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女が男を金的攻撃で倒すSS

124名無しさん:2017/10/21(土) 09:03:10 ID:rBd7hXNw0
「4タマ。もー。単発で、金的をがら空きにするなんて。女の子になりたい願望でもあるの?
 タマタマ潰れただけじゃ、女の子にはなれないよ?」

「この――――」

身体を沈め、肩から体当たりを掛けるが、足元が覚束ない。
ハヅキさんは俺の肩を支点に位置を入れ替え、後ろから金的を蹴り上げた。

「う」
「5タマ。ほら、ぴょんぴょんって飛び跳ねて。上がっちゃったんじゃない?どんな感覚なんだろね?」

屈辱的な言葉に従い、彼女の語り通りに飛び跳ねる。
顔色を変える事だけの余裕もない。顔色は、もう蒼白を通り越していると思う。

「どうしたの?アタシをやっつけるんじゃなかったの?
 このまま行ったら……うーん、ラッキーセブンにちなんで、7タマ目でオシマイにするね?」

実力が、違う。
いや、万全の状態であれば、こちらがやや上だと思う。
それでも。金的に蓄積した痛みが身体の自由を奪い、彼女には一生縁の無い痛みである事実が精神の落ち着きを奪う。

「はい、6タマ。もう、女の子の前で上の空なんて失礼だぞ」

後ろから、金的を鷲掴みに。力は入れずに解放されたが、もう、背筋は冷や汗みずくだ。
駄目だ、勝てない……

「さて、と。次でオシマイ。手加減無しで行くから、頑張って耐えてね?
 アタシも、痛くないようにって祈っておいて上げるから、さ。もしも、もしもだよ。無くなっちゃったら、ゴメンね。
 そのときは、アタシのお古の洋服ぐらいなら挙げるから、前向きに新しい人生を歩いていってね。


 それじゃ、行くよ?」

視界が奪われる(後で聞くと、跳ね回っている間に、脱ぎ捨てた胴着を拾い、それを俺の顔面に巻きつけたらしい)、そして。
ケツから脳天まで、氷水を流し込まれたかのような悪寒と、爆発的な、もはや他に何も考えられない、脳髄を白く灼くような感覚。

灼熱に輝く痛みの中で、俺の意識は闇に沈んだ。

125名無しさん:2017/10/21(土) 09:03:47 ID:rBd7hXNw0
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当日、夜。


疼きと吐き気で目を覚ます。
見やると、俺の下半身は何も纏っておらず、キンタマは野球ボールのように晴れ上がっていた。
その上に、手製であろう氷嚢が載っていて、疼痛のなかで少し快感を感じる。

部屋を照らすのは、月明かりのみ。

「あ、起きた?」

上から声。ハヅキさんの顔が逆さまに写る。
何故逆さ、と考えて、後頭部の枕が体温を帯びていることに気付く。

「おっと、暴れないでよ。とりあえず、キミのタマタマは二つとも無事だったよ。おめでとー。
 ま、もし潰れてたとしても、急所が減っておめでとーっていうつもりだったけど……なんて、冗談。
 よく頑張ったね。オトコノコだね」

――――俺は、負けたのか。
股間の痛み、そして胸に沈む重い後悔。
初手に油断をしなければ。もっと慎重に戦いを組み上げていれば。
無数のたらればが浮かび、像を結ばずに霧散する。

「……キミの根性に免じて、合格ってことにしてあげるね」

と、唐突に、蜘蛛の糸のような救いの言葉が齎され、思わず彼女の顔を見つめる。

「うん。今もタマタマがついている時点で、キミは合格。
 実はね、もし、アタシを騙してナツキに会いに行こうとしたり、夜にアタシに変なコトしようとしたりしたら、容赦無くタマタマ潰すつもりだったんだ。
 でも、キミは信義を通した。ナツキを尊重してくれた。

 だから、ね。一度、真剣に向き合って、アタシを打ち倒してくれたら、それで良し。
 もし駄目でも、最後までタマタマが潰れなかったら、それでも良しってしようと思ってたの。

 ……勝手だよね?最後の一撃は、もう潰れても構わないと思って蹴り上げたんだけど」

しおらしい態度で、ゾッとする言葉。
思わずキンタマを抑えようとして、その手を制止させられる。

「まだ痛いよ、きっと。それに、もうキミのオトコノコは隅々までみちゃったし、今更隠さなくてもいいじゃない?」

イタズラっぽく笑うが、その顔も俺の恐怖を誘う。

「後で、アタシのオンナノコも見せてあげるから、オアイコってことにしてね☆
 オトコノコに隅々まで見せるなんて、初めてなんだから」

む。むむむむむむ。

そこから、彼女の独白がはじまる…………

126名無しさん:2017/10/21(土) 09:04:28 ID:rBd7hXNw0
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あのね、ウチは元々は5人家族だったんだ。
お父さん、お母さん、お母さんの妹(叔母って言うのかな?)、アタシ、ナツキで5人。

でも、お母さんは身体が弱くて、ナツキが物心つく前に死んじゃったの。
叔母……あの女はお母さんに随分可愛がられてたから、そのときは随分と憔悴してたっけなぁ。

叔母はね。アイツはお母さんと随分年が離れていて、私と3歳ぐらいの差しか無かったんだ。
良い中学を卒業して(ウチから通えないから全寮制ね)、そのまま都会の高校に進学したらしいんだけど、
そこでドロップアウトしちゃってさ。お母さんが死んじゃった時にウチに転がり込んできて、そのまま居座ったの。

アイツ、大っ嫌いだったけど、子供のときの3歳差なんで絶対的じゃない。
ニートの癖に、ウチの中ではまるで暴君でね。外ではとても大人しかったらしいんだけど、眉唾。

外面は良くてね。スタイルも、出るところは出て、引っ込むところは引っ込むって感じ。
顔だって良かったみたいよ?コレは、ナツキの評だけど。
でも、精神的にはもう、子供からとうとう抜け出せなかったんだと思う。誰もが自分をちやほやしてくれないと、許せない人。
他人に何をしようと、許されると信じ込んでいる、哀れな人。


そんなこんなの時に、お父さんも死んじゃったの。アタシは、未だにあの女が殺したんだと思っているけど。
そこからよ、ウチが徹底的におかしくなったのは。

キミも体験したでしょ?ウチの古武術。アレって、お母さんの家のものだったの。
お母さんは、あんな粗大ゴミ(コレは私も同感)って忌み嫌っていたけど、叔母はそうではなかったのね。

粗大ゴミって……だってそうでしょ?
昔、刀とか槍とかで戦ってたときはワンチャンあったのかもしれないけど、今、戦争って鉄砲とかミサイルの時代よ?
刀の時代だって、基本的には勝てなかったっていうし……まぁ、当たり前よね。
それに、素手での喧嘩であんなのつかったら、どう足掻いても過剰防衛にしかならないじゃない。

あ、話がそれちゃったね。
あの女、このゴミを使って、ウチに君臨することにしたのよ。

アタシはまだ良かった。生まれたときから、キンタマついてなかったから。
悲惨だったのはナツキよ。中学は通信制だったから、ずっと家に居たんだけど、もう、毎日タマタマを苛められてた。
あっちでぴょんぴょん、こっちでうーうー。毎日が心配だったなぁ。アタシ達はもう、奴隷同然。
今思えば、お父さんの死亡通知を届けてなかったんだね。誰も、ウチに助けにくることなんて無かった。

ナツキもね、何度か反抗しようとしたこともあった。
でも、ね。キミも知っての通り、このゴミは対男性専用みたいなところがあるから……タマタマが無い彼女とタマタマが付いてるナツキじゃ、
全然勝負にならなかったよ。アタシは、いっつも怖くて震えてた。可笑しいよね、アタシは女だから、まだナツキよりも大丈夫なハズなのに。

さっき戦ったときの言葉も、あの女の受け売り。

『ナツキちゃん?タマタマ痛いの?そんなもの付けてるからですよ?私が潰してあげましょうか?』
『ウフフ、ナツキちゃん?タマタマってどんな感じに痛いのかしら?私に上手く説明できるまで、コレ、もみもみしてあげますからね?』
『男の子は金的があって大変ね。私にも、ハヅキちゃんにもそんなモノ無いのですよ?貴方もいらないんじゃないかしら?』

あの頃は、どうにかしてナツキのタマタマを切り落として、この地獄から解放してあげたかった。
可笑しいよね、あのコは被害者なのに。でも、そんなコトには気が回らなかったの。
今にして思えば、あの女はナツキを苛めることで、自分を受け入れなかった社会に仕返ししてるつもりだったんだと思う。
本当に、幼稚。

127名無しさん:2017/10/21(土) 09:05:06 ID:rBd7hXNw0
そして、4年前。ナツキが中学三年生の時。
未成年のくせに、さんざん酔っ払ったアイツが、ふらふらの知らないオトコを連れてきた。

これで、良くあるDV家族の出来上がりと思うでしょ?それが、違ったの。

アイツ、アタシとナツキを集めてから、なんの躊躇も無く、そのオトコのキンタマを潰した。笑いながら。
「ついてない」アタシでも、縮みあがるような苦しみようだった。「ついてる」ナツキは、どれだけ震え上がったか。

そして、ナツキの後ろに覆いかぶさって(あすなろ抱きって言うんですって)、あのコの耳元で囁いたの。

『ナツキちゃん?私は優しいでしょう?その気になれば、ナツキちゃんをああすることも簡単なんですよ』
『ほら、あの愉快な姿。タマタマついてるナツキちゃんは、明日は我が身と思っていなさいね?タマタマが無い私には、完全に他人事ですけど』
『つかまえちゃった、ナツキちゃんのタマタマ。こら、そんなに嫌がらないの。あの人は、もう、一生その感覚を味わえないんですよ』
『男の方って、皆、この出来損ないの部分を持ってるのに、なんであんなに偉そうなのかしら……ナツキちゃんはそんなことないですよね?』
『ほら、何をしてるの?手を後ろに回して、私の股間を弄りなさい。女の股間に、タマタマあるか探してみて?』
『ウフフ、ナツキちゃん苦しそう。タマタマそんなに痛いのですか?私のタマタマを握って仕返ししてみたら?なんて、女にはタマタマないんですよ』
『ナツキちゃんは苦しそうですけど、私はとってもキモチイイんです。タマタマが無いから、やり返される心配も無くて安心です』
『タマの痛みなんて絶対に味わうことはないんです。羨ましいですか?でも、駄ー目。ナツキちゃんはタマタマつけて生まれちゃったんだから』
『ナツキちゃんのタマタマは、私のものなんです。私が潰さないでいてあげてるから、まだ、ナツキちゃんはぶらさげていられるだけ……』
『ほら、ハヅキちゃん。私のブラを外して、貴方が自分を慰めるときみたいに揉みしだいて?ナツキちゃんはもっと、私の、金的が無いアソコを弄り回して』
『死ぬほど男を実感しているあの方の前で、私に死ぬほど女を感じさせて』

あれ、性癖だったのかしら。
可哀想な男の人は、翌日には居なくなってた。きっと、裏の焼却場であの女が焼いたんだと思う。
物取りでもない、単なる行きずりの犯行ってことで迷宮入りしたんじゃないかな。
警察に駆け込めば良かったんだけど、あの頃はこの家が全てで、それにすら気付けなかったの。

もう、滅茶苦茶だった。このままだと、本当にナツキが駄目にされてしまうと思った。
アタシは通信制の高校を辞めて、浮いたお金と、隠してあったなけなしの遺産で、ナツキを都会の高校に送り出した。あのコ、頭が悪かったから苦労したけれど。

もし、アタシが殺されても、あのコが幸せなら、それでいいと思ってた。

その後、ナツキが戻ってくるまでは、たいしたことは無かったわ。
あの女、一年に一度ぐらい、どこかから男を連れてきては、私に接待させた。
男のアソコに詳しくなったのも、それから。自分の身を守るために、このゴミを身につけたのも。

アイツ、連れてきた男を気まぐれに潰したり、寝たり、やりたい放題やっていたけれど、
自分の気分次第で、あの人たちの運命を変えられるという事実に酔っていたみたい。最低。
それでも良かったの。あのコが、この家から離れた、それだけで。



でも。

先月、あのコは帰ってきてしまった。
新しい武術を身につけて、アタシを解放するんだって。

128名無しさん:2017/10/21(土) 09:05:50 ID:rBd7hXNw0
叔母と、ナツキはさっきの道場で一騎打ちをしたの。
あの女の中では、ナツキは中学のときのまま。対して、ナツキはあの女を叩きのめすことだけを考えて、修練を積んでいたのね。

一方的だったわ。丁度、さっきのキミとアタシの逆ね。
キミも気付いていたでしょ?最初の奇襲で、キミの金的に一撃いれてなかったら、きっと負けたのはアタシ。
正面きって。奇襲が通じない時点で、あの女に勝ち目は無かった。


ナツキは、あのコは優しすぎた。
あの女を平伏させたあと、この家から出て行くことを約束させて、手切れ金まで渡そうとしていた。

――あぁ!!あの女がボコボコにされたときに、アタシが止めをさしておけばよかった!!!!!





それから数日後の晩。あの女が、ナツキの前に現れた。全裸で。
ナツキが言うには、一瞬、頭が真っ白になったって。ただ、その一瞬であの女には十分だった。

結果として、ナツキは金的を入れられ、さっきのキミとアタシの焼き直しのようなことになってしまった。

『ナツキちゃん?叔母さんは、とても悲しいです』
『あんなに面倒をみて、色々と教育してあげたのに、男の方が優れていると誤解してしまったのですね』
『もしかして、常に金的を防御できると思っていたのですか?そんなことは不可能なんです』
『金的をぶらさげている限り、何時何処でどんな不意打ちを受けるか、全て予測できると思っていたのですか?』
『金的の警戒をしなくても済むのは、元から無いオンナの特権なんです。貴方は、もとから「あります」よね?』
『その踊り、オトコノコって感じで、とってもセクシーで、滑稽。オンナは絶対しない踊りです』
『さ、私の身体を見てください。ウフフ、スタイルには自身があるんです。金的を心配する必要が無い、綺麗な身体でしょう?』
『貴方のために、陰毛まで処理したんですよ?ほら、私の股間、きれいな一本線しかないでしょう?貴方の股間の、その薄汚い袋はなんですか?』
『蹲っていますけれど、貴方のタマタマよりも、私の心の方がもっと痛いんですよ』
『それに、その痛みを感じられるのは最後なんですよ?オトコをもうちょっと堪能したら如何ですか?』
『それじゃ、4年前の授業の続きです。もう、優しくはしませんよ』
『ナツキちゃんのタマタマ、没収させていただきます。いいですよね?私のなので』
『ほら、見えますか?これが、これから貴方の『オトコノコ』を没収する女の股間ですよ。貴方が復讐することは不可能なんです』
『貴方の器にふさわしい、ちっちゃなタマタマ。こんなに小さいなら、無くなっても違和感が無いかもしれませんね』
『苦しんで、苦しんで、反省してくださいね。私を見下したこと、そして男に生まれただけで偉そうだったことも』
『ウフフ、来世はメスのロバですね。えいっ』


アタシが二人を見つけたのは、この時。
頭が真っ白になった。似た者姉弟ね。でも、この時、私はアイツに踊りかかってた。
恍惚の表情になっていたアイツの背中に馬乗りになって、胴着の帯で首を締め上げていた。

アイツは、もがきながら、アタシの股間に手を差し入れてきたけど……アタシにはタマ無いからさ。
結局、アイツは死ぬまでアタシの股間を弄ってた。それも、どうしようも無く哀れだったけど、自業自得ね。



―――応急処置はしたんだ。でも、ナツキは、もうタマ無しになってたよ。
もう、前みたいな元気は無いんだ。時々、ポツリポツリと話してはくれるけど……

129名無しさん:2017/10/21(土) 09:06:25 ID:rBd7hXNw0
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―――そんな。
――――――そんな、馬鹿な。

「皆伝なんで嘘っぱち。でも、あのコは、アタシを解放することには成功した。
 アタシは、駄目ね。あのコを守ることが出来なかった」

目を伏せ、ハヅキさんは続ける。

「アイツを殺したとき、警察に自首することも考えた。それでも、アタシが牢屋に入ったら、誰がナツキの面倒を見てくれるのかを考えると、それも出来なかった。
 だけれども、きっとコレも、我が身可愛さで理屈を捻り出しただけかもしれない。そんな時に、キミに会ったの」

ハヅキさんの言葉は続く。

「キミに会ったあの温泉ね、お父さんとお母さんの馴れ初めの場所でもあるんだ。
 だから、キミに会ったとき、キミがナツキを探しにきてくれたと言ったとき、運命的なものを感じた。
 アハハ、柄じゃないんだけどね。それで、キミに賭けてみることにしたんだ、勝手にね」

また、彼女の存在が薄くなっていく気がする。

「虫唾がはしるけれど、アタシにもあの女と同じ血が流れてる。アタシの中には、アイツが居る。
 もし、同じような状況になって、アタシも自分に歯止めが掛けられないと分かったら……ナツキと一緒に死ぬつもりだった」

「それでも、貴女は、踏みとどまった」
「ギリギリよ。一歩でも間違ってたら、キミもタマ無しになってた……血は、争えないのかな」
「俺は、まだ、男です。そして、それが全てだ」
「優しいんだね。でも、アタシは、自分が許せない。だから―――

聞いていられない。動かない身体を引き起こし、彼女の口を、俺の口で塞ぐ。
うおー、ちょっと思い切る方向が違うくね?でも、だってさ。

彼女は、指で俺の袋をつつく。電撃的な痛みが走り、思わず口を離す。

「もう、口説くなら、女を抱けるぐらい回復してからにしなさい。
 ―――それじゃ、歩けるようになったら、ナツキのところに案内するね」

「貴女は―――?」
「アタシは、自首しようと思うの。……今はキミが居る。キミになら、任せられる。少ないけれど、財産だってあるよ」
「だ・か・ら!!ふざけるな!!!!」

彼女を押し倒す。
俺がのしかかり、彼女が見上げるような格好。

「もし、嫌なら、今、蹴り潰してもいいんですよ」
「キミは……潰されたオトコの凄惨さを知らないんだよ」
「一生知りたくないです」

数呼吸の間、見つめあう。

「ハヅキさん、貴女はが自首しようとしているのは、自分が怖いからですね?」
「……嫌なところで鋭いコね」
「貴女は、耐えた。俺が五体満足なのが、その証拠です」
「ギリギリだったって言ったでしょ?」
「それでも、です」

視線が、絡む。

「決めました。ナツキのことも心配ですし、俺、ココに住みます。
 ただ、一つ条件があります。貴女も、ココで一緒に暮らすこと」
「えぇ!?何を勝手に―――
「先程の口ぶりだと、俺がココに住み着くことを、貴女は望んでいたんでしょう?
 ナツキが心配だから。それについては、俺も同感です。ですが……
 ナツキのことも心配ですけど、なによりも貴女のことが心配だ」
「……酷い女よ、アタシは」
「もし、我慢が出来なくなったら、俺と立ち会ってください。
 俺は、何回でも貴女を叩き伏せてみせます。そうすれば、貴女が自分を信じられないなら、俺を信じてください」
「さっきまでタマタマ押さえて唸ってたのに?」
「と・に・か・く」

再度、彼女に口付ける。今回は、邪魔は入らなかった。

130名無しさん:2017/10/21(土) 09:07:29 ID:rBd7hXNw0
夜の帳と闇の演台。
行く先は見えない、それでも。この月明かりの下をあるけば、きっと何処かに辿りつける。
無責任極まりないことは自覚している。それでも、そう、信じることにした。

131名無しさん:2017/10/21(土) 09:09:53 ID:rBd7hXNw0
以上です。
思いつくままに書くと、締めに苦労しますね。

もっと明るく馬鹿なノリのSSが読みたい……
女性の口調が丁寧だとモアベター、みたいな感じです。

132名無しさん:2017/10/21(土) 18:36:46 ID:Psl8WRmM0
GJ!文章力も高いし、自分の好みにドンピシャです!冷静に男の急所を狙う女、最高ですね。潰れちゃうのも容赦がなくていいです。あなたの書くバトルものがまた見たいです!

133名無しさん:2017/10/21(土) 20:15:50 ID:W7MRm2AQ0
最高でした
ツボを押さえた台詞、性差表現、しかも純粋に話も面白くて非の打ちどころがない
特に「急所が付いてるせいで男が女に逆らえない」というおいしい状況が物語の中で説得力をもって展開されてるのが凄く良かった
これだけの質と量を両立した作品を連続で書いてくれるとは本当にありがたい事この上ないです

134名無しさん:2017/10/22(日) 03:31:54 ID:aM0kk9eM0
すごい作者が現れたな
二人の結末が気になる

135名無しさん:2017/10/22(日) 08:24:10 ID:nN7WJN260
乙です
もう最高でした(語彙力不足)

136名無しさん:2017/11/05(日) 05:34:25 ID:QAaNXXxY0
<一日目、深夜>
Zzzzz……

「タカダ様、タカダ様、そろそろ到着します」

―――うぅん。

擦れた声を出しながら、一つ大きく伸びをする。
ガタンゴトンと車は揺れ、その揺れがまた俺の眠気を誘う。

「そろそろ起きてください」

うううぅうう。
寝ぼけ眼を擦りながら、どこにいるかを確認する。
窓ガラスはスモーク加工されており、肉眼で外の様子を伺うことは出来ない。
ケータイは没収されており、機械を持って現在地を知ることもできない。

俺の名前はタカダ リョウスケ。
職業は夢追人……実際のところは単なるフリーターだ。
今回、俺は仲間内で噂のバイト……所謂絵画モデルに紹介され、現場へと向かっているところだ。

人里離れた山奥で、芸術家志望の令嬢が絵画モデルを探している。
実働数時間で、信じられない額の報酬がもらえる。但し、そこで知ったことは他言無用。
条件は、ただ一つ。健康な男性であること。

いや、俺にうってつけだ。頭は悪いし、カネも無いけれど、身体の頑丈さだけには自信があります!

はじまりは一ヶ月前。
手持ちの金が底を尽き、病院の治験バイト(高額報酬で有名だ)に応募しようとしたら倍率が目の玉が飛び出るほど高く。
折り悪く、日払いのバイトの口も残っておらず、これでは来月を迎えられない……
一縷の望みにかけてパチンコで手持ちを増やそうとしていたところで、数年振りに再会した先輩。
不思議と羽振りのいい彼に、ワリのいいバイトの情報を請い願っているときにふと漏らした『噂のバイト』の真相。

『いや、悪くなかったぜ?バイト代もいいし、スタッフは可愛いし』
 顎の傷(先月、タイで喧嘩に巻き込まれたらしい)を摩りながら、先輩は語る。
『ま、ヌードモデルとかもやるから、人を選ぶんだろうが……俺なら、治験でモルモットになるより、コッチを選ぶね」
 ―――何か、大変なこととかは?
『ルールが凄ぇ厳しかったような記憶があるけど、普通にしている分には大したことなかったぞ?
 あ。一週間近く、世間と没交渉になっちまうが、どうせオマエは暇だろ?プー太郎だし』
 うるせぇよ!

聞けば、あの人は去年に一度経験をしていて、連絡先も知っているとのこと。
持つべきものは人生経験豊富な友人だ。年がら年中、ふらふらしている浮浪者だと思ってたことを謝罪。

噂は事実で、治験並みの給料が貰えると聞かされ、頭を下げて下げて頼み込んだのだ。
先輩も最初は渋っていたものの赤貧に喘ぐ俺を見かねたのか、いつものようにフラりと居なくなる前に、
俺とバイト先とを取り持ってくれた。

137名無しさん:2017/11/05(日) 05:34:55 ID:QAaNXXxY0
------------------------------

「あちらが、お嬢様のアトリエとなります」

運転しているのは、若い女性。
連絡から丁度一ヶ月後の先日。彼女から、数枚の切符が届いた。
指示された経路は、ちょっとした小旅行のよう。日が暮れるころについた無人駅に、一台のリムジン。
リムジンだぜ、リムジン。金はあるところにはあるもんだよな。

そして、高級そうなパンツスーツに身を包んだ、こんな田舎駅にはいっそ場違いな女。
涼しげな目元、スレンダーな体型、手入れの行き届いた髪やら小物やら。
首から提げたIDと相まって、都会のオフィス街からテレポートしてきたような彼女は、アトリエからの使いと名乗った。

そこから、リムジンの後部座席で揺られること数時間。
運転席との間、それに全ての窓はスモークガラスで覆われていて、時間も場所も分からない。
曰く、雇い主は自分のことを知られるのをとても嫌がるらしい。

なので、バイト中は通信機器類は全て没収(特に、GPSとカメラ類がダメなんだそうだ)、外出は遭難に繋がりかねないのでNG、
他にも細々とした注意事項(細かいことは現地で聞けとか)はあったが、気にすることもないだろう。

重々しい音をたてて、リムジンのドアが開く。
降車した俺を待ち構えていたのは、また威圧感に満ち溢れた塀と門。
鉄条網が、まるで鉄の茨のように絡みついていて、どこか幻想的な、眠り姫でもいるような雰囲気を醸し出す。

「こちらは、過去の廃病院を買い取らせていただいたものです。訳有って、内部から外部へは隔絶されています」

あー、皆まで言わなくてもいいって。そういう病院ね。
でも、何で態々こんな所に居を構えるのか……芸術家って連中の考えることは分からんねぇ。

彼女が首からさげたカードを翳すと、門は軋りながら開いていく。
その先には、狭いながらも庭園のような作りになっており、その先にコンクリートで覆われた四角い箱が目に入る。
女が言うには、あれが『アトリエ』らしい。

連れ立っての到着。この建物も、彼女のIDカードで解錠。
半円の形をした玄関ロビーに、今は使われていないだろう受付カウンター。
そして、ロビーの正面には、無数の小さな額縁が飾られていた。



―――怖い。怖い怖い。怖い。




得体の知れない恐怖が、俺のケツから背筋を舐め上げる。

あれは、何だ?なんの変哲も無い額縁に、抽象的な幾何学模様が描かれているだけ。
それなのに、それぞれの絵の幾つかが、抗いようの無い、本能的な恐怖を煽る。

「あれは、お嬢様の作品です」

と、俺の心を呼んだかのように、彼女が話しかけてくる。
どうやら、あの絵は彼女に対して何の効果も齎さないらしい……ま、慣れているだろうからな。

「詳しい絵の説明は、本人から聞いてください。きっと喜びます」

使いの女はそれだけ語ると、先頭にたって歩き出す。
玄関ホールを抜けると、不吉な予感は霧消する……なんだったんだ、アレは。

138名無しさん:2017/11/05(日) 05:35:32 ID:QAaNXXxY0
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そのまま少し進むと、談話室に着く。乱雑に詰まれたクロッキー帳と、革張りのソファ。重厚な木材のテーブルと食器棚。
こういうコトには疎い俺でも、豪奢な調度品だということは見て取れる。本当に、金はあるとことにはあるのな。

部屋の中には、女性が一人、コーヒーを啜っていた。

「お嬢様、新しいモデルの方をお連れしました。
 ―――タカダ様、こちらの方が、貴方の今回の雇い主となる方「ヒトミだよ、宜しく」……ヒトミお嬢様となります」

ショートカットの少女。コイツが『お嬢様』か。
年の頃は18〜20ぐらいか?かなりのスタイルの持ち主だが、身体にそぐわない童顔で、年齢を推し量りにくい。
オーバーオールの上に白衣を羽織り、その上には、年季の入った複数の染み。
頭にはベレー帽(室内なのに!)、顔にはセルフレームのメガネをかけていて―――正直、幼い容姿も相まって何かのコスプレにしか見えない。
先程の作品を見て抱いていた、芸術家のイメージが音を立てて崩れていく……。

「あ、なんかボクに対して失礼なこと考えてないかい?」

その上、一人称が『ボク』と来た。うーん、作品と作者はここまで乖離するものなのかね……

「此方の方が、タカダ リョウスケ様。以前、モデルをしていただいた、ハヤカワ様からのご紹介になります」

「あー、ハヤカワ様って、この人でしょ?」

お嬢様が持ってきたのはクロッキー帳。その中には、ハヤカワ―――紹介してくれた先輩の名前だ―――の精緻な肖像画があった。
見慣れた傷跡……そう、その人の紹介で間違いない。

「再度となりますが、改めて御説明をさせていただきます。
 業務内容は、ヒトミお嬢様のデッサンのモデルと、作品制作の補助。期間は5日間で、途中退出は許可できません。
 
 また、私物の持込みも、ご遠慮頂いております。特に、GPS機能を持つものや、カメラなどを持ち込んだ場合は、
 契約に基づき懲戒の対象となりますのでご注意ください」

この説明は、最初にもされたな。

「また、現在この屋敷には私とお嬢様しかおりませんので、猥雑な行動はくれぐれもお控えください」
「大丈夫だよー。ボク、これでも護身術は一通り身に付けてるんだから。
 リョウちゃんも、ボクが魅力的だからって、エッチなことしようとしたらブッ飛ばしちゃうからね♪」

何かを蹴り上げるような素振りをしながら、ヒトミが口を挟む。
いや、それでも無用心に過ぎるだろ……アンタ結構可愛いんだからさ。

「最後の注意点ですが、ココで行ったこと、ココでのアルバイトについては、くれぐれも他言無用でお願いいたします。
 
 お帰りの際に連絡先をお渡ししますので、再度応募したくなった場合は、『御自身』で連絡をお願いしますね。
 その他、この屋敷の詳細については、ヒトミお嬢様にご確認ください」

それだけ伝えると、彼女は踵を返して、奥の扉に消えていく。
残されたのは、俺と『お嬢様』の二人だけ。

「それじゃ、改めて宜しくね、リョウちゃん。ボクのことは、ヒトミって呼んでね」

「気安いな、アンタ「ヒトミ!」……ま、こちらこそ宜しく頼むわ」

握手を交わす。
彼女の手は小さく、ヒンヤリとした女性の手だった。

139名無しさん:2017/11/05(日) 05:36:06 ID:QAaNXXxY0
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<二日目、昼前>

Zzzzz……

「リョウちゃん、リョウちゃん、そろそろ起きてよ」

―――うぅん。

擦れた声を出しながら、一つ大きく伸びをする。
ユサユサと身体が揺すられ、その揺れがまた俺の眠気を誘う。

「そろそろ起きてってば!」

うううぅうう。
寝ぼけ眼を擦りながら、どこにいるかを確認する。

そうだ、俺はバイト中なんだっけ。
今居るのは、金持ちのボンボンの典型例(女性だが)のお嬢ちゃん自慢の、山奥のアトリエ。
ここは病室を改装した客間(縁起が悪いにも程がある)で、俺を揺すってるのは当の『お嬢ちゃん』である雇い主「ヒトミだってば!」

「あ、やっと起きた……もう朝御飯できてるよ!」

うぅぅ、なんか、一昔前のゲームみたいな展開だな。
欠伸をかみ殺しながら考える。


談話室で朝食。
朝はクロワッサンとソーセージ、ゆで卵「ボイルドエッグ!!」とポテトサラダ。食後のコーヒーまでついてくる。
いや、朝食なんて何年ぶりか。何時も、夕方近くまで寝てるからなぁ……いや、美味い。美味いよ、コレ。

ヒトミは欠食児童のようにがっつく俺をニコニコしながらスケッチしている。
こんな姿を描いて、一体なにが楽しいんだか。

「いや、キミが『楽しい』ときの印象を描いているんだよ」

『楽しい』、か。いや、確かに、こんな人間らしい食事は久しぶりだし、楽しいっちゃ楽しいけどな。

「人間らしい食事って……呆れた。どんな不健康な生活してるんだい?」

いやいや、オトコの生活なんて大体こんなもんだって。

「キミの自堕落な生活態度を、男性全般に広げるのは感心出来ないよ……」

他愛ない会話を交わしながら、食事をたいらげる。
うーん、ヒゲが伸びてきたなぁ。あとで洗面所の場所を聞いておこう。と、ヒトミがキラキラした目で此方を見つめているのに気付く。
何だ?惚れたか?

「惚れはしないけど……ね?ね?そのオヒゲ、触ってみてもいい?ね、お願い」

返事を待たずに、彼女は俺の頬から顎にかけてを撫で回す。

「うわー、ジョリジョリしてるよぉ。何か、男の人って感じする」

こんなモンがそんなに珍しいかね……まぁ、普段は女しか居ないみたいだしな。
て、もしかして、髭剃りとか無かったり?

「いや、そこら辺はお風呂場にあるから。とりあえず、身奇麗にしてきてよ。
 それが終わったら、早速お仕事お願いするからさ」

りょーかい。

140名無しさん:2017/11/05(日) 05:36:44 ID:QAaNXXxY0
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朝食を終え、大浴場に向かう。
デッサンの前に身嗜みを整えろという話で、確かに一理ある。

湯船も既に用意されているとのことで、あまりの至れり尽せりっぷりに、こちらが恐縮してしまう。
鼻歌の一つも歌いながら、浴場のドアを開くと―――

「お待ちしておりました」

え?

そこには、エプロン姿の一人の女性。案内人の彼女が待ち構えていた。きゃっ。

「……気色悪いので、そのポーズは止めていただけますか?
 初心者の方では無駄毛の処理が上手くいかないので、私にて代行させて頂いているのです」

うん、成程。うん?

「それでは、タカダ様。こちらに来て、仁王立ちになってください」

うん?うん?

逆に、彼女は手馴れた様子。素早くボディソープを泡立てると、俺の身体を撫で回すかのように洗っていく。
首筋から背中、腕、ケツ、足……ちょっと、前は、前が自分で出来ますから!!
これ以上やると、俺だってアンタを丸洗いしますよ!!

「お構いなく、私は既に身支度が終わっていますので。それでは、四つん這いになっていただけますか?

俺の抗議も馬耳東風。有無を言わせず犬のような体勢にさせると、エプロンのポケットから、よく切れそうな刃物を取り出した。
―――マジかよ?!

慌てて逃げ出そうとした瞬間、彼女の手が伸びて、俺のタマ袋を握る。それだけで、俺は身動きが取れなくなる。

「危ないですので、じっとしていて下さいね?特に男性は。
 少しでも手元が狂うと、大変なことになってしまうので……女には分からないデリケートなところですから」

耳元で囁かれ、俺の動きは封じられる。

彼女は満足そうに微笑むと、剃刀で俺のチン毛からケツ毛までを丁寧に剃り落としていく。
抗議の声を上げようとしても、身じろぎしようとしても、俺の行動は全て彼女が握ったタマによって阻害されてしまう。

「動かないでといいましたよね?私やお嬢様が相手なら、少しぐらい手が滑っても、最悪切り傷ぐらいで済みますが……
 男性の場合、もし間違って傷つけたら、取り返しがつかなくなるかもしれないんですよ?

 分からないなら……ペニスは一つしかないし……そうだ!丁度、睾丸なら二つありますし、一つで実演してあげましょうか?」

冷たい剃刀の先で、俺のタマをつつかれると、心の底から震え上がってしまう。

「ウフフ、睾丸が縮みあがってしまいましたね。安心してください、冗談ですよ?
 でも、これ以上暴れると、冗談ではなくなってしまうかも」

彼女は悪戯っぽく笑うが、こちらとしては生きた心地がしない。
そのまま冷たい剃刀で俺のタマ袋の毛を剃っていくのを、祈るような、縋るような眼差しで見守る。

「はい、おしまい。次は、脇と胸板の毛を剃りますからね」

俺は既に虚脱状態。委細構わず、彼女は俺の体中の毛を剃っていく……気がついたときには、俺は完全にツルツルの赤ちゃん肌になっていた。
恨めしい視線を彼女に送ると、さすがにバツが悪そうな表情をすると思いきや、笑いを堪えているようだ。

「ゴメンなさいね…フフッ。ツルツルの子供おちんちんで凄まれても、ちょっと……」

何言ってやがるか!テメェが――――う!
彼女に詰め寄った瞬間、死角から、再度タマ袋をつかまれ、思わず腰を引く。

「もう、男でしょう?そんなに細かいことで怒らないでください。間違って、コレを落としてしまったワケでも無し。
 逆に感謝して欲しいくらいです。私の腕が悪かったら、貴方のこの『宝物』、取れちゃってたかもしれないんですよ?」

裸の急所を握られて、屈辱感と気恥ずかしさが膨らむ。相手は、普通に服をきているから尚更だ。

「それじゃ、アトリエに向かいましょうか。あ、そのままの格好で結構ですよ」

141名無しさん:2017/11/05(日) 05:37:14 ID:QAaNXXxY0
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アトリエ。ヒトミがスケッチブックをイーゼルに載せ、一人鉛筆を何本も研いでいた。
俺たちの気配を感じたのか、こちらを見やると、彼女もまた笑いを堪える。

「お、リョウちゃん。クールさに似合わない、可愛いおちんちんになったね……ブフッ」

ふざけんなよ!と怒鳴ろうとした俺の機先を制するかのように、ヒトミは続ける。

「おっと、そのまま。キミの『怒った』ときの印象、頂くね?ちょっとボクの前に来て、その剣幕のまま止まっていてくれるかい?」

何だコイツ……と考えている俺は眼中に無く、ヒトミは一心不乱にスケッチブックに何かを殴り描きしはじめる。
あまりといえばあまりな行動に、思わず俺の身体から毒気が抜ける。

「おおっと、残念。キミの身体から、怒りが抜けちゃったよ……軽い素描は出来たけれど。
 ちょっと、細部を詰めるから、その表情と体勢のまま、一時間ほど止まっていてね?」

はいはい、分かりましたよ。つまり、もう仕事ははじまってるってことなのな。
問いかけに答える声は無く、暫く響くは鉛筆の走る音と衣擦れの音。彼女の視線は忙しなく俺とスケッチブックを行き来し、
俺は間抜けな怒り面を晒し続ける……動かないというのは結構辛い。

「―――よし!とりあえず、ラフは完成、と。
 で、どうしたんだい?なにか、すごいオコだったみたいだけど?」

オコ……?あぁ、怒か。
いや、そりゃ怒だよ。このねーちゃん、問答無用で俺の全身脱毛しやがったんだぜ?
あろうことか、その。なんだ。あー。

「あ、分かった。タマタマも痛い痛いされちゃったんだね?メイちゃん、聞き分けの無い子はそうやって躾けるんだって言ってた。
 ゴメンねー、ボク達にはそれ付いてないからさ、丁度いい加減っていうのが想像できなくて」

メイちゃん「メイドのメイちゃんって覚えてよ」?この時代にメイドってか?

「うん、まぁ、実際はボクの助手なんだけど……メイドっていった方が、オトコノコ受けっていいんじゃないかなって」

いや、それはどうでもいい……というか、ヒトミ、アンタも近いな!!

「それじゃ、よく見せてよ、キミのタマタマ。

 ……何時見ても、不思議。ズボン履くときに邪魔になったりしないの?締め付けられて痛かったりとか。ほら、すっごく弱いところみたいだし。
 ボクにもメイちゃんにも付いてないし、無くて困ったことも無いからさ。謎に満ちた部分なんだ、オトコノコの証拠って。
 おー、キミのは結構大きい方なんじゃない?分かんないけど。それとも腫れちゃった?ほら、ツンツン」

息のかかる距離に顔を寄せ、ヒトミは無遠慮に俺のタマをつつく。
う。触んな、この変態娘。

「変態って……折角心配してあげてるのに。そんなコは、こうだ!」

パチン、と。
かるく指で弾かれ、思わず蹲る。痛みの分かる男なら、絶対にしない行動だ。

「いや、ボクには分からないから。……今のでもそんなに痛いんだね。軽く弾いただけなのに」

「お嬢様、男性の睾丸はとてもデリケートなんですから、手荒く扱ってはいけませんよ?
 先程のお嬢様のお言葉の通り、私達には加減が分からないのですから……何時の間にか使えなくしてしまうかもしれません」

ゾッとする声が背後から響く。
振り返ると、そこにはメイと呼ばれた女。いや、それはいい。
一糸纏わぬ姿。先程の衣擦れの音は、コイツが脱衣をする音も含まれていたのか―――じゃなくて!

「あ、お毛毛を剃ってもらったのは、キミだけじゃないよ。
 モデルになってもらう人には、皆、剃ってもらっているんだ。描くのに邪魔だから。

 丁度いいし、メイちゃんのお股を良く見せてもらったら?お風呂場での仕返しで、オンナノコをじっくり観察しちゃえ♪」

「お嬢様?あまりお戯れが過ぎるようであれば……」

「おおっとぉ?リョウちゃん、見ときなよ。ボクにはタマが無いから、お仕置きされても―――んぐっ」

142名無しさん:2017/11/05(日) 05:37:49 ID:QAaNXXxY0


ゴスッ

鈍い音とともに、メイの拳が、ヒトミの脳天にめり込む。
拳はそのまま振り下ろされ続け、ヒトミの身体は前のめりに床に沈む。躊躇も加減も無い一撃。
うわぁ、あれは痛そうだ…

「キンタマは無くとも……失礼、代わりにアタマをぶん殴らせていただきました。反省出来ましたか?」

「うぅぅううぅぅぅ……これ以上バカになったらどうしてくれんのさ……」

「ご安心ください。既にお嬢様の知能は下限です。もしかしたら、オーバーフローしてマトモになるかも」

ヒトミは涙目で頭を抑えている、と、此方を拝むような目で見上げ、早口で不平をぶち撒ける。
鬼気迫る様子で、絵を描いていたときとはまるで別人。


「リョウちゃん、見た?あの暴力女!ボクが雇い主なのに、全力でぶん殴ってきたよ?!どう思う?
 可笑しくない?可笑しくなくなくなくなくない?女の子に手を上げるなんて最低じゃない?どう思う?どう思う?」

いや、今のはアンタが悪いだろ「リョウちゃんまで!ヒドイ!」……というか、絵描いてるときと、まるで別人だな、アンタ。

「タカダ様、ご理解有難うございます……ヒトミお嬢様も、いい加減にしないともう一発いきますからね?
 ……念の為に言っておきますが、タカダ様もお戯れが過ぎるようなら、同じ目にあいますからね?場所は違いますが……」

冷たい目で俺の股間を見詰めながらの言葉に、思わずタマが縮みあがる。コワイ!!

知らず、俺とヒトミは互いに抱き合ってガタガタと震える。
若い女が睨めつける中、抱きあって震えるハダカの男と女……絵面にすると、どうしようもないな。

「ねー。なんだか、ボク達、不倫ばれしたカップルみたいだよねー。
 メイちゃんは、気性の激しさから旦那に見捨てられた古女房役ね。うわー、コワいくらいにピッt『ズドン』……なんでもないです」

メイが床を踏みならすと、空気が震える。
いや、今のは俺関係ないっスよね?そんな、ゴミを見るような目で見詰めないで欲しいっス……

「うぅ、メイちゃんがこれ以上ぷんぷん丸「センスが古いな」ほっといてよ!、になる前に、早速はじめちゃおっか?
 それじゃ、メイちゃんはそこで囚われた姫のポーズ。リョウちゃんは、ここをこうして―――

ヒトミの指示に従い、俺たちは生きたデッサン人形になっていく。
メイは、流石のプロ。一度、役に入ると身じろぎもしない。ヒトミの指示とは言え。俺は彼女の腰や肩に手を回すたびにドギマギしているのに。

「次は……あ、リョウちゃん!さっきとおちんちんの形が変わってるよ?仕事中くらいは我慢できないの?!」

無茶を言うなよ……今、俺はメイの股間に頭を押し付けるように縋り付くポーズなんだぜ。
ヒトミはご立腹のようだが、生理的なものは仕方ありませーん。

「そんなのボクには分かりませ-ん。早く小さくしないと、お仕置きだからね?!」

彼女は俺の傍らに来て、ムスコを弄繰り回す。
ヒトミなりに、なんとか小さくしようと考えているみたいだが、そもそも『無い』彼女の行為は逆効果だ。

「むむ、ちょっと、コレどうやったら小さくなるの?」

ムスコを摩り、タマを撫で……お、お、ちょっと、やめ、ヤバイって!

警告の声を上げる暇も無く、俺の暴れん棒から射出された精液が、彼女の顔を汚す。
エロいな……じゃなくて、ゴメン!ゴメンなさい!申し訳有りません!!

恐る恐る彼女の顔を伺うも、笑顔。
ただ、ケツの穴がキュッとなるような種類の笑顔だ……理不尽じゃない?

「リョウちゃーん…………サイッテー」

次の瞬間、俺の股間で恒星が爆発したかのような衝撃が走り、激痛が閃光となって視界と意識を洗い流した―――

『ちょっと、ヒトミ?!まだ―――
『うわ、リョウちゃん大丈夫?!やりすぎち―――

一光年先の世界で、彼女達の声が朧に響いていた、気がする。

143名無しさん:2017/11/05(日) 05:38:39 ID:QAaNXXxY0
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<三日目、早朝>

鳥の声と共に、目を覚ます。

昨日、目が覚めたのは夕刻。顔を床で摩り下ろすように頭を下げるヒトミを見ていると、怒りも萎える。
仕事の続きは難しいということで、そのまま夕食。手持ち無沙汰もあり、通常では考えられない時間に床についた結果がコレ。

気持ちのいい朝だ……我ながら、あっという間に健康的な生活に順応しちまったな。
自分の単純さに半ば呆れながらも、風呂場に向かう。

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「あら、お早う御座います、タカダ様。本日はお早いですね」

そこに居たのはメイ。ほぼ昨日と同じ状況だが、違うのは、今日は彼女も生まれたままの姿というところか。
って、うわっスンマセン!!直ぐ出て行きますんで!!

「いえ、お気遣いなく。私の身体なんて、昨日さんざんご覧になられたでしょう?
 それよりも、一緒に身支度を整えたほうが効率的です」

彼女の手には昨日と異なり安全剃刀。曰く、一度剃った後は、コレの方が楽とのこと。
どうやら、それで自身の体毛を処理していたらしい。

「私も、見えないところの体毛を処理するのは難儀しますので……お互いに剃りあうことにしませんか?」

えぇぇ…まぁ、いいですけど。
大量の湯気と湿気に当てられたのか、高い温度に血迷ったのか。俺の口は思わぬ言葉を紡いでしまう。

「それでは、まずはタカダ様の方から処理しますね?
 今回は、陰嚢を躾けずとも、大人しくしていただけるとよいのですが」

はいはい、もう二度とゴメンです。
彼女の言葉に逆らわず四つん這いになると、またタマ袋を握りこまれる。ちょっと!話が違いませんか?!

「いえ、陰嚢の毛を剃るなら、この方が安全なので。痛かったら教えてくださいね?
 男の方のタマは、時々、よく分からない傷み方をするみたいで……変に我慢すると、潰しちゃうかもしれませんよ?」

待って。待ってください。

「ウフフ、冗談です。それでは、処理をしていきますね」

ヒンヤリとした女性の手と、ヒヤリとさせる剃刀の刃。
彼女は手馴れた様子で、昨日と同じように俺の体毛を剃っていく。俺は、昨日と同じように古今東西の神に、俺のオトコの無事を請い願う。

「さて、と。それでは、次は私が四つん這いになりますので、背中とお尻から前にかけての処理をお願いします」

俺の処置が終わるや否や、メイは手を床に着き、腰を大きく持ち上げる。
彼女の女性自身が眼前に迫り、思わず凝視してしまうが、誰が俺を責められよう。

毎日処理してるであろう彼女のソレはほぼ無毛で、綺麗なソコは自身が女性であることを全力で主張しているかのようで。
やわやわと肉を掻き分け、彼女の体毛を捜すたびに、色っぽい声がその口から零れる。

お、黒子みっけ。あ、ケツに一本剃り残しの毛がある……剃っとこっと。
うわ、だんだん穴が濡れてきてる……おや?クリトリスも少し大きくなってきてるじゃ―――

―――タカダ様。実況をやめますか?それとも、オトコをやめますか?」

ヒッ!
見ると、メイの額には青筋が。これはマジだな……お口チャックするので勘弁してください!!

144名無しさん:2017/11/05(日) 05:39:12 ID:QAaNXXxY0

「そこまでとは言いませんが……仕事なのですから、厳粛に」

真面目だなぁ……だったら、それこそ、脱毛剤?みたいなものを使えばいいのに。
それか、思い切って永久脱毛するとかさ。

「一度、脱毛クリームを試してみたこともあるんですが、どうにも肌に合わなくて……
 あの時は、痒いやら痛いやらで大変でした。それ以降は、ちょっと不便ですが、確実に剃ることにしているんです。

 永久脱毛は―――そんなことしたら、今後温泉とか行けなくなるじゃないですか」

いや、そうでは無くて。刃物を持った知らないオトコに、その、局部を晒すってことに抵抗は?

「そりゃ、少しはありますけど……男の方みたいに即効で動けなくなる弱点はないですからね。
 ほら、私のソコにはタマ付いてないでしょう?男性は、タマ握られるだけで動けなくなっちゃうみたいですけど。
 変なコトをされたら、死ぬ前にその方の金的を道連れにする覚悟です」

物騒な覚悟だな!オトコのソコは大切に扱ってくださいね!

「男の方には大切かもしれませんが、私には関係無くないですか?うーん、睾丸の大変さって、理解は出来ますけれど、共感は全然出来ないんですよね。
 なまじ、付いてないものですから。何で無くなるだけであんなに悲しむのでしょう?私だったら、無くなっても全然平気な気がするんですけど……
 エッチなことが出来なくなるだけじゃないんですか?」

それでも、です!ハイ、終わり!!
風呂場でハダカの男女が一組。お互い無毛で向き合うと、どちらからともなく笑ってしまう。
と、彼女は極自然な動作で俺のムスコに片手を伸ばし、もう片方の手で俺の右手を乳房に導く。え?アレ?

「それじゃ、一回抜いておきましょうか?昨日は、このコきかん坊で苦労したみたいですし」

小悪魔じみた笑顔で、彼女は俺のモノを扱く。
乳房は指に吸い付くようで、俺は右手を離せない。

「なーんて。さっきからアソコを弄られて、私も我慢が出来なくなってしまいました。お嫌ですか?」

微笑みに対して、口付けで返す。
左手を、彼女の股間に差し込むと、そこは熱と蜜に満ちていた。





―――あの時、彼女の言葉に気付けなかったことを、俺は死ぬほど後悔することになる。

145名無しさん:2017/11/05(日) 05:39:48 ID:QAaNXXxY0
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アトリエ。ヒトミがスケッチブックをイーゼルに載せ、一人鉛筆を何本も研いでいた。
デジャヴュ。いやこの言葉であってたっけ?まるで、昨日にタイムスリップしたような感覚を覚え、思わず股間を抑える。

「もう!昨日、散々謝ったでしょ!今日はあんなことしないってば!
 ……アレ?今日は、なんか嬉しそうだね?なにかイイコトあったの?まぁいいや、とりあえずその表情キープしてよ」

目聡い…ヒトミは俺の表情の微妙な変化を捉えると、それをスケッチブックに落としていく。
本当に、絵を描いているときだけは美人なんだけどな。

「ム。またボクをバカにしたでしょ?……よし、それじゃ、キミの『喜び』の印象、頂きました!」

既に、俺もメイも全裸。だけれども、先日の轍は踏まない……といか、踏めないほど楽しんでいたり。

「アレ?メイちゃんもツヤツヤしてるような?」

気にするなって。今日の俺は機嫌がいいから、どんなポーズだってやってやるぞ?
ニヤケ面を引き締め、メイの表情を盗み見る。彼女は変わらずに仏頂面だが、頬に僅かに朱が挿しているように見えるのは
果たして欲目か現実か。

結果として、想定以上に早く本日のノルマを消化。ヒトミの作品についての論を拝聴することになる。

「いや、今日はスムーズだったねー。リョウちゃんも、出来るなら最初からやってくれればいいのに」

お子様には分からないかも知れないけど、色々あるんだよ、オトコには。なぁ、メイ?

「私は女なので、同意を求められても困ります」

「えー、何か、二人仲良くなってない?何かあったの?ねぇ?ねぇ?」

「何もありません!」

二人のやりとりも微笑ましい。と、そうだ。
ヒトミ、アンタのスケッチ、俺にも見せてくれないか?

「いーよー。ほい。これが、今日の分」

彼女から受け取ったスケッチブックには、俺とメイのシルエット。
かなり線が少ない印象なのに、俺とメイだと判別できるのは、彼女の腕前によるものか。

「で、コレが昨日のヤツね?まだ作りかけなんだけど……」

ヒトミが持ち込んだのはカンバス。そこにあったのは、玄関で見たような抽象画。
雰囲気の問題か、初日のような不気味な、危険な印象は微塵も受けない。

「そりゃそーだよ。コレね、リョウちゃんの『楽しみ』の印象だけを、抽出しようとしてるんだもん」

どういうことだ?

「いや、まだ未熟なんだけどね?ボクは、『感情』を、こう、何ていうのか、気恥ずかしいな。
 こう、『感情』が好きで、それをね?なんとか、カンバスに落とし込むのが夢なんだ」

そういえば、毎日そんなこと言ってたな。XXの印象を頂くとか何とか。

「お嬢様の絵画論は意味不明ですが、作品は好きですよ」

と、メイが口を挟む。ヒトミの顔が紅くなるが、それについては俺も同感だ。

それから俺たちは、ヒトミの頭っから湯気が出るまで彼女を褒めちぎったところ、逆上した彼女にアトリエから追い出される羽目になった。
やれやれ。メイと顔を見合わせ、どちらからとも無く笑う。

初日はどうなることかと思ったが、悪くない。悪くはないというのが、ココまでの俺の印象だった。
今にして思えば、何故、俺は自分の印象を信じてしまったのだろうな。

146名無しさん:2017/11/05(日) 05:40:25 ID:QAaNXXxY0
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夕食を食べて、夜。
自室で物思いに耽っていると、控えめなノックの音が響く。

「リョウちゃん、起きてる?」

招き入れたのは、ヒトミ。
薄い肌着のような寝巻きを身に着けた彼女は、日中と違ってとても儚く見えた。

「リョウちゃん、今日のデッサン中におちんちん小さいままだったじゃない?
 昨日のアレで、大変なことになっちゃったんじゃないかって、心配になってさ……だって、タマってとっても柔らかいんだもの。
 それで、ね。確認しようと思って来たの」

おいおい、もうソレは散々謝ってもらったし、もういいよ。
アトリエでもその話をしただろ?

「それでも!」

彼女は詰め寄ると、豊満な胸に俺の頭を掻き抱いた。
何コレ?モテ期到来ってヤツ?混乱する俺に構わず、ムスコは硬度を増していく……オマエは本当に自由だよな。

「あ、硬くなった。よかったぁ」

頭上から、安堵の声が響く。見れば、彼女の片手は俺の股間に差し込まれている。
硬い下着の感触と、柔らかい乳房の感触。相反するそれを感じ、俺のモノはもう、天を突かんばかり。
いや、今日はエロくていい日だ!

今朝のことを思い出し、今の感触を堪能していると、ヒトミは俺の顔を持ち上げ、覗き込む。

「リョウちゃん……今、ボクじゃない、別の女のこと考えてなかった?」

げ。鋭い……というか、エスパーか何か?
いや、今なら分かる。彼女は、人の『感情』に、とても敏感なのだと。

「以前の彼女さん?今付き合ってる人が居るの?それとも……メイちゃん?―――そっか」

彼女に瞳を覗き込まれ、詰問されていく。
以前、メイが寝取られた女房役といっていたが、どうやら、ヒトミこそがそれに相応しいみたいだ。言わないけど。
というか、何で、俺が浮気したみたいになってるんですかねぇ。

「ボクだって、メイちゃんほど美人じゃないけど、おっぱいだけは負けてないんだから」

おもむろに、服を肌蹴ると、質量の暴力のような胸が露になる。
彼女は、そのまま胸を差し出し、暗に下着を外すことを要求してきて―――俺は、それに応じた。

「メイは、いいのか?」
「あのコは、明日の準備をしてもらってるから……邪魔は入らないよ?というか、また別の女―――

吸い尽くすような接吻で、彼女の言葉を遮る。
互いに技量も前戯もなにもなく、ただ、本能での我武者羅な愛撫。
互いに獣のように、相手の肢体を貪りあう。

ヒトミは、執拗に俺のタマを愛撫し、彼女の股間を足に、手に、擦り付けてくる。

「リョウちゃんの『オトコノコ』、無事でよかったね」

そんなにソレが好きか。

「キミの『オトコノコ』の部分、これが壊れちゃったら、身体の他が無傷でも、もう『オトコノコ』としてダメになっちゃうの。
 ボク達と、オトコノコの唯一つ違うところ。これがあるから、おヒゲだって生えるし、おちんちんだって大きくなるんだよ。
 あぁ、もっと、ボクにオトコノコを感じさせて!!」

掻き抱き、差し挿れる。
往復のたびに彼女は喘ぎ、俺の俺はますます硬度を増していく。そして。

-------

ピロートークもおろそかに、睡魔が俺の瞼を下ろす。

『エヘヘ、これで、十分、オトコノコを満喫できたよね?』

眠りに落ちる前に、そんな声が聞こえた、気が、した。

147名無しさん:2017/11/05(日) 05:40:59 ID:QAaNXXxY0
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<四日目、日中>


アトリエから、家具が全て無くなっている。これが、ヒトミの言う準備だろうか?
メイとヒトミの雰囲気は何時も通りに見えるが、何処か高揚した空気が肌を刺す。

部屋には、二人の女と一つの飾り箱。
前日までと異なり、二人とも全裸だ。見慣れたとはいえ、メイの手入れされた瑞々しい裸体も、ヒトミの自然のままの若々しい裸体も、共に俺の劣情を煽る。
飾り箱の蓋には、いつもの抽象画……これも、昨日のものとは異なり、玄関に飾られていた作品と同じく、凶々しい、背筋に氷柱を差し込まれたような感覚を与えてくる。

相反する感覚に、脳味噌が混乱して言葉が出てこない。

「さて、リョウちゃん。一日早いけど、今日は最後!リョウちゃんの、『哀しみ』の感情を頂こうと思います。
 ワー。ドンドンパフパフ〜〜☆」

ヒトミは、何時にもましてテンションが高い。メイも、何処と無く呼吸を荒げているような。
それにしても、哀しみ?これこそ、どうやって表現すればいいんだ?

「タカダ様は何も心配することはありませんよ?男性の『最大の哀しみ』、引き出す術は十全に心得ております」

冷静なメイの声に、興奮が滲む。彼女等の雰囲気は、まるで、肉食獣のようで。
俺の心の深い部分から、静かな、とても静かだがハッキリとした警告音が鳴り響いてくる。

「ルールを守ったコからは、『哀しみ』の印象は貰わないようにしてるんだ。ボク達には分からないけれど、それでも可哀想だから。
 そういういいコは、バイト代もらって、ゲームクリアー♪って感じ。よく、再挑戦の連絡もくるんだよ?
 でも、でも、ね。リョウちゃんは2回もルールを破っちゃったでしょ?」

ルール?何のことだ?
肌を刺す危機感に突き動かされながら、問いを返す。

「『猥雑な行動はくれぐれもお控えください』……警告、しましたよね?」

メイから返答。猥雑……あれはアンタ等から誘ってきたんじゃねぇか?!
あ、アレ?これって、アタシと彼女のどっちを選ぶの的な修羅場か何か………いや、何かですか?

「いやー、ボク達も、あんな単純な誘いに乗ってくるとは思わなかったんだけどさ。お陰で一日余っちゃったし。
 それでも、ルールはルールだから。一回違反するごとに―――

―――睾丸を、一つ頂くことにしています」

身勝手な。あまりに身勝手な言葉に、二の句が継げない。

「簡単に誘惑に負けちゃって、ルール違反するオトコノコって危険でしょ?だから、実社会で間違いを犯す前に」

「男性を放棄してもらう、ということです」

ふざ、ふざけんなよ?!そもそも、そんなルールは聞かされていないし「言ってないもの」なら、無効だろ!?

「リョウちゃんはそんな細かいコト気にしなくてもいいよ。『取られちゃった』哀しみだけ、全身で表現してね☆
 そもそも、キミの先輩―――ケンちゃん「ハヤカワ様のことです」が、最大のタブーを犯して、ココのこと言いふらしちゃった時点で」

「あの人に紹介された方々には、高難度に挑戦してもらおうと決めていましたので」

「あ、ケンちゃんにはもう強制参加してもらったよ?証拠もあるんだ。メイちゃん?」

メイが飾り箱を開けると、小瓶を取り出す。その中には、液体に浸かった小さな何かが入っていて―――

「こちら、ハヤカワ様の男性器となります。ご覧になりますか?」

「で、蓋に描いたのが、ケンちゃんが『取られちゃった』ときの『哀しみ』だよ☆
 凄いよねー、こればっかりは、『元から無い』ボク達には全然想像出来ない。無いほうがいいんじゃない?とか思っちゃうのに」

弾かれたように駆け出し、ドアに取り付くも開かない。
その姿を、哀れむような眼差しで見ていた彼女等から、またも言葉が投げつけられる。

148名無しさん:2017/11/05(日) 05:41:34 ID:QAaNXXxY0

「無駄だよ?その扉は、このカードが無いと開かない」

「逆に言えば、私達からこのIDを奪うことが出来れば、貴方様のオトコは奪われない、ということです」

言われて見やると、確かに彼女達の首からはそれぞれ赤と青のIDカードが下げられている。
そうか、コイツ等をぶっ飛ばせば、それで何も問題無いということか。
二人とは言え、相手は女性。喧嘩の経験が無い俺でも何とかなると安心し、動悸が少しおさまっていく。

相手は二人。一人ずつ処理できれば、それに越したことは無いが……
彼女等を睨めつけつつ、円を書くように移動、間合いを詰めていくが、彼女達はこちらを見やるのみ。

密集されると、手が出せない。
アトリエを片付けたのも、想定外の武器を使わせないためか、と、今更ながら合点がいく。


睨みあうこと、数呼吸。
無造作に、ヒトミがこちらに歩を進めてきた。

「もー、リョウちゃんってば、一対二だと怖いの?それでも男?金玉ついてるのかい?
 ……ということで、優しいボクが、一対一で遊んであげるね?金玉取られちゃう覚悟はできた?」

返事はしない。
無思慮に俺の間合いに踏み込んできた瞬間、腰を後ろに引く―――と。
一瞬前までタマがあった場所に、ヒトミの足が飛んできていた。

「アレ?勘がい―――

―――当たり前だろ!あれだけ言ってりゃ、アホな俺だって、どこ狙ってるのか分かるわ!
そのまま彼女の足を掴んで、引き寄せる。ヒトミは逆らわず、片足で俺の側まで近寄ると、そのまま手をタマ袋に伸ばしてくる。だから、甘いって!

ヒトミの足を解放すると、彼女の手首を掴む。そのまま、彼女の顔面に頭をぶつけ、顔を覆うのに合わせてボディに一撃。
喧嘩の仕方もしらない俺の一撃は、我ながら不恰好。力の込め方だって分からないが、それでもダメージはある筈。

間髪居れずに、彼女の首からカードを奪い取ろうとした瞬間、ヒトミは尻餅をつくように床に沈んで―――
弾けるような痛みが、俺の急所で炸裂した。殴られた、理解したのはその後。

一撃。何度も殴ったヒトミの、ただ一発の反撃で、俺は床を舐めることを強いられる。

「護身術ってさ。基本的に、変態の隙をついて、金的を狙うものだけど……金的が無い変態、金的を狙ってくる変態には
 一体どうすればいいんだろうね?金的を狙われちゃった、金的を打たれちゃったリョウちゃんはどう思う?」

はるか天上から、酷薄な声が響く。
たった一発。それまでは、完全に俺が優勢だったハズなのに、たった一撃で形勢が逆転する。

「雄性は辛いねー。なんて、ちょっとした駄洒落だけど……聞こえてないかな?
 どうする?諦めるには、ちーっとばかり早いんじゃないかな?」

俺の、オトコの苦痛を全く理解していない声。
床でのた打ち回りながらも、良くない頭をフル回転させる。痛みが引くまで、いや、痛みが小康状態になるまででもいい。
曲がりなりにも動けるようになっても、それでも床でもがき続ける。
そう、彼女に理解できないのであれば―――

「ありゃりゃ……やっぱ、自分に無いところだから、加減が難しいなぁ。もっと楽しめると思ったのに。
 ホラ、リョウちゃん?苦しんでる顔をもっと見せてよ」

149名無しさん:2017/11/05(日) 05:42:08 ID:QAaNXXxY0
―――かかった!!
彼女が俺を覗き込んできた瞬間。身体を捻り、渾身のヒジを彼女の側頭部に入れる。
力が入らないながらも、そこだって人体急所の一つだ……と聞いたことがある。

小さな悲鳴を上げたヒトミの首から、IDカードを毟り取る。
追撃をいれたいところだが、先程の一撃で、オトコの脆さを思い知った上でだと、そこまでのリスクは取れない―――

手早く、悶絶するヒトミから距離をとり、立ち上がると。



ゴスッ!!



一瞬、身体が浮いた。そして、途轍もなく悪い予感。
数呼吸後、とてつもない苦しみに覆われるという確信。それはすぐに現実へと変わった。


「私を除け者にして、そこまで盛り上がられると、正直嫉妬してしまいます。
 ホラ、今回は跳ね回ってください?ウフフ、とっても可愛い」

身も世も無く、股間を押さえて跳ね回る。
俺の後ろに、音も無く忍び寄っていたメイに、金的を蹴り上げられたのだ。

「ヒトミお嬢様も、何時までも悶えていないで、シャキっとしてくださいよ。そこまで手酷くやられたわけでもないでしょう?」

「うぅぅう……いったーい。リョウちゃんってば、酷いや!」

ヒトミは首を振ると、頭を抑えて立ち上がる。
同じ急所のハズなのに、俺は無力化されていて、彼女は既に回復している。その差が、絶望的な感覚を刻み込んでくる。

「酷いというのは、今の彼のような状態を指すのです。ほら、あのユーモラスな様を見てください」

「うわ、ぴょんぴょんしてるね。一体、どんな感じなんだろう?痛みでぴょんぴょんするっていうのも、全然理解出来ない……」

「生まれたときから金的がついていない私達では、きっと一生理解出来ませんよ。
 もしかしたら、これだって演技かも……ほら、ヒトミお嬢様?」

メイは俺の背後に回ると、俺を羽交い絞めにする。抵抗しようとしても、身体に力が入らない。

「あ、そっかぁ。危ない危ない、さっきもそれで騙されたんだったよ。金玉だって、全然腫れてる様にも見えないし……
 ほら、お返し!」

ドスッ

慈悲の無い一撃が、重なり合った俺とメイの股間に叩き込まれる。
俺は絶叫するが、背後の女性は涼しい声だ。俺の股間が壁になって直撃は免れているとはいえ、
男であれば、それだけで腰を引くような一撃なのに。

150名無しさん:2017/11/05(日) 05:42:44 ID:QAaNXXxY0

「全然ダメです。私は、ほとんど痛くありませんよ?お嬢様の蹴りに、腰が入っていないのでは?
 タカダ様も。オトコノコなんですから、もっと頑張りましょう?」

「えーいっ!とりゃ!こなくそっ!」

ドスッ!ドスッ!ドスッ!


痛みを知らないからこその、躊躇いの無い連撃。
後ろで俺を支える女も、俺のタマを蹴り上げる女も、この痛みを一生味わうことがない。
この場で、タマの痛みが分かるのは自分だけ……絶望とともに、足から力が抜けていく。

「おぉっと。コレは効いたかい?『無い』ボク達には実感できないけど……」

「私は全然効いた気がしないのですが「だって、メイちゃんにも『無い』じゃない」ウフフ、そうでした。
 タカダ様も、おっしゃってくれればいいのに」

うつ伏せに倒れた俺に覆いかぶさるように、メイが嗤う。
昨日は天女に見えたが、今日は彼女が悪鬼羅刹よりも恐ろしい。

彼女は、体勢を入れ替えると、両脚で俺の頭を抱え込み、その股間に顔を擦り付けさせる。
ヒトミはしゃがみこんだのか、俺の急所を両手で包み込む。初日と同じ、小さく、ヒンヤリとした女性の手だった。


「それでは、タカダ様。失礼ですが、私のソレ、舐めていただけますか?
 どうせ、これから下は使えなくなるのですから、せめて、舌でオンナを悦ばせる術を学んでくださいね」

「真面目にやらなかったら、オマエのムスコのイノチは無いぞー、なんちって」

選択の余地は無く。遮二無二彼女の性器を舐める。
舌の動きにあわせ、彼女は絡めた両脚を緩め、締め付け、こちらに反応を返してくる。

「逆らえなくなることを、『金玉を握られる』っていうけどさー、まさにそんな感じだね。ボク達にはピンとこないけど。
 こんな小さな、ゆで卵よりも小さなタマを握られてるだけなのに、何でそうなっちゃうの?」

「不思議、ん、ですよね。そんなに大切なところなのに、性交をするときに、ん、しゃぶらせようとする方もいるとか。
 『ついてない』オンナはいいですけど、う、『ついてる』オトコの方は、あん、怖くないんでしょうか?」

「どうなんだろーねー。その流れで行くと、金玉が痛くて、金玉が守れないっていうのも、ちょっと間抜けだよね。
 それともー、本当は気持ち良かったりなんかして。だから、潰されたがってるんじゃない?うりうり」

「あはん、どうなんでしょうね?あ、イイ。リョウスケさん、ソコ!ソコです。そこ、私の、ソコをなぞるように、あぁん!
 ……昨日の、独り善がりな性交よりも、ああ、全然上手じゃないですかぁ!!」

好き勝手な言葉を交わしてくれるが、こちらはもう必死だ。
吸い付くように舐めまわしていると、首をもぎ取るように両脚が締め付けられる……メイが絶頂を迎えたようだ。
俺も、既に半死半生で疲労困憊。ようやく一息つけると安堵すると―――

「次はボクだよ?あ、安心して。ボクがイったら、楽にしてあげるからね?」

メイとヒトミは場所を入れ替え、今度はヒトミの股間を擦り付けられる。ジョリジョリとした感触。
諦観と無力感に後押しされ、俺は再度舌を伸ばす。

151名無しさん:2017/11/05(日) 05:43:18 ID:QAaNXXxY0

「あぁぁ、イイ。ホント、昨日の下手糞なセックスが嘘みたい……
 ホラホラ、ちゃーんと気合を入れないと、タマキン痛い痛いでちゅよー。でも、ボクがイったらタマキン無くなっちゃいまちゅよー。
 ほら、どうするの?ねぇ?ねぇ?」

ヒトミとは違い、メイは絶えず俺の急所に力を加え苛んでくる。
酸素を求めるかのように喘ぎ、悶え、呻くが、ヒトミとその女性器はそれを許さない。

「あぁぁん、全身全霊で、キミがボクを求めてきているのを感じるよぅ!!
 ボクがイったら、ん、『オトコノコ』が摘み取られちゃうのに!!苦しみの分からないボク達には、最初から『無い』ボク達には、
 同情しかしてあげることができない苦しみ、う、なのに!!他人事の、あん、同情なのに!最初から『無い』、ああ、ボクのアソコを一生懸命に舐めてるぅ!!
 ほらほら、もっと舐めてよぅ!コレが、オンナノコの、タマタマがついてない、一生潰されないオンナノコなんだよぉ!!
 
 あぁ、愛しいよぅ、可愛いよぅ、あん、儚いよぅ!!」

「ウフ、大丈夫ですよ、リョウスケさん。まだ、まだ、かろうじて潰れてはいませんよ?ほら、コリコリしているの自分でも分かりますか?
 潰れたら、このコリコリも無くなっちゃうんですよ……ウフフフ、た・の・し・み♪」

メイは、手首の付け根と床で挟み込むかのように、俺のタマを持ち替える。
ヒトミは、自身の語りで興奮したのか、股間に押し付ける腕と脚に、尋常では無い力を加えだす。

「楽しみだよぅ、あぁ、一昨日壊しちゃわなくて、う、ホントーに良かったよぉ!思わず、全力でヤッちゃったから、あん、心配だったけどぉ!!
 早く、ああ、早く、キミの、哀しみの顔が、オトコノコ最後の顔が見た、ん、見たいよぉ!きっと、とっても可愛いんだろうなぁ!ぁん!
 あんなに好き勝手、あは、やってたおちんちんも、もう、使えなくなっちゃう、ううぅ、けど、キミは、舌の方が上手だから、安心してもいいよぉ!
 キミの、キミの最後の表情も、ちゃーんと、おぅ、ちゃーんと、作品にして、玄関に飾ってあげるから!キミのオトコノコは、永遠になるんだからぁ!!
 ボク、18年間、タマ無しで生き、あん、生きてきてるんだから、あ、分からないことがあったら、あは、なんでも聞いていいからねぇ!

 あ!あ、あ、そろそろ、そろそろ、あ、リョウちゃん、オトコノコに、あ、お別れを、あ、もう、もう、ダメ……ダ…あぁぁあぁぁああぁぁッ!!」










グシャッ
 


何か、決定的な一線が切れたと、本能的に悟る。顔にかかる、暖かな飛沫の感覚と共に、俺の意識はブラックアウトした。

152名無しさん:2017/11/05(日) 05:43:57 ID:QAaNXXxY0
--------------------------------------------------------------------
<5日目、日中:メイ視点>

あぁ、今日もいい天気です。

お嬢様は、昨日、オトコノコを卒業された方のお見舞いに。
彼女が言うには、『オトコノコ』じゃなくなったということを実感させると、それはもう、いい表情をするとのことですが、
私には正直分かりません。

どこかで育て方を間違えたのでしょうか……あのサディスティック振りには、空恐ろしいものを感じます。

私?私は正常ですよ。
ただ単に、潰れちゃう瞬間の感触が好きなだけ。無くなった後の方には、微塵も興味が湧きません。

おっと、閑話休題。

応募者のリストを開き、次の犠牲者……もとい!モデルの方を物色します。

横の友人関係が無く、居なくなっても分からない方。
日雇いなどで食いつないでいて、定期的な社会参画をされていない方。

なんだかんだで、丁度いい方を見繕うのに、これでも苦労しているんです。ヒトミお嬢様は分かってくれないですが。

さて、と。
この方なんで、条件にピッタリじゃないでしょうか?
今度は、若い方のを摘み取ってみたいですし……ジュルリ、って、いや、違います。きっと、お嬢様の良い経験になることでしょう。

電話を取り上げ、発信音を聞く。

ウフフ。きっと、明日もいい天気になることでしょう。

153名無しさん:2017/11/05(日) 05:45:52 ID:QAaNXXxY0
以上です。

>>132のバトルものというのがリクエストかと勝手に思って書いてみましたが、
やっぱ難しいですね。

導入は長いのに、バトルはあっという間に終わってしまう……
でも、一発で大勢が決まらないと、金的っぽくないというジレンマ。

154名無しさん:2017/11/06(月) 02:58:59 ID:d1rxyU8s0
今回もよかった
性差に対する意識とか女に欲情してしまう男とか倒錯的な部分に肉薄してるのがすごいし、バトル描写も丁寧で金的のえげつなさにリアリティがある

あと女性が睾丸を蹴って欲情するという所にすごく拘りというか嗜好を持ってるように感じるので、個人的にはその辺りを爆発させたSSなんかを読んでみたい
女が男の股間を蹴りたいという欲求を当たり前に持ってて、実際そういう事件が性犯罪として日常的に起こる世界とか

155名無しさん:2017/11/07(火) 19:32:03 ID:8Xm1FUSg0
導入がしっかりあって、文章力もあるからいつ金的がせめられるのかワクワクしながら読めるのがすごい。
効率よく男に勝つためだけに大事な金的を狙う女の子最高!

156名無しさん:2017/11/21(火) 23:27:45 ID:.UYyDnrw0




ここは閉じた鳥籠で。朽ちて果てていることに気付かれない獄舎。
これは、獄舎が崩れ落ちる、ほんの少し前に起きた、ほんの些細な出来事の一つ。

157名無しさん:2017/11/21(火) 23:28:29 ID:.UYyDnrw0
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窓の外から、西日が差し込む。
カラスの声。夕食だろうか、漂うカレーの芳醇な香り。ロードワークをしている子達の掛け声。

対して、アタシは。
この忌まわしい場所で、全裸に吊るされた子と、一人対峙している。
沈み行く太陽によって分けられた光と影が、まるで咎人達とそれ以外の世界も分割しているようで。

日が沈み、人工的な灯で照らされた頃合で、吊るされていた男が瞼を開いた。

「こんな所で会うなんて、思ってなかったなぁ」

ここは、外でオイタをした子達の矯正施設。
アタシと彼がいるのは、その中でも曰くつきの、『特別訓練室』と呼ばれる部屋。
ここで起きたことは、全て事故として扱われるという不文律が出来たのが先か、それとも
この部屋で『作業』……私刑と変わりない……が行われるようになったのが先か。

アタシは、彼を前にして呟く。
このコ、昔から聞かん坊で、我儘ばっかり言っていたから、心配していたのだけれど。

「カズ君、アタシのこと覚えてる?中学の頃以来だから、もう忘れちゃったのかな?」

努めて優しげに、親しげに声をかける。
アタシの中では、彼は中学時代の、ちょっと粋がったオコサマのまま……あんな事件を起こしたなんて、今でも信じられはしないけれど。
それでも、事実、彼は殺人の咎で、この吹き溜まりに送り込まれてきてしまった。

あらましは単純。
帰宅途中の男女三人が、複数の若者によって襲撃された。
一人が振るった鈍器が、当たりどころ悪く、被害者の男性一人を昏睡状態にまで陥らせてしまった。そして。
一人の女性は顔に一生残る傷を負い、そして何度も犯されたことで精神に深い傷を負ってしまった。
一人の男性は、全身打撲に片腕と片足を折る程度で済んだのだけれども、それが運良くと形容されてしまうような、凄惨な事件。

被害者の証言から、昏睡した被害者と襲撃者は顔見知りのようだと判明して。
芋蔓式に、彼のいたグループが検挙され……その中でも特に悪質とされた三人が、ココで矯正される運びとなった。

経緯は、コレだけ。

彼等は、遊ぶ金が欲しかった。誰でもよかったと供述していたと聞いているけれど、そんなのは嘘っぱち。
だって、被害者は第三者でもなんでもない。このコの姉の、恋人でもあったのだから。

なんで、という感情と、やっぱり、という理性が鬩ぎあう。
このコは昔から、姉のアオイにべったり。口さがない人は、シスコンだの何だのと揶揄していたけれど。
彼の父親が夭逝し、母親とアオイとの三人家族。同じように、母子家庭だったアタシのウチとは、まるで家族のようなつきあいだった。

158名無しさん:2017/11/21(火) 23:29:04 ID:.UYyDnrw0

女4人に男1人。でも、大人の男性は一人もいない、世間一般からみると随分と歪な家庭だったのかも知れない。
所詮は、世間から爪弾きにされた弱者の寄り合い所帯に過ぎないと自嘲していたけれど。
それでも、あの頃が一番楽しかったと、戻れない今になって、やっと分かった。

アオイは、彼の全てだった。
母親は糊口を鬻ぐために家庭を顧みることも出来ず、アオイが彼の母親代わりでもあり、父親代わりでもあり、姉でもあった。
アタシだって、このコにお姉さんぶろうと頑張ってみたけれど、随分と反発されたっけ。

このコは、アタシにアオイを取られるのでは無いかと嫉妬していたんじゃないかしら。
それとも……喧嘩の度に、このコのキンタマ蹴っ飛ばしていたから嫌われてたのかな?
今にして思えば、随分非道い姉モドキだね。その度に、アタシはママと二人で、アオイとアオイのお母さんに頭を下げていたっけなぁ。
アオイも、アオイのお母さんも、笑って許してくれたけど。金的が無い女が、金的を蹴られた男の代わりに許すってのも、変な話よね。

「ほら、ユカリお姉ちゃんだよ。カズ君のタマタマ蹴り上げるたびに、『いつか殺してやる』って言ってくれていたじゃない。
 ……あの頃はゴメンね、悪気は無かったの。ウチに男の人っていなかったからさ。男の子のそれがとっても気になって。
 あの頃は思春期で、自分からおちんちん触らせてとも言い出せなくてね。喧嘩で蹴り上げるなら仕方ないかなって、なんて、言い訳にもならないね」

カズ君は、目を白黒とさせている。こんな所は、本当にあの日と変わらない。
これが夢でしかなくて、目が覚めたら中学の頃に戻れたら、どれだけ幸せなことだろうか。そうしたら、今度こそ、
彼が道を踏み外さないで済むように、何としてでも守ってあげるのに。タマを蹴飛ばす代わりに、存分に頭を撫でて甘えさせてあげるのに。

でも、そうはならなかった。アタシは家庭の都合であの町を離れ……紆余曲折あって、こんな所に。
彼だってそうだ。悪い仲間とつるんで、素行不良の限りを尽くし、最後には他人の人生を台無しにして、これから代償を支払わされようとしている。

「ユカリ……姉……?」

彼の目に、一抹の寂しさが過ぎる。でも、それも一瞬。

「覚えて無ェなぁ……とっとと、これ外せや、あぁン?!」

睨めつけ、猛り、吠える。右肩に入れた刺青をひけらかすように。
威圧しているつもりなのか、虚勢を張っているに過ぎないのか、もはや自分でも分からないのだろう。

それだけで、あのコが生きてきた世界が連想され、アタシの心に影を落とす。

彼は、両腕を天井から吊るされ、両脚は足枷により開いた状態で固定されている。
それだけで、絶体絶命の状況だということは、理解できているハズだ。賢いコだったもの。

それでも、やすやすと相手のペースには乗らない、自分の主導権だけは声高に主張する。
今回の事件で、ここに来たコ達はみんなそう。アタシはもう、世間から離れて長いけれども、今のお外はどうなっているのかしら。
自分のことを棚上げした考えが過ぎり、自己嫌悪を覚える。……自分だって、世間様に顔向けできないと分かっているのに。

159名無しさん:2017/11/21(火) 23:30:48 ID:.UYyDnrw0

「カズ君……キミも、薄々気付いていたでしょう?あの事件で、ココに来たキミのお友達が何時の間にか居なくなってること。
 次は自分の番だって、覚悟もしていたんじゃないかしら。だって、キミは昔から頭の良いコだったもの」

全身で威圧していた彼の動きが止まる。

「目には目を。アタシは、この言葉って野蛮で好きじゃないんだけれど……それでも、被害者が望むならっていうのが、ウチの方針なの。
 ココに来たキミのお友達……キミの悪いお友達には、皆、もう代償を払ってもらったわ。カズ君達の言葉でいうなら、落とし前をつけたっていうのかしら?
 ほら、被害者をバットでボコボコにして複雑骨折させた、あのキミと同じぐらいの年頃のコいたじゃない?彼は、同じように腕と足の骨を粉砕されちゃったんですって。
 コレは、アタシも男性職員と雑談中に聞いた話しで、実際見たわけじゃないけどね……聞くだけで痛そうだし、見たいとも思わないけれど」

アタシを凝視する視線を感じる。俄かには信じがたいという感情。
気持ちは分かるつもりだよ。アタシだって、この法治国家でこんなリンチが許されるなんて思ってないもの。
バレたら只じゃすまないってことぐらいは、アタシだって分かる。実際に関わってさえいなければ、鼻で笑って通り過ぎるような都市伝説。

ウチの所長は犯罪の犠牲者で。相手が少年法に守られ、手が出せなくて煮え湯を飲んで。だからこそ、犯罪者がのうのうとしているのが許せなくて。
手を下すのも、犯罪加害者である入所者を使っているのが、露見した際に累が及ぶのも同じ犯罪者だけとしているのが、僅かな良心かと噂されているけれど。
色々と理由付けに熱心だけれども、単純に、所長……あの女の頭がオカシイだけだと、アタシは思う。

だって、それが許されるなら、法律なんていらないじゃない……これも、アタシが言うには過ぎた意見なのだけれど。

「レイプしたコ……あの中学生ぐらいのコね。女の子の大切なものを奪ったあのコは、男の子の大切なものを取り上げられちゃったの。
 あ、でも安心してね。抜いちゃっただけ。仲間内では、潰しちゃえばいいって声もあったんだけれど、ね。流石にそれはやり過ぎかなって。

 信じたくないって顔してるけど、キミの想像はきっと正しいよ。ほら、コレ。男のカズ君にあって、女のアタシには無い、大切な、大切なトコロ」

彼に正対し、股間の袋を掌で包み込む。
二つの楕円状の球体の感触を感じる。男の子の脈動も。そして、幸せだった頃の記憶の残滓も。

160名無しさん:2017/11/21(火) 23:31:24 ID:.UYyDnrw0
「カズ君は、まだ両方持ってて偉いね。コレって、知れば知るほど繊細だからさ……男子って、どうやって守ってるんだろうっていつも不思議なんだ。
 もしアタシについてたら、大人になる前にケンカとかウッカリで無くしちゃいそうだし……今まで守れてきただけで、とっても立派だと思うよ。
 フフ、こうやって握るのは中学の頃以来。ゴメンね、あの頃は痛かったでしょ?アタシ、持ってないから分からなくて。逆に、キミの反応がカワイイなんて思ってた。

 あ、話が逸れちゃったね。抜かれちゃったコの顛末なら話せるよ。アタシも関わってたから。
 『抜いたり』『潰したり』する時は、男性がお手伝いを渋るからさ……特別ゲストも呼んだし、足りない女手を掻き集めて、そう、女性陣ほぼ総出だったなぁ。
 大変だったけど、男の人は抜かれるの見るだけで『縮み上がっちゃう』っていうから、『縮み上がりようが無い』アタシ達でやるしかないしね。
 アハハ、アタシ達には縮みあがる『タマもフクロも無い』から、平気なのは当然なんだけど」

名残惜しくて、ついつい話を引き伸ばしてしまう。

「特別ゲストは、乱暴された女の子。そのコに、手ずから『抜いて』もらったの。
 暴れたときのために人手は集めたけど、杞憂だったわ。あのコ、フクロからタマ取り出されただけで、女の子みたいな声をあげて悶えるしか無くなっちゃって。
 フフ、言い方はアレだけど、気が早いよって、まだ一応『男』のままだよって、ちょっと笑っちゃった。

 仲間内でさ、もう全身で『女!』ってアピールしてるようなスタイルのコなんだけど、『男がタマを抜かれる』真似が凄い上手いコが居てね。
 彼女がクネクネしつつ、『タマがー、タマがー』なんて言いながら抜かれてるコの真似するものだからさ、アハハ、とっても和やかに『彼のオトコノコは終了』したよ。
 なんで『ついてない』のにそんなに上手なの?って聞いたら、『ついてない』からギャグに出来るんですよぉって言われたんだけど、コレ、真理かもしれないね。お姉ちゃん、得心しちゃった。

 特別ゲストのコはね、淡々としてた。大抵は、『やっぱり嫌!』って土壇場でごねるか、『復讐してやる!』ってノリノリになるか何だけど。 
 一応、タマを二つとも抜いちゃった後に、コメントを求めたコもいたんだけどね。
 
 『アタシは女ですから、金玉抜かれるってのもピンと来ませんし、特に感慨はありません。コメントなら、男じゃなくなったコイツに求めて頂けますか?
  個人的には、コイツみたいな連中が減って、アタシみたいな経験をする人が減れば、それだけで満足です』
 
 とか言って、そのまま帰っちゃった。自分が立ち直るためじゃ無くて、被害者を増やさないためにやりたくも無いことやったんだなって。
 タマタマついてないのに、強いコだなって感心したよ。って、アタシ含めて、女には元々タマなんてついてないんだけど。
 取られちゃったコは、抜け殻みたいになっちゃった。同じ玉無しなのに、なんで男子ってああなっちゃうんだろうね。って、キミはまだ知らないか」

片手で彼の『彼自身』を愛撫しながら、もう片手で手枷と天井の鎖との連結部分のロックを解除する。
そのまま、一歩、二歩、三歩。距離を取り、再度、彼に向き直る。

161名無しさん:2017/11/21(火) 23:32:05 ID:.UYyDnrw0
「キミの御義兄さん、死んじゃったって。聞いているかしら」

「……気色の悪い呼び方でアイツを呼ぶなよ。アレは、無関係のオッサンだ。それ以上でも、以下でもない」

―――報われない話。あのヒトは、キミに歩み寄ろうとしていたのに。キミのお姉さんとの関係のためだけじゃない。
ただ、キミが他人とは思えなかったって。寂しがっているように見えたって。アオイはそんな相談を、何度も受けていたって。
だから、キミと同じ年頃のコ達に教えを乞いてまで、キミとの間のわだかまりを解こうとしていたのに。
結果が、コレだなんて。誰も、誰一人として報われないなんて……カズ君、キミを含めて。

「で、つまりは何だ?アンタは、オレを殺しに来たってことかい、ユカリ姉。
 ハハハ、コイツは傑作だ。やっぱ、最初から最後まで、単なる姉の紛い物だったってことだろ?
 ……あの頃、ちゃんと殺しておけば良かったぜ」

彼の言葉には、頷く他無い。あの時殺されておけば、アタシに不幸にされたヒトも居なくなって……
それに、アタシだって、こんな世界を知らずに済んだのだから。

でも、もう、こうなってしまった。引き返すことも、出来ない。

「カズ君、手枷を揺すってみなさい……さっきロックを外したから、強く揺すれば鎖も外れると思う。
 ……何で、って顔はしないんだね。意外。別に、キミを許してあげるとか、逃がしてあげようとか、そういうの期待してるなら、ガッカリするよ?」

彼はアタシの言葉に従い、地に足をつけて立ち上がる。落ち着き払った態度。
両手は手枷で、両脚は足枷で拘束されているから、状況は何も改善していないのだけれど……それでも。
まるで、アタシの次の言葉が分かっているかのように。

「ユカリ姉、この鬱陶しい足と手のヤツはどうやったら外せるんだ?……そもそも、その心算だったんだろ?
 目には目を、歯には歯を……ってか。アンタの性格からいっても、抵抗できないヤツを嬲るってことは出来ないハズだ。
 さっきの話と違って、ここにオレとアンタしか居ないのが、その証拠。正々堂々と勝負ってヤツだろ?くだらねぇ。

 ―――言っとくけど、オレ、アンタが相手でも手加減はしないぜ?ダチ共が世話になった礼も、たっぷりしないといけないしな」

やっぱり、聡いコ。もっとマシな人生だって、いくらでもあったでしょうに。
ただ、性格は買い被りすぎだよ。アタシは、そんな立派な人間じゃない。

「調子にのらないで。手枷はつけたままにしてもらうわ。
 ……足枷は、暗証番号『1,2,3,4』で開くから。ハハ、忘れちゃわないようにって、こっちは簡単な番号にしてあるの。
 手枷の番号は秘密……といっても、両手を拘束された状態だと、教えても簡単には外せないでしょうけど。
 口や足でギリギリ回せないこともないだろうから、念の為、ね。変えておいたの」

162名無しさん:2017/11/21(火) 23:32:35 ID:.UYyDnrw0
バツン、と。バネが跳ねる音と、自由になった彼の両脚。
アタシはゆらりと構えを取る。彼も、同じく。昔日の喧嘩もこんな感じだったなぁ、と場違いなノスタルジア。


「昔、カズ君と喧嘩ばっかりしてたときを思い出すね。あの頃はアタシの勝ち越しだったけど、今はどうなるんだろう。
 ゴメンね。先に謝っておくけど、今回ばかりは手加減って出来ないよ。全力で行かせて貰うから、気をつけなね。
 それが、遺族からのお願いで。アタシがココに居る以上、逆らうコトが出来ないからさ」

「……一つ、聞かせろや。あのオッサンは、身寄りが居なかったハズだが……遺族?誰だ、それ。
 クク、やっぱ、あれも嘘だったのか。全く、それでアオイ姉ちゃんに取り入ろうとか、寂しさを分かち合おうだとか、マジで屑だよなぁ。
 言っとくが、オレは何の後悔もしてねぇから。何度だって、同じことをしたさ」

互いの間合いが膨張し、収縮し。目が眩むような緊張感。
何度やっても、慣れない。ヒトによっては、このヒリつく空気が最高と言う子もいるけど……全然理解が出来ない。
こんなこと、やらない方がいいに決まってる。

「あのヒトが、天涯孤独の身の上だったというのは、本当らしいよ」

一言。一言だけ言葉を告げると、彼の間合いに入り込むように歩を進める。
肩を怒らせ、上から覆いかぶさるようにアタシに近付いてきた彼。そのの顔に、平手を見舞おうとする。
あのコはほんの少し顔をずらすと、一撃が眼球に当たるのを阻止し、ネトついた、粘着質な視線でアタシを見下ろしてきた。

彼の金的を狙おうとして、一瞬の逡巡。単発で、通る?!
いや、防がれて、無用な警戒を招くだけ―――とその隙をついて、薙ぎ払うような両の腕での一撃。
アタシは全身で彼の丸太のような腕を防ぐ―――が、防ぎきれず、不恰好な人形のように吹き飛ばされてしまう。残酷なまでの、体重差。筋力差。そして、性差。

肩から地面に叩きつけられ、圧倒的な力量差を実感する。それでも。
……大丈夫、大丈夫。まだ行ける。腕力差が何だ。実力差がなんだ。このぐらい、アタシは何度も経験してきたハズだ。

悠然と、彼はアタシの元に歩み寄る。間髪入れず、彼の股間で揺れる脆弱な部分に掬い上げるような蹴りを放つ。
普通の男子なら、両手で下のタマを守る……そこで、ガラ空きになった上のタマ……目玉に一撃をいれるための、伏線としての攻撃。
これで、アタシがぺースを取り返せると思ったのだけれど……あのコは、違った。全く動じずに、自分の膝を絞ることで致命的な牽制を防ぐ。

163名無しさん:2017/11/21(火) 23:33:07 ID:.UYyDnrw0

蹴り足は、彼の片手に掴み取られていた。
そのまま、問答無用に引き寄せられる。彼の金的を握ろうと伸ばした腕は跳ね除けられ、逆に彼の手はアタシのズボンを掴み、そのまま紙切れのように身体ごと振り回す。
ズルリとズボンから身体が引き抜かれて、アタシはまた宙を舞う。

「アンタの中のオレは、中学の頃のままか?オレなんて、簡単に捻じ伏せられるとでも思ってたかい?
 ―――舐めるのも大概にしておけよ」

彼は余裕を崩さず、アタシが立ち上がるのを待つ。
本当に、甘い子。昔の面影が、そこかしこから覗いているのが分かる。だから、だからこそ悲しい。

掴みかかる、振り払われる、投げ飛ばされる。

打ちかかる、防がれる、弾き飛ばされる。

飛び掛る、受け止められる、振り飛ばされる。

何度繰り返したか。肩で息をするアタシに対して、あのコは泰然とした様子のまま。両腕の拘束だって、つけたままだというのに。
強くなったんだね、と場違いな感慨を覚える。それなのに、それなのに、何で間違った方向に行ってしまったのだろう。

「ハァ、ハァ……息を整、えるまで待って、くれるなんて、ハァ、紳士ね」

「ユカリ姉、まだ分からねぇのか?アンタ、勝ち目なんで無いぜ。
 ほら、早く手枷の外し方を教えな。それで、アンタは見逃してやるよ……オレだって、アンタをこれ以上は甚振りたくはねぇ」

本当に、なんでその甘さを、優しさを、キミの義兄さんに、被害者の彼等彼女等に、少しでも分けてあげられなかったの。
息を整え、言葉を投げる。彼が、一番望んでいない言葉だということは、分かっているのだけれど。

それでも。彼は優しくて、アタシは残酷だ。

「言ったでしょ?それが遺族の望みなら、アタシは退けないって……そういえば、遺族って誰かって答えてなかったね。
 ―――キミはつとめて目を逸らそうとしているみたいだけど……そう。カズ君の推理はきっと正解。
 復讐を求めているのは、アオイ。キミと血の繋がった、本当の姉……アタシとは違って、ね」

一瞬。一瞬だけだけど、致命的な空白。
カズ君の動きが、完全に止まった。……ゴメンね。聞きたくなかったよね。それでも。

164名無しさん:2017/11/21(火) 23:33:42 ID:.UYyDnrw0
オトコノコなんだから、女の子の前で、無防備に大股広げるのは、お姉ちゃん感心しません。

ドスッ

心中で謝りつつも躊躇無く、アタシは彼の中心部を蹴り上げる。足の甲が、彼のタマを確実に捉え、拉げさせ、そして千切り取るかのように、上へと跳ね上げる感触。
―――これで、もう、あのコはお終い。そう実感し、胸に一抹の寂しさが去来する。

彼は一瞬、動きを静止させる。何が起きたのか、全然理解出来ないといった顔。
大丈夫、分かってるわよ。オトコノコって、みんなそう。タマタマやられちゃった直後は、まだ痛みが来ないんでしょ?
何をされたのかは直ぐに分かるよ。ほら、顔色が白くなってきた。

あ、理解しきる前に、コレはオマケ。アタシは理解出来ない女だからさ、許してね。

ドスッ

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」

あのコの喉から、絶叫が迸る。中学のころの、いつもの光景。ココでの、日常的な光景。だけれども、何度見ても、可哀想。
あんなに強かったのに。ずっと、アタシを押し込んでいたのに。たった一度、たった一度だけ、股間にぶら下がったタマを打たれただけで、勝負がついてしまう。

オトコノコは誰でも一緒。女のアタシには、最初から『無い』アタシには理解できないけれど。タマタマをやられてしまうと、もう、何も出来ない。

本当に、ゴメンなさいね。あの頃と違って、これで終わりってワケにはいかないの。
全身で『男性』を主張する彼を横目にみつつ、そっと背後に回る。あのコは、それに気付けない。

ドスン、と。彼は、右足を一歩前に出し、膝を突くことなく痛みに耐える。
呻き声は途絶えず、両脚は震えが止まらず、それでも地に伏す姿は晒さないという決意。
今は、もう、見るかげもないけれど。その姿にアタシは、彼のありし日のプライドを感じ取ってしまう。

―――血が繋がってはいないけれど、アタシだって、カズ君のことを、自慢の弟みたいに思っていたんだ。
―――だから、アンタ達姉弟は、真っ当な人生を歩んで欲しかった……アタシはこのザマだったから。

彼の足の間から、『弟』の証が見える。これが無かったら『妹』だもんね……なんて益体もない考えに苦笑。
金的に苦しむ男を前に苦笑するのも、アタシがこれからしようとしている行為も、『痛みが分かる』オトコだったら、絶対に出来ないというけれど。

アタシは、オンナだから。結局、金的がどうなろうと、他人事だからさ。だから、ココに居るんだよ、なんて。誰にとも無く言い訳を並べて。
三度目。容赦無く、自分の爪先を、ブラブラと揺れる『弟』の『弟』たる部分に捻じ込んだ。

165名無しさん:2017/11/21(火) 23:34:13 ID:.UYyDnrw0
ドスッ

「〜ッ!!〜〜〜〜〜ッッッ!!」

とうとう地に伏せる。水揚げされたお魚みたいに跳ね回って、総身で苦痛を訴える。惨めな姿。

恥ずかしがらなくてもいいよ?オトコノコは絶対に耐えられないから、仕方が無いの。
もう、プライドが云々って話じゃないんでしょ?ほら、未だオトコノコのままか、自分で確認してみなさい?
一応、まだ潰してないつもりだよ、でも……その脆いものが『ついてない』、オンナの手加減だからさ。脆さを実感した経験はあるけれど。

お尻を大きく上げて股を開き、彼は土下座をするような格好で停止する。
彼の自尊心を考えると、心が痛む。タマをやられると、オトコノコはどれだけ我慢しようとしても無駄だと知っているから。

「その苦しみ方は、中学の頃と変わらないんだね。フフッ、カワイイ。またアタシの勝ち越しでーす、何て。

 何処まで話したかしら……そうそう、アオイの依頼って言うのは本当よ。家族に手を出したキミを、もう『弟』としては見られないって。
 ……カズ君、キミもお姉ちゃん離れするべきだったんだよ。アオイには、アオイの幸せがある。それなのに―――
―――黙、れよ……変態、女……。誰があんなヤツを―――グゥッ!!」

四度目。蹴り易い位置に鎮座する、彼の金的を蹴りつける。
あのコは切なそうな顔と声を上げて、再度床を転げまわる。ええっとね、この状況じゃ、オトコノコは如何し様も無いんだよ。
だって、アタシには無い、どうしようも無い『オトコノコ』の弱点が剥きだしなんだから。押さえようとしても痛いし、隠そうとしても痛いんでしょ?
ホント、『オトコはつらいよ』ね。オンナのアタシには分からないけど。

「端的に言うわね?アオイは、キミみたいな『弟』はもう要らないって。
 やりすぎたんだ、甘えすぎたんだよ、キミは。お家のなかで暴力をふるっている内はよかったって。お金を勝手に持っていくのも、色々我慢させていたから仕方無いって。
 不完全な家族だから、だからこそ、キミには幸せになってほしかったってアオイは言ってたのに……彼女はキミを確かに愛していたのに。

 だけど、キミは。キミは、アオイを信じられなかった。だから、恋人自身ではなく、彼女が恋人を作ったこと自体が許せなかったんでしょう?」

あのコからの返答は無いけれど、それを責めるつもりは無い。彼は今、自分のタマタマのことで精一杯だって知っているもの。
同じ学校だったから、覚えているでしょ?アタシが、なんで男子からあんなに恐れられていたのか。
オトコノコの苦しみは分からないけれど、苦しむオトコノコは、キミよりもずーっと詳しいかもしれないよ?

「傷口を抉るみたいで申し訳ないけど、アタシだって、アオイを説得しようと頑張ったんだよ?
 キチンと罪を償ってもらえばいいじゃないって。たった一人の兄弟じゃないって。……状況がこんなになっちゃった今じゃ、なんの慰めにもならないけれど。

 それでも。命を奪った償いって何?って聞かれたら、アタシは何も言い返せなかった」

呻きながら、咽びながら。必死に彼は立ち上がろうとしている。内股の、ヒドイ格好。
結局立ち上がれずに、また、床に這い蹲る。それでも、彼の目は、意思を宿していて。それを見て、アタシが淡い希望を抱いたのを、誰が責められるだろうか。

166名無しさん:2017/11/21(火) 23:34:50 ID:.UYyDnrw0
「共感してあげられなくて、ゴメンね。その痛みが、きっと、キミの罪の重さ。自分がやってしまったことの重大さ、少しは分かってくれた?
 もしそうなら、お姉ちゃん(似非だけどね)としても、お仕置きした甲斐があったんだけど……
 
 だから、だからね。お願い。自分の行いを顧みて。お願いだから、取り返しのつかないことをしたって、これから心を入れ替えるって、今、ここで誓って。
 アタシは憎んでくれて構わない。でも、アオイには、彼女には、本当に、悪いことをしましたって、心の底から、本心から、謝って。
 キミは、カズ君は、絶対、自分のやったことが分からないようなコじゃないって、アタシに、もう一度信じさせて!」

「やかま、しい。言った、ろう?オレは、何の、後悔も、し、てねぇし、何度、だって、同じことをするって」

アタシの首の中心部分から、身体全体に脱力感と無力感が広がる。
崩折れそうになる膝を叱咤し、再度彼に呼びかけようとしたけれど。その時、ブザー音が部屋に鳴り響いた。


BEEEEEEP!BEEEEEEP!BEEEEEEP!BEEEEEEP!BEEEEEEP!BEEEEEEP!


―――結論が、出てしまったと言うこと。

分からずやの彼への苛立ちと、口下手な自分への苛立ち。
足元を攫う徒労感と、全身を包む寂寥感。

五度目。綯い交ぜになったアレコレ、全てを込めて。彼の金的を、再度、遠慮無しに蹴り込む。
裏側から、一撃。コレって一番痛いんですってね。

でも、安心して。色んな意味で、コレが最後だから。

う、と。彼の肺から、意味を成さない音が漏れ。あのコは、そのまま意識を失った。

167名無しさん:2017/11/21(火) 23:35:20 ID:.UYyDnrw0
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窓の外から、満天の星空。
夜の帳。潮の香りが、湿った空気が鼻腔をくすぐる。世界全てが眠りについたような静寂。

アタシと、アオイと、カズ君。
暖かい、輝かしい、そして、もう届かない、過ぎ去った時代。

アオイはアタシと同じ歳……22歳だったハズなのに、その疲れた風貌は、20台半ばを超えているかのよう。
彼女の醸し出す空気からも、この姉弟の軌跡の片鱗が漂う。―――苦労、してたんだね。

こんな形で再開するなんて思ってもみなかった。
アタシの今を、彼のお友達がどうなったかを、そして彼の今後を彼女に告げたときの視線。
理解できないという気持ちと、軽蔑とが綯い交ぜになったような視線は、未だに夢に見る。

彼は、またしても、両手両脚を拘束され、吊るされた姿。
力無く、頭を垂れている様は懺悔にも似て、アタシの心を焦がしていく。

「ユカリ、満足した?」

アオイからの問いかけに、首肯する。あぁ、なんて茶番。
このコを更生させて見せると、反省する姿を引き出してみせると、自分自身の無能を省みず、意気揚々と彼に向き合い。

得られた結果はご覧の通り。彼は決して自身を省みず、アオイに謝る事もせず……こうして無残な姿を晒している。
拳大まで腫れあがった睾丸が見るからに痛々しい。どれだけの痛みか、アタシには想像もつかないけれど。

「私、カズの身体を見るの、幼稚園の頃以来な気がするよ。結構立派なモノぶらさげてたんだね、知らなかった。
 これだけ大きければ、ユカリに苛められてたときも大変だったのかな?ね、ユカリ。コレってどれくらい痛いの?」

「女のアオイに分からないのに、同じ女のアタシが知るわけないじゃない……でも、本当に、どうしようもないほど痛いみたいだよ?
 ちょっとパチンってするだけで動けなくなっちゃうし、キーンって蹴飛ばすと、ほら、アンタも知ってるでしょ?
 中学の頃のカズ君がどうなってたか。だからさ―――

―――あっそ。それじゃ、丁度いいね」

バチリ、と鈍い音。間髪置かずに、鋭い悲鳴。
悲鳴と共に、何が起きたのかを認識する。アオイが、自分の平手を、無造作に彼の睾丸に叩きつけたのだと。


男の激痛に意識を引き戻された彼は、ひとしきり高音で嘶くと、再度ぐったりと項垂れようとしたけど、
アオイが髪を鷲掴みにして、力ずくで顔を引き上げる。

「あ、お早う、カズ。鳩が豆鉄砲くらったみたいな間抜け面してないで、シャキっとしなさい。
 別に大したことは起きてないよ。ちょっと、アンタのタマキン、これで引っ叩いただけ」

168名無しさん:2017/11/21(火) 23:35:55 ID:.UYyDnrw0

ヒラヒラと手を振る。彼女の顔には、何の感情も表れない。それだけで、コレから起きることを予見したのだろう。
カズ君の顔が青くなり、白くなり。瞳に恐怖が溢れ、哀しみが零れ、そして諦観に満たされる。それでも。

絶望が一瞬。彼の瞳に、意思の炎が灯される。最後まで、惨めな姿は見せたくないのね。
アタシ、キミのそういうところは好きだったよ。

「そういうこと、か。ユカリ姉が言ったとおり、アンタはオレよりも、あのオッサンを取ったんだな。
 いいぜ、殺せよ。それでアンタの気が済むってんならな。弟一人、縛り上げないと対面も出来ない負け犬が。

 それでもキンタマついてんのかい?ハハ、雌のアンタ等は、生まれたときから玉無しだってか」

ちょっと!自分の状況分かってるんでしょ!?何で、そんな挑発的なことを言うの!!?
横目でアオイの様子を伺うが、彼女は激情に燃え上がるでもなく、憎悪で凍えつくでもなく、温度という概念自体が無くなってしまったみたい。
その様子が、尚更アタシの恐怖を煽る。『ついてない』アタシがビビッてどうすんのよ!

それに、アタシ、『ついてなかった』ことだけは良かったって思ってるんだから。
カズ君、キミはついさっきまで『ついてる』から大変な目にあって、これから『ついてる』からこその、死ぬような目にあうんだよ?!
その時になって、『無ければ良かった』なんで後悔しても遅いんだからね!?

「カズ、言いたいことはそれで終わりかしら?アンタにしちゃ、冴えない最期ね」

「ふん、なんだ、ビビッてんのか?おいおい、勘弁してくれよ。今更、殺しにブルッてんのか?
 ……アンタだって、オレと同じ。血を分けた姉弟なんだからさ、姉ちゃぁぁぁぁぁああああああぁぁあ!!??!!」

電光石火。アオイは弾かれたように動き、彼の陰嚢を握りこむ。

「アンタに『姉ちゃん』なんて呼ばれたくない。アンタ見たいな『弟』なんて知らない。

 ……へぇ、ホントに効くんだね、コレ。ユカリに散々弄られてたときは、二人してふざけてると思ってたけど。
 もう少し早く知ってれば、アンタをキチンと躾けることもできたのかな」

ゴリゴリと音が聞こえてきそうなほど、強く。強く揉み扱かれる彼を見ていると、アタシまで辛い気持ちになってしまう。
思わず、自分に『ついてない』ことを確認。それでも、居心地の悪さは変わらない。

「アオイ、ちょっと強すぎるよ……」

「あ、ゴメン。コレ握るのって初めてだからさ、加減が分からなくて。私には元から『無い』部分だし。
 でも、不思議ね。お母さんにも、私にも、ユカリにも、ユカリのママにだってこんなモノついてないのに、アンタだけには『コレ』がある。

 あ、カズ、誤解しないで。私、別に、男がキンタマぶらさげてることに、とやかく言うつもりは無いの。
 むしろ、あのヒトみたいな男らしいヒトにはついてないと困るぐらいよ。そうじゃないと、抱かれることもできないじゃない。
 
 つまりね。私は、アンタにコレをぶらさげてる資格が無いって思ってるだけ」

169名無しさん:2017/11/21(火) 23:37:04 ID:.UYyDnrw0
口では謝りつつも、手の動きはむしろ力を増していく。
彼は、先程の強気を見る影も無い。握られるだけで、尊厳を投げ打ってしまうような場所なんて、なんで付けているんだろう。

「アンタと私は同じって言ってたけど、私はこれぐらいで情けなく喘がないよ?こんなに喘がれると、ちょっと面白いね。
 ユカリが御執心だった気持ちも、分かるかも。だからこそ、男の子のここは大切に扱わないといけないんだけれど……アンタのは別にいいわよね?男の資格なんてないんだし。そうでしょ?」

口とは裏腹に。どうでもよさそうに、彼の睾丸を解放すると、足元の鞄から巨大なペンチを取り出す。
……アタシは、せめて、彼が直ぐに気絶できるように祈る。それだけしか、出来ない。

「私としては、アンタを殺しても飽き足らない気持ちもあるんだけど……ユカリが泣いて頼むからさ。命は奪わないであげる。
 でも、私の『弟』は今日限りでやめてもらうね……勘当って意味だけじゃないよ?ほら、コレで、物理的に止めてもらうから」

もう、見ていられない。アタシは目線を床に落とす。
―――本当はね、キミが一言でも謝ってくれたら、心を入れ替えると誓ってくれたら、この身に換えてもキミを庇うつもりだったんだけど。

命を奪うことだけは勘弁してくださいって。泣き喚いて、土下座して、アオイに縋りついて。
そう、泣きついたんだ。アタシは、彼女に。このままでは、『弟』が報復されてしまうって。殺されてしまうって。被害者のアオイなら、それを覆すこともできるって。
でも、せめてもの妥協点として、キミの『男としての命』を代償にしてもらうってところまでが精一杯だった。……オトコノコにとっては、どっちが良かったんだろう?
アタシには、『無い』から、痛みも、喪失感も、実際のところ分からない。それでも、『無くても』22年間近く生きてこれたから。生きていれば、きっと、いいことだってある筈だから。

彼女は気軽な様子で『弟』の睾丸を一つ冷たい鉄の塊に挟み、そのまま押しつぶす。
プチュリと軽い破裂音。アタシにとっては聞き慣れた音、オトコノコにとっては、永遠に忘れられないだろう音。
 
甲高い叫びが、目を逸らしても鼓膜を貫く。

「結構痛いんだね、潰されるのって。私は生まれたときから男子じゃなかったから、こんなのがお仕置きになるのか半信半疑だったけど。
 ほれ、情けなく踊るのを止めて、もう一つもさっさと潰させなさい。私も、さっさとこんなコト終わりにしたいんだけど」

平坦な声。耳を塞ぎたいけれど、ここから今すぐにでも逃げ出したいけれど。
拳を握り、目を見開いて、アタシは彼に向きなおる。真一文字に結んだ口は、悲鳴や命乞いを漏らさないため。

「あれ、意外ね。先に『抜かされちゃった』娘は、アンタも囃し立てる側だって言ってたけど。
 アンタには二重の意味で『関係無い』ことなんじゃないの?なんで、そんな泣きそうな顔をしているの?」

……何を、言ってるの?『弟』と、その他の男が同列なわけないでしょ?!

「ユカリ、アンタ、自分で気付いてないの?アンタだって、カズとそう変わらないよ。アンタがそんなヤツだって、思っても見なかったけど……この瞬間までは、ね。
 身内だから、弟だからって、コイツだけ気に掛けてる。骨を砕かれたコや、タマ抜かれたコは、所詮他人だからどうでもいいってこと?
 
 私だってアイツ等を庇うつもりはないけど。身内にだけ甘い……ちょっと違うか。
 身内が傷つくことで、自分が痛みを感じるのが辛い……カズは、私があのヒトに傷つけられる前にって『独善』であんなことをしたんでしょうけど。アンタが起こした『あの事件』だって同じ
 アンタ達は、自分の痛みにだけ敏感で、自分以外に対しては本質的に無関心。……結局、カズがアンタにも似たのかもね」

コイツを押さえておいて、と短い指示。アタシは、無言で従う。
『彼とアタシが同じ』、『独善的』、『他人に無関心』という言葉だけが、脳裏でグルグル、グルグル、タンゴを踊る。

170名無しさん:2017/11/21(火) 23:38:09 ID:.UYyDnrw0
コツンと、彼女のペンチがアタシの股間に触れ、その冷たさに腰が砕けそうになる。
『潰されない』アタシでさえ、こんなにも恐ろしいのに、『弟』の恐怖を思うと心臓が止まりそうなほどに痛む。

「……コイツ、もうビビるとかビビらないとかって状態じゃないみたいよ?アンタは悲劇のヒロインぶってるけど、私と同じ、女だから結局『分からない』でしょ?
 ふぅ、もういいか。それじゃ、ね。姉ちゃんの最後の義務として、『弟』の不始末をつけさせてもらうね」

また、プチッという破裂音。あぁ、これでこのコは『弟』では無くなったのか……と思うと、落胆と喪失感が広がる。
結局、アオイはこのコを許してあげられなかった。このコも、アオイに謝ることができなかった。それだけが、とても、口惜しい。

「『償わせて』じゃ無くて、『許して』。『あのヒト』、いや、『傷つけた人たち』じゃなくて『私』に謝らせたかった。
 アンタ達、自分を中心に世界が回ってると思ってるんだね。本当に―――

続くは、アタシを糾弾する言葉、そして。
パキリ、と嫌な音。何故か、ソーセージのCMを想起させる、そして、とても不吉な未来をも告げるような、そんな音。

我に返ったアタシが見たのは。
彼女のペンチが、彼の、カズ君のペニスを毟り取っている光景だった。

―――三度目の、絶叫。

血が、流れる。アタシはまた我を失い、『弟』に飛びついて止血措置と応急措置を試みる。
アオイは彼のペニスをゴミのように投げ捨てると踵を返す。意識無く痙攣を続ける『弟』に一瞥もせずにこの場から去ろうとしているところだった。

「待って!待ってよ!このまま、お別れするつもりなの?!グスッ。せめて、せめて、最後の言葉ぐらいは、交わして、頂戴よぉ……
 こんな別れかたで、アオイは、ズズズ、これからの人生、自分の人生をどう歩いていくつもりなのよぉ……」

涙が止まらず、鼻水まで流れて、みっともない姿。
それでも、彼女にへばりつくような哀願をせずにはいられない。

だって、彼女も、今にも消えてしまいそうに見えたから。


「口を開けば、自分、自分、自分か……。私は、やっぱりアンタ達のことが理解出来ないよ。

 ……そうね。とりあえず、『抜かれちゃった』子には弟さんがいた筈だから、彼がイジメにあわないように手を尽くそうかなと思ってる。
 襲われた女の子……無理矢理アンタ達にあんなことさせられて、部屋に引きこもっちゃったからさ。彼女の話し相手もしないと、ね。
 他にも、カズたちに非道いコトされたヒトもいるし。『弟』がもういないんだから、私が代わりに償いをしないと」

―――そんな、グシュ、そんなコト聞いてないっ!!アオイの、アオイ自身の人生はどうなる、ズズズ、どうなるのか聞きたいの!
 分からない、分からないよぅ……ズズズ、アンタが一体何を考えているのか、頭の悪いアタシにはさっぱり分からないよぉ!!

アオイは振り返る。彼女の目にも涙が湛えられていて……彼女も『弟』を悼んでいると思って、アタシの涙は勢いを増した。
だけど。返されたのは、哀しみでは無く、怒りの言葉。

「私にだって、アンタ達がさっぱり分かんないよっ!!もう、私達の人生に関わってこないでっ!
 ユカリ、アンタ、自分の目の前で、ナメクジみたいに這い回ることしか出来なくなった人間を見せられたヒトの気持ちを考えたことがあるの?!
 二度と会いたくないと思ってた男の前に引き出されて、無理矢理にそいつを去勢させられたヒトの気持ち、少しでも察することは出来なかったの?!?

 同じ様な暴力を振るわせれば、それで清算は成り立つとでも思ってるの?!」

171名無しさん:2017/11/21(火) 23:38:44 ID:.UYyDnrw0
「それでも、償いはさせないと―――」

「だからっ!なんで『アンタ達』がそれを決めんのよっ!!あんな押し売りみたいな真似までしてっ!!アンタ達の『世界』に巻き込まないでよっ!
 カズの命を人質にしてっ!私がやらなかったら、我儘な復讐の名目でっ、アンタ達がコイツを殺すつもりだったんでしょっ!!

 ―――だから、アンタが泣いてくれたとき、カズを説得してくれるって言ったとき、本当に、本当に嬉しかったんだから……で、何?
 結局は暴力で押さえつけて、無理矢理謝らせようとしただけ?ヒトを馬鹿にするのもいい加減にしなさいよっ!!

 ……………………感謝は、してるよ。本当に、絶対に分かり合えない人間が、この世には居るんだって実感できたもの」

初めて見る、彼女の激昂。
震え上がる自分と同時に、普段怒らない人が怒ると怖いって本当ねと冷静な感想を零す自分。
そして、本当は殺したくなかったんだと、カズ君が愛されていたんだと確認できて、喜ぶ自分が同居していた。
怒られている自分を、自分が観客として見ているような不思議な気分。

頭部に衝撃。彼女がペンチを投げつけてきたと気付いたのと、アタシの意識が身体に戻ったのは同時。
彼女は、まるで枕元にムカデでも見つけたときのような、胸糞悪いものを見る視線をアタシに注いでいた。

「……それをカズに言うのは止めておきなさい。理解できないでしょうから、コレにはただ従いなさい。
 ユカリ。ソイツはもう『弟』でもなんでもないから……アンタ達で好きにしても、私はもう何もいう資格がない。
 それに、ソイツの気質とココの環境は結構あってるみたいだし、願わくば、ココに骨を埋めてくれるといいと思うけれど。

 それじゃ。願わくば、二度と係わり合いにならなくてすむと、お互い良いわね」
 
決別の言葉。
その言葉だけ残して、アオイは再度踵を返す。アタシが返せるのは沈黙だけ。

そのまま、アオイが去るまでの間、アタシは只管、『弟』を抱きしめて震えていた。

172名無しさん:2017/11/21(火) 23:39:23 ID:.UYyDnrw0
--------------------------------------------------------------------

「はいドーモー!僕の私の、アスカちゃんでーっすぅ!」

アニメみたいなキンキン声だって、意地悪なヒトは言うけれど。仕方ないじゃないですかぁ、地声なんですから。

ここは女子監舎の特別救護室。
勿論男子禁制ですけどぉ、『取られちゃった』系のヒトはぁ、一旦ココで預かることになってるんですぅ。
まぁ、問題無いですよねぇ、『男子』じゃないんですからぁ。勿論、『女子』でもないですけどねぇ。エヘヘ。

ベッドは三台、そのうち一つだけ使用中。あれれ?ユカリ先輩の、『弟』さんは何処かなぁ?あ、今は『妹』さんでしたっけ?

伏せているのは、『抜かれちゃった』コ一人だけ。お目当てのコは影も形も無くて、少し出鼻を挫かれた気分。

『抜かれちゃった』コは、死人みたいな無表情で虚空を見詰めている。
ま、『オトコのタマシイ』的なもの取られちゃったんですからぁ、オトコとしては死人で間違ってないんですけど。

それでも。金属バットのコは、もうマトモに歩けない片腕も動かないって状態らしいですしぃ、先輩の弟さんは『潰され』ちゃいましたしぃ、
他のコと比べると、キミは全然恵まれてるんですよぉ?要らないモノが失くなっただけなんですからぁ。
ウチには生まれたときから『ついてない』しぃ、『ついてる』から苦しんだコは知ってますけどぉ、『ついてなくて』苦労したコなんて見たことないですぅ。

「お〜い、ボクちゃん、挨拶には返事してくださいよぉ。寂しいじゃないですかぁ」

彼?は目線を動かさない。ここまで堂々と無視されると、ウチだってぇ、ちょっとイラってしちゃいます。

「あ、ウチのこと忘れちゃったんですかぁ?そんなぁ、一緒にタマタマちゃん抜かれた仲じゃないですかぁ。もう一度やってみせましょうかぁ?
 ほりゃほりゃ、『タマがー、タマがー』……なんちゃって。クネクネしながら、情けな〜い顔をするのが、ウケるコツですよぉ」

彼?が『抜かれちゃう』直前の様子を再演してあげる。
両手で股間を押さえると、必然的に両腕でおっぱいを強調する形になっちゃいますけどぉ、まぁ、眼福とでも思ってくださいねぇ。
なんて、もう『オトコノコ』じゃないから、どーでもいいんですかねぇ?

「そんな冷たい目で見なくてもいいじゃないですかぁ……タマタマついてないなりに、結構頑張ってモノマネしてるんですからぁ。
 それに、悪いことばっかじゃないでしょお?『オトコノコの痛み』を知る前に、『オトコノコの痛み』と無縁な身体になれたんですからぁ。
 ボクちゃんの先輩はぁ、『オトコノコの最大の痛み』と一緒に、オトコノコ止めさせられちゃったんですからぁ、それに比べれば大分マシですよぉ?
 
 これから、喧嘩で金的をやられちゃうことも無いんですしぃ……アタシも金的ないですけどぉ、下半身にそこまで注意しなくてもいいって結構気楽でいいですよぉ?
 もしかしたら、『ついてた』頃よりも強くなってるかも?なーんて、自分のタマタマも守れなかったコなんだから、強くなっても多寡が知れてますかねぇ?

 あ、そうそう。その先輩、どこに行っちゃったか教えてもらえません?」

173名無しさん:2017/11/21(火) 23:39:57 ID:.UYyDnrw0

彼?は此方に顔を向ける。おおっとぉ、ようやく反応してくれましたかねぇ、とぬか喜び。
ボソボソと、聞き取れないぐらいの小声で何かを呟きだしてますけどぉ、ウチのお目当てのコの行方についてじゃ無さそうですぅ。 

「も〜、元気出してくださいよぉ。ちょ〜っと、タマタマちゃん抜かれちゃっただけじゃないですかぁ。
 ほら、ボクちゃんの先輩なんて、『オトコノコ』の部分、ぜ〜んぶ取られちゃったんですよぉ。それに比べれば、全然マシでしょう?」

彼?の顔を覗き込んで、慰めの言葉を掛けてあげたんですけど、それでもショックは和らがないみたい。
うわごとのように、『キンタマ返して、返してよぉ……』って繰り返すばっかり。もう!取られちゃったものはどうしようもないでしょ!
男らしく、ちゃーんと切り替えてよ、って、もう男じゃないから仕方無いですかぁ。それにぃ。

―――目的のコがいないなら、ちょっとこのコをからかってあげようかなって気分にもなっちゃいますぅ。


男性に触られるのは恥ずかしいですけどぉ、このコは男の子じゃないし。可哀想にって表情を作って、ウチの股間を触らせてあげます。

「えへへへ、ウチには元々キンタマついてないんでぇ、返してって言われても困っちゃいますよぉ。
 ほ〜ら、ボクちゃんと同じ。タマタマちゃんがついてない股間ですよぉ。えへへ、良かったですねぇ。男の人とお話ししてるとぉ、
 よくココに視線感じるんですけどぉ、触らせてあげることなんて滅多にないんですよぉ?ボクちゃんは、もう、オトコノコじゃないから、と・く・べ・つ☆」

押し付けた手は、為されるがまま。普通のオトコノコだったらぁ、何だかんだいいながらも、ワレメちゃんを弄くってきますけどぉ、
やっぱ、もう『関係無く』なっちゃったから、興味も湧かないんでしょうかねぇ?ちっちゃいチンチンも、ちっちゃいまま。

「もうオトコノコじゃないから、オンナノコ触っても興奮できないですよねぇ。うふふ、これで、性欲に負けて悪いことしなくても良くなりましたねぇ。
 男の子がイヤらしいのは仕方無いと思いますけどぉ。でも、お外でぇ、エッチな男子がぁ、勝手にウチのおっぱいとか、お股とかイジろうとしたときは―――

片手を伸ばし、このコのオトコノコの残骸を包み込む。

「こうやってぇ、ウチもオトコノコのタマタマちゃんで遊ばせてもらうことにしてたんですよぉ。って、あれあれ〜☆たーいへん。
 ボクちゃんのフクロの中に、タマタマちゃんが入ってないぞー?アスカちゃん、大ぴーんち!ほら、ギューっとしても、全然平気だぁ!

 えへへへ、ボクちゃん、ラッキーだったね?もしキンタマついてたら、これだけで悶絶してましたよぉ?」

フニフニ。グリグリ。彼?の股間に未練がましくぶら下がっている、用無しの部分を可愛がる。
いや、ラッキーだね?っていうのは本音ですよぉ?今もタマタマちゃんついてたら、ウチ、きっと歯止め利かなくなっちゃってましたからぁ。

「ボクちゃんのオトコノコ、何処かなぁ?ここかなぁ?あれぇ、何処にもないぞぉ?何処かで無くして来ちゃったんですかぁ?
 ボクちゃんは知らなかったかもしれないですけどぉ、オトコノコはみーんな、ココに大切なものぶらさげてるんですよぉ?えへへ、オトコノコのフリ、失敗しちゃいましたねぇ。
 でもでもぉ、オンナノコの穴だって空いてないしぃ……ボクはオトコノコなのかなぁ?オンナノコなのかなぁ?ウチにコッソリ教えてくれませんかぁ?ウフフフフ。
 なーーんて♪ゴメンね、泣かないでねぇ?でも、ウチがお外で遊んでた時は、『いっそ無ければ良かった』っていう子もたくさん居たんですよぉ?

 ウチには無いですけどぉ、経験は豊富でしたからぁ……何処が痛いかとか、とっても詳しいんですぅ。ほら、ココ。オトコノコはぁ、ココのフクロのぉ
 付け根ぐらいのところにあるぅ、タマタマちゃんと身体を繋いでいる部分。キミには無いですけどぉ、本当のオトコノコだったらココをコリコリってするだけでも、
 死にそうなくらい痛いらしいですよぉ。一回遊んであげたコは、ウチがコリコリってする時の手を見ただけで、縮みあがっちゃうって言ってましたぁ。

 ボクちゃんは心配しなくてもいいんですよぉ。ホラ、縮みあがるところが無いですもんねぇ。うふふ、ウチとお揃いですねぇ」

174名無しさん:2017/11/21(火) 23:40:35 ID:.UYyDnrw0

自分の股間に彼?の手を押し付け、彼のフクロを握りながら、語りかける。
このコはハラハラと涙を流して(カワイイ!)、それでも只々、横たわったまま。

「時々ぃ、仕返ししてやるってコもいましたけどぉ、えへへ、ウチ、キン蹴りもチョー得意だったんでぇ、大体のコは股間押さえて青くなるのがオチでしたねぇ。
 オンナノコに対してタマタマの仕返しなんて出来るはずないのにぃ、何考えてたんでしょーねぇ?
 勿論、オンナノコからは、簡単にタマタマちゃんに仕返しできるんですよぉって再教育してあげてましたけどぉ、ふふ、とっても情けない顔して楽しかったですぅ」

でも、お外では流石に『ダメ』にしたことまでは無かったですけどぉ。先輩とは違って。
『ダメ』にされたらこうなっちゃうんだ、ってコトは、ココに来てから初めて知りましたぁ。きゃっ。

「ボクちゃんの先輩はぁ、もう、『男』って感じだったからぁ、今更『潰され』ちゃっても手遅れっぽいですけどぉ。アハハ、潰され損。最初から女に生まれてりゃ良かったのにぃ。
 キミはぁ、カワイイ顔してるんですからぁ、これからはオンナノコとして生きていけばいいんですよぉ。大丈夫です。
 もしお外であってたら、ウチ、絶対ボクちゃんをスカウトしてましたしぃ。上客になりそうな方々の顔だってぇ、五本の指じゃ数え切れませんよぉ」

ぺしぺし。たぷたぷ。柔らかいフクロを叩きながら、言葉を続ける。
あ、コレ、柔こくて、結構気持ちイイかもぉ……こっちでも『売れる』かもしれませんねぇ。

「それにぃ、オンナノコをオナホ代わりにしてたんですからぁ、オトコノコをバイブ代わりにされちゃうのも、因果応報ってやつじゃないですかぁ?」

―――その通りね。でもアスカ、アンタはあの稼業から足を洗ったんじゃなかったかしら?」

背後から声。この鬱陶しい響きはぁ、ユカリ先輩ですねぇ。今の今まで、ナニをしてたんですかねぇ?
それにぃ、ウチは欲しがるヒトと売りたがるヒトを取り持ってただけですぅ。アンタみたいなのと一緒にされるなんて、心外ですよぉだ。

内心を肚の底に沈め、営業に培った笑顔でアイツに向き直る。
こんな所で諍いを起こして、いいことなんて何も無い。それに、彼女がここに居て、『弟』さんが居ないってことは、つまりは出足が遅かったってコト。

「あ、先輩ぃ、お早うございまーすぅ!って、もぉ〜、冗談に決まってるじゃないですかぁ。真面目すぎぃ!
 ……そういえば、このコの先輩、コレからどうなるんですかぁ?てっきり、ココで仲良くお昼寝中だと思ってたんですけどぉ。

 潰されちゃったんですよねぇ?うわー、可哀想ですぅ。でも、見てみたかったなぁ……ウチの新ネタの参考になったかもしれないですしぃ」

鈍い破裂音。先輩が、平手で壁を叩く音。ふん、物に当たらないで欲しいなぁ、みっともない。

175名無しさん:2017/11/21(火) 23:41:05 ID:.UYyDnrw0

「あのコはもう罰を受けたわ……アスカ、アンタはちょっとはヒトの痛みに鈍すぎる」

アハハハハハハハハ。誰の受け売り?クク、どの口でいうんですかぁ、ソレ。ウチのギャグよりも、ずっとイイですねぇ。
……それに。分からないのに、分かりようがないのに、『知った風な』同情をしようとしてる、アンタの方がよっぽど鈍感ですよぉ?

「痛みっていってもぉ、潰されちゃえるのはオトコノコだけじゃないですかぁ……ウチには想像もつかないしぃ、想像する必要もないですよぉ。
 ユカリ先輩だってそうでしょぉ?あ、ボクちゃんも、もう潰されることは無いから、怖がる必要ないですからねぇ」

侮蔑の言葉は呑み込む。それで、ソイツは結局どうすることにしたんですかねぇ?ま、想像はつきますけど?

「『弟』の面倒は、アタシが見ます……いや、アタシが見なきゃいけないの。これで答えになるかしら?
 これまで、ずぅっと放っておいた罪滅ぼしとして。これまでの行き違いを、消して失くしてしまうために。本当の姉弟になるために。
 ……幸い、時間ならたっぷりあるもの。アオイは、そう思って、アタシに『弟』を託してくれたんだと思う……姉妹みたいなものだから、言葉は無くても、分かるの」

B・I・N・G・O!って、馬鹿じゃないですかぁ?馬鹿じゃないですかぁ?もう『弟』さんじゃないってことをさておいても、また、独りよがりな考えで突っ走ってるだけでしょう。
今はいいですけどぉ、これから先、中年になってもぉ、老年になってもぉ、ソイツの面倒を見て生きてくつもりですかぁ?うわーお、ゾッとしないですねぇ。
それにぃ、そのコのお姉さんもぉ、きっとそんなコト考えちゃいないですよぉ?もう、自分の人生に関わって欲しくないだけ。
勿論、先輩、アンタにもですぅ。

「話はそれだけ?なら、もう退がりなさい」

……………………。別にいいか。合法的に、このオンナの知り合いを甚振れると思ったんですけどぉ、チャンスを逃しちゃったみたいですしぃ。
アンタと違って、ウチは二十歳になる前には、こんな不毛な場所からはオサラバしたいんですよぉ。そのためだったら、イイコにだってしますしぃ、黙れといわれりゃ黙りますぅ。
別にウチの身体を差し出したって構いませーん。減るもんじゃないですしぃ。

そもそも、こんなヘンテコな場所、長持ちするワケないですしねぇ。

ま、アンタほど凄惨な事件を起こしたわけじゃないからぁ、このまま行けばきっとそうなるでしょうけどぉ。
アンタみたいに、自分が罰せられなかった代償行為に、他人を罰するような不健康な生き方だってするつもりはないですしねぇ。
自分が自分を許せないのに、何で他人が罰を与えてくれて当然って顔してるんでしょね……そんなだから、ココ最近の不穏な空気だって、アンタ、全然読めてないでしょ?


「それじゃ、先輩。ウチはそろそろ退散しますねぇ。『妹』さんに、よ・ろ・し・く☆」

背後から怒気。ふん、いい気味。
ウチだって、久しぶりに面白いことができそうだって期待を挫かれて、ちょっと不機嫌なんですからぁ。

部屋からぬけると、雨模様。
高さそのものに圧しつぶされるような曇天は、まるで、空がウチの代わりに涙しているようにも見えましたぁ……ウチってば、ポエット♪

176名無しさん:2017/11/21(火) 23:41:37 ID:.UYyDnrw0
--------------------------------------------------------------------



ここは閉じた鳥籠で。朽ちて果てていることに気付かれない獄舎。
これは、獄舎が崩れ落ちる、ほんの少し前に起きた、ほんの些細な出来事の一つ。

177名無しさん:2017/11/21(火) 23:53:06 ID:.UYyDnrw0
以上です。

とりあえず、導入を短くしてみたのですが、どうでしょうか?

>>154のリクエストに応えたかったんですけど、常識改変系になると具体的なイメージが湧きませんでした。ごめんなさい。
今回の狂言回し役が何かやらかしたっぽいのは、リクエストに応えようと考えてみたプロットの名残です。

4つ程駄文を投下して、ある程度骨子は網羅したつもりなのですが、どんな組み合わせがいいんでしょうね?

・視点
群像劇系、男性視点×2、女性視点

・動機
仕事として(+性欲/拒否感をもちつつ)、成り行きで、性的好奇心で、義務感で
=他動的、他動的、能動的、能動的

・人物数(男複数 対 女1は勝てるわけねーじゃんと思ってしまって書けなかったので……)
多人数、男1対女1、男1対女2、男1対女1(入れ替わりアリ)

・抵抗
無し、有り、申し訳程度、有り

・年齢
同年代、年上、年上(サブ)と年下(メイン)、年上

自分で書いていると、いまいちピンと来ないので。

178名無しさん:2017/11/22(水) 21:23:12 ID:h39zB/NY0
今回も素晴らしい作品だと思いました。
何度も読み直しています。
カズとユカリの戦う描写が好きで、タマの痛みについて理解はできないが、カズのタマを潰すことについては悩んでいるような感情がせめぎ合っている部分がよかったと思います。
アオイが淡々とタマや竿を潰す部分もよかったのですが個人的には身内のタマを潰すのであれば少し悩む描写も欲しかったところです。
個人的に好きな組み合わせは
女性視点
義務的に、彼氏や身内、元カレなどのタマを潰す
1対1がやはりいいかなと。
女複数対男1もありかと思います。
男複数対女1は現実離れしすぎてかなと。
抵抗はあった方が良いと思います。
普通〜激しく
年齢は同年代から年上であまりに対象が幼すぎるのはちょっとどうかなと思いまして、10代半ばから上がいいと思いました。

179名無しさん:2017/11/23(木) 02:55:08 ID:5T8fXVJU0
どうにか弟を助けたいというユカリ視点があって、
その後にアオイやアスカがそのユカリを評することで、
ユカリの異常な独善、偽善が表れてて面白かった。
獄舎が崩れ落ちる(私刑の露見?)前ってことは、
結局ユカリはカズの側にいられないんだろうな。

フェチ的な面から言うと、もう少し攻められている睾丸そのものの描写が濃い方が好み。
地の文も登場人物が担ってるから、そんなところまで細かく描写できないんだろうとは思うけど。

180名無しさん:2017/11/23(木) 19:17:29 ID:q2DCKslU0
マイナーなジャンルのssは10年後とかでも普通に読まれるので、セリフや文体はなるべくシンプルにしといた方がいいと思う。

181名無しさん:2017/11/23(木) 22:57:21 ID:Y2fQEs2c0
リクエストは出来ればでいいので好きなように書いて欲しいんだぜ
今回も最高でした

視点は神視点・男視点・女視点それぞれに強みがあるけど、個人的に同一作品内では視点は固定して欲しいかな
同じ作品内で視点が動くとちょっと状況が把握しづらいかも
その他の組み合わせに関しては色んなシチュエーションの作品が読みたいのでお任せしたい
正直地力あるからどれ書いても抜けると思うw

182名無しさん:2017/11/23(木) 23:00:17 ID:0IizhB7U0
圧倒的な体格差を玉への攻めで容易く覆せてしまう事実と、
玉責めされている男を心から哀れむ描写がとても好き。
欲を言えば179と少し被るが、玉が潰れる描写が鮮明になると嬉しいな・・・

183名無しさん:2017/11/25(土) 20:13:32 ID:gwOvVO/E0
あんまりリアルな潰し描写・グロいのは遠慮したい

やはり男女の格闘対決で、肉体的に強いはずの男が、本来弱いはずの美女に、
男だけにある致命的急所(金的)責められて悶絶するのは倒錯感があり、最高のシチュ
金的の無い女の言葉責めや優越感描写も最高

他ならぬ自分自身も、幼少時に実体験(年上女と喧嘩して金的されて悶絶KO。ニヤニヤクスクス嘲笑されて、
とんでもない屈辱感を味わう)し、
以来、女を見下すS男から、M(金的フェチ)に180度変換してしまった恐ろしい経緯がある
肉体的にも精神的にも、女→男の金的はそのぐらいの破壊力がある

「婿にいくか」シリーズの続きも激しく期待してます

184名無しさん:2017/11/25(土) 21:33:54 ID:yla.CPxE0
俺はリアルな潰し描写・グロいの大好きだからもっとやってほしい

185名無しさん:2017/11/25(土) 21:57:47 ID:TPRzMSEQ0
エクストリームって126以降更新されてますか?

186名無しさん:2017/11/26(日) 08:46:18 ID:Jxvc0Rjo0
俺はあまり潰しはリアリティに欠けるから好きじゃないかな
潰されたことに対する屈辱感みたいなものは実感がわかないし頭に入らない
玉を潰さなくても完全に気持ちを挫けさせて、男として最大限の屈辱を受ける
それで充分であるし、むしろそのほうが読んだ後味がすっきりして良い

色々言ったけど、好みの問題だからリクエストに答えなくても問題ない
作者様にお任せします

187名無しさん:2017/11/26(日) 10:20:50 ID:DwBh3yw60
海外のCBT物にありがちなハンブラーを扱った作品とか、女性2人がそれぞれの奴隷のキンタマを綱引きさせて競い合うといったシチュエーションで書こうかと思ったが全く進まない。
誰か代わりに書いてくれ…

188名無しさん:2017/11/26(日) 22:51:29 ID:ZWAb.th20
個人的にはスパリゾートの続きも気になる
あのシチュエーションすげえ好みだから是非書いて欲しい

189名無しさん:2017/11/26(日) 23:14:27 ID:sTYnr3wU0
あまり拘ると玉責め小説からリョナ小説になっちゃうからね

190名無しさん:2017/11/27(月) 00:29:34 ID:dEEcvsdE0
金蹴りフェチって物理的な性器破壊が好きというよりは精神的な倒錯の部分に興奮する人が多いからね
男にしかない急所を痛みの分からない女に蹴られる倒錯とか、大事な所を押さえて踞る情けない所を異性に見られる恥ずかしさとか
好みにもよるけどグロく残酷にすれば良いってものではないね

191名無しさん:2017/11/27(月) 20:54:10 ID:jyVQo5dc0
100の言葉で好みを語る前に1の言葉でSSを書け

192名無しさん:2017/11/28(火) 14:17:49 ID:fCxGM8z20
ここはとある実践的護身術教室
ニーソ女子「先生、こうですか?えいっ!」キ〜ン
先生男「ぐふっ………バ、バッチリ…」

1の言葉では難しいので三行にしてみたよ

193<削除>:<削除>
<削除>

194名無しさん:2017/11/29(水) 09:19:51 ID:cD1HV7j.0
すみません、議論スレに書くつもりが誤爆してしまいました。
お手数をおかけしますが削除して頂けるとありがたいです。
本当に申し訳ありません。

195名無しさん:2017/12/14(木) 20:15:43 ID:aLtzVbVs0
全く書き込みがなくなった、過疎っているね。

196名無しさん:2017/12/14(木) 22:07:11 ID:xk82w.6s0
基本淡々とSS投下して感想書く場所ですし
むしろ無駄に荒れなくて好都合

197名無しさん:2017/12/24(日) 02:20:28 ID:YhhxKp1A0
書くの遠慮するとかは全くしなくてええんやで(チラッチラッ

198名無しさん:2017/12/24(日) 11:02:18 ID:5ktNeAhI0
お前が書いてもええんやで?(チラッチラッ

199名無しさん:2017/12/24(日) 21:29:45 ID:Sb.IIOM60
が、頑張ってみます

200名無しさん:2018/01/21(日) 21:29:03 ID:SiuZmYeA0
何もしていないのに、いきなりクラスメイトの女子から思いっ切り金玉を蹴り上げられ、悶絶し、股間を押さえて蹲る男子と、
その男子の苦しむさまを見て嘲笑する蹴った女子。

「あ……ぐ……ぎぎ……」
「随分苦しそうだね〜。腰トントンしてあげよっか?w」
「うぅ……ぐ……」
「はい。トントントン」
「うあっ! あっ、あっ……」
「あ、余計金玉に響いちゃったかな?w まあちょっと狙ってやったんだけどねw」
「うぅう……」
「でも金玉蹴られたらそんなに痛いんだねー。大変だねー。蹴ったあたしが言うのもなんだけどw」
「…………(悶絶していて声が出せない)」
「じゃ、折角だからもう一回蹴ってあげるよ♪ 君もあたしに金玉蹴られて嬉しいんでしょ?」
「!?」
「ほら、早く立って! 10秒以内に立たなかったら君の金玉、今度はさっきの10倍の強さで蹴っ飛ばすからね! 
はい、いーち、にーい、さーん……」

以下、冒頭に戻る(繰り返し)。

201名無しさん:2018/01/21(日) 23:04:32 ID:kcPnQIss0
いいね
こういう小規模な作品ももっと投下されていいと思う

202名無しさん:2018/01/21(日) 23:58:04 ID:GqXqtCss0
久々の投下ありがたい。
長編もいいけど、短くて完結してるのも大事だな。
GJ!!

203名無しさん:2018/01/22(月) 19:32:24 ID:EhUuDix.0
「ねえ。キミ、キャッチャーの子だよね?」
「えっ」

唐突に声を掛けられたので振り返ると、ソフト部のユニフォームを着た女子生徒が立っていた。
確かピッチャーで、ユミとかいう名前の子だ。

「そうだけど」
「良かったー。実はさ、ちょっとお願いがあるんだけど」
「? 何?」
「あたしの球、受けてくんない? 野球部の練習始まるまでで良いから」
「えっ」
「今週末、試合だから軽く投げときたくて……駄目かな?」
「そっちのキャッチャーは?」
「生憎、今日はいつもバッテリー組んでるコがお休みなの。お願い! ほんのちょっとだけでいいから」
「うーん。じゃあ練習始まるまでなら、良いよ」
「ホント!? やった! ありがとっ!」

特に断る理由も無いし、そういう事情なら協力してあげてもいいかと思った。
どうせ一年のグラウンド整備が終わるまでは暇だしな。

「あ、どうせならさ、そっちのボールで投げさせてもらってもいい?」
「え? 硬球で?」
「うん。あたし、中学入るまではリトルに居たから、実は硬球の方が慣れてるんだよね」
「そうなんだ。なら別にいいよ」
「ありがとう」

手に持っていた硬球を軽く投げると、なるほど確かに慣れた様子でキャッチした。
女子の硬球を受けた経験は無いが、いくらなんでも男子のピッチャーより速いはずも無いし、特に問題は無いだろう。

204名無しさん:2018/01/22(月) 19:34:35 ID:EhUuDix.0
「じゃあ、行くねー」
「おう」

10メートルほど距離を取り、ユミが手を振る。
正確には知らんが、女子ソフトなら多分これくらいの距離だったはずだ。

やがてユミが大きく振りかぶる。ワインドアップだ。
てっきりアンダースローだろうと思っていたので多少面食らったが、確かにリトル出身だと言っていたな。
などと感心していると、ユミの右腕からシュッ、と球が放たれた。

「お」

そのスピードは俺の想定よりも遥かに、速――

「!」

次の瞬間、カクッ、と大きく球が落ちるのが見えた。
俺は咄嗟にグローブの位置を下げるが――

ユミの速球は、さらにその下まで落ち、



『ボグッ』



「……ッ!」

一瞬、脳天がかち割られたような衝撃。
暗転する世界。



――ユミの放ったフォークボールが自分の急所を直撃した、ということを認識するのに数秒を要した。

205名無しさん:2018/01/22(月) 19:38:04 ID:EhUuDix.0
「う……ぐ……」

全身から脂汗が滲み出てくる感覚。
息が出来ず、声が出せない。

そんな中、喜色に満ちた明るい笑い声が俺の耳に届いた。

「あははは! 今、キンタマにジャストミートしたね〜あたしのフォーク!」

ケラケラと笑う、ユミの声。
こいつ、今、何て……?

急所の痛みがあまりにも強烈過ぎて、思考がまともに働かない。
しかしユミは構わずに続ける。

「実は今ね、キミのキンタマに直撃するように狙って投げたんだよ♪ 綺麗に落ちたでしょ?」
「…………!?」

狙って……投げた?
バカな。
そんなことが……。

「あはは、めちゃくちゃ苦しそ〜。硬球だもんね、これ。痛いよね〜w あはは、超ウケる〜♪」

顔を上げることもできず、ただ両手で股間を押さえたまま地面に突っ伏す事しかできない俺とは裏腹に、ユミは心底楽しそうに笑っている。
まだ息も絶え絶えだが、俺はかろうじて声を振り絞った。

「な……なんで、こんな……」
「あー。実はあたし、リトルの頃、よくわざとフォークをキャッチャーの男の子のキンタマにぶつけて楽しんでたんだよね」
「!」
「で、さっきふと急に、そういえばあれ、もうずっとやってないなー、久しぶりにやってみたいなーって思いついて。ただ、そんだけ」
「…………」

頭がくらくらしてきたのは、多分急所の痛みの所為だけではない。

206名無しさん:2018/01/22(月) 19:42:40 ID:EhUuDix.0
「おーい、ユミー。何してんのー? もう部活始まってるよー」

遠くから、別の女子の声が聞こえた。
見ると、キャッチャーマスクを持った女子が立っていた。
その女子に向かって、ユミが大きな声で返事をする。

「ごめーん、カナー! すぐ行くねー!」
「あの子って……」
「ん? ああ。あたしとバッテリー組んでる、キャッチャーのカナだよ」
「今日は休みって、さっき……」
「ああ、あれウソ」
「…………」

悪びれもせずにそう言うと、ユミは未だ地面に蹲ったままの俺を尻目に、カナの方へと歩き出し、
一度だけ、くるりと振り返って言った。

「あ、そーだ。流石に一回ぶつけたくらいじゃ、まだつぶれてないよね? キンタマ」
「えっ」
「じゃあ、明日またキンタマにフォークぶつけてあげるよ。今度は本当につぶれちゃうかもしれないけど♪」
「…………」
「そんじゃーね。キンタマお大事に〜」

ぴらぴらと手を振りながら遠ざかっていくユミの背中を見ながら、俺は即刻、監督に外野手へのコンバートを申し出ようと心に誓った。




<了>

208名無しさん:2018/01/23(火) 21:29:17 ID:WwEJbDrQ0
>>203
丁寧で好き
玉責めパートはこれくらいの長さにした方が話はまとまるんだよねぇ
でも抜けるかどうかを重視するなら責めの描写も長く取りたいし難しい

209名無しさん:2018/01/24(水) 22:32:02 ID:krOuqCdQ0
そうは言っても量より質だと思う

210名無しさん:2018/02/11(日) 03:04:59 ID:iztSKbj.0
スパリゾートの続きが読みたい(唐突)

211名無しさん:2018/02/11(日) 12:47:57 ID:22GcWzvA0
『脅迫と賞罰』


「早く脚を開きなさいよ。あんたのキンタマ、思いっ切り蹴り上げてあげるから」
「う、うん……」

女子生徒に言われるがまま、男子生徒はおずおずと足を開いた。

「よ〜し」
「…………」

舌なめずりをする女子生徒。
緊張の面持ちを浮かべる男子生徒。

次の瞬間、

「おりゃあっ!」

ドグッ!

「ッ!?」

大きくしなった女子生徒の右脚が、男子生徒の股間に鋭くめり込んだ。
昔空手をやっていたというその女子生徒の蹴りは、脚の甲で男子生徒の二つの睾丸を的確に捉えていた。

「あ……あが……」

堪らず、男子生徒は膝をつき、地面に蹲った。
女子生徒は、そんな彼の様子を嗜虐と優越に満ちた表情で見下ろしている。

「あははっ。いたそ〜」
「……ッ……」

男子生徒は一声も発することができず、ただただ、苦痛に顔を歪めている。

「でも、これが好きなんでしょ?」
「…………」

今朝、通学途中の電車内で、男子生徒はスマホでyoutubeの動画を閲覧していた。
それ自体は普通の動画だったのだが、操作の途中で閲覧履歴をスクロールしていた際、彼が昨夜、家で観ていた大量の金蹴り動画のサムネイルが表示されていた。
不運にも、それを偶々近くに乗り合わせていた、このクラスメイトの女子生徒に覗かれてしまっていたのだ。

そして、以前空手をやっていた頃から、密かに男子の急所に興味を持っていたというこの女子生徒から、「皆に黙っていてほしければキンタマを蹴らせろ」と脅されたというわけだ。

「道場では、基本金的禁止だったから、思いっ切り蹴ったことなかったんだよね」
「…………」
「一度でいいから、思いっ切り蹴ってみたかったの。男子のキンタマ」
「…………」
「だから本当に運が良かったわ。まさかキンタマを蹴られたい男子が同じクラスに居たなんて」
「…………」
「でもこれ、脅しでもなんでもないよね。だってあんたにとってはご褒美なんだから。そうでしょ?」
「…………」

愉悦を声に含ませながら、一方的に話し続ける女子生徒とは裏腹に、男子生徒は未だ一言も発することができない苦痛の中に居た。
そもそも彼は、金蹴り動画自体は好きでよく観ていたが、自分が実際に蹴られたいという願望までは持っていなかったのだ。
そんな彼にとって、空手経験者のこの女子生徒による本気の金的蹴りは、まさに地獄の苦しみというほかないものだった。

だがそんな彼の苦しみなど露知らず、女子生徒はあっけらかんとした声で言った。

「さ、じゃあそろそろ回復したよね? もう一回蹴らせて」
「!? え……?」
「ん?」
「い、一回だけじゃ……」
「? あたし、そんなこと言った?」
「…………」

女子生徒は不思議そうに首を傾げた。
確かに「キンタマを蹴らせろ」とは言われたが、一回だけ、とは言われていなかった。

「で、でも……今言ったじゃないか。『一度でいいから、思いっ切り蹴ってみたかった』って……だから、もう……」
「ああ、うん。でも思ったよりずっと快感だったから、もっといっぱい蹴りたくなっちゃったの。別にいいでしょ? あんたにとってはご褒美なんだし」
「そ、そんな……」
「何? じゃあ皆にばらされたいの? あんたの趣味」
「! そ、それだけは……」
「じゃあ、早く立ちなさいよ。今度は、さっきよりももっと強く蹴ってあげる」
「!?」

しれっとそう言うと、女子生徒は意地悪そうな笑みを浮かべた。
『思いっ切り』と言っていたのに、どうやらまだ本気の蹴りではなかったらしい。

「早く脚を開きなさいよ。あんたのキンタマ、思いっ切り蹴り上げてあげるから」
「う、うん……」

女子生徒に言われるがまま、男子生徒はおずおずと足を開いた。





<了>

212名無しさん:2018/02/12(月) 00:39:05 ID:9p/kP0Xc0
良かった

213名無しさん:2018/02/12(月) 15:18:01 ID:oD///0360
『愉悦』①


「どうしたの? 痛いの? 苦しいの?」
「…………」

股間を手で押さえたまま、地面に四つん這いになっている男子生徒の顔を覗き込むようにしながら、女子生徒が笑顔で話しかけている。

「なんとか言いなさい……よっ!」

ドグッ!

「ぎゃっ!」

女子生徒は弾みをつけて、男子生徒の背後からその股間を蹴り上げた。
手の甲越しとはいえ、その衝撃は二つの睾丸にほぼダイレクトに伝わる。

「うあぁ……あ……」

男子生徒は股間を押さえたまま、さらに苦しそうに呻く。
女子生徒は、そんな彼の様子を嘲笑うように言う。

「あははっ。潰れちゃった?」
「うぅ……」
「流石に大丈夫よね。まだ二回しか蹴ってないもん」
「…………」

そう。ほんの一分前、男子生徒は、突然、背後からこの女子生徒によって股間を蹴り上げられたのだ。
ただ普通に体育館裏を歩いていただけの時に、だ。

こうして突然自分の急所を襲った鈍痛に対し、何が何だか分からないまま、本能的に防御体勢を取っていたのが冒頭の場面ということになる。
この女子生徒は男子生徒のクラスメイトだったが、特に親しいわけでもなく、話したこと自体ほとんどないという関係だった。

「一応言っておくけど、別にあたし、キミにうらみとかあるわけじゃないから」
「…………」
「ただ、『男子の金玉蹴りたいなー』って思ってた時に、たまたまキミが歩いてたから、蹴っただけ。そんだけだから」
「…………」

そんな意味の分からない理由で、自分はこんな理不尽な苦しみを味わわされているというのか。
男子生徒の心境は怒りを通り越してやるせなさに達していた。

「あ、『たまたま』ってなんか駄洒落みたいだね。たまたま歩いてたら、タマタマ蹴られちゃった〜って。あはは」
「…………」

全く笑えない駄洒落を言って、けらけらと笑う女子生徒。
男子生徒は、早くこの時が過ぎ去ってくれと願うばかりだったが、

「笑いなさい……よ!」

ドグッ!

「がはっ!」

先ほどと同じようなノリで、しかし確実に先ほどよりも強く、女子生徒はまたも男子生徒の股間を蹴り上げた。
もはや手の甲によるガードはほとんど意味をなしていなかった。

「ぐ……うぐ……」
「さっきからずっと、うぅーとかうぐーとか唸ってばっかりで、正直つまんないんですけどー?」

何故かご機嫌斜めになっている。
そんなこと言われても、と男子生徒は息も絶え絶えに口を動かそうとしたが、それより早く、女子生徒に足首を掴まれた。
右手で左の足首を、左手で右の足首を。

足を強引に引っ張り上げ、男子生徒を無理やり仰向けの体勢にする。
女子生徒は男子生徒を見下ろす体勢となり、意地悪そうににやりと笑うと、右脚を少し上げた。
ここまで来れば、何をされようとしているのかは馬鹿でもわかる。

思わず、男子生徒は股間を押さえる手にぎゅっと力を込めた。

「手、どけて」
「え……」
「このまましてほしい?」
「…………」

ひどく冷えた声で女子生徒は言った。
男子生徒は、観念したように股間から手を離した。
もはやこの状況では、なるべく彼女の意に沿う対応を取った方がよいと判断したのだ。

その瞬間、女子生徒は表情を緩め、

「いい子だね〜」

ズグッ

「あっ!」

右脚を男子生徒の股間に深く突き刺した。
睾丸に鈍い痛みが走る。

「ふふっ。去勢される犬や猫って、今のキミみたいな気持ちなのかな?」
「…………」

残酷な笑みを浮かべながら、女子生徒は足をぐりぐりと動かし、二つの玉を確実に踏みつけられる位置に据えた。

214名無しさん:2018/02/12(月) 15:19:57 ID:oD///0360
『愉悦』②


「じゃあ、去勢手術始めちゃうね」
「っ……」
「電気・あんま〜っ」

ドドドドドドドドドドドド

「あ、あがっ、あっ!」
「あははは! おもしろーい!」

ドドドドドドドドドドドド

「あ、あひっ、あ、あっ」
「ほーらほら。去勢だぞー。金玉潰すぞー」

ドドドドドドドドドドドド

「あ……あ……」
「もっと苦しめー。もっと呻けー」

ドドドドドドドドドドドド

「あ………」
「もっとあたしを楽しませろー。金玉潰すぞー」

ドドドドドドドドドドドド

「…………」
「ん?」

ふと女子生徒が足を止めると、男子生徒は既に白目をむき、ぐったりとしていた。
どうやら気絶してしまったらしい。

「……なんだ。つまんないの。えいっ!」

ズドッ!

「かはっ!」

女子生徒は電気あんまの体勢のまま、男子生徒の金玉を強く踏みつけた。
反射的に、男子生徒は一瞬だけ反応したが、またすぐにがくっと項垂れた。

しかし、それがまた女子生徒の嗜虐心を刺激したらしく。

「……えいっ!」

ズドッ!

「かはっ!」

再度、しかし先ほどよりも強く、男子生徒の金玉を踏みつけた。
一瞬だけ覚醒し、またすぐにぐったりする男子生徒。

「あはは! おもしろーい!」
「…………」
「おらぁ!」

ズドッ!

「かはっ!」

一瞬だけ覚醒し、またすぐにぐったりする男子生徒。

「あははは! 起きろ!」

ズドッ!

「かはっ!」

また一瞬だけ覚醒し、またすぐにぐったりする男子生徒。

「あははは! 金玉潰すぞ!」

ズドッ!

「かはっ!」
「あはははは!」

こうして女子生徒は、既に意識を失っている男子生徒の金玉を、何度も何度も、強く、かつ的確に踏みつけ続けた。
その地獄のような光景は30分以上にもわたって続いた。

そしていよいよ、金玉を何度踏みつけても男子生徒が何の反応も示さなくなると、女子生徒はようやく満足したような笑みを浮かべた。

「あー。今日はこのくらいでいいか。流石にちょっと疲れたし」

女子生徒はそう言って、掴んでいた足首をぽいっと離すと、白目を剥いたまま痙攣している男子生徒を放置して、体育館裏を後にした。




<了>

215名無しさん:2018/02/12(月) 18:59:56 ID:GiEnXDgo0
シンプルで良い
女の子が普通に『キンタマ』って言っちゃうのはかなり好み

216名無しさん:2018/02/12(月) 20:46:53 ID:Y/1rITBc0
良いんだけど長くした分ちょっと雑になってるのが気になる
全く同じ文章反復させるのは避けた方が良いと思う

217名無しさん:2018/02/12(月) 22:55:35 ID:cZIh50cY0
個人的に感じたことだけど「男子生徒」とか「女子生徒」という表現よりも
適当でいいので何か名前があったほうが固さが抜けて良いと思う

218名無しさん:2018/02/13(火) 01:18:21 ID:E9N2ifpI0
名前入れないといけないなんて文章上の規則はないから好きにすればいいと思うけどね
特に今回の作品は「女子生徒一般」が「男子生徒一般」を気まぐれで股間蹴って屈服させる所がポイントだしこれで良いと思う

219名無しさん:2018/02/20(火) 01:09:49 ID:bPsQaFiw0
>>217
むしろ性を感じさせてすごくいい

220名無しさん:2018/02/24(土) 04:15:32 ID:Txs3yP5c0
『スパイと女拷問官①』

ここはとある国の拷問部屋。

石造りの寒々しい室内には、両手両足を拘束された下着一枚の男が壁に貼り付けられている。

彼の名はリュウ。

リュウの逞しい体には痛々しくまだ新しい痣が浮かぶ。

リュウを痛めつけたのは、今まさに彼の顎を掴んだ、

「なー、さっさと吐けや、こら」

敵国の男達だった。

男はくちゃくちゃと口を動かし、リュウの顔を覗き込む。

「…………」

リュウは自国の命令を受け、敵国にスパイとして送り込まれたのだった。

しかし仲間の裏切りにより捕えられ、情報を吐き出す事を迫られている。

時には殴られ、蹴られ、食事すら満足に貰えない日々の中で、執拗に“堕ちる”事を迫られた。

それでもリュウは決して彼らに屈する事なく、地獄の責め苦を今日まで耐え続けてきた。

221名無しさん:2018/02/24(土) 04:16:33 ID:Txs3yP5c0

「おらッ!」

リュウの沈黙に腹を書いた男は、痺れを切らしてリュウの腹を強かに打ち据えた。

「く、ッ……」

リュウの眉根が苦しげに歪む。

男はそれを見て、畳み掛ける様に質問を浴びせた。

「痛いだろ?なあ、お前の名前は何だ?どこの国から来た?上の野郎は誰だ?」

連日の痛みで朦朧とする頭の中、リュウは男から顔を背けた。

「……おい、聞いてんのか!」

それが癇に障った男は逆上し、力いっぱいリュウの腹部に蹴りを入れた。

「う、ぐッ、あ、ッ……!」

噛み殺した様な悲鳴が、爪先がめり込む度に一つ、また一つと漏れる。

「おら!言え!言え!殺されてーのか、おい!」

男が狂った様にリュウを蹴り、殴打する。

222名無しさん:2018/02/24(土) 04:17:04 ID:Txs3yP5c0

しかし、リュウは男に殴られる度に祖国に対する服従心が強固になっていく。

痛みは鈍麻し、心が冷たくなっていく。

このまま、祖国の礎となれたら本望だ。

ふとそんな思いが浮かび、リュウは薄笑いを浮かべた。

男はこめかみを波打たせ、血走った目で拳を振り上げた。

「このッ……」

その時、男の肩に手が置かれた。

「やめろ、拉致があかねえ」

男達のリーダー格であろう、体格の良い男が首を振った。

「……す、すみません」

男は一歩下がり、リュウから離れる。

「情報源を枯らしてどうすんだ、もっと頭を使え」

リーダー格の男は軽く息を吐き、リュウを見据えた。

「こういうタイプはよお……そのままおっちんでもおかしくねえ」

リュウは黙って男を見つめ返す。

「……なあ?兄ちゃん」

「…………」

「はは、黙りか……このまま死ぬ気、ってのも当たらずも遠からずか」

男は一笑に付し、ゆっくりと言葉を紡いだ。

「だが、死なせてやれねえ……」

男は何かの緊張を誤魔化す様に、そこで一拍置いて唾を飲み込んだ。

「……リンコ様を、呼んだからだ」

リンコ様。

その名前を漏らした瞬間、男達がどよめいた。

223名無しさん:2018/02/24(土) 04:19:38 ID:Txs3yP5c0

「り、リンコさまって、もしかして」

「ひっ、ひいい!」

にわかに怯え、慌てふためく男達をリーダー格の男が一喝する。

「うるせえぞ!静かにしろ!」

しかし、彼もまた顔には深い怯えの色が浮かんでいた。

この場でただ一人リンコ様、を知らないリュウはぼーっとその会話を聞き流していた。

「……おいお前ら、リンコ様の道具は……」

リーダー格の男が沈痛な面持ちで口を開いた時、ノックの男が響いた。

「リンコ様、だ……」

そう誰かが呟き、

「し、失礼します!」

ドアが開いた。

拷問部屋に入ってきた女は上目に男達を見、ペコリと頭を下げた。

細い体躯にどことなく自身なさげな顔つき。

「リンコ様御無沙汰しております、今回はあちらでして、事前に伝達しました通りです」

「分かりました……何か変更は?」

「ありません」

「はい、ありがとうございます。お疲れ様でした」

「……はい」

小動物を思わせる彼女。

黙々と事務的会をする姿がリュウにはどうにも癪に感じられた。

リュウが睨むと、気圧された様にびくりと肩を震わせた。

そして、困った様に微笑みを浮かべた。

「えっ、と、あの……わたしはリンコ、って言います。もしかして、もう聞いてるのかな……」

リンコは言葉を一つ一つ選ぶ様に言い、男の中の一人に目を向けた。

「あの、わたしの道具は?」

「はっ、はいいッ!いい、今取ってきますですッ!」

リュウを足蹴にした男が叫び、飛び上がって部屋を出ていく。

リュウは手持ち無沙汰にするリンコをそっと横目で窺う。

224名無しさん:2018/02/24(土) 04:20:29 ID:Txs3yP5c0

リンコは恐らく同世代の女性よりも稚い顔立ちだった。

甘い、とでも言えばいいのだろうか、庇護欲を擽る様な小狡い大きな目。

小さめながらもぷにっと主張する唇。

整った鼻筋。

リュウの目線は徐々に顔から下へと落ち、リンコの胸元の膨らみに留まる。

固めの布地がリンコの胸を押さえつけるが、それを跳ね返す様にして窮屈そうに収まっている。

当然ながら、捕えられていた間は禁欲だった。

そもそも、男達に休みなくリンチを受け続けていたリュウはそんな気に陥る事自体無かったが、久しぶりに見た女。

ほとんど無意識でリンコを視姦していると、彼女が自分を見つめた様な気がした。

リュウが自分を恥じて目を逸らそうとしたのと同時に、

「お、お持ち致しましたッ、リンコ様!」

けたたましくドアが開いた。

男が両腕で抱えた大きな箱。

リンコはそれを一瞥し、顎で床を示した。

ドスン、と音を立てて箱が置かれる。

リンコはしゃがみこみ、リュウ達に背を背けて中身の確認を始めた。

彼女の事を何も知らないリュウでさえも、部屋の中にただならぬ緊迫感が漂っているのが分かった。

「うん……ちゃんと全部ありますね」

リンコはおもむろに立ち上がり、

「それじゃ、皆さん退室して頂けますか?」

鋭い視線を男達に向けた。

「はいっ!リンコ様、失礼致しましたあ!」

「失礼致しました!」

男達は敬礼したかと思うと、我先に部屋を出ていく。

「……さて」

リンコはリュウに体を向けた。

そのまま距離を詰め、貼り付けにされたリュウを上目遣いに見上げる。

「っ……」

黒目がちな瞳がリュウを捉える。

「とっても痛そうですね……随分手酷くやられたみたいで」

リンコの柔らかい手がリュウの胸板に触れる。

「うっ、く……ッあ」

激しく痛めつけられた場所に触れられ、身を捩る。

「貴方を、人を苦しめたい訳じゃありません……いつも、わたしはとても申し訳なく思っています」

リンコはそんなリュウの様子を全く意に介さず、手を滑らかに動かす。

「う、ああ……っ」

鈍い痛みに、思わず腰を引く。

リンコはそっと手を離した。

「……ほんとに、ごめんなさい」

寂しげな表情を浮かべるリンコ。

しかし、その頬はうっすらと紅潮していた。

225名無しさん:2018/02/24(土) 04:29:06 ID:Txs3yP5c0

リンコは思いっ切りリュウの股座を蹴り上げた。

「あああああぁぁああ!」

リンコの脚がしなり、爪先が的確にリュウの陰嚢を捕らえる。

力強く押し潰される。

陰嚢がひしゃげ、中の睾丸ごと潰れる。

スパーンッ、と、甲高い音が響いた。

「ああああっが、がああああッ!」

喉を枯らす様な絶叫が漏れる。

がくがくと震える股。

「ふふ、痛そう」

リンコはリュウの股の間に手を差し込み、陰嚢をたぷたぷと揺らす。

そんな微弱な振動すらも、リュウに追い討ちを掛ける。

新たな痛みが押し寄せる。

新鮮な痛みが何度も、何度も。

ズキンズキンと突き刺してくる。

「あひっ、ひっ、ああああ……!」

リュウはビクビクと背筋を跳ねさせ、懇願する様にリンコを見る。

精液をたっぷりと蓄えた、重みのある陰嚢が揺れる。

リュウは青ざめ、ガタガタと歯を打ち鳴らす。

「ふふ……男の情け、って言うやつですか?面白いですよね、男の人ってあんなに人をボコボコに殴れるのに……」

リンコは恍惚として、

「ここはッ、手出ししないんですからッ!」

「あああああぅあぁぁあーーッ!」

手に思いっ切り力を込め、握り潰した。

リュウの頭に強烈な電流が流れる。

スパークする様な痛み。

「でも女の人は普通に蹴れちゃうんです、自分はそんな痛み分かんないから」

手のひらが陰嚢を包み込み、力が入り、押し潰されていく。

ぐりぐり、ぎゅうううッ……。

何も考えられず、ただひたすらに泣き叫ぶ。

「あああああ!あっ!あっ!つ、潰れッ!やめてッ、やめてぐれええええええぇ!」


リンコは徐々に力を込めていく。

「そんなに痛いんですか、金玉。男の人って可哀想、ほんとに」

「やめでッ、やめえてえ!なっあああああ!」

リンコは、ふーん、と興味なさげに呟き、睾丸にコリッと爪を立てた。

爪がずにゅずにゅとめり込み、リュウの目の前に火花が散った。

「ひあああああああ!」

劈く様な悲鳴。

リンコは爪を離した。

「あああうぅぅ、うぅううう……ッ、あ、ぐぅうああぁ……」

ひゅーひゅーと息も絶え絶えに呼吸するリュウ。

226名無しさん:2018/02/24(土) 04:30:17 ID:Txs3yP5c0

「ふふ……そんなに大事な所なのに、そんなに痛いのに……見て下さい、すっぽりわたしの手の中」

リンコの言葉通り、赤くなった陰嚢は片手に包まれてしまっている。

リュウは男のシンボルを女に文字通り握られてしまっている。

そして縮こまった陰茎ごと揉む様に、もみもみと手を動かした。

指先が蠢き、陰嚢に喰い込む。

「あおおおっ、おッ!うごおッ!」

固定された脚も手も、悶絶で揺れ動く。

しかし、外れることはなく金属具がカチャカチャと無機質な音を立てるだけだった。

リンコが手から力を抜く。

一瞬の解放感に息をついた。

「あが、は、はあはあ……」

「あなたのお名前は?」

一瞬の迷いを見せたが、リュウは従順に返答した。

「りゅ……リュウ」

「嘘じゃないですよね」

リンコの手がきゅっと窄まる。

それだけで、言い知れぬ恐怖がせり上がった。

「嘘じゃないぃッ!信じてくれっ、本当に本当だから、だからっ!」

リンコは苦笑いして必死なリュウを制す。

「わ、分かりました分かりました、リュウさん……ですね?」

可愛らしく小首を傾げるリンコに、リュウは半泣きでこくこくと頷く。

「この国に何をしに来たんですか?」

核心に迫る質問。

冷や汗が背中を濡らす。

緊張で乾いた口から、途切れ途切れに言葉を漏らした。

「……観光、だ」

リンコから笑顔が消える。

「バレバレの嘘つかないで下さいよ、舐めてるんですか」

「うぐあああああああああああッ!」

リンコはリュウの陰嚢を平手で力強く引っぱたいた。

「誰が、こんな、内戦続きの、緊迫状態の、中でッ、敵対している国に、観光なんかしに来るんです、かッ!」

パシッ、バシッ、バシンッ……。

どんどんと強まっていくリンコの叱咤。

「あああああ!ああッああ!あああいいいい!あああーーーッ!」

張り裂けんばかりの悲鳴。

陰嚢が手の平に思いっ切り叩かれ、叩かれた方向へとぶるんと揺れる。

かと思うと、すぐに新たにリンコの手の平が押し返す。

「ああぁあぁあああッ!ぎゃあああッ!」

「体だけ鍛えてても、ダメですよ?そんな見え透いた嘘ついて……ま、ここは鍛えられなかったみたいですけど」

リンコは力を込めて指先で陰嚢を弾いた。

「おっああああぁぁぁあああッ!」

227名無しさん:2018/02/24(土) 04:32:29 ID:Txs3yP5c0

割れそうに痛い。

ズキズキと腫れ上がった玉が、余韻で惨めに震えている。

「五月蝿いです」

リンコの一言で、リュウの背筋が縮み上がった。

「ああおっ、おッ……ひ、ひッ……」

懸命に痛みを堪える。

リンコはそんなリュウを見つめながら、自身のポケットから何かを取り出した。

「う、ううッ……」

「じゃーん、これ何でしょう」

「……え……?」

リンコが持っているのは、小さな鍵だった。

リュウは目を丸くしながら、答えた。

「か……かぎ、か……?」

「ぴんぽん、大正解!正直に答えてくれたら外してあげます」

リンコは可愛らしく笑って、唖然とするリュウにしなだれかかった。

「正直に、答えてくれませんか……?」

ぴったりと胸を押し付け、指先でリュウの鍛えられた上半身を触る。

「あ、ふッ……くぅッ……」

「素敵な体……」

リンコはチロッと舌先でリュウの乳首を舐めた。

「んッ、はぁッ」

「可愛い……」

リンコがリュウの太ももを撫で回す。

柔らかい手の平が這い回る感覚に、堪らなく切なくなり始めた。

「うっ、ううッ」

「ふふ、大きくなっちゃってる」

あまりの気持ち良さに大きくテントを張るリュウの下腹部。

「脱がしますよ?」

「あ……」

リュウの陰部が全て露わになる。

リンコの前に晒し、外気に触れた事で、リュウの陰茎は更に大きさと硬さを増した。

リンコの手の平が竿を握る。

228名無しさん:2018/02/24(土) 04:33:29 ID:Txs3yP5c0

「うっ……」

「おっきい、硬くてかっこいい……」

リンコにしこしこと優しく上下される度に、リュウはビクビクと反応を返した。

色じかけをされていると分かっていても、身体中を任せて快楽に身を捩る。

ものの数分で吐精欲求に襲われたリュウは息荒くリンコに訴える。

「あ、い、逝く、逝きそう、出そうだっ……」

「ねえ、教えてくれたらいかせてあげる……口でも受け止めてあげますよ……?」

リュウはその甘い誘いに口端から涎を垂らし、頷いた。

「おっ、おれはっ……スパイで、この国に来た……!はあっ、政府の内部構造を探る為に……っ!」

「なるほど、政府ですか。因みに何処の国の誰から?」

「あっ、〇〇国の、大臣の△△からぁ……!」

「へえ……」

「あっ、ああぁ、は、早くしゃぶって……」

「…………」

リンコがしゃがむ。

リンコの頭で自分の性器が隠れ、見えなくなる。

リュウが垂涎しながら待っていると、

「ふっぐう!?」

唐突に陰茎の根本を握られた。

すぐに冷たい感触が伝わった。

「……どうしてそんなに男の人って馬鹿なんですか?」

チャラ、と金属の音がする。

立ち上がったリンコ。

リュウの陰嚢は根元で縛る様に革具で固定されている。

リンコはそこから伸びるチェーンを握っていた。

「これ、なーんだ?」

「な……なっ」

「パラシュートストレッチャーて言うんですよ……ふふ」

そのチェーンの先端部には、丸い錘がぶら下がっている。

229名無しさん:2018/02/24(土) 04:35:44 ID:Txs3yP5c0

「やっぱり金玉が悪いんでしょうねー、金玉があるから射精のことばっか考えるし……」

「や、やめ……」

「だから、こんなに弱いんですよ」

リンコは無慈悲に錘から手を離した。

ぷらん、と錘が垂れ落ちリュウの地獄が始まった。

「ああああああああああ!」

リュウの陰嚢が錘の重さで下へ、下へと引っ張られる。

「千切れるッ!ち、千切れぢゃうううう!」

「何甘いこと言ってるんですか?錘、まだ一つですよ?はーい、ふたつめー」

錘が取り付けられる。

更に下に引っ張る力が強くなる。

「ぎゃあああああッ!」

「みっつめー、これで何グラムくらいかなー?」

丸い錘が三つも取り付けられ、今にも引きちぎれそうに垂れ下がる陰嚢。

「あああああっ!いっ、いぎゃああああ!があッ!も、もう言ったがらああああ!外しで、はずじでえええ!」

リンコは四つ目の錘を持って、応えた。

「だって、別にあなたの金玉が千切れてもわたしには関係ありませんし。それに本当に千切れちゃった人もいますし……後始末もご心配なく」

その瞬間、リュウの眼前が反転した。

耳に入った言葉。

陰嚢が無くなり、不能にされた男。

興奮が頂点に達した。

今までに感じたことがない快感が突き抜け、脳を犯し、陰嚢が射精に合わせてきゅっと縮む。

陰茎がビクンビクンと激しく波打つ。

「あ、逝く、逝く、逝く逝く逝く逝く……!逝ぐううぅぅッ!」

リンコがリュウに目を向ける。

「え……きゃあッ!?」

230名無しさん:2018/02/24(土) 04:36:19 ID:Txs3yP5c0

大量の白濁液が噴き出す。

「あ、あふっ……」

「…………」

そしてリンコの顔、手、胸、身体中をリュウの肉欲を体現するかのように汚した。

「まさか、自分の金玉が千切れるって聞いて射精したんですか……」

リンコは垂れ下がる錘を掴んだ。

そして引っ張ろうとした時あることに気がついた。

「流石に、ここまでの変態、は……?」

リュウは気絶してしまっていた。

陰茎からぴくぴくと残った精液を吐き出している以外、ピクリとも動かない。

「…………」

リンコは呆れと軽蔑を混ぜた様な顔でリュウからパラシュートストレッチャーを外す。

ビロビロに伸び切り、赤く腫れた陰嚢。

摘むと、まだ二つの玉が入っている事が分かった。

「もしかして、こっちも鍛えてたとか……?なーんて」

リンコはくすっと笑い、鍵でリュウの手枷と足枷を外していく。

「まだ色々道具はあったんですけどね……潰れるのが早いか、道具を全て試すのが早いか……」

最後の一つの拘束が解かれ、リュウは床に倒れ込んだ。

その時、遠慮がちなノックが響いた。

「はい?どうぞ」

「リンコ、様……」

リーダー格の男がおずおずと入ってくる。

「お……終わりましたか?」

「ええ、勿論」

「今日はその、遅かったので、心配で、無用だとは思いましたが……」

「大丈夫ですよ、バッチリ。名前はリュウ。〇〇国の△△大臣から命を受けたそうです」

リンコは自前のハンカチでリュウの精液を綺麗に拭い、乱れた着衣を整える。

「それ、汚いので片付けておいて下さいね」

リンコは道具に言っているのか、リュウに言っているのか分からない方を見つめ、服を翻して拷問室を出ていった。



231名無しさん:2018/02/24(土) 04:40:38 ID:Txs3yP5c0
長くなってすみません…!
初めてなので拙い表現が多々あると思いますが、宜しければ是非お収めください

232名無しさん:2018/02/24(土) 17:21:11 ID:3PQ2D8xY0
リンコさんのモデルに心当たりがある…
すごく良かったです

233名無しさん:2018/02/24(土) 17:31:16 ID:dEzZFEyE0
すごく良い。
リンコさんの他の拷問シーンも見てみたい。

234名無しさん:2018/02/25(日) 01:41:42 ID:LufDG.vU0
>>232
恐らくご想像の通りです、最初は意識していなかったんですが、もう十割〇くまさんですね…。さ〇まさん可愛い。少しでも楽しんで頂けたなら良かったです!

>>233
ありがとうございます、有難い言葉を頂けて嬉しいです!ニッチなジャンルなので大変ですよね…。自分も供給源になれたら良いなの思いで頑張ります。

235名無しさん:2018/02/25(日) 01:44:47 ID:LufDG.vU0
『少年と女拷問官①』

「なーんとなく、ですけど……最近、視線を感じるんですよね」

リンコはお偉方との会食の最中に、ぽつりと漏らした。

大広間に招かれた沢山の客達。

大きなテーブルの上に置かれた前菜。

瑞々しい野菜と魚介の取り合わせが美しい一皿だった。

「し、視線ですか?」

既に手を付けていた部下が慌てて手を止め尋ねる。

「ええ、こんな時に言う話じゃないかもしれないんですけど……」

リンコは静かに厨房に目を向ける。

「……少し、気になって」

そんな彼女を引き戻す様に、

「まあ、リンコ殿は仕事が仕事ですからなあ……」

脂ぎった中年の官僚は言った。

そして隣の女に目をやる。

「なあ、あれはな」

女は男の視線を受けてくすりと笑った。

「うふふ、やだもうはしたないわ」

「…………」

リンコは静かに目を伏せ、皿に鋭くフォークを落とした。

丸々とした、赤いプチトマトの汁が弾け飛ぶ。

その場にいた、全ての者の顔が引き攣った。

「ごめんなさい、わたしったら」

リンコは微笑を浮かべ、口元を手で覆った。

「は、はは……」

中年の官僚は脂汗を浮かべ、曖昧に笑った。

その後は何事もなく進み、会食はお開きとなった。

客人が全員帰るのを見届け、スタスタと広間を出ていくリンコ。

「申し訳ございませんリンコ様っ、自分がいたのに、リンコ様があんなこと言われたのに、何も出来なくて」

部下はそんなリンコの後を必死に追いすがる。

「あー、はい、大丈夫ですよ」

「自分は今日程自分の無力さを呪ったことはありま」

リンコは素早く振り返り、鋭く部下の方向を指さした。

「も、申し訳、ございませんリンコ様……」

部下の脳裏に突き刺されたプチトマトが浮かんだ。

236名無しさん:2018/02/25(日) 01:45:47 ID:LufDG.vU0

そして、リンコが男の睾丸をサディスティックにいたぶる情景。

ぷちり、と破裂する……。

「お許し下さいいいいい!」

部下は転がる様にリンコの元から逃げ出した。

リンコはそんな部下を見ることなく、指さした先から視線を逸らさない。

「そこ」

「…………」

リンコはため息をつき、腕を下ろした。

「何ですか?今さっきもわたしのことばかりずっと見てましたよね」

ゆっくりとカーテンに近づく。

細かく震えるカーテンに手をかける。

「……もう少し、上手く隠れたらどうでッ……!?」

開くと、そこにはへたりこんだ少年がいた。

「こ、子供……?」

リンコが目を瞬かせていると、少年の足元に水たまりが広がっていることに気がついた。

リンコの足先にまで広がる液体。

「えっ……えええええええっ!?」

リンコの叫び声と少年の泣き声が重なった。

「ね、もう泣かないで。どうしたの?」

リンコは自分の仕事部屋に少年を座らせ、彼の涙を優しく拭って微笑んだ。

少年はリンコの大きめの上着を着て、啜り上げている。

「君はコックさんなのかな?」

リンコが窓際に掛けた少年のコックコート。

リンコの手で綺麗に洗われたそれを見て、リンコは首を傾げた。

少年の首がこくりと縦に揺れる。

237名無しさん:2018/02/25(日) 01:46:26 ID:LufDG.vU0

「そっかそっか、だから厨房にいたんだ、すごいねえ」

「でも、まだ、見習いだから……」

徐々に声を小さくする少年を励ます様に、リンコは少年の両手をぎゅっと握った。

「ううんそんなことないよ!すごいすごい!」

少年の頬が赤く染まる。

リンコはうんうんと頷き、少年の様子を窺う。

「それで……今までわたしのこと付けてたのって、君?」

「……ごめん、なさい」

「うーん、それはあんまりいい事じゃないなあ……」

リンコの表情が固くなる。

少年という立場を利用した他国からの刺客、はたまた国の内部崩壊を狙う反逆者。

目の前のあどけなさが残る少年を厳しく見据えた。

リンコの目から光が消える。

「お姉さんがどんな人なのか知ってるかなあ」

知らず知らずのうちにリンコの手に力が入り、少年の手を押しつぶす様に握っていた。

少年は掠れた声で答える。

「知って……る」

「そっかあ、そうなんだあ……ねえ」

リンコは声を低く落とした。

「どうして付きまとったりしたんですか?」

怯えきった表情で黙りこくる少年。

リンコは少年の手を握ったまま爪先を上げ、

「早く答えて下さいよ」

「……っ!」

彼の股の中心部に、ぴったりと押し当てた。

少年の額に冷や汗が一筋流れる。

238名無しさん:2018/02/25(日) 01:48:10 ID:LufDG.vU0

リンコはふみふみ、と少年の股間を揉み込む。

「ご丁寧にわたしのことを調べ上げてくれたなら、この後のこと分かりますよね。出来るならばこんなことしたくないんですよ?」

リンコはぐっと力を入れた。

リンコの足先が少年の二つの睾丸を探し当てる。

「ふっ、うっ……!」

苦痛に顔を歪め、少年は体を攀じる。

リンコの足の指先が開く。

親指と人差し指の隙間が股座の奥へと潜り込む。

「これが睾丸。俗に言う金玉ですね、あなたが男の子である証拠」

そのまま、きゅっと指先で睾丸を挟み込んだ。

「あ……ッ!」

弾力のある玉がリンコの指の股に収まり、球形が歪む。

ひしゃげる睾丸。

少年はビクリと体を浮かせ、悲鳴と共に飛び上がった。

「ひあああぁあああッ!」

「逃げちゃダメですよー、男の子でしょう?」

リズム良く足の指が動き、開いて閉じてを繰り返す。

息つく暇もない、激痛の繰り返し。

鈍痛で痺れた玉を、ぎゅっと摘まれてはまた解放され、

「えいっ」

「あああああああ!」

無慈悲に足指で潰される。

ぶにゅっとした感触、即座に痛みと絶叫で応えてくれる男。

どうしてこんなに情けない器官がこんな場所に付いてるんだろう、と残酷な疑問がリンコの頭に湧いて、すぐに消える。

「ふふ、潰れちゃいそうですね」

おもむろにゆさゆさと足先で陰嚢を揺すると、少年は髪を振り乱して叫ぶ。

「ひいいいいいッ!ぐうッん!あああああ!」

金玉から伝わる痛みが下腹部に溢れ、上まで上り、頭を突き刺す。

リンコはまた足指で少年の陰嚢を挟み、口角を上げた。

「金玉って、何キログラムの圧力がかかると潰れちゃうか知ってます?」

「え……」

少年の顔がぐしゃりと歪んだ。

「ああぁごめんなざいごめんなざあああぁいいい!やめてッ!やめてやめてええええ!」

泣き喚く少年をリンコはニコニコと見つめる。

「一般的な睾丸は六十キロ前後で潰れると言われていますね。女の人の握力では無論、男の人でも早々出来ないんじゃないでしょうか」

「うっ、えぐ、うぎゅッ……」

239名無しさん:2018/02/25(日) 01:48:50 ID:LufDG.vU0

「でーすーが」

リンコは足先を細かく動かした。

「それは金玉が袋で守られているから、とも言われています」

「え……あっ、あ……」

「また、睾丸自体が薄い膜で覆われているからでもあります。知ってましたか……まあどうでもいいんですけど」

リンコは睾丸をしっかりと挟み込んだ。

「うッ!う、あぁぁああぁ……!」

「そして、握り潰す、という行為は力の伝え方からして最も効率が悪いんです。ふふ、これって理科のお勉強になりますね」

今にもリンコの指先に捻り潰されそうな自分の金玉を見て、少年は気が遠くなるのを感じる。

「あ、ああっ、あ……」

「例えば、卵なんかでも。どんなに強い人が思いっ切り握っても割れません」

そう言えば卵みたいですね、とリンコは独りごちて笑った。

ダラダラと垂れる汗が少年の髪の中で熱気に変わり、篭っている。

赤く腫れ上がり肥大化した金玉から脳に激痛がドクドクと流し込まれる。

少年の身体中を危険信号が駆け巡る。

「流石のわたしもまだ握り潰したことはありません……握り潰したことは」

リンコは意味深に告げて、少年の手から自分の手を離した。

「言ってること、分かります?」

少年の頬に触れ、瞳を見つめる。

「つまり、指なんかでがっちりと掴んで、爪を食い込ませると」

それぞれの爪が挟み込んだ金玉を万力の様に押し潰す。

「先ほど言った卵の様に。睾丸は殻が砕ける様に外側が破れて、内側が弾けて、ぐちゃぐちゃに中身が潰れるんですよ」

「あ、ぁあああああ〜ッ!」

その途端、少年は力一杯泣き出した。

鼻水を垂れ流して、止まることのない涙で顔面を濡らしていく。

リンコは静かに彼を見守る。

「うっ、ひっ、ひッ、ぐ、ごめ、ごめんなさい、僕のあぞご、もう、虐めないで、ぐだざいお願いしまずッ……」

リンコは息を吐いた。

「……ねえもうさっさと言って下さいよ。あなたみたいな小便臭い子供の未来を奪っちゃうだなんてわたしの寝覚めが悪いじゃないですか……」

少年は涙で頬をぐしゃぐしゃに濡らし、赤らんだ顔を横に振って拒んだ。

リンコは面倒臭い、とでも言うように天上を見上げる。

少年の啜り泣きを聞き流しながら、リンコは考える。

そのまま暫く思いあぐね、唐突に少年に向き直った。

「じゃあ、あと三秒あげますね!」

いかにも名案を思いついた、そんな明るく弾ける様な笑顔。

240名無しさん:2018/02/25(日) 01:50:27 ID:LufDG.vU0

「ふ、え……?」

目を輝かせてリンコは三本の指を立て、一本一本折り曲げていく。

少年がその手の動きに見蕩れていると、リンコは笑った。

「三秒カウントダウンしても言わなかったらあなたの金玉潰します。……あなたも真相も闇の中」

そして、指でぐっとすり潰すジェスチャーをしてみせた。

「上に一々報告するのも面倒なので。心配要りませんよ、わたしの愛すべき無能な部下があなたの素性さえも葬ってくれるでしょうから」

リンコはもう一度指を三本立てた。

「さーん……」

ふー、ふー、と少年の呼吸が荒くなる。

「にー……」

指が一本折り畳まれる。

一秒前よりも、確実に睾丸を挟み込む力が強まる。

「いーち……」

最後の指が、やけにゆっくりと下がっていく。

「ぜ」

瞬間、少年はせきを切った様に叫んだ。

「僕、リンコ様が好きでッ、それでッぼく、ずっと見てて、僕ッ、ぼ」

「……え」

リンコは目を点のようにして、少年を見ていた。

「えッ」

ぷちっ。

音などしないはずなのに、二人の頭には、確かに破裂音が響いた。

リンコ泡を吹く少年を見下ろす。

「……これは、明日は相当寝覚め悪いですね」



241名無しさん:2018/02/26(月) 01:05:47 ID:7rC4hY7c0
初めて書いてみました。

【会社の同期】①

ラインで連絡があったのは突然だった。美和は会社の同期で、特別仲が良い関係ではないが、新人研修で同じグループになったりして、一緒に行動することが多かった。
俺の自宅の近くで飲んでいたらしく、あと一歩のところで終電を逃したらしい。
慌てて駅のホームから、俺とのラインに「ごめん、今夜泊まらせて」と送ってきた。
あまり女の子から人気を集めるタイプではなく、彼女ではない女友達を泊めた経験はなかったが、拒否する理由もないので、「狭くて汚い部屋だけど」と断った上で、受け入れた。


「全然、綺麗じゃん」
美和は窮屈そうにブーツを脱ぎながら、BGM代わりにテレビをつけようとした俺に声を掛けた。

「いや、慌てて片付けたんだよ。まぁゆっくりして」
「じゃあ、お言葉に甘えて。先に言っとくけど、変なことはしないでね」

美和は冗談めかして言いながら、シックな黒色のハンドバッグを置いて、椅子に腰掛けた。
取り引き先のお世話になった人たちと飲んでいたらしい。美和がジャケットを脱ぐと、
シャキッとしたワイシャツ姿になる。体のラインが出るような服装ではないが、
胸のあたりは程よく主張している。美和のスタイルが良いことは当然知っていたが、
俺は息を飲んでしまっていた。

242名無しさん:2018/02/26(月) 01:07:26 ID:7rC4hY7c0
【会社の同期】②

もう12時を過ぎていた。酒には強い美和だったが、さすがに疲れていたようで、
大した世間話もしないうちに、

「あー、ごめんもう寝るね。シャワーは明日朝帰って、自分の家で浴びるから」

ショートカットの茶髪をかき上げながら美和はそう言うと、俺のベッドの隣に敷いておいた布団に飛び込んだ。

俺も明日は仕事で朝が早い。
少し暑かったのか、掛け布団をせずにうつぶせに横たわる美和のお尻あたりに一瞬目をやった後、静かに電気を消した。

美和は絶世の美女というほどではないが、愛嬌もあって同期でなかなか人気だった。
そんな美和が隣で寝ていると思うと、どうもいつもより寝つきが悪い。
だんだんと目が慣れてくると、うっすらと美和の体が暗闇に浮かび上がってきた。

美和はいつのまにか寝返りを打って、仰向けになっていた。
小柄な美和には男物が合わなかったので、そのままのゆったりとしたパンツ姿だ。

すー、すー、と美和の寝息が聞こえる。
はじめは美和の可愛らしい寝顔を優しく見守るように見ていたが、徐々に視線が下半身に移動していき、俺はいつの間にか美和の股の間あたりをじっと見ていた。
もちろん柔らかい胸も女性の象徴だが、股ぐらの部分がピタッと張り付いているところを見ると、俺は興奮を抑えられない性癖があるのだ。男にはもっこりと膨らんだあそこがあり、女には付いていないからこそ平らになる。

243名無しさん:2018/02/26(月) 01:08:20 ID:7rC4hY7c0
【会社の同期】③


「少しだけなら・・・」

俺は強い衝動を抑えられず、身を乗り出して美和の股間にそっと手を触れた。

「うわ、付いてない」

心の中でそうつぶやき、2回、3回と指を短く往復させた。


「・・・オイ」

低い音だが、確かに女性の声が耳に突き刺さった。
声の方向に振り返ろうとした瞬間、美和がすごい勢いで起き上がると、俺の肩をつかんでベッドから引きずり降ろそうとした。

俺はあっけに取られながらもとっさに片足を床につき、踏ん張ろうとするー

ドスっ。

体の中心に衝撃が走り、脳みそが揺れた。
美和の膝が俺の股間にめり込む。思わず倒れこみそうになるところを手で支えられ、とどめのもう一発。美和のキックは少しズレていて、当たったのは2発とも右の玉だけだったが、これだけ強く蹴られれば、ダメージを受けた玉の数と痛みの強さは関係がない。

俺は完全にノックアウトされてしまい、大きく息をしながら下腹のあたりを抑えてうずくまる。

「信じられない。あんたそんな奴だったんだね」

美和の方も普段の寝床とは違いせいか、うっすらと意識が残っており、俺の愚行に気づいていたようだ。

244名無しさん:2018/02/26(月) 01:09:32 ID:7rC4hY7c0
【会社の同期】④

「ううう」
なんとか返事をしようとするが、うなり声にしかならない。

「そんな痛いの? 私にはわからないけど。まぁ、そんなもの付いてるから、変なこと考えるんだよ」

美和は蔑んだ目でそう言いながら、俺の少し伸びた髪を掴んで持ち上げる。

「ほら。もう1回触ってみる?」

挑発するように言った美和が俺の片手を持つと、自分の股間を触らせる。

やっぱり付いてない。このどうしようもない痛みを発生させる根源が、目の前にいる女には付いていない。同じ痛みを与えようとしても、味わせることができない。

意識が朦朧とする中、そんな屈辱と興奮が入り混じった感情が湧き上がる。
なんとか我に返ろうと軽く息を吐くと、

「なに、興奮してんだよ」

膝立ちになっていた俺の股間に向かって、ボールを蹴るように足を振り上げると、
美和の背足が、今度は左の玉に直撃した。
パシーンとスナップの効いたキックは、男にとってあまりにむごいものだった。

先ほどを上回る鈍痛がこみ上げてきて、腹の奥の方をぎゅーと強く締め付ける。
男に生まれてしまったからこその痛みを、なんとか全身で受け止めようとするが、もう余力がない。

「果たして俺の玉は2つとも無事なのか」
今更そんな心配をしながら、俺の意識は遠のいていった。


「金玉蹴られただけで男は女に勝てないんだから。ほんとザコだよ」

ほとんど気を失っている俺に美和はそう吐き捨て、ジャケットと荷物を持って部屋から出ていった。


終わり

245名無しさん:2018/02/26(月) 01:10:50 ID:7rC4hY7c0
以上です。
至らないところばかりだと思いますが、よろしくお願いします。

246名無しさん:2018/02/26(月) 01:55:31 ID:uxy2mah20
>>245
最高です、この作品のように女性には付いていない点を強調する話はやっぱり良いですね。
物語の設定の点でも、会社の同期という今まであまり無いパターンで新鮮さがありました。
是非他の作品も読んでみたいです!

247名無しさん:2018/02/26(月) 19:25:00 ID:ucdTmyME0
お二方乙
投下ラッシュの流れいいぞもっとやれ

248ビューティーファイター:2018/04/18(水) 02:26:23 ID:3SMeoXXE0
金的ファイターを助けろと何度言ったら分かるんだ?

249名無しさん:2018/04/23(月) 01:28:21 ID:..2z5org0
すっかり温かくなり金的の季節となりましたね

250名無しさん:2018/04/23(月) 23:29:28 ID:Bjbp5h/s0
>>249
金的に季節はそこまで関係ないよ

251名無しさん:2018/04/23(月) 23:32:28 ID:Bjbp5h/s0
>>248
それを言い換えると、「金的攻撃をして戦う人を助けろ」ってことだね
ところで、ここも最近は書き込みの頻度が低いな
気長に待つか

252名無しさん:2018/04/24(火) 10:03:28 ID:iIlm4BOY0
ネタにマジレス

253名無しさん:2018/04/25(水) 12:33:27 ID:W0ZC9aTY0
次に来るのはいつになるかな

254名無しさん:2018/04/28(土) 00:28:28 ID:NYa6s8.A0
>>252>>250>>251に関する書き込みだね

255名無しさん:2018/04/28(土) 00:29:28 ID:NYa6s8.A0
>>252>>250>>251に関する書き込みだね

256名無しさん:2018/05/13(日) 20:22:24 ID:NebC0mKk0
『幼馴染』①


「は? キンタマを蹴ってほしい?」
「ちょっ、こ……声大きいって」

怪訝そうに反芻した私を制するように悠馬が言う。

「いや、あんた今そう言ったじゃん」
「言ったけどさ……」

悠馬はもじもじと、恥ずかしそうに両手の指をくっつけたり離したりしている。乙女か。

「でも、なんでいきなり?」
「いや……その、カスミ、よく蹴ってるだろ。クラスの男子の……」
「キンタマ?」
「う、うん」

悠馬はさっきから、私が「キンタマ」と発声するごとに妙に恥ずかしそうにしてうつむく。
普通は逆だと思うんだけどな。男女。

「確かによく蹴ってるけど……あれはあいつらが悪いんじゃん。悠馬だって知ってるでしょ? 私、何の理由もなく男子のキンタマ蹴ったりしないわよ」
「う、うん。それはよくわかってるよ。三浦君とか田辺君とか、本当懲りないよね……はは」
「そうよ。昨日なんか、またホウキで私のスカートめくってきたんだから。昭和の小学生かっつーの。思いっ切りキンタマ蹴っ飛ばしてやったわ」
「ああ……見てたよ、それ。二人とも、すごく痛そうにしてたよね。ははは……」
「でもあんなの、どうせ演技じゃないの? そもそも私、そんなに強く蹴ってないし」
「いやー……どうかな。はは……」
「まあでもキンタマだしね。やっぱり軽く蹴っても痛いか。ま、私には男子のキンタマの痛みなんて分かんないんだけどね。キンタマ付いてないから」
「は、はは……」

いちいち赤面する悠馬の反応が面白く、ついつい意図的に「キンタマ」と連呼してしまう私。
とはいえ、そろそろ本題に入らないと昼休みが終わってしまう。

「で……さっきの続きだけど」
「うん」
「マジなの? 悠馬。私にキンタマを蹴ってほしいって」
「う……うん………」

悠馬は先ほどと変わらず、もじもじした仕草を繰り返している。

私と悠馬は、いわゆる幼馴染という関係だ。
幼稚園の頃から中学三年の現在に至るまで、ずっと一緒に居る。

昔から勝ち気で男勝りな私に対し、いつもうじうじ、なよなよしている悠馬はまるで女の子みたいで、小学校の頃はよく、クラスの男子達から「男女逆転カップル」なんてからかわれた。
ま、そんなこと言ってくる奴らは片っ端からキンタマ蹴っ飛ばし+電気あんま10分かけ続けの刑に処してやったけどね。あはは。

257名無しさん:2018/05/13(日) 20:29:24 ID:NebC0mKk0
『幼馴染』②


私が懐かしい思い出に浸っていると、悠馬がぽつぽつと話し始めた。

「カスミはさ、今でこそ……変なちょっかいをかけてきた男子くらいにしか、その、そういうことしてないけど……昔はそうでもなかったよね?」
「あー……そういえば、そうだったかも」

確かに言われてみれば、幼稚園とか小学校低学年くらいの頃までは、特に何の理由もなく、その辺の男子のキンタマを蹴っ飛ばしたり、電気あんまをかけたりして遊んでいたような気がする。
今思えば結構ひどい事をしていたようにも思うけど、まあ子どもの頃の話だしね。とっくに時効でしょ、時効。

「それで、その、僕にもよくやってたでしょ?」
「あー……そういえば、そうだったかも」

さらに思い出してみれば……幼稚園の頃、何かの拍子(些細な喧嘩でもしたんだっけか)で、悠馬の股間を蹴ってしまったとき、尋常ならざる痛がり方をしていたような記憶が……。

……そうか、あれが最初のきっかけか。

あのとき、「キンタマは男子の急所なんだ」ということを認識した私は、それからというもの、何かあっても、何もなくても、毎日のように悠馬のキンタマを蹴って遊んでいた。
さらに、テレビのバラエティ番組で知った電気あんまも、悠馬に毎日のようにかけて遊んでいた……。

「でも、それがどういう……?」

私は尋ねながら、じっと悠馬の顔を見る。
とはいえ、ここまでの流れでもうなんとなくわかっていたのだが、一応本人の口から聞きたかったのだ。

「いや、まあ、その……昔、カスミに……よく蹴られたり、かけられたりして……すごく痛かったんだけど、それが妙に、その……」
「気持ち良かったってこと?」

待ちきれずに聞いてしまった。

「…………」

悠馬は無言でコクリ、と頷く。

「マジかー……」

まあ、これまでの会話の流れから何となく察しはついていたものの、改めてはっきり認識すると、やはり嘆息せざるをえない。
まさか十年来の幼馴染が、こんな変態的な性癖を有していたとは。
しかもそれを目覚めさせたらしいのが、他ならぬこの私だったとは。

258名無しさん:2018/05/13(日) 20:33:58 ID:NebC0mKk0
『幼馴染』③


「……でもさ、私が悠馬のキンタマ蹴ってたのって、せいぜい小学校の低学年まででしょ? その後は私、蹴ってないと思うんだけど」
「うん」

流石の私も、小学校の中学年になる頃には、何も悪いことをしていない男子のキンタマを蹴ったりするのは良くないことだなと悟り、いつしか悠馬(およびその他の無害な男子達)に急所攻撃をするのはやめたのだ。
もちろん、くだらないちょっかいをかけてくるような奴らは別だけど。

「でも、いざやられないようになると、なんか、こう……」
「また前みたいにされたい、って思うようになっちゃったの?」
「うん」
「マジかー……」

ん? でも待てよ。
ってことは……。

「じゃああんた……小学校低学年の頃から今日まで、何年間もずっとそんなこと考えてたの?」
「うん」

うんって。

「じゃあ言えばよかったじゃん。別にキンタマくらいいくらでも蹴ってあげたのに」
「いや……流石にそれは……」
「恥ずかしい?」
「うん」

もう十年以上の付き合いになるが、未だにこいつの羞恥ポイントがよく分からん。

「じゃあ、なんで今になって言い出したのよ」
「いや……それが、自分でもよくわかんないけど……」

照れくさそうに頭をかきながら、悠馬は続ける。

「最近、カスミ、すごく可愛くなってきて……段々、自分の中の『またカスミに蹴られたい』っていう願望が、抑えられなくなってきて……」
「はぁ」

こんな文脈で可愛いとか言われてもな。

259名無しさん:2018/05/13(日) 20:36:14 ID:NebC0mKk0
『幼馴染』④


「それに今でも、カスミはちょっかいをかけてくる男子には、その……蹴ったり、かけたりしてて……」
「キンタマを蹴ったり、電気あんまをかけたり?」
「う、うん」

悠馬は頑なに目的語を省略しようとするので、それをあえて補う私。

「それで、その……そういうのを見てると、なおさら、抑えられなくなってきて……」
「ふーん」

悠馬は大まじめに話しているが、私には全く理解ができない。
大体キンタマを蹴られたいって時点で意味分からん。

「でも急所でしょ? 男子のキンタマって。普通に痛いんじゃないの」
「うん、まあ痛いんだけどね……」
「ふーん」

正直これ以上話を聞いても、私がこいつの性癖を理解するのは一生かかっても無理だろう。
そう結論付けた私は、

「まあいいや。要は私にキンタマ蹴ってほしいってことでしょ? いいよ。蹴ってあげるよ」
「! い、いいの?」

そんなに目を輝かすな。
幼馴染とはいえキモイわ。

「ご、ごめん」

しまった。
思わず声に出てしまったようだ。

「……別に、昔はよく蹴ってたわけだしね。ただ、まさかあんたの方から『蹴ってほしい』って頼まれる日が来るなんて夢にも思わなかったけど」
「ご、ごめん」
「いいって。じゃ、足開きなよ」
「う、うん」

少し緊張した面持ちで、足を肩幅ほどに広げる悠馬。
よく考えたら、いつもは鬱陶しい男子のキンタマを強制的に蹴り上げているだけなので、こんな風に「さあ蹴って下さい」みたいなシチュエーションでキンタマを蹴るのは初めてだった。

「……一応聞くけど、これ、思いっ切り蹴ってもいいの?」
「うん」
「本当に? 潰れても知らないわよ。キンタマ」
「うん」

うんって。
まあ、本人が良いならいいか。

260名無しさん:2018/05/13(日) 20:41:13 ID:NebC0mKk0
『幼馴染』⑤


「よーし。では……」

せっかくなら本当の本気、全身全力で蹴ってやろうと思い、私は悠馬の股間、キンタマがぶら下がっているであろう位置に視線を固定する。
仮に潰れても一個は残るでしょ。多分。

「……いくわよ」
「うん」
「――――」

私は右脚を勢いよく後方に跳ね上げると――……

「おりゃあっ!」

 ボグッ!

「!」

悠馬の身体が、一瞬浮き上がる。
男子にしては小柄な悠馬は、私とほとんど同じくらいの身長で、足だけなら多分私の方が長い。

全力で振り抜いた私の右脚は、悠馬の身体の正中線、即ち二個のキンタマを完全かつ的確に捉えていた。
実際に音が聞こえたわけではないが、擬音語を用いるなら「ミシミシッ」という表現がぴったりくる。
それほどに確かな感触――二つの玉が押しつぶされていくそれ――を、私は自分の右脚の甲に感じていた。

パンッ、と私は右脚を引き戻した。

次の瞬間、

「あ……あぐぅ……」

まるでB級バトル漫画で死んでいく雑魚キャラみたいな声を出しながら、悠馬が地面に膝を着けた。
そのままズシャッと、額まで地に着けてしまう。

「あ……あぁあ……」

悠馬は両手で股間を押さえたまま、地獄の底のような声で呻いている。
おそらく想定していた以上のダメージだったのだろう。

考えてみれば当たり前の事だった。

私が最後に悠馬のキンタマを蹴ったのは小学校低学年の頃だが、その後も私は、鬱陶しいちょっかいをかけてくる男子達のキンタマを毎日のように蹴り続けて今日まで来たのだ。
必然、キンタマを的確に捉える蹴りの精度も、蹴りの威力そのものも、悠馬が知る頃とは比べ物にならないくらい進化しているはずだ。
大体、体格も筋力も、この数年間で相当成長しているわけだし。

261名無しさん:2018/05/13(日) 20:43:39 ID:NebC0mKk0
『幼馴染』⑥


「はー……はー……」

悠馬は地面に額をつけたまま、肩で息をしている。

「…………」

そんな悠馬を見ていると、私は段々、自分が普段、他の男子のキンタマを蹴った時とは異なる感情を抱いていることに気付いた。

「……どうだった?」

蹲る悠馬を見下ろしながら、私は尋ねる。
おそらく、先ほどまでとは全く違う声色で。

「はー……はー……」

しかし、悠馬はまだ言葉を発することができない。
私は身体の奥が熱くなってくるのを感じた。

「答えなさいよ」
「!」

グリッ、と悠馬の頭を踏みつけた。
名状しがたい感情だった。

「ほら」

足に少し力を籠める。
より一層、額を地面に擦り付けるように、そのままグリグリと踏みにじる。

「……い……」
「い?」
「……いたい……」

蚊の鳴くような声だった。
ぞくぞくする。

私は悠馬の頭を踏みつけながら、笑った。

「あはは! そりゃそうでしょ。だってキンタマだもん。男の急所でしょ?」
「…………」
「でも、これはあんたの望んだことだからね? 怒ったりしないでよ?」

言いながら、私は悠馬の頭から足を離すと、そのまま背後に回った。

262名無しさん:2018/05/13(日) 20:45:28 ID:NebC0mKk0
『幼馴染』⑦


「よっ、と」

地面にしゃがみ込み、悠馬の両足首を掴むと、そのまま引っ張る。

「え……?」

まだキンタマのダメージが残っているのだろう、悠馬はされるがままになっている。

「せっかくだからこれもやってあげるよ」
「! か、カスミ、ちょっ……」
「おらっ!」

素早く、右脚を股間に強く突っ込む。

「あぐっ!」

悠馬が悶える。
まだダメージの残るキンタマだ。足の裏で押されるだけでも相当苦しいのだろう。

「あははっ!」

自分は一生味わうことの無い、無様な男子の苦痛に想像を巡らすと、面白くて仕方がなかった。

そう。

今、私は悠馬の両足首を持ち、悠馬の股間に自分の右脚をあてがっている状態だ。

「か、カスミ……きょ、今日は、もう……」

気付けば、悠馬は涙目になっていた。
でも今更泣き言を言ったって、もう遅い。


―――だって、これはあんたが望んだことでしょう?


「……今、思い出したわ」
「えっ?」
「何で昔、私が何の理由もなく、あんたのキンタマを蹴ったり、電気あんまをかけたりしてたのか……」
「…………」
「あんたの……悠馬の――……苦痛に歪んだ泣き顔を見るのが、好きだったから」
「!」

悠馬の顔が恐怖に変わる。
そうそう、そんな顔だった。

263名無しさん:2018/05/13(日) 20:47:34 ID:NebC0mKk0
『幼馴染』⑧


「か、カスミ……! お、お願いだから……」
「はーい。じゃあ久しぶりの電気あんま〜っ」

私は悠馬の懇願を無視し、ありったけの力を右脚の振動に込めた。

 ガガガガガガガガガッ!

「! う、あ、あぐぇっ!?」
「あはは! 変な声〜!」

 ガガガガガガガガガッ!

「あ、あぎっ、あ、つ、つぶれ……」
「ん〜? どうしたの〜? キンタマつぶれちゃうの〜? でもさっき、つぶれてもいいって言ってたよね〜?」

 ガガガガガガガガガッ!

「あ、あぐぅ、あ、ああっ!」
「あははは! 大丈夫だって! 別に一個くらい潰れたって、死にはしないでしょ! ほ〜ら、もっと振動強くするわよー!」

 ドガガガガガガガガガガガガッ!!

「あ、あんっ! あ、ああああああっ!」
「あははは! もっと苦しみなさいよ! ほらほらほらほら!」


――……遠くで、昼休みの終了を告げるチャイムが聞こえた。


五時間目の授業、私は遅刻して先生に怒られた。
一方の悠馬は「体調不良」で保健室に直行したため、怒られず。

……なんか、理不尽な感じがする。

ま、いいや。
また今度、悠馬のキンタマ蹴って憂さを晴らそう。

後で聞いたけど、結局二個共潰れてなかったみたいだし。
結構頑丈なんだね。

あはは。






<了>

264名無しさん:2018/05/13(日) 23:33:21 ID:upkW4yqU0

シチュエーションが好みど真ん中で最高だった

265名無しさん:2018/06/14(木) 17:35:03 ID:hOmm4C3g0
>>111
すごい亀レスだけど本スレが荒れ始めてから見てなくて最近スレみたらここ発見して、このSS凄く良かったです。
自分もよく男性を去勢する組織の妄想してたから滅茶苦茶ツボだった
性差表現が良いし皆キャラがたっているから続編や同じ世界観のSSを是非読んでみたい。

266名無しさん:2018/07/27(金) 13:26:29 ID:ZBgaXXW60
夜月さんpixiv退会しちゃったんだな

267名無しさん:2018/07/27(金) 19:59:36 ID:FTWE9MBE0
大分前からな
もう一年近くになるんじゃないか

268名無しさん:2018/07/27(金) 20:30:41 ID:Xg1CG6a20
何書いてた人だっけ
あまりお世話になった記憶がない

269名無しさん:2018/07/28(土) 09:17:47 ID:3iBJtHQo0
外部の話題禁止だからアレだけど

上手いし書くの速いけど作品をしばしば削除する人だと思う
繊細なのかもだけど、ちょっと精神的に不安定なカンジあった

270名無しさん:2018/07/31(火) 20:41:51 ID:l92wnPvI0
「ローカルルール(暫定)」だから、話し合って
そろそろ変えてもいい頃じゃないの?
このスレも定着してきたし

271名無しさん:2018/08/01(水) 04:12:07 ID:CaAyOB0.0
それは管理人さんの意向次第

272名無しさん:2018/08/01(水) 04:51:23 ID:rsVogR6A0
その為に議論スレがあるのでそっちでやろうか

273名無しさん:2018/08/04(土) 22:37:52 ID:zdFOUNdg0
賛成
外部サイトの話題解禁の議論をしよう

274名無しさん:2018/08/05(日) 15:23:32 ID:FPa71v820
別にいいんじゃないの?
外部サイトに迷惑かけないなら情報共有して活気がある方がいいと思う

275名無しさん:2018/08/06(月) 00:05:11 ID:Cxq4A3ks0
今外部板の話題になってますが、エクストリーム空手の続きは別で投稿されてるというレスを見たのですが本当ですか?
貼って頂きたいです

276管理人★:2018/08/13(月) 20:52:59 ID:???0
ローカルルールに関してのご提案ありがとうございます
本日より批判所での外部サイトに関する書き込み禁止というルールを変更致します
詳しい注意事項はサイト上部の欄に掲載しましたので一読下さい
今後は皆様方の情報共有の場としてもご活用下さい
議論スレへの意見も一段落致しましたのでこちらにて報告させて頂きます

この件に関する疑問・意見等があれば気軽に議論スレに書き込み下さい
また、新たに問題が起こってしまった際には再度ルール変更をさせて頂くこともありますのでご了承下さい

277名無しさん:2018/08/13(月) 23:07:08 ID:8hsa052I0
>>276
管理人さん、ありがとうございます。
引き続き、よろしくお願いします!

278名無しさん:2018/08/14(火) 22:17:48 ID:eEM6qwdk0
じゃあ早速
>>275
自分も以前にそれ見て探したけど見付からず…恐らくデマだろうと結論して諦めた
是非復帰してほしいし続きも読みたいですねえ
もし実在して作者がリンクなり公表なりを禁じてないなら情報求みます

279名無しさん:2018/08/15(水) 22:31:31 ID:3wztssbs0
>>275
「エクストリーム 金蹴り」で検索すると
「最強格闘王女伝説綾香」と言う長編小説が出てくる
金蹴り描写もあるけど、冒頭からストーリーが違う

280名無しさん:2018/08/16(木) 10:57:52 ID:qw53qhV20
>>266-269
やっぱりここの住人は押さえてるよね
自分は群を抜いて好きだった
恐らく本職は女の子同士のプロレスとかマン蹴り電気アンマの股関攻撃だったんだけど
ミックスファイトも沢山書いてくれてて金蹴り描写も事細かにあった
男女差は勿論金的の性差表現も外さないし、情景やキャラ毎のセリフの作り込みも相まってそもそもの読み物としてのレベルが高かった
自分でもキモいけどべた褒めするくらいファンで退会された時は本気でショックだったわ

281名無しさん:2018/08/17(金) 02:33:14 ID:r03mLeQ60
>>278
>>279
やっぱり無いんですね…
復活して欲しいものです
エクストリーム空手に限らず他にもまだ書き手がいればここで投稿して欲しい

282名無しさん:2018/08/31(金) 23:25:11 ID:jCcZM/NU0
------------------------------------------------------------------------
(テロップ):まず、お名前と年齢を教えてください

「シノブです。21歳」「サツキ、18でーす」

(テロップ):このシリーズのご経験は?

「今回で46回目……よね?サツキさん」「いや、45回目ですよ、シノ先輩」
「え!あ、ゴメンなさい、45回目でした。1回はプライベートで」「他のシリーズも宜しくおにゃーしゃーす」

(テロップ):プライベートで?詳しく聞かせてもらえますか?

「その、ご縁のはじまりがそれで、18の時に」「サツキは、ガチなのってココに来てからですねー」

(テロップ):ココに来てからが初めてですか?不勉強で、どんな動画かは拝見できていませんが……素人とは思えないってもっぱらの評判ですよ?

「サツキさんは最初からシッカリしてましたから」「初めてって思って見直して頂けると、新しい発見が有るかも知れませんねー」

(テロップ):その格好は?

「ゴメンなさい、見苦しいですよね。あの、今回の主演の方が、昔の同級生で」「いいでしょ?私が通ってた学校の制服。可愛いって有名だったんですよぉ」

(テロップ):同級生!?彼氏ですか?

「……その、そんな感じです。繋ぎとめられなかったんですけど」「えー、ヒドーイ!それじゃ、リベンジですね、シノ先輩」
「そんなつもりは……私の魅力が足りなかったのが悪いんですから」「またまたー」

(テロップ):いや、本当にそうですよ。お二方とも、服に負けない美人さんじゃないですか。

「いえ、あの、困ります……」「あはは、先輩ったら照れちゃって。でもありがとーね♪オジサマったら、お上手☆で―――



-----------------------

283名無しさん:2018/08/31(金) 23:25:42 ID:jCcZM/NU0
あの、シノブです。
導入部分を思い出しながら、次のステップに思いを馳せさせて頂いています。

ここは、『娯楽室』と呼ばれている場所。

カメラの前で、二人。サツキさんの受け答えは堂に入ったもので、見ているだけで惚れ惚れとしちゃいます。
それに引き換え、私ときたら。年甲斐も無く、制服なんて着て。目線は伏せがち、俯きがち。背中も丸めてしまって、我ながら情けない限りです。

必死に身を縮めようとしていたみたいですけど、傍目から見ると、無駄に大きな胸をやたらと強調しているようにしか見えません。
サツキさんは、清楚な女学生って言葉がピッタリなのに。私ときたら、張り詰めた胸元から、黒い色がクッキリと透けて、ふしだら……えーと、なんて言うんでしたっけ?
そう、とてもビッチっぽい……これ、使い方間違っていませんよね?

でも!あの、言い訳になっちゃうんですけど!でも、衣装併せの時は、ベージュの下着にしていたんです。透けちゃうから。
そうしたら、サツキさんから『極めて悪いと評価しました』とか、通販のレビューみたいなことを言われてしまって……、いや、私の責任ですよね。

小学生の頃から大きくて、エッチなコってレッテルを貼られていた身としては、コレ、本当に邪魔なんです。
あ、分かってほしいわけじゃないの。そんなに図々しいことは言えません。それに、皆が私のことをいやらしいって言うなら、きっとそれが正しかったんです。

大きいことは良いことです、なんて、サツキさんは慰めてくれます。遠い目をして。
本当は、私の方がリードしてあげないといけないのに。後輩にまで気を使わせてしまって……本当、自分が嫌になる。

昔から、私は皆に世話をかけっぱなし。今日だって、お二人をお相手しないといけないのに、無理を言って、『彼』だけを別枠にしていただいて。
それでも、皆、優しいですから。私は、いつも甘えっぱなし。皆さん、それは気づいているのでしょうけれど。。

あの時、私は裏切られた気分でしたけど……本当は、単に私に愛想が尽きただけだったんでしょう?貴方も。
恨んでなんかいません。私には、過ぎた幸せだったのですから。私も、貴方を少しでも幸せにできていたなら、それだけで―――

目線の先には、一人の男性。私にとっては、特別な顔です。サツキさんは、量産型っぽーいって評していましたけれど。
太平楽に高鼾のその姿。私なんかには望み得べくもない、平凡な日常を想起して、一抹の寂しさを覚えます。
あの頃は、部活でクタクタになっていたのでしょうその姿を見ながら、明日のお弁当の用意に頭を悩ませていましたっけ。

異常な点は、彼が一糸纏わぬ姿であるところでしょうか。
全裸で這い蹲っているべき立場が入れ替わっている。それだけで、彼に対して申し訳ない気持ちが沸いてきます・

「ほら、シノ先輩!しゃんとして!」

背中に平手の感触。知らず知らず、私はまた丸まっていたみたいです。目線を上げると、満面の笑顔の後輩。
眩しさに、思わず目を細めてしまうと、再度、バシンと背中を叩かれます。。

回りのカメラを見渡して、しょぼくれた顔をしていましたっけと反省。
とはいえ、隠しカメラですから、張り合いが無いって……あぁ、また、言い訳です。気持ちのネガティブスパイラル。

「先輩がそんなで、どーするんですか?!そんなんじゃ、この人も不安になっちゃいますよ?」

本当に、優しいコです。私の相方なんかには役不足もいいところ。
気を使わせてしまったことが情けなくて、それでも。意識的に背筋を伸ばして、決然と……そんな気合で、上を向きます。

284名無しさん:2018/08/31(金) 23:26:12 ID:jCcZM/NU0
 天井で、大きなサーキュレータが回っています。最初は、何で扇風機が天井についているのかしらと不思議でした。
後で聞いたところだと、エアコンで冷えた室内の空気を攪拌するためなんだそうです。ウチにはエアコンも無かったですし、
無いのが普通だと信じていたので、実際のところ、今でも必要性は分からないのですけど、ね。これは秘密です。

この部屋に備え付けられたエアコンも、もう結構使い古されていて。長時間動かしていると、水漏れしてしまうんです。
床に敷き詰めた、真っ白いシーツに染みがついてしまうので、洗濯しているといつも閉口してしまうのですが。

もう一回。強めに背中を叩かれます。今回は、前についたお肉が揺れるほど、強い衝撃。
上の空だったのが見抜かれてしまったのでしょうか……恐る恐るサツキさんを見やると、彼女の視線は私に向けられていませんでした。

「う〜〜〜〜〜」

聞き慣れた声。あの人が、目を覚ましたみたい。瞬間、緊張が背筋を走るのを感じます。
いつものことで、これは彼のためでもあると信じているのですけれど、それでも。本当、駄目ですね、私は。

「シノブ……?」

胡乱な瞳で此方を見やると、彼の口から言葉が零れました。
ドクン、と。一拍だけ、心音が跳ね上がったのは、誰にも気付かれていないと信じたいです。

それでも。私の役立たずの口は、震えるばかりで何一つ言葉を発することが出来なくて。
あんなに、色々と話したいことがあったのにと、心だけが焦燥に苛まれるばかり。悔しくて、申し訳なくて、目尻に涙が滲む。

と。

「おはよう、おにーさん。ごきげんいかがですか?」

場違いなほどに、穏やかな声音。サツキさんの顔は微笑を湛えていて。
台本とは違う台詞だけれど、その言葉は彼と、そして私に対する思いやりに溢れていることは痛いほど分かりました。

彼女には、恐れ多くて頭が上がりません。きっと、あのコは笑って流すのでしょうけど。

なんで、私はああじゃないんでしょうか。彼女の様になれるのならば、何を捧げても悔いは無いのに……コレも、高望みですね。

異様な雰囲気を感じ取ったのか、『彼』の目線は右に、左にと泳いでいるみたい。
お揃いですね、と含み笑い。私も、彼を直視することが出来ないですし。ふふ、意外な共通点をみつけた気がして、少し心が軽くなる。

可笑しいですよね。私達には相違点があるから、こんなコトになっているのに。でも。

「ちょっと状況が呑み込めない……何事?というか、オマエ、シノブだろ?くそ、何がなにやら―――
「あ、じゃ、当ててみてくださいよ。おにーさん的には、どんな状況だと思います?コレ」

しどろもどろな彼が琴線に触れたのか、コロコロと笑いながらサツキさんは続ける。
箸が転がっても可笑しい年頃だからでしょうか。それとも、コレからの『お仕事』のことが楽しみだからなのかしら。

実を言うとね、私も楽しみなの。だって、私が人のために出来ることなんて、コレぐらいだから。
そういう意味では、『簡単な』作りをしている彼に、いや彼等には、感謝しているところもあるんです。

「分かんねーよ。ボッタのフーゾクか何か?オレ、入った覚えねーんすけど」
「アハハハハ、おにーさん、ニアピン賞。確かに、これから性的にスッキリさせてあげるわけですけどー」

サツキさんが目線で催促してくるのを感じて、再度、口を開きます。
先程とは打って変わって、自分でも驚いてしまうほど、流暢に言葉が流れるのは、心を整理する時間を頂けたから。
本当に、彼女には感謝してもしきれません。

「あのね、フジワラ君―――
「やっぱシノブじゃん。キレーになったね……なんて、オレがいうコトじゃないか」

そして、彼にも。あの時、私を選んでくれたことが、どれだけ支えになったか、貴方はきっと知らないでしょうけれど。
私なんかを選んでくれて、本当にありがとう。例え、直ぐに他のコの方を選びなおしたとしても、それでも。
選ばれたことがあるっていう事実だけで、私は今まで生きてこれました。

285名無しさん:2018/08/31(金) 23:26:49 ID:jCcZM/NU0
「ありがとう。お世辞でも、嬉しいです。……コレは本心ですよ?私、嘘吐けるほど頭良くないので。知ってますよね?
 ……こんなトコロで会いたくは無かったです。これも、本当。
 
 あのね、貴方、借りちゃいけないところで、いっぱいお金を借りちゃいましたよね?私の実家みたいに」

「……………………………………」

返されたのは沈黙。お金の話が出た途端、彼から不機嫌なオーラが放たれたのを感じます。
膝が震えて、手汗が滲んで。それでも、彼のためだから。何時までも萎縮してはいられませんと、自身を突き動かします。

「せめて、誰かに相談すれば良かったのに……私に言ってくれれば、身体を売ってでも「そこまで堕ちちゃいねーよ」……ありがとう。
 でも、でも、ゴメンなさい。私が知ったときは、もう、こんな身体を売ったくらいじゃ、全然追いつかない状況になっちゃってたんです。

 そう。フジワラ君、その負債、貴方の身体で支払ってもらおうってことになってしまっているんです」
 
「……………………………………」

「『臓器売買』とか、『保険金』とか、怖いコト言ってる人たちも居たんですけど……。
 それだけはって泣きついて、償わせますからって、足りない分は私が身体で贖いますからって縋りついて……ふふふ、そんな目をしないでください。
 私が勝手なことをしただけですから。……それに、私なんかの身体が役に立つなら、幾らでも。感謝するのはこっちだと思ってます。
 
 それで、ですね。何とか、命だけは見逃して頂けたので」
「次は、おにーさんが身体で支払う番が来たってことですよ。つっても、返してもらうのは肉体労働力ですけど……
 ほら、いうでしょ?男はマグロで、女はお風呂で、みたいな。まぁ、今は男女平等の時代ですから……」
「こういうのは他の方々に悪いですけど、容姿や体力に優れない……本当にゴメンなさい!私がそう言ったわけじゃないんです!!
 あの、そういう方は、ちょっとしたところで強制労働していただくことになってるんです」

沈黙が続く。やおら、彼は胡坐から立ち上がり、天を仰いで顔を覆いました。

「ちょっと待ってくれよ、理解が追いつかない。誰も信じちゃくれねーけど、オレは金なんか―――」

零れた一言は、掛け値なしの本音でしょう。

「言い訳しなくても大丈夫ですよ、おにーさん。全部私達に任せてくれれば」
「えぇ。私は馬鹿ですけど、拙いなりに、きっとお互いに一番いいって方法を考えてきましたから」

顔を覆った手を外し、私達を凝視する。サツキさんはいいんでしょうけど、二十歳を越えて制服を着ている私は赤面してしまう。
また、身を縮めようと無駄な努力をして、反抗期な胸肉を暴れさせてしまい、更に赤面。見苦しいものを見せて、ゴメンね。

「どういうコトだ?強制労働?で、一番いい方法?時系列が上手く繋がらない。オマエ等と働くってことか?」
「いや、私達は終身刑みたいなものだし、流石におにーさんまでは巻き込めないですよぉ……。つまりですね―――
「フジワラ君が働きに行く前に、金目のものは全部没収させていただく……そういうコトで落ち着いてもらったんです」

彼は、パチクリと目を瞬かせる。そんなトコロは、3年前と変わらないんですね。
おこがましいって言われてしまうかもしれませんが、時折覗かせる、そういう無邪気なところ、好きでした。

「何言ってんだ?というか、ココまで剥いたら分かってんだろ?まだ金残ってってんなら、オレの方が教えて欲しいぐらいだ」

ダンッ!苛立った彼が床を踏み鳴らす音に、『ひゅい』みたいな声を上げて縮こまってしまう。説明が下手でゴメンなさい。
―――ちょっと、シノ先輩を怖がらせないで下さいよぉとか、サツキさんが口を尖らせているのを見ると、不甲斐なさに恐縮してしまいます。
―――知るかよ、これぐらいで怖がる方が変なんだろ!?って、フジワラ君も怒った口調。その通りすぎて、返す言葉もありません……。

恐る恐る目を開くと、二人とも気を取り直してくれたみたい。良かったです。
そのまま、サツキさんはさっきの話を続けてくれる。

286名無しさん:2018/08/31(金) 23:27:22 ID:jCcZM/NU0
「女の子に何言わせようとしてるんですか、おにーさん。セクハラですよ!もう!ココで『金』持ってるのは、おにーさんだけ。
 一目瞭然でしょ?ほら―――

サツキさんの手が無造作に伸ばされて、2本の指が絡みつくのが見えます。私達とは無縁の、彼だけが持つ『金』の部分に。
一本の指に、一つの睾丸。サツキさんは、朗らかに、ソレの形を確かめようとしているみたい。想像の埒外だったのか、フジワラ君は呆けた顔。

「?おい、どこ触ってんだよ?!」

数秒の間をおいて、不機嫌な声。そういえば、お付き合いさせて頂いていた頃も、ソコを触られるのは嫌みたいでしたよね。
私も、嫌われたくなかったから、あの時は引き下がりましたけど……正直にいうと、興味津々だったんですよ。ふふ、皆が言うように、私、えっちなコだったんでしょう。
そういえば、あの時、ソコには男気が詰まっているんだって教えてくれましたっけ。ふふふ、今なら意味が分かります。けど、幼かった私にはさっぱりで……一緒に笑ってしまいましたね。

ちょっと、サツキさんに妬いてしまいます。それと、無防備にソレを許してしまう、フジワラ君にも。

見たくないという拒絶感と、見届けてあげたいという義務感。相反する気持ちに混乱している内にも、状況は進んでしまい。

「―――!!変なトコロ触んなっ、この変態女っ!!」
「へー、変なトコロなんですね、コレ。じゃ、心置きなく―――取り立てちゃいますっ」

『釣鐘抜き』って彼女は呼んでました。彼女の指が、楕円形の睾丸を包み込むように動いたのが分かります。
指先から、付け根まで。睾丸の裏側、奥まったところから先端まで。摩り下ろすように絞りつつ、入れ物ごともごうとする勢いで、引き抜かれます。
付け根にあるコリっとしたところに爪を差し込んで、睾丸を剥がし取るつもりでやるのがコツって教えていただきましたけど……如何せん、私には付いていない部分なので、よくは分かりません。

フジワラ君の顔色を伺うと、時間が止まったみたいな無表情。きっと、何をされたのか分かってないんだと思います。だって、男の方って、皆そんな顔をしますものね。
ここまでなら、私にだって分かります。突然、股間の隙間に指を差し込まれたら、私だって『何事?!』みたいな顔をしちゃうと思うもん。
でも、私で分かって上げられるのは、ココまで。気の毒だけど……

―――きゅぅ、と。睾丸と一緒に、威勢まで抜かれてしまったみたいな声が、彼の口から絞り出されます。
サツキさんはゆっくりと片手をあげてVサイン。完全に掛からなくても、男性はアレだけで動けなくなるというのは何度も目の当たりにしてきましたけど、
あのVサインは二つともやっつけちゃったよということ。ということは。

ゆっくりと、顔色が青く変わっていく。両膝が震えながらも揃えられ、お船が沈んでいくように、彼の身体も沈んで行きます。
ほんの少し、ほんの少しだけ、失望してしまう自分が情けないです。男の方である以上、睾丸はどうしようもないのに。フジワラ君は違うと、心の何処かで信じていたのかも知れません。
そして、その不幸に同情してしまう自分も。分かりっこない癖に、分かったような顔で哀れむなんて、傲慢この上ないと分かっているのに。

分かってあげられなくて、ゴメンなさい。でも、分からない私だからこそ、してあげられることもあるんです。

「おにーさん、気分が悪くなったら、遠慮せずに教えてくださいね?ほら、言葉にしてくれないと、どれくらい手加減すればいいのか分からないですから」

サツキさんは、彼の金的を抉った指をペロリと舐めて、あの人の唇をなぞっています。
優しい微笑み。元々、顔の造作が整っているコですけど、あの表情も負けず劣らず。私は、あの顔を見るだけで、元気を貰えた気がします。

ただ、可哀相に、男性特有の苦痛に晒されている彼には、それを堪能する余裕も無いみたいで。
とても見ていられず、二人の間に割って入ってしまいました。どんな言葉をかければいいのかも、私には分かっていないのに。
それでも。

287名無しさん:2018/08/31(金) 23:27:54 ID:jCcZM/NU0
「ゴメンなさい、痛いんですよね。きっと。大丈夫ですか?おっぱい、揉みますか?少しは気が紛れるかもしれませんし……だらしないおっぱいで、申し訳ないですけど」

サツキさんは、フジワラ君の傍らにしゃがみこんで、両手で大事そうに覆われた、彼の股間を撫で擦っています。
「痛いトコ痛いトコ、飛んでけー」なんて、そこはかとなく不穏な台詞には笑ってしまいますけど。

彼の両手を取って、私の駄肉……こんな時にしか役に立たないんですから……に導こうとしましたが、彼の腕は頑として動きません。
私のおっぱい程度じゃ仕方無いですねと、少し寂しい気持ちになりましたが、見れば、視線はサツキさんに釘付け。

怯えた視線……改めて、他ならぬ彼がこんな顔をしないといけなくなる原因を何とかしてあげたいという気持ちが湧き上がるのを感じます。
私が。私が、何とかしてあげたい、と。

その視線に気が付いたのか、サツキさんはおもむろに立ち上がって、横から彼を覗き込みました。
口にはしませんでしたが、子供みたいな彼に『しょうがないなぁ、もう』と思っているのは私にも読み取れます。

「そんなに怯えなくてもいいじゃないですかぁ。ちょっとした悪戯なんですから♪男の子でしょ?」

その言葉のまま、自分の股間に指を添えて、先程と同じ動きを繰り返します。ほら、ほらと軽い掛け声。
男の子だからこそ痛いんでしょうけど……嘘も方便っていいますし。あれ?コレ、言葉の使い方が間違ってますね……私、バカでゴメンなさい。

彼女の動きは、男女の埋められない違いを示しているように、フジワラ君には見えているみたい。それが、とても、可哀相。
私なんかに哀れみを抱かれるというのもそうですし……それに、埋められないなんて勘違いに過ぎないんですから。

私は馬鹿ですけど、それだけは教えてあげられると思うと、少し、誇らしい気持ちになります。

「あた……当たり前だろ、クソが…………なんつーことを……」
「お言葉を返すようですけどね、おにーさん。これぐらいで痛がる方が変なんだろ?!ってコトじゃないですか?
 さっき、おにーさんが馬鹿にしてたシノ先輩だって、ここまで苦しんだりはしませんでしたよ?ね。先輩」
 
突然話を振られると、頭が真っ白になってしまいます。私は、彼の背中を擦ってあげることに専念したかったんですけど……。
でも、そうなんです。昔、せめて苦しみを共感できればと思って、同じことをしてもらったことがあるんです。

男性は皆、言葉にならないぐらいに苦しんでいましたから、実際にやられるときは、本当に覚悟していたんですよ。
お股のところがキュっとしてしまって……後でサツキさんにその話をしたら、ソレってキンタマが縮みあがったってことじゃないですかなんて笑われちゃいましたけど。
ふふ、でも、私も笑っちゃいました。縮みあがるも何も、元から無いのにねって。

無いからこそ、アレをやられたところで。

「そうでしたね……ゴメンなさい。私から見ても、ちょっとフジワラ君は大袈裟かなって……怒らないでくださいね。
 でも、アレ、単なるビンタみたいなものじゃないですか……脛をぶつけたときの方が、よっぽど痛かったです」
 
グルルルと、低い唸り声が聞こえて、私の口から、意図せず『ひゃ』と怯えた音が漏れ出します。
ちょっと和むからと思ったんですけど、その、逆効果でしたか。ゴメンなさい。でも、でも。今でこそ笑い話ですけど、当時は、
嫌がる彼女に無理矢理頼み込んで、あまりの呆気なさに『本気でやってよ』って怒ってしまって、その、大変だったんですよ。言い訳ですけど。
思い返すと、あの時、彼女は『手応えが無いよぉ』とか嘆いてみたり、『先輩にはこの技で抜く『鐘』が無いんだから当然ですっ」ってプリプリむくれたり。

『私も悶絶させてみて』なんて、先輩の立場を悪用したパワハラもいいところでしたね、と死にたくなってしまう。
いつか、愛想を尽かされてしまうか分からないし、そうなったら私が悪いんでしょうけど……そんな日は、こないで欲しいと願っています。

288名無しさん:2018/08/31(金) 23:28:32 ID:jCcZM/NU0
回想に耽っている間に、彼は有る程度回復したみたいで。唸り声を上げながら身を起こしていました。
私がソレを認識したのは、彼が完全に立ち上がったあとで……常々、私は鈍くさいと言われていることを思い出し、また自己嫌悪。

一人で凹んでいる私は気にする価値も無いと思ったのでしょうか(実際、私には価値なんて無いですけど)、彼はサツキさんに襲い掛かろうとします。
男の子だけの急所は、意識しているのでしょう、いつでもカバーできるような体勢。摺り足でサツキさんとの距離を詰め―――

慌てず騒がず。自慢の後輩は、片手を閃かせて、自分よりも大きい相手の顔面を平手で打ちます。
何時見ても、惚れ惚れとしてしまう、鮮やかな一撃。私なんて、自分より大きい相手に立ち向かうぐらいなら、全てを諦める自信しかないっていうのに。

う、と一言。彼の両手が股間から離れ、顔面を覆わんとしたところで、間髪入れずに彼女の左足が翻ったのです。
私は、ただただ、彼の背中越しに後輩の勇姿を眺めることしか出来ていません。が、次に起きることを想像して、ギュっと目を瞑りました。

と。一向に甲高い悲鳴が上がらないことに違和感を覚えて目を開くと、彼は両手でサツキさんの蹴り足を押さえていました。
きっと、相手が何をしてくるのか見当をつけていたんでしょう。そういう、諦めない姿勢は、尊敬に値すると思います。でも、それでも。

サツキさんは、動じずにニコリ、と笑います。ククッと、喉を鳴らしている彼も、きっと笑っているのでしょう。
二人だけの世界。でも、私は。いや、だからこそ。

「ゴメンなさいっ!!!」


謝罪の言葉を叫ぶと、彼の背後。大きく開かれた彼の股間から覗く、その、私には無いサッカーボール的なものを、躊躇も容赦も無く、蹴り上げました。
爪先に、重量と滑った感触。慣れ親しんだソレと、柔らかい何かが、私の爪先と、彼の股間の骨に挟まれて、拉げていく感触。

水気を含んだ何かが破裂する感触が来ることを覚悟して、きつく目を瞑ります。幸いなことに、彼の睾丸はギュルリと動いて、私の爪先から流れてくれましたけど。
そして、先程聞くはずだった、甲高い悲鳴が轟いて。身を竦ませる私を文字通り尻目に、大木が倒れるかのように、彼はゆっくりと横倒しになっていきました。

申し訳なさと、僅かな達成感、そして、それでも私が何とかしないとという義務感が綯い交ぜになって、グルグルと巡るのを感じます。
ほんの少しでもいいから、その痛みを肩代わりしてあげたいという気持ち。そして、そんなコトは不可能だからこそ、してあげられることがあるという気持ち。

相反する気持ちに折り合いをつけるなんて、私の頭には荷が勝ちすぎます。
ただでさえ、のた打ち回って、全身で苦痛を表現している彼のことが心配で仕方が無いのに……自分でやっておいて、本当、身勝手ですよね。

「シノ先輩、ナイッシュー!」

両手でサムズアップ。朗らかな笑顔を向けてくるサツキさんに、縋るような視線を送ると―――

「あ、大丈夫ですよ、先輩。私の方からは、ちゃーんと潰れずに逃げてくトコ、見えましたから……よく出来てますよねーコレ。
 欲を言うなら、そもそもこんなトコに無かったら良かったんでしょうけど……なんでこんなトコに付いてるのか、女には分からないですねー」
 
肯定の言葉で、ハイビートを刻んでいた心の臓腑が、ほんの少し落ち着いていくのを感じる。
でも、でも。潰れてなければそれでいいってものでもないでしょう?こんな、みっともない姿を見せて、どれだけ心が傷ついているのか……想像するだけで、泣きそうになってしまう。
居た堪れない。恥ずかしいことじゃないんだよって、男の子はみんなそうなるんだよって慰めてあげたい。平気な顔が出来たら、そのコは男じゃないんだよって。

心に任せて、彼の傍らに跪くと、ゆっくり、ゆっくりと腰を叩いてあげました。
なんで股間を蹴られたのに腰を叩くのか、コレも私にとっては謎ですけれど……でも、コレで少しは楽になるっていうのなら。

お尻を高くあげて、土下座するような格好で、私達とは無縁の痛みに耐える姿。サツキさんも、吸い寄せられるように近付いてきて、彼の眼前にしゃがみこみます。
ライムグリーンの下着が露になって、私の方が赤面してしまったり。ソレ、お洒落なんでしょうか……私には、何か、お年寄りが着ている蛍光ベストみたいに見えるんですけど……。

彼の腰を叩きながら、安らかな口調を心がけて、慰めの言葉をかけます。

289名無しさん:2018/08/31(金) 23:29:04 ID:jCcZM/NU0
「ゴメンなさい。本当に、ゴメンなさいね。痛かったでしょ?ソコの手加減の仕方、私は知らないですから……思いっきり蹴っちゃっいましたものね。
 大丈夫、恥ずかしくなんてないですよ?ソコが痛いのは、立派に男の子をしてるってコトなんですから……。ね。男の子じゃなかったら、一生、そんな痛みとは無縁なんですから……。
 痛いのは、男の子だって証拠。……そういえば、話が途中でしたね」

彼の気を紛らわせることが出来れば、なんでも良かったんです。
穏やかに、彼の顔を覗き込ませていただきます。キスが出来る距離。恋人の距離。あの日、私が見てしまった距離。

「理解して欲しいとはいいません……でも、コレがきっと一番いい方法だと思ったんです」

「先輩、時系列が滅茶苦茶……落ち着いて。ほら、おにーさんも。一緒に深呼吸して。ほら、すぅー、はぁー、って。
 もしかしてですけど、おにーさん、今までキンタマ蹴られたことってなかったんですかぁ♪うふふ、お揃いだったんですねぇ。私も、キンタマ蹴られたことって無いんですよぉ。
 まぁ、私は女の子だから?これからも蹴られることは絶対ないんですけど……ほら」

サツキさんは、見せ付けるように、自分の股間、パンツ越しに薄く盛り上がったお肉を抓んで、グリグリと揉みしだいています。

「おにーさんと違って、私、ここにそーんなオデキみたいなもの付いてないんです。だから、どれだけキンタマ苛めても、一生やりかえされる心配なんて要らないんです。
 一回、金的の痛みを知っちゃうと、怖くなっちゃうんでしょ。可哀相。私は絶対に知ることが出来ないから、これからも遠慮なくソコを苛めますけど。

 ……そんな顔しないでくださいよぉ。でね、優しい私達は、哀れなおにーさんにグッドニュースを持ってきてあげたんですから。ね、先輩」
 
グチャグチャになった頭の中が整理できたと思ったら、読んでいたみたいに、サツキさんから話の接ぎ穂を渡される。
……頭がイイ子ですよね。同じ人間なのに、どうしてこうも違うのか。殊更、私の出来が悪いだけだと、分かってはいるつもりなんですけど。

「フジワラ君、貴方、何をするつもりだって聞きましたよね……アレ、その、非常に心苦しいんですけど、その、ね。
 あの、コレから、ですね。取り乱さないで聞いて欲しいんですけど……その。貴方を去勢させていただこうと思っているんです」
 
ハテナマークが浮かんでいるのを感じる。マトモな人生を送っていると、畜産業でも無いと去勢なんて言葉、聞かないですものね。
ただ、彼が知らない言葉を知ってたという事実で、後ろ暗い優越感を感じてしまうのは、許してくださいね。知らない貴方の方が、正常なんですから。

「去勢っていうのは、雄の睾丸……有体に言えば、キンタマ。その、それを抜き取ってあげるっていうことです。
 別に潰してしまってもいいですし、その方が簡単なんですけど……潰されると、男の人って凄い苦しむから、見ていられなくて。
 
 それなら、潰すのはお仕置きするときぐらいに限定して、抜き取ってあげる方がいいのかなって。ちょっと大変ですけど、貴方もその方がいいですよね?」
 
純白のシーツを、彼から流れ出した脂汗が染め上げていく。些か蒸し暑いとはいっても、風邪を引いてしまわないか、すこし心配になってしまいます。
ガタガタと震えているのは、やっぱり寒いからでしょうか。それとも、タマタマを抜かれるのが恐い……これでも譲歩したつもりなのですけれど。

でも、結局、私達はタマタマ抜くって言われても恐がれない性別ですし……こればっかりは、彼自身に克服してもらうしか無いんです。
私よりも全然強い、フジワラ君なら大丈夫です!微力ながら、私だって、恐怖を克服するお手伝いは考えてきていますし!!
……まぁ、私の浅知恵には期待出来ないと言われると、押し黙るしかないですけどね。

それを、そのまま言葉に換えて彼に投げ掛ける。

「そんなに震えて……寒いんですか?空調の温度、あげた方がいいなら、気後れする必要ないですからね?
 それとも、恐いの?なら、大丈夫。無理矢理、取り上げてしまおうとは思ってませんから。そうですよね、サツキさん?」
「そーですよ、おにーさん。無理矢理奪うつもりなら、おにーさんが寝てる隙にちょん切っちゃうとか、そーだな。反応が見たいみたいな変態だったら、
 おにーさんが起きる前にギッチギチに拘束してから、ペンチとかで捻り潰したりとかしてますよ♪」
 
子供を寝かしつけるように、彼の腰を叩き続けます。少しでも落ち着いてくれれば、それだけで嬉しいです。

290名無しさん:2018/08/31(金) 23:29:42 ID:jCcZM/NU0
「私、考えたんです。男の人がタマタマ抜かれてしまうのを恐がるのは、それが大切なモノだと誤解しているからじゃないかなって。
 ほら、ちょっと違うかもしれませんけど……私も力づくで貞操を奪われたとき……「うわ、おにーさん、サイッテー」あ、良いんです。彼に奪われたわけでは無いですし。
 その時も、失ってみると、あ、こんなものなんだって拍子抜けしちゃいましたし。男女は逆ですけど、きっと、貴方も、抜かれてみたら、呆気なさに笑っちゃうかもしれませんよ?」
 
「女に……何が分かる………………………………」

「分かりませんよ、何にも。だって、私達には生まれたときから『付いてない』部分なんですから。
 でも、『男の子』だってそうでしょう?逆に、『付いてない』女の気持ちは分からないでしょう?お互い様、ですよ。
 それに、分からないからこそ、してあげられることも有ると思うんです……恨まれてでも、してあげないといけないことが。だから」

緩々と。腰を叩いていた手を下ろして、彼の股間……お尻と足との間の、菱形に開いた窓みたいな隙間に捻じ込みます。
空間の奥に、大事そうに両手という殻で覆われたナニかを見つけて。可哀相に、痛みで力が入っていない脆い殻を抉じ開けて、中央の柔らかいものを掴み取らせていただきました。

「だから、ね。貴方が、気持ちよくコレとお別れが出来るように。こんなモノ要らないって、心から思えるように。
 最初から『こんなモノ要らない』って分かってる、女が。私達が、それを教えてあげようって考えたんです。
 
 いいアイデア、ですよね?貴方の魅力はこんなタマがあるからじゃないんだって、私は知ってますから。大丈夫ですよ」

軽く掌を閉じると、二つの柔らかい塊とその拍動を感じます。男を男たらしめるものが、こんな脆弱なものだなんてと思うと、愛おしさまで覚えてしまいます。
でも、ゴメンね。君達に恨みは無いんだけれど……ご主人様を解放するために、少し、一緒に遊びましょうね。

ゴリゴリと、掌で音が聞こえるような錯覚を覚えます。二つのソレを、お互いに擦り合わせ、摩り下ろさせていただいていく。
この場合って、右と左、どっちが痛いのでしょうか……コレも、私のお粗末な頭にとっては、永遠の謎です。

「ひぎィッ!!!ふぐぅッ!!」

彼に聞いてみようとしたのですけど、気の毒に。答えるどころでは無いみたい。
聞いてみたところで、持っていない私には分からないかもしれませんけれど……それでも、理解しようとしないと進歩のしないです。
私は愚昧ではありますが、いえ、だからこそ、躊躇っていては皆に置いていかれてしまいます。

なんて。少しでも危ないと思ったら、直ぐに固まってしまう私の言えたことではないかもしれませんね。
こう調子に乗りやすいところも、数え切れない私の悪癖の一つ。

「や、めろっ!違うっ!!オレは、借金なん、て!!!金なんて、必要じゃ、ない!!!」
「『金』、要らないのですか?それじゃ、遠慮なく―――ふふ、コーリ、コリ」

彼は、必死なのでしょう。何とか、私の手を、男性の果実から引き離そうと四苦八苦しています。
でも、それは徒労。睾丸を握られてしまうと、男の方って力を出せなくなってしまうみたいですから。ふふ。どうしようも無い状況に追い込まれることを、
『金玉を握られる』っていいますけど、アレ、上手いこと言っていたんですね。実際に握ってみるまで、言葉の意味はちんぷんかんぷんでしたけど。

それに、安心してください。だって―――

291名無しさん:2018/08/31(金) 23:30:15 ID:jCcZM/NU0
「落ち着いてください。大丈夫、大丈夫ですよ。私の握力じゃ、キンタマ潰れることなんてありません、きっと。
 ただ、ちょっと苦しいだけですから。安心して、男性であるコトを堪能して頂いて結構です。
 
 コレで、こんなモノ要らないって思えたら、遠慮なく口にしてくださっていいですからね。笑いませんから。バカにもしません。
 だって、『要らない』っていうのが、共通認識になったってことでしょう。寧ろ、やっと分かってくれたんですねって、嬉しくなってしまうくらい。
 
 ほら、コリ、コリ、コリ。どうですか?要らなくなってきませんか?
 ……ふふ。一体どんな痛みなのか、一生分からないと思うと、ちょっと羨ましく思ってしまいますね」

亀のように頸を伸ばして、目を見開いて。その眼前では、サツキさんが、まだ自分の股間を見せ付けているみたい。
踊るように悶える彼に応えるように、片手で、自身の睾丸に囚われていない股間を揉みしだきながら、もう片手で慈しむように頭を撫でてあげています。

「ほら、おにーさん、見て。お揃いですよ?ほら、ほら。私も、お股、コリコリされてます……うふふ、可愛い。
 ゴメンね。私は、コリコリというより、フニフニって感じですけど。ほら、無いからさ。全然平気。いいでしょ?おにーさん、羨ましい?」
 
あの人が、その言葉に首肯してくれることを期待していなかったというと、嘘になります。
だって。もう、詰んでいる状態なんですから。これ以上我慢しても、お互い辛いだけでしょう。私だって、分からないなりに、心を痛めてるんです。
貴方のこんな姿は、見たくありませんでしたし。私のこんな姿も、見せたくはありませんでした。

……そして。暫く、彼に付いた『吹き出物』のお世話をしていると、一つの疑念が心を過ぎります。
もしかして。もう、慣れちゃったのでしょうか。睾丸の痛みは、決して慣れたり耐えたりは出来ないって聞いたことはありますけど、
私、ソレは大袈裟……正確にいうなら、眉唾物だと思ってます。だって、そんな、慣れることが出来ない痛みなんて、想像することも出来ないですもん。

だから、一旦。スルリと、彼の袋を解放して、右腕を股間から引き抜きました。
その刺激にせいなのでしょうか、どういう仕組みかは分かりかねますが、バネ仕掛けみたいに彼は立ち上がり、弾みで、私は尻餅をついてしまいました。
『きゃっ』と、年甲斐も無い悲鳴。大きく開脚した状態で黒い下着を晒す形になって、お耳汚し、お目汚ししてしまい、申し訳ありません。

鈍臭い私とは違って、サツキさんは彼に合わせて立ち上がっていました。
一瞬の睨みあい。そして。一呼吸の間を空けて、フジワラ君は、遮二無二右腕を振り回します。一生懸命で、いじましいですよね。

膠着状態で、金的を入れられてしまった先程の反省なのでしょうか。先制して殴ってしまおうと考えたのでしょうか。
暴力はあまり好きじゃないのですけれど、頑張って考えたんですねと思うと、関係ないのに誇らしい気持ちになってしまいます。

でも。それでも。
サツキさんは泰然自若とした様相を崩さず、下半身を突き出して、その反動で上半身を大きく仰け反らせていて。
フジワラ君の乾坤一擲の右フックは、彼女の鼻を擦るようにするのが精一杯。空しくも、空気を切ってしまいました。

愕然としているのが、足元からでも分かります。そのまま、金的の守備に回ろうとしていたのですが―――

ニコリと、サツキさんは彼に微笑みかけると、右拳を顔の高さまで持ち上げて、頸を傾げます。
ショートボブの髪が流れていく様は、微笑みと併せて、まるで大輪の花が咲いたみたい。一瞬、見惚れてしまいました。

そのまま。先の一撃をトレースするかのように、彼女もテレフォンパンチを一つ。
気取った言葉で、デジャヴュっていうんでしたっけ。全く同じように、彼も下半身を残して、上体を反らします。

同じじゃないのは、一箇所だけ。

292名無しさん:2018/08/31(金) 23:30:46 ID:jCcZM/NU0
「ほいやっ」

気の抜けた掛け声と共に、左足が振り抜かれます。軽い声ではありますけど、右拳を振りぬく勢いを捻りにのせて、股関節から爪先までを鞭のように撓らせた一撃。
狙いはいうまでも無く、不恰好に晒された、男の子が『的』としてもっている、『金』のように大切に思っている部分。

爪先が、二つの敏感で脆弱な肉球を、それを包む袋を引っ掛けるのが見えます。袋が、ゆっくりと撓んでいくところも。
彼女の爪先は委細構わずに進んでいって、一瞬、袋が千切れちゃうんじゃと思うほど伸びきって。

グリンと、幻聴が聞こえる程に変形、自身を捉えた爪先から解放され、元の場所に戻されました。

恥骨に挟んで、押し潰さないようにと配慮しつつ、最大限に変形させることを主眼に置いた一蹴り。力任せしか能がなくて、ただ、潰れないでくださいって祈りながら蹴る私とは、次元が違う動き。
『ついてない』私は、見蕩れるだけで済みますけれど、その、『ついている』彼は―――危ない!

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!!!」

絶叫が迸るのと、私が再度彼の睾丸を捕まえたのは同時。男性であれば、アレを見せ付けられると自分のモノまで痛くなっちゃうでしょうけど、
コレについては、『ついてない』女の役得として、勘弁してくれると嬉しいです。

共感出来ないから、躊躇無く。彼が、再度そこを押さえる前に、先手をとって制圧します。
お尻側から手を差し入れ、思いっきり下に引き下ろします。その、上がっちゃったら下ろしたほうがいいかなって思ったのもありますけど。

足から力が抜けて、正座するみたいに座り込む彼と、その前で雄雄しくも仁王立ちの(可笑しいですね、女の子なのに)サツキさん。
まるで、先生に叱られる子供みたいなんて、場違いな印象を受けて、少し微笑ましい気分になってしまったり。

サツキ先生は、呆れたといった顔で、フジワラ君を見下ろして、溜息をつきました。

「おにーさん、学習能力って知ってます?シノ先輩だって、コレだけやれば少しは学びますよ……(ん?)……
 あのですね。なぁーんで、私と同じ方法で避けようとするんですか?さっき、見せましたよね?私には、金的付いてないんだよって。
 
 おにーさんは違いますよね?不公平かもしれませんけど、おにーさんには『金的』っていう弱点が、『まだ』あるんですから。
 『無い』私達とは違うんですから、ソコはず〜っと意識してないと駄目でしょ?女の子なら、全然平気でも―――

欺瞞です。いくら女だからとはいっても、股間を思いっきり蹴り上げられたら、それなりには痛いです。私だけ?……いや、そんなことは無いと思います。
少なくとも、全力で弁慶の泣き所を蹴飛ばされるのと、股間を蹴り上げられるの、どっちがいいって聞かれたら、どっちも嫌ですって即答する自信があります。

ただ、『女』の私が、『男』の痛みを理解出来ないように。『男』の彼は、『女』のサツキさんに平気って言われると、それを否定することは出来ないんでしょうね。
急所が有るのと無いのとは、どうしても視覚的に違いが分かってしまいますし……究極的にいうと、痛いとは言っても、それだけで即戦闘不能になるわけじゃないですし。

それは、彼女も分かっているんでしょう。でも、彼が諦めやすくなるように、あえて気丈に振舞っていると考えると、私も、足手纏いになるばっかりじゃ駄目と気合が入ります。
次は、どうやって『説得』しましょうかしらと考えていると、頭上から衣擦れの音。見上げると、サツキさんが、自然な所作でスカートと下着を脱ぎさっていました。

ぽい、と。彼女の下半身を覆っていた布が、放り投げられます。畳んであげたいと、刹那の雑念。
彼女の姿は、スレンダーな肢体、瑞々しいばかりの若さ、そして天然物の無毛の丘と相まって、ひどく倒錯的にも、そして神々しくも見えました。

「おにーさん、手、貸してください?」

息を呑んでいた彼が、恐る恐るといった様子で手を差し伸べます。不快な感情が巻き起こりましたけど、コレは、当然のこと。
私だって見惚れていたんですから、彼が呆けるのを咎めていい理由なんて有りません。そこまでの魅力が無い、自分をこそ責めるべき話なんですから。

差し伸べられた手に、惜しげもなく自身の女性器を弄らせる彼女を見て、私はどっちに嫉妬していたのでしょうね。

293名無しさん:2018/08/31(金) 23:31:18 ID:jCcZM/NU0
「ほら、分かりますか?おにーさん。私には、今、おにーさんを苦しませている『悪者』がついてないって感じられますか?」

薄く盛り上がった丘と、中央の峡谷。そこに、無粋なものは何もないと、彼に示しているその姿。

「ほら、ココ、抓んでみてください。大丈夫、私は全然平気ですから。でも―――先輩?」

サツキさんに促され、言われるがままに、彼の睾丸を摺り合わせる作業に戻る。今回は、付け根にあるコリコリしたところを、親指の腹で押し潰すことも忘れない。
ヒッと、息を呑む音が聞こえましたけど……サツキさんは、自身の股間に添えられた手だけは、解放するつもりがないようでした。

「ほら、おにーさんは駄目ですよね?何でか分かりますか?ふふ、正解です。おにーさんは、私と違って、ココにとっても痛いものが付いてるからですね。
 それなら、もう、それ取っちゃってもいいんじゃないですか?ソレさえ無ければ、もう苦しまなくてもいいんですよ?嘘だと思うなら……私にやり返してみてください?
 出来ますか?出来ないですよね?いいんです、当たり前です。やり返す場所は、ココには無いんですから」
 
出来の悪い子に噛んで含めるように語り掛けている彼女は、先生どころか、母親のようにも見えてしまって。
先輩なのに、と。我が身を省みて、その不甲斐なさに歯噛みをしてしまいそうになります。

「おにーさんは、ソレが付いているのが当然と思っているのかもしれないですけど……ソレ自体が間違いなんです。
 私達にとっては、そんなモノが付いていないのが当然。自然なんです。だからこそ、おにーさんのためを思って、ソコを取り外して上げられるんです。
 
 それに、おにーさんがコレから行くところも―――

「えぇ。皆さん、ソコはスッキリしているハズです。……コレ、最初に説明しておくべきでしたね。本当、自分の段取りの悪さには辟易します……。
 あの、ですね。最初にも言いましたけれど、あの、貴方のキンタマはもう詰んでます。心苦しいんですけれど、その、胸が痛むのは確かなのですけど、コレ、諦めてください」
 
俯いてしまう。背中が丸まってしまう。威風堂々とした、サツキさんみたいには、私はなれない。
私に出来ることといったら―――

「コレからフジワラ君が行くところは、その、男女合同で、重労働を課されるところなんです。だから、その、増えてしまうと困りますよね?」

言葉を選ぼうとして、自身の語彙力の貧しさに気が遠くなる。

「だから、増えることが無いように、その、『加工』してから出荷するってことになるのですけど……」
「ね、おにーさん。分かるでしょ?女の子は、『加工』しようとしても、ほら。どうすればいいのか、分からないでしょ?
 その点、男の子だったら、『加工』は簡単。おちんちんとタマタマが付いたお股を、『私達と同じ形』にすればいいんだから」
 
気の毒に、とは思います。大変そうですね、とか、理不尽ですよね、とか。言いたいことは、いくらでもあります。
それでも、コレだけは。物理的に違いがある以上、私だけの思いでは、どうしようもないんです。

「本当に、ゴメンなさい……許して欲しいとは言えません。でも、それでも。殺されてしまうよりは、絶対にいいと思いましたから!
 ……貴方がタマを取られる程度なら、私は耐えられますけど。命まで取られてしまうなんて、とても耐えられる気がしなかったから!!

 私の我儘です。タマを取られるのが、男の方にとってどんな意味を持つのか、結局のところ他人事ですので……それなら。
 それなら、私は、貴方に生きていて欲しい。女の私にとっては、それが一番大事だと思ったんです!!!……だから、後悔はしていません。
 そして、貴方にも、後悔して欲しくない」
 
知らず知らずの内に、掌に熱と力が篭ります。ヤバいかもと憂う理性と、もうどうなってもいいと叫ぶ心と。
魂を搾り出されるような声をあの人が吐き出すのを聞いて、哀れみと、謝罪と、そして。こんなコトで、魂が搾り出されることなんて無いって確信と。
……だって、そうじゃないですか。じゃないと、タマが無い私達に、魂が無いみたい。そう。こんなモノ、単なる飾りなんです。

294名無しさん:2018/08/31(金) 23:31:49 ID:jCcZM/NU0
「おにーさん、聞いてくださいね。分かってくださいね。おにーさんみたいな人に、そのオモチャは不相応なんです。だって、そうでしょう?守れてないでしょう?
 それなら、いっそ、取ってしまったほうが、おにーさんのためなんです。違いますか?取ってしまえば、『普通』の股間になれて、もうキンタマを守る必要だってなくなるんですよ?
 
 大丈夫。私達と一緒になるだけです。ソレ、付いていてイイコトなんて有りましたか?無かったでしょう?ソレのせいで、いやらしい思いに振り回されて、男の子の責任を押し付けられて……
 挙句の果てに、女の子の前で、惨めに蹲る羽目になって……あ、自分を卑下しないてくださいね。ココに来た男の子は皆、最後はそうなる……いや、そうなったんですから。
 
 ほら、息を整えてください……って無理ですか。不思議ですね。下半身の、それも、あんな小さなところを責められているだけで、何も出来なくなるなんて。
 でも、それも今日までの辛抱です。私達には最初から無いですけど、それに不満を覚えたり、不便を蒙ったりしたことなんて、一度も無いですよ。
 
 ね。最後ぐらいは、男らしく迎えましょう?観念してキンタマ差し出すのって、すっごい『男らしい』と思いますよぉ?」

……そりゃ、オンナには出来ないですものね。物理的に。差し出すモノが無いんだもの。

「フジワラ君、お願いです。一言、たった一言でいいんです。勇気を出して、『要らない』って言ってください。お願い、です、から……………………
 …………分かっていただけないなら、『抜かれる』のがそんなに嫌なら、いっそのこと、もう、ココで―――

両手に更なる力が篭っていきます。縦に、押し潰すように。10本の指を、すべて食い込ませるように。
私の握力じゃ足りないなんて、もう、知ったことじゃありません。彼のためになるなら、全身全霊の力を使い果たしても―――

穏やかな顔で、自身の秘所を擦らせる後輩と、必死の形相で彼のソレを押し潰さんとしている私。
長いような、短いような、そんな時間が消費されていき……

と。甲高い声で、意味を為す文字列が、彼の口蓋から流れ出してきて。私は、胸にこみ上げるものを感じました。

「分かった、分かったから、もう、止めて」

―――不安なんて感じなくてもいいんですよって。『普通』になるだけなんですからって。

シーリングで、サーキュレータが回っています。蛍光灯は、鈍い音を立てながら点滅しています。
薄暗い光の下、脂汗にまみれてのたうつ彼は、妙に艶かしくも美しい幻想の生き物のようにも、愚かしくも哀れな、死に切れない屍のようにも。

私が、私が責任を持って引導を渡してあげないといけない。愛すべき、聖餐の贄にも見えました。

295名無しさん:2018/08/31(金) 23:32:26 ID:jCcZM/NU0
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(テロップ):丁度席を外されていますし、相方について教えていただけますか?

「相方って、シノ先輩のことですか?逆に、どんな印象でした?」

(テロップ):いや、いいですね〜。穏やかで控えめ、身持ちも固そうで、まさに大和撫子って感じです。
       なのに、あの柔らかそうなダイナマイトボディ!知的で清楚で淫乱で、ホント、男のユメっていうか。

「うわ、言葉古っ!それに、柔らかそうでも、あの人、きっと石で出来て―――おっと、放送コードに引っ掛かっちゃいますかね。テヘペロ。
 そんなに気になるなら、触らせてってお願いしてみたらどうです?あの人、きっと深く考えずに応じてくれますよ?

(テロップ):マジですかー。それじゃ、お願いしてみます。土下座の練習もしておいたほうがいいですかね?
       あー、あのおっぱいに顔を埋めて、深呼吸してみてーなー。

「あはは、ウケるー。いや、そこまででしたら、そのままヤラせてくれるかもしれませんね。ただ、気をつけてくださいね。
 あの人、ヤラせることより、ヤラかすことの方が多いですから……そんなトコロも可愛いんですけど。ウチのペットを思い出しますよぉ」
 
(テロップ):ペットですか……酷い言い草「オフレコ!オフレコでお願いしますぅ」はは、了解しました。
       あ、それでは準備が整ったようなので……



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296名無しさん:2018/08/31(金) 23:32:56 ID:jCcZM/NU0
本当に、頑張ってみてよかったです……。

シノブです。あの、お手洗い……コホン、その、お花摘みに行かせて頂いていました。
だって、その、私達にとっては何時もの『仕事』ですけど、彼にとって一生に一回しか経験できない晴れ舞台ですから。
途中でおトイレに行きたくなったら、申し訳なさに死にたくなってしまいますもの……

今は、シャワーで身を清めさせていただいているところです。せめて、綺麗な体で見送ってあげたいというのも……自己満足かもしれませんが、人情でしょう。

熱い飛沫に晒されながら、先だっての遣り取りに思いを馳せます。

あの人の、男気ある決断。どれだけ勇気が必要だったのでしょう。私には、とても真似できません。
と、ソコまで思って、含み笑い。そういえば、真似しようとしても、女に生まれた私では不可能でしたね、と。

もし、私が男として生まれていたら、同じことが出来たのでしょうか。自分のタマを差し出すなんてこと。
想像すると、大したこと無い気がするのは、きっと、実際のところ私は女性で、アレに大した思い入れが無いから。

置かれた立場は似通っているのに、性別が違うだけで、ココまで分かり合えないんだね、と寂しい気持ちになってしまいます。

結局、私達と、彼は同じ穴の狢。いえ、そう考えることも図々しい。
借りてはいけないお金とはいえ、自分の意思でそうした彼と、それすら分からず、流されるまま、ココに辿り着いた情けない私では。

偉い人達の判断や、額にもよるらしいですけど……こんな時の末路は悲惨です。
男性であれば、強制労働から臓器提供まで。女性はマシで、若くて容姿に優れていれば、夜の街で働くという選択肢もありますけれど。

私達にいたっては、ソレにすら劣ります。最低な方々との運命共同体。共犯関係にまで成り下がってしまっているのですから。

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もう、記憶も曖昧になってしまいましたけれど……あの日。私と、母が住んでいたあばら家に来た『あの人』は、随分と荒んでいました。
母は水商売をしていたのですが、年齢には勝てず。それまで身体を酷使していたのもあって、常に臥せっていたのを覚えています。

物心ついたときから、父親は居ませんでした。母も、決して語ってはくれませんでしたが……薄々、彼女も分かっていないということは、気付いていました。

若い頃の散財癖が抜けなかったのか、生活は苦しく。私も、学校生活の合間を縫ってはアルバイトをしていたのですけれど、生まれつき要領が悪くて。
母が、昔日に知った、表立っては口に出せないことろでお金を工面したのも、突き詰めれば私の稼ぎが悪かったせいでしょう。

母は、よくそのように私を詰りましたし、私も概ね事実だと考えていたので、特に反論はしませんでした。

それでいて、私が高校を止めようとすることは頑なに反対していましたし……おかしな人、ですよね。
でも、私もそうかもしれません。蛙の子は蛙といいますか、矛盾を抱えた親子関係。
生活に不満はありませんでしたし、分相応と考えていましたけど……それでも、あの毎日から一番遠いイメージがあった、この口調が染み付いてしまったのですから。

いつしか、恐い人が家に出入りすることが多くなりました。いつも、同じ人。母から、取立てに来た人です。
仕事熱心な方、だったのでしょう。母を怒鳴りつけたり、殴りつけたり。その度に、私は、その人にしがみついて許しを乞うていました。

いつからでしょうか。その人が母を責めることを止めて、私に咥えさせたり、私を掻き抱いたりすることが増えたのは。
母は全てを諦めたような目で見ていましたが、私は特に不満は無かったんです。寧ろ、こんな身体を差し出したぐらいで、あの人が
乱暴を止めてくれるのであれば、有り難い話だとすら思っていました。

乱暴なことは嫌いです。自分がされたくないことは、人にもしてはいけない……コレだけは、私でも理解できる真理だと信じています。

297名無しさん:2018/08/31(金) 23:33:31 ID:jCcZM/NU0
ふふ、フジワラ君は知らないでしょうけど、貴方とお付き合いすることになった時だけ、あの人は家に近寄らなくなったんです。
きっと、恐かったんでしょうね。母は、臆病者と蔑んでいましたけれど……ふふふ、どの口で言っていたのかしら。
私は、自分に勇気が無いことを自覚していたので、心の底で、少し共感していたのですけれど。

そして。フジワラ君が、賢明にも私に見切りをつけてから、数週間後。少しお酒を嗜まれていたのか、例に無く荒れた様子で、あの人が現れました。

眼前に厳つい顔。キスが出来る距離。恋人の距離。幸せになるべき女性と、彼との距離。私のような薄汚れた女と、『あの人』との距離。
こんな女だとは思わなかったぜ、と吐き捨てられて。あぁ、コレが私に相応しい境遇なんですねと、ただ、ただ一人、静かに納得をしていました。

暫くの間、母とあの人は、随分と激しく口論していた印象があります。母が、あの人を意気地なしと、そのタマは飾りかと、あの人はアバズレと、親子共々、売女だな、と。
そして。借金のカタに、私を連れて行き、色街に沈めると。もう、コイツには未練を感じない、と。

私は、ボケッと、その様子を見ていました。コレまでがいい夢だったんですね、と。あるべき人生に、コレから進んでいくんですね、と。
ただ、母はそうでは無かったみたいで。色街という言葉が出た瞬間、獣のような声を上げて、私に向き直った『あの人』に飛びついていました。

まぁ、今まで臥せっていた身ですから。目測を誤ったのか、力が足りなかったのか。引き倒すには至らず……ただ、ズボンとパンツを、ズルリと引き下げるだけで。
私の眼前に、彼の『男性たる所以』が、ブルリ、と晒されました。

きっと、ソコが分かれ道だったのでしょう。無我夢中で、なら、まだ救われたのでしょう。

でも、私は自分でも驚くほど冷静で。
まず、その時手にしていた、菜箸をお尻に突っ込んでしまおうかとしました。でも、お股に物を入れられるのは不快でしょうと取りやめて。
おちんちんに噛みついてしまおうかとも思いました。でも、あの人は、おちんちんを触っているとき、とても幸せそうだったので。可哀想と思い、取りやめて。

残った場所。私がされても、嫌じゃない部分。何のためについているのか、分からなかった部分。
私と同じ、『男気』を持っていない彼なら、無くしてもそこまで困らないのではと感じてしまった部分。

気付けば、あの人のおちんちんの下。ちょこんと付いていた袋に噛り付いていました。

―――シャワーの飛沫を浴びながら、身震いを一つ。私なりに処理した股間に手を伸ばして、ソレの形を確認します。
そこに、男性が持つような袋も、そしてその中身も存在しないことを、ゆっくり、ゆっくりと再確認して。

耳を劈く絶叫。私は、近所迷惑にならないかなと、困惑したことを覚えています。
家は町外れなので、余程のことが無い限り聞こえないのは分かっていましたが、その叫喚は距離すら軽く貫くようでした。

母は、あの人を羽交い絞めにして、「そのまま食い千切ってやりなさい」とかなんとか喚いていましたけど。
私としては、お祝いの時に奮発して買うスジ肉を噛んでいるような、何の変哲もない歯応えと、二人の温度差に呆れるばかりでした。

ただ。母ではなく、あの人の苦しみようが侘しくて。少しでも早く、楽にしてあげたいと、渾身の力を込めた。そんな、記憶があります。


気付いたときには、あの人は股間を抑えて蹲っていて。口一杯に、彼の一部を頬張った私と、彼の股間から夥しい赤色が広がっていました。
もともと汚れた床でしたけれど、カビが生えたら困るなと、見当違いのことを考えたりもしたのですが。

想像以上で、本当に、なんでそんなに苦しむのか分からない。悶える彼を見ていると痛ましさに胸が詰まってしまって。
口の中にあったものを吐き出して、彼の前に差し出したんです。

「あの、ゴメンなさい。お金、欲しかったんですよね……コレ、お金っていうか、貴方の『金』玉ですけど……どうぞ。
 本当、すみません。ウチ、金目のものはもう無くて。私も母も女性ですから、その、お股にも『金』を持っていないですし」
 
愕然としているあの人の背中を、優しく叩きながら、語り掛けました。

298名無しさん:2018/08/31(金) 23:34:09 ID:jCcZM/NU0
「何に使うのか分からなくて……ゴメンなさい。貴方は男らしくないし、無くても困らないと思ったんですけど。コレ、『金』、お返ししますね……
 残りは、出来るだけ工面するように頑張りますから……

と、彼の両目からボロボロと大粒の涙が流れ出して、息を呑みました。男の人が泣くところなんて、初めてみたんですもん。
今にして思えば、その時はもう、男の人じゃ『無かった』んですけれど。あの頃は、おちんちんあれば男性だと思ってたんです。

轟音のような足音と怒号。先程の悲鳴を聞きつけたんでしょうか、私を連れて行こうと待機されていた方々が雪崩れ込んできたのが、次の瞬間。
私なんかのために待機されていたとは、恐縮するばかりですが……その方々は、眼前の光景に一瞬絶句。

二言三言言葉を交わしたかと思うと、私の腕を掴んで、そのまま連れて行ってしまいました。
最後に見た母は、涙を流していましたが……その意味は、未だに私には分かりません。もはや、定期的に行っている仕送りだけが、私と母との縁になっています。


―――連れて行かれた先は、独房と呼ばれていました。
 
私の処遇が決められるまで、ココで待つようにって言われていたのですが、独房というのは名ばかりでしたね。
饐えた匂いがする万年床には閉口しましたが……コレについては、全部の部屋のお布団を天日干しさせてくださいって頼み込んでみたり。
初めての、自分の部屋。初めての、エアコン。お湯が出る、蛇口。極めつけは、何もしなくても三食だされる、お肉やお魚がついたご飯。

こんな贅沢をしていいのかしらと、頬をつねっても目は覚めやらず……次第に、私はとんでもないことをしてしまったのではと恐怖を覚えました。
これは、話に聞く、死刑囚の最期の晩餐なのではないでしょうか、と。未だに、何を食べたらそうなるのって聞かれるのですけれど、胸とかお尻とかにばかり、
無駄にお肉が付いてしまう体質なので、太らせてから食べるつもりなんでしょうか、とか。


いえ、殺されることは別に良かったんです。もし、アレがとんでもないことだったのならば、最期に、一言。あの人に謝りたい。
ただそれだけが、心残りでした。

一週間ほどたったでしょうか、妙齢の女性がいらっしゃって、私は独房から解放されました。
キミは美人さんだし、お風呂に沈んでもらおうと思ったんだけど―――と語りかける彼女を遮るように、思いの丈を、あの人の様子を聞くと苦笑。
見たほうが早いね、と、『医務室』と呼ばれるところに案内されたんです。

そこに居たあの人は、見た目、健康そのもの。ただ、股間付近に包帯が巻かれ、管が伸びていて。そして、魂が抜け出たような瞳が印象的でした。

生気というものが抜け落ちた姿に狼狽したところ、付き添ってくださった女性が笑いながら、タマもがれると皆あーなるわよと告げられます。
理解できず、何でですか?と聞いたら、女には一生分からないし、分かる必要もないんじゃない?とのこと。

何か、重篤な後遺症でもと狼狽していると、単に、いやらしいコトが出来なくなっただけだよと教えられ、胸を撫で下ろします。
いやらしいコトはやり過ごすべき出来事であって、別に自分からする必要なんて無いと思っていましたので。

アレがあるから、いやらしいコトに振り回されるんですね、と。『あの人』が、男性が悪いのでは無く、アレが悪いのですね、と。
胸のつかえが取れたような気分になったのは、何故なんでしょうね。

あと、真っ直ぐ歩けなくなることもあるみたいよ、バランスが悪くなってと告げられたのですが、それについては未だに納得がいっていません。
自分の股間を押さえてタマが無いことを確認して、数歩進んでみても、バランスが何て感じることは無いですから。
それも男の子の不思議よねって、付き添いの方は笑っていました。

聞くところによると、あの人も私達と同じ、多重債務者だったそうです。
私達から取り立てられれば、ノルマ達成ということで、逸ったんじゃないかしら?返り討ちにあってちゃ世話無いけどねーと言われ、
なんとか解放してあげることは出来ないかと頼み込んだことも覚えています。だって、ウチには本当にお金が無かったのですから。

付き添いの方は本当に朗らかに笑う方で、もうアレじゃ使いようが無いから解放するよん、と、また、笑って答えてくれました。
その言葉で、胸を撫で下ろしたのは、仕方が無いことではないでしょうか?

299名無しさん:2018/08/31(金) 23:34:45 ID:jCcZM/NU0
男としても使いようが無いってね♪という言葉を聞き返すと、つまりはタマが無いと妊娠させることが出来なくなるとのこと。
それだけですか、と私も苦笑。付いていた時にも、散々私を抱いていて、それでも私が孕むことは無かったんですから……やっぱり、無くても困らないところだったんですね、と。

解放される前に、言葉を交わしたくて、あの人の側に寄り添います。私を見て、瘧のように震える彼は、以前より愛おしく見えました。

「喜んでください。解放、して頂けるんですって。良かった……本当に良かったですね。
 大丈夫。おちんちんは未だ有りますし、そもそも、貴方のタマタマが無くなってても、誰も気にしたりしませんよ。

 現に、私も。貴方がタマ無し……こんな言葉でいいのでしょうか?になっても、別に、貴方に対する印象は変わりませんから。
 ふふ。むしろ、男らしくない貴方が有るべき姿になれたねって、嬉しいぐらいです。女の私と、お揃いですね。
 
 大丈夫、大丈夫。良かったんですよ。幸い、外見からは分からない場所、そうでしょう?」
 
彼の瞳に涙がたまって。そこで、「男気」が無くなるっていう意味が、少し分かった気がしました。
そして、彼が『男』の責任から解放されたことが嬉しくて、遮二無二、胸に掻き抱いて背中を叩きます。

「要らない『モノ』が無くなっただけで、解放されたんですから。本当に、本当に良かった……」

その様子に、付き添いの方は面白がるような視線を向けていました。

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「キミには、アタシ達、去勢班の仕事を手伝ってもらうことになったから」

『応接室』と呼ばれる部屋で、付き添いの方……今は班長とお呼びしている女性から、講習を受けます。

「去勢っていうのはね、簡単にいうと、キンタマ潰すこと。家畜を大人しくしたりするために、よくやることなんだけどね」

彼女は、世間話をするトーンで、右手を持ち上げると、グッと握り締めます。あ、アソコにキンタマがあるイメージなんですねと一人納得。

「キンタマ潰すと、寿命は延びるらしいし、言うコトもよく聞くようになるし、イイコト尽くめだと思うんだけどさ。
 個人差もあるけれど、性欲も無くなるみたいだよん。まぁ、性欲が残っているコからは、おちんちんも没収するんだけど。
 男の人って、自分にもキンタマ付いてるからか、『潰したり』『切ったり』って作業を嫌がるんだよ……世話が焼けるわよね」
 
なんでもないようなお話。私は、ただただ聞き入ります。

「なんつーのかな。自分が潰されるのを想像して、辛くなっちゃうんだって。私からしたら、使う予定ないキンタマなら、
 ついでに潰してあげてもいいのになって感じなんだけどさー。だから、『潰される』って心配しなくてもいい女が、コレ、やってあげるしかないってワケ」
 
へー。でも、それなら、私でもお役にたてそうです。あんなコト、今までのアルバイトよりも全然単純。

「いーねっ!いやね、アタシ的には偽善もいいトコで吐き気がするんだけど、いるんだよね。付いてないハズのタマが痛むとかいって、
 やたらと感情移入する子がさ……念の為気くけど、付いてないよね?」
 
おもむろに、股間に手を差し入れられましたけど。プロが確認してくれるなら安心ですねと考え、身を委ねます。

「反応薄いコだねー。ま、タマ無いってことは確認できましたよっと。でね。そういう仏心は命取りなの。
 ……これだけは、心して。男って、何の使い道もないタマでも、命懸けで守ろうとしてくるからさ。
 
 キミの前任のコは、それで命を落としたんだよ」

300名無しさん:2018/08/31(金) 23:35:22 ID:jCcZM/NU0
まぁ、惜しむほどの命じゃないのですけど。それでも、その仏心というものの方が、理解に苦しみます。
……申し訳ありません。ずっと言われてきましたけれど、私、あまり頭の出来が良くないもので。

取り合えず、キンタマ付けて無くてもいいって判断された方のモノを潰せば良いってことで問題ないでしょうか?

「無問題!どっちかって言えば、男ってこんな不便なモノぶら下げててウケルーとか、そんなテンションでいーよ!
 アタシ達は一生無縁な痛みなのにねーとか考えると、ストレス解消にもなるし」

それも分かりかねます……誰かがしなければいけないことならば、粛々と潰して差し上げればいいのではないでしょうか……?

「……いーねっ!新しいっ!それじゃ、今日からキミも、アタシ達の一員だねっ!
 ―――去勢するところは、動画にとってるから。好事家に売ったりもするけど、もし裏切ったら、その動画……」
 
パソコンも、スマホも縁遠い人生でしたので、動画というのも良く分かりませんが……裏切るもなにも。
こんな私でも微力ながら世の中のお役に立てるなら、それ以上のことは望みません。

……それが、私の、この世界への第一歩。
後悔と未練を数珠繋ぎにした人生ですけれど。あの頃の私は、どれだけ甘ったれていたのでしょうね。

シャワーを止めて、再度、自分の股間を弄ります。21年間慣れ親しんだ、タマなんて無い、『普通』の股間。
それが『普通』だと、心の底から確認をすることだけが、私に次の一歩を踏み出させてくれました。

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『準備室』。『コンパス』、『ロデオ』、『テントウムシ』etcetc…

一見して用途が分からない器具が、雑然と転がっています。
気付いたときには整理整頓させていただいているのですけれど、他の方々はそんな意識は持ち合わされておられないようです。
私と違って有能なので、こんなコトに割いている時間は無いのでしょうね。

物思いに耽っていた私とは大違い。サツキさんは、既にテキパキと準備を進めていてくれました。
ライムグリーンの下着だけを身に付けたその姿。全身に薄い脂肪と健康的な筋肉を纏った彼女は、まるで芸術品のようで。

振り返って、私。私は裸ん坊。女性らしいといえば聞こえはいいですけれど、生きていくには不要な塊が胸に、お尻に。
そのくせ、お腹には全然脂肪は付きません……つくづく、貯えという概念と縁遠い女です。私にとっては、こんな脂肪は贅肉としか形容しようが無いのに。

薄着であったり、裸でいさせて頂いている理由は単純です。コレからの『お仕事』、どうしても返り血で汚れてしまいますので。
ご存知の方もいらっしゃるでしょうけど、血の染みはどうにも頑固で。なので、お仕事が終われば、直ぐシャワーを浴びてお終い、と出来るようにこの格好ということです。

無精者なので、私はいつも全裸で『お仕事』にあたらせていただいていますけれど、サツキさんは恥ずかしいんですって。
減るものでは無いですし気にせずとも(減るなら、私だって着込みます!)と訊ねたら、先輩は女を捨てすぎです!って叱られてしまいました。

『男』を捨てるお仕事なのに、『女』を捨てすぎって叱られていることが、とても可笑しかったことを覚えています。

今回、利用することにしていた道具はこちら。分厚いゴム盤の端に、梃子の原理を利用した大きなカッターが備え付けられたもの。
端的に言えば、手動の紙の裁断機です。学校で先生方が利用しておられるのを、見たことがある方も多いのではないかしら。

他の器具の例にならいますと、皆さんからは、コレは『ギロちんちん』って呼ばれています。最初は、内心悪趣味だと顔を顰めていましたけれど。
元となった『ギロチン』自体が、受刑者の苦痛を可能な限り軽減させようと作られたことを知った今では、的を射たネーミングですねと感心しきり。
皆さん、頭がよろしくくて、羨ましい限りです。

301名無しさん:2018/08/31(金) 23:36:49 ID:jCcZM/NU0
……最初は、葛藤することも無かったのです。あの日の言葉の通り。
私達、『チーム』の元に送られてくるのは、敵対されていた組織の所謂『鉄砲玉』の方であったり、『チンピラ』の方であったり。
男性の『タマ』が司っている血の気に、骨の髄まで支配されてしまい、自分ではどうしようもないほど振り回されている方々でしたので。

私は、なんの疑念を抱くことも無く、コレは人助けなんですと思いながら、淡々と、悪意の源を磨り潰させていただいていました。
あの頃は、単純に、身動きが取れないように拘束された方の、私には無い部分をコンクリートブロックで挟んで、そのまま力を入れるといった方法で……特に、拘りも無かったのです。

拘束された男性から、流れ作業のように下穿きを取り去って。十人十色のモノをお持ちでしたけれど……共通されて付いている、二つのモノが入った袋を引き伸ばして。
養生テープで、その悪性のモノをコンクリートブロック上に固定して。『潰すので、歯を食いしばってくださいね』と一言。返事を聞く前に、両手でもったもう一つのブロックを思いっきり叩きつけて、押し潰す。

示し合わせたかのような、甲高い悲鳴、それでお終い。これだけで、『大人しく』なっていただけるなんて親切な作りをしていますね、なんて感想を抱いてみたり。
でも、その悲鳴は、澱のように、私の心の奥底に積もっていっていたのです。


月日は流れて。何でもないような人も、送られてくるようになりました。今にして思えば、あの場所に送られる方々だったのでしょう。
『感情移入する子がいる』という、班長の言葉が、フラッシュバックのように思い返されることが増えてきました。

痛みや、苦しみは分かりません。喪失感も。性格が変わってしまう……なんてコトに至っては、私の身体では完全に想像の範囲外です。
結局、分かりきったことなんです。私は、『潰すことを楽しめる』ような才能なんて無かった。『共感出来ない』という、欠落しか備えていなかった。

きっと、件の亡くなられた方は、その苦痛を見かねて『どうやったら潰さないであげられるか』を考えたのでしょう。
私は、『潰すこと』自体はその人のためと信じきっていましたから……『どうやったら痛み無く潰せるか』を考えはじめました。

それから、私なりの試行錯誤がはじまりました。何せ、潰す側ですので、納得行くまで何回でも出来るのですから。言い辛いのですが、気軽なモノという意識が無かったといえば嘘になります。
潰される側は、多くて二回(私は一回も経験できませんが)。その経験を無駄遣いするなんてトンでもないと、自身を戒める日々でもありましたけれども。

暖かみのある方法がいいかと思い、蹴飛ばして。掌と床に挟んで、押し潰して。
一息で終わらせたほうが痛みも少ないかもと思い、一瞬で。名残を惜しむ時間を与えたほうが未練が残らないかもと考えて、じっくりと。

丁度二つあるのですから、と。それぞれ、別の方法でお別れしていただいて、どちらが良かったかを聞いて回っていたこともありましたっけ。
個人的には、ゆったりとお喋りしながら、ジワジワと潰させていただくのが好きだったのですが……被験者の方からは大不評だったため、涙を呑んで取り下げたこともあります。

302名無しさん:2018/08/31(金) 23:38:13 ID:jCcZM/NU0
その頃ですね。歩み寄ろうと思って、サツキさんに色々な技を掛けていただいたのも。
『鐘抜』のみならず、眩暈を覚えるほど色々なレパートリーを彼女は持っていて……感心すると同時に、そのどれもで苦しむことが出来ず(痛くはありましたよ?)随分もどかしい思いもしました。

無理は承知で。『共感できない』という欠陥を埋めたかったのだと思います。ただ、自分自身のためだけに。私は我儘で、ただ、自分のことしか考えられない子供だと、言い聞かされて育ちましたから。
「大切な場所なら、簡単には潰れませんよ」って。「簡単に潰れてしまったのは、どうでもいい場所だったからですよ」って。「たいしたことは無かったですよね」って。
でも、どんな慰めの言葉をかけても、私と彼等は、理解しあうことが出来なくて。

彼等が、物理的に、私達に歩み寄ってくれるのだから。私も、精神的に(物理的に生やすことは出来ないので)分かり合ってあげたかった。
これが、班長が仰っていた、忌むべき『感情移入』でも構いませんでした。でも。私程度では、その糸口すら掴めなくて。

陰部を剃毛しはじめたのも、その頃でしたっけ。『無い』というのがどういうことか、実物があれば安心して頂けるかもと考えたので。
その頃から、既に『仕事』は全裸でと決めていたので、コレについてはたいして抵抗はありませんでした。

結局、私に出来たのは。『更生』させた手間賃として頂いていた、ちょっとした報酬をお渡しさせていただくぐらい。金額は、きまって15000円……何故か、全額500円玉でした。
お給金のほぼ全てを仕送りにつかっていた私には大金でしたが……あの人にとって、キンタマを差し出すのに見合う額だったのでしょうか。

サツキさんは、『銀貨30枚なんて、洒落が効いてる』って笑っていましたけど。その額は、『神様』を買える額ですよって。
無教養な私には、一月分の食費程度にしか見えませんでしたが……そんなモノまで買えるのですかと、大層驚いて見せた記憶があります。

そして、最終的に分かったのが。その、タマを抜く……つまり、切り落としてしまう方が、潰されるよりも楽そうだということでした。
予想もしていませんでした。その、指を詰める方が、爪を剥がれるよりもいいみたいなこと?そんな、理不尽な、なんて腹を立てたことも懐かしい思い出。

『あの人』の男性としての最期を。鮮血にそまった我が家を、それを思い出すと、未だに足が竦んでしまうのに。
『無い』私でも、壊れた蛇口のように……ふふ、壊れる蛇口を取り外したからそうなるのに、変ですね……暗褐色の、錆びた匂いの液体が流れているのを見ると、幻痛を感じてしまうのに。

まぁ、私のことはどうでもいいのです。ただ、何時ものように黙って耐えればいいだけなので。
そこで、初めて、何故それがギロチンに由来する名前を冠しているのかを、理解しました。

私の使い方は、簡単です。コンクリートブロックで行わせていただいていた経験を生かして、対象者の方のおちんちんと、キンタマを化粧板に固定させていただいて。
そして、対象者の方ご自身で、カッターを押し込んでいただく……ただ、それだけ。

これは、私の経験則なのですが。絶対に、おちんちんや、キンタマを切断されることが無い女に、どうでもいいコトのように軽く奪われてしまうというのはとても屈辱的なようなので。
……思い詰め過ぎ、ですよね。確かに、ソレを頂くこと自体には、感慨を覚えることは無いですけれど。そんなに気負う必要はどこにも無いのに。奪われる側も、気楽な気分でいてくれれば、それが一番なのに。
苦悶に戦慄く姿を見ているときは、心の底から、男性として生まれてしまった不運に同情はしますけれども。

だから、せめて最期は自分の手で、と。勿論、お手伝いはします。
一息に切断した方が、結局は貴方のためですよ、と励まし。その、勇気の元が詰まっている部分から、本体の方に勇気を押し出してあげたりもして。
昔取った杵柄といいますか、色々試したことがある経験上、苦しみは分からなくても、苦しませ方であれば、下手な男性以上に熟知させていただいていましたので。

勇気の元といいながら、実態は空っぽで。最期まで、ご自身で始末をつけられない方は、そのまま潰させていただいています。
可哀想に、コレは外れだったんですねと、勇気も男気も入っていないハリボテのタマをつけていて、生きていくのは大変でしたよねと、労いの言葉をかけながら、ですけれど。

彼は、フジワラ君は、そんな心配は不要でしょうけどと笑いながら、カッターの刃の手入れをしていると、サツキさんが面白いものを見ましたといって、こちらを手招きしていました。

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303名無しさん:2018/08/31(金) 23:38:53 ID:jCcZM/NU0
白昼夢から醒め、彼女を見ると、『準備室』内に備え付けられているモニターに釘付けになっている様子。
先だっても説明したかもしれませんが……『娯楽室』には、幾つか監視カメラが仕掛けて有るんです。その、『動画』を取るために。

所謂、人質?データ質?その、こういう『はいてく』なものは、未だに慣れることが出来ません。

モニターに写されたものは、剥き出しになった床板。そして、敷かれていたシーツが全て捲くられて、部屋の中央に見慣れない繭が出来ているところでした。

最初は、申し訳なく思いました。また、勝手に彼に重荷を押し付けてしまった、と。最期まで、邪魔な期待をかけてしまった、と。
そうですよね。男の子ですものね。きっと、今まであって当たり前だと信じ込んでいたものが無くなってしまうと思うと、寂しいんですよね、と。

可能なら、直ぐにでも、変わってあげたかった。彼が、シーツの中、寂寥感に包まれて泣いているんじゃないかと思った。
そして、決して変わってあげることが出来ないということに思い至って、そして、今まで『更生』させてきた方々への申し訳なさが湧き出してきて、
それだけで浮かれていた先程までの自分が許せなくなってしまって。

と。サツキさんが指差す方向、別のモニター。そこに写っていたのは。

丁度、入り口から死角になる場所。そこで待ち構える、信じていた『彼』の、勇ましくも……浅ましい姿でした。

「おにーさん、まだ諦めきれないみたいですね……クス。仕方が無い、世話の焼けるコですねぇ」

また、裏切るのですか、と。

柔らかい笑み。どうしようもない聞かん坊で、そしてそこが可愛くてたまらないと言外に語る、その顔を眺めながら。
瞬間、自分でもどうかしてしまったみたいと思うぐらいに、横隔膜あたりから吹き上がってきた黒い感情に、平衡感覚が狂うのを、他人事のように感じていました。
そして、何故か。脳裏に、顔が見えない誰かと、彼と繋がる映像が。

304名無しさん:2018/08/31(金) 23:39:29 ID:jCcZM/NU0
―――バシィィンッ!!

静寂を切り裂いて、破裂音が一つ。唖然とした顔で、サツキさんが私を見やります。
私が、自分の頬を思い切り叩いた音。驚くほど大きな音で、自分自身もビックリしてしまいました。

ビックリついでに、落ち着いてきた思考を確認します。うん、良し。えぇ、そうです。只でさえ馬鹿なんですから、感情に呑まれてしまって良いことなんて有るわけが無い。
きっと、あのままでは……それこそ、たった一回(二回、ですかね)しか出来ない貴重な経験を、お互いに最悪な後味のまま終わらせてしまっていたでしょう。

だって、治らないんです。取り返しがつかないんです、去勢って。
何回もあの痛みを思い知らせるなんて残酷なことをしなくてもいいと、治らないことに内心感謝していたのも確かです。でも、この場では、それが、ただ、恐ろしい。

呆然としたサツキさん……珍しい姿を見せた彼女に、『ギロちんちん』では無く、『ロデオ』を準備するように伝えて。

私は、気合を入れなおします。多寡がしれた気合ではありますけれど、それでも。心を鬼にして、彼にお仕置きをしなければいけない、と。
どこか遠いところで、見なかったことにすればいいじゃないって、何も無かったことにしてちょん切っちゃえばいいんですよって、そんな弱気の虫が鳴いていましたけれど。
それは、きっとどうしようもないほどの亀裂をつくる道かもしれないと分かってはいました。それでも。

きっと、子供を躾ける親って、こんな気分なのかもしれませんね。
母も、こんな気持ちで私を見ていたのかしら。

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305名無しさん:2018/08/31(金) 23:40:10 ID:jCcZM/NU0
女々しいことは、承知の上です。仕方が無いでしょう、女なのですから。

気合を入れたつもりでも、心臓は乱雑な拍動を刻んでいて。掌、足の裏が不快な湿り気を帯びていくのを感じます。
アレが、夢や幻であってくれれば、どれだけ良かったでしょう。何かの間違いにしてくださるのであれば、私は何だって捧げたでしょう。

鼻歌を歌いながら、平然と『娯楽室』の扉を開く後輩に、畏敬の念すら覚えてしまいます。
私ときたら、彼女がドアを解錠しようとしたとき、思わず縋りついてしまわないように、なけなしの精神力を総動員するしかなかったのに。

そして。開かれた扉の先に見えたのは。『準備室』で確認したままの、純白の繭。私とって、それは誰かの亡骸が包まれているようにも見えました。

彼女は委細構わず、飄々とした様子で歩を進め……

「ばあっ!!」「うおあぁぁぁぁ!!」

刹那。両手を掲げて、扉の陰、丁度、彼が身を潜めていた場所に振り返りました。

あの人は、とても驚いたでしょうね。それこそ、キンタマが縮みあがったのではないでしょうか。その感覚は、縮みあがるモノが無い私には確かめようが無いですけど。
その流れのまま、彼とサツキさんは組み合った様子です。扉の陰なので、私からは彼の肘から先しか見えません。

サツキさんは、前と同じく大股を開いています。如何せん下着のみですので、はしたないと心配する感情が一分。
素っ裸の我が身を省みて、下らないことをと考える感情が一分。そして、残りの感情は―――

先程から散々急所を責めさせていただいたので、彼は総身に力が入らないのでしょう。
不便ですね、と呆れつつ、だからこそ二人は今拮抗しているんですねと、私達にとって便利な作りになっている彼の身体に感謝。

このまま、あの人の金的を蹴り上げられればサツキさんの勝利。逆に、体勢を崩したその一瞬で、彼女を組み伏せたならフジワラ君の勝利。
誰も、私に気付いてはくれません。ふふ、私の人生そのものの、Deja vuってヤツですよね。コレこそが。

一歩、二歩、三歩と。扉の陰から身を晒すと、鏡写しのような体勢で、二人が相手の肩を押さえあっています。
キスが出来る距離。恋人の距離。あの日、私が奪われた距離。


「―――嘘吐き」


一言、自分でも、何を言ったのか分からない言葉が漏れ出て。そのまま、全力で。乱雑に、大雑把に。
ただ、全身全霊の力を込めて、私は、お二人の股間を蹴り上げました。

「きゃうッ!?」「ぎぅ!ふゥウウウゥウウウウウウ―――

結果を語る必要、有りますでしょうか?立てた爪先に、柔らかい感触。覚えのある重量が、足先と恥骨に挟まれて、変形していくのが分かります。
楕円形のナニかが、硬い骨に挟まれて、扁平な形に変わっていくところが。

脛には、柔らかい感触。女性らしい丸みを帯びた、後輩のお尻の感触です。そして。挟まれるものが『無い』から、ダイレクトに伝わる、恥骨の感触。

306名無しさん:2018/08/31(金) 23:40:50 ID:jCcZM/NU0
蹴りぬくことは、出来ませんでした。非力な私では、サツキさんの重みですら耐えかねてしまいましたので。
ただ、爪先から流れ逃れる睾丸の感触を感じながら、あぁ、潰し損ねちゃいましたね、なんて、実感の抜けた感情を味わってみたり。

私が通常の体勢に戻らせていただくと、そのまま、彼女は内股に。股間を押さえて、か細い声をあげました。
彼は……崩折れるように床に伏せ、低い声をあげながら身を震わせていて。甲高い声になって頂くつもりでしたのに、と、少し残念な気分。

「痛ッ〜〜〜〜〜〜〜〜ちょっと、先輩!?」


サツキさんが、猛然と振り返ります。憤懣やるかたないという表情。
やはり、女性相手ならこの程度ですよね、と、うすぼんやりとした頭で得心していた気がします。

勢いのまま、食ってかかろうとしていた彼女は、私の顔をみて、風船が萎んでいくように大人しくなってしまって。
悼ましいという表情をして、両の頬に手が添えられて。何故か安心感と虚脱感、そして仄暗い爽快感。
手垢のついた表現で心苦しいですけれど。知らぬ間に、冷たいものが、頬を流れていていたことを、その時、はじめて理解しました。
悼むべきは私ではなくて、痛むべきは彼なのにと、不思議な気分になったのは何故でしょうか。

フジワラ君は、不憫なことに、苦しみようがサツキさんの比では無く。
シーツが剥がされた床板。所々、ササクレができているソレを転げまわると、棘が刺さったりしないかしらと、ささやかながらも案じてみたり。

「いい気味です」と、冷ややかな目で彼を見下ろす後輩の姿は、だからこそ、ほんの少し、癇に障りました。
私が、情けなくも涙を零してしまったのが悪いのに。理不尽ですよね、それだけで貴方が敵意を向けられるなんて。

涙を見ただけで、一体私の何が分かると―――いえ、やめておきましょう。これだって、理不尽極まりないですから。だって、自分だって分かっていないのに。
いや、そうじゃない。だって、私が悲しいのは。腹を立てているのは。

「浮気者。さっきは要らないっていってくださったのに、もう移り気ですか」

そう。私が怒っているのは、彼が自分の言葉に責任を―――いや、違います。……違う、筈。
私が怒っているのは、彼が、自分から『より苦しい』と思われる方を選ぼうとしているコトと、彼を説得しきれなかった自分自身に対して。
きっと、そう。だから。

307名無しさん:2018/08/31(金) 23:41:26 ID:jCcZM/NU0
「チクショウ…………だから、人違いだって……」

彼の言葉は、意味を持たない泣き言だったのかもしれません。ただ、それは私が求めていた言葉ではなくて。
……逆に、あの日と同じ。一番聞きたくなかった言葉で。一体、私はどんな言葉を求めていたのでしょうね。自分でも、自分を理解できません。

軽く、背中を叩かれる感覚が。振り返ると、サツキさんが、どこか呆れたような、そして慈しむような顔を向けていて。
『しょうがないなぁ』なんて、そう語っている表情。そして、無言のまま、彼女は扉まで下がっていって……そのまま腕を枕に、胡坐をかいて座り込んでしまいました。
まだ痛むのでしょうか、軽くお股を擦る、その様子に申し訳なく思いながらも。その格好、とてもはしたないですよ、と差し出がましいにも程が有ることを考えてみたり。

ズルリと、背後で異音がなって。クルクルクルクル、バレリーナみたいと思いながら振り返ると、あの人は両脚で立てるぐらいには回復したようでした。
なんと声を掛ければよかったのでしょう?「潰してあげられず、ゴメンなさい」?「大したことなさそうで、安心しました」?「痛いなら、無理しないでくださいね」?
サツキさんからは、何の声も掛からず。ただ、思いのままにすればいいと、そんな視線だけを背中にうけます。

心に任せて、出てきた台詞は、コレ。



「ねぇ、フジワラ君。―――ケンカ、しましょう?」



意味が分からない。なんで、こんな言葉が出てきたのかが。それでも。
ほんの少し、背中の重荷が取れたような、そんな気がしました。


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308名無しさん:2018/08/31(金) 23:42:08 ID:jCcZM/NU0
生まれたての小鹿みたい、何て、黴臭い表現をしてしまいすみません。
フジワラ君は、両膝をピタリと閉じて、片手で痛むところ―――気の毒に―――を押さえて。
片手だけ構えた、ファイティングポーズ。内股のその姿に、まるで女の子みたいという印象を受けて、内心で謝罪します。

だって、そのポーズは、男の子だからこそ強いられているのですものね。
それなのに、なんで女の子みたいな体勢になってしまうのか……手前味噌ですけれど、きっと、身体の方は男の子を止める覚悟が出来たのでしょうね、と感慨深くなってしまいます。
片手の隙間から、ひょっこりとおちんちんの先が顔を出しているのはお間抜けで……それすらも、愛おしいと感じてしまって。


お互いに裸ん坊で。なにもかにも、晒けだして、隠しごとなんて、何一つ無くて。
と、彼の視線が股間に注がれているのが分かりました。見飽きたでしょうとも思いますけれど、見返せば、今、私は正面で手を合わせていて。
染み付いた所作って怖いですね、と苦笑。女性なので、それだけで性器が完全に隠れてしまいますものね、と。

ゆっくりと、両手を横に開きます。今度こそ、隠すものなんて、何もありません。
視線が鋭くなって、こそばゆくなってしまいます。男性は、皆さん、ココに興味津々のようで……玩具を見詰める子供みたいと微笑ましく思います。
好きなだけご覧になってくださって結構ですよ。それにしても……皆さん、何故こんなトコロが好きなのでしょうね。

私にとっては、見慣れた場所。特に何もついてはいない、何の変哲もない、つまらない部分。そして……男性が、私に求める、全て。
不思議だな、とは思いますけれど、不満はありません。こんな私に価値を見出してくれるなんて、感謝こそすれ、蔑んだり、恨んだりする理由なんてありませんから。

ただ、何も無いココが羨ましいのかなと思うことは、正直、あります。きっと、内心、自分もこう有りたいと思っているのではないでしょうか、とも。
だからこそ、彼等はココを渇望して……だからこそ、私は、彼等の『期待に応える』生業を、まがりなりにも続けてこられたのです。

お返しに、と。私も、視線を同じ場所に注ぎます。私とは違う、その部分に。
ひぅ、と彼の喉が鳴って。無意識なのでしょうか、両手で。大きな身体を縮めるようにして、必死でソレを守ろうとしているのを見て、残念、ともう一回苦笑い。
老婆心ながらの忠告ですけれど……それでは、ケンカなんてできないのではないでしょうか。

彼との間合いを詰めていきます。とはいえ、私は身体を動かすのも得意な方ではないので、不恰好にですけれど。
裸足の足裏が、ペタペタと気の抜ける音をたてて……蹲った彼と私の背丈は同じぐらい。片手を振り上げて、思いっきり頭に振り下ろしたら、ポコンと軽い音がしました。

ポコポコ。ポコポコ。一打、一打を入れる度に、さまざまな思いが去来してくるのを感じて。
今まで溜め込んできた、耐え忍んできた何かを、彼に伝えることが出来ているような気がして。

ほとんどダメージは無いのでしょう。そも、体重が違いすぎますし。体格だって、彼が本気になったら、私なんて軽く払われてしまうでしょう。
男と女で埋められない差。叩いている、私の拳の方が痛くなってきて……反比例しているように、心が軽くなってきて。夢中になっていると、彼が一言、調子に乗るなよ、と。

両手で私の乱打を軽々と押さえたのと、ガラ空きになった『金的』に爪先が捻じ込まれたのと、どちらを先に認識されたのでしょうね。男と女で、埋めようが無い、差。

309名無しさん:2018/08/31(金) 23:42:40 ID:jCcZM/NU0
『火男』のお面を思いださせる、歪んだ顔。足応えは、まだ『非男』にできてはいないわ、と伝えてきていましたけれど。
私の手首を握り潰そうとしていたかのような力が、大気に溶け出すように抜けていって。何回目、でしたっけ。膝をついて、『急所』を押さえる体勢に戻って行きました。
そこの脆さについては……経験は出来ずとも、知識としては知っています。今更、驚いたり、バカにしたりなんてしません。ですけど……その無用心さには、些か呆れてしまいます。

「フジワラ君……その、私、ケンカなんて初めてなのでよく知らないのですけれど……『金的』って、ケンカだと真っ先に狙われる場所じゃないんですか?」
「グゥゥゥゥ……ふざけんなよ、卑怯者ォッ……」

返されたのは、思いがけない言葉で。意味を飲み込めずに、目を白黒させていると、背後から長閑な声が届きます。

「シノせんぱーい、男の人って、なんでか、ケンカでソコだけは狙わないってルールがあるらしいですよぉ」

そうなのですか、と。途端に、無知故に、なにか失礼なことを仕出かしてしまったのかと思い、お尻がむず痒くなってしまいました。
幸いにも、続く言葉は、その不安を払拭してくださるもので。

「意味不明なんですけどぉ、なんか、自分でも痛さが分かるし、やり返されたら怖いしってコトで、そういう不文律があるんですって」

「良かった……それなら、痛さも分からない、やり返されることの決して無い、私達女性にとっては関係ないルールということですね……。
 ですって、フジワラ君。何か、反則的なことをしてしまったのかと心配だったのですけど、ふふ、ほっとしました。
 
 でも、一つだけ聞いてもいいですか?その、痛みが分かるなら―――

仰向けに横たわる彼。その股間目掛けて、思いっきり踵を踏み下ろします。あの人は、尺取虫みたいに、ぴょこんっと跳ねて、私の足から逃げていきましたけれど。
躊躇無くこういうことができるのも、痛みがわからない女性の特権ということなのかしら、なんて愉快になって。ふふ、愉快な気分っていうのも、久しぶり。

ガツン、ガツンと何回か踏みつけて。その度に、ぴょこん、ぴょこんと逃げ回って。ほうほうの態で、彼は再度立ち上がりました。

310名無しさん:2018/08/31(金) 23:43:18 ID:jCcZM/NU0
「分かるなら、尚更、『金的』を狙うべきなんじゃないんですか?あ、勿論、相手が男性の場合ですけど……ホラ。ご覧の通り、女の『金的』は蹴れないですものね。
 あの、蹴っ飛ばす側の経験しかない私がいうのもなんですけれど、『金的』って便利ですよ?上手く入れば、たった1回で大勢も決まってしまいますし。
 私、コレをケンカで使ったのは初めてなんですけど……仕方ないじゃないですか!ケンカするぐらいなら、我慢すればいいって、そうやって今まで生きてきたんですから!
 でも、素人もいいところな私でも、ね。これだけで、勝てちゃうんですから。ふふ、男の人にとっては、残酷な話しですけれど。
 
 
 それに、ですね。秘密ですよ?ココだけの話、上手く入ると……グチャって感触があると……うふふふふ。ちょっと、スッキリした気分にもなれますし。
 その、蹴り潰された方も、一生スッキリするらしいので、ね。そのお裾分けなんでしょうか。フジワラ君は、どう思いますか」

タンッ、タンッ、タンッ。軽く助走をつけさせていただくと、渾身の力で、彼の……両手で覆われた膨らみを、掌ごと押し潰すつもりで蹴り上げます。
また、変な顔。いや、違いますよね。それって、本当は男らしい表情なんだって分かってますから。だって、男の人しか出来ない表情ですものね。

何度目か。またへたりこもうとして。私が、踏み潰させていただこうと上げた脚をみて、痛みに耐えて踏みとどまって。耐え切れず、ぴょん、ぴょんと飛び跳ねて。
あの踊りは、可愛らしくて大好きなのですけど、痛みが和らぐのでしょうか、私には、分かりかねます。……分かってあげようと四苦八苦していた頃が懐かしく思い出されます。
あのとき、サツキさんから、『金的』を蹴る方法を学んでいて良かった。本当、人生って何が幸いするか分からないものですね。

練習で、お互いに『無い』金的を蹴る真似事をしていたときは、運動神経の無さも相まって、うらぶれた気分にもなりましたけど。
それでも、『金的』の有無だけで、こんな私でも、フジワラ君に勝てるなんて……私には、コレしか無いのに。

「せんぱーい。単に、金的をもう苛められすぎてて、おにーさんの動きが鈍っていただけですからね。調子にのらないでくださいね?」

見透かしたような(実際に、見え透いていたのでしょう)サツキさんの言葉に、知らず背筋を伸ばします。本当に、調子にのりやすいのは、私の悪い癖。
調子に乗ってみたところで、それで成功したことなんて、これまで一度も無いのにね。

苦しむ彼をみて、罪悪感を感じないかと問われれば、感じると答えます。自分では、決して共感してあげることが出来ない、苦痛に悶えるあの人に、憐憫の情を覚えないのかと問われれば、答えは否。
でも、それでも。初めて、『傾聴』するのでは無くて。彼と、『対話』が出来ているという実感が湧き出て止まらず、自身の高揚を抑えることができないのです。

「フジワラ君、せっかく守っていたのに、それでも痛いんですか?それじゃ、何のために守ったのか、分かりませんよね?ふふ、もう答えをいっちゃいますと、守り方が間違っているんですよ。
 別に、難しいことじゃないんです。女の子なら、みーんな、実践している方法―――

飛び跳ねる彼を抱きとめて。全身を、その苦悶をうつしとる心算で抱きしめて。ニッコリと、彼を見上げて微笑みかけます。
不憫なことに、彼は恐慌状態に陥っているみたいで。早く、早く楽にしてあげてと、どこかで私が悲鳴をあげていて。まだ。まだ語り足りないと、別の私は歓声をあげていて。

その時です。意図してか否か、彼の右足が振り上げられて。太腿が、過たず、私の股間を突き上げました。思っていたよりも、柔らかい感触だなと感動したことを覚えています。
どうなったかって?いえ、どうにもなりませんよ。だって、私は『金的』の守りは完璧ですから。ふふ、ココを蹴り上げるのって、意外と難しいんですよねなんて、練習時代のことを思い返してみたり。
男女問わず、股間は『急所』といいますけれど。『急所』の度合いが違いすぎますよね。しかも、膝でもなく、太腿でだなんて。ふふふふ、可愛いですね。

先程のサツキさんの言葉が正しかったのでしょうか。蹴り上げたのが、『女』の股間であるにも関わらず、彼の動きが一瞬止まりました。禁忌を犯した、とでも思ったのでしょうか。
気にして頂かなくても、私は一向に構わないのですけど。その律儀さには、頭が下がります。

311名無しさん:2018/08/31(金) 23:43:57 ID:jCcZM/NU0
「お上手ね。うふふ、ね。簡単でしょう。キーンって感じ、しましたか?ふふ、しませんでしたよね……ゴメンね。女には『金的』が通用しなくて。
 でも、男の人が相手なら、今のレベルでも一瞬は怯むと思いますよ?……初めてですもの、下手なのは当然です。そうだ!後で、私で練習してみましょうか、大丈夫、私は全然平気ですよ。
 
 ふふふ、その、ね。コレから、貴方には、力が入らない身体になって頂きますから……アレ、何でなんでしょうね?護身術の一つや二つ、覚えていた方がいいかもしれないですし、ね。

 そんなに恐がらないで。その頃には、貴方も私達と同じ。もう、その痛みを知ることはないし、絶対にやりかえされることがない肉体になっていますから。
 ―――そう。護身術と同じ。危ないところには近付かないのと同じように、危ないモノは持ち歩かなければいい。ね。これが、最高の守り方だと思いませんか?
 
 ふふふ。『金的』さえ無ければ、決してソコをヤられることは無いのです。でも、貴方は抜かれたくないそうなので」

キスが出来る距離。恋人の距離。あの日から、どこかで私が夢見ていた距離。

「申し訳ないのですけど」

心苦しさに目を伏せます。ただ、彼の心境を慮って、一瞬だけ。目線を上げて、彼を見上げて。不安が消え去ってくれればいいと、ニコリと微笑む。一言。

「潰しますね」

彼の頭を掻き抱いて、彼の腰を引き込んで。体中のバネをつかって、体中の思いを込めて。

「―――ゴメンなさいっ!!」

膝頭が、彼の太腿は感じられなかっただろう器官……睾丸を押し潰していくのを感じます。また、えんどう豆みたいに変形して。
膝と恥骨で、摩り下ろされていくように削られて。生き汚く、いじましくも、それでも自身を維持しようとして。限界まで潰れて、そのまま……

彼の頬が膨らんだかと思うと、吐瀉物が撒き散らされました。きっと、下を押し潰されて、上から漏れてしまったのでしょうね。可哀想に。
頭からソレを被ることになりましたけれど、不思議と不快感はありません。寧ろ、頑張ったねと、褒めてあげたいという気分の方が強いぐらいです。

結論からいうと、潰れてはいませんでした。まぁ、私にとってはどちらでも良かったんです。
……ですが、彼にとっては、ここで潰れていたほうが良かったんでしょうかね。それとも、一秒でも長い間、ぶら下げられた方が幸運なのでしょうか。
ふふ、分かんないです。私には。


口の端から泡を噴いて、失神してしまった彼。キレイに拭いて、身嗜みを整えて欲しい(裸ん坊なのに、身嗜みって変ですね)とサツキさんにお願いしたら、
彼女は既にその先を見越していて。次の『工程』で利用する、拘束具まで用意してくれていました。いつの間に、と今度は私が驚愕する番。

再度、シャワーを浴びついでに。『ロデオ』を準備するために、『準備室』に引き返す私。
甲斐甲斐しく、サツキさんがフジワラ君の身を清めているのを見ても、以前程の疑心と嫉妬は浮かび上がることはありませんでした。

―――また、脳裏に謎の映像。誰かと繋がる、彼のイメージ。ただ……お相手の顔は、何処と無く自分に似た面影がありました。

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312名無しさん:2018/08/31(金) 23:44:33 ID:jCcZM/NU0
『ロデオ』という言葉で、皆様はどのようなモノを思い浮かべるのでしょうか。実際に、お馬さんを乗りこなすこと?もっと卑近に、公園にあったようなお馬さんの遊具?
それとも、大きな電気屋さんにあるような、あのグイングイン動く、椅子のような装置なのかしら。

この器具は、強いて言うなら、最後の例が近い……のでしょうか。実体は単純。大型の万力に、頑丈な土台が据え付けられただけの代物です。
遠目にみると、跳び箱が一番近いのでしょうかね。ハンドルに尻尾を模した意匠が施されていて、もう片方の終端には、お祭りで見たような、お馬さんの頭が取り付けられています。
そこに注目してみるなら、公園のお馬さんにも近いかもしれませんね。

台車を押して、『ロデオ』を運びます。『娯楽室』の扉を潜った先、両手両足の親指を括り付けられ、ブリッジのような体勢。目だけを覗かせた紙袋。
きっとその下では猿轡を噛まされていらっしゃるのでしょう。まるで、咎人のような出で立ちの彼と。

柔らかく微笑み、膝枕をした状態で、優しく彼の髪を手櫛で梳いている、サツキさんの姿が出迎えてくれました。

私のような下賎の者は、見ることすら許されないような、清廉な風景にも見えました。聖母に抱かれる殉教者を描いた、神聖な絵画かもしれない、とも思いました。。
―――そして、あの日、私が見てしまった、あの光景のみたいですね、とも。

今までの私であれば、きっと、耐え切ることが出来ず、そのまま逃げ出していてしまったかもしれません。
いつものように。そして、あの日のように。

ふふ、あの日を想起してしまったのは、『お馬さん』に一因があるのかも知れません。
フジワラ君……きっと貴方は知らないでしょう。あの日、私が独り、公園のお馬さんに腰掛けて、一晩泣いていたことなんて。

いいんです。ただ、私のお家にはお金が無くて。遊び道具なんて、公園の遊具しか知らなくて。
辛いことがあったら、そこで泣くことにしていた……なんて、単純に、私の都合。知ってもらおうなんて、自己中心的すぎますよね。

それでも、今回は。何故なのでしょうね、自分でも奇妙なほど落ち着いて、その情景を受け入れることが出来ました。
どんな話をしていたのでしょう。コレが終わったら、二人とじっくり話し合いたいですね、なんて、柄にも無いことを考えてみたり。

二人の下へ、足を進めます。猿轡のせいで、彼と言葉は交わせません。紙袋のせいで、彼の表情は伺えません。無性に悲しく感じますけれど、でも、コレは仕方が無いこと
これからの『お仕事』で、舌を噛んでしまっては大変です。だから、猿轡は彼のためにどうしても必要なモノ。
これからの『お仕事』で、悶え苦しむ顔を晒させるのは、彼のプライドを傷付けてしまうでしょう。だから、紙袋は、彼のためにどうしても必要なモノ。

313名無しさん:2018/08/31(金) 23:45:11 ID:jCcZM/NU0
私の一時の感傷で、彼の一生の晴れ舞台を汚すなんて、それこそ、どうお詫びしても詫び切れませんから。私の感情なんて、些細なこと。
それでも、少しでも彼を感じ取れればと覗き込むと。暗渠から見返す目は、どうしようもない諦観に支配されていて。それが痛ましくて、彼に、コッソリと蜘蛛の糸を囁きます。
少しでも、希望を取り戻して欲しかったので。コレも、私の我儘なんでしょうね。

(大丈夫、安心して。信じられないかもしれないけれど……まだ助かる道はありますから)

現金なもので。その瞬間、彼の目は信じられないモノを見たかのように広がって。私は、(だから、大人しくしてくださいね)と耳打ちしながら、彼の御髪を整えました。
サツキさんは、見守るような視線を此方に向けつつも、沈黙を保ってくれていて。とても有り難かったことを覚えています。

サツキさんと私。女二人で協力して、彼を『ロデオ』に跨らせます。実感した、彼の大きさと逞しさ。画竜点睛を欠く、というべきでしょうか。ふふ、欠くとは正反対ですけれど。
彼の強さを、その一点だけで台無しにしてしまう、私には無い『部分』を恨めしくすら思ってしまいます。

彼は、状況の展開に追いつけないようで。これ幸いと、私達は、彼の両膝を土台に固定して。両腕を、フックを降ろして固定して。
あの人が我に返ったのは、私達が、彼が『彼』である理由を、ヒンヤリとした土台の溝に、嵌めこませていただき終わった時点だったみたいです。

「むふーっ!!むぐーっ!!!!」

頭を左右に振り回し、抗議の声と視線を私に向けるあの人。なんと言っているのかは聞き取ることはできませんが、差し詰め、「騙したのか」とか、「裏切り者」とか仰っているのでしょう。
当初から、恨まれることは覚悟の上でしたが……その様子は、私に心外だという思いを抱かせるのには十分でした。身勝手、ですね。

「早とちりしないでくださいね。私、嘘は言っていないつもりですから……コレ、『ロデオ』って言うんです。可愛いですよね」

私は、彼とは違うので。少なくとも誠実ではありたいと、そう願わせていただいているので……乏しい言葉で、懸命に状況を説明しようと頭を捻ります。

「使い方は簡単で……フジワラ君からは見えないでしょうけど、お尻の方についているハンドル……尻尾を回すと、そこの隙間が、ゆっくり、ゆっくり閉じていくんです。
 身も蓋もない言い方をしてしまうと、結局は単なる万力ですから……でも、ですね。コレのおかげで、タマタマ……タマのこともありますけど……取り留めた方もいらっしゃるんですよ?」

何を言っているんだ、と。とうとう狂ったのか、と。そして、コイツは元々狂っていたのか、と。無言で、かつ雄弁に。彼は私を問い詰めます。
翻って私は。言葉を発することが出来る状況にいるのに、上手く思いを伝えることが出来ず、ひとり、やきもきするばかり。

「その、別に驚いていただけるようなタネはありません……ゴメンなさい。単純に、潰すまでも無いかなって方が複数いらっしゃった時に、こう使っているというだけのことなんですけど……
 端的に言えば、そういう場合は、その方々全員に同時に跨っていただいて―――

彼は、全身で困惑を表現していて。私は、自分の語彙力の無さに、また頭が痛くなってきてしまう。

「でね。最後まで耐えたタマぐらいは、残しておく価値があるタマかもしれないから、助けてあげてもいいかな、みたいな使い方をすることもあるんですよぉ。
 ね、シノ先輩、そーゆーことを説明したかったんですよね?アハハ、まぁ、実際のところ、誰のタマが残るかなって、晩御飯のオカズを賭けて楽しむのがメインなんですけど……
 仕方ないでしょ、おにーさん。ココ、意外と娯楽が少ないんですよ」

314名無しさん:2018/08/31(金) 23:45:53 ID:jCcZM/NU0
何かを察したのか、サツキさんが説明を引き継いでくださって。
私は彼女に甘えて、説明することを一旦止めて。懸命に、『ロデオ』の上に攀じ登ろうとします。大股を広げて、無様な姿。
気恥ずかしくなってしまいますけれど、如何せん、この小さな身体ではどうしようもないのです。本当、要らないところにばかりお肉がついてしまう、みっともない身体。
片足を、なんとか向こうに引っ掛けて。胸に吊るされた、無駄な重りが引っ掛かって。ただ、跨るだけでも四苦八苦。

形振り構ってはいられませんでしたけれど、何とか登りきることが出来たので。乱れた息を整えながらも、私は彼に相対しました。
今回は、私と彼とが鏡写し。だからこそ、男女の物理的な違いが、ただ、どうしようもないモノとして際立って。

「今回は、他に男性がいらっしゃらないので……僭越ながら、私がお相手を勤めさせていただきますね。
 ―――ね。助かる方法、ちゃんとあったでしょう?貴方は、ただ私よりも耐えればいいだけ。ただ、それだけで良いんです。大切な場所なら、耐えるぐらい簡単でしょう?
 
 ゴメンなさい。貴方は、もうこの道しか残されていないの。でも、寂しくはないですよ?私も、私も一緒に罰を受けてあげますから」
 
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!〜〜〜〜〜ッ!〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!
 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」

身も世もなく、とはこのことでしょうか。タマより先に、首がもげてしまうのではないかしらと心配になるぐらいに取り乱されて。
ただ、彼の、『彼』としての最後の勇姿を、一瞬たりとも見逃すまいと、私は見詰めることしか出来ませんでした。

キュル、キュル、キュルと。無言で、サツキさんがハンドルを回す音が響いています。

暫しの間があって、彼がピタリと静止されました。何か、不具合があったのかしらと不安になっていると、そのままフルフルと震えだしたのが見えて、状況を理解。
私の身体では実感できません。そこには、空虚しかありませんから。察するところ、そろそろ、下の隙間に余裕が無くなってきているのですね。
彼の身に起きていることを想像しつつ。また、彼に語りかけます。だって、コレが『彼』と話せる最後の機会なんですから、どんなことでも、語っておきたいのですもの。

「その様子、タマタマと外壁が触れ合った頃合なんですね。意外と冷たくて、火照ったソコには気持ちよかったりしませんか?

 そこまで震えないで下さい。まるで、電気椅子に座らせているみたいで、罪悪感を覚えてしまいます……ほら、私を見て。私は、今の状況、安楽椅子に座っているのと変わりありませんよ。
 私よりも耐えなければいけないのに、ちょっと先が思いやられてしまいますね。あぁ、非難しているつもりはないのです。
 
 貴方は、はじめてなんですから、仕方がないの。―――そうだ!経験者として、コレから何が起きるのか、説明してあげますね。
 きっと、その方が、恐がらずにすむでしょうから……ふふ、まるで私がもう勝ったみたいな口ぶりで、ゴメンなさい。勝負なんて、終わってみないと分からないのに、ね」
 
両手の人差し指を、腰に当てて。内股を伝って、下に、下にスライドさせていきます。閉じていく場所より少し上。サツキさんと比べると、多少肉厚なソコに指を添えて。
彼とは違って、その下は空洞。『ロデオ』の背と、性器との距離が、埋まらない性差を象徴している、そんな気がしました。

「ココ、恥丘って呼ぶこと、ご存知でした?御自分の状況はご覧になれないみたいですけれど、今、丁度これぐらいの幅まで閉じてきているんです。
 まぁ、男性であれば、ご自身の目では確認できなくとも、感覚として分かりますよね。私では、物理的に不可能な感覚。ふふ、ほんの少しだけ、羨ましいです」

315名無しさん:2018/08/31(金) 23:46:34 ID:jCcZM/NU0
キュル、キュル、キュルと。無言で、サツキさんがハンドルを回す音が響いています。
これが落ち着いた空気だと感じられてしまうのは、女性的な感性であるからでしょうか。両の指先に力を込めて、肉の襞を、半分ぐらいの厚みまで押し潰します。
彼は、縫い止められたように私のソレに視線を注いで。それなのに、震えは少しずつ大きくなっていって。

「あと少し。この程度の厚みになると、タマが変形をはじめるんです。その感覚は、女には分かりませんけど……男性は、皆様、とても激しく暴れだされます。
 ですから、状況の進み具合であれば一目で分かります。あ、耐えようとなんて為さらずとも結構ですよ?そも、耐えるなんて不可能だとも聞きますから。
 
 そのご様子が、まるで暴れ馬を乗りこなしているみたいですから……この器具、『ロデオ』って言うのです。
 作った方が言うには、このお馬さんは『セン馬』なんですって。ふふ、分かります、『セン馬』?貴方も、耐え切らないと、仲間入りしてしまいますよ?
 
 あらあら、そんなに怯えないでください。まだ、そこまで閉じてはいないでしょう?私は、毛筋ほどの恐怖も感じてはいませんよ?」
 
キュル、キュル、キュルと。無言で、サツキさんがハンドルを回す音が響いています。
今、どのあたりまで閉じたのでしょうか。やはり、こういう時、『実感出来ない』身は、不便ですね。

「もう少し締まると。その、おちんちんが勃ってきます。本能的なものらしいので、危機感は覚えなくてもいいですからね。
 まだ、物理的にも、精神的にも、壊れてしまったわけではないですよ。その、命(タマ)を獲られそうな状況だと、最後に子孫を残そうと、そうなるのですって。

 恥ずかしがることないですよ。みっともない顔を晒さないで済むよう、紙袋を被っていただいていますし……おちんちん最後の勇姿なんですから、見届けてあげて欲しいなって思います」
 
キュル、キュル、キュルと。無言で、サツキさんがハンドルを回す音が響いています。
彼から発せられる振動の、種類が変わってきているのを認識します。その姿を、網膜に焼付けるまで、凝視して。
私は、両の指先が白くなるほどの力で、自分のそれを押し潰しました。指の端に、冷たい金属の淵を感じて。ここまで締まってきていたのね、なんて他人事じみた感想を抱きました。

316名無しさん:2018/08/31(金) 23:47:07 ID:jCcZM/NU0
「ゴメンなさい。私はまだ、全然平気なのですけど……そろそろ、みたいですね。いいんです。私のココには何も無いのですから、当然、かもしれませんね。
 見て下さい。私のココには、貴方と違って、絞め潰されるモノがついていないってことを。確認して、実感してください。
 ほら、ね。ここまで押し潰しても、私のコレは、そもそも閉じるところにすら届いていないでしょう。ふふ、ズルじゃないですよ?ココに、変なモノ付けているほうが、可笑しいだけ。
 
 ……実例からの予測ですけど、これぐらいまで締まったら、その、ね。睾丸が、弾けます。『男性』から解放……そうです。潰れてしまうということです。
 気休めにもならないかもしれませんけれど……その瞬間、おちんちんから白い汁と、紅い汁が漏れ出してきて、ちょっとおめでたい気分になれますよ。
 
 あ、それに、蹴り潰させていただく場合みたいに、ビシャッて破裂する訳でもないんです。だから、痛みも派手では無い、かも。
 その、キンタマって、皮厚のブドウみたいな造りをされていまして……ね。あ、その皮のこと、白膜って言うのですけれど。知ってました?
 
 その膜が、内圧に耐えられなくなったら……ブシューって、パンクするみたいに中身をお漏らししてしまって……男の子としての人生は、そこで中退。
 慰めになるのかは分かりかねますけど、比較的穏やかなお終いなのではないでしょうか……それでも、気の毒に、とても悶えられますけれど。やっぱり、ショックなのでしょうか。
 
 皆様、おいたわしい声を上げられて……馬じゃなくて騎手が嘶いたなんて嘯くコもいらっしゃいますけど、酷い話ですよね」
 
キュル、キュル、キュルと。無言で、サツキさんがハンドルを回す音が響いています。
両指を離して、割れ目を一撫で。そして―――

「最終的には、この割れ目ぐらいの幅になるまで絞めさせていただきます。けど、その前に気絶される方が大半ですから、気負わないでくださいね。
 目が覚めたときには、私達と同じ。こんな玩具に跨らされたところで、何一つ恐がらなくてもいい身体になれていますよ」

キュル、キュル、キュルと。無言で、サツキさんがハンドルを回す音が響いています。
『ロデオ』の名に恥じず。あの人の身体は、まるで踊り狂っているよう。悲しい。私は、何一つ分かってあげられないことが。
彼のおちんちんは、例に漏れず硬度を増していき―――口が裂けてもいいませんが、記憶していたよりも、それ、粗末なモノだったんですねと思ってしまいました。
あの頃は、ソレと、『あの人』のモノしか知らなかったんです。

そのまま、丹念に。丁寧に、ソレをしゃぶって、唾液を絡ませていきます。……焦燥感が、背筋を這って。だって、そこまで小さいとは思っていなくて。
私の股間は、全くと言って良いほど、湿り気を帯びてくれなかったものですから。本当に、持ち主に似て、肝心な時に役に立たないわね、と自分のソレを叱責して。

彼と違い、『ロデオ』に股間を囚われることが無い私は、僅かに腰を浮かせて。無理矢理、ソレを自身の胎内に捻じ込んでいました。

のたうつ彼を、両脚で。両手で抱きしめて。彼の苦痛を、少しでも分け与えてもらおうとして。潰される心配の無い、股間を彼に押し付けて。
ちょっとでもいい、彼の苦悶に近寄りたくて……それが叶わないということは、飽きるほど教えられてきたのに。でも、一欠けらでも、彼の痛苦を、彼の責め苦を、分かち合ってあげたくて。

317名無しさん:2018/08/31(金) 23:47:39 ID:jCcZM/NU0
「分かりますか―――貴方は、この体位、好きでしたよね。感じられますか。私のおっぱいが、貴方の胸板で形を変えていることが。
 実感できますか?あなたの、その、おちんちんが、私を貫いていることが。ちょっとでも気持ちよくなってもらえるなら。その痛みを紛らわさせることだ出来るなら、それだけで幸いです。
 
 これが、これが、本当に、『男』の貴方が感じることができる、最後の女体です。だって、そろそろ―――」
 
もう、言葉は届いていないかもしれません。碌に濡れていないソコは、疼痛を私に訴えていて。それでも、彼が、今みているのでしょう地獄を鑑みると生温いさえと叱咤して。
彼の粗末さ故に、その疼痛さえも簡単に耐えられてしまうレベルでしかないことに落胆して。それでも。それでも、少しでも彼の気を紛らわせることが出来るなら、と。

本心としては、あわよくば。コレで、私が耐えられなくなってくれれば、と。何処かで期待していたのかもしれません。けれども。
……肉体的には、快感なんて全然無い。苦痛すら、ほとんど無い。でも、そのお粗末さこそが、幾らでも替えが利くものだという実感となって、僅かに心を慰めてくれたのを覚えています。

「ゴメンね。私のソコは、貴方のおちんちん程度なら、耐えられてしまう、みたい。残念だけど、貴方のキンタマは、もう命運が尽きてしまったみたいです。
 だから、せめて。この、『男』としての最期の感触だけは、何も考えずに、楽しんで、記憶しておいて、ください……
 
「〜〜〜〜ッ!!〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!
 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!〜〜〜ッ!!〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」

キュル、キュル、キュルと。無言で、サツキさんがハンドルを回す音が響いています。
彼は全身を波打たせて。引きちぎれんばかりに頭を振り回して。ただ、それを気にも留めることなく、耳元に口を寄せて、一言。

思い返せば、この言葉に、私の感情の全てが込められていたんですね。

「フジワラ君、好き、だったよ。『初めて』をあげられなくて、ゴメンなさい。そして……『お終い』をくれて、ありがとう」

なにかが切れた感覚。暴れていた彼が静止し、魂が抜けていくように小さくなっていくような錯覚。
あぁ、今。潰れてしまったのですね、と。これから『彼』では無いなら、なんてお呼びすればいいのでしょう、と場違いな戸惑い。

私の股間は、持ち主に何の感慨を伝えてくることもなく。逆に、ズルリと、この人のおちんちんが、掻きだされていくのを感じていました。
このおちんちんも、取り外してしまうつもりですけど。それでも。私と出会ったとき、この人を『男の子』でいさせてくれてありがとう、と労いの言葉を掛けてあげたくなります。

数瞬の間しか、実際は無かったのでしょう。この人が、ソプラノで、最期の声を張り上げて。そのまま、先の比では無いほど、のた打ち回りはじめて。
私は、ただただ、この人にしがみついていました。最期の最期まで、一滴残さず、この人の『男性としての終着』を記憶しつくしてあげたいと、そう願って。

……ふふ、もう千切れても平気ですしね、なんて思ってしまったのは秘密です。

この人の、『最期』は私のモノ。これだけは、何処の誰にも、奪うことはできません。もう、『無くなった』彼からは、奪えません。
私だけの、絶対の、タカラモノ。

キュル、キュル、キュルと。無言で、サツキさんがハンドルを回す音が響いています。
―――また、脳裏に謎の映像。誰かと繋がる、彼のイメージ。その誰かは私だったのだ、と。今、ようやく理解できました。。


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318名無しさん:2018/08/31(金) 23:48:16 ID:jCcZM/NU0
(テロップ):おい、コレは何の真似だ!外せ!

「あら、暴れると危ないですよ?」「何の真似って、オジサマ、今の動画、見ていたんでしょう?」

(テロップ):ふざけるな!!お前ら、なんつーことしやがる!!!

「何というコトと言われても……あ、手際が悪かったのでしょうか。ゴメンなさい」「あはは、本当に初見だったんだ。不勉強でしたね、オジサマ」

(テロップ):おい、何笑ってやがるんだ……まて、近付くな!!

「サツキさんから聞きましたよ?私のおっぱいに興味があるって。ですから―――」「手足の拘束は外せないから、お顔で堪能してね♪」

(テロップ):うぷ……

「はい、深呼吸。ふふ、満足していただけましたでしょうか。それでは」「そろそろ、この動画も仕上げにはいっちゃいましょーね」

(テロップ):止せ!やめろ!ズボンを脱がすな!やめ、やめ、やめて!!!

「大丈夫。ご覧になったでしょう。こんなモノ、簡単に失くせてしまうって。天井の染みでも数えていれば、直ぐですよ」「右からがいい?左からがいい?ねぇ、オジサマ、どっち?」

(テロップ):〜〜っ!!〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!

「今回は、手際よく行きましょうか。ふふ、ペロリ。それじゃ、失礼して、頂きますね―――」「お、オジサマ、右から齧られるみたいですよ。あはは、お覚悟ー☆」

(テロップ):〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!



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319名無しさん:2018/08/31(金) 23:48:47 ID:jCcZM/NU0
一月ほどたって。容態が安定したという知らせをうけた私は『元彼』の病室へと向かいます。

ふふ。フジワラ君のこと、『元彼』って呼ぶことにしたんです。二つの意味がかかっていて、私にしては洒落ているんじゃないでしょうか。

足取りは軽く、心にいたっては、何処かに浮かれて飛び立ってしまいそう。
あの日、彼の股間にぶら下がっていたシコリといっしょに、私の胸にずっと痞えていたシコリも、何処かに消え去ってしまったかのよう。

思い返せば、妥協して、切り落としてしまわなくて、本当によかった。
あのおかげで、初めて、『元彼』と本気でケンカが出来ました。本気で、会話が出来ました。
もしかしたら、そこまで考えて、フジワラ君は、あんな真似をしたのでしょうか。本心から、感謝の念が溢れてしまってとまりません。

あの後、浮かれ気分のまま、何名かのモノを潰させていただいて……少し、悪いことをしましたね。
あまりに舞い上がった気分でしたので、取り外し方を考えて差し上げるのが面倒で……もう印象もおぼろげですが、次にお会いしたら謝罪しないといけません。

私の手には、お酒の瓶が一本。普段は全く嗜まないのですけど、今回ばかりは特別と、奮発させていただきました。
お酒も、特別。だって、取り外した『元彼』のモノが漬け込んであるのですから。ふふ、小学生の頃、男子がおちんちんを見せびらかしてくることがありましたけど、こんな気分だったんですね。
私も、もう私のものになったコレを、『元彼』にみせびらかしたいなんて、悪戯心が刺激されているのですから。二十歳も過ぎて、何を考えているのでしょうね。


『元彼』が、あの場所に送られてしまうまでの猶予は、あまり無いと分かっています。
でも、それでも。お酒を酌み交わしながら、つもる話を。3年間、短いようで長い、空白の時間を埋めてくれるような話を。

大丈夫。男と女の違いだって、ちゃーんと埋めることが出来たんですから。人生の空白だって、簡単に埋めちゃえると、信じています。

浮き足立って、踊るように。私は、『元彼』の病室の扉を開くと、そこから光が溢れ出てきました。
それは私達の前途みたいで。そう、私達は、これから。そう思うと、今までの全てが、この日のためにあったのかな、なんて。そう、思えました。


                                                             <<おしまい>>

320名無しさん:2018/08/31(金) 23:54:11 ID:jCcZM/NU0
ご無沙汰しております。時間頼みですが、新鮮味も復活したかなと思って、一つ自作してみました。長いですね。
>>177
女性視点、義務的、女複数対男1、抵抗有り、同年代にしました。
>>179、182
描写を追加してみましたが、どうですかね。
>>181
視点固定させました。そしたら、時間軸が前後してしまうという不覚。
>>265
組織だった感じにしてみました。前書いたヤツとは設定は違いますが、如何でしょう。

オマケで。筆力不足で書ききれなかった、各人物はこんな設定でした。

シノブ:メンヘラ。11月4日生まれ。4Novでシノブです。蠍座。本編で色々喋っていたので、特に語ることもないです。悲劇のヒロイン病を拗らせて、死にます。

シノブの母:命懸けで娘を守ろうとして果たせなかった、健気な私という記憶を反芻しながら、それなりに人生を謳歌していました。
      心配しているのは、娘に彼氏が出来て仕送りが減らされてしまうこと。シノブの死で経済的に困窮しますが、働くぐらいなら死を選ぶと啖呵を切って、死にます。

サツキ:無敵の未成年様の内に、珍獣を愛でる感覚で参加しています。以前書いた、拳法的なヤツと絡めようと思ったのですが、蛇足と思って削りました。
    成人前に足を洗って、幸せな生活を謳歌するという人生設計。娑婆で暴れていた悪行の末路としてのお礼参りで、死にます。
    
班長、『あの人』:モブです。『あの人』という単語は、数箇所ダブルミーニングになっているところがあります。なんだかんだあって、死にます。
    
フジワラ君:被害者。シノブから貰ったお弁当が、米と草しか入っていないナイジェリア国旗のような彩りだったことに激怒。二股を決意。身体としては高レベルだったシノブと、
      器量はいま一つだけれど成金のお嬢様とで人生を謳歌していました。何時の間にか、どことなく重そうだと感じていたシノブがフェードアウトしてくれて、さらに人生順風満帆。
      シノブと連絡をとろうとしなかったのは、実際のところ厄介事になる確信があったからです。
      
      妊娠を機に彼女が性交渉を嫌がりはじめ、再度他の女の子を食い漁っていました。バレて、本編にいたります。ハメる側でもあり、嵌められる側でもあったんですね。死にます。
      
彼女:未登場。成金。ヤバイところと関わった報いで親の生業が破綻して、母子共々、死にます。

インタビュア:人間。LV2 N-N 2EXP 0魔貨
       ノーマル耐性。破魔無効、魅了、金的に弱い。
       保有スキル:パニックボイス、暴れまくり

321名無しさん:2018/09/01(土) 15:37:38 ID:clVqbDAo0
GJ!!
今回も最高でした。練り込みがすごい!

322名無しさん:2018/09/03(月) 00:37:33 ID:kakMOy/A0
とても素晴らしい小説でした!ありがとうございます

323名無しさん:2018/09/03(月) 01:01:27 ID:LU3dMTYI0
最高!
本当にありがとう!!

324名無しさん:2018/09/03(月) 09:35:31 ID:dIPqjU0.0
すごい大作
ありがたい…ありがたい

325名無しさん:2018/09/06(木) 21:30:11 ID:dR1o8kV.0
ありがたや

326名無しさん:2018/09/10(月) 23:32:43 ID:xT2wDwpo0
#秋の金玉潰し祭りがかなり良いSSになってしまっている

327名無しさん:2018/09/11(火) 00:53:56 ID:dozlXIZA0
何その心ときめくタグ…と思って調べたらアホなフェミニストの発狂が元ネタか…
金的フェチ達のSS祭りかと思ったのに

328名無しさん:2018/09/11(火) 02:42:44 ID:QyIeY3xA0
基地外共の話題はNG

329名無しさん:2018/09/11(火) 10:22:47 ID:I4leb.RU0
しかし供給不足のジャンルなのだから
そういう所にも目を光らせて些細なものでも拾っていくことは大事だと思う
今回のそのタグは趣旨から外れてるっぽいけど
掲示板やコメント欄とかの体験談が結構良かったりするんだよね(内容の真偽はともかく)
少し無理矢理SSのことに絡めるなら、書くときの題材になったり、言い回しや表現の参考になったりもする

330名無しさん:2018/09/12(水) 20:45:04 ID:7UO0IDNU0
ネカマのなりすましじゃなく本物の女性が書いたって点では価値があると言える

331名無しさん:2018/09/15(土) 10:36:25 ID:B6bZXG9A0
古典太平記みたいなQ&Aのボイスがいいな
リアル女子の話を聞いている気分になる

332名無しさん:2018/09/17(月) 01:09:55 ID:uUDLGLbE0
古典太平記の音声の再生数地味に凄いよね

333名無しさん:2018/09/17(月) 02:01:06 ID:S592R6.g0
このフェチは小説か音声形式が移入しやすくて相性良いと思う

334名無しさん:2018/09/17(月) 11:18:03 ID:Y.//nmf.0
配信1週間の初動で、再生4000回って
このジャンルでは稀だと思う
そもそも、視聴者がコアで、投稿数も少ないし

335名無しさん:2018/09/17(月) 19:52:03 ID:Y.//nmf.0
何となく、有名どころの「闘えスキンネッドマン」を見たら
再生回数3100回位だった
やっぱり、4000回はすごい

336名無しさん:2018/09/28(金) 00:35:52 ID:bFZ5VTw20
「どSな姉妹があなたの金○蹴っちゃうぞ!」は音声系の中では出色だと思う
声優の声質で若干好み分かれそうだけど

337名無しさん:2018/09/28(金) 01:30:54 ID:cOF.2Gzg0
ただでさえ希少なジャンルなだけに台本の出来と声優の上手さがマッチしてる音声は殆ど無い
まあ萌えボイスなりで自分で依頼しろと言われればそれまでなんだけど

338名無しさん:2018/12/02(日) 14:14:02 ID:k84s9jMA0
過疎りすぎやろ…

339名無しさん:2018/12/02(日) 18:33:40 ID:FOTXufN60
気長にマターリすればいいじゃない?
みんなのオカズ事情は気になるけどね

340名無しさん:2018/12/03(月) 09:42:37 ID:WALKShdE0
金蹴りSS界隈自体どこも更新無いのが痛い
金玉を蹴る女達復活して欲しい

341名無しさん:2018/12/06(木) 01:31:42 ID:ZFlgWj1A0
自分で書いてみるか

342名無しさん:2018/12/09(日) 09:34:58 ID:jOqnm3hk0
古典太平記の音声作品更新キタ
すでに再生回数500回越えているw

343名無しさん:2018/12/09(日) 21:31:31 ID:LyrlFxcA0
>>342
SS好きにとっては、また貴重なSS書きが居なくなってしまった感があるけどね。
音声への方針転換で・・・。

344名無しさん:2018/12/09(日) 22:08:21 ID:23weyfIU0
言われてみれば、最後にSSが出たのは
8月にアップされた帰国子女の女子が金蹴りする話だったね。
でも、音声専門にするとも言っていないし
そのうち、また小説も書いてくれると思う。

345名無しさん:2018/12/10(月) 09:56:28 ID:yB68Rdkg0
まああの人は音声路線で良いと思うけどね
正直文章力は微妙だし、代わりに色々新しい事を開拓していけるのがあの人の強みな気がする

346名無しさん:2018/12/11(火) 00:43:07 ID:uQNCFhUo0
同感

347名無しさん:2018/12/11(火) 21:22:11 ID:weTyhgVA0
台本形式のが書きやすそうだし、むしろ音声に移行してくれたほうがありがたい

348名無しさん:2018/12/11(火) 23:38:41 ID:r1kYDkyc0
久々の投稿です。
最近金的SS界隈に新作がないので、賑やかしになれば幸いです。


■二人の怪盗1

人気のない路地裏に一人の少女が佇んでいる。
漆黒のライダースーツから伸びる長い手足とくびれた腰。そして自己主張の激しい胸。
彼女の幼さが残る顔とは相反するように女の色香を醸し出している。
目元は黒い仮面で覆われているが、その輪郭から彼女が美少女であろうことが見て取れた。

「これが"ルピスの涙"……素敵ですね」

少女は手に持っていたウズラ卵大のの宝石を月にかざし満足そうに微笑んだ。

「尾行に気が付かないとはマヌケだな! 怪盗スカーレット!」
「誰ですか!?」

少女が背後からの突然の声に振り返ると、黒い影が突進してくるのが見えた。
彼女はそれを間一髪でかわした。

「他人のお宝を盗むなんて、ほめられた趣味ではないですね。怪盗リンクさん」

少女……スカーレットが先ほど突進してきた影に問いかけた。
彼女の手にあったはずの宝石は、黒い影……リンクの手に握られていた。

「盗まれるヤツが悪いに決まってるだろ」

リンクと呼ばれた少年は"ルピスの涙"を自慢げにかかげながらあざ笑った。
彼もスカーレットと同じく黒の衣装に身を包み、目元を仮面で隠していた。
そう、彼女と彼はこの街に暗躍する同年代の怪盗であった。

「悪いけど返してもらいます!」

スカーレットはリンクに向けて走り出した。
彼女の俊敏さは並の女性を遥かに凌ぐものであったが、先ほどの攻防から分かるように身体能力はリンクの方が上である。

「……へ、そのまま向かってきて、やっぱりマヌケだな」

当然リンクもそれを把握していた。
彼は彼女の突進を華麗にかわして力の差を見せ付けてやろうと余裕の笑みで身構えた。
しかしその余裕の笑みは突如驚愕へと変わった。
スカーレットがライダースーツのジッパーを、ヘソの下まで下げたのだ。スーツの下には下着の類は確認できず、彼女の白い透き通った肌を覗かせていた。

「うふふふ」

彼女は怪しい笑みを浮かべてさらに駆け寄る。
当然の帰結であるが、彼女の豊満な胸はライダースーツから飛び出し、ステップを踏む度に上下左右へ大きく揺れた。
張りのある大きな乳房の先には薄桃色の美しい突起が付いている。
男ならば誰でも目立追ってしまう光景。当然リンクも例外ではなかった。

349名無しさん:2018/12/11(火) 23:39:16 ID:r1kYDkyc0
■二人の怪盗2
「あらあら、よそ見をしていると大事なお宝が盗まれてしまいますよ」

スカーレットの言葉で我に返った時には、彼女の美しい顔が眼前にあった。
そして彼女の細い指が"ルピスの涙"を彼の手から奪おうとする直前でもあった。
リンクは慌てて半身を捻り宝石を持っている手を彼女から遠ざける。
その瞬間----

「あはっ! いただいちゃいました! あなたの大事な大事な・た・か・ら・も・の……」
「ぐぁあ!!?」

スカーレットが耳元で囁いた突如、リンクの身体に稲妻に撃たれたような衝撃が走った。
彼の下半身は突如力を失い、支えを失った身体は四つん這いになって崩れ落ちた。

「ぉ、あぁ、ぅぁぁあ……あ……」

身体が無意識に痙攣し息が上手くできない。そこで彼はやっと自分の置かれた状況を把握した。
男の最大の急所……睾丸を蹴り上げられたのだ。

「ああああああぁぁぁあああっがああぁ!!!」

その事実を把握した刹那、彼の男性としての地獄の痛みに苛まれた。
自身の急所である睾丸自身からの激痛。そしてそこからジワジワ広がるように下腹部を覆う鈍痛。
どちらも生まれ初めて味わう地獄の痛みだった。
その激痛が波のように、あるいは同時に幾度となく彼を襲い続けた。

「あーあ、一応警告したんですけどね。リンクさんの宝物……殿方の大切なシンボルががら空きですよって」

這いつくばるリンクを見下すように、スカーレットは腰に手を当て仁王立ちで嘲笑した。
まだスーツのファスナーは戻しておらず、豊満な二つの乳房が露出している。
リンクが今顔を上げれば、絶景が拝めるのだが彼は睾丸からくる激痛に身動きが取れない。
先ほどまで圧倒的に有利だった状況が、たった一発の蹴りで覆されてしまった。

「ではリンクさん、このお宝は返してもらいますね……」

スカーレットは彼の脇に落ちている"ルピスの涙"を拾い上げると、激痛で痙攣している彼のしゃがみ込み耳元で囁いた。

「この一件で身に沁みたと思うのですが、リンクさんたち男の人はとてもとても大切な本来なら地下室の金庫にでもしまっておくような"宝物"を不用心に持ち歩かなくてはいけないんです」
「ぁうっ!!」

突然の感触にリンクは驚き喘いだ。
スカーレットが尻の側から彼の睾丸をズボン越しに撫で始めたのだ。
それはとても優しい手付きで痛みを加えるようなものではなかったが、リンクは今まで味わったことのない恐怖を感じた。
自身の男性としての生殺与奪を握られているので無理もない。

「しかもその"宝物"は両足の付根……股間なんていうどうしようもなく無防備な場所にぶら下げていないといけないんです。これはもう『狙って悶絶させて下さい』って催促しているようなものですよ」
「……」

スカーレットはリンクの二つの睾丸を撫でながら続ける。

「さっきの膝蹴りも手加減してあげたんですよ。私の全力疾走の膝蹴りなんて当てられたら、こんな骨はおろか筋肉にも守られてない、管一本と薄皮一枚でぶら下がってるプニプニの脆弱な肉塊なんて一瞬で潰れちゃうんですからね」

彼女は睾丸から手を離した。しかしまだリンクの傍から離れずにしゃがみ込んでいる。
俯向いて激痛に痙攣している彼にもその気配は感じとれた。

「ですから、今後は私のお仕事をあまり邪魔しないでいただけると助かります。伝えといていただけますか、リンクさんの股間に無様にぶら下げてるこの大事な大事な・キ・ン・タ・マ・にっ!!」
「はぐぉうっ!!!!?!??」

スカーレットはそう囁くとリンクの副睾丸を弾いた。しかも二本の指で均等に。気を抜いていたところへ急所中の急所へ打撃を加えられ彼の身体は大きく跳ねた。それと同時にスカーレットの放り出された乳房も小さく揺れた。

「うふふふ、それじゃちゃんと伝えといて下さいね」

スカーレットはリンクのシンボルを弾いた指を軽く舐めると、その指で"ルピスの涙"を摘み上げ胸の谷間に押し込み、スーツのジッパーを首元まで戻した。

その後もリンクはスカーレットと同じ国で怪盗を続けたが、彼女の獲物を横取りすることは一切しなくなった。
逆に彼女から横取りされることが多くなった。当然彼も抵抗したが勝率は芳しくないが当然である。
男であるリンクは女であるスカーレットにはない"守らなくてはならない宝"を股の下にぶら下げていなくてはいけないのだから。

350名無しさん:2018/12/12(水) 14:36:35 ID:jHXqhGz.0
素晴らしかったです
男の悶絶する様子と、攻撃した女の佇まい、短いながらも読みたい情報がちゃんと書かれていて楽しめました
女であることを胸の描写で強調するのもまた良いですね
玉ピンした瞬間に揺れる表現、弾いた指を舐める、などの細かい仕草も好みです
乙でした〜

351名無しさん:2018/12/12(水) 18:47:12 ID:v86RweEU0
乙でした
(二戦目からはファールカップ付けるんじゃね?とかは黙っておこう)

352名無しさん:2018/12/12(水) 19:52:59 ID:ubIhPFC60
>>351
黙っとけよ

353名無しさん:2018/12/13(木) 13:53:52 ID:T.6H315E0
ファールカップなんか付けたら機動力が落ちちゃうだろ!(棒読み)

久しぶりの投下乙です
お色気で油断させてからの金的という王道展開に性差表現もバッチリでお手本のようなSSだった

354名無しさん:2019/01/01(火) 09:35:18 ID:6JT25GMA0
お正月から古典太平記で新作の音声作品が出ていて
うれしいと思ったら、昨日、再度更新があったんだな
金蹴り祭りでうれしい
除夜の鐘代わりで、煩悩も吹っ飛ぶぜ!

355名無しさん:2019/01/14(月) 21:29:45 ID:GSvOdZkc0
新作SSが来たな
イラストは上出来

356名無しさん:2019/02/02(土) 00:41:30 ID:ftGvlgME0
『長さ比べ』①


「絶対俺の方が長い!」
「何言ってんのよ。どう見たって私の方が長いじゃない」

二人の男女が言い合っている場所は、とある公立高校の放課後の教室。
掃除当番で残っていた二人の他には、誰もいない。

「何なら比べてみるか?」
「ええ、望むところよ」

普段から何かあればすぐ口喧嘩になってしまうこの二人は、今日もいつものように些細なことで言い合いになっていた。
男子生徒が「お前は高2になっても小学生みたいな胸のサイズだな」と言えば、女子生徒も「そういうあんたは高2になっても小学生みたいな身長ね」と言い返す。

そこからは先は、考えるより先に口が動く、いつもの展開だった。

「はあ? お前の方がチビじゃねーか!」
「ほとんど変わんないじゃん。それに脚だけなら私の方が長いし」
「バカかお前? 俺の方が長いに決まってるだろ!」

そして冒頭の会話に至ったという次第だ。

高校2年にもなる男女が互いの脚の長さを比べて言い合いをしているという、なんとも滑稽な状況だが、生憎ここは二人だけの世界。
ヒートアップしている二人には、自分達の姿を客観視する余裕は無かった。

「で、どうやって比べる?」
「立ったままだと分かりづらいわ。とりあえず座りましょう」
「よし」

二人はぺたん、とその場に座り込んだ。
最初は横並びになって脚を伸ばしてみたが、微妙に差が分かりづらい。

「これじゃあよくわからないわね……そうだ! 向き合って互いの脚を互い違いにすればいいのよ」
「ああ、そうだな」

二人は向かい合う格好になり、互いに互いの脚を挟み込む姿勢になった。

最初、二人は互いに距離を取っていた。
そうしないと、いずれかの脚が相手の股間に当たってしまう可能性があるからである。

だが、ここで女子生徒の方が何かに気付いた。

「……ねぇ」
「な、なんだよ」

そしておそらくは、男子生徒の方も気付いている。

「これ……やっぱり私の方が長いよね」
「え? そ、そんなこと……ないだろ」
「ふ〜ん?」

女子生徒はにやりと笑うと、座ったまま、少しだけ身体を男子生徒の方に近づけた。
もう少しで、上履きの裏が男子生徒の股間に当たりそうな位置だ。

「ほら」
「ぐ……」

対して、男子生徒の脚の方は、まだ女子生徒の股間まで距離がある。
それはすなわち、この勝負が女子生徒の勝ちであることを意味していた。

「ほら、認めなさいよ。このままだともう当たるわよ?」
「う……」

確かに、もはやこの状況での言い逃れは厳しい。
しかし、彼にも男のプライドがあった。

「ひ、引き分け……かな」
「は?」

女子生徒の眉が吊り上がる。

「引き分け……うん。引き分けだ」
「…………」

357名無しさん:2019/02/02(土) 00:44:49 ID:ftGvlgME0
『長さ比べ』②


女子生徒は一瞬無言になった後、

「……あ、そう」

冷たい声で呟くと、さらに身体を男子生徒の方に近づけた。

「あっ!」

女子生徒の足裏は、完全に男子生徒の股間に密着した。
予想外の状況に、男子生徒は思わず声を上げた。

「これでもまだ、そんなことを言うの?」
「…………」

他方、男子生徒の脚はまだ女子生徒の股間に触れていない。
もはや勝敗は誰の目にも明らかだった。

「ほら、認めなさいよ。自分の負けを」
「…………」

しかしこの状況でもまだ、いや、こんな状況になってしまったからこそ、男子生徒はなおさら自分の負けを認めることができなくなっていた。

「ちょっと! 何とか言いなさいよ!」
「…………」

股間に足をあてがわれたまま、沈黙を貫く男子生徒。
その煮え切らない態度に、女子生徒も遂に我慢の限界を超えた。

「……あ、そ。そういうことなら……」
「え?」

女性生徒は男子生徒の両足首をつかんだ。

「! ちょ……」
「よい! しょーっ」
「!!」

そしてそのまま一気に、男子生徒の両足首を自分の方に水平に引っ張った。
男子生徒の股間に、女子生徒の脚が深く刺さる。

「い! ちょ……」
「ほ〜ら!」

ぐぐぐっと、女性生徒はさらに男子生徒の脚を強く引き付ける。

「! あ、あぐっ……」
「ほら、こ〜んなに強く引っ張っても、あんたの脚、まだ私に届いてないわよ?」
「あ、ぐぎぎ……」

女子生徒はあくまでも、『男子生徒の脚が自分の股間に達していない』という元々の勝負の結果を強調するが、男子生徒の方は、もはやそれどころではなくなっていた。

「あ、あああ……」

女子生徒の脚によって、自分の股間、それもちょうど急所の位置に強く圧をかけられている状態になっているためだ。
しかし当の女子生徒の方は、そんなことには微塵も思考が及んでいない。

もちろん、自分の脚が男子生徒の股間にめり込んでいること、そして男子生徒の股間に急所が付いていることは理解しているが、今のこの状態が男子生徒にどれほどのダメージを与えているかまでは認識できていないのだ。

「ちょっと! まだ認めないの?」
「い、いだ……」
「何?」
「いだい……」

これも男子生徒にとっては不運だったのだが、女子生徒の脚は、ちょうど彼の玉を恥骨に押し当てる形で圧迫していた。
男子生徒にとっては堪えようがない程の激痛である。

「痛い? 何が?」
「た……」
「た?」
「玉……」
「タマ?」

358名無しさん:2019/02/02(土) 00:50:52 ID:ftGvlgME0
『長さ比べ』③


そこでようやく、女子生徒も事態に気付いた。

「あー、なんだ。タマって……そういうこと?」
「…………」

男子生徒は無言で頷く。

「ふ〜ん。ただ押し付けてるだけなのに、痛いんだ。蹴られたら痛いっていうのはよく聞くけど」

女子生徒は他人事のように言いながら、

「で、どうなの? 自分の負けを認めるの?」
「……それは……」

本当はもう脚の長さ比べなどどうでもよかったが、しかしこの体勢のまま自分の負けを認めると、もう一生この女子生徒には逆らえなくなってしまうのではないか。
そんな直感にも似た予感が、彼を一瞬躊躇させた。

「も〜、まだ認めないの? なら……これでどうだ!」

女子生徒は、さらに強く男子生徒の両足首を引っ張った。

「ぎゃあ!」

玉がさらに体内に押し込まれるような感覚に、男子生徒は思わず悲鳴を上げた。

「あはは! 痛そう!」
「う、うぅう……」
「ほらほら、このままだとあんたの金玉、身体ん中に入ったまま、戻って来なくなっちゃうかもしれないわよ?」

嬉しそうに言いながら、男子生徒の脚をぐいぐいと引っ張り続ける女子生徒。
男子生徒はもう限界だった。

「わ、わかった……俺の負け。俺の負けだ!」

半分泣きそうなその声を聞いて、女子生徒はようやく男子生徒の足首から手を離した。
男子生徒はすぐに股間に手を当ててうずくまる。

「うぅう……」
「あはは。金玉大丈夫? ちゃんと下りてきてる?」

勝負に勝った嬉しさと、目の前で苦しんでいる男子生徒の様子のおかしさがあいまって、女子生徒はケラケラと笑いながら尋ねる。

「でも変なの。別に蹴ったりしたわけでもないのに、そんなに痛いなんて」
「…………」
「もし、思いっ切り蹴っ飛ばしたりしたら……どれくらい痛いんだろう?」
「! な、何を……」

さらっと恐ろしいことを言う女子生徒に、男子生徒は思わず顔を青くする。

「あはは! 冗談だって! まあでも、もしまたあんたが私に変なことを言ったりしてきたら……」
「い、言わない! 言わないから!」
「ん?」
「い、言わない……です」
「よろしい」

すっかり覇気を失った男子生徒を見て、女子生徒は満足げに頷いた。
男子生徒は先ほどの予感の通り、もう一生、この女子生徒には逆らえなくなってしまったことを悟った。


「ほら、いつまでもうずくまってないで、早く立って! ……金玉蹴るよ?」
「ははいっ! すみません!」








359名無しさん:2019/02/02(土) 22:23:52 ID:rweMfqL60
>>356
ナイス!
あとは評価が分かれると思うけど
少し男に欲情させた方が面白い。
例えば、今回は最初、異性を余り意識しない女子みたいだから
パンチラとか、竿狙いの電気あんまとか。

360名無しさん:2019/02/03(日) 23:42:24 ID:yUupfZQw0
とても良い!
対等に見えてた力関係が、タマの存在の露呈により一瞬で崩壊…急所の威力と明暗を分けた男女の差を強く感じられました
知識としては知ってたけど、目の当たりにした実感によって利用できる急所だと意識した女の子が『目覚めた』瞬間を描いていて素晴らしいです
その後自分から普通に金玉って呼んじゃうのもとても萌えました
この二人がやがて恋仲になったとしても男の子は尻に敷かれちゃうんだろうなあと想像の余地があるいい引きでした

361名無しさん:2019/02/04(月) 06:46:31 ID:4f1J5RTo0
乙です〜
個人的にはもう少し玉責めパートが欲しいけどちゃんと性差も描けてて良いSSだと思う

>>359
感想書く時の配慮なんだけど、「〜の方が面白い」とか断定的な表現使うと上からな印象になっちゃうから
「個人的には〜」とか「〜だと思う」とかあくまで自分の主観だという事を示す書き方にした方が良いかも
文章作法上の問題ならともかく内容は個人の好みだからね

362名無しさん:2019/02/11(月) 22:04:01 ID:UjBvFcQQ0
『金的上手の山本さん』①

いつものように山本さんの鋭い蹴りが僕の急所にめり込む。

「うっ……」

僕は呻きながら股間を押さえ、その場にうずくまる。

「ははっ。入ったなー今の」

嬉しそうな山本さんの声が頭上から響く。

放課後、体育館裏。

一昔前のラブコメ漫画ならヒロインから告白されてもおかしくないような秘密の場所で、僕は同級生の女子に急所を蹴り上げられて苦しんでいる。

僕と山本さんのこの歪な関係が始まったのは、今からもう一年ほど前になる。
高校最初の夏休みを前にした、7月のある日のことだった。

-----------------------------------

「おい、そこのお前」
「……え?」

その日の放課後、この体育館裏で、僕は不意に女子からそう呼び止められた。
少しドスを利かせた感じだったが、可愛らしい声だった。

「お前だよ。他にいねーだろ。バカ」
「…………」

不機嫌そうな顔でそう言っていたのが、同学年の山本さんだった。
顔は間違いなく美人の部類に入るが、いわゆるヤンキー系で、少し怖い感じの女子だった。

「……僕に、何か用?」

同学年といってもクラスも違うし、話したこともない。
ただ入学当初から、なんとなく怖い感じの女子がいるらしい、という程度で話は聞いていたので、一方的に認識はしていた。

「…………」

山本さんは僕の問いには答えず、無言で僕の方に近づいてくる。

参ったな、と僕は思った。

ゴミ捨て当番の帰り、単に近道だからという理由で通った体育館裏で、まさかこんなバッドイベントが待ち構えていたなんて。

……とはいえ。

僕はちら、と改めて山本さんの容姿を一瞥した。

第一印象、茶髪ロングの美人。
胸元のシャツを少し開けており(服の上からでもわかる程度には胸もそこそこあるようだ)、膝上15センチほどのミニスカ。
まさにザ・ヤンキー……というほどではないにせよ、ヤンキー「系」というカテゴリーには間違いなくあてはまるだろう。

黙っていれば十分モテそうだが、如何せん、このヤンキー「系」特有のオーラが男を寄り付かせない雰囲気を醸し出しているような気がした。

実際、どこかで男と一緒にいたという話は聞いたことがないし、そもそも彼女は他のギャルグループとつるんだりもしておらず、基本一人で行動していると聞いたこともある。
もし今の状況で、彼女のようなヤンキー「系」女子5〜6人に取り囲まれでもしたら、流石に多少は身の危険を感じるだろうが、今回はそんな心配も要らなさそうだ。

その他、胸がそれなりにありそうな以外はスタイルは全体的に細身。
身長は女子にしてはやや高い方だが、せいぜい僕と同じくらいだ。

仮に取っ組み合いになったとしても、特に意識するほどの体格でもない。

以上のような前提知識が僕を安心、もとい油断させたのは間違いない。
いくら多少ツッパっていても、女子は女子。
どうということもないだろう。

僕は本心からそう思った。

363名無しさん:2019/02/11(月) 22:07:34 ID:UjBvFcQQ0
『金的上手の山本さん』②

そんな僕の内心を知ってか知らずか、僕の真正面に立った山本さんは端的に言った。

「金、出せ」
「は?」

思わず聞き返してしまった。

「最初だから、今持ってる分だけで許してやる。出せ」
「……いや、何で僕が……」

まさか、一対一の状況で女子からカツアゲされるなんて。
よっぽど貧弱そうに見えたのかと思うと情けないやら腹立たしいやらだったが、流石にこんなのにまともに取り合ってはいられない。

他を当たってくれ、とでも言わんばかりに手を振り、その場を立ち去ろうとすると。

「ッ!?」

一瞬、何が起きたのか分からなかった。
軽く身体が浮き上がったような気がした。

目の前にいた山本さんが僕の股間……即ち、急所を蹴り上げたのだと理解したのと同時、僕は地面に崩れ落ちた。

「う、うぅう……」

両手で股間を押さえ、人目も憚らずに(といっても、この場には僕と山本さんしかいないのだが)呻く。

完全に不意を衝かれた。
正直油断していたのは事実だが、まさかノータイム・ノーモーションで物理攻撃を仕掛けて来るなんて思いもしなかった。

(それも、よりによって……)

こんな所を蹴らなくても、と思わずにはいられなかった。

股間から込み上げてくる鈍痛に、僕は為す術も無かった。
これまでも事故で股間を打ったりしたことは何度かあったが、こんな風に、誰かから思いっ切り蹴り上げられたことは今までなかった。

男子にすらされたことがないのに、まさか女子にされる日が来るなんて……。

過去、ここまで直撃といっていいほどのレベルの衝撃を急所に受けた経験が無かった僕は、暫く立ち上がることができなかった。
同時に、こんな無防備な状態を晒すのは危険過ぎるとも思ったが、意外にも山本さんからの追撃は無く、ただ嘲笑混じりの声が聞こえてきただけだった。

「あはは。効いただろ。最初から素直に出しとけばいいのに、バカなヤツ」
「…………」

やはり彼女は故意に僕の急所を蹴り上げたのだ。
流石にあれだけ的確に蹴っておいて、「ごめんごめん、当たっちゃった」は無いだろうと思っていたが。

ただ、同時に少し気になった。
いくら狙ったとしても、ほとんどノーモーションで、ここまで正確に男の急所を蹴り上げることができるものだろうか?

見た目が少しヤンキー系であることを除けば、山本さんはどこにでもいそうな普通の女子高生なのに……。

そんな僕の疑問を読み取ったかのように、山本さんは続けて話した。

「私、中学まで空手やってたんだ」
「!」

その情報は初耳だった。

「試合では当然金的禁止なんだけどさ。練習中、私は面白いからしょっちゅう男子の金玉蹴って遊んでたんだ」
「…………」

当たり前のように話すその声に、僕は背筋がぞくっと寒くなる心地がした。
まるで武勇伝を語るように、山本さんは続ける。

「男子達もバカでさ。明らかに悪いのは私なんだから、『山本さんに金玉蹴られました』って、親とか師範とかに言えばいいのに、言わないんだよ。男のプライドってヤツかな? はは」
「…………」

その気の毒な男子達の気持ちは、僕にもよく分かる。
僕だって、今のこの状況――「同級生の女子に急所を蹴られて苦しんでました」――なんて、恥ずかし過ぎて親にも先生にも言えない。

「でも玉蹴られた男子ってどうしても動きが鈍くなるから、師範もすぐ気付くんだよ。『どうした? 金的入ったのか?』って。でも男子達は『はい。練習でちょっと当たっちゃって……』とかもごもご言うだけで、私の名前は絶対出さない」
「…………」
「だから、私はどれだけ男子の金玉を蹴って遊んでても、一切お咎め無しだったってわけ。いやー、楽しかったな。あれは」
「…………」

この瞬間、僕ははっきりと理解した。

この山本さんという人は、男子の急所を攻撃するのに何の抵抗感も罪悪感も抱いていない。
ただ「自分の身体には付いていない、遊ぶと面白い玩具」という程度の認識しか持っていないのだ。

「とまあ、ずっとそんな風に遊んでたからさ。私、上手いんだよ。玉蹴るの。痛かっただろ? 実際」
「…………」

ともかく、これで合点がいった。
ただのヤンキー系女子にしては、異常なまでに的確に、僕の急所を蹴り上げたことが。

364名無しさん:2019/02/11(月) 22:09:17 ID:UjBvFcQQ0
『金的上手の山本さん』③

「さ、もう十分回復しただろ? 立てよ」

次の瞬間、山本さんはまた最初のような少しドスを利かせた感じの声になった。
元々の声が可愛らしい感じなので、正直この声単体ではそこまでの迫力は無いのだが、今の僕に恐怖心を与えるには十分だった。

「う……」

回復しただろ? と山本さんは言ったが、もちろんこんな短時間で回復するはずはない。
僕はまだ痛みの残る股間を庇うようにしながら、よろよろと立ち上がった。

「あははっ。何よろついてんだよ。子鹿かお前は」

山本さんは楽しそうに笑う。
僕をこんな状態に陥れた張本人がよく言う……。

「じゃあ、金出せ」
「…………」

すっかり忘れていたが、そういえば僕は彼女にカツアゲされていたのだった。

「小銭は勘弁してやるから、札だけ全部出せ」
「わ……わかった」

この時、僕の精神は既に山本さんに支配されていたのかもしれない。
その気になればもっと抵抗することもできたのかもしれないが、あまり深く考えることも無く、財布から千円札を二枚取り出して渡した。

「二千円ねぇ……」

山本さんは不満そうに僕から金を受け取りつつ、

「まあ、最初だからいいか。次からは五千円用意しとけよ」

そう言った瞬間。

「うっ!?」

山本さんはまたしても、ノーモーションで僕の股間を蹴り上げた。
たまらず、再び崩れ落ちる僕。

「三千円足りなかったから、三回な。あと二回蹴るから」
「………!?」

む、無茶苦茶な……。

全身を脂汗が伝う。
というか、最初に「今持ってる分だけで許してやる」って言ってなかったか……?

いや、この際それを置いたとしても、さっき一回蹴られてるのに……。

様々な疑問や疑念が渦巻いたが、僕はすぐに考えるのをやめた。
もう考えるだけ無駄だと、本能的に悟ったからだ。

365名無しさん:2019/02/11(月) 22:15:58 ID:UjBvFcQQ0
『金的上手の山本さん』④

「よし。もういいだろ。立て」
「…………」

僅かとはいえ、回復のためのインターバルを挟んでくれるのは、彼女なりの最低限の優しさなのかもしれない。

しかし如何せん、僅か過ぎた。
おまけにさっきより短くなってるし……。

「うぅ…………」

ほとんど回復していない状態で、僕は再び立ち上がる。
自分でもまだこうして立つことができるのが不思議だった。

「足、開け」

言われるがままに、足を開く。

「はい、ラスト2!」

ドスン、と山本さんの足の甲が僕の股間にめり込む。

「うっ……」

うずくまる僕。
まるで何度も同じネタを繰り返すコントのようだ。

「おー。今の、きれいに入ったなー。痛かっただろ?」
「…………」
「分かるんだよな。上手く入った時って。こう、玉が二つとも足の甲の上に『ぐにっ』って乗った感じがしてさ。こうなると痛いんだよな〜すっごく!」
「…………」

山本さんはしたり顔で、うん、うんと頷きながら言っている。
どれだけ痛いか知らないくせに……とは口が裂けても言えない僕だった。

「でもヘンだよな、金玉って。何でこんな急所がこんな蹴りやすい位置にぶら下がってるんだ? どう考えても身体の中に入ってた方が安全だろ」
「…………」

そんなこと、こっちが聞きたいくらいだ。

「よし。次で最後だ。立て」

言われるがままに立ち上がる。
山本さんにより既に都合三回も急所を蹴られている僕は、痛みと吐き気と眩暈で思考力はほぼゼロになっていた。

「開け」

命じられるがままに足を開く。

「これで、ラストッ!」

ミシミシッ、という擬音語が似つかわしいほどの勢いで、僕の二つの玉は山本さんの足の甲で綺麗に掬い上げられた。

「うっ……」

一瞬、目の前が真っ白になった。
いっそこのまま気絶できたら良かったのにとすら思ったが、残念ながらそれは叶わず、僕ははっきりした意識を持ったまま、この日四度目の――それも最上級の――苦しみを味わうこととなった。

「はっ……あっ……あっ……!」

地面に額を擦り付け、両手で股間を押さえたままひたすら呻く。
もしこんな惨めな姿がSNSで拡散されたら、僕はきっと自殺するだろう。

だが山本さんは僕の姿を写真や動画に撮ったりはしなかった。
その代わりに、嬉しそうにこんなことを言った。

「あはは。今の一番効いただろ? 最後だから、ちょっとだけ本気で蹴ったんだ」
「…………」

道理で……。
これまでの三回の蹴りも相当なものだったが、最後のそれは群を抜いていた。

……というか、今ので「ちょっとだけ」……?

眩暈がしたのは、きっと痛みのせいだけではないだろう。
山本さんは楽しそうに続ける。

「しかも男にとって一番痛い、フクコーガンってとこを狙って蹴ったんだ。地獄の苦しみだろ?」
「…………」

副睾丸、という言葉を聞いたことはあったが、そんな急所の中の急所だったとは知らなかった。
男の自分ですら知らないような急所の知識を、まさか同級生の女子から、それも身をもって教わる日が来ようとは……。

「じゃあ、今日はこれで。お前、明日からは毎日財布に五千円入れとけよ。こうやって金玉蹴られたくなかったらさ。はは」

最初に声を掛けてきた時の不機嫌面はどこへやら、山本さんは実に楽しそうな笑みを浮かべながら、うずくまったままの僕にそう言い残して去って行った。

366名無しさん:2019/02/11(月) 22:20:58 ID:UjBvFcQQ0
『金的上手の山本さん』⑤

-----------------------------------

そんな風に僕と山本さんが出会ってから、もう一年以上になる。
高校二年生に進級してもなお、僕達のこの歪な関係は続いている。

頻度にして月に2〜3回、僕は山本さんからいつものこの体育館裏に呼び出されると、儀式のようにその日財布に入っている千円札をあるだけ差し出す。
彼女は五千円用意しておけと毎回言うが、そもそも僕の毎月の小遣いが五千円なので、当然の事ながら毎回足りない。

足りない分は、千円ごとに金的蹴り一回のペナルティ。
最後の一回以外は、彼女曰く「50〜60%程度の力」で蹴り、最後の一回だけは「70〜80%程度の力」で、それも副睾丸を狙って蹴り上げるというのが習慣だ。

ちなみに、これは暫く経ってから知ったことだが、彼女が「最後の一蹴り」をそれまでより強い力で蹴るのは、「最後の一回なら、蹴ったらそれで終わりだから。それまでだと、回復するまで待ってやらないといけないから」ということだった。

つまり、やはりあのインターバルは、僕が最初の日に感じた通り、彼女なりの優しさだったということだ。
ただ実際、回復にはほとんど意味をなさない程度の時間しか与えられないので、事実上、ほとんど意味の無いインターバルとなっているのだが……。

「さあ、もういいだろ。立て」
「う……」

今日も短めのインターバルが終わり、僕は再び立ち上がる。
とはいえ、今日は幸いにも三千円入っていたので、金的蹴りは二回で済む。

(……って、なけなしの三千円巻き上げられて、そのうえ二回も急所蹴られて、これのどこが『幸い』なんだ……?)

いつものように疑問が一瞬頭をもたげるが、やはり深くは考えない。
考えても意味は無いし、考えても結局僕はこうして山本さんの前に立って足を開くことになるからだ。

そう。
今ではもう「開け」と言われるまでもなく、彼女の前に立ったら条件反射のように足を開いてしまう自分がいた。

「じゃ、いっくぞ〜。せーのっ!」
「うっ!」

ドスン、と深く、山本さんの足の甲が僕の股間にめり込む。
山本さんの蹴りは本当に的確で、正確に僕の玉(しかもこれは最後の一回なので副睾丸)だけにダメージを与えることができる。

「あ……」

いつものようにうずくまる僕。
この一年間、何百回と山本さんに急所を蹴り上げられてきたけど、この「最後の一回」だけは本当にいつまで経っても慣れる気配すらなく、まさに「地獄の苦しみ」と言うほかない。

「ぷぷっ。いたそ〜」

僕の急所を蹴った後、山本さんは本当に嬉しそうに笑う。
でもそれは本当にそれだけで、うずくまる僕の頭を踏ん付けたり、背中やお腹を蹴ったりするようなことはしない。

多分彼女は、単純に『玉を蹴られて苦しんでいる男』を見るのが好きなのだろう。
変な事を言うとまた余分に急所を蹴り上げられそうな気がするので、確かめたことは無いけれど。

「あー。面白かった。じゃあまた明日な」

山本さんはまだうずくまっている僕に笑顔で手を振ると、そう言って去って行った。

(また明日、ね……)

基本的に、山本さんは気まぐれだ。
今日みたいに「また明日」と言いつつ、1〜2週間も音沙汰が無いことなんてしょっちゅうだし、逆に「また来週な」なんて言った次の日から三日連続で呼び出されたこともある。

だから、僕はもう深く考えるのはやめた。

考えても意味が無いし、山本さんに呼び出されたら最後、僕はこの体育館裏に足を運ぶ以外の選択肢は無いのだから。
たとえ財布の中に、千円札が一枚も入っていない日であったとしても。

367名無しさん:2019/02/11(月) 22:24:26 ID:UjBvFcQQ0
『金的上手の山本さん』⑥

――翌日。


昨日、山本さんに二回蹴り上げられた急所の痛みがまだ少し残っている。
今日は体育の無い日で良かった。

……とはいえ、当の山本さんに呼び出されたら元も子も無いんだけど。

そんなことを考えていた矢先だった。

「あっ」

僕は思わず足を止めた。
廊下の反対方向から、山本さんがこちらに向かって歩いてきていたのだ。

「? どした?」

僕の隣にいた友人が尋ねる。

「い、いや……なんでもない」
「?」

僕には当然気付いているだろうが、山本さんは表情一つ変えずにつかつかと歩いてくる。

そもそも、僕達二人は同じ学校で同じ学年だ。
クラスこそ違えど、こうして「いつもの場所」以外でニアミスするのは一度や二度の事ではない。
現に僕達はその都度、赤の他人のような顔をしてすれ違ってきた。

……いや、実際、今も赤の他人のようなものだけど。

とにかく、僕達は表向きには何の接点も無いのだから、他人のように通り過ぎる以外に取り得る選択肢なんて無いのだ。
もっとも、昨日の今日ですれ違うのは何となく気まずいような気はするけれど。

一歩、二歩。
僕達は互いに互いを見ようとはせず、各々の歩みを進める。

それは一瞬の偶然だった。

僕の左隣を歩いていた友人が、何の気無しに、僕とは反対側の窓の外に目をやった。
その瞬間、僕の右側ですれ違う直前の山本さんがにやりと笑った。

「えっ」

ドスッ、と、山本さんの足の甲が僕の股間にめり込んだ。

「…………!」

山本さんはすぐに足を引く。
時間にして1秒も無かっただろう。

「あ、あ……」

僕はその場にうずくまりそうになるのを必死に堪える。
そんな僕の様子を愉しむように、山本さんは僕の右側を通り過ぎる瞬間、そっと耳打ちした。

「今日、来いよ」

それだけ言い残すと、何事も無かったように通り過ぎて行った。
ほどなくして、友人が僕の方に向き直る。

「……ん? どした? お前」
「え、い、いや……別に、何も」
「何もって……え? なんかいきなり顔色悪くなってねぇ?」
「な、なってないって。は、はは……」
「?」

友人は訝しそうにしていたが、それ以上追及しようとはしなかった。
まさかほんの一瞬目を離した隙に、隣を歩いていた友人がすれ違いざまに女子に急所を蹴り上げられていたなど、想像だにしないだろう。

僕は急所の鈍痛を堪えながら、なるべく平静を装って廊下を歩いた。

今日もまた、山本さんの気まぐれに支配される放課後が待っている。








368名無しさん:2019/02/11(月) 23:58:27 ID:LbN82ZUs0
>>365
ここすき

369名無しさん:2019/02/15(金) 22:13:52 ID:SnK2MDZE0
良かった乙乙
続編が欲しくなる引きですね(チラッチラッ

370名無しさん:2019/02/21(木) 02:01:50 ID:LHWBgZWI0
タイトル名からして、からかい上手の高木さんを思い出す
書いてみたいけど俺には文才ないわww

371名無しさん:2019/03/18(月) 14:48:03 ID:V9KSMS9g0
金玉を蹴る女達復活しとるやんけ

372名無しさん:2019/03/18(月) 20:51:35 ID:8u0jV4NY0
もう諦めて最近更新確認してなかったから助かるわ

373名無しさん:2019/03/22(金) 21:09:24 ID:3l1OGRb20
>>371
グッジョブすぎ!!!
更新に3週間も気づかなかったw

374名無しさん:2019/05/02(木) 15:59:43 ID:TWgbPKzI0
いつもお世話になっています
令和もよろしくお願いします

375名無しさん:2019/05/04(土) 23:25:37 ID:EF7lyctQ0
令和記念に何か無いですかね…

376名無しさん:2019/05/06(月) 09:34:09 ID:bW/F4bMI0
今月に入って更新があったのは古典太平記だけですね。
季節外れのひな祭りの音声作品と言うのがツボでした。

377名無しさん:2019/05/06(月) 13:25:43 ID:2vaqAbvo0
前はそれなりに投稿されてたけど以前の書き手はどこでやってるのですかね

378名無しさん:2019/05/06(月) 20:13:25 ID:MKBxFYRs0
焦らず待ちましょうよ
書き手がいなくてもスレが存在しているだけで幸せなこと

379名無しさん:2019/05/15(水) 11:19:46 ID:YGGCvqb20
過去の作品をサルベージするのも楽しいぞ
2ちゃん時代のスレにはSSが大量に眠ってるからな

380名無しさん:2019/05/22(水) 19:37:18 ID:offtDZHI0
>>379
おすすめ教えてほしい

381名無しさん:2019/06/16(日) 18:03:54 ID:uWFC6vzM0
ttps://www.youtube.com/watch?v=WbZpG0dRKk0&t=1273s

"金蹴り"にハマる女性が急増中♡ディープな大会にグラドル三宿菜々が"女王様"として潜入!「思ってたよりも楽しめた自分が怖い」|『給与明細』#53

382名無しさん:2019/07/06(土) 07:46:25 ID:1sQfL5F.0
親の敵の武士に金蹴りして首を取り
墓前に報告する音声って、すごい斬新だよな
そもそも墓前報告する金蹴りボイス自体ないだろう

383名無しさん:2019/07/06(土) 22:25:26 ID:ERTaLx1Q0
何の話か知らんけどどうでもいい部分を斬新にする意味はあまり無い

384名無しさん:2019/07/07(日) 11:10:56 ID:YvCxrL6M0
>>383
古典太平記のコメント欄にあったリクエスト
冷静に指摘されると、たしかにそのとおり

385名無しさん:2019/07/15(月) 11:19:27 ID:1wOypGKE0
今回の古典太平記の感想コメを見ていて気になったんだけど
スマホでボイス動画を見ている人って
電車の中とかでもイヤホンを付けて見ているの?

386名無しさん:2019/07/15(月) 11:31:34 ID:51YurzzM0
しかしどこも動き無いな
嫁婿の人がpixivで再開したけどそれも結構前だし

387名無しさん:2019/07/15(月) 11:57:16 ID:y0/HwmD.0
一瞬、金玉を蹴る女達が更新再開したけど、また止まって音沙汰なし
今、定期的に更新しているのは、しっぽの練習帳と古典太平記位だろう
寂しい

388名無しさん:2019/07/15(月) 21:35:54 ID:51YurzzM0
一時期ここにたくさん投下してくれたダークな作風の人も最近見ないなぁ
抜ける上に話もすごく考えられてて好きだったのに

389名無しさん:2019/07/15(月) 22:37:59 ID:JXIdl3KE0
ぜいたくを言うと、たまには金蹴りイラストも見たい
金蹴りドアップで描いてある物がイイ!

390名無しさん:2019/07/16(火) 20:52:21 ID:S/KMKWTA0
前いたエクストリームの人とか嫁婿の人とか好きだったわ
このスレの存在を知らないとか?

391名無しさん:2019/07/16(火) 21:09:57 ID:Td0eCJbg0
嫁婿の人はここにも投下してる
エクストリームの人は分からないけど普通に力尽きたんだと思う

392名無しさん:2019/07/18(木) 02:08:34 ID:xkeyOhoo0
ロッカーの中に隠れてたら見つかった話とかスパリゾートとか未だに待ってる

393名無しさん:2019/07/18(木) 12:02:43 ID:33w0PoxE0
>>392
ロッカーの中の話って何?
見たい

394名無しさん:2019/07/18(木) 20:39:09 ID:NeqOhf2Q0
導入が丁寧なだけに続きが気になるよね

395名無しさん:2019/07/27(土) 15:52:18 ID:fmD6PwHo0
女子が一方的に話して、男キャラのセリフがない物も
SSに分類される?

396名無しさん:2019/07/27(土) 23:31:38 ID:oiSdH3B.0
自分はアリだと思う

397名無しさん:2019/08/09(金) 00:21:38 ID:d4dJevAs0
過去の遺作を見て楽しむのも限界だわ
執拗に責めるのも好きだけどエクストリーム空手みたいに互いの心理の描写みたいな方に重きを置くのが好きだった

398名無しさん:2019/08/09(金) 23:49:26 ID:Yyl/2HJ.0
むかーし、むかしの読み物。アーカイブにぶちこんで貰えば。
読めなくなってるのも多数。保健室の話が好きだったわ(´・ω・`)

ttp://raq1.tlcnet.com/users/tamahimeden/bbp/toukou/syousetsu/index.html

399名無しさん:2019/08/13(火) 04:33:22 ID:.mKf1WhY0
超気になるけど見れない

400名無しさん:2019/08/13(火) 22:00:02 ID:AywWQ/120
>>398
さんくす
しっかり潰してるの多くて良かった

401名無しさん:2019/08/14(水) 01:08:26 ID:guJ4BSnE0
見れないんだが

402名無しさん:2019/08/17(土) 00:22:34 ID:0nXKin3U0
>>398
こんなサイトが昔にあったとは知らなかった。
潰す所までやる話は滅多に見かけないのでとても貴重。
ありがとうございました。

403名無しさん:2019/08/18(日) 17:22:38 ID:WwJ7W2Cw0
俺も初めて知った
昔から色々なキーワードで検索掛けていたけど
なぜ見つからなかったか、謎
まだ埋もれているサイトがあるかも知れない

404名無しさん:2019/08/28(水) 01:28:03 ID:Kz.LC5KE0
みれない・・・

405名無しさん:2019/08/28(水) 11:06:03 ID:8pWVXYSQ0
普通に見ることはできないんじゃないか? たぶん。
アーカイブにぶち込めって書いてるし。web archiveで見るよろし。
なんていうかゲイの人って文章力高いね。今は亡き?kekkoのHPに
男男物を書く人が男女物を書いていくつか投稿してたけど、
抜きん出た品質の高さだったわ。

406名無しさん:2019/08/28(水) 16:46:44 ID:MeSGLwDQ0
というかこの界隈自体が創作力低いんだよね
絵描ける人も文章書ける人も少ない
ゲイの玉責めだって相当なニッチジャンルだろうに作品の質も量も段違いで辛いわ

407名無しさん:2019/08/28(水) 20:15:21 ID:9ui1o7uc0
スカトロやグロリョナの方が需要、供給、知名度も高いというね。
それに対して玉責めは「ずっと書(描)き続ける人」が殆どいない。

408名無しさん:2019/08/29(木) 00:02:20 ID:4pBkok0w0
>>406-407
羨望や悲観するのは分かりますが、もう少し書き方はありませんか
界隈全体を貶める意図はないとは思いますが、創作力や継続力が低いなどと言うのはいかがなものかと

続くようでしたら、SSスレに相応しくないと思いますので議論スレで返信します

409名無しさん:2019/08/30(金) 11:22:22 ID:trBYA3x.0
古典太平記のボイス作品は素晴らしいですね。
管理人さんを尊敬します。

410名無しさん:2019/08/30(金) 15:33:33 ID:OWkLNXqI0
『ド聖さん』ってブログはどうなん?

411名無しさん:2019/08/30(金) 18:49:38 ID:trBYA3x.0
>>410
金蹴りよりも強制射精に力を入れている感じ

412名無しさん:2019/08/30(金) 22:55:23 ID:kUEEx8m20
同時にエロもとなるとそうなるんだろなぁ
もしくは女勝ちの表現を金的以外にも出したいからとか

413名無しさん:2019/08/31(土) 09:54:41 ID:jZuYWpIY0
男女物と男男物の混載で思い出したけど、ここのスレ民的に英語コンテンツってどんな扱い?
読むのに時間がかかるから発掘するのは手間だし、過疎状態なのはたぶん変わらんけど、手を
付けてないなら未開拓の金鉱みたいなもんだと思う。俺は一時期夢中になった。

414名無しさん:2019/08/31(土) 18:56:19 ID:t9bH4J1A0
>>413
海外サイトは全然手をつけていない
TOEICの勉強でもしようかと思い始めた

415名無しさん:2019/08/31(土) 23:26:54 ID:Dxgvetdg0
>>408
おっしゃる通り貶す意図は全く無く事実を言っただけですね
特別棘のある言い方はしてない筈ですし、正直何がそこまで気に障ったのかさっぱり分かりませんが議論スレで話したいなら応じます

416名無しさん:2019/09/02(月) 12:45:03 ID:F8tubvc20
だったら自分でレベル高いのいっぱい作ってくださいとしか
てことだと思うけど

417名無しさん:2019/09/04(水) 00:47:50 ID:pVVLfx8c0
ss作るより、古典太平記みたいにセリフ集にして音声化する方が、創作のハードルも低いしコンテンツとして需要ある気がする

418名無しさん:2019/09/04(水) 23:24:13 ID:5wlh/Zjk0
たしかにQ&Aを読み上げるだけなのに興奮するよな
DVDとかでも掘り下げて経験談を語ってくれるものは見たことないし
盲点を突かれた感じ

419名無しさん:2019/09/05(木) 13:02:21 ID:nyMrbgwc0
台詞だけ作って依頼するのも一つの手ではあるんだけどねぇ
何なら絵描いて貰って良い訳で
ただやっぱり自分で創作出来る人が多い方が影響力はあるし、あわよくばそれでこのフェチに目覚める人が増えれば供給も多くなって万々歳なんだけどなぁ
それが目的でSS書いてた時期もあるし

420名無しさん:2019/09/05(木) 21:22:05 ID:2P5AFYjY0
古典太平記の1番新しいボイス作品が1番好き
ただ、恋愛テクでも古典でもないよなw
でも、ボイスを聞いた女性がSっ気に目覚めてくれると
それはそれでうれしい

421名無しさん:2019/09/12(木) 10:23:43 ID:YlwbkGTo0
昔pixivで艦これとかミックスファイト倶楽部とか
ミックスファイトのシリーズ物を書いていた人もう一度復活しないかなぁ。
金蹴り率かなり高かったしフェチのツボついていたし
それでいて男と女どっちが勝つか分からない感じがすごく良かったのに。
なんで消してしまったんだ・・・

422名無しさん:2019/09/12(木) 19:11:13 ID:OcuRl3XA0
エクストリーム好きだったんだけどな…

423名無しさん:2019/09/12(木) 20:25:30 ID:rSecAIv.0
エクストリームとか嫁婿の良いところはやられた男が無闇に叫ばないところ
自分のプライドとかで声を押し殺すも我慢できない感じが本当にすき
ついでに言うと設定が高校生くらいで多感な時期なのもいい
復活してくれー

424名無しさん:2019/09/12(木) 21:20:33 ID:C1HWPqzk0
昔あったらしいけど、あなたに○○ついていますか?
みたいな名前のサイト。URL知ってる人いないかね。
今だったらアーカイブでみれそうなんだけど。

425名無しさん:2019/09/12(木) 22:27:58 ID:8wui0XE60
-------------

こんな思いを噛み締めるのは、自分が最後でありますように------

-------------


「〜〜〜〜♪」

軽快とは言い難い調子の鼻歌が響く。鬱蒼とした森の中、俺以外の気配は露ほども感じない。
いや、生き物ならば掃いて捨てるほどいるのだろうが。その姿を視認することは全くといっていいほど無かった。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

なんという歌なのかは知らない。歌詞の意味も分からない。生まれる前の曲だってことは知ってるが、それだけ。
自慢じゃないが、俺と英語は縁遠い。それこそ、俺と女ぐらい......自分で言って悲しくなってくるな。ただ、切なげなメロディーが脳裏に焼きついて消えてくれない。
そういう経験、アンタ達だって覚えがあるだろう?

昼前に街を発って、もう日も大分傾いた。シャツが身体に貼りついて、無言のまま不快感を訴えてくる。グラサンの下、目に入りそうな汗を拭う。
俺が不機嫌だと察してか、煩いほどだった蝉の声も、こころなしか控えめになったような気がする。とはいえ、あくまで気がする、程度だが。

少し前に乗り捨てた原チャのコトを恨めしく思う。オンボロもいいトコロで、だが目的地までは持つと考えていたがとんだ見込み違いだ。
持ち主の顔は忘れた。多少腕力に訴えさせてもらったが、快く譲ってくれたと認識している。アイツも、あのガラクタを買い換えるいい機会になっただろう。
思い入れだとか、愛着だとか。そんなモノは幻想で不要だ。そんなモノがあるからこそ、人は終わりにへばりついて離れられない。

スマホで確認すると、目的地までは1kmを切っていた。平地の1kmは気にもならないが、山道ならば話は別だ。
しかも、人跡が絶えて久しい獣道。正直、後悔しないといえば嘘になる。だが、ここまできて戻るのも業腹だ。進退窮まって惰性で歩みを進める。まさに俺の人生だな、と冷笑。

GPSだけを頼りに進む俺が生まれ育ったのは、どこにでもあるような地方都市。俺が生まれる前に、死んでしまった都市だった。
よくある限界集落のように、派手に消滅したわけじゃない。主要産業であった鉱山が廃れ、緩やかに活気を失っていったというだけの話。

景気が冷えれば、人心も荒む。当然だろう?朝っぱらから、暇とエネルギーだけを持て余した大人が街をふらついてんだから。
人心が荒めば、治安はお察しだ。そこかしこで小競り合いやら、殴り合いやら。誰もが自分を持て余していて、持て余したもののぶつけ先を求めていた。
コミュニケーションの通貨は、言葉と暴力。物心ついてからそういう環境で育った俺には極めて自然、だが実際は世紀末だったんだろうな。
西暦が、千年紀が切り替わった後に世紀末を迎えるなんてな。皮肉だが、あの遅れた街には相応しかったのかもしれない。

荒廃のピークは、俺が中学に上がる直前。5〜6年ほど前か。他所では中々起きないだろうコトが、ここでは日常茶飯事だった。
例えば。一つしかない高校で殺人事件。女生徒が、男子生徒を殺した。例えば、街の名士の娘が精神を病み、それが原因で一家とも街を追われた。
どこかネジが狂ったような出来事が立て続けに起きては、日常に溶けて流される。そういう日々を送ると、ネジが外れた日々そのものが日常に変わる。
幸いなのは、麻薬が蔓延しなかったことぐらいか。モラルが高かったわけじゃない。単に、この街は病みすぎていて採算が取れると思われなかったのだろう。

で、だ。そのまま病状が進行するとどうなると思う。答えは簡単。街も死ぬのさ、人間と同じように。
見込みのあるヤツほど早めに見切りをつけて去っていく。若い連中は潮が引くように消えていく。沈む船からネズミが逃げ出すみたいにな。

426名無しさん:2019/09/12(木) 22:28:35 ID:8wui0XE60
で、残るのは。俺たちみたいなロクデナシ、他所では生きていけないだろう底辺連中や、流されるまま惰性で生きているゾンビどもだけだ。
街は既に末期の状態で。誰かが、死に水をとってやらないといけない。だが、屍のような連中は、誰も街を看取ろうとはしない。

腐っても故郷だ。腐敗が進みすぎて白骨になっていても、街が死んだとは認めたくないのかもしれない。俺もそうだから、気持ちは分かる。そして、だからこそ気分が悪い。
―――誰か。誰かが、この街に引導を渡さなければならない。そう、誰もが思っていた。それは、ココに何の思い入れも無く、だからこそ無慈悲に終わらせることが出来る誰か、だ。
救世主願望、とでも呼ぶのだろうか。世紀末も四半世紀近く経ち、それでもこの街はメシアが到来するのを待っていた。

と、目の前が開ける。獣道から、踏み固められた道に。何故そう思ったかって?タイヤ痕があったからさ。
上方は深緑の天蓋で覆われていて、成程、航空写真じゃ分からない筈だ。ほっとしたか?いや、馬鹿馬鹿しい。むしろ落胆したね。
車輪の轍から、この先には人間が住んでいるというのは明白だったから。そういえば、俺が誰で、何をしているのか言ってなかったな。


名前は、鷹ノ上 隆一。年齢は18……性別は見ての通り、男だ。高校は辞めた。入って二月と保たなかったけど、中退といっていいのかね?
ほんの数年前には人死にさえ出したというのに。入学した頃は事勿れ主義者しかいなかった。退屈って概念が顕現したらば、さしずめあんな感じなんじゃないかね。
気に食わないヤツをぶん殴ったら、それで停学だと。いや、参ったね、実際のトコロ。この街だと、ありふれたコミュニケーションの一つだって当然知っているだろうに。

実家との縁が切れたのも、その頃だったかな。親父とお袋、そして妹が一人。皆、俺と違って頭の出来が良かったんだろう。
それまで散々厄介事を起こしてきた長男の面倒は、もう見きれないっていうわけだ。頭の宜しい妹を、あんな高校にやれないってのもあったのかもな。
とにかく。それを契機に家族もこの街を捨て。あとは俺が、この街の申し子みたいな俺一人が残されたってわけさ。

別に怨んじゃいないさ。むしろ、感謝している。俺は生まれつき身体が壮健頑丈だったからな。身長も無駄に薄らでかく180はゆうに超えてる。
身体がでかくて頑丈だというのは、ココで生き抜くのには何よりの財産だ。暴力に勝れば大抵の無茶は通せる。少なくとも、この街ではな。
だからこそココは住みよくて。だからこそココを捨てる踏ん切りがつかないのかもしれないと思うと良し悪しだけどな。

向かっているのは、所謂ところのお化け屋敷。いや、この年齢で肝試し。情けなくて、逆に怖いし笑ってしまう。
彩色された泥水が出てくると専らの評判、行きつけの場末、くたびれた盛り場で旧いツレ。谷崎のアホから聞いた冗談が全ての起点だ。

ソイツが言うには、この街の外れ、山を一つほど越えたところに呪われた神社があるらしい。そこには幽霊か山姥か……はたまた精神異常者か。
恐ろしい化け物が潜んでいて、訪れた男は皆、想像を絶する恐怖を味わうらしい。ビビりあがる余り、性格まで変わっちまったヤツも居る、とか何とか。

この街に住んで久しい俺でも聞いたことが無い与太話。そんなモンがあるなら町興しにでも使ったらどうだ、と笑い飛ばす。
だが、珍しくソイツは引かず。スマホで地図を見ると、確かに噂の場所には何らかの建物が存在するようにも見える。

詳しく聞けば。ソイツも野次馬根性旺盛なクズどもの御多聞に漏れず、実際にソコまで行ってきたらしい。マジで幽霊がいたぜ、と真剣な表情で告げてくる。鬼火と共に現れた、と。
どんなヤツだ?野郎か、女か、と聞けば、そこで途端に下卑た笑いに変わり、女だった、と笑い出した。何やら、女の幽霊に下半身を見せ付けてから、一目散に逃げ帰ってきたのだとか。

キチガイかお前は、と問えば、幽霊にチンコを見せ付けた勇者と呼んでくれ、と笑って返される。御立派なモノを拝めて未練も消えたろと言われ、粗品でよく言う、寧ろ本物見たいって未練ができたんじゃねーか、と返す。
視線を合わせて、沈黙一つ。そして、爆笑。今度、一緒に見せ付けにいかねーか、と誘われ、ホモかテメーは、と混ぜっ返す。また爆笑。

……ま、そのときはそれで話しは終わり。高校の友人の消息を話す方に話題は移った。
高校を辞めた時点で、俺と連中の接点は切れていて、それでも知り合いの現状を聞くのは心落ち着くような気分になる。

427名無しさん:2019/09/12(木) 22:29:25 ID:8wui0XE60
こんな場所だ。街を去ったヤツ、揉め事に首を突っ込んで、下らない事故で命を落としたヤツ。人生、一期一会だという言葉は、ココでは生の現実だ。
俺にも、幼馴染が居た。餓鬼の頃は、コイツと結婚すんのかな、と朧気に想像していたのを覚えている。小学、中学とずっと一緒だったソイツとも、高校中退で縁が切れた。

縁を切りたかったわけじゃない。ただ、ある日、ふっつりと音信が途絶えたのだ。死んだ、とは聞いていない。幾ら田舎でも、桜田門組はしっかり仕事をしていて。
流石に、死人が出たならばニュースやら何やらで耳に入る。俺が、新聞の地方欄にだけは目を通すのも、そういう理由だ。つっても、自分で取ってるわけじゃないけどな。

最後の記憶は、クラスの前で立ち塞がった姿。何処で聞きつけたのだろうか、俺が高校を辞めるという噂は風よりも速く広まっていた。
まぁ、基本は腑抜けの群れ、烏合の衆だ。大体の連中は、『和』を乱す異物が消えるって清々とした面をしていたぜ。

だが、アイツは違った。隆一、一時の感情に流されないで、将来のことを考えて、と懇願してきた。
いつもそうだった。俺が誰かを殴るときも、自分が殴られたときをと考えろと。喝を入れてやろうとしたときも、入れられることを考えろ、と。
正直、辟易したこともあった。でも、なんだろうな。不思議と、嫌いにはならなかった。それこそ、腐れ縁ってヤツだと勝手に思ってた。

あの時は……そうだ。顔面に一発、拳を叩き込んでやったんだっけ。偉そうなお題目を唱えておきながら、それで終わり。
未練がましく俺の足にしがみついてきたが、軽々と振り払って。恨めしげな視線に、やり返せねぇ方が悪いと吐き捨てて。意気軒昂、揚々と高校から凱旋したんだっけか。

まぁ、意見の相違を腕力で通すなんてコト、俺にとっちゃ呼吸みたいなもんで。……?女を殴るのはいいのかって?……?何が駄目なんだ?
弱いから?か弱いから、守るべきなんじゃって?―――ハァ、馬鹿なこというんだな。逆だろ?弱いから、殴られるんだ。通り魔だってそうだろ?ヤクザやら何やらじゃなくて、弱いヤツが襲われるだろ?
弱いってことは、何をされても仕方が無いってことだ。やり返されるかもしれないなら、やらない。弱いモノを襲うなってのは、弱い連中が、『自分がやられたくない』から唱えるお呪いに過ぎない。

『強い』ヤツが似たようなお題目を唱えたって、ソイツがやられりゃ『お題目』なんて吹っ飛んじまう。自分じゃない『強者』は、『弱者』と食い合ってろっつーのが正直なトコロさ。
食物連鎖と同じだ。弱者は数だけはいるから……残酷な話だぜ。つまり、幾らでも替えが聞くってコトだからな。ま、せいぜい、群れて、物悲しく傷を舐めあっていればいい。ソレぐらいは許してやるさ。俺は優しいからな。

幼馴染も……ミヅキも所詮はそんな連中の一人で。腐れ縁は切れないハズだったが、それ以来。アイツが弱虫の輪から抜けられず、結局疎遠になったんだったな。
とはいえ、多少の風の便りもあったが……ある日、消息を絶って、それっきり。ん?やけに詳しいなだと?―――そうだな。何でだろうな。謝りたいと思ったことは天地神明に誓って無いハズだが……俺、何をしたかったんだろうな。
退屈だったからか。きっと、そうだ。死んだ街には刺激なんて無くて。女も男も、若いヤツは大体都会に行っちまって。あるのは、不味い模造酒だけ。俺が今、曰くつきの廃墟に向かっているのもそれが理由だ。

428名無しさん:2019/09/12(木) 22:30:02 ID:8wui0XE60
轍に沿って歩く。ぬかるんだ道は不快感を刺激して、それでも歩みを止めはしない。遠く、何かの灯が見えて、それが目的地だと理解する。
知ってるか?退屈は人を殺す。生きるには、刺激が必要だ。噂の廃屋……実際には誰か住んでるみたいだが……あの場所の話、街の誰もが知らなかった。いや、歳を食った奴らは知っていたのかも。だが話したがらなかった。
曰く、前段の『街を去った』名士の持ち物だったらしい……辺りの山々も含めてな。街を去って、それでも頑なに『ソコ』だけは、その一帯だけは手放さなかったらしい。

年嵩の連中は、『さもありなん』という顔をしていた。つまり、ソコには『手放せない』理由があることは明白で。だったら、好奇心がビンビンに刺激されるってのも自然の道理だろ?
だが……蓋を開けるとガッカリだ。大山鳴動してネズミ一匹ってトコか……単純に、ソイツが街を偲ぶための別荘なのかもしれないな。俺のダチも、結局ただの変態だったっつーわけだ。ま、コレはアイツの知り合いみんな知ってるけどな。

べチャべチャと音を立てて進むと、ボロボロに崩れた土塀に行き着く。不自然な人工物。自然がソレを呑み込まんとしているのか、何かの芽が生え蔦が絡まり茸も生して、森の一部と一体化しつつある。
一昔前は立派な山門だったのだろうソレも朽ち果てて、奥に見える社殿……神社だったのか、ココは……ソレも今日明日にでも自然に還りそうだ。俺の街に相応しい、死んだ建造物だ、そう思った。そして、死んだとも自覚出来ていない。

足を踏み入れると、糞の臭いと味噌の匂い。予期せぬ闖入者に驚き慌てたのか、鶏が騒ぎ立てる音が聞こえる。左手にはプレハブのこじんまりとした物置、そして左手奥にも多少は見れた平屋が見える。
外にはプロパンボンベが幾つかと、横付けされた軽トラ。味噌の香りはそこから漂ってきているらしい。何の気無しに、その建物に歩み寄ると―――いや、違うか、ココまで来て手ぶらで帰れるかと―――背後から、清廉な声が聞こえた。

「当家に、何か御用でしょうか―――?」

振り返ると、ソコには。お目当ての幽霊が居た。

---------------------

429名無しさん:2019/09/12(木) 22:31:00 ID:8wui0XE60
いや、幽霊の正体見たり枯れ尾花っつーのはこういうコトを指すのだろう。

身長は170cm無いぐらいか?年齢不詳、若々しくは見える。女にしては長身だ。化粧などはしていないのだろう、薄らと目の下に隈が出来ているのも分かる。
だが、恐ろしい程に容姿は整っていた。碧為す黒髪というのはこの出で立ちを指すのか。薄暗い中、黒光りするように艶々とした毛髪を右肩で束ねて。
出で立ちは、殆ど裸に近い。薄い身体の上、更に薄い襦袢。真っ白い襦袢を申し訳程度に羽織っている。頭に三角巾的なものがついていれば、文句の出しようが無い程度には完成された幽霊だ。

ただ、一点。画竜点睛を欠くのは、普通に足が生えていること。襦袢の下からババむさい下着と、『無い』ことで存在を主張する『女』が覗き。そこから、瑞々しい太腿が伸びているのが見える。

幽霊だ、山姥だの噂になったのも頷ける。こんな山奥で、やぶからぼうにコイツに出食わせば俺だってそう思うかもしれない。多少冷静なら……下着の上に襦袢のみ羽織った姿で、精神異常者だと誤認するやも。
だが、話はきっと単純だ。ココの住人が予期せぬ訪問者に驚いて、着の身着のまま、上っ張りだけを羽織って様子を見に来た、それだけのコトなのだろう。鶏舎も落ち着きを取り戻し、隣に家庭菜園が拵えてあるのが見えた。

「あの、聞こえていらっしゃいますでしょうか?お役所の方、ですよね?何か御用件が―――」

幽霊モドキは現状を把握できていないらしい。ポヤポヤとした空気を保ったまま、見当外れの問いかけを投げてくる。おいおい、俺が役所の人間に見えるか、と内心苦笑。役所は、街で唯一のマトモな職場だ。俺とは縁遠い。
極彩色のアロハに、膝丈、白の短パン。履いているのは、ゴム製のサンダル。あれだけ歩かされていなければ、髪も逆巻いた金髪で……グラサンと併せ、どう贔屓目に見てもチンピラ、半グレ。ヤクザと思われたって不思議じゃない。

茫洋とした雰囲気の女が、所在無く手持ちの行燈を揺らす。鬼火の正体はコレか。他人事ながら心配になってしまう程の無頓着さ。俺がその気になるだけで、次の瞬間には土の味を堪能させてやることが出来るというのに。
いや、コレだけの肢体を持っているんだ。組み伏されて犯されるコトに対する危機感ぐらい抱いてもいいんじゃないか?そうなっていないのは、単純に俺が硬派だから……というか、やり方を知らないからだ。
……死にたいなら笑えばいい。風俗なんて洒落た場所、あの死んだ街にゃ無いのさ。若い女は直ぐに出て行ってしまうし、それに。そも女連中は、暴力の価値を、中々正確に評価することも出来ないようだからな。

女が一歩進み、俺の顔を下から覗きこむ。物怖じしない様子、だが無防備が過ぎるんじゃないか?誰かから危害を加えられるなんて想像もしていないのか、そもそも何をされても構わないと思っているのか。女からは読み取れない。
襦袢の併せは緩く。この体勢からだと、決して豊満とは言えない、むしろ俎板と形容して差し支えない胸元がどうしても視界に入ってくる。覗くつもりはないとはいえ、見えてしまう。チラチラと。
―――俺は女じゃないから知らないが。家で寛ぐときは、その、ブラジャーって着けないモンなのかね。つまりは、何だ。その、桜色の―――靴が。……靴?靴だと?!


「曲者ーーーーッ!!!!」


背後から。また、背後からだ。今回は、何処か聞き覚えのある声が響いた。ただ、その声に払う注意は霧散していた。何故か―――簡単だ。見下ろす俺の視線の先……股間から、足が生えていたから。
一拍遅れて、身体が衝撃を知覚する。グラサンが外れ、どうしようもない悪い予感が全身を駆け巡る。何をされたか……理性では分かりきっている!キンタマを、蹴り上げられたんだ!そして、理性が認めたくないと叫んでいるのも分かる。

あらまぁ、と。女が口を覆って声を漏らす。股間から覗く足は、密着した女の股間をも同時に蹴り上げる……なんてことは無く。出っ張った部分が無いからこそ、紙一重の距離で静止。密着した女は、他人事のような態度を崩さない。
もしも。本当に意味が無いもしも、だが。目の前の人間が『男』だったなら……二人仲良く蹲っていたような蹴りだった。当たらなくとも。股間の直前を蹴り足が通過したなら、男なら腰を引いただろう。女は、女だからこその無反応。

また、一拍空いて。耐え難い激痛と虚脱感が、股間から全身に充填されていくような感覚を覚え、堪えきれず、膝から崩折れようとしたところで。後ろの誰かが腰にしがみつき、引き倒すようなタックルを掛けてきた。
先ほどの一撃が無ければ意に介す必要も無い程度の衝撃だが、『金的』を蹴り上げられた状態では抵抗すること値わず、そのままうつ伏せに組み伏されてしまう。腿裏に、重量感のある肉塊の感触二つ、それで背後の誰かが女だと理解。

430名無しさん:2019/09/12(木) 22:31:44 ID:8wui0XE60
いや、『ソコで』っつーのは語弊があるな。あんな、血も涙も無い蹴りをタマに叩き込めるのは、タマの痛みを知らない女に決まってる。だがその時は、その『タマ』の痛みに全身が満たされていて……そこまでは思考が回らなかった。

「このッ、腐れ変質者がッ!性懲りも無くッ、まーたこんな山奥にまでッ―――このまま絞め落としてやるから覚悟しなさいッ!!!!」

絞め落とすって聞いて、どんなコトをされるとイメージする?頚動脈を絞めて、意識をブラックアウトさせる……アンタが女なら、それだけで正解だ。だが、男なら―――
俺もその時初めて知ったよ。背後の女は俺の短パン、右裾から右手、左裾から左手を入れて、あろうことか、俺のタマを締め上げはじめたんだ。外そうにも……敵の身体は背後、太腿に上半身を乗せた体勢で両腕が届かねぇ。
そもそも、キンタマを握り締められて身体に力を入れられるワケがねーだろ?これも、女にゃ分からないと思うがさ。

男だったら、さ。最初の一撃で勝負あったって分かっただろう。生憎、俺に急襲を掛けてきやがった何者かは女で―――後で聞いたところだと、初撃でダメージを与えられたかどうか、半信半疑だったんだそうだ。
流石に潰すまで行ったら勝ったって思うけど、と笑い。そうは言っても、実際に潰した経験あるわけじゃないけどね、なんてはにかむ。悪びれなくのたまったソイツの顔に、俺のタマが縮み上がっちまったのは仕方が無いことだろう?
ともかく、この時はソイツが誰かも分からずに、地臥で必死に藻描いていたワケだ。

再度。あらあらまぁまぁ。頭上から能天気な声が降ってくる。距離にして1メートルも無いだろう。目と鼻の先で起きている修羅場に対して、何処か遠くの出来事としか認識出来ていないような、幽霊女が溢した声だった。

助けを求めようと顔を上げると……背後の誰かと揉み合いになった弾みだろうな、女の帯が外れ、前が全開に……晒された股間が、彼女は俺を苦しめている器官……タマなんて持ち合わせていないと無言の内に主張していて。
唐突に理解しちまう。俺のタマがどんな目に遭わされているのか……それに共感できる人間は、四方1km以内に誰もいないのではということを。背筋に、ヒヤリ、という感覚が走る。
当然共感できない背後の誰かは、五指を俺の肝心な部分に突きたてるようにして、ゴリゴリとソコを責め立ててくる。股間が痛み、激痛が腹痛にまで波及しつつあるのを、ソイツは全く感知しようともしていない。出来ない。
思わず許しを乞おうとして……激昂しているらしいソイツに、この感覚をどう伝えればいいのか分からず、言葉に詰まる。苦悶していると、更に肝が冷える台詞が投げつけられてきた。

「右のが大事?!左のが大事?!片方で勘弁してあげるけど……今度また来たら、残った方も潰してやるからねッ!!!女になりたくなかったら、二度とその面見せないことねッ!!」
「えーと、ミヅキちゃん?確かに女性はおタマタマ持ち合わせておりませんが……逆に男性がおタマタマを失くしたからって女性になるわけじゃありませんよ?」

調子外れの指摘が幽霊から零れたが、要点はソコじゃない。苦痛に煩悶し、朦朧とする頭の中に響いたのは聞き覚えのある名前で。
畜生、お前、昔からそーゆートコ潔癖なヤツだったよな、と恨む。怒りの理由は、つまり、田崎が……あの頭蓋骨に名産の蟹味噌が詰まっているようなアホが、チンコ見せつけに来たからだな、と。俺、関係ねーよ、とも。
郷愁と恐怖と、様々な感情が綯い交ぜになった俺が放てたのは、一言だけ。幼馴染の……片瀬 海月の名前。

「ミ、ミヅ、キ―――??」

「え?何よ……って、ちょっと何?アンタ、もしかして隆一?何でこんなトコロに―――って、ちょっと?大丈夫?!?」

テメェでタマキン握っておいて、大丈夫も何も無いもんだ。だが、驚いた拍子に海月の親指がタマの裏側―――副睾丸って言うらしい―――に突き立てられ。俺は、魂を搾り出される思いをしながら失神した。

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431名無しさん:2019/09/12(木) 22:32:19 ID:8wui0XE60
「だ〜〜〜〜〜〜〜〜〜からさ、マジでゴメンって!この通り!許してつかぁさい!!」

何で、こうなったんだろうな。失神していたのは、極短い時間だったらしい。幽霊……高屋敷 櫻子と名乗った……と海月は二人で、俺を母屋へと運び込んでいた。
クソ、このクラゲ女が……と憤懣遣るかた無い表情を崩さない俺に、数年振りに顔を見た幼馴染が拝み倒さんとばかりに頭を下げてきて。何故クラゲかって?そりゃ、海月って書いたらクラゲって読むだろーが、普通。

金的ってヤラれると気力が萎えるのな。そうじゃなければ、もう一回拳の味を思い出させてやったんだが……とても、そんな気になれない。そして、女の海月はそんな男の仕組みは知らないのだろう、俺の様相が意趣返しかと思っての謝罪。
餓鬼の頃は雰囲気への流されっぷりからクラゲだクラゲだと囃したてていたが、数年振りに相見えた彼女は、その、身体の一部がソレこそクラゲを抱えこんだように膨らんでいて……あぁ、そうだよ。オッパイがだよ!!
それを直視し難い、クソ、我ながら童貞臭いぜ、というのもあり。俺は視線を反らしたまま、ぶっきらぼうな憎まれ口しか叩けない。あの乳が気になるにも程があるだろ、あの海月だぞ?!正気かよ、俺。

「まさか、お前がそんな変態だったなんて知らんかったぜ。ぐ……。男日照りが過ぎて、自制出来ずに握っちまったってか?」

嘘だ。我慢出来そうに無いのは俺だ。握りたいのは、揉みしだきたいのは海月の乳だ。股間から時折差し込むような痛みを感じるが、それを押してでもアイツを押し倒したい、と思ってしまう。
そういえば。アイツ、自分がされたら嫌なコトは、他人にしては行けないって金科玉条の如く言っていたっけか。なら、俺がされて嬉しいことは、アイツも嬉しいんじゃないか、なんて愚にもつかない考えすら浮かんで。
ただ、そんな俺の気持ちを知ってや知らずや。憮然とした態度を崩さない俺を段々と面倒くさく思って来たのか、海月の謝罪と心配の中にも、何処と無く険が交じってくる。
いや、険の中にも心配が混じるといったほうが正しいかな?海月はそういう女だった。

「もう、わざとらしく痛がる振りなんてしちゃって……!結構時間も経ったし、もう平気でしょ?……ホント、大丈夫?駄目そうなら言ってね?アタシ持ってないから、言ってくれないと分かんないよ?」

両腕で胸を押さえ込むような形でコチラを覗き込んでくる。自然、視線は彼女の谷間に吸い寄せられ……気力を総動員して引き剥がす。何でだろうな。見たいんだから、ガン見すればいいじゃねーかって俺の心は言っているのに。
首よ折れよ、とばかりに顔を反らす俺に、海月はまた不満げな表情。むー、大人げない、と口を尖らせる。それでも男なの、タマタマ付いてるの、と非難の口調。おいおい、謝罪は何処いったんだよ?

と。襖が開く音と共に、櫻子が麦茶を載せた盆を携えて姿を現した。いいトコのお嬢様なのだろう、少なくとも、苗字が三文字なら大抵名家だ……実例が俺だな、なんて冗談めかして問うたところ、実際そうだと聞かされて仰天する。
街を去った名士の一人娘だそうだ。何故、そんなヤツが人里離れたこんな場所に封じられているのかは見当もつかない。色々ありまして、と櫻子は笑うが、それ以上自分から語ろうとはしなかった。

心ココに有らず、といった風情はそのまま。まぁ、病んだ街だ。病んだ令嬢がいても何も可笑しくは無いだろう。

今の彼女はジャージ姿。色やデザインから見て、懐かしきは俺の高校のジャージ。ウチのはほぼ新品だが、ソレは海月のお古といったところだろうか。彼女のために誂えたように身体にフィットしたソレは、まるで第二の皮膚にも見えた。
まぁ、アレだ。誤解を怖れずに形容するなら……今の櫻子は、着古されたジャージの空気とも相俟って、相当な年季と、鉄筋もかくやという程の筋金が入ったニートに見えた。馬子にも衣装って、逆だとこーなるんだな。

「あ、先輩!聞いてくださいよ、隆一ったら臍を曲げちゃって―――」

432名無しさん:2019/09/12(木) 22:33:56 ID:8wui0XE60
海月は、櫻子のコトを先輩、と呼んでいた。聞けば、歳の頃は24……確かに、干支半周分も年嵩なら先輩と読んでも差し支えないだろう。ま、櫻子も十分俺の守備範囲だ、と内心で評点。自己満足だよ、いいだろ別に。
二人が並ぶと、上半身の一部の差が残酷なまでに顕現する。マジ、上半分だけだと、同じ性別だって思えないかもな。ま、金的をやられついでに言うならば……二人とも、下半身は俺と違う、この痛みとは無縁の身体なんだろうが。
あらまぁあらまぁ、と櫻子が言葉を発する。口癖か?喧嘩は良くないですね、と呟いて。俺と海月に手招き。なんだろな、不思議と人を従える雰囲気を醸し出していて、幼子のように二人で櫻子の前に並んでしまう。すると。

頭が真っ白になった。次に脳裏を過ぎったのは、『意外と硬い』という素朴な感想。そこで、ようやく何が起きたのかを把握する。櫻子が俺の右手を取ると、海月の股間に突っ込んだのだ、と。
海月の方は、何が起きたのか理解が追いついていないらしい。酸欠の金魚のように、口をパクパクと開いて閉じて……そこから意味を為す言葉は出てこない。まぁ、言葉が出ないのは、俺も一緒だ。きっと、同じような表情なのだろう。

「はい。喧嘩両成敗ってコトで……隆一さんも握り返して、それでお仕舞い。仲直り。先程のことは、これで水に流してしまいましょうね」

グイグイと、俺の掌を海月の股間に押し付ける。掌から、アイツの、女の股間の感触が伝わってくる。『無い』、『やり返せない』ということも。だが……女性器を触るのは初めてで。それ以上に、新鮮な感覚が俺を満たした。
これが女の―――と呟いたところで、ツイてるのはもっと下だよ、と呆れた声が海月から。彼女も状況を理解したのだろう、いいよ、握り返しても、と余裕綽々の表情になる。とはいえ、顔は紅葉よりも真っ赤だが。

何て返すのが正解だったんだ?童貞には荷が勝ちすぎんだろ……出来るわけねぇだろ、と呟くのが精一杯。何でですか?と何食わぬ顔で問う櫻子に、そもそもキンタマ付いてないじゃねぇか、とボソボソと告げる。
海月は、ムカつくことに得意満面。『やり返せねぇ方が悪い』ってアンタの台詞だったわよね、と勝ち誇った表情に腹が立つ。何でまだ覚えてるんだよ、そんなコト。男らしく―――いや、女だったか、と触覚が伝えてくる現実を堪能。
怒ればいいのか?喜べばいいのか?混乱の極致にある俺を尻目に、やり返せないなら仕方ありませんね、と櫻子が告げる。知ってたくせに、と海月が不満の声をあげると、そりゃ、当然私も女性ですから、と櫻子が悪びれず応じる。
隆一がこうなってないのは、アタシの優しさのお陰だかんねと海月が嘯けば、それって優しさなんでしょうか……と櫻子が混ぜっ返す。いや、怒るべきトコロなんだろうな、コレ。だが、思わぬラッキースケベ展開に脳味噌が付いていけない。
自然と俺の勢いも鎮まる……痛ッ!畜生、まだタマが痛みやがる。でも、でも、だ。タマが無い股間を触ったのは初めてで……愚息が痛いほど主張しそうになるのを、腰を引いて隠す。海月には知られたくない、そう思って。何故だろうな。

そのまま、自然と三人で卓袱台を囲む。簡素なサラダと、白米のご飯に新鮮なタマゴ。酒は無い。肉類として、ボソボソと筋張った鶏……カシワっていうんだったか?が供されて、閉口しながらも咀嚼する。
コケ悟朗?と愕然とした表情で海月が呟くと、櫻子が何てことの無いような顔で首肯する。もう歳でしたし。海月ちゃんのお友達なら、ちゃんと御持て成ししないとと思いまして、と。
ヨヨヨ、アタシの大切なコケ悟朗が、と海月が泣き真似。こんなコトなら隆一の大切なトコロ、交換がてらに貰って置けばよかったよ……と冗談を飛ばすが、あのな、全く笑えないからな、その冗句。
櫻子は、『大切なトコロ?』と小首を傾げて疑問符を浮かべ。いや、ピュアなのはいいけどさ、マジでマイペースだな、アンタは、と心底呆れる。こういう夕餉って、何年振りだろうな。全く、記憶の片隅にだって残ってないぜ。

プツン、と微かな音。櫻子がテレビをつけて、液晶から変わり映えのしないニュースが流される。曰く、また。米の国で、田舎町銃の乱射事件があったらしい。
何一つ苦労なんてしたことが無いだろうアナウンサーは、滑稽なほど畏まった顔でその知らせを読み上げていて。ソレだけで大金を貰ってるのかよ、と。見る度に、腹が立って仕方が無くなる。
そんな奴らが……田舎町で、閉塞感に絞め殺されそうになって銃に逃げた連中を非難するのかよ、ってな。実際のトコロは知らないが……田舎町での乱射事件を見るたびに、俺は自分の身につまされるような気がするんだ。

「物騒ねー。もう鉄砲なんてぜーんぶ取り上げちゃえばいいのに」

433名無しさん:2019/09/12(木) 22:34:32 ID:8wui0XE60
俺の気持ちも知らずに。完全に、遠い世界の絵空事を眺めているような温度感。海月が毒にも薬にもならないコメントを吐くのが聞こえて……止せばいいのに反論してしまう。

「どーやって取り上げるんだよ……今の御時勢に刀狩か?海月の脳内とセンスは戦国時代でも、現実的には無理だろーよ。むしろ、乱射するようなヤツだけピストルを隠し持って、治安が悪化するんじゃねーのか?」

平素なら絶対にしないだろう、ニュースを見ながらの意見交換。仲間内でAVの品評会をすることはあれど、ニュースだぜ?頭が沸いちまったとしか思えねぇだろ?俺もそうだ。
俺から投げ返された異見に、むぇー、とへちゃげるような声を上げながら海月が突っ伏した。あのな。そのな、そのへちゃげてへしゃげて変形してるオッパイ、マジで男には目の毒だからな?俺の前以外ではやるなよ?

「私だったら……法律で、銃弾に100発に1発は不良品を混ぜるようにルールを決めますね。考えなしに危険物を振り回してたらどうなるか、やっぱり身体で覚えてもらわないと」

櫻子が乗ってくるが、それもまた現実性に乏しい、というか夢物語のような提案で。呆れて二の句が継げない俺の替わりに海月が突っ込みを入れる。

「えー、先輩、ソレって危なくないですかー?」
「危ないからいいんですよ。いつ暴発して大変なコトになるか分からないってなれば、きっと、皆様自発的にピストルを捨ててくれると思うんです。ただただ取り上げるんじゃ駄目。身体で、危なさを実感して頂かないと」

いや、さ。だったら、銃弾も家内制手工業で作るだろ、どー考えても。阿呆か。禁酒法の時代だってそーだっただろーが。と、様々な物言いが頭を巡るが、特に口に出したりはしない。
何でだろうな、何だかな。ただ、居心地が良かったんだ、この空間の。海月も櫻子も、別にマジの反論が欲しいわけでもないようで。単に、テレビを肴に喋くりたいってだけなんだろう。それが、心地よかった。
……タマは未だ痛むがな!主に海月のせいで!!お前等が、もう済んだコトみたいな面してられんのも、付いてないからってだけだからな!!!

しばしの歓談、そして談笑。まぁ、いくらムカついたところで、この痛みを伝える術なんて無いんだ。遠くから、梟の鳴く声が響いた頃合で、櫻子が席を立つ。
何でも、寝つきが悪いから?彼女は離れで寝ることにしているらしい。最初、物置だと思った建物が離れなんだそうな。だからこそ……二方向から、櫻子と海月は現れたんだと遅ればせながら納得する。
夜が明けたら麓まで送って差し上げますね、と笑顔を見せる櫻子に、一抹の寂しさを感じる。それこそ、自分で自分の正気を疑ったね。でも、信じ難いことに……俺は名残惜しさを感じてしまっているらしい。

それを察したのか、海月から渡された提案は完全に俺の予想の外からのもので。耳を疑ったね。アイツ、俺もココに住んだらどうかって言い出したんだ。曰く、アイツも居候らしい。
いや、居候の身分で厚かまし過ぎんだろ……と愕然とする。こんな女だったっけか?と疑問符を浮かべ、半眼でアイツを睨むと……頬に手をあて、あらあらと櫻子は呟いて、あにはからんや、それもイイかもしれませんねと言い切りやがった。

434名無しさん:2019/09/12(木) 22:35:40 ID:8wui0XE60
語れば、ココは神社や、まして廃屋なんかでは無く、古い道場で……道場跡地の間違いだろ?とからかうと、海月が凄い目で睨んできやがった……視線が下がり、思わず股間を押さえる……櫻子は違いありませんね、と笑って流したが。
いや、人が出来てるね、と俺も笑う。多勢に無勢だよー、と海月が膨れっ面になって。その顔も可愛いぜ、なんて歯が浮くような台詞が口を衝きそうになり、慌てて呑み込む。なんか俺、キャラが変わってきてないか?

櫻子曰く、教えているのは護身術。門下生は海月一人。時折、他の道場に招かれては、演舞や講習をすることもあるらしい。正直、それだけでは食べていけないので……仕送りと、自給自足頼りですけどね、と薄ぼんやりとした笑み。
でも、天職だと思っていますと独り語る櫻子を見て、一人合点。何てことは無い、お嬢様の我儘で潰れそうな道場に住まわせてもらってるっつーオチかよ、と。なら色々と納得だ。年頃の娘、外聞も悪いだろうから街中では無く、街外れ。
下手に悪評をばら撒かないように、僻地に仕送りと共に封じて……本人だけは、満足みたいだが。開かれた座敷牢みたいなモンかってな。まぁ、それはいい。そこまでは良かったんだ。

和気藹々とした雰囲気はソコまでだった。何の気はなしに、櫻子が溢した妄言……

「やっぱり。護身術は『弱い方』のためのものですから。隆一さんも入門してくださるというなら、私としても安心です」

そうだ。アイツは、櫻子は、俺のコトを弱いって評しやがったんだ。確かに……タマをやられて不様を晒したがな。女に、弱いって言われる筋合いはねぇ、そう思った。それも、あんな不意打ちで、だ。
こんな話しを知ってるかい?野生動物ってのは、自分がどんなに弱っていても、敵に弱った姿は見せないんだそーだ。弱いと思われると、舐められると、組みし易しと侮られ、四方八方から襲われる。『死』に、直結する。
櫻子は、そして海月も。あの街から離れて久しいから、忘れてしまっていたのだろう。アソコで生きるということと、野生で生きるということの間には、毛筋程の差も無いってコトを。『強い』は、俺のアイデンティティだった。

空気が瞬間冷凍されたように冷える。櫻子は、その変化すら良く認識していないようで、あら?と一言漏らしただけだったが……海月は心配そうな目で此方を見やってきているのが分かった。
本当、どうかしていたんだ。普段なら、そのまま卓袱台を引っくり返して殴りかかっていた。だが、暖かい団欒を味わってしまって、ソコまでする気にはなれなくなっていた。だから、バシン、と卓袱台を叩くのに留まる。

そこまで来れば、いかに浮世離れした櫻子でも雰囲気の変化に気付けたのだろう……だろうか?彼女が纏う空気感は小揺るぎもしなかったが、神妙な面持ちで卓袱台の前に座りなおす。
海月は、まだ心配そうな顔で、俺と櫻子の顔を相互に見やりながら……「止めなよ、隆一」と声を掛けてきて。知ったことか、そう思いつつも、その言葉が俺に実力行使を思いとどまらせる。

何をしたかって?いや、言いたくねぇな。思い返せば、ダセェにも程がある。他人が同じことをしたならば、墓場を掘り返しても弄ってしまうような振る舞い……つまりは、アレだ。語ったんだよ、武勇伝をさ。
それも素面で、だぜ。クッソみっともねーだろ……笑えよな。でも、あの時は……櫻子に、そして何より、海月に軽んじられたんじゃないかって思って、頭に血が上っていたんだ。逆上っつーやつだな。

ぬるま湯に浸かって生きてきた連中にとっては、寝物語の中の出来事だろうが……あんな街で無頼を気取ってたんだ。そりゃ、それなりに色々あるさ。
草臥れた酒場、1対多で大立ち回りを演じたこともある。ビール瓶でぶん殴られたことも。腐れ縁の谷崎に助っ人を頼まれて、他校にバイクで突っ込んだこともあったっけか。果たしあいなんてまどろっこしくてさ。
ヤクザと殴り合いをしたことだってあれば、警官に囲まれたことだってある……まぁ、そん時は臭い飯を食う羽目になったけどな。でも、アンタ達よりは随分と修羅場を潜っているんだぜ、俺は、と。

俺が一つ二つと語る度に、海月は呆れ果てたといった様子で溜息をつき。櫻子は、まぁ、アイツの感情は良く分からん、あらあらまぁまぁ、と相槌を打つ。随分と、危ないことをされてきたのですね、と問われ。性分なんだよ、と返す。
一頻り語りを終え、俺がアンタ達に教わることなんてあると思うか?と凄む。海月は気圧されたように黙り込む。ただ……俺を侮辱しやがった張本人は、お澄まし顔。色々とご教授しないといけないことが出来ました、と世迷言を。

「先輩―――
―――大丈夫、です。ミヅキちゃんは何も心配しなくて大丈夫ですよ?勿論、隆一さんも……生活に困るような大怪我なんてさせませんから、ね?」

435名無しさん:2019/09/12(木) 22:36:16 ID:8wui0XE60
もう、売り言葉に買い言葉だ。気遣う言葉に気色ばむ俺に人差し指を一つ。櫻子は、それでも悠然とした態度を崩さぬまま、明日、道場でお話ししましょうね?と微笑みながら退室していく。
ズキリ、とキンタマが痛むが、それをおくびにもださず。まぁ、未だキンタマが痛むとは思ってもいないだろう女共にどれだけの効果があるのかは疑問だが……いや、逆に。痛む素振りを見せたらば侮られるのか?どーでもいいか。
背を向けた櫻子に食って掛かろうとすると、さらに背後から海月が止める。抱きつき制止され、背中に二つ、尋常じゃない存在感を主張する膨らみを認識する。……何でだろうな。男は単純で……それだけで俺の勢いは削がれてしまった。

母屋に残されたのは俺と海月の二人。俺がキレると何をするか分からないってこと、海月は痛いほど知ってるだろうから……櫻子を心配しているのだろう。
保護欲、というのだろうか。痛ましげな顔をした海月に、そんな顔をして欲しくない、そう思った。だから、笑顔で……多少引き攣っていたかもしれないが……彼女の頭を軽く叩くと、俺は冷静だよ、と告げる。
確かにムカつき度はパないが……殺すまではしないから。オマケして、顔面だけはセーフにしてやっておくから、と。男としての約束だ、と伝えると、そんな話じゃない、と逆に食って掛かられる。

「隆一、アンタ、武術を修めた人間と立ち会ったことあるの?どーせ、齧ったことがある程度の連中と喧嘩したことがあるって程度じゃないの?」

率直に言おうか?鼻白んだね。冷めた。海月は、俺の心配をしていると理解してしまったから。だからこそ引けないと、そう思った。アイツに弱いと思われるのだけは耐えがたかった。だから、告げる。
心の芯は冷え切っていて、なのに頭の中は煮え滾るようで。激情が流れ出すのを必死で押さえながら、言葉を投げていく。

「お前、俺が勝てないとでも思ってんのか?何年幼馴染やってきたんだ、海月。そもそもだ……格闘技が何で男女分けられてるんだと思う?なんで、体重差なんて区分けがあるんだと思う?心配するなら……お前の先輩の方だろう?」
「でも……心配だよ、隆一のコト。絶対に勝てっこないもの……今からでも謝るってことには出来ないワケ?」
「クドイな!お前、マジで俺が勝てないとでも思ってんのか?お前も、俺が『弱い』って!?泣き虫クラゲの海月が、か?!」

口調が荒れる。俺を心配する一言一言が、俺を後戻りできない境地に追いやっていく……いや、違うな。窮地に追いやられているのは、櫻子の方だ。まったく、とんだ後輩を持っちまったもんだな、同情を禁じえないぜ。
彼女は俺の説得が不可能だと思い知ったのだろう。唇を噛み締め、下を向く。そりゃ、四六時中、自分より強いヤツと顔付き合わせてれば、強さの過大評価もしちまうだろうよ。
だが……俺は櫻子に負ける気は微塵もしなかった。あんな細腕、華奢な矮躯で。俺に有効打なんて入れられるとはとても思えなかった。ま、夕方みたいに?タマキンに一撃を入れられれば別だが……正対しておいて喰らうか?馬鹿馬鹿しい。

自分で熱くなって、自分の熱に自家中毒を起こしていたんだろうな。馬鹿馬鹿しいがてら、一つ、海月に提案をしてみる。断られて当然だ、と思ったソレを、アイツは表情を変えないまま「いいわよ」と首肯してみせた。
マジかよ!と歓喜が俺を満たす。頭に昇った血が、液化した喜びに変化し……言ってみるもんだな、と満足してしまい……その日の話は、ソコでお仕舞い。何を聞いたか。……まぁ、いいか。簡潔な話しだ。俺が聞いたのは―――



「なら。俺が勝ったら、海月。お前、俺の女になれよ?」



ただ、それだけ。

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436名無しさん:2019/09/12(木) 22:38:07 ID:8wui0XE60
我ながら単純明快に出来ているモンだ。酒も煙草も抜け、その朝は久方振りに清々しい気分だった。
昨日の告白染みた戯事の残熱が未だ身体を駆け巡っていて。これからのコトが無ければ、森を駆け巡っては歓喜の雄叫びをあげてしまいたいような気分だった。

あー、そうだな。長々と済まなかったな。ココまでが、思い出話だ。といっても、別に聞いてくれって頼んだわけじゃないけどな?
そして、これからが。俺の、新しい人生のはじまり。海月がいうには、十時頃に道場に来て欲しい、そう櫻子から伝言を受けたらしい。激しい運動になりますから、朝ご飯はそれからですね、とも。
まぁ、食べれたらの話しですけど……と、何処まで人を見下せば気が済むのか。その言葉を聞かされたとき、俺は、もう何度目か分からない激昂と共に、離れに怒鳴り込もうとしてしまった。

そうしなかったのは海月の手前というのもあるし……彼女の、先輩は全然悪気なんてないから、そーゆー人だから、とフォローになるのか疑わしい取り成しを無碍にしたくは無かったというのもある。
軽く湯を浴びて、屈伸。準備運動を行う。昨日と同じ下着、一度汗に塗れた服装なのは余りいい気分では無かったが。女物の下着でよければ替えあるけど、と冗談めかしていった海月に、冗談じゃない、そう返す。

頼もう!確か、道場破りってこーすんだろ?なんて、付け焼刃の知識で道場の扉を押し開くと―――櫻子が俺の度肝を抜くのは何度目なんだろうな。頭が可笑しい女がいるというのも、あながち間違った評じゃないのかもしれない。
そこには……小さいサイズのワンピース水着に無理矢理肢体を押し込んでみた、といった出で立ちの彼女が。アンビバレントに、凛、とした様子で正座していた。ぶっちゃけていいか?俺、溜まりすぎて狂ったのかと思ったぜ、正味な話。

彼女は俺を視認すると、昨夜俺が逆上していた様子を露ほども覚えていないといった振る舞いで相好を崩す。よく眠れましたか?と問いかけ、おかげさまでな、と返すと心の底から安堵したような表情になった。
やはり、慣れないと動物達が五月蝿いでしょうから、と微笑みながら直立する。慣れれば可愛らしいモノですけどね、と言葉を繋ぐ。私、寝付きが悪いからよく聞くんです、と語ってくるが……いや、コレも実際目の毒だな。

櫻子は、海月と比べると胸部の装甲が薄く……その分長身で。立ち上がると、その、水着の股間部分が引き伸ばされるように形を変えて。何だったか?ハイレグっつーのか?競泳水着?エグいって言えばいいんだっけか?昔のAV用語でさ。
海月というモノがありながら、と言われるかもしれないが、仕方が無いだろう?男なんだから。俺の視線は、櫻子の股間部分に、追加の穴を開けんばかりの勢いで注がれてしまい。

「―――?何か、変でしょうか?私、女性ですから―――ココに変なモノなんて付いていないハズなのですが」

視線を意に介さず……違うな。純粋に、『有る』ならまだしも、何故『無い』コトに興味が示されているのか疑問だという表情で、彼女は己が股間部分を弄る。昨日のミヅキちゃんと同じですよ、と語るとはなしに語りつつ。
小狡いな、とせせら笑う。あれだけ偉そうなこと言っておいて、色仕掛けかよ、と。櫻子は、また疑問が増えたという顔をして。色仕掛けと言われましても、私、ミヅキちゃんほど若くは無いですし、おっぱいも無いですよ?との返答。
視線を下げて、平たい、申し訳程度の膨らみしか視認できない胸部を揉む……いや、それは物理的に不可能で。櫻子が、自身のその部分を不思議そうに撫で擦っているのが見えた。

じゃ、その格好は何なんだ、と問えば。昔、柔道場に出稽古にいったとき、胴着を掴まれて右に左に振り回されて手も足も出なかったので、掴まれないような格好にしたんですと、一応は理屈を伴った回答。
『道』が泣くぜ、と伝えると、『術』でしかないですからね、ウチはと微笑み返される。『道』なんて御立派なモノは、私に教える資格なんてない……手に余ります、とも。ほんの刹那、微笑みに寂しさが入り交じったような気がした。

「一応、聞いておくぜ?ルールは―――
―――ルール無用、です。護身の場ではルールなんて無いでしょう?隆一さんの経験でも……」

437名無しさん:2019/09/12(木) 22:39:41 ID:8wui0XE60
OK、そこまで聞けば十二分だ。俺は無造作に踏み込むと、大雑把に右腕で櫻子を薙ぐ。技?要らねぇよ。この体重差だ、どう防ごうと吹っ飛ぶだろ?当然さ。正拳じゃなく、面を制圧する意図の攻撃だ。
勿論、避けられると想定していた。屈めば、そのまま前蹴りをお見舞いしてやろうってさ。ソレが入れば、もう勝負有りだ。確かに、金的は男だけの急所だがな。女は、何処にあたっても致命的だろ、そう慢心して。

結論から言おうか?慢心が足りなかったのかもな。俺の一撃は苦も無く櫻子のガードの上から直撃し、彼女は2メートルほども後ろに吹き飛ぶ。手応えの軽さから、後ろに飛んだんだろうとは理解したが……それでも、彼女は顔を顰める。
そりゃそうだ。両腕、痺れちまったんじゃないか?と揶揄すれば、お気遣いありがとうございます、と場違いな礼。そのまま両腕を構え直すが、おい、隠せてねえぜ?真っ赤に腫れちまってんじゃねえか。内出血を防いだだけで特筆もんだな。
下手な男だったら、今の一撃で完全に戦意喪失してるぜ。それでも。俺から見たら雑魚の部類だがな……ま。海月には、あの弱虫にとっては、それだけで越えられない壁に見えたのかも知れねぇな、なんて。

追撃に移る。再度。丸太のような腕での横薙ぎ。昨日の恐怖が鮮明で、無防備に蹴りを放つ気分にはなれない。アレが無ければ……もしかしたら、キンタマにカウンターでも喰らってたかもなと思い、海月に感謝。
蹴りを入れるならコンボの〆だな、なんて独りで櫻子を料理するレシピを考えつつ振るわれた鉄槌を今度はいなそうとして、再現VTRか何かのように。櫻子はまたもや吹っ飛ばされる。甘ぇよ。小手先でどうにかなる筋力差じゃねーだろ?

三撃目、惨劇のはじまりだ。もう鼻歌交じりで歩を進めると、再度、いや三度。右手を突き出すと、大きく横へ薙ぐ。流石に、いや、ようやくか?防げないと学習したのか、彼女は身を沈めてその一撃をかわす。
大股を広げて……躊躇は精々一呼吸分程度だ。俺を蔑んでくれた礼、釣りはいらない。これぞ意趣返しってヤツだよ、と。俺は左脚を振り上げて、櫻子の股間を蹴り上げようとする。顔面は打たないっつったけど、コレは約束してねーよな?

と。彼女の腰がうねるように動き、重心が後ろへと遷移した。それこそ、男であればかわしきれていない程の紙一重の差で、俺の左脚は空を切る。ペシ、と彼女の股間に、爪先の先が当たって。引っ掛かるものが無く、撫で上げる。
体幹の強さか、バランス感覚なのか。櫻子は、自身の股間を襲った衝撃を気にとめることも無く……そりゃそうだろ?女なんだから……俺の左脚の下に身体を滑り込ませてくる。俺が脚を引くと、圧に耐え切れず体勢を崩して―――

ペシン、と音がした。俺には、コリッという感触が伝わる。体勢を崩しながら……猫のような形に変わった櫻子の手掌が、俺の股間に差し入れられていたと認識したのは、ほぼ同時。
指先に睾丸を引っ掛けて、そのまま股間から掻きだすように打ち込んだのだ、と気付いたのも、ほぼ同時。俺の爪先蹴りよりも、随分と軽い一撃、だが。ソコを打たれたと認識すると、俺の思考が一瞬止まる。昨日の地獄を思い出す。

大したダメージじゃなかったんだ、正直な話。完全に崩れた体勢から、苦し紛れのように放たれた掌打。だが……その思考の空白は、何よりも致命的だった。
ぷちゅ、と言う音が聞こえてきたような気がした。直ぐに、それが完全な錯覚だと分かるが……それは、一足先に体勢を立て直した櫻子が。俺とは違い、刹那の躊躇も無く。左足の甲で、俺のキンタマをカチ上げた直後だった。
俺は、完全に静止。全精神力を持って、喉元までせり上がってきた悲鳴を呑み込む。こんな声、海月に聞かせるわけにはいかない、と耐えた俺を待っていたのは。情け容赦無い追撃、俺の金的に叩き込まれた、櫻子の右足の甲だった。

背足っていうんですよ、と。子供相談室の解説員のような口調で櫻子が呟く。彼女には微塵の逡巡も無く……弱点が晒されていたので、当然のごとく狙いました……ソレ以上の感情は発していない。アイツにとっては、ただソレだけ。
俺にとっては―――

「ッ!!!!グ!!!ググ!!ググゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!!」

438名無しさん:2019/09/12(木) 22:40:19 ID:8wui0XE60
本能的に、両膝を絞る。両手で気付かぬ内に股間を抑え、反射的に窄められた喉から、発したくなかった……海月には聞かせたくなかった、甲高い悲鳴が押し留めようもなく流れ出していく。
舐め腐っていた。慢心し切っていた。苦痛と共に後悔は止め処なく溢れ、そしてそれら全てが後の祭りだと実感する。確かに、男の方が筋力に優れ、体重に優れ。油断しなければ、順当に櫻子を叩き伏せられたハズだった。
俺が失念していたのは……だからこそ、男だからこそ、逆に。ただの一撃で地に伏すしかない急所を、男だけがぶら下げていたということ。警戒はしていた……だが、思えば、幾ら警戒しても警戒し過ぎるということは無かったハズだ。

櫻子は、曖昧な視線を保ったまま。ただ、蛇口を捻れば水がでるように。議論の余地も無く、金的を蹴り上げられれば、当然男性はそうなりますよねぇ、と。その双眸で言外に語っていた。
完全に他人事として捉えている視線。実際、彼女にとってはどうしようも無く他人事。決して、同じ経験をすることは無い……忌々しいことに!だが、その事実に怨みを置くほどの余裕すら、先だっての一撃は俺から奪い取っていて。

あらあらまぁまぁ、と聞き飽きた感嘆詞。映画の登場人物が苦境に陥っている、そんな距離感で心配そうな視線を送ってくる。彼女の様子は常日頃と何ら変わりが無く、この痛みと彼女の距離はそれだけあるのだ、と絶望してしまう。
お辛そうですね、おいたわしいことです……と口元を押さえながら告げる台詞に嘲笑の気配は欠片も無く。それが、無味乾燥な社交辞令という印象を更に強めてくる。

「御自分が危ないモノを持ち合わせていると、身に沁みて御理解頂けたのではないですか?恥ずかしく思うことはありませんよ。男性は、皆ソコが『弱い』のですから。隆一さんが気付くべきなのは、もっと別のコト―――」

金的を打たれると、沈静作用があるつったな。だが、俺は。何度目か分からない激昂を覚えていた。ココに来て、何回俺の脳内血管がブチ切れたのか、もう数えることすら馬鹿馬鹿しい。
絶対に聞かせたくないみっともない悲鳴を。絶対に聞かれたくない、特別な人に聞かれてしまったかもしれないという恐れでもあり。睨めあげた先、悲鳴を上げさせた張本人の股間に、その原因となるモノが無いせいでもあった。
俺の視線を感じ取ったのか、櫻子は股間の前で組んでいた両手を開いて、急所が無いソコを、ご丁寧にもよく見えるように蹲る俺に突き出してくる。『無い』こと御確認されたいのでしたら、どうぞ、と癇に障る一言を添えて。

「その痛みを、相手に絶対に味あわせ返すことが出来ない……遣る瀬無いですよね。よく、分かります。その痛み自体は一生理解出来ないと思いますけれど……その気持ちだけは、痛いほどに」

戯言を、と怒髪天を衝く思いがする。一生味わうことが無いと言っておきながら、舌の根も乾かぬうちに『気持ちは分かる』だと?矛盾しているだろ?
精神が肉体を凌駕するという言葉を聞いたコトがある。読んだこと、か?何処のマンガだったような、記憶は曖昧だ……俺が読んだ経験があるっつーなら、マンガだろうと当たりをつけただけ。
完全に、プッツンきちまったよ、と怒りに身を任せて立ち上がる。そこで、思い知らされたのは。

「ほら、キーン!……危ないコトが御好きだとは伺いましたが、金的をお持ちの御身体で不用意に立ち上がられますのは、その……。趣向を通り越して無謀、ですよ?ちょっと反省していてくださいね」

間髪入れず。立ち上がるのを読んでいたのか、櫻子が右足を振りかぶったヤクザキックの要領で、股間を押さえる両手の更に上から、ガード毎押し潰すような蹴りを入れてきて。
男なら……分かるだろ?女でも、覚えておいた方がいい。『金的』は蹴り上げには弱いが、蹴り下ろしには意外と鈍感なことを。奥まった場所にあるから、そも蹴り下ろしはあんまり上手く当たらないんだ。
それこそ、平素なら。魔法のように、銀の弾丸のように『金的』が一撃必殺だと信仰しているような女は、頼みの綱が通用しないことに混乱したまま、禁域を侵そうとした報いを受けて叩きのめされるのが常だった。
だが、昨日今日と散々に痛めつけられた俺のタマにはその程度の衝撃でも十分。分かってやったワケじゃないんだろ、と。女だもんな、分かるわけがない。そう彼女を恨めしげに睨みながら、俺の身体は床に沈み込む。

439名無しさん:2019/09/12(木) 22:40:54 ID:8wui0XE60
その想定も甘かったようで。畜生!俺は何処まで見積もりがヌルイんだ、と自分の不甲斐無さを噛み締めたのは、櫻子が世間話のように次の言葉を投げかけてきたあとだった。

「普通なら前蹴りは効果が薄いのですけど……金的のダメージって尾を引かれる御様子ですからね。昨日今日、アレだけ虐められたのですから、コレでも十分にお効きになりますでしょう?」
「テメェ……テメェ、全部分かってて―――???」

瞳孔が開き、焦点が合わさっていない櫻子の瞳。何処を見ているのかも茫洋として掴めないソレが、まるで『男』の全てを見通しているような錯覚を覚えて背筋を冷やす。
彼女はそんな俺の様子をみやると、あらあらまぁまぁ、と。両手を併せて小首を傾げ、表情に困ったかのようにニッコリと微笑む。その口から放たれたのは、全く雰囲気にそぐわない恐ろしい言葉。

「お苦しみが実際どんなモノなのかは分かりませんよ?私には『金的』ありませんから……ただ、どんな衝撃でどういった反応をされるのか、積み重ねで学んできたというだけです」

と、片手を猫の手のように構えると、バシン、と自分の股間を叩く。最初に俺の股間を打ったのと完全に同じ攻撃……だが。櫻子には金的が無いが故に、まるで平然とした様子を崩さない。

「例えば、ですね。こんな感じに金的を打つと、男性って動きが止まるんです。軽く、で十分。勿論、男性のみですよ?女には効きません。覚悟する猶予?が与えられるからだって御説明頂いた殿方もいらっしゃいましたっけね。
 ……打たれた後に、何の覚悟がご入用なのでしょうね。不思議ですけど、まぁ、私から見たら、ね。申し訳無いのですが、隙だらけとしか言い様が無い状態です。そうなるとどうされるのか……体験、されましたよね?」

ああ、文字通り『身に沁みる』程にな、クソ女。動きを止めて本命を入れるのが勝ちパターンだってのか?えげつない、汚い真似をしやがるぜ。

「汚い、と仰られましても……同じコトをされても、私は別段汚いとは思いませんよ。勝負なのですから、弱い部分が狙われるのは当たり前でしょう?特に、隆一さんは『男性』なのですから……特に『弱い』部分、しっかり守らないと。
 話が逸れちゃいましたね。動きが止まったら……お説教の気分の時は、手を差し入れておタマタマを握ります。それだけで……ふふっ、いつも微笑ましいと思うのですが、それだけで男性、為す術が無くなってしまうのですよね。
 
 教導を続けたいときには……先ほどご体験なされたように、背足で金的を跳ね上げます。軽く、ですよ?そうしないと、教導どころでは無くなってしまうので……仕方が無いことだと分かっていますから、恥ずかしがらないで下さいね?」
「軽く、だと―――」
 
軽く?軽く、だと。アレでか?『その部分』に対する男女の余りの認識の違いに、立ち眩み……いや、座り眩みか。眩暈がするような感覚を覚え、気が遠くなりそうになる。
アイツは、櫻子は。俺にコレほどまでの痛みと屈辱を与えておきながら、それを単なるワンポイントアドバイスの一環としてしか捉えていない。

「えぇ、軽く、です。お仕置きが必要だと感じましたら、背足では無く膝……ココ、この部分です……抱きつくようにして、膝でおタマタマ、身体の奥に蹴りこむようにカチ上げます。その反応、未経験、なのですね?
 折角ですし、後でコレも体験しておきましょうか。効果覿面、ですよ?皆様、涙に鼻水まで流して悶絶なされますから……失禁なされる方も。その時になれば、最初のは『軽く』打たれただけだったんだなぁって分かって頂けると思います。

 ―――そして。もう。会話の余地もないかしら、なんて思ってしまったときは」

ブン、と風を切る音。何気ない動作で櫻子が膝を振り上げた音だ。その動きは淀みなく流麗で、相当、その攻撃方法に習熟しているのだと、遠目にも分かる。

440名無しさん:2019/09/12(木) 22:44:59 ID:8wui0XE60
「逆に、ね。奥では無く、手前にカチ上げます。恥骨……分かります?腰骨の股間部分……ほら、昨日のミヅキちゃんの硬い部分、アソコです。女の子の方が、恥骨の場所は分かりやすいですね。邪魔なモノがないから、実際に触れますし。
 ソコとおタマタマを挟み込んで……気の毒ですけど、ぷちって、ね。潰します。コツさえ知っていれば、意外と簡単に潰れますよ?ぱちゅッて。この場合は、効果覿面というより、天罰覿面といった反応になりますね。
 
 ……?潰すコトに対する感想、ですか?事例毎に覚えているワケでは無いのですが……御期待に沿えず、申し訳ありません。ただ、強いて言うなら」

441名無しさん:2019/09/12(木) 22:51:21 ID:8wui0XE60
それこそ、タマが縮みあがるようなコトを平然と。海月は、『未だ』潰した経験は無い、そう言っていた。櫻子は、違う。明らかに『経験者』……こんな言葉があるのか知らないが、『去勢処女』を捨てた人間だ。

442名無しさん:2019/09/12(木) 22:53:14 ID:8wui0XE60
「……安心する、でしょうか。感想のコトです。私、おタマタマをキチンと潰して差し上げた日だけは―――」

眉根と寄せて、困り顔3笑顔7といった複雑な表情を櫻子が浮かべる。俺は、恐怖4困惑3激昂3の絶妙なブレンドの顔になっているのだろう。彼女はボンヤリとした印象を保ったまま、俺の顔色を気にする様子も無い。

「―――安心して、グッスリ眠れるんです」

言葉に反して。瞬間、哀しみが4、笑顔が7といった形に櫻子の表情が歪むが、文字通り一瞬のコトだ。俺は、そんなコトを気にする余裕も無い。
ザリガニのように後ろに下がり、目の前の『男殺し』から距離を取る。何時でも丸まれるように意識しつつ……言うコトを聞きたがらない身体を、キンタマの抗議を無視して引き起こす。
予想とは異なり、櫻子が追撃を仕掛けてくることは無かった。遠い目をして、今では無い何時かを眺めているような表情。幽霊のような。彼女が現世に戻ってきたのは、俺が立ち上がり体勢を整えなおしたのとほぼ同時。

「あのまま寝ていただいていて結構でしたのに。金的、まだお痛みになるのでしょう?」

それとも、先程の言葉で怖がらせてしまったのかしら。櫻子が、頬を押さえて溜息をつく。ごめんなさいね、一言の謝罪。ご自分のが潰される想像をしてしまったのでしょう?私、そんな想像したこと無くて、気が回りませんでした、と。
ただ、逆説的にですね。『分からない側』の私は、いざ『潰す』と決めたら躊躇無く出来ますよ、なんて縁起でもない言葉が零れてくる。その余裕、洒落にもならなければ演技にも見えない。

何度立ち上がっても、這い蹲らせることは容易だと考えているのかと思っていたが。全く違った。気遣わしげな目線を俺に向けてくる櫻子は、もう、勝負はついた、そう認識しているのだと理解する。
その慢心、その油断!さっきまでの俺と相似形に見え、俺と同じ苦渋を舐めさせることは出来ないという事実に歯噛み。股間から鈍痛が響き、立ち上がったものの未だ満足に動けそうに無い。だから、言葉で時間を稼ぐ。

「テメェみたいな、な。男を舐めきった女の靴を舐めるなんて、男の沽券「股間の間違いでは?」ッせーな、茶々を入れんな。沽券、だよ、沽券に関わるんだ」

股間を押さえ、みっともない格好だってコトは自覚している。ハラハラとした様子で此方を見やる櫻子に、視線だけで闘志を失っていないと訴える。と、相手は何か納得したような表情を浮かべ。

443名無しさん:2019/09/12(木) 22:54:19 ID:8wui0XE60
「あ、お話しでおタマタマの痛みが治まるまで引き伸ばそうってコトですか……そんな、謀を巡らせなくても、ちょっと待ってって言ってくだされば幾らでも待ちますのに……。でもまぁ、好都合かもしれませんね。
 私としても、隆一さんにお話ししておきたいこと、たくさん有りますから」

お見通し、かよ。つくづく、癇に障る女だ。ピ、と人差し指を挙げ。何か、子供に注意するような、道理の分からぬ駄々っ子に言い聞かせるような調子で、櫻子の言葉は続く。だが、その内容は。

「……私、男性を下に見てなんておりませんよ?寧ろ、強さを尊敬しているぐらいです……脆い急所をお持ちにも関わらず、胸を張って生きていらっしゃるのですから。私だったら、到底無理な芸当だと、そう思っております。
 男性の不幸は。コレが、隆一さんに伝えたかったことでもあるのですが……『金的』を持ち合わせている、ソレそのものでは無いのです。そんなコトでは無く……『弱い』男性も、『強い』男性も、一律で急所をぶら下げていること。
 
 お強い方なら、いいでしょう。身体の壮健さとトレードオフの関係なのかもしれません。私風情なんて、軽く捻れるような方であれば……実際、沢山いらっしゃいましたよ、そんな方」

あの女が侮辱しているのは、『男』では無い、アイツが侮辱しているのは、他ならぬこの『俺』だ。沸々と、腹の底から流れ出る苦痛が、マグマに変わって行くような感覚。

「女は弱い、これも真実だと思います。ですが……『弱い』私と、『弱い』上に『金的』まで持たされた隆一さん……立会いの結果が、何よりの答えになりますよね?異論があれば、御自由に仰ってください。
 だから、だからこそ。『弱い』隆一さんにも、護身の術が必要だと考えたのです。これが昨日の真意……御理解頂けましたでしょうか?『弱さ』を捨てられないのなら、せめて守る技術は身に着けておいて頂かないと……ね?
 
 生憎、股関節、全身の動きの起点。とても狙われ易く……防ぎにくい場所でしょう?女にとっては有り難い限りですけど、男性にとっては……防ぐことも出来ない『弱い』男性にとっては。それは、とても不幸なコト」

全身の血が、沸騰を通り越して爆発したかと思った。股間が、キンタマが喧嘩に際する禁域だとしたら。今の櫻子の言葉、『弱い』という一言は俺にとっての禁句。ズケズケと無神経に、触れてはならないモノを踏み躙る女に虫唾が走る。
全身全霊でファイティングポーズを構える。何か、お気に触ってしまったのでしょうか、と所在無さげな櫻子。何が気に触ったかって?全部だ、全部だよ。お前の全てが気にいらねぇ。

櫻子の視線が俺の股間に伸び。右手が差し出されると、ぷちっと擬音を発して握り締められる。そのジェスチャーが何を指しているのかを感じ取ってしまい、思わず俺は腰を引く。櫻子が、失笑。
怖いでしょうに無理をなさって、と。ポツリ、同情の言葉が漏れる。私には知る由も無い恐怖ですけど、と相変わらずあの女は一言多い。

「危険なコトに突っ込んでいくコトを、勇気とは呼ばない、そう思います。逃げると判断することの方が、よっぽど勇気が必要だとも。隆一さんは違うのですか?」
「男にとっちゃ違うのさ。まぁ、女のテメェには一生分からないだろうがな。男の意地ってヤツだよ」

無論、嘘だ。コレが街でのどうでもいい喧嘩なら、とっくにケツを捲くって逃げてる。お礼参りは後日をお楽しみに、ってヤツだな。だが、今回は、今回だけはそうもいかない。
海月の顔が浮かぶ。ココで勝てば、俺のモノになる女の顔が。櫻子の顔が浮かぶ……眼前に本人、ノホホンとした顔で立ち尽くしてやがるがな……どうにも落とし前をつけないと、前に進めない女の顔が。

444名無しさん:2019/09/12(木) 22:54:49 ID:8wui0XE60
あらま、とまた意味の無い音節。そして、また。何か納得したような顔になると、櫻子から、また。本人は意図しないのだろう、だが、聞き逃せない侮蔑の言葉が。

「ミヅキちゃんとの約束のコトを仰られてます?それでしたら、入門すると一言いってくだされば、私が負けたコトにして口裏を合わせても構いませんよ?といいますか、もうソレしか方法、残って無くないでしょうか?」

何で、ソレを知っているんだ、と愕然とするのは一瞬。アイツ、今度は。俺のみならず、海月まで馬鹿にしやがった。今度こそ、もうどうなってもいい、アイツはボッコボコに叩き伏せると腹を括る。
また何か地雷を踏んだとことまでは理解したんだろうな。どうしても、駄目ですか―――と消え入るような声の櫻子。駄目だよ、もう決別したんだ。すると。櫻子は神妙な顔に変わって、こちらを正視してきて。

「……分かりました。残念です、とても。でも、仕方がありませんね……考え直して欲しかったのですが、無理、なんですよね。……そう、ですか。分かりました。守る技術、身に付けて頂くつもりは更々無い、そう仰るのでしたら」

哀しみを湛えた顔で、笑う。

「……もう、『弱さ』を捨てていってもらうしか無いんですね。昨日のピストルの話と同じ。危なさを十分に実感して頂いてから―――つまり、ですね」

分かりますよね、と寂しげに告げられるが。もう、決別は済んだんだ、と。昨日の団欒は暖かかったぜ、と内心で最後の礼を言って―――と、なのに。続けられた言葉には。俺の動きを完全に止めるだけのインパクトがあった。

「隆一さん―――

445名無しさん:2019/09/12(木) 22:55:26 ID:8wui0XE60










「貴方のキンタマ、潰します」

446名無しさん:2019/09/12(木) 22:56:13 ID:8wui0XE60
なぁ、アンタ。自分より遥かに技量が勝る相手に、キンタマ潰すって宣言されたコト、あるかい?アンタが女なら、一生分かんねぇだろうし……男でも、実際経験してみないと、その空恐ろしさは理解出来ねぇだろうな。
タマが無い生活。アンタが女なら、それは普段通りなんだろうさ。櫻子や、海月と同じくな。だが、男なら―――な、想像つかねぇだろ?沸騰した血液が、泡だった状態のままに凍結しちまったような気がしたぜ。

タマを、潰す。言葉にしてみれば、単純な単語二つなんだろう。だが、その言葉が与える印象は……男と女で、あまりにも異なる。男なら、キンタマ潰されるぐらい覚悟の上で一矢報いてみせてみろ?オーケー、アンタは女か?
男だっつーなら……タマ打ったことが無い、幸せな人生を送ってきたんだろうな。羨ましいぜ。実際、白熱した戦いで脳汁がアドレナリンに完全に置換されて、結果、決着がついた後にタマが潰れてたコトに気付くって例もあったそうだが。
俺にゃ、無理だ。覚悟が云々っつー話しじゃない。何故、俺が引かない、引けないのか。単純に、それが理由。海月の顔が……乳が脳裏に浮かぶ。いざアイツを手にいれたところで、タマ失くしてたら世話が無い。

怒りと恐怖が渾然一体となって、俺の反応が一手遅れる。櫻子は、未だに何の動きも見せないように見えて……気付いた時には目と鼻の先、至近距離まで迫ってきていた。
摺り足だと気付いたのは、彼女の視線、未だに焦点を定かに結ばないそれが、俺の両目を射抜いているのを感知した直後。頭部の上下動が全く無かったため、アイツの初動が、起こりが全く読めなかった。

感情の天秤が一気に傾いたよ。恐怖、恐慌の側にな。櫻子は、タマを潰すという言葉に……その行為に一切深い意味を見出していないようで。そして、あの女が自発的に……『返し』じゃない行動を起こしたのも初めてで。
虚を衝かれたわけじゃない。単純に俺の反応を掻い潜って、苦も無くアイツは懐に。俺のタマの命運は、タマがどうなろうと知ったこっちゃない、櫻子に完全に掌握されちまった、そんな予感。ケツ穴に氷柱がぶッ刺されたような悪寒。

必死こいて一歩下がると、半呼吸前まで睾丸が震えていた場所を、櫻子の右手が撫で上げるように通過したのが分かった。もう、反撃どころじゃない。櫻子もソレを認識してか、力任せの攻め。反射的に、膝を絞ると、下から衝撃。
俺の股間のサッカーボールを蹴り上げて、男としてのサドンデスつまりは突然死。俺の男の人生をゴールに叩き込まんと、ゴールデンゴールを狙った蹴りが運良く膝で阻まれたのだと分かった。

「ま、待ってくれ。ノーボール・ノーライフだ……分かるだろ」

何を言おうとしたんだろうな。俺の啖呵も男の威勢も、去勢目前という現実の前ではこんなにも無力なのか。混乱の極致で、命乞い、いや、タマ乞いか。情けない台詞が口を衝く。櫻子はソレを微笑んで受け止める。

「ノーボールのライフ、未だ経験なされてないですよね?ノーボールの先達として言わせて貰えば―――

また、次は左手。その股間にキッチリ差込んで、ボールを捻じ切って差し上げましょう、未練が残らないようにね、と。そんな意思が込められたコークスクリューを、両手を下げることで辛うじて弾く。

―――先達として言わせて貰えば、結構お気楽でいいモノですよ?ノーボール。女性ならではの悩みは確かにありますけど……隆一さんは、女性になるわけじゃないですものね」

気楽に言ってくれる。そりゃ、お前は気楽だろうよ?だが、俺の方は!櫻子の視線が、再度、俺の顔面を射抜く。心が通じ合い、互いに埋めようが無い差が、性差があることを否応無く実感させられる。
アイツは、このまま。俺の顔面を打ってこようとしている。そして、股間を覆う手が外れたら―――遠慮なく、俺の『男』を外すつもりだ、と。股間を強く押さえ、目を細めて一撃に備える。もう、何とか耐える、それしかない。

「かはっ……」

……息が詰まった。衝撃の大元は、上腹部、鳩尾。貫き手で横隔膜を強かに痛打され、本能的に酸素を求めて喘ぐ、と。

「ごほっ!!」

蛇のように軌道を変えた櫻子の貫き手が、伸ばされた俺の首の中央、丁度喉仏のあたりを衝く。無名ではありますけど……ココも男性特有の急所です、と一人言が。
息が、出来ない。それでも酸素を取り込もうと、パクパクと口の開け閉めを行っていると……視界に火花が散った。櫻子が、鼻っ柱に頭突きを入れてきたのだと理解したのは、鼻を両手で抑え、大きく仰け反った後で。

447名無しさん:2019/09/12(木) 22:57:01 ID:8wui0XE60
腹に、滑らかな水着の触感が。それに包まれた、ささやかな、本当にささやかな膨らみの感覚が。背に、俺を抱え込むように回された、櫻子の両腕の感触が。
櫻子の言葉を、思い出す。『分からない側』の私は、いざ『潰す』と決めたら躊躇無く出来ますよ、その言葉は時間差を伴って、死刑宣告のように俺に響いた。だから、恥も外聞もかなぐり捨て、必死に乞う。

「許して……」
「駄目です」

口調こそはニコヤカに、言下の否定。ズドン、と。鈍い音が響いた。タマが押し込まれる感覚がして呆けてしまう。不気味な静寂。まるで、幼子が爆発的に泣き喚く前に、静かに息を吸い込んでいるような―――


その時、確かに。俺の股間を起点に、世界に罅が入っていくのが見えたんだ。




「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!〜〜〜〜〜ッ!!!!〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!!!」




気絶するなどと生易しいことは出来なかった。これも、櫻子の想定通りなのだろう。恒星が炸裂しそうな衝撃が股間から迸り、俺は爆発寸前の超新星を両手で押さえ込もうとしているのだと錯覚してしまう。
激痛という形容など生温い。苦しみだとか、後悔だとか。絶望、だとか。言葉で包装された負の概念から虚飾が全て取り去られ、その、負のイデアとでも呼ぶべき何かが、俺の股間に顕現したようだった。
床を転がり、転がり、痙攣。全身で苦痛を訴える。涙と鼻水が止め処なく溢れる。それでも、それでも。苦しみの一厘ほどですら、その行動で表現出来ているとは思えなかった。

「先だってお伝えした通り、コレが『お仕置き』の蹴りです。どうです?初撃、小手調べだったって実感して頂けたのではないでしょうか。
 ふふ。女性である身としては、足先で蹴り上げるか、膝で蹴り上げるかの差異でしかないので。ピンとはこないのですが……その反応を拝見する限り、御理解頂けたようで何よりです」

俺を地獄に突き落とした女は。俺が掴まれて、地獄に引きずりこまれようとしている部分など存在しない股間を無防備に……それこそ自慢げにひけらかして、得意気な顔を見せる。
いや、ひけらかしている意識など無いのかもしれない。櫻子にとっては『存在しない』のが自然で。だからこそ、ソコを自慢するなどといった考えが彼女の脳内に存在していないようだった。

「ですが……今からその反応だと、実際に潰して差し上げたときが思いやられますね……。あの、きっと、もっと苦しいですからね。無い私には見当もつきませんが……リアクション、激烈ですから。
 私などに気を遣わず、存分に悶えて叫んで頂いて結構ですからね。みっともない、なんて気にしないで下さいね?男性は、皆そうなるのが自然、恥ずかしがることなんて無いですから」
 
これで―――これで!?まだ、足りないっていうのかよ?!これだけの苦痛……これまでの人生の全ての痛苦を束ね合わせても比較にならない激痛を味わわせて、それでも、まだ?!
俺の口から、意味を為す言葉は吐き出されない。だが……その視線からいいたいことを読み取ったのか。櫻子は俺の腹を蹴り転がし、仰向けにすると、失礼、と一言。ドスン、と腹の上に横座りの体勢になって。

「あの―――苦痛のコト、私に言われても困ります。分かりませんから。それに……信じてもらえないかもしれませんが、私、痛みが少なければ少ないほどいいと、そう願っているんですよ?」

何を言っているのか分からないという表情になったのを察したのだろう。彼女は、さらに説明の句を継ぐ。

448名無しさん:2019/09/12(木) 22:58:14 ID:8wui0XE60
「目的は『潰してあげる』ってコトで……率直にいうと、ですね。ですから、去勢の際の苦痛などは、単なる付属物、副産物なんです。私にとって。だから……潰すときはいつだって、早く楽になって欲しい、そう祈っています」

そこで一区切りついたのか。俺の下半身に向き直ると、ズルリ、と下穿きを、トランクスごと膝まで下ろす。見ーつけたっ♪と、童女の如き笑い声が一つ。無意識か、ちょっと小振りな方ですね、と。残酷な言葉を、ポツリと溢す。
地雷を踏んだと思ったのだろう。実際、俺にはそんな戯言に取り合う余裕など毛筋程も無かったがな。慌てた口調で、女性はサイズを気にしませんから、大丈夫、とフォローを入れて……いや、小さいって意味じゃなくて、と再度慌てる。
その、そうです!これから潰れて無くなってしまうんですから、サイズなんて関係ありません、と力強い宣言。誰かに聞かれたら、前は御立派なモノが付いてましたよって偽証して差し上げますから!って、それもフォローじゃないだろう?

そのまま、更に腹の上で半回転。所謂、騎乗位に近い体勢になる。軽々と、力が入らない俺の両手を引き剥がすと、後ろに身体を傾け……あろうことか、俺のタマを掌底で床に押し付け、揉み込みはじめる。
体勢を崩した関係上、必然的に眼前、目の前に櫻子の股間が突き出される形になる。分かるか、あの絶望が。俺の目の前に晒されたソコには、キンタマのキの字もない。タマなんて自分とは無関係です、と素知らぬ形をしていたんだ。

「おうっ!!はうっ!!ぐはっ!!ぐひっ!!!」

櫻子の身体が俺の上で弾むたび、汲めども尽きぬ内臓痛がポンプで汲み上げられ、撒き散らされているような気分だった。脱力した両腕で櫻子を押し退けようとして……それは叶わず。
櫻子の両腕を外そうとしても、跨る彼女の両脚が、肢体が、俺の両腕を阻んで届かせず。空しく、櫻子の下腹部……性器は俺の腹筋との間で隠されていて……何も無い、下腹部としか形容出来ないソコを空しく引っかく。
こそばゆいのか、恥ずかしげにクスクスと笑う彼女は、笑い声の下、早速『予習』とは感心ですね、と揶揄とも賞賛とも付かぬ言葉を投げてくる、『無い』とはどういうことか、心いくまで存分に確認してくださいね、とも。

また真顔に戻って……股間を弄る俺の手に、時折噴出しそうになりながらも……彼女は、何でもないことのように告げる。俺に、獄卒からの託宣が下される。

「……苦しめたくないといっておいて、恐縮ですが……コレも、必要なコトなんです。おタマタマって意外と弾力がありまして……蹴り上げて、隆一さんの体重をお借りするならば、直ぐに潰してあげられるのですけど。
 その、もう、お立ちになれませんよね?いいんです。ちょっと、調子に乗った私が悪かったんです。隆一さんは、何も悪くない……で、ですね。このままだと、踏み潰すときに多少梃子摺ってしまうかもしれませんので―――

健気にも頑張る子供を見るような目、慈しむ目で俺を見下ろして。

―――下拵え、です。この程度で潰れた事は今までありませんから、ちょっとだけ、ちょっとだけ我慢してください?」

「ふっ!ひっ!!あっ!!ぎぃぃぃぃッ!!!」

リズミカルに、俺の睾丸……腫れあがり、少しの衝撃でも電撃のような痛みが走る器官を容赦無く揉みしだく。男では出来ない、女しか出来ない拷問だと思った。手の先、睾丸の無い櫻子の股間が言外にその通り、と主張していた。

「言いましたよね?タマタマ握られると、男性はもう為す術が無いって……受け入れてください、コレ、だから急所なんです、潰しやすいように、外にはみ出ているのもそう。潰すって決められたら、無駄な抵抗が出来なくなるのもそう」

違う、と。何かで読んだことがある。睾丸が外に出ているのは、単に精子が熱に―――

―――眉唾ものです。だって、ウチの鶏……雄鶏のコトです、みんな人より体温が高いですけど、タマなんて飛び出てないですもん。昨日の夕飯の、コケ悟朗だってそうでした」

449名無しさん:2019/09/12(木) 22:58:45 ID:8wui0XE60
櫻子の股間に揉みこめるものは無く。彼女は、躊躇無く俺のキンタマを揉み潰していく。この激痛は、俺しか感じることが無い、そう痛感すると、鼻の奥がツ-ンとした。餓鬼の頃、理不尽ばかり感じていたことを思い出す。

「隆一さんしか、感じられないからこそ。せめて、痛みを感じる回数は、少なくてすむように。横着せず、シッカリ揉み込んであげないと、ね。貴方のため、貴方のためなんです。面倒臭がってなんて、いられません」

弾む息の下、櫻子の言葉が続く。涙が一筋、左目から溢れた。あらあらまぁまぁ、と久方振りの台詞。大丈夫です、と。男の子じゃなくなるんですから、変な意地なんて張らなくていいんです、とズレた励まし、そして。
唐突、本当に唐突だ。櫻子の目に光が戻って、意識が現世に戻ってきたと直感する。何故か、それは分からない、でも。

「まだ、しばらく掛かりそうですから……少し、昔話をしましょうか」

そう言った櫻子の目には、俺がハッキリと写しだされている。理由は分からない、だが、理解ってしまった。

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450名無しさん:2019/09/12(木) 22:59:23 ID:8wui0XE60
「私にも、高校生だった時代があるんです……隆一さんたちの先輩、OGってことになるのかしら?驚くことは無いでしょう?あの下らない街に、高校なんて一つしか無いんですから」

滔々と語りはじめる。視界に俺が写っていながら、彼女は遠くの誰かを見ているようだった。

「校内暴力華やかなりし時代ってヤツでした。本当、反吐がでそう。ミヅキちゃんが言うには、今は少しは落ち着いたんですってね。……正直に言って、嫉妬してしまいます。

 私は、あの頃既に護身術を修めていて……○○道の××流ってヤツ。ふふ、風評被害になっちゃいますから、実名は避けますね。実際、事故でしたが……道場で、その、男の方を『終わらせた』コトもありました。
 知ってましたか?金的を潰された後の処置が悪いと、男性って亡くなってしまうコトもあるんです。あ、隆一さんは心配しないでいいですよ?後始末、私はちゃーんと何すればいいのか熟知していますから。
 
 で、ね。狭い街でしょう?その噂も瞬く間に校内に広まっていて……気付くと、女子生徒達の顔役、みたいな身の丈に合わない立ち位置にいたんです」
 
無くなっても生活に支障は無いのに、意地悪な作りですよね、と微笑む。支障が無いといえるのは、櫻子が女だからだ。と。世界の半分は女ですよ。達観したように、彼女が笑う。
揉む手は緩めず、それなのに寂寥感を表情に滲ませて。せめて、語るか揉むかどちらかに―――いや、語るのみにして欲しい。

「そんなに辛いんですか……ふふ、もう少しの辛抱ですからね。男の子のウチは、我慢しましょう?まぁ、男の子で無ければ、そもそも我慢する必要も無い痛みなんですけれど……男の子を止めるまでの、我慢。 
 で、ですね。未熟だった私は、その立ち位置に満足していたんです。今思い返すだけで、顔から火を噴きそうですが……『か弱い』女子生徒を守るのが、自分の責務だと、そう思っていました」
 
泣き笑いのような顔。そして。

「初恋も、知りました。ケンタロウ君という方で。身体的には弱くても、精神的には非常にお強い方、でした。気高い人、尊敬できる人、でした。揉め事に首を突っ込んで、自分が殴られても解決したことを喜べるような方。
 初対面は最低最悪。私の前で、ケンタロウ君がキンタマを抑えて青い顔、蹲っていたのを覚えています。当然でしょう、男性だったので。あの頃の私は天狗で。男なんて、股間を蹴れば一発の生き物だって嘯いていました。

 あの人は、懲りなかった。それでも、何度も私の前に立ち塞がって……何度地面を転がっても、それでも。逆に、私の方が心配してしまったぐらいです。あんなに蹴られて大丈夫なのかしら、と。自分で蹴っておきながら、非道い話。
 ……噂では、私は冷血非道で。何人のタマを潰したのか数え切れない、なんて怖れられていましたけど。本当のトコロは、潰すなんて考えたくも無い、そう思っていました。潰してしまった方の悶絶具合を見ていたから、尚更のこと」

本当に、未熟、と。櫻子の右目から、一筋の涙が流れて。ココで俺も理解する。哀しみをトリガーに、彼女が正気を取り戻したことを。いや、コレを正気と呼んでいいのだろうか。揉み込む手は、未だに止まらない。

451名無しさん:2019/09/12(木) 23:00:20 ID:8wui0XE60
「何の変哲も無い冬の晩でした。粉雪が散らつく、澄んだ空気。曇天で、少し憂鬱だな、と思ったことを覚えています。忘れもしない、あの日。

 もう名前を思い出せませんが、一人の女生徒がいました。単に、思い出したくないだけかも知れません。貴方様にも興味を持っていただけるように伝えると……とても、整った容姿をした方でした。
 物静かで、喧嘩なんてしたこともないような方。ショートカットが良く似合う、清楚な方。だからこそ、私とはまったくと言っていいほど接点がありませんでした。
 
 あの腐った街で。物静かなんて何の足しにもなりません。知っているでしょう?よく、からかわれているのを見ていました。ストレスを貯めていたのでしょう。でも、暴力で発散するなんて、思いつきもしなかったのでしょうね。
 ……後で知ったのですが、ご両親が不仲だったそうです。お父様がリストラされてしまい離婚調停中だった、とか。それが、最後の一押しだったのでしょう」
 
唐突に、話題が変わる。だが、櫻子の動きは変わらず、リズミカルに身体を上下させ、絶えず睾丸を圧迫してきて。俺は、チカチカと点滅する意識の中、彼女の独白を聞くしかない。

「―――切欠は、万引きだったそうです。ドラッグストアで、他愛も無い化粧品を手にとって、そのまま。自慢ではありませんが……いや、寧ろ、恥ずべきことですが。あの街では、珍しいことではないでしょう。
 ただ。ただ、それを、ケンタロウ君が見ていた。運命というものを、今でも恨んでいます。何故、何故彼だったのでしょうか。話しを戻しますと……ケンタロウ君は、それを看過することが出来なかった。
 
 ドラッグストアから抜けて。人気の無い通りまで辿り着いたときに、声を掛けられたそうです。そう、掛けてしまった。想像はつきます。一目があるところで詰問したく無かったのでしょう。ですが、全てが裏目に出てしまった」
 
泣きそうな声。泣きたいのはこっちだ。なのに、櫻子の声は、どこか吸い込まれるような響きを纏っていて。いや、彼女自身が、その日の記憶に吸い込まれているのだろう。
俺の睾丸を圧迫する彼女の動きが止まる。泣き笑いの顔で此方をみやると、自嘲するような口調で告げた。


「……ご存知でしたか?『内臓破裂して死亡』ってニュース……結構な割合で、『睾丸破裂』……キンタマが潰れて死んでしまったことを指しているって」


櫻子の涙腺が決壊する。ポタポタ、と俺の胸に涙が落ち、脂汗と混ざって異様な臭気を放つ。

「彼女が男だったら……事態の重大さに気付けたのでしょう。いや、少なくとも喧嘩慣れしていれば、そこまで行きつく前に引くことが出来たのかも知れない。でも、でも、それでも。そうは、ならなかった。
 ……彼の苦しみようを見て、怖くなって逃げた、そう言っていました。そして、不安になって、私に連絡を入れてきた……腐っても、顔は売れていましたからね。折り合いの悪いご両親には頼れなかったのでしょう。

 駆けつけたときには、ケンタロウ君は。もう、冷たくなっていました。ちらついた粉雪よりも、彼の身体の方がずっと冷たい……今でも夢に見ます」

だったら、何でだ!苦痛の奥底で、俺の脳裏を疑問符が埋め尽くす。そんな経験をしたなら―――進むべきは、真逆の方向だろう?

452名無しさん:2019/09/12(木) 23:00:58 ID:8wui0XE60
「アイツを呼び出して、報いを与えようとしました。あの人が感じただろう苦痛を、思い知らせてやりたい、と。お笑い草、ですよね。でも、あの時は。臓腑が煮えくり返って、そんなコトにも思い至らなかった。
 死んでたよ、と一言。彼女が身を竦ませるのに併せて踏み込んで、全力で股間を蹴り上げる。……ふふ、起点は一緒。結果もそうです。タマが無い股間をおさえて、情けなく地面にへたり込む。違いは、ただ一点だけ。

 ……?勿論、女だって股間は急所ですよ?会陰、と呼ぶのですが……その、叩かれたり握られたりでは響かないので、脱出するのは諦めてくださいね、隆一さん。骨、骨盤を覆う筋肉が少ない部分ですから……脛とかと一緒です。
 
 違いは一点。ケンタロウ君を死に至らしめた、蹴り上げられたキンタマが破裂するという過程。『無くなる』というその過程だけは、あの女に。蹴り上げてからへたり込むまでの間に、絶対に介在させることが不可能で!!
 
 分かりますか?イヤイヤながら幾つも潰してきて……初めて。心の底から、キンタマを潰してやりたいと思った相手に!絶対にやり返せないと痛感したときの遣る瀬無さを!!
 
 その女、ですか?さぁ?鑑別所だか、少年院だかに送られたと聞きました。潰したからだなんだとかそんな瑣末な話しでは無く、『人殺し』ですからね。ご両親も離婚されたそうですが……もう、何の興味もありません」

一瞬の激昂。櫻子が感情を表に出したのは、それが最初で最後。渾身の力でタマを握り締められ、彼女の絶叫の伴奏のように、俺も魂を絞られるような悲鳴をあげる。
そして、小康。櫻子の全身が脱力し、絶好のチャンス、それでも。俺の全身はそれ以上に……それこそ、全ての骨が砕け散ってしまったかのように力が入らず、抵抗するにも抵抗できない。

「……ようやく、悟ったんです。守らないといけないのは、『か弱い』女子生徒では無かったと。『か弱い』上に、『金的』なんていう致命的な弱点を抱えた、男子生徒の方だったんだって」

話の着地点が全く見えない。櫻子の独白と行動は、字義通り正反対のベクトルを示していた。何故、それが『俺のキンタマを潰す』なんて暴挙に繋がるんだ?!

「後悔、しているんです。六年なんてあっという間。あの日の出来事は、一日足りとも私の脳裏から消えたことはありません。毎日、寝付く前に悪夢を見て飛び起きます。本当に、何で、何で。
 何で、私が。私が先に。ケンタロウ君のキンタマを、何できちんと潰してあげられなかったんだろうって!!」

悄然とした様相で零れた言葉、俺はそれを咀嚼することが出来ない。目を白黒させていると、委細構わず櫻子は語りを継いだ。

「―――そうでしょう?私だったら、潰してあげた後の手当てだって、きちんと出来た。死なせてしまうなんて、絶対にしなかった。
 私が潰してあげていれば……あんな女にキンタマを蹴り潰されて、死んでしまうことなんて天地がひっくり返ったって有り得なかった!だって、先に潰しておけば。あの女と同じ。キンタマが無ければ、潰されようもなかった!!
 
 潰されるなんて有り得ないほど『お強い』なら、それでいいんです。その『弱さ』を知って、自分で守ろうとされるなら、それでもいいんです。でも、どちらでもない方は……私が、私が何とかして差し上げないと!!」



『こんな思いを噛み締めるのは、自分が最後でありますように------』



魂から搾り出されたような独白。俺は、場違いにも、田崎の話を思い出していた。山姥……というより、バーバ・ヤーガ、亡霊。過去に囚われた、幽霊。いや、全部ひっくるめて、精神異常者。
アイツの評が、全て正鵠を射ていたことに驚きを隠せない。この女は、この女は。―――完全に、イカレてやがる……!!!

453名無しさん:2019/09/12(木) 23:01:46 ID:8wui0XE60
キュ、と俺のタマが縮み。掌で感知したのか、櫻子が怖がらなくても大丈夫ですから、と微笑む。今日まで、今日までですからね、と。今まで、良く頑張りましたね、沢山褒めてあげますからね、と。

「あの野生にも劣る街で……大変だったでしょう。隆一さんがお好きな、自然の摂理って言葉で包めば……野生動物は、強い『雄』が、『数多の雌』を独占することも珍しくないそうです。あの街は、その典型。
 根腐れしていて、もう手の施しようがありません。変わるなんて不可能。誰かが引導を渡してくれることを待ちながら、変わることなく惰性で動き続けるしか無い……なら。自分が変わる他ないのです。
 ……もう、いいでしょう?人間なのですから、人間らしく。虚勢なんていらない。野蛮な街の掟は、野蛮な方々に任せておけば宜しいのです。隆一さんは、一足先に足を洗ってしまいましょう?私も、協力は惜しみませんから―――」
 
正気、いや狂気か。生気が蒸気のように櫻子から抜けていって、また茫洋とした表情に戻る。ムカつくとしかいえなかった表情。今は、恐怖しか感じない。
なのに、なのに。何故か、俺の愚息が痛いほどに勃起しているようだった。海月の顔が脳裏に浮かぶ。こんなトコロで去勢されるわけには行かない、そう叱咤された気持ちがして。

「違いますよ?おタマタマが潰れそうになると、自然と勃起されるのです。そろそろ、そろそろ、ですね」

一刀両断。その気力を、櫻子は一言でバッサリと切って落とす。微笑みを絶やさぬまま立ち上がると―――最早全身に力が入らない、俺の両脚を小脇に抱えて壁を向く。俺に尻を向けた体勢で……タマに、踵を乗せる。

もはや人聞きなど知ったこっちゃなかった。恥も外聞も無かった。やめてくれ、と。せめて、一度だけでも使わせてくれ、そう懇願する。
海月の顔が、去来する。彼女の乳と股間の感触が。だが―――屈辱的にも程が有ることに―――もう、櫻子でも良かった。ただ、童貞のまま去勢されたくは無かった。

櫻子から、苦笑が齎される。

「私は一向に構いませんが……ミヅキちゃんのモノ、横取りするわけにも行きませんからね。大丈夫。セックスだけが絆じゃありません。隆一さんは、セックス……性と性交、両方をこれから失いますが……それだけ。
 日常生活に問題はありませんよ。だって、そうでしょう?今までも経験が無かったのですから、それが『これからも』になるだけ。大したことじゃありません」
 
頼むよ。せめて、女の味を、一度だけでも―――あらまぁ、と驚いた調子で櫻子が声を上げた。
男という性の浅ましさに顔から火が出るような心地すらする。櫻子はそんな俺を軽蔑することもなく……ニコヤカな表情、慈愛の表情を保っているのだろう。だが、学習した。その顔は、また碌でもないことを言い出す顔だ。

「女性器に御執心なのですね……それでは。長話にお付き合いいただいたお礼も兼ねて―――おちんちんも、ちょん切ってしまいましょうね?邪魔なモノが無くなったら、出来るだけ女の子のっぽく整形してあげますから。
 ふふ、もし触りたくなったら、幾らでもご自分のを弄繰り回せますよ?流石に穴までは無理ですけど……男性として18年、でしたっけ?生きてきたのですから、次は女性として生きてみるのも、ええ、乙なモノかも知れませんね」

貴方も、男性を諦めるいい機会になるでしょう。思い入れだとか、愛着だとか。そんなモノは幻想で不要なのです、と。そんなモノがあるからこそ、人は終わりにへばりつくのですから―――何処かで聞いた台詞が告げられて。
踵に体重がかけられ。とうとう、俺の『男』が終焉を向かえると、頭では無い。本能が警告音を大音声で鳴らし、その癖に対処方法は一向に伝えてこない。やきもきとしていると、櫻子が最後通告を伝えてきた。

お目覚めになられましたら、もう男の子では無いですから。そうだ!ご褒美に、本物の女性器も見せてあげますね、と含み笑いの櫻子。ミヅキちゃんには内緒ですよ、と振り返り、悪戯っぽい微笑を湛える。

「それでは……行きます。これだけ柔らかくなっていれば、一瞬で済みますよ。よく、耐えましたね。あとは、もう一踏ん張り……一緒に、頑張りましょうね?」

何が、何が一緒にだ、と。抗議の声を上げようとした刹那。

454名無しさん:2019/09/12(木) 23:02:21 ID:8wui0XE60









「ぷっちゅん」








櫻子から、軽い声、そして。これまでの地獄が児戯だと嘲笑うような。痛いでは無い。もう、怖い、でも無い。寒い、とでも形容すべき感覚が。俺の股間から全身を。稲妻の如くに駆け巡った。



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455名無しさん:2019/09/12(木) 23:03:00 ID:8wui0XE60
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!!!」

道場の方角から、聞きなれた怪鳥音。あー、隆一ったらご愁傷様、とおどけて両手を合わせてみせる。チーン!……アレ?チンは取られちゃったんだっけ?キンの方だけ?ま、どっちでもいっか。
アタシ、片瀬 海月は。嗾けた身の上な関係上、多少の申し訳なさを覚えつつ、隆一の『男』の冥福を祈る。とはいえ、『男』じゃなくなったから何なのってトコでもあるんだけど。
アイツ、単純だからさ。アイツの方が弱いから心配って焚き付ければ、絶対ムキになって喧嘩売るって思ったのよね。結果は、聞いての通りだけど。

何ていえばいいのかな?ほら、アタシにとってはタマなんて無いのが当たり前で。だから、タマを取られたって出来事の重みは正直良く分からない。男じゃなくなる?そもそも、アタシは生まれたときから違うけど?
時々さ、タマが無いってどういう感覚なんだよって聞かれることがあるけど……マジ、変態チックだよね。実際のトコ、『無い』って感覚は無だ。ほら、人間だって、尻尾が無いってどんな感覚って聞かれたら、無としかいえないでしょ?
『無い』って感覚自体が無いからさ。無くなったって言われても、ふーん、ぐらいで終わっちゃうのよね。で、それが何なのって具合でさ。

ただ、男が『無い』ってことに興奮するのは、多少分かる。アタシだって、男の股間に『真ん中の穴が無い』ってこと確認するのは好きだもん。不思議な気分と、性差ってヤツを感じちゃう。

久し振りに会った幼馴染は、以前よりも更にアルファシンドローム……ボス犬症候群を拗らせていて、もう手のつけようが無かった。狂犬は、飼い犬になる前に去勢しないとね、程度の軽い気持ち。

ジャラジャラと、足元で鳴子が鳴るのが分かる。遠くで、聞きなれた声……隆一じゃない。隆一じゃなくて……あのアホの、田崎だ。どうやら、罠にかかったらしい。

いや、ちょっと違うかな。男がキンタマ潰されて……みっともなく、全身汁塗れで悶絶してるのを見てるときだけは、『無い』って実感するかも。ぶっちゃけ、その感覚は結構好き。
何てゆーかさー、普段当たり前のように享受している『安心』ってヤツを、全身で実感できる気がするのよね。あ、アタシには『無い』から、絶対にあんな目になんて合わされないな、なーんて。


ズキリ、と胸が痛む。……正直、アソコまでやらせるつもりは無かった。もし、隆一から何かキンタマ以上のモノを奪おうというなら、きっと止めていた。流石に可哀相だよ、と。タマだって……ちょっと気の毒だと思ったもの。
引き止めたときも、本当のトコロ。数回、道場でタマキン蹴っ飛ばしてやれば、今まで虐められていた鬱憤も晴れるかなって、それぐらい軽い気持ちだったんだ。ただ……あの武勇伝が、どうにもこうにもいけなかった。

先輩の空気がさ、どんどん硬くなってたの、分からなかったでしょ?隆一。アンタ、アタシのオッパイばーっか見てたもんね。バレてないと思ってた?
あの人は……隆一が死に急いでいるように見えたんでしょう。で、止めないとって、そう思った。タマタマ潰せばね、気性も落ち着くし……なんでなのかな?まぁ、止めるには最適の処置だったんでしょ。

456名無しさん:2019/09/12(木) 23:03:31 ID:8wui0XE60
あの人、アタシじゃ止めらんないよ。街の人達だって、薄々なにが起きているのか知ってるんだろうけど……腫れ物扱いで寄ってこないでしょ?
何でアタシはここにいるかって?まぁ、色々あったのよ。街の人達ほど賢くなかったからさ。先輩も隆一も、あの街のことを悪し様に罵るばっかだけど……そういう強かさ、アタシは好きだ。

鳴子が鳴った方へ、歩を進める。ズキズキと痛む胸は、体調を崩したせいだろうか。隆一の、隆一のクセに、アタシを真っ直ぐ見据えちゃって……アンタの女になれですって?まったく、笑っちゃうわ……ホント、ウケる。
もう、彼は男じゃない。それだけの事実なのに、妙にアタシの気が沈んだ。後悔はしていない、何処に後悔する理由があるのか分からない、それでも。


遠くで、田崎が宙吊りになっているのが見えて。胸の痛みを押し殺して、歩を進める。討ち取ったり〜〜なんて、隆一のコトが無ければ叫んでいたかも知れない。
別にアイツのことなんて。昨日まで、何とも思ってなかったハズなのに。


―――まぁ、いいか。隆一が、『去勢され童貞』を卒業したなら。アタシは、アソコの馬鹿で『去勢処女』を捨てよう。そう考える。
アタシが潰したワケじゃない。アタシに潰されたワケじゃない。でも、同じ日に、童貞処女を卒業……初体験を経験する。そんな距離感が、アタシ達には似合っている、そんな気がした。

それに、ね。隆一だって、潰され体験を慰めあえるヤツがいた方が気が楽でしょ?いっつもアンタ達つるんでたし。アタシも先輩も、その体験だけは共有できないからさ。『元』男子って、タマ無しって呼ぶだけで傷付いた顔するもんね。
単なる事実だし、アタシはそんなこと言われても、当然でしょ?としか……いや、それすら思わないか。タマって何のことって疑問符を浮かべちゃうかも。あまりに実生活と関係無さ過ぎてさ。

胸の痛みを押し殺し、釣られて藻描く馬鹿へと駆け寄る。また来るって言ってたと、教えてくれた隆一に感謝……つっても、昨日の今日とはねー。
明日は隆一と二人。仲良くタマ無しの股間をおさえて、ベッドで寝てるわよ。

空は高く、風は幾分かの涼気を孕んでいて。今日はいい日だ、きっと明日もいい日だね、と。アタシは、柄にも無くそんなコトを考えたんだ。ふう。アタシの話は、ここで終わり!バイバイ!!



                                                                                         <おしまい>

457名無しさん:2019/09/12(木) 23:05:56 ID:8wui0XE60
ご無沙汰してます。一年振り?書き込むときは投下と一緒に、って決めてるので。

一書き手としては、アレですね。感想さえ頂ければ大満足です。ただ、パターン煮詰まるので……
こんなのがいいなってのがあったら、参考にしたりしなかったりします。それだけです。

458名無しさん:2019/09/13(金) 00:11:32 ID:QC2d4EBE0
上手くてビックリした
この1/10の力もない自分が辛くなるくらい上手い

唯一気になったのは、ケンタロウは毎日のように強い女と手合わせしてたのに一切学習してない(ド素人相手なら対処できたのでは?)のかってこと
一方的にボコられてただけかもですが
つまらないこと言って申し訳ないです

459名無しさん:2019/09/13(金) 20:08:05 ID:PEMuQOWI0

最後を海月の独白にして隆一と対比にするのとかすごいなって思う
それでいてフェチのツボもしっかり押さえてるし

460名無しさん:2019/09/14(土) 02:33:53 ID:pxgQuLN.0
すごく良い
攻め執拗ながらも攻めすぎない感じでいい
一々不自然に叫ばないのもいい
ただ褒めてばかりだと良くないと思うので一点だけ言わせてもらうと終始男側の独白みたいな感じだったけどセリフ調の方が良かった
まぁ才能の無いやつの戯言だと思ってください
ここ最近の大作です有難うございます

461名無しさん:2019/09/14(土) 16:26:48 ID:VsvdS2us0
すごく良かったです。
性差が出ていて男がいかに苦しんでいるかの心理描写もあり興奮しました。

462名無しさん:2019/09/15(日) 20:56:19 ID:ISC8UWWU0
最初の方の殺人事件の話とか隆一の独白とかが
伏線になってて良かった
女を殴るのがダメとかケンタロウが殴られても気にしないとか、女生徒がそれまで暴力沙汰と縁遠かったとかで
ケンタロウが女生徒の突然の暴発で不意打ちで死んだんだろうとか
色々想像の余地があったし良くできてる

どうでもいいですが、これまでの作品だと義務のようにパイパン出されてましたけど改宗したんでしょうか
教徒としてちょっと隆一が気の毒だったので

463名無しさん:2019/09/15(日) 23:41:09 ID:p7vQyz8I0
pixivの好みの作家さんは皆消えてしまった…
この界隈にいると定期的にSSを投稿してくれる、話を完結させてくれる、この2つがどれ程有難いか身にしみるよ

464名無しさん:2019/09/19(木) 09:49:25 ID:ErjeUfeE0
最高でした
最近の渇きが少し癒えた感じがしました

議論スレかもだけど書き手の継続力よりも読み手の継続させ力の問題な気がする
感想書く奴少ないしだから渋行く人多いんじゃね?

465名無しさん:2019/09/20(金) 16:24:52 ID:KwbTBnXI0
素晴らしいの一言です。
引き込まれるように何度も読んでしまいます。
事が終わった後の海月のモヤモヤとした感じがすごくよかったです。
また次を楽しみにしています。

466名無しさん:2019/09/21(土) 21:57:44 ID:k7iYdw3c0
力作の長編とてもよかったです
最初は片方で勘弁してやるって言ってたのにとばっちりで両方潰される田崎カワイソス

467名無しさん:2019/09/24(火) 03:29:12 ID:2gx.q0uY0
みんなどこでオカズを見つけてるんだろうって思う
書いてくれた作者さんに感謝!
しかし読む側にも文才が無いと難しいね

468名無しさん:2019/09/30(月) 08:17:59 ID:j632R3.U0
>>421
ミックスファイト倶楽部は良かった…
どこかに保存されてないかなぁ

469名無しさん:2019/10/14(月) 19:18:16 ID:lidSZUtE0
私の名前?うーん、秘密っ♪。好きに呼んでくれていいよぉ?あ、でも可愛い名前がいいかなー。
大丈夫、心配しないで。おにーさん、きっと、忘れられない顔と名前になるからさ。うん、それは絶対そう。

というか、おにーさんも不運だったよね。でも、いい勉強になったんじゃない?ほら、お母さんから教わらなかった?知らない人に、ホイホイ付いて行っちゃだめだよって。
お菓子あげるからとか、玩具あげるからって言われてもね。攫われて、酷い目に合わされちゃうかもしれないって思えば考え物でしょ?

あ、ワケが分からないって顔してるね。いや、単純な話しだよ。おにーさんが呑んでたお酒に一服盛ってさ。デロデロになったキミを介抱する体で連れてきたの。

ここ?ここ、ラブホだよ?防音設備が整ってるみたいだから、おにーさんが泣いても喚いても誰にも聞こえない……にひひ、どう?怖くなっちゃった?
ココ、SMとかにも対応してるんだ。前に下見に来たとき確認したから。って、おにーさんの今の状態見れば、説明しなくても一目瞭然か。あはははは。大の字に磔にされちゃって、なんか可愛いね。

ん?何をするつもりだって?そりゃ、裸の男女がホテルにいるんだから、やることなんて一つでしょ?イ・ケ・ナ・イ・コ・ト♪
おにーさんさ、SMって興味ある?え?虐められるのには興味ないって?ふふ、ですよねー。いや、重畳、重畳。話しててそう思ったんだ。だからおにーさんに決めたんだけど。

ふふ、いい身体してるね。筋肉質で、ガッチリしてる。私とは全然違う、男の人の身体。見てるだけで興奮しちゃうなー。ほれ、スリスリ〜。ふふ、お肌はガサガサだね。
おにーさんも見てよ、私の身体。ちゃーんと、下の毛まで処理してきたんだよ?違うでしょ、おにーさんのと。ね、何処が違うと思う?ふふ、シンキングターイム!制限時間は〜、十秒!!

10.9、8、7、6、5、4、3、2、1……はい、答えをどうぞ!ん?ふざけてないで拘束を外せって?……ん〜ッ、残念!不正解です!罰ゲームッ!!それっ!!!!

キーン!!!

……ふふ、凄い顔。いつみても、キンタマ蹴られた男の顔ってステキ……♪ふふ、特別サービスだよ?オマケに、もう一発!!てやっ!!!

キーン!!!

あはははは!!!目玉が零れ落ちそう。そんなに痛いの〜?私、『ない』から分っかんな〜い♪それじゃ、確認のために……もう一回ッ!!せいやっ!!!!

キーン!!!

470名無しさん:2019/10/14(月) 19:19:23 ID:lidSZUtE0
は、あはは、あははははははははは!!!すっごい悲鳴。大丈夫だよ〜。心配しなくても、この部屋は防音だから、誰かに迷惑かけちゃうことなんてないですよ〜。
ふふ、もう一回って洒落込みたいトコだけど、まずは感想聞いてみようかな?どう?タマタマ痛いでちゅか〜?うふふ、そうなんだ。そんなに痛いんだ……なんて、アタシには全然分かんないんだけど。ゴメンね?
ほら、見てよ。アタシの両脚の間……おにーさんみたいな弱点、ぶら下がってないでしょ〜?というか、アタシから見たら無いのが普通でさ。そんなトコに急所くっつけてるおにーさんが変なんだけど、さっ!!!

キーン!!!

ぶふっ……ゴメンゴメン。人が話してる最中にもブラブラ揺れてたからさ。キンタマちゃん、構ってほしいのかな〜って思って。はは、また悶えてる。可愛い〜〜〜♪
え?こんなコトされる謂れは無いって?それ聞く〜?おにーさん、自分の胸に聞いてみたら?分からないなら……ほらっ!!

キーン!!!

ひひ、痛そう〜。キンタマ付いてる側は大変だ。アタシは付いてない側だけど。ほらほら。見える?アタシ、タマとかチンなんて変なモノ持ってないって。で、何でか分かった?まだ?そっかー……とりゃっ!!

キーン!!!

ほらほら。早く答えないと……物理的に、キンタマ蹴られない身体になっちゃうぞ〜。ふふ、大ヒント。どう?何でこんな目に合わされてるのか分かった?え?心当たりなんてない?そう……ていっ!!!

キーン!!!

あーあ。もう悶絶しちゃって答えるもなにもないか〜。タマタマあると大変ね〜。ま、明日には……ともかく!正解は〜、おにーさんにタマタマが付いてるからでした〜。わー、どんどんぱふぱふ〜!!
いや、そりゃそーでしょ。キンタマ無かったら、キンタマ蹴られるも何もないもん。アタシ、キンタマ蹴られたことなんて一度も無いよ?無いもん。キンタマ攻撃なんて、アタシには全然効きませーん。

というか、女にやってもキンタマ攻撃じゃないよね。何て呼べばいいのかな……おにーさん、何かいいアイデアある?無い?ん?何?止めろ、ふざけるなって。あはは、いいよねー。アタシ、そういうの大好き、だ、よっ!!

キーン!!!

でも、もっと好きなのは……男の人がタマタマ虐められて、どうしようも無くなって言いなりになっちゃうのを見るときかな〜。ふふ、どういうことか、おにーさんも直ぐに分かるよ。
そういうの見てると、アタシ、女に生まれて良かったって心底思うもの。気持ちいいよ?男の人にはわからない、女の快感ってトコかな〜?おにーさんは、女に生まれればよかったって噛み締めてね?ほらっ!!

キーン!!!

ひひ、ひひひひふふ、あっはっは!!スッゴイ暴れよう。男の子に生まれちゃって残念でちたね〜。でも大丈夫だよ?仕上げまで終われば、おにーさんも、『おにーさん』じゃ無くなってるから。
え?どういう意味って……んまたまたー。青い顔して、分かってるク・セ・に♪うん。タマタマ、アタシが貰っちゃうってコト♪良かったね〜、これでおにーさんも、明日から金蹴りに脅えなくて済みますよ〜、なんちゃって。

471名無しさん:2019/10/14(月) 19:19:58 ID:lidSZUtE0
犯罪?訴える?いや、どうぞどうぞとしか言えないけど……別にアタシを訴えても『元おにーさん』が『おにーさん』に戻るなんて無理だよ?タマ無しちゃんのまま。
というか、そもそもアタシ、もうお尋ね者だし。?あ、単にもう訴えられてるよってコト。写真見る?ほら、この『おにーさん』とこの『おにーさん』と……タマタマ貰っちゃったコにタレこまれてるからさ。

うーん、スマホや銀行が使えないのは不便かなー。ほら、アタシのスマホ、もう写真とる専用みたいになってるし。GPSが狂っちゃってるのは逆に都合がいいんだけどさ。
おにーさんも、アタシの被害者団の一員にでもなれば?みんなタマ無しだから、きっと仲良くなれると思うな。ただ……っ!!

キーン!!!

ふふ、皆、その痛みをもう味わえない身体になってるからさ。おにーさんが仲間外れにされないように、アタシがちゃーんと、ぷくく、新しい扉を開いておいてあげる。感謝はいいよ〜。
アタシだって、その痛みを味わえないんだし。あはは、女の子の特権の、お裾分け、ってトコだねっ♪お金が持つ限り、あっちにフラフラ、こっちにフラフラして、男の人をキンタマから解放してあげてるの。

とはいえ、そろそろ蓄えも限界なんだけど……悲しい。え?お金なら払うから、このまま解放してくれって?え〜、なんかソレって強盗で、ガチ犯罪者じゃん。ちょっと引くんですけど〜。
いや、タマ潰しも犯罪なんだけどね?自分には無いからさ、なーんか、悪いコトしてるって実感が全然ないんだよね〜。あーあ、お兄さん可哀相。こんな変な女に誘拐されちゃって……ま、身代金貰えば解放してあげるけどさ。
ん?身代金、幾らだって?ぶふっ、またまた、んまーたまたー♪分かってるでしょ?おにーさんの身代金は―――

―――こーれ♪おにーさんの股間にひっついてる、『金』のボール、ふ・た・つ・ぶ♪


ふひひ、おにーさんったら、震えちゃって。タマタマの入れ物、掌で包まれたのがそんなに怖いの?アタシ的には、暖かくていい手触りなんだけどなー。ほら、コリコリコリ。あはは、身を捩ってる♪
普通はコレ、ひんやりしてるんだけど……ガンガン蹴っ飛ばしたからさ、ちょっと腫れちゃったのかな?ま、どうせ今日で無くなるんだし、どうでもいいよね?

ん。何でこんなコトするんだって……さっき答えたでしょ?何?逆?何でアタシがこんなコトするのかって?そりゃ、したいから、としか言いようが無いんだけど。
子供の頃ね、ガキ大将的な男子とケンカしたことがあってさ。まぁ、ちょっと好きな子だったんだけど……ね、思いっきりキンタマ蹴っ飛ばしたら、一撃で蹲って泣いちゃって。

女で良かったって思った。アタシ、女なんだって。蹴られるタマなんて、ほら!何処にもついてないんだぞって。なんだかエッチな気分になっちゃって。

丁度、護身の授業でさ。変な人に襲われたら、股間を蹴っ飛ばして逃げましょうみたいなコト習ったから、つい試しちゃったんだけど……スッゴイ反応で、なんか興奮しちゃって。でも、あの授業も片手落ちよね。
だって、ほら。この部屋だと、変な人ってアタシだけど……アタシ、別に蹴っ飛ばされても効かないもん。もう一回見る?普通に痛いだけ。逆に蹴っ飛ばしてきた子に……ふふ、男の子ならだけど……大変なコトしちゃうかも。
女の子だったらぶん殴ってお仕舞いかな〜。ほら、アタシと同じで蹴っ飛ばして欲しそうなトコ無いもんね。あ、話しが逸れちゃったね。

472名無しさん:2019/10/14(月) 19:20:31 ID:lidSZUtE0
で、キンタマ蹴るのに嵌っちゃってさ。アタシは全然平気なのに、男の子は脆いよねって。もう、中学ではキチガイの金蹴り女だって、学校中の男子に怖れられてたんだから、
失礼しちゃう話しよね〜。キンタマ蹴られるのが嫌なら、自分で取っちゃえばいいのに。何?男にとっては大切な場所?アタシ、男じゃないから分っかりませーん。馬鹿みたい。誰もアンタ達のキンタマなんて必要としてないよ。

ゴリっ!!

おっと、つい力入っちゃった。おにーさんのタマタマ、ゴリっていったよ?痛かった?ゴリってなったらどう痛いのか、言ってくれないと分かんないよ?アタシ、ゴリッどころかコリってなるモノもないからさ。
と言っても、胸のあの部分はコリコリしてきちゃったけど……興奮してさ……ここは、別に触っても気持ちイイだけ。ほら、おっぱいスリスリ〜、どう、固くなってるの分かる?

でもさー、何か学校中で問題になっちゃったんだよね。お母さん呼び出されて苦情を言われたみたいだし。アタシ、ママに呼び出されてビンタされたもん。バシッバシッて何回も。アンタ、最低ねって言われてさ。
変な話だと思わない?なんで、ママにもキンタマなんて無いのに、他人のタマのために怒るのよ?まぁ、ママにタマあったら、アタシ速攻で蹴り上げてたけど……逆にね。無いから、手も足も出なかった。

で、ギガにムカついたからさ。なんか都合よく100万円ぐらいはお金持ってたし……お年玉貯金ね。コレ使って、全国でタマ落としツアーをしてやろうって思って家を飛び出したの。
いつかは潰してみたいって思ってたけど、流石にソレはねって我慢してた。でも、こうなれば我慢する必要も無いかなって。掴まるまでに幾つ潰せるか、記録を狙ってみても面白いかもって思ったんだよ。

え?年?……15だけど?見えないでしょ。お酒飲んでも誰にも注意されないし。おにーさん、呑み屋で口説いてきたもんね。幾つに見えた?二十歳ぐらい?そうでちゅよー、コレ、JCのおっぱいでちゅよーなんつって。
どうなの?若いと嬉しいモノ?何でなのかな……プレミア感なの?ねー、どうなの、おにーさーん。


………………………………へぇ、そんなコト言うんだ。こんなコトしてママに顔向けできるのかですって?へぇー、ふぅーん。おにーさん、勇敢だね。キンタマ、アタシに掴まれてんのに。
はぁ、もういいよ。完全に萎えた。もう、おにーさんのタマは潰すから。抵抗も説得も無駄だよ?タマ潰しされると、男の人はどうしようも無くなるみたいだからさ。女には効かないのにね。

本当は、もっと甚振って愉しみたかったんだけど、醒めちゃった。っておっと。危ないなぁ……だーかーらっ!!今更暴れてみても駄目!!

ゴリゴリゴリゴリッ!!!

ほらね?無駄だって。男子はキンタマ握られちゃうとどうしようもないの。女子は平気だけど……握られようが無いし。勉強になったね?男の子は、タマ握られちゃったら負け。もう駄目。
女の子の気分次第で、どうされちゃっても文句言えないの。で、アタシ結構ムカついてるから……おにーさんのタマは、このまま、ぶちゅって潰しちゃう。止めて?もう遅いよ!男らしく、タマ潰されて泣きなさい!

473名無しさん:2019/10/14(月) 19:21:49 ID:lidSZUtE0
……っと、準備しないとね。ん?コレ、結束バンド。これで袋の付け根縛って……これでヨシ!いや、アタシ優しいからさ。奪うのは『男の命』で勘弁してあげよっかなって。感謝してよね。
タマ潰れるとショック死しちゃうっていうじゃない……知らなかったの?そーらしいよ?不思議だよね、女には元から無いのに。で、それってさ。一つは、出血多量による血圧低下のショック死……タマ、内臓だからね。
ここ潰すと、沢山血がでちゃうんだよ。経験者のアタシが言うんだから、ホントよ?で、それを防ぐために、予め袋の付け根をギュって縛っておくの。

あとはね、急激な苦痛によるショック死……血圧が上がっての心不全とかだって。寒い日に熱々のお風呂に入って死んじゃうみたいなコトかな?実際はどうなんだろうね。潰されたコトないから分かんないな。
ま、アタシは潰されることなんて一生無いし、ふふ、おにーさんとは違って♪おにーさんは、これから潰されちゃうんだよ?感想はどう?命乞いしてみる……別に聞くつもりはないけど。

これは、予め痛めつけておいてあげれば防げるかなって。駄目でも、一応、このホテルにはAEDあったし。ちょっとぐらいは蘇生療法試してみてあげる……まぁ、コレが必要になったコトは今まで無いけどさ。

で、コレが秘密兵器ーっ!!って、そこらで拾った小石なんだけど……分かるかな、おにーさん。結構ゴツゴツしてるよね?ふふふふふ、コレとおにーさんのタマタマ一緒に揉み込むと、楽しみ、あっという間に潰れちゃうの。
これね、江戸時代の護身グッズにさ、中に棘が生えた鉄の指輪みたいのがあって、そこから思いついたんだ。チョー賢くない?お侍さんのお嫁さんとかが嵌めてたらしいよ?襲われとき、その棘で暴漢のタマ挟んで潰せるようにって。

あはは。時代が変わっても人が考えることって似たり寄ったりだよね……何?止めて?謝るから?土下座もするから?……ふふふふふふ、だーめ。あんなにイキってたのに、タマ潰されるとなると怖いんだ。
勇気だしてよ。男でしょ?アタシ、女だけどさ、タマ潰されるってなっても全然怖いとは思わないよ……ぷくくく、当然か。潰されるタマ無いんだもの。大丈夫、おにーさんもそうなるだけ。

よし!!準備完了!じゃ、覚悟はいい?あはは、女になりたくないって、心配しないで。タマ無くなっても女にはならないよ。
キンタマ潰された経験がある女なんて、この世に一人もいないもん。だって、元からキンタマなんて変なもの付いてないんだからさ。おにーさんは、女にタマ取られちゃった、間抜けなオカマちゃんになるだけ。
え?そこは男にとって本当に大事なトコだから止めてくれって?うーん、じゃ、男辞めればいいんじゃない?その伝だと、男じゃなければ大切じゃないってことよね?現にアタシにとっては全然大事じゃない場所だし。

そんなに大事ならさ、自分で守ってみなさいよね〜。別にソコ全然大事じゃない、アタシに守ってもらおうなんてムシが良すぎない?偉そうに説教までしておいてさー。
でも、まぁ二つとも一遍に潰してあげるから、うん、ソコも感謝してよね。仏心ってヤツ?ほら、アタシには検討つかないけど、タマ潰れるのってとっても痛くて苦しいらしいじゃない?で、さ。
その痛みを知ったまま、タマ抱えて生きてくのって怖いでしょ?だから、二度と同じ思いをしなくていい身体にしてあげるの。無ければ怖がらなくていいでしょ?アタシ、潰される恐怖なんて一回も感じたこと無いよ?


じゃ、そろそろいいかな。行くよ?アタシとは一生無縁な苦しみで、みっともなく足掻く様、よーく見せてね?…それっ!!!


グジュリ……ッ!!

474名無しさん:2019/10/14(月) 19:22:22 ID:lidSZUtE0
あは、は、は、ははっはははっははは!!スッゴ!!あんなにカッコつけて説教してたのに、みっともなーい!恥ずかしーい!!打ち上げられたお魚みたいに跳ね回ってる!!
……いやー、いつ見てもいいもんですなー。ふふ。『無い』自分のアソコ弄りながらだと、殊更に格別な見世物ですわい。

で、おにーさんのタマ袋は……うん、大丈夫みたい。内出血で膨らんできてない。なら、もういいかな。これ以上、アタシが責めたい部分残ってないし。
じゃ、あとは警備員さんとか、係の人が来たら、事情を説明して助けてもらってね?

それじゃね、おにーさん。タマタマ無くなっちゃったけど、元気出してね。世界中の半分の人は元からタマなんてないんだから、別に特別な人になったわけじゃないんだよ?
女の子に、タマ無しタマ無しって虐められたら、オメーだってタマ無しじゃねーかって言い返していいからね?女の子は、タマ無しにそんなコト言われても誰も気になんてしないからさ。

宣言通り、忘れられない夜になったよね。じゃ、バイバイ。
                                                                                      <おしまい>

475名無しさん:2019/10/14(月) 19:23:40 ID:lidSZUtE0
ひと月ぶりに覗いてみたら、前作の感想が沢山あって嬉しくなったので。とはいえ、何か投下と一緒じゃないと書き込まない縛りを勝手にしてるので、突貫で一つ上げてみました。
あと、前作誤植ありますが、脇役Aの名前は田崎としておいてくださいませ。

>>154
亀にもほどがありますが、『睾丸を蹴って欲情する女』ってキャラ付けすごい楽なんです。結構類型化が進んでいるので。上手い人は味付けの妙で凄く魅力的なキャラに仕上げられてますよね。
>>395,396
女キャラのセリフのみって試みが実験的で面白い気がしたので、やってみました。いや、悪くないというか、書くのが楽ですね。このサイズなら二時間ぐらいでした。
というか、書いてみて思ったんですが、咽せかえるようなボイス販売サイトのサンプル臭。
>>458
だいたい462さんが書いている通りで想定していました。もっというと、女子生徒の中で金的が流行ったのは櫻子がやりまくってたからです。
彼女も薄々それに気付いていて、だからこそ自分の責任に耐え切れず、曖昧な状態になって明後日の方向に迷走しているイメージです。
>>460
独白とセリフ調の差異がよく分かりません。独白=セリフ調=一人称では?読解力が無く申し訳ないです。
>>462
その教えに背信したわけでは無いのですが、その神のご神体染みた方がこう仰られたので……。
 (|)<隆一は男性としての運用をしておりませんので、心配ありません。

476名無しさん:2019/10/15(火) 00:51:40 ID:hQznbA0s0
いつもあなたの作品を楽しみにしています。
今回も最高でした。

欲を言えば、
潰されることって現実にはそうそうなくて、男に危機感とか現実感がいまいち湧かない場合が多いと思いますが(そこから恐怖を与えていく描写の筆力も素晴らしいと思いますが)、
まず1つ潰してから、男に恐怖と取り返しのつかない現実を分からせた上で、ゆっくりと追い詰めながらもう1つも容赦なく…というのが見られたらもう死んでもいいです

477名無しさん:2019/10/17(木) 12:25:38 ID:zjMQKhwc0
投下乙でした
さり気ない「ついてない」女性の部分を弄りながらの玉責め描写にかなりグッときました
同じ股間でも地獄の苦しみを感じる男と快感を得る女性の対比がとても映える…

478名無しさん:2019/10/18(金) 23:13:04 ID:8vj8F8yc0
なくなってしまったのかもしれませんが
オリジナルやリトバス等の二次創作があった金蹴りの小説サイト名知りませんか?
金蹴り 小説でググったらすぐ出てきたような気がするのですが思い出して読もうとしても見つからない…

479名無しさん:2019/11/05(火) 07:01:29 ID:IIqtD5pA0
あー、あったな懐かしい
黒塗り背景のシンプルなデザインのとこだよね

今どっかにブクマ残ってないか探したけどだめだった
多分ドメイン切れてるんじゃないかなぁ
昔アーカイブ見た記憶があるからリンクさえ分かれば見れそうではある

480名無しさん:2019/11/09(土) 00:06:34 ID:6Tlywl0A0
過去スレにあったこれかな。まだ見れる

【金蹴り】女が男を金的攻撃で倒すSS 2【電気按摩】
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1295229329/646

481名無しさん:2019/11/10(日) 18:23:20 ID:SWFli7RA0
たぶんチェリーバスターズかな?
ttp://s6.artemisweb.jp/cherryhurts/top.html

482名無しさん:2019/11/11(月) 21:50:50 ID:1jDy/xX.0
ありがとうございました
昔のHPは消えてるのが増えてきてリンク忘れてると本当に見つからないです

483名無しさん:2020/01/13(月) 00:11:36 ID:a.GNHank0
遅くなりましたが、みなさんあけおめです
近年は金的小説が不景気で寂しい限りですが、今年は活気に満ちる年になればいいですね

484名無しさん:2020/02/03(月) 00:43:53 ID:DqKN8Qwo0
うむ

485名無しさん:2020/03/27(金) 13:23:55 ID:SymrAxs20
ここ以外で良質なSSに期待できる場所ってpixiv以外にある?

486名無しさん:2020/03/30(月) 11:49:46 ID:1h5RV9Gc0
しっぽの練習○の金的ネタは男女差や女の優越感を描写してて美味しいが、最近金的無いからな
数年前までは最強サイト・金玉を蹴る女たちが定期的に更新されてて神だったが、WOW同様みんな活動休止していく
ゲームのsc6も金的女神ソフィーが最新グラフィックで復活と思いきや、5やロストソーズで復活した男悶絶バージョン膝金がなくなり超劣化してしまった
金的フェチにはまさに冬の時代
小説ではクライマックス手前の婿嫁の続きは見たいものです

487名無しさん:2020/04/13(月) 22:39:16 ID:4LLBzwTI0
>>485
定期的に更新があるサイトだと
「ド聖さん」と「古典太平記」がある
ただ、古典太平記は音声作品にシフトした感じ

488名無しさん:2020/04/14(火) 15:26:24 ID:bLs4Y0Fg0
この性癖のストライクゾーン突いてたのはやっぱり金玉を蹴る女達なんだよな
本当に復活して欲しい

489名無しさん:2020/04/14(火) 22:13:58 ID:J2J4XnWo0
待つ事には慣れてる

490名無しさん:2020/04/21(火) 20:41:05 ID:OqHNousg0
外出自粛で時間を持て余した今こそ作品を作る時だぞ

491名無しさん:2020/04/26(日) 21:50:28 ID:Z.bnhYu60
古典太平記でキャラへの質問を募集している
S女の金的エロボイスを聴ける

492名無しさん:2020/06/18(木) 23:51:22 ID:qfCRw1oE0
保守

493名無しさん:2020/06/19(金) 22:13:23 ID:Vc3dTFCo0
したらばで保守とは

494名無しさん:2020/06/20(土) 02:32:06 ID:scWPaWOE0
金玉を蹴る女達更新来たぞ
復帰嬉しい

495名無しさん:2020/06/20(土) 12:09:26 ID:.g9NVXqA0
広告でよく見るあの漫画のパロディか
確かに金的フェチ的には横の女に蹴って欲しかった

496名無しさん:2020/06/20(土) 19:41:43 ID:zCz./F4Q0
一気にきたな
マジ最高や!

497名無しさん:2020/06/25(木) 23:56:41 ID:Uo9v1vkU0
「女の子になれない」は「女の子になりたい」の続編だね
単品物だと思ったのに続編できたのかって、ちょっと鳥肌立った

498名無しさん:2020/07/22(水) 22:11:12 ID:RweWOwrI0
笑い声の意見公募に17件も意見がついている
連続投稿もあるけど金蹴り界隈では近年稀に見る盛況っぷり
あと、金玉を蹴る女達も二度目の更新があって本格的に復活したっぽい?

499名無しさん:2020/07/23(木) 23:19:11 ID:fAdHmhgM0
ここに何本も投下してくれてた人ってまだ居るのかな
ボリューム凄いし性差の描写滅茶苦茶丁寧で感謝してもしきれない

500名無しさん:2020/07/26(日) 20:21:53 ID:7Qj7JWHY0
すみません笑い声の意見公募ってどこのことですか?

501名無しさん:2020/07/26(日) 21:48:33 ID:GCJkPb9s0
>>500
古典太平記のこと
笑い声部分が萎えると言う意見がありますが
どう思いますか?と意見公募をしている

502名無しさん:2020/07/26(日) 23:44:15 ID:Ka2LKb0k0
すごくどうでもいい

503名無しさん:2020/07/27(月) 07:24:03 ID:fQEVYdhI0
最近、古典太平記は音声作品にシフトした感がある
それはそれでイイけど少し寂しい

504名無しさん:2020/07/27(月) 13:40:55 ID:cKzet4uU0
ぬくぬくはらまき氏の金的SSが最近の推し。
玉に傷の読後感が良かった。今書いてる隙だらけも続きが気になる。

505名無しさん:2020/08/13(木) 22:53:57 ID:L3S0yH3Q0
8月11日に金玉を蹴る女達が更新されて
ぬくぬくはらまきさんもコメントを書き込んでいるけど
まさに最高のSSだと思う
金的攻撃を1回だけ解禁と言うルールも良い

506名無しさん:2020/08/15(土) 14:28:36 ID:trbtYJTE0
掌を下ろす時には感触が無かったとか、
自分のそけい部あたり指したり上がったかどうか知りたがったりとか、
今回特にエロかったなぁ。

それ以上にいつにも増して女の子たち卑怯過ぎるw

507名無しさん:2020/08/17(月) 22:36:40 ID:pGUy8STs0
こち亀で似たようなルールがあった時
両津勘吉はパンツを何枚も着ていたなぁ

508名無しさん:2020/08/21(金) 00:24:12 ID:tm4hSCsg0
恋愛や性的要素が強くなってるのかな

509名無しさん:2020/08/21(金) 07:20:06 ID:QBXIl1gU0
強制射精は恋愛って言うのか?
たしかに古典太平記でも恋愛テクニックとか言っているけど

510名無しさん:2020/08/22(土) 01:07:59 ID:3iOYky1M0
無理やり古典太平記の話に持っていこうとするのはやめようね

511名無しさん:2020/08/22(土) 07:57:17 ID:eGUQ4D6c0
どこが無理矢理なんだよw

512名無しさん:2020/08/23(日) 00:50:04 ID:cWXMbO3E0
前のレスが恋愛や性的要素って書いてあるのを
恋愛に限定した上で脈略なく出典として持ち出してくるのは割と無理矢理感あるけどこの流れめんどいから短編でも書こうかな

513名無しさん:2020/08/23(日) 08:54:38 ID:cWXMbO3E0
という訳で投下します
FE風花雪月ネタです



飛竜の節。
月末に行われる鷲獅子戦に向けて、ガルグ=マク修道院の生徒達は一層の訓練に励んでいた。
この金鹿の学級の生徒短編も例外ではなく、この日はクラス内で模擬戦が行われていた。

「食らえ、ヒルダ!」
「きゃっ」

男子生徒の振り下ろす訓練用の剣を、桃色の髪の少女がひらりとかわしていく。
ヒルダ=ヴァレンティン=ゴネリル。レスター諸侯同盟の一角をなすゴネリル公爵家の公女である。
甘やかされて育ったがためにやや面倒臭がりな気質はあるものの、実力は学級内でも随一だった。

514名無しさん:2020/08/23(日) 08:55:47 ID:cWXMbO3E0
「くそっ、ちょこまかと……これでどうだ!」

中々攻撃を当てられず、業を煮やした男子生徒は、一歩前に踏み込んで重い一撃を繰り出す。
守りを捨てて攻めに特化した、一か八かの行動だった。

「っ!」

避け切れないと判断したヒルダは、訓練用の斧で斬撃を受け止める。
鍔迫り合いになり、互いに力比べの状態となる。
フォドラ十傑ゴネリルの血が流れる彼女は女としては相当な腕力の持ち主だったが、この男子生徒も力には自信があるようだった。

「っと……流石に男子は力強いなぁ……!」
「へへ、どんなもんだ。鷲獅子戦でも前線は俺に任せて女は大人しく後方支援にでも回ってな」
「あはは、それじゃ遠慮なくお願いしちゃおっかなー。……でも」

と言ってヒルダはウインクすると、

「急所がガラ空きだよっ」

515名無しさん:2020/08/23(日) 08:56:38 ID:cWXMbO3E0
大股開きになっていた男子生徒の股間目掛けて、思い切り脚を振り上げた。
バシン!という軽快な音が訓練所に響く。

「あがぁぁあああああっ!!」

金玉がヒルダの背足と自身の恥骨の間に挟まれてぐにゃりと変形する。
突如としてこみ上げるおぞましい激痛に、男子生徒は為す術もなく崩れ落ちる。

「ぁっ……!ぅあ………!ぁぁああ……ッ!」

声にならない呻き声を上げて、男子生徒は訓練所の床を這いつくばる。
急所を襲う激痛は既に下腹全体に拡がり、吐き気がこみ上げ、呼吸も上手く出来ない。
背筋が凍る思いだった。
女が少し"その部分"を蹴るだけで、男は問答無用でこの地獄の苦しみに叩き落されるのだ。

516名無しさん:2020/08/23(日) 08:57:40 ID:cWXMbO3E0
「ごめん痛かった? 狙いやすかったからつい♪」

ヒルダは腕を後ろに組んで、からかうように男子生徒を見下ろす。
その様子はどこか他人事で、彼が自分の一蹴りでどれほど苦しんでいるかなど意にも介していないようだった。
彼女に一生この痛みは分からない。そんなヒルダの女の肉体に、男子生徒は羨望を感じてしまう。

「男子はちゃんと大事なトコ守っとかないと駄目だよー? 特に女の子と戦う時はさ。じゃ、お大事にねっ」

そう言い残して、ヒルダは別の相手の所に向かっていった。
訓練所には、彼の醜態をくすくすと笑う女子たちと、思わず股間を庇って青い顔をする男子たちの姿があった。

517名無しさん:2020/08/23(日) 09:02:07 ID:cWXMbO3E0
終わりです
男子生徒は名無しのモブ生徒のつもりで書きました
即興なのでクオリティはお察し

518名無しさん:2020/08/23(日) 16:20:59 ID:eO5kN9Bw0
Good Job!

519名無しさん:2020/08/24(月) 15:52:45 ID:OGkAHHVk0
ありがたや…

520名無しさん:2020/08/29(土) 18:45:53 ID:3LW/TDMQ0
水球女子が中々エゲツナイらしいな
水球人口が少ないから男女混合で試合したり、体格差ある相手との試合を想定して男女対決とかもするんだとさ
んで元々水面下で蹴りあいや掴み合いもあって男子同士でも隠れてキンタマ狙ったりするけど女子は本当に加減しないって

521名無しさん:2020/09/09(水) 19:05:54 ID:XkSFe3hM0
pixiv最近盛況やね
金玉を蹴る女達も更新されたし来る時は一気に供給来るなぁ(嬉しい悲鳴)

522名無しさん:2020/11/11(水) 07:33:30 ID:OqfUDigk0
pixivセセットさんのアカウントが消されてて残念
消される少し前に投稿されたSS保存しときゃよかった

523名無しさん:2020/11/12(木) 23:12:56 ID:/EkHd7wk0
諸行無常

524名無しさん:2020/11/15(日) 01:03:44 ID:MeNuVFhE0
今一番活気あるところってどこ?

525名無しさん:2020/11/16(月) 14:33:13 ID:D4.Tzoqg0
pixivじゃない?

526名無しさん:2020/11/16(月) 17:17:32 ID:WyFmAbbo0
ここで書いてた人の更新来ないかな。。

527名無しさん:2020/12/19(土) 22:47:59 ID:7gNtT5ow0
俺の中で今一番熱いのはこの人かな
ttps://novel18.syosetu.com/n3192cm/
ここの14・44・62・74・100あとは細かくチラホラと
あと近々ゲームも出すらしいからそっちも買おうぜ

528名無しさん:2020/12/27(日) 17:07:50 ID:2qt81Ulw0
なかなか良かった

529名無しさん:2021/01/03(日) 01:50:58 ID:V0xR4O3.0
セセットさん活動再開してるけど消された絵やSSはもうpixiv以外の場所でも上げたりはしないのかな

530名無しさん:2021/02/22(月) 19:22:46 ID:HV3xiyj.0
ノクターンにちょっと前に数作アップされてるぺーぺーさんの作品もいい感じ

531名無しさん:2021/03/11(木) 23:30:12 ID:tC4SQO5U0
ボイスロイドで作った玉責め系音声動画を投稿してくれてる人を見つけたわ
台本のクオリティーも高くてボイスロイドに抵抗無かったらおすすめしたい

532名無しさん:2021/05/07(金) 18:52:14 ID:LrSoh64U0
金蹴りよりも玉デコピン、玉ビンタみたいなほうが好きなんだけどオススメある?
SSじゃないけど王責め入門スレのテンプレ文がすごい好きだった

533名無しさん:2021/05/16(日) 01:52:49 ID:XebAnXKQ0
握りもいいね
蹴りは正直どこ蹴られても痛いだろ
って思うと醒める

534名無しさん:2021/05/18(火) 22:10:19 ID:A6DkMuj60
>>533
なので、同じくらいの軽い蹴りを股間に受けて、
女は全然平気なのに男は悶絶、みたいなシチュエーションが好き。

535名無しさん:2021/06/05(土) 19:06:39 ID:QHAIoTrQ0
>>534
性差表現のある金的とか、女にはない玉の弱さを目の当たりにする女の反応とかは、
確かに一番萌える
デジパレのう○ロボ屋は、それ系中心に描写してて萌える。CGイラストがもっと本格的なら神
同系ならしっ○の手帳も少し前まではやってて良かったな。また性差表現系の金的ネタに戻って欲しい
pixiv小説でもそこそこあった。玉ピンで男激痛・女は平気な作品もあった。また探してみるか
万年ネタ不足なジャンルで悲しい

536名無しさん:2021/06/05(土) 19:13:22 ID:QHAIoTrQ0
金蹴りDVDだとイキった女が乱暴な態度・言葉で乱暴に責めるだけ、いかにもなM男が金玉含めてどこ蹴られても同じように叫ぶだけで、
萎えるのが多いのが残念
女の力じゃビクともしない強いはずの男が、玉に衝撃受けて悶絶、女には無い玉の脆さを女に嘲笑されるのが最高の醍醐味なのに
玉の痛みに苦しむ男を嘲笑するシーン(性差表現)も金蹴りDVDには入れて欲しい

537名無しさん:2021/06/05(土) 19:19:04 ID:QHAIoTrQ0
中には性差表現(女が玉の弱さを馬鹿にしたり、急所ぶら下げた男を蔑むセリフとか)のある金蹴りDVDは、中にはある。
日本ならスケバ○キックのが良い。サイトオンリーでしか買えないのが残念。
一般サイトで委託販売して欲しい(最初の2作は一般販売してたが、最初の2作は駄作w以後良くなっていった)

538名無しさん:2021/06/07(月) 22:18:11 ID:pdt8TMZo0
いやう○ロボ屋はないわ
あそこはナノマシンだが薬だかで去勢されても簡単に再生できる、なら潰しても問題ないよねーきゃはははは
…みたいなノリだから金蹴りAVと同じ感じのノリで全然金蹴りフェチの的からズレてる感じだわ

このフェチを作品と売り出すのが難しいところは、
たった一発、一撃で悶絶して男の脆さを表現するのが良さなのに、それをするとボリューム不足になる
たが、ボリュームを出すために何回も何発もやるとフェチのツボから外れてしまうところ

539名無しさん:2021/06/08(火) 02:04:08 ID:.EePrudc0
>>538
言いたいことはよく分かる。
だから、女が男の急所の脆さについて話す場面とか、
実際に一撃を食らわせた後に小馬鹿にする描写とかを混ぜていかないと、
なかなかまとまった作品にはなりにくいよね。

540名無しさん:2021/06/08(火) 22:27:28 ID:vRudw4u20
>>539
そうなると対面試合形式が一番いいのかな。
空手とかみたいなやつ。
男女両方変わるし、性格・身長・体格とかキャラの違いも出せる。

541名無しさん:2021/06/09(水) 09:27:17 ID:cRHkGyu60
うさロボも、対戦形式で再生なしで、次から次へと男子側が、女子には効かない軽い金的含めた一撃で悶絶、嘲笑されまくり、やられていく作品は良かった
再生は意見が様々だが、女にはない玉の弱さを徹底的に嘲笑するのは全作品共通してて最高レベル

542名無しさん:2021/06/09(水) 09:32:43 ID:cRHkGyu60
>たった一発、一撃で悶絶して男の脆さを表現するのが良さ
>女が男の急所の脆さについて話す場面とか、
実際に一撃を食らわせた後に小馬鹿にする描写とかを混ぜていかないと

まさにうさロ屋は、これを中心にして極めてる
これの表現が良すぎるから、再生とは妥協してる

543名無しさん:2021/06/11(金) 20:03:15 ID:VOHPi1JE0
一撃で踞るシチュエーションが良いなら短編を複数収録したオムニバス形式にすればいいし
そもそも複数発蹴るのも描き方次第で、蹴ったり握ったりする度に男が悶絶したり女が性差に言及したりすれば問題ない訳で
要は分かってる人が作れば基本的にツボを押さえた物になるのでそこはあまり心配する必要はない

544名無しさん:2021/07/02(金) 00:39:40 ID:sCqNC.CQ0
大人しい子に金的されるのが良い

545名無しさん:2021/07/31(土) 07:50:52 ID:t6hV97Ow0
数年前に見たssで、小学生くらいのバレエ教室で男の先生の股間蹴って、次の日からファールカップ付けてきたって話あった気がするんだけど。詳細知ってる人いる?

546名無しさん:2021/08/22(日) 17:02:12 ID:TBsX2Rdg0
>>544
何も知らないウブな子が間違って蹴っちゃって「え、あ、どうしよう、ごめんなさい…」と慌てふためているのが好きか、
男の急所を知り尽くしている子が狙い澄ました一撃を放って「ふふっ、男はここだけは鍛えられないでしょ」と見下してるのが好きか、
好みは分かれるよね。

547名無しさん:2021/08/24(火) 02:33:43 ID:Fl4nxFXQ0
この性癖界隈って狭い割に趣向の多彩さ半端ないよな
潰す潰さないから始まって、描写のどこに重点を置くかがほんとに好み分かれる

そもそもSMから入ってその一環としての玉責めプレイが好きっていう層もいれば、CFNM的なアプローチでの玉責めが好きなんだっていう層とか、単純なリョナ趣味もいる
SMやCFNMはそんなでも無くて、あくまで男女の性差を意識する倒錯的興奮にハマってる層もかなり多い感じするし、色々と混沌としてる

548名無しさん:2021/08/25(水) 14:37:41 ID:.xvn45fE0
>>547
大まかに分けると、まず、A:無抵抗の男をいたぶるのが好きか、B:否か、で分かれて、
Aの中で、A-1:最終的には潰したい、A-2:潰すのは行き過ぎ・苦手と分かれる。A-1は去勢趣味、A-2はSM一般という感じ。
Bは基本的に性差萌えだと思うけど、更に、B-1:男女対決で女が男特有の急所を突いて勝つのが好き、B-2:女が男特有の急所に興味・優越感を持つのが好き、と分かれるのかな。
「女が男を金的攻撃で倒す」はB-1がメインターゲットなんだろうけど、様々なバリエーションや混合形態があって確かに混沌としてるよね。

549名無しさん:2021/09/02(木) 20:03:55 ID:6nCOYEpU0
個人的には潰す潰さないや男が無抵抗かどうかよりまず性差系かSM系かっていう大分類が先に来ると思うなぁ
というのもこの2つって全く別の性癖と言っていいくらい中身が違うので

SM系の人ってただ自分が痛め付けられればそれでいいという趣向だから、性差表現が無かろうが男が何度も連続で蹴られて微動だにしなかろうがどうでもいいのよね
玉責め自体も数あるSMプレイの一環としか捉えてなくて、足舐めやら踏みつけやら平気で玉責め以外の要素混ぜてくる
そういう物って性差系の人からすれば基本的にナンセンスな物にしかならないんだけど、性差フェチってドMに比べてあまり一般認知されてない性癖だから供給はドM向けの物ばかりになってしまう

つまり何が言いたいかというと性差系の供給を増やすには自ら動いてこの性癖を一般認知させるしかない
具体的には絵でも小説でも何でもいいから自分の趣向を作品という形にして「玉責めには性差表現が必要」という風潮を作っていくのがいいんじゃないかな!(チラッチラッ

550名無しさん:2021/09/03(金) 05:20:58 ID:dGtGJ5JI0
分かる
深夜テンションで知人と性癖談義をした時に玉責め系の話をしたら
「ああ、SMが好きなのか!やっぱ蝋燭とかムチなんかを使うの?」
とか言われて、違うそうじゃない…ってなったのよな
どんだけ説明しても「自分の場合は性差フェチからの派生である」ってのがどうしても伝わらんかった
多少のMっ気が必要なジャンルであるのは事実だし、SM系からここに辿り着いた人も実際結構いるだろうから一概には言えんけど、割かし別物だからなぁ

もう少しだけでもジャンル全体としての知名度が高まればそこら辺に理解のある人や作品も増えるだろうし、布教がんばらんとな…

551名無しさん:2021/09/06(月) 23:50:53 ID:HvG36ffA0
性差フェチ寄りの作品を増やすなら受け手もある程度妥協する必要あるんじゃないかなぁ
潰すかどうか・どんな子に蹴られるか・握りか蹴りか・無抵抗かどうかって性差とSMの違いに比べれば細かい好みだと思うから、これらを全部拘って一々文句言ってたらキリが無いと思う
あとはどうしても妥協出来ないなら自分で書いて布教するとか

552名無しさん:2021/10/15(金) 23:55:30 ID:DgYhnXW60
金玉を蹴る女達のss半分くらい消えてる?

553名無しさん:2021/10/16(土) 00:23:36 ID:TJyOhAiM0
いや、やっぱり2ntブログに移行してただけだった。urlのfc2を2ntに書き換えれば見れる。

554名無しさん:2021/10/17(日) 16:29:15 ID:ByJAbNRU0
>>551
逆に何でもいい、どんなものでも金的であればOK!
っていうのは、誰もいないだろうね
ただでさえマイナージャンルで、さらに細分化されるから
生きにくいよなあ

555名無しさん:2021/10/23(土) 00:53:25 ID:xm.JmTS60
Pixivのツイステの女監督生ものとかで金的ネタ探すの好き
タグにないから見つけにくいけど、こういうのを女も書いてると思うと興奮するね

556名無しさん:2021/10/24(日) 09:37:20 ID:k.1OhrYU0
>>555
ヒントお願いします!

557名無しさん:2022/01/05(水) 23:01:34 ID:kdZkUC8k0
5chの金的作品について報告するスレも機能してないし語り合う場所もないよね

558名無しさん:2022/01/05(水) 23:43:33 ID:FmOl93C20
小さなアイディアはあっても作品にするのが難しいのよね…
でも今年は1作は投稿するのを目標にしますか。

559名無しさん:2022/01/06(木) 23:07:07 ID:IN/N1YIA0
小説はド聖さんを読んで
音声は古典太平記を聞いている

560名無しさん:2022/01/10(月) 03:36:49 ID:bR1f0CRM0
 私の目の前には一人の女性。飾り気のない服装に、化粧っ気が見えない顔。
だが、自然体でありながらも、いや自然体であるからこそか、とても整った容姿をしていることが見て取れる……。
と、そんな風に演出するメイクをしているのだな、と冷めた感想を持ってしまうのは同性のサガだろうか。

 連続婦女暴行犯。女にとって忌むべき犯罪者を成敗したのは彼女だ、そういった噂を小耳に挟み、最近スクープに飢えていた私は
新聞部次期エースの名にかけて、と彼女に聞き込みを行うことにしたのだ。ライバル、特に男子たちは情けないことにその噂、犯人は
『再起不能』 にされたという内容を聞くだけで尻込みしてしまい、私はこのチャンスに何処か浮足立っていた。

 女性は、私の高校のOGらしい。頼りない伝手を頼って彼女に取材の約束を取り付けたものの、いざ対面すると現れたのは
伝手同様にどこか頼りない雰囲気を漂わせる女性。吹けば飛ぶような、そういう線の細さを彼女は内包しているように見えた。
こんな女がモテるんだろうなぁ、僻みの混じった感情を抱いてしまう。

だが。よくよく見ればその身体には筋肉が程よくついており、喋り方もハキハキして明快だ。
私が聞きたいことを伝えたときは、何処か渋るような顔をしていたが。世間話を交えて語り合うにつれ、私はすっかり意気投合してしまっていた。

 それでも。当時のコトを彼女は話したがらず、私は必死に食い下がる。
「止めておいたほうがいいよ。きっと大変なことになる」
「そういうコトを世間に伝えるのが私の使命です!」
「一端のジャーナリストみたいなコトを言うのね。でも他の子たちはそう思っていないのでしょう?」
「アイツら、腰抜けなんですよ!こんな特ダネなのに尻込みしちゃって、それでも男なのかしら!」
「男の子だから、でしょうねぇ。気の毒に」
「それじゃ、尚更!女の私が伝える必要があると思います!」

 単純に、思慮が浅かったのだ。恥ずかしくなるぐらい。彼女が勝った、という前情報を持っていたせいで、
彼女もなにかしらの被害にあったのではという予想がすっぽりと頭から抜けていた。気遣いに欠けていた。恥ずかしい。

そう。私は、恥知らずの好奇心の奴隷だった。だから、今の状況は全て自分の自業自得。

「好奇心は猫を殺すわよ……でも、そこまでいうなら」

そう。彼女は最初は私にこの話をするつもりは無かったのだ。それでも、全てを聞き出してしまったのは、私。
ここからは、私が最初に書いた初稿。臨場感を出すために、彼女の話を元に犯人側の視点から状況を再現したもの。

勿論、こんなものを出すことは出来ず。記事にする際に、大幅な推敲を余儀なくされたけれど……。
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561名無しさん:2022/01/10(月) 03:37:49 ID:bR1f0CRM0

股間の急所を蹴られ、俺は絶叫する。目の前の女は、油断なくこちらを睨み付けたまま。再度足を引く。
ま、待て! と俺は言うが、しかし女は聞く耳を持たず、渾身の力で再度、俺の股間を蹴りあげる。
その瞬間、俺の中で何か大事なものが砕け散る音が聞こえたような気がした。そして、気がついたら床に倒れていた。
……あー、やばい。これマジでヤバイって。
痛みと痺れから立てない。ただ、顔だけを上げて見ると、彼女はまだ足りないのでは、という表情。だから慌てて声を上げる。
「ま、待ってくれ!」
「……」
「な、なんでもするから許してくれよ!!」
すると彼女が眉尻を上げた。そして一歩踏み出し、
「まだ喋れるの?」
やっぱりトドメを、恐ろしいことを呟きつつ、足を持ち上げる。何かを踏み潰そうとするように。
視線の先は、俺の睾丸だ。だから俺は必死になって声を上げ続ける。
「いやもうホント勘弁してください!! 反省してます! マジで反省してますから!」
「……」
「えっと、あのですね? ちょっと、調子に乗ってましたね? はい。それは認めます。はい。
 でもさ! 男なら一度は憧れちゃうじゃないですか!? ほら、アレですよ!『男は皆狼』とかいう言葉もあるくらいですし!!」
「害獣には去勢が必要」
血も涙もない言葉。だが、そんな言葉を吐く彼女の瞳の奥に一瞬、同情のようなものを見た。
チャンスかもしれない。そう思った。だから、俺は言った。
「そ、そうだ! 貴方、綺麗だしスタイルもいいし! きっとモテるでしょう!?」
「……お世辞は結構」
「いえいえ、本心ですとも! それにほら、どうせ一回失敗してるんだったら二回目三回目も同じことじゃありませんか!!」
「……」
彼女は足を下ろす。そして首を傾げ、不思議そうな顔をして、問いかけを投げかけてくる。
「どうしてそこまで薄っぺらい言葉を吐けるの?」
ああ、そういう意味か、と納得した。
確かにこれは薄っぺらく見えるだろう。だが、違うのだ。これは、本当に、心の奥底から出た言葉なのだ。
「俺は―――」
「貴方に金玉は不要」
心の底からでた命乞い、いやタマ乞いか。それに女は気怠げな返事だけを返す。
「だって、そんなもの無くても生きていけるもの」
「……っ!」
俺は絶句するしかない。彼女を見る。するとそこにはやはり無表情があり、しかしその奥にあるものを何となく感じ取ることができた。
それは同情だ。先ほど一瞬見えた感情の色。男がこれから辿る人生に、女の身ながら思いを馳せたのだろう。
しかし、だからこそ彼女は容赦しない。再び右足を持ち上げて、振りかぶった。俺は悲鳴を上げる。
「ちょっ……まっ! わかった! 謝るから! 謝りますから! すいませんでした! ごめんなさい!」
「いいえ。謝るのは金玉潰れた後にして」
「お願いします! 何でもするからそれだけは許してください!!」
「……」
「ひぃいいいいっ! いやだぁああっ! 金玉だけは嫌だぁああっ! 死にたくないよぉおおおっ!」
「……」
「いやだいやだ! 痛いのはいやだ! 潰されるのはいやだ! 助けてぇえええっ!!」
俺は泣き叫ぶが、しかし女は無言で右足を振り上げたままだ。その表情からは何を考えているのか読み取れない。
「そんなに嫌なの?なんで?」
「なんでって……」
「どうして? 別に、なくなって困るようなものでも無いんでしょう? それなのに、そんなに大騒ぎして」
「そ、そりゃそうだけどさ……」
俺の言葉に彼女は目を細める。そして、ゆっくりと口を開いた。
「認めたわね」
「……え?」
「別に必要ではないって」
「いや、それは言葉のあやで」
「でも、今、認めたよね? なら、私も容赦はいらないわよね」

562名無しさん:2022/01/10(月) 03:38:34 ID:bR1f0CRM0
「…………」
俺は沈黙する。押さえた手の下で金玉が縮んだのが分かる。目の前の女には一生わからないだろう感覚。「怖い」という気持ち。
しかし、それでもなお、俺は声を上げた。
「ま、待ってくれ!!」
「まだ何かあるの?」
「頼むから! 頼むから待ってくれ! 考え直してくれ!」
「……」
「こんなことやっても無意味だろ!?被害者がキレイな身に戻るわけじゃない!」
「無意味なのは貴方のタマタマ。罪には罰が、貴方には贖いが必要」
「そうじゃない! そうじゃないんだよ!」
「じゃあどういうこと?」
問われ、俺は考える。この状況を打開する方法を。どうすれば助かるかを。そして一つの方法を思いつく。
だが、これは、正直、あまりやりたくなかった。
なぜなら、これをやれば確実に、男として大切なものが一つ失われてしまうからだ。
だが、背に腹は代えられない。俺は覚悟を決める。
「わかった……」
「?」
「アンタの言う通りだよ。確かに、ケジメは必要なんだろう。だから、もういいよ」
「……」
「それで勘弁してくれるっていうんだったら―――」
俺は息を吸う。そして、こう言った。
「右と左、どっちにするんだ?」
「……」
女は何も言わない。ただ無表情にこちらを見下ろしているだけだ。
俺は続ける。なんだかんだで場の主導権を奪って、有耶無耶に最低限のダメージコントロールは行う。
明らかに自分に不利な選択肢を並べ立て、まるでオレ自身が罰を望んでいるように錯覚させてーーー
「おすすめは利き足だ。当然、右足の方。それと、潰す時は思い切り力を込めてくれ。でないと余計に痛みを感じることになるかもしれない」
「……」
「どうした?早く決めてくれ」
「……何をいってるの?」
女は問うてきた。その顔に浮かぶのは疑問の色だ。何故、自分が譲歩されているのか理解できない、といった様子。
俺は苦笑する。このまま、場の空気が当然と感じられるように主導権を離さずに、と言葉を続ける。
「決められないのか。別に左でもいいんだぜ。ケジメだから、オレは文句も言えない」
「いや、当然2つとも潰すよ」
「は?」
だが、彼女は当たり前のようにオレの提案を無視する。お前、空気が読めないって言われたことねーか?!
「だって、片方だけじゃバランスが悪いでしょう?」
「は?」
「両方ないとダメだと思うの。だから、潰すときは両方とも潰さないと」
「いやいやいや」
俺は首を振る。そして、彼女に向かって叫んだ。
「冗談だろ!? なんでそうなるんだよ!!」
「それに、さっきの自白、聞き逃してないよ?初犯じゃないんだよね?なら、これは正義の執行」
「だったら尚更だ! なんでわざわざ苦しませるようなことをするんだよ!」
「……? 意味が分からないんだけど。だって、それが一番合理的じゃない」
「ふざけるな!」
俺は怒鳴る。
「お前は人の金玉を奪う権利があるのか! それを何だと思ってるんだ!」
「……」
「命と同じくらい大切だと思わないのか! それを平気で奪える人間がこの世にいると思うか! いないだろ! 絶対に!」
「……よくわからないけど」
彼女は首を傾げる。
「つまり、玉無しになりたくないから、そういうことを言うの?」
「そうだ! 悪いか!」
「悪くはないよ。でも……」
そこで言葉を切って、少し考えた後、
「やっぱり、納得はできないかな」
「……」
沈黙が流れる。
やがて、彼女が口を開く。

563名無しさん:2022/01/10(月) 03:39:12 ID:bR1f0CRM0
「なんで玉無しになるのが嫌なの?私は最初から金玉なんていらないし、なくてもいいものだと思っているけれど」
「……っ!!」
絶句。言葉が出てこなかった。女が何を言っているのか理解できなかった。
こいつは本気で言ってるのか? 俺の大事なものを、なんの価値もないものだと?
「それに、貴方の言い方だと、まるで私が人非人に聞こえるわ」
「……」
「心外ね」
そう言いながら、彼女は右足を持ち上げる。そして、そのまま振り下ろそうとした。俺は慌てて叫ぶ。
「ちょっ、ちょっと待て! わかった! わかったから!」
「……」
彼女は動きを止める。俺は必死で言葉を続ける。
「俺が悪かったよ。謝る。だから、その足を降ろしてくれ」
「……」
「金玉なんていらない。そうだよな? いらないなら別に壊さなくていいじゃないか」
「話がループしてるわ。見苦しい。もう問答は結構」
「待ってくれ! 頼むから待ってくれ! 話を聞いてくれ!」
「往生際の悪い男ね。男じゃなくなった方がいいわ」
「……!」
俺は歯を食いしばる。だが、ここで引き下がる訳にはいかない。俺はプライドを捨てて彼女に頼み込む。
「頼む! お願いだ! 金玉だけは許してくれ! それ以外なら何でもする!」
「……」
「本当になんでもやるから! アンタの言う通りにする! 奴隷になれって言われたらなるよ!」
「貴方は私にそんなことまで要求するつもりはないのだけれど」
「だったら、どうすれば許してくれるんだ?」
俺は懇願する。しかし、彼女は何も答えない。ただ黙っているだけだ。
俺は再び言う。
「頼むよ。金玉を潰されるのは嫌なんだ。痛いし、辛いし、惨めだから」
「……」
「なあ、なんとか言ってくれよ。頼むよ。一生のお願いだよ。もう二度とこんなことは言わないから。
 約束するから。本当だ。誓うよ。嘘はつかない。俺は真面目な男だ。知ってるだろ?」
「……」
「だから、な? 金玉を潰すのは勘弁してくれないか? 代わりに俺が出来る事だったら、どんなことでもやってあげる。
 アンタのいうことをちゃんと聞く。命令に従う。何だってするよ。ほら、見てみろ。俺は誠実な人間だろ? 俺は浮気なんかしないし、
 ギャンブルもしないし酒にも溺れない。煙草は吸うけどパチンコはやらない。タバコは嫌いだけど、酒は好きだよ。
 あと、女遊びとか、風俗通いとかも興味ない。これだって立派な誠意だと思うぞ? どうだい?」
俺は一気にまくしたてる。彼女はじっとこちらを見つめていた。
そして、ゆっくりと口を開く。
「これ以上、恥を晒させないのが私に出来るせめてもの情けね」
そう呟くと、勢いよく右足を俺の股間に振り下ろした。
「ぐぅぁあああっ!!」
激痛が走る。俺は絶叫を上げた。
彼女は無表情のまま、何度も足を振り下ろす。その度に、痛みが走った。
「がっ! ぎぃっ! や、止めてくれぇえ! ひいっ! ぐあああっ!」
「潰れちゃった? それとも、まだ大丈夫? どっちなのかしら」
「がっ! いだ、いたい! ひっ! 止めて!は、早く! お願、いだから……!」
「そう。じゃ、もう少しだけ頑張りなさい」
「ぐああああ!! う、ご、ぉおおおっ!」
叫び声を上げ続ける。もはや自分が何を叫んでいるのかすらわからない。ただ、ひたすらに苦痛に耐え続けた。
どれくらい時間が経っただろう。気が付くと、彼女は俺の傍に立っていて、静かに問いかけてきた。
「ねえ、貴方、どうしてあんな馬鹿なことをしたの?」
「……」
俺は荒い息を繰り返すだけで、返事ができない。全身汗まみれで、頭からは血が流れ落ちている。
彼女がもう一度訊ねる。今度は少し優しい声で。
「答えて」
「……い、…………。……。」
俺が黙っていると、彼女はため息をつく。
「まあいいわ。貴方が何を考えていようと、それは貴方の自由だし」

564名無しさん:2022/01/10(月) 03:39:49 ID:bR1f0CRM0
「……」
「せめて、男として最後の言葉だけでも聞いておいてあげようと思ったのだけど」
そういうと、スッと俺の股間に爪先を滑り込ませ、2つの玉をしっかりと捕える。そして、体重をかけて踏みつぶした。
「ぐぎゃあああああ!!!」
目の前が真っ白になるほどの衝撃。意識が飛びそうになる。俺は必死で叫んだ。
「がっ! ががががが! い、痛い! あ、ああ、あう! いいい! ぎいい!」
「さようなら」
彼女は淡々と別れを告げる。そして、さらに体重をかける。
「ぎぃいいい! ぐ、ぐげ、ぐ、ぐ、……!」
もう何も考えられない。ただ、この痛みから逃れたい。その一心で俺は叫ぶ。
「い、いで、だず、だず、だじで! お願い! お願いします! 助けて! 死んじゃう! お願いだから!」
「バイバイ、男の子」
彼女は表情を小揺るぎもさせず言う。そして、片脚に全体重を預けた。
「ぎゃああああ!!!」
「……」
俺は絶叫を上げる。股間を押さえながら床の上を転がる。彼女はそんな俺を見下ろしていた。
「貴方は本当に見苦しかったわ」
「……」
「でも、安心して。もう貴方はそんな真似しなくていい身体になったから。なんでか分かる?」
「……」
「私が潰しちゃったのよ。だから、もう痛くないでしょう? よかったじゃない」
「……」
「……、……、……、……、さっきから黙ってばっかりね」
「……」
「もしかして、ショックのあまり声も出なくなっちゃった?それとも潰れても痛いままなのかな。その辺、女には分からないから」
俺は彼女の言葉を聞いていなかった。
潰れた金玉の痛みに耐えるのに精一杯だったからだ。
「う、ぐ、ぐ、ぐ、ぐうぅう……」
脂汗を流しながら、震える手で潰された部分を撫でる。だが、そこには何の感触もない。あるのは激痛だけだ。
俺は泣き出した。
「あ、う、うう、うぁ、ああああ、あ、あ、う、うう」
「私にも金玉なんて無いんだし、貴方もすぐに慣れると思うけど、それまでは大変よね。頑張って耐えなさい」
「あ、あう、うう、う、ううう、う、ぐ、ぐぅう……」
涙が流れる。情けないほどにみっともなく、俺は泣いた。彼女はしばらくその様子を眺めていたが。
「私、そろそろ行くね」
静かにそう言って部屋を出て行った。ドアが閉まる音。俺は痛みの中、涙を流し続けた。

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565名無しさん:2022/01/10(月) 03:40:31 ID:bR1f0CRM0
「ふんふん、それで?」
私は前のめりになって、彼女の説明を催促する。興奮で手に汗を握っていた。
「結局、彼はどうなったんですか?」
「さあ? 知らないわ」
「知らないってことは、死んだとかですか? それとも、どこかへ逃げたとか?」
「どうかしら。玉無しに興味はないもの。案外、新しい生活を楽しんでるかもね。ほら、人類の半分は玉なんて無いんだし」
「はあ……いや、普通に逮捕されたって聞きましたけど?」
本当に、その男に興味がないのだろう。ふぅん、と気のない生返事を彼女は返しただけだった。
「貴方こそ、どう思う?」
「え?」
「彼が逃げ出したらどうなったかよ。もし逃げ出せたとして、これからどうやって生きていくのか。そう考えたら興味が湧かない?」
「……いえ、別に」
「つまらない人」
「そんなこと言われても、私、女の子ですし。二重の意味で想像つかないですよ」
彼女はクスリと笑う。
「それもそうね。ごめんなさい」
「いいんですよ」
「それにしても、わざわざ私のところまで聞きに来ることないのに」
「でも、こういう話は直接聞いたほうが早いと思いまして」
恐怖の連続暴行犯、我が校OGに成敗される、なんてネタ、見逃せば新聞部の名折れだ。
とはいえ、どう記事にしたものか。犯人はタマタマを潰されてKOだなんてうら若き乙女には刺激が強すぎる。
いや、共感は出来ないんだけどね。だって私も金玉ないし(←ここ重要)。
「じゃあ、私はこれで。ありがとうございました」
「また何かあったらいつでも来て頂戴。歓迎するわ。お茶くらいなら出すから」
「それはありがたいですね。では、お邪魔しました」

-------

玄関先で軽く頭を下げ、外に出ようとする。その時、背後で声がかかった。
「ねえ」
「はい?」
振り返ると、彼女がじっとこちらを見ていた。無表情のまま、ただじっと見つめている。
「な、なんでしょうか?」
思わずたじろぐ。その様子に彼女は首を傾げる。
「貴方、今回の話聞いてどう思った?」
「え、どうって、まあ、その」
「正直に答えて」
「はい」
「貴方は彼が可哀想だと思うかしら」
「……」
「それとも、ざまあみろと思う? もしくは、ざまあ見ろと思った自分を恥じる?」
彼女は問いかけてくる。その問いは私にとって少し意外だった。何故なら彼女にはそういう感情が欠如していると思っていたからだ。
でも違った。彼女はちゃんとその辺を理解していたのだ。
そして、その上で私に質問をしている。
「そうですね……」
だから、私も真剣に答えることにした。
「正直に言えば、ちょっとだけ、ざまあ見ろとは思います」
「……」
「でも、それ以上に自分が恥ずかしいと思います」
「そう……」

566名無しさん:2022/01/10(月) 03:41:20 ID:bR1f0CRM0
「あの、それだけですか?」
「貴女にとって、金的って何?」
「……? どういう意味でしょうか?」
「そのままの意味よ」
彼女は言う。
「金的っていうのは、男性にとって最も屈辱的な行為の一つなの。それが女性によって為された場合、
 どれほどの苦痛を伴うものなのか、きっと私達には一生理解できないでしょうね。彼が乱暴された女性の気持ちを理解できなかったように」
彼女は淡々と続ける。
「でも、貴女は話が進むにつれ目を輝かせていった。なのに、最終的にはその感想」
「つまり、貴女の結論はこうなる。『金的は可哀想』だけど、『それを行われたのが悪人であるならば、それほどでもないかもしれない』
『自分は男ではないから分からないけど、他の人は多分そうだと思っているだろう。だから、彼に対して多少の同情心はあるけれど、
 それ以上のことはない。むしろ、自分の中にそういった感情があるのに気づいてショックを受けた』こんなところかしら」
「……」
驚いたことに全て当たっていた。
「貴女、似ているわ」
「……はい?」
彼女はクスリと笑う。
「金的は自衛のため。くれぐれも興味本位でしたらダメよ」
そう言い残して彼女は去っていった。
私は図星を刺された衝撃で、しばらくその場から動けなかった。
可哀想という建前の下、タマを潰すという禁断の行為に惹き付けられている本心を日の目に晒されてしまったから。
性的な欲求ではない。それなら、自分を慰めることで発散、コントロールできる。
ではなく、本能の深いところで、彼女と同じことをしたいと願っている。そんな自分に対するショックが大きかった。

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567名無しさん:2022/01/10(月) 03:45:43 ID:bR1f0CRM0
あれから一週間が経った。私は相変わらず平凡な日常を送っている。
変わったことと言えば、校内新聞を見た男子たちが私を見る目に怯えが混じって、女子たちは逆に面白がる視線を送ってくるようになったこと。
あとは、たまに彼女の家に遊びに行くようになったことだ。別にお茶を飲むだけで何もしないけど、暇つぶしにはなっている。
もちろん、取材目的とう方便だ。今日も学校帰りに立ち寄った。
「いらっしゃい」
彼女はいつも通り迎えてくれた。私が、金的に抑えきれない好奇心を抱いてしまったのは彼女のせい。
知らない、を知らないですませたくない。でも、自分の身体では確かめられない。金玉、潰れてもいいかなと思うような相手が欲しい。
ならば彼氏でも作ろうかな、と質の悪い美人局のような発想すら浮かぶ始末だ。人間として最低だ、そんな自分が嫌になる。
私に妹しかいなくて良かった。男兄弟がいたら、うん、有り体に言えば、もう姉妹にしてしまっていただろう。
「どうしたの? 難しい顔して」
「いえ、なんでもありません。それより、今日は何しますか?」
「そうね。とりあえずお茶にしましょう。いい茶葉が手に入ったの」
彼女がお茶の準備を始めると同時に、私はソファに腰掛ける。部屋を見渡す。以前来た時も思ったが、やはり殺風景だ。
「お待たせ」
「ありがとうございます」
「それで、どうだった?」
「え?」
唐突な質問に戸惑う。
「先週の記事よ」
「ああ」
「率直な意見を聞かせて欲しいわ」
「そうですね……」
私は少し考える。
「やっぱり、金的って男子には恐ろしいのでしょうか?」
「……貴女はどうなの?」
「さあ? される心配をしたことがないもので」
、されたこともないし、これからもないはずだ。
「金的を受けた男は大抵、その恐怖を語るわ」
「へえ、そうなんですね」
「ええ、みんな例外なく震え上がっていた」
「それは、例えばどんな風に?」
「一番多いのは失禁ね」
「あー、確かに。私も経験あります」
小さい頃に母親にお尻ペンペンされて、パンツの中に漏らしてしまった時の恥ずかしさときたら……。
「他には?」
「そうね、股間を抑えて転げまわったり、泣き叫んだり、中には気を失った人もいるらしいわ」
「それ、全部本当の話ですか?」
「そうみたいよ」
「ふむ……」
私は顎に手を当てて考え込む。と、唐突に彼女は私の心臓を射抜くような質問を投げかけてくる。
「ねえ、貴女、金的に興味あるんじゃない?」
「……」
思わず黙ってしまう。
「その反応は図星ね」
「……どうしてそう思うのですか?」
「だって、この前、私の家に来た時、少し様子が変だったから」

 私は観念する。言いにくい単語だ。だが正鵠を射ている。あの日以来、痴漢や変質者に出会うことを心の何処かで期待している自分がいる。
勿論、そう都合よく話が進むわけないんだけど。頼んでないときに来るくせに、肝心なときに、もう、役立たず!と自分でもわかる理不尽な罵倒。
これではどっちが異常者なのだかわからない……あ、両方か。私も異常、うぅ、やだなあ。

568名無しさん:2022/01/10(月) 03:46:29 ID:bR1f0CRM0
「実は、少しだけ、本当にちょっとだけ考えてました」
彼女はため息をつく。
「興味があるのは悪い事じゃないけれど、それを実際にやるかどうかは別問題だからね?軽い気持ちでも男じゃなくなる危険があるんだから」
「分かってます。ただ、どういうものなのか想像がつかないというか……」
「まあ、気持ちは分かるけれど」
彼女はティーカップを口に運ぶ。私もそれに倣う。
「あの、ちなみになのですけど、他の人の金玉は潰したこととかあるのですか?」
彼女は紅茶を吹き出しそうになった。
「……なんでそんなこと聞くの?」
「いえ、別に深い意味はないのですが……」
彼女はしばらく無言だったが、やがて口を開く。
「……普通は潰すまでやることなんて無いけれど。気の毒だし」
「そうでしたか。でも、『まで』ってコトは……」
「……興味があるの?」
「……正直言うと、かなり」
「……そう」
彼女は再び沈黙。そして、しばらくすると、ポツリ。
「……分かった」
私は耳を疑った。
「何が、ですか?」
「貴女に金的のやり方を教えてあげる」
「えっ!?」
「でも、勘違いしないで欲しいのは、あくまで自衛のためだから。それと、他人には絶対に教えないこと」
「はい!」

 あとで聞けば、彼女は私がとても危うく見えたらしい。どこまで本心なのか、私には知る術もないけれど。
でも、同時に、それが単なる思春期の気の迷いにも思えたんだそうで。だったら、とことんまで吐き出させてしまえばいいかと考えたのだと。
そうすれば、憑き物が落ちたように興味を無くすでしょうって。

 まぁ、結論から言えば、甘かったのだ。私は砂漠に雨が染み込むように、彼女から齎される『私じゃ知り得ない知識』を吸収し。
もっと、もっとと。好奇心から立ち上る焦熱、そしてソレに炙られたことによる乾きに苛まれて彼女の話をより貪欲に欲するようになっていた。

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569名無しさん:2022/01/10(月) 03:47:28 ID:bR1f0CRM0
次の週末。私は彼女の家のチャイムを鳴らす。出てきた彼女に案内され、二階の部屋に入る。
「適当に座っていて」
「はい」
私は部屋の中を見渡す。相変わらず殺風景な部屋だ。私は鞄からノートとシャーペンを取り出す。
「それじゃあ、始めるわね」
彼女が向かい側の椅子に座る。
「まず、金的というのは主に蹴りによって相手の男性器を攻撃する行為を指すのだけれど、これは知っているかしら?」
「はい」
「なら話は早いわね。では次に、金的の利点について説明していくわ」
「お願いします」
「まず、金的は男子にとって最も効果的と恐れられている攻撃手段の一つだということは分かっていると思うけど、それは何故?」
「痛みが強いからでしょうか?」
「それも一つの理由だけれど、最大の理由は、相手に恐怖を植え付けることができるということよ」
「恐怖?」
「ええ、金的はつまり、次代に繋ぐための生殖器を攻撃されるということでしょう?普通の人はそこを怪我することを嫌がるものなの」
確かにそうだ。
「だから、金的で相手を痛めつけることができれば、精神的に優位に立つことができるの」
「なるほど」
「あとは、単純に暴力として優れている点もあるわね。最小限の力でも最大の効果を期待できるし」
「分かりやすいです」
「さらに言えば、相手は決してやり返せない。なんでか分かる?」
「…………………………やだぁ」

 意味を理解して、顔が紅潮する。生娘のように、って生娘ですけどね?!
話題の主役、タマタマなんて生まれてこの方現物を見たことなんてない。いや、子供の頃はあったのかも知れないけど!
今の私の知識は、基本的にインターネットから見たものばっかりだ。ネット社会万歳、と思いつつ教育に悪い機械よねと嘆いたりもしてみたり。

「あら、意外と初心なのね」
「そんなこと言われても……」
「ふふ、ごめんなさい。でも、そういう反応は嫌いじゃないわよ」
「うぅ……」

 私は顔を背ける。さながらセクハラに困惑する可憐な乙女といったところだろうか。いや、内容が内容だからどの口がって話なんだけどさ。
勿論、同性の彼女にはこの乙女の媚びは通用しなかったらしく、平然とした顔のまま質問を重ねてくる。

「それで、答えは?」
「女性に金的は存在していないからですよね?」
「正解、まぁ、女だって股間を蹴られたら普通に痛いわ。でも、異常に痛いらしい男とは比べ物にならないでしょうね。
 だから、彼らの頭には、女もソコが急所だっていう意識がない。加えて、女子は基本的に股間を守るようにできていないしね」
「たしかに」
「いくら自分が相手より体格が大きくて力があったとしても、股間にだけは手も足も出ないという不公平感が彼らを怯えさせる」
「そこまでいくともう病気ですね……」
「まあ、そうかもしれないわね。でも、実際にそうなんだから仕方ないわ。
 さっきも言った通り、相手が怯んでいる隙に逃げるか倒すかすればいいだけの話だから」
「なにも問題ないってことですか?」
「そうね。だから、この前も言ったけど、これは自衛のため。決して面白半分でやっていいものじゃないからね?」
「分かっています」
「じゃあ、次は実践的な内容に移るわね。といっても、大して難しいことはしないから安心して」
彼女は私のノートを手に取る。
「金的で一番重要なのは、初撃を悟られないこと。これが鉄則よ」
「相手は金玉を潰されると思っていないんですもんね」

570名無しさん:2022/01/10(月) 03:49:19 ID:bR1f0CRM0
「そう。だから、一撃で仕留めないといけないの。外したら間違いなく逆上するから、不安だったら見送ったほうがいい」
「はい」
「では、まずどうするかだけど、基本的に不意打ちが望ましいわね」
「……いきなり襲うわけですか?」
「それじゃ貴女の方が悪者でしょう。じゃなくて、いざという時まで無力で無抵抗な獲物を装うの」
「どうやって?」
「簡単よ。例えば、相手の手を自分の胸に当てるの」
「……?」
言っている意味がよく分からない。
「その状態で、自分は怖がっているフリをするだけ。そして、男が自分に襲いかかろうとした瞬間に、こう言うの『きゃっ』て」
「それだけですか?」
「ええ、そうよ。たったこれだけで男は勝手に勘違いしてくれるの」
「そんなに上手くいきますかね?」
「大丈夫。これに関しては私を信じて」
「はい」
「あとは、本懐を遂げようとすればズボンを脱がざるを得ないから」
彼女はノートに図を描きながら説明を続ける。簡略化された棒人間の股間に、二つの黒丸を書き入れる。私にはソレが金色に見えた。
「その際、男の金玉を潰す勢いで蹴り上げるの。そうすると、簡単に無力化されてくれるわ」
「な、なるほど……」
「あとは、そのまま警察に通報するなり逃げるなり好きにすればいい。これで終わり」
「……随分と簡単なのですね」
「ええ、だから急所なんて言われるのよ」
「ちなみに、その時の注意点はありますか?」
「強いて言うなら、あまり相手の股間を凝視しないことかしらね」
「どうしてですか?」
「バレるから。意識して守られたらまず当たらないと思っていいわ。相手の目を見て、怖がったふりは忘れないこと」
「分かりました」
「最後に一つ言っておくけれど、これはあくまで自衛のためであって、遊びではないからね?」
「もちろんです」
私はノートを閉じる。
「ありがとうございました。勉強になりました」
「いえ、こちらこそ」
「では、失礼します」
「ええ」

-------

 私は彼女の家を後にした。彼女との語らいは、私の脳髄が訴える飢えを紛らわせてくれる。
だが、気付いているのだろうか。その行為が、飢えた獣にエサの匂いだけを嗅がせるに等しいことに。
全てお見通しなの?それとも、懐いてきた後輩への親切心のつもり?どちらにせよ、もう後戻り出来そうにない。
膨れ上がった知的欲求は、私の脳髄をチリチリと焦がす。この疼きを抑えるには、また彼女の話を聞くしかないのだろう。
でも、この関係がいつまで続けられるのか。今はただ、彼女から与えられるものを享受するしかないのだ。

 好奇心、猫を殺すと最初に言われた警告を思い出す。私の手は、無意識に股間へと移され、ズボンの上からソコを揉みしだく。
そこには金的、いや金玉なんて存在しない。しかし、それでも私は手を動かし続ける。あの日から、私の生活は一変した。
朝起きると、必ず股間の膨らみを確認する。あるはずのないモノを探し求める。それは、もはや日課となりつつあった。

 いつか、この好奇心が私の身体を食い破った時。殺される猫は誰だろうか。股間の空虚な感触は、それが私では無いと伝えてくる。
それがひどく倒錯的で、背徳的で、冒涜的で……官能的だった。自分のことが悍ましくなる。でも、抵抗出来ない。
彼女は、私がそれを望んだからだと口にしていた。ならば、この衝動は何に起因するのだろうか。
私の中の何かが警鐘を鳴らす。これ以上はダメだ。戻れなくなるぞと。でも、もう遅い。
明日もきっと、私は彼女の部屋を訪れるのだから。それが叶わなくなった日が、好奇心が私を食い尽くす日。最後の日。

 暴行犯は、彼の罪を自身の睾丸で償った。では、私は何を払えばいいのだろう。睾丸の無い股間は、何も答えてくれない。
その答えを知るために、私はまた彼女の家へと向かう。

                                                      <おしまい>

571名無しさん:2022/01/10(月) 03:57:32 ID:bR1f0CRM0
ご無沙汰してます。↑は七割ほどAIノベリスト様に書いていただきましたがどうですかね?
技術の進歩は凄いもので、結構違和感なくないですか?

何がいいたいかというと、せっかくのテクノロジーも使う人がいないと宝の持ち腐れなので、
みんなガンガン投下して欲しいなぁってコトです。AIでの生成だって試行回数がものを言いますし。

572名無しさん:2022/01/10(月) 04:02:48 ID:bR1f0CRM0
あとAI君は少し目を離すとまぐあいをはじめさせるのでビックリします。
AIは逆に隙あらば金的をさせようとする人間にビックリしたのかもしれません。
心温まる異文化交流ですね。

573名無しさん:2022/01/10(月) 15:53:50 ID:ZYAUhoXI0
>>571
前半は所々?というところもありましたが、後半は全く違和感ない、というかかなりの名作感がありました。凄い。

574名無しさん:2022/01/15(土) 00:20:03 ID:yRVISpIU0
お勧めに従ってAIのべりすと様に書いてもらいました。
作業分担的には人力とAIが半々くらいです。
出来はまあ…という感じですが、箸休め?にどうぞ。

……………
中学生になってしばらくすると、男子生徒の間で、女子生徒に対する暴行事件が多発しだしました。原因はいろいろ有ると思いますが、ひとつには性への目覚めとともに、異性への関心が出てきたこと。
そしてもうひとつは、男子が女子に対して肉体的にも精神的にも優位に立ちたいという欲求が強くなったことでしょう。
思春期になると男の子は一気に筋力が付き、骨量も豊かになって、肉体的には遥かに女の子より頑丈になりますから、その体力的な優位を活かして暴力で女子をいわば蹂躙する男子が次々と出てきたわけです。
しかし、そこで小学生から空手を習っていたある女の子が、男子に対する「秘策」を女子たちに伝授し始めました。
ご想像のとおり、その女の子は私で、「秘策」は男子固有かつ最大の急所を狙う金的蹴りでした(笑)。
私はそれまでもずっとこの技を使ってきたのですが、これを男子に食らわせる時は、ちょっとしたコツがあります。
男子は、顔面を攻撃されると咄嗟に足を開き気味に踏ん張ってこれを受け止める修正のようなものがあります。
そこでおあつらえ向きにがら空きになった股間に対して、素早く足を振り上げれば金的蹴りは簡単に成功します。この時注意しなければならないのは、相手に悟られないようにすることですね。
相手が警戒して防御姿勢をとってしまえば、なかなかうまくいきませんから。
これは、かなり有効な技だったようで、その後すぐに学校内に広まっていきました。
女子を見下して力任せに乱暴してくる男子が股間への一蹴りで情けなく蹲る姿は、女子からすると痛快そのものでした。

575名無しさん:2022/01/15(土) 00:20:41 ID:yRVISpIU0
一度などは、プール上がりに集団で囲まれた時に、相手のパンチを食らいながらも隙を見て、一番近くにいたリーダー格の男子の股間に金的蹴りを入れたこともあります。その時の感触は今でも覚えています。
ぴったりしたビキニブリーフ型の水着を着ていたせいか、タマタマをクリーンヒットできた感触があり、その男子は私よりはるかに体格が良かったのですが、一撃で悶絶し、何と吐いてしまいました。周りの男子たちは唖然として見ていただけです。
(ちなみに、この子は後に別の高校へ行って、ボクシング部の主将となり、インターハイで優勝しています)
それ以降、男子は私を見ると及び腰になってしまいました。
でもそれは、女だからといって、ただでやられはしないという意思の表明でもありました。
共学だと男子がリーダーシップを取りがちなのは、やはり体力的な優位、喧嘩なら女子には負けないという意識が潜在的にあるんじゃないかと思います。
でも、女子が金的蹴りを習得することで、男子最大の優位性を覆すことができます。そうすれば、女子が劣等感を抱くこともなくなるので、実際私たちの学年は生徒会長も首席も女子でした。元々、女子は男子に比べて身体的に弱い分、頭脳と精神力を磨いて対抗しようという意識が強かったように思います。男子に力で敵わないからこそ、技術と知恵を駆使して戦うというのは女子の常ではありました。
もっとも、金的蹴りはあまりに強力すぎて、ちょっと女子優位になりすぎたかなと、今は少しだけ反省しています(笑)。
でも、タマタマがあんなに脆く、金的蹴りが男子に対して絶大な効果を持つと知ってしまったら、どんなにおとなしい女子でも一度は試したくなるのが人情だと思います。私は、その機会を利用して実践したわけですが(おい!)。
そんなこんなで私の青春時代は、空手とキン蹴りを中心に回っていったように思います。

576名無しさん:2022/01/15(土) 00:21:35 ID:yRVISpIU0
そういえば、中学時代に、私が金的蹴りが得意だということをどこから聞きつけたのか、金的蹴り有りでいいから勝負したいというヤンキーが現れました。その人は、当時同じ中学にいた私の従兄の知り合いだったのですが、顔立ちは整っていましたがあまり素行の良い人ではなく、また、私に金的蹴りを伝授してくれた一人である某先輩が、
「あいつだけは絶対相手にするな」
と忠告していた人でした。そのヤンキーが、金的蹴り有りでタイマンを行いたいと申し込んできたのです。私は興味もあって、その申し出を受けました。そして、その日。
私とそのヤンキーは、グラウンドで対決をしました。
対決は予想どおりの展開で進みました。
開始直後、そのヤンキーがいきなり飛び込んできて、私の顔面目掛けて右フックを放ってきました。
こういう手合いは、だいたい最初から全力でかまして、一発二発顔を殴りつけてノックアウトしようとします。
格闘技や喧嘩に慣れていないと、体自体はまだ動けても、痛みと驚きで戦意を喪失してしまうのです。
私は、開始からの攻撃のラッシュを冷静にかわしながら、ひたすら相手の股間に隙ができる瞬間を待ちました。
やはり男と女では筋力が違いますから、クリーンヒットをもらわないように細心の注意が必要です。
一方で、男子最大の急所の金的は、たとえ会心の一撃でなくても、とにかく蹴りなり掌底なりを当てられれば、女子からすれば信じられないくらい大きなダメージを与えることができますから、とにかくその一打を入れられるチャンスを逃さないことです。
やがて、ヤンキーの動きが鈍くなり始め、パンチの軌道が雑になってきました。
そこで、疲れてきて一気に勝負を決めようとヤンキーが大振りのパンチを繰り出した瞬間、これを交わして、蓄えた体力を全て足先のスピードに変換する勢いで、利き足の背足をヤンキーの大きく開いた股間に叩き込みました。
ヤンキーは、喉から絞り出すように「ぐえぇ」という声を出し、白目を剥いて倒れてしまいました。
私は、「強い男って聞いてたけど、所詮股間に鍛えられない急所をぶら下げた男ね。そんな惨めな急所のない女を決して見下さないことね」と言い放って、悠々とその場を歩いて去りました。

【おわり】

577名無しさん:2022/01/15(土) 16:39:38 ID:wI79SEEI0
>>574
いいすね
語り部が淡々としているのが蹴られない側って感じ
投下も増えてきて期待が膨らむ感
>>571
試しにもっと書き込んでもいいんじゃよ(チラッ

578名無しさん:2022/01/15(土) 21:39:52 ID:yRVISpIU0
とりあえず、AI様の協力で2作目が出来てしまったので、投下してみます。どんどん書けるのでちょっと楽しいw
今回も一人語りスタイルです。>>571さんみたいに会話形式のものにも今後トライしてみたいです。
内容的には前回と被っている部分もありますが、その点を含めて出来栄えについては大目に見てください。

――――――
肉弾戦では絶対に負けないと思っていた女の子に、男の子である自分にしかない金的という急所を突かれて負けるというのは、同じ反撃が不可能なだけに、絶対的な敗北感を味わうようです。そして同時に、自分が今まで絶対的だと思っていたものに対する疑問が生まれます。
これは本当に男として生まれて良かったのか? という疑問や、これからは女には勝てないのではないか? という思いですね。
そんな疑問を抱えながら、男の子たちは女の子たちに挑んでいくのですが、実際、女子が金的蹴りを習得した後は、男子は女子相手になりますと、途中まで優勢に進めても、最後に金的を蹴り上げられて逆転KO負けとなることが多くなります。金的を蹴られる痛みというのは、想像を絶するものがあるらしく、どんな屈強な男性でも一撃で悶絶して動けなくなってしまうそうです。逆に女子からすれば、男子から何発攻撃を受けても、どこかで一発金的蹴りを決めればいいわけですから、精神的にはだいぶ優位に立つことができます。まぁそういうわけで、金的蹴りが解禁されると同時に、男女の力関係は大きく変わってしまいました。
ちなみに、私が初めて金的を決めた時(小学生の頃)は、私の攻撃がたまたま相手の男の子の股間にヒットし、男の子がたまらずダウンをしたというものでした。その男の子はそれまで一度も勝てなかった相手だったのに、タマタマを一発蹴り上げただけで動けなくなってしまうのは、女の私には不思議でしたが、それ以上に楽しくて、それ以降は色々な男の子のタマタマを蹴り上げました。さて、このように「金的」というのは、まさしく"男の急所"であり、ここを攻撃することで一気に形勢が逆転します。

579名無しさん:2022/01/15(土) 21:40:55 ID:yRVISpIU0
ということで、今回は「男の急所・金的」についてお話ししたいと思います。
まず最初に確認しておきたいことは、「なぜ男は金的攻撃を恐れるのか?」ということでしょうか。この質問に対して、多くの男性は「それは急所だからだろう!」とおっしゃいます。確かに、人間にとって急所とは命にかかわる部分なので、そこを攻撃されたら誰でも痛いでしょう。しかし、それだけではないような気がします。
男性にとって、金的は男らしさの源であり、金的即ち睾丸からテストステロンが分泌されるからこそ筋骨隆々な肉体が形成され、体力面で女性を圧倒することができるようになります。しかし、その金的が男性にとって最大の弱点となり、女性にここを一撃されるだけで惨めに蹲る急所である、というのは皮肉な話です。ただ、現在の社会では男性の金的に対する攻撃は一種のタブーになっているような雰囲気もあります。では何故このようなことになったのでしょうか? 実はこれには歴史的な背景がありまして、古代ギリシャの男性は、女性が男性の生殖器を破壊することができたそうです。つまり、男性は女性が思っているほど強くはなく、女性の攻撃を喰らうと、男性はすぐに降参してしまったそうです。そのうちいつの間にか、女性は強いものということになり、男性は守るべき対象となったのです。そうなると当然、金的への攻撃もタブー化されてしまい、また、そのような歴史の中で、金的への攻撃は卑怯なものとされ、特に男子の場合、攻撃すること自体が恥辱とされる風潮ができあがってしまいました。

580名無しさん:2022/01/15(土) 21:41:53 ID:yRVISpIU0
そのため、男性の多くは、自分が女に金的蹴りを食らって悶絶している姿を見られたくない、と思っているはずです。そのため、男性は自分の金的を守るため、股間の前に腕を置いてガードを固めてたりします。これがいわゆる「キンタマガード」と呼ばれる状態です。これにより、相手が金的を狙ってきても、その前に身を挺して防ぐことができます。でもちょっと不格好ですね(笑)。
ところで、金的蹴りはどのようにして決まるのでしょうか? それは金的を狙う側が、狙った瞬間に狙いを定め、そこに渾身の力を込めて金的蹴りを叩き込むことで決まります。もちろん、ただ単に蹴り上げてもダメで、しっかり踏み込んで足を振り上げなければなりません。また、相手との距離によっても蹴り方は異なります。距離が近ければ近いほど威力が出ますし、遠い場合は衝撃を与えるだけになってしまいます。
例えば、レスリングの試合であれば、お互いの身体がほぼ密着するような状態になりますので、むしろ睾丸を握りしめてしまった方が早いでしょう。タマタマを握り込まれた男性は例外なくヘナヘナと力が抜けてしまいます。逆に、相手の背後から金的蹴りを放つ場合には、蹴り足を手前に引くようにして金的蹴りを放ちます。こうすると、自分の足と相手の恥骨の間にタマタマを逃さず挟み込むことができて、最も効果的な一撃を加えることができます。
金的蹴りに関する女性の優位性は、言うまでもないことですが、自分は決して金的蹴りを受けることがないということです。睾丸は男性にしかありませんから。一方、男性は金的蹴りを受けたらもう終わりです。金的蹴りを受けて動けなくなったところを追撃されれば、確実に負けてしまうでしょう。したがって、男性は金的蹴りに対しては何が何でも防御するしかありませんが、女性はもし股間に蹴りを放たれても、そのままその蹴りを股間で受け止めて、カウンターで即座に相手の股間を蹴り返すこともできます。これは金的という絶対的な急所が股間にある男性には決してできない技です。さて、このように、男にとって金的は最大の急所であり、そこを狙われたらどんな屈強な男子でも悶絶してしまいます。逆に言えば、ここを攻撃されると動けなくなるため、どうしても防衛本能が働いてしまい、股間に手をやってしまうわけです。

581名無しさん:2022/01/15(土) 21:44:24 ID:yRVISpIU0
さて、では、金的を蹴られた場合、どうすればいいのでしょうか? 金的蹴りは確かに強烈な一撃ですが、金的を蹴り上げられたとしても、しばらく我慢していれば回復します。しかし、男性が金的を蹴り上げられて悶絶し、身動きが取れなくなっている姿というのは、非常にみっともないものであり、できれば誰にも見せたくないものでしょう。そこで、金的を蹴られて悶絶した男性の女性に対する行動は2種類あります。1つは、慌ててその場から逃げ去ること。そしてもう一つは、その場でうずくまり、痛みが引くまでじっとしていることです。
この二つの違いは、男性にとって「逃げるか」「留まるか」の違いであり、金的を蹴られるということは、「男として負けを認めた」ことになるのです。つまり、ここで逃げ出す男は情けないということになり、その場に残るのは勇気ある行動ですが、追撃によりノックアウトされることは免れないということになります。そもそもこのような事態に陥った時点で、すでに勝負は決しているようなものです。たとえ相手が女性であっても、金的蹴り一発で男性は無力化されてしまうのです。すなわち、金的とは男性にとって、克服できない致命的弱点なのです。したがって、男性は絶対に金的蹴りを受けてはなりません。何があっても金玉を守らなければならないのが男という性なのです。
金的蹴りが、格闘技の世界においては禁じ手とされているのは、女性が著しく有利に、男性が著しく不利になるからだと考えられます。もっとも、このルールが男性主導で決められたものであることは言うまでもありません。男性の最大の弱点を保護する一方、金的のない女性にとっては何らメリットの無いルールだからです。金的蹴りが禁止になったのは、格闘技の世界において、競技者の大半が男性であったという理由があったからなのです。
「男の急所・金的」について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。もしあなたのパートナーがあなたに金的蹴りを放ってしまったら……。そのときはすみません。どうかお許しくださいね。

【おわり】
―――――――
ちなみに、>>578の「私の攻撃が『たまたま』相手の男の子の股間にヒットし」というフレーズは私ではなくAI様の書き下ろしです。
AI流のユーモア、でしょうか(笑)。

582名無しさん:2022/01/18(火) 07:54:08 ID:gTkVcFwI0
>>578
いい感じでした。古代知識はマジなのか適当なのか

583名無しさん:2022/01/19(水) 02:08:17 ID:eToSPUBo0
>>576
ミックスファイト(男女対決物)大好物です、
女子の最後の勝利のセリフ最高

584名無しさん:2022/01/19(水) 02:11:23 ID:eToSPUBo0
>>581
性差表現も金的のツボ・醍醐味で最高です
久しぶりの投稿、しかも大量に感動、今後ともよろしくおねがいします

585名無しさん:2022/01/26(水) 10:47:25 ID:InEC8N6Y0
俺はこの性癖ないんどけど彼女が玉責め大好きで困ってる
拘束されて15分間で2回以上射精したら罰ゲームで射精回数×10回玉ビンタか玉デコピンってゲームやってるんだけど
早漏だから4回射精したとき地獄だった

586名無しさん:2022/01/27(木) 23:40:25 ID:M4TJLuZQ0
 砂漠の端。オアシスの畔にへばり付くように広がった商業都市。
交易の中継地点として栄えており、この大陸でも随一の規模の街である。当然、歓楽街も相応の規模を誇る。
男と女の声、活気に溢れた喧騒と山海の珍品珍味が溢れた市場。それがこの街の表の顔。
そして、光が強ければ当然影だって深い。種々雑多な無法者、相応の乱暴者、後ろ暗いならず者。流れの御尋ね者。
金、名誉、異性。様々な欲望が渦巻き、日々新たな犯罪が生まれ続ける闇の一角だってある。

『収穫祭』と看板がかけられた御殿の一角。秋は、この地方で最も尊ばれる季節だ。
春は酷暑の夏の先触れとして疎まれ、冬は外部からのキャラバンが顕著に減るために灯が消えたように街から活気が失われる。
この御殿、屋敷はいわゆる『春』を売る店。だが、その一角。薄暗い部屋の中では、真夏の炎天下のごとき惨劇が繰り広げられようとしていた。

ここは男女の欲望が交差する場所。様々なモノを求め、様々な男女がここに訪れる。性欲、金銭欲、生存欲、名誉欲。
夢に破れたモノは、娼館の裏。物寂しい墓標の下で何も言葉を語りはしない。

そこに居たのは、男女二人。男は部屋の隅、二人ともは全裸、荷を打ち捨てるかのように転がされている。一人は少年、一人は青年。
売春窟だ、不思議はないといいたいところだが、彼らは二人とも後ろ手に縛り上げられ猿轡まで噛まされている。明らかに異常だと分かる。
女は二人。一人はリリア、14〜15歳ぐらいだろうか。褐色、未成熟な肢体にはち切れんばかりの活力が漲っている赤髪の少女。
一人はユリアナ。金糸の髪、純白の肌、このあたりの出身ではないのだろう。二十歳も半ばか、豊満な肉体を申し訳ばかりの薄絹で覆っているだけ。
街では篤志家としての一面を持つ彼女は、しかしどうしようもないほどの冷酷な視線で横たわる男たちを見下ろしている。
その様子が意外なのか、リリアは衰弱した様子で横たわる男たちに流し目を送ってはクスクスと笑っていた。

「それじゃ、はじめましょうか。忘れられない夜にしてあげる」

押し黙っていたユリアナがおもむろに立ちあがる。顔は、商売道具でもある妖艶な笑顔へと。部屋の隅、転がされた青年を無理矢理立たせて引き摺ってくる。
両手は後ろ手、親指を繋げる形で縛られ、内股でヨタヨタと歩く全裸の男。上半身には乱雑な入れ墨。乱杭歯に、人目でならず者と分かる剣呑な顔つき。
だが、随分と憔悴した表情で引かれるままに足を進める。

「この方たちですか?お一人は見覚えがあるような……」
「そう、賊。懲りない子よね。またお店の金を目当てに忍びこんできたのを捕らえたの」

リリアは息を飲む。
ユリアナは男の髪を鷲掴みにして顔を上げさせる。そして、囁くように問う。

「ウチの金を狙ってきたんだもの。自分の『金』を狙われても、よもや文句などあるわけないわよね」

賊と呼ばれた男が震えだす。顔を真っ赤にし、目尻からは涙さえ滲ませながら、必死の形相で首を振る。
リリアは目をパチクリとさせながら二人のやりとりを見る。ユリアナは静かに笑い、それから、リリアを見た。
賊の顔色がますます青くなる。ユリアナは壊れ物を扱うような手付きで、男から猿轡を取り去る。

「この場合、金って言うのはアレですよね……?」
「男の金なんて決まっているでしょ。股の間にだらしなくぶら下げた二つの金の玉のコト」

せせら笑いと共に、ユリアナは背後から男の睾丸を指先で弾く。男は悲鳴を上げて床に転がった。

「本来なら、オーナーにバレた時点で首チョンパなんだけど。今回、ちょっと無理を言って譲ってもらったのよ」
「なるほどなー。お兄さん、ツイてましたね」

リリアがうなずき、賊が恐怖に震える。

「まあ、付いてるからこそ辛い目に逢うんですけど」
「大丈夫。終わる頃にはそんな心配は不要な身体になっているわよ

587名無しさん:2022/01/27(木) 23:40:58 ID:M4TJLuZQ0
「……それもそうですね」

リリアは笑顔で男の足元に跪くと、興味深く彼の陰嚢を検分する。

「これが金ですかぁ」

リリアはしげしげとそれを見つめ、「えいっ」と軽く蹴りつけた。
パンッ! と音がして、賊の腰が浮き上がる。賊の男は何が起きたかわからないといった顔で硬直する。
そんな彼の顔を、ユリアナが面白くも無さそうに見守っていた。

「痛かったですか? すみませんねぇ」

リリアは悪びれずに謝りつつ、また蹴る。パンッ! 今度はもっと強く。
パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! パンッ!

「ぎゃあああっ!!」
「すごい声」
「うるさいわねえ」
「痛そうですねぇ」

パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! パンッ!

「あああっ!! ぐえぇっ!!」
「可愛い顔して、容赦ないわねぇ」
「容赦も何も。リリアには分かりませんから」
「このままだと、すぐ潰れちゃいそうね」
「そんなに脆いんですか?」
「うぅん……」

ユリアナは思案気につぶやくと、おもむろに男の股間へと手を伸ばす。
そして、袋を優しく包みこむようにしてそっと握る。賊がビクンと震えた。だがそれも一瞬のこと。
ユリアナが形を確かめるように指先をめり込ませながら揉みしだくと、この世の終わりのような絶叫が上がる。

「金玉の丈夫さにも、個人差ってあるのかしら。自分には無い部分だからピンと来ないわね」

思案顔でグニグニと捏ね回すと、白目を向いた賊に訊ねる。

「どう思う?」
「ひぃいいいっ!!!止めてくれ、潰れちまうよ!」
「あら、潰すんですよ?」

子供に噛んで含めるように語りかけながら、リリアが苦笑する。ユリアナはまだ真剣な表情で賊の睾丸を弄んでいる。
彼の苦痛は、2人にとっては完全に他人事でしかなかった。単純至極、彼女たちには捏ね回される袋は備わっていないから。

「潰れたら何か困るんですか?」

心底不思議そうな声でリリアが問う。賊は信じられないモノを見る目で絶叫。

「男にとって、一番大切なところなんだよっ!」
「女のリリアたちに言われても……」

588名無しさん:2022/01/27(木) 23:41:30 ID:M4TJLuZQ0

リリアは肩をすくめる。眉根を寄せて困惑顔。ユリアナは指先で玉を摘むと、それを引っ張り上げながら言う。

「無くなれば、この痛みともおさらば出来るのにね」

賊が半狂乱になって暴れだす。しかし、後ろ手に縛られ、股間を握り締められた状態では逃げられるわけもない。

「自業自得とはいえ、可哀想な気もしますけど」

リリアがぽつりと言う。

「でも、これじゃあ、いつまで経っても終わらないし。それに、いつまでもこんな風に騒がれると、煩くて仕方がないでしょう?」

ユリアナは微笑んで、賊の耳元で囁く。

「もういい加減、観念なさいな」

賊は悲鳴を上げることも出来ずに激しく首を振った。
恐怖に引き攣った顔が涙で濡れている。その頬にそっと手を添えて、ユリアナが優しく問いかける。

「楽になりたい? それともまだ、続ける?」

賊は何度も頭を縦に振る。リリアは思わず吹き出した。

「なんだか、リリアたちがいじめてるみたいですね」
「心外よね。別に失くなったからって、生活に不便もないでしょうに」
「あ、ありますっ! 死ぬほど辛いですっ!!」

賊が必死の形相で言う。
その無様さに、哀れみの視線を向けつつリリアは自分のスカートを捲りあげてみせた。

「リリアは無いですけど、何も辛くはないですよ?」

そう言って、リリアは下着を脱ぎ捨てる。彼女の股間には、綺麗な割れ目が一本、まっすぐに伸びていた。

「ほら」
「……」

賊は絶句した。続く言葉を失って、ただパクパクと口を開閉させる。

「……何やってるのよ、貴女は」

呆れたようにユリアナがため息をつく。握っていた睾丸を解放して立ち上がる。

「だって、無駄に金玉失くなるコトを怖がってるみたいでしたから。少し安心させてあげようかなって」

リリアは事もなげに言い放つと、無造作に賊の金的を蹴りあげる。

「ぐぎゃああぁっ!!」

589名無しさん:2022/01/27(木) 23:42:59 ID:M4TJLuZQ0
男の口から断末魔のような叫びが上がる。リリアとユリアナ、二人の女は白けた目。

「うるさいわねぇ」
「ほんとうに。ご近所迷惑ですよね」
「ねえ?」
「えぇ、まったく」

二人は仲良くうなずき合うと、今度はリリアがユリアナに手招きする。
どんな感じにしたら、あの方はあんなに苦しんだんですか、と無邪気な問いかけ。
ユリアナが苦笑いしながらリリアの股間に手を添える。勿論、彼女には金玉など無いため、握りしめた掌は虚空しか掴めない。

「こうやって、優しく包むようにして」
「ふんふん」
「それから、やさしく揺すったり」
「ほうほう」
「最後にギュッと力を入れてみたんだけど」
「リリア、痛くも痒くもないんですけど?」
「そりゃ、リリィには金玉無いもの」
「あ、それもそうですね」

リリアは納得すると、賊の股間へと向き直る。そして、急所の袋へおもむろに指先をめり込ませた。

「ん〜」

リリアは小さく声を上げて考え込む。

「もう少し、強くですか?」

賊が身をよじらせて絶叫。リリアは構わずに、袋を握り潰さんばかりに強く力を込める。賊の体がビクンと跳ね上がった。

「これでどうでしょうか?」
「もうちょっと弱くしてみて」

ユリアナの指示に従って、リリアは指先に込めた力を緩める。賊は脂汗を流しながら荒い呼吸を繰り返した。

「あとは、軽く引っ張ってみるとかね」
「はい」
「取れる、取れちゃいます!」

賊が泣き叫ぶ。リリアは賊の金玉を思い切り引き伸ばしながら言う。

「取れちゃえばいいのに」
「そうだよねー」

ユリアナはまるで玩具のように引っ張り上げられた賊の睾丸を眺めながら同意。

「本当に男なんて馬鹿ばっかり。この程度の痛みで大騒ぎして」
「まったくです。これくらい我慢できないなら、最初からぶら下げないでください」

リリアの言葉に、賊は激しく首を振って、涙を流し、鼻水を垂らす。

590名無しさん:2022/01/27(木) 23:44:43 ID:M4TJLuZQ0
「お願いします! 許してくださいっ!! 何でも喋るからっ!!」
「なんでも?」
「はいぃっ!!」

賊が涙声で返事をする。それを受けて、二人は一瞬呆気にとられた表情になったが、それも数呼吸程度の時間。
何かを思いついたリリアがユリアナに耳打ちする。それを受けて、ユリアナはニンマリと底知れない笑みを浮かべた。

「じゃあ、まず一つ目。金玉ってどの辺がどんな感じに痛いんですか?」
「私たちにも分かるように教えてね?」

リリアとユリアナに問い詰められて、賊が口を開く。

「痛いっ! すごく痛いですっ!!」
「どれくらい?」
「ぎゅっと握られるような、そんな感じで……」

賊が身悶えする。

「それだけ?」
「は、はい……」
「他には?」
「後は、鈍く重い感じです……」

賊が答えれば答えるほど、リリアとユリアナの表情は険しくなっていく。

「ねぇ? 私たちにも分かるようにって言ったよね?」
「全然分かりませんよね。金玉、虐められ足りないってコトなんでしょうか」
「催促ってコト?欲しがりさんね」
「仕方ありません。もっと強くしてあげましょう」
「うん。そうしよう」
「ぎゃああぁっ!!」

再び、賊の口から悲鳴が上がる。リリアとユリアナが同時に右と左のタマを握りしめているのだが、二人ともまったく無頓着である。

「金玉が、潰れるぅ……っ」
「だから、きちんと説明して頂戴って言ってるだけでしょ?早くしないと、二つ目の質問に行けないじゃない」
「そうですよ。ちゃんと答えてくれないと困ります」

賊は必死の形相で言葉を絞り出す。

「熱くて、重たくなって……。それで……」
「それで?」
「何か、ぐるぐると回ってるみたいな、変な感じになってきて……」
「へぇ〜」
「ふぅん」

リリアとユリアナが顔を見合わせる。

「「分からん(りません)」」

声を合わせて言い放つと、二人の手は再び賊の金玉を責め立てる

591名無しさん:2022/01/27(木) 23:45:43 ID:M4TJLuZQ0
「うわああぁあっ!!!」

賊の口から絶叫が漏れる。リリアは更に強く握りしめて、ユリアナは緩急をつけて締め上げる。

「それじゃあ、リリアのアソコ見せてあげますから、具体的に何処がどう辛いのか教えてください」
「リリィ、太っ腹〜」
「どう痛いかは説明できなくても、何処が痛いかぐらいは言えるでしょう?」
「それもそうかも」

ユリアナはあっさりとうなずく。リリアはスカートを脱いで無造作に放り捨てる。
下着は既に脱ぎ去ったあと。リリアの股間にあるのは金玉ではなく、割れ目だけである。
その証拠に、陰唇の間には一本のスリットがあるだけだ。

「ほら、どの辺りが痛いんですか?」

リリアは自身の股間、様々な場所を片手の指先で指し示しながら問いかける。残った手で哀れな男の陰嚢を責め立てる行為は微塵も緩めない。
だが、彼女の指が賊が苛まれている痛みの根源に到達することは決してない。なにせ、リリアの身体にはそもそも金玉など無いのだから。

「この辺ですか?」

彼女の指先が膣の入り口付近に移動していく。

「それとも、こっち?」

割れ目に沿うように指を動かし、辛うじて顔を覗かせる自身の陰核に触れる。

「それとも、やっぱりここ?」

今度は陰裂そのものを優しくなぞる。ヒィ、賊の男が息を呑む。

「あ、ここなんですね?」

奇しくも、陰嚢と起源を同じくする大陰唇に触れているときに賊が反応し、リリアはこれ見よがしにそこをつまんでみせた。

「全然痛くないですね。こんなのであんなに騒いでいたんですか?」
「金玉、もっと強く責めても大丈夫ってアピールじゃない?」
「あぁ、なるほど」

リリアは賊の金玉を握る手に力を込める。

「ひいいぃっ!」

賊が身を捩るが、リリアの手からは逃れられない。ユリアナも反対の手で金玉を掴み、捻り上げた。

「やめろぉっ! 止めてくださぃいっ!!」
「ダメです。リリア、知りたがりだから。質問に答えてくれるまで、止めるつもりありません」

リリアは笑顔で答える。賊は絶望的な表情を浮かべる。

「教えて? どこが痛いの?」
「お、俺の……」
「俺の? 俺の何ですか?」

592名無しさん:2022/01/27(木) 23:46:16 ID:M4TJLuZQ0
賊が震える声で答えようとする。リリアは急かすように問いを繰り返す。

「お……、き……」
「聞こえませんね」
「金玉っ! 金玉が痛いですぅうっ!!」

賊は泣き叫ぶ。リリアとユリアナは視線を交わし合うと、賊の金玉を強く握りしめた。

「ぎゃああぁあっ!!」
「あら? よく聞き取れませんでした。もう一度お願いします」
「金玉がっ!! 金玉がぁっ!!」
「金玉がどうしたんです?」
「潰れるぅっ!!!」

賊は悲鳴を上げる。リリアとユリアナが同時に手を離す。

「まだ、だぁめ♡」
「気兼ね無く潰していい金玉は貴重ですからね。もっと楽しませてください♡」

二人は笑みを浮かべながら言う。賊は涙を流しながら首を左右に振る。ユリアナが、彼の股間を見つめながら脚の素振りをはじめる。
賊は必死に身を捩り逃げようとするが、リリアとユリアナの拘束から逃れることはできない。風切り音と鈍い音。
再び賊は甲高い悲鳴を上げた。女二人は顔を見合わせて笑う。

「さっきのは傑作だったわね」
「うふふ。何処、何処って聞きましたけど。女の子には金的なんてないんですよ」

男にしか理解できない苦痛。リリアとユリアナ、二人の少女はそれを余すところなく堪能させることのみに尽力していた。
普段は男性を天国に連れて行くために活用しているであろう肉体を、今は逆に地獄へと叩き落すことにのみ使う。
賊の股間が赤く腫れ上がり始める。それでも、二人はまだ許さない。彼の絶叫を聞きながら、少女たちは笑い続ける。

二人の悪魔の笑い声が響く。

---

リリアとユリアナの会話を聞きながら、少年は目の前で行われている光景から目を逸らす。
今、リリアとユリアナの手によって拷問を受けているのは彼より少し年嵩、でも比較的若い男である。
彼は股間を押さえて地面を転げ回っている。どうやら、リリアとユリアナが履いていたブーツによって金玉を踏みつけられたらしい。
二人の足は、賊の金玉を確実に捉えていた。男の絶叫は止まらない。男は必死の形相で二人を見上げる。
だが、二人がその程度で手を止めるはずもない。リリアがしゃがみこみ、女性器を見せつける。視線がそこに釘付けになる。
ユリアナが無造作に髪をかきあげる。トン、軽い助走とともに、渾身の蹴りが彼の急所に叩き込まれる。

「うぐぅ……」

少年は、猿轡の奥で思わず声を漏らしてしまう。
ユリアナの一撃を受けた賊は、一瞬白目を向いて気絶しかけたように見えたのだ。
だが、それでも彼が意識を失うことはないようだ。口から泡を吹きながらも必死で立ち上がろうとする。

「次はリリアの番ですよ?」

リリアが立ち上がり、一見可憐な膝が唸りをあげる。彼女の膝が股間、睾丸に突き刺さる。一瞬、賊の踵が浮き上がる。

593名無しさん:2022/01/27(木) 23:46:47 ID:M4TJLuZQ0
「ぎぃあああああぁっ!!」

凄まじい絶叫。男の身体が跳ね上がる。その様はまるで陸に打ち上げられた魚か何かのようであった。
リリアとユリアナはそんな様子を楽しげに見下ろしている。

「ねぇ、知ってる?」

不意に、ユリアナが口を開いた。

「金玉、段々柔らかくなって来てるわよ」
「本当ですか!?」

リリアが嬉しそうに尋ねる。

「えぇ、ほら」

ユリアナは自身の脚で賊の男にぶら下がった陰嚢を持ち上げてみせる。
確かに、男の金玉は彼女達の蹴りの威力を吸収しきれていないようで、少し赤く腫れて見える。

「そろそろ、潰れちゃうかしら?」
「それは楽しみですね!」

リリアが満面の笑みで答える。ユリアナは、ポンポンと球遊びでもするように彼の金玉袋を弄ぶ。

「ひぃっ!!」
「あら、何よ」

男が情けない悲鳴を上げて身を捩る。ユリアナが冷たく言い放つ。

「止めて欲しかったら、質問に答えなさい」
「あぁ、なるほど。二つ目の質問ですか」

リリアがポンと手を打つ。男が怯えた表情を浮かべる。少年は黙って事の成り行きを見守る。

「私とリリィ、どっちに金玉潰されたい?」
「あ、その質問、素敵です♡」

リリアの目が輝き、彼女は手を叩いて笑う。
男は必死になって首を振る。
ユリアナがつま先で賊の股間を軽く小突く。男の全身が激しく痙攣する。
彼は必死の形相で叫ぶ。意味を成す言葉にはなっていない。リリアとユリアナが顔を見合わせる。
そして、同時に哀れな男の金玉を蹴り上げた。鋭い破裂音。糸が切れた繰り人形のように力なく床に沈み込む。

「ぎゃああぁあっ!!あ、あ、あ……」
「何? 聞こえない」
「もうちょっと大きい声で言ってください」
「ぐぎぁっ!! やべ……、ださいぃいっ!!」

賊は涙を流しながら懇願するが、リリアとユリアナの二人は顔を見合わせると諦めたようなため息をつくのみ。
二人の顔に、失望の色。少年は、自分が責められているワケでもないのに自然と金玉袋が縮み上がっていくのを自覚した。

「何でも喋るって自分から仰ったのに、何も話してくれないんですね」

リリアが残念そうな声で言う。賊が泣きながら必死で首を横に振る。ユリアナが男の前にしゃがみこむと、彼の頬を指先で優しく撫ぜる。
優しげな顔をしているが、目だけは決して笑っていない。他人事の苦しみに悶える男の姿を冷静に観察しているだけだ。

「もう、これは罰ゲーム案件なんじゃないかしら?」
「罰ゲーム、ですか?」
「えぇ。これ以上、コイツに聞いてもいたずらに時間を無駄にするだけ」
「あぁ、そういえばまだ『お客様』待たせてますもんね?」

594名無しさん:2022/01/27(木) 23:48:54 ID:M4TJLuZQ0
二人の視線が、少年に注がれる。こちらも両手両足を拘束、猿轡まで噛まされた、尺取り虫のように地面を這いつくばる哀れな男。
次の料理を前に舌なめずりするかの如き表情で彼を見詰める女たちに、少年は全身の体毛が逆立つほどの恐怖を覚えた。
その様に一旦は満足したのか、リリアたちは悶絶してのたうちまわる賊、年嵩の青年に視線を戻した。安心させるような声音で語りかける。

「落ち着いてください。貴方が一生懸命答えてくれようとしたのは分かってますよ♡」
「だから、潰しちゃうのは一つだけで勘弁してあげるわ。これは、破格の対応だと思うけど?」
「一つでも残っていれば、問題なく男で居られるそうですよ?一つもないリリアたちからすれば、受け売りでしかないですけど」

リリアとユリアナが交互に言う。地獄の底に救いの糸が垂らされたというような表情で二人を見上げる男。
だが、それも一瞬。糸を垂らしているのは大悪魔も裸足で逃げ出すような女どもなのだ。絶望と安堵、相反する感情が交差する。
一つあれば大丈夫、そう彼女たちは言った。一つ失うことが、男にとってどれ程の苦痛かなどは考えてすらいないらしい。
男はポカンと口を開けると、甲高くも弱々しい声で呟いた。

「……本当に?」
「えぇ、本当よ。私たちは嘘はつかないわ」
「う、うぐ、うう、うぅ、ぐぐぐぐ……」
「あら、感極まっちゃったみたい。そこまで喜んでもらえると、こちらも情けのかけがいがありますねぇ」

違う。アイツは、これからタマを一つ潰されるという絶望と、それでも一つは残してくれるという希望に翻弄されて言葉を紡ぐことができないのだ。
少年はそんな風に思ったが、口に出すことはできなかった。あの女たちの注意を引くなど身が凍る。薄情という誹りも甘んじて受けよう。
所詮、この仕事だけの薄っぺらい付き合いだ。彼は自分の身を護るために、黙って事態の推移を見守ることに決めた。
ーーーそして。あの女たちの残酷さは、どれだけ過大に見積もっても過大評価にはならないということを思い知らされることになる。

「それじゃぁ、右がいいですか?左のほうが要らないですか?」

リリアが尋ね、ユリアナは男の股間から足を離す。男は震えながらも、言葉を探してモゴモゴと口を動かす。
当然だ。右と左、どちらの金玉を潰して欲しいかなんて男に選べるはずがない。
リリアとユリアナが顔を見合わせる。そして、交互に賊の股間を蹴り上げた。男が絶叫、少年は思わず目を瞑る。リリアとユリアナは顔を見合わせて笑う。

「答えられないの?やっぱり両方いっとく?」
「それがお望みというのなら、心苦しいですけど仕方がないですねぇ」
「いやだぁあああっ! ぎゃあぁっ!!」

リリアとユリアナの二人が、男の金玉を蹴る。彼は泣き叫ぶ。リリアとユリアナは微笑みながら質問を重ねる。

「どっちのほうを潰してほしいんですか? ほら、ちゃんと答えないと両方いきますよぉ?」
「ごめんなさいぃいっ!! 許してくださいぃっ!」
「だったら早く言いなさい。何度言わせれば気が済むの?」

甲高い悲鳴が響き渡る中、ユリアナが多少気が立った口調で吐き捨てる。リリアは小さく肩をすくめる。
それを受け、男は観念したように口を開いた。掠れた声で呟く。この世の全ての希望を手放したような、消え入りそうな声。

「……みぎ」
「ん〜?」
「聞こえない」
「…………み、右のほうでお願いします」
「潰すんですかぁ?残すんですかぁ?」
「……ッ!!!!つ、潰して、ください……」

血を吐くような声。男の絶望が伝わり、少年は自身の運命を予感して無力に打ちのめされた気分になった。だが、彼女たちは静かな表情だ。
リリアとユリアナが顔を見合わせる。次の瞬間、二人して男の頭を争うように抱え込み両の頬に暖かくキスをする。

「よくできましたぁ♡初めて、きちんと答えられましたね♡」
「良い子ね。褒めてあげるわ」
「うぐぅ、ふぐうぅ……」

595名無しさん:2022/01/27(木) 23:49:37 ID:M4TJLuZQ0
男たちは、もうすっかり抵抗する気力を失ったようだった。痛みに耐えるかのように歯を食いしばっている。
彼女たちは、そんな男の姿に満足げな笑みを浮かべる。おもむろに、リリアが横たわる男の傍らにしゃがみ込む。
一糸纏わぬ下半身。ソコには、男が持つような急所は一切存在していなかった。
彼女は無造作に男の下腹部に手を伸ばす。そして、自分とは違う箇所、つまりは右の金玉をしっかりと握り込んだ。
男は何もかも諦めた目でその様子を見詰めている。もはや、抵抗の意思は微塵も感じられなかった。

「じゃぁ、私の質問に答えられなかったお仕置き。右のタマタマを貰いますね。よかったですね、一つですんで」
「…………」

彼は何もかも諦めた目でその様子を見詰めている。もはや、抵抗の意思は微塵も感じられなかった。
だが、続くユリアナの言葉で、絶望には底というものが存在していないことを突きつけられる。

「リリィは右……じゃぁ、私の質問に答えられなかった分は、必然的に左になるわけね。よかったね、一つですんで」

ユリアナも至極当然といった体で手を伸ばし、男の左の金玉を掴む。そして、やはり自分のモノとは勝手の違う場所を確かめ、握る。

「ひ、ひだり……も……?話が、話が違うッ!!」
「何も違わないわよ。一度の質問につき罰ゲーム一回、金玉一つ。二回答えられなかったんだから、当然潰すタマは二つ、でしょ?」
「最後の質問に答えられなかったら、真ん中のソーセージもちょん切ろうと思ってたんですよぉ♡」
「あ、ああ、うそだろ、やめてくれ、そんな……タマが、タマが無くなっちまうよぉッ!」
「そうなんだ。でも、それって私たちに何か関係があるのかな?」
「二つ潰されて無くなるなら、初めから三つぐらいぶら下げてればよかったんじゃないですか?」

そう言って、二人はクスクスと笑い合う。男は顔面蒼白になり、ガタガタと震えだす。
少年には、自身の相棒がが今どんな顔をしているのかが手に取るように分かった。
恐怖に怯え、絶望に打ち拉がれ、それでも必死で許しを請おうとしているのだ。
そして、リリアとユリアナは、男に慈悲を与えるつもりなど毛頭無い。哀れな子羊の懇願をせせら笑うと、二人の女は同時に男の金玉を握る。
そして、一度少年に振り返ると可愛らしくウィンク。そして、震える彼に見せつけるように指先に力を込めはじめる。
ーーアァ、ヤメロォオオオオッ!!! 心の中で叫んだところで、少年の声が届くはずもない。
ミシリと不吉な音が響き、賊と呼ばれた男が絶叫を上げる。ひたすら恐怖に震える少年の目の前で、相棒が、男が『男』ではなくなる!!

「いきますよ?」
「いくわよ?」

596名無しさん:2022/01/27(木) 23:50:07 ID:M4TJLuZQ0
「…………ッ!ぎゃぁあああああああああああああああああああああああああっ!!!」

男が夜を裂くような絶叫をあげた。リリアとユリアナ、二人の腕に青筋が浮かぶ。
渾身の力が込められた二人の両腕は小刻みに震え、彼女たちの震えに調子を併せて男の身体がバタバタと痙攣する。
……終焉はすぐに訪れた。リリアたちが短く気合の息を発すると、グチュリと湿った音。そして、『男のものとは思えない』甲高い絶叫を賊が発する。
その声を聞き届け、二人の女はとても深く、満足そうな吐息をこぼした。そして、何事もなかったかのように睾丸を握りしめていた手を離す。

「はい、去勢完了ですっ!これで少しは真人間になれるんじゃないですか♡」

リリアの明るい声と共に、少年の一時の相棒、彼女たちが賊と呼ぶ男は完全に沈黙した。白目を剥き、口の端から泡が溢れる。
股間からは精子と血と小水が混ざった液体が流れ出し、辺りに悪臭を放つ。彼女たちは、そんな男の様子を見て満足げに微笑んだ。口元に耳を寄せて呼吸を確かめる。
そして、そのまま何事もなかったかのようにテキパキと『元』男の股間に何がしかの応急処置と思しきものを施していく。

「最初から『潰すよ』って言ってるのに、なんで変な期待なんかするのかしら? ね、リリィ?」
「本当ですよねぇ。男らしく、潔くタマタマなんて諦めればまだ少しは格好がつくでしょうにねぇ」
「『男らしい』かな?」
「『男らしい』ですよぉ。だって、女にはできないでしょう?タマタマ諦めるなんて真似」
「そりゃ、元々付いてないもんねぇ」

ユリアナたちは、再び少年に聞かせるように、そんなことを楽しげに話しながら作業を続ける。
そして、ものの数分もしないうちに作業は完了したようだった。彼女たちは、満足げな笑みを浮かべると、改めて俺に向き直る。
そして、さっきまでの出来事は忘却の彼方、まるで無かったことになったかのように、明るく声をかける。
その笑顔は、今まで見たどの表情よりも魅力に満ち溢れていて、だが、少年は自身の不運をただただ後悔することしか出来なかった。

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597名無しさん:2022/01/27(木) 23:50:53 ID:M4TJLuZQ0
「さて、次はキミの番ですよぉ」

リリアと呼ばれた女が、手慣れた手付きで少年の猿轡を外す。口の中はカラッカラに乾いていた。
喉の奥から苦い唾が込み上げてくるが、それを飲み下す力すら残っていないようだ。
彼の様子を見かねたのか、ユリアナと呼ばれていた女の手が少年の顎を掴む。そして、無理やり顔を上げさせられる。
彼女の手には、簡素な細工が施された水差し。彼女は、それを傾け、控えめに少年の口に流し込む。
冷たく甘い水が、渇いた口内を満たし、ゆっくりと食道を通っていく。

「どう?落ち着いた?」
「……あぁ」
「そっか」

短く答えると、彼女はニッコリと笑う。気付けのためだけに、この街では貴重な生水を惜しげなく使う。
確かに、ココには唸るほどにカネがあるのだ。そうでなければ、こんな贅沢はできないだろう。その点は、あの『元』男、賊の目に狂いはなかった。

「それでね。お姉さんたち、ボクにも聞きたいことがあるんだけど」
「無理にとはいいませんよぉ。誰だって秘密の一つや二つはありますもん。ただ、言わないなら……」

リリアの視線が、ツイと流れる。向かう先は、たった今、二人に睾丸を潰され、間歇的に痙攣を繰り返す男。
視線に見下し、侮蔑の色が混ざり込むが一瞬だけ。すぐに興味を失くした顔をすると、太陽のような笑顔で少年の顔を覗き込んだ。
意図は明白。男にしか分からない恐怖に、少年の全身が瘧のごとく震える。どうして、どうしてこんなコトになってしまったのかと憔悴するだけ。

彼は、いわゆるところの流れ者だった。リリアよりも若い身空で故郷の寒村を飛び出し、放浪の空の下で生き抜いてきた。
憧れた自由な生活。だが、気ままな生活を続けるには、どうしたって先立つものが必要だ。腹は減るし、寝床も要る。女だって抱きたい。
実家から、故郷から。飛び出す際にくすねてきた路銀は瞬く間に底をつく。そんな時、彼が取る手段は決まって一つだった。

ーーー単純な話。溜め込んでいる家に押し込み、殺して、奪う。火を付ける。そのまま、騒ぎに乗じて街を離れて、別の場所へと流れていく。
今回だって、いつもと変わらない簡単な仕事のハズだった。この街でも有数の娼館。後ろ暗い仕事の連中は表通りを歩く奴らに泣きつくことも出来ないはずだ。
特に、ココ。『収穫祭』とかいう娼館は青田買いに力を入れているのか、孤児や奴隷に施しを与えることに熱心で、警備が薄く不用心。しかも、甘い。
カモネギだと思った。男から金を巻き上げているのだ、俺が金を巻き上げても因果応報というものだろう?そう笑った相棒の顔を思い出す。

「まず、ボクちゃんは何者なのかしら?」
「……ボ、ボクは……」

ユリアナが可愛らしく小首を傾げながら問いかける。少年の幼い容姿に警戒感を削がれているらしい。
篤志家の一面に由来するものか、母性のようなものすら彼女からは伺えた。その反応は、少年の研鑽の賜物でもある。
人間は脆いものだと彼は知っていた。無垢な振る舞いで同情を買い、憐憫を誘い……先手を打って刃物の一つでも捩じ込めば、相手はすぐに動けなくなる。
今回も、猫を被って乗り切ろうと決意する。あの馬鹿な相棒のせいでドジを踏まされたことは業腹としか言えないが、そんな内心はおくびにも出さない。

「もしかして、『ワルイコ』なのかなぁ?リリア、『ワルイコ』だぁい好き♡」

そんな少年の擬態を知ってか知らずか、無邪気な声とともにリリアが彼の両脇に腕を差し込む。
ぃよいしょ、と軽い声、そのまま抱きつくように俺の上体を引き起こす。同年代の彼女には、少年の庇護欲をそそる振る舞いは効果が薄かったらしい。
背後から差し込まれた彼女の脚が少年の膝の間に割り込み、太腿で両膝を抑えこむような形になっていた。無防備に、急所が晒される。
ユリアナとリリア、二人の視線が睾丸に集中していることを感じて少年は心底震え上がった。これは、演技ではない。

「あ、キンタマ縮んじゃいました!」
「あらあら、元から小さいのに。これ以上縮んだら無くなっちゃうんじゃないかしら」

掛け値なしに心配だ、そんな声調でユリアナの白く細い腕が伸ばされる。人差し指と中指、白魚のような長い指が少年の睾丸を二つとも撫で上げる。
可哀想に、怯えているのね、鈴を転がす彼女の声。背後からはリリアの笑声。男の子は正直ですね、囁きが少年の屈辱感を加速させる。

598名無しさん:2022/01/27(木) 23:51:51 ID:M4TJLuZQ0
ひとしきり彼の睾丸を愛でたのち、ユリアナの指が引き絞られる。ヒヤリとした感覚を少年が覚えるよりも速く、微塵の躊躇もなく彼の双玉が爪で弾かれた。

「いぎぃッ!」
「あら、ごめんなさい。可愛くてつい……痛かったかしら?お姉さん、ついてないからよく分からないの」
「カワイソ。大丈夫ですよ、リリアちゃんが代わりに護ってあげます。キミの痛〜いト・コ・ロ♡」

突然の衝撃に身を捩ろうとするが叶わない。彼の自由は背後から抱きつくリリアに奪われていて、両手は背後。自分の臀部と彼女の股間に挟まれ睾丸を庇うことも出来ない。
少年の指先に、リリアの女性器の感触。触れた先、彼女の股間には当然急所などぶら下がってはいなかった。気にした様子もなく、リリアそっと少年の睾丸を包みこむ。
優しく、慈しむよう。痛みに萎れたソレを労わるように。少年の脳裏に浮かんだのは、かつて見た蛇が卵を丸呑みにする情景だった。

「安心してくださいねぇ。キミがワルイコでもない限り、リリアがこのちっちゃなタマタマ、あの怖〜いお姉ちゃんから護ってあげますからねぇ」
「リリィってば人聞きの悪いコトばっかり。でも、大丈夫よ。アイツの金玉は初めから潰すつもりだったけど……」
「うふふ。だから、エンターテイメント性に拘ってみましたぁ、プロですから。忘れられない夜に仕上がったんじゃないですかねぇ」
「ねぇ、ボク?ボクはイイコだよね?それとも……」

言葉尻が濁り、そのあとに続くはずの言葉を想像して少年は背筋を震わせた。
そもそも、彼女たちが言う通り、彼が『イイコ』であったなら、そもそもこんな窮地に陥ってはいない。それを知りつつ、二人は嬲っているのではないか。
下調べはした。相棒と共謀、この店の使用人を拉致して現金が保管されている部屋も突き止めていた。一通りの拷問を加えた後、念の為にきちんと始末までした。
始末の帰結として出た『ゴミ』は、きちんと重りを巻いて泉に沈めた。ソイツの右頬に刻まれた古傷を誤魔化すため、古びたナイフで虫の息のソイツの顔を切り刻んだ。
勿体ないと思いながら、屍体の持ち物、金品にも手を付けなかった。大事の前の小事だ、こんな冴えない男の所持品から足がついたらつまらないことこの上ない。
数日間タイミングを図っての決行。それなのに、まるで予知されてでもいたように呆気なく少年たちは捕らえられた。単純、簡単なトラップで。

「あ、あの。その、違うんです。ボク、あのお兄さんに脅されて……仲間に囲まれて、断ったらヒドいことするぞって」
「……あら、そうだったの。それは気の毒ねぇ。さぞ怖かったでしょう。ボクちゃんみたいな子供が、あんなヤツに凄まれたら震え上がっちゃうわよねぇ」
「あんなヤツ、タマタマぶら下げてる資格なんて無いですよねぇ。どんなコトするつもりだったんでしょうかーーー例えば、こんなコト、とか?」

怯える被害者を装った少年の言葉に、リリアは容赦のない陰嚢への握撃をもって応えた。耐えようがない激痛、危機感に少年の双眸が限界まで見開かれる。
先程までの優しい愛撫とは真逆の激しさ。皮袋を握りつぶそうとするかのような乱暴な所作に悲鳴が漏れそうになる。そんな彼を、二人の女がクスクスと嘲る。

「『ワルイコ』にはお仕置き……うふふ、男の子にはコレが一番効果的なんですよ」
「ねぇ、ボク?きっとキミはこの街に来たばっかりなんでしょうね。あの『男』……いや、もう違うわね……アレには仲間なんていないわ」
「以前ウチの店に押し入ってきたときに、オブモさんにボッコボコにされて『お仲間』を売ったんですよ。それ以来、あの玉無しちゃんは爪弾き者……」
「う、ぎ。ぎぎぎぎぎ……」

彼女たちが語る言葉の真偽は、少年には分からなかった。だが、納得できる話でもあった。
少年はよそ者だ。かつ、子供。素性からも、体格からも、危ない橋を一緒に渡りたくなるような風体はしていない。実際、体力、腕力に優れているわけでもない。
何故彼に話を持ちかけたのか。単純に、余所者である少年にしか持ちかけることが出来なかったというならば、辻褄はあう。
この少年が持つ才能は思い切りの良さ。率直にいえば、後先を全く考えないトコロ。躊躇なく刃物を抜くし、相手が幼児や老人でも躊躇いなく刺す。
どうせ、何か問題が起きればバックレればいいのだ。街さえ跨げば追手も来ない。採算が取れない。何かを積み上げたこともない彼は、何かに執着することもなかった。
それが自由ということだと何の疑いもなく信じ込んでいた。だがーーー

「ぎ、ぎぎぎぎぎぎぎぃッ!!」
「どうですか?コレもヒドいコトに入りますか?言ってくれないとリリア、分かんないですよ?」
「ふふ。『まだ』潰すつもりはないんだけど……潰れちゃったらゴメンね?ちゃんと謝るから許してね?」

599名無しさん:2022/01/27(木) 23:52:41 ID:M4TJLuZQ0
ギュウゥ、躊躇いなくリリアによって絞られる金玉袋が放つ絶叫。これに対する執着が、少年が自由では無いこと、金玉に絡め取られた存在であることを突きつけてくる。
タプタプと、戯れるように彼の玉袋が弄ばれる。絶叫とともに懸命に足掻く。両手は彼女の股間で床に押し付けられ、必死に掌を握りしめても掴めるモノはそこにない。
彼の指が、ヌルリと文字通り捕らえどころがないリリアの女性器の表面で滑る。救いの端緒すら掴めず、ただ無為に指が柔らかい肉を掻き分ける。

「あん♡」
「どうしたの、リリィ?」
「この子ったら、仕返しのつもりなのかしら?リリアのアソコを掴もうとしてくるんですよぉ」
「ふふ、リリィがあんまり楽しそうだから、真似してみたくなったんじゃない?付き合ってあげたら?」
「まぁ痛い思いをさせちゃった手前、無下にするのも可哀想ですしねぇ。いいですよ、リリアと揉み合いっこして遊びましょ♡」

二人の女は、クスクスと笑う。
少年の指先は、確かにリリアの股間に埋まっている。だが、その表面はスライムのように柔らかく、暖かく、それでいてほとんど掴み所が無い。
まるで油で下拵えされた生肉かなにかのように、グニグニと指先が沈み込む。だがそこに急所はなく、すぐに滑って抜けてしまう。
リリアは逆だ。しっかりとした重みがある少年の睾丸をしっかりと握り込むと緩急をつけて圧迫し、耐え難い苦痛を耐えず送り込んでくる。
彼女はソレを『遊び』と評した。実際、リリアにとってはそうなのかもしれない。少年が、地獄の釜で煮込まれているといった表情なのにも関わらず。

ひとしきり藻掻く彼を愉しんだ後、リリアはゆっくりと掌の力を抜いていく。
内臓をひっくり返され、さらに掻き混ぜられたような感覚は少年に嘔吐感を催させる。だが、喉の奥までせり上がった吐瀉物は出てこない。
代わりに、情けない声が漏れ出る。痛みに悶えるのではなく、苦しみに喘ぐ。タマタマ痛いね、持ってすらいないユリアナから気遣いの言葉。

「あ……あぁ……あああ、タマ、タマがぁ……」
「うーん、リリィったら、もう揉み潰しちゃったの?」
「まだですよぉ。リリア、これでも力加減には定評があるんですから」
「ふふ、そうだったわね。そりゃ、『お楽しみ中』にお客様のキンタマ潰しちゃったら一大事だものね」
「もうリピートしてくれなくなっちゃいますからねぇ。『する必要が無くなる』って言った方が近いかもですけど」

少年には意味の分からない会話が続く。
だが、彼にとって大事なのはそんなことではない。今まさに、自分の股間にある二つの急所に致命的な危機が迫っていること。
そして、それは彼女たちにとって大して重要な事ではないらしいこと。戦慄する少年をよそに、二人はクスクスと笑いながら会話を続ける。

「それに、キミもリリアのお股で楽しんでたんですから、お互い様ってコトにしましょ?」
「ボクちゃんみたいな不埒者に……『リピート』されても困っちゃうしね?」

そう言うと、ユリアナは少年の頭を掴み、無理矢理顔を上げさせた。磨き上げられた営業スマイル、その奥の感情を読み取ることは出来ない。
茫洋と真意がぼやけて照準を合わせられない表情のまま、彼女はゆっくりと、優しい口調で喘ぐ少年に語りかける。

「噓ついたらどうなるのか分かったね?噓吐くたびにギュってしてもらうから、このままだと……」
「噓、つき放題な身体になっちゃうかもしれませんねぇ」

拘束された少年の両手、後ろ手のソコに自身の股間を擦り付けながらリリアが囁く。彼女の股間には『ギュッ』とされるモノが無いことを強調する仕草。
そういえば、何処かの国では噓つくと『下』抜かれちゃうらしいわよ、得意げな顔でユリアナがうろ覚えの豆知識を披露する。
男にしか通じない刑ですけど、女の子が嘘ついたらどうなるんでしょう、リリアの疑問にさぁ?とどうでもよさそうに首を傾げるユリアナ。
その寸劇の間に、少年が出来たのは息を整えることだけ。去勢の恐怖に心が折れかけた彼は、次の質問には包み隠さず答えようと諦めの境地に至る。
しかし。実際に投げかけられた問いは、そんな彼の諦めすら容易に粉砕するもので。

「ちょっと前から、オブモ……ウチのスタッフさんが一人居なくなっちゃったんだけど。ボク、何か心当たりないかな?」
「赤茶髪で目は薄い緑色、年齢は、うーん、二十歳過ぎ?右頬に傷跡があるから、とても目立つと思いますよ?」

数日前、少年が相棒と戯れがてらに嬲り殺した男の特徴。彼の安否を問う彼女たちの声は、まるで水面に映る月のように揺れていた。

600名無しさん:2022/01/27(木) 23:53:29 ID:M4TJLuZQ0
知らない。もし、彼が先程の拷問じみた尋問を受けていなかったら、躊躇なく、顔色ひとつ変えずにそう答えていた。
少年にとっては関係の無い男だ。もう数日もすれば、殺したことすら彼の記憶からは抜け落ちていただろう。だが、今はあまりに間が悪かった。
一瞬、ギクリとしてしまったのだ。しらばっくれろと命令する脳髄と、包み隠さずゲロれと懇願する睾丸の板挟みとなり少年の思考が停止する。
その間は、ほんの数秒。だが、二人にとってはそれで十分だったようだ。刹那の間、彼女たちの顔から表情が抜け落ちるが、すぐに笑顔へと戻った。
だが。その笑顔が、彼の恐怖心を煽り立てて止まない。

「え、あ、オレ、いや、ボクは……えぇと……」

少年は懸命に言葉を発そうとするが、舌がもつれて単語にならない。必死で普段使わない頭を回転させる。
この二人と、オブモとかいう冴えない男の共通点は一体なんだ?関係性はなんだ?まず、彼が金銭的な利益を二人に与えていたとは思えない。
少年から見ても、彼女たちは高級娼婦だと分かる。一介の使用人の給金から融通できる額など、彼女たちからすれば鼻で笑える端金だろう。

なら、暴力で庇護を与えていた?それも考えづらい。身体は大きかったが、頭が鈍すぎる。少なくとも、こんな場所で才覚を発揮できる人間とは思えない。
少年が助けを求めただけで疑いもなくやってきて、実際に彼が太腿を深く抉ってやるまで間抜け面を晒していたようなでくのぼうだ。
過去、相棒がボコボコにされたというのも、単にバカ正直に真正面から喧嘩を売ったからというだけの話だろう。

「真面目で堅物、面白みが無い冴えない男でさ。なんか、変なトラブルに巻き込まれたんじゃって心配してるのよ」
「何も言わずに失踪しちゃうほどの悩みを抱えられるほど、大した脳味噌をお持ちでもなかったですしねぇ」
「そうそう!ホントにそれ!」

少年の沈黙をどのように受け取ったのか、ユリアナとリリアは嬉々としてオブモという男のことを貶し始める。
その様子に、彼は確信する。この二人は、少年たちが殺めた男に特別な感情を抱いていないと。だから、平然と笑っていられるのだと。
血縁を疑った。だが、褐色のリリアに純白のユリアナ、まず二人自体に血縁などないだろう。
じゃあ、愛人か?金もない。力もない。地位も無かっただろう、使用人の男が提供できるものなんてそれぐらい、だが二人の態度はソレを否定している、
一瞬で過ぎった様々な可能性、全てが的外れだったと気付き戦慄。一体、自分はどんな回答を求められているのだろう。

「ね、何か知らない?」

再度問われても、やはり答えは返せない。本当に知らないからではない。『知っている』、だが『言えない』。その葛藤に、彼の口は再び閉ざされてしまう。
目が泳ぐ。脳髄が、これまで生きてきて一度も経験したことがない速度で回転する。そんな少年を、二人の女はじっと見つめている。
その圧を受けて、更に頭が高速回転。一つの結論に達すると、彼は観念したように口を開いた。

「知ってるよ」

そして、苦渋に満ちた表情で重々しく口を開いた。ユリアナが、期待するような、値踏みするような瞳で少年を射抜いている。
気圧されたように彼は視線を左右に泳がせると、本当は言いたくなかった、そう呟いてからポツリポツリと語り始めた。

「あのお兄ちゃんは、もうこの街にいないよ。猪の酒場亭、知ってるよね。あそこで、自分を試すために外の世界を見てみたいって相談されたんだ」
「へぇ……」
「そんなコトを考えてたなら、リリアたちにも言ってくれれば良かったのに。なんで、キミだけに打ち明けたんですかね……」
「さっきお姉ちゃんも見破ったでしょ。ボクは外の人間だからさ……後腐れがないし、外の話も聞きたかったんだと思う。それに、身近な人にお別れを言うのは辛いって」
「……」
「お姉ちゃんたちが、ユリアナさんとリリアさんなんだね。特に、貴女たちには知られたくなかったみたい。ボク、子供だから理由は分からないけど……」

601名無しさん:2022/01/27(木) 23:54:37 ID:M4TJLuZQ0
少年の判断は簡潔。とにかく、ココは嘘八百を並べ立ててこの二人を煙に巻く。もちろん、真実は眩す。声をかけたのは猪の酒場亭、『夢』の部分も噓ではない。
彼の目玉を抉りがてら、退屈しのぎに聞き出した戯言。お前のような愚鈍な人間が外に出たところで末路は野垂れ死にだと腹の底から笑ったことを覚えている。
だが、曲がりなりにも『夢』ならば、普段の生活でもどことなく匂わせていただろう。深くは語らないことで、彼女たちが妄想で補完する余地を残す。

そっか。どことなく寂しそうな目で、ユリアナが少年を見ている。若干の失望の色、それはオブモに向けられたものか、それとも自分自身にか。
リリアも、握りしめていた陰嚢から名残惜しさも見せずに手を離す。すい、と彼女の手が上り、少年の胸板のあたりで静止する。頭を彼の背中に預け、ため息ひとつ。
ーーー彼は、あと一歩深く考えるべきだった。何故、単なる賊に過ぎない自分が、ピンポイントに特定の人物の消息を尋ねられているのか。

「……最ッ低」
「ぐ、ぐああああああっああッ!!?」

ボソリと、別人のような低い声でリリアが呟く。次の瞬間、雷霆のような速度で振り下ろされた両の拳が少年の睾丸を床に打ち付け、変形させた。
身体が跳ね上がり、痛みで視界に星が飛ぶ。腹膜で繋がった、内臓全体が掻き回されたように悲鳴をあげる。後ろ手に拘束された腕では股間を庇うことすら出来ない。
ただ只管、胡座をかかされた体勢のまま、腰と脚を曲げ伸ばしして耐え難い苦痛を誤魔化そうと喘ぐしかなかった。
絶対零度よりも冷え込んだ瞳で、ユリアナは悶絶する少年を観察している。リリアの視線が彼女に向くと、悲しげな顔で頷く。それだけで二人は通じ合っていた。
何が起きたか分からず、ただ股間から止めどなく溢れる痛みに歯を食いしばる少年に、ユリアナが優しく語りかける。
その口調は、つい先ほどまでと全く同じ、穏やかで慈愛に満ちたもに戻っていた。

「噓はダメって言ったでしょ?ボクが嘘ついたって、お姉さんたちにはすぐ分かっちゃうんだよ?」
「あ……が……あ、ああ……ボク、噓なんて……」

言い切る前に、再び音もなくリリアの両腕が持ち上げられる。そのまま鉄槌の形に組み合わされたソレに、少年は恐怖の声をあげる。
ユリアナは片手でそれを制すると、少年の目を覗き込みながら出来の悪い生徒に教え諭す口調で告げる。

「ボクちゃんたちは仕事が雑ね……神は細部に宿るって諺、知らない?重りをつければ、死体は浮かんでこないと思ってた?」
「………………ッ!!?!」
「顔をグチャグチャにするなら、身包みも剥がなきゃ。でも、腕や足、身体の特徴でよく見たらバレるかもね。ふふ、リリアったら吐いちゃったのよ?」
「……オ、オレ、いや、ボクには、何言ってるのか……」
「外套、高価いもんね。ちょっと血に汚れたぐらいで買いなおすってワケにはいかない、よく分かるわ」

淡々と語られる内容に、少年は戦慄する。すべてバレている!足元が崩れて、深い穴に落ちていくような錯覚を覚える。
泊まっていた木賃宿からご注進があったらしい。何か、血生臭い子供が、おたくと揉めた男と組んで何かを企んでいるようだと。そして、惨殺された使用人が見つかった。
彼は、自分の迂闊さを呪う。死体が無ければ、多少外套が血に汚れていてもどうということはない。あの時、せめて外套を脱いでおけば。だが、後悔先に立たず。
そも、他人の格好など、剥いだら高価で売れるか以外で気にしたことがなかった。他人への興味が薄かった。だから、少年にとってこれは完全に盲点。

「あんなの見れば、警戒するに決まってるじゃない。ボクたちは、飛んで火にいる夏の虫ってヤツだったの」
「オブモさん、本当、最後まで真面目な方だったんですねぇ。亡くなってまで、リリアたちに危険を伝えてくれるなんて」

少年は必死に頭を働かせる。何とかしてこの場を切り抜ける方法を考える。だが、無駄だ。すでに詰んでしまった盤面をひっくり返す手段はない。
とうとう観念した様子で、二人に疑問に思っていたことを問いかける。口調も、彼の素のものへと戻っていた。

602名無しさん:2022/01/27(木) 23:55:22 ID:M4TJLuZQ0
「ねぇ、アンタたちとアイツ、一体どういう関係だったんだい……?」
「そうだね。仕事上がりに挨拶したり、お祝いごとでちょっとお話ししてみたり。あとは……たまーに、一緒にご飯を食べたりする程度かな」
「それだけの関係なの、本当に……?」
「そりゃそうでしょうよ。お店の女の子と、使用人が恋仲になるなんて厳禁、言語道断。特に、あの子は使用人の中でも堅物な方だったし」
「オブモさん、真面目でしたからねぇ。いつか出世して、私達の担当にもなるかもねとか二人で話したりもしてたんですよ」

ユリアナは、懐かしむように遠くを見つめる。リリアは楽しげに、それでいて少し寂しさを感じさせるような笑みを浮かべていた。
そんな、どこにでもある日常の一コマを語る二人の姿に、少年は得体の知れない不気味さを感じていた。呆然と、問いを続ける。

「……なんで、それだけの関係で危ない橋を渡れるのかな……?そこまでする理由はないよね……?」
「理由?」
「タマを潰す商売女なんて知れわたったら客も減るでしょ。評判も傷つく。全部、アンタたちの雇い主にでも任せておけばいいじゃん。なのにどうして……」
「任せたところで、首を落として終わりだよ、絶対。問題から目を背けているだけ……何の解決にもならない」
「言ってる意味が分からないよ。殺すのが一番手軽だし、確実だし、賢いよね?」
「そんなのは『逃げ』です。臭いモノに蓋をするだけ……オブモさんも浮かばれないでしょう?」

少年は、リリアの言葉の意味が分からなかった。逃げるのは悪いことではない。むしろ、生きていればこそ出来ることだ。
彼はまだ、リリアたちが何故こんな事をしているのか理解していなかった。ただ、その恐ろしさだけが心に刻まれていく。
二人は、そんな少年の様子をじっと見つめると、互いに顔を合わせて小さくため息をつく。そして、リリアが口を開く。

「リリアたちは、ただキミたちに『更正』して欲しいだけです」

それは、今までの会話の流れとはあまりにもかけ離れた言葉。だが、不思議と違和感のない一言だった。
少年の目を覗き込んだまま、ユリアナが落ち着いた様子で少女の語りを引き継ぐ。艶のある流し目で、去勢され痙攣している男を一瞥。

「あの恩知らずはね……もうお説教じゃダメだって分かっちゃったから、無理矢理、心を入れ替えてもらったんだ」
「アレが売った『お仲間』の末路は悲惨でしたから……オブモさんも、わざわざ『アイツも一味です』なんてオーナーに告げ口しませんでした」
「その結果がコレ。やっぱり、半端な情けは誰のためにもならないのよね。だからーーー」

リリアの両指が解かれ、少年の鎖骨に触れる。ゆっくりと下に流れ、彼の胸板、乳首、腹筋と形を確かめるように降りていく。
やがて下腹部、臍の真下から睾丸に人差し指が到達すると、ソコをトンッと軽く押し込み薄く微笑む。さきほどの、激昂の残滓はどこにもない。
悪戯っぽい声音。リリアが少年の耳元で囁く。

「物理的に、『矯正』してあげましたぁ。ふふ、『矯正』と『去勢』って何だか似てますね♡」
「ちょっとは痛かったのかもしれないけど、丁度いいお灸にもなったんじゃないかしら?」

二人は、いつの間にかクスクスと笑い合う状態に戻っていた。リリアだけではなく、ユリアナも片手を伸ばして遠慮なく彼の睾丸をつつき始めていた。
平常であれば、痛みではなく痛痒い快楽をもたらすであろう絶妙の力加減。彼女たちが、ソレの扱いに習熟していることを思い知らされる。
だが、今は違う。数度、二人に責められただけでここまで苦しいのだ。もし、本当に潰されたらーーー途轍もない恐怖、絶望が少年を包みこむ。

「ちょっと、ちょっと待ってよ。そんなコトされたら死んじゃうよ……アンタたちには分からないんだろうけど……」
「いーえ、死にませんよ?別に無いと困る場所ってわけじゃないんですから……ほぉら、リリアたちだって『持ってない』ですもの」

喘ぐように為される男としての命乞い……『タマ』乞いか……少年の必死に睾丸に二人はにべもない返答。リリアが、また自分の股間を彼の両手に擦り付ける。
確かに、そこにあるべきモノが無い。代わりに、つるりと滑らかな割れ目がそこにはあった。彼は、視界が闇に閉ざされていくような錯覚に目眩。
そんな少年を落ち着かせるように、睾丸をつつく指を止めぬままユリアナも語りかける。

「家畜だって去勢するでしょう?でも、タマ取ったからって死んじゃったりはしないよね?」
「大人しくなるだけ……人間も同じみたいです。アレ、どうしてなんですかね?リリア、はじめっから無いからいっつも不思議です」
「さぁ?でも誂えたみたいに都合がいい話よねぇ。簡単に出来て、後悔するほど苦しんで……どう苦しいのかは知らないけど……そのまま、気性も落ち着くんだもの」

603名無しさん:2022/01/27(木) 23:57:17 ID:M4TJLuZQ0
そう言いながら、ユリアナは少年の金玉袋から手を離す。そして、慈母のような笑みを浮かべると、優しくそれを撫でさすり始めた。
その表情には先程までの嗜虐的な色は微塵も無い。どこまでも優しい手付きに、彼は困惑した。ボクちゃんが『男の子』で良かったわ、続く言葉に戦慄する。

「い、いや、待ってよ。本当に死ぬんだ……実際に死んだって話も、オレ、聞いたことある」
「そんなに痛いんですかぁ。だったら、なおさら良かったですねぇ。自分の罪の重さを十分に実感できるじゃないですか」
「心配性だなぁ、ボクちゃんったら。タマが潰れたから死ぬってコトはないの。潰れたタマから血が流れすぎたとか、苦しくて息が出来なくなったとか、別の理由で死ぬの」
「でも、だったら、同じことじゃん!死んだら、更正もなにも無いーーーぐひぃッ!」

きゅ、軽くユリアナの掌に力が込められる。それだけの行為で差し込むような痛み。睾丸から貫くソレに、少年の訴えは苦もなく却下されてしまう。

「痛そ。でも安心して。血が流れすぎないように、袋の付け根をキチンと縛るし。息が止まったなら、お姉さんたちが代わりに吹き込んであげるわ」
「キミは何も難しいこと考えなくていいんです。ただただ、死ねないまま、死ぬほどの痛みを堪能して貰えればお仕置きとしては十分ですから」

二人とも、まるで井戸端会議をしているかのように当たり前の顔をして恐ろしいことを言う。それが、冗談ではないことを彼の身体が証明していた。
彼女たちの指先は止まらない。陰嚢を揉むように弄び、時折、爪を立てて弾いては楽しげに笑う。その度に、少年の全身を電撃じみた刺激が駆け巡った。

「あぎっ、ひぃ、痛い、痛いっ!!止めてぇ、もう許してよぉ!!」
「んふふ、何を許すんですかぁ?リリア、よく分かりません。教えてくださぁい」
「そもそもね、ボクちゃんは子供だからさ、最初はココまでしないといけないか迷ってたんだ……お折檻だけですましてもよかったの」
「じ、じゃあ、何で……ッ!!?」

悲痛な叫びに二人の動きが止まった。営業の笑顔が剥がれ落ち、呆れ果てた表情でユリアナが彼の頬を両手で挟む。
自分がやったコトを考えてみなさいな、囁かれる声に少年は必死に記憶を探っていく。だが、どの行動が彼女たちの不興を買ったのかが分からない。
しらばっくれようとしたコトか?嘘をついたコトか?開き直ったコトか?思い当たる節がありすぎて逆に何もわからない。
そんな少年の心を読んだかのように、耳たぶを甘く噛みながらリリアのくすぐり声。正面から、ユリアナの熱い吐息と囁き声。

「確かに、嘘吐きは『下』抜いちゃうって言いましたけどぉ、そんな理由じゃないですよぉ」
「話してて分かっちゃったんだけどさ。ボクちゃん、共犯じゃないよね。ボクちゃん『も』主犯だよね」

少年の背筋を冷たいモノが伝った。心の底まで見透かす瞳でユリアナに見つめられ、少年は思わず目を逸らす。
それこそが答えだと言わんばかりに、彼女は深いため息を吐き出した。恐ろしい子、目を伏せて唾棄する言葉を吐き捨てる。
今ここで『去勢』……いや、『矯正』出来てよかった。大丈夫、若いんだからやり直せるわ、ユリアナは自分に言い聞かせるように呟く。
リリアからは、タマなんて無くても人生は乙なモノですから、気を落とさないでくださいね、と空虚な慰めの言葉。

少年は、ユリアナたちの中で『潰す』という裁可が既に下されている事実を理解してしまった。
彼女たちの身勝手さを呪わずには居られなかった。こんなに気軽に、ヒトの人生を捻じ曲げる決定を下せるなんて信じられなかった。
怨嗟は既に男としての命運を断たれた相棒に、そして彼が遊びついでに惨殺した使用人の男にまで向けられる。
アイツに少しでも骨があれば。自分に殺されていなければ、オレはこんな目に合うこともなかった。そんな不満が思わず口から溢れる。

「そんな……それだけのコトで……?あんな冴えない、一山いくらのヤツを殺したぐらいで……?」
「……」
「……」

一呼吸分の沈黙。そして、背後から。リリアの両手が伸ばされ、少年の金玉袋を軽く撫で上げる。ズキリとした痛みの残滓に思わず彼の身体が強張る。
彼女は少年の動揺など一切お構いなしに、そのまま陰嚢を揉みほぐす様に弄ぶ。少年の不満は、掠れた悲鳴へと変わっていく

604名無しさん:2022/01/27(木) 23:58:24 ID:M4TJLuZQ0
「ま、待って。そこは、オレの……」
「リリアたちにとっては、これだって幾らでも替えが効く、『一山いくら』のモノに変わりはないんですよ」
「ち、違う。そこは、そこは、取り返しがつかない……」
「この街には何万人も男の人がいて。例えば二万人いるとすれば、四万個ぐらい金玉があるわけです。そのうちの二つが無くなったところで、なんの問題もなくないですか?」
「こんなちっちゃい『冴えない』キンタマ。潰される『ぐらい』で済んで良かったと思えないのかしら?不思議ねぇ」

少年の顔が絶望に染まる。彼にとっては、自分の命より大事なものが、この場ではゴミ同然の価値しかないのだ。
ありえない!理不尽だ!叫びたい気持ちが込み上げてくるが、共感してくれる人間はここにはいない。ただ一人、共感できた男はすでに『男』を没収されている。
彼の股間にぶら下がる二つの球体は、まるで玩具のように彼女たちの手の内で弄ばれている。痛みと恐怖に震え、萎えた性器が情けなく垂れ下がっていた。
事前に聞いていた情報。『甘い』だの『篤志家』だの。『恵まれないモノに手を差し伸べがち』だの。噂と現実の、あまりの落差に目眩すら覚える。

「待ってよ……アンタたち、プライドとかないの?縛り上げた子供を……もうちょっと、こう、罪悪感とか……。あるでしょう!?」

ユリアナは鼻で笑った。リリアはくすりと微笑んだ。二人とも、彼には慈悲も容赦もない。
彼女たちの表情に浮かぶのは、嘲笑と軽蔑。弱者に対する憐れみではなく、傲岸不遜な愚か者に見せる侮蔑の色だった。

「キミはどうでした?」

リリアが問う。問いの意味が分からず、少年は困惑する。自分は持たざる者、弱い側なのだ。
自分『が』奪うのは不可抗力、だが自分『から』奪うなんて許されない。言わずもがなの常識を理解していない女たちが、ただひたすらに恐ろしい。

「あのね。顔見知りをケバブにされて。笑って流さないと保てないプライドがあるなら……そんなもん、『くそっくらえ』よ」

ボクちゃんのタマほどの価値もない。ユリアナの言葉が続く。その声は、先程までのふざけた口調とは打って変わった冷淡なもの。
女性特有の高いトーン、耳に心地よい落ち着いた声。しかしそこに込められた感情は一切の温もりがない。心を凍り付かせるような酷薄さだけがあった。
少年は、初めて見るユリアナの姿に、思わず気圧されてしまう。

「それにね。ボクちゃんは勘違いしてるみたいだけど、『子供だから』許すんじゃないの。『子供だからこそ』見過ごせないの」

ユリアナの声色が変わる。それは、うら若い女性のものから、年長者としての責任を問うものへ。
今はまだ子供だから、その性根でも押し入り強盗の真似事で済んだ。だが、成長して体格を備えればどうなるのか。
冷酷にして傲岸、子供らしい残酷さと小賢しい精神性。それが大人の男の体躯に備われば、一体どれほどの悲劇を起こしうるか。

捕らえられた当初は、あどけない子供だと思った。リリアと似た年頃、悪い大人に騙されて悪事の片棒を担がされた被害者ではと心を痛めた。
その憤激のまま、あの『懲りなかった』男に嘲弄の限りを尽くした。無慈悲に、せせら笑いながら彼の睾丸を握り潰した。貴方にタマは必要ない、相応しくないと。
だが、どうだ。この少年は、あんな『元』男など比べ物にならないほどに異質で邪悪だ。まるで枕元で百足を見つけたような生理的嫌悪感が湧き上がってくる。

そう。毒虫みたいな子供だった。こんな奴が将来、社会に増えていくかと思うとゾッとする。
その一方で、彼女は少年を哀れだとも思う。どんな人生を送ってきたのかは知らない。しかし、虫のように欲望に振り回される姿は、あまりにも痛々しい。
率直にいって、ユリアナは子供が好きだった。こんな救いようがない屑でも、手を差し伸べられるなら助けてあげたいと思えるぐらいには。

そして、その方法はある。彼が、彼『女』なら無理だった。目玉を抉るなり腱を切るなり、未来を奪わないと無力化は出来なかった。
不幸中の幸いにも、彼は『男』だ。ならば、暴れ馬にするように『タマ』を抜いてあげればいい。肉になるしか無い馬に、未来を与えてあげるように。
そうすれば、危険な体格に育つこともないだろう。当然、これ以上増えることもない。身を滅ぼしかねない欲望も跡形もなく静かに消えてなくなるだろう。
これは、とても優しい結末。生活に不便が生じるわけでもない……少なくとも、女であるユリアナには『無い』ことによる不都合は思い当たらない。
それが普通で、当然だからだ。睾丸が無いことに、彼女たちは違和感も後ろめたさも抱いたことはない。この子も若いのだから、すぐ慣れるでしょうと安心している。

だから、心配しないで。そう、優しく語りかけようとした時、少年の瞳に涙が浮かんだ。それは、悲しみや恐怖によるものではない。

605名無しさん:2022/01/27(木) 23:59:09 ID:M4TJLuZQ0
彼は悔しくてたまらないのだ。何故、自分が奪われなくてはならない。何一つ間違っていないのに!何もしていないのに!理不尽な現実への怒りが、涙となって溢れる。
自分は奪う側なんだ。自らを由とする側なんだ。なんで、狂った論理を振りかざす?奪われる側のくせに、あべこべにオレのタマを潰そうとする?奪おうとする?
彼女たちの言葉は、まるで『ヒトが豚を食うから、豚もヒトを食っていい』という暴論に等しいものに思えた。支離滅裂で、破綻していて、どうしようもなく理解不能。

「ふざけんなよ……死人に、それも、関係無い他人にかこつけやがって……!オレは、まだ子供なんだ……未来があるんだよ……!」

少年は嗚咽交じりの声で叫ぶ。その叫びは、心の底からの本音。嫌悪に嘔吐感を催し、リリアが彼の背中でえずく。
同年代、だが曲がりなりにも組織の一部として、日陰者でも社会の一員として生きてきた彼女には、彼の叫びはあまりに身勝手で醜かった。

ユリアナもまた、同じ気持ちだった。だが、同時に使命感が燃え上がるのを感じる。自分が、自分がこの少年を何とかしなければならない。
視線を感じて顔を上げる。そこには不安そうな表情のリリアがいた。彼女に小さく微笑みかけると、ユリアナは静かに立ち上がる。
少し、荒療治が必要かな。そう結論づけると、プチリと小さな音を立てて彼女の衣服が床に落ちる。微かな衣擦れの音。
少年が目線を上げると、芸術品と呼んでも差し支えない裸体が惜しげもなく彼の眼前に曝け出されていた。

---

目の前の光景に言葉を失う二人。その沈黙を破るように、ユリアナが口を開く。
その声色は先程までの優しさに満ちたもの。しかし、どこか威厳と冷たさを含んだ不思議な響きがあった。
視界いっぱいに広がる女体。白くきめの細かい肌にはシミ一つなく、胸の膨らみは形良く張り詰めている。腹筋は薄く割れており、腰回りは細く括れて美しい。
そのくせ太股や尻の肉付きは豊かで、柔らかな曲線を描いている。そして、それら全てを覆う体毛は一本たりとも見当たらなかった。
それは、まさに神の手による造形美。少年が今まで無理矢理抱き捨ててきたどんな女性の体よりも美しく、妖艶であった。
ごくりと生唾を飲み込む音が聞こえる。彼は、それが自分のものだと気付くまでに数秒の時間を要した。

「タマタマ虐められてるのに元気ねぇ」

クスリと笑いながら歩み寄るユリアナ。その姿はまるで小悪魔のような愛らしさがあり、それでいて母性すら感じさせるものだった。
興味の大半を失った視線で部屋の端、金玉をすり潰されて悶絶している『元』男に視線を流す。そして、再び少年に向き直り、そっと耳元に唇を寄せて囁いた。

「未来があるのか、確かめてあげる。ボクちゃんに、男として生きていくだけの価値があるのか……」

ふぅっ…… 甘い吐息と共に吹きかけられる熱い舌。背筋を走るゾクゾクとした感覚。そして、下腹部の奥底から湧き上がってくる疼き。
と、不意に冷たいものが陰嚢に触れたのを知覚。恐る恐る下を見ると、いつの間にかリリアがまたしても彼の急所を両手で包み込んでいた。
氷のように冷たい指先の感触に思わず悲鳴を上げそうになる。だが、彼女はそれを許さないと言うように、しっかりと少年の本体をホールドする。

リリアも、ユリアナが何をしようとしているのか分からなかった。信頼はしている、だが、それでもやはり心配なのだ。
不測の自体にそなえて、陰嚢を掴む手に力が入る。最悪なにが起きても、ここを握れば男は無力化できるはずと必死に心を鎮めようとする。
十分に痛めつけた、この害虫みたいな少年もココだけは弱い。理解はしている。だが、睾丸を持たぬ身故に実感はわかない。
リリアのそんな心中など知る由もない彼は、突然の刺激に体を震わせる。全身に鳥肌が立ち、冷や汗が噴き出す。

「そこまで言うなら試してあげる。私を歓ばせることが出来たら、将来性に免じて許してあげる。憲兵に突き出すだけで勘弁してあげる」
「え………」

ユリアナは、股間の割れ目を少年の鼻先、触れるか触れないかのギリギリまで近づけて胸を張る。彼が舌を伸ばせば届く距離に性器があった。
その奥からは、むせ返るような雌の匂いが漂ってくる。脳髄を直接蕩かすような甘ったるい香り。少年は頭がクラクラしてくる。
これまでは、手先。触感でリリアのソコは知覚していた。だが、いざ、視覚的に直視させられると、得も言われぬ感覚に痺れてしまう。

606名無しさん:2022/01/27(木) 23:59:56 ID:M4TJLuZQ0
油断するなと理性からの警告。彼女が男であれば、少年は躊躇なく急所に噛み付いていただろう。
しかし、今、この瞬間に彼の目の前に晒されているユリアナの股間には急所など、金玉など付いていない。その事実が、逆に少年の興奮を煽っていく。

「ボクちゃんの小さなおちんちんだと荷が重いだろうから、舌を使って頑張って?子供だから、大サービスだよ」

ユリアナの言葉が、思考が、ゆっくりと染み込んでいく。目の前にあるのは、柔らかく温かい秘裂。少年の本能が、それを舐めろと叫んでいる。
理性が、ダメだと叫ぶ。未だに、彼の陰嚢はリリアに掌握されているのだ。少しでも彼女たちの意に沿わぬ動きをしたならば……。
場を包む雰囲気の落差に、感情が追いつかない。ただ、心臓の鼓動だけが早鐘を打つ。口の中はカラカラで、喉は焼けるように乾いていた。

「でもね。もし気持ちよく出来なかったら……女一人歓ばせることが出来なかったら……そんな子は男として生きててもしょうがないって納得できるよね?」

優しげな声のまま、ユリアナが少年を現実に引き戻す。彼女の瞳には、有無を言わさぬ迫力があった。
少年とリリア、二人はようやく彼女の思惑を理解した。リリアの両手から緊張が抜け、逆に少年の全身に緊張が走る。
蜘蛛の糸より頼りない命綱。少年は、彼女が自分を嬲るつもりだと理解していた。だが、ソレに縋るほか道がないことも知っている。
それに。もし、ぐうの音も出ないほどに彼女を感じさせることが出来れば。無駄に義理堅いバカ女だ、本当に自分を解放してくれるのかもしれない。

「ほら、女の子のは出っ張ってないから。自分からむしゃぶりつかないとはじまらないよ」

逆らうことなど出来ない。少年の心に植え付けられた恐怖心が、その判断を下す。彼は震える唇を開き、小さく舌を突き出した。
チロリと、ほんの少しだけ出た小さな舌。それは、まるで猫の子供がミルクを飲むかのような弱々しさだった。そっと、目の前の柔肉を舐める。
しょっぱい味がした。だが、それ以上に感じるのは圧倒的な存在感。女の体臭と汗と愛液と尿の入り混じる淫靡な香りが鼻腔を刺激する。
舌先が割れ目に触れる。ユリアナは、懸命に頑張る幼児を見守る目で優しく微笑んでいた。

「タマタマが大事なら、一生懸命頑張らないとダメよ?もし、手抜きでもしたならーーーリリィ?」
「あ、そういうコトですかぁ。また変わった趣向を思いつきましたねぇ」

リリアが、再び少年の陰嚢を握る。今度は、万力のような力で。そして、ギリギリと捻り上げる。

「ぎゃあああああっ!痛い痛いっ!」
「あら、ごめんなさい。つい手が滑っちゃいました。頑張って舐めているなら握っちゃダメ、ですよね?」
「呑み込みが早くて助かるわ。もし、この子が気を抜き始めたら、そうやって注意してあげて欲しいの。だって、私を歓ばせられなかったらーーー」
「キンタマ、ブチュっですもんね。ふふ、確かに、コレならこの子の未来にタマタマが必要か、客観的に判断できますねぇ」
「そういうこと。じゃ、引き続きよろしく頼むわね」
「はい、任されました」

リリアは笑顔で答える。その言葉を聞いて、少年は泣きそうな顔でユリアナを見る。
ユリアナの顔は変わらない。先程までの優しい笑みを浮かべたまま。だが、無言で催促の視線を向けてくる。
少年は必死に舌を動かす。舌先に神経を集中し、出来る限り大きく動かす。だが、それでは到底足りない。
彼の舌先がユリアナのクリトリスに触れる。それでも、ユリアナの表情に変わりはない。子供をあやすような慈愛の眼差しのまま。

「舌の動き、悪くなっていますよぉ。ちゃんとしないと、いつまで経っても終わりませんからねぇ?」
「ひっ!?や、やめて、もう許してぇ」

少年が情けない声を上げる。ユリアナは、ただ見ているだけだ。それが一層プレッシャーになる。
彼の頭の中では様々な考えが渦巻いていた。このまま舌を動かし続けたところでどうにもならないのではないか?そんな思いが浮かんでは消えていく。
……実際、その通りだ。ユリアナは、少年の『男としての自尊心』を粉々に打ち砕いてやろうと決めていた。
ラクダの背を折る最後の藁という言い回しがある。ユリアナの忍耐は、藁どころではない、鉛のインゴットの如き少年の無法な言葉に既に複雑骨折の様相。
去勢は確定事項として、その前に。男である内に、完膚なきまでに、言い訳も出来ないほどに鼻っ柱を圧し折ってあげないといけない。

607名無しさん:2022/01/28(金) 00:00:29 ID:WFz7N8Z60
だからこそ、彼女は敢えて何もしない。少年が自ら望んでユリアナへ奉仕するという状況を作り出そうとしていた。
そうでもしないと、この子はタマを潰しても男で『あった』ことに変な未練を残してしまうかも。そんな気遣いも僅かながらある。

「ヘタクソねぇ。女の子、舐めるのは初めて?」
「……はぁ、はぁ、クッソ……!」
「まぁ、ちんもタマも仔犬みたいに小さいですからぁ。女の子からしても、あんまり相手して楽しくないっていうかぁ」
「ぐぅう……」
「ほらほら、がんばってください。女の子を満足させられない男の子は、『男』を没収しちゃいますよぉ」

ユリアナの落胆。リリアの嘲笑。だが、少年は屈辱に震えながらも舌を動かす。ただ、彼の目はまだ死んでいない。
まだ、負けてはいない。その瞳が雄弁に語っている。ユリアナは内心、感嘆する。正しい方向ではないが、折れない芯がこの子には残っている。
しかし、いくら努力しようとも結果は同じだ。舌使いが多少マシになった程度で、彼女を絶頂に導けるほど上手くなれるわけではない。
色事についてはユリアナは百戦錬磨。付け焼き刃の技など通用しようはずもないのだ。淡々と、つまらない表情を作って彼女は少年の『男』を否定する。

「やっぱり『男の子』辞めちゃわない?お姉さん、ボクちゃんが『男』でいる意味が分からないなぁ」
「こんなつまらないモノに、どうしてそこまで拘るんでしょうかぁ?別に無くても生きていけますよねぇ」

リリアが少年の股間を弄ぶ。陰嚢を握り締め、竿の先端を指先で引っ掻く。少年が悲鳴を上げて体を震わせる。
それでも、彼は舌を止めなかった。睨めつけるようにユリアナを見上げ、屈辱と憎悪に塗れた顔で必死に舌を動かす。
反省の色はない。もちろん、後悔も、改悛の念も皆無。その様子に、流石のユリアナもため息をつくしかなかった。
(ここまでとは思わなかったわ)
正直、これ以上に彼を辱めるのは気が進まないというのはある。だが、ここで下手に妥協するわけにもいかない。
もし妥協すれば、少年は間違った成功体験を得るだろう。それはきっと、彼の将来に禍根を遺す。だから、徹底的に。
この子を完全に屈服させないと。タマを二つとも潰すともう決めたのだから、半端な仏心は返って彼のためにもならない。
心を鬼に、気合を入れ直すとユリアナはつい、と腰を引いた。少年が追いかけるように舌を伸ばす、が、ギリギリ女性器には届かない距離。

「え……?」
「あら?お口がお留守になってるわよ?」
「あ、本当ですねぇ。リリアのお役目的に、ここは『喝』を入れるトコロですかねぇ」

あ、と呆けたのは一瞬。リリアが、力いっぱい彼の金玉を握る。そしてそのまま、グイグイとその指を押し込み捏ね回す。
激痛に声も出せず、全身が痙攣する。鼻先まで女性器を突きつけられるのだが、ユリアナは少年の動きに合わせて腰を引き決して本体に触れさせない。
まるで拷問だ。彼は彼女の股間に顔を突っ込もうと必死になって舌を伸ばす。ユリアナは軽やかにそれを躱す。
四苦八苦する少年を見て、二人は楽しそうに笑う。

「ほら、頑張って?男の子の証、なくなっちゃうわよぉ?」
「ふぎゅぅ!ひゃ、やべぇ、やめてっ」
「だったら、ちゃ〜んと舐めないと。それだけでいいのよ?男の子なら簡単よね?」
「ぐぎゃあああっ!!ひ、ぎいいぃっ!!無理、と、届かない、無理ぃぃぃぃッ!!」
「知りませーん。ちゃんと捕まえておかないとダメじゃないですか。ほら、こんな風にィ」

608名無しさん:2022/01/28(金) 00:01:34 ID:WFz7N8Z60
リリアの指が彼のの睾丸で最も敏感な部分に食い込む。神経を直接撫でられているような感覚。臓腑を掻き混ぜられる感覚。
砂漠で水を求めるように懸命にユリアナの股間を追うが、彼女は右に左に腰を揺らせて、絶妙に少年の舌を女唇に当てさせない。
その動きは、まるでダンスをしているかのようだ。少年は悶絶しながら、なんとか舌を伸ばそうとするものの、あと少しというところで逃げられてしまう。
何度もそれを繰り返している内に、少年の顔からは余裕というものが失われていく。
捕まえろ、そうリリアは言った。実際、彼女はしっかりと彼の男性器を捕まえて圧迫し、腸を捩るが如き痛みを与えている。
だが、ユリアナの股間は違う。捕らえられる、捕まえられる部分がない。出っ張っている『モノ』など付いていない。
少年が舌を伸ばしても、届かない。痛みで舌が縮こまる。ユリアナが逃げる。舌が伸びる。捕まらない。その繰り返し。
舌を伸ばしても伸ばしても、そこには何もない。ただ、虚しく空を切るだけ。その事実が、彼に絶望を与える。
リリアに潰され、ユリアナに逃げられる。終わりのない苦痛が延々と続く。

「ひ、ひいぃっ!!ひいぃっ!おねがいしますぅっ!舐め、舐めさせでぇぇえッ!!」
「いいよ、ほら、しゃぶって♡」
「いだいぃっ!届、届きまぜんがぁあああぁぁッ!!!!」

ついに少年が音を上げたのか、言葉に敬語が混ざる。許しを請いながら、必死になって舌を伸ばす。届かない。何度やっても変わらない。
泣き叫びながら、舌を限界まで伸ばす。それでも、ユリアナには届かない。舌の先が触れることさえできない。
舌先と、女性器の間には、指一本分の隙間があるかどうか。そんな僅かな空間で、彼は一生懸命に舌を動かしている。
だが、それも無駄なこと。どれだけ舌を伸ばそうとも、そこには何もない。ただ、虚しいだけだ。
少年の捻じ曲がった自尊心に罅が入りつつあるのを察して、リリアとユリアナ、二人がくすりと微笑む。

「それじゃあ、もう潰されちゃうしかないんじゃないですかねぇ。残念ですぅ」
「えぇ、本当に。せっかくチャンスをあげたのにねぇ」
「お願いじまずっ、舐めさせ、舐めさせてくだざいいっ!」

残念と言いながらも、リリアは手を緩めることはない。少年は半狂乱になりながら、ユリアナの股間を追おうと舌を懸命に伸ばす。
しかし、結果は同じ。彼女の女性器に触れることはできない。ただ、少年が苦しみ喘ぐ時間だけが過ぎていく。
どれだけ意地を張ろうと、男である以上睾丸を『躾』されてしまえば無意味。少年がいかに強がろうが、屈服せざるを得ないのだ。
ユリアナは天の采配に感動する。どこまでも性根が腐っていようと、何とかしてあげられる『救い』を彼に残しておいてくれたことを。
ーーー自分が男に生まれずにすんだコトへも一厘の感謝。胸が詰まるような思いとともに、彼への懲罰を続けていく。

「ほら、どうして舐めてくれないの?タマタマ要らなくなっちゃった?」
「もしかしたら、キンタマ潰されるのって気持ちいいのかもしれませんねぇ。リリアたち女の子には分からないだけで」
「ち、違、違いまずっ!届かないんでずぅ!!ひぎぃっ!!」
「届かない?何で?お姉さん、しょっちゅうその体勢で男の人に天国を見せてあげてるよ?ボクちゃんがヘタクソなだけじゃない?」
「お”ね”、お姉ざんにはぁッ!付いでないがらア”ッ、出っ張りがあぁッ!」
「出っ張り?出っ張りって何のこと?」
「おちん、おちんちんですぅッ!!おちんちんと、キンタマアアォぉおおッ!!!」

少年は必死になって叫ぶ。プライドも何もかもかなぐり捨てて、子供のように泣きわめきながら懇願する。年相応の語彙での哀願。
ユリアナとリリア、二人の女性は顔を見合わせて、くすりと笑う。そして、同時に手の動きを止めた。
ようやく与えられた休息。少年は、はぁはぁと荒く息を吐きながら安堵したように脱力し…………その醜態をユリアナが静かに見下ろしている。
穏やかな声音で問う。

「おちんちんとキンタマが『無い』から、ボクちゃんは私のアソコを責められないの?」
「はい、そうですぅ……」
「もしかしてと思うけど、おちんちんとキンタマが『有る』からボクちゃんはそんなに苦しそうなの?」
「…………」

609名無しさん:2022/01/28(金) 00:02:24 ID:WFz7N8Z60
彼女が何を言わせたいのかを察して、少年は口を噤む。その意固地さにリリアが呆れたようにため息をつく。
日の当たる道を歩んでいたなら一角の人物になれていたでしょうに、ユリアナは心底残念だと内心で呟いた。当然、口には出さない。
だからこそ、少しでも真っ当な道へ戻れるよう手助けをしてあげなければならない。これ以上、人の道の外に堕ちないで済むように。
自分の欲望に振り回されて、他人を害して、奪って、殺して当然と嘯くなら。その欲望の根源は取り除かれなければならない。彼自身のためにも。
それが自分の役目であり、使命なのだとユリアナは感じていた。狂信者の妄信ではない。彼女はまだ、心のどこかで少年の善性を信じている。

「じゃあ、ここまですればどう?」

一呼吸の後、ユリアナは少年の後頭部を掴むと強引に股間へと押し付ける。当然、顔に陰毛が触れるほど深く密着することになる。
ユリアナの太腿が彼の顔を挟み込み、左右から締め上げる。鼻先がクリトリスを押しつぶし、息ができない。この体勢では舐めるどころか、呼吸すらままならない。
そんな彼の苦境を気にも留めず、肩車を逆にした形で少年に跨ると、体重をかけて彼を仰向けに押し倒した。
リリアが慌てて少年に絡めた足を解くと、彼の背後から離れる。やっとのことで解放された少年だったが、今度は背中を床に打ち付けられ、悶絶する。
ユリアナはその無様な姿を冷たく見下ろす。

少年の身体は、ユリアナの両足に挟まれ、身動きが取れなくなっていた。リリアが、今度は正面から両脚の間に足を差し込む感触を感じる。
そのまま彼女が腰を下ろすと、少年の足首が拘束されている関係上、必然とM字開脚の形を強いられることになる。
ユリアナの両脚が閉じられると、少年の顔は完全に彼女の股間に埋もれてしまう。しかも、それだけに終わらない。
彼女の両手が少年の頭を押さえつけ、更に強く股間を押し付けてきたのだ。ユリアナの秘所に押し付けられた顔面。酸素を求めてもがくたびに、舌が割れ目を擦る。
先程までよりも、ずっと濃厚な女の匂いが少年の肺を満たしていく。

「さっき、舐めさせてってお願いしてたよね?ほら、好きなだけ舐めなさい」
「ふぐぅっ!?」
「これなら下手な言い訳もできないですねぇ。ほら、『男』とやらの見せどころですよ?もう『男』辞めちゃいますか?」
「んーっ!!ンッ、ングゥウ!!」

少年は必死になって首を横に振る。だが、そんなものはなんの助けにもなりはしない。
ユリアナは少年の頭をしっかりと押さえつけて固定すると、彼の顔に自らの秘部を強くこすりつける。
リリアは自然体で彼の陰嚢、睾丸を再度両手で握りなおすと、手加減無用とばかりにぐりぐりと揉みしだく。
二つの急所に加えられた凄まじい激痛。少年は声にならない悲鳴を上げる。
そして、その痛みによって意識は否応なく下半身に集中してしまい……ユリアナの股間の匂いと味、そして柔らかさをより一層感じ取ることになってしまう。
少年の脳内は、苦痛と快楽、そしてその二つを遥かに凌駕する絶望に支配されつつあった。
生死の境目を揺蕩っているかのような危うい状況の中、それは、生物としての本能だったかもしれない。

「あれ?どうして硬くなってるんですか?」

少年の陰茎が鎌首を持ち上げて硬度を増していることに気づいたリリアは不思議そうに首を傾げる。立ち上がったソレは、振り子のように頼りなく揺れた。
その言葉を聞いて、ユリアナも初めて気づいたという風に手を止める。少年の股間はすっかり勃起していた。

「あら本当ね。ボクちゃん、私のコトは全然気持ちよくしてくれないのに……」
「ひぃいいいっ!?」
「独りよがりも甚だしいですねぇ。こんなんじゃ女の子にモテませんよ?」

リリアの手が、優しく少年の亀頭に添えられた。たったそれだけの刺激で、彼は情けない声を上げてしまう。
その反応を見て、ユリアナとリリアはクスリと笑う。少年は、自分のモノが今どうなっているのか、全く理解できなかった。
彼の抵抗する気概は根刮ぎ削り取られていた。擦り付けられるサラミにも似た肉襞を食いちぎってやろうかと考えるが、そんな気力も既に無い。
そもそも、それが本当に効果があるのかも分からない。ここまで無防備に押し付けられるなら、食いついても全然痛くないのかも知れない。
もしそうなら、彼に待っているものは睾丸への情け容赦無い制裁だ。その苦痛が恐ろしいものだということは、彼にも分かる。

610名無しさん:2022/01/28(金) 00:03:20 ID:WFz7N8Z60
---単純に、覚悟の差ではあった。危害を加える側として、自分が危害を加えられるなどとは微塵も考えずに押し入った少年。
同僚をズタズタ、凄惨な肉塊に変えられ。危険があろうが害が及ぼうが、報復することを決意しているリリアとユリアナ。スタンスの差が如実に表れた結果であった。
天佑もあったのだろう、もし少年が拘束されていない状態で向かい合っていたなら、当然、陵辱の限りを尽くされたのは二人の方だ。
善も悪もない、身も蓋もない。物理的に彼の方が、男の方が強い。殺し慣れしている。だが、この状況下ではそんなコトはまるで意味をなさなかった。
逆に、男であるからこそ。少年は、これから自分を待ち受けているだろう未来を想像できてしまう。

怒張する陰茎と、収縮する陰嚢。少年の混迷は頂点に達しようとしていた。その外性器から、二人の女は少年の心理を推し量る。
逆に。陰茎と陰嚢、共に備え持たないユリアナとリリアがどのような心理状態にいるのか、少年からは全く窺い知ることができない。

「硬くなっても大きくならないなんて変わったおちんちんですねぇ」
「もう、この子は精一杯大きくしてソレなんだから、虐めちゃダメよ。可哀想じゃない」

ユリアナは少年の陰茎の根元を指でつまむように掴んだ。そのまま、ゆっくりと手を上下させる。
先走り液を潤滑油にして、彼女の手が滑る。ぬちゃりと湿った音がした。意に反して、彼の口から喘ぎ声が漏れてしまう。
その喘ぎを聞き逃すことなく、ユリアナは己の股間で少年の顔を締め付けながら語りかける。いいアイデアを思いついた、と弾んだ声。

「そうだ!リリィにお手本を見せてもらいましょうね。それを真似すればいいわ」

リリアの口が、ぱかりと開く。真っ赤な口腔が広がる。少年はこれから何をされるかを察し、必死で暴れるが縛られて転がされている状態。
逃れられるはずもなかった。そして、リリアの舌が彼の玉袋へと伸びる。
柔らかく湿った肉の塊が、肌に触れた瞬間――ズキリとした痛みが走った。
散々睾丸を握りしめられ、痛めつけられて然程時間は経過していない。。まだ痛覚が残っていたのだろうか?いや、違う。これは。
焼けるような熱さが玉の付け根を襲う。舐められているのだ。それも、リリアの小さな舌が、丹念に、玉の裏側までくまなく。
ぬらぬらと唾液が塗りたくられていく。少年は悲鳴を上げることもできない。リリアが口を閉じ、顔を遠ざける。彼女は舌を出し、軽く唇を舐めた。
少年の顔が蒼白になる。冷や汗が滝のように流れる。全身の毛穴から嫌な汁が噴き出しているようだ。

次の瞬間、彼の陰嚢は、双玉ごとリリアの口の中に収まる。まるで、最初から存在すらしてなかったかのように。
ーーー食べられる。
そう思った時には、既に遅かった。リリアの歯が、少年の金的を捉える。
ごりゅり、と何かが擦れ合う感覚と共に、激烈な痛みが下半身に走る。少年は声にならない叫びを上げた。思わず顔を跳ね上げる。
しかし、そんなことをしたところで何の意味もなかった。むしろ、より深く秘所に顔を押しつけることになってしまい、彼の顔は更にユリアナの股間に埋もれた。
鼻が柔らかい肉の壁にぶつかる。呼吸ができない。息を吸えば、甘い匂いとともに濃厚な雌のフェロモンが肺を満たす。
少年はパニックに陥った。もがき、身体を左右に振るが、それで事態が良くなるわけもない。ユリアナは両脚を締めて彼を固定する。
その動きに合わせて、リリアは彼の陰嚢を口に含んだままモゴモゴと動かし始めた。

「あらあら。ボクちゃんったらイイ反応ねぇ。そうよ、お口を使うならこれぐらいはやらなくっちゃ、ね♡」
「んぶっ!?」
「ふぁりひゃらひゃんもひもひいい?」

ユリアナが笑い、リリアが喋ると、少年の金的に振動が伝わる。それが更なる刺激となり、彼は情けない声を上げてしまった。
彼は今自分がどういう状況にあるのか理解していなかった。ただ、自分の急所が蹂躙されているということだけは分かる。
それは、彼にとって最悪の責めだった。今までの比ではないほどに、少年は恐慌に陥る。
もっとも脆弱な部分に突きつけられる、硬質なエナメル質の感触が。『去勢』は現実の、差し迫った危機であると彼に実感させたからだ。

「ほぉら、ボクちゃん、リリィを見習ってしっかり私も気持ちよくさせてね」
「ぎ、気持ぢよぐっ、なんが、だ、だだだだだだ」
「噓おっしゃい。こんなにおちんちんを硬くさせておいて……」

611名無しさん:2022/01/28(金) 00:04:37 ID:WFz7N8Z60
ユリアナの指が、優雅な仕草で少年の陰茎を根本から先端まで撫で上げた。その瞬間、少年は大きく仰け反る。
その動作でより突き出された少年の股間、陰嚢をリリアは更に深く頬張った。彼女の口の中で、二つの球が形を変える。
舌の上で転がされ、飴玉もかくやと弄ばれる玉。その表面をざらついた舌が這い回り、遊ぶように奥歯に押し付ける。
激痛と恐怖の電気信号が少年の反射回路を焼き切りそうになる。彼の意識が飛びそうになる。

「あ、は、ぁああ、あっ!」
「……ぷはぁ……ん、ちゅるぅううう、じゅるるるるるる、くぽ、ん、れろ、れる、ぴちゃ、はむ、はむ、はむ、はむ」
「あ、あう、ひっ、ぎぃいいいっ!ぎ、ぎぎぎぎぎぎ!!」
「どう?リリィのお手本は?真似できるかしら?」

少年の悲鳴など聞こえていないかのように、ユリアナは自身の女性器を少年の顔面に擦りつける。
真似など出来ようはずもない。少年がたった今頬張られ、弄ばれている部位は、押し付けられたユリアナのソコには存在しないのだ。
だが、だからといって止めるという選択肢はない。リリアの口淫は、どんどん激しくなっていく。まるで玉が砕けてもいいと言わんばかりに。

打つ手なし、だった。八方塞がりで、袋小路。この場から逃れる術はどこにもない。
全てを承知の上で、なのにまるで何も知らない小娘のような無邪気な声。少年は、悪魔のような女にリリアと同等の行為を催促される。
何を真似ろというのか。彼が吸い付いても、少しユリアナが腰を動かせばそれで仕切り直し。口に含むモノが無いソコはすぐに剥がれてしまう。
彼は違う。苦痛に耐えかね腰を動かそうとも、結局リリアの口と股間との間で金玉袋が引き伸ばされるだけ。皮肉にも、自分で自分を痛めつけるだけ。
ユリアナを絶頂させる、それが解放の条件だった。だが、滲む視界に写る彼女は平然とした表情のまま。犬に芸を仕込む表情で彼に無理難題を押し付ける。

ーーー舐める。しゃぶる。吸う。こすりつけられる。吸われる。揉まれる。潰される。引っ張られる。弾かれる。噛まれる。
少年はもう、自分が何をしているのか分からない。ただひたすら、脳裏に浮かぶ単語を繰り返すだけの人形。
陸に打ち上げられた魚のように跳ね回っていた身体は、いつしか死にかけの羽虫のように微かな痙攣を繰り返すだけになっていた。
リリアの口の中が熱い。舌が震える、歯に触れるたびに電流を流されたような衝撃が走る。喉の奥で玉が動くたび、激痛と吐き気が襲ってくる。

少年の反骨心はとうの昔に消え去っている。顔は既に涙や鼻水といった液体まみれ、それらはユリアナの体液と混ざり顎先から滴り落ちていた。
女が二人、棘皮動物の捕食行為を思わせる動きで、少年の存在を蹂躙していく。淫靡で背徳的、しかしどこか神聖な儀式を連想させる光景だった。
少年は今、神の御前にいた。神罰の代行者たる天使に弄ばれる贄であった。
彼の身体がビクビクと痙攣する。限界が近いことを悟ると、ユリアナは少年の腹の上に跨がりなおし、慈愛の表情で彼を見下ろした。
その眼差しは、まるで我が子に向けるかのようで。少年の全身が総毛立つ。

「さて、とーーー」
「ぐ、ぐぎぎぎ、うぎぎぎぃ」
「残念だけど、時間切れ。ボクちゃん、タマタマちゃんとバイバイする時間はどれぐらい欲しい?」
「ひぎっ、ぎ、ぎ、ぎぎぎぎぎぎ」
「ふぁれ、ほうほんはひはんへひにはっひゃいはひはは」

少年は、答えない。答えることが出来ない。激痛が思考を焼いている。
ユリアナは彼の顔を両手で包み、彼の心を一片たりとも残さず掬い取らんとばかりにその瞳を見つめはじめた。
そうして、たっぷり五分以上かけてようやく少年を解放する決心がつくと、彼女はゆっくりと口を開いた。

「今後の心配はしなくていいわ。ボクちゃんたちには、これからココで働いてもらうつもり。そうして、社会性を学んでもらうの」
「……ぁ、ぁ……」
「ボクちゃんたちみたいに、タマタマ無い子も結構働いているのよ?女の子だからってわけじゃなく、ソレもがれちゃった子」
「あが、あがが、あががががが」
「大抵は奴隷……戦争に負けちゃったとか、生まれた時に取られたとか、そんな感じの子。仲良くしてあげてね?みんな良い子だから」
「あぎ、ぎぎぎ、ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぃいいいっ!!」

612名無しさん:2022/01/28(金) 00:06:21 ID:WFz7N8Z60
リリアの舌先が玉の表面を撫で上げた。痛みに仰け反ろうとする少年の頭をユリアナが強く押さえつける。
その状態で、今度は歯が食い込むほど強く噛み付いた。少年の顔が一瞬にして絶望に染まる。それは、先程までの責め苦が児戯に思えるほどの激痛。
少年の意識が飛びそうになる。視界が真っ白になる。全身が麻痺する。

「それじゃ、取っちゃおうね。ボクの股間に生ってしまった、悪い果物を『収穫』しちゃおう。そしたら、きっと楽になれるから」

優しく語りかけるユリアナの声が、どこか遠くに聞こえるようだった。
それでも、耳元で囁かれる言葉の意味だけははっきりと理解できてしまう。
少年は最後の力を振り絞り暴れようとするが、やはり無駄な足掻きにしかならない。

リリアの口が再び玉に吸い付くと、彼は無様に悲鳴を上げながら腰を浮かせた。
そして、次の瞬間ーーー。

ブチッ、という音がしたような気がした。ユリアナの耳には届かない、リリアには微かな、つまらない音として。
だが、哀れな少年の体内では。その音は、世界の終末を告げるラッパのように鳴り響いていた。その瞬間、全ての感覚が消え失せ、彼は呆けたような顔を見せる。
ユリアナの顔は、我が子の誕生を祝福する聖母のように穏やかだった。

「ぎ、ぎ、あ、ああああぁあアアァアッ!!アアァアァアあぁあッッ!?あ、あ、あっ、ああぁぁあぁっ!」
「タマタマ、無くなっちゃったね」

少年は絶叫した。最後の力を振り絞るように。それは断末魔か、それとも悲鳴なのか。どちらにせよ、この世に生を受けて以来最大であろう叫び声だった。
睾丸が潰された痛みが少年の身体中を駆け巡る。内臓を巡る血液が冷たく沸騰しているかと思うほどの熱と悪寒が襲いかかってくる。
脳みその中では、バチバチと火花が散っている。今にも爆発してしまいそうだ。少年は絶叫しながら、身体を弓なりに反らして痙攣を繰り返した。
もはや声すらまともに出せない。だが、誰彼となく謝罪の言葉を叫び続ける。必死に祈る
ごめんなさい、許してください。もうしません。何でもしますから。お願いです、助けて。誰か、誰でもいい、この苦しみから逃れられるのなら。
誰に許しを乞えばいい?
故郷で、暇潰しに犯していた妹へか。出奔するとき、餞別代わりに火を放った教会へか。施しを貰ったついでに、命と財産まで毟り取った名も知らぬ男へか。
しかし、その願いは天に届くことはない。何故ならば……単純だ。もう、手遅れ。
自身の根幹をなす、存在理由にも等しいものが失われたと直感する。喪失感はやがて諦念へと変わり、少年の精神を蝕んでいく。
心が折れた時こそ、終わりの始まり。少年は、自分がどこに向かっているのか分からぬまま、ただ涙を流して謝り続けた。

「うわぁ、痛そうねぇ」
「女には分からない痛みってよく言われますけど、実際どれくらい痛いんでしょうねぇ?」
「タマタマ無いと味わえない苦痛だし、私たちは一生経験できないから確かめようがないわよね。同情ぐらいはしてあげましょう?」
「でも、良かったですねぇ。この子はもう二度とこの苦しみを味わうことはないんですから」
「まぁ、もう無いものねぇ」

リリアとユリアナは、まるで世間話のような気軽さで会話を交わす。
興味津々といった体で、二人は潰れた肉袋を見つめていた。彼女たちには永劫実感できないが、男にとってその二つの器官は命よりも大切なものだ。
それを無慈悲に奪い去る行為が、どれほどの絶望を与えるかを彼女たちは少年の反応から察するしかない。
二人共、下半身に何も纏っていない。剥き出しの股間には元から睾丸などぶら下がっておらず、つるりと綺麗な割れ目が見えるだけだ。
だが、彼女達は自らの肉体に何一つ恥じるところはないと思っている。それが当たり前であるように。
そして、そんな彼女達だからこそ、少年の精神の、肉体の痛みは想像することすらできなかった。
彼女たちに出来ることは、せいぜいが少年を慰めることだけだろう。それも、その程度では何の意味も為さないのだが。
リリアは優しく微笑むと、ゆっくりと少年の頭を撫で始めた。友愛に満ちた表情を浮かべながら、何度も何度も彼の髪を指先で弄ぶ。

613名無しさん:2022/01/28(金) 00:07:34 ID:WFz7N8Z60
「潰し甲斐もない小さなキンタマでしたから、無くなったトコロでこれまでと変わりありませんよ」
「〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!〜〜ッ!〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!タ、タマがッ!〜〜〜〜ッ!」

少年は、答えない。答える余裕が無いのだ。死んだように硬直し、時折思い出したかのように大きく跳ねる。痙攣する。
それでも、リリアは構わず語りかけていく。彼が自分の言葉を理解するまで。否、理解してもなお、彼女は彼に話しかけるのを止めなかった。

「落ち着いてください。もう、キミはタマタマ痛くなんてないはずですよね。それでも痛いんですか?」
「タマタマ自体、ボクちゃんにはもう付いてないのよ。取られちゃった、抜かれちゃった、潰されちゃったの。ねぇ、何が痛いの?」
「…………ッ!……ッ!?︎……」
「落ち着いてください。もう、キミはタマタマ痛くなんてないはずですよね。それでも痛いんですか?」
「タマタマ自体、ボクちゃんにはもう付いてないのよ。取られちゃった、抜かれちゃった、潰されちゃったの。ねぇ、何が痛いの?」
「…………ッ!……ッ!?︎……」
「「だから、言ってごらん?お姉さん達に教えてちょうだい?」」

少年の顔中に汗が浮かぶ。その目は焦点が合っておらず、口の端からは泡を吹き出している。
それでもリリアは優しく問いかけ続ける。ユリアナも、笑顔を絶やさずに。
どうしようもない苦しみと喪失感、恐怖、絶望、悲しみ、痛み、後悔、恨み、そして敗北感。
股間に地獄と直結した穴が開き、そこからこの世のありとあらゆる負の感情がここを先途とばかりに流れ込んでくる。

彼の意識は、津波のように襲い来る激情によって押し流されていた。
「あ、あ、あ……あぁあ……ああぁああああああっ!!」
だから、少年は絶叫を上げた。
絶叫を上げることでしか、彼はこの痛みを表現する術を持たなかった。それ故に、少年は叫び続ける。
彼が耐えきれず昏倒するまで、リリアとユリアナは満足げにその様子を眺め、空虚な励ましを投げかけ続けていた。

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614名無しさん:2022/01/28(金) 00:08:42 ID:WFz7N8Z60
砂漠の端。オアシスの畔にへばり付くように広がった商業都市。
交易の中継地点として栄えており、この大陸でも随一の規模の街である。当然、歓楽街も相応の規模を誇る。
男と女の声、活気に溢れた喧騒と山海の珍品珍味が溢れた市場。それがこの街の表の顔。
そして、光が強ければ当然影だって深い。種々雑多な無法者、相応の乱暴者、後ろ暗いならず者。
金、名誉、異性。様々な欲望が渦巻き、日々新たな犯罪が生まれ続ける闇の一角だってある。

『収穫祭』と看板がかけられた御殿の一角。ヒトの欲望が交差するその店に、二人の男が金を求めて押し入った。
そして、彼らは。自身の欲望に喰われ、己が『金』を失う羽目になった。言ってしまえば、ただそれだけの話。

その後の男たちの消息は分からない。店に馴染んだのか、それとも精神の均衡を欠いたか。はたまた、路地裏でのたれ死んだか。
リリアとユリアナ、二人は彼らに対する手助けを惜しまないだろう。だが、自分たちを去勢した女たちに哀れまれる人生に彼らは耐えられたのか。確かなことは誰も知らない。

ただ、あの日の翌日。娼館の裏、真新しい墓標に小さな2対の肉塊が供えられていたことだけは確かだった。
<おしまい>

615名無しさん:2022/01/28(金) 00:11:25 ID:WFz7N8Z60
>>577
もっと書き込んでいいとのことなので、もっと書いてみました。
どんな感じですかね?

616名無しさん:2022/01/28(金) 00:14:44 ID:dKJ7koUE0
>>615
凄い…
圧倒的性差の詳密な描写に、文学性すら感じます。
これだけの構想と設定は自分には持てない…脱帽です。

617名無しさん:2022/01/29(土) 14:35:40 ID:3E225uwY0
お話しに起承転結があるのがいい
きちんと完結までいくのはありがたい
ちなみにこれもAI活用したんですか?

618名無しさん:2022/01/29(土) 16:25:31 ID:xf6QbCE60
《タマ狩り》

私は隙を見ては、男子たちの股間を蹴るようになった。
もちろん、ちゃんと手加減して。本気で蹴ると死んじゃうかもしれないから。
でも、軽く蹴っただけでも男子は大抵戦闘不能になっちゃうの。女には信じられないくらい脆い急所なのね。まぁ、それはともかくとして……。
なんだろうこの気持ちは。今まではただのクラスメイトでしかなかった男の子たちが、何というか、男らしく見えてくるようになったっていうのかしら。
それまではあまり気にならなかった男子たちの姿態が妙に色っぽく見えるようになってきたの。私の目には男子がみんなカッコよく映るようになってきた。
「ねぇ、○○君ってさぁ、結構筋肉質だよねぇ。何かやってんのぉ?」
「△△君のお尻の形ってセクシーかも〜」
などと、男子に対して興味を持つようになってきてしまったのだ。
そして男子に声をかけて気を引き、誘惑して呼び出したところでいきなり金的蹴りをお見舞いするのが私の密かな楽しみとなった。
筋骨隆々のたくましい男子が、私のようなか弱い女に急所を一蹴りされて情けなく蹲って体を震わせるのを見ると、体の中心がジュンとして熱くなるのが感じられた。そして私自身も興奮してくる。
最初は恐る恐るだったけれど、だんだん慣れてきて、今では躊躇無く蹴り上げることが出来るようになってしまった。

619名無しさん:2022/01/29(土) 16:26:21 ID:xf6QbCE60
そして今日も私は金玉を狩る。クラスで威張ってるいじめっ子のアイツを人気のないところに呼び出すと、いつものように股間に渾身の力を込めて、蹴り上げた! キーン!!!「△□%$#▲!」
アイツは悶絶して床に転げ回った。
私はすかさず追い打ちをかける。金的は何度も攻撃すればするほど効果があがるらしいからだ。
そして今度は足の裏で、踏みつけた。
「うわ〜、やめろよ!」
男子の一人が叫んだ。それをきっかけに他の男子たちも騒ぎ出した。
「おい、やめてやれよ」「お前、やり過ぎだってば」
「そうだぞ。可哀想だろ」
え? どうして? 私は股間を蹴られたくらいでこんなに苦しまないよ?それに、コイツは毎日、クラスの女の子たちをいじめてるじゃない。そんなヤツを助ける義理なんか無いじゃない。
「ほら、立てよ」
男子が助け起こそうとしたけど、アイツは起き上がれないみたいだ。
「もうダメだ。歩けない」
どうやら猛烈な痛みと痺れで動けないらしい。ふふ、男って本当に不便ね。
股間にぶら下がってるあんな小さなタマタマを蹴り上げられただけで、動けなくなっちゃうなんて。
「私は股間蹴られたくらいでそんな痛がらないわよ」
と言い放って、急所のない股間を自慢げに見せつけてみた。すると男子たちは羨望の眼差しで私の股間を見つめ出した。
「そりゃそうだろうな。女には金玉なんて弱点無いもんなぁ」
「女には金玉は付いてないからな。金玉蹴り上げられた痛みは男にしか分からない激痛だぜ」男子たちが口々に言う。
その通り。女には金玉は無いの。だから、こんなに無慈悲に蹴り上げられるのよね。
そして、女には、金玉を蹴り上げられた苦しみは一生わからないの。だって、金玉という急所が無いんだもの。男だけが味わえる苦痛。それを今、たっぷりと教えてあげるね。
私はまた、思い切り蹴り上げてやった。
キーン!!!
「◎★*☆◆※○!!」
アイツは再び悶絶した。ちなみに、周りで見ていた男子連中も皆内股になったのは笑えたわ。「あー、スッキリしたぁ」
私はすっかりご満悦になった。そして、次のターゲットを見つけた。

620名無しさん:2022/01/29(土) 16:26:56 ID:xf6QbCE60
テニス部キャプテンのタカシ君。タカシ君はクラスで一番背が高いし、スポーツマンだし、何より、ズボンの上からでもはっきりした膨らみが見て取れた。あれは「大物」ね。早速声をかけてみる。
「ねぇねぇ、タカシ君ってさ、結構鍛えてたりする?」
「うん、まぁ、それなりにね。部活で毎日ラケット振ってるからさ」
やっぱり。思った通りの答えだった。
そこで、私はラケットを使った金的攻撃を思いついた。放課後の体育館に二人きりになり、私がサーブを打つ。そして、ラリーの中でネット際まで来たところで、いきなり金的を狙う。
ボールが飛んでくると思って足を開き踏ん張って構えていたところに、いきなり下から強烈な一撃を食らうのだ。
「うっ……」
タカシ君が堪えきれず膝をついて股間を抑える。「ごめん、空振りしちゃって。大丈夫?」慌てたふりをして駆け寄る私。
「だ、大丈夫……」
「全然大丈夫そうに見えないけど……もしかして、アソコ打っちゃった?」
わざとらしく心配しながら、会話を誘導する。
「いや、かすっただけだから大丈夫だよ。それよりさっきのスイング凄かったね。経験者なの?」
「男の急所」から話題を変えようと必死になるタカシ君の顔は真っ赤になっていた。男って女の子の前で急所を打たれるのがそんなに恥ずかしいのかしら。それだったら、そんなに脆い急所をぶら下げてる時点で十分恥ずかしいと思うんだけど。
「一応ね。小学校のときちょっとだけ習ってたよ。中学に入ってからは、やってないけど」
私はとりあえず適当に話を合わせた。
「ところで、タカシ君全然動けないじゃない。もしかして、アソコ潰れたりしてない?やっぱり心配だわ。ちょっと見せて」
私は、タカシ君のタマタマを触ってみたいという気持ちでいっぱいだった。だって、急所を蹴られる痛みを知らない女には、想像できない痛みなんですもの。
「え? いいよ別に。大したことないってば」
顔を赤くしたままタカシ君は抵抗した。だけど、タマタマをしたたかに打たれた男子は普段の半分の力も出なくなることを私は知っていた。私は強引に彼の手をどかし、とりあえずジャージの上からその膨らみを確認してみた。
お、大きい…
予想以上に大きかった。これは相当なモノを持っているに違いないわ。

621名無しさん:2022/01/29(土) 16:27:41 ID:xf6QbCE60
今度は直接触れて確認したい衝動に駆られたので、ジャージに手をかけた。
「おい!やめろよ!」
さすがにこれには彼も怒ったようだった。でも私はひるまない。
「潰れてたら大変でしょ。だから私が確認してあげるの。大事な大事なタマタマを自分で守れずに、か弱い女の子に打たれちゃうタカシ君は黙ってて」
男子が絶対守らなければならない最大の急所を女子にあっさり打ち抜かれて屈した事実を指摘すると、タカシ君は顔を真っ赤にして黙ってしまった。そしてついに私は直にタカシ君のタマタマに触れた。ふふ、どうせなら思いっきり握ってあげたいところだけど、そこは我慢して優しく揉んであげた。
「あぁっ」とタカシ君は声を上げたけど、私は構わず続けた。
確かに、潰れてはいないようだ。よかった。そして予想以上に彼のソレは大きかった。
ちょっとばかりはしたない妄想をしてしまったけど、それを振り払って、大ぶりなタマタマを指でコリコリとしてみた。
指がタマタマの裏側に引っ掛かったとき、彼がキュッと身をよじった。
なるほど、ここが噂の副睾丸ってやつなのね。タマタマの中でも特に痛覚神経が集中しているという、男の急所中の急所。

622名無しさん:2022/01/29(土) 16:28:17 ID:xf6QbCE60
私は一通りタマタマチェックを終えた。正直目から鱗だった。
特に男性のタマタマが袋の中で緩く動くようになっていることは初めて分かった。
私の先輩の金的マスター(?)の女性が、金的蹴りは強さよりも早さ、エネルギーの全てをスピードに変えて下から跳ね上げるのが一番効果的と力説していたのが理解できたわ。
強くても遅い蹴りだと、タマタマがインパクトの後逃げちゃうのね。逆に素早く蹴り上げればタマタマを逃がさず相手の恥骨との間に挟んで大きなダメージを与えられる。
男の体の秘密を知って、金的蹴りのスキルが更に一段上がったような気持ちがした。「あーもうっ!お前、調子に乗りすぎだって!」
ようやく我に返ったタカシ君が叫んだ。怒り心頭といった感じ。そりゃそうよね。彼は急所を散々いたぶられて、今にも爆発しそうな状態なんだから。そんな彼の股間を私は容赦なく平手で下から叩き上げる。女なら何てことのない一叩き。でも、急所を無防備にぶら下げている男にとっては一大事。パンっと乾いた音がして、タカシ君が「うっ」とうめきながらうずくまった。そして、そのまま動かなくなった。「ごめんね、タカシ君」私はそう言い残し、その場を去った。後日わかったことだけど、タカシ君は私のことをずっと好きだったらしい。でも、私はか弱い女の子相手に自分の大事な急所すら守り切れないような男の子は願い下げ。結局あの後、タカシ君とは疎遠になった。今頃誰かと幸せに過ごしてるかな。それとも、Mに目覚めちゃっていたりして…そう、今これを読んでいるあなたのように。

623名無しさん:2022/01/29(土) 16:29:40 ID:xf6QbCE60
以上です。
スケールとしてはだいぶ小さい作品ですが、とりあえず投下してみました。

624名無しさん:2022/01/29(土) 19:57:18 ID:xhrRDfqA0
>>618
すごい良かったです。だんだんと性差に目覚めつつある感じが最高
投下ラッシュて感じでマジありがたい

625名無しさん:2022/01/31(月) 09:07:01 ID:sc5puo0U0
>>623 
女子は平気だが、致命的急所(玉)のある男は悶絶という、性差表現が最高です
スケール小さいとかとんでもない、凄く贅沢な作品でした
気のむくまままに、今後とも書いてください。ありがとう

626名無しさん:2022/01/31(月) 14:53:55 ID:W2f4f8WE0
同じタマ責め性差系でも>>615の人と>>623の人で全然カラーが違ってて面白いね
長編ストーリー仕立てもいいし淡々としたレポート形式も他人事感が際立っていい

627名無しさん:2022/02/03(木) 13:16:44 ID:waIVP8R20
>>615
相変わらず最高です。
被害者側が男と女っていう場合の性差描写も見てみたいです。

628名無しさん:2022/02/06(日) 02:09:15 ID:O1Bgm2hM0
最高でした。活気があるのは嬉しいです

629名無しさん:2022/02/06(日) 16:18:49 ID:d4IU9.SA0
>>582
良作に埋もれる形になった信じがたいほど羨ましい書き込みが……
ここの板的に真面目な体験談もオッケーだったら、自分はこういうの結構萌えるから詳細書いてほしい
玉攻め好きの女性の心理も普通に気になるしSSの参考になりそう?
(釣りかどうかは、さておき)

630629:2022/02/06(日) 16:20:32 ID:d4IU9.SA0
アンカーミスった
>>585です

631名無しさん:2022/02/11(金) 13:09:24 ID:4KGyUkMo0
>>629
実話だし詳細っていっても書いてあることまんまだよ
最初は楽しんでたけど手コキやフェラの技術が上がったしビンタとデコピンも弱点狙われるようになったりできつくなってきた
ドMからしたら羨ましいんだろうけど俺はそこまでMじゃないからなぁ今は15分を13分にしてくれないかって必死に交渉してる
SSの題材に使ってももちろんいいよ

632名無しさん:2022/02/12(土) 04:47:54 ID:Er1ErN7A0
>>629
というか、性癖無いのに金的・掲示板だけじゃ検索かからないここに辿り着いた導線が気になる
彼女からの紹介なら興奮するよね
(性癖のSS掲示板を紹介する趣味の人がいるかはさておき)

633名無しさん:2022/02/12(土) 08:19:47 ID:pogMAi4s0
体験談的なの書きたかったけどまともに書けそうな場所がここくらいしか見つからなかったんだよね

634名無しさん:2022/02/13(日) 10:54:26 ID:CiWe3QKQ0
この界隈でまともに書き込める所ここくらいしかないから正解

635名無しさん:2022/02/19(土) 02:39:19 ID:1eEndjbo0
ボイロにフラれて金蹴りされる動画かなりよかった
ニコ動でうっかり流行らねえかな

636名無しさん:2022/02/20(日) 22:30:09 ID:6MD7ScYE0
現代日本でいえば、そこはグラウンドと呼ぶのが実体に即しているだろうか。
小石一つなく綺麗に整地された大地の上、一人の少年と一人の女性が薄布一枚を纏って対峙していた。

少年の名はルード。青髪碧眼、年齢は14〜15程度か。適度に手足が伸び、男女の体格差が如実に顕れてくる年頃だ。
だが、彼はかなり小柄で身体に筋肉もついておらず、また少女と見紛うほどの優しげな顔をしておりとても闘える姿には見えない。
彼と相対するのはトモエ。彼女は20代半ば過ぎだろうか、伸び切った肢体に健康的な筋肉を纏わせた美女。慎ましげな空気を帯びつつも、構えに一分の隙もない。
ルードは生徒。トモエは教師。彼らは今、模擬戦という形で格闘の教練を行っていた。

ガヤガヤと外野がざわめく。年の頃はルードと似通った二十人弱の女生徒……全て女性だ……が二人を食い入るように眺めては好き勝手に騒いでいる。

「その構えだと碌に動けなくないですか?」

特異な体制のルードに対し、不思議そうな口調でトモエが問う。彼の下半身は内股、いわゆる三戦に近い構え。
だが、上半身は前屈み、両手は股間を押さえて腰を引いた形で師と向かい合っている。率直にいってしまえば、金的を蹴られたあとに似た体勢。

なにか考えがあるのかしら、キンタマ蹴られるのが怖いんじゃない、期待や哀れみの声と共に外野がざわめく。
ルードは半身、すでに青白い顔をトモエに向けているところから、おそらく後者が実態に即しているのだろう。誰からとなく、失笑と同情の笑い声。
この場で、金的を恐れなければならないのは彼だけだ。相対する師も、見学している級友も、ソコは打つ場所であって打たれる場所ではない。

「この前も教えたハズですけど、守るだけでは勝てませんよ?むしろーーー」

と。ペタペタと無造作な歩法でトモエが間合いを詰める。ルードの射程距離に入る直前に小さく構え、一息。
彼が迎撃体制に入ろうとしないのを見て取ると、ため息を吐きながらさらに一歩踏み出す。大胆な行動に外野が息を呑むがトモエは涼しい顔だ。
それもそのハズ、彼女から見れば教え子、ルードははじまる前から詰んだ状況にあった。今の彼の体勢は、何の行動にも移れない後ろ向きの極地。
彼がそこからどんな行動に出ようとしても、まず身体を開かなければならない。一瞬と呼ぶにはあまりに長過ぎるスキが生じる。
そして、それだけの時間が与えられれば、トモエは確実に教え子の股間を蹴り上げられるという確信があった。

(この前の授業、間違って理解してしまったのね……訂正してあげないと)

トモエはある程度彼の考えが理解できた。前回の指南で、『勝つべからざるは守なり、勝つべきは攻なり』と教えたつもりだった。
だが、その教示を元に攻めてきたルードがあまりに稚拙だったため、教育的指導として彼の『致命的』な部分を強かに蹴り上げ、反省を促したのだ。
彼女としては、技巧が未熟であるということを『痛感』(実際、金的の痛みはトモエには分からないが)してもらうための愛の鞭だったのだが。
ルードは、彼女の言葉を『兵は詭道なり』と、つまり彼の金的を攻めやすくするために投げかけた偽りの教導だと捉えたのだろう。
ならば、この状況は自分に責任がある。そう理解したトモエは両腕を伸ばす。股間を護るルードの両腕に力が込もる。

「その格好は、相手に好き放題攻めるだけの時間を与えてしまいます。別に、このままお顔を打ってのノックアウトでもいいんですけれど」

穏やかな語り口のまま、彼女はルードの両肘を掴む。肘頭と、その内側の丸い骨との間の凹み、小海と呼ばれるツボに親指を押し込んで刺激。
両腕が痺れ、脱力した現実に愕然とする暇も余裕も与えず、円の軌道でトモエの両腕をルードの両腕の内側に差し込む。たやすく股間のガードを弾き飛ばす。

「これ、『金的』をやられたくないからの構えなんですよね。それじゃ、防御しても無駄ってコトを学びましょうね」

流れるように持ち上げられた右脚が、杭打ちの要領でルードの閉じた両脚の間に差し込まれる。彼の背骨の付け根から全身に危機感が迸る。
本能的に、ルードは両膝を絞った。膝に加速に足る距離を稼がせないための反射的な動作。彼女の膝蹴りを凌いだと誤認した彼は一瞬安心した表情をみせる。
だが師であるトモエには『男』の反応は見透かされているようだった。

「では、行きますね。はい、『金』」
「………!?」

637名無しさん:2022/02/20(日) 22:31:06 ID:6MD7ScYE0
ゆっくりと持ち上げられた膝。それが、ルードの睾丸を愛撫するかの如き滑らかさで持ち上げる。師の膝の感触を急所で感じとるだけで、恐怖がルードを満たす。
もちろん、勢いもない膝が金的に触れただけでは、いかに『男の弱点』とはいえ碌なダメージは無い。だが、トモエの動きはそれだけで終わりではなかった。

ぐい、と。彼女は脚でルードの身体を持ち上げる。驚異的な繊細さで、膝に乗せた睾丸はそのままの状態。
当然ながら、恥骨とトモエの膝で挟まれた二つの球体はルードの全体重を一身で支えることになり、ゴリゴリ、と絶叫を上げて変形。
持ち主、ルードに対して師には絶対に理解できない激痛を存分に訴えると、ずるり、流れるように圧迫から逃れる。

「………ッ!?〜〜〜ッ!!?」
(こんなのでも辛いんですね……少し気の毒ですけど。タマタマぶら下げている以上、仕方がないですよね)

膝蹴り、打撃というよりは圧迫に近い行為。ルードの顔から血の気が引く。痺れとも痛みともつかぬ感覚が睾丸からまるで波紋のように広がっていくのが分かる。
この責めは、ルードにとって耐え難い苦痛であった。しかも、まだトモエの指導は終わらない。滑らかな動きで教え子の臀部を掴むと、ソコと太腿の境目を押し込む。

「これは環跳というツボです。股関節回りの血流によく効くのですけど、強く押すと脚が痺れてしまいます」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!?」

ルードは師の言葉を咀嚼する余裕もない。生理的反射で、両脚をピンと伸ばし股間を突き出す形になる。恐慌に背を押され、慌てて両手でカバーしようとするも。

「ダメです。金的を打たれると、全身から力が抜けてしまう……女の先生より、男のルードくんの方がよくご存知ですよね?」

軽々と掴まれ、そのまま片手で両手首を固定されてしまう。無駄に藻掻く彼に、円運動で外せと教えたはずなのに、そうトモエは肩を落とす。
とはいえ、今は勝負の最中だ。あとでゆっくりと説教するとして、この場は彼の身体に教訓を刻みつけることを優先しよう。結論づけた彼女の片腕が伸びる。

「まだ行きますよ?もう一回、『金』」
「ハウゥッ!!?」

手を猫のソレに見立てた形で、ルードの股間から睾丸を掻き出すようにトモエの右手が閃く。再びルードの悲鳴が上がる。
今度は先ほどよりも強い衝撃だったのか、股間を押さえて前のめりに倒れそうになる。目は硬く閉じられ、唇は真一文字に引き結ばれていた。
自分には無縁の苦痛、だが教え子が為す術なく悶絶している姿を見ると、トモエも悲しくなってしまう。とはいえ、まだ教育の途中だ。

倒れ行くルードの身体を支点に、トモエがくるりと位置を入れ替える。ルードは無意識のうちに両手で地面をたたき、顔面を大地に打ち付けるのを防ぐ。
だが、それだけ。そのまま横にでも転がって追撃を避けねばならないと教えたはずなのに、彼は股間の痛みに夢中でそんなことも忘れてしまっているようだった。

「それじゃ、トドメです。歯を食いしばってくださいね?『金』」

もちろん、その体勢だとルードの股間は背面へ無防備に晒されることになる。高く上げられた腰、開かれた両脚の中央で女には無い急所が誘っている。
トモエは、彼のキンタマをサッカーボールに見立てて試合を決定づけるシュートを放つかのように振りかぶる。
そして――ずむんっ!! と、音がしてルードの下半身が跳ね上がる。鍛えようのない場所への容赦のない一撃だった。ルードは声にならない叫びを上げる。

トモエの手加減のおかげで、本当に失神するような事態には陥らなかった。だが、それは決して幸運なコトではなかった。
白目を剥き、泡を吹いて仰向けに倒れるルード。意識があるにも関わらず、小刻みに痙攣しながら不規則な呼吸を繰り返している。
その姿をじっと見つめるトモエ。ルードの全身を舐めるような視線で観察すると、静かにため息をつく。

(うーん……ちょっと、やり過ぎましたかね……?自分には無い急所ですから、お灸の加減が分からないんですよね……)

この後のお説教はどうしましょう、そう思い悩むトモエを他所に、観衆でもあった女生徒たちからワッと歓声があがる。

638名無しさん:2022/02/20(日) 22:32:07 ID:6MD7ScYE0
「すごーい!せんせー、つよーい!」
「ルード君のアレ、いつ見ても悲惨ねぇ……」
「どんな風に痛いんだろ?アタシも一回ぐらいやられてみたいなぁ」
「女の子には無理だよぉ。だって、タマタマみたいな脆いモノ無いじゃん」

好き勝手なことを言いながら、倒れたルードを見下ろしている彼女たち。好奇の目に晒されながら、しかし、ルードは満足に動くことも出来ない。
トモエは、彼が説諭を受けられる状態ではないコトを女性なりに悟ったらしく、軽く肩をすくめてルードから視線を外す。
と、観衆から一人の快活そうな少女が歩み寄ってくるのを視界に捉えた。蜜柑色の髪に翠の眼、確かルードのルームメイトを務めてもらっている女生徒だ。
名前は……えっと……そう、ポーラさんです。トモエは自分も興奮していたことを自覚し、自省。生徒の名前を一瞬でも忘れるなんて、教師にあるまじき失態だ。

「せんせーっ!さっきの動き、アタシにはよく分からなかったです!説明して貰ってもいいですか?」
「そんなコト言われても、ルード君……貴女のお友達はあんな状態ですからね。貴女が代わりに受けてみますか?」
「よろこんでッ!」

トモエの言葉に即答するポーラに、流石に苦笑するしかないトモエ。ルードも災難だが、彼女もなかなか難儀な性格をしている。
好奇心が旺盛で積極的、それでいて自分の感情を素直に伝えることができる。とてもいい子なのだけど……。
とはいえ、未だにルードは股間を押さえてウンウン唸ったままだ。授業を中断するのも気が差すとトモエはポーラを自分の正面に相対させる。

「まず、最初。金的を庇って内股になってください」
「せんせー、アタシ、金的無いですっ!」

トモエの指示に元気よく反論するポーラ。トモエは小さく肩を震わせ、思わず笑いそうになるのを堪える。
キョトンとした顔で見上げる彼女に、トモエはなるべく優しく微笑んでみせる。

「気分だけでも真似しましょう。両脚の付け根を両手で押さえて、両膝を絞って内股の格好をしてみてください?」
「あ、コレだけでなんか追い込まれた気分になっちゃいますね。不思議〜」

トモエの説明に納得したのか。ポーラは両手で股間を押さえると両膝を絞り込むようにして身を屈めた。
素直な反応に気を良くしながら、今回は皆に見えるようにゆっくりと彼女の両肘を掴むと、口頭で説明しつつ人体共通のツボを突く。

「あ、さっきのヒジ電気だったんですねっ。なんか痺れた感じがします」
「そうですね。普通に生活してても、ソコをぶつけて力が抜けてしまう経験をした方も多いでしょう」
「妙に簡単にタマタマガード外しちゃったなって思ってたけど、こうなってたんですね」
「その通りです。今、ポーラさんの金的、守りはどうなってますか?」
「お手々は外れちゃいましたけど、まだ両膝は絞ってますから蹴り上げは防げそうですよ?」

トモエは、ポーラの返答を聞いて満足気に首肯すると、そのまま両手を離して実演を続ける。
女性でも股間を強打すればそれなりのダメージは受ける。だが、それは赤ん坊でも大人でも殴られればダメージを受けるという理論と等しい。
ポーラからすれば、勢いをつけて蹴り上げられなければ何の痛手もない急所。だからこそ、何故ルードが突然苦しみだしたのかが分からない。
彼女の疑問が手にとるように読める。何故なら、トモエも女性。百戦錬磨、散々潰して現役を退いた今も『男の急所』はよく分からないというのが正直なところだ。

「ですが、両腕を外されたことでバランスは崩れましたよね。そこで、太腿の間に、こう、体重をかけて脚を差し込みます」
「なら、アタシは蹴り上げられないように脚を絞ります!……あ!この体勢になっちゃうと、男の子はロクに動けなくなるんですね」
「……何故そう思ったんですか?」
「だって、ちょっとでも膝の力を抜いたら『金的』蹴られちゃいますもん!いや、アタシが『男だったら』の話ですけど……これで、王手ってワケだ」
「ふふ、不正解です。『男だったら』もう詰んでいるのですよ」

639名無しさん:2022/02/20(日) 22:32:37 ID:6MD7ScYE0
得意げに解説するポーラに苦笑しながらも、トモエは実演を止めない。ポーラの両太腿に押さえられながらも、ゆるりと差し込んだ脚を持ち上げていく。
体重の軽さゆえに浮き上がりそうなポーラの身体を押さえ、ゆっくり、だが精緻な動きでトモエの膝がポーラの股間に食い込んていく。ポーラは不思議そうな顔。

「ポーラさん、どんな感覚ですか?」
「え?え?自転車に跨ったみたいな感じですけど……なにか変なこと言ってますか?」
「ええ。私たち女性にとってはそうですけど……思い出してください。ルードくんの場合、私達とは少し違うのですよ?」
「……あっ!」

そこで男女の差に気付いたらしい。ポーラはトモエの膝から逃れようと身を捩る。だが抱え込まれた状態から解放されること叶わない。
むしろ、変に動いたことで敏感な箇所が刺激され、思わず艶めかしい声が漏れてしまいそうになるのを必死で抑え込む。

「最初の攻撃は、打撃ではありません、踏みつけや絞め技に近い、圧迫によるものです。膝で彼のキンタマを持ち上げて、恥骨と挟んで圧し潰しました」
「あ、せんせ、ちょっと変な気持ちになっちゃう……」
「ルードくんは男の子なので、痛いだけだったと思います。まぁ、先生も女なので本当のトコロは分かりませんけど」

そのまま持ち上げた脚を下ろすと、ポーラは荒い息で両脚の間を押さえた。ルードとは違い、生殺しを責めるような目でトモエを見やる。
女生徒たちから、今回は同情と失笑、幾分羨望もまじったどよめきを発する。ルードの金的と違い、ポーラの状態は十分自分のコトとして想像できた。
とはいえ、これは辱めるために行っている行為ではない。トモエの動きは淀みなく、間髪入れずにポーラの臀部を鷲掴みにする。女性らしい柔らかさに指が沈み込む。

「あぁっ!?」
「そうして、ルードくんの集中が逸れた隙に、お尻にあるツボを押します。これは一瞬脚の力が抜けてしまうヤツです」
「ひゃう!?」

下腿部に激痛が走り、ポーラがバランスを崩す。崩れ落ちそうになり、両手が虚空で泳ぐ。
ルードは環跳の痛みなど雑音としか思えない『金的』という絶対的な苦痛に包まれていたため認識できなかった。その痛みが無いポーラは思わず顔を歪める。
その隙に、トモエの右手が彼女の股間、三角形の隙間に音もなく差し込まれる。だが、差し込まれた手は何ら行動を起こすこと無く、そのままするりと引き抜かれた。

「はい、一旦ストップです。先生の手の形、よく見てくださいね」

女生徒たちにもよく見えるように右手を翳す。もちろん、ポーラにも。彼女の右手は四指を折りたたまれて猫の手を象っている。
真っ直ぐな板に瘤が出来たような奇妙な手。これが一体何なのか。困惑の表情を浮かべるポーラに対し、トモエは静かに口を開く。

「先程、ポーラさんのお股の間に差し込んだ手の形ですが……この形のまま、そうですね、丁度『女の子』がある位置に押し当てます」
「え?そんなトコ押されても……」
「えぇ、ルードくんには『女の子』は開いてないですけど。ただ、貴女たちにはイメージしやすいでしょう?やってみてください」

ざわついた女生徒たちがトモエの掌を模倣する。何人かは自分の股間にソレを差し込み首をひねる。友達同士なのか、互いの股間に差し込みあった生徒もいた。
トモエはポーラに続けても?と問えば、ポーラはどうぞ、と股間を差し出す。男の子相手だとこうは行きませんね、感心しながら右手をソコに差し込みなおす。
敏感な場所に押し付けられた関節の感触に、ポーラが堪えきれず甘い吐息を漏らした。同性故か気にも留めず、トモエが右手を勢いよく引き抜く。

「準備が出来たら、こうやって『男の子』の急所を掻き出します。まぁ、実戦ではワンテンポで差し込んで直ぐ擦り抜く感じですね」
「あんっ」
「先生は、いつもお鍋の頑固な焦げ付きを削り剥がすつもりでやってます。みなさんは、それぞれ自分が一番やりやすいやり方を見つけて下さいね」

トモエの言葉に、女生徒たちはきゃいきゃいと騒ぎながら試行錯誤を始めた。自分の股間に、あるいは友達の股間に、様々な方法で押し当て、こすりつけ、引き抜く。
言うまでもないコトだが、彼女たちはソコに急所を持たない。だからこそこうして無邪気に遊び興じられるのだ。
トモエはその様子に微笑みつつ、再びポーラに向き合う。彼女は未だに自分の身体に起こったことを理解できていないようだった。

640名無しさん:2022/02/20(日) 22:33:09 ID:6MD7ScYE0
「あの、せんせー、コレだけですか?」
「女性にはイマイチ分かりませんよね?先生もそうです。ですけど、『金的』にはこれだけで十分みたいですよ」
「はぁ。その、男の子って気の毒ですね」
「それは同意します。ですけど、キンタマがぶら下がっている以上、仕方がないコトなんです」

いまいち実感がわかないのか、苦笑気味に問いかけてくるポーラ。さっきまでの艶っぽい声ではなく、普段通りの明るい声色だ。
いつのまにかルードも正気を取り戻していたらしい。信じられないものを見る目で、互いの股間を擦り合う級友たちの姿を眺めている。

(私達には金的の脆さが『信じられない』ですけど。ルードくんは逆なんですねぇ)

内心に同情を押し込めつつ、トモエが蹲ったままの教え子を流し見る。ポーラも哀れみを込めた目でルームメイトの彼を見下ろした。
自分たち女には効かない、あの程度の攻撃で簡単に無力化されてしまう。その口惜しさは如何ほどだろうか。勿論、自分はルードは男性ゆえに仕方がないと理解している。
だが、彼はどうなのだろうか。男性なのだから、金的で敗れるのは恥ずべきことではない、当然のことだと、そう割り切れるものなのだろうか。

詮無いことではある。どう思いを巡らせようと、彼女たちは『女』で、金的を体験することなど不可能なのだから。
トモエは、そのままポーラに四つん這いになるように指示。大人しく彼女が従うと、足先でツンツンと形の良い臀部をつついてみせた。

「金的を二度打たれて、脱力してしまったルードくんはへたり込んでしまいます。その際、次の攻撃を仕掛けやすいように、この体勢に導きます」
「なんか、屈辱的な格好ですね……ここからのトドメはアタシたちでも見えました」
「ええ。この体勢は女でも危険ですからね。普通の試合でこの格好になったら、頭や脇腹を蹴り飛ばされてしまいます」
「うわー、怖!それじゃ、コレに関してだけはルードが男子で良かったのかしら?」
「そうですねぇ。この格好にしてあげたら、あとはタマタマ蹴ってあげるだけで勝負がつきますからねぇ。わざわざ危険な攻撃をしなくても」

そう語りながら、ルードに宥める視線を向けるトモエ。ポーラは同じ高さにある彼の顔に、ひらひらと手を振ってみせる。
男の子で良かったコトもあったみたいだよ、そう気楽な口調で告げる彼女に、ルードは小さく「うるさい」と返すことしか出来なかった。
微笑ましいやり取りを眺めながら、彼がある程度回復したと見込んだトモエも教え子の傍らにしゃがみ込む。タマタマ痛いの治まりました?と優しい口調で訊ねる。

「なんでココばっかり狙うんスか……?」
「えーと、哲学的な質問かしら?先生、そういうのは苦手なんですけれど……ソコに金的があるから、じゃ答えにならないかしら?」
「……何を言って……ぐっ!」

痛みがぶり返してきたのか、顔を顰めるルードにトモエは微笑みかける。そして、ゆっくりと彼の右手をとると、そっと自身の股間に導いた。
指先に感じる柔らかさと暖かさ。指の隙間からは、少し湿り気を帯びた布地と、その奥のコリコリとした突起物の感触。
思わず手を引きそうになるルードを逃がさないよう、しっかりと掴んだ右手。トモエはそのまま優しく、しかし有無を言わさぬ強さを込めて押し込んでいく。

「金的はとても効果的ですから。相手に有るなら狙うべき、それだけですよ」
「先生、俺の手を使って何して……」
「逆に、どうですか?先生のお股に、金的は有りますか?見つけたら、握り潰してしまってもいいですよ?」
「あるわけないじゃないッスか!!」
「……そういうコトです。先生や他の子は、金的が『無い』から狙われないだけ。もし『有ったら』、もちろん積極的に狙われてましたよ」
「そんな理不尽なこと……。ぐぅっ」
「だから、ルードくんはソコの守り方を考えないといけないんです。面倒だとは思いますが、仕方ないんです。男の子なんですから」

トモエの諭す言葉を興味深く聞いていたのはポーラ。茶々を入れるつもりはないのだろうが、気楽な声でルードに話しかけた。

「考えてみれば、せんせもアタシも守り方教えようとしても無理なんだね。だってそんなの学ぶ必要がないんだもの」
「ええ。なので多少痛い思いをさせてでも、ルードくんには自分で防御法を編み出してもらわないといけないんです」
「アンタたち、他人事だと思って……」
「まぁ、実際他人事だしねぇ」

641名無しさん:2022/02/20(日) 22:33:46 ID:6MD7ScYE0
悪びれた様子もなく笑うポーラに、ルードは歯噛みするしかない。彼女への苛立ちは募るが、反論の言葉は浮かんではこなかった。
トモエもルードの気持ちは察しているのだろう。彼を不憫に思うような表情を浮かべつつも厳しい声で叱咤する。

「それで、さっきのは何ですか!前回、キンタマ守ってばかりだと勝てませんよって教えたばかりですよね?」
「そんなコト言いながら、この前は思いっきりオレのタマキン蹴り上げたじゃないっスか……防御が甘い!とか言って」
「あれは言葉通り防御が甘いってだけです!きちんと守りながら、自分のペースは保たないと。勝てる試合も落としちゃいますよ!?」
「先生はキンタマ蹴られるかもって恐ろしさを知らないから……」
「逆です!先生は、きちんとルードくんのタマタマが潰れない程度に加減していますから。安心して試行錯誤していいんです」
「安心って……」

トモエの物騒な台詞に、ルードはげんなりした顔で呟く。目敏く彼が纏う空気の変化を察知したトモエが、無言で腕を伸ばす。
ルードの意識の虚を突き、押さえたままだった左手の下に滑り込むように突き入れられた彼女の手は、障害などなにも無かったかのように容易く彼の陰嚢を掴んだ。

「潰そうと思えば、いつだってルードくんのタマタマなんて潰せます。これは本当です。……試しましょうか?」
「やめてください!本当にやめて!冗談じゃ済まないんスから!」
「まだ潰されていないというコトは、先生にそのつもりが無いってコトです。分かってくれましたか?」
「分かりました分かったんで早く離して下さいホントにヤバいんスよマジで痛いんですコレ!!」

悲鳴のような叫び声を上げるルード。必死の形相で懇願されれば流石に手を放さざるを得ない。渋々とといった様子で手を引けば、彼は安堵のため息を漏らした。
いつのまにか集まってきていたギャラリーから同情の視線を集めているのを認識し、ルードは情けなく顔を伏せる。
トモエは説教モードから空気を切り替えると、小さく縮こまってしまったルードを立たせる。そっと耳打ち。

「……ちなみに、先生がキンタマ潰しますって宣言したらいくら抵抗しても無駄ですからね。男らしくタマタマ諦めてくださいね♡」
「ひぃっ!」
「それじゃあ、皆さん。模擬戦を続けましょうか」

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ここは、いわゆるコロッセウム。年端のいかない少年少女たちが集められ、観客の前で研鑽の結果を披露し日々の生計を立てる場所。
ルードがここに居るのは、もちろん訓練のためだ。だが、悲しいかな。天は二物を与えずとはこの事か、容姿は優れていても彼には格闘の才能が悲しいほどに無かった。
ここで披露される試合は殺し合いではない。徒手空拳で、ほぼショービジネスとして成立している。だから、糊口を凌ぐには、どうしても結果が求められる。

結果として。彼はその容姿を惜しいと思った興行主によって特例として女子側のクラスに送られ、そこで日々の訓練に明け暮れることとなっていた。
女子に混じれば、彼の筋肉は特段劣っているものではない。もちろん、図抜けて優れているわけでもないのは確かだが……。
何かしら光る才覚が示せれば、また男子部に返り咲くことが出来る。それが叶わなければ、この生活は一生続くことになるだろう。
その不安が、ルードの心に焦燥感を生み、更に彼の心身を苛む悪循環を生み出していた。更に性質の悪いことに、そんな彼を揶揄する男子部の先達もいるらしい。

トモエは彼の指導教官。当初、ルードを紹介された際は、ソコまでこのコロッセウムに執着する必要もないでしょうと閉口したものだ。
だが、彼が天涯孤独でココを追い出されたら日々の活計にも困るということ。そして、まだ男子部を見返すという目的を捨てていないこと。
そして、彼が加わってから自分のクラスに活気が湧いてきたこと。様々な要因が重なり、結果としてトモエはこの少年の面倒を見ることを承諾していた。

642名無しさん:2022/02/20(日) 22:35:08 ID:6MD7ScYE0
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「きゃ〜!サーシャ、頑張って〜っ!!」
「ほら、ナタリア!アンタにデザート賭けてるんだからね!負けたら承知しないわよ!」
「負けてもいいわよ!ユリア、最近ちょっとお腹たるみ気味なんだからぁ」
「ええぇ!?単に成長期なんですけど!?」

観客席から上がる黄色い歓声。股間を押さえ、トモエに腰をトントンと叩かれているルードを尻目に、少女達は試合に熱中しているようだ。
試合形式は、ルードの時と同じく一本勝負。先にギブアップ宣言をするか、トモエが試合続行不能と判断すれば勝負アリだ。

審判を務めるのは、茶髪でとても小柄な少女、リサ。引っ込み思案という概念が服を着たような様相で、縮こまりながら二人の応酬を見守る。

サーシャと呼ばれた榛色の髪と瞳をした小柄な少女が、風を切る音とともに腕を振る。
対する少女はナタリア、大柄、赤髪に赤目でかなり大人びたプロポーションをした彼女は軽く腕を上げてサーシャの打撃を防ぐ。
独楽を思わせる動きで回転し、サーシャから槍のように脚が伸ばされる。両腕を硬く併せ、腹筋を固めてナタリアが耐える。

「まだまだ行くよぉ〜っ!」
「くぅっ……そんな攻撃、ウチには効かないよっ!」

サーシャから放たれる追撃、顔面を狙った刺し貫くような蹴りを、ナタリアは小さく膝を落とすことで躱す。
だが勢いは止まらない。回転と膝の撥条を活かして放たれた牽制のストレート。ナタリアが少女らしからぬ頭突きを合わせて迎撃する。
拳を弾かれた勢いに逆らわず、クルクルと回転しながら後退するサーシャを捉え損ね、ナタリアの反撃、回し蹴りが空を切る。

ルードとトモエの応酬とはまた違った攻防がグラウンドの中央で繰り広げられる。回りの観客から黄色い声援。

「きゃ〜!カッコいい〜!!」
「サーシャ〜!こっち向いて〜!!」
「いい!その調子ですわ!攻めて攻めて〜ッ!!」
「ナタリアも、もっと攻めなさいよ!!」

女子部の特徴として、動きが大袈裟、よく言えば派手で華がある。これは意図されたもの。こういった見世物としての勝負の方が人気が出るのだ。
純粋な迫力では男子部の肉弾戦には及ばないものの、その分小器用で多彩な攻撃が期待出来るため、見ている方としても飽きない。
ルードの時は、ただ彼が一方的にやられていくだけなので、盛り上がる要素がなかったのだが。
ーーー 一頻り技を繰り出し、お互いが息を整えるために距離を取る。汗に濡れ、肌が上気する様は、同性から見ていても艶めかしい。

(あの二人は見違えるほど伸びましたね)

ルードの指導教官であるトモエは思う。彼が入った当初は、ナタリアは今よりずっと粗削りで、サーシャはやる気がなかった。
特にサーシャの成長は目覚ましいものがある。元々の素質があったのか、はたまたは手前味噌だが自分の教育の賜物か――恐らく両方だろう。
それに比べてーーー視線を下げれば、そこには未だに未練がましく蹴られた金的を庇うルードの姿。

(まだ金的痛いのかしら。男の子って不便なのねぇ)

ただでさえ小柄な身体をさらに小さく丸め、股間を押さえたまま座り込む姿は酷く滑稽に見える。
仕方がないことだと頭では分かっているのだ。彼が、このクラスで唯一の男性だ。だから、こんな風になるのも当然のことなのだ。そう、自分に言い聞かせる。
それでもやはり、その姿を見るとつい苛立ってしまう。そしてその感情を自覚すると自己嫌悪に陥る。

彼も必死で頑張っているのだ。男子部の頃の知り合いが、時折彼をからかいに来ていることも知っている。
だが、それでも腐らず、めげず、必死に授業に参加している。『金的』なんていう不要な急所を抱えた身体で、それでも強くなろうと努力している。
そんな彼に苛立つ自分は教師として未熟この上ない、そう自省するものの女性であるトモエには彼の苦しみの本質は想像することしか出来ない。

643名無しさん:2022/02/20(日) 22:35:59 ID:6MD7ScYE0
「はっ!」
「見え見えっ!……てりゃっ!」

顔面を標的に、最短距離を疾走してきたナタリアの拳をサーシャがヘッドスリップ、紙一重で回避する。
回避の勢いで身体を捻り、その場で独楽のように一回転。遠心力を乗せた蹴りがカウンター気味に放たれ、ナタリアの鳩尾に突き刺さる。

「うぐっ!?」
「転んじゃえ〜っ!」

身体をくの字に折り曲げた相手の両肩を掴むと、伸び上がるような膝がナタリアの顎をカチあげる。
脳天まで響く衝撃に、ぐらり、ナタリアの恵まれた体躯が蹌踉めく。押し倒しマウントポジションを奪おうと、サーシャが掴んだ肩を突き放す。
後ろへ倒れされまいとナタリアの上体が泳ぐ。それを好機と見たサーシャが、大きく脚を振り上げる。狙い過たず、股間を狙う強烈な一撃。

「キンッ!!」
「あいたっ!」

一瞬の隙を突いて放たれたのは背足による金的蹴り。いや、ナタリアに金的は無いため股間蹴りといった方が適切か。
サーシャから放たれたソレが、あやまたずナタリアの両脚の間を蹴り上げる。反射的に股間を押さえてナタリアが前屈みになる。
ひぃ、自分が受けた一撃を思い出したのか、ルードが小さく悲鳴をあげて目を逸らす。

(何ですか、『キン』って……ナタリアさんにはタマなんて無いんですから、あれじゃ決定打にはなりませんよ)

トモエの予想通り、ナタリアは股間を押さえた『く』の字の体勢、だが目からは闘志が消えていない。
逆に、サーシャは慢心してしまったのか。小さく反応を返したルードに一瞬だけからかいの視線を向けてしまう。
その刹那の油断が命取りだった。ナタリアの左手が、素早くサーシャの手首を絡め取る。そのまま体重をかけ、引き倒すようにサーシャを背中から地面に叩きつける。
ドシン、と重い音を立ててサーシャが後頭部を打ち付ける。受け身すら取れずにモロに入った。彼女の脳髄が頭蓋の中で揺れ動く。
一瞬サーシャの意識が飛ぶ。彼女が立ち上がれなくなったコトを確認して、ようやくナタリアが手を離し、構えを解いた。

「……勝負、あり……ですっ!ナタリアさんの、勝ち!!」

リサが控えめ、だがハッキリとした口調で勝者の名を呼ぶ。観客席から、どっと歓声が沸き起こる。

「決まったァッ!!勝者、ナタリア!!」
「うぉおおおっ!!」
「キャアアッ!勝った!ナタリアが勝ったわよ!!」
「いいぞー!ナタリア!!」
「サーシャも気を落とさないで〜!相手がルードなら最後の『金的』で勝ってたよ〜!!」

一気に騒がしくなる観客席。その中で、ルードが股間の痛みも忘れて立ち上がる。
地面で目を回しているサーシャに駆け寄ると、壊れ物を扱うかのようにそっと抱き起こす。トモエはそんな二人を遠巻きに見つめていた。
彼のああいう人柄は評価されてしかるべきだと思う。あとは、実力さえ伴ってくれればーーー

「お、おいサーシャ、大丈夫か?」
「……ぅん?あ、うん。わら、わらし?わらしはらいじょうぶらよ〜」
「よかった。立てるか?」
「…………」
「サーシャ?」
「ふぇ!?あ、う、うん、もちろん!たてますとも!ルードくんこそ、その、もう大丈夫なの?」

644名無しさん:2022/02/20(日) 22:36:44 ID:6MD7ScYE0
ぼんやりとしていたサーシャだったが、ルードの声で我に帰る。
サーシャはルードの腕に支えられながら、なんとか自力で立ち上がっているところだった。心なしか、顔が紅潮しているようにも見える。
観客席から黄色い歓声があがる。みれば、ナタリアも囃し立てる側に加わっているようだった。

「ぎゃ〜っ!王子様、カッコいい〜ッ!!」
「タマタマ痛いの治まったの〜?無理しちゃダメだよ〜っ!」
「『王子』のままでいてぇ!『姫』になっちゃダメよぉ〜っ!」
「『姫』になるおつもりなら、せめて私(わたくし)の手でキンタマ潰させてくださいませぇ〜!!」
「サーシャも今がチャンスよ〜。いつまで『王子』が『王子』でいられるか分かんないんだからぁ!!」

(やっぱり女の子はこういうシチュエーションが好きなんですね。ですがーーーよくない兆候ですね)

トモエが冷静に状況を分析する一方、サーシャは照れ隠しなのか、大げさにルードから離れ、一人で立ち上がった。
その様を見て、観客はより一層盛り上がる。トモエは小さく溜息をつく。どうにもこのクラスでは、男一人というだけで過剰に盛り上がってしまう。
その気持ちは分からなくもないが、それにしても度が過ぎているような気がする。意識しすぎではないだろうか、と。
特に顕著なのはサーシャの敗因となった一撃、『金的』だ。いや、蹴られたナタリアに金玉は無いが、便宜上そう呼ぶことにする。
ルードが来る前、女性のみで模擬戦をしていたときは相手の股間に攻撃を決めた程度で油断することは無かったハズだ。
当然だろう。股間を蹴られた『程度』(女性からすれば)で戦闘不能にはならないということは、彼女たちは身をもって知っている。

だが、今は違う。ルードが編入してきてから、クラスの話題は彼のコトで持ち切りだった。
年代が違うトモエから見ても、彼の容姿は優れていた。格闘には向かない中性的な美貌。細身の体躯。柔らかそうな青空色の髪。
加えて、誰にでも分け隔て無く接する性格。彼と目が合うだけで頬に手を当てて顔を赤らめる娘もいる始末。

そんな彼が、模擬戦で股間を打たれるだけで身も世もなく悶え苦しむ。その姿は、思春期の少女に倒錯的な快感を味わわせるのに十分すぎた。
単刀直入に言えば、女子生徒たちの一部が金的攻撃に目覚めたのだ。その『異性』を強く意識せざるを得ない醜態に背徳的な快感を覚えてしまった。
自分たちには効かない、しかし男であるルードにとっては致命的な一撃。決してやり返されることがないという優越感。女であることへの自己肯定。

645名無しさん:2022/02/20(日) 22:38:18 ID:6MD7ScYE0
(女子が男性と闘うケース自体、そんなに無いんですけどねぇ)

実際のショーでは、男性闘士と女性闘士のマッチングはあまりない。鍛錬では埋めきれない性差があるからだ。
現役時代、女性闘士ではトップクラスの実力を誇っていたトモエでも、二軍落ちか、スレスレの男性闘士とのマッチングが関の山。
ペナルティマッチと題されたソレで、何人もの男性を『元男性』に変えてきた。が、そのスキル活かせるほど強くなる教え子は一体何人いることか。

女性同士の試合でも『金的』を、それも無意識のうちに優先してしまうケースが出てきたのは由々しき事態だ。
確かに女性にとっても急所だ。だが、脛や鳩尾と同じ程度。男性と違って一打で試合の趨勢を決めうる致命的な弱点ではない。
女性同士での試合でも固執すると、サーシャのように足元を掬われてしまう。『金的』を意識的に多用することは、自分の狙いを晒すことと同義でもある。

(相手が男性ならそれでもお釣りがきますけど……まぁ、ルード君のせいじゃないですし、責めるのはお門違いですね)

彼女は指導者で、ルードのことだけを考えているわけにはいかない。むしろ、女生徒たちを一端まで育て上げるのが本業だ。
まさか、現役を退いて後進の育成に入ったあとにキンタマの処遇に頭を悩ませるなんて、と巡り合わせの妙に苦笑してしまう。
現役時代は、ソレは単なる『的』でしかなかった。文字通り、『金』の的。ココをやれば勝てますよ、そう誘われている錯覚を覚えるほど。
綺麗に入れば充足感にニンマリしてしまうし、弾けた感触が伝わると『勝った』ではなく『仕留めた』と仄暗い満足感を抱いてしまっていた。
それが今では、どうだろう。自分の教えを受けた教え子たちが、まるで恋い焦がれるように『男』の弱点を狙っていることに女の自分が苦慮している。

実際、トモエは未熟な指導者だ。名馬必ずしも名伯楽ならずという言葉があるように、彼女もまた教えることに関しては駆け出し同然。
だから、これは仕方がないことなのだ。ルードが悪いわけではない。ただ、それだけの話。

(さて、どうやって注意したもんでしょうかね)

トモエは、思案する。こういうとき、どういう風に指導するのが正解なのか。答えは出ないまま、模擬戦は続いていく。

646名無しさん:2022/02/20(日) 22:39:15 ID:6MD7ScYE0
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数試合が終了し、燦々と輝く太陽が、空の頂点に差し掛かる頃。
土埃の舞うグラウンド、小石一つなく綺麗に整地された大地の上で今度は一人の少年と一人の少女が薄布一枚を纏って対峙していた。
一人は言うまでもなくルード、もう一人は彼のルームメイトでもある蜜柑色の少女、ポーラである。審判をつとめるは、目立たぬ少女が一人。

少年はまだ睾丸の痛みが残っているのか、どことなく縮こまった防御寄りの構え、対する少女は大きく身体を開いた攻撃よりの構えだ。
彼らを取り囲むように、数多の少女たちが思い思いの格好で向かい合う二人に声援を送っている。
何人かは汚れた装束、額に汗をかいて座り込みながら。何人かはアイドルかなにかを応援するように、片手を高く上げながら。

「ルードくん、ほら、攻めないとはじまらないわよーっ!!」
「ポーラ、今回もカッコよく決めちゃって〜ッ!!」
「ほら、金的よ金的!潰さない程度に股間をよく狙って〜ッ」
「そうよ!両方ともはダメ!せめて一つはアタシ用に取っといてぇ〜!」

ワイワイと好き放題な言葉を投げる女生徒たち。揶揄しているのか心配しているのか、股間を指差しながら奇怪なポーズを取る娘もいる。
中には『あそこ』ではなく『おちん◯ん』など直接的な単語を使う娘もおり、トモエは風紀の乱れに眉を顰める。
とはいえ、この程度のことは今に始まったことでもない。男子生徒がいない女子校という閉鎖空間ではよくあった光景だ。

「ルード!またポーラちゃんが『ぴょんぴょん』させてあげるから、キンタマ洗って覚悟してなさいよね!」
「ポーラ、お前なぁ……それ、品がないからやめろって言ってるだろ?」
「なにが下品よ、ムッツリスケベ!部屋ではいっっつもアタシのおっぱいを目で追っているクセにぃ!」

それは否定しないんだ……と女生徒たちは呆れたような視線を送る。この脂肪の塊になんの魅力がとは思うものの、彼女たちにとってその話題は禁忌の一つだった。
ルードが編入してきた初日。自己紹介を終えた彼に殺到した質問の中で、唯一まともに取り合ってくれなかったのがコレだ。
実際にはトモエの入れ知恵で、特定の属性に肩入れすると外れた側からの反発が大きくなるため、あえて無関心を装わせたというのが真相だが。
変に煽ると、ひょんなコトで敵対派閥にルードの睾丸が潰されてしまうかもしれない。そう危惧した彼女が、敢えて無知を装わせたのだ。

とはいえ、その配慮を知る由もないポーラの言葉で、その目論見は脆くも崩れ去ってしまったのだがーーー。

「いや、あれは……男として当然の反応で……」
「そんなことないでしょ!?いい加減、観念して好きなだけアタシの胸を視姦すれば良いじゃろがい!ホラ、遠慮せずに見てご覧なさーい!」

647名無しさん:2022/02/20(日) 22:39:46 ID:6MD7ScYE0
ポーラは、一歩前に出てルードの目の前に乳房を突き出す。
その大きさは、並大抵のものではない。Bカップのトモエでは及びもつかない、圧倒的な質量。
豊満という表現すら生温いと思えるほどのソレは、重力に逆らうようにツンと上を向き、薄布を押し上げる。
観衆の一部から嘆きと怨嗟の声。

「ショック……やっぱりルードくんもおっぱい大きくないとダメなの……?」
「リサだってまだ成長の余地はあるもん、あるもん……」
「やっぱ大きい方が良いんでしょうねぇ、そうですよね……」
「男として当然……か。ポーラッ!前言撤回するわっ!ルードくんのキンタマ両方潰しちゃって!!」
「一個も残さなくていいよっ!去勢して、そのおっぱい至上主義な性癖を矯正してあげてっ!!」
「うふふふふふ、ルード様ったら……こんなモノ、重たいだけですわよ?私(わたくし)にはサッパリ良さが分かりませんわぁ」
「ねー。ウチも分かんないなぁ」

トモエの予想通り、一部の女生徒たちが殺気立つ。逆に、また一部の女生徒はこれみよがしに胸を突き出し、自慢げに揺らしだす始末。
そして、残りの大半の女生徒たちは、なぜか自分の胸に手を当てながら、羨望の眼差しでポーラの胸を見つめている。

(………………)

無意識に自分の胸を弄っていたトモエは、すぐに理由に気付いた。ポーラの胸が大きいせいで、相対的に自分たちの胸が小さく見えてしまう。
そう、あくまで相対的にだ。決して自分は小さくはない。いや、小さいからって何の問題があるんですか。邪魔なだけです、あんなモノ。
そもそも、交わるためには穴さえあればいいのです。おっぱいなんて、料理でいったらお皿や盛りつけ。見栄えだけ良くても、肝心の味がイマイチでは台無しです。……等々。
年甲斐もなく、脳内で一人戦いをはじめるトモエ。そんな彼女を他所に、ポーラとルードの間合いはジリジリと狭まっていく。

648名無しさん:2022/02/20(日) 22:40:30 ID:6MD7ScYE0
「さぁ、いくよ!ルード、覚悟!!」

言うなり、ポーラはルードに向かって大きく一歩踏み込む。対する少年は、先ほどまでと変わらず防御重視の構え、ちょこちょこと小刻みに後退する。
少年は小柄で身体に筋肉もついておらず、対する少女はいかにも活発な雰囲気を身に纏い女性としては気持ち大柄。体格、体重の差異はなく拮抗した条件。
とはいえ、ルードの脚の動きは明らかに鈍い。まるで、下半身全体に力がロクに入らないようなーーー。

「どうしたの!タマタマまだ痛いの!?男の子は大変だね!」
「だから、言い方ーーー」
「問答無用!ルームメイトのよしみよ、アタシが楽にしてあげる!!」

大股での前進と、小幅での後退では距離は詰められるのが当然。ポーラは短い気合と共に、ルードの顔面目掛けてジャブを放つ。
少年は、両腕をあげて防御。視線は自分の身体に向けられ、意識外から飛ばされる攻撃に対しても細心の注意を払っているように見える。だが。

(……いけませんね)

いくら何でも慎重過ぎる。お灸が効きすぎたのだろうか、とトモエはルードの挙動に渋面をつくる。
防御だろうと回避だろうと、視線は自分では無く相手の身体を捉えておくのが基本。先程よりは多少マシとはいえ、彼はまだ恐怖に縮んでいる。
攻撃の『起こり』を把握せず、対症療法的に捌くのはよほど実力に差がないと難しいとルードにも口を酸っぱくして教えてハズなのだが。

「ほらほら、ガードが間に合ってないよ?」
「ぐ、この……!」
「蹴っちゃうよぉ?キンタマ蹴っちゃうよぉ?先生みたいに加減できないよぉ?ほーれ!」
「うおわっ!!」

大振りの金蹴りに、ルードは慌てた様子で飛び退く。ポーラの動きをよく見ていれば、絶好のカウンターチャンスだったハズの一撃。
だが、自身が金的を喰らわないことだけに集中していたルードは碌な反撃を繰り出すことも出来ず、ただひたすら逃げ回るのみ。
潰しちゃうぞぉ、などとポーラは口三味線でルームメイトの恐怖感を煽りつつ、徐々に追い詰めていく。

(いえ、ポーラさんが上手なのかもしれませんね。キンタマ狙ってるアピールで上手く圧をかけられてます)

あの二人は同室だ。だからこそ、彼にどう圧をかければ効果的か熟知しているのかも、そうトモエは感嘆とともに推測する。
年頃の男女が寝食を共にするのは健全ではない。一応、そう思える程度の常識は彼女も備えていた。男女七歳にして籍を同じくせず……あれ?席だったかしら?
まぁ、ともかく。とはいえ無い袖は振れない。マイナー側の女子部ということもあり、トモエのクラスは決して裕福ではない。
劣等ゆえに男子部を追われたルードに個室をあてがう余裕はない。ポーラのおおらかな人柄に甘えて、二人部屋での共同生活をお願いしているのが現状。
老朽化した環境なのだ。憩いの場であるハズの大浴場でさえ冬は隙間風がヒドい。施設のボロさをイイことに、最近は覗きに勤しむ不届き者がいるとの噂話まである。
自分の力不足で生徒に不便をかけざるを得ない現状に歯痒さを覚えるが、当の本人(ポーラ側)はそれを喜んでいる節があった。

「ほりゃ!そりゃ!ほりゃ!てりゃ!」
「ぐ!ちっ!くそ!うお!」

空振りの金蹴り。一動作でルードの注意は下半身に集中させられた。虚をついて、ポーラは連続した打撃を彼の顔面に放つ。
ルードは構えをあげ、一打はパリング、一打はガード、と必死にジャブを捌いていく。だが、その表情には明らかな焦燥が浮かんでいた。
それはそうだ、何せ一発でもクリーンヒットすれば即終了の危険がある。一瞬でも股間から意識が逸れれば、『一撃必殺』される危険性が彼には付き纏う。
だが、逆に男側、ルードに有利な性差もある。骨格、筋肉の付き具合。単純に身体スペックでいえば、ルードは幾分かポーラを上回っているだろう。
だからこそトモエは歯痒い気分になってしまう。もし、あの身体を動かしているのが自分であれば、そんな馬鹿げたIFの世界の想像をしてしまう。

649名無しさん:2022/02/20(日) 22:41:59 ID:6MD7ScYE0
「とうりゃ!どうだルード!そりゃ!」
「あんま!調子に!乗んなって!」

追い詰められたルードは反撃に転じるべく、拳を振りかぶる。彼の気迫に圧された形で、ポーラは無理な体勢でバックステップ。
彼の攻撃は空を切るが、ポーラもなにかに蹴躓いたようにたたらを踏んだ。そして、体勢を整える前に、ルードは再び踏み込もうとしてーーー

(まんまと誘いに乗っちゃいましたね……。あぁーらら……あら?)

トモエが額を押さえる。が、続いて響いてくるはずの甲高い悲鳴が聞こえず首を傾げた。視線を戻すと、ルードはピタリと追撃の手を止め静止している。
彼がカウンターを試みることを見越して、少女が置いておくように放っていた金的が空を切る。一瞬、驚愕の色がポーラの顔に浮かびそうになる。
注意を上半身に集めて圧を加え。急に隙を見せつけることで相手の破れかぶれの攻撃を誘い。意表を突く形で彼の急所、睾丸を蹴り上げる。
ポーラの得意な戦法。ルードは散々煮え湯を呑まされてきた。だが、今回は違う。彼女の行動を読み切った。テンポが崩れたろう、慢心したルードはひっそりと笑う。
だが。

「か〜ら〜のぉ〜、キンッ!!!」
「うおぁぁッ!?」

蹴り足を引く勢いを乗せて、二段蹴りの要領で軸足側からも蹴りを飛ばしてくるポーラ。両腕をひらがなの『ひ』に似た形に持ち上げた鳥に似た構え。
不幸中の幸いは、彼が初撃を躱した慢心でワンテンポ反撃が遅れたこと。もし、回避から流れるように反撃に移っていたら、間違いなく今の一撃は彼の股間に突き立っていた。
空を切った脚が纏う風が、優しくルードの睾丸を撫でる。一息で転げるように後退し、彼は情けない悲鳴をあげた。
今度は、作り物ではない驚愕と称賛の視線がポーラから送られる。一拍おいて、外野の女生徒たちも沸き立つ。

「きゃ〜、ポーラ、惜っし〜い」
「あ〜ん、ルードくんの『ぴょんぴょん』が見たかったのに〜」
「ほら、ポーラも隙だらけだよ!ルードくんも攻めて、攻めてっ!!」
「ちょっと、ウチ、見えなかったんだけど?ねぇ、ちゃんと見せてよぉ!」

歓声を背に受けて、ポーラは嬉しげな笑顔。腰に手を当てて、胸を張ってルードを見下ろす。その動きに追随して、重量感のある乳房が揺れる。
対称的に、ルードは顔を青ざめさせて震えていた。先程の一撃を食らった自分を想像し思わず内股になってしまう。
可愛い〜、観客から囃し立てられる無責任な声援に耳を塞ぎたい衝動に襲われながら、少年は必死に次の行動を考える。

「どうじゃ、ルード。ポーラちゃんの必殺!ルード殺しのスペシャルコンビネーションは??」

両腕を羽撃く鳥のように動かしながら、ポーラが戯ける。あのふざけた技は初めて見た。
何が必殺技だバカヤロウと内心毒づきつつ、ルードは自分の両太腿に手を当て、脂汗を流していた。

(このままじゃ……)

勝てる気がしない。今まで何度も練習を繰り返してきたし、勝つために工夫してきたつもりだった。だが、一手でも間違えれば。
次の瞬間、ポーラの血も涙も情けも容赦もない蹴撃が股間に打ち込まれ、自分は情けなく悶絶してしまうだろう。そんな未来が容易く思い描けて戦慄する。
相手からすれば、ただただ単純に彼の金的に一撃を加えることだけを考えればいいのだ。ただそれだけで、勝負は容易く決してしまう。
ルードの側はそうはいかない。ポーラに金的は付いていない。だからこそ、彼女をダウンさせる攻撃の組み立てを頭の中で構築する必要がある。

一手一手が薄氷の上。隙を見せれば、即座に悶絶させられる。急所を狙われている恐怖にルードの陰嚢が収縮し、併せて構えも縮こまっていく。

(うーん、これはいけませんね)

650名無しさん:2022/02/20(日) 22:42:39 ID:6MD7ScYE0
その様子を見ながら、トモエは小さく首を傾げた。ルードの表情は、初手の教導を思い出させる焦りに染まっている。
自分は金的を狙われるなどといったプレッシャーとは無縁だが(無いので)、焦りが更なる危険を呼び込むことに彼は気付いていないのだろうか。
そして、その焦りが動きに直結しているのか、攻撃の精度が落ちている。ポーラの攻撃を捌くことは出来ているが、反撃に移ることが出来ない。

一旦、金的の恐怖は横においておくことはできないのだろうか。女の身である自分には分からない何かがあるのだろうか。
身体スペックは誤差レベルとはいえ間違いなくルードの方が高いのだ。多少の金的は無視、ゴリ押ししてしまえば高確率で勝てるのに、そう嘆息。
逆に、縮こまった状態でも優位を保てるほどポーラの身体能力が低いわけでもない。このまま行けば、いつもの見慣れた決着に落ち着くだろう。
トモエとしては、それはそれでも良いのだがーーー

「ほあっちゃ!ほりゃ!そりゃ!キンッ!とうりゃ!」
「うわ!おっと!痛ッ!うげ!うわぁぁぁッ!!!ひぃ!」

ルードが萎縮すればするほど、ポーラの攻撃は縦横無尽、自由闊達に四方八方から襲いかかってくる。
何とか紙一重でそれらを捌いているものの、ルードの顔面からは血の気が引いていた。体力面でも、常に神経を張り詰めている彼の方が消耗が激しい。
顔色は誰が見ても分かるほどに悪く、表情にも余裕が無い。もはや勝利への執念すら消えかけている。この調子では、遠からず金的の餌食になるだろう。
眺めるトモエは渋い顔。

(これは……ルード君は、男に生まれたことを反省することになりますね)

戦意を喪失してしまえば、勝てる試合も勝てない。勝ち目がない試合なら尚更だ。不甲斐ない生徒に、トモエはそっとため息をつく。
ものの弾みで潰れてしまわなければいいのだけれど……そう呟きながら押さえる彼女の股間に睾丸は無い。

「さあ!ポーラちゃん!そろそろとどめよ!!」
「『ぴょんぴょん』させちゃって〜!」
「ルードくんも覚悟を決めなさぁい!キンタマぶら下げてるんでしょぉ!」
「ほら、金的!金的!金的!」

外野の声に煽られて、ポーラのテンションが上がっていく。興奮と高揚が疲労を一時的に忘れさせていく。
対して、ルードはもう限界だった。追い詰められた現状への危機感、急所を蹴り上げられるかもしれないという恐怖に膝が笑ってしまう。
囃し立てる観客、級友はすべて女子生徒。対戦相手も勿論女子。極めつけには、指導教官のトモエも女性。金的の恐怖は誰とも共有できない。
その孤独感が、更にルードを追い込んでいく。そして、ついにその時が来た。

開幕は、ポーラから無造作に放たれた前蹴り。ヤクザキックと呼ぶべきか、鳥を見立てた構えから怪鳥蹴りと呼ぶべきか。
力任せの一撃は、平常なら楽に避けられただろう。ルードが同じ蹴りを振るおうとしたなら、間髪入れずポーラのカウンターが急所に刺さっていただろう。
だが、小さく小さく縮こまり、ただ被弾面積だけを減じることに専念していた彼は、その素人染みた蹴りすら対応することが出来ない。
胴の前で構えた両腕に着弾して、大股を開いて後ろに倒れないようにバランスを取らざるを得ない状態に。

651名無しさん:2022/02/20(日) 22:44:07 ID:6MD7ScYE0
(あ〜らら、御愁傷様です)

トモエが顔を背けながら小さく手を合わす。ルードは、金的が無防備としか形容できない状態にされたことを認識し血の気が引いたのが分かる。
その瞬間、ポーラの回し蹴りが彼の顎に突き立った。脳が激しく揺すぶられる衝撃に視界が揺れる。
平衡感覚が狂う中、それでも必死に踏ん張ってしまうのは反射によるものか。そして、その本能は最悪な結果を招くこととなる。

「それっ!今度こそ……キーンッ!!」
「……え?」

金的を蹴られた直後特有の痺れにも似た感覚の喪失に、ルードは呆けた顔で目を瞬かせた。
一呼吸置けば、信じられないほどの苦しみが襲いかかってくる……死神らの通告じみた神経信号に、彼の全身が総毛立つ。
だが、それを待つこと無く、躊躇ない追撃がポーラからもたらされた。

「からの〜……とどめじゃい!」

先だっての二段蹴り。痛みの分からぬ女だからこそ放てる、禁断のコンビネーション技。
初撃の足を引く勢いを咥えた飛び蹴りが、ルードの金的に踵が浮き上がるほどの衝撃を叩きつける。恥骨に挟まれ、睾丸が変形する。

「うぎゃああぁぁぉぉぉぉぉぉぉ……」

濁音混じりの大絶叫を上げ、やがてそれは弱々しい甲高く掠れた悲鳴に。壊れた操り人形のように座り込むルード。
それも数呼吸。悲痛な絶叫を再開し、悶絶しながら転げ回る彼に対し、観客席からは呆れたようなどよめきが。トモエも額を押さえて嘆息。

「その、分かんないけど、もう立てない?無理?……じゃ、ポーラちゃんの勝ち!」

審判から、ポーラの勝利を告げる声。沸き立つ観衆にガッツポーズを見せるポーラ。

「あ、金的入っちゃったね〜♡いつ見ても痛そ〜♡」
「おっぱい星人は矯正できたかなぁ?」
「ルードくんかわいそぉ!」
「これじゃいつまで立ってもルードくん男子部に戻れないねぇ〜」
「でもでも……その前に、男の子じゃ無くなっちゃってるかも……ですっ!」
「実力的にも女子側だものねぇ……」

観衆から、口々に無責任な言葉が投げかけられる。女三人よれば姦しいというが、人垣となった女性陣の喧騒は相当なものだ。
ポーラとは言えば、すでに仕留めた獲物に興味はないのか。両手を上げてVサイン。華やかな声援に笑顔で応えている。
一方的な蹂躙劇に沸き返る女生徒たち。しかしその中で一人、トモエだけが複雑な表情を浮かべていた。

(頭では、『金的』を打たれたのだから仕方がないと理解るのですけれどね……)

652名無しさん:2022/02/20(日) 22:44:49 ID:6MD7ScYE0
何度目だろう。男性である以上、ソコを打たれればお終いだ。理屈は分かる。しかしトモエは女性、実感がもてない。だからこそ『その程度で』との落胆を禁じ得ない。
勝者を称え、沸き立つ生徒たちを脇に彼女は教え子、ただ一人の男性であるルードの傍らへ。膝立ちで、苦痛に転げる彼を覗き込む。
彼は師の接近すら気付いていないのか、固く瞼を閉じて、股間を押さえたまま芋虫のように腰をくねらせている。哀れだ、そうトモエは思う。同時に少しばかり、可笑しくもある。
我が身には預かり知らぬ苦痛に対する憐憫と失笑、教え子であるポーラに対する誇りとルードに対する失望が混在した瞳。

「また負けてしまいましたね。その痛みは注意を怠ったことへの罰ですよ。ルード君は私達とは違って『金的』が効くんですから」

はやく防御の手段を編み出せないと、本当に潰されてしまいますよ、淡々と語りかけながら彼女はルードの下穿きを剥ぎ取る。
ルードも朦朧としながら抵抗を試みるが、睾丸から波のように溢れる苦痛で満足に動けない状態。なす術もなく下半身を露出させられてしまう。
彼には容姿以外に華が無かった。痩せぎすで、筋力も男にしては低い。運動神経もよくはない。外見は中性的、というよりむしろ女性的ですらある。
それなのに。そんな脆弱な彼になのに、ダメ押しのように致命的な弱点が存在する。それが、トモエには気の毒でならない。

「ほら、タマタマ見せてください。潰れてないか確認しますから」
「……うぅっ!?やめっ、うぐっ!だ、だいじょ、大丈夫っスから……ツッ!!」
「いい加減慣れてくださいな。恥ずかしがらないといけない程、御大層なモノでもないでしょう?」
「でも、先生……こんなのって……」

羞恥心なのか、恐怖か。ルードの内股が小刻みに震える。それでも、彼は見せろと言われれば見せるしかない。トモエは欠片の羞恥もなく顔を寄せる。
力なく開かれた両脚の付け根にトモエには無い器官。こんなモノが急所だなんて。彼女は金的を見る度に、いつも不思議な感慨を覚える。
そっと指先で触れると、普段より重量感がある気がする。腫れちゃったのかしらね、と推測。まぁ、実際、推測しかできないのだ。彼『女』には。

「あ、せんせ!ルードのキンタマ大丈夫でした?アタシってば、つい思いっきり蹴っちゃって」

と。場違いなほど明るい声。称賛を浴び飽きたのか、少女、ポーラが二人の元へ駆け寄ってくる。ゆさゆさと胸部を揺らしながら。
手を挙げて応じるトモエに抱きつくように飛びつきつつ、興味津々と横たわるルームメイト、ルードの下腹部を見回す彼女。
教え子の精神を庇おうと、トモエは思わずルードの性器を両手で隠していた。流石に、試合外で一方的に晒し者にするのは気が引ける。

だが。ポーラはそんな師の心遣いを察しつつも、ケラケラと笑いつつ一刀のもとに切り捨てる。

「あ、隠さなくても大丈夫ですよ!アタシ、ルードのちんちんなら見慣れてますから」
「え”?!ぽ、ポーラさん?」

困惑する師を尻目に、ポーラはトモエの手をどけてルードの股間を覗き込む。ふむ、確かにいつも通りだね、と納得顔。
納得がいかないのはトモエだ。確かに同室にしたのは自分ではあるが、教師の知らないところでこの子たちは一体何をしているのか。
風の噂では、ポーラは彼を大浴場に連れ込もうとしたことも有るらしい。そのときは下らない流言と一笑に付した。が、実は事実だったりしないか。
教え子たちの、風紀の乱れを危惧せざるを得ない。しかし、当のルード自身はと言えば、ポーラの言葉など気にしていない様子。
いや、そもそも彼の意識は半ば飛んでいるらしい。ポーラに見つめられた下腹、その奥の痛みが未だ続いているせいだろう。

「あ。別にエッチな話じゃないですよぉ。ただ単に、ルードがキンタマやられた日はアタシが手当してあげてるってだけで」
「あら、そうなのですか?それは初耳ですね……」
「ポーラちゃんには分からないですけど、歩くのも辛そうなんでぇ。濡れタオルで冷やしてあげたり、軽食を取ってきてあげたり……」
「ああ、なるほど……」
「あとは、ルードに意地悪いいにきた男子を追っ払ったりとかぁ……」

トモエはようやく得心いったという風に相槌を打つ。そういえば先月も模擬戦後にルードが部屋から出てこなくなったコトがあった。
少しばかり『金的』への指導に熱を入れすぎたかと心配したものだが、数日で何事もなかったかのように復帰し胸を撫で下ろしたものだ。
つまり、その時もポーラの手当てを受けていたというわけか。ならば、その件に関しては問題ない。彼女は治療をしていただけなのだから。
それに。男子部の知り合いから虐められているのを一人で抱え込んでいないということも朗報だった。生徒たちの助け合いに目頭が熱くなってしまう。

653名無しさん:2022/02/20(日) 22:45:43 ID:6MD7ScYE0
だが。

「とはいえ、ポーラちゃん的にはエッチな話でもどんと来いっていうかぁ……」
「あのですねぇ、貴女の口からそういう言葉が出ることがまず不純なのですが」
「あははー、だって好きなんですもん。ルードのこと。もう大好きすぎて毎日が楽しいですよ!キンタマ押さえて丸くなってるのまで可愛い!」

照れる素振りすらなく言い切るポーラに、トモエは眩しさと立ち眩みを同時に覚える。彼女は、あまりにもまっすぐ過ぎる。
さきほどのサーシャの赤い顔がフラッシュバック。気付かぬ内に自分のクラスは複雑な人間模様を編み上げていたことに目眩を覚える。
とはいえ、肝心のルードの方はまだ苦痛が続いているらしく、時折体を震わせながら虚空へ視線を投げかけている有様だが。

と。

「お〜い、みんな〜!ルードのキンタマ大丈夫だったよ〜ッ!!」

大声で叫ぶポーラの声に反応して、三々五々に散っていた女生徒たちがまたゾロリと集まってくる。どう見ても全員が全員、目がギラついている。
一人の例外もなく、彼に好奇心に満ちた視線を向けてくる。ある者は興味深げに、また別の者に至っては無遠慮極まりない様子で。
流石に不憫で、トモエは再度、ソロリと教え子の性器を覆い隠す。だが、もはや遅きに失したというべきか。

「あ、先生がちんちん隠しちゃった!!」
「えぇ、もうちょっと見させて!もっと近くで確認したいの」
「先生!手が邪魔で見えません!!ポーラちゃんばっかりズルい……ですっ!!」

女生徒達の怒濤のような要求。それを受けて、トモエは観念したように目を伏せる。そして、なるべく平静を装うよう努めてルードを見下ろす。
朦朧とした表情、だが泣きそうな目でこちらを見詰める教え子に、口パクで(ごめんね)と謝罪の言葉。このままだと終わりそうにないんです、と。
生徒の要求を受け入れ、そっと掌が外される。彼の陰嚢が衆目に晒されてタプンと揺れた。

「ウチ、ちんちん初めて見た」
「アレって勃ってるのかな?萎えてるのかな?元々はどんな形なんだろ?」
「これが噂のキンタマちゃんですか」
「ふ〜ん、思ったより小さいんだねぇ。どんな風に痛いんだろ?」
「あぁ……こんなに間近で見る機会なんて無かったけど……すんごく可愛い……です……」
「というか、膨らみ一つしか無くない?やっぱポーラが片方潰しちゃったんじゃないの?」
「おバカ!あの膨らみ……なんていうか、袋の中に玉が二個はいってるんですわ!」
「片方だけでいいから貰えないかなぁ……」

口ぐちに感想を述べる少女たち。ポーラはといえば、何故か得意満面である。コレは勃ってない状態だよ、などと自分のモノのように紹介する。
サーシャを筆頭に、噛み殺さんばかりの視線でポーラを睨む者も居たが、当の本人はどこ吹く風だ。むしろ楽しげですらあった。

(……まったく、どうしてこうなったのかしら?)

苦笑いを浮かべつつ内心頭を抱えるトモエ。そんな師の姿に、やはり申し訳なさそうに身を縮めるルード。
持ち主にシンクロするように、彼の陰嚢が縮むのを見て女生徒たちは口々に可愛い、だの揉んでみたい、だのと好き勝手なことを言い出す始末。
彼の真っ赤な表情からは、何故自分がこんな目に遭わなければならないのだという不満がありありと読み取れたが、トモエには掛ける言葉もない。
トモエにとっては、ヒートアップして収拾がつかなくなりつつあるこの場を収めるべく思考を巡らせる方が先決であった。
ーーーとはいえ、彼女もテンパっていたのだ。だから、その発想は突拍子もなくて当然だったと言えよう。

654名無しさん:2022/02/20(日) 22:46:37 ID:6MD7ScYE0
「よってたかって裸ん坊のおちんちん覗き込むなんて不躾ですよ!フェアに自分たちも脱いでからにしなさい!」

トモエはパンパンと手を叩く、注目を集めたのち、一喝。我に返ってしおらしく頭を下げる生徒たちの姿を夢想する。
彼女としては、同年代の異性に裸を見せるなんて考えただけで頭に熱が昇ってくるほど恥ずかしい。ルードは男性だが、きっと羞恥に悶えていることだろう。
女生徒たちも我が身に置き換えれば、どれだけはしたないコトをしていたか実感してくれるハズだ。

トモエの試みは半分成功した。炎天下、屋外で脱衣するということには抵抗があるのだろう、生徒たちも一度は引き下がる素振りを見せたのだ。
公序良俗に照らし合わせて、その程度の譲歩はあって然るべきというもの。トモエはホッと胸を撫で下ろした。だが。

「そーだよ!ルードのおちんちんのコトは、全部ポーラちゃんに任せておいて!」

薪をくべたのは例によってポーラだった。彼女は勢いよく立ち上がり、力強く胸を叩いて宣言。途端、ブルンと跳ね上がる大きな乳房。
トモエには、彼女に他意が無いことが。二の足を踏んでいる級友に言い訳の言葉を与えたかっただけだということは理解出来た。それは分かるのだが……。

だがしかし、彼に好意や興味をもつ生徒たちにとっては煽り以外のなにものでもない。互いに顔を見合わせ、ザワつき始める。
サーシャなどは、露骨すぎる程に激情で顔を赤く染めていた。物欲しそうにルードの股間を見つめていた顔を上げ、ポーラを睨みつける。
そのまま憤然と立ち上がり、身に纏ったものを全て脱ぎ捨てようとした瞬間ーーー

「ストップ!ストップです!分かりました、分かりましたから!それじゃ、今晩、大浴場でお互いの性器の確認会をしましょう!」

トモエは慌てて制止の声を上げる。いくらなんでも、ここで全裸になるのはまずい。いや、既に色々とまずい状況ではあるけれど。
彼女はテンパっていた。発想は突拍子もなく、ただただこの場を凌げればと勢いで発言してしまっていた。だが、一度口にした言葉は還らず。
彼女の意図はどうあれ、結果的に生徒たちを煽ってしまったことは事実である。なし崩し的に、ルードは今晩の夜宴の主菜になってしまったのである。

泣きそうな顔で自分を見上げる教え子……ルードを見返しながら、トモエは泣きたいのはこっちです!とのセリフを抑えることに必死になっていた。
我関せず、と太陽が燦々と照りつける。結局、その後の授業に身を入れることが出来た生徒は一人として居なかった。

655名無しさん:2022/02/20(日) 22:48:24 ID:6MD7ScYE0
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そして、舞台は夜。女子棟の大浴場までジャンプする。覗きの噂が広まってから少し寂れたその場所は、久方ぶりの活気と一種異様な緊張感に包まれていた。
トモエによって、今晩は貸し切りとなったソコに集った女子生徒は口数少なく、ソワソワと浮足立った様子で身繕いに余念がない。
ルードがこの浴場を利用したことは無かった。女子棟にあるとはいえ、彼にも利用する権利はある。だが、流石のルードも女湯に突撃するほどの蛮勇はない。

まぁ、女子棟にあるから女湯程度の暗黙の了解。飲食物や、公序良俗に反するものの持ち込みは禁止。その程度にしか、明文化された規則はない。
それを逆手に取って、ポーラは幾度となく彼を大浴場に連れ出そうと企んでいたが、この日までその計画は尽く頓挫してきた。

だが。今日は違う。教師である、トモエのお墨付きだ。彼は、ココに来ざるを得ない。初めての、異性との裸の付き合い。
そう考えると少女たちが緊張してしまうのも無理からぬ事だろう。普段は姦しい彼女たちも、本日はまるで借りてきた猫のよう。
とはいえ、サーシャなど幾人かの少女たちは少々趣きが異なる。彼女たちは合戦に赴くがごとき静かなオーラを、無言のうちに全身から迸らせていた。

(どうしてこんなコトになったのでしょう……)

黒髪を纏めて、湯船に浸かりながら天井を見上げるトモエ。一難去ってまた一難というが、日中の厄介ごとはただ先送りにされただけと思い知って、深く嘆息。
ただでさえ、異性と触れ合う機会が少ない環境だ。教師である彼女の目からみても、魅力的なルードに生徒たちが熱をあげる気持ちは分かる。
トモエだって、散々彼の『金的』を責めて悶絶させている。が、決して憎いからではなく、むしろ逆だ。大切な生徒だから。強くなってほしいから、心を鬼に指導している。
自分はどれだけ『金的』が脆いか痛いほど……言葉の綾だ、彼女に痛むキンタマはない……知っている。だからこそ、『もしも』が無いように克服させてあげたい。

だが、この異様な雰囲気に呑まれた生徒たちはどんな『行動』を起こすか予想もつかない。
最悪の場合、物理的にルードを『金的』から解放してしまいかねない……端的に言えば、彼のキンタマを奪ってしまいかねない。
これは自分の監督責任になるのかしら、そう考えるとトモエの気が沈む。『無い』自分の股間を撫で擦りながら、どう穏便にコトを済ませるか、彼女は一人苦悩していた。

「「「…………」」」

不意に訪れた沈黙に、女生徒たちの視線だけが交錯する。
未だに決心が揺らぐのか、身体を隠して脅えた生徒。覚悟は既に完了し、全身を磨き上げて待ち受ける生徒。泰然自若と、全てを受け入れる体の生徒。
これだけの女性がこの浴場に集結したことはこれまであっただろうか?皆が思い思いに身支度を整え、主賓であるルードの到着を待ち侘びている。
もし、本当に覗きがいたならーーートモエはつらつらと思いを巡らせる。こんな壮絶な光景、二度とは見られることはないでしょうね。

と。ガラガラと景気のいい音を立てて浴場の扉が開かれた。弾かれたように、全員が入り口を注視する。

「おっまたせ〜!ゴメンね〜、ルードがむずがっちゃってさ〜」
「痛い!痛い!離して、離してポーラ!」

張り詰めた空気を、木綿糸よりも容易く切って捨てる第一声とともに現れたのはポーラだ。一糸纏わぬ、生まれたままの姿。
後ろ手に、これまた全裸のルードを従え、何一つ隠すトコロなど無いとばかりに大股、大胆不敵に歩を進める。
主賓、ルードといえば先導するポーラに陰嚢を掴まれ、腰を突き出した無様な体勢。生贄に捧げられる羊のように情けなく引きずられている。
二人の姿は、これからこの浴場で起きるだろうことの縮図にも見えた。見守る女生徒たちから、羨望と欲望の声。

「あ!ポーラ、もう触ってる……!先生、ポーラばっかりズルいです!!」
「いいなぁ……リサも握ってみたいなぁ……」
「も〜、ソコ、デリケートらしいから丁寧に扱いなよ〜。はじまる前に壊しちゃったらぁ…………承知しないからね」
「サーシャ、怖っ!?」

656名無しさん:2022/02/20(日) 22:48:58 ID:6MD7ScYE0
常識的に考えれば、全裸の女性たちのと男が一人ならば、乱入したのは男性側。悲鳴をあげるのは女性側と相場が決まっている。
だが、この場では逆だった。ルードが逃げる素振りを見せると、ポーラが乱雑に陰嚢を揉んで彼に悲鳴を上げさせる。
ハーレム、男の夢じゃない。何が不満なの?とポーラは実に晴れやかな表情で問う。彼女の顔は、これから楽しいコトが始まるという確信に満ち溢れていた。
完全に数で有利、トモエがいるため質でも優位。絶対的に立場が上と確信した女生徒たちも、男、ルードを逃さないよう包囲していく。と。

パン!!
手を叩く乾いた破裂音が響き渡り、全員の注意が音の主へと向けられる。成り行きを伺っていたトモエが、アクションを起こしたのだ。

「はい、皆さん注目〜」

引率の要領で生徒たちの注目を自分に集める。あのまま、その場の勢いに任せておくわけにもいかない。ルードが滅茶苦茶にされてしまう。
彼女の生徒たちは、意識をズラされたことで僅かに落ち着きを取り戻す。トモエは彼女たちに笑顔を向けながら、ゆっくりと湯船から立ち上がった。

(うっわぁ……エロ……)
(私だってあと五年もすれば……)
(ルードったら鼻の下伸ばしちゃって……アタシの方が若いんだよ!コッチ見てよ!)
(トモエ先生ってばキレイだよね〜やっぱり大人の女の人なんだな〜)

しっとりと艷やかな黒髪がうなじに貼りつく。滑らかな肌から珠のような雫が流れ落ちていく様はまるで一枚の絵のように美しい。
乳房は小さく、腰回りの肉付きもやや薄いものの、それがアンバランスな魅力を強調。すらりと伸びた脚線美は艶めかしく、見る者の視線を惹きつけずにはいられない。
そのくせ、股間には毛の一本も生えていない、その艶美な引力たるや。少女たちのみならず、急所を掴まれたルードですら突然に現れた『完成された女体』に目が釘付けとなる。

(ダメよ、トモエ……あの子たちは、子供、子供なの。大人の私がしっかりしないと)

実態を言ってしまえば、トモエだって十二分にテンパっている。だが意地でもそれを表に出さない。ゆったりと、優雅さすら漂わせる所作でルードの元へ歩を進める。
異性にマジマジと裸体を見られた経験など彼女には無かった。ピクリと震えたルードの陰茎に、彼女は内心で悲鳴をあげる。
試合で睾丸を破壊しろと言われれば、いくらでも出来る。どうせ自分には無い器官だ、微塵の躊躇いもなく潰せるし、その行為に後悔したことはない。
だが。試合でも教導でもなく、日常に近い世界で男性器と向き合った経験は乏しい。『おぼこ』の自分を奮い立たせ、震えを隠した足取りで。教え子、ルードの所まで。

「皆さん、これはお互いの確認会なのですよ。ルード君のおちんちんの品評会ではないのです」

這々の体で辿り着くと、生徒たちに向き直る。人指し指を立て、遠足の心得を説くかの如く語りかけていく。ポーラに視線を向け、ルードを解放するように指示。
ただただ一方的に彼が性的消費されるのであれば、日中帯のアレとなんら変わりがないじゃないですか。そう頭を悩ませつつ、前後策を脳内シミュレート。

「ポーラさん、ルード君のタマタマ放してあげてください」
「ほーい。というか、別に『ルードの』って特定しなくても。ココだとルードしか持ってないですよね。キンタマ」

ポーラから何気なく発せられた言葉に、ルードはハッとしてしまう。視線を上げて、あたりを見回す。確かに、ルード以外はみな女性。
産毛で覆われた股間、スッと一筋のスリットが入った股間。三角形の陰毛に覆い隠された股間。陰毛が薄く、両脚の付け根から申し訳程度にスジの先端が覗いている股間。
そこには種々雑多な女性器があった。だが、ルードのように陰嚢をぶら下げた股間は一つたりとももない。自分はマイノリティ側なのだ、現実を突きつけられルードは身震いする。

逆に、ポーラは特になんの拘りも見せず、促されるままに握り込んだ陰嚢を解放した。
彼女にとっては、単に駄々を捏ねた暴れ馬のようなルームメイトを簡単に聞き分けよく躾けられる、便利な手綱でしかないのだろう。
まぁ、掴んでくださいと言わんばかりの形をしてますものね、そうトモエは小さく呟く。『無い』側として、ポーラの気持ちならよく分かる。

657名無しさん:2022/02/20(日) 22:49:45 ID:6MD7ScYE0
だが、教師としては片方ばかりに肩入れするわけにもいかない。ウズウズしている生徒たちに向けて、彼女が考えた『ルール』を伝えていく。

「皆さんがルード君の『おちんちん』を確認するのはいいです。ですけど、その場合はルードくん『にも』皆さんのものを確認させてあげてください」

お互いがお互いの身体をもっと知れば、きっと練習もより効果的になります。心にもない言葉で生徒たちを牽制する彼女。

だが、実のところトモエの算段はシンプル。まず、これが最初のステップ。
女生徒たちも全員が全員、自分の身体を『晒して』しまったとはいえ、実際に『触れさせる』までの覚悟を持っているとは思えない。異性相手なら尚更だ。
ルードたちが登場する前に、葛藤するようにモジモジしていた生徒たちはコレで篩にかけられるだろう。トモエだって、触れるのはよくても触れられるのは嫌だ。
とはいえ、『師』として『大人』として、そんな我儘を言える状況ではないことも理解しているが。

そして、次のステップ。
自分の身体に触れられることまで覚悟した生徒たち。例えばポーラはその筆頭だろう、彼女はそもそもルードに触れられるコト自体に忌避感がないように見える。
彼の眼前で、顔を林檎もかくやと紅潮させながら腰に手を当てて仁王立ちしているサーシャもそうだろう。涙目だが、確固たる信念が感じられる眼差し。
他にも何人か彼に懸想している教え子はいるかもしれない。彼女たちには触れさせる他ないだろう。ルードも、女性への不理解を払拭するいい契機になるかもしれない。
どちらにせよ、クラス全員を相手にするよりはよほど御しやすいとトモエは考えていた。

そしてーーー

「例えば……お手本を見せますね」
(私は先生、ルードくんは生徒、ルードくんは子供、ノーカン、ノーカン、ノーカン……)

心のなかで念仏のように題目を繰り返しながら、トモエはルードの頭を抱きかかえる。刹那、決意するための間が空く……次の瞬間、彼はトモエの胸に抱きすくめられていた。
ゆっくりと彼の頭を自身の乳房に押し付ける。柔らかで温かな乳肉の谷間へと導き、左右の乳房で彼の両頬を擦り上げる。甘く、温かい体臭をルードは知覚する。
これで彼は満足してくれるだろうかと一抹の不安。日中、そして今も天真爛漫に晒されたポーラの豊かなおっぱいがトモエの思考に陰を差す。見下ろせば、自分の小さな胸。
せめて、口には出さないで欲しいと祈る。もし、ルードがデリカシーなく『比較の言葉』を口にしてしまえば……大人げない『お仕置き』も已むを得ないかもしれない。

だが、彼女の行為はルードに興奮よりも先に困惑をもたらしていた。彼は目を白黒させながら、拘束から抜け出そうと藻掻く。
逃さないとばかりにトモエの両腕に力が篭もる。拮抗した状況、絶妙な感触が双方の性感を刺激する。鼻腔を満たす甘い匂いと、頬に当たる張りのある乳房の弾力が心地よい。
そう感じてしまった自分自身に、ルードが愕然としているとーーー

「あ!ルードくんのちんちんが勃ってきた!」
「え、あれ勃ってるってコト!スゴい、初めて見た!」
「本当に形が変わるんだ……どういう仕組みになってるんだろ!!」
「ルードくんのおちんちん……可愛いぃ♡食べちゃいたい♡ねぇ、みんなそう思うよね?」
「私が護ってあげたーい!それか引っこ抜いて私だけの宝物にしちゃいた〜い♡」

見守る女生徒たちから黄色い歓声があがり、彼女たちのボルテージが増していく。ルード本人も気付かぬ内に彼の陰茎は硬度を増し、天をも衝かぬばかりに屹立していた。
ルードとトモエは、外野からの指摘によって同時にその事実を認識。ルードは自身の意に沿わぬ現象に呆然とし、トモエは自身が引き起こせた事象にホッと満足する。
彼女の右手が教え子の下腹部へと伸ばされる。ルードは、慌てて股間を隠そうとするが、察知したポーラに両手を拘束されてしまう。結局はトモエのなすがまま。
掴まれた怒張、すでに先走りで濡れそぼっている先端が彼女の指先でヌルリと滑る。突然の強い刺激にルードは腰を引くも、背後のポーラに動きを制される。

最後のステップ。頃合いを見計らって彼に射精してもらう。ソレをもって、キリがいいからお開きに、そう告げてこの饗宴を終わらせる。それがトモエの皮算用。
なにか区切りとなるイベントが無いと、生徒たちの興奮は治まらないだろうと踏んでいた。であれば、『男の子』特有の射精現象は丁度いいフィナーレとなるだろう。
とはいえ、トモエも射精について詳しいわけではない。どこまで持つのか、探り探りに拙い手付きでルードの陰茎を撫で擦る。

658名無しさん:2022/02/20(日) 22:52:36 ID:6MD7ScYE0
その拙さが災いして、彼は生殺しとなっていた。あと少し強く握られたら達してしまいそうなギリギリの状態、だが決定的な快楽を与えられていない。
その『射精欲求』をトモエが実感することはない。出すためのペニスも、作るための睾丸も彼女は備えていない。だから、ルードの苦しみを察することが出来ない。
だが。そのもどかしさも終わりを告げて、ルードが切羽詰まった声を上げはじめるーーーと、その瞬間、トモエは彼の陰嚢の付け根を絞ると容赦なく下へ引き下ろした。

「うぐぅっ!!」
「はい、皆さん見えましたか?こんな感じです……ルード君、ゴメンなさいね。射精しそうになっちゃってたから止めちゃいました」

トモエは、自身が持つ唯一の射精知識……陰嚢を引っ張ると射精を中断させることができる……を活かし、教え子が果てるのを防いだのだ。
理由は単純明快。自分が射精させてお開き、とは流石に出来ない。見せつけるだけ見せつけられて、フラストレーションが溜まった生徒たちが何を仕出かすか分からない。
出来れば、何人かの生徒たちを満足させてもらい、その締めとして彼には射精してもらいたい。それが一番平和裡に場を収める方法だ、そう彼女は考えていたのだ。
ーーーその目論見が甘すぎたコトを、トモエはこれから嫌というほど思い知らされることになるのだが。

「さて、何方か希望者はいらっしゃいますか?触りたいだけはダメですよ。ルード君にも、ちゃんと『女の子』を確認させてあげてくださいね」

生徒たちを見回しながら、控えめな口調で立候補を待つ。彼女たちは、互いに顔を見合わせてはニヤつき合う。誰が最初に行くか牽制しているようだ。
ある生徒は尻込みし、ある生徒は逆に鼻息荒く興奮。また別の者は興味津々とばかりに目を輝かせる。しかし、皆、最初の一人になるのは気が引けるらしい。
彼女たちの振る舞いに、『このまま乗り切れるのでは』と考えてトモエは内心胸を撫で下ろす。撫で下ろしたこの胸、ルードに乳繰らせた甲斐があったと自己肯定。

だが。その均衡は、一人の女生徒によって障子紙よりも容易く破られる。

「はい!はいっ!!はぁ〜いッ!!!私、触ってもらいたいですーーーーーーーーーッ!!!!!」

浴場全体に轟くような声量とともに挙手したのはポーラ……では無かった。もはや悪ふざけの如く真紅に顔を染め上げたサーシャが絶叫とともに立候補。
どこか飄々としたいつもの態度はみるかげもない。茹でダコよりも赤い顔、脳天から湯気を巻き上げながら勢いよく立ち上がる。勢いあまって数歩ふらつく。
挙手の途中だったのだろう。所在なさげな手をヒラヒラと振るポーラ。出鼻を挫かれ、鼻白んだ表情で級友、サーシャを見詰めるがそれも一瞬。
『出遅れたんだから仕方ない』と言外で語りつつ、一番槍は級友に譲る。当のサーシャはといえば、グルグルと目を回しながら夢見心地で譫言を垂れ流すばかり。

「ゆ、夢じゃないよね〜。合法的にルードくんに触ってもらえて〜、合法的にルードくんの触ってもいいんだよね〜ぇ……?」

無防備に全裸をルードに見せつけたまま、覚束無い足取りで歩み寄る。そして、彼の前で正座すると怒張をジィっと凝視する。榛色の髪から、水滴が零れ落ちる。
ルードは、必死に爆発しそうな陰茎を押さえながら呼吸を調えることしか出来ない。彼女の息が吹きかけられるたび、腰の奥で形容し難い熱が生まれる。
そんな二人を他所に、ギャラリーが沸き返る。高まる興奮を隠しきれず、思い思いの言葉を投げかけての大喝采。

「よかったですわね、サーシャ様。ずっと触ってもらいたがってましたものねぇ」
「キャラが崩れちゃうからって意地はってたよね。駄目元でお願いしてみたらって、ウチも口が酸っぱくなるほど勧めたんだけど……」
「触りたがってたもいたわよ。だから金的ばっかり練習しちゃってさ」
「まぁ、自然におちんちん触れる機会って、タマタマ蹴り上げるときぐらいだもんね〜。ねぇ、リサちゃん?」
「ひゃう……!だだだだって……蹴った時のルードお兄ちゃんの顔ったらないんだよぉ……」
「あ〜……確かに。すっごい悲痛な顔しながら耐えてるルードくん見る度に、私もキュンとしちゃう♡」
「うぅ……私も♡私のタマタマもキュってしちゃう♡」
「何いってんの、持ってないくせにぃ」

659名無しさん:2022/02/20(日) 22:53:09 ID:6MD7ScYE0
好き勝手言いやがるなこの連中……とルードは内心毒づくが、口を挟む余裕などない。
今すぐにでもこの場から逃げ出したい衝動に駆られるも、目の前のサーシャの視線はそれを許してくれそうにない。
潤む瞳、熱い吐息。そして、ゆっくりと伸ばされた両手がまず触れたのは、下腹部にある、玉袋と竿の付け根の部分。
優しく撫ぜるように、指先で擦り上げられると、ルードの身体がビクリとはねる。次に触れられたのは、裏筋。浮き出た血管に沿って指先が這い回ると、今度は腰が引ける。
そして、ついにサーシャの手が亀頭へと伸びる。そっと包皮に指が差し入れられると、敏感な粘膜が外気に晒さられ、ヒヤリとした感覚に襲われる。

(やばい……なんか変になりそうだ)
(わわわわわわわわわわわわ)

互いに緊張しているせいか、どこかぎこちない奉仕が続く。ルードは、どうにか平静を装いながらサーシャの行為を受け入れていく。
しかし、サーシャはというと、その手が震えていた。先走りでヌルついた掌、そのぬめりをローション代わりにルードのモノに塗りたくっていく。
やがて、十分に滑りが良くなったところで、彼女は思い切って手の中の剛直を握り締める。刹那、電流が走ったかのように全身が痺れた。腰の奥で熱塊が膨張するーーー

「……!ああああぁあぁっ!?」
「おっと……危ないですね。ルード君、また射精してしまいそうになったでしょう?」

が。結果として、彼が達することはなかった。背後から、トモエが再度ルードの陰嚢を掴み、射精感を無理矢理押し留めたのだ。
射精寸前まで高められた快感が、行き場を失いルードの中で暴れ狂う。彼は、獣じみた叫び声を上げながら身を捩る。だが、当然のように逃れることは叶わない。
最初の一人目で射精させるわけにはいかない。教え子の不甲斐なさを嘆きながら、トモエは手中の肉団子をクリクリと捏ね回す。また獣じみた絶叫。

いまだ夢現のサーシャはトモエの手に重ねるように腕を伸ばそうとするも、『お互い触りっこですよ』と制止の声をかけられて一呼吸分の時間停止。
握られた陰嚢を庇おうとするルードの両手、それを掴み取る動作ももどかしく立ち上がり、彼の手を自身の股間、女性器に押し付けるとゴシゴシと激しく上下させる。

「あ、あ、あ……ルードくん、どう?私のアソコ、どうなってるか分かる?」
「ん、ぐ、ふ、えぇえええ!!はな、離してっ!!」
「これから、ルードくんの、タ、タ、タマタマが入った袋握るねっ!ルードくんも、私の好きなトコ握っていいからねっ!」
「に、握るって、て、さ、サーシャにはあああぁぁぁぁ!?」

660名無しさん:2022/02/20(日) 22:55:04 ID:6MD7ScYE0
ルードの返答を待つことなく、サーシャは彼の手ごと己の女性器をまさぐり始める。熱く湿った割れ目に指先が沈み込むたび、ルードの脳裏で火花が散る。
そのまま両腿を閉じて彼の掌を囚えると、サーシャの両手がルードの陰嚢に伸びる。トモエと入れ替わるように、付け根を絞って引き下ろす。
ひっこ抜かんとばかりに強烈に引っ張られた陰嚢。薄い皮を通して二つの楕円球が浮かび上がり、観客の女生徒たちから歓声が上がる。サーシャもまた、思わず舌なめずり。
誰を皮切りにしたのか、ギャラリーからはまばらな拍手まで聞こえてくる。

「キンタマってあんな風になってらしたのね……」
「本当にタマみたいなのが二つ入ってるんだ……蹴ったときはブニュって感覚しか分からなかったのに」
「片方だけなら貰えないかなぁ……」
「リサ、てっきり……別々にぶら下がってるんだと思ってました……その……一纏めになってるんですね……」
「なんか怖いね。潰れるときも、纏めてブチっていっちゃいそ〜」
「あれじゃスペアがあっても意味ないわねぇ。まったく、詰めが甘いっていうか何ていうか」

自由気ままに、感じたコトをなに憚ること無く囃し立てる女生徒たち。異性の性器を鑑賞するという非日常に、雰囲気酔いしている様子だ。
そのなかでも明らかに悪酔いしているのがサーシャ。ハァハァと盛りがついた犬を思わせる荒い息遣いで、ルードの陰嚢をひたすらに弄くり回す。
ルードの背後に控えたポーラから、彼女を軽く諌める呆れ声。

「ちょっとサーシャ、深呼吸でもして落ち着きなさいって。なんかアンタ怖いよ……?」
「だだだだだだだってだってだってだって!!!!こんな、本物の弾力が……柔らかさまでよく分かるんだよ!!想像してたより、ずっと温かい!!!」

そんな注意もどこ吹く風、サーシャはお目当ての睾丸を掴んだまま、足をバタつかせる。そのたびにルードは身体をビクつかせて悶絶するのだが、彼女にとってはむしろご褒美。
握って、私のも握って、熱に浮かされた涙目で想い人に懇願する。彼女には睾丸などない、だから何処を握ってほしいのかはサーシャ自身にも分からない。が、それでも。
ルードが触れている彼女の女性器には、握れるような箇所が無い。脱力したルードの指先は、ただ割れ目をなぞっているだけに過ぎない。
それが絶妙に切ない刺激と化してサーシャを責め苛むのだ。彼の指が自身の割れ目に埋まり、偶然陰核を擦られた際には天にでも召されたような充足感すら覚えてしまう。
対するルードは、充足どころか急所を掌握されている恐怖感で気が気ではない。睾丸から溢れ出す苦痛は腹腔の奥にまで届き、苦い味が喉元から迫り上がる。
苦悶の顔すら愛おしいのだろう。サーシャはルードの顔を覗き込みながら、その頬に何度もキスを繰り返す。

661名無しさん:2022/02/20(日) 22:55:40 ID:6MD7ScYE0
(なんですかこれ、思ってたより『えっち』というか、危険な雰囲気なんですけど……?)

二人のやり取りを眺めていたトモエは、流石に戸惑いを隠せない。まさか最初の一人がここまでやるとは思っていなかったのだ。
これって、いわゆる前戯に当たる行為じゃないのだろうか。魅入ってしまった自分が言えた義理ではないが、このままだと別の意味で『マズイ』ことになるのでは……?
トモエは乙女だ。急所として、倒すため以外の用途で男性器に触れたことも今日が初めて。世間一般の男女が、どう『縺れ込んで』いるのかにはとんと疎い。
そんな彼女をしても、コレはよくない兆候だと分かった。チラリと視線を流せば、ポーラですら熱い吐息。目を潤ませて成り行きを見つめている。

「ルードくぅううん♡おっぱいにも触ってぇ♡脇腹にもぉ♡背中にもぉぉ♡私を隅々まで確認してぇぇぇぇ♡」
「ぐ、ぎぎ、分かったから、分かったから、き、キンタマ放してぇ……」
「ダ〜メぇ♡いつでも今夜を思い出せるぐらい、サーシャの手に触り心地を刻み付けさせてぇ……♡ほら、サーシャのも握っていいからぁ……無いけどぉ……♡」

小器用に、サーシャは片手で陰嚢を掴んだまま、もう片方の手でルードの両手首を掴み自身の股間へ押し付けなおす。
彼女の両の太腿と左手で、捕食されるが如く深く女性器に沈められた指先。ルードの指先が熱く濡れそぼった粘膜に触れれば触れるたび、サーシャの背筋に電流が流れる。
高揚に任せて、右手でコリコリとした自分には『無い』可愛い膨らみ、男性の急所を転がし回すサーシャ。ルードからは抑えきれない苦悶の声。
悶える彼の指先が、今度は秘裂の上端、肉芽を捉える。指先に感じるコリっとした突起物からの感覚に、サーシャは歓喜の声を上げる。
そんな様を見せつけられ、女生徒たちの間から溜息混じりに羨望の声が漏れる。

(―――ウチもあれ、やってもらいたいなぁ……)
(―――いいなぁ……、リサも……あんな風に可愛がってほしい……です……)
(――ちょっと待ってくださいませ、私(わたくし)は別にそこまでは……)
(――でも、ルード君なら、なんか許せるかも……)

ギャラリーの反応が、徐々に変化していく。この場を支配しているのはサーシャだ。彼女が望むがままの空間が、いつの間にか形成されていく。
そして、サーシャが絶頂を迎えた瞬間、その流れは完全に決した。

「ルードくん大好きぃい!!!!!あ、あああっ!イクッ!イッちゃう!!握って!サーシャのも握って!イクのを止めて!」
「わ、ぷっ!?ちょ、ちょっと、サーシャ、何を握れって…………」
「ダメ!ダメ!サーシャ、サーシャ、サーシャ!!ああ、もうダメ!なにかくる!!もうがまんできない!!!『ぎゅっ』てする!!!『ぎゅっ』てしちゃうっ!!!!!」
「…………!ぐ、ぐがああああああぁぁぁぁッ!!!!!」

サーシャは達すると同時に渾身の力でルードの睾丸を握りしめた。女のサーシャは法悦で、男のルードは激痛で身体を弓なりに反らせる。
二人はそのまま、糸が切れたように崩れ落ちた。アメーバのようにサーシャはルードの上半身に跨ると、苦悶に歪んだ顔に接吻の雨を降らせる。
そんな二人の様子を、呆然と見守るしかないトモエ。だが、見せつけられていた生徒たちは違う。若さと情熱に、彼女たちの羞恥と理性は苦もなく容易く食い破られた。

「ほら、王子様。ウチのも触ってよぉ♡」
「ナタリア、抜け駆けしないでよ!ルードくん、あたしもお願いします!」
「リ、リ、リサも、ルード君の身体に興味ある……ですっ!」
「むむむ。これはポーラちゃんも余裕かましてらんないですなぁ」

触発された女生徒たちが、濁流のように雪崩をうってルードへと殺到したのだ。一同は勢いに圧され、一塊に揉み合いとなりながら床を転げ回る。
肉体の津波に、彼は抵抗空しく押し流されていく。女体の海から、船幽霊の如く靭やかな腕が突き出される。嵐に翻弄される小舟のようなルードの身体を弄くり回す。
誰かがルードの手を掴む。誰かがその手を股間、女性器へと誘導する。溺れる彼が無我夢中で振りほどく、と別の誰かに掴まれる。今度は乳房に押し付けられる。
全周囲からピンクの粘膜と温かい雌肉の感触。鼻腔を擽る汗とミルクの香り。しょっぱい体液に喘ぐと、甘ったるい囁き笑いが耳朶を打つ。彼の五感が『女』に占有されていく。
ルードは、未だ『男』の根源的な痛みに悶えている。だが、そんなことは女の自分たちは知ったことではないとばかりに、圧倒的な情報量が無慈悲に流し込まれていく。
誰かがサーシャを引き剥がす。ムキになって抵抗しても数の暴力には敵わない。誰かの指が睾丸を弾く。ルードは甲高い悲鳴をあげる。クスクスと笑い声。

662名無しさん:2022/02/20(日) 22:56:44 ID:6MD7ScYE0
「ほら、王子様ぁ♡ウチのお股もヨシヨシしてぇ♡今日サーシャに蹴飛ばされて痛い痛いなのぉ♡」
「ナタリア、五月蝿いわよ!アンタ、キンタマなんて『無い』んだからもう痛くも何とも無いでしょお!?」
「えへへ。ルードお兄ちゃんにタマピンしちゃいました……リサ、可愛い声が聞けて……とっても、とぉっても嬉しいですぅ!」
「ねぇねぇ、痛い?キンタマ痛いのぉ?女には分からないけど、かわいそ〜」
「一個だけ!一個だけ頂戴!一生の宝物にするから!一個だけ!指ぐらいなら入れてもいいからぁ!」
「ルード様、私(わたくし)の胸にも来て下さいまし。ポーラほどとはいきませんが、こう見えても結構大きいんですわよ?」
「うわ、ルードってばモテモテだねぇ。でも、結局はポーラちゃんのトコに帰ってきちゃうんだよね?約束したもんね?」

ルードには、もはや自分に触れる指先が誰のものなのかすら識別することが出来ない。女体の群れが渦を巻き、波打ち、一息に彼を呑み込んでいく。
柔肉で出来た底無し沼に引き込まれていく心境だった。朦朧とした意識で抵抗を試みたところで多勢に無勢、到底抗しうるような状況ではない。
腕に、腰に細く柔らかいナニかが絡みつく。心臓が跳ねる。悪戯っぽい忍び笑いと共に、遠慮なく『金的』が弾かれる。吐き気が迫り上がり、血の気が引く。
何よりも衝撃的だったのは、そんな蹂躙という形容すら生温い状況下でも、彼の性器はこの上なく反応しているという事実。ルードは自身の浅ましさが恥ずかしくてたまらない。

勿論、彼を欲望のままに弄んでいる女生徒たちの下半身も濡れに濡れている。だが、ルードにはソレを認識する術がない。
男であれば、ペニスさえ見れば興奮度合いは手にとるように分かる。だが、湿度に満ちた浴場内、どうして彼女たちが濡れていると看破出来ようか。

好奇に輝く目、目、目。ルードの男性器は四方八方から観察される。分かりやすく形を変えたソレが膨張の兆しをみせると、彼女たちは見様見真似で陰嚢を引っ張る。
自分たちには分からぬ苦痛と不快感に喘ぐルードの姿は、きゃあと。可愛いと。黄色い歓声に迎えられる。彼の反応は、少女たちの興奮を煽るためだけの燃料と成り果てていた。

睾丸を守ろうと足掻く『男』の手を、足を。捕らえては自分たちの股間を擦り付けていく。自分たちには『睾丸など無い』、その事実を丹念に刷り込んでいく。
倒錯した状況が、彼女たちの嗜好を歪ませていた。単純な嗜虐心ではない。庇護欲でもない。教えてあげたい、知ってほしい、そんな願いが行為をエスカレートさせていく。
彼女たちに言わせれば、『キンタマ』など別に重要な器官でもなんでもないのだ。普通は存在すらしていない弱点、ただの人体のオマケに過ぎない。
なのに、その小さな欠陥を九鼎大呂のごとく庇い立て、それが故に藻掻き苦しんでいるルード。彼を救ってあげたい。『大事なモノ』だという誤解を訂正してあげたい。
その証拠に、自分たちは誰一人としてそんな弱点をぶら下げていない。でも、平気。『無い』ことに、後ろめたさなんて微塵も感じない。だって、『普通』はそうなんだから。
論拠も根拠も不要、『女』にとっては自明の理。自分たちには無いという事実だけで必要十分。実際『そう』なんだから、どう屁理屈を捏ねてもひっくり返しようがない。
原始的な本能に突き動かされた彼女たちに、ルードは一方的に『女』を突きつけてられていく。

少女たちの行為。それは、好意の裏返し。自分たちが『女』だと、『異性』だとルードに意識してほしいがために引き起こされた行動。
誰もがルードのことが好きだ。だからこそ、自分を見て欲しい。『女』だと、『異性』だと意識して欲しい。だからこそ、『違う』というコトを刻み込みたい。
加熱する好意は烙印と化してルードを責め苛む。彼の反応は、彼女たちにルードの『男』を印象づけ、さらに好意はヒートアップ。熱狂は、もはや天をも焦がさんばかり。

663名無しさん:2022/02/20(日) 22:57:21 ID:6MD7ScYE0
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(うわぁ……なんかスゴイことになっちゃいましたね……)

筆舌に尽くしがたい混沌を前に、皮算用が全て御破算となってしまったトモエが唖然として立ち尽くす。
確かに、当初の目論見通り、目の前で繰り広げられている乱痴気騒ぎに加わっていない生徒たちもいる。だが、あくまで少数派。
過半数の女子生徒がルードを取り囲み、その柔肌を擦り付け、あるいは舐め回し、さらには股間を押し付けて、彼の心を折らんとしている。
トモエの想定では、この割合は逆であるべきだったのだ。ポーラ、サーシャはともかくとして、あとはリサ、もしかしたらナタリアあたりがちょっかいをかける程度だと思っていた。
なのに、蓋を開けてみればどうだ。今まさにルードは襲われている。捕食されている。だが、明らかに女生徒側の人数比がおかしい。

直接の原因は、サーシャの痴態だろう。最初の一人が、アソコまで羽目をはずすとはトモエは夢にも思っていなかった。
考えてみれば理由は明白。ルードは、サーシャでは無くポーラに惹かれている。四六時中寝食を共にしているのだ、それ自体にはなんの不思議もない。
だからこそ、サーシャにとってコレは千載一遇のチャンスだったのだ。逃してしまえば、次は無いかもしれない。その危機感が彼女を大胆に変えた。
無駄に羞じらって、全てを失ってから後悔したくない。ただただ恥も外聞も捨て去って、欲望のままに想い人の身体を貪り尽くした。

664名無しさん:2022/02/20(日) 23:00:15 ID:6MD7ScYE0
本当のトコロは、トモエが制するべきだったのだ。だが、色恋沙汰に疎い彼女は、ただただサーシャの、乙女の覚悟に気圧される一方。
逆に、胸の奥に曖昧な感情を燻らせていた生徒たちは、サーシャの覚悟に胸を打たれた。慕情の種火に燃料が注がれた。その結果が、目の前で燃え盛る情欲の焔。

揺るぎない同棲という優位に胡座をかいていたポーラにすら危機感を抱かせるほどの情熱は、見事なまでに大炎上して哀れなルードを焼き焦がしている。

(これは……大変でしたねではなく、別の慰めを考えておいたほうがいいのかもしれません)

トモエは蚊帳の外、ルードにどんな言葉を掛ければいいのか思い悩む。
当初の計画では、キンタマ大変でしょうけど、いい思いもできましたよね程度の軽口で終わらせる予定だった。
射精してしまった彼に対し、きちんと『男の子』出来てるってコトですから気にしないで、と軽くフォローを入れる腹積もりもあった。
だが。このままでは、ルードの『キンタマ』そのものが無くなってしまうのではないだろうか。射精してしまう、ではなく。『出来なく』なってしまうのではなかろうか。

アレは女が想像しているよりも脆いのだ。これまで散々奪ってきたトモエは知っている。だが、生徒たちはきっと知らない。知りようがない、『無い』のだから。
トモエは、『タマ』を奪った経験は豊富だ。だが、奪われた相手を慰めた経験は皆無。敗者に憐憫の言葉を掛けるのは許しがたい侮辱、そう信じて生きてきた。
だが、今回に限ってはそうも言っていられない。これは勝負ではない。級友からの純粋な好意と好奇の果てに、教え子は睾丸を失おうとしている。

失うコトは辛いのだろうか。失くすことは寂しいのだろうか。確実に、痛いのは分かる。だが、どんな感じに痛いのか。最初から『無い』トモエには見当もつかない。
率直なトコロ、急所が減るのはいいコトだとすら思う。そんな自分が心にもない同情の言葉を掛けてもいいのか。
浅ましい心根を見透かされ、彼を余計に傷つける結果になりはしないか。それは、師として恥ずべきコトではないか。

周りで狂ったサバトに引いている女生徒たちもそうだ。同情はしている。哀れんでもいる。ただし、あくまで他人事として。
当然だろう、ポーラの言葉ではないが、ここで睾丸を所有しているのはルードしかいないのだ。皆、『失う』ことに実感を持てない。元から『無い』から。
痛い……らしい。苦しい……らしい。なら、きっと可哀想なのだろう。自分を含めて、生まれつきキンタマなんて持ってない側からは、それ以上言えることなど無い。

665名無しさん:2022/02/20(日) 23:01:52 ID:6MD7ScYE0
ならば、下手に共感の言葉を探すより(共感のしようがないのはさておき)冷静に善後策を考える方が建設的かも知れない。
ルードがキンタマを失うことによって生じるだろう不利益をどうカバーすべきか。精神的なショックは、まぁ、御自分で解決してもらうしかないにしても。
まず、彼の目標である『男子部』への復帰は絶望的になるだろう。経験上、男性たちはキンタマを失った男を『男』の内に捉えない傾向がある。
女であるトモエには理由は分からない。彼女から見れば、単に『キンタマ』が無い男だ。だが、彼らから見れば『キンタマ』が無いイコール女子の一種となるらしい。

不思議な話だと思う。タマを潰されたところで、トモエたちが持つ『女の子』の部分が新しく生じるワケでもないのに。何故『女』側に入れようとするのか。
自分で自分の首を締めているのではないか。あんなに潰れやすい、とっても脆いコワレモノなのに。彼らは何故、自分たちのが壊されたときのことを考慮しないのだろうか。
もし、自分がその気になればーーーそこまで考えて、トモエは思考が逸れはじめていることに気づく。急遽、軌道修正。

正規の『男』では無くなったルードを、正式に女子部に編入させることは可能だろうか。肉体的には問題ないだろう、『男の証拠』とやらがもう無いのだから。
今回は男性陣がいう、『タマ無しは男じゃない』という概念を援用させてもらう。自分の生徒たちも、あれだけルードに首ったけなのだ。異論を唱えることもないだろう。

男女の埋めがたい意識差があった。男性、ルードとしては睾丸を奪われるなど絶対に御免蒙りたい。死んでも嫌だ、恐ろしさに身震いすら覚える。
対するトモエは違う。彼女は、ルードの睾丸が潰れるコトは、もはや仕方がないコトと受け入れている。受け入れた上で、その後に思考を巡らせている。
『睾丸』という器官への執着の差。ルードにとっては唯一無二、だがトモエには違う。ルードの睾丸など、数多の男性がぶら下げているものの一つ(二つか?)に過ぎない。

彼女はこれまでになく集中し、ひたすら思考を加速させる。ルードの未来の為に、自分は何が出来るのか。ただただ集中し、沈思黙考。
集中故に、だろうか。極限まで研ぎ澄まされた彼女の感覚に、僅かな違和感が引っかかった。それはルードのものではない、そして女生徒たちのものでもない微かな息遣い。
音の主は、ルードたちの狂宴に気を取られてトモエが立ち上がったことにも気付いていないようだった。全裸のまま、気配を消して彼女は動き出す。そしてーーー

666名無しさん:2022/02/20(日) 23:03:14 ID:6MD7ScYE0
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「あぁん♡ルードぉ、もぉ入れてみてもいいかなぁ♡アタシ、我慢できそうにないよぉ……♡」
 「ポーラはいつでも食べれるでしょうが!初めては私に譲りなさいよ、本当に欲張りなんだから!!」
「ダメェ……ルードくんはぁ……サーシャが……サーシャのぉ……」
 「ふふん!策士策に溺れるとはこのコトね!サーシャ、もう混ざれるほどの体力残ってないでしょう?!」
「リサ……負けません!リサだって、ルードお兄ちゃんの……おちんちん、欲しいですっ!!」
   「どうでもいいけど、終わったら片方貰うからね。もう引っこ抜くって決めたから。アタシ、毎日ソレ拝んでから授業に出るから」

少女たちの謝肉祭は佳境を越え、奏でる言葉がゆらゆらと揺れる。饗宴はいよいよクライマックスを迎えんとしていた。
ルードは股間から下半身全体へと広がった苦しみと、『睾丸を失う』という悪夢が現実味を帯びてきた状況に吐き気を伴うほどの恐怖を覚える。
その恐怖とは無縁の彼女たちは、高揚に任せて思い思いに少年の身体を貪っている。代わる代わる伸ばされる手が、少年の急所を弄り回す。
彼女たちの汗と体液に塗れた裸体は、肉食動物を彷彿とさせる空気を纏いつつ、哀れな獲物を食い尽くさんと狂乱していた。しかしーーー

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」

前触れもなくもたらされた、予期せぬ誰かの叫び声で少女たちの狂宴は中断されることとなる。
甲高い悲鳴。聞き慣れた、『金的』を打たれた男が発する悲鳴だ。彼女たち女性には決して発することができない、哀れを伴う痛切な汽笛。
発したのはルードではない。彼は、すでに悲鳴をあげる余力も無いほどに疲弊している。届いた悲鳴は、浴場の入り口から。
ルードも含め、その場の全員の視線がソコへと注がれる。注目を欲しいままに、現れたのはトモエと、上半身のみ着衣した見知らぬ青年の姿だった。

空白の時間は一瞬だけ。弾かれたように、思い思いに困惑のリアクションを少女たちは返す。何人かは慌てて湯船に飛び込む。数人は泡を食ってしゃがみ込む。
ルード『で』愉しんでいた少女たちは、呆然とした表情で闖入者を見詰める。これまでの熱狂したムードは、冷水を浴びせかけられて霧散していた。

闖入者は身長170センチ前後か。年齢は10代後半、短く刈り込まれた髪と程よく筋肉が乗った肉体は、彼もコロッセウムの闘技者であることを示している。
だが、精悍だっただろう表情は今は見る影もない。青白く血の気が引いた顔で、トモエに促されるままヨロヨロと歩を進める。
彼の背後には、トモエと同じように全裸の女生徒たち……狂宴に加わりそこねた少女たちが、憤懣やるかたないという表情で後詰めを果たしていた。

見知らぬ顔の登場に、騒然とする女生徒たちを他所に、ルードと青年の視線が交錯する。

「……デレク?」
「……ぐっ」

股間を押さえた青年から返されたのは苦悶の声だけ。だが、それだけでルードは乱入者の正体を確信する。いや、してしまう。
彼は、自分がココまで情けなく女生徒たちに蹂躙されているという現実を、決して知られたくない相手の筆頭だった。男子部時代からの顔見知り。
そして今は、『女子部堕ち』した彼を容赦なく揶揄し蔑んでくる元先輩。その彼が、生まれたての子鹿もかくやと内股で笑う膝同士を擦り付けている。

何が起きたのかは自明だった。師、トモエに『金的』を打たれたのだ。初めて俯瞰で見る『金的』の惨状に、『共感できる』側のルードは言葉を失う。
逆に、『共感出来ない』側のポーラは遠慮とは無縁だった。おもむろに立ち上がると、蔑みと呆れに満ちた声色で青年を糾弾する言葉を発する。

「男子部のイジメっ子じゃん。また性懲りもなくルードをイジりに来たの?アンタさぁ、自分がお呼びじゃないことくらい自覚したら?」

ルードにはただの一度も向けられたコトがない、氷のような冷たい瞳。こんなヤツに裸を隠す意味もない、そう言わんばかりに堂々と青年と相対する。
ポーラの言葉で、大柄なナタリアもゆるりと立ち上がる。二人は背後のルードを庇うように、全裸のまま一歩前にでる。形のよい乳房が震える。

「コイツ、噂の覗き魔だよ。隣のボイラー室で必死にチンポ擦ってたトコロを捕まえたの」

軽蔑の感情が乗せられた言葉が、彼の背後に控えていた少女から吐き捨てられる。彼女は侮蔑も露に、容赦なくデレクの肩を小突いた。
突然の闖入者に呆気にとられていた女性陣の視線も、徐々に嫌悪と敵意に満ちたソレへと塗り替えられていく。彼女たちも、一応は年頃の乙女なのだ。
ペット枠、憧れ枠、友人枠。それぞれ枠組みは違えど気心が知れたルードではない、見知らぬ異性。ソレに全裸を覗かれたと知って愉快な気分になれるハズもない。

667名無しさん:2022/02/20(日) 23:05:40 ID:6MD7ScYE0
「あぁ、私のルード君をイジメてたのも貴方だったんですね」

丸まったデレクの背中を抱いて、浴場へとエスコートしながらトモエが呟く。若輩の教え子とは違い、彼女は特に嫌悪を表に出してはいなかった。
しかし、表面上は穏やか、とはいえ内心はどうなのだろう。何かに合点がいったという顔の彼女が何を考えているのかは誰にも分からない。

「ルードくんイジるためだけに、わざわざ女子棟に来るのも癪ですもんね。行きがけのお駄賃に、お風呂の一つも覗かないとやってられないですよね」
「ひっ……」

優しく諭すような声色。柔和な表情で、トモエは俯く青年の顔を覗き込む。それだけなのに、何故か逆らい難い威圧感がある。
言葉の意味を理解していないのだろうか。碌な反応も返せず、まるで親に叱られる子供のように怯え切った様子で青年、デレクは視線を泳がせた。

「いけないコ……」

そんな彼を慈しむかのように、トモエは彼の肩に手を置いた。
ーーーヤバイ!その瞬間、ルードの脳髄を恐怖が満たす。彼との確執すら忘れて、警告のために息を吸い込む。

「ぃ、ぎいぃぃぃぃぃっ!!」
「コレはお仕置きです。しばらく、そうやって反省してなさいね」

ーーー結論から言えば、ルードの行動は遅すぎた。ゴリっという骨と肉が軋む音と、追いかけて響く断末魔じみた絶叫。言葉にならない悲鳴とともにデレクが床で転げ回る。
トモエが肩においた手でデレクを下に押し下げ、跳ね上げた膝で彼の睾丸を庇う両手ごとカチ上げたのだ。挟み込まれるような衝撃は、彼に『男』を実感させる。
浴場の中心。数多の女生徒たちに見下されているにも関わらず、デレクはどうしようもない激痛に股間を押さえて悶え苦しむ。少女たちは、クスクスと失笑。

「う〜わ、ダサっ!カッコ悪っ!!」
「男って、ホントに同じ反応するんだね。ルードが特別弱いってワケじゃないんだ」
「鍛え方が足りないのではなくて?あ、『金的』は鍛えられないのでしたっけ……ご愁傷様ですわ」
「すごい……キンタマはみんな一撃なんだ……あんなに立派な身体してるのに……」
「ウチ、あんなモン無くて本当によかった……」

ひそひそとした声調で指を差して嘲弄する女生徒たち。興奮の矛先がルードからデレクに逸れつつあるコトに、トモエは一先ず安堵する。
天佑だった。生贄の山羊(スケープゴート)を自分の元へ遣わしてくれた神に感謝する。語義とは逆だが、倒錯的なこの状況には妙にマッチしており違和感が無い。
先程までのように、『性的』に男性、ルードに関わるのではない。あえて言葉を作るなら、『去勢的』に男性、デレクと関わる。トモエにとっては慣れ親しんだ状況。

生徒たちは、トモエが怒りを圧し殺していると推測している。だが、実態は真逆。彼女は、デレクという青年に感謝の念すら抱いていた。

監督不行き届きでルードの睾丸が潰れてしまったのであれば、自身は懲戒、少なくとも何かしら罰は免れ得なかっただろうと彼女は思う。
だが、相手が覗きなら話は別だ。不届き者を取り押さえた際に、不可抗力で潰してしまった。これなら幾らでも申し開きようがあるとトモエは考える。

このデレクという青年は無名。少なくとも、目ぼしい男子生徒の顔と名前程度は把握しているトモエですら、彼のコトは何も知らない。
まぁ、同じ男子部ではなく、『わざわざ』落ちこぼれのルードにちょっかいを出す程度の男だ。向こうでも、あまりパッとしていないのだろう。
ならば、彼を『再起不能』にしたところで物言いがつく可能性は低い。お誂え向きに、『非』、それも性的な『非』だってあるのだ。それを存分に利用させてもらおう。
トモエは、事態を収拾すべくシナリオを再度練り直していく。

いくばくかの申し訳無さはある。トモエの失言で幕を開けた狂宴。その幕を引くために、彼は睾丸と永遠の別れをすることになる。
終演にはドラマティックなイベントが必要だ。トモエの当初案、ルードの射精では足りなかった。あのままだと、クライマックスはルードの去勢となっていた。
ただ、ルードは曲がりなりにも彼女の教え子だ。潰れたら潰れたで仕方がないとはいえ、潰さないで済むならソレに越したことはない。

668名無しさん:2022/02/20(日) 23:07:06 ID:6MD7ScYE0
先程までは、無理だった。代わりに潰せるタマはこの場に無かった。ルード以外、誰一人として『キンタマ』などぶら下げていなかった。
だが、今は違う。鴨が葱を背負って来てくれた。最後の演目として潰しても、心が痛まない。無くなったとしても、誰も気にすら留めないだろう『キンタマ』がここに在る。
デレクのタマを潰す。もちろん、二つとも。彼が演じる、女では再現できないド派手な狂態を見せれば、生徒たちも満足するだろう。ようやく、狂宴が終わる。

このデレクという青年に自分の尻拭いを押し付けてしまっているのは自覚している。
こんな状況でもなければ、さっきの膝金でお仕置きはお終いにして、そのまま警備の人員に引き渡しても良かったのだ。彼は、本当に運が悪かった。
感謝と謝罪の気持ちを込めて、タイルの上で這いずる芋虫を演じるデレクに内心で合掌。私のミスでごめんなさい。尊い犠牲、決して無駄にはしませんから、と。

と。どれだけ悪罵を投げつけても、股間を押さえて悶えるだけで無反応のデレクに飽きたのか。少女たちがトモエに向き直ると彼の処遇を問い質してくる。
曰く、このまま警備に突き出すのか。曰く、女の怖さを骨の髄まで教えこんでやったほうがいい。曰く、むしろ去勢してはどうか。曰く、流石にそれはやりすぎではないか。
彼女たちの様相は百家争鳴の体を成している。その意見を統一すべく、トモエは敢えて甘い言葉で生徒たちを宥めにかかる。

「お仕置きはもう十分でしょう?彼も反省しているようですし、あとは皆でルールを守って、仲良くお風呂に浸かりませんか?ね?」

内心の企みをおくびにも出さず、彼女は悪戯っぽくウインクまでしてみせる。案の定、生徒たちは一斉に不服の声をあげる。
まぁ、そりゃそうなりますよね。トモエは思惑通りコトが進んでいることにほくそ笑む。もし自分が逆の立場に入れば、間違いなく大声で不満を訴えている。
たかが金的。彼の下劣な行為に対する罰としては軽すぎる。そう彼女たちは考えている。当然だ、『女』には本当に苦しいのかすら分からないのだから。

まずは、彼女たちのフラストレーションを溜める。希望を無為に無下にされれば、彼女たちは間違いなく敵愾心を抱く。
敵意の矛先はデレクに、トモエにと向かうだろう。彼女たちの感情をコントロールすることで、ルードへ向いた意識のベクトルを確実に薄れさせていく。
非難轟々、騒然となる生徒たちに、トモエは敢えて惚けた声色を模して問いかけを続ける。

「そもそも、この浴場は女性のみってルール自体ないですよね。規則といえば、ちょっとした持ち込み禁止リストがあるだけ」
「そ、それはそうですけど……でも、女子棟ですし、常識的に考えれば……」
「ルールが無いことを悪用して、ルード君を大浴場に連れ込もうとしたコト、一度ならずありますよね。ですよね、ポーラさん?」
「……え。あ、あはは」
「今晩は授業の一環として、先生のクラスでの貸し切りにしてますけど。本当は、規則の範囲内であれば、誰でも自由に利用できる施設なのですよ」

痛いトコロを衝かれたポーラが愛想笑いを浮かべる。他の生徒達は、余計なコトをと言わんばかりの視線で彼女を射抜く。
幾分か落ち着いてきたのだろうか、ルードは疲れ果てた表情で溜息一つ。青年、デレクは未だに急所を庇い、赤子のように丸まって荒い息を吐いている。
話が彼に都合よく転がり始めたコトを認識する余裕もない。股間を押さえたまま、ただただ『男』にしか分からない苦痛が過ぎ去るのを待つ。

まぁ、認識したトコロで彼に打てる手は既に無かったが。もし、トモエが本心からそう語っているなら。何故、彼は『金的』を打たれなければならなかったのか。

欲求不満で苛つく生徒たちを他所に、デレクに起きるよう促す。だが、痛みで足腰に力が入らないのか、彼は満足に立ち上がることすら出来ない。
教え子たちに介助を頼む。と、数人の少女が動く。不承不承という態度、だがそれでもデレクに肩を貸して立ち上がらせる。彼女たちの優しさが誇らしい。
肩を借りる形で立ち上がったため、弛緩したデレクの両腕が自然と股間から離れる。デロン、と力なく垂れ下がったモノが露わになる。

669名無しさん:2022/02/20(日) 23:08:05 ID:6MD7ScYE0
ルードのソレよりも一回り以上大きい。だが、その男性器を見る女生徒たちの顔に浮かぶのは嫌悪一色。
それもそのハズ、今の彼女たちにとっては、それは裁かれない悪の象徴。股間を押さえていた手を離したことで、ぶらり、ふてぶてしく玉袋が揺れる。
デレクの『金的』は、十二分に生徒たちのヘイトを稼ぎきった。そう見て取ったトモエが、わざとらしく口を押さえて驚きの声をあげた。

「と、言いたいところでしたが。デレク君は規則すら守る気がないようですね……私達と仲良くしたくないってことなのかしら?」
「規則ですか?なんかありましたっけ?」

不思議そうな顔でポーラが聞き返す。師が突然何を言い出したのか、理解に苦しんでいるといった表情。
トモエ自身が言ったばかりだ。この浴場を利用するには、大したルールなど敷かれていないと。せいぜい、関係者に限るとか。公序良俗に悖るものは持ち込めない、とか……
思考を巡らせるポーラを尻目に、トモエは芝居じみた仕草でデレクの顔を覗き込む。彼は、恐怖と緊張に満ちた目で女教師の顔を見詰め返す。

「無断で危険物を持ち込んではいけないってルールぐらいは知ってますよね……それなのに、何ですか、コレは!」
「え……アンタ、一体何を言って……」
「自覚も無いんですか……困ったコですねぇ。何って、コレですよ、コレ」

無知を諌める口調と声音。トモエは、デレクの瞳をじっと覗き込んだまま、揶揄いを交えた調子でそっと告げる。曰くーーー

「危険物……許可のない『キンタマ』は持ち込み禁止です」
「……?………!ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃッ!!」

ですから。気の毒ですけど、一旦没収させていただきますね。トモエからの死刑宣告は、課題の未提出を咎める程度の軽い口調で下された。
青白いデレクの顔から更に血の気が引く。もはや、彼の顔面は蒼白を通り越して土気色に近い。無我夢中で両腕を振りほどくと、歯を食いしばって股間を必死に庇おうとする。
彼の行動は、デレクを除く全員に朝のルードが演じた醜態を思い起こさせた。ゆるり、優しげに伸ばされたトモエの両手がデレクの肘を掴む。
と、朝の惨劇を焼き回したように、容易く彼の両腕が引き剥がされる。青年の顔が、驚愕に歪む。

隠そうとしても無駄ですよ、仔犬を撫でるがごとき気安さでトモエが語りかける。流れるような自然な動作。背後、臀部から差し込んだ掌で、彼の陰嚢を確実に捕らえる。
恐怖で酸欠の金魚のようにパクパクと口を開閉させるデレク。呆気にとられていた生徒たちも、事態を呑み込んだのか徐々に歓声をあげはじめる。

「タマタマ没収かぁ……う〜わぁ、トモエせんせも人が悪いなぁ……」
「そっか。『うちのクラス』の貸し切りだから、ルード君のは許可済みってことになるのね」
「というか、ソレって女湯と何処か違うのかしら……?」

めいめい思ったことを口に出す少女たちからは、もはや『やりすぎでは』という声は聞こえない。
彼女たちの中では、この青年の睾丸は例えるなら逃げ切りそこねた悪党と同じ位置まで堕ちていた。天網恢恢、正義の手に捕らえられた。あとは鉄槌を待つのみ。
一度、罰が軽すぎると思わせることが出来れば。重い仕置きを期待させることが出来れば。沙汰が極端に振り切れても、彼女たちは当然のコトとして受け入れてしまう。
単純な話だ。自分たちの望みを充足させる方向へ物事が進めば、大抵の人間は文句を言わない。黙って『得』を受け入れる。
今回は、トモエにそう誘導された結果に過ぎない。が、トモエ自身は教え子たちの素直な振る舞いに、どこか誇らしいような気分すら覚えていた。

「勿論、女湯とは違いますよ。女性だけじゃなくて……過去、先生を本気で怒らせた男の人達だってココに入る資格はあります」
「それって、つまり、その人たちはもう……」
「きゃー!なんかドキドキしてきた!」
「ほら、デレク君も見てご覧なさい。貴方以外で、『キンタマ』なんて持ち込んでるコはいますか?」

670名無しさん:2022/02/20(日) 23:09:01 ID:6MD7ScYE0
優しく、ときに激しく、指先で転がすようにデレクの急所を転がしながらトモエが問う。入念に、潰すためのポジションを探っているのだ。
吐き気と悪寒に苛まれつつ、デレクが視線をあげる。視界に写るのは女、女、女。トモエが言う通り、誰一人として股間に睾丸などという器官をぶら下げていない。
自然、彼の視線はルードに注がれることになる。だが、彼を未だに愛撫している少女たちから、ルードくんのは許可済みって言われたでしょ、そう冷たい言葉で切り捨てられる。

ポジショニングが決まったのか、トモエの親指が副睾丸に添えられる。まだ力は入れていない。優しく、位置を確かめるような指使い。
だが、それだけの行為で、デレクの全身の筋肉が強張り、背筋が反り返る。膝が笑い、力が入らない。崩れ落ちそうになる体を、後ろから伸びた腕が支えている。
処刑台に引き出された罪人を連想させる『男』の姿を、一人の少女が興味深げ、いや、知的好奇心に駆られた瞳でしげしげと覗き込んでいた。

「うわ〜、コレ悲惨っすね」

ナタリアだ。彼女は膝を立て、しゃがみこみながら真っ直ぐ雄の陰部を見つめている。体勢上、晒される彼女の脚の付け根は雌のモノだ。陰毛と、一本のスリット。
食い入る視線に、羞恥と屈辱で必死に身を捩ろうとするデレク。だが、その行為は無為。トモエに掴み取られた睾丸に、余計な刺激を与えるだけ。
探究心を隠さぬ教え子に、トモエは教師として問いかける。何か、気になることでもありますか、と。

「いや、ウチもポーラみたいな必殺技考えてて。こう、得意のグラウンドに引き込んでから、タマをぎゅっと握りしめてやるってのはどうかな、とか……」
「とても効果的ですよ?先生も得意ですけど、きちんと掴めたらそれだけで勝ったと思っていいぐらいの必殺技です」
「だろうな、とは思うんすけど……。でも、男子部を見学にいっても、使ってるヤツいなくて。もしかしたら、コツとか掴まないと難しいのかなって……」

そこまで聞いて、トモエもナタリアの意図するトコロを把握する。自分たちが『金的』の攻撃方法を考えても、それが本当に効くのかは想像しか出来ない。
女子部内のスパーで試すわけにもいかない。ダメージが全く違うのだ。それは、日中にサーシャの股間蹴りと受けたナタリアは重々承知していることだろうが。
それでも打撃ならある程度のダメージは見込める。だが、彼女が考えている『握り』はダメだ。握れるモノが無いのだから。そもそもノーダメージ。無意味。
だからこそ、実際に握られて苦しむ『男』を観察して、本当に彼女のアイデアが有効かを確認しているのだろう。男子部への見学もそのためか。
熱心さに、トモエは内心でナタリアへの評価を上方修正。

とはいえ、彼女の努力はあまり効率的とはいえない。何故かはトモエも知らないが、男性同士の試合では『金的』を狙うシーンはあまり見られない。
これについては、トモエも常々疑問に思っている。一撃必殺の急所なのだから、男性同士ならどちらが先に相手の股間を打つかという読み合いになるのが自然だろうに。
丁度いい、折角だからこの疑問も解消しましょうとデレクに問おうとするが、彼は全身を恐怖に硬直させて会話が出来る状態ではない。
まだ潰し始めてもいないのに。青年の醜態に、トモエは他人事ながら心配してしまう。自分は分からないけれど、実際に潰し始めたらきっともっと苦しいですよ、と。

となれば、訊ね先は一つだ。デレクを除けば、この浴場で『金的』を抱えているのは一人だけ。
自然の流れで、トモエの視線はルードへと流れていく。彼は、短く『ひ』と一言、詰まった悲鳴を上げた。心外だ、自分には特に害意などないのに。
ルードは、全裸の美少女二人を侍らせるという、トモエをして倫理的にどうかと思わせる格好で彼女を凝視していた。脅えきった視線は、少しだけ寂しい。

「大丈夫……大丈夫ですよぉ。ルードお兄ちゃんが握られてるわけじゃないですもん……平気、平気ですぅ」
「よしよし。こっちは大切な方のタマタマだもんね。潰れちゃったら悲しいよね」

榛色の少女と茶髪の少女、サーシャとリサがルードの耳元で甘く囁きながら、壊れ物を扱うような手付きで彼の陰嚢を撫で回す。
まるで恐ろしい魔物から幼子を守るような態度でルードをあやす二人に、トモエは少し鼻白む。先程までの狂乱を、彼女たちはすっかり棚上げしてしまっているようだ。
特に、サーシャ。貴女は、イクとき思いっきり握りしめていたでしょうが……。

(あの二人、御自分たちの痴態を忘れてしまったのかしら。貴女たちが変にヒートアップするから、デレク君はタマを抜かれる羽目になっているのに)

671名無しさん:2022/02/20(日) 23:10:01 ID:6MD7ScYE0
まぁ、取ることは決めたのだ、今更考えても詮無いコト。教え子たちに倣い、トモエも自身を棚上げするとルードに微笑みかける。問いを掛ける。
折角の機会だ、疑問を疑問として放置せず、分からないことは訊ねる。教師だって、生徒から学ぶコトがあってもいいだろう。

「そういえば、男子部では『金的』あまりしないみたいですね。アレって何か理由があったりするんですか?」

突然自分に話題を振られたことにルードは驚き、目を白黒とさせながら慌てて首を横に振る。

「い、いえ、特に理由は……。ただ、むっちゃ痛いのが分かるから、なんだか気が引けるというか……卑怯というか……」
「?勝てば官軍ともいいますし、勝ちに卑怯もなにも無いでしょう?痛みが分かるからこそ、やられる前にやってしまえという発想は無いのかしら」
「いや、その場は乗り切れたとしても、いつか仕返しされるかもしれないし……」

成程、そういう考え方もあるのですか。トモエは教え子の言葉に心のなかで膝を打つ。今朝の自分の言葉、正解の一端を含んでいたのかと思い返す。
自分たちは『狙われ得ない』側。だから、『金的』を入れたところで、やりかえされる心配はない。だが、考えてみれば当然のコト。男性陣は違うのだ。
『金的』を狙うなら、『金的』を狙われる覚悟が要求される。キンタマが有るのだ、可哀想だけれど仕方がない。女では想像もつかない覚悟。いや、必要すらない覚悟。
まぁ、トモエだって自分が『金的』を蹴り上げた相手に、逆に股間を打たれても不服はない。その覚悟ならある。だが、気の毒な話、ダメージが全く違う。

肉の防御が薄いから、直接骨に衝撃が響く急所。対して、男性は防御すらなく剥き出しで内臓が転がり出ているのだ。盲腸にも似た、生存には不要な臓器とは言えど。
それが抑止力となっているのか。教え子の説明が腑に落ちて、トモエは満足げな笑みを浮かべる。男性は色々大変なんですね、不憫に思っての慰めの言葉。

その気持ちはナタリアも同じようだった。ルードに向き直ると、哀れむような気の毒がるような、なんとも言えない表情で彼を見詰める。徐に口を開く。

「じゃあ、王子はこれから大変ね。きっと、女子部ですっごい流行ると思うよ、『金的』攻撃」
「え……え?な、何で……?ナタリア、噓だろ……?」
「男子部で流行らないのは、痛みが分かるし仕返しが怖いからなんでしょ?ウチらは痛いの分かんないし、仕返しされる心配ないもん。流行らない理由がないじゃん」
「……いや、でも、ほら……」
「ウチだって、次に王子様と当たる時は『タマ締め』試してみたいと思ってるし……サーシャの手前、加減はするつもりだけどさ」
「だから、何で……」
「何でって……いや、みんな目覚めちゃったわよ。ウチだって、初めておちんちん見てドキドキしたし……ただ、ね」

本当に申し訳ない。そんな感情を滲ませながら、ナタリアは股間の前で片手を開閉させる。彼女は女性だ、当然掴めるのは虚空だけ。
どこまで『保つ』のか分かんないのよ、自分には無いものだから。後ろめたそうな表情で告白するナタリアに、ルードは絶句することしかできない。
救いを求めるように左右を見回すが、蕩けた表情で撓垂れかかるサーシャとリサしか傍らにはいない。この恐怖を分け合える存在がいない。

「ーーー大丈夫だよ、ルードくん。もしルードくんのタマタマが無くなっちゃっても、私は全然気にしないからね」
「リサだって……その、タマタマなんて無くても、ルードお兄ちゃんが……その、魅力的な方だって分かってる……ですっ!」
「…………ッ!?」

聖母を彷彿とさせる柔和さで、サーシャとリサは哀れな男子を落ち着かせようと優しく語りかける。
ゆったりと、一糸纏わぬ身体を預けたまま物憂げに彼の手を取る。迷い子を導くかのごとく、各々が掴んだ片手を自身の下腹部へと添えていく。
そこは恥骨だ。肉体的には、快感を伴う箇所ではない。だが、雰囲気に酔っているのか。男であれば性器がある箇所を、ひたすら撫で回させる彼女たちは何処か夢見心地。

「ほら、サーシャには無いよ……」
「リサも、リサも無いですよぉ……タマタマなんて……」

672名無しさん:2022/02/20(日) 23:11:20 ID:6MD7ScYE0
タマなど無くとも受け入れてあげる、それは女だからこそ言える文句だろう。タマを失くすという、男性側の視点がすっぽりと抜け落ちた気休めの言葉。
そもそも、彼女たちには『タマを失くす』という概念自体の持ち合わせがないのだ。ルードの両手に伝わるのは、彼女たちの滑らかな肌の感触だけ。そこに睾丸は無い。
キンタマなんて無くっても、ルードくんはルードくん……サーシャの慈愛に溢れた言葉は、発言主の意図に反して、ただルードを追い詰めていくだけ。

と。彼が限界を迎える直前、トモエが足を踏み鳴らす。高らかな音が浴場に木霊する。本当は手を叩きたかったのだが、今はデレクの睾丸にかかりっきりだ。
全員の視線がトモエとデレクに集中。彼女は、見返すように順繰りに視線を巡らせる。ナタリア、ルード、サーシャとリサ、ポーラ、そして他の女生徒達。
十分に注目を集めたことを確認すると、トモエは厳かに口を開いた。

「そんな不幸な事故を起こさないよう、今日はしっかりと勉強しましょうね。補講、です。どうやったら、タマタマは潰れてしまうのか」

掌中で、デレクの陰嚢が収縮していく感覚。彼には本当に申し訳ないと、トモエは内心で謝罪。この子は……ただただ、運が悪かった。
丁度いい話なのだ。ルードの睾丸が潰れないように手加減を覚えさせる必要は常々彼女も感じていた。だが、その過程で彼の睾丸を破裂させてしまっては本末転倒。
とはいえ、何の罪もない男を捕まえて去勢するわけにもいかない。タマを揉み潰すことは得意でも、悪事を揉み消すことには慣れていない。

文字通り、カモネギだったのだ。もし、この青年が男子部のスターであったなら、その後の騒動を考えて彼女も躊躇したかもしれない。
だが、現実にはデレクは男子部の有象無象の一人。ぶら下げているのも、誰にも顧みられることがない有象無象の睾丸二つ。これで生徒たちに教育出来るなら安いもの。
千言万語、舌を弄して伝えようとしても潰れるモノを持たない『女』には限界がある。百聞は一見に如かず、実際に『潰れる』瞬間を見せてあげるのが一番いい。

「うわ、楽しみぃ」
「ちょっと可哀想な気もするけど、自業自得だもんね」
「風船が割れる感じに潰れるのかな?ゴム毬がパンクする感じに潰れるのかな?」
「どっちにしても、痛そうだよねぇ……知らんけど」
「ほらほら、ルードくんもコッチでよく見ようよ。他人事じゃないんだからさ」

外野の喧騒、無責任に囃したてる声。ワイワイガヤガヤ、集う少女たちの目はまるでサーカスの演目を期待するかのように輝いている。
トモエがデレクの睾丸を潰す理由は三つ。一つは、少女たちに満足感を与えること。それによって、この狂った夜宴を穏便に終わらせたい。
二つ目は、生徒たちに『金的』の脆さを現物で実感してもらうこと。脆さを知れば、そうそうルードに無茶なコトもしなくなるだろう。
まぁ、万が一の危険性は否めないが、ソコは男に生まれた宿命として呑み込んで欲しい。青年、デレクの尊い犠牲で奇跡的に九死に一生を得たタマなのだから。
三つ目、これは本人にも自覚はない、自身の感情のリセット。不慣れな濡れ場で落ち着きを欠いたトモエは、慣れ親しんだ去勢行為で精神的な平穏を取り戻そうとしている。

「ほら、ルード。ちゃんと見届けてあげなって」

見ていられない、全身でそう主張しながら目を逸らすルードを、背後からポーラが抱きかかえる。豊かな乳房で頭部を挟みつつ、両手で彼の視線を固定する。
視線の先は、当然デレクの睾丸だ。トモエの両手に拘束された二塊の死刑囚は、ただ執行の時を待つばかりとなって頼りなく震えている。

「これでアイツはルードのコト煽れなくなるね。女子部のルードちゃん、キンタマ付いてるんでちゅかぁなんてよく囃し立ててたけど」
「そんなコト言ってたんだ。マジウザいね、コイツ」
「うん、ホント。でも、明日からはアイツが言われる側になっちゃうもんね。キンタマ付いてるんでちゅかぁってさ」
「別に、胸張って言えばいいんじゃないかなぁ?キンタマなんて付いてませ〜んって、要らないって取られちゃったんでちゅ〜ってさ」
「あはは、でもソレって白旗じゃん、情けない。アンタたち、それでもキンタマ付いてんの?」
「付いてませ〜ん」「……リサ、女の子です」
「「「あははははははは」」」

673名無しさん:2022/02/20(日) 23:12:01 ID:6MD7ScYE0
ポーラの軽口に、サーシャとリサも乗っかる。三人の少女から、朗らかな笑い声。彼女たちは、残酷なまでに無邪気だ。
トモエも、ポーラの言葉……『金玉付いてんのか』という言葉が煽りになるという、男性の生態に妙な感慨を覚えてしまう。付いてなかったらなんなのかしら。
いや、罪悪感はあるのだ。だが、それは『潰す』という行為が齎すであろう激痛に対してだけ。失った後の人生は、彼女の関知するトコロではない。関係ないのだから。
少し語弊があるか。彼女は女性で、だから『タマがない人生』とはトモエにとって普通の人生と同義。女であるトモエには、男の気持ちなど分からない。分かるはずもない。

デレクはもはや歯の根も合わないようだ。ガタガタと震える彼の『金的』、トモエは右手で陰嚢の付け根を絞り、左手はタマの下側へ添える。
前もって把握しておいたポイントを逃すこと無く、経験上もっとも痛むのであろう場所をしっかりと捉える。そして、無慈悲に中身を擦り合わせ始めた。

「ぎ!あ!〜〜〜〜〜ッ!〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
「いきなり潰すと身体がビックリしてしまいますからね。泳ぐときと同じ、しっかりと準備運動からしていきましょうね」

言葉は優しいが、その声音には慈愛など欠片も感じられない。冷酷なまでに注意深く、自身の行為が齎す結果を確認していく。
痛みに悶え苦しむデレクの顔色の変化、呼吸の乱れ、筋肉の動き、それらをつぶさに観察して手加減を調整する。生徒たちから、やんやの喝采。
彼女たちにとっては、『男性』の苦しみは結局他人事。ルード以外の全員が、デレクの『男』を娯楽として消費し尽くそうとしていた。

もはや二本の足で立つことも叶わず、デレクは力なく床に沈んでいく。だが、トモエは同じ高さで彼の睾丸を掴んだまま。

結果として、デレクは情けなく尻を高く持ち上げた体勢で顔だけをタイルに擦りつける格好となる。敢えて文字で表現するなら【○/ ̄|_】のような体勢。
ワンちゃんみたい、誰からともなくあどけない笑い声。少女たちは、もっとよく見ようと彼の背後へと回っていく。
ポーラたちも、脱力してしまったルードを引きずりながら女生徒たちのあとに続いた。


「どうですか?コレが、所謂ところの『キンタマを掴まれた』状態です」
「いや、そのままですよね……?」
「あぁ、そういうコトではなく。下品な言葉ですが、あるでしょう?『キンタマ掴まれてる』から逆らえない、みたいな言い回し」
「あー……確かに、コレだと逆らいようがない感じですね……。ピンとこない言葉でしたけど、なんか分かった気がします」

音の鳴る玩具を想起させる表情。絞め殺される鶏のような高いトーンの悲鳴をあげることしか出来ないデレク。
こんなに効くんすね、感心したように眺めるナタリア。すでにルードに同等の行為をはたらく自分の姿を妄想しているのだろうか。
脳内シミュレーションが終わったのか、彼女は師、トモエに目を向け直す。と、一つ分からないコトがあるんすけどと問うてくる。当然のように応じるトモエ。

「この体勢、両手が塞がっちゃいますよね。もし抵抗されたらどうすればいいんすか?」
「あぁ、それは……」

無邪気な質問に思わず笑みが溢れそうになるが、我慢。トモエは慣れているから知っている。だがタマを握られたことがない彼女が、それを疑問に思うコトに不思議はない。
傍から見れば、ただ単純に両手を股間に差し込んでいるだけなのだ。それだけで完全に『男性』を無力化できる。それがナタリアには信じがたいのだろう。
とはいえ。それに答えるべきは、同じ女性の自分ではなくーーー

「ルード君。貴方なら、こんな感じに『キンタマ』握られたらどうやって抵抗しますか?」
「え。そんな、もう抵抗なんて出来ないっスよ……」
「それは何故?ナタリアさんにも伝わるように、説明をお願いできますか?」

答えるべきは、『キンタマ』を持っているルードだろう。トモエの回答は、どこまでいっても『持たざる者』の想像の域を出ない。体感しようがないのだから。
その点、彼なら適任だ。『キンタマ』の痛みを知るだけでなく、散々そこを責められてきたのだから。つい先程も、級友たちに執拗に弄くり回されていたばかり。

674名無しさん:2022/02/20(日) 23:12:40 ID:6MD7ScYE0
「何でって……そんなコト考えられない程痛いからっス。先生みたいな女の人には分からないでしょうけど……」
「確かに先生には分かりかねますね……でも、思い切って痛みを無視すればなんとかなるのでは?」
「いや、その、一番の理由は痛くて苦しくて力が抜けるからっスよ……なんか全身にイヤ〜な感じが拡がって、その、腹まで痛くなってきて……」

そ〜なんだ、感心したようにナタリアが呟く。弱点を責められてるんだから、火事場の馬鹿力的なモノが出てもいいのに。男子って不憫ね。心底からの同情の言葉。
そんな生徒にワンポイントアドバイスを与える体で、コリコリと手の中の楕円球を揉み解しながら語るトモエ。

「ちなみに、この体勢になった男の人はとっても素直になるんですよ」
「どういうコトですか?」
「何か質問してみてください。何でも素直に答えてくれるハズ……デレク君もいいですよね?嘘ついたら、した……いや、『下の玉』抜かせて貰いますからね」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃ……」

最後の一言で、デレクの口から力なくも情けない悲鳴が垂れ流されていく。
トモエの脅し文句は冗談ではないと皆知っている。デレクの返事を待たずして、早速ナタリアは彼に問いを投げかけた。

「じゃあ、今からウチらが色々質問するんで、正直に答えてください。まず、なんで王子……ルーちんを虐めるんすか?」
「え、えっと、それは、あの……だって……」
「歯切れ悪いですね……鞭だけじゃなくて、飴も必要かしら……そうだ!デレク君、正直に答えれば、玉を潰すコトだけは勘弁してあげましょうか?」
「………………!!!!!その、ルードが、ルードのヤツが羨ましかったからですッ!!」

ナタリアの問いに、トモエの蜘蛛の糸のような譲歩。矢も盾も止まらず、デレクは隠し通そうとしていた本心を吐露してしまう。
まぁそんなトコでしょうね、トモエは特に何の感慨もない。彼ぐらいの年頃であれば当然の欲求。異性に囲まれた後輩が妬ましくて仕方がなかったのだろう。
とはいえ、実態までは把握してなかったのだろうか。何度も何度も『金的』を打たれて悶絶する羽目になっても、この環境は男性にとっての羨望に値するのだろうか。
打たれる『金的』がない彼女には判断がつかない。もっと根本的な部分で分かっていないナタリアは、不思議そうな顔で問いをつなげる。

「羨ましいって……ルーちんは男子部を落第してウチらのトコに来たんすよ?いつも、戻りたいって言ってるのに」
「分かってます!けど、なんか、こう、弱っちいくせに女に囲まれてるっていうか、ハーレムみたいになってて、その……」
「えぇ……女の子が欲しいなら、自力で恋人とか作ろうとは思わなかったんすか?」
「ぐ…………」

「ぎえっ!」「ちょっと、ナタリア!?」「こっちにも流れ弾が来たぁ!!」「アンタだって独り身でしょうが!!」

無邪気な質問に、デレクだけでなくナタリア以外の一部女子たちからも一斉に悲痛な声が上がる。
別に彼女が悪いわけではないのだが、何となくトモエまで何か申し訳ない気分になってしまう。彼女たちではなく、顔も名前も知らぬ自分の両親に。
どうせ、私だって20も半ばを過ぎてお付き合いしたこともないですよ!悪かったわね、処女で!! そんな彼女の心の叫びは誰の耳にも届かない。

「というかさ、アンタ、男子部だとどれくらい強いの?結構上の方?真ん中よりちょっと強いくらい?」

横から質問を被せてきたのはポーラだ。無神経に見えて、実態はルードのための質問。彼がどれくらい研鑽を詰めば、目標の男子部に戻れるのか。
こんなに簡単に(女から見て)無力化されるようなデレクが男子部では上位の実力者なら。ルームメイトが悲願を達成する日は遠くないのではなかろうか、と。
先程とは違う理由で、ルードが目を伏せる。デレクが言葉に詰まると、無言でトモエが掴んだ睾丸に力を込める。
彼は、もはや何もかもを諦めたような表情になると、絞り出すようにポーラの質問に答えた。

675名無しさん:2022/02/20(日) 23:13:33 ID:6MD7ScYE0
「その……オレは、ドベの方です……」
「えぇ!あんなにいっっっっつも偉そうにしてたのにっ!?」
「ポーラさん、察してあげましょう?男子部で威張れるなら、わざわざ女子部堕ちしたルードくんにちょっかいを掛けに来たりはしませんよ……」
「マジかぁ……。そりゃ、こんなに弱っちいならさもありなんって感じだけど……」

あからさまに気落ちしたポーラをトモエが慰める。ホントの上位層、強者が相手だったら女子部じゃなかなか相手にもなれませんよ、と。
でも、キンタマ打てば勝てるんじゃ、食い下がるポーラ。確かに『金的』入れば勝てますが、冷静に返す。上位層相手だと、私達は金的以外の何処打たれても大ダメージですから。
道のりは遠いね、胸に抱いたルードの頭を掻い操り回しつつ、ポーラが呟く。あれ、でも先生は男性相手にし慣れているんじゃ、サーシャからもクエスチョン。
私が相手にしたのは、もっぱら二軍落ち間際の落ちこぼれですから。女性闘士トップでもそんなモンですよ、夢も希望もないトモエのアンサー。

「え……じゃあ、このお兄ちゃん、女の子より弱いのに『タマタマ』まで守らないといけないってコト……?なんだか可哀想……です」
「う、ぐぐぐぐ」
「そのその!これまでタマタマなんて要らないって思ったこと、ありますか?!」

生温い憐憫の視線とともに、リサが問う。デレクは、自身の尊厳が跡形もなく崩されていくような錯覚を覚える。だが、逆らえない。
もし、背後の教師の機嫌を損ねて、玉を奪われてしまったら。一体、自分は、どんな風に生きていくことになるのか。想像するだけで、腹の奥底が冷えて目眩がする。
床に額を擦りつけた体勢。真っ直ぐ、視線の先には剥き出しのトモエの股間。ソコに睾丸はない。だから、その気になれば躊躇なく奪えるだろう、それは予感ではなく確信。

屈辱に身を震わせるデレクに対して、堰を切ったかのように質問の奔流が浴びせかけられる。
そのどれもが、デレクの『男としてのプライド』を柔らかく剥ぎ取っていくようなモノばかり。
急所を握られたデレクはそれに歯向かうことなど一切出来ず。ただただ神経を擦り減らしながら、この悪夢のような時間が過ぎ去るのを待つ。

676名無しさん:2022/02/20(日) 23:14:37 ID:6MD7ScYE0
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(余興のつもりでしたけど、少しイジメすぎたかしら)

ようやく地獄の時間が終わった頃には、青年、デレクの心は完全に折れていた。手の内で丁度よい頃合いの柔らかさになった睾丸を弄びながら、トモエは反省。
彼の玉を潰す前の下拵えとして、ただただ芸もなく揉み込むだけでは退屈だろう。デレクの悲鳴だけではアミューズメント性に欠けるのではなかろうか。
そんな危惧から手慰みがてらにはじめたアトラクションだったが、トモエにとっても意外なほどに生徒たちが盛り上がってしまった。

単純に暇潰しのために行った座興が、デレクの精神を完膚なきまでに辱めることになってしまった。流石のトモエも罪悪感を覚える。
何処かで彼には埋め合わせをしないといけませんね、そう思いつつ、彼女は陰嚢を掴む手の形を変えた。擦り合わせる形から、親指を突き立てる形へ。
予想外な行動に、放心していたデレクの腰がビクリと震える。

「それじゃ、準備も出来ましたし。潰しましょうか。ほら、皆さんもよく見ておいてくださいね」
「え。話が違う……正直に答えれば……潰さないって……」
「あ、すみません。アレ、噓です。……遠慮せず、先生の『下の玉』抜いてもらっても構いませんよ。ついてないですけど」

無慈悲な宣告に、周囲の女子たちから一斉に歓声が上がる。まるで、待ち望んでいたショーの始まりのように。
かわいそ〜、痛そ〜、気の毒〜、御愁傷様です〜、字面上は気遣う言葉。だが、彼女たちの声調は一様に楽しげで、どこか期待するような響きを帯びている。
一方、デレクはどうか。今更、何を言っても無駄だ。そう悟ってしかるべき状況にも関わらず、往生際悪く『タマ』を諦めきることが出来ないらしい。
必死にトモエの手を外そうと足掻いているが、弛緩し脱力してしまった身体だ。カリカリと彼女を引っ掻く彼の手は、まるで子猫がじゃれつくような印象しか与えない。

もうダメなんですよ、トモエは口には出さず謝罪する。ここまで生徒たちが盛り上がってしまったのだ。今更、『止め』にするわけにもいかない。
だから。心苦しいのは山々だけど、デレク君には男性を『辞め』て貰わなければならないのです。そうでもしないと、彼女たちは収まりがつかないんです。

トモエは座り込むと、両脚をデレクの閉じた膝から差し込む。そのまま、自身の膝を外側に折り曲げて、一般的にいう『女の子』座りの体勢に。
そのままジワジワと両膝を開いていくと、四つん這いの彼の股が開かれる。睾丸越しに、慄く青年の顔が見えた。涙、脂汗、体液という体液に塗れた正視に耐えない惨めな表情。
これから、彼は『完品』の男性ではなくなる。『訳あり品』の男として……正確には訳『あり』ではなくタマ『無し』ですけど……これからの人生を過ごしていくことになる。

それが恐ろしいのだろう。ブルブルと震えるデレクを見ていると、胸が詰まるような気持ちになる。彼は、『タマが無い』生活というものを知らないのだ。
未知というものは恐ろしい。自分たちは、タマが無い生活なんてお馴染みのもの。慣れ親しんだ自分の人生。だが、彼は違う。彼は『無い』生活をまだ知らない。
額を床に擦りつけたまま脱力した両手を伸ばしてくる。必死にトモエの両手、彼の睾丸を捕らえてしまった万力を外そうと、儚くも藻掻く姿がいじましい。

(そんな目で見ても無駄なんです。私、付いてないから。タマ乞いされても分かんないんです)

生徒たちからは、彼の表情は死角となって視認できない。そのことに一抹の救いを覚えつつ、トモエは掴んだ睾丸を皆によく見えるよう持ち上げる。ぐ、と苦悶の声。

677名無しさん:2022/02/20(日) 23:16:18 ID:6MD7ScYE0
「さきほど何方かが仰っていましたが、潰し方はゴム毬のソレに近いです。一律圧力を加えるのではなく、一点に力を加えてガワを破る感じ……」
「膜、ですか?ゴムボールみたいな?」
「ええ。タマタマは肉厚の膜……白膜といういうのですが……に覆われているので。それに穴を開けて、中に仕舞われた柔らかい部分を絞り出します」
「あー。じゃ、パンクするみたいに潰れるんだ」「痛そう」「楽しみ〜」

睾丸を持ち上げる手の動きに合わせて、デレクの腰も高く持ち上げられていく。皮肉にも、潰すトモエたちが見易いように、彼の体勢が変化する。
トモエは淡々と親指で彼の睾丸の様々な箇所を指し示しながら、少女たちに『潰す』際の注意事項をレクチャーしていく。彼女の一動作ごとにデレクの振動が深まる。
不憫だと思う。なにか手心を加えてあげたい……なにせ、ココまでされる謂れは無いのだ。ただ、トモエとクラスの都合で彼は『彼』と名乗りきれない肉体になる。

(せめて。彼のタマタマ、抜かれるコトに価値を与えてあげられないでしょうか)

泣き出しそうな顔の青年、デレクの顔を陰嚢越しに見つめながら、トモエは思索を巡らせる。
潰れされる痛みはどうしようもない。焦らされた教え子たちは、知的好奇心の赴くままに『男』の派手なクライマックスを待ち望んでいる。
彼が、期待を裏切ることはないだろう。睾丸を奪われた男性のリアクションは、常に『女』の想像力の上を行く。タマは女の想像の埒外にあるとはいえ、それでも。

だけど。このまま、深い意味も無いままに奪ってしまってもいいのか。実体としてのタマは失くなる。貰い受ける。だが、誰かの記憶として残す方法はないのか。
指先でコリコリと彼の睾丸、楕円形の肉球の付け根を擦りながらトモエは考える。デレクからは、掠れた絶叫。それがまた、哀れを誘う。
このまま潰しても、生徒たちは『面白い芝居』を見た以上の印象は持たないだろう。数週間は話題の端にのぼっても、直ぐに記憶の淵に沈んでしまう。
自分がそうだから分かる。これまで奪ってきた『金的』たちは、結局『ワン』オブ『ゼム』に過ぎない。一粒一粒の持ち主まで遡ってなど到底思い出せない。

それが今では、どうだろう。自分の教えを受けた教え子たちが、まるで恋い焦がれるように『男』の弱点を狙っていることに女の自分が苦慮している。
朝方の悩み。模範回答を、未だにトモエは見つけきれていない。

「うぎっ!止めてくれっ!!もう二度としないから……このままだと女の子になっちゃうからッ!!」
「あらあら、そんなコトはありませんよ。そうだ!納得してもらえるよう、ちょっとコレを使って皆に説明させてもらいますね。男性と女性について」

そこに、誂えたようなデレクの悲鳴。彼の慟哭は、トモエに、自分は闘技者ではなく教育者だということを思い出させる。であればこそ、取れるアプローチがあるのではないか。
青年、デレクの『キンタマ』は潰れる。自分が、潰す。これはもう決定事項、覆すつもりもない。だが。それをショーではなく、授業として行えないか。
娯楽の一環ではなく、知識の教授として潰す。そうすれば、教え子たちは『金的』を検討するたびに、デレクのタマを基準として思い出すのではないだろうか。
誰かの記憶に生き続ける限り、人は死なない、そう聞いたことがある。なら、誰かの記憶で想起され続ける限り、デレクのタマも『存在する』ということになりはしないか。

流れるような動作で、彼の睾丸を握りなおす。潰すための手付きから、もう一度、揉み込むための手付きに。
貴方の犠牲は無駄にしません、そう内心で深謝しながら、トモエはデレクの睾丸を余すところ無く使い尽くすことを決意する。デレクの顔には困惑と絶望。
対する女生徒たちは、また何か面白いことが起きそうだという期待に胸を膨らませる。ただ一人の男子生徒、ルードを除いて、だが。

(今度、ルード君にも聞いてみましょう。もし彼のを潰すことになったら、どっちのアプローチで去勢されるほうが嬉しいのか)

678名無しさん:2022/02/20(日) 23:17:11 ID:6MD7ScYE0
トモエの決断は単純至極。そもそも、トモエの予定では、この浴場で生徒たちに男女の性差について体験学習して貰おうとしていたのだ。
巡り合わせの妙であれよあれよという間に事態が思わぬ展開を見せ、挙げ句の果てに覗きの青年、デレクが去勢されるという運びにまで至った。が、当初の考えはそれだけだった。
トモエの陰部に陰毛が生えていない理由もソレ。互いに分かりやすいように、そう考えて自室で丁寧に下処理を済ませてきたから。

見せるというコトを意識すると、女性器は不便だ。女性の中には、自分の性器など見たこともない、ほとんど気にしたこともないという人も少なくないらしい。
これは男性陣にとっては冗談にしか聞こえない話だそうだ。が、想像してみて欲しい。男性でも、自分の肛門をマジマジと観察したことがある人間がどれだけいるか。
女性器は、身体から突き出していないのだ。だからこそ、観察してもらうには下準備がいる。面倒くさいが教職、授業なのだ、仕方がない。

ーーー

「さて、と。それじゃ皆さん、当初の目的に立ち戻りましょう。男女の違いについて、実物を使って互いに確認していきましょうか」

トモエの決断。それは、罰としてゴミのようにデレクの睾丸を廃棄してしまうのではなく。
授業の一環として、隅々まで彼の性器を詳らかにし、生徒たちの記憶に残る形で消費し尽くす。生徒たちの『知識』という形で、後に続く何かを残させてあげる。
覗きは犯罪行為だ。だが、去勢までされるほどのことではない、そう彼女は考えていた。だからこそ。これは睾丸を失う彼に向けた、トモエなりの誠意。

「は〜い、分っかりまっした〜♪」
「あれ、もう潰しちゃうんじゃなかったんですか?先生」
「あぁ〜、でも、確かに。潰す前に『男の子』を色々と確認する方が、勿体なくないですもんね」
「?何で?潰してからじゃダメなの?なんか違うんだっけ?」
「おバカ!もう『男の子』じゃなくなってるでしょう、タマタマを潰されてしまったら……あれ?なんで『男の子』じゃなくなるのかしら?」
「うぅ〜。一個だけ、タマタマじゃなくて、『タマ』だけ潰したらどうなっちゃうのかなぁ。私、見てみたいよぉ……」

幸いなことに、生徒たちはすんなりとトモエの提案を受け入れてくれた。姦しく騒ぎながらも、見下ろす集団からしゃがみ込んだ団体へ。
視線の高さを合わせると、トモエの手先、しっかりと確保されたデレクの男性器を注視しはじめる。ヒソヒソと、お互いの耳元に囁き合う声。
デレクの視界に映る景色が変わる。トモエの『女性』の股間以外は、少女たちの足首だけが見えたソレ。今は、種々雑多な割れ目が景色を占有している。
先程の、立ち姿からスジの端が覗く光景ではない。掴まれた陰嚢越しに、肝心なトコロまでがはっきりと彼の視界に映る。自分以外、陰嚢など無い事実が空恐ろしい。

しかし、性器を晒すことを羞じらう少女は誰もいない。彼女たちは、デレクをすでに『男』ではなく『教材』という括りに入れてしまっていた。
どうせおいおいに『男』ではなくなるのだ。変な遠慮で、このエンターテインメントを見逃す方がバカバカしい、それが今女生徒たちで共有されている感情。
ただ一人、女生徒では無いルードも。ポーラ、サーシャ、リサのルードガールズとでも呼ぶべき三人に纏わりつかれ、複雑な表情を見せたままトモエたちを見詰めている。

「それじゃ、どなたかアシスタントをお願いできるかしら?」
「はいは〜い、ウチがやりま〜す」

取り敢えず、話を進めるために手助けを求める。何分、トモエの両手はデレクの性器で文字通り手一杯、するとナタリアからの立候補。
先だっての言葉通り、彼女は『握り』にとても興味があるらしい。コネコネと揉み込むような動きを見せるトモエの指先に、好奇心に溢れた視線を向けている。
本当に、些細としか形容できないトモエの動作一つで、『きゅ』とか『ぎぃ』などと大袈裟な音を鳴らす玩具が気になって仕方がないらしい。

679名無しさん:2022/02/20(日) 23:18:56 ID:6MD7ScYE0
「せんせ、コレすごいっすね……ここまで効くとは流石のウチも思ってなかったっす」
「えぇ。男性の脆さは私達から見ると不思議ですよね。女相手だと、ここまで簡単に無力化させることは出来ませんから」
「もうこうなったら男子は終わりっすか?」
「いえ、状況次第ですが、そんなコトもありませんよ?……ナタリアさん、デレク君の手を先生のお股に持ってきてもらえますか?ルード君も、よく見ていなさいね」

トモエの指示に、ナタリアは素直に従う。デレクの手首を掴みトモエの性器へと誘導していく。その様子は、まるで親鳥が雛に餌を与えるかのよう。
彼の手先が女教師の下腹部に触れ、ビクリと震える。いじましくも彼女のソコを弄り回す。陰部よりやや上、臍の下、下腹部としか呼びようがないソコには何もない。
トモエはされるがまま。そこは単なる腹部の延長、守る必要性が薄いのだ。すでに睾丸を掴み取り、制圧しきった男性相手なのだから尚更のこと。

「もしキンタマを掴まれてしまったら、遠慮せずキンタマを掴み返せばいいのです。『握られた』間合いは『握れる』間合い……難しい言葉で言えば、相互確証破壊とーーー
「つまり、アレっすね。よく言うトコロの、命(タマ)の取り合いに持ち込む……あはは、たしかにキンタマは男の命っていいますもんね」
「……まぁ、そんなトコです。貴方が握ったら、こっちだって握り返すぞ……そう思わせてしまえば、下手な動きは出来ません。ですよね、ルード君?」

彼女の言葉は、ルードの『痛みが分かるし仕返しが怖い』という吐露を下敷きにしたもの。それを理解した上で、ルードは黙して語らない。
トモエの両手はデレクの股間。掴んだ睾丸を検分するように『男』を苛み続けている。対するデレクの両手もトモエの股間。掴むもの無く、空しく虚空を彷徨うだけ。
同じ行為なのに、男女でこれだけの差が出る。その事実を目の当たりにして、女生徒たちはなにかむず痒さを伴った感情を覚えてしまう。無意識に肢体が震える。

「ですから、簡単に諦めてはいけませんよ……まぁ、あくまで男の子同士って状況だったらの話ですけれど」
「あはは……改めて意識すると、なんかくすぐったいっすね。ウチ、『握られる』危険なんて考えたことも無いっす……そもそもキンタマ無いんで」
「えぇ。ですから男子ではなく女子にキンタマを掴まれてしまった場合は……どうですかね、デレク君。反撃の糸口は見つかりましたか?」

自身の股間で、必死に何かを。そう、無いと分かっていながら、有るわけのない『ナニか』を求めて彷徨うしかないデレクの両手を感じながら、トモエが問う。
恐怖に引き攣り、屈辱に歯噛みをするしかない彼の表情。この世の不条理というものをまざまざと感じている、そんな顔。
トモエには、絶対に同じ苦しみを味わわせることができない。睾丸を揉み解される、吐き気と悪寒と激痛を同時に与えられる、この純粋な敗北感と絶望感を返せない。
彼女は指先を軽く動かすだけで、信じがたいほどの苦しみをデレクに与えることができる。だが、デレクは決してやり返すことが出来ない。単純だ、トモエには『無い』のだから。
朝方、ルード君にも似たような教育をしましたねぇ。遠い昔の思い出を懐かしむようにトモエの目線が数秒間天井に向く。深呼吸一つ、デレクに視線を合わせ直して。

「いかがですか、デレク君。『金的』を解放して欲しいなら、握り返すしかないですよ?グズグズしてる暇はないでしょう……それとも、出来ない理由でもあるのですか?」
「うぐぐ、ぐぎ、ぐぐぐぐ、ぎぎぎぎぎぎぃッ……」
「あらあら、ヤンチャな目つき。うふふ、私、そういう気概がある子供は大好き。けど、状況を忘れてしまったのかしら?今も、貴方はーーー

語りかけとともに、トモエの両手がデレクの陰嚢を捻り、絞り上げる。『ひぅ!?』、彼は喉の奥から高いトーンで悲鳴にも似た音を垂れ流す。

ーーー『キンタマを掴まれた』状態なのですよ?先生としては、反抗的な態度はオススメしかねます……まぁ、耐えられると仰るのなら別に止めはいたしませんけど」
「あぐ、あがが、あぎぃぃいぃっ!!」
「うわ。うわ。うわ〜。コレ見てると、ウチ、女で良かったって思うわぁ……でも、実際のトコロ、どうなんすかね。こんな小さなタマコロなのに、耐えられないほど痛いんすかね?」
「『実際のトコロ』と言われてしまうと、先生にも分からないというのが正直なトコロです。私だって女ですからね……ここは男性の意見を聞いてみましょうか?」

680名無しさん:2022/02/20(日) 23:19:49 ID:6MD7ScYE0
二人の女は、自分が握られているわけでもないのに全身から血の気が引いている様子のルードに視線を流す。彼は、小刻みに震えているようだ。
ポーラ、サーシャ、リサ。三人の毛色が違う美少女を侍らせ、ハーレムの王もかくやという風情だが、彼の醸し出す空気は肉食獣に囲まれた愛玩動物のソレ。

彼の手先は、未だ股間に伸びていない。ただ、その腕は今すぐにでも股間の玉を覆い隠したくて仕方がないのだと訴えているのが一目でわかる。
しかし、それは叶わない。サーシャとリサにネットリと抑え込まれ、彼女たちの『玉が無い』股間にしっかりと押し付けられているからだ。彼はただ震えるのみ。

「どうかな、王子様。あの痛み、どれくらいか知ってるのは王子だけってのも何かズルいしさ、意地悪しないでウチらにも教えてくれない?」
「先程は、どう痛いのかを聞きましたよね。今回は、どれくらい痛いのかも伺っていいですか?」
「…………ひっ!」
「あはぁ……ルードお兄ちゃんのタマタマが縮んじゃった……ですぅ……」
「ルードのおちんちんもちっちゃくなってきた……可愛い、可愛いなぁ。食べちゃいたい」

ナタリアとトモエから投げかけられた問いに、ルードは身を竦ませることしかできない。リサとサーシャは、蕩けた声で彼の肉体の変化を喜ぶばかり。
このままでは、デレクは本当に男として終わってしまう。そう思い、なんとか言葉を紡ごうとするのだが口から漏れ出るのは意味を為さない喘ぎ声だけだ。
トモエが、再び両手を動かす。今度は、親指の付け根を使って陰嚢全体を包み込むように揉む動き。途端に、デレクの身体が大きく跳ねた。
ビクンッ!!という擬音が聞こえてきそうな勢いで、大きく背筋を反らすデレク。

「まぁ、説明してもらっても理解することは出来ないと思いますけれど……」
「だからこそ、ウチらも思いっきり責められるんだもんねぇ。いや、ルードの言に拠ればだけどさ。分かると気が引けちゃう……んだっけ?」

観客の意識がデレクに戻る。トモエに脚を固められ、ナタリアに手首を固定……トモエの股間に押し付けられたデレクは姿勢を変えることすら許されず、悶えるしかできない。
彼女たちは言葉通り、分からないのだ。分からないからこそ、男であれば想像しただけで身が竦むような行為も迷わず出来る。想像そのものが出来ないのだから。
トモエの下腹部。ナタリアによって、デレクの両手はソコに強く押し付けられている。『無い』、そこには滑らかで張りのある皮膚と靭やかな筋肉、脂肪の感触しかない。

「話を戻しますが……この通り。私達のような女性に『金的』を握られてしまった場合は、男性には自身の惰弱さを反省してもらう他ありません」
「確かに。マジで信じられないほど脆いんすね、『キンタマ』って」
「ではなく。女にすら容易く『キンタマ』を握られてしまうほど弱い御自身が、本当に『男性』でいていいのか。それをもう一度考えていただかなければ……」
「あぐぅうううううううううっ!?」

681名無しさん:2022/02/20(日) 23:21:01 ID:6MD7ScYE0
クスクスと女生徒たちが笑う声が耳朶を打つ。ホントに可哀想、痛そう、でもちょっと楽しいかも……そんな言葉たちが、削れきったデレクの精神を更に鑢掛けしていく。
彼女たちの同情は、今更隠す必要もないといわんばかりに上から目線だ。滲んだデレクの視界には、彼女たちの性器。一本のスジが入っているだけの股間しか映らない。

「確かに。女に捻られちゃうレベルなら、男でいる理由もないかもねぇ」
「その……もしかしたら、あのお兄ちゃんは女の子に生まれていた方が幸せだったかも……」
「あっはっはっはっは!だけどさぁ、アイツもあの弱っちさで『脆いモノ』をぶら下げ続けてこれたのは素直に褒めてもいいんじゃない?」
「そりゃあ、ほら、アレのおかげでしょ?ルードくんが言ってた、『金的』は狙わないって男子部の謎ルール」
「逆に残酷ですわね。見込みが無いのなら、さっさと諦めさせてあげるのも優しさでしょうに」

姦しく囀る教え子たち。彼女たちの甘く和やかな声と、辛酸を盥で啜らされているデレクの渋面は残酷なまでのコントラストを描いていた。
彼はもはや言葉を紡ぐことすら苦しいのだろう。潰れるまでの辛抱ですよ、もうすぐです。トモエが胸の奥で呟いた言葉は、虚空に紛れて溶けていく。
潰される瞬間は痛いでしょう、女には、どう痛いのかは知りようがないですけど。ですけど、それに耐えれば二度とこんな思いはせずにすむのですからね、と。

「デレク君。やり返せないのは、先生に『キンタマ』なんて付いてないから、ですよね。それが男女の違いですけど……他に違うところはあるかしら?」
「うぎぃっ!!ぐぐ!……ぎゅぅう!!そ、それは……キャインっ!」
「ほら。『急所が無い』以外に、先生と貴方で違うトコロはありませんか?」

師の意思を汲み、ナタリアが押し付けた手を少し下にスライドさせる。虚しく肉を掻くデレクの指先が、トモエの股間、割れ目に届く。ぬるり、と粘液に触れる。
大陰唇の先端に指が触れ、その奥から分泌された保護液と浴場の湿気が混ざりあった液体が滴る。しかし、女教師、トモエは表情を小揺るぎもさせない。冷静な顔のまま。
これが格闘の延長、教育の一環だと捉えるとトモエは物怖じしなくなる。性器付近を触られても、相手の反応を伺いながら次の一手を考えられる。
子犬みたいに鳴いちゃった、そう盛り上がる生徒たちを見回すと、青い顔をしたままのルードに問いかける。玉以外で、貴方と先生の違いって何か分かりますか、と。

「そ、その、チンコ、チンコが生えてないです、先生には……」
「なるほど。ルード君は、女性にはおちんちんが無い、それが違いだと言うんですね。他には?」
「ほ、他……!?」

戦々恐々とした様子で答えるルードに、全員の視線が集中する。この場で脅えているのは彼とデレクだけ。その事実は、女生徒たちをどこかくすぐったいような気分にさせる。
ほら、ここだよ、ルードくん、上気した顔でサーシャが自分の女性器を彼に弄らせるが、ルードはまだ鳩が豆鉄砲を食ったような表情のまま。背後のポーラから失笑。

「これも、男女の意識の差かもしれませんね。男性はおちんちんが無いイコール女性だと考える方が多いみたいですけど、先生としては……まぁ、百聞は一見にしかずです。
 ナタリアさん、貴女が『女の子』だと思う場所に、デレク君の手を触れさせてあげてくださいな」
「ほいな!って、ウチのですか?せんせのですか?」
「どちらでも結構です。女の子であれば、誰でも持ってるはずの場所なので……皆さんも、自分のソコを確かめてみてくださいね」

デレクとルード、男性二人が見守るなか、ナタリアは捕らえた両手を移動させていく。トモエの下腹部から、彼女の股間、両足の間へ。床のタイルと女性器の間に挟み込む。
手の持ち主であるデレクからすれば、何が違いかわからない。肉厚の太腿に挟み込まれ、自身の両手がミックスサンドの具に変わったような錯覚を覚える。
指先に触れるのは、さらにネトついた柔らかな肉体。だが、場所が変わったところで、ソコに自身のような『急所』、シコリが存在しないことには変わりない。

682名無しさん:2022/02/20(日) 23:22:39 ID:6MD7ScYE0
「ここが膣、デレク君たちの立場でいえば、おちんちんを入れるための器官です。女性は皆コレがありますけれど、男性にはありません」
「ひ、ひぎぃっ!!」
「私は、この穴があるのが女性。穴が空いてない代わりに、タマタマという玩具をぶら下げている……少なくとも、ぶら下げていたことがある……のが男性、そう考えています」

言葉通り、トモエの股間にはタマがぶら下がっていない。それは、ココまでの拷問でデレクとルードに散々突きつけられてきた現実。男性は、ただ一方的に責められるのみ。
しかし、今回の言葉は少なくない数の女生徒たちにとっても初耳だったらしい。えぇ、だの噓、だの。男子には穴ないの、だの。口々に驚きの声があがる。
よくある勘違いだ。男に不要な乳首があるのだから、穴だって(使わないとはいえ)あるだろう。女性の肉体を基準として考えれば、当然そう思い込む者だって出てくる。
トモエは彼女たちの気持ちが分かるため、少し笑ってしまいそうになる。衝動を圧し殺すため、少し強めに手中の肉団子を揉む。情けない悲鳴をデレクが奏でる。

「次はおちんちんについて、ですけど……もう一人お手伝いが要りますね。リサさん、お願いできますか?」
「ふぇっ!り、リサですか……!?あの、あの、自信ないんですけど……」
「ルード君ので遊ぶだけじゃなくて、他の人のおちんちんもキチンと確認してみましょう」

そして、そのままルードガールズとなっていたリサに声をかける。サーシャと迷ったが、完全に目がトリップしてしまっている彼女は使い物にならないと判断。
発情した仔猫という矛盾した表現がぴったりな少女は、トモエの呼びかけに目を瞬かせる。自分が指名されるなんて、夢にも思っていなかったのだろう。

「サーシャさんとポーラさんは、ルード君をこちらに連れてきてください。一緒に、違いを確認していきましょう?」

                    /|
より高くデレクの睾丸を持ち上げる。【○∠ |_】という体勢に極められた彼は只管に呻くような涙声しか溢せない。
ぶらん、と。情けなく垂れ下がった彼の陰茎が揺れる。擦るように指示すれば、驚いたことにリサはソレを両手で挟みこむと、火を起こす要領で萎びた突起を捏ね回しはじめた。
可動範囲外の力を加えられた青年から。またも、様相の違った悶絶。トモエやリサにはピンとこないが、痛みの質が違うのかもしれない。

「あ!リサさん、擦り方が違います。こう、縦に、扱くように擦ってあげてください」
「え、縦、ですか?縦……??ちょっとリサ、よく分かんないんですけど……ルードお兄ちゃんのは、その……揉み揉みしてるだけでしたし……」
「想像力を働かせましょう。私たちの『穴』、これに抜き差しするときはどんな感じにおちんちんが擦れるのか」
「え、ええぇ……。ルードお兄ちゃんのはいいけど、この人のはヤだなぁ……」

ブツブツと不平不満を溢しながら、リサは手中のソーセージを擦る。彼女の言葉が耳に届いたのか、デレクの苦悶に、傷心の色が重ねて塗り込まれる。
皮肉ですね、そうトモエは苦笑する。いいコトなのだ、ソレは。誰にも惜しまれないからこそ、彼の睾丸は誰に気兼ねすることなく潰されることが出来るのだから。
とはいえーーー

(せめて、失くすというコトを恐れずに済むように……前向きにタマ抜きを受け入れてくれるように出来ないものでしょうか)

トモエとしては、少し気が差すのも事実。だからこそ、彼が正規品の『男』である内に、『女』について知識だけでも与えてあげようと腰を少し傾ける。
デレクにとっての発端となった覗き行為は女体への興味ゆえ。ならば、その望みぐらいは叶えてあげたい。これが埋め合わせになりうるかは分からないけれど。
目的すら果たせず『無為に睾丸を奪われた』よりは、目的は果たしたが『代償としてタマを失った』と言える方が、まだ面目は保てるのではと彼女は考える。
だからこそ、彼女は惜しげもなく秘部を晒す。これが恥ずかしいという感覚は捨て置く。自分より、彼の方がよほど恥ずかしい思いをしている。

683名無しさん:2022/02/20(日) 23:23:50 ID:6MD7ScYE0
「みなさん、よく見てあげてくださいね。彼が勃起出来るのも、今日までですから……どうですか?ルード君のと違いがありますか?」

滑らかに、臀部からの延長という形でプックリと膨らんだトモエの女性器、その真上で、リサが『生贄の羊』から腸詰めにも似たものを形作っていく。
雄々しく剥けた陰茎。子供らしい知的好奇心や探究心を隠すことなく、生徒たちが彼の逸物を覗き込む。互いを肘で突き合いながらヒソヒソと語る。

「なんか、ルードくんのおちんちんと形が違うね……先っちょが変な感じになってる……何でだろう」
「先っちょの皮?みたいなのが剥けて、中身が出てきてるように見えますわ……ルード様のときはあんなコトなかったわよね」
「蹴られたとき先っぽが裂けちゃったのかな?痛そ〜」
「ねぇ、ルード、あれって何でなの?やっぱ怪我して裂けちゃったの?それとも病気かなにか?単純に個性の差?」

コソコソ話を聞きながら、トモエはまたしても苦笑。何も知らない彼女たちからすれば、包茎が普通で剥けた陰茎の方が異様に映るらしい。
まぁ、自分の身体を基準に考えているなら無理もないかもしれない。自分たち『女性』には、あそこまでしっかりと形態を変える器官なんて備わっていないのだから。

「デレク君のおちんちんが、ちゃんとした大人の形なんです。ルード君のはまだ子供のおちんちん。準備中でカバーがかかった状態……いわゆる包茎と呼ばれるものになります」
「へぇ〜、そーなんだ〜」
「でも、大人のちんちんってグロいね。ルードのは一生そのままでもいいのに」
「可愛いしね〜」

女子たちの反応は、やはり男子とは大きく異なる。特に、年頃の女の子たちにとっては可愛いか否かが評価の大きなウェイトを占める。
ただ……これは教育の場だ。トモエはナタリアに命じて、ぴったりと閉じた自身の性器を開帳させた。本能的に、デレクとルードの視線がソコに吸い込まれていく。
その様に『男』を感じて……こんなトコみて何が面白いのかしら……トモエはほんの少しだけ呆れてしまうが一瞬のこと。

「デレク君、ルード君。先生のお股、小さな突起があるの分かりますか?ナタリアさん、指で示してあげてください」
「え、あ、クリのことっすよね。いいっすけど……」

教え子に指示。男子たちに馴染みが無いであろう女性の陰核について、彼らに場所と形を示していく。陰茎と違い、目を凝らさないと見えないソレを凝視する二人。
女生徒、少女たちはトモエのソレをまじまじと見詰めるもの、自身に備わった陰核に触れるもの、反応はまちまちだ。

「デレク君の、色が違って見える部分はコレです。陰核が大きくなって、注射器のボディ的なモノがくっついたのがおちんちんとなります」
「え!!マジ!?そーなの!?知らなかった……」
「あ、やっぱりそうなんだね〜。な〜んか、形似てると思ってたんだ〜」
「あれ?でも、ソレがマジなら、男子ってクリトリスからおしっこするってことにならない?ヤバくない?!」
「でも納得しちゃった。ルードのチンコ、つまりクリが皮に隠れてるみたいな状態なんだね。女の子みたいで可愛いね」

またしても好き勝手なコトを囀り合う少女たち。目に、興味の火が煌々と灯る。亀頭の周辺、剥けた皮をイジる生徒、尿道を不思議そうに引っ掻く少女。
指を伸ばし、亀頭と陰茎双方を指で弾いて反応を比べ合う生徒まででる始末。彼女たちの辞書には自重という言葉は無いらしい。

「必要な時だけ膨らむようになってるんだ……よく出来てるなぁ」
「あははは、そうだね〜。というか、やっぱ男子も『おちんちん』邪魔だと思ってるんだ。普段は小さくしてるってそういうコトだよねぇ」
「タマタマで作った精液とかいうのの注射器みたいな感じなのね。おしっこも出るのは、折角蛇口みたいにしたんだからついでってことなのかな?知らんけど」
「なるほど〜。でもでも、それならタマタマ取ったらもう変形しなくなるんじゃない?どうなんだろ?」
「せんせは、この人勃起できるの今日までって言ってた」

684名無しさん:2022/02/20(日) 23:24:57 ID:6MD7ScYE0
教え子たちの自主性に任せ、望むがままにデレクの陰茎を検分させる。彼女たちが言う通り、彼はこれからペニスを使えなくなる。なので、多少乱暴でも問題ない。
そう、彼が失う面目はコレだけではないのだ。今、自分の秘部の上で変形しつつあるデレクの陰茎、これも、明日からは萎びた蛇口という本来の用途以外で使えなくなる。
『もう、勃たない』、これも男性にとっては面目を失うコトと等しいと聞き及ぶ。何故それが恥なのか、勃たせるモノが無いトモエには不思議で仕方がない。が、そうらしい。

「そして、小陰唇。この、そうですね、下品な言葉で恐縮なのですが、こちらのビラビラがーーー
ーーーあ、分かった。これがチンコのカバーになってるんすね?」
「……違います」

ナタリアの言葉に、トモエは首を横に振る。小陰唇とは、本来は膣に異物が入らないための保護膜の一つ。確かに、言われてみればどことなく男性の包皮にも似ている。
とはいえ、間違った知識を伝えるわけにもいかない。自身の小陰唇を両側とも摘んで真ん中で閉じてみるようナタリアに伝えつつ、トモエは説明の言葉を練る。

「こんな感じに、襞が両方とも完全に癒着して閉じてしまったもの……これが、男性の玉袋に相当します。つまり、男女ともに『おちんちん』と『袋』は持ってるんです」
「へぇ〜、そーなんだ〜。確かにどっちもしわしわだね」
「言われてみれば、ルードくんの袋にも、真ん中で縫い代みたいな線が入ってた気がする」
「あー。だから先生は、男と女の違いは『タマ』があるか『穴』があるかですって言ってたんだ。理解できちゃった」
「アタシはおっぱいもあるけどね〜」
「ポーラ、うるさいよー。というか、おっぱいぐらいウチのおじさんにもあるから。120キロ余裕で超えてるけど」
「あん?ちょっとサーシャから聞き捨てならないセリフが聞こえたんだけどーーー」

少女たちの会話が盛り上がる。男子たちの股間を穴が開きそうなほどに観賞し、形の違いを楽しむ。デレクの陰茎、ルードの陰茎。その形状を脳裏に焼き付けている。
その光景に、トモエは満足げに微笑む。やはり、生徒たちに授業を行うのは楽しい。それにーーーこれなら、目的通り。デレクの男性器は、生涯、教え子たちの記憶に残るだろう。
女生徒たちの反応に上機嫌となりながら、再度、トモエが睾丸を掴んだ掌のポジショニングを変える。もう一度、潰すための握り方に。

「さて、と。それでは、次は『タマ』が失くなると男性はどうなるか、実際に確認してみましょうね」
「あ、いよいよですか?なんかドキドキする」
「『穴』も『タマ』も無いってどんな感じなんだろ」
「きゃ〜〜」

無責任に囃し立てる外野。こればっかりは、トモエでも言葉で伝えることは出来ない。彼女はタマを失くしたことなどないのだ、無くすモノがない。
あの凄惨さ、十全に演じることが出来るのは男性だけだろう。内心で罪悪感に深々と頭を下げつつも、彼女は淡々と手の内の肉団子に圧力を加えていく。
ただ、ただ、哀れみと共にか弱い弾力、いや『男力』か。男のみが表現できる儚さを堪能する。パクパクと口を開閉する青年は、一体何を感じているのだろうか。

685名無しさん:2022/02/20(日) 23:27:26 ID:6MD7ScYE0
「さきほど、デレク君はいいましたね?このままタマ取られると、『女の子』になっちゃうって。ですがーーー

やだ〜、だの。うひゃぁ、だの。怖〜い、だの。女子生徒から思い思いの声が上がる。それを意に介さず、トモエは言葉を続ける。

「この、たま」

……右の睾丸をトモエの親指が。表面を撫で回すように刺激する。

「たま」

……左の睾丸を、彼女の薬指が。軽くカリカリと引っ掻くように、刺激する。

「を抜かれても」

モエが手の中の二つの球を転がし始める。指先で弄ぶように。

「別に、穴が出来るわけじゃありません。つまり、女になる心配はしなくてもいいということです……安心しましたか?」

硬直した青年の陰嚢をしっかりと捕らえなおし、彼女の指先は最も脆い部分へと照準を合わせる。恐怖に顔を歪ませるデレクを少女たちが楽しそうに覗き込む。
ルードは視線を逸らそうとしたのだろう、ポーラとサーシャの二人に頭部を固定されてしまっていた。無理矢理目を見開かされ、惨劇の直視を強制させられている。

(その、やはり男性はタマを失うコトは強いストレスなんですね。共感はできませんが、その、申し訳なくは思っています)

男性二人の、恐慌すら越えた悲痛な表情に胸を痛めながらも、トモエの手は止まらない。さぁ、いよいよ、その時が来るーーーそんな生徒たちの期待を裏切れない。
彼の睾丸は今後も少女たちの記憶の中で生き続ける。女の自分、睾丸が無い自分としてはそれで十分、だが『睾丸』を実際に失う彼はそうもいかないのだろう。
やはり、痛いからだろうか。どれほどの痛みなのだろうか。『タマなんて失くなっても問題ないんです』、そう慰めることは出来る。だが、彼女でも痛みだけはどうしようもない。

青年の顔色は青から蒼白に、そして、そのまま死人のような土気色に変色していく。痛々しさに、罪悪感がチクチクと刺激される。が、もう決めたコトなのだ。
だから、せめて。飴をぶら下げるように、青年に甘い言葉をかける。その心の奥底まで覗き込むように、彼の瞳を直視しながら。

「それに、これからは好きなときに遊びに来ていいですからね。お風呂に一緒に入ってもいいですよ?……もうタマタマ持ち込めないんですし」

クスクスと少女たちから笑い声。幾人かは、お揃いになるね?などと囁きながら、悲嘆に暮れる彼に『睾丸が無い』股間を自慢するかのように見せつけはじめる。
数人は遠巻きになり、同情の視線を向けているが制止の声をあげることもない。ただただ、他人事の悲劇を気の毒に思う、そんなレベルで青年を哀れむ。
サーシャとポーラ、そしてリサのルードガールズに至っては、潰されるデレクよりも、それに怯えるルードの方が面白いのか、完全に傍観者を決め込んでいる。

「さてと、それじゃ本日のハイライトです。よく見ておいてくださいね。見逃してしまったからといって、やり直すコトは出来ませんからね」
「どきどき…………」「うわ、タマ潰されるトコ初めて見る!!」「どうなっちゃうんだろ?」「……うぅ、一個欲しかったのに……」「ほら、アタシにもタマなんてないよ〜♪」
「デレク君も。きっと、『男の子』に生まれたコトを後悔するほど痛いと思いますが……心配いりませんからね。その後悔、感じる頃にはもう『男』じゃなくなってますから♡」

686名無しさん:2022/02/20(日) 23:28:15 ID:6MD7ScYE0
「ひ、ひ……ッ!!!」

トモエの言葉に、デレクの口から引きつった悲鳴が漏れる。それは、少女たちには面白かったようで、またも何人かがクスクスと笑う。
しかし、当の本人にとっては笑い事ではない。これから起こるであろう激痛を想像してか、全身を震わせている。
恐怖で震える青年の陰嚢に、トモエの指先が食い込む。ゆっくりと力を込めていく。成人した女性の指先と、成人間近の青年の袋と、二つの感触が混じり合い、混ざり合う。

(本当にごめんなさいね。貴方がタマを潰されたら、この子たちも満足してくれると思うから)

指先に力を込めれば、彼の大切な器官は簡単に潰れてしまうだろう。そうすれば、二度と戻れない。タマは、もう一生、使い道のないただの肉塊となる。
申し訳ないとは思う。だが、それでも構わない。意外と硬く、弾力と芯を感じる手中の二つの肉球に彼女は意識を集中させる。深呼吸を一つ、そしてーーー

「えいやっ!」
「………………………………あ」

裂帛の気合とともに、一息。慣れ親しんだ、水気を含んだ物体が形を保てず内容物を漏らしていく感触。
握力だけで、彼の柔らかい中身をグチャリと押しつぶす。ブチッ、と、何かが潰れる感触がトモエの指に伝わってくる。潰れた音が、デレクの体内で反響しあう。
現実的には大した音でもない。女生徒たちは、まだ彼のタマがこの瞬間に失われたコトに気付いていない。ただ、デレクは一人、呆けたような表情を見せる。
ただ一人、男として取り返しがつかないことが起きたことを直感したルード。奈落に引きずり込まれるような感覚に襲われて大きく口を開くが、掠れ声すら出てこない。
一瞬、水をうったように浴場内が静まり返る。が。

「……あ、あは……あ、あ、あ…………」
「プチっとな♪……はい、潰れました。頑張りましたね、流石、男の子『だった』だけはあります。立派、立派ーーー
ーーーああぁぁぁッ!〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!〜ッ!〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」

しかし、その奇妙な静寂の寿命は短かい。細かく、喘ぐような呼吸音を発していたデレクから、喉を裂くような甲高い悲鳴。性別というダムが決壊し、慟哭が止めどなく溢れる。

「どうでしたか?これで、デレク君のキンタマは無くなりました。意外と地味で拍子抜けしちゃいましたか?でも、実際はこんな感じなんです」

それを目の当たりにして、女生徒たちも遅ればせながら事態を把握する。黄色い歓声とともにはしゃぐ女生徒から、刺激が強すぎて吐き気を堪える少女までの雑多な反応。
何かが終わった。ソレはタマを持たない彼女たちにも伝わったらしい。ルードの性器を玩具にしていたときの空気とは違った興奮の中、女生徒たちは口々に衝撃を語る。

「うわ、すごい!」「あはははは、変な声出てるぅ〜」「ちょっとグロいね……」「ねぇ、どんな感じ?どんな気持ちなの!?」
「それでは、皆さん。今日の授業はコレで終了です。湯冷めをしないウチに上がって、早めに寝てくださいね。歯磨きも忘れずに」

話題はデレクの去勢一色。もう、ルードの性器が云々といった過去のトピックは完全に彼女たちの頭から抜けてしまっているようだ。
これ幸いと、トモエは立ち上がり宴の閉幕を生徒たちに告げる。興奮醒めやらぬ生徒たちは異論を口にすることもなく、三々五々に散っていく。
足元で痙攣するデレクに感謝の目。貴方の『タマ』は、無駄ではありませんでした。十分に、役目を果たしてくれました。この気持ちを、どう彼に伝えればいいのだろう。

687名無しさん:2022/02/20(日) 23:29:36 ID:6MD7ScYE0
「もう大丈夫ですよ。ソレを乗り越えたら、二度とそんな痛い思いをすることはありませんからーーーもう、タマタマ無いんですし、ね」

語るべき言葉を探しあぐね、睾丸から『自由』となった青年を慰める。女には分からぬ苦しみに七転八倒する彼に、彼女の言葉は届いたのだろうか。
彼は役目を果たしたのだ。生徒たちは満足し、ルードの睾丸を甚振る宴は終わりを告げた。だからこそ、これ以上デレクを辱めたいとは思わない。もう十分だろう。
何を言ったトコロで、もう彼の睾丸は戻ってなど来ないのだ。心を『切り替えて』、自分たちと同じように、タマの無い人生にも前向きになってもらうしかない。
傍らで気の毒そうに痙攣する青年を眺める少女に、脱衣所から荷物を取ってくるように頼む。慌ててパタパタと駆け出す彼女に、足元に気をつけるよう注意。

持ってきてもらうのは、万一に備えてルードの睾丸を速やかに抜けるよう用意した機材。ルードは無事、だが、まさか全くの別人にアレを使うことになるなんて。
トモエは、教え子のタマが無事であったことは僥倖と感じつつ、ただ間が悪かっただけのデレクに若干の後ろめたさと罪悪感を感じる。仕方がない、そう自分を誤魔化しつつ。
返せるものなら返してあげたい。だけれど、彼女の股間には返せる『タマ』なんてない。だから、彼には一人で『失った』という現実を噛み締めてもらうしか無い。
気が差すのは事実。だが、『女』であるトモエに、これ以上一体何が出来るというのだろう。

救いは一点のみ。彼はもう、一生去勢の恐怖に脅えなくてすむ肉体となった。ただその一点に慰めを見出すしかない。
自業自得ですけど、今日の夢見は悪そうですね。トモエは自嘲すると、悶える青年と同調するかのように、一つ大きく身震いをしてしまう。

……彼女のリアクションは、ただそれだけ。取り敢えず一段落、一息つくと残った仕事がないか浴場内に視線を巡らせる。

688名無しさん:2022/02/20(日) 23:30:21 ID:6MD7ScYE0
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と、愛すべき教え子、ルードから幽鬼でもみたような目が向けられていることに気づく。ただひたすらに、絶望と虚無だけが滲んだ視線。
彼を落ち着かせようとニッコリ微笑んでみるものの、芳しい効果は見込めないようだった。もう一度溜息をつくと、教師の顔に戻って彼と相対。

「朝方、いいましたよね。先生がキンタマ潰しますって宣言したらどうなるか……参考になりましたか?」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃ……」

怯える少年と、その恐怖とは無縁の三人の少女たち。その対比が滑稽でもあり、どこか哀れでもある。
凄かったね〜、痛そうでしたね〜、口々に『他人事じみた』感想を言い合う少女たちは、『他人事』ではない少年の心境は慮りきれていないのだろう。
彼女たちにとっては、あくまで『親しくもない他人』の『自分たちには無い』器官の話に過ぎない。ルードの『睾丸』は無事だ、関係ない。それ以上でも以下でもない。

怯えるルードの鼻先に、自身の股間……女性器を突き出すと、トモエは平坦な声でソコに注目するように命令する。他の選択肢など無い、少年は大人しく従う。

「ルード君が言った通り、先生にはタマが潰れる痛みは分かりません。潰し返されることも絶対にありません。ですから、潰すと決めれば容赦なんてしません」

言いつつ、ルードの目の前で指先を開閉させる。少し立腹していたのだ。女生徒たちはともかく、彼はトモエの暴挙を止めようとしても良かったのではないか。
彼の睾丸を守るための茶番だった。そして、無事その目的は果たせた。だからこそ、この行為は筋違いなモノだとトモエ自身も理解しているのだが。

それ故に、ルードの『金的』を痛めつけるつもりはない。ただ、少し脅かして、明日以降の訓練に身を入れてもらおうと彼女の言葉は続いていく。

「ルード君は幸運なんです。実地で『金的』を守る訓練が出来るのですから。もし先生と試合であたっていたら、その日のウチに玉無しですよ?」

淡々と、ただ分かりきった事実を告げているという体でのトモエの言葉。彼女の通告は、ルードを文字通り心胆寒からしめてやまない。
師の言葉。これまで幾度となく『男はつらいよ』という苦汁を舐め取らされ、それでも心の何処かでは『潰す』までいくのは脅しだろうと軽んじていた。
だが、実際は違った。師、トモエは潰すと言ったら躊躇いなく潰せる女だった。彼の睾丸が縮み上がり、それを感知したリサが「また縮んだ!」と嬉しげに報告する。
タマなんて無くても私が貰ってあげる、ルードの首筋を舐めながらサーシャが呟けば、ポーラも負けじと耳元で囁く。大丈夫、アタシは分かってる、味方だよ、と。

何が分かるのか、縋り付くように見上げる。彼女は微笑みながらルードの手を取ると、ゆっくりとソレを自身の股間に宛てがった。柔らかい女性器の感触。
怖くてちんちん縮んじゃったのよね、哀れみを含んだ慰め。ポーラちゃんのも、ほら。ビビりすぎて、縮みすぎて、無くなっちゃった。嘯く彼女には最初から無い。
そんな彼女たちの振る舞いを落ち着いた目でみやりつつ、トモエの語りは何事もなかったかのように続いていく。

「先生がね、ルード君のタマタマを潰すのは、貴方が男子部に戻るのを諦めたとき。だってそうでしょう、女子部に骨を埋めるなら、タマなんて要らないでしょう?」

689名無しさん:2022/02/20(日) 23:31:04 ID:6MD7ScYE0
優しく言い聞かせるような口調で、ルードに楔を打ち込んでいく。そんなことはない、そう否定することすら、今の彼女を前にしては不可能に思える。
『要らなくなる』なんてありえない。だが、それを『持たない』彼女にどう伝えれば理解してもらえるのだろう。ルードには、皆目検討をつけることができない。

「貴方が目標に邁進するなら、先生は応援します。『金的』だって、強くなって欲しい一心……ですけど、耐えられなくなったらいつでも教えて下さいね。先生がーーー

ーーー解放してあげます。『男の子』という枷から。トモエの無慈悲な宣告に、ルードは過呼吸を起こしかねないほどの恐慌に見舞われる。
そこまで確認すると、多少は溜飲がさがったのだろうか。トモエは憑き物が落ちたような表情で、教え子、ルードの両脚の間にしゃがみこんだ。彼の顔が恐怖で歪む。

「それじゃ、傷み具合を確認しますね。タマタマを見せてください……手当が遅れて腐り落ちちゃったらつまらないですからね」

デレク君の尊い犠牲も無駄になってしまいます、何気ない呟きとともにトモエの手が伸びる。少年が必死で身を捩ろうとしても、抱え込む少女たちが許さない。
手当って言ってるじゃん、ポーラが呆れ声を溢せば、ちゃんと診て貰ったほうがいいと思います、赤子を落ち着かせようとする声でリサも返す。
結局、『去勢』という事象を自分事として想像できない彼女たちには、少年が何を恐れているのかまったく理解が出来ないらしい。

そして。白魚のような指が、ルードのタマに触れる。女性特有の、細く華奢な指先。なんの衒いもなく、デレクのタマを奪った死神の鎌。
睾丸にトモエが触れた感触と同時に、彼の視界はブラックアウトした。遠くで、焦ったような女性の声。背後から、驚いたような少女たちの声。
だが、もはやルードにはそんな有象無象の情報を認識するほどの余裕は無かった。足元が崩れ、深淵に呑み込まれていくように彼の意識が闇の帳にとざされる。

落ちる寸前まで、彼が意識していたのは。自分とは違う、女性の甘い体臭だった。

690名無しさん:2022/02/20(日) 23:31:45 ID:6MD7ScYE0
優しく言い聞かせるような口調で、ルードに楔を打ち込んでいく。そんなことはない、そう否定することすら、今の彼女を前にしては不可能に思える。
『要らなくなる』なんてありえない。だが、それを『持たない』彼女にどう伝えれば理解してもらえるのだろう。ルードには、皆目検討をつけることができない。

「貴方が目標に邁進するなら、先生は応援します。『金的』だって、強くなって欲しい一心……ですけど、耐えられなくなったらいつでも教えて下さいね。先生がーーー

ーーー解放してあげます。『男の子』という枷から。トモエの無慈悲な宣告に、ルードは過呼吸を起こしかねないほどの恐慌に見舞われる。
そこまで確認すると、多少は溜飲がさがったのだろうか。トモエは憑き物が落ちたような表情で、教え子、ルードの両脚の間にしゃがみこんだ。彼の顔が恐怖で歪む。

「それじゃ、傷み具合を確認しますね。タマタマを見せてください……手当が遅れて腐り落ちちゃったらつまらないですからね」

デレク君の尊い犠牲も無駄になってしまいます、何気ない呟きとともにトモエの手が伸びる。少年が必死で身を捩ろうとしても、抱え込む少女たちが許さない。
手当って言ってるじゃん、ポーラが呆れ声を溢せば、ちゃんと診て貰ったほうがいいと思います、赤子を落ち着かせようとする声でリサも返す。
結局、『去勢』という事象を自分事として想像できない彼女たちには、少年が何を恐れているのかまったく理解が出来ないらしい。

そして。白魚のような指が、ルードのタマに触れる。女性特有の、細く華奢な指先。なんの衒いもなく、デレクのタマを奪った死神の鎌。
睾丸にトモエが触れた感触と同時に、彼の視界はブラックアウトした。遠くで、焦ったような女性の声。背後から、驚いたような少女たちの声。
だが、もはやルードにはそんな有象無象の情報を認識するほどの余裕は無かった。足元が崩れ、深淵に呑み込まれていくように彼の意識が闇の帳にとざされる。

落ちる寸前まで、彼が意識していたのは。自分とは違う、女性の甘い体臭だった。

691名無しさん:2022/02/20(日) 23:33:55 ID:6MD7ScYE0
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ルードが意識を取り戻したのは翌朝。カーテンの隙間から漏れる光が、まだ早朝であることを示していた。
瞼を開くと、見慣れた天井。自室のベットの上、いつもの朝の光景だと理解する。何か、とんでもなく嫌な夢を見た気がして、彼は思わず身震いをした。

と、そこで違和感に気づく。彼の両脚が、天井から吊り下げられた何かに固定されているのだ。困惑しつつ下半身を見ようとして、更に困惑。
自身の上半身を覆っているシーツが、こんもりと盛り上がっている。まるで、誰かがソコに隠れているように。胸板の上で、規則正しい呼吸音。
ズキリと頭蓋に鈍器で殴られたような衝撃と不快感が流れ込む。なにか、なにか絶対に思い出したくない悪夢が脳幹を舐めあげてくるような、生理的な嫌悪感。

焦燥に駆られてシーツを跳ね除ければ、そこには彼もよく知る少女、サーシャが下着一枚のみ身につけた格好で安らかな寝息をあげていた。
あやうく悲鳴をあげそうになり、慌てて声を呑み込む。よくよく下半身の感覚を改めれば、冷たい夜風を感じる。何も身に纏っていないのではないか。自分は何をしてしまったのか。
混乱の極致、昨夜の記憶を呼び起こそうとするも、何も思い出せない。いや、思い出したくないと本能の警告。そもそも、どうして自分がこんな状況に陥っているかも分からない。

恐る恐る、視線を隣のベッド、ルームメイトでもあるポーラの寝台へと向ける。だが、予想に反してソコはもぬけのからだ。使った痕跡すら残されていない。
なんだこれ、どういうことだ。混乱の渦中、彼はなんとか記憶を掘り起こすべく頭を働かせる。と、不意に部屋の扉が開かれた。

「あ、ルード、目が覚めた?!……あぁ、良かったぁ」

現れたのは、同じく下着姿のポーラだった。いつもの快活な様子はすこし陰りを帯び、大きなタライに水を張って運んでくる。寒い朝に、冷たい氷水。
それだけでも背筋が冷えるというのに、半裸のサーシャと添い寝をしていたとバレればどんな仕打ちを受けることか。戦慄する彼を余所に、ポーラは心底安心したという笑顔。
と、彼女の後ろから、また別のクラスメイト。年下の少女、リサが息せき切った様子で部屋に駆け込んでくる。あろうことか、彼女も下着姿。

「あ、ルードお兄ちゃん起きたの!?︎お兄ちゃん、お兄ちゃん!」

そのまま勢い良く抱きついてきた彼女を受け止めつつ、ルードは助けを求めるようにポーラを見る。だが、彼女は肩をすくめて笑うだけ。
騒ぎに目を覚ましたサーシャが、寝惚け眼を擦りながら問いかけてくる。その問いに、彼の意識は一気に現実へと引き戻される。

「ふわぁあ、あ、ルードくん……起きたの?その、キンタマ大丈夫?」

一言で、昨晩の惨劇がフラッシュバックした。彼もよく知る男、デレクが『男』ではない身体にされた瞬間の光景が電撃のようにルードの記憶野を穿つ。
反射的に睾丸を庇おうとした両手は、リサとポーラによって苦もなく捕らえられ、彼女たちの肉体に拘束されてしまう。

「あ、ダメだよ。股間を押さえたいのは分かるけど、タマタマまだ触らないほうがいいって先生が言ってた」

692名無しさん:2022/02/20(日) 23:34:31 ID:6MD7ScYE0
サーシャも徐々に覚醒してきたのか、苦笑しながら身を起こす。彼女の身体によって視界から外れていたソコには、普段の3倍ほどに腫れ上がったルード自身の睾丸があった。
何枚か濡れタオルが被せられた痛々しい状態。包帯やガーゼで覆われたそこをまじまじと見つめて、サーシャは心配そうに眉根を寄せる。

「お兄ちゃん、お股押さえたいなら、その……リサのを押さえてください。タマタマなんて無いから触りようがない……安心安全、ですっ」
「アタシのでもいいよ。というか、ルード的にはおっぱいの方が好みかなぁ」

両腕を押さえた二人の少女が、ルードの掌を女体で包むように拘束する。二人の目には嗜虐心の欠片もなく、ただただ純粋に心配だという色彩を帯びていた。
状況がつかめず、縋るような目をサーシャに向ける。彼女はモゴモゴと口籠るばかり、上手く説明する言葉を形に出来ないようだ。
業を煮やしたのか、ポーラが胸に抱えたルードの手をサーシャに押し付ける。落ち着いた口調、噛んで含めるように、ポーラはあの後起きたことを説明していく。

「ルードはさ、トモエ先生にタマタマ触られた瞬間に失神しちゃったんだよ」
「……アレ、やっぱり夢じゃ……」
「ううん。少なくとも、あのイジメっ子、ほら、デ、デ、」「デレク?」「そう!そいつがタマ潰されたとこまでは現実」
「その……タマ、というか。あの、その……タマタマ、です。両方抜かれちゃったんで」

枝葉末節というべきか、細かすぎる補足をいれてくるリサ。痛そうだったねー、そんな他人事じみた感想を述べるサーシャ。

「デレクは?アイツ、どうなったんだ?!」
「ルード、優しいね。自分よりも、あのイジメっ子のコト気にするんだ……そんなトコ、好きだよ?アイツはね……」
「デレクお兄ちゃんはですね……あのあと先生がタマタマ両方とも引っこ抜いてあげたから、その、……大丈夫、だと思いますぅ」
「だ、大丈夫って……何処が……」
「いや、その、潰れたタマキンぶら下がったままのときは死にそうな顔してたけど、トモエ先生が抜いてあげたら途端に楽になったみたいよ」
「アレ、潰れてもまだ痛いんだね……痛みの元が失くなったら痙攣も治まったみたい。まぁ、それでもグッタリして泣いてたけど……なんかミジメで可哀想だったなぁ」

私たち、女の子で良かったね。他意無くサーシャが言えば、リサとポーラも首肯する。彼女らの瞳からは悪意など微塵も感じられない。純粋な同情から削り出された尊厳への打擲。
拠って立つ土台が根本的に違う。ルードの目には、三人の少女たちがまるで別の生き物のように映った。事実、生き物としては同種でも、性別という根本的な部分が違う。

「タマタマって、あんな形してたんですね……ルードお兄ちゃんの袋にも、同じモノが入ってるんだぁ……」

693名無しさん:2022/02/20(日) 23:35:10 ID:6MD7ScYE0
蕩けた視線を送られて、ルードの背筋が本能的に凍りつく。しかし、どれだけ股間を隠したくとも拘束された両手は彼の期待に応えてはくれない。
タマタマ触っちゃだ〜め、股間触りたいなら私たちので我慢して。言うなり、サーシャたちは再度ルードの手に自身の女性器を弄り回させる。艶っぽい吐息が漏れる。
これならタマタマ触らずにお股だけ触れますね、そんな二人の言葉通り、押し付けられた彼の手は『睾丸』に触れることはない。そこに『無い』から。彼女たちは女性だから。

「な、何で……抜く、なんて……」
「ほら、先生、最初に『一旦』没収っていってたじゃない?反省したら返してあげられるように、保管しやすいように抜いておくんだって」
「サーシャ的には、本当は優しさ、というか照れ隠しだと思うけど……だって、潰れたタマタマ、有るだけで辛いみたいなんだもん」
「まぁ、返してもらってどうするのかは知らないけど。これからキンタマ持ってんのかって言われたら、ここにあるぞって瓶詰めのタマ見せるのかな、アイツ」
「リサは、その……そこまでタマタマ持っていることに、あの、拘らなくてもいいと思いますけど……」
「ね!無いなら『無い』ぞってはっきり言い切ったほうが男らしいわよね!」
「いや、それもどうなのかしら……」

世間話のトーンで行われる談笑と、あまりに不釣り合いな内容。それなのに、彼女たちにとっては違和感を感じるほどの温度差ではないらしい。
どちらかというと、もう失くなったんだから今更騒いでもしょうがないというような、カラッとした空気感。それは、彼女たちの睾丸に対する思い入れを如実に示していた。

「そんなコトよりさ、ルードのキンタマ……その、ごめんね。アタシたち、調子に乗って加減出来てなかったね……」
「ま、まさか……」
「あ、心配しないで!ルードくんのタマタマ、まだ潰れてないよ!!その……一応、辛うじて、だけど……あ、でも、もし潰れててもルードくんは私が貰ってあげるからね!」
「リサだって!……いや、ごめんなさい、本当に、その、危ないトコロだったって……先生が言ってました」

しおらしい謝罪は、逆説的にルードの危機感を煽る。謝罪をするのは、それで許されるだろうという展望を持っているから。
彼女たちの言を信じるなら、彼は危うく睾丸を失うところだった。それはきっと事実、だがもし本当に『失くなって』いても、彼女たちは直ぐに気持ちを切り替えていける。
彼女たちからすれば、問題は自分たちが『受け入れる』か否か。失くなること事態に違和感などないのだ、なにせ自分たちからすれば最初から無いものだから。

「で、先生がね。アンタたちで、責任とって看病しなさいって」
「トモエ先生はデレクお兄ちゃんのメンタルケアしないとだから、付き添えないって」
「タマキン腫れて歩けないでしょ?アタシたちには分かんないけど……ホント、ごめんね。ちょっとやりすぎたね」

694名無しさん:2022/02/20(日) 23:36:11 ID:6MD7ScYE0
その証拠に。彼女たちが纏う、謝罪の空気の根底には喜悦が混ざっている。はっきりと指摘は出来ない、だがまざまざとそれを感じ取ることは出来る。
三人が罪悪感を抱いているのは事実。だが、贖罪を口実として、思う存分にルードへ奉仕することが出来るという状況は願ってもないチャンスでもあった。

例えば、ポーラ。彼女は、もっとも距離が近い同居というアドバンテージを持ちながら、遅々として進展しない状況にフラストレーションを感じていた。
自分の肉体に興味があるのは明白。なのに、身体で誘惑してもルードは乗ってこない。そんな彼への苛立ちを模擬戦、容赦ない『金的』で解消しては、自己嫌悪に陥る日々。
サーシャ。彼女は、ポーラに先んじられているコトに焦燥感を抱いていた。だが、この状況なら条件は同じ。寝食を共にして、想い人と時を過ごすことが出来る。
そしてリサ。彼女は単純だ。ただ単に、愛しい先輩をなに憚ること無く甘やかすことが出来る。それがたまらなく嬉しい。

「ルードお兄ちゃんは寝てるだけでいいですから……全部、リサたちが……その、お世話、してあげます……ほら」
「え……?」

誇らしげにリサが持ち出したアイテム。ガラス製の大きな容器、それが尿瓶であると理解したルードの思考が焼かれる。
彼女たちの感情、行為は捕食行動にも似ていた。純粋に、愛しい相手の、ルードのすべてを掌握して自分と一体化したいという衝動。
彼の尊厳そのものを粉砕するような行為であろうと、償いの名のもとに彼女たちはそれを躊躇わない。
むしろ、それで彼が自分たちに依存してくれるならば、率先して尊厳の破壊を行ってしまいたいと渇望するほどの覚悟があった。

あまりに予想外な物体の登場に、硬直してしまったルード。そんな彼の睾丸を、サーシャが十本の指で突く。本当に軽く、まるで羽根で撫でるような柔らかな接触。
だが、破裂寸前まで甚振られたルードのタマは、それだけで気も触れんばかりの痛覚信号で彼の体内を掻き回す。

「〜〜〜ッ!!?〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
「ルードくん、私たちには遠慮なんてしなくていいんだよ。タマタマ付いてる限り、見栄はったって無駄なんだから」

そのまま、サーシャは痛みと恐怖で言葉すら発せないルードに優しい声音で語りかける。それは、慈母のような慈悲深さと、悪魔的な淫靡さを孕んでいた。
優しく、柔らかく、だが決して逃れられない拘束力を持った言葉でルードの心を縛り付ける。
彼女たちは、決して自分たちの欲望を満たすために動いているわけではない。あくまでもルードの望み、願いを聞き届けるために動くという建前。
上半身を仰け反らせて天を仰ぐルードの睾丸に、そっと冷えたタオルを宛てがい火照りを冷ましていく。

「おしっこ終わったら、リサが先っちょも拭き拭きしてあげますね。ふふ……赤ちゃんのお世話みたいで、楽しみ……です……」

夢見る乙女、十指を祈るように組み合わせたリサが微笑む。ポーラも同じように微笑むと、徐に下着、下半身を隠すショーツを脱ぎ捨てた。
そのまま、流れるような動作でルードの上半身を押し倒すと、騎兵のように彼の腹部に跨る。騎乗位にも似た体勢で、そっと彼の下半身、萎びたままの陰茎に手を這わせた。
自分たちには分からない『痛み』を訴えているのだろう陰嚢には決して触れないように、細心の注意を払う。先端、昨晩陰核と同源と教えられたソコをクリクリと弄る。

695名無しさん:2022/02/20(日) 23:36:50 ID:6MD7ScYE0
「みんなね、ルードのコトが好きなんだよ……ちょっと妬けちゃうけど。だから、何があってもアンタの力になりたいんだけど……」
「……あぅ……あぁあ……あああ、ちょっと、ポーラ……」
「でも、ココだけはダメなの。コレ、地獄の苦しみなんでしょう?昨日のデレク見たら、それぐらいなら分かるんだけどさ……」

そして。唐突に、ツンと人差し指の先端で彼の睾丸に触れる。また仰け反ろうとしたルードの上半身は、今回は跨るポーラに完全に制されてしまっていた。

「その地獄には助けに行けない。アタシたち、その地獄へ入るチケットは持ってないの。ほら、よく見てーーー」

前に回された彼女の両手。二本の人差し指が示す先、その下腹部には何も無い。ポーラの性器は両脚の間、ルードの腹筋に押し付けられ完全に隠されてしまっている。
そして、逆に。ルードは両脚を開いだ状態で固定されたまま、無防備に『男』として最大の急所を、ソレを持たない三人の少女たちに晒してしまっていた。

「キンタマだけは、アタシたちじゃ助けになれない。どうすればいいのか分からないもの。女だから。ルードが自分で何とかするしか無いの」
「だから……ね。ルードお兄ちゃんがタマタマ治すコトに集中できるように、その、リサたちがソレ以外のコトは全部やってあげるから」
「もし耐えられなくなったら、遠慮なくサーシャたちに言ってね。サクっと抜いてあげてって、トモエ先生に一緒にお願いしてあげるから」

慕情に揺蕩う蕩け声で三人の少女たちがルードの身体に覆いかぶさる。彼の肉体の上で、彼とは違う女体が暖かさと質量をこれでもかとばかりに主張する。
普通の男であれば、桃源郷としか表現出来ない。だが、すでにルードにとっては、この場所は拷問部屋に似たモノとして認識されてしまう。
拷問官は三人。三人とも、股間に急所が無い。そして、それ故に一切の容赦もなく彼の急所を責め苛むことが出来る。それがどうしようもなく恐ろしい。

「いいんだよぉ、タマタマ要らないって言っちゃっても。だって、普通に考えればそうだモン、恥ずかしがることなんて何もないんだよぉ」

裏付けるかの如く、サーシャがトロンとした目で想い人の頬を撫でる。視線が合うと、有無を言わさず無理矢理彼の唇を奪った。
クラクラとくる雌の香りに、ルードの意識がまた遠退いていく。いつまで『男』のままでいられるのか、薄ぼんやりとした不安が、彼を靄の中へと導いていく。
最後の日は、あまり遠くない。そんな、諦観にも似た感情とともに。少年、ルードの意識はまた闇の中へと沈んでいくのだった。

女性の園に、ただ一人の男性。白一点とでも呼ぶべき彼が、男をいつまで保てたのか。それを知るものは、誰もいない。
                                                                    <おしまい>

696名無しさん:2022/02/20(日) 23:38:38 ID:6MD7ScYE0
すみません、>>690は多重投稿となってしまったので消してください。

で、もひとつ。色んなシチュエーション取り揃えてみたつもりですが、どういうのがウケいいんでしょうね。
今回のでいえば、最初の格闘的なもの?真ん中の酒池肉林的な部分?最後のエピローグ的な個所?
最初のも、師弟(師側が女性)、女性同士で金的が効かないコトを男子側が視認、同級生同士みたいに幾つか並べてみたのですが。

>>617
AI3の手書き7ぐらいですかね。今回のはAI2の手書き8ぐらい。

>>627
被害者側が男と女っていう場合の性差描写、こんな感じかと何パターンか書いてみましたがどうでしょう?

697名無しさん:2022/02/21(月) 01:16:44 ID:0k/Ki2wU0
すごすぎですね、、、
マジ応援させてもらいたいです!
挿絵とか付けたら無敵でしょうよ
トモエ先生最高!

698名無しさん:2022/02/21(月) 01:31:54 ID:0k/Ki2wU0
トモエ先生は芸能人だと誰のイメージでしょうか?

699名無しさん:2022/02/23(水) 09:28:41 ID:Uo8Wm3Do0
めっちゃいいてす。
男女の性差を出しつつ、主人公以外の男を出すことで金的描写も満載になってる。

700名無しさん:2022/02/25(金) 22:57:12 ID:WBNEWK0o0
男女格闘による金的、大好物です
致命的な急所(金的)がある男と、そんな急所がない女のダメージ差や、男の悶絶ぶりと嘲笑や哀れみで優越感をもつ女子の性差表現が最高です
トモエがルードに金的する際の「はい、『金』」というセリフも良いです
睾丸のある男子にしか効かない技(握りや、膝による圧で恥骨に挟み押し潰し、猫手による睾丸掻き出し)とかも、萌えます
トモエ先生ら金的マスターの美女が男子を倒す格闘シーンがまた見たいです

701名無しさん:2022/03/14(月) 14:35:24 ID:PlmPZmQ60
>>698
早見沙織

702名無しさん:2022/04/05(火) 02:28:28 ID:TfZK9zMQ0
めっちゃ良かった。次回作も楽しみすぎる

703名無しさん:2022/04/06(水) 06:57:41 ID:31EDQi760
ニコニコ動画でボイロの金蹴りが地味に流行りつつある

704名無しさん:2022/04/08(金) 21:07:08 ID:WyNvwbmA0
空手の組み手練習中、故意に男子の金的を蹴った後、地面に這いつくばる男子をニヤニヤと笑いながら見下ろしている女子。

「あれぇ? どうしたのぉ? 急にうずくまっちゃってぇ」

「あ! もしかして〜金玉に入っちゃった?w」

「あはは、ごめんねぇ〜。私、自分に金玉ついてないから、そういうのよくわかんなくってさぁw」

「うわぁ、すごい苦しそうw ホント、ごめんね? …ププッw」

「でもいつまでも中断してらんないし…そろそろ立ち上がってくんないかな?w」

「大丈夫大丈夫、もう金玉は蹴らないからw」

まだ下腹部に鈍い痛みを抱えながらも、なんとか立ち上がる男子。組み手はすぐに再開された。

「おりゃぁ!」ドグッ!

再開後すぐ、女子はまたしても男子の股間を蹴り上げた。

「あちゃ〜。また金玉に入っちゃったねw」

「あ、わざとじゃないんだよ?w 多分、癖になってるっていうか…足が覚えちゃってるんだと思うw」

「でも、二回蹴られたからって、痛みまで二倍になるわけじゃないんでしょ?w」

「私には金玉ついてないからよくわかんないんだけどねw」

「だからまた中断しちゃうと時間勿体無いし、もうこのままやろ? ね?」

既に二回も金的を蹴られている男子は意識も朦朧とした状態だったが、女子は強引に組み手を再開した。

「おらぁっ!」ドグッ!

そして三度、男子の股間を蹴り上げた。

「あー、またやっちゃったw なかなか難しいな〜金玉蹴らないようにするのってw」

女子はもう謝る素振りすら見せず、這いつくばる男子をニヤニヤと笑いながら見下ろしている。男子はとうとう、降参の意思表示をした。

「…え? ギブアップ? じゃあ私の勝ちってこと?」

「いや〜、なんかごめんねw こんな勝ち方でw じゃあ金玉お大事にw …ププッw」

705名無しさん:2022/04/19(火) 04:34:00 ID:dtUHmppI0
>>704
良いですね、自分にはない急所を責めて、その痛みを嘲笑する女子のリアクション最高ですわ

金的関係の小ネタですが、月刊ヤンマガの巻頭新連載漫画で、ヒロインが主人公のタマ蹴って悶絶させてました

706名無しさん:2022/04/21(木) 00:13:14 ID:0.kd05yI0
>>704
こういう短めのも好み。どんどん投稿してほしい。
難点を言うとすれば、1回目と2回目の蹴りの女子の反応がほぼ同じ。
変化があればいいと思う。

707名無しさん:2022/05/22(日) 20:49:53 ID:PSoeb2n20
「蹴り比べしない?」
穂香がニヤニヤしながらそんなことを言ってきた。
彼女が言ってきているのは、股間の蹴り比べだ。
男の股間は急所だから一蹴りでイチコロだけど、女は全然平気だという。
俺は、女も痛いはずと一応反論したんだが、そうしたら穂香は論より証拠、お互いの股間を蹴り比べてみればすぐ分かる、と言うのだ。
もちろん男が圧倒的に不利なのは明らかだ。男の股間には急所の金玉が無防備にぶら下がっているが、女の股間はすっきりしていかにも強い。しかし、単純な力比べなら男の方が強いはずだ。穂香の股間を強めに蹴って、女でもそれなりに痛いと感じさせ、うやむやなうちに引き分けに持ち込もうと考えた。
「分かったよ」
俺がそう言うと、穂香は嬉しそうな顔をした。
「負けた方は罰ゲームね!」
「ああ、いいぜ」
こうして俺たちは男対女の股間の蹴り合いをすることになった。今なら実に無謀かつ愚かな判断だったと分かる。男が股間の蹴り合いで女に勝てるはずがないのだ。男子プロレスラー対小学生女子でもおそらく女の勝ちだ。男の股間にはむき出しの内臓が薄皮一枚でぶら下がっているのだ。硬い骨でしっかり守られている女の股間とは勝負にならない。でもあの時の俺は、穂香に上手く乗せられてしまっていた。あと、穂香の股間に足でとはいえ触れられるという邪念も影響したのかもしれない。

708名無しさん:2022/05/22(日) 20:50:38 ID:PSoeb2n20
「じゃあ、最初はお互い軽い蹴りね」
「軽いってどれくらいだよ」
「軽い蹴りは軽い蹴りよ。だいたいの感じでいいでしょ」
「いや、そこは勝負だからきちんとしておかないと」
「ピリピリしちゃって。あ、たかが女の軽い蹴りがそんなに怖いの?やっぱり男のウィークポイントだから?」
穂香は男の弱みを見抜いたとばかりにニヤニヤする。
「そ、そんなんじゃねえよ。じゃあ軽い蹴りってことで、それぞれの匙加減でいいんだな」
「いいよ。どうせ女は平気だもん」
余裕の表情を見せる穂香。俺は、これで言質を取ったから、かなり強めに蹴っても「これが男にとっては軽めの蹴りだ」と言い張る口実が出来たと思った。
そういうわけで、最初はお互いに軽く蹴り合うことになった。
先攻後攻をじゃんけんで決めた。先攻は穂香になった。
まずは穂香の蹴りだ。
「じゃあ、足開いて」
そう言われて足を開くが、心持ち内股になってしまう。
「なにやってんのよ。それじゃあ蹴り足が届かないでしょ。男らしくもっとちゃんと開いて。あ、男だから怖いのか。ふふ」
穂香は一々気に障ることを言うが、俺はしぶしぶしっかりと足を開いた。
「じゃあいくよ。えいっ」
パスッ。
振りかぶることもなくいきなり穂香の左足が俺の股間に伸びてきて、タマをヒットした。
男だったら相手の股間を蹴り上げるときには無意識に若干躊躇してしまうものだが、女である穂香はそういった躊躇とは無縁のようで、いきなりかつ無造作な蹴りだった。しかし、穂香の細い脚は俺の金玉をしっかり捉えていた。
俺は金玉に衝撃を受けた男の本能で思わず腰を引いた後、少し遅れて腹の底から染み出てきた男特有の鈍い痛みに思わず膝をつきそうになったが、穂香の手前、男の根性でそれはこらえた。
しかし、ダメージは隠しようもなく、うぅと呻きながら股間を押さえ、物凄い表情をしていたと思う。
「えっ、全然力も入れてないし、超軽い蹴りなんだけど、それでもそんなに効いちゃうの?男のソコってマジ急所なんだね」
穂香が驚いた表情を見せながらも愉快そうに笑う。
穂香の蹴りは、確かに力を全然入れないごく軽いものだったが、女らしい足首の柔らかさにより、タマに当たる瞬間、足先がしなるように跳ね上がるものだった。実は金玉は、力んだ棒蹴りよりもこういうしなやかで速い蹴りの方が苦手なのだ。そして、悔しいことに、男の俺に対してはその効果は抜群だった。

709名無しさん:2022/05/22(日) 20:51:23 ID:PSoeb2n20
俺が苦しんでいると、今度は穂香の右足が股間にスッと伸びてきた。慌てて足を閉じると、
「ウソウソ。いつになく必死になっちゃって、面白いね♪次はあなたの番よ。どうぞ」
穂香はそう言って、これまた無造作に足を大きく開いた。女の股間は急所じゃないと態度で示すかのようだった。俺は、もう女を甘く見るまいと心に誓いつつ、穂香の股間に向かって足を伸ばした。
そして、穂香の股間に狙いを定め……ようとしたが、金玉の痛みから力が入らずなかなか狙いを定めることが出来ない。
ようやく狙いを定めたところで、思い切って蹴りを放った。もちろん全力まではいかないが、正直結構力を入れた。この蹴りで引き分けに持ち込まないと、2発目は本当にヤバいと思ったからだ。
バンッ!
「きゃあっ!」
穂香の悲鳴が上がる。
俺は、穂香の股間をしっかり捉えた足応えを感じていた。
やった、これで引き分けだと思ったのだが、次の瞬間、俺は目を疑った。
穂香は、微動だにせず股間をパンパンと払って、
「もう、結構強く蹴ったでしょ。びっくりしちゃった!」
と平然とした様子で言ったのだ。俺は呆然としつつ、
「え…、お前痛くないの?」
と尋ねたが、穂香は何を言っているのかという様子で、「え、なんで?全然痛くなんかなかったけど」
と言う。俺は混乱して、
「だって、あんなに勢いよく股間を蹴られたんだぜ」
と言った。すると穂香は、
「だから女の股間は急所じゃないんだって。男みたいに邪魔なモノぶら下がってないし」
と悪戯っぽく俺の股間を指さしながら答えた。
「それより、今自白したけど、やっぱり結構勢いつけて蹴ったのね。一発目は軽くって約束だったでしょ。男のくせに卑怯じゃない?」
「あ、いや、それは何というか…」
口ごもる俺に、穂香は、
「まあ、いいわ。ハンデだと思って目をつぶってあげる。女には男みたいなか弱い急所のタマタマ付いてないからね。それより次はまた私の番よ。さ、足開いて」と余裕たっぷりの様子で言う。ズルをした引け目のある俺は仕方なく足を開いた。

710名無しさん:2022/05/22(日) 20:51:55 ID:PSoeb2n20
そして、今度は穂香が俺の股間に二度目のキックを放ってきた。
パシンッ。
今度は、さっきよりは力を入れているようだが、やはり軽く蹴飛ばす程度のもので、他の箇所だったら何てことはない蹴りだっただろう。しかし、金玉だけは別だ。女より頑丈な男の肉体の中で、唯一内臓が防御力ゼロで露出している男だけの克服できない泣き所なのだ。しかも、先ほどの蹴りで既にダメージを負った今の俺には、タマへの更なる一撃は耐え難いほどの苦痛をもたらした。
「ぐっ」
思わずくぐもった声を上げ、今度は股間を押さえ膝をついてしまった。
「あら、ちょっと強くやりすぎたかしら。まだまだほんのウォーミングアップくらいの軽い蹴りなんだけど」
穂香はそう言って、ケラケラ笑っている。俺は歯ぎしりをしながら必死に立ち上がり、内股になって足をプルプル震わせながらも
「まだやれるよ!」
と言って構えを取った。
「あら、結構根性あるのね。さっすが男の子。さ、男の意地見せてよ」
穂香はそう言って、見せつけるように股間を突き出しながら足を大きく開いた。
そして、再び穂香の股間を狙うが、金玉がズキズキ痛み、腹の底から自分が男であることを思い知らせる情けない鈍痛が湧き上がって、どうしても力が入らない。

711名無しさん:2022/05/22(日) 20:52:26 ID:PSoeb2n20
「どうしたの?さっさと蹴っていいのよ。タマタマ痛くてツラいのかな?まあ、女の私には全然分からない辛さだけど。」
穂香は完全に男の俺を見下していた。俺は、悔しさに唇を噛みながら、それでも何とか穂香の股間に狙いを定め、今度は渾身の力を込めて蹴りを放った。
ガシッッ!
かなり鈍い音とともに足先にはっきりと固い手応え(足応え?)があった。
これはやっただろう、という思いと、ちょっとやりすぎたか、という懸念が交錯した瞬間。
スパンッ。
足を大きく振り上げがら空きになった俺の股間に穂香の右足が叩き込まれていた。
「はうっっっ!」
俺は衝撃と痛みで全身の力が抜け、成す術なくそのままヘナヘナと座り込んだ。
「もう、私は軽く蹴っただけなのに、そんな全力で蹴ってくるなんて反則でしょ。女だから大したことはなかったけど、ルール違反は良くないから、今のは軽くおしおき。じゃあ、さっさと次やりましょ」
そう言って、穂香は俺に立つよう促したが、俺は猛烈な下腹の痛みに吐き気まで催してきて、とても立ち上がれない。

712名無しさん:2022/05/22(日) 20:53:55 ID:PSoeb2n20
「所詮男ってのはこんなもんよね。普段女相手に威張ってても、その女に急所のタマタマを一蹴りされただけでお股を無様に押さえてろくに動けなくなるんだから。いくら体を鍛えようが、致命的な急所をぶら下げた男が急所の無い女に勝てるわけがないの。分かった?」穂香は俺を見下ろしながら得意げに言う。俺は半ば反射的に、
「そんなわけねえ。男は女より強いんだ。お前だってやせ我慢してるだけだろ!」
と言い返してしまった。すると、穂香は、俺の脇の下に手を入れて無理矢理立たせ、耳元でこう囁いた。
「ふーん、まだそんな強がり言うんだ。だいたい、やせ我慢なんて言うけど、男はそのやせ我慢すらできないでしょ?やせ我慢もできないから、『急所』なのよ。じゃあ、男と女、本当に強いのはどっちか、思い知ってもらおうかしら。急所をぶら下げた男に生まれたこと、後悔させてあげるわ。約束の罰ゲームっ♪」
そう言いながら、穂香は立つのがやっとの俺の両肩を両手で掴み、膝を振り上げて俺の股間に突き刺した。やばい、膝金だ!
ドゴッッ。
「ぐあああっっっ!!」
俺は絶叫してその場に崩れ落ち、恥も外聞もなくのたうち回った。穂香の柔らかい太ももに俺のタマが2個ともしっかり逃げ場なく押し潰されたのが分かった。俺は自分が男であることを痛感するとともに、男に生まれたことを心から後悔した。そして、同じ攻撃を受けてもビクともしないであろう女の穂香が心底羨ましく、スカートの下から見える平らな股間を羨望の眼差しで見つめた。
「どう、これで思い知ったでしょ。急所のない女は股間をやられても全然平気だけど、急所のある男は股間蹴り一発でイチコロ。お股に不格好で脆いタマタマを無防備にぶら下げてる男なんて、女が本気出したら勝ち目はないんだから。分かったら、二度と男の方が女より強いなんて寝言を言わないことね」穂香は満足そうにそう言い放ち、股間を押さえて悶絶している俺の耳元で「悔しかったら、またいつでもリターンマッチやってあげる。せいぜいそのちっちゃなタマタマ鍛えてくることね。男のあなたにできるものなら」と得意げに囁いた。
俺は、二度と穂香には逆らわないことを心に決めた。

713名無しさん:2022/05/22(日) 20:55:07 ID:PSoeb2n20
終わりです。表現が陳腐で恐縮ですが、ご笑納ください。
他の作者の方々も、続編、新作など是非。

714名無しさん:2022/06/02(木) 19:47:03 ID:CslFbmJM0
めっちゃ良かったです!皆様のssも楽しみです!

715名無しさん:2022/07/11(月) 06:51:26 ID:y7dQtYNI0
ありがとう!


716名無しさん:2022/09/11(日) 01:14:00 ID:kNbGzxZA0
>>695
今でも月1ペースで定期的に抜かせてもらってます
やっぱりこういうのを良作というんだよな

717名無しさん:2022/09/17(土) 14:51:47 ID:pHsPcSb60
実際女の股間ってどれくらい痛いのかな

718名無しさん:2022/09/20(火) 23:35:36 ID:TjTWb7G20
>>717
ttps://www.youtube.com/watch?v=lZpNJ7G-jwk
の25:15〜で護身術の練習にて女性が女性の股間を誤爆?で蹴っているシーンあり
パシンってくらいの軽めの蹴りで、一瞬びっくりしてるけど、その後は平然としてる
ただ、男ならこれでもビクンとしてしばらく鈍痛で動き止まっちゃうだろうから、やっぱり男女差は歴然
思いっ切り蹴ればさすがに女でも痛いだろうから、むしろ軽い蹴りの方が男と女のダメージの差が見やすいかもね

719名無しさん:2022/09/23(金) 16:22:17 ID:n1TxglzA0
>>718
うわ全然効いとらんな
やっぱ女の方が圧倒的に強いのか

720名無しさん:2022/09/25(日) 13:22:30 ID:B9nY2swc0
ttps://www.youtube.com/watch?v=t7tfoc1DcVo
1:19〜 AKB48の柏木由紀さんが、「女子だけの急所ってないですよね」「(打った痛さ)プラスαの痛さはないと思います」「肩とかお腹、どこでも一緒の痛さ」と発言
やっぱり女子の感覚としては「女の股間は急所じゃない」ということではないかと

721名無しさん:2022/09/30(金) 23:17:34 ID:Mqj1taeo0
7分15秒辺りから傘で男子に急所攻撃して
男子からも反撃されたと言う経験談が始まる
男子ほどではないけど、女子もそれなりに痛いのかも

ttps://video.fc2.com/content/20220813DpRWney3

722名無しさん:2022/10/06(木) 07:10:26 ID:disUdv1U0
また某所のステマか…

723名無しさん:2022/10/08(土) 20:37:14 ID:mz9NQzc60
>>722
ハロプロアンチ乙

724名無しさん:2022/10/09(日) 00:25:00 ID:taG63LpQ0
ttps://www.dlsite.com/maniax/work/=/product_id/RJ422746.html
結構よかったで

725名無しさん:2022/10/16(日) 17:35:04 ID:k4WESSvk0
全然SSじゃなくてスマンだが音声合成ソフトで玉責め創作してるから見てくれ
そしてよかったらコメントもしていってくれ
ttps://www.nicovideo.jp/watch/sm41231331

726名無しさん:2022/10/17(月) 01:07:25 ID:r0/dvPeg0
>>725
何これめっちゃ良かった

727名無しさん:2023/01/12(木) 20:34:37 ID:vfjjtabM0
感想ありがとう
また投稿したのでよろしくな
ttps://www.nicovideo.jp/watch/sm41638445

728名無しさん:2023/01/28(土) 17:18:04 ID:ISgh927g0
ttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17153265
書いてみました。

729名無しさん:2023/01/28(土) 18:16:31 ID:ISgh927g0
ttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19187861
載せ直しました。

730名無しさん:2023/02/05(日) 00:28:20 ID:uBtNy20w0
>>729
ちょうど盛り上がったところで終わるんだね
もう少し文量あればうれしいw

731名無しさん:2023/02/19(日) 14:24:05 ID:DJVwD7fU0
古典太平記っぽさはあるね

732名無しさん:2023/03/19(日) 20:22:39 ID:.X0a3sZI0
「男子体操に平均台がない理由が予想通り過ぎて女の子になりかけた」
ttps://www.youtube.com/watch?v=xFjw0BwH71I
まあ、実際の股間強打シーンはないんですが、撮影者の女の子との生温かいトークをお楽しみください
要脳内補完

733名無しさん:2023/04/09(日) 13:03:31 ID:G8I7oaWU0
Google検索で、「男子最大の急所」はいくつもヒットするけど、「女子最大の急所」は該当なしになる事実に軽く興奮する

734名無しさん:2023/04/30(日) 02:15:38 ID:X9DW47yg0
金玉は軽い衝撃を受けただけで激痛だからな
昔、彼女にふざけて下からポンッとタマを叩かれて、
一発目は耐えたが2発目で痛みに我慢できずに手を掴んで「痛い」と言ったら、
「なんで?」とニヤニヤしながら言われた
「金玉が痛い」とは恥ずかしいから言えなくて黙ってたら、
隙を見て「ポンポンポンポン」と軽く連続で金玉をはたき上げてきた
流石に「痛ててててー!」と恥も外聞もなく悶え苦しんだ
彼女は満足そうにニヤニヤ嬉しがってた。

かなりSな女だったから、もっといじめてもらえば良かった
(当時の自分は隠れMでプライドが高くカミングアウトできず)

735名無しさん:2023/04/30(日) 02:27:29 ID:X9DW47yg0
他にも初エッチ前に、上に乗ろうとしたら下から股間蹴り上げてきた
残念ながら、尻に当たり金玉にヒットせず不発
今なら当たってなくても、金的悶絶の演技をするところだがw
あと寝てる時に金玉握られて絶叫して飛び起きてガチ悶絶はあった
他にも座ってたら股間に思いっきりドスンと座ってきて、尻でチンチン潰すようにグリグリしてきたり(しかも俺の両手を掴んで逃げないようにする)、小ネタはいろいろある
「あなたイジメると楽しい」とまで言ってた
しかも性格もエロくて日常的にチンコいじりってくる

今考えると性癖がマッチした理想の相手だな
もっと自分に正直に楽しんどけば良かった

736名無しさん:2023/05/06(土) 14:19:54 ID:X/8ib9HA0
ttps://www.youtube.com/watch?v=TuxyCfkJNT4
女子→女子の股間蹴り(2:20〜と4:50〜の2回)
蹴りが入った瞬間はさすがに多少痛がるけど、すぐ回復してその後の動きに全然影響してないのが男からすると驚異的
特に2回目の蹴りは力加減こそ強くはないけれど分かりやすく股間の真ん中にヒット
男なら背足で綺麗に両タマを捉えられた蹴りで、股間を押さえて蹲りしばらく動けないのは必定なのに、さほど時を置かず相手に掴みかかってる
男と女がそれぞれ股間を蹴られた場合、痛みの程度も勿論違うけど、ダメージの尾の引き方が段違いだと思う
男はかなり長い時間下腹から来る鈍痛で動きが鈍るけど、女は回復が圧倒的に早い
剥き出しの内臓と骨との違いなんだろうけど、やっぱり金的は男特有の急所なんだなと実感する

737名無しさん:2023/05/19(金) 23:00:48 ID:lCUDev/60
また動画を作ったので見ておくれコメントもしておくれ
コメディタッチな前編と
ttps://www.nicovideo.jp/watch/sm42213437
性癖もりもりの後編があるよ
ttps://www.nicovideo.jp/watch/sm42241562

738名無しさん:2023/05/22(月) 00:26:58 ID:W02d5GbQ0
面白いけど興奮はしないなw

739名無しさん:2023/07/04(火) 22:58:37 ID:ari7ZpEk0
剛速球がズドッと当たっても、「痛っ」と声を上げるだけですぐ立ち上がり、股間を押さえることもない女子
ttps://www.youtube.com/shorts/WhK0EPWsRaA
それに対し、緩い球がパスっと当たっただけで30分も動けなくなり横たわるしかない男子
ttps://www.youtube.com/shorts/lQ7XpFEnfeU
やっぱり金的は男子だけの急所
「あのくらいで動けなくなっちゃうの?男子の股間ってホント急所なのね」
「私たち女子は全然平気なんだけど。キャッチャーは女子に限るわ。ファールチップがかすったくらいでキャッチャー交代じゃ選手が何人いても足りないもの」

740名無しさん:2023/08/01(火) 19:14:30 ID:UxquiCKQ0
>>738
ありがとう!
ならもう振り切って金的コメディにしてやるぜという続編が出来たよ
ttps://www.nicovideo.jp/watch/sm42552110

741名無しさん:2023/09/03(日) 07:11:48 ID:OCjDJitI0
動画めっちゃ良かったけどもうここに人がいなさそうだね…

742名無しさん:2023/09/11(月) 21:48:30 ID:6YMeWNI20
いるさ!ここに一人な!!

743名無しさん:2023/09/17(日) 14:10:47 ID:fNWrJJYU0
格闘女子に金玉全力で蹴り上げられて気絶するシチュエーションより、
か弱い女子からほんの軽い一撃を股間にもらって筋骨隆々の男の動きがピタッと止まっちゃうみたいなの方が興奮する

744名無しさん:2023/09/25(月) 16:03:38 ID:JrJHcNgs0
俺はどっちも好き

745名無しさん:2023/09/25(月) 20:52:10 ID:f2/pcCPc0
>>743
分かる
本来普通に戦ったら余裕で勝てるはずの女性に金玉っていう一点が原因で敗北するのすごい萌える

746名無しさん:2023/10/01(日) 19:19:02 ID:IVaHab4A0
萌えるってもう死語だよな

747名無しさん:2023/10/03(火) 23:41:05 ID:irXwdC2U0
股間に強打を喰らえば女もそれなりには痛いだろう
弱打に対する脆さこそが急所であることの象徴だと思う
一人の女の左右に女と男が並んで立って、片方の手の平で女の股間を、もう片方で男の股間をそれぞれ叩き上げる
女は平然としてるのに、男は思わず股間を押さえて体を屈めてしまう
その様子を見て男の股間を弱さを嘲笑う女二人
「え?軽く叩いただけだよ?」
「私全然平気だったけど」
「左手にだけ柔らかい感触があったわ。あれがキンタマなのね」
「男のキンタマってホントに急所なのね」
「あんな軽く叩いただけでこんな苦しむなら、思いっ切り蹴り上げたらどうなっちゃうのかしら、ウフフ」
「ねえ、今度私たちと股間の『蹴り比べ』しない?男らしく勝負受けなさいよ」
「キンタマ蹴り上げられて悶絶しちゃうのも『男らしい』けどね、アハハ!急所をぶら下げた男に生まれたこと、後悔することね」

748名無しさん:2023/10/29(日) 15:59:30 ID:kHCuvRrY0
もし格闘技で評価値みたいなのが可視化されたとして、男女対決の場合、
女優勢の局面だったら、女80ー男20くらいになればほぼ逆転はないだろうけど、
男優勢の局面は、男99ー女1でも女の一撃が男の金玉を捉えさえすれば十分逆転があり得るというのが、
金玉という致命的な急所を股間に無防備にぶら下げてる男の哀しい宿命を感じさせて良き
金的有りだったら女子選手は男相手には絶対最後まで勝負を諦めないよね
とにかく一発でも金的決められれば大優勢の男でも股間押さえて蹲るんだから

749名無しさん:2023/10/30(月) 00:05:28 ID:7om3C5do0
格闘技は正直萌えなくて、どんな幼女にやられても金的一発で痛がるところに魅力を感じる

750名無しさん:2023/10/31(火) 00:48:08 ID:Jn.z2inA0
ttps://www.youtube.com/watch?v=Qrcu55CVIPA
5:25~
鉄拳の新キャラだけどかなり良くないか?笑いながら蹴ってるところが良いわ

751名無しさん:2023/11/16(木) 09:39:33 ID:9LRKySi.0
>>748
格闘や武道で圧倒的に有利な男が、金的(睾丸)という決定的な急所があるがゆえに、
そんな急所がない美女(美少女)に悶絶させられるのは最高のシチュだな
昔、タイトル忘れたが(婿に来るか嫁に取るか?)未完の小説があったが、
結局、メインディッシュの金蹴りが一度も無かったのが残念。
副睾丸を指で弾かれただけで悶絶とか、男の急所の弱さをクスクス嘲笑する性差描写が凄く良かった
金蹴りは数ではなく、性差表現が一番重要

752名無しさん:2023/11/17(金) 23:37:31 ID:Y/SKbsZE0
SSに仕上げる筆力がなくて申し訳ないんだけど、金的の魅力は次の点にあると思ってる
①性差
男にだけあって女にはない急所、それが金的
だから、男は金的に常に怯えなければならないけど、女は金的に怯える必要が全くない
同じくらいの打撃を股間に受けて、女は平然としてるけど男は大ダメージみたいなのが個人的に大好きなんだけど、それは性差を露骨に感じたいからだと思ってる
②一撃性
しかも、金的という急所は人体のいかなる箇所と比較しても単純な打撃に対する耐性が極端に低くて、綺麗な一撃を喰らったらどんな男でも悶絶するという一撃性がまた魅力的
男がどんなに優位に戦いを進めても、たった一瞬の隙を突かれて金的を痛打されれば即KOという不条理さがいい
③逆転性
その結果、>>751にもあるけど、本来肉体的には圧倒的に強いはずの男が、金的という決定的な急所の存在が災いして、か弱いはずの女に膝を屈するという逆転現象の発生がいい
睾丸から分泌されるテストステロンのおかげで得た筋骨隆々の肉体を持つ男が、まさしくその睾丸が男特有の急所であることにより、そこを女に攻められて肉体的優位をあえなく逆転されるというのが最高にして至高

更にシチュエーションを分けていくと、
男側では、女に金的蹴りを喰らうなんて思ってもいない男が強かに金的を蹴り上げられてダウンし、初めて男の弱さを思い知る/女の金的蹴りに内心怯えている男がやっぱり金的を守り切れずに敗北し、やっぱり女には勝てないと絶望を深める
女側では、男に対する金的蹴りの効果を理解していなかった女が実戦で男の睾丸の脆さを知り、女の優位性を理解して自信を得る/男に対する金的攻撃の絶大な効果を知り尽くしている女が計算どおりに男を屠り、決定的急所を持つ男は女に勝てないと思い知らせる
というパターンがあって、それぞれ組み合わせることで色々なストーリーがあり得ると思っているけれど、この辺りはまた同好の皆様と語り合いたい
どんなシチュエーションが好きですか?

753名無しさん:2023/11/18(土) 01:09:48 ID:iyl4DUfc0
ttps://twitter.com/arakane201/status/1703796394518327327

754名無しさん:2023/11/18(土) 02:34:41 ID:Ztin5Amo0
晒し上げるのはやめたれ

755名無しさん:2023/11/26(日) 03:06:19 ID:UjZQXUQU0
「おちんちんを蹴る」「チンコを蹴る」って言ってる女は微笑ましいけど、
「金玉を蹴り上げる」って言う女にはゾクっとする
タマこそが男の急所だということを経験上熟知している感じ

756名無しさん:2023/11/28(火) 23:01:49 ID:H/fDRh0k0
>>755
玉のほうが痛いって、中学生以上なら誰でも知ってるような気がする
「金玉」というか「玉」というか「あそこ」、「あれ」の呼び方に違いはあるが

757名無しさん:2023/12/04(月) 19:52:41 ID:vrlhy0Po0
この界隈の人が一番集まる場所ってどこ?コミュニティが見つからねぇんだ

758名無しさん:2023/12/04(月) 22:34:11 ID:WWYS9O2I0
>>757
「しっぽの練習帳」か「古典太平記」辺り

759名無しさん:2023/12/05(火) 12:35:44 ID:pb5RRLb20
そこで個人のブログが出るあたり狭すぎる界隈

760名無しさん:2023/12/10(日) 21:38:33 ID:YaFmz71Q0
昔、ミクシィのコミュニティで、護身術の集まりだけど
なかなか良いところがあった。
ミクシィ自体が過疎って、ダメになったけど。

761名無しさん:2023/12/20(水) 19:49:53 ID:ehzuXxDE0
人がいなかろうが作ったら宣伝するぜ
今回はMMDでやってみたら大変すぎた

ttps://www.nicovideo.jp/watch/sm43164439
どうせなら感想は動画にコメントしていってくれよな

762名無しさん:2023/12/21(木) 15:18:10 ID:mrHzmLVU0
めっちゃ良かった
ありがとうございます

763名無しさん:2023/12/28(木) 12:49:41 ID:z0xvnf/Y0
射精我慢検定という同人音声の世界観からヒントを得た最近使ってる好きな妄想
射精我慢検定を失敗したら罰として金玉ビンタのお仕置き
2級は50回、1級は100回と級が上がるごとに罰は重くなる
お仕置きが導入されたきっかけはクリアする気がなく気持ちよくなりたいだけの挑戦者を抑止するため
これによって軽い気持ちで射精我慢検定に挑戦することは難しくなった
ちなみに始まってからの棄権・降参は禁止。命乞いも無視され確実にお仕置きは執行される
クリアできる自信がない、お仕置きが怖いやつは最初から挑戦するなの精神

764名無しさん:2023/12/29(金) 13:28:16 ID:TLq9R4BQ0
天才おった

765名無しさん:2024/01/08(月) 14:17:51 ID:LwaD1PRI0
最近のpixiv小説は英語やシナ語やチョン語(ハングル)で金蹴りノベル書くバカが多くて萎える
日本のメディアなんだから日本語で書いてもらいたい

766名無しさん:2024/01/08(月) 16:11:37 ID:Ik9NMljU0
ttps://www.youtube.com/watch?v=hZ0FSswyAGY&t=583s
8:09〜
軽く入った金的に男が悶えて、女の先生が「あ、ごめんごめんごめん」って言うところが、「男はそこが急所だもんね、軽く蹴られただけでもダメなんだもんね」っていう優越感を含んでるようでいい
実際女ならあの程度の蹴りが入ったところでどうということもないんだろう
軽い打撃に対する脆さや男女差を浮き彫りにするシーンがもっと見たい

767名無しさん:2024/01/28(日) 16:58:01 ID:nRUTvyf60
最近、コツカケ習得者の股間を蹴り上げて金的無効にビックリ!という動画があるけれど、
元々金玉のない女性の股間を蹴り上げてほぼノーダメージなところを見せて、ごく限られた男のみが必死に習得したコツカケを女は誰でもある意味生まれながらに習得してるということを誇示するような動画が見たい

768名無しさん:2024/02/04(日) 21:46:19 ID:aK7Nx7GI0
たしかに男は悶絶、女は平気という性差表現は金的フェチとしては最高表現だよな
股間を下からパンパン叩かれたら、男は金玉に響いて痛くて耐えられないが、
女は平気で効かないし
昔、彼女にふざけて股間ポンポン叩かれたが、3発ぐらいで耐えられずにギブアップした(女なら全く平気な強さ)

769名無しさん:2024/02/04(日) 21:54:17 ID:aK7Nx7GI0
そういう性差表現シーンは動画に限らず中々ないが、ごくたまにある
お約束の金蹴りマン蹴り対決で、女は効かないが男は悶絶とか、
他に騎乗位の体勢で、女の股間(恥骨)で男の金玉を圧迫して悶絶させる動画もリアルで良かった

クラQでも、女が金蹴りの前に「いつまで耐えられるかな〜?」と、
自分の股間をバシッ!と勢いよく叩いたシーンがある
当然、女はノーダメだが、あの強さで男の股間を叩いたら悶絶してた
クラQもそういう性差表現をもっと入れたら神作品連発なのに
「そんなに痛いの金玉?男は急所があって大変ね」とか、性差による言葉責めが欲しい

770名無しさん:2024/02/04(日) 22:01:32 ID:aK7Nx7GI0
最近中々金蹴り小説の新作がない
文章だとチャットGPTで自己補完できるが、
センシティブな内容は規制がかかりやすくて残念
絶好調で続けても、ある日突然、答えてくれなくなったりする

771名無しさん:2024/02/06(火) 21:22:36 ID:iZ.Faplo0
>>767
胸にチンコマシーンやってたライバーはいたけどそこは股にやって欲しかったわ

772名無しさん:2024/02/10(土) 14:26:13 ID:iu5KYiaw0
女が男の金玉が鍛えられない急所であることを馬鹿にするようなセリフが好き
「あら〜、百戦錬磨の男でもそこだけはダメなのねw」
「女は股間やられても平気よ、悔しかったら鍛えてみたら?あ、金玉は鍛えられないのか。まあ、女は鍛えるまでもないんだけどね。男って不便ね♡」
みたいな

773名無しさん:2024/02/18(日) 22:00:43 ID:mZ0RBD5A0
男と女の性差、男の股間の脆さを浮き彫りにするのは、股間に対する蹴りよりも平手打ちだと思う
手首のスナップを効かせて股間を叩き上げられたとき、女はほぼノーダメージだけど、男はKOレベルの大ダメージだろう
男と女が向き合って足を開き、いっせいのでお互いの股間を叩き合うとか
そういう作品、映像でも文章でも出ないものだろうか

774名無しさん:2024/02/21(水) 04:03:30 ID:PmI6JQM20
普通に生活してたら女が男の金玉を狙って攻撃する場面にちょくちょく遭遇するのってせいぜい小学生までだよな
あとは金的攻撃ありの格闘技をやってる道場に入るとか、そういう特殊なルートを辿らないとなかなか巡り合えない
高校生や大学生くらいの年代での女→男の金的攻撃ってシチュエーションとしては最高なんだが

775名無しさん:2024/02/24(土) 20:18:21 ID:2nExBZAU0
力士が睾丸に平手打ちと聞いて

776名無しさん:2024/02/25(日) 02:21:27 ID:rDW9YYoE0
不謹慎ですが、「姉弟子が弟弟子の睾丸を平手打ち」だったら興奮できたのに、と思ってしまいました
「ほら、私の強い股間が羨ましかったらあんたも鍛えな!」って感じで

777名無しさん:2024/02/25(日) 17:20:55 ID:5NzmdYGc0
>>773
海外動画ではたまにある
股間平手打ちや股間蹴りあいで男だけ悶絶するやつ
特に股間平手打ちは、リアルでも女にはノーダメ程度の力でも男は玉の痛みで悶絶するから、
シチュ的に最高峰
後、騎乗位体制で、女の恥骨で男の玉をすり潰して性差を味合わせる動画もあった
いずれにせよレア。金的フェチにとって性差表現こそ至高だからもっと増えて欲しい

778名無しさん:2024/02/25(日) 17:24:52 ID:5NzmdYGc0
「DLsite」で買える金的作品でも、中には金的の性差表現あるやつが見つかる
金マン蹴り対決で男だけ悶絶したり、素又で男の金玉を女の股間ですり潰したり
やはりレアだが
女は平気な軽い金的で、悶絶する男を嘲笑する作品ならたくさんある

779名無しさん:2024/02/26(月) 04:41:50 ID:L4g9mJEw0
金玉を軽く叩かれただけでウッと息が詰まる感じ
その後じんわりと腹の奥から嫌な痛みが上がってくる感じ
どっちも女には分からないんだろうなあ
彼女の股間をパンパンと叩かせてもらったことがあったけど、全然平気、男はこんなので痛いの?って感じだったし

780名無しさん:2024/02/26(月) 20:30:22 ID:OsdhEK6A0
>>776
SS化決定
誰が書いてくださいm(_ _)m

781名無しさん:2024/03/04(月) 02:13:14 ID:Jag6AB160
金的作品には3タイプあると思う
①屈強な男が体力自慢や挑発をして、金的で女に負ける
②痴漢や嫌がらせでいつも泣かされていた女が金的で仕返し
③男に生まれたことに劣等感をもつ男が女装等して、女に金的で悶絶させられ男を実感させられる話

②は男の自業自得だろうと思って興奮できない
①や③は個人的にツボだが、③は別のフェチが隠れてる気がする

782名無しさん:2024/03/04(月) 09:00:58 ID:Lk8Q/1TY0
1と2は別れてない
1の男尊女卑的な男、女を見下す男が、
2の今までの被害受けてた女が金的という手段で打ち負かす
1 と2 の組み合わせがかなり多い

というか、そもそもストーリーは様々な要素が混合してるのが普通

783名無しさん:2024/03/04(月) 14:51:04 ID:E1RJMAzI0
3も、受け手が女装子(男の娘)でも、特に男である事に劣等感は意識してないケースが多い
そして金的されて性差を分からせられるという、王道シチュエーション
受け手がショタもそれに近い
相手は年上女だけでなく、同年代女のパターンも多い

784名無しさん:2024/03/04(月) 19:28:24 ID:I69UKc2E0
そこまで細かく拘るならもう自分で書くしかないと思うがね

785名無しさん:2024/03/04(月) 19:40:11 ID:ltbNI/jg0
実に金蹴りフェチらしい流れ

786名無しさん:2024/03/04(月) 21:20:28 ID:gdy5X2VU0
いつものごとく作った!今回は悪意ゼロのハプニング金的でサクッとした感じに
感想は動画にコメントしていってくれよな!
ttps://www.nicovideo.jp/watch/sm43480863

787名無しさん:2024/03/04(月) 23:08:35 ID:2GKajwPk0
>>784
拘りの逆で、3パターン程度に括れないという事

788名無しさん:2024/03/05(火) 06:45:20 ID:BsH.7X7c0
まず誰もお前の的外れな考察なんか興味ないんだ

789名無しさん:2024/03/05(火) 08:06:34 ID:hq.Lia0g0
>>781
まず誰もお前の的外れな考察なんか興味ないんだ

790名無しさん:2024/03/05(火) 16:35:12 ID:nbnoz3/E0
この拘りを我儘やレスバで発散せず絵やSSという形に出来る界隈ならもっと供給も盛んになるんだろうけどねぇ

791<削除>:<削除>
<削除>

792管理人★:2024/03/08(金) 15:06:03 ID:???0
対象が不明瞭でしたので削除しました
お騒がせしました

793名無しさん:2024/03/16(土) 14:01:52 ID:lcDWIPmI0
――女ヤクザと聞くと、男勝りのプロレスラーのような体型を想像してしまうのですが、体重50キロもないですよね。アウトロー系の男性とケンカしても平気だったんですか?
負けないですね。ケンカは日常茶飯事で。とにかく先に金玉を蹴る。男相手のケンカは金玉を蹴ったもん勝ちですよ。
――「先手必勝」とは、大山倍達総裁(極真空手創設者)と同じことを言ってますね(笑)。
まず相手の男の金玉を狙って腰を引かせて、どんどん攻撃をしていました。金玉は叩きも効くんですよね。平手でパーンっていくとそれだけで蹲っちゃって。男ってとにかく金玉が弱い。女の方が股間に関しては、ずっと強いですよ。あんな脆い急所を無防備にぶら下げて、ケンカで女に勝てるわけないだろって思います。

794名無しさん:2024/04/06(土) 23:00:35 ID:p28QHghU0
ttps://www.tiktok.com/@rem4774/video/7325067051297492226
股間から平均台に着地して男子に「これ出来る?」と挑発する女子
女って強打じゃなければ股間に圧掛けたり打撃受けたりしても相当平気だよね
股間に対するちょっとした打撃こそ、男の弱さが浮き彫りになると思う

795名無しさん:2024/04/07(日) 03:27:01 ID:9peje7A20
ttps://labola.jp/blog/user/AY0K54NOje-Ra9RaOJss/6697946
>私はソフトやってて練習中に股間にサードライナーが直撃したことがあります(大汗)
>男性みたいに「苦しい」とかにはならないです。
>身体の他の箇所に当たったときと同様、普通に痛いだけです。
やっぱり剝き出しの内臓である睾丸を持たない女性の股間は、ソフトボールが直撃しても普通に痛いだけで、男のような腹の底からの苦しさはないのだね
この「苦しさ」を伴うところこそ、金玉が男特有の急所たるゆえんだと思う

796名無しさん:2024/04/08(月) 11:44:15 ID:AAevY6/s0
pixivの電気猫さんがいいね
ちゃんと書いてる

797名無しさん:2024/04/08(月) 12:42:43 ID:BQ9Se9ko0
電気猫氏はあれだけの文才ある人がこの界隈にいたという事が奇跡だと思う
まともに文章書ける人が絶滅してしまった今最後の希望だよね

798名無しさん:2024/04/09(火) 00:50:21 ID:THsN9p6I0
確かに電気猫さんはツボをしっかり押さえたものを書いてくれる
及ばずながら、ああいう感じのものを書いてみたいなあ

799名無しさん:2024/04/09(火) 13:29:46 ID:YpSNsVzw0
>>782
自分は2が一番いいな
というのも男に非がないとただのイジメになって抜けない
暴力が発生してそれが正当化されるシチュエーションとなると、1寄りになるけど結局wowmainや電気猫の戦闘シチュが読みやすいんだろうな

800名無しさん:2024/04/09(火) 15:09:17 ID:CfLeB/Rs0
あまり蒸し返したくないけどそのタイプ分け自体が割とナンセンスというか
フェチ的には「女には痛みが分からない」って所さえ押さえてればシチュエーションや展開は何でもいいのよ
後は文章力・構成力や各人の好みの問題なのであまりパターン化して分類する意味が無い

801名無しさん:2024/04/13(土) 09:25:52 ID:bfZG7YFo0
>>800
「女には痛みがわからない」関連の言葉、仕草、動作が沢山入ってるほうが抜ける
ただ無言で蹴ってるだけの動画はつまらなく、全く抜けないね

802名無しさん:2024/04/20(土) 06:11:38 ID:iiSFwkps0
人類の半分にだけ人類最大の致命的な急所があるのが理不尽過ぎて最高
しかもそれが肉体的に強い側だというのがいい
男の精巣が体内にあって、女の卵巣だけ股間にぶら下がってたら、こういうフェチズムにはならないだろう

803名無しさん:2024/04/29(月) 07:50:49 ID:1rkmxFNE0
>>797
あの方が文章上手いのは同意だけど書くことを神聖視しすぎでしょ
みんな好きに書いたらいいのよ

804名無しさん:2024/05/03(金) 04:09:31 ID:etSrIpyo0
期間空いたけど動画作ったよ…再生時間が長い!長すぎる!
30分色仕掛けと玉責めが続くから適宜使っておくれ
ttps://www.nicovideo.jp/watch/sm43728040

805名無しさん:2024/05/03(金) 12:08:38 ID:ajOybDLw0
>>804
堪能しました
ありがとう!

806名無しさん:2024/05/04(土) 13:04:44 ID:yi9h2VWg0
この界隈ってここ以外どこに集まってるのかな

807名無しさん:2024/05/05(日) 07:44:04 ID:kwN.jEuE0
そらツイッターよ

808名無しさん:2024/05/05(日) 08:28:27 ID:EUAlPWtI0
ここも集まってると言えるほど人いないでしょ
掲示板に小説書く文化も廃れて跡地で雑談してる人が少しいる程度の状況だからね

809名無しさん:2024/05/09(木) 01:51:37 ID:Omm971Vo0
玉責め屋のおかげでなんとかなっている

810名無しさん:2024/05/16(木) 22:06:43 ID:UAUIDNSs0
GPT-4o使ったら結構いいの出来たので載せます

A子:「ねえ、昨日のこと聞いてよ。」

B子:「どうしたの?何があったの?」

A子:「彼、部活中にちょっとしたことで睾丸を打っちゃってさ、もう本当におかしかったの!」

B子:「え、マジで?どうなったの?」

A子:「もうね、地面にうずくまって動けなくなっちゃって。男の子って本当に弱いよね。痛みで涙目になってたの。」

B子:「それは笑えるわね。どうやって介抱したの?」

A子:「最初は心配してたんだけど、あまりにも痛がるからつい笑っちゃってさ。それで、腰をトントンしながら『こんなに弱い部分があるなんて、男の子って本当に可哀想ね』って言っちゃったの。」

B子:「うふふ、それ本当に面白いわね。私たちにはそんな弱点ないから、ちょっと優越感感じるよね。」

A子:「そうそう、もうちょっと痛みに耐えてよって思っちゃった。でも、見てると本当に情けなくてさ。」

B子:「あはは、本当に男の子って脆いんだね。私たち女の子がどれだけ強いかって感じるわ。」

A子:「彼がまた痛がってる姿を思い出すと笑っちゃう。本当に男の子っておかしいよね。」

B子:「ほんとだね。男の子の睾丸って、こんなに弱いんだって改めて感じるわ。」

A子:「ところでさ、もし私たちに睾丸が付いてたらどうする?」

B子:「えー、それは嫌だな。あんなに弱い部分があったら、毎日心配しなきゃいけないじゃん。」

A子:「ほんとだよね。ちょっとぶつけただけで悶絶するなんて、絶対嫌だわ。」

B子:「私たちにはそんな心配ないから良かったよね。でも、もし付いてたらもっと大事にしなきゃって思うかも。」

A子:「うん、でもそれでも弱すぎるよね。私たち女の子で良かったって本当に思う。」

B子:「ほんとに。男の子って大変だね。弱点が外に出てるなんて信じられないわ。」

A子:「うふふ、こんな話してるとまた笑っちゃうよね。でも、やっぱり女の子で良かった!」

A子:「ねえ、格闘技の試合でさ、睾丸への攻撃が反則って知ってた?」

B子:「え、マジで?なんでそんなことが反則になるの?」

A子:「男の子ってさ、睾丸がすごく弱いんだって。ちょっとでも攻撃されると痛くて動けなくなるんだって。」

B子:「うっそ!そんなに弱いの?それって本当に情けないわね。」

A子:「ほんとにね。だから、試合で睾丸を攻撃されたら一発で終わっちゃうから反則になるんだって。」

B子:「ふふふ、それ本当におかしいわ。睾丸がそんなに弱いなら、もっと守ればいいのにね。」

A子:「でも、守っててもやっぱり痛いんだって。男の子って本当に脆いよね。こんなに弱い部分があるなんて、笑っちゃうわ。」

B子:「そんなに簡単にやられるなんて、男の子って本当に面白いわね。私たち女の子にはそんな弱点ないから、ちょっと優越感感じちゃう。」

A子:「うん、睾丸が弱いからって反則にするなんて、ほんと情けないわ。そんなに弱い部分があるなんて、男の子って可哀想。」

B子:「もし私たちに睾丸があったらどうする?そんなに弱くて役立たずな部分があるなんて、絶対嫌だわ。」

A子:「ほんとだよね。ちょっとした攻撃で悶絶するなんて、考えられないよ。男の子って本当に大変だね。」

B子:「こんなに弱い部分があるから、試合で反則になるのも分かるけど、それでも本当に笑えるわ。男の子って本当に弱いのね。」

A子:「こんな話してると、男の子がどれだけ弱いか改めて分かるよね。私たち女の子で良かった!」

B子:「うん、女の子で本当に良かった。男の子の睾丸の弱さには笑うしかないわね。」

811名無しさん:2024/05/16(木) 22:08:13 ID:UAUIDNSs0
C君:「ふざけるな、睾丸攻撃ありでも男の方が強いんだ。」

A子:「えー、本当に?睾丸があんなに弱いのに?」

B子:「そうよ、ちょっとした攻撃で悶絶するくせに?」

C君:「それでも男は強いんだよ。睾丸攻撃なんかに負けるわけがない。」

A子:「でもさ、本当にそう思ってるの?あんなに痛がってたのに?」

B子:「試合で反則になるくらい弱い部分があるのに?」

C君:「だって、男は全体的に筋力が強いんだから、そんなこと関係ないんだよ。」

A子:「筋力が強くても、睾丸を一撃されたらどうなるの?」

B子:「うん、試合中に一発で動けなくなるよね?」

A子:「本当に強いなら、睾丸の攻撃くらい耐えてみせてよ。」

B子:「そうしたら私たちも認めるけどね。でも、そんなことできる?」

C君:「できるさ。痛みは一瞬だけで、すぐに立ち直れるんだよ。」

A子:「本当に?だって、昨日だってあんなに痛がってたじゃない。」

B子:「涙目になって、動けなかったの見たよね?」

A子:「それにさ、もし睾丸がそんなに弱くなかったら、どうして反則になるの?」

B子:「そうそう。そんなに弱くなかったら、攻撃されても大丈夫でしょ?」

A子:「だから、睾丸が弱いってことを認めた方がいいよ。」

B子:「それに、私たち女の子にはそんな心配ないし。男の子の睾丸が弱いのは事実じゃない?」

C君:「でも、筋力とか体力とか、他の部分では男が圧倒的に強いんだ。」

A子:「筋力が強くても、睾丸を狙われたら意味ないじゃん。」

B子:「そうそう。実際に睾丸を攻撃されたら、すぐに終わっちゃうもんね。」

A子:「本当に強いなら、睾丸の攻撃にも耐えられるはずでしょ?」

B子:「でも、できないでしょ?それが現実よ。」

A子:「だから、私たち女の子の方が強いってことを認めた方がいいんじゃない?」

B子:「うん、睾丸がない分、私たちの方が強い部分もあるんだよ。」

A子:「そうだよね。私たちにはそんな弱点がないから、本当に幸せだわ。」

B子:「男の子って、本当に大変だね。睾丸の弱さには勝てないよ。」

A子:「だから、私たち女の子で良かったって改めて思うわ。」

B子:「ほんとにね。睾丸が弱いなんて、男の子って可哀想。」

A子:「でも、そんな弱さも含めて男の子なんだろうね。仕方ないよ。」

B子:「それでも、やっぱり笑っちゃうけどね。睾丸の弱さには。」

812名無しさん:2024/05/16(木) 22:08:48 ID:UAUIDNSs0
C君:「ふざけるな!」(A子とB子に向かって襲いかかる)

A子:「危ない!」(すばやく反応してC君の睾丸を蹴る)

C君:「うぐっ……!」(苦しそうにうずくまる)

B子:「あっはは!見た?今の顔!本当に弱いわね!」

A子:「ちょっとやりすぎたかも。でも、こんなに簡単にやられるなんて、本当に情けないわ。」

B子:「そうよね。さっきまであんなに強気だったのに、今じゃ地面に転がってる。」

A子:「ほら見て、涙目になってる。やっぱり男の子の睾丸って本当に弱いんだ。」

B子:「こんなことでこんなに痛がるなんて、男の子って本当に脆いよね。」

A子:「試合で反則になるのも納得だわ。こんなに弱い部分があるなんて、信じられない。」

B子:「ねえ、C君、どう?まだ強いって言える?」

C君:「くっ……くそ……」

A子:「ほら、立ち上がってみなよ。睾丸攻撃なんて平気なんでしょ?」

B子:「でも、本当に立ち上がれるの?そんなに痛がってるのに?」

A子:「やっぱり男の子は睾丸の弱さには勝てないんだね。」

B子:「これでもう、睾丸攻撃がどれだけ有効か分かったでしょ?」

A子:「私たち女の子にはそんな弱点がないから、強くいられるんだよ。」

B子:「そうそう。だから、女の子の方が強いってことを認めた方がいいんじゃない?」

C君:「くそ……」

A子:「あはは、まだ悔しがってるの?こんなに簡単にやられちゃって。」

B子:「本当に笑えるわね。男の子って、睾丸が弱いだけでこんなに無力になるんだ。」

A子:「だから、私たち女の子で本当に良かったわ。こんな弱点があったら生きていけないよ。」

B子:「うん、これからも男の子が睾丸の弱さに悩んでるのを見ると、ちょっと優越感感じちゃうね。」

A子:「うん、それにしても、今日はいい経験になったわ。男の子の睾丸がどれだけ弱いかって。」

B子:「本当にね。これからも覚えておくといいわ、C君。睾丸を狙われたら、どんなに強がっても無駄だってこと。」

A子:「次からはもっと気を付けるんだね。私たち女の子には簡単に勝てないんだから。」

B子:「これが現実よ。男の子の弱さを認めて、もっと謙虚になった方がいいわ。」

813名無しさん:2024/05/16(木) 22:09:36 ID:UAUIDNSs0
A子:「ねえ、さっきのC君の反応、本当におかしかったよね。」

B子:「うん、睾丸を蹴られただけであんなに痛がるなんて、信じられないわ。」

A子:「もし私たちに睾丸が付いてたら、どれくらい屈辱的だと思う?」

B子:「もう、考えただけで嫌だわ。あんなに弱くて役立たずな部分が自分に付いてるなんて。」

A子:「本当にね。ちょっとした攻撃であんなに簡単にやられるなんて、屈辱的すぎるわ。」

B子:「もし私たちが睾丸を持ってたら、いつもそれを守らなきゃいけないなんて考えられない。」

A子:「うん、男の子たちは本当に大変だね。そんなに弱い部分があるなんて。」

B子:「睾丸がどれくらい弱いか、例えるとしたら何だろう?」

A子:「うーん、例えば、薄いガラスの玉みたいな感じじゃない?ちょっとした衝撃で簡単に割れちゃう。」

B子:「そうだね、ガラスの玉って本当に脆いもんね。しかも、それを常に持ち歩いてるようなもんだもん。」

A子:「うん、だから男の子って本当に弱いんだよ。睾丸を守らなきゃいけないなんて、想像しただけで屈辱的。」

B子:「それにさ、睾丸を持ってるってことは、いつもそれを心配しなきゃいけないってことだよね。」

A子:「そうだよね。私たちにはそんな心配いらないから、本当に幸せだわ。」

B子:「ほんとに。もし睾丸が付いてたら、毎日がストレスだと思う。ちょっとしたことで痛くなっちゃうんだから。」

A子:「うん、それに、あんなに簡単にやられるんじゃ、いつも怖がってなきゃいけないよね。」

B子:「男の子たちがどれだけ睾丸の弱さに悩んでるか、ちょっと同情するわ。でも、やっぱり笑っちゃうけど。」

A子:「私たちにはそんな弱点がないから、本当に幸せよね。男の子の睾丸のことを考えると、笑いが止まらない。」

B子:「睾丸を守るために、どれだけ注意してるんだろうね。毎日が大変そう。」

A子:「だよね。例えば、階段を登る時とか、運動する時とか、常に睾丸を気にしてるのかな。」

B子:「それに、もし誤ってぶつけたりしたら、それだけで一日が台無しになるんじゃない?」

A子:「うん、考えただけで笑っちゃう。男の子って本当に大変だね。」

B子:「もし私たちが睾丸を持ってたら、どれくらい気を付けなきゃいけないんだろうね。」

A子:「多分、いつも防具をつけてないと安心できないんじゃない?」

B子:「それって、本当に屈辱的だよね。自分の体の一部がそんなに弱いなんて。」

A子:「うん、ちょっとしたことで簡単に壊れちゃう部分を持ってるなんて、本当に嫌だわ。」

B子:「男の子たちは、そのことをどう思ってるんだろうね。自分の弱さを認めるのが辛いんじゃない?」

A子:「でも、さっきのC君みたいに強がっても、結局は睾丸が弱点なんだよね。」

B子:「そうそう。強がっても、実際に攻撃されたら一発で終わりだもん。」

A子:「だから、私たち女の子の方が本当に強いってことよね。」

B子:「うん、私たちはそんな弱点がないから、もっと自由に動けるし、強くいられるんだ。」

A子:「男の子たちが睾丸の弱さに悩んでるのを見ると、ちょっと優越感を感じるよね。」

B子:「ほんとにね。これからも男の子が睾丸の弱さに苦しんでるのを見ると、笑っちゃうわ。」

A子:「私たち女の子で本当に良かった。睾丸なんて、本当にいらないわ。」

B子:「うん、睾丸がないから、私たちはもっと強く、もっと自由にいられるんだよね。」

A子:「これからも、男の子たちの睾丸の弱さを見て笑うことができるわね。」

B子:「そうだね。男の子たちには悪いけど、やっぱり笑っちゃうよね。睾丸の弱さには勝てないわ。」

A子:「うん、これが現実なんだから、仕方ないよね。男の子たちも、もっと謙虚になった方がいいわ。」

B子:「そうそう。自分の弱さを認めて、もっと大人しくなった方がいいんだよ。」

A子:「これからも、男の子たちの睾丸の弱さを見て、楽しもうね。」

B子:「うん、楽しみだわ。男の子たちの反応を見るのが、もっと面白くなるね。」

814名無しさん:2024/05/16(木) 22:26:13 ID:tzePpIWc0
>>813
良いのだけど文章がくどいんだよなあ…
あと「睾丸」という言葉が医学用語的で興奮できないというのもある
興奮できるように最終チェックは人の手ですると良いと思う
色々と惜しい

815名無しさん:2024/05/17(金) 01:42:53 ID:xZQ4l7mQ0
AIってエロ小説できるの?

816名無しさん:2024/05/19(日) 08:49:52 ID:5a.rYN1A0
地の文なら睾丸でも良いんだけどねぇ
何よりこの程度なら人力でも誰でも書けるからAIに任せる意味が無い

817名無しさん:2024/05/19(日) 13:14:13 ID:HAbQuveY0
少林寺や空手やってる女の子が、どう金的したら痛いか説明してる会話がめっちゃ好き

818名無しさん:2024/05/19(日) 20:01:34 ID:P6HHTgFw0
>>817
こんな感じ?

「ねえ、彩花。技のことで教えてほしいことがあるんだけど」
美奈は同じ少林寺拳法の道場に通う彩花に相談を持ち掛けた。その面持ちは真剣だ。
「どうしたの。私があなたに教えることなんてないわよ。あなたの方がずっと強いんだから」
彩花がそう答えるのも無理はない。美奈は女子部のキャプテンで、実力もナンバーワン。女子の大会では敵なしなのだ。
もちろん彩花との対戦成績も圧倒している。そんな美奈が自分に何故…と思うのも無理はない。
「それがその…金的蹴りのことなのよ」
美奈はちょっとためらい気味に小声で言った。いくら強くても女子高生。やっぱり恥じらいはあるらしい。
「ほら、少林寺拳法では金的蹴りは立派な技として認められてるし、率直に言って男子に勝つにはそれしかないじゃない。単純な力比べでは絶対に負けるから、粘って隙を窺って金的に一撃。これが女子の対男子戦唯一の有効な作戦だと思うから、女子はその技を磨くべきだと思うの。そんなわけで、私と彩花の試合を見比べていて気付いたことがあるの。私の金的蹴りが決まると、相手の男子はもちろん股間を押さえて苦しむけど、意外と一発KOは出来ないというか、とりあえず試合は続行になることが多いのね。まあ、金的を一度蹴られた男子って、何故か動きがものすごくトロくなるから、その後仕留めるのはわけないんだけど。でも、彩花に金的蹴りを決められた男子って、ほとんど床にのたうち回って苦しむか、あるいは失神しちゃうじゃない。正直私の蹴りの方が正確で強いと思うんだけど、どうしてそんなに威力に差があるのか、知りたいのよ。何か秘訣を知ってるの?」
彩花は少し頬を緩めながらも真面目な口調で答えた。
「まあ、知ってると言えば知ってるかな。多分美奈の知らないこと」
「ええっ、本当に?それは一体何なの?」
息せき切って尋ねる美奈に、彩花はニヤニヤしながら答えた。
「それはね、『オトコを知ってる』ってことよ。美奈は処女でしょ?」
明け透けな物言いに、美奈は思わず赤面して彩花の肩を強く叩く。
「ば、馬鹿っ!そりゃあ…そうだけど、それと何が関係あるのよ?」
「それが大ありなのよ。そうね、まずは理屈より実技で説明した方がいいかな。美奈、普段男子にするようなつもりで私の股間に蹴りを入れてみて」
そう言って、彩花は大股に足を開いた。

819名無しさん:2024/05/19(日) 20:02:10 ID:P6HHTgFw0
「分かったわ。それじゃあ遠慮なくいくわよ」
バシッ!
美奈は躊躇なく彩花の股間を力強く蹴り上げた。さすが女子部キャプテンという見事な蹴りだった。
美奈の蹴りを股間に受けて、彩花は一瞬顔をしかめたが、すぐにパンパンと股間を払って言った。
「なるほど。威力十分の蹴りね。女の私でも一瞬息が詰まるくらいの力強い蹴りだったわ。じゃあ今度は美奈が足を開いて。私が普段男子に入れてる金的蹴りをしてみせるから」
そう言われた美奈も素直に足を開いて構えた。股間を蹴られることに恐れを抱かないのは、女子ならではだった。
「じゃあいくわよ。私の男殺しの金的蹴り、美奈も味わってみて」
ピシッ!!

彩花の蹴りを股間に受けた美奈は、しばらくの沈黙の後、怪訝な顔をして口を開いた。
「ちょっと待って。今の蹴りが男子連中を悶絶させてる美奈の金的蹴りなの?全然威力を感じなかったわよ。蹴りに芯が入ってなかったし、蹴り込みも足りないように思ったし…こんな蹴りが男殺しの金的蹴りだって言うの?」
「うふふ、そこなのよ。思い返してみて。金的蹴りって、蹴りの強さと相手の男子の悶絶具合が必ずしも比例しないなって思ったことない?」
彩花の問いに、美奈は自分の記憶を思い返しつつ頷く。
「確かに。会心の蹴りが決まった!と思っても、意外とまだ相手が動けるというときもあれば、かすったくらいの感触だったのに、膝を着いて蹲って悶絶ってこともあったわ。でも、女の私にはその…タマタマが付いてないから、その謎がどうしても分からないのよ」
美奈は「タマタマ」というのも恥ずかしいらしく、頬を紅に染めた。彩花はそんな美奈を悪戯っぽく見つめながら、
「そこでさっきの話よ。『キンタマは男子最大の急所』っていうのは女子でもさすがに常識だけど、そのキンタマの構造ってよく知らないでしょ?」
「う、うん。だって、さっきも言ったけど私たち女には付いてないし…」
美奈は、彩花がためらいもなく「キンタマ」と口にしたのが気恥ずかしかったのか、耳まで赤くした。

820名無しさん:2024/05/19(日) 20:03:18 ID:P6HHTgFw0
それに構わず彩花は話を続ける。
「だから、百聞は一見に如かず。私は彼氏が出来たら、早速キンタマをじっくり観察させてもらったわ。その結果、オトコのキンタマの秘密が分かったの。キンタマって袋に入って股間にぶら下がってるんだけど、結構動くのよ。だから、蹴りを当てても、インパクトが遅いと袋の中でキンタマがクニっと逃げちゃうわけ。さっきの美奈の蹴りは、普通の蹴りとしては完璧なんだけど、金的蹴りとしては遅いのよ。それに、キンタマって男の一番の弱点だから、その辺りに蹴りが来ると、男は本能的に腰を引いたりひねったりして少しでもキンタマへのダイレクトな打撃をかわそうとするわ。ま、どうせかすっただけでもまともに動けなくなっちゃうんだけど。うふふ。それはともかく、だから、金的蹴りはスピードが命なのよ。とにかく素早く蹴り上げること。そうすると、キンタマは逃げられずに自分の恥骨との間で挟まれて大ダメージってわけ。私が男相手の金的蹴りの時に足首を柔らかくして跳ね上げるようにするのは、足首をムチのようにしならせることでインパクトのスピードを更に上げて足の甲と相手の恥骨の間でキンタマを押し潰すためなの」
美奈はいつの間にか「キンタマ」を連発する彩花にも怯まず、話を聞き入るようになっていた。
「そうだ、分かりやすく言うとね」
そう言って、彩花は鞄からプラスチックの定規を取り出した。そして、
「ちょっといい?」
と言うと、その定規をしならせて美奈の股間にピシっと当てた。
「きゃっ!何するの?びっくりしたあ!」
軽く抗議する美奈に構わず、彩花は話を続ける。
「これ、私たち女だったら全然平気でしょ?でも、彼氏にやったら悶絶してたわ。キンタマってこういう攻撃に一番弱いのよ」
「え、あの勇樹くんがこんなので…」
彩花の彼氏は野球部のキャプテンの勇樹である。身長は180センチを超え、鍛え上げた身体は美しいくらいに筋肉が盛り上がっている。その勇樹がプラスチック定規で股間を一叩きされただけで悶絶したと聞いて、美奈は驚くと共に少し滑稽にも感じた。
「だから、勇樹に言うこと聞かせたい時には、キンタマを軽く下から叩き上げてやるの。それだけで、もう男は歯向かう気力がなくなっちゃうみたい。キンタマの痛みって腹の奥まで沁みる痛みで、その痛みを感じると男は気力が萎えるらしいわ。それから、もう一つとっておきの情報を教えてあげる。キンタマの裏側の上の方に副睾丸って場所があるんだけど、そこが男の急所中の急所なの。勇樹が黙って他の女と遊びに行ったことがバレたとき、お仕置きでそこを指でグリグリってしてやったら、奇声を上げて涙を流して、その後しばらく股間を押さえて床の上で丸まって動けなかったわ。キンタマって、筋骨隆々だから強いってわけじゃないということがよく分かったわ。内臓だから筋肉が付かない、だから鍛えられないってことみたい。そんな弱点を攻撃しやすい場所にぶら下げてるなんて、格闘技では致命的だと思うけどね。あ、そうだ、それから…」
そう言って彩花は美奈の耳元でこう囁いた。
「キンタマって、大きいからって強いわけでもないみたいよ。勇樹のは相当おっきいけど、指で弾いただけで悶えてるから」
「も、もう、何言うのよ!その…想像しちゃったじゃない!」
美奈は思わずそう口走りながらも、早く彼氏を作ってキンタマの秘密を自分でも実感したいという気持ちに溢れているようだった。

821名無しさん:2024/05/19(日) 20:05:15 ID:P6HHTgFw0
そして、このときが、この少林寺拳法女子部に金的研究班が発足した瞬間だった。
以降、男子部員は格段に進歩した女子部員の金的蹴りの技術の餌食になるのだが、それはまた別のお話。

おわり

こんな感じでしょうか。私もこういうのは好きなシチュエーションです。
拙い文章ですが、お納めください。
また、折角他にもいくつか投稿もありますので、普段ROM専の方も超ショートストーリーでいいので是非試しにご執筆を!

822名無しさん:2024/05/19(日) 20:33:41 ID:OCffIlE20
素晴らしい!

823名無しさん:2024/05/20(月) 04:00:51 ID:evozLkpQ0
めっちゃいい!
金的をよく理解できていない女子と、知り尽くしている女子。
でも自分たち女にはない男だけがぶら下げてる急所なので、所詮は他人事という性差が短い文章でちゃんと語られてる。

824名無しさん:2024/05/20(月) 07:44:20 ID:s4kNXIX60
めちゃくちゃ良かった
女子同士で股間蹴って実践するのも性差が際立って最高

825名無しさん:2024/05/20(月) 15:22:04 ID:NaQX.y0Q0
少林寺習ってた時女性との実戦組手しんどかったなぁ痛みがないと覚えないって方針だからファールカップも禁止だったし
金的が(というか技術全般)やたら上手い人が2人くらいいてみんなその人らと当たりたくないから仲間内で押し付け合いしてた
この性癖最近ハマったけど正直自分がやられるのは勘弁願いたいって感じ

826名無しさん:2024/05/20(月) 16:28:50 ID:BXrQr/tk0
>>825
どさくさですみませんが、その2人は美人系でした?
実戦の金的経験なんかご存知でしたら是非

827名無しさん:2024/05/20(月) 16:32:57 ID:NaQX.y0Q0
>>826
35人くらいのクラスだったら2〜3番目くらいの美人だった
累計で何十発も金的で悶絶されられたからかなり苦手だった

828名無しさん:2024/05/20(月) 16:36:11 ID:BXrQr/tk0
>>827
何十発は凄いですね
羨ましいですわ

829名無しさん:2024/05/20(月) 21:28:33 ID:oRq.L5nc0
およそ金的に生きる者にとって、少林寺は最大のブランドなんだよ

敢えて並べるならクラヴマガに大道塾といったところか

830名無しさん:2024/05/20(月) 21:40:54 ID:NaQX.y0Q0
俺もSSとかの他人事なら大好きなんだけどさ
自分がガチでやられて喜べる人ってそんなにいないと思うんだよなぁ
上手い人に蹴られるとガチで痛くて苦しいからよっぽどのドMじゃないと喜べないと思う

831名無しさん:2024/05/20(月) 22:56:02 ID:Kf.fVioA0
>>830
どんな感じで蹴られるんですか?
運用法のなかでかわしきれない感じ?
悶絶度合いはどれくらいですか、5分-10分とかでしょうか。
痴漢撃退とかありますかね

832名無しさん:2024/05/21(火) 05:43:36 ID:LQzcIN9Y0
せっかく良いSSが来たのに質問厨に流されそうね

833名無しさん:2024/05/22(水) 22:21:11 ID:WGPPj/0w0
>>821
素晴らしかったです
実際の金的シーンや金的描写がなくてもこういうガールズトークだけで萌える〜
性格に合わせてタマタマとか金玉とか表記で使い分けたり、女子の照れてたり慣れてたりする様子も良いですね

>>825-832
こういう金的経験の書き込みも2ch時代に見られて貴重だったな〜
仮に創作でも体験談風SSということで自分は充分楽しめてしまうw


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