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【場】『 歓楽街 ―星見横丁― 』 その3
1
:
『星見町案内板』
:2022/08/03(水) 13:44:17
星見駅南口に降り立てば、星々よりも眩しいネオンの群れ。
パチンコ店やゲームセンター、紳士の社交場も少なくないが、
裏小路には上品なラウンジや、静かな小料理屋も散見出来る。
---------------------------------------------------------------------------
ミ三ミz、
┌──┐ ミ三ミz、 【鵺鳴川】
│ │ ┌─┐ ミ三ミz、 ││
│ │ ┌──┘┌┘ ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
└┐┌┘┌─┘ ┌┘ 《 ││
┌───┘└┐│ ┌┘ 》 ☆ ││
└──┐ └┘ ┌─┘┌┐ 十 《 ││
│ ┌┘┌─┘│ 》 ┌┘│
┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘ 【H城】 .///《//// │┌┘
└─┐ │┌┘│ △ 【商店街】 |│
━━━━┓└┐ └┘┌┘ ////《///.┏━━┿┿━━┓
┗┓└┐┌──┘ ┏━━━━━━━【星見駅】┛ ││ ┗
┗━┿┿━━━━━┛ .: : : :.》.: : :. ┌┘│
[_ _] 【歓楽街】 │┌┘
───────┘└─────┐ .: : : :.》.: :.: ││
└───┐◇ .《. ││
【遠州灘】 └───┐ .》 ││ ┌
└────┐││┌──┘
└┘└┘
★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
---------------------------------------------------------------------------
※前スレ
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1607077443/
2
:
呉羽萌『バッド・アイデア』
:2022/08/22(月) 19:34:50
「やッバぁ〜〜」
歓楽街の路地裏、猫の額程の広さしかない鄙びた公園。
外国の駄菓子を思わせるケミカルなツートンカラーの髪色に、
派手な髪色を強調する形に編み込みをした変形ツインテール。
ゴシックロック調のファッションに身を包んだ女子高生が、
公園のベンチの上に寝転んでいた。
「生まれて初めてぇ〜、
女子高生が1人でラーメン屋さんに行っちったよ…。
クラスメイトに目撃されたらムッチャハズいからァ、
わざわざガッコから遠いラーメン屋さん行ったけどォ。
あ〜〜、店員サンにトッピング聞かれた時
すっごいすっごい声うわずっちゃったよなぁぁ」
「んで」
「こーして、お行儀ワルくベンチの上に寝転んでるワケだけどぉぉ。
あァ〜〜〜、美味しかったけどお腹いっぱいだなぁぁぁ。
明日の朝ごはん食べれっかなァぁぁーー…」
3
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2022/08/22(月) 20:43:13
>>2
「ねぇ。」
ベンチに寝転がる呉羽の背後から若い女の声が聞こえる
呉羽が振り返ればそこにはフードで顔を隠した女が立っていた
「ごめんなさい
ちょっとだけ、隣の席を借りてもいい?」
そう言うと女は有無を言わさずに呉羽の隣に座ろうとする
4
:
呉羽萌『バッド・アイデア』
:2022/08/22(月) 21:13:05
>>3
「あらら」 バッ
身体を起こし履いているスカートを正す。
ついでに乱れている髪の毛も手櫛で整えておこう。
「オホホ、ごめーん。
久しぶりに食べた『カロリーの悪魔』が、
凄いお腹に溜まっちゃってェ〜、
公共の場ではしたなくゴロゴロしちったよねェ」
「何?おねーサマは彼氏と待ち合わせ?
アタシ、邪魔ならどっか行くけどおォォ〜?」
5
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2022/08/22(月) 21:39:14
>>4
「ん〜〜、『男性と』っていうのは合っているけど
『待ち合わせ』っていうのは少し違うかもしれないわ」
急ぎ服装の乱れを直す呉羽と同様に、
この女も被っていたフードを改めて直し、呼吸を整える
「ちょっとだけ、会いたくない人たちがいて
少しだけここに居させて欲しいんだけど・・・・・来たっ」
その言葉とともにフードを目深に引き下ろす
直後に、遠くの方から数人のガラの悪い男たちが駆け寄ってきた
「いたか!?」
「いや・・・・こっちには居ない!」
「こっちか・・・・?」
どうやら男たちは『誰か』を探している様だ
少しの間周囲を探し回ると、やがて男の一人が呉羽の方へとやって来た
「嬢ちゃん・・・・この辺に茶髪で小柄な女が来なかったか?」
呉羽の制服の袖が、隣に座った女にぎゅっと捕まれる
フードを被っていて今は見えないが、先ほどの様子・・・・この女の髪色は茶色だ
6
:
呉羽萌『バッド・アイデア』
:2022/08/22(月) 21:58:03
>>5
「あらら」
「アタシは『嬢ちゃん』なんて名前じゃないしィ〜?
男の人が花のジョシコーセーに詰め寄るって、
絵面的にかなりヤバくねェ〜〜〜〜?」
プイッ
詰め寄ってきた男に対し、
露骨に顔を背けた。
「オニーサン達以外、
ココには誰も来てないっすよぉ〜〜?」「つか」
隣に座る熊野の顔を胸元に引き寄せ、ぎゅっと抱きしめる。
これで彼女の顔は男達から完全に見えなくなる筈だ。
「アタシら、見ての通り『デート』中なんですけどォ〜〜!
せっかくの『デート』を邪魔するッて、
一体全体『ドーイッタリョーケン』なんすかぁ〜〜〜」
7
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2022/08/22(月) 22:44:41
>>6
「おっと、そいつは邪魔しちまったな」
「アズマァ! 探しちゃみたがここにはいねぇみたいだ! 向こうへ行くぜ!」
「ま、まってくれ治郎ォ―――ッ!!」
呉羽が隣の女を強く抱きしめると、その顔は完全に隠された
疑う様子もなく、慌ただしい勢いで男たちは立ち去っていく・・・
「ふぅ・・・・」
やがて、男たちが立ち去った事を確認して女の顔が上がった
背丈は比較的小柄だが、顔立ちはそれなりに大人びている・・・呉羽よりは少しだけ年上のようだ
「ありがとう。ごめんね、変な事に巻き込んじゃって」
フードを頭から払う
温和そうな顔立ちの女だが、あんな事があった直後だというのに口元が笑っている
「私の名前は熊野風鈴。あの人たちに追われていたの」
8
:
呉羽萌『バッド・アイデア』
:2022/08/22(月) 23:05:57
>>7
「グッバーイ東、
アディオス治郎」
去りゆく男達に軽口を言い放ち、
その背中に掌をひらひらと向けた。
「あァ、ヘーキヘーキ。
アタシ『スジガネイリノワル』?ちゅー奴だから。
この程度の悪事への加担他愛もないしィ〜〜?
ちゅか、ちゅか〜?
『フーリン』サンは一体、何をしでかして追われてるんす?
『キザシ』チャン的には、そこが気になるけどぉー?」
9
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2022/08/22(月) 23:15:19
>>8
「うーん・・・・話せば色々と長くなるんだけどね」
たははは・・・という笑みを浮かべながら頬を掻く
話すのが少し恥ずかしそうな様子だ
「ちょっとあの人たちが経営している『賭場』?っていうのを荒らしてみたのだけど・・・」
いきなり物騒な話が始まった
「あまりにも勝ち過ぎて怪しまれちゃって
そうしたら、奥の方から怖い人たちが何人も出てきて・・・・
2-3人の顔面をめちゃくちゃにしたくらいから面倒くさくなって逃げる事にしたの」
10
:
呉羽萌『バッド・アイデア』
:2022/08/22(月) 23:32:53
>>9
「すッ」「ごおぉ〜〜〜」
明らかに声色が変わった。
目をキラキラと輝かせ、
バツの悪そうな様子の熊野の顔を眺める。
「フーリンサン、超アウトロォーじゃあぁ〜〜ん。
アタシ『賭け事』なんてコズエとのお昼ご飯を賭けた、
テストの結果見せ合いっこくらいしかしたことないしィ〜〜?
すッげェッ、すっげェ〜〜ッ。
フーリンサンみたいな人を『ハングレ』?って言うんだッけぇ〜〜〜?」
「ほえェ〜〜」
無遠慮に熊野の腕を触り、摩ったりする。
「こんな細い腕で、男の人ブッ飛ばすなんて凄いねぇぇ〜〜〜」
11
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2022/08/22(月) 23:48:51
>>10
「え? ええっ?」
予想外の反応に思わず困惑の声を上げる熊野
だが、目の前の少女が自分と同様に『そういうもの』に憧れを抱いている事に気づくと
一瞬だけ鋭い視線で少女の顔を眺め・・・・・
(なるほどね・・・・)
そして、にこりと笑った
「そっかあ。」
「あなたも『そういうの』に興味があるのね」
無遠慮に腕に触ってくる呉羽の手を軽く引きはがす
熊野の腕の感触はとても細く、男性はおろか虫一匹潰せるとも思えない程だ
「『半グレ』というのはちょっと違うんだけど
まあ、そういうのが好きっていう点では似てる部分もあるのかな?」
「ねえ? あなたもそうなの?」
12
:
呉羽萌『バッド・アイデア』
:2022/08/23(火) 00:12:31
>>11
「んあ」
引き剥がされ、
思わず素っ頓狂な声を漏らす。
「へェ」
「ハングレ?に憧れているちゅか、
キザシチャンってば既にとんでもない『ワル』ですしィー?
今日だッて夏休みのガッコの補修適当に済ませちって、
女子高生1人でラーメン屋に行っちゃったしィー?
しかも、『ママ』に『晩御飯要らない』って連絡するの忘れたしィィ〜〜〜!」
「後で凄ェ怒られそうだケド……」
右手の指でキツネのサインを作り自身の顔の横に持っていき、
キツネの口をパクパクと開閉させる。
「まァ…、アタシが本気出せばママなんて一発ですケド……」
13
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2022/08/23(火) 00:33:48
>>12
「そう・・・・」
彼女の口から発せられるエピソードの数々
それらはどうにも微笑ましいエピソードの類に思える
しかしまあ・・・・自分が求めているものと彼女が求めているものの間に温度差を感じ取った
にいぃと吊り上がっていた口角が下がり、
笑みが穏やかなものとなる
「それじゃあ、キザシちゃんはこんな時間にイケナイ場所をうろうろしている悪い子なんだね
悪いなぁ・・・・でも、お家の中で暴力を振るっちゃあいけないよ?」
「例えどんなに腕力に自信があっても・・・・ね!」
がしっ!
先ほどのお返しと言わんばかりに呉羽の二の腕を握りしめようとする
握りしめたらそのままわさわさと指を動かすように握っていく
14
:
呉羽萌『バッド・アイデア』
:2022/08/23(火) 07:09:29
>>13
「ひん」
細い、二の腕を掴まれる。
が、こちらも負けずに熊野の顔を両手でむぎゅっと挟もう。
「だ、駄目ェ〜〜〜。
お触りは禁止ですケド」
「キャハ、キャハ」
「まーッ、
ママと手出るケンカなんてした事ないしィ〜?
ケンカになったら家で絶対にバレない『イタズラ』して、
憂さ晴らししちゃうもんねェ〜っ」
15
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2022/08/23(火) 17:45:03
>>14
「ぎゅっ」
ぎゅっ、と声が出た
そのまま両側から頭を挟まれる
「『イタズラ』?
自信があるのは良い事だけれども、
子供の『イタズラ』なんて多かれ少なかれ必ずバレると思うけど?」
再び呉羽の両手を押しのけて頭部の自由を確保する
16
:
呉羽萌『バッド・アイデア』
:2022/08/23(火) 19:42:34
>>15
『ズギュン』
右手に『ギャング風の衣装』に身を包んだ『ハンドパペット』のスタンドを発現。
更にその『パペット』に抱えさせる形で明らかにスタンドのそれと分かる、
ファンシーなデザインの『拳銃』を発現。
勿論、どちらも非実体化のスタンドだ。
「物心がついた時からァ〜、
ちょっとした悪戯がぁ〜、
使えるようになっててえぇーーっ」
「離れた場所の電気消して驚かしたり、とか。
そんな事しかできないけどねぇ」
17
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2022/08/23(火) 22:30:25
>>16
「・・・・・・・!」
唐突に出現した『ハンドパペット』のスタンドを『見て』
目を丸くする
「へぇ・・・・」
そして、いかにも面白そうだという声でくすくすと笑うと
笑みを浮かべたまま呉羽の右手を指さす
「折角だから、どんな『悪戯』が出来るのか教えてくれない?」
「ねえ・・・・・」
・・・・・
「可愛らしい『お人形さん』」
18
:
呉羽萌『バッド・アイデア』
:2022/08/23(火) 22:55:01
>>17
「ほえ〜ッ」
感嘆の声を漏らす。
「アタシの『バッちゃん』を、
見れる人なんて初めてェ〜ッ。
パパもママも、コズエもユージも
だーれも見る事できなかったのにィ〜〜ッ」
「フーリンサンは腕っ節じゃなくて、
こっちに自信があるタイプなんだぁ」
銃を抱えたパペットをはめた右手を掲げ、
真上の『電灯』目掛け
「『ばきゅん』」 ズドンッ!
『モグ モグモグモグ…』
『毛糸弾』を発射。
『毛糸弾』は着弾した瞬間に糸が電灯の先端に拡がって行き、
新たな『パペット人形』となる。
<ヤァ、ヤァ、ヤァ>
「こんばんは〜」
19
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2022/08/23(火) 23:08:42
>>18
「そうなの」
「あなたみたいな能力を持つ人の事を
『スタンド』の使い手・・・・『スタンド使い』って言うらしいんだけれど
私のスタンドは・・・・」
『毛糸弾』を使ってデモンストレーションをする呉羽を眺める熊野
その背後からクラシカルなメイドの様相を呈する人型のスタンドが滲み出る
「『フォー・エヴァ・ロイヤル』」
『モ、オ、オ、オ、オ・・・・・・』
出現した『フォー・エヴァ・ロイヤル』は嗚咽のような奇妙な声を漏らしながら、
『バッド・アイデア』を持つ呉羽の顔を睨みつける
20
:
呉羽萌『バッド・アイデア』
:2022/08/23(火) 23:19:10
>>19
「うわッ。
なんかすげー睨まれてるんすケド、
ひょっとして噛みついてきたりする?」
<コワーイ>
「怖いねぇ。
そうだねェ」
<フォーエヴァー> <ロイヤルゥー!>
「繰り返してるだけじゃね、それ」
電灯に被せられる形で現れたパペット人形は、
その場で身体をくねらせながら取り留めのない言葉を発している。
「どう?カワイイっしょ?」
21
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2022/08/23(火) 23:35:44
>>20
「大丈夫大丈夫
今日はちょぉ〜〜〜っとだけ気が立ってるだけだから」
『モ、オオ、オ、オ・・・・・!!』
「それよりも、あなたのは毛糸のお人形を出す能力なんだ
私の『エヴァ』に比べて可愛らしい能力・・・・『モオオオオオオオオ!!』
『モオオオオオシワケゴザイマセェェェェエエエエエンン!!』
土下座した。
『スタンド』が、だ。
『ウチノお嬢様ガ大変ナご迷惑ヲオカケシマシタァァァァ!
ナントお詫び申セバイイノヤラ──────ッ!!』
22
:
呉羽萌『バッド・アイデア』
:2022/08/23(火) 23:53:58
>>21
「へっ、
へひッ?」
威嚇してきたと思っていたらまさかの土下座。
思わず素っ頓狂な声を漏らしてしまう。
「す、すげぇ〜ッ。
スタンドちゃんが叫んでらぁ。
モォー!もォー!もォー!って…」
「あのぉ〜」 「よくわかンないけどぉ」
「『ヤル子ちん』、
とりあえずアタマあげたらどうすか?
理由もわからないのに頭下げられたら、なんか悪いしィー…」
23
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2022/08/24(水) 00:09:09
>>22
『アッハイ』
スタンドが頭を上げた
そして、改めてよく見ると地面に直接頭をこすりつけていたように見えたが、
実際の所、いつの間にか地面に敷かれていた『赤絨毯』の上で土下座をしていたようだ
ふかふかとしていて、痛くない
「驚かせてしまってごめんなさいね
私のスタンド『フォー・エヴァ・ロイヤル』は自分の意思を持った『従者』のスタンドなの」
『アアアア・・・・・お嬢様ガ迂闊ニ変ナ連中ニ近ヅイテシマッタセイデ
何の関係モナイ「キザシ様」ヲ大変危ナイ目ニ合ワセテシマシマシタ・・・・』
24
:
呉羽萌『バッド・アイデア』
:2022/08/24(水) 00:27:20
>>23
「すげェーッ。
自分で喋ってらぁ。
なんか『絨毯』も出してるし…」
左手にも『バッド・アイデア』を発現し、
自らの意思を込め、パクパクと動かす。
「あー…まぁまぁ。
何を隠そう、アタシッてば『キタイノワル』だし、
荒事揉め事なんて
ドントウォーリーのドントコーイすよ」
25
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2022/08/24(水) 00:40:21
>>24
『「キタイノワル」・・・・?
アナタ様ハドチラカトイエバ・・・・・』
「はい、そこまで」 『アッ』
ふっ、と跡形もなく『フォー・エヴァ・ロイヤル』が消え去る
スタンドを解除したのだろう
「『エヴァ』の後追いではないのだけど、
色々と騒々しい事に巻き込んでしまったわね」
ベンチから離れ、立ち上がる
「この辺はガラの悪い人たちが多いから、あんまり遅くまでいると危ないよ」
「じゃあね。
今日はありがとう・・・・『キザシ』ちゃん」
そう言い終えると、女は再びどこかへと去って行った
26
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2022/09/19(月) 10:18:35
くら寿司かかっぱ寿司かスシローかは分からないが回転寿司屋
>>27
の指定した寿司を食べる
27
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2022/09/20(火) 21:15:27
>>26
27「ホワイトメロンソーダ」
あま「頼んだ」
いきなり寿司ではない安価が来たが
まずは飲み物という事でまぁいいだろう
あま「次、30頼む」
30「わさびなす」
あま「うわ出た」
あま「わさびなす来た」
「美味い?」
あま「不味い、安価でなきゃ食べない」
あま「次40」
40「わさびなす」
あま「…」
あま「50-55」
50-55「わさびなす」
隣のガッキ「ママー、あの人何でわさびなすばっかり食べてるの?」
店員(あの客安価やってるんやろなぁ)
あま「隣の客と店員の視線が痛い」
あま「次70」
70「はまっこセット」
あま「」
あま「はまっこセット来た」
「美味しいでちゅかー?w」
あま「殺すぞ」
あま「最後デザート頼む80」
79「わさびなす」
80「カントリーマアムパルフェ」
81「家系ラーメン」
あま「80ありがとナス、79と81は死ね」
あま「パルフェ売り切れてたから再安価するわ90」
90「わさびなす」
あま「殺すわ(決意)」
_,...,,_
,ィーァ-‐'"~ ̄::::::::.... `ヽ
r',, ;;=;;>:::::::::::::::::::::::. .::i
`-'rrー-fl、;;;,,..___;;;rr;:ノ
終
制作・著作
━━━━━
ⓃⒽⓀ
28
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2022/09/24(土) 16:35:18
『星見町』について語る時、
『時代の過渡期のような』という表現を用いる。
『悪意を伴う力』が大手を振って歩く光景は『過去のもの』となり、
『より相応しい場所』に活動の場所と機会を移した。
すなわち、この街の『悪』は『深い所』に潜んでいるのだ。
一条の光も差さぬ地の底で『暗躍』し、
音もなく静かに『陰謀』を張り巡らせる。
『百目鬼小百合』の考える『星見町の悪』とは、
『分かりやすさ』の『対極』に位置する存在だった。
「――――お陰様で少しは『カン』を取り戻せたよ」
しかし、その中には『そうでない者』も混じっている。
『分かりやすく牙を向く連中』の事だ。
たとえば、百目鬼の後ろに倒れている『十数人』のように。
「出会い頭に殴り掛かってきたんじゃあ、
こうして眠らされても文句は言えないねぇ」
襲い掛かってきたのは、
『かつて因縁があった団体』と縁を持つ者達だった。
その組織は既にないが、人と人の関わりというのは、
そう易々と消えるものではない。
そして、こちらの顔は割れている。
当然の帰結として、姿を見るなり『暴力』に訴えてきた。
不本意ながら、こちらも『同じ挨拶』を返す事になったのだ。
「骨は折れちゃいないし内臓もピンピンしてる」
倒れた男達の周りには、
『酒瓶』や『金属バット』が転がっていた。
だが、それが百目鬼の体を打つ事はなかった。
『訓練』の成果か、
襲撃者達にも余計な傷は一切負わせていない。
「ちょいと風邪は引くかもしれないけど、
まぁ若いんだから大丈夫さ」
百目鬼の傍らに立つのは、
『白百合の紋章』を持つ『人型スタンド』だった。
その名は『ライトパス(正道)』。
右手には、スタンドの一部である『特殊警棒』を携えている。
もし『スタンド使い』が見ていれば、
『閃光』のように男達を一蹴する様を目撃できただろう。
それは既に終わり、白いパンツスーツを着た年嵩の女が、
鷹揚に紫煙を燻らせているだけだ。
29
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2022/09/26(月) 17:42:57
>>28
「しかし…………」
スマートフォンを取り出し、片手で操作する。
何人か『候補』はいたが、最終的に思い浮かんだのは一人。
画面に表示されている連絡先は『三刀屋路行』だった。
30
:
体格の良い英国紳士『一般人』
:2022/09/29(木) 21:40:51
「・・・・・・」
コンビニの前でスーツ姿のいかついおっさんがウンコ座りで座っている。
真剣な顔で自分のスマホを見ているが・・・?
31
:
体格の良い英国紳士『一般人』
:2022/10/01(土) 00:30:28
>>30
そのまましばらくするといなくなっていた。
32
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/04(火) 19:10:32
灰色の長髪にロイド眼鏡の女が、黙々と本を読みながら歩いている。
このままでは、数メートル先の電柱に衝突することは
火を見るよりも明らかなように見える。
33
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2022/10/06(木) 19:45:52
>>32
灰色の毛皮を持つラッコが、その様子を眺めている。
ラッコはラッコなので、女を止めなかった。
このままでは、火を見るより明らかな結果になるだろう。
34
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/06(木) 20:32:24
>>33
ゴッ
「痛い!」
火を見るよりも明らかな結果となり、
本を持ったままその場に蹲った。
唸り声を上げながら脇を見ると『ラッコ』に気づく。
「ぐえぇ、痛た…………んん?
この『動物』……なんて名前だっけ。
『カワウソ』かなぁ…………?」
実物としての『ラッコ』を見た事のない『カリヤ』は、頭をさすりながら立ち上がり、
そろそろと『ラッコ』へ近づいていく。
35
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2022/10/06(木) 21:09:46
>>34
ラッコとカワウソは似ていた。
どちらもイタチの仲間だからだ。
大雑把に言えば、『川辺』に棲むのが『カワウソ』で、
『海辺』に棲むのが『ラッコ』という事になる。
間違えても不思議はないかもしれない。
こんな場所にいる方が、よほど不思議な事だろう。
「ミャー」
スクッ
ラッコは鳴き声を上げ、後ろ足で立ち上がった。
何の意図があるのか不明だが、特に逃げようとはしていない。
つぶらな瞳で、近付くカリヤを見上げている。
36
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/06(木) 21:51:47
>>35
「あぁ、その鳴き声………なんだっけ?
ミャーミャー鳴くのは、ええと……」
ラッコの前でしゃがみ込み、首を捻る。
立ち上がったラッコを見ても、そこまで動揺した様子はない。
「あははぁ、立った立った。
うーんと、ウミネコだっけ………?
でも、ウミネコがいるのは、ウミだよねぇ。
随分と人に慣れてるけれど、飼いカワウソって奴?
飼い主が、その辺にいるとかぁ………」
一人呟き、人通りの少ない歓楽街の一角を見回す。
37
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2022/10/06(木) 22:09:06
>>36
周囲には、それらしい人間はいない。
だが、野生とは思えない程に人馴れしているラッコだ。
そして、ラッコは『野生のラッコ』だった。
ゴソ
ラッコが『脇の下』に前足を差し入れた。
あまり知られていないが、ラッコには『ポケット』がある。
正確には、毛皮の余った部分なのだが、
そこには小物を入れておけるのだ。
「ミャア」
ポケットから取り出されたのは『石』だ。
何の変哲もない石。
しかし、ラッコにとっては『お気に入りの石』だった。
ソッ
二本の前足で包み込むように持ち、カリヤに見せてくる。
自慢しているのかもしれない。
これといった特徴がある訳でもなく、
人間にとっては『ただの石』でしかないだろう。
38
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/07(金) 14:11:28
>>37
「リクにいる奴は……何だろ。
それも何?……『石』だよねぇ。
……あっ」
ラッコとじぃーと見つめ合った後、
ふと目線を外して声を上げる。
そうして『ラッコ』の注意を逸らして、手中の『石』を引ったくろうとする。
39
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2022/10/07(金) 19:03:08
>>38
カリヤの策に嵌まって、ラッコの注意が逸れた。
「ミャッ」
完全に油断した瞬間、『お気に入りの石』を引ったくられる。
呆気ないほど簡単に、いとも容易く奪う事が出来た。
何が起きたか分からないといった様子で、
じっと獲物を待つ『ハシビロコウ』のごとく硬直するラッコ。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
…………背後から『音』が聞こえてくる。
40
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/07(金) 20:24:25
>>39
「あははぁ、引っかかったねぇー。
大事なものならちゃあんと持っておかなきゃあダメじゃないかぁ〜。
さて、この石に君のストーリィがあるのか……何?」
カリヤは性格が悪かった。
ラッコに対して勝ち誇っていたが、
背後からのただならぬ音に振り向く。
41
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2022/10/07(金) 20:46:53
>>40
振り返ったカリヤの目に飛び込んできたのは――――。
ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド
陸上には不似合いな一艘の『ボート』だった。
その上に乗っているのは『人型スタンド』。
片手に握られているのは、長さ『2.5m』の『銛』だ。
ザザザザザァァァァァ――――――――ッ
人間が走る程度のスピードで、
『ボート』はカリヤの周りを回り始める。
正確には本体であるラッコの周りを回っているのだが、
カリヤと位置が近いため、このような状況になっていたのだ。
客観的に見ると、様子を窺っているかのような体勢だった。
「ミャー」
ラッコはカリヤに取り上げられた『石』を見つめている。
42
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/08(土) 22:26:57
>>41
「『スタンド』! なぜ急に……?
いや、これはもしかして君の……」
恐る恐る『ラッコ』の方を見る。
石を握りしめたまま、『ラッコ』としばし見つめ合った。
「なんだい、これを返せって事?
ふうむ……どうしようかなぁ〜?
どうしたら、面白い『話』になるだろうか……よし」
取り敢えずは『ラッコ』から距離を取るべく、
スタンドと接触しないよう駆け出す。
43
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2022/10/08(土) 23:14:30
>>42
ザザザザザァァァァァ――――――ッ
回転の隙間を縫って、ラッコから離れていくカリヤ。
『ボート』は追跡してこない。
どうやら『自動的』に動いているようだ。
もちろんラッコの移動速度で人間に追いつけるはずもない。
距離を取る事は難しくなかった。
「ミャア」
走り出すカリヤを見て、ラッコは周りを見た。
カリヤの前方には、大きな『水溜り』がある。
そして、ラッコの足元には『ただの石』が落ちていた。
人間から見れば、『お気に入りの石』も『ただの石』でしかない。
しかし、ラッコにとっては大事なものだ。
ソッ
『ただの石』を拾い上げ、ポケットから『貝殻』を取り出すラッコ。
カツンッ
その二つを打ち合わせる音が、カリヤの後ろから聞こえた。
44
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/09(日) 05:59:51
>>43
「『スタンド使い』の動物が見れるなんて、得しちゃったなぁ〜。
……でも追ってこないというのは、期待外れって感じだねぇ。
『貝』……ああ! 『ラッコ』じゃあないか?もしかして!」
追ってこない事に拍子抜けして水溜りの手前で立ち止まり、
腕を組んで『ラッコ』とそのスタンドの方を観察する。
『貝』を取り出したのを見てぽんと手を打った。
「読んだことがあるよ。
石で貝とかを割って食べる……。
でも、こんな街中に『ラッコ』って有り得るのかなぁ?
もっとこう、ぷかぷか浮いてるイメージだったけど、
立てるんだねぇ」
腕組みをしたまま、呑気に『ラッコ』を観察する。
「私があの『ラッコ』なら……って、
ちょっと思いつかないなあ。
『ラッコ』が『主人公』の話は、読んだ事無いんだよねぇ」
45
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2022/10/10(月) 21:01:42
>>44
その毛むくじゃらの生き物は、まさしくラッコであった。
本来なら、こんな街中にいるはずもない『海獣』。
だが、何故か『いる』。
「ミャー」
トテ トテ トテ
陸上におけるラッコの移動速度は『常人以下』だ。
『ボート』――『ハッピー・スタッフ』のスピードも、
水上よりも低下する。
ラッコ本来のスペックを発揮できない環境だった事は、
人間のカリヤにとって幸運だったと言えるのかもしれない。
ズズッ
ふと、唐突に『ボート』の動きが変わる。
本体からの『合図』を受けた『ハッピー・スタッフ』は、
『餌やり』を行うべく、『水面』に向かって移動するのだ。
よって、カリヤの手前の『水溜り』方向に、突進を開始した。
ザザザザザァァァァァ――――――――ッ
『餌やり』は他の全てに優先される行動であるため、
全長『3m』の船体が突っ込む形となっている。
ただ、軌道は一直線だし、
スピードもカリヤの全力疾走と同じくらい。
迫力はスゴいが、避ける事は十分に可能じゃないだろうか。
46
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/11(火) 20:22:06
>>45
「ん〜、何だ……来たッ!
この『突進』、スゴイ迫力だよッ!
あははぁ、『画』になるなぁ〜
『タイプライター・トーメント』のぉ〜ッ!」
ボートを前に目を輝かせるカリヤの背後から立ち昇るように、
両手を振り上げた人型スタンド、『タイプライター・トーメント』が出現した。
そのまま真正面から、『ハッピー・スタッフ』を受け止める。
ドガァッ!
「あはははぁ!スゴイ『パワー』だっ!
私の『タイプライター・トーメント』と同じくらい!
そしてこの巨体が!」
パワーは同等の『タイプライター・トーメント』だが、
『ハッピー・スタッフ』の突進の勢いを止めきれず、
本体ごとじりじりと水溜り上まで押し込まれていく。
47
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2022/10/11(火) 22:04:15
>>46
突進する『ハッピー・スタッフ』は、
『タイプライター・トーメント』の豪腕によって受け止められた。
『高パワー同士の正面衝突』という構図は、
確かに非常に『映える』絵面だ。
『鍔迫り合い』にも似た状況は、
両スタンドともに固定されている状態に近い。
トテ トテ トテ トテ トテ
その隙を突いて、のんびりした速度でカリヤに迫るラッコ。
「ミャー」
トテ トテ トテ トテ トテ
何を思ったか、ラッコはカリヤを通り過ぎていってしまった。
そして、『ハッピー・スタッフ』は、
なおも『タイプライター・トーメント』を押し続ける。
元々の地力は同等だが、
突っ込んできた分だけ『勢い』がついており、
それが『僅かな差』となって現れたのかもしれない。
――――――グワァッ!!
『水溜り』との距離が縮まった時、
『人型』が手にしている『銛』を振り上げた。
どうやら、『ボート』とは別に動く事が出来るようだ。
常人並みの速度だった『ボート』とは異なり、
『人型』のスピードは本体であるラッコよりも、
また対峙しているカリヤよりも速かった。
『ボート』の前進を阻むために、
『タイプライター・トーメント』の両腕は塞がっている。
おそらく一瞬後には、『銛』が振り下ろされる事になるだろう。
48
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/12(水) 21:11:11
>>47
「『人型』、そっちも当然飾りじゃあないか!
ここは……そうだ、後ろに逃げる!
バトルの定石は、相手の力を利用してぇ〜……うわっ!」
スタンドのパワーを緩め、
『ボート』に押される力を利用して、背後へと跳ぼうとするカリヤ。
その目論みの半分は成功し、銛を避けるように空中へと飛び出すが。
ベシャア!
「ぐえぇ…………」
着地を盛大に失敗し、水溜りの端のぬかるんだ部分に突っ込んで
泥だらけになってゴロゴロと転がった。
そしてその拍子に、握っていた『石』も地面に転がりおちた。
49
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2022/10/13(木) 00:05:24
>>48
『ボート』に押される力を効果的に利用し、
カリヤは『銛』の脅威から脱出する。
ドスゥッ!!
しかし、当初の予想に反して、『銛』はカリヤではなく、
その足元にある『水溜り』に狙いを定めていたようだ。
ザ ッ バ ァ ッ
まもなく、『水溜り』から『銛』が引き上げられた。
鋭い先端に『何か』が突き刺さっている。
『8本』の足を持つ『海洋生物』――――。
ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド
『人型』が『獲った』のは――――『マダコ』だ。
タコとしては最もポピュラーな種類。
『街中のラッコ』と同じく、
『水溜り』なんかに生息している生物ではない。
トテ トテ トテ
「ミャー」
ソッ
ラッコは『お気に入りの石』を拾い上げると、
大事そうにポケットに収めた。
50
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/13(木) 20:30:03
>>49
「はぁ……はぁ……何?
『タコ』だ………………なんで?」
地面に座り込んだまま、
泥を払いもせず、ぼんやりと『マダコ』を眺め、
視線をそのまま『ラッコ』へと移す。
「『謎』だ。謎めいたストーリィだよ、これは。
水溜りからタコを漁獲するスタンドと、
街中に出没する『ラッコ』……!」
51
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2022/10/13(木) 23:35:57
>>50
カリヤの問いに対する答えは返ってこない。
ラッコなのだから当然だろう。
ただ『奇妙』としか言いようがない光景だけが、
紛れもない『現実』として存在する。
――――――ブォンッ!!
『人型』が『銛』を振るうと、
すっぽ抜けた『マダコ』がブッ飛んでいく。
常人以上のパワーとスピードが合わさって、
かなりの『剛速球』となっている。
地面に座り込むカリヤの頭上を、
ものすごい勢いでタコが通過していった。
バシッ
「ミャッ」
二足で立ち上がったラッコが、飛来するタコをキャッチする。
厳密には、ラッコは立っていただけで、
ちょうど前足の辺りに投げられたため、
『たまたまキャッチ出来た』という方が正しい。
『ボート』に乗る『人型』は、
かなり正確なコントロールが可能なようだ。
ムグ ムグ ムグ
当たり前の流れのように、
漁獲した『マダコ』を食べ始めるラッコ。
他の海獣と比べて小型のラッコは、
分厚い脂肪を持っておらず、
高密度の毛皮と非常に高い代謝率によって、
自らの体温を維持している。
つまりは『大食い』なのだ。
52
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/15(土) 21:53:04
>>51
「『タコが飛んだ』ッ!
面白い! 面白いラッコだ!
君の事は、たっぷりと観察させてもらうぞ、あははははぁ……!」
泥だらけのカリヤはおもむろに立ち上がり、
両手を広げてじりじりとラッコに迫っていく。
そして、ラッコの行動を追うべく歓楽街の闇へと消えていった。
53
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2022/10/16(日) 00:14:31
>>52
ラッコの一連の行動は、カリヤにとって、
何らかの『インスピレーション』を与えたのかもしれない。
そもそも『石』を取り上げなければ、
この『奇妙な光景』を見る事は出来なかっただろう。
その意味で、カリヤは見事に『目的』を果たしたと言える。
「ミャー」
テト テト テト テト テト
まもなく『マダコ』を食べ終えたラッコは、
『ハッピー・スタッフ』を解除して歩き始める。
そのスピードは遅い。
人間の足なら、まず見失う事はないはずだ。
・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・
やがて、カリヤとラッコは『川』に辿り着いた。
ザブンッ
一人の『奇特な人間』に見送られながら、
『野生のラッコ』は何処かへ流れていくのであった――――。
54
:
ソラ『ステインド・スカイ』
:2022/11/05(土) 11:13:23
人気も少ない夜中
場末の焼き鳥屋
焼き鳥をつまみに一人静かに飲む
55
:
ダニエル『シカゴ』
:2022/11/06(日) 12:46:51
>>54
……ドッカ!
ソラの隣に浅黒い肌の男が座った。
賢明な読者諸君はなんでわざわざ隣に座るのだと思われるかもしれないが、
場末の焼き鳥屋なので狭くてカウンター席が少ないのかもしれないし、なんか常連客の固定席とかそういうのかも知れないし…。
「オヤッサン、ひさしぶり」
片言の日本語で店主に軽く挨拶し……
「トリアエズナマ、ネギマ、レバー、テバサキ」
注文をした。
ついでにソラに会釈をし、ソラの食べてるモノをチラリと見る。
56
:
ソラ『ステインド・スカイ』
:2022/11/06(日) 13:11:11
>>55
隣の客の食べてる物を見るダニエル
何の珍しい事も無いハツの塩だ
だが飲んでいる物は多少珍しいかもしれない
焼酎に炭酸水とぽん酢で割った物
ぽん酢サワーという物だ
ぽん酢サワーを提供している店は結構珍しいかもしれない
「…」
隣に無遠慮に座って来るダニエルを鬱陶しそう見ながら
椅子を引き摺って少し距離を取る
こういうのをトナラーというのか?
57
:
ダニエル『シカゴ』
:2022/11/06(日) 20:32:26
>>56
>こういうのをトナラーというのか?
それはつまり独りを望む人を略すと『ヒト○ー』……ってコト!?
NPCテンチョー【ヘイ!ナマ!ネギマ!レバー!テバサキ!】
「アリガト」
ガブガブガブ……ムシャムシャムシャ……ガツガツガツ……
あまり行儀の良くない感じで出た串を平らげていく色黒の男……。
>ソラ
「オット、気を使わせてスマンネ、ヤングボーイ」
ソラが距離を開けたのに呼応して、色黒の男はガニ股で足を広げて楽そうに座った。
「座りやすくなったZE」
デカタイド〜〜 ←大きな態度の擬音
58
:
ソラ『ステインド・スカイ』
:2022/11/07(月) 14:09:32
>>57
カタン
ぽん酢サワーはやはり酸っぱい
だがこの酸味が、疲労した心身には効く
骨身に染み渡るというのはこういう事だろう
それに、焼き鳥にはよく合う
ハツを食べてしまい、食べる物が無くなった
手を挙げて女将を呼ぶ
ダニエルの相手をしている店長とやらとは別に、女将もいるのだ
コンコン
「これ」
メニュー表のししとうを突き注文を取る
59
:
ダニエル『シカゴ』
:2022/11/07(月) 22:20:34
>>58
一通り飲み食いした後、色黒のダニエルは立ち去っていった……。
60
:
ソラ『ステインド・スカイ』
:2022/11/08(火) 18:10:26
>>59
ダニエルが帰った後も飲みは続く
何か知らん黒人が隣に座って来てちょっと食ってすぐ帰って行った
よく分からん奴程度の認識だった
それにしても、ししとうは唐辛子なのにどうして甘く感じるのだろう
だが、甘いといってもデザートのような甘さではない
ちゃんと酒の肴になる
やがて、グラスが空になってしまいサワーのおかわりをする
それほど蟒蛇というわけでもないが、今夜は体が酸味を欲している
追加注文をしていたたまひもも食べてしまい、グラスに残っていた最後の一滴を飲み干す
名残惜しいがこの辺りが潮時だろう
女将「旦那、お冷」
気を利かせてくれた女将が出してくれた冷たい水を一口飲む
アルコールや焼き鳥の後に飲む水は、ほんのり甘くて爽やかに感じる
黒柳「兄貴、ついでに薬も飲んどきましょうよ」
いつの間にか隣に座っていたデブに言われて胃薬と頭痛薬の盛り合わせを水で喉の奥に押し流す
やはり、晩酌の後の水の一気飲みはスカッとして最高に気持ちが良い
日々の仕事は憂鬱だ
こうしてたまの息抜きが無ければやっていられない
61
:
妖狐『キン・コン・ユウ』
:2022/11/19(土) 11:47:54
歓楽街の路地裏付近
外見年齢9歳くらいの女が干し肉と思われる物を食っている
その周りに何匹かの犬がいて一緒に干し肉を食べている
女は犬と会話をしているが、犬語なので人間には何かこゃんこゃん言っているようにしか聞こえない
62
:
妖狐『キン・コン・ユウ』
:2022/11/21(月) 19:06:52
>>61
以下の会話は犬語を翻訳したものである
エルヴィス(サモエド)「人肉のストックも少なくなってきましたねオババ様」
狐「干し肉も飽きて来たしな…そろそろ狩りに行かねばならんか」
エルヴィス「けど最近は幼稚園も警備が厳重で近寄れませんよ」
狐「良い狩場はないもんかのう?」
プレスリー(シェットランドシープドッグ)「俺に良い考えがあるぜえぇぇぇーーーーーーーーーっ!!!!!!」
狐「うおっ!?急に大声を出すでない!」
エルヴィス「良い考えとは?」
プレスリー「病院の霊安室に忍び込むのさ!」
狐エルヴィス「「霊安室に…!?」」
エルヴィス「死体を盗めという事か!?」
プレスリー「その通り!こんなに楽に人肉を手に入れる方法は他にないぜ!!!」
狐「馬鹿者!!!」
どごぉっ!!!
狐の拳がプレスリーの顔面を貫いた!
プレスリー「ぐおぉ…!」
エルヴィス(やはりスカベンジャーになるのはプライドが許さないのか?)
狐「霊安室の死体など、どんな病気を持っているか分からんだろうが!!!」
エルヴィス(そっちだったか…!)
プレスリー「す、すまないオババ様、俺が悪かったよ」
狐「はぁ、はぁ、いやすまぬ、ついカッとなってしまった」
狐「昔、我も死体安置所の死体を漁るスカベンジャーになった事があった」
狐「しかし、その時食った人間は病気に罹患しておった」
狐「それが…天然痘だ」
エルヴィスプレスリー「「天然痘…!?」」
狐「我は何とか生き残ったが、一緒に食った同胞は我のせいで…」
狐「よいか、お主達は霊安室の死体には気を付けろよ?」
プレスリー「今ならコロナ患者がいそうだしな、気を付けるぜ!」
エルヴィス(その前に、あんたは道端のゴキブリ食うのやめろよ)
__ ___
<77> `}{´_}し_∥` マハ
/7 Vム< ̄o::::::::::::::::>:/i/
マ\/;;;Vム:::::o:::::V⌒Y:::::::::::':\ァ
〉::::::::::::::(__ノ、::::个ー个::::゚:::::o:ハ,
(:i)==:::::::Y⌒Y:::::::`:::::::::::::::::::::::::Y^ヽ::ムrハ
ム:::::::乂.丿ミ:::::o:::::::Y⌒Y:::::ム,_ノ::::::}`′
()ー{:::゚::::::::::::::::o::::::::::::::::乂.乂:::::::::::。:::斗()
ハ,,斗::::::::( .)=::::.Y⌒Y::::o::::::゚::::::::::::::::。:}__ハ
V⌒{::::。::个个::::::::乂メ:::::::::::。::::::Y^寸:::厂レ'
(彳::::::::ィ⌒Yx::::::::::::::゚:::::::::::::::::乂_ノ:寸⌒Y
八::゚:::::乂_ノ:::。::::::/7:::o::vv::::゚:::::::::::::八_丿
(ァ个s。::::::::o::::::Y⌒Y:::::::::Y⌒ヽ:::::メ。
r/个<::_:_::乂.丿:::。::::乂__ノ 个O
\) r∥ ,}{、¨T¨¨}{ ̄ X>
 ̄ ‘ー’ ^ ‘ー’ `¨
終
制作・著作
━━━━━
ⓃⒽⓀ
63
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2022/11/22(火) 21:20:53
バァァァァァァァァァァ――――――――ッ
キィッ
『カナリアイエロー』の『ベスパ』が駐車場に停まる。
「ふぅ」
ゴーグル付きのハーフヘルメットを脱いで、シートから降りた。
美作くるみは『パーソナリティー』だ。
会話の『引き出し』は、多ければ多い程いい。
「さて、何か『話題の種』を見つけられるかしら」
こうして休日に散策しているのも、それが目的だった。
64
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2022/11/26(土) 02:32:03
>>63
「――――『これ』は…………」
小さなコインランドリーの前で見つけたのは、
『ハンバーガーの自販機』だ。
いわゆる『レトロ自販機』に分類されており、
今では製造されていない。
残っている数少ない筐体が、現在も各地で稼動している。
「一個『200円』――――」
ゴソ
「『話題が買える』と思えば安いわね」
チャリン チャリン
硬貨を投入し、ボタンを押す。
ピッ
「…………どれくらい待つのかしら」
内部の電子レンジで温めているため、すぐには出てこない。
コトッ
一分ほど経った頃、軽い音を立てて、
取り出し口に白い箱が現れた。
開封すると、小振りなバンズにパティとレタスが挟んである。
バンズに塗られたケチャップの匂いが、ほのかに香る。
「このチープな感じがいいじゃない」
パクッ
一口食べてみると、どこか懐かしい味わいだった。
初めて味わったはずなのだが、
心の奥でノスタルジーを感じさせる。
不思議なものだ。
「ずっと頑張ってきたのよねぇ」
ハンバーガーを食べ終え、自販機を眺める。
「私も、まだまだ頑張らなきゃ」
空を見上げ、そして歩き出した。
65
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/12/11(日) 19:55:09
「あー、気持ちワル……!
本当に来なきゃ良かったよ、うぅ〜」
灰色の長髪にロイド眼鏡の女が、
ベンチにもたれ掛かるようにして座っている。
まだ日も落ち切っていない頃ではあるが、アルコールの匂いを漂わせている。酔っ払いだった。
66
:
花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』
:2022/12/13(火) 05:20:29
>>65
「ハハハッ、気持ち良すぎてフラフラしちまうぜェ〜」
ドサッ
『レザージャケット』を着た『赤毛の男』が隣に座った。
同じく酔っ払っているらしく、だらしなく両足を投げ出している。
カリヤとは対照的に、こちらは『いい気分』らしいが。
「ちょっとばかし酔いを覚まさねえとなァ」
ガチャリ
「『酔い覚まし』には、こいつが一番だ」
いつの間にか、男の手には『拳銃』が握られていた。
回転式の弾倉を持つ『リボルバー』。
さも当然のような動作で、銃口をこめかみに押し当て、
引き金を引く。
ガァァァ――――――――ンッ!!
『銃声』が響いた直後、男の体が力なく崩れ落ちた。
67
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/12/13(火) 16:14:23
>>66
「うわっ……なんだ? 『死んだ』ッ!
あはぁ、飲みすぎたかなぁ…………なんて、
そんなセオリーどおりなリアクションはしないぞ、私はぁ!」
怪しく笑ってのそりと体を起こし、
ベンチを這うようにして花菱の側へと移動して『銃』を持つ手首を掴む。
「あははぁ、やっぱり『スタンド』じゃあないかぁ。
ええと、じゃあこれって、どういう『能力』なんだ?
その前に、何か言ってたような気もするけど……何だっけ?」
『銃』を観察しながら、花菱の顔の前で手を振る。
68
:
花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』
:2022/12/14(水) 06:44:31
>>67
「ヒュゥゥゥ〜〜〜〜!!」
ガバァッ
「頭ン中が『スッキリ』しちまったぜェ」
ガックリと項垂れていたが、唐突に頭を持ち上げる。
「『生まれ変わった気分』ってか?」
「ハハハッ!」
その直後、『拳銃』を握っていた右手を掴まれた。
同時に、相手の顔が視界に入る。
揺れ動く手を、反射的に目で追う。
「おっと、ネエちゃんも『同類』かよ?
おまけに同じ『酔っ払い』と来たもんだ」
「ハハハッ、『コイツの能力』が知りたいってんならよォ〜」
「アンタも試してみるかァ?」
「『悪酔い』なんざ一発でブッ飛んじまうぜ」
言葉だけ聞くと冗談のようだが、『本気』だ。
引き金には指が掛かったままで、銃口は至近距離にある。
このまま『発砲』したら、『当たる』かもしれない。
69
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/12/14(水) 18:32:36
>>68
「うわっ、『起きた』ッ!
なにぃ〜? きみ、いきなり何だよッ!
あははぁ、さては、酔っぱらいだなぁ〜!」
にまーっと笑った顔を近づけて、ずり落ちそうな眼鏡の位置を正すこともなく、
酒臭い息を吐きかけながら、既に指摘されている事実を得意げに話した。
紛れもなく酔っぱらいだった。
「やらないよっ、怖いなぁ〜〜。
きみぃ、どういう人間なんだい? これも『何』?
どういう『スタンド』なのかはぁ、興味あるけど」
そうして、両手で『スウィート・ダーウィン』を取り上げようと持つ手に掴みかかった。
70
:
花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』
:2022/12/14(水) 20:03:41
>>69
「オレかァ〜?オレは『花菱蓮華』ってんだよォ〜」
「ただの『気のいいニイちゃん』だぜェ」
「ハッハッハッ!」
酔い覚ましに『偽死弾』を撃ち込んだものの、
物理的にアルコールが飛ぶ訳ではない。
気分の問題なのだ。
従って、こちらも依然として酔っ払いには変わりなかった。
「オレはよォ、三度の飯より好きなのさ」
「『デッドライン』ギリギリの『スリル』ってヤツがなァ」
次の瞬間、両手で掴みかかってくるカリヤ。
この行動は読めなかった。
スタンドは奪われなかったが、結果的に体勢が崩れる。
「うおッ――――――」
『一瞬の弾み』で、引き金に掛かっている指に力が入った。
ガァァァァァ――――――――ンッ!!
再び轟く銃声。
発射された『弾丸』は、カリヤの『左胸』に命中した。
至近距離から『心臓』をブチ抜かれたのだ。
傷口から大量の血が溢れ、意識が徐々に遠のいていく。
おそらく、もうじき『死ぬ』だろう。
「おっと――――つい『やっちまった』ぜ」
何でもない事のように、軽い調子で呟く。
装填されていたのは、『失血死』を再現する『偽死弾』。
非常に『リアル』だが、制限時間の『4秒間』が過ぎれば、
全ての影響は『幻』のように消え去る。
71
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/12/14(水) 21:08:34
>>70
「ガっ……なっ、これは……!
何笑って……しっ、死ぬ…………!
ーーーーーーーハッ!」
『擬死』の時間が経過して、ベンチからがばっと起き上がり、
胸元に傷がないことを確かめた後、顔面蒼白で花菱を見る。
「はひっ……こっ、これ……私、死んでた……?
なんなんだよこれはぁ〜〜! 怖かったじゃあないかッ!」
酔いもすっかり引いたようで、
両肩に手を置いて揺さぶりながら怒りの声を上げた。
72
:
花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』
:2022/12/15(木) 05:05:15
>>71
「ハハハッ、とびっきり『スウィート』だろ?」
「『スウィート・ダーウィン』は『死因』を再現できる。
『焼死』に『溺死』に『感電死』……
どんな死に方でも『お望み通り』だ」
「オレはコイツが『病み付き』になっちまったのさ」
激しく揺すられながら、極めて愉快そうに笑う。
「おいおい、ありゃあ事故だ事故……。
そりゃ撃ったのはオレだけどよォ〜。
不用意に掴み掛かってきたアンタも悪いぜェ」
「これでアンタも『生まれ変わった』って訳だな」
『偽死弾』は生物に対して殺傷力を持たない。
傷口も出血も綺麗サッパリなくなっている。
ただ『服に開いた穴』だけが、
『着弾の痕跡』として残っていた。
「だが――今日のアンタは『ツイてた』ぜ」
シャラララァァァァァァァァァァァ――――――――ッ
慣れた手付きでシリンダーを勢い良く回転させ、
さらに言葉を続ける。
「『スウィート・ダーウィン』は『ロシアンルーレット』だ。
弾倉の中の『一発』は『実弾』だからなァ。
『大当たり』だったら、『生まれ変われなかった』だろうぜ」
「ハッハッハッ!」
銃口を下ろし、『物騒な種明かし』をした。
73
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/12/17(土) 20:57:56
>>72
「自分の『スタンド』に病みつきに……?
それはなんだか、危険な響きがあるねぇ。
まあ、元々危なっかしい性格なような気がするけどね、きみは。
『拳銃』の『スタンド』かぁ……」
服の穴を指でなぞりながら、
物珍しそうに『スウィート・ダーウィン』を眺める。
「うーん……まあ、暴発って事ならそうかもねぇ。
良い体験したって思うかなぁ、撃ち殺されるなんて滅多にないし……
服がちょっぴり破けたくらいだし……」
>弾倉の中の『一発』は『実弾』だからなァ。
「それは『駄目』じゃあないかなぁ!
……きみさぁ、もしかして、
何回も『偽物の死』を味わってるうちに、
『本物の死』もそんなに深刻なものと思えなくなっちゃってるんじゃあないの?
大丈夫かい? そーいうの」
74
:
花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』
:2022/12/18(日) 04:43:51
>>73
「『デッドライン』を越えちまったら、
二度と『スリル』を味わえなくなっちまうだろ?
オレは『ギリギリ』が好きなんだよ」
花菱蓮華は『スリル』を愛している。
だからこそ、『ロシアンルーレット』のスタンドが目覚め、
それは『拳銃』のヴィジョンを持つ。
全ての大元は、『少年期の体験』に根ざしていた。
「ガキの頃、死ぬ程ビビッた事があってよォ。
多分その時に、『防衛本能』ってヤツが働いたんだろうな。
逆に『多幸感』みたいなモンを感じてきて、
それ以来すっかり『虜』さ」
「ハハハハハッ!」
「色んな『死に方』を試してきたが、
まだ『マジで逝っちまった事』はねえなァ。
その瞬間は『最高にシビれる』だろうとは思うけどよォ〜」
ガァァァ――――――――ンッ!!
呼吸するように引き金を引くと、
足元を這っていた『虫』が潰れ、
自動的に『リロード』が行われる。
「ハッハッハッ、『実弾』は『三発目』だったみてェだぜ」
グルグルグル
手の中で『リボルバー』を回転させ、解除する。
「これでもオレは『カタギ』だ。
『鉄砲玉』やった事も一度や二度じゃねえけどよ。
オレの商売が何だか分かるか?」
75
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/12/20(火) 21:13:11
>>74
「ふうん、そういうのって癖になるものなんだ。
なんか面白そうな『話』が潜んでそうだねぇ〜〜
きみは、何にそんなに怖がったんだい?」
眼鏡の奥の瞳が光り、座り直して花菱に尋ねる。
「ム……なに?『実弾』……??
…………ハァ、まあ……出なかったから良しって事にしとくよ。
こんな『危険』、私は求めちゃあいないって事だねぇ」
「『職業』。
そうだなぁ……危険を好む、
それに『銃』……あっ、わかった!
ふふ、『花火職人』じゃあないかなぁ。
どう? 私の『洞察力』!」
明らかに洞察力以外の場所から捻り出した答えを、胸を張って答えた。
76
:
花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』
:2022/12/21(水) 07:29:02
>>75
「ハハハッ!ネエちゃんよォ、
オレが『ハナビシ』だからってんじゃあねえだろうなァ?
残念ながら、そいつは『ハズレ』だ」
ゴソッ
レザージャケットのポケットに片手を突っ込み、
小さな箱を取り出す。
『タバコ』――ではない。
昔からある由緒正しき『ミルクキャラメル』だ。
「こう見えてもオレは『役者』さ。
いわゆる『スタントマン』ってヤツだな。
意外だったか?」
ポイッ
喋りながら、一粒の『キャラメル』を口の中に放り込む。
「カラダ張って派手に落ちたり燃えたり……
ま、オレの場合は『やられ役』みてェなもんだな。
主役級の仕事なんかは来た事ねえからな」
「だが、『やられるヤツ』がいると『話』も引き立つだろ?
『オレの話』が面白いかどうかは知らねえけどよ」
「あー、そうだな……。
要するに『人質』だ。
『強盗の人質』になった事がある。
もちろん最初はビビッたが、だんだん時間が経ってくると、
その状況が逆に気持ち良くなってきちまったんだな」
「で――――『こうなってる』って訳だ」
右手で『銃の形』を作り、こめかみに押し当てながら笑う。
77
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/12/21(水) 22:02:09
>>76
「あははぁ、それは残念。
名前が仕事ってわかりやすいキャラで良いと思うんだけど、
『リアリティ』は無いよねえ。
『リアリティ』を大事にしない話は、すぐにチープになっちゃうからさ」
間違えたのを悔やむ事もなく、
うんうんと頷きながら一人呟く。
「『スタントマン』! 知ってるよぉ。
俳優が危険なお芝居をする時に、代わりに演じるって仕事だろ。
それなら、確かにきみにピッタリ、かもねぇ。
『仕事』は楽しいかい?」
話をしながら手を伸ばして、
拒まれなければ勝手にキャラメルを一粒摘んで、自分も口に含む。
「『人質』かぁ、珍しい体験だね。
もっと詳しく教えてほしいなぁ……
どこで『人質』になったのか?とか、
どうやって助かったのか、とかさぁ……ね、いいだろ?
私は人の話を聞くのが趣味なんだ。
面白い『物語』(ストーリィ)ならもっと良いけど……脚色はしなくって良い。
『リアリティ』が無くなっちゃうからね」
78
:
花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』
:2022/12/22(木) 10:29:15
>>77
「今の仕事には、それなりに満足してるぜ。
だが、『スタント』ってのは、
『危険に見せる』方が大事だからよ。
危険は危険なんだが、『マジの危険』とは少し違うなァ」
「オレとしちゃあ、あくまで『仕事でやってる』って感じか?
そこら辺はキッチリ分かれてるのさ」
現代において、安全対策は万全だ。
それでも事故の可能性はゼロにはならない。
だが、そうそう頻繁に起こるものでもないし、
『命の危険』を伴うようなケースは限られる。
「『オレの話』を続けてもいいけどよ…………」
スッ
カリヤが腕を伸ばしたのを見て、
その手元にキャラメルの箱を近付ける。
「ネエちゃん、アンタなにもんだ?
さっきから妙に知りたがるじゃねえか」
「『プライベートを教えろ』とは言わねェが、
アンタの事もちったぁ喋ってくれなきゃ不公平だぜ。
いわゆる『公平な取引』ってヤツだ」
「『物語』だの『リアリティ』だの言ってるから、
『脚本家』か何かか?
ま、『当てずっぽう』だがなァ。
『下手な鉄砲数打ちゃ当たる』ってな」
『スウィート・ダーウィン』がそうであるように、
『スタンド』は『精神の象徴』だ。
そのせいか、『スタンド使い』という人種は、
特徴的な精神構造を持つ事が多い。
コイツも『その類』だろうという考えで、目の前の女を見る。
79
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/12/22(木) 22:02:55
>>78
「ええ〜……『私の話』かい?
名前は『カリヤ』という。
あっ、『甘い』なぁ〜〜『キャラメル』」
やる気なさそうにキャラメルを舐め回し、
ため息をつく。
「まあ、それできみの話が聞けるなら良いや。
私はねぇ。文章を作って、売ってるんだ。
書きたいけど文章が書けない人とか、書けなくなっちゃった人とかに、
それっぽーいモノを作って売る仕事さ。
『ゴーストライター』ってやつ。
あははぁ、これ、あんまり人に言わないでねぇ」
へらっと笑って、おもむろに立ち上がる。
「でも、いろんな『物語』(ストーリィ)が知りたいのは、ただの趣味さ。
ただの趣味で、生きがいなんだ。
面白い『物語』を知ると、嬉しかったり、悲しかったり、気持ちが良いよねぇ。
その時だけは、矮小で陳腐な私自身の事を忘れられるんだ。
そうやって、生きてるってわけ」
80
:
花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』
:2022/12/23(金) 07:40:00
>>79
「そりゃ『甘い』だろーよォ〜。
キャラメルが苦かったら消しゴムか何かだぜ」
「オレは『甘党』なんだ。
危険な仕事やってると『糖分』消費するからなァ」
一緒になってキャラメルを舐めながら、
『カリヤの話』を終わりまで聞いていた。
「ハハハハハッ!
こんな時間から『幽霊』に出会えるとはよ。
道理で『死ななかった』訳だぜェ」
「ま、人間なんざ大なり小なり刹那的なもんさ。
オレだって『新しい死に方』は常に試したいと思ってる。
似たようなのばっかりブチ込んでると、
どんだけ刺激があっても飽きてきちまうからな」
喋っている途中で『いい事』を思いつき、口元を歪める。
「『カリヤ』よォ、『珍しい死因』とか知らねえか?
ただし『ノンフィクション』じゃなけりゃあダメだ。
アンタの商売だったら分かるんじゃねェかと思ってよ」
「オレに『新しいスリル』を提供してくれるんなら、
『話の続き』をしてやってもいいぜ」
81
:
<削除>
:<削除>
<削除>
82
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/12/25(日) 20:35:42
>>80
「ふうん、そんなものかい。
まぁ、私も甘いものは好きだよぉ。
苛々したら、甘いものを食べるんだ」
ベンチの前を歩いて、花菱の眼前で立ち止まる。
「うーん、『珍しい死因』かあ。
そおだなぁ、『ワイン樽の中で溺死』した人っているらしいよ。
あははぁ、すごいよねぇ。
酒に飲まれちゃったんだよ。
……こんなやつで良かったかい?」
83
:
花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』
:2022/12/26(月) 08:22:22
>>82
「ハッハッハッ、ソイツは悪くねェな。
なかなか『洒落た死に方』じゃねえか」
「今度『試す』ぜ」
歩き回るカリヤの姿を目で追いながら、
真っ赤に染めた頭髪を軽く揺らす。
「さて――――忘れない内に『オレの話』をしてやるよ」
「あれは確か……この近くの『質屋』だったか?
いきなり『刃物』を持った男が入ってきてよ。
その野郎が賢かったのは、オレに目をつけたところだ。
邪魔な大人を黙らせるために、
まずガキを抑えちまおうって考えだな」
「普通は欲しいもん手に入れたら、さっさと消えてるんだが、
その時はそうもいかなくなった。
ちょうど近所で『交通事故』が起きたからなァ。
そのせいで、タイミング悪く警察が来ちまってた訳だ」
「警察が引き上げるのを待つ間中、
オレは『刃物』を突き付けられる事になった。
同時に、人質側と強盗側の『駆け引き』が始まったのさ。
『どっちが相手を出し抜くか』ってな」
「最初はオレもマジにビビッてたが、
だんだん気持ち良くなってきちまってよォ〜。
『スリルの快感』みてェなもんに目覚めちまったんだろうぜ。
『この時間が終わって欲しくない』とさえ思ったな」
「まぁ、結局は終わっちまったんだがなァ。
店主の出した『サイン』に気付いた警察が、
引き上げたフリして強盗が出てくるのを待ち構えてたからよ。
この一件に関しちゃあ、それで終わりだ」
「だがよォ〜、オレは今でもハッキリ覚えてるぜ。
警官が構えていた『拳銃』をな。
『アレを突き付けられたのが自分だったら』なんて、
思わず想像しちまった」
ズ ギ ュ ン ッ
「だから、『こんなスタンド』が目覚めたのかもしれねえなァ」
再び発現した『スウィート・ダーウィン』を片手で構え、
口元を歪めて不敵に笑う。
「どうだ?ちったぁ『足し』になったかよ?」
84
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/12/26(月) 21:25:40
>>83
「きみが気に入ったなら良かったよ。
うんうん、聞かせて聞かせて」
歩き回るのをやめて、ベンチに正座して話し始めるのを待つ。
途中でふんふんと頷き、ほうと息を吐いて花菱の語りを全て聞き終えた。
「へぇ〜〜! 面白い話だねぇ。
劇的な結末がないのが残念だけど……うんうん、それもリアリティだよ!
『スタンド』は、やっぱりその人の『精神性』が反映されるんだねぇ。
あははぁ、良い話聞けちゃったなぁ。得したなぁ〜〜」
にやにやと気持ちの悪い笑みを浮かべて立ち上がる。
「今日はありがとお、花菱さん。
楽しかったよ。それじゃあね〜」
軽く手を振って、そのまま唐突に立ち去った。
85
:
花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』
:2022/12/27(火) 10:34:51
>>84
「ハッハッハッハッハッ!
クライマックスに、
ド派手な『銃撃戦』でも起きてりゃ良かったけどよォ〜」
「『劇的な結末』があるとすりゃあ『オレ自身』だろうぜ。
『イカれちまった人間』が一人『出来上がり』って訳だ」
〜〜〜〜♪
シャラララァァァァァァァァァァァァァッ
口笛を吹きながら、ルーレットを回すように、
『リボルバー』のシリンダーを回転させる。
「おう――気ィ付けて帰りな」
「『酒』は程々にしとけ」
グッ
「『ワイン樽で溺死』か」
カリヤを見送ってから、こめかみに銃口を押し付ける。
ガァァァァァ――――――――ンッ!!
やがて、遠ざかっていくカリヤの背後で、
一発の『銃声』が響いた。
86
:
<削除>
:<削除>
<削除>
87
:
リトル・メリー『メリー・バッドエンド』
:2023/01/19(木) 16:34:37
ゴシック風のドレスを身に纏う女が、人通りの少ない裏通りを歩いている。
羽飾りの付いた大きな帽子を被っており、素顔は見えない。
その下から覗く肌は、まるで死体のように白かった。
レースの長手袋をはめた腕の中に、古めかしい『人形』を抱いている。
青い目の『西洋人形』だ。
「青い目をしたお人形は」
「アメリカ生まれのセルロイド」
「日本の港へ着いた時」
「いっぱい涙を浮かべてた」
「わたしは言葉が分からない」
「迷子になったらなんとしよう」
緩やかに歩きながら、歌を口ずさむ。
『青い眼の人形』という童謡。
異国情緒を醸し出す歌詞は、戦時中は敵国の歌と見なされ、
歌う事を禁じられた歴史を持つ。
88
:
リトル・メリー『メリー・バッドエンド』
:2023/01/20(金) 18:27:51
>>87
女の体を構成するのは『FRP』――――『強化プラスチック』だ。
もっと単純に言うなら『マネキン』だった。
本体は抱いている『西洋人形』。
結局の所、どちらも作り物。
真の意味で本体と呼べるのは、人形に宿っている『魂』だろう。
「優しい日本の嬢ちゃんよ」
「仲良く遊んでやっとくれ」
――――――ピタッ
不意に、女の足が止まる。
目線の先には小さな人形が落ちていた。
頭の先に紐が付いたマスコット。
「あなたも人間に捨てられたのね」
ソッ
「可哀想に」
道端にしゃがみ込み、それを拾い上げた。
89
:
リトル・メリー『メリー・バッドエンド』
:2023/01/23(月) 17:14:45
>>88
ク ル リ
唐突に、後ろを振り向くマネキン人形。
「ねぇ――――――」
「あなたが捨てたの?」
「あなたが捨てたのね?」
徐々に近付く。
少しずつ近付いてくる。
やがて、表情の変わらない無機質な顔が間近に迫った。
「ウフフフフフフフフフフフフフフフフフ」
次の瞬間、訪れるのは緩やかな暗転と静寂――――――。
90
:
リトル・メリー『メリー・バッドエンド』
:2023/01/23(月) 17:15:56
>>89
91
:
史『カルマ・フラグメンツ』
:2023/02/04(土) 20:38:32
日本史における『史(ふひと)』とは、古代の朝廷で記録や文書を司った役人を指す。
すなわち『歴史を綴る者』。
そして、『業』を抜きにして歴史は語れない。
『業の断片』と名付けられた力が目覚めたのは、必然的な帰結だった。
切っても切れない『宿命』だ。
「――――――西洋の戦闘様式が導入された当初、
日本軍はフランス式のサーベルと同じ物を使っていた。
ただ、両手で使う日本刀に慣れた彼らには、扱いが難しかったんだ。
それを改善する為に、外装はサーベルのままで、
刀身だけを日本刀に変えた『軍刀』が生まれたのさ」
二人の人物が対峙していた。
片方は派手なジャケットに開襟シャツを着たチンピラ風の男。
もう一人は、細身のスーツにミリタリーコートを羽織ったモッズファッションの青年。
「実用性以上に『軍刀』は精神的な支柱だった。
『誇り』であり『信念』であり『魂』………………」
両者の傍らには、それぞれ『人型スタンド』が発現している。
人通りの少ない寂びた路地裏で、今まさに『戦闘』が行われていた。
既に数回の交錯を経ており、決着は近い。
「だけど、僕にとっては『人を斬るための道具』に過ぎない」
ズ ッ バ ァ ッ !
人型スタンドが切り裂かれ、ダメージのフィードバックによって、
本体の身体から血が飛び散る。
それを為したのは一振りの『軍刀』。
柄を握るスタンドは、幾つもの『勲章』を帯びていた。
「お………………ッ………………!!」
ドサッ
斬られた男は倒れ、そのまま意識を失った。
その様子を確認した青年は、深呼吸してからスマホを取り出す。
『依頼人』の番号に電話を掛ける。
「…………終わりました。
はい、死んではいません。
後の処置はお任せします」
「ええ、報酬は振り込みで…………」
ピッ
「――――ふぅ…………」
やがて電話を切ると、その場から立ち去る為に踵を返す。
92
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2023/02/06(月) 19:11:36
>>91
パチ・・・・
パチパチ・・・・・
男を斬り、この場を離れようとする史の頭上から小さな拍手の音が届く
賞賛か、それとも小馬鹿にしているのか、音からは判断が出来ない
史が上を見上げると、10m近く上のビルの屋上から一人の女があなたを見下ろしている事がわかるだろう
「素敵な演目ね。タイトルは何かしら?」
女は、史にそんな言葉を投げかける
93
:
史『カルマ・フラグメンツ』
:2023/02/06(月) 20:39:54
>>92
かつて『華族』であった壬生家は、代々この地域に根を下ろし、
特異な能力を武器に軍事面で功績を立て、繁栄を築いた歴史を持つ。
一族にとっては輝かしい過去だが、末裔である『壬生史』は、
それを否定する立場を取っていた。
『自身がスタンド使いではない』という事実も、
それを後押しする形になっていたのかもしれない。
だが、つい最近になって、
これまでの信条が根底から覆されかねない出来事が起きた。
幸か不幸か『超常の力』を得てしまったのだ。
自分にも同じ血が流れている。
認めたくなかった事を、嫌でも自覚させられた。
そして、新しい自分と向き合う為に、『スタンド使いとしての仕事』を受けた。
『あるスタンド使いを戦闘不能にする』というシンプルな依頼。
事前に動かす練習はしていたものの、
実際に戦闘でスタンドを使うのは初めてだった。
思っていたよりも『躊躇い』を感じなかったのは、『血筋』のせいだろうか。
『人を斬る事』に対して。
『依頼人』の希望は生け捕りにする事。
諸々の後始末は向こうでやってくれる。
自分は、この場から立ち去るだけで良かった。
「――――――!?」
声の方向を見上げ、内心『しまった』と感じる。
戦闘を行うに当たって周囲は警戒していた。
しかし、頭の上まで注意を回す余裕はなかったのだ。
「そう、だな…………」
「…………『カルマ・フラグメンツ』とでも言っておくよ」
戦闘を観察していたなら、『青年のスタンド』については、大まかに理解できるだろう。
基本的なスペックは『メイド』と同等らしい。
能力は不明だが、『軍刀』の攻撃力は単純に強力だ。
「まず僕が考えるべきなのは『敵かどうか』…………」
「もし敵だとしたら、これまで何もしない訳がない。
今だって、不意打ち出来る絶好のチャンスを、自分から捨てている」
「だから、貴女は『敵じゃあない』」
そこまで言い切ってから、なおも言葉を続ける。
「でも…………敵じゃなければ、なおさら不思議に思う。
様子を見ていたとしても、わざわざ声を掛けるだろうか。
そこが僕には分からないんだ」
「…………良かったら教えてくれないかな」
『カルマ・フラグメンツ』を解除していないのは、
相手に何処か得体の知れなさを感じていたからだった。
94
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2023/02/06(月) 21:26:05
>>93
「・・・・・・・・・・・。」
口に出しながら行われる考察
それを耳に留めながらも、屋上の女性は無言のまま史を見つめる
どうやら、女性は大学生程度の年齢層に見える
比較的年若く・・・・こんな場所には珍しく、質が良く整えられた身なりをしている
「『面白い』と思ったから・・・・それでどう?」
史の質問に答えるように、そんな言葉が投げかけられる
「何か・・・・とても『危険』で面白いと思ったから、それで見ていたの
あなたに話しかけたのは・・・・そうね。お話を聞きたくなったから、というのはどう?
野球とか、サッカーの中継の後の『勝利者インタビュー』みたいに」
グッ!
そう言うと、女は屋上の縁に足をかける
「良かったら、お話を聞かせてもらえる?」
バッ!!!
女の身体が空中に投げ出される
あの高さから落下してしまっては、相当な重傷を負う事は必至に見えるが・・・・・!
95
:
史『カルマ・フラグメンツ』
:2023/02/06(月) 22:05:32
>>94
眼下に立つ青年は、熊野と似たような年齢に見えた。
また、全身を包む衣服も安物ではないようだ。
熊野と同じく、『環境』は恵まれているのかもしれない。
「なるほど、ね…………」
口では納得したような素振りを見せたものの、
完全に理解できたとは言えない。
分かるような分からないような、そんな理由だった。
なんにせよ普通ではなさそうだ。
「――――なッ!?」
相手が次に取った行動に驚きを隠せなかった。
10mの高さから、地上に生身のダイビング。
打ち所が悪ければ――いや、運が良くても大怪我は免れない。
死ぬ可能性だって大いに有り得るだろう。
あまりにも無謀すぎる。
「くそっ!!」
咄嗟に『軍刀』を手放し、
走りながら『カルマ・フラグメンツ』を先行させる。
地面に激突する前に、どうにか受け止めようという体勢だ。
間に合わない確率の方が高いだろうが、
あれこれ考えるより先に身体は動き出していた。
96
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2023/02/06(月) 22:36:20
>>95
「へぇ・・・・」
数秒後の惨事の予感も気にせず、空中に身を躍らせる女
史が軍刀を捨ててまで自分を助けようとしている様子を見て、
女は感心するように息をつく
「『あんなこと』をしていたからどれだけ非情な人かと思ったら」
「結構、情が厚い立ったりするんだね」
パァンッ!!
――――――!?
史が彼女を受け止めるべく、着地地点へと駆けた直後
その『現象』が発生した
パァンッ!!
パァンッ!!
パァンッ!!
パァンッ!!
『絨毯』だッ!!
空中の・・・・女の足元に一瞬だけ『赤い絨毯』が出現!
数瞬の後に消えるそれが、連続的に女の足元に出現する事で
女が落下する衝撃を少しずつ弱め・・・・落下速度を遅らせていた!
すたっ!
「・・・・・・こんにちわ」
そして、最後には着地・・・・女は無傷だ
彼女の様子を見るに・・・・怪我はないように見える
97
:
史『カルマ・フラグメンツ』
:2023/02/06(月) 23:29:41
>>96
男を斬り捨てた時、青年は冷徹な程に落ち着いて見えた。
任務に忠実に動き、敵兵を斬る軍人のように。
しかし、飛び降りた熊野に駆け寄ってくる姿は、ひどく感情的だった。
『血筋』を否定する面と、そこから逃れられない面。
異なる二つの側面が、対照的な『二面性』となって表出している。
「!!」
「いや…………『そうか』…………」
スタンドと共に立ち止まり、『降りてきた女』を見据える。
「僕と『同じ』なら、『着地する手段』があって然るべきだった」
彼女は『見えていた』。
無策で飛び降りる訳がない。
分かっていた筈だが、『飛び降り』のインパクトが強すぎた。
「『話を聞きたい』とか言ってたようだけど――――」
ザッ
『血筋の影響』で、無意識に一歩後退する。
「…………どんな事を話せばいいのかな?」
『軍刀』は手放した瞬間に消えてしまっていた。
今は、素手となった人型スタンドだけが残っている。
そのヴィジョンを飾り立てているのは、多数の『勲章』だ。
98
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2023/02/07(火) 00:01:48
>>97
「・・・・・・・・・。」
今まさに生命の危機を感じさせる高さから落下したとは思えない程に
女の態度は落ち着き払っていた
その目が、無言のまま史の全身を見つめる
(『軍刀』を消して、ヴィジョンだけを残している・・・?
最低限の警戒は怠らせないようにしながら、攻撃の意思はないと見ていいかしら?)
(何にせよ・・・・)
「『危険』な匂い・・・・・」
ふっ、と口元に笑みを浮かべる
「ああ、いえ、ごめんなさい。今のは独り言
『独り言』って言ってもそれ程大したことじゃないの
ただちょっと・・・・お話をしたいだけ」
言いながら、手を後ろに組みうろうろとその場で足を踏む
「ねえ、その人は殺しちゃったの?」
99
:
史『カルマ・フラグメンツ』
:2023/02/07(火) 00:59:31
>>98
最初に目撃した通り、目の前の青年はスーツ姿だった。
この年代にしては着慣れている雰囲気がある辺り、普段着なのだろう。
『育ちの良さ』が垣間見える。
その上から羽織っているのは、オリーブグリーンの軍用パーカー『M64』。
1964年に採用されたフランス陸軍のフィールドジャケットだ。
史が着用しているのはデッドストックであり、現在では入手困難となっている。
目線を足元に向けると、履き込まれた風合いを持つブーツが見えた。
「こういう事は慣れてるみたいだね。
つまり――――『荒っぽい事は』って意味だけど…………」
『警戒していない』と言えば嘘になる。
敵ではないとしても、この相手は『異質』だ。
その点に関しては、最低限の注意を払わなければならない。
「『生きてる』よ。
派手に出血してるように見えるけど、重要な血管は傷付けてない。
気を失ってるだけさ」
倒れている男を一瞥する。
「なんというか…………『生け捕りの手伝い』を頼まれたんだ」
『軍刀』は『射程外』になって一時的に消えただけだ。
出そうと思えば、またすぐに出せる。
だが、それが必要にならない事を願う。
100
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2023/02/07(火) 21:58:17
>>99
>「こういう事は慣れてるみたいだね。
> つまり――――『荒っぽい事は』って意味だけど…………」
「ふふふ・・・・そう見える?
猟奇事件の現場に直面して、怖くて身が竦んでるだけかもしれないのに?」
ふわふわとした足取りのまま、両手を軽く上に上げておどけたような仕草を取る
上機嫌に笑みを浮かべているものの、その視線は一度も史から切らせていない
警戒と緩和。その二つが矛盾せずに同居している
「まあ、随分と器用な事が出来るのね
あんなに大きな出血があったから、てっきり死んでしまったのかと思った」
「もしそうだとしたら、『110番』に電話をしなければならないもの」
くくく、とおかしそうに笑う
「こんな物騒な『生け捕り』は見た事がないわ
いったい、どんな人がそんな恐ろしい仕事をあなたに頼んでいたの?」
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