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( ^ω^)達は今が楽しければなんでもいいようです
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ぼちぼちながらでのんびりと
エログロ諸々過激描写あるかも
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川 ゚ -゚)「菖蒲崩し――――」
すり抜けた刃はデレの首を刎ね飛ばした。
鮮血が切断面から噴き出し、コートを濡らすよりも速く、クーは間合いを取り、心臓を目掛けて刺突の構えを取る。
そして――――
川; ゚ -゚)「――――っ!」
構えを崩し、大きく跳躍する。
その直後、クーが立っていた地点に何かが飛び込み、轟音を上げて土煙を上げた。
(´・ω・`)「ちっ、今のを避けるかよ」
クーは煙の奥の彼を捕捉し、眼を凝らす。
月明かりの下に浮かぶショボンの顔は青白く、悪態には似つかわしくないくらいに生気が無い。
(´・ω・`)「……ったく、生きた心地がしねぇ。あーあーあーああああああああ!!」
(´゚ω゚`)「すーーべてが面倒くせえ! さっさと死なせやがれ! ついでにどいつもこいつも全員纏めて死ね!!」
ショボンの得物が分離し、鎖が擦れ合う音が響く。
羅刹棍は的確にクーの胸元に向かって飛ぶ。
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川; ゚ -゚)「お前……」
一瞬で察した信じ難い事実が、クーの反応を鈍らせる。
それは一秒にも満たず、それでいて、致命的なラグだった。
羅刹棍と刀がぶつかり、甲高い金属音と――――それに遅れ、破砕音が、鳴り響いた。
(´゚ω゚`)「あんたに恨みは無いが死ね! 死なねえなら殺せ!」
支離滅裂な雄叫びを上げながら、ショボンがクーの懐に潜り込む。
折れた刃をかなぐり捨て――――
川; ゚ -゚)「――――――――」
思い描く。
自身が目指す究極を――
o川*^ー^)o
崩れかけた姿勢のまま、クーは手を伸ばした。
そして、何かを手繰り寄せるように、その手を引く。
閃きが、ショボンの胴をなぞった。
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川; ゚ -゚)「お前……」
一瞬で察した信じ難い事実が、クーの反応を鈍らせる。
それは一秒にも満たず、それでいて、致命的なラグだった。
羅刹棍と刀がぶつかり、甲高い金属音と――――それに遅れ、破砕音が、鳴り響いた。
(´゚ω゚`)「あんたに恨みは無いが死ね! 死なねえなら殺せ!」
支離滅裂な雄叫びを上げながら、ショボンがクーの懐に潜り込む。
折れた刃をかなぐり捨て――――
川; ゚ -゚)「――――――――」
思い描く。
自身が目指す究極を――
o川*^ー^)o
崩れかけた姿勢のまま、クーは手を伸ばした。
そして、何かを手繰り寄せるように、その手を引く。
閃きが、ショボンの胴をなぞった。
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(´゚ω゚`)「ぎっ――!」
ベストが裂け、肌が露出する。
そこに確かに刻まれた傷から、血が漏れた。
浅い、が、その動きを止めるには充分な一撃だった。
川 ゚ -゚)「悪いが、死人に構う暇は無い」
乱雑に、傷口の辺りを蹴り飛ばす。
彼を起点に発生した衝撃波はクーの髪を撫でつけ、ショボンの細い体躯は盛大に吹っ飛んだ。
そして立て続けに、真紅の刃が飛ぶ。
咄嗟に身を屈め、その刃が飛んできた方向に視線を向ける。
ζ(゚ー゚*ζ「いけると思ったんですけどね」
血の鎌を携えたデレは、忌々しげにクーを睨み付けていた。
すっかり修復された切断面には、噴き出していた血がこびり付いていて、漆黒のドレスはぐっしょりと血塗れている。
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ζ(゚ー゚*ζ「お互い、これ以上は得しませんね。今夜はこれにてお開き、ということで一つ」
川 ゚ -゚)「逃がすと思うか?」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ、貴女はそうするしかない」
下卑た笑みを浮かべ、デレは小さく会釈をする。
クーはそれを見ていなかった。
振り返ると同時に、回し蹴りを放つ彼女の足を……
(;`・ω・´)「電波でも受信してるのか」
大鎌の柄で受け止めるシャキンが、引きつった笑いを浮かべている。
川 ゚ -゚)「……なるほど」
クーはコートの裾を踊らせるように傍に跳び、片手で着地しつつ体勢を整えた。
川 ゚ -゚)「一人で来いと言ったつもりだが、ここまで開き直られるとこちらも窘めにくいな」
ζ(^ー^*ζ「叱られるのには慣れていないので」
瓦礫が、宙を舞う。
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無数の瓦礫が折り重なり、この場にいる誰もが見慣れたシルエットを作り上げる。
|::━◎┥
ζ(゚ー゚*ζ「まぁ、いいでしょう。あの忌々しい九郎丸が失われていたのは嬉しい誤算でした。この場で勝ちの目が確実ではない勝負に出る必要はありませんし」
川 ゚ -゚)「…………」
ζ(^ー^*ζ「では、また近いうちに」
デレがゴーレムに飛び乗ると、その巨大な腕が重々しく伸びた。
未だ晴れない土埃の中で屈むショボンを掴み上げ、自身の翼を広げる。
追い掛けて何かしら妨害することはクーにとって容易い。
だが、傍らに立つシャキンの苦々しい表情を見て、彼女は戦意を鞘に収めた。
川 ゚ -゚)「ちっとも思惑が見えないな」
(`・ω・´)「互いに、な」
大鎌の刃を地面に突き刺し、シャキンは手ぶらでクーの元に歩み寄る。
クーもまた、握り拳を開いて、同じようにした。
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おわりです、少なくてごめんなさい
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乙乙
キュートも登場したか
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やっぱこれ面白いな次も期待して待ってる
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乙
クー良いな
>>948
ワロタ
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おつ
全く毎回逐一熱いんだよ畜生
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やっぱり最高だな。ブーンの動きが目に見えるようだった
乙
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http://3step.me/3cva
国際テロで日本人の犠牲者が出た!
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半端にレスが余ってて次の話が収まるかびみょい、ので何か解決案募集
前みたいに少し質問的なアレをやるか、他に面白そうなことがあれば
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間が空いたしキャラ設定表とかあらすじとかどうよ
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キャラ設定いいっすね。どうでもいいことも含めて万辞苑みたいな感じでやったら楽しそうなんでバババっと書いてタタタっとやります
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やったぜ待ってる
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いいねーショボンの武術の詳細とか気になる
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読んだ!相変わらず面白いなー、乙です
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デレってなんでハインに従わないんだっけ?
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ショボンがいいキャラしてんのよ
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次スレ立つかな、面白い!
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まーだかな
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今日、明日、明後日のどこかで投下
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待ってる
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おおおおお!
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スレを跨ぐので少し手間取るかも。
次スレはファイナル板でよろしく。
ほいたら投下。
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よっしゃ!!
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第二十話「偽りの座で会いましょう」
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よっしゃ!
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風が、吹き抜ける。
夜闇よりも深く濃い深淵のように、クーの髪が妖しく揺らめく。
シャキンには、それが途轍もなく不気味に思えた。
(`・ω・´)「そうかっかしなさんな。俺の首なんていつでも取れるだろう」
彼の内心とは裏腹に、凡ゆるものに対する達観のような、或いは、自分の生殺与奪が誰に握られていようと知ったことかと言わんばかりに投槍な口調。
川 ゚ -゚)「私はお前が思うより、ずっと短気だと思うが」
握り拳をシャキンに向け、そして開く。
彼は、クーの掌からうっすらと光の帯が伸びているのを視認することが出来た。
そして、それが武の極みに至る者にしか見えない闘気の帯だということを知っていた。
(`・ω・´)「刃は健在、ってわけか」
大鎌を携えてはいるが、構えるつもりがないことは、明確だ。
あくまで対峙者としてではなく、傍観者としての眼差しを飛ばしながら、彼は、「いや」と、自身の言葉を否定した。
(`-ω-´)「お前自身が、刀そのものなのかもな」
川 ゚ -゚)「そんな大層なものじゃない。鞘に収まってやるつもりもないしな」
互いに、喉を鳴らして笑う。
言うまでもないことだった。
鞘に収まる気がある者ならば、最初からこの掃き溜めには、いない。
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川 ゚ -゚)「で、お前たちは徒党を組んで何がしたいんだ。行動そのものは自然だが……」
見当はついていた。
先日の、"第二王位"ジョルジュの声明を受けてのことだろう、と。
そこまで解ってはいるが、クーには彼等の組み合わせがあまりにも適当からはかけ離れているように思えた。
川 ゚ -゚)「この世で最も忌み嫌われる存在である吸血鬼と、この世で最もいがみ合っている兄弟。しかも片方は吸血鬼の眷属となった死人。どこぞの神話にでも出てきそうな組み合わせだ」
その神話はきっと邪教のものだ、と、シャキンは笑った。煙草を咥え、火をつける。
クーはドクオと同じ臭いを放つ彼に対して、ほんの少しだけ警戒を緩めた。
(`・ω・´)「そのちぐはぐな関係がいいんだよ。俺たち王位はどこまで行っても所詮は人間。意外性に虚をつかれない奴なんていやしないんだ。たとえモララーであってもな」
川 ゚ -゚)「意外性」
(`・ω・´)「そう、意外性」
夜闇に、煙草の赤い光だけが朧げに浮かぶ。
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(`・ω・´)「お前だってそうだろう。普段の王位達のやり取りを見聞きして、誰もそうだなんて言ってないのに、勝手に自分の尺度で俺たちを括ってる」
川 ゚ -゚)「…………」
(`・ω・´)「ギコとモララーは仲が良い。俺とショボンはいがみ合ってる。ペニサスとワカッテマスは性格こそ真逆だが、妙に息が合ってる。デレは格上の犬。だが隙あらば寝首をかく気でいる」
(`・ω・´)「お前から見たら俺はどんな風に映ってるんだろうな? 事勿れ主義の木偶の坊。牙はもう鈍ってるように見えるかな」
川 ゚ -゚)「……さあな」
(`・ω・´)「冗談だよ。自虐するつもりは無かった」
敢えて言葉を濁したクーの反応こそが真実だと、シャキンは自分の頼りなさを再認識した。
王位とは名ばかりなのかもしれない。
物見遊山の気分で、当時王位だった者に挑んだら呆気なく勝ってしまった。
この高みに辿り着いた過程で思い浮かぶことなど、その程度のものだった。
にじり寄ってくる虚無感を、煙草の煙と共に体外に追い払い、シャキンは小さく咳払いをした。
(`・ω・´)「あいつも、ジョルジュもそうなんだ」
今、この瞬間まで、シャキンは躊躇っていた。
自分が起こそうとしている奇跡を、クーに話すことを。
だが、自分の脆弱を、こんな些細なことで再認識した今、途端に馬鹿らしくなったのだ。
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待望。歓喜。愉悦。故に支援
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(`・ω・´)「ジョルジュなんてお前よりも、俺たち格下になんか興味無いさ。同年代でこの立ち位置に収まってる俺に、足元を掬われるなんて夢にも思ってない」
(`・ω・´)「あいつの中の俺たちは、あいつの勝手な認識で凝り固まってるんだろうさ。あるいはそれも、俺の中のあいつに対する勝手な認識なのかもしれないが、確実に言えることが一つだけある」
川 ゚ -゚)「……それは」
(`・ω・´)「あいつは確実に、俺のような事勿れ主義の人間が事を率先して、自ら死ぬ気で突っ込んで来るとは思ってない」
シャキンが言う前に、クーは察していた。
しかし、いざこうして彼の本意を聞いた今、返す言葉が見当たらなかった。
武に殉じて死ぬ。
それが華々しい散り様であると崇められるのは、正統な武の系譜の中だけの話。
とうに理から外れたクーをはじめとする王位の面々にとって、死ぬこととは死ぬことで、それ以外のなにものでもなかった。
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川 ゚ -゚)「…………」
(`・ω・´)「そんな顔するなよ。下の連中が見たら腰抜かすぞ」
言われて、クーは慌てて口を真一文字に噤んだ。
何度か意識的に瞬きをして、右手首を回して骨を鳴らす。
川 ゚ -゚)「……どんな顔をしていた?」
(`・ω・´)「さあな、忘れちまったよ。暗くてね」
彼らしい返答だと、クーは思った。
しかし、彼の口から聞いた本意はあまりにも想像していた彼の人物像とはかけ離れていて、クーはそれを拭い去れずにいた。
川 ゚ -゚)「不思議桃太郎一行が結成されたのは、あくまで意外性を追求した結果、というわけか? お前の覚悟は賞賛したいが、その程度の小細工は圧倒的な力の前には踏み潰されるだけだぞ」
(`・ω・´)「愚問だな。俺にだって考えの一つや二つはある」
川 ゚ -゚)「だったら、関係の無い私に話すべきではなかったんじゃないか?」
(`・ω・´)「関係の無い? 笑わせるなよ」
川 ゚ -゚)「…………」
クーが何も返さずに黙っていると、シャキンもそれ以上詰め寄ることも無かった。
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(`・ω・´)「で、お前はどういう了見でデレを呼びつけたんだ。まさか退院後の腕慣らしってわけでもないだろ」
川 ゚ -゚)「それもある。むしろそうだと解釈してもらっても構わない」
(`・ω・´)「それこそ笑わせるな、だ。王位で、それも生徒会長ともあろうお前がそんな気まぐれみたいなこと……」
川 ゚ -゚)「やめるよ、生徒会長」
(`・ω・´)「は?」
川 ゚ -゚)「やめる。会長も、王位も、肩書きは全部捨てていく」
(`・ω・´)「捨ててどうするっていうんだ」
川 ゚ -゚)「さあな。何かを成したいから荷物は置く。自然な考えだろう?」
(`・ω・´)「お前じゃなければな」
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あるいはそれも、お前の勝手な認識、先入観だろう、と、クーは言わなかった。
川 ゚ -゚)「デレが本当に一人で来たら、第三王位をくれてやろうと思っていたんだ」
シャキンの指から、煙草が落ちた。
(`・ω・´)「嘘、じゃないんだな」
川 ゚ -゚)「そんなくだらない嘘をつくか」
(;`・ω・´)「分かってるのか? この学園で申し訳程度の秩序が保たれてるのは、お前っていう存在ありきだってことが」
川 ゚ -゚)「自惚れにならない程度には自覚しているさ。それに、今そうだとしても、この先その薄っぺらい秩序など崩れてしまうことも」
(`・ω・´)「そんなこと……」
川 ゚ -゚)「あるさ。どんな強者であっても、上にいる限りいつかはその椅子を明け渡さなければならない」
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川 ゚ -゚)「私は椅子から降りる時くらい自分で決める。そして、再びその椅子をもぎ取る時もな」
それは第二王位を奪われた彼女の、ささやかな負け惜しみだった。
鉄の仮面を被った彼女がこんな風に、自分の血の苦味に悔やむことを、シャキンは初めて知った。
彼が知らない彼女だった。
認識の外にあったクーの一部分が、シャキンの中で結びつき、人間を模る。
(`・ω・´)「やれやれだ。お前は"最悪"のタイミングで出張ってきて、全て掻き乱してくれそうだったんだがな」
クーの意志を概ね汲み取った今、どうしてそれを阻むことが出来ようか。
シャキンは"想定しうる"イレギュラー、切り札のようなものとして扱おうとしていた彼女のことを諦めた。
同時に嬉しくも思う自分に気付き、どこまで腐ろうと武人のはしくれなのだな、と、卑下する。
(`・ω・´)「王位を辞退するっていうのは今まで聞いたことが無いな。そもそも補填式で埋められる席じゃないだろう。この場合はどうなるんだ?」
川 ゚ -゚)「気にするな。後釜ならちょうどいいやつがいる。お前でも"読めん"やつがな」
クーはうず高く積み上げられた瓦礫を、その頂に佇む一人の影に視線を向けた。
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(;`・ω・´)「おいおい。お前が呼びつけたのか?」
川 ゚ -゚)「どうせこうなるだろうと思ってたからな」
佇む少女は眉ひとつ動かさずに、二人を見下ろしていた。
川 ゚ -゚)「話は聞いていたな。この学園の流儀に即したやり方で、この椅子をくれてやろう」
第四王位デレのものとよく似ているが、それよりも洗練された黒色のドレスの裾が風に靡く。
少女の表情は硬い。
長く伸びた銀色の前髪を指で掴み、そっと耳にかける。
金色の瞳が、クーを捉えていた。
从 ゚∀从
空気は、流れるというよりも蠢いている。
从 ゚∀从「恩着せがましいやつだな。椅子そのものになんか、俺は興味ねえんだよ」
ハインの左肩から黒い霧のようなものが噴き出す。
それは絶えず蠢き、翼の形となって巻き込むようにして彼女の左半身を覆う。
そして振り下ろすようにクーに向けて伸ばした右腕からも黒い霧は噴き出し、それはそのまま腕に巻きつき、獣の腕のような悍ましい姿を模る。
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川 ゚ -゚)「本気のお前とやり合うのは初めてだな」
从 ゚∀从「よく言うぜ。お前だって、今までちっとも本気出すつもりなんて無かったくせに」
川 ゚ー゚)「それは今も同じかもしれないぞ?」
从 -∀从「はっ。出し惜しみは負けた理由にはなんねえんだからな」
飛翔――
ハインを覆っていた翼が開き、黒い雨が降り注ぐ。闇夜に溶け込む黒色のドレスの裾がはためき、クーの元へと降下する。
川 ゚ -゚)「まるで魔物だな」
手を伸ばす。
一直線に向かってくるハインに向かって、最早刀剣という媒体すら必要としない不可視の斬撃が飛ぶ。
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斬撃がハインの肩を抉る。
鮮血が散るが、彼女の勢いが止まることはない。
黒を纏い、異形となった右腕がクーの頭を狙う。
川 ゚ -゚)「前も言っただろう。お前には技が無い。無闇な特攻はやめろ」
異形の右腕が、クーの頬に触れる直前でばらばらに切り裂かれる。
霧と化し、風に流された右腕。だがハインは止まらなかった。
从 ゚∀从「だぁらあああああああ!!」
切り裂かれ、散った異形の腕が、一瞬で復活する。
虚を突かれたクーは咄嗟に腕で頭を庇い、受けることしか出来ない。
川 ゚ -゚)「ちっ」
重い一撃。
洗練された武人の突きとは違う、ただ質量に任せた暴力的な突きだ。
从; ゚∀从「ぐっ……」
異形の腕がクーを捉えると同時に、ハインの腹が避け、腸がまろび出た。
だがハインはそれでも手を止めない。クーに防がれた掌を開き、肩を掴む。
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川; ゚ -゚)「それがお前のスタイルか」
从 ∀从「技、なんてもんは……小賢しい弱者のやることだ」
クーの胴を捉え、握り潰すには十分過ぎる手に力が籠る。
常人ならばこのまま赤い花を咲かせていただろう。
だが、無数の斬撃が手を切り裂き、クーの身体を解放した。
川 ゚ -゚)「確かに。お前には必要のないものかもな」
吸血鬼の不死性。圧倒的膂力。
それと対を成すのは人としての限界すらも凌駕し、究極形に至った技の集合体のようなもの。
これは異なる方向へと突き進んだ二つの力のぶつかり合い。
そしてその果てにあるのは求道の解答。
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川 ゚ -゚)「その目、いつまで持つ?」
从 ゚∀从「知らねえな。てめえで見定めてみな」
ハインの金色の瞳は強く、煌々とした光を放つ。
だが涙のように流れる一筋の血が、彼女がこの力の為に支払った代償の大きさを物語る。
川 ゚ -゚)「……よかろう。だが早々に壊れてくれるなよ。ジョルジュの火は、お前ら吸血鬼の心すら圧し折るぞ」
先のショボンとの斬り合いにて、放り捨てた刀の柄を拾い上げ、二、三度振るう。
可視化された闘気の粒がまとわりつき、それは一本の闘気の刃を創り上げた。
从 ゚∀从「化け物はどっちだか……」
川 ゚ -゚)「素直の家でまともな人間などおらんさ」
修練の身であった頃、母親が見せた剣の極致。
クーは今、その領域への覚醒を遂げようとしている。
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目覚めは些細なこと。
闘いの渦中での夢想が、壁を越える後押しとなった。
クーは考える。
もしも今この手に九郎丸があれば、刀剣を模る一切の揺らぎのないこの闘気を、退魔刀に注ぐことが出来たのなら、一体どれだけの力を振るうことが出来るのだろうか。
川 ゚ー゚)「王位などくれてやる。私は更なる高みへ」
闘気の刀を真っ直ぐ振り上げる。
从 ゚∀从「ちっ!」
身体の中枢諸共の両断ともなれば、今の状態とはいえ数秒を要してしまう。
ハインは危険を察知し、咄嗟に後ろへ飛んだ。
波のように流れ出ていた闘気がぴんと張り詰め、二人の間の時が、止まる。
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川 ゚ -゚)「月華陣――」
ここまで傍観者として闘いを眺めていたシャキンは、その言葉を聞いた瞬間身の危険は自分にも及んでいることを察知した。
(;`・ω・´)「おまっ、ちょっ……!」
その先に紡がれる言葉を、シャキンは知っている。
クーを取り巻く周囲の空間を無差別に切り裂くその剣技の名は――
川 ゚ -゚)「薊繚乱――!」
振り下ろされる闘気の剣。
シャキンは自身が動ける全身全霊の速さで、その場から離れる。
闘気の収束、収束、そして、解放――
从 ゚∀从「――――」
ハインは何か言いかけて、自身の前で渦巻く闘気の動きを見て口を噤む。
そして、腰を深く下ろした。
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闘気の刃が四方八方に飛び交う。
その速度は最早常人では目で追うことすら敵わず、闘気の光が駆け抜けた、と表現する方が適当だろう。
そしてそれはかつて、クーの母親であるキュートが大草原で見せた剣技。
洗練された闘気は圧倒的物量を以て、それでいて彼女の意のままに、一帯を刈り尽くす。
その刃の一つ一つが彼女の意識下にあることから、クーは到底信じ難い目の前の光景も、すんなりと受け入れることが出来た。
川 ゚ -゚)「母さんの技には、まだ及ばないな」
うず高く積み上げられた瓦礫の山すら粉微塵に、辺り一帯は文字通り平地と化していた。
川 ゚ -゚)「それにしても驚いた。お前にこれを捌ききる腕があったとはな」
平地に立つ影が、一つ。
纏ったドレスには、先程クーが切り裂いた腹部以外には塵もついていなかった。
从 ∀从
川 ゚ -゚)「見えているのか? その目には」
まだ異形と化していない左手で、ハインは左目を抑えている。
指の隙間から血が流れているのを、クーは見逃さなかった。
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从 ∀从「いってえ……くっそ!」
よろめき、異形の右手を強く握り締める。
それに呼応して彼女の左肩の黒い翼はより大きく広がり、空すら覆わんと伸びていた。
从 ∀从「さっさと終わらせるぞ……帰って二、三人ぶっ殺してメシにしてやる。こんな茶番は終いだ」
力任せに地面に右手を叩きつける。
地鳴りのような衝撃が走り、大きな亀裂が広がった。
川 ゚ -゚)「良い試し切りになったよ。私の跡を継ぐには申し分ない」
刀の切っ先をハインに向け、半身で構える。
川 ゚ -゚)「今の私の全力を以て応えよう。その陳腐な不死性ではなく、己の力で乗り越えてみせろ」
从 ∀从「ぶっ殺してやる……!」
よろめきかけた身体を両足で支え、ハインは右手を振りかざしながら真っ直ぐ駆けた。
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おわりです。ありがとうございました。
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