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Loveletter
261
:
ピーチ
:2012/05/04(金) 14:13:49 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
あーでも分かるかもっ!
あたしもそろそろ主人公悪者に仕立てようと思ってるんだよねーww
あのさー、時間あるときでいいから読んでみてくれない??
262
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/04(金) 14:35:13 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 転校生 sideレオ
未花も無事退院し、これからまた憂鬱な学校生活が始まろうとしていた。
いつもの通学路を歩き未花を迎えに行って、そこから学校に行くまでに必ず梨花や翔と会う。
梨花の姉で俺と同じ学年の百花とかその彼氏の俊太とかに会って、あと百花の友達で翔の姉の妃芽とかその彼氏の海斗に会ったりもする。
いつも通りの通学路でも今日は少し愛しく感じた。
×
未花と別れて教室に向かうと三年の校舎はいつもより騒がしく落ち着かない様子を見せていた。
同じクラスの俊太がふらりと俺の元に寄ってきた。
「なあ、今日何かあんの?」
知らねえよ、と思いながらそれでもふざけ半分で答える。
「お前の女装写真でもばら撒かれたんじゃね」
「えっ、マジで?」
てかお前女装したのかよ、とツッコミを入れたくなったけどあえて無視すると、絶妙なタイミングで先生が入ってきた。
「今日転校生くるぞー」
「は?」
先生の浮かれた表情に皆一斉に固まった。
その中の一人に俺もいて、先生の表情を見たあとまさかと動揺を隠せなくなる。
先生の隣に恥ずかしそうに立っているのは――
「さつき?」
「っ、れお!」
さつきは人見知りなのか。
知り合いではある俺に会って少し安心してくれたのか自己紹介もせずに駆け寄ってきてくれた。
「え、さつき転校してきたの?」
「うん……よかった、知ってる人がいて」
病院のときには見せなかったさつきの笑顔にまた胸が揺れたような気もする。
そんなことより同い年だったなんて、と思いながらにこりと俺も笑みを浮かべ返した。
「じゃ、よろしくな」
「うん、よろしくね」
――そのあとの自己紹介で恥ずかしさ紛れに見せたさつきの笑顔で男子生徒が顔を真っ赤にしてしまったのは言うまでもない。
×
「おいレオ」
「はい……って、有希先生」
「明らかに嫌そうな顔すんなてめー」
一年生担任である有希先生がわざわざ一年校舎とかけ離れた三年校舎にくるなんて、と思いながらとりあえず有希先生の元へいった。
別に嫌そうな顔なんか、と否定してみるけれど有希先生はさらりとそれを流して用事の内容を告げる。
「転校生のさつきいるじゃん? あのかわいー子」
「あ、はい」
有希先生が可愛いとか言うなんてめずらしいな、と思いながら相槌をいれる。
「あの子吹奏楽部入るからさ、世話してやれよ」
「え、あ……はあ」
部活まで同じなのか。
「フルート希望だとさ――あ、あとついでに」
「え、そうなんですか?」
俺の疑問はさらりと無視して有希先生が衝撃的なことを言った。
「レオがピアノで未花がフルートのやつあったじゃん? あれさー、フルート未花とさつきかえるかも」
ま、よろしくね、と呟きながら去っていく先生には?、と疑問符を浮かべた。
未花は一生懸命練習してきて、え?
どうしてだろう。
なんだか最近未花とうまくいってないような気がする。
っていうのも、俺がさつきに目を奪われてばかりだからだろうけど。
それでも俺の心の中には未花の無邪気な笑顔があって、それに救われていた。
ああ、今考えて思う。
やっぱり俺には未花しかいないんだなって。
‐
さつきと未花をどうするか迷い中。
未花だっていい子だし、さつきもいい子だしどうしよう。
ていうかどっちも同じくらい好きだからえええええ←
もんもんしてる(´・ω・`)
263
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/04(金) 15:10:17 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 努力 side梨花
憂鬱な授業時間も受験生だということを考えれば真剣に取り組めた。
――ていうか、特に英語はあの有希先生だからサボるにサボれなかったんだけど。
やっと昼休みになって俊太と購買に行った。
未花とよく一緒に食べたメロンパンを買い行列が出来てきたその場を離れようとすると、何処からかフルートの音が聴こえてくる。
その音に釣られるように、音楽室へ向かっていった。
音楽室の古びたドアを開けるとそこには未花の姿があった。
一人きりでコンクールの曲を練習する未花。
それでも俺が来たことに気づくと笑顔を見せてくれた。
「レオ先輩っ」
「……フルート、練習してたんだ?」
何で練習してたとかは俺にも大体わかってた。
さつきに負けたくなかったのだろう。
「……っ、わたし……レオ先輩といっしょにコンクール出たくて、でも」
「ん、大丈夫だよ……未花ならきっとコンクール出れるから、な?」
ぽんぽん、とまるで小さな子をあやすように未花の頭を撫でた。
そして俺もピアノの傍に行く。
「どうせなら一緒に練習しようぜ」
「……っ、はい!」
涙ぐんだ表情でそれでも笑顔を浮かべる未花の返事に頷くと、ピアノの演奏を始めた。
未花のフルートの煌びやかな音色がピアノと絡み合う。
俺は、高校でピアノはやめようと思っている。
大学で勉強しながら友人とバンド組もうとか考えてるし、でもとにかく音楽系の大学を受けるつもりだ。
留学の話しを持ち出されたけれど、それは詳しくは決まってないし。
だから、今こうやってピアノを弾ける時間を大切にしたい。
そう思いながら和音を最後にピアノの演奏を終わらせた。
未花がフルートを吹く姿を見つめながら。
――そっと思い浮かんだのは、さつきの笑顔だった。
‐
264
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/04(金) 16:50:56 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 独占欲 sideレオ
そっとピアノの蓋を閉じた。
時計を見つめるともう少しで予鈴が鳴りそうなのに気づき未花に声をかける。
「未花、そろそろ戻ろうか」
「はいっ、レオ先輩」
二つに結んだ髪を揺らしながら微笑む未花。
俺がさつきに目を奪われえてしまうように、未花も他の男と仲良くしているのだろうか。
そんなことを考えていると少し不安になってきてしまった。
「……未花」
「何ですか?」
楽しそうに微笑む未花を見つめたあと不意打ちでキスしてみた。
「せせせ先輩っ?!」
顔を真っ赤にする未花。
可愛い、なんて思いながら頭を撫でるとまた無邪気な笑顔を浮かべてくれた。
こうやって、たまに未花を独占したくなる。
もっと俺だけを見てほしい。
とかいう俺がさつきのこと見てちゃだめか、そっか。
でも未花を独占したいって気持ちがあるってことは未花が好きなのかな。
よくわからないその気持ちに戸惑いながら、それでも未花が愛おしくてたまらなくなってきた。
「……授業、サボんねえ?」
「え、だめですよ先輩! 受験生じゃないですか」
「大丈夫、推薦もらう予定だから」
「……え?」
未花になら話していいかな、と思った。
まだ春だし詳しくは決まってないけど推薦の話しも何度かされていたし。
「それに何回か授業サボったくらいでそんな影響しねえよ、多分」
「そ、それじゃあ……今日だけ、ですよ?」
――とはいえサボったのがバレると面倒だから親身になってくれる保健の先生に口実を作っておいてもらった。
その後屋上に向かい二人でほのぼのと他愛無い会話をつづける。
「未花はさー、同じ学年とかで気になった奴とかっていんの?」
ちょっと気になって、悪戯っぽく聞いてみた。
案の定未花はほえっ?!、と動揺しまくった変な声を出して顔を真っ赤にしていた。
「わ、わたし……レオ先輩以上に愛しくなる人ってできたことないのでその他の恋愛感情とかよくわかんないですよ!」
ぶんぶんと胸の前で両手を振る未花に思わず笑みがこぼれた。
そしてさつきのことを少しでも考えてしまったことに罪悪感がうまれる。
「……それよりわたしは、レオ先輩がさつき先輩の方にいってしまわないかが心配です……」
やっぱりさつきの存在は未花を不安にさせていたようで、表情を曇らせてしまった。
でもさつきのことをどう思っているか隠すより素直に言った方が未花を不安にさせないだろう。
「俺さ、病院で一回さつきと会ってんだよ」
「え……?」
「それで正直戸惑った、けど……」
「やっぱり未花が大好きだからさ」
未花の表情が明るくなったのがわかった。
これから何も、ややこしいことがないといいんだけど。
‐
265
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/04(金) 21:49:16 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletetr きみにおくる愛の手紙 / 部活 sideレオ
やっと憂鬱な授業が終わった。
チャイムと同時に起立と号令をかける学級委員(仮)。
というのも、まだ高校三年生の生活も始まったばかりで学級委員も決めてないものだから。
推薦で決めるらしいけど俊太が男子は俺にいれるとか言ってきたから大丈夫かなと少し不安な気持ちを覚えた。
とにかく今は部活だ、と思いながら一人とぽつんと座っていたさつきに声をかける。
「さつき、吹部だろ? 俺吹部の部長やってるからさ、一緒おいでよ」
「ありがと、レオ」
「いや、俺お礼言われるようなこと何もしてないし!」
そうふざけるように言った俺の腕をさつきがきゅっと掴んだ。
「わたし人見知りだからうまく人と付き合えなくて、でもレオはわたしのペースに合わせてくれるから」
「……そっか」
一生懸命に話すさつきに微笑を浮かべた。
さらりとさつきの頭を撫でる。
そしてその後も吹部のことを説明したりとかしながら音楽室へ向かった。
×
本文長すぎエラーでたのできります
266
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/04(金) 21:49:39 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
さつきには音楽室に入らずに待ってもらって、俺が皆の前に立って言う。
個人練習をしていた皆の演奏がピタリと止まった。
挨拶を省いて俺が言う。
「今日転校してきた子が吹奏楽部に入ってくれるそうです」
「え、マジですか」
「ん、マジ」
驚く梨花にこくりと頷きながら微笑む。
「じゃ、じゃあ入部期間的にはあたしたち先輩になるってことですか?」
梨花がめぐの方を一回見てから俺に聞いていたけど、それはないなと首を振った。
「いや、その子中学のときも吹奏楽部ですごい上手かったみたいだしレベル的にも学年的にもその子のが上だよ」
「え、先輩ですか? 何年生?」
「三年生、俺と同じクラスだよ――ってそうじゃなくて、さつきおいでー」
完全に俺と梨花の話しになっていることに気づいて音楽室の外にいるさつきを呼んだ。
恥ずかしそうな表情をしながら出てくるさつき。
「え、めっちゃ可愛いじゃないですか」
梨花が驚いた表情で言う。
「女の子だけど一目惚れしちゃう」
めぐが真っ赤な顔をして言う。
やっぱり一般的に見ても可愛いんだろうな、さつきは。
男子部員も顔を真っ赤にさせていた。
結局翔と花も吹部に入ったのだけれど、あの翔でさえも顔を真っ赤にしている。
「えと、あの……さつき、です」
「さつき人見知りだからあんま質問攻めとかするなよー」
はーい、とわくわくした様子で返事をする部員たち。
「じゃあ、入部決まったばっかの一年もいるしとりあえず自己紹介と交流からー」
「はいはーい、あたしからー!」
とりあえずゆるい感じで笑いたっぷりな自己紹介が終わった。
そして交流タイム――になった瞬間部員が一斉にさつきに襲いかかる。
まるで身動きできないうさぎに襲いかかる猛獣のようだ。
「ねえねえ、さつきちゃん何処からきたのー?」
「さつきちゃん超可愛いねー」
「さつき先輩楽器何やるんですかー?」
「どうして転校したのー?」
ああ、やっぱり質問攻めだ。
え、あ、とさつきは何にも答えられずに戸惑っている。
更に話しはエスカレートして俺との話しまで出てきた。
「さつきちゃん、レオとはどんな関係?」
「もしや付き合ってるだとか」
「早くない?」
「え、でもレオには梨花ちゃんが」
「あたしレオ先輩と付き合ってません!」
「あ、そいえば未花いるじゃん」
「別れたんじゃない?」
おい、と俺が止めに入った。
「さつきとはただの友達だから付き合ってねえよ! 俺には未花いるし、変な話しすんな!」
せっかく真面目に起こったというのに、部員たちは「はーい」とか「つまんなーい」などと不満そうな声で返事をしてきた。
まあ事がおさまったっぽくてよかったと思いぽつんと一人でいた未花の元へ行った。
「未花、大丈夫?」
「う、うん……でもレオ先輩、わたしでいいんですか?」
「は?」
「な、なんでもないです!」
思わず未花が声に出してしまったのか。
わたしでいいんですか?、という言葉だけが俺の頭の中をぐるぐる回り続けた。
「未花」
「な、なんですか?」
「部活終わったらデートしようか」
「は、い……」
驚いたような、嬉しそうな表情を見せる未花に俺も微笑を浮かべた。
とりあえず今は部活だ。
‐
文章にまとまりがない今日この頃。
ごめんなさーい!
267
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/04(金) 22:24:27 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 部活 sideレオ
「ねえねえ、さつきちゃんってモデルか何かやってた?」
「え、あ……中学生の頃、だけど」
優しくさつきに尋ねたのは部活のお姉さん的存在な鈴だった。
鈴のふんわりとした雰囲気で安心したのかさつきが戸惑いながら答える。
「やっぱり! 雑誌でね、さつきちゃんのこと見たことあるなあって思ったの」
「あ、知ってるー! 表紙とか飾ってたしさつきちゃんの特集とかもあったよねー」
てことは人気モデルだったのかさつきは。
なのに何でこんなに人見知りなんだろうかと思いながら皆の中心にいるさつきを微笑ましく見つめた。
なんだ俺こんなにやけて気持ち悪い。
「……でも、もうモデルはやってなくて」
「そっかあ、でもきっと街とか歩いてたら取材されちゃうよね」
「そ、そんなことないです」
戸惑うさつきを見つめているうちに。
何だか少し愛おしい気持ちになっていた。
「何で敬語ー?」
「敬語じゃなくていーよ、さつきちゃん」
「え、と」
「あ、わたしは鈴! よろしくねー」
微笑む鈴の名前をさつきが真っ赤な顔で呼んだ。
「りん」
さつきも少しずつ馴染めてきたようで。
本当によかった。
×
「てことでさつきはフルートやるから」
さらりと俺が告げた言葉に梨花が敏感に反応する。
「え、あたしたちの楽器決め放っておいてさつき先輩は決定ですか」
「そりゃまあ、さつき三年だし前の学校でちゃんとプロの先生に見てもらってフルートに決定したようだし」
そう言いながら余っていたフルートをさつきに差し出す。
「じゃあさつき、早速だけど一回吹いてもらっていい?」
「はーい」
さつきがフルートを目の前に楽しそうな表情で返事をした。
そしてさつきが吹くフルートの音を聴いて声がでなくなった。
ビブラートのかかった音色はフルートらしさを出していて、華奢なさつきにぴったりの楽器だった。
正直音色的に未花よりさつきの方が上手いと思ってしまう。
そこにちょうと有希先生も現れたけれど、有希先生でさえも驚きの表情をしていた。
「……有希先生、コンクールのフルートってどうなったんですか?」
ここで聞いてはいけなかっただろうけど、思わず聞いてしまった。
そして有希先生がバッサリと告げる。
「さつきに決定」
「そ、ですか……」
未花が泣きそうなのが分かったような気がする。
そっと、未花の頭を撫でた。
「……っ、れお、せんぱ」
どうすれば、いいんだろう
‐
本当にどうすればいいんだろう。
268
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/05(土) 13:41:37 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 好きなのに sideレオ
「……有希先生」
「あ?」
「どうしても、未花はだめですか?」
泣きじゃくる未花を見て思わず無謀な挑戦をしてしまった。
どうしても、さつきじゃなきゃダメなのだろうか。
確かに実力だって誰が聴いてもさつきの方が上だろうけど。
俺は未花の努力を知っているから、未花がどれだけ一生懸命なのかわかっているから。
「……未花に吹かせてあげたいです」
「それをいっちゃあさつきはどうなるんだって話しだよね」
有希先生が厳しい目線で俺たちを見つめた。
「アタシも未花の努力は認めてるよ。でも未花にはもう一年あるじゃない」
「でも俺は未花とがいいです!」
負けじと反論する。
よく考えてみるとこうして有希先生の意見に反論するのは初めてかもしれない。
それくらい、大事なことだから。
「レオは今年卒業だから全国連れてってあげたいんだよ」
「全国なら未花とでもいけます!」
「確実ではないよね」
こんなに未花にこだわる必要があるのか?
そんな目線で有希先生が俺を見つめてきたけど、やっぱり反論をやめることはできなかった。
「……さつきは、俺と一緒じゃない方がいいです……さつきは俺のピアノと合わないですよ」
「確かにレオのピアノはさつきのフルートに比べればまだまだだね」
「っじゃあ未花と――」
「とにかく、コンクールはレオとさつき」
有希先生がパンパン、と手を叩いた。
俺は納得していないのに、部員たちは「はーい」と適当な返事をする。
「……未花」
「わたしがもっと練習すればよかったんです、あの努力じゃ足りなかったんです」
俯いて顔を隠す未花はきっと泣いてるんだろうな。
「未花は頑張ってたよ」
「あんなの努力じゃないです」
「努力してたって」
「……っわたし、やっぱり自信無いです」
初めて見た。
こんな自信の無い未花。
どうしていいか戸惑って音楽室を出ていく未花の背中を見つめることしかできなかった。
「レオ」
さつきが俺の名前を呼ぶ。
「ごめんね」
「さつきは謝らなくていいよ」
「……未花ちゃんとがよかったよね」
「先生が決めたことだし」
俺がそう言ってから、さつきはまるで心を閉ざしたように黙り込んでしまった。
×
あれからしばらく経つけれど、未花が部活に来ることはなかった。
連絡も取れないし、きっと付き合ってるのも自然消滅してしまうのだろうか。
そんなことを思っているうちにもうコンクール当日だし。
さつきはあれ以来練習で必要なとき以外声をかけてくれないし。
ていうかむしろ避けてくる。
なんだか、コンクールは県大会にもいけないんじゃないかな。
コンクール会場に行く前に学校に集合と連絡された。
もうしばらく一人で歩いていたけれど、正直この通学路はつまらない。
未花がいないだけでこんなに暗くなるなんて思いもしなかった。
ああ、もう学校か。
憂鬱な気分で校舎内に入る。
すると、いつも俺より早く練習に来ているさつきの姿が見れなかった。
疑問符を浮かべながらそれでもそっとピアノのイスに座り練習を始める。
もし未花と一緒に演奏できたら。
楽しいんだろうな。
‐
ぐだぐだー
ちなみにコンクールは基本夏とかなんですけど、そしたら物語で季節が進みすぎてあばばばなので今きっと五月頃の設定になってるはず。
うあうあ。
269
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/05(土) 17:54:59 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 努力 sideレオ
「おはよー」
「鈴、何でいんの?」
「なんでって……コンクールメンバーはレオとさつきちゃんだけじゃないんだよー」
キイ、と歪んだ音が俺のピアノの音を止めた。
音楽室に入ってくるのは眠たさそうに欠伸をする鈴。
そういえば俺、未花とさつきのことでいっぱいいっぱいで他の人のこと全然見れてなかったな。
「ていうかめずらしーねえ、さつきちゃんまだ来てないのとか」
「な、俺も早くて二番目くらいかなーって思ってたのに誰も来てねえし」
「ふーんだっ、どうせわたしは遅いですよー」
鈴は中学時代からの女友達だからか一緒にいると和む。
っていうか、鈴と話すと皆笑顔になるような気がする。
「鈴はさ、気楽でいいよな」
思わずこんなことを言ってみたりもした。
ふざけて怒ってくるかと思ったら結構真面目に返事するし何なのコイツ。
「うん、気楽だと人生楽しいじゃん。まあ、そう気楽に考えられないことの方が多いけどねー」
「……鈴ってさあ」
「うん?」
初めて見た鈴の弱気な表情に思わず言ってみたくなった。
「やっぱ馬鹿だな」
沈黙がつづく。
その後強く握られた鈴の拳が俺の腹部めがけて飛んできた。
「ぐふ」
「ばかばかばーか! 馬鹿って言う方が馬鹿なんですー!」
鈴はゆるいイメージの奴だったけど、ムキになると超強暴でギャップがやばい。
でも鈴のそこが好きで、何だかんだで一番信頼してる女友達かもしれない。
「……ていうかさ、鈴は誰とコンクール出るんだよ?」
「レオ何にも知らないんだねえ、わたしはソロだよー」
鈴の担当楽器はクラリネット。
クラリネットのソロとかリードミス(※簡単にいえばピーとか甲高い音を出すこと)したら終わりだなと思い鈴を見つめる。
「……鈴なら大丈夫か」
「レオも大丈夫だよね」
にこりと微笑み合いながらお互いの応援をしたような気持ちになった。
「レオ先輩っ!」
聞き慣れた声が聞こえた。
それはしばらく聞いていなかったもので、凄く愛おしいもの。
「未花?!」
「あのっ、さっきさつき先輩から連絡があってっ……具合悪くなったからコンクールは出れないって! それでわたしが代わりに出てって頼まれて、でもわたしどうしよう」
息をつく間もなく話す未花。
そしてその話しを聞きにきたようにタイミング良く有希先生が来た。
「レオを棄権させるわけにはいかないからさつきの代理で未花が出場ね」
「え」
俺が声を漏らす。
「未花、あれから一人でずっと練習してたんだよ」
鈴が微笑みながら俺に言った。
「さつき先輩に負けない!って言いながらずーっと練習してたの。学校の部活じゃみんなのペースに合わせなきゃ練習できないからって部活まで休んで」
知らなかった。
余裕がないだけで、未花の努力でさえ見つけてあげられなかった。
「未花、ごめんな」
「いいんです、今日のコンクールでわたしの努力を知ってもらえればいいなって思います」
この前の弱気で自信のない未花じゃない。
自信に満ちた未花の表情に笑みを浮かべた。
「コンクールがんばるぞー」
鈴のふにゃっとした掛け声に誰も「おー!」ということなく微笑を浮かべた。
何でなんでー?!、と鈴は驚いた様子だったけれどそれでさえ無視される。
そのあとたくさんのコンクールメンバーが集合し、コンクール会場へと向かった。
‐
やっふい!
270
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/05(土) 19:09:04 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / コンクール sideレオ
「なんか夢みたいですー」
「俺も嬉しいよ、未花とコンクール出れるなんて」
コンクール会場行きの貸し切りバスの中で未花がぽつんとつぶやいた言葉に笑顔を浮かべる。
席は鈴や有希先生が俺たちを冷やかして「バカップルは隣同士だよ」と言い出したからちゃっかり隣同士だし嬉しい。
「おいそこのバカップル、本番でイチャつくなよ」
有希先生に冷たい目線を送られて未花が「はーい」と楽しそうな笑みをこぼす。
そして俺がふと思ったことを有希先生に尋ねる。
「有希先生って何歳ですか?」
「おいレオてめえ死にたいのか?」
「いや死にたくないですけど教えてくれたっていいじゃないっすか」
本当に殺されてしまうかもと思いながらそれでもしつこく尋ねた。
すると未花がにこにこ微笑みながら言う。
「有希先生はねー、若いんだよ! まだ二十代なんだよ、さすがに一桁までは教えてあげられないですけど」
確かに見た目的にも元気なスパルタ指導的にも二十代って感じがするしなあ、と納得した。
でも俺はそれだけじゃまだ物足りなくて更にしつこく聞く。
「じゃあ結婚とかしてんすか? 普通その年代って結婚してますよね?」
「せんせーは彼氏いないんですかー?」
俺の質問に乗せられて鈴も楽しそうに質問する。
そしてついに有希先生がキレた。きっとわざとだろうけど。
「てめぇら表出ろ!」
あはははは、とバス内に楽しい笑みがこぼれた。
コンクールメンバー以外にも抽選で選ばれた部員が同じバスに乗れて、くじ運が強いのか梨花とめぐと翔と花も一緒にいる。
「ていうかあたしたち楽器決まってないですよねー、何の楽器になるんですか?」
梨花が率直に俺たちに聞いてきたからとりあえず今までの成果でわかることだけ教えてやった。
「梨花とめぐはピアノコンクールまでもうちょっとあるからそれまではピアノ弾いてるだろうけど、これから変わるかもしれないよ」
「えーっ、あたしピアノがいい!」
「あたしも梨花とピアノやりたいですー!」
じゃあもうピアノ決定でいいじゃん、と面倒臭そうな有希先生の一言で梨花とめぐがわあっと盛り上がった。
花と翔の楽器も俺が説明し出す。
「花はクラリネットが一番うまかったなー」
「マジですかっ? ていうかわたしがうまいんじゃなくて鈴先輩の教えるのがうまいんですよー」
「いやいやそんな……照れちゃう」
何かこの二人の会話聞いてると微笑ましくなるなあ、と思いながら翔の話しにうつった。
「翔はベースうまかったからベースかな」
「マジっすか、俺ベース楽しかったんでやりたいなって思ってたんですよ」
希望通りにいきそうでよかったな、と思った。
そしてあっという間にコンクール会場につく。
ここからは別々行動になるから、と有希先生がめずらしく皆の前に立った。
「くじ運がたまたまよかった梨花たち以外にも各自応援に来てる奴らもいると思うから良い演奏も大事だけど楽しんでこい、以上!」
そしてなぜか部長の俺からも一言とマイクを渡される。
「皆、よく練習に耐えてきたな。今日は練習の成果を出しきって笑顔でコンクールを終えられるように頑張ってな」
そう言った瞬間にはいっ、と一番元気よく返事をしたのは未花だったような気がする。
皆もう既に涙ぐんでしまっている。
「泣くの早いなお前ら」
俺がそう突っ込むと皆の表情に笑顔がうまれる。
「楽しんでいこう!」
「おー!」
皆元気良く返事をしてバスを降りた。
楽しいコンクールになることを願う!
‐
271
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/05(土) 19:57:35 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 優しさ sideレオ
時間の都合上リハーサルで曲を合わせるのは少ししかできなかった。
だけど確実に未花の音が綺麗になってきて、コンクール曲じゃなくてロングトーンも頑張ったんだなと感じられる。
「先輩っ、わたし頑張りますね」
改めてそう告げる未花の頭をくしゃりと撫でる。
「ん、俺も頑張るよ」
そう言って、やっと本番を迎えた。
指揮なしで始まる俺たちの演奏は今までにないくらい輝いていたように思える。
最初にピアノが軽やかな音色を響かせて
ビブラートのかかったフルートの煌びやかな音が重なる
それが絡み合ってうまれるメロディーに観客や審査員でさえ目を輝かせているように思えた。
それに俺も未花も、演奏中とは思えないくらい笑顔だと思う。
あっという間に本番を終えてお辞儀をしステージを去る。
舞台裏まで来ても無言で俺たちは喋らなかったけれど、関係者以外立ち入り禁止の看板が立っている階段を上ったところでやっと未花が話し出した。
それはとても満足したような楽しそうな表情で、それでも何処か寂しげな顔だった。
「楽しかったです、ありがとうございます」
「俺も楽しかったよ、ありがとう」
きっと未花が寂しげな表情をしているのは、ステージにいるときに見つけてしまったからだろう。
彼女の姿を。金色に輝くあの髪の毛を。
「……さつき、体調悪いんじゃなかったんだな」
「わたしに譲ってくれたんですね」
未花はそれっきり俯いてしまったけれど、それが何処か愛おしく感じてしまいくしゃりと未花の髪の毛を撫でる。
「こんなこと言っちゃうとアレだけど、さつきより未花の方が上手くなったような気がするよ」
「先輩優しすぎますよ……上手くなんかないです」
「上手いよ」
うまくなんかないです、と何回もつぶやく未花は泣いてしまったようで。
それを包み込むようにしてそっと抱きしめたあと未花に告げた。
「俺はさー……未花と出れてよかったよ」
「……わたしもそれはうれしいですけどっ」
しばらくの間をあけて未花が言った。
「……さつき先輩の代わりになってまで出たくなかったです」
それでも、と俺が未花をぎゅうっと抱きしめてから言う。
「有希先生は未花の努力を知ってさつきの代わりに出したんだと思うよ」
「……先輩」
「ん?」
「先輩はわたしと演奏できて本当に楽しかったですか?」
――未花はたまに不思議な質問をする。
この前も「わたしでいいんですか?」と不思議な質問をしてきた。
前まではわからなかったけど、今ならわかる。
「……未花、そんな不安な気持ちにならなくていいよ」
未花がそういう質問をするときは不安なときだって。
未花は驚いた表情をしていたけれど、やがてにこりと微笑んで言った。
「……レオ先輩は本当にわたしのことわかってくれてるんですね」
「そりゃあ、彼氏ですから」
そんな会話をしてイチャついていると、またしてもあの人の怒鳴り声が飛んでくる。
「てめぇらイチャつくんじゃねえ!」
「有希先生、怒鳴らないでください!」
もうすぐ結果発表です!
‐
272
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/06(日) 14:32:11 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 結果発表 sideレオ
ステージには何人かの審査員とコンクールを主催した人が立っていた。
ライトで照らされたあのステージでさっき俺たちが演奏したんだと思うと夢のように思えてくる。
そんな風に遠くに見えるステージを見つめながら、結果発表が始まった。
青春高校の生徒たちが座る席は後ろの方だったから、審査員や主催者が小さく見える。
マイクで響き渡る声は俺たちに緊張感を与えた。
県大会に出場するチームの名前が呼ばれる。
「――東中学校金管二重奏」
どこかから、「わああああ!」という歓声が起こった。
パチパチと拍手が東中学校の県大会出場を祝う。
そしてその後、青春高校の名前が呼ばれた。
「青春高校クラリネットソロ、ゴールド金」
クラリネットソロは鈴だ。
俺より後ろに座る鈴を見てみると隣の人と抱き合っていた。
よかったな、と微笑を浮かべた瞬間、もう一度青春高校の名前が呼ばれた。
県大会に出場するのは3チームまでだからこれが最後だ。
「青春高校」
「ピアノフルート」
俺たち、だ。
わああああ、とわきあがる歓声の中未花をぎゅうっと抱きしめた。
「せんぱっ、」
「未花!」
未花はもう既に泣いている。
結果発表を終えたあとの主催者の話しはもう何も聞いていなかった。
×
楽屋に戻って、有希先生が俺たちを見渡して言う。
「青春高校の中でも出れなかった奴も何名かいるけど、皆よく頑張ったと思うよ」
有希先生の優しい言葉にちょっと動揺した。
そのあと、有希先生が俺と未花と鈴を見渡して言う。
「県大会行くからにはもっと厳しくいくからな?」
「いやもう十分厳しいっすよ」
県大会に出場できてよかった。
‐
273
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/06(日) 15:09:37 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 本当のこと sideレオ
「おいレオ、未花も」
「何ですかー?」
皆感動に浸っているというのに、突然有希先生が俺たちを呼んだ。
泣き止まない未花の頭をくしゃりと撫でながら返事をする。
「ちょっと来い」
「え、何か嫌です」
「いーから」
舌打ちされたところで大人しくついていくとそこはさっきまでいたステージで、未花も少し驚いていた。
誰もいないステージの上で一人金色の髪の毛をなびかせる子。
「さつき……」
「さつき先輩っ」
さつきは微笑んではいなかったけれど俺たちに優しげな表情を見せていた。
「県大会、フルートは未花とさつきどっちにする? レオが決めな」
「は? 何言ってんですか先生……それは先生が決めることで」
「レオがこれから一緒に練習していく相手だよ? アタシが決めたらそれが本当に良い決断かわからないじゃない」
それなら、と小さな声でつぶやいたあと未花の手を取った。
「俺は未花と吹きたいです」
「理由は?」
どうやら理由もいわなきゃダメなようで、俺が有希先生をじっと見つめて言う。
「俺は未花の努力を傍で見ていきたいなって思いました。それに、やっぱり未花と演奏するのが一番楽しいです」
そう言った瞬間有希先生もさつきも優しげな笑みを浮かべた。
そしてさつきが俺に微笑みかけて言う。
「レオ、わたしは未花ちゃんとレオに幸せになってほしいなって思うよ」
大きく頷いて、俺たちはステージから楽屋へと戻った。
‐
コンクール一段落ついたところで次県大会とかまじ疲れる←
県大会はいろいろな都合で7月頃にしちゃう予定なので吹部全員のコンクールと時期が近いんだよねー、どうしよ。
世界観とかそういうのは見逃してくださいorz
そしてさつきちゃんをぶち込んでレオの友達もぶち込んで未花もぶち込んで梨花と翔もぶち込んでレオもぶち込んで(ry
イベントとかをやりたい!
さつきちゃんを幸せにさせたい!
274
:
燐
:2012/05/06(日) 21:26:33 HOST:zaq7a66fc25.zaq.ne.jp
ねこっぴ>>はろw
暇な時に見るわヽ(^o^)丿
275
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/06(日) 22:41:34 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
>燐
はろーう!
なんか久し振りw
276
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/06(日) 22:50:04 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / バス sideレオ
貸し切りバスに乗って学校へと帰るとき、コンクール会場から離れるというのが少し寂しいような気がした。
県大会は別の場所でやるから此処に訪れるのは高校生活では最後だったのだろう。
ふうと溜め息を吐くとちらりと未花がこっちを見てきているのに気づきん?、と声を漏らした。
「先輩、疲れてます?」
「え、いや……なんか悲しくなって」
「あは、レオが悲しいだってー!」
俺たちの会話に鈴が入ってきた。
ぷっと俺を嘲笑うような鈴も鈴で寂しそうではあったけど、と思いながら俺も嘲笑い返して言い放つ。
「はは、鈴もさっき泣いてたくせに」
「なっ、アレは感動してだもんっ!」
「俺泣いてねえし」
「レオは心がないんだよーっ!」
あはは、と周りの皆が笑い始めたのに気づき少し黙った方がいいかと思った。
だけど穏やかな雰囲気とは真逆にわんわんと吠えるように言い出す鈴にはいはい、と面倒臭そうに返事をする。
「そうだね、俺には心がないかもね」
「なにその反応! つまらん!」
鈴が不機嫌そうな表情をしたのに気づいてもう苦笑するしかできなくなっていた。
あっという間に学校について、あれだけ騒いでいたのに未花は眠ってしまっていた。
此処で起こすのも可哀想だし、でもミーティングがあるし仕方無いかとつぶやいて未花の肩を掴みぐわんぐわんする。
前、未花が病院で俺にやっていたように。
「ん……ってうわうわうわ」
未花も俺と同じような反応をして思わず吹き出してしまいそうになった。
楽しい思い出になってよかったな!
‐
イベント編突入します!
次あたりで!
277
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/06(日) 23:11:49 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 遊園地デート*メンバー集め sideレオ
「なあレオ! お願いだよー!」
「はあ? 何がだよ」
別のクラスの友人、平間遼(ひらま りょう)がある日俺に頼み込んできた。
一体何をだよ、と思いながら冷静に聞き返す。
「いやちょっとさ……レオのクラスのさつきさん超可愛いじゃん?」
「……まあ、そうなのかな」
さつきが可愛いかと聞かれればきっと可愛い方なんだろうけど、俺にはよくわからない。
とりあえずそういうことにしてやって、話を聞いた。
「だから、レオとレオの彼女とレオの友達で付き合ってる奴らと俺の友達で付き合ってる奴らと俺とさつきさんで遊園地にでも行けないかなーって」
つまり。
俺、未花、友達A、友達B、友達C、友達D、遼、さつきの八人で行くってことか。
表情や顔色何一つ変えずにぽつりとつぶやいた。
「あー、いいんじゃね? 俺はいいけど」
「よっしゃあ! じゃあ彼女と付き合ってるバカップルひと組み呼んどいて! さつきさん誘うのは後でやる! よろしくなー!」
バカップルひと組みという言葉をお前全国のバカップルに殺されるぞ、と思いながら無視した。
はいはい、と適当な返事をしたあと未花のところにでも行こうと二年校舎に向かう。
「あ、あのっ! レオ先輩、ですよね?」
「ん? ああ、うん」
二年校舎は三年校舎と結構近くてすぐ着いた。
と思いきや見知らぬ女の子に声をかけられて立ち止まる。
「コンクール、県大会出場おめでとうございますっ! あの、好きです! 付き合ってください!」
うわ、直球。
そんな直球にこられると振りにくいな、と思いながら謝る。
「ごめんね、彼女いるから」
「そ、ですか……じゃ、じゃあ! 頭撫でてもらってもいいですか?」
なんでそんなこと、と思いながらそれでも女の子の頭をくしゃりと撫でる。
その瞬間、未花があらわれたのがわかった。
「レオせんぱーい」
こういうとき、未花はわざと甘えてくる。
俺が人の頭撫でるなんていつものことだから未花は気にしてないみたいだし。
「はいはい未花、ちょっと用事あるからおいでー」
「はーいっ」
最後にひらりと女の子に手を振ったのは未花には内緒。
くっつくのがもっとエスカレートするから。
「で、用事ってなんですか先輩っ!」
「あのさー、俺の友達がさつきと仲良くなりたいんだって。だから俺と未花とバカップルもうふた組と友達とさつきで今度遊園地行かない?」
「いいですよー! さつき先輩って手強そうですよねえ」
たしかに、と頷きながらじゃあまた今度と別れを告げた。
ちょっと早い気がするけど、次は一年校舎に行く予定だから。
一年校舎も二年校舎からだとまだ早く着いた。
そして梨花と翔のクラスに行く。
「なあ、俺と未花とバカップルひと組みと梨花と翔と俺の友達とさつきで遊園地行かねえ?」
面倒臭くなってきた。
そう思いながらも誘うと梨花と翔は快くオッケーしてくれた。
「いいですよー! 楽しそうですねっ」
「梨花と一緒ならどこでもいいっすよ」
「まさにバカップルだなお前ら」
「いや先輩こそー」
そんなくだりを終えて遼にメールする。
そしたらすぐ返信がきた。
メールによると放課後部活前に遊園地メンバー集合だそうで。
「梨花、翔、放課後遊園地メンバーは3−Bに集合してー」
「げ、三年校舎ですか。まあいいけど」
ま、よろしくー、と適当な感じで別れるとあっというまにチャイムが鳴りそうだ。
あと数分だな、と思い早足で教室にもどった。
-
イベント発生!
楽しそうに見えるかな?かな?
でもね、実は大きな落とし穴があるんだよ!
278
:
ピーチ
:2012/05/06(日) 23:17:43 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
ヤバイっ!!さつきちゃん、付き合うの?
・・・落とし穴?
279
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/06(日) 23:26:40 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 遊園地デート*メンバー集合 sideレオ
放課後になって、遼のクラスの3−Bに集合した。
さつきは未花の協力を得て誘えたからよかった!
ただ打ち合わせということで敢えてさつきは呼ばなかったらしい。
「えー、集まってくれてありがとう諸君」
「遼それキモイよ、っつうかお前んとこのバカップルは?」
「あ、集まんなかったから女友達二人呼んどいた。来てないけど」
「はあ?」
つくづく気まぐれな奴だなと思う。
こっちは頑張って一年校舎まで行ったというのに。
「男三人しかいないじゃん、っつうか何でカップルだったの?」
「カップルだと別の男がさつきさんのこと狙う心配ないかなって思って」
計算高いなと思いながらとりあえず話を進めた。
遼の妄想混じりな計画が発表される。
「まず皆でふらふら楽しんで、いろいろあった末に俺らがはぐれる! で、皆がアレ?ってなるだろうけど計算だから大丈夫ってことでもう帰り会わなくてオッケーでーす」
適当すぎるだろ、と心の中でつぶやいてから一応頷いた。
そしてなぜか遼が未花を巻き込む。
「いいかな未花ちゃん」
「は、はいっ! がんばってください!」
「ちょっとー、がんばってくださいって未花ちゃん君もがんばるんだよ」
「あ、そっかあ」
何気に良いコンビなのかもしれない。
嫉妬とかじゃなく微笑ましくなって俺が言った。
「じゃあまあ、協力してやるよ」
「あたしと翔も楽しめればいいですよー、ていうか早く部活いきたい」
梨花の言葉に俺も、とつぶやいて部活へ向かうことにした。
とりあえず楽しみだー!
-
280
:
名無しさん
:2012/05/07(月) 15:25:18 HOST:p28163-ipngn100105osakakita.osaka.ocn.ne.jp
北摂党
NEO UNIVERSE
〜味園事変〜
2012.6.3(日)@味園ユニバース
OPEN 16:30〜23:00
AVD:¥3,000 ※ステッカー付
ADM:¥4,000(w/flyer¥500off)
-Deejay-
MATTON/CHEHON/MUNEHIRO
KENTY GROSS/BES/TOMY BORDER
LIFE-G/CHARIS CREW BAND
-SOUND-
FUKU CHAN(EX.FIREWORKS)
RISKY DICE/SWEET SOP/TIDALWAVE
-SOUND SYSTEM- K-ZONE
-DANCER- BAD JUSTICE
チケット取り扱いなどその他詳しい情報は
北摂党 で検索!
281
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/07(月) 17:46:31 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
>ピーチ
計画通りにいけばえ?マジかよって展開になる、はず←
282
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/07(月) 17:56:12 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 遊園地デート*遊園地当日 sideレオ
「わっふー!」
遼が叫んだ。
――「東京」というワードがつくわりには千葉県に存在する黒いネズミで有名な遊園地は休日だからか人でいっぱいだった。
はじめましてな人もいるわけで、バスの中でできなかった自己紹介を始める。
「えっと、速水レオです」
「わたしは未花ですっ」
「あたしは如月梨花でーす」
「俺は翔です」
見慣れたメンバーたちの自己紹介。
未花はきょろきょろと周りを見回していて小動物みたいでなんか可愛い。
次に遼が連れてきた遼チームの紹介が始まった。
「えぇとお、みなみでーす」
「アタシは花南(かな)だよお」
微妙にギャルっぽい見た目と喋り方のみなみとふんわりとした雰囲気の花南。
もうこの際呼び捨てで良いかと思った。
「俺は知ってると思うけど遼でっす! 今日はよろしくー」
「わたし、は……さつき、です」
はずかしそうに挨拶するさつきのことを遼がハートの目で見つめていたことは内緒。
そんな感じで遊園地デートが始まった。
-
次からside未花に変更します!
レオくんの心情は書きづらいので、いろいろと。
283
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/07(月) 18:16:47 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 遊園地デート*遊園地当日 side未花
「ねえねえレオくん、アタシあれ乗りたあい!」
さっきの自己紹介でふんわりした雰囲気を見せていた花南先輩がぎゅっとレオ先輩の腕に抱きついた。
でもレオ先輩の顔を見てみたら嬉しくないときの顔だし、大丈夫かなあと思い一人でぽつんと歩く。
「……ねえ、未花先輩」
「梨花ちゃん?」
梨花ちゃんにくいっと服の袖をつかまれて反応した。
梨花ちゃんは翔くんもいるのにすごいつまらなさそうな表情をしている。
「あの先輩たち何なんですか?! レオ先輩は未花先輩の彼女でしょ?」
たしかにそうなんだけど、と思いながら仕方ないよと言おうとした瞬間、梨花ちゃんが大きな声で言った。
「レオせんぱーいっ! 彼女放ったらかしちゃだめですよー」
「えうあっ?! 梨花ちゃんいいんだよっ――」
「よくねえよ」
わたしの言葉にかぶさるようにレオ先輩が言った。
困り果てたような表情にあ、と声をもらす。
どうやら無理矢理花南先輩の腕を振り払ってきてくれたらしいけど何だか申し訳なくなった。
「すみません、レオ先輩」
「謝るのは俺の方だよ、ごめんな未花」
やっぱりレオ先輩は優しい。
そう思いながらレオ先輩の隣を歩いた。
×
「じゃあ此処でっ、くじ引きターイムッ!」
テンションの高い遼先輩がとつぜんどこからかくじを取り出した。
どうやらふた組のペアになってお化け屋敷をまわるらしい。
レオ先輩とがいいな。
そう思っていたけれど、わたしが引いたくじの結果遼先輩とまわることになった。
「えーと? 俺と未花ちゃん、さつきさんと翔くん、梨花ちゃんとみなみ、レオと花南、な!」
遼先輩が楽しそうに読み上げる。
レオ先輩と花南先輩、いっしょなんだ。
少し嫌な気持ちがしたけど、それくらいは仕方ないかと思いお化け屋敷の中に入っていった。
「こ、こわいです……」
「な、ちょう怖い!」
遼先輩とわたしと、二人で怖がっている。
でも遼先輩はさりげなくわたしを守ってくれているし、優しいなと思った。
「なあ、未花ちゃん」
「なんですか?」
きゅうに真剣になる遼先輩の表情にえ、と思わず声を漏らした。
「このあとさ、二人で抜け出さない?」
「へっ?! だ、だめですよ先輩! さつき先輩はどーするんですか!」
「いや、だからさつきさんのことでちょっと相談があんだよー」
なんだそういうことか。
そう思いながらそれなら、と頷いた。
お化け屋敷を通り抜け、こそりと人混みの中に紛れ込む。
――と、思ったら。
薄暗い路地裏みたいなところに連れて行かれてしまった。
「りょ、遼先輩……? 暗いですよ此処」
「――暗い方がいいんだよ」
低い声で遼先輩がわたしに言った。
そしてそのあと、壁にだんっと押し付けられる。
「未花ちゃん」
なんで? どうして?
遼先輩はさつき先輩が好きなんじゃないの?
そう思いながら、何も行動することができない。
「俺さ、本当はさつきさんなんて好きじゃなかったんだよ」
「え……?」
「本当の目的はレオと未花ちゃんを別れさせて未花ちゃんを俺のものにするためなんだ」
やだ、こわい。
わたしに触れてくる遼先輩の手がとても怖く思えた。
「やめて、ください……遼先輩はそんな人じゃないです」
「未花ちゃんは俺の何をしってんの?」
顔が近づいてきた。
キスされるのかな、と思って思わず暴れようとする。
もうだめだ、と思った瞬間、とつぜんあの人の声が聞こえてきた。
「未花っ!」
れおせんぱいの、こえ。
「レオ先輩っ……」
レオ先輩が遼先輩を突き飛ばしてわたしを助けてくれる。
気づけば震えていたのがわかる。
「未花、行こうか」
「っ、はい……」
レオ先輩に手を握り締められてそっとその場を去っていった。
-
マジかYO!と思いきや一件落着だZE☆←
うん、よかったよかった!
284
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/08(火) 18:33:20 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 遊園地デート side未花
レオ先輩の手は大きくてとっても暖かかった。
ぎゅって力強く、それでも優しくわたしの手を包み込むレオ先輩の手でさえも愛おしく感じてしまう。
遼先輩に連れてこられた暗い道を通り抜け、また人集りができて騒がしい場所に戻った。
騒がしいのとか人集りとか、あまり得意ではないけどなんだか安心してしまうのはレオ先輩が手を握ってくれているからかな。
嬉しくなってわたしからもそっとレオ先輩の大きな手を握ると、レオ先輩がこっちを見て照れたような表情をしてくれた。
嬉しいって意味なのかな、と思いながらもう一度レオ先輩の顔を見たくて覗いてみる。
「ちょ、未花覗かないで……!」
「いやです、レオ先輩の顔が赤いところ見たいです」
きゃっきゃきゃっきゃと絡み合うわたしたちはきっとバカップル同然だったんだろう。
このくらい仲が良いといっそ清々しいし、今ならバカップルって連呼されても全然良いかもしれない。
「やーい、バカップルー」
からかうようにわたしたちを見つけた梨花ちゃんと翔くんがそう言ったけれど、わたしは微笑むことしかできなかった。
「えへへー」
「幸せボケしてんな」
翔くんに突っ込まれたのは吃驚したけれど。
×
「レオくうん、どうしてお化け屋敷一緒にまわってくれなかったのぉ……?」
甘えたような寂しそうな表情で、花南先輩がレオ先輩に近づいた。
相変わらずわたしたちは手を繋いだままで、でもそんなことも気にしないで反対側のレオ先輩の腕に花南先輩が抱きつく。
「いや、だって彼女いるし遼が変なことするから」
「ほんとすいませんっしたぁ!」
ふざけた様子を見せる遼先輩とはもう話したくない。
本当に、ふざけただけだといいんだけどなあ。
「……翔は?」
「え、なに?」
梨花ちゃんが翔くんを疑わしい目で見つめた。
「さつき先輩みたいな綺麗な先輩とふたりっきりで、なーんかあったんじゃないの?」
「うえ、なんにもないよ!」
そういってあわててごまかすような翔くんにあやしい〜、と梨花ちゃんがつぶやいた。
さつき先輩はだんだん馴染めてきたのかふふ、と楽しげな笑みを見せている。
「翔とはなにもなかったよ、梨花」
微笑むさつき先輩はあまりにも綺麗すぎて、その迫力におされて梨花ちゃんも探るのはやめた。
「……ほんっとうに何もなかったよね?」
心配そうに梨花ちゃんがぽつりとつぶやくように聞く。
すると翔くんはにこりと笑顔を見せて言った。
「何もないよ」
ふたりこそバカップルじゃん。
そんな思いは心の中に閉まっておいて、またきゅっとレオ先輩の手を握った。
レオ先輩はまたこっちを見て吃驚していたけど、そのとき振り返った表情に思わずドキってしちゃったのは恥ずかしいから秘密。
-
このままつづけようかともおもったけど一回区切りますー!
花南ちゃんぶりっ子設定で動かしたいんですけどあからさまなぶりっ子ってこの時代あんまりいないので控えてます←
語尾をのばすとかは「○○ですよー」とか「ー」だとふんわり系で別にぶりっ子じゃなくて鈴ちゃんみたいなのになるんだけど、花南ちゃんの場合「○○ですよぉ」って語尾をあえて「ー」じゃないので伸ばしてるのが特徴だと思いたい。
ぶりっ子とふんわりの区別つけてね!←
ちなみにこの小説内でねここ的ぶりっ子キャラとして出してるのは優里ちゃん(いたっけ?未花の同級生で吹部の子!未花の首絞めた子←)と花南ちゃんと、仮だけどみなみちゃんです!そこのところよろしく!
てことで去る!
285
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/09(水) 17:54:30 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 遊園地デート side未花
「なんかつまんなぁい! 男女別で行動しよ!」
花南先輩がわめいた。
わたしは思わず何か嫌な思いをさせてしまっただろうかと考えてしまう。
だけどそれに気づいてくれたのか、レオ先輩がぎゅっとわたしの手を握った。
「俺は別行動したくないなー」
「あたしもー! 翔といたいし」
「お、おれも!」
レオ先輩の意見につづき梨花ちゃんと翔くんも自分の思いを言った。
わたしも、とか言ったほうがよかったのかな、と思いながらレオ先輩に助けを呼ぶような目線をおくってしまう。
わたしが戸惑っているうちにもう花南先輩が喋り始めてしまった。
「ちょっとはいいじゃあん! ねっ、行こ行こ!」
ぐいっと強引にわたしの腕を引っ張る花南先輩。
レオ先輩とつないだ手が放れてしまうような気がしてきゅっと握りしめた。
それでも、レオ先輩がこそりとまた後でと言ってくれたから放すことができた。
レオ先輩の指先はまるでわたしとの別れを惜しむように思えたけれど、花南先輩に引っ張られてしまってレオ先輩を引き留めることはできなかった。
×
「花南ぁ、言っちゃう?」
ちょっとギャルっぽくて見た目的に苦手なみなみ先輩が花南先輩に声をかけた。
言っちゃうって、何をだろう。
そう思いながら、花南先輩がそっと頷いたのをまた疑問に感じる。
「あのさぁ、未花ちゃんっつったっけ?」
「は、はい……?」
さっきと全然態度の違う花南先輩はちょっと怖かった。
「アンタ、レオくんのこと独り占めしないでよね!」
「レオくんは皆のものなんだから!」
花南先輩の声につづいてみなみ先輩も言う。
なにがなんだかよくわからなくて、それでも言い返した。
「レオ先輩のことはレオ先輩の自由じゃないですか……! 先輩たちには関係ないです!」
「じゃあさ、アンタとレオくんが別れてもそれはレオくんの自由だっつうの?」
花南先輩の質問にそっと頷いた。
「わたしがレオ先輩のことを決める権利はないです」
「ならさぁ、――」
「でも!」
花南先輩の言葉をさえぎって、わたしがいう。
「わたしはレオ先輩を信じてるし、レオ先輩だってわたしを大切にしてくれてるんです――それが独り占めだっていうのなら、レオ先輩に好かれようと努力してくださいよ」
なんだか強気になれたなって思う。
レオ先輩の話しになるとこうなのかな?
花南先輩が怒りに満ちた表情で言った。
「花南だって努力してるっつーの! ていうかぁ、アンタとレオくんは不似合なんだよ!」
不似合、か。
そうかな。
「――努力、してないじゃないですか。レオ先輩はこういうことする子なんて嫌いだと思いますよ! ていうか、こんなことする子を好きになる人はいないと思います!」
そういったあと、花南先輩は黙り込んでしまったからそっとその場を去った。
なんだか悪いこと言っちゃったかもな。
-
286
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/09(水) 19:29:54 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 遊園地デート side未花
「み、未花先輩っ!」
「ごめんね梨花ちゃん、雰囲気悪くさせちゃって……さつき先輩も、ごめんなさい」
梨花ちゃんとさつき先輩が広場へ戻るわたしに声をかけてくれた。
さつき先輩はなんだかよくわからないけど微笑んでいたし、梨花ちゃんも輝いた目でわたしを見てくる。
「レオにはやっぱり未花が必要だし、未花にもレオが必要なんだね」
「未花先輩超かっこよかったです! あの性格悪い女、早くどうにかしたいなって思ってたんですよねー!」
でも今思えばわたし本当ヤバいこと言ってたよね。
どうしようと思いながら、それでもふいに目に入ったものがあった。
「レオ先輩――って、え?」
レオ先輩が笑ってる。
その隣にいるのは――花南先輩?
バスの中で花南先輩とメアドを交換しておいたからか、花南先輩からメールがきていた。
「ちょっと遅かったねぇ」って、もしかして。
わたしたちより早くレオ先輩のところに行ってたのかな。
いやだよ、と思いながら思いきってレオ先輩のところに駆け寄った。
「レオ先輩!」
「未花っ!」
ふわりと風がふいた。
そして次の瞬間目をあけるとそこはレオ先輩の腕の中だった。
抱きしめられてる?
「……れ、おせんぱい?」
なんだかよくわからないけど。
すっごく幸せな気分。
これがずっとつづけばいいのに。
-
287
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/10(木) 16:14:53 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 遊園地デート side未花
「レオくぅん、花南と観覧車乗ろ!」
わたしに抱きついてきたレオ先輩は微笑んでいた。
とても優しくて大好きな笑顔。
とても、さみしくて暗い笑顔。
レオ先輩はそっとわたしから離れると、腕に抱きつく花南先輩の言うままに観覧車へ向かってしまった。
わたし、なにか悪いことしちゃったかな。
不安――だけど、わたしがここで立ち止まってちゃだめだ。
「未花先輩」
「大丈夫、わかってるよ――」
心配そうな表情で声をかけてくれた梨花ちゃんを安心させるようにちいさく頷いた。
わたしができることは、これくらいしかないもん。
すうっと空気を吸った。
「――レオせんぱーいっ!」
わたしはもう、大切な人を手放したりしない。
欲張りでも自分勝手でも自己中心的でもなんでもいいから、レオ先輩の傍にいたいんだ。
「未花っ」
レオ先輩の声が聞こえた。
わたしの名前を呼ぶ声。
でもその後ろには花南先輩がいる。
しっかりとレオ先輩の腕をつかむ花南先輩のせいで、レオ先輩がこっちに来てくれることはなかった。
それでも、目が合っただけでレオ先輩が何を言いたいかがわかった。
「大丈夫、安心して――」レオ先輩はきっとそうわたしに伝えてくれたはずだ。
自分とレオ先輩を信じておおきく頷く。
わたしはまちがってなんかない。
× 〜sideレオ
ふわりと、まるで宙に舞うような気持ちになった。
でもそこは空なんかじゃなくて、観覧車の個室の中。
遠くなっていく景色に、遠くなっていく広場に――
遠くなっていく未花に、不安を感じていた。
「レオくんは観覧車嫌いだったぁ?」
「え、あ……嫌いじゃないよ」
好きでもないけどね、と心の中で呟いた。
それは観覧車のことなのか、それとも花南のことなのか俺自身よくわかっていない。
未花を不安な気持ちにさせてるのはわかってる。
けど、なんだか最近自分の意思で動けないというか、断るっていうのが苦手になったような気がする。
今も、花南の誘いを断れなかった。
元々強引な女子とか俺苦手だし、未花もそれはわかってると思うけど。
ちゃんとこういうのも断れなきゃ、未花が可哀想だ。
たまにこのままでいいのかなって思ってしまう。
「……未花ちゃんとレオくんってさぁ」
花南が未花の名前を出したから急に反応してしまった。
「不似合っていうかぁ、不釣合いだよねぇ」
やっぱり、そうなのかな。
俺には不似合だよな、あんな可愛い子。
可愛くて優しくて気遣いができて天然でちょっと鈍感で――俺なんかとは釣り合ってない。
それに付き合うとしても俺より遼の方がよかったんじゃないだろうかと思ってしまう。
そんなことを考えているうちに、反対側の椅子に座っていた花南が俺が座っているほうの椅子に膝をのせる。
花南がまるで俺を見下すような体制になったけれど肩をつかまれて何も行動できなかった。
「……花南はぁ、未花ちゃんより全然釣り合うと思うよ?」
「そう、かな」
何も言えなかった。
それにやっぱ俺、未花じゃなきゃいやだ。
あのとき呼び止められて、不似合だってわかってても未花の傍にいたいって思ったもん。
「花南にはもっと良い人がいるよ」
そういって、花南の体をぐいっと反対側に押した。
生憎俺には未花しかいないみたいだから。
-
288
:
ピーチ
:2012/05/10(木) 22:28:33 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
うわわっ!レオ先輩強い!!
でもなー・・・花南も粘るねー・・・
レオ先輩!美花先輩!負けるなー!!
289
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/10(木) 22:36:21 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
>ピーチ
大丈夫、花南は特に厄介じゃないよ!
普通に厄介だけどちがうと信じたい←
290
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/10(木) 22:37:51 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 遊園地デート side未花
レオ先輩は格好良くて優しくておもしろくて、爽やかだし困ってる人がいたらさりげなく助けてあげてるし。
そんな性格だからやっぱり女の子の視線を奪っちゃう人だけど。
それでもわたしの傍にいてくれた。
いいのかなって思っちゃうくらい優しくしてくれた。
他にどんなに可愛い女の子がいても、どんなに優しい女の子がいても。
ずっと、わたしを守ってくれた。
もうこの気持ちは抑えられないよ。
言葉では表せないくらい大好きで大好きでたまらない。
だからこそ、それと比例するように不安な気持ちもふえていった。
他の女の子といるのを見ると嫉妬しちゃうし、なんだかぐるぐるして変な気持ちになる。
レオ先輩が困ってるのだって表情見たらわかるのに、それでもやっぱり嫌な気持ちを抑えられない。
――でもね。
レオ先輩が大丈夫だよって言ってくれるとすっごく安心するんだよ。
不似合でも釣り合ってなくても。
これからもわたしの傍にいてください。
なんて、伝えられたらいいのに。
ハッと我に返ったわたしは隣にいる翔くんと梨花ちゃんに話しかけた。
「翔くんは梨花ちゃんに嫌な思いさせないであげてね、翔くんモテるから」
「そ、それをいうなら梨花だってモテるから俺心配だし不安な気持ちでいっぱいっすよ!」
わたしの言葉に顔を真っ赤にして話しをそらす翔くん。
なんだか微笑ましくなってきた。
「な、ならさつき先輩はどうなんですか!」
「……え?」
翔につづき顔を赤らめる梨花ちゃん。
急に話をふられたさつき先輩は少し間をあけたあと驚きの声をあげた。
「だって、さつき先輩可愛いし綺麗だし超モテそうじゃないですか! 誰か好きな人とかいるんですか?」
「いるよ」
ムキになってそう聞く梨花ちゃんにさつき先輩はふふっと微笑みながら即答した。
え、なんか梨花ちゃんの目がキランと輝いてるのは気のせいかな。
「だれですか、それ!」
「ないしょ、だよ」
人差し指を唇にあてるさつき先輩はとってもかわいく見えた。
それでも梨花ちゃんはしつこくて、さつき先輩が悩んだような様子で言う。
「好きっていうか、気になってるのかな」
「どっちでもいいんで教えてくださいよー!」
何気失礼なこと言ってるよ梨花ちゃん。
そう思いながら二人のやりとりを見つめる。
エラー出たんでいったん切ります!
291
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/10(木) 22:38:06 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
「じゃあヒントね、わたしの好きな人は彼女いるよ」
いやいやいやこんな可愛い子に告白されたらどんな彼女がいても彼氏さんイチコロでしょ。
そしてどことなく赤くなってる翔くん、かわいい!
「まさか翔とか?」
不安そうに梨花ちゃんが尋ねた。
さつき先輩が苦笑しながら首を振る。
「ちがうよ」
梨花ちゃんがほっとしたような表情を浮かべる。
翔くんはなぜか残念そうな表情を浮かべて、それでも安心した様子を見せている。
「あ、じゃあ遼先輩ですか」
梨花ちゃんが率直に聞いた。
さつき先輩は驚いたような表情をしてから言う。
「それはないかな、女の子に手を出すような人はきらいだし」
わたしを見て苦笑するさつき先輩。
お化け屋敷のあとのこと、知ってたのか。
「うーん、あ! じゃあ俊太サン?」
「俊太サン」ってたしか、梨花ちゃんのお姉さんの百花先輩の彼氏さんだっけ?
なんで梨花ちゃん俊太先輩の話出したんだろ。
「レオの友達、だよね? あの人じゃないよ」
「好きになることは?」
「ないかな――って、なんで俊太くんの話ばっかりするの? 梨花ちゃん俊太くん好きなの?」
さつき先輩はイタズラするような目つきで梨花ちゃんを見つめた。
そしたら梨花ちゃんは「ちがっ」とあわてて否定しながら説明しようとして、なんだかおもしろい。
「あたしのお姉ちゃん百花っていって三年生なんですけど、俊太サンの彼女なんですよ。あたし俊太サン嫌いなんで早く別れてくれないかなあって」
うわあ、梨花ちゃんさらりと怖いこと言うなあ。
そう思いながら苦笑を浮かべると、さつき先輩もわたしと同じく苦笑していた。
なんだか同じ表情なのにさつき先輩に華がありすぎて辛い。
「残念だけどわたしには彼氏を奪うなんてことできないよ」
「じゃ、じゃあその好きな人はどうするんですか?」
さつき先輩の寂しげな表情になんだかズキリと胸が痛んだ。
わたし、は……きっと梨花ちゃんから奪ったことになるのかもな。
「あきらめたいんだけどね、今はまだ心の中に残ってるの――わすれるのってこんなにつらかったんだなって思って」
「わすれちゃだめですよ」
おもわず、言ってしまった。
わたしがさつき先輩に口出しできることなんてないのに。
それでもさつき先輩は笑ってくれた。
「……ありがと」
なんでそんなさみしい表情するの?
-
292
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/10(木) 22:53:14 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 遊園地デート side未花
「わたしだってわすれたくないよ……でも、わすれなきゃ傷ついちゃう人がいるの」
さつき先輩が初めて本音を言ってくれた。
うれしくて、それでも辛かった。
だってさつき先輩の目線は――
わたしにあるんだもん。
友達も梨花ちゃんも、わたしのことを鈍感だとか言ってきたけど。
これくらいならわかるよ、さつき先輩の好きな人は
レオ先輩だ。
「……わたしはその恋をやめろっていう権利も何もないですけど」
ちいさな声でつぶやくように、それでもさつき先輩の目を見てしっかり伝えた。
「その、傷つけないであげてください……すごく心配性だから、えと」
言葉になってないような気がする。
レオ先輩はたしかに心配性だけど、それを伝えたかったんじゃない。
「わかってるよ、未花――わたし、レオに告白するつもりはないし未花から奪うつもりもないもん」
遠回しに言った言葉。
伝わりませんようにって思いながら伝われってやっぱり考えちゃった言葉。
――レオ先輩を奪わないでって。
さつき先輩にひどいことしたなって思った。
無理に微笑むさつき先輩に一言言う。
「でも、応援してます! 恋の相談とか、わたしこれが初恋でよくわからないけど聞けることなら聞くんでなんでも言ってくださいっ!」
息をつく間もなく言う言葉はまるで偽善者みたいだったけど。
これがわたしの本音なのかなって思った。
さつき先輩がにこりと優しげな笑顔を浮かべて言う。
「わたしも初恋だったんだ――わたしは未花の応援するよ」
初恋がわたしのせいでつぶれるなんて。
罪悪感でいっぱいだよ。
そう思いながら、遠くに見えるレオ先輩の姿に思わず笑みを浮かべてしまった。
「レオせんぱーい!」
「未花ー!」
ぶんぶんと大きく両手を振るとレオ先輩もひらりと手を振ってくれた。
「花南先輩、は?」
「……告白に近いものをされて迫られたから拒否ったら観覧車降りた後どっか行っちゃってさ」
「やっぱりレオ先輩狙ってたのかあ」
それでもわたしを優先してくれたレオ先輩。
大好きだよ。
大好き、だけど。
-
293
:
ピーチ
:2012/05/10(木) 23:29:16 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
うーn・・・。あたしはどうにも花南は好きになれないなぁ・・・←まさかの喧嘩した友達そっくりww
えぇぇぇぇ!?さつき先輩って、レオ先輩のこと好きだったの!?
294
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/11(金) 17:41:04 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
>ピーチ
ねここも厄介じゃないけど花南苦手w
わあ、こんな子が本当にいるなんて(´・ω・)!
イエス!←
さつきについては今度詳しく書くかもー!
295
:
ピーチ
:2012/05/11(金) 19:12:29 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
うん。そっくりww←未だに仲直りしてないしww
さつき先輩・・・早く新しい人見つけて!!
296
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/11(金) 19:17:17 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
▼ Loveletter
Loveletter(ラブレター)についての説明などなど…(´・ω・)!
小説の息抜きにでも読んでいただけると今までの話を思い出せるかなと思います。
暇があればぜひ読んでみてくださいね!
▽ 登場人物
如月百花(きさらぎ ももか) / 優しくて天然気味だけどちょっと狂っちゃうときがある。天然男タラシさんで愛らしい笑顔で男の子を虜にしちゃうよ。 / 梨花の姉で俊太の彼女 一度記憶喪失になって俊太をわすれるけれど思い出す / 高校二年生で軽音楽部所属
三浦芽衣(みうら めい) / ちょっとした問題児。いろいろと馬鹿かもしれない。発言や行動自体可笑しいし空気が読めない残念な子。 / 百花の友達 / 高校二年生でいろいろ部をつくり部長をやっている
佐々木海斗(ささき かいと)/ かっこいいお兄さん的存在な人。優しくて正義感が強いけどちょっと天然なのか女の子にとって恥ずかしいことをさらりとやっちゃうよ(悪い意味じゃなく)。 / 百花の先輩 妃芽の彼氏 / 高校三年生で軽音楽部の部長
中島雄二(なかじま ゆうじ) / 女遊びの激しい人。軽くて彼女はたくさんいるけど好きな子には一途だったりする。 / 百花が高校一年生のときの担任で現在百花が高校二年生だけどやっぱり担任は中島先生 軽音楽部顧問
桜羽妃芽(さくらば ひめ) / 天然で可愛い女の子。恋愛が苦手で不器用なところまでも愛くるしく見えちゃうよ。 / 百花の幼馴染 恋愛のことは梨花に相談してる / 高校二年生で仮にもテニス部所属
妃奈乃優衣(ひなの ゆい) / 体が弱い女の子。優しそうに見えて実は腹黒くて意地悪なぶりっ子さん。 / 海斗の幼馴染 / 高校二年生で軽音楽部所属
藤原俊太(ふじわら しゅんた) / かっこいい人。モテそうだけど女遊びとか一切しなくてすごく一途。最近だれかさん(主にねここ)のせいで残念キャラになってきてる。 / 百花の彼氏 梨花に嫌われている レオは良き理解者で親友 / 高校三年生でバスケ部の部長をやっている
如月琉花(きさらぎ るか) / 穏やかで恋バナが大好きな人。天然で可愛らしい感じ。 / 百花と梨花のお母さん / 年齢は秘密
如月純(きさらぎ じゅん) / 百花と梨花の恋バナがきらい。純曰く「お前たちに彼氏なんて……俺は認めない」だそうだ。 / 百花と梨花のお父さんで未だに娘溺愛中 / 年齢は秘密
すっごく長くなったのでいちど切りますね!
297
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/11(金) 19:17:41 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
如月梨花(きさらぎ りか) / 恋愛については計算高いけどそこが自分のコンプレックスな女の子。可愛い笑顔と態度や行動で周りの男の子も一瞬で虜になっちゃうよ。 / 翔の彼女 百花の妹 百花と俊太が付き合っていることを認めていなくて俊太を嫌っている / 高校一年生で吹奏楽部に所属
葵萌美(あおい めぐみ) / ちょっとお馬鹿さんな子。ムードメーカーで恋バナ大好き。みんなからめぐと呼ばれ親しまれてるよ。そういう意味では同性にモテる。 / 梨花の良き理解者で親友 ハルと良い感じ / 高校一年生で吹奏楽部に所属
遥音未花(はるね みか) / 天然で笑顔も行動もかわいい女の子。鈍感なところもまたかわいい。モテモテちゃんなはずだけど一途で鈍感だからハッキリ恋愛感情で好きって言わないと友達としての好きなんだと勘違いされる。 / レオの彼女 / 高校二年生で吹奏楽部の部長補佐をやっている
速水レオ(はやみ ――) / かっこよくてみんなをまとめることのできる人。決断力があって優しい、故にモテるけど一途さん。 / 未花の彼氏 / 高校三年生で吹奏楽部の部長
風雅有希(ふうが ゆき) / かっこいいっちゃあかっこいい人。チョークをおでこにあてるのが得意で指揮棒も投げたりする。戦士っぽくて超スパルタ。 / 梨花、翔、めぐ、花、小林くんのクラスの担任 吹奏楽部の顧問
風未莉子(ふうみ りこ) / ぶりっ子さんで嫌われキャラ。でもリーダーシップをとってみんなを導くことはできるよ(間違ったほうにだけどね)。 / 未花のライバルらしき人 / 高校二年生で吹奏楽部に所属
由羽乃花(ゆうの はな) / 明るくて可愛い元気な子。恋バナが大好きでなんでも全力でやるよ。すごく良い子。 / 翔の幼馴染 小林くんと良い感じ / 高校一年生で吹奏楽部に所属
桜羽翔(さくらば しょう) / 冷静かつ安定感のある男の子。クールっぽいと思いきや授業中の寝顔は最高にかわいくてギャップがやばいよ。 / 梨花の彼氏 花の幼馴染 / 高校一年生で吹奏楽部に所属
小林健太(こばやし けんた) / 気まぐれマイペースだけど優しい男の子だよ。 / 花と良い感じ / 高校一年生で仮にもバスケ部に所属
水野ハル(みずの ――) / 優しいイケメンくん。でも目立つのが嫌いな秀才くんでもあるからあまりまとめ役はやらない。 / めぐと良い感じ / 高校一年生でバスケ部に所属
桜さつき (さくら さつき) / めちゃくちゃ美形で美人すぎる可愛い女の子。人見知りだけどその容姿はみんなを虜にしちゃう。 / レオが好きだけど未花が傷つくからとその気持ちをわすれようとしている / 高校三年生で吹奏楽部に所属
及川遼 (おいかわ りょう) / 恐らくヘタレだと思われるキャラだったけど陰では強気で俺様系。さつきが好きなのか未花がすきなのかわからない。多分さつきが好きで未花は遊び。 / レオの友達 / 高校三年生で陸上部に所属
風乃花南(ふうの かな) / すごくすごくぶりっ子な女の子。陰でキャラが変わる。 / レオが好きだったけど振られてしまった / 高校三年生で帰宅部
遊希みなみ(ゆうき みなみ) / ギャルっぽい女の子。いつも花南の後ろにいるけれど恐らく強いと思われる。 / レオのファン / 高校三年生で帰宅部
こんなものかしら…(´・ω・)
すっごく長かったorz
なんだか長くなりそうなので小分けにして暇なときに書きます。
とりあえず今まで登場したキャラクターでした!
順番は登場した順です。
姿は出てなくて名前だけ出てきた場合でも一応その順番になってるので、名前が出てきた順番みたいな感じかな。
あと苗字は大体名前しかない人が多かったんで必死に考えました(笑)
next→設定的な!(ことをやりたいと思っている←)
-
298
:
ピーチ
:2012/05/11(金) 19:59:07 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
うわわわっ!!気付かなかったけどめっちゃ登場人物増えてたんだね!!
あたしはー・・・多分少数が多いww←最近名字&名前が思い浮かばない→従って友達の名字&名前を借りるという卑劣なことをする。
・・・↑はちゃんと本人の許可もらってるからね!←誤解されないために!!
299
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/11(金) 21:41:53 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
>ピーチ
今思ったらすっごい人数いたね!←
でも主人公は少なめかなあ。
あ、わたしもたまにそれするw
今回はやってないけど苗字考えるときクラスの人の苗字を書きかけた←
300
:
ピーチ
:2012/05/11(金) 21:46:00 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
マジッ!?でもさー、本気でしないだけましじゃん?←あたしなんか「いい?」って聞いて使ってるしww
あ、それと質問しても宜しいでしょうか?
あのさー・・・恋愛物の小説で、男子ってどういうキャラがいるかな?それから、告白ってどうすればいいの?
・・・↑何かゴメン。うn。マジゴメン。
次さー、恋愛物書こうと思ってるんだよねーww
301
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/11(金) 21:57:37 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 遊園地デート side未花
さつき先輩の気持ちを知った以上、レオ先輩と今まで通りに接することはできなかった。
いつもみたいに甘えたり頼ったりしようとしても、なんだかためらう気持ちが出てきてしまう。
そんなわたしに気づいたのか、さつき先輩がレオ先輩の隣にいたわたしに声をかけてくれた。
レオ先輩に聞こえないようにと少しレオ先輩と離れたところに行く。
「未花、遠慮してるでしょ」
「う、まあ……それなりに」
「……遠慮しなくていいよっていうのは難しいかもしれないけど、本当に気にしなくていいよ」
「どうして」
どうしてさつき先輩はそれでいいって思えるんですか?
そんな質問が頭の中で思い浮び言いかけるけれど、最後まで質問を言うこともなくさつき先輩が答えてくれた。
「わたしは初めて好きになったレオに幸せになってほしいの。あと、初めて可愛いって思えた後輩にもね」
そう言って微笑むさつき先輩は、やっぱり心からの笑顔ではなかったような気がする。
でもそれに悲しみや寂しげなものは混じってなくて、さつき先輩は本当にそう思ってくれているんだなと思った。
「わたし正直、さつき先輩にレオ先輩をとられないか心配でした。――でも、さつき先輩は優しくて」
優しくて、わたしが悪者みたいになっちゃってる。
レオ先輩と結ばれて悪者になってて、嫌な奴だ。
でもさつき先輩はレオ先輩を譲ってくれて結ばれてない可哀想な人になるのかな。
そう考えれば。
「プラマイゼロ、ですかね」
ぽつりとつぶやいた。
その言葉にさつき先輩がやっと心からの笑顔を浮かべてくれたような気がする。
「わたしにとってはプラマイプラスだよ」
疑問符を浮かべながら「え?」と声を漏らした。
さつき先輩がキラキラと輝いた目で言う。
「人見知りなわたしが好きって思える人ができて、可愛い後輩もできて優しくしてもらって――ねえ、これ以上の幸せってないと思わない?」
さつき先輩の幸せって。
なんだか狭い範囲というか、わたしたちにとってちいさな幸せが最高の幸せなんだなって思った。
でもそう思えるってすごく素敵なことだと思う。
「そう、ですね――じゃあ」
こそりとさつき先輩に耳打ちした。
さつき先輩は驚いたような顔をして言う。
「いいの? だってわたし――」
「先輩、伝えたくてたまらないって顔してますもん。それにさつき先輩にはスッキリしてもらいたいな――って、なんか嫌味っぽかったですか?」
「ううん、全然! むしろうれしいよ」
さつき先輩だいすき。
そう思いながら耳打ちした言葉。
――レオ先輩に、さつき先輩の気持ちを伝えてあげてください。
きっとレオ先輩は困るかもな、悩むかもしれない。
それでもさつき先輩も大好きだから。
レオ先輩、ごめんね。
でもわたし、レオ先輩のこと信じてるよ。
-
302
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/11(金) 22:02:20 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
>ピーチ
あははw でも本人に許可とれたなら全然良いと思うよー!
おお、恋愛ものかあ!
うーん、わたしの場合はレオと俊太と海斗と遼と小林くんとハルと翔がいるんだけど、性格は同じようなものかもしれなi((
でも一人一人の個性を出してるよ!
レオはリーダーシップとるのが得意で海斗は天然っぽくて優しい系で俊太は馬鹿っぽいけど人気者で遼は嫌な奴←で小林君は無難に優しくてハルは発言はしてないけど正義感の強い人で翔はクール系かなあ
告白は男子はストレートだと思う!ということでふつうに「好きだよ」とかって言わせてる←
好きだとか好きだぜとか、かっこつけるのもいいと思うけど現実的に考えてだぜとかだで終わる人は少ないかな?って思った。
小説のほうがんばってね!
恋愛楽しみですv 早く読みたいなw
303
:
ピーチ
:2012/05/11(金) 22:31:15 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
おぉっ!!大先生様のアドバイスもらっちった♪ラッキーww
ってゆーかさ、友達曰く「告白は男子で、顔がゆでだこ!」ってゆってたけど・・・どーゆー意味??
あ、ちなみにその恋愛物の主人公はめっちゃ鈍いっ!みたいな感じ?ww
304
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/12(土) 19:31:11 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
>ピーチ
大先生じゃないね!ごめんね(´・ω・)
えちょ、その友達意味わからんw←
まず日本語が成り立ってないけど、きっと男子が告白して(もしくはすると)顔が真っ赤になった(もしくはなる)ってことなのかなあ?
鈍い男の子は厄介だよね←
楽しみだー!
305
:
いちごみるく
◆yC4b452a8U
:2012/05/12(土) 19:57:20 HOST:p154.net112139151.tokai.or.jp
更新する度ねここ様の小説見させてもらってます!
見やすくて一言で言いますと最高ですね!憧れます。
いやいや、お世辞ではありませんよ?
まじです。
更新待ってます!
306
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/12(土) 20:40:51 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 遊園地デート sideさつき
「レオ、ちょっと来てくれないかな」
「ん? いいけど」
未花は優しいからきっと遠慮してわたしに告白していいよって言ってくれたのかな。
そう思いながら、それでも未花のうれしそうな笑顔に甘えてレオに思いを伝えることにした。
そっとレオの袖をつまむと、レオは茶色い髪の毛をふわりと揺らしながら振り向く。
好き、なのかな。
わたしの心には迷いがあったけど、わたしがこれから伝えるのはきっと好きって気持ちではないのかもしれない。
好きってはいうけど、恋愛感情じゃないかもしれないし。
そう思いながら、ゆったりと進む観覧車へ乗った。
「さつきから誘うとか、めずらしいな」
ふわりと微笑むきみ。
きっとこの笑顔で何人もの女の子の気持ちを奪ってきたんだろうな。
わたしは、ちょっとちがうのかもしれないけど。
「あのね、長くなるけど聞いてくれる?」
――わたしね、レオのことが好きなのかもしれないの。
いつからかわからないけど、きっと病院で会ったときからずっと。
わたしにはお兄ちゃんがいて、大好きで大好きでたまらない存在の人だったんだけど――
その日、レオとぶつかる前にね、死んじゃったの。
原因はあとから知ったんだけど発作が悪化しちゃったんだって。
いつもお兄ちゃんについてくれてたベテランの先生が違う人の手術でいそがしくて。
それでね、レオはお兄ちゃんと声も姿も香りも全部そっくりで……
たぶんきっと、重ねちゃってたんだと思う。
だから本当に好きなのかどうかはわからなくて、でも。
――でも。
その言葉を残して、わたしの話は終わった。
レオは次の言葉を待っていたっぽかったけど、わたしはもう話したくなんかなかった。
お兄ちゃんが帰ってくればいいのに――ずっと、そう思ってた。
お兄ちゃんはなんでわたしを置いていっちゃったの?
わたしが悪い子だから、わたしが素直じゃないから。
そんなことを考えても、お兄ちゃんが帰ってくることはなかった。
目からながれる涙がお兄ちゃんのことを思い出させる。
その瞬間、レオがぎゅっとわたしを抱きしめた。
吃驚したけど安心できるその香りに思わずつぶやく。
「おにい、ちゃん……」
「……俺はさ、さつきのお兄ちゃんらしくないところもあるかもしれないけど」
レオが言う。
仕草までお兄ちゃんとそっくりだ。
「――俺が、さつきのお兄ちゃんになるよ」
え?
思わずそう声を漏らした。
照れ隠しのよくに髪をくしゃくしゃするのもお兄ちゃんと似てる。
「だから、その……さつきが不安なときは傍にいるし、さつきが泣いてるときは慰める――だからさ、泣かないでよ」
レオは優しい。
もうお兄ちゃんにしか見えない。
「でも、未花が」
「未花もそのほうが喜ぶと思う」
いいのかな、こんなに甘えてしまって。
そう思いながら今だけは、と思ってレオにぎゅっと抱きついた。
-
レオとさつきはすき。
未花も好きだけどとりあえずこうなった。どうなった。
307
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/12(土) 21:12:53 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
>いちごみるく様
わわ、ありがとうございます!
最初は好奇心で始めたものだったのですが、そう言っていただけるとすっごく嬉しいです!
お世辞でも嬉しいのにお世辞じゃないだなんて……めっちゃ嬉しいですv
更新がんばりますね!
308
:
ピーチ
:2012/05/12(土) 22:42:39 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
いやいや、大先生様で御座いますww←アホ。
うーん・・・そーゆーことかなぁ?
あ、ちなみに、その恋愛物の主人公は旅館の若おかみって設定←意味分からんww
他人のことにはむちゃくちゃ鋭いけど、恋のことになると他人のことに関しても鈍くなる悲しい設定ww←自分のことは特にww
309
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/12(土) 22:46:04 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / (プラマイゼロではないのです)(プラマイプラス) sideさつき
「――そういえばね」
「うん?」
レオ――ちがう、お兄ちゃんの隣は暖かかった。
髪の毛から、腕から、手から。
わたしの大好きな香りがして思わず微笑んでしまう。
観覧車には狭い幅の椅子が向かい合わせでふたつあったけれど、わたしたちでひとつの椅子に座っていた。
距離を縮めたくて――向かい側の誰もいない椅子はどこか寂しさを感じさせた。
「わたし、遼って人に告白されたの」
「え、マジで? 元々遊園地も遼がさつきにアタックするとかで行くことになったんだけど――アイツ告白したのか」
驚いたような表情をする彼にわたしはふふっと微笑む。
なんだかお兄ちゃんと呼ぶのは慣れなくて、今まで通りレオと呼ぶことにした。
「付き合う、の?」
「付き合わないよ、レオは心配性だなあ」
「だってアイツ性格悪そうだしっ」
あわててちがっ、と否定するレオにまた微笑みかける。
外を眺めれば大きい観覧車だからやっと天辺についたようだった。
「……未花と」
「え?」
「未花と観覧車乗るよね、このあと」
わたしが外を見つめながらぽつりとつぶやいた。
レオは戸惑ったようの頬を赤らめて言う。
「うん、まあ、多分」
「……天辺にいったらキスしてあげてね」
「え? でもさつきはいいのかよ」
レオは心配性だなあ、って言葉。
さっきも言ったけど本当にそう思う。
「……レオの彼女は未花でしょ? 大事にしてあげなきゃ」
「さつき、こっち向いて」
「え?」
ぐいっと優しく、それでも力強く肩をつかまれた。
真剣なレオの表情にドキンと胸が揺れる。
無言のまま、レオの顔が近づいてきた。
キス、される?
そう思ったけど、わたしは拒否しなかった。
できなかった、したくなかった。
レオが好きだから。
でも、直前でだめだということに気づく。
それはレオも同じようで、顔と顔の距離がもうなくなるってところでピタリと止まった。
はあ、と肩を落としてレオがわたしに抱きつく。
「やっぱだめだ、二人きりになるといつも迷う……」
「いつもなの?」
「や、いつもっつーか……未花もさつきも同じくらい大事だから」
真剣にこういうことに悩んでくれるのってうれしい。
そしてこうやって真剣に悩めるのって羨ましい。
ばか、とちいさくつぶやいてから言った。
「レオは未花を大事にしてあげていいんだよ、わたしは所詮妹、だもん」
自分で言ってて嫌になってきた。
なんだか可哀想アピールしてる嫌な奴にも思えてきた。
――でも。
「所詮なんかじゃねえよ……俺はさつきを妹じゃなく女としてみてる、よ」
途切れ途切れになってそれでも一生懸命言うレオに微笑んだ。
ありがとう、やっぱり優しいね、って。
本当に、わたしとレオたちの出会いはプラマイゼロなんかじゃなかったよ。
-
310
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/14(月) 20:58:43 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / あまい sideさつき
「……レオは優しいよね」
こんなわたしの傍にいてくれて。
未花がいるのに、わたしとの時間も大切にしてくれて。
それをうれしいと思いながら、どこか切なく感じる自分もいた。
そんなに優しくしないで。
諦められなくなっちゃうよ、もっと好きになっちゃうよ。
「……優しくなんかないよ」
「優しいよっ」
優しいことを否定するレオに思わず反抗的な態度で言った。
その優しいは決して良い意味のものではなくて、「優しすぎるんだよ!」と本心を告げるような言葉だった。
「れおきらい……」
「え、あ……さつき、泣かないで」
泣かないでなんて優しいこと言われても。
泣きやめるわけないじゃん、馬鹿。
「レオが」
「俺、が?」
ながれる涙はとまりそうもなくて、仕方なくぼろぼろとあふれさせたまま言う。
本当の気持ちを、わたしの本心を。
「レオ、がっ、わたしに振り向いてくれたらなってっ、おもっちゃうっ、じゃんっ」
途切れ途切れになって話した言葉。
それでも、レオの驚いたような表情でさえも愛おしくて大好きになってしまった。
「あ、その……」
レオの困ったような表情に一気に現実に引き戻される気がした。
「ごめんねレオ、気にしないで……」
観覧車が終わった。
降りたあと、レオに微笑みかけていう。
早くここから離れたくて走ろうとした瞬間、レオに腕をつかまれた。
「そ、の……俺、さつきのこと好きだよ」
「え……?」
「いや、これが恋愛感情かとかはわからないけど――きらいに、ならないでくれるといいな……なんて、自分勝手か」
ははっ、と苦笑するレオに思わず抱きついてしまった。
わたし自身抱きしめたいと思ったわけではあるけど、未花とレオの仲を邪魔したいわけではない。
でも、レオがすこしでも振り向いてくれそうなんだもん。
「自分勝手じゃない、よ……嫌いになんかならないから、レオもわたしのこと嫌わないでっ」
レオが自分勝手だと言うのなら。
わたしこそ、自分勝手だと思う。
そんなことを思いながらぎゅうっとレオを抱きしめる。
わたしの背中に、レオの腕が回されるのがわかった。
「嫌わないよ、大丈夫」
その言葉に安心して、また涙があふれてきちゃったのは秘密。
-
うああああ!
さつきとレオがくっつけばいーのにってsideさつきのときに思うわけだけどside未花になるとやっぱりレオは未花じゃなきゃとか思っちゃう。
優柔不断なのはレオじゃなくねここだったっていう←
ちょっとコメントの返レスおくれまーす
311
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/15(火) 16:33:57 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 振り向いて sideさつき
「わあ、ラブラブなバカップルさんだあ……と思ったらレオ先輩とさつき先輩じゃん!」
「みみみ未花先輩はどうするんですか?!」
――聞き慣れた声が槍のように飛んできた。
梨花の明るくてかわいい声と、翔のあわてた感じの言葉にびくんと肩を揺らす。
「ちがっ――」
「違うよ梨花、翔。わたしが泣いたのをレオが慰めてくれただけだよ」
レオの困った表情に思わず嘘を吐く。
だってレオ、わたしとの仲を誤解されたくないみたいだし。
たしかに未花がいるから仕方ないんだけど、と思いながら単純に納得した梨花と翔に微笑みかけた。
「さつき先輩っ、なんで泣いたのかはわかんないけど元気出してね」
「え……?」
「なんか辛そうだから」
梨花は明るくてムードメーカーっぽくて可愛くて、気遣いとかできて優しい子だけど。
そんな子に気遣ってもらうとなんだか恥ずかしくなってしまう。
「……ありがと」
ちいさな間をあけてから、ふたりで腕を組んで観覧車に乗り込む梨花と翔をきみたちこそバカップルじゃん、と思いながら見送った。
「さつき、その……ごめん」
「謝らなきゃいけないのはわたしのほうだよ――梨花と翔に変な誤解させちゃってごめんね」
レオはかっこよくてみんなをまとめられて頼りがいがあっておもしろくて優しいのに。
なんでこういうことになると弱気なヘタレになっちゃうんだろう。
「……いいよ、レオ。無理しなくて」
「え?」
あきらめきれたわけじゃないけど。
「わたし、レオを好きになるのやめる――すぐ、そんな風になれるわけじゃないけどがんばるよ」
ねえレオ。
わたし、レオと出会えただけどうれしかったよ。
-
まあいろいろアレな展開がつづきます。
とりあえずここでいろいろあったことにして次から学校編に戻るかと。
レオのクラスでいろいろあるかもよ!
未花ちゃんちょっと封印っつうかちょこっと登場が多くなるかも。
主にレオ・さつき視点で書いていきます!
きっといつか未花の心情もやるけどね。
おわれ!
312
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/15(火) 18:58:06 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 憂鬱 sideレオ
遊園地から帰ってきて、あっという間に憂鬱な学校が始まった。
――何でこう俺は優柔不断なんだろう。
そう思いながら、それでも未だに未花かさつきかどちらかを選ぶことができない。
周りから見れば俺は「憂鬱な高校生」なんだろうけど、吹奏楽部でみんなをまとめなきゃいけないこともあってまた不安が増えてきた。
みんなをまとめるのくらい当たり前のことだろ、なんとかしなきゃ、と自分を説得するように考えてからぎゅっと手に力をいれた。
固く握られた拳には、俺の迷いの気持ちを消すことはできなかったけど。
「レオ、おはよ」
さらりと、俺の横で金色の髪の毛が舞った。
いつもおろされた金髪が今日は低めの位置で二つに結ばれていて、いつもと違うさつきの姿に少し動揺してしまう。
「お、はよ……」
「レオ。わたしね、好きな人ができたの」
そう言って微笑むさつき。
なんでだろう。
胸がズキリと痛んだ。
-
はいここからさつきのすーぱーたいm(ry
なんというか、アレです。
ネタバレになるので書きませんがさつきは変わったのです!←
313
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/17(木) 16:29:15 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / sideレオ
さつきに好きな人ができたって別に俺には関係ないだろ。
いや、でも告白されたしさつきは俺の妹みたいなものだから少しは関係あるのかな……。
つーかもうもう憂鬱どころじゃないだろ。
そう考えているうちに虚しくなってきた俺は無邪気に微笑むさつきに苦笑を浮かべた。
「そっか、よかったな」
「……うん」
ちいさな間を空けて俯くさつき。
どうしたんだろう、と思いながらそれでも口出しすることはできなくて――
思わずくしゃりとさつきの髪を撫でた。
乱暴だったけど、さつきの二つに結んだ髪が崩れないように。
「……レオ?」
「な、なんか……気に、しないで」
こんな弱気でヘタレな俺なんていなくなればいいのに。
そう思いながら、それでも微笑みかけてくれるさつきにもう一度、今度は優しく頭を撫でた。
×
「レオ先輩いぃいぃぃいぃっ!」
音楽室にわめくような声が響いた。
俺はわめいた張本人――梨花を呆れたような表情で見つめながら言う。
「はいはい、どーしたの?」
「ピアノがなくなりました! これじゃあコンクール練習ができません!」
「は?」と、間抜けな声を漏らす。
だってあのピアノは重いし、有希先生がプロの長崎さんを呼んでこまめに旋律を合わせてるし、こんなことを有希先生が知ったらどうなることか。
「……とりあえず梨花、お前有希先生のクラスだよな?」
「はい、そうですけど」
きょとんとした表情を浮かべる梨花に教室のほうを指差しながら指示する。
「有希先生のクラスならオルガン置いてあるだろうから、そこで練習してて! ピアノ以上の演奏はできないと思うけど練習しないよりマシだろ」
「はーいっ」となぜか楽しそうな笑顔を浮かべる梨花に首を傾げる。
そして周りを見渡すとピアノがなくなったことでやっぱり音楽室がざわついていた。溜め息を吐いてからパンパンと手を叩いて俺が言う。
「みんなは練習してろよー、ピアノは俺が探してくるから」
「えー、でもレオ一人じゃアレじゃない?」
アレってナニだよ、と思いながら反論してくる鈴を見つめた。
クラリネットを手にする鈴が「手伝おっか?」と訊いてくれたけれど、俺はいいよ、と首を左右に振りながら言った。
「鈴はクラの練習があるだろ?」
「それをいうならレオだって、ピアノの練習あるじゃんかー」
う、と言葉に詰まる。
それを言われたらおしまいだと思いながらそれでも冷静に言い返した。
「俺はいいよ、家で練習するから――とにかく探してくるから三年生、代わりにまとめててな」
「はーい」と緩い返事が聞こえたところで音楽室から出る。
どうしようと思いながらとりあえず思い当たるところを探す。
――体育館か?
いや、でも体育館にはもう一つピアノがあるし。
そう思いながらそれでも体育館を探す。
でも見当たらなかった。
バスケ部の人に手を振られても振り返す余裕さえないし。
三年の教室、二年の教室、一年の教室。
放送室や図書室も、保健室まで見たけどどこにもあのピアノの陰でさえない。
職員室をチラリと覗いてみたけれど、まず職員室にはあれだけ大きいピアノが入る隙間さえないし。
表向きは仕事が忙しいとか言っておきながら裏では部活に行くのが面倒だと言っている有希先生を職員室のドア越しに見つめる。
前まではちゃんと部活来てくれるといいんだけどな、と思っていたけれど今はできればこないでくれという気持ちでいっぱいだ。
俺はまた走り出すと、唯一探していなかった屋上へと向かった。
-
なんでなくなったのをピアノにしたか。
それはレオが大事なものだからです、きっと←
ていうかそこらへんはよくわかんないっす←
えへへー
かっこいいレオを見せたかったのよ(笑)
-
314
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/17(木) 21:13:50 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 屋上とピアノ sideレオ
――屋上に吹く風が冷たかった。
じわりと汗が染み込んだジャージに風が通り逆にそれが心地よく感じてしまう。
「あ、きたよっ」
「レオくんっ」
そこにいたのは――
「花南、みなみ……」
「レオくん、やっぱり花南レオくんのことが好きだよ」
直球にそう言われて俺は何も言えなかった。
そんなことよりピアノだ、という思考しかなかったし。
「ピアノ、花南たちがやったの?」
「……だって、そうでもしなきゃレオくん花南に振り向いてくれないじゃん」
頬を赤らめる花南に罪悪感が生まれた。
「ごめんな……でも俺、花南のこと嫌いってわけじゃないよ」
さらりと音をたてて花南の髪を撫でる。
別に俺は花南のことが嫌いなんかじゃないし、恋愛感情ではないけど友達としては好きだし。
「……やっぱりレオくんは優しいね」
さつきにも言われたようなその言葉。
またかと思いながらそれでも言葉をつづける花南に少し動揺した。
「その優しさがちょっと辛いんだけどね――どうせ突き放すなら強く突き放されたほうがスッキリするのに、優しくされたらもっと好きになっちゃう……」
花南の言葉を聞いてこれか、と思った。
さつきも俺のことを好きでいてくれて――俺が優しくしちゃったから。
でも、好きな人ができたって言ってたし。
「あ、レオくん……ピアノ屋上に持ってきたの花南だから、花南戻すよ」
「いや、重いからいいよ。ありがとな」
そう言ってピアノを持ち、できるだけ傷つけないように屋上を出て運ぶ。
あの重さであの大きさを一人っていうのはかなり無理があったけど。
やっぱりそれに気づいた花南とみなみが一緒に運んでくれた。
-
うぬふ!←
花南をいい子にしたかったお話。
315
:
ピーチ
:2012/05/17(木) 22:13:04 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
・・・花南はなぁ・・・←何で呼び捨て!?
うーん・・・美花先輩とレオ先輩の邪魔しないてーどなら許せるかもw
316
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/17(木) 22:27:42 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
>ピーチ
まあ、花南もそろそろ諦めるよ(笑)←
なんとかなるさー!
317
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/17(木) 22:28:05 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / sideレオ
「ふうっ」
「わ、レオ先輩力持ちー……じゃなくて大丈夫ですか」
音楽室のポッカリと空いた位置にピアノを置くと、周りにいた部員が再びざわつき始めた。
感心した様子を見せる未花だけど、しばらくしてこの状況に気づいたのか軽く突っ込みをいれるように言う。
「わあ、音楽室涼しいですねー……って、レオ先輩もう戻ってきたんですか」
教室が暑かったのだろうか。
そう思ったけれどよく考えれば音楽室は冷房がきいていて涼しかった。
キイ、と歪んだ音を立てて梨花が音楽室のドアを開けると、またも突っ込みのように今度は戻ってきたことを吃驚された。
「んな残念そうな顔すんなよ」
「いやあ、だってオルガン練習楽しかったんですもん」
そっか、とつぶやいて軽くスルーする。
すると梨花の隣にいためぐがコンクールの質問をしてきた。
「あの、梨花が出るコンクールってレオ先輩は出ないんですか?」
「ああ……うん、あれは新入生コンクールだから」
頷いてみたはいいものの実際どうなんだろうと思い詳しいことが書かれているプリントを取り出す。
ほえー、と微妙な声を出して納得するめぐと梨花にははっと微笑む。
「さ、じゃあ練習練習! コンクールチームとその他に別れてなー」
俺が指示するとまた周りがざわつく。
このくだりなんとかなんないのかな。
「合奏ですかー?」
「何やんの?」
「つかコンビニ行きたい」
「お前はむしろ逝け」
「いやお前こそ逝け」
「肉まん食いてええええ!」
「わたし買ってきてあげようか」
「え? いいの?」
「もちろんお金は十倍返しね」
「やっぱやめとくー」
「練習だー」
好きなことを話す部員たちに何だかどうでもよくなった。なんか逝く話になってるし。
そう思いながらもパンパンと手を叩いて指示をつづけた。
「えーと、今日は新曲配りまーす」
「え? わたしも新曲やりたい!」
びしっと手を挙げる鈴につづき梨花やめぐもそれに賛同したけれど、お前らはコンクールメンバーだろ、という目線を送った。
えーと、とたくさんのプリントの中から数枚を取り出すとそれを見ながら説明する。
「一曲はフライングゲットでフルートはアドリブソロあるから後で決めるとして……あとはMonsterな」
「なにその選曲、どこで演奏するの?」
俺もAKBと嵐ってなんでだろうって思ったよ、と言い返す。
そしてまた別のプリントを見て言った。
「えーと、吹奏楽祭だからまあ楽しいサプライズ的なのも用意しなきゃなー……吹奏楽祭委員やってくれる人ー」
「えー」「楽しみー」という声が広がる部員たちに訊いても中々手を挙げる人がいなかったからぼそりと言ってみた。
「俺も手伝うからさー」
「あ、じゃあわたしもやります!」
釣られて未花が手を挙げた。
「カップルさんに任せるのも悪くないけど、ふたりだと大変だろうからわたしもやりたいな」
鈴もにこりと微笑んでくれる。
よかった、と思いながら他にいないかー?、と見回した。
「じゃあ俺も」
「あたしもー」
「え、あたしもやるよ!」
「わ、わたしだって」
一年生メンバーが翔、梨花、めぐ、花の順番で言う。
そこに三年男子もちょっと入って、最後に手を挙げたのはさつきだった。
「レオ、わたしもやりたいな」
「あ、さんきゅ」
なんか二つ結び照れる。
見てる俺が。
そう思っているうちに吹奏楽祭委員メンバーが決まって音取りとコンクール練習が始まった。
-
ぐだぐだー
うん、吹奏楽祭きゃっほい
318
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/18(金) 21:25:15 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 吹奏楽祭委員! sideレオ
「えーと、吹奏楽祭委員になってる人は1−Fに集まってください!」
パーッ、と切れの良いトランペットの音を最後に、皆の演奏が止まった。
「楽譜持ちますかー?」という梨花の質問に「ああ、うん」と頷きながら音楽室のドアの歪んだ音を鳴らす。
「レオ、わたしちょっと遅れるね」
「え? ああ、何かあるのか?」
「うん、ちょっと……ね」
くいっと俺のジャージを引っ張るさつき。
何だかいつも通りに接することができなくて、ちょっと動揺しながら話した。
何でだろう。
顔が熱い。
×
「だーかーらー! Monsterもフライングゲットも和音的に暗い感じなんですよばかあ!」
梨花がわめく。
きゃんきゃん吠える梨花にそう言われても、と思いながら言った。
「曲自体は良い曲なんだし、どっちもかっこいい曲じゃん」
「でも吹奏楽祭の雰囲気じゃなくないですか?!」
梨花の反論に鈴が悩む素振りを見せた。
「うーん、そう言われればそうなのかなあ……」
「でも梨花吹奏楽祭出たことないだろ」
納得しかけてしまった鈴にだめだと思ったのか翔が突っ込む。
う、と言葉を詰まらせた梨花だけどすぐにまた吠え出した。
「でもでもでも! 吹奏楽祭はぱあっとした感じじゃないですか?!」
「まあ……でも曲はもう決まったんだからそれについてはもう終わろう」
不満げな梨花をなだめるようにそう言ったあと、本題へとうつった。
振り付けや強弱などを確認しながら決めていく。
そしてふいに、さつきが未だに来ていないのがわかった。
「さつき遅いなー……」
「なんかあったんでしょうか?」
俺見てくるわ、と言い残してから1−Fの教室を出た。
また顔が熱くなったらどうしようと思いながら、それでも心配だったから。
×
「――さつき、いるんだろ?」
心地良い風が通る保健室。
部員から聞いた話だと、さつきはここに来ているらしい。
保健室のベッドをそっと除くと、そこにはいつものさつきの姿があってなぜかまた顔が熱くなる。
でも、苦しそうなさつきの姿に少し戸惑ってしまう。
「……さ、つき?」
熱があるのかな。
そう思いながら、無防備なさつきの姿を見て顔がますます熱くなってしまったからそっとその場を去った。
-
319
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/18(金) 23:00:54 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 吹奏楽祭委員! sideレオ
「ふぁえ? ふぁふふぃへんふぁいはー?」
「梨花、それじゃ何言ってるのかわからないよ」
俺がさつきの所に行っている間に差し入れがあったのか、もしくは買ってきたのか。
机の上には購買で買ったであろう大量のパンが置かれていて、梨花が美味しそうにメロンパンを頬張っている。
そのせいで梨花が何を言っているかがさっぱり俺に伝わらなくて、半ば呆れた表情で翔が突っ込んだ。
「さつきは保健室で寝てたよ、何か熱あるみたいでさ」
「うぐ……そうなんですか? 大丈夫かな、さつき先輩」
喉に詰まりかけたのか、梨花がじたばたと動きながらごっくんとメロンパンを飲み込んだ。
そして心配そうな表情をしながら独り言のように言う。
「んー……帰り送ってくか」
「レオ先輩には未花先輩がいるじゃん」
俺の発言に梨花はまたパンの袋をあけて次はクリームパンを頬張ってから未花のことを話す。
未花が照れたような表情で、それでも梨花に突っ込んだ。
「梨花ちゃん食べ過ぎじゃない?」
「ほえ? そうっすか? こんぐらい平気ですよー」
とにかく、と俺がパンを食べる梨花の手を止めさせた。
吹奏楽祭のことが先だと思いながら面倒臭そうな表情を浮かべる鈴に訊く。
「……シンプルにやろうか?」
「さんせーい」
鈴の適当な賛成に他のメンバーも頷いて、結局吹奏楽祭委員は解散した。
×
「――フルートいまいちだな」
パート練習の様子を眺めてぽつりとつぶやいた。
パートリーダーの未花が負けじと俺に反論してくる。
「ふ、普段はさつき先輩がだめだところとかカバーしてくれてるんです」
そっか、と頷くとくしゃりと未花の頭に手を置いて微笑む。
「協力ってのもいいとは思うけど個人個人でしっかり吹けるようにな」
「ふぇ、はいっ!」
撫でられて驚いているのか、未花が変な声を出してから勢いの良い返事をする。
さつき、本当に大丈夫なのかな。
×
「未花仕切っといてー」
「はーい」
こんな遣り取りをして、俺は真っ先に保健室に向かった。
今行くのはおかしくないか? いや、でも俺以外に誰が行くんだよ。そんな思考を巡らせて足を進める。
「失礼しまーす」
ベッドに近づく。
さっきより、さつきの息が荒いのがわかった。
「……さつき、さつき?」
ぐわんと少し揺らしてみる。
このまま寝かせるのもアレだし、いいよな。
「……れ」
「さつき、起きたか?」
俺の名前を呼ぼうとしたのか「れ」と言いかけるさつきの腕に触れた。
「……レオ」
ぽつんとそう言い残して。
俺の唇に何かが触れた。
目を開くと間近にさつきの顔があって。
てことはキスされて。
さつきは幸せそうにぐっすり眠ってしまった。
-
ねむいー
320
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/19(土) 16:45:06 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / キス sideレオ
顔が熱い。
――いや、顔どころじゃなく全身熱くなってるかもしれない。熱がうつってたりして。
隣で無邪気に微笑みながら眠るさつきを見て、俺は思わずその場から逃げ出した。
でもきっと顔赤いし、このまま行ったら絶対何かあったと思われるだろう。
そう考えると音楽室にも戻れなくなって、保健室の近くにある俺のクラスへと向かった。
×
ふう、と溜め息を吐く。
顔が赤いのが中々治まらなくて、ひんやりとした冷たい壁によっかかっていた。
さっきのことを思い出してしまう。
その瞬間、近くで躓くような音が聞こえた。
「いてっ」
「え? ……なんだ、鈴か」
教室のドアがはまっているくぼみのような所に躓いて転んだようだ。
俺は顔が赤いことなんて忘れて呆れたような表情で見つめると、顔を上げた鈴に爆笑された。
「ちょ、レオ顔っ! 顔赤っ!」
「な、ちょっ……お前だって転んだくせに」
「それは仕方無いんですー」
「仕方なくねーよ!」
くだらない言い合いに思わず笑ってしまった。
でもむくりと立ち上がった鈴の表情はどこか寂しげなもので――
「……なんかあったの?」
鈴くらいには、話したいなって思った。
×
「ほええええ! さつきちゃんもやるねえ」
俺がさつきに寝ぼけてキスされたことを言うと、鈴は奇妙な声を出して驚いた。
でも、と俺が話をつづける。
「俺自身よくわかんねえんだよ……未花が好きなのか、さつきが好きなのか――でもさつきには好きな人いるし」
「……レオって鈍感だよね」
「は?」
「女の子の気持ち察せないとか、マジ有り得ない」
何だか鈴に言われるとイラッとくる。
なんだこのイライラ感、お前のが鈍感だろって言いたくなる。
「……どういう意味だよ」
「だーかーらー! さつきちゃんの好きな人!」
「はあ? さつきの好きな人がなんだよ?」
意味わかんねえ。
そう思いながら顔をそらした瞬間、鈴がキッパリと言った。
「レオだよ」
「え?」
「さつきちゃんの好きな人、レオだよ」
ふざけてるのか?、と思い鈴の顔を見ると、それは極稀に見るとてもめずらしい鈴の真顔だった。
「……さつきちゃん、わたしに相談してくれてたの。レオには未花ちゃんがいて、でもわたしは好きでいつづけたいからレオには内緒にするって」
もやもやが晴れたような気がした。
「レオさ、きっと今さつきちゃんも未花ちゃんも好きなんだよ」
「え?」
「いいと思うよ、人生そういうこともあるし。いずれレオがハッキリ決めてあげればいいんだからさ――でも」
ふふっと微笑んでいた鈴だけど、「でも」という言葉を言った瞬間急に真剣な表情になる。
「未花ちゃんにさつきちゃんのことも好きっていうことはまだ話しちゃだめだよ」
「隠し通してでも、その恋は大切にしなね」
そう微笑みかけて、鈴が教室を出た。
隠し、通すのか。
-
321
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/19(土) 16:46:32 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / キス sideレオ
顔が熱い。
――いや、顔どころじゃなく全身熱くなってるかもしれない。熱がうつってたりして。
隣で無邪気に微笑みながら眠るさつきを見て、俺は思わずその場から逃げ出した。
でもきっと顔赤いし、このまま行ったら絶対何かあったと思われるだろう。
そう考えると音楽室にも戻れなくなって、保健室の近くにある俺のクラスへと向かった。
×
ふう、と溜め息を吐く。
顔が赤いのが中々治まらなくて、ひんやりとした冷たい壁によっかかっていた。
さっきのことを思い出してしまう。
その瞬間、近くで躓くような音が聞こえた。
「いてっ」
「え? ……なんだ、鈴か」
教室のドアがはまっているくぼみのような所に躓いて転んだようだ。
俺は顔が赤いことなんて忘れて呆れたような表情で見つめると、顔を上げた鈴に爆笑された。
「ちょ、レオ顔っ! 顔赤っ!」
「な、ちょっ……お前だって転んだくせに」
「それは仕方無いんですー」
「仕方なくねーよ!」
くだらない言い合いに思わず笑ってしまった。
でもむくりと立ち上がった鈴の表情はどこか寂しげなもので――
「……なんかあったの?」
鈴くらいには、話したいなって思った。
×
「ほええええ! さつきちゃんもやるねえ」
俺がさつきに寝ぼけてキスされたことを言うと、鈴は奇妙な声を出して驚いた。
でも、と俺が話をつづける。
「俺自身よくわかんねえんだよ……未花が好きなのか、さつきが好きなのか――でもさつきには好きな人いるし」
「……レオって鈍感だよね」
「は?」
「女の子の気持ち察せないとか、マジ有り得ない」
何だか鈴に言われるとイラッとくる。
なんだこのイライラ感、お前のが鈍感だろって言いたくなる。
「……どういう意味だよ」
「だーかーらー! さつきちゃんの好きな人!」
「はあ? さつきの好きな人がなんだよ?」
意味わかんねえ。
そう思いながら顔をそらした瞬間、鈴がキッパリと言った。
「レオだよ」
「え?」
「さつきちゃんの好きな人、レオだよ」
ふざけてるのか?、と思い鈴の顔を見ると、それは極稀に見るとてもめずらしい鈴の真顔だった。
「……さつきちゃん、わたしに相談してくれてたの。レオには未花ちゃんがいて、でもわたしは好きでいつづけたいからレオには内緒にするって」
もやもやが晴れたような気がした。
「レオさ、きっと今さつきちゃんも未花ちゃんも好きなんだよ」
「え?」
「いいと思うよ、人生そういうこともあるし。いずれレオがハッキリ決めてあげればいいんだからさ――でも」
ふふっと微笑んでいた鈴だけど、「でも」という言葉を言った瞬間急に真剣な表情になる。
「未花ちゃんにさつきちゃんのことも好きっていうことはまだ話しちゃだめだよ」
「隠し通してでも、その恋は大切にしなね」
そう微笑みかけて、鈴が教室を出た。
隠し、通すのか。
-
322
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/19(土) 19:53:50 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 学級委員 sideレオ
「おはようございます、レオ先輩」
気分転換にということで今週は日曜日の部活が休みになった。
コンクールの地区大会を突破したとはいえ県大会があるから休んでいいのかという気持ちになったけれど。
――でもその休みがいつもの通学路を憂鬱そうに歩く俺を更に憂鬱な気分にさせた。
「ん、はよー……未花、今日何かいつもと違う?」
「え? そうですかね……多分今日髪結ぶ位置変えたからですかね?」
言われてみれば、いつもはもう少し下の位置で結んであるのに今日はちょっと上の位置で結ばれてるような気がした。
えへ、と微笑む未花にふざけて言ってみる。
「朝時間無くて急いでやったらこうなったとか」
「う……」
図星だったようだ。
×
「今日は学級委員決めんぞー」
六時間目のLHR(ロングホームルーム)の内容は最悪だった。
学級委員決めるとか言いながら俺をガン見する担任を一発殴ってやりたい。
「えーと、面倒だから俺が決めるかんな」
「え、先生ちょっとそれはないですよ」
思わず突っ込む。
いーじゃねえか、と気楽に微笑む担任をぶっ殺してやりたい。
「男子はレオで女子はさつきなー」
担任がそう告げた瞬間、女子と男子からわあああ、という声が上がった。
「えー、あたしレオがやるならやろうかなって思ってたのにぃ」
「マジで?」
「あたしもレオとやりたかったあ」
「そ、そっか」
「レオと行き過ぎた個人授業みたいな」
「んなことしません!」
騒ぐ女子軍団。
とりあえず全部突っ込んでみた。
「俺さつきとやりたかったー!」
「……哀れだなお前」
「さーつきー」
「あ、なんかもう面倒臭くなってきた」
「うおおおおおおお! レオマジ恨む」
「え、俺?」
わめく男子軍団。
とりあえずうざい。
「じゃー、あと今日のLHRは終わり!」
「早っ」
癖で突っ込んでしまう。
「まあ、あと適当に自習なー」
「はーいっ」
先生の言葉に誰かが楽しそうに返事した。
そして先生が出た瞬間――
「きゃっふーい!」
「きゃほー!」
「いやっふい!」
「うぇいうぇい!」
「どーはれーもんーのーどー」
「れーはどーなつーのれー」
「みーはふぁーいとーのーみー」
「ふぁーはみんなのふぁー」
歌いだしたよコイツら。
脳内でそう突っ込んでから、俺はそれを眺めることにした。
実は案外楽しかったりして。
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323
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/20(日) 21:29:17 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 学級委員 sideレオ
「レオとさつきー! 部活前にちょいと残ってくれ」
「え、嫌です」
「いや、いいから残ろうか」
もう既に楽器の音が鳴り響く校舎内。
俺も早く音楽室に行かなきゃなと思いながら教室を出ようとした瞬間、へらりと微笑む担任に足を止められた。
「……俺部活行きたいんですけど」
そう言いながらも嫌々担任の元へ行ってやった。
さつきもあまり嬉しくなさそうな表情で俺の隣に駆け寄る。
「まあまあ、早く終わるからさっ!」
半ば棒読みな担任に蹴ってやろうかと微笑みかけてもみたけどとりあえず話を訊く。
「で、なんすか?」
「いやあねえ……明日三学年の担任いないんだよ、一日中」
マジかよ、とつぶやきながら実は内心やったとか思ってたり。
とにかくずっと自習だからさ、と軽く言う担任にそれでいいのかと驚いた。
「や、課題とかないんですか?」
「急だったからさ、出すにも出せなくて……とりあえず俺の教科の数学からプリントと、あとよっしーの教科の理科から課題出るらしいから詳しくは黒板に書いとくわ」
息をつく間もなくペラペラ喋り出す担任に思わず苦笑を浮かべる。
よっしーというのは吉川先生のことで、担任の九羽(くばね)先生ととても仲が良いらしくきっと二人で相談して課題を出したんだろうなと思った。
そういうところだけ真面目なんだよなあ。
「あー、はい……それだけですか?」
「ああ、うん――あ、あと」
まだ何かあるのかよと軽く舌打ちをしながら笑顔を浮かべる。
「騒がしくなるのは結構だけど、一、二年の邪魔すんなよ! あと……えーと、受験勉強してる奴もいるかもしれねえから静かにな」
「先生、言ってることが矛盾してますよ」
めずらしくさつきが突っ込んだ。
確かに騒がしくなるのは結構と言ったくせに静かにとか言ってるし。
「ま、まあ! 勝手にやってろってことだよ!」
「……はあ」
納得していいのかだめなのか。
とりあえず頷いて、逃げるように早足で音楽室へ向かった。
×
「レオ先輩遅かったっすねー」
音楽室に着くとそこは冷房がきいていて、早足できた俺とさつきにとっては凄く涼しかった。
未花や鈴が仕切ってくれたのかコンクールの人はその練習で他はパート練習になっていてちょっと安心する。
音楽室でピアノの練習をしていた梨花が振り向いてそう言った。
「ああ、明日の話とかされてさ」
「え? なんでですか?」
「先生の悪趣味で俺らが学級委員になっちゃって」
わざと悪趣味という言葉を強調してみた。
今になって担任への恨みがわき起こる。
「そーいえば合宿って何するんですか?」
「え、合宿? あったっけそんなの……」
だめだ、完全に記憶が飛んでる。
ファイルを手にとってプリントを見ると、確かにそこには合宿と書いてある。
しかも一週間後の夏休みに入ってすぐの日だ。
「もう夏休みかー、早いなー」
「ですねー、スイカの季節ですねー」
和むようにどこからか突然現れためぐが言う。
そっか、その準備もしなきゃいけない。
「うちの合宿は厳しいからね、風邪とか用事で休んでも治ったり済んだりしたら途中からでも来なきゃいけないんだよ」
ちょうと未花がそこに現れて、嫌だなあと苦笑を浮かべながら言った。
「俺も一年のときは嫌だったけど、慣れると案外楽しいよ」
「例えば何するの?」
「去年は朝七時に外集合で十周走って腹筋背筋腕立て計百回ずつしたあと飯食ってー……十二時まで練習して飯食って六時まで練習して十周走って飯食って風呂入って寝る、だったかな」
梨花の質問に率直に答える。
記憶があやふやになってるところもあるけど一日二十周は走らされたよ、と苦笑した。
その瞬間梨花が凄く嫌そうな顔をして言う。
「限りなく嫌なんですけどそれ」
「まあ、これは有希先生が厳しくて機嫌悪いときに合宿しちゃったときの例だし煽(おだ)てて機嫌良くさせれば一日十周ほどで済むんじゃないかな」
辛いよ〜、と未花が苦笑を浮かべたのに釣られてみんな「えー」とブーイングをもらす。
もう合宿か。
――なんだかんだいって楽しみだな。
-
合宿書きたくて書きたくてたまらない(´・ω・)
ぷぱー!
324
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/21(月) 21:12:13 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 自習! sideレオ
次の日の朝、校舎内にチャイムが響き渡った。
気づけばもう一時間目が始まるチャイムが鳴っていてあわてて数学プリントと理科プリントを配る。
担任の奴結局黒板に何も書いてなかったし。
「今日は一日中自習だってー」
「いええええええぇぇぇぇぇい!」
馬鹿みたいに盛り上がる生徒たちを見渡してから言った。
「えーと、受験勉強するやつもいるかもしれないから邪魔はしないようにな。あと、一、二年の教室に乗り込むようなことはすんなよ」
「れおせんせー、質問!」
ふざけながら挙手する俊太を当ててみる。
「課題って二つだけっすか」
「ああ、うん」
「いええええええぇぇえぇえぇえぇぇぇい!」
このくだり何とかならないのか。
「他に質問ある人ー」と、また周りを見渡しながら言った。
その瞬間、ばばばっと手が挙がる。
「はいはーい」
「ん、じゃあ由美」
「レオって彼女いるのー?」
「あ、それアタシも知りたーい」
女子を当てたのが間違いだったのかもしれない。
後悔しながらそれでも適当に答える。
「さあね、どうだろうねー」
「あーっ、隠すってことはいるんだあ!」
「えっ、マジ?! アタシ秘かにレオ狙ってたのにぃ」
「や、それ本人の前で言ったら意味ないっしょ」
軽く突っ込みをいれながら騒ぎ立てる女子を落ち着かせようと頑張る。
頑張っても無理だってわかってたけど。
「なんかねえ、噂によると二年生らしいよ!」
「えーっ、じゃあ虐めちゃう? あはっ」
「いやいやいや、レオいる前で言っちゃダメでしょそれ」
「あ、そっかあ」
ぷつんっと俺の中で何かが切れるような気がした。
思わず止めに入ろうとする。
「おい――」
「そうやって噂を大きくして騒ぐの、凄いくだらないと思うよ」
話を遮られた。
さつき、に。
キッと女子たちを見つめるさつきはもう俺が知っている弱いさつきじゃなかった。
人見知りをしてレオって名前を呼びながらついてきてくれるさつきじゃなかった。
このときやっと気づいたんだ。
さつきは変わったんだって、さつきは今までと違うんだって――
「ありがとうさつき。でも彼女がいるのは事実だしさつきは関係ないからいいよ、入ってこなくて」
微笑んでそう言う。
表向きではさつきを女子から守るために言ったことにしたかった。
でも本当は、俺の知ってるさつきじゃないからって逆に傷つけたくなってしまった――
「……そっか、ごめんねレオ」
そう微笑むさつきの表情は寂しげだった。
-
レオ何やってんだって話。
さつきかわいそ!
325
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/22(火) 21:08:15 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / sideレオ
「さつきちゃん可哀想」
「あ、でもいい気味かも」
「アタシたちが騒いだってさつきちゃんには関係無いもんねえ?」
こそこそと話す女子たちに微笑みかけて一言告げた。
「でも噂は大きくすんなよな」
「はあーい」
俺も席について、静かでそれでも楽しげな自習が始まった。
×
「……なあレオー」
「何だよ」
後ろの席にいる俊太が俺の肩をつかみぐらぐら揺らしてきた。
ったくもう、と言いながら後ろを向く。
「さつき可哀想じゃね? 謝っとけよ、後で」
「……う、ん」
動揺して声が揺れた。
そっか、自分を守ったと思ったら結局俺も悪者になっちゃったし、いつも通りにしてればよかったな。
「てかさー、つまんなくね?」
「わかるー! つまんないよおレオー」
俊太の提案に周りの女子が賛同した。
男子までもが賛同したけれど、さつきのほうを見てみると何だか俯いているように思えた。
席を立ってそっとさつきの席に移動する。
「さつき」
「……な、に?」
さつきが動揺したのに気づいて更に申し訳なくなってきた。
「ちょっと来て」
ぐいっとすこし強引にさつきの腕をつかんで教室を出る。
さつきがあわてたようについてきたからちょっと安心して、教室でぽかーんとするみんなに言った。
「あ、あと適当に盛り上げてて。俺たちもあとで戻るからさ」
「う、うん……」
戸惑いながら頷く生徒たちにははっと笑みをこぼした。
-
レオくんしゅつどーう!
326
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/22(火) 21:27:30 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 「傍にいるよ」 sideレオ
まだ授業中で一斉自習の三年もさすがにもう抜け出してしまったやつはいなかったから、誰もいない廊下はしんと静まり返っていた。
どこからともなく懐かしい授業の声が聞こえる。
一年や二年で習ったことなんて、実際よく覚えていない。
それでもそれが俺にはとても懐かしく思えて――心が落ち着いて、やっとさつきを向き合えた。
「さっきはごめん」
「ううん、わたしが勝手に怒っちゃったから――」
「ちがくて」
さつきは悪くないよ。
そう目線で訴えるように見つめながら言った。
「人見知りだったさつきがあんなに強くなって、なんだか俺の知らないさつきになっちゃったような気がしてつい焦っちゃって、それで」
まるで言い訳をするようだ。
でも、さつきはそれを真剣に受け止めてくれた。
「じゃ、じゃあわたし、嫌われたわけではないよね……?」
「全然! 俺がただ不安になっちゃっただけだからさ……気にしないで!」
安心した様子を見せたさつきに微笑んだ。
「じゃ、教室戻るか」と声をかけた瞬間に俺の腕が引っ張られる。
「さつ、き?」
思わず目を見開いた。
キス、されてたから。
「焦ったって、不安になったってことは――ちょっとはわたしのこと意識してくれてるってこと?」
意識してないわけないだろ。
そう思いながら、それでもその言葉を心に閉まって微笑んだ。
「……行こうか」
「答えてよっ」
さつきが俺の腕をつかんだっきり放さない。
仕方なく、本当の気持ちを話した。
「俺さ、本当は未花のことが好きなのかさつきのことが好きなのかわからないんだ――でも」
ひとつ、隙間を置いてからまた話始める。
「鈴に未花と付き合いつづけるなら未花にさつきも好きってことは言っちゃいけないって言われて」
「……っ」
「さ、さつき?」
ちょっと焦った。
急にさつきが泣き出すから。
「わた、しっ……レオに好きになってもらえただけで幸せだよっ……」
「付き合うことはできないかもしれないのに?」
酷いことを言ったなと思う。
それでも、さつきはにこりと微笑んでくれた。
「それでもいいの――でもこれは忘れないでね」
そう言ってから、耳元でこそりと囁かれた。
――わたしはずっと、レオの傍にいるよ。
-
わたしはずっとレオの傍にいるよってさつきが言うならまだしも
他のこわい人とかが言ったら新しい呪いの言葉になるよね。
327
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/23(水) 18:49:49 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
▽主要メンバープロフィール
※順番はてきと(ryげふんげふん
百花→俊太→梨花→レオ→未花→さつき→有希→翔→花→めぐ です!
なぜこの順番なのかというとてきと(ryげふんだからです!
容姿はめんどくさ(ry場所によって様々なので省きます!
名前/如月百花(きさらぎ ももか)
性別/女
年齢/高校一年生、二年生 現在16くらい
性格/天然ボケで笑顔が特徴的、故に男の子の視線を奪っちゃう女の子。天然と思いきや計算してんのかコイツみたいな行動をとるけど本人はそんなつもりはないはず。
備考/一人称はあたし 俊太の彼女で梨花の姉 如月家の娘さん
名前/藤原俊太(ふじわら しゅんた)
性格/男
年齢/高校二年生、三年生 17くらい
性格/バスケ部の部長さんでバスケをする姿に惚れる人が多々いたりする。チャラチャラしてるように見えて一途なうえ彼女思いなのに最近は馬鹿な残念キャラになってきている。
備考/一人称は俺 百花の彼女 レオと仲良し
名前/如月梨花(きさらぎ りか)
性別/女
年齢/中学三年生、高校一年生 15くらい
性格/吹奏楽部で習ったこともないピアノの才能を開花させた。恋愛については計算高くてでも男遊びとかはしない子。不幸な子だったけど最近やっと幸せな子になった。
備考/一人称はあたし 翔の彼女で百花の妹 如月家の娘さん 姉百花の彼氏である俊太を酷く嫌っている
名前/速水レオ(はやみ ――)
性別/女
年齢/高校三年生 17くらい(6月が誕生日の設定)
性格/明るくてみんなをまとめるリーダー的存在。バレンタインデーのとき下駄箱に放り込まれたラブレターの数はレオだけの秘密。……のはずが何故かみんな知ってる。弱気でヘタレと思われがちだけどそんなことないよ。
備考/一人称は俺 未花の彼氏
名前/遥音未花(はるね みか)
性別/女
年齢/高校二年生 15くらい
性格/天然鈍感きゅんきゅんな一途少女。初恋はレオで他の人を恋愛対象で見たことがなく、恋愛についての知識が無い。でも素直だから自分の気持ちはしっかり伝えられる。
備考/一人称はわたし レオの彼女 親は未花が中二の時に交通事故でなくなり、いとこの家に預けられるがいとこの母には現在小一の子供がいて未花のことを良く思っていない。そのため有希は未花のお母さんのような存在に。
名前/桜さつき(さくら ―――)
性別/女
年齢/高校三年生 17くらい
性格/最初は人見知りだったけれどレオに心を開いたことでその人見知りな性格がなくなってきた。赤面症だったりもする。照れ屋さんでかわいい子。
備考/一人称はわたし レオのことが好き
名前/風雅有希(ふうが ゆき)
性別/女
年齢/梨花と翔とめぐと花のクラスの担任で吹奏楽部の顧問 2×歳
性格/スパルタ教師。おでこにチョークを当てるのが上手い。実は生徒思いで親身になってくれるっちゃあくれる。悪戯が好きな子供っぽい面も多々ある。
備考/一人称はアタシ 未花の母のような存在
名前/桜羽翔(さくらば しょう)
性別/男
年齢/高校一年生 16くらい
性格/冷静かつ安定感のある子、故にかっこいいと印象づけられることが多いけれど授業中の寝顔は可愛い。
備考/一人称は俺 梨花の彼氏 花とは幼馴染
名前/由羽乃花(ゆうの はな)
性別/女
年齢/高校一年生 15
性格/明るく元気な子。ちょっとお転婆で恋バナが大好き。何でも全力を尽くすその姿に胸きゅんしちゃう男子がいたりする。
備考/一人称はわたし 翔とは幼馴染
名前/葵萌美(あおい めぐみ)
性別/女
年齢/高校一年生 15
性格/ちょっとお馬鹿で元気な子。励ますのが得意で恋バナ大好き。ムードメーカーだったりする。
備考/一人称はあたし 梨花の良き理解者
おわり!
気分転換なので流していただいて結構です。
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328
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/23(水) 22:21:46 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
▼つぶやき
ちょっと、つかかなり早いけど新作どうしようか考えてます(´・ω・)
ねここ的にはまた学校系書きたくて、吹奏楽部ネタ書きたくてたまらないわけだよ。
でももう見飽きた感があるかなって思って、ちょっと迷ってますorz
本当はレオをもっとちゃんとした子にして、未花との恋愛を発作とか病院とかのシリアスシーン省いてちょっと違う感じでやりたかった。
でもね、このLoveletterのレオ未花キャラのイメージしちゃうからねー
どうしよどうしよ!
まあ、予定としては基本うだうだしてるかも
焦れったい感じ!
あまりにも焦れったいとアレだからそれなりに進展しつつもね!←
本当はレオたち卒業で終わりみたいな、そんなのを期待してるから終わりがまだまだ見えないんです。
まあがんばります!
329
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/24(木) 18:49:11 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 「優しくしないで」 sideレオ
さつきや花南の言ってた「優しくしないで」って、こういうことなんだろうかと思う。
好きになっちゃいけないのに、こんな風に優しくされたらもっと好きになってしまうような気がして。
「好きだよ」って言葉を飲み込んで、ごめんなという意味を込めて微笑みかけた。
「……教室戻ろうか」
「うんっ」
無邪気にはしゃぐさつきの姿。
それは不思議と未花にも重ねられて、さつきの二つに結んだ髪の毛が未花の髪の毛のように楽しげに跳ねるのを見て。
そっと、さつきの頭を撫でた。
「ごめん」
好きになれなくて、気持ちに答えられなくて。
未花と重ねてしまって――
その謝罪の言葉がさつきの表情を曇らせたのがわかった。
自分のせいだとわかっているのに思わずくしゃくしゃと乱暴にさつきの頭を撫でてしまう。
「優しくしないでよ」
「優しくしたいっていうか……さつきが悲しむところは見たくなくて、でも悲しい気持ちにさせちゃうし」
涙をこぼすさつきの姿を見つめながら、ごめんと何度もつぶやく。
なんだか自分で自分が情けなくなってきて――
自分の存在を、自分自身を、潰したくなってきた。
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330
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/24(木) 20:09:27 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 潰したくなった sideレオ
「さつき、俺ちょっと用事あるから先教室戻ってて?」
「……うん」
さつきの頭から手を放し、そっと微笑みかけてから教室とは正反対の方向へ向かった。
階段を上がったところに普段は鍵がかかっているはずのドアがあるのだが、そこのドアの鍵は先生に見つからない俺たち三年だけの隠し場所に隠されている。
カチャリとそのドアの鍵を開けて、鍵を元の場所に戻した。
そして入った場所は、心地良い風が吹く場所。
――屋上だ。
別に自分を潰したいからといって自殺をしに来たわけではないけれど。
こうして屋上に吹く風といっしょに俺の存在もどこかに飛んでいけばいいのに。
そう思ってしまう俺は、やっぱり弱いのかな。
きっと俺はずっと未花を好きでいつづけたんだろうけど。
何故だかわからないけど、よく心が揺らいでしまう。
こんな奴本当に死ねばいいんじゃないか。
死ぬまではいかなくても本当に潰れればいいと思う。
「死ねよ」
なあ、早く死んでくれよ。
俺の存在が邪魔なんだよ。
俺自身、俺が必要だとは思ってないし。
屋上から飛び降りるなんて学校に迷惑なことはしたくないし。
どうしよう、と思っていたら急にドアが開いた。
「レオ先輩……?」
「あれ、未花じゃん」
未花の姿を見つけて、心配させないようにとわざと明るく振る舞う。
そんなのお見通しだったようだけど。
「レオ先輩、何か悩みあるでしょ」
「何でわかんの?」
「なんか、いつものレオ先輩とちがうもん」
未花に相談したら、やっぱり心配されるだろうな。
「気にしなくていいよ」
そう言って微笑んだけれど、未花はあきらめないで俺に訊いてきた。
「だめ、彼女なんだから教えてよ」
仕方無い。
そうつぶやいて、乗り気ではないけど教えることにした。
「……なんか、たまになんだけど俺なんか潰れればいいのにとか、死ねばいいのにって思っちゃうんだよね」
ははっと力なく笑うその姿はきっとかっこ悪かったんだろうな。
でも、かっこよくなくていいしかっこわるくたって全然良いから早く潰れたい。
「そんなこと言わないでください」
俺の思考を、未花の言葉が遮った。
「レオ先輩がいなきゃわたし嫌です、潰れるとか死ぬとか言わないでくださいっ」
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331
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/27(日) 19:06:30 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / sideレオ
「――わかった」
すこし間をあけてから、未花に微笑みかけた。
未花がそう言ってくれて、自信がついたような気がする。
「潰れるとか死ぬとか、もう思わないし言わない――そのかわり」
きょとんとする未花が、いつも以上に愛くるしく思えた。
「一生俺の傍にいてくれる?」
一途な未花の、その真剣な瞳が大好きで。
二つに結んだ髪だって、未花が一番似合うし可愛い。
それくらい、気持ちを抑えきれないくらい好きになってしまったから。
「はいっ……!」
なぜだか泣き出してしまった未花の頭をくしゃりと撫でる。
未花は撫でられるのが好きみたいだけど、俺自身未花の頭を撫でるのは好きだ。
ふわりとした柔らかい未花の髪の毛が指に絡みつくのが気持ち良くて。
「……これからどっかいかない?」
「えっ、でも部活が――」
「部活までサボろうよ」
どうせ未花はサボりの常習犯だし、と心の中でつぶやく。
まあそうさせたのは俺だけど。
あたふたしている未花の手を取って、屋上を飛び出る。
階段を駆け降りるとき未花が俺のペースについてこれなくて叫びだしたけど、それも一つの思い出だ。
×
「明日から一週間、強化合宿に行きまーす」
主に二年生が中心になって進める夏休みの強化合宿。
二年生がみんなをまとめる、というのは昔からずっと決まっていたようで、来年度のパートリーダーや部長を決める大事な部活でもある。
今日は部長の俺が仕切らずに、部長補佐の未花に仕切らせていた。
その初々しい様子を有希先生が嬉しそうに見つめている。
そっか、子供のような存在の未花がこれだけ成長して嬉しいんだろうな。
「持ち物は前配ったしおりに書いてある通りですっ」
「未花せんぱぁい! 質問っ」
「はいっ、梨花ちゃん」
「おやつにバナナは入りますか?」
この質問、去年未花にもされたような気がする。
未花は真剣な顔で考え込んだあと、微笑みながら言った。
「バナナもおやつに入るんじゃないかな」
「はーいっ」
「他に質問ある人ー!」
「はいはい!」
「めぐちゃんっ」
この質問コーナー、去年もあった気がする。
デジャヴ多いな。
「あたしの歯磨き粉の味バナナ味なんですけどいいんですか?」
「歯磨き粉の味は自由だけど、自己管理だから変なもの持ってこないでね」
未花がさらりとまとめると、次の話にうつる。
「えーと、バスの席は基本自由だけどバス酔いとかする人には窓際とか前の席譲ってあげてください」
「はーい」と強化合宿前の緩んだ返事に思わず苦笑を浮かべる。
未花も俺や俺の先輩がまとめるのを見てきたのと、フルートパートのパートリーダーをやっていたからかとてもまとめるのがうまかった。
そして未花から俺へと交代する。
「今日は部長補佐の未花が代わりに仕切ったけど、これから受験のこととかでこういう日が増えてくるし俺たちが卒業したらこれが一年間続くことになるからさ、ちゃんとついてけよ」
実は副部長だった鈴に代わった。
「えーと、副部長としてみんなの前に立つの久し振りだねー」
「鈴ほのぼのしてるからいるだけでいいよ」
「そう? ありがとー」
和んでくる部室に俺も思わず微笑むと、未花と目が合って嬉しくなる。
顔を赤くさせる未花をよそに、鈴は話をつづけた。
「部長さんのお手伝いは部長補佐がするから正直副部長いらないんじゃないかって思ってる人多いと思うけど、一応楽器買う計画とか今後のことを先生と話し合ってました」
え、そうなの? と急に部室が騒がしくなった。
俺自身そのことについては知らなかった。
「ちなみにピアノを五年後に買う予定でーす」
「マジですかっ? 五年後っていったら一年はもう二十歳とか二十一歳とかそのへんじゃないですか!」
成人だー、と喜ぶ梨花に鈴は微笑みかけたあと、また話を進める。
「副部長って努力してるの全然見られてなくて、そこはさみしいけど今後の計画とか知れて他の人より情報が早いので表に出たくないけど裏仕事やりたい人、がんばってね」
そう言う鈴は副部長をだれかに譲るのを思い浮かべたのかすこし寂しそうだった。
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332
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/27(日) 19:48:56 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 合宿! sideレオ
「――かにっ」
かに?
ざわつく合宿所行きのバスの中で、未花がふたつ結びを跳ねさせながらマイクに向かって大声で言った。
「静かにしてくださーいっ!」
「あはは、未花部長可愛いー!」
梨花が未花を指差して笑ったけど、未花はそれどころじゃなかったみたいで可愛いと言われても無視した。
そしてみんなが静かになったところでやっと指示を出す。
「これから合宿所まで三時間ほどかかるので、高速入ったらお菓子食べていいですっ」
それと、とつぶやきながら未花が自分のボストンバックをがさごそし始める。
そしてそれをみんなに見せながら訊いた。
「車酔いとかで薬飲んでない人とか袋持ってきてない人いますかー?」
「あ、はいはい!」
「あたしもー」
「おれもしぬー」
「袋くれー」
「あたし薬ももらいたい!」
それぞれが自由に話し始める。
これをまとめるとなると、やっぱり未花には大変なのかもしれない。
未花に代わり、俺がみんなに言った。
「今日からの合宿は入りたての一年とこれからみんなをまとめて引っ張ることになる二年の為にあるものだから、初めてのことが多くてみんな大変だと思う。未花もこれだけ騒がしいメンバーをまとめるの大変だと思うからさ、みんな協力してやってな」
中には俺騒がしくねえよとか否定してくる人もいたけど、それをさらりと流した。
そしてマイクを置いて、俺も未花も席につく。
席は俺と未花、梨花と翔、めぐと花、鈴とさつきが隣同士だ。
吹部メンバーには俺と未花が付き合ってることは言ってないけど、今回席がいっしょなことでバレかけたのは言うまでもない。
×
「つーいたーっ!」
これから何が起きるかもしらない無邪気な一年生はそう叫びながら喜んでいた。
だけど二、三年ではどこかどんよりとした空気が漂っていて、俺にまでそれがうつってきそう。
「先輩たちテンション上げましょうよお」
未だにバスの中で食べていたであろう風船ガムを膨らましながら、梨花が楽しそうに言った。
それでもテンションが上がる人の様子は見えなくて、このまま未花が仕切る。
「えーと、これからホテル内に入りまーす! 部費が結構余ってたので、五、六人でひと部屋つかってくださーい!」
おお、今年は豪華だな、と思いながらホテルへ足を進める。
ホテル内にはいってちらりと未花がこちらを見つめてきて、俺はははっと笑いながら訊いた。
「合宿の最終日、部屋いっしょにしない?」
「……うんっ!」
未花はすこし驚いていたけど、部員にバレるといけないから最終日だけという約束をした。
部屋割りは俺と翔とその他チームやその他大勢チームにわかれ、女子は未花、鈴、梨花、花、めぐ、さつきたちはいっしょにまとまっていた。
あのメンバーなら安心かな。
-
333
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/28(月) 19:34:27 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 合宿! side未花 ※未花視点に変わっているので注意!
ふわふわした軽い合奏、というのだろうか。
せっかくの強化合宿だからということでホテル外のグラウンドで楽器を鳴らしみんなで吹くコンクール曲を合奏していたのだが、何だかいつもと違う。
「……イマイチですよね」
一年生はこのコンクールには参加できないから個人練習の予定だったんだけど、この合奏を聴いていたのか梨花ちゃんがポツリと言う。
隣でめぐちゃんが梨花ちゃんのジャージの裾を引っ張ってたけど、本当にその通りだ。
音にまとまりがなくてあちこち色んな方向に飛んでいっているし、そもそも音がちいさい。
こんな演奏コンクールでしたら絶対銅賞だ。ていうか銅賞でさえあげれないほど残念な演奏になってしまう。
そう考えていたけれど、今まとめるのはわたしだということに気づいてハッとした。
今三年生と有希先生は次期何たらの話し合いがあるらしく涼しいホテル内にいて、合奏のことまでわたしが指示しなければいけない。
「えっと、思ったことがある人は手を挙げてくださーい!」
外だからか声でさえ響かない。
一生懸命声を張り上げるけれど、去年のレオ先輩を思い出すとレオ先輩は軽々と遠くまで聞こえるような声を出していた。
腹筋が足りないのかな。
そう思ったわたしは、ところどころに手を挙げる人を一回スルーして言う。
「全員腹筋五十回追加、する?」
手を挙げていた人が手を下げる。
しばらく沈黙がつづいてどうしようと思ったけれど二年の唯花ちゃんが賛成してくれた。
「わたしは賛成だよー」
「ほ、本当?」
「うん、外に出て音響かないなんてまだまだ腹筋不足なんだろうし……ていうか腹筋五十回追加なら背筋も五十回追加しちゃおうよ」
「そっか、ありがと唯花ちゃん」
唯花ちゃんは同じフルートパートで、とても優しくて明るい女の子だ。
ふんわりとしたその雰囲気はどこか鈴先輩と似ていて、でも容姿的にさつき先輩にも似ているような気がした。
つまりフレンドリーで人懐っこくて可愛い子。
なんだか同じパートにいるのがうれしくなってきた。
「じゃ、じゃあ……また意見ある人手挙げてくださいっ」
「はーい」
「じゃあ紗里奈」
前の列から当てていこうと思って、一番前にいたフルートパートの紗里奈を当てる。
-
きる!
334
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/28(月) 19:40:50 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
▼うわああああ!←
>>333
と
>>332
のあいだにもうひとつシーンがはいってたんです!
梨花と翔がホテル内探検しとうよして、でも有希先生がこれからホテル外のグラウンド外周十周だっつって、未花は体力あるよねってはなしになって「疲れるけど楽しい」って未花がいって、めぐがそれにあこがれて梨花がぐだぐだ走ってんのにめぐはキラキラしててっていう。
ホテルの構造については次レスで。
335
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/28(月) 19:48:56 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
▼合宿用ホテルの説明
青春高校吹奏楽部が毎年合宿で訪れている合宿用ホテル「宿楽(しゅくがく)」。
合宿の宿と楽しい、楽しむの楽から宿楽と名付けられたらしい。
毎年運動部から吹奏楽部などの文化部までたくさんの学校から合宿しに来る。
でもそれなりにお金はかかってしまうので、ケチなところや部費の少ない部活はあまり来ない。
部屋の数が多くて一階から十階まである。
一階はロビー、食堂、お風呂などで二階からは全部客室になっている。
今風でおしゃれなイメージ。
有希先生が部費の使い方が上手いから毎年いらないくらい有り余ってしまい、それを合宿で使っている。
ホテルの館内を出てもまだいろいろあって、ホテル館内を出て左の方には青春高校の敷地より広い芝生のグラウンドが広がっている。
外周はそのグラウンドの周りを走るけれど、同じ十周でも学校とグラウンドでは全然ちがう。
グラウンドのほうが距離があって一年には辛い。
ガラス張り防音室も何部屋かあって、青春高校が一部屋貸し切って使っている。
詳細の付け足しがあればまた後日!
336
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/28(月) 19:55:02 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
何度もすみませんorz
メモ張に一度書いてコピペして投稿する方法で小説更新してたらコピペしないで消して次の話を書くっていう最悪な行為を何度か繰り返しちゃってるので←
わたしも気を付けますが、話が飛んでいたら申し訳ありませんorzorz
337
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/29(火) 19:56:17 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 合宿! side未花
「外になった途端に音が響かなくなったので気をつけましょう」
紗里奈の意見にみんな「はいっ」と部活中の気合いの入った返事をする。
たくさんの人が手を挙げてくれたから、順々に当てていったのだけれど大体みんなの言いたいことは同じだった。
「――とにかく響きがないです! コンクール曲、また最初から最後まで通すので音質も気にしながら大きい音で吹いてください」
「はいっ」
最初に「いち、にっ」とわたしが言うと、みんな心の中で「さん、し」と数え一斉に入った。
大きな音で、と言ったけれど金管の音が痛いような気がする。
まだまだ問題点はありそうだ。
これから特訓が必要だなあ、と思いながらそれにしても三年が抜けると悲惨なことになることを思い知った。
――不安だなあ。
×
二年だけでの合奏のあと不安な気持ちになったわたしは、十五分の休憩時間に練習場所から離れたもう一つのグラウンドで野球をしている人たちを見に行った。
知らない学校の人だけど、こうやって真剣に取り組む姿はやっぱりかっこいい。
そんなことを考えてたらふいにレオ先輩を思い出した。
顔が熱い――なんだか今まで以上に熱くてフラフラするような気がする。
――鈍い音がした。
そして頭に鋭い痛みが走る。
コロリと横に落ちる野球ボール。
まさか頭に直撃するとは思わなかった。
「すみませーん!」と謝ってくる野球部員にいえいえと誤魔化したあと頭が痛いのを堪えてフラフラと元の場所に戻った。
――だが。
こんなときに限って迷子になるなんて思わなかった。
顔が熱いのが相変わらず変わらない。
なんだか立っているのが辛くなってきた。
ふらりとその場に座りこんで周りを見渡すけれど、見慣れた風景なんてない。
どうしよう。
わたしがみんなに迷惑をかけちゃだめじゃん。
ぐるぐると考えるたび、具合が悪くなってきた。
もうなんか色々おかしくなって、どさりとその場に倒れこむ。
意識はあるのに、力が入らなくて起き上がることができない。
このまま死んじゃうのかな、なんて不吉なことを考えてみる。
――レオ先輩。
心の中でそうレオ先輩の名前を呼んだ瞬間、かさりと音がして大好きなあの人が来てくれたような気がした。
「未花っ」
レオ先輩なら来てくれると思った。
心の中でそうつぶやいたあとのことはよく覚えていない。
けど、お姫様抱っこで運ばれたような気がした。
なんかふわふわして変な感じ。
これが何なのか、わたしはきっとわかってたんだと思う。
……認めたくないんだけど(ぼそ)。
-
お熱ネタ好きです(゚∀゚)!
338
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/31(木) 22:39:41 HOST:w0109-49-135-28-249.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / side未花
「――か、みか……未花っ」
「うー?」
聞きなれた声が聞こえてきた。
目を閉じていたのか、開くとそこがとても眩しく感じてしまう。
「うーじゃなくて……その、大丈夫か?」
気づくとそこには照れたような表情のレオ先輩がいて、なんで照れてるんだろうと状況を掴めないわたしはきょとんと首を傾げた。
「な、なんの話ですか?」
「覚えてねえの? 未花、迷子になって熱で倒れたんだよ」
「さ、最悪じゃないですかそれ」
わたしが元気なことに気づいたのか、レオ先輩がほっとしているような気がした。
で、でもでもでも! みんなのところに戻らなきゃ。
「わたし、補佐なのにっ」
「や、いいよ未花! 熱あったんだし、今もちょっとあるかもしれないから休んで――って、未花?」
ばかなわたし。
なんで今泣いちゃうの。
レオ先輩が必死になだめてくれてたけど、何だか迷惑かけてばかりだ。
「……ごめっ、ごめんなさっ」
「そんな不安になんなくてもいいんだぜ?」
そうは言われても。
レオ先輩みたいに状況に応じてなんたらみたいなことはできないし、みんなをまとめることも、みんなの心をひとつにすることでさえできない。
レオ先輩にできること、わたしにはなんにもできないんだ。
自信を失ったわたしは更に泣き出してしまった。
「っ、う」
「泣かないでよ、未花が泣いたら俺も悲しいし不安だよ」
慰めるようなレオ先輩の一言がうれしくてつい顔を上げてしまった。
するとレオ先輩の表情はいつも以上に自信のなさそうな表情で――
わたしにも、人の心を動かすことができるのかなって思った。
「……レオ先輩は不安ですか?」
「不安に決まってんじゃん」
「部長、やるときも?」
「中学のとき部長やってたけど、高校になって部長の格が違うってことに気づいてすっげえ不安だった」
レオ先輩も同じ気持ちなんだ。
そのことに気づいて、わたしはながれていた涙を拭いて目一杯微笑んだ。
「わたし、がんばります!」
「俺も頑張るよ、未花を守るために」
やっぱりレオ先輩がかっこいいな。
そう思った瞬間レオ先輩に体温計を渡されてしまった。
「はかりましたー」
「37.6°か……もうちょっと休んでる?」
「い、いやです!」
「いーから、な?」
レオ先輩に説得されてちいさくうなずく。
それでもみんなといっしょにいたくて、ホテル内から出ようとしているレオ先輩を呼び止めて言った。
「あのっ、わたしも隣にいたいです」
「――ああ、それならいいかな。おいで」
ふらりとする身体を動かしてレオ先輩のもとまで走る。
わたしの居場所ってここなのかもしれない。
「(病人に手出しちゃだめだよなー、そりゃなー……キスくらいなら……だめだよなー)」
-
レオくんの心情。
どんまい←
339
:
ピーチ
:2012/06/01(金) 20:40:55 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
ひっさしぶりー!!
最近コメすんの遅れてた・・・。
でもやっぱりお似合いコンビだよねー、美花先輩とレオ先輩!
あっちゃー・・・うん、どんまいだね!←簡単にゆーなっ!
340
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/01(金) 22:18:47 HOST:w0109-49-135-28-249.uqwimax.jp
>ピーチ
いやいや強制じゃないし全然大丈夫だよ!
この二人は最初からラブラブにするつもりだったしv
レオは最近ドンマイなことが多いw
341
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/01(金) 22:19:13 HOST:w0109-49-135-28-249.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 合宿! side未花
「あれ? レオ先輩もいっしょなんですか?」
屋外だからといって音に伸びがないのはコンクール曲ということを意識しすぎているんじゃないか、という意見が出た。
それで休憩のあと好きな曲を合わせる予定だったのだけれど、わたしが熱で倒れてしまったせいでそれができなくて十分ほど遅れてしまった。
それでもいそがしいだろうレオ先輩は優しくわたしに付き添ってくれて。
一年生も合奏に混ざることになったので、梨花ちゃんがきょとんとしながら訊いた。
「未花が熱あって倒れちゃってさ、もう意識あるけどまだ熱はあるから」
「え、未花先輩大丈夫ですか?」
レオ先輩が代わりに理由を説明してくれる。
するとみんな大丈夫?と優しく気遣ってくれて、それがうれしくて何だか恥ずかしくもなった。
「だ、大丈夫だよ! その、迷惑かけちゃってごめんなさい……」
わたしが謝ると、みんなは笑顔でいいよいいよーと言ってくれた。
青春高校の吹奏楽部は居心地が良い。
きっとそれは、一人でも欠けてたらそうならなくて。
ここにいるみんなに、いっしょに合奏してきた仲間に。
わたしができる精一杯の「ありがとう」をおくりたい。
「ありがとう」そして「だいすきだよ」
-
おわりじゃないので安心してください←
342
:
ピーチ
:2012/06/02(土) 06:46:42 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
うわぁー!ヤバイヤバイ!
美花先輩ちょー優しい!レオ先輩も!(付け足し)←おぃww
吹部のみんなもちょー優しいー!
343
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/02(土) 15:05:15 HOST:w0109-49-135-28-249.uqwimax.jp
>ピーチ
レオは付け足し程度でおk←
とにかく未花を目立たせてあげたいw
青春高校みたいな吹部に入りたいなって一瞬思ったけど、外周十周と腹筋背筋腕立て各100回ずつ毎日やらなきゃいけないからやだ←
344
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/02(土) 15:05:44 HOST:w0109-49-135-28-249.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 「ありがとう」 side未花
レオ先輩の指揮が始まる。
みんなが演奏していたのは、いきものがかりのありがとうだった。
気がつけばさっきまでいなかった三年生の先輩たちもいて、みんなで演奏すればこんなに人の心を動かせるんだって思った。
「未花ちゃん、いつもありがとう」
フルートパートの唯花ちゃんが立ち上がり、微笑んでわたしに言う。
その笑顔にちょっとドキンとした。
それからも次々にわたしに感謝の言葉を言いながら演奏するメンバーたち。
いつの間にか涙があふれていたのが自分でもわかる。
わたしこそ「ありがとう」。
×
演奏が終わって、最後にレオ先輩がわたしに向かって言った。
「みんな、いつも未花に笑顔をもらってるよ。俺だってそうなんだ。未花がいるから頑張れる」
そう言って微笑むレオ先輩。
わたしもみんなのために何かできていたのかな。
「未花の笑顔に励まされてきたし、部員のことを一番に思ってくれている未花がみんな大好きだよ」
つづけて言うレオ先輩の言葉に、また涙腺が緩んでゆくのがわかった。
そしてまた、レオ先輩が言う――その言葉に、わたしは動揺を隠せなかった。
「未花部長ならみんなを支えられるよ――おめでとう」
未花、「部長」?
わたしが部長になるの?
「……わたしで、いいんですか」
思わず訊いてしまった一言に、レオ先輩が答える間もなく唯花ちゃんや梨花、めぐが言う。
「未花ちゃんだから、だよ」
「未花先輩じゃなきゃだめですよね!」
「あたしも未花先輩に励まされてます!」
ありがとう、みんな。
そう心の中でつぶやいてから、わたしがみんなに言う。
――レオ先輩と同じように。
「その、わたしこそみんなに助けられてきて……正直迷惑かけて申し訳無いなって思ってます。でもそういう気持ちだけじゃないんです。その気持ちもだけど、なにより――」
きっとレオ先輩も、去年はこんなことを言っていたでしょ?
「ありがとうっていう感謝の気持ちと大好きって気持ちでいっぱいですっ」
じわりと涙があふれてきた。
涙は止まらないままながれていて、でもみんなも泣いてくれていて。
幸せだなって思った。
-
345
:
ピーチ
:2012/06/02(土) 17:33:00 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
あー、おk♪
・・・あたしは吹部は向いてません。はい。楽譜さえ読めません。
そー言えばさー、ねここって高校生?
346
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/03(日) 12:26:02 HOST:w0109-49-135-28-249.uqwimax.jp
>ピーチ
ねここ吹部だから吹部ネタしか書けないんだ←
年齢、ここでは書けないけど別な場所でなら教えられるよー(´・ω・`)
ごめんね! なんか別の場所で話せるところとかないかな!←
ピーチと小説掲示板以外でも話したいですv
347
:
ピーチ
:2012/06/03(日) 14:48:27 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
あー・・・あたしは美術部でございますww←でも全く絵心なしww
別の掲示板か・・・うーん・・・
あたしが今やってるのは、こことね・・・
あ、アメーバやってるよ(^0^)
ねここ、アメーバやってる??
348
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/03(日) 15:21:04 HOST:w0109-49-135-28-249.uqwimax.jp
>ピーチ
美術部楽しそう(`・ω・´)
でも絵心の欠片さえないっていうね(´;ω;`)←
おお、ねここもアメーバやってるよー!
ねここって名前ではないけど(`・ω・´)
349
:
ピーチ
:2012/06/03(日) 19:15:19 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
うーん・・・あたしも絵心は哀しい((泣
うんっ!楽しいよ!・・・先輩とか後輩と喋るのが・・・
おぉっ!?マジマジ!?じゃーさー、ピグともなんない??
あたしもピーチって名前ではないっ!←言い切ってどうするww
350
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/05(火) 19:42:40 HOST:w0109-49-135-38-28.uqwimax.jp
>ピーチ
あー、ピグともはピグ全然やってなくて会える機会少ないから、アメンバーとかじゃダメかな?
ダメだったらピグで大丈夫だけど(`・ω・´)
351
:
ピーチ
:2012/06/05(火) 22:08:32 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
あー、アメンバーか!
うん、いーよーww
たださー、あたしブログに小説の更新しかしてないよ、それでおk?
352
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/06(水) 22:50:51 HOST:w0109-49-135-24-13.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 合宿! side未花
「副部長は唯花で部長補佐は梨花だ。この二人ならきっと、未花を支えられるよな」
「あ、ありがとうございますっ」
レオ先輩の言葉に号泣しながら唯花ちゃんが言った。
梨花ちゃんは数秒ポカンとしたあと大声で驚く。
「ま、マジですか?!」
「ああ、マジ」
「えええめめめぐとかしょしょうとかははははなとかいっぱいいますよね?」
「梨花は自分の意見持ってるしハッキリ言えるじゃん」
「そそそれはそうですけど!」
そんなに驚くか。
まあ、そりゃそうだよね。
入部して何ヶ月経ったんだろう、二ヶ月くらいかな?
たったすこしのあいだいっしょにいただけなのに、もう部長補佐って決められるんだもんね。
わたしも一年生のとき吃驚したなあ、と懐かしい思い出に浸っていると、レオ先輩が微笑んでこっちを見つめた。
「……これからがんばれよ」
「もう三年生は引退なんですか……?」
「コンクールで負けたらそこで終わりだよ」
――終わり。
その言葉をきいて不安になったわたしはまた泣き出してしまった。
「ちょ、未花っ」
「いやです……引退しないでください……」
「それは無理だよ、俺だって引退したくないけどさ」
「……ずっと、吹奏楽部にいてください……先輩がいない部活なんていやです……」
みんな好きだけど。
三年生がいなくなるのはさみしい。
「いなくならないでください……引退しないでください……卒業しちゃいやです、せんぱい……」
我侭だってわかってる。
迷惑かけてるって、そんなのわかってるもん。
でも、これだけは譲れないような気がした。
恐る恐る周りを見てみると、みんな怒ってるかと思ったら泣いていた。
レオ先輩も、目が赤くなってるのがわかる。
「せんぱい……?」
わたしが迷惑すぎてうざくて泣いたのかな。
そう思いながらレオ先輩の顔を覗き込むようにして見る。
するとレオ先輩は微笑みながら言った。
「未花は、吹部のメンバーを一番大切にしてるよな」
「え……?」
「俺たちが引退することを考えて泣いてくれるくらい、大切にしてくれてるんだろ?」
「……はいっ」
また涙があふれてきた。
先輩たちはわたしの言葉で泣いたんだ。
人の心を動かすことって、わたしにもできるんだな。
でも、やっぱり不安だよ。
「大切にしてくれる気持ちはすごい嬉しいよ」
そう言ってさらりとわたしの髪の毛を撫でるレオ先輩は、でも引退しなきゃだめなんだよってわたしに伝えてるみたいだった。
――合宿って、辛くて寂しい時期だ。
改めてそれを実感したわたしは、寂しそうな先輩たちの表情を見て何も言えなくなった。
もう我侭なんて、言えなくなってしまった。
-
353
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/06(水) 22:51:37 HOST:w0109-49-135-24-13.uqwimax.jp
>ピーチ
ID教えてくれればアメンバー申請しにいけるよ(`・ω・´)
小説見たい←
354
:
ピーチ
:2012/06/06(水) 23:25:26 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
うわーっ!梨花ちゃん凄い驚きようだねーww
こーゆーの見てるとほのぼのしてくる♪
IDはねー、『179−562』だよーww
小説読んだらコメ頼む!←我侭ゆーなっ!
355
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/07(木) 19:40:43 HOST:w0109-49-135-24-13.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 合宿! side未花
「なあ未花、俺たち別れよう」
「え……?」
「俺は大学で俺の道を目指すし、未花ももう一人で大丈夫だろ」
「で、でもわたしはレオ先輩がっ」
「……さよなら、未花」
なんで?
レオ先輩、わたしの傍にいるって言ってくれたくせに、どうして?
わけわかんない。
わたしの周りからみんないなくなっちゃう。
やだよ。
「れおせんぱいっ……」
さっきのは夢……?
ホテル内のふかふかなベッドから起き上がると、周りにはいっしょの部屋になったメンバーたちがぐっすりと眠っている。
きゅっと目をこすると涙があふれているのがわかって、多分顔もぐしゃぐしゃかもしれないと思いながら入浴所へ向かった。
「どうしてあんな夢……」
自分でも訳がわからない。
どうしてレオ先輩と別れる夢を見てしまったんだろう。
予知夢とか正夢だったらどうしよう、いやだよ。
もわっとお湯の湯気が顔にかかってくるような気がした。
いつもよりちょっと熱めのシャワーの温度に逆に汗をかいてしまうような気もする。
「……み、未花?」
「ほえっ?」
聞きなれた声に思わず嬉しくなる。
あれ? でもこの声が今聞こえるはずないよ。
聞こえたらおかしいし。
暖簾(のれん)のようなものにはたしかに女湯って書いてたような……。
「ちょ、ここ男湯っ……」
「だ、だって、え? ど、どうしよ……」
もわもわしている空気でレオ先輩の姿はよく見えなかったけど、あたふたしていると足元に水たまりのようになったお湯がパチャパチャと音を立てて跳ねた。
本当にどうしよう。脱衣所からは「混浴がよかった」「女いねーかなあ」っていう会話も聞こえるし。
逃げ場がない……。
わたしが焦っていると、レオ先輩がぐいっとわたしの腕を引っ張った。
「未花、寝ぼけてたの? とりあえず俺の後ろに隠れてて」
「は、はいっ……」
どうしよ、今度はわたし顔真っ赤かも。
レオ先輩の背中とかすごい男の人って感じだし、力強くて頼もしすぎる。
そんなことを考えてしばらく。
わたしとレオ先輩は周りの目を気にしてずっと動け出せなかった。
わたしはなんだかくらくらしてきて――
「未花?!」
それからのことは、よく覚えていない。
-
356
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/08(金) 19:41:43 HOST:w0109-49-135-24-13.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 合宿! side未花
「うー……」
「未花っ、大丈夫か?」
「え? れ、れおせんぱい……?」
――熱い。
でも、レオ先輩がうちわで扇いでくれていたからそよ風がふわふわと飛んでくるようだった。
「わたしなんかしましたっけ……」
「あ、ああ……その、男湯間違って入ってのぼせて倒れちゃって」
レオ先輩がすこし気まずように説明する。
そりゃ間違って自分の彼女が男湯に入ったなんて言いたくないよね。
「ごめんなさい……」
「謝んなくていいよ。てか、俺こそごめん」
「なんでレオ先輩が謝るんですか!」
思わず大声を出してしまった。
でも本当に、レオ先輩が謝る要素一つもないし。
「うーん、まあ……謝った理由はいずれわかるよ」
「なんですかそれっ」
もしかして。
「大事にするっては言ったけど別れよう、ごめん」みたいなことなのかな。
やっぱりあれは予知夢だったんだ、と思ったわたしは目に涙を溜めて言った。
「いやですっ……」
「え?」
「別れないでください……わたし、レオ先輩と別れたくないです、ずっと傍にいたいです」
涙があふれてきてよくは見えなかったけど。
レオ先輩の表情は、ポカンとしている表情だったような気がする。
そして、レオ先輩の大きくて優しい感じがする手が伸びてきてわたしの頭に乗った。
――くしゃっと、乱暴に頭を撫でられる。
「なんのことかわかんねえけど、俺は未花と別れるつもりなんてないよ」
「え……? だ、だってっ! ごめんって」
「や、あれは……ほら、不可抗力だったとしても未花の裸見ちゃったわけだしさ」
「あ、え……で、でもわたし夢でレオ先輩と別れる夢を見て!」
なんなのなんなの。
じゃああれは予知夢でも正夢でもなんでもなかったの?
「だーかーらー、未花がどんな夢見たかはよくわからないけど、俺は未花のこと大好きだし愛してるし、別れるつもりはないよ」
うれしすぎる。
よかった、と微笑んだわたしはその後さっきの会話を思い出してかーっと顔が赤くなったのが自分でもわかった。
「れ、レオ先輩わたしの裸みたんですか?!」
「いやごめん! でもアレは不可抗力で」
「ま、まだ見せたくなかったです」
「まだってことはいずれ見せてくれたの?」
「まあ……その予定、ではありました」
恥ずかしいけど、すこし成長したこの会話も好きだな。
-
あわあわわ(´・ω・)
ねむいっす。
357
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/09(土) 19:58:51 HOST:w0109-49-135-24-13.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 合宿! side未花
「疲れましたよねえぇ」
「そうだねえ」
梨花がぐてえっとバス内のイスにもたれかかりながら言ったので、それに反応して頷いた。
なんやかんやで内容の濃い合宿が終わり、ちょうど帰るところだ。といっても、学校に着くまで二時間以上はかかるのだけれど。
合宿の最終日にレオ先輩とわたしは同じ部屋になる予定だったのだが、有希先生に見つかってそれは中止になってしまった。
――でも。
「楽しかったですね、レオ先輩」
「すげえ濃かったなー」
「……明後日はコンクールですね」
「ああ、最後だな」
「……やっぱりさみしいです」
「コンクール終わったら引退かぁ」
「ずごい短かったです」
隣にいるレオ先輩に楽しげに話しかけたつもりなのだが、なぜか暗い内容になってしまった。
それはバス内に漂い感染していってしまい、しんみりした空気になる。
「……二年間ありがとうございました」
「こっちこそ、未花にいっつも助けられてたよ」
それはまるで別れを表しているようで――
鈴先輩がわんっと吠えるようにわたしたちに言った。
「そんな悲しい話しないでよ馬鹿!」
「ごごごめんなさい!」
「あ、怒ったわけじゃないんだよ?」
次はさっきとは違うおもしろい空気が漂う。
三年生が卒業するまでに、精一杯感謝の気持ちを伝えたい。
-
358
:
ピーチ
:2012/06/09(土) 23:22:36 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
わぉ!!美花先輩達可哀そう・・・
まさかの有期先生に見つかった!
あ、でも続き気になる!
359
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/11(月) 12:20:12 HOST:w0109-49-135-24-13.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / コンクール side未花
「周りの人に迷惑かけるなよー」
「ちゃんとレオの話聞いてねー!」
ざわつくホール。
ついにコンクール当日ということで、わたしたち青春高校吹奏楽部はコンクール会場であるホールに来ていた。
――だが。
コンクールという緊張を目の前にしたわたしたちはいつも以上にざわついていて、それもなかなか静まらない。
部長のレオ先輩が話し始めてもその声はみんなの声でかき消されてしまっていたので、ついに副部長である鈴先輩までもがみんなを注意した。
「ちょっともー、静かにしてよー」
「……だめだ、静まらないな」
鈴先輩がしゅーんと落ち込みながら諦めてしまった。
レオ先輩もそれに同意してしまう。
こんなとき、わたしが何かできたら。
そう思ってすうっと息を吸って言った。合宿のときみたいにちいさい声じゃなくて、もっと大きな声で。
「みんな! 三年生は最後のコンクールなんだよ? 緊張するのもわかるけど、ここでざわついてうだうだしてたらいくら金賞とったってレオ先輩も鈴先輩も心残りだよ」
よかった、静まってくれた。
今までずっとしゃべってた梨花ちゃんとめぐちゃんが落ち込みながら言った。
「すみませーん……」
「ごめんなさい、気をつけます……」
そのときふいに、わたしの頭に手が乗ってくるのがわかった。
それは予想通りレオ先輩の手で、みんなの前だったから恥ずかしくてわ、と声を漏らしてしまう。
「ありがとな、未花」
「いえいえ、次期部長として当たり前のことをしたまでです……それに、わたしもレオ先輩や鈴先輩の力になりたいし」
すこしでも先輩たちの役に立てたら、それだけで嬉しいんです。
そう言って微笑んだわたしの心にはどこか寂しさを感じさせるものが残っていた。
「未花ちゃんいいこおぉおぉおおおおぉ……」
だーっと何かが流れる音がした。
まさかと思ったら本当に涙だし。鈴先輩滝のような涙を流しながら抱きついてくるし。
「り、りんせんぱい……?」
「こんなに可愛くて優秀で良い子な後輩をもってわたしは嬉しいよっ! やっぱ未花ちゃんが部長でよかったぁあぁあぁぁあぁあ!」
「おい、それは他の人に失礼だろ」
「あ、そか」
レオ先輩も入ってくる。
そして鈴先輩の腕の中にいたわたしはいつのまにかレオ先輩の腕の中にいた。
わたしがドキドキしていると、レオ先輩はわたしをぎゅっと抱きしめながら鈴先輩に言った。
「ていうか未花は俺の彼女なんだから!」
「なにをーうっ! だからって抱きしめるのはレオに関係ないじゃない!」
「いや、将来遥音未花から速水未花になるんだからお前には一切触れさせない!」
「ちょっとお、そんなの関係ないよー」
「関係あるってば」
「馬鹿だなあレオはー」
「いや鈴に言われたくないんだけど」
「え、何を今更冷静に拒否っちゃってんの?」
「いやいや、普通に」
「ちょおっ、ひどーい!」
二人の会話にくすっと微笑を浮かべた。
速水未花、かあ……いつかそうなるのかな。
そう思いながらもう一度二人の会話に耳を傾ける。
「もうっ、じゃあレオは遥音レオでわたしは遥音鈴になる! これで文句ないでしょ?」
「ああ、それならいいぜ」
「よしっ、一件落着〜」
よかったよかった。
――じゃないよ!
なんか話の趣旨変わってるし。
「ちょっ、レオ先輩も鈴先輩も何話してるんですかっ! コンクール前なんですよ?」
「ああ、ごめん。ちょっとね……」
「未花ちゃんにはなーあんにも迷惑かけないから安心してー」
「もう迷惑っていうか、……やっぱなんでもないです」
先輩には強くなりきれないわたしなのでした。
-
360
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/11(月) 18:52:45 HOST:w0109-49-135-24-13.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / コンクール side未花
「今からリハーサル室でチューニングして、すぐステージの裏に移動するからなー」
「周りの人の邪魔にならないように移動してねー」
レオ先輩と鈴先輩がみんなに指示を出した。
はーい、と吹奏楽部員が返事をする。
そして係の人に青春高校吹奏楽部が呼ばれて、ぞろぞろとリハーサル室に入っていった。
みんながチューニングを合わせていく。
そこはもう緊張感で包まれていて、それなのに突然レオ先輩があっ、と声をあげた。
「どうしたんですか?」
「ヤバイ、俺楽器忘れた」
「ど、どこにですか?!」
「……家、だと思う」
「ななな、なんでっ……レオ先輩ヤバイじゃないですか!」
みんながざわつき始めた。
どうしよう、レオ先輩が出ないなんて心残りだよ。
それにピアノがいなくなったら――ピアノソロがあるからだめだ。
今年のコンクールは先輩たちにとってすごく心残りになってしまうと思ったそのとき――
「ばぁか、嘘だよ嘘」
「えっ」
レオ先輩がくしゃっとわたしの頭を撫でた。
「大体ピアノはホールにあるの借りて使うんだしさー」
「……ほ、ほんとだ!」
みんなのあいだにあははは、と和んだ空気がうまれたのがわかった。
すごい、レオ先輩はみんなを和ませようとしてたんだ。
「レオ先輩、ありがとうございます」
「いや、最後くらい部長としてちゃんとしなきゃって思って」
「いっつもちゃんとしすぎてましたよ」
「そうか?」
またあはははは、とみんなが笑い出す。
――うん、なんだかうまくいきそうな気がしてきた。
みんなのチューニングが終わったあと、レオ先輩が微笑みながら言った。
「よしっ、楽しんでこよう!」
『おーっ!』
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361
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/11(月) 21:08:58 HOST:w0109-49-135-24-13.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / コンクール side未花
青春高校吹奏楽部がステージに立った。
他の高校の人や審査員の目が光ったような気がする。
そこには保護者の方や青春高校の後輩、先輩もいるのだが――
緊張で、そんなこと考えてられなかった。
その空気が周りに感染しないように必死に押さえ込む。
わたしはフルートだから一番前に座っていて、更にお客さんの目が集まるような気がした。
どうしよう、ソロで失敗しちゃうかもしれない。
そう思ったけど、指揮をするためみんなの前に立った有希先生がわたしに優しく微笑みかけてくれた。
――ああ、大丈夫だ。
そう思ったわたしは笑みを返し、ゆっくりと頷いた。
すっと、有希先生の指揮棒を持った手があがる。
それに合わせてみんなの空気が一気に真剣で集中したものになった。
最初が肝心ってレオ先輩や有希先生が言っていたけれど、本当にその通りだと思う。
すうっと息を吸った。
吹いていて、自分でも驚いてしまった。
フルートが舞うように踊りだし
クラリネットが弾けるように飛び跳ねる
チューバやトロンボーン、ユーフォニウムの低音がそれを支えるように歩きだし
トランペットやサックスが、吹き飛ばすような明るい音を奏でた
そしてピアノが、レオ先輩がみんなに伝えているような気がした。
「絶対大丈夫だ」「みんなは一人じゃない」って。
いつも以上に感情がこもり遠くへ響き渡る演奏。
最後まで、完璧な演奏ができたと思った。
有希先生の合図で立ち上がったわたしたちは、恥ずかしげに――それでも何かをやり遂げた達成感を感じながらステージ裏へと戻っていった。
ぞろぞろと、楽屋へ繋がる階段を上る。
そして青春高校が集まる第三楽屋に戻ったあと、レオ先輩が言った。
「みんな、よく頑張ったよな」
「すごい楽しかったー」
レオ先輩につづき鈴先輩も言ったからわたしも部長補佐として何か言ったほうがよかったのかもしれないけど、わたしは言葉にならない感動を味わっていて何も話さなかった。
レオ先輩がもう一度、みんなに言う。
「五時から結果発表だから、昼飯買うなら買いに行ってもいいし演奏聴きに行ってもいいけど四時四十五分には楽屋に戻ってこいよー」
はーい、と未だに現実の世界に戻ってないような返事をした。
それでもレオ先輩は苦笑しながら声をかける。
「はい、じゃあ……解散っ」
わたしは迷子にならないようにレオ先輩の傍にいることにしよう。
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362
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/14(木) 10:13:27 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / コンクール side未花
「……すごかった、です」
「ああ、そうだな」
未だに現実の世界に戻されてないわたしは、どこか遠くのほうを見つめながらポツリとつぶやいた。
レオ先輩がおーい、とわたしの顔の前で手をぶんぶん振りながら共感する。
「レオ先輩――」
「ん?」
訊きたいことがあった。
でも、勇気が出なくて言えなくなってしまった。
わたしはもじもじとうつむき加減で考え込んだあと、さみしげに微笑んで言う。
「やっぱりなんでもないです」
「そっか」
レオ先輩はこれ以上訊かないでくれたけど、きっと気づいてる。
わたしがどんな質問しようとしていたか。
――「これで、安心して卒業できますか」
わたしが訊こうとしていたその言葉は、きっととても残酷なものなのだろう。
迷子にならないようにレオ先輩の傍にいると考えていたわたしだが、すこし気まずくなってそそくさと楽屋を出てしまった。
コンビニに行こうか、他の学校の演奏を聴こうか。
いろいろ考えて迷った結果、結局わたしはコンビニに行くことにした。
青春高校が一番に決まってるけど、他の学校の演奏を聴くと自信がなくなりそうで怖かったから。
×
「いてっ」
「あ、誰かと思ったら未花先輩だったんだ」
「梨花ちゃんっ? だれかもわからない人をペットボトルで叩いちゃだめだよ!」
――地味な衝撃が頭に走った。
一瞬ひんやりと頭が冷たくなった気がする。
振り向くとそこには冷えたミネラルウォーターを片手に驚く梨花ちゃんがいて、いろいろ突っ込んでみた。
ツッコミどころが違うかもしれないけど。
「何しにきたんですかー? レオっちは?」
「れ、れおっち?」
「ああ、レオ先輩です。先輩って呼ぶの面倒だったんで」
梨花ちゃんはおもしろい。
ついでに――いや、ついでじゃなくても可愛くておしゃれさん。
ちょっと不良っぽいジャージや制服の着こなしも実は校則ギリギリオッケーだし、気さくで良い後輩だ。
「レオ先輩とはちょっと、ね――わたしが変なこと訊こうとしちゃって」
「訊いたわけではないんですねー」
「うん、直前でやっぱりいいですって言っちゃった」
へへへ、と誤魔化すように笑う。
なんだか虚しくなったわたしは何も買わないで出るのもアレなので適当にジュースでも買って行くことにした。
あ、レオ先輩の分も買おうかな。
ジュースじゃなくチョコとかにして部員みんなにあげたほうがいいだろうか。
そんな思考を巡らせながら、下手したら第三楽屋より狭いんじゃないかってほどのコンビニをうろうろ見て回ったのだった。
×
「あ、未花先輩来たー」
「遅かったですね」
梨花ちゃんとめぐちゃんがこっちを見ながら微笑んだ。
あのあと結局ミニドーナツを部員の人数分買ったのだが、どうやら帰ったころにはみんなもう戻っていたようだ。
コンビニの袋をカサカサ鳴らしながらわたしがレオ先輩にこそっと言う。
「差し入れ買ってきたんですけど、今配っちゃダメですかね?」
「あー、いんじゃね? まだ時間あるし」
「そっか、ありがとうございます」
なになにー?とすこし騒めく部員たちに聞こえるように大きめの声で言った。
「今からミニドーナツ配りまーす、一人一個だからねー!」
結果発表前に第三楽屋で食べたドーナツは、わたしたちに思い出をつくってくれているようだった。
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363
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/14(木) 22:51:31 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / コンクール side未花
「いよいよですね」
「そうだな」
結果発表の時間よりすこし早めに座席についたわたしたち青春高校吹奏楽部は、緊張を紛らわすためかみんなこそこそと話していた。
わたしもその中の一人で、隣にいたレオ先輩に話しかける。
――そういえばさっき食べたドーナツの香りとかしてないかな。
ホール内は飲食禁止だけど楽屋ならオッケーされている。
だとしても、ホール内でドーナツの香りをぷんぷんさせていたら疑われて下手したら追い出されてしまうだろう。
「……ドーナツ臭とか、しないですよね」
「ドーナツ臭ってどんなだよ、つうかドーナツは臭くないし」
「あ、そっか」
よく考えればあのおいしいドーナツに対してドーナツ臭というのもどうかと思う。
自分の言ったことにあららと軽く反省したあと、レオ先輩に微笑みかけた。
「でもレオ先輩はいっつもレオ先輩の香りがしますよね」
「な、なんだよそれ」
「教えたくないから秘密です――あっ、始まった」
ふふっと微笑みかけたあと、ステージの上にあがる主催者をじっと見つめた。
主催者のあの赤い蝶ネクタイが――妙に嫌味のように思えてくる。
「……毎年思うけど蝶ネクタイって嫌いです」
「おい、それ言うなよ」
突っ込むレオ先輩にもう一度微笑みかけて言った。
「あ、でもレオ先輩の蝶ネクタイ姿はかっこいいですよ」
緊張からか、思ったことが全部口に出てしまうようだ――
ふうと一息ついて、真剣に結果発表をきくことにした。
たくさんの高校の名前が呼ばれていくなか――
「青春高校、ゴールド金」
金賞を受賞した瞬間、青春高校吹奏楽部付近から歓声がきこえてきた。
でも、他にも金賞はあったけど県大会に出れるのは一校だけだ。
「県大会出場は――」
「青春高校吹奏楽部です!」
さっき以上の歓声があがった。
うれしくてうれしくて――わたしはつい、泣き出してしまった。
県大会に向けて、これからもがんばろう。
-
364
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/15(金) 18:32:27 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / コンクール side未花
「やったぁあぁあ……」
「鈴、喜んでるなら泣くなよ」
「だってだってぇ……」
――結果発表が終わりホールを出たわたしたちは、しばらくオフィスのような場所で固まって抱き合ったり泣いたりしていた。
鈴先輩が大泣きしながらわたしたちのところに来て喜んでいたためレオ先輩に突っ込まれていたが、レオ先輩も微妙に鼻声な気がする。
わたしも相変わらず泣いたままだったけど、それより嬉しさが勝ったからずっと笑っていた。
「でも、正直に言っちゃうと県大会出場って去年も一昨年もでしたよね」
「う、そこにはあんまり触れないで……毎年泣いちゃうんだから」
そうですか、と変に納得してみる。
そしてちらりと他校の人がいるところを見てみると、そこには悔し涙を流した人たちの姿――
――「どうしてわたしたちじゃないんだろう」
きっと、他校の人たちはそう思っているのかもしれない。
「レオ先輩、楽屋戻りましょうよ」
「――ああ、そうだな……おいみんなー、落ち着き次第楽屋戻れよー」
「あ、わたし様子見で残ってますよ」
「じゃああっちは鈴に任せて俺も残るよ、未花だけじゃ心配だし」
「な、なんですかそれっ」
完全に子供扱いされてる。
表情を歪めながら反抗すると、レオ先輩が顔を真っ赤にして言った。
「そういう意味じゃなくて! 心配なんだよ、未花が他の奴にとられないかとか」
わたしより、レオ先輩のほうが子供かもしれない。
「わたしがレオ先輩以外の男の人のところに行くわけないじゃないですか」
顔が真っ赤になった。
それはわたしもレオ先輩も同じで――
「はいストーップ! イチャつくならホテル行け!」
鈴先輩に止められてしまった。
さっきまで泣いてたくせに、とレオ先輩が反抗する。
楽しい日常。
それは三年生がいてこそのもので――いつか、なくなってしまうのだと思うと辛い。
でもそれまで、精一杯楽しみたいな。
-
365
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/17(日) 20:19:29 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / コンクール side未花
「多分もう全員楽屋に戻りましたよ」
「だな、じゃあ俺らも戻るか」
最後の一人を確認して、わたしたちは周りに他に青春高生がいないか探しながら戻った。
青春高校の制服姿は見当たらず、よかったと二人で微笑みながら楽屋へ向かう。
――階段をのぼり第三楽屋へ入ると、そこはさっき以上にざわめいていた。
「あっ、未花ちゃんとレオ!」
「鈴! なんでこんなざわついてんだよ」
「二人を探しに梨花ちゃんとめぐちゃんがそっち行ったんだけど、なかなか戻ってこなくて」
心配させてしまったのだろうか。
二人の会話で梨花ちゃんとめぐちゃんがいなくなったことを察したわたしは、無言で楽屋を飛び出てしまった。
また先輩たちに迷惑かけるかな。
――でも、今はそれより梨花ちゃんとめぐちゃんだ。
これから部長になるわたしが、こんなところで立ち止まってちゃ部員のみんなも頼ることができないだろう。
×
――大きな物音がした。
それは鈍くて重いような音。
ちょっと心配になって、その音が聞こえたほうへ向かう。
「じょ、女子トイレ?」
思わずつぶやいてしまった。
女子トイレで何が起こっているというのだろう。
ちらりと覗いてみると、そこには梨花ちゃんとめぐちゃんの姿。
「梨花ちゃんめぐちゃんっ!」
「み、未花先輩ッ!」
二人の名前を呼んだはいいけど、梨花ちゃんとめぐちゃんは他校の制服の人たちから囲まれていた。
この様子を見る限り、さっきの物音は壁を叩いたのであろう。すこしヒビが入っている。
「未花って聞いたことあるかも、青春高校の吹部の部長と付き合ってる子だよ」
「え、部長ってレオって人でしょ? かっこいいなって思ってたのにぃ」
「次の部長らしいよ」
「じゃあちょうどよくない?」
な、なんなんだろう。
なんか怖いし。
「県大会出場するからって調子に乗んなよな!」
「由那たちのほうが頑張ったに決まってんだろ!」
「お前らの演奏なんか全然上手くねえんだよ!」
「大会棄権しろよ!」
由那って、一斗高校の吹奏楽部の部長さんの名前だ。
ってことはこの人たちは三年生か。
「その、吹奏楽部の方ですか?」
「は? 違うけど」
――だろうと思った。
ちょっと怖い気持ちもあったけど、青春高校の音楽を馬鹿にされてわたしも嫌な気分になった。
「音楽と関わりのない人はそうやってすぐ上手いとか上手くないって決めつけるんです」
梨花ちゃんとめぐちゃんがビクビクしているのがわかって二人に一度微笑みかけてから言った。
二人は安心した様子を見せて、そっとわたしの後ろにくる。
「わたしの演奏が足を引っ張ってるって自覚はあるし、わたしは下手ですけど……青春高校の演奏は馬鹿にしないでください! 頑張ったのなんて、どこも同じに決まってます! 一斗高校が頑張ったのも演奏聴いててわかりました。でもわたしたちも頑張ったんです」
上手く言葉にならない。
でも、わたしはともかく梨花ちゃんとめぐちゃんを巻き込むのは許せなかったから。
「……う、うるさい! お前に何がわかるんだよ!」
一人の先輩がバシンと平手打ちをしてきた――ような気がする。
なんだか感覚がわからなくなったわたしはその先輩が落ち着くのを待ってからポツリと言った。
「……わたしたち、由那さんたちの分も頑張ります。他の高校の人たちの分も頑張って、県大会を突破して全国で金賞とります」
全国までいくのは毎年だった。
でも結果はいつも銀賞。
二位の青春高校として有名だった。
――でも。
わたしたちが気づけなかっただけで、辛くて悔しい人がいっぱいいるんだ。
だからその分頑張らなきゃ。
そう決意して先輩たちに言うと、先輩たちは顔を赤くして言った。
「あ、当たり前だ!」
行こーぜ、とちょっと柄の悪い感じでトイレを去っていく。
でも去り際に、ちいさな声で言った言葉がうれしくて――思わず泣いてしまった。
「がんばって」
知らない人とだってこんなにも分かり合えるんだ。
それを知ったわたしは、やっぱり涙が止まらなくなって梨花ちゃんとめぐちゃんに慰められてしまった。
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366
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/17(日) 23:25:06 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 痛いんじゃなくて、 side未花
「未花っ! 梨花とめぐも……!」
女子トイレを出て楽屋へ向かってすこし歩くと、探しにきてくれたのかレオ先輩と鈴先輩がわたしたちの名前を呼んだ。
何だかんだいって怖かったから、安心してまた涙が出てきてしまう。
でも怖かったよりもやっぱりうれしかったのほうが強くて、さすがに梨花ちゃんとめぐちゃんには呆れられてしまったと思う。
「未花?! 怪我してる?」
「だ、だいじょうぶっ、です」
今まであったことをわたしの代わりに梨花ちゃんが説明してくれた。
そしてレオ先輩はわたしの頭を撫でて優しく微笑む。
「よく頑張ったな」
こんなんで泣くようじゃ、これでレオ先輩に頼っちゃうようじゃまだまだなんだろうけど。
これからもっと、強くなっていきたい。
×
「――ということがあったらしいです」
第三楽屋に戻ってわたしもすっかり泣き止んだ。
レオ先輩はなぜかみんなにその話しちゃうし。
「じゃ、ここで未花から」
「な、なんでですか?!」
「なんでって、張本人だし……次期部長だしさ。コンクールに対する意気込みをどうぞ」
やれと言われたからにはやるしかないんだろうけど。
ちょっと焦った。
「え、えと……どんなに頑張っても報われないこともあると思います。県大会に出場できなかった高校は悔しくて苦しくて――本当に辛いんだと思います」
なんかはずかしい。
でもわたしは話し続けた。
「今までは他校の人の気持ちとか分かってあげれなくて、自分たちのことで精一杯だったけど――きっと分かってあげれなかったから全国で金賞とれなかったんです」
言い切れる自信なんてないけど、他校の人の痛みさえわかれば何とかなるような気がして。
ただ、がむしゃらに頑張るより冷静になったほうがいいと思って。
「今回は、他校の人の痛みや苦しみも十分理解して、その人たちの分も精一杯演奏しましょう」
「はいっ」と揃う返事。
なんだかうれしくなったけど恥ずかしくて、ちらっとレオ先輩のほうを見たらレオ先輩も笑ってくれた。
「よかったよ、未花」
「……レオ先輩のお陰ですよ」
わたしはレオ先輩がいなかったら、ということを想像してちょっとさみしくなって、少し間をあけてから苦笑した。
こんなふうにレオ先輩と部活に取り組めるのって、あと何日なんだろう。
もうきっと、数えれるくらいないのかな。
百日って、人生の三分の一よりちょっと少ないくらいでかなり短いけど。
それくらいもなかったらどうしよう。
ちょっと不安になったわたしは考えるのをやめて、みんなに指示を出した。
「じゃあ、楽器積む人はトラックに運んでください」
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367
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/18(月) 18:38:15 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 強くなりたい side未花
「一、二年生強化期間?」
「ああ、今年から全部活で始まるらしくてさ」
吹奏楽部のミーティング中。
コンクールの練習前にみんなで集まっていたら、みんなをまとめていたレオ先輩がその話をしてくれた。
「どんなことやるんですか?」
一、二年生だけで合宿?
いや、これはさすがにないよね。
レオ先輩が何か言おうとしたところでバンッと音楽室のドアを蹴り有希先生が誇らしげに入ってきた。
「本当はもう一週間程度で運動部の三年生は引退だから三年生は練習なしになるんだけどさ、吹部は文化祭終わるまでんなことできないから……」
もうそんな時期か。
運動部っていっても野球部はまだ大会があるから例外だろうけど、女子テニス部とか特にボロボロ泣くんだろうな。
「一、二年生はこの音楽室、三年生は旧校舎の音楽室で練習な。打楽器は必要なの持ってけよ。バドラとかティンパニーとか鍵盤系はあるけど」
――旧校舎?
そんなものがあったのか。
わたしは何だか興味を持って、好奇心で微笑んだ。
「わたしも旧校舎行ってみたいです」
「二年生はダメ。危ないから」
「あ、危ないんですか……?」
「一回鍵閉められたらもう出られなくなるしね」
有希先生、サラリと怖いこと言ってるし。
でも入学初日から学校の隅々まで探検して外まで出回ったわたしが旧校舎を知らないなんておかしい――
ってことは、余程危ないと言われているところなのだろうか。
ちょっと怖くなったわたしは三年生の先輩たちに向かってポツリと言った。
「その、気をつけてくださいね」
「未花ちゃんかわいいー! だいじょうぶだよっ」
鈴先輩に抱きしめられる。
レオ先輩がちょ、と手を伸ばしたのがわかってちょっと嬉しくなった。
「わわわ、鈴先輩苦しいですよ」
「えへー、未花ちゃんが可愛すぎてついっ!」
「おい鈴! 未花のこと放せよっ」
なんだかんだあって、明日から強化期間です。
がんばりたいな。
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368
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/18(月) 22:02:40 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 強化期間 side未花
「失礼しま――え?」
普段ならレオ先輩か鈴先輩が鍵を取りに行ってくれているのだけれど、最近はわたしが鍵を取りに行くようにしていた。
職員室に入った途端、大慌てな先生たち――何があったんだろう。
「ゆ、有希先生? 何かあったんですか……?」
めずらしく動揺している有希先生を見る限り、かなりヤバイことだそうだ。
すると有希先生は焦りながらも優しく言う。
「一、二年とか、特に未花には心配させたくないから教えないけどとりあえず鍵ね。早く練習してこい」
何がなんだかわからないけど、他の部員を待たせていることを思い出して「はいっ」と返事をして職員室を出た。
――わたしたちを心配な気持ちにさせることなのかな。
×
「五時までパート練習して、六時から合奏でーす」
わたしが慣れない指示を出すと、みんなもちょっとぎこちない様子で「はーい」と返事をした。
他のパートが集まり始めたから、わたしもフルートを片手にフルートパートを集める。
「わたしたちは1−Aに行こうか」
「うん! ……って、なんか三年生いないとさみしーかも」
「ね、だよね」
唯花ちゃんがへへ、と苦笑するのを見てぶんぶんと首を振り同感した。
それからしばらくパート練習をして、六時に合奏を開始するのであった。
×
「うーん、地区のコンクールまで一年生も間に合ったけど、やっぱり難しいかな?」
「あたし指釣りそうですよ」
梨花ちゃんが指見せながら言った。
こういうのを指導するのも難しい……。
「えと、もっかい合わせて思ったこととか聞きます!」
「はいっ」
潔く返事をしたのはめぐ。
練習に真剣になってくれてるのって、なんか嬉しいかも。
みんなのまとめ役として、たくさんのことを知れた日になったと思う。
よかったな。
×
――おかしい。
三年生の下駄箱で待っているのだが、レオ先輩の姿が一向に見えない。
いや、レオ先輩に限らず吹奏楽部の三年生全員だ。
不安になったわたしは、一旦職員室にいる先生に訊くことにした。
「失礼します。その――って、少なくないですか?」
「い、いや……ちょっとね」
焦る先生。
たしかレオ先輩のクラスの担任だ。
「吹奏楽部の三年生に何かあったんですか?!」
「いや、まあ……見回り当番が吹奏楽部が旧校舎使うからって見に行ったらしいんだけど、面倒臭くなって中にまだ生徒がいるのに鍵閉めちゃったらしくてね……」
なんだ、そんなことか。
もう先生が向かっているなら、そろそろ来るころじゃないか?
あれ、でも。
――「一回鍵閉めたらもう出られないしね」
有希先輩の言ったその言葉が、鮮明に思い出せた。
-
わふーな展開。
どうしましょー。
369
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/19(火) 17:16:23 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 不安 side未花
「わたし、旧校舎行ってきます!」
職員室に来る前見かけたんだ。
普段なら固く警備されて鍵も閉まっている倉庫のような扉が、今日はまるで入ってどうぞというように開いていたのを。
旧校舎は地下にあるって噂を聞いたことがあったけれど、恐らくそれは本当のことだろう。
先生が止めたのも聞かずに、わたしはいつも平然として歩いている廊下を走った。
早く、先輩たちを助けなきゃ。
×
倉庫のような扉の奥はやっぱり地下へとつづく階段になっていて、駐車場とか洞窟とかの薄暗いイメージなのかと思ったら以外と綺麗だった。
階段を一番下まで降りると、上の新校舎とそっくりな――いや、ちょっと違うところもあるけど、大体は同じかな。とにかく廊下がつづいていた。
電気がついているから、きっとたくさんの先生たちが来ているんだろう。
わたしは見知らぬその校舎内を新校舎の音楽室に行くような感じで歩いてみた。
すると新校舎だと音楽室があるであろう場所に――先生たちが集まっていた。
こそっと覗いてみると、音楽室内のレオ先輩たちと連絡を取り合ってるみたい。
「レオ! 具合悪い生徒とかいるか?」
「大丈夫です!」
――よかった。
レオ先輩の返事と声を聞いた限り、みんな元気そうだ。
わたしは安心して思わずその場に座り込んでしまった。
するとその微かな音に気づいたのか有希先生がやってきて――
「未花!」
大きな声で名前を呼ばれた。
ヤバイと思ったけど、扉の向こうからレオ先輩の声が聞こえる。
「未花?」
「レオ先輩ッ!」
先生たちなんか気にしないで、思わずレオ先輩の名前を呼ぶ。
するとレオ先輩の声がまた返ってきた。
「待っててくれたのか?」
「はい……でもなかなか来なくて心配で、不安でっ……うあ、」
泣いちゃだめなのに。
レオ先輩たちはまだ助かってないって思い知らされて、不安な気持ちがまた込み上げてきた。
レオ先輩のあわてた声が聞こえる。
「未花! あと、ドアの前にいる先生方も。ちょっと下がっててください」
「れ、れおせんぱい……?」
先生たちが下がった。
その数秒後。
――鈍くて痛々しい物音。
そしてそれとともに、固く閉ざさっていた扉が倒れてきた。
開いた……?
情報を整理して考えてみると、どうやらレオ先輩が蹴って開けたようだ。
「やー、お騒がせしてすみません。先生方」
「い、いや……すごいねレオくん」
戸惑う先生。
有希先生は平然とした表情で言った。
「そうかその手があったか。未花のためなら冴えてるなレオ」
中にいた三年生の先輩たちも、みんなでレオ先輩に微笑んでいた。
「レオすご!」
「うっ、もう出れないと思ったあっ」
「レオかっこよかったあ」
「惚れちゃったかも」
わたしはぼーっとその様子を眺めていて――
安心して、また座り込んでしまった。
俯きながら泣く。
するとレオ先輩がしゃがみこんでわたしの頭をそっと撫でた。
「心配させてごめんな、未花」
「うっ……レオ先輩、の、ばかっ」
結局わたしは、レオ先輩がいなきゃ弱いままなんだ。
-
370
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/21(木) 19:38:57 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 強くなりたいのに side未花
「わたしやっぱり、部長むいてないのかなあ……」
思わずポツリとつぶやいた言葉は虚しく自分の頭に降り注ぐみたいだった。
地下だから響いて、周りにいた先生や先輩の耳にもきっと届いてしまったと思う。
わたしが俯いたままでいると、レオ先輩が優しく言った。
「――未花が部長やりたくないっていうんなら、俺たちで考え直して別の人に回せるけどどうする?」
変なの。
わたしに部長がむいてないって言われてるわけじゃないのに、レオ先輩の優しい言葉の裏に未花は部長にはなれないって気持ちがこもってるみたいで泣きたくなる。
泣きたくなるくらい、部長が他の人に譲られると悔しいのに――
「他の人に、頼んでください」
震えた声で、わたしはそう告げた。
×
「未花ちゃん、ちょっとおいで」
「鈴先輩?」
次の日のお昼休み。
朝から憂鬱な気持ちで登校して、先輩たちと顔を合わせたくないなと思っていたところに真剣な顔の鈴先輩があらわれた。
断れるはずもなく、お弁当を片手に鈴先輩についていく。
どうやら音楽室のようだ。
鈴先輩が音楽室前で止まったから、わたしも止まって無言でいると音楽室の中から声がきこえてきた。
「でもさ、いっそのこともうあの子にしたら」
「いやそれじゃだめでしょ」
「やっぱ部長とか決めづらい……」
三年生の先輩の声だ。
どうやら部長について話し合っているらしい。
――わたしがあんなこと言ったから。
なんだか罪悪感がうまれてきて、鈴先輩が振り向いたころにはわたしの心は沈んでいた。
「みんなね、未花ちゃん以外に頼れる人はいないの」
「でもわたし、レオ先輩がいなきゃなにもできないし……」
「じゃあその気持ちをみんなに伝えればいいよ。突然部長やめられて、ちょっとショック受けてるんだ」
やっぱり迷惑がられてたのだろうか。
鈴先輩のショックという言葉をきいて更に暗い気持ちになったけど、わたしはそれを軽くするために――自分の罪を軽くしようと、音楽室の扉を開けた。
「――未花」
きる!
371
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/21(木) 19:40:32 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
入って一番最初に反応してくれたのはやっぱりレオ先輩だった。
みんなの視線が一気に集まって緊張したけど、それでもわたしの思いを話す。
「わたしは、みんなをまとめてるレオ先輩が輝いてみえてかっこよくみえて……わたしも最初はそう見えたらいいなって思ってたんです。でも、わたしにはレオ先輩がいなきゃ何もできないんだって気づいて――わたしっ」
思わず泣き出してしまったそのとき、レオ先輩があせってわたしを止めた。
「未花、もういいから」
でも優しさで言ったであろうその言葉でさえが、わたしの言い訳なんて聞きたくないって言ってるように思えてしまう。
落ち込んだ瞬間、先輩たちが微笑みながらわたしに言った。
「それを直すための強化期間じゃん?」
「未花、ちゃんとまとめられてるよー」
「てかあたしたちが怖すぎたんだね、ごめんね」
「正直いって未花を嫌いな先輩後輩いないから、堂々として大丈夫だよ」
「リーダーぶっても嫌われないし。リーダーなんだし」
「ほらレオを見てみろ、ああだぞ」
「ああってなんだよ! ――とにかく」
最後にレオ先輩が微笑んで言った。
「未花が俺を必要としてくれてて、彼氏としてうれしかったし。俺が卒業してもいつでも相談乗るよ」
――だからさ、頑張ってみなよ。
レオ先輩の言葉が胸に響いて
わたしは「はいっ」と潔く返事をして、ペコリと頭を下げた。
「ありがとうございます! それと、これからもよろしくお願いしますっ」
レオ先輩みたいに上手くできない、じゃなくて
わたしなりのベストを尽くすんだ
それはきっと音楽にも関係する
それぞれが自分なりのベストを尽くせてこその最高の演奏なんだろう
このことを早くみんなに伝えたくて
わたしはお弁当を片手に教室に戻ろうとした
のだが――
「なんだよ未花、せっかく来たんだからいっしょにたべようぜ」
「そうだよー、この展開を予想してお弁当持たせたんだしー」
レオ先輩と鈴先輩に引き止められてしまった。
どうしよう、これはかなり恥ずかしい。
「わたしあれだけ立派にお願いしますって言ったのになんなんですかっ、心の中で思ってることとか超恥ずかしいじゃないですか!」
にやにや微笑む先輩たち。
どうやらわたしが先輩みたいに上手にまわるのは無理なようです。
-
372
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/23(土) 17:30:50 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / ベスト! side未花
「じゃあ練習始めま――って、なんで先輩たちがいるんですか!」
「お、未花も言うようになったなー」
「そんなとこに感心しなくていいんです! 旧校舎練習じゃないんですか?」
にこにこと満面の笑みを浮かべながら隣に立つレオ先輩たちに突っ込んだ。
レオ先輩は当たり前だろと言いながら苦笑する。
「旧校舎は危ないから使用禁止になったよ」
「どうせレオ先輩が蹴ってドア破るからいいでしょ」
「破んねえよ! それより未花部長、昼に思ったことみんなに伝えてあげれば?」
なんで知ってるんですかっ、という抗議は心の中に閉まっておいて、わたしがみんなに向かって言った。
「コンクールではあの子みたいに上手く吹けないとか、あの子に負けないようにするとかじゃなくて――自分のベストを尽くしましょう」
パチパチと三年生の先輩が拍手してくれた。
きっと去年のレオ先輩も、元部長や先輩に支えられて今みたいになったのかもしれない。
わたしもがんばらなきゃな、と微笑み、みんなに指示を出した。
「じゃあ五時までパートで基礎練習とコンクール練習しt、五時五分には音楽室にチューニング終わった状態で座っててくださーい」
「はいっ」と声がまとまった。
わたしはにこにことこっちを眺めるレオ先輩の袖をきゅっと掴み、俯きながら言う。
「――わたし、ちゃんとできてますか?」
レオ先輩みたいに、みんなをまとめて周りを見れて。
自分なりのベストはやっぱりそういう風になることなんだと思う。
レオ先輩みたいにじゃなくても、最低限レオ先輩がやっていたことはやり遂げたい。
「――大丈夫、ちゃんとできてるよ。つか、俺もう教えることないくらい成長したし」
レオ先輩は優しくわたしの頭をポンポンと撫でた。
それはどこか切なさを感じさせて――わたしは去年卒業していった先輩たちの姿を思い出した。
レオ先輩もあのように、みんなを置いて卒業してしまうんだ。
「もし――」
もし、できることなら。
このまま此処に居てほしい。
-
未花の気持ちが上手く表現できてるかわからない(´・ω・)
自分たちの演奏は上手くなっていくばかりで、それはすごいうれしくて。
未花もどんどんみんなをまとめられるようになって。
だからこそ三年生の出番も少なくなるし、これから自分が部長としてみんなを支えるのを思い浮かべるとまとめられるかなっていう不安と、レオにいってほしくないっていう願いが込み上げてくるみたいな!
ちなみに未花のいう此処っていうのは、音楽室とか青春高校ってのもあるっぽいけど
やっぱり一番は自分の傍に居てほしいっていう願いですね!
ということでぐっばい!
373
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/26(火) 20:32:57 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 前向きに! side未花
――疲れた。
吹奏楽部であれだけの人数をまとめるとなるとやはり疲れる。
わたしと唯花ちゃんは部活帰りにふたりでマックに来ていて、唯花ちゃんがわたしを気遣ってソファのほうに座らせてくれたからちょっと甘えて大人しくそこにいることにした。
「おつかれ未花ちゃん」
「んー、おつかれえぇ……」
「もー、酔っ払いみたいだから起きなよう」
むにゃ、と寝言を言いながら眠りかけるわたしをぐわんぐわんとふざけて唯花ちゃんが揺らした。
うわうわうわと反応するけれど起きる気にはなれなくて、まるでお母さんに遅刻するよって言われてるみたいな気分になってしまう。
「こーら、おきなさーい!」
「やだー」
「もう――あ、レオ先輩たちだー」
えっ、と反応してみたがこんなだらーんとした姿見せられず、髪の乱れを直しキチンと制服や姿勢を正しくした。
それを見ていた唯花ちゃんに冷めた眼で見つめられる。
「ねえちょっと、そんな眼で見ないで照れちゃう」
「あははー」
照れたところで――入り口のほうに目を向けると、そこには大好きな先輩たちが居て。
なんだかちょっと安心したのが、自分でもわかった。
レオ先輩がこっちに気づいて、にこりと微笑んで手を振ってくれた。
わたしは嬉しくなって思わず――
「レオ先輩っ!」
店内だというのに大声を出してしまった。
周りの冷たい目線が刺さる。
でもそんなの気にしない。
「今日もおつかれ、部長と副部長どうだ?」
「めっちゃ疲れますよおぉ……」
――でも。
そう前置きしてから、微笑んで言った。
「すごく、楽しいです」
そう感じられて、本当によかったと思う。
不安な気持ちが消えたのは、協力してくれる部員のみんなや頼れる副部長の唯花ちゃん、部長補助でわたしを支えてくれる梨花ちゃんに、応援してくれた先輩たちのお陰なんだろうな。
わたしはうれしくなって、先輩たちにポテトをプレゼントしてみた。
「三本までですよー」
「え、未花ちゃんケチー」
「あはは、自分で買ってください」
前向きに、考えていこう。
-
ここで未花のターンはいったん終わり。
ていうか、またすぐ未花のターンになるかもだけど。
終わりが見えないのでもっとがんばります……orz
374
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/27(水) 20:44:07 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / side梨花
「一年生、最近反応悪くない?」
――唯花先輩から、ふわふわした優しい感じでそんなことを言われてしまった。
唯花先輩が言ったからまだぐさっとはきてないものの、それはあたしもかなり気になってた。
「ですよねですよね、なんか……三年生が抜けたからかなぁ」
「それにしても、県大会控えてるのにこの状態はヤバイよ」
そうですよねー、と共感してみたけれどこれを何とかして直すのはあたしの役目なんだ。
あたしは唯花先輩に「がんばりますっ!」と言ってから一年生が集まっているはずの1−Fの教室へ向かった。
×
――なにこれ。
ちょっと、いや、かなり驚いた。
1−Fに詰め込まれた一年生メンバーはそれぞれが思い思いに喋っていて、全然まとまりがない。
誰かが指示して丸くなるとか、机動かしたりして話し合いの場をつくってくれてるかなと思っていたのだがこれじゃ全然だめだ。
「みんな! 机前に寄せて話し合いするよー!」
そう指示しても、手伝ってくれるのは翔とめぐと花くらいだ。
その三人でさえさっきまで喋ってたし。
お腹の中から胸に溜まったイライラ感ともやもやが、一気に飛び出るようだった。
わたしはみんなに怒鳴る。
「一年生! 考えて動いてよ!! なんでこんなになっちゃったの?!」
「何でと言われても」
「悪くなったかなあ?」
きょとんとする一年生部員にもう一度怒鳴った。
「前だったら話し合いするって指示はいった瞬間に机前に寄せて丸くなってたじゃん!!」
「そういえば……」
「そうだった気もする……」
なんでこんな風になっちゃったんだろう。
自分でもわからなくて、ただ感情のままに怒鳴り続けた。
「県大会があるのに、こんなんじゃだめだって唯花先輩にも言われたんだよ! 今まで通りでももうだめな時期なのに、今まで以下だったらもっとだめじゃん!!!」
みんなの表情が引きつってるのがわかる。
それくらいのことを言ってるんだ、そろそろセーブしなきゃ。
そう思ったのに、一度暴走してしまった感情はなかなかおさまらず、勢いに任せて言ってしまった。
「やる気ないなら部活やめればいいじゃん!!!」
なんでうまくいかないんだろう。
-
吹部をまとめられた未花の話と同時進行系の話です。
未花が悩んでるあいだ、梨花も一年生に手こずっていました的な!
やる気ないならやめろっていうのはリアで違う部活の子が言った言葉です←
その子はかなり嫌われちゃっているので(可哀想なんだけどね)
梨花もそんな風にできたらなって思ってます!
梨花が嫌いなわけじゃなくて、部員を団結させるためにだからね^p^←
375
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/29(金) 20:13:59 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 沈黙と陰口 side梨花
1−Fにピリピリとした空気が走り、沈黙がつづいた。
どうしよう、あたしの所為だ。
あたしが一年生部員の顔をのぞくように表情をチラチラ見ていると、こそりと一人の部員がその友達に向かって何か言っているのがわかった。
「――やめろはないよね」
「なんかえらそう……」
そんなコソコソした陰口でさえも、この沈黙の中だと妙に響いて聞こえてしまう。
「ごめんなさい! あたし用事思い出したから帰る!」
自分の所為でできた沈黙と自分に対する不満の陰口に耐え切れず――
あたしは逃げた。
×
「あーあ……逃げちゃった」
早めに家に帰ってきてしまったから、仕事に行っているためお母さんの姿は見えない。
一人きりの家のなか、あたしはリビングのソファに寝そべってポツリとつぶやいた。
ウサギのぬいぐるみを抱き上げて「だめだねあたし」と声をかけるが、それはまるで自分に虚しく降ってきたようだ。
「もうやだ」
このときのあたしは、なんの遠慮もせずみんなに迷惑かけることも考えずに逃げ出したいと思っていた。
みんなの不満や自分のだめなところから逃げて、もう一生関わりたくないと思っていた。
――できることなら、部活もやめてしまいたいくらいだけど。
「……どうしよ」
あたしなんかいないほうが、吹奏楽部は平和だったんだと思う。
他人に迷惑もかけなかったし、何より嫌な思いをする人もいなかったんだ。
はあ、とため息をつくと、悩みやもやもやもいっしょに出ていくかと思ったけどそんなに甘くはなかった。
あたしはまた「もうやだなあ」とつぶやいてみたけど、そのあと突然意識が遠のいていったのがわかった。
なんか
きもちいいかんじ
×
きる!
376
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/29(金) 20:17:04 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 頑張るが楽しくなる日 side梨花
「梨花ー、入るよー」
聞きなれた声がして、あたしはびくっと肩を揺らして起き上がった。
――なんだ、家か。
時間は――六時半だ。
「だだだだれっ?」
「あたしだよもー」
「俺もいるけどさ」
「わたしも来ちゃった」
めぐと翔と花が呆れるようにあたしを見つめながら制服姿でリビングまで来た。
翔と花はともかく、めぐに呆れた目線で見つめられると相当だめなんだなあたしと思う。
「梨花はまた一人で抱え込んでー、だめだなもー」
「みんな心配してるよ」
めぐが乱暴にわしゃわしゃとあたしの頭を撫でた。
仕方ないなーみたいな感じで言ってるけど、これはめぐなりの精一杯の愛情表現なんだろうと思う。
でも、そのあとに言った翔の言葉に思わず「え」と声を漏らした。
「あたしあれだけ酷いこといったしみんなあたしを嫌いになったんじゃ」
「違う違う! 梨花はそんなに信用薄くないよ!」
「え、でも」
あたしは信用できるような存在じゃないし、頼れないほうだと思う。
ハッキリ決断できるめぐや、冷静に考えられる翔とかしっかり周りを見れる花のほうが全然頼れるし。
あたしがそれを認めないでいると、翔が優しく言ってくれた。
「梨花が帰ったあと、みんな梨花は一生懸命だったんだし、自分たちも協力しなきゃなってなったんだよ」
「わたしたちは代表で梨花を元気づけに来てるんだよー。みんなすっごい真剣に練習してたよ!」
「さすがに話し合いは何について話すのか梨花しか知らなかったし、全員居る場で話し合いたいからって中止になったけどさ」
花とめぐも、翔につづいて言う。
三人の言葉からはみんなの優しさが伝わってきて――
「ごめっ、ん、なさっ……」
思わず泣き出してしまった。
みんなを心配させた自分が嫌になっているのか、みんなの優しさがうれしくて泣いているのかは自分でもわからない。
わからない、けど。
もやもやが晴れた。
「あたし、頑張る」
「ようしっ、それでこそあたしたちの梨花だ!」
めぐが勢い良くあたしに抱きついた。
これが日常茶飯事なのに、この抱きつかれた感はいつもとちがくて、めぐの華奢で細い肩に身を預けてまた泣き出してしまった。
翔が羨ましそうな目線でめぐを見つめて、「いいなー」とつぶやいていたのにちょっと顔が赤くなるのがわかる。
あたしにはあたしを理解してくれる仲間がいて
お互いを分かち合える人もいて――
頑張るのが楽しいって思える日が、もうすぐ来るような気がするんだ。
-
377
:
ピーチ
:2012/06/29(金) 20:53:09 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
久々のコメ〜!!
何か梨花ちゃん、凄く「頼れる人」になってるよね!
これだけ書けるねここが凄いと思う!
あたしは文才と言うものが存在してないからな〜ww←あほ。
378
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/29(金) 23:46:58 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
>ピーチ
コメありがとー!
梨花は最初のイメージが消えちゃうくらい良い子にしてやりたかったからw
ねここはすごくないよー(´・ω・`)
でも、こんなこと言ったらきっとこんな気持ちになって、でもこうなったら良いだろうって自分に例えながらやったから書きやすかったかも!
ピーチが文才ないっていうんならねここは文字を打つことでさえ無理だと思う←
379
:
ピーチ
:2012/06/30(土) 00:02:36 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
あーね、確かに最初の印象吹っ飛んだww←要するに単純バカww
いやいや、じゅーぶん凄いからね!!謙遜NO!!
え・・・文字打つことでさえ無理!?
そ、それはさすがに・・・
ってゆーか、あたしには本気で「ブンサイ」と言う言葉が存在してないよ!!←脳内の辞書にその言葉が入っていないと言うねww
380
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/30(土) 19:51:08 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 楽しくて辛い side梨花
「昨日はごめんなさい!」
また、ちょっと憂鬱な放課後がやってきた。
自分が悪いとはいえみんなに許してもらえるかなと考えると不安になってきて、でも謝らないわけにはいかなく一年生が詰め込まれた1−Fにあたしも入っていった。
大きく一礼。
「アタシたちこそ、ごめん」
「梨花が一生懸命なの知ってて酷いこと言っちゃった」
昨日あたしの陰口を言っていた子たちが前に出て、謝ってくれた。
でも正直この二人は悪くないと思う。
あたしが悪いんだ。そう思ってから、二人に向き合って言った。
「二人は悪くないよ、あたしこそ酷いこと言ってごめん」
和解できてよかった、のかな。
×
不協和音に響いた音。
それは合奏の最後の音で、思わず表情を歪めてしまうほどだった。
最近同じパートの違う人に頼らないように学年ごとで練習しているのだが、一年生だけになるとどうも悲惨な演奏になるのだ。
「……イマイチだよねぇ」
最初に発言したのは打楽器を担当していためぐだった。
ピアノは一人だけしかできなくてあたしがすることになったのだけど、めぐはそこで打楽器の才能を発揮させたのである。
――じゃなくて、たしかにその通りだ。
「まずピッチ(※1)が合ってないよね」
翔がベースを持ちながら言った。
それにみんな同感したから、チューニング(※2)をもう一度することにした。
「じゃあフルート」
「はいっ」
それから地道なチューニング作業がつづいて、やっと合奏にはいったのである。
×
「一年生、ピッチよくなってるじゃん」
唯花先輩が微笑みながら言った。
学年での練習後しばらくしてやっと全体合奏が始まったのだけれど、丁寧にチューニングしただけあって褒められたのだ。
「ありがとうございますー!」
「すっごいがんばったでしょ! 二年生よりピッチ合ってるもん」
「結構時間かかっちゃったので、これを五分くらいでできるようにしなきゃいけないんですよね……」
ポツリとつぶやいた言葉に未花先輩が頷いた。
「うん、本番はたくさんの高校がくるから長いあいだリハーサル室も使えないしね……」
「合奏での表現は上手くできてる! あとはピッチだけだ!」
唯花先輩の熱のこもった言葉にみんな「おー!」と賛成した。
唯花先輩ってふわふわしてて優しい先輩だなって思ってたけど
案外情熱的で怒るときは起こってくれる先輩なのかもしれない。
ていうか実際そうだし。
未花先輩は唯花先輩以上にふわっふわしてて優しいってイメージだったんだけど
言うときは言ってくれるし何より正義感が強い先輩だ。
あたしも二人みたいな先輩になりたい。
そして、辛くてそれでも楽しい学校生活や部活の時間をすごしたい。
-
381
:
計
:2012/07/01(日) 13:54:34 HOST:ntfkok244208.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
ねwこwこw
>>1
wwwwwwwwwwwwww
382
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/03(火) 21:34:02 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 充実? side梨花
「よう梨花ー! 久し振りだなっ」
「うわ、俊太サン」
「ただいまー」と疲れた様子で部屋にスクールバックを放り投げリビングへ向かうと、そこにはにこりと満面の(いやらしい)笑みを浮かべた俊太サンがいた。
あたしは思わず「うわ」という声を漏らしたが、その隣のお姉ちゃんに目を遣ると何だか久し振りに見た気がして表情が緩む。
「お姉ちゃんも久し振りな感じするねー」
「ね、梨花がバテバテで帰ってきちゃうしあたしも帰るの結構遅いから」
「もしかしてお姉ちゃん、夜遊び?」
「なんでそうなるのっ!!」
――楽しい。
気持ちが和んでいくのが自分でもわかった。
思わず微笑んでいると、お姉ちゃんの隣の俊太サンが自慢気に言ってきた。
「俺のカノジョだかんな」
「うわ何コイツうざい」
落ち込みやがった、俊太サンめ。
そんなんで同情求めようっつったって無駄だし。ていうか可哀想でもないし。
「……被害妄想っていうの?」
「多分……」
お姉ちゃんにポツリと聞いたら、お姉ちゃんは苦笑しながらも頷いた。聞こえたのか、更にうざくなる俊太サン。
「百花あぁ……」
「俊太サンってそういうキャラだったっけ?」
「いやまあ、その……」
まあ、興味ないけど。
あたしはいい加減お腹がすいていたので、キッチンでなにやら料理しているお母さんの元へ行った。
「お腹へった。なんか手伝うよ」
「あら、いいの? じゃあこれ運んでくれない?」
「はーい……ってあれ、一個多くない?」
「あ、これ? 俊太くんのよ」
ありえねえええええぇええええぇええっ!
え、なにこのうざったい状況でお腹すいて死にそうだってのにコイツの顔眺めながら食べなきゃいけないの?
マジ無理!!
怒ったわけではないけど、それに不快感を抱いたあたしは部屋にいってスクールバックを持ってきてからお母さんたちに言った。
「あたし友達の家行ってくる!」
「あれ? 翔くんじゃないの?」
「〜〜っ! そこはどうでもいい!」
怒鳴り声をあげたあと、バタンと乱暴に家のドアを閉めて暗い道を歩いた。
×
ぴーんぽーん
可愛らしい音色が聴こえたが、そんなことどうでもよかった。
お腹がすきすぎて死にそうだ。
「はーい、ってあれ? 梨花じゃん」
「ごめんめぐ……いれて……あ、できれば翔と花も呼んで……」
女子三人+翔っていう組み合わせが基本になってしまったあたしたちだが、ガールズトークしたいときも翔はオマケでついてくる。
そうそう、チョコ買ったときについてくるシールとか、ジュース買ったときにキャップ部分にくっついてくるストラップや磁石みたいなモノ。
扱いは荒いけど、それでも翔自身嫌がってないみたいだし。
「あ、ご飯大盛り二杯で」
「多いな!」
普段はあたしがツッコミだけど、あたしのお腹が限界に近いときはあたしがボケに回ることもある。
ていうか今現にそうだし。お腹ヤバイ!
×
「ふうー、ごちっす」
あたしのお腹も満たされたところで、あとから来た花が申し訳なさそうにめぐに言った。
「ごめんね、わたしまでご馳走になっちゃって」
「いやいやー、花は良い子だからいいのっ! それに比べて梨花は……」
「良い子と梨花を比べるのは可笑しいと思いまーす」
めぐがブツブツとふざけるようにあたしのことを言い始めたから、あたしもふざけ返してやった。
でもたしかに、花はいいこだ。ついでに翔は大人しい、なぜだ。
「梨花も頑張れば良い子になれるよ」
「あーあーきこえなーい」
「おい!」
あ、ちょっと眠いかも。
空腹が満たされたら眠くなるってちっちゃい子みたいだけど……
おやすみ――
‐
俊太サン登場にテンション上がって俊太サンのキャラがわからなくなった(´・ω・`)
まあ、安定のおかしい系でいこうと思います←
それと梨花ボケめぐツッコミっていうめずらしい感じ!
梨花のボケは意外と好きですw
めぐのツッコミもキレがあって良いと思う←
ちょっとふざけてさーせんw
では次回もお楽しみに。みにみに(・ω・)
383
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/03(火) 21:50:57 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 大切な時間 side梨花
「ささ、じゃあお邪魔なアタシらはいきましょー」
「そうだね! 翔、上手くやりなよー」
――めぐの声が聞こえた。
もやもやしてたその声が段々とハッキリ聞こえてきて、やがてその言葉を理解すると顔が赤くなったのがわかる。
「いやちょっと! めぐも花もここにいればいいじゃん!」
「いやあ、ねえ?」
「お邪魔したら悪いしぃ?」
じゃ、邪魔なんかじゃないのに……!
最近あたしと翔の仲が上手くいってないというか、話すけど友達感覚になっちゃてる。
きっとめぐと花はそれに気づいて二人っきりにさせようとしてるんだろうけど、それは困るのだ。
あたしだってまだ心の準備もできてないし……。
そう思って覚悟を決めてから、できるだけ自然な起きるふりを演じてみせた。
「あ、おはよう梨花」
「しょ……翔?」
あれ。
なんかもうめぐと花がいないんだけど!
こういう時だけ素早いなあ、と思いながら動揺しまくって話しかけた。
「めめめめぐと花は?!」
「めぐと花ならどっかいったよ」
「そそそそっか!!」
動揺が隠せない。
どうしよう、恥ずかしい。
そんなあたしを見て、翔は悪戯っぽく微笑みながらあたしの頬に軽くキスした。
「しょ、翔?!」
「梨花、さっきの話聞いてたんでしょ」
「なんでわかったの?!」
「起きてるっぽかったから」
そんな。
あたしの演技って下手なのかも。
――いや、ただ単にめぐと花の言ってることに動揺しすぎてそれを隠せなかっただけか。
「――大丈夫だよ。俺梨花が望まなきゃ手出したりしないし」
「え、でも」
男の人って、こういうの我慢したくないんじゃないのかな。
俊太サンだって実際そうだし。
よく「百花とイチャイチャしてえー」っていうメールがくるし……全部無視してるけど。
「辛く、ないの?」
あたしが望むのを待つのが辛かったら。
あたしはあたしのせいで翔が辛い気持ちになるのが一番嫌だ。
大人の人がやるようなことは不安だしやりたくないけど、翔が辛いっていうならあたしは構わない。
「……辛い、のかな」
「じゃあ――」
「でも」
翔はあたしの言葉を遮って、優しく微笑んで言った。
「大好きで大事な梨花だから、精一杯尽くしたいんだよ。それに、俺も今はこうやって話せる時間のほうを大切にしたいし」
あたしって幸せだな。
そう、改めて感じたあたしはそっと翔の頬にキスを落とした。
翔が顔を赤くすると同時に、あたしの顔も赤くなるような気がする。
「あたしも翔といる時間、大事にしていきたいな」
――翔が、大好きだから。
‐
あまあまあまあましてんじゃねえよ!←
最近翔と梨花の仲が良くないなーって思って
とりあえずラブラブにしときました!
どうだ、これでお腹いっぱいだろ!←
384
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/07(土) 21:28:55 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 甘い一時 side梨花
「ご迷惑おかけしましたー! ごちそうさまでした!」
「はいはい、もう来んなよ梨花ちゃん」
「え、ひどいっ」
翔とあれから甘いムードをつくったはいいけれどめぐや花の期待している展開にはならなくて、でもあたしはそれでよかったんだと思っていたところ。
るんるん気分でお礼を言うが、肝心なめぐといえばこの通り――不満がありそうな表情だ。
「もうっ、せっかくこのめぐ様が時間を差し上げたというのにっ」
「あは、ごめーん」
「あはじゃねえよこの鈍感馬鹿あぁっ!!!」
「ち、ちがうよ。進展はしたもん」
「どうせ甘いほうにだろ! それ以上甘くなったら溶けるんだよ! 溶けて終わっちゃうよ?! もっとこうさあ、刺激とか苦みが欲しいんだよ! 甘いのはお腹いっぱいなんだよもう!」
めぐの言葉攻撃にやられたあたしはすみませんとちいさく縮こまって謝った。
そっか、甘くなって溶けちゃうのか。
でも、今までちょっと友達に戻った感じですこし甘さ控えめだったからちょうどよかったのかもしれない。
「あたしはしばらくお腹いっぱいだな、溶けてもいいけど」
「溶けて終わってもいいの?!」
「溶けないよ、雪じゃないもん。溶けるといっしょになるんだよ、それで固まるの。ろうそくみたいに!」
あたしたちはどちらかというと。
甘くて熱くて溶けて消えちゃう雪より甘くて熱くて溶けるけど消えずに固まるろうそくに近いのかもしれない。
「あたし、甘いのが好きだよ」
「……勝手にしろ」
どうやらめぐも納得してくれたようだ。
あたしたちの甘い関係を、もっとずっとつづけていきたい。
×
「ただいまー……ってまだ俊太サン帰ってないのかよ馬鹿!」
「え、いちゃ悪いか?」
「すんごい悪い! 今すぐ帰れ馬鹿!」
「いや、今日は百花と大人なことをする予定で」
「〜〜っ! 死ね!!!」
飛び蹴りを食らわせた。
ありえないありえない! お姉ちゃんとヤるとかマジないから!
そう思ったあたしはもう一度俊太サンを蹴ってから一言言った。
「お前帰れ! 死ね!!」
「り、梨花、安心して? あたし俊太とヤるつもりないからさ」
お姉ちゃんが宥めるように言った。
え、マジで?
「じゃあ大人なことって」
「うん、あたしたちホテルに行って一晩寝てくるねっ」
…………。
「ヤる気満々じゃん!!!」
「て、てことでバイバイ! 朝には帰ってくるからさ」
「朝帰りかよ! 夜遊びかよ!」
「お、落ち着いてよ〜……まあお母さんよろしくね!」
「はい、いってらっしゃ〜い! 子供つくっちゃだめよ〜」
「んじゃ、よろしくです」
「は〜い、俊太くんも百花のことよろしくねぇ」
あたし、お姉ちゃん、あたし、お姉ちゃん、お母さん、俊太サン、お母さんの順でしゃべった。
ちょっとヤバイ、無理。
「……お姉ちゃんはっ」
「ど、どうしたの? 梨花」
思わずお姉ちゃんの腕に抱きついてしまった。
「お姉ちゃんは、あたしのお姉ちゃんでいてくれるよね」
この言葉にどんな意味があるのか。
言ったあたしでさえもわからないけど――
あたしのお姉ちゃんじゃなくなるみたいで、こわい。
‐
ヤるとかそこらへんの用語には突っ込まないでください絶対に。←
385
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/14(土) 17:36:35 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / アタシの―― side梨花
「――――梨花」
驚かせてしまったのだろうか。
お姉ちゃんは、一単語分あけてからアタシの名前を呼んだ。
「何言ってんの、梨花は今もこれからもずっとあたしの妹じゃない」
いつからだろうか。
お姉ちゃんの彼氏である俊太サンに嫉妬し始めたのは。
アタシのお姉ちゃんなのにって、心の中でずっと思ってた。
「――心配する必要も嫉妬する必要も、本当はなかったのかもね」
「でもあたしは俊太からあたしを奪おうとしてくれる梨花が大好きだったよ。なんか、大事にしてもらってる感じで」
あ、もちろんいつもの梨花も大好きだけどね、と微笑むお姉ちゃん。
やっぱりお姉ちゃんは、アタシのお姉ちゃんだ。
「まーなんかすげえ感動モノの話になってるけどさ」
アタシとお姉ちゃんの絆が深まったところで俊太サンが入ってくる。
俊太サンも、べつに嫌なヤツってわけではないのかもしれない。
「姉妹とか兄弟とか、幼馴染とかの長い付き合いに勝る愛なんて、余程頑張んなきゃ手に入れられないってことだよな」
俊太サンにしては良いこと言うじゃん、と心の中でつぶやいたあと、アタシはドンッとお姉ちゃんを俊太サンに向かって押した。
あ、ちょっと強すぎたかもしんない。
「「――?!」」
驚くお姉ちゃんと俊太サン。
アタシの予想通り、ふたりは見事にキスした。
「ふたりの関係、認めてあげなくもないよ」
「すっげえ遠回しだな」
「なんか不満なの? 俊太サン」
「いえ、なにも」
あっそ、といいながらアタシは微笑んだ。
俊太サンには相変わらず冷たいような気もするけど、それでもちょっとは見直したし。
「ホテルでもなんでも行ってくればいいよ。ただしお姉ちゃんを泣かせたら許さないから」
「泣かせねえよ! ……多分」
まあ、ふたりが別れることは今後一切ないだろうし。
アタシも、そろそろ翔に甘えてみようかなー。
‐
姉妹愛っていいね!ってことで百花梨花ネタ。
386
:
ピーチ
:2012/07/15(日) 14:46:15 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
うわぁー!百花ちゃん&梨花ちゃんネター!!
俊太…何か久しぶりに聞いた名前が出てるw
ってゆーかさ、一つ質問してもいいでしょうか
梨花ちゃんって一時期俊太のこと狙ってたよね、何で今って嫌ってんの?
…うん、ごめんね。意味分かんないよね←答えなくてもいいよ((汗
387
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/15(日) 17:21:28 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
>ピーチ
正直ねここ俊太の存在忘れかけてたから登場させてみた←
んーとね、梨花編の小説見ればわかると思うんだけど
梨花が好きなのは俊太じゃなく百花で、俊太と付き合うことで百花がとられないか心配だったんだよ。だから俊太と百花を別れさせて、百花から俊太を放したかった的な。
すっごい無理矢理だよね、すみません←
388
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/15(日) 17:24:56 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / あわただしい一日 side未花 ※未花にかわってますよー
「あわわ、楽器が……」
「未花、持つよ」
「やややいいですよレオ先輩!」
「いやいや、楽器危ないし」
「あう……そうですか……」
「それに――」
一単語分置いて、はずかしそうにポツリ。
「未花に怪我させたくないし」
ああ、なんか朝から熱いかも。
いくら夏とはいえこれは熱すぎないか。別の意味で。
「……そ、ですか……」
顔が真っ赤になるのが自分でもわかる。
それが更にはずかしく感じちゃってさらに顔が赤くなるっていう、無限ループだ。
今日は待ちに待った県大会。
早いだろって突っ込みは置いといて、みんな一生懸命やってきたんだ。
――きっと、全国に行けるはず。
「せんぱーい、楽器搬出のときにイチャイチャしないでくださいよ」
「トラックぎゅうぎゅうだし時間も遅れてるんで、急ぎますよー」
梨花ちゃんとめぐちゃんに注意されてしまった。
しらっとしたその冷たい目に、わたしは笑いながらペコペコ謝る。
「ごめんなさいごめんなさい! すぐ移動します!!」
全国大会出場は、去年達成できなかった目標だ。
全国にいったらディズニーランドに連れてってもらえるらしいけど、わたしはそれが目的とかじゃなくて。
ただ、みんなと合奏をつづけたい。
全国にいけば、先輩と合奏できる時間も長くなるんだ。
全国にいって全国で金賞とったら――すごくうれしいし、先輩も心残りはないだろう。
わたしはそんなことを思いながら、隅に置かれていたスネアを持ち上げた。
緊張する、だけど楽しみ。
×
「急いでリハ室に移動しまーす!」
時間が遅れているままコンクール会場へ向かったら、結局すぐ楽器を出すハメになってしまった。
あわただしい一日――緊張も、どんどん高まってゆく。
リハ室にいく前にチューニングをしたのだけれど、一年生はとくに短時間でピッチをこまかく合わせられるようになった。
二年生も負けてられないとピッチ合わせを頑張ったので、聴いててとても気持ち良いのだ。
三年生は、元から自分の音程の高低をわかってるからチューニングすごいはやいし的確なんだけどね。
自由曲を一度通してみたけど、なんだか良い感じ。
県大会のレベルまで仕上げきれた感じがするし、音の調子も良い。
なによりみんなが楽しそうに吹いている。
「みんな、もう不安なんかじゃないよね」
不安な気持ちなんて、みんなでいればそんなものなくなってしまうから。
「今日は楽しんでいこう!」
『おー!!!』
‐
早めの展開←
389
:
ピーチ
:2012/07/15(日) 18:23:02 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
あーね、そーゆーいきさつかぁー←バカ。
え、まさかの作者が忘れてる感じですか…
…レオ先輩、楽器を先に言うかーっ!?
まぁ、その後で未花先輩も言ったからいいけどねw
390
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/19(木) 19:32:56 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
>ピーチ
てへぺろ☆←
レオくんは計算高いから楽器を先に言って未花を落ち込ませたんだよきっと←
391
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/19(木) 19:46:40 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 楽しいこと side未花
みんなと合奏できたこと、コンクールに出れたこと。
時には辛く苦しいこともあったけれど、それのお陰でわたしたちの絆は更に深まり、これ以上にないものになったこと。
この全てに感謝し、わたしは――わたしたちは、一生懸命、演奏した。
遠くに飛ぶ音、優雅に響く音、みんなを導いてくれたレオ先輩の、思いを込めた音。
今まで合奏したなかで一番良かったものだとわたしは感じた。
ピッチ合わせだって、学年ごとの合奏練習だって。
大変だったし、余裕がないときにやったものだからみんなのストレスだってたくさん溜まってた。
合奏するたびに増してゆく、みんなの不満。
わたしは挫けそうになったし、挫折しそうにもなったけど、これをレオ先輩は乗り越えてきたんだって思うと頑張れた。
でも、頑張っても頑張っても、みんなの不満が増してゆくだけで――
そんなとき、梨花ちゃんが一生懸命頑張ってくれたのだ。
一年生の絆が、梨花ちゃんへの信頼の厚さが。
一年生だけでなく、二年生をまとめてくれた。
わたしは大きな顔をして頑張ったよって言える立場じゃないのに。
みんなは、梨花ちゃんでなくわたしに、頑張ったねって言ってくれた。
梨花ちゃんも、わたしに笑顔を見せてくれた。
わたしはどれだけ自分勝手で、自己中心的で、我侭なんだろう。
わたしが幼いと思うのなら。
優しくしないで、鼻で笑ってほしい。
×
合奏が終わった。
有希先生を合図にわたしたちが立ち上がる。
立った瞬間、ふらりとよろめくのがわかった。
きっと、わたしだけじゃない。
精一杯気持ちを込めて、息を込めて吹いたあとは誰でも酸欠になるものだ。
でもなんか。
いきが、うまく、すえない。
どうして?
発作は治ったはずじゃ。
病院の先生も完治したって言ってたし。
とにかく舞台でそれを訴えるわけにもいかなく、わたしはよろめく身体を必死に支えながら舞台裏へ移動した。
‐
392
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/19(木) 21:19:36 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / かこきゅう side未花
ただでさえ息が上手く吸えないというのに、人で溢れてもわもわした空気の舞台裏に入ると更に酸素が減ったような気がした。
でもここで迷惑かけちゃだめだ。
わたしはできる限り何もないふりをして俯きながら、早々と舞台裏を去った。
×
吹奏楽部員がみんな入ればけっこうキツいけど、だれもいないときは流石に広く感じる第三楽屋。
みんなは楽器を片付けてから自由なので、楽器ケースを置いた個室に向かっていると思うのだがわたしはそこに入らずフルートを手に楽屋へと戻ったのだった。
(いき、すわなきゃ……。)
荒くなる息。
わたしはもっと必死に、息を吸った。
ガチャリ
第三楽屋のドアが開いた。
そこには有希先生とレオ先輩の姿があって――
わたしは呼吸のことを忘れて、心配させないために微笑んだ。
あ、ちょっと。
くるしい、かも――
「未花!!!」
「れお、せん、ぱ」
レオ先輩の必死な姿。
わたしは思わず倒れ込んでしまい、レオ先輩に支えられている状態だ。
「息吸って!」
袋を口元にあてられる。
やっと息が吸えたような気がした。
わたしはハッキリと、意識を取り戻した。
「ごめんなさい……」
「や、なんか様子おかしかったから来たんだけどさ。来てよかったよ」
「つかアタシが見落とすわけないだろ」
微笑むレオ先輩と、安心したような表情の有希先生。
「それにしても、何で今頃発作が……」
「発作じゃないと思うよ」
「精一杯演奏できて、自分が頑張ったのも認められて、多分うれしかったんだろうな」
そうだ、わたし頑張ってた。
どうしようっていっぱい悩んで、梨花ちゃんに助けてもらったんだ。
「……っ」
涙がでてきた。
「みんな未花が悩んでるのも頑張ってるのも知ってるんだから、自身持てよなー」
レオ先輩が小さな子をあやすようによしよしとわたしの頭を撫でた。
わたしも、みんなに認めてもらえるような努力ができたんだ。
わたしはゴシゴシと涙を拭き取り、レオ先輩と有希先生と、楽器ケースが置いてある個室へむかった。
‐
393
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/23(月) 09:25:38 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 努力 side未花
「あっ、未花先輩いたー!」
「ごめんね梨花ちゃん、ちょっと色々あって」
わたしが楽器ケースを置いた展示室に戻ってくるなり、梨花ちゃんはわたしを指差した。
探されてたのかな、とちょっと心配になって謝ってみる。
「や、なんか合奏のあと辛そうだったから心配で」
やっぱり、気づかれていたのか。
できるだけバレないように気をつけていたのに……
「なんでもないよ、大丈夫」
「嘘ですそんなの、本当はなんかあったんでしょ?」
「う、それは」
「……未花先輩、仲間じゃないですか。もっと頼ってくださいよ!」
梨花ちゃんが強くわたしに言った。
そのあと力なく微笑んで「アタシ頼れるような人じゃないですけど」とつぶやいていたが、そんなことない。
「実はね、なんか過呼吸みたいになっちゃって」
「発作ですか?!」
「ううん、そういうのじゃなくて、なんか嬉しいのと悲しいのが混ざりあってゴチャゴチャになっちゃって」
上手く言葉にできなかったけれど。
梨花ちゃんはぎゅっとわたしを抱きしめてくれた。
「よかった、また入院とかじゃなくて」
「ごめんね梨花ちゃん、心配かけて……みんなも、本当にごめんなさい」
わたしがみんなに謝ると、みんなは微笑みながら言った。
「何いってんの、アタシたち仲間でしょ」
「未花、いちいち謝ることないよ」
嗚呼。
わたしの周りには、こんなにもあったかくて優しい仲間がいるんだ。
×
「――高校です!」
わあああああ、と周りからわきあがる歓声に、わたしの目は覚めた。
レオ先輩がわたしに気づいて笑い始めるのがわかった。
「え、なにっ」
「全国出場決定だってよ」
本当?!
わたしはひと足遅れてみんなといっしょに喜んだ。
「それにしても寝ちまうとかさー、本当に疲れてんのな」
「す、すみませんっ……」
いや、謝るところじゃないけど、とレオ先輩が笑う。
よかった、先輩たちといれる時間が長くなって。
「全国もがんばりましょうね!」
「ん、楽しんでいこうな!」
一ヶ月後に全国大会を控えたわたしたち。
これからも練習がんばるぞ!
‐
394
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/30(月) 16:57:11 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 全国! side未花
「ちょっと混んでるけど、電車はこれ逃したらもう間に合わないんだよなあ……」
わたしがポツリとつぶやいた。
ついにやってきた全国大会の日――の五日前。
全国に行ったらディズニーランドだぜ!ということで、最初の三日はそれぞれ自由行動で東京に行くもよし、千葉に行くもよしということだそうだ。
まあ、みんな東京に家あるから隣の県への合宿とかホテルに泊まるとか別にどうでもいいんだけどさ。
とにかくホテル前に9時集合だそうから、わたしは急いでいた。
――正確に言うと、吹奏楽部の部員全員。
みんな以心伝心していたのか同じ時間の電車に乗ろうと考えていたのだ。
「うう、キツい……」
「み、未花! そんなエロいこと言わないでよ!」
「キツいって言っただけだけど?!」
「うわああぁ未花変態いぃいいぃ」
そういえば最近唯花がおかしくなったのです。
鈴先輩と絡み始めてから特におかしくなったから、きっと二人でエロいなビデオでも見たのだろう。
「あ、あっち空いてるー」
電車に乗ってしばらくすると、唯花が空いている空間をみつけてそこに移動しはじめた。
わたしもそっちのほうがいいな、と思い後ろにいたレオ先輩に声をかける。
「レオ先輩、わたしたちもいきましょうよ」
「イクとか! 未花マジエロイ!!!」
「もうっ、なんなの唯花!」
遠くから反応する唯花。
きっと他の人の迷惑になっていると思ってあわてて口を塞いだ。
わたしが移動しようとすると、突然電車がぐらりと揺れてレオ先輩に抱きしめられてしまった。
「おい未花、気をつけろよー」
「すみません……でも急に激しく揺れたから」
むー、とわたしが言い訳をしていると、唯花はまた反応した。
「激しく揺れただと?! ちょっとレオ先輩どんだけ激しくヤッてるんですか!! エロいですよ!!!」
「エロくねえよ!」
ついにはレオ先輩までもが突っ込んだ。
なんかいろいろとおかしいけど、楽しいコンクールになりそうでよかった。
‐
395
:
あんみつ
◆TJ9qoWuqvA
:2012/08/03(金) 11:56:08 HOST:p141213.doubleroute.jp
こんにちは
私もいれて下さい。
ルーナのファンタジー小説と楽しい仲間たち
っていうブログ来てね
396
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/08/04(土) 20:39:15 HOST:EM117-55-68-51.emobile.ad.jp
パソコン新しくなりました!
なのでID変わったかも。
仮にもねここなのでよろしくお願いします←
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