことが要因にある。お盆入りで薄商いとなった東京市場は「日銀ETF買い入れの有無」に振り回されっぱなし状態だ。「日銀の呪縛」によって東京市場は、身動きが取れなくなっている。

 確かに政府主導による官製相場は、一定の安心感を生み出す。だが、日銀によるETF買い入れなど金融政策は一時的なカンフル剤に留めておくべきだろう。「すでにそうなっている」という指摘もあるが、このままだと追加緩和を常に欲する「患者」のような状態になってしまうのではないか? 

 それはさておき、まずは日銀のETF買い入れに関する動きから再度確認しておきたい。

1週間前に寄稿した「日本株『みせかけの好調』の後に来るもの」では、日銀会合以降、市場で発生した3つの変化として、「日経平均ボラティリティ・インデックス(VI)の低下」「NT倍率の拡大」「ドル建て日経平均の高値更新」を紹介した。 これらの事象には、日銀によるETF買い入れ幅の拡大が根底にある。日銀は、4日と10日には707億円のETF買入を実施した(設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETF買い入れ12億円は毎日入るので除く)。

 日銀が下落局面でETFを大量に購入するためリスク・プレミアムが低下(日経VIの低下)し、日経平均へのインパクトが大きい銘柄が先行して上昇(NT倍率の拡大)。そして、円高進行にもかかわらず、官製相場による作られた株高となる(ドル建て日経平均の高値更新)という一連の流れを説明した。

日銀の買いパターンに「異変」、市場は混乱
 実は7月28日までは「前場、TOPIX(東証株価指数)の下落率が-0.2%よりも大きかったらETF買い入れが実施される」というパターンが確認されていた。
 
このパターンが明確だったことから、売り方は後場買い戻しを入れるなど、一定の抑止力となっていた。もちろんETF買い入れを飲み込むレベルの売り崩しは何度もあったが、それでもパターン通りに動いてくる日銀を市場は「信頼」していた。

1006とはずがたり:2016/08/20(土) 18:43:19
>>1005-1006
 異変があったのは、ETF買い入れ幅が拡大された後の8月16日だ。前場のTOPIX下落率は前日比-0.38%していた。市場はランチタイム辺りから「日銀ETF買い入れが入る」と見越して先物買いに動いた。だが、12時過ぎ、トレーダー筋から「どうやら日銀は買わないようだ」と伝わると、後場一気に崩れる格好となった。日銀がETF買い入れに動く水準が不透明となったことで、市場は疑心暗鬼となり、積極的に動けなくなっている。

■ 日銀が日本株を大量に抱え込む必要はあるのか

 そもそも、日銀がこれほどまで日本株を抱え込む必要はあるのだろうか? 15日に発表された4-6月期GDP速報値は、前期比年率+0.2%と成長率は1-3月期の+2.0%から大幅に減速した。個人消費の伸びが低迷したほか、企業設備投資が予想を下回ったことも成長鈍化の要因となった。

 証券業界に近い場所で仕事をしていると、日経平均の動向だけで日本経済を判断してしまいがちだ。筆者も含め証券関係者の一部には「株が上がっている=日本の景気はいい」という単純なロジックをベースに生活しているフシがある。

 株は期待(警戒)先行で上下する特性があることから、アベノミクス相場スタート時の上昇ピッチは非常に早かった。ただ、「株高=景気回復」という構図はなかなか実現できていない。

 確か当初は株高による一定の浮揚効果はあった。一方、個人投資家はすそ野こそ徐々に広がっているが、欧米と比較するとまだまだだ。確定拠出年金制度の利用者にしても同じだ。幅広い層に景気回復、デフレ脱却を実感してもらうには、株高政策だけでは限界がある。

 日銀によるETF買い入れ実施の有無、9月の日銀会合での追加緩和期待など、足元、金融政策への関心は異常なほど高まっている。

 2013年4月に異次元緩和がスタートして早3年半経過したが、景気回復、デフレ脱却はなお道半ばだ。筆者は根本的には成長戦略の見直しが必要と考える。農業、医療、雇用など様々な規制緩和の実施が必要だと思うが、結局のところ「一丁目一番地」は人口減少への対応だろう。

 人口が減少している国の経済成長率を高めようとする時点で、「力業勝負」となり歪みが生じる。人口が減少しているのであれば、少子化対策を推進するか、移民を受け入れるかの選択となるだろう。この場合、移民受け入れは、日本独特な心情的な問題が発生する可能性もあり、実現は難しいが、少子化対策は積極的に取り組む価値は十分にあると考える。即効性は無く、効果が出るまで試行錯誤もあるかもしれないが、国力を強めるためには重要なことだ。

 確かに、金融政策を打ち出せば、目先の日本株は上昇するかもしれない。だが、あくまでも「カンフル剤」に留めておくべきだろう。金融、財政政策で地盤を固め、政治力で成長戦略を推進するという構図が10年、20年先の日本経済もしくは日本株を考えると、結局は一番望ましいはずだ。

田代 昌之

1007とはずがたり:2016/08/20(土) 18:55:48
日銀総裁インタビュー 総括検証、即時公表へ 来月会合 “サプライズ”修正か
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160820-00000046-san-bus_all
産経新聞 8月20日(土)7時55分配信

 日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は、19日までに産経新聞の単独インタビューに応じ、9月の金融政策決定会合でまとめる金融緩和の「総括的な検証」の結果を、会合の声明文と同時に公表する考えを表明した。総括的な検証の公表時期が明らかになるのは初めて。また、総括的な検証は金融政策の「予見可能性」に配慮した意味合いがあるとも説明、これまでの“サプライズ演出”の手法を大きく修正する可能性が出てきた。

 市場参加者は、総括的な検証がどのような形で進められるか注目している。

 黒田総裁は「(日銀)執行部の作業結果を聞き、政策決定会合で議論する。どのようなものになるかは現時点で申し上げられないが、基本的には声明文とともに検証の結果を公表する」と語った。

 一方、日銀はこれまで金融政策を先読みさせず、投資家を驚かせる“サプライズ演出”を得意としてきた。こうした演出は当座のインパクトは強いが、市場は徐々に日銀の説明を信じなくなり、金融政策の効果が出にくくなる。逆に、欧米の中央銀行は、金融政策の方針を丁寧に説明し、市場へのサプライズを極力避けている。

 黒田総裁は「かつては『予見可能性』や『市場との対話』を重視しないという考え方が各国の中銀で強かったが、この数年はむしろ重視する考え方が出てきた」と説明した。

 その上で、総括的な検証について、「政策決定会合で決まる内容を事前にアナウンスするという予見可能性のものではない」と強調したものの、「金融政策のあり方をよく示すという意味では有益だ」とも述べた。

 導入から半年が経過したマイナス金利政策については、効果を強調するとともに「マイナス金利の限界にはまだ到達していない」と述べ、深掘りの可能性を改めて示唆した。

1008とはずがたり:2016/08/20(土) 18:57:09
「日銀ショック」で日本株が追い込まれる日
「必要なら追加緩和」は言い続けられない
http://toyokeizai.net/articles/-/129649
窪田 真之 :楽天証券経済研究所長兼チーフ・ストラテジスト 2016年07月29日

日銀は追加金融緩和を決定、なんとか面目を保った。だがいつまでもETFや国債などを買い支えることはできない。どこかで買い増し額の減額をいう瞬間がやって来る(写真:長田洋平/アフロ)
株の買い支えに徹する日銀

7月29日昼過ぎに、日銀の金融政策決定会合の結果が発表された。市場が期待する大規模緩和はなかったが、ETF(指数連動型投資信託)の買い入れ額を年間3.3兆円から6兆円に増額する、大規模な株買い支え策が発表された。

大規模緩和がなく円高は防げなかったが、株(ETF)の買い支え策発表が効いて、株安は防ぐことができた。ドル円は7月29日の午後3時20分時点で前日比1円62銭円高の1ドル103.66円だった。日経平均は前日比92.48円(0.56%)上昇して、1万6569.27円で引けた。

一方、マイナス金利の拡大がなかったことを好感して銀行株が急騰した効果で、TOPIX(東証株価指数)は前日比1.20%上昇した。

4月28日、6月16日は、日銀が「追加緩和なし」を発表した直後に、円高・株安のダブルショックに見舞われた。4月28日の日経平均は前日比624円安、6月16日は同485円安であった。今回の7月29日も、円高を嫌気して一時日経平均が302円安になる場面があったが、株買い支え策の発表が効いて、その後、上昇に転じた。

ただ、株安は防いだものの、円高は防げなかった。また3回連続で大規模緩和の期待を裏切ったことで、日銀の緩和策の限界を感じさせる結果となった。

さすがに「ヘリマネ」には踏み込まなかったが・・

市場の一部では、ヘリコプターマネー(ヘリマネ)のような大規模緩和を期待する声も出ていた。ヘリマネ自体は、財政法で禁止されていて、できないことはわかっていたが、日銀のやっていることは、少しずつヘリマネに近づいていた。

ヘリマネの定義は必ずしも明確ではないが、日銀が「政府が発行する無利息・無期限の債券を引き受けること」との解釈が一般的だ。これは、実質、日銀が政府にマネーを譲渡するに等しい。それは財政法で禁止されている。

今回、市場で期待が広がっていたのは、日銀が「ヘリマネのような」緩和を行うことである。たとえば、以下のような財政・金融策の協調がイメージされていた。「政府が大規模財政出動を決め、新規に40年国債を発行する。日銀はそれにあわせて、40年国債の大規模買い増しを発表する」。

日銀が無利息無期限の国債を直接引き受けるわけではないので、ヘリマネではないが、40年という超長期の低利回り国債を大量に買い入れれば、それは限りなくヘリマネに近い金融政策となる。日銀は、今回は、そうした財政出動と連携した大規模緩和には踏み込まなかった。

黒田日銀総裁は、29日の記者会見で「必要な場合は、量・質・金利の3次元で追加緩和を講じる」と従来通りのコメントを述べ、先行きの追加緩和の期待を残した。デフレ色が強まる中、毎回、大規模追加緩和を見送り、「必要なら追加策を行う」と言い続ける、いつものパターンだ。

日銀は、2016年3月時点で総資産が405.6兆円まで膨らんでいるが、純資産は3.5兆円しかない。日銀券を刷り続けることで、資産規模を膨らませ続けることはできるが、純資産をすり減らすマイナス金利の国債買い取りには、いずれ限界が来る。

日銀は、3月末時点で、日本株ETFや不動産投資信託などを、すでに約9兆円持っている。ここから、年6兆円のペースでETFの買い増しを続けると、純資産に比べたリスク資産の保有はいずれ過大になる。

「日銀ショック」が訪れるときはいつか

日銀は、自らの財務を痛める大規模緩和を制限しなければならない日が来る。「年80兆円のペースで買い増ししているマイナス金利の国債を、年70兆円に減額しなければならない」といったことを議論しなければならなくなる。そうなると、金融市場に大きなショックをもたらすことになる。

米FRBが大規模緩和を終了した時のプロセスが参考になる。2013年5月、当時、米FRB議長であったバーナンキ氏が、「将来、金融緩和を縮小しなければならない」と発言しただけで、世界中の株が暴落した「バーナンキ・ショック」が起こった。

黒田日銀総裁が今、「将来、国債買い増し額の減額が必要になる」と口にすれば、同様のショックが東京市場に起こるだろう。黒田総裁は、日銀の「出口」を誰にも意識させないためにも、「必要ならば、追加緩和をする」と言い続けなければならなくなっている。

1009とはずがたり:2016/08/20(土) 19:01:09

>「リフレ政策に理解のある委員は(9人中)5人いる。1回限りであれば、総裁らが反対しても大胆な量的緩和を可決することは可能だ」
総裁以外に9人ボードメンバー居るんだっけ??

日銀「クーデター」のシナリオとは… 追加緩和不発で黒田総裁“崖っぷち”
http://www.iza.ne.jp/kiji/economy/news/160803/ecn16080322350034-n1.html
2016.8.3 22:35

 日銀が7月29日に決めた追加金融緩和策は、市場の期待を裏切る内容だった。黒田東彦(はるひこ)総裁は9月にも一段の緩和を示唆するが、後がない。専門家は、黒田総裁が対応を誤れば次期総裁人事に影響が出てくるほか、日銀内での「クーデター」の可能性についても言及する。

 日銀は上場投資信託(ETF)の買い入れ額を年3・3兆円から6兆円に増やしたが、市場に供給するお金を年間80兆円のペースで増やす「量的緩和」は拡大せず、出し渋りの感は否めない。

 日銀の金融政策をウオッチし続けてきた上武大教授の田中秀臣氏は、「批判の矢面に立たないようにETFを増額するが、量は増やさないというやり方は、昔の日銀の発想に戻ってしまったようだ」と批判する。

 黒田総裁は、2013年以降の金融緩和について検証したうえで、9月にもさらなる緩和を実施する可能性があるとした。サプライズ狙いから、市場との対話路線に転じる構えだが、効果は不透明だ。

 前出の田中氏は「日銀の組織防衛的なスタンスが続けば、安倍政権自体も追い込まれかねない。次の決定会合に政府側の委員として位の高い人物を送り込むほか、日銀法改正をちらつかせるなど政治的なプレッシャーをかけることがありうる。18年の次期総裁人事では、積極的な緩和論者である本田悦朗スイス大使を起用する可能性も高まったのではないか」と指摘する。

 田中氏は、黒田総裁や日銀事務方のスタンスが変わらない場合、理論上は、決定会合で「クーデター」を起こせるという大胆な仮説を立てる。

 「リフレ政策に理解のある委員は(9人中)5人いる。1回限りであれば、総裁らが反対しても大胆な量的緩和を可決することは可能だ」

 黒田総裁にとっては、9月が信頼を取り戻すラストチャンスかもしれない。

1010とはずがたり:2016/08/23(火) 18:36:05
黒田総裁は何を指示したのか “意味深な一文“から日銀の思惑を読み解く
https://thepage.jp/detail/20160819-00000005-wordleaf?page=1&utm_expid=90592221-68.lfBehu-SRAaVoElq1eS33g.0&utm_referrer=https%3A%2F%2Fthepage.jp%2Fdetail%2F20160819-00000005-wordleaf%3Fpage%3D4
2016.08.22 08:00

「2%の『物価安定の目標』をできるだけ早期に実現する観点から、次回の金融政策決定会合において、『量的・質的金融緩和』・『マイナス金利付き量的・質的金融緩和』のもとでの経済・物価動向や政策効果について総括的な検証を行うこととし、●議長はその準備を執行部に指示した」

 金融市場の話題は日銀が7月29日の声明文に記載した上記一文の解釈に集中しています。これが何を意味しているのか、市場関係者の間では三者三様の見方が示されており、予想が割れています。7月29日の総裁会見では、この一文について記者からの質問が集中しましたが、総裁はほとんどヒントを与えませんでした。そこで本稿では、議長(総裁)が執行部(いわゆる事務方)に何を指示したのかを予想するとともに、現在、市場で示されているいくつかの見方を整理し、その妥当性を第一生命経済研究所の主任エコノミスト・藤代宏一さんが検証していきます。

いちばんわかりやすいマーケット予想

<参考>総裁の回答で主要な部分(抜粋)

海外経済・国際金融市場 を巡る不透明感などを背景に、特に物価見通しに関する不確実性が高まっている状況を踏まえて、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現する観点から、次回の金融政策決定会合において、この 3 年強の間の色々な金融緩和の下での経済・物価の動向、あるいは政策効果について、総括的な検証を行うことにしました。もちろん、スタッフは常に分析をしているわけですが、「量的・質的金融緩和」を導入して 3 年強、そして「マイナス金利」を導入して半年――1 月に決定して実際に適用されたのは 2 月からですから半年位―― というところで、「総括的な検証」を政策委員会において行うということです。 政策委員会の全てのメンバーがこうしたことが望ましいと言われまして、この公表文に示したということです。具体的に、「総括的な検証」を行った後の金融政策については、「総括的な検証」を行ったうえでのことですが、明確なのは、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するために何が必要かという観点から、「総括的な検証」を行うということです。

「量的・質的金融緩和」の導入にあたっては、「できるだけ早期に」という際に念頭に置いている期間として、2 年程度という期間を示しました。「量的・質的金融緩和」の導入後、すでに 3 年以上経過しているのは事実ですが、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するという方針に変化はありませんし、今後もそれを変更する考えはありません。

 以上は「総裁会見の抜粋」です。

この一文は「追加緩和の布石」と読むべきなのか

 まず最初の分岐点は、この記事の冒頭で提示した一文が、「追加緩和の布石」なのか否かです。「議長が執行部に指示」という文脈を見て真っ先に連想されるのは欧州中央銀行(ECB)ドラギ総裁が得意としている追加緩和の「予告」です。ドラギ総裁は、ECB内部の意見調整、追加緩和期待をつなぐという目的もあって、次回会合における追加緩和を強く示唆するという手法を採ってきました(たとえば量的緩和導入時など)。この手法は次回会合までの1カ月ないしは2カ月の間、市場で追加緩和を巡る憶測が飛び交うことで、そのこと自体が緩和効果を生み出すという利点がある一方、期待が膨らみ過ぎると失望を誘うリスクが高まるという弱点があります。この一文にはそうした意図がこめられているのでしょうか?

 筆者の見解はNOです。こうした見方(=とは註:●が追加緩和の「予告」)を示しているのが(おそらく)少数派であることを先に断っておく必要がありますが、これまでの黒田総裁の言動を踏まえると「検証の結果、金融緩和が不十分だったので今回新たに○○を追加する」などといった具合に過去の誤りを認めるような見解が示されるとは考えにくいからです。2013年4月以降の検証、つまり3年4カ月前との比較という視点で金融政策を評価すれば、「所期の効果があった」と結論付けることができるでしょう(「所期の効果」という言葉は日銀が好んで使います)。

1011とはずがたり:2016/08/23(火) 18:37:06
>>1010-1011
 この間、コアCPI(生鮮食品を除いた消費者物価指数)は原油価格の影響をダイレクトに受けたので参考にならないとしても、●コアコアCPI(食料・エネルギーを除いた消費者物価指数)が一時1%に迫る上昇を記録したほか、日銀版コアCPI(生鮮食品・エネルギーを除いた消費者物価指数)が一時1%台半ば付近へと水準を切り上げたことは、金融政策に太鼓判を押す証拠として十分でしょう。最近のコアコアCPIの減速については、7月29日の追加緩和(3兆円から6兆円へとETF購入枠を拡大)で対処したから問題なしとの見方が示されるのではないでしょうか。

「サプライズ型」から「予告型」で、より大胆な緩和策を導入するという見方も

 一方、●この記事の冒頭で提示した一文を「追加緩和への布石」と捉える向きは多いです。日銀が追加緩和をほのめかすような一文を挿入したのは今年1月29日のマイナス金利導入があまりにも唐突で、そのサプライズ感が金融政策の不透明感を通じて投資家マインドに悪影響を与えたとの反省から「サプライズ型」のコミュニケーションに区切りをつけ、「予告型」に変更したとの見方です。

 今回、採用が見送られた「マイナス金利深掘り」、「長期国債の買い入れペース増額」は、その突発的な発表が債券市場のボラティリティ(変動率)上昇や銀行株の急落といったネガティブな事象に直結する可能性があります。それに配慮してECB型の予告をしておけば事前の織り込みが進むため、大胆な緩和策が導入できるというわけです。

 来月9月会合でマイナス金利深堀り(▲0.1%→▲0.3%)、長期国債の買い入れ増額(80兆円→100兆)が加わり、2会合越しでフルパッケージの追加緩和が完成するとの予想もあります。

7月のETFのみの追加緩和は、日銀の自信か?

 ただし筆者は今回日銀がETF単独の追加緩和を採用した理由を、●日銀が名目金利の低下に満足したことにあるとみています。その見方が正しければマイナス金利深堀り、長期国債の買い入れペース増額のような金利に影響を与えるオプションが9月会合で採用される可能性は低いとの結論にたどりつきます。そのほかでは、(1)量・質・金利という現在の枠組みを抜本的に見直す、(2)マイナス金利撤回、(3)テーパリング(≒量的緩和縮小)を示唆、など多くの憶測が飛び交っています。

 まず(1)については、金利の操作目標を翌日物金利から5年・10年といった長期ゾーンに時間軸を伸ばすといった枠組み変更が選択肢として考えられますが、すでに超長期ゾーンまで日銀のコントロール下にある現状を踏まえると、それをすることによって得られるメリットがあるのか疑問です。(2)ついては「マイナス金利は副作用が大きい」との結論が示されることを意味するため考えにくく、(3)については、「金融政策に限界は感じていない」との黒田総裁の発言に完全に逆行するため、その可能性は極めて低いでしょう。

日銀の掲げる目標、”2年”と”2%”についての再確認

 また、これはとは別の議論で「(物価目標達成の時期として)2年を放棄するのではないか?」、「2%の目標に柔軟性をもたせるのではないか?」といった観測も一部で生じています。

 まず前者に関しては、●そもそも日銀が2年という期間を目標にしていないという事実を再確認する必要があります。時間的目標はあくまで「できるだけ早期」で、2年というのは分析に基づく物価目標達成時期の「予測」という位置づけです。日銀が2年を撤回するとは、そもそも可能性がゼロです。

 後者については、2%というピンポイント目標から2%±0.5%へと幅を持たせる、あるいは一段の金融緩和に否定的な見解を持つ木内委員が主張するように「2%の『物価安定の目標』の実現は中長期的に……」といっ具合にトーンを弱める可能性が指摘されていますが、2%目標の撤回は購買力平価説(PPP)に基づく通貨高を容認することになるので、そのハードルは極めて高いと判断されます(PPPでは物価上昇率の低い通貨ほど通貨価値が高くなる)。各国中銀がおおむね2%のインフレ目標を掲げるなか、日銀だけがそのコミットを弱めれば為替市場で「デフレ通貨」のレッテルが貼られ、強烈な通貨高にさらされることは想像に難くありません。

 以上みてきたように、●9月会合で示される「総括的検証」が追加緩和の予兆であるかは疑わしいと考えます。市場では9月会合における追加緩和が意識されていますから、「ゼロ回答」だった場合の失望は大きいでしょう。もっとも、このような追加緩和期待が生じることを承知のうえ、なぜ日銀が“意味深”な一文を挿入したのかという疑問は残ります。追加緩和や抜本的な枠組み変更の可能性が否定できないのも事実です。9月会合までに得られる日銀関係者(正副総裁はじめ審議委員含む)の発言等を精査し、考えを整理していきたいと思います。

1012とはずがたり:2016/08/24(水) 00:20:22
>>1010-1011の記事は日銀に阿りすぎにしてもこの記事だと疑問が20も(;´Д`)アリスギヤロw

2016年 08月 23日 08:44 JST
コラム:黒田緩和検証、20の疑問=河野龍太郎氏
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-ryutaro-kono-idJPKCN10X0EV?sp=true
河野龍太郎BNPパリバ証券 経済調査本部長

[東京 22日] - 日銀は次回9月20―21日の金融政策決定会合で、2013年4月に開始した量的・質的金融緩和(QQE)、16年1月に開始したマイナス金利政策(マイナス金利付きQQE)の政策効果について総括的な検証を行う。当初、2年程度で2%インフレを達成するとしていたが、3年以上が経過しても、達成のめどがつかないためだ。

現在、日銀は2%インフレの達成時期を「17年度中」としている。この意味するところは、18年3月(黒田東彦総裁の任期満了は18年4月8日)には2%インフレが達成されるということだが、今では金融市場の多くの人が、それは単なる努力目標で、再度の先送りは不可避と考えている。

これには、政策手段はいくらでもあるという黒田総裁発言とは裏腹に、マイナス金利政策を含めQQEは限界に近づいていると多くの人が見なすようになっていることも影響している。

では、9月の検証で日銀はどこまで踏み込むのだろうか。量的ターゲットなどの操作目標の見直しやマイナス金利政策の撤回もあり得るのか。あるいは、2年で2%インフレ達成という政策目標自体に変更が施されるのだろうか。

<明らかに矛盾する政策思想、操作目標見直しの必要性>

Q1)そもそも、なぜ検証を行うのか。

2015年5月には日銀企画局が「量的・質的金融緩和:2年間の効果の検証」というレポートを公表した。今回、当時と同じように、企画局のレポートだけで済ますことができないのは、金融市場では、黒田総裁の5年間の任期をかけても、目標達成が難しいと強く疑われるようになっているためである。

つまり、「2年程度で2%インフレの達成」という政策目標そのものの実行可能性、妥当性を検討せざるを得ない状況となっている。

Q2)量的ターゲットは限界なのか。

14年10月の追加緩和の直後から、筆者は早ければ16年末には年80兆円の長期国債購入はスムーズにいかなくなり、いずれ年80兆円増のマネタリーベース・ターゲットの達成そのものが難しくなると主張してきた。

16年1月末に追加緩和として日銀が打ち出したのは、予想していた通り、長期国債の購入増ではなく、マイナス金利政策の導入だった。日銀がマイナス金利政策を導入したのは、量的ターゲットが限界に近づいている何よりの証拠である。

Q3)操作目標の見直しが必要なのか。

問題は量的ターゲットが限界に近づいていることだけではない。その象徴であるマネタリーベース・ターゲットは、マイナス金利政策と本質的に矛盾するという問題も抱えている。

前者は、民間金融機関に超過準備の保有を促そうとするものだが、後者は増加した超過準備にペナルティを賦課する政策である。日銀は付利を三層構造とすることで取り繕おうとしているが、政策思想は明らかに矛盾している。

日銀は現在、マネタリーベース・ターゲットという「量」、長期国債・上場投資信託(ETF)・不動産投資信託(REIT)購入という「質」、マイナス金利という「金利」の三次元で対応しているが、操作目標について、整理し直す必要がある。

1013とはずがたり:2016/08/24(水) 00:20:33


金融市場では、日銀の政策手段が底を尽きつつあるという懸念が広がっている。まず、マネタリーベース・ターゲットはオペレーション上、国債購入が限界に近づき、かつマイナス金利政策と矛盾するため継続が難しいと考えられ始めている。マイナス金利政策は物理的には深堀り余地はあるが、政治的には困難になったと考えられ始めている。

ETFについては、7月末の購入額の倍増で、市場を大きく歪め、これ以上の追求は難しいと懸念されている。全ての政策が何らかの理由で、限界に近いと考えられているのである。

現在は、経済が完全雇用にあるため、政策発動の必要性は小さいが、将来、総需要ショックが起こった時に、中央銀行が何ら有効な政策カードを有していないと見なされると、深刻な事態に陥る。操作目標を整理し、手立てが残っていることを内外に示す必要がある。

Q4)政府とのアコード(政策協定)も再検討されるのか。

QQEの前提には、13年1月に政府との間で結ばれたアコードがある。そこでは、日銀が2%インフレの達成に向け努力するとともに、政府は財政健全化を進めることが謳われていた。

しかし、現実には14年以降、経済が完全雇用にあるにもかかわらず、毎年、追加財政が打たれ、消費増税は2度も先送りされている。QQE導入段階から筆者が懸念していた通り、アグレッシブな金融緩和によって財政規律はすっかり弛緩している。

本来なら日銀は、アコードに沿って政府に財政健全化の推進を求める必要がある。放漫財政が続いたままでは、将来、出口が必要になった際に、日銀はテーパリング(国債購入の減額)すらできない。

とはいえ、「それぞれの組織が与えられた役割をこなすべき」というのが黒田総裁の信念であり、さらに自らが掲げた目標も達成できていないため、財政健全化が進んでいないことを口にはできない。残念ながら総括ではアコードまで議論が進まないと思われる。

Q5)完全雇用下でアグレッシブな金融緩和を続けることの妥当性は検討されないのか。

日銀も認める通り、14年年初以降、日本経済は完全雇用にある。今や有効求人倍率は1990年代初頭のバブル期並みの高さだ。本来、経済が完全雇用にあれば、財政にしろ、金融政策にしろ、追加的な景気刺激策は不要である。そうした政策を続けると、資源配分や所得分配を歪め、潜在成長率を悪化させる。

消費低迷が続いているのも、単に14年度の消費増税の後遺症が長引いているのではなく、15年は円安進展による家計の実質購買力の抑制、16年はマイナス金利による家計センチメントの悪化など、金融政策の副作用が強く現れているとも言える。しかし、「2年で2%インフレ」を掲げている以上、そうした副作用には目をつむらざるを得ない状況となっている。

本来ならQQEの効果だけでなく、副作用についても幅広く検証すべきだが、そうすると政策目標そのものも否定することになりかねないため、そこまでは踏み込めない可能性がある。

Q6)将来の出口戦略について語る可能性は。

黒田総裁は、出口戦略を語るのは時期尚早と繰り返してきた。もちろん、インフレ上昇が始まっても、結局、財政従属が不可避となるため、実際の出口を規定するのは財政当局で、黒田総裁は主体性を持って出口戦略を語れない可能性は十分あり得る。

しかし、そうした事態を避けるためにも、長期国債の市中発行額のほぼ全てを購入する日銀は、将来、どのような道筋で国債市場から手を引くことができるのか、明確にすべきである。

また、国債発行残高に占める日銀のシェアは3割を超え、QQEの終了時には、大規模な損失が日銀に発生する恐れがある。出口でのコストが莫大なものになるという懸念も、金融政策限界論の根拠の1つであり、日銀はそれらについて明確に述べるべきだ。

とはいえ、2%インフレのめども立たないことから、出口戦略や出口の際の損失については、今回の総括でも、全く触れられないのだろうか。だとすると、大変残念である。

1014とはずがたり:2016/08/24(水) 00:20:43

Q7)金融政策限界論の底流にある問題は何か。

政府は約40兆円の財政赤字(=新規国債発行)で財政を運営している。ゼロ金利政策やマイナス金利政策による長期金利の低下を活用し、可能な限り長期の資金調達にシフトしている。

一方、日銀はネットで80兆円という財政赤字の2倍の国債を購入し、代わりに80兆円の超過準備を民間に供給している。民間にとり、当座預金は短期国債と性質が全く変わらない。つまり、統合政府で見ると、40兆円の財政赤字を短期国債で調達しているだけでなく、毎年、40兆円相当額の既発の長期国債についても短期国債と交換していることになる。

統合政府の財務状況は、短期の資金調達に極端に偏ったものとなっている。すなわち、短期金利の上昇に極めて脆弱で、それゆえ、利上げができない構造になっているのだ。

金利が上昇すると政府の利払い費が急増することや民間金融機関に損失が発生する以前の問題として、日銀に大規模なロスが発生する。このため、利上げや国債売却どころか、国債購入の停止にも踏み切れない状況に陥る。少しでも状況を改善するため、国債購入ターゲットやマネタリーベース・ターゲットを修正する必要がある。この点については、後編で触れたい。

Q8)「日銀トレード」の問題点も検討されるのか。

日銀は現在、マネタリーベースの年80兆円増を達成するため、主に長期国債をネットで年率80兆円購入している。そのため、相当に高い値段で(つまり相当に低い金利で)、民間金融機関から国債を購入している。それは、国庫納付金の減少を通じ、つまり国民の税金を元に、民間金融機関に補助金を手渡していることと同じである。

とりわけ、マイナス金利導入後、長期金利は日銀が想定していたよりも、相当な勢いで低下した。日銀が高値でいくらでも買ってくれると見込む投機筋が、国債購入を活発化させているのである。このため、購入する国債の利回りがあまり極端に下がり過ぎることがないように、9月会合では、極端に低い利回りでは購入しないことを決定する可能性がある。あるいは金利上昇を恐れ、この問題には手を付けないのだろうか。

Q9)金融政策の有効性が低下していることは語られないのか。

そもそも金融政策の効果の本質は、金利低下によって、現在の支出を有利にすることで、将来の需要を前倒しすることだ。金利がゼロになれば、需要の前倒しは難しくなる。マイナス金利は、現在の支出を相対的に有利にはするが、資産が目減りするため、負の所得効果を考慮すると、現在の支出を刺激するのは難しい。

また、将来の支出は、所得を稼ぐ能力、つまり潜在成長率に大きく規定されるため、それがゼロ近傍まで低下している日本では、将来の需要を前倒しする効果も小さい。金利がゼロ近傍に達した段階で、金融政策の残る有効なチャネルは通貨安だが、グローバルではゼロサムである。

つまり、金融政策の有効性が大きく低下しているから、十分な効果が現れていないわけだが、そのことが分かった上で非伝統的な金融政策を行っているのであるから、残念ながら9月会合では、金融政策の有効性にかかわる本質的な問題については議論されないと思われる。

Q10)金融緩和は本当に効いているのか。

14年のマイナス成長は消費増税が大きく影響しているが、その影響が解消された15年第1四半期以降も日本経済は全く成長していない。15年第1四半期から16年第2四半期の成長率は年率で0.1%にも満たない状況である。

もちろん、経済が成長しないのは、潜在成長率がゼロ近傍まで低下していること、さらに経済が完全雇用に入っていることが大きく影響している。しかし、金融環境が相当に刺激的であるなら、トレンドを多少でも上回る成長が続き、需給ギャップはプラスの領域で改善しても不思議ではない。それでも、改善が止まっているとすれば、それは金融環境があまり緩和的になっていないからかもしれない。

要するに、確かに実質金利は低下したが、自然利子率もゼロあるいはマイナスの領域まで低下しているため、それほど景気刺激的にはなっていない可能性がある。残念ながら、9月会合ではこの問題についても議論されないと思われる。

1015とはずがたり:2016/08/24(水) 00:20:56

<マネタリーベース目標撤回の可能性>

Q11)「2年で2%」を撤回するのか。

サプライズを狙った金融政策のツケに他ならないが、日銀の政策反応関数をもはや誰も見通すことができない状況にある。それゆえ、景気が良かろうと、悪かろうと、「2年で2%」を撤回しない以上、インフレ達成時期が先送りされるなら、何らかの政策変更に日銀が動くと市場参加者は考えざるを得ないのである。

需給ギャップが悪化していないのなら、インフレ達成時期が先送りされても、必ずしも追加緩和は必要とはならないはずだが、市場にはそれが全く伝わらない。こうした事態を改善するため、コミュニケーション戦略を立て直すと同時に、インフレ目標の達期時期についても、「2年」を完全に撤回し、特定の期間とはリンクさせない形で、「早期に」あるいは「できるだけ早く」という文言にし、本来のフレキシブル・インフレーション・ターゲットに近づける可能性がある。

ただし、日銀にとって、喫緊の課題は、操作目標の軌道修正であると考えられるため、今回、政策目標にまで手を付けるかどうか、筆者は確信が持てない。9月の決定会合で「2年2%」が撤回される可能性は5分5分である。

Q12)サプライズ戦略撤回の可能性は。

ほとんどの日銀関係者が認めているのは、コミュニケーション戦略の再構築の必要性である。14年10月に追加緩和を行った際、直前まで黒田総裁は景気、物価に対して強気の発言を続けていた。15年10月には、14年10月と同じ状況であったにもかかわらず、金融緩和は見送られた。しかし、その3カ月後には、導入しないと繰り返していたはずのマイナス金利の採用に踏み切った。

サプライズを狙った金融政策を繰り返した結果、日銀の政策変更に関する思惑自体が、金融市場を不安定化させる要因になっている。そのことは、実体経済には決して良い効果をもたらさない。予見可能性を高めることで、政策効果を最大化させるというのが本来の金融政策のあり方であり、サプライズ戦略とは真逆である。

執行部批判となるため、具体的には検討課題には上がらないかもしれないが、9月の決定会合を機に、サプライズ戦略は事実上、封印される可能性がある。すでに黒田総裁の発言からは軌道修正の兆しが見られる。

Q13)長期国債購入ターゲットはレンジとするのか。

日銀は今後、総需要ショックが訪れた場合でも、可能な対応策が残存し、金融政策はまだ限界に達したわけではないことを明確に示す必要がある。本来、金融緩和は、長期金利の低下を通じて、貸出金利の低下や円安・株高をもたらし、総需要を刺激する。このため、量的ターゲットの拡大そのものに意味があるわけではない。大量の長期国債を買っているから長期金利が低下しているのは事実だが、現状の長期金利水準を維持するために、現在のように大量の長期国債を購入する必要はない。

一方で、現在、市中発行額のほとんどを日銀が購入しているため、オペレーション上のコスト、出口の際のコストは相当に高まっており、政策の持続性が危ぶまれる状況となっている。9月会合では、長期金利が低位で安定しているのなら、国債購入ターゲットの厳格な達成にこだわる必要がないことを示し、年率80兆円の長期国債の購入ターゲットを、例えば70―90兆円のレンジ(あるいは60―100兆円)とする可能性がある。

Q14)マネタリーベース・ターゲットもレンジとするのか。

操作目標のマネタリーベース・ターゲットの主たる操作手段である長期国債の購入ターゲットに幅を持たせるのなら、本来、マネタリーベース・ターゲットにも幅を持たせることになる。

ただ、中央銀行の負債であるマネタリーベースの拡大にはそもそも理論的な意味がない。金利がゼロになると、経済・物価とマネタリーベースとの間の関係が遮断され、「マネーを増やせば物価が上昇する」という貨幣数量説が成り立たなくなるためだ。

現実に、量的緩和を行っている国で、マネタリーベース目標を掲げるのは日本だけである。他の国では、国債や社債など資産の購入額に目標が設けられている。さらに、マネタリーベース・ターゲットはもう1つの操作目標であるマイナス金利と矛盾する。マネタリーベースの拡大を促すことと、超過準備にマイナス金利のペナルティを賦課することは理屈上、相容れない。

1016とはずがたり:2016/08/24(水) 00:21:12

このため、9月会合では、マネタリーベース・ターゲットについては、撤回ないし事実上棚上げされる可能性がある。あるいはマネタリーベース・ターゲットを撤回するものの、量の追求を止めるわけではないことを示すため、メニューの拡大として社債や地方債の購入を決定するのだろうか(マネタリーベース・ターゲットの限界を補うものとはなり得ないが)。

Q15)マネタリーベース・ターゲットの棚上げは、長期国債ターゲットの延命につながるか。

答えはイエスだ。例えば、日銀は保有する短期国債を売却し、同額の長期国債を購入するツイストオペを行えば、長期金利を引き下げることが可能となる。

短期国債の金利は、超過準備預金金利(IOER)に左右されるため、日銀が売却しても、短期金利は上昇しない。一方で、長期国債の購入量を増やせば、タームプレミアム(期間に伴う上乗せ金利)が潰れ、長期金利を引き下げることができる。長期国債ターゲット限界説の根拠の1つは、金融取引の担保として国債が不足するため、金融機関が売却を渋るというものだった。マネタリーベース・ターゲットを止めればツイストオペを行うことで、長期国債購入額を拡大することが可能となる。

なお、マネタリーベース・ターゲットが棚上げされても、象徴的な「量・質・マイナス金利」の3次元という言葉は維持されるだろう。新たな量の象徴として、レンジ化された長期国債購入ターゲットがしばらく用いられると思われる。

Q16)評判の悪いマイナス金利は撤回しないのか。

事実上の銀行課税であるマイナス金利政策は確かに評判が悪い。本来、金融緩和とは、金融機関の資本コストを引き下げ、企業や家計の借入金利が低下することで、消費や設備投資を刺激することである。金融機関の資本コストが引き上げられれば、金融機関はむしろ貸し出しに抑制的になる可能性がある。

ただ、大幅な総需要ショックが訪れた際、マイナス金利を深掘りすることで、円安に誘導できれば、大幅な株安も避けられ、ショックを和らげることが可能となるかもしれない。とりわけ、景気拡大局面が8年目に入った米国が、それほど遠くない将来、不況に陥れば、米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和をきっかけに大幅な円高・ドル安が進む可能性がある。

このため、評判は悪いものの、将来の金融緩和の一手段として、マイナス金利が撤回されることはないと思われる。中国人民元の大幅切り下げ観測がくすぶり、それに伴う円高リスクが残ることへの対抗手段ともなり得る。

また、マイナス金利政策を撤回しないのは米大統領選挙も影響している。まず、ドナルド・トランプ大統領が誕生すればドル安政策が採用され、大幅な円高・ドル安が訪れる可能性があるからだ。

16年1月以降、FRBや米財務省の通貨政策のスタンスが変わったのは、米国第一主義を掲げるトランプ氏が大統領選の共和党候補になる可能性が高まったためだろう。オバマ政権にとり、日本に配慮して円安を容認することは、民主党候補のヒラリー・クリントン氏の足を引っ張ることになる。このため、日本の財務省は、いかに円高が進もうとも、実弾での為替介入は難しい。大幅円高に備え、日銀はマイナス金利政策を準備しておく必要がある。

さらに、ヒラリー・クリントン氏が勝利した場合でも、米国の製造業をサポートするため、ビル・クリントン政権の当初のドル安政策にならう可能性がある。民主党候補、共和党候補のいずれが勝利しても、大幅な円高回避のため、日銀はマイナス金利政策を手放すことができない。

Q17)9月会合でマイナス金利政策は深掘りされるか。

日銀が円高回避に敏感になっていたのは、円高が株安をもたらすためだ。完全雇用にあるため、一国の経済厚生を考えれば、家計の実質購買力を引き上げる円高が望ましい。

しかし、輸出企業優遇の円安誘導政策を続けてきた副作用で、日経平均に占める輸出企業のウエイトが実態以上に膨らみ、円高になると株価が大幅に下落し、政治的な金融緩和圧力が高まっていた。7月末の決定会合でETF購入額が倍増され、円高が多少進んでも、株価は以前ほど下落しなくなっている。日々のマーケットでは1ドル100円割れより、日銀の買い出動のタイミングが強く意識されるようになった。フォーカルポイントが為替から日銀にシフトしているのだ。

1017とはずがたり:2016/08/24(水) 00:21:34
>>1012-1017

引き続き円高次第ではあるが、株価が大幅に下がることがなければ、9月会合でマイナス金利の深掘りが行われることはないと思われる。米国の利上げ観測が高まり、ドル高が進んでいれば、マイナス金利政策が深掘りされる可能性はさらに低下する。

むろん、大幅な円高になった時、それを回避するためマイナス金利が一時的に大きく拡大される可能性はあり得るが、継続的には0.5―0.7%がマイナス金利の限界だと考える。9月会合では、マイナス金利政策の限界に関する議論は行われないと思われる。

Q18)マイナス金利以外に有効な政策ツールはないのか。

量的ターゲットが困難になっているとすれば、残る手段はマイナス金利の深掘りと、長期金利ターゲットだ。欧州中銀(ECB)がマイナス金利をスタートするまで、マイナス金利は筆者の選択肢には入っておらず、量的ターゲットが限界に達した後の選択肢は、長期金利ターゲットだと考えていた。

そもそもマイナス金利を深掘りするのも、長期金利を引き下げるためだ。長期金利の低下を通じ、円安や株高、貸出金利の低下が進む。このため、マイナス金利政策の弊害が大きいということになれば、いずれ長期金利ターゲットに移行する可能性がある(インフレの上昇が始まった際には、長期金利の急騰を避けるため、ほぼ間違いなく必要となる)。

あくまで将来の政策ツールであり、9月会合では、議論されないと考える。ただし、9月会合でマネタリーベース・ターゲットを撤回し、長期国債購入ターゲットをレンジ化する際、長期金利の上昇を避けるため、長期金利のキャップを金融市場に対して日銀が暗示し始め、事実上の長期金利ターゲットがスタートする可能性も排除できない。

なお、ETFについては、当面の増額はないと思われるが、将来、大きな総需要ショックが訪れた場合、それを吸収する手段として買い入れを一段と増やすことはあり得る。7月会合で倍増したことで、株式市場のプライシングを大きく歪める問題について、日銀はあまり気にしていないことが明らかになった。ただ、日銀の大量購入によって株価がサポートされても、実体経済とのかい離が広がるばかりで、最後には支えられなくなる。

Q19)マイナス金利での資金供給を開始するか。

日銀は貸出支援基金オペにおいて、マイナス金利で資金供給し、その倍額をゼロ金利で当座預金に受け入れる可能性がある。金融機関にとり、資金調達コストが限界的に低下するため、貸し出しの増加には多少つながる。ただ、そもそも資金需要が低いため、マクロ経済的には大きな効果は期待できない。

Q20)ヘリコプターマネーの可能性は。

財政調整だけではもはや公的債務の圧縮が困難になっているという意味では、ヘリコプターマネーに片足を突っ込んでいると言えるが、もし、言葉の定義通り、政府が公的債務を増税や歳出削減で返済しないことを前提に追加財政を開始すれば、人々は将来の増税や歳出削減を気にせず支出を増やすため、景気刺激効果やインフレ醸成効果はより大きなものとなる。

ただ、ヘリコプターマネー政策は、常習性が強く、高率のインフレのみならず、資源配分の歪みから潜在成長率のさらなる低下をもたらす。そうした問題が認識されているため、財政法、日銀法でも禁じられており、9月会合で検討されることはまずないと思われる。


*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。

1018とはずがたり:2016/08/29(月) 16:00:42
>ヘリコプターマネーに関する質問に対して総裁は、国内法では制限があると説明。そのうえで日銀の国債買い入れ規模を考慮すると、買い入れ可能な国債は「急速に縮小を続けるだろう」としたが、量的緩和の実質的な上限への対応について言及はなかった。
QEの限界は明白じゃあないか。どうすんだ?
戦争政策は後回しにして経済改革断行するアコード結べよなぁ(`Д´)

2016年 08月 28日 12:46 JST
マイナス金利下限に「かなり距離」、量・質も緩和余地=日銀総裁
http://jp.reuters.com/article/kuroda-boj-jacksonhole-idJPKCN11303C?sp=true

[東京/ジャクソンホール(米ワイオミング州) 28日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は27日、米ワイオミング州ジャクソンホールでの年次経済シンポジウムで講演し、日本のマイナス金利水準である0.1%は下限に「かなりの距離」があると述べ、さらなる深掘り余地を示唆した。

物価2%目標の早期実現に必要なら量・質・金利の3つの次元でちゅうちょなく追加緩和措置を講じるとし、いずれにも追加緩和余地があると語った。

日銀は9月20、21日に開く金融政策決定会合で、マイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)の「総括的な検証」を行うが、講演は検証に向けて多くを示唆する内容となった。

総裁は、今年1月に導入を決定したマイナス金利政策について、QQEと相まって金利が大幅に低下し、「幅広い借り入れ主体に恩恵を与えている」と評価した。

そのうえで「いくらでも望み通りの水準に金利を引き下げられるわけではない」としたが、現行のマイナス0.1%という水準は「新たな下限制約からは、まだかなりの距離がある」と指摘。マイナス金利政策の導入で「負のショックへの対応に、より大きな自由度を獲得した」と語った。

先行きの金融政策運営は、毎回の金融政策決定会合でリスクを点検し、物価目標実現に必要と判断した場合は「ちゅうちょなく、量・質・金利の3つの次元で、追加的な緩和措置を講じていく」との方針をあらためて表明した。

マイナス金利付きQQEは「非常に強力な枠組み」とし、「量・質・金利のいずれも、追加緩和余地は十分にある」と強調。「この枠組みをどう使って、2%の物価安定目標を早期に実現するか、しっかりと検討し、実践していく」と語った。

日本の予想物価上昇率が弱めの動きとなっていることについて総裁は、2014年夏場以降の原油価格の大幅な下落に「起因するとの見方を否定することは難しい」と指摘。日本の長期のインフレ予想は1990年代以降、2%よりも低いままだったとし、「2014年時点で日本経済は(インフレ予想が)リアンカリングの道半ばであったため、インフレ動学が負のショックに対して脆弱だったといえる」との見解を示した。

ヘリコプターマネーに関する質問に対して総裁は、国内法では制限があると説明。そのうえで日銀の国債買い入れ規模を考慮すると、買い入れ可能な国債は「急速に縮小を続けるだろう」としたが、量的緩和の実質的な上限への対応について言及はなかった。

(伊藤純夫)

1019とはずがたり:2016/08/30(火) 09:37:19
インフレ目標論議、イエレン議長は反主流派から主流派に
http://jp.wsj.com/articles/SB11229581354231873921504582280761093830038?mod=WSJJP_hpp_RIGHTTopStoriesFirst
IVAIS/ASSOCIATED PRESS
By GREG IP
2016 年 8 月 29 日 14:56 JST

 米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は20年前、主流派に属していなかった。グリーンスパン議長時代にFRB理事を務めていたイエレン氏は、適切なインフレ率はゼロという中銀当局の共通見解に異を唱え、2%の方がふさわしいと初めて主張したFRB当局者の1人だった。

 この水準は現在2%というのが主流となっている。イエレン氏がFRB副議長を務めていた2012年に、FRBは2%のインフレ目標を正式に導入した。足元では1996年と同じように主流派の考えは時代遅れとの不満が高まりつつある。もっとも今回の議論では、イエレン議長は主流派に属する。主流派が正しいのかどうかは、FRBがいま直面している最も重要な問題かもしれない。

 今年のジャクソンホール会合は「金融政策の枠組み」がテーマとなった。言い換えると、中央銀行は何を目標にし、それをどのように達成すべきかに主眼が置かれた。その答えは、金融危機の前であれば「短期金利の調整を通じて2%のインフレ目標達成を目指すべき」という一文でまとめることができた。

 この「2%のインフレ目標」という部分はいまも変わっていないが、「短期金利の調整を通じて」という部分は、FRBが政策金利を事実上のゼロに引き下げた2008年に無効となった。政策当局者らは当時、さまざまな非伝統的手段(代表格は、新たに印刷した紙幣で債券を買い入れる量的緩和)や、政策金利をゼロ近辺で維持すると公約するフォワードガイダンスを採用した。だが彼らは、政策手段として短期金利のみを用いる従来の形に戻れる日が来るのをずっと願っていた。

 あいにく、そううまくはいっていない。今や多くのエコノミスト(そしてFRB当局者の大半)が認めているように、低成長と低金利は当面続く可能性がある。完全雇用下の経済でインフレ率を安定させる「自然利子率」は低下している。これは米国が再びリセッション(景気後退)入りしたときに、FRBの政策余地は以前よりも限られるという意味に他ならない。

1020とはずがたり:2016/08/30(火) 09:37:33
>>1019-1020
 FRBはこれにどう対応すべきだろうか。イエレン氏の後任としてサンフランシスコ地区連銀を率いるウィリアムズ総裁は最近、インフレ目標を引き上げるか、目標対象を名目国内総生産(GDP)や物価水準などに置き換えるべきだと提唱した。

 イエレン議長が詳しい対応を明らかにすると期待していた向き(筆者もその1人)にとって、26日の議長講演は期待外れに終わった。バランスシートが恒久的に膨れ上がり、銀行システムが多額の準備預金を抱えた状態でのFRBの運営方法に関する説明が講演の大半を占めた。量的緩和とフォワードガイダンスは一線を退くのではなく、「今後もFRBの政策手段の重要な構成要素であり続けるだろう」と述べた。

 ただ、インフレ目標の引き上げや名目GDP目標の採用については「研究対象としては重要だが(中略)FRBとして積極的に検討しているわけではない」と否定した。

 むしろ、FRBの新たな政策手段は、かつて短期金利が単独で担った務めを果たすことができると強く確信していると述べた。もっとも議長自身が認めたように、量的緩和の消費刺激効果は利下げよりも小さい可能性がある。また、フォワードガイダンスは「過剰なリスクテイクを促し、金融の安定を損なう」恐れがある。

 この議論からうかがい知れるのは、こうしたリスクよりも、目標変更に伴うより大きなリスクのほうが重視されているということだ。議長が昨年9月の講演で指摘したように、インフレ目標を変更すればFRBの信認を脅かし、金融危機という特別な状況で役に立たない可能性があり、連銀法に記された「物価の安定」の定義が拡大することにもなる。今回の講演で言及されなかったこと、すなわち、FRBにとってインフレ率を2%へ押し上げることさえ難しいのならそれをどうやって4%へ押し上げるつもりなのか、という点が実は最大の問題かもしれない。

 これらは論理的反対だが、それに勝る何かがあるのかもしれない。FRB議長にとって非公式の責務の一つは、FRBという組織のアンカーとして機能する、つまり、FRBを中核的な目標に注力させ、知的流行という風になびかせないようにすることだ。96年当時は、主流派の考えを守ることがグリーンスパン議長の務めで、それに異を唱えることがイエレン理事の務めだった。グリーンスパン氏がイエレン氏の論理を理解したことは評価に値する。グリーンスパン氏はただそれを公表したくなかっただけだ。「2%のインフレ目標」という構想は、イエレン議長の前任のバーナンキ議長が正式に採用した。

 現在、主流派に異を唱えているのはウィリアムズ総裁だ。イエレン議長の務めは、かつてのグリーンスパン氏がそうであったように、こうした主張の是非を判断することではなく、それに耳を傾け、他のFRB関係者も議論に加わるよう促すことだ。イエレン議長はある時点で、FRBのアンカーを動かすべきかどうかが分かるだろう。

1021とはずがたり:2016/08/30(火) 10:58:57
サンケイの洗脳にやられてすっかり韓国をややこしい国だと思ってしまってる俺だが,色々ダダこねても日本としては中国の覇権に対抗していかないと行けないので韓国に協力を惜しめないからダダこねても大丈夫なのだらう。

韓日通貨スワップ、話を切り出してすぐ受け入れた日本
http://japanese.joins.com/article/930/219930.html?servcode=A00&sectcode=A10
2016年08月29日08時50分
[(c) 中央日報/中央日報日本語版]

「経済協力をさらに強化する次元から新しい通貨スワップ協定を推進しよう」(柳一鎬副首相兼企画財政部長官)
「必要性を十分に理解している。お互いに協議してみよう」(麻生太郎日本財務相)

27日に開かれた韓日財務対話で双方が通貨スワップ協定を締結するよう合意するのに長い対話はいらなかった。柳一鎬(ユ・イルホ)副首相が切り出すと麻生財務相はすぐ待っていたかのようにこれを受け入れた。通貨スワップは当初公式の議題には含まれていなかった。だが共感は十分に形成されていた。韓国が提案をする形式を取ったが、日本もやはり事前に「関心表明」をしていた。麻生財務相は訪韓前の会見を通じ、「韓国が(通貨スワップが)必要だといえば検討したい」としてムードを高めた。

こうして韓日両国は既存の通貨スワップ協定が廃棄されてから1年6カ月ぶりに公式に「復元」に着手することになった。企画財政部関係者は「協定が成功裏に締結されれば国際社会に両国間の経済協力が本格化するというシグナルを送ることになるだろう」と話した。

通貨スワップはすぐに使うために結ぶよりは、万一に備えた「通貨防衛同盟」の性格が濃い。韓日通貨スワップがこれまで曲折を経たのもこうした象徴性のためだ。2001年に20億ドル規模で始まった通貨スワップ協定の規模は2011年には一時700億ドル規模まで拡大した。だが2012年以降は満期が近づいた契約を更新しなかった。同年の光復節を控え当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領が独島(ドクト、日本名・竹島)を訪問するなど両国関係が冷え込んだためだった。最後の100億ドルの通貨スワップ契約が終了したのが昨年2月だった。両国の年次財務会議もやはり2012年以降開かれていなかったが、昨年3年ぶりに再開された。

通貨スワップ再開議論が注目されるのは何よりタイミングのためだ。北朝鮮の核問題と高高度防衛ミサイル(THAAD)配備決定は韓国、中国、日本の間の経済関係にも微妙な波紋を起こしている。特にこの過程で韓国経済の「中国偏重」が新たなリスクに浮上した。韓国の対中輸出依存度は2001年の10.7%から昨年26%に拡大した。

通貨スワップもやはり同様だ。日本が手を引き中国依存度が大きく高まった。現在韓国が各国と締結した通貨スワップの総規模は1190億ドルだがこのうち半分ほどの560億ドルが中国と結んだものだ。企画財政部関係者は「中国が結んだ通貨スワップ協定のうち香港に次いで大きい規模」と説明した。中国としては韓国に破格な「配慮」をした格好だ。

問題はTHAAD配備決定以降に韓中関係の不確実性が大きくなったという点だ。崇実(スンシル)大学のオン・ギウン教授(経済学)は「ただちに金融市場が不安になったり外貨準備高が不足している状況ではないという点を考慮すれば、日本との通貨スワップ再開は中国偏重から抜け出し多角化を図るという意味が大きいようにみられる。日本もやはり域内で中国の影響力が過度に大きくなるのを牽制するためにも韓国との協力を強化する必要があるだろう」と話した。

祥明(サンミョン)大学のペ・ウンギ教授(経済学)は「ウォンが安定すれば東アジアの金融市場と中国の安定にも役立つ。通貨スワップ拡大が韓中日の共同利益につながるという観点から相手方を説得し3国間の協力を強化しなければならない」と話した。

◇通貨スワップ=両国が協定を通じ為替相場や規模などの条件をあらかじめ決めておき必要時に互いに通貨を交換すること。国際金融市場の不安にともなう外貨不足事態などに備えて結ぶ。外貨準備高が有事の際に備えて積む「積立金」とすれば、通貨スワップは一種の「マイナス貸出」約定だ。韓国、中国、日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)各国が参加するチェンマイイニシアチブ(CMI)のように多国間協定形態でも締結される。

1022とはずがたり:2016/08/30(火) 13:55:12
2016年 08月 29日 17:22 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:ドル100円割れ再現に警戒、政策の鮮度後退=内田稔氏
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-minori-uchida-idJPKCN1140IP?sp=true
内田稔三菱東京UFJ銀行 チーフアナリスト

[東京 29日] - 米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は、カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演し、緩やかなペースでの利上げが適当との考えを改めて示した。

もちろん、明確な利上げ時期を示したわけではないし、利上げ判断は常に今後のデータ次第とするなど、従来からの説明を繰り返したに過ぎない。ただ、講演の演題は、やや中長期的な視点に立った米国の金融政策手段に関するもの。あえて利上げの可能性に言及した辺りに、利上げへの地ならしを進めたいとの意向も垣間見える。

講演の中で、イエレン議長は、米国の金融緩和手段として、政策金利の引き下げ、大規模な資産買い入れ、フォワードガイダンスの組み合わせが、長期金利の押し下げに有効であると説明。買い入れ資産の多様化や緩和の長期化を可能とするインフレターゲットの引き上げ、利上げの条件としての国内総生産(GDP)ターゲット導入などを今後の研究課題としつつ、現時点では不要との考えも示した。

これらに鑑みると、いずれかのタイミングで金融緩和を行う場合の主要な手段は利下げとなる。その利下げ余地を確保するため、利上げによって発射台を高めておく必要があるだろう。

フィッシャーFRB副議長も同日のテレビインタビューで、9月の利上げの可能性に言及している。米経済は、成熟期に近づきつつあり、実際の利上げ決定は困難との見方を当方は維持しているが、正副両議長の発言を踏まえると、米連邦公開市場委員会(FOMC)が、最短で9月に利上げを決定する可能性も想定しておく必要はあるだろう。

一方の日銀は、9月に金融政策の総括的な検証結果を公表する見込みであり、追加緩和観測が高まりやすい。日米金融政策の格差が改めて意識され、ドル高円安予想が強まりそうだ。

<散発利上げでは乏しいドル高の持続力>

しかし、それでもドル円が下落基調を脱することは難しいだろう。なぜなら、米国の利上げはあっても緩やかとしか見込まれず、経常赤字国通貨であるドルの持続的な上昇にはつながらないためだ。

実際、ドルの名目実効相場の動きを振り返ると、2016年に入り、利上げ観測がくすぶる中にあっても、ドルは下がりこそしていないが、上がってもいない。このようにドル高が影を潜めた要因は、米国の利上げが経済情勢をにらみつつ緩やかなペースで進められるとの見方が浸透したためとみられる。

足元では、依然として物価の伸びが鈍い上、個人消費が持ち直しつつも、経済指標にはバラつきがみられる。米経済の拡大が始まって、すでに8年目に突入していることに照らすと、FOMCが9月の利上げに踏み切った場合も、利上げペースが緩やかとの見方は変わらないだろう。

また、日本やユーロ圏の金融緩和による円安やユーロ安期待が大幅に後退したこともドル高鈍化の一因だ。ドイツでは昨年4月、長期金利が急上昇し、これがマイナス金利政策による金利低下とユーロ安期待の根底を揺るがしたと考えられる。このため、欧州中央銀行(ECB)が預金ファシリティ金利のマイナス幅を0.3%へと深掘りした昨年12月以降、少なくともユーロ安の動きはみられていない。

日本でも、今年1月末のマイナス金利政策導入後、かえって円高傾向が強まっている。日銀は、技術的なことはもちろん、そもそもなぜマイナス金利付き量的・質的金融緩和をもってしても予想物価上昇率が上がらないのかという検証を行う必要がある。これは、マイナス金利政策の導入後、円安どころか、かえって円高が進んだメカニズムの解明にもつながるはずだ。

1023とはずがたり:2016/08/30(火) 13:55:26
>>1022-1023

<サプライズ演出が適切でない局面に>

金融緩和が通貨安へと波及しなかったり、かえって通貨高をもたらしたりするこうした動きは、日本やユーロ圏に限ったことではない。同じくマイナス金利政策を導入している欧州のスイスやスウェーデンなどにおいても、やはり予想物価上昇率が上がらなかったり、通貨高を招いたりしている。こうした現象が起こる1つの背景は、単にマイナス圏での金利低下に、為替相場は反応しないかもしれないということだ。

ただ、何よりも重要なのは、家計や企業といった各経済主体や市場が、金融緩和と通貨安に依存した景気浮揚そのものに懐疑的となった可能性も高い。特に、日本の場合、マイナス金利政策を受けて、各経済主体やマーケットが運用利回りの低下や年金債務の増加、銀行収益悪化懸念による株式相場への下押し圧力といったさまざまな副作用を連想する結果、期待されるプラスの効果を打ち消してしまい、予想物価上昇率がかえって低下すると考えられる。

比較的、歴史の新しい量的緩和やマイナス金利政策といった非伝統的な金融緩和の最大のカギは、各経済主体の適切なデフレ脱却あるいはインフレ期待の形成に、働きかけることができるかどうかだ。中央銀行の狙い通りの効果を金融政策が発揮するためには、企業や家計、そして市場との間で、政策の効果やデフレ脱却が達成されるとの期待感が共有されることが何にも増して必要だろう。そのためには、金融政策に関する事前の十分な説明が必要不可欠であり、サプライズの演出は適切とは言えないだろう。

しばらくの間、米国の利上げと日銀の追加緩和予想によって、漠然としたドル円上昇期待が高まり、ドル円は底堅く推移するかもしれない。ただし、昨年以降、為替相場の方向を決する要因としての金融政策の影響力は、かなり後退した局面にすでに入っているとみるのが妥当だろう。米国の利上げと日銀の金融緩和期待が、ドル円相場の持続的な上昇要因として、機能するとは考えにくく、その場合、日米間の経常収支の格差やインフレ率の格差が重みを増すと考えられる。

このようにしてみると、ドル円が年初来の下落トレンドを脱するとは考えづらく、ドル安円高圧力が加わる時間帯がまだ続く公算が大きい。反発が一巡した後は、年末に向けて改めてドル円が100円割れを試しにいく可能性が高いと考えられる。

*内田稔氏は、三菱東京UFJ銀行グローバルマーケットリサーチのチーフアナリスト。1993年、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、国内外で一貫して外国為替業務に携わる。J-money誌の東京外国為替市場調査ファンダメンタルズ分析部門では2013年から15年まで個人ランキング1位。

1024とはずがたり:2016/08/31(水) 16:17:31

韓国、体面より“実”優先 日本が「貸し」作る 財務対話
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160828-00000048-san-bus_all
産経新聞 8月28日(日)7時55分配信

 ソウルで27日に開かれた日韓財務対話で、韓国側は通貨交換協定再開を提案した。同国国内には日本に対して強硬姿勢を求める一部世論はあるものの、経済界を中心に将来の不安払拭に向けて協定の再開を求める声は根強く、韓国政府としても体面より“実”を優先したとみられる。

 平成13年に始まった日韓の通貨交換協定は、昨年2月に終了した。

 韓国企画財政省や中央銀行に当たる韓国銀行は当時、「経済指標が良好であり、延長がなくても特に悪影響はない」との見解を示していた。

 韓国の外貨準備高も比較的十分で、韓国メディアの間にも「協定延長不要論」が目立っていた。何より、最大の原因は慰安婦問題での日韓関係の悪化という「政治的な問題」(韓国財界)にあったとされる。

 ただ、昨年10月に行われた経団連と韓国の全国経済人連合会(全経連)の定期会合で全経連側は協定再開を求めた。米国の利上げなど「金融の不透明化」が理由で、今年に入っても、韓国経済は主要輸出先の中国の成長鈍化や英国の欧州連合(EU)離脱決定で、低迷から抜け出せずにいる。

 ひとたび金融市場が混乱すれば打撃を受ける懸念があるうえ、経済界には、協定再開が経済分野での対日関係改善の好機になるとの見方もあった。

 一方、日本政府は協定再開は「(韓国側から)話が出れば検討する」(麻生太郎財務相)との立場だった。協定は韓国が通貨危機などに陥った際に日本が救済するという側面が強く、「日本からお願いするものではない」(財務省幹部)ためだ。

 韓国に進出する日系企業は約700社あるが、日本から韓国への輸出額は5兆円程度で、米国や中国だけでなく、EU向けより少ない。日本は外貨準備高も巨額で、協定のメリットはむしろ韓国の方が大きい。

 ただ、慰安婦問題をめぐる昨年末の日韓合意を機に両国関係は改善傾向にある。さらに、ミサイル発射を続ける北朝鮮や、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で挑発行為を繰り返す中国との関係を踏まえると、日韓両国が協力を深める必要性は増している。

 経済面でも、中国の不良債権問題などによってアジア発の金融危機が起きるリスクはくすぶっており、協定は「予防的機能」(財務相同行筋)の一つになる。このため、日本政府も国内世論をにらみつつも、韓国政府に“貸し”を作った格好だ。 (田村龍彦、ソウル 名村隆寛)

最終更新:8月28日(日)10時55分

1025とはずがたり:2016/08/31(水) 19:05:06
金融政策ウオッチ
中銀高官が愛するおかしな比喩の数々
http://jp.wsj.com/articles/SB11229581354231873921504582284871154586852

ドラギECB総裁が口にした「ビッグバーサ」は、第1次世界大戦でドイツ軍が使用した巨大りゅう弾砲の別名であり、ゴルフドライバーの名前でもある ENLARGE

By JON SINDREU AND RIVA GOLD
2016 年 8 月 31 日 16:15 JST

 今月、英イングランド銀行(中央銀行、BOE)が利下げと国債購入枠の拡大を発表したとき、もはやキッチンシンクは一つも残っていなかった。

 その決定の前、米銀大手バンクオブアメリカ・メリルリンチはリサーチノートで、「イングランド銀行はキッチンシンク(何でもかんでも)するべきだ」と主張していたのだ。

 英ポンドの価値が急落し、英国株が急騰するとバンクオブアメリカは「BOE:キッチンシンクは投げられた」と題されたリサーチノートを公表した。BOEが英国の欧州連合(EU)離脱決定(ブレグジッド)の余波により、経済を守るため可能なすべての措置を講じたという意味である。

 中央銀行の金融政策を巡っては数多くの比喩が使われてきた。大型ハンマー、弾丸、武器、(いつでも使えるように)乾燥させた火薬。これに今回、「キッチンシンク」が加わった。金融危機以来、中銀関係者たちは拡大しつつある武器庫から異例の政策措置を投入してきた。これを受け、中銀ウォッチャーらにも異例な用語集の作成が求められた。

 外為ブローカー、シンクフォレックスのチーフ市場アナリスト、ナイム・アスラム氏は欧州中央銀行(ECB)が3月行った決断の前、顧客に対して、ECB高官らがインフレ率を目標値に押し上げるため「最後のバズーカ」を「発射したがっている」と警告していた。また、その翌日の更新情報ではECBが「大きな音を出してエンジンを全開にしている」と表現していた。

 ドイツのベレンベルク銀行のエコノミスト、カラム・ピカリング氏など一部の金融関係者はこうした常とう句の使用をやめるべきだと主張している。同氏は「比喩には問題がある。実際に何が起きているのか伝わらない場合があるのだ」とした上で、「われわれが直面している状況に関し、中銀に何かできるはずだという考えを強めてしまうのではないかと懸念している」と警告した。

 アスラム氏は自分の言葉について、中銀高官らの発言や「薬物中毒患者」のように中銀の刺激策に依存している市場の反応を反映していると説明した。バンクオブアメリカはキッチンシンクという表現についてはコメントを差し控えた。

 かつて中銀高官らは金利を上げ下げしているだけだった。エコノミストのデービッド・ブランチフラワー氏は「最初に言われたことは、中銀の仕事は退屈だぞというものだった」と振り返る。同氏が2006年にBOEの金融政策委員会(MPC)のメンバーになったとき、巧妙な言葉を生み出す機会などほとんどなく、「バズーカも大型ハンマーも議題とはならなかった」と言う。

 ところが最近、中銀はマイナス金利や国債購入制度といった一連の斬新な景気刺激策を追加している。

1026とはずがたり:2016/09/01(木) 20:06:19
ドイツは規律ある欧州を目指してるのは良いんだけど,欧州統合が遅れてしまうのは如何かと。
まあ2017年過ぎたら進展するなら良いんだけど。

2016年 05月 9日 15:55 JST
焦点:ドイツ提唱「ソブリンと銀行の共倒れ」防止策、ユーロ圏に亀裂
http://jp.reuters.com/article/german-eu-idJPKCN0Y00HG?rpc=122&sp=true

[ローマ 8日 ロイター] - ドイツが提唱している「ソブリンと銀行の共倒れ」防止策が、ユーロ圏の政策当局者の間で波紋を広げている。ドイツ政府は、預金保険制度の一元化を通じた銀行同盟の一段の「リスクシェア」を受け入れる条件として、銀行による自国国債の保有を制限したり、銀行に自国のソブリンリスクに備えた引き当て強化を義務付けたりする案を打ち出したのだ。

ドイツの要求のあおりで、ユーロ圏強化に向けたほかの措置に関する議論も停滞。欧州財務相の間に深い亀裂が生まれているほか、欧州中央銀行(ECB)の政策当局者が南北で対立する事態となっている。

ユーロ圏ソブリン危機が本格化した2012年、欧州連合(EU)首脳らは、ECBを単一の監督機関とする銀行同盟の創設で合意した。

先週開催された非公式会合では、政策当局者や市場参加者、エコノミストらの間から、ドイツの提案は国債売りや銀行のコスト上昇につながるほか、銀行が経済ショックへの緩衝材としての役割を果たせなくなるなど、利点よりも欠点ほうが大きいとして、反対意見が相次いだ。

<銀行の国債保有制限は逆効果>

銀行のソブリン債保有を制限したり、リスクウェートを義務付けたりすれば、超低金利やプライマリーディーラーの減少、流動性低下、超高速取引で弱体化している債券市場が一段と不安定になりかねない。

ソブリン債は長らく「リスクフリー資産」と見なされており、銀行は中核的資産として保有したり、中銀から融資を受ける際の担保として差し入れることができる。ただ、2011年のギリシャのデフォルト(債務不履行)や債務再編を踏まえ、バーゼル銀行監督委員会では現在、ソブリンリスクに対する資本手当ての問題を盛んに議論している。

しかし、銀行による自国国債保有に規制をかければ、最悪期からようやく抜け出しつつある南欧とその銀行に打撃を与える可能性がある。

そもそもユーロ圏危機では、大規模な資本流出に見舞われたのは外国人投資家への依存度の高い国々であり、国債の大半を自国銀行が保有するイタリアなどの諸国よりもひどい目にあったという事実がある。

ギリシャやアイルランド、ポルトガル、スペイン国債の外国保有者が逃避した後、ユーロ圏はこれら諸国や銀行の救済を余儀なくされた。

<緩衝材としての役割低下も>

ドイツ出身のラウテンシュレーガーECB専務理事は、銀行は自国国債の保有に対して一段の資本を積むべきと主張。イタリア中銀のビスコ総裁は、ドイツが唱える治療薬は病気自体より危険と訴えている。

ビスコ総裁は「リスクウェートを適用すれば、銀行はソブリン危機の際、緩衝材としての役割を果たすことができなくなる」と指摘。「提案に利点があるのか不明であり、コストは大きい」との認識を示した。

銀行関係者は、ECBの資産査定・ストレステストを受け、銀行の高リスクソブリン債の保有には、規制がすでに強化されていると指摘。

それに、EUが課している財政赤字制限の結果、各国の新規国債発行は減少している。さらに、ECBによる大規模な債券買い入れプログラムに伴い多くの銀行はソブリンエクスポージャーが低下傾向にある。

専門家は、国内銀行は金融にストレスがかかっている時には国債を買い、状況が改善した際には売ることで、緩衝材の役割を担っていると主張。規制をかければ売りを招き、市況が悪化すると懸念している。

一方、総選挙を来年に控えるドイツがユーロ圏の一段の統合阻止を狙っているのではないか、との疑念も広がっている。ドイツでは、預金保険制度の一元化は不人気。ドイツ国民が結局、ギリシャやイタリアの預金者を救済することになるのではないか、との警戒感が強いためだ。

中央銀行のある高官は「これは、すべてを2017年以降に先送りするための策略だ」と述べ、フランスとドイツの来年の選挙が終わるまでの間は、ユーロ圏の統合深化は進展しないだろう、と予言した。

(Paul Taylor記者 翻訳:吉川彩 編集:吉瀬邦彦)

1027名無しさん:2016/09/03(土) 16:22:04
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160828/k10010656891000.html?utm_int=news-politics_contents_list-items_109
日銀総裁 マイナス金利さらに引き下げ可能との認識示す
8月28日 13時15分
日銀の黒田総裁はアメリカで講演し、マイナス金利政策について、金利を今のマイナス0.1%からさらに引き下げることは十分に可能だという認識を示しました。
アメリカを訪問している日銀の黒田総裁は27日、西部ワイオミング州のジャクソンホールで、各国の中央銀行の関係者らを前に講演しました。

この中で、黒田総裁はマイナス金利政策について、「中央銀行がいくらでも望みどおりのマイナスの水準に金利を引き下げられるわけではなく、制約があると考えるのが自然だが、その制約からまだかなりの距離がある」と述べ、金利を今のマイナス0.1%からさらに引き下げることは十分に可能だという認識を示しました。
そのうえで、黒田総裁は、マイナス金利政策を含む大規模な金融緩和策について、「言うまでもなく、量・質・金利のいずれについても、追加緩和の余地は十分にある」と述べ、2%の物価目標を実現するため、必要と判断すれば、追加の緩和措置を講じる考えを強調しました。

日銀は、来月の金融政策決定会合で、今のマイナス金利を含めた大規模な金融緩和政策について、効果や副作用を総括的に検証する方針で、市場では、政策の枠組みの見直しも含めた日銀の対応に注目が集まっています。

1028とはずがたり:2016/09/04(日) 16:39:54
苦悩する日銀
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160904-00010001-nkogyo-bus_all
日刊工業新聞電子版 9月4日(日)15時7分配信

黒田総裁はどのような金融政策を残し後任にバトンを渡すのか

自ら行った政策変更を任期中に元に戻そうとするのがあるべき姿

 日銀の苦悩が伝わってくる。いくら追加の金融緩和を行っても、消費者物価指数2%の目標に近付くどころか遠のくばかりで、達成時期が見通せない。

 ついに9月の金融政策決定会合では異次元緩和の“総括的な検証”を実施する。これまで、現在の金融政策を貫けば物価の押し上げは可能だ、としてきた日銀が、いかにしたら物価を上昇させることができるか、立ち止まって考え直そうということらしい。

 日銀が黒田東彦総裁のもと、2013年4月に導入したのが質的・量的金融緩和、いわゆる「異次元緩和」(通称=黒田バズーカ)だ。デフレ脱却に向けて、2%の消費者物価指数をおよそ2年の間に実現するため、マネタリーベース(通貨の供給量)を2倍にするという大胆な金融政策である。当初、市場はこれを好感して円安・株高となり、産業界からも高い評価を得た。

 しかし、原油価格の下落や消費増税の影響の長期化による個人消費の低迷といった想定外の事態が災いして、物価指数は0%近辺での推移に終始。一向に上向く気配がなかった。このため日銀は14年10月に追加緩和策・黒田バズーカ2を放つ。

 だが、それでも物価は上昇しない。そこで16年2月には初めてのマイナス金利を導入するに至った。こうした追加緩和やマイナス金利は金融市場や産業界の意表を突く「サプライズ型」の金融政策だった。

 当初は2年後としていた2%の物価目標の達成時期は、度重なる先延ばしの末、今では17年度後半となる見通し。黒田総裁の任期は18年3月までとあって、目標達成を果たせずに、その職から離れる可能性も小さくない。

 最後のカードともいうべきマイナス金利は、金利全般を低下させたため、日銀は「効果があった」と胸を張る。しかし、マイナス金利の真の狙いである企業の設備投資や個人消費の増加には結びついておらず、本当の意味で効果があったとは言い難い。

 総括的な検証では、過去3年半の異次元緩和策が経済活動にどのような影響を与え、どのような効果をもたらしたのかを分析するだろう。サプライズ型の政策運営から予見可能性を重視する姿勢に転換するかもしれない。追加緩和のアプローチが間違っていなかったかを虚心坦懐に点検してほしい。

 2%の物価目標は政府と日銀が共同で掲げたもの。政府は先の経済対策に「日銀が目標を実現することを期待する」と書き込んだ。このため、質・量・金利の3次元による金融緩和政策の枠組みは維持されよう。

 しかし、金融政策のトップは、自ら行った政策変更を任期中に元に戻そうとするのがあるべき姿。緩みきった金融政策をそのまま後任にバトンタッチするのは無責任のそしりを免れない。黒田総裁にはそうした点も肝に銘じてもらいたい。

日刊工業新聞論説委員・川崎一

1029とはずがたり:2016/09/04(日) 20:57:52
| 2016年 08月 16日 08:28 JST
コラム:9月緩和なしか、日銀政策運営は柔軟化へ=岩下真理氏
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-mari-iwashita-idJPKCN10Q0MW?sp=true
岩下真理SMBCフレンド証券 チーフマーケットエコノミスト

[東京 15日] - 筆者は前回コラムで、日銀の7月追加緩和の可能性は五分五分と見ていた。物価見通しの大幅下方修正を回避し、達成時期も据え置くなら、追加緩和の理由を説明することは難しいと考えていたからだ。そのうえで、近い将来に、目標達成時期の柔軟化、枠組みの見直しに取り組むしかないだろうと指摘した。

7月の結果が上場投資信託(ETF)買い入れの倍増のみにとどまると、市場の一部に「今回は小粒」との失望感を招いたが、これまでの黒田日銀のサプライズ感ある政策決定のツケと言えよう。筆者は、マイナス金利の副作用や量の限界を理解した良識的な判断だったと評価したい。従来のバズーカ路線から転換の一歩だ。

加えて、日銀が政策検証を事前に発表したのは、市場とのコミュニケーションを改善したい気持ちが伝わってくるものだった。様々な副作用が指摘される状況下、黒田東彦総裁が行った初めての予告は大いなる進歩と言える。

<政府内からも日銀に政策検証を促す声>

市場では、9月の政策検証に伴い何かが行われると予想する向きが多いが、その見方は大きく2つある。1つは政策運営の見直し、もう1つはさらなる追加緩和実施だ。

筆者の見方は前者であり、さらなる追加緩和の可能性は極めて低いと見ている。かつて白川方明前総裁時代に、議長が執行部に指示した「宿題会合」で、発表内容に追加緩和が伴った記憶はない。

そもそも7月会合での追加緩和の目的は、英国民投票での欧州連合(EU)離脱選択などによる不確実性が企業や家計のコンフィデンスの悪化につながるのを防ぐことだ。政策運営の第2の柱、下振れリスク対応の追加緩和を実施してからわずか7週間後にさらなる緩和措置を講じるのは、経済情勢の悪化などの明確な理由がなければ、普通は考え難い。

8日発表の7月会合における「主な意見」を見ると、内閣府からの出席者の発言にヒントが隠されていた。「金融政策運営の変更に関し、日本銀行としての考え方について、対外的に丁寧に説明していただくことが重要である」との部分だ。政策運営の変更を期待していることがうかがえる。

また、13日付の日本経済新聞朝刊1面によると、金融庁がマイナス金利の影響で「3メガ銀行グループの2017年3月期決算で少なくとも3000億円の減益要因になる」との調査結果をまとめ、日銀に懸念を伝えたという。そのような政府内にあるマイナス金利政策への批判が、政策検証を促したように思われる。

<重要な鍵を握る4人のメンバー>

筆者は、今回の政策運営見直し議論で重要な鍵を握るのは4人のメンバーだと考えている。執行部では、マイナス金利導入を決断した黒田総裁とリフレ派の岩田規久男副総裁の2人。審議委員では、マイナス金利に反対票を投じ続ける佐藤健裕委員と木内登英委員の2人だ。

この4人が合意できる形を考えると、現在の双方の距離感があり過ぎるため、具体的な数値を変更するのはややハードルが高いように思える。よって、政策運営の柔軟化という曖昧さに落としどころがあるのではないだろうか。

黒田総裁は7月の定例会見で、「マイナス金利の効果は非常に大きいものがある。すでに市場だけでなく実体経済にもプラスの影響があり、何か限界が来ているとは考えていない」「おそらく国債の3分の1はすでに取得しているが、まだ3分の2は市場にある。量的限界が来ているとは思わない」と従来通りの発言を繰り返した。総括的な検証をもとに、もう少しソフトな説明に修正するだけでも、印象は大きく異なるだろう。

4日に岩田副総裁は講演後の会見で「検証の結果、今までの金融緩和の程度を縮小するといったようなことはあり得ない」と語り、市場は好感した。しかし、それ以外に岩田副総裁は重要なメッセージを発信していた。

1030とはずがたり:2016/09/04(日) 20:58:05
>>1029-1030
具体的には、「もう少しデリケートな問題が3つの組み合わせに関してはあるかもしれない」「もう少しデリケートな、その微妙な調整の仕方に関しては、もう少し検証し、気配りのある金融政策を行っていきたい」という発言だ。3次元緩和の限界をほのかに認めつつ、持続可能な金融政策とするために、気配りのある形に軌道修正する意向が読み取れる。

その一方で、佐藤委員、木内委員の2人は、マイナス金利について市場機能や金融仲介機能および国債市場の安定性を損ねることを理由に反対している。

佐藤委員は、マイナス金利は国債買い入れ減少と合わせて実施すべきとの主張だ。木内委員はかねてより、2%の「物価安定の目標」の実現は中長期的に目指すとしたうえで、柔軟な政策運営のもとで現行政策をそれぞれ適切と考えられる時点まで継続することを提案。昨年4月からは国債買い入れを45兆円に減額することも提案し続けている。反対票の2人には、数値にこだわることなく、政策運営の柔軟化という妥協点を模索してほしい。

<3次元政策の限界も認めるべき>

10日付のロイターの記事によれば、7月会合の数週間前に検証のドラフトは作成されており、その内容は枠組みの根本的な見直しでなく、現状維持を正当化するものであるという。

すでに執行部による検証はいったん終わっているようだが、お盆休み明けから本格的に取り組み、9人のボードメンバーの意見調整に時間を割くことが見込まれる。9月会合当日は、検証結果をどう判断するのか、徹底的に議論する場となるのだろう。

日銀は結論ありきではなく、虚心坦懐にこの3年間を振り返ってほしい。それにはまず、昨年5月時の検証にはなかった、政策を量、質、金利ごとに分け、物価もしくは期待インフレ率の引き上げに、各政策がどれだけ貢献できたかを示すべきだろう。

量の部分では、実質金利を引き下げたと結論付ける前に、国債買い入れとは別にマネタリーベースと期待インフレ率の関係、前回の検証になかった質の部分では、ETF増額とリスクプレミアムの関係を説明する必要があるのではないか。

マイナス金利については、住宅関連への好影響を強調するのではなく、想定外のイールドカーブフラット化により、金融機関の収益面での打撃、年金運用への悪影響も説明すべきだ。消費増税や原油安などの逆風がなければ、本当に効果が出るものなのか、政策の不確実性と3次元政策の限界も認めるべきだろう。

そのうえで残り1年半(総裁任期まで)での2%物価目標達成のため、少しでも柔軟な運営方針を示すことが望ましい。従来路線の堅持だけでは失望に終わる。例えば、物価動向の検証を踏まえて、物価目標達成には時間が必要だと素直に認め、物価目標の柔軟化を示唆する。そして、その先の方向性として、マイナス金利のフォワードガイダンスの修正を視野に入れる。

次に量の部分の検証を踏まえて、国債買い入れの柔軟化を示す。具体的には、買い入れ額を現在のフローからストック(残高目標)へ変更することや買い入れ年限の短期化など、やり方はいくつか考えられる。ドラスティックな枠組み見直しはできなくても、最初の一歩を進めることが大切だ。

この検証結果の発表は、これまでチグハグ感のあった日銀と市場とのコミュニケーションを、改善できる数少ない機会だ。現在のような曖昧な情報発信を続けていては、毎回会合で各種報道により、市場は妄想と迷走を繰り返すことになってしまう。その連鎖を断ち切ってほしい。

1031とはずがたり:2016/09/05(月) 11:29:35
人民元「基軸通貨化」を促す決済インフラ戦略
中国の強かな国際化政策の裏側にあるもの
http://toyokeizai.net/articles/-/105391
宿輪 純一 :帝京大学経済学部教授・博士(経済学)

1032とはずがたり:2016/09/06(火) 19:02:34

日銀のみで2%達成困難、平時に追加緩和は不要=門間・前日銀理事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160906-00000061-reut-bus_all
ロイター 9月6日(火)17時51分配信

 9月6日、前日銀理事でみずほ総合研究所・エグゼクティブエコノミストの門間一夫氏は、政府の経済対策で日本経済は改善しており、9月の金融政策決定会合において追加緩和の必要はないと述べた。日銀本店の東門、7月撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 6日 ロイター] - 前日銀理事でみずほ総合研究所・エグゼクティブエコノミストの門間一夫氏は6日、ロイターのインタビューで、政府の経済対策で日本経済は改善しており、9月の金融政策決定会合において追加緩和の必要はないと述べた。

また、過去3年半の大規模な金融緩和により、日銀単独で2%の物価目標を達成するのは無理であることが証明されたと表明。追加緩和は、急激な市場ショックなどの局面でこそ効果を発揮すると強調した。

門間氏は、前回7月の金融政策決定会合が日銀の「転換点」だったと指摘。ETF(上場投資信託)の買い入れ増額による追加緩和を決めたにもかかわらず、2017年度中の物価目標達成に「不確実性が大きい」と記載した点に着目。黒田日銀が初めて金融政策の限界を示唆したと解釈している。

また、黒田東彦総裁が5日に都内で行った講演に関して「マイナス金利の副作用について、初めて明確に指摘した」とし、人々の物価観を引き上げるためには構造改革により潜在成長率の引き上げが必要であると強調した点に触れ、「日銀のみで2%を実現するのが難しいとの判断を示した」と解説した。

日銀は1)国債などの「量」、2)ETFなどの「質」、3)マイナス金利などの「金利」──の3次元で緩和拡大に限界がないと繰り返してきたが、黒田総裁は5日の講演で、どの政策手段も効果と副作用を比べて判断すると初めて言及したと指摘。その点を高く評価した。

さらに門間氏は「年間80兆円の国債買い入れは持続性に疑念がもたれており、100兆円などへの拡大は無意味」と言明。

企業の設備投資は「金利がボトルネックになっておらず、マイナス金利の深掘りも無意味」と語った。

7月に買い入れを年3兆円から6兆円に増やしたETFも「株式市場をゆがめており、『日本の資本主義はどうなるのか』との声も聞かれる」として、一段の増額には慎重な見解を示した。

日銀による外債買い入れは「為替目的でないと説明するのが難しい」として困難との見方を示した。

また、平坦化しすぎたイールドカーブ(利回り曲線)をスティープ化させるため、特定の年限の金利水準を目標とする可能性については「技術的に難しい」と否定した。

さらに9月会合での量の拡大やマイナス金利の深掘りは、客観的にみてないとの見通しを表明。同時に市場が失望しないよう、質の面で何らかの調整を行う可能性はあると述べた。

門間氏は、5日の黒田総裁講演から日銀の問題意識はにじみ出ていたが、「検証を受けた政策の方向性は全くわからなかった」と指摘。「9人いる政策委員の考え方に非常に幅があるため、合意形成は難しいだろう」との見方を示した。

あくまで個人的な意見として、年間80兆円の国債買い入れを持続可能なものに転換するため「今後多少国債買い入れペースが減少しても、日銀のバランスシートは拡大を続け、緩和が強化されることを分かりやすく説明すべきでないか」と提言した。

門間氏は、黒田日銀の巨額国債買い入れを背景に50%もの円安が進んでも、家計や企業の間で物価が2%に上昇していくとの期待が形成されなかったことを挙げ、日銀単独での2%達成は無理と断言する。

しかし、金融政策に効果が全くないわけでないとも説明した。

日銀は前回7月会合でETFの買い入れ増額による追加緩和を決め、物価が目標の2%到達していない現状を踏まえ、9月会合で総括的な検証を行うと公表した。

(竹本能文、木原麗花 編集:田巻一彦)

1033とはずがたり:2016/09/06(火) 20:35:14
首相3選でも日銀総裁を道ずれにするな
http://agora-web.jp/archives/2021061.html
2016年08月26日 06:00
中村 仁

すさまじい黒田総裁に対する批判

自民党総裁の任期が3期9年まで延長される可能性が高まっています。安倍1強政権だし、自民党幹事長に就任した二階氏は首相の意向を熟知したうえで幹事長を引き受けています。オバマ米大統領は2期8年(3選禁止)だし、メルケル独首相も2005年からもう10年以上もトップの座を保っています。

世界情勢が激動期に入り、首脳間の個人的関係が重みをなす時代に入りましたから、適格者であるならば、日本でも首相の任期を延長しても賛成者のほうが多いのではないでしょうか。第二次安倍政権までは、首相が毎年、交代し、日本は政治的無能力者でした。もっとも安倍首相が適格者であるかどうかは別問題です。このブログでは今、それに触れません。

黒田氏の再任は正しい選択か

総裁の任期延長がなければ、安倍氏は2018年9月で首相を退任します。同じ年の4月には、黒田日銀総裁は任期切れを迎えます。すでに2年を切っています。日銀総裁の任期は5年です。日銀法25条には、正副総裁らの任期延長の規定が設けられています。自民1強政権ですから、黒田総裁の任期を延長しようとすれば、できます。それが正しい選択かどうか。結論を申せば、黒田派とは異質の日銀再建派の登場が必要となります。

黒田総裁は安倍首相に請われて総裁となり、当初、一心同体で異次元緩和の金融政策、デフレ脱却の推進、「2年間(15年4月まで)で2%の消費者物価引き上げ」という冒険に突入しました。すでに予告の目標時期は過ぎ、なんども延長修正を繰り替えしています。2%程度の実質成長率目標も挫折しています。

多少動きがあったのは、異次元緩和が生み出した株高、円安でしょう。資産家は株高で潤い、輸出比率の高い大企業は円安効果で利益が膨らみ、税収は増えました。その後、株は1万6千円台に下落、為替は円高に転じ100円前後となり、アベノミクス効果を強調するひとは、安倍政権の周辺か取り巻きの学者、メディアにしかいなくなりました。

「金融緩和は経済の構造転換や人口減少問題には効果がない」、「経済は長期的な停滞期に入っている。金融・財政政策は一過性の危機でないと、効き目は弱い」、「国内経済は海外要因の影響を大きく受けるのに、国内中心の金融政策の効果を過信した」など、黒田総裁には過酷なまでの批判が投げつけられています。

GDPは日銀試算が政府試算より大きい

さらに最近、日銀独自の国内総生産統計(GDP)は、内閣府統計より年間30兆円も多いという重大な指摘が浮かび上がってきました。それによると、14年度の実質成長率は2.4%増となります。政府側はあわてふためいています。

日銀試算が正しいければ、経済危機対策の財政出動28兆円は不要となるばかりか、首相がサミットで得意そうに指摘した「リーマンショック級の経済停滞の再来」は事実誤認になります。アベノミクスは実体経済に効き目があったとなります。その場合でも、投入した財政出動、金融政策のコストの回収をどうするのか。日銀の勝ちならば、すべてをご破算にして、アベノミクスの再設計が必要になります。

アベノミクスの原資は回収不可能

かりに日銀試算が正しいとなっても、異次元緩和の名のもとに、日銀が買い込んだ長期国債などは440兆円にも上るという大問題があります。少しでも減らそう(市中に放出)しようものなら、株価に深刻な打撃を与えるでしょう。これだけ巨額の国債を中央銀行が抱いてしまったら、市場の反応が怖くて、何年も売るに売れないのです。さらに日銀がこのペースで長期国債を買い込んでいったら、流通市場の長期国債が枯渇し、市場は死に体となります。

黒田総裁はどうするつもりなのか。総裁の任期中には身動きはとれないでしょう。安倍首相は総裁を再任し、後始末を命じるつもりでしょうか。かりに再任しても、後始末にも何年かかるか分かりませんし、総裁は「通貨供給量が物価水準を結局は決める」との自説を言い張り、事態をさらに悪化させるかもしれません。黒田氏の後任は「日銀再建屋」とすべきなのです。

1035とはずがたり:2016/09/10(土) 09:26:46
2016年 09月 8日 18:22 JST
マイナス金利深掘り、収益配慮で避ける考えない=日銀副総裁
http://jp.reuters.com/article/nakasone-comment-yield-idJPKCN11E0EU?sp=true

[東京 8日 ロイター] - 日銀の中曽宏副総裁は8日、都内で講演し、マイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)の推進に伴う金融機関収益への影響などをコストと位置づけながらも、金融機関収益に配慮してマイナス金利を深掘りしないとの考えはない、と語った。

これまでの大規模な金融緩和が金融機関や金融市場に与えている影響も十分に認識しているとも指摘した。

日銀が9月20、21日の金融政策決定会合で行う過去3年半の金融緩和策の「総括的な検証」をテーマに講演した。

中曽副総裁は、今年1月に導入を決めたマイナス金利付きQQEの効果と影響について「イールドカーブ全体に低下圧力を加えるという意味で、マイナス金利と長期国債の買い入れとの組み合わせは、きわめて強力だ」とし、「金融政策ツールとしての有効性が確認できた」と評価した。

一方で、貸出金利の低下などポジティブな動きは、「金融機関の収益を圧縮するかたちで実現している」と指摘。「長期金利や超長期金利の大幅な低下が、保険や年金の運用利回り低下や貯蓄性商品の販売停止」につながっているとし、「マインドという面で金融機能の持続性に対する不安をもたらし、経済活動に悪影響を及ぼす可能性には留意が必要」とも語った。

そのうえで、マイナス金利付きQQEの推進にあたり、金融仲介機能に与える影響への配慮が必要とする一方、「金融機関収益への影響を考えればマイナス金利の深掘りはできない、という一律の考えはとりえない」と強調。経済・物価・金融市場の状況によっては、「金融仲介の面へのコストを考えたうえでも、なおそうした手段を必要とすることは十分ありうる」と語った。

こうした問題意識の下で9月会合での「総括的な検証」では「現在の政策の枠組みに修正が必要か否か、必要な場合どのような修正が適切か、といった点について判断したい」と述べた。

副総裁は、QQE導入以降の大規模な金融緩和政策によって「デフレではない状況」となったと成果を強調。日銀が進めてきた「量的・質的緩和(QQE)」のような非伝統的金融政策も、景気を過熱も引き締めもしない自然利子率(中立金利)に対して実質金利を上げ下げして景気に働きかける仕組みであると解説し、QQEによる大幅な金利低下の効果を説明した。

(伊藤純夫 竹本能文)

1036とはずがたり:2016/09/10(土) 09:27:27
日銀副総裁は検証後の「緩和強化」強調、枠組み修正視野
ロイター 2016年9月8日
http://diamond.jp/articles/-/101524

[東京?8日?ロイター] - 日銀の中曽宏副総裁は8日の講演で、金融機関収益に配慮してマイナス金利を深掘りしないとの考えはとらないと発言した。9月20、21日の金融政策決定会合の政策検証で、緩和姿勢が後退するのではないか、との市場観測を否定したかたちだ。

?同時に検証に基づいて政策の枠組み修正が必要か判断するとも言明。利回り曲線の平たん化による副作用にも配慮しながら、枠組みを模索している方向性がうかがえる。

?この日の講演で、中曽副総裁はマイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)の推進にあたり「金融仲介機能に与える影響にも配慮しながら、最も適切なものにしていく」と述べる一方、「『金融機関収益への影響を考えれば、マイナス金利の深掘りはできない』という一律の考えはとりえない」と強調した。

?マイナス金利による金融機関収益への影響などコストを意識しながらも、「なおそうした手段を必要とすることは十分ありうる」と、物価2%の早期達成の観点から、必要であればマイナス金利の深掘りを含む追加緩和を辞さない姿勢を明確にした。

?市場では、黒田東彦総裁による今月5日の講演と8月27日のジャクソンホールでの講演とのギャップに注目が集まった。米国での講演では副作用への言及が一切なかったのに対し、5日にはマイナス金利導入以降の急速な金利低下について、金融機関収益や保険・年金の運用利回り低下などを政策のコストと明確に位置づけた。これを受けた市場の一部では、政策検証によって日銀の緩和姿勢が後退するのではないか、との思惑が広がっていた。

?中曽副総裁の発言をみると、こうした市場観測を修正する意図がみられ、緩和姿勢の後退ではなく、緩和強化であるということを意識させる内容となった。

?発言全体をみると、利回り曲線(イールドカーブ)平坦化による金融機関収益への影響などに配慮しつつ、効率的に緩和強化を模索している方向性も浮かび上がる。

?さらに検証結果に基づいて、マイナス金利付きQQEの枠組みを修正する必要があるかどうか判断すると表明。

?同時にマイナス金利と長期国債買い入れの組み合わせによるイールドカーブの低下圧力が極めて強力であるとの認識も明らかにした。緩和政策を強化しつつ、これまでの3次元緩和の枠組み修正にも含みを持たせる発言といえる。

?黒田総裁と中曽副総裁の相次ぐ講演を受け、検証の全体像が見えてきた。ただ、検証結果を踏まえた政策対応は依然として不透明。

?中曽副総裁は、講演後に記者団から国債や外債の買い入れの扱いについて問われたものの、具体的な言及を避けた。

?黒田総裁が指摘した3次元以外の「アイデア」を含め、コストも意識した3次元緩和のバランス修正などが新たな枠組みのポイントになりそうだ。

(竹本能文、伊藤純夫?編集:田巻一彦)

1037とはずがたり:2016/09/10(土) 09:36:57
株があがりゃあ実体経済などどうでも良いと云ふアホが多過ぎるわ。

2016.09.10
日銀・黒田総裁の「最大の弱点」はこれだ!
株価1万9000円を目指す上での障害か
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49689

日銀周辺から聞こえる、「黒田孤立説」

『日本経済新聞』(9月8日付朝刊)は、日本経済研究センター(岩田一政理事長)が発表した民間エコノミストの経済見通し「EPSフォーキャスト調査」で、9月20〜21日に開催される日本銀行の政策決定会合で決まる追加金融緩和の予想を報じている。
 
同紙によると、日銀の金融政策の次なる一手について「緩和」と答えた回答者が全体の4分の3を占め、その時期は6割が「9月頃」と予想したというのである。
 
平たく説明すると、緩和の具体策は日銀の国債購入額80兆円(年ベース)を90兆円に引き上げると見通すエコノミストが多数であり、現行のマイナス金利0.1%を0.2%へ深掘りすると予想する者が少数ということである。
 
では、黒田東彦総裁はどう判断するのか。最近、日銀周辺から聞こえてくるのは「黒田孤立説」である。事実、『産経新聞』(9月7日付朝刊)は一面トップに「日銀『総括検証』難航―政策委員の見解3分裂」の見出しを掲げ、黒田総裁を含む9人の日銀政策委員会審議委員が、以下の3グループに分裂していると報道した。

①マイナス金利を政策の柱に据える「マイナス金利支持派」、②国債の購入を重視する「リフレ派」、③追加の金融緩和を牽制する「追加緩和反対派」―というのだ。

日銀ウォッチャーによると、①は黒田総裁、中曽宏副総裁、布野幸利審議委員、②が岩田規久男副総裁、櫻井眞審議委員、政井貴子審議委員、③は佐藤健裕審議委員、木内登英審議委員、という。

そして、残る原田泰審議委員は金融機関のエコノミスト出身であり、本来ならば、マイナス金利政策反対のメガバンクと同じ立ち位置の「リフレ派」であるはずだが、黒田緩和路線堅持支持に回ると見られている。
 
というのも、8月26〜27日に米ワイオミング州の観光都市ジャクソンホールで開催された経済政策シンポジウム(通称「ジャクソンホール会議」)でイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「米景気の緩やかな回復と雇用の改善が続いているので年内利上げの環境が整いつつある」と発言したことが大きかったようだ。
 
同会議にはイエレンFRB議長、黒田日銀総裁、ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁を始め、各国の中銀総裁、有力経済学者が出席した。ところが、黒田総裁は帰国後の会見で初めてマイナス金利政策のデメリットにも言及した。このことがターニングポイントになったと思われる。
 
この黒田総裁の政策の軌道修正によって、原田日銀審議委員は引き続き黒田緩和路線支持派に踏みとどまることを決めたとされる。

「想像力の欠如」が心配 

ところが今、日銀ウォッチャーや金融市場関係者の間で黒田総裁のガバナンス(統治力)を問題視する向きが少なくない。曰く、黒田総裁は円滑かつ効果的な政策執行ができるよう市場の期待・センチメントを把握する「マーケット・マネージメント」能力に問題があるのではないか。
 
それは、いったい何なのか。

黒田氏は旧東京教育大学付属駒場高校から東京大学法学部に進み、1967年に旧大蔵省に入省した。高校の3年間と大学の4年間の計7年間に日比谷図書館の蔵書を、文学書を除いて全て読破したという伝説の持ち主だ。大秀才であり、努力家でもある。

しかし、実は小説を読んでいないことが、どうやら金融市場の期待・センチメントを把握できていない、市場とのコミュニケーションができていなことに繋がるのではないか。
 
一言でいえば、「想像力」の欠如である。次回の政策決定会合が「ゼロ回答」になることはないはずだ。そして、黒田日銀が中央銀行として市場の期待が高騰していることを把握しているのは当然だ。

であれば、「次の一手」が何であるのかを市場は注視しているだけに、先述の①と②を一体化した緩和策を打ち出せば、それこそ「サプライズ」になる。

それは直ちに、安倍官邸が期待するシナリオ「年末の株価1万9000円・対ドル円レート110円」を呼び起こすに違いない。

1038とはずがたり:2016/09/11(日) 01:48:09

2016年 09月 10日 13:35 JST
コラム:国債購入の柔軟化目指す日銀レトリック=河野龍太郎氏
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-ryutaro-kono-idJPKCN11F10N?sp=true
河野龍太郎BNPパリバ証券 経済調査本部長

[東京 9日] - 5日の黒田東彦日銀総裁講演、8日の中曽宏日銀副総裁講演から見えてきたのは、長期国債ターゲットを柔軟化させるための理由づけだ。金融緩和のコストを強調することで、物理的な限界論とは異なる、金融政策の枠組み変更のためのレトリックが固まってきたように思われる。

想像力を働かせながら講演を読み返すと、以下のような解釈が可能なのではないか。

<レトリックとしては金融仲介機能への配慮>

●「量的質的金融緩和(QQE)」「マイナス金利」はともに効果は大きいが、今後も強力な政策を追求していくと、その副作用として、イールドカーブの大幅なフラットニングなどで金融機関の収益に悪影響が及び、金融仲介機能が損なわれる懸念がある。金融緩和の効果を最大限発揮させるには、こうしたコストにも配慮する必要があり、今後、イールドカーブの極端なフラットニングを避けなければならない。

●その対応策として、具体的には、長期国債購入ターゲットを柔軟化させる必要があり、長期国債の購入量や購入年限を機動的に変化させる。購入量や購入年限を柔軟化させるのは、あくまで金融仲介機能に配慮するためであって、長期国債購入ターゲットが物理的な限界に近づいたからではない。

●それゆえ、大幅な円高など大きな総需要ショックが生じる場合、必要になれば、マイナス金利の深掘りや上場投資信託(ETF)購入の増額だけでなく、長期国債購入量の拡大も可能であり、今後も、量、質、金利の三次元での金融緩和が可能である。

もちろん、執行部の本音は、長期国債購入が物理的な限界に近づき、量的ターゲットから金利ターゲットへ移行せざるを得ないということだ。しかし、それをストレートに説明すると、マネタリスト的な見方に郷愁を覚えるボードメンバーからの賛同が得られないかもしれない。

また、それ以上に厄介な問題は、為替市場を中心にマネタリー・アプローチの有効性を信じる外人投資家が存在するため、量的ターゲットから金利ターゲットに明確に転換すると、期待が剥げ落ち、円高が進むリスクがある。このため、長期国債購入ターゲットの柔軟化は、あくまでレトリックとしては、金融仲介機能の毀損を避けるための配慮でなければならない。

<1ドル=90円割れリスク浮上ならマイナス金利深掘りも>

今のところ、9月20―21日の金融政策決定会合では、長期国債購入ターゲットの柔軟化、具体的には購入額のレンジ化(70―90兆円)が行われ、追加緩和は実施されないと考えている。そもそも経済が完全雇用に入っており、失業率が3.0%まで低下しているのだから、マクロ安定化政策として、追加緩和は不要だ。

仮に、こうした枠組みへの変更に対し、為替市場がテーパリング(緩和縮小)、金融引き締めだと考え、円高が進んだ場合、10月以降、マイナス金利政策の深掘りが行われるかもしれない(長期金利の急騰については、長期国債を柔軟に購入することで対応可能であり、それは事実上の長期金利ターゲットの嚆矢になるだろう)。

ただ、マイナス金利の政治的なハードルはかなり高いと思われる。その一方で、7月末に決定したETFの購入倍増によって、株価の下値はサポートされている。このため、1ドル=100円を割り込んでも、直ちにマイナス金利の深掘りは行われないと考える。マイナス金利政策の深掘りは、1ドル=95円を割り込み、90円割れのリスクが出てきた時ではないか。今後の米国金融政策次第では円安進展の可能性もあり、当面、日銀は様子見が可能だ。

9月は追加緩和はなし、10月も可能性は小さい、というのが筆者の日銀の金融政策に関する見通しである。ただ、黒田総裁は新たな次元の対応に言及している。それは貸出支援基金オペを通じたマイナス金利での資金供給のことではないか。また、購入額のレンジ化として70―90兆円ではなく75―95兆円とすれば、それを金融緩和と呼ぶ可能性もある。

*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。

1039とはずがたり:2016/09/13(火) 12:55:11
手詰まりの日銀に求めたい「撤退する勇気」
http://diamond.jp/articles/-/97795
山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員] 【第115回】
2016年8月4日 著者・コラム紹介バックナンバー

?黒田日銀総裁の記者会見に出席し「この人はやっぱり大蔵省の人」とつくづく思った。市場は政策でなんとでもなる、と思っているのが大蔵官僚の特徴だった。財政・税政を握り、権力で経済は動かせるという自負心で彼らは失敗した。

?市場は権力の都合では動かない。物価上昇は目標に届かず、株は上がらず、為替も円高に振れる。それでも黒田総裁はまだ「なんとかなる」と思っているようだ。経済対策を練る首相側近も似たような感覚のようだ。総事業費28兆円。大型景気対策を打てば、株価が上がると信じているのか。

?市場の反応は真逆だった。国債は売られ、長期金利が急上昇した。市場は、金融と財政が「緩む」ことを期待しながら、「非常識はいつまでも続かない」と心配する。満ちる月はやがて欠ける。投資家は「この先」を恐れている。

?第4次金融緩和と28兆円経済対策が並んだタイミングで起きた異変は、動揺する投資家心理を映し出ている。市場のシグナルは「国債バブル終焉の予兆」と受け止めるべきだろう。

国債価格・金利に異変
お上が支える歪んだ市場

?4次緩和を決めた日銀の金融政策決定会合は29日金曜日。決定が伝わると株価は乱高下した。「国債買い入れ増額なし、マイナス金利の深堀りもなし」。期待外れの内容に売りが殺到。日経平均は大きく値を下げた。ところが、予想外の「ETFの買い入れ倍増」が伝えられると、株の買い戻しが起こった。ジェットコースターのような値動きに株式市場は湧いたが、不気味な動きは週明けの債券相場で始まった。

?日銀のマイナス金利で、どんどん下がっていた長期金利(指標になる10年国債の流通利回り)が上昇に転じたのである(国債価格は下落)。「期待した国債買い入れ増額がなかったことの反動」と見られたが、その程度では止まらず、売りが売りを呼んだ。決定会合の前日には-0.29%まで下がっていた金利が、経済対策が発表された2日には0.06%まで上がったのである。

?市場関係者に聞くと「株に例えれば2日で日経平均が1000円下がったような衝撃」という。

?英国がEUからの離脱を決め危うさを増す世界で、日本国債は「安全資産」と見られていた。1000兆円を超える政府の借金で格付けは下がり、中国や韓国の国債よりランクが低い日本国債だが、世界の投資家の眼には「安定した投資先」に映る。

?日銀が年間80兆円の勢いで市場から買いまくり、円安も一服しているので国債は安定感がある。長期的に不安材料はあっても、短期的にはおカネの置き場として安心できる、というのだ。背景にあるのが日本国債を巡る特殊な事情だ。

?政府が国債でカネを集めると民間に流れる資金が圧迫され、金利が上昇する。それが普通の経済だ。国債を乱発すれば金利が上がり利払いが膨らんで、発行はおのずと抑制される。市場には自己調整機能があるとされてきた。

?借り換えも含めると年間200兆円もの国債が発行されながら金利が上がらない。危険信号が灯らない日本の珍現象は、専門家の間で「国債バブル」と呼ばれてきた。

?日銀が市場からどんどん国債を吸い上げ、日銀マネーを流し込むので、政府が国債を乱発しても金利は上がらないのである。市場の調整機能は働かず、警報が鳴らない。日銀の金融政策によって回路が切断されている。

?困ったことだが、財政には居心地がいい。1000兆円を超える借金の金利負担はチョー軽い。マイナス金利なら得までする。借り手を甘やかす金利環境は財政規律を弛緩させ、政府を覚せい剤をやめられないシャブ中毒者のようにしてしまった。

1040とはずがたり:2016/09/13(火) 12:55:21

?28兆円に膨らんだ経済対策は「赤字国債に頼らない」というが、事業規模を膨らます切り札は財政投融資。かつて郵便貯金が原資だった財投は、郵政民営化で郵貯に頼れなくなった。代わって財投債という名の国債で資金を集めている。つまり財投で経済対策、というのは国債で公共事業をすることでもある。これに市場は金利上昇で応えた。「この先」への懸念である。

証券会社出身の委員2人が反対
なりふり構わぬ株価対策

?異変は政策決定会合でも起きていた。「ETFの買い増し」に2人の委員が反対した。佐藤健裕委員は「6兆円の買い入れは過大。市場の価格形成や日銀財務の健全性に悪影響を及ぼす」と主張。木内登英委員は、日銀財務の不健全に加え「株式市場のボラティリティーを高める。株価を目標にしているとの誤ったメッセージになる」と強く反対した。

?二人とも証券会社のエコノミストから政策審議員に登用された民間委員である。市場の声の代弁者ともいえるが、その前に「ETF買い上げ」について説明しよう。

?ETFは株式を組み込んだ投資信託である。日経平均や東証株式指数(TOPIX)などと同じ値動きをするように構成する銘柄を組み込んでいるので、投資家はたとえば日経平均を買う気分でETFに投資ができる。日銀は金融の量的緩和策の一環としてETFを市場から買っている。これまでは年間3.3兆円だった。今回は買い入れ額を6兆円に拡大してETFを買い上げて日銀マネーを市場に流す、というのは口実で、実態は「株価の買い支え」である。ETFを買えば組み込まれている指標銘柄の株式を日銀が買っているのと同じ効果がある。6兆円ものカネで日経平均やTOPIXを底上げする。市場介入である。

?外国為替市場での介入は、政府がドル買い・円売りをして円安に誘導する。米国では日本の介入に「公正な相場形成を歪める」と批判が高まっている。相場はなかなか政府の意のままには動かない。強引にやれば「アンフェア」と批判される。それが市場だ。

?二人の委員が指摘するようにETFの買い上げは市場の価格形成を歪める恐れがある。3.3兆円でも「池のクジラ」と言われていたのをさらに倍増し6兆円にする。「なりふり構わぬ株価対策」と市場は反応した。

?株価は、企業の業績や将来性を示すもので、高ければいい、ということではない。業績が悪くても政府の都合で価格が上がるなら、「株価は企業の体温計」の機能を失い、投資家は業績より政府の動向を見るようになる。

?木内委員は「誤ったメッセージ」と言うが遠慮した表現だ。政府には株価の誘導目標があると疑われても仕方ない政策である。日経平均が下がるとETFの注文が日銀から証券会社に入る。防衛ラインを割らせない、という政府の意思を関係者は感じ取り、市場に広がる。不明朗な株価操作の臭いが濃厚に漂う。

?アベノミクスは株高で人気を得た。金融緩和で株式市場にカネが流れ込み株価を押し上げた。円安で輸出企業が儲かり株が上がる。緩和―円安―株高―支持上昇という好循環が安倍政権を支えた。支持率に欠くことができない株価を維持するため市場介入までありという政策の総動員に、証券会社をバックにした審議員から批判が上がった。

?政府・日銀・証券会社はアベノミクス推進では同じ方向を向いていた。審議委員会で発せられた異論は、内部崩壊へとつながる小さなひび割れかもしれない。

政権維持のための政策総動員に
民間から批判・不満が続出

?三菱東京UFJ銀行が国債売買で優先的地が与えられるプライマリーディーラーから離脱したことも、政策への異議申し立てだ。マイナス金利の導入で銀行は経営が苦しくなった。日銀は「金利全体が下がり企業や個人が資金を借りやすくなった」と自賛するが、銀行は預金金利をマイナスにはできない。ほぼゼロ金利に近いところまで下がっているのに、住宅ローンや貸し出しの金利が下がり利ザヤ圧縮が経営に響く。国債で資金を運用してきた銀行はマイナス金利に泣いている。

1041とはずがたり:2016/09/13(火) 12:55:39
>>1039-1041
「金融機関のために金融政策があるのではない」という黒田総裁の発言に金融界は冷ややだ。「民間金融を痛めてまで進める政策に展望があるのか」というのである。

?三菱の離脱も、審議員の反対論も、日銀と業界に生じたひび割れから噴き出た。金融常識を踏み越えた異次元緩和が行き着いた先がマイナス金利であり、ETFの買い増しという市場介入。

?そして国債の増発を伴う大型補正。無理の上に無理を重ねるアベノミクスの加速に、「次があるとしたらヘリコプタ―マネー」といわれるほどアベノミクスは追い込まれている。

?業者である銀行・証券は、お上である政府・日銀には付き従うが、面従腹背の腹に不満のガスが充満している。

物価上昇を非常識な金融手法で
達成しようとした根本的な誤り

?日銀も政策転換を模索せざるをえない。2013年4月に公約した「2年後に物価上昇率2%達成」は果たせず、先送りした2016年度中にという約束も絶望視されている。

?黒田総裁は会見で「次回9月の会合で、これまでの金融政策について総括的な検証を行う」と述べた。

?湯水のように日銀マネーを投入しているのに物価が上がらないのはなぜか、徹底的に検証するという。2%の物価目標をできるだけ早期に実現する観点からの検証だという。

?無理な目標に固執して危ない政策を重ねるのでは日銀の信認に傷がつく。「2%は果たします」と言いながら目標時期を曖昧にする理屈付けを考えるのが狙い、と関係者は教えてくれた。誇り高い日銀らしいやり方だが、根本から違っている。

?インフレ期待に働きかけて物価を上昇させる、という政策に無理があった。通貨をじゃんじゃん発行すれば、これからはインフレだ、という思惑が広がり、人々はわれ先にカネを遣うから物価が上がる、という理屈に乗った金融政策が間違っていた。

?高度成長期ならありえたかもしれない。低成長のなかで貧富の差が広がり、多くの人は将来への不安を抱え、気前よく消費などできない。企業は縮む国内市場より成長性が期待できる海外に投資する。

?大胆な金融緩和がインフレ期待を起こせると考えたのが見当違いだった。物価上昇を目的にしたもの間違いだ。政策で物価を操れると考えたことにも無理があった。

「徹底検証」というなら「2%物価上昇を非常識な金融手法で達成する」という目標の妥当性こそ検証すべきだろう。

?非常識な金融緩和の結果、政府が発行する国債の3分の1も日銀が買い集めてしまった。政府の借金を、日銀がお札を刷って埋める「財政ファイナンス」が始まっている。

?誤った道からどうやって安全に抜け出すか。出口探しこそ日銀の課題だ。求められるのは「撤退する勇気」である。

1042とはずがたり:2016/09/14(水) 03:27:35

日銀、緩和手段の修正検討 物価上昇、達成期限示さず
http://www.asahi.com/articles/ASJ9F5Q6XJ9FULFA030.html
藤田知也2016年9月13日22時46分

 日本銀行は20〜21日の金融政策決定会合で、従来の金融緩和の手段の修正を検討する。「2年程度で物価上昇率2%を目指す」として大規模緩和を始めたが、3年半たった今も達成できていない。以前の「2年程度」は撤回し、今後は達成期限を明示せず、「できるだけ早期に」とする方向だ。また、マイナス金利政策で金利が急低下し、年金運用などに支障が出ていることから、緩和規模を維持したうえで、長期金利の一部の小幅な上昇は容認する案を検討する。

 日銀は2013年4月、物価上昇率2%を2年程度の短期間で達成すると表明したが、最近の物価上昇率はマイナス0・5%(生鮮食品を除く)にとどまる。

 日銀は今回の決定会合で政策の「総括的な検証」を行い、原油価格の下落や消費増税などで目標は達成できなかったとする見通し。「2%」の目標は維持し、「できるだけ早期」の達成を目指すようにする。

 国債の買い入れ方法の見直しも…

1043名無しさん:2016/09/19(月) 15:43:33
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160916/k10010688991000.html?utm_int=news-politics_contents_list-items_032
個人型確定拠出年金の愛称は「iDeCo」
9月16日 14時32分
公的年金に上乗せして給付を受ける私的年金「個人型確定拠出年金」の愛称が、「iDeCo(いでこ)」に決まり、厚生労働省などは老後の所得保障の充実に向けて制度の普及促進を図りたいとしています。
公的年金に上乗せして給付を受ける確定拠出年金は、加入者みずからが掛金を拠出して運用し、その結果に基づいて将来の給付額が決まる私的年金で、このうち「個人型」の加入者の範囲が来年1月から基本的に60歳未満のすべての人に拡大されることから、金融機関などでつくる普及促進を図る協議会が愛称を募集していました。

16日に開かれた発表会には、橋本厚生労働副大臣や、愛称の選定委員でスポーツコメンテーターの杉山愛さんなどが出席し、「個人型確定拠出年金」の愛称を、英語の頭文字をとって「iDeCo」に決まったことを発表しました。「個人型」は掛金が全額所得控除されるなどの優遇措置があり、厚生労働省などは老後の所得保障の充実に向け、愛称を通じて制度の普及促進を図りたいとしています。
杉山愛さんは「音の響きがかわいく、小文字と大文字が交互に並んでいてスタイリッシュな感じがいい。どんどん使ってもらい、親しみを持ってほしい」と話していました。

1044とはずがたり:2016/09/20(火) 17:10:27
2016年 09月 20日 10:06 JST
コラム:日米金融政策「ダブル失望」は杞憂か=池田雄之輔氏
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yunosuke-ikeda-idJPKCN11M0QT?sp=true
池田雄之輔野村証券 チーフ為替ストラテジスト

[東京 16日] - 筆者は9月前半の2週間で、ロンドン、ニューヨーク(NY)の投資家を訪問してきた。3つの重大イベント、つまり日銀政策決定会合(21日)、米連邦公開市場委員会(FOMC、同日)、米大統領選挙の民主・共和両党候補者による第1回テレビ討論会(26日)の直前というタイミングである。

このうち日銀会合への欧米投資家の関心は非常に高く、ヘッジファンドのトップが顔を出すミーティングもあった。白熱した議論の内容を振り返ってみたい。

日銀については、9月会合での「総括的な検証」と追加緩和の有無が焦点だ。筆者は、「最近の黒田(東彦)総裁、中曽(宏)副総裁の講演内容を踏まえれば、マイナス金利政策の正しさが強調される可能性が高いと思う」と説明した。NYの某ヘッジファンドでは、「中銀トップが政策の誤りを認めることはないだろう。あなたはスパイかと聞いたらノーと答えたというのと同じくらい情報価値がない」と笑われてしまった。

もちろん、説明を続ける。「日銀の議論は3段階だ。第1に、2%のインフレ目標が達成できていない理由として原油価格下落などの外部要因の影響を指摘する。円高もそこに入るかもしれない。第2に、マイナス金利政策が金融機関収益に与えている悪影響も率直に認める。対応策も同時に盛り込まれるだろう。そして第3に、それでもマイナス金利政策は継続する、となるはずだ」。

マイナス金利政策が金融機関収益を下押ししている現象は、2通りある。1つは、預金金利をマイナスにできない銀行が利ざやの縮小に直面している。もう1つは、20年以上の超長期金利が日銀の予想以上に大きく低下し、生保・年金などの運用難をもたらしている。

報道を見る限り、日銀はまず後者への対応を練っている模様だ。すなわち、下がり過ぎた超長期金利を押し上げ「イールドカーブを立たせる」方策を打ち出す可能性が高まっている。おそらく「平均7年から12年」とされている買い入れ国債の平均残存期間の目標を撤廃し、日銀がより自由にイールドカーブを調整できるようにする公算が大きい。

<日銀利下げ見送りでも1ドル100円割れ回避の公算>

一方、今回の会合では、政策金利の引き下げ(=マイナス金利の深掘り)は、見送られる可能性が高いと予想している。そう説明すると、欧米投資家は一様に驚く。だが、日銀が今回利下げを見送るべき理由は多い。

第1に、市場とのコミュニケーションの立て直しだ。黒田総裁は1月に、「抜き打ち」でマイナス金利政策を導入したことにより、市場参加者との信頼関係を損なった。7月の追加緩和策が、金利を全く触らずに上場投資信託(ETF)の買い入れを倍増させるという、中央銀行としては異例の内容になったのは、市場に歩み寄る姿勢の表れだっただろう。

そして今回の総括検証では、マイナス金利政策に対する市場の理解を求めようとしている。現在は、深掘りというアクションをとる前に、慎重な手続きを踏んでいる段階なのではないか。

第2に、黒田総裁の就任以降、日銀の政策変更はすべて「展望レポート」公表のタイミングと一致している。次の緩和策も、「インフレ見通しが悪化しているので、対応措置をとった」との説明になるとすれば、11月1日の発表が有力になる。

第3に、国内政治。12月から来年1月にかけての衆院解散・総選挙が取り沙汰されるなかで、仮に追加財政出動と連携をとるのであれば、現在は「温存」の時期になる。

第4に、国際政治も影響しているかもしれない。米大統領選が佳境に入ってくるなかで、日銀がマイナス金利の深掘りを打ち出せば、大統領候補に「通貨安政策だ」との批判を許す恐れがある。

1045とはずがたり:2016/09/20(火) 17:10:44

では、21日に日銀が利下げ見送りを発表した場合、ドル円相場はどのように反応するだろうか。筆者は、1ドル=100円割れは回避できるのではないかと推測している。というのも、今回の欧米出張で見てきた限り、ヘッジファンド勢の日銀追加緩和に対する期待値は高くないのだ。

正確に言えば、関心は高く、「利下げあり」との見方も多いが、それで勝負すべくドル円をロング(円売り)する自信のあるプレーヤーがほとんど見当たらない。加えて、イールドカーブを立たせる措置は、市場センチメントを支える効果が期待できる。この点からも、急激な円高は避けられると見込めそうだ。

<「トランプ大統領」なら1ドル95円の可能性も>

もちろん、21日にはもう1つの重要イベント、FOMCが米国時間に控えている。筆者は、「日銀は利下げせず、FOMCは利上げせずで、ダブル失望になる」との想定を欧米投資家に伝えてきた。とはいえ、今回訪問した数十機関のうち、米国の9月利上げを予想していたところは、ただの1つもなかった。米国の利上げ見送りは、もはや織り込み済みと言えるかもしれない。

21日のFOMCでは、政策メンバーの金利見通し(いわゆるドットチャート)、とりわけ2017年の利上げ回数が従来の3―4回から、2―3回へと減る可能性がある。米国景気に減速の兆しが見られるからだ。

今回、筆者が訪れたロンドンのヘッジファンドでは、珍しいハプニングに見舞われた。その日、午後2時半からの会合は、リビングルーム仕様の広いソファーに座って、和やかな雰囲気でスタートした。ところが、3時になると、5人のファンドマネジャーがちらちらと手元のスマートフォンを見ながら、次々と部屋を出て行ってしまったのだ。最後の1人が「米ISM非製造業指数が非常に弱い」と説明してくれて会合は打ち切りになってしまった。

どうやら、彼らは8月末のジャクソンホール会議後からゆっくりドルを買い続けていたようだったが、それが1つのデータの発表により、一瞬にして2%近く下がってしまった。何度も繰り返す米国経済統計の「裏切り」によって、ヘッジファンド勢は体力をすり減らされている。15日発表の小売統計(8月分)も非常に弱い結果だったが、こちらに対しては市場の反応は小さかった。「いまさら驚かない」ということなのかもしれない。

21日の日米金融政策発表を経て、市場の焦点は米大統領選挙に移るだろう。特に26日の民主・共和両党の大統領候補による最初の公開討論会はきわめて重要だ。過去、第1回討論会で勝負がほぼ決したケースが多いからだ。

NYの投資家のあいだでは、ドナルド・トランプ共和党候補の勝率は30%から50%という答えが多かった。同候補が勝った場合の米景気への影響については、おおよそ三分されていて、1)政策不透明感からリセッション入り、2)大統領に就任しても議会を動かせず何も変わらない、3)内需刺激策でインフレが加速、となっている。驚くほど意見は集約されていない。

筆者は1番目の考え方であり、米連邦準備理事会(FRB)の利上げシナリオも頓挫してしまうと想定した上で、「トランプ候補が勝てば1ドル=95円割れもあり得る」と説明している。逆に「ヒラリー・クリントン民主党候補が勝利すれば、FRBは12月に利上げを再開、来年も2回の追加利上げを打ち出すとの前提で、2016年末は1ドル=104―108円、17年末は112―116円」と説明してきた。

相場は大統領選の帰趨次第で、真逆に動く可能性が高いと見ている。日米金融政策、大統領候補討論会を控え、いまは嵐の前の静けさといったところだろう。

*池田雄之輔氏は、野村証券チーフ為替ストラテジスト。1995年東京大学卒、同年野村総合研究所入社。一貫して日本経済・通貨分析を担当し、2011年より現職。「野村円需給インデックス」を用いた、円相場の新しい予測手法を切り拓いている。5年間のロンドン駐在で築いた海外ヘッジファンドとの豊富なネットワークも武器。著書に「円安シナリオの落とし穴」(日本経済新聞出版社)。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

1046とはずがたり:2016/09/21(水) 22:44:25
>今回、決定された「10年以上の金利引き上げ」は、実質、金融引き締めである。ただし、引き済めととられると、円高が進行するので、量的緩和の維持を表明し、必要ならば拡大すると表明している。つまり、今回の発表内容は、金融引き締めと金融緩和の「いいとこどり」を狙っている。

>現在の量的緩和は、このままではいずれ債券の玉不足で続けられなくなる。政府が必要のない国債を大量に増発する場合を除き、インフレ目標達成の有無にかかわらず、早晩債券買い付け額を減らさざるをえなくなるだろう。
で,無駄な公共事業濫発してツケを将来世代に回して誤魔化そうとするんだな。国債の信頼失って円が暴落して国の借金チャラと云ふことか。

黒田総裁は実現不可能な「口約束」をしている
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160921-00137058-toyo-bus_all
東洋経済オンライン 9月21日(水)18時30分配信

黒田総裁は、日銀の金融政策に限界を感じつつ「実現不可能な口約束」をしている――。「影の黒田総裁」はホンネを語りたがっているようにも見える(撮影:今井康一)

 日銀の金融政策の成果を、株価で測る傾向が世にはびこっている。金融政策発表後に日経平均が上がれば「成功」、下がれば「失敗」とする論調が多い。それにつられて、いつのまにか日銀が、「株価を政策目標とする中央銀行」に変わりつつある。

■市場は日銀の「実現不可能な口約束」を好感した

 その意味で、9月21日に発表した金融政策は、成功だったのだろう。発表内容を好感して、この日の日経平均は、前日比315円上昇した。日銀のマイナス金利導入で収益にダメージを受ける銀行株がこの日は大幅高になった。

 大手銀行株がこの日急騰したのは、日銀が「イールドカーブ・コントロール」を導入すると発表したためだ。10年物国債金利が概ねゼロ%で推移するようにコントロールするとした。

 年80兆円のペースで、国内債券の保有残高を増やす量的緩和は続けるが、10年以上の金利がマイナスにならないように、買い付ける対象を調整するとした。具体的には、10年以上の国債の買い付けを減らし、それよりも短い国債をたくさん買うことになる。買い入れ対象について、平均残存期間の定めを廃止することによって、中短期債券の買い付けを一段と増やせるようにした。日銀の発表を受けて、10年国債利回りは一時+0.0286%まで上昇した。

 この日のマーケットは、日銀の口約束に素直に反応したと言える。日銀は、マーケット関係者が喜びそうなことを、これでもかと言うくらい並べたてたからだ。私は、日銀の口約束には、実現不能の内容が含まれていると考えるが、21日の金融市場は、とりあえず日銀の口約束を素直に評価した形だ。

 日銀の狙い通り、長期金利が上がれば、年金基金や金融機関の運用悪化を防ぐ効果がある。一方で、中短期金利を下げれば、円高を防ぎ、設備投資のためのファイナンスをしやすくする効果も期待できる。いいとこづくめである。

1047とはずがたり:2016/09/21(水) 22:45:01
>>1046-1047

「いいことづくめの話」をエスカレートさせた日銀
 しかも、日銀は今回、口約束をさらに一つ、エスカレートさせた。「オーバーシュート型コミットメント」を導入すると表明した。

 2%の物価目標が達成させても即座に金融緩和をやめず、安定的に2%以上が維持できるまで続けるとしたことだ。いつか来る日銀金融政策の出口への不安の払拭を狙ったものである。しかも、いつも通りであるが、さらなる量的緩和の拡大も、選択肢として温存していることが述べられている。株式市場のことをよく知っている黒田日銀総裁は、これでもかというほど、株式市場が喜びそうなことを並べたててきた。

■日銀の「二つの実現不可能な口約束」とは?  

 今回、決定された「10年以上の金利引き上げ」は、実質、金融引き締めである。ただし、引き済めととられると、円高が進行するので、量的緩和の維持を表明し、必要ならば拡大すると表明している。つまり、今回の発表内容は、金融引き締めと金融緩和の「いいとこどり」を狙っている。

 金利上昇を望む金融機関や年金基金に対しては、「長期金利を上げる」と、金融引き済めの絵を見せた。一方で、金融緩和を続け、円高を防ぎたいと思う産業界に対しては、強力な量的緩和をいつまでも続け、さらに強化する用意があるとの絵を見せた。

 今日のマーケットはその両方を信用した。ただし、私は、金融引き締めと緩和強化は両立しないと考える。2つのことが実現不可能になるだろう。

 第一に、日銀は本当に、年間80兆円債券保有を増やしながら、長期金利を引き上げることができるのか? 国債市場は、日銀がどんどん国債を買い上げてしまうために、流動性が枯渇してきている。

 イールドカーブ・コントロールの導入で、今後、日銀は10年国債を思うように買えなくなるだろう。その分、中短期国債の買い入れを一段と増やさなければならなくなる。

 中短期国債をどんどん奪い取られる金融機関は、どういう行動に出るだろうか。年マイナス0.1%のペナルティ金利を取られながら日銀当座預金に預け続けるか、あるいは、10年以上の長期国債を買いにいく行動に出るのではないか? そうなると、日銀の意図に反して、超長期国債の利回りは上昇しなくなる。

 次に、オーバーシュート型コミットメントは、現実的には実行不可能である。今回あえてそれを表明するのは、金融政策出口の議論を封じ込めて、円高が進むことを防ぐためと考えられる。

 現在の量的緩和は、このままではいずれ債券の玉不足で続けられなくなる。政府が必要のない国債を大量に増発する場合を除き、インフレ目標達成の有無にかかわらず、早晩債券買い付け額を減らさざるをえなくなるだろう。

窪田 真之

1048とはずがたり:2016/09/21(水) 23:59:36
一理はあるけど一面的な議論で,インフレ期待に騙されてる内に経済好循環を造ると云ふ戦略は十分あり得るのに,売国奴の安倍は軍事国家作るのにだけ熱心で経済改革やる気が全く無いから詐欺師なのである。

日銀の「総括検証」は何の意味も持たない
なぜ黒田総裁はいつまでも間違い続けるのか
http://toyokeizai.net/articles/-/137026?utm_source=yahoo&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=related
中原 圭介 :経営コンサルタント、経済アナリスト 2016年09月21日

みなさんもご存じのとおり、今の日銀の金融政策は「デフレを脱却する」という目標を掲げて行われています。学問的にも遅れている経済学の世界では、「デフレ=不況」が未だに常識として捉えられているからです。

デフレ脱却もインフレ目標も必要ない

ところが私は、そもそも「デフレを脱却する必要はないし、インフレを目指す必要もない」と考えています。なぜなら、インフレであるかデフレであるかは、歴史的に見て経済の好不況とはまったく関係がないからです。私がそういった考え方をできるのは、大学生のときに経済学ではなく歴史学を学んできた結果だろうと思います。

世界経済の歴史を検証すると、デフレ期では好況になっていることのほうが圧倒的に多く、デフレと不況に関係性が認められないという事実が明らかになっています。恐慌論で有名なベン・バーナンキ(前FRB議長)は、世界大恐慌の時期だけを研究して「デフレ=不況」と結論付けましたが、むしろ世界大恐慌の時期だけが例外であり、歴史的な見地から判断すると、稚拙な結論としか言わざるをえなかったのです。

なぜ偉大な経済学者たちは、歴史をありのままに俯瞰することができないのでしょうか。たとえば近年の事例では、2014〜2015年にドイツを大幅に凌ぐ経済成長を達成した英国では、その当時はデフレの状態にあったのです。原油安により実質賃金が上昇し、消費が拡大していたというわけです。景気が良いとされるドイツにしても、スウェーデンやスイスにしても、低インフレが定着している国々です。

歴史的な検証については私だけでなく、ミネアポリス連邦準備銀行に在籍していたアンドリュー・アトキンソンとパトリック・J・キホーの2人のエコノミストが、2004年1月に発表した論文「デフレと不況は実証的に関連するのか?」のなかでも明らかにしています。『デフレになると本当に不況が来るのか』(2015年4月8日の記事http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1046080617/1717-1718)でその論文の内容をご覧いただければ、「デフレの結果、不況になる」という経済学の常識は、単なる思い込みにすぎないことが判明してしまうのです。要するに、デフレは好不況の「原因」ではなく、「結果」にすぎないというわけです。

日銀の大規模緩和策の根底には、物価は上昇するのが好ましく、下落するのは好ましくないという、これまで宗教のように信じられてきた経済学の常識があります。ですから、大規模緩和策を支持する経済学者やエコノミストのすべてが、円安が好ましいと考えていますし、円安による輸入物価の上昇が全体の物価上昇につながれば、デフレ脱却に成功するだろうといっているのです。

消費増税も円安も使えるおカネが減ることでは同じ

?たとえば、価格に敏感な主婦層がいつも買っている食材や日用品などが、円安によって値上がりしたとします。値上がりの理由が、消費税の増税のせいなら好ましくないが、円安のせいなら好ましいというのは、本当に正しい考え方でしょうか。消費者の立場からすれば、そんな道理が通じるはずがありません。物価の上昇により、懐が寒くなったと実感した消費者は、なるべく消費を抑えるようにするのが自然な行動パターンなのではないでしょうか。

円安による輸入インフレが進むにつれて、家計の可処分所得が減っていくのは避けられない運命です。その結果、2013〜2015年の間に円安があまりに進んでしまったために、実質賃金が3年間累計で4.6ポイントも下がってしまいました。すなわち、この間の実質賃金の下落率は、リーマンショック前後の期間に匹敵していたのです。これでは、GDPの6割を占める個人消費が歴史的な低迷に陥ってしまうのは当然のことでしょう。

1990年代に日本のバブルが崩壊して以降、個人消費がマイナスになったのは、金融システム危機で貸し渋りや貸し剥がしが起きた1998年、リーマンショック期の2008〜2009年、そして実質賃金が大幅に下落した2014〜2015年の合計5年間です。

1049とはずがたり:2016/09/22(木) 00:00:20

ここで深刻に受け止めなければならないのは、個人消費が2年連続でマイナスになったのは、2008〜2009年と2014〜2015年の2回しかないということ、さらには個人消費が2008年に0.9%減、2009年に0.7%減だったのに対して、2014年は0.9%減、2015年は1.3%減と、戦後最悪の減少率を更新してしまったということです。

実際のところ、GDPの推移を見てみても、リーマンショック期を除けば、2013〜2015年の成長率は年平均で0.6%と、歴史的に低迷していたことがわかります。

このような現状を見れば、大手メディアの世論調査で押しなべて「8割が景気回復を実感していない」という結果が出るのは、当然のことだといえるでしょう。それにもかかわらず、日銀や政府が「景気の回復は続いている」という見解を示し続けるのは、あまりにも事実を歪めているといわざるをえません。

黒田総裁はインフレやデフレの捉え方を間違っている

ただし、2016年は一転して円高に傾いているので、実質賃金は間違いなく上がることになりますし(『円安に頼る経済政策を終わりにする時が来た』(2016年6月25日の記事)参照)、それに伴い個人消費も幾分ながら増加に転じることが期待できます。

そこで懸念すべきは、日銀や政府が「大規模緩和策の成果で、実質賃金が上がり始めた」と支離滅裂なことを言い始めることです。黒田総裁はまったく当たらないIMFの経済予測を信じて金融政策を決定しているのかもしれませんが、国民は日銀の見解を決して信じてはいけないのです(『なぜ国際機関の経済予測は当たらないのか』(2016年9月16日の記事)参照)。

黒田総裁はインフレやデフレの捉え方を完全に間違っています。インフレやデフレは経済現象の「結果」にすぎず、決して「原因」にはなりえないのです。好況の「結果」としてインフレやデフレになることがあれば、不況の「結果」としてインフレやデフレになることもあるのです。

日銀の金融政策の「デフレを脱却する」という目標そのものが、最初から「原因」と「結果」を取り違えて金融政策を決定しているので、その点を正さない限りは、今回の「総括検証」は何の意味も持っていないといえるでしょう。

科学の世界では、「原因」と「結果」がひっくり返ることは絶対にありえません。経済学の世界で「インフレになれば、経済がよくなる」と主張する学者たちは、私から見れば、物理学の世界で「力が作用したから、モノが動く」という状況を「モノが動くから、力が作用する」といっているのと同じようなものなのです。ですから、科学の世界の学者たちからは、経済学は学問の体をなしていないという意見がよく聞かれるというわけです。

キリスト教の権威が支配していた中世時代の欧州では、神の権威によって科学の発展が著しく妨げられていましたが、クルーグマンの学説である「インフレになると人々が信じれば、実際にインフレになる」というインフレ期待などは、まさしく宗教そのものといってもいいでしょう。このようなクルーグマンの主張を根拠にして、わが国の金融政策が間違った現状を突き進んでいるのは、非常に憂慮すべきことだと思われます。

日本で「浅はかな経済実験」が行われてしまったのは、クルーグマンの「インフレ期待」なる理論が「原因」と「結果」を完全に取り違えているにもかかわらず、リフレ派と呼ばれる学者たちが権威の名のもとに、「愚かな為政者」にその理論を信じ込ませてしまったからです。

普通に暮らす国民の立場からすると、金融緩和に依存する経済政策はあまりにも筋が悪かったといえるでしょう。経済の本質や歴史について先入観を持たずにしっかりと検証していれば、このような愚かな経済政策を行うはずがなかったのではないでしょうか。

1050とはずがたり:2016/09/22(木) 00:00:30
>>1048-1050
物価が上がれば景気が良くなるわけではない

経済の本質からすれば、「物価が上がることによって、景気がよくなったり、生活が豊かになったりする」のではありません。「経済が成長する結果として、物価が上がる」というものでなければならないのです(もちろん、「経済が成長する結果として、物価が下がる」というケースもありえます)。

経済学の世界では、「鶏が先か、卵が先か」の議論が成り立ってしまうことがありますが、実際の経済は決してそのようには動いていかないものです。経済にとって本当に重要なのは、「どちらが先になるのか」ということなのです。

さらに、経済学の不可思議なところは、それぞれの国々における人口の構成、人々の価値観や生活スタイルなどが考慮されていないということです。

特に高齢化社会を真っ先に経験している日本にとって、本当にインフレが望ましいのかどうかは、社会保障制度の改革とセットで議論されるべきものです。そもそも人口減少社会に突入した日本の経済と、人口増加社会であり続ける米国の経済を、同じ土俵で比較すること自体、学問的にもセンスがなさすぎるといわざるをえません。

1051とはずがたり:2016/09/27(火) 19:26:42

日銀政策「ヘリマネに似ている」 前FRB議長が指摘
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160926-00000026-asahi-bus_all
朝日新聞デジタル 9月26日(月)11時48分配信

 日本銀行が新たに導入した長期金利を「ゼロ%程度」とする目標について、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ前議長がブログで、政府の借金を中央銀行が直接引き受ける「ヘリコプターマネー(ヘリマネ)政策」に似ているとの見方を示した。

 バーナンキ氏は、日銀の新たな金融政策の枠組みについて「市場の反応はまちまちだった」としたが、「デフレを終える目標への新たな決意が含まれており、おおむねいいニュース」と評価した。

 長期金利目標については「最も驚きで、興味深い」と言及。「(中央銀行が政府債務を肩代わりする)あからさまな財政ファイナンス、いわゆるヘリマネに、日銀の黒田(東彦)総裁は反対を表明してきた」としながらも、「政府の借入金利を無期限でゼロに維持する政策は、財政ファイナンスの要素がある」と説明した。

 そのうえで、「日銀がより長期の国債の金利を目標にした場合、その類似性はより顕著になる」と指摘した。バーナンキ氏によると、FRBも第2次世界大戦中と大戦直後、戦費を抑えるために長期金利目標を導入していたという。

 一方、日銀の黒田総裁は26日、大阪市での記者会見でバーナンキ氏の指摘について問われ、「金融と財政の一体運営(という意味)なら法制度はそうなっていない。相乗効果のあるポリシーミックス(政策協調)としては何ら間違っていない」と述べた。(五十嵐大介=ワシントン、藤田知也)

1052とはずがたり:2016/09/28(水) 18:47:35
2016/08/30 08:00
経済学に弱いアベノミクスの経済政策は赤点だ
http://forbesjapan.com/articles/detail/13297
谷本 有香 , FORBES JAPAN 編集部
フォーブス ジャパン副編集長 兼 ウェブ編集長

アベノミクスが開始してから、約3年半。いまだ国民に果実を手にした実感はない。早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授の大村敬一氏に聞いた。

大村敬一(以下、大村):最近の状況を見ると、明らかに金融政策の限界に達したと思います。当初は異次元金融緩和が円安誘導に成功し、一時は回復を期待させたアベノミクスですが、その後はといえば、第三の矢が機能していないということを隠すために金融緩和が政権に応える形で実施されています。日銀はまさに政府のプリンターと化しているわけです。

他方、財務省にも、大量国債発行が前提ならば管理コストが低くすむので、それを容認するようなインセンティブ構造がやっぱりあります。社会福祉等移転支払増の趨勢下では、官邸と財務省と日銀の間に暗黙の了解のようなものがあったのでしょう。

谷本:今の状況を見て、アベノミクスの経済政策をどのように評価されますか?

大村:現状は赤点でしょう。インフレターゲティング政策は幻想に終わったのではないかと思いますし、第二の矢も中途半端、第三の矢は皆無です。民主党時代よりはましという意味では評価できるでしょうが…。

過去を見ていると、政権が安定するとどうもテーマがすり替えられる傾向があります。今やインフレターゲティングという大看板も下ろされそうです。2年経って2%達成できなかったら責任取りますと公約した人たちは前言を撤回。政権存立と結びついているので単独での辞任というのも難しいのでしょうが、これでよいのだろうかとは思っています。このままだと結局何もできなくて、これ以上のサプライズも期待できません。

大村:白川前総裁のときは、これ以上追加緩和しても日銀当座預金にブタ積みがされるだけで効果は期待できないという悲観論が日銀内に蔓延し、緩和も政権に強いられて受動的でした。たしかに中途半端な印象はありました。

これに対して、リフレ派の人たちは、日銀当座預金にブタ積みされても、それでも積み増し続ければ、いつかは溢れて市中に流動性が流れるだろうし、そのような徹底した姿勢がインフレ期待につながると主張しました。攻撃的であるのも特徴的でした。安倍首相が経済政策論争を理解できたのかは疑問ですね。リフレ派の経済政策が簡潔・明快だったので乗っかったということかもしれません。

しかし、一番大事なのは実体経済に資金需要が出るかどうか、家計の消費意欲、企業の生産意欲があるかどうかということが基本です。そこには、もちろん日銀の役割もありますが、やはり単独では限界があるというのが客観的だと思いますが、全部日銀に責任をかぶせてしまっています。

日銀も表立って反抗しない体質なので、小泉政権あたりから政権の介入が強まったのにも屈して、政権の言いなりになっていきます。独立性を確保したいのですが、かといって抵抗しても政策効果をあげられる見通しなく…もし達成できたとしても、出口戦略はどうするんだ。そういう意味で、日銀内部には相当なフラストレーションがあると思いますし、全体的に無力感が漂っていますね。

谷本:また、日銀は量と質の他に、一部では劇薬などと称されるマイナス金利という政策にも踏み込みました。

大村:マイナス金利があってはいけないとは思いませんが、実施した欧州の一部の国とは条件が違います。そのまま持ち込むのではなく、金融ビジネスの現状や高齢化時代の運用環境なども含めてトータルな影響を考えてから判断しなければいけなかったと思います。今のところ、マイナス面のほうが目立ちます。

官庁というのは、どうしても他国での経験例を持ってきたがるところがあります。私も内閣府に一時在職したことがありますが、アイデアに詰まるとつい世界のどこかで同じようなことをやっているところはないか、と考えがちです。そういうとき、補佐クラスの人たちがあちこちから探してくるのですが、そんな国は日本の参考にならない条件の小国だったりするんです。

さっきのインフレターゲティングのときもそうなんですが、全く参考にならない事例が集められました。このような対応姿勢にも問題があると思います。

大村敬一◎早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授。慶應義塾大学商学部卒業。同大学院経済学研究科博士課程終了。法政大学より経済学博士号取得。早稲田大学大学院ファイナンス研究科長、証券アナリスト試験委員/カリキュラム委員長、大蔵省財務総合政策研究所特別研究官、内閣府官房審議官、日本ファイナンス学会会長、日本リアルオプション学会会長等を歴任。

1053とはずがたり:2016/09/30(金) 15:04:18
円高阻止しか考えてない連中が多すぎる。もう副次的な産業になった製造業だけ潤わせても日本国民全体の購買力下げて打撃の方が大きいやろ。この数年でトリクルダウンなんかさほど無かった訳だし。
円高村は原子力村よりも始末が悪いかも(;´Д`)

金融・投資・マーケット経済・財政
意外と脆いニッポン経済!黒田総裁の「失敗策」がもたらすリスク
マイナス金利にも限度がある
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49803
町田 徹経済ジャーナリスト

黒田総裁が打ち出した「策」

「策士、策に溺れる」の例えの典型だろうか―。

黒田日銀は先週水曜日(9月21日)の金融政策決定会合で、注目の「総括的な検証」を行い、刹那的としか言いようがない”金融引き締め”策を打ち出した。

その柱は、民間銀行が日銀に余資を預託する当座預金金利(-0.1%)の更なる引き下げ(マイナス金利の深掘り)という肝心の施策を見合わせる一方で、半年以上にわたってマイナスで推移してきた長期金利を0%に押し上げるというものだ。

はっきり言って、中途半端な政策だろう。早くも効果に疑問が生じている。債券市場では、「総括的な検証」を受けた21日午後、長期金利の指標である新発10年物国債の利回りが約半年ぶりにプラスの水準(0.005%)を回復したものの、祭日(秋分の日)を挟んだ23日には-0.055%とあっさりマイナス水準に逆戻りした。

結果として、頼みの綱は、年内実施が期待されている米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げだけという状態に陥った。この利上げが遅れたり、できなかったりすれば、円高圧力が高まって日本からの輸出のペースが鈍るリスクがある。潜在成長率の低下に悩む日本経済の減速が、これまで以上に懸念されることになるだろう。

最初にお断りしておくが、筆者は常に本コラムを独立した経済ジャーナリストの観点から書いている。

筆者がゆうちょ銀行の社外取締役を兼務していることを理由に、8月2日付の拙稿「間もなく『マイナス金利の深堀り』という一手を打ちそうな日銀・黒田総裁が、絶対にやってはいけないこと」が「ゆうちょ銀行の立場を代弁しているのではないか」と勘繰る向きがあると聞くが、ピント外れな憶測である。

会社の立場を代弁(説明)するのは、実務に従事する執行部の責務だ。業務執行取締役を兼務せず、独立して執行部を監視監督することが使命の社外取締役の座にある以上、筆者が執行部の責務を代行することはない。

あわせて、筆者は、ゆうちょ銀行の社外取締役を務めている事実を隠そうとしたことは一度たりともないことも明言しておく。2014年5月13日付の「私が『ゆうちょ銀行』の社外取締役を引き受けた理由」など一連のコラムを一読いただけば、それは明らかなはずである。

あまりに中途半端な方針

さて、本論に戻ろう。

日銀は、21日付で公表した「金融緩和強化のための新しい枠組み:『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』」で、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するため、従来の二つの政策的な枠組み(「量的・質的金融緩和」と「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」)を強化する形で、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を決定したと説明している。

その内容は、①長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」、②消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」――の二つである。

①の具体策として、日銀は「長期金利(10年物国債金利)が概ね現状程度(ゼロ%程度)で推移するよう、長期国債の買入れを行う」「買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約80兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する」という。

また、新たに「日銀が指定する利回りによる国債買入れ(指値オペ)」を導入する方針も打ち出した。

しかし、これは中途半端だ。筆者は前述の8月2日付の拙稿で、「日銀が次回の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の深掘りを断行するのならば、フラットなイールドカーブの是正は絶対的な必要条件となってくる」と書いた。

この観点からは、日銀が「イールドカーブ・コントロール」のために新たなオペを導入することが、理に適っているように映るかもしれない。だが、それは違うのだ。

1054とはずがたり:2016/09/30(金) 15:04:38
>>1053-1054
金融緩和策を放棄した?

筆者は、マイナス金利の深掘りによって果敢な金融緩和姿勢の継続を鮮明にすることを前提に、マイナス金利策と量的緩和策の併存の弊害として生じていたイールドカーブのフラット化や逆イールド化を是正するよう提案した。

一方、日銀は、量的緩和に未練を残したまま、「イールドカーブ・コントロール」に乗り出す方針を示したというわけだ。

日銀の方針には、金融政策決定会合の場で、政策委員会審議委員からも「短期政策金利を-0.1%、10年金利の目標をゼロ%程度とすることは期間10年までの金利をマイナス圏で固定することにつながりかねず、金融仲介機能に悪影響を及ぼす」(佐藤健裕委員)とか、「国債市場や金融仲介機能の安定の観点から、短期政策金利は+0.1%が妥当であり、長期金利操作目標は国債買入れペースの一段の拡大を強いられるリスクがある」(木内登英委員)といった反対が出たという。

肝心の深掘りを見合わせた黒田日銀の胸のうちはわからない。「運用難から銀行を含む金融機関小経営が圧迫されるとか、年金の運用パフォーマンスが下がるといった批判の大きさにたじろいだのではないか」とか、「マイナス金利を深掘りできる回数が限られているので政策を温存したのではないか」といった憶測が飛び交っているだけだ。

が、今回、マイナス金利の深掘りをしなかったことが、金融緩和策を放棄したような格好になっていることは見逃せない。

全体の引き下げを試みず、7月8日に過去最低の-0.300%を付けるなど、3月11日以来6カ月以上にわたってマイナスの領域で推移してきた長期金利を0%近辺に誘導するというのは、部分的ながら利上げ(金融引き締め)を意味するからである。

湧き上がる円高の再燃リスク

もちろん、今回の長期金利の0%への誘導が、中長期的な金融引き締めに繋がるほどの力強さは日本経済にないだろう。

ここに、筆者が、今回の長短金利操作付き量的・質的金融緩和を、刹那的な金融引き締め策と揶揄せざるを得ない由縁がある。

結果として、早くも注目を集めているのが、円高の再燃リスクだ。外為市場では、外国証券会社を中心に、日銀の動きを「ステルス・テーパリング(隠れた国債購入の削減)への第一歩」とみなす向きがある。23日の取引は、政策決定会合前より円高・ドル安の1ドル=100円台が中心になり、円の上昇圧力の台頭を浮き彫りにした。

そもそも実質金利は名目金利から物価上昇率を引いた水準で決まる。とすれば、日銀の当座預金金利(-0.1%)-物価連動債利回り(推計-0.3%)=+0.2%が現在の実質金利と考えられよう。

一方、日銀の推計によると、潜在成長率はここ2、3年、年率0.07%〜0.2%で推移してきた。これと比べると、実質金利は、潜在成長率の低下に追随したに過ぎず、政策的な緩和環境を整えるのに十分な低さに下がったとは言い難い。

潜在成長率の低さを勘案すれば、日銀はマイナス金利の深掘りを急ぐべきだ。が、実は、北欧諸国の先例から見ても、また、預金者にマイナス金利を転嫁するのが非現実的という事実を勘案しても、深掘りできる回数には限度がある。

赤字まみれの財政に期待できない中で、口先だけだった構造改革をできるか。実は、日銀よりも、アベノミクスの3本目の矢が改めて問われていることを忘れてはならない。

1055とはずがたり:2016/10/01(土) 21:39:22
ドイツ銀、リーマンのようにはならない=オーストリア財務相
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/09/post-5924.php
2016年9月30日(金)00時00分

9月29日、オーストリアのシェリング財務相はドイツ銀行は経営破たんした米リーマン・ブラザーズのようにはならないとの見解を示した。ただ、欧州の銀行は利益面では広範な危機に直面しているとの認識は示した。写真は2015年10月、フランクフルトのドイツ銀本店(2016年 ロイター/Kai Pfaffenbach)
 オーストリアのシェリング財務相は、ドイツ銀行は経営破たんした米リーマン・ブラザーズのようにはならないとの見解を示した。ただ、欧州の銀行は利益面では広範な危機に直面しているとの認識は示した。

 同財務相はロイターのインタビューで、ドイツ銀は欧州のリーマン・ブラザーズになるかとの質問に対し「そうはならない」とし、「金融危機後も銀行問題への対策はあまり進んでいないのが現状で、欧州の銀行は利益の面では危機に直面しているが、欧州では銀行危機は発生していないことは確実に言える」と述べた。

 そのうえで、金利状況を反映し欧州の銀行の利益率は思わしくない水準にあるとの考えを示し、「銀行はこうした状況に対処し、再編する必要がある」と述べた。

 シェリング財務相はまた、ドイツ銀をめぐる問題が次回の欧州財務相会合で議題として取り上げられる計画はないと言明。

 リーマンの破たんがあれほどの影響を及ぼすとは誰もが予想できなかったため警戒する必要はあるとしながらも、欧州には銀行同盟、単一の銀行監督制度や預金保護制度などが整備されており、「欧州では金融市場の安定化に向け必要なすべての手段は整っている」と指摘。世界的に大きな影響を及ぼしたリーマン破たんのような事態には陥らないとの見方を示した。

 また、オーストリアを含む各国政府は欧州中央銀行(ECB)の緩和措置を脇から支えるためにより大きな役割を果たす必要があるとも指摘。金融政策のみで目標を達成することはできないとし、多くの困難は存在するが「別の手段である財政政策を(金融政策と)組み合わせる必要がある」と述べた。

[ロンドン 29日 ロイター]

1056とはずがたり:2016/10/02(日) 15:53:56
対ウクライナ支援融資反対の理由
http://jp.rbth.com/business/2016/09/16/630527
2016年9月16日 キーラ・エゴロワ、ロシアNOW

 「国際通貨基金(IMF)」がウクライナに対して金融支援を行うことに、ロシアは反対した。ウクライナがロシアに借りた30億ドル(約3000億円)をまだ返していないことが、融資支持を阻んでいる。

 IMF理事会の会議が9月14日に行われ、ロシアはウクライナへの3度目の分割融資に反対票を投じた。IMFの2019年までのウクライナ向け支援プログラムには、175億ドル(約1兆7500億円)の融資が定められている。ウクライナは2度の分割融資で総額67億ドルを受け取っており、現在、3度目を待っている状態。

 ロシアのアントン・シルアノフ財務相は先に、ロシアに対する債務をウクライナがまだ償還していないため、IMFがウクライナに融資することは、IMF自体の規定に反する、と説明していた。ロシア財務省は2013年12月、30億ドルのウクライナ債を購入した。だが当時ウクライナの大統領だったビクトル・ヤヌコビッチ氏がクーデターで失脚し、新政権はこの債務の償還を拒んだ。

 IMFは2015年12月、ウクライナに融資を行うために、IMF規定を変えることを余儀なくされたと、「ロシア政府付属分析センター」のレオニード・グリゴリエフ所長主任顧問はロシアNOWに説明する。IMFは今や、延滞債務を保有する国にも融資できるようになっており、これは概して、IMFの従来の姿勢に矛盾するのだという。
 ウクライナに対する新たな分割融資を決定するには、IMF理事会で過半数の賛成票が必要になるが、IMFの投票権は加盟国の出資割当額に比例しており、採択の過程には16.54%の投票権を持つアメリカが大きな影響をおよぼす。ちなみにロシアはわずか2.6%。これを「ロシア経済・国家行政アカデミー」金融市場・金融工学講座のセルゲイ・ヘスタノフ准教授が説明した。「BRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)がこの分割融資に反対したとしても、決定の阻止には足りない」とヘスタノフ准教授。

 IMF理事会は以前、先進国の投票権を縮小するために、新興国の投票権を拡大しようと改革を試みたことがあった。2010年に韓国ソウルで行われた主要20ヶ国・地域(G20)首脳会議で、これが合意された。だがアメリカ議会が2013年、この改革を阻止した。IMFの決定を阻止できるような現実的なレバーはロシアにはないと、ヘスタノフ准教授。

ウクライナは融資された資金をどう使うか

 IMFは従来から、経済の自由化を含めた改革を将来実施することを確約させて、国に融資を行ってきた。ヘスタノフ准教授によれば、IMFはここ20年、ウクライナに自国通貨フリブナの自由化、国内消費者の石油ガスの利用料金の引き上げを求めてきた。「ウクライナの歴代の政権は事実上、企業と国民の電力および暖房の利用料を補助してきた。これが国の借金を膨らませた一大要因」とヘスタノフ准教授。また、グリゴリエフ所長主任顧問の考えによれば、IMFが融資した資金は、ウクライナの経済ではなく、ウクライナ政府に流れるのだという。「政府の活動支出としては、額はあまり大きくないが、冬を乗り切るためにガスの購入に向けられるかもしれない」とグリゴリエフ所長主任顧問。

 ロシア政府は現在、裁判所を通じて、債権を回収しようとしている。ロシア財務省は、30億ドル(約3000億円)の債務の返済を求め、ウクライナをロンドンのイギリス高等法院に提訴した。審理は2017年1月17〜20日に行われる。とはいえ、問題はすぐに解決しそうにない。「この種の紛争の前例が示しているように、とてもゆっくり解決される。今後5年は進展がなさそうだ」とヘスタノフ准教授。
 過去にこのような問題はあった。ソ連崩壊後の1997年、ロシア帝国によって1917年まで蓄積された債務を、ロシアがイギリス、フランス、ベルギーに償還したのだ。「この状況は、現在ロシアがウクライナと抱えている問題と似ている」とヘスタノフ准教授。現ウクライナ政権が前政権の債務の償還を拒んでいるように、ソ連はロシア帝国の債務の償還を拒んでいたという。

1057名無しさん:2016/10/02(日) 17:40:24
http://diamond.jp/articles/-/103009
TOP>経済・経営・社会>日本人が知らない本当の世界経済の授業
日本人が知らない本当の世界経済の授業
【第17回】 2016年9月27日 著者・コラム紹介バックナンバー 松村嘉浩

異色の経済書の著者は、
日銀の「総括的な検証」をどう読んだか?
経済学者や金融のプロのみならず、起業家、漫画編集者など各方面から絶賛され、大学の指定参考書にもなった異色の経済書、『増補版?なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?』。著者の松村嘉浩氏が同書を著した真意は、「異次元緩和」と称し、マネタイゼーションに向かおうとしていた日本銀行の政策への批判にありました。
世界から注目を浴びるなか、9月21日に発表された金融緩和の「総括的な検証」を、松村氏はどのように読まれたのか、本連載でも特別編として、担当編集者によるインタビュー形式でお送りします。
――大きな話題を呼んだ日銀の「総括的な検証」(9/21発表)を、松村さんはどのようにご覧になっていますか?

松村?事実上の敗北宣言ですね。いわゆる“転進”ということでしょう。

――“転進”ですか?

松村?太平洋戦争のときに大本営が、“撤退”を“転進”と言って誤魔化したのと同じということです。今回の決定は、事実上のテーパリング(国債の買い入れを段階的に減らすオペレーション)ですので、緩和ではなく引き締めです。
当初の短期決戦の予定がバズーカの弾薬が尽きてしまって、残された弾は“核ミサイル”とも言うべきヘリコプター・マネーしかなくなっていまいました。そこで、事実上の敗北を宣言し、新たな戦力投入を要求されない持久戦モデルに転換せざるをえなくなったということです。

――『増補版?なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?』において、女子大生の絵玲奈ちゃんが、絶対に勝つという前提で無謀と言えるような膨大な戦力投入をする日銀の金融政策の実態を知って、黒田総裁のことを“中二病”ではないかと疑うシーンが出てくるわけですが、危惧されたとおりのことになってしまったわけですね。

松村?そうです。『なぜ今〜』はアベノミクス-リフレ派に対する批判の書であるわけですが、まさに危惧したとおりの結果になったと思います。今回、ついに政策のコストとベネフィット(『なぜ今〜』本文中ではリスクとリワード)が議論され、総括的検証に至ったわけですが、逆に言えば、これまでリスクとリワードを無視した暴走をしてきた事実が明らかとなったわけです。

――『なぜ今〜』において、政策のリスクとリワードが議論されていないことが問題であるという指摘をされていました。

松村?政策にせよ、経済行為にせよ、必ずその行為のコストとベネフィット(リスク-リワード)を考えて、失敗したときに最大どの程度マイナスがあるのか計算して行なうべきものです。世の中に絶対に勝つなどということはありえないのですから。

?リスク-リワードを無視したリスクを取って失敗しても、日銀総裁はその責任を取って自己資産を提供してくれるわけではありません。私が問題視するのは、国民がその失敗のツケを払わされることになるにもかかわらず、国民にはあまりその意識がないということです。

――結局、『なぜ今〜』に書かれていたように、国民は金融政策が“タダ“だと勘違いしてしまうからということですね。

松村?そのとおりだと思います。金融政策は一般の人にとってなじみがありませんし、税金の増減のような財政政策と異なって、直接チャージがくるわけではないので、コストやリスクが一般の人にはよくわからないのです。ですから“お国”ががんばって株価を上げようとしているのに、なぜ文句を言うんだ??となってしまうのです。

1058名無しさん:2016/10/02(日) 17:40:51
>>1057

――でも、その裏側では株価を上げるためにコストとベネフィット(リスク-リワード)を無視した中央銀行によるリスクテイクが行なわれ、中央銀行のバランスシートがゴミ箱のようになっている……。

松村?少し考えてみれば、“タダ”でおいしいことがあるなんて、変だと気が付くべきですが、中央銀行が挟まると、まるで魔法でも使えるかの如くの議論がまかりとおってしまうのです。それは、金融政策が一般の人にはわかりづらいからに他なりません。

?こうした議論を先導するリフレ派の方々の議論は、デフレから脱却するためには、どれだけコストをかけてもいいし、どんなリスクもとっていいという話になっています。簡単に言えば、勝った時のプラスだけが議論されていて、負けた時のマイナスが議論されていない都合の良いものなのです。もしかしたら、リフレ派の方々がおっしゃるように国債や株を中央銀行が買いまくれば世の中が良くなるのかもしれません。しかしながら、「そうでなかったとき」にどう責任をとるつもりで議論されているのでしょうか。

――たしかに、ずいぶんと無責任な話に聞こえます。

松村?誤解を恐れずに言えば、金融政策に関してリテラシーの低い一般の人たちに対してリフレ派の方々はリスクを言わないで、オイシイ話だけをしています。つまり確信犯的な大衆扇動を行なっていることになっていると思います。

――では、黒田総裁もそういう確信犯ということでしょうか?

松村?安倍政権に、大衆の歓心を買うために中央銀行を利用しようという意図があることは疑いないでしょう。逆に言えば、中央銀行が犠牲になることで、日本は世界の先進国でもっとも政治的な安定を成し遂げているわけです。でも、政権を安定させるために中央銀行のバランスシートをゴミ箱の様にすることがコストに見合うことなのでしょうか?

?その安倍政権にノミネートされたとはいえ、元財務官僚である黒田総裁が大衆の歓心を買う理由はありません。ですから、彼は本当にマネタリスト-新古典派経済学の信者で、異次元緩和が絶対に成功するという自信があったのではないでしょうか。実際のところはよくわかりませんが。

――その黒田総裁も、ついに政策のコストとベネフィット(リスク-リワード)を認めざるをえなくなって、敗北宣言となったわけですが、黒田総裁はその責任をどうとるおつもりなのでしょうか?

松村?太平洋戦争で大本営が最後の最後まで負けを認めなかったのと同じです。世間は敗北だといっても、責任追及を避けるために敗北を認めることはありえません。政府も任命責任を負いたくありませんから、公式には黒田総裁を支持するでしょう。ですから、総裁会見は2%のインフレを実現するために緩和を継続すると言いながら、実質的にテーパリングを行なうことを宣言するという支離滅裂なものにならざるを得ないのです。

――総裁会見の記者会見の最後は紛糾する異例の事態になったようですが。

松村?ブルームバーグの質問を受け付けず、記者クラブの幹事が時間切れを理由に強制的に打ち切りましたね。それに対してブルームバーグが抗議したというわけです。たぶん、支離滅裂な総裁にブルームバーグが核心を突いた質問をすることを恐れたのではないでしょうか??ブルームバーグの日高記者は日銀ウォッチャーで有名な方ですし。今回の日銀の“転進”に関しては、全日本で一丸となって「負け」、つまり黒田総裁の責任を隠蔽しようという姿勢が明白だと思いますね。

――とりあえず、日銀の暴走が止まったわけですが、今後の展開はどのように考えていらっしゃいますか?

松村?黒田総裁が今回の総括を行なったのは2018年の任期でお辞めになることを決められて、着地に向けて動き始めたのだと思います。今回の敗北で、素直に負けを認めて、なぜ負けたのかを本質的な原因から考え直してもらいたいところですが、負けを認めない以上きっとそうはならないでしょう。となると、まだ負けていないと、黒田総裁以上のことをやる人を安倍政権が次期総裁にノミネートしてくるのではないでしょうか。

1059名無しさん:2016/10/02(日) 17:41:03
>>1058

――では、いよいよヘリコプター・マネーのような最終手段が選択されるかもしれないということですか?

松村?ここに至って、そもそも異次元緩和のような“真珠湾攻撃”はなぜ機能しなかったのかを本質的に議論しなおさないと、そうなってしまう可能性は高いと言わざるを得ません。実に恐ろしいことですが。

――『なぜ今〜』は、「成長しない時代」という本質的な原因を明示して、我々が直面している問題は金融政策ではどうにもできない問題であることを説いているわけですが、とりあえず短期的には、我々はどうすべきなのでしょうか?

松村?本来、金融政策は一般の人たちには関係がないことで、リテラシーが低いのは当然のことです。それでも私が『なぜ今〜』を書いたのは、一般の人たちに、知らないところでいかに危ない政策が行なわれているのかを知ってもらわなければならない状況になったと考えたからです。そして、このような変な政策が行なわれているのは、我々が大きな歴史の変化点にいて、重大な危機に直面しているからであることを、皆さんに理解してほしかったからに他なりません。

?本当に日本人の英知が試されている時だと思っています。我々ひとりひとりが、本当に持続可能な社会をどうつくるのか、そのためにどのような痛みを共有しなければならないのかを、よく理解して行動する必要があります。そのためには増税や社会保障の削減も受け入れなければならないでしょう。

?目先さえよければ何でもよいと、“出口”のないリスクを取るだけ取って後は野となれ山となれというような無責任な政策を支持していては、朝三暮四のお猿さんを笑えません。いま行なわれていることは、朝四つの木の実をもらえることのように見えるかもしれませんが、暮にもらえる木の実はゼロ、それどころかマイナスになるリスクがあることなのですから。

1060とはずがたり:2016/10/03(月) 07:25:16
2016年 10月 1日 09:48 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
アングル:経済要職に対金融業界タカ派を、クリントン氏に圧力
http://jp.reuters.com/article/clinton-financial-idJPKCN120085?sp=true

 9月29日、米大統領選で民主党のクリントン候補が勝利した場合、財務長官など経済関係の要職にはウォール街に厳しく対峙する人材を選ぶよう、党内の進歩派から圧力が掛かりそうだ。写真は米アイオワ州デモインの選挙集会に参加するクリントン氏。29日撮影(2016年 ロイター/Brian Snyder)
 9月29日、米大統領選で民主党のクリントン候補が勝利した場合、財務長官など経済関係の要職にはウォール街に厳しく対峙する人材を選ぶよう、党内の進歩派から圧力が掛かりそうだ。写真は米アイオワ州デモインの選挙集会に参加するクリントン氏。29日撮影(2016年 ロイター/Brian Snyder)
[ワシントン 29日 ロイター] - 米大統領選で民主党のクリントン候補が勝利した場合、財務長官など経済関係の要職にはウォール街に厳しく対峙する人材を選ぶよう、党内の進歩派から圧力が掛かりそうだ。

「企業の力に立ち向かってきた実績のある人物かどうか」が問題だ、と語るのは草の根団体「進歩的改革運動委員会」のアダム・グリーン氏。同委員会は民主党リベラル派の旗手であるエリザベス・ウォーレン上院議員と手を結んでいる。

こうした団体はクリントン候補の選挙運動チームと会い、ビル・クリントン元大統領およびオバマ現大統領政権下の一部経済トップのような、中道的で企業寄りの姿勢ときっぱり決別するよう訴えている。

クリントン候補と同様、共和党のトランプ候補も大企業が政治を大きく左右していると批判しており、大手米銀はいずれの候補者についても懸念を示している。

<財務長官にはラスキン氏>

民主党進歩派が次期財務長官に推すのは、サラ・ブルーム・ラスキン現財務副長官。銀行の自己勘定取引を禁じる「ボルカー・ルール」の厳密な適用を支持する人物だ。

ラスキン氏は連邦準備理事会(FRB)理事だった2012年の講演で「自己勘定取引は経済価値が低い、あるいは皆無であり、暗黙の政府の保証を受けている銀行業モデルの構成要素としてふさわしくない」と述べている。

進歩派の優先課題には、米司法省が金融機関だけでなくバンカー自体にも刑事罰を科すよう求めていくことも含まれている。

<サンドバーグ、ブレイナード両氏は警戒>

財務長官候補の中で民主党進歩派が警戒するのは、フェイスブックのシャリル・サンドバーグ最高執行責任者とブレイナードFRB理事の2人で、ビル・クリントン、オバマ両政権とのつながりがその理由だ。

サンドバーグ氏はクリントン政権下で当時のサマーズ財務長官の首席スタッフを務め、ブレイナード氏はガイトナー前財務長官の次官だった。

トランプ氏との闘いで手一杯のクリントン氏は、経済ポストの人材選びについてほとんど発言していない。

進歩派は民主党候補選でクリントン氏反対に回ったため、同氏が彼らに耳を貸す義理はない。しかし無視すれば政権の出だしで党内に亀裂が入る恐れがある。

進歩派が証券取引委員会(SEC)委員長に推すのは、SEC委員のカーラ・ステイン氏と、国際通貨基金(IMF)元首席エコノミストのサイモン・ジョンソン氏の2人だ。

クリントン氏の顧問を務めるギャリー・ゲンスラー氏も、商品先物取引委員会(CFTC)委員長時代の硬派な姿勢が評価され、進歩派から要職就任を望まれている。

<後悔>

経済政策研究センターの「回転ドア・プロジェクト」ディレクター、ジェフ・ハウザー氏によると、進歩派はオバマ大統領に対し、金融規制改革推進派を任命するようもっと圧力を掛けるべきだったと「後悔」している。

ウォーレン上院議員は先週の講演で、クリントン氏が大手投資銀行出身者を選ばないよう釘を刺した。

「ヒラリーの大胆な議題にリップサービスだけしておきながら、やれやれとため息をつき、次に回転ドアが回るまで公職で時間をつぶし、他でもない自分が監督した業界に戻っていくような」人物は望ましくない、と議員は述べた。

(Amanda Becker記者)

1061とはずがたり:2016/10/03(月) 21:53:08
インタビュー:日銀新枠組み「まるで歌舞伎」、導入派手だが名前負け=水野温氏氏
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161003-00000052-reut-bus_all
ロイター 10月3日(月)15時46分配信

[東京 3日 ロイター] - 日本銀行の元審議委員でクレディ・スイス証券の取締役副会長、水野温氏氏は、日銀が「総括的な検証」をもとに新しい枠組み「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入したことについて、「まるで歌舞伎」だと評した。派手な導入劇だったが実際できることは限定的で、名前負けしているという。その上で、金融機関が「日銀トレード」を継続するインセンティブを意識する必要もあり、国債買い入れは「どんどん減額するわけではない」との見方を示した。

インタビューは先週末(30日夜)に電話で行った。概要は以下の通り。

――日銀が打ち出した、イールドカーブ・コントロール(YCC)とオーバーシュート型コミットメントを柱とする金融政策の新たな枠組みをどう見るか。

「はっきり言って名前負け。長短金利操作を『イールドカーブ・コントロール』なんていうとすごく格好がいい。知らない人には、何かすごいオペ(公開市場操作)技術があるかのように聞こえるが、実際はそうでなく、金融調節では付利金利と10年国債金利の2点をコントロールするだけ。大したツールもないのにすごいことをコミットしたという印象」

「長期金利、ましてイールドカーブをコントロールできるという発想は『日本銀行のおごり』だ。仮に名目長期金利をコントロールできても、期待インフレ率は変動するため実質長期金利も変動する。イールドカーブはあくまで結果で、適切な長期金利水準やカーブの形は景気変動に応じて変わる。本来はマーケットが発するメッセージを聞くのが中央銀行。長期金利の決定権は債券市場にできるだけ早く戻すべきだ」

「また、総括的な検証の結果、この枠組みになったというが、どうしてそうなったのかは説明されていない。この政策をやることでどういう波及経路で経済に影響するか、オーバーシュート型コミットメントをやればどうして物価上昇率が2%になるのか、為替の安定はどうするか、というのが見えない」

「もっと量を出すべきと言う人と縮小すべきと言う人の間をとって作ったので、『和洋折衷』というより、『同床異夢』だ。今はそれぞれが自分の意見が通ったと思っているが、後で皆が『話が違う』と言い出しかねない」

「総括的検証はもともと、安倍政権から見れば日銀がアベノミクスのフロントランナーの役割を静かに降りるためのセットアップの位置付けだった。官邸も財務省も『金融緩和に依存した円高是正の限界』を意識しており、日銀は静かに役を降りればよかったのに、随分と格好つけて降りたというか、まるで歌舞伎だ」

1062とはずがたり:2016/10/03(月) 21:53:20
>>1061-1062
──日銀は30日実施の買い入れオペで、新発10年債を含む「残存5年超10年以下」のオファー額を前回から200億円減らし4100億円とした。

「10年金利を安定化させる上でうまい手法だと思う。これは『金融調節のメインは10年物国債金利』という金融市場局からのメッセージ。YCCという言葉が誤解を招いたが、金融市場局自体はイールドカーブ全体をコントロールするつもりはなく、技術的にも不可能だと理解している」

──この日の減額をめぐっては、日銀が許容する長期金利の下限がマイナス0.1%というシグナルと受け止める向きもあるが。

「その解釈は適切でない。それでは名目金利ターゲットになってしまう。YCCは、長期金利を一定の水準に貼り付ける『イールドペッグ』ではなく、かつイールドカーブの形状の評価は、名目ではなく実質のイールドでみるはず。為替なども総合的に判断すると思う」

「金融市場調節は、金融機関が日銀トレードを継続するインセンティブを意識して行う必要がある。例えば、10年金利が「ゼロ%程度」に張り付くような調節をすると、国債買い入れオペに参加するインセンティブが低下し、入札が不安定化するリスクがある。そこは相当幅をとると思う」

──日銀は30日夕方、10月の国債購入で超長期ゾーンの買い入れを減額すると発表した。

「さほど強いメッセージは出していない。為替とのバランスもあるので、基本は減らす方向だとしても、増やしたり減らしたりで、どんどん減額するわけではない。かなりゆっくりしたペースでスタートするだろう」

「今後の金融市場調節は、黒田総裁の記者会見のトーンと比べてかなり柔軟に運営される可能性が高いとみる。一方でマーケットはまだ今回の枠組みを消化不良で、正しい理解にはしばらく時間がかかりそうだ」

「今回の総括的な検証は、将来の出口戦略について頭出しするチャンスだった。だがオーバーシュート型コミットメントを導入したことで、黒田総裁は金融政策の正常化に向けた展望を持ち合わせていないという印象を受ける」

(インタビュアー:植竹知子 編集:伊賀大記)

1063とはずがたり:2016/10/07(金) 17:45:45
人民元のSDR構成通貨入りで「人民元高・ドル安」へ
マネーポストWEB 10月7日(金)16時0分配信

人民元のSDR構成通貨入りで「人民元高・ドル安」へ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161007-00010000-moneypost-bus_all
人民元がSDR構成通貨入り
 中国の人民元が10月1日より、IMF(国際通貨基金)のSDR(特別引出権)構成通貨に採用されることになった。これをきっかけに、人民元の国際化が加速、中国は国際金融市場においてますますその存在感を強めることになるだろう。

 SDRとはIMFが1969年に創設した国際準備通貨である。当初、世界の金融市場はブレトン・ウッズ体制(ドルを基軸とする固定為替相場体制)下にあったが、為替相場を維持するために必要な金(ゴールド)、ドルが不足。SDRは、それを補うための国際準備資産として創設された。

 ブレトン・ウッズ体制が崩壊し、主要通貨が変動相場制に移行した後も、SDRは世界的な金融危機の発生を防ぐためのツールとして機能した。

 IMFは出資分に応じてSDRを各国に配分する。各国は、無条件、コストなしの国際準備資産を得ることができる。各国は、SDRを他国に売却することで、自由利用可能通貨(ハードカレンシー)を受け取ることができ、それによって為替相場の安定を図ることができるのだ。

 加盟国は、過去に4回、SDRの配分を受けている。最初は1970年から1972年にかけて行われ、合計93億SDRが配分された。その後、1979年から1981年には121億SDR、2009年8月10日には215億SDR、2009年8月29日には1612億SDRが配分された。現在のSDR累積配分額は2041億SDRとなっている。

 SDRは世界の主要通貨からなるバスケットによって算出される。その構成が10月1日より変更され、これまでの4通貨に人民元が新たに加わった。構成通貨は米ドル、ユーロ、人民元、円、ポンドで、構成比率は順に41.73%、30.93%、10.92%、8.33%、8.09%である。人民元が米ドル、ユーロに次ぐ3番目に大きな比率であるということは、IMFが人民元を国際通貨の中で、そのような位置付けとして考えているということだ。

 SDRはハードカレンシー(国際決済通貨)と交換できるが、SDRの構成要素として人民元が入っているということは、IMFが人民元をハードカレンシーと認めているのに等しい。少なくとも、世界各国は今後、人民元について、“国際的に信用力が高く、他国の通貨と自由に交換が可能な通貨”とみなすだろう。アメリカ、日本はともかく、EU加盟国、ASEAN加盟国、ロシア、中東、アフリカなどでは、人民元に対する需要は着実に強まるはずだ。

 2015年における中国の輸出額は2兆2749億ドル。世界第1位で、全体の13.8%を占める。第2位アメリカの1.51倍、第4位日本の3.64倍に達している。同じく輸入では世界第2位で10.1%。第1位アメリカの72.9%、第4位日本の2.59倍である。

 人民元市場は、国内市場とオフショア市場とに分かれ、オフショア市場を通じた開放といった変則的な市場形態となっている。さらに、オフショア市場の歴史は7年程度と浅く、市場の厚みが薄い。

 使い勝手の悪さから、中国貿易について、現状では人民元による決済比率は低い。たとえば、8月の人民元による貿易決済は3393億元で、貿易総額の15.5%に過ぎない。しかし、そのことは、逆に今後、人民元需要に大きな“伸びしろ”があることも示している。

 貿易において人民元決済が増えるということは、米ドルによる決済が減ることを意味する。人民元の国際化が進み人民元オフショア市場が拡大するということは、米ドル圏内にある金融市場が縮小することを意味する。

 大きな流れとして、人民元需要は増加し、米ドル需要は減少し、その結果、人民元は上昇基調へ、その分、米ドルは下落基調となりそうだ。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週間中国株投資戦略レポート」も展開中。

1064とはずがたり:2016/10/07(金) 18:37:42

中国、9月の外貨準備高が減少 5年4カ月ぶり低水準に
http://www.iza.ne.jp/kiji/economy/news/161007/ecn16100717530024-n1.html
2016.10.7 17:53

 中国人民銀行(中央銀行)は7日、9月末の外貨準備高が3兆1663億ドル(約329兆円)だったと発表した。前月末と比べ約188億ドル減少し、2011年5月以来、5年4カ月ぶりの低水準になった。中国当局がドルを売って元を買う為替介入のために、外貨準備を取り崩したとみられる。

 減少は3カ月連続。約159億ドル減だった8月と比べ、減少ペースが速まった。市場では9月の減少額は110億ドル程度だと予想されていた。

 中国メディアによると、国際通貨基金(IMF)が10月1日に人民元を仮想通貨「特別引き出し権(SDR)」の構成通貨に採用して主要通貨扱いにするのを前に、中国当局が元相場の安定を図った可能性がある。

 中国は経済の減速や、米国の追加利上げ観測を背景に、元相場の下落圧力が高まっている。

1065名無しさん:2016/10/09(日) 18:06:42
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161001-00006621-sbunshun-bus_all
量から金利へ回帰 リフレ派終焉で岩田副総裁の変節
週刊文春 10月1日(土)7時1分配信

 日本銀行は9月21日の金融政策決定会合で、2013年4月から続く異次元緩和の戦略を修正した。市場に流すお金の量を年80兆円ずつ増やす目標をなくし、長期金利を「0%程度」とする目標に置き換えたのだ。

「そもそも日銀の異次元緩和は、デフレからの脱却をめざし、お金の『量』さえ増やせば物価が上がると唱えた『リフレ派』の考えを採り入れてスタートしたもの。今度の修正策はそうしたリフレ派の主張を否定して追いやり、伝統的な金利政策に回帰する色彩が強い」(経済部記者)

 長らく異端扱いだったリフレ派が台頭したのは、2012年12月。政権奪回を果たした安倍晋三首相が「大胆な金融緩和」を日銀に迫ったのが始まりだ。リフレ派に近い元財務官の黒田東彦氏が総裁、リフレ派の筆頭だった学習院大教授の岩田規久男氏が副総裁に送り込まれ、日銀はリフレ派の占領下におかれた。

 だが、リフレ派に従った金融緩和策の成果は出なかった。初期こそ円安誘導で輸入品は値上がりしたが、景気は回復せず、円安が一服すると物価も前年比で下落に転じる。金融緩和頼みの限界が見え、黒田総裁は豹変する。

「今年1月のマイナス金利導入でいち早く宗旨替えした黒田総裁はダメとわかれば固執しないタイプ。一方、岩田副総裁はこだわりが強いと見られていたが、最近は『巷のリフレ派は分かってない』などと言い始めて主張を転換。共通するのは自分の責任は認めないこと」(日銀関係者)

 かくしてリフレ派は敗北を喫し、日本経済を使った「壮大な実験」と呼ばれた異次元緩和は、「量」から「金利」重視へ回帰したのだ。しかし、安倍首相を後ろ盾とする前内閣官房参与の本田悦朗・駐スイス大使ら日銀外のリフレ派は怒り心頭だ。

「日銀の政策修正には『緩和はもう十分。あとは政府の構造改革、規制緩和の問題』とのメッセージも含まれる。『もっとお金の量を増やせ』『まだまだ増やせる』が持論のリフレ派にとっては面白いはずがなく、このまま引き下がるとは思えない」(前出・経済部記者)

 今後も政府と日銀は蜜月を続けられるのか。残り1年半の黒田総裁の任期はそこが焦点になる。


<週刊文春2016年10月6日号『THIS WEEK 経済』より>

川嵜 次郎(ライター)

1066とはずがたり:2016/10/12(水) 17:32:24
4月の記事

2016年 04月 11日 13:41 JST 関連トピックス: トップニュース
焦点:揺らぐIMFの評価、ギリシャ協議めぐる文書流出で
http://jp.reuters.com/article/eurozone-greece-review-leak-idJPKCN0X80AH?rpc=135&sp=true

[ブリュッセル 10日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のギリシャ支援をめぐる文書が、内部告発サイト「ウィキリークス」に公開された問題が波紋を広げている。

文書が明らかにしたのはトムセン欧州局長やギリシャ担当者のベルクレスク氏などの協議内容で、欧州各国にギリシャ債務減免の受け入れを促すために支援撤退の可能性を検討したとされた。

ギリシャのチプラス首相はこの件でIMFを「悪者」扱いにして、自身が率いる与党急進左派連合を結束させ、敵対する保守勢力を追い詰める材料に利用している。一方で欧州連合(EU)とIMFの間にくさびを打ち込んで、交渉においてトムセン局長の孤立化を図ろうともしたが、これはうまくいかなかった。

それでも、重い債務を抱えた国の救済プログラム実行者としてのIMFの評価が危機に瀕しているのは間違いない。

内部文書流出によって、既に知られていたIMFとEUのギリシャ経済の状況に関する認識や、同国が財政目標を達成して債務を持続可能な水準にするためにどれだけ努力すべきかという点での見解の相違があらためて浮き彫りになった。

さらに、IMFのスタッフがEU欧州委員会に対して、ギリシャに甘すぎるとの理由から軽蔑的な態度を取っている事実があらわになった痛手はより大きい。

文書からは、IMFがEU、ギリシャとの3つどもえの複雑な交渉において、何とかしてギリシャに痛みを伴う改革を受け入れさせながら、欧州各国にギリシャ向け債権の減免措置を認めてもらおうと動いている様子もうかがえる。

単純に言ってしまえば、IMFのギリシャ経済に対する評価はEUが示している見通しよりも厳しく、財政目標を緩めるならユーロ圏の債権者による減免措置が必須だということになる。

IMFの立場では、欧州各国が元本削減(ヘアカット)を拒絶している以上、ギリシャに対して返済期限を何十年も延長したり、利払い猶予期間を設定しなければ、緊縮措置を講じるギリシャ財政は収支のめどが立たず、改革プログラムは失敗するという。

ピーターソン国際経済研究所のジェイコブ・カークガード上席研究員は「要はわれわれが生きている間は、債務が返済されないということだ」と語り、IMFは新興諸国からの新たな出資を受ける態勢を整えつつあり、これらの国はIMFに甘い条件でのギリシャ支援参加は認めないとみている。

内部文書によると、IMFのベルクレスク氏は欧州委が共同歩調を取ることに合意しながら翌日にはギリシャ側の意見になびき、同国に厳格な改革を実行させるインセンティブを与えることができないと不満を漏らしている。またトムセン氏は、ドイツのメルケル首相がギリシャ向け債権の減免かIMFの支援撤退かを選ぶべきだとの見方を示した。

ギリシャの最大の債権者であるドイツは、大幅な債務再編に最も消極的だ。議会はIMFが前面に出てギリシャに予算削減を強制し、債務の期限延長や利払い凍結を最小限にとどめることを主張している。

今後IMF、ドイツ、ギリシャの間で繰り広げられる綱引きが交渉にどう影響するかはわからない。ただ、だれにとっても交渉撤退にメリットは見当たらないように思われる。

ドイツは欧州難民問題で「玄関番」となるギリシャへの依存度が高まっている。トルコに移民や難民を返すまでの管理手続き面で協力は欠かせないからだ。

ギリシャのチプラス政権は、ユーロ圏にとどまり続けるためにこれまでに多大な政治的資源を費やしており、今さら債権団にそっぽを向かれては立ち行かない。

そしてIMFもまたギリシャを見捨てたいとは考えないだろう。もし見捨てれば、積み重ねてきた支援実績に汚点を残すことになる。

ピーターソン国際経済研究所のカークガード氏は「IMFが手掛けてきたユーロ圏の5カ国の支援のうち4カ国では非常にうまくいっている。成功率は80%だ。しかしIMFがギリシャから手を引けば、欧州のすべての人々は、IMFの支援は失敗として記憶されるだろう」と述べた。

(Paul Taylor記者)

1067とはずがたり:2016/10/12(水) 17:35:18
2016年 10月 12日 08:35 JST
コラム:日銀緩和「出口」で待つ円安加速リスク=河野龍太郎氏
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-ryutaro-kono-idJPKCN12B0TA?sp=true
河野龍太郎BNPパリバ証券 経済調査本部長

[東京 11日] - 日銀は現在、「インフレ率の実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続する」としている。とはいえ、新しい政策枠組みにおける操作変数に関して言えば、マネタリーベース以外、必ずしもそうした約束を示しているわけではない。

黒田東彦・日銀総裁が量的・質的金融緩和(QQE)の際に使っていた解釈を当てはめれば、将来、2%のインフレが安定的に見通せる状況になれば、2%インフレが実現する前であっても政策の方向転換が可能ということになる。

2013年4月のQQE導入直後の記者会見において、解除条件の解釈に関し黒田総裁は「2%になっていなくても、すでに2%の物価安定目標が持続的に維持できる状況になっていれば、それ以上の緩和は必要ないかもしれない」と答えている。

ということは、インフレ率の実績値が2%超には到達せず、マネタリーベースの拡大が続けられていても、一方で、短期金利や長期金利の誘導目標の引き上げや上場投資信託(ETF)・不動産投資信託(REIT)の購入減額の開始はあり得るということである。

一体、どのように手じまいが行われるのだろうか。今回は、出口の手順について考えてみる。

<出口の基本的なプロセスはFRBと同じ>

今のところ、日銀が出口の手順を示す気配はない。しかし、基本的には、米連邦準備理事会(FRB)が2011年6月、14年9月に示した量的緩和(QE)の出口の原則が参考にされるはずである。

FRBはその原則に従って14年1月から緩和縮小(テーパリング)を開始し、14年10月に国債購入を停止、その後、15年12月にゼロ金利解除を行っている。

同原則の概略は、以下のようなものだ。1)まずコミットメントが達成され、国債購入の減額(テーパリング)が開始される、2)国債購入が終了しバランスシートの拡大が止まった後に、付利の引き上げが開始される、3)付利が一定程度引き上げられた後、国債の元利金の再投資を減額・停止する、4)再投資の停止後に国債の償還が進むことでバランスシートは徐々に圧縮されていく。

現在、QEとゼロ金利政策は解除されたが、元利金の再投資が続けられ、バランスシートの圧縮はまだ始まっていない。2度目の利上げにてこずっている状況であり、バランスシートの圧縮開始は近い将来予想されない。

日本では今回、量的緩和から金利政策にシフトしたこと、さらに金利の操作目標として当座預金にマイナス金利が適用されただけでなく、長期金利ターゲットも導入されたことから、FRBの手順とは多少異なる部分があると見られるが、基本的なプロセスは同じだと思われる。

つまり、短期金利(付利)の引き上げ開始は、国債購入が終了し、バランスシートの拡大が止まった後ということだ。また、長期金利ターゲットが採用されているため、国債購入が終了するタイミングでは、長期金利の誘導目標はある程度引き上げられていると思われる。

要するに、まず長期金利ターゲットの引き上げが始まり、これに伴い国債購入が減額され、その後、国債購入の終了でバランスシートの拡大が止まり、付利の引き上げが開始される。先は遠いが、FRBに倣い元利金の再投資の減額・停止は、付利の引き上げがある程度進んでからということになる。

<短期金利引き上げは国債購入終了後>

マネタリーベースの拡大停止後、短期金利の引き上げが始まるということは、「インフレ率の実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続する」というオーバーシュート型コミットメントが、短期金利の引き上げについても基本的には適用されるということである。

1068とはずがたり:2016/10/12(水) 17:35:34

付利引き上げは、インフレ率の実績値が安定的に2%を超えるまで実施されない。また、最も早く開始される長期金利ターゲットの引き上げについては、2%のインフレが安定的に見通せる状況であれば、「インフレ率の実績値が2%に達する」前であっても着手されると考えられる。

もちろん、マネタリーベースの拡大が続いている状況でも、付利を引き上げることは理屈上、不可能ではない。しかし、バランスシートの拡大が停止される前の状況、つまり、拡大はしているものの、拡大ペースが鈍化する状況において、長期金利の誘導水準は何度か引き上げられているはずである。

正確に言えば、長期金利ターゲットにおいては、長期金利の誘導水準を引き上げるために、国債購入量が減額され、バランスシートの拡大ペースが鈍化する。出口戦略を開始する際、短期金利(付利)を同時に引き上げると長期金利が誘導目標を超えて急騰するリスクがあるのではないか。FRBの出口の経験において、日銀が重視しているのは、13年5月のテーパータントラム(緩和縮小による金融市場の混乱)での長期金利急騰である。

<問題は円高よりも円安とインフレの連鎖>

出口のスタート時点に話を移そう。2%インフレを安定的に見通すことができる状況となり、長期金利の誘導目標の引き上げが始められるが、前述した通り、その時に必ずしもインフレの実績値が2%になっている必要はない。

長期金利がうまくコントロールできず、急騰する場合には、金融システム問題や公的債務問題を引き起こすため、それらを避けつつ、長期金利の誘導水準を徐々に引き上げ、それを可能とすべく長期国債の購入量も減額されていく。急変を回避するという点からしても、インフレ率が2%になった後で動くより、2%に達する前に、長期金利の誘導目標を徐々に引き上げ始めるのが安全だと思われる。

前倒しで長期国債の購入額が減額されれば、長期金利が急騰すると懸念する人もいるかもしれない。ただ、短期金利はまだ動いていないこと、潜在成長率の低下で自然利子率そのものがかなり低い状況にあることなどから、理屈上、インフレが相当に高まっていなければ大きな問題はないはずである。

また、他の条件が同じだとすれば、金融政策が長期金利に影響を与えるのは、フローの購入額ではなく、購入総額、つまり国債発行残高に占める日銀の保有比率を通じてだ(いわゆる「ストックビュー」)。このため、フローの購入額が減っても、購入総額、保有比率が増えていれば、むしろ長期金利は低下する可能性さえある。

このことは、日銀が出口を開始するかなり以前の段階において、国債購入の減額が始まっていることを意味する。例えば現在の10年金利のターゲットであるゼロ%に誘導するため、国債購入額は80兆円を大きく下回る水準で十分ということだ。

すでに、長期金利が誘導目標を下回る傾向が見られることに対し、9月30日に日銀は10月の長期ゾーンの国債購入予定額を減額している。国債保有比率の上昇に伴い長期金利に低下圧力が加わることから、円高や株安に配慮しつつも、長期金利を誘導目標で維持するため、フローの国債購入額は今後、徐々に減っていくと見られる。

もちろん、インフレ率が上昇し、出口が近いとの思惑から長期金利に上昇圧力が加われば、それを抑えるべく日銀はフローの国債購入額を再び増加させる必要があるだろう。問題は、為替レートがその時、どちらに動くかということだ。

日銀の現行政策は基本的に「ビハインド・ザ・カーブ」(意図的に金利変更のタイミングを遅らせる金融政策)を前提にしているため、出口の際に懸念すべきは、利上げによる円高の進展ではなく、インフレ上昇による円安の進行であると思われる。出口の際に、円高が進むのなら手じまいはむしろスムーズに進んでいるということである。もし仮に懸念するほどの円高が進むのなら、それがインフレを抑えるため、出口開始のタイミングを先送りすれば良いだけだ。

では、具体的にどのような状況となる可能性が高いのか。例えばインフレ率が1.6%まで上昇し、日銀が翌年に2.0%、翌々年は2.5%を予想する状況になったとしよう。2%インフレには到達していないが、2%インフレを安定的に見通すことができる状況である。出口戦略が開始され、長期金利の急騰を避けつつ、徐々に長期金利の誘導水準は引き上げられていく。

1069とはずがたり:2016/10/12(水) 17:35:56
>>1067-1069
しかし、基本的には緩和的な金融環境の継続が前提とされているから、長期金利の上昇はインフレ上昇に追い付かず、実質金利のマイナス幅が拡大し、円安の一段の進展とともにインフレ率はさらに上昇する。この結果、今年のインフレはより2%に近づき、翌年は2.5%、翌々年は3%を見通すことができるかもしれない。

長期金利ターゲットとオーバーシュート型コミットメントで、インフレが上がってくると金融緩和効果が増幅される制度設計となっているのだ。目標達成が早まり、めでたし、めでたしとなるのだろうか。

順調に進む可能性もあるが、問題となるのは、緩和的な金融環境をあえて放置する制度設計が、一段の円安とインフレ高進のスパイラルをもたらすリスクだ。この場合、円安を回避するため、長期金利ターゲットの引き上げだけでなく、場合によっては、実績値が2%を超えた後としていた短期金利(付利)の引き上げも行われるかもしれない。

もちろん、こうした金利上昇を反映し、円安が止まるのなら、あるいは、円高が進むのなら、結果的にスムーズな手じまいとなる。米国のケースのように手じまいを開始した際、通貨高が進むのはむしろ望ましいことである。

しかし、こうした措置にもかかわらず、円安が止まらず、インフレスパイラル的様相が強まる場合はどうなるのか。その際、生じているインフレスパイラルの根底には、財政インフレの存在があることに人々は気が付き始めるだろう。この場合、短期金利や長期金利の誘導目標の引き上げそれ自体が利払い費の急増懸念をもたらし、事態は一段と深刻化する。

確かに、日銀は指値で無制限に国債を買い入れることができるため、長期金利の急騰を避けることはできる。しかし、公的債務の膨張を懸念し、円安とインフレのスパイラルが生じているのだとすると、日銀が無制限購入で長期金利の急騰を抑えにかかることは、事態をさらに悪化させる。

この時、事態を改善するには、財政引き締めが必要となる。金利政策は財政破綻を避けるために長期金利の上昇回避に割り当てられ、円安とインフレのスパイラルの回避には財政政策が割り当てられる。

インフレ抑制のために財政を抑制するのは、政治的な観点からも機動性の観点からも容易ではないが、他に手立てがない。国民がインフレ加速を嫌悪することから、財政健全化が渋々開始されるのだろうか。あるいは金融抑圧が続けられるだけで、結局、インフレタックスが進むのだろうか。

日銀の出口戦略がうまくいくかどうかは、結局のところ、日銀の金融調節の技量というより、政府の財政健全化の進展にかかっている。政府の財政健全化が足踏みし、国債発行量が減少しなければ、日銀は長期金利の誘導目標を引き上げることも難しい。同じことだが、国債購入量を減額することも難しい。この場合、最終的に長期金利の上昇を抑え込むことができても、円安によるインフレの加速は避けられない。

<ETF購入策の手じまいは後回しの公算大>

最後に、ETFやREITの購入政策について言えば、本来、2%のインフレが安定的に見通せるようになり、長期金利の高め誘導が始まった段階で、それらの購入も減額・停止されるべきである。

しかし、株価下落懸念から、特にETF購入の手じまいについては、政治的反発が相当に強いと思われる。

日銀も、長短金利水準やバランスシートの正常化を優先し、ETFやREITの購入減額・停止については、後回しにする可能性が高い。また、テーパリング終了後、国債は元利金の再投資が当面行われるとしても、最終的には償還が進むことで日銀のバランスシートから外れるが、ETFやREITについては持ち切りのままで、半永久的にバランスシートから外れることはないだろう。

近年の金融政策はどれもそうだが、とりわけETF購入倍増は行うべき政策でなかったと思われる。

*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

1070とはずがたり:2016/10/12(水) 17:45:53

2016年 10月 12日 08:59 JST
コラム:日本の問題先送り体質、日銀新政策で露呈=永井靖敏氏
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yasutoshi-nagai-idJPKCN12B0DM?sp=true
永井靖敏大和証券 チーフエコノミスト

[東京 11日] - 日銀が9月に導入した「新しい枠組み」(長短金利操作付き量的・質的金融緩和)について、市場やエコノミストの間で、評価が分かれるなか、筆者は効率性という点で問題があると考えている。

日銀は、これまで金融政策を適切な方向に修正するチャンスを逃し、自ら制約条件を作ってきた。実践的で緻密な政策と評価することもできるが、問題の先送りにすぎず、将来に禍根を残す政策と言える。

まず、現在日銀の置かれている状況を考慮せずに、「新しい枠組み」を効率性という点で評価すると、優れた政策とは言えない。あらゆる政策運営にはコストが伴う。日銀の国債買い入れは、基本的に長期金利の低下を目指して実施してきたことから、より少ない金額で、より大幅な金利低下を目指す方が「効率的」だ。

特にマイナス金利の国債買い入れは、最終的に国民負担につながるため、極力回避すべきだ。国債を大量に買い入れながら「イールドカーブ・コントロール」で、長期金利の過度な低下をけん制するのは、アクセルとブレーキを同時に踏むような政策と言える。

確かに、国債を大量に買うことが重要、すなわち「量」の拡大が物価の上昇につながると指摘する向きもあるが、一般的な見方ではなく、「総括的な検証」でも、「マネタリーベースと予想物価上昇率は、短期的というよりも、長期的な関係を持つものと考えられる」と記載するだけで、具体的な実証分析は行われていない。

<日銀が効率の悪い政策運営を選んだ3つの理由>

もちろん、日銀が効率の悪い政策運営を導入したのには、それなりの事情がありそうだ。実際に金融政策の枠組みを変更する上で、多くの実務上の制約条件をクリアする必要があるためだ。

具体的には、1)これまで実施してきた政策運営を正当化する必要があること、2)多くのボードメンバーからの賛同が求められること、3)緩和の縮小と思われない形で政策運営の持続性を高めること、などが挙げられる。

1番目について、これまで日銀は、インフレ期待の抜本的な変化を狙い、物価上昇にコミットすると宣言した上で、大胆な金融緩和を実施してきた。コミットメントは、日銀に物価を押し上げる力がなければ、意味がない。

日銀は政策効果をアピールするため、過去の政策運営は成功したという前提に基づいて、連続性のある政策運営を行う必要があった。長期金利の買い入れ額を、おおむね現状ペース(保有残高の増加額年間約80兆円)という「量」のめどを残したことからも、連続性を重視する日銀の意図が読み取れる。

加えて、複数のボードメンバーが「量」を支持するなか、多数の反対票が出ると、「新しい枠組み」に対する信頼が損なわれる恐れがあった。2番目の制約条件に配慮し、妥協点を模索したと思われる。

3番目については、黒田東彦総裁が「物価安定の目標」達成前の緩和縮小の可能性を否定するなか、長期金利の行き過ぎた低下の問題が浮上した。「イールドカーブ・コントロール」を、枠組みの中心に据えることで、行き過ぎた低下を防ぐのと同時に、将来の「量」の縮小を円滑に行える道を模索することが求められていた。

「過去の失敗は素直に認めて、常に最も効率的な政策運営を目指すべき」と評論家的なコメントをすることは容易だが、「新しい枠組み」は当面の問題をクリアするという点では、緻密に練り上げた政策と評価することもできる。実際、導入直後、債券市場に大きな混乱を与えることなく、政策運営の持続性に対する不安が低下した。

1071とはずがたり:2016/10/12(水) 17:46:03
>>1070-1071
<金融機関支援策とセットでマイナス金利深掘りか>

ただし、「新しい枠組み」の評価は、長期的な視点で行う必要がある。今回問題の先送りに成功したことにより、これまでの失敗の原因が曖昧になり、今後も効率の悪い政策運営が継続される恐れがある。また、後述するように、将来、市場の波乱を招くことが懸念される。

今から振り返ってみれば、マイナス金利政策導入時に、「量」を縮小しなかったことが、失敗だったと見るべきだろう。また、「物価安定の目標」の早期達成を目指し、国債の買い入れ額を持続不能なペースで実施したことについても、議論の余地はあるが、間違いだったと筆者は見ている。

「新しい枠組み」により、政策の持続性が高まったことで、これまでの政策運営を正当化することができる。「総括的な検証」でも、「量的・質的金融緩和」やマイナス金利の導入の有効性を強調するなど、日銀の政策運営の無謬(むびゅう)性を強調している。

このため、今後追加緩和を行う場合、現行の政策運営をさらに拡大することになりそうだ。黒田総裁は9月26日の講演で、追加緩和の中心的な手段として、短期政策金利の引き下げ、長期金利操作目標の引き下げを挙げたが、短期金利の引き下げが最も有力だろう。

長期金利操作目標の引き下げについては、「総括的な検証」で、具体的にデメリットを指摘しているが、短期金利の引き下げについては、「貸出金利の低下は金融機関の利鞘を縮小させることで実現しているため、さらなる金利低下に伴う貸出金利への波及については、金融機関の貸出運営方針にも依存する」と、工夫次第では引き下げ余地があると読み取ることもできるためだ。

実際には効果はないと筆者は見ているが、「政策発動のための政策」として、短期金利の引き下げと金融機関支援策を組み合わせた、一段と複雑な金融政策が実施されそうだ。

<物価目標達成後に長期金利急上昇の恐れ>

ところで、足元の相場安定は、将来の波乱の可能性という犠牲の上に成り立っている可能性もある。今のところ市場では、10年債利回りについては、「下限はマイナス0.1%」というコンセンサスが形成されつつあるが、超長期ゾーンについては、時間とともに居どころが変わりそうだ。

「イールドカーブ・コントロール」を枠組みの中心としているが、「量」の効果を否定したわけではないため、明らかに行き過ぎと言える水準まで低下しなければ、「量」の縮小は難しい。ただ、行き過ぎた低下を経た後に縮小すると、急上昇するリスクが高まるため、超長期ゾーンの金利が、今後も落ち着いた動きを続けるとは限らない。

中長期的には、10年債利回りの方が波乱含みだ。確かに将来、期待インフレ率が上昇した場合、操作目標を適切な水準に引き上げるという選択肢はある。「オーバーシュート型コミットメント」では、「物価安定の目標」が実現するまでマネタリーベース残高の拡大方針を維持することしか日銀は約束していない。

しかし、できるだけ早期に「物価安定の目標」を実現することを目指すと主張するなか、現実問題として、実現前の操作目標引き上げは困難と思われる。このため、「物価安定の目標」実現後、10年債利回りが急上昇する恐れがある。

日本人は、目先の問題への対応力は優れているが、長期的な問題への対応力は劣るといわれている。長短金利操作付き量的・質的金融緩和は、日本独自の金融政策で、世界の先端を走っていると日銀は主張しているが、問題の先送りを好む日本社会が生んだ独特の金融政策と評価すべきかもしれない。

*永井靖敏氏は、大和証券金融市場調査部のチーフエコノミスト。山一証券経済研究所、日本経済研究センター、大和総研、財務省で経済、市場動向を分析。1986年東京大学教養学部卒。2012年10月より現職。

1072とはずがたり:2016/10/13(木) 14:21:57
SDRに採用されて元高基調になるんちゃうの?

人民元相場が大幅下落 5年11カ月ぶり低水準 
http://mainichi.jp/articles/20161011/k00/00m/020/042000c
毎日新聞2016年10月10日 20時58分(最終更新 10月10日 20時58分)

 連休明け10日の上海外国為替市場の人民元相場は対ドルで大幅に下落し、午後4時半(日本時間同5時半)現在、前営業日の同時刻に比べて0.49%安の1ドル=6.7028元と、2010年11月以来、約5年11カ月ぶりの安値をつけた。

 中国人民銀行(中央銀行)は10日、取引の基準値を1ドル=6.7008元と、国慶節(建国記念日)に伴う大型連休前の9月30日の基準値より0.34%元安に設定した。基準値としては10年9月末以来、約6年ぶりの元安水準だった。

(共同)

1073とはずがたり:2016/10/13(木) 18:11:40
リフレ派は閉鎖経済でしか考えてない様な。どんなモデル使って考えてるのかね?
>リフレ理論は中央銀行が資金供給量を増やせば、貨幣流通量が拡大してインフレになると説明してきたからだ。

中銀が貨幣供給増やしても海外へ流出が主な帰結になっている気がする。

2016年 10月 7日 16:51 JST
コラム:黒田日銀「総括緩和」の敗北=熊野英生氏
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-hideo-kumano-idJPKCN1270K3

[東京 7日] - 日銀による9月の総括的検証は、多くの人が抱いていた「もやもやした感覚」を完全に払拭(ふっしょく)しただろうか。ほぼ100%の人が、「No」と答えるに違いない。黒田緩和の行方は、以前よりも不透明になったからだ。

そのほとんどの原因は、イールドカーブ・コントロールという新機軸の消化不良にある。黒田緩和は、大胆な資産買い入れをもって「黒田バズーカ」と呼ばれた。しかし、国債発行残高の事実上すべてを数年以内に日銀が買い占めてしまう展望が見えてくると、金融緩和の「量」は限界を見透かされる。だから、イールドカーブに軸を変えると言われても、何がどう変わるのかが伝わりにくい。

9月末に公開された「主な意見」では、同月20―21日の会合で「今後は金融機関収益にも配慮しつつ、目標とする長期金利の水準を決めて、イールドカーブをコントロールする」という説明があった。マイナス金利の旗は降ろさないが、長期金利は0%をターゲットにして、金融機関に配慮すると読める。

そうなると、10年金利がマイナスに下がったときは、日銀が長期国債の買い入れを減らしたり、国債を売ったりして、長期金利の押し上げに動くという連想が生まれる。このことは、従来からの考え方に照らすと、量の部分に直接的なメッセージはないという新解釈になる。

日銀は、マネタリーベース残高の純増80兆円は維持すると言っているので、長期国債を減らす代わりに、中短期国債を増やすことで、総量はバランスを取るということになるのだろう。この「金利か量か」という重心の分かりにくさがイールドカーブ・コントロールの消化不良を生んでいる。

<長短金利操作でも克服できない弱点>

量的拡大に特段のメッセージ性を与えないという方針が暗黙のうちに、政策委員会の大多数のコンセンサスになっていたならば、これは大きな変更と言える。

なぜならば、リフレ理論は中央銀行が資金供給量を増やせば、貨幣流通量が拡大してインフレになると説明してきたからだ。物価コントロールは、マネタリーベース・コントロールと一直線で結ばれてきた。一応、総括的検証後の金融緩和の体制(略して「総括緩和」)では、物価上昇率が2%以上になるまでマネタリーベースを増やし続けると、リフレ理論の建前をなぞっている。

1074とはずがたり:2016/10/13(木) 18:11:53
>>1073-1074
半面、長期金利を0%にコントロールすることと、リフレ理論の間に必然的な関係はない。もっとはっきり言えば、長短金利コントロールはリフレ理論ではない。リフレの教義にないものを入れてきた点が総括緩和の目新しい点と言える。

実は、総括的検証では、量の意味を除いた説明をしている。この点は、多くの人が気付いていない論点である。

どうやって黒田緩和が効いてきたのかを説明するとき、発表資料の中では、実質金利が下がったから需要ギャップが縮小して、物価上昇圧力が働いたと理屈付けをしている。インフレ期待が黒田緩和のおかげで強まり、長期国債の買い入れが名目長期金利を低下させて、実質金利が下がったと喧伝する。よく考えると、この説明は、リフレ理論の量的効果について、異なる解釈をしてみせたものだと気付かされる。

もともと黒田緩和は、物価目標の強いメッセージ性が円安予想に結び付いていたので、純粋な量的パラダイムとも異なる教義だったという理解もできる。

今にして思えば、円安予想が弱まると、インフレ期待が消えるところが、黒田緩和を無力化させる弱点だったと分かる。一方で、新しく採用したイールドカーブ・コントロールは、今も円安予想が弱まったときの問題点を克服できていない。ここも、もやもや感の原因になっている。

<妥協の産物ゆえ再調整は必至か>

インフレ目標をマネタリーベースの増加によって達成するという方針と、イールドカーブ・コントロールの間には、どうしても接合の悪さを感じる。巷間、政策委員会のメンバーの間に、「量」重視派と「金利」重視派の対立があって、その妥協の産物として、現在の体制が決まったと、うわさされる。この臆測も、接合の悪さを暗に認めたものだろう。

ならば、この体制が長期間ワークすると考えるよりも、どこかで再調整を求められるという予想を立てることができる。筆者の見方では、このマネタリーベースを動かすことの意味がさらに後退して、金利コントロールの方に重心が移っていくと予想する。

問題は、たとえ金利コントロールをどんなに工夫しても、2%以上の物価目標に手が届きそうもない点だ。ここが最後の難関である。


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