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金融政策スレ

1やおよろず ◆N22LLUydY2:2008/10/09(木) 20:09:25

金融庁
http://www.fsa.go.jp/

日本銀行
http://www.boj.or.jp/index.html

1012とはずがたり:2016/08/24(水) 00:20:22
>>1010-1011の記事は日銀に阿りすぎにしてもこの記事だと疑問が20も(;´Д`)アリスギヤロw

2016年 08月 23日 08:44 JST
コラム:黒田緩和検証、20の疑問=河野龍太郎氏
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-ryutaro-kono-idJPKCN10X0EV?sp=true
河野龍太郎BNPパリバ証券 経済調査本部長

[東京 22日] - 日銀は次回9月20―21日の金融政策決定会合で、2013年4月に開始した量的・質的金融緩和(QQE)、16年1月に開始したマイナス金利政策(マイナス金利付きQQE)の政策効果について総括的な検証を行う。当初、2年程度で2%インフレを達成するとしていたが、3年以上が経過しても、達成のめどがつかないためだ。

現在、日銀は2%インフレの達成時期を「17年度中」としている。この意味するところは、18年3月(黒田東彦総裁の任期満了は18年4月8日)には2%インフレが達成されるということだが、今では金融市場の多くの人が、それは単なる努力目標で、再度の先送りは不可避と考えている。

これには、政策手段はいくらでもあるという黒田総裁発言とは裏腹に、マイナス金利政策を含めQQEは限界に近づいていると多くの人が見なすようになっていることも影響している。

では、9月の検証で日銀はどこまで踏み込むのだろうか。量的ターゲットなどの操作目標の見直しやマイナス金利政策の撤回もあり得るのか。あるいは、2年で2%インフレ達成という政策目標自体に変更が施されるのだろうか。

<明らかに矛盾する政策思想、操作目標見直しの必要性>

Q1)そもそも、なぜ検証を行うのか。

2015年5月には日銀企画局が「量的・質的金融緩和:2年間の効果の検証」というレポートを公表した。今回、当時と同じように、企画局のレポートだけで済ますことができないのは、金融市場では、黒田総裁の5年間の任期をかけても、目標達成が難しいと強く疑われるようになっているためである。

つまり、「2年程度で2%インフレの達成」という政策目標そのものの実行可能性、妥当性を検討せざるを得ない状況となっている。

Q2)量的ターゲットは限界なのか。

14年10月の追加緩和の直後から、筆者は早ければ16年末には年80兆円の長期国債購入はスムーズにいかなくなり、いずれ年80兆円増のマネタリーベース・ターゲットの達成そのものが難しくなると主張してきた。

16年1月末に追加緩和として日銀が打ち出したのは、予想していた通り、長期国債の購入増ではなく、マイナス金利政策の導入だった。日銀がマイナス金利政策を導入したのは、量的ターゲットが限界に近づいている何よりの証拠である。

Q3)操作目標の見直しが必要なのか。

問題は量的ターゲットが限界に近づいていることだけではない。その象徴であるマネタリーベース・ターゲットは、マイナス金利政策と本質的に矛盾するという問題も抱えている。

前者は、民間金融機関に超過準備の保有を促そうとするものだが、後者は増加した超過準備にペナルティを賦課する政策である。日銀は付利を三層構造とすることで取り繕おうとしているが、政策思想は明らかに矛盾している。

日銀は現在、マネタリーベース・ターゲットという「量」、長期国債・上場投資信託(ETF)・不動産投資信託(REIT)購入という「質」、マイナス金利という「金利」の三次元で対応しているが、操作目標について、整理し直す必要がある。

1013とはずがたり:2016/08/24(水) 00:20:33


金融市場では、日銀の政策手段が底を尽きつつあるという懸念が広がっている。まず、マネタリーベース・ターゲットはオペレーション上、国債購入が限界に近づき、かつマイナス金利政策と矛盾するため継続が難しいと考えられ始めている。マイナス金利政策は物理的には深堀り余地はあるが、政治的には困難になったと考えられ始めている。

ETFについては、7月末の購入額の倍増で、市場を大きく歪め、これ以上の追求は難しいと懸念されている。全ての政策が何らかの理由で、限界に近いと考えられているのである。

現在は、経済が完全雇用にあるため、政策発動の必要性は小さいが、将来、総需要ショックが起こった時に、中央銀行が何ら有効な政策カードを有していないと見なされると、深刻な事態に陥る。操作目標を整理し、手立てが残っていることを内外に示す必要がある。

Q4)政府とのアコード(政策協定)も再検討されるのか。

QQEの前提には、13年1月に政府との間で結ばれたアコードがある。そこでは、日銀が2%インフレの達成に向け努力するとともに、政府は財政健全化を進めることが謳われていた。

しかし、現実には14年以降、経済が完全雇用にあるにもかかわらず、毎年、追加財政が打たれ、消費増税は2度も先送りされている。QQE導入段階から筆者が懸念していた通り、アグレッシブな金融緩和によって財政規律はすっかり弛緩している。

本来なら日銀は、アコードに沿って政府に財政健全化の推進を求める必要がある。放漫財政が続いたままでは、将来、出口が必要になった際に、日銀はテーパリング(国債購入の減額)すらできない。

とはいえ、「それぞれの組織が与えられた役割をこなすべき」というのが黒田総裁の信念であり、さらに自らが掲げた目標も達成できていないため、財政健全化が進んでいないことを口にはできない。残念ながら総括ではアコードまで議論が進まないと思われる。

Q5)完全雇用下でアグレッシブな金融緩和を続けることの妥当性は検討されないのか。

日銀も認める通り、14年年初以降、日本経済は完全雇用にある。今や有効求人倍率は1990年代初頭のバブル期並みの高さだ。本来、経済が完全雇用にあれば、財政にしろ、金融政策にしろ、追加的な景気刺激策は不要である。そうした政策を続けると、資源配分や所得分配を歪め、潜在成長率を悪化させる。

消費低迷が続いているのも、単に14年度の消費増税の後遺症が長引いているのではなく、15年は円安進展による家計の実質購買力の抑制、16年はマイナス金利による家計センチメントの悪化など、金融政策の副作用が強く現れているとも言える。しかし、「2年で2%インフレ」を掲げている以上、そうした副作用には目をつむらざるを得ない状況となっている。

本来ならQQEの効果だけでなく、副作用についても幅広く検証すべきだが、そうすると政策目標そのものも否定することになりかねないため、そこまでは踏み込めない可能性がある。

Q6)将来の出口戦略について語る可能性は。

黒田総裁は、出口戦略を語るのは時期尚早と繰り返してきた。もちろん、インフレ上昇が始まっても、結局、財政従属が不可避となるため、実際の出口を規定するのは財政当局で、黒田総裁は主体性を持って出口戦略を語れない可能性は十分あり得る。

しかし、そうした事態を避けるためにも、長期国債の市中発行額のほぼ全てを購入する日銀は、将来、どのような道筋で国債市場から手を引くことができるのか、明確にすべきである。

また、国債発行残高に占める日銀のシェアは3割を超え、QQEの終了時には、大規模な損失が日銀に発生する恐れがある。出口でのコストが莫大なものになるという懸念も、金融政策限界論の根拠の1つであり、日銀はそれらについて明確に述べるべきだ。

とはいえ、2%インフレのめども立たないことから、出口戦略や出口の際の損失については、今回の総括でも、全く触れられないのだろうか。だとすると、大変残念である。

1014とはずがたり:2016/08/24(水) 00:20:43

Q7)金融政策限界論の底流にある問題は何か。

政府は約40兆円の財政赤字(=新規国債発行)で財政を運営している。ゼロ金利政策やマイナス金利政策による長期金利の低下を活用し、可能な限り長期の資金調達にシフトしている。

一方、日銀はネットで80兆円という財政赤字の2倍の国債を購入し、代わりに80兆円の超過準備を民間に供給している。民間にとり、当座預金は短期国債と性質が全く変わらない。つまり、統合政府で見ると、40兆円の財政赤字を短期国債で調達しているだけでなく、毎年、40兆円相当額の既発の長期国債についても短期国債と交換していることになる。

統合政府の財務状況は、短期の資金調達に極端に偏ったものとなっている。すなわち、短期金利の上昇に極めて脆弱で、それゆえ、利上げができない構造になっているのだ。

金利が上昇すると政府の利払い費が急増することや民間金融機関に損失が発生する以前の問題として、日銀に大規模なロスが発生する。このため、利上げや国債売却どころか、国債購入の停止にも踏み切れない状況に陥る。少しでも状況を改善するため、国債購入ターゲットやマネタリーベース・ターゲットを修正する必要がある。この点については、後編で触れたい。

Q8)「日銀トレード」の問題点も検討されるのか。

日銀は現在、マネタリーベースの年80兆円増を達成するため、主に長期国債をネットで年率80兆円購入している。そのため、相当に高い値段で(つまり相当に低い金利で)、民間金融機関から国債を購入している。それは、国庫納付金の減少を通じ、つまり国民の税金を元に、民間金融機関に補助金を手渡していることと同じである。

とりわけ、マイナス金利導入後、長期金利は日銀が想定していたよりも、相当な勢いで低下した。日銀が高値でいくらでも買ってくれると見込む投機筋が、国債購入を活発化させているのである。このため、購入する国債の利回りがあまり極端に下がり過ぎることがないように、9月会合では、極端に低い利回りでは購入しないことを決定する可能性がある。あるいは金利上昇を恐れ、この問題には手を付けないのだろうか。

Q9)金融政策の有効性が低下していることは語られないのか。

そもそも金融政策の効果の本質は、金利低下によって、現在の支出を有利にすることで、将来の需要を前倒しすることだ。金利がゼロになれば、需要の前倒しは難しくなる。マイナス金利は、現在の支出を相対的に有利にはするが、資産が目減りするため、負の所得効果を考慮すると、現在の支出を刺激するのは難しい。

また、将来の支出は、所得を稼ぐ能力、つまり潜在成長率に大きく規定されるため、それがゼロ近傍まで低下している日本では、将来の需要を前倒しする効果も小さい。金利がゼロ近傍に達した段階で、金融政策の残る有効なチャネルは通貨安だが、グローバルではゼロサムである。

つまり、金融政策の有効性が大きく低下しているから、十分な効果が現れていないわけだが、そのことが分かった上で非伝統的な金融政策を行っているのであるから、残念ながら9月会合では、金融政策の有効性にかかわる本質的な問題については議論されないと思われる。

Q10)金融緩和は本当に効いているのか。

14年のマイナス成長は消費増税が大きく影響しているが、その影響が解消された15年第1四半期以降も日本経済は全く成長していない。15年第1四半期から16年第2四半期の成長率は年率で0.1%にも満たない状況である。

もちろん、経済が成長しないのは、潜在成長率がゼロ近傍まで低下していること、さらに経済が完全雇用に入っていることが大きく影響している。しかし、金融環境が相当に刺激的であるなら、トレンドを多少でも上回る成長が続き、需給ギャップはプラスの領域で改善しても不思議ではない。それでも、改善が止まっているとすれば、それは金融環境があまり緩和的になっていないからかもしれない。

要するに、確かに実質金利は低下したが、自然利子率もゼロあるいはマイナスの領域まで低下しているため、それほど景気刺激的にはなっていない可能性がある。残念ながら、9月会合ではこの問題についても議論されないと思われる。

1015とはずがたり:2016/08/24(水) 00:20:56

<マネタリーベース目標撤回の可能性>

Q11)「2年で2%」を撤回するのか。

サプライズを狙った金融政策のツケに他ならないが、日銀の政策反応関数をもはや誰も見通すことができない状況にある。それゆえ、景気が良かろうと、悪かろうと、「2年で2%」を撤回しない以上、インフレ達成時期が先送りされるなら、何らかの政策変更に日銀が動くと市場参加者は考えざるを得ないのである。

需給ギャップが悪化していないのなら、インフレ達成時期が先送りされても、必ずしも追加緩和は必要とはならないはずだが、市場にはそれが全く伝わらない。こうした事態を改善するため、コミュニケーション戦略を立て直すと同時に、インフレ目標の達期時期についても、「2年」を完全に撤回し、特定の期間とはリンクさせない形で、「早期に」あるいは「できるだけ早く」という文言にし、本来のフレキシブル・インフレーション・ターゲットに近づける可能性がある。

ただし、日銀にとって、喫緊の課題は、操作目標の軌道修正であると考えられるため、今回、政策目標にまで手を付けるかどうか、筆者は確信が持てない。9月の決定会合で「2年2%」が撤回される可能性は5分5分である。

Q12)サプライズ戦略撤回の可能性は。

ほとんどの日銀関係者が認めているのは、コミュニケーション戦略の再構築の必要性である。14年10月に追加緩和を行った際、直前まで黒田総裁は景気、物価に対して強気の発言を続けていた。15年10月には、14年10月と同じ状況であったにもかかわらず、金融緩和は見送られた。しかし、その3カ月後には、導入しないと繰り返していたはずのマイナス金利の採用に踏み切った。

サプライズを狙った金融政策を繰り返した結果、日銀の政策変更に関する思惑自体が、金融市場を不安定化させる要因になっている。そのことは、実体経済には決して良い効果をもたらさない。予見可能性を高めることで、政策効果を最大化させるというのが本来の金融政策のあり方であり、サプライズ戦略とは真逆である。

執行部批判となるため、具体的には検討課題には上がらないかもしれないが、9月の決定会合を機に、サプライズ戦略は事実上、封印される可能性がある。すでに黒田総裁の発言からは軌道修正の兆しが見られる。

Q13)長期国債購入ターゲットはレンジとするのか。

日銀は今後、総需要ショックが訪れた場合でも、可能な対応策が残存し、金融政策はまだ限界に達したわけではないことを明確に示す必要がある。本来、金融緩和は、長期金利の低下を通じて、貸出金利の低下や円安・株高をもたらし、総需要を刺激する。このため、量的ターゲットの拡大そのものに意味があるわけではない。大量の長期国債を買っているから長期金利が低下しているのは事実だが、現状の長期金利水準を維持するために、現在のように大量の長期国債を購入する必要はない。

一方で、現在、市中発行額のほとんどを日銀が購入しているため、オペレーション上のコスト、出口の際のコストは相当に高まっており、政策の持続性が危ぶまれる状況となっている。9月会合では、長期金利が低位で安定しているのなら、国債購入ターゲットの厳格な達成にこだわる必要がないことを示し、年率80兆円の長期国債の購入ターゲットを、例えば70―90兆円のレンジ(あるいは60―100兆円)とする可能性がある。

Q14)マネタリーベース・ターゲットもレンジとするのか。

操作目標のマネタリーベース・ターゲットの主たる操作手段である長期国債の購入ターゲットに幅を持たせるのなら、本来、マネタリーベース・ターゲットにも幅を持たせることになる。

ただ、中央銀行の負債であるマネタリーベースの拡大にはそもそも理論的な意味がない。金利がゼロになると、経済・物価とマネタリーベースとの間の関係が遮断され、「マネーを増やせば物価が上昇する」という貨幣数量説が成り立たなくなるためだ。

現実に、量的緩和を行っている国で、マネタリーベース目標を掲げるのは日本だけである。他の国では、国債や社債など資産の購入額に目標が設けられている。さらに、マネタリーベース・ターゲットはもう1つの操作目標であるマイナス金利と矛盾する。マネタリーベースの拡大を促すことと、超過準備にマイナス金利のペナルティを賦課することは理屈上、相容れない。

1016とはずがたり:2016/08/24(水) 00:21:12

このため、9月会合では、マネタリーベース・ターゲットについては、撤回ないし事実上棚上げされる可能性がある。あるいはマネタリーベース・ターゲットを撤回するものの、量の追求を止めるわけではないことを示すため、メニューの拡大として社債や地方債の購入を決定するのだろうか(マネタリーベース・ターゲットの限界を補うものとはなり得ないが)。

Q15)マネタリーベース・ターゲットの棚上げは、長期国債ターゲットの延命につながるか。

答えはイエスだ。例えば、日銀は保有する短期国債を売却し、同額の長期国債を購入するツイストオペを行えば、長期金利を引き下げることが可能となる。

短期国債の金利は、超過準備預金金利(IOER)に左右されるため、日銀が売却しても、短期金利は上昇しない。一方で、長期国債の購入量を増やせば、タームプレミアム(期間に伴う上乗せ金利)が潰れ、長期金利を引き下げることができる。長期国債ターゲット限界説の根拠の1つは、金融取引の担保として国債が不足するため、金融機関が売却を渋るというものだった。マネタリーベース・ターゲットを止めればツイストオペを行うことで、長期国債購入額を拡大することが可能となる。

なお、マネタリーベース・ターゲットが棚上げされても、象徴的な「量・質・マイナス金利」の3次元という言葉は維持されるだろう。新たな量の象徴として、レンジ化された長期国債購入ターゲットがしばらく用いられると思われる。

Q16)評判の悪いマイナス金利は撤回しないのか。

事実上の銀行課税であるマイナス金利政策は確かに評判が悪い。本来、金融緩和とは、金融機関の資本コストを引き下げ、企業や家計の借入金利が低下することで、消費や設備投資を刺激することである。金融機関の資本コストが引き上げられれば、金融機関はむしろ貸し出しに抑制的になる可能性がある。

ただ、大幅な総需要ショックが訪れた際、マイナス金利を深掘りすることで、円安に誘導できれば、大幅な株安も避けられ、ショックを和らげることが可能となるかもしれない。とりわけ、景気拡大局面が8年目に入った米国が、それほど遠くない将来、不況に陥れば、米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和をきっかけに大幅な円高・ドル安が進む可能性がある。

このため、評判は悪いものの、将来の金融緩和の一手段として、マイナス金利が撤回されることはないと思われる。中国人民元の大幅切り下げ観測がくすぶり、それに伴う円高リスクが残ることへの対抗手段ともなり得る。

また、マイナス金利政策を撤回しないのは米大統領選挙も影響している。まず、ドナルド・トランプ大統領が誕生すればドル安政策が採用され、大幅な円高・ドル安が訪れる可能性があるからだ。

16年1月以降、FRBや米財務省の通貨政策のスタンスが変わったのは、米国第一主義を掲げるトランプ氏が大統領選の共和党候補になる可能性が高まったためだろう。オバマ政権にとり、日本に配慮して円安を容認することは、民主党候補のヒラリー・クリントン氏の足を引っ張ることになる。このため、日本の財務省は、いかに円高が進もうとも、実弾での為替介入は難しい。大幅円高に備え、日銀はマイナス金利政策を準備しておく必要がある。

さらに、ヒラリー・クリントン氏が勝利した場合でも、米国の製造業をサポートするため、ビル・クリントン政権の当初のドル安政策にならう可能性がある。民主党候補、共和党候補のいずれが勝利しても、大幅な円高回避のため、日銀はマイナス金利政策を手放すことができない。

Q17)9月会合でマイナス金利政策は深掘りされるか。

日銀が円高回避に敏感になっていたのは、円高が株安をもたらすためだ。完全雇用にあるため、一国の経済厚生を考えれば、家計の実質購買力を引き上げる円高が望ましい。

しかし、輸出企業優遇の円安誘導政策を続けてきた副作用で、日経平均に占める輸出企業のウエイトが実態以上に膨らみ、円高になると株価が大幅に下落し、政治的な金融緩和圧力が高まっていた。7月末の決定会合でETF購入額が倍増され、円高が多少進んでも、株価は以前ほど下落しなくなっている。日々のマーケットでは1ドル100円割れより、日銀の買い出動のタイミングが強く意識されるようになった。フォーカルポイントが為替から日銀にシフトしているのだ。

1017とはずがたり:2016/08/24(水) 00:21:34
>>1012-1017

引き続き円高次第ではあるが、株価が大幅に下がることがなければ、9月会合でマイナス金利の深掘りが行われることはないと思われる。米国の利上げ観測が高まり、ドル高が進んでいれば、マイナス金利政策が深掘りされる可能性はさらに低下する。

むろん、大幅な円高になった時、それを回避するためマイナス金利が一時的に大きく拡大される可能性はあり得るが、継続的には0.5―0.7%がマイナス金利の限界だと考える。9月会合では、マイナス金利政策の限界に関する議論は行われないと思われる。

Q18)マイナス金利以外に有効な政策ツールはないのか。

量的ターゲットが困難になっているとすれば、残る手段はマイナス金利の深掘りと、長期金利ターゲットだ。欧州中銀(ECB)がマイナス金利をスタートするまで、マイナス金利は筆者の選択肢には入っておらず、量的ターゲットが限界に達した後の選択肢は、長期金利ターゲットだと考えていた。

そもそもマイナス金利を深掘りするのも、長期金利を引き下げるためだ。長期金利の低下を通じ、円安や株高、貸出金利の低下が進む。このため、マイナス金利政策の弊害が大きいということになれば、いずれ長期金利ターゲットに移行する可能性がある(インフレの上昇が始まった際には、長期金利の急騰を避けるため、ほぼ間違いなく必要となる)。

あくまで将来の政策ツールであり、9月会合では、議論されないと考える。ただし、9月会合でマネタリーベース・ターゲットを撤回し、長期国債購入ターゲットをレンジ化する際、長期金利の上昇を避けるため、長期金利のキャップを金融市場に対して日銀が暗示し始め、事実上の長期金利ターゲットがスタートする可能性も排除できない。

なお、ETFについては、当面の増額はないと思われるが、将来、大きな総需要ショックが訪れた場合、それを吸収する手段として買い入れを一段と増やすことはあり得る。7月会合で倍増したことで、株式市場のプライシングを大きく歪める問題について、日銀はあまり気にしていないことが明らかになった。ただ、日銀の大量購入によって株価がサポートされても、実体経済とのかい離が広がるばかりで、最後には支えられなくなる。

Q19)マイナス金利での資金供給を開始するか。

日銀は貸出支援基金オペにおいて、マイナス金利で資金供給し、その倍額をゼロ金利で当座預金に受け入れる可能性がある。金融機関にとり、資金調達コストが限界的に低下するため、貸し出しの増加には多少つながる。ただ、そもそも資金需要が低いため、マクロ経済的には大きな効果は期待できない。

Q20)ヘリコプターマネーの可能性は。

財政調整だけではもはや公的債務の圧縮が困難になっているという意味では、ヘリコプターマネーに片足を突っ込んでいると言えるが、もし、言葉の定義通り、政府が公的債務を増税や歳出削減で返済しないことを前提に追加財政を開始すれば、人々は将来の増税や歳出削減を気にせず支出を増やすため、景気刺激効果やインフレ醸成効果はより大きなものとなる。

ただ、ヘリコプターマネー政策は、常習性が強く、高率のインフレのみならず、資源配分の歪みから潜在成長率のさらなる低下をもたらす。そうした問題が認識されているため、財政法、日銀法でも禁じられており、9月会合で検討されることはまずないと思われる。


*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。


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