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Loveletter

366ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/06/17(日) 23:25:06 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 痛いんじゃなくて、 side未花


「未花っ! 梨花とめぐも……!」


 女子トイレを出て楽屋へ向かってすこし歩くと、探しにきてくれたのかレオ先輩と鈴先輩がわたしたちの名前を呼んだ。
 何だかんだいって怖かったから、安心してまた涙が出てきてしまう。
 でも怖かったよりもやっぱりうれしかったのほうが強くて、さすがに梨花ちゃんとめぐちゃんには呆れられてしまったと思う。


「未花?! 怪我してる?」
「だ、だいじょうぶっ、です」


 今まであったことをわたしの代わりに梨花ちゃんが説明してくれた。
 そしてレオ先輩はわたしの頭を撫でて優しく微笑む。


「よく頑張ったな」


 こんなんで泣くようじゃ、これでレオ先輩に頼っちゃうようじゃまだまだなんだろうけど。
 これからもっと、強くなっていきたい。


     ×


「――ということがあったらしいです」


 第三楽屋に戻ってわたしもすっかり泣き止んだ。
 レオ先輩はなぜかみんなにその話しちゃうし。


「じゃ、ここで未花から」
「な、なんでですか?!」
「なんでって、張本人だし……次期部長だしさ。コンクールに対する意気込みをどうぞ」


 やれと言われたからにはやるしかないんだろうけど。
 ちょっと焦った。


「え、えと……どんなに頑張っても報われないこともあると思います。県大会に出場できなかった高校は悔しくて苦しくて――本当に辛いんだと思います」


 なんかはずかしい。
 でもわたしは話し続けた。


「今までは他校の人の気持ちとか分かってあげれなくて、自分たちのことで精一杯だったけど――きっと分かってあげれなかったから全国で金賞とれなかったんです」


 言い切れる自信なんてないけど、他校の人の痛みさえわかれば何とかなるような気がして。
 ただ、がむしゃらに頑張るより冷静になったほうがいいと思って。


「今回は、他校の人の痛みや苦しみも十分理解して、その人たちの分も精一杯演奏しましょう」


 「はいっ」と揃う返事。
 なんだかうれしくなったけど恥ずかしくて、ちらっとレオ先輩のほうを見たらレオ先輩も笑ってくれた。


「よかったよ、未花」
「……レオ先輩のお陰ですよ」


 わたしはレオ先輩がいなかったら、ということを想像してちょっとさみしくなって、少し間をあけてから苦笑した。


 こんなふうにレオ先輩と部活に取り組めるのって、あと何日なんだろう。
 もうきっと、数えれるくらいないのかな。

 百日って、人生の三分の一よりちょっと少ないくらいでかなり短いけど。
 それくらいもなかったらどうしよう。


 ちょっと不安になったわたしは考えるのをやめて、みんなに指示を出した。


「じゃあ、楽器積む人はトラックに運んでください」



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