【4月2日 AFP】ミャンマー改革の試金石として注目されていた1日投票の議会補選で、国民民主連盟(National League for Democracy、NLD)による独自集計ながら当選確実と発表された民主化運動指導者で同党党首のアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)さんは2日、ミャンマーの「新時代」の幕開けを称えるとともに、選挙に参加した他政党に政治的結束を呼び掛けた。
香港大学(University of Hong Kong)のルノー・エグレトー(Renaud Egreteau)准教授(政治学)は「大臣としてであれ、一般議員としてであれ、政治的な駆け引きをする余地は、在野の反対派だったときよりも小さくなるだろう」と語る。
スー・チーさんが率いる国民民主連盟(National League for Democracy、NLD)が今回の補選で争われた44議席を全て獲得したとしても、軍を後ろ盾に議会で圧倒的な議席を持つ与党・連邦団結発展党(Union Solidarity and Development Party、USDP)の優位は揺るがない。さらに議会の議席の4分の1は、選挙で選ばれたのではない軍高官で占められている。
タイのシンクタンク「Vahu Development Institute」のミャンマー専門家、アウン・ナイン・ウー(Aung Naing Oo)氏は「USDPが支配する現在の議会は非常にエネルギッシュで、この1年で素晴らしい成果を上げてきた。だが議会が取り組む課題は、一般国民が心配するきわめて日常的な問題だ」と言う。そしてスー・チーさんは選挙運動中は民主主義や憲法改正などの大きなテーマをうたってきたが、それよりもむしろ毎日の問題に取り組まなければならないだろうと指摘する。「わが国にとって最も重要なのは経済だが、アウン・サン・スー・チーには経済の実績がない」