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【場】『 歓楽街 ―星見横丁― 』 その3

1『星見町案内板』:2022/08/03(水) 13:44:17
星見駅南口に降り立てば、星々よりも眩しいネオンの群れ。
パチンコ店やゲームセンター、紳士の社交場も少なくないが、
裏小路には上品なラウンジや、静かな小料理屋も散見出来る。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
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                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
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★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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※前スレ
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1607077443/

469村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2024/06/06(木) 00:36:11
>>468

カレイかヒラメ様のボディの背にはアニメチックな女の子の顔が描かれている。
『擬態』や『眼状紋』の類だろうか。それにしてはエキセントリックな見た目だが・・・

 「ゲームはやったことねえんだが、『いいデザイン』してるもんでな。
 気の抜けたみてえな、ちょっと捻った見た目がなんかツボなんだ。」

『カレイチャン』というからには『カレイ』なのだろうが・・・
よくみると体の向きは『ヒラメ』のそれだ。

 「おれは『村田』。みてのとおり『高校生』だ。」

ぬいぐるみを片手にした目つきの悪い男は『学ラン』だった。
ガラの悪さ、という点では村田もそれなりだ。

470宍戸 ナツメ『チェインスネーカーズ』:2024/06/06(木) 23:08:55
>>469

「成る程なァ。こいつを考えたヤツはいいセンスしてるぜ」
「もっとも、生き物に関する知識は曖昧みてぇだがな」

いいデザイン、という村田に頷いて同意する。
実在する生物の性質を真似た、ユニークなデザインだ。
アニメキャラで一般ウケを狙いつつも、記憶に残るケレン味がある。
『カレイ』と『ヒラメ』を取り違えているのも、あるいはわざとなのだろうか。

「あいよ。よろしくな、村田」
「なんか面白ェことがねェかブラついてたら、テンション上がってるヤツがいたもんでよ」
「『ウオ娘』ねェ。オレも『ゲーム』の方を触ってみるかね」

デザインは面白いが、ゲームとしてはどんなものか。まぁ少なくとも、暇つぶしにはなりそうだ。

471村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2024/06/06(木) 23:48:41
>>470

「『ツッコミどころ』があったほうが客がつきやすいんだろうぜ。
 ま、どこまで計算づくなのかは知らねえがな。」

戦利品たるぬいぐるみをためつすがめつ眺めた後、鞄にしまい込む。

 「しかし、このシリーズが出るたびに同じ調子じゃ、随分と売り上げに貢献することになるな。
 今日もずいぶんと持っていかれた。」

ファンシーな『UPOキャッチャー』の筐体を見ながらつぶやく。
見た目に似合わず、ゲームセンターの遊戯の中ではなかなかシビアな部類だ。

 「コツの一つでも掴まねえことには、先が思いやられるな。」

472宍戸 ナツメ『チェインスネーカーズ』:2024/06/07(金) 00:09:10
>>471

「ハッ、それが事実なら計算高いことだぜ。そうでもなきゃ、社会を生き残れねェのかもしれねェけどな」

自分は一介の学生に過ぎない。
それに村田はどうだか知らないが、少なくとも自分はそういった世の中の会社が抱える
権謀術数とは、しばらく(あるいは生涯)無縁だろう。人の上に立つ人間になるとは思えない。
普通の企業に入って、人並みの仕事をこなせれば御の字だろうか。
筐体に寄りかかり、どこか諦念を感じさせる笑みを浮かべる。

「あァ、新しいキャラが出る度に新しいぬいぐるみも出るってことだもんな。そいつは大変だ」
「…オマエさァ、もし仮に『超能力』でそん中のモンが取り放題だったら、取ってく『タイプ』か?」

他愛もない妄想話を、口にしてみる。

473村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2024/06/07(金) 02:09:14
>>472

 「コレクションのよくないところだ。
 腕に覚えがあれば面白いところではあるんだろうが」

 「だんだん置く場所にも困る。」

筐体の中のぬいぐるみの山を眺めて言う。
のべつまくなし集めているようなコレクターは果たしてどうしているのやら。

 「『それが当然』って思える人間なら、そうするだろうな。
 翻って、おれはそういうタイプじゃねえってことだ。」

 「少なくとも、今のところはな。」

宍戸の『妄想話』に対して、そう答える。

 「さっきまで同じ立場だったはずなのに、隣のやつがいつの間にか反対側に立ってたなんてことにゃ覚えがある。
 おれが『そうならない』とは、口が裂けても言えねえな。」

474宍戸 ナツメ『チェインスネーカーズ』:2024/06/07(金) 02:43:11
>>473

「そう考えると、『コレクション』ってのは金にも置き場所にも優しくねェな」
「財布の中身がなくなる前に、オマエの腕前が上がってくことを願ってるぜ」

コレクション対象が集まれば集まるほど、途中でやめるのは中々難しいだろう。いわゆる『沼』だ。
自分たちのような学生ではかけられる予算も決まっているだろうし、シビアなものだ。

「キヒッ。違いねェな」
「立場や状況でんなモン変わるわな。ま、選べるウチは好きな生き方を選びてェもんだ」

村田の回答に、再び牙を剥いて笑った。そして近くにある自販機の前に立つ。

「『1PLAY』分ぐらいは奢るぜ。付き合ってくれた礼だ」

475村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2024/06/08(土) 00:33:24
>>474

 「さてなあ。それまでにいくら毟られるかわかったもんじゃあねえな。
 なにせ今日だけでもう『片手』はいかれた。」

ぷらぷらと『5本指』を振って、苦虫を嚙み潰したように顔をゆがめて笑う。

 「そうだな。その通りだ。
 ただできることなら、最期まで『自分の生き方』を選んでいたいもんだ。」

『ぬきさしならない状況』というのは存在する。そして『誰にでも訪れる』。
そんな状況下で『自分』を保っていられる人間はそういない。

 「ありがたくもらっとくとして、一応あんたに聞きたいんだが。」

 「『これ』、得意だったりしない?」

思ったより『身につまされている』らしい。

476宍戸 ナツメ『チェインスネーカーズ』:2024/06/08(土) 22:19:02
>>475

「・・・・・村田ァ。オマエ、結構イカついな」

UFOキャッチャーに対して、想像よりも遥かに投資していた男に呆然とする。
まぁ人の金であるからして、どう使おうとも個人の自由ではあるが。
あるいはそもそも羽振りがいいのかもしれない。良いバイトがあったら紹介してもらうか?

「キヒヒッ。期待してくれてるところ悪いが、『クレーンゲーム』ってのはやったことがねェんだ」

そう言って、缶コーヒーを渡す。
『その気』になれば、クレーンゲームでどんな景品でも取れる自信はある。
だが、それはつまらない。かといって、いざとなれば取れる景品に金をかけるのもスッとしない。
だから今まで一度もプレイをしたことはない。

「まァオマエが『コレ』で取れねェモンがあったら、今度は代わりに取ってやるよ」

村田に三本指を立てて見せる。
ゲーセンに対してそれくらい払っているのであれば、ぬいぐるみ一つ持っていっても良いだろう。
あくまで自分の感覚で出した結論だが。『生き方を選ぶ』ってのはそういうことだ。
そして村田には何が起きたか分からないだろうし、コイツが気に病むこともないだろう。

「じゃあオレはバイトに行ってくるぜ。またな、村田」

とはいえ、今日はもうタイムリミットだ。後ろ手を振って、その場を後にした。

477名無しは星を見ていたい:2024/06/15(土) 22:13:35
問題名:『色欲の頓挫』
出題者:門倉
主な状況:

「ううゥ……… 困ったなァ」

『気弱そうな青年』が溜め息をついている。
『青年』はいわゆる『客寄せ』という職であり、
誘っているのは『コンセプトカフェ』………

フェチ溢れるちょっとお色気系のカフェではあるが
特異なテーマであるためか、どうやらほとんど客が寄り付かないようだ。
『場』には微妙な雰囲気が漂い続けている。
『青年』の話をきいた者が『スタンド能力』で『何とか』してあげるのがいいのかもしれない。

詳細:『コンセプトカフェ』の種類や形態、周囲の細かい部分は参加者次第。
   常識的な範囲で自分の有利な設定にして構わない。
必要条件:『スタンド』をしっかりと使おう。
     実行途中で自らの『スタンド名』と『決め台詞』を口に出そう。

備考:『魔法の呪文はおこのみで!』関連の活動です。
  対応いただける方は、以下のURLおよび※の説明をご確認ください。

ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1655987686/319

※『朝山』&『木崎』チームのうち、『朝山』が諸事情により抜けたため、
※『門倉』&『木崎』チームとなり、緊急で『魔法使い』の情報や
※小道具となりうる『魔法使い由来のアイテム』の入手先を探しています。

※基本ルールは『妄想クロスワード』の出題に準じますが、『リアル』です。
※上記の問題は『門倉』が『演出』しているものであり、『解決』は、
※『門倉』および『木崎』に『観察される事が前提である』事をご了承ください。

478茅ヶ崎『ザ・ローズ』:2024/06/16(日) 01:30:35
>>477

スン スン ・・・


「『不安の匂い』がする。これじゃあ客が来ないのは仕方がない。
 『ボッタクリ』とかやってないんだろうね?『風営法』は大丈夫?」

鼻を軽く鳴らした後、顔をしかめる。
長い髪を後ろに束ねた、小柄で若い男だ。

 「風俗的に『よくない』ような気はするけれど、ここはそういう場所だし。
 あんたに商売に対する『誠意』があるなら、『口火を切る』ことぐらいはできる。」

 ズ ァ !

 「『ザ・ローズ』」

 グシャ!

懐から『香水瓶』を2本取り出し、双方を『ザ・ローズ』の掌で握り割り、『原液』を周囲にふりまく。
香水の片方には『バニラ』由来の『バニラエッセンス』を、もう一つには『タバコ』由来・・・『高級葉巻』の深い香りを付与する。
溢れ出す場違いな『バニラ』の甘い匂いと、安い紙巻とは異なる『高級葉巻』の匂いは、風に流れて『そういった客』を呼ぶ。
そしてそのどちらも、『官能的』と言われる匂いだ。この場にはふさわしいだろう。

『嗅覚』は他の感覚器とは異なる『脳に直結した感覚』だ。百聞も一見も、まして一触ですらも・・・『一嗅』の衝撃にはかなわない。
これは人間がそうだからではない。『生物がそうできている』からだ。
生命が生まれて以降、『嗅覚』は最も最初に現れ、それを持たない生物はほとんど存在しない。
『嗅覚』は『原始の感覚』。直接脳を揺さぶり、行動を引き出す。

 「あとはあんた次第。
 さっきも言ったけど、『大事なのは誠意』だ。それを忘れないで。」

479『色欲の頓挫』:2024/06/24(月) 23:44:10
>>478(茅ヶ崎)

『茅ヶ崎』はどう思ったのかは『茅ヶ崎』自身にしか不明だが、
なんにせよ『茅ヶ崎』は『ザ・ローズ』を用い、『協力』をする事とした。

『植物の匂い』をつける能力………ただ、匂いというものはバカにならない。
『茅ヶ崎』ほどの嗅覚を持たない者にもその本能を揺さぶる事が出来るだろう。
少しでも客が入って来れば、この客寄せにも自信というものがつき、最終的にはきっと上手くいくはずだ。

「こー物! あたしたち こー物 なんですゥ !」

店員がみんな人間とは違う『鉱物人間』であるという設定のこの『岩ガールカフェ』も、きっと………

 ……… ……… ………

「人型のヴィジョン、この香り………なるほどねェ」

『岩ガールカフェ』の中から『門倉』と『木崎』はそっと、
『茅ヶ崎』の様子を観察していた。

「なかなか面白い『魔法使い』の『素材』になるかもしれないね。
 ゆだねくん………ゆだねくん!?」

『木崎』は『岩ガール』のお姉さま方に色々、『可愛がられて』いるようだった。

「………帰るぞ! ゆだねくん。可及的速やかに、だ!」

480『色欲の頓挫』:2024/06/24(月) 23:45:31
>>478(茅ヶ崎)
          ⇒『CLEAR!』

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485美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/07/04(木) 19:01:04

『まつエクとネイル』の専門店――『Quince Nail』の前で足を止める。
店主を務める『眼目倫』は『スタンド使いの友人』だ。
『素材集め』の際、彼女を頼らなかった理由は、店の様子にあった。

「倫さんのお店、相変わらず繁盛してるみたいねぇ」

ここ最近、彼女の店は『盛況』だ。
水を差してしまうのは悪いと思い、敢えて声を掛けなかった。
しかし、『門倉派』には『アイドル』の企画もある。
そちらの方で、いつか力を借りる可能性はあるだろう。
お互いに忙しい身だが、落ち着いたら改めて話をしたい。

「また今度、一杯やりたいですね」

囁くような呟きを残し、美作は街の中に消えていった。

486妖狐『キン・コン・ユウ』:2024/07/06(土) 12:37:18
最近、星見町のどこかで大食い大会があったらしいが
今日も大食い大会が開かれている

参加者は白い狐耳が生えた9歳くらいの女性
そして>>487

今回の大食い大会の食材はちょっと変わったものらしいのだが…

487妖狐『キン・コン・ユウ』:2024/07/07(日) 19:58:55
>>486
対戦者「う、うげぇ……」

対戦者の口から黒い物が零れ落ちる
うぞうぞ不気味に蠢くその物体は
噛み潰すとぐしゃりと気色の悪い食感がして
口の中でばたばたと暴れ回る

これは

ゴ キ ブ リ 大 食 い 大 会

現実に開かれ変態共が集う由緒正しい大会だ

対戦者は惜しくも途中で敗れ、ゴキブリにまみれて地へと伏した
その一方で

実況「これは凄いぞ!
   ゴキブリの踊り食い1000匹目達成だァァァーーーッ!!!」

狐「ゴキブリ如きに負けるとは脆弱な雑魚人間め…
   貴様らはゴキブリの足元にも及ばん!」
狐「賞金は我のものだ!」

高らかに勝利を宣言する狐
しかし、その時

スタッフ「大変だ!!!ゴキブリが全員逃げ出したぞ!!!!!!」
狐「何!?」


一体何が起こったというのか?
大量のゴキブリが周囲一帯を埋め尽くし、辺りはゴキブリの黒に染められていく

「た……助けてくれぇ!」「うわあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「やめてくれえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

ゴキブリ共に襲われ、阿鼻叫喚の地獄に

実行委員会「もう終わりだ…みんなゴキブリに圧殺される…」
狐「狼狽えるな人間共!貴様らが死んだら誰が我に賞金を払うんじゃ!?」
実行委員会「し、しかし……」
狐「数は多いが勝てない相手ではない!貴様らには対ゴキブリ用の殺戮兵器があるだろう!?」

会場に備え付けられていたゴキジェットを情け容赦無く噴射する狐
缶から噴射される毒霧は命中したゴキブリを確実に死に至らしめていく!

人間共「そ、そうだ!俺達にはゴキジェットがあるんだ!」
狐「貴様らもゴキジェットを持て!死にたくなければゴキブリ共を倒せ!!!」
人間共「うおぉぉぉ!!!人間を舐めるんじゃねぇぇぇぇぇぇッッッ!!!!!!」

この話は実行委員会の上の者によって隠蔽される事になるのだが…
これが歓楽街で起きたという人間対ゴキブリ大戦の顛末だ

         \      /
    ・      \ /
        ;(●)llll((●);
       (●)(●)(●)(●)
 \__ (●)(●)●)●)(●)__/ カサカサ
      (●)(●)(●)(●)(●)
   __(●)(●)((●)((●)(●)__
 /  (●)(●)(●)(●)(●)(●)   \
   _ (●)(●)(●)(●)(●)(●)_
 /  (●)(●)(●)(●)(●)(●)  \
    _(●)(●)●)(●)(●)(●)_
  /  (l●)(●)(●)(●)(●l;)  \
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  |  . (0●)(●)(●)(●)O)    |.   カサカサ
  ,;;    (:●)●)(●)(●;)      。
       (о●)(●)●0)


                   ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                    d⌒) ./| _ノ  __ノ

488花園嵐麻『サクラ・フィズ』:2024/07/26(金) 23:28:14
ある夜のことだった。
駅と歓楽街を繋ぐ道にぽつんとそれはあった。
古めかしい雰囲気のラーメン屋台、そこに置かれた客用の椅子に座る女。
店主の姿はなく、退屈そうに女はタバコを吸っていた。

「……暇だ」

489花園嵐麻『サクラ・フィズ』:2024/07/28(日) 20:24:27
>>488

店主の帰りを待たずに帰った

490聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/09/22(日) 21:41:22

        「ふぅ〜ッ」


モソモソ


終電もとうに過ぎ、すっかり人気も失せてきた深夜の歓楽街、
喪服に身を包んだ男が
雑居ビルの前に設置されたベンチに腰掛けて持ち帰りの牛丼を食べている。


「こりゃあうンめェやぁ。
 酒飲んだ後に食う牛丼ってなァんでこんな蠱惑的なんだろうなァ。
 ただ、欲を言うなりゃあ『松』じゃなくて『吉』が良かったでさァ。
 『セルフオーダーシステム』の導入は大いに結構だが、
 口頭での注文ならできていた『ツユヌキ』に対応していねェのは、
 どうにもいただけねェなぁ」

491真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/09/24(火) 23:08:47
>>490 (聖川様)


   「うぅ〜〜〜っ……」


「『掛け飲み』が禁止されてからというもの、
 貧乏人には夜の街が楽しくありませぇぇん……ヒック」


 悪酔いをズルズル引きずる不良シスターの足先に、
 誰かがポイ捨てしたゴミ袋が絡みついてきた。

 たちの悪いキャッチを睨み返すように、
 据わり目を数秒のあいだ足元に向けると、
 やがて衝動のままに利き足をスイングする。
 勢いよくゴミを蹴り飛ばそうとして、


「ばっきゃろぉぉ〜〜〜〜〜っ……」


   ブン  スカーッ


 しかし酔いゆえか、盛大に狙いを外してしまった。
 空を切る右足は、代わりに履いていたサンダルを
 勢いよく宙に打ち出す。



     ピューン



 ぽてっ。

 打ち上げサンダルは地面を数度転がると、
 ベンチで聖川の眼前で止まった。


         「あっ」

492聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/09/25(水) 04:01:11
>>491


 かぽっ かぽっ  はふっ  はふっ


「美味ぇ、美味ェ」


        ぽてっ


眼前に唐突に現れたサンダル、
その先に立つサンダルの持ち主の女性の姿を捉えベンチから立ち上がると、
サンダルをまるで宝物を取り扱うように拾って、
酩酊している有雅致へと歩み寄る。



「『シンデレラ』の登場にしては随分と遅ェ時間ですがァ……、
 どうも、お嬢様。随分と大胆なご登場ですが、
 ちょいと待っていてくだせェ」

493真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/09/25(水) 21:09:31
>>492 (聖川様)


「あっ」

   「せっ」


 「『聖川様』…………っっ!?」



「こ…! ここここ、こんばんはぁぁ……!
 すごい偶然ですねぇぇ……!?
 えへっ、でへへぇぇ!?」


 まさか敬愛する聖川様と、
 こんな夜更けに再会するなんて!
 とんだ『幸運』なのは間違いない……が。



       「ピャー」


 同時にとんだ『愚行』も見られてしまったぁ〜〜〜……ッ
 よりにもよって一番見られたくないひとにぃぃィ〜〜〜……っっ



「あ、あっあっ、ど、どうかお気遣いなくぅぅ……!
 そのままお座りになっててぇぇ……!」


 酒気と羞恥で紅潮する顔を片手でささっと隠しつつ、
 こちらに歩み寄ろうとする聖川の動きを
 もう一方の手でふるふると制す。


   ピョン

 
     ピョン


 そして聖川の姿を直視できないまま、
 片足跳びで懸命にベンチへ近づこうと試みる。

 が、ただでさえ酩酊している人間の足さばきが
 まともなはずもなく……



              グギッ

494聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/09/25(水) 21:34:48
>>493


「こんばんはお嬢様、
 いやァ、逆に俺の方こそこんな所を見られてお恥ずかしい限りでさぁ」

    
      「ああ」


「動かなくて結構でさぁ。
 お嬢様の御御足が汚れちまうし、挫いたりでもしたらーーー」


       「いけねェ!」


『ズギュン』


考えるよりも、動くよりも早く、
自らの傍らである『ドゥルセ・ネクタル』を発現。
その人智を超えた速度とジェットブラック色に発光する全身を用いて、
転倒しそうになる『真雅致』の身体を抱き抱えさせたい。

495真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/09/26(木) 11:28:10
>>494 (聖川様)


 顔面から派手に突っコケる瞬間、
 スローモーションになる景色の中、
 とつぜん脳内に溢れる謎の声……


 『キスでもしてんだな…
  酩酊してる分だけ
  「道路さん」に 熱烈なヤツをよォ――――ッ』



  「ふげぇぇーっ!?」



 ―――しかし『ドゥルセ・ネクタル』!



   ガッ シィ――――z__ ンッ



 超人的な『精密性』と『反応速度』で、
 危うい歩行者を危うげなくキャッチ!

 ありやは捕えられたタヌキのように
 一瞬何が起こったか分からないぽかん顔していたが、
 数秒遅れで自分を支える黒子の存在に気づく。


「あっ…………
 ありがとうございますぅぅ……」


   「………………
    え、えへっ……」


 その腕の中にすっぽり納まったまま、
 謎のニヤケ面でスタンドと聖川を交互に見つめる。


 酔っ払いが片足で動いても迷惑をかけるだけだと
 図らずしも証明してしまったので、
 忠告どおり勝手に動くのはやめる。

 ひとまず聖川(と彼のスタンド)のエスコートに
 身を任せよう。

496聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/09/27(金) 23:31:28
>>495

暗闇の中でぼやける静かな笑みを浮かべながら近づいてくる聖川。
一方でその『傍ら』である『ドゥルセ・ネクタル』の顔には、
本来そこにある筈の目・鼻・口、などの、感情を汲み取るための器官が排除され、
その代わりに輪郭に沿うようにガラスが嵌め込まれており、
中には『都会の星空』が閉じ込められている…。



「『椅子』や『肩掛け』として使って頂くにゃあ、
 少々『無骨』ですが、まァ仕方あるめぇでさァ」


         「よいしょ」


「『スマート』じゃなくて申し訳ねェですが、
 ちょいと失礼しますぜお嬢様」

『ドゥルセ・ネクタル』で真雅致が倒れないように肩を貸し、
ゆっくりと歩み寄りその場で膝をつきサンダルを履かせる。


「改めましてありやお嬢様、こんばんは。
 確かに『売り掛け』が禁止され『夜の飲み方』って言うのも変わりましたが、
 逆に『健全』になったちゃあなったので、
 お嬢様方にいらなぇ負担をかけることが減ったんですがねェ。
 ーーー何にせよ、お会いできて嬉しい限りでさァ」

497真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/09/28(土) 11:40:35
>>496 (聖川様)

「こんばんは、聖川様……
 えへっ……お久しぶりですねぇ……」

 「相変わらず、
  とても優しいお方…………」 「れっ!?」


 叙爵を授かる騎士のごとく、
 流れるような仕草でひざまずく聖川に、
 目を丸くして身を強張らせるありや。


「聖川さま……そんなっ、
 も、申し訳ありませぇぇん……!」


 いちおう口先では遠慮がちな態度を見せるが、
 行動としては特に抵抗もなく……
 そのままありがた〜〜く靴を履かせてもらう。


  「ふ、ふへへっ……」 (ニチャァ…)


 こんな風に『推しホス』にお姫様扱いされて、
 舞い上がらない女がいようか?
 当然、ご接遇ありがたく頂戴いたしますッ……!


 「…………うぅ、えへへ……
  何から何まですみませぇぇん……」

 「ご忠言どおり、これからは
  不健全な飲み方は控えますぅぅ……(嘘)」


 だがそうして聖川の姿を至近距離で見つめていると、
 彼がまとっている衣服が前回と違うことに気づく。
 当然、マナーとして直接言及はしないものの――


  「…………」

  「聖川様はぁ…………本日は、
   お仕事終わり、でいらっしゃいますかぁ……?」

498聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/09/28(土) 20:25:41
>>497



     スゥ


「歌舞伎町は多少は健全な街になったようですが……、
 都外はまだまだ悪辣な飲み屋が多いでさァ」

       「ちょいと失礼しますよ」


まるで蚊か煙でも払うかのように片手を振るい『ドゥルセ・ネクタル』を解除する。
女性を助ける『役目』を終えた今、スタンドに用はない。
一言断りを入れてから真雅致の手を握り、ベンチへと案内する。

     

         「あァ」

「見ての通り、俺ァ『通夜帰り』ですゼ。
 知り合いの社長が亡くなられたのでちょいとご挨拶に行ってきました。
 葬式なんて随分と久しぶりで、
 お焼香のやり方をすっかり忘れていて焦りましたぜ」


そう言い放つ聖川の肩口まで伸びた髪は後れ毛が飛び出ないようにきっちりと襟足を縛っており、
その髪色も墨汁の様な黒に染色されている…。


「通夜振る舞いで、お寿司とビールを頂いたのですが、
 どうにも腹が落ち着かなくて1人でちんたら飲んでいて、
 シメにそこのベンチで牛丼を食ってたって訳で。

 いやァ…『シスター』にこんな事をお話しするのはアレですが、
 この歳になって葬式のマナーもロクに知らねェなんて
 本当にお恥ずかしい限りでさァ」

499真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/09/28(土) 21:58:54
>>498 (聖川様)

 本職の手慣れたエスコートに誘われ、
 そのまま自然とベンチに腰を落ち着ける。


  「まぁぁ………。
   そうだったんですねぇぇ……」


 手を取られて舞い上がる『お姫様』の高揚は、
 しかし聖川の穏やかな語りを聴くうちに、
 自然と『シスター』としての職責に傾く。


「……『マナー』や『作法』と呼ばれるものは……
 『人』や『場』に対して寄り添うひとびとの『心』を
 定格化したものに過ぎませぇぇん……」

 「大事なのは寄り添う『心』という『主』であってぇ、
  『作法』というのは あくまでその後を追う『従』……」


「聖川様の中に故人を悼む『主』がおありでしたら、
 お見送りの場でそれ以外の『従』に
 気を揉まれる必要はないと……
 わたくしは思いますぅ……」


 「…………なぁんて……
  『ホスト』の聖川様には、
  釈迦に説法でございましたねぇ……」


 もしも彼にとって辛い別れだったなら、
 その心に寄り添いたいという気持ちがあったが……
 話を聴くかぎり、故人との関係は
 あまり深いものではなかったようだ。

 とはいえ、別離の心情など他者には
 そう簡単に推し量れぬもの。
 もうすこし彼の心の声を聴いていたい、と思った。


「…………あの、聖川様……
 それでしたら、そのぉぉ……」

 後ろ手に隠していたレジ袋をごそごそ漁り、
 背の高いストロングな缶チューハイを一本取り出すと、
 ちょっと恥ずかしそうに両手で顔の横に掲げる。


「わたくし、ご一緒しても……
 大丈夫でしょうかぁぁ……?」

 「もちろん、聖川様がご迷惑でなければ……
  ですがぁ……」

500聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/09/29(日) 20:37:13
>>499


  「へへッ」


「所詮俺ァ、常識も良識も欠落してる
 お水の世界でしか生きていけねェ社会不適合者でさァ。
 お嬢様のお教えは本当にありがてェ」


         「…おや」


真雅致の取り出した『ストロングな缶』を見ると、
牛丼弁当と共にベンチの上に置いていた飲みかけの『チューハイ』を持ち上げて揺らす。
チューハイは大手スーパーの『プライベートブランド』の物で、
所謂『安かろう悪かろう』な類の物だ。


「デートの場所としてはムードもねぇし治安も宜しくねェが、
 お嬢様と一緒にお酒を飲めるなんて嬉しい限りでさぁ。
 俺と『乾杯』してくれますかねェ?」

501真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/09/29(日) 22:02:00
>>500 (聖川様)

「……?」

「えへっ……
 もちろんですよぉぉ……」


     パキッ


 『白ぶどう味』の缶のプルタブを起こすと、
 ささやかな祝砲のように発泡音がこぼれた。

 穏やかな労いの微笑みを浮かべながら、
 ありやは聖川の手元に缶を近づける。


「聖川様……
 本日はおつかれさまでしたねぇぇ……」

「わたくし、聖川様との再会をこんな風に
 お祝いできてぇ……
 とっても嬉しく思いますよぉぉ……」


 「それからぁ……
  さるお方はきっと、わたくしのことは
  ご存知でいらっしゃらないかと思いますがぁ……」

「それでも、ひとりの聖職者として……
 故人の安らかな眠りを
 祈らせていただきますねぇ……」

 「こちらぁ…… (缶を揺らす)
  ちょっとだけ度数が違うかもですがぁぁ……
  聖体拝領の『ぶどう酒』代わりということでぇぇ……」


 教会の仲間たちに聞かれたら
 すごく怒られそうなことを堂々とのたまいつつ、
 穏やかに聖川を見つめる。


 「それではぁぁ……」


    「『乾杯ぁぁ〜い』……」

502真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/09/29(日) 22:11:41
>>501 (自レス)
(最初のセリフが文字化けしてしまいました……
 正しい内容は 「……❤(ハート)」 です。すみません!)

503聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/09/30(月) 21:07:47
>>501


   「頂きます」
 
ゴクッ

自分のチューハイ缶を下げて、真雅致の持つ缶の縁の下に当てて乾杯。
そのまま缶を口元に近づけ中身の液体を口内に流し込む。


       「ぷっはァ」


「こりゃあそこのスーパーで買った100円ちょいのチューハイですが、
 『ドゥルセ・ネクタル』のと違って酷い『悪酔い』する事もねぇし、
 『お嬢様』と飲めせて頂けるなら一瞬で『高級酒』に早変わりでさァ。
 何を、何処で呑むかじゃあなくて『誰と』飲むかって話で」


          スッ


さり気なくポケットからライターを取り出し、指に挟む。
喫煙するならば火を点けますよ、どうぞのサインだ。


「お嬢様は今日はどの様なコースをお巡りで?
 結構飲まれているようでが、良さげなお店が?」

504真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/10/01(火) 16:50:29
>>503 (聖川様)

「えへへぇ……本当ですねぇ……。
 わたくしもぉ………いつもより ずっと……」


    チピ チピ…


 そう言いつつも勢いは控えめに、
 ちびちびと缶を傾けるありや。

 そりゃあ 敬愛する聖川の前で
 グビーッ!プハーッ!死! みたいな
 普段の飲み方はさすがに無理……!


  「んぇ……?
   お店……ですかぁ……?」


 『ライター』の心遣いには礼を述べつつ、
 『電子のやつなので……』と控えめに手を振る。

 それから人差し指を口元に当て、
 先週の晩ごはんを思い出すように首を傾げる。


「ええっとぉ……ふつうに馴染みの
 気安いお店を 二件ほどはしごしてぇ……
 飲み足りずにコンビニに寄って今に至る、
 って感じですかねぇぇ……」

「そういう意味では、聖川様と同じですぅ……」


 実際にはどちらの店もツケ飲みできずに
 給油半分で叩き出されてしまったのだが、
 その辺の都合の悪い記憶はアルコールによって
 まるっと揮発していた。


「それにしても…… 聖川様の『御加護』。
 あの美しい夜の『黒子様』はぁぁ……」

 「『ドゥルセ・ネクタル様』――
  とおっしゃるのですねぇぇ……?」


   ニ マ 〜〜〜〜……


「聖川様は ご謙遜なされて
 いらっしゃいますがぁ……」

「記憶の中のあの艶やかな蜜のお味はぁ……
 わたくしにとって、
 それまで口にした どんな『高級酒』よりも甘美な……」

「極上の『甘露』でございましたよぉ……?」

505聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/10/03(木) 18:20:36
>>504


「いいですねェ。(ゴク)ふぅ」
 

   スッ

指の間に挟んだライターを自然にポケットに戻し、
缶をもう一度傾け、吐息を漏らす。


「仕方ねェちゃあ仕方ねェんですが、
 仕事柄、こっちの退勤時間にゃあ健全な飲み屋はとっくに閉まってるんで、
 仕事終わって飲みに行くってなると『水商売』連中を相手にするキナ臭ェ仲間内の飲み屋や、
 24時間経営のチェーン店や、あるいは『外飲み』になりますねェ…。
 
 なので意外とこの辺の飲み屋は疎いんで、お嬢様に是非連れて行って貰いたいでさァ。
 ーーご存知の通り、根っからの『バカ舌』なんで何を飲み食いしても美味ェとしか言いませんが」



       『ズギュン』



傍ら『ドゥルセ・ネクタル』を発現。
真雅致にじっくりと鑑賞してもらう為に彼女の目の前で片膝をつかせる。


「こんなので良ければ、いくらでも眺めてくだせぇ…。
 いつ頃手に入れた『力』かもはや覚えちゃあいませんが、
 正直な所『宝の持ち腐れ』…というか、まともに使っちゃあいねェんで、
 お嬢様の酒のアテになりゃあコイツもスタンド冥利に尽きるでしょう」


       「あァ」


「お嬢様のスタンドは確か『蝿』でしたか。
 そういえば、お名前をお聞きしてなかった筈でさァ」

506真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/10/03(木) 23:05:07
>>505 (聖川様)


>「意外とこの辺の飲み屋は疎いんで、お嬢様に是非連れて行って貰いたいでさァ」


 「……へっ…!?」



  「…………ッ ……ッ ……………ッッ……!!
   (唇を噛み締めてなにかに抗う間)」



「……ッ ……………うふふ………
 聖川様ったら、
 ほんとうにお上手ですねぇぇ……」


 「だけど社交辞令も
  ほどほどにしてくださりませんとぉ……
  わたくし、本気にしてしまいますよぉ……?」


 聖川からの手慣れた『営業トーク』
 (とみなすことで理性の崩壊を防いだ) を
 どーにか かわしつつ、
 眼下で跪く『ドゥルセ・ネクタル』に向き直る。


 「………………はぁぁぁ…………
  やっぱり ため息が出るほど
  美しいお姿ですぅ……」

 
「聖書では、夜空に輝く星月もまた、
 神のみわざによる創造物とされておりますがぁ……」


 「とすれば この『ドゥルセ・ネクタル』様は、
  主の御側にもっとも近い『賜物』のように
  思えてなりませぇぇん……」


 現代の星月夜を閉じ込めたようなその姿に、
 吸い込まれるように手を伸ばすありや。


      「ウッ」 ピタッ


 だが聖川が己のスタンドについて言及した瞬間、
 その手は途中でピタッと止まり、
 伸ばしかけで腰を浮かした姿勢のまま固まる。


   「……………」

507聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/10/05(土) 21:25:49
>>506

「『社交辞令』ッてのは、気がねぇ場合に言うんじゃあ?
 福島から身一つで出てきた上で半ば夜勤専業ですからねェ、
 仕事以外の交流関係が中々に希薄ですし、
 普段休みの日もまぁじで外に出ねェですからねェ」


社交辞令ではない事を告げる。



       「あーッ」


「いやァ申し訳ねェ」



自らの言葉に反応し身体を固める『ありや』。
ベンチに腰掛けたまま深々と頭を下げる。


「俺にァ、どうにも『デリカシー』が足りていなかったようで…。
 あくまで『スタンド』たぁ言え女性の容貌にずかずかと踏み込むたァ、
 女衒の風上にもおけねぇ…。
 安い頭ですが下げさせてくだせェ」

508真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/10/06(日) 16:16:19
>>507 (聖川様)

「はぇッ!?」


 突如低頭する聖川に目を丸め、
 ビャッと腰を浮かせるありや。

 自分で自分の頬を往復ビンタするみたいに
 頭と両手を左右にブンブン振り乱しながら、
 必死の身振りつきで聖川に弁明する。


「いえいえいえいえいえッ……!
 違いますぅっ……!」


 「今のは『デリカシー』とか『容貌』とか、
  そういう繊細なアレじゃ
  まったく全然なくってぇぇ!」


「ただ……聖川様は、ご本人のお人柄だけでなく、
その『御加護』すらも 『お見た目』や『お力』で、
 ひとびとの興趣を惹くすばらしい魅力が
 おありなんだなぁって……」


「それに比べて、わたくしは……
 見た目もアレだし、できることも……アレだし……」


  わたくし
 「『 蝿 』ってぇ……
  なんか人様のお役に立てることが
  あるのかなぁぁ……?」


「って、ちょいバッド入っちゃっただけでぇぇ……」


 特に目の前の聖川に対しては、
 能力で『役に立つ』どころか
 バカほど『迷惑をかけた』過去があるため、
 彼のスタンドと向き合うと、より引け目を感じてしまう。

 だが一方で、そのような『心の負債』を
 聖川は望まないだろうことも、
 なんとなく分かっている。


     コトッ…


 なので……ネガな空気をとっぱらうべく、
 缶を置いて決意の深呼吸。


 「あ……あ〜〜〜……」


   「その……聖川様……」


 「……も、もし本当に、社交辞令じゃ、
  ないのでしたらぁぁ……」

509聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/10/06(日) 22:33:11
>>508

「『早合点』でさァねェ。
 どうにも俺の良くない所が出ちまったようで…。
 お嬢様は俺の事を随分と買って下さっているようですが、
 決して人格者なんかじゃねぇ、ご覧の通り只の『早漏野郎』でさぁ」


垂らした首を更に深く沈めたい気持ちで一杯だったが、
その行為は『ありや』へ要らぬ負担を掛ける『独り善がり』以外の何物でもないと思い直し、
逆にゆっくりと顔を上げきちんと『ありや』の眼を見る。



「俺ァ『奉仕の精神』ッてのはわかりゃあしませんし、
 スタンドの概念にも全く明るくねェですし、
 お嬢様がスタンドとどう向き合うかを口出しできる立場じゃあねェですが、
 どんな形であろうと応援だけはしてぇ、と思ってますぜ…」


           「さて」

『ありや』に目線を合わせたままゆっくりと立ち上がり、


「ーーで、これからお嬢様は、
 俺を何処へ連れて行ってくれるんですかい」

510真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/10/07(月) 23:05:46
>>509 (聖川様)

「ういっ………
 いいんですかぁぁ………!?」


  まっすぐな慰撫の言葉とともに
  立ち上がる聖川を追いかけ、
  視線とともに顔が上向く。

  月下の逆光に浮かぶ瞳は、
  その背後のどんな星よりも美しく思えた。


 「………んんっ?」

       「『これから』?」


 『これから』って……『今から』?
 『なう』って意味ですか……?



 ……こんな夜半に
 これ以上酔ったり酔わせたりしたら、うち
 もうどうなるか分からないっちゃけどォ―――――ッ!?


   い……『いい』のねぇ〜〜〜〜〜ッ!?


「ゴクッ……いえっ……
 きょ、今日はもう遅いですしぃ……」

「また後日、予定を合わせてぇぇ……
 といいますかぁ……」


 「……もちろん聖川様がお望みでしたら今からでも……    (小声
  ……わたくし全然やぶさかではないですがぁ…………ッ  高速詠唱)」

  
  おもむろに懐からスマホを取り出すと、
  十字架をかざすみたいに聖川に向けて
  プルプルと目一杯両腕を伸ばす。


「なのでぇ……れっ、連絡先ぃ……とか……」

511聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/10/10(木) 18:13:13
>>510



 
       「へ?」


「えェ。あァ」



       「あれま」


「てっきりとっくにお嬢様とは交換済みと思っていたんですが、
 完全に抜け落ちていましたでさァ。
 こりゃあ、また失礼致しました」


         しゅぽっ!

スーツのポケットからケースも付けていない裸のスマホを取り出し、
ありやの提示した画面を読み取り連絡先交換を済ませ、
おそらく登録できたであろうLINEの会話に、
地元のゆるキャラ的な赤い牛のキャラのスタンプを送信する。


「っと、これで連絡先を交換完了ですかねェ。
 いつでも連絡してくだせェ」

512真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/10/10(木) 22:51:53
>>511 (聖川様)

「えっえっ…………」
「交換してない……ですよぉぉ……?」


「だ、誰と勘違いしてるんですかぁぁ〜〜……?
 なぁ〜〜んてぇぇ……」


     「……………」   メラッ…


 月光が傾き、一瞬だけ目元がすべて陰に隠れる。
 路地裏を吹き抜ける秋風のすきまに、
 一瞬だけ謎の『沈黙の間』が入った。



「………………あっあっ、来たぁ……!
 届きましたぁぁ………」

  「牛さん、かわいぃ〜〜……」


      ポコッ


 お返しに、羊のゾンビが土下座している
 スタンプを送り返す。


「えへっ……でへへっ……」


 聖川とのトーク画面が
 表示されたスマホ(画面バキバキ)を
 花束のように大切に抱え、
 しばしニヤケながら頬ずり。

 それから我に返ったように顔を上げ、
 だらしない照れ笑いで聖川を見返す。


「えぇっとぉ……はいぃ……
 ぜったい連絡、しますねぇぇ……」


 「なのでぇ……聖川様もぉ……
  よければ、わたくしぃ……なんでもぉぉ……」


 不安定な微笑で聖川を見つめるありやの瞳は、
 曖昧な世界にとろ〜んと焦点が蕩けつつあった。
 いつの間にか缶の中身も空っぽになっている。


  「たとえ…………でも……」  フラァ〜…


 そのまましなだれるようにズルズル倒れる。
 じきに意思疎通も取れなくなるだろう。

513聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/10/11(金) 21:10:15
>>512

「職業柄、あっちゃあならねぇ事なんですがァ、
 どうにも『筆無精』でしでねェ。
 やれやれと突っつかれて作ったSNSのアカウントも類も専ら見る専でさァ」


       「へへ」

「お嬢様の方こそ、
 随分と可愛らしいスタンプでェ。
 っといけねぇ、いけねぇ…。ちょいと失礼しますよ」


倒れる『ありや』の身体を受け止め、
傍らの『デュルセ・ネクタル』に
ベンチの上に広げた荷物を片付けさせる。


「この時間ならまだ駅前にタクシーが居るでしょう。
 お嬢様さえ良ければ送らせてくだせェ。
 『教会』の方に見られちゃあまずいようでしたら、
 せめて目が届かねェ所まではお送りさせててらいますよ」

514真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/10/11(金) 22:49:35
>>513 (聖川様)

「んあっ……?」

  「しゅ、しゅみませぇぇん……」


「ほぇわ…………お言葉にあまえて……
 『きょ〜かい』のてまえ……まえまえ……」


  「モニャモニャ」


 よりかかる聖川の肩に
 幸せそうに頭を預けるありや。

 断続的に囁かれる感謝と恐縮の声は、
 聖川の耳元でしだいに浅い寝息に変わっていった。


「でへへ…………
 ありがとぉぉ………『篤……」    ス… スピー


 そこでありやの記憶は途切れた。



 翌朝――。

 教会のベッドで目を覚ましたありやは、
 己が重ねた愚行の数々をすこしずつ思い出し、
 二日酔いの頭を抱えてのたうちまわる。


 分かっていることはただ一つ。
 またしても彼に返すべき『恩』が
 できてしまったということだけ……。


 ひとまずは彼に謝罪と感謝の言葉を送りたい。
 そしてできるなら、その先の予定を話したい。

 震える赤い指先で、ありやは真新しい宛先を叩いた。

515小梅『ヘヴン・フォービッド』:2024/10/12(土) 13:05:26
夜の歓楽街
縄で後ろ手に縛られた幼稚園児くらいの女の子が
>>516に首に巻かれた縄を引っ張られて散歩をしている
どこの町でも見かけるありふれた光景だ

516ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2024/10/12(土) 16:46:00
>>515

白・青・紫の『トリコロールカラー』が特徴的なポンパドールヘアの女が、
縄の先を手にして小梅に付き従う。
背中から『羽』が生え、両腕は『羽毛』で覆われ、
踵に『蹴爪』が備わる『鳥人』を思わせる姿だ。
古代ギリシャの装束である『キトン』を身に纏っている。

「申し遅れましたが、ワタクシのことは『ハーピー』とお呼び下さいませ」

その奇妙な風体の女は、『ギリシャ神話の怪物』を名乗っていた。

「ワタクシも『ストリートパフォーマー』として、
 あちこちで『バードショー』を行っております。
 同じエンターテイナーとして、
 『縛り系Vtuberぷらむ』様にお会い出来て喜ばしいことです」

そもそもの始まりは、ネットカフェで『孤鳥ノルビィ』の配信を見たことだった。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1688976640/55)
『Vtuber』というものに関心を寄せていた時、
たまたま小梅と出会い、今に至ったのである。
ただ、『ぷらむ』に関する知識は多くなく、『散歩』の意味も把握していない。

「――――これからどうすれば宜しいので?」

一見すると女が小梅を従えているように見えるが、実際は逆の状況だった。

517小梅『ヘヴン・フォービッド』:2024/10/12(土) 21:06:14
>>516
伝説の怪鳥が子供の縄を引っ張って散歩している
凄まじい光景だし、字面だけ見ても意味が分からないだろうが
多分、実際に見ても意味が分からないだろう

しかし、小梅は身バレするような事をしたのだろうか…
いや、前にガッツリ宣伝していた事もあるし
割と余裕で身バレするような事をしている
心当たりがあり過ぎる

どこでどういう風に出会ったのかは分からないが
今自己紹介されたという事は、ひょっとして初対面でやっているのか?これ…

「うめも鳥さんと散歩するのは初めてだから楽しいよ〜」

それはそうだろう
あったとしてもそれは普通の鳥だろうし
鳥人に引っ張られて散歩する経験した事ある人間なんていないだろう

「ん〜とね
 ハーピーさんは行きたいとこある?
 そこに引っ張って連れてってくれる?」

♡を浮かべながら期待の込めた目でブリタニカを見る

518ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2024/10/13(日) 02:52:23
>>517

この肉体は『ハロー・ストレンジャー』によって作られた『実体化スタンド』だ。
『羽』や『爪』は実物そっくりに出来ており、
極めて精巧であると称して差し支えない。
当然ながら、否応なしに『目立つ』。
本体のブリタニカは、これを『コスチューム』として通しており、
パフォーマンスの『客寄せ』にも利用している。
ただ歩いているだけでも『宣伝』になることを活かし、
時折こうして『鳥人』の姿で街を散策していた。

そして、その最中に『縛られた小梅』と出くわした。
『奇抜な格好』という共通点から会話が進み、
途中で『ぷらむ』の話題が出たり、色々あって現在の状態になっている。
興味深い『調査対象』が現れたことに気を取られ、自己紹介が遅れたのだ。

『先進的鳥類』を自称するブリタニカは、『制空権の奪取』という野心を抱き、
地球上で最も進化を遂げた種族である『ニンゲン』を調査し、
『繁栄の秘密』を解明する目的で、彼らの社会に紛れ込んでいた。

「それでは、『ツバメの巣』の確認に参りましょうか」

      スタ スタ スタ スタ スタ

「古来よりツバメは『益鳥』として大切にされ、
 『法律』でも保護されておりまして」

言われた通り小梅を引っ張って、とある商店に向かう。
今日は休業日らしく閉まっているが、街灯のお陰で周囲は明るい。
店の軒先には、新しい『巣』があった。

「通常であれば、今頃は『東南アジア』に飛び立つ時期なのですが、
 ここには『雛』が残っています。見えますか?」

ハーピーの言うように、巣の中では数羽の雛が身を寄せ合い、
餌を取りに行った親ツバメを待っている。
なお、ハーピーの身体からは『変わった匂い』がした。
俗に『インコ臭』と呼ばれる匂いだ。
『よく晴れた日に干した布団の匂い』や、
『焼き立てパンの匂い』などと表現される独特の香り。
決して不快なものではなく、これが病みつきになってしまう人間も多いらしい。


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