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二次元school
136
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/11/04(水) 20:11:58 HOST:119-231-128-73.eonet.ne.jp
うお、久だ!
私も学級というか、学年が閉鎖しちゃってまっせ←
桜子は回が進むごとにアホになっていってます。
木の漢字の事は私がずっと思ってた事を言わせたよw
桜子は本当に報われたことがないww
ありがとん+
誄のも好きだぜぃ!ブログ読んでるぜぃ!コメしなくてごめんだぜぃ!(たひれ
ではではノシ
>>誄
137
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/11/05(木) 12:25:57 HOST:119-231-167-164.eonet.ne.jp
第24話「生徒会室に入場」
*和視点*
俺と桜子は今、生徒会室にいる。
もちろんいい意味ではない。
こんな羽目になったのは、数分前。
****
「見てっ、ナゴ!」
「あ?」
数分前。
この間の花火大会以来、心なしかテンションが低かった桜子が、
久し振りにいつも通りのやたら高いテンションで俺の元へスキップでやってきた。
「何だよ」
「ほら、ナゴ、私の異変に気付かない?」
「は?」
異変?
どこからどう見ても、桜子はいつも通りの桜子だ。
「ていうか、そもそも普段のお前が異変の塊だろ」
「うるさいわ!………なんというか、その、中身じゃなくて外見で」
外見で?
俺はどんなに桜子を見ても、その異変とやらに気付けなかった。
「わかんねーんだけど」
「実はっ!前髪をっ!切りました―――!!」
「…………」
「ああっ!ゴメン!無駄にテンション高くて!だから引かないで!」
桜子のテンションのメーターはよく分からない。
上がるタイミングも下がるタイミングも分からない。
「……で?だから何だよ」
「そ、そんだけだよっ!冷たいな!『可愛いね』ぐらいお世辞で言ってよ!」
意味分からん。
確かに、前髪は前より若干短くなったような気がする。
「……お世辞にもって、俺はちょっとでも思ってないことを言いたくねー」
「うわっ!普通に乙女を切り捨てやがった!」
「てかさ……」
「何?」
「切ったら、前よりキモくなったんだけど」
「ナゴのバカぁぁぁああああああああああああ!!!!」
「ええええええええええええええええええええ!!!?」
桜子は急に泣き叫び、
近くにあった巨大な石(直径30センチぐらい)を俺の方に音速じゃないかと勘違いするぐらいの速さで投げてきた。
俺は本能が危険を察知したのか、ギリギリで石からかわすことができた。
……死ぬところだった……。
俺が一安心した時、
パリーン
ガラスが勢いよく割れる音がして、その後、ガシャっと物が当たる音がし、最後にきゃーという人の叫び声が聞こえた。
……も、もしかして…どこかの教室の窓に当たった?
桜子も青ざめている。
恐る恐る石が投げられた方向に振り向くと、やっぱり窓が割れていた教室があった。
やばい……と、冷や汗がだらだらと流れてくる。
しかも、部屋はよく見ると……………生徒会室だった。
……やばいやばいやばいやばい……
これはある意味俺の生命にかかわることだ。
さっさと逃げればいいのに、俺と桜子が茫然と立ちすくんでる時
「お前等か!?ちょっと生徒会室まで入ってこい!!」
黒髪でしっとりとした髪型に、ありがちな眼鏡をかけている男が、割れた窓から顔を出して俺達に言った。
****
そして、今に至る。
138
:
誄
:2009/11/05(木) 13:22:57 HOST:softbank219182178139.bbtec.net
雪音>>
まじか!Σ
私の学校も2年生が学年閉鎖されてる←
ブログ見てくれてるのか!うれしいぞ+。
私もそんな事言われると嬉しいよぉ><
和…、最低だ…。
桜子が可哀想!なんなの、前よりキモくなった、ってΣΣ
そんな事言われたら石投げたくなるわ!
しかも、光速じゃなくて音速ってとこが笑えるw
…生徒会室…。
命中率いいね、桜子は((
139
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/11/05(木) 20:53:56 HOST:119-231-154-44.eonet.ne.jp
おう、マジだよ!
Σ全国の中2は閉鎖中なのかっ!
見てるぜ、陰ながら←
私こそ嬉しいのだ!
私なら殺してしまう……(ヤメロ
前よりキモくなったって、どんな前髪の切り方したんだww
あえて光速より音速←
桜子はアンラッキーガールだと推測されますノ((
これから新キャラがまた出てくるよん+
>>誄
140
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/11/12(木) 18:23:08 HOST:119-231-132-91.eonet.ne.jp
第25話「生徒会長、秀ちゃん」
こんなにこの二次元学校で焦ったことがあっただろうか。
冷や汗がとまらない。体の中の水分は50パーセントぐらいになっている気がする。
「…俺は生徒会長の、3年4組の田中 秀一郎(たなか しゅういちろう)だ。お前等が生徒会室に石を投げたんだな?」
目の前で偉そうに椅子に座っている男が口を開いた。
…生徒会長か。確かにそんな雰囲気を持っている。
それに、目にかかりそうな少し長いワックスも付けていない真っ黒い髪。ありがちな特に変わったフレームでもない眼鏡。
容姿からして、まさに生徒会長である事を物語っている。
「お、俺は関係ないっすよ……」
俺は事実石を投げていない。避けただけだ。
余計な罪をかぶせられる前に誤解を解いておく。
「問答無用っ!!」
「理不尽だ!」
生徒会長は、自分から聞いた割には喋り出すと怒った。
自己中だ……
「秀ちゃん、そんな怒ったらんときぃや」
俺と桜子が怯んでいる時、いきなり長身の男が現れた。
どうやら後ろで割れた窓ガラスの片付けをしていた人達の中の1人のようだ。
その男の登場に、生徒会長は露骨に嫌そうな顔をした。
「こいつらがやったんだから、怒らなくてどうするんだ。秀ちゃんって呼ぶな」
「秀ちゃんが怒るから、この子らビビってしまっとーるやん」
「知るか。秀ちゃんって呼ぶな」
生徒会長とは正反対で、関西弁でやたら人懐っこい雰囲気を持つ男は、俺達を見た。
すると、桜子に目をとめた。
「おー、めっちゃかわええ子いるやん。君、学年と名前教えてくれるか?」
「に、2年5組の末木桜子です……」
桜子は急にふられて、完全にビビってる。声がまるで蚊のようだ。
「俺は3年4組の火野 竜太(ひの りゅうた)!一応これでも副会長やっとるんよ。今度デートしぃひん?」
関西弁の男は、どうやら副会長らしい。
どうりで生徒会長になれなれしいわけだ。秀ちゃんとか呼んでるし。
「おい、火野。窓を割った奴を口説くな」
……ごもっともだ。
141
:
雫
◆OYVkqChdsA
:2009/11/14(土) 16:01:03 HOST:217.170.200.121.megaegg.ne.jp
久しぶりです!
新キャラ来ましたね…!
眼鏡男子ですか+。何それ萌える!(危ない;
竜太くんも好きですv
頑張ってくださいっ
142
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/11/22(日) 18:42:15 HOST:119-231-182-144.eonet.ne.jp
はい、お久しぶりです!
……あぁあ!雫という文字を見て、女装の話書いてないのに気付いたぁあ!!
ホント、アホですね……。
次こそはっ!この話の次こそは書きますので!
はい、まだもうちょっと新キャラ出すつもりですノ
眼鏡男子w 初の眼鏡キャラでっすb
私も個人的には竜太好きですv
ありがとうございます!そして激謝!
>>雫ちゃん
143
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/11/28(土) 19:14:05 HOST:119-231-174-207.eonet.ne.jp
第26話「関西少女」
「でぇ、この2人が窓割ったっちゅーん?」
「そうに決まってるだろう」
副会長は仕切りなおすように、俺達に目線を配り、会長に言った。
会長の決め付けたような言葉に俺は反応する。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!俺じゃないんですって!」
こんな所で濡れ衣を着せられたくない。必死に抵抗した。
話も聞こうとしない会長に対し、副会長は俺の言葉に耳を傾けてくれた。
「どういうことなん?」
会長は副会長を睨んでいる。まるで余計な事を言うな、とでも言うように。
俺はそんな会長には目もくれないで、副会長を見て言った。
「こいつが……桜子が石を投げたんすよ!俺はそれを避けただけです!」
俺に指差された桜子は、「はぁ!?」と声を漏らした。
「確かに私は投げたけど、悪いのはナゴだもん!」
「俺、あの時避け間違えたら大惨事だったんですけど!」
「ナゴの私に対する扱い、やなの!」
「お前の求めてるもんがわかんねーよ!」
俺達の言い争いに、会長は少しイライラした様子だった。
見かねた副会長が俺を止める。
「まあまあ……山崎くん、それぐらいに」
「誰ですか山崎って。雨照ですけど」
「桜子ちゃんは女の子やん、可哀想やろ? 山崎くん」
「桜子は女の子なんてもんじゃ……いや、だから山崎って誰なんですか!」
とりあえず俺は、副会長の言うとおり静かにした。
……誰なんだよ、山崎って。読めない人だ。
「で、桜子ちゃん、雨照くんがなんやって?」
あ、雨照に戻った。なんで山崎なんて呼んだんだ。
「その…………ナゴ、あ、雨照のことですよ。
ナゴが、私が前髪を切ったのを見て『キモイ』って……」
そのことで怒ったのか?
俺は桜子が怒った理由すら分からなかった。しかもそれだけで俺を殺そうと……
「ははーん、なるほどなぁ」
「「?」」
副会長は、急に不敵な笑みを浮かべた。俺と桜子は意味が分からず、首を傾げる。
「俺分かったでぇ〜。きっと桜子ちゃんなぁ、雨照くんの事…………」
「ちょ―――――」
「火野ぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「「「「!?」」」」
副会長が何か言いかけて、桜子がそれを止めようとした。
その時、高い、女の子の副会長を呼ぶ声がして、すごい顔をした女の子が生徒会室に猛スピードで走ってきた女の子が見えた。
144
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/11/28(土) 19:40:38 HOST:119-231-174-207.eonet.ne.jp
第27話「愛してます」
「火野―――!!誰だその女ぁああああああああああ!!」
その声とともに走ってきた女の子は、俺たちが割った窓の隣の、無事な方の窓につっこんだ。
窓は勢いのあるパリーンという音を鳴らして割れた。
女の子はそのまま生徒会室に飛び込んだ。
「……っ!?」
会長は、声にもできずに驚いている。
女の子は顔を上げる。
なかなか可愛い子だった。少し幼い印象を与える顔。
ただ、その顔には、さっき割った窓で切った切り傷で血がダラダラ出てるが。
「……いたい」
そうですよね。
「ど、どうしたんお前!」
名前を呼ばれて飛びこまれたためか、副会長も驚きをかくせないようだった。
「火野の隣に、女が見えたから……ウチの体が勝手に暴走してん」
「いや、意味がわからんわ……」
その子は、副会長と同じように関西弁を喋った。
そして強気な態度で桜子に向き合う。
「そんなことよりアンタ!何モンなんよ!もし火野の彼女やったりしたら……ああああああああ!!!許さない許さない許さない許さない」
「怖!」
桜子は生徒会室では2回目になる自己紹介をした。
「2年5組の末木桜子……で……す。え、えっと……火野先輩の彼女なんかじゃ……」
「火野の名前を気安く呼ぶな―――――――――――!!!」
「ぎゃああああああああああ!!」
やたら怖い人だった……。
明らかに副会長が好きであることが分かる。
「ウチは、3年1組の吹井 由羽(ふくい ゆは)!未来形で、火野由羽や!文句あるか!」
「「ないです」」
可愛い顔に似合わず、なんともいえない人だった。
……また、2次元のメンバーが増えた。
145
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/11/29(日) 19:10:14 HOST:119-231-185-8.eonet.ne.jp
第28話「そしてまた原点に」
「あ、あの……私、副会長のことなんとも思ってませんので……」
桜子が、さっきより2倍ぐらい小さな声でぼそぼそと言った。
また、吹井先輩に『気安く火野の名前を呼ぶな』と言われるのが怖かったのか、今度は副会長のことを『火野先輩』じゃなくて、『副会長』と呼んだ。
「えっ、そうなん? なんで火野のこと好きじゃないん?」
「吹井先輩の中で私が副会長のことが好きであることのほうが不思議ですが」
桜子の、まだビクビクした様子が読み取れる声を聞いて、吹井先輩は急に笑顔になった。さっきまでの怖い表情ではなく、可愛らしい満面の笑みに。
「なんやぁー、安心したわ! あ、ウチのこと由羽って呼んでや! 桜子ちゃん!」
「急にフレンドリーになった……」
「吹井先輩こえー……」
「女はわからんわぁ」
「……なんなんだ……」
桜子と副会長がそこまで親しい関係じゃない事を知り、吹井先輩は激変した。
それに俺達4人はドン引き。 ……俺も副会長みたいに、ここまで愛されてみたいものだ。ミオリちゃんとかシホちゃんに。
俺が1人でニヤニヤしてるのに気付いたのか、吹井先輩が桜子の声をかけた。
「桜子ちゃん、誰、これ?なんかニヤニヤしててキモいんやけど」
「俺には怖くも優しくもなかった! 冷たかった!」
「あー、私のクラスメイトで雨照和です。今日、階段でこけてた奴です」
「なんで最後そんなこと暴露したんだ!? 確かにこけたけど!」
俺のツッコミを無視して、吹井先輩は「ほへー」とアホっぽい声を出していた。
「山崎くんやったっけ? なんで生徒会室にいんの?」
「数秒前に名前聞いたばかりなのに間違えられた! しかもなんでアンタまで山崎って言うんだ!?」
なんかこの人……。俺は、はぁ、と一旦息をつくと吹井先輩に向き合った。
「その、窓割ったから……呼び出されたんすよ、俺と桜子」
俺がそう言うと、さっきまでずっと椅子に座ってた会長がピクっと小さく肩を反応させた。
「窓……呼び出し…………」
そんな事を呟くと、会長は急に椅子から立ち上がった。
「貴様等っ! 窓を割って生徒会室に入ったんだろう!! なんで火野や吹井と仲良く雑談してるんだ!!」
「「「確かに」」」
俺と桜子と副会長は、納得した。
146
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/11/29(日) 19:54:38 HOST:119-231-185-8.eonet.ne.jp
第29話「悪いのは」
「……なんでこんな緩い空気になったんだ……俺が叱って、生徒会長らしいことして、支持率アップさせるはずだったのに……」
会長はぶつぶつと嘆いていた。
なんか最後政治家みたいな事言ってたけど。
そんな会長を居て、吹井先輩があははっと軽いノリで言った。
「まぁー、山崎くんのせいやな!」
「間違いなくアンタのせいですが。ていうかいい加減雨照って呼びましょうよ」
吹井先輩が窓を割ってきたからだ。
いや……その前から、桜子と副会長が戯れてた気がする。
会長は「とーにーかーく!」と机をバンバン叩いた。……何この子供。
「雨照和と末木桜子には、それなりに反省をしてもらうからな!」
「だからぁ―――!俺はやってねーっつってんだろうが―――――!!」
俺は急にブチ切れた。自分でもビックリだよ。キレるなんてほとんどないんですけど。
だって会長、さっきから俺の話聞いてないし……。
「さっきからアンタはよぉ―――!石投げたのは桜子だっつってんだろ、バカ!!」
「ばっ……!?」
俺は、荒く肩で息をした。ああ、言うだけ言ったらスッキリした。
俺以外の人は目を丸くして驚いてる。
「……うん、そうやな」
ふいに、副会長が俺に同調するように言った。
「秀ちゃん、雨照くんに可哀想やわぁ。全然雨照くんの話聞いてやってんやんか」
「ですよねっ!」
俺はここぞとばかりに声を嬉しそうに張る。
すると、吹井先輩も声を出した。
「火野が言うんやからそうなんやんな、うん、秀ちゃんが全部悪いんや」
「不順な動機で同調するんすね」
さらに、桜子まで言いだした。
「そうですよ、会長。ナゴが可哀想ですよ」
「お前はそんな事言う権利がないと思うけど」
「「「秀ちゃんが悪い!」」」
「なんでハモんの!?」
「俺!?」
147
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/03(木) 19:46:39 HOST:119-231-152-118.eonet.ne.jp
第30話「会長をいじめよう」
「考えてみたら、秀ちゃんっていつもそうやん。人の話聞かないで、ジコチュー」
「うっ……」
副会長が、ニヤニヤしながら会長の短所をつついた。
会長は、否定できない部分もあるのか、言葉を詰まらせた。
「そうやで、秀ちゃん。すごい仕事の量をいつも火野におしつけとーるし。ウチが何度殺意をわいたか知ってるか?」
「し、知らない……」
吹井先輩も、火野先輩と同調に嫌味を言う。
最後、本気で殺意が見えたので、会長は余計に小さくなった。
「ていうかやたら偉そうなのムカつくし」
「後輩に言われた……」
「なんで桜子まで言うんだよ」
最後、なぜか桜子も言う。
お前は窓割っただけだろ。おまけに、会長とは数分前に初めて対面したのに、普通に悪口言ってる。
「え、えーと……ごめん」
会長は、最終的に素直に謝った。
てか、なんでこんな状況になったか分からなくなってきた。
会長がそっけなくとも、確かに謝ったのを見て、俺以外の3人は顔をニヤっとさせた。
「そんな謝り方じゃあかんやろ、秀ちゃん」
「もっと誠意を表わさんとあかんのんちゃう? 秀ちゃん」
「そうですねぇ、土下座とか?秀ちゃん」
プライドが高そうな会長が弱ってる所を見て、ここぞとばかりに嫌がらせをする3人。
……だからなんで、桜子が参加するんだよ。窓割ったくせに。
「土下座っ……!? そんな事できるわけ……秀ちゃんって呼ぶな!」
秀ちゃんと呼ばれたくないのは、やっぱりこだわり抜いてる。
でも、3人は余計に面白がった。
「あれぇ? 生徒会長が人に謝ることもできないってどういうことやぁ?秀ちゃん」
「サイテーやなぁ。生徒会長は、生徒のトップなのに……秀ちゃん」
「それとも、生徒は自分より下だと思っているんですかねぇ、秀ちゃん」
ああ、ツッコミたい……。なぜさっきから桜子も一緒なのかツッコミたい……。
「うぅっ……」
ああっ! 会長がかなり負けている!
それなのに尚、「し、秀ちゃんって呼ぶんじゃない!」とほざいてる。
「はい、しゅーうーちゃん。しゅーうーちゃん。」
副会長が、『秀ちゃんコール』を初めた。
それに、桜子と吹井先輩も便乗する。
「「しゅーうーちゃん。しゅーうーちゃん。しゅーうーちゃん」」
「や、やめ……」
「「「しゅーうーちゃん。しゅーうーちゃん。しゅーうーちゃん。しゅーうーちゃん」」」
「やめてって……」
会長――――!! 会長が涙目になりかけてる―――!! もうプライドなんてあったもんじゃねぇ―――!!
148
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/04(金) 18:02:40 HOST:119-231-173-244.eonet.ne.jp
第31話「会長は助けられました」
会長はほとんど涙目だ。
なんだこの人等、Sか。
「悪いのは秀ちゃんやしぃ。秀ちゃんが雨照くんに意地悪するからあかんのやしぃ」
「土下座したら許したるって言ったよなぁ?」
うーん、こう見ると結構お似合いな2人な気がした。
あまりいい意味ではないが、息がピッタリだ。なんで吹井先輩が追いかけてるんだろ……。
「どげ……ざ……」
会長は、まだしぶっていたが、土下座をする決意をしたらしい。
いや、もう涙目になった時点でアウトだったと思うが。
とうとう諦めて、膝を床につけようとした――――…………
「田中!」
丁度膝をつこうとしたその時。
勢いよく開けたドアから入ってきた人物の、会長を呼ぶ声によってそれは遮られた。
入ってきたのは俺と桜子の担任、梓川先生だった。
「……なっ、なんですか!?」
会長は、嬉しそうに先生を見て、急いで体勢を元に戻した。
会長にとって助けだったのだろう。……もう会長はプライドは失ったけど。
「ああ、ちょっと連絡を――……って、なんで泣いてるんだ?」
「な、泣いてなんかいません! 俺が泣くわけないでしょう!」
会長が少し調子を取り戻しかけて言ったその言葉は、俺達全員をイラっとさせた。
会長はそれに気付いたのか、ビクっと肩を震わせた。
「で、な、なんですか?」
「ああ、実は転校生のことでな。悪いが職員室まで来てくれ」
梓川先生は「じゃ、よろしく」とそっけなく言い放つと、さっさと生徒会室から立ち去った。
「じっ、じゃあ! 俺仕事だからもう行くからな! 別に逃げるとかじゃないからな! 俺は生徒会長だから!」
「…………」
「じゃあな、愚民どもが! リンチしかできない奴等が――――!!」
もう負け犬の遠吠えとしか言えないセリフを吐いて、会長はダッシュで生徒会室から逃げて行った。
……本人なりに本気で走ってるんだろうが、かなり遅かった。ダサかった。
「なぁ、今度秀ちゃんをいじめに、生徒会室の窓割るか?」
「「「賛成」」」
149
:
水月
:2009/12/04(金) 23:29:12 HOST:w12.jp-k.ne.jp
小説読みました!
めっちゃおもしろいです!!
紫乃かわいすぎるっ><もっと出してっっ
個人的には優と風と由羽が好きです^^
150
:
杏奈
:2009/12/05(土) 11:11:47 HOST:r-118-106-216-186.g205.commufa.jp
お久しぶりです。・・・何度目でしょうねww((
先日、また復活させていただきました。
あぅ・・・これからも、宜しくお願いします;;
と、会長と副会長のコンビが萌えs・・・じゃなくて、好みすぎる件←
秀ちゃん良いよ、秀ちゃんww
関西弁萌えるわー・・・(´Д`)ハァハァ
・・・その内、由羽たんに怒られそうですね。・・・寧ろ、怒られt(ry
とりあえず、ご挨拶でした。
と、ショタは誰にも渡しません!
ではww
151
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/05(土) 21:11:05 HOST:119-231-185-88.eonet.ne.jp
コメありがとうございます、嬉しいです^^*
紫乃……よし、出番増やそう←
私的にもその3人は動かしてて楽しいですbb
>>水月さん
あうー、また久し振りだー!
復活した……ってことで、これから小説探してきますbb
萌e……じゃなくて好みっすか、やった^^
秀ちゃんw なんか思いついた名前。
関西弁はいいよ!
寧ろだね、ホントに。
由羽たんにヤキモチをやかせよう。
挨拶おつかれっす><
誰がショタを渡すもんか!
でぁノシ
>>杏奈ちゃん
152
:
杏奈
:2009/12/05(土) 22:41:01 HOST:r-118-106-225-235.g205.commufa.jp
またなんだよねー・・・もうそろそろ、ちゃんと定期で書きたいお年頃です((
否、好みすぎて萌え死にますた(///´q`)
秀ちゃんは、眼鏡外したら、ショタっ子になる。
・・・という危ない妄想まで出るという←
方言とか良いよね。可愛い。
ヤキモチ・・・ツンデレが好きです。(Σイキナリ何だ;;
え、ショタだけは譲れないぉ(・ω・´)
>雪音くん←
153
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/05(土) 22:50:06 HOST:119-231-185-88.eonet.ne.jp
第32話「波乱・プロローグ」
少女は闇の中にいた。
何故、私の望む人が近くにいないのだろうと。
深い、深い闇。
ああ、出れる日は来るのだろうか。
少女は泣いていた。
望む人の近くにいたいと。
そうか。
近くにいないのなら、近くにいけばいいのだ。
少女は、思いついた。
望む人の元へ行こうと。
そうすれば、きっと闇は晴れるのだ。
会いに行こう、貴方の元まで。
早く会いたい。
早く見てみたい。
大好きだから――――――…………
154
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/05(土) 22:55:47 HOST:119-231-185-88.eonet.ne.jp
お年頃なら書きなさいよ!(゜口゜;;;)))
そんなにヒットしましたのかwwww
うん、私の中でもそんな設定☆
きっと妄想じゃないお!
じゃあ博多弁とか。あ、わからねーや((
由羽をツンデレにしてしまうか……(え
何!貴様!
>>杏奈くんくん(イミフ
155
:
杏奈
:2009/12/06(日) 01:00:25 HOST:r-118-106-225-235.g205.commufa.jp
あぅ・・・はい((
ドストラーイク☆でした←
・ ・ ・ m j k ! !
妄想じゃないとかwwよしっ!←
うちに任してよかよ!博多弁は大体こぎゃん感じかいな(Σ分かるのか
否、そのままで大丈夫かと・・・bb
ん、何だ?貴様こそ、我に文句があるのか!?←
>雪音殿(Σぁ。
156
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/06(日) 11:20:26 HOST:119-231-130-93.eonet.ne.jp
素直でよろしい!(コラ
やったね、秀ちゃん!
m j d !!
よしっ!ww また秀ちゃんのプロフ書くー♪
そんな感じなの!? さすが杏奈っさん←
じゃあこんな感じでいくぉb
ありまくりだ! ショタは我のものなんだ!
>>杏奈殿下((
157
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/06(日) 12:27:00 HOST:119-231-130-93.eonet.ne.jp
「お前等、授業をサボったらどうなるか分かってるんだろうな?」
名前 *梓川 エナ(梓川 ―) 誕生日*10月22日
性別 *女 星座 *てんびん座
年齢 *26 血液型*O型
役職 *2年5組担任 国語科教師 身長 *166㎝
性格 *基本は冷静な性格だが、生徒が何か問題(ベルで着席できなかったというレベルも含む)を犯すと暴力的になる。
暴力的なモードに入った時は、かなり強く、殺傷できると考えられる。しかも生徒の話を聞かない。
そのせいか、生徒は梓川を怒らせないようにとビクビクしている。
容姿 *黒髪で、胸下あたりまである髪を下のほうで束ねている。深い紫色の瞳。
服装は、教師らしい黒色のスーツ。下には、レースの白いキャミソールを着ている。
身長が高く、スタイルもいいため、年齢より若く見える。
備考 *二次元で例えるなら見た目は、お姉さん系の美人教師。中身は、暴力的教師。
一人称 「私」
二人称 「○○」←生徒の事は名字で呼び捨てで呼ぶ。
「〜だ」「〜でな」 という男らしい話方。
「この椿園学校の生徒会長は、この俺だ」
名前 *田中 秀一郎(たなか しゅういちろう) 誕生日*7月1日
性別 *男 星座 *かに座
年齢 *15 血液型*AB型
学年 *3年4組 身長 *156㎝
性格 *自分が生徒会長である事を誇りに思っていて、プライドが高い。
とにかく堅苦しく、ルールや決まりなどにはうるさい。
いじられキャラなのか、よくからかわれている。特に副会長の火野に。
あんまりいじめられると、キャラが崩壊する。
容姿 *黒髪に黒い瞳と和同じ色の髪と瞳だが、和ほど地味な印象を与えない。前髪が少し長く、ワックスとかはつけていない。
ありがちなオシャレとはいえない眼鏡をかけている。制服はかなりキッチリ着ている。
眼鏡をはずすと、結構幼い顔になる。身長もそんなに高くないため、それを言われると怒る。
備考 *二次元で例えると、堅苦しい生徒会長。
一人称 「俺」
二人称 「○○」←名字の呼び捨て。
堅苦しい話方。焦ると少し変わる。
158
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/06(日) 12:29:30 HOST:119-231-130-93.eonet.ne.jp
「お前等、授業をサボったらどうなるか分かってるんだろうな?」
名前 *梓川 エナ(あずさがわ ―) 誕生日*10月22日
性別 *女 星座 *てんびん座
年齢 *26 血液型*O型
役職 *2年5組担任 国語科教師 身長 *166㎝
性格 *基本は冷静な性格だが、生徒が何か問題(ベルで着席できなかったというレベルも含む)を犯すと暴力的になる。
暴力的なモードに入った時は、かなり強く、殺傷できると考えられる。しかも生徒の話を聞かない。
そのせいか、生徒は梓川を怒らせないようにとビクビクしている。
容姿 *黒髪で、胸下あたりまである髪を下のほうで束ねている。深い紫色の瞳。
服装は、教師らしい黒色のスーツ。下には、レースの白いキャミソールを着ている。
身長が高く、スタイルもいいため、年齢より若く見える。
備考 *二次元で例えるなら見た目は、お姉さん系の美人教師。中身は、暴力的教師。
一人称 「私」
二人称 「○○」←生徒の事は名字で呼び捨てで呼ぶ。
「〜だ」「〜でな」 という男らしい話方。
「この椿園学校の生徒会長は、この俺だ」
名前 *田中 秀一郎(たなか しゅういちろう) 誕生日*7月1日
性別 *男 星座 *かに座
年齢 *15 血液型*AB型
学年 *3年4組 身長 *156㎝
性格 *自分が生徒会長である事を誇りに思っていて、プライドが高い。
とにかく堅苦しく、ルールや決まりなどにはうるさい。
いじられキャラなのか、よくからかわれている。特に副会長の火野に。
あんまりいじめられると、キャラが崩壊する。
容姿 *黒髪に黒い瞳と和同じ色の髪と瞳だが、和ほど地味な印象を与えない。前髪が少し長く、ワックスとかはつけていない。
ありがちなオシャレとはいえない眼鏡をかけている。制服はかなりキッチリ着ている。
眼鏡をはずすと、結構幼い顔になる。身長もそんなに高くないため、それを言われると怒る。
備考 *二次元で例えると、堅苦しい生徒会長。
一人称 「俺」
二人称 「○○」←名字の呼び捨て。
堅苦しい話方。焦ると少し変わる。
159
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/06(日) 12:32:18 HOST:119-231-130-93.eonet.ne.jp
こんにちは、雪音です。
えーと
>>157
は失敗なので気にしないでください……
正解は、
>>158
です。
この場で読んでくださいと宣伝してみます(殴
……読んでくださると嬉しいです!
160
:
杏奈
:2009/12/06(日) 22:35:00 HOST:r-118-106-225-235.g205.commufa.jp
秀ちゃん、好きだwwwww
秀ちゃんのプロフに悶えましたが、何か?←
・・・変換するページがあるんですbb
いっけぇー!!
え・・・やだ((
>雪音天皇(・・・?)
161
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/07(月) 21:51:48 HOST:119-231-180-87.eonet.ne.jp
秀ちゃん、好かれてますよ!(え
悶えたって言われた!どうしましょう((
うっそん← 知らないよー
いってきまーす!……え、どこに?
やだじゃないの!(黙
>>杏奈
162
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/10(木) 01:22:47 HOST:119-231-130-207.eonet.ne.jp
第33話「転校生」
「なんとか逃げれたな」
「うん。あー、変に問題にならなくてよかったぁ」
会長が生徒会室から出て行った為、俺と桜子はそそくさと出てきた。
まぁ、俺と桜子が出て行っても副会長は特に何も言わないだろうし、吹井先輩は副会長と2人になれるからむしろ喜ぶだろうし、
別にコソコソする必要はなかったようにも感じるが。
「なんで会長出て行ったんだろ?」
「ああ……」
そういえば、何で出て行ったんだっけ?
確か、梓川先生が入ってきて、それで――…………
「ああ、そういえば、転校生の事で何かあるから職員室まで呼び出されたんじゃなかったっけ?」
確かそうだったはずだ。
会長がかなりギリギリに追い込まれてる時に先生が入ってきたから、自分が思う以上に鮮明に覚えている。
「転校生? へぇー、転校生くるんだ! 何年だろ?」
「それも二次元だったりしてな」
転校生も二次元的。
…………ああ、ありえる。
「二次元だとしても、ミカちゃんとかナナちゃんみたいな子だったら大歓迎だけどな……」
「全く歓迎したくないけど」
俺の願望は、あっさり桜子によって切り落とされた。
「あれ? あの子――――…………」
ふいに、桜子が拍子抜けたような声を出した。
俺は、「何?」とか言いつつ、桜子の視線を追う。
「なんかうちの学校のとは違う制服着てるんだけど……」
あの子のことか?
桜子が言ってるのは、俺達が歩いてる廊下の反対側から歩いてくる女の子だった。
確かに、うちの学校のありがちなセーラー服とは違い、どこかの私立の女子中のような
上品なブレザーに小さな体を包んでいる。
遠目からだと、どんな子かは分からなかった。
分かるのは、その子は小柄で、甘い色の髪をしているということ。
だんだん、距離が縮まってくる。
「「…………――」」
そして、とうとう顔がハッキリと見えた。
俺も桜子も、同時に息を飲み込んだ。
……正直、メチャクチャ可愛い子だ。
常識を超えたんじゃないか、と言えるぐらいだった。
ハッキリ言って、優にも並ぶ。
今まで優より可愛い子を見たことがなかったが、その子は優に負けていなかった。
優より可愛い! とは断言できないが、優の方が可愛い! とも断言できなかった。
溶けそうなぐらい甘い栗色のフワフワした髪。
黒いのに、優と同様、ガラスのように透けそうなぐらい綺麗な瞳。それを縁取る長い睫毛。
日にあたったことがあるか聞きたくなるぐらい白くて滑らかな肌。
おまけに、守りたくなるような華奢な体。
人形かと錯覚してしまいそうだった。
ここまでは言いすぎか、だなんて思わない。
本当に美少女だった。
その子はすれ違う時、俺達がガン見しているのに気付いたのか、
挨拶代わりのような微笑みを浮かべた。
それだけで、バックに花弁がきてもいいと思った。
女の子はそのまま通り過ぎて行った。
「………………メグミちゃん」
「え?」
「あの子はメグミちゃんだああああああああああ!!
あの美貌! あどけない笑顔! まさに妹キャラのメグミちゃんだ!! あれで「お兄ちゃん」とか言われたら、俺もう死んでもいいわ!! 萌え―――――!!!」
「ああっ! ナゴがかつてないぐらいに興奮している!」
163
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/11(金) 21:28:09 HOST:119-231-179-161.eonet.ne.jp
第34話「メグミちゃんと対面」
「な……なんて美少女……」
桜子も、驚きを隠せず、顔にその表情を浮かべながら呟いた。
さっきの少女の顔が、頭から離れなかった。
「メグミちゃん……なんて可愛い子なんだ……あの子が、この学校に……ぐへへへへへ」
「もう最早ナゴは病んでる! 勝手にメグミとか呼ぶな!」
桜子は、そう言って俺の頭を軽く叩いて俺の暴走のしかけを止めると、「ナゴのバカ」と呟いた。
なんでそんな事言うのか尋ねたけど、答えてくれなかった。
「とにかく、あの子はまた近々学校に転校してくるんでしょ? また見れるんだから、今日はもういいじゃん。帰ろうよ」
「ああ……」
別に、最初からそのつもりだったけど。あえてその言葉は口にせず、俺は素直に教室に帰り、鞄を持ってから校舎から出た。
外の景色は、一面橙色に輝いている。
うっすら、雲がかかりかけた月も見えた。
俺は、ひとつ大きな伸びをして、桜子に別れを告げた。
「じゃあな」
「え?」
「なんだよ?」
「え、えーと……流れ的に、一緒に帰ったりするんじゃないかなって思ってたんだけど」
「は?」と、思わず声が出る。
一緒に帰る? 何言ってんの、コイツ。
「意味わからん」
「だ、だって、女の子1人じゃ可哀想だな、おくってやるぜみたいな感じに……」
「誰がそんな感じになるんだよ、キモい」
「キモくない!」
桜子の考えていることはよく分からなかった。
はぁ、とわざと大きな溜息をつく。
「とにかく、俺は1人で帰るし。お前なんか襲うバカはいねーから大丈夫だって」
そう桜子に告げると、さっさと歩きだす。
「ナゴのバカぁ――――!! 絶対私襲われるんだから! それはナゴのせいなんだから! バカ、ハゲろ!」
後ろの方で桜子はなんか言ってる。
誰がハゲるか! お前がハゲろ!
そのまま、(桜子を置いて)ぼーっと歩いていた。
「ちょっといーい?」
「…………え?」
目の前に、いきなり影が現れた。
それと同時に聞こえた高めの声に思わず反応する。
花さえも生えていない道を見るように下を向いていた顔を、声がする前方に向ける。
「――――」
顔を上げた先に見えたのは、さっきの廊下で会った美少女転校生、俺のメグミちゃんだった。
またもや、その可憐な姿に言葉を失いかける。
「さっき以来かな?」
「あ…………」
この子はさっき廊下ですれちがったのが、俺だと分かっていた。
予想を裏切らず、容姿に似合う少し幼くて高い声の、甘い感じの話し方に思わず顔が紅潮する。
やべ……可愛い。
「もう知ってるかもしれないけどね……今度、この学校に転校してくるんだぁ。だから挨拶しようと思ったの〜」
フフっと天使のように可愛らしく微笑みながら、目の前の美少女……メグミちゃんは言った。
ああ、ここまで花が似合いそうな女の子はいないだろう。ちなみに、男で一番似合うのは優だ。
「2年5組の雨照和……だよね?」
――――え?
なんで俺の名前知って……
「1年2組に転校してくる予定の、姫伊利 萌(ひめいり めぐみ)だよ。よろしくね、和お兄ちゃん!」
…………なんて言った?
『メグミ』?
『お兄ちゃん』?
164
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/14(月) 12:23:23 HOST:119-231-175-86.eonet.ne.jp
第35話「メグミとの関係」
『メグミはお兄ちゃんのこと大好きなんだ! だからメグミの夢は、お兄ちゃんのお嫁さんなの、お兄ちゃん!』
かつての、メグミちゃんのこの萌え死にそうなセリフ。
今、頭のなかでグルグルと走馬灯のように駆け巡っていた。
可愛い可愛い、俺のメグミちゃん。
この子がまさにそうだと思っていた。
本当に名前が『メグミ』なんて。
しかも俺のこと『和お兄ちゃん』って。
そんな事言われたら俺…………「フ……フフ」
「メグミちゃん――――――!! 俺のメグミちゃんが萌ちゃんだったぁあああああああ!! おまけに俺の事お兄ちゃんって! キタ――――――!!!」
「………………」
……あ。
やってしまった――――!!
今までは人にバレないようにオタク部分は隠してたのに!
こういう叫んでしまう発作的なものはあまり見せないようにしてたのに!
あまりの嬉しさに……よりによってこの子にバレた――――!!
やってしまった――――!!
あ―――――――! もう! 俺死ね――――――!!
「そんなに焦らなくても、大丈夫だよぉ?」
「……え?」
目の前の萌ちゃんの言葉で、俺の暴走は止まった。
萌ちゃんは先程からのニコニコとした表情を全然変えていなかった。
……引いて、ないのか?
「和お兄ちゃんは漫画がものすごく好きな人だって聞いてたから、別に萌は驚かないんだよ?
それに萌ね、和お兄ちゃんが漫画のキャラクターが大好きだって気持ちを叫んでるの、カッコイイって思っちゃった!」
「漫画が好きだって聞いてた……?」
俺の事をお兄ちゃんと呼ぶ上、カッコイイなんて言ってくれたからまた暴走しそうになったが、
それを止めて、俺は萌ちゃんの言葉で疑問になったことを聞いた。
漫画が好きだって、誰に聞いたんだ……?
「……誰に教えてもらったんだ?」
「萌と和お兄ちゃんのお父さんだよ!」
165
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/14(月) 12:57:51 HOST:119-231-175-86.eonet.ne.jp
*二次元school あらすじ*
どこにでもいる平凡少年。平凡すぎてそれが個性となりかけている雨照和は、
人には隠しているが、二次元を愛しすぎている、重度の漫画とアニメオタクである。
ある日、そんな平凡オタクに恋している幼なじみ、末木桜子が転校した。
和は何も告げずに転校していく桜子に怒ったが、家に帰ると、桜子が和に転校することを告げなかった理由が分かる。
それは、『和も桜子と同じ学校に転校する』から。
桜子と同じ転校先の学校、『椿園学校』。
そこも、今までのような平凡な学校だと思っていた。だが……
そこは、超美少女(男)がいたり、ツンデレ少女がいたり、SとMのカップルがいたり。
まるで、『二次元を三次元にしたような学校』だった――――……。
166
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/14(月) 13:39:52 HOST:119-231-175-86.eonet.ne.jp
>>1
プロローグ
>>165
あらすじ
>>2
第1話「自分の本性」
>>3
第2話「二人の転校」
>>7
第3話「二次元を三次元にしたような学校」
>>8
第4話「転校先は……」
>>14
第5話「隣の席の女の子」
>>22
第6話「非常識日常生活」
>>27
第7話「女好き男」
>>28
第8話「桜子との関係」
>>29
第9話「美少年の考え」
>>49
第9話「反対少女」
>>52
>>53
第10話「スタート」
>>62
第11話「部活」
>>74
第12話「やっぱり美少女」
>>85
第13話「オタクというより腐女子」
>>88
第14話「写真部入部しませんか?」
>>98
第15話「桜子の夏祭り作戦」
>>103
第16話「自分より可愛い男」
>>114
第17話「偶然?必然?」
>>121
第18話「第2の敵」
>>126
第19話「ツンデレ+浴衣」
>>131
第20話「SMデート」
>>132
第21話「怜次暴走、阻止」
>>133
第22話「腐女子なお姉様?」
>>134
第23話「終了の合図」
>>137
第24話「生徒会室に入場」
>>140
第25話「生徒会長、秀ちゃん」
>>143
第26話「関西少女」
>>144
第27話「愛しています」
>>145
第28話「そしてまた原点に」
>>146
第29話「悪いのは」
>>147
第30話「会長をいじめよう」
>>148
第31話「会長は助けられました」
>>153
第32話「波乱・プロローグ」
>>162
第33話「転校生」
>>163
第34話「メグミちゃんと対面」
>>164
第35話「メグミとの関係」
(以下続行)
167
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/14(月) 13:52:55 HOST:119-231-175-86.eonet.ne.jp
【二次元school】
>>1
プロローグ
>>165
あらすじ
>>168
登場人物プロフィール
>>2
第1話「自分の本性」
>>3
第2話「二人の転校」
>>7
第3話「二次元を三次元にしたような学校」
>>8
第4話「転校先は……」
>>14
第5話「隣の席の女の子」
>>22
第6話「非常識日常生活」
>>27
第7話「女好き男」
>>28
第8話「桜子との関係」
>>29
第9話「美少年の考え」
>>49
第9話「反対少女」
>>52
>>53
第10話「スタート」
>>62
第11話「部活」
>>74
第12話「やっぱり美少女」
>>85
第13話「オタクというより腐女子」
>>88
第14話「写真部入部しませんか?」
>>98
第15話「桜子の夏祭り作戦」
>>103
第16話「自分より可愛い男」
>>114
第17話「偶然?必然?」
>>121
第18話「第2の敵」
>>126
第19話「ツンデレ+浴衣」
>>131
第20話「SMデート」
>>132
第21話「怜次暴走、阻止」
>>133
第22話「腐女子なお姉様?」
>>134
第23話「終了の合図」
>>137
第24話「生徒会室に入場」
>>140
第25話「生徒会長、秀ちゃん」
>>143
第26話「関西少女」
>>144
第27話「愛しています」
>>145
第28話「そしてまた原点に」
>>146
第29話「悪いのは」
>>147
第30話「会長をいじめよう」
>>148
第31話「会長は助けられました」
>>153
第32話「波乱・プロローグ」
>>162
第33話「転校生」
>>163
第34話「メグミちゃんと対面」
>>164
第35話「メグミとの関係」
(以下続行)
168
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/14(月) 13:53:25 HOST:119-231-175-86.eonet.ne.jp
【二次元school】 *登場人物プロフィール*
>>75
雨照 和
>>78
末木 桜子 * 波谷 優
>>113
泉川 千里 * 波谷 風
>>119
鈴井本 鶇 * 松田 暁也
>>120
龍造寺 愛衣子 * 霧島 怜次
>>157
梓川 エナ * 田中 秀一郎
169
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/14(月) 13:57:10 HOST:119-231-175-86.eonet.ne.jp
>>19
小陽向 紫乃
>>34
椿 乃亜
170
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/14(月) 14:10:28 HOST:119-231-175-86.eonet.ne.jp
こんにちは、雪音です。
↑暇なのでやってみました。
レス数の割に、案外本編のレスが少なかったので((オイ 「えー、こんな駄文読めねー」っていう人も読んでください+←
とりあえず、
>>166
は失敗です。あ、別に
>>166
からでもワープできるんですが、気に入らない所があったので……。
ハッキリ言って、
>>168
も失敗なんですよね((
紫乃ちゃんと乃亜ちゃんを入れるの忘れてました……タヒってきます。
でもいつかまた話書いていくうちにこんなの必要になってくると思うので、その時に書きなおします。ゴメンなさい。タヒります((え
あ、そういえばオリキャラ募集をしていた気もするけど←
宣伝してもこんな駄文小説に素敵なキャラをプレゼントする気がある人はいないと思うので、そろそろ募集は終了です。
咲柚、誄、可愛いキャラをありがとうございました! 大切にしまs((
では、これを機会に読む気になってくれたら嬉しいです。ならないよね←
では、雪音からでしたノシ
171
:
瑚飴
:2009/12/15(火) 13:05:03 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
初めまして!
瑚飴と申しマス!!
小説読みました
とてもすばらしかったデスww
ちなみに私は雪音サンの事知ってますヨ☆←恐っっ
172
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/15(火) 14:36:09 HOST:119-231-174-170.eonet.ne.jp
はじめまして、コメありがとうございます!
そんな言葉私にはもったいないです……。
え、私の事しってるってどういうこt((
リアならなんとなく予想はついてます☆←
>>瑚飴さん
173
:
瑚飴
:2009/12/15(火) 14:50:36 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
陰からみてるんですよ((ストーカー!?
でも、今家にいるんだから………。
>雪音サン
174
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/15(火) 15:07:20 HOST:119-231-174-170.eonet.ne.jp
変態さんでしたk((ヤメロ
うん、少なくとも私よりかは変態じゃないよね+
やっぱりお前か――――!
……多分。←
>>瑚飴さん
175
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/15(火) 16:21:46 HOST:119-231-174-170.eonet.ne.jp
第36話「萌と和お兄ちゃんのパパ」
「め、萌ちゃん? なんて言った? 今」
「ん? 萌は和お兄ちゃんが漫画好きな事知ってるって……」
「そ、それを教えてもらった人!」
聞き間違いでなければ、「萌と和お兄ちゃんのお父さんだよ!」と言ったはずだ。
……いや、まさかな。聞き間違いだよな。うん。
「萌と和お兄ちゃんのお父さんだよ!」
………え、聞き間違いじゃない?
「……め、萌ちゃん。それは実のお父さん? 俺達の?」
「うん、そうだよ」
「萌ちゃんと俺は兄妹って事?」
「そうだってばぁ。もぉ、お兄ちゃんったら、何度萌に言わせるの?」
「なぁに?」と、目の前の美少女は首をかしげている。
一瞬でも気を許すと、見とれてしまって、口が聞けなくなるんじゃないかと思った。
一旦言葉を区切って、再度言い直す。
「や、俺確かに今親父は家にいないけど……。俺妹いるなんて聞いた事ないんだけど……」
そう言うと、萌ちゃんは意味深にクスクスと笑った。
「うーん、確かに聞かされてないかもしれないよね〜。だってぇ、萌達母親は違うからぁ」
……は?
「鏡(かがみ)さんも、そんな事言いたくないかもしれないよね〜」
鏡さんって…………俺の母さんだ。
俺と萌ちゃんは、母親が違って父親は同じの兄妹?
そんな事俺の母さんは言いたくないから、俺は知らなかった?
……何。
いやいやいやいやいやいやいや。
そんなドロドロした昼ドラじゃあるまいし。
「あーっ、和お兄ちゃん、その顔は萌の言うこと信じてないでしょお?ひどいよ〜」
「い、いや、悪いけど、いきなりこんな話信じれる訳……」
俺がそう言うと、萌ちゃんはいきなり俺の手をつないできた。
さっきから上手く思考回路が回ってないせいか、手を繋がれたことにすら理解に数秒かかった。
すっげー白くて細い指……。温かい体温……。
本当にこんな似て付かない可愛い子が俺の妹だと言うのか?
ていうか、そうだとしたら、今俺妹にときめいてんの?
「和お兄ちゃん、一緒に萌の家に行こ? 萌とお兄ちゃんのお父さんに会わせてあげる!」
そう行って、もしかしたら妹かもしれない萌ちゃんは、俺の手を引っ張って行った。
176
:
瑚飴
:2009/12/15(火) 16:31:49 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
私だ((言葉遣い変わった―!!
紫乃chanかわゆい☆
177
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/15(火) 16:34:23 HOST:119-231-174-170.eonet.ne.jp
お前だったのか((某芸人だぉ/タヒ
紫乃ちゃんは最近モテてるぜ+
出さないといけないですなー
>>瑚飴
178
:
瑚飴
:2009/12/15(火) 16:46:29 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
流石!
気づくのが早いne☆
紫乃は私の嫁だ!!
>雪音
179
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/15(火) 16:49:05 HOST:119-231-174-170.eonet.ne.jp
私は天才だかr((タヒタヒ
勝手に嫁にすんなww
私の嫁だ! 皆嫁だ!←
>>瑚飴
180
:
瑚飴
:2009/12/15(火) 16:52:38 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
……ごめんなさい((土下座
>雪音
181
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/15(火) 16:54:09 HOST:119-231-174-170.eonet.ne.jp
え、急にやめて((
じゃあ私も土下座する←
>>瑚飴
182
:
瑚飴
:2009/12/15(火) 16:59:08 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
じゃあもう一回土下座するぅ←
>雪音
183
:
瑚飴
:2009/12/15(火) 17:03:26 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
今日はココまで☆
バァイ←
>雪音
184
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/15(火) 17:03:42 HOST:119-231-174-170.eonet.ne.jp
おやめなさい←
あなたはMではないはずだ!
>>瑚飴
185
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/16(水) 09:38:01 HOST:119-231-171-134.eonet.ne.jp
第37話「感動ではない再会」
『ねぇ、お母さん。なんで僕の家にはお父さんはいないの?』
『何? 和、急に』
『だってぇ、この間の授業参観、皆がお父さんとお母さんに来てもらってたから……』
『そうね、和。寂しい思いをさせて悪いわ。だけどお父さんはね……
死んだの。私の中では』
****
いつだったか……確か、俺が小学校の低学年ぐらいの時だった。
物心がつきはじめたその頃から、俺の家には母親と俺しかいなかった。
俺はなんで父親が家にいないのか、母親に尋ねたことがあった。
あの時の、『死んだの。私の中では』という言葉。
『私の中では』という響きに少し疑問を持ったのを覚えている。
私の中では、ということは、実際には生きているという事だったのか? だったらなんで自分の中で殺したのだろうか……。そして、殺されるような親父とはどんな人なんだろうか。
「はい、和お兄ちゃん。着いたよ〜」
「あ…………」
萌ちゃんの声で、俺はハっと意識が戻った。
萌ちゃんに、俺と萌ちゃんの親父に会わせてあげると言われ、
萌ちゃんに連れられて歩いてくる中、ずっと俺は考え事にふけっていた。
顔を上げると、目の前には一軒、白い造りの可愛らしい家があった。
……ここが、萌ちゃんの家か。家までもが俺の理想のメグミちゃんだった。
「どーぞ、入っていいよ」
萌ちゃんが、小さなリースがかかった白くて大きいドアを開けた。
すると同時に、家の中の臭いなのか、甘い花のような臭いがふわっと俺に降りかかった。
玄関の中は、下を見ればレースがついたフワフワのピンクのマットが敷いてあり、横を見れば花のモチーフがついた花瓶に白と薄い黄色の薔薇がささってあり、上を見れば普通の電気にハートの装飾品がぶらさがっている……といった、玄関だけでもかなり乙女ちっくだった。
少し戸惑いながらも、俺なんかでは場違いのような玄関に右足を恐る恐る踏み入れた。
「お邪魔……します」
「はい、どぉぞ!」
萌ちゃんは嬉しそうに声を弾ませながら、俺の後ろから自分も玄関の中に入ってきた。
「パパー? ただいま――――!」
萌ちゃんが、玄関の奥に向かって声を張り上げた。
パパ……もしかしたら、俺の親父かもしれない人。
「萌か? おかえり――!」
低くて、まさに男の人……って感じの声が聞こえて、それと同時に足音が聞こえた。
それは、だんだん近くなる。 この人が俺の……?
「パパぁ、萌ね、和お兄ちゃん見つけたよ! パパに会わせようと思って連れてきちゃった!」
「え……?」と、低い声は呟いた。
「和―――――…………?」
そして、優しそうな男の人が……俺の目の前に現れた。
186
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/16(水) 09:45:27 HOST:119-231-171-134.eonet.ne.jp
第37話「萌ちゃんの家へ訪問」
『ねぇ、お母さん。なんで僕の家にはお父さんはいないの?』
『何? 和、急に』
『だってぇ、この間の授業参観、皆がお父さんとお母さんに来てもらってたから……』
『そうね、和。寂しい思いをさせて悪いわ。だけどお父さんはね……
死んだの。私の中では』
****
いつだったか……確か、俺が小学校の低学年ぐらいの時だった。
物心がつきはじめたその頃から、俺の家には母親と俺しかいなかった。
俺はなんで父親が家にいないのか、母親に尋ねたことがあった。
あの時の、『死んだの。私の中では』という言葉。
『私の中では』という響きに少し疑問を持ったのを覚えている。
私の中では、ということは、実際には生きているという事だったのか? だったらなんで自分の中で殺したのだろうか……。そして、殺されるような親父とはどんな人なんだろうか。
「はい、和お兄ちゃん。着いたよ〜」
「あ…………」
萌ちゃんの声で、俺はハっと意識が戻った。
萌ちゃんに、俺と萌ちゃんの親父に会わせてあげると言われ、
萌ちゃんに連れられて歩いてくる中、ずっと俺は考え事にふけっていた。
顔を上げると、目の前には一軒、白い造りの可愛らしい家があった。
……ここが、萌ちゃんの家か。家までもが俺の理想のメグミちゃんだった。
「どーぞ、入っていいよ」
萌ちゃんが、小さなリースがかかった白くて大きいドアを開けた。
すると同時に、家の中の臭いなのか、甘い花のような臭いがふわっと俺に降りかかった。
玄関の中は、下を見ればレースがついたフワフワのピンクのマットが敷いてあり、横を見れば花のモチーフがついた花瓶に白と薄い黄色の薔薇がささってあり、上を見れば普通の電気にハートの装飾品がぶらさがっている…………といった、玄関だけでもかなり乙女ちっくだった。
少し戸惑いながらも、俺なんかでは場違いのような玄関に右足を恐る恐る踏み入れた。
「お邪魔……します」
「はい、どぉぞ!」
萌ちゃんは嬉しそうに声を弾ませながら、俺の後ろから自分も玄関の中に入ってきた。
「パパー? ただいま――――!」
萌ちゃんが、玄関の奥に向かって声を張り上げた。
パパ……もしかしたら、俺の親父かもしれない人。
「萌か? おかえり――!」
低くて、まさに男の人……って感じの声が聞こえて、それと同時に足音が聞こえた。
それは、だんだん近くなる。 この人が俺の……?
「パパぁ、萌ね、和お兄ちゃん見つけたよ! パパに会わせようと思って連れてきちゃった!」
「え……?」と、低い声は呟いた。
「和―――――…………?」
そして、優しそうな男の人が……俺の目の前に現れた。
187
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/16(水) 09:48:20 HOST:119-231-171-134.eonet.ne.jp
何度もすいません、
>>185
は失敗です。
>>186
をご覧ください。……内容は変わってないんですが、題名が気に入らなかったんで。
「感動ではない再会」って酷いですね。私は酷い人間ですかr((
今の所は感動です。 もうすぐ感動じゃなくなります。←
……誰か読んでみないk((orz
188
:
瑚飴
:2009/12/16(水) 10:17:36 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
読んだゼ☆
ヒマだよぉ〜((あ・そ・ぼ
家に来い←
>雪音
189
:
未来
:2009/12/16(水) 16:19:39 HOST:204-205.h3.client.s-cnet.ne.jp
雪音さん>> 未来です。こちらにも来てみました
とてもおもしろいです。
続き楽しみにしてます!!そして、呼び捨てでいいですよ♪
190
:
水月
:2009/12/16(水) 23:35:25 HOST:w22.jp-k.ne.jp
よっす!来ました!
こんな時間だけどっ!!活発に行動するのは夜なんだよ。
たまに来てコメするだけだぜ(゜▽゜)あ、学級閉鎖中に14Pの大作(?)完成した!
なんかホント二次元から昼ドラに…紫乃をもっと出せっ!(命令系
またはショタでツンな子を出してくれっ!
191
:
水月
:2009/12/17(木) 13:12:23 HOST:w31.jp-k.ne.jp
無駄に電話してくんじゃねぇー!別に暇だったしいいんだけど起きた直後だよ…。
192
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/17(木) 13:20:21 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
ごめーん、気付くの遅かった!
今会いに行きます((
>>瑚飴
ありがとうございます^^
そんなことないでっす/
はい、そちらも頑張ってください☆ うー……じゃあそっちも呼び捨てで呼んでくださいー
>>未来
おー、夜行性め。
早く寝ないと身長のびませんよ←
大作完成? 見せろ!
昼ドラスクール? なぜお前に命令されなければいけないんだ!
ご め ん ☆
ていうか1行レスすんなよ←
もはや伝言板? ←違う!
>>水月
(今日は友達のpc借りてます)
193
:
咲柚
:2009/12/17(木) 20:53:16 HOST:proxy20039.docomo.ne.jp
お久しぶり♪
忘れられてるんじゃないだろうか…
咲柚です((ペコリ
面白い感じに進んでますな^^
てか、紫乃ちゃんモテモテ☆
そいじゃノシ
>雪音
194
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/17(木) 20:58:47 HOST:119-231-168-242.eonet.ne.jp
おお―――!!
忘れてないよ、咲柚は私の彼女だかr((
ありがとう>< 暴走しかしてないけど……
紫乃ちゃんはモテ期が爆発してるようです←
でぁノシ
>>咲柚
195
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/17(木) 21:27:55 HOST:119-231-168-242.eonet.ne.jp
第38話「感動の再会」
「和――――…………? 和って本当に……?」
「うん、いかにも! パパの息子だよっ!」
茫然とする、目の前の優しそうな30代あたりの男に対して、嬉しそうに言う萌ちゃん。
俺は、その男と同様茫然としている。
「……君は……本当に和なのか? 雨照和、なのか?」
まだ茫然とした色の声ながらも、その男は俺に尋ねた。
「雨照和」…………確かに、俺の名前。
「…………はい」
声が震えていた。思ったより俺は緊張しているらしい。
それもそうか……。
俺の小さくて曖昧にさえ聞こえる返事に、男の人は目を見開いた。
そして肩が少し震える。
「……な……ごみ。――――っ和!」
突然、俺の体に大きな衝撃が走った。
……目の前にいた男が、いきなり俺を力強く抱きしめた。
体勢はそのままだったが、その抱きしめられる力は、すぐに弱まった。
震える肩と、俺の背中に感じる、じんわりとした熱いものの感触で、すぐに泣いてるんだと思った。
「貴方は――……俺の、親父なんですか……?」
俺がそう言うと、震えていた肩はピタっと動きを止め、ゆっくり俺から離れて行った。
少し目が赤くなった男が、俺を向き合うと、少し口を開く。
「…………ああ。改め、俺が姫伊利萌と……雨照和の父親だ」
父親だと分かったら聞きたい事は山程あったはずなのに、俺は1分ほど何も喋れなかった。
196
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/20(日) 17:46:03 HOST:119-231-152-134.eonet.ne.jp
第39話「応接間にて」
「和お兄ちゃんも聞きたいことあるだろうしぃ、とりあえずお部屋行こう?」
しばらくの沈黙が続いた後、萌ちゃんにそう言われ、俺は言葉を返さずに頷いた。
萌ちゃんはフフっと微笑むと、「どうぞ」と言って、俺を家の中に案内してくれた。
****
「はい、ここに座って?」
案内された部屋は応接間らしい。
流石に客を対応する部屋というだけあって、先程の玄関のように乙女ちっくな感じは皆無だった。
どちらかといえば上品さが印象強く残る部屋だ。
俺が萌ちゃんに促されて座っているソファも、萌ちゃんの趣味ならハート柄っぽそうだが、この部屋のソファは大人っぽいワインレッドで描かれた細かい花が模様だった。
そして、上を見上げるとシャンデリア。さっきの玄関にあったハートの装飾品がついた電気からは考えられなかった。それほど高級な物でもなさそうだが、そこまで小さい物でもなかった。これ以上シャンデリアを見つめるのは眩しいから、俺は目線を元に戻すことにする。
「ちょっと待っててね、お茶入れてくるよぉ〜」
萌ちゃんがそう言葉とドアを閉める音を残すと、部屋から出て行った。
「ちょ、まっ…………!」
今、俺の親父と2人きりにしないでくれ!
『ちょっと待って』そう言おうとした言葉は萌ちゃんに届かなかった。
「「………………」」
……気まずい。気まずすぎる。
俺こういう空気苦手だー!
考えてみれば、今まで二次元学校でこういう静かな空気に出くわしたことがない。
だから慣れてないのか!?
あー、萌ちゃん早く帰ってこ――――い!!
「……大きく、なったな……」
「……え?」
唐突に低い声が聞こえて、思わず顔を上げた。
目の前の親父は、優しく微笑んでいた。……本当に、俺はこの人と血がつながっているんだろうか。
「俺は和が1歳の時に鏡と離婚したからな……。まさかこんなに男前になってるとは」
「……はぁ」
少なくとも男前ではないと思う。こんなどこにでもいそうな顔。
俺が微妙な心境に浸ってる時、親父が「あ」と声を上げた。
「そうだ、鏡は元気か?」
母さんか……。
「ええ、元気ですよ」
少しそっけなかったかな。
言葉を放ってからそう思った。
だが、親父はそんな態度は特に気にせず、ぼそっと呟いた。
「……七緒(なお)じゃなくて鏡にしとけばよかったかな…………」
「……え?」
それってどういう意味……
そう尋ねようとした時
「おまたせ! ミルクティー入ったよぉ!」
と、萌ちゃんが3つのカップが置いてある盆を抱えて部屋に入ってきた。
「さぁ、パパ。全部和お兄ちゃんにお話して?」
萌ちゃんが微笑みながら、親父に言った。
197
:
水月
:2009/12/20(日) 20:36:36 HOST:w22.jp-k.ne.jp
雪音ーーーーー!!!
早く続きを書いてくださーーい!!めっちゃ気になるんやけど?!
おまいはやっぱ神だったのか…(^p^)
198
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/20(日) 20:48:05 HOST:119-231-164-247.eonet.ne.jp
水月だ――――!!
土下座をしなさi(( 今、M−1見ながら書いてるよw
うん、紙←
>>水月
199
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/20(日) 20:55:32 HOST:119-231-164-247.eonet.ne.jp
第40話「母と父の過去」
「これ、美味しいんだよ?」
萌ちゃんは俺に微笑みかけながらカップを俺の前に置いた。
カップは、やはり乙女ちっくな物で、この上品な雰囲気の部屋にはあまり似合わなかった。
赤とピンクの、少し大き目の苺の柄の白い小さなカップ。その中からは、甘ったるい香りがした。
一口口をつけてみても、やっぱり味も甘ったるい。萌ちゃんには悪いが、これ以上飲めるような味じゃないから、もう口は付けないでいようと思った。
「……あの」
ミルクティー? を飲んだのをきっかけに、俺は親父に向き合った。
なんで俺の母さんと離婚したのか。なんで萌ちゃんの存在を、母さんは知らせてくれなかったのか。
なんで萌ちゃんは俺を知ってたのか。……なんで、萌ちゃんは第2椿園学校に転校してきたのか。
聞きたいことはありすぎた。何から聞いたらいいのか分からない。
少し困った様子が顔に出ていたのか、親父は微笑んで言った。
「いい、和。……俺から全部説明するよ」
「……はい」
「…………俺が大学生の頃……鏡に惚れられた。そしてそのまま付き合って……結婚までした」
親父は、ミルクティーを少し飲むと、話し始めた。
ああ……そこから?
「そして、和が鏡の腹に宿って……6月12日、和が産まれた」
「……はぁ」
そこまで言うと、親父は一拍置いた。
「実は、和が産まれた後、俺は――――…………」
次の親父の言葉で、俺にかつてない衝撃が走ることになる。
200
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/20(日) 21:35:59 HOST:119-231-164-247.eonet.ne.jp
第41話「母さんの言葉の意味」
「俺は、他の女……萌の母である七緒に妊娠させてしまった。それが萌」
…………
「ええええええええええええええええ!!!?」
「そ、それって……!!?」
親父は、話し始める前のような微笑みじゃなく、
子供のように悪戯っぽく笑って軽く言った。
「……俺、その頃かなり遊びたい年頃でさ。ちょっと浮気してたらやっちゃった」
「やっちゃったじゃねぇ! 最低すぎる!」
さっきまで敬語だった相手にも、あまりの衝撃にいつものノリでツッコんでしまった。
「そんなに怒らなくても。もう済んだことだし」
「怒るに決まってんだろ! いや、過去形にできねーだろ! それ!」
「いやぁ、男にはあるんだって、そういう時期が。和にもいずれ分かる」
「分かりたくねーよ! ていうか、結婚してるんだったら押さえろ!」
「で、まぁ」と、俺の中でかなり最低と化してきた親父が仕切りなおした。
「和が1歳の時、萌が産まれた。それでどうしたもんかと思ってな」
「どうしたもんかどころの問題じゃねーけどな」
本当、なんだこの人。この人っていうかコイツ。
コイツを初め、一瞬でも優しそうと思った俺が馬鹿だった。
「それで俺は考えた! 鏡か七緒、どっちか好きな方選んで、そいつとその子供と暮らそうと!」
「もう死ねよお前!!」
ここまで最低だとは思わなかった――――!!
「で、ぶっちゃけその頃は七緒の方が美人だったし、産まれた子供は女の子だったから、
俺は七緒と暮らす事にして、鏡と離婚することにした!」
「なんだよ! 俺が男なのが悪かったのかよ! しかもこんな話は絶対このノリで言ってはいけない!!」
「離婚するって言った時は、鏡はしぶったけど……俺が浮気してる上、子供がいるって言ったらあっさり認めてくれたよっ」
「何だそのコミカルなノリ……。最後に星マークがつきそうな」
ああ、分かった。
いつかの母さんの言葉……『お父さんはね……死んだの。私の中では』
ここまで最低男だったから、自分の中で消去したのか……。
母さんも、俺と同じように錯覚してたんだろう。優しい人だと。
ここまでだったから、あっさり離婚したのか?
「うーん、今の時代、一夫多妻制だったら鏡も七緒も俺のもんだったんだけどな……」
「本気で死んでください」
201
:
瑚飴
:2009/12/22(火) 18:29:00 HOST:119-231-175-34.eonet.ne.jp
うぃっす!
遊びに来たヨ☆
パパさいてー((ブーブー
萌チャン色々気に障るne☆ ←ウソだよ〜
またあそぼっ
>>雪音
202
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/22(火) 20:45:40 HOST:119-231-183-44.eonet.ne.jp
うぃっす!
ウェルカムw
パパは最低すぎた←
それはきっと正解だy(( これから萌ちゃんも動かしていくわノ
うん、あそびましょうっ!
>>瑚飴
203
:
水月
:2009/12/24(木) 18:39:11 HOST:w21.jp-k.ne.jp
パパのノリがギャグじゃ!!
続きが読みたくば土下座だとう?!いくらでもしてやろうじゃんか!orz orz orz…今度ジャンプ土下座見せたるわ!
204
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/24(木) 19:23:53 HOST:119-231-169-189.eonet.ne.jp
絶対いけないノリww
さぁ、跪きなさi((
ジャンプ土下座!? なんだよそれ!
>>水月
205
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/26(土) 22:35:11 HOST:119-231-155-2.eonet.ne.jp
第42話「成り立ちを知って」
「萌が成長して、やっと中1になって、女子中に入学した。その頃、俺は萌に和の事を話した」
深く関わりさえしなければ、本性を知ることがなかった、俺の親父。
「萌は1人っ子で寂しい思いをさせてな。実は腹違いの兄がいると知ったら、その兄の事を知りたがるようになった」
「…………」
「それで、和とは接した事はなかったものの、時々和と鏡が留守の最中に家に入って、色々偵察してたからな」
「家に入って偵察!?」
「そこで分かった事をありったけ萌に話してったら、萌が『第2椿園学校に通いたい』って言いだしてな」
それで、萌ちゃんは……
「女子中から、萌のお兄ちゃんがいる第2椿園学校に転校することにしたのぉ」
俺の心が読めてるかのように、萌ちゃんはクスっと余裕の笑みを浮かべて言った。
「じゃあ、萌ちゃんが、俺が漫画が好きだってことを聞いたっていうのは……」
「うん、萌のパパだよ」
……そういう事か。
萌ちゃんが聞いたってのは、このクソ親父。
こいつが俺の家に不法侵入した上、それを萌ちゃんに全部言ったとしたなら……知ってるハズだ。
「いやー、和の部屋に言ったら美少女がやたらいる漫画が大量にあってな。漫画が好きだと伝えておいた」
そう、俺の部屋はミオリちゃんやナナちゃん……メグミちゃんの漫画が大量にある。
漫画が好き、なんて言葉じゃ甘い量だったと思うが……。
余計な事言いやがって、理想の妹に……。俺はこのカスを思いっきり睨んだ。
……でも、これですべてが分かった。
萌ちゃんはなんで俺の妹なのか、俺がそれをしらなかったのか。
俺の親父と母さんが離婚したのか、萌ちゃんが椿園に転校してくるのか。
206
:
水月
:2009/12/27(日) 18:32:24 HOST:w21.jp-k.ne.jp
雪音>ジャンプ土下座とは階段の3段目ぐらいから飛び降りてするジャンプだっ!!((しょぼい
207
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/27(日) 18:49:21 HOST:119-231-152-174.eonet.ne.jp
そこまですごそうではないが、実際だと結構な事だ!
よし、雪音様が見てやろうではないか←
Σテメ、また一行レスしやがったな
>>水月
208
:
水月
:2009/12/28(月) 15:53:28 HOST:w21.jp-k.ne.jp
エ…ジャンプ土下座を見たがるやつがいるとわ…!
貴様はSかっっ!(違う)
一行レスしてるつもりはなかったんだけどなーー(-_-)また土下座しなきゃ…得意技なんです!
209
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/28(月) 21:22:53 HOST:119-231-186-212.eonet.ne.jp
え、Mだy((ry
犯人はみんなそう言うんだっ!←
そんなお前の得意技は見たことないぞ。
>>水月
210
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/28(月) 22:10:02 HOST:119-231-186-212.eonet.ne.jp
第43話「萌のお気に入り」
「……もう帰る」
聞くことは全て聞いたし、もうこんな奴の隣にいたくないし。
俺は帰りたいという意志を呑気な顔をしている親父に伝えた。
「あれ、もう帰るのか? せっかく親子の感動の再会だと言うのに」
「絶望しかなかったわ」
俺はそう呟きながら、持っていた学校指定の地味な鞄を手にとって帰る準備をした。
「そっか、じゃあいつでも遊びに来いよ!」
「誰がお前の所になんか」
「鏡に駆け落ちしないかって聞いといて!」
「聞かねーよ!」
「……じゃあ」
丁度支度も終わり、俺は一言ぶっきらぼうに呟くと、座っていたソファから立ち上がり、ドアの方へ歩いて行った。
「あ、待っておにーちゃん! 萌、玄関ぐらいまでは見送るよ!」
「俺も!」
「男の方は来んな!」
萌ちゃんはいいが、それに便乗した親父はこないでほしい。
……と言っても、やはり付いてきた。
そのままなんともいえない気分で、俺は玄関まで歩いた。
歩いている途中の廊下は右を見ても左をピンクや白やら。初め、この家に入ってきた時は少し緊張していたから、今のようにここまで見る余裕はなかったから、歩くのは2度目の場所なのに、初めて見るものはたくさんあった。
まだ見るのは2日目なのに、見なれたような感じのする玄関に着き、俺は靴を履いて外に出た。
外は、土っぽい臭いがした。萌ちゃんの家は甘ったるい臭いがしていた。
正直、あまり好きな臭いではなかったが、家の中にいるうち、鼻が麻痺していたらしい。
「じゃあね、和お兄ちゃん! また学校で〜!」
俺が外に出たのを目で確認すると、萌ちゃんは幼くて高い声で俺に別れを告げた。
「ああ」
正直、あんな奴が親父だって知ってしまったのは嫌だったが……。
こんな可愛い子が妹だなんて、考えるだけでニヤけてしまう。
微笑む……というよりかはニヤニヤだったかもしれないが、俺は少し笑いながら萌ちゃんに答えた。
「じゃあな、和! 鏡によろしく!」
「よろしくしねーよ!」
俺はそのまま、自分の家へ足を急がせた。
自分の親父と妹の姿を目に焼き付けて。
「どうだ? 萌、お前のお兄ちゃんは」
「うん、予想以上にいい人だったよ! 萌に優しいしね!」
「そうだろ」
「学校楽しみだよー。 早くお兄ちゃんと同じ学校に行きたいよぉ」
「本当に萌は和の事大好きになったんだな」
「うん!だから……
萌ね、和お兄ちゃんは誰にもあげないよ」
211
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/30(水) 13:40:48 HOST:119-231-176-21.eonet.ne.jp
第44話「萌と桜子対面」
*桜子視点*
「寒い……」
肌寒い朝、うっすら霧がかかった冷たい空気に息を温かく手に吹きかける。
「寒い……」と独り言を呟いた時、前方に、見なれた影が見えた。
あの身長、体型……私の愛しいナゴだっ!
ナゴと分かった瞬間、反射神経のように私の足は小さく足音を立てながら、ナゴの方に走って行った。
「ナゴ――――!」
市販の地味な色合いのチェック柄のマフラーにうずめていた顔を、マフラーを手で押しのけて上げる。
寒くて声も出そうにもないと思っていたが、ナゴがいると知ったらそんなことは関係なくなっていた。
周りに人がいる、なんてことは考えの範疇にはなく、夢中で声を張り上げ名前を呼んだ。
「…………桜子か?」
ナゴが振り返る。
ああ――! やっぱ今日もカッコいい! 神々しいほどに輝いてるよ……。
「ナゴ、おはよっ!」
顔が自然に解れる。
朝からナゴを見れるし、今日はいい日になりそう。
「ああ、そうだ桜子」
「何ー?」
「今日、俺お前に話したい事が……」
話し……たい事?
「何?」
「いや、ここじゃ人がいるからちょっと……」
話したい事?
人がいるから無理?
そ、それって……
『告白』!?
「きゃあああああああああああああああああ!!!」
「何叫んでんの!?」
やっと報われるのか……私の想い……!
グッバイ、片想い! ざまーみやがれ!
「あ、和お兄ちゃんだぁ!」
突然、高くて幼い声が聞こえた。
と、思えば、目の前に華奢な女の子がいた。
この子……この間、学校にいた子……?
でも、今日はこの間のようなブレザーじゃなくて、うちの学校のセーラー服に小さな体を包んでいる。
「あ、萌ちゃん」
萌? 萌って言うのか? ていうか、なんでナゴが知ってんの? ていうか、この子さっきナゴの事『和お兄ちゃん』って呼んでなかった?
「萌ね、今日転校してくることになったよ! 本当はまだもうちょっと先だったけど、お兄ちゃんに会いたくなっちゃた」
……え
「ね〜お兄ちゃーん、萌と一緒に学校に行こうよぉ〜」
……は
「ああ」
「やったぁ! お兄ちゃんだーい好き!」
…………
「じゃあ、桜子。また後で。 萌ちゃんと一緒に行くから」
………どーいう事?
212
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/30(水) 16:07:42 HOST:119-231-176-21.eonet.ne.jp
第45話「桜子ちゃんと和お兄ちゃん」
「じゃあ、また後で」
…………
「ちょっと待て――――――!!」
必死の声を絞り出した。
待て――――! その萌ちゃんとやらと一緒に行くんじゃね――――!
「きゃっ……!?」
萌ちゃんとか言う子は、小さく可愛らしい悲鳴を上げて驚いた。
ナゴも驚いた顔をして、私の方に振り向いた。
「わっ……私も一緒に行く!」
……とっさだった。
ただ、ナゴが私より可愛い女の子と並んでほしくなくて。
「うん、じゃあ萌達と一緒に行こぉ?」
萌ちゃんは驚いた表情から、すぐに天使の微笑みのような笑顔をみせて言った。
「ありがとう」と、複雑な心境ながら笑顔を急いで作った。
「行こぉ、お兄ちゃんっ!」
「……あ、ああ」
ナゴも戸惑いながらも了解してくれた。
よし、これでナゴを守った…………。
そして、そのまま静かに複数の足音を立てながら、私達は歩き出した。
(私のせいなのか)しばらくの沈黙が続いた後、ふいに萌ちゃんが口を開いた。
「ねぇ、お姉ちゃんは、お姉ちゃんはなんて言うの? クラスはぁ?」
お姉ちゃん……。
じゃあ、ナゴの事を『和お兄ちゃん』と呼んでいるのは、このような感じで愛称……という事なのだろうか。
「え、えと、末木桜子。2年5組だよ……」
私がそう言うと、萌ちゃんは小さく「桜子……桜子……」と呟いた。
名前を覚えようとしているのだろうか。
「萌は、今日1年2組に転校してくる予定の姫伊利萌だよぉ。2年5組って事はぁ、お兄ちゃんと一緒って事だよね?」
「う、うん」
「和お兄ちゃんの事よろしくね、桜子ちゃん!」
え? 桜子ちゃん……。
私の名前を知ったら『お姉ちゃん』から『桜子ちゃん』と呼ぶようになった。
でも、ナゴの事は『和お兄ちゃん』と呼んでるから、名前はしってるはず。
なのに、なんでナゴの事を尚『お兄ちゃん』と…………?
「ねぇ〜、お兄ちゃん。桜子ちゃんとお兄ちゃんってどういう関係なのぉ?」
何故そんな事を聞くっ!?
「えー……幼なじみ」
「へぇー、桜子ちゃんとは、萌よりも長い間一緒にいたんだね。萌、なんだか寂しい」
はぁ!?
「ね、早く学校行こうよ〜。萌、お兄ちゃんに学校案内してほしいな」
「ああ」
ナゴとそんな会話をした後、萌ちゃんは私の方にやって来た。
「桜子ちゃん、どぉしたの? 汗いーっぱい出てるよ?」
冷や汗だよ!
萌ちゃんは、ポケットからピンクのハート柄のイメージ通りのハンカチを取り出し、私の汗を優しく拭ってくれた。
そして、私の首筋あたりの汗を拭ってくれた時、萌ちゃんはそのまま顔を私の耳あたりに近付け
「和お兄ちゃんをたぶらかしたらタダじゃおかないから」
さっきまでの高い声とは違い、低くて脅しがかかった声が聞こえた。
「…………え?」
「うんっ、桜子ちゃん、キレーになった! 行こ!」
「ああ」
「…………え?」
今の、萌ちゃん?
213
:
水月
:2009/12/31(木) 13:18:38 HOST:w22.jp-k.ne.jp
年始に会ったらみしてやるって!この隠れMがっっ!!←
つーか萌ちゃんヤンデレですかー…似合うよ!(萌の何を知っているんだ!)
桜子テンションスゲー上がってるぜ!!
214
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/31(木) 18:02:22 HOST:119-231-168-30.eonet.ne.jp
じっくり見てやる。体の隅々まで← 雪音はMじゃねー!
萌ちゃん……ヤンデレなのか? お前は萌ちゃんの回し者か…!?
桜子は回を増すたびにテンションがアップします☆
>>水月
215
:
水月
:2009/12/31(木) 19:07:03 HOST:w11.jp-k.ne.jp
うぃ☆
私は萌ちゃんのまわしもの以外の何者でもない!萌ちゃんはそのうちヤン→ツンになりそうだ。
(忘れてなかったら)絶対あけおめcallするんで!よろ☆☆
216
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/31(木) 19:09:44 HOST:119-231-168-30.eonet.ne.jp
春日かお前は。((
貴様、いつのまに……! ならないy((((
どーぞw あ、家にいなかったらゴメン←←
今から続き書いてくるわノシ
>>水月
217
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/31(木) 19:27:26 HOST:119-231-168-30.eonet.ne.jp
第46話「
なんだったんだ……さっきの。
第2人格?
さっきの、あの一瞬鬼のようになった萌ちゃんを考えながら、私は教科書を机に片付けていた。
「ね、ナゴ」
「あ?」
自分の席に行こうとしたナゴを呼びとめる。
「あの、さ、萌ちゃんって……」
私がそこまで言うと、ナゴは何かを思い出したように被せてきた。
「あ、そーいやお前に萌ちゃんの事言わないとダメだったんだな」
「え?」
「ホラ、今朝言ってた……話しがあるってやつ。萌ちゃんの事でちょっとな」
……今朝?
ああ、そういえば、ナゴ今日話しがあるって……誰もいない所で。
え?
それって告白じゃなくて…………萌ちゃんの事!?
「チクショおおおおおおおおおおおおお!!!」
「なんでお前はいつも唐突に叫ぶんだよ!」
てめーのせいだ! 思わせ振りな事しやがって! おませさん!
「で、萌ちゃんの事で話しって……?」
私が仕切り直し、ナゴに尋ねた。
するとナゴは、私の耳に顔を近づけてきた。
「なっ…………!?」
「あんまり人に聞かれたくないからこうやって話すけど……」
これから話す内容は、人に聞かれたくないらしい。
ナゴはその為、私の耳元でささやくように小声で言う。
ああっ、耳に軽く息が……! 絶対ダメだって! 鼻血ふくって!
「萌ちゃんは、俺の妹なんだ」
「……もっかい」
「だから、萌ちゃんは俺の妹なんだって」
……………
「えええええええええええええええええええ!!?」
「だから唐突に叫ぶな! しかも鼻血出てないか、お前!?」
218
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/31(木) 19:29:35 HOST:119-231-168-30.eonet.ne.jp
第46話「理性ギリギリな桜子」
なんだったんだ……さっきの。
第2人格?
さっきの、あの一瞬鬼のようになった萌ちゃんを考えながら、私は教科書を机に片付けていた。
「ね、ナゴ」
「あ?」
自分の席に行こうとしたナゴを呼びとめる。
「あの、さ、萌ちゃんって……」
私がそこまで言うと、ナゴは何かを思い出したように被せてきた。
「あ、そーいやお前に萌ちゃんの事言わないとダメだったんだな」
「え?」
「ホラ、今朝言ってた……話しがあるってやつ。萌ちゃんの事でちょっとな」
……今朝?
ああ、そういえば、ナゴ今日話しがあるって……誰もいない所で。
え?
それって告白じゃなくて…………萌ちゃんの事!?
「チクショおおおおおおおおおおおおお!!!」
「なんでお前はいつも唐突に叫ぶんだよ!」
てめーのせいだ! 思わせ振りな事しやがって! おませさん!
「で、萌ちゃんの事で話しって……?」
私が仕切り直し、ナゴに尋ねた。
するとナゴは、私の耳に顔を近づけてきた。
「なっ…………!?」
「あんまり人に聞かれたくないからこうやって話すけど……」
これから話す内容は、人に聞かれたくないらしい。
ナゴはその為、私の耳元でささやくように小声で言う。
ああっ、耳に軽く息が……! 絶対ダメだって! 鼻血ふくって!
「萌ちゃんは、俺の妹なんだ」
「……もっかい」
「だから、萌ちゃんは俺の妹なんだって」
……………
「えええええええええええええええええええ!!?」
「だから唐突に叫ぶな! しかも鼻血出てないか、お前!?」
219
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2009/12/31(木) 19:33:56 HOST:119-231-168-30.eonet.ne.jp
あー、題名付け忘れた。
というわけで、
>>218
は訂正版です。
ここで挨拶いたしますが、今年もノロノロと変態小説をこんな素晴らしいサイトで書かせていただき、ありがとうございました!
二次元schoolは、ほとんど衝動で書いている小説な上、上記で言いました通り、変態小説です。そんな駄文が、今まで書いてこられたのは奇跡です。
でも、今までコメやアドバイスをしてくださったお方達のおかげでここまで続けてこられました。
来年も駄文を書き綴っていくことになるでしょうが、これからもよろしくお願いいたします。
220
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/03(日) 23:33:51 HOST:119-231-185-177.eonet.ne.jp
第47話「萌ちゃんへの疑惑」
授業が開始する時間だったため、会話はそこで途切れたが――……
昼休み、ナゴとちゃんとその話を屋上ですることになった。
その中で私はおそらく20回以上は叫んだんじゃないかと思う。驚く事がありすぎて。
……ナゴのお父さんは、ナゴのお母さんと離婚して、七緒という人と再婚し、萌ちゃんを産んだ。
そこで萌ちゃんはナゴの存在を知っていたが、ナゴのお母さんはお父さんの話なんかしたくなかったため、ナゴに萌ちゃんの存在は話さなかった。
一方、萌ちゃんは兄であるナゴに会ってみたかった。その為、女子中から第2椿園学校に転校してくる事になった。
「た、大変だね……」
これしか言葉のかけようがないだろう。
「ああ、あのクソ親父の家に行った日の帰り道、母さんに確認の電話をかけたんだけど……姫伊利って名字言った瞬間に着信拒否にされた」
「すごい徹底的に嫌ってるんだね、お父さんの事」
まあ、話によればかなり最低な人っぽかったけど……着信拒否?
「そっか……萌ちゃんは妹か……」
「腹違いだけどな」
「ぅよっしゃぁ、勝った!」
「何に? ていうか、ぅよっしゃぁっつった?」
萌ちゃんはかなーり可愛いからナゴがとられるかと心配したけど……兄妹なら心配ないよね!
……でも、萌ちゃんはナゴの事かなり好いてるっぽいし……しかも出会った今朝、見てはいけないような人格が一瞬現れたような気がするし。未だ信じられない。
やっぱり油断できない相手なのだろうか?
「――――おにぃちゃんっ!」
肌寒い風音と共に、高くて甘い声が聞こえた。
声が聞こえた方向はドアの方向だ。 私とナゴは目を向けた。
「萌ちゃんか?」
「………………」
正直、風でなびいて目に入った髪のせいで、よく見えなかったが、ナゴの言葉を聞かずとも、誰であるかはなんとなく分かっていた。
――――姫伊利萌ちゃん。
「お兄ちゃんっ、もぉ、お昼休みは萌を案内してよぉ。萌、お兄ちゃんがいないから怖かったんだからね?」
萌ちゃんはそう言って小さな顔の頬を精いっぱい膨らませながらひょこひょことやってきた。
なっ、何だこのハートが舞い散る話し方はぁ!
「あーっ、桜子ちゃんだぁ!」
私がまたもやその可憐な少女に驚いていた時、萌ちゃんの大きな目が私をとらえた。
……朝見せた態度とは違う。
やっぱ朝のは幻覚か何かか? うん、そうに決まってる。こんな弱々しい子がまさかねぇ……
「お兄ちゃん、やっぱり萌、桜子ちゃんに案内してもらう〜! ねっ、いいでしょ桜子ちゃん?」
萌ちゃんはそう言って、私の腕に腕をまわしてきた。
か、かわい……! うん、やっぱり朝のは気のせいだったんだ!
「あー、うん、いてら」
なんつー適当な答えだ、コイツは。でもカッコイイから許す!
「じゃあ、行こぉよ桜子ちゃん!」
「痛っ…………!?」
萌ちゃんが私に腕を絡めたまま引っ張っていく。
その時、私の絡められた腕に激痛が走る。
見ると――……萌ちゃんの腕がかなりきつく絡められていた。血の流れが止まりそうなぐらいに。
「桜子ちゃん? どうしたの? 早くいかないと昼休み終わっちゃうよ?」
「そーだそーだ桜子、さっさと行ってやれ」
萌ちゃんは何食わぬ顔で私を見つめている。
こんな力、本人の自覚無しで出るわけがない。
……まさか、今朝のは本当……?
221
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/04(月) 13:33:13 HOST:119-231-177-253.eonet.ne.jp
第48話「二重人格発覚」
「ちょっ…………萌ちゃん!?」
萌ちゃんはニコニコと微笑んでいたものの、ナゴがいる屋上から出た途端に顔が無症状になった。
しかも、それから一言も話さないし、未だに私の腕を思いっきり締め付けてるし。
この体型からは考えられないような強さの力でずるずる連れられて行く。どんなに声をかけても答えてくれないし。
そのまま歩いて行くと、人気が全くない体育館裏に辿りつき、そこで足は止まった。
「え、えーと……萌ちゃん? 私に学校案内してほしかったんじゃ……」
「は? んな訳ないでしょお?」
返事は返ってこないだろうと思いながらも、一応萌ちゃんに声をかけてみた。
……予想に反し、答えは返ってきたが、なんとも萌ちゃんとは思えない声色と口調だった。
思わず思考が停止してしまう。
「……え」
「学校の配置ぐらい覚えたしぃ。だって〜萌は天才だから」
私の腕をようやく放して、目の前の美少女は私と向き合った。
「め、めぐ「萌さぁ、和お兄ちゃんをたぶらかすなって言ったよね? あんた、何隣に座ってんの?」
大きな瞳から放たれる冷たい視線がつきささる。
この子、本当に萌ちゃん……!? 全然違うじゃん!
「和お兄ちゃんと同じクラスってだけでも吐き気がするのに〜」
「は!?」
「大して可愛くもないくせにさぁ、べたべたべたべたとぉ。ブス」
「ぶ……!」
「桜子っていうかぁ、ブス子だよね〜」
「えぇっ!?」
言い返せるはずもなく、ただただこの子の豹変に驚くばかり。
この子……やっぱり二重人格か!?
「まぁ、萌みたいに可愛くなれって言っても酷だけど〜ありえないな〜萌ならその顔じゃ生きていけなーい」
に、二重人格というより、猫かぶりじゃないか?
ていうかそんなに私可愛くないか!?
「め、萌ちゃん……その性格は」
「何か悪い? 萌、お兄ちゃんにひっつく害虫を排除するためなら何にだってなれるんだから」
「あ、そう……」
「だからブス子も近づかないでねぇ? お兄ちゃんが穢れちゃうから〜」
……誰がブス子だ。
だんだんイライラしてきた……。
「とにかく、それ言うためにわざわざあんたみたいなブス連れてきてやっただけだから、この美少女萌様が」
美少女萌様って言った!?
猫かぶりな上、ナルシスト!?
茫然としている私にむけて、最後に萌ちゃんは「じゃあね、ブス子」と一言不敵な笑みで言うと、そのまま私をほって体育館裏からどこかへ歩いて消えてしまった。
…………
……ムカつく。
ムカつくムカつくムカつくムカつくムカつく
「うあああああああああああああああああ!!!」
私は怒りのあまり、その怒りに思考と体を委ねて、体育館の壁をガンガン殴った。殴って蹴った。
「なんだあの猫かぶり娘――――!!」
そのまま壊れそうなほど力を込めて、壁を殴る、蹴る。
「ブリブリしやがって、ブリっ子――! ナルシ、ブラコ――――ン!!! イライラする、あの喋り方ああああああああ!!」
そのまま私は一心不乱に壁にむかって暴行を続けた。
「さっ、桜子ちゃん!?」
体育館の中にいた優くんが、驚いて出てきて止めてくれるまで私は壁に向かって殴り続けていただろう。
222
:
水月
:2010/01/04(月) 21:10:20 HOST:w12.jp-k.ne.jp
一応あけおめー(^人^)
ヤバい…萌ちゃんの性格が愛しすぐる!!
ヤンデレと思ったらただの猫かぶりだったかちくしょう!騙された!
実際にいたらボディーブローをくらわせてぇー…
223
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/04(月) 21:17:03 HOST:119-231-187-119.eonet.ne.jp
一応だな、ホント←
なんでだよ! 愛しくならない性格にしたつもりだよ!((え
だから違うと言っただろうが! お馬鹿さんめ!
どっかにはいるよ、多分((オイ
>>水月
224
:
水月
:2010/01/05(火) 13:30:01 HOST:w32.jp-k.ne.jp
なんでか女の子は腹黒い娘が好きだ!
でも一番は聖少女だろ。出してよ。聖少女。
でも聖少女のくせに好きな男の子がいるんだぜ!((聖少女じゃない!
な 訳でよろしく←
225
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/05(火) 14:47:53 HOST:119-231-149-43.eonet.ne.jp
お前はドMか! うん、萌ちゃんは腹黒キャラですよノ
聖少女!? 聖少女って…どうしたらいいんだよ!
よろしくされても、聖少女は無理だわ((オマ
>>水月
226
:
瑚飴
:2010/01/05(火) 14:59:43 HOST:119-231-163-23.eonet.ne.jp
おひさ〜☆
水月のワガママで私はヒマだ←
…というかあけおめ はぁと
今年もよろしく ((
萌チャンいいキャラしてんね! 私にそっくりだっ←
あと、聖少女いいne☆
ってな訳でよろしく!
≪雪音&水月
227
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/05(火) 16:52:20 HOST:119-231-144-176.eonet.ne.jp
おひさノシ
水月に断られたか…?
遅いよ、はぁと←
あけおめ、ことよろ☆
正直嫌われるキャラだと思ってたけど…;;; 瑚飴そっくりなのか!? 駄目だよ!
聖少女は出さないと言っているだろう!うあ――――!((ヤメ
>>瑚飴
228
:
水月
:2010/01/05(火) 17:48:35 HOST:w32.jp-k.ne.jp
雪音がぶっこわれたーー!!でも聖少女はヨロなんだす!←
えぇい!決して我が儘じゃあない!全て天気が悪いんだぁぁぁぁぁぁぁ!
わあぁぁぁぁぁぁ!
》瑚飴
229
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/09(土) 02:34:59 HOST:119-231-133-225.eonet.ne.jp
雪音はいつも正常だよ!←
聖少女ー?出さないy(((
>>水月
230
:
水月
:2010/01/10(日) 11:18:10 HOST:w12.jp-k.ne.jp
ひどい…ひどすぎるよ雪音…!
そんなやつと知っていたけどな(;_;)ちくしょー。
じゃあもっと萌ちゃんが腹黒化してくのを待ってるからな〜ノシ
231
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/10(日) 13:36:24 HOST:119-231-129-226.eonet.ne.jp
んだよー。私は悪くないっ!((
うん、もっと腹黒く進化させていくよノシ
でぁノシ
>>水月
232
:
みむ
:2010/01/10(日) 21:12:43 HOST:119-231-144-211.eonet.ne.jp
三年に一度しかない書き込み★☆
この書き込みであなたの運命がかわるよ♪♪
1、今片思いしている異性と両思いになれちゃう☆
(無視した場合→二度と両思いになる事はありません)>>>>>>>2、うまくいかない恋人と超ラブラブになれちゃう
(無視した場合→ラブラブにならないで恋人から別れを告げられちゃいます)
3、にがてな科目が大得意になる☆
(無視した場合→にがてな科目じゃなく、すべての科目がにがてになっちゃいます
4、仲良くなりたい友達と親友になれる☆
(無視した場合→仲良くなれずもっと、仲が悪くなります)
5、貧乏な生活が金持ちの生活に変わる☆
(無視した場合→貧乏どころじゃなくホームレスみたいになっちゃいます)
6、今友達と喧嘩中、又はいじめられたりする人はその問題から解放される
(無視した場合→喧嘩やいじめがもっとひどくなります)→これを14箇所にはってネ♪あなたの願い事が叶いま〜す!!
これをやった貴方は夢や学校一のモテ子に
なりますw
やんなかったら不幸が突撃します
もうココまで読んでしまった人は最低3ヵ所は回さないと絶対不幸が100%突撃して死亡するでしょう
これをやった人は実際に
両思いになれたり、
学校一のモテ子になれたり、
夢が叶ったり
欲しい物が手に入ったり
キスされたり
告られたり
一気に幸せが手に入ります
だから移せば移すほどお得!
その他にもたっくさん叶った人がいます
だから回してね失敗した人なんていません
233
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/14(木) 19:00:32 HOST:119-231-181-72.eonet.ne.jp
第49話「優くんが知らない事」
「……さ、桜子ちゃんどうしたんですか……」
優くんが、とりあえず私を落ちつかせようと優しい声色で声をかける。
そして、体育館の壁に死んだように引っ張りついている私を細い腕で支えながら起こしてくれた。
「……優くんはさ、姫伊利萌って子知ってる?」
私はしぶしぶ体を起こすのと同時に、優くんにそんな事を尋ねた。
とりあえずこの気持ちを誰かにぶつけたい。時速200キロぐらいで。
優くんは「ひめいり……」と、私が言った名前を小さく繰り返した。
すると、数秒後ぐらいに、優くんが「あ」と、何かを思い出したような高い声を上げた。
「姫伊利萌って……あの子じゃないですか、今日1年に転校してきた萌ちゃん!」
「え、優くん知ってるの?」
意外だった。
だってまだ今日転校してきたばかりの子だったし、優くんが知ってるはずがないとばかり……。
「当たり前ですよ〜。だって和くんの妹だし、有名人ですし」
「……有名人?」
ていうか、優くんも萌ちゃんがナゴの妹だって知ってたのか?
……あの話、ナゴは私に一番に話してくれたと思ってたけど、先に優くんに話してたんじゃ……
「ええ、確か……萌ちゃんって、転校してきた今日、男の子にかなり一目惚れされたっていう噂が広がってます」
「…………」
ああ、ありえすぎる話だ。 だって見た目は優くん並の美少女なのだから。
「僕もたまたま校内でチラっと見たんですが……本当に可愛い子ですよね」
「優くんの方が可愛いから! 自信もて!」
「……はい?」
畜生、あの野郎……。私なんて一目惚れされた事ねーよ!
優くんが女だったら絶対優くんの方がモテてるもんね!
「……で、その萌ちゃんがどうしたんですか?」
ああ……そういえば優くんに聞いたんだっけ。
どうしよ、言っていいのか? いいのか? 『姫伊利萌は猫かぶりでブラコンでーす』とか。
……絶対信じてもらえないだろ! あんな可憐な姿だと信じられないだろ!
「そ、その。ナゴとやたら仲がいいなーって」
……うん、これはこれで事実だろう。
「そうなんですか? 良かったですねー!」
「……何で?」
「何でって、兄妹で仲が良いっていい事じゃないですか! 母親が違うって、昨日和くんに電話で聞いたので……よかった、それでも仲が良いんですね!」
あ、決定。
ナゴは私より優くんに先に全て話してた。 付き合いが長い私よりも。
「でも……私としたらやっぱり複雑だしさ……」
やっぱり嫉妬してしまう。
例え、萌ちゃんがあんな猫かぶりじゃないとしても。
「何でですか?」
「……え?」
優くんが不思議そうな顔をした。
漫画的に言ったら、周りに花のトーンがきそうなぐらい素晴らしく可愛い顔で。
「何で複雑なんですか? 兄妹どうし仲良しなだけなのに」
……あれ、もしかして優くんって……
私がナゴの事好きなのを知らない!?
ああああ! そういえば、そんな事言った覚えない! 今まで自然にしてたのに……。
234
:
水月
:2010/01/18(月) 19:44:58 HOST:w21.jp-k.ne.jp
優くんどんだけ可愛い顔してんだだだだだだだだだだだだだだだだだ!!
早くお姉さまでてこないかな?!
まだかあああ?!
それにしてもやっぱし萌ちゃん一目惚れされやすいんだなぁ…
さすがだ!
235
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2010/01/19(火) 18:19:53 HOST:119-231-171-71.eonet.ne.jp
*水月*
私の妄想上、かなり可愛いんだよよよよよよよよよ(ry
もうすぐお姉さま降臨されます。←
うん、見た目も妹タイプ+ でも実際いたら嫌だ…
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