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金融政策スレ

1016とはずがたり:2016/08/24(水) 00:21:12

このため、9月会合では、マネタリーベース・ターゲットについては、撤回ないし事実上棚上げされる可能性がある。あるいはマネタリーベース・ターゲットを撤回するものの、量の追求を止めるわけではないことを示すため、メニューの拡大として社債や地方債の購入を決定するのだろうか(マネタリーベース・ターゲットの限界を補うものとはなり得ないが)。

Q15)マネタリーベース・ターゲットの棚上げは、長期国債ターゲットの延命につながるか。

答えはイエスだ。例えば、日銀は保有する短期国債を売却し、同額の長期国債を購入するツイストオペを行えば、長期金利を引き下げることが可能となる。

短期国債の金利は、超過準備預金金利(IOER)に左右されるため、日銀が売却しても、短期金利は上昇しない。一方で、長期国債の購入量を増やせば、タームプレミアム(期間に伴う上乗せ金利)が潰れ、長期金利を引き下げることができる。長期国債ターゲット限界説の根拠の1つは、金融取引の担保として国債が不足するため、金融機関が売却を渋るというものだった。マネタリーベース・ターゲットを止めればツイストオペを行うことで、長期国債購入額を拡大することが可能となる。

なお、マネタリーベース・ターゲットが棚上げされても、象徴的な「量・質・マイナス金利」の3次元という言葉は維持されるだろう。新たな量の象徴として、レンジ化された長期国債購入ターゲットがしばらく用いられると思われる。

Q16)評判の悪いマイナス金利は撤回しないのか。

事実上の銀行課税であるマイナス金利政策は確かに評判が悪い。本来、金融緩和とは、金融機関の資本コストを引き下げ、企業や家計の借入金利が低下することで、消費や設備投資を刺激することである。金融機関の資本コストが引き上げられれば、金融機関はむしろ貸し出しに抑制的になる可能性がある。

ただ、大幅な総需要ショックが訪れた際、マイナス金利を深掘りすることで、円安に誘導できれば、大幅な株安も避けられ、ショックを和らげることが可能となるかもしれない。とりわけ、景気拡大局面が8年目に入った米国が、それほど遠くない将来、不況に陥れば、米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和をきっかけに大幅な円高・ドル安が進む可能性がある。

このため、評判は悪いものの、将来の金融緩和の一手段として、マイナス金利が撤回されることはないと思われる。中国人民元の大幅切り下げ観測がくすぶり、それに伴う円高リスクが残ることへの対抗手段ともなり得る。

また、マイナス金利政策を撤回しないのは米大統領選挙も影響している。まず、ドナルド・トランプ大統領が誕生すればドル安政策が採用され、大幅な円高・ドル安が訪れる可能性があるからだ。

16年1月以降、FRBや米財務省の通貨政策のスタンスが変わったのは、米国第一主義を掲げるトランプ氏が大統領選の共和党候補になる可能性が高まったためだろう。オバマ政権にとり、日本に配慮して円安を容認することは、民主党候補のヒラリー・クリントン氏の足を引っ張ることになる。このため、日本の財務省は、いかに円高が進もうとも、実弾での為替介入は難しい。大幅円高に備え、日銀はマイナス金利政策を準備しておく必要がある。

さらに、ヒラリー・クリントン氏が勝利した場合でも、米国の製造業をサポートするため、ビル・クリントン政権の当初のドル安政策にならう可能性がある。民主党候補、共和党候補のいずれが勝利しても、大幅な円高回避のため、日銀はマイナス金利政策を手放すことができない。

Q17)9月会合でマイナス金利政策は深掘りされるか。

日銀が円高回避に敏感になっていたのは、円高が株安をもたらすためだ。完全雇用にあるため、一国の経済厚生を考えれば、家計の実質購買力を引き上げる円高が望ましい。

しかし、輸出企業優遇の円安誘導政策を続けてきた副作用で、日経平均に占める輸出企業のウエイトが実態以上に膨らみ、円高になると株価が大幅に下落し、政治的な金融緩和圧力が高まっていた。7月末の決定会合でETF購入額が倍増され、円高が多少進んでも、株価は以前ほど下落しなくなっている。日々のマーケットでは1ドル100円割れより、日銀の買い出動のタイミングが強く意識されるようになった。フォーカルポイントが為替から日銀にシフトしているのだ。


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