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ここだけ魔術のある世界

689本屋の店員:2017/08/11(金) 14:00:12 ID:???
俺はこの書店に勤め10年が経つ。
これまで何万冊を越える本を完読し、今では読んだ事のない本(今やそんな本に出会うのは稀だが)でも、カバーを一目見れば大体の内容はわかる。
本が、俺に語りかけてくるのだ。

話は変わるが、以前この店に居ると奇妙な出来事に見舞われる事があった。

例えば、
「すみません」という客の声が聞こえたので、声がする本棚の方へ向かうと誰も居なかったり、
不審に思いながら席に戻ると、それまで読んでいた本が席を離れる前には開いていた筈なのに閉じていたり。
最初は俺の勘違いだと思っていたが、2度3度ならず、10度20度同じ事が起きた。

あまり非論理的な事は信じない性格だが、この店には霊が取り付いて居るのではと疑い、一度霊媒師に相談した事がある。

結論から言うと、霊媒師曰く「霊気は感じない」との事だった。

しかしある時俺は目撃してしまった。

その日は、ちょうど満月の日。
読んでいた本を完読し、それと同時に閉店時間となった日だった。
腹も減ったので、本を閉じ、早々に店を出た時、
「いつまで読んでんだよ」と愚痴を吐きつつ、自ら"歩いて"本棚に戻っていく本を、ショーウィンドウ越しに見たのだ。

開きっぱなしであった筈の本が勝手に閉じている現象……ああ、そうか。あの本は、人間でいう"ドライアイ"的な症状的な物を患っていたんだな……そう理解した。

今まで俺は本の事を単純に"読み物"だと思っていたが、この一件以来、本に対しペットのような可愛らしさも感じる事ができるようになった。


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