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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部
392
:
名無し募集中。。。
:2016/06/07(火) 13:51:24
オカールもラーメン好きだけど量ではマイミに敵わないだろうな
393
:
名無し募集中。。。
:2016/06/07(火) 14:41:47
マイミいたの忘れてたw
394
:
名無し募集中。。。
:2016/06/08(水) 00:42:13
そういやあの曲のPVはラーメン屋だったんだっけw
395
:
名無し募集中。。。
:2016/06/08(水) 06:54:37
某ラーメン大好きなコイズミさんが出て来そうな流れから一転マイミの独壇場w
396
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/08(水) 12:58:10
「それでは明日の16時に、港で待っているであります。」
お腹の中のラーメンを消化して動けるようになったタイサは、連合軍にしばしの別れを告げる。
そして、誰にも後をつけられないように注意しながら帰るべき場所へと帰って行ったのだ。
タイサの帰るべき場所、それは王国の用意した宿舎などではない。
それよりももっとボロくて汚い、
少女が寝泊まりするとは思えないような小屋こそが"彼女ら"のアジトなのである。
「あ〜疲れた!」
タイサは座り心地の良くなさそうなペシャンコのソファーに腰掛けた。
ガラ悪く足を組むその姿勢は、さっきまでの礼儀正しさとは正反対だ。
そんなタイサに対して、同年代と思わしき少女が声をかけてくる。
「おかえり"タイサ"、仕事は順調だった?」
「あぁ、いたの"ドグラ"。 順調に決まってるでしょ。私を誰だと思ってるの。」
「ふふ、そうだったね。」
ドグラと呼ばれた少女は、タイサらの属する組織のリーダーだ。
とは言え、そこに上下関係のようなものは存在しない。
8人は8人がみな平等なのである。
「まぁ、特別なことが無かった訳でもないけど……」
「何かあったの?教えて教えて。」
「……久々に友達に会った。 それと、久々に友達が出来た……かな。」
「タイサに友達が!?その性格で?……」
「絞めるよ。」
「ごめんごめん、ジョークだってば。」
「冗談に聞こえなかった。」
あります口調は実は演技。
(相手が格上でなければ)ぶっきらぼうに言い放つ今の姿こそ、本当のタイサなのである。
なかなかに面倒な性格なので組織のみんなもタイサのご機嫌をとりがちだが、
中には攻撃的に接する者もいた。
コードネーム"マジメ"がその良い例だ。
「"タイサ"!さっきから見てたけど問題起こしすぎだからね!?
よりにもよって連合軍のメンバーに喧嘩を売るなんて……
もしも何か有ったらどうするつもりだったの!?」
「"マジメ"は五月蝿いなぁ……何か有ったらアンタが止めるでしょ。そのための二人一組なんだから。」
「真面目って言わないで!」
「はぁ?コードネームなんだからしょうがないじゃない。
じゃあミナミって呼んだ方がいいの?」
「あーーーー!!本名を気軽に呼んじゃいけないって規則で決まってるんだよ!!」
「どうしろって言うの……」
397
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/08(水) 12:59:23
コイズミさんは場が丸く収まったのを確認してから店を出たのだと思いますw
398
:
名無し募集中。。。
:2016/06/08(水) 13:23:09
残りは一番アレな二人だけか
399
:
名無し募集中。。。
:2016/06/08(水) 19:33:27
コイズミさんいたのかよ!w
400
:
名無し募集中。。。
:2016/06/08(水) 19:39:20
こんなワンシーンありそうだよね
1 名無し募集中。。。@無断転載は禁止 2016/06/08(水) 19:19:32.35 0
【明日発売YJ28号】北海道3連撮シリーズ!①巻頭グラビアはモーニング娘。'16の佐藤優樹さんの超速オフショ!天よ見よ!この世紀末覇者感。どんなグラビアなの
か���� #morningmusume16 #ヤングジャンプ #佐藤優樹
http://i.imgur.com/NJVfQLA.jpg
401
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/10(金) 01:00:08
おお、まーちゃんカッコいいですね。
そう言えば作中ではあまり馬に乗せて無かったですね……
402
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/10(金) 12:56:08
「けんかをやめて〜二人を止めて〜」
タイサとマジメの間に、大柄の女性が割って入っていった。
この女性のコードネームは"ウララ"。
DJの形をとってサヤシとアユミンに橋の情報を渡した張本人なのだ。
その両手には、魚でいっぱいのバケツが握られている。
「なにその魚?……」
「さっき大人のお姉さんに貰ったの。 大量に余ってたみたいだよ。
だから今夜の晩ごはんは魚料理にしない?」
「良いね!じゃあ早速キッチンに……」
新鮮な食材を前にして、組織内のシェフであるマジメは瞳を輝かせていた。
料理得意な彼女からしてみれば、よほど腕が鳴るのだろう。
おかげで今夜のディナーは豪勢なものになると思われたのだが、
ここでタイサが水を差してしまう。
「魚嫌い。 他のにしてくれない?」
「また偏食? 成長期の時期に好き嫌いばかりしてたら大きくなんて……」
「大きくなってるじゃん。背なんかマジメよりずっと高いよ。」
「くっ……じゃあ何が食べたいって言うの?どうせまた……」
「ラーメン」
「やっぱり!」
「あ〜、魚は魚でも魚介系のラーメンなら食べたいかも。作ってよ。」
「チョット!ここにある調理器具でラーメンなんて作れると思ってるの?簡単に言わないでよ。
それにラーメンならさっき食べてたでしょ?見てたんだから。」
「マジメも見てるだけじゃなくてさ、一緒に食べれば良かったのに。」
「私はラーメンを食べる姿を見たり、すする音を聞くだけで十分なの。」
「うぇ……なにそれ気持ち悪い……」
「あんな脂っこいものを健康気にせず食べる方が気持ち悪いと思うけど!?」
「マジメは本当に美味しいラーメンを知らないんだな……可哀想に。
今度オススメのお店に連れて行ってあげるよ。そしたら考えも変わるでしょ。」
「一回くらいなら行ってあげても良いけど、絶対に好きにならないから安心して。」
403
:
名無し募集中。。。
:2016/06/10(金) 13:22:04
青葉に連れて行かれる理由が此処に在ったのか
404
:
名無し募集中。。。
:2016/06/10(金) 13:51:40
山岡がいるなw
405
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/12(日) 15:10:30
ちゃんとした更新は明日の昼になると思います。
ひとまずは、本編に繋がるかもしれないオマケ更新を……
オマケ更新「リサの帰還」
リサ「さて、用事も終わったことだしサユ様の船に戻らなきゃ。」
リサ「またお洋服が濡れちゃうけど仕方ないよね……よし、海に飛び込もう。」
謎の女O「ちょっと待ったーー!!身投げはダメーーー!!」
リサ「え!?何この糸……全身に絡まって動けない……」
謎の女O「ふぅ〜良かった、人命救助に成功したみたい。」
謎の女U「ねぇオカマリ、あの子は別に死のうしていた訳じゃ無いんじゃない?」
謎の女M「自殺にしては、冥界への扉が開かれていない……」
オカマリ「え?ウオズミちゃん、マリン、それマジ?……」
ウオズミ・マリン「「うん。」」
オカマリ「うわ〜やっちゃったー!」
〜数分後〜
オカマリ「なんだ、海を渡りたかっただけなのね。じゃあウチらの船に乗りなよ!」
リサ「えっ!良いんですか?」
ウオズミ「気にしなくて良いよ。4人で乗るには大きすぎる船だしね。」
リサ「4人ってことは、お仲間がもう一人居るんですか?」
マリン「はい、例えるならば炎熱地獄のようなお方が一人……」
リサ(炎熱?……気合いの入った熱血漢ってことかな?)
406
:
名無し募集中。。。
:2016/06/12(日) 16:47:10
関わると色々と面倒そうな人が…
407
:
名無し募集中。。。
:2016/06/12(日) 21:20:45
船燃やされるぞw
408
:
名無し募集中。。。
:2016/06/13(月) 09:40:26
あの娘は今傭兵か何かやってるのかな
409
:
名無し募集中。。。
:2016/06/13(月) 11:53:11
いくらあの人でもさすがに自分が乗る船まで燃やすほどアレじゃないと信じたいw
410
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/13(月) 12:58:39
ドグラとマジメとウララが魚料理に舌鼓を打つ一方で、
タイサは長期保存用に乾燥させた麺にお湯を注いだものを食べていた。
とても質素で栄養が無さそうに思えるが、タイサにとってはこれが一番のご馳走なのである。
「美味しい! これで明日の任務も頑張れるわ。」
タイサは健康面や性格面に様々な問題を抱えてはいるが、任務の遂行能力においては周囲から一目置かれていた。
年端もいかない少女揃いの組織の中で、最も戦士歴が長いのがタイサと「もう一人」だということを思えば、不思議でもないだろう。
そんな彼女にとって、明日の仕事はあまりにも簡単すぎていた。
「夕方に港に向かって、手配された船を連合軍に引き渡す……って言うのがタイサの仕事だったね?」
「そうだよ、ドグラ。」
「それまではアジトで待機してるの?それともラーメン屋で食事?」
「いや、オダ・プロジドリと話そうと思う。」
「え?……」
任務外の行動を取ろうとするタイサに、3人は驚いた。
しかもその内容が帝国剣士のメンバーとの接触だと言うのだから、
マジメは放っておくことが出来なかった。
「辞めた方が良いよ。タイサの身元が割れたらロクなことにならない。」
「ちょっと話すだけだってば。
それにオダは私の正体に気づいているんだから、話さない方が不自然でしょ。」
「う〜ん……オダ・プロジドリはかつての仲間だったんでしょ?」
「そう。合同若手育成プログラムの元メンバー。」
「だったら、必然的にあの2人のことも話す事になるんじゃ……」
「まぁ話すよね。無事だって教えてあげなきゃ。」
「それなら尚更許可できないよ。」
「大丈夫だよ。今の仕事のことは絶対に伏せるから。
それに、たとえ勘付かれたとしてもオダはいたずらに言いふらすような子じゃない。
だから、信じて。」
「う〜ん……」
困ったマジメはドグラの方を見た。
ここはリーダーに判断してもらおうと思ったのだ。
「タイサの意思が固いのなら、もう仕方ないんじゃないかな。
でも決して私たちの目的を話しちゃダメだよ。」
「もちろん!分かってるって。」
411
:
名無し募集中。。。
:2016/06/13(月) 13:17:13
実際にも小田までがラストエッグなんだよな
412
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/14(火) 08:37:10
アリアケ2日目の船出の時まで、連合軍には休養する暇が出来たのだが
全員が全員じっとしていられるはずも無かった。
中には己の精神と肉体を鍛えるために特訓する者がいた。
「ねぇメイ、私も滝行に付き合ってもいい?……」
「カリン!あなたも修行に興味があるのね!」
「うん……海に落とされた時に何もできなかったから、自分を鍛えなおさなきゃと思って。」
「素敵!そんなカリンのために飛びっきりの滝を案内してあげる!」
中には秘密裏に習得していた必殺技の精度をあげようとする者もいた。
「サヤシさん凄い!……今の技、なんにも見えへんかった。
しかも凄い威力。まるで草木も残らないような……」
「ふふふ。でもアーリーちゃんも有るんじゃろ?必殺技。」
「はい!でも相当気合が入ってないと出せないんです!
だからこのサイダーで洗顔してウチはやんねん!」
「だめぇぇぇ!!!もったいない!!!!」
中には新たな必殺技を開花させようと励む者もいた。
「ハル!……必殺技の出し方、教えてよ……」
「へぇ、サユキがハルに頼み事なんて珍しいじゃん。」
「そりゃ私だってみんなに貢献したいもん……そのためには背に腹は変えられない。」
「そこまで言われたら仕方ないな……あれ!?ちょっと待って!!
あそこで倒れてるのはマーチャンじゃないか!?」
「全身ボロボロ……どうしたんだろう?」
「おいマーチャン返事しろよ!!誰にやられたって言うんだ!?
服がアチコチ焦げてるじゃないか……これじゃあまるで……」
「えへへ……やっぱり勝てなかった……でも、"覚えた"よ。」
413
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/14(火) 08:42:46
>>411
はい。前にも書いたかもしれませんが、育成プログラムはエッグ(前作未登場の4期〜ラストの13期)をイメージしています。
オダやタイサはその中でも若手の部類に入りますね。
414
:
名無し募集中。。。
:2016/06/14(火) 10:09:22
まさか例の船に行ってたんじゃ…
連合軍の仲が深まってきててほっこり
415
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/14(火) 12:57:19
中には次の戦いのために武具を整えようとする者もいた。
「アユミン、マーチャンがどこにおるのか知らん? 刀を研いで欲しいっちゃけど……」
「それが見つからないんですよね。私も太刀を見て欲しいのに……
カノンさんはマーチャンを見かけたりしてます?」
「ううん、私も見てない。 明日までに作って欲しいモノが有るんだけどね……」
「カノンちゃん、新しい武器でも使うん?」
「うーん、武器っていうか……鎧。」
「「鎧?」」
中にはベリーズとの戦いに備えて、新たな対策を練る者もいた。
「カナの考えた作戦をオカール様に聞いて欲しいんです!そして判定してください!」
「聞く人を間違えてね? そういうのは団長とか、頭の良いアイリとかに……」
「いえ!オカール様のお墨付きが貰えたら安心出来るんです!」
「ふぅん、まぁ言ってみな。」
「はい、次のベリーズとの戦いですが……"シミハムを倒さない"というのはいかがでしょうか?」
「へぇ……詳しく聞かせろよ。」
中には本来の趣旨通り、休養をとる者もいた。
「アイリ様、次はあそこのお店に入りましょう。」
「まさかトモからデートに誘われるなんて! 後輩と遊ぶ機会なんて滅多に無いからソワソワしちゃう……」
「そうですか……」
「あら?ひょっとして楽しく無い?」
「そ、そ、そんなことないです!とても楽しいですよ!」
「その割には元気が無いですね。 どうかしたんですか?」
「……実は、アイリ様に相談に乗ってもらいたくてお誘いしたんです。」
「ふんふん。」
「以前までの私は自分のことを強者だと思ってました。少なくとも国内では一番強いと……
でも、最近は格下だと思っていたカリンやアーリーにも抜かされたような気がしてならないんです!
こんな不甲斐ない私がKASTのリーダーを務めて良いんでしょうか……」
「うーん、難しい話ですね〜」
「すみません、デート中にこんな話なんかして……」
「とりあえず立ち話もなんですし、お菓子でも食べながら話しましょう。
ほら、あの子たちみたいに。」
「あ!リナプーとリカコ!」
「うわ!リナプーさんイチゴ8個もとってる!(>_<)」
「イチゴは渡さん!!たとえ後輩でもだ!!」
「リナプーってあんなキャラだったっけ……」
416
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/14(火) 22:54:35
オマケ更新「The Girls Live 6月12日放送分より」
中には顔がムクんだ者もいた。
マイミ「とんこつラーメンのスープを一気飲みしちゃって……」
ナカサキ「もう!」
417
:
名無し募集中。。。
:2016/06/14(火) 23:54:20
ラーメン対決がここまでリアルと繋がるとは・・・w
418
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/15(水) 12:58:23
オダ・プロジドリは船出の十数分前には約束の場所に着いていた。
かつての戦友であるタイサと話をするにはこのタイミングしか無いと考えたのだ。
「おっ!来たでありますな。」
「"アヤノ"。今はその変な喋り方をしなくて良いと思うよ。」
「……そうね、素のままで行かせてもらうわ。」
"アヤノ"というのはタイサの本名だ。
なぜ偽名を使っているのか? なぜ口調まで変えているのか?
気にならなくもないが、それはオダにとっては些細なこと。
真に聞きたいことを、今ここで突きつける。
「今まで何をしていたの?……本当に心配したんだから……」
オダは合同若手育成プログラムでチームを組んだ3人と文通をしていた。
あまり筆マメでは無いメンバーもいたが、それでも定期的に届く手紙を見ては楽しんでいたのである。
自分がモーニング帝国剣士になった時も手紙を送ったし、
それに対するお祝いの言葉も受け取っていた。
ところが、ある時期を境に3人からの返事が一気に途絶えてしまったのだ。
一ヶ月や二ヶ月ならそういうこともあるかもしれないが、
それが1年も続いたのだから心配しない訳がない。
だからこそオダはアヤノに問いかけたのである。
しかし、アヤノは快い返事をしなかった。
「ごめん、言えないんだ。」
「どうして!?」
「連絡しなかったのは悪いと思ってるよ……でも、今はそれすらも出来ないの。」
「どういうこと……?」
「でも安心して!タグもレナコもちゃんと生きてるから!
今ごろ2人でくだらない喧嘩でもしているはずだよ。
ほら、私たちがチームになったプログラムの時みたいにさ。」
419
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/15(水) 13:00:10
>>417
時期も時期だったので舞美の発言には驚かされましたw
あ、放送日は正しくは6/9(木)の夜中でしたね。訂正します。
420
:
名無し募集中。。。
:2016/06/15(水) 17:23:21
他の二人ってタグ・レナの方だったのか…11期オーデの2人かと思ってたw
421
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/18(土) 20:32:41
数年前に開催された合同若手育成プログラムには様々なチームが参加していたが、
中でもフク、タケ、カリンを有する「ゴールデンチャイルズ」や、
リナプー、サユキ、ハルの属していた「73組」の強さは別格だったと言う。
上に挙げたメンバーの現在を思えば、当時の活躍ぶりは想像に難くないだろう。
一方で、戦士になりたてだったアヤノ、タグ、レナコ、そしてオダ達は訓練についていくだけで精一杯だった。
目立った成績を見せられなかったため、チーム名の「大佐中佐少佐先生」を覚えている者はもはや存在しないかもしれない。
「カリンさんが私に反応してなかったからさ、やっぱり忘れてるんだなーって思ったよ。」
「う、うん……」
「でも私たちは覚えている。 オダが覚えてくれて、嬉しかったよ。」
こうしてアヤノがオダに向けてくれた笑顔はとても無邪気なものだった。
名を騙っていた理由も、連合軍を騙したいとか、そう言った類のモノでは無いのは明らかだ。
敵ではないことが分かっているからこそ、オダはアヤノの違和感ある行動の意味が知りたくなってくる。
「ねぇ……マーサー王国の兵士をやっているって話は本当なの? それは……嘘じゃない?」
「何て言えば良いのかな……半分本当で、半分ウソ。」
「えっ?どういうこと?」
「ごめん、そこから先は言えないの。」
まただ。アヤノは核心に迫ろうとすると口を閉ざしてしまう。
忠誠を誓った人物に口止めをされているのか、
あるいは何処かから監視されているのかもしれない。
それでも、オダは情報収集を諦めることは出来なかった。
時間が許す限り質問を投げかけていく。
「船はマーサー王国のもの?」
「うん。正真正銘マーサー王国の所有物。整備もバッチリだよ。」
「アヤノの一言ですぐに船を用意できたみたいだけど、アヤノは偉い人?」
「……言えない。」
「アイリ様に連れてこられてたよね、元々面識はあったの?」
「それも、言えない。」
「……話変えよっか。 タグとレナコとはいつも一緒にいるの?」
「うん!今はちょっと遠いところにいるけど、基本的にはいつも一緒に行動してるよ。」
「私もみんなと一緒に過ごしたかったなぁ……どうして、誘ってくれなかったの?」
「だってオダは違うから……」
「違う?……私、みんなと何か違った?」
「あ、いや、そのね、オダはモーニング帝国剣士になったからさ!
私達みたいなポンコツとは違うな〜って思って!それだけ!あははは……」
アヤノの回答は特におかしなものではないように見えた。
ところが、アヤノの性格を知っているオダは違和感を覚えているようだ。
(アヤノって自分のことをポンコツ呼ばわりするような自虐的な子だったっけ?……
やっぱり、何か隠しているような気がする。)
422
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/18(土) 20:33:50
確かに11期オーデ参加という共通点がありましたね。
その場合の残り2人は岸本、一岡あたりになるんでしょうかw
423
:
名無し募集中。。。
:2016/06/19(日) 02:07:05
11期オーデならマリアとの関係も変わってくるかもねw
424
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/19(日) 17:45:05
「あれ?オダにしては早いじゃん。」
アユミンの声が聞こえたのでオダはビクッとする。
気づけば周囲には連合軍の面々がポツポツと集まり始めていた。
それはつまり、船出の時間が来てしまったことを意味する。
アヤノに質問したいことはまだたくさん残っているというのに、ここでお別れしなくてはならないのだ。
「大佐さん……またね。」
「近い日に再開できることを願っているであります。」
名残惜しく思うオダだったが、アヤノの可愛らしい敬礼を見てクスッと吹き出してしまった。
これが永遠の別れでは無いのかもしれないと考えながら、
整備の行き届いた船へと乗り込んでいく。
(オダ……全てが解決したらまた遊ぼうね。
モーニング帝国で任務中のタグとレナコも呼んでさ。)
場所は代わり、モーニング城の城門前。
そこでは大きな荷物を背負った少女と、大人びた黒髪の女性が話をしていた。
どうやら何らかのトラブルが発生しているようだ。
「あれれ〜!?てがたがどこかいっちゃった!」
「えーーーーー!?どうするのレナコ!それが無いとお城に入れないんだよー!!」
「ちょっとタグ!レナコじゃなくて"クール"ってよんで!ぷんぷん!」
「あっごめん……ってレナコだってタグって言ってるじゃん!あたしは"リュック"だよ!」
「あああああああっ!!!」
「今のアヤパンに言いつけちゃうもんね〜」
「すみません……」
「謝ってももう遅いからね。」
425
:
名無し募集中。。。
:2016/06/19(日) 22:46:42
リュックww
四字熟語のやつか
お前らリーダーの名前ばらすなww
426
:
名無し募集中。。。
:2016/06/22(水) 10:56:45
作者さんは舞台見に行って無いのかな?赤髪えりぽんの格好良さを是非マーサー王でも書いて欲しいんだけどなぁ
427
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/22(水) 12:58:20
ホテルを目指して直進するベリーズ船は、進行速度を通常より落としていた。
連絡係りのリサ・ロードリソースが追い着くために、速度調整をする必要があったのだ。
いつ何処からやって来るのか分からないリサをいち早く見つける目的で、
カントリーのマナカ、チサキ、マイは甲板から周囲を見渡している。
「わっ!なんだろう?あの船……」
こちらに向かって一直線にやって来る船が見えたので、チサキは驚いた。
ベリーズ船のような大型船にも臆することなくUpComing(接近)するその船は、とても異様に思える。
ひょっとしたら海賊が乗っていて、戦闘を仕掛けてくるかもしれない。
あるいは命知らずが船ごと衝突してくるかもしれない。
どちらにしても最悪な未来。
ゆえにチサキは迎撃の体制をとらざるをえなかった。
「お魚さんたち!力を貸して!!」
魚を自在に操るのがチサキの能力だというのは、橋の上の戦いで見せた通りだ。
だが、その真骨頂は今のような海のど真ん中にいる時に発揮される。
この海域に生息する魚類は小魚などではなく、
カジキマグロのような2mを超える大物ばかりなのである。
それも、大量に。
「いけー!!あの船を落としちゃえ!!」
数十ものマグロの大群に突撃されたらどんな大型船だろうとひとたまりもないはず。
あちこちを破壊されて、そのまま沈没するのがオチだろう。
ところが、奇妙な船の乗組員はまるで恐れるような素振りを見せなかった。
それどころか、興奮しているように見える。
「ありゃ〜交戦する気は無かったんだけどなぁ。
でも、相手が魚とあっちゃ……たぎっちゃうよね……」
その乗組員は釣り竿を取り出し、マグロ軍団の方に向かって針を投げつけた。
この行為は誰がどう見ても「釣り」にしか思えない。
そして、その認識には少しの狂いも無かった。
彼女は全てのマグロを釣るつもりなのだ。
「おりゃおりゃおりゃおりゃーーーー!!!」
チサキ、マナカ、マイは信じられないと言った顔でその光景を見ていた。
マグロは一本釣りするだけでも非常に難度が高いというのに、
その釣りバカは超高速で全ての魚を連続して釣り上げてしまったのである。
船に乗り切らないと判断したマグロをキャッチアンドリリースする余裕まである程だ。
一仕事終えた後の釣りバカ、その名もオカマリはとても満足そうな顔をしていた。
「はぁ〜気持ち良かった〜。 次はサメとか呼んでほしいな〜。」
428
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/22(水) 12:59:53
>>425
はい、リュックは四字熟語の時の小道具ですねw
実際の彼女も荷物パンパンらしいです。
>>426
舞台は見てません……映像化したらチェックします!
429
:
名無し募集中。。。
:2016/06/22(水) 13:26:30
じゃあえりぽんレッドの勇姿は半年間お預けか…
430
:
名無し募集中。。。
:2016/06/22(水) 13:41:07
本編にも出るんかw
431
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/24(金) 08:52:28
カントリーの3人に緊張が走った。
仮にもチサキはハルやカリンを溺れさせた実績のある戦士だ。
それがこうも容易く無力化されたので、脅威に感じているのだろう。
では今すぐ船内にいるベリーズ達を呼びに行くべきだろうか?
選択肢としてはそれも良いが、少なくともマナカとマイはそう思っていないようだった。
「ここは私たちだけでなんとかしなきゃならないんだ……名誉挽回のチャンスだからね……」
「うん!そうしよう!」
番長・KAST戦での疲労が完全に癒えた訳ではないが、やらねばならない。
彼女らにとってベリーズの期待に応えられなかったことの方がずっと辛いのだ。
「空から行くよ!その釣り針の届かないところから攻撃してあげる!!」
マナカは全身に白ハト集団「Peaceful」を纏って空へと飛び上がった。
不可侵の空中はまさに彼女の独壇場。
リカコのような天敵がいない限りは圧倒的な強さを見せつけることが可能だ。
「うわっ……空からって、そんなのアリ?……」
「オカマリ、ここは任せて……すぐに散らしてあげるから。」
「おっ、ウオズミちゃん気合い入ってる〜」
「私の"宝物"、魅せてあげなきゃね。」
これからマナカが仕掛けようとしたところで、敵船から耐え難いレベルの爆音が発生した。
どこから鳴っているのかはすぐに分かる。
ウオズミとかいう女性が構えているギターがこの音を発しているのだ。
ギターと言えばアンジュ王国のエンタメを取り仕切るムロタンも好んで弾くと聞くが、
ウオズミの演奏技術はムロタンのそれとはモノが違っていた。
ウオズミのギターが産みだす音圧は周囲の空気、水、そして人の心を震撼させる。
この場を支配する爆音を当てられたため、鳥たちは恐れて逃げてしまった。
こうなったらマナカは天まで登ることが出来ない。
「な……なんなのいったい……そのギターが武器だっていうの?……」
「いや〜、いつもは味方を鼓舞するために弾いてるんだけどね。
ま、動物相手ならこういう使い方も有るってことで。」
ギター使いウオズミは、自分だけでなくカントリー全員の天敵であることをマナカは理解した。
あんなに大きな音を出されたら鳥だけでなく、カエルや魚だって逃亡するだろう。
動物が居なければ並程度の実力しか持たないカントリーにとって、彼女はこれ以上無い強敵だ。
……いや、対抗可能な戦士が1人だけ残されている。
「マイがやる!!」
動物ではなく自分自身を操る哺乳類使いであるマイならば、音にも恐れず戦うことが出来る。
ウサギの跳躍力で敵船に乗り込んで、殴り飛ばしてしまえば勝利なのである。
釣り人もギタリストもガチンコ勝負の白兵戦は苦手に見えるので、マイの有利に思えた。
ところが、その希望もすぐに潰えてしまう。
「その2人に手ぇ出さないでもらえますかね……
さもないと、漆黒の闇から出でし紅蓮の焔によってその身を焼き尽くされちゃいますよ……」
「!?」
黒いローブを纏った大柄の女性が登場したかと思えば、マイの身体が突然発火する。
いや、発火したのはマイだけではない。
距離的に離れているはずのマナカとチサキまで燃え始めたのだ。
「うわあああ!!あ、熱い!!なんで燃えてるの!?」
「落ち着いてマイちゃん!確かに熱いけど本当に燃えてる訳じゃないよ!!
これは……信じられないけど……その人が発しているオーラだよ……」
「え?……それって……」
マナカの助言を聞いたマイは余計に混乱してしまった。
確かにこの炎は実体がない。 その正体はリアルに熱を感じるほど強大な威圧感だ。
だが、これほどのオーラはベリーズやキュート級の英雄でなければ扱えないはず。
ということは、この中二病の女性はそれらに匹敵する実力を持つということになる。
「フッ……これが"ミヤ・ザ・ワールド"」
432
:
名無し募集中。。。
:2016/06/24(金) 16:42:40
時止めちゃえば良かったのにw
433
:
名無し募集中。。。
:2016/06/25(土) 06:20:54
>>428
『クロックアップ』する仮面ライダーイクタ是非見てほしかった…w
434
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/25(土) 23:04:02
"熱"に関連した殺気を出す者ならばベリーズにも存在している。
DIYの申し子であるチナミが放つのは「太陽」のオーラ。
明るさの度を超えた太陽光線は周囲の全てを真っ黒コゲにする……というのはマナカ達も知っていた。
ところが、このマリンとやらが起こした熱はそれとは種類が違うようだった。
(熱すぎる……まるで身体の中を燃やされてるみたい……)
外から熱するチナミとは違って、この炎は内部を容赦なく燃やし尽くそうとしている。
つまりはレアやミディアムではなくウェルダン。
カントリー達は鉄板の上で焼かれる肉になったような思いを強いられていた。
このまま圧倒されたまま終わってしまうかと思ったところで、
マリンの頭をポンと叩く者が現れる。
「あ、痛……」
「こらマリン!オーラの横取りしない!」
「はい……すいません……」
派手な髪色と化粧をしたその木刀使いは、これまで登場してきた釣り人、ギタリスト、中二病と比べるとかなり小柄だ。
だが、只者ではないことは肌で感じることが出来た。
そもそも火炎のオーラを発したのがマリンだという認識が誤りだったのである。
値する人は、レイニャだけ。
435
:
名無し募集中。。。
:2016/06/26(日) 12:11:30
ついにレイニャ参戦…か?
そうなるとエリリンがどうなってるか気になるところ
436
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/06/29(水) 12:42:16
次回更新は明日の夜頃になります。
過去ログの復旧も近いうちにやらなきゃ……
437
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/01(金) 05:04:39
レイニャ本人が登場したことで、マナカ、チサキ、マイの3名は完全にビビりあがってしまった。
カントリーの3人だって食卓の騎士モモコに鍛えられた戦士ではあるが、
このレイニャを前にすれば誰もがイクジナシになるのだ。
追い返さねばならない立場だというのに、恐怖で少しも動けない。
「そこ通してもらっていい?用があるっちゃけど。」
レイニャは手にもった木刀で船内へと続く扉を示した。
その中にはベリーズやマーサー王、そしてサユが体を休めているため絶対に通す事など出来ないのだが
敵の側を向くだけで全身が灼熱に焼かれる思いなので、どうすることも出来ない。
そのように困窮していた時、逆に扉の方から誰かが出てきた。
船外の異変に気付いたミヤビとモモコが駆けつけてくれたのだ。
これには泣きそうになっていたチサキも一安心。
「た、助けてください!私たちじゃその人を止められないんです!」
謎の人物レイニャの威圧感が食卓の騎士と同等であることは疑いようがない。
それはチサキだけでなく、他のカントリーのメンバーだって認めている。
だが、こちらにはその食卓の騎士が2人もついているのだ。
相手側には釣り人・オカマリ、ギタリスト・ウオズミ、中二病・マリンも居るには居るが
正直言って3人合わせたところでベリーズ単体の1/10の実力にも満たない。
ゆえに難なく敵船を追っ払うことが出来るはずだった。
……のだが、ミヤビとモモコは信じられないような行動を取り始めていく。
「なんだレイニャか、久しぶりだね。」
「お〜ミヤビとモモコやん!てことはやっぱり、その中におるんやね。」
「せっかくだからちょっと顔見せてく?」
「行く行く〜」
その行為とは素通し。
なんとミヤビとモモコは少しも交戦することなくレイニャを船内に入れてしまったのだ。
カントリーの3人が呆けていたところで、敵船(だと思っていた船)から知った顔が登場する。
その人物とは同じくカントリーの一員であるリサ・ロードリソースだった。
とてもバツの悪そうな顔をしている。
「リサちゃん!」「なんでその船に乗ってるの!?」
「えっとね、なんて言えばいいのかな……その人たちはね、敵じゃないんだよ。」
リサはレイニャ達が自分をこのベリーズ船まで連れて行ってくれたこと、
オカマリ、ウオズミ、マリンの3人は見た目と違って全然怖い人では無いこと、
そして、レイニャと食卓の騎士は昔なじみであることを説明した。
「ちょっと待ってリサちゃん!ベリーズ様と知り合いで、しかもあれほどのオーラってことは……」
「マナカちゃんの想像通りだよ。レイニャ様は元モーニング帝国剣士。それもプラチナ剣士と呼ばれた時代のお方なの。
つまりは……サユ様にとってはこれ以上無いほどの友(とも)ってこと。」
438
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/01(金) 05:05:20
なんやかんやで朝になっちゃいました。
ちなみにエリチンは再登場の予定はありません。
最近話題になってるリンリンも出ませんねw
439
:
名無し募集中。。。
:2016/07/01(金) 13:14:08
出ないのか〜残念…アップフロントに残ってるかどうかが出る出ないの基準なのかな?
440
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/02(土) 16:35:12
モモコの案内で、レイニャはとある場所に招き入れられた。
ここはベリーズ船の中でも一位二位を争うほどに重要な空間。
カントリーの若手たちが外敵の侵入をなんとしてでも阻止したかった部屋なのだ。
「レイニャ?……」
「お、サユ。」
ここはサユの部屋。
捕虜を閉じ込めておくには少しばかり、いや、かなり豪華な造りになっている。
レイニャに気づいたサユは上体を起こして、いかにもわざとらしい声色でこう言うのだった。
「助けてレイニャ〜! 私ね、囚われの姫君になっちゃったの〜」
「はいはい。」
「ちょっと、その反応はなんなの?」
「だってそのノリに付き合うのは疲れようやん。」
何年かぶりの再会だと言うのに、二人の間に感動のようなものは無かった。
まるで昨日も顔を合わせたかのような対応だ。
それに、レイニャは同期のサユを全く心配していないように見える。
「ちょっとは可哀想と思わないの? 普通は私をここから救い出そうとするもんじゃない?」
「ハハッ、その必要は無いっちゃろ。」
「ん……まぁね。 」
「それくらい分かるよ。馬鹿にせんといて。」
結局レイニャはサユと少し会話しただけで外に出て行ってしまった。
本人曰く、ちょっと顔を見れただけで十分らしい。
満足そうな顔で自分の船に戻ろうとするレイニャを、ミヤビが引き止める。
「なぁ、ちょっと聞いていいかな?」
「なん?」
「そっちの船に乗ってる3人は……レイニャの後輩ってこと?」
「そう! 右も左も知らないヒヨッコやけん、ビシバシ鍛えとーよ。
ま、それでもモモコの後輩よりは一歩先に進んでるようっちゃけどね〜」
「そうか……昔のレイニャを知っているだけに未だに信じられないな……」
「もう、さっきから何なん?」
「いや、私にも後進を育てることが出来るのかなって思ってね……レイニャや、モモコがやっているみたいに。」
「いいんじゃない?一度きりの人生なんやし好きにやってみたら?」
441
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/02(土) 16:38:32
所属で登場人物を区分けしているわけでは無いですが、
やっぱり目につくと書きたくなるものなので、
アップフロントにいる方が登場し易いかもしれませんね。
ひょっとしたら第3部にはヒカルン(仮称)やニヘイ(仮称)が出てくるかも……w
442
:
名無し募集中。。。
:2016/07/02(土) 21:00:39
出てくるのか!?w
3部はどういった話になるのか今から楽しみ♪
443
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/03(日) 13:14:25
「ねぇハーチン!ハルナンさんが帰ってきた!」
「そやな。でも、ハルナンさんと一緒におる二人は誰なんやろ?」
モーニング城で留守番をしていた新人剣士4名は、帝国剣士団長であるハルナンの帰還を待ちわびていた。
ここに戻ってきたということは、新人の力が必要になったということ。
待機命令が解除されて、戦場に赴くことが出来るのを喜んでいるのだ。
大きなリュックを背負った少女たちと別れたハルナンがこちらにやって来るのを見て、
ハーチン、ノナカ、マリア、アカネチンは心臓が破裂するくらいにドキドキしている。
「待たせたわね、あなた達……準備は出来てる?」
「「「「はい!」」」」
「じゃあさっそく向かいましょう。プリンスホテルへ。」
「ホテル……ですか?」
ハルナンは移動しながらこれまでの経緯を説明することにした。
ハルナンがマーサー王国を経った時点では誰もベリーズの所在を掴めていなかったが、
優秀な伝令係のおかげで次の戦場がプリンスホテルであることが判明したとのこと。
「ベリーズとはもう既にアリアケで交戦したそうよ。
どんな戦いだったのかは流石に分からないけど、死傷者は居なかったみたいね。」
「Wao! 伝説のベリーズ戦士団と戦って無事だったのは凄いですね。
さすが帝国剣士の先輩たち……ノナカみたいなドジとは違うなぁ……」
「活躍したのは帝国剣士だけじゃなくて、番長やKASTもなんじゃない?
そうそう、アンジュの番長にはリカコっていう新人もいたわね。」
「えー!?新人なのにもうベリーズと戦ったってことですか? 凄い度胸やなぁ。」
「何言ってるの。ハーチン達もこれから共に戦うのよ?」
「あはは……そうなんですけどね、まずは後方支援からさせてもらいたいなぁ……とか言ってみたりして。」
ハーチンは苦笑いで頭をかいていた。
ノナカやアカネチンも頷いていることから、同意見であることが分かる。
唯一やる気に燃えているのは、マリアだけのようだ。
「マリアは前線で戦いたいです!」
「おお、気合い入ってるのね。」
「サユ様をお助けするために、マリアのナイフを投げつけてやるんです!!!」
そう言うとマリアは愛用する投げナイフをぶん投げた。
真っ直ぐのストレートを放ったはずが、行き先は何故か後方。
どうやらスランプは継続中のようだ。
アカネチンが呆れながらツッコミを入れていく。
「マリアちゃん……そんな腕前でどうやってベリーズを倒すつもりなの。」
「ズルいアカネチンは黙ってて!」
「はぁ!?ズルいって何が!?」
「マリアの方がサユ様のことを大大大好きなのにアカネチンばっかり可愛がられてズルい!!」
「え?こんな時に何を言ってるの……」
「マリアがサユ様を救うんです!だからハルナンさん!マリアが活躍する作戦を考えてください!!!」
この時のハルナンの表情は、かなりウンザリしていた。
そしてあろうことか、この場に馬を止めてしまったのだ。
新人剣士が事態を把握するよりも早く、口を開いていく。
「ホテルに向かうのは止めましょう。」
「「「「え!?」」」」
「今のあなた達を戦場に連れて行っても足手まといになるだけ。」
「What?……じゃあ私たちはどうしたら……」
「目的地を変えます。 とても厳しいコーチに性根を鍛え直してもらいましょう。」
「「「「え〜〜〜〜!?」」」」
444
:
名無し募集中。。。
:2016/07/03(日) 17:55:08
とても厳しいコーチ…いったい誰なんだ?12期と関わりある人で厳しい人と言うと…
445
:
名無し募集中。。。
:2016/07/04(月) 00:14:34
○っ○ぃー・・・かな?
446
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/04(月) 12:59:51
目的地を変更したハルナン一行の道中はほとんど無言だった。
新人剣士4名も色々と気になることがたくさん有ったのだが、
叱られた以上、気軽に声をかけることが出来ないのである。
会話の無いまま目的地に到着するのかと思ったところで、
マリア・ハムス・アルトイネがいかにも泣きそうな声を発していく。
「ハルナンさ〜ん……マリアのこと嫌いになっちゃいましたか〜?……」
研修制時代にトップクラスの成績を収めていたのが信じられない程に、今のマリアは情けなかった。
二刀流の異名を持つ実力者とは言っても、精神年齢は年相応なのだろう。
ここで突き放すのは流石に可哀想だと感じたハルナンは、優しく答えることにする。
「嫌いでは無いのよ。 みんなの事は可愛い後輩だと思ってる。」
「でも〜さっき怒ったじゃないですか〜……うううぅ……」
「……あなた達に戦士としての自覚が不足しているから叱ったの。」
「自覚?……」
新人剣士たちの実力が折り紙付きであることはお披露目会で示した通りだ。
だが、それだけではまだ足りないとハルナンは考える。
「単純な戦闘能力なら私は新人のあなた達にも劣るでしょう。」
「そんな事は!」「ハルナンさんの方が強いですよ!」
「いいのよ気を使わなくても。 自分の実力は自分がよく知っているから。
でもね……実践となったら私はあなた達4人が同時にかかってきたとしても負ける気はしない。
これは驕りなんかじゃなくて、確信よ。」
「へ?……ハルナンさん。それはどういうことですか?」
「その答えは、厳しい厳しいコーチに教えてもらいましょう。」
そのコーチが誰なのか、新人剣士たちは気になってしょうがなかった。
アカネチンもその件についてついつい訪ねてしまう。
「コーチって、誰なんですか? 私たちが知ってる人なんですか?」
「多分知らないんじゃないかな……モーニング帝国出身らしいけど、私もお会い出来たのはつい最近だしね。」
「どんな人……なんですか?」
「えっと、アカネチンはアンジュ王国のアヤ王とマロ様のことを知ってたわよね?」
「はい。知ってます。」
「あの二人と同じくらい強い……って言ったらイメージ湧くかな?」
「「「「!?」」」」
アカネチンだけでなく、他のメンバーもアヤ王のことは知っていた。
過去の選挙戦にて現モーニング帝王のフク・アパトゥーマが大苦戦したというのは有名な話なのだ。
「Oh my god! そんな人に今から会いに行くんですか!?」
「会いに行くっていうか……もう後ろにいるよ?」
「「「「え?」」」」
「跪くのよ。」
447
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/04(月) 13:00:19
みっつぃー、という回答はとても惜しいですw
448
:
名無し募集中。。。
:2016/07/04(月) 18:07:32
ごめんなさい、よっすぃーのつもりでしたw
ドッキリの時のことを思い浮かべて3人のうちで出てくるとしたら吉澤さんかなと思っていたのですが
結局どれも違ったようでw
449
:
名無し募集中。。。
:2016/07/04(月) 21:04:30
俺もよっすぃーだと思ってたwでもそれだとアヤチョ・マロ同程度って事は無いだろうし…
450
:
名無し募集中。。。
:2016/07/05(火) 01:10:23
キッカ復活きたあああああああ!!!!
451
:
名無し募集中。。。
:2016/07/05(火) 05:15:39
なる程キッカか!それならモーニング帝国出身でアヤチョ・マロクラスも納得!でも12期と絡みあったかな?
…って推測してると作者さん更新し辛くなるかな?w
452
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/05(火) 09:18:22
正体は次の更新で書くので置いておくとして、
ヨッスィーは全く頭にありませんでしたw
つまりこういうことですね。
ヨッスィー「歴代の王で誰を尊敬してるの?」
マリア「サユ様です……」
アカネチン「ヨッスィー様です。」
マリア「!?」
453
:
名無し募集中。。。
:2016/07/05(火) 09:47:01
うんそれが見たかったwでもまぁ実際あのオーラの前でもマリアがサユ王と言えるのか?ってのもあるけどw
454
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/05(火) 13:02:29
モーニング帝国は歴史ある国ゆえに、仇なす者や害を及ぼす者も少なくなかった。
そのような反逆者らは基本的には帝国剣士の手によって罰せられるのだが、
そこで命や尊厳まで奪い取ることまでは良しとしていない。
その者が改心して国のために働いてくれるのであれば、積極的に有効活用したいと考えているのである。
元とは言え犯罪者をおおっぴらに使うことは出来ないため、そういった人物のリストはごく限られた者しか知りえていない。
その権限を持つ一人がハルナンであり、これまで説明してきた「改心した仇なす者」こそが今回のコーチというワケだ。
もっとも、リストに載るような人物は一癖も二癖もある厄介者ばかりではあるが……
「跪くのよ。」
「!?」
背後から聞こえるただの一言で、新人剣士は恐怖で縮み上がってしまった。
そして言われるがままに地べたに跪くのだった。
新人とは言え彼女らは帝国剣士。まったくもって情けないように見えるかもしれない。
だが、依頼主なはずのハルナンが大汗をかきながら「厄介者」の圧力になんとか耐えようとしていることからも、
新人らのとった行動がさほど恥ではないことが分かるだろう。
前にもハルナンが言った通り、このコーチはアヤ王やマロと同等の実力を持っている。
それは即ち、「食卓の騎士に最も近い存在」であること。
食卓の騎士やサユ、レイニャのように可視化したオーラを出すことまでは出来ないが、
周囲を屈服させるほどの威圧感を出すことくらいは容易いのである。
「ふーん。今の新人剣士の実力はこの程度なのね。」
他者を跪かせる威圧にも驚かされたが、それ以上にコーチ自身のビジュアルに一同は驚愕した。
モーニング帝国剣士の中では高身長の部類に入るマリアと同じくらいに背が高く、
更にワガママで爆発的なボディをしているため、印象としてはかなり大柄に見える。
そして極めつけなのは胸をあからさまに強調する派手な衣装だ。
薄くて軽いハルナンとハーチンが思わず自身の胸をサッと隠してしまうほどである。
サンバのカーニバルにでも出場できそうなその服は、並の神経をしていたら到底着れないだろう。
こんな馬鹿げた見た目をしているが、この場にいる誰よりも強者だというのはすぐに理解できた。
「キッカ様、本日は宜しくお願いします。」
「"本日"で終わるかな〜? キッカはどうせ暇だし、何ヶ月も付き合ってあげてもいいけどね?」
455
:
名無し募集中。。。
:2016/07/05(火) 13:53:34
歌ダンス演技スタイルとグループの看板に頼らない本人だけの実力であれば実際のきっかに勝てるやつなんてそうはいないからな
456
:
名無し募集中。。。
:2016/07/05(火) 13:57:01
こうなるとアスリートみたいな7人組の登場にも期待
457
:
名無し募集中。。。
:2016/07/05(火) 15:15:51
キッカだったのか!ことごとく予想が外れたwアイカへの憎しみは消えたんだろうか?こうなると地下の皆様の出番も在りそうだなw
458
:
名無し募集中。。。
:2016/07/05(火) 17:49:19
キッカはついに青の鎧を脱ぎ捨ててしまったか・・・
459
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/06(水) 12:58:39
キッカは胸の谷間に手を突っ込み、そこから十数枚のチャクラムを取り出した。
手のひらサイズの小型な武器とは言え、それが胸に何枚も入るような肉体の持ち主は限られるだろう。
「ハルナンちゃん、これできる?」
「……出来ると思います?」
帝国剣士でこんな芸当が出来るのは胸を絆創膏入れにしているカノンくらいだろうが、
この件はさほど重要ではないので一旦置いておこう。
大事なのは、ここから始まるんだ!
「早速特訓を始めましょ。 ルールは簡単。生き延びるだけ。」
「「「「!?」」」」
そう言うなりキッカは10枚、いや、13枚のチャクラムを新人剣士に向かって投げつけた。
得物自体はよくある投てき武器だが、キッカのパワーでブン投げられれば殺人兵器へと変化する。
しかもそれが13個も同時にやってくるのだから、しっかりと見極めなくてはならない。
「刃が高速回転してやって来とるワケか……ほな、回転には回転や!!」
既にスケート靴を履いていたハーチンは、左足を軸としてグルグルと回転し始めた。
フィギュアスケートのスピンという技術を用いることによって、
右足のブレードに加わる力と速度を増加しているのである。
強烈なスピンからの蹴り上げでチャクラムなんか跳ね除けてやろうと思ったのだが……
「ハーチン駄目!避けて!」
「アカネチン何を言うて…………なっ!?これは!!」
スケート靴に衝突したチャクラムは、跳ね除けられるどころか更に勢いを増して突き進んできた。
回転力に関しては互角に思えたが、何故にハーチンは押し負けそうになっているのか?
それは、ハーチンとキッカのそもそもの体格差にあった。
「技術はなかなかだけど、ちょっと細すぎだよね。
そんな身体で力出てる? ちゃんと朝ごはん食べてる?」
460
:
名無し募集中。。。
:2016/07/06(水) 13:13:03
現帝王もできそうだが
461
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/08(金) 12:59:30
チャクラムを蹴り落とすつもりが、逆にハーチンの方が体勢を崩されてしまった。
捌ききれなかった刃はそのまま直進を続け、
ノナカ、マリア、アカネチンの方へと向かっていく。
ここで一歩前に出たのはマリアだった。
両手剣「翔」を握ってバッターボックスに立った彼女の表情は、いつもと違って真剣そのものだ。
チャクラムどころか大気そのものを吹き飛ばすほどの勢いで、マリアはスウィングする。
「えいっ!!」
細身の強打者マリアのバッティングは素晴らしかった。
直接叩くことのできたチャクラムを数十メートル先に送っただけでなく、
それ以外も風圧の力だけであさっての方向へと飛ばしてしまった。
豆腐が主食のハーチンとは違って、マリアはハムが大好物。
その分だけ力が付いていたのだろう。
この成果にはキッカも驚いたようだ。
「すごーい! アレを全部飛ばしちゃうなんて……」
「えっへん! 次はあなたを倒しちゃいまりあ。」
「でもね……私のチャクラムは飛ばされても戻ってきちゃうんだよなぁ……」
「え?」
遠方に飛ばされた以外の全てのチャクラムがUターンをし、
四方八方からマリア達を襲いにかかった。
意思があるかの如く自由自在に動く刃の秘密は、キッカの投擲技術にある。
彼女の投げるチャクラムは、勢いを殺されない限り、いつまでも対象を追い続けるのである。
「更に、5枚追加しちゃいまーす。」
キッカは谷間から5枚のチャクラムを取り出し、後付けで新人剣士たちに投げつけた。
この時期を微妙にズラしたアフターファイブがなかなかに嫌らしい効果を発揮する。
全ての刃が同時に到達するのであれば、マリアのバッティングで吹っ飛ばすことが出来るのだが、
一振りで処理できないような絶妙な時間差で来るように計算されているため、
新人剣士たちは互いに協力する以外に助かる道はなかった。
となれば司令塔の役割を担うアカネチンの腕の見せ所なのだが……
「マリアちゃんは戻ってくる刃をもう一度吹き飛ばして!
後から来るのは私とノナカちゃんでなんとかしよう。」
「そんなのじゃダメ!アカネチンは黙ってて!」
「マリアちゃん!?……何が言いたいの?……」
「全部マリアがやるからみんなは見てて。あの人はマリアが倒すから。」
「ちょっと!今はそんなこと言ってる場合じゃ!」
462
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/08(金) 13:00:25
はい、フクもチャクラムの出し入れは可能ですねw
AAAの皆さんは残念ながら……
463
:
名無し募集中。。。
:2016/07/09(土) 12:59:34
魍魎拳奥義・龔
464
:
名無し募集中。。。
:2016/07/09(土) 13:00:26
髪斧無限還
465
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/11(月) 12:32:25
次回更新は明日の夜になりそうです
466
:
名無し募集中。。。
:2016/07/11(月) 13:25:23
アフターファイブw
467
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/13(水) 04:11:28
すいません、昼までには書きます
468
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/13(水) 12:57:40
自暴自棄にもとれるマリアの行動はあながち間違いでもなかった。
彼女の狙いは直接キッカを討つこと。
どんどん追加されて無尽蔵に増え続けるチャクラムを処理するよりは、
キッカを倒して出所を断つことこそが生き残る唯一の道だと考えたのである。
しかし、そこには2つの過ちがあった。
1つはマリアの実力ではアヤ王やマロに匹敵するキッカを負かすなんて到底不可能なこと。
そしてもう1つは……
「マリアの魔球で決めるよ!!!えいっ!!!」
そのキッカに攻撃を当てる手段が投げナイフであることがそもそもの間違いだったのだ。
一定の距離が離れている以上、ナイフを投げて攻撃するというのは確かに有効そうに思える。
だが、ご存知の通りマリアの投げナイフの腕前は絶賛スランプ中だ。
キッカの投擲技術をメジャーリーグとするならば、マリアのそれは草野球にも満たない。
結果、いつものように予期せぬ方角へ大外しするのがオチだった。
「あああああああああっ!!」
十中八九こうなることはマリアだって分かっていた。
それでも、気合いのこもった投球ならなんとかなるかもしれないという淡い期待を抱いていたのだ。
確かに窮地に覚醒する戦士だって居るだろう。
ただ、マリアの覚醒の時は今のこの場では無かったようだ。
バッティングを放棄してピッチングに注力した今のマリアは無防備に近い状態にある。
そんなマリアに複数のチャクラムが無慈悲に襲いかかっていく。
「いやあああああ!」
「マリアちゃん怖がらないで、battingの準備をして。」
「ノナカちゃん!?」
パニックになりかけたマリアを護るように、ノナカは紐付きの忍刀「勝抜」をビュンビュンと振り回していた。
この軽い刀ではパワフルなチャクラムを叩き落とすことまでは出来ないが、軌道を反らす程度なら可能だ。
音速に近いスピードで飛び回る刀身によって複数の刃を同時に防いでいる。
「ノナカのPowerじゃこれが限界……マリアちゃんの強打で打ち落として!」
「うん!マリアやるよ!」
崩れ落ちる寸前だったマリアを持ち直したノナカを見て、キッカは感心した。
自分勝手な戦士な多い昨今では稀有なバランサーだと感じたのだ。
1人で突っ込みがちなハーチンやマリアとはまた異なるタイプの戦士だと言える。
「あれ……ねぇねぇハルナンちゃん。」
「どうかしました?」
「アカネチンって子、どこいった?」
469
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/15(金) 12:59:55
これまでのキッカは、チャクラムの旋回する範囲のみを注視していた。
ターゲットはそのエリア内に存在するため、それ以外の箇所をわざわざ見る必要が無かったのだ。
しかし、対象が消えたとなれば集中する範囲を拡大しなければならない。
周囲の気配を敏感に察知して、アカネチンが後方から迫ってきていることを把握する。
(いつの間に後ろに?……まぁいいや、一発殴ってビビらせちゃおっと。)
無数のチャクラムを掻い潜った努力は認めるが、それもここまで。
キッカは遠距離攻撃を得意とするが、肉弾戦だってそんじょそこらの兵では敵わなぬほどに強いのである。
アカネチンのような子供が相手ならジャブの一発で無力化出来るだろう。
そのような風に終わりまでの道筋を冷静に考えていたキッカだったが、
振り返ってアカネチンと対面するなり、急に取り乱してしまう。
「えっ!?……その眼は……!!」
アカネチンが思ったより近くに迫っていたことも、
手に握った印刀が今まさに喉元に突きつけられようとしていたことも、
キッカを動揺させるには不十分な要素だった。
では何がキッカの心を惑わせたのか、それはアカネチンの"眼"にあった。
まったく光の通っていないその無機質な眼に、全てを見透かされているような気がしてならなかったのだ。
戦士としての経験が豊富なキッカは、その眼がどういう性質を持つものなのかすぐに理解した。
つまりアカネチンはチャクラムとキッカ自身の行動パターンを100%に近い精度で把握し、
安全にここまで辿り着けるルートを見つけた上で、刃を喉に突きつけるまでに接近したというわけだ。
平然とそこまでやってのけてしまう、この異様な眼が、キッカのトラウマを呼び起こす。
「近寄るなっっっっ!!!」
キッカは無意識のうちに、アカネチンの脳天を硬い握り拳でブン殴っていた。
身体能力自体は同期に遠く及ばないアカネチンがこのゲンコツに耐えられるはずもなく、
たった一撃でその場にぶっ倒れてしまう。
アカネチンが完全に寝っ転がったところで、キッカも我に帰る。
そして非常にバツの悪そうな顔をしながら、こう呟くのだった。
「うわ〜……やりすぎちゃった……」
470
:
名無し募集中。。。
:2016/07/15(金) 13:57:10
あの眼は怖いからな〜
471
:
名無し募集中。。。
:2016/07/15(金) 16:36:53
いまだにキッカはアイカの呪いから抜け出せてないのか?
472
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/16(土) 12:49:36
アカネチンが倒れたことにショックを受けたノナカとマリアは、僅かな時間ながらも気を抜いてしまった。
そんな状態ではキッカの猛攻を受けきれないことは明らか。
場合によってはキャベツの千切りのように全身を切り刻まれることだって有りえるだろう。
それを瞬時に察知したキッカは、今まで使用していたものと比べてやや小さめなチャクラムを投げつけた。
この小型版は他のチャクラムを制御する目的で作られており、触れた円盤が即座に旋回を停止するような動きになっている。
キッカの腕前が熟練の域に達しているからこそ出来る神業と言えるだろう。
おかげでノナカとマリア、ついでに未だに倒れこんでいたハーチンは無傷で済むことができた。
もっとも、死が寸前まで迫っていたおかげで一人残らず腰を抜かしてしまっているようではあるが。
「umm……死ぬかと思った……」
「そう、私が攻撃を止めなかったら間違いなく死んでたよ。
じゃあ全員生き残ることができなかったってことで、今日の特訓は終わりにしよっか!
ぶっちゃけもう疲れたし、また明日よろしく!」
「「「え!?」」」
一秒でも早く他の帝国剣士たちと合流しなくてはならないというのに、
ここで更にもう一日足止めされるなんてたまったもんじゃない。
ハーチン、ノナカ、マリアの3人は反発したくもなったが、それより先にハルナンが釘を刺した。
「あなた達、これから挑むべき相手がトドメの一撃を親切に止めてくれるとでも思ってるの?」
「それは……」
「お優しいキッカ様の特訓もまともにこなせないのに、どうやってベリーズと善戦出来るというのかしら?」
「「「……」」」
「キッカ様は無理難題を課してはいないでしょ?ただ生き残るだけでいいの。
逆に言えばそれすら出来ないようじゃ戦地に行っても足手まといになるだけ。」
容赦なく捲し立てるハルナンを前にして、新人剣士たちは何も言うことができなくなっていた。
やはり彼女らも己の不甲斐なさを十二分に感じているのだろう。
この光景を遠隔から監視している二人も、不憫に感じているようだった。
「あの子たちもよくやってる方だと思うけどな〜……"ガール"もそう思わない?」
「あ、意外にちゃんと特訓を見てたんですね。てっきりキッカ様ばかり見てたと思ってました。」
「え〜〜?なんでそんなこと言うのさ」
「だって双眼鏡を覗くなりすぐにキッカ様のサンバ衣装を見てたじゃないですか、"ロッカー"はいつもそう。」
「そ、それは、下心とかじゃなくてね、あの衣装を着た時の戦い方について考えてただけ!」
「着ますかね?私たちがあんな派手な衣装を……」
「着るかもしれないじゃん!もしもの話!」
473
:
名無し募集中。。。
:2016/07/16(土) 21:29:51
ロッカーの助平顔はヤバイからなw
と言ってる間にもアンジュ国にまたしても新番長が!
474
:
名無し募集中。。。
:2016/07/17(日) 06:29:15
キャベツの千切り懐かしいw
475
:
名無し募集中。。。
:2016/07/17(日) 09:43:21
確かにサンバの衣装着ることになったなw
新番長はまたCMでの御披露目だけかな?
476
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/18(月) 02:48:58
キッカとの特訓で結果を出せず、その上ハルナンにこってり絞られた新人剣士達は
アカネチンが意識を取り戻すのを待って、元気なくその場を離れていった。
その意気消沈っぷりが遠くから見ている"ロッカー"には気になったようだ。
「ねぇ、"ガール"、ちょっとくらいなら声かけても良いと思う?」
「駄目って言いたいけど……"タイサ"が既にやっちゃったみたいですからね……」
「はは、そういや帝国剣士に友達がいるって言ってたね。」
「だから1回だけ大目に見ます。ちなみに、誰と話すつもりなんですか?」
「マリア・ハムス・アルトイネ。ここで助言してあげないと、あの子はずっと抜け出せられない気がするんだ。」
「抜け出せないって……この特訓からですか?」
「いや、彼女を縛る呪縛から」
呪縛という言葉を聞いたガールは少し浮かない顔をした。
そして自分の胸に手を当てたかと思えば、泣きそうな声で一言呟く。
「私たちの呪縛もアドバイスを貰うだけで解ければいいんですけどね……」
「……そっちの方はさ、時間をかけて解決していこうよ。みんなで力を合わせて、ね。」
ロッカーとガールがこんな話をしている一方で、
キッカとハルナンの2人は本日宿泊するコテージの中に入っていっていた。
これから今回の特訓の講評を始めるようだ。
「キッカ様の目から見て、あの子たちの戦いっぷりはいかがだったでしょうか?」
「90点かなー」
「あれ!?意外に高評価なんですね……」
「200点満点中ね」
「あ、はい……」
正直言ってハルナンはキッカのことが苦手だった。
真面目に考えているのか、それとも適当にしか物事を判断していないのか、まったくもって掴めない。
同じ癖がある人物とは言え、まだ直情的に行動するアヤチョの方がよっぽど付き合いやすいだろう。
しかし現状キッカ以外に頼れる人物が居ないのも事実。
一刻も早く新人たちを一人前にするためにハルナンは打ち合わせを進めていく。
「90点の内訳、聞いてもいいですか?」
「んー、実力そのものは褒めても良いと思うよ。みんな一芸に秀でてていいじゃんいいじゃん。
ハーチンちゃんの回転力、ノナカちゃんのサポート、マリアちゃんのバッティング、そしてアカネチンちゃんの眼……
どれも一線級だよ。さすが帝国剣士に受かる子は違うね。」
「ということは、実力以外に問題があると……」
「メンタル弱いね。みんな」
「はい……」
「あと、なんとしてでも勝ってやろう、って思いが弱いかなー」
「はい……」
元々思うところのあったハルナンは、キッカの指摘を受けて痛いところを突かれたような顔をした。
お披露目会のように、相手が一般兵であれば帝国剣士らしい強さを見せる新人4人ではあるが、
ちょっと相手が強くなるとすぐに動揺し、ハーチンやノナカのように消極的になったり、
はたまたマリアやアカネチンのように無鉄砲かつ無謀に突っ込んだりしがちなのである。
中でも、ハーチンのとった行動はひどいものだとハルナンは考えていた。
「特にハーチンの戦い方は失礼に値するものでしたね……お恥ずかしい限りです。」
「ん?何が?」
「えっ、気づきませんでしたか?……彼女はまだ戦えたんですよ。だと言うのにずっと倒れたフリをしていたのです。」
「気づいていたけど」
「でしたら、何故?」
不慣れな特訓に四苦八苦しながらも、ノナカとマリアとアカネチンの3人は少なくとも頑張ろうとはしていた。
だが、ハーチンはその土俵にも上がろうとしていなかったのだ。
ただの一回チャクラムを防げなかっただけで勝負を放棄……ハルナンにはそう見えていたのである。
ところがキッカはまるで異なる感想を抱いていたようだった。
「あのハーチンって子、ハルナンちゃんに似てるかもよ?」
「はっ!?いったいどこが……体形の話ですか?」
「いやいや体形の話はしてない。
じゃあ聞くけどさ、ハルナンちゃんが同じ特訓をするとしたら、どう切り抜ける?」
不意に問われたのでハルナンは少し驚いたが、しっかりと頭をブレインストーミングさせて考えた。
そして確実に達成できると思われる答えを口にしていく。
「偶然そこを通りかかったアヤチョがキッカ様に斬りかかります。
その間、私にチャクラムは飛んできません。無事生き残ることができるのでミッション達成です。」
「えー?アヤチョ王は通りがからないでしょ」
「通りがかるんですよ。不思議なことに。」
確固たる自信を持つハルナンを見て、キッカはつい吹き出してしまった。
そしてやはり自分の考えが正しかったことを理解する。
「あはは、やっぱり似てるよ。ハルナンちゃんとハーチンちゃんは。」
「???」
477
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/18(月) 02:51:39
毎度のことですが、笠原桃奈の加入はびっくりでしたねw
以前にも書きましたが私は研修生の診断テストを見に行っていたので(
>>296
)
加入の納得度自体はとても高いです。
本作への登場は第3部か、あるいはおっしゃる通りCMですかねw
478
:
名無し募集中。。。
:2016/07/19(火) 00:07:05
出来たら本編に出て欲しいなぁ〜3部始まる頃にはカミコと共にモモニャ(カッサー?)もキャラ出来てるだろうし
てかそうこう言ってる間に帝国剣士にも13期が加入…収集つくのか?w
479
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/19(火) 13:00:25
新人剣士たちは苦悩していた。
キッカの課した特訓をクリアーする方法が、どんなに頭を捻っても思いつかないのだ。
ハーチン、ノナカ、マリア、アカネチンら新人剣士には、
Q期団や天気組団のように明確なリーダーが定まっていない。
そのせいもあってか、彼女らは集まって知恵を交換するわけでもなく、個人行動をとっていた。
そんな彼女らの中でも特に思考するのが苦手なマリアは、
行き場のないモヤモヤを身体を動かすことで発散しているようだ。
「早く!サユ様を!助けなきゃ!」
マリアは両手剣の素振りを何百回も、何千回も繰り返す。
このパワフルなスイングをもってすれば、大抵の敵は簡単に打ちのめすことが出来るだろう。
しかし、キッカ相手には通用しなかった。
バッティング技術だけでは、相手が遠距離攻撃の使い手である場合に有効打を与えることが困難なのである。
となると、ミッションをこなすためにマリアがすべきことは……
「マリアさ、投げナイフの方は練習しないの?」
「!?」
急に名前を呼ばれたのでマリアはびっくりしちゃいまりあ。
しかもその声の主にまったく見覚えが無いので困惑してしまう。
「だ、だれ?……」
対面しているのは、男かも女かも分からない人物だった。
かなりの低身長なので、自分より年下だろうとマリアは推測する。
こんな子供、マリアは今まで見たことも話したことも無い。
「あぁ、心配しないで、マリアと俺は初対面なんだから知らなくて当然だよ。
俺のことは"ロッカー"って呼んで欲しいな。よろしく。」
「ろっかー?……どうしてマリアのことを知ってるの?……」
「どうしてだろうね?でも、そんなことはどうでもいいじゃん。」
「?」
「今はさ、マリアがナイフを投げるか投げないかが重要なんだから。」
「!?」
顔に出やすいマリアは、嫌悪感を全面的に表情に出していた。
心のデリケートな部分に土足で入り込まれたような気がして、嫌で嫌で仕方ないのである。
「はは、そんな怖い顔しなくていいじゃんか」
「あなた誰なの!?あっちいって!」
「やだよ。マリアを近くで見てたいんだもん。」
「ヒッ……変態さんなの!?」
この時マリアは、ロッカーを完全に敵として認識していた。
敵を追っ払いためなら武力も辞さない。
「変態さんは痛い目にあわせてあげる!」
「へぇ、どうやって?」
「この両手剣で叩きのめしちゃいまりあ!!!」
480
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/20(水) 01:10:13
マリアの両手剣「翔」による一振りは、空気をも震えさせる。
幼少期からの英才教育を経て、弛まぬ努力が実を結んだ結果、エリポンに次ぐほどのパワーを発揮できているのだ。
この力をもってすれば、迂闊に近寄ってきた"ロッカー"とやらも一撃でKO。
マリアはそう確信していた。
「ひゃあ怖い怖い、まともに喰らってたら御陀仏だったなぁ……」
「えっ!?」
マリアの視界には誰の姿も入っていない。
相手を見えなくなるくらいに遠くまで吹っ飛ばすなんてしょっちゅうだったので、今回もそうだと思っていた。
ところが、ホームランしたはずの"ロッカー"の声が何故か近くから聞こえてくる。
それもかなり下の方からだ。
「どう?驚いた? これがスウェーっていう技術だよ。
ちょっとばかし大袈裟にやりすぎちゃってるけどね。」
「なっ……!!」
スウェーくらいマリアも知っている。
上半身を後ろに反らすことで敵の攻撃を回避する、格闘技の技術だ。
同じ帝国剣士で言えば、身のこなしの軽いサヤシやアユミンが多用するイメージがある。
だがロッカーのそれは通常のものと比較して群を抜いていた。
なんと、リンボーダンスでもするかのような低い位置まで上体を下げていたのだ。
地面から頭部までの高さはせいぜい50cmと言ったところだろうか。
名付けるならばこの回避法は「低空姿勢やりすぎたversion」。
これではマリアの攻撃も当たらなくて当然だ。
「で、でもでも! こうすれば当たるから!」
マリアは構えを変えて、マサカリを振り下ろすように両手剣を地へと叩きつけようとした。
上から下への攻撃ならどんな低空スウェーでも意味がない。
むしろ無理な姿勢がたたって、堪えきれなくなるのがオチだ。
もっとも、ロッカーだってその弱点に気づいていないワケではなかった。
剣が降ろされるよりも先に立ち上がり、そのままの勢いでマリアに飛びかかっていく。
「へへ、ちょっと抱き着かせてもらうぜ」
「ひゃあ!やっぱり変態さんだった!!離れてよ!!」
「ちょっ、誤解しないでよ、これはクリンチっていう立派な戦法で……」
ロッカーも下心だけでマリアをハグしているのではない。
密着することで両手剣のリーチを無効化する、という理由が全体の6割ほどを占めている。
このままくっつかれたら自慢のバッティングを魅せることが出来なくなるので、
マリアはまとわりつくロッカーを必死で振りほどいた。
「もうっ!!」
ロッカーは運動神経が良くて厄介な相手ではあるが、体格差ではマリアの方に分がある。
そのおかげで、ちょっと叩くだけで突き放すことが出来た。
距離にして約2m。ちょうど両手剣の射程範囲内だ。
もうスウェーだのクリンチだのに惑わされたりしない。帝国剣士としての誇りをもって叩き潰すのみ。
「マリアが絶対勝つよ!武器も持ってないような人には絶対絶対絶対に負けられないんだから!!」
当たれば骨ごと粉砕されそうな斬撃が威圧感たっぷりでロッカーに迫ってきた。
今更スウェーで避けようにも、マサカリ打法にスイッチされて打ちのめされることだろう。
だからロッカーは回避術に頼るのをやめにした。
ここでとったのは防御姿勢の逆。 闘志たっぷりのファイティングポーズだった。
「武器を持ってない、か……俺たちの武器は常にココに有るんだけどね。」
481
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/20(水) 12:57:42
ロッカーが繰り出したのは、強烈な右ストレートだった。
己の肉体のみで勝負する超接近型戦闘スタイルはキュートのマイミを彷彿とさせるが、
ナックルダスターのような武具を装着していない点に差分がある。
帝国剣士が剣を武器とするのと同様に、彼女ら"拳士"は自らの拳(こぶし)を武器としているのだ。
ロッカーは小さな拳をでっかく突き上げる。
「ハァッ!!!」
攻撃の矛先はマリアの腹か?それとも頭か?
いやいや、それではデッドボールになってしまう。
ストレートの当たる場所はミットかバットだと相場が決まっているのだ。
ロッカーの渾身の一撃はマリアの両手剣に強く衝突し、そしてぶち破って行く。
「……!!」
綺麗に真っ二つになった両手剣を見たマリアは、一瞬言葉を失ってしまった。
この両手剣はマーチャン製で、とても頑丈に出来ているはず。
それを素手でぶった切るなんて、信じられないにも程がある。
「そんな……"翔"が折れちゃったら、マリアはもう……」
「もう、戦えないってか?」
「……」
今のマリアの心は、両手剣と連動して折れてしまいそうになっている。
下手すれば自信を完全に喪失して、戦士として復帰することが困難になるかもしれない。
それだけはさせない、とロッカーは強く思っていた。
「違うだろ、マリアはまだ戦えるじゃないか。」
「!!」
「俺はマリアの刀を一本しか折ってないよ。でも、マリアは二刀流って呼ばれてるんだろ?
見せてくれよ! バッターではなく、ピッチャーとしてのマリアを!!」
482
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/21(木) 14:12:18
今のマリアは、イップスに近い状態に陥っていた。
イップスとは精神的重圧によって当たり前に出来るはずのことが出来なくなることを言い、
マリアの場合はそれが「ナイフ投げ」という行為にあたっている。
初めにそのナイフ投げに失敗したのは新人お披露目会の時だった。
その時は単に緊張しすぎてナイフが手からすっぽ抜けた程度にすぎなかったが、
その数日後、サユを連れ去ろうとするモモコを狙った投球が大外れしたことで、事態は深刻化する。
世界中の誰よりも大事に思っているサユを、他でもない己のミスのせいで救えなかったことで、
マリアの心の奥深いところを蝕ばまれてしまったのだ。
これまでも嫌な気分を押し殺してナイフを投げてきたが、
それらが例外なく外れる度に心臓を締め付けられる思いになってしまう。
結果として、ここにきてマリアはナイフを握ることすら恐れるようになってしまったのだ。
元より両手剣だけでも一線級の実力を備えていたため、そちらに方針を傾けようという逃げ道も有るにはあったが、
それもたった今、ロッカーのこぶしによって絶たれてしまった。
手元に残されているのは、握るだけで恐ろしい投げナイフ「有」のみ。
となれば、自ずと敵を倒す手段も絞られてくる。
「バッチ来いマリア!今やらんでどーすんの!?」
「……!!」
マリア・ハムス・アルトイネは決断した。
全身が締め付けられそうになろうが、汗が滝のように流れようが、
脚がガタガタと震えようが、吐き気で胃がひっくり返りそうになろうが、
背筋が氷点下ほどに冷たくなろうが、重圧に潰されそうになろうが、
マリアはここで投げなくてはならないのだ。
二刀流という二つ名は、打っても投げても一流だからこそ付けられている。
どちらの戦闘スタイルを採っても、自分はサユを救える。絶対絶対絶対に救える。
そう信じてマリアは第1球を振りかぶった。
「やぁ!!!」
覚悟の末に放たれた豪速球は、真にストレートと言えるものだった。
時速160kmを超える「真っ直ぐ」は、ロッカーの胴体目掛けて脇目も振らずに突っ走る。
483
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/25(月) 12:59:54
(うおっ!?は、速い!)
マリアがプレッシャーを跳ね除けて直球を放つことが出来たのは、ロッカーにとっても喜ばしい進歩だ。
しかし、そのストレートの球速がここまでというのは流石に想定外だった。
今のロッカーの実力では到底反応出来るものではなく、腹に突き刺さるのは決定事項と言えるかもしれない。
マリアの成長を促進するという使命を果たしたとしても、ロッカー自身が死んでしまっては意味がないので、
いつもは忌み嫌っている力に渋々頼ることにした。
(聞いてるか?ファクトリー。
今まで騙してて悪いけど、俺の本名は"フジー・ドン"って言うんだ。
このままだと俺たちはナイフの一突きで死んじゃうかもしれない。
嘘じゃないよ。マリアはそれだけの力を持っている。
だからさ、右腕を作り変えさせてやるよ……ほんの数秒だけな。)
今まさに突き刺さるといったところで、ロッカーは投げナイフを掴み取った。
豪速球をキャッチした超反応も凄いが、刃を強く握っても血の一つも流れない頑丈さが人間離れしすぎている。
本来ならばそれを見た誰もが驚愕するのだろうが、
今のマリアは投てきが上手く行ったことに歓喜しすぎて、それどころでは無いようだった。
「やった!やったぁ!マリアのナイフが真っ直ぐ飛んだ!」
「はは……それは良かったね……ウッ!!」
マリアに労いの言葉を掛けようとしたところで、ロッカーは背後から蹴りを貰う。
その蹴りは意識を強制的に吹っ飛ばすような、とても強烈なものだった。
「流石にやりすぎです。」
「ごめんね……"ガール"……」
484
:
名無し募集中。。。
:2016/07/25(月) 17:05:05
共生型かな
485
:
名無し募集中。。。
:2016/07/25(月) 19:13:54
尾獣を飼ってるのか
486
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/26(火) 12:58:54
「あれ?……あなた誰?」
歓喜のあまり舞い上がっていたマリアも、"ガール"が不意に現れたことには疑問を感じたようだった。
ガールは鎖付きの鉄球を足首に巻きつけているため、否が応でも目立ってしまうのである。
気を失った"ロッカー"を早く人目のつかない場所に運びたいと考えていたガールは
適当にあしらって、この場を立ち去ろうとしていた。
「この人の仲間です。 迷惑をかけたみたいですね。ご麺ね。 それではこの辺で……」
「あ!!!マリアの投球が凄すぎて気絶しちゃったんですか!?」
「そうです。(違うけど)」
「う〜〜〜ん、ロッカーが起きたらごめんなさいって伝えてくれませんか?」
「分かりました。伝えます。 じゃあそろそろ帰りますね……」
「あと!もう一個伝えて欲しいんです!」
「まだ有るんですか?」
「ロッカーのおかげでマリアは真っ直ぐ投げれるようになりました! 有難う御座います!……って伝えてください!
おかげでキッカ様のミッションをクリアー出来そうなんです!」
「……」
マリアの視点からは不審な人物が襲いかかってきたようにしか見えなかったはず。
だというのに今回の成長はロッカーのおかげであることに気づいていたのが、ガールには意外に思えた。
仲間を褒められて嬉しかったのか、ガールは少し喋りすぎてしまう。
複雑な境遇に置かれているとはいえ、彼女もまだ幼い少女なのだ。
「アドバイス、あげます。」
「え?」
「ロッカーを倒した程度じゃ、まだまだキッカ様を満足させることなんて出来ないと思いますよ。」
「えー?そうなのかなぁ……」
「もっと訓練に訓練を重ねなくてはなりません。 それこそ血が滲むまでに。」
「でも、マリア達には時間が無くて……」
「だったら、手段を選ばなければ良いんですよ。」
「手段?……」
「マリアさん、貴方は貴方自身が一番伸びる方法に気づいているんじゃ無いですか?
でも、変なプライドや恥とかが邪魔して実行に移せていないんでしょう?」
「えっ?えっ?」
「私たちなら平気で泥をかぶります。 白い粉の中にだって自ら飛び込むでしょう。
それだけの覚悟が有るからこそ私たちは強くなれたんです。
……だからマリアさん、貴方も一切の手段を選ばないでください。
本当にすべき事に向かって、ナイフのように一直線に飛んで行ってください!」
「マリアが……本当にすべき事……」
487
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/26(火) 12:59:38
確かに尾獣に近い存在かもしれませんが、現時点では言いにくいですねw
488
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/27(水) 13:02:13
ガールと別れてから数分後。
マリアはコテージの扉を勢いよく開いては、唖然とするキッカとハルナンの前まで歩いて行った。
そして深くまで頭を下げ、大きな声で嘆願する。
「キッカ様お願いします! キッカ様を倒すための投てき技術を教えてください!!」
マリアの依頼はとてもヘンテコなものだった。
自分を倒すための技術なんて、誰が教えるというのだろうか。
1000人居れば999人が断るに決まっている。
こんなのを引き受けるのは、余程の変わり者だけだ。
「フフッ……おかしい……」
「わ、笑わないでください……マリアは本気なんです!」
「あはは、ごめんごめん。馬鹿にして笑ったワケじゃないの。
想像していたよりずっとストレートに頼んできたからおかしくって。」
「想像?……」
「マリアちゃんがそう来るのをキッカは待ってたよ。 稽古つけてあげる。」
「えーーー!本当ですか!?」
キッカがその変わり者に該当することは言うまでもないだろう。
その優れた投てき技術を教われば、マリアは確実にパワーアップするはず。
だが、無理矢理教え込んでも意味はないとキッカは考えていた。
自らが劣ることを自覚し、強き者に教えを請う姿勢こそが大事なのだ。
そして、ハルナンはマリアのそれ以外の成長についても喜んでいた。
「マリア、貴方も手段を選ばなくなったのね。」
「わ、ハルナンさん、ごめんなさい……」
「なんで謝るの?勝利のためになんでもするのはとても良いことよ。
ただ、手段を選ばなくなったのはマリアだけじゃないようだけどね。」
「え?」
ハルナンが指差す先を見て、マリアは初めて気がついた。
この部屋にはキッカとハルナンだけでなく、マリアと同期のハーチン、ノナカ、アカネチンも居たのだ。
この3人もマリア同様に、現状を切り抜けるために手段を選ばなかったのである。
「ハーチンはキッカ様がお手洗いに行っている隙に、全員で逃げ出す案を提案してきたのよ。ほれもかなり具体的な、ね。」
「ハルナンさん!言わんといてくださいよ〜」
「ノナカは『せめてハルナンさんだけでもベリーズを倒しに行ってください!』って泣きながら叫んでたっけ。」
「お恥ずかしい……」
「そして、アカネチンは……キッカ様を暗殺しようとしてたわね。」
「!?」
暗殺と聞いたマリアは天地がひっくり返るくらいに驚いた。
成功率は極めて低いが、確かに成功すればミッションを免れることができる。
究極に「手段を選ばなかった」と言えるだろう。
「みんな……いろいろ考えてたんだ……」
489
:
名無し募集中。。。
:2016/07/27(水) 13:04:59
アカネチンは1部の時からキャラ変わったなw
正式に帝国剣士になったからか
490
:
名無し募集中。。。
:2016/07/28(木) 00:05:44
マリアはゾロかよww
491
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/07/29(金) 13:03:35
いつの間にか夜になっていたが、休んでいる暇は無い。
課せられたミッションを明日こそ達成するために、
マリアはこれからキッカの猛トレーニングを受けなくてはならないのだ。
ロッカーとの戦いで少し疲労しているのも事実ではあるが、
ここで頑張らなくてはいつまで経っても成長することが出来ない。
「じゃあそろそろ始めよっか。サクッと終わらせるよ。」
「あ!キッカ様待ってください。 ちょっとだけみんなと話してもいいですか?」
「ん、いいけど。」
マリアの言う「みんな」とは同期のこと。
ハーチン、ノナカ、アカネチンにお願いするために近づいていく。
「ねぇみんな!マリアね、キッカ様を倒すにはみんなで協力しないといけないと思ってるの。」
この言葉を聞いたアカネチンは少しムッとした。
今日のキッカ戦で独断専行を決めたのはマリアの方だったからだ。
どの口でそんなことが言えるのかもと思ったが、
これも「手段を選ばなくなった」ことによる変化なのかもしれない。
「マリアちゃんねぇ……まぁ、いいけど。」
「何が?」
「いや、なんでもない。」
「そっか!でね!マリアが訓練している間に3人で作戦を考えて欲しいんだ!
マリアは絶対絶対絶対にナイフを華麗に投げられるようになるから!
それを踏まえた作戦を立ててね! で、後でマリアに教えてね!!」
「はいはい、私がメモに記録しておくよ。」
「ほんと!?アカネチンのメモは読みやすいからマリアは好きだよ!」
「そ、そう? えへへへ……」
普段から小さなことでケンカしがちなマリアとアカネチンではあるが、
今現在の会話からはそのような感じは薄れていた。
共通の目的が明確になったことで、真の意味で同志になりつつあるのだろう。
そんなマリアを見て、ハーチンが小声で囁き始める。
「マリアちゃん、ちょっとナイショ話や。」
「ナイショ話?ひみつのマリアちゃんなの?」
「その言い回しはよく分からんけどまぁええわ。
マリアちゃん、せっかくキッカ様に教わるんやから気合い入れなあかんで。」
「うん!もちろん!」
「こんな機会はそうそうない。せやからな、3時間でも4時間でも、いや、もっともっと食らいつくんや。
技がマリアちゃんの身体に染み込むまで頑張るんやで。」
「え!?たいへん。休憩いっぱいとらなきゃ。」
「アカンアカン。 休憩時間ですらもったいないと思わな成長できへんで。
どうしても体力的に辛いならキッカ様の動きを見学する時間でも作ったらええ。
見るのも修行って言うしな。」
「なるほど!」
自分の成長のためにハーチンがアドバイスをくれることが、マリアには嬉しかった。
絶対に言う通りにしようとマリアは誓う。
「いいか?マリアちゃん、"明日を作るのは君"なんやで。」
「?……うん。」
「明日、キッカ様を倒す時のことを思うと、今から楽しみやなぁ。」
「そうだね!」
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