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新・戦場スレ Part1
153
:
◆tb48vtZPvI
:2016/07/04(月) 23:40:09 ID:7.ZUvi4o
>>152
「フムゥーン…意外や意外、フェアリー・フォースとは国防軍の新たなハタガシラたる部隊と聞いて、実際今日の日を楽しみにしていたのですが…」
ニンジャは程度の差こそあれ、本能で強者とのイクサを求める。バシタキはあらゆるテレーン・テクダ、あらゆるフーリン・カザーンを尽くし、敵の強みを封じた上で勝利を収めるタイプだが、それでも失望を隠さなかった。
「正直、国防軍一般兵よりオケケの生えた程度だとは思いませんでしたよ」溜息をつく。
その間にも無人機の誘導は忘れない。ラプトルが、サイクロプスが、得物の銃口をフェアリーたちに向ける。
「フェアリー=サン、まだ立てますよね?」
154
:
◆h9Hr5c.eFE
:2016/07/05(火) 00:05:51 ID:zxDOphsw
>>153
「あぅ、うう…!」
シルキーが立ち上がる。
「ま、まだです…諦めません!」
次いでケット・シーがヨロヨロと起き上がるが、アニーシャの息は荒い。
「っ…嘗めない、でよね…こんなの痛くも痒くもないんだからっ…」
メイヴは尻餅をついたまま、呆然とデイドリームを凝視していた。
「あ、あり得ない…物理的にあり得ない…なんなんですの、あの機体…!?」
「お嬢様、しっかり!」
「お嬢のヘタレ! もうこうなったら、フェアリー・フォーメーションでいくっきゃないんだから、しっかりしなさいよ!」
二機に促されるようにして、ようやくメイヴが立つ。
散り散りに弾き飛ばされたことで、奇しくも3機はデイドリームを包囲する配置となっていた。
「ふぉ、フォーメーション…そ、そうね、あれなら…! やるわよ! 二人とも…!」
「いつでもいけます!」
「散々言ってくれちゃって…アニーたちがそこらのボンクラとは一味も二味も違うってとこ、見せてあげるんだから!」
3機がそれぞれの射撃武器で無人機を牽制しつつ、スターティングポジションに着く。
「フェアリー・フォーメーションB! レディ!」
ミレニアの声に応じて、シルキーとケットシーが火器をリロード。メイヴは両腕部の電撃アンカー、ショック・ハーケンを起動させる。
「せーぜーご自慢のカメラにでも焼き付けることねっ!」
「……ゴーッ!!」
シルキーとケット・シーがそれぞれのレーザーボウを猛連射し、デイドリームを挟撃。回避運動を誘う。
「お嬢様!」
「ショック・ハーケン!! いきなさいっ!!」
追い立てられたかに見えるデイドリームへと、両前腕からハーケンを放つメイヴ。同時にシルキーとケット・シー
が抜刀し、左右からデイドリームへと急接近。ショック・ハーケンの電撃により動きを止めた所へ、レーザー刀剣による追撃を加える手はずだ。
「くらえぇぇぇーーっ!!」
ケット・シーが勢いよく跳躍し、レーザー・ツインダガーを振りかぶる!
155
:
◆tb48vtZPvI
:2016/07/05(火) 00:50:00 ID:1Gobrs5Q
>>154
「ムムッ…そのフォーメーション、データにはなかったか」
バシタキのニューロンが高速で思考を巡らせる!
2機のレーザーボウによる猛射はブラフ。本命はメイヴの攻撃、使うとすれば恐らくショックハーケン。そこから繋がるのはフィニッシュムーブ、まともに受ければ爆発四散は免れないだろう…
「しかし…そうはトンヤが卸さない!」
ブシュブシュブシュ! 足元から吹き出す樹脂フェンス! 更に壁になるように無人機を動員! 無人機を盾にしたバリケードだ!
「スパイダートラップ発動!」
ブシュブシュブシュブシュ!!樹脂フェンスから枝めいて噴き出す樹脂!
木というよりはアミダクジに近い様相だ! 接触してしまえば粘性で捕らえられてしまうぞ!
156
:
◆h9Hr5c.eFE
:2016/07/05(火) 01:08:42 ID:zxDOphsw
>>155
射撃による牽制と崩しは万全だった。ショック・ハーケン命中、そしてダガーとレイピアによる斬撃。それによって勝負を決することができると、敵機に肉薄したアニーシャは確信した。しかし……
「なっ…? うああっ!?」
突如として噴出したスパイダー・トラップ。ケット・シーはその粘着性ネットに頭から突っ込んでしまい、勢い余って逆さまに貼り付けにされてしまう。
「なっ、なにこれっ!? ネバネバして…っ! くぅぅっ!」
辛うじて動く手首で、ネットにレーザー・ツインダガーの刃を押し付けるが、その程度では切断できそうにない頑強さだった。
「きゃああっ!」
シルキーはネットに足を取られ、デイドリームの目前で転倒。
「アニーシャちゃん! 大丈夫ですか!?」
レーザー・ロングボウでケット・シーを捕らえる樹脂フェンスを破壊するべく、何発かの射撃を見舞ったが、焼け石に水だった。
「くっ…お嬢様! アニーシャちゃんを!」
「わ…わかったわ!」
無人機のバリケードにショック・ハーケンを弾かれ、狼狽えていたメイヴがケット・シーの救助に向かう。
レーザー・フルーレをフェンスに突き立てるが、容易く切り裂くことはできそうにない。
フォーメーションが崩壊し、デイドリームへの攻撃の手は完全に止まってしまった。
157
:
◆tb48vtZPvI
:2016/07/05(火) 02:21:15 ID:1Gobrs5Q
>>155
ピシリ! ピシリ! デイドリームは左腕鞭で床を叩く!
「ホホホッ…では、オニロク・ニンジャクランのオニロク・ニンジャクランたる所以をお見せしましょう!」
ローパーハンドを掲げると一本のロープに縒り合わさる! 意思を持つように蠢く! 走る! 狙うは…シルキーだ!
「シバリ・ジツ奥義! タートル・バインド!」
おお…おお…ゴウランガ! 人工筋肉縄は複雑な軌道を描いたと見るや、シルキーを絡め取る! その複雑な縛りは魔術文様めいて美しくも妖しくシルキーを彩る、まさにアーティストのワザマエだ!
ニンジャ暗黒史の泰斗トダギ・ザイゼン氏の名著「ブラックヒストリー・オブ・ニンジャ」ではかなりのページを割いて暗黒街に潜ったニンジャへの言及がなされている。
それによればロープ一本を以ってオイランを飾り立てることに血道を上げたニンジャクランが存在したという。まさしくそれがオニロク・ニンジャクラン!
「ミレニア=サン、あなたもだ!」もう一本ロープが蛇めいて走った!
158
:
◆h9Hr5c.eFE
:2016/07/05(火) 03:11:14 ID:zxDOphsw
>>157
「う、うぁぁっ!?」
ローパーハンドがまるで生き物のように、シルキーの機体を這いずり回り絡み付いていく。
「な、何ですかこれ!? 何が起こって…あぐぅンッ!!」
ギチィッ! と音を立てて、縄がシルキーを圧迫し、『縛り』を完成させる。亀の甲羅の紋様のごとく縦横に走るローパーハンドの圧力は、ツバサのT-スキンにもトレースされ、彼女の体に幾何学的な紋様となって食い込み、肉感的な肢体を飾り立てると共に一切の自由を奪ってしまう。
「くっ…くる、しっ…んあぁぁぁ…!」
「ツバサちゃん!!」
粘着糸に拘束されたままのケット・シーに続きシルキーも、そして更にメイヴまでもがローパー・ハンドの餌食となる。
「ひっ…!? 嫌ぁぁぁぁぁっ!?」
瞬く間に絡め取られ、豊満な肢体をギチギチと締め上げられながら地に転がされるミレニア。
「しっ…縛り上げるだなんて…こんな辱しめを…こ、こ、このわたくしにっ!?」
憤慨と恐怖が入り交じり、裏返った悲鳴を上げるミレニア。シルキーと共にのた打つようにして抵抗するが、戒めは緩むばかりかますます深く食い込んでいく。
「はぁッ…ぁ、あぁンッ…!」
「ほどきなさいッ! くぅン…うぅッ!」
その光景を見て、アニーシャは悟った。この男は自分達を殺すより先に、徹底的に辱しめるつもりなのだと。
「こ、こいつっ…! チャクラム・ソーサー! いけぇぇっ!」
逆さ吊りの態勢からできる唯一の抵抗、自由を保っていた尻尾を使い、3基のチャクラムを投擲する。狙いはローパーハンドの切断である。
159
:
◆tb48vtZPvI
:2016/07/05(火) 23:48:09 ID:1Gobrs5Q
「ホホホッ! やはり私の眼に狂いはなかった!! あなた方はシバリ・ジツにおいて実際素晴らしい素質をお持ちだッ! ホホホホホホッ!」
デイドリームのモニタには吊り上げられる機体と仮想の縄目を刻まれ横たわるフェアリーたちの姿が映されている。自らの手で生み出した「作品」の見事さにバシタキの口から思わず哄笑が溢れた。
「ホホホッ…女体は花束、美しく飾って差し上げる必要があります。あなた方の身柄は、フェアリー・フレームと共に我らが御大将の元へ送り届けます。生命については保証しましょう」
ニンジャが傲慢に告げる。そこには人権や人格は考慮されない、無慈悲で身勝手な論理だけが存在していた。どうやらブッダは昼寝でもしているらしい。
そこへアニーシャがソーサー投射! 不意を突かれた形の反撃に、対応するのはニンジャ反射神経!
KILLING! KILLING! ソーサーの直撃を防いだのは…メイヴのフルーレだ!
(今のはちょっとアブナイでした…)
ニューロンの奥底でバシタキは呟く。シバリ・ジツは束縛のためのジツ、身体操作は本来能力の範囲ではない。操作はかなりアバウトになる。
(これでアニーシャ=サンを捕縛し、御大将に差し出せばミッションコンプリート…フムゥーン…)
バシタキはしばし考慮する。非戦闘系ニンジャとして、彼は今まで御大将のために功績を上げてきた。
御大将は真に美しい物を愛でる。バシタキはその優れた感性に敬服していたし、御大将の感性に叶うニンジャでありたいと思い続けてきた。
御大将はお褒めの言葉を頂けるだろう。だが…
(バシタキ=サン、日々進歩あれ、だ。常に良き敵を求めよ。かくしてニンジャは成長する)
御大将の言葉がニューロンをよぎる。そう…斯様な生ぬるいミッションではニンジャとして進歩も成長もは望めない!
「アニーシャ=サン、あなたをメッセンジャーにしましょう」
バシタキは決めた。
「フェアリー・フレームの全データを持ってコズミック・オーダーをここへ連れて戻っておいでなさい。来なければ…それでも構いません。12時間後にはここを発つまでです」
成功…メイヴとシルキー…ミレニアとツバサを持ち帰れれば御大将の不興も買うまい。
大成功…フェアリー・フレーム3機とパイロット3名に全データ、そしてコズミック・オーダーの首。それはとてつもない大戦果に違いない!
では失敗は? 己の命一つで贖えばいいだけのこと…シバタキはソロバン勘定を即座に行い、どう転んでも自分の絶対的不利益には成り得ないと踏んだ。
160
:
◆h9Hr5c.eFE
:2016/07/06(水) 00:48:33 ID:Mg1ilEHk
>>159
「あうっ!」
バシタキがジツを解いたのか、ケット・シーは粘着樹脂の拘束から解放され、地表に落下した。
そしてアニーシャへと突きつけられる勧告。
「なっ…なにいってるの…!? そんなことできるわけ…!」
地に這いつくばったままでデイドリームを見上げて、アニーシャは困窮極まった声を上げた。
「…っく…ダメです! アニーシャちゃん!」
無様に宙吊りにされた態勢ながら、ツバサは毅然と彼女を叱咤する。
「こんなヒモ、私たち自身で解いて…ッ…んあッ、はひッ…!!」
そんな反抗的な態度を嗜めるかのように、ローパー・ハンドがぎゅうっとシルキーに食い込む。
「あ、アニーシャぁ…!」
ミレニアの声は殆んど涙声に近かった。
「お嬢…!」
実際、彼女は恥辱と苦悶、更には進退極まった状況の只中で、今にも泣き出してしまいそうな顔をしている。
「ダメよ…! オーダーなんかに頼ってはダメ…! こッ、こんな醜態を見られた上に助けられるなんてッ…!!」
「じゃ、じゃあ、どうしたら…!?」
「国防軍に…国防軍に応援を要請するのよ! わ、わたくしの名前を出せば、オービタルから救援部隊が…」
「……」
アニーシャは力なく首を横に振った。もはや自分達は生殺与奪を目の前のニンジャに握られているというのに、そんな真似をすれば只では済まされないだろう。
「うっ…ぅっ…」
死にたくない。ツバサとミレニアも見殺しになんかしたくない。
気が付けばアニーシャは絶望に震え上がりながら、ぽろぽろと大粒の涙を溢していた。
「アニーシャ…アニーシャ…! …っひッ…早くッ…応援を…ッ!」
「アニーシャちゃん…」
ツバサはその姿を沈痛な面持ちで見詰めると、数秒の間目を伏せ――そして大きく息を吸い込んだ。
「……いやぁぁぁぁっ!! 死にたくないよぉぉっ!!」
「!?」
突然の大声に、アニーシャとミレニアが驚愕の表情を浮かべる。
「ミレニアお嬢様には耐えられても、私はこんな仕打ち耐えられないっ!! 助けて、アニーシャちゃん! 今すぐオーダーの皆さんを呼んできてぇっ!!」
「…ツバサ…あ、あなた…」
「…つ…ツバサちゃん…!」
ミレニアもアニーシャも、彼女の意図は十分に理解できた。
ツバサは一人で汚名を被ろうとしている。こうして無様に捕らえられたことも、オーダーにすがりつくことも、全て自らの招いた醜態とすることで、ミレニアの誇りと名誉、アニーシャの悲願達成への道のりを守ろうとしているのだ。
「…く…っ…!」
ミレニアはそれっきり何も言わなかった。
アニーシャは涙を拭うと、デイドリームをキッと睨み付け、それからツバサへと、真摯な顔つきで言葉を残す。
「ぜったい…ぜったい助ける! ツバサちゃんを助けに、ぜったい戻ってくるから!」
ケット・シーはデイドリームに背を向け、脱出口へ向けて走り出した。
アニーシャは悔し涙を何度も拭いながらコロニー外へ出ると、すぐさま母艦へと通信を入れる。
そして、ドナールよりオーダーに下記の旨が伝えられた。
ツバサ・ウィークリッドの失態により、メイヴ・シルキーは拘留。身柄の返還のため、敵はフェアリー・フォースのデータ引き渡し、ならびにオーダーとの対決を要求している。
国防軍に支援を要請することも可能だが、ツバサが危険な状態であり、これ以上持ちそうにない。
遺憾ながら敵の要求を飲み、オーダーの出撃を要請する。
「なお、これは国防軍による公的な要請ではなく…私個人からの依頼という形を取らせてもらう。…くれぐれも、内密に事を運ぶように…」
ドナールは訝しげに口元をもごもごさせた後、ミックに対して会釈程度だが、初めて頭を下げた。
「…そのように、お願いする…」
(あいつ…あのヘンタイニンジャだけは…)
接近してくる母艦の照灯を目にしながら、アニーシャは決意を固めていた。
(やっつけてやる…! あたしと、ツバサちゃんで!)
161
:
◆tb48vtZPvI
:2016/07/06(水) 02:33:40 ID:B5gc5UY6
>>160
ブリーフィング中のミックの端末がノーティス音を鳴らす。リードオンリーのテキストによる呼び出し。室内から中座し、通信室へ。そこにはニガムシを1000匹ほど噛み潰して飲み下したような表情のガナルド・ドナールの顔が大写しになっていた。
ドナールの命令…否、依頼は敵に捕縛されたフェアリー・フォース隊員の救出であった。ドナールからすれば苦渋の決断なのは明らかだ。自らの好悪感情と、機体及び隊員の奪取を秤にかけて常識的な判断を下しただけという話ではあったが……。
「了解しました。フェアリーフォース隊員二名は必ずや大事なく救出して見せます」
ミックはもう一人、ミッションに加えるべき人員を伴ってブリーフィングルームに戻った。アニーシャである。彼は追加ミッション発生と概要をオーダー・アプレンティスに告げた。
「第一目的はシルキーとメイヴ、乃至そのパイロット両名の救出。第二目的は敵脅威の排除。…敵はニンジャだ、くれぐれも油断するな」
ミックは語気強く告げ、話を続けた。
「なお今回はアニーシャ=サンおよびケット・シーも作戦実行時の人員に加える。…大丈夫だな?」
アニーシャが頷いた。それを確認してから、ミックは電子パネルボードに眼を落とす。
「アニーシャ=サンが持ち帰ったデータには目を通してある。ハルマッタンのクルーは…恐らく全て殺されていよう」そういう言い方をした。
アニーシャには(またツバサとミレニアには)残酷だが告げねばならぬことだった。そしてミック自身も直視せねばならぬ現実だった。
ハルマッタンのクルーを直接手に掛けたのは帝国軍であり、オニロク・バシタキというニンジャである。しかし彼らの死に対して、結果的に手を貸してしまっていることには違いない。
「ところで、奴との戦闘で気づいたことはあったか?」
自然に教官が教え子へ問いかける口調になる。
ミックはアニーシャを慰めるような言葉はかけなかった。部下や教え子に対してそのような言葉はかけた覚えもないし、これからもないだろう。
代わりに与えるのは問いである。ニンジャは強力ではあるが、無敵ではない。攻略の糸口はどこかにあるはずなのだ。
162
:
エミリー
◆jclrQ5ykSY
:2016/07/06(水) 20:36:17 ID:PHGz5WNQ
「ツバサちゃん…」
ドナール准将の通達を見て、私は一気に酔いが醒めた。
ユウセイの宣言した通り、オーダーに出撃要請が出た。
オーダーを指名して来るとは…
そしてもう一つ…フェアリーフォースの機体データ…?
何故だ…?フェアリーフォースは結成後、二度出撃を経験しているが、お世辞にも大した実績があるとは言い難い。
私と同じ、パイロットの未知なる可能性を見たのか…?
それじゃあ、どうしてパイロットのデータでは無く、機体データを…?
あの機体に何か秘密が…?
「ミック少佐…」
通達を見て、ブリーフィングルームから出て行った少佐が戻って来た。
ドナール准将と通信を行ってたのだろう。
私達にミッションを告げてきた。
シルキーとメイヴ…そしてそのパイロットの救出。
ツバサとミレニアお嬢様…
それにしても敵はニンジャか…
ミック少佐と同じ技を使うのか…
「ところで、アニーシャちゃん。
聞きたい事があるの…」
通達についてだ。通達の内容…
「正直に答えて…ツバサちゃんの失態って本当?」
私達はツバサの失態でメイヴとシルキーが捕まってるって通達を受けている。
確かに、ツバサもパイロットとしてはまだまだ未熟だ…
だけど、初陣と比べれば大きく成長している。
それに、フェアリーフォースは3機全て出撃している。
通達の内容でパイロットの名前が出ているのはツバサ個人の名前だけだ。
単にツバサがミスったって思えば自然なのかもしれない。
だけど、ツバサには優しさがある。
通達に関して虚偽があったからって、私はアニーシャに何かをするつもりは無い。
だけど、アニーシャには聞いておきたかった。
私はその質問をする際に、真剣な表情でアニーシャの目を見て話してみせる。
163
:
◆h9Hr5c.eFE
:2016/07/06(水) 22:36:33 ID:Mg1ilEHk
>>161
「……うん。何となく、そうだと思ってた。あんな大きな艦で生存者が10人なんて、本当だとしたら乗り込まれて、制圧されたんじゃないかって思ったんだ」
アニーシャは固形の携帯食料をかじりながらブリーフィングに臨んでいた。人前でこんな姿を見せるような子ではなかったはずだが、どうやら彼女も腰を据えて作戦にあたる覚悟を決めているらしい。
ミックからの問いかけに、アニーシャは少し思案してから答えた。
「…あいつ、動きや反応はすごく速かったけど、あたしたちの攻撃の全てを捌けるわけじゃなさそうだった。挟み撃ちにされた時とかは、トラップや無人機を盾にして何とか凌いでるって感じだったよ」
>>162
「…それは…」
思わず目を泳がせるアニーシャ。返答がどうあれ、すでにその態度が真相を物語っていた。
きょろきょろと周囲を見渡し、国防軍の人間がいないことを確認すると、小声で打ち明ける。
「…嘘なの。あたしたちは全員で罠に引っ掛かって、正面から戦って負けただけ。
ツバサちゃんがお嬢とあたしを庇って、そういう形を装ってくれてるだけ…」
アニーシャの表情は悔しげだった。彼女の真剣さの理由はここにあると見て間違いないだろう。
「だからあたしはぜったい、ツバサちゃんを助け出して…あのニンジャをやっつける!」
T-スキンの手首に取り付けられた端末にメッセージが届く。それはケット・シーがガンナー装備への換装を終えたという報告だった。
アニーシャは携帯食料の残りを一気に口に放り込むと、噛み砕いて嚥下した。
164
:
ユウセイ
◆JryQG.Os1Y
:2016/07/06(水) 23:39:25 ID:dBN4Ziws
「やはりか...」
通達と、ミッションを聞いて指名したことに少し驚いたが、ユウセイの想定内だった
「オーダーを潰すことと、同時にフェアリーシリーズを回収するか…いささか強欲だな舐めているのか?」
自身の所属している処に態々喧嘩をひっかけてきたのだ
あの廃コロニーは帝国の機体が何度か目撃されていた
だが、何故サイラス3の戦闘時に参戦しなかったか…
やはりフェアリーシリーズを無傷で回収したかっただろうか
(まさかとは思うが、少佐はこれを解った上で、出撃させアニーシャを囮にする気じゃ)
そのことは少しだけ留意しておこうとそう考えた
>>163
「つまり、相手は前線に出るタイプじゃないってことか…攻略は楽そうだが、戦艦と数が厄介だな」
帝国様はよほどフェアリーシリーズにご執着のようだ
態々戦艦を制圧そして圧倒的に数で優っている
そして何よりも、セレニアンの怨敵ガバノイドを持ってきた次はニンジャか
よほど、フェアリーシリーズに関心があるようだ或いは…
165
:
◆tb48vtZPvI
:2016/07/07(木) 00:30:59 ID:nVEds.ZM
>>163
>>164
アニーシャの解答にミックはうなずいた。
「そうだ。戦闘ログを見る限り、奴はカラテ…即ち近接白兵戦闘術を重点していない。恐らくさほど自信がないのだろう。
だからと言って奴が弱敵であるということを意味するわけではない。むしろ自分の強みや弱みをわきまえた難敵と言える」
自分に有利な状況を生み出し、そこに敵を待ち構え、あるいは引きずり込む。通称「フーリン・カザーン」のメソッドはニンジャにとっては基礎的なものだ。
「奴のフーリン・カザーンを支えるのが樹脂触手だ」
ニンジャの異能…「ジツ」にはいくつかの系統譜が存在する。
体質。技術。あるいはサイキックめいた異能力…オニロク・ニンジャクランのシバリ・ジツは技能由来のジツ。それをハイ・テックを用いてニンジャ・フレームで再現しているのなら、どこかに技術的限界があるはずだ。
「…ユウセイ=サンの言うように、奴はヨクバリで自信過剰だ。そこにこそ付け入る隙はある」
(それはそうと…)
アニーシャがつい先刻までコンビめいて行動していたミレニアの名を口にしていないことに、ミックは気づいた。既にして彼女に見切りをつけている様子だ。そういった部隊長の今後は決して明るいものではない。
(生き延びてからが大変だぞ、ミレニア=サン…)
166
:
◆HU7XfvOYA2
:2016/07/07(木) 16:15:49 ID:ivOgydD.
「まぁまぁ、先ずは肩の力を抜いて。落ち着きましょう?」
いつの間に淹れてきたのか、両手に暖かい緑茶が入った湯飲みを手にしてアニーシャの隣に移動すると、にっこりと笑って湯飲みを差し出して。
「ふぅむ……困りましたね。」
今回のミッションは中々面倒である、人質の救出及び敵機の殲滅。言葉にすれば簡単だが、人質に手を出されないようにしつつ奪還、尚且つ殲滅となると手札が厳しい。湯飲みの茶を啜りつつアニーシャの表情を伺うディラン、アニーシャの瞳には決意の灯火が宿るのが見えるが技量が伴うかは不明だ。
敵のニンジャは手ぐすねを引いて待っているだろう、自ら火中の栗を拾うのは吝かではないが、人質に対する危険が大きい。
167
:
エミリー
◆jclrQ5ykSY
:2016/07/07(木) 21:29:29 ID:kO.ha3Bw
>>163
「そう…話してくれてありがとう…!」
通達にはやはり虚偽があった。
罠に掛かったのはフェアリー・フォース全員。
しかも、押し付けられたんじゃ無い…
ツバサはお嬢様とアニーシャを庇って…!
「アニーシャちゃんも、ツバサちゃんと同じで未だ未だ強くなる様な気がするよ!
一緒にツバサちゃんを助け出して、ニンジャを倒しに行こうね!」
アニーシャ…アイドルを気取っただけのパイロットだと思ってたけど…
アニーシャの言葉に嘘は無い…!
ツバサを助け出したいと言う気持ちと、
ニンジャを倒しに行くと言う決意が心で感じ取れる。
彼女は真剣だ…
だけどそれ故に気になる事が…
助けに行くと言って、アニーシャの言葉から出て来たのがツバサの名前だけだ。
“お嬢”って言葉が出ていない…
思い過ごしなら良いけど…
168
:
◆h9Hr5c.eFE
:2016/07/08(金) 02:43:46 ID:PrEKbA8M
>>166
「あ、ありがと…」
ちょうどボソボソしたレーションを詰め込んで、水分が欲しかったところだった。
猫舌を自覚しているアニーシャは、湯飲みの中のお茶をふーふー冷ましながら少しずつ飲んだ。心なしか、自然と気持ちが落ち着いていく気がした。
>>167
「もちろん! あたしもツバサちゃんも、まだまだこんな所で終わらないんだから!」
ツバサには大きな借りがある。そしてアニーシャには目的がある。
何となく角のある態度で接しあっていたエミリーだが、結果的に打ち解けることができたようだった。
(ま、お嬢はいつまで持つかわかんないけどね…)
言わぬが花、と言葉を飲み込むと、アニーシャは作戦の準備についた。
169
:
◆tb48vtZPvI
:2016/07/08(金) 22:19:48 ID:JLkPci9o
作戦概要は次のようになる。
目的は第一にツバサとミレニアの救出。第二にシルキーとメイヴの確保。第三にオニロク・バシタキの撃破。特に第一目的は実行部隊を犠牲にしても遂行せよ。
正面から本隊、即ちミック、エミリー、アニーシャがバシタキ駆るデイドリームと多数の無人機を相手に取る。
その間、ユウセイとディランの別働隊が同タイプコロニーから推測される別のルートから潜入し、第一・第二目的を遂行する。
「オニロク・バシタキは切り札を持っていると睨むべきだろう。別働隊の付随目的として、それを見つけ出せ。合流はそれからで構わん。質問は?」
170
:
エミリー
◆jclrQ5ykSY
:2016/07/11(月) 21:32:45 ID:m63c6uPI
>>169
「相手はニンジャか…」
本隊に選ばれたのは私と少佐と…アニーシャか…
私達に課せられたのはニンジャの撃破…
ニンジャはコズミック・オーダーに喧嘩を売って来ている。
私が直々にぶっ飛ばしてやりたいけど…
その気持ちはアニーシャだって同じの筈。
ニンジャの相手はアニーシャに任せたい…
だけど、少佐と同じ技や戦術を使ってくる以上は油断は出来ない。
アニーシャにニンジャの相手を任せるのは…
いや…!
「無人機…!」
そうだ…アニーシャ曰く、フェアリー・フォースの挟撃を多数の無人機を駆使して凌いでいたらしい。
あれの数を少しでも減らす事が出来れば…!
それだけじゃ無い…!
「少佐…このエミリー・ホワイト、アニーシャと“共闘”させて頂きます。」
相手は対した自信を持っているらしい。
私達に喧嘩を売って来たって事は私達に勝てる確証があるんだろう…
私達の事を調べたのかも知れない。
だとしたら、国防軍が私達を嫌ってる事も…!
だったら逆手に取って私とアニーシャが連携を取る…
フェアリー・フォースとコズミック・オーダーの“共闘”は予測してない筈…!
ちょっと前まで喧嘩寸前だったし、必ず取れると言った根拠はない…
だけど、今の私とアニーシャだったら…!
171
:
◆HU7XfvOYA2
:2016/07/12(火) 20:32:37 ID:1MQxH/c.
「特に、質問はありませんね。」
ミックの言葉にディランは気負った様子もなく普段と変わらぬ態度で応じて、その場で軽い屈伸を行い身体を解し、隠密任務用にポケットの中を確認して準備を行い。
172
:
ユウセイ
◆JryQG.Os1Y
:2016/07/12(火) 21:15:01 ID:/PohfC6Q
「こちらもありません。」
ミックの言葉に冷静さを保ちながら、ミックには溢れる殺気というものが見えただろう
護身用の刀と投げナイフを持ち、指示を待つ
173
:
◆h9Hr5c.eFE
:2016/07/13(水) 01:35:19 ID:ByYeS50.
>>169
「あたしも無いよ。大丈夫」
ケット・シーが二挺のマシンガンを抜き、臨戦態勢を取る。
「相当悪知恵とカラテに自信のある奴みたいだから、ディランとユウセイも気を付けて」
念のため、バシタキが生身で別動隊の元へ現れる懸念も頭に入れつつ、アニーシャは行動を開始する。
ミックやエミリーら大人に囲まれても彼女が萎縮しないのは、馴れているからである。
母親と離れ離れになって以降、アニーシャは児童擁護施設に入れられ、奨学金を受け取りながら勉学に励みつつも、多数のアルバイトを掛け持ちして収入を得ていた。
それはいつでも施設を離れられるように、そして母の居場所を突き止め、最悪の場合「買い戻せるように」という、彼女なりの考えあってのことだった。
(…今は回想に浸ってる場合じゃないよね。ツバサちゃんを早く見つけ出さないと……)
174
:
◆tb48vtZPvI
:2016/07/14(木) 23:33:54 ID:mY5D2rEw
「随分とお早いお着きで」
廃コロニー内。デイドリームに乗ったオニロク・バシタキは、戦艦ハルマッタンの甲板上から3機のヒトガタを見下ろした。
即ちミックのシバラク・カスタム。エミリーのスノウローズ。アニーシャのケット・シー。
その背後には無人機。半分がスクラップとして横たわり、半分が稼働可能を示して動いている。
「ドーモ、はじめまして。コズミック・オーダーの皆さん。オニロク・バシタキです」
「ドーモ、はじめまして。シバラク・ニンジャです」
バシタキのアイサツにニンジャネームを名乗って応えるミック。「オヌシに逃げられては困るからな」
「信用しては頂けませんでしたか?」
「あの二人の資産的価値は文字通り桁が違う。常識的に判断を下すならば、確保した時点で逃走を考えるものだ」
ミックが見るに、ツバサは純血のセレニアン。闇ではその身柄は文字通り惑星一個分の価値がある
ミレニアはノルヴァの子女。父親と祖父の愛情の多寡はともかく、人質としての需要は帝国・共和国共に計り知れない。
彼女ら二人の持つプラスアルファに比べれば、アニーシャの価値など将来有望というだけに過ぎない。バシタキがツバサとミレニアを手元に残したのも、いざという時の保険だ。
「私もあなた方オーダーが現れなければそうするつもりでしたよ、二重の意味でね」
「では、飢狼軍のサイラス3攻撃もオヌシが糸を引いたのか?」
「流石にそこまでは出来ません。ただそこに居合わせることが出来たのは幸運でしたよ」
「…その戦艦の搭乗員は、あの少年含めて全員殺したのだな?」
「ええ。あの少年、台本通りやれと言ったのに」
バシタキはそう言って心底残念そうな顔をし、あるVTRを流した。ハルマッタン内部だ。
血みどろの死体がそこかしこに散らばっていた。この時点で大部分が殺されているらしい。
そのうち逃げ回っている士官が見えた。銃を持って追っているのは…司令官だった。
銃火が閃いた。後ろから頭を撃ち抜かれ、士官が倒れこんだ。
「…貴様がやらせたのか?」
「あの司令官ですか? ええそうです。彼ったら部下が殺されようとも平然たるものでしたが、侍童の天使みたいな少年が人質にされたら、それはそれは血相を変えましたよ。
自分であの忠実なる部下たちを率先して殺していったのですからね。私が思うに、恋仲だったのでしょう。まぁ今頃はアノヨでチンチン・カモカモ・パッション重点とでも…」
「もう黙れ」
ミックはバシタキの言葉を打ち切った。
「部下も待ちくたびれていることだし、質疑応答はこのあたりにしておこう」シバラク・カスタムがゆるりとヤワラの構えを取る。
「オヌシをコクピットから引きずり下ろし、痛めつけてのインタビュー。しかるのち貴様は殺す」
「おやおや、あなたは夢見がちで大層な自信家のようですな。そんなニンジャ・フレームもどきでこのデイドリームを倒そうなどとはね!」
ブシュブシュブシュ! ヤリめいて足元から生える樹脂触手をミックは回避!
そこへ群がり来る無人機! まずは連中をどうにかすべきだ!
175
:
エミリー
◆jclrQ5ykSY
:2016/07/15(金) 21:53:59 ID:1QfmqCx.
>>174
「あれが…ニンジャの機体…!」
デイドリーム…ニンジャが操る機体…
ニンジャ・フレームって言うのか。
あのパイロット…ミック少佐の機体をニンジャ・フレームもどきと呼んでいた。
確かにミック少佐の機体は元々あったサイクロプスをカスタマイズした物…
対してバシタキって奴が載ってる機体はニンジャ用に造られた機体…!
「無人機…!」
やはり来たか…しかも背後から…!
先ずはそれをどうするか…!
「喰らえ!フォトンバスター!」
私の機体はランスと呼ばれる槍を構え、
槍の先を無人機の群れに向ける。
そして槍の先から放たれるのは広範囲の粒子砲。
アニーシャやミック少佐なら巻き込まれずに回避してくれるだろう…!
ミック少佐は勿論…私はアニーシャを信じる…!
それに、無人機を全滅させられなくても良い…
少しでも数を減らす事が出来れば…!
176
:
◆HU7XfvOYA2
:2016/07/18(月) 20:30:27 ID:zvlcZahw
「さて、囚われのお姫様達はどちらかな?」
一方その頃、手に入れた情報から正面の部隊とは違うルートからコロニーに潜入し、とある通路の一つにディランが何事もなく現れて。蛇のように物音を立てずにするりと先へ先へと進み、警備の兵士達を1人また1人と背後からヘッドロックで頸動脈を絞めて昏倒させつつ、ツバサとミレニアが捕らえられていると思われる場所に静かに歩みを進めて。
177
:
◆JryQG.Os1Y
:2016/07/18(月) 22:08:43 ID:sycNmfRc
「少し厄介だが、美人の顔を拝めるならえんやこらってね」
本隊とは別ルートで行きなおかつ、ディランとは別れとある道
「…監視室はどこかなっと…」
適当にドアを開け、見つけた敵は報告する前に昏倒させるか、首にナイフを突き刺す。
「さて、そろそろ当たりを引きたい所だが」
開くと、そこには幾つものモニターとサボっている監視員
【ガバガバじゃねーか】
そう思い、いつもの通りに鞘ありの刀で殴り、昏倒させ拘束する
【さて、いるかな…】
幾つかのモニターと手に入れた情報を参照し、機体のありかと2人の場所を特定する。
そして、またユウセイも姫君が捕らえられている場に足を進める
178
:
◆h9Hr5c.eFE
:2016/07/18(月) 23:25:58 ID:gllDkSRE
>>174
「…直々に出向いてきてくれるなんて、気前いいじゃない、変態ニンジャさん」
デイドリームの姿を目にしただけでも、抑えがたい怒りと屈辱感が込み上げてくるが、アニーシャは冷静を装い、ミックの手筈通りに動くよう努める。
ツバサとミレニアには、バシタキの一存では容易に手に掛けられないだけの値打ちがある。
残虐極まりない男だが、要求されたデータの引き渡しに応じなかったとしても、見せしめに殺害されるなどということは無いはずだ。
彼が引き連れている無人機の群れは、オーダーと雌雄を決するための軍勢であろう。本来ならばアニーシャに期待されているのはデータを渡し、両雄激突の場からそそくさと逃げ帰ることなのだろうが、そのつもりは毛頭なかった。
「今度は負けない…! ツバサちゃん達の居場所はすぐに吐かせてやる!」
>>175
スノウローズのフォトンバスターが開戦の狼煙となった。
アニーシャは呼吸を合わせて跳躍し、上空に逃れてそれを回避する。
「雑魚メカが、どれだけいたってっ!!」
尻尾のスタビライザーで巧みに姿勢を制御し、ケット・シーが上空から弾丸の雨を降らせつつ、無人機の群れへと飛び込んでいく。
179
:
◆tb48vtZPvI
:2016/07/22(金) 18:50:31 ID:RcYqH/rk
ビームが迸る! 群れが散開、6機がまとめて機能停止に追い込まれるが、散開することで大部分は直撃を免れた。
そこに降り注ぐのはケット・シーの弾幕! 当たりどころの悪かった5機が機能停止!
「イヤーッ!」デイドリーム跳躍! 落下速度の勢いも借りたマシンテンタクラーを振り下ろす! 狙いは空中のケット・シーだ!
「WASSHOI!!」シバラク・カスタムもまた跳躍! 片手にラプトルの残骸を掴み、サイクロプスを足場にして跳ぶ!
「イヤーッ!」残骸を投げる! マシンテンタクラーが残骸を捉え、打ち据えられたラプトルはそのまま破壊されるが攻撃がケット・シーから紙一重で逸らされた!
「ヌウーッ!」着地するバシタキ。柔軟な新型人工筋肉関節が衝撃を分散吸収するのをミックは見て取る。
敵の着地位置は遠い。シバラク・ニンジャは駆け出すも、無人機の壁がそれを阻む。
「イヤーッ!」ミックはアサルトナイフを抜き放ち、突きつけられた機銃を切断! 返す刃でラプトルの細い胴を切り払い真っ二つ!
更に転がった上半身をラグビーボールめいて群れに蹴りこみ、誘爆で4機撃破!
ブシュブシュブシュ! アンブッシュめいて噴き出す樹脂のタケヤリ! 辛うじて跳びのくも、シバラク・カスタムの爪先が破損! アブナイ!
(このトラップは絶対ではない)被撃しながらもミックは確信を深めていた。
バシタキはこのコロニーに事前に入り込み、トラップを仕掛けていたのだ。相当に大がかりなシコミだったに違いない。
(ならば、そのための設備があるはずだ)
それが奴の切り札だろう。通信傍受可能性によりオフラインにしてあるが、彼らならば気づくだろう。
無人機を蹴散らしながら確実にデイドリームへと近づいてゆく。
その時、レーダーが反応! 出現した機影がフルブーストでチャージアタックを仕掛けてきた! 特機級、モーターオニだ!
「チィーッ!」ミックは後退! 右手から左手へ通り過ぎる機影が大刀を揮う!
これを避けるも、今度は左手からの時間差チャージ! もちろんこれもモーターオニ!
更なる後退は…出来ない! 壁際に追い込まれた! 近づく巨体!
ミックは即座に決断、壁蹴りのトライリープ・ジャンプ回避!
「イヤーッ!」落下速度を借りてのアサルトナイフ斬撃! モーターオニの頭部損傷! しかし行動に支障なし!
モーターオニの肩を蹴って衝撃を殺し、着地するシバラク・カスタム。今のは実際アブナイなところではあった。
「フムゥーン…流石はシバラク・ニンジャの名跡を継ぐ御仁だけありますね」
感心するようにバシタキが言う。
「貴様の手札はこれで終わりか? だとすれば拍子抜けだぞ」
ミックは余裕の無さを隠すように挑発する。ニンジャ・フレームがあれば、という思いはニューロンの奥底に封印していた。
実戦に身を投じている以上、敗北すればどんな言い訳も無意味であることをミックは知っている。
ましてやジン・ミックはコズミック・オーダーの正騎士なのだ。
180
:
エミリー
◆jclrQ5ykSY
:2016/07/23(土) 23:38:28 ID:2jLBEdfA
>>179
「チッ…!」
ある程度の無人機は撃退したけど、散開されて大部分が直撃を間逃れてる。
撃墜したのは6機か…
だけど問題は無い…
「上手い…!」
アニーシャが5機の撃墜に成功している。
しかも私の放ったビームを回避して…!
私はアニーシャに通信指示を送っていない。
期待通り…アニーシャはパイロットとして確実に成長している。
「トラップ…!?」
飛び出してきたのは槍…あれは樹脂か…
読んでいたが、反応しきれず機体の肩に当たる。
幸い、大きなダメージは受けていないが…
だけど…
「あれは…!」
現れたのは帝国の特機…
あれは確か、モーターオニ…!
ゴールドモンキー・エンタープライズとか言う企業の機体だ…
あの企業の総帥は帝国の軍団である“ブッダハンド・シンジゲート”の軍団長だった筈だ…
だとしたら、あのニンジャ…バシタキとか言う奴は飢狼軍とは無関係なのか…?
飢狼軍以外の軍団が動いていると言う事か?
考えるのは後だ…今はあのモーターオニを…!
私はランスを構え、モーターオニの動きを伺う。
181
:
◆HU7XfvOYA2
:2016/08/03(水) 08:29:55 ID:lDJyG8NE
「ふぅ…然し、面倒な仕掛けが多かったなぁ。」
道中、幾多のトラップに防衛用ドロイドが多数配置されており、時には破壊し、時にはすり抜け ルートをひたすら辿って行くディラン。ただ、引っ掛かるのは人間が配置されて居なかった事に不審を覚えつつも漸く人質が捕らえられていると思われる工作艇の前までたどり着き。
182
:
◆JryQG.Os1Y
:2016/08/03(水) 21:35:43 ID:Pdm7Nqa2
「人とタレット多すぎだろ…」
道中、赤外線式のタレットと重装兵の監視網をくぐり抜けたり、食い破ったりしてひたすらに、進んできた。
…(おそらくこの先に…だが)
想定されるトラップを警戒しつつユウセイも工作艇の前にスタンバイする
183
:
◆h9Hr5c.eFE
:2016/08/09(火) 00:18:12 ID:BTBtFydY
>>179
「……っ!?」
突如頭上から振り下ろされるマシン・テンタクラー。やはりニンジャ・フレームの機動性は尋常ならぬものがあった。
本来ならばこの一撃でアニーシャは敗北していたかもしれない。しかしそこへミックのシバラク・カスタムが割って入り、壮絶な攻防を展開する。
(すごい……!)
ミックが迎え撃った無人機の中には、前回アニーシャが惨敗を喫したモーター・オニ2体も含まれていた。反応速度に劣る無人機とはいえ、その挟撃をかいくぐるミックの戦いぶりにはアニーシャも舌を巻いた。
だが、乗機のスペックが十分でないのだろう。ミックにこの布陣を単独で相手取る余裕が無いことはアニーシャにも直感的に理解できた。
「ミック! エミリー! デカブツの一体はこっちで引き受けるわ!」
エミリーがランスを構える様を目にし、もう一方の、頭部にナイフ傷を受けたモーター・オニに向けて飛び込んでいくケット・シー。
「行けっ、チャクラム!!」
前宙と共にオニの胸部目掛けてチャクラム・ソーサーを投擲。派手なアクションだが、これは牽制だ。
「本命は…こっちっ!!」
着地の勢いのまま、前方へとスライディングするケット・シー。巨大な敵機の股下をくぐり抜けながら、仰角をつけて構えたツイン・マシンガンを連射し、下方からの股関節の破壊を試みる。
184
:
◆tb48vtZPvI
:2016/08/11(木) 00:49:29 ID:8qedLsgc
工作艇の一劃に、手錠を後ろ手にかけられた少女たちが放り込まれていた。言うまでもなくツバサとミレニアだ。
ユウセイとディランは解放するために室内へ入り込もうとしたが、すんでのところで足を止めた。生身の視線!
「イヤーッ!」ニンジャ・シャウト! トビゲリを二人は危うげなく回避!
「ドーモ、はじめまして。オニロク・ヨジロです」アンブッシュに失敗しながらも二人に向き直り、鼠色ニンジャ装束のニンジャがアイサツした。
「やはりコズミック・オーダーもモスキート・イントゥ・ベイルファイアの例えめいてここへやってきたか。好都合、好都合。ヒトガタ戦には参戦出来なんだが、俺も一稼ぎ出来るというもの」
ヨジロはガントレットのスリットからクローを音立てて飛び出させ、舌なめずりめいた素振りを見せた。「さあ、楽しませてくれよ…!」
185
:
◆tb48vtZPvI
:2016/08/11(木) 01:12:14 ID:8qedLsgc
>>180
>>183
「プガーッ!」ケットシーへ殺到する無人機の群れ! そこへモーターオニを動向を観察していたスノウローズがインターセプト!
ランスに薙ぎ払われる無人機! 合わせて股関節へマシンガン射撃!
「ピガーッ!」完全破壊には至らない! そこそこ頑丈なのだ! だがモーターオニの歩みが遅滞する!
無防備にも見えるケット・シーへ足を向けていたデイドリームを、シバラク・カスタムが遮る。
「この状況下で、しかもそんな機体で、私に一対一を挑もうと? 意味深なコメディだ」
「何、貴様はカラテ殺す。それだけだ」
「あなたはやはりユーモアがおありのようだ。ブラックユーモアの類ではありますが」
ミックの周囲は無人機が幾重にも取り巻いている。ドヒョー・リングめいて二人は外界と隔離されてはいるが、そこで行われるのはスモトリの神聖かつ公正な決闘ではない。ニンジャの殺し合いだ。
正攻法でデイドリームを突破することは、この機体では恐らく不可能に近いだろう。カラテを仕掛けるにせよ、関節が先に焼け付いてしまう。
今出来るのは時間稼ぎ。
「イヤーッ!」ミックがニンジャ・シャウトと共に疾走、シバラク・カスタムはデイドリームとの間合いを詰める!
186
:
エミリー
◆jclrQ5ykSY
:2016/08/13(土) 20:38:34 ID:lWIKst46
>>185
「逃がさない!!」
モーターオニの動きが鈍くなった。
アニーシャの攻撃のおかげだ!
私はそれを見逃さず、ランスで追撃を狙う!
187
:
ユウセイ
◆JryQG.Os1Y
:2016/08/22(月) 00:40:39 ID:MVINvfB6
>>184
「伏兵…少しは頭がいいかと思ったが、獲物に対しその舌なめずりただの三流か」
挨拶を完全にスルーし、むしろ挑発する。
最初から術を使ってこない以上ジツよりはカラテに頼っているらしい
だが、その方が寧ろ居合を得意とするユウセイには好都合だ。
相手としてはスゴクシツレイというものに値するのではあろうが、ユウセイにとっては知ったことではない
「ニンジャといえどその程度であれば!」
自分が持っている居合刀から刀を抜き出し念を収束させる
「発式…飛円椿」
相手の方向に、発剣を投擲する
その刃は緑色に輝きながら、高速回転しヨジロに襲い掛かる!!!
188
:
◆HU7XfvOYA2
:2016/08/25(木) 19:42:27 ID:z9vUzazA
>>184
「悪いが、楽しませる義理は無いんだ。すまない、最初から加減はしない。…ガイア!」
アンブッシュを危なげ無く回避して、腕に装着されたブレスに手を掛け、一言叫ぶ。その瞬間、身体は光に包まれ眩い光が辺りを覆う、光が収まるとディランの身体はガイアに変わり、人と同じサイズのままのガイアは静かに構えて、気合いを発する。
「デュア!」
189
:
◆tb48vtZPvI
:2016/08/25(木) 19:54:35 ID:71xY5q/o
>>187
>>188
「何ッ!?」
驚愕に眼を剥きながらヨジロは左にジャンプ、念動刃を回避する。
「オーダーにニンジャは1人だけじゃなかったのか!?」
ヨジロは声を上ずらせる。ニンジャと生身で戦えるノーマルなどいない、いるとすればそれはニンジャ。それがヨジロの常識だった。
「クソッ、イヤーッ!」ヨジロはシャウトと共にハンディ・スリケンシューターでスリケンをファニング射出した。
190
:
ユウセイ
◆JryQG.Os1Y
:2016/08/25(木) 21:53:06 ID:mFBlPlIw
>>188
「なんだ、変身できるじゃん変に危機的じゃなくても」
情報とは違い、通常状態でも変身できるらしい
(だが、サイズが違うな…やはり、ディランと密接に)
ガイアというものにさらに疑問点が増えたユウセイだった。
>>189
「あら、ご存じない?念動力者」
ファニング射出されたスリケンを余裕そうにキャッチするそれも、指と指の間にだ。
そして、
「まぁ、もうお前は死ぬから…知る必要もないがな!」
先ほどはなった抜刀がツバサとエレミアが捉えられている檻の扉を薙ぎながら
再度ヨシロの背後に襲い掛かる
191
:
◆HU7XfvOYA2
:2016/08/30(火) 16:27:06 ID:OE26.Tx6
>>189
「デュアッ!」
此方目掛けて放たれたスリケンをガイアはガイアブレスから発生させたエネルギーの刃、フォトン・ソードで足元へ払い落とし、そのまま真正面からヨジロに向かって走りだし、ヨジロの背後から斬りかかるユウセイに合わせてフォトン・ソードを振りかざし、ヨジロ目掛けて×字にソードを振るい。
>>190
「今は『覚悟』が出来たんだ、だから…変身に問題は無い。」
ユウセイの言葉に、自らの心をハッキリと決めた事により変身を行う事は出来ると言葉を返して。
192
:
◆tb48vtZPvI
:2016/09/24(土) 03:23:40 ID:fEXmyKPw
>>190
>>191
「グワーッ!!」
前後から斬撃を受けたヨジロは致命ダメージに絶叫! その場で奇妙なステップを踏み、
「…サヨナラ!!」爆発四散!
捉えられない。バシタキは次第に苛立ちと焦りを覚えて始めてきた。
幾度となく攻撃を重ねた。打撃は何度も装甲を掠めた。しかし、有効打が一向に与えられない。
機体性能はこちらが上。フーリン・カザーンも手の内にある。それなのに、何故このサイクロプスの改善機を捉えられない?
「チョコマカと…うるさいですね…む?」
バシタキはヨジロのバイタルサインが消失していることに気づいた。
「まさか? ありえないこと…」
そのありえないことが起こっている。バシタキは、今己が敵している相手がコズミック・オーダーであったことを思い出した。
193
:
◆h9Hr5c.eFE
:2019/04/01(月) 20:26:33 ID:H2L3TqcI
けたたましい警報と階下の騒音に、ジードは予てより醜い顔をさらに大仰に歪めた。
「おい、何だァ? 何の騒ぎだァ…」
ここはアステロイドベルトの中に隠された、人身売買組織『ソドム』の支部基地の一つ。今日も一時間後に、拘留している質のいいセレニアンを2人、帝国領へとワープ搬送する予定だった。
「か、頭ぁ!」
「このザマはどうした? オーダーの連中にでも尾行されやがったのか!」
「違うんだぁ、『あいつ』がとうとう、ウチにも来やがっただぁ…!」
ジードは納得したのか、豚のような鼻を鳴らしてうなった。
「ヘッ…この前グドンの野郎の所に出たばかりと聞いたが、忙しいこった。人騒がせな小娘だよなァ…」
面倒そうに吐き捨てながらも、その顔には邪悪な、嗜虐的な笑みが浮かんでいる。
「おい、予定より少し早ェが『アレ』を始めるぞ。記録・通信系のチェック! 暗号化万全にしとけ!」
194
:
◆h9Hr5c.eFE
:2019/04/01(月) 20:27:12 ID:H2L3TqcI
「ぐげぁぁ!?」
安物のサブマシンガンを手にしたサイクロプスが、横一文字に真っ二つにされて爆散した。格納庫は大型機動兵器の運用に十分な広さと強度を有していたが、さすがに内部でのドンパチまでは想定されておらず、辺りには設備とサイクロプス3機の残骸が混ざりあって散乱し、雑然とした様相を呈していた。
「こんのォ、くそガキャあばばばばっ!?」
躍りかかろうとしたサイクロプスの顔面をバルカン・ファランクスの斉射が襲い、単眼のセンサーを粉砕する。
「でぇぇやぁぁぁっ!!」
よろめく機体に大上段から降り下ろされる、刃渡り12mの巨剣。それはけたたましい金属音と共に、重装型サイクロプスを脳天からいとも容易く両断した。
炸裂する爆炎をマントを翻してかわすと、襲撃者は足元に転がってきた頭部の残骸を、ハイヒール型の客部でぞんざいに踏みつけた。
「 ハッ…雑魚が何匹沸いてこようが同じってこと」
迎撃に現れたソドムの構成員を次々に葬った剛剣の主は、得物とは不釣り合いの少女のような可憐なシルエットを持っていた。しかし、黒いマントに覆い隠された装甲には無数の傷跡を思わせる修復跡があり、満身創痍のような痛々しい雰囲気と、くぐりぬけてきた戦歴の熾烈さを感じさせた。
「…この区画でもない…ったく、どこにいんのよ、拉致られた子達は…」
「このジード様に可愛がられに来たかァ! セレニアンの小娘ェ!」
基地内に聞き苦しいダミ声が木霊する。
「!」
大剣を背負った華奢な機体の中で、ブロンドのツインテールを揺らしながら、パイロットの少女がチッと舌打ちする。
「…生憎、汚ならしいブタを可愛がったり可愛がられたりするような趣味はないのよね。屠殺してあげるから、さっさと出てきなさいよ」
195
:
◆h9Hr5c.eFE
:2019/04/01(月) 20:28:01 ID:H2L3TqcI
「ぐへへへ…」
格納庫の奥の闇から、巨大な影がぬっと姿を現す。黒ずんだ合金の地が剥き出しの重装甲の隙間から、有機的な筋繊維が覗く異様な風体の機動兵器。
暗黒惑星ガバに生息する、冒涜的生態を持つ巨獣を素体とする半生体ロボット『ギガント』だった。
コックピットに鎮座するジードは自らの顔を大映しにした映像通信を送りつけ、見せつけるように舌なめずりをする。
少女の一挙手一投足をトレースしていた機体が、びくっと小さく肩を跳ねさせたのを見ると、ジードはあからさまに上機嫌になった。
「ひひひ…どうだ、俺様のご尊顔を拝んだ気分は? 自慢じゃねえがグドンの奴より余程ひでえツラだろう?」
「…揃いも揃ってグロ画像みたいな顔した連中相手に、見分けなんか付くわけないでしょ? 気色悪いもん見せびらかしてんじゃないわよ」
「それにしても、見ろよ、俺様の『ベヘモット』をよ。恐ろしい姿だよなぁギガントってのは。特にお前らセレニアンにとっては尚更だよなぁ?」
かつて惑星セレニアへの侵略に投入され、星と住人、そして主力兵器たる『マシンディーヴァ』を蹂躙し尽くした悪魔の機動兵器。
その巨体は見るものに戦慄を、殊更セレニアンには生理的嫌悪と絶望すら覚えさせるだろう。
「恐ろしいのはこの巨体よりもむしろ…っと…こいつだろォ?」
ギガントの顔が落花生の殻のように左右に割れ、その中から現れたぬめりを帯びた触手がうじゃうじゃと蠢く。
「スンゴかったらしいよなぁ、グドンの奴がコレで嬲ってやった時にはよォ」
ジードの身体は無数の針とチューブでコクピットの内壁――脳死状態の『蟲』の体組織へと有機的に繋がれており、それはギガントもまた、マシンディーヴァのような神経接続コントロールを採用した兵器であることの証左である。
顔面から溢れだした触手の一本一本までも自在に操ることができるばかりか、ガバノイドの肉体には存在しない部位にも関わらず、特殊なチューンによって感覚のフィードバックさえ万全である。
「……」
少女は殺意も露な表情で、歯ぎしりしながらその言葉を聞いている。
斬り込む隙を伺いながらも、挑発に心乱されているのは明白だった。
「…能書きタレてんじゃないわよ、ブタ野郎。このあたしがあんたらごときクソブタに辱しめられた? 冗談も大概に……」
『え゛ひぃィィィィ〜〜ッ!!』
「…!!?」
196
:
◆h9Hr5c.eFE
:2019/04/01(月) 20:29:52 ID:H2L3TqcI
モニターに送り付けられてきたのは、コクピット内で破裂した「ホーリークロス」の粘液にまみれ、豊満な肉体をくねらせて悶える、金髪ツインテールの美少女――1ヶ月前に別の基地への襲撃を図った際の、他ならぬ彼女自身の姿を記録した映像だった。
『 ぇぃい゛ィィィィンッ!! あンッ!! あ゛ンッ!! ゃあ゛ンッ!? そん、らぁぁぁ゛ッ!? だめッ、だうぇッ!! やッ、にゅるにゅる、しないれッ…ひ、ぁ、ぁ゛あ゛あぁああぁぁあ゛あぁ〜〜ッッ!!!』
「…〜〜っ!!? な、なっ!? なんで、なんでこんなもん記録してんのッ!!?」
少女の顔が、尖った耳の先までかぁっと赤く染まった。
『オラッ! どうしたァ!? 余裕で耐えてみせてくれんじゃなかったのかよォ!? ガバノイドハンターのマヤ・ランベリーちゃんよォォ!!』
『こんらッ、むッむりッ、無理ィィィィッ!! たえ゛られるわげない゛ィィィィィィィィッ!? やめぇぇ゛…!!』
『アホが! まだ始まったばかりなんだよォ!! 一本ずつ追加してってやるぜェ!! オラ! オラッ!!』
『やらッ!! やぁらッ!! んあひィ゛ィィィッ!? ゆるひッ、ゆるッ、ゆるひひぇェェェェェ〜ッ!!』
「…けっ…消せっ!!消せ!! すぐに消せ!! この腐れブタ野郎ッ!!」
足元のサイクロプスの頭部をサッカーボールの如く蹴り飛ばす。
ゴンッ、と鈍い音を立ててガバニウム鋼に弾かれ、地面に転がったそれを、ベヘモットは生卵のように容易く踏み砕きながら前進した。
「もう遅ェよォ。グドンの野郎がコピーしてあちこちにバラ撒いちまってんだ」
「バラ撒いた!? なっ、何のために…!」
「いわゆるプレゼンテーションって奴よ。お前を『商品』として売り込むためのなァ」
その言葉を受けて、赤らんでいた少女の顔にカッと怒りの相が浮かんだ。
「くぅぅ…ッ!! ブッ殺してやるッ!! お前も、グドンの奴もッ!!」
ガバノイドハンターのマヤ・ランベリー……そう呼ばれた少女は、コクピット内で剣を振りかぶるモーションを取る。
愛機ヴェスタが同様の体勢をトレースするや、身の丈を超える大剣の嶺から、5基のスラスターが一挙に火を吹いた。
「でぇぇぇぇやあああああああーーーーッ!!」
197
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◆h9Hr5c.eFE
:2019/04/01(月) 20:30:44 ID:H2L3TqcI
超高速の踏み込みによる真っ正面からの袈裟斬り。しかしそれは、ジードが挑発によって狙い、誘った通りの行動だった。
「甘ェんだよォ!! セレニアンのメスガキ風情がッ!!」
ギガントは上体を傾けるや、巨大な左手で剣の根元、それを支える両腕を掌握し、ガッチリと動きを止める。共に神経接続コントロールによって操られる機体ゆえに、錬度の違いが明暗を分かった。
「っ!?」
そして次の瞬間、フックパンチの軌道で、右腕の巨大質量が容赦なくヴェスタの脇腹に叩き込まれていた。
「ぁはあ゛ぁぁぁぁぁッ!?」
ヴェスタは錐揉み回転しながら吹き飛び、無惨にも基地の内壁に叩き付けられた。安価なカーボナイト装甲の大半はその衝撃でひび割れ、関節部が火花を散らす。
次の瞬間、ベヘモットは背部のスラスターで機体を転換させつつ、巨体に見合わぬ突進力で、更なる追撃のショルダータックルを見舞っていた。
「オォラァァッ!!」
「うあ゛あぁあ゛ンッ!!?」
基地の内壁がけたたましい金属音を上げて陥没し、ヴェスタは猛烈な衝撃に襲われると共に機体の背面を壁へと押し付けられる。砕けた装甲の破片がマントの下からボロボロとこぼれ落ち、大剣が床に転がる。
「ッく、ぅぅッ、あ゛うッ、こ、のっ…」
「ヒャッハハッ、!! オラ、オラ、オラオラオラオラオラァッ!!」
怒濤のごとき拳打のラッシュが開始された。壁に縫い止められたまま、ヴェスタはその全身の装甲を余すところなく砕かれていく。
「うああはぁあ゛ぁあッ!? んあ゛ぁはあ゛ッ!? あ゛ぅあ゛ぅあ゛ぅあ゛はぅあ゛ぅあ゛ぅあ゛ぅンあ゛ぅンッ!? あ゛ンあ゛んあ゛ンあ゛ンあ゛ンあ゛ンあ゛ンッ!! 」
猛り狂う両の拳がマヤを容赦なく攻め立てる。打撃に晒されるがままガクガクと彼女の全身が揺れ、Gカップのバストが無茶苦茶に跳ね回って目まぐるしく変形する。その度にダメージ電流がホーリークロスを駆け巡り、やがてそのフレームが帯電・振動し始める。
パヂヂ、ヂヂヂヂッ!!
「あひィ゛ンッ!? やッ! だッ!! め、ぇ゛ッ…!?」
拳打を受け続けるにつれ、臨界点を超えたダメージがクロスを粘液と化し、びちゃびちゃと八方に飛び散らせ始める。
その衝撃とフレームを走る電流とが筆舌しがたい激感となり、マヤの肉体を鞭打つ。
ドガガガガッ!! びちゃ、ぶちゅっ! パヂヂヂヂヂッ!!
「うあ゛ッあ゛ッ、ひ!! あひぃィ゛ィィィ〜ッ!? ひィ゛ンひィ゛ンひィ゛ィィィンッ!? ひひィィ゛ィィ〜〜ッ!!」
「ひひひひ! そォらトドメだ!!」
ベヘモットの顔面がバクンと開くや、槍のような極太の突起物が飛び出し、ヴェスタの鳩尾へと突き立てられた。
「ひはあ゛ぁぁぁぁぁッ!?」
それは頭部に内蔵された触手状器官が螺旋状に束を為した肉のドリルであった。
ぎゅるぎゅるとそれが回転を始めるや、激しい放電が開始され、ヴェスタに高圧電流が注ぎ込まれる。
「あはぁ゛あああぁ゛ンッ!? あ゛ぁン!! はぁあ゛あぁぁあンッ!! ぁひあ゛ぁ、あ゛、あ゛ッ……!? えひゅぁあ゛ぁぁあああああぁ〜ッ!!?」
ヴェスタは昆虫標本のごとく壁に固定されたまま、手足を狂ったようにバタつかせて悶絶する。
そうして十数秒にも及んだ責め苦が終わり、ドリル触手が引き抜かれると、陥没した壁面から力なくずり落ち、うつ伏せに倒れ伏す。
「ん、ぁん゛ッ…ぁ゛…ふぅ゛うん…ふぁあ゛ぁ…」
帯電したフレームのまたがる尻を突き出したような体勢で震えるマヤ。その顔は真っ赤に上気し、目元からは涙が溢れだしている。体表からは衝撃の余韻で液化したスーツがびゅっ、びゅっと断続的に飛び散る。ヴェスタの外装はすでにボロボロに砕け、か細い内部フレームがあちこちから顔を覗かせていた。
198
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◆h9Hr5c.eFE
:2019/04/01(月) 20:31:23 ID:H2L3TqcI
ガバノイドハンターを名乗る少女は、一瞬で標的のはずのガバノイドに返り討ちにされてしまった。何かの間違いのような光景だが、彼女が無謀な戦いを始めて以来これが常なのだ。
「ひゅゥー…まだ失神しちゃいねぇよな? ここからが本番なんだ。お寝んねしてもらっちゃ困るぜェ?」
ヴェスタの頭部をつまみ上げるようにして、機体を顔の前へと運ぶギガント。触手がみちみちと音を立ててうねっている。
「っ…本…番…?」
「『オークション』だよォ」
「!?」
驚愕に眼を見張るマヤをよそに、ベヘモットはヴェスタを掌で軽々と弄び、羽交い締めの体勢を取った。
「おい! バイヤーへの配信始めるぞ! 準備できてんだろうな!?」
「へぇ! 頭! 入札希望者数も5000超えてますぜ!」
「ぐへへ…こりゃあいい競りになるだなぁ」
これから彼らの行おうとしていることを漠然と察し、マヤは一瞬頭が真っ白になった。
彼女自身も純血のセレニアンである。敗北し、捕らわれればどんな末路を辿るかは火を見るより明らかである。常に覚悟は持っていたつもりだが、しかし、よもやこんなにも唐突に『商品』として扱われるなどとは思っても見なかった。
『やめでッ!! やめでェェェェ〜ッ!! おかひぐなるゥッ!! ひゃひィィひひィィ゛ィィィィ!?』
モニターの中の惨劇もまた、一層苛烈な展開を迎えていた。心身へのダメージで朦朧とする視界で、マヤはモニターに映る、涙と涎と粘液にまみれ、恍惚と絶望、相反する狂乱に侵された自らの無様な顔を見た。
「言っとくが俺様の『ベヘモット』はAクラスだ。グドンなんぞのカスギガントとは『素体』からして比べ物にならねぇからなァ…」
ぺたぺたとヴェスタの頬を叩くベヘモットの触手の感触を受け、マヤは自らの顔が絶望に強張っていることに気付いた。そしてそれを否定すべく、歯を食い縛って懸命に怒りの炎を燃やした。
『もぉゆるひでェェェェ!! ゆるひでッ!! ゆるひでッ!! ゆるひでくだひゃッ…ひィィィィィィィィッ!!! ひぎゅううううううゥゥゥゥゥ〜〜ッ!!!』
羞恥心など軽く通り越し、モニターの中の惨めな己に対して焼け焦げるような憎悪がこみ上げる。
忘れてはならない。ガバノイドは親友たちを奪った仇だ。同族を弄ぶ悪魔だ。不倶戴天の敵だ。こんな無様な嬌声など二度と上げるものか。どんな辱しめを受けても絶対に耐え抜いてやる!
マヤはそう心に硬く誓いを立てる。
「やってみろ、ブタ野郎…!! あたしは…あたしはもう…絶対に負けない…ッ!!」
「へへ、いいツラだ。今のうちに気丈にしといてくれた方が、商品価値が吊り上がるってもんよォ…」
「入札開始だあ! クローズドで始めっぞお!!」
ベヘモットの触手がボロボロのマントを首元から引きちぎり、剥ぎ取ると、痛々しくも艷かしい、ヴェスタの曲線的なフォルムが露となる。
「…!!」
「フーンク!!」「フーンク!!」
ガバ達の号令と共に、拘束されたヴェスタを目掛け、ギガントの口吻から無数の触手が伸び……
199
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◆h9Hr5c.eFE
:2019/04/01(月) 20:32:18 ID:H2L3TqcI
3分後、アーマーとスカート型のクロス・ユニットをむしり取られたヴェスタは、全身に無数の触手を這わされ、さらに背・腰双方のターミナルへとその先端を突き込まれながら、猛烈な電流を流し込まれていた。
「あう゛ぁ゛ぅあ゛ゅ゛ぅあう゛ひゃふぁあああああ゛ぁぁああ゛〜ッ!! ふゃ゛ああ゛あああ゛ぁ〜ッ!?」
両腕を頭上に触手で縛り上げられた上、ベヘモットの両掌を膝裏に回されて拘束され、放尿を促される子供のような体勢で、ヴェスタは損傷だらけの上体を激しく波打たせていた。
(こッ!? こんらッ!? こんらの、ありえにゃ゛ッ!? ひィィィッ!!?)
「ヒヒッ! どうしたァ!絶対負けねえんだろォ!? そら頑張れ頑張れ!! ヒャハハハッ!!」
「ひあぅぅぐ、ぐんぅくッ、くんんんんッ…!!」
愛機と同じ姿勢で全身を強張らせ、必死で激感に耐えんとするマヤ。その努力の程は、全身からにじみ出ている汗の量を見れば明らかだった。
「くぅンッ、まっ、まけなッ…ま゛けなひッ…こんら、ものぉぉぉ゛〜…ッ…!」
言葉とは裏腹に、今にも白眼を剥きそうな両目からは止めどなく涙が流れ落ち、震える唇からはだらしなく唾液が滴っている。
「こんなモノ…? こんなものだァ?」
「そッ、ッ、そぉよッ…ぁんッ…! こ、こんらのッ、ぜんぜん、大したことなぃんらからぁぁあ゛…ぁ゛ぁンッ…!」
「ほォ?」
「…え、Aランクだか何だかいうくせに、ンッ!! み、み、惨めッたら、なぃわね…ッ! しょせんガバなんて、ンんッ! ぶ、ブタ、以下の…」
「ったく贅沢な小娘だぜ…ならもう1段階上にシフトアップだなァ」
「はぇ…ッ!?」
バチバチバリィッ!!
「んあ゛ぁぁぁあ゛ぁああ゛あぁッ!!?」
ヴェスタを拘束する触手の一本が根本から帯電し、機体内に電流を注ぎ込んだ。
「やあ゛ぁぁあッ!? や゛ッ!? んぃィィィィィィィイ゛ッ!!?」
「なんだ、まァだ足りねェのかァ? 強欲なメスガキだぜ! オラ、オラ、オラッ!」
ジードの声に応じて、触手が更に一本、また一本と激しい放電を開始する。
「違ぁッ!? いぎぅぎッ、イィぎィィィィィィッ!? ひぎィィィィィィいいいッ!!?」
口元を必死に食い縛り、マヤは身をよじって激感に抗おうとする。
(たッ、たえッ、たえるのッ!! はんげき、はンげきッ! はンッ……)
グリッッ!!
「くお゛ォォォ〜〜ンッッ!!?」
しかし、その責めは到底耐え凌げるものではなかった。頓狂な声と共にヴェスタの細い腰が折れんばかりの海老反りになる。
「くォ゛ォうンッ!? くほォ゛ォォォォお…!!?」
「ギャハハハハハ!!」
200
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◆h9Hr5c.eFE
:2019/04/01(月) 20:33:27 ID:H2L3TqcI
「おっ!? おいおい、すげェことになってんぞマヤァ…ほれ見ろォ!」
「…!!?」
ヴェスタのモニターに二つのウィンドウが投影される『7,598』。『93,659,850,000』。何かのカウンターと思われる数値。特に後者の異様な桁数の値が、尋常でない勢いで跳ね上がるように更新されていく様を――
「っぁ…あ゛…!?」
そしてその横に並ぶ文字が『通貨記号』であることを、マヤは認識してしまった。
「これだけ出してでもお前が欲しいとさァ! 喜べ! 今お前が見せてんのはメスセレニアンの中でも上の上の媚態ってことだからなァ!」
ゴズン! と電撃触手が思いきりヴェスタの深奥を衝いた。その衝撃と共に、マヤの胸中で何かがポッキリと折れてしまった。
「あ゛ひいィイやぁぁあ゛あぁぁぁッ!!? だああ゛めぇ゛えええ゛ぇぇ〜〜ッ!!!!??」
「あァ!? この額でもまだダメだってぇのか? ええ?」
「ちがぁうッ!! らめえ゛ぇえぇぇ゛ッ!? も゛ッ、もぉ゛らめなのッ!! らえ゛ッ!? やめてえええ゛ぇぇぇッ!!?」
「こォんないいとこで止められっかよォ!! オラ負けんな! 絶対負けんな!! 吊り上げんだよォォ!!」
「まけぢゃっ、負けぢゃう゛からッ!! まけちゃ゛ゅのぉッ!! もぉ、これッ! やめでぇぇええッ! ゃあ゛あぁああああッ!?」
緩急をつけて送り込まれる刺激が、マヤの体の芯に食い込んだ紐状フレームを帯電させ、スーツを沸騰させては破裂させる。
パヂヂヂヂヂヂ!! びゅぐるぶびゅぶぢゅっ!!
「あ゛ーッ!! あィ゛ッ!! あィ゛ッ!! あィ゛ッ!! あィ゛ッ!!あィ゛ィィィィ゛ィィィィ〜ッ!! 」
喉元を仰け反らせたマヤの顔は上気しきり、口腔から舌を突き出した、先刻再生された映像と寸分違わぬものになっていた。
「やめてほしけりゃ負け犬らしく請えよォ!! 惨めな奴隷種族がッ!!」
「そっ、そッ、そんらッ! そんらッ…!?」
挿入されている以外の触手が、高圧電流を帯びたまま鞭のようにヴェスタを打ち据える。バシィッ!
「ひィ゛ンッ!?」
ホーリークロスのフレームにビリィッ! と電流が駆け抜けるたび、コクピットに白濁した液体が飛び散る。
ビシッ! ぶぢゅっ! バシッ、ビシィッ!
「オラッ! オラッ!」
「はひィッ!? きゃひきゃひきゃひきゃひィィィンッ!? きゃィィンッ!? 」
右に、左に、鞭打たれるたびに悪霊に憑かれたかのようにガクガクと踊るヴェスタ。
「請うんだよォ! 許しをォ!! 売り物風情が偉そうにしやがってッ!! あァ!?」
ビシッ! ビシィッ! ズバビシィッ! ぶちゅるる!!
「きゃ゛ィィンッ!? ゃひ、あお゛ッお゛ッ!? …ゆッ……ゆるひッ!? ゆるひでッ、ゆるひッ、ゆるひィ゛ィィィィッ!?」
「お許しください、だろォがッ!!」
バシィィィンッ!! ぶっぢゅるるっ!!
「きゃィィィィイ゛ンッ!?」
顔面に叩きつけられる多量の粘液が被虐者の本能を否応なく燃え上がらせる。マヤは震える唇と呂律の回らない舌で、反射的に服従の言葉を紡いでしまう。
「 お゛ッ、おゆるひくだひゃィ゛ッ!! お゛ゆるひくだひゃィ゛ィィィィッ!! ひィ゛ィィッ!? じーどひゃまぁあ゛ぁぁぁぁぁ〜ッッ!!」
「グヒャヒャーッ!!嫌だねッ! 許すわけねぇだろォ〜ッ!!」
「そッ、そんらあ゛ぁぁぁぁぁああッ!? そんらぁあぁぁああ゛ッ!!?」
無慈悲な宣告の直後、ターミナル内を放電しながらかき回していた触手の束が、突如として螺旋状に絡まりあい、ドリルのように回転し始める。
ギュルルルルルルルゥッ!! ギュイイイイイイインッ!!
「ぇひィ゛ィィィーーーッ!!? あひぇひあひあ゛ひィィィィゅ゛ゥ゛ゥゥゥ〜ッ!!らにこれ゛えぇェッ!? これらめえ゛ェェェェェッ!? えひゃああ゛ぁああぁあ〜ッ!? ひえぇぇあ゛ぁぁああ゛ぁぁあ〜〜ッ!!?」
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◆h9Hr5c.eFE
:2019/04/01(月) 20:34:01 ID:H2L3TqcI
天井知らずに高まっていく激感。心をへし折られたマヤの眼前で、目まぐるしい勢いで上昇していく見たこともない桁の金額。混濁する意識の中でそれら二つが熱烈にリンクし、セレニアンの少女に破滅的な倒錯を叩きつける。
「はぁ゛ッ!? はあ゛ッ!! はーッ、はッ!!? はひぇ゛!!? はひぃぃぃぃぃィィィィンッッ!!?」
「そォらフィニッシュだァ!! バッチリプレゼンしてやる! お前を宇宙一の人気者にしてやるからなァ! 盛大に果てろよなァァァ!! マヤぁぁぁぁぁ!!」
激しく螺旋回転しながら機体内を容赦なく蹂躙し続ける触手の束に、最大電圧の電撃が注ぎ込まれた。
ギュルルルルルルルッ!! バリバリバリィィィィッ!!
「いあ゛ぁあ゛ぁぁぁあッ!! あ゛ぇえ゛イぇぇえッ!!? じぃどひゃまッ、じぃどひゃまッ!!! え゛ぉッ!? ぉ゛お゛ゆるひぐだひゃ゛イ゛ッ、おゆるひ、おゆるひぐだひゃぁぁあ゛、えひゃ゛あ゛ァァァッ!? あひィィィィィィィィィ゛ぎゅゥゥウウウウウーーーーーッッ!!!!」
バヂヂヂヂィ゛ッ!!ぶぢゅるぶぢゅる……ぼっっ!! どぶッぢゃあああああああッ!!!!!
マヤの体を包んでいたホーリークロスが、たちまち沸騰する粘液のカタマリとなり、然るのち無残に爆裂した。
「あ゛ひゃああぁあぁあ゛ッ!!? きゃぃ゛イィ゛ィィィィィィィいい゛ンッッッ!!????」
背骨を仰け反らせたヴェスタの関節という関節から、噴水のように火花が吹き上がる。カメラシールドが砕け散り、光が消え失せる。両の脚を爪先までピンと張り詰めさせ、その全身はガクン! ガクン! と悪霊にでも取り憑かれたかのようにのたうち回り、数十秒を経た後、ようやくぐったりと弛緩し、M字に脚を開いたままギガントにもたれて崩れ落ちた。
202
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◆h9Hr5c.eFE
:2019/04/01(月) 20:34:31 ID:H2L3TqcI
「……ぁッ……ぁッ、ぁ゛ッ、ぁッ、ぁ゛ッ……」
ジードの見るモニターには、粘液風呂に漬け込まれたかのような姿のマヤが、機体と同様の体勢で痙攣を繰り返す様が写し出されていた。その瞳にはもはや意思の光はなく、倒錯と被虐によって焦点の定まらなくなった瞳孔が虚ろに虚空を見据えている。
「ゅる、ひでッ…おゆるひくだひゃぃ…ッひィィ…ィッ、ぃじめ…なぃれぇぇぇ゛…」
「グヒャヒャ……いい画だぜェ、マヤァ…ここから先もアジワイてぇところだが……」
突如として、ヴェスタの機体が青白い光を放ち始めた。前回の際と同じく、パイロットが意識を失ったことで、空間転位脱出システムが作動し始めたのだ。
「これなんだよなァ…ったく、本当に面倒くせぇ機体だぜ…でもなァ!」
M字開脚したまま震え続けているヴェスタの尻たぶを、ベヘモットの巨大な掌がバチン! と打ち据えた。
「あ゛ッひィ゛ィ゛ンッ!?」
ヴェスタは背筋を弓なりに反り返らせた。
「ッ…ッッ!! …きゃひィ゛ィィ〜ンッ!! あぅ゛ッ!? あぅ゛ンッ! ぁ゛ンッ!? ィッ、ィぎィィィ……!!」
衝撃だけでダメージ電流の責め苦が再開されてしまったようだが、その絶叫を最後に、ヴェスタは閃光に包まれてジードの視界から消えた。
『ソドム』の各拠点においてすでに幾度か繰り返されている光景。いつもと違うのは、その尻にワープ先を特定するための「トレーサーデバイス」が貼り付けられているということだった。
「ひひひ…こういう遊びも愉しいもんだが、隠れ家を何度も何度も荒らされるのはいい加減シャクなんでな…」
ジードはデバイスからの情報が正常に受信できていることを確認し、一際邪悪な笑みを浮かべた。
「今回の画でコマーシャルは充分だろう。いい加減『売り物』になってもらうぜ。ガバノイドハンターちゃんよォ……」
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