(ブルームバーグ):29日の米国債相場は上昇。日本銀行のマイナス金利導入を受けて世界の債券市場が値上がりした。世界の債券市場のリターンは今月すでに5670億ドル(約69兆円)となっている。株式や商品の下落に伴いリスクの高い資産からの逃避が進んだことが背景。
米10年債利回りは終値ベースで昨年4月以来の水準に低下。米国債は月間ベースで1年ぶりの大幅上昇となった。日本国債の利回りは過去最低を更新。日銀は0.1%のマイナス金利による追加緩和に初めて踏み切ることを5対4の賛成多数で決めた。ドイツやベルギー、フランスの国債利回りも過去最低をつけたほか、英国債は続伸した。
債券相場は今年に入り上昇してきた。株式や原油相場が急落した一方で、比較的安全とされる債券に投資する動きが活発化した。世界の主要中央銀行が金融緩和政策の継続を示唆して市場の沈静化を図る中、こうした動きは加速した。米金融当局は今週の会合で政策金利を据え置き、緩やかなペースで利上げを実施していく方針を示したが、次回利上げの時期や今後の回数に関する市場の見方は後退している。
ドイツ銀行プライベート・ウェルス・マネジメント部門の債券取引責任者、ゲーリー・ポラック氏(ニューヨーク在勤)は、日銀の行動により「世界的にみた米国債の魅力は高まる。ただし、これまで魅力的でなかったわけではない」と指摘。「世界的に利回りは低下している。これらは米国債市場にとってプラスだ」と述べた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーのデータによると、ニューヨーク時間午後5時現在、米10年債利回りは前日比6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.92%。2年債利回りは月間の下げ幅が2010年1月以来の最大となった。
独10年債利回りは0.33%に低下し、昨年4月以来の低水準。日本の10年債利回りは一時0.09%をつけた。同年限の英国債利回りは1.56%と、昨年4月以来の低水準。仏国債利回りは0.64%で、昨年5月以来の低い水準。
世界の投資適格級の国債と社債で構成するバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ・グローバル・ブロード・マーケット指数の今月のリターンは28日までの時点で1.1%。金額にすると5000億ドルを上回る。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は27日、海外動向を注視していくと表明。これを受けて、3月の利上げの可能性は低いとの観測が強まった。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は先週、追加緩和の可能性を示唆した。
ラボバンク・インターナショナルのストラテジスト、マシュー・ケアンズ氏(ロンドン在勤)は「利回りはどこまで低下するのかという疑問は、1本の糸がどのくらい長いのかと問いかけているようなものだ」と指摘。日銀の利下げは「かなり積極的な動きで、自国のインフレを高めるために世界の中銀が事実上の利下げ競争にまい進していることが分かる。利回りは今、一方通行だ」と述べた。
原題:Kuroda Adds to Half-Trillion-Dollar January Global Bond Windfall (抜粋)
大口の売り手の一つは中東と中南米の産油国である可能性がある。これらの国々は世界の資産の約5-10%を占める。数年間にわたってオイルマネーで資産を購入していたこれらの国々が売却に動き、政府系ファンド(SWF)や安定化基金、開発基金、中央銀行の外貨準備などの投資手段からオイルマネーを引き揚げている。
ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)によると、世界経済へのオイルマネーの純流入額は昨年2000億ドルと、2012年の8000億ドルから減少した。
原題:Four Theories on How Oil Has Hypnotized the Global Stock Market(抜粋)
(ブルームバーグ):5日のニューヨーク外国為替市場でドルが上昇。対ユーロで3カ月ぶり安値から値を戻した。朝方発表された1月の米雇用統計で賃金の伸びが市場予想を上回り、米金融政策当局は年内利上げを継続するとの観測につながった。
1月の平均時給は前月比で0.5%増加した。雇用統計を手掛かりにドルは主要通貨の大半に対して上昇した。経済成長の減速で金融当局は引き締め軌道を反転させるとの見方から、ドルは前日まで売られていた。
CIBCワールド・マーケッツの外為戦略ディレクター、バイパン・ライ氏は「ドルは平均時給の伸びと失業率の低下に反応している」と述べ、「市場参加者は過去数日間、米金利見通しを先走って考えていた可能性を示唆する」と続けた。
ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは対ユーロで0.5%上げて1ユーロ=1.1158ドル。対円では0.1%上昇して1ドル=116円87銭だった。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.6%上昇。週間ベースの下げは1.9%にとどまった。
1月の失業率は4.9%に低下。これは8年ぶりの低水準。非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比15万1000人増加した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想は19万人増だった。
チャールズ・シュワブ(ニューヨーク)のチーフ債券ストラテジスト、キャシー・ジョーンズ氏は雇用統計は「ドルにとってある程度、支援材料になっている」と述べ、「高値をつけるほどの強材料にはならなかったが、米金融政策当局が労働市場だけを見た場合には年内利上げの可能性が開かれた」と続けた。
原油価格の下落や世界市場のボラティリティ上昇が米国のインフレや経済成長の見通しを損ねるとの見方から、金利デリバティブ市場は今週初め、年内利上げ見送りの可能性を織り込みつつあった。
フランクリン・テンプルトン・インベストメンツで債券担当の最高投資責任者(CIO)を務めるクリス・モランフィ氏は「最近の通貨市場は米金融政策当局が今年極めてハト派的になるとの思惑を手掛かりとしてきた。当社はそれが恐らく行き過ぎだったとみている」と指摘した。
原題:Dollar Surges as Wage Gain Supports Case for Fed Rate Increases(抜粋)
(ブルームバーグ):8日の米国債相場は急伸。利回りは1年ぶり低水準を付けた。世界的な金融市場の混乱で逃避の動きが強まったほか、トレーダーの間で米当局が次の利上げを2017年遅くまで待つとの見方が広がった。
この日は世界的に株安となり、原油相場も下落。これを手掛かりに債券市場のインフレ見通しの指標は7年ぶり低水準に落ち込んだ。市場では国内外の経済減速で米当局が利上げを先送りするとの観測が広がっており、米国債にはプラスとなっている。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は今週、半期に一度の議会証言を行う予定。市場では、政策当局が昨年12月に示した今年4回の利上げ予想を後退させている兆候をつかもうと、議長の発言に注目している。
TDセキュリティーズの金利ストラテジスト、ジェナディ・ゴールドバーグ氏は「市場は非常に神経質な状態が続いている。つまり、マクロ経済のファンダメンタルズがこの先どのような展開になるかほとんど確信が持てていないということだ」と指摘。「リスク回避の動きが全て米国債にとってプラスなのは間違いない」と続けた。
ブルームバーグのデータによれば、先物市場が次の0.25ポイントの利上げ時期として完全に織り込んでいるのは2017年11月だ。5日の時点では、来年7月の利上げが織り込まれていた。
ニューヨーク時間午後2時23日現在、10年債利回りは前週末比9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.74%。同年債(表面利率2.25%、2025年11月償還)価格は104 17/32。
原題:Treasuries Surge as Bets Evaporate That Fed Will Hike This Year(抜粋)
代わりに黒田総裁と安倍首相は、国民の心理を上向かせるべく自信あふれる発言を行った。安倍首相は13年2月の訪米中、ワシントンで「(Japan is back)日本は復活した」と宣言した。首相は講演のたびに企業収益の回復や、過去最多に達した海外からの観光客、20年ぶり低水準の失業率といった数字を頻繁に口にした。
(ブルームバーグ):クリーブランド連銀のメスター総裁は米経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)はなお力強いと指摘、連邦公開市場委員会(FOMC)は今年、漸進的な金融引き締め軌道を維持することが妥当だと述べた。
メスター総裁は25日にニューヨークでインタビューに応じ、「3月に政策金利を引き上げるかどうかは、データと他のメンバーの見解次第だ」と話した。その上で、「私自身の予想、そしてその予想に関連したリスクに基づくと、緩やかな利上げが望ましいというわれわれの見方は変わらないと思われる」と続けた。
メスター総裁は今年のFOMCで輪番の投票権を持つ。同総裁はFOMCがインフレに対して「大きく出遅れる」リスクを冒してはいないと思うと発言。3月15-16日に開かれる次回会合については、利上げが決定する可能性を排除するべきではないと述べた。ただし、総裁は次回会合で利上げを主張するかどうか態度を明らかにしなかった。
総裁は「3月利上げの選択肢は残すべきだ。複数の選択肢を十分に討議することが望ましい」と話した。
原題:Fed’s Mester Says Gradual Rate Hikes Still Right Call for 2016(抜粋)