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ここだけ魔術のある世界
1
:
名無しの魔術師
:2011/11/21(月) 04:52:24 ID:aE0iMq0A
混乱防止のため、既にイベント進行中等の場合は極力もう一つのスレで。
参加する際の注意事項
・俺Tueeeeeeeeeeeや、厨設定、強さのインフレはほどほどに
・魔法は「魔元素設定」に沿った設定であることが望ましい
・『中の人の』安易な気持ちで人(自キャラ、NPC含む)を殺すな。死んだら生き返りません。
・鬱展開とシリアス展開は違います。ただし、↑と共に『キャラとして』相応しいなら問題はありません。
・場の空気は出来るだけ読もう。カオスな時もあります
・書きこむ前にリロードを
・描写はできるだけ丁寧に。認識のすれ違いを避けるためです。
・本スレの出来事は演技ですから恨まぬように、また演技に私怨を持ち込まない。
・眠い時は無理せず寝ましょう 健康を損ねないように
・多数対少数の場合は、少数の中の人たちのことも考えよう
・スルーされてもめげない
・一番重要なのは楽しませること、そして楽しむことです。
イベント、ストーリー展開に関する注意事項
・乱入されても泣かない。乱入が嫌なら先に断っておきましょう
・あまりにも無茶な振りをしない。されて困る事はしない
・次の日に持ち越す事も考えよう。
・単なる自己満足はほどほどに。
・乱入前に…
イベント発生場所に貴方のキャラクターが居る可能性がありますか?
相手のキャラクターとの関係はどんなのですか?
自分のキャラは何事にも首を突っ込むキャラですか? の3点を確認しよう。
・乱入する前にレスをしっかり読もう。
スレ立ては
>>900
or
>>950
or
>>980
or
>>1000
2
:
猫又
:2011/12/25(日) 23:46:24 ID:jEnouwss
--路地裏--
やあ猫又君、昨夜はお楽しみでし……
「あ゛?」
いえ、なんでもありません。
3
:
ヒース
:2011/12/31(土) 02:10:42 ID:SVtv/fVA
-スノール地方-
大流氷目指し一路北へと進む一行。夕方になり寒さが一段と厳しくなりかけてきた頃、先頭を飛んでいたヒースが新しい街を発見した。
「皆、今日はあの街で宿を取ろうか?今日はまた一段と寒くなりそうだし、無理に進む事もないだろう」
そう言ってトラジー、エルらに振り返る。
4
:
トラジー
:2011/12/31(土) 02:13:00 ID:???
>>3
「そうだな。私はまだ30%の力も出していないが
そう無理をして進むこともないか」
無駄に自分の余裕さアピールをしている
5
:
ドラゴンライダー
:2011/12/31(土) 02:16:38 ID:bIJBCczA
>>3
エル「異議なし!」
ガル≪チビたちも疲れて眠っているようだしな≫
マントの前をしっかり締め、風に負けないよう声を張り上げるエル=ノア。
ガルズラの声は直接頭に響くため、こちらは大声を出す必要もない。
>>4
エル「さすがだトラジー、俺の倍程度の力しか使っていないとは」
張り合うのに50%の力を消費している。
6
:
ヒース
:2011/12/31(土) 02:25:35 ID:SVtv/fVA
>>4-5
「では俺が疲労困憊なので街に泊まるとしよう」
と一人張り合わない男、ヒース。
いつものようにヒースの誘導で街の近くへと降りていく竜と竜乗り達。
-ロックアイスの街-
竜の存在を認知しているこの土地ではゼットンやガルズラ達が降りてきても混乱する事なく街に入る事が出来た。
無論、彼らは街の外で待機してもらっているが。
今回の街はロックアイスの街と言い、以前訪れたスノールの町と同じく雪に覆われた土地だ。
スノールよりも都会だが、それでも帝都と比べるまでもない。
特別な名産品はなく、各地への中継地として宿商売で繁盛しているようだ。
「と、言うわけで宿の数が多い街だそうだから場所に困る事はなさそうだな」
7
:
トラジー
:2011/12/31(土) 02:29:47 ID:???
>>5
「実は私はまだ10%しか力を出していないんだ」
遠くを見つめながらそう答えた
ゼットン(俺なら100%の力でエルを踏むけどな)
>>6
「なるほど、雪の味が少し違う気がする」
しゃりしゃり
「どこの宿に泊まるかわくわくするな!」
8
:
ドラゴンライダー
:2011/12/31(土) 02:32:53 ID:bIJBCczA
>>6
ガル≪せいぜい温まってくるがいい≫
エル「拗ねんなよ、あったかいの置いてくから」
魔術で熱を放つ光の球を生み出し、留守番ドラゴンズの近くに設置する。
エル「おお、結構でかい街だな。
これは宿にも期待できそうだぜおい」
>>7
エル「おいおいゼットン、そんな短足じゃ俺の身長分も足上げられないだろ」
言いつつダッシュで離れる。
エル「さーて街に繰り出すか!・・・トラジーに変な癖がついちまったな」
9
:
ヒース
:2011/12/31(土) 02:39:10 ID:SVtv/fVA
7-8
「では適当な宿を探そうか…うおあっ!?」
そう言って歩き出そうとしたヒースが突然曲がり角から現れた白い馬に裾を引っ張られて倒れた。
白い馬の方を見てみると、なんと羽根が生えているではないか。
北の大地に生息すると言う、天馬と呼ばれる種族だろう。
しかし、その天馬が一頭のみで街を歩いているのは酷く不自然だ。
10
:
トラジー
:2011/12/31(土) 02:41:42 ID:???
>>8-9
「大丈夫かヒース殿っておお!!
なんだこの馬は!羽があるぞエル殿!ほら羽だ!」
興奮気味に馬を眺める
「この馬も空を飛ぶことが出来るのだろうか」
11
:
ドラゴンライダー
:2011/12/31(土) 02:45:36 ID:bIJBCczA
>>9
エル「うおっ、ヒースが馬に食われる!すげえっ」
2、3歩下がって警戒態勢。
エル「なにこれ、もしかして天馬ってやつ?いわゆるペガスス。
こいつ一頭だけか。この街じゃ放し飼いしてんのかね」
>>10
エル「落ち着けトラジー、よく見ろ。馬に羽が生えてるだけだ。な?」
ヒースを助けようともせず呑気に眺める。
エル「飛べるんだろうなー、天馬って言うぐらいだし。
・・・俺も天馬に乗ったらモテるかな」
12
:
ヒース
:2011/12/31(土) 02:49:01 ID:SVtv/fVA
>>10-11
「騒いでないで助けてくれ!」
その間もヒースは天馬にぐいぐい引っ張られている。どうやら公園の方に連れて行きたいようだ。
「止めろバカ!防寒具の上着がほつれる!」
天馬の羽は大きく、白い天使のようだった。
見れば背に鞍がついているから乗り手がいるのだろう。
13
:
トラジー
:2011/12/31(土) 02:55:01 ID:???
>>11
「む…本当だな。言われてみれば馬にただ羽が生えているだけだ。
よしこの馬を羽馬と名付けよう。いや、もっと可愛い名前がいいなぁ」
「ん?モテる?エル殿、誰にモテるつもりなの?
そこらへんをこう、詳しく教えてもらいたいが」
無表情でエルを見る
恐い!
>>12
「ふむ、試しに乗ってみよう。
乗りこなせるかは分からないが、引き摺られていては大変だ」
天馬に跨って乗ろうと試すトラジー
14
:
ドラゴンライダー
:2011/12/31(土) 03:00:09 ID:bIJBCczA
>>12
「そ、そうは言われてもよ・・・。俺も天馬なんて初めてだし、下手に刺激したら噛まれそうじゃん。
ヒースに来てほしいみたいだし、ちょっと様子見ようぜwwwww」
明らかに楽しんでいる。
>>13
「いや、こいつは天馬って言って・・・まあ良いか羽馬で」
いいや
「え?いや、違うんだ、別に明確な対象がいるとかじゃなくてだな・・・」
謎のオーラに押され退く。
「言葉の綾というか、そういうつもりじゃ・・・、助けてヒース」
15
:
ヒース
:2011/12/31(土) 03:03:47 ID:SVtv/fVA
>>13-14
「助けてほしいのは俺だ!」
エル・ノアに怒鳴るヒース
トラジーが乗った事で一瞬パカパカと足をばたつかせたが落ち着いてヒースの裾を放した。
天馬はそのままエル、ヒースにもついて来いとアピールしながら公園にゆっくり歩を進めた。
今のところ乗り心地は馬と大差ない。
公園に入ると白い雪に覆われている以外人の姿はなかったが…
?「ひーん…助けてくださーい!!」
と、上の方から声が聞こえた。
16
:
トラジー
:2012/01/02(月) 01:16:18 ID:???
>>14
「エル殿はだな、こうもっとしっかりとだな。
賢者様だからすごいのは当然なんだが、私の方ももっと見るべきだぞうん」
>>15
「おっと、こうかな?ふむ、竜とはやはり乗り心地が違うな」
しばらくバランスを取るのに苦労したが、やがて公園へと辿り着いた。
「声がするな。上からするが
私たちのように竜乗りか?」
そう言って見上げた
17
:
ドラゴンライダー
:2012/01/03(火) 23:45:24 ID:bIJBCczA
>>16
「そ、そうだな。すまんトラジー・・・ん?ドユコト?」
後半の意味がすんなり脳に浸透せず、首をかしげる。
>>15
「いやーめんごめんごwwww」
ヒースの背中を叩いて天馬に着いていく。
「ん?公園か。なんだってこんなところ・・・え?」
声につられ、なんで?と上を見上げる。
18
:
ヒース
:2012/01/04(水) 01:23:37 ID:SVtv/fVA
>>16-17
上を見上げると、積もった雪で真っ白に染まった大きな木があった。
その中でひときわ大きな枝になんと、女の子が引っ掛かっていた。
女の子「あの…どなたか知りませんか助けて頂けませんか?一人じゃ降りられないんです」
枝の先に衣服が引っ掛かってぶら下がっている状態だ。
どうしたらそんな事になれたのだろうか?
「…どうやらその天馬はあの少女の相棒らしいな…」
ピンチの主の為に助けを呼んでいた…と言う所だろう。
19
:
トラジー
:2012/01/04(水) 02:26:35 ID:???
>>17
「賢者様でも分からないことは分からないでいいんだ
今のセリフは忘れてくれ。口が滑ったの」
>>18
「……人がいるな」
感想を述べた
「これは素直にヒース殿かエル殿に頼んだ方が良さそうだ」
20
:
ドラゴンライダー
:2012/01/04(水) 02:59:11 ID:bIJBCczA
>>19
「そ、そうなのか?トラジーがそう言うなら気にしないでおこう」
「(あとでガルズラに訊いてみよう)」
>>18
「・・・・・・」
さりげなく移動し、女の子のスカートの中を覗きたい。
スカートじゃないなら絶望だ。スカートを履いてなさい。
「なるほど、やはり俺の睨んだ通りだな。賢い天馬だ」
神妙に頷く。
「ていうか何やってたらあんな場所に・・・。
まあいいや、ジャンケンで負けたやつが助けようぜ」
21
:
リルハ
:2012/01/04(水) 03:12:41 ID:QJVMEmsk
ネクロ宅ロビーで魔術書を読みふける退院明けのりるは
「・・・・・・」
22
:
ネクロ
:2012/01/04(水) 03:15:02 ID:SVtv/fVA
>>21
「お、お茶でも飲みますか?」
もはや突然、家に現れる事には慣れたネクロ。
長らく入院していたリルハが元気そうで何よりと思う事にした。
「にしても退院できてよかったっすね」
23
:
リルハ
:2012/01/04(水) 03:19:13 ID:QJVMEmsk
>>22
「お、ネクロ君。久しいな。退院してからというもの体調は万全だが
どうやら精神が安定しなくてな。やはり読書が一番安らぐ・・・っとまあ
ここは君の家だったな。勝手知ったる様にすまないな。エントがいると思ったんだが。」
24
:
ネクロ
:2012/01/04(水) 03:23:43 ID:SVtv/fVA
>>23
「いえ、気にしないで寛いで下さい、俺も言え空けることが最近多いから返って助かるし」
「エントですか?そういや今日はまだ見てないですね…アンチョビが切れてたから買いにいったかな?」
精神が安定しない…それは大丈夫なんだろうか?とネクロは考えつつ、二人分のお茶と茶うけをテーブルに置くのだった。
25
:
リルハ
:2012/01/04(水) 03:29:10 ID:QJVMEmsk
>>24
「ふむ。」パタン、と本を閉じる
『基礎魔術経典』は特に落ち着く。基本に立ち返る事で考えが纏まる気がするよ。」
間を置き、徐に口を開いた。
「・・・ネクロ君、君は不思議には思わないか?」
26
:
ネクロ
:2012/01/04(水) 03:31:21 ID:SVtv/fVA
>>25
「基本に立ち返る…ですか」
基礎的な教科書で気が落ち着くものだろうか?
リルハの正面に位置する椅子に座るネクロ
「不思議って…何が?」
27
:
リルハ
:2012/01/04(水) 03:37:32 ID:QJVMEmsk
>>26
「魔術、だよ。普段から私達が口にしたり、行使する、魔術だ。
経典や学園で習う物が多いが、その実、誰も源泉を探せない不確定な奇跡。」
28
:
ネクロ
:2012/01/04(水) 03:41:36 ID:SVtv/fVA
>>27
「魔術が不思議……考えた事もけど、言われてみると確かに…
使える俺達からすると、既に何気ない物になってるけど…使えない人からすりゃまさにちょっとした奇跡、ですね」
「魔術の源泉か…諸説ありますがしっかりした根拠のある話はないしな」
29
:
リルハ
:2012/01/04(水) 03:47:24 ID:QJVMEmsk
>>28
「ごく一般的な魔術師が魔術を行使する為に必要な物二つ、さてネクロ君、なんだったかな?」
まるで悪戯めいた、教師が教え子をからかう様な笑みを称え、リルハは問う。
30
:
ネクロ
:2012/01/04(水) 03:50:09 ID:SVtv/fVA
>>29
「ちょっとリルハさん、俺の事馬鹿にしてるんですか?」
こちらも笑みを浮かべながら、リルハの問いに応える。間違えていたら赤っ恥もんだが。
「この世界に存在するマナと呼ばれる存在、魔元素と…術を構築するために必要な術式…この二つじゃないんですか?」
31
:
リルハ
:2012/01/04(水) 03:55:48 ID:QJVMEmsk
>>30
「流石優等生だな。ミスカトニック卒なだけはある。
さてそこに魔元素と、術式を行使する為に必要な、回路がいるんだが?さて、なんといったかな?」
物凄く楽しそう
32
:
ネクロ
:2012/01/04(水) 04:01:45 ID:SVtv/fVA
>>31
「魔術回路ですよね?術式を構築するための、いわば使用者の魔力の通り道」
こちらも凄く久しぶりなジャンルの会話なのかノリノリで話している。
「神経や血管みたいなイメージで創れって教わりましたよ」
33
:
リルハ
:2012/01/04(水) 04:07:53 ID:QJVMEmsk
>>32
「そう、魔術回路は私たちの身体の中の道標。
回路の耐性が大きい身体ほど、魔術の行使に利便が効く。
逆に耐性が小さければ・・・・簡単な魔術で命を落とす事になる
私の様に・・・」自嘲的な笑みを浮かべながらリルハは呟いた。
34
:
ネクロ
:2012/01/04(水) 04:10:49 ID:SVtv/fVA
>>33
「え?」
リルハの魔術回路についての話は自分も知っている事だった。
むしろ、魔術を学ぶ環境にいる者なら大体は知っているものだった。
それよりネクロが疑問に感じたのは、リルハの次の言葉だった。
私のように・・・?
「リルハさん、私の様にってどういう…」
35
:
リルハ
:2012/01/04(水) 04:15:10 ID:QJVMEmsk
>>34
「ふふ、君には言ってなかったかな。私の身体は非魔法属に近い。
インレジスタブル(非魔法属体質)だ。魔術回路を開くには酷く、酷く相性の悪い身体だ。」
36
:
ネクロ
:2012/01/04(水) 04:17:30 ID:SVtv/fVA
>>35
「そんな身体で、今まで魔術使ったりしてたって言うんですか…?!」
インレジスタブル…ミスカトニックに在学していた頃に受けた講義で名前だけは聞いていた。
「身体が魔元素や魔力の流れを受け付けないって事ですか?でも貴女は宮廷魔術師になるほどの腕を持っていて…」
37
:
リルハ
:2012/01/04(水) 04:24:49 ID:QJVMEmsk
>>36
「ネクロ君、それを効率化して、私を助けてくれたのが
"これ"だよ」
基礎魔術理論を掲げながら、
「理は魔術を効率化する上で最も重要なものだ。」
38
:
ネクロ
:2012/01/04(水) 04:27:41 ID:SVtv/fVA
>>37
「理…」
「つまりリルハさんは理論的な実践を用いて、本来は身体が受け付けない魔術を行使してきたって事なんですか?」
39
:
リルハ
:2012/01/04(水) 04:31:44 ID:QJVMEmsk
>>38
「魔術理論を実践し、具現化することで代理魔術回路を補填している、といってもいいかもな。
だが存外苦でもないさ。」
肩を竦めながら言ってのける
40
:
ネクロ
:2012/01/04(水) 04:37:28 ID:SVtv/fVA
>>39
「口では簡単に言えませすけど、誰にでも出来る事じゃありませんよ」
コト、と中身がなくなったカップをテーブルに置く
「理論を追及しながらも『感覚的』なものを要求してくる魔術には魔術回路がどうしても不可欠だ、それを代理演算みたいな理論で補填するなんて容易な事じゃない」
「普通なら1年で終わる修業も、リルハさんのやり方じゃ倍以上はかかるかもしれない…そんな事をやってのけたなんて、リルハさんはやっぱり凄いですよ」
41
:
リルハ
:2012/01/04(水) 04:44:14 ID:QJVMEmsk
>>40
「・・・・・・だが、魔術師として半端な適性の私が魔術の行使人たり得るのは
いささか虫が良すぎるのではないか、と時々考える・・・・。
いつか、この身体のジレンマが、いつか、軋轢を生み出し、誰かを傷つけるのではないか、と。」
42
:
ネクロ
:2012/01/04(水) 04:52:13 ID:SVtv/fVA
>>41
「虫が良いって…リルハさんは努力を重ねてきたんですよ?その結果じゃないですか!」
「…それに、俺の師匠、アスガルドは言ってました」
『魔術に善し悪しは無い、使う者の心次第』だって」
「リルハさんと言う存在は、俺から見れば魔術に適正の無い人にも希望があるように感じられます…青臭い、薄っぺらい感情だって笑うかもしれないですけど」
43
:
リルハ
:2012/01/04(水) 05:04:31 ID:QJVMEmsk
>>42
ハッと何かを思い出したような顔をしたがすぐに笑みを戻し
「賢者の言葉か、随分説得力がある」
<<賢人というのは似たような事をいうのだな・・・>>
忘れていた、メアリ先生に最初に言われた事・・・
いいリルハ?魔術師は回路や魔元素や術式で行使する物ではないの。
魔術は・・・・
「魔術師教団も教典の目録に付け加えて置くべきだな」小さく笑いながらいう。
『魔術は心で行使する物ーーーーー。』
44
:
ネクロ
:2012/01/04(水) 05:09:04 ID:SVtv/fVA
>>43
「悪魔みたいな男の言った言葉とは思えないですけどね」
言ったネクロは何処か恥ずかしげだった。
「教団の経典にそんなロマンチックな目録はつけれないでしょう」
と返した。
その後も二人は魔術の源泉などについて語り合っただろう。
45
:
名も無くもない魔法道具屋
:2012/01/08(日) 02:27:55 ID:???
帝都のどこかの裏路地。
魔法道具屋、もといリビア・B・ファミリアが帝都に現れてから早数年の時が経た。
彼も一時期は何故か女体化したり、情けない男になってしまったりしたが、
今ではそんな過去も何処へやら、特に何事もない平穏な日々を淡々と過ごしていた。
「はぁ、今日も客は来ずか。どうなってるんだ、全く」
こんな場所に魔法道具屋を構えているんだから、やくざ者の一人や二人、でかい依頼を持ちかけてもきてもいいだろうに」
カウンターに右腕の肘をつけ、リビアは不満気に言った。
依頼を持ちかけようにも、ここが件の魔法道具屋であると分かる様な看板などは立っていないのだが。
「や、面倒事に巻き込まれたがるのは俺らしくなかったかな。それに今の俺は……」
"ハチャメチャな力もないのだし"と、自虐的な事を思うのであった。
46
:
クラッド
:2012/01/13(金) 02:19:19 ID:SVtv/fVA
学園都市アレグレット 学園内会議室
定例の小隊長全員出席の会議、ここ何日かは都市の周辺や内部の事情は落ち着いていた。
そんな時だった。
「…以上が来月各隊に支給される費用だ、要望がある場合は後で理由等をまとめたレポートを提出するように」
「さて、何時もならこれで終わりなんだが今日はもう少し隊長方に付き合ってもらわないといけない」
頬杖をついてクラッドはため息をついた
「最近、荒野都市カーツの汚染獣の被害が急増しているという報告を受けた」
荒野都市カーツは高齢の都市精霊に守護された都市国。
都市精霊の力の衰えで満足な防衛力や資源を作れずにいる状態が長く続いている。
ここアレグレットに所属してる学生達の中にも、多く出身者がいる。
「これに対し、なんらかの対策を取る必要があるのだが、各隊長らの意見を聞きたい…何かあるかい?」
47
:
シカゴ・クロックベル
:2012/01/14(土) 00:08:35 ID:???
>>46
(以前より増えたな…みんなの活躍のお陰だな)
部隊への支給された費用が増えたことに内心喜ぶシカゴ
喜びの最中に聞いた話は汚染獣の話だった。
「新たな都市精霊はまだ育ってないのですか?」
48
:
クラッド
:2012/01/14(土) 00:18:36 ID:SVtv/fVA
>>47
「残念ながら現在の都市精霊…ハルティアは新たな都市精霊を生み出す事が出来ない状況になるようだ」
「現在の荒野都市の状況は悪循環の一途をたどっている…精霊は衰えてしまっているからすぐにでも新しい精霊を育てる必要がある…しかし、その為には加護の力を育成に使わなければならない」
椅子に深く座りなおし、解説をするクラッド。
「するとどうなる?元々高齢が理由で満足に働かない加護が更に弱くなり、より都市が危険に晒されてしまう」
「都市精霊は都市を守るために、結局は衰えた力を必死に繋ぎとめるしか出来ない、都市国も打つ手がない」
その言葉は正確に荒野都市の状況を語っていた。各部隊の隊長達は続ける言葉を見つけられずにいる。
「……この状況の改善は難しいだろう、荒野都市の精霊の後釜と育てる為には各都市が増援を送る必要がある」
「だが、私個人としてはその必要はないと考えている」
ざわめく会議室。
助けを求める荒野都市を見捨てようと言うのか。
49
:
シカゴ・クロックベル
:2012/01/14(土) 00:22:58 ID:???
>>48
「それはどういうことでしょうか?
その必要がないというのは何か提案があるのかそれとも…」
皆まで言わず、目で訴えかける。
その瞳だけで充分に伝わることだろう
50
:
クラッド
:2012/01/14(土) 00:30:37 ID:SVtv/fVA
>>49
クライア「俺も、その発言の真意を聞きたいですね…生徒会長」
アイネズ「まさか増援を出す費用が勿体ないってだけじゃないでしょ?」
各隊長らも同じ気持ちだった。
「…今から話すことは非情な話になる、だが事実として受け止めてほしい」
「先にも話した通り、荒野都市の都市精霊は高齢、能力は衰え『先』が見えている」
寿命の事だろう。
「都市精霊が新しい精霊を育成するためには長い時間が必要だ、だがその間の都市の守備はどうする?カーツは非常に汚染獣が凶暴で強力な区域だ」
「学園都市や他の都市が増援を手配したとして、犠牲は0にはならない
…新しい…それも産まれるかも分からない新しい都市精霊の為に、果たしてそこまでの犠牲を払う必要があるのかと、私は考えた」
「ならばいっそ、カーツの住民には諦めてもらう方が犠牲は少なくて済む…僕は、カーツの住民に他都市への移住を提案しようと考えている」
カーネル「……都市国の放棄…と言う事か…」
「諸君は鉱山都市を覚えているね?加護を失った都市国の末路はあれだ…あんな犠牲が生まれる前に、避難する方が賢明と私は考える」
クライア「…荒野都市出身の奴らが、それを聞いて素直に受け入れますかね?」
「さあ?そこに関しては理解してもらうしかないだろうね」
51
:
ブルージュ
:2012/01/14(土) 00:44:28 ID:vHO8vApM
>>50
「まあ、感情としては受け入れがたいだろうな」
会議を見守っていた5小隊隊長が口を開く。
「が、己とその家族、知人らの生命と都市どちらがより貴重か。
となれば答えは一つだろうさ」
52
:
シカゴ・クロックベル
:2012/01/14(土) 00:49:40 ID:???
>>50
「しかし…!」
と一度席から勢いよく立ちあがるが、少しの間を置いて座りなおした。
そしてゆっくりと口を開いた。
「ヴューステ教導傭兵団に頼むというのは、どうでしょう?
もちろん私たちの都市が頼むのはおかしな話だと思いますが
彼らなら条件次第では動いてくれるのでは」
53
:
クラッド
:2012/01/14(土) 00:55:23 ID:SVtv/fVA
>>51
セイン「だが都市精霊についてはどうだ?これまで危険があったとは言え、カーツを守護してきた精霊を見捨てることになる
…都市国生まれが、自分達を護ってきてくれた精霊を見捨てることがどれだけ苦痛か分からぬわけではあるまい?」
2小隊隊長も言葉を出した。
>>52
「教導傭兵団の第一目標はこの都市に未だ潜伏する廃貴族の捜索…それを後回しにさせるためにどれだけの根回しや金額が必要か君に分かるかい?クロックベル隊長」
「…カーツは元々、都市防衛力の脆さが問題視されてきた都市国だ、遅かれ早かれこうなる運命なんだと僕は思うよ」
「それとも誰か、カーツを救うための素晴らしい提案でもあるのかな?」
54
:
シカゴ・クロックベル
:2012/01/14(土) 01:01:23 ID:???
>>53
「……」
目を瞑り考え込む
しかしどれも後先の考えない案だ。
学園都市を犠牲にすることは出来ない。
もともと汚染獣とは戦闘を避けて行くのが都市精霊の役目だ。
55
:
ブルージュ
:2012/01/14(土) 01:04:25 ID:vHO8vApM
>>53
「ならば精霊も共に他へと移り住めばいいだろう。
これまで守護してもらってきた恩返しというわけだ」
もっとも……と付け加える。
「ハルティアを説得できる者がいて、かつ、移住先の都市精霊と角付き合わせることのないよう
仲介できる人物がいれば、だがね」
56
:
クラッド
:2012/01/14(土) 01:11:51 ID:SVtv/fVA
>>54-55
セイン「都市精霊を説得なんて無理な話だ、彼らはその土地を守護する事が存在意義なんだぞ?
結局は見捨てるしか選択肢がない事は誰にも分かっている、だからこそ反発も出る、俺達が今考えることはその反発をどう抑止するかだと思う」
カーネル「抑止か……まるで強制退去も視野に入れてるような発言だな」
セイン「そう捉えてもらっても結構だ」
話すべき内容は人命を如何にして守るか、それは同じはずなのに会議室内には嫌な空気が流れている。
クライア「…………」
シカゴと同じく、眼を閉じ黙りこむ12小隊隊長。知将と名高い彼に妙計は生まれるだろうか?
「やはり移住案を提案する方向でまとめた方が良さそうだね、そうなった場合はうちの都市からはどの小隊に出てもらうか…」
57
:
シカゴ・クロックベル
:2012/01/14(土) 01:13:05 ID:???
>>55
「ブルージュ隊長、都市精霊はその都市と運命を共にするんだ。
だから基本的には都市が死ねば精霊も死んでしまう。
単独で外で行動できるのは廃貴族だけのはずだ」
58
:
シカゴ・クロックベル
:2012/01/14(土) 01:17:26 ID:???
>>56
「都市より人を優先するのは当然なのだが
どうにもしっくりとは来ないですね」
ぎゅっと拳を結んだ
「住民の受け入れをする程この都市に余裕はあるのですか?」
59
:
ブルージュ
:2012/01/14(土) 01:18:23 ID:vHO8vApM
>>56-57
「そう、単独ではもはや行動できん。
そして説得も不可能に限りなく近いさ。
ただ、考慮してみる価値が全くないわけじゃないだろうと思ってな」
「反発を抑える方法ねえ……。
まあ、いずれにせよ汚れ役がいなくてはどうしようもないな」
思案にふける
60
:
クラッド
:2012/01/14(土) 01:24:53 ID:SVtv/fVA
>>58-59
「現在の学園都市の人口や物資の消費量から計算して、カーツの総人口の3分の1は受け入れられるはずだ…だろ?カーネル」
カーネル「だいたいだが、そうなるな…カーツ出身の生徒の身内を優先して引き取りつつという事になるが」
「汚れ役なんて言い方をする必要はない、君達は命令を受けて行動せざる得ないだけ…これからも汚れるのは生徒会長である僕、ひいては都市国家の最高責任者だけで良いのさ」
その言葉に会議室は一瞬しん…となる。クラッドは何も喜んでこの提案を出してるわけではないのだから。
そんな時だ、クライアが眼を開き、席を立ちあがった。
クライア「一つばっかし提案があるんですが、聞いてもらえますかね?」
61
:
シカゴ・クロックベル
:2012/01/14(土) 01:28:08 ID:???
>>59-60
(なるほど、それが分かれば取れる手段が一つある。
誰もが納得せざるを得ない方法が)
クライアが声を出し、それに反応した。
62
:
ブルージュ
:2012/01/14(土) 01:29:33 ID:vHO8vApM
>>60
「……住民から見れば同じことですよ」
その表情はほろ苦いものだった。どこか遠き日を見ているかのように
「ああ、是非聞かせてほしい」
63
:
クライア
:2012/01/14(土) 01:39:35 ID:SVtv/fVA
>>61-62
「まずカーツの住民を避難させるにしろ、現状維持にしろ、都市条約で俺達はどの道部隊を派遣しなければならない」
「そして汚染獣の活動が活発化している以上、部隊はそれなりの規模を要求されます」
席を立ったクライアはパネルボードに描かれた大陸の地図を使って位置を指しながら話す
「…俺が一つ不思議に思ったのは、何故…カーツ近辺の汚染獣だけがそこまで凶暴化しているのかって点です」
確かに、今までなんとなく受け流していたが確かにおかしい話だ。
各地で凶暴化、進化する汚染獣の話は良く聞いているが、カーツの場合は事情が多少異なる。
カーツで出現する汚染獣は種類問わず好戦的で凶暴、それゆえに都市が頻繁に被害を受けているのだ。
64
:
シカゴ・クロックベル
:2012/01/14(土) 01:43:59 ID:???
>>63
「汚染獣が都市を襲う本来の理由は栄養源となる人がいるから。
会長、カーツにはそれほど多くの人がいるのですか?」
クライアの疑問を受けて、質問をかぶせる
65
:
クライア
:2012/01/14(土) 02:04:07 ID:SVtv/fVA
>>64
クラッド「いや、カーツの人口は残念ながら年々減少している」
「そう、おおよそ汚染獣の行動パターンとは異なる事態…調べる価値は十分あると思うんです」
そこで…とクライアは隊長達を見る
「総勢4小隊ほどの部隊をカーツに派遣、その中から一部の部隊を用いて『調査隊』を組織…調査目標は汚染獣凶暴化の原因」
「期間は長くは儲けません、原因が究明出来ればカーツは都市精霊の育成に力を裂ける…もし分からなければ、それを住民に伝え避難してもらう」
「ひとまずはこれが俺の提案ですが…他の隊長方は何かあるか?」
66
:
ブルージュ
:2012/01/14(土) 02:39:31 ID:vHO8vApM
>>65
「なるほど、そこに気付かなかったのは迂闊だったな……」
「俺は異論なしだ。
そういうことならばまあ、住民も納得しやすいだろう」
67
:
クライア
:2012/01/14(土) 02:52:16 ID:SVtv/fVA
>>66
「ああ、何事もクッションをおいて接すれば納得は得られやすくなる」
「もしかしたら意外な解決の糸口を見つけられるかもしれないしな」
68
:
シカゴ・クロックベル
:2012/01/16(月) 01:31:42 ID:???
>>65
「調査…学園都市での問題もある中
カーツへの調査もしなければいけないとは」
「私の部隊は身軽なので、立候補しようかと思いますがどうでしょうか?
最近では部隊の隊員も成長してきていますし対応も柔軟です」
69
:
クライア
:2012/01/18(水) 20:25:00 ID:SVtv/fVA
>>66
>>68
「是非18小隊には参加して欲しい、少数精鋭故のその機動力の高さの有力性は最早説明するまでもない」
この会議の場に、表だって18小隊の存在を非難する者はいなくなっていた。
「俺の希望としては5、12、13、18の4つの小隊で増援部隊を編成し派遣…カーツの汚染獣の調査期間は5日とし、期間以内に原因が探れなかった場合はカーツ住民の避難をそこから二日以内に実行・完了」
「…こんなところですかね」
クラッド「述べ1週間の計画か、予算委員会も文句は出ないだろうねそれなら」
カーネル「他都市の増援部隊との折り合いはどうつける?」
クラッド「彼らとは僕が話をつけよう、まあ…どうせ他都市もカーツには見切りをつけてるだろうから了承はすぐに得られると思うよ」
70
:
シカゴ・クロックベル
:2012/01/20(金) 00:59:03 ID:???
>>69
「了解しました。十八小隊は参加します。
原因を探ってみましょう…何かあるはずです」
(5日間の調査、学園都市を空けることになるが大丈夫だろうか。
誰か残しておくべきか?)
71
:
クラッド
:2012/01/20(金) 05:46:44 ID:SVtv/fVA
>>70
「では正式な派遣部隊は追って通達しよう、ほぼ希望に沿うと思うが…」
「定例会議は以上、各小隊はそれぞれの役割を全うするように、解散!」
そして今日の会議は終わりとなった。18小隊はほぼ間違いなくカーツへ向かうことになるだろう。
しかしシカゴとしてはアレッタを置いて5日も都市を空けるのは確かに不安かもしれない。
だが隊長としての任がある以上、自分が残るわけにもいかない。
副官のポジションに収まってくれているグリエルモがいるが、彼はあくまでもサポート、隊員としては有能だが部隊指揮に関してのスキルは殆どない(はずだ)
ここでシカゴが選べるのは…
選択肢
・18小隊は全員、カーツへの増援派遣に参加。
・アオイを学園都市に待機、防衛力に回す。
・隊員のうち何名かを待機させる
72
:
アオイ
:2012/01/23(月) 00:21:59 ID:SVtv/fVA
-訓練場-
小隊長定例会議後、各小隊員には今回の荒野都市カーツへの派遣の話が耳に届いた。
18小隊は参加がほぼ確定とされたようだ。複数の小隊が赴くことになるが、総指揮官は12小隊のクライア隊長が務める事をシカゴから説明されただろう。
出発は装甲馬車の準備が各小隊分整い次第という事なので、部隊員は荷物や装備をまとめ、訓練場で待機する事になった。
「最近はホント目まぐるしく事態が変わる事が多いですね」
と、どうせカーツに着いたら脱ぐのだからと制服ではなく既に防護服に着替えているアオイが呟いた。
73
:
ショウとヒナタ
:2012/01/23(月) 00:30:44 ID:???
>>72
『全くだな』
アオイ同様、既に防護服へ着替えたヒナタがその呟きに答える。
『おちおち寝ても居られない――あぁショウ、腕輪が引っ掛かっているぞ』
防護服を着用しようとして、腕輪を外し忘れていた弟を見て冷静に突っ込む。
ショウも、既に着替え終えたアオイを見て慌てて着替え始めたようだ。
74
:
アオイ
:2012/01/23(月) 00:35:01 ID:SVtv/fVA
>>73
「まあ都市間条約ですから仕方ない事なんですけどね」
中央都市や学園都市だって、危機になれば他の都市が助けに来るのだからお互い様らしい。
「小隊対抗戦、ここ最近のトラブルでずっと延期ですもんね」
現在は廃貴族や汚染獣への対策、その他に追われてほぼ全ての小隊がフル稼働中だと言う。
学生達の目玉である小隊対抗戦も、長らく行われていない。
イーグリット「お前らもう着替えるのか?まあ良い心がけだと思うけども」
75
:
シカゴ・クロックベル
:2012/01/23(月) 00:35:46 ID:???
>>71
シカゴが下した決断は……
18小隊は全員、カーツへの増援派遣に参加するということだった。
それはただちに十八小隊の面々へと伝えられた
76
:
エスメラルダ
:2012/01/23(月) 00:36:31 ID:???
防護服に着替えなおし、わたわたと部屋に入ってくる
「いきなり決まった気もしますね。落ち着きません」
荷物はあまり多くない
貴族のイメージからすると余計なものまで詰め込みそうなものだが、これはこれでいいのかもしれない
77
:
アオイ
:2012/01/23(月) 00:39:16 ID:SVtv/fVA
>>75
シカゴから伝えられた後、小隊メンバーは装甲馬車の手配が終わるまで訓練場で待機と言う事になっていた。
既に何名かのメンバーは防護服に着替えて出発に備えている。
「お疲れ様です隊長、今回は随分大がかりなようですね」
>>76
イーグリット「一応はちゃんと会議した上の決定だからいきなりってわけでもないが、確かに内容の濃い任務が最近は多いな」
78
:
第5小隊
:2012/01/23(月) 00:40:58 ID:RL84yVHY
--数日前--
ブルージュ「と、言うわけでだな、俺達もカーツへ派遣されることになった」
ヒューガルテン「ちょwwwmjskwwwうはwwwテラ地元ワロタwwwww」
アダムス「お前、よくこの状況で笑ってられるなー。
自分の故郷が下手すりゃ放棄されるかもしれないってのに」
ヒューガルテン「俺の家とかとっくにないしwww家族ももういねえからwwwww」
アダムス「おま……」
ブルージュ「……任務は調査、あるいは最終的な住民の避難誘導、だな。そこd」
ヒューガルテン「俺行きますw荷物呼ばわりされても着いてくんでwww」
--現在--
ロシュ「はい、メンテと調整完了〜。ヒューガルテンの特に強化してあるから」
ヒュー「うはwwwマジ感謝っすwwwww」
ブルージュ「本来ならば情報収集要員と最低人員のつもりだったんだがな……」
ハイネケン「留守番に回したら、他の小隊から苦情で迎えられそうですしね」
79
:
ショウとヒナタ
:2012/01/23(月) 00:43:01 ID:???
>>74
『条約自体に不満は無いんだがな、やはり急に起こされると堪えるよ』
ヒナタとしては『安眠を妨害される』事が不満のようだ。
緊急出動の際、妙に活き活きとして汚染獣を倒しに掛かっているのは……ストレス発散?
「ぶはっ、ようやく抜けた!」
ショウは結局、防護服の袖口に無理やり腕輪を押し通したらしい。
「今は仕方ないって分かってるけど、そろそろ対抗戦もやりたいよなぁ。
……あぁ先輩、早く着替えておくに越した事はないですからね!」
慌てて着替えた素振りも見せず(バレているが)何処か誇らしげだ。
80
:
シカゴ・クロックベル
:2012/01/23(月) 00:48:07 ID:???
>>77
「ああ、今回に調査は危険度もかなり高い。
汚染獣がいつ襲ってくるかも分からないからな」
凛とした表情で答えるシカゴ
隊長としての顔だ。皆を引っ張ってきた隊長としての
シェリ「5日のうちに調査を完了させ、原因を突き止めなければなりません。
でなければカーツの住民は故郷を失うことになるのですから」
81
:
アオイ
:2012/01/23(月) 00:50:08 ID:SVtv/fVA
>>79
「ヒナタさんもしっかり寝ないと駄目な方ですか」
やはりその当たりショウと姉弟なのだなと思うアオイだった。アオイは幼い頃からのスパルタ訓練と教育で、休養や睡眠を必要最低限に住ませる事は出来る。
今はそれに対してストレスを表情に出す事もないそうだ。
イーグリット「ま、そりゃそうだな…俺も防護用のコートは羽織っておくか」
装甲馬車に揺られながら堅い防護服で身を包むのは嫌らしく、簡易な準備に済ますイーグリット。
それでもマスクメットなどはしっかりつけるだろうが。
82
:
シュベーアト・ヴューステ・ヴァッヘ
:2012/01/23(月) 00:54:25 ID:???
-某所-
マクスウェル「いくつかの小隊がカーツへと出向くらしい」
魔機を通しての声でマクスウェルが言う。
「関係ないさ。俺たちは廃貴族を確保するだけ
でも、動きやすくなることには違いないか」
(あいつも行くのか?)
83
:
アオイ
:2012/01/23(月) 00:54:30 ID:SVtv/fVA
>>78
そこに、今回の総指揮官を務める事になったクライアが訪れた。既に出発の準備は整っているようだ。
クライア「よ、悪いな付き合ってもらって…ヒューはやっぱ志願したか。俺んとこも何人か無理矢理にもついていくって聞かなくてな、ハハハ」
相変わらずの咥え煙草で器用に喋る。
クライア「装甲馬車の準備が出来たから呼びに来た、5小隊はゲートに向かってくれ」
>>80
「責任重大ですね…故郷を失うのは辛すぎますから」
シカゴの言葉を聞き、シェリの言葉に頷くアオイ。原因究明に尽力せねば。
そこに、12小隊副隊長のフェイスがやってきた。
フェイス「シカゴ隊長ら18小隊は揃っているか?装甲馬車の準備が整ったから呼びに来たぞ」
84
:
シカゴ・クロックベル
:2012/01/23(月) 00:58:01 ID:???
>>83
「フェイスか、こちらは準備が整ったぞ。
クライア隊長はどうした?」
クライアではなくフェイスが来たことに対して
単純に疑問に思っただけなシカゴ
(他の小隊を呼びにいったのだろうな。後は5と13がいるし)
うんうん、と一人納得している
85
:
ショウとヒナタ
:2012/01/23(月) 00:58:05 ID:???
>>81
『ああ、駄目だな。別に動けない訳じゃないが気分が悪くなる。
体調と言うよりは精神的な問題だな、うん』
睡眠不足の影響が大きいのは、やはりショウも同じである。
彼も寝起き(特に朝方)は『まだ寝ているんじゃないか?』と感じる程にボーッとしているのだ。
ヒナタと違い、苛立った様子を見せる素振りが無いのはショウなりの配慮なのかもしれない。
「あ、リアクション無しですか……まぁいいや」
どうやらツッコミを待っていたらしく、残念そうな反応を見せるショウであった。
「お、フェイス副隊長のお出ましだ」
準備が整った事を伝えに来たフェイスを見て(
>>83
)呟いた。
86
:
エスメラルダ
:2012/01/23(月) 00:58:36 ID:???
>>77
「そうですね…それだけ信頼もされているということなのでしょうか
しかし…少し眠いですね。体調もよくはないです」
けだるそうに伸びをしている あまり体調を整えられなかったようだ
87
:
アオイ
:2012/01/23(月) 01:05:57 ID:SVtv/fVA
>>84-86
フェイス「ああ、クライア隊長は5小隊を呼びに行った。13小隊は既に自分達の装甲馬車で待機してるが、相変わらず良く騒ぐ連中だよ」
少し困り気味に話すフェイス。13小隊はアイネズ復帰後、評判が徐々にマシになってるがそれでも不良集団と言う事に変わりは無い。
能力的には問題ないのだが、クライアが選抜した意味を計りかねているフェイスだった。
イーグイット「ハハハ、俺は男のおちゃめに付き合う優しさは殆どないのだ
けどラルちゃん、体調悪いなら馬車で膝枕してあげゲフッ」
全て言いきる前に突っ込みの入るイーグリットだった。
「学園都市からカーツまでだと、順調に行って半日ほどか…そしてそこから5日間の調査…妥当な日程ですね」
18小隊も都市外部に通じるゲートへと向かう。もう何度もスクランブルで通っているのですっかりなじんだだろう。
今回はそこに、研究都市に行った時に使用した装甲馬車が待たされていた。
5、12、13は人数が多いのか馬車が複数あるが18小隊は一台で十分なのだ。
88
:
第5小隊
:2012/01/23(月) 01:08:28 ID:RL84yVHY
>>83
ブルージュ「何、これも俺達の仕事だろ」
ヒューガルテン「お察しの通りっすwよろしくお願いします総指揮官どの」
いつもならへらへらしているヒューガルテンだが、今日はいつもより真面目だ。
……あくまでも比較的、だが。
ブルージュ「ああ、了解。 ハートランド、こっちは任せたぞ」
副長「お任せあれ、っと」
残留組の見送りを受けてゲートに向かう派遣メンバー達。
帰ってこなかったら例のは俺のだからな!
そんなことしてみろ、帰ってきてお前の昼寝場所ちくってやっからな!
など軽口にしか聞こえない言葉が飛び交うが、これも5小隊ではいつものこと。
ちなみに、今回の派遣メンバーは、隊長以下
情報担当アノニマス、機動力に優れるレフを中心にした編成だ。
護衛役としては小隊の盾ハイネケンと、志願して引かなかったヒューがメインになる。
89
:
シカゴ・クロックベル
:2012/01/23(月) 01:11:32 ID:???
>>87
「戦力的には申し分ない強さだな」
あくまで武芸者同士で戦うにはだが、と付け加えた
「ショウにエスメラルダ、折角の機会だから他の小隊の戦い方を見ておくんだぞ?
私たちの小隊にはないものを持っている。必ず為になるからな」
90
:
ショウとヒナタ
:2012/01/23(月) 01:15:41 ID:???
>>87
(5小隊と……13小隊も来るんだ)
フェイスとシカゴの会話を遠目に聞きつつ思う。
素行面でも問題は無いと、クライアが判断したのだろうか?
(まぁ、俺は大丈夫だと信じてるけど)
――そして準備も整いゲートへ。
『研究都市の時以来じゃないか馬車太郎!』とショウがちょっとだけはしゃいでいた、ちょっとだけ。
91
:
エスメラルダ
:2012/01/23(月) 01:19:46 ID:???
>>87
今日のツッコミはボディーブローのようだ
眠さであまり加減ができなかったようだがまあ大丈夫だろう
「もう、冗談ばっかり言って!現地ではそういうことのないようにしなければいけませんよ!」
またお説教モードに入りそうだ
>>89
「は、はい!了解しました!」
イーグリットはひとまず放っておいて向き直る
おそらくまじめな彼女はいろいろと掴むものもあるはずだ
92
:
アオイ
:2012/01/23(月) 01:31:18 ID:SVtv/fVA
>>89-91
キリク「皆、ちゃんと帰ってこいよー!」
唯一、整備士と言うポジションであるが故に18小隊で留守番をする事になったキリクが見送りにきていた。他小隊の居残り組もいる事だろう。
全員が馬車に乗り込んだ事が確認されると、ゲートが開かれて装甲馬車は随時出発していった。
荒い道をガタガタと走る事約半日…日が傾きかけた頃に『荒野都市カーツ』のゲートが見えてきた。
他の都市と比べて随分と大きな防護壁は、そうしなければ都市の内部を守りきれない事を物語っている。
そしてその防壁は何処かしこも荒れており、修繕の箇所が多くみられた。
荒野都市カーツ――汚染獣への脅威をその日その日やり過ごす、荒廃した大地に根ざす土地である。
カーツにたどり着くと、カーツ所属の武芸者の引率でゲートを通り、都市内部へと通されてようやく学園都市の面々は乗り心地の微妙な馬車から下りれたのだった。
93
:
シカゴ・クロックベル
:2012/01/23(月) 01:38:18 ID:???
>>91
「良い返事だ。期待してるぞ」
>>92
「ここがカーツか初めてきたが、防壁の大きさがすごいな」
シェリ「この大きさでも厳しくなってきているのでしょうね。
修繕の箇所が多いです。如何に汚染獣が頻繁に来るのかが見受けられます」
他の小隊の人員を見回す。
問題はなさそうだ。
94
:
エスメラルダ
:2012/01/23(月) 01:40:56 ID:???
>>92
「ここがカーツ…ですか。おそらく昔は大都市だったのでしょうが…」
それ以上のことを言うことはしなかった
かつての栄光を自分とこの都市とで重ねて見えたのだろうか
95
:
ショウとヒナタ
:2012/01/23(月) 01:41:02 ID:???
>>89
「はい、分かりました。
出来る限り、盗める物は盗んできます!」
言葉だけ聞くとやや物騒な気がしなくもない。
>>92
「あれが“荒野都市”……か」
傾き始めた日に照らされる外壁を見る。
学園都市や中央都市と比較するまでもなく、一見して荒れている様が伺えた。
『被害の度合いがよく分かるよ』
ショウと同じく外壁を眺めていたヒナタが呟いた。
馬車から降りると、姉弟揃って辺りを見回す。内部の様子は如何な物だろうか?
96
:
第5小隊
:2012/01/23(月) 01:42:31 ID:RL84yVHY
>>92
レフ「あーもう、ちょーヒップ痛いしー」
アノ「まだ慣れてないんすか」
レフ「だってー、女の子はみんなプリンセスっていうじゃーん?」
アノ「(一番お姫様から遠いところにいるじゃないすか……)」
ヒュー「ここまで酷くなってるとかwww想定外だったしwwwww」
馬車の小窓から防護壁を見たのだろうヒューガルテンがつぶや…騒ぐ。
ハイネケン「これは骨が折れそうだ」
それはこれからの調査に関してなのか、その先についてなのか。
ブルージュ「第5小隊、点呼!」
97
:
クライア
:2012/01/23(月) 01:49:33 ID:SVtv/fVA
>>93-96
ヒューガルテンを始め、キースなどこの都市出身者の学生達の殆どは自分達が出発する時よりも荒れた防壁にため息をつき、修理個所の多いゲート内部のを見て表情を暗くしていた。
キース「……やっぱ、潮時なのかもな」
と、誰に言うわけでもなく呟く12小隊の弓使いキース。
馬車から降り周囲の学生武芸者達見回すと、その中には勿論13小隊もいた。
だが小隊長のアイネズの様子が少しばかりおかしい。壁に寄りかかり頭を押さえている。
どうやら道中の馬車内で酷く酔ったらしい。副隊長の(13小隊唯一の良心)ミハイルが介抱している。
現在、君達がいる所はカーツのゲート、都市内部に通じる通路だ。
都市精霊の力が十全な学園都市と異なり、さまざまな場所が荒れており、補強された後が多くある。
カーツ武芸者の案内で都市内部に通されると尚驚くだろう。学園都市『内部の空』は都市精霊の力によって空気が浄化され、青空や暁色が覗いていた。
しかし精霊が衰えたカーツにはその力もなく、空は薄茶色の夕焼けに染まっているのだった。
「各小隊は全員いるようだな、ではこれより今後の詳しい指示を発表するから聞いてほしい」
一同が整列すると、12小隊のクライアが前に立った。
98
:
シカゴ・クロックベル
:2012/01/23(月) 01:53:56 ID:???
>>95
「それでこそショウだ。
飲み込みの速さは小隊一だな」
>>97
見回すとアイネズの様子がちらっと見えた。
心配はしつつも気持ちを切り替える
そしてクライアの声を聴き、向き直った。
シェリはどこか遠くを見るかのようにぼんやりとしている。
99
:
ショウとヒナタ
:2012/01/23(月) 01:55:02 ID:???
>>97
(あ、アイネズ先輩酔ったんだな)
一目で察した。というか、この状況下だとそれ位しかないだろう。
頑張れミハイル、超頑張れ。ショウは(心の中で)応援するのであった。
(しかし、空が陰気な感じだな……精霊の力が弱まってるって事なのか)
ふと見上げた空。
この空が夜を迎えるという事は、それは精霊(いちにち)の終わりを意味するのだろうか。
そんな事を思い浮かべつつ、一同の前に立ったクライアへとヒナタ共々視線を向けるのであった。
100
:
第5小隊
:2012/01/23(月) 01:56:31 ID:RL84yVHY
>>97
ヒューガルテン「つーか空濁ってるワロタwwwうぇwwwww」
出身者なのにバカみたいに明るいのはコイツだけだろう……。
アイネズに気遣わしげな視線を送ってからクライアに向き直るブルージュ。
その背中に他の第5小隊員も倣う。
101
:
エスメラルダ
:2012/01/23(月) 02:01:30 ID:???
>>97
不安そうにあたりを見回していたが、号令に合わせて整列する
「一時しのぎにしかならなくても、私たちが頑張らなければ…」
102
:
名無しの魔術師
:2012/01/23(月) 02:10:00 ID:RL84yVHY
--同時刻・学園都市第5小隊寮--
アダムス「あーあ、俺も行きたかったなー。出身でもなんでもないけど」
シメイ「でも行ったら行ったで調査だるい、って言うんだよね?」
ロシュ「副長、何を占ってるんですか?」
ハートランド「ん、あー一応隊長たちのこと。面倒なことになってないかとか」
テーブルにカードを並べている副隊長。
第5小隊は大所帯な上に一芸特化が多い。
そんなメンバーを確実に指揮し、部隊を運営するために副隊長を2人置いているのだ。
ハートランド「まー、任務そのものめんどいこったけどw」
103
:
クライア
:2012/01/23(月) 02:11:14 ID:SVtv/fVA
>>98-101
「正式な調査は明日から5日間となっているので、今日は用意された宿舎に待機する事になる」
「だが、先程荒野都市の防衛小隊の責任者と話したところ、先日大型の汚染獣との交戦があって部隊の被害が深刻らしい」
都市内部を見ると、包帯を巻いた人が数多くいる。汚染獣の被害の多さを物語っていた。
「その大型汚染獣の攻撃で東側の防壁が脆くなっているらしいので、俺達増援部隊はローテーションを組んで都市の警備を引き継ごうと思う」
そこまで聞いて、ふらついた足取りでアイネズが口を挟んだ
アイネズ「ちょっと、他都市から派遣されてるはずの部隊はどうしたのよ?まさかアタシ等だけで面倒みろっての?」
それを聞いてクライアの表情がバツの悪そうなものになる。
「今回の調査を申請した所、住民の避難以外の支援をする事は難しいと正式回答をされた。他都市の部隊が来るのはこの都市を引き払う事が決定した時だけだ」
キース「そりゃ事実上見捨てられてるってことじゃないか!俺達カーツの住民を馬鹿にしてるのか他の都市の奴らは!」
元々仏頂面のキースが声を荒げて文句を口にした。無理もない事だろうが。
「他の都市にはそれぞれの事情があるんだ、それに俺達が問題を解決すりゃカーツを引き払う事はない…違うか?」
そう言って、キース他不満を口にする学生らをなだめるクライア。
「さて、そんで肝心のローテーションだが、まず5小隊に市街地一帯、13小隊に防壁周辺と……」
持ち場の確認をしようとした時、耳障りな警報が都市中に響いた。
『大型汚染獣接近!繰り返す、大型汚染獣接近っ!!住民は速やかに地下へ避難、付近の武芸者、及び守備隊員は速やかに……』
「…仕事が向こうから来ちまったな…」
頭を抱えるクライア。加えたままの煙草を吐き捨てた。
「各小隊から武芸者を出撃、大型汚染獣を迎撃する!選抜されなかったものは住民の避難誘導と混乱を押さえろ!急げ!」
そう言ってクライアはゲートへと向かう。
(対汚染獣戦に参加する場合はクライアに同行して下さい)
104
:
名無しの魔術師
:2012/01/23(月) 02:24:28 ID:RL84yVHY
>>103
ヒュー「ちょwww困った時はお互い様って何だっけwwwww
ここないと荒野彷徨うってのにwwwww」
キースに続くように、しかしいつものような調子で騒ぐヒューガルテン。
その手がかすかに震えていたことに気付いたのはブルージュとアノニマスくらいのものだった。
そこに鳴り響く警報。
ブルージュ「ちっ、早々に大歓迎会ということか! ありがたくもないな!
護衛班は全員迎撃だ! ハイネケンは3人連れて出入り口を押さえろ!
レフは俺について来い! 残るアノニマス班は誘導へ向かえ!」
『了解!』
ブルージュ「ヒューガルテン! 我が隊の先陣はお前だ!覚悟はいいか!?」
ヒュー「上等っす!」
105
:
ショウとヒナタ
:2012/01/23(月) 02:26:58 ID:???
>>103
(それは幾らなんでも酷すぎやしないか……)
口に出す事は無いが、不満そうな表情を浮かべるショウ。
他都市の事情は承知だが、こうもあっさりと見放せる物なのか。
『この街に対し、愛着を持つ人も居るだろうな』
クライアの説明を妨げない程度の声量で、ヒナタは呟く。
『……住人だけでなく、街も救えると良いな』
呟きを聞いて不思議そうなショウの視線へそんな言葉を返す――と、
「――!?」
あまりにも唐突に鳴り響く警報に驚きを隠せない。
しかし、クライアの言葉を聞くと慌てたように走り出した。
「姉さん、行こう!」
自分同様に選抜されたヒナタを連れて、ショウはクライア達の後へ続く。
106
:
クライア
:2012/01/23(月) 02:37:20 ID:SVtv/fVA
>>104-105
アオイ「ショウ、僕はイーグリットさんと東の防壁を回ってくる、他の汚染獣が臭いを嗅ぎづける可能性もあるから!」
そう言うと、アオイとイーグリットも動いた。
参戦した武芸者達はクライアと共に荒野へと出る。
―荒野―
「なんだありゃあ…」
砂煙を巻き上げながら、一体の大きな体躯を持つ汚染獣が近づいて―――走ってきた。
クライアはその異形さに改めて加えた新品の煙草を口から落とした。
汚染獣のフォルムはこうだ。
下半身は4つの車輪、外郭は鉄で覆われており、鉄兜をかぶった騎士のような巨大な頭部がこちらを見ている。
さらに…おそらくは肩であろう部位には弩弓や砲台と言ったものが付随している。
その姿を見たクライアは自分の知識を総動員して予測を立てた。
「まさかとは思うが…攻城兵器をしこたま捕食した汚染獣って事か…?」
汚染獣はガリガリと地面を削るように走りながら接近してくる。さながら『戦車型汚染獣』と言った所か?
107
:
第5小隊
:2012/01/23(月) 02:51:44 ID:RL84yVHY
>>106
ブルージュ「こいつは……真正面からでは骨が折れるな」
クライアに応じるブルージュ。
その背後で怯んだのかざわめく隊員達。
ブルージュ「が、そう簡単に周りこませてももらえんだろう。
―ヒューガルテン!」
ヒュー「レストレーション!!!」
第5小隊の先頭で大剣を展開するヒューガルテン。
そう筋肉質にも見えないその体躯とは似つかないそれを構える。
ブルージュ「先陣、及び奴を引き付ける役は第5小隊が預かろう!」
ヒューガルテン「言っとくけどwww俺こー見えて怪力なんすよwwwww」
108
:
ショウとヒナタ
:2012/01/23(月) 02:53:27 ID:???
>>106
「オーケー、任せた!」
視線を向ける事も無く見送った。彼らなら大丈夫だろうという信頼の証だ。
そして、荒野へと駆け出た一同が見た物は――実に奇怪なモノだった。
「……これはまた……悪趣味っつーか」
生物、と表現して良いモノか――状況に似つかわしくない疑問がショウの脳内で駆け巡っていた。
一方のヒナタも流石に驚きを隠せないようで、何処か呆れたような表情を見せている。
いずれにしても、これから汚染獣と交戦するにあたって“恐怖心”なる物が無いのは、幸いと言えるだろう。
「とりあえず……アレが何なのか考える暇は無さそうですよ、クライア隊長」
自身の術式兵装を展開し、構えたショウが迫り来る戦車型の汚染獣を見据えている。
ヒナタも既に剣を構えており準備は万全だ。おそらく他の隊員達も同様だろう。
109
:
クライア
:2012/01/23(月) 02:57:24 ID:SVtv/fVA
>>107-108
キース「何が来ようと撃ち貫くだけだ…!」
ショウ同様に、怯む事なく戦車型汚染獣を睨み弓を構えているキース。
「よし…先陣と引きつけは5小隊に任せた、残った俺達は汚染獣の背後に周り、脆い部位を探りながら仕掛けるぞ!」
そう指示を飛ばすとすぐさま移動を開始する。あの汚染獣との戦いは時間との勝負だろう。火力に差がある分、長引けば長引くほどこちらが不利になる可能性がある。
110
:
第5小隊
:2012/01/23(月) 03:07:52 ID:RL84yVHY
>>108
>>109
ヒューガルテン「そーいうことでたのんますw」
18小隊に表立って蔑視を投げかける者はいなくても、小さなトゲを残していく者はいる。
―まだその認識は必要かもしれない。
ブルージュ「無駄口を叩くな、来るぞ!」
既に全員が展開を終え、刃の群れと鏃の列、魔力の集合を並べている。
間合いを計り―
ブルージュ「アタック!」
ヒュー「うおおおおおおお!!!!」
号令の下、駆け出して車輪を狙うよう大剣を振りかざすヒューガルテン。
それに続く前衛陣。
ブルージュ「レフ、しばらく離れるなよ!」
レフ「了解っ!」
111
:
ショウとヒナタ
:2012/01/23(月) 03:07:56 ID:???
>>109
「『了解!!』」
二人は揃って答えると、汚染獣の背後へ周るように移動を開始する。
――訂正しよう、移動を開始したのはヒナタだけだ。
走り出そうとしたショウは、キースの元へと向かっていった。
「キース」
汚染獣を睨みつけるキースの隣に立ち呼びかける。
「あまり怖い顔するなよ、女の子にモテね〜ぞ」
茶化すように言って、キースの反応を待たずその場を走り去っていったとさ。
112
:
シカゴ・クロックベル
:2012/01/23(月) 03:12:43 ID:???
>>107-109
「いいか、分かってると思うが汚染獣の攻撃は一撃たりとも当たるな!
当たれば防護服なんて意味がないものと思え!!」
レストレーションと言って鉄鞭を繰り出す
「シェリは付近に逃げ遅れた住人がいないかと、汚染獣が集まってきていないか探ってくれ。出来るな?」
シェリ「了解」
頷いて端子を一斉に飛ばした。
ピンクの花弁さながら、それは風に乗って空を飛ぶ
113
:
リイン
:2012/01/23(月) 06:35:57 ID:2cc/NRtc
「汚染獣……あんな汚染獣がいて良いわけないですわ……」
周りが聞き取れない程度に呟き汚染獣を睨む
ここ最近のリインの見せる仕草は汚染獣に対して嫌悪感が感じられる
114
:
クライア
:2012/01/24(火) 23:22:54 ID:SVtv/fVA
>>110-113
キースはショウに茶化されると、何か文句を言い返そうとしたがすぐにショウは移動してしまった。
ショウなりにリラックスさせようとしたのだろうとクライアは判断した。実際、はやり気味だったキースの表情が幾分か落ち着いている。舌打ち交じりに不機嫌そうな顔だったが。
5小隊―――ヒューガルテンらが先陣を切り、張りつくように動く事でこれ以上の汚染獣の侵攻を阻止する。
戦車型汚染獣は自分へと向かってきた武芸者達を眼で捉えると回転していた車輪を一時停止、すぐさま逆回転して方向転換。
左側の肩にある弩弓を向けるとヒューガルテンらに向けて射出、射出、射出
一発一発の間隔が恐ろしく短い。これらの矢は汚染獣の細胞を弾にしたもので、岩すら平然と貫通する威力を持っている。
シカゴの言う通り汚染獣戦のセオリーとしては被弾は厳禁なのは5小隊も承知しているであろう。
クライアは自分と共に汚染獣の後方に回った18小隊の面々を見回す
ショウはキースにちょっかいを出した為少し離れた位置にいる、リインと近い。
シカゴ、ヒナタは自分側に位置している事をクライアは確認する。
「5小隊が正面から押さえてくれた、まずは奴の武器を無力化する!シカゴとヒナタで左肩の弩弓、ショウとリインは右肩の砲台だ!言わなくても分かると思うが発射口の正面に立つ真似はするなよ!!」
「俺は真後ろから叩いて注意を逸らす、ヒューガルテン達はもし奴の注意が俺に向いたら集中攻撃を再度仕掛けろ!!」
「キースはロングレンジからフォロー、他に負けず矢を絶やすなよ!!」
115
:
シカゴ・クロックベル
:2012/01/25(水) 00:29:20 ID:???
>>114
「了解!」
久しぶりに戦場で指示を誰かから貰った。
自分が下級生でまだ一隊員だった頃のことを思い出す。
「今まで見たことのない汚染獣だ…老性体なのか?」
足に剄を溜め、汚染獣の体を飛び移っていく。
そして肩口の弩弓に思い切り鉄鞭を叩きこんだ。
シェリ「現在、周りに他の汚染獣の反応はありません」
116
:
第5小隊
:2012/01/25(水) 00:48:23 ID:fd.VXFnw
>>116
ヒュー「ちょwww速いってwwwww」
止まった瞬間に車輪の破壊を目論んでいたが、傷を入れただけで終わってしまうヒューガルテン。
ブルージュ「前衛散開!一旦回避に専念しろ! 後衛は援護だ!」
指示が飛ぶ。被弾すまいと散開・後退する前衛陣と
降り注ぐ攻撃を結界で防ぎ、あるいは撃ち落さんと魔弾や剄を込めた矢を放つ後衛陣。
クライアの指揮が飛ぶ。
ブルージュ「了解だ!
早まりたいのはお前だけじゃないぞ、ヒューガルテン!」
ヒュー「…う、了解っす!」
大剣を盾代わりにしつつ下がる。
ブルージュ「(体勢を整え次第突っ込んで行きかねんからな……)
いいか、ここは辛抱だ。他の小隊に魅せる気ならば機を待て!
……レフ、奴が背を向けたら俺達の影を使って奴の足元を狙え」
レフ「了解!」
117
:
ショウとヒナタ
:2012/01/25(水) 02:11:29 ID:???
>>113-116
「おいおい……!」
車輪本来の動きを無視した無理やりな転換に驚かされたが、何よりも攻撃の内容だ。
何せ、ここまで短い間隔で連射してくるとは予測の範囲外だった。
一撃を受けた時点で、二射三射と続く猛攻に呑まれ無残な死を遂げるのは想像に難くない――
「了解! リイン、先手は任せたぞ。お前が仕掛けたら続いてやる!」
脳裏に浮かんだ恐怖を掻き消す様に、大声で叫び呼びかける。
既に抜刀された刀には剄が流し込まれ、段々と真紅の光を帯びていくのが分かるだろう。
遠距離からでも強烈な一撃を見舞う彼の“十八番”の準備。
当然、クライアの忠告に従い、砲台発射口正面に立たないよう位置取りつつ、だ。
『了解。シカゴ、続くぞ!』
ショウに先んじて前線へ出ていたヒナタがクライアの指示に答える。
剄を用いたシカゴが汚染獣へと飛び移った(
>>115
)のを確認すると、一気に速度を上げて彼女の後を追った。
汚染獣の近くに迫った所で鋭く跳躍、構え、振り下ろす。
妨害さえ無ければ、シカゴが鉄鞭を叩き込んだ数瞬後に剣の一撃が打ち込まれるだろう。
他と同様に発射口前方に立たぬよう意識しているが、どうなるか。
118
:
ネクロ
:2012/01/27(金) 03:24:05 ID:SVtv/fVA
―ある日、帝国領土某所―
「ここか…」
魔道書回収の依頼を受けたネクロ、今回は少しばかり変わった内容だ。
「異界黙示文学写本……付近の魔元素を大きく枯渇される恐れのある魔道書って話だが」
ネクロは対象があるとされる場所を見回した。
119
:
魔道書
:2012/01/27(金) 03:31:13 ID:???
>>118
台座の上に古びた革表紙の魔道書が安置されている。
その昔、この土地で発見された異界黙示文学写本。
ここ数年の間に記述の一部が暴走しはじめたため、
近くに住む元宮廷魔術師の老人によって封印がなされた。
しかしその封印が弱まってきていることは、現場を見ればたとえ前情報がなくとも分かっただろう。
120
:
ネクロ
:2012/01/27(金) 03:39:09 ID:SVtv/fVA
>>119
「封印が弱ってる…仕方ないか、確か前に騒ぎが起きた時は何年か前だったらしいしな」
「…さて、回収するか」
自身の所有する魔道書、ネクロノミコンの力を確認する。万全だ。
「行くぞ…!」
暴走を抑え込むために魔道書に触れるネクロ。果たしてどうなるか。
121
:
魔道書
:2012/01/27(金) 03:43:54 ID:???
>>120
魔道書から高密度の魔力の塊が放出される。
まるで突風のようにネクロを押し戻すと、ふわりと空中に浮かび、ぼんやりと輝き始める。
放出された魔力の塊はしばらく空中を漂ったかと思うと、魔道書の下へ落下し、魔方陣を形成する。
魔方陣の中から巨大な鉈剣を携えた人影が現れた。
122
:
ネクロ
:2012/01/27(金) 03:48:45 ID:SVtv/fVA
>>121
「チッ!!」
押し戻され、体勢を立て直すと魔法陣の中から出てきた人影を見やる
「間に合わなかったか…?」
魔道書の精霊が発現したのだろうか?バルザイの偃月刀を手に警戒するネクロ
123
:
魔道書
:2012/01/27(金) 03:54:04 ID:???
>>122
鉈剣を持った人影――
身長154cmほどのかなりスタイルの良い女性が口を開く。
「ここは・・・死後の世界かしら。そしてあなたは・・・死神?」
魔道書はふよふよと浮かんだまま再び大気中の魔元素をかき集め始めている。
124
:
ネクロ
:2012/01/27(金) 03:57:06 ID:SVtv/fVA
>>123
「へ?」
突然の死神呼ばわりに驚くネクロ。彼は、魔道書の精霊が発現したと思っていたのだがどうやら違うようだ。
魔道書は変わらずそこにある…ではこの、眼のやり場に困るほどスタイルの良い女性は一体?
(魔道書が魔元素をかき集めてやがる…って事はこの女性…もしくは女性の映像は魔道書によって召喚されたものか?)
「俺はネクロ、ここは死後の世界でもなければ、死神でもない」
そっとバルザイの偃月刀を降ろす
意思疎通は出来るようだ、話してみよう
「アンタは誰だ?その…異界黙示文学写本の精霊ではなさそうだが」
125
:
魔道書
:2012/01/27(金) 04:06:46 ID:???
>>124
「わたくしはフランス国王ルイ16世の王妃、マリー・アントワネット。」
女性は鉈剣を床に突き立てて胸を張って答えると、
小柄な体躯に似合わないほど大きな胸がたゆん、と揺れた。
「その異界何某やら精霊が何かは知りません。
それよりもここは何処なのですか?
私はコンコルド広場でギロチンにかけられた・・・はず・・・。」
そこまで言うと急に震えだす。
ギロチンにかけられた記憶が蘇ったのだろう。
126
:
ネクロ
:2012/01/27(金) 04:16:12 ID:SVtv/fVA
>>125
ゴクリ
「って何がゴクリだよ!」
と明後日の方向に突っ込みを入れるネクロ。
「フランス国王ルイ16世?で、その奥さんのマリー・アントワネット?」
頭にいくつも?が浮かぶ。国も王も、ついでにこの女性の名前も何もかもが初耳だ。
しかし会話がこうして成り立ってる事から割と国境的には近いのかもしれないと判断する。
「此処はその写本が置かれてる祭壇だよ、俺はそれを回収しに…っておい、どうした大丈夫か?」
突然震えだしたアントワネットに近寄り様子を伺う。魔道書の呼びだした物なので何が起こるか分からない。
その為、バルザイの偃月刀を腰に携えたままだが。
「ギロチンって…そんな事されたら首と身体はサヨウナラだろ?こうして無事な姿で此処にいるじゃないか?な?」
とりあえず落ち着かせるために色々と言ってみる。
127
:
魔道書
:2012/01/27(金) 04:25:31 ID:???
>>126
「私はたしかにギロチンにかけられました。
それも刃が落ちてくるところが見えるように顔を上に向けさせられて・・・。」
うずくまって震えだすドレスの女性。
「それは確かなのに、こうしてお気に入りのドレスを着てここに居る・・・。
これが死後の世界でないというのであれば、ギロチンの露と消える今際の夢でしょうか。」
魔道書から再び魔力の塊が吐き出され、室内を暴れまわり、震えるアントワネットめがけて飛んでくる。
128
:
ネクロ
:2012/01/27(金) 04:31:42 ID:SVtv/fVA
>>127
(本当ならなんて酷い死にざまだ…この人、王妃とか言ってたけど反乱か何かで殺された王族って事か?)
女性を落ち着かせる為、話を聞きながら思案する。
「ここは生きてる人間の世界さ、例えそのギロチンの悪夢が本当だったとしても、アンタは今こうして此処にいる」
この通り、俺も生きてる人間だしな、と続ける。
(…異界黙示文学写本の『異界』ってそう言う事なのか?俺達の知らない世界の人物を召喚する魔道書…たとえば物語とか?でもこの人の話を聞く限りそんなおとぎ話は知らないし…)
その時魔道書が再び暴れ回るのが見えた。
「チィ!!大人しくしてろ、この暴走書物が!」
アントワネットを庇い、手をかざすネクロ。白銀の光を飛ばしながら結界が形成されて飛んできた魔道書を受け止める。
「大丈夫か?」
「」
129
:
魔道書
:2012/01/27(金) 04:37:12 ID:???
>>128
受け止められた魔道書が力なくベシャッと床に落ちると、床にまた魔方陣が広がり始める。
「あなたは優しいのですね。
これが泡沫の夢だというのなら、私は幸せです。」
庇われた王妃が熱い視線を投げかけてきている。
「どうか私をつれて逃げてくださいますか?地の果てまでも。」
ぎゅっと手を握ってキラキラした瞳で見つめてくる。
ごくごく稀に見る無自覚で発動する天然の魅了や強制の魔術の類である。
130
:
ネクロ
:2012/01/27(金) 04:42:19 ID:SVtv/fVA
>>129
「これ以上何か呼ばれる前に本格的に封じた方が色々と良い気がするなコイツ…」
と、魔道書を手に取ろうとしたら王妃様が手を握ってきた。
「え、いや泡沫の夢と言うかこれはどうしようもない現実でして…」
(って魔道書落としたのに消えないのか?一体どうして…!?)
どうにも苦手な女性のキラキラした瞳で見つめられてどうしたものかと考えていると魅了の類にかけられた時の反応を身体が起こした。
「その地の果てまで逃げるって言うか…」
(こ、この人無自覚なのかそれとも計算なのか…なんだ一体!?)
「ぬぐぐ…!」
精神力の耐性は高いネクロ、歯を食いしばってチャームを弾こうと試みる
131
:
魔道書
:2012/01/27(金) 04:48:31 ID:???
>>130
じーっと見つめている。
まるで雨の日に捨てられた小動物のような目で。
一応は魔術なのだが、悪意をもって発動させているわけでない分厄介なものだ。
その一方、魔道書の描いた魔法陣から現れたのはまたもや女性。
しかし何やら見慣れない、シャドーマンやムニョスの発明品などのような魔機の鎧に身を包んでいる。
アントワネットとの大きな違いは彼女が現れるや否や右腕を振りかざして攻撃をしかけてきたことだ。
132
:
ネクロ
:2012/01/27(金) 04:53:30 ID:SVtv/fVA
>>131
(こ、断ったら何か俺にもダメージがきそうだ…)
これが悪意を持った魅了攻撃なら本体をしばき倒すという事も出来るが、それも叶わない。
思わず『とりあえず広いからうちの工房で落ち着きましょう』とか言いそうになった時だ
「!」
またもこの有害図書が何かしら呼びだしてしまった。魔機の鎧…なのだろうか?を纏った女性。
そして突然右腕を振りかざして攻撃を仕掛けてきた為、アントワネットを後ろにやって腰に下げたバルザイの偃月刀を抜いて受け止めた!
「どわぁっ!?今度はいきなり何なんだよぉ!?」
(クソ!こうなったら書、本体を完全に黙らせるしかない!けどこの子は一体どういうポジションだ?今度こそ魔道書の精霊か?!)
133
:
魔道書
:2012/01/27(金) 05:02:02 ID:???
>>132
胸と肩、腕と足だけを覆った赤の鎧に黒いレオタード姿の女の貫手と偃月刀がぶつかり合う。
黒い女「いいだろう、ディアナ・ジンデル。あなたが刀を以って立ちふさがるというなら、私はそれを打ち抜くだけだ!」
女は泣いている。どうやら涙で前が見えていないため、誰かと間違えているようだ。
魔機の篭手の肘部分から噴出される魔力でグイグイと偃月刀を押し折ろうとしている。
魔道書は三度魔元素をかき集めているが、こう狭い空間で何度も大魔術を連続したものだからうまく行っていない。
目の前の厄介ごとだけに集中すればいいだろう。
134
:
ネクロ
:2012/01/27(金) 05:08:22 ID:SVtv/fVA
>>133
もうこの空間の魔元素はかなり薄くなっている。ネクロ自身も大きな魔術を使うのに支障をきたすレベルだ。
だがなんとかするしかあるまい。幸い、アル・アジフの機能に支障は無いのだから。
「人…違いだぁぁっ!!」
ミシミシと音を立てる偃月刀に自身の魔力を込めて増幅、ディアナと名乗った女性の籠手を力いっぱい押し返して叫ぶネクロ
「何で泣いてて誰と間違えてるか知らんが、良く眼を開いてしっかりこっち見てみろくそったれぇ!!」
135
:
魔道書
:2012/01/27(金) 05:16:03 ID:???
>>134
黒い女「・・・やるな、ディアナ・ジンデル!・・・と、人違いだと?」
目をごしごしと擦る女性。
黒い女「・・・失礼した。観客席に来てしまったよう・・・でもないな。」
落ち着いたのか女性はキョロキョロと辺りを見回す。
黒い女「失礼ついでに聞かせてもらいたい。
私は国際闘機士団の機甲闘士、アイヴィー・オルセンと言う。
ここは何処だ?アンティークコスチュームの店か?」
136
:
ネクロ
:2012/01/27(金) 05:23:43 ID:SVtv/fVA
>>135
どうやらディアナ・ジンデルがこの女性の敵だったらしい。
「……国際闘機士団?」
アイヴィーと名乗った女性の発言に、頭を痛そうに抱えるネクロ。
この魔道書はかなりとんでもない代物のようだ。
「あー…えっと、ここはアンタが言う世界ではきっとなくて…ここはアンティークな店でもない…」
「ちょっと待っててくれ、元凶を沈めてくる」
そう言いながら、魔元素を必死にかき集めている魔道書を乱暴に掴んだ
「この有害図書め!いますぐがっつり封印してやる!!」
そう怒鳴ると、ネクロは魔道書の暴走を鎮める術式を思い切り異界黙示文学写本に叩き込む。
137
:
魔道書
:2012/01/27(金) 05:36:42 ID:???
>>136
魔道書は最後に何かを召喚しかけたようだが、
不発に終わり、無事に封印された。
アイヴィー
「なんだかわからんが、ディアナどころかシーラもベッキーも居ない、
審判すら居ないならば戦う意味も無いな。」
角のついた兜のこめかみあたりを弄ると、兜が消えて顔があきらかになる。
意志の強そうなグリーンの瞳に短く切られた黒メッシュの赤い髪は男性的に感じられるが、
直前にマリーを見て麻痺してなければ十分に女性らしいと感じられる体格である。
アイヴィー
「さて、どういうことなのか説明してもらえるか?」
138
:
ネクロ
:2012/01/27(金) 05:43:28 ID:SVtv/fVA
>>137
「これ以上異文化コミュニケーションは荷が重いっての!…俺が持つより大学図書館にしまい込んだ方が良いかなぁ…」
ため息をついて魔道書を懐にしまうネクロ。回収は無事に済んだ…しかし
「えっと…さて二人にどう説明したものか…」
アイヴィーとマリーの二人に顔を向けて困り顔のネクロ。しかしその一方で…
(〜〜…直視しづらいな…二人とも)
しっかり男性的な反応は見せていた。ゴホンと咳払いをして気を取り直す。
「えっと…二人ともいきなりこんな事言われて信じられないかもしれないけど、二人が此処に来てしまったのはこの異界黙示文学写本って奴のせいだ」
自分の知る範囲で、憶測を交えてる事を明言した上で状況を説明するネクロ
「と言うわけで、こんな事になったのは俺の力不足ってのも理由にあるかもしれない、済まなかった…」
そう言って最後に謝るネクロ。
…と言ってもマリーに関しては九死に一生、と言った所なのだろうか?
139
:
魔道書
:2012/01/27(金) 05:53:33 ID:???
>>138
アイヴィー
「なるほど。つまり私とこの女は異世界に飛ばされて、帰る方法も不明というわけか。」
アイヴィーは一応魔術について多少は知っているようだが、
アントワネットは終始首をかしげっぱなしでまったく理解できていないようだった。
アントワネット
「ええと、なんだか分かりませんが、ここはフランスではなく、
私を憎んでいる人が居ないということだけは分かりました。」
そこに突如男性の声が響き渡る。
???
「おやあ?もう回収してしまったんですか?」
入り口にいつの間にか赤毛の男が立っていた。
その長身の男はニコニコと笑っているが、何かドス黒い雰囲気をまとっている。
140
:
ネクロ
:2012/01/27(金) 05:56:55 ID:SVtv/fVA
>>139
二人とも、差はあるがそれぞれの納得をしてくれたようだ。
「まあそういう認識で、どっちも正解ですね、帰る方法については俺がこれから……」
突然響いた声の方に、驚きながら振り向くネクロ。今回の魔道書回収の依頼、自分以外に請け負っていた者がいるとは聞いてないが?
何か言いようのない気配を醸し出す男に、ネクロの勘が警戒しろと告げていた。
「…何者だ?この通り、魔道書は俺が回収したが」
アントワネット、アイヴィーの二人を庇うように前に立つ。
「お前、何処の魔術師だ?」
141
:
魔道書
:2012/01/27(金) 06:01:06 ID:???
>>140
アイヴィーはアントワネットを庇うようにたっている。
男はヒラヒラと手を振りながらにこやかに話しかけてくる。
???
「そんなに警戒しないでいいですよ。
はじめまして、マスター・オブ・ネクロノミコン。
私はロブ・ヴァールさんの部下をしているエーギル・サイアードと申します。」
優しい声色だが、腹の底で何を考えているかまったくつかめない。
戦う気がないということを示すように腰にさしていた剣を外して壁に立てかける。
エーギル
「駄目元で聞いてみますが、その魔道書を私にはくれませんよね?」
142
:
ネクロ
:2012/01/27(金) 06:04:11 ID:SVtv/fVA
>>141
「ロブ・ヴァールの?…はっ、あのオカマゾンビの部下にしちゃ随分な優男じゃないか?お前もそっちの趣味の人間かい?」
挑発めいた言動で相手を揺さぶってみる…が、この手の腹の底を見せないタイプには余り意味はないだろう。
「駄目元で聞いてるんなら分かってるはずだぜ?―――駄目に決まってんだろ」
「それにこんな有害図書使って、何をする気なんだよ?」
143
:
魔道書
:2012/01/27(金) 06:12:12 ID:???
>>142
「いえいえ、私はただのしがない中間管理職ですから。」
「やっぱり駄目ですか。まあいいです。奪って来いとは言われてませんからね。」
ハァ、と大げさにため息をついてみせる。
「何をする気か、という問いの答えですが
しがない中間管理職の私には分かりません。
中途採用の私はどうやら信用されてないようですし。」
剣を再び腰に挿しながら答える。
「ま、私だったら異世界との扉を開くために使いますけどね。
さてさて、今日は挨拶だけということで。」
「また会いましょう。マスター・オブ・ネクロノミコン。」
最後に一瞬見せた鋭い目つきがその男の本性を現していた。
144
:
ネクロ
:2012/01/27(金) 06:15:51 ID:SVtv/fVA
>>143
「!」
異世界との扉、そして最後に見せた本性をはらんだ眼つきに背筋がずくりとするネクロ。
「退いたか…チッ、ロブとの決着も早くつけないとな…エルフリーダも何時までも待てないだろうし…」
ふう、と気を抜いてマリー達の方に向き直る
「変な事に巻き込んで悪かったな、とりあえず行くあてないんだったら一緒に来ないか?」
145
:
魔道書
:2012/01/27(金) 06:21:14 ID:???
>>144
アイヴィー
「あんたに付いて行けば元の世界に戻れる可能性がありそうだ。
ついでに職業斡旋所も教えてもらえるとありがたい。」
マリー
「わたくしはどこまでも着いていきますわ。」
現実的なアイヴィーと螺子が2・3本ぶっ飛んでるマリー。
146
:
ネクロ
:2012/01/27(金) 06:25:09 ID:SVtv/fVA
>>145
「ハハ…まあそれなりに責任は取らせてもらうよ…部屋が余ってる工房を使ってるから、しばらくはそこで身の振り方決めてくれ…はぁ」
アイヴィーは現実を把握してるのでおそらく大丈夫だろう。後でギルドか何かを紹介すれば上手くやってくれそうだ。
問題はマリーだ。彼女をどうするか…どうにも、戦いが得意そうでもない。別世界とは本物の王族っぽいし。
「なるようになるか…」
ともかくネクロは今回の事態を報告する為にも、落ち着く為にも帝都へと二人を伴って戻るのであった。
異界黙示文学写本:回収
アイヴィー、マリー:ネクロの工房二階にある空き部屋をそれぞれに間貸し。
147
:
リイン
:2012/01/27(金) 12:52:08 ID:2cc/NRtc
>>117
「ええ、了解ですわ……!」
右足に風が集まる
次第に空気が渦巻いた球が出来上がるが以前と違うのはその風に剄が混ざっている事だ
148
:
クライア
:2012/01/28(土) 01:57:59 ID:SVtv/fVA
>>115-117
>>147
シカゴ、ヒナタの順に繰り出された一撃が弩弓の形を大きく歪ませた。
それによりダメージを受けた戦車型汚染獣が身体を大きく揺らして左にやや傾く
汚染獣戦のセオリーの一つは一撃離脱、以前にも獅子型の汚染獣戦でやった経験が生きるだろう。
シカゴとヒナタは深追いせずに一度下がる事になる。
クライアは状況を確認する。
(ショウはリインの後詰め、そしてリインの攻撃はまだ準備がかかるか)
大型のロングソードを下段に構え、クライアは強化剄を用いて脚力を強化、素早く汚染獣の背後に接近する
「だあありゃあああっ!!!」
気合の入った叫びと共に、振り上げられたロングソードが汚染獣の背部を一閃、炎と氷双方によるダメージを与え装甲の一部を破壊した。
戦車型汚染獣は地鳴りのようなうめき声を挙げると砂煙を巻き上げすぐさま方向転換、クライアの方へと狙いを向けた。
これにより作戦通り、5小隊は集中攻撃のチャンスを得て、更にリインとショウによる敵の砲台への追撃と言う流れが完成する。
すぐさま汚染獣から離れるように後退するクライア。
「シカゴ、ヒナタ!奴の注意がこっちに来るぞ!油断するなよ!!」
149
:
シカゴ・クロックベル
:2012/01/28(土) 08:19:07 ID:???
>>148
「分かってる!」
一撃を加えた後にすぐさま飛び降り
クライアに合流する。
「見た目通り堅いな。どこかに脆い部分でもあれば別なんだが」
150
:
トッポ
:2012/01/30(月) 20:21:08 ID:???
>>148
(俺は、俺の役割を務めるんだ……!)
戦車型汚染獣に対して魔術を唱えるトッポ。
皆の目には見えにくいが、戦車型汚染獣の足元を泥化魔術でぬかるませ、スリップし易い状況を作っている。
また、氷水魔術を併用することにより地面の凍結を発生させ、移動力の低下を起こしている。
151
:
第5小隊
:2012/02/01(水) 02:03:16 ID:pg0MMWPM
>>148-150
ブルージュ「反転攻勢!」
クライアが作ったチャンスを逃さずに飛ぶ指揮。
攻撃担当の魔術師3名による魔弾、同数の射手による剄を込めた矢が乱れ飛び、汚染獣の後背に降り注ぐ。
アシスト担当による魔術でヒューガルテンら3名の前衛の足元が壁のように競り上がる。
魔弾と矢が炸裂した瞬間、
ヒューガルテン「っしゃあああ!!!!」
壁を蹴り、振りかざした大剣を叩きつけるヒューガルテン。
その両サイドからは槍使いの先輩達が同じく突きかかる。
その影に隠れ、レフが動いた。
レフ「なかなかやるじゃーん、18の魔術師くん」
汚染獣の左後輪傍に、身軽に躍り出たレフがトッポを指して言う。
言いつつ、左の篭手型兵装に剄力を込め―
レフ「けど、これはあたしの仕事、みたいな?」
兵装を媒介に生み出された剄力の棒手裏剣を、車輪の周囲に撃ち込む。
素早く数本撃ち込むと、大きく跳躍。すぐさま壁の裏側へ駆け込んだ。
トッポの魔術と剄力の車輪止めにより、汚染獣は思うままの方向転換はなしえないことだろう。
152
:
ショウとヒナタ
:2012/02/01(水) 02:32:29 ID:???
>>147-148
>>150-151
ショウは僅かにリインを見やったが、次の瞬間には汚染獣を睨みつけていた。
彼女の扱う風球の変化に気が付いたようで、しかし気に掛ける余裕は無かったのだ。
刀身に宿る真紅の剄は次第に色濃くなり、それを握る肉体も蒼白の剄に包まれていく。
他者が見れば、ショウの準備は既に整っている事が伺えるはずだ。
後は、リインと共に仕掛けるまでの間、汚染獣に狙いを定められなければ良し。
第5小隊、第12小隊、そして18小隊の仲間達を信じて待つのみ。
>>148-149
『一撃粉砕とはいかなかったか、硬いものだ』
クライアとシカゴに合流し、彼らに合わせて退避行動を開始する。
決して単独で飛び出す事無く、速度を合わせて汚染獣の反撃に対応できるよう準備を整える。
自身に手痛い一撃を加えた3人が纏まって動けば、此方へ気を向けてくれる筈だ。
……目の前の汚染獣に、そのような思考力が存在しているのか気になる所だが、さて。
153
:
クライア
:2012/02/01(水) 03:20:44 ID:SVtv/fVA
>>149-152
トッポの泥化魔術と氷水魔術によってクライア達の方へ回転した汚染獣はスリップを起こす。
すぐさま態勢と整えようと車輪を回そうとしたその時、レフの棒手裏剣が車輪の輪の中に巻き込まれてガガガガガガガと車輪がぶつかる不快な音が響く。
さらにヒューガルテン等前衛、後衛の矢、魔弾攻撃の嵐
クライアの一撃にダメージを受けていた背部装甲が砕け、戦車型汚染獣の内側の細胞が露出する。
鎧の内側はグロテスクな細胞が蠢いていた。
しかしこの攻撃が効いたのか、戦車型汚染獣は右側に傾きなんと斜めになってしまった。
滑稽な状態だが笑ってる場合ではないのが残念だ。
しかし高さが下がった事でリインとショウはより狙い安くなったはずだ。
「よし、ショウ達がかましたらもう一度両肩の装備にアタックだ!!」
154
:
リイン
:2012/02/01(水) 03:21:56 ID:2cc/NRtc
>>152
渦巻く空気弾を右肩の砲身へと蹴り飛ばす
「ジャイロシュゥゥウトッ!!!」
以前のよりも倍の勢いで放たれる空気弾
さらに蹴りの勢いを利用し更にリインは連続で空を蹴る
「エア・レイン!!!」
空気弾に加え、上から真空刃が雨の如く降ってくる
相手が固くても傷位はつくだろう
155
:
ショウ
:2012/02/01(水) 03:48:56 ID:???
>>153-154
(これは……チャーンス!!)
滑稽な様を見せる汚染獣を尻目に、刀の柄(ギア)を何度も捻り上げた。
一度、二度、三度と回転した所で、刀自体が不気味に激しく振動を始める。
ショウの術式兵装【風月・紅】に備わる、剄技の威力を爆発的に増幅させるギミック――久々の披露である。
(さん)
リインが脚を振り上げる。
(にい)
強烈に渦巻く空気弾へとしなやかな脚蹴りが迫る。
(いち)
空気と脚が衝突し、擬似的な実体となった空気の弾が瞬間的に歪む。
「――――行って来い!!!!」
空気弾が放たれるその刹那、刀は振り上げられた。
濃密な真紅の剄エネルギーは、刃の軌道に従い大型の衝撃波を象り上げる。
当然、狙いは一点。
超高速を以て空を裂き、一直線に迫り行く赤い斬撃その威力。
例え汚染獣の装甲と言えども、無傷で済む筈も無い――!
156
:
第5小隊
:2012/02/01(水) 03:49:34 ID:pg0MMWPM
>>153
槍使い「装甲割れたぜ!」
ヒュー「ちょwグロwww」
一芸に秀でた者の多い第5小隊がなしえる最も効率のよい攻撃、それは機を見計らい行う怒涛の攻撃。
指揮とサポート、魔術同士のコンビネーション……それらが噛み合わなければうまくはいかない。
それを成功させるには、団結と訓練、そして実戦経験とが物を言う。
そう、彼らは決してサボってばかりではないのだ。繰り返す、常にサボっているわけではない。
ブルージュ「装備への再アタックと同時に、奴の装甲の穴に撃ち込む!
後衛、撃ち方用意!ガイドを付けられんのは厳しいが、その分出力を上げろ!
前衛は一度下がれ!」
157
:
クライア
:2012/02/01(水) 04:06:40 ID:SVtv/fVA
>>154-156
リインの撃ち放った空気弾が砲台に直撃し、装甲を破壊する。
さらに上空から放たれた真空刃がむき出しになった背中の細胞を荒々しく切り刻み傷つける
そして、駄目押しと言わんばかりにショウの最大強化の斬戟
タイミング的にはリインの空気弾とほぼ変わらぬタイミングで放たれたそれは、破壊された砲台の装甲の中に抉りこみ―――
砲身を見事に横一閃の真っ二つにして見せた。
その攻撃の衝撃で傾いていた汚染獣は元の状態に戻るが、危険な右砲台の破壊に成功した。
泥水となった地面を無理やりえぐり取るように車輪を回した汚染獣は向きを変える、5小隊の方――ではない
戦車型汚染獣はカーツの方に身体を向けるとなんと自ら胸部を切り裂くようにして開いた。
マスクをしていなければ痛烈な悪臭で呼吸困難になるだろうと分かる緑色の煙を噴きだしながら
さらけ出された胸部の中の無数の触手が蠢きなら、中央から柱のようなものが粘液塗れになって飛び出した。
「――――巨大砲身…!?」
クライアがその姿に気づいた次の瞬間、耳の奥がキーンと痛むような轟音と共にそれは放たれた
そして爆音、この場にいた防衛小隊の中で欠けた者は誰一人としていない
しかし、最悪な事態が起こってしまう
カーツの巨大城壁に、再び大穴が空けられてしまった。とてつもない威力だ。
そして汚染獣は砲身をしまい、カーツに向かって侵攻しようと破損した車輪を回す。中に入り込んで『餌』で身体の損害を補うつもりなのだろう。
そしてシェリの端子はその瞬間を見逃さなかった。
巨大砲身を曝け出した瞬間、この汚染獣にとっての重要器官の殆どがむき出しになる事を。。
「!?……と、都市内は13小隊と残った隊員に任せてある!奴らを信用しろ!!さっさとこの化け物を倒すんだ!」
動揺し、思わずカーツに後退しようとした自分を自制するように叫ぶクライア。
冷静さを取り戻す為だったのか、唇を強く噛んで血を流しているのがマスク越しにも分かった。
「敵汚染獣は弱っている、このまま抑え込んで倒すんだ!奴の巨大主砲の前には絶対に立つな!!」
158
:
第5小隊
:2012/02/01(水) 04:27:14 ID:pg0MMWPM
>>157
砲台を両断したその空気弾と斬撃に、おお、というかすかな感嘆が5小隊のほうから起こった。
半ばは嫉視、ないし反感を含んではいたが……。
だが、それは一瞬で砕かれた。
ブルージュ「伏せ……」
轟音が引き裂き散らす指令。爆音が消し飛ばす勝利への自信―
ヒュー「あ、あ、あれ……なんなんだよぉ……」
動揺が感嘆に取って代わられた中、腰を抜かしたのかへたり込むヒューガルテン。
ヒュー「あんなのが……あんなのが俺の……」
先輩隊員「おい、何腑抜けてんだおめえよお!」
ブルージュ「うろたえるな!」
第5小隊隊長・ブルージュの怒号が戦場の全員の鼓膜に響き渡る。
ブルージュ「クライアの言うとおりだ、中の連中を信頼しろ!
弱っているのは確かだ。前方に回りこまず、後背の穴に攻撃を集中させろ!
だが、無理に押さえ込もうとはするなよ、振り落とされるのがオチだ!」
身軽なレフが先陣を切って駆け出した。これで他の者も続くだろう。
クライアの近くに寄るブルージュ。
ブルージュ「さすがだなクライア。お前が総指揮でなければおれはあんな事言えなかった」
159
:
クライア
:2012/02/01(水) 04:37:04 ID:SVtv/fVA
>>158
再び攻撃を再開する事で汚染獣の動きは止まるだろう。
少なくとも右肩の砲台が無力化出来たのは大きい。
「…何時もだよ」
口端から唇を噛んででた血をたらして、悔しげにつぶやく
「忘れた頃に、安堵した時に何時も奴らは思いださせやがる…汚染獣の恐ろしさを」
グッとロングソードを握る手に力を込める
「俺こそ助かったブルージュ、お前みたく一括するのは…得意じゃないからな」
「冷静にいこう、俺達の目的はコイツの撃破だ」
160
:
第5小隊@都市内
:2012/02/01(水) 04:43:50 ID:pg0MMWPM
>>157
アノ「よし、このエリアの避難確に……」
その時―爆音が崩壊を奏でた。
「う、嘘だろ……」
「外の連中は何やってんだァ!?」
都市に残った第5小隊は、基本的に支援型の者達が大多数だ。
防護壁に空いた大穴と、迫り来る異形の汚染獣の姿に怯んだとて、無理はない。
ハイネケン『アノニマス、向かってはいるが攻撃を喰らった詳細な位置を教えてくれ』
メダル型の端子を通じてハイネケンが念話を送って来た。
アノ『わ、わかったっす! ―』
ハイネケン「ロシュ、新型の性能期待していいんだよな」
2人を引きつれ、攻撃で空いた穴の下へと走るハイネケン。
161
:
ショウとヒナタ
:2012/02/01(水) 05:19:02 ID:???
唖然として、大穴を空けられた城壁を見つめている。
咄嗟の事で対応出来ず、塞げなかった耳を通して響く頭痛も放たれた一撃が掻き消してしまった。
頭の中では様々な軽口が駆け巡っているのだが、言葉にしようとすると不思議と出て来ない。
代わりに出てくるのは引き攣ったような笑いだけだ。
(ああ、ビビってんのか、俺)
クライアの指示と、ブルージュの一喝で、呆けた意識が定まり思考が漸く纏まった。
防護服の奥で震える手、感じているのは紛れも無い恐怖。
クライア達から離れ、こちらへ駆けてくるヒナタの姿を見る。
『ショウ、大丈夫か』
「……だいじょうぶ」
『声が震えているぞ……無理はするな。
汚染獣も既に瀕死だ、キツいのなら休んでいると良い』
“怖いのなら”――そんな、弟の自尊心を傷付けるような物言いを避け、ヒナタは優しく話す。
「だいじょうぶ……大丈夫だよ、姉さん。怖いけど」
姉の気持ちを見通したかのように、ショウは笑って答える。それは先程のような引き攣った物ではなく、
「怖いけど――怖いって事は、俺は生きてる。生きてるんだから、俺は戦えるよ」
刀の柄を握り締め、汚染獣を見据える。
見据えるその瞳から、恐怖という感情は消え失せていない。だが、戦う者としての意思は確かに宿っている。
空いた左手でヒナタの手を握ると、決着を付けるべく駆け出した――。
>>157-158
二人の元へ、男女の隊員が駆け寄ってきた。ショウとヒナタだ。
ブルージュとしては『先程、汚染獣に強烈な一撃を見舞った隊員がやってきた』――その程度の認識だろうか?
「クライア隊長、僕達も他の隊員に続いて仕掛けて宜しいですか?」
(おそらくは)慌てる隊員が多い中、比較的落ち着いてショウが問い掛けてきた。
二人とも動く事に問題は無さそうだ。指示を下せば、その通りに従って行動してくれるだろう。
162
:
リイン
:2012/02/01(水) 06:35:01 ID:2cc/NRtc
>>157
勝てる、そう一瞬気が緩んだ時あの脅威の一撃を垣間見る
リインは体の中で巡る血が一斉に抜けるような感覚を感じ、ただ汚染獣を眺めるしか出来なかった
163
:
トッポ
:2012/02/01(水) 11:13:35 ID:???
>>157
トッポは、巨大砲身が露出してからの一連の流れを眺めていた。
武芸者達より一歩引いた位置から、静かに状況判断に務めていた。
「せっかく弱点がわかったんだ。それならもう一度攻めて、あの弱点をさらけ出させるしかねえ……!」
それは、クライアの指示とは異なり、“巨砲の前に立つ”ということかもしれない。
しかし、決定打を与える方法としては、最善の策のようにも思える。
「奴の注意を、もう一度こっちに!!」
戦車型汚染獣の前の地面が半ドーム型に盛り上がり、戦車型汚染獣の移動を妨げる。
164
:
シェリ・ハインドマン
:2012/02/02(木) 00:17:48 ID:???
>>157-163
「次に巨大な砲身を出した時に、一点集中で攻撃するのが一番だと思います」
端子がその場にいる全員に散らばり声を届ける
ただ、と付け加え
「ただ…失敗すれば確実に命を落とす上に
都市の壁も崩壊します」
165
:
エスメラルダ
:2012/02/02(木) 02:10:19 ID:???
カーツ内部、巨大砲の一撃で混乱に陥った市民たちをなだめるエスメラルダがいた
「落ち着いてください!必ず汚染獣は撃退されますから、今は避難の誘導に従ってください!」
あまり慣れてはいないが、それでも一生懸命にもうひとつの戦いを彼女達は行っているのだ
166
:
ネクロ
:2012/02/09(木) 03:55:42 ID:SVtv/fVA
―ある日の事、ネクロの工房近く―
道具屋を新装開店したリビアの元に、一つ注文が届いた。
それは結構な量の調合実験用の素材。場所はスラム街にある元貴族の別荘。
そこは現在、一人の青年魔術師によって個人的な工房に改装されている。
注文された調合素材は発注のような注文で、リビアの性分や店本来のシステムだったらもしかしたら普段はやらないかもしれないが、宅配と言う形を取られていた。
そうして現在リビアは件の工房の前にいる。一応は改装されており廃墟と言う印象ではないが、しかし人一人が使ってるにしては無駄に広そうだ。
よほど主は酔狂な人物なのかもしれない。
―ネクロ工房地下―
今日も工房地下でネクロは一人魔銃を使用した的当てを行っている。
日課になると、やらないで過ごすのは気持ち悪いとの事。この工房を間借りしてる者、あるいはよく此処を訪れる者ならば聞こえてくる銃声に「ああ、またやってるな」と言う印象を受けるだろう。
「ふう…さて、そろそろ届けモノが来る頃かな?」
167
:
名も無くもない魔法道具屋
:2012/02/09(木) 04:07:39 ID:???
>>166
「はぁ……こう言うのは俺の性分じゃないんだがな。
しかもなんだ、このでかい屋敷は。俺の店と比べると悲しくなる程でかいぞ?
大体、何であの居候は毎朝早くから出ていくんだ。ろくに店番も頼めやしないぞ、何の為に拾ったと〜……」
言ってもどうにもならない愚痴を零しつつも、一応仕事はこなしに来たリビアであった。
呼び鈴を鳴らし、屋敷の主でも使用人でもいいが、とにかく誰かを呼び出す。
彼の今の心は「早く帰りたい」という気持ちがあふれ出しそうな位に満杯だった。
168
:
ネクロ
:2012/02/09(木) 04:14:50 ID:SVtv/fVA
>>167
待つこと一分近く、屋敷もとい工房の主が出てきた。
何処か見覚えのある銀髪の青年だった。
「はいはいこんなトコまで御苦労さんと…って、新しい道具屋ってアンタの店だったのか」
数えるほどしかあった事がなかった(はず)相手だが、ネクロは覚えていたようだ。
「えーっと、名前なんだっけ?改めて言うと俺はネクロだ」
「金が上だからその調合薬諸々一緒に運び込んでくれよ」
そう言うと、ネクロは工房に道具屋を招き入れた。
169
:
ハイパティア
:2012/02/09(木) 04:16:34 ID:???
>>168
どさくさに紛れて紙片化してドアの隙間などから侵入する。
別にたいした意味があるわけではなく、ただのいたずら心である。
170
:
名も無くもない魔法道具屋
:2012/02/09(木) 04:20:07 ID:???
>>168
扉を開けて出てきた男に、リビアは少し驚いているようだった。
まさかあの良い人オーラ全開のお節介焼きがこんな屋敷を持てるほど儲かっているとは……と。
「ん? あぁ、俺はリビア・ベルビュート・ファミリアという。リビアでいい。
……そういうお前は確か、ネクロだったか。随分と景気がいいみたいだな?」
ネクロに着いて歩きながら、指を動かす。
すると地面に置いてあった注文の品一式が詰められた箱が宙に浮かび上がり、リビアに追従する形で動き始めた。
>>169
「ん?」
今何か、通った気がしたが……気のせいだろうか。
171
:
ネクロ
:2012/02/09(木) 04:27:35 ID:SVtv/fVA
>>169
「ぬ?」
風が通ったかのように侵入するハイパティア。
ネクロは何か通ったのかと視線をキョロキョロさせている。
「気のせいか?なんか覚えのある気配と言うか雰囲気と言うか…」
(…一瞬、何かの頁が見えたが…)
「まさか、ハイパティアか…?いやいやまさかな、神出鬼没なアイツが滅多に此処に来るわけ…」
>>170
「あー、そうそうリビアだったなリビア」
二階の客間へと通されるリビア。
「景気が良い?いやいやまあ、そんな事はないぜ…この屋敷だって廃墟同然で正式な持ち主がいなかった所を安く買いたたいただけだからな」
そして注文の品を確認する。
「ん、確かに調合薬諸々だな、サンキュー」
しかし膨大な量だ。こんなに一体何を調合すると言うのだろうか?
172
:
ランタナ
:2012/02/09(木) 04:32:14 ID:qC9BcMdw
>>169
「ん?」
唯一気付いたのはドールらしい。
「おーい」
ネクロらに聞こえないように話しかけてきた。
173
:
ハイパティア
:2012/02/09(木) 04:35:12 ID:???
意味も無く気配を殺して客間へついていこうとする。
>>172
紙片がピクリと動きを止める。
一箇所に集まって小型体を作り出すと口に指を当てて「しーっ」とジェスチャーをする。
174
:
名も無くもない魔法道具屋
:2012/02/09(木) 04:37:17 ID:???
>>171
「ほう、そいつは羨ましい限りだな。
しかし買い叩いたと自ら言うとは、さぞ不動産屋にむごい言葉責めをしたんだろうな、ふーん……」
やたらとネクロに食ってかかるリビアであった。
そんなにデカい家に住む奴が憎いかお前。
「そういえばさっき、銃声の様な物音が聞こえたが……
クレムリンとかいうアカくさい連中に貰いでもしたのか?」
この世界での銃は、基本的にクレムリンという組織のみが使用する武器だ。
どこぞには銃の形をしたアーティファクトもあったが……まぁそれはどうでもいいだろう。
175
:
ランタナ
:2012/02/09(木) 04:37:49 ID:qC9BcMdw
>>173
「(わかってるよ☆)」
同じく口に指を当ててしーっ……
リリウムに作ってもらったドレス(結構お気に入りらしい)の裾からメモを取り出して何か書いてみせる。
”なんでこっそり?”
176
:
ハイパティア
:2012/02/09(木) 04:42:51 ID:???
>>175
空中に人差し指でぼんやり光る文字を書く。
“意味は無いけど、何か面白そうだから。”
さらに続けて
“せっかくだから上まで連れて行ってくれないかしら?”
と書いて肩にとまる。
177
:
ネクロ
:2012/02/09(木) 04:44:53 ID:SVtv/fVA
>>173-175
「い、いや…不動産も紹介状があったからさ、割とすんなり…」
食ってかかられて困り顔のネクロだ。
「ああ、銃?そうだな、結構前にクレムリンから買ったんだ…偉く怖い買いものになってたけど…」
どこか遠い目をしている。
「実はな、今回ちょっと久々な依頼が届いてな…なんでも調合して「紙」を作ってほしいと言われたんだ」
と、客間のテーブルの上には大量の紙片が置かれていた。
これはもしかしたらハイパティアには好都合?
「それで経費出してくれるって言うから調合薬買う事にしたわけ…しかし、今日日調合紙なんて何に使うんだろうな?」
こんな話をされてもリビアは知った事ではないだろう。
しかし、一応まがりなりにも商売をやるリビア、そして一歩先に出る魔道書であるハイパティアはテーブルに置かれた材料を見たら、その調合紙の用途が分かるかもしれない。
この材料で生まれる紙の材質は
紙幣に限りなく近いのだ。
178
:
ランタナ
:2012/02/09(木) 04:46:41 ID:qC9BcMdw
>>176
こくこくと肯く。納得したらしい。
文字と肩に止まったちびパティアを交互に見る。
「……。」
と、何か閃いた顔でサムズアップ。OKらしい。
極力足音をたてないように2階の居間前まで歩き出した。
179
:
名も無くもない魔法道具屋
:2012/02/09(木) 04:51:22 ID:???
>>177
「成る程な、やはり奴らか」
クレムリンから銃を買ったと聞き、何やら一人で納得し出した。
風の噂ではクレムリンも異世界から来た者達なのだと聞く。
(忘れがちだけど)別の世界の住人だったリビアにも思う所があるのだろう。
「調合紙だと? ちょっと注文した物を確認させてもらうぞ」
ネクロから今渡したばかりの注文票を奪い取り、自身の知識と比べ合わせる。
「この組み合わせ…………そうか、この手があったか……」
180
:
ネクロ
:2012/02/09(木) 04:57:46 ID:SVtv/fVA
>>178
二階の客間前でハイパティアと共に接近するランタナ。
ネクロは何やら客と話し込んでいる。テーブルの上には大量の書物、調合薬、紙片。
>>179
「ん?アンタ何か心当たりあるのか、この材料で作れる紙に」
どうやらネクロは知らずに制作依頼を請け負っているようだ。
この紙をただ利用するだけなら犯罪にはならない。
しかし、これが万が一、もしも…偽金の作成に使われてしまったら
ネクロも平穏無事とは行かないかもしれない。
181
:
ハイパティア
:2012/02/09(木) 05:04:28 ID:???
>>178
成り行きに任せていれば面白いだろうと考えていたが、
テーブルの上のものを見て眉をひそめる。
“ちょっと気になるわね。半分だけ先に行くわ。”
>>180
器用にもう一体ちびパティアを作り出す。
ちびBはパタパタと天井まで飛んでいくと、そのままテーブルの真上まで天井伝いに移動し
じーっと観察している。
182
:
ランタナ
:2012/02/09(木) 05:08:20 ID:qC9BcMdw
>>180
「(紙かー……)」
ちびパティアチラ見。間違いなくさっきの紙片モードのこと考えてる。
ちなみに、この世界の紙幣がどんな材質なのかはさっぱりわかっていない。
またメモを取り出して何か書く。
”あの紙に紛れ込んで脅かしちゃおうよ”
>>181
と、いたずらっこの顔でパティアに見せたのと同時に光の文字。
そしてちびBが飛んでいく。
「(あれ、なんかある感じ?)」
183
:
名も無くもない魔法道具屋
:2012/02/09(木) 05:15:32 ID:???
>>180
一瞬よからぬ企みを思いついてしまったが、ネクロの声で正気に戻る。
「いかんいかん……。
……まぁ、知らないといえば嘘になるな」
これでもかつては真っ当に魔術師を志した男である。
そんなこんなでリビアは魔術の類に関しては人一倍詳しいのだった。
「ネクロ、お前も調合紙である事のメリットは知ってるな?
まぁこれは幾つもあるが……その中でも今重要なものが1つある」
「調合紙は鑑識が非常に難しいんだ。
素人目……いや、熟練の錬金術師が作ったものなら、専門家でも手を焼くほどにな」
184
:
ネクロ
:2012/02/09(木) 05:20:14 ID:SVtv/fVA
>>181-183
ちびパティアBが確認すると、テーブルの上に置かれているのは調合紙の材料や道具だった。
そして、リビアとネクロの話が不穏なものになっていく。
「ああ、確かに聞いた事があるぜ?調合紙は緻密な調合の過程で色んなモノに対してそん色ないって聞いたことがあるが…」
「それが何だって言うんだよ?術式の模写に使うくらいなものだろうに」
185
:
ハイパティア
:2012/02/09(木) 05:21:05 ID:???
>>182
“それも面白そうね。”
と答えてからBと何やらコンタクトをとるA。
“食べてみないとわからないけど、ひょっとしたら厄介ごとに巻き込まれてるかもしれないわ。”
とAが答える。
“で、紛れ込んで脅かしてみようかしら?”
186
:
ランタナ
:2012/02/09(木) 05:26:13 ID:qC9BcMdw
>>184-185
「(厄介ごと?)」
首をかしげるランタナ。
が、脅かしてみようとの提案が出た瞬間、首を勢いよく縦に振った。
そんなことよりイタズラのようだ。
メモにまた何か書く。
”ちょっと触っていい? さすがに見ただけじゃ化けられないかも”
187
:
ハイパティア
:2012/02/09(木) 05:28:16 ID:???
>>186
“・・・化ける?”
“なんだかわからないけど、別にいいわよ?”
実害は無いと判断したようだ。
188
:
名も無くもない魔法道具屋
:2012/02/09(木) 05:30:54 ID:???
>>184
「お前は本当にお人好しらしい……」
右手で呆れ顔を覆い隠し、続けて言う。
「確かに、魔術師が持ち歩いている術式書もその多くは調合紙が使われている。
これは魔術の外部流出を防ぐ目的もあっての事だが……それはいいとして。
これからお前が作ろうとしている物はそれらの用途とは異なるんだ」
「お前が俺に注文した原材料を使って調合紙をちょちょいと作るとな、出来るんだよ。
この世界の基軸通貨、その紙幣の材質によく似たものがな……」
189
:
ランタナ
:2012/02/09(木) 05:34:39 ID:qC9BcMdw
>>187
表情をキラキラさせるランタナ。
「(魔道書の中身まで真似るなんて初めてー☆)」
ちびパティアAに右手で触れる。
左手の人差し指でなぜか眉間を押さえながら。
パティアの”性質”を読み取りはじめる。
といっても、パティア自身には何の実感もないだろう。
「(と、いっても紙になれる要素がわかったらやめておこう……壊れたくないし)」
190
:
ネクロ
:2012/02/09(木) 05:40:00 ID:SVtv/fVA
>>188
「…ま……」
唖然とした顔になるネクロ、そこまで言われて事態に気付いたらしい
「まっさかー!そんな事あるわけねぇだろう?冗談キツイってリビア君てばもー!」
まさか自分が犯罪の片棒を担がされそうになっていた事が信じられない、と言った様子だ。
「いやいやいや、依頼主は真面目そうな奴だったしそんな偽金なんてまさか…」
と言いつつ調合薬や紙を見ている
「…マジなのか?」
ごくり
191
:
ハイパティア
:2012/02/09(木) 05:43:52 ID:???
>>189
何をやっているのだろうと両パティアともに首をかしげている。
他の魔道書を吸収することでどんどん強くなる魔道書。
魔道書に限らず様々な本を吸収しているため雑多な記述で攻撃系の記述はほぼブロックされている。
変身についての情報は割りと浅い階層にあるが、紙片化しての移動やチビ/リアル精霊体、
そして魔道書型の他にももう一つ、意識的に封印されている姿もあるようだった。
192
:
名も無くもない魔法道具屋
:2012/02/09(木) 05:44:01 ID:???
>>190
「誰がリビア君だ、誰が!」
くん呼ばわりされるのはどうも気に召さないらしい。
意外にナイーブ、というより我がままだ。
「マジもマジ、大マジだ。もっとも……お前が俺を信じるのなら、だが?」
193
:
ネクロ
:2012/02/09(木) 05:50:08 ID:SVtv/fVA
>>192
「……お前を正面から疑うわけじゃないが…」
「試しに一つだけ作ってみよう…で、俺が確証もてたらそのあとで考えるとしようぜ」
頭に手をおいてため息。
結構参ってる様子だ。
「しかし迂闊だったな…そんなもの作らされそうになってたなんて…」
194
:
ランタナ
:2012/02/09(木) 05:50:15 ID:qC9BcMdw
>>191
「(うわ、すご……これ全部読んだらコアまで割れそー)」
まもなく変身要素ににたどり着く。
「(なるほどなるほどー……ん?なにこれ封印中?)」
気にはなったが、今必要な分は得たので深入りせず手を離す。
「―mimic」
ドアから離れ、一度階段まで戻ってから工房の主と客人に聞こえないようにつぶやく。
そのボディを藍色の光が一瞬包む。
”おまたせ、準備オッケー”
ちびパティアに化けた状態で、ちびパティアの前に戻ってきた。
光文字を書くことまでまねしている。
195
:
ハイパティア
:2012/02/09(木) 05:54:11 ID:???
>>194
“・・・相手のコピーなら私も作るけど、自分がされると何か気味悪いわねえ。”
“じゃ、行きましょうか?”
そっと室内に入って物陰からテーブルへ近づいていくちびA。
196
:
名も無くもない魔法道具屋
:2012/02/09(木) 05:54:38 ID:???
>>193
「あぁ、それがいいだろう……偶然という言葉もある事だからな」
リビアも自分が確証もなしに信用されるとは思っていないらしい。
もしネクロがそこまでお人好しだったら、この場で思い切り罵倒していただろう。
「しかし仮に俺の言った通りでも、その依頼は受けるべきだと思うぞ。
お前は噂では面倒事を抱え込むのが趣味だそうじゃないか、ちょうどいいだろう」
リビアなりに色々考えているんだろうが、今いち優しく言えないようだ。
197
:
ランタナ@ちびパティア
:2012/02/09(木) 05:55:42 ID:qC9BcMdw
>>195
”だよねー。でもこれがおいらなんだ”☆
注:実際には☆は書いていません。
同じくこっそりテーブルに近づくちびパティアC…もとい、ランタナ。
198
:
ネクロ
:2012/02/09(木) 05:57:48 ID:SVtv/fVA
>>196
「そんな趣味はねぇよ、俺どんだけ変人って思われてるんだよ…」
と、調合薬をいくつか用意してあったフラスコの中に入れて紙の束へと近づく
「えーとじゃあ適当に…」
>>194-195
テーブルに到着した時、丁度ネクロもテーブルに近づいていた。
紙片の山が上手い事影になって気付かれてはいない。
ネクロはおもむろにその中の一枚を取ろうと手を伸ばしてきた
199
:
ハイパティア
:2012/02/09(木) 06:03:09 ID:???
>>197
“私が気を引くから、その隙に潜り込むわよ?”
上を指差す。指差した先ではパティアBが手を振っている。
>>196
,198
と、そこに空中から降ってくる掌サイズの金髪の少女(のような何か)。
ネクロは見覚えがあるだろう。マギウス化していた際の小型精霊化したハイパティアである。
着地したチビパティア(B)は調合紙に滑って転ぶ。
そのどさくさに紛れてパティア(A)も紙片化して紛れ込んだ。
「グーテンモルゲン、マスターオブネクロノミコン?」
何事も無かったかのように挨拶する。
200
:
ランタナ@ちびパティア
:2012/02/09(木) 06:06:23 ID:qC9BcMdw
>>198-199
指でOKサイン。
「(レッツゴー☆)」
同じくちびパティアBが転んだ瞬間に紙片化し、紛れ込む。
201
:
ネクロ
:2012/02/09(木) 06:07:26 ID:SVtv/fVA
>>199-200
「え?」
調合用の紙を取ろうとして手を伸ばすと、その上にちっちゃいハイパティアが落ちてきた。
その上に優雅な挨拶で何事もなかったようにされた。
「よ、ようハイパティア…何時もいきなりだな」
たはは、と笑いながら彼女を丁重に紙の横に置くと、束にして何枚かを手にした。
きっと手にされた紙片の中にハイパティアAとランタナも紛れているだろう。
「今からちょっと確認で調合紙を作るとこだったんだ」
と、グツグツと調合薬が温められているフラスコに近づいた。
202
:
名も無くもない魔法道具屋
:2012/02/09(木) 06:09:06 ID:???
>>198
「そうか……。まぁ、情報源が街での主婦の会話では、元より信憑性の欠片もない情報だったな」
などと言いながらネクロを見守りつつ、片手で術式を展開する。
リビアの足元から風が吹き、それに合わせて腰を下ろしたリビアの体を風が持ち上げる。
言うなれば風の椅子といったところか。
>>199
「ン……?」
風の椅子に座りながら、ハイパティアとネクロの様子を眺める。
203
:
ハイパティア
:2012/02/09(木) 06:14:19 ID:???
>>201
B「ちょっとたずねたいことがあったから来たのだけど、
こっちのほうが気になるわね。」
足跡がついた紙を拾い上げてムシャムシャと食べ始める。
B「話は聞かせてもらったから、多分確認したいことは同じね。」
>>202
B「そちらの方は初めまして。
私は呪詛の預言書(スケアリー・サーヴァント)ことハイパティア。
今は訳あってマスターオブネクロノミコンに協力しているただの野良魔道書よ。」
ドレスの裾を持って丁寧にお辞儀する掌サイズの少女。
204
:
ランタナ@ちびパティア紙片モード
:2012/02/09(木) 06:16:52 ID:qC9BcMdw
>>201-203
「(わわわ!?)」
内心焦り倒す。が、
「(いやまだまだガマンガマン……)」
ネクロが掴んだ紙片の一部が軽くがさがさ音を立てた。
205
:
ネクロ
:2012/02/09(木) 06:19:26 ID:SVtv/fVA
>>202
「近所の奥さま方には俺はどんな人物に見られてるんだか…」
>>203
「尋ねたいこと?っておいおい…紙食べるのかよ」
「確認したい事が同じ?」
>>204
「えっと紙の量はこれで良し、あとはこの調合薬で溶かして固めて…ん?」
手にした紙片をマジマジと見つめる
「擦れた音かな?」
206
:
名も無くもない魔法道具屋
:2012/02/09(木) 06:22:01 ID:???
>>203
「魔導書だと……?」
つい最近、リビアの下にもそれは大層憎らしい魔導書が迷い込んだ。
色々あって、彼は今魔導書に対して嫌悪感しかない状態なのだ。
その為、声色が少し険しくなってしまったかもしれない。
「(しかしどうも、家のろくでなしとはまるで違うようだな)」
そりゃね……というのは中の人のry
>>204
「(紙が動いているような気がするが、目の錯覚だろう。最近疲れているしな……)」
207
:
ハイパティア
:2012/02/09(木) 06:25:32 ID:???
>>204
「今よ。」
ぼそりと呟く。ネクロには紙の擦れる音に紛れて聞こえないだろう。
>>205
紙片に何かぼんやりと光る文字が浮かぶ。
“気づかないなんて、おばかさぁん♪”
ポコーンと飛び出して額にキック(サイズ的にデコピンぐらい)し
羽を生やしてパタパタと目の前にホバリングしはじめるパティアA。
パティアBもそれを見てニヤニヤと笑っている。
>>206
「あら?何か気に障ったかしら?」
珍しく小ばかにした様子がない。意外とアドリブには弱いのだ。
208
:
ランタナ@ちびパティア紙片モード
:2012/02/09(木) 06:28:34 ID:qC9BcMdw
>>205-207
「(あぶなっ……気づかれるところだっt……お)」
よく見ると、若干藍色っぽい紙がある。
紙に光文字が浮かんだ瞬間―
藍色っぽい紙が勝手に派手に動き出しばさばさと手からこぼれだした!
それは勝手に一箇所に集まり、ネクロの目の前に居るちびパティアのシルエットになっていく……
ように見える
209
:
名も無くもない魔法道具屋
:2012/02/09(木) 06:28:57 ID:???
>>205
「さぁな、俺が聞く限りではろくでもない人物という印象だったが」
>>207
「いや……こっちの話だ。悪いな」
自分の都合を相手に押し付けても仕方がない。
例えそれがリビアの1/3にも満たない身体の少女の姿をしていたとしてもだ。
210
:
ネクロ
:2012/02/09(木) 06:34:26 ID:SVtv/fVA
>>207-208
「あいたー!?」
飛び出したパティアのキックがネクロの額に直撃する。デコピンの不意打ちを喰らったような感じか。
「て、テメェハイパティア!久々にきたと思ったら人をからかtt…ってうおお!?」
勝手に紙片の一部が飛び出し、その結果手にしていた紙束の殆どがばさばさ落ちてしまう
しかもそれはまたちびパティの形になってるように見える
「ハイパティア…イタズラもそこそこにしておかないと…!」
>>209
「なんでそこまで言われにゃならんのだ…!ゴミ出しだって守ってるし近所付き合いはきちんとしてるつもりだし教師職だって多分全うしてるってのに!!」
と嘆いてもちびっちゃいハイパティアやランタナにおちょくられてる様で言っても説得力皆無だ
211
:
ランタナ
:2012/02/09(木) 06:36:27 ID:qC9BcMdw
>>210
「Cancelっ」
と、見せかけて軽やかなドレスを着た藍目のドールになった!
「じゃじゃーんっ☆」
手には「ドッキリ大・作・戦☆」の看板。
どこから出したって? あー、たぶんパティアの記述の一部真似たんだよ。
212
:
ハイパティア
:2012/02/09(木) 06:36:53 ID:???
>>209
「そう?それならいいわ。」
紙片の残りを食べて何か分析をしているようだが、
これを見て魔道書の主食が紙だと誤解するかもしれない。
>>210
「そういう驚いた顔を見るのが楽しいから遊びに来ているのだけど?」
ニヤニヤ笑いながらハイパティアC(ランタナ)を見ている。
213
:
名も無くもない魔法道具屋
:2012/02/09(木) 06:42:17 ID:???
>>210
「俺に言われても困る……。
まぁ仕方ないだろう、一度ついたレッテルは中々剥がせるもんじゃないんだから」
>>212
名前に月とか夜とかオスとか付く奴なら間違いなく勘違いが生じたと思うが、
あいにくとリビアは冷静であった。
「(ああやって書物の情報を取り込む事が出来るのか? この世界には魔導書にも色々あるのだな……)」
214
:
名も無くもない魔法道具屋
:2012/02/09(木) 06:46:45 ID:???
>>211
「なんだ、アレも魔導書か!? くそ、頭が痛む……」
これ以上いると面倒に巻き込まれそうだ。
リビアに生まれつき備え付けられている面倒センサーが作動し、
それに伴って面倒アレルギーが発生する。
215
:
ネクロ
:2012/02/15(水) 02:48:51 ID:SVtv/fVA
>>211-212
「ぬおわっ!?」
目を丸くしてランタナに驚くネクロ。ここまで反応が良いから悪戯が止められない止まらないのだろう。
「ぐぬぬ…お前らなあ…!」
>>213
「そもそもレッテルがつくような事をした覚えがまるでない…って話がかなり逸れたな」
床に散らばった紙の一枚を拾う
「とにもかくにも作ってみるか…ホントに紙幣と同じような素材になるのか確かめるためにな」
なんとも言えない表情で言うと、ネクロはササッと調合を開始した。
数分後…少し皺の出来た、ややかさついた紙片が出来あがった。
ネクロはそっとそれに触れる
「……コイツは……マジだな…」
216
:
名も無くもない魔法道具屋
:2012/02/15(水) 03:34:00 ID:???
>>215
「騒ぎにあれこれと首を突っ込むからそういう噂が流れるんだ。
奴らは何かに付けて、或る事無い事を言い触らす性質を持っているんだ」
表通りに正式に道具屋を開店して、ここ数日で、それを嫌という程味わった。
「で……俺の言った通りだろう?」
ネクロが調合紙に触れるや否や、背後でぽつりと言う。
217
:
ネクロ
:2012/02/15(水) 03:50:02 ID:SVtv/fVA
>>216
「言い返す事もない…」
そして道具屋へと視線を向けて
「ああ、マジだったな……」
言いながら調合紙をマジマジと見つめる
218
:
名も無くもない魔法道具屋
:2012/02/15(水) 03:57:47 ID:???
>>217
「……それで、そいつをどうする心算だ?」
「まさかとは思うが、
今の事実を水に流して、笑顔で“ありがとうございました”なんて言うんじゃあるまいな?」
219
:
ネクロ
:2012/02/15(水) 06:33:09 ID:SVtv/fVA
>>218
「さて…どうしたもんか…」
「とりあえずコイツの納品まで数日あるから、色々と調べてみようと思う」
調合紙をビリビリに破りゴミ箱に入れると、ポットを取り出す。そしてゴミ箱の中に水を流し込んで紙を溶かした。
不用意な処分をして悪用されるのを防ぐためだ。
220
:
名も無くもない魔法道具屋
:2012/02/15(水) 07:25:36 ID:???
>>219
「そうか……まぁ、お前の好きにしろ。俺はお前の依頼主とは関係が無いからな」
面倒事に首を突っ込まないスタンスの人間として近所で噂されるといいな、
と、淡い期待を込めて、それとない返事をする。
「(人の噂というのは案外馬鹿に出来ないものだからな……。
そういう風に噂されれば、今日の様な依頼が舞い込んでくることも、もうあるまいよ)」
まぁ、大抵こういう目論見は失敗に終わるのが筋なのだが。
221
:
白い法衣の男
:2012/02/27(月) 00:20:26 ID:SVtv/fVA
砂海――ラダ公国の近辺の中でも特に特徴的な場所の一つである。
この場所のある一角…元、星の智慧の魔術師<超越者-オーバーロード->ロブ・ヴァールの拠点が存在する。
今日この日、一人の僧侶がロブの元を訪ねてきた。
来訪の知らせが前もってあったわけではない。ロブ・ヴァールからすれば突然の襲来だ。
眩しいくらいに白い法衣と、盲目なのか常に眼を閉じた顔が印象的な僧侶が現れた。
彼は鈴のついた杖で地面を探りながら一歩踏み出しこう口を開いた。
「私の名はエルガー、ロブ・ヴァール…貴方に協力を申し出る者です」
222
:
ロブ一派
:2012/02/27(月) 00:32:36 ID:???
>>221
ロブ「ホホ・・・。生憎だけどアタシはあまり協力者は募らない性質なのよ。
裏切られると厄介だからね?」
エーギル「そういうことですね。私も彼に信用してもらうために誓約(ゲッシュ)まで持ち出されたんですから。」
二人の男が前に進み出る。
もしも何らかの手段で探知できるなら奥のほうに頭の禿げ上がった研究員と陰気な少年の姿があることもわかるだろう。
223
:
エルガー
:2012/02/27(月) 00:41:39 ID:SVtv/fVA
>>222
「フフフ、その用心深さは魔術師として評価に値すると私は思いますよ」
奥へ顔を向ける素振りをしてから、エーギルとロブの方へ向き直るエルガーを名乗る男。
見えているのか?盲目なのは本当のようだが。
「改めて自己紹介をさせて頂こう、私はエルガー・J・イージス…表向きは医療を担う魔術師として各地を放浪している、そこそこ腕には自信があるので名は売れているらしい」
盲目の僧エルガーと言えばあらゆる難しい病の治療を成し遂げた男として有名だ。
ロブの部下として各地を奔走するエーギル辺りならば小耳にはさんだ事があるだろう。
「だが私の本当の目的は名声を得ることでも、増しては人々を病から救う事でもないのだ」
シャン…と杖の鈴が音を立てる。
「ロブ・ヴァール、貴殿と私の目標はおそらくは一件交わる余地はないだろう」
「だが、貴殿が求めるかもしれない書物を私はいくつか把握している…どうだろうか、お互いがお互いに欲しい物の為に共闘をしては頂けないだろうか?」
224
:
ロブ一派
:2012/02/27(月) 00:45:19 ID:???
>>223
エーギル「ああ、噂では聞いたことがありますねえ。」
ポン、と大げさに手を叩いてみせるエーギル。
ロブ「ふぅん・・・で、アンタの目的は何かしら?」
225
:
エルガー
:2012/02/27(月) 00:58:41 ID:SVtv/fVA
>>224
「私の目的はただ一つ、この閉ざされた両の眼を開く事のみ」
そっと杖を手にしていない左手で閉じた眼に触れるエルガー。
「死の病と恐れられた病魔を私はこれまでいくつも滅ぼし、助からないと言われた者を何十、何百と救ってきた」
「だがそれでも駄目だった、あらゆる治療法は意味を成さず、あらゆる技術でも私は視覚を手に入れる事が出来なかった」
エルガーはそう語りながら、指で瞼を広げて見せた。
そこにある眼球は筆舌にしがたい異形の異物のように変異している。
「貴殿でも知らないであろう、これは『魔染経脈変異』と呼ばれる症状で発症する者は50年、いや100年に一人いるかどうかと言われている」
「ロブ・ヴァール、貴殿の研究成果の中から『人体』に関する記述の悉くを私に譲ってほしい」
「代わりには私は魔界で記されたと言われる『カオス・バイブル』と呼ばれる魔道書の情報を貴殿に与えたいと思う」
226
:
ロブ一派
:2012/02/27(月) 07:52:25 ID:???
>>225
ロブ
「・・・・・・いいわ。すくなくとも無償で協力したいというコイツよりは、
自分の欲のために行動している分アンタのほうが信用できそうね。」
エーギル
「おやおや、私って信用されて無いんですねえ・・・。」
ロブが差し出した手にエーギルが一冊の書物を手渡す。
ロブ
「この知識をアナタがどう使うのか、見せてもらうわ。」
ロブの腕から黒い閃光が放たれ、エルガーの魂に直接記述の情報が与えられる。
ロブ
「それはまだまだ研究中の代物。
まだまだアタシのほうでも満足行くものではないけれど、とりあえずそれだけはアンタにあげるわ。」
227
:
ミルライン邸
:2012/02/28(火) 20:32:08 ID:.kXnP44M
ルグズ「うわ!ステラのブラジャーでっかい!」
メイドのステラ「ちょっ、若様!!なにしてらっしゃるんですかっ!?」
どたばた。
228
:
エルガー
:2012/02/29(水) 01:26:38 ID:SVtv/fVA
>>226
「ッ…」
こめかみを押さえ、一歩退くエルガー。しかし口端はつり上がり笑みを浮かべていた。
「交渉成立と言う事ですな、ロブ・ヴァール…では、私からはこれを」
法衣のマントを翻したエルガーは手にした杖を振るい術式を編む。すると淡い光の中から古びた羊皮紙が現れた。
長い年月の経過を感じさせるその紙の束を、エルガーはロブ・ヴァールへと差し出した。
「これはカオス・バイブルの一部…煉獄王が記したページ」
「たった十数頁の記述とは言え、これの価値が分からぬような愚か者ではあるまい」
手渡された記述はそれだけで大きな力をロブ・ヴァールやエーギル達に感じさせた。
記述に記されているのは煉獄王ベリアルの力の一部が術式や儀式様式などで述べられていた。
ベリアル…五賢者最強と言われたアスガルト・マエストロの二つ名、『ベリアルの再来』の大本の存在である。
「カオス・バイブルの記述同士は互いを呼び合い一つになろうとしている」
「記述を全て集めた時、貴殿の望む『結果』の近道になるやもしれんな」
229
:
ネクロ
:2012/02/29(水) 01:53:33 ID:SVtv/fVA
>>160-165
レフが先陣を切り、他の隊員達も動き出す。その光景を見てシカゴら18小隊も立ち直りやすくなっただろう。
そしてシェリやトッポが気づいたように、戦車型汚染獣の弱点が露出するのは強力無比な砲台が飛び出した時。
この状況をクライアはどう判断するか。そこへショウとヒナタが駆けつける。
汚染獣の圧倒的な力を前にしたリイン。皆には伏せているが廃貴族と契約したその身体は、恐怖心の裏側で闘争本能に満ちていた。
即ち、汚染獣抹殺の意思。
都市内部は汚染獣の砲撃と防壁の崩壊で騒然としている。
必死に非戦闘員を救助または避難させる者、破壊された防壁へと急ぐ者と分かれている。
汚染された箇所に向かうと、巨大な戦車型汚染獣相手に立ちまわる友軍の姿が確認できるだろう。
「…ショウと、ヒナタか……よし、俺に続け!汚染獣の注意をなんとかして都市から逸らす」
「ブルージュはこのまま5小隊の指揮を頼む
シカゴはリインとトッポ達を纏めて遊撃して汚染獣を挑発してくれ」
端子を通じて一気に各所に指示を飛ばすクライア。
「あくまで挑発だ!死に急ぐなよ!奴の砲台が飛び出した時がチャンスだが、俺から許可がでるまでは決して砲台に仕掛けるな!」
最後にそう指示すると、クライアは先陣を切ったレフ達の左後方の位置から戦車型汚染獣に向かう。
自分に続けと指示されたショウ達も続く事になるだろう。
「ショウ、俺が間合いに入ったら足場を作る!汚染獣の肩から顔面に仕掛けるんだ!
ヒナタは敵の車輪に一撃離脱を繰り返してくれ!車輪の破損が確認できたらすぐに教えてくれ!」
230
:
第5小隊
:2012/02/29(水) 02:28:26 ID:pow9/BMs
>>229
ブルージュ「了解だ! 仕掛ける時はこちらからも回す!」
そう応え、自身の小隊に目を向ける。
「おい、こら1年坊主! しっかりしろっ!!」
まず目に入ったのは、その場でへたりこむヒューガルテンと、立たせようとするサポート役の隊員。
ブルージュ「……そのまま付いていてやれ」
「しかし隊長!」
ブルージュ「なんだ、一人では怖いってか?」
「んなことありませんっての。了解!」
後を任せると、既に走り出したメンバーの後を追った。
先陣を切ったレフが、汚染獣めがけ剄力の棒手裏剣を投じている。
続くように魔弾が飛ぶが、今のところどれも有効打にはなっていない。
と、18小隊のトッポの魔術により土が盛り上がる。
少なくとも速度は落ちただろう。
「追いついた! いくぜ!」
「あいよっと!」
槍戦士の2人が左右から車輪目掛けなぎ払いを試みる。跳ね返されて終わるだろうが……
ブルージュ「第5小隊、一度散開だ!
弱点はわかった、機を計るぞ!」
一度攻撃を止める5小隊。挑発をより有効にするためだ。
231
:
第5小隊@都市内
:2012/02/29(水) 02:48:30 ID:pow9/BMs
>>229-230
ハイネケン「……洒落にならないな、これ」
アノ「―隊長から連絡す! 弱点は……」
アノ「こ、この穴開けた武装が露出した時……」
周囲の者にも聞こえたことだろう。
ハイネケン「もう一発撃たせるつもりか。俺でもちょっと耐えられないな……続きは?」
アノ「……18隊が挑発をしかける。万一に備えろ、ただし奴さんに気付かれないように」
ハイネケン「なるほど。不安を煽らないよう、外の様子を隠すため俺が盾で穴を塞ぐだろう。
ただそうすればこっちに撃ちかねないと読んでるわけだ(完全に読まれてるな……)」
アノ「だ、だったら?」
ハイネケン「俺の姿を隠せばいいんじゃないかな」
アノ「そのくらいなら余裕す! 外から見えなきゃいいんすよね」
アノが絵筆を取り出した。
232
:
シカゴ・クロックベル
:2012/02/29(水) 02:54:36 ID:???
>>229
「左右から仕掛けるか、多面的に仕掛けて目標を一つに絞らせないようにするんだ!」
シカゴは左方面から剄弾を顔目掛けて打ち出した。
あくまでも挑発
攻撃が当たればいいのだ。ダメージは二の次
大本命は弱点をさらけ出した時なのだ
233
:
ロブ一派
:2012/02/29(水) 10:55:28 ID:???
>>228
エーギル
「おお、これは・・・。」
ロブ
「素敵・・・!」
受け取った紙の束を、いつの間にか傍に居た灰色の少女に手渡し、研究所の奥へと持っていかせる。
ロブ
「ホホ・・・また新しい発見があれば、アナタにも教えてあげるわ。」
234
:
エルガー
:2012/03/01(木) 22:57:09 ID:SVtv/fVA
>>233
「それはありがたい…では、私は一度自分の隠れ家へと戻るとします」
そう言うと、エルガーの背後からゆっくりと褐色の肌に長身の男が現れた。
傭兵の剣士のようにも見えるが眼鏡をかけたその表情からは高い知性が感じ取れる。
耳が長い事と、肌の色からはぐれエルフかダークエルフだろうか?
「彼を私の伝言版として、ここに置かせていただきたいのだが迷惑ではないかな?」
235
:
ロブ一派
:2012/03/01(木) 23:04:00 ID:???
>>234
ロブ
「ホホ・・・まあいいでしょう。」
エーギル
「よろしくお願いします。私はエーギル・サイアードと申します。」
ダークエルフらしき男に手を差し出す。
236
:
エルガー
:2012/03/01(木) 23:15:47 ID:SVtv/fVA
>>235
ダークエルフらしき男「…エドガーだ」
エーギルと軽い握手をしてすぐに手をひっこめた。
「彼は私の親戚の様なものでね、助手をしてくれている」
「私が言うのも何だが、そこそこ優秀なので何か手伝わせてくれても構わないよ…では、私はこれで失礼させて頂こう」
エルガーは杖で地面を一度つくと、すぐに姿を消してしまった。
ここに、不気味な協力体制が出来あがるのだった。
237
:
名も無くもない魔法道具屋
:2012/03/04(日) 01:16:48 ID:???
【帝都、リビアの魔法道具屋にて】
「しかし何だ。収入源が出来たのはいいが、デスクワークは俺の性に合わんな。
俺も魔物やなんやを狩って暮らす職に就けばよかったか……」
( ^ω^)「おっおっ。でもあんたがまともに戦ってる所って見たことない気が…
……昔は凄い魔術士だったのも、作り話なんじゃないかお?」
('A`)「“五賢者”とか“七賢人”とか世間に知れた異名もないしな」
「お前ら、ちょっとそこに直れ。その暑苦しい鎧ごと灰燼にしてやる」
医療班からの頼み事で来店した騎士二人相手に大人気ない対応をするリビアであった。
238
:
トッポ
:2012/03/04(日) 19:38:07 ID:???
>>229
,232
「多面的か……なら!」
シカゴとは異なる右から強力な冷気の魔術を放つ。
狙いはやはり、車輪の凍結。
また、先ほどドーム状に盛り上がった地面が崩れると、今度はその場所が穴になる。
戦車型汚染獣の移動を妨げつつ、狙いを狂わせることができるだろう。
239
:
ショウとヒナタ
:2012/03/07(水) 22:57:47 ID:???
>>229
『了解』という掛け声と共に、姉弟はクライアに続いた。
駆ける最中、クライアからの指示を聞いたヒナタが二人から離れる。
二人に合わせていた速度を跳ね上げ、汚染獣の車輪目掛けて疾走する。
汚染獣はヒナタを認識するだろうか? 認識したとして対応しようとするだろうか?
いずれにしてもヒナタがやる事に変わりはない。
汚染獣が間合いに入り次第、全力の一撃を叩き込むのみだ。
問題は、他の者達による妨害がどれだけ効果を発揮するか――
一度の妨害で、汚染獣に迫れるだけの間合いに踏み込めるだろうか。
240
:
南大陸/対戦車型汚染獣戦 再開
:2012/05/06(日) 18:34:53 ID:SVtv/fVA
>>5
小隊、18小隊
シカゴの剄弾で意識が逸れた汚染獣の車輪に、再び食らいつく5小隊の連続攻撃。
しかし深追いはせずに瞬時に後退、苛立ったように左肩の弩弓を向けようとしてトッポの放った冷気が車輪の一部を凍結させて大きくグラつく汚染獣。
盛り上がった地面が崩れその穴にもう片方の車輪をめり込ませるが、また非常識な回転で体勢を立て直そうとしている。
―――其処に、詰めと言わんばかりにクライアが汚染獣の真正面に急接近する。
汚染獣の視界に映るのはクライアだ。ヒナタがまた車輪の方へ回った事に気付いてはいまい。
すぐ後ろにいるショウへそのままの速度で突っ込めとGoサインを出すと、やや右へそれて剄に満ちたロングソードを振り上げた。
クライア「そ――――らあぁぁっ!!」
クライアの放った剄は氷結属性に変化して堅い氷の上り坂を造った。坂の先端は鋭く汚染獣の胴体に叩きつけられる。
同時に、ヒナタは間合いに汚染獣の車輪を捉える。
ショウはクライアの言葉通り足場を用意された。このままそれを駆け上がり肩から頭部を叩きのめす事になる
241
:
ショウとヒナタ
:2012/05/06(日) 19:00:58 ID:???
>>240
見事なタイミングで用意された足場を捉えると、ショウは剄の出力を更に上げる。
肉体を巡る剄の量が増幅された事により、今まで以上の速度――全力を以て、クライアが用意した足場を疾走する。
その最中、ヒナタが動いた。
汚染獣の足たる車輪を目前にし、構えていた術式兵装を『斧』に変形させる。
巨大な車輪を一撃で打ち崩すには、少しでも威力のある武装にすべきと考えたのだろう。
『はあぁぁぁぁぁっ!!』
斧を大きく振りかぶり、悪魔染みた身体能力に任せ、一閃。
車輪の一つは凍結し、一つは穴に埋もれた状態では、更にもう一つの車輪へ振り落とされた斧刃から逃れる事は出来ない筈だ。
それに合わせるように、坂を駆け上がったショウが跳躍する。
汚染獣の肩に飛び乗り、そして再び跳躍、着地先は――頭部。
「串刺しに……なっちまえぇぇぇぇえええ!!」
空中で刀を構え、その切っ先を汚染獣の頭部へ向け、振り落とす。
落下の勢いと、剄が駆け巡る肉体による推進力と、剄により補強された刃。
ショウの渾身の一撃は、立て直そうと暴れる汚染獣の頭を穿つ事は出来るだろうか。
242
:
戦車型汚染獣
:2012/05/06(日) 19:10:52 ID:SVtv/fVA
>>241
ヒナタの渾身の一撃は見事にダメージを蓄積された車輪を拉げさせ破壊する
固有体汚染獣は時間と共に身体の損傷を修復していくが、すぐに治るような損傷ではない。
汚染獣の機動力が大きく抉り取られた直後、ショウが全身全霊をかけて刃を振り下ろす
瞬間の間に両手を十数回近くの衝撃が襲うにも関わらず穿たれた一撃は汚染獣の頭部を串刺しにした。
ゴォォォォォォォオと地鳴りのような低音が汚染獣から放たれる。
頭部に居座るショウを振るい落とそうとしながら身体を派手に左右に振りだした。
そしてビキビキと胸部が音を立てているのが聞こえる。
クライア「! ショウ、ヒナタは全速で離脱!各隊員は決して奴の正面に立つな!!」
243
:
ショウとヒナタ
:2012/05/06(日) 19:16:48 ID:???
>>242
「!」
ショウは振り落とされる前に跳躍し、地面に降り立つ。
そして残りに余裕の無い剄を脚に巡らせ、汚染獣の正面には立たないよう全力で退避する。
もちろんヒナタもショウに続いて移動し、彼を庇うように位置取る事は忘れない。
244
:
クライア
:2012/05/06(日) 19:30:15 ID:SVtv/fVA
>>243
小隊員達は汚染獣を前後左右の斜め側で囲むように待機する。
追い詰められた汚染獣が胸部の装甲を緑色の煙を吹きだしながら解放すると、ダメージが原因かメキョ、メキョと音を立てて砲台が露出していく。
「―――総員、全火力を砲台へ集中!遠距離攻撃の術を持たない前衛武芸者は車輪と後部へ攻撃を集中!!」
クライアの指示で5、18小隊の火力が一気に集中していく。
剥きだしの砲台に攻撃が直撃するたびに汚染獣の不浄な体液が大地を汚していく
(まだ足りないってんなら……)
反対方向で指揮を執っていたブルージュ、そして遊撃隊として動いたシカゴ…
そして一番汚染獣の近くに、クライアの近くにいたヒナタとショウは眼を疑うだろう。
クライアが再びロングソードを手に汚染獣へと≪正面切って≫突っ込んでいった!
「中枢を――――破壊するっ!!」
既にエネルギーが蓄積されていた砲身に、焔を纏った剣を思い切り突き立てた瞬間――ガラスが割れるような音が一面に響いた。
戦車型汚染獣はぐらりと後方に傾くと、剣の刺さったまま真上を向いた砲身から行き場を失った砲撃が空目掛けて放たれていった
245
:
ショウとヒナタ
:2012/05/06(日) 19:42:05 ID:???
>>244
「え、ちょっ」
既に猶予も幾許か、という所であった筈の砲身に突っ込んでいくとは予想外だった。
慌ててショウは止めようとするも、間に合わず――砲撃が放たれた。
……遮る物など何も無い、空目掛けて。
「…………」
汚染獣の近くに居た為、強烈な発射音から表情を顰めている。
だが二度目という事もあり多少は慣れたのか、刀を構え、どう動くべきか悩んでいるようだ。
一方でヒナタは武器を構えず、傾いた汚染獣を見据えているだけである。
さて、先のクライアによる一撃で、汚染獣はどうなったのだろうか?
246
:
クライア
:2012/05/06(日) 19:51:06 ID:SVtv/fVA
>>245
汚染獣は発射した姿勢のまま、発射の勢いに押されるように仰向けに倒れてた。
そして、身体中からドロっとした体液を排出しながら、それに埋もれていくように身体が崩れていっている。
ブルージュ、シカゴは汚染獣に対する知識が下級生よりもあるので察する事が出来るだろう。様子を確認していたシェリやアノニマスにも。
汚染獣の身体には自身の命を繋ぎとめる「核」のようなものがある。所謂重要器官だ。
普段の様子から全くもって似合わない無茶をしたクライアが肩で息をしながら――残念ながら術式兵装は汚染獣の一撃と共に空の塵になたようだ――ゆっくりと息を吐きながら語りだした。
「いやあ、危ない危ない…奴の重要器官が砲身って分からなかったら核を破壊できずに消し飛んでいたかもなあ、いやあこの歳でチビりそうになったぜ…参った参った…」
おそらく現場にいる各隊長達は文句の一つでも言ってやりたい顔をしているだろうが、クライアはお構いなしに、普段の調子に戻ってこう宣言した。
「汚染獣撃破、近辺に対する警戒をしながら荒野都市へ帰還するぞ」
ビッ、と人差し指と中指を立てて決めポーズで誤魔化すつもりのようだ。とんでもない無茶をした事を。
247
:
ショウとヒナタ
:2012/05/06(日) 19:57:35 ID:???
>>246
「えーっと……いえ、了解しました、はい」
結果論ではあるが、しっかりと脅威は討伐されたのだから、文句は言うまい。
ただ、見事に消し飛ばされた術式兵装だが、それはどうするのだろうか。
まぁ考えていてもしょうがないか、と。
とりあえずは隊長殿の指示に従い、近辺警戒を怠らず都市へ帰還する事にした。
248
:
クライア
:2012/05/06(日) 20:08:52 ID:SVtv/fVA
>>247
帰還の道中でクライアは…
シカゴから「総隊長があんな真似をして万が一の時はどうするのか」と責められ、ブルージュからは「隊長があんな真似をしては部下に示しがつかない、功を焦った馬鹿が真似したらどうする」と小言を言われ続けていた。
実際隊長としては酷く非常識な真似をしたのだから何も言えず、済まないと繰り返すばかりだった。
キース「実際、隊長もかなりテンパってたんだろうな…早いとこ潰さないと都市も俺達もやばかったし…まさかあんな大砲使われるなんて思わなかっただろうしな」
周囲に視線を向けつつだが、キースがショウの隣を歩きながらそう呟いた。
249
:
ショウ
:2012/05/06(日) 20:17:41 ID:???
>>248
(あーあ、まだ説教されてらー)
隊長二名の気持ちも分かるが、そろそろ許してあげても良いのではないだろうか。
と、横から口出ししてはシカゴ達の矛先が自分にも向きかねないので、黙っておく事にした。
「ん……だろうな。あれで固有体って言うんだから恐ろしい限りだよ」
声で誰かを察したのか、視線を向けず、肩を竦めて返答する。
「で、この後は警備担当だったっけ。大物とやり合った後だとなかなかキツいよなー」
250
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/07(月) 01:36:03 ID:???
>>248-249
「総隊長があんな真似をして万が一の時はどうするのか」
と険しい顔をしてツッコむシカゴ
「だがまあ、私でもああしていたかもしれないな。
追いつめられていたら。窮鼠猫をかむと言うやつだ」
シェリはというと
端子を一通り飛ばし終え、周りに他の汚染獣がいないことを確認してから
ショウの隣を歩いていた。
シェリ「……」
251
:
第5小隊
:2012/05/07(月) 18:41:42 ID:5CJQBwIU
>>248-250
「全く、功を焦った馬鹿が真似したらどうする」
などとこぼすのは、そんな馬鹿に心当たりがあるが故でもある。
「それに言ったはずだ、仕掛ける時はこっちからも1人出すと。
まあ、気持ちはわかるがな」
その横で、見せ場をなくしたレフが若干ご機嫌斜めな表情をしていた。
「……一年坊主、あんたはよくやったじゃないか。そうだろ?」
失意のまま帰還するヒューガルテンは、
付き添うサポーターの先輩の言葉にも黙って頷いただけだった。
「大丈夫かあれで?」
「大丈夫じゃないだろ……かといって俺達がなんとかできるわけでもないぜ」
--都市内--
アノ「隊長から連絡、敵汚染獣撃破す!」
ハイネケン「ん、そうか」
大穴の前で、展開していた盾形兵装を義手へと戻すハイネケン。
視力のよい者が外から都市を見ると、
空いたままの大穴の向こうに突如としてアノとハイネケンが現れたように見えるだろう。
実際には、ずっとハイネケンの大盾が穴を塞ぐように展開されていたのだが、
アノの魔術で穴しかないように偽装されていたのだ。
252
:
クライア
:2012/05/07(月) 19:44:00 ID:SVtv/fVA
>>249-251
「いや、自分で作った段取り無視した上に馬鹿な真似やったことは十分反省してるからもう勘弁してくれ…」
「レフも悪かったな、見せ場は次ちゃんと譲るからお前ら戻ったらさっきの事はうちの副隊長には内緒にしておいてくれよ頼むから…」
ちらと、俯くヒューガルテンに視線を向けるクライア
「…そういや、度胸があるとは思ってたけどまだ一年坊主だったかアイツも…お、アノニマスとハイネケンがフォローしててくれたみたいだな」
ゲートを通るのも無駄足になるので、汚染獣の開けた大穴から都市内部へ入る事にする一同。
>>シェリ、ショウ
キース「警備任務の時はもうちょい人数もいるし、内部には丸々13小隊がいたから少しは休めると思うぜ…しかし」
大穴を見ながらキースは苦々しく言葉をつづけた
キース「避難にも人員裂いてなかったらどうなってたか…とにかく、でかいのは仕留めたから今夜から何日かは落ち着いてほしいもんだぜ」
討伐隊はようやく荒野都市内部へと帰還する。
東側に回っていたアオイ、イーグリット達とも合流した。やはり小型汚染獣が押し寄せようとしていたらしいが、先回りが幸を制しせん滅に成功したと言う。
253
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/08(火) 00:24:41 ID:???
>>252
「しかし武器がなくなってしまったが予備はあるのか?」
先程武器が一緒に消滅してしまったが
果たしてクライアはどうするつもりなのだろうか。
シェリ「あの大きさの汚染獣ですから
もっと他にも汚染獣を呼び寄せるかと思いましたが
どうやら取り越し苦労だったようです」
254
:
クライア
:2012/05/08(火) 00:31:45 ID:SVtv/fVA
>>253
「一応、予備はあるぜ」
「けど通常兵装だからカスタムは何もされてないが…仕方ないな、戦場じゃ武器ってのは使い捨てだ」
名残惜しそうについ先ほどまでロングソードを握っていた手を見つめるクライア。
「実はあれ二本目なんだよな、長く使ってたから愛着はあったけど仕方ないさ」
アオイ「推測ですが、その戦車型汚染獣は群れを形成するよりも成長する事を優先していたのかもしれないですね」
合流したアオイがシェリの発言に意見を向けていた。
255
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/08(火) 00:46:00 ID:???
>>254
「通常兵装なら、先程のような無茶はしなくて済むな」
と茶化すように言った。
シェリ「それならそれで
あの段階で倒せたのはラッキーです」
256
:
ショウ
:2012/05/08(火) 00:47:20 ID:???
>>250-252
(うおっ)
いつの間にやら隣を歩くシェリを見て内心驚く。
と言っても一瞬肩を震わせたので、シェリ本人にバレていそうだ。
何はともあれ気を取り直し、キースの方へ視線を向けて、
「まさか大物が続けて、って事は無いだろ……たぶん。そう願うよ」
そして合流したアオイ達の話を聞くと、
「やっぱ汚染獣ってのは汚染獣に釣られて来るもんなんだなぁ」
と、自分たちとは別の所で戦いがあった事への感想を述べた。
257
:
クライア
:2012/05/08(火) 00:50:58 ID:SVtv/fVA
>>255
「ああ、俺も命は惜しいからあんな真似は二度と無しだ」
苦笑を浮かべ、都市内部に入ってからメットを外すクライア。ポケットから煙草の入ったケースを取り出す。
「クロックベル、さっきも言ったが心配性のフェイスには今回の事は内密n
フェイス「何が内密ですか隊長?」
煙草をくわえてマッチ棒を手にしたところで、クライアはそれをぽとりと床に落としてしまった。
そう、アオイ達が合流しに来たのだから12小隊のメンバーが来ない理由はない。
アオイ「そうですね、何にしても今夜はちゃんと警備をしておいた方が良いですね…付近の調査の件もありますし」
258
:
第5小隊
:2012/05/08(火) 00:54:58 ID:5CJQBwIU
>>252-256
レフ「終わっちゃったものは仕方ないんでー」
ブルージュ「そこはまあ黙っておいてやるさ。
ただ、学園に戻ってからレフにケーキ要求されるかもしれんぞ」
同じくヒューガルテンを見やるブルージュ。
ブルージュ「2年目だがな。しかし……」
―こいつを立ち直らせる時間はないな。
ハイネケン「お帰りなさい」
アノニマス「いやーばれたらどうしようかとヒヤヒヤしてたっス」
259
:
アオイ
:2012/05/08(火) 00:56:02 ID:SVtv/fVA
>>256
キース「俺だってそんなのはゴメンだ…けどまあ、汚染区域の調査も任務に入ってるんだ…多かれ少なかれ、あと一回くらいは大物とやりあう事になるかもな…」
「汚染獣も知恵がついてるからね…大型が暴れた後の残飯目当てに小型が集まるのは良くある話だよ」
「まあ、大型は都市を食いつくしてからさらに集まった小型を捕食するんだけどね…」
ゾッとする話だ。
一方そのころ、クライアが三本目の死亡フラグを踏み抜いていた。
260
:
クライア
:2012/05/08(火) 00:58:44 ID:SVtv/fVA
>>258
喫茶店のありふれたもの一つくらいならと軽口で返した直後だった。
>>257
でシカゴにも改めて口止めしようとしていた時、12小隊の面々も迎えに来ていた。
当然、副隊長のフェイスも。
キース「……」
同じ都市出身の、現役一年生のキースが、チラとヒューガルテンに視線を向けているのにブルージュは気付くだろう。
261
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/08(火) 01:00:23 ID:???
>>256
シェリ「汚染獣は汚染獣を感知出来るようで
大型のものだと付近の汚染獣を呼び寄せることがあるんです」
びくついたショウをちらっと見てから答える。
>>257
「あ、ああ。今度一緒に秘密の訓練でもするかという話をしていたんだ」
シカゴが逆に地雷を踏んでいた。
262
:
第5小隊
:2012/05/08(火) 01:05:00 ID:5CJQBwIU
>>256
>>259
「「想像もしたくないな……」」
ショウとアオイの会話が聞こえたのだろう。見事にハモる槍使い2人。
>>260
ブルージュ「遅かったようだな、クライア」
軽くにやっと笑った。
が、すぐに真顔に戻る。
ブルージュ「(18のキースか……確かあいつもここ出身だったな)」
ヒューガルテンは、やはりいつものバカを置き去りに俯いたままだ。
263
:
クライア
:2012/05/08(火) 01:13:40 ID:SVtv/fVA
>>261-262
フェイス「ひ、秘密の訓練!?」
人前では(バレバレも良いところだが)クライアに対する想い諸々を隠しているフェイスもこればかりは動揺を隠せないようだ。
面白いほど顔が赤らんでいる、怒り顔と共に。
「ク、クロックベル!それは流石に…」
フェイス「隊長!詳しく話を聞かせて下さい!さっきの戦闘の事も含めて!」
キースの防護服を見ると、部隊マークは12小隊のものだった。そう言えばショウ・アキツキは元12小隊だった事をブルージュは思い出すだろう。
キース「…おい、アンタ」
俯くヒューガルテンに重い声で話をかけるキース。ヒューガルデンは反応するだろうか?
264
:
ショウ
:2012/05/08(火) 01:14:48 ID:???
>>261
「へー……だから『親玉が子分を引き連れているような状態』で遭遇する事が多いんですね」
今までの汚染獣戦を思い返してみると、単独の汚染獣を相手取った事は少なかった気がする。
ちなみに、ショウがびくついたのはシェリが唐突に現れた(と思っている)事によるもので、既にいつもの様子だ。
>>259
>>262
「うっわぁ」
会話の当事者はアオイの話を聞き、実にゲンナリとした表情を浮かべていた。
この後に食事が出されても、食欲が湧いて来ないかもしれない。
>>263
「あ、先輩達が修羅場を構築してる」
一言。
265
:
第5小隊
:2012/05/08(火) 01:21:10 ID:5CJQBwIU
>>263
アノニマス「何か話が若干ずれてる気がするスけど」
ハイネケン「黙っていたほうが面白いんじゃないかな」
ブルージュ「(12だったか……。そういえば)」
ちらとショウのほうを見る。
ブルージュ「(元12、か。しかし何故18に移ったんだあいつは)」
ヒューガルテン「……」
無言のまま、キースに視線を向けるヒューガルテン。
やはり同郷の同級生とあれば気になるのだろう。
266
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/08(火) 01:24:22 ID:???
>>263
(何か私はマズイことを言ったのだろうか)
「???」
頭に?が浮かび上がっているシカゴ
>>264
シェリ「はい、だから大型のものがいた場合は
戦闘中も倒した後も油断出来ません。
周りに何も守るべき対象がない場合は逃げることを優先した方がいいです」
相変わらずあまり感情が表に出ないシェリだが
ショウはシェリの微妙な表情の変化には気付けるようになってきただろうか?
びくついたことに対して、少し面白いと感じているような表情をしている。
他の小隊の者たちでは全く気付かないであろう表情の変化だが
267
:
クライア
:2012/05/08(火) 01:35:31 ID:SVtv/fVA
>>264-266
「ブ、ブルージュなんとかしてくれ!」
フェイス「それに隊長!何故兵装を無くしてるんですか!?無茶しましたね!したんですね!?」
アオイ「だ、大丈夫だよショウ、それに皆さんも
滅多にそんな悲惨な光景に出くわすわけじゃないし…」
キース「…これが、学園都市を出た後の俺達の日常になるかもしれないんだ
…ヒューガルテンだったか?もし折れちまったなら、道を変えた方が良いぜ…後輩の生意気な助言だ」
そう言って、ショウ達の方に12小隊の方へ戻ると告げ、キースは行ってしまった。
そのあとも汚染獣撃退と言う事で士気も高いままに一同は休息を取る事になる。
夜から始まる見回りや警戒はアイネズ率いる13小隊が序盤を引き受けてくれたので、汚染獣戦に出た者たちはゆっくりと身体を休めることができるだろう。
さて、その夜――――
視点がいきなり変わるが、君達はどういう行動を取るだろうか
・宿舎にてそのまま休む
・都市内の様子が気になるので出歩く
・思う所があり、防護服を纏って都市のすぐ外へ
268
:
第5小隊
:2012/05/08(火) 01:48:45 ID:5CJQBwIU
>>267
ブルージュ「そいつは無理な相談だな」
ヒューガルテン「……うるさい」
その一言は、キースが言った後にぽつりと発せられたものだった。
----夜----
ハイネケン「初日から大歓迎されてもね」
ブルージュ「まあ仕方あるまい。それが俺達の仕事だろう」
「あれ、レフは?」 「もう寝たぜ」 「早っ!?」 「アノニマスのほうが早かったぜ」
ブルージュ「巡回は13が受けてくれているんだ、俺達も遠慮なく休むとしよう」
ハイネケン「明日に響くのもごめんだしねえ。ではお休み」
「お前あんまり何もしてねーじゃん!」
大半の隊員はそのまま休むことを選んだ。が―
ブルージュ「……全く、だんまり決め込むのなら最後までおとなしくしていろ」
防護服を着込み、都市のすぐ外へと向かう。
恐らく―いや、間違いなく―失意を見たヒューガルテンがそこにいるであろうから。
アノニマス「(右よし左よし擬態よしっと……)」
その影で、さっさと寝たはずのアノニマスがこっそり宿舎を抜け出して都市内へ繰り出していた。
269
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/08(火) 01:50:43 ID:???
>>267
「少し都市の様子でも見ておくか。
地理を把握しておこう。何か面白いものもあるかしれないからな」
シカゴは都市へと繰り出した。
270
:
ショウ
:2012/05/08(火) 01:54:09 ID:???
>>267
「んー」
宿舎で用意された個室にて、身体を伸ばしている。
長期間の休息は取っていないが、人並み外れた回復力のおかげか、ショウは問題なく動ける程度になっていた。
「……そういや、まだ都市内部の様子って見回れてないな」
いきなりの襲撃でそんな余裕も無かったのだから仕方ないが。
「まだ時間はあるし、今の内に見ておくか」
念の為に術式兵装を持って、都市へと繰り出すのであった。
たぶんヒナタ辺りも一緒だ。
271
:
名無しの魔術師
:2012/05/08(火) 02:03:40 ID:SVtv/fVA
>>268
―都市外周部―
かろうじて都市精霊の加護の影響がある為、外壁付近の外周部は空気が汚染されていなかった。
その為、メット無しでも問題はないが何かあるといけないのできちんと防護服を着込むのは常識だ。
今夜は、月が馬鹿みたく大きく見える。月明かりが照明のように荒野都市を照らしていた。
ブルージュの睨んだ通り、すぐ近くにはヒューガルテンがいるだろう。そしてもう一人が瓦礫を椅子代わりにして座っていた。
もくもくと、白い煙草の煙が出ているのですぐ分かる。クライアだろう。
>>269
>>270
宿舎をそれぞれのタイミングで出たシカゴとショウ達、それぞれ興味を惹かれるのは何処だろうか?
・住民が多く集う繁華街方面
・特に何も観るもののない遊歩道方面
272
:
ショウとヒナタ
:2012/05/08(火) 02:09:18 ID:???
>>271
「姉さん、何処に行く?」
『私は何処でも構わないが……強いて言うなら繁華街かな?』
「じゃ、そこで」
道はよく分からないがとりあえず姉弟は繁華街へ向かう事にした。
ニア 住民が多く集う繁華街方面
273
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/08(火) 02:12:57 ID:???
>>272
「ふむ、遊歩道方面にでも出てみるか。
トレーニングには向いているかもしれないからな」
274
:
ブルージュ
:2012/05/08(火) 02:16:13 ID:5CJQBwIU
>>271
「この辺りが限界点、か……」
やはりこの都市はもう長くはない。改めて感じる。
眩いほどの月光を遮る人影が見えた。
巨大な剣を振り回し、振りかざし、はちゃめちゃにぶん回すやや細身の姿……ヒューガルテンだ。
声は聞こえないが、心の唸りが聞こえるような錯覚を覚えた。
彼に歩み寄りかけた時、紫煙と共にあるもう一つの人影を見つける。
「クライアか……」
275
:
名無しの魔術師
:2012/05/08(火) 02:18:36 ID:SVtv/fVA
>>272
道中で警備についている13小隊の面々とすれ違ったりもした。…彼らの風貌のせいか、不良が夜の町を徘徊してるようにも見えるが。
繁華街は地理に明るくなくてもすぐに見つけられる。人がにぎわっているのですぐに眼につくのだ。
荒野都市は物資に乏しいが、それでも繁華街の方は夜だと言うのに人でにぎわっていた。
様子を見るに、久しぶりの安全な夜を喜んでいると言った所だ。
出店などもあるが状況が状況なので大したモノは並んでいない。
それにしても、今日は月が良く見えるせいか町の街灯が必要ないと思うほどに照らされていた。
そんな時、見知った顔がこちらの方へ歩いてくる。
現在都市内を見回り中の、アイネズだった。
>>273
月明かりにのみ照らされた遊歩道は、荒野都市の荒廃のさまを良く見せてくれた。
まるで世界の終わりとでも言うような景色にすら見えなくもない。
道なりに歩いていると、人影が見えるのに気付く。
アオイの姿だった。
276
:
クライア
:2012/05/08(火) 02:22:38 ID:SVtv/fVA
>>274
「ようブルージュ…ヒューの奴、俺にも気付かずあそこでずっと"戦ってるぜ"」
素振りをしている、とは言わずそう話すクライア。既に4本も煙草を吸いきっているようだ。吸い殻が足元に落ちている。
「らしくないのはさ、分かってるが……ちょっと凹んだよ、今回の戦闘は」
「策を練る暇もなくさ…全く、アイツみたいに浮き足だった奴や、折れかけた奴を引っ張るのが隊長の仕事だってのになブルージュ…」
多かれ少なかれ、クライア自身も今日の事で想うことがあるようだ。
277
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/08(火) 02:23:27 ID:???
>>275
「何もないな。寂しい景色だ。
都市の外とあまり変わらない」
そして歩いて行くと
「アオイか?」
278
:
アオイ
:2012/05/08(火) 02:29:31 ID:SVtv/fVA
>>277
「隊長?」
声をかけられ、少し驚いた顔でそちらに視線を向けた
「奇遇ですね、こんな殺風景な場所で」
「…少しだけ、気になる事があって出歩いていました…それでほら、ここ軽い上り坂になってるんですよ。都市の町並と外部の景色が見えるでしょう?」
今夜は月が明るいから良く見えますね、と夜空を仰ぐアオイ。
279
:
名無しの魔術師
:2012/05/08(火) 02:31:51 ID:5CJQBwIU
--都市内・某所--
「スーパームーンか……」
『上位クラスの出現が予想されますね』
「でなければ私に特令が出る事はないだろう」
路地裏の屋根の上、何者かと会話を交わす一人の騎士。
その姿に誰も気付かない。
「さて……そろそろ来る頃か」
言い終わる前に、屋根を上がってくるローブ姿の人物が彼らだけに見えた。
「お待たせいたしました、黒輝士様」
「その呼び方はやめてくれと言わなかったかい?」
「いや、つい出てしまうんスよ……。 お約束の品はこちらです」
「ありがとう。しかし君も大変だな」
「"仕事"スから」
―武芸者の知らないところで、静かに戦いが始まろうとしていた。
それは誰にも知られることなく終わりを告げるだろう。
280
:
ショウとヒナタ
:2012/05/08(火) 02:32:17 ID:???
>>275
(こうして見ると、学園都市って恵まれた環境なんだな)
賑やかな街の様子を見て、そんな事を思う。
何を今更――とも感じたが、学園都市で暮らしているからか、危機感覚も麻痺してしまっていたらしい。
腑抜けたつもりはないが、反省せねば。
そんな事を思いつつ、無言のままヒナタと共に歩いていたが、
「あ、先輩。巡回お疲れ様です」
見知った姿――アイネズを見て、会釈と共に挨拶。
ヒナタも声には出さなかったが、続くように会釈した。
281
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/08(火) 02:33:42 ID:???
>>278
「気になること?
私はトレーニングがてら、都市の地形を把握しようと歩いていたところだ」
アオイの隣に並ぶ
「そうだな。よく見える」
282
:
アオイ
:2012/05/08(火) 02:41:31 ID:SVtv/fVA
>>280
アイネズ「おや、ショウじゃないか…そっちはお姉さんだったっけ」
此処に来た時の乗り物酔いはすっかい完治したようで、何時も通りの様子だった。
アイネズ「来た早々に汚染獣戦とは面食らったねお互い…そういや、ショウのお姉さんとこうして話すのは初めてだっけ?研究都市の件ではお世話になりました」
と、軽いノリで会釈を返すアイネズ。顔を上げると、空の月に視線を移す
アイネズ「都市の内部じゃもう混乱はないね、あとは明日の調査までに念威操者達が何処まで情報を集めてくれるかって感じだよ
最近じゃ対固有体戦も珍しくない状況になりつつあるから、本当にまいっちまうね」
>>281
「隊長らしいですね、真面目で」
厭味でいってるわけじゃないのは伝わるだろう。
「…損傷していた東側の防壁方面に出た汚染獣の群れ、せん滅したって言いましたよね?」
「実はその時、何体かの汚染獣が逃走しようとしていたんですけど、その方角がもしかしたら…」
一瞬間を置いて、言葉を続けるアオイ
「話に聞いた、戦車型汚染獣の侵攻ルートと重なっていたかもしれないんです」
283
:
ブルージュ
:2012/05/08(火) 02:41:46 ID:5CJQBwIU
>>276
「ああ……そんなところだとは思っていたがな……」
無音の咆哮と共に、気迫と剄を込めた斬撃を放つヒューガルテン。
が、その直後、膝から崩れ落ち、巨大な剣を杖に寄りかかる。
明らかに無理がたたっているのだ。
「俺達も人間だ。ついでに言えばまだまだケツの青い若造でしかない。
常に完全に仕事をこなせるわけではないさ……」
「などと偉そうにしているが、俺も随分堪えたよ……。
奴は俺達を嘲笑うため姿を見せ、俺はまんまとその手に乗せられたんじゃあないか。
そんな気さえするほどにな」
284
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/08(火) 02:44:19 ID:???
>>282
「あの大型の汚染獣と同じ侵攻ルート?
待て待て、どういうことだアオイ」
285
:
クライア
:2012/05/08(火) 02:45:42 ID:SVtv/fVA
>>283
膝をつくヒューガルテンに視線は向けるも、クライアは止めようとはしない。
こう言う時は本人の気のすむままやらせてやるのが一番だと考えているのだ。おそらく、キースが何か刺した事も感づいているのだろう。
「そうだな…平和な…いや、"普通の国"なら俺達はまだただの学生か一般人だったかもしれないな」
やってられねぇよな、と苦笑いを浮かべてクライアはまだ半分残っていた煙草を棄ててしまった。
それを足でガシガシすり潰す
「奴らは俺達を餌にしてるからな…家畜をからかっているつもりかもしれない…けどなブルージュ、やっぱ頭を冷やすと良い事ってのはあるんだよ」
286
:
アオイ
:2012/05/08(火) 02:50:06 ID:SVtv/fVA
>>284
「本当は後でシェリ…先輩に調べてもらってから話そうと思っていたんですが」
「逃走途中で倒してしまったので確実な事は言えないですけど、僕やイーグリットさんが相手をしていた汚染獣達は、自分達がピンチになると知るや逃走を開始しました」
自分達が戦っていた場所を指差すアオイ。そしてその指をすっと動かして違う方角を指差す。その指先は、シカゴ達が戦車型汚染獣と戦っていた場所を指していた。
「僕の読みが外れていなければ、このラインに逃げようとしていたんです…けど、今回の大型汚染獣は単独だった」
「もしかしたら、奴らは同じ場所から此処に向かってきたのかもしれないと、思ったんです」
287
:
ショウとヒナタ
:2012/05/08(火) 02:51:42 ID:???
>>282
『ああ、こちらこそ弟が世話になっているな。
……そういえば私からは名乗っていなかったかな? ヒナタ・アキツキだ、よろしくな』
たぶん名乗ってなかった筈、たぶん。
見た目はアイネズより年下の物だが、実年齢は25歳。傍から見れば変な物だろう。
「ええ、今は落ち着いてるみたいですね」
ちらりと人の賑わいへ視線を向けて、
「少し前までは幼生体ばかりと戦ってたのに、キツいですよね。
……まぁ、泣き言言っても向こうは待ってくれないから、早く強くなるしか無いんですよね」
自分で言って自分にツッコミを入れ、困ったように笑みを浮かべる。
288
:
ブルージュ
:2012/05/08(火) 02:52:24 ID:5CJQBwIU
>>285
ブルージュも同じ考えなのだろう。ヒューガルテンの元へ駆け寄ったりはしなかった。
「ああ。"平和"が"普通"……か。
そんな地に生まれたかったものだ」
憮然と、遥か彼方を眺めるようなブルージュの声。
普段ならばまず誰も聞けず、彼も誰にも聞かせることはない弱音がそこにあった。
「……ほう?」
289
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/08(火) 02:54:08 ID:???
>>286
「すると、同じ場所から来た汚染獣たちが
それぞれ別の方角から都市を同時に攻めてきたと言いたいのか?」
アオイの指の動きを目で追う。
「そんな知能が汚染獣にあるのか?
いや、とするとそれを指示する汚染獣がいるということになる。
どう思う?アオイの経験からして今回の汚染獣の動きは」
290
:
アオイ
:2012/05/08(火) 03:05:49 ID:SVtv/fVA
>>287
自己紹介を終え、改めてお礼を言うと、アイネズはショウに向き直った。
アイネズ「アンタは人員の少ない18小隊でずっとレギュラー張ってるけど、本来はまだ上級生に色々と教わって守られてる立場なんだ
あんまり張りきらなくても良いよ、汚染獣を一人で倒すわけじゃないし…凄い奴ほど、早死にする職業だからさ、アタシら」
一瞬暗い顔になるアイネズだが、すぐ何時もの表情に戻る
アイネズ「となるとアタシもまだまだって事なんだろうけどね、ハハ
…さてと、そろそろサボりは終わりにして他のとこみてくるわ、明日は多分早朝から調査だろうから夜更かしもほどほどに」
なんなら、と続け悪い笑みになるアイネズ。
アイネズ「お姉さんの代わりに子守唄でも歌いに行ってあげようかい?」
>>289
「指示をする個体がいるって考えもありますが、僕の考えはもう少しだけ単純ですね」
「今回の汚染獣の行動は連中の習性通りだと思っています、大型のお零れにあずかろうとした小物達…
僕のこれまでの経験では考えにくいですが、単純に今回の汚染獣達は≪同じ場所≫に巣を作ってるのではと思ったんです」
「この付近に、規模の大きな汚染獣の巣がある…そうならこの都市の被害の多さも納得が出来るんです」
>>289
クライア「なあブルージュ、お前あれが見えるか…昼間は分厚い雲と汚染された外気のせいで見えなかったけどよ…」
と、指を向けた先―――遥か遠方に、黒い靄のようなものが空に上がっているのが見えた。
ふと空を見上げるクライア
クライア「蒼穹の満月、か…太陽よりも照らしてくれるおかげで良いモノが観れたぜ」
そして、残り3本となった煙草の一本に、再び火をつけたのだった。
291
:
トッポ
:2012/05/08(火) 11:50:20 ID:???
宿舎
(もしも賢者と言われるような、スゴ腕の奴が居たとして……そいつだったら、どうしただろうか。それに対して俺は……いや、まだ全然ダメだ……ッ!)
「おわっ!?」
魔力を右手の指先に集中させ、5本指のみで逆立ちをしていたトッポであったが、集中力を乱し転ぶ。
「……まだ10分が限界か……まだまだ!」
同じように、今度は左手の5本指のみで逆立ちを再開する。
そのまま、今日の戦闘をモデルに、脳内で様々なシミュレーションを行っている。
292
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/09(水) 00:37:44 ID:???
>>290
「汚染獣の巣……」
しばし考え込むシカゴ
「その可能性は高いな。
これは…撤退も視野に入れておかなくてはならないかもしれない」
そんな言葉を口にした。
シカゴらしからぬ弱気な発言だ。
293
:
ショウとヒナタ
:2012/05/09(水) 00:53:07 ID:???
>>290
「張り切ってるつもりは無いんですけど――そうですね、気をつけます」
一瞬だけ見せた表情を気にしてか、その声色はやや低い物だった。
しかしアイネズが何時もの様子を見せた事で、
「ええ、もう戻って寝ようと思います……って何言ってるんですか!
ほら、早く仕事に戻って下さいな隊長殿、色々と怖いんですから」
と、いつものように困った様子を見せつつ答える。
『…………』
アイネズが視線を少し横に逸らせば、ヒナタが『ムッ』とした表情でそちらを見ている事が分かるだろう。
弟が世話になっているという事で遠慮しているようだが、心情がバレバレである。
294
:
ブルージュ
:2012/05/09(水) 18:57:49 ID:pz/Oyrbs
>>290
「あれは……」
クライアの指す先に月明かりには不似合いな黒い靄を確認する。
それが何を意味するか、何一つわからないブルージュではない。
「鍵はあの靄の足元だな」
その言葉を発すると同時に、そのポイントへ向かわせるメンバーの編成が完了した。
「さて、そろそろあいつを寝かせてやらんとな」
視線を戻すと、大剣に寄り添うヒューガルテンのほうへ歩みだした。
ヒューガルテン「(俺はこの街を……親父とお袋と姉ちゃんの愛したこの場所を守りたくて学園都市に行ったんだ。
なのに俺は……!!!
あんな奴に、あんなとんでもない輩一匹に怯んでるようで何が出来るって言うんだよ)」
295
:
名無しの魔術師
:2012/05/10(木) 00:31:15 ID:SVtv/fVA
>>292
アオイ「隊長……」
言葉が見つからずに気まずい間が月明かりを照らす二人の間に流れる。少しして、アオイが口を開いた。
アオイ「例えそう思っても、貴女が弱きになるなんてらしくないですよ隊長
……小隊の皆が力を合わせたら、もしかしたらなんとかなるかもしれません、それに…もっと、僕を頼って下さい」
アオイ「僕だけじゃない、皆にも頼るべきです…隊長は皆を引っ張ろうと一生懸命だから、たまには誰かに任せきるのも良いと思いますよ…そろそろ宿に戻りましょう、明日も早いですから」
>>293
アイネズ「おっと、ちょっと悪ふざけし過ぎたわね」
ヒナタのムッとした表情を見て、それ以上の事は控えるアイネズ。恩人相手に恨みを買う真似はしないつもりなのだろう。
それじゃあね、と告げてアイネズは警備の任務に戻って行くのだった。月は今も明るいが、ぼちぼち宿に戻るには良いころ合いだろう。
>>294
クライア「ああ……なあブルージュ、今日あんなことしちまったばっかだけどさ…
あの場所の調査の指揮、俺に任せてもらっても良いか?選抜メンバーも含めてさ…」
ヒューガルテンの方へ歩くブルージュの背中に、そう言葉を投げかけるクライア。
許可を取るような言葉だが、今回の遠征の総指揮官はクライアだ。ブルージュが拒否しても強行は出来ると言うに、あえての質問だった。
そして、喋りながらその視線はヒューガルテンの背中に向けられていた。
296
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/10(木) 00:39:57 ID:???
>>295
「頼っているつもりなのだがな。
汚染獣の巣となると、また先程のような汚染獣がいるかもしれない。
それも複数。それだけじゃない、他にも無数に汚染獣はいる」
嫌の考えが頭を過る。
「まとめて相手になんて、とても出来ないと私は思う。
規模が違い過ぎる。まあでも、撤退は最終手段だ。
取り敢えずは、様子を窺ってから考えるのも良いかもしれないな」
腰に手を当て
「そうだな。皆にももっと頼ろう。
宿に戻るとするか」
297
:
ブルージュ
:2012/05/10(木) 00:40:52 ID:pz/Oyrbs
>>295
クライアの言葉に立ち止まる。
「今のあいつに調査任務をこなせると思うか?」
背中を向けたままの一言。
心理状態が不安定な者を任務に就かせないのは、何より生命を無駄にさせぬため……。
そのくらいのことはクライアにもわかっているはずだろう。
また歩みだし、ヒューガルテンの正面へ立つ。
何か会話しているように見えるだろう
298
:
アオイ
:2012/05/10(木) 00:50:23 ID:SVtv/fVA
>>296
おそらく、シカゴから先に歩き出しただろう。その時だった。
アオイがシカゴの手首を掴んで自分の方に向き直らせた。
「…命令してくれたって良いんです」
その眼は、戦闘時の時に見せる冷たい眼差しに似ていた。
「僕に、汚染獣の巣を潰して来いと…クライア隊長や13小隊、5小隊の隊長にも内密に」
こんなバカげたことを言うアオイの内心は、ただシカゴの力になりたいと言うことだ。
「隊長には悩んでほしくありません、僕にとって眩しい理想の武芸者で居てほしいんです」
ただ、育ってきた環境か、あるいは本人の短所、欠陥か…思いやりの向け方が酷くへたくそなのだ。シカゴがそれに気付くかは分からないが。
299
:
クライア
:2012/05/10(木) 00:58:53 ID:SVtv/fVA
>>297
「荒療治ってわけじゃないけどな」
二人に聞こえる程度の声量で話すクライア。フー、と煙を吐きだす
「今ヒューに必要なのは言葉でも時間でもないと思ったんだよ」
300
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/10(木) 01:07:35 ID:???
>>298
「な…おいアオイ」
突然掴まれたことに動揺して少し赤面する。
しかしアオイの顔を見て、シカゴも改め
「ふぅ、お前の気持ちはありがたい。
素直に受け取っておこう。ただし一人ではダメだ。
行く時は全員」
「それが仲間というものだろう?」
とニコッと笑顔を見せた。
301
:
ブルージュ
:2012/05/10(木) 01:12:27 ID:pz/Oyrbs
>>299
ヒューガルテン「……クライア隊長」
その顔に生気が戻ってくるように思えた。
「―わかった。総指揮を取るのはお前だからな、クライア。
ただし、こいつに何かあった時は、たとえお前さんでも容赦はしないからな」
ヒューガルテンの肩に手を置いて、そして先に帰っていくブルージュ。
「早く寝ろよ」とだけ、後輩に残して
302
:
アオイ
:2012/05/10(木) 01:16:09 ID:SVtv/fVA
>>300
(仲間…)
「…そう、ですね」
そっと手を放し、気付けば瞳眼差しも普段のものに戻ったアオイ
「すみませんでした、分かっていないのは僕の方だったみたいです」
小さなため息を漏らしながら、シカゴと共に宿舎へと戻るアオイ。
良い傾向かもしれない。空っぽだと言っていたアオイの中に、18小隊の存在がしっかりと入り込んでいるのだろう。
303
:
ショウとヒナタ
:2012/05/10(木) 01:25:58 ID:???
>>295
「ええ、また」
手を振ってアイネズを見送った。
その後、ヒナタに(アイネズに対する態度で)注意して、宿へと戻っていくのであった。
叱られたヒナタはしょんぼりとしていたらしい。
304
:
クライア
:2012/05/10(木) 01:29:18 ID:SVtv/fVA
>>301
「心配なさんなよブルージュ、俺は絶対にチームに欠員は出させねぇよ」
「数少ない俺の意地だしな」
表情に光がともったヒューガルテンを見て、クライアは笑みを向けた
「いきなりヒーローになんてのは誰だってなれねぇさ、だから明日に備えて今日は休んどけよ」
そう言って、煙草をふかしながらクライアも都市の方へ戻って行った。
305
:
ヒューガルテン
:2012/05/10(木) 01:45:42 ID:pz/Oyrbs
>>304
「はい、隊長!!! あんがとーございます!」
僅かながら、いつもの調子が戻ってきたようだ。
隊長らを見送ってから、兵装を収納し自らも休むため都市へと歩みだした。
その背後の岩は斬撃により両断されている。
「クライア隊長から任されたんだ、今日みたいなことは出来ない……!
っしゃああ!!!!!」
306
:
名無しの魔術師
:2012/05/10(木) 02:01:32 ID:SVtv/fVA
>>303
-
>>305
……そして翌日
12、13、18、5小隊のメンバーは再び集合し、各自の報告を耳にする。
まず、昨夜の見回りにて問題は発生しなかった事。
次に、昨夜発見された不審な黒い靄の発生地を、シェリを始めとする念威操者達で操作した所そこには廃棄された鉱山があると言う事。
そして今回は少数でその鉱山を威力偵察する事になったと言う話をされた。メンバーの選抜はクライアによって行われたようだ。
18小隊サイド
イーグリット「なあショウ、昨日の事なんだが、お前らより後に隊長とアオイの奴が一緒に帰ってきたんだよ」
と、報告の合間に雑談。
イーグリット「それをネタにシカゴをからかってやろうと思ったんだが、どう思う」
どう思うと聞かれてもショウとしては困るだろう。
5小隊サイド
ブルージュは前もってヒューガルテンを連れていくと言う事以外は聞いていない。さて、クライアは今回どのような采配を見せるのか…。
307
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/10(木) 02:06:42 ID:???
>>306
「いいか、あくまでも目的は偵察だ。
無暗な戦闘は避けるんだぞ?刺激しかねない」
シェリ(隊長とルセルセが)
ぴきーんという音でも聞こえそうな感じの顔で
イーグリットの話を盗み聞いた
308
:
第5小隊
:2012/05/10(木) 02:07:08 ID:pz/Oyrbs
>>306
「隊長隊長、本当に1年坊主が行くんで?」
ブルージュ「総指揮官の意向だ。あいつなら任せられるしな」
レフ「アタシの出番あるかなー」
ヒューガルテン「うはwみwなwぎwっwてwきwたw」
半分無理していつもの調子で騒ぐヒューガルテン。
その一方で、アノニマスが思いっきり眠たそうにしている。
恐らくシェリ達と共に事前調査に駆りだされたのだろう。
309
:
ショウ
:2012/05/10(木) 02:18:21 ID:???
>>306
(鉱山か……戦闘が起こると厄介だな。
【ドライヴ】なんて使ったら崩落しそうだし、使わないようにしよう)
等と考えていた所でイーグリットに呼びかけられ話を聞くと、
「え、マジですか。これは密会の予感!」
ノリノリである。
310
:
名無しの魔術師
:2012/05/10(木) 02:29:13 ID:SVtv/fVA
>>307
>>309
シェリの耳に入っているのを知ってか知らずかイーグリットは話を続ける。
イーグリット「ああ、実はナンパが上手く行かなくて仕方なく宿で大人しくしてたらな…繁華街からお前らが帰ってくるのが見えたんだよ
それからまたちょっとして、ボチボチ寝るかと思ってカーテンに手をかけたらなんも無さそうな遊歩道の方から二人が戻ってきたんだよ…アオイの奴、興味無いって面してまさか…隊の風紀に関わるか」
と、風紀を率先して乱す男が言える言葉じゃない。
当人のシカゴは今日もキリっとしているが、アオイがやや寝むそうにしている。
>>307-309
クライア「では、鉱山地区への威力偵察班を発表する、呼ばれなかった者は都市の防衛任務についてもらう」
間を置き、発表されたメンバーは次の通りだった。
現場指揮:クライア
副官:フェイス
隊員:ショウ、ヒューガルテン、シェリ、レフ、キース
クライア「以上、都市部の指揮はブルージュ、アイネズ、シカゴら各隊長に任せる!頼んだぞ!」
311
:
ショウ
:2012/05/10(木) 02:35:24 ID:???
>>310
「そ、それは……間違いなく風紀を乱しかねない、且つ口に出すのも憚られるような出来事が!」
わなわなと震えている、わなわなと。
しかしクライアから偵察班の発表が行われると、
「偵察班って意外と人数が少ないんですね」
少し前までの様子は何処へやら、真顔になって呟いた。
312
:
シェリ・ハインドマン
:2012/05/10(木) 02:36:18 ID:???
>>309
「ショウ、シェリをしっかり守るんだぞ?
それと無茶はしないことだ」
とシカゴがお馴染みにセリフを言う。
>>310
「ふん!」
とアオイは何故か脛を蹴られた。
313
:
ショウ
:2012/05/10(木) 02:39:52 ID:???
>>312
「あ、はい、任せてください。
鉱山じゃ暴れられそうにも無いので、控えめに立ち回ろうと思います」
と、冗談を交えて答える。
言い分こそは軽いが、シカゴが気に掛けてくれている事をショウは重々承知している。
きっと無茶はせずに帰ってくるだろう……たぶん。
314
:
クライア
:2012/05/10(木) 02:40:45 ID:SVtv/fVA
>>311-312
ショウの疑問が聞こえたのか、それに応えるようにメンバーの説明を行うクライア。
「今回、鉱山の作りが地下に潜るようになっているのが確認されている」
「なので期日いっぱいを使って入念に調べるつもりだ、今回の調査は第一層を中心とするから少数で編成した」
「潜れば潜るほど、編成に変更が起こりうるので各自は何時でも準備しておいてくれ」
イーグリット「あらら、最近俺の出番ねえな」
アオイ「シェリ先輩、別行動ですからどうかきをつ―――」
その直後、声にならない悲鳴と共に脛をおさえてうずくまるアオイの姿があった。
315
:
第5小隊
:2012/05/10(木) 02:42:10 ID:pz/Oyrbs
>>310
レフ「え、アタシ!?」
一瞬テンション上がって、すぐ真顔になるレフ。
ヒューガルテン「うはwおkkwww一緒にがんばんべwww」
実は同い年だ。
「アノニマス外れてんぞ」
「いいのかアノニマス?」
アノニマス「一応構造は大体調査してあるんで大丈夫スよ(あーよかった……)」
ブルージュ「了解だ。
ヒューガルテン、くれぐれも無謀はするな」
ヒューガルテン「おkwww」
ブルージュ「……レフ、ブレーキは任せるぞ」
レフ「任せてください!」
ヒューガルテン「ちょまwww」
316
:
シェリ・ハインドマン
:2012/05/10(木) 02:45:21 ID:???
>>313
「前は任せます」
とシェリがショウに伝えた。
シカゴ「ふ、期待しているぞ」
一体何を期待しているのか。
シカゴも安心したような表情で答えた。
>>314
「あなたは留守番でもしててください」
と顔を背けられた。
317
:
ショウ
:2012/05/10(木) 02:45:26 ID:???
>>314
「成る程、という事は連続して出動する可能性もある訳か……」
説明するクライアの言葉を聞き、思考を巡らせている。
負担を考慮するなら連日の出動は避けるのだろうが、そう言っていられない事態も有り得るだろう。
「仕方ありませんよ先輩、中の人の都合と言うものがありますし」
318
:
クライア
:2012/05/15(火) 01:10:28 ID:SVtv/fVA
>>315-317
イーグリット「ああ、そういう都合じゃ仕方ねぇよな…」
アオイ「脛が……脛に爆弾が……!!」
「あー…なお移動は馬車ではなく徒歩で行う」
「距離的にも丁度良いのでフル装備での走り込みの移動を経験してもらう」
ケヴィン「うっひゃ偵察班カワイソー」
ユンスン「いや…後で僕らにも回りますよ…」
319
:
ショウ
:2012/05/15(火) 01:50:52 ID:???
>>316
「はい、任されました」
シェリとシカゴの発言、その両方に対して答える。
シカゴに関しては内心『何を期待してるんだろ?』と考えていたとかいなかったとか。
>>318
「走りこみ……だと……」
驚愕を隠し切れない表情を浮かべている。
まあ、実の所ショウにとってはそれほど苦難では無かったりするのだが。移動だけならば。
「今のうちに身体解しておこう」
いっちに、いっちに、と準備運動を始めている。やる気満々だ。
320
:
シェリ・ハインドマン
:2012/05/15(火) 02:06:21 ID:???
>>318-319
(私はフル装備でも軽くて良かった)
と内心安心しているシェリ
321
:
フェイス
:2012/05/16(水) 00:00:15 ID:SVtv/fVA
>>319-320
「ほう、やる気に満ちていると言った様子だな」
ショウやシカゴ達の元に立ちよってきたのは12小隊副官のフェイス・クライトン。
「シカゴ、都市部の方は任せたぞ?死神アイネズやブルージュ隊長がいる状況なら余程の事でもない限り大事無いと思うが…この地域の汚染獣はひどく好戦的で強力だからな」
「例の戦車型汚染獣…話を聞いただけでゾッとしたよ」
そしてショウの方へちらと視線を向け
「最下位にはペナルティが付くそうだからペース配分は間違えるなよ、アキツキ」
322
:
ショウ
:2012/05/16(水) 01:00:53 ID:???
>>320-321
「が、頑張ります」
ばつの悪そうな表情を浮かべて答える。
流石に最下位になるほどヤワでは無い……と思う。いやヤワじゃないのだ。
内心で勝手に闘争心を燃やしつつ、一位で到着できるよう頑張ることにした。
323
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/17(木) 00:53:52 ID:???
>>321
「ああ、こちらは任せておけ。
しっかりと守ってみせる!」
フェイスに向かいそう告げる。
「偵察もシェリがいるから問題はないはずだ」
324
:
クライア
:2012/05/30(水) 01:38:37 ID:SVtv/fVA
>>322-323
「よし、調査班は出発するぞ!俺が最後尾につくが、鉱山入り口に着いたときに俺の後ろにいた奴はペナルティだぞー」
そう言って、クライアは最後尾といいつつさっさと移動を始めてしまった。
それにぴったりとついていくフェイス、あわてて後を追うキース。
残りのメンツもペナルティはゴメンだと移動を始めるだろう。
325
:
シェリ・ハインドマン
:2012/05/30(水) 01:40:57 ID:???
>>324
「……」
クライアの後を追う。
シェリがクライアを抜くことは無理だろう。
326
:
ショウ
:2012/05/30(水) 01:43:58 ID:???
>>324
「どう見ても一番前ですって!」
慌てて続く。
まぁ、恐らくクライアの後ろのままで到着せずに済むだろう。たぶん。
327
:
クライア
:2012/05/30(水) 01:53:54 ID:SVtv/fVA
>>325-326
都市部の外に出ると、足を止めてメンバーを待つクライアが居た。先頭はフェイスになっている。
最後の隊員が都市を出るのを確認して、ちゃんと言葉通り最後尾につくクライア。
本来走れるスピードよりは半分以下の速さに落としてあるようだ。
対汚染獣戦は、イメージするよりも短期決戦の場合が多い。武芸者や魔術師ならばその短い間は防護服を着たまま全力で動くのは容易である。
今回の移動は数kmとは言え長い距離を一定のペースで走る訓練としても行われている。スタミナが並以下の者にはそれなりに苦行になるだろう。
―鉱山入り口―
そして、出発前の調査の通り汚染獣に出くわすこともなく鉱山入り口前にたどりつく調査隊のメンバー。
クライアは息も切らさずに先に到着した者たちと合流する。
「はい諸君、御苦労さん…さて、俺をブービーにしてしまった哀れな隊員はいるか?」
と後ろを一度確認するクライア。一応は抜かさないようなペースで走っていたが、はたしてどうだろうか?
328
:
シェリ・ハインドマン
:2012/05/30(水) 01:56:26 ID:???
>>327
「はぁ…はぁ…」
体力の尽きたシェリが到着する。
普段の戦闘でも殆ど動くことのないシェリには
この距離を走るのは酷というものだった。
329
:
アイネズ
:2012/05/30(水) 01:57:16 ID:SVtv/fVA
―荒野都市カーツ―
調査組が出発するのを見届けた君たちは、このままこの荒野都市の防衛任務を続けることになる。
この都市出身の武芸者を中心にメンバーが編成されているので士気は高めだ。先日の戦車型汚染獣の撃破が効いているのだろう。
このまま荒野都市周辺の汚染獣の凶暴化の原因も見事に解決すると良いが…。
「さて、アタシ等は持ち場に移動するとするかい?5小隊は繁華街の見回り、18小隊とアタシ等13隊は都市外周部の警備さね」
先日の攻撃で破壊された外壁は突貫工事でふさいだだけなので、二小隊で守ることになったのだ。
330
:
ショウ
:2012/05/30(水) 01:57:39 ID:???
>>327
満面の笑みを浮かべて辺りを見渡している。
「さあ、哀れな隊員は誰ぞや誰ぞや」
スタミナ自慢と言う事もあり(面白みの無い事に)クライアより先に到着していた。
単純な体力勝負の状況は得意なのである。
331
:
トッポ
:2012/05/30(水) 01:59:32 ID:???
>>329
「警備だけで終わってくれれば、気が楽なんだけどな〜」
と、独り言を漏らす。
332
:
エスメラルダ
:2012/05/30(水) 02:04:07 ID:???
>>329
「さて、どんなことがあっても大丈夫なように、準備だけはしておかないといけませんね」
レイピアを持ち、見回りを行っている
333
:
ネクロ
:2012/05/30(水) 02:04:15 ID:SVtv/fVA
>>328
>>330
「ハインドマンが最下位か、まあ念威操者には厳しい距離だったか…」
「けどまあ、いざって時にも体力は必要ってのが身に染みただろう?良い経験になったと思ってくれや」
ハハッと笑いながら力尽きたシェリに手を貸して入り口まで移動する。
キース「……相変わらず底なしのスタミナだな」
何時もと同じ仏頂面で平静を装ってるが、普段からハードトレーニングをこなしていたキースもショウのすぐ後ろを走るのが精いっぱいだったらしい。
途中で二人に抜かされたフェイスは少し悔しそうにショウ達を睨んでいた。
「さて、5分小休止を置いてから探索に入るぞー?水分補給もいいがまず息を整えろよお前ら」
「今回は鉱山の第一層までを調査する。第一層の安全確認をするのが今回の目的だ。安全を確保できたら、一層を拠点に残りの日数を使って地下を調べるからな」
334
:
イーグリット
:2012/05/30(水) 02:06:24 ID:SVtv/fVA
>>331-332
「二人ともさあ、そういうことを言うとホントに来るぜ汚染獣」
「こういうときは黙々と仕事をこなすに限るんだよ、うんうん」
と、部隊最年長のイーグリットは今日も変わらず軽い言葉を口にしている。
「俺としてはさっさと交代してこの都市の女の子たちと親睦を深めたいねぇ…昨日は襲撃後ってのもあって全然だめだったし」
335
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/30(水) 02:07:36 ID:???
>>329
、
>>331-332
「私たちは都市外周部の警備だが
各自、どこの方面にも気を配っておいてくれ」
「不測の事態にもすぐに対応出来るようにな」
336
:
シェリ・ハインドマン
:2012/05/30(水) 02:09:44 ID:???
>>330
、
>>333
「善処します」
と答え水分補給をする。
337
:
アオイ
:2012/05/30(水) 02:12:16 ID:SVtv/fVA
>>335
「仕方ないですけど、こういうときに小隊専属の念威操者が出払ってるのはやりにくいですね」
「12小隊も隊長が行ってしまったから各所で警備ってことになってますけど」
外周部を回りながら、黄土色の空を見上げるアオイ。
いつもと変わらず汚染された空だ。
338
:
ショウ
:2012/05/30(水) 02:12:48 ID:???
>>333
>>336
「はっはっは、体力だけは自信満々だぜー」
キースの呟きに答える様子から、殆ど疲労は無い事が感じられる。
呼吸も既に整っているようで、今すぐにでも調査に向かえそうな程だ。
優秀なのは良いが、この態度は妙に腹立たしい……。
「そういえば、鉱山が何層まで有るかどうかは分かってるんですか?」
持参した水を一口飲むと、クライアに問い掛けた。
339
:
トッポ
:2012/05/30(水) 02:14:53 ID:???
>>334
「そのセリフも、結構あぶねーんじゃないかと思うけどぉ……」
疑わしい視線をイーグリットへ向ける。
>>335
「汚染獣でもなんでも、かかってきやがれってんだ!」
小石を蹴飛ばす。
340
:
エスメラルダ
:2012/05/30(水) 02:18:26 ID:???
>>334
>>335
「ダメですよ、いつ何が起こってもいいようにですね…」
またお説教が始まりそうな雰囲気
と、その時
「はい、了解しました隊長!」
どうやらお説教はなくなりそうだ
341
:
クライア
:2012/05/30(水) 02:22:45 ID:SVtv/fVA
>>336
>>338
「荒野都市の人の話では10層まで掘られた鉱山で、内部はかなり作り込まれてるらしい」
「昨夜ここから出ていた黒い靄が何なのかもわからない、各自慎重に行動してくれ」
「…さて、内部では俺が先頭で指揮をとるぞ、念威操者のハインドマンを中央に置いた布陣で、確実に進むぞ」
342
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/30(水) 02:24:59 ID:???
>>337
「そうだな。連携が普段より難しくなる。
何よりシェリは広範囲を見ることが出来るからな」
>>339
「ふっ、頼もしい限りだなトッポ。
期待しているぞ」
>>340
「私とアオイが前衛になる。
エスメラルダは中衛を頼む」
343
:
イーグリット
:2012/05/30(水) 02:26:04 ID:SVtv/fVA
>>339
>>340
「ま、昨日今日でそんなデカイ奴が来るとも思えないが…」
アオイ「そうですかね、小物は来るんじゃないですか?外壁の破壊で内部の気配は漏れてますから…」
そんな時だ。トッポのけった小石が落ちた先でピシリと地面が裂ける音がした。
344
:
シェリ・ハインドマン
:2012/05/30(水) 02:27:05 ID:???
>>338
、
>>341
「ショウ、よろしく頼みます」
クライアの指示を聴いてから
中央に移動した。
「何かあったらすぐに報告します」
345
:
トッポ
:2012/05/30(水) 02:30:37 ID:???
>>342
「へへ、任してくれや!!」
煽てられるとすぐに調子に乗る典型的な例であるかのように、得意げになる。
>>343
「ん?ピシリ?」
かすかに聞こえたような音に耳を傾ける。
346
:
エスメラルダ
:2012/05/30(水) 02:33:45 ID:???
>>342
「わかりました、援護はお任せください!」
アオイの後ろになるよう、位置を変える
トッポの石の音には気付いていないようだ
347
:
ショウ
:2012/05/30(水) 02:37:04 ID:???
>>341
「十層って、随分と深いんですね」
一日一層として十日は掛かる事になる。
その間、微々たるものとはいえ都市防衛の戦力を割く事になるのは少し不安だ。
早く調査が終わりますように――と、内心で祈っておくショウであった。
>>344
「はい、こちらこそ」
少し考えた末に、シェリの横を位置取る事にした。
クライアを筆頭に、前衛としての役割を持てる隊員が多いからだ。
348
:
アオイ
:2012/05/30(水) 02:37:25 ID:SVtv/fVA
>>342
>>345
>>346
アオイも音に気付き、目つきを変えるとイーグリットもそれに気付いて兵装を構えた。
この場にいた者たちは信じられない光景を目にする。何度目かすでに数えてないが。
ピシリピシリと乾いた地面が裂けていくと、地面の土を突き破って細長い蛹のようなものが何体も飛び出してきた。
棺桶が起立しているようなフォルムに半月状に口を開いたマスクのような顔面
間違いなく汚染獣だろう。しかし、蛹のような見た目の通りその場から動こうとしない。
「コイツは……何だ!?」
アオイも知らないタイプの汚染獣のようだ。その数は現在は15体ほどだ。
349
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/30(水) 02:39:19 ID:???
>>343
、
>>345-346
「ん?」
小石が落ちた先を覗きこむシカゴ
「今物音がしたような気が」
慎重に動き、様子を窺う。
ただ単に地面に裂け目が出来ただけだと良いのだが
350
:
トッポ
:2012/05/30(水) 02:41:14 ID:???
>>348
「は、はわわ……ご、ゴメンナサーイ!」
気味の悪い汚染獣をすぐ近くで目の当たりにし、流石に勢いよく後ずさる。
351
:
クライア
:2012/05/30(水) 02:42:50 ID:SVtv/fVA
>>344
「そいつは頼もしいぞ、ハインドマン」
そう言って坑道に入っていく調査隊。現在のところ不審な点はない。
>>347
「なんでも荒野都市の貴重な収入源としてこのあたりの鉱山は非常に希少価値の高いレアメタルが発掘できていたらしい」
「もっとも数が少なくて優先して高値で買い取ってくれる中央都市に流通してたらしいが…ほら、これなんかうちの都市で使ってるダイトの1.5倍は大きい鉱石だぜ」
そう言って岩に埋もれていた原石を引っこ抜いてショウ等ほかの隊員に見せるクライア。
「荒野都市としては手放したくなかったそうだが、汚染獣の凶暴化に伴ってこの内部にも連中の巣があるかもしれないって話になってな、やむなく撤去したそうだ」
「10層まで行ったらレアメタルが摂れるかも知れないな?横流ししたら一攫千金だぞ」
フェイス「隊長!」
「冗談だよ冗談、そんな真似したら外交問題になっちまう」
352
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/30(水) 02:51:23 ID:???
>>348
、
>>350
「アオイ、構えるぞ!レストレーション!!」
双鉄鞭を構えるシカゴ
「トッポとイーグリットは後衛でフォローを頼む!
遠距離からの攻撃と奴らがどう動くか観察しておくんだ」
353
:
エスメラルダ
:2012/05/30(水) 02:52:43 ID:???
>>348
「出ましたね!」
レイピアを構え、汚染獣に向かっていく
そして鋭い突きを繰り出す 効果はあるだろうか?
354
:
トッポ
:2012/05/30(水) 02:54:29 ID:???
>>352
「わ、わーってらい!」
杖を構え、汚染獣の動き次第ですぐに対応できるよう、構える。
355
:
ショウ
:2012/05/30(水) 02:55:52 ID:???
>>351
「わーお……これは凄い」
引き抜かれた原石を見て感心したように息を漏らす。
このサイズのダイトなら剄技がもっと活用出来そうなのに、と思うショウであった。
「という事は、汚染獣の巣が無い事を証明するか、巣を潰してしまえば此処を再利用出来そうですね」
政治的な事だが、荒野都市を守る上での理由付けにも使えるのではないだろうか。
なおクライアの冗談に関しては苦笑いを返しておいた。
356
:
シェリ・ハインドマン
:2012/05/30(水) 02:59:31 ID:???
>>351
、
>>355
「横流しはともかく、報酬という名目でなら
多少は頂いても構わないかと思います」
考えてみればシェリはクラッドの妹だ。
そんな妹を前にクライアもなんという冗談を
「今の所は異常はないようです」
357
:
アオイ
:2012/05/30(水) 03:00:37 ID:SVtv/fVA
>>350
>>352
「レストレーション!」
ロングソードを構え、シカゴとともに前に出るアオイ。
イーグリット「あいよ、援護は任せろ!やるぞトッポ!」
そういうと銃型術式兵装を構えて汚染獣へ向けて攻撃を放つイーグリット。
後衛の攻撃を突っ立ったまま食らう蛹の汚染獣は、そちらに視線を向けると頭部に魔弾を出現させて砲撃で反撃を開始した。
>>353
「!?」
自分を追い越して前に出るエスメラルダに驚くアオイ
レイピアの突きは蛹の汚染獣をとらえて、
ぶよっとした感触が手に伝わると同時にズブリと刺さる。
しかし貫通には至らず、蛹の汚染獣が身を震わせた次の瞬間
汚染獣は自分の身体から鋭い長針の棘を全身から突出させた。突然のことにエスメラルダはなすすべもない
「フォロー(中衛)なのに僕の前に出てどうするんですか!?」
はずだったがシカゴとのツートップの位置を離れ、エスメラルダの首根っこを掴むと無理やり自分の後ろへと引き倒して長針を避けさせた。
「シカゴ隊長!この蛹かなり狡猾ですよ!!」
358
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/30(水) 03:07:56 ID:???
>>353-354
、
>>357
針が飛び出したことにより
攻撃を踏みとどまる。
「遠近どちらでも対応可能のようだな。
攻撃されると反応するのか?
無暗にあちこちに手を出すより、確実に一体ずつ倒していくんだ!」
踏みとどまった位置から、針を出した汚染獣に対して
双鉄鞭から流した剄弾を飛ばした。
359
:
エスメラルダ
:2012/05/30(水) 03:15:05 ID:???
>>357
手ごたえはあったが、貫通はできなかった
その直後、全身から鋭い針が突き出る もはやこれまでかと思ったが…
「きゃ! あ、ご、ごめんなさい。つい…」
アオイの機転により、なんとか窮地を逃れた
「正面から戦うには難しいようですね。ではこれで!」
手に電撃弾を作り出し、それを汚染獣めがけ放つ
360
:
クライア
:2012/05/30(水) 03:15:50 ID:SVtv/fVA
>>355
>>356
「報酬か、さすが生徒会長の妹だ、目の付けどころが違うな」
クライアもそれくらいの発想力は持ってそうだが、その手があったかといわんばかりの反応だ。
汚染獣の反応もないまま、一層の探索を進めていく調査隊は、開けた場所に出た。木材などでしっかりと補強された広場だ。おそらくは一層の中でもとくにダイトが掘れた場所だったのだろう。
「…少し冷えるな、地下だからか?」
と、辺りを見回しながら先を歩くクライア。ビシリ、と何かを足で割った音がして視線を下に向ける。
この大陸では久しく見ない霜を踏んだようだ。
「おいおい、冷えすぎじゃないか?しかも…ハインドマン、このあたりの空気の鮮度と汚染獣の反応を調べてくれ」
361
:
アオイ
:2012/05/30(水) 03:21:58 ID:SVtv/fVA
>>358
剄弾を受けた蛹の汚染獣は反撃に魔弾を放とうとする。エスメラルダの雷撃を受けた者も同じようだ。
アオイは発射態勢になった蛹を順に狙いをつけ、自身の剄を流した兵装の刀身で蛹型汚染獣の頭部を斬り飛ばした。
「おそらくですが、遠近両方への対応はできないみたいですね」
362
:
ショウ
:2012/05/30(水) 03:23:28 ID:???
>>356
>>360
(こういう所は血の繋がりだなぁ)
目ざといと言うか何というか、ショウも苦笑せざるを得ない。
開けた内部を隅々まで見渡していたが、ふと、大袈裟に身体を震わせた。
クライアも口に出した事だが、鉱山内の寒さを感じ取ったのだろう。
「みょ、妙に寒くないですか、此処。確かに陽も当たらない場所ですけど」
さみーさみー、とボヤいている。
しかしクライアが何か気づいたのか、シェリに指示を出したのを見て、彼女からの報告を待つ事にした。
363
:
シェリ・ハインドマン
:2012/05/30(水) 03:37:10 ID:???
>>360
、
>>362
「ショウ、今何か考えましたか?」
ちらっと、目の据わった表情でショウを見た。
紛れもなく生徒会長の妹だった。
そして目を瞑ると、シェリの体をピンク色の剄が包む。
そしてそれはシェリの長い髪にまで流れ端子が開けた場所を調べる。
「ここはどうやらメットを付けなくても大丈夫な空気があるようです。
……待って下さい。反応があります…これは、汚染獣!」
「一体だけ反応があります」
364
:
シカゴ・クロックベル
:2012/05/30(水) 03:43:57 ID:???
>>361
「同時に対応は出来ないということか。
しかし嫌な感じがする。早めに始末をしておきたいところだ」
シカゴも汚染獣の頭部を叩き潰す。
365
:
クライア
:2012/06/25(月) 20:34:40 ID:SVtv/fVA
>>362-363
「やっぱりか…」
空気の汚染がないと聞いたクライアは率先して保護マスクのメットを外した。
思い切り深呼吸までして、安全だということを示している。
そして周りの者に「怖くないから外してみろ」と言ってきた。
「反応に対して汚染獣の気配がないのはここから遠い位置にいるってことだな…よし、行ってみるぞ」
フェイス「隊長、何故汚染がないと分ったんですか?」
「歩きながら話す。ハインドマン、汚染獣のそばに行きたい、ナビを頼む」
366
:
ショウ
:2012/07/11(水) 01:10:49 ID:???
>>365
「え、ちょ――えぇっ!?」
クライアの行動に驚き、止めようとするも間に合わず、更に驚く羽目になった。
そして恐る恐るメットを外し、本当に大丈夫である事にやはり、驚きを見せた。
「何で此処だけ大丈夫なんですか?」
既にフェイスが尋ねているが、同じ疑問をクライアにぶつけた。
余談だが、目の据わった表情を見せたシェリ(
>>363
)から少しだけ距離を取りながら歩いている。
367
:
シェリ・ハインドマン
:2012/07/11(水) 01:44:38 ID:???
>>365-366
「汚染獣はここから道なりに進んで行くと
必然的に遭遇します。一体だけですが、
逆に考えれば群れでいないとなると」
「既に雄性体以上になっている可能性が高いです」
368
:
クライア
:2012/07/25(水) 01:24:56 ID:SVtv/fVA
>>366
「俺も正直眉つばな話だと思っていたんだが…"地下空洞は汚染を免れている"っていう説があってな」
「証拠はさっき踏んだ霜だ、汚染が進んだ大地にはほとんど水分が残らないはずなのに、ここはなぜか冷えていて水気があるだろう?」
この話を聞いたのは一年ほど前だそうだ。『学術都市クレン』という都市から一時的に赴任してきた教師の護衛任務の際に話を聞いたという。
>>367
「汚染がない場所にいる汚染獣か…さて、どうするか」
メットを改めてかぶり、試案顔になるクライア。
「雄性体ならこの人数で仕留められる、先に進むためにも排除した良いかもな…」
>>全員
「よしお前ら、俺を先頭中央に左にショウ、右にフェイス、あと全員は後ろに回ってT陣形をとって進むぞ」
369
:
ショウ
:2012/10/04(木) 03:23:54 ID:???
>>368
「ああ、言われてみれば確かに」
答えるとショウは、はぁ、と白く染まった息を漏らした。
「ふと気になったんですけど、此処が汚染されていないのは
『地下だから』なのか、それとも『冷えているから』か、どっちなんでしょうね」
指示された位置取りの後、何気ない疑問を発する。
まだ汚染獣の姿も見えていない状況だ、少しでも暇を潰したいのかもしれない。
無論、周囲の警戒を怠っている様子は無い。
370
:
クライア
:2012/10/04(木) 03:59:09 ID:SVtv/fVA
>>369
「俺は"冷えてるから"だと思うな…医学でも良く言うじゃないか?菌ってのは極寒の場所じゃ活動できない…みたいな話」
この大地の汚染は病原菌が原因ではないのだが、確かにそんな想像をしてしまう。
「汚染された地下道もないわけじゃないしな…」
慎重に進みながら、ショウの疑問に返事を返すクライア。
371
:
ショウ
:2012/10/04(木) 04:11:19 ID:???
>>370
「なるほど……確かに言いますね」
「ちなみに、僕もどちらかと言われれば『冷えているから』派です。
地下だから大丈夫だって言うなら、地下施設でも作ってしまえば安全な筈だし」
クライアの言う通り、既に汚染された地下空間も存在している。
汚染を免れた原因が地下だから、というのは理に適った物ではないだろう。
最も、人が活動出来るレベルの冷えた空間――汚染を免れた理由としては、それだけとも考え難い。
「魔術師が何百何千と集まって、準備万端の上で一斉に氷結系の魔術を発動したら汚染された空気が消えたりしないかなぁ」
372
:
クライア
:2012/10/05(金) 03:05:34 ID:SVtv/fVA
>>371
「そいつはおもしろい案だな、学園都市に戻ったらショウのアイディアって言って提案してみるか」
ハハハと緊張をほぐす為か、他愛のない会話で笑いながら進んでいく。
しかしやがて誰もが無言になり、先頭を歩くクライアが足を止める。
「近いぞ」
気付けば、足元の土はすっかり雪に覆われていた。
地下に行けばいくほど温度が下がっているようで、進めば進むほど空気が澄んでいる。
汚染獣が近くにいるはずなので、さすがにクライアもココでメットを再び装着したが、奇妙な話だ。
「ハインドマン、この先の様子を見てくれるか」
と、シェリに端子を飛ばす指示を出すクライア。
373
:
クライア
:2013/01/02(水) 03:55:23 ID:SVtv/fVA
足元は真冬のように白い雪で覆われ、地下坑道はランプの光に雪の照り返しと岩場の関係で薄青く照らされていた。
「この先にいるのは一体か……」
シェリが飛ばした端子によって、現在地から数十m離れた先に一体の汚染獣が居る事が判明した。
この一体が氷結している原因だろうと思われる。
「よし、俺と……そうだな…ショウ、キース、ケヴィンで先行するぞ」
「残った連中はここで待機だ、狭い洞窟内で戦闘になったら集団じゃ動きにくいからな」
意外にもショウを含めた1年生を指名するクライアだった。
これにはケヴィン、ユンスンも驚いて眼を見開いている。
374
:
ショウ
:2013/01/02(水) 04:04:34 ID:???
>>373
「……本気ですか?」
疑問を投げかける。当然と言うべきか、他の1年生組と同様に驚きを見せている。
「出来れば理由を聞きたいです、隊長。
いや、卑屈になってる訳じゃないんですが、戦闘を想定するなら他に適任があるのではないかと」
なお、そう語るショウの表情から怯えといった類の感情は見受けられない。決して怖がっていたりするわけではないのだ。
375
:
クライア
:2013/01/02(水) 04:12:54 ID:SVtv/fVA
>>374
ケヴィン「そ、そうですよ隊長…別に怖いとかじゃないけど、他に適任者の方が…」
「端子によって分かっているこの先の空間の広さを考えた結果さ」
「ヒューガルデンの装備(大剣・5小隊メンバー)じゃ振り回しづらい、フェイスの装備(トンファー)は未確認汚染獣とやり合うには近接過ぎる」
近接過ぎる=情報のない汚染獣と戦うにはリスクが大きい
「キースは言うまでもなく後衛に適任だ」
「さらに、ショウとケヴィンの剄技は俺のと同じで遠近に使い分けれる」
サラサラと理由を述べていくクライア。
「フェイスには万が一に備えて待機してもらわないといかんし、シェリを前に出すわけにいかん」
「くわえて借り者のレフ(5小隊メンバー)よりはチームワークを取れるお前らを固めたほうが動きやすいだろ?ちなみに今回ユンスンを選ばなかったのは装備と人数の都合だ」
ユンスンはフェイスよりもさらに近接の拳武芸者だ。未確認汚染獣の相手はフェイスと同じ理由で避けたのだろう。
「うーむ…こういうとあて馬にされてるように感じるか?だったらメンバーを変えるが…俺を信じてくれるならこのまま一緒についてきてくれや」
376
:
ショウ
:2013/01/02(水) 04:17:34 ID:???
>>375
「なるほど、分かりました」
一通りの事情を聞き、納得したように頷く。
「いえ、そんな事は無いですよ。
何を考えてそうしたのか、という点が聞きたかっただけなので――というわけで、指示通り同行させて頂きます、隊長殿!」
大げさに一礼して、クライアの指示に異論が無い事を告げた。
他の1年生二人組みはどうなる事やら。
377
:
クライア
:2013/01/02(水) 04:27:22 ID:SVtv/fVA
>>376
ケヴィン「ぬぐ…ここで何か言ったらそれこそカッコ悪いじゃないかよ!俺だって文句ないっすよ」
キース「相変わらず、他人を焚きつけるのが上手い奴だぜ…」
それぞれ対象的な反応だが異論はないようだ。
「よーし、チームの気持ちが一つになったとこで進むとするかぁ」
ニッと笑い、ロングソード型の術式兵装を片手に先頭を歩きだした。
「フェイス!万が一の時は端子で連絡する。その時は他の連中を指揮して撤退するんだぞ」
フェイス「…万が一が起きないと信じています隊長、お早い御帰りを…」
他のメンバーと共に待機し、見送るフェイス副隊長の表情には多少の不安が混じっていた。
―開けた空間―
四人で先へと進むと、また更に気温が落ちているのを感じるだろう。
次の坑道へとつながる連絡部に出たらしく、多少広さのある場所に出た。
楕円形、広さは30m弱で高さは二階建ての建物ほどある…そして
その中央に、白く、巨大な獣のような汚染獣が身を丸めて眠っているのが見える。
少なくとも、これまでショウを含めた一年生は確認すらした事のないタイプの汚染獣だった。
形状的には以前廃村内で交戦した獅子型汚染獣を思わせるようなシルエットをしているが……。
キース「休眠中ってやつなのか?」
息をひそめて侵入したのが幸いしてかまだ汚染獣に動きはみえないが、キースが静かに疑問を口にした。
378
:
ショウ
:2013/01/02(水) 04:36:17 ID:???
>>377
「それじゃ、いってきまーす」
汚染獣との戦闘が予想されるというのに、ずいぶんと楽観的な様子であった。
ショウなりに場の雰囲気を和らげようとしていたのかもしれないが。
――
「うわ、さむっ」
小声でボヤきつつ、周辺を見渡す。
更に低くなった気温のせいか、情けない表情であちこちを見渡していたが、空間の中央で眠る汚染獣を見て真剣な面持ちとなる。
「……どうなんだろう、見た目通りなら休眠中で合ってると思うんだけどな」
キースの疑問に返答して、正体不明の汚染獣の様子を注視する。
武器として用いてきそうな部位はどこか、実は起きていたりしないか――少しでも外見から分かる情報はないだろうか?
379
:
クライア
:2013/01/02(水) 04:42:47 ID:SVtv/fVA
>>378
汚染獣の顔、頭部は休眠中らしい姿勢で確認はできないが、前回戦った獅子型との大きな違いはすぐに確認できた。
まず、前後の足を守るように結晶のようなプロテクターが確認できる。
さらに背中を守っていると思われる鬣は白い霧のようなものを噴出しており、それが冷気を帯びている事は一目瞭然だった。
「さてさてどうするか…寝起きを攻めるのが一番賢いんだが、何時起きるかも分からないんだよな…かと言って、今攻めても強固になってる汚染獣の外郭を破ることは難しい」
ホント、厄介な生き物だぜと愚痴りながら煙草を取り出そうとポケットをまさぐるクライア。
しかし既にメットをつけていることを思い出して止めるのだった。
キース「遠距離から仕掛けて無理やり起こして、すぐに追撃ってのはどうだ?」
「流石キース君、悪くない案だがタイミングはかなりシビアになるぞ?うっかりしちまえば寝起きで期限最悪な汚染獣とココでダンスをするハメになるぜ」
380
:
ショウ
:2013/01/02(水) 04:52:53 ID:???
>>379
(あの結晶、足を潰し難いのは厄介だな……
しかも鬣から噴き出してる霧っぽいの、如何にも攻撃に使ってきそうだな……ふぅむ)
諸々の情報をまとめた結果『先制攻撃で大ダメージを与えるのは不可能に近いだろう』と判断出来てしまった。悲しい事に。
それでも何か有効打は無いかとひたすら考え込んでいたショウだが、
「……クライア隊長、確か炎属性の剄とか使えませんでしたっけ?」
ふと思い出したように、クライアに問いかけた。
「あいつ、この環境下で平気で寝てる様子からしても正に『氷』っぽい感じですよね。
寝起きにアツいの一発ぶちこむとか、どうでしょう」
物理攻撃で仕掛けるよりは効果がありそうだ、と続ける。そもそもクライアが炎属性を扱えたら、の前提だが。
381
:
クライア
:2013/01/02(水) 05:00:28 ID:SVtv/fVA
>>380
ショウの発言に、ケヴィン達もそう言えば…とクライアへ視線を向けていた。
「良く人の剄技を覚えていたな、感心感心」
そう褒めるクライアだが、何時だったかの小隊対抗戦でショウにその剄技をモロに振るったのはこの男本人だ。
痛みを持って技を記憶したショウが忘れるわけがない。
「やっぱそう考えるのがセオリーだな…よし、ありったけの火力叩きつけてやるとするか…」
「俺が奴さんに一撃叩きこんだら、起き上がりにお前らの全力を一発ずつお見舞いしてやれ」
「そのあとはケースバイケーズだが、基本的には距離を保ちつつ裏取りでダメージ与えていくぞ」
この戦術はキースの弓による挑発が鍵となりそうだ。彼にはかなりの運動量が要求されそうだが、超人的な回復力を持つショウについてくるスタミナの持ち主でもある。
おそらくは心配いらないだろう。
「各自配置につけ、俺はもう構えちまうぞ!」
両手でロングソードの術式兵装を握り、剄を放出してその刃へと纏わせていく。
382
:
ショウ
:2013/01/02(水) 05:11:50 ID:???
>>381
「そりゃあ印象的ですからね、そりゃあもう」
精一杯の皮肉のつもりで答えた。
「――了解。全力でぶちかましますよ!」
クライアに続くように『風月・紅』を抜刀し、構える。
柄を逆手で握り、腕を背中側へ引くようにした独特の構えは、最早お馴染みとなった剄技『ドライヴ』のそれだ。
刀身に流し込まれる剄は真紅に染まり、その濃度を着実に増している。
動けなくなっては元も子も無いので文字通りの全力では無いが、それでもショウにとっては相当量の剄が放出されている。
こちらは準備万端のようだ、後はケヴィン、キースを待つだけだろう。
383
:
クライア
:2013/01/02(水) 05:19:44 ID:SVtv/fVA
>>382
キースは三人から離れた位置に、そしてケヴィンはショウから見て左側に位置した場所について槍を構える。
それを確認したクライアが剄を一気に練り上げる。術式兵装に埋め込まれたダイト(宝石)が剄に熱を帯びさせていくのが分かるだろう。
「竜炎刃―――そぉぉおらぁぁああっ!!!」
気合の入った叫びとともに剣が振りぬかれると、竜を模した炎が休眠状態であろう汚染獣へと食らいついた。
その衝撃で洞窟内が多少揺れ、また炎と化した剄の熱気で氷が溶けていく。
数秒と待たずに汚染獣が悲鳴…否、咆哮とともにその身体を起こした。
背中を守る鬣から白い煙が一気に噴出し、自身を焼く炎をのみ込んでいく
身体を起こした事で汚染獣の全容が確認できる。
獅子型汚染獣と非常に似通っているが、その頭部だけは別物だった。
能面のような細い眼に人と同じような作りと鼻と口、どこぞの邪教の女神像か何かのような顔がこの汚染獣の不気味さを際立たせていた。
氷獅子とでもいうべきか、この汚染獣は眠りを妨げられた事に怒り、そして咆哮を高らかに上げた。
しかし、クライアは怯むことなく檄を飛ばす
「今だ!!一気に叩きこめ!!」
384
:
ショウ
:2013/01/03(木) 18:18:42 ID:???
>>383
(気色悪い顔しやがって……!)
露になった不気味な面を見て、不快感を隠す事なく舌打ちする。
しかし、それによって攻撃の手を緩める事はなく、むしろ、ショウの手に力が篭った。
「――ッラァ!!」
クライアの合図を聞くと、即座に刀を振り抜いた。真紅の剄が衝撃波となり放出される。
仲間の協力があったとはいえ、大型の汚染獣の体をも両断した一撃だ。
狙いは汚染獣の頭部。まっとうな生物であれば大ダメージは免れられない筈だが、はたして。
385
:
クライア
:2013/01/03(木) 19:56:28 ID:SVtv/fVA
ショウに続くようにケヴィンが槍を突き放ち、巨大なニードルのような剄弾を放つ
まだ態勢の整っていない氷獅子の右足の結晶にケヴィンの剄技が直撃してよろめく。
そこへ、真紅の衝撃波が頭部へと叩きこまれた。
攻撃の衝撃で半歩後ろにずり下がる氷獅子の汚染獣へ、後方にいたキースが詰めとばかりに10発の矢に剄を込めて連射する。
足を守る結晶にいくつも突き刺さり、ショウの攻撃で頭から顔へ斜めに傷の入った頭部にも振るわれる。
矢が突き刺さり、白い霧のようなものが汚染獣の傷口から噴出してあたりを薄い霞で覆う。
一層、辺りが冷え込んだ。
「全員後退!汚染獣の動きが確認されるまで追撃は待て!」
悪くなった視界を警戒してか、クライアから自分の近くまで後退するように指示が飛ぶ。
386
:
ショウ
:2013/01/03(木) 20:16:49 ID:???
>>385
指示に従い移動する。
「白い霧っぽいの、傷口からも出てきましたね。
中途半端にダメージ与えて放っておくと面倒な事になるかも」
周辺の気温が下がった事と、視界が悪くなった現状を認識してボヤく。
もちろんボヤきつつも警戒は怠らず、足に剄を纏わせていつでも対応できるようにしている。
387
:
ヒューガルテン、レフ組
:2013/01/06(日) 22:10:31 ID:zO62fPMo
--鉱山内・待機場所--
ヒュー「寒いwww俺の出番マーダー?」
レフ「指示があるまで動かない。」
ヒューガルテンの足元の地面にはなぜかナイフが刺さっている。
レフが牽制のために投げたものだ。
誰に対しての牽制かは言うまでもない。
388
:
クライア
:2013/01/14(月) 02:21:31 ID:SVtv/fVA
>>386
「時間をかけるとやばいかもしれないな…
これだから固有体ってのは面倒だ」
ケヴィン「固有体って決めつけて良いんですか?」
「獅子型と特徴が一致してて付加要素がある汚染獣…って事は固有体相当って事だろ?
さて…どう動く…」
キース「…見ろ!」
白い霧の向こう側で、白い獅子型汚染獣がショウ達を睨んでいた。
そして口を開けて一吠え――同時に中空に幾つもの鋭利な氷柱が出現した。
それらは全て、ショウ達武芸者の方を向いている。
「…回避行動!」
クライアが叫んだ直後、氷柱は一斉にショウ達へと放たれた。
389
:
ショウ
:2013/01/14(月) 02:40:17 ID:???
>>388
仲間達が話している様を尻目に、右手から剄を放出、球体の形へと変化させる。
大したダメージにもならないだろうが、せめて牽制してみるべきか等と考えていたのだ。
しかし、霧の合間から見えた汚染獣が浮かべる氷柱に戦慄する。
「っ!」
クライアの叫びを聞くと同時に横へ跳躍し、回避を試みる。
そして、体勢こそ整っていないが構わずに、右手に収束させた剄を汚染獣めがけて投げ放った。
390
:
クライア
:2013/01/15(火) 01:32:36 ID:SVtv/fVA
>>387
待機組の方に、戦いの振動らしき揺れと音が届く。
どうやら大型と戦っているらしい。
>>389
クライア等三人も放たれた氷柱を回避すること成功する。
ショウの放った剄弾は汚染獣の膝に炸裂するも、あまりダメージになっていない様子だ。
しかしその行動が、汚染獣の意識をショウへと向けさせる事になった。
「ショウ!奴がそっちに行くぞ!キース、フォローだ!」
クライアの叫びに応じて、キースが剄を通した矢を連射して汚染獣の背中を攻撃する。
ショウの行動が、最初にクライアの提案した裏どり戦術を結果的に成立させたようだ。
その恐ろしい顔をショウの方に向けていたが、眼球はギョロリとキースへと向いたのが
汚染獣の正面に居たショウには分かった。
391
:
ショウ
:2013/01/15(火) 01:52:04 ID:???
>>390
回避からの着地を成功させ、汚染獣を見やった。
「……来いっ!!」
こちらへ意識が向いた事を確認すると、クライア達から少しでも距離を離すように移動する。
キースのフォローが入るまでのごく僅かな時間の出来事だ。
大した距離は開かないだろうが、キースを除く二人が次の手に取り掛かる余裕は出来たのではないだろうか?
(キースの方を――それなら!)
意識が逸れた瞬間を逃さず、汚染獣へと斬り掛かる。狙いは、先ほど剄弾を命中させた膝。
392
:
レフ&ヒューガルテン組
:2013/01/15(火) 02:08:33 ID:RKYxA1bM
>>390
レフ「あーこれ、マジ大物じゃん?」
ヒュー「うはwwwみなぎってきたwwwww俺も行ってk」
何かが風を切る音。
レフ「ホントに落ち着きないんだからー」
ヒューガルテンの足元のナイフが増えていた。
393
:
クライア
:2013/01/15(火) 02:12:20 ID:SVtv/fVA
斬りかかり、ショウの放った刃が汚染獣の膝に振りおろされた瞬間
ガキッ!と鉄か何かが擦れるような音が空間に響く。
氷のようなプロテクターに守れた膝に刃は届かず、途中で止まってしまったのだ。
しかし痛みはあるのか、汚染獣は唸りを上げながら再びショウに視線を向けた。
そしてその強靭な右前脚を振り上げた瞬間――――
ケヴィン「おらあああああああ!!」
振り上がった前足に飛びつくように槍を思い切り突き立てるケヴィンがいた。
さらにクライアが炎を纏った兵装を振りぬき、キースがダメージを与えた背中に追撃を与える。
汚染獣は苛立つように咆哮し、右前脚に槍を突き立てたまま粘るケヴィンを振りおろそうと
身体を大きく揺らし足を振るい出す。
ケヴィン「うわああああ!!は、離すかよぉ!!」
394
:
ショウ
:2013/01/15(火) 02:38:24 ID:???
>>393
「ケヴィン、助かった!」
迂闊な行動だったが、命拾いしたようだ。
ケヴィンが必死で耐えている間に、刀の柄を一度、二度と捻り上げギアを起動させ、剄を巡らせる。
熱を帯びたように赤く光る刀身――威力が増大したそれを鞘に収め、抜刀の構えを取る。
「膝が無理なら顔は……どうだ!!」
ギアにより攻撃力、抜刀速度を上昇させ、さらに剄をも加えた抜刀の一撃が放たれる。狙いは不気味な顔面の目元だ。
外見から、能面じみた顔には膝を覆うプロテクターほどの防御力は無いと判断したが、どうなるか――。
395
:
クライア
:2013/01/15(火) 03:41:41 ID:SVtv/fVA
>>394
今度は硬度に阻まれる事なく、刀型術式兵装は美しい軌道を描いて振りぬかれた。
汚染獣は動きを止め、1秒ほど全てが静止したようになる。
ケヴィンが不格好な態勢から槍を引き抜いて汚染獣から離れた直後、能面のような顔に横一線の傷が走り、紫色の血渋木を凍りついた地面にまき散らした。
汚染獣は悲鳴を上げるとまたも白い霧を噴出しながら跳躍し、4人から大きく離れた位置に着地した。
「どうやら顔にそこまで強度はないみたいだな…
…考えたくないが、人を食い過ぎて形を覚えやがったのか?」
以前戦った、女性のフォルムに進化した蝶型の汚染獣を思い出す。
アオイの話では、より多く人を捕食した汚染獣は人間型への擬態、変化に進化が傾く事が多いと言っていたはずだ。
396
:
ショウ
:2013/01/15(火) 04:20:09 ID:???
>>395
「その可能性は高いですね。
顔だけ明らかに身体から浮いてますし、何かのきっかけ無しに独自の進化をして変貌した、とは考え難いですよ」
クライアが漏らした疑問に答える。
(多くの人を捕食した結果だとして……気になる点がいくつかある)
(鉱山内部の様子からして、奴がここを根城としているのはほぼ間違いない。
そして此処は『汚染獣の巣があるかもしれない』として廃棄された鉱山だ。
廃棄された時点では、都市の人間がはっきりと存在を認知するような活動を奴はしていなかった。じゃなきゃコイツの情報が都市に届いてる筈だ)
(廃棄が決まってから、都市周辺に居た汚染獣が多くの人を捕食した末に進化して、この鉱山を見つけて根城にした?
たぶん、そう考えた方が妥当なんだろうけど……何かが引っかかる気がする)
「……いや、まずは目の前の敵を倒す事に集中だな。うん」
何かを考え込んでいたらしきショウが、ぼそりと呟いて刀を構え直した。
397
:
レストランの日常
:2013/09/21(土) 10:17:14 ID:???
倍返しマン「バイガシダッ!」
常連A「えっ?」
倍返しマン「バイガエシダッ!!」
常連B「おいおい、なんなんだよ」
倍返しマン「ジューバイガエシダッ!!!」
レストランでは、今日も何事もなく平和に時間が進んでいく。
398
:
モルゲン
:2013/09/21(土) 21:46:43 ID:ovdfPgQE
--帝都・商店街--
「今日もいいお天気ですの♪」
今日も街をお散歩中。
「それにしても……みんないつ帰って来ますの?」
兄アーベントは仕事で、
リッキーとジェフは西大陸へ行ってしまい、一人留守を預かっているのである。
399
:
エメ
:2013/09/28(土) 18:32:57 ID:???
某所
「人間の住む世界は日差しが強いぜ」
日焼けで肌が真っ黒になった。
400
:
名無しの魔術師
:2013/11/05(火) 19:21:06 ID:???
浜辺に屯し、海を眺めている集団がいる。
集団の視線に先には、波乗りと呼ばれるサーファーたちが各々の趣味に没頭している。
「……でさぁ、ソイツ、うっかりしてサイフうちの店に置いてっちゃったんだよね」
「へぇー、やべーじゃん」
集団は自由に雑談しながらも、視線を波乗り達に向けている。
その時、少し強い海風が浜に吹き渡った。
「あ」
目には見えないが、海風に乗って魔元素の波が大きく揺らいだ時、波乗り達もボードの上に立ち、神経を尖らせた。
その内1人が勢いよく波に乗り出した。
「……」
「……」
その波乗りは、波に乗った勢いでそのまま水柱と色鮮やかな粒子の尾を引いて、宙に飛びあがった。
……が、乗り切れずにすぐ水中に落下した。
「あぁー」
「ほんとザンネン」
「オレならもっと攻められるけどね」
「でもオマエ、こないだ落ちてボード壊したじゃん」
乾いた笑いが集団たちの間に響く。
これがワムと呼ばれる最近流行りのスポーツである。
基本的には安全を考慮し、このように海上で行われる。
そして、数人の達観した気になっているチームが浜辺で眺めているのだ。
401
:
レーナ
:2013/11/05(火) 19:38:31 ID:???
>>400
「何やってんだろ?」
ビーチで水着でくつろぎながら、おていていく様を見つめる。
402
:
名無しの魔術師
:2013/11/05(火) 19:46:59 ID:???
>>401
海では、若者たちが海の波に乗って遊んでいる。
「はっはっはは!」
「全然ダメじゃん」
仲間が魔元素の波に乗り、派手に海に落ちる様子を見て笑うグループ。
「お姉さんも、ワムしにきたの?」
グループの中の洒落た女性が、レーナに声をかけた。
見れば皆ウェットスーツを着ている。
403
:
レーナ
:2013/11/05(火) 19:55:05 ID:???
>>402
「ん〜?ワム?初めて聞いたんだけど…え〜っとカッコつけて墜落する遊び?」
「人間だと危険な気がするけど?」
空が自由に飛べる身からすれば、先ほどの行動は墜落しているだけに見えたらしい。
404
:
名無しの魔術師
:2013/11/05(火) 19:59:37 ID:???
>>403
「んん〜」
困ったような表情でグループの仲間と顔を合わせた後、
『ここだけ共有NPC&アイテム』の
>>15
にあるような説明をする
「楽しいッスよ、お姉さん」
最後に、グループの若い男が呼びかけた。
405
:
若いエルフ
:2013/11/05(火) 20:02:03 ID:???
若い少女エルフが二人。
一人は全身に刺青の入ったスタイル抜群のダークエルフ。
もう一人は長い金髪が美しいスレンダーなエルフ。
互いに体型の美しさを強調できる水着を着ている
だが、金髪エルフの表情は暗い。
横と比べられるからだろうか?
406
:
レーナ
:2013/11/05(火) 20:09:25 ID:???
>>404
「へぇ…楽しそうだね?あ、でも道具なんて持ってないんだけど…」
頷きながら説明を聞く。
407
:
名無しの魔術師
:2013/11/05(火) 20:13:09 ID:???
>>405
>>404
とは別の二人の男が話しかけてきた。
ボードを持ってはいるが、だぼだぼのジャージ姿で、見るからに初心者だ。
「お姉さんたちもやるの?」
「俺たちとご一緒しない?」
>>406
「ウェアとかなら、そこで売ってるよ」
女性が指差す先には、海の家がある。
「ボードは高いから、私の貸してあげるよ」
女性は、ピンク色の可愛らしいボードを持ってきてくれた。
408
:
若いエルフ
:2013/11/05(火) 20:21:03 ID:???
ダークエルフの方は一瞥くれただけで視線を逸らした。
金髪の方は優しく笑い、一番可愛く見える俯き気味の角度をとり、
「いえ…私は怖いので見ているだけです…」
(うわー、見るからに金持ってなさそうだわー)
409
:
名無しの魔術師
:2013/11/05(火) 20:27:58 ID:???
>>408
金髪のエルフの仕草に、二人とも心を射抜かれたようだ。
「そういわずにさぁ、やってみようよぉ。俺が手取り足取り」
「俺がやって見せるから、ちょっとそこで見てて!」
「あっ、ズルいぞお前!」
男の片割れが慌ててジャージを脱ぎ、パンツ一枚で自分のワムボードを抱え、渚に向かって走り出し、浜の途中でこけた挙句に持っていたボードが頭にあたった。
410
:
レーナ
:2013/11/05(火) 20:29:22 ID:???
>>407
「ありがとうね。ちょっと待ってて…」
ショップの中に入り、ウェアを購入。
「ん、ちょっと苦しいかも…」
一応サイズに合わせたようだが少々きつめのようだ。主に胸が
411
:
名無しの魔術師
:2013/11/05(火) 20:33:32 ID:???
>>410
「おい……」
男性陣は息をのんでレーナのウェア姿に見とれている。
「それで、海の波の、もっと上の波を感じるのよ。最初は難しいけど……」
女性は快くボードを貸してくれた。
412
:
若いエルフ
:2013/11/05(火) 20:40:46 ID:???
「あんたやりなさいよ」
金髪は営業スマイルをやめダークエルフに指図した。
ダークエルフはクールな表情を崩し、
「やだ…怖いのやだ…」
「あ?」
「う…やる。やるよ」
黒髪褐色のダークエルフが立ち上がり倒れた男に近づき、ボードを広いあげた
「借りる」
もちろん一連のやり取りは男達には聞こえていない。
顔に少し幼さが残っているが、レーナに負けず劣らずのプロポーションをしており、ビキニの水着が良く似合っている。
413
:
名無しの魔術師
:2013/11/05(火) 20:47:50 ID:???
>>412
「お姉さん?お姉さーん!?」
ボードを半ばぶんどって海へ向かったダークエルフの背後で、転んだ仲間をゆすって起こす男。
海の方では既に数名の波乗り達が海の波に乗り、魔元素の波にも乗り、各々楽しんでいる。
414
:
レーナ
:2013/11/05(火) 20:51:48 ID:???
>>411
「うん、やってみるね。」
手首にしていたシュシュで髪をまとめて海に入る。
(波の上の波…どんな感じなんだろう?)
415
:
名無しの魔術師
:2013/11/05(火) 21:07:13 ID:???
>>414
「いやー、むずいっしょ」
「初めてでしょー」
浜辺では、男たちが割と真剣にレーナを見守っている。
既に海で波に乗っている波乗り達は、皆、海風に乗ってやってくる魔元素の波に乗り宙を舞っている。
もしレーナが魔元素を見る事ができれば、また、海風に乗って魔元素も波を作る事を知っていれば、
「そういうことか」と理解することはできるだろう。
後は、その波に乗る勇気とテクニックが物を言う。
416
:
若いエルフ
:2013/11/05(火) 21:11:23 ID:???
>>413-414
ミディアムロングの髪を纏め、ねじりを加えてアップにし、バレッタで止めた
ゆっくりと、海に入っていき、流し目で男達を見る。
「…ふん」
(うー…男の人しかいない…恥ずかしいな)
傍からみれば品定めとも取れなくない。
(あ、女の人もいる…でも…
)
417
:
レーナ
:2013/11/05(火) 21:20:13 ID:???
>>415-416
「うーん…」
周りを見渡してみて、ほかの波乗りたちの動きを観察する。
皆、波と風のタイミングに合わせていることを感じる。
(あ、もしかして…)
今度は魔元素の流れを感じてみる。
タイミングは同じだ。
「うん、なんとなくわかった。やってみるね。」
次に来た波と風のタイミングに合わせて、ボードに乗り波に向かっていく。
418
:
名無しの魔術師
:2013/11/05(火) 22:01:37 ID:???
>>416
不思議と、海に入ると周りの波乗り達はイケメンに見える。
「どうしたの?……落し物でもした?」
笑顔が似合う波乗りカップルが、ダークエルフに声をかけた。
仲の良さそうなカップルだが、女の方はダークエルフを二度見して、しかめっ面になった。
>>417
「がんばれー」
背中の方では、グループの皆がかたずをのんで見守っている。
419
:
レーナ
:2013/11/05(火) 22:08:22 ID:???
>>418
(こう…飛ぶ時みたいに風に…波に向かって翼を広げるみたいに!)
波の頂点を超え、魔元素の波へ乗る。
波を捕まえてほぼ一直線に上空へ向かう。
(すごい…アモルフの言っていたロケットってこんな感じなのかな…?空しか見えない…)
420
:
名無しの魔術師
:2013/11/05(火) 22:23:52 ID:???
>>419
ボード越しに魔元素の波を感じる。
普段はあまり考えないが、魔元素の複雑なうねりが次から押し寄せ、吹き飛ばされてしまいそうになる。
魔元素の波に乗っている瞬間は、他から見れば宙に浮いている状態であるが、
ボード越しに、確かに見えない魔元素の上を滑っている感覚がある。
周囲に見えるのは地平線まで見える青空。
そして、海の波音が聴こえる。
魔元素の波が途切れたところで、水中に落下する。
最初の印象は恐かったかもしれないが、水面に顔を出して、初めてワムの楽しさを実感できるだろう。
421
:
若いエルフ
:2013/11/05(火) 22:24:10 ID:???
>>418
(わ…睨まれた。どうしよう? 気分悪くさせたかな…)
「別に…何でもないよ」
(うー…気まずいよ…でも飛ばないとゴディに怒られるし…早く飛んで戻ろう)
「飛んでくる」
ダークエルフは逃げる様に波待ちの連中に混ざった。
見計らった様に波が押し寄せ、それに綺麗に乗った。
魔元素への適性の高さと持ち前の身体能力の高さを活かして、高く高く飛び上がった。
そしてバランスを取り戻そうとした結果意図せず、宙返りした。
「あ…気持ちいいかも…」
圧倒的な開放感に感動を覚えた。
が、しかし水着で激しい動きをした為、胸を隠していた布は飛んでいった。ひょっとしたら開放感の原因はこれかもしれない。
422
:
レーナ
:2013/11/05(火) 22:48:12 ID:???
>>420
「プハッ…ケホケホ…」
水面から顔を出し、吸い込んでしまった海水でむせる。
「きもちいかも…」
423
:
名無しの魔術師
:2013/11/05(火) 23:02:32 ID:???
>>421
飛んで行った布は、チェリーボーイの頭に優しく落ちた。
チェリーボーイは出血多量が原因で気絶した。
周囲に居り、それを目撃した男性たちは唖然とし、もれなく片割れの女に平手打ちを喰らった。
>>422
そんな感動を覚えた矢先、目の前に
>>421
が落下してきた。
あられもない姿で現れたダークエルフに驚きを憶えるかもしれない。
424
:
レーナ
:2013/11/06(水) 19:41:27 ID:???
>>423
「ち、痴女が空から降ってきた…?」
どうやら状況に頭がついていってないようだ。
425
:
若いエルフ
:2013/11/09(土) 21:07:42 ID:???
若いエルフは初めての経験に、恍惚感を覚えながら目を閉じて天を仰ぐ。
あの気持ち良さを思い出しながら。
が、まだ丸出しである。
426
:
名無しの魔術師
:2013/11/09(土) 21:13:31 ID:???
>>424-425
「あの……」
気まずい表情でウェットスーツの女性が近づいてきた。
「これ、貴方のですか?ですよね?」
そういって、ダークエルフが先ほどまで胸に着けていた布を目の前に差し出す。
何故か普通に波を楽しんでいたレーナも周囲から視線を浴び、何か恥ずかしい気持ちになった。
427
:
レーナ
:2013/11/09(土) 21:22:43 ID:???
>>426
「いえ、私じゃないです、そっちの痴女の方です…」
目をそらして
>>425
を指差す。
428
:
若いエルフ
:2013/11/09(土) 21:25:53 ID:???
やっと、自分の状態に気がつき小さく息を漏らした。
得に動揺する素振りは見せず、別の高揚を覚えながら恥ずかしさのあまり失神した。
「わー、あの子やるわねー」
ケラケラ笑いながらトロピカルジュースを飲む金髪エルフ。
429
:
レーナ
:2013/11/09(土) 21:30:33 ID:???
>>428
「気絶しちゃった!痴女のエルフが気絶した!?ど、どうしよう!?」
こちらはパニックである。
とりあえず海から出してやるのが先決だと思う。
430
:
名無しの魔術師
:2013/11/09(土) 21:34:39 ID:???
>>427-429
「え、えぇー!?」
周囲の女性たちが集まりエルフを支え、てんやわんやの騒ぎになった。
(男性は大体エルフの胸に意識を囚われた結果、相方に殴られて海の上に浮いている)
431
:
レーナ
:2013/11/09(土) 21:39:17 ID:???
>>430
「あ、ビーチに行く前に隠さないと…」
なにか適当に辺りを見回し…
「これでよし!」
ドヤ顔で二枚貝の貝殻で胸を隠す。
火に油を注いでいることには気づかないようだ。
432
:
若いエルフ
:2013/11/09(土) 21:41:53 ID:???
運ばれる際の揺れで再び目を覚ました。
が、おっぱい丸出しのまま男性に運ばれている。
(ああ、私これから酷い目に合わされるんだ…泣いても許して貰えない…薄暗い所に閉じ込められて…初めてなのに失神するまでグシャグシャにされちゃうんだ…)
少しだけ心臓が高鳴り再び都合良く失神。
433
:
名無しの魔術師
:2013/11/09(土) 21:49:25 ID:fdxwBna.
>>431-432
エルフを運んでいた男性は、背後から女性にヘッドロックをかけられた。
それを見た別の男性が、男女差別だ!と騒ぎだし、海上では男性と女性の盛大なワムバトル(ワムをしながら空中でケンカ)が勃発した。
エルフのために、海上が混沌に包まれた!
434
:
レーナ
:2013/11/09(土) 21:56:45 ID:???
>>432-433
「と、とりあえず痴女さんを運ばなきゃ…」
混沌の海上からエルフを抱え、翼を広げる。
ビーチについたら自分のレジャーシートにエルフを寝かせて
胸の上にバスタオルをかける。
「一安心…かな?」
435
:
若いエルフ
:2013/11/09(土) 21:58:23 ID:???
ワムバトルに何食わぬ顔で参加する金髪エルフ。
自分だけはしっかり、ウェットスーツで身を包んでいる。そのせいか、残念な胸がさらに残念になっている。
(どいつもこいつもあたしより胸がでかいなんて!)
魔術で身体能力強化し巧みに飛びながら女性の下着を剥がそうとする。
436
:
名無しの魔術師
:2013/11/09(土) 22:05:57 ID:fdxwBna.
>>434-435
「やれやれ、どいつもこいつもバトルに気を囚われて、美しく波に乗るという根本の概念を忘れているようだな」
男が、海の波から魔元素の波の上に突入した。
しかし、その瞬間である。
金髪のエルフは女性の下着を剥がそうとするが、波の上の状況はスピーディーに、入れ替わるのである。
つまり、金髪のエルフが下着を剥がそうと思っていた女性は海の中に落下し、代わりにその地点に男が移動してきたのである。
そして……
「あ゛っ!!」
男のパンツがズリ下げられた。
437
:
レーナ
:2013/11/09(土) 22:14:02 ID:???
>>435-436
「だ、大丈夫なのか…な?」
ビーチから大空戦を見物する。
きつかったウェットスーツは脱ぎ、ハイレグタイプの白いワンピース水着である。
色気と露出度は比例しないのである。
438
:
若いエルフ
:2013/11/09(土) 22:17:58 ID:???
再び目を覚ますダークエルフ。
目の前には美しい女性。
(え…女の人? あ、そっか…私女性にメチャクチャにされるんだ…)
全てを受け入れる覚悟をして紅潮しながら目を閉じた。
どうやら一度スイッチが入ると大変らしい。
一方海では男性のそれを見たエルフが悲鳴をあげて泣き出した。嘘泣きではなく本当に涙を流している。
「えぐっ…この…人がいきなり…」
(けっ、粗末なもの見せやがって。小指の先もないじゃん)
涙を本当に流すなど朝飯前らしい
439
:
名無しの魔術師
:2013/11/09(土) 22:22:05 ID:fdxwBna.
>>437
「うっひょー!ハイレグちゃんだぜぇええええ!!ぐえっ!!」
波の上から一直線にレーナに近寄ろうとした男が、他の誰かが発射した魔弾に吹き飛ばされて水没した。
他にも何名か男性が飛んでくる。
>>438
「……」
男は青ざめて硬直し、勝手に水没した。
「金髪エルフちゅゎ〜ん!!」
別の(気持ち悪い)男が飛んできた!
440
:
レーナ
:2013/11/09(土) 22:27:08 ID:???
>>438
「あ、気づいた?よかった…」
意識を取り戻したダークエルフをみて安心するも
>>439
「け、ケダモノ!こっちこないで!」
光の弓を作り出し、ボードを狙い矢を放つ。
441
:
名無しの魔術師
:2013/11/09(土) 22:46:09 ID:fdxwBna.
>>440
「何ッ!!?」
レーナが放った矢は、向かって来た男性とその背後にいた男性の2人のボードを同時に打ち抜き、
2人同時に海に沈めた。
「うわあああッ!」
「クソッ、今はあっち(女性陣)が優勢だ!撤退だ!!」
悔しがりながら撤退していく男性たち。
男性がビーチから消えた後、女性たちだけで祝杯ムードに包まれた。
今日も、平和と動乱が入り混じる帝国の、ごく一般的な一日が過ぎていく……。
442
:
南大陸 荒野都市カーツ編
:2013/11/12(火) 02:33:20 ID:SVtv/fVA
>>396
顔を裂かれた汚染獣は、ショウ達を睨みながらじりじりと後退していく。
クライアも攻めあぐねているのか、どのような指示を出すべきか思考中だ。
ケヴィン「ん…ちょ、あれ何だ!?」
ケヴィンが驚いた声を上げるのと同時に、汚染獣が自身の身体に受けた傷から
これまで以上に濃い白霧を噴出した。目暗ましからの不意打ちを警戒しただろうが
地面を砕くような音が一度だけ響いただけでそれ以上は何も起こらない。
キース「……逃げたのか?」
噴出された霧が四散し、視界が晴れると
周囲が凍てついた巨大な空洞が地面に出来ていた。
汚染獣はこの数秒で穴を掘り更に地下に後退したようだ。
「このまま進むか…それとも一度荒野都市に戻るか…」
今回、この鉱山の調査に出向いたのは汚染獣の凶暴化の調査の為だ。
現状では『手強い汚染獣と戦った』事以外に収穫がまるでない。
ケヴィン「い、一度引き返しましょうよ!この先にいるのがアイツ一体ってわけないし!」
キース「だったら猶更、奴を追って始末すべきだろ?
もし先に汚染獣の群れでもいたら、余計手詰まりになるぞ」
二人の真逆の、しかしそれぞれ決して間違っていない意見が対立する。
443
:
ショウ
:2013/11/12(火) 03:28:20 ID:???
>>442
「……みたいだな」
汚染獣が姿を消した事を確認して呟く。
――さて、どうしたものか。
ここで帰ってしまっては調査隊として来た意味が無いに等しい。
時間が有限である以上、一度の調査で少しでも多くの情報を持ち帰らなければ今後の調査に支障が出る。
しかしここで汚染獣を追ったとしても罠の可能性も捨て切れない。
地下に先ほどの固有体(想定)クラスの汚染獣が複数体居たとすれば――どれだけ奮戦しても、このメンバーでは犠牲を免れないだろう。
命あっての物種である。情報が少なくとも、交戦した事実と汚染獣の情報を持ち帰れば今後には生かせる。
それぞれのケースを想定しているケヴィンとキース、どちらの意見も間違っていない。
二人の意見と今までの情報、そして自分の考えを交えて考えた結果――
「――俺は、奴を追って進むべきだと思う。可能ならトドメを刺したい」
と、二人に続いて発言した。
「たぶんだけど……あいつと共に行動するような汚染獣ってのは居ないんじゃないかな。
周辺を凍らせるような汚染獣だろ? そんな独特のタイプの周辺に他の汚染獣が居るってのは考え難い。
もちろん、あいつと全く同じタイプが複数居る可能性もあるけど、本当に居るなら此処に居てもおかしくないと思う。
此処は特に冷えているし、あのタイプからすれば絶好の環境だ。でも、此処にいたのはあいつ一匹」
「それに今ここで引き返したら、次に戻ってきた時にあいつが待ち伏せしているかもしれない。
氷の壁を作って入り口を塞ぐとか天井に仕掛けた氷柱を落とすとか……色々あるけど、とにかく状況が好転するかと言われれば、可能性は低いんじゃないか」
長々と語った後ふう、と一息つく。
ショウなりに根拠を述べ、キースの意見に賛成した。さて、我らが隊長殿は如何様な判断を下すだろうか。
444
:
ヒューガルテン&レフ
:2013/11/12(火) 22:23:58 ID:apoRJ2wg
>>442-443
レフ「なんか一段落ついたっぽいカンジ?」
ヒューガルテン「みたいっすね。ナイフ抜いてくださいw 足元怖いっすwww」
レフ「多分だけど、これ逃げられてるね。けど深手は負わせた……みたいな?」
ヒュー「ちょwなんでわかるんすかwww」
レフ「それは置いといて、あたし達はどう動くべきか、ね。
一つは前進のための合流、もう一つは殿のためにここで待機」
ヒュー「そもそも何で俺ら待機なんすかw」
レフ「もしここが巣なら、帰ってくるヤツがいるかもしれないじゃん?」
ヒュー「把握w」
レフ「それを踏まえたうえでどうs―ってヒューガルテン!?」
ヒューガルテンは止める間もなく合流しに向かってしまっていた。
レフ「んもう!
”隊長ごめんなさい! ヒューガルテンのバカが待機と言われたのにそっちへ向かってます!”」
とにかく状況を端子で報告する。
レフ自身はまだ動かない。
なぜなら、返答が来るまでの間にできる距離なら簡単に詰められるからである。
445
:
クライア
:2013/11/12(火) 22:58:44 ID:SVtv/fVA
>>443-444
「お前ら三人の意見はそれぞれでちゃんと正しい」
三人の発言を聞いてクライアは一言そう言った。
「よし、それじゃあ一度後続と合流して班を……」
そこに端子越しに伝わってくるレフの声
クライアはいつの間にか咥えていた新品の煙草を落としてしまった。勿体ない。
「了解だレフ、ヒューはこっちで面倒を見る…確かアイツの装備は大剣だったか?」
と、再び思考する顔付きに数秒なって
「ショウとキースの意見を採用、ただし"偵察"だ」
「気取られないように三人編成で奴を追って、可能なら撃破…数の差がヤバイなら即撤退だ」
そしてそろそろこちらに合流するヒューガルテンにも聞こえただろう。
「メンバーは俺、ショウ、そしてヒューガルテンの三人!残りは悪いが、このクソ寒い広場で待機だ」
「つーわけでレフ、端子飛ばしてるシェリの護衛しながらこっち来てくれ」
446
:
ショウ
:2013/11/13(水) 13:50:48 ID:???
>>444-445
「偵察――なるほど、了解しました」
少人数なら接近も撤退も比較的容易いだろう。
自分がメンバーに選ばれた事、意見が取り入れられた事、表には出さないが内心で喜ばしく思う。
さて、あの汚染獣を追跡する事が好機か罠か、前者である事を祈ろう。
447
:
ヒューガルテン&レフ
:2013/11/13(水) 19:04:16 ID:apoRJ2wg
>>445-446
レフ「”了解! 言うことじゃないかもですけどあのバカから目を離さないでください!”」
昨夜のヒューガルテンを見ているクライアなら、そのようなことはしないだろうが
レフはその情景を知らないが故に思わず出てしまう。
シェリーを守りつつ新たな待機場所へ向かう。
ヒューガルテン(俺がいたら絶対に逃がさなかったっての。
追い詰めて、そして戻ってきた奴も全てぶっ殺す!)
その表情にあるのは焦りと、自分あるいは汚染獣へ向けられた憎悪。
普段のバカっぷりは面影もない……
ヒューガルテン「うはwおkっすwww偵察でも何でもするっすwww
ショウ、よろしくwww」
口調だけはいつも通りだが、なおさらクライアの目には危うくみえる。
恐らく、同じくここカーツで生を受けたキースにも……。
448
:
クライア
:2013/11/13(水) 23:00:17 ID:SVtv/fVA
>>446-447
「安心しろ、俺が面倒みるチームで絶対に隊員を欠いたりしねぇさ」
あーあと言いながら落とした煙草を拾いつつ、レフ達を安心させる言葉を口にするクライア。
クライアの手腕ならば信用出来るだろう。一方で
(ヒュー…ちょいと昨日の激励が利きすぎちまったかな?
ま、ちゃんと面倒みてやりますか)
と、危うさを秘めているヒューガルテンに気取られぬように注意の視線を送っていた。
キース「……」
そしてキースは、何も言わずにヒューガルテンを横目に見るだけだった。
「流石に汚染獣の掘った穴からまっすぐ落ちるのはしんどい
俺達はこのまま地下への順路を降りて行くぞ?隊列は俺、ヒュー、ショウの順番だ」
「ショウ!信用してっからしっかり背中守ってくれよ?」
449
:
ショウ
:2013/11/13(水) 23:32:07 ID:???
>>447
「あぁ、よろしくな」
口調とは裏腹に、明らかな憎悪を宿した表情のヒューガルテンに応える。
気づいていない――などという事はない。この場で問い質す理由が無かっただけだ。事をややこしくするつもりはない。
クライアやキースほどではないが、彼の様子を心配している。
(気をつけた方が良いかもな、なんか危なさそうだ)
>>448
「はい、任せてください。指一本触れさせやしませんよ」
ぐっとサムズアップ。準備は万端のようだ。
450
:
ヒューガルテン
:2013/11/13(水) 23:59:08 ID:apoRJ2wg
>>448
レフ「はい!」
クライアなら問題はないさ―そうブルージュからも聞かされているレフ。
無論絶対的に信用はしている。しているが……。
レフ(あんだけ心乱れてちゃなにやらかしても不思議じゃないっていうか?
とにかくあの心境で戦うのはご法度、みたいな……)
「うはwwおkwwww俺真ん中っすねww」
レフ「キース君、あのバカは案外しぶといし?」
こっそりキースに話しかけた声に自信はなかった。
>>449
「剣士同士うまくやろうずwww」
無謀な突撃を仕掛けかねない。―そんな気さえするだろう。
451
:
クライア
:2013/11/14(木) 00:14:48 ID:SVtv/fVA
>>459
「おぉ?言うじゃないかルーキー…って言うにはもう場数踏みまくったか」
頼もしい返事をするショウの頭をクライアはガシガシと撫でた。
兄貴分が弟分を褒めるような、そんな感じだ。
「…マジで頼んだぜ、ショウ」
と、ふいに真剣な眼かつ小声で、ショウに何か託すような口ぶりで念を押した。
そして離れると
「殿がうっかりするとやばいからな」
何時もの、隊員たちの緊張をほぐす軽い物言いに戻っていた。
>>450
キース「…まあ、うちの隊長がいるなら大丈夫だろ…」
自信のないレフに対し、キースは隊長への信頼を口にする
「ヒュー、あくまで偵察だぞ?途中で無茶しようとしたら即座に撤収するからな?」
と念を押し、クライアの方も再びレフに顔を向けると
「ま、レフはうちの心配性な副隊長を頼むわ」
と、隠しようのないくらい不安げな表情を浮かべる12隊の副官、フェイスを指した。
フェイス「た、隊の指揮官の安否を気遣うのは副官として当然です!」
>>ショウ、ヒューガルテン
「それじゃあ行くぞ!
最下層まで逃げられてたら流石に追えないから、
3人で行くのはこっから二つ先の階層までだ」
そう言うと、クライアは武器のチェックを手早く済ませて順路に従って歩きだした。
452
:
ショウ
:2013/11/14(木) 02:11:57 ID:???
>>450
「ああ、早くさっきの奴見つけてぶっ飛ばしてやろうぜ」
相槌と共に答えるショウだが、その内心は穏やかではない。
この都市に思い入れがあるであろうヒューガルテンが、危険を顧みず飛び込む可能性は十分に考えられる。
自分もフォローしていくつもりではあるが、やはりここ一番という場面ではクライアに任せるしかあるまい。
>>451
「! ――はい」
がしがしと頭を撫でられながらも、クライアの真剣な言葉は確かに聞き入れた。
その後の弄るような物言いに困ったように反論していたが、彼なりに合わせたのかもしれない。
「よし……行きましょう」
同じくチェックを済ませて歩き出す。
指示に従って最後尾に居るため、クライアとヒューガルテンの移動に合わせて動く事になるだろう。
453
:
ヒューガルテン
:2013/11/21(木) 22:51:50 ID:HoKozm0I
>>451-452
「了解っすwwwwおとなしくするっすwwwwww」
クライアがショウに囁いた言葉など聞こえていない。
やはりいつものような調子で返答してクライアに続く。
レフ「クライア隊長を信じていないわけじゃないんだけどさー……」
キースに囁き返したところで、クライアから声をかけられたレフ。
レフ「はい。この場は任せてください」
そう、極力、状況が許す限りの明るさで返答し送り出した。
偵察班を見送った後、レフはそっとフェイスの傍に寄り、囁いた。
レフ「フェイス先輩、あたしならクライア隊長にも気付かれないで加勢にいけますよ?」
不安なのは自分も同じだと、そして、
待機組の指揮をとるべき立場であるフェイスは今どう振舞うべきなのかを
遠まわしに告げた。
レフ(そんなことにはならないと思うけど、ひょっとしたらアレ使う羽目になるかな?)
誰にも気付かれないように、防護服のポケットに触れた。
454
:
クライア
:2013/11/28(木) 03:10:22 ID:SVtv/fVA
>>452-453
下の階層へと足を進める偵察班。進めば進むほど冷気が増していく。
セオリーでいくならば汚染獣の気配や、あるいは進化後の残骸などが眼に着くはずだが…
「凄いなこりゃ、一面真っ白か凍ってるかで判別つかないな」
先頭を歩くクライアが呟いた。粉雪が積もり、天井には氷柱まである。
「汚染獣の残骸でもあれば、少しは先の対策が立てられるのにな…」
現在の階層に汚染獣の気配はない。異常があればクライアが気付くだろうし、そうでなくてもシェリの端子が何か勘づくだろう。
―待機組―
フェイス「!……レフ……」
後輩の気遣いに表情が変わるフェイス。
この場で指揮を託されたフェイスが、不安を感じさせるままでは駄目だ。
数秒、思考するそぶりを見せてから普段の規律正しさを感じさせる表情に戻った。
フェイス「お前の申し出は、正直嬉しい…
だが、それでは結局隊長の指示を破った事になってしまう」
フェイス「5小隊から預かってきたお前に、命令違反のペナルティなどつけたくない
……それに、そんなコトをすれば私が隊長を信用していなかったという事にもなる」
そこまで言って、ふう、と息を吐く。次に口にする言葉をやや躊躇っていたようだが
フェイス「だからこれは"現場の判断"での指示だ
隊長は機動力を優先して最少構成の偵察隊で向かったが、
あれでは撤収する際の安全確認が疎かになる」
だから、と続け
フェイス「レフ、もし頼めるなら隊長達の退路の確保をしてほしい」
455
:
ショウ
:2013/11/28(木) 18:42:17 ID:???
>>453-454
「その辺に隠れてる……って事はなさそうですね」
周辺を警戒しつつ呟く。
なお、特に活動の弊害にはならないが凄く寒がっている。
「しかし全く見当たりませんね。残骸とか、少しぐらいあっても良さそうなのに」
456
:
ヒューガルテン
:2013/11/29(金) 18:21:29 ID:foQB6QWs
>>454-455
「うはw寒いwwwしかも何もないwwwww気配もないとかwwwwww」
ショウに負けず劣らずの寒がりっぷりである。
「ひょっとしたら雪の下とか氷ん中とかなんか埋まってたりしてwww
試しにブチ割りましょうかwwwww」
ヒューガルテンの兵装―超重量の大剣ならば容易いが、クライアは止めるだろうか。
---待機班---
いつもの表情となったフェイスを見て少しほっとした表情になるレフ。
クライア隊長からの任務―心配性な副隊長を頼む―を無事果たせたと確信したからだ。
それも一瞬。
”現場の判断”に基づく新たな指示を聞いて、顔を引き締めた。
レフ「退路の確保、ですね」
フェイスが言葉に迷った理由も心情もレフにはわかる。
―副指揮官としての懸念と指揮下の者の戦意低下、そのどちらも払拭するためにどうするか。
恐らく自分ではこのような采配はできないだろう、ともレフは思った。
レフ「了解しました! キース君、こっちはよろしくね!」
指示を聞いて風のように影のように偵察班の後を追う。
足音一つなく、シェリであっても気付けないかもしれないほどに―
まるでその場から消えたかのように気配を隠しながら。
457
:
クライア
:2013/12/16(月) 02:29:34 ID:SVtv/fVA
>>455-456
「まあ残骸なんて見つけても楽しいわけじゃないしな
このまま先に進むか…ヒュー、あんまり氷割ろうとするなよ?」
「音は響くし、もしかしたら凍りついた関係で
この辺一気に崩落なんて笑えない事になるかもしれないからなぁ」
と、本当に笑えない冗談を口にして先へと進むと
「…俺の気のせいか?何か聞こえるな」
ショウ、そしてヒューガルテンの聴力が弱くなければ聞こえるだろう
何か、空気の漏れだすシュー、シューと言う音が。
<レフside>
最少人数構成で調査に出たためか、既にそこそこの距離の開きは出ているようだ。
が、凍てつく地面の霜のおかげで、三人の足跡は確認出来る。
今のところ順調に進軍しているようだ。
一面が凍てついているため、汚染獣の気配もない。
458
:
ショウ
:2013/12/16(月) 02:41:09 ID:???
>>456-457
「……?」
足を止め、耳を澄ませる。
原因は分からないが確かに――そう、空気の漏れ出すような音を聞き取った。
「この音は……何かが……空気が漏れてる?」
音だけ聞けば、ガスが漏れ出すような光景が目に浮かぶ。
周辺を見回す。音の発信源らしきモノは発見出来るだろうか?
459
:
ヒューガルテン
:2013/12/16(月) 22:23:22 ID:StsKCq1A
>>457-458
「うはw生き埋めは勘弁wwwおk自重しますwwwww」
ヒューガルテンはクライアの洒落にならない冗談を聞くまでは割るつもりでいた。
幅広の短剣として格納しているその兵装を、解放する構えになっていたのがその証。
「……」
「空気漏れっぽいっすね……汚染獣の鼻息とかだったりして……」
後半は警戒からの言葉ではなく、大半が期待によって発せられた推測だった。
獲物を探す獣のように周囲を見回す。
--------
レフ「(……今のところは何事もなし、みたいな?
てゆーか、氷ですっごいキレイだし)」
左腕に装着したガントレット型兵装の重みがなければ、任務であることを忘れそう。
静かに警戒しつつ追跡しながら、そんな感想をレフは抱いていた。
460
:
クライア
:2013/12/28(土) 00:01:56 ID:SVtv/fVA
>>458
「音はこの先か……っ…」
先頭を歩いていたクライアが足を思わず止めたらしい。
ショウ、ヒューガルテンがクライアの視線の先を確認するとそこには
――ショウ達が先ほど戦った汚染獣がいた。
顔に横一閃の傷がついている事から、間違いないだろう。
問題は、それと同種の汚染獣が負傷してるものを含めて3体もいる事だった。
無傷の二体が、口から冷気を吐く事で、ダメージを受けている固体の破損個所を凍てつかせている。
専門的な事は分からないが、凍てつかせることで回復させているのではないかという推測が出来るかも知れない。
「どうするか…ダメージ負ってるやつが一体ならともかく…」
「コア(急所)を一撃で潰すって手もあるが、奴のコアの場所なんてまだ分からねぇし…」
461
:
名無しの魔術師
:2013/12/28(土) 00:05:06 ID:SVtv/fVA
>>460
は
>>458-459
宛て
レフside
一人でいた事が幸いしたのか、それともレフの得意分野だったのか
偵察隊の三人が気付けなかった『別の空気の流れ』をレフは感じる。
冷気の風が、前後の一本道以外の場所から流れてきている。
レフの任務は退路の確保だ。この違和感をあえて調べなくても良い。
462
:
ヒューガルテン
:2013/12/28(土) 00:33:33 ID:djt0iUiw
>>460
「隊ちょ……」
3体の負傷した汚染獣を視界に認めた瞬間―
「レストッ―」
立ち止まったクライアの横を走りすり抜け
「―レーション!!!」
振りかざした短剣を顔に傷をもつ汚染獣へ振り下ろした。
短剣はその過程で超重量の大剣へ姿を変え、
岩をも両断する破壊力を憎悪を込めてその顔面へと叩き込むだろう。
-----------
>>461
レフの足が止まった。
隠密行動を専門とするレフにとって、その風は気づくなという方が無理である。
レフ「(氷のような風…。
放っておいてもいいケド…原因がありそうみたいな?)」
思案の結果、レフは前へ進んだ。
ただし、防護服のポケットからコンパクトミラーを取り出し、その場に置いてから。
レフ(まずは様子見…マズイものだったら動かすケド、問題なしならそのまま。
あたしに取れる一番いい手はこれかも)
463
:
ショウ
:2013/12/31(火) 00:52:55 ID:???
>>460
>>462
「……ケヴィンの意見が大当たりかぁ。
あれ、回復させてますよね。無茶苦茶厄介そうなんですけど」
困ったように溜息を漏らしつつ、
「数は互角ですけど、此処で真っ向から三対三に持ち込んでもマズいと思います。一度撤退した方が――」
そこまで言いかけた所で、ショウの表情が凍りついた。
ヒューガルテンが迷わず躊躇わず疾走する様を視界の端に捉える。
制止しようと身体が動く頃には、既に大剣は振り下ろされていた。
「くっ……!!」
空いた左手に剄を練り上げ、剣を模した弾丸を構成し、投擲すべく腕を振り抜いた。
空間を鋭く駆け抜ける剣の狙いは、ヒューガルテンが仕掛けた汚染獣の顔――目だ。
直撃であろうと、汚染獣を死に至らせる事は有り得ないが、目は使い物にならなくなるだろう。
464
:
クライア
:2014/01/21(火) 01:19:10 ID:SVtv/fVA
>>462
>>463
「おい―――!」
ショウと同じく、クライアの表情が固まる。
先頭を歩いていた自分が静止出来なかった。油断大敵である。
ヒューガルテンの強烈な一撃が、修復中だった汚染獣の頭を叩き割り
さらにショウの放った剣弾がその右目に突きささる。
白い煙と紫色の血が白い獅子型の汚染獣から吹き溢れる。
悲鳴とも取れる咆哮とともに、ダメージを負った固体はバックステップし、周囲に滅茶苦茶に氷柱の弾丸を放つ。
負傷した固体を回復させていた同型の汚染獣達も、その暴れ様に身動きが取れないようだ。
「ショウ、退路確保だ!この場で待機して、汚染獣が動くようなら今の技でけん制してくれ!!」
そう言って、ヒューガルテンの元に一気に駈け寄り、彼の腕を掴んで乱暴に振り向かせた。
「馬鹿ガルテン!!何してんだ!?勝手な真似するなとあれほど言っただろ!!」
「"自分の怨念に潰されたい"のかテメェは!!今すぐ撤退だ!!反論は認めねぇ!!」
そう言って、ショウがいる場所を指し、そちらへ走るように命じる。
その間も、負傷した汚染獣は咆哮を上げながらでたらめに暴れ回っていた。
その衝撃でか、凍てついた天井に罅が走る音が三人の耳に聞こえてくる。
―レフside―
先へと進む彼女の耳に、僅かな振動が聞こえてきた。
地揺れの類ではない。明らかな異常事態を知らせる現象だ。
シェリが中継してる端子越しに、先発隊が何かしらのトラブルに見舞われたのだと察するだろう。
残念ながら衝撃と雑音で、彼らの会話は飛び飛びにしか聞き取れないが
あのクライアが珍しく怒鳴りながら指示を出しているのだけは分かる。
465
:
ショウ
:2014/01/21(火) 01:37:01 ID:???
>>464
「了解!!」
指示に応じると共に剄刃を練り上げ、身動きが取れない二体目掛けて投擲する。
その両方が顔面を狙った物だが、連続性を重視した攻撃故に怯ませる程度が限界だろう。
「くっそ、馬鹿みたいに暴れやがって――……!?」
その音を聞き、天井を見上げる。
皹割れた様を視界に捉え、ショウの表情が焦りに歪んだ。
「天井が崩れる!! 二人とも急いで!!」
クライア達に呼び掛け、汚染獣達へと視線を戻し、構える。
ここまでで汚染獣がこちらに仕掛けてくるような素振りがあれば、再度の牽制を仕掛けるつもりだ。
何が何でも、二人が戻ってくるまでの足止めを遂行せねばならない。
466
:
ヒューガルテン
:2014/01/22(水) 22:24:40 ID:kgQWtl/.
>>464
「邪魔すんなショウ! こいつらは俺の獲物だ!!!」
振り返ることもなく、普段ならありえない暴言を吐き捨てながら
紫の血に染まる大剣を再び振りかざす。
でたらめに降り注ぐ氷柱を打ち砕きながらさらに突き進もうとしたところで、クライアがその腕を掴んだ。
「離せよ! こいつら全員ぶっ潰せるなら俺なんざどうだっていいんだよ!!!」
普段の人格がはじけ飛んだヒューガルテンの耳には、不穏な音も、焦りの呼びかけも届かない―
--------
レフ「っ……あのバカ、マジでやっちゃってるし!」
感じる振動、端子越しのクライアの怒声、雑音。それだけで状況は把握できた。
レフ「しかもコレ、マジヤバイ!」
研ぎ澄まされた聴覚は、雑音の中から罅の音を聞き分けていた。
レフ「―そっちはほっといて行って!」
誰かに呼びかけ、走り出すレフ。
レフの呼び掛けと同時に、道中で”風”を監視するために置いて行った鏡が一瞬、瞬く。
駆けて行くレフの横を何かの影が高速で通り過ぎた。
レフ(とにかく真っ先にあのバカを遠ざけないと!
あたしの速さなら、ここからでもたぶん隊長より先に回り込める―!)
レフは一直線に現場へと飛び込んでいった
467
:
クライア
:2014/02/23(日) 01:58:27 ID:SVtv/fVA
>>465-466
その時、クライアは思い切りヒューガルテンの顔を引っ叩いた。
「馬鹿野郎!!テメェの命は"そんなに軽く薄っぺらいもの"じゃねぇんだよ!!」
ショウの放ったけん制に、白い獅子型の汚染獣は怯みを見せる。
しかし身動きが取れない為、元々の姿勢が防御態勢に近い為もあるのか、やはり有効打には程遠い。
ピシ、ピシと天井にゆっくりとだが罅が走っていく中、片目を失った汚染獣がようやく大人しくなり始めた。
つまり、冷静になり始めているのだ。暴れるのをやめて、左前脚で失った眼を抑えている。
抑えられた、かつて眼があった場所からは薄黒い瘴気が漏れている。
レフが現場に到着したのはちょうどその時だった。
立ち位置的にはショウがすぐ近くにいるだろう。その先にはクライアと、彼にひっつかまれたヒューガルテン。
そしてその先には、片目を負傷した白い獅子型の汚染獣と、身動きが取れなくなっている同型の汚染獣が二体。
「レフ!?どうしてここに…って今はむしろありがたい!撤退だ!!
この馬鹿をショウと二人で連れ出してくれ!」
そう言ってクライアは片目を失った汚染獣へ視線を向ける
「後ろの二体はすぐには動きそうにないがコイツはやばいな…さらに天井もやばいと来たもんだ」
「ショウ!威力は良いからさっきの攻撃続けてくれ!コイツを固めて、そしたら全員で逃げるぞ!」
全員で生還する為の撤退策を素早く講じるクライア。
ヒューガルテンの攻撃と合わさった結果とはいえ、ショウの剣弾を喰らった汚染獣はそれを見れば警戒すると判断したのだろう。
468
:
ショウ
:2014/03/01(土) 00:42:31 ID:???
>>466-467
「っ、お前なあ……!!」
勝手な行動で汚染獣を刺激したばかりか、捨て身同然に特攻していくという愚行。
それに対して一気に我慢の限界を超えてしまったのか、苛立ち混じりにショウが口を開く――
「!?」
しかしそれは、クライアの行動によって遮られる。
猛烈な剣幕で叫ぶ彼の勢いにしばし呆然としていたショウだったが、レフがやってきた事と、クライアによる再度の指示で我に返った。
「……了解! 続けます!!」
もう一度だけ天井を見上げた後、視線を元に戻し、攻撃を再開する。
ただただ剄を練り上げ剣弾を構成し射出。威力はともかく狙いは真っ当なものだ。
一度は受けている汚染獣からすれば、警戒すべき代物であろう。
469
:
ヒューガルテン
:2014/03/04(火) 18:54:03 ID:0rhg1PgM
>>467-468
「……!」
ヒューガルテンの口と表情の動きが止まった。
平時なら、いや、通常の戦闘時でもありえぬクライアの声と
そして平手打ちによって理性が舞い戻ってきたのか。
しかし、その片手は所有者や周囲の心境を無視するかのように
超重量の大剣を軽々と振り上げだしていた―ありえないことに。
そこにレフが駆け込んできた。
レフ「現場の判断により退路の確保に!
ってやばい! アイツ暴走入ってる!!」
言いつつ、右手のガントレット兵装から剄力の短矢を放つ。
その矢は迷いなくヒューガルテンの手に刺さり、大剣は音を立てて落下する。
「が……あああああ!!!」
手の傷はそう深刻ではないと言うのに、ヒューガルテンが苦痛の叫びを上げた。
その身に触れているクライアは、ヒューガルテンの肉体から膨大な魔力を感じるだろう。
その力がヒューガルテンの全身を異常なほど強化させようとしていることも。
レフ「了解! 殿はあたしが務めます!」
ショウの放つ剣弾の隙間を縫って、クライアの先、ヒューガルテンの背後へ回り込むレフ。
汚染獣に背を向けることになるが、奴等の目はショウの剣弾にこそ向けられるだろう。
レフは一度、天井に目をやった。
レフ(暴発もだけど、発散させるとしてもここの天井が持たない……!
フェイス先輩のためにも、クライア隊長を還さなきゃ!)
--------
その頃、レフが風を感じた箇所に設置した鏡の傍に影一つ。
左手にガントレットを嵌めたそれは、鏡を回収しようとして―やめた。
彼女は風のように動き出すと、物陰を見つけて身を隠した……。
470
:
クライア
:2014/03/06(木) 00:48:51 ID:3cQHs10o
>>468-469
二度も喰らえぬと言わんばかりに
ショウの剣弾を見た白い汚染獣は地をけって大きく後退する。
そして、放たれた剣弾は地面を僅かに抉った。
意外な事に他の二体はこの場の様子に堪りかねたのか地下へと続く先の道へ撤退していった。
そしてクライアはヒューガルテンの異常に気付く
「剄じゃなくて魔力による異常強化?
ヒューの奴こんな隠し玉持ってたのかよ?!」
「…言ってても仕方ない!
ここが"白い汚染獣の縄張りになってて
この先に何かある"…この偵察の収穫はこれで十分だな!?」
この場の者達にそう叫ぶと、クライアは戻るべき道を指して指示を飛ばす
「奴との距離は最低限確保した!全力だ!!全力で走れ!!
待機組と合流して安全圏まで突っ走るぞ!」
「先頭はショウ!その後にレフだ!ヒューの奴は気絶させてでも引っ張ってけ!」
「直後に俺が続く!何か異論があるなら今すぐ言って実行しろ!」
471
:
ヒューガルテン
:2014/03/06(木) 21:51:13 ID:0rhg1PgM
>>470
レフ「いえ、あたしも今の今までこんなの持ってるなんて……
症例を見たことあったから暴走してるってわかっただけです!」
ヒューガルテンは唸り声を上げながら、
あまりにぎこちない動きで汚染獣のほうを振り返ろうとしていた。
ヘルメットの内側にある顔は、鬼の形相―あるいは、異形の顔貌に化してゆく。
レフ「了解!
ただし、最後尾はあたしです! あと、走る必要もないと思います!
隊長、ショウ君、受身の準備を!」
言いながら、レフは右手のガントレットをヒューガルテンの首筋に押し当てた。
レフ(あたしが”あたし”でよかったかも……これやると間違いなく天井は……!)
「レ……フ……?」
レフ「痛みは一瞬だから!」
ガントレットから、針が飛び出してヒューガルテンの頸に刺さる。
その瞬間
ヒューガルテンを異常強化させていた魔力が、衝撃波となって周囲に放たれた。
クライアとショウを元来た道へ送り返すには十分だろう。
衝撃波の中で、レフはヒューガルテンを二人の方へと剄を込めて蹴り飛ばした。
レフ「大丈夫、あたしは死なないし!!」
その衝撃波は、崩れかけた天井にも最後の一撃となることだろう―
472
:
ショウ
:2014/03/07(金) 03:03:57 ID:???
>>470-471
「りょうか――え?」
今まさに先頭を切って走り出そうとした時、レフから投げ掛けられた言葉に振り向いた。
彼女がやろうとしている事を認識し、理解した頃には――ショウの身体は後方へと吹き飛ばされていた。
「!?」
突如巻き起こった衝撃が何であるかを理解する間も無く、やがて地面が迫る。
咄嗟に体を捻って着地こそ成功させるが、勢いを殺しきれず背中から倒れこんでしまった。
呻きながらも上体を起こし、自分達が先ほどまで居た場所を確認するだろう。
473
:
クライア
:2014/03/08(土) 23:31:16 ID:3cQHs10o
>>471-472
「なっ―――!?」
突然に起こった衝撃で、ショウともども吹き飛ばされた。
これまでの経験か、こなした場数の賜物か、クライアは綺麗な受け身を取り
見を転がして身体を起こしてレフ達がいた場所を見る
放たれた衝撃波はその場にいた汚染獣をおも壁に激突させる程だった。
白い汚染獣はうめき声をあげている。
そして、限界とばかりに天井が崩れ、岩と氷が止めどなく崩れ落ちて来た。
「レフ!!レフーーー!!!」
474
:
ヒューガルテン
:2014/03/12(水) 21:44:49 ID:MSQY/bLg
>>472-473
ショウとクライアに続くかのように、ヒューガルテンが蹴り飛ばされてきた。
受身を取ることもできずにうつぶせに倒れこんだヒューガルテンが振り返った時―
どこか申し訳なさそうな顔で天井を見上げていたレフの姿が、
岩と氷の滝の中へ埋もれ去っていった。
「レフ!?
レフ!!! 嘘だろなんで、なんでなんでなんで!!!」
その顔は異形などではなかったが、無数の赤いひび割れを肌に刻んだまま
我に返ったヒューガルテンがレフの手を掴もうとするかのように引き返そうとする。
475
:
ショウ
:2014/03/14(金) 01:29:36 ID:???
>>473-474
引き返そうとしたヒューガルテンの腕を、何者かが強く掴んだ。
振り返るなり何なりすると、それがショウの手によるものだと直ぐに分かるだろう。
衝撃波で吹き飛ばされた事で、あちこちに擦り傷や泥が付いている。
「いい加減にしろよ!! 身勝手で人を危険に晒した挙句に自分も死ぬつもりか!?」
我慢の限界を超えたのか、その表情も声も、明らかな怒りに満ちていた。
しかも、ヒューガルテンの腕を掴んだショウの手には、残り少ない剄が篭められている。
彼が戻ろうとする素振りを見せた時、強硬手段に出るであろう事は想像に難くない。
「隊長、さっきの指示通りに俺が先頭で良いんですか」
険しい表情でヒューガルテンを睨みつけたまま、下手な丁寧口調すら消えた物言いで問い掛ける。
天井が崩落した以上は此処も危険だろう。こうして話している間にも、刻一刻と危険は迫っている筈だ。
476
:
クライア
:2014/03/14(金) 02:56:16 ID:3cQHs10o
>>474-475
「……撤退だ……」
静かに、そして重い鉛のような言葉を吐き出すクライア。
「命令を追加する、荒野都市に戻るまで…反論しないでくれ」
くれ、と頼む言い方をしているが、口調からは強制を感じられた。
そして、剄すら込める事も忘れて、
クライアは崩れ詰み上がった氷の壁を思い切り殴った。
―鉱山にいる全員に対して―
シェリが展開している端子を通じてクライアの声が響く
「全員、速やかに鉱山から撤退して都市に戻れ」
「偵察班は後から合流する、先に戻るんだ」
その言葉に、フェイス副隊長が口を挟んだ
フェイス『撤退ってどういう事ですか隊長?!
何かあったんですか?こちらに聞こえて来た轟音は…』
「黙って戻れって言ってるだろうが!!通信終わりだ!!」
と、強引に命令を伝えて端子から離れてしまった。
そしてショウに進むように促した。
「ヒューの面倒は俺が見る、お前は前を注意してろ…ショウ」
477
:
ヒューガルテン
:2014/03/17(月) 17:59:30 ID:RN5dH.Cg
>>475-476
「! ショウ・・・・・・」
その少ない剄と、普段なら見せないであろう激情が、
取り乱したヒューガルテンを落ち着かせることに貢献した。
その場にへたり込むヒューガルテン
「ごめん……でも、俺が……ごめん……」
ヘルメットが涙で曇る。
氷と岩とで埋まった背後で、澄んだ音がした。
それは最も近くにいるクライアにしか聞こえないほど小さいが、
そちらに視線を向けようと思うには十分だろう。
もし音のほう―クライアのほぼ足元に目を向ければ、
傷だらけの短剣が滑り込んできたものとわかるだろう。
―レフが最後にヒューガルテンの兵装を押しやったのだろうことも、
そして、ヒューガルテンにいいから行けと言いたいのだろう事も。
478
:
ショウ
:2014/03/17(月) 18:24:19 ID:???
>>476-477
「…………了解」
へたり込んだヒューガルテンを見て、怒りのやり場を失ってしまったのか。
舌打ち混じりに掴んだ腕を放して早足で来た道を戻っていった。
いくら怒っていようと状況を弁えてはいるのか、クライア達から付かず離れずの距離を保っているだろう。
苛立ちながらも仕事は果たそうと周辺を警戒するが、何事も無く進めるだろうか?
479
:
クライア
:2014/03/18(火) 01:59:26 ID:3cQHs10o
>>477-478
氷と岩に阻まれ、向こう側は音すらうかがい知る事が出来ない。
果たしてどうなったのだろうか?汚染獣は退いたのか…?
行きとは逆に、ショウ、ヒューガルテン、クライアの順番で歩き出す事だろう。
クライアは一人、足元に視線を向けると滑り込んできた短剣を拾い上げた
「…生きててくれよ…ブルージュに殺されちまうからな…」
過酷すぎる現状だが、レフの生存を願わずにはいられなかった。
「ヒュー、持ってろ」
そして、拾った短剣をヒューガルテンに寄こして進むように促した。
来た道はレフが確認した通りに問題はないはずだ。
480
:
ショウ
:2014/03/20(木) 23:17:56 ID:???
>>479
何も問題無い事を確認して黙々と進んでいく。
状況を弁えてはいるようだが、一刻も早く此処から立ち去りたいのか早足気味だ。
(……なんでこんな事に)
危うい雰囲気を感じておきながら、結局止められず仕舞いだった自分に責任がある。
そう考えていながらも――正直言って、ヒューガルテンへの怒りが治まらない。
意気消沈しているが、彼の顔を見たらやはり憤りを隠せなさそうだ。さっさと此処から出てしまいたい。
481
:
ヒューガルテン
:2014/03/22(土) 22:58:39 ID:kgdene0E
>>479-480
「……これ、俺の……」
短剣を受け取ると、肩を落としヘルメットを涙で曇らせながらも指示に従い、歩き出した。
(わかった、レフ、俺、絶対迎えに来るから……生きててくれ!)
引き返す途中、先頭を行くショウの視界にひとつ光るものが入り込んできた。
通路の端に、円形のコンパクトミラーが開いたまま置いてあるのだ。
拾い上げてみれば、真鍮の蓋にLeff―レフ―と刻印があるのがわかるだろう。
置かれていたのは、レフが冷たい風を感じた場所だった。
まだその風はあるだろうか、そして、吹いているのなら誰か気付くだろうか……
482
:
クライア
:2014/03/24(月) 01:27:44 ID:3cQHs10o
>>480-481
真っ白な坑道にそのコンパクトミラーは目立っていた為
最後尾のクライアもその存在に気付いた。
「そいつは…」
すき間風のような冷風は今でもこの場に吹き込んでいる。
その証拠に、先頭を歩くショウの髪が僅かに揺れた。
同じく、イライラを抑えようとしてクライアが火をつけた煙草の煙も風に流されている。
483
:
ショウ
:2014/03/24(月) 02:21:45 ID:???
>>481-482
「……なんだこれ」
明らかに自然物でないそれに気づき拾い上げる。
蓋の刻印から誰の所有物であるかを理解した所で、僅かに感じた風に違和感を覚えた。
「? ……風が吹いてる?」
来る時には感じなかった物だ。周辺を見渡して風の発生源を探すが、見つかるだろうか?
484
:
ヒューガルテン
:2014/03/24(月) 21:16:28 ID:kgdene0E
>>482-483
「……?」
立ち止まったショウに疑問を覚えながらも一言も発しないヒューガルテン。
どうやら風には気付いていないようだ。
485
:
クライア
:2014/03/29(土) 04:12:25 ID:3cQHs10o
>>483-484
「ここは坑道だったからな、あの白い汚染獣に氷漬けにされる前は
そこかしこに穴があったはずだ」
煙草の煙を眼で追いながら、クライアは風の流れを指す
「地下に続く別の道から風が来てるのか、
それともこっから通じる出口のどっちかがあるのかもしんな」
「それと…それ、レフの私物か?なんだってこんな場所に?」
「…ヒュー、何か知らないか?」
つとめて口調に気をつけて、ヒューガルテンに確認を取る。
今、彼に対して接し方を間違えてしまったら
取り返しがつかないとクライアは分かっているのだ。
486
:
ヒューガルテン
:2014/03/30(日) 22:25:19 ID:9Yke8Mrc
>>485
「レフの……? それ、鏡……」
ヒューガルテンが呟くように答えたとき、その手に渡された短剣が
一瞬だけ光を反射した。
それと同時に、ショウの手の中で真鍮に守られた黒曜石の鏡が何かを映した。
それは映るはずのない姿―レフの横顔。
振り返ってもレフは居ない。
しかし、鏡の中の視線は風上を向いていた。
「レフと鏡……聞いたことあるっす。
レフは鏡越しに遠くを見ることができる……
ただ普通の鏡じゃ無理とかなんとか」
「確か……
『"あたし"が"居られる"鏡だけ』とか言ってた気が……」
落としたにしては不自然に、風上を映すようにそこにあった鏡。
ヒューガルテンの言葉から推測すれば―わざとレフが置いて行ったのだろう。
風を感じて、その先に何かあるのではと思ったのか……と。
487
:
ショウ
:2014/03/31(月) 01:14:50 ID:???
>>485-486
「!? これは……」
思わず振り返るも、やはり其処に彼女の姿は無い。だが確かにレフは“映っている”。
どういう事かと思考を巡らせていた所で、ヒューガルテンが思い返すように語った話を聞く。
「“あたしが居られる”――って、さっぱり分からないな。
まさか鏡の中で本当に存在しているって訳じゃないだろうし」
首を傾げつつ呟くも、落ちていた鏡の不自然さには気づいていた。
レフがわざわざ置いていったのだとすれば、おそらく彼女は“風”の存在を感じ取ったのだろう。
何かがあると想定して、しかし本来の目的――ヒューガルテンの暴走を止める事――を遂行すべく、こういった手段を取ったのだと。
「まぁ遠くを見られるっていうのなら……この鏡に、風上の光景が映ってたりするのかな」
もしも映っているのだとすれば、クライアの推測通りのものが投射されているのだろうか?
488
:
クライア
:2014/04/03(木) 03:41:13 ID:3cQHs10o
>>486-487
「レフ独特の手法があるってわけか…」
「けど確かに、行きに比べても風の流れが露骨に感じられるのは気になるな」
そう言ってクライアも鏡をのぞく
ショウや自分達の推測があっていたと仮定して、
もしも風上の光景が見えるなら、さらに地下へと続く階段が鏡に映っている。
しかしもしも、これがまた別の何かを狙っている物なら何も映らないだろう。
489
:
ヒューガルテン
:2014/04/03(木) 17:35:10 ID:9Yke8Mrc
>>487-488
「俺も詳しく聞いたことはないっつーか……教えてくれないっつーか……」
ヒューガルテンも鏡を覗き込んだ。
鏡の中の景色が移動した。横顔のレフの視点に切り替わったようだ。
光景は左右に揺れ、階段が映った所で一旦停止。
階段へと接近し始めたところでまた止まり、そして駆け出すように引き返していく。
どうやら調査しようとしたところでヒューガルテンの暴走を察知したようだ。
流れていく景色の中で、"入り口側へ"向かっている"レフ"とすれ違う。
再び停止。
視界にはクライアの背と彼に掴まれているヒューガルテン、
至近には剣弾を放つショウの背、そして奥に3体の白い汚染獣が映っていた。
そこまでを映すと、鏡は覗き込むクライアとショウ、ヒューガルテンの顔を映した。
「い……今、途中でレフが……」
ヒューガルテンが、疑問と驚き、それらをまとめきれない様子で一言呟いた。
―最後に映った情景は、自分達のもとへ駆けつけてきたレフの視点で間違いなさそうだ。
では、すれ違ったレフは一体……?―
その答えを探すか、まずは風と階段を調査するか。
あるいは引き返すか。
クライア達の判断は如何に。
490
:
ショウ
:2014/04/05(土) 02:09:06 ID:???
>>488-489
「今のは……!?」
ヒューガルテン同様に驚きを見せている。目の錯覚でなければ、今見えたのは確かにレフだ。
――双子? それとも分身?
いや、まさか。頭に過ぎった突拍子もない考えを振り払う。
「……今見えた人物が何者であれ……どうしますか、隊長?」
思案するだけなら幾らでも出来るが、時間は有限だ。
動かなければ何も進展はしない。このまま最初の指示通り、フェイス達の下へ戻るのだろうか?
491
:
クライア
:2014/04/07(月) 01:00:12 ID:3cQHs10o
>>489-490
ヒューガルテンもショウも、これまで見た事無いほどにクライアは
悩んだ表情を浮かべていた。
「指揮官は1秒以上悩んじゃいけないもんだが
…くそ、この疑問は解消しないで進むには気持ちが悪いな…」
「ここの氷の壁の向こうに階段があるのは分かった、
そしてこの風がそこから吹きこんでいる事も」
「だがすれ違ったレフのからくりが分からん…」
この何かのからくりに気付ければ、
もしかしたらレフを助けだせるかもしれないと言う甘い期待が、僅かにあった。
クライアは付近の岩場や天井を何度も見回す。
何処かに答えに繋がるヒントはないだろうか?
「お前ら、装備と防具の消耗率はどの程度だ?」
とヒューガルテンとショウに問う
492
:
ショウ
:2014/04/07(月) 02:10:13 ID:???
>>491
「……えっ? さっきの衝撃で防具が少し傷んでますけど、もう一度ぐらいの戦闘には十分耐えられるかと」
今回の任務中、まともにダメージを受けたのは先程吹き飛ばされた時ぐらいのものだ。
武器は常に剄を通し振るっている為、防具に比べれば消耗は激しいが、そちらもまだ余裕はある筈だ。
493
:
ヒューガルテン
:2014/04/07(月) 22:12:52 ID:kgdene0E
>>491-492
周囲を見回しても、ただ霜の洞窟があるだけで何も見出せない。
「俺も、ショウと同じっすけど……」
防具の損傷と言えば先ほどレフに射抜かれた右手甲程度。
武器の大剣はやや刃こぼれしているものの、
斬撃ではなく重量を生かした打撃を主な使用法にすれば問題ないだろう。
494
:
クライア
:2014/04/15(火) 01:15:53 ID:3cQHs10o
>>492-493
クライアは二人の状態を聞くと、
防具の肩に作られていた収納ケースの中から懐中時計を取りだした。
この場では確認できないが、時間は数時間ほどズレているものの
針はしっかりと時間を刻んでいる。
「30分…いや、20分だ」
と、クライアは宣言する。
「今から20分だけ使って、この違和感の正体を確かめる」
「その為に、この階段が何処に繋がっているかを確認する」
鏡に映っていた階段の場所を叩くと、氷が割れて雪が払われ、鏡の風景と同じように
階段が露出する。
「お前ら二人とも、外力剄技の"脚力強化"は出来るな?足で稼ぐぞ」
495
:
ヒューガルテン
:2014/04/15(火) 01:32:20 ID:9Yke8Mrc
>>494
「階段……!
そうか、もしかしたらレフはその先に……!」
どうやって、までは考えずに希望的観測を述べるヒューガルテン。
鏡に映された光景はレフの視点で、途中で終わっている。
なら、途切れた先の光景で、レフが引き返して先に調査している姿があるかもしれない。
レフの素早さと隠密性なら可能だろうと考えたのだ。
「強化剄技なら得意っす!」
早速脚力強化を施すヒューガルテン。
希望を見出したからか、先ほどまでの沈んだ雰囲気はほぼ消え去っていた。
496
:
ショウ
:2014/04/15(火) 01:36:21 ID:???
>>494-495
「……了解。指示に従います」
剄を脚に巡らせ強化する。
彼女の生死は不明、階段の先に何があるのかも不明と分からない事だらけだ。
しかしこれからの行動で、いずれかの疑問は解消される筈だ。
力強い意志を篭めた瞳で、階段の先を見据えている。
497
:
クライア
:2014/04/15(火) 02:09:54 ID:3cQHs10o
>>495-496
「よし、隊列は俺先頭、ショウとヒューは並んで俺の後ろだ」
「良いか?今度は勝手に飛び出すんじゃないぞ?」
そう言うと、剄で強化された脚力を用いて三人は階段を一気に駆け上がった。
岩場を切り開いて作られたと思われるこの場所の足場はあまり良くないが
武芸者ならば問題はないだろう。
5分ほど進むと、三人は分岐点に出た。
一つは駆けあがった上部方向に続く階段と、もう一つは坑道の奥に続く通路だ。
「分かれ道か…ヒューは俺と一緒に来てもらうぞ」
今のメンタル状態なら問題はなさそうだが、前例がある以上は自分の傍に置いておきたい。
「ショウ、上に上がる道と右の通路、どっちを確認したい?」
「ああ、もし更に分岐があったり何処かに繋がってるようなら、
先へは進まずにここまで戻ってくるんだぞ?」
498
:
ショウ
:2014/04/15(火) 02:19:20 ID:???
>>497
脚を止め、上部の階段と奥へ続く通路を交互に見やる。
どちらに何がある――という事を判断する材料は無い。僅かだが考え込む仕草を見せた後、
「それじゃ僕は、右の通路で」
と、通路側の調査へ向かう事を意思表示した。
「それぐらいは分かってますよ……通路の調査に使って良い時間は何分ですか?」
困ったように答えた後に問い掛ける。
レフが生きているかもしれない――という希望がゼロではなくなったからか、調子が戻ってきたようだ。
499
:
ヒューガルテン
:2014/04/15(火) 02:25:09 ID:kgdene0E
>>497
「りょ、了解っす」
レフの件もある。いくらなんでも自重することだろう。
短剣は腰の鞘に収めてある。
--------
3人が駆け上がっていった階段付近の岩陰。
「……」
「そろそろ動けそう……」
よろよろと立ち上がる人影ひとつ。
「こんだけのフィードバック……マジ久振り(ヒサブリ)だし……
てゆーか無茶しすぎた……」
ひとつ深呼吸。
「退路の確保再開、みたいな?」
左手に小型の弓を備えたガントレットを装備したその人は、3人の後を追って
静かに、そして気配少なく動き出した。
500
:
クライア
:2014/04/15(火) 02:29:48 ID:3cQHs10o
>>498
「悪いな、普段なら小言じゃなくて冗談言ってやる所だが…」
言いながら時間の狂ってる時計を確認する
「何も情報が得られなくても10分でここに戻って来い
もし異変があったら、俺達が昇る上に来るんだ、良いな?」
と、ショウに念を押してからヒューガルテンに目を向ける
>>499
「よし、良い子だなヒュー」
「俺達は一気に上を上がるぞ?」
>ショウ、ヒューガルデン
「確認するぞ、情報が得られなくても10分でここに戻って、完全に撤退する」
「そして、何を見つけても独断先行はするなよ?行動開始!」
そう言って、クライアは再び階段を駆け上がり始めた。
501
:
ショウ
:2014/04/15(火) 02:38:30 ID:???
>>499-500
「ええ、そこも分かってるつもりです。……10分ですね、了解しました」
術式兵装をいつでも起動出来るように準備しておく。
クライアの合図が出される前に、ヒューガルテンへと視線を向け、
「あ、隊長に迷惑掛けるなよー?」
そう言って、合図と共に通路へと駆け出していった。
その物言いは普段の調子に近いもので、ショウなりにヒューガルテンを励ますというか、発破を掛ける気持ちで言葉を掛けたのだろう。
今のヒューガルテンなら大丈夫だろうと信じて、だ。
502
:
ヒューガルテン
:2014/04/15(火) 02:45:01 ID:9Yke8Mrc
>>500-501
「了解!」
「大丈夫だし、俺だって自重するし!」
ショウに言い返してからクライアに続き駆け上がっていく。
確実に落ち着いているようだ。
一筋の希望が、憎悪も後悔もまとめて吹き飛ばしてくれたのだろう。
「うおおおおおお!!」
気合入りまくりで駆け上がる。ただしクライアは追い抜かない。
--------
分岐点。
やや遅れて到着したその人は3人の進行方向を確認すると、
一人になったショウのほうへと進路をとった。
(あの調子ならたぶん問題ないっぽいし、
だったら人数の少ないほう援護しないと的な?)
ショウの後を付かず離れず追う。
無論、周囲に気を配りながら足音を極力立てぬように、だ。
503
:
クライア
:2014/04/15(火) 02:53:13 ID:3cQHs10o
>>501
駆け出して6分ほど経った頃、ショウのタフネスならば疲れは感じないだろうが
そろそろ時間が気になりだした時だ。
同じ風景だった通路を抜けると、再び冷気にその身が晒された。
驚いて立ち止まると、先ほどまで汚染獣と交戦していた広間に出たのだ。
どうやら、凍てついた影響でこの先にあった吊り橋がなくなっているらしい。
さらに信じられない事だが、ショウの眼前の光景にはレフの姿は無かった。勿論、死体もない。
もう一つ付け加えると、この場にいた三体の白い汚染獣全てが
絶命し、事切れて倒れていた。ショウ達が戦いダメージを与えた個体に至っては
すでに結合崩壊を起こして身が崩れだしていっている。
>>502
駆けあがる事7分、特に何も見つける事が出来ず、クライアが戻りを気にしだした頃
外からの風が吹き込み、二人に当たった。
「…別の出口、か…」
ドアは既に無くなっており、汚染大地の薄汚れた曇り空が眼前に広がっていた。
クライアが一応、付近に脅威となる汚染獣がいないか確認して、驚いた表情を浮かべて"上"の景色を見ていた。
「こ、こいつは…」
504
:
ショウ
:2014/04/15(火) 02:59:47 ID:???
>>502-503
時間も余り残されていない。そろそろ戻るべきだろうか。
そんな事を思い始めた頃にようやく通路を抜け出した。
「ここは……!?」
足を止めて辺りを見回す。
間違いなく先程まで居た広間だ。その証拠に交戦していた汚染獣も居る――既に事切れた姿となって。
「……レフさんが全て倒した? 仮にそうだとして、彼女の姿が見当たらないのはなんでだ……?」
自分達がダメージを与えたであろう個体の様子を伺いつつブツブツと独り言を漏らしている。
しかし既に結合崩壊を起こしつつある事に気づくと、残り二体の汚染獣の様子を調べ始めた。
絶命しているというのならば、その肉体に原因となる傷跡等がある筈だが――それらしい物は見つかるだろうか?
505
:
ヒューガルテン
:2014/04/15(火) 03:06:51 ID:kgdene0E
>>503
「道中はなんもなかったっすね……」
レフを見つけられず、少し表情が暗くなる。
そこでクライアの表情を見つけた。
「え、な、何すか?」
つられて上を見る。
>>504
?「抜け道ってわかってたらわざわざ引き返させなくてよかったし……ぁ。」
これまで気配を隠していたが、思わず声が出てしまった。
その声は、レフのそれと同じにしか聞こえない。
ショウが振り返れば、そこには
機動性重視の防護服。
左腕にガントレットの術式兵装。
ヘルメットの奥には黒髪と黄緑の瞳をした女子学生。
紛れもなく、この場所で氷の下に消えたはずのレフが立っている。
506
:
クライア
:2014/04/15(火) 03:15:13 ID:3cQHs10o
>>504
残された汚染獣には特に外傷らしい部分は見当たらない
しかし完全に死んでいることから、彼等の急所たる"核"が完全に破壊されている事は間違いないと思われる…。
汚染獣の"核"についてはショウも授業で習った範囲だ。
より効率的に汚染獣を倒す為の、奴らの急所。しかし個体によって場所もさまざまだったはずだ。
そして、レフの声がショウの耳に届いただろう。
>>505
‐鉱山中腹部 外‐
つられて上を見ると、鉱山の頂上が見えるはずだった。
しかし、そこに見えるのはもくもくと天に昇っていく黒い煙と
――とぐろを巻いた、巨大な岩石のような"鱗"めいたものだった。
その"とぐろ"は余りにも大きく、また黒い煙のせいで頂点を見やる事は出来ない。
が、間違いなく汚染獣の……それも、老成体と呼ばれる、汚染獣の最終形態の個体であるだろう。
「…も…戻るぞヒュー…でかすぎて俺達には気付いて…いないようだ…戻って、来た道から、帰るんだ」
507
:
ショウ
:2014/04/15(火) 03:22:44 ID:???
>>506
「外傷は無い……さっきの崩落のせいって訳でもなさそうだな。
それにこれは……どいつも核がピンポイントで破壊されてる? 個体によって場所が違う筈なのに――!?」
>>505
そこまで呟いた所で声に気づき、術式兵装を展開すると共に慌てて振り返った。
しかし、視界に飛び込んできた姿――生死すら定かでなかった筈の彼女を見て、脱力したように刀を降ろす。
「……レフ……さん? え、本物なんですか?」
驚愕を隠し切れない表情で、おそるおそる問い掛ける。
508
:
ヒューガルテン
:2014/04/15(火) 03:30:22 ID:kgdene0E
>>506
「・・・・・・」
あまり授業は覚えていないほうだが、老成体の単語は聞いたことがある。
汚染獣の、雄性体を越えた先の姿だと……。
さらにこの巨大さ―
圧倒されないほうがおかしいというものである。
「り、りょうかいっす、たいちょ……」
やっとのこと搾り出した返答もそこそこに
真っ青な顔でじりじりと下がっていくヒューガルテン。
本当は駆け出したい。今すぐに全速力で逃げたい。
しかし、足が震えて、それすら、叶わない。下がるのが、やっと……。
結果的にそれが、ヒューガルテンにしては
静かに退却することに繋がるだろうことは
果たして、吉か、凶か……。
509
:
レフ
:2014/04/15(火) 03:35:41 ID:kgdene0E
>>506-507
条件反射でショウの刀に対し受けようとする。
が、すぐにガントレットを下げた。
「そうそう、本物のあたし。
さっきからおどかしてばっかりでマジごめん、みたいな?」
その口調は紛れもなくレフ。
「いろいろ種明かししたいケド、それよりこいつら……」
核を砕かれた白い汚染獣たちを眺めやる。
「あたしでもこんな正確には無理だし……。
他に誰かか、何か居るかも……?」
510
:
ショウ
:2014/04/15(火) 03:42:52 ID:???
>>509
「いえ、本物だっていうならそれで良いです。生きててくれて良かった」
心底安心したように笑みを浮かべている。
しかしその後、慌てて刃を向けてしまった事に謝罪を入れるのであった。
改めて、レフと共に汚染獣達の死骸へと向き直る。
「……レフさんもそう思いました?
僕達がダメージを与えた個体はともかく、それ以外の個体には外傷らしいものが見当たらないんですよ」
仲間割れ、崩落の影響、まさかの自然死――いずれも状況から察するに、可能性としては皆無に等しいだろう。
「誰かが潜伏してるとすると、あの先が気になる所ですけど……吊り橋が崩れてしまってて調べようが無いですね」
511
:
クライア
:2014/04/15(火) 03:45:19 ID:3cQHs10o
>>507-508
>ヒューガルテン
「慌て…るな…多分だが、奴は休眠状態だと思う…すぐに起きやしねぇが…」
万が一、起きてしまったらどうなってしまうのだろう?
この先の疑問について、クライアはあえて考えずに合流地点へ急ぐ事を優先した。
再び鉱山内に戻ってから、二人は枷が外れたように一気に階段を駆け降りただろう。
>>ショウ、レフ
残った二体の死骸も時間と共に結合崩壊を起こして崩れていく。
ここからさらに地下へと潜れるが…クライアが指定した10分が丁度過ぎた頃だ。
命令を守るなら、合流地点に戻らなければならない。
512
:
レフ
:2014/04/15(火) 03:51:20 ID:9Yke8Mrc
>>510
「こっちこそごめんねー、うちのバカが大迷惑かけたじゃん?」
刃を向けたことは気にしないでと声をかける。
そして汚染獣の死骸と落ちた吊り橋を、表情を引き締めて見やる。
「外傷がないってことは、兵装すら使ってない可能性が高いじゃん?
となると人なら魔術師かもしんない。
ただ、人でないとしたら……」
廃貴族 ? いや、しかし彼らは自ら戦うことはほぼないはず。
まさか……それ以上の存在……。
とにかく頭を一つ振る。
「ケド、あの先調べる方法はないことないかなー。
あたしの鏡、持ってる?」
513
:
ショウ
:2014/04/15(火) 03:57:16 ID:???
>>511-512
「……」
このような芸当をやってのけた相手が人かどうかも怪しくなってきた事で、険しい表情を浮かべている。
しかしふと思い出す。そろそろ10分が経過している筈だと。
「レフさん、一旦隊長達と合流しに戻らないと――え? 鏡? はい、持ってますけど」
そう言うと、懐に仕舞っていた鏡をレフへと手渡した。
先程のクライア達との会話の流れで、結局ショウが持って来ていたのであった。
514
:
ヒューガルテン
:2014/04/15(火) 03:57:38 ID:kgdene0E
>>511
「はっ、はい・・・・・・」
もはや返答にもなっていないが、なぜか返答して引き返す。
その黒い影が見えなくなってはじめて、全力で階段を駆け下りていった。
途中で落ちても構わない。
とにかくこの場から去りたい。
いや、故郷だが、思い出しか残っていない場所だが、
もう、この都市には……
そこまで、思ってしまうほどの恐怖だった。
515
:
レフ
:2014/04/15(火) 04:06:05 ID:9Yke8Mrc
>>513
「あ、そんな時間たってた?
ありがと。ちょっと無茶かなー……」
鏡を受け取ると、レフは蓋を開けて黒い鏡面に自身の顔を映した。
続いてその鏡面を、吊り橋へと向ける。
すると
鏡から魔力の光が一条伸び、落ちた橋の向こう側に突き刺さり―
光は、右手にガントレットを備えたレフに変わった。
「―コレが種明かしの一端、みたいな?
あの先は”あたし”に少し調べてもらうから、 あたしたちは戻ろ?」
合流地点へ向かうべく、引き返すレフ。
そして、橋の向こうはもう一人のレフが調査のために進みだした。
516
:
ショウ
:2014/04/15(火) 04:12:43 ID:???
>>515
「何する気か知りませんけど、無理だけはしないで下さいよ……」
先程の事もあってか、実に心配げにレフの動向を見守っている。
しかし鏡から伸びた魔力がやがて、レフに変化したかと思うと、
「は? え? ……ぶ、分身?」
そうか、レフは東方に伝わる噂の『KUNO-ICHI』だったのか。いやいやいや。
「も、戻るのは良いんですけど、あれどういう事ですか?
もしかして、崩落する前の広間にやってきたレフさんが“アレ”だったんですか?」
合流地点に戻るべく駆け出し、その最中で問い掛ける。
今思い返してみると、広間に来た彼女と今目の前に居る彼女とで僅かな差異があった。
これも今しがた現れた“レフ”を見て思い出した事だが――例えば、そう。ガントレットの装着位置だ。
517
:
クライア
:2014/04/15(火) 04:14:36 ID:3cQHs10o
>>513-515
>>ヒューガルテン
合流地点に戻り、嫌な汗を拭うクライア。
此処に戻るまで、あの巨大な汚染獣はうんともすんとも言わなかったのは救いだった。
「…寿命が1週間は減った気がするぜ」
懐から煙草を出そうとして…吸いつくしてしまった事に気付いてため息をつく
「そろそろショウも戻ってくる頃だが…大丈夫か?」
>>レフ、ショウ
二人が合流地点に戻ると、何やら様子のおかしいクライアとヒューガルテンが既に待機していた。
怪我も損害もないのでヒューガルテンがまたやらかした…と言うわけではなさそうだが。
518
:
ヒューガルテン
:2014/04/15(火) 04:24:05 ID:kgdene0E
>>516
レフ「正解。まあ、分身というか?だけど。
マジでヤバイと思ったからさー、あの子に変わってもらったワケ。
でなきゃあたし死ぬかもだし? ってゆーか死んでた?」
「ただ、受けたダメージが大きいと全部じゃないけどこっちにくるから
ちょっと動けなかったんだよねー。ちょー痛いし……」
さらっと言うが、かなりの心配の種である。
そして合流地点へたどり着く。
>>517
「だ、だだだだだいじょうぶっす……はい……」
一方、ヒューガルテンはどう見ても大丈夫ではない。
519
:
ショウ
:2014/04/15(火) 14:47:29 ID:???
>>518
「はー、そういう事だったんですね。
というか、それならもっと分かり易い形で伝えて下さいよ! 気が気じゃなかったんですからこっちはっ」
あの場面で『あたしは死なないし』と言われても虚勢としか捉えられなかったのだ、との事。
「一応偵察任務は完了という事でこれから戻る手筈になってます。
だから、戻ったらすぐ回復してもらいましょう? ……お、二人とももう戻ってきてる」
>>517
「ただいま戻りました!」
何やら落ち着かない様子のクライアとヒューガルテンに対し、気分良さそうな声と共にショウが戻ってきた。
視線を向ければ気が付くはずだ。彼の隣には――決して幻覚などではない、レフの姿が在る事に。
「えーと何から説明すれば良いやら……って、二人とも何だか様子が変?」
最後の方は小声でひそひそ気味である。
520
:
クライア
:2014/04/22(火) 01:30:14 ID:3cQHs10o
>>518-519
「レ、レフ!…はぁ…悪夢続きだったが最後の最後で救われたぜ…」
レフの姿を確認すると、クライアはぐったりと肩を落とした。
そして動揺してるヒューガルテンの肩に手を置き、落ち着かせる
「上で見たもんについては都市に戻ってから説明する」
「俺とレフが二列で前を、すぐ後ろがショウとヒューで一気に都市まで戻るぞ」
平静を保ってはいるが、口ぶりから一刻も早くこの場を去りたがっているのが伝わるだろう
521
:
ヒューガルテン
:2014/04/24(木) 15:59:10 ID:9Yke8Mrc
>>519
レフ「マジごめーん。
でもさー、ぶっちゃけ説明してる暇なかったし?」
レフ「そうするー回復してもらわなきゃちょっとキツイし……
って、なんか、様子おかしくない?」
>>520
レフ「ご心配おかけしました隊長。あたし、レフ=ハスラーは無事です!」
肩を叩かれたヒューガルテンが声のほうへ顔を上げた。
「れふ?
……本当にレフ!? よかった……よかったー!!!!」
どこにその元気があったのか、レフに飛びつくヒューガルテン。
「レフ! ごめん、俺の、俺が……!!」
レフ「あーもー、言い訳とか謝罪とか後で聞くし!」
引き剥がすレフ。
レフ「上で……? えと、了解です!
そーいうワケだからポジションに戻って! みたいな!」
「うは、おk! 了解!」
指揮通りにレフはクライアと共に前列で、
ヒューガルテンはショウと共に後列をなし進むだろう。
レフ(ヒューのバカはとにかく、クライア隊長がここまで落ち着かないってコトは……
相当ヤバイっぽい……? 早めに引き上げさせたほうが良さげ?)
戻りながら、鏡に触れるレフ。
さて、崩れた橋の先を調査していた"分身体"レフのほうでは何か発見があるだろうか。
その結果を携えて、彼女はやがて一行と合流するだろう。
522
:
ショウ
:2014/04/25(金) 01:45:28 ID:???
>>520-521
「……ふう」
ヒューガルテンの様子を見てこっそりと一息付いた。
怒りに任せていたとはいえ、随分と酷い物言いをしてしまったので不安だったのだ。
レフは戻ってきた。こちらは解決したと思って良いだろう。
「? は、はい、了解しました」
しかし、未だ尚どこか落ち着かない様子のクライアを見て不思議そうに首を傾げる。
都市に戻ってから説明するという話らしいので、今は問い質さずに指示に従って動く事にした。
523
:
クライア
:2014/04/25(金) 14:44:38 ID:3cQHs10o
>>521-522
移動省略
―荒野都市カーツ 出撃用ゲート―
都市に戻ると、街の方がややがやついているのが分かる。
自分達が調査に出ている間に小型の汚染獣と戦闘があったらしい。
シカゴや、アオイ達が都市に残っているので大事にはならなかったのだろう。
特に緊急の連絡が来ると言う事は無かった。
フェイスやシェリ等、他の探索チームも無事に戻っているらしくホッとするクライア。
なお、分身レフの方も実は調査してる先で立ち往生していた。
最深部に続く道が"赤い氷"に覆われておりどうやっても進む事が出来なかったのだ。
生半可な剄や魔術を使った攻撃では崩す事は出来そうになく、別ルートを探す必要がありそうだと言う事しか分からなかった。
「…よし、1〜2時間後に報告会開くから、話はそこでしよう」
「色々あったけど全員生還で何よりだったな」
「じゃ、報告会まで各自解散!ゆっくり休めよ」
そう言うと、クライアはその場に待機していたフェイスに声をかけて都市中央の建物に向かう。
この都市に最初に来た時にショウやレフは、そこにカーツの重役が待機していると聞いている。
カーツ出身のヒューガルテンは既に知っているだろう。
休めと言われが、クライアは休憩無しで報告会の準備をするようだ。
さて、報告会まで多少の時間が出来た。
招集がかかるまでは自由行動だ。
524
:
ヒナタ
:2014/04/25(金) 16:03:07 ID:???
>>523
都市の防衛任務を請け負っていたものの消耗は殆ど無い。自由時間の間は街を出歩く事にした。
ちなみにショウは疲れていたので無理やり休ませている。
「出てきたのは良いものの……この街には何があったかな」
誰かから話を聞いていた筈だ、思い返そうと思案する。
娯楽とまでは言わずとも暇を潰せそうな施設は無いだろうか?
525
:
名無しの魔術師
:2014/04/26(土) 03:33:49 ID:3cQHs10o
>>524
思案するヒナタは、出歩く前に聞いた話を三つほど思い出す
①キースから聞いた話
カーツ出身のキースに、何か暇つぶしになる場所はあるかと聞いた時、こう返ってきた。
キース「ここは見ての通り荒れてるからな…
学園都市ほど設備は充実してねぇよ
ああ、けど…アンタなら『カフェ・ザ・リック』って店で
楽しめるかもな」
キース「案内?この廃れた街で屋根が一つ抜き出た高い建物だから
すぐ分かるさ…どんな店かは行けば分かる…それより、
これからユンスンやケヴィンと模擬戦するんだが良けりゃ数合わせを(ry」
キースはともかくとして、ユンスンやケヴィンが酷い目にあったのは言うまでもないだろう。(訓練の難易度的な意味で)
カフェ・ザ・リックと言う名前から、喫茶店か何かだろうか?
②イーグリットから聞いた話
先日も夜中に帰ってきたイーグリット。
ナンパに精を出してるそうで、既に街中を熟知していた。
イーグリット「こんな状況だから繁華街は寂れてたけど、
路地裏は色々と面白いとこがあったぜ?
と言っても露店ばっかだったけどな」
路地裏の方には露店が豊富にあるそうだ。装飾や物が多いらしい。
③13小隊副隊長ミハイルから聞いた話
出歩く事にした際、休憩を取ろうとしていたミハイルとすれ違ったヒナタは
気まぐれで彼からも話を聞いた。
ミハイル「僕はこの都市出身じゃないですからねぇ…
あ、中央施設では都市全体を見渡せますよ!
…と言っても、あまり面白くないですよね」
中央施設はカーツの責任者や重役たちがいる場所だが、防衛任務の関係上出入りの自由が許されている。
最も、立場で言うなら一隊員であるヒナタが好んでいくような場所ではないが。
候補は以上の三つだ。
簡単にまとめると
①カフェ・ザ・リック
②路地裏の露店通り
③中央施設
と言う事になる。
526
:
第5小隊
:2014/04/26(土) 10:58:44 ID:9Yke8Mrc
>>523
与えられた自由時間。
本来なら死んでいてもおかしくなかったレフとその分身体、
"問題点"が浮き彫りになったヒューガルテンは宿舎でおとなしくしている。
アノニマス「魔力での暴走すか……」
ブルージュ「それも並みの魔力じゃないとさ。
アノ、やつの家系について何か知らんか?」
アノニマス「……やー、俺もそういう情報は聞いたことないすね」
ヒューガルテンの今後について協議している隊長ブルージュと情報要員アノニマス。
他の隊員達は既に街中に散っているか部屋で昼寝を決め込んでいる。
ハイネケン「俺も街に出るかな」
少し掠り傷のついた左の義手に手袋を嵌めると、街へくりだした。
527
:
ヒナタ
:2014/04/26(土) 15:40:33 ID:???
>>525
「……ふむ、思い出した。意外と選択肢はあるな。
しかし全部は回れそうにないし、キースの言ってたカフェにでも行ってみるか」
どれもこれも興味が惹かれたが、無難な選択に留めておいた。
選択した一番の理由は「アンタなら楽しめる」という気になる発言なのだが。
「屋根が一つ抜き出た高い建物、だったか」
辺りを見回す。見つけ次第、そちらへ向かって移動するだろう。
528
:
名無しの魔術師
:2014/04/26(土) 23:40:21 ID:3cQHs10o
>>526
ハイネケンにも選択肢を与えるならば、
①仲間内から聞いた路地裏の露店通り
②カーツ出身の隊員(ヒューガルテンでも可)から聞いた謎のカフェ『カフェ・ザ・リック』
③都市を一望できる中央施設
の三つくらいだろうか?勿論、それ以外に目的なく街を散策しても
都市外周部の様子を見て来ても良い。
>>527
周りを見回すと、薄汚れた看板に『Cafe the Rick』と書かれている建物を見つける。
この辺りの民家や建物は大体フロア一階しかないが、カフェ・ザ・リックだけは三階建てで目立っていた。
距離はそう遠くない。ヒナタの足なら歩いても5分ほどで辿りつくだろう。
529
:
ヒナタ
:2014/04/28(月) 15:15:38 ID:???
>>528
「あれか」
見つけたのなら話は早い。
時間も限られているため急いでその建物へと向かった。
「しかし随分と目立つ建物だな。この都市では有名な施設なのか……?」
530
:
名無しの魔術師
:2014/04/28(月) 16:39:09 ID:3cQHs10o
>>529
‐カフェ・ザ・リック前‐
着いてみると、やはりヒナタの予想通り喫茶店らしき店構えをしていた。
だが正面門は閉じられており中に入る事は出来なさそうだ。
が、立て札を見つけると入り口は三階にあると書かれている。
横に備え付けられた非常階段で上がるようだ。
尚、非常階段側の入り口の扉の前には何故か
『術式兵装や強い魔術の使用はご遠慮ください』と書かれていた。
扉は少し古いのか、キィキィ音を鳴らして揺れている。
簡単に開く事が出来る。
531
:
ヒナタ
:2014/04/28(月) 19:54:25 ID:???
>>530
「なかなか良さそうな店だが……? ふむ、非常階段から上がるのか」
不思議に思いながらも非常階段を上がっていく。
そして入り口の扉の前に来て、ふと視線を向けた所で――階段を下り、もう一度店の正面に回って見上げた。
「……本当にカフェなのか? ここは」
やはり不思議そうに首を傾げる。
せっかく此処まで来たのだからとりあえず入ってみる事にしよう、と考えて改めて階段を登り、そそくさと扉の中へと入ろうとする。
532
:
名無しの魔術師
:2014/04/28(月) 21:29:29 ID:3cQHs10o
>>531
-カフェ・ザ・リック店内-
扉を開けると、わざと薄暗くしているであろう店内に入る。
カフェらしくテーブルや椅子が規則的に並べられており、疎らだが客もいるようだ。
酒なども扱っているのであろう。立ち席だがバーカウンターもあるようだ。
店の内装はカフェのそれだが、客層や雰囲気は"悪者がいそうな酒場"だ。
ちなみに客の殆どが武芸者なのか、ヒナタとはデザインが異なるが防護スーツを身につけていた。
中にはカーツ所属の防衛隊員らしき武芸者もいる。
あまりにも場違いな雰囲気に戸惑う事だろうが、ヒナタを見た客が声をかけて来た。
強面の客「珍しい客だな、指定席なんてのはないから好きな場所に座ったらどうだい?」
眼帯の客「注文はバーカウンターにいる奴に言えば出てくるよ、メニューは見えづらいが其処の壁だ」
言われて壁を見ると、確かにメニューが書かれている。
アルコール類もあるが、内容は学園都市にもありそうなカフェと何ら変わりない。
533
:
ハイネケン
:2014/04/28(月) 22:04:48 ID:kgdene0E
>>528
「そういえば露店街があると言っていたなあ……」
裏路地の露店通りへ向かう。
カフェでお茶を、というのはあまり性に合わない。
……最も、普通じゃないらしいのは気に掛かるが。
中央施設へ行って重役と顔を合わせることになるのは応対が面倒なので避けたい。
それに、露店を見て回るのはなかなかに楽しいものだ。
「路地裏か。面白いものがありそうだな」
534
:
ヒナタ
:2014/04/28(月) 22:16:35 ID:???
>>532
(……カフェというには少々暗いな、店内も雰囲気も)
最初に抱いた感想がそれだった。
見た目だけで判断するならば、少なくともうら若き乙女が立ち入るような場所ではあるまい。
しかしヒナタ自身は気にする事なく、
「ああ、そうさせてもらおう」
そう強面の客に答え、空いているカウンター席の一角に座った。
眼帯の客に促され壁に掛けられたメニューへ視線を移し、暫し考えていたかと思うと、
「……それじゃ一つ、ミルクでも貰おうか」
そう言って注文した。
535
:
名無しの魔術師
:2014/04/30(水) 03:00:10 ID:3cQHs10o
>>533
―路地裏・露店街―
話に聞いた場所に向かってみると、
メインストリートとさほど変わらない賑わいの通りに出る。
カーツの現状を考えると、賑わいに欠けるのは仕方のない事だが…
そんな状況でも露店は複数、店を構えていた。
装飾品を多く扱っている『宝石屋』
支給されている食料品や日用品をやや割高で販売している『雑貨屋』
奥まった場所に店を構えている『武器屋』
そして店側が指定する物を高額で買い取る『交換屋』
店同士の距離はそう遠くない。
集合時間までに全て回る事は可能だ。
536
:
名無しの魔術師
:2014/04/30(水) 03:08:33 ID:3cQHs10o
>>534
もはやお約束を通り越した様式美のように、
「ミルク」と言う注文に何人かいた客が噴き出すように笑っていた。
店員は表情を一つも変えず、注文されたミルクを素早くヒナタの元に提供した。
ヒナタがそれを一口つけるかどうかの時だ。
店の入り口から次々とがたいの良い武芸者達が入ってくる。
さらに、下の階からコックの格好をした男が昇って来た。
それを見た周囲の武芸者達が、一気に張り詰めた空気を作りだす。
コック風の男はそれを確認するとニヤリと笑い―――
コック風の男「ゴールは一階、先着二名まで
殺しは無し、怪我は自己責任…」
その言葉に呼応するように、ヒナタ以外の周囲の客が次々に身構え始めた。
武芸者ばかりだが、術式兵装を取りだす事はせず徒手空拳で構えている。
コック風の男「戦意喪失の相手への攻撃や行き過ぎた行為は
ここへの出入り禁止
―――分かったら、始めろ」
始めろ、と言う言葉に呼応して武芸者達が雄たけびを上げた。
そして状況についていけないヒナタを置いて行くように…
次々と戦い始めた!
さらに店内の薄暗い照明が一気に明るさを増して、視界を良好にした!
537
:
ヒナタ
:2014/04/30(水) 03:18:34 ID:???
>>536
注文内容を笑われた事を気にする素振りも見せず、
差し出されたミルクを飲もうとした時、周辺の変化に気が付いた。
「?」
なんのこっちゃ、とばかりにコック風の男の発言を聞いていたが、
彼の言葉を皮切りに戦闘を始めた周囲の武芸者達を見て、流石に驚いたように立ち上がった。
「ん? んん? ……よく分からんが、とりあえず一階まで行けば良いのか?」
明るさが増した視界に目を細めつつも、一先ず現状を理解したようだ。
店に立ち入る前の注意書きは――成る程、こういう事だったのか、とも。
真っ当なルールの下に開かれ、殺し合いという訳ではないのなら素直に従う事にした。
武芸者達が戦闘を始めたのに暫し遅れつつも動き出す。
素手のまま駆け出し、下の階層へと続く階段なり入り口なりを探し始めた。
538
:
名無しの魔術師
:2014/04/30(水) 03:48:28 ID:3cQHs10o
>>537
下の階へと続く階段をすぐに見つける事が出来たが
既に何人かの武芸者達が降りていったようだ。
強面の男「おっと!そう美味くはいかねぇよ!!」
眼帯の男を殴り飛ばしてKОした強面の男が、その勢いのままヒナタに挑みかかってきた。
体格差からヒナタの頭より高い位置から拳が振り下ろされる。
その速度はヒナタにとっては問題ないが、学園都市の一般的な隊員のレベルを上回っているのが分かる。
先に進むにはある程度周りの者達を倒した方が効率が良さそうだ。
539
:
ヒナタ
:2014/04/30(水) 04:04:47 ID:???
>>538
(階段は――あそこか)
先に下りて行った武芸者達に続くように向かおうとするが、強面の男に阻まれた。
鋭く振り下ろされる拳から、男の技量を大まかに読み取る。
見た目通りと言うべきなのか、真っ当な隊員なら彼の相手は厳しいだろうと、そのような思考が彼女の脳裏に過ぎる。
だが、如何な体格差があろうとも、彼女はそのような常識に囚われない悪魔の身に在る。
「ふ……!」
足を止め振るわれた拳を受け止めようと手を翳す。
受け止める事が叶ったのならば、それで終わる事は無い。
男が振るった拳の勢いそのままに、自分側へと引き摺り込むように超人じみた怪力を以て、拳ごと腕を引っ張る。
そして、近くに居るであろう別の武芸者目掛けて――放り投げる!
540
:
名無しの魔術師
:2014/04/30(水) 04:15:18 ID:3cQHs10o
>>539
強面の男「うおおおおおおお!?」
周囲の参加者「わあああああ!?」
男はヒナタに見事に投げ飛ばされた。なんとか受け身を取ろうとしていたが…
投げられた先にもいた他の客にぶつけられ、それは叶わなかった。
下の階からも喧騒と戦いの音が聞こえてくる。
丁度、階段に別の武芸者が叩きつけられるように飛んできてノックアウトされる様子が見えた。
541
:
ヒナタ
:2014/04/30(水) 04:31:49 ID:???
>>540
「よし!」
見事なまでの結果に思わず笑みを浮かべる。
だが、悠長に喜んでも居られない。
既に下の階でも戦闘が始まっている事を察知すると、先へ進むべく足を動かす。
邪魔が入らなければ、階段を降りて下の階へ突入するだろう。
周りの武芸者達を先に打ち倒す方が良いとも考えたが……彼等が潰し合ってくれる事に期待しての選択だ。
(下手に足を止めていては、ふとした拍子に集中攻撃されそうだからな)
542
:
名無しの魔術師
:2014/04/30(水) 04:41:19 ID:3cQHs10o
>>541
ヒナタの読みは正しかった。
二階に降りてみると、僅かな隙を見せた者が
複数人から狙われてあっという間に袋叩きにされていた。
三階でのドタバタを突破した者が多いせいか、更に動きが良くなっている。
その中で一人、ゴーグルのようなサングラスをした若者が明らかにレベルの違いを見せていた。
ヒナタも感心するような流れるような動きで放たれた蹴りで、上半身裸の筋骨隆々な男を蹴り飛ばしてきた。
蹴り飛ばしてきた、と言う表現を使ったのは蹴られた男がヒナタの方へと飛ばされてきたからだ。
サングラスの若者はそのまま素早く一階へと降りて行った。
細身の男「はいやぁぁぁっ!」
ヒナタの後ろから、細身ながら既に4人の武芸者を倒した男が挑みかかってくる。
こいつも明らかに動きが違う。どうやら剄を身体の内側にねって瞬発力を高めているらしい。
術式兵装は禁止と言われたが剄を練るのは禁止とは言われていない。
言葉のあやだがルールの盲点を突いてきたという事だろう。
細身の男は手刀をヒナタの右肩を狙い振り下ろしてくる。
543
:
ヒナタ
:2014/04/30(水) 13:46:49 ID:???
>>542
(やっぱりか)
ただ生き残れば勝ちという訳ではなく、他の者に先んじて一階へ到着せねばならない。
しかも、その枠は限られている。潰せる者から潰しに掛かるのは当然の考えだろう。
武芸者達の練度が三階よりも向上している事を理解する。
だが無理に戦わず、武芸者達の合間を縫って移動していくが、サングラスの若者が蹴り飛ばしてきた男に阻まれる。
軽快に飛んで避けようとした所で、後ろからの気配を感じ取った。
「おっと……!」
僅かに顔を逸らし、後方から来た細身の男を見やる。
剄を練り上げている事を察知し、見事な物だと感心した様子だ。
それはルールの盲点を突いた事と、剄を抜きにした上での動き、その両方である。
「だが、まだまだ!!」
前方から飛ばされてきた男の服を右手で掴み、そのまま右後方へと体を捻るように腕ごと振り抜いた。
哀れな男を即席の武器代わりとした、大質量による迎撃である。
例え手刀が命中したとしても構わない。むしろその時こそ、細身の男は手痛いダメージを負う事になる筈だ。
544
:
名無しの魔術師
:2014/04/30(水) 19:16:17 ID:3cQHs10o
>>543
大質量、もとい人体攻撃はそのまま男に叩きつけられる。
一番痛い思いをしているのは蹴り飛ばされた揚句武器にされた武芸者かもしれない。
人体攻撃と言うまさに悪魔の所業で手刀の入りは浅かった為、
やや痛みに顔をしかめる程度だろう。
細身の男は仰向けに倒れて噎せ返っている。
それを見た二人の参加者が、ヒナタに狙いをつけて挟み打ちしてきた。
武芸者A「そらぁ!」
Aが正面から踏み込み、振り上げるようなボディブロウを放ち
武芸者B「でえい!」
Bはカウンター席を足場に跳躍。ヒナタに向かって飛び膝蹴りを放ってきた。
545
:
ヒナタ
:2014/04/30(水) 19:44:21 ID:???
>>544
「ふー、手持ちの武器が使えんというのは手間だな」
浅かったとはいえ、流石に剄を込めた攻撃を無傷とはいかない。
痛みから不機嫌そうな表情を浮かべていたが、動く事に支障は無いと判断して体勢を立て直した。
二人の武芸者がヒナタへ襲い掛かるのは、おそらくその直後だろう。
「まったく、人気者は辛いな……!」
前方と後方を見た後、素早く構えた。
それはどちらか一方を迎撃する為だろうと、武芸者達は考えるだろうか?
「――ふっ」
それは、AとBの両者が行動を起こして間も無くの出来事だ。
挟み撃ちにされていたヒナタは体を大きく屈め、右横へと飛び退いた。
迎撃の“フリ”をするべく構えていたため多少なりとスタートは遅れるだろうが、直撃は回避出来るだろうか?
546
:
名無しの魔術師
:2014/05/01(木) 17:12:37 ID:3cQHs10o
>>545
A「ば!?」
B「なっ!」
見事に直撃を回避したヒナタ
室内に広さを利用した見事な動きだ。
挟み打ちを狙っていた二人はまさかこのようなフェイントになるとは思っていなかっただろう。
A&B「なーー!?」
二人は蹴りとボディブロウのクロスカウンター状態になって倒れる。
周囲にはまだやりあっている者がちらほらいるが、随分と少なくなった。
下の階へ往くのを阻まれる可能性は少ないだろう。
547
:
ヒナタ
:2014/05/02(金) 01:17:01 ID:???
>>546
「お前はともかく、そっちは跳躍してしまったからな……」
酷い有様で倒れ伏すAとBを交互に見て呟いた。
どちらも地上を移動しての攻撃ならば、回避なり身体を逸らすなりして、此処までの惨事には至らなかっただろう。
合掌しつつ、そのまま下の階へと向かっていく。
548
:
名無しの魔術師
:2014/05/02(金) 01:28:44 ID:3cQHs10o
>>547
‐カフェ・ザ・リック一階‐
ゴールである一階にたどり着くと、
薄暗い事を除けばオシャレなカフェである事が分かる内装であった。
ただし、あのコック風の男が乱戦を想定して装飾や机、椅子を全て端っこにのけてしまってるが。
階段を降り切ったヒナタの横に、またもガタイの良い武芸者が飛ばされてきた。男は壁に背中を打ちつけてうつ伏せで倒れる。
飛んで来た方角に眼を向けると…先ほどのサングラスの若者が一人その場に立っていた。
ヒナタの姿を見ると…若者はにやりと意味心に笑いながら、人差し指をクイクイと二度曲げた。
それは『お前もまだ暴れ足りないだろ?』と言っているようだ。
549
:
ヒナタ
:2014/05/02(金) 01:43:49 ID:???
>>548
一階に降り立ったヒナタは、先程までと違う内装を興味深そうに見つめていた。
しかし横に武芸者が吹き飛ばされてきた事と、その原因であるサングラスの若者の動作を見ると、
「……ほう」
実に面白そうに、少女の顔には到底似つかわしくない笑みを浮かべる。
「此処までが準備運動とするなら、お前が本番という事か?
良いだろう、わざわざ女を誘ったのだから直ぐにヘバってくれるなよ――!」
言い終えると共に、勢い良く床を踏み込む。
踏み込みの勢いを乗せた全力の突進の先には当然、サングラスの若者の姿。
強烈な一撃を腹部にぶち込んでやろうとばかりに、その右手は既に強く握り締められていた。
550
:
名無しの魔術師
:2014/05/02(金) 02:03:02 ID:3cQHs10o
>>549
ヒナタのその突進の速度に若者は僅かに表情を変えた。
それは予想したよりもはるかに速かったからだろうか?
「フッ…!」
しかしこの若者もさらに笑みを重ねると両足をがっちり床に押しつけるように構える
ヒナタの握りしめられた拳を正面から受けるつもりだ。
551
:
ヒナタ
:2014/05/02(金) 02:21:03 ID:???
>>550
「良い度胸だ……!!」
間合いに入ると共に、受けようと構えた肉体目掛けて高速のストレートを撃ち放つ。
突進の勢い、そして悪魔の膂力が合わさった強烈な殴打である。
直撃してしまった暁には、如何な豪傑とてその生命に関わる程である。
だが無論、それは防御の構えすら取らない愚者或いは勇者の話だ。
ここまでやってきた強者たる若者であれば、この一撃だけで雌雄を決するという事はまず有り得ないだろう。
552
:
サングラスの若者
:2014/05/02(金) 02:32:37 ID:3cQHs10o
>>551
打ちこまれた高速の拳を、右掌で受ける若者。
若者はこの時すばやく剄を右手に発生。そのまま流れるようにヒナタの拳を受け流してすれ違った。
「――驚いたな、剄を使ってないのか?」
そこで若者は初めて声を上げた。ヒナタが天剣授受者だと…
ましてや悪魔と血を分けているとは露ほども知らぬ者の純粋な驚きだ。
剄のエネルギーをクッション代わりにして器用に受け流したようだが、それでも衝撃を殺しきれなかったのか
右手をプラプラと振りながら
「けど次は……!」
若者は行動を移す。手近にあったカウンター席を足場に壁蹴りの容量でヒナタの上を取る
「こっちの番だ!!」
そのまま鋭い飛び蹴りをヒナタ目がけて放つ。
相手が見た目少女だろうが遠慮なしだ。直撃すればヒナタと言えどダメージを受けるだろう。
553
:
ヒナタ
:2014/05/02(金) 02:47:42 ID:???
>>552
「っ、と!」
すれ違う形で拳を受け流されたが、咄嗟に前のめりに飛び込んだ。
突進の勢いはそのまま。腕の力だけで一度跳躍すると、空中で体を捻りながら体勢を立て直して着地した。
恐らくは剄で対応してくると予想していたのだろう。
最も、若者から見ればそれだけでは説明の付かない程に異常な身体能力だが……
「性質は知っていても、諸々の事情で扱う事が出来なくてな。
ま、そこは気にするな。剄が無くても、此処まで来るに値する相手だという事は分かってもらえただろう?」
手に付いた埃を払いつつ、若者を見据えたまま答え、拳を構え直すが、
「む……!」
素早く上を取ってからの攻撃を見て、回避するべく咄嗟に後ろへと飛び退いた。
自分の拳を真っ向から対応してみせた事から実力の程度は把握している。
さしものヒナタとて、いざとなれば剄も加えてくるであろう相手の攻撃を真っ向から受け止めようなどとは思わないのだ。
554
:
サングラスの若者
:2014/05/02(金) 02:58:16 ID:3cQHs10o
>>553
ブォン、と空気を震わせる重い蹴りだ。
避けたのは正解だろう。剄を扱われては流石のヒナタも苦戦するかもしれない。
「その事情って奴に興味あるな、けど聞くのも無粋
さらに流石ここまで来ただけあってかなりやるみたいだな」
そこまで言うと若者は再びヒナタとの距離を縮める
「力も身軽さにも自信があるなら、身軽さを潰させてもらう!」
溝を狙った左の肘打ちだ。それを避けたとしてもこの若者は次の手を用意している。
後退するならそのまま左拳の裏拳が、若者から見て左に逃げても肘を曲げられて追撃される。
では若者から見て右に良ければ、今度は渾身の右ストレートが飛んでくるであろう三段構え。
身軽さと潰す、とは避けに対する対処を行うと言う事だと分かる。
ならばヒナタはどうするか?迎え撃つだろうか?
555
:
ヒナタ
:2014/05/02(金) 03:13:07 ID:???
>>554
(身軽さを潰すと豪語した。ならば回避が最善という事は有り得ない……)
そう考えたヒナタが取った行動は、実にシンプルなモノだ。
「それはどうかなっ!!」
溝を狙って放たれた肘――その左側部に目掛けて、右拳を叩き付けるように振り抜いた。
直線状に迫り来る痛烈な攻撃を、横から衝撃を加える事で崩そうという魂胆だ。
しかし横からとはいえ、猛烈な勢いを乗せた肘に接触するのだ。
剄が篭められていれば尚更、どのような結果であっても無傷では済まない。それは承知の上!
556
:
サングラスの若者
:2014/05/02(金) 03:22:29 ID:3cQHs10o
>>555
予想通り剄力が込められた肘を右拳が打つ。
勢いと、元々人の部位の中では堅い部類に入る肘を打った事で
ヒナタの拳にも相応の衝撃が走るだろう。拳をすりむき流血程度はするかもしれない。
「くう……!?」
避けないならば受ける事はするかと思っていたがこれは予想外だったようだ。
思いがけないダメージに若者は苦悶の声を上げるが、戦意は衰えない
「…お返しだ!」
まだ動く右腕を振り上げ、ヒナタの振り抜いた姿勢の右腕を思い切り殴りつけに来た。
腕の借りは腕に返すと言うのか、ある意味律儀な奴だ。
557
:
ヒナタ
:2014/05/02(金) 03:40:30 ID:???
>>556
「っ……!」
先程受けた手刀を遥かに上回る痛みから、流石に顔を顰める。
骨に異常は無いようだが、打ち付けた拳の皮膚は強く擦り剥かれ流血している。
だがそれでも、若者と同じく戦意の衰えは見受けられなかった。
「ふふっ、律儀なのは結構だが……!」
右腕を下げる事も身体ごと引く事もせず、握り締めた左拳を、若者の腹部へと撃ち放った。
先に攻撃を仕掛けたのは若者だ。ヒナタの攻撃が命中するとしても、それは後になるだろう。
故に十全な一撃には至らないだろうが、それを差し引いても、腹部に命中するというのなら他の部位よりダメージは大きい筈だ。
558
:
サングラスの若者
:2014/05/02(金) 03:51:41 ID:3cQHs10o
>>557
若者の拳がヒナタの右腕を強く殴打する。
久しぶりに激痛と言う物を連続で感じるだろう。
だがそれだけで済んだのはヒナタが若者の腹部を狙い、左拳を放ったからだ。
「……っ…!?」
耐えきれなくなったように、男は息を吐き膝をつく。
左手首に痛みを覚えたヒナタが確認すると、男は止められていた左手を使い
ヒナタの手首を掴むことで受けようとしていたようだ。だが間に合わず、深い一撃を多少なりとも浅くしたに留まったようだ。
バタン、と突然一階の扉…つまり、本来のカフェの入り口が開かれた。
明かりがさしこんでまぶしさに目がくらみそうになる。
そちらに眼をやると、先ほどのコック風の男が腕を組んで仁王立ちしていた。
559
:
ヒナタ
:2014/05/02(金) 04:01:57 ID:???
>>558
若者が膝を付き、勝敗が決したであろう後、
「っく、ぁ〜……!!」
堪えながらも実に痛そうに息を吐き、打たれた右腕を撫で始めた。
頑丈な肉体故か若者が万全に撃ち込めなかった故か、いずれにせよ骨は折れずに済んだようだ。
「はー……まったく、一箇所狙いをしなくても良かろうに……?」
突然明るくなった事で目を細めつつも、入り口へと視線を向ける。
仁王立ちしているコック風の男を怪訝そうに見つめると、
「なんだ、一対一が終わったと思えばまたか?」
と、手痛いダメージを負ってもまだまだ戦る気が健在のようだ。
560
:
サングラスの若者
:2014/05/02(金) 04:14:01 ID:3cQHs10o
>>559
「借りた分は…きっちりぴったり返す主義…でね…」
明かりがさしこんだ事によって若者の顔がようやく確認できた。
サングラスを丁度取り外していた。
オレンジ寄りの赤髪に、コハク色の眼が印象的な男だ。
恐らくは旅の武芸者か、くたびれた深緑色のジャケット姿だった。
仁王立ちしていたコック風の男はヒナタの言葉を聞くと豪快に笑い飛ばした。
男「ガッハッハ!俺は先着二名と言ったはずだぞお嬢ちゃん?
ちゃんと二人じゃないか?」
そう言われて周りを見ると、確かにこの男の言う通りだ。
この一階フロアで意識があるのは自分と、今この瞬間まで戦っていた若者のみだ。
男もとい店長「二人だけになった所で入ろうと思ったら
タイマンまで初めて驚かされたぞ?」
561
:
ヒナタ
:2014/05/02(金) 04:20:40 ID:???
>>560
「んん? あぁー……ああ、うん、そういえばそうだったな」
すっかり熱が入って夢中になってしまったが、二名になった時点で今回のルールとしては終了だった筈だ。
その事を思い出してか、ばつが悪そうに左手の人差し指で頬を掻いている。
「まあ、それは良いとして。
先着二名に何か特典でもあったのか? 正直まったく分からんままに参戦していたんだが」
562
:
名無しの魔術師
:2014/05/02(金) 04:27:40 ID:3cQHs10o
>>561
店長「ほう、そう言えば二人とも普段は見ない客だな?
ルールも知らずにここまで生き残るとは面白い話だ」
さらに豪快に笑いながらコック風の男…達振る舞いからこのカフェの店長らしき男はカウンター側に入り
奥の棚から何かを持ってきた。
同じ頃、倒された参加者達がぞろぞろと痛みに呻きながら起き上がったり降りてきたりした。
店長「当店独自の『カフェ・ザ・バトル』を制した者、先着二名に与えられるのは…
この俺が菜園都市で鍛えた料理の腕を存分に振るった
超・特製チョコレートサンデーor特製苺ケーキだああああああ!」
オオオッ!と参加者たちが感嘆の声を上げる。
と言うか彼等はこのスイーツの為に乱戦を繰り広げていたのか
店長「ホントはこの後先着の二名に話し合って選ばせるんだが、
タイマンに勝ったお嬢ちゃんから選ばせてやろう!どちらか一つだぞ!」
563
:
ヒナタ
:2014/05/02(金) 13:12:39 ID:???
>>562
(こいつも新参者という訳か)
ちらりとサングラスの男を見やり、そんな事を考えた。
「チョコレートサンデーか苺ケーキだと……!?」
その言葉を聞いて目の色を変えるヒナタ。
何を隠そうこの娘、弟と同じく甘党である。すっごい甘党である。正しくご褒美なのである。
「成る程、先着というのはそういう事だったか……!
悩む、悩むぞ……どちらか一方というのは非常に悩ましいが……!」
むむむ、と実に深く考え込んでいたが、
「チョコレートサンデーを貰おうか!」
564
:
ハイネケン
:2014/05/02(金) 22:25:46 ID:9Yke8Mrc
>>535
「お、結構やってるなあ」
声が明らかに弾んでいるハイネケン。
アノニマスのタレこみによると、ハイネケンは休暇のたびに荷物が増えているとのこと。
そしてもう一つ、かなりの確率で金欠に陥り、バイト"等"に精を出しては
整備士のロシュフォールに昼寝時間を返せと言われているそうな。
どれほど買い物をしているのやら……。
「時間はあるし、一通り回ってみるかな」
まずは目に付いた宝石屋に立ち寄る。
565
:
名無しの魔術師
:2014/05/04(日) 01:39:12 ID:3cQHs10o
>>563
サングラスの男「それじゃあ俺は苺のケーキか」
ヒナタとサングラスの男は席に通され、それぞれの目の前にスイーツが置かれた。
ヒナタが選んだチョコレートサンデーは素晴らしい出来栄えだ
器たっぷりに盛られたバニラとチョコアイスの上にアーモンドチョコのソースが注がれており
宮殿の頂点を思わせるように生クリームが螺旋状に盛られている。
お約束のチェリーも綺麗に飾り付けられていた。
器の中段にはチープさを感じさせながらも伝統を思わせるコーンフレークが敷かれ
その上下を二種類のチョコクリームが挟んでいる。
コック、もとい店主が全力を注いだチョコサンデーだ。
566
:
名無しの魔術師
:2014/05/04(日) 01:43:51 ID:3cQHs10o
>>564
宝石屋「外の人だね、いらっしゃい」
ハイネケンの格好を見て、すぐに都市外の人間だと気付かれたようだ。
宝石屋「うちは装飾品のほかにも
兵装の強化に使える原石(ダイト)も扱ってるよ
ほら、兵装の強度を上げる金剛石のダイトなんてどうだい?」
と、研磨されていない金剛石の原石を見せる宝石屋。
確かに持ち帰ってからロシュフォールなどに取り扱ってもらえれば
剄を流す際の兵装強度の強化や、兵装の強度そのものの強化に利用できる。
宝石屋「ちょっとばかし値は張るけどねぇ」
と、値段を手で示す店主。学生の身には辛い金額だが、
防衛部隊の任務に就いている事での手当てを考えれば手が出ない程ではない。
勿論、オシャレやプレゼントに向いた装飾品も扱っている。
567
:
ヒナタ
:2014/05/04(日) 14:27:22 ID:???
>>565
ぱくっ
「……」
ぱくっ
「…………」
ぱくっぱくっぱくっ
「……柔らかな甘さの中にメリハリを持たせるフレークの食感……
一口で二度三度と異なる甘みがある……そして、どれもが美味……!」
実に幸せそうに頬張っていた。
一口、また一口とスプーンを動かしている。
特に急いで食べているつもりはないのだろうが、そのスピードは迅速である。
もっと味わいたいという気持ちの為せる技なのだろう。無意識に加速し食するヒナタはまさしく、幸福の中に在った……!
568
:
ハイネケン
:2014/05/04(日) 23:03:27 ID:9Yke8Mrc
>>566
「やあ。ここには任務で来させてもらってるんだ。
ダイトか、どれどれ……」
金剛石のダイトに顔を近づける。
(これで強度上げてもらえばロシュに苦情言われなくなるかな?
むしろ手間分の昼寝時間をって言われそうだなあ……)
盾使いとしては、兵装の強度は高ければ高いほど望ましい。
特にハイネケンの場合は普段から義手として使っているのだ。
なおのこと破損は避けたいとなると……。
「よし、それ貰おうかな。
……でも、ちょっと高くないかい?
採掘の手間はわかるけど、研磨の工賃は掛かってないはずだろう?」
値切り交渉に入るようだ。
569
:
名無しの魔術師
:2014/05/07(水) 18:50:51 ID:3cQHs10o
>>567
ヒナタの幸せそうな表情と夢中でほうばる姿に店主は満足な顔を浮かべ
ガッハッハと店の裏へと戻って行った。
尚、いつの間にか店内は明るく、ごく普通の喫茶店の店構えに戻っている。
今回の脱落者達が全員で椅子やテーブルの配置、及び明かりを塞いでいた板やカーテンを取り払ったのだ。
「こっちのケーキも絶品だ、まさかごく薄に敷いた苺のムースソースとはな」
いつの間にか若者がヒナタの隣で、ケーキを楽しんでいた。
「そういやお嬢さん、その服装から察するに
この都市の援助に来たアレグレットの人だろ?」
「俺はアレグレットの卒業生、アレックス・ナヴァンって言うんだ」
と、自己紹介してきた。
570
:
名無しの魔術師
:2014/05/07(水) 18:53:17 ID:3cQHs10o
>>568
宝石屋「お兄さん、カーツの現状知ってるでしょ?」
男は笑いながらも困った表情を浮かべる
宝石屋「汚染獣にビビりながら、
無人化した鉱山の中や近くで掘ってるんだぜ?
工賃よりも危険賃って奴が掛かってると思ってくれないかい?」
571
:
ヒナタ
:2014/05/07(水) 20:38:01 ID:???
>>569
「ご馳走様でした」
丁寧に手を合わせて感謝の意を表した。
口元を拭いていた所で、ふと若者が隣に居る事に気が付く。ケーキを見ていたが声を掛けられた事でそちらを向いた。
「ん……ああ、たしかにそうだが。という事は貴方は先輩になる訳だな。
――私はヒナタ・アキツキという。第18小隊の一員だ、よろしく」
後輩と判明した割りに態度を改める訳でもなく、今まで通りと変わらぬそれで自己紹介に応えた。
「アレックス・ナヴァン……どこかで聞いた覚えがあるような無いような」
と、小声でブツブツと。
572
:
アレックス・ナヴァン
:2014/05/08(木) 01:42:33 ID:3cQHs10o
>>571
「アキツキ…それに18小隊って事はシカゴの隊か」
「確かショウって隊員もアキツキって名乗っていたな、兄妹か何かで?」
卒業生と言う事は少なくともクラッド生徒会長よりも年上なのだろうか
それにしても若く見えるが(20代中頃くらい)、今の学園都市の状況にもそこそこ詳しいようだ。
そして、ショウとも面識がある。
もしもショウから聞いた話を思い出せるのなら、学園都市に来て間もないころ
狼面衆と思われる者に襲われた時に助太刀に現れてくれた者の名が、アレックス・ナヴァンだった事を思い出すはずだ。
573
:
ヒナタ
:2014/05/08(木) 02:32:11 ID:???
>>572
「うむ、流石にご存知か。
……む、ショウと面識があるのか? あの子は私の弟だが――」
そこまで言いかけた所で、ふと思い出す。
狼面衆が愚かにも自分の居ぬ間にショウを襲ったという話だ。
それを聞いた際、狼面衆を叩きのめす理由が十を超えてしまったのだが、まぁ今は置いておこう。
その時、ショウを助けてくれた人物が居た。たしか彼の名は、
「――アレックス・ナヴァン。
弟が学園内で狼面衆と名乗る者に襲われた際、助けてくれた卒業生の男が居たと聞いていたが……貴方か?」
574
:
ハイネケン
:2014/05/10(土) 16:46:11 ID:9Yke8Mrc
>>570
「うーん、まあそれもそうだねえ。
この街には腕の立つ武芸者が多いようだけど、鉱山まで護衛できるほどだと
報酬も弾まなきゃあだね」
再び値札に視線を落とす。
値切らずとも買える額には違いない。
それに、所持金が底をつくようならまたバイトに精を出せばいい。
(なんて考えてるから貯金が溜まらないんだよなあ……)
軽く頭をかく。
「値切ろうとして悪かったね。
これはなかなか良い物のようだし、このままの値段で貰うよ」
……どうやらハイネケン、値切り交渉はへたくそのようである。
575
:
アレックス・ナヴァン
:2014/05/13(火) 18:53:41 ID:3cQHs10o
>>573
「そう言えば、そんな事もあったな」
思い出すような口ぶりで、それを認めるアレックス。
「しかしお姉さんとこんな場所でばったりなんて、世間ってのは狭いね」
さらにはこんな場所で出会って殴り合い、負けてしまうなんてと続けた。
「それと、何処で誰が聞いてるか分からんし、
狼面衆の名前は出さない方が良いぜ…ま、カーツ近辺じゃ全く知られてないけどな」
576
:
宝石屋
:2014/05/13(火) 18:59:09 ID:3cQHs10o
>>574
「悪いね、もう少し余裕があれば
聞いてあげない事もないんだけどな」
ダイトを手渡し、ハイネケンから料金を受け取る店主。
「表通りの奴らには聞かせたくないが、
この辺りで店を構えてる奴らは皆『引っ越し』を考えててね」
他都市への移住の事だ。
「アンタ等が来てくれてるのにこんな事言うのも失礼な話だけどね…
カーツはもうダメだって諦めてる人達の集まりなんだよ、この通りは」
だから多少値段が張っているのだと言う。少しでも早く資金をためる為に。
防衛隊員として来てるハイネケンとしては、少しやるせないかもしれない。
さて、買い物を済ませたが次は何処に回るか。
まだ目新しい店はいくつもある。
・雑貨屋
・武器屋
・交換屋
577
:
ヒナタ
:2014/05/13(火) 19:05:49 ID:???
>>575
「やはり、そうか。今更な事だが改めて礼を言わせてもらおう、ありがとう」
そう言って一度、頭を下げる。
「あわよくば、釣られてくる輩が居ないか期待したのだがな。ま、今後は気をつけるよ」
「ところで……知られていないというのは、連中の活動範囲が此処まで及んでいないという事か?」
578
:
アレックス・ナヴァン
:2014/05/13(火) 19:11:19 ID:3cQHs10o
>>577
「いやいや、俺の方も学園に不法侵入したのが
有耶無耶になったんでね、それでおあいこって事で」
「ああ、俺も故あって狼面衆について調べてるんだけどな」
「都市にだけ知られてないのか
それともカーツの地方では何もしてないのか尻尾すら掴めない現状さ」
579
:
ヒナタ
:2014/05/13(火) 19:33:19 ID:???
>>578
「ふむ、隠れる事だけは本当に長けているようだな。
組織立って活動している割に痕跡を隠す事だけは一流か、つくづく面倒なものだ」
と言って、一つため息を漏らした。
「ま、あまり暗い話をしても気分が滅入るだけか。
……そういえば、貴方がここにいる理由を聞いてなかったな。聞いても良いかな?」
580
:
アレックス・ナヴァン
:2014/05/13(火) 19:46:41 ID:3cQHs10o
>>579
「"生身"のメンバーの数が一握りなのかもしれねぇな」
雑兵の類は倒した先から消えてしまう事から、アレックスは
実体のある構成員が限られてるのでは、と推測してるようだ。
「カーツから更に西に向かった先にある、
『宗教都市』って場所に向かう途中さ」
「他の都市と頻繁な連絡が取れなくなって久しい都市国の一つだよ」
滅んじゃいないみたいだけどな、と言って最後の一口に残しておいた苺を一口でほうばるアレックス。
581
:
ヒナタ
:2014/05/13(火) 19:59:53 ID:???
>>580
アレックスの推測を聞いて「成る程な」と、納得したように頷いた。
その命を終えた所で跡形も無く姿を消してしまう雑兵達と、この上なく使い勝手が良い駒を揃えている。厄介なものだ。
「宗教都市……名前だけは聞いた事があるような、無いような」
むむむ、と考え込むように唸っている。
「ま、いいか。随分と過酷な状況に在る都市のようだが、其処に何用が?」
582
:
アレックス・ナヴァン
:2014/05/13(火) 20:15:38 ID:3cQHs10o
>>581
「この大陸がこうなる前は、国教発祥の地とか言われてた場所さ」
「今は都市国化して、宗派や新旧問わず宗教が途絶えなように頑張ってるらしい」
過酷な状況と言う言葉を聞いて、さらに言葉を続ける
「都市国化したは良いけど
中央都市との物理的な距離の問題や地形の都合で
滅多に連絡が取れない都市は結構あるんだよ」
「だから実際に行ってみないと都市国の現状は分からないんだ」
距離が近かったり、独自に交流を持つ都市国同士ならば情報の伝達のスムーズだが
荒野のど真ん中にぽつんと位置するカーツから、さらに西の方にある宗教都市では連絡の取りようも難しいようだ。
「宗教都市にも奴らの情報収集で向かうつもりさ」
無論、狼面衆の事だろう。
「けど流石に一人じゃどん詰まりになってきてねぇ…」
583
:
ヒナタ
:2014/05/13(火) 20:26:19 ID:???
>>582
「宗教か……ま、教えが在るのは良い事か。
ふむ、つまり連絡が取り辛いというだけであって、過酷な状況に在るかどうかは別と」
「……学園都市に助力を求めたりはしないのか?
都市側も連中の事は既に踏まえている筈だ。都市が総力を挙げてとは言わずとも、ある程度は助けが得られると思うが」
一人でやっていたのかと、その点について驚いている様子だ。
584
:
アレックス・ナヴァン
:2014/05/13(火) 20:37:06 ID:3cQHs10o
>>583
「学園都市ってのは、名前の通り学生を育てる場所だろ」
「そこにこんなきな臭い話を持ち込むのも考え物かと思ってな」
学園都市を卒業した者の多くは故郷の都市に戻る。
その時に狼面衆との関わりなど持たせたくないようだ。
「まあ生徒会やらが既に把握してるなら、多少は情報提供したりするのもアリ、か」
585
:
ヒナタ
:2014/05/14(水) 02:56:43 ID:???
>>584
「……確かにな。真っ当な学生からすれば余計な関わりである事は間違いない。
だが連中の目的が目的だ。貴方が望まずとも、連中から彼等に接触してくる可能性は十分にある。
ならばキナ臭い話を持ち込む、ではなく……事前に危険を伝えておく、という風に考えれば良いのではないか?」
何も分からず狼面衆に襲われるより、存在だけでも認知しておけば危険度は大きく変化するという事だ。
「ま、何処までを伝え、何処までを求めるかは貴方次第だ。
あくまで生徒会だけに留めておくというのも正しい選択だと、私は思うよ」
「堅苦しい事を言ってしまったな」と続けると、頭を二度三度傾けて首元を解した。
数ある意見の一つに過ぎず、それをアレックスへと押し付けるつもりは毛頭無いのだろう。
586
:
アレックス・ナヴァン
:2014/05/14(水) 03:29:12 ID:3cQHs10o
>>585
「そうだな、参考にさせてもらうよ」
そう笑って返答すると、アレックスは席を立ちあがった。
「宗教都市の状況は分からないけど、そこ行きの装甲馬車は出てるんだ」
「そろそろ出発時刻だからこれで失礼するぜ」
都市同士の連絡は取りづらいが、馬車が行き来出来るならば滅んだり危機的状況ではないと言う事だろう。
「装甲馬車は乗り心地を我慢すりゃあ、
一番安全な移動手段だ。もし他都市に行く事になったら一つの手段にすると良いぜ」
この広い汚染大地を身一つや、ヘルホース一頭で移動するにはリスクが大きい。
覚えておいて損はない話だろう。
「ああそれと、カーツで狼面衆の情報は全く無かったって言ったが…」
ここからは小声になる
「俺が此処に来たのはアテが無かったわけじゃない」
「廃棄された鉱山付近を、"変な面"をつけた連中が
うろついていたって言う目撃情報があったんだ」
結局、見つけられなかったけどなと言って店の外へ歩き出した
「一応伝えておくよ、用心しておいてくれ
じゃ、ショウにもよろしくな」
587
:
ヒナタ
:2014/05/14(水) 13:30:29 ID:???
>>586
「装甲馬車か、覚えておこう」
さて見送りかと考えたのも束の間、アレックスが声を潜めた。
その意図を察してか、ヒナタの表情も僅かに険しいものとなる。
「廃棄された鉱山付近を……か。貴重な情報だ、ありがとう」
鉱山とは、クライア達が偵察に向かった場所だろう。
何かと出しゃばりな連中だな、と内心で毒づいた。
「ああ、そちらも気をつけてな」
アレックスを見送った後は、店長をはじめ周りの者達に「楽しかった」と一言礼を伝え、自分も同じく店を出る。
そろそろ自由時間も終わる頃だろう。
588
:
ハイネケン
:2014/05/18(日) 18:46:39 ID:9Yke8Mrc
>>576
「いや、いいんだ。こっちこそ無茶を言ったね」
受け取ったダイトを日に翳し、眺めて納得あるいは満足げな表情を浮かべる。
「そっか……。
まあ、俺が言うのもなんだけれど仕方のないことかもね。
俺たちでも全て守れるわけじゃあないんだから……」
小傷のついた義手をちらりと見遣った。
そして店を辞す。
「次はどこへ行こうかな。
ん、交換屋か……交換出来るものがあればいいなあ」
交換屋へ向かう。
589
:
名無しの魔術師
:2014/05/21(水) 18:46:41 ID:3cQHs10o
>>587
カフェ・ザ・ロック―――腕っ節が自慢の武芸者達がスイーツの為に競い合う店。
この店はヒナタにとって素晴らしい店、あるいは非常にユニークな店として記憶に残っただろう。
店を出て時間を確認すると、まだ多少時間に余裕はあった。
防衛小隊の人間としては早めに集合するくらいが良いかも等と考えていたら
通りで意外な人物と鉢合わせした。
ユリウス「む……」
長身痩躯の無精髭、見間違うはずはない。ユリウスだった。
590
:
名無しの魔術師
:2014/05/21(水) 18:50:24 ID:3cQHs10o
>>588
‐交換屋‐
店に入ると、ハイネケンとさほど年齢が変わらなそうな男が出迎えた。
店主「いらっしゃい、中古兵装同士の交換なら歓迎だよ
…もしも中央都市行きの装甲馬車のチケットがあるなら、
店の物全部と交換してもかまわないよ」
と、冗談ながら僅かばかりの本気を含んだ言葉を口にした。
店の棚には型落ちの兵装のほかに、
ダイトなどと組み合わせないと意味を持たない兵装強化の回路や、
宝石屋とは異なる、既に何度か使用されている研磨済みのダイトなどが並んでいた。
ハイネケンの手持ちの持ち物でレートが見合えば、交換に応じてくれるはずだ。
591
:
ヒナタ
:2014/05/21(水) 18:59:19 ID:???
>>589
存分に戦えた事とスイーツを堪能出来た事で、実に上機嫌な足取りで店を出た。
「む」
思っていたより時間は余っていた事に気づく。
だがこれといって特にやりたい事も無く、まぁ早めに集合場所に居る方が良いだろう――と考えながら歩いていると、意外な人物に出くわした。
「…………。まさかこんな所で会うとは思わなかったぞ?」
口振りこそ普通だが、そう語る視線は『お前暇なのか?』とでも言いたげである。
ちなみに内心では十分驚いているのだが、下手に騒いで周りが気づいても面倒だなあと考え、自身を落ち着かせてから発言した。
592
:
ユリウス
:2014/05/23(金) 14:08:23 ID:3cQHs10o
>>591
「学園都市の連中が来ていると聞いていたが、お前に出くわすとは…」
想定の2387倍面倒だな、と呟いた。相変わらず表現の桁が大きい。
「暇なわけじゃない、れっきとした仕事だ」
「記憶を失う前でも、お前は殆ど顔を合わせた事はない相手だが…
天剣使いの一人の護衛だ…ちょっとばかり病気をこじらせてな
特別な薬と処方を受ける為に南東にある都市国の医者を訪ねていた」
帰りの装甲馬車のルートの都合で、カーツで時間を潰しているのだと言う。
ならば今は暇と言う事になるが…話に出ている『もう一人の天剣使い』の姿が見えない。
593
:
ヒナタ
:2014/05/23(金) 14:37:04 ID:???
>>592
何を基準にその桁になっているのだろう、とは思ったが口にはしない。
口は災いの元、藪を突いてなんとやら。余計な真似はしない事が利口の証である。
「病人の護衛か……ふむ。
確かに、それらしい人物に覚えは無いな。何にせよ遠路はるばるご苦労な事だ」
ユリウスが此処に居る理由に納得してか「うんうん」頷いていたが、ふと視線を横に逸らし、
「で、肝心のもう一人は何処に居るんだ? 姿が見当たらないようだが」
594
:
ユリウス
:2014/05/23(金) 15:04:54 ID:3cQHs10o
>>593
「病人とは言え天剣授受者、
本人は護衛など必要ないと言っていたが問題があってな」
姿が見当たらない、というヒナタの質問に苦々しい表情をさらに強くするユリウス
「純度100%の方向音痴でな、俺の右隣りを歩かせていたのに
緩んでいたブーツの紐を直していたらこのザマだ」
ようははぐれて迷子になってしまってるようだ。
中央都市の武芸者で、しかもそれを代表する天剣使いが。
ついでに病気持ちというオマケつきだ。
595
:
ヒナタ
:2014/05/23(金) 19:54:53 ID:???
>>594
「……護衛以前に案内役が必要じゃないのか?」
自分も、武芸者だというのに剄が扱えないというオマケというには重い問題を抱えてはいる。
加えて記憶喪失と、あまり人の事を言えた立場ではないが、それでもまぁ隠しきれない本音が出た。
「良ければ手伝おうか? 万が一があっては大変だろう。
学生(こちら)の仕事までにはまだ多少の猶予があるしな」
596
:
ハイネケン
:2014/05/25(日) 16:54:26 ID:ug9sdVo2
>>590
「うーん、馬車のチケットはないなあ。残念」
ほろ苦い表情と共に冗談で受ける。
「結構取り扱い多いね。ん、あれは強化回路かな」
品定めするハイネケン。そのうちに、自然と円盾形兵装に目がいく。
「狭いところだとラウンドシールドのほうが便利なんだよなあ……」
「交換できそうなものは……と」
大き目の鞄の中身を探る。
兵装のフレームパーツ4種、及びねじ1ダース。小さい装甲板複数。
これらは応急処置用のものだが、ジャンクパーツだ。
帰還までの間最低限義手としての機能を維持できれば、新品である必要はない。
予備装備として一般のスティレット。
手入れは完璧…というより、ほぼ使っていない。使う機会が少ない。
青銅製の小さな空き箱。何を入れていたかは忘れたが、なんとなく薬臭い。
包帯。水薬の空瓶。火打石。細長い麻袋。
それらが次々と出されて台に並べられた。荷物が大きいわけである。
「この中に、ラウンドシールドと交換できるものはあるかい?
できれば回路も欲しいんだけど」
小型盾は自分用に。
回路は手に入るならロシュフォールへのお土産にするつもりだ。
597
:
ユリウス
:2014/05/26(月) 14:22:21 ID:3cQHs10o
>>595
「その申し出は正直にありがたい」
表情は殆ど変って無いが、ユリウスなりに
感謝をしているのは伝わるだろう。
「奴の特徴は…ううむ、"金髪に緑眼の女"では該当が多いな…ううむ」
「『真面目な堅物が鎧を着て歩いてる』ような女がその天剣授受者だ」
「名はディーナ・フォン・クロストヴァイズ…
隻眼と言う特徴もあるから、すぐに分かるだろう」
598
:
名無しの魔術師
:2014/05/26(月) 14:26:35 ID:3cQHs10o
>>596
「いえいえ、お気になさらず…」
そう答えてハイネケンが取りだした物を見る
「フレームパーツ2つにあとは…ほぼ新品だね、
このスティレットも含めてくれるなら即決で交換させてもらうよ」
と、棚に置かれていた回路とラウンドシールドをテーブルに並べる
599
:
ヒナタ
:2014/05/26(月) 20:40:32 ID:???
>>597
「素直でよろしい」
偉そうな物言いである。
「……ふむ、なんとなくイメージできたような、そうでもないような。
とりあえず金髪緑目の堅物さんを捜索すれば良い訳だな、任せておけ」
「彼女がどの辺りに向かいそうだとか、そういった予測は付いているか?」
600
:
ユリウス
:2014/05/26(月) 20:44:27 ID:3cQHs10o
>>599
「フン」
偉そうなもの言いにやれやれと態度で返す。
「それについては済まないが全く予測がつかないな
装甲馬車が待機している区画に向かっていたんだが…」
純度100%の方向音痴では恐らくそこにはいないだろう。
ヒナタがこの都市で知っている場所は、先ほどのカフェに裏通りの露店街
あとは都市重役たちが勤務している中央の建物くらいだ。
まさか、学園都市の人間達が間借りしている宿舎施設になどいないと思いたい。
601
:
ヒナタ
:2014/05/26(月) 20:59:52 ID:???
>>600
「まあ、其処には居ないだろうな」
という訳で其処以外の場所を思い浮かべる。
いくら純度100%の方向音痴とはいえ、建物の中に入ったりはしていない筈だ。
近くに立ち寄っている可能性はあるが、まあ、彼女が一直線に装甲馬車の下を目指すのならすぐ離れてしまうだろう。
となるとカフェ、中央の建物、宿舎施設……その辺りは除外。
(私が知っている限りだと、残りは裏通りぐらいなものか。
中央施設から都市を見渡す、というのも非効率的だしな……)
「とりあえず私は裏通りの方を探してみようと思う。
まー、明らかに馬車が止まっていなさそうな所に彼女が立ち寄るかどうか怪しいところだが」
602
:
ユリウス
:2014/05/26(月) 21:14:03 ID:3cQHs10o
>>601
「お前は真の方向音痴と行動した事がないからそんな事が言えるんだ」
ユリウスははるか遠くの空を見るように天を仰いだ
「…裏通りはお前に任せよう。俺はこのまま表通りを往復して、ほぼありえないと思うが馬車の区画に向かってみる」
603
:
ヒナタ
:2014/05/26(月) 21:27:35 ID:???
>>602
「く、苦労しているんだな、お前も」
珍しき彼の態度にちょっとだけ戸惑いを見せつつフォローした。いや別にフォローしてねえなこれ。
「ああ、こちらは任せろ。では早速行ってくる」
さて、お目当ての堅物殿は見つかるだろうか?
604
:
ユリウス
:2014/05/26(月) 21:47:15 ID:3cQHs10o
>>603
ユリウスと分かれて裏通りに入るヒナタ。
表通りとは違った雰囲気に、人探しと言う頼まれごとが無ければワクワクしたかもしれない。
意外にも露店の数が多い。
宝石店、交換屋、武器屋、雑貨屋など様々だ。
ちなみに交換屋を覗くと、商談をしている5小隊のハイネケンと店主の姿が見えるだろう。
宝石店は現在、客がいない。
605
:
ヒナタ
:2014/05/26(月) 22:07:55 ID:???
>>604
(おや、あれは……5小隊の子だったかな)
交換屋を覗き、中を確認する。
どうやら交渉中の様子だ。邪魔をしても悪いし、ここは立ち去っておく事にした。
(此処は宝石店か。客は居ないようだし、丁度良い)
中の様子を確認してから、宝石店へと立ち入る。店主や店内の様子はどのようなものだろうか?
606
:
名無しの魔術師
:2014/05/26(月) 22:13:21 ID:3cQHs10o
>>605
宝石店は装飾用の物から、
術式兵装の強化に使うダイトまで置かれている。
店主はちょうど帳簿をつけている所だった。
店主「いらっしゃい、また防衛小隊のお客さんかい
女の子なら…このイヤリングなんてどうだ?カーツだけじゃなくて
他の都市でも流行っているよ」
と、四角いサファイヤのイヤリングを一組見せて来た。
値段は学生には高いが、払えない金額ではない。
607
:
ヒナタ
:2014/05/26(月) 22:27:03 ID:???
>>606
「ふむ、なかなか良いな。どうしようか。
……ところで店主さん、此処に金髪緑目の女性が来なかったかな。ちょっと堅苦しそうな感じの」
財布の中身を確認しつつ、ふと声を掛ける。
608
:
名無しの魔術師
:2014/05/26(月) 22:31:53 ID:3cQHs10o
>>607
店主「はて、そんなべっぴんさん通ったかなぁ」
誰もべっぴんとは言っていないが、勝手な男の性だろう。
ちなみに、ヒナタが散財していなければ
防衛小隊の危険手当なので財布は多少はふっくらしてるはずだ。
店主「…あー、緑眼か分からないが
金髪で鎧を着た女ならさっき通ったね、うん
武器屋の方に歩いて行ったよ」
店主「…けど、「こっちが近道」なんて言ってたが何処に向かってたのやら」
609
:
ヒナタ
:2014/05/26(月) 22:55:53 ID:???
>>608
(武器屋か。武芸者だからなのか、或いは……本気で近道と思ってるのか……?)
未だ直接お目に掛かってはいないが、段々と色々な意味で不安が湧いてきた。
「ふむ、そうか。教えてくれてありがとう。あとそれを一つ頂こうか」
見せてきたサファイヤのイヤリングを指差しつつ。
幸い無駄遣いをしない性質なので、購入する余裕はあるのであった。
610
:
名無しの魔術師
:2014/05/26(月) 23:00:30 ID:3cQHs10o
>>609
店主にまいどありーと見送られたヒナタ。
武器屋はすぐ近くの露店だ。
先ほどは気に留めなかったが話声が聞こえて来た。
女と男の声だ。何やら言い争っているようだが…探し人は此処にいるのだろうか?
611
:
ヒナタ
:2014/05/26(月) 23:08:18 ID:???
>>610
購入したのは、大きく興味があった訳ではなく、情報のお礼としての意味合いが強かった。
ただまぁ、お洒落に無頓着というつもりはないので、機会があれば付けてみよう……と考えるヒナタであった。
「む?」
いざ武器屋へ向かおうとした所で話し声を耳にする。
女性と男性、どうやら言い争っているらしい事を認識すると、暫し考えた後そちらへと足を向けた。
612
:
名無しの魔術師
:2014/05/26(月) 23:21:46 ID:3cQHs10o
>>611
‐武器屋‐
店に入ると、露店とは思えないほどの数の棚が並べられていた。
露店にしては種類が豊富だ。どれも中古品のようだが、
性能は悪くなさそうに見える。
ただの剣や槍だけでなく、あきらかに『専門の使い手用』を思わせる物まである。
言い争っている男の方が店主、女の方が客のようだ。
女は、長い金髪が鎧姿が目立っている。右目が傷で塞がっている隻眼だが
開かれている左目は緑眼だった。
店主「アンタも分からない人だねぇ
俺達はこうしないと稼げないんだよ?兵装だって
荒野に置き去りより再利用した方が良いだろう?」
女「私が言っているのは、店に並べる前に元の持ち主の安否や
遺族に確認を取ったのかと言っている!
家族からしたら形見の品かもしれないんだぞ!」
店主「そんな事一々していたら商売あがったりで飢えちまうわ!
他の客が来たからどいてくれ…ああ、すまんねお客さん
兵装ならなんでも売ってるから好きに見てくれ」
と、店主が女を無視してヒナタに対応してきた。
どうやら、この店に並んでいる兵装は店主が都市外で
うち捨てられていた物を回収した物のようだ。
女の方はその行いが気に食わないのだろうか?
613
:
ヒナタ
:2014/05/26(月) 23:54:41 ID:???
>>612
(一般的に量産されてる品とは異なる物もあるのか。
……ある特定の人物用に鍛造されたような物もあるが、これは)
思考を遮るように、男女の会話が聞こえてきた。
――成る程、此処で取り扱っている品に関して言い争っているのか。
(長い“金髪”に“鎧”を着用、右目は塞がれている“隻眼”の女……だな)
女性に気づかれないよう、横目でその特徴を確認する。
把握し終えた辺りだろうか、店主がこちらに対応してきたのを見ると、
「ああ、そうさせてもらおう。
ただ白熱している所申し訳ないのだが、静かに見させてもらえると嬉しいな」
女性、そして店主へと視線を移した後、宥めるように言った。
614
:
名無しの魔術師
:2014/05/27(火) 00:08:44 ID:3cQHs10o
>>613
店主「いやあ申し訳ないね、おいアンタ、商売の邪魔だから出てって…」
男の言葉を遮るように、女はヒナタの肩に手を置いて
自分の方を向かせてきた。中々強引だ。
女「君!防衛小隊の武芸者だと見受けるが、
まさか君もここで兵装を買うつもりなのか?」
開かれている左目でヒナタを見つめ、力強く語る
女「志半ばで力尽きた者達の遺した最期の遺品なんだぞ?
せめて家族の元に…それが叶わないなら弔ってやるべきだと思わないか?」
店主「いい加減にしろ!アンタこれ以上は営業妨害でただじゃおかねぇぞ!?」
615
:
ヒナタ
:2014/05/27(火) 01:25:45 ID:???
>>614
流石に此処まで強引な絡み方をされるとは思わなかったのだろう。
驚いたように目を見開き、力強く語る女性へと視線を向けている。
「……貴女の言いたい事とその想いの強さは分かった。
戦いで散っていった者が残した品だ、その彼等の血縁の元に届けられるに越した事は無いだろう」
「だが、どうやってそれを実行する?
どのような人物の持ち物であったかを調べ上げて、持ち主の家族の下に届けるか? これだけ膨大な数の品の縁を?
とても一個人の行いで解決出来るような話ではないだろう。それこそ最悪、都市一つが動かなければままならない事態だ。
そして、それには膨大な資金と時間が必要となる。カーツの現状、貴女ならば分からん筈が無い」
「……そして、もう一つ。
これらの兵装がこれから戦おうとする者の手に渡る事で、救われる命があるだろう。
失われた命の志を継いで戦ってくれる者が居る事こそ、彼等にとっての救いになるのではないか?
もちろん、志半ばで散っていった者達全てがそう考えていたなどとは言わん。
家族の元へ自身が生きた証を届けて欲しかった。弔って欲しかった。そう考えていた者達も、おそらくは居ただろう」
「だが先程述べたように、現実的な問題として、そちらを実行するのは不可能に近い。
身元を調べ上げ、遺族の居場所を調査し、一人一人に遺品を届ける事など、今の都市にそんな余裕は無い。
そちらに意識を割く事で兵装の流通が滞り、汚染獣を筆頭とした脅威に抗う為の手段が減ってしまうかもしれない」
「最初に言った通りだ。貴女の言いたい事は分かっている。
その想いは確かに正しいモノだ。それが通せるのであれば、そちらに越した事は無い。
だが、現状では不可能なんだ。そして、その現状を打破する為に、この兵装達は誰かの元に渡らなければならない」
女性の抱く強い想いを肯定した上で、現実的な問題を述べて、
「私は、そう思っている」
最後に一言、そう告げた。
616
:
金髪に隻眼の女
:2014/05/27(火) 03:02:46 ID:3cQHs10o
>>615
ヒナタのはっきりとした物言いと話に女は勿論、店主も黙りこくってしまった。
店主としては、ただ儲けになれば良い程度に思っていたのだろう。
ヒナタの高い意識の話を聞いて居づらそうな表情を浮かべていた。
「…だとしても…だとしても私は……!」
ヒナタの真摯な、それでいて冷静に現実を見た話に対する反論は無いのだろう。
開かれた左目の端に、僅かに涙を浮かべながら女は一歩下がった。
「この兵装達が必ず、守る為に戦う者の手に渡る保証はない
何かの間違いでバンデットや悪党の手に渡ってしまう事を考えると私は……」
そこまで口にするが言葉に詰まってしまい俯く。これでは自分の善意を押しつけて
この通りで露店を営む人達を責めてしまってるように思えたのかもしれない。
「これでは…天剣を担う資格すら…」
そう口にしてから数秒黙り、一言「済まない」と告げて早足に店を出てしまった。
店主「お、おいアンタ…!」
「装甲馬車がそろそろ出るんだ!タ、ターミナルに行かなければ…」
そう言って女は走り出してしまった
店主「……あっちは前の戦闘で無人になってる住宅街なんだけど…」
617
:
ヒナタ
:2014/05/27(火) 03:17:28 ID:???
>>616
「――ふう。邪魔したな、店主。これは詫びだ」
財布から無造作に取り出した金を半ば強引に手渡す。
元々、宝石屋であっさりと買い物出来るだけの余裕はある。お詫びとしてはなかなかの金額が懐に入る事だろう。
そして店主の言葉を聞いてか、女性の後を追うようにして、慌てて店を出て行った。
(そのつもりはなかったが、説教まがいの事をしてしまったな……らしくもない)
先程言っていたように、女性の抱いていた想いは理解出来るし、そうであれば良いとは感じていた。
だが同様に、現実的に不可能だいう事も承知している。彼女を納得させるには『どうしようもない事である』という旨を伝えるしかなかったのだ。
「全く、シェリのような連絡手段が用意出来れば面倒が省けるというのに……!」
618
:
金髪に隻眼の女
:2014/05/27(火) 03:33:15 ID:3cQHs10o
>>617
-無人エリア-
最初にカーツに来た時の戦闘で、アオイ達が受け持っていた区画だ。
汚染獣の襲撃の影響でこの辺りの住民は全て避難している為、ゴーストタウンのように静まり返っている。
その為、探している人物はすぐに見つかった。
「…本当に複雑な街だな此処は…」
キョロキョロと周りを見渡して、何か確信したような顔をして歩こうとしていた。
ちなみにその方向はターミナルとは反対の表通りに繋がっている事は、何日かカーツで過ごしているヒナタならすぐに分かる。
女の方がヒナタに気付いて足を止めた。
バツが悪そうな顔を一瞬浮かべたが、申し訳なさそうに笑みを浮かべた。
「何か用か?さっきは熱くなって済まなかったな」
右方向にある曲がり角から足音が聞こえてくる。
カーツの住民だろうか?
619
:
ヒナタ
:2014/05/27(火) 03:35:57 ID:???
>>618
(本当に方向音痴なんだな)
ユリウスがほんの少し目を離した隙に見失った理由が分かった気がした。
「ああ、いや、こちらも説教のような真似をしてすまなかった。
用という程のものでは無いのだが、貴女を探している人物が――」
そこまで言いかかった所で、曲がり角から足音が聞こえてくるのに気が付き、そちらへ視線を向けた。
620
:
金髪に隻眼の女
:2014/05/27(火) 03:44:24 ID:3cQHs10o
>>619
「私を探してる?もしや年甲斐もなく迷子になってしまったユリウスが…」
言いかけた所で、足音の主が姿を現した。
――狼の面をつけ、緑のローブを羽織った人物。
すぐに気付くだろう。狼面衆の雑兵だ。
621
:
ヒナタ
:2014/05/27(火) 03:54:57 ID:???
>>620
“いや、迷子なのは貴女だ”――等という言葉を投げ掛ける暇も無かった。
「――!」
狼の面を視界に捉えた次の瞬間、足が地面を蹴っていた。
距離を詰め、忌々しいその面へと一撃を見舞うべく、既に構えた右拳を振り翳す!
622
:
金髪に隻眼の女
:2014/05/27(火) 03:59:44 ID:3cQHs10o
>>621
「な…」
ヒナタが振り翳した拳を見た狼面の男はそのまま振り下ろされたそれに殴り飛ばされ
無人の家屋の壁に叩きつけられた事だろう。そして事切れたように倒れ、その姿は砂のように消えてしまった。
「何事だ!?これは!」
状況は分からないが、戦闘が始まった事は理解したのだろう。
鎧姿なのが幸いかすぐにでも参戦できるように構える。しかし兵装を構えようとはしない。
みだりに天剣を抜く事はしないスタンスなのだろうか?
そうこうしている内に、音もなく次々と狼面の者達が姿を現してくる。
無人エリアのせいかすぐに第三者が来る気配はない。
623
:
ヒナタ
:2014/05/27(火) 04:15:40 ID:???
>>622
殴り飛ばした事を確認すると、すぐさま女性の下へと移動すべく飛び退いた。
次々に現れる狼面の者達を視界に納めたまま、
「こいつらは狼面衆というタチの悪い集団だ。詳しいことは後で話そう。
ところで武器を構えないようだが、徒手空拳には自信があるのか?」
問い掛けた後、馴染みある言葉と共に剣の術式兵装を展開する。
先程のように先制攻撃を仕掛ける事はせず、様子見だ。
624
:
ディーナ・フォン・クロストヴァイズ
:2014/05/27(火) 04:25:49 ID:3cQHs10o
>>623
「狼面衆…そんな輩が中央の目を盗んで闊歩していたとはな…!」
十数人ほどの狼面衆に囲まれた状態だ。
女はヒナタの問いかけに笑みを浮かべて答える
「安心したまえ、このディーナ・フォン・クロストヴァイズ、
既に『天剣』は構えている」
女がそう名乗ると、鎧の肩の部分が取り外されて大きな盾となった。
見れば鎧と盾全体が、彼女が発している剄を纏っている。
それに応じるかのように、狼面衆達が一斉に動き出した。
剣を構え、ヒナタとディーナに襲いかかって来たのだ。
625
:
ヒナタ
:2014/05/27(火) 04:32:40 ID:???
>>624
「む、それはいったい――」
どういう事なのかと尋ねようとした所で狼面衆が動き出した。
忌々しげに舌を打つと共に、迎撃すべく剣を構える。
盾が展開された事ぐらいしか確認出来ていないが、今は彼女の言葉を信じるしかないと判断したのだ。
「はああああっ!!」
相手が剣を振るうよりも早く切り伏せようと、構えた剣を横薙ぎに一閃する!
626
:
ディーナ・フォン・クロストヴァイズ
:2014/05/27(火) 04:41:35 ID:3cQHs10o
>>625
ヒナタによって斬り伏せられたのが数体、残りの刃がヒナタへと殺到する。
無論、驚異的な身体能力を持つヒナタならば回避ないしやり返す事など造作もないだろうが
彼女に刃の一切は届かなかった。
振り返ると、ディーナが先ほど展開した巨大な盾を手にしていなかった。
代わりに、剄の光を纏った5つの盾の破片が互いを剄によって繋ぎ合わせ、
全ての攻撃を防いでいたのだ。
「ただ防ぐだけが私の盾ではないぞ!!」
盾の破片らは攻撃を防いだまま、自身に纏わせていた剄力を一気に放出して
狼面衆の雑魚達を吹き飛ばし壁や地面にたたきつけた。
「まだいるようだ!」
新たに二体、今度は白いローブ姿の者が姿を見せた。
手にしている武器も双剣に変わっている。
627
:
ヒナタ
:2014/05/27(火) 16:35:55 ID:???
>>626
すかさず体をズラす事で回避してみせようとしたその時。
それよりも早く、剄で繋がれた盾の破片が、自身に殺到した筈の刃を全て止める様を目視する。
「!? それは――」
その先を言葉にする事はしなかったが、漠然ながらも、彼女の『盾』の正体を理解した。
何にせよ詮索は後だ。
新たに現れた二体の狼面衆に対応するべく向き直り、剣を構え直す。
「さて、先程の連中よりは楽しませてくれるのかな?」
628
:
ハイネケン
:2014/05/28(水) 18:17:26 ID:ug9sdVo2
>>598
「ん、それはありがたい。
それじゃあフレームとスティレットとで交渉成立、だね」
店主の要求から外れた物たちをしまいつつ、少し付け足す。
「そうそう、このフレームはうちの腕のいい技師のお手製なんだ。
俺の盾に使ってたけど、まだまだ強度も耐衝撃性も申し分ないだろうね」
さりげなくロシュフォールの自慢をするハイネケンであった。
629
:
ディーナ
:2014/06/01(日) 23:49:22 ID:3cQHs10o
>>627
盾の破片はディータの元に戻り、再び堅牢さを感じさせる大盾の形を成す。
「さっきまでの雑魚とは違うようだな、
本当なら両方とも任せろと言うべきだが…
諸事情で申し訳ないが一人は任せても大丈夫か?」
ヒナタの先ほどまでの動きを見て実力は把握しているのだろうが
同じ天剣授受者である事を知らないディーナは
ヒナタを一般の武芸者と思っているのだろう。
トラブルから守りぬけない事を申し訳ないと思ったのかそう言ってきた。
630
:
名無しの魔術師
:2014/06/01(日) 23:53:16 ID:3cQHs10o
>>628
交換屋店主「ほう、そいつは良い取引をさせてもらったね」
商談が成立したのと時同じく、男が一人店内に入ってきた。
どうやら向かいの武器屋のようだ。
武器屋店主「お、おい!さっき変な格好した奴らが
えらい人数で廃墟エリアに向かって行ったぞ
警備隊に伝えた方が良くないか?」
交換屋店主「なんだって?物騒だなこんな情勢の時に…
しかしこんなストリートにすぐに手配してもらえるか?」
会話をしながら、二人の視線はさりげなくハイネケンに向かっている。
631
:
ヒナタ
:2014/06/03(火) 00:43:29 ID:???
>>629
そういえば、こちらの素性を教えていなかった事を思い出す。
成る程、彼女の心配も無理のない事だ。
「無論。むしろ二人まとめてでも構わんぐらいだ」
不敵な笑みを浮かべて答えると、自分に近い敵へと向き直った。言葉の通り、任せても大丈夫だろう。
632
:
ハイネケン
:2014/06/03(火) 22:32:34 ID:.5Qh7Mlc
>>630
「どうもありがとう。それじゃ」
回路を鞄に仕舞い、盾を手にとって店を去ろうとしたところで男が入ってくる。
そして会話が聞こえてきた。
(ん、変な格好をした奴らが廃墟にねえ……)
さりげない視線も感じる。
(おやおやこいつは……面倒だなあ……)
「俺が行ってみるよ。これも任務の一環かもしれない。
ところでこの盾、現状で作動するかい?」
交換屋の返事を聞けば、すぐに廃墟エリアへ向かう。
633
:
ディーナ
:2014/06/04(水) 21:02:44 ID:3cQHs10o
>>631
「大した自信だな、では任せたぞ」
そう言って笑みを返すディーナの額には、うっすらと汗が浮かんでいた。
敵と向き直ると、双剣を握った白装束の狼面は素早くヒナタに詰め寄り右手に握った黒い剣を振るう
剄が籠っているのだろう。青い光を帯びたその刃がヒナタに迫った。
>>632
廃墟とは、この都市に来て最初の汚染獣戦の時に
ハイネケンがアオイやイーグリット等と共に戦闘した区域だ。
交換屋「おお、ありがたい!
盾の作動?問題はないはずだよ!すぐに使えるのがうちの自慢さ」
武器屋「ついでにコイツを持ってきな、
ちょっとばかし心をいれかえなきゃいけなくなってな」
そう言って武器屋の店主はハイネケンに術式兵装に装着する装置を手渡してきた。
武器屋「ラウンドシールドと相性は良いはずだ、
興味を持ったら取りつけて起動してみてくれ」
634
:
ヒナタ
:2014/06/04(水) 23:19:42 ID:???
>>633
「……?」
彼女の額に浮かんだ汗を見て首を傾げていたが、それも束の間だ。
向き直って間も無く、狼面の一人がこちらへと詰めて来る様を見やると、そちらへ意識を集中させる。
(剄を篭めているか、なら)
握った剣を、盾代わりに構える。
だが、盾と言っても真っ向から受け止める訳ではない。自身も剄を扱うならまだしも、現状でそのような真似はしない。
以前の戦いから、剄が膂力の差を埋めるだけの力を宿している事は承知している。
受け止めるのではなく逸らすべく、柄を握る力はあくまで自然に。
迫り来る刃の軌道上にこちらの刃を置く事で、相手の力に殆ど逆らう事無く“受け流す”事を試みる。
剄力次第では最悪、剣が弾かれてしまう事も有り得るだろうが、それは構わない。
重要な点はただ一つ。
危機を脱した上で、相手が取り得る次の一手よりも速く、こちらが動く一瞬の猶予が出来るかどうかだ。
635
:
ハイネケン
:2014/06/05(木) 22:52:43 ID:ug9sdVo2
>>633
「ん、それなら早速使わせてもらうよ。
……これは?」
手渡された装置を少し眺める。
「そうか、ありがとう。活用させてもらうね」
盾と装置を手に廃墟エリアへと向かう。
(盾と相性のいい装置か。場合によってはやってみるのも悪くないかな)
それとなく左の義手を見遣って、そして前を向き走る。
636
:
名無しの魔術師
:2014/06/07(土) 02:50:15 ID:3cQHs10o
>>634
剣同士がぶつかり合う。ヒナタの思惑通り、受け流す事に成功した。
自身の獲物が手から弾かれる事は無かったが、
相応の衝撃が手に伝わる。ヒナタの力量ならば問題はないだろう。
一方、敵はぶつかり合う事を想定していたのだろう。結果的に振り抜く姿勢になってしまう。
そのロスは反撃にあてがうに十分な時間だ。
637
:
名無しの魔術師
:2014/06/07(土) 02:53:35 ID:3cQHs10o
>>635
廃墟エリアにたどり着くと、すでに交戦している気配と音が聞こえて来た。
それと、周囲に不自然な人型の砂山がいくつか出来ていた。
これは倒された狼面衆の残骸なのだが、連中の存在を知らないハイネケンには見当つかないだろう。
現場に駆け付ける、または様子を見ると18小隊に所属しているヒナタ・アキツキ隊員が交戦中だ。
更にもう一人、隻眼の女騎士が盾のみで白いローブに狼面をつけた双剣使いと戦っている。
武器がないのではないのは動きで分かるだろう。ハイネケンと同じく盾使いの武芸者のようだ。
638
:
ヒナタ
:2014/06/07(土) 03:46:23 ID:???
>>636
衝撃が伝わり顔を顰めるが、その口元には笑みが浮かんでいた。
僅かな、だが決定的な隙を晒してしまった相手を嘲笑うように、
「――取ったぞ」
言葉を発すると共に素早く踏み込む。
そして、目前の敵の鳩尾を目掛けて、握った柄の先端を叩き付けるべく腕を振り抜いた。
639
:
ハイネケン
:2014/06/07(土) 22:33:32 ID:ug9sdVo2
>>637
「始まってるね……ん、これは……砂?」
道中に居並ぶ奇妙な砂山達に意識が向く。
狼面衆と直接渡り合ったことならあるが、倒した彼等のその後を観察する余裕は無かったため、
それが亡骸とは気付けなかった。
「なんでまたこんな形になってるんだ?」
ただ、自然のものでないことは確実だ。何かある可能性は高いと判断。
周囲を警戒しつつ、入手した盾をいつでも展開できるようにしたうえで、
まずは先の様子を伺う。
「あれは18の……確かアキツキさんだったかな?
あと一人は盾使い、それもかなりの使い手だが誰だろう。
相手は……狼面の連中!」
以前に交戦した時、狼面衆のすぐ近くには都市内にも関わらず汚染獣がいた。
そしてここは、この都市に来た時に汚染獣との交戦があった区域……。
やはり連中と汚染獣には相当深い関わりがある。そう確信した。
周囲に増援などが来ないか否か、確認する。
彼女たちの技量ならば、一対一においてそうそう破れはすまい。
ならば今、自分がやるべきことは、お邪魔虫の排除だろう―そう考えたのだ。
640
:
名無しの魔術師
:2014/06/13(金) 02:30:29 ID:3cQHs10o
>>638
振り抜かれた柄は見事に鳩尾を射抜き、くの字に曲がり吹き飛ぶ。
破損した家屋の壁に叩きつけられる白い狼面。しかし砂になって消える事はなく、よろよろと立ちあがってきた。
頑丈さも向上してるようだ。立ち上がると再び全身に剄を漲らせる。
>>639
学園都市では盾使いとして上位に位置するであろうハイネケンから見ても
目の前の女騎士の盾さばきは見事の一言だろう。狼面の敵の攻撃を全て受け切り、僅かな隙にその大盾で反撃をしている。
終始圧倒と言っても差支えない状況だと言うのに、何故だろうか
女の表情に余裕がない。見れば汗を尋常じゃないほどにかいている。
それを疑問に思った次の瞬間だった。
ディーナ「!…ッ……!!」
女は口を押さえて、突然座り込んでしまった。
反撃を受けて倒れていた狼面の双剣使いは立ち上がりそれを確認すると
右手に握った剣をゆっくりと振り上げた。
641
:
ヒナタ
:2014/06/14(土) 00:46:02 ID:???
>>640
「おや、思ったより頑丈らしいな。良いだろう、次の一手で決めてやる」
そう言って剣を構えるが――
すぐ近くに居るディーナの異変に気が付いたのだろう。そちらへと視線だけを向ける。
(まずい、病の影響か……!?)
自身が相手取っている狼面との距離はある。少なくとも一手は猶予がある。
そう判断した上でヒナタが取った行動は――『投擲』であった。
ディーナを仕留めようとする狼面目掛けて、構えていた剣を振り向きざまに一投。
矢の如く空間を疾走し、一直線に貫きに掛かる刃。空手となってしまうが止むを得まい。
全身に剄を漲らせた狼面も相手取る以上、これが最善であったと願うしかない。
もしもディーナを狙う狼面を阻止出来なければ、最悪、対峙した相手を無視して彼女を庇うべく、その身を走らせるだろう。
642
:
ハイネケン
:2014/06/14(土) 21:39:57 ID:ug9sdVo2
>>641
「なんだ、様子がおかしい……」
そう感づいた瞬間、ハイネケンは駆け出していた。
目指す先は盾使いと彼女を狙う白狼面の間。
「ちょっと失礼! レストレーション!」
二人の間に割り込みながら、先ほど入手したラウンドシールドを展開。
振りかざされた剣はヒナタの援護もあり女盾使いには届かないだろう。
643
:
名無しの魔術師
:2014/06/19(木) 00:07:21 ID:3cQHs10o
>>641-642
ヒナタが投擲した剣は狼面の頭を貫く。
しかし、元々真っ当な人間ではないのだろうコレはそれを意に返さず剣を振り下ろした。
が、貫かれ瞬間に狼面の身体の位置がズレた事でハイネケンは
十分過ぎる隙を得て間に入り込みラウンドシールドを構えた。
遅れて振り下ろされた剣はその丸盾によって防がれる。
ディーナ「め、面目…ない…」
ハイネケンが視線を移すと、ディーナの口を押さえている指のすき間から血が溢れていた。
理由は分からないが彼女はこれ以上戦う事は難しいだろう。
必然的にこの狼面の相手は自分がしなくてはならなそうだ。
一方、
それを確認したヒナタが再び自身の相手の方へ振り返ると
たっぷり時間はもらったと言うように身体に剄を漲らせて双剣を構える狼面の憎たらしい姿が確認できるだろう。
投擲してしまった為、武器はハイネケン達の方にある。
644
:
ヒナタ
:2014/06/19(木) 00:20:52 ID:???
>>642-643
「お前は……! 助かった、ありがとう」
ハイネケンの手助けもあり、ディーナが負傷せずに済んだようだ。
と言っても攻撃を受ける事を免れたに過ぎず、彼女が戦闘不能である事に変わりはない。
ディーナが相手取っていた狼面はハイネケンに任せ、改めて、自身が相手にしていた狼面へと向き直る。
「……ふむ、元気そうで何よりだ」
「で、いくら剄が優秀な力とはいえ、まさか扱える程度で私に勝てる等と思い上がってないだろうな?」
ゴキゴキと指を鳴らしながら語り掛ける。
その様子は「お前の相手など徒手空拳で十分だ」と言っているかのようだ。
645
:
ハイネケン
:2014/06/21(土) 22:26:43 ID:ug9sdVo2
>>643-644
「何、気にしないでくれ……よっ! と」
右腕に装備した円盾に剄を込め、受けた剣を押し返す。
「それにしても人間離れしすぎだろう……」
ヒナタの剣が刺さったままの狼面の姿に驚きを覚えるが、それも一瞬。
「まあいいや。君たちには聞きたいことができたんでね、狼さん」
女騎士を守るその目つきが鋭くなる。
盾使いにならわかるだろう。背中ごしにでも、その構えに隙がないことを。
646
:
名無しの魔術師
:2014/06/24(火) 16:27:15 ID:3cQHs10o
>>644
ヒナタの態度を知ってか知らずか。
狼面の男は双剣に剄を漲らせると、地を蹴り一気に距離を縮めて来た。
そして間合いに入ると殴り飛ばされる前とは比べ物にならない速度で剣を振るう。
気のせいかもしれないが、この狼面からは対抗心のような物が感じられるような、そんな攻撃だ。
>>645
ディーナ「……」
(学園都市と聞いていたが…若いのに随分と堂に入った構えだ)
口を押さえながら、ディーナはハイネケンの実力を伺い感心していた。
押し返された狼面の男は再び構えを直すとすぐさまハイネケンに斬りかかってきた。
手数に任せた乱撃で防御を間に合わなくさせようと言うのだろうか。
647
:
ヒナタ
:2014/06/24(火) 17:13:40 ID:???
>>646
(さっきより随分と速い――だが!)
狼面が剣を振るったのに合わせ、回避に動く。
刃の軌道から外れるように体を逸らし、すかさず反撃の前蹴りを放つ。
短い溜めから繰り出されたものであるが、その威力は生身なら命に関わる程の威力を備えている。
――余談だが。
手数を封じる手段として、その一つは“そもそも振らせない事”がある。
ヒナタは剄に頼らずとも超人的身体能力を誇るが、熟練の武芸者が剄を扱う事でその域に迫る。
剄を含めてもヒナタには及ばないだろう。だが、その差は決して圧倒的なものではない。
下手に回避に徹した所で被弾する可能性が高く、ただ逃げていては被弾するだけで相手は無傷となってしまう。
故に、被弾を覚悟の上で、相手に一撃を加える事を選んだのだ。
被弾覚悟の反撃を取ったもう一つの理由は、狼面の男自身にある。
漠然としたものだが、男の攻撃は感情的な行動だとヒナタは感じた。
怒りなのか別の何かか判別のしようがないが――感情の乱れがあるのならば。
回避(にげる)のではなく反撃(やり)返す事で、相手の平常心を奪えないかと考えたのである。
648
:
ハイネケン
:2014/06/27(金) 18:49:57 ID:ug9sdVo2
>>647
「おっ、速いな」
再びの刃に即応、少し腰を落とし、ラウンドシールドでやや斜めに受ける。
盾の曲面で刃を滑らせるつもりだ。
だが、受けるだけでは済まさない。
盾を傾けたことで左方に隙―あるいは余裕ができる。
その余裕から、左拳を狼面のわき腹に打ち込んだ。
左腕は兵装と同じ素材の義手、否、"兵装そのもの"。
たとえ作った隙に刃が来ようとも受けられる。
敵手が対応しなければ、武芸者でも膝をつく程に硬い一撃を入れられる。
649
:
名無しの魔術師
:2014/07/01(火) 23:48:57 ID:3cQHs10o
>>647-648
>>ヒナタ
白狼面「!」
初撃をかわされての反撃に対してとっさに残っていた片手の剣の腹で受ける。
ヒナタの怪力から繰り出される蹴りには、刃で受ければ多少の傷を与えても
そのまま蹴り抜かれる事が分かっていたのだろうか
勢いを殺しきれず、狼面は蹴られた方向に砂埃を上げながら地を滑った。
そしてその勢いが死ぬと同時にすぐさま剄を込めた剣の片割れを
ナイフ投げの要領で、なんと『投擲』してきたではないか!
魔弾と言っても差支えない勢いでそれがヒナタへと向かってくる
>>ハイネケン
白狼面「!!」
脇腹にハイネケンの義手による一撃が気持ち良く入る
よろよろと後ろに数歩下がり間合いが広がった。
狼面の男は立ち止まったままでいるが、何をしているかはすぐに分かるだろう。
剄を身体にめぐらせ、ダメージを回復しているようだ。
650
:
ハイネケン
:2014/07/02(水) 00:06:13 ID:ug9sdVo2
>>649
(回復させるのはまずいな……だが)
盾使いの基本戦法はカウンターだ。
盾でも攻撃は出来るのだが、距離を開けられるとそれだけやり辛い。
剄を足に集約し間合いを詰める、いや、奥の手だが一気に突撃をかけるか?
だがあの速さだ、下手をすれば相打ちではなく一方的にダメージを受けかねない。
考えながらも剄をめぐらせたところでふと交換屋でもらった物を思い出す。
「……使ってみるか」
武器商人から渡された装置を、ラウンドシールドに装着する。
何が起こる――?
651
:
ヒナタ
:2014/07/03(木) 01:05:19 ID:???
>>649
(素早い反応だ、だが――!?)
すかさず追撃しようと、前蹴りの姿勢から更に地を蹴ろうとした時だ。
狼面の手から放たれた“魔弾”が迫り来る光景を見てか、流石のヒナタも表情を強張らせた。
無防備に受ければ即死は無くとも、悪魔の肉体とて大きな負傷は免れない。
距離が開いた事も加えて十分回避は間に合う。間に合うが――
(彼女に命中しない、という保証は無いな……!)
この瞬間、背後の位置関係を確認している暇は無い。
回避した所で、結局ディーナやハイネケンが余計なダメージを負う事なく済む可能性もある。だが、
「ふっ――――!!」
その上での決断は、少なくとも他人を巻き込む心配は無いものだった。
強烈な勢いで空間を奔る魔弾を受け止めるべく、両手を合わせる。
それは『真剣白刃取り』と言われる構えである。剄が巡ろうとも、ただ直線的に迫る刃であれば止められる筈だ。
たとえ無傷で済まずとも、それは承知の上だ。
652
:
名無しの魔術師
:2014/07/05(土) 18:39:35 ID:3cQHs10o
>>650
装置をラウンドシールド内側にあるいかにもな窪みに装着すると
一瞬発光した後に喧しい音を立てて装置が展開していく。
すると、シールドの円形状に沿う形でいくつもの鋼の刃が現れたではないか!
さらに、装置を装着した装置の部分にスイッチのような部位が存在する。
それを押したならば、
盾は横向きに倒れ円周に取りついた刃は金属が擦れる音と共に回転しだす。
術式兵装の刃はおそらくダイトだ。とんでもなく奇怪な武器に変質したが、
一目見て汚染獣の装甲を抉るのが問題ない攻撃力を秘めているのが察せるだろう。
653
:
名無しの魔術師
:2014/07/05(土) 18:41:56 ID:3cQHs10o
>>651
迫る来る弾丸と化した剣を正面から白刃取り――――
以前、ヒナタはアオイの放った剄糸を掴んだ事があった。
その時は何も感じる事はなかったが、今回は違った。
強烈な熱さと稲妻を喰らったような痺れる痛みが、刃を止めた掌を通じて全身を駆け巡る。
それに動揺して手を緩めれば、剣はヒナタの身を傷つけてしまうだろう。
654
:
ハイネケン
:2014/07/06(日) 22:19:22 ID:Iw6sXGlw
>>652
「おっ、これは……」
生成されたダイトの刃に軽く目を見張る。
なんとなくスイッチに触れるとその刃が回りだした。
「エルゼが好きそうなギミックだなあ……でももう盾じゃないね」
―だが、これはいい……。
剄力を込めていた足で、一気に間合いを詰める。
―この『盾』なら、こちらから仕掛けられる。
盾使いの性か、あくまで盾の構えを崩さず、
ただしその縁を傾け白狼面へ刃を叩きつける。全力はまだ込めない。
聞きたいことがある以上、できるなら生け捕りにしたいのだ。
さらに、敵の姿勢が揺らいだならその隙に左の義手を伸ばし、
刺さったままのヒナタの剣を抜きに掛かる。
655
:
ヒナタ
:2014/07/06(日) 22:55:36 ID:???
>>653
「っ」
予想していた以上の強烈な痛みに顔を顰める。
だが負傷は承知の上だ。元よりそのつもりで掴みに掛かったのだから、緩める事などありえない。
投擲された剣の勢いを完全に殺すべく力を篭める。
656
:
名無しの魔術師
:2014/07/13(日) 17:55:33 ID:3cQHs10o
>>654
回転する刃の脅威を感じ取ったのか白狼面はとっさに防御の姿勢をとるが
大きく態勢を崩す。そこへハイネケンが、頭に刺さったままの剣に素早く手を伸ばす事に成功した。
蹴り飛ばそうと足を動かしたが、それよりも早くハイネケンが剣を抜く事に成功する。
人間ならば血を含めさまざまな物が噴出したかもしれないが、何も飛び出す事はなかった。
しかしダメージはあるのか、引き抜かれた個所を押さえながら一歩退いた。
>>655
ひと際大きな破裂音が響くと、剣に纏われていた剄は全て放出されたようだ。
痛みと熱から掌を見ると憂鬱になりそうだが、気にしてる暇はないだろう。
何故ならば剣を投げた狼面が駆け出し殴りかかって来たのだから。
657
:
ヒナタ
:2014/07/13(日) 18:10:22 ID:???
>>656
「全く、私でなければ泣き言の一つも出てる頃だな」
爛れた掌を見て溜め息を漏らしつつも、開いて閉じてと動作の確認をする。
動くというのであれば、やる事は一つだ。
受け止めた剣の柄を右手で握り、構え――距離を詰めて挑んできた狼面へと、横薙ぎの一閃を見舞う。
出の速い突きではなく薙ぎ払いで迎撃を試みた理由は、至って単純だ。
範囲の広い攻撃で相手の回避方向を制限する事により“最小の回避動作から即座に反撃する”という手段を取らせない為。
その手段とは、先程ヒナタが行った回避→前蹴りの行動……あのようなものである。
もちろん、ヒナタが想定し得る行動を上回っての反撃ならば話は別だ。それに関しては、狼面がそこまで及ばない事を祈るしかあるまい。
658
:
ハイネケン
:2014/07/16(水) 23:15:32 ID:Iw6sXGlw
>>656
「本当に人間じゃなさそうだね……」
義手にヒナタの剣を掴みながら呟く。
白狼面が一歩引いてくれたおかげで想定どおりの動きが出来そうだ―
>>657
「アキツキさん、返すよ!」
ヒナタのなぎ払いによって、もう一人の白狼面が回避する方向は予測可能。
タイミングを計り、その方向へと抜いた剣を投げつける!
これを敵が回避したなら、それはそれでヒナタが自分の剣を再び手に出来るはずだ。
アヤックス・ハイネケンは盾使い、つまり小隊の防御を司る者<ディフェンサー>。
ディフェンサーに必要なのは自分以外をも見て動くことだ。
剣を飛ばしながらも、異形の盾は後方にいるディーナをすぐに守れるような角度を取っていた。
659
:
名無しの魔術師
:2014/07/20(日) 23:49:33 ID:3cQHs10o
>>657-658
>ヒナタ
ヒナタの振るった横薙ぎに反応するように大きく身体をそらし
辛うじて剣檄をかわす狼面。
その動作の直後、ハイネケンがヒナタの術式兵装を投げ返してくれたのをヒナタは見逃さないだろう。
しかし狼面はそれに反応し切る事は出来なかった。剣に視線を向けた時、
ハイネケンが投擲したその刃は狼面の胴を貫いたのだ。
そして、ヒナタの方角へ短い距離ではあるが、くの字の姿勢で押しだされてきた。
>ハイネケン
頭から剣を引き抜かれた狼面は、
黒い砂のようなものがサラサラと零れ落ちている事にハイネケンに気付く。
ちらとディーナを見ると、尋常ではない量の汗をかいており
荒かった呼吸が今度は細くなっていた。あまり時間はかけられない。
そう感じていると、狼面が再び斬りかかってきた。強引に攻めて来たのだ。
660
:
ヒナタ
:2014/07/21(月) 00:31:36 ID:???
>>658-659
「っ――!」
狼面が攻撃を回避した際、驚いたように目を見開いた。
それは狼面からしてみれば、回避される筈のない攻撃が回避された故……とでも感じたかもしれない。
しかし、次の瞬間にヒナタが浮かべていた表情は――してやったりと言わんばかりの笑みだった。
それが何を意味するのか。狼面が理解する頃には、投擲された刃に胴を貫かれているだろう。
「良いアシストだ!!」
攻撃を受け、くの字で押し出された狼面の体へと掴みかかる。
掴む事が出来たなら、勢いを付けて地面に叩き付け、すかさず顔面へと剣を突き刺さんと振り翳す!
661
:
ハイネケン
:2014/07/21(月) 00:34:51 ID:KbqED1eI
>>659
「砂……」
(なるほど、さっきの砂はこの連中の骸というわけか)
そして、ディーナの様子が目に映った。
「……仕方がない、終わらせようか」
これ以上続けても、何の意味もない。敵手はもう助かるまい。
そしてこれ以上続ける時間はない。ディーナはもう持つまい。
無謀にも見える強引な攻めを、兵装の左腕を盾にして受けた。
同時に右腕の円盾を水平に構え、装置のボタンを押す。
再び回り出すダイトの刃に剄を込め―
「破!」
白狼面の胴へと叩き込んだ。
662
:
名無しの魔術師
:2014/07/26(土) 23:53:17 ID:3cQHs10o
>>660
貫かれた狼面はそのまま成すがままに地面へと叩きつけられた。
そして振り翳された剣がその顔面に突き刺さった瞬間
黒い水しぶきが噴水のように刺し傷から噴き出してきた。
>>661
狼面「 」
唸り声のような音と共に、狼面の胴と下半身が二分される。
砂ではなく、黒い水のような物が血渋木のように噴出すサマがハイネケンの視界に広がる。
そして、胴と下半身に分かれた死体はそれぞれ違う方向に倒れ、動き出す事はなかった。
663
:
ヒナタ
:2014/07/27(日) 00:07:05 ID:???
>>662
吹き出した黒水をその身に浴びる。間近に居たのだから当然だ。
「フン」
顔に付着した黒水を拭い、不快感を露にした表情で狼面を見下ろすと、突き立てた剣に一度だけ力を篭める。
それはとどめとばかりに、在るかどうかも怪しい肉を抉り千切るかのように行われた。
もう動く気配が見受けられないのならば、ディーナへと視線を向ける。
その際に、ハイネケン側も片が付いたであろう事は認識するだろう。
664
:
ハイネケン
:2014/07/30(水) 01:06:34 ID:Dqj2cuck
>>662
「っと……」
黒い血飛沫を振り戻し刃を止めた円盾で受ける。
少しは浴びたが、大半は防ぎきった。
「気分のいいものじゃないね、やっぱり……」
盾についたソレを振り落としてからディーナの傍らに寄る。
「大丈夫かい?」
盾を手放した右手で脈を診ながら、冷たいハガネの左手をその額に当てる。
665
:
ネクロ
:2014/07/30(水) 02:10:14 ID:3cQHs10o
>>663-664
物言わぬ死体となった狼面達は、今までの個体とは異なり砂ではなく
ドロリと解けていき黒い水たまりになった後で、日の光も強くないのに煙をあげて蒸発した。
ヒナタ、そしてハイネケンの身にかかった黒い液体も、特に害を与える事なく消え失せた。
ヒナタがハイネケン達の方に視線を向けると、ハイネケンがディーナを介抱してる様子が伺えるだろう。
ハイネケンの方は、そのハガネの左手から感触が伝わるなら
ディーナが異常な高熱を発しているのが分かる。
ディーナ「……く、薬を……連れが…持っていてくれているんだが……
全く…普段は几帳面な癖に、良く…迷子になる奴でな…ハァ…」
ヒナタならば分かるが、連れとは勿論ユリウスの事だろう。
そしてハイネケンは知るよしもないが、迷子はディーナだ。
666
:
ハイネケン
:2014/08/02(土) 00:19:28 ID:NAJw/gk.
>>665
ディーナにとって、腕の冷たさが少しでも安らぎになればと当てた腕を通じ、
異常な高熱を感じとった。
(感じ取れるほどの高熱……ただの病じゃないな……)
とはいえ、腕そのものには感覚はなく、熱も痛みも、何も感じられない。
ディーナの高熱はハガネからの伝導により装着面で感じているのだ。
ちなみに、物を掴んだ時の感覚などもすべて駆動によって発する振動を感じているだけである。
「なら、はぐれた連れの人を一秒でも速く探しにいかなきゃだね。
その人の名前は?」
そしてヒナタに視線を向ける。
「アキツキさん、頼めるかい?」
667
:
ヒナタ
:2014/08/05(火) 00:43:27 ID:???
>>665-666
「……詳しい事情は省くが、彼女の連れに心当たりがある。ここは私に任せておけ」
言うが早いか、素早く駆け出すとその場を後にする。
一々記すまでも無い事だろうが、術式兵装は既に展開を解除してある。人目に付く事は無いだろう。
(確か馬車の区画だったか、急がねばな……!)
668
:
ディーナ
:2014/08/16(土) 01:44:20 ID:3cQHs10o
>>666-667
>>ハイネケン
ヒナタが駆け出すと、ディーナと二人にされるハイネケン。
「こんな調子でもなければ、良い楯使いとの出会いを喜ぶのだがな・・・はぁ・・・」
隻眼の女性は苦しそうに息を吐きながら、家屋の壁に背を預ける。
「黙っていると滅入りそうだ・・・君、名は?盾の扱いはどこで・・・学んだ?」
>>ヒナタside
馬車の区画へ進む最中、特に何かに阻まれることはなかった。
馬車のターミナルへとたどり着き、周囲を見渡す。さすがに移動の為にこの場所は人でごった返していた。
こんな時、他人の剄を感じ取ることが出きればと苛立つかもしれないが、探し人はすぐに見つかった。
ユリウスもまた、ディーナとヒナタを待ってターミナルの中央で仏頂面で立っていたからだ。
ヒナタを見つけると、早足に近づいてきた。
ユリウス「その様子では、何かあったのか?」
669
:
ハイネケン
:2014/08/17(日) 00:22:20 ID:tNM.Gn2w
>>668
「無理はしないで」
そっと隣に寄り添う。
「俺はアヤックス・ハイネケン。学園都市第5小隊の副長」
ま、一応だけどね。と付け加える。
「盾は俺の故郷……エイデルで帝国の人から習ったんだ」
この都市が既に廃墟となっていることを彼女も知っているだろう。
「その人は星の智慧事件の調査に来たとか言っていたかな……」
670
:
ヒナタ
:2014/08/17(日) 00:43:41 ID:???
>>668
「ああ、お前の探し人が見つかった。
ただ詳しい話は後でするが、容態が悪化している。急いで来てくれ!」
早口に捲し立てると、案内するから来いとばかりに元来た道を戻っていく。
人混みの合間を全力に近い速度で駆けていくが、ユリウスならば追随する事に何ら問題は無い筈だ。
671
:
名無しの魔術師
:2014/08/26(火) 02:26:28 ID:3cQHs10o
>>669
ディーナ「エイデル・・・あの都市国か?
・・・・残念だったな・・・あの国のことは・・・私の身が、こんなザマでなければ・・・」
体調の悪い中での譫言のような言葉に聞こえるだろうが、少し気になる言い回しだった。
ディーナ「私はディーナ、中央都市の武芸者さ
我が盾はクロストヴァイズ家に代々伝わる戦闘術・・・だ」
クロストヴァイズと言えば中央都市でも名家中の名家の一つだ。
学園都市生活が長ければ耳にしたことはあるだろう。
>>670
ユリウス「もう見つけるとは流石だと言いたいが面倒な状態になっているようだな・・・
だが想定の範囲内だ、全力で走ってくれてかまわんぞ」
すぐさまヒナタを追って走り出すユリウス。ヒナタを見失うことはないだろう。
672
:
ハイネケン
:2014/08/26(火) 19:22:58 ID:QGcD3Vy2
>>671
「その人が居なかったら俺も……。
ああいや、君のせいではないだろうからそんなに気に病まないで……」
(……ん? 何故この人は自分のせいのように言うんだ?)
あの日、故郷に派遣されてきた人の一人だったのか?
「ディーナか。よろしくね。
ん、中央都市のクロストヴァイズ家……。
噂は何度も聞いているよ、武門の名家で盾使いの系譜だと……」
この状況でなければすぐさま盾術を教えてもらいたいところだ。
673
:
ヒナタ
:2014/08/28(木) 12:10:30 ID:???
>>671
「余計な気遣いだったか、なら遠慮なく……!」
元来た道を疾走し、ディーナ達が居るエリアへと向かう。
病の具合が深刻化していない事を祈るばかりだ。
674
:
名無しの魔術師
:2014/08/31(日) 02:35:36 ID:3cQHs10o
>>672
ディーナ「この身が恨めしいな・・・本当に・・・」
声がか細くなっていき、いよいよいやな予感が脳裏に浮かびそうになったところで
ヒナタと、もう一人長身の男性が戻ってきた。
>>673
戻ってくると、ディーナはうつむき気味に座り込んでいた。
まだ息があることは分かるが、全くいい状態ではない。
ユリウス「ギリギリと言ったところか
あと793秒遅かったら最悪の事態も覚悟していたかもしれんな」
そう話ながら、ユリウスはズカズカとディーナの元に近づき、懐から袋と水筒を取り出した。
袋の中身は粉末らしく、それを水筒に入れて混ぜたと思いきや、無理矢理のディーナの口に流し込みだした。
傍らにいるハイネケンもこれには驚きだろう。
675
:
ハイネケン
:2014/09/01(月) 23:35:33 ID:QGcD3Vy2
>>673-674
「ディーナ? しっかりするんだ、もうすぐ来てくれる筈だから!」
このときばかりは、盾術一本の身が恨めしい。
だが自身を恨む感情も二つの影が差した瞬間に消え失せた。
「アキツキさん! よかった間に合った……っと」
ヒナタが連れてきたディーナの連れを通す為動いたところで
手際よくしかし強引な処置を目撃する。
「…………」
動じることの少ないハイネケンでもコメントできない。
676
:
ヒナタ
:2014/09/04(木) 23:40:32 ID:???
>>674-675
「大丈夫か!? ユリウスが来たぞ、もう少しの辛抱――」
言葉に詰まる。
理由は言うまでもない。迅速ではあるが強引な処置を見て驚いただけだ。
「……ま、まぁ間に合ったのなら良いんだが、本当に大丈夫なんだろうな?」
677
:
名無しの魔術師
:2014/09/12(金) 02:41:12 ID:3cQHs10o
>>675-676
数秒たっぷり薬を押し込まれた後、ディーナは涙目になりながら噎せかえっていた。
ディーナ「ゲホ、ガホ……!?し、死ぬかと、思ったじゃないか!?」
ユリウス「大丈夫だ、生きてるのが証拠だろう?
それにしても何で馬車のターミナルに向かうはずがこんなところに・・・」
あきれ顔のユリウスはハイネケンに目を向けてから、ヒナタに視線を移した。
ユリウス「この坊主は口は堅い方なのか?」
と、本人を目の前に聞いてきた。この長身痩躯の男、確かにハイネケンを坊主呼ばわりするだけの
経験はありそうな武芸者にも見える。
678
:
ヒナタ
:2014/09/14(日) 19:55:13 ID:???
>>677
「……」
ちら、とハイネケンへと視線を向ける。
「大丈夫だろう。彼の悪い話は聞かないし、何より、ここで下手に隠す方が面倒事に繋がりそうだ」
679
:
ハイネケン
:2014/09/17(水) 01:01:24 ID:tvewhphg
>>677-678
噎せ返るディーナの背をさする。
「まあ、一安心、でいいのかな?」
そこでユリウスの言葉とヒナタの視線を感じた。
「自分で言うのもなんですが、秘密に関しての守りも堅いつもりですよ」
(かなり場数を踏んできた人のようだな……。
クロストヴァイズ家の人か、それとも仕えている人かな?)
ちなみに、第5小隊のネタが欲しければ某魔術師と某大剣使いを懐柔するのが早い
という噂が学園内ではあるとかないとか。ヒナタも聞いた事があるだろう。
----カーツ・第5小隊宿舎----
ヒューガルテン「へーっくし! うは、俺風邪引いたかもww」
レフ「バカは風邪引かないらしいじゃん?」
----学園・第5小隊訓練場----
アダムス「へぇっくしょおい!」
ロシュフォール「変な噂でもされてるんじゃないの〜?」
680
:
ユリウス
:2014/10/04(土) 17:45:28 ID:3cQHs10o
>>678-679
ユリウスは少し考えていたが、やがて決心したのかため息を一つつく。
「よし、小僧…この事は他言無用……というには59倍ほど大げさだが
あまりふれ回らないように頼む」
「俺はユリウス、中央都市クレシェンドに仕える天剣授受者の一人だ
……このヒナタ・アキツキとは旧い知り合いだ
そしてお前が介抱してくれているその情けなさ極まりなき女が…」
「盾の天剣授受者、ディーナ・フォン・クロストヴァイズだ」
なんと、ハイネケンの前にかの有名な天剣授受者が二人(正確には三人)
もいると言うことを告げられる。
「このディーナはある戦いで負傷し、
汚染大陸の外気をもろに浴びてしまった経験があってな」
「薬をとらないと命に関わるところだった、礼を言うぞ」
681
:
ヒナタ
:2014/10/16(木) 21:37:45 ID:???
>>679-680
「うむ、知り合いだ。色々と訳あってな」
ユリウスの言葉を肯定し、うんうんと頷いている。
「……病とは聞いていたが、そこまで深刻とはな。
薬は常備させておくべきじゃないのか、ユリウス?」
682
:
ユリウス
:2016/04/06(水) 23:28:08 ID:3cQHs10o
>>681
「常備などさせては、薬があるから平気だとこいつは何処に行ってしまうか…」
と、これみよがしなため息をついた。
とんでもない重病だが、短い関わりでもわかる程に彼女は武芸者として実直だ。
きっと安静になどしてないだろうと、ヒナタも想像できるだろう。
「…とにかく、世話をかけたな」
683
:
ヒナタ
:2016/05/15(日) 12:50:10 ID:???
>>682
「それもそうか」
溜め息混じりの回答に、フッと笑って答える。
彼女が自身の負傷を厭わない性格であろう事は今回の件で把握したからか、無理強いはしなかった。
責任感は信念を確固たる物にするが、強すぎては己の身を傷付ける事になる。
そこに制止を掛けるには、薬を持たせない方が一番なのだろう。ディーナの心情を思えば少し心が痛むが、彼女の命には代えられない。
「なに、気にするな。困った時はお互い様、だ」
手を軽く振って答え――ふと思い出したように、あ、と声を漏らした。
「集合時間……忘れてた」
684
:
名無しの魔術師
:2016/11/29(火) 18:15:21 ID:4icmyV8o
ttps://is.gd/SJNUkw
クリスマスプレゼント代がつらい
685
:
名無しの魔術師
:2017/01/18(水) 11:44:34 ID:EnHN43hk
ttp://ux.nu/mAVQ8
極上のヤーツ
686
:
ミーナ
:2017/04/25(火) 22:18:46 ID:???
騎士団員「先輩知ってます?世の中には、魔元素<エレメント>を利用して造られた武具があって、それを持つものは魔術が使えなくても同等の効果を発揮できるそうですよ!」
先輩騎士「アホかお前。長年騎士やってりゃ、そんな噂は幾らでも聴くわ!!
とまぁ本物はまだ見た事ないけどな」
廊下を移動しながら、雑談を交わす騎士の横を無表情のまますれ違う。
ミーナ「……(サラマンドラ(火の精霊)のエレメントで焼いたパン……)」
廊下の一部で誰かの腹の虫が鳴り響いた。
687
:
ミーナ
:2017/08/11(金) 00:36:00 ID:awAfx0uU
昼の公園
昼食を終え、残りの昼休憩の時間にミーナは公園で、何をするでもなくただ考えに耽っていた。
時を同じくして、同公園を訪れた紳士風の男。
傍には飼い犬を連れている。
男は空いているベンチに腰掛けると、懐から取り出したメモ用紙のような小さな紙に何かを書き出した。
ミーナはその様子を偶然目にしていた。
たまたま通りがかった一般人だろうと思っていると、
男が何かを書き出した紙が、小さな"骨"に変化した。
「!」
男は骨を少し離れた地面に放り投げると、飼い犬が従順にそれを回収し、男の下まで持ち帰る。
すると、骨が再びただの紙切れに戻った。
「見間違いか……?いや」
きっとそう言う魔術なのだ。と、心の中で結論づけた所で、男はミーナの視線に気づく。
男は一瞬驚くような仕草を見せるが、
先ほどと同じように、紙切れに何かを書き始めた。
男がそれらから手を離すと、地面に落ちた紙切れは"おもちゃの兵士"に変化し、チャンバラを始めた。
ものの数秒もすると再び紙に戻ってしまったが、ミーナはそれを見て"楽しそうだ"と思っていることに気付く。
男はミーナに微笑みかけて、公園を後にした。
688
:
受験生
:2017/08/11(金) 13:27:28 ID:???
俺は宮廷魔導師国家資格を目指す無職……いや、夢を目指し努力して居るのだから、無職だが無職ではないのだ。
ちなみにこの資格試験、俺はもう5回落ちている。履歴書をコピーする魔術なら、そこらの一流魔術師以上にできる自信がある。
俺の得意魔術は、油を操る魔術。
この魔術を使えば、雨の中でも即座に薄い油の膜を纏い、濡れずに外を歩く事ができる。まぁ、油でギトギトになるのは玉に瑕だが、多少のリスクが付きまとうのは魔術の特徴だ。
で、これが宮廷魔導師としてなんの役に立つのか、って?ははっ、愚問を。そんなこと、自分で考えろ。俺にもわからん。
受験生の男は、そんな事を考えながら遊郭に向かった。親からの仕送り金を握りしめて。
689
:
本屋の店員
:2017/08/11(金) 14:00:12 ID:???
俺はこの書店に勤め10年が経つ。
これまで何万冊を越える本を完読し、今では読んだ事のない本(今やそんな本に出会うのは稀だが)でも、カバーを一目見れば大体の内容はわかる。
本が、俺に語りかけてくるのだ。
話は変わるが、以前この店に居ると奇妙な出来事に見舞われる事があった。
例えば、
「すみません」という客の声が聞こえたので、声がする本棚の方へ向かうと誰も居なかったり、
不審に思いながら席に戻ると、それまで読んでいた本が席を離れる前には開いていた筈なのに閉じていたり。
最初は俺の勘違いだと思っていたが、2度3度ならず、10度20度同じ事が起きた。
あまり非論理的な事は信じない性格だが、この店には霊が取り付いて居るのではと疑い、一度霊媒師に相談した事がある。
結論から言うと、霊媒師曰く「霊気は感じない」との事だった。
しかしある時俺は目撃してしまった。
その日は、ちょうど満月の日。
読んでいた本を完読し、それと同時に閉店時間となった日だった。
腹も減ったので、本を閉じ、早々に店を出た時、
「いつまで読んでんだよ」と愚痴を吐きつつ、自ら"歩いて"本棚に戻っていく本を、ショーウィンドウ越しに見たのだ。
開きっぱなしであった筈の本が勝手に閉じている現象……ああ、そうか。あの本は、人間でいう"ドライアイ"的な症状的な物を患っていたんだな……そう理解した。
今まで俺は本の事を単純に"読み物"だと思っていたが、この一件以来、本に対しペットのような可愛らしさも感じる事ができるようになった。
690
:
黒騎士
:2017/08/20(日) 01:07:06 ID:???
黒騎士と教会の対立が水面下で活発になった頃、
市民の日常的な生活の中にも、少しずつ異変が起こり始めた。
酔っ払いA「そんでよぉ、あのヤローの胸倉を思いっきり掴んでやったら……」
酔っ払いB「ぶわははは!そりゃいいや!!」
個室で男二人が酒を交わしている所、個室の扉が突然開き、黒い鎧の騎士達が部屋の四方に移動し剣を構える。
酔っ払いB「ひっ!な、なんだぇ!?お、俺はただの飲兵衛だぜ!?」
酔っ払いA「……」
神妙な面持ちで、隠し持っていた刃物を手に取る酔っ払い……否、酔っている演技であり、目も前後左右の騎士達をしっかり見据えている。
黒騎士A「かかれ!」
合図を出すと、騎士が一斉に酔っ払いAに斬りかかる。
酔っ払いAも戦う姿勢を見せたものの、斬りかかる寸前、背後の騎士に腕を切断され、
悲鳴をあげる前に正面の騎士に首を斬られ、鮮血を吹き上げながら倒れこみ、窓を突き破って外の地面に落下した。
酔っ払いB「ひゃああああぁっ!?」
黒騎士A「引き上げる!」
黒騎士B「はっ!」
殺害された男は表向きは不動産の店を構える商人ではあるが、黒騎士の"ブラックリスト"に載っている処刑人でもある。
こうした事件が帝都内でも度々目撃されるようになっていた。
691
:
ショウヘイ・ヘーイ
:2017/09/09(土) 01:46:07 ID:???
路地裏の教会、そこに二人の人影があった。
辺鄙な場所にあるため、教会の周りに人数は少なく
また立ち寄るものも少ない。
その教会の中、神父が一人と椅子に座る男が一人。
椅子に座る男は、本で顔を隠しながら静かに喋る。
本を読む男「また一人やられたらしい。
黒騎士とかいう連中、最近妙に勢力を伸ばしている」
「そうかい。俺たちの存在が公になるのは困るよなー。
しかし処刑人を相手取れるってことは、奴らかなり腕が立つな」
本を読む男「黒騎士を統率する人物が有能でもあるんだろう。
何人か目立つ奴がいる」
「それに処刑人は単独でいることが多いからな。
こりゃこちらも徒党でも組むかー」
本を読む男「協調性のない連中ばかりだから無理だろう」
(レノ…あいつが差し向けたわけか?黒騎士の連中を…
俺も正体を知られている可能性が高いか)
本をぱたんと閉じた男はゆっくりと立ち上がり
本を読む男「情報は以上だ。せいぜい気を付けることだな」
そう言い残し教会を立ち去った。
692
:
テレンス
:2017/09/12(火) 22:27:50 ID:???
>>691
男が教会を後にした後(実感として1〜2分後)、
一人の騎士が教会へと足を踏み入れ、中央辺りの列の席に腰掛ける。
ただ何をするわけでもなく、ぼんやりステンドグラスの窓を眺めている。
「神父様。私は今、悩みを抱えています。私の身に余る情熱……例えば恋に燃えるが、相手に想いを伝える事が出来ない少年少女の様なこの気持ち……聴いては頂けませんか」
693
:
ショウヘイ・ヘーイ
:2017/09/12(火) 23:13:26 ID:???
>>692
「ええ、この場では皆平等。お話し下さい」
神父は穏やかな声で男に促した。
694
:
テレンス
:2017/09/13(水) 00:11:14 ID:???
>>693
「たまにいるタイプだとは思いますが……
私は常日頃、気がつくと"自分は何の為に生を受けたのか"と気にする性格でしてね。
子供の頃は何度も自問自答し、相当やらかしましたよ」
そう言って、テレンスは左腕の袖を捲る。すると、左腕の皮膚にはいくつものリストカットの痕があった。
「辛い日々でした……金もなく、趣味もなく、人脈も無く生きる希望すら無い。しかし、何故か死ねずに生き永らえている事が私の心を兎に角追い詰めた。」
今にも泣きそうな声でそう告白するが、次の瞬間には堪え切れない笑いが口元から漏れていた。
「ククク……ですがね、何の運命か、いつの間にか帝都に住む人々を守る様な仕事につき、その仕事の中である運命的な出会いがあった。その出会いがきっかけで、私は生きる事が少し楽しくなって来た」
もはや笑いを隠す様な様子も無く、酒に酔っているかの如く饒舌になった。
「その男は元・処刑人。現役の頃は兎に角人を殺しまくっていた癖に、今更自分の力を少しでも人の役に立てようと考えているそうな。
その男、可愛らしい妹さんが居ましてね。妹さんはごく一般的な女性で、幸せに過ごしている!
耳を疑いましたよ……こんな哀れで恥ずかしい人間が居るものかと。こんな目に遭って何故自ら死を選ばないのか……考えに考えを重ねて居たら、私……」
「彼を好きになりましてね」
695
:
ショウヘイ・ヘーイ
:2017/09/13(水) 00:33:58 ID:???
>>694
突然笑い始めた男に、神父は少し驚きはしたが
すぐに平静を取り戻した。
「処刑人、それがどのような方なのか私には分かりかねますが、
悔い改め人々の役に立とうという心掛けは素晴らしいものです」
(こいつはまさにさっき話してたあれかー…黒騎士って連中か?
とすると俺のことを予め分かった上で現れたか?)
「そうですか、あなたはそんな彼のことを気にかけているのですね」
696
:
テレンス
:2017/09/13(水) 01:27:50 ID:???
>>695
「ええ、まあ」
少しの間笑い続け、次第に落ち着いた様子を見せる。
「私はそんな彼を観察する事を生き甲斐にしようと思ったのですが、問題があります」
先程までの表情とは打って変わって、眉間に皺を寄せる。
「彼は、一般的な視点で見れば単なる罪人。人々の敵にはなっても、決して好かれる存在にはなれない。ましてや、処刑人から見れば裏切者。もはやこの世には彼を受け入れる者より排除しようとする人間の方が多い。
そんな事をされたら、また私は路頭に迷う事になるでしょう?だから、私の障害になる者には舞台からご退場願う事にしました」
テレンスは、鎧の内側から取り出した本と"何か"を床に投げ捨てる。
本は、先程までこの場にいた男が読んでいた本で、所々血に塗れている。
また、同時にテレンスが投げ捨てたものは、人間の手首。血が固まりきっておらず、先ほどまで生きていた事がわかる。
697
:
ショウヘイ・ヘーイ
:2017/09/13(水) 02:07:10 ID:???
>>696
「……!」
神父は男が床に放り出したものを見て目を見開いた。
「おお、なんということでしょう。
あなたには改心をする権利があります。
悔い改めるべきです!」
神父は男の所業を見て、そう述べる。
なるほど神父とはかくも寛容なものか。
「私はあなたを裁く立場の者ではありません。
騎士団へ行くことをお勧めいたします」
698
:
テレンス
:2017/09/13(水) 22:58:15 ID:???
>>697
「全ての事が済んだら、私も悔い改めましょう。
ですが、私がそうもいかない立場にいる事は、
おそらくご存知では?」
ニヤリと笑い、席を立つ。
「自分の判断や感覚で物事を決めつけるのはあまり好きではありません。ただ、彼が言う人物と貴方の特徴が、よく似ているものですから……クク」
そして、教会の出口へと戻っていく。
「お話を聴いてくださって、ありがとうございます。今日は本当に、お話をする為に伺ったので失礼します。次に会う時があれば、貴方の本当の心も聴きたいですね」
では、と一言残し、テレンスは教会を去っていく。
699
:
ショウヘイ・ヘーイ
:2017/09/14(木) 10:02:44 ID:???
>>698
「さて、どなたと勘違いしていらっしゃるのか」
姿勢を崩さずに受け答えをする神父。
そして教会を出ていく男を見送った。
「やーれやれ、どうやら今のが目立つ奴の一人ってことかー。
こっちから反撃にでも出るか…情報が必要だなー」
床に転がっている手首へと声を掛け、十字を切った。
そして本と手首を拾い、後に目立たないところへ埋めた。
700
:
テレンス
:2017/09/16(土) 12:03:58 ID:???
>>699
その翌日
アニカ「何描いてるんですか?」
テレンス「次の処刑人の人相書きです。街に張り出すのではなく、皆さんとの情報共有用にと言いますか」
意外と美術センスがあるのか、テレンスが向かう人相書きの紙には、ショウヘイの輪郭が綺麗に描かれ始めていた。
アニカ「あ〜……なるほど。……えっ、処刑人を見てきたのですか?」
テレンス「えぇ。レオンさんの話は聞いてましたが、実際のイメージは必要でしょう?だから、一言二言話もしてきましたよ」
テレンスはアニカとの話をしながら、素早く手を動かしている。
アニカ「そうですが……テレンスさん、まさか貴方の事も向こうにバレたなんてことは……?」
テレンス「……あっ!!」
アニカ「あっ!?」
テレンス「ちょっと暗めに描き過ぎました!!もっと温厚そうな顔付きだったのになあ〜」
描き上げた人相書きをアニカに見せる。
目元があまり笑っていない、冷酷そうな男の顔が描かれている。
アニカ「ほう、絵が上手いですね。……じゃなくて、貴方の事が向こうに伝わってしまったら、迂闊に街を歩けないですよ」
テレンス「大丈夫ですよアニカさん!思い出してみて下さい。私が今まで暗殺者に不意を突かれて殺された事がありますか!?」
アニカ「いや、それは確かに無いですけど。今この世に生きてる方は皆"暗殺者に不意を突かれて殺された事"は無いと思いますが」
テレンス「その観点は無かった……アニカさん賢いですね!」
アニカ「(小馬鹿にされた気分……)」
結果的にテレンス自身の情報が漏れてしまったが、
ショウヘイの情報も黒騎士内で情報共有される運びとなった。
701
:
ショウヘイ・ヘーイ
:2017/09/22(金) 00:34:45 ID:???
>>700
ショウヘイの人相書きから数日
人目に付かない路地裏を、更にマントを羽織りフードをした人物がいた。
そこに数名の黒い鎧をした騎士が通りがかる。
黒騎士A「おい、そこのお前顔を見せろ」
そう言って勢いよく掴みかかろうとする。
「な、なんですかあなたたちは?
騎士団の方たちですか!?」
ぐいっと肩を掴まれた人物はそう問いかけた。
黒騎士B「そんなことは重要じゃない。
我々は顔を見せろと言ったんだ」
無理やりにフードをはぎ取ると、先日共有された人相書きの人物だった。
「やめておいた方がいい。
命はみな平等だ。粗末にするべきじゃない」
黒騎士が剣を抜こうとした手に、そっとショウヘイの手が置かれていた。
剣を抜こうと勢いよく引き抜こうとしてもぴくりとも動かない。
そしてにこりとショウヘイが笑みを向け、黒騎士の一人を足払いを掛けなぎ倒した。
すかさずもう一人が背後から斬りかかろうとしたが、空から巨大な十字架が落下してきて
そのまま背後の黒騎士を潰した。一瞬のことで、潰された黒騎士は苦しむ間もなかったことだろう。
黒騎士A「十字架…?なんでそんな、ものが」
「そりゃー神父には付き物だろ。
サイズはちょっと大きいかもしれないけどよー」
そうしてもう一人の黒騎士も巨大な十字架に潰された。
「単独で動くのはやっぱり役職付の連中だけっぽいかー。
各個撃破を狙いたいところだけど、俺一人じゃ荷が重い。
まあ着実に数を減らしていくか、今回みたいだと楽だなー」
そう言ったものの、黒騎士の鎧の一部を拾い、
あえて見つかりやすい騎士団の近くに捨てた。
ショウヘイが明確に宣戦布告をしたのだ。
702
:
テレンス
:2017/10/13(金) 11:48:14 ID:???
昨今の騎士団員が犠牲になる事件を受け、テレンスは黒騎士のみならず一部の一般騎士団員を会議に召集した。
まずはテレンスが起立し、集まった騎士達に説明する。
テレンス「率直に申し上げて今回の会議で提案したい事は、処刑人一斉掃討作戦の立案と、人員不足を補う為一般騎士団員の協力についてです。概要はお手元の資料をご覧下さい」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
我々は今までも、処刑人を対象に小規模な作戦を展開してきたが、
今回の事件により、それら作戦が処刑人の冗長の原因となった事が判明した。
当然これは看過できるものでは無く、暴徒化しつつある処刑人を抑えつつ市民を守護する為、大規模な作戦により処刑人側に致命的な損害を与える事が必要不可欠となっている。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
また、上記作戦は処刑人の本拠地襲撃を想定しており、◯×人規模の隊を編成する必要があると考えられる為、騎士が隊を跨いで協力することが急務である。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ー:開始位置・終了位置 〜:以下省略)
……と、以上の様なことが、資料には書かれている。
一般騎士「……君は、街中で戦争でもする気なのかね?」
テレンス「勿論、そんな事はしません。そうさせない為、皆さんのお力をお貸しいただきたい。いいですね?」
テレンスの当たり前だと言わんばかりの口調に対して、一般騎士のチッ、と言う舌打ちが会議室に響いた。
一般騎士「今回の事件は君の言う通り、確かに無視できない問題だ。しかしね、処刑人の本拠地を襲うというのはどうか……。犯人は特定されていないが、万一勘違いであるという事は想定したのか?」
テレンスは渇いた笑いを零し、すぐにキッと眉を釣り上げた。
テレンス「先程から、何ですか?処刑人は以前から市民に害を及ぼし、今回は面と向かって我々に牙を剥いたんですよ。戦争?勘違い?そんな事を言っているから、貴方達はダメなんです」
突然、テレンスが怒りを露わにしたような口調で、一般騎士の姿勢そのものを否定する。
一般騎士「君!!」
その言葉に反応し、一般騎士も音を立てて立ち上がる。
テレンス「私にここまで言われて愚かさに気がつかないとは、感心します。わかりました。貴方の協力は不用です。私自ら呼び掛け、協力頂ける部隊を集めます。流石に警邏業務だけでは持て余している部隊はあるでしょうから」
703
:
絶対正義のクリシュターナ
:2017/10/14(土) 22:25:11 ID:???
>>702
「臆病者は黙っていてくださいよ」
立ち上がった騎士に対し、ギラつくような笑みを浮かべそう告げた。
そして漆黒の鎧に身を包む女騎士も立ち上がり、騎士の目の前で止まった。
「悪は私が断罪しますので、あなたは震えて安全な場所で守ってもらえばいい。
そのお飾りの騎士の誇りと共にね?」
威圧感を放った後、そう言って静かに席に戻った。
704
:
テレンス
:2017/10/20(金) 23:01:05 ID:???
>>702-703
一気に険悪な空気が広がって行く中、静かに挙手をし、立ち上がる騎士がいた。
騎士T「私は(テレンスに)賛成します。恐らく、隊の者も反対しない筈……」
騎士Tの発言を受け、テレンスは表情を崩した。
テレンス「これはこれは……」
一般騎士らの半数程がざわつく中、
構わず、騎士Tは話を続ける。
騎士T「まず、作戦の是非については議論の必要はないでしょう。ここで踏み切らねば我々騎士は、単独では処刑人の恰好の獲物である事を、今回の事件が示しています」
テレンス「言いたかった事を代弁頂き、大変感謝します」
騎士T「……私は、テレンス殿は非常に意味のある提案をしたと思います。私は元処刑人のレノを暫く見てきて、激しい戸惑いを感じています。
処刑人の犠牲者またはその親族友人は勿論、無念でしょう。しかし、我が子を突然知らぬ間に人殺しにされた処刑人の親族も同じこと。レノの家族や知人と何度か話した事があるが、皆健気で逞しく、こんな事件に巻き込まれてしまった事は不憫で仕方がない」
ざわつきが無くなり、まともな騎士は騎士Tの話に耳を傾ける。
テレンスもまた話に耳を傾けるが、表情はむしろ険しくなっていく。
テレンス「(皆の感心が、彼に傾いている……?)」
騎士T「私が言いたいのは、最も罪を償うべきは、処刑人という咎人を作りあげた教会の上層部であり、その為の本拠地襲撃は騎士が一丸となり取り組むべきだという事です。その為ならこの騎士T、火の中水の中、どこへでも飛び込みましょう」
そう言い残し、騎士Tは着席した。
再びざわつく場内だが、今回のざわつきは、騎士Tに賛同しようとしてのざわつきであった。
やがて、"我が隊も協力する"と名乗り出る隊がいくつかあった。
テレンス「御協力の程、とてもありがたく思います。……また、率先して下さった騎士T殿には、個人的に賞賛の意を送らせて頂きたい」
そう言って、テレンスが拍手を送ると、他の騎士達も続いて騎士Tに拍手を送った。
テレンス「(持って行かれたか……ならば)」
テレンスの思惑は、黒騎士主導による処刑人討伐であったが、今や皆の注目は騎士Tに向けられて居る。
705
:
テレンス
:2017/10/21(土) 14:20:59 ID:???
>>704
テレンス「という事で、私は今回の作戦の指揮を騎士T殿に執って頂きたい。
今の話は騎士T殿の信念が伺え、感動しました。そして、他の皆様も同じ様な気持ちを抱いたからこそ、協力頂ける事になったと思います。そうした現状を鑑みて、リーダーに相応しいのは騎士T殿ではないか、と思いますが……」
如何でしょうか、と周りに視線を送るテレンス。
しばしの沈黙の後、多くの騎士はその意向に賛成の意を表した。
騎士T「私は、そんなつもりは……」
騎士Tは立ち上がり、テレンスに異議を唱えようとする。
テレンス「どうか、お願いします。後は、貴方の了承を得るのみ」
テレンスは騎士Tの言葉を遮り、頭を垂れた。
騎士T「……そこまでされるのであれば……」
706
:
絶対正義のクリシュターナ
:2018/07/01(日) 20:58:09 ID:???
「このテレンスさんから頂いた人相書き……
街ですれ違ったことあるような気がするんですよね」
人相書き片手に街を歩く黒騎士の一員の女性騎士は、辺りを注意深く見回していた。
今日も腰に数本の短剣を携え、通常の騎士とは違った装備が目を引く。
沙耶「今日もタイムセールで良いもの買えたわね。
これでシロウに美味しい料理作ってもらいましょ。
シロウ家の今日の食卓、なんてね」
両手に食材を抱えご機嫌で歩く沙耶
どこか遠くの国で邪竜が倒されたという記事を見たが、どれ程の存在だったのか。
まあでもうちの家には関係がない話か、と目の前の食材を眺めた。
「わわ」
「きゃっ」
「すみません!人相書きを見ていたばかりに気付かず」
沙耶「こちらこそすみません。余所見をしていたらぶつかってしまって」
二人は顔を見合わせ同時に「あっ」と声が漏れた。
707
:
レーナ
:2018/07/03(火) 22:28:39 ID:???
「か〜もんべいび〜あめりか〜♪」
例のダンスを踊る
708
:
ソフィー
:2018/07/05(木) 09:44:10 ID:???
「オーサコ半端ないわ!アイツ半端ないわ!!」
たまの休暇に、スタジアムへ来て球を足で蹴るスポーツの観戦中
709
:
絶対正義のクリシュターナ
:2018/07/15(日) 20:43:42 ID:???
>>706
「この間はありがとうございました。
あれから騎士団内でもお噂をお聞きましたが、あなたたちは以前からこういうことを解決してきた」
クリシュターナが沙耶に前のめり気味に話す。
少し興奮しているようだ。
沙耶「え、ええ。そのなんというか色々と巻き込まれやすいというか」
沙耶(圧が強いわね〜この子。ただなかなかスタイルは……レーナと並べたいわね)
「ところで、この間のエミヤさんという方、同僚の騎士に聞いたのですが
腕のいい鍛冶屋という話ではないですか。」
補足しておくと、同僚とは騎士クラのことだ。
沙耶「ええ、確かにうちの大黒柱は鍛冶屋だし騎士の人たちにも個別に対応してるわ」
その話を聞き目を輝かせる黒騎士
「私もこれからエミヤさんちまでご一緒させていただいてよろしいですか?
少し武器についてお話を伺わせていただきたいのですが」
沙耶(ん〜まあお客様ということかしら?
それなら私が断るわけにもいかないか。シロウが判断するでしょう)
沙耶「分かったわ。お客様なら断るわけにいかないもの。案内するわ」
かくして、クリシュターナをエミヤ家まで案内した沙耶。
シロウは困惑するかもしれないし、持前のお人よしでも歓迎するかもしれない。
ひとまず、鍛冶屋としてのエミヤ家へと引き連れていくのだった。
沙耶「シロウ〜?お客様を連れてきたのだけど大丈夫かしら?」
クリシュターナは礼儀正しく姿勢を正している。
710
:
エミヤ
:2018/07/17(火) 02:26:25 ID:???
>>709
鍛冶屋としてのエミヤ家は、居住区横の鍛冶場スペースに用意されている。
とは言っても、規模は小さい。
居住区である屋敷横に建てられた大き目の物置を、鍛冶場として改修しただけだからだ。
「――ん?」
鍛冶場を覗いてみると、仕事着に着替えたエミヤが立っているのが見える。
沙耶達に気づいて向き直ると、
「ああ、大丈夫だけど……ってクリシュターナさんじゃないか。その節はどうもお世話になりました」
と、丁寧にお辞儀をしてみせた。
711
:
絶対正義のクリシュターナ
:2018/07/18(水) 09:57:03 ID:???
>>710
「おお!お久しぶりです。こちらこそ感謝を言わせてください。
ご協力ありがとうございます!」
クリシュターナもお辞儀を返す。
沙耶「ところで、シロウに話を聞きたいって言ってたけど」
そこで沙耶が話を切り出した。
「そうなんです。実は私短剣をメインに扱っているのですが、今のものより質の良い短剣を探していまして」
そういってエミヤの前に数本の短剣を置いた。至って平凡な短剣だ。
何の変哲もない一般的なもので特徴がないのが特徴と言ってもいいだろう。
「理由はもちろん悪と戦うためにです」
712
:
エミヤ
:2018/07/19(木) 20:56:44 ID:???
>>711
「いえ、そんな……おっとそうだった、お客様だったな」
軽いお辞儀の後、クリシュターナの話を聞き始める。
置かれた短剣を眺めて考え込んでいたようだが、ふと口を開いた。
「……特に他意は無いんですが、クリシュターナさんにとっての悪ってどのようなモノを指しますか?」
クリシュターナが見る限り、深刻な様子は感じられず――本当に何気ない質問のようだった。
713
:
絶対正義のクリシュターナ
:2018/07/26(木) 11:35:11 ID:???
>>712
「私にとっての悪ですか?それはこの国を脅かす者たちです。
私は騎士ですので、この国の民を護ることが職務であり使命です。
もちろんお二人のことも含まれますよ!」
沙耶「国を脅かす者?敵対している国や魔術師ってことかしら」
隣で工房内をきょろきょろと物色している沙耶が問い掛けた。
「そうですね。そういう分かりやすい悪もいれば、窃盗や裏取引などそういった犯罪行為ももちろん悪です。
最近だとそう、処k……おっと、これは機密事項ですね。気にしないでください」
純粋にそう答える。
思ったことを口に出していることはエミヤにも伝わるだろう。
沙耶「例えばだけど、あなたに愛する人がいてその人が何か悪いことしたらどうする?」
「断罪します。悪の前には愛も情も必要ありません。
最も、私には愛する人はいませんが」
沙耶(何かしら…言ってることは正しい気もするけどどこか歪んでるような)
「ただ悪を断罪するのに今の短剣だと少し心許ない気がしていまして。
一般的な短剣なので、安価で潰しもきくところが利点ですが、
やはりいざという時に頼れる武器も所持しておいた方が悪を斬れますし」
714
:
エミヤ
:2018/07/28(土) 00:40:16 ID:???
>>713
「ふむ。――ああ、それじゃ今の短剣に“強化”の魔術を施しましょうか。
使い慣れた武装の切れ味や耐久力を向上させただけなら、使い勝手が変わる事も無いですし」
一つ一つの短剣を軽く、手の中で弄びながらクリシュターナへと提案する。
その最中、沙耶を一瞥した。
クリシュターナが、問い掛けに対して即答した様子を見ても表情を変える事は無い。
ただエミヤが沙耶と同じように、何かしらの感想を抱いている事は分かるだろう。
「それか、短剣以外に得意な武装があれば、そちらを用意しますか?」
悪とはなんたるや。その返答について今は触れる事無く、あくまで此処に来た目的についての話を続ける。
それは何処か、クリシュターナという人間の性質を図ろうと努めているようでもあった。
715
:
絶対正義のクリシュターナ
:2018/07/30(月) 00:09:06 ID:???
>>714
「ああ、それは名案ですね!是非お願いしたいです!」
前のめりにエミヤへと申し出るクリシュターナ。
沙耶はというと、エミヤからの視線に視線を重ねて返事をした。
「それでは短剣を全て一度お預けすればいいですか?
お代は先払いでしょうか」
クリシュターナはエミヤが何を感じているか、そこは気にしていないようだ。
先日出会ったばかりだが、既に彼女の性格についてはエミヤも身を持って知っていることだろう。
716
:
エミヤ
:2018/07/30(月) 22:24:01 ID:???
>>715
「では、そのようにします。短剣は一度こちらでお預かりしますね。
いえ、代金は後払いで良いですよ、出来栄えに納得して頂けるかどうかもありますし――
そうだ、武器に属性のエンチャントなど施しますか? その場合は、数日ほどお時間を頂く事になりますが」
沙耶へ視線を向けたのは一度だけで、それ以降はクリシュターナと平凡な商いのやり取りを続けている。
(人に文句を付ける立場でもなし、自分を顧みれば尚更だし。
――――ってのを踏まえても、うん、こりゃ相当な曲者だな)
そして会話の最中、頭の片隅ではそんな考えを抱くエミヤであった。
717
:
絶対正義のクリシュターナ
:2018/08/02(木) 00:56:53 ID:???
>>716
「エンチャント、とても魅力的ですね!
戦術の幅も広がりそうです」
少し伏し目がちに思案する。
「どんな属性が出来るのでしょう?」
沙耶(こうしていると、普通の娘に見えるのにねぇ…)
718
:
エミヤ
:2018/08/05(日) 18:28:43 ID:???
>>717
「火、水、風、土の四大属性であればどれでも。その他の特殊属性だと内容次第になりますね。
ただ一つの武器に対して一つの属性でお願いしますね。こちらでは複数エンチャントは出来ませんので――」
エミヤの言では友人のエンチャンターに依頼する事になる、との事らしい。
日数を要する理由はその為らしく、追加料金も発生するようだ。
と言っても、ボッタクリ価格などと言うことは無い。むしろお安めではないだろうか。
(『生まれつきそういう人間だった』って可能性が、全く無いわけじゃないけど。
いったいどうして、何が彼女をここまで“悪憎し”としたんだろうか。過去に何かあったのか?)
719
:
絶対正義のクリシュターナ
:2018/08/09(木) 00:31:50 ID:???
>>718
「それではお試しと言ったら失礼ですが、火の属性をひとまず短剣1本にお願いします!」
目を輝かせつつ依頼した。
「悪を焼き尽くす炎。かっこいいですね!」
沙耶「あはは、そこまでの期待をされちゃうとエンちゃんもプレッシャーね」
720
:
エミヤ
:2018/08/13(月) 22:34:14 ID:???
>>719
「火ですね、分かりました。それでは……うん、二日後に取りに来て下さい。
強化を施すのと、火属性エンチャントとで――これでどうでしょうか」
と言って、価格を提示する。
適正価格より少々安く、いわゆる“お買い得”というやつだと分かるだろう。
(ま、エントなら大丈夫だろ)
沙耶の言葉には、そんな思考と共に苦笑いで返すのであった。
721
:
絶対正義のクリシュターナ
:2018/08/17(金) 00:29:52 ID:???
>>720
「こ、これはお安い!非常に懐に優しいお値段です」
商談は成立したようだ。
一礼してクリシュターナは去って行った。
沙耶「正義に固執しすぎてて、なんだか危うい娘ねぇ。大丈夫かしら」
722
:
エミヤ
:2018/09/28(金) 22:28:51 ID:???
>>721
「なんというか……奥底が見えてこないな。
言ってる事は分かるんだけど、彼女にとっての正義/悪が“なぜそれらなのか”が分からないというか」
深く理由を尋ねた訳では無いので当然とも言えるが『それにしても不気味だ』とエミヤは続ける。
「ま――良いか。
とりあえず仕事を請け負った訳だ、しっかり仕上げないとな」
肩をぐるんぐるん回しつつ、さっそくエントに連絡しなきゃなー、と張り切り調子で言うのであった。
723
:
とある功名な魔道士
:2019/12/31(火) 10:20:14 ID:InazQMq6
ここは、魔道士が好んで生活に使っている洞窟の最深部。
入り口までは自然の光が届いていたが、この場所は蝋燭の火だけが輝いており、まるで異界の雰囲気さえ漂う。
壁沿いには、魔物の骨で作られた家具や、儀式用の剣や杖等が置いてある。
そして、怪しげな釜の中では緑色の液体が湯気を立ち上らせながら、ぼこぼこと沸騰している。
「…………出来たか」
部屋の隅の暗闇のなかで、魔道士は呟く。
空間内が、地震が起きたように揺れ、壁沿いの道具が揺れる。
しかし、魔道士は揺れを気にすることなく右手を揚げると、煮立った釜から小さい"謎の物質"がひとりでに浮上し、魔道士の右手に収まる。
「……ククク、これだ!これこそ我が悲願の……」
揺れが更に激しくなる。
「ギャルのおパンティー、永久保存版!!我が魔法薬で、100年は劣化しないのだっ!!」
揺れでぐらついた骨の家具が崩れ、一斉に魔道士の頭部に倒れ、魔道士は下敷きになってしまった。
「地震、いやん……」
724
:
エメ
:2021/04/12(月) 23:20:26 ID:.rgmTDoE
「オホッ!オホホホッ!ノー自粛」
帝都の町をジョギングしている。
725
:
ハーヴェスト・ポンティヌス
:2021/04/23(金) 23:26:14 ID:.rgmTDoE
ポンタ「ここが帝都か……このような都会は、初めてだ」
都会の喧騒の中、一人たぬき人間が辺りを見回している。
「様々な噂を聞くが、今のところ変わった雰囲気はないな。まずは、暫く住む為の宿でも探そう」
そうこうしているうちに、周囲に数人の人集りが出来上がった。人間ともたぬきとも付かぬ見た目の生物は、この帝都でもなかなか珍しいらしい。
「いかんいかん」
懐から1枚の木の葉を取り出し、短く何かを唱えると、ポンタを覆い隠すように煙が沸き立つ。
そして、煙が晴れた頃にはその場には誰もいなかった。
数人の証言によると、その時煙の中を荷物を持った狸が路地の方へと走っていったらしい。
726
:
アモルフ
:2021/05/24(月) 19:25:40 ID:???
BAN!BAN!BAN!
「クリア!」
キルハウスで近接戦闘訓練を行うアモルフ。
設置してあるターゲットを撃ちながら前進。
「リロード!」
弾倉を素早く弾き飛ばし、新しい弾倉を入れる。
最後のターゲットは5個…
BAN!BAN!BAN!BAN!BAN!
コマツ「しゅうりょーっす。」
ヒラオカ「すげー新記録じゃん。」
タナカ「あれっすよ…」
タナカが壁の張り紙を指さす貼り紙には
禁酒!禁煙!禁女!
と赤字ででかでかと描かれている
コマツ「溜まってんなあ…」
ヒラオカ「嫁さんに元カノと遊んでたのバレたかな?」
タナカ「元凶僕らっすけどね。」
727
:
名無しの魔術師
:2021/06/30(水) 19:38:15 ID:TwyIVDyI
カンパニー帝都支部。
特別収容房。
「記録官、記録を開始してください。収容ナンバーK251。予言書に関する実験及び収容作業を開始します」
黒いローブを頭からすっぽり被り、仮面をつけた者が2人とオレンジ色のローブを着た男2人が狭い房の中で立っている。
オレンジローブの男たちの足には枷が付いていた。
狭い房の中には小さな丸椅子が一脚。その上には黒く焦げた様な本が一冊だけ置かれていた。
「D0721。本を手に取り椅子に座ってください」
D0721と呼ばれたオレンジローブの男は本を手に取り椅子に座った。
「この本を読めば釈放されるんだな? でも、俺は文字は殆どわからんぞ?」
「はい、本を読み終わればあなたの罪は赦されます。読めなければ読める部分だけを読んでください。ただし朗読は絶対にしないでください」
「D0120。記録する準備はてまきましたか?」
「出来たけど、俺だって知っている字の方が少ないぜ? 読み書きできりゃ盗賊なんて…」
「わかる範囲で問題ありません。それでは私の合図で実験を開始してください」
黒ローブの者たちは耳栓を装着して更に防音魔術を自分たちに施した。
お互いが声を発し互いに聴こえない事を確認すると、
「D0721、D0120。実験を開始してください」
D0721は本を開き、D0120はペンを手にとった。
1分後。
D0721の瞳が常軌を逸した速さで不規則に動き同時に頁が高速でめくられる。あきらかに本の厚みより多い頁がめくられている。
更に残像が見えるほど高速に口を動かし何か言葉を発している様な動きをする。
D0120も同タイミングで顔を上下左右に、首の骨が折れそうなぐらい早く動かし、ペンをめちゃくちゃに走らせ何かを書き始める。
3分後。
D0721、0120。両者の目、鼻、口、耳から血が噴き出す。それでも2人は動きをやめない。
5分後。
同時に床に倒れる。動きは完全に停止し絶命したのが窺える。
その際、偶然にも本は元あったように椅子の上に落ちた。床や壁が血だらけになったにもかかわらず。本に付着した様子は無い。
黒ローブの者たちは耳栓を外し防音魔術を解除した。
「魔術反応無し。結界に反応無し。外部からの介入の可能性は低いと考えます」
D0721、0120の死体を確認し、
「同じく痕跡無し…死因は解剖調査予定」
D0120が書き殴った紙を拾いあげる。
血で汚れてはいるがはっきりと読める文字で、
「…記録官、古代語は得意か? おっとこれは記録しなくていい」
記録官は今の発言を塗りつぶし、紙を除き込んだ。
「かじった程度ですが…えーっと明日は雪ですね」
「はあ? もう一度言ってくれ…あ、記録しなくていい」
「ですから、明日の天気は雪と書かれています」
「…記録再開。紙には明日の天気が書かれていた。至急除雪部隊を手配する必要有り」
恐る恐る本に近づき、ゆっくりと開いた。
そこには何も書かれていなかった。
「不活性化を確認。以上で実験及び収容を完了とする。記録終わり」
黒ローブはそのまま房を出た。
すぐさまオレンジローブが部屋に入り死体を片付け血を拭き取り始めた。
解剖の結果2人の死因は不明であったが、魔術、呪術的痕跡は皆無であり、翌日の天気は夏にも関わらず猛吹雪であった。
しかし、翌々日には積もった雪は水も残さず消えており、魔術的痕跡も見つからなかった。
728
:
名無しの魔術師
:2021/07/03(土) 21:31:43 ID:???
帝都某繁華街の裏路地
「こちら交通誘導員チーム。現場に到着した」
野良着を着た大人がオーブに話しかけている。
対になるオーブに周囲の声や光景を伝えるアーティファクトだろうが、一作業員が持てるほど安価な物ではない。
「状況を確認した。カバーストーリー工事中を使い部外者の立ち入りを阻止しろ。また、侵入者はアノマリーに接触する前に処理して構わない」
「了解しました。カバーストーリー工事中を実行します」
指揮官と思わしき男の指示を受けながら素早く路地は封鎖された。
全ての侵入路は塞がれ、建物の屋上から侵入されない様に人員を配置する念のいれようだ。
素早い展開、高価な装備。作業員とは建前でよく訓練された者たちだろう。
「あー、すんません。この先で地下道が崩落したみたいでこの先通れないんですよーすんません。ご迷惑おかけします」
しかし身のこなし、口調は上手くごまかせている。
通行止の看板には帝都の道路管理局の名前も入っているので疑う者はいないだろう。
帝都では見慣れた光景だ。誰もが何も疑わずその中で何が起き何が行われたか知るよしもない。
後日、害虫駆除の炎魔術が暴走し周囲は焼け野原になったと発表された。
また、毒性が強い害虫が地上に逃げた恐れがある為、当時付近にいた人々には癒術士や医者により投薬治療が行われた。
その後は何もなかったかの様に復旧され、誰もが事件を受け入れ日常に戻っていった。
729
:
名無しの魔術師
:2021/09/09(木) 16:47:47 ID:Xyxxqg1s
カンパニー帝国支部
カタコンベ特別収容所
教会内部でもごく一部の限られた者しか知らないカタコンベの一角に厳重に封印された収容房が存在する。
収容房は一見するとただの岩だ。外部からは中が見えない造りになっている。唯一中を見る方法天井にあけられた通気孔のみである。
その収容房は常に機動部隊888-カノンにより警備されている。
他の収容施設は収容物を押さえ込むようにして防備を固めているが、この収容所では外敵から収容物を守る為の造りになっている。
収容房の中で1人の少女が祈りを捧げている。
誰もが異質な光景だと思うだろう。少女を縛る鎖は肉に食い込み、肉を腐らせている。
だが、誰がみても神々しさを感じ少女と共に祈りを捧げたくなるだろう。
房から離れた職員休憩所。
「折角機動部隊に配属されたのに、こんな地下暮らしになるとは思いませんでしたよ」
「ラッキーだと思え。ここは殉職率が低いから長生きできるぞ」
「でも、あんな岩を守るだけじゃやり甲斐がありませんよ。しかも女の子を閉じ込めてるんですよね」
「岩に女の子って…配属の時に説明されなかったのか?」
「途中から寝てましたよ。その肝の太さで採用された様なもんですからね」
「自慢げに言うことじゃねえだろ…まあいいもう一度教えてやろう。中にいる少女じゃない神の子だ」
「なんの神様の子供なんです?」
「わからない。だから収容されている。そしてあの少女を見た者は少女が信奉している神と同じ神を崇める様になる。
そして自らの罪を代わりに背負う少女を神の子とし崇拝するんだ」
「……それだけで収容されてるんですか?」
「話は最後まで聞けよ。信者の数一定になると邪教徒として弾圧される様になる」
「帝国では信仰の自由は認められていますよ」
「いいや。必ず弾圧されるんだ。そして少女は邪教祖として処刑されるんだ」
「……それだけですか?」
「そこから先はわからない。前回はここ何とか阻止したらしい。だが研究者の予想だと世界は救済され新しい世界が始まる」
「……それって世界再構築ということですか?」
「推測だがな……」
カタコンベの地上部にある教会には今日も多くの礼拝者で賑わっている。
皆が祈りを捧げる先には鎖で縛られた少女の石像があった。
730
:
レーナ
:2021/09/18(土) 23:14:36 ID:???
??(? ゜∀゜)???
鳴らない言葉をもう一度描いて〜
???(゜∀゜)??? ???(゜∀゜)???
??人??
??゜∀゜??
赤色に染まる時間を置き忘れ去れば〜
???(?゜∀゜)????
哀しい世界はもう二度となくて〜
???(゜∀゜)??? ???(゜∀゜)???
人
(゜∀゜)
荒れた陸地が こぼれ落ちていく〜
?? ?(゜∀゜) ? ??
一筋の光へ〜
(例のアレを踊る)
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