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女が男を金的攻撃で倒すSS
313
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 23:45:11 ID:jCcZM/NU0
私の一時の感傷で、彼の一生の晴れ舞台を汚すなんて、それこそ、どうお詫びしても詫び切れませんから。私の感情なんて、些細なこと。
それでも、少しでも彼を感じ取れればと覗き込むと。暗渠から見返す目は、どうしようもない諦観に支配されていて。それが痛ましくて、彼に、コッソリと蜘蛛の糸を囁きます。
少しでも、希望を取り戻して欲しかったので。コレも、私の我儘なんでしょうね。
(大丈夫、安心して。信じられないかもしれないけれど……まだ助かる道はありますから)
現金なもので。その瞬間、彼の目は信じられないモノを見たかのように広がって。私は、(だから、大人しくしてくださいね)と耳打ちしながら、彼の御髪を整えました。
サツキさんは、見守るような視線を此方に向けつつも、沈黙を保ってくれていて。とても有り難かったことを覚えています。
サツキさんと私。女二人で協力して、彼を『ロデオ』に跨らせます。実感した、彼の大きさと逞しさ。画竜点睛を欠く、というべきでしょうか。ふふ、欠くとは正反対ですけれど。
彼の強さを、その一点だけで台無しにしてしまう、私には無い『部分』を恨めしくすら思ってしまいます。
彼は、状況の展開に追いつけないようで。これ幸いと、私達は、彼の両膝を土台に固定して。両腕を、フックを降ろして固定して。
あの人が我に返ったのは、私達が、彼が『彼』である理由を、ヒンヤリとした土台の溝に、嵌めこませていただき終わった時点だったみたいです。
「むふーっ!!むぐーっ!!!!」
頭を左右に振り回し、抗議の声と視線を私に向けるあの人。なんと言っているのかは聞き取ることはできませんが、差し詰め、「騙したのか」とか、「裏切り者」とか仰っているのでしょう。
当初から、恨まれることは覚悟の上でしたが……その様子は、私に心外だという思いを抱かせるのには十分でした。身勝手、ですね。
「早とちりしないでくださいね。私、嘘は言っていないつもりですから……コレ、『ロデオ』って言うんです。可愛いですよね」
私は、彼とは違うので。少なくとも誠実ではありたいと、そう願わせていただいているので……乏しい言葉で、懸命に状況を説明しようと頭を捻ります。
「使い方は簡単で……フジワラ君からは見えないでしょうけど、お尻の方についているハンドル……尻尾を回すと、そこの隙間が、ゆっくり、ゆっくり閉じていくんです。
身も蓋もない言い方をしてしまうと、結局は単なる万力ですから……でも、ですね。コレのおかげで、タマタマ……タマのこともありますけど……取り留めた方もいらっしゃるんですよ?」
何を言っているんだ、と。とうとう狂ったのか、と。そして、コイツは元々狂っていたのか、と。無言で、かつ雄弁に。彼は私を問い詰めます。
翻って私は。言葉を発することが出来る状況にいるのに、上手く思いを伝えることが出来ず、ひとり、やきもきするばかり。
「その、別に驚いていただけるようなタネはありません……ゴメンなさい。単純に、潰すまでも無いかなって方が複数いらっしゃった時に、こう使っているというだけのことなんですけど……
端的に言えば、そういう場合は、その方々全員に同時に跨っていただいて―――
彼は、全身で困惑を表現していて。私は、自分の語彙力の無さに、また頭が痛くなってきてしまう。
「でね。最後まで耐えたタマぐらいは、残しておく価値があるタマかもしれないから、助けてあげてもいいかな、みたいな使い方をすることもあるんですよぉ。
ね、シノ先輩、そーゆーことを説明したかったんですよね?アハハ、まぁ、実際のところ、誰のタマが残るかなって、晩御飯のオカズを賭けて楽しむのがメインなんですけど……
仕方ないでしょ、おにーさん。ココ、意外と娯楽が少ないんですよ」
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