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Tohazugatali Medical Review
1
:
とはずがたり
:2004/10/17(日) 14:58
医学・病院・地域医療など今までTER
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1046080617/l10
で扱ってた話題を独立させます。
医薬品・製薬関連はこちら
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1070807006/l10
自民党と結託し日本の成長に対する桎梏となってる医師会・歯科医師会の不祥事はこちら
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1067007932/l10
TERの過去レスは
>>2-5
あたり
628
:
とはずがたり
:2009/01/20(火) 20:08:57
淡々と事実を述べるべきなのが事典の本来ですが,この項目はアツいなぁ。
アツ過ぎて削除されかねないので転載しておこう。
歯科医師過剰問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%AF%E7%A7%91%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E9%81%8E%E5%89%B0%E5%95%8F%E9%A1%8C
概要
日本において、医科におけるあらゆる診療科全ての医師を養成する医学部の1年間あたりの卒業者数が7,500?8,000人であるのに対し、歯学部単独で1年間あたりの卒業生が2,700?3,000人であることからも歯科医師の供給の多さが明らかである。それに対し、主に少子化による人口減少や、予防教育などにより齲蝕になりやすい子供の数が減ったうえに、欧米諸国のように定期検診などで通うことが少ないため歯科医院への受診が減った。この結果、全国的に歯科医院の過当競争状態となり、経営が悪化する医院が増えている。現在、全国統計でコンビニエンスストア店舗数より歯科医院数が多く、日曜診療や深夜診療を行う歯科医院が増えている。
厚労省の2005年医療経済実態調査などによれば、歯科開業医(1医院の平均歯科医師数は1.4人)の儲けを表す収支差額の平均値は1カ月当たり 120万円程度。これを歯科医1人当たりの平均年収に直すと800万円になるが、高額所得者はごくひと握りで、5人に1人は年収300万円以下となっていて、これが歯科医師のワーキングプアとして話題となっている。
政府は今後、歯科医の適正数などの調査を実施したうえで、抑制策の詳細をつめる。具体的には、歯大や歯学部の統合・再編を促して入学定員を早期に1割削減するほか、国家試験の合格基準を引き上げて合格者を絞り込む(2009年には新基準での試験実施を目指す)としている。
歯科医師は人口10万人に対して50人が妥当とされている。これは歯科医師が保険診療を主体とした上で高収入が得られる条件を前提にしているという考えもあるが、後述する歯科医院側の事情などとも総合して考えていく必要がある。
歯科医師は免許を取得し医院を開設しても、経営能力がなければ収入を得るどころか、黒字経営すら出来ないのが一般的である。歯科医師過剰問題は、このような事情を無視し、歯科医師会のような同業者団体が歯科ギルドを作り出し、既得権益に拘泥している事例として批判されている。一般的に民主国家では、多数決の原則で医療政策・制度が決められていく傾向があるため、数の上で極めて少数派である歯科関係者が自身の生活・権利を主張するために政治献金を通じた根回しに頼ることがあった。しかし、政治献金等がもたらす受益効果(保険点数の適正化や個別指導・監査逃れなど)にはその性格上、不透明・不確実・アンフェアな面もあるため、日本歯科医師会会員の中にもそういった手法を疑問視する声がある。
経緯
う蝕(虫歯)が社会問題となりはじめ、歯科医療の充実が叫ばれつつあった1960年頃、日本には歯科医師養成大学が東京歯科大学、日本歯科大学、日本大学、大阪歯科大学、九州歯科大学、東京医科歯科大学、大阪大学の7校しかなく、国は歯学部の新設を推進した。そして1965年までにまず愛知学院大学、神奈川歯科大学、広島大学、東北大学、新潟大学、岩手医科大学の6校に歯学部が設置された。その後1980年代前半にかけて歯学部が16校に新設・増設され現在に至る。 2007年現在で、国立大学法人11校、公立大学法人1校、私立大学17校となっている。
詳細は歯学部#歯科医師養成課程を持つ大学
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%AF%E5%AD%A6%E9%83%A8
#.E6.AD.AF.E7.A7.91.E5.8C.BB.E5.B8.AB.E9.A4.8A.E6.88.90.E8.AA.B2.E7.A8.8B.E3.82.92.E6.8C.81.E3.81.A4.E5.A4.A7.E5.AD.A6を参照
629
:
とはずがたり
:2009/01/20(火) 20:09:20
以前より歯科医師過剰問題の1つの要因として、歯学部新設・増設後に歯科受療率が横ばいから低下したのにもかかわらず、現存の歯学部歯学科の入学定員を減少させていないことが指摘されている。
この問題に拍車をかけたと考えられているのが、私立大学を始めとした歯学部と定員数の増加である。もちろん私立大学の中には、日本の歯科医療の基礎を築いた人材を多く輩出した大学があることは否定できず、その貢献は大きなものと言える。しかし、恒久的な定員数の増加は社会的要請にかなったものではない。国(厚生労働省)および日本歯科医師会は、私立大学に対して幾度かの定員減を要請しているが、実際の定員減はほとんど行なわれていない。
定員の合計は国公立が約500人(12大学)、私立が約2,500人(17大学)であり、私立の定員減が求められるのは自然なことであるが、私立大学側からは、むしろ1970年頃から国の意向で創設・拡充した国公立大学の歯学部を統廃合すべきだという意見があがっている。
大学関係者の中には、学問の自由などを根拠に定員の削減等に反対する者もいるが、歯学部ついては、公共性の高い専門職の養成機関でもあることから、定員・補助金・統廃合などに関して、相応の国策的な制約を受けることはやむをえないものと言える。
国としては歯学部の定員の削減を更に図ると共に、歯科医師国家試験の難易度を上げ、歯科医師免許交付率を下げることで歯科医師の過剰を抑制しようと考えている。事実、この施策を講じ始めた2004年度(第97回)の歯科医師国家試験は、合格率74.2%と史上2番目の低率となり、私立大学では特に大きく低下し、中には受験者の半数近くが不合格となる大学(松本歯科大学)もあった。内訳としては、国立大学 590名(合格率 87.4%)、公立大学 76名 (82.6%)、私立大学 1,529名(68%)。しかし、毎年輩出される歯科医師数(第101回合格者は2269名)と適正とされる歯科医師数(1200名としている)とが大きくかけ離れているため、結果的にそれを放置した形となった厚生労働省に対する批判は多い。
しかし歯科医療行為の特性上(視力、手先の器用さ、瞬時に診断を下す頭脳、体力などが必要)、新しく国家試験に合格する者の人数を抑制するだけでなく、年配歯科医師の診療現場からの現役引退(歯科医師定年制)を促進する必要があると考えている歯科医療関係者も少なくない。
現状
歯科医師過剰により歯科医院数が増えることと歯科受療率の低下で、歯科医院収入は低下している。過当競争・予防知識の周知・再発率の低下・少子化による人口減少・格差社会による低所得者層の増大・先行き不安感などから、家計費における優先順位の低い傾向のある歯科医療費は、ますます減少傾向にあり歯科医院収入の低下は深刻な問題である。
歯科業界においても、一部の医院からワーキングプア的な状況が生まれつつあり、経費節減のため診療時間外に技工作業等を行うことによる労働の長時間化も認められる。また歯科衛生士などに違法な診療をさせて人件費を節約するケースもある(例えば、歯科衛生士によるSRPの処置・請求は、切開などの観血的な処置と同様に、現状では法的に認められていない)。歯科の場合は、育成・開業費用等に多大な先行投資が必要なため、その点では一般社会におけるワーキングプアよりも状況は深刻と言える。
また、現在の治療ありきの保険点数制度も経営を圧迫していると指摘されている。う蝕(むし歯)や歯周病が生活習慣病の一つであるといっても過言でないことから、歯科において重要なのは治療よりも予防である。そして生活習慣病である以上、生活習慣の改善つまり正しい食習慣とブラッシング(指導)習慣、フッ素・キシリトール入りガムの使用などによって概ね予防が可能であることも事実である(外部リンクのフィンランドの歯科事情等参照)。
630
:
とはずがたり
:2009/01/20(火) 20:09:51
ところが一般的に、緊急性や即時に命にかかわる可能性の低い歯科の予防的(原則として生活習慣の改善に向けての暫定的な)通院を、日常生活において低い優先順位と位置づけて(軽視して)しまう人々は多い。国民のQ.O.Lの向上と口腔衛生への意識向上、そして歯科医院の健全経営のためにも予防関連の診療行為をもっと評価し点数を配分するべきであると考えられている。
なお、生活習慣病に対する合理的な評価方式は、疾患の発生率・再発率の低下に比例して、点数(医療機関の収入)が増加するような一種の定額方式(人頭払い制など)であると考えられている。しかし、定額制では、真に必要な診療まで控えられる可能性も否定できないため、日本の歯科保険制度においては出来高を基本としつつ、各種の指導・管理料等により定額制への移行を試みている段階にあるとみられる。ただし全般的に極めて低い点数であるため、その効果を疑問視する声もある。
前述した歯科受療率の低下は、歯科医師をはじめとした歯科医療関係者がう蝕(むし歯)の治療に尽力した結果といっても過言ではない。しかし、う蝕予防や歯周病予防・治療にも積極的に取り組み、口腔衛生についての国民の理解を得る努力をもっと早期にはじめていれば、歯科受療率の低下はもう少し抑えられたであろうという意見もある(受診率低下の一部は、予防知識の普及・生活習慣の改善・歯科医療関係者の予防に向けての努力によってもたらされたものでもあるのだが)もちろんある程度のレベルまでは、歯科医療関係者の努力に比例して、真に治療・生活習慣の改善が必要な患者の受診率の低下を抑えられたかもしれない。しかし、歯や口腔に対して、どの程度の関心や費用を割くか(割けるか)というのは、国民性・価値観・経済力などにも左右される面があり、民意の集大成・結果である低医療費政策の現状から見る限り、ある程度の限界があると言わざるをえない。
また、歯科医院の経営を圧迫している他の要因として、30年前と比較して物価が倍以上に上がっているにも関わらず、その頃より保険点数が下がっている点である。結果として歯科医院の診療報酬が相対的に落ちていると考えられている。
■患者から見た歯科医師過剰問題(保険制度の問題)
患者(消費者)の見地から考えると、歯科医師過剰問題が話題に上がることによって、自身が罹る歯科医師を見極めることになり、また歯科医師業界においても競争原理が働くことになり、個別的にみれば医院同士の切磋琢磨も促されるように考えられるため、一見それほど悪いことにないように見える。しかし、現状のような極めて過剰な状態では、一歯科医院の収益状況が悪化すると、コスト削減のために「衛生面など安全管理の不徹底」、「過剰診療」、「過剰請求」、「人件費を抑えるための助手等による違法診療」などが起こる可能性が増大する。
保険制度は、元は鉱山労働などの危険な事業に就く労働者の組合から始まり、貧しい国民が一人でも多く医者にかかれるように当初は極めて低料金であった。その後、国民皆保険になり、医科の方は命に関わることと、医師会自身の努力があって概ね診療行為に見合う点数が与えられてきたが、歯科の方は(短期的・直接的には)命に関わる事は少なく、国も手が回らなかったということもあり、また歯科医師会も保険点数を診療行為に見合うものにするような地道な努力をしないで自費などで補うという形をとってきた(自費にかかわるトラブルは、比較的多い)。しかし歯科医師過剰のなかにあって、かつてのような薄利多売的な経営方針が破綻し、自費収入が減少している事情から、料金の適正化を望む歯科医師側の強い声もある。
一方、社会保険庁には総点数・平均点の高い歯科医院を指導の対象とする選定基準があることから、保険医が保険診療・請求を手控える傾向にあり、必然的に格差社会における低所得者層などにそのしわ寄せがくることとなる。また指導内容・基準が統一されていないためか、それが技官に徹底されていないためか、指導内容に地域差等も認められ、技官の恣意性や不公正な指導を許すこととなっている。
631
:
とはずがたり
:2009/01/20(火) 20:10:04
また社会保険庁の医師や歯科医に対する恫喝的な指導・監査により、これまでの地域貢献を否定されたり、不合理な自主返還を迫られたりするなど不利益処分を受ける可能性が指摘されており、参議院厚生労働委員会でも舛添厚労大臣が、そういうことがあってはいけない。指導は懇切丁寧にやる。監督官だけじゃなく第三者・学識経験者などがついて暴言を吐くようなことは許さないシステムになっているはずだ。しかしそれが機能していないということは大変ゆゆしいことであり(今後このようなことが起きないように)きちんと指導していきたいなどと答弁している。
しかし、単なる口約束ではなく、より公正で信頼される医療制度を目指すためにも、立会人制度、指導・監査現場のビデオ撮影、必要に応じて司法当局へのビデオ等の提出義務、義務違反者への制裁など抜本的な指導・監査制度の改善が望まれている。なお立会人については、現在でも歯科医師会推薦の立会人が2人以上いるものの、技官との力関係などから、通常は技官側の立場をとらざるをえず、本来の立会人としての働きができないといったジレンマも聞かれる。 こういった状況の下、厚生労働省の田中智也医療指導監査室長補佐は、全国保険医団体連合会の要請に対し「国民の権利を守る弁護士の同席はやむをえない」「録音も拒否しない」と述べ、指導時における弁護士帯同・録音についても認めた(2007年11月)
また個別指導や監査については、地方ほど行政や歯科医師会に批判的な者や歯科医師会非会員が標的にされ恣意的に行われると考える歯科医が多い傾向があることから、主に個別指導や監査逃れのために、数百万といった高額な入会金を払って歯科医師会に入る者もおり(歯科医師会を通じて行政にパイプをつくるため) これを裏付けるかのように、都心から地方の地域にいくにしたがって、歯科医師会への入会率が高くなる傾向が認められる。行政の指導・監査についての情報開示(歯科医師会員・非会員の個別指導・監査率など)が不十分なこともこの傾向に拍車をかけている。一方で歯科医師会への入会率・組織率の低下は、圧力団体の弱体化・歯科医師全体にとって不利益となる可能性もあることからデリケートな問題でもある。
行政側は、責任問題が波及することを恐れるあまり自らは非を認めにくいということは、しばしば指摘されている。こういった様々な事情から、恫喝指導などによる被害者の大半は泣き寝入りすることとなり、結果的に抜本的な指導・監査制度の改善がなされることなく、同様の被害が周期的に繰り返されるという反省から、被害者を中心とした訴訟を起こすことなどでこれら様々な事情を踏まえた上での客観的な立場に立った真相究明や公正な判断を仰ぐことも必要とされている。
また指導医療官への贈収賄事件も起こっており、国民の医療への信頼を裏切ったことから、厚生労働省の辻事務次官は記者会見で「本当に遺憾で、事実なら情けないの一語に尽きる。捜査に全面協力し、厳正な処分を行いたい」と述べ、「──医療機関の監査に携わる全ての職員に綱紀を遵守し、監査を厳正に行うよう指示した」との厳しい姿勢を示している。特に疑惑のある技官等に対しては重点的に、指導時の記録などを開示請求し、例えば技官等と関係の深い病院・医院とそうでないところを比較検証することで審査情報等の漏洩疑惑を含めて公正な返戻・指導等が行われているか否かを監視する一助となる。厳しく返戻・指導などを行っていると評判の技官等が、一方で自らと関係の深い病院・医院では甘い審査等を行うことで結果的に医療費が無駄に使われていること(背任罪)も否定できないことから、徹底的な監視・疑惑解明・再発防止・制度改善が必要である。
特に指導・監査の公正を図るため、1指導医療官が当事者の親族であるときは、近接地などの医療官が代わりに行う。2指導医療官について不公正な事由がある場合に、当事者からの申立てによってその医療官を担当から外す。3、1や2の原因があると考える場合に、指導・監査に関与することを自分から避けることができる。といった制度改善は急務である。
皆保険制度のもとでのこのようなしくみは、WHO(世界保健機関)が世界で最も高い総合評価(質の高さ・費用の安さ・利用しやすさなど)を与えた一因であるとする説もある。ただし、あまりに実態からかけ離れた点数・要件設定は、歯科医側の過剰請求・不正請求に対する罪の意識を失わせ、大義名分を与えるような心理効果をもたらすため、その料金抑制効果を疑問視する声もある(さじ加減が難しいところであろう)。またこれらの事情は、どの程度の不正請求に対して、どの程度の違法性が問えるかという法的な問題にも影響してくる。一方で社会保険庁等には、主として料金抑制のためのノルマが課せられており、ノルマ偏重主義の弊害が危惧されている。
632
:
とはずがたり
:2009/01/20(火) 20:10:20
いっそのこと基本的な診療領域で適正な料金設定をした上で、なお予算が足りない領域は完全な自費診療とすることによって、自由市場と競合しない(自費・民間領域を圧迫しない)公的保険診療と民間自由診療の完全分離型(必要に応じて民間保険の活用)を採用することが、一般的な先進国に近い(実態に合った)料金体系が実現しやすく、患者・歯科医師双方の信頼関係を妨げる料金に対する誤解・あいまいさを解消する早道と言える。しかしそうすることによって現在の皆保険制度の利点が失われてしまう可能性も高いことから慎重な検討が必要であろう。
一般に歯科医師は、この歯科医師過剰問題に対し歯科医師会などを通じ「歯科医師過剰による治療の劣悪化」をとなえる。これは自身の競争激化、所得減少を恐れた詭弁に過ぎないという患者側の意見もあるが、様々な事情を総合して慎重に考える必要がある。
■歯科医師から見た歯科医師過剰問題
歯科医師の場合、大学(6年制)・研修期間等により生涯労働(収入を得られる)期間が他の職業と比べ短くなる傾向があること、歯科診療の性格上(細かい作業・姿勢などによる目・肩・腰にかかる負担や切削器具による粉塵問題など)中年期以降の仕事量が落ち込む傾向にあること、開業医の場合は、経営者としてのリスク・開業資金(一般的には数千万円必要)なども負うことから、一定の期間の所得水準がやや高くなる傾向がある。
また歯科医師は一般的に、一握りの経営能力に長けた(営利追求型の)歯科医や資産家の派手な暮らしぶりにより、歯科医全体が儲かるという誤ったイメージが伝わっていることから、不当な批判を受けている。
歯科医は儲かるというイメージに反し全体的な実情は一ヶ月あたりの医院の収支差額(いわゆる儲け)の平均値は、120〜130万円程度(一医院あたりの平均歯科医師数は約1.4人)である。一般的には3000〜5000万円の開業資金(全体の約80%を占める私立大学出身者では、加えて3000〜5600万円の学費など)が、トータルとしておよそ3000万円〜1億円前後の金額(平均養成期間としては8年前後)が、必要な経費として先行投資されていることになる。現状では回収すら困難であり、その上退職金や老後の年金まで準備するには、更に厳しい状況であると言わざるをえない。また数の上で大多数を占める私立大学出身者の台所事情が、平均的な医院運営に大きく影響している。
さらに具体的に記述すると、開業後に新規に歯科医師会に加入する歯科個人開業医の平均年収が700万円台(2007年)であるのに対し、私立歯科大学入学から研修医期間終了までの費用は3000~5000万円かかり、開業時に多額の事業資金(テナント開業で最低3000万円)がかかる。つまり1人の新規高校卒業者が臨床研修を終えて1人のテナント開業歯科医師になるまで最低6000万〜8000万円かかる。開業してからも全国のコンビニ数の1.4倍も存在する既存歯科医院との競争が待っている(今や開業後1年の時点での保険診療点数が月間20〜25万点で妥当(採算ライン)というのは、歯科関係者の間では常識化している(特に大都市部))。このような事情に関わらず、いまだに歯科開業医が増加しつづけるのは、歯学部が29もあって歯科医師が過剰供給されてきたことが最大の原因であることは明らかである。
この状況に対し入学定員の8割を占める私立大学側では非常に深刻になっている歯科医師過剰問題に対する説明を受験生向けガイダンスにおいて一切行なわず、さらに一部の私立大学では「学生副学長制度」まで創設して「楽しく有意義で充実したキャンパスライフを実現するためにぜひ当校へ入学を!」という様式での説明を行なっている。私立大学側が最も恐れているのは定員割れによる経営状況の悪化であり、現に複数校併願(←私立のみ可能)であっても入試での有効志願倍率が平均的に2倍を切りつつある現状では、一部私立大学で現実に起こってしまった2008年春の入学者数定員割れ現象が自分の学校に波及しないかと戦々恐々の状態である。したがって私立大学としては歯科医師過剰問題に対し深刻と認識しないで高額の学納費を支払う能力のある学生をいかに確保するかに非常に腐心している状況である。
633
:
とはずがたり
:2009/01/20(火) 20:10:36
現状の歯科医師数を維持するには毎年1200人の国家試験新規合格者数で足りるもの(厚生労働省資料)が現実には2269人(2008年)もの合格者数となっている。歯科医師国家試験の難易度が近年急上昇していても、まだこの数字である。歯科医師過剰問題の根本対策は歯科大学の入学者の8割を占める私立歯科大学の入学者定員を削減することである。日本歯科医師会は15年以上も前に野村総合研究所に調査を依頼し得られた情報から歯科医師過剰状態の確実な到来を認識していたにも関わらず平成18年まで関係機関と効果的な施策を打ち出すことなく私立歯科大学の入学者定員削減に対し消極的な対応をし先送りしてきた。これは日本歯科医師会役員が代々私立歯科大学出身者で固められていることが母校である私立歯科大学の定員削減といった歯科医師過剰問題の本質的な解決方法を先送りした根本原因である。このような厳しい状況にも関わらず日本歯科医師会の政治団体である日本歯科医師連盟の推す一部の参議院議員は「国立大学歯学部の歯科医師養成の廃止(即ち私立歯科大学入学者定員の温存)」といった、本来は開業歯科医師利益代弁者のはずが、まるで私立歯科大学の利益代弁者に徹するような行動を取っている。これでは歯科医師数の削減どころか今後も歯科医師数の増加を日本歯科医師会が政策として押し進めていると受け取られても仕方がない。ここが約6割を占める国公立系が主導している医科と約8割を占める私立系が主導している歯科との決定的な違いであり、歯科に内在する限界と言える。
開業歯科医師という資格を多数年大学に在籍しないと取得できない他の資格と比較してみると、かなり異常な資格となっていることがわかる。資格獲得後に平均的に期待できる年収の10倍もの資金を事前に費やさないと獲得できない資格ということができる。それも先行投入する大きな金額に対し新卒でさえ現状では4分の1の受験者が国家試験で不合格となり、今後も国家試験の難易度が上昇すると厚生労働省からアナウンスされているという、即ち投入する金額が高いからといって確実に開業歯科医師になれる保証もないという、なるまでにかなりリスキーな資格となっている。
日本歯科医師会(全歯科医の約70%が加入)や全国保険医団体連合会(全歯科医の約60%が加入)、日本歯科医師連盟(全歯科医師の約60%が加入)には、そういった歯科医師の労働条件の維持・改善や社会的地位の向上などを目ざしている側面もあり、また患者の立場にも立って双方の利害調整・理想的な医療のあり方を模索している。(日本歯科医師会の場合、数百万円といった高額な入会金が必要なため、近年の歯科医院の減収傾向に伴い入会率が下降傾向にあるといった見方もある。)
■地方の歯科医師不足問題(無歯科医地区問題)と歯科医師偏在
このような、供給過剰が問題として浮かび上がる中、地方では深刻な歯科医師不足に悩まされている。厚生労働省の「平成16年度無医地区等調査・無歯科医師地区等調査の概況」によると、おおむね半径4kmの区域内に50人以上が居住している地区であって、かつ容易に歯科医療機関を利用することができない地区(無歯科医地区)は、46都道府県中40府県に1046箇所存在しており、無歯科医師地区の人口は全国で29万5千人である。たとえば、北海道に継いで無歯科医地区の多い広島県では、過半数の市町村に無歯科医地区がある(広島県中山間地域医療情報ネットワーク資料より)。さらに、全国的にみて無歯科医地区および人口は、医師のいない無医地区787箇所、無医地区人口16万5千人よりかなり多い。医師は不足、歯科医師は過剰といわれている中、この逆転現象は「偏在」が歯科医師過剰問題のもう一つのキーワードであることを強く示唆している。これら無歯科医地区では、自治体が診療所や助成金を用意して懸命の誘致を行っているケースもあるが、都市部に偏在した歯科医師を確保するのは依然困難な状況にある。 また、地方では長期的に見れば投下した学費や開業費用などを回収する見込みが立たないこともあり進出が難しく、リスクがあっても都市部で開業せざるをえない事情もある。 かつて薬局や銭湯が競合と偏在を避けるために配置基準(距離基準)が設けられていたように、都市部に歯科医師が偏在すれば、地域的な供給過剰や過当競争が発生するのは必然であり、過剰問題と偏在問題については緊密な関係が認められるため、総合的な解決策が望まれる。
634
:
とはずがたり
:2009/01/20(火) 20:11:12
■世界的な水準から見た日本の歯科医療の現状
患者側の要望・医師側の要望については、双方理想を言えばきりがない面もあるのでまずは、唯一客観的かつ国際的な基準から考えていく必要がある。WHO(世界保健機関)によれば日本の医療は、世界で最も高い総合評価(質の高さ・費用の安さ・利用しやすさなど)を得ている(これは、歯科を含めた総合的な医療制度に対する評価である。)この基本的な要因は、民間資本を利用して医師養成から開院までを行い(歯科医の約7割が私立大学・大半が民間の歯科医院)公的な料金・要件設定(公的保険診療による収入が全体の約9割を占める)で料金等を統制・抑制している点にあると考えられている。しかし歯科医師過剰状態が続けば、歯科医療の評価を維持することも困難になることが予想され、ひいては日本の医療の総合評価に影響が出る可能性もある。
一般の業種では競争原理が働けば、顧客にとってサービスなどの対価を低く抑えることができると考えられるが、日本の医療保険制度下においては、保険診療の占める割合が多く(歯科では、約9割)、価格は保険点数により定められており、このような保護市場では競争原理は機能しにくい。まして歯科医師過剰において一歯科医院あたりの患者数が減少すれば、収入を確保するために、過剰診療や過剰請求などを行おうとする低モラルな歯科医師が増加することが予想され、患者側のメリットとなる予防、早期治療、再発防止などによる医療負担軽減効果は殆ど期待できない。
歯科の場合は、
* 小規模な個人開業医が多数を占めるため診療・研鑽・経営等の負担が過重になる傾向があること
* 予防・早期治療・再発防止などに重点を置くほど利益が上がらなくなり経営を圧迫するという出来高制の矛盾が指摘されていること
* 経営優先の重圧感がもたらす悪影響(患者に分かりにくい範囲での治療の劣悪化など)も軽視できないこと
* 消費者である患者からの医療の質に対する評価が、必ずしも容易とは言えない(安かろう悪かろうといった判断がしづらい)こと
などから、供給過剰であるほど低廉な費用で良い治療に直結するとは、容易にならないところに歯科医師過剰問題の深刻さがある。
また、医師と違う点は、大幅な過剰状態であり、現在開業後3年目に約30%の新規歯科医院が経営的危機、閉鎖の憂き目にあっているという厳しい現実があり、既存医院の過当競争(正常以下の利潤しか得られない(窓口負担の値引き等)も認められる。
札幌では、自己負担「無料」をうたい文句に患者を集めたり、新患を15人程度増やした患者に「報酬」を支払ったりする医院が問題となっており、これらは事実上の薄利多売的な営利活動とみなされることから、医療法に抵触する恐れもある。厚生労働省北海道厚生局は、患者が自己負担分を支払うことを定めた健康保険法に違反すると判断し、歯科医院に対し文書で改善を指導する方針を明らかにした。改善指導に応じない場合には、保険医の指定が取り消される可能性もある。
635
:
とはずがたり
:2009/01/20(火) 20:11:38
>>628-635
■今後の対策
これから先、日本は急速な少子化などから人口減少社会に突入し、歯科受療率も下降の一途を辿っていることも考慮すると、日本歯科医師会・全国保険医団体連合会・厚生労働省における政治的解決を含む対策をとることにより、現在の保険制度を実態に沿って、例えば以下のように改善していく努力を続けていくことが大切であろう。
1. 国民に保険制度の現状を理解してもらう。
2. 患者や歯科医が、互いの要望や理想を押し付けあうだけでなく、草の根・市民レベルで互いの事情を理解し合い、現実的な歯科医療政策に反映させていく場も必要であると考えられる。
3. 国公私立大学を問わない入学定員の削減(募集人員の停止・統廃合を含む)
4. 大学教育等における時代に求められる歯科医師の育成及び国家試験における厳格な選別及び歯科医師免許の更新制による定期的な選別。
5. 必要・合理的な範囲内での医院適正配置規制、健全な医院経営の推進により適正・良質な歯科医師数を維持し、国民の保健上の弊害(コスト削減のための消毒の不徹底・過剰診療など)を防止し過剰請求も抑制する。加えて医師のように幅広い活躍が期待できないために医師以上にシビアな需給予想・対策が重要となる。
6. 限度を超えた低料金の適正化により患者がコスト意識をしっかりもてるようにして、より低額な早期治療・予防へと意識転換し(将来の)無駄な受診を控え、医療費抑制につなげるという考え方のある一方で、自己負担金については、元来財政上の必要からという側面と必要以上に医者にかかることを防ぐという側面があり、ただでさえ心理的なハードルの高い傾向のある歯科などの診療科については、その効果を検証した上で、自己負担金を減額(無料も含む)するべきであるという考え方もある。
また8020(80歳で20本以上の自分の歯を持つ)達成者と非達成者でかかる医療費を調査した結果、達成者に比べ非達成者が診療報酬点数で20% 以上高かったというデータもあり、歯科医療費(全体の約9%)の微増(手厚くすること)が、全体の医療費を引き下げるテコのような働きをすることを示唆している。
また保険医協会では、窓口負担ゼロ運動を行いつつある。 つまり、日頃から病気や怪我に備えて、保険料・税金などを払っているのであればヨーロッパ諸国やカナダ、オーストラリアなどと同様、受診時の患者負担は原則無料にすべきという考え方である。日本の医療費水準は経済規模に比べて極めて低く、OECD(経済協力開発機構)30か国で22位に過ぎないことから医療の進歩と高齢化に応じた経済力に見合う医療費を確保することが不可欠である。受診を我慢して病気が重症化する方が、結果的に医療費は高くつくことになることから早期受診・早期治療こそ、医療費を抑える効果的な方法と言える。必要最小限の定期健診は、義務化(罰則なし)するとさらに効果的となる。こういった政策が実現すれば、医療の充実化と受診を活発化することで歯科医師過剰問題をも一挙に解決する可能性を持っている。
なお、より適正かつ合理的な診療要件・料金設定については例えば、厚生労働省内にある公務員向けの歯科診療所などを活用し学術団体の指導医の資格を持つ者、歯科医師会、保険医協会などの団体から派遣された者がその妥当性をチェックしつつ診療内容ごとの平均的な所要時間・カルテ記載時間・診療水準・経費などに基づいてより実態に即した診療要件・点数を設定するといった方法が提案されている。
また、現時点では実現可能性は薄いが、この問題を解決する手立てとして歯科医の医療の範囲を広げる事が検討されている。医科の診療科である「麻酔科」、「放射線科」、「精神科」などである。医師不足と歯科医師過剰の両方を解決する画期的な方法ではあるが、医師会その他からの大きな反発や、技能をどのように育成するのかなど数多くの問題をはらんでおり早急な実現は難しい。しかし、人的資源の有効活用という観点から歯科医師に対する十分な研修強化と医科における麻酔医のような法定の歯科麻酔医制度設立等が望まれる。
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