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女が男を金的攻撃で倒すSS
171
:
名無しさん
:2017/11/21(火) 23:38:44 ID:.UYyDnrw0
「それでも、償いはさせないと―――」
「だからっ!なんで『アンタ達』がそれを決めんのよっ!!あんな押し売りみたいな真似までしてっ!!アンタ達の『世界』に巻き込まないでよっ!
カズの命を人質にしてっ!私がやらなかったら、我儘な復讐の名目でっ、アンタ達がコイツを殺すつもりだったんでしょっ!!
―――だから、アンタが泣いてくれたとき、カズを説得してくれるって言ったとき、本当に、本当に嬉しかったんだから……で、何?
結局は暴力で押さえつけて、無理矢理謝らせようとしただけ?ヒトを馬鹿にするのもいい加減にしなさいよっ!!
……………………感謝は、してるよ。本当に、絶対に分かり合えない人間が、この世には居るんだって実感できたもの」
初めて見る、彼女の激昂。
震え上がる自分と同時に、普段怒らない人が怒ると怖いって本当ねと冷静な感想を零す自分。
そして、本当は殺したくなかったんだと、カズ君が愛されていたんだと確認できて、喜ぶ自分が同居していた。
怒られている自分を、自分が観客として見ているような不思議な気分。
頭部に衝撃。彼女がペンチを投げつけてきたと気付いたのと、アタシの意識が身体に戻ったのは同時。
彼女は、まるで枕元にムカデでも見つけたときのような、胸糞悪いものを見る視線をアタシに注いでいた。
「……それをカズに言うのは止めておきなさい。理解できないでしょうから、コレにはただ従いなさい。
ユカリ。ソイツはもう『弟』でもなんでもないから……アンタ達で好きにしても、私はもう何もいう資格がない。
それに、ソイツの気質とココの環境は結構あってるみたいだし、願わくば、ココに骨を埋めてくれるといいと思うけれど。
それじゃ。願わくば、二度と係わり合いにならなくてすむと、お互い良いわね」
決別の言葉。
その言葉だけ残して、アオイは再度踵を返す。アタシが返せるのは沈黙だけ。
そのまま、アオイが去るまでの間、アタシは只管、『弟』を抱きしめて震えていた。
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