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Tohazugatali Medical Review

632とはずがたり:2009/01/20(火) 20:10:20

いっそのこと基本的な診療領域で適正な料金設定をした上で、なお予算が足りない領域は完全な自費診療とすることによって、自由市場と競合しない(自費・民間領域を圧迫しない)公的保険診療と民間自由診療の完全分離型(必要に応じて民間保険の活用)を採用することが、一般的な先進国に近い(実態に合った)料金体系が実現しやすく、患者・歯科医師双方の信頼関係を妨げる料金に対する誤解・あいまいさを解消する早道と言える。しかしそうすることによって現在の皆保険制度の利点が失われてしまう可能性も高いことから慎重な検討が必要であろう。

一般に歯科医師は、この歯科医師過剰問題に対し歯科医師会などを通じ「歯科医師過剰による治療の劣悪化」をとなえる。これは自身の競争激化、所得減少を恐れた詭弁に過ぎないという患者側の意見もあるが、様々な事情を総合して慎重に考える必要がある。

■歯科医師から見た歯科医師過剰問題

歯科医師の場合、大学(6年制)・研修期間等により生涯労働(収入を得られる)期間が他の職業と比べ短くなる傾向があること、歯科診療の性格上(細かい作業・姿勢などによる目・肩・腰にかかる負担や切削器具による粉塵問題など)中年期以降の仕事量が落ち込む傾向にあること、開業医の場合は、経営者としてのリスク・開業資金(一般的には数千万円必要)なども負うことから、一定の期間の所得水準がやや高くなる傾向がある。

また歯科医師は一般的に、一握りの経営能力に長けた(営利追求型の)歯科医や資産家の派手な暮らしぶりにより、歯科医全体が儲かるという誤ったイメージが伝わっていることから、不当な批判を受けている。

歯科医は儲かるというイメージに反し全体的な実情は一ヶ月あたりの医院の収支差額(いわゆる儲け)の平均値は、120〜130万円程度(一医院あたりの平均歯科医師数は約1.4人)である。一般的には3000〜5000万円の開業資金(全体の約80%を占める私立大学出身者では、加えて3000〜5600万円の学費など)が、トータルとしておよそ3000万円〜1億円前後の金額(平均養成期間としては8年前後)が、必要な経費として先行投資されていることになる。現状では回収すら困難であり、その上退職金や老後の年金まで準備するには、更に厳しい状況であると言わざるをえない。また数の上で大多数を占める私立大学出身者の台所事情が、平均的な医院運営に大きく影響している。

さらに具体的に記述すると、開業後に新規に歯科医師会に加入する歯科個人開業医の平均年収が700万円台(2007年)であるのに対し、私立歯科大学入学から研修医期間終了までの費用は3000~5000万円かかり、開業時に多額の事業資金(テナント開業で最低3000万円)がかかる。つまり1人の新規高校卒業者が臨床研修を終えて1人のテナント開業歯科医師になるまで最低6000万〜8000万円かかる。開業してからも全国のコンビニ数の1.4倍も存在する既存歯科医院との競争が待っている(今や開業後1年の時点での保険診療点数が月間20〜25万点で妥当(採算ライン)というのは、歯科関係者の間では常識化している(特に大都市部))。このような事情に関わらず、いまだに歯科開業医が増加しつづけるのは、歯学部が29もあって歯科医師が過剰供給されてきたことが最大の原因であることは明らかである。

この状況に対し入学定員の8割を占める私立大学側では非常に深刻になっている歯科医師過剰問題に対する説明を受験生向けガイダンスにおいて一切行なわず、さらに一部の私立大学では「学生副学長制度」まで創設して「楽しく有意義で充実したキャンパスライフを実現するためにぜひ当校へ入学を!」という様式での説明を行なっている。私立大学側が最も恐れているのは定員割れによる経営状況の悪化であり、現に複数校併願(←私立のみ可能)であっても入試での有効志願倍率が平均的に2倍を切りつつある現状では、一部私立大学で現実に起こってしまった2008年春の入学者数定員割れ現象が自分の学校に波及しないかと戦々恐々の状態である。したがって私立大学としては歯科医師過剰問題に対し深刻と認識しないで高額の学納費を支払う能力のある学生をいかに確保するかに非常に腐心している状況である。


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