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Loveletter
361
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/11(月) 21:08:58 HOST:w0109-49-135-24-13.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / コンクール side未花
青春高校吹奏楽部がステージに立った。
他の高校の人や審査員の目が光ったような気がする。
そこには保護者の方や青春高校の後輩、先輩もいるのだが――
緊張で、そんなこと考えてられなかった。
その空気が周りに感染しないように必死に押さえ込む。
わたしはフルートだから一番前に座っていて、更にお客さんの目が集まるような気がした。
どうしよう、ソロで失敗しちゃうかもしれない。
そう思ったけど、指揮をするためみんなの前に立った有希先生がわたしに優しく微笑みかけてくれた。
――ああ、大丈夫だ。
そう思ったわたしは笑みを返し、ゆっくりと頷いた。
すっと、有希先生の指揮棒を持った手があがる。
それに合わせてみんなの空気が一気に真剣で集中したものになった。
最初が肝心ってレオ先輩や有希先生が言っていたけれど、本当にその通りだと思う。
すうっと息を吸った。
吹いていて、自分でも驚いてしまった。
フルートが舞うように踊りだし
クラリネットが弾けるように飛び跳ねる
チューバやトロンボーン、ユーフォニウムの低音がそれを支えるように歩きだし
トランペットやサックスが、吹き飛ばすような明るい音を奏でた
そしてピアノが、レオ先輩がみんなに伝えているような気がした。
「絶対大丈夫だ」「みんなは一人じゃない」って。
いつも以上に感情がこもり遠くへ響き渡る演奏。
最後まで、完璧な演奏ができたと思った。
有希先生の合図で立ち上がったわたしたちは、恥ずかしげに――それでも何かをやり遂げた達成感を感じながらステージ裏へと戻っていった。
ぞろぞろと、楽屋へ繋がる階段を上る。
そして青春高校が集まる第三楽屋に戻ったあと、レオ先輩が言った。
「みんな、よく頑張ったよな」
「すごい楽しかったー」
レオ先輩につづき鈴先輩も言ったからわたしも部長補佐として何か言ったほうがよかったのかもしれないけど、わたしは言葉にならない感動を味わっていて何も話さなかった。
レオ先輩がもう一度、みんなに言う。
「五時から結果発表だから、昼飯買うなら買いに行ってもいいし演奏聴きに行ってもいいけど四時四十五分には楽屋に戻ってこいよー」
はーい、と未だに現実の世界に戻ってないような返事をした。
それでもレオ先輩は苦笑しながら声をかける。
「はい、じゃあ……解散っ」
わたしは迷子にならないようにレオ先輩の傍にいることにしよう。
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