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市場・株・為替・経済変動・景気循環

1256とはずがたり:2016/03/18(金) 17:26:55
>>1255-1256
イエレン議長はこの文言がリスクバランスの方向性を説明するものではないとし、リスクのすべてが一方向に傾いているわけではなく、上下双方向の要因があると述べた。しかし、FOMCのリスク認識は下方に傾いていると考えるべきだろう。これは、経済見通しの安定にもかかわらず、政策金利見通しが大幅に下方修正されたことからも明らかだ。

世界経済・金融動向に対するリスク認識は、将来のFRBの金融政策を制約し得る厄介な問題だ。今後、FRBが利上げを示唆することによって金融環境が引き締まった場合、結果として利上げが難しくなるという負のフィードバック・ループに陥る可能性があるためだ。

また、利上げの示唆によってドル高が進行する場合、人民元を含む新興国通貨がより強い下落圧力にさらされるリスクもある。その場合、中国の資本流出に対する懸念などが再燃する可能性もあろう。FRBがこうした負のフィードバック・ループを自ら断ち切らない限り、将来の利上げペースが現時点の想定よりも一段と緩慢なものとなるリスクは否定できない。

FOMCはインフレ動向についても慎重なスタンスを表明した。まず、声明文で「インフレはここ数カ月間で上向いた」との認識を示しつつも、「委員会の長期的な目標である2%を下回り続けた」と繰り返した。また、イエレン議長は記者会見で、最近のインフレ加速には「一時的な要因が影響している」とし、コアインフレが継続的に上昇するような状況だと結論づけるには至っていないと、慎重な物価観を示した。

さらに、2%目標は「対称的な目標」であり、「インフレの上振れを目指しているわけではない」が、下振れと上振れに対する容認度合いは対称的であるとした。これは、期待インフレ率が2%目標を大きく下振れ続ける場合や、賃金上昇率が緩慢にとどまる場合、実際のインフレ率が目標を多少上振れることも容認することを示唆している。すなわち、インフレ加速に伴って、賃金上昇率の加速や期待インフレ率の上昇が確認されなければ、FOMCが拙速な利上げで対応する可能性は低いと言えよう。 なお、そもそも足下のコアインフレ加速は特殊要因による部分があると見られ、今後は昨年後半の新興国通貨に対するドル高の影響で、再び抑制される公算が大きいと考えている。

こうしたなか、当社は米国経済の回復基調の継続を前提に、引き続き6月の次回利上げを基本シナリオとしているものの、今回のFOMCは金融政策見通しの不透明感を高めるものと判断される。利上げペースが現在の想定以上に緩慢なものとなるリスクに注意したい。

<円に通貨高圧力が集中しやすい構図は変わらず>

今回のFOMCを控え、市場ではタカ派的なメッセージに対する警戒感があったと見られ、ハト派的な結果はドル安、米金利低下、米株高につながっている。先行きについては、FOMCの慎重なスタンスを踏まえると、昨年のような利上げ期待を背景とした一本調子のドル高は想定しにくく、足元のドル低迷が長引く可能性もあるだろう。

一方でドル円については、ドル安による下押し圧力も避けられない一方、FRBのハト派スタンスを受けたリスク資産の回復や日本の政策対応期待などによって支えられる可能性もあろう。ただ、中国、新興国の成長減速や英国の欧州連合(EU)残留を問う国民投票、米大統領選挙といった政治的リスクが控えており、世界経済・金融環境をめぐる不確実性は根強い。再びリスクオフの流れが強まった場合、依然として割安感が大きい円に通貨高圧力が集中しやすい環境は変わっておらず、最終的には95円程度まで円高が進行する余地があると引き続き考えている。

「グローバルリスク」対「政策の限界」という構図のなか、ドル円相場は変動の大きい展開を予想している。

*門田真一郎氏は、バークレイズ銀行の為替ストラテジスト。2008年にバークレイズ証券株式会社に入社し、調査部で銀行戦略調査および外債ストラテジーを担当した後、2013年から現職。海外拠点の為替・金利・経済チームとのネットワークを活かし、為替市場見通しのほか海外経済・政治動向などについて幅広い情報提供を行っている。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)経済学部卒。


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