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【場】『 歓楽街 ―星見横丁― 』 その3

1『星見町案内板』:2022/08/03(水) 13:44:17
星見駅南口に降り立てば、星々よりも眩しいネオンの群れ。
パチンコ店やゲームセンター、紳士の社交場も少なくないが、
裏小路には上品なラウンジや、静かな小料理屋も散見出来る。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
───────┘└─────┐            .: : : :.》.: :.:   ││
                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
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★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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※前スレ
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1607077443/

2呉羽萌『バッド・アイデア』:2022/08/22(月) 19:34:50



   「やッバぁ〜〜」


歓楽街の路地裏、猫の額程の広さしかない鄙びた公園。
外国の駄菓子を思わせるケミカルなツートンカラーの髪色に、
派手な髪色を強調する形に編み込みをした変形ツインテール。
ゴシックロック調のファッションに身を包んだ女子高生が、
公園のベンチの上に寝転んでいた。



「生まれて初めてぇ〜、
 女子高生が1人でラーメン屋さんに行っちったよ…。
 
 クラスメイトに目撃されたらムッチャハズいからァ、
 わざわざガッコから遠いラーメン屋さん行ったけどォ。
 あ〜〜、店員サンにトッピング聞かれた時
 すっごいすっごい声うわずっちゃったよなぁぁ」


        「んで」


「こーして、お行儀ワルくベンチの上に寝転んでるワケだけどぉぉ。
 あァ〜〜〜、美味しかったけどお腹いっぱいだなぁぁぁ。
 明日の朝ごはん食べれっかなァぁぁーー…」

3熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2022/08/22(月) 20:43:13
>>2

「ねぇ。」

ベンチに寝転がる呉羽の背後から若い女の声が聞こえる
呉羽が振り返ればそこにはフードで顔を隠した女が立っていた

「ごめんなさい
 ちょっとだけ、隣の席を借りてもいい?」

そう言うと女は有無を言わさずに呉羽の隣に座ろうとする

4呉羽萌『バッド・アイデア』:2022/08/22(月) 21:13:05
>>3


「あらら」      バッ


身体を起こし履いているスカートを正す。
ついでに乱れている髪の毛も手櫛で整えておこう。


「オホホ、ごめーん。
 久しぶりに食べた『カロリーの悪魔』が、
 凄いお腹に溜まっちゃってェ〜、
 公共の場ではしたなくゴロゴロしちったよねェ」

「何?おねーサマは彼氏と待ち合わせ?
 アタシ、邪魔ならどっか行くけどおォォ〜?」

5熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2022/08/22(月) 21:39:14
>>4

「ん〜〜、『男性と』っていうのは合っているけど
『待ち合わせ』っていうのは少し違うかもしれないわ」

急ぎ服装の乱れを直す呉羽と同様に、
この女も被っていたフードを改めて直し、呼吸を整える

「ちょっとだけ、会いたくない人たちがいて
 少しだけここに居させて欲しいんだけど・・・・・来たっ」

その言葉とともにフードを目深に引き下ろす
直後に、遠くの方から数人のガラの悪い男たちが駆け寄ってきた

  「いたか!?」

             「いや・・・・こっちには居ない!」

      「こっちか・・・・?」

どうやら男たちは『誰か』を探している様だ
少しの間周囲を探し回ると、やがて男の一人が呉羽の方へとやって来た

「嬢ちゃん・・・・この辺に茶髪で小柄な女が来なかったか?」

呉羽の制服の袖が、隣に座った女にぎゅっと捕まれる
フードを被っていて今は見えないが、先ほどの様子・・・・この女の髪色は茶色だ

6呉羽萌『バッド・アイデア』:2022/08/22(月) 21:58:03
>>5


   「あらら」


「アタシは『嬢ちゃん』なんて名前じゃないしィ〜?
 男の人が花のジョシコーセーに詰め寄るって、
 絵面的にかなりヤバくねェ〜〜〜〜?」

プイッ


詰め寄ってきた男に対し、
露骨に顔を背けた。


「オニーサン達以外、
 ココには誰も来てないっすよぉ〜〜?」「つか」


隣に座る熊野の顔を胸元に引き寄せ、ぎゅっと抱きしめる。
これで彼女の顔は男達から完全に見えなくなる筈だ。


「アタシら、見ての通り『デート』中なんですけどォ〜〜!
 せっかくの『デート』を邪魔するッて、
 一体全体『ドーイッタリョーケン』なんすかぁ〜〜〜」

7熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2022/08/22(月) 22:44:41
>>6

     「おっと、そいつは邪魔しちまったな」

   「アズマァ! 探しちゃみたがここにはいねぇみたいだ! 向こうへ行くぜ!」

          「ま、まってくれ治郎ォ―――ッ!!」

呉羽が隣の女を強く抱きしめると、その顔は完全に隠された
疑う様子もなく、慌ただしい勢いで男たちは立ち去っていく・・・

「ふぅ・・・・」

やがて、男たちが立ち去った事を確認して女の顔が上がった
背丈は比較的小柄だが、顔立ちはそれなりに大人びている・・・呉羽よりは少しだけ年上のようだ

「ありがとう。ごめんね、変な事に巻き込んじゃって」

フードを頭から払う
温和そうな顔立ちの女だが、あんな事があった直後だというのに口元が笑っている

「私の名前は熊野風鈴。あの人たちに追われていたの」

8呉羽萌『バッド・アイデア』:2022/08/22(月) 23:05:57
>>7


「グッバーイ東、
 アディオス治郎」


去りゆく男達に軽口を言い放ち、
その背中に掌をひらひらと向けた。


「あァ、ヘーキヘーキ。
 アタシ『スジガネイリノワル』?ちゅー奴だから。
 この程度の悪事への加担他愛もないしィ〜〜?

 ちゅか、ちゅか〜?
 『フーリン』サンは一体、何をしでかして追われてるんす?
 『キザシ』チャン的には、そこが気になるけどぉー?」

9熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2022/08/22(月) 23:15:19
>>8

「うーん・・・・話せば色々と長くなるんだけどね」

たははは・・・という笑みを浮かべながら頬を掻く
話すのが少し恥ずかしそうな様子だ

「ちょっとあの人たちが経営している『賭場』?っていうのを荒らしてみたのだけど・・・」

いきなり物騒な話が始まった

「あまりにも勝ち過ぎて怪しまれちゃって
 そうしたら、奥の方から怖い人たちが何人も出てきて・・・・
 2-3人の顔面をめちゃくちゃにしたくらいから面倒くさくなって逃げる事にしたの」

10呉羽萌『バッド・アイデア』:2022/08/22(月) 23:32:53
>>9


「すッ」「ごおぉ〜〜〜」


明らかに声色が変わった。
目をキラキラと輝かせ、
バツの悪そうな様子の熊野の顔を眺める。



「フーリンサン、超アウトロォーじゃあぁ〜〜ん。
 アタシ『賭け事』なんてコズエとのお昼ご飯を賭けた、
 テストの結果見せ合いっこくらいしかしたことないしィ〜〜?
 すッげェッ、すっげェ〜〜ッ。
 フーリンサンみたいな人を『ハングレ』?って言うんだッけぇ〜〜〜?」

「ほえェ〜〜」


無遠慮に熊野の腕を触り、摩ったりする。


「こんな細い腕で、男の人ブッ飛ばすなんて凄いねぇぇ〜〜〜」

11熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2022/08/22(月) 23:48:51
>>10

「え? ええっ?」

予想外の反応に思わず困惑の声を上げる熊野
だが、目の前の少女が自分と同様に『そういうもの』に憧れを抱いている事に気づくと
一瞬だけ鋭い視線で少女の顔を眺め・・・・・

(なるほどね・・・・)

そして、にこりと笑った

「そっかあ。」

「あなたも『そういうの』に興味があるのね」

無遠慮に腕に触ってくる呉羽の手を軽く引きはがす
熊野の腕の感触はとても細く、男性はおろか虫一匹潰せるとも思えない程だ

「『半グレ』というのはちょっと違うんだけど
 まあ、そういうのが好きっていう点では似てる部分もあるのかな?」

「ねえ? あなたもそうなの?」

12呉羽萌『バッド・アイデア』:2022/08/23(火) 00:12:31
>>11


  「んあ」


引き剥がされ、
思わず素っ頓狂な声を漏らす。


「へェ」

「ハングレ?に憧れているちゅか、
 キザシチャンってば既にとんでもない『ワル』ですしィー?
 今日だッて夏休みのガッコの補修適当に済ませちって、
 女子高生1人でラーメン屋に行っちゃったしィー?
 しかも、『ママ』に『晩御飯要らない』って連絡するの忘れたしィィ〜〜〜!」


    「後で凄ェ怒られそうだケド……」


右手の指でキツネのサインを作り自身の顔の横に持っていき、
キツネの口をパクパクと開閉させる。


「まァ…、アタシが本気出せばママなんて一発ですケド……」

13熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2022/08/23(火) 00:33:48
>>12

「そう・・・・」

彼女の口から発せられるエピソードの数々
それらはどうにも微笑ましいエピソードの類に思える
しかしまあ・・・・自分が求めているものと彼女が求めているものの間に温度差を感じ取った

にいぃと吊り上がっていた口角が下がり、
笑みが穏やかなものとなる

「それじゃあ、キザシちゃんはこんな時間にイケナイ場所をうろうろしている悪い子なんだね
 悪いなぁ・・・・でも、お家の中で暴力を振るっちゃあいけないよ?」

「例えどんなに腕力に自信があっても・・・・ね!」

   がしっ!

先ほどのお返しと言わんばかりに呉羽の二の腕を握りしめようとする
握りしめたらそのままわさわさと指を動かすように握っていく

14呉羽萌『バッド・アイデア』:2022/08/23(火) 07:09:29
>>13


  「ひん」

細い、二の腕を掴まれる。
が、こちらも負けずに熊野の顔を両手でむぎゅっと挟もう。


「だ、駄目ェ〜〜〜。
 お触りは禁止ですケド」

         「キャハ、キャハ」


「まーッ、
 ママと手出るケンカなんてした事ないしィ〜?
 ケンカになったら家で絶対にバレない『イタズラ』して、
 憂さ晴らししちゃうもんねェ〜っ」

15熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2022/08/23(火) 17:45:03
>>14

「ぎゅっ」

ぎゅっ、と声が出た
そのまま両側から頭を挟まれる

「『イタズラ』?
 自信があるのは良い事だけれども、
 子供の『イタズラ』なんて多かれ少なかれ必ずバレると思うけど?」

再び呉羽の両手を押しのけて頭部の自由を確保する

16呉羽萌『バッド・アイデア』:2022/08/23(火) 19:42:34
>>15


  『ズギュン』


右手に『ギャング風の衣装』に身を包んだ『ハンドパペット』のスタンドを発現。
更にその『パペット』に抱えさせる形で明らかにスタンドのそれと分かる、
ファンシーなデザインの『拳銃』を発現。
勿論、どちらも非実体化のスタンドだ。



「物心がついた時からァ〜、
 ちょっとした悪戯がぁ〜、
 使えるようになっててえぇーーっ」

「離れた場所の電気消して驚かしたり、とか。
 そんな事しかできないけどねぇ」

17熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2022/08/23(火) 22:30:25
>>16

「・・・・・・・!」

唐突に出現した『ハンドパペット』のスタンドを『見て』
目を丸くする

「へぇ・・・・」

そして、いかにも面白そうだという声でくすくすと笑うと
笑みを浮かべたまま呉羽の右手を指さす

「折角だから、どんな『悪戯』が出来るのか教えてくれない?」

「ねえ・・・・・」

       ・・・・・
「可愛らしい『お人形さん』」

18呉羽萌『バッド・アイデア』:2022/08/23(火) 22:55:01
>>17


  「ほえ〜ッ」


感嘆の声を漏らす。

「アタシの『バッちゃん』を、
 見れる人なんて初めてェ〜ッ。
 パパもママも、コズエもユージも
 だーれも見る事できなかったのにィ〜〜ッ」


「フーリンサンは腕っ節じゃなくて、
 こっちに自信があるタイプなんだぁ」

銃を抱えたパペットをはめた右手を掲げ、
真上の『電灯』目掛け


「『ばきゅん』」    ズドンッ!


『モグ モグモグモグ…』


『毛糸弾』を発射。
『毛糸弾』は着弾した瞬間に糸が電灯の先端に拡がって行き、
新たな『パペット人形』となる。



        <ヤァ、ヤァ、ヤァ>


「こんばんは〜」

19熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2022/08/23(火) 23:08:42
>>18

「そうなの」

「あなたみたいな能力を持つ人の事を
『スタンド』の使い手・・・・『スタンド使い』って言うらしいんだけれど
 私のスタンドは・・・・」

『毛糸弾』を使ってデモンストレーションをする呉羽を眺める熊野
その背後からクラシカルなメイドの様相を呈する人型のスタンドが滲み出る

「『フォー・エヴァ・ロイヤル』」

   『モ、オ、オ、オ、オ・・・・・・』

出現した『フォー・エヴァ・ロイヤル』は嗚咽のような奇妙な声を漏らしながら、
『バッド・アイデア』を持つ呉羽の顔を睨みつける

20呉羽萌『バッド・アイデア』:2022/08/23(火) 23:19:10
>>19

「うわッ。
 なんかすげー睨まれてるんすケド、
 ひょっとして噛みついてきたりする?」

      <コワーイ>

「怖いねぇ。
 そうだねェ」

<フォーエヴァー> <ロイヤルゥー!>


「繰り返してるだけじゃね、それ」


電灯に被せられる形で現れたパペット人形は、
その場で身体をくねらせながら取り留めのない言葉を発している。


「どう?カワイイっしょ?」

21熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2022/08/23(火) 23:35:44
>>20

「大丈夫大丈夫
 今日はちょぉ〜〜〜っとだけ気が立ってるだけだから」

      『モ、オオ、オ、オ・・・・・!!』

「それよりも、あなたのは毛糸のお人形を出す能力なんだ
 私の『エヴァ』に比べて可愛らしい能力・・・・『モオオオオオオオオ!!』

『モオオオオオシワケゴザイマセェェェェエエエエエンン!!』

土下座した。
『スタンド』が、だ。

『ウチノお嬢様ガ大変ナご迷惑ヲオカケシマシタァァァァ!
 ナントお詫び申セバイイノヤラ──────ッ!!』

22呉羽萌『バッド・アイデア』:2022/08/23(火) 23:53:58
>>21


「へっ、
 へひッ?」

威嚇してきたと思っていたらまさかの土下座。
思わず素っ頓狂な声を漏らしてしまう。


「す、すげぇ〜ッ。
 スタンドちゃんが叫んでらぁ。
 モォー!もォー!もォー!って…」

「あのぉ〜」 「よくわかンないけどぉ」

「『ヤル子ちん』、
 とりあえずアタマあげたらどうすか?
 理由もわからないのに頭下げられたら、なんか悪いしィー…」

23熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2022/08/24(水) 00:09:09
>>22

『アッハイ』

スタンドが頭を上げた
そして、改めてよく見ると地面に直接頭をこすりつけていたように見えたが、
実際の所、いつの間にか地面に敷かれていた『赤絨毯』の上で土下座をしていたようだ
ふかふかとしていて、痛くない

「驚かせてしまってごめんなさいね
 私のスタンド『フォー・エヴァ・ロイヤル』は自分の意思を持った『従者』のスタンドなの」

『アアアア・・・・・お嬢様ガ迂闊ニ変ナ連中ニ近ヅイテシマッタセイデ
 何の関係モナイ「キザシ様」ヲ大変危ナイ目ニ合ワセテシマシマシタ・・・・』

24呉羽萌『バッド・アイデア』:2022/08/24(水) 00:27:20
>>23

「すげェーッ。
 自分で喋ってらぁ。
 なんか『絨毯』も出してるし…」

左手にも『バッド・アイデア』を発現し、
自らの意思を込め、パクパクと動かす。


「あー…まぁまぁ。
 何を隠そう、アタシッてば『キタイノワル』だし、
 荒事揉め事なんて
 ドントウォーリーのドントコーイすよ」

25熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2022/08/24(水) 00:40:21
>>24

『「キタイノワル」・・・・?
 アナタ様ハドチラカトイエバ・・・・・』

「はい、そこまで」  『アッ』

ふっ、と跡形もなく『フォー・エヴァ・ロイヤル』が消え去る
スタンドを解除したのだろう

「『エヴァ』の後追いではないのだけど、
 色々と騒々しい事に巻き込んでしまったわね」

ベンチから離れ、立ち上がる

「この辺はガラの悪い人たちが多いから、あんまり遅くまでいると危ないよ」

「じゃあね。
 今日はありがとう・・・・『キザシ』ちゃん」

そう言い終えると、女は再びどこかへと去って行った

26甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2022/09/19(月) 10:18:35
くら寿司かかっぱ寿司かスシローかは分からないが回転寿司屋
>>27の指定した寿司を食べる

27甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2022/09/20(火) 21:15:27
>>26
27「ホワイトメロンソーダ」
あま「頼んだ」

いきなり寿司ではない安価が来たが
まずは飲み物という事でまぁいいだろう

あま「次、30頼む」
30「わさびなす」

あま「うわ出た」

あま「わさびなす来た」
「美味い?」
あま「不味い、安価でなきゃ食べない」

あま「次40」
40「わさびなす」
あま「…」

あま「50-55」
50-55「わさびなす」

隣のガッキ「ママー、あの人何でわさびなすばっかり食べてるの?」
店員(あの客安価やってるんやろなぁ)

あま「隣の客と店員の視線が痛い」
あま「次70」
70「はまっこセット」
あま「」

あま「はまっこセット来た」
「美味しいでちゅかー?w」
あま「殺すぞ」

あま「最後デザート頼む80」
79「わさびなす」
80「カントリーマアムパルフェ」
81「家系ラーメン」

あま「80ありがとナス、79と81は死ね」

あま「パルフェ売り切れてたから再安価するわ90」
90「わさびなす」
あま「殺すわ(決意)」

             _,...,,_
       ,ィーァ-‐'"~ ̄::::::::.... `ヽ
     r',, ;;=;;>:::::::::::::::::::::::. .::i
      `-'rrー-fl、;;;,,..___;;;rr;:ノ

              終
            制作・著作
            ━━━━━
             ⓃⒽⓀ

28百目鬼小百合『ライトパス』:2022/09/24(土) 16:35:18

『星見町』について語る時、
『時代の過渡期のような』という表現を用いる。
『悪意を伴う力』が大手を振って歩く光景は『過去のもの』となり、
『より相応しい場所』に活動の場所と機会を移した。
すなわち、この街の『悪』は『深い所』に潜んでいるのだ。
一条の光も差さぬ地の底で『暗躍』し、
音もなく静かに『陰謀』を張り巡らせる。
『百目鬼小百合』の考える『星見町の悪』とは、
『分かりやすさ』の『対極』に位置する存在だった。

「――――お陰様で少しは『カン』を取り戻せたよ」

しかし、その中には『そうでない者』も混じっている。
『分かりやすく牙を向く連中』の事だ。
たとえば、百目鬼の後ろに倒れている『十数人』のように。

「出会い頭に殴り掛かってきたんじゃあ、
 こうして眠らされても文句は言えないねぇ」

襲い掛かってきたのは、
『かつて因縁があった団体』と縁を持つ者達だった。
その組織は既にないが、人と人の関わりというのは、
そう易々と消えるものではない。
そして、こちらの顔は割れている。
当然の帰結として、姿を見るなり『暴力』に訴えてきた。
不本意ながら、こちらも『同じ挨拶』を返す事になったのだ。

「骨は折れちゃいないし内臓もピンピンしてる」

倒れた男達の周りには、
『酒瓶』や『金属バット』が転がっていた。
だが、それが百目鬼の体を打つ事はなかった。
『訓練』の成果か、
襲撃者達にも余計な傷は一切負わせていない。

「ちょいと風邪は引くかもしれないけど、
 まぁ若いんだから大丈夫さ」

百目鬼の傍らに立つのは、
『白百合の紋章』を持つ『人型スタンド』だった。
その名は『ライトパス(正道)』。
右手には、スタンドの一部である『特殊警棒』を携えている。
もし『スタンド使い』が見ていれば、
『閃光』のように男達を一蹴する様を目撃できただろう。
それは既に終わり、白いパンツスーツを着た年嵩の女が、
鷹揚に紫煙を燻らせているだけだ。

29百目鬼小百合『ライトパス』:2022/09/26(月) 17:42:57
>>28

「しかし…………」

スマートフォンを取り出し、片手で操作する。
何人か『候補』はいたが、最終的に思い浮かんだのは一人。
画面に表示されている連絡先は『三刀屋路行』だった。

30体格の良い英国紳士『一般人』:2022/09/29(木) 21:40:51
「・・・・・・」

コンビニの前でスーツ姿のいかついおっさんがウンコ座りで座っている。

真剣な顔で自分のスマホを見ているが・・・?

31体格の良い英国紳士『一般人』:2022/10/01(土) 00:30:28
>>30
そのまましばらくするといなくなっていた。

32カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/10/04(火) 19:10:32
灰色の長髪にロイド眼鏡の女が、黙々と本を読みながら歩いている。
このままでは、数メートル先の電柱に衝突することは
火を見るよりも明らかなように見える。

33ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2022/10/06(木) 19:45:52
>>32

灰色の毛皮を持つラッコが、その様子を眺めている。
ラッコはラッコなので、女を止めなかった。
このままでは、火を見るより明らかな結果になるだろう。

34カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/10/06(木) 20:32:24
>>33

  ゴッ

「痛い!」

火を見るよりも明らかな結果となり、
本を持ったままその場に蹲った。
唸り声を上げながら脇を見ると『ラッコ』に気づく。

「ぐえぇ、痛た…………んん?
この『動物』……なんて名前だっけ。
『カワウソ』かなぁ…………?」

実物としての『ラッコ』を見た事のない『カリヤ』は、頭をさすりながら立ち上がり、
そろそろと『ラッコ』へ近づいていく。

35ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2022/10/06(木) 21:09:46
>>34

ラッコとカワウソは似ていた。
どちらもイタチの仲間だからだ。
大雑把に言えば、『川辺』に棲むのが『カワウソ』で、
『海辺』に棲むのが『ラッコ』という事になる。
間違えても不思議はないかもしれない。
こんな場所にいる方が、よほど不思議な事だろう。

      「ミャー」

               スクッ

ラッコは鳴き声を上げ、後ろ足で立ち上がった。
何の意図があるのか不明だが、特に逃げようとはしていない。
つぶらな瞳で、近付くカリヤを見上げている。

36カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/10/06(木) 21:51:47
>>35
「あぁ、その鳴き声………なんだっけ?
ミャーミャー鳴くのは、ええと……」

ラッコの前でしゃがみ込み、首を捻る。
立ち上がったラッコを見ても、そこまで動揺した様子はない。

「あははぁ、立った立った。
うーんと、ウミネコだっけ………?
でも、ウミネコがいるのは、ウミだよねぇ。
随分と人に慣れてるけれど、飼いカワウソって奴?
飼い主が、その辺にいるとかぁ………」

一人呟き、人通りの少ない歓楽街の一角を見回す。

37ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2022/10/06(木) 22:09:06
>>36

周囲には、それらしい人間はいない。
だが、野生とは思えない程に人馴れしているラッコだ。
そして、ラッコは『野生のラッコ』だった。

              ゴソ

ラッコが『脇の下』に前足を差し入れた。
あまり知られていないが、ラッコには『ポケット』がある。
正確には、毛皮の余った部分なのだが、
そこには小物を入れておけるのだ。

      「ミャア」

ポケットから取り出されたのは『石』だ。
何の変哲もない石。
しかし、ラッコにとっては『お気に入りの石』だった。

            ソッ

二本の前足で包み込むように持ち、カリヤに見せてくる。
自慢しているのかもしれない。
これといった特徴がある訳でもなく、
人間にとっては『ただの石』でしかないだろう。

38カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/10/07(金) 14:11:28
>>37
「リクにいる奴は……何だろ。
それも何?……『石』だよねぇ。

……あっ」

ラッコとじぃーと見つめ合った後、
ふと目線を外して声を上げる。
そうして『ラッコ』の注意を逸らして、手中の『石』を引ったくろうとする。

39ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2022/10/07(金) 19:03:08
>>38

カリヤの策に嵌まって、ラッコの注意が逸れた。

           「ミャッ」

完全に油断した瞬間、『お気に入りの石』を引ったくられる。
呆気ないほど簡単に、いとも容易く奪う事が出来た。
何が起きたか分からないといった様子で、
じっと獲物を待つ『ハシビロコウ』のごとく硬直するラッコ。

     ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

         …………背後から『音』が聞こえてくる。

40カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/10/07(金) 20:24:25
>>39
「あははぁ、引っかかったねぇー。
大事なものならちゃあんと持っておかなきゃあダメじゃないかぁ〜。
さて、この石に君のストーリィがあるのか……何?」

カリヤは性格が悪かった。
ラッコに対して勝ち誇っていたが、
背後からのただならぬ音に振り向く。

41ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2022/10/07(金) 20:46:53
>>40

振り返ったカリヤの目に飛び込んできたのは――――。

  ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド

陸上には不似合いな一艘の『ボート』だった。
その上に乗っているのは『人型スタンド』。
片手に握られているのは、長さ『2.5m』の『銛』だ。

    ザザザザザァァァァァ――――――――ッ

人間が走る程度のスピードで、
『ボート』はカリヤの周りを回り始める。
正確には本体であるラッコの周りを回っているのだが、
カリヤと位置が近いため、このような状況になっていたのだ。
客観的に見ると、様子を窺っているかのような体勢だった。

            「ミャー」

ラッコはカリヤに取り上げられた『石』を見つめている。

42カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/10/08(土) 22:26:57
>>41
「『スタンド』! なぜ急に……?
いや、これはもしかして君の……」

恐る恐る『ラッコ』の方を見る。
石を握りしめたまま、『ラッコ』としばし見つめ合った。

「なんだい、これを返せって事?
ふうむ……どうしようかなぁ〜?
どうしたら、面白い『話』になるだろうか……よし」

取り敢えずは『ラッコ』から距離を取るべく、
スタンドと接触しないよう駆け出す。

43ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2022/10/08(土) 23:14:30
>>42

   ザザザザザァァァァァ――――――ッ

回転の隙間を縫って、ラッコから離れていくカリヤ。
『ボート』は追跡してこない。
どうやら『自動的』に動いているようだ。
もちろんラッコの移動速度で人間に追いつけるはずもない。
距離を取る事は難しくなかった。

        「ミャア」

走り出すカリヤを見て、ラッコは周りを見た。
カリヤの前方には、大きな『水溜り』がある。
そして、ラッコの足元には『ただの石』が落ちていた。
人間から見れば、『お気に入りの石』も『ただの石』でしかない。
しかし、ラッコにとっては大事なものだ。

             ソッ

『ただの石』を拾い上げ、ポケットから『貝殻』を取り出すラッコ。

                 カツンッ

その二つを打ち合わせる音が、カリヤの後ろから聞こえた。

44カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/10/09(日) 05:59:51
>>43
「『スタンド使い』の動物が見れるなんて、得しちゃったなぁ〜。
……でも追ってこないというのは、期待外れって感じだねぇ。
『貝』……ああ! 『ラッコ』じゃあないか?もしかして!」

追ってこない事に拍子抜けして水溜りの手前で立ち止まり、
腕を組んで『ラッコ』とそのスタンドの方を観察する。
『貝』を取り出したのを見てぽんと手を打った。

「読んだことがあるよ。
石で貝とかを割って食べる……。
でも、こんな街中に『ラッコ』って有り得るのかなぁ?
もっとこう、ぷかぷか浮いてるイメージだったけど、
立てるんだねぇ」

腕組みをしたまま、呑気に『ラッコ』を観察する。

「私があの『ラッコ』なら……って、
ちょっと思いつかないなあ。
『ラッコ』が『主人公』の話は、読んだ事無いんだよねぇ」

45ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2022/10/10(月) 21:01:42
>>44

その毛むくじゃらの生き物は、まさしくラッコであった。
本来なら、こんな街中にいるはずもない『海獣』。
だが、何故か『いる』。

    「ミャー」

          トテ トテ トテ

陸上におけるラッコの移動速度は『常人以下』だ。
『ボート』――『ハッピー・スタッフ』のスピードも、
水上よりも低下する。
ラッコ本来のスペックを発揮できない環境だった事は、
人間のカリヤにとって幸運だったと言えるのかもしれない。

        ズズッ

ふと、唐突に『ボート』の動きが変わる。
本体からの『合図』を受けた『ハッピー・スタッフ』は、
『餌やり』を行うべく、『水面』に向かって移動するのだ。
よって、カリヤの手前の『水溜り』方向に、突進を開始した。

   ザザザザザァァァァァ――――――――ッ

『餌やり』は他の全てに優先される行動であるため、
全長『3m』の船体が突っ込む形となっている。
ただ、軌道は一直線だし、
スピードもカリヤの全力疾走と同じくらい。
迫力はスゴいが、避ける事は十分に可能じゃないだろうか。

46カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/10/11(火) 20:22:06
>>45
「ん〜、何だ……来たッ!
この『突進』、スゴイ迫力だよッ!
あははぁ、『画』になるなぁ〜
『タイプライター・トーメント』のぉ〜ッ!」

ボートを前に目を輝かせるカリヤの背後から立ち昇るように、
両手を振り上げた人型スタンド、『タイプライター・トーメント』が出現した。
そのまま真正面から、『ハッピー・スタッフ』を受け止める。

     ドガァッ!

「あはははぁ!スゴイ『パワー』だっ!
私の『タイプライター・トーメント』と同じくらい!
そしてこの巨体が!」

パワーは同等の『タイプライター・トーメント』だが、
『ハッピー・スタッフ』の突進の勢いを止めきれず、
本体ごとじりじりと水溜り上まで押し込まれていく。

47ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2022/10/11(火) 22:04:15
>>46

突進する『ハッピー・スタッフ』は、
『タイプライター・トーメント』の豪腕によって受け止められた。
『高パワー同士の正面衝突』という構図は、
確かに非常に『映える』絵面だ。
『鍔迫り合い』にも似た状況は、
両スタンドともに固定されている状態に近い。

        トテ トテ トテ トテ トテ

その隙を突いて、のんびりした速度でカリヤに迫るラッコ。

            「ミャー」

        トテ トテ トテ トテ トテ

何を思ったか、ラッコはカリヤを通り過ぎていってしまった。
そして、『ハッピー・スタッフ』は、
なおも『タイプライター・トーメント』を押し続ける。
元々の地力は同等だが、
突っ込んできた分だけ『勢い』がついており、
それが『僅かな差』となって現れたのかもしれない。

   ――――――グワァッ!!

『水溜り』との距離が縮まった時、
『人型』が手にしている『銛』を振り上げた。
どうやら、『ボート』とは別に動く事が出来るようだ。
常人並みの速度だった『ボート』とは異なり、
『人型』のスピードは本体であるラッコよりも、
また対峙しているカリヤよりも速かった。
『ボート』の前進を阻むために、
『タイプライター・トーメント』の両腕は塞がっている。
おそらく一瞬後には、『銛』が振り下ろされる事になるだろう。

48カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/10/12(水) 21:11:11
>>47
「『人型』、そっちも当然飾りじゃあないか!
ここは……そうだ、後ろに逃げる!
バトルの定石は、相手の力を利用してぇ〜……うわっ!」

スタンドのパワーを緩め、
『ボート』に押される力を利用して、背後へと跳ぼうとするカリヤ。
その目論みの半分は成功し、銛を避けるように空中へと飛び出すが。

  ベシャア!

「ぐえぇ…………」

着地を盛大に失敗し、水溜りの端のぬかるんだ部分に突っ込んで
泥だらけになってゴロゴロと転がった。
そしてその拍子に、握っていた『石』も地面に転がりおちた。

49ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2022/10/13(木) 00:05:24
>>48

『ボート』に押される力を効果的に利用し、
カリヤは『銛』の脅威から脱出する。

    ドスゥッ!!

しかし、当初の予想に反して、『銛』はカリヤではなく、
その足元にある『水溜り』に狙いを定めていたようだ。

        ザ ッ バ ァ ッ

まもなく、『水溜り』から『銛』が引き上げられた。
鋭い先端に『何か』が突き刺さっている。
『8本』の足を持つ『海洋生物』――――。

 ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド

『人型』が『獲った』のは――――『マダコ』だ。
タコとしては最もポピュラーな種類。
『街中のラッコ』と同じく、
『水溜り』なんかに生息している生物ではない。

   トテ トテ トテ

            「ミャー」

                    ソッ

ラッコは『お気に入りの石』を拾い上げると、
大事そうにポケットに収めた。

50カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/10/13(木) 20:30:03
>>49
「はぁ……はぁ……何?
『タコ』だ………………なんで?」

地面に座り込んだまま、
泥を払いもせず、ぼんやりと『マダコ』を眺め、
視線をそのまま『ラッコ』へと移す。

「『謎』だ。謎めいたストーリィだよ、これは。
水溜りからタコを漁獲するスタンドと、
街中に出没する『ラッコ』……!」

51ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2022/10/13(木) 23:35:57
>>50

カリヤの問いに対する答えは返ってこない。
ラッコなのだから当然だろう。
ただ『奇妙』としか言いようがない光景だけが、
紛れもない『現実』として存在する。

  ――――――ブォンッ!!

『人型』が『銛』を振るうと、
すっぽ抜けた『マダコ』がブッ飛んでいく。
常人以上のパワーとスピードが合わさって、
かなりの『剛速球』となっている。
地面に座り込むカリヤの頭上を、
ものすごい勢いでタコが通過していった。

            バシッ

      「ミャッ」

二足で立ち上がったラッコが、飛来するタコをキャッチする。
厳密には、ラッコは立っていただけで、
ちょうど前足の辺りに投げられたため、
『たまたまキャッチ出来た』という方が正しい。
『ボート』に乗る『人型』は、
かなり正確なコントロールが可能なようだ。

        ムグ ムグ ムグ

当たり前の流れのように、
漁獲した『マダコ』を食べ始めるラッコ。
他の海獣と比べて小型のラッコは、
分厚い脂肪を持っておらず、
高密度の毛皮と非常に高い代謝率によって、
自らの体温を維持している。
つまりは『大食い』なのだ。

52カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/10/15(土) 21:53:04
>>51
「『タコが飛んだ』ッ!
面白い! 面白いラッコだ!
君の事は、たっぷりと観察させてもらうぞ、あははははぁ……!」

泥だらけのカリヤはおもむろに立ち上がり、
両手を広げてじりじりとラッコに迫っていく。
そして、ラッコの行動を追うべく歓楽街の闇へと消えていった。

53ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2022/10/16(日) 00:14:31
>>52

ラッコの一連の行動は、カリヤにとって、
何らかの『インスピレーション』を与えたのかもしれない。
そもそも『石』を取り上げなければ、
この『奇妙な光景』を見る事は出来なかっただろう。
その意味で、カリヤは見事に『目的』を果たしたと言える。

     「ミャー」

            テト テト テト テト テト

まもなく『マダコ』を食べ終えたラッコは、
『ハッピー・スタッフ』を解除して歩き始める。
そのスピードは遅い。
人間の足なら、まず見失う事はないはずだ。

     ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

やがて、カリヤとラッコは『川』に辿り着いた。

          ザブンッ

一人の『奇特な人間』に見送られながら、
『野生のラッコ』は何処かへ流れていくのであった――――。

54ソラ『ステインド・スカイ』:2022/11/05(土) 11:13:23
人気も少ない夜中
場末の焼き鳥屋

焼き鳥をつまみに一人静かに飲む

55ダニエル『シカゴ』:2022/11/06(日) 12:46:51
>>54
……ドッカ!

ソラの隣に浅黒い肌の男が座った。
賢明な読者諸君はなんでわざわざ隣に座るのだと思われるかもしれないが、
場末の焼き鳥屋なので狭くてカウンター席が少ないのかもしれないし、なんか常連客の固定席とかそういうのかも知れないし…。

「オヤッサン、ひさしぶり」
片言の日本語で店主に軽く挨拶し……

「トリアエズナマ、ネギマ、レバー、テバサキ」
注文をした。

ついでにソラに会釈をし、ソラの食べてるモノをチラリと見る。

56ソラ『ステインド・スカイ』:2022/11/06(日) 13:11:11
>>55
隣の客の食べてる物を見るダニエル
何の珍しい事も無いハツの塩だ
だが飲んでいる物は多少珍しいかもしれない

焼酎に炭酸水とぽん酢で割った物
ぽん酢サワーという物だ
ぽん酢サワーを提供している店は結構珍しいかもしれない

「…」

隣に無遠慮に座って来るダニエルを鬱陶しそう見ながら
椅子を引き摺って少し距離を取る
こういうのをトナラーというのか?

57ダニエル『シカゴ』:2022/11/06(日) 20:32:26
>>56
>こういうのをトナラーというのか?
それはつまり独りを望む人を略すと『ヒト○ー』……ってコト!?

   NPCテンチョー【ヘイ!ナマ!ネギマ!レバー!テバサキ!】

「アリガト」

  ガブガブガブ……ムシャムシャムシャ……ガツガツガツ……

あまり行儀の良くない感じで出た串を平らげていく色黒の男……。

>ソラ
「オット、気を使わせてスマンネ、ヤングボーイ」
ソラが距離を開けたのに呼応して、色黒の男はガニ股で足を広げて楽そうに座った。

「座りやすくなったZE」

  デカタイド〜〜 ←大きな態度の擬音

58ソラ『ステインド・スカイ』:2022/11/07(月) 14:09:32
>>57
カタン

ぽん酢サワーはやはり酸っぱい
だがこの酸味が、疲労した心身には効く
骨身に染み渡るというのはこういう事だろう
それに、焼き鳥にはよく合う

ハツを食べてしまい、食べる物が無くなった
手を挙げて女将を呼ぶ
ダニエルの相手をしている店長とやらとは別に、女将もいるのだ

コンコン

「これ」

メニュー表のししとうを突き注文を取る

59ダニエル『シカゴ』:2022/11/07(月) 22:20:34
>>58
一通り飲み食いした後、色黒のダニエルは立ち去っていった……。

60ソラ『ステインド・スカイ』:2022/11/08(火) 18:10:26
>>59
ダニエルが帰った後も飲みは続く
何か知らん黒人が隣に座って来てちょっと食ってすぐ帰って行った
よく分からん奴程度の認識だった

それにしても、ししとうは唐辛子なのにどうして甘く感じるのだろう
だが、甘いといってもデザートのような甘さではない
ちゃんと酒の肴になる

やがて、グラスが空になってしまいサワーのおかわりをする
それほど蟒蛇というわけでもないが、今夜は体が酸味を欲している


追加注文をしていたたまひもも食べてしまい、グラスに残っていた最後の一滴を飲み干す
名残惜しいがこの辺りが潮時だろう

女将「旦那、お冷」

気を利かせてくれた女将が出してくれた冷たい水を一口飲む
アルコールや焼き鳥の後に飲む水は、ほんのり甘くて爽やかに感じる

黒柳「兄貴、ついでに薬も飲んどきましょうよ」

いつの間にか隣に座っていたデブに言われて胃薬と頭痛薬の盛り合わせを水で喉の奥に押し流す
やはり、晩酌の後の水の一気飲みはスカッとして最高に気持ちが良い

日々の仕事は憂鬱だ
こうしてたまの息抜きが無ければやっていられない

61妖狐『キン・コン・ユウ』:2022/11/19(土) 11:47:54
歓楽街の路地裏付近

外見年齢9歳くらいの女が干し肉と思われる物を食っている
その周りに何匹かの犬がいて一緒に干し肉を食べている

女は犬と会話をしているが、犬語なので人間には何かこゃんこゃん言っているようにしか聞こえない

62妖狐『キン・コン・ユウ』:2022/11/21(月) 19:06:52
>>61
以下の会話は犬語を翻訳したものである

エルヴィス(サモエド)「人肉のストックも少なくなってきましたねオババ様」
狐「干し肉も飽きて来たしな…そろそろ狩りに行かねばならんか」
エルヴィス「けど最近は幼稚園も警備が厳重で近寄れませんよ」
狐「良い狩場はないもんかのう?」

プレスリー(シェットランドシープドッグ)「俺に良い考えがあるぜえぇぇぇーーーーーーーーーっ!!!!!!」

狐「うおっ!?急に大声を出すでない!」
エルヴィス「良い考えとは?」

プレスリー「病院の霊安室に忍び込むのさ!」

狐エルヴィス「「霊安室に…!?」」

エルヴィス「死体を盗めという事か!?」
プレスリー「その通り!こんなに楽に人肉を手に入れる方法は他にないぜ!!!」

狐「馬鹿者!!!」

どごぉっ!!!

狐の拳がプレスリーの顔面を貫いた!

プレスリー「ぐおぉ…!」
エルヴィス(やはりスカベンジャーになるのはプライドが許さないのか?)
狐「霊安室の死体など、どんな病気を持っているか分からんだろうが!!!」
エルヴィス(そっちだったか…!)

プレスリー「す、すまないオババ様、俺が悪かったよ」
狐「はぁ、はぁ、いやすまぬ、ついカッとなってしまった」

狐「昔、我も死体安置所の死体を漁るスカベンジャーになった事があった」
狐「しかし、その時食った人間は病気に罹患しておった」

狐「それが…天然痘だ」

エルヴィスプレスリー「「天然痘…!?」」

狐「我は何とか生き残ったが、一緒に食った同胞は我のせいで…」

狐「よいか、お主達は霊安室の死体には気を付けろよ?」
プレスリー「今ならコロナ患者がいそうだしな、気を付けるぜ!」

エルヴィス(その前に、あんたは道端のゴキブリ食うのやめろよ)

                  __    ___
              <77>  `}{´_}し_∥` マハ
          /7   Vム< ̄o::::::::::::::::>:/i/
          マ\/;;;Vム:::::o:::::V⌒Y:::::::::::':\ァ
            〉::::::::::::::(__ノ、::::个ー个::::゚:::::o:ハ,
        (:i)==:::::::Y⌒Y:::::::`:::::::::::::::::::::::::Y^ヽ::ムrハ
          ム:::::::乂.丿ミ:::::o:::::::Y⌒Y:::::ム,_ノ::::::}`′
        ()ー{:::゚::::::::::::::::o::::::::::::::::乂.乂:::::::::::。:::斗()
        ハ,,斗::::::::(  .)=::::.Y⌒Y::::o::::::゚::::::::::::::::。:}__ハ
        V⌒{::::。::个个::::::::乂メ:::::::::::。::::::Y^寸:::厂レ'
         (彳::::::::ィ⌒Yx::::::::::::::゚:::::::::::::::::乂_ノ:寸⌒Y
          八::゚:::::乂_ノ:::。::::::/7:::o::vv::::゚:::::::::::::八_丿
         (ァ个s。::::::::o::::::Y⌒Y:::::::::Y⌒ヽ:::::メ。
           r/个<::_:_::乂.丿:::。::::乂__ノ 个O
             \) r∥ ,}{、¨T¨¨}{ ̄ X>
               ̄ ‘ー’ ^ ‘ー’ `¨       

                 終
               制作・著作
               ━━━━━
                ⓃⒽⓀ

63美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/11/22(火) 21:20:53

  バァァァァァァァァァァ――――――――ッ

              キィッ

『カナリアイエロー』の『ベスパ』が駐車場に停まる。

     「ふぅ」

ゴーグル付きのハーフヘルメットを脱いで、シートから降りた。
美作くるみは『パーソナリティー』だ。
会話の『引き出し』は、多ければ多い程いい。

「さて、何か『話題の種』を見つけられるかしら」

こうして休日に散策しているのも、それが目的だった。

64美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/11/26(土) 02:32:03
>>63

「――――『これ』は…………」

小さなコインランドリーの前で見つけたのは、
『ハンバーガーの自販機』だ。
いわゆる『レトロ自販機』に分類されており、
今では製造されていない。
残っている数少ない筐体が、現在も各地で稼動している。

「一個『200円』――――」

           ゴソ

「『話題が買える』と思えば安いわね」

     チャリン チャリン

硬貨を投入し、ボタンを押す。

        ピッ

「…………どれくらい待つのかしら」

内部の電子レンジで温めているため、すぐには出てこない。

           コトッ

一分ほど経った頃、軽い音を立てて、
取り出し口に白い箱が現れた。
開封すると、小振りなバンズにパティとレタスが挟んである。
バンズに塗られたケチャップの匂いが、ほのかに香る。

「このチープな感じがいいじゃない」

          パクッ

一口食べてみると、どこか懐かしい味わいだった。
初めて味わったはずなのだが、
心の奥でノスタルジーを感じさせる。
不思議なものだ。

「ずっと頑張ってきたのよねぇ」

ハンバーガーを食べ終え、自販機を眺める。

「私も、まだまだ頑張らなきゃ」

空を見上げ、そして歩き出した。

65カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/12/11(日) 19:55:09
「あー、気持ちワル……!
本当に来なきゃ良かったよ、うぅ〜」

灰色の長髪にロイド眼鏡の女が、
ベンチにもたれ掛かるようにして座っている。
まだ日も落ち切っていない頃ではあるが、アルコールの匂いを漂わせている。酔っ払いだった。

66花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2022/12/13(火) 05:20:29
>>65

「ハハハッ、気持ち良すぎてフラフラしちまうぜェ〜」

     ドサッ

『レザージャケット』を着た『赤毛の男』が隣に座った。
同じく酔っ払っているらしく、だらしなく両足を投げ出している。
カリヤとは対照的に、こちらは『いい気分』らしいが。

「ちょっとばかし酔いを覚まさねえとなァ」

          ガチャリ

「『酔い覚まし』には、こいつが一番だ」

いつの間にか、男の手には『拳銃』が握られていた。
回転式の弾倉を持つ『リボルバー』。
さも当然のような動作で、銃口をこめかみに押し当て、
引き金を引く。

   ガァァァ――――――――ンッ!!

『銃声』が響いた直後、男の体が力なく崩れ落ちた。

67カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/12/13(火) 16:14:23
>>66
「うわっ……なんだ? 『死んだ』ッ!
あはぁ、飲みすぎたかなぁ…………なんて、
そんなセオリーどおりなリアクションはしないぞ、私はぁ!」

怪しく笑ってのそりと体を起こし、
ベンチを這うようにして花菱の側へと移動して『銃』を持つ手首を掴む。

「あははぁ、やっぱり『スタンド』じゃあないかぁ。
ええと、じゃあこれって、どういう『能力』なんだ?
その前に、何か言ってたような気もするけど……何だっけ?」

『銃』を観察しながら、花菱の顔の前で手を振る。

68花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2022/12/14(水) 06:44:31
>>67

  「ヒュゥゥゥ〜〜〜〜!!」

         ガバァッ

      「頭ン中が『スッキリ』しちまったぜェ」

ガックリと項垂れていたが、唐突に頭を持ち上げる。

「『生まれ変わった気分』ってか?」

      「ハハハッ!」

その直後、『拳銃』を握っていた右手を掴まれた。
同時に、相手の顔が視界に入る。
揺れ動く手を、反射的に目で追う。

「おっと、ネエちゃんも『同類』かよ?
 おまけに同じ『酔っ払い』と来たもんだ」

「ハハハッ、『コイツの能力』が知りたいってんならよォ〜」

        「アンタも試してみるかァ?」

    「『悪酔い』なんざ一発でブッ飛んじまうぜ」

言葉だけ聞くと冗談のようだが、『本気』だ。
引き金には指が掛かったままで、銃口は至近距離にある。
このまま『発砲』したら、『当たる』かもしれない。

69カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/12/14(水) 18:32:36
>>68
「うわっ、『起きた』ッ!
なにぃ〜? きみ、いきなり何だよッ!
あははぁ、さては、酔っぱらいだなぁ〜!」

にまーっと笑った顔を近づけて、ずり落ちそうな眼鏡の位置を正すこともなく、
酒臭い息を吐きかけながら、既に指摘されている事実を得意げに話した。
紛れもなく酔っぱらいだった。

「やらないよっ、怖いなぁ〜〜。
きみぃ、どういう人間なんだい? これも『何』?
どういう『スタンド』なのかはぁ、興味あるけど」

そうして、両手で『スウィート・ダーウィン』を取り上げようと持つ手に掴みかかった。

70花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2022/12/14(水) 20:03:41
>>69

「オレかァ〜?オレは『花菱蓮華』ってんだよォ〜」

   「ただの『気のいいニイちゃん』だぜェ」

         「ハッハッハッ!」

酔い覚ましに『偽死弾』を撃ち込んだものの、
物理的にアルコールが飛ぶ訳ではない。
気分の問題なのだ。
従って、こちらも依然として酔っ払いには変わりなかった。

「オレはよォ、三度の飯より好きなのさ」

「『デッドライン』ギリギリの『スリル』ってヤツがなァ」

次の瞬間、両手で掴みかかってくるカリヤ。
この行動は読めなかった。
スタンドは奪われなかったが、結果的に体勢が崩れる。

        「うおッ――――――」

『一瞬の弾み』で、引き金に掛かっている指に力が入った。

    ガァァァァァ――――――――ンッ!!

再び轟く銃声。
発射された『弾丸』は、カリヤの『左胸』に命中した。
至近距離から『心臓』をブチ抜かれたのだ。
傷口から大量の血が溢れ、意識が徐々に遠のいていく。
おそらく、もうじき『死ぬ』だろう。

    「おっと――――つい『やっちまった』ぜ」

何でもない事のように、軽い調子で呟く。
装填されていたのは、『失血死』を再現する『偽死弾』。
非常に『リアル』だが、制限時間の『4秒間』が過ぎれば、
全ての影響は『幻』のように消え去る。

71 カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/12/14(水) 21:08:34
>>70
「ガっ……なっ、これは……!
何笑って……しっ、死ぬ…………!
ーーーーーーーハッ!」

『擬死』の時間が経過して、ベンチからがばっと起き上がり、
胸元に傷がないことを確かめた後、顔面蒼白で花菱を見る。

「はひっ……こっ、これ……私、死んでた……?
なんなんだよこれはぁ〜〜! 怖かったじゃあないかッ!」

酔いもすっかり引いたようで、
両肩に手を置いて揺さぶりながら怒りの声を上げた。

72花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2022/12/15(木) 05:05:15
>>71

「ハハハッ、とびっきり『スウィート』だろ?」

「『スウィート・ダーウィン』は『死因』を再現できる。
 『焼死』に『溺死』に『感電死』……
 どんな死に方でも『お望み通り』だ」

「オレはコイツが『病み付き』になっちまったのさ」

激しく揺すられながら、極めて愉快そうに笑う。

「おいおい、ありゃあ事故だ事故……。
 そりゃ撃ったのはオレだけどよォ〜。
 不用意に掴み掛かってきたアンタも悪いぜェ」

「これでアンタも『生まれ変わった』って訳だな」

『偽死弾』は生物に対して殺傷力を持たない。
傷口も出血も綺麗サッパリなくなっている。
ただ『服に開いた穴』だけが、
『着弾の痕跡』として残っていた。

   「だが――今日のアンタは『ツイてた』ぜ」

   シャラララァァァァァァァァァァァ――――――――ッ

慣れた手付きでシリンダーを勢い良く回転させ、
さらに言葉を続ける。

「『スウィート・ダーウィン』は『ロシアンルーレット』だ。
 弾倉の中の『一発』は『実弾』だからなァ。
 『大当たり』だったら、『生まれ変われなかった』だろうぜ」

          「ハッハッハッ!」

銃口を下ろし、『物騒な種明かし』をした。

73カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/12/17(土) 20:57:56
>>72
「自分の『スタンド』に病みつきに……?
それはなんだか、危険な響きがあるねぇ。
まあ、元々危なっかしい性格なような気がするけどね、きみは。
『拳銃』の『スタンド』かぁ……」

服の穴を指でなぞりながら、
物珍しそうに『スウィート・ダーウィン』を眺める。

「うーん……まあ、暴発って事ならそうかもねぇ。
良い体験したって思うかなぁ、撃ち殺されるなんて滅多にないし……
服がちょっぴり破けたくらいだし……」

>弾倉の中の『一発』は『実弾』だからなァ。

「それは『駄目』じゃあないかなぁ!
……きみさぁ、もしかして、
何回も『偽物の死』を味わってるうちに、
『本物の死』もそんなに深刻なものと思えなくなっちゃってるんじゃあないの?
大丈夫かい? そーいうの」

74花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2022/12/18(日) 04:43:51
>>73

「『デッドライン』を越えちまったら、
 二度と『スリル』を味わえなくなっちまうだろ?
 オレは『ギリギリ』が好きなんだよ」

花菱蓮華は『スリル』を愛している。
だからこそ、『ロシアンルーレット』のスタンドが目覚め、
それは『拳銃』のヴィジョンを持つ。
全ての大元は、『少年期の体験』に根ざしていた。

「ガキの頃、死ぬ程ビビッた事があってよォ。
 多分その時に、『防衛本能』ってヤツが働いたんだろうな。
 逆に『多幸感』みたいなモンを感じてきて、
 それ以来すっかり『虜』さ」

         「ハハハハハッ!」

「色んな『死に方』を試してきたが、
 まだ『マジで逝っちまった事』はねえなァ。
 その瞬間は『最高にシビれる』だろうとは思うけどよォ〜」

     ガァァァ――――――――ンッ!!

呼吸するように引き金を引くと、
足元を這っていた『虫』が潰れ、
自動的に『リロード』が行われる。

「ハッハッハッ、『実弾』は『三発目』だったみてェだぜ」

           グルグルグル

手の中で『リボルバー』を回転させ、解除する。

「これでもオレは『カタギ』だ。
 『鉄砲玉』やった事も一度や二度じゃねえけどよ。
 オレの商売が何だか分かるか?」

75カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/12/20(火) 21:13:11
>>74
「ふうん、そういうのって癖になるものなんだ。
なんか面白そうな『話』が潜んでそうだねぇ〜〜
きみは、何にそんなに怖がったんだい?」

眼鏡の奥の瞳が光り、座り直して花菱に尋ねる。

「ム……なに?『実弾』……??
…………ハァ、まあ……出なかったから良しって事にしとくよ。
こんな『危険』、私は求めちゃあいないって事だねぇ」

「『職業』。
そうだなぁ……危険を好む、
それに『銃』……あっ、わかった!
ふふ、『花火職人』じゃあないかなぁ。
どう? 私の『洞察力』!」

明らかに洞察力以外の場所から捻り出した答えを、胸を張って答えた。

76花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2022/12/21(水) 07:29:02
>>75

「ハハハッ!ネエちゃんよォ、
 オレが『ハナビシ』だからってんじゃあねえだろうなァ?
 残念ながら、そいつは『ハズレ』だ」

        ゴソッ

レザージャケットのポケットに片手を突っ込み、
小さな箱を取り出す。
『タバコ』――ではない。
昔からある由緒正しき『ミルクキャラメル』だ。

「こう見えてもオレは『役者』さ。
 いわゆる『スタントマン』ってヤツだな。
 意外だったか?」

              ポイッ

喋りながら、一粒の『キャラメル』を口の中に放り込む。

「カラダ張って派手に落ちたり燃えたり……
 ま、オレの場合は『やられ役』みてェなもんだな。
 主役級の仕事なんかは来た事ねえからな」

「だが、『やられるヤツ』がいると『話』も引き立つだろ?
 『オレの話』が面白いかどうかは知らねえけどよ」

「あー、そうだな……。
 要するに『人質』だ。
 『強盗の人質』になった事がある。
 もちろん最初はビビッたが、だんだん時間が経ってくると、
 その状況が逆に気持ち良くなってきちまったんだな」

     「で――――『こうなってる』って訳だ」

右手で『銃の形』を作り、こめかみに押し当てながら笑う。

77カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/12/21(水) 22:02:09
>>76
「あははぁ、それは残念。
名前が仕事ってわかりやすいキャラで良いと思うんだけど、
『リアリティ』は無いよねえ。
『リアリティ』を大事にしない話は、すぐにチープになっちゃうからさ」

間違えたのを悔やむ事もなく、
うんうんと頷きながら一人呟く。

「『スタントマン』! 知ってるよぉ。
俳優が危険なお芝居をする時に、代わりに演じるって仕事だろ。
それなら、確かにきみにピッタリ、かもねぇ。
『仕事』は楽しいかい?」

話をしながら手を伸ばして、
拒まれなければ勝手にキャラメルを一粒摘んで、自分も口に含む。

「『人質』かぁ、珍しい体験だね。
もっと詳しく教えてほしいなぁ……
どこで『人質』になったのか?とか、
どうやって助かったのか、とかさぁ……ね、いいだろ?
私は人の話を聞くのが趣味なんだ。
面白い『物語』(ストーリィ)ならもっと良いけど……脚色はしなくって良い。
『リアリティ』が無くなっちゃうからね」

78花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2022/12/22(木) 10:29:15
>>77

「今の仕事には、それなりに満足してるぜ。
 だが、『スタント』ってのは、
 『危険に見せる』方が大事だからよ。
 危険は危険なんだが、『マジの危険』とは少し違うなァ」

「オレとしちゃあ、あくまで『仕事でやってる』って感じか?
 そこら辺はキッチリ分かれてるのさ」

現代において、安全対策は万全だ。
それでも事故の可能性はゼロにはならない。
だが、そうそう頻繁に起こるものでもないし、
『命の危険』を伴うようなケースは限られる。

「『オレの話』を続けてもいいけどよ…………」

         スッ

カリヤが腕を伸ばしたのを見て、
その手元にキャラメルの箱を近付ける。

「ネエちゃん、アンタなにもんだ?
 さっきから妙に知りたがるじゃねえか」

「『プライベートを教えろ』とは言わねェが、
 アンタの事もちったぁ喋ってくれなきゃ不公平だぜ。
 いわゆる『公平な取引』ってヤツだ」

「『物語』だの『リアリティ』だの言ってるから、
 『脚本家』か何かか?
 ま、『当てずっぽう』だがなァ。
 『下手な鉄砲数打ちゃ当たる』ってな」

『スウィート・ダーウィン』がそうであるように、
『スタンド』は『精神の象徴』だ。
そのせいか、『スタンド使い』という人種は、
特徴的な精神構造を持つ事が多い。
コイツも『その類』だろうという考えで、目の前の女を見る。

79カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/12/22(木) 22:02:55
>>78
「ええ〜……『私の話』かい?
名前は『カリヤ』という。
あっ、『甘い』なぁ〜〜『キャラメル』」

やる気なさそうにキャラメルを舐め回し、
ため息をつく。

「まあ、それできみの話が聞けるなら良いや。
私はねぇ。文章を作って、売ってるんだ。
書きたいけど文章が書けない人とか、書けなくなっちゃった人とかに、
それっぽーいモノを作って売る仕事さ。
『ゴーストライター』ってやつ。
あははぁ、これ、あんまり人に言わないでねぇ」

へらっと笑って、おもむろに立ち上がる。

「でも、いろんな『物語』(ストーリィ)が知りたいのは、ただの趣味さ。
ただの趣味で、生きがいなんだ。
面白い『物語』を知ると、嬉しかったり、悲しかったり、気持ちが良いよねぇ。
その時だけは、矮小で陳腐な私自身の事を忘れられるんだ。
そうやって、生きてるってわけ」

80花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2022/12/23(金) 07:40:00
>>79

「そりゃ『甘い』だろーよォ〜。
 キャラメルが苦かったら消しゴムか何かだぜ」

「オレは『甘党』なんだ。
 危険な仕事やってると『糖分』消費するからなァ」

一緒になってキャラメルを舐めながら、
『カリヤの話』を終わりまで聞いていた。

「ハハハハハッ!
 こんな時間から『幽霊』に出会えるとはよ。
 道理で『死ななかった』訳だぜェ」

「ま、人間なんざ大なり小なり刹那的なもんさ。
 オレだって『新しい死に方』は常に試したいと思ってる。
 似たようなのばっかりブチ込んでると、
 どんだけ刺激があっても飽きてきちまうからな」

喋っている途中で『いい事』を思いつき、口元を歪める。

「『カリヤ』よォ、『珍しい死因』とか知らねえか?
 ただし『ノンフィクション』じゃなけりゃあダメだ。
 アンタの商売だったら分かるんじゃねェかと思ってよ」

「オレに『新しいスリル』を提供してくれるんなら、
 『話の続き』をしてやってもいいぜ」

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82カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/12/25(日) 20:35:42
>>80
「ふうん、そんなものかい。
まぁ、私も甘いものは好きだよぉ。
苛々したら、甘いものを食べるんだ」

ベンチの前を歩いて、花菱の眼前で立ち止まる。

「うーん、『珍しい死因』かあ。
そおだなぁ、『ワイン樽の中で溺死』した人っているらしいよ。
あははぁ、すごいよねぇ。
酒に飲まれちゃったんだよ。
……こんなやつで良かったかい?」

83花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2022/12/26(月) 08:22:22
>>82

    「ハッハッハッ、ソイツは悪くねェな。
     なかなか『洒落た死に方』じゃねえか」

          「今度『試す』ぜ」

歩き回るカリヤの姿を目で追いながら、
真っ赤に染めた頭髪を軽く揺らす。

「さて――――忘れない内に『オレの話』をしてやるよ」

「あれは確か……この近くの『質屋』だったか?
 いきなり『刃物』を持った男が入ってきてよ。
 その野郎が賢かったのは、オレに目をつけたところだ。
 邪魔な大人を黙らせるために、
 まずガキを抑えちまおうって考えだな」

「普通は欲しいもん手に入れたら、さっさと消えてるんだが、
 その時はそうもいかなくなった。
 ちょうど近所で『交通事故』が起きたからなァ。
 そのせいで、タイミング悪く警察が来ちまってた訳だ」

「警察が引き上げるのを待つ間中、
 オレは『刃物』を突き付けられる事になった。
 同時に、人質側と強盗側の『駆け引き』が始まったのさ。
 『どっちが相手を出し抜くか』ってな」

「最初はオレもマジにビビッてたが、
 だんだん気持ち良くなってきちまってよォ〜。
 『スリルの快感』みてェなもんに目覚めちまったんだろうぜ。
 『この時間が終わって欲しくない』とさえ思ったな」

「まぁ、結局は終わっちまったんだがなァ。
 店主の出した『サイン』に気付いた警察が、
 引き上げたフリして強盗が出てくるのを待ち構えてたからよ。
 この一件に関しちゃあ、それで終わりだ」

「だがよォ〜、オレは今でもハッキリ覚えてるぜ。
 警官が構えていた『拳銃』をな。
 『アレを突き付けられたのが自分だったら』なんて、
 思わず想像しちまった」

           ズ ギ ュ ン ッ

「だから、『こんなスタンド』が目覚めたのかもしれねえなァ」

再び発現した『スウィート・ダーウィン』を片手で構え、
口元を歪めて不敵に笑う。

「どうだ?ちったぁ『足し』になったかよ?」

84カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/12/26(月) 21:25:40
>>83
「きみが気に入ったなら良かったよ。
うんうん、聞かせて聞かせて」

歩き回るのをやめて、ベンチに正座して話し始めるのを待つ。
途中でふんふんと頷き、ほうと息を吐いて花菱の語りを全て聞き終えた。

「へぇ〜〜! 面白い話だねぇ。
劇的な結末がないのが残念だけど……うんうん、それもリアリティだよ!
『スタンド』は、やっぱりその人の『精神性』が反映されるんだねぇ。
あははぁ、良い話聞けちゃったなぁ。得したなぁ〜〜」

にやにやと気持ちの悪い笑みを浮かべて立ち上がる。

「今日はありがとお、花菱さん。
楽しかったよ。それじゃあね〜」

軽く手を振って、そのまま唐突に立ち去った。

85花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2022/12/27(火) 10:34:51
>>84

「ハッハッハッハッハッ!
 クライマックスに、
 ド派手な『銃撃戦』でも起きてりゃ良かったけどよォ〜」

「『劇的な結末』があるとすりゃあ『オレ自身』だろうぜ。
 『イカれちまった人間』が一人『出来上がり』って訳だ」

                 〜〜〜〜♪

      シャラララァァァァァァァァァァァァァッ

口笛を吹きながら、ルーレットを回すように、
『リボルバー』のシリンダーを回転させる。

     「おう――気ィ付けて帰りな」

             「『酒』は程々にしとけ」

                  グッ

       「『ワイン樽で溺死』か」

カリヤを見送ってから、こめかみに銃口を押し付ける。

  ガァァァァァ――――――――ンッ!!

やがて、遠ざかっていくカリヤの背後で、
一発の『銃声』が響いた。

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87リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/01/19(木) 16:34:37

ゴシック風のドレスを身に纏う女が、人通りの少ない裏通りを歩いている。
羽飾りの付いた大きな帽子を被っており、素顔は見えない。
その下から覗く肌は、まるで死体のように白かった。
レースの長手袋をはめた腕の中に、古めかしい『人形』を抱いている。
青い目の『西洋人形』だ。

     「青い目をしたお人形は」

    「アメリカ生まれのセルロイド」

      「日本の港へ着いた時」

     「いっぱい涙を浮かべてた」

     「わたしは言葉が分からない」

    「迷子になったらなんとしよう」

緩やかに歩きながら、歌を口ずさむ。
『青い眼の人形』という童謡。
異国情緒を醸し出す歌詞は、戦時中は敵国の歌と見なされ、
歌う事を禁じられた歴史を持つ。

88リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/01/20(金) 18:27:51
>>87

女の体を構成するのは『FRP』――――『強化プラスチック』だ。
もっと単純に言うなら『マネキン』だった。
本体は抱いている『西洋人形』。
結局の所、どちらも作り物。
真の意味で本体と呼べるのは、人形に宿っている『魂』だろう。

     「優しい日本の嬢ちゃんよ」

     「仲良く遊んでやっとくれ」

              ――――――ピタッ

不意に、女の足が止まる。
目線の先には小さな人形が落ちていた。
頭の先に紐が付いたマスコット。

「あなたも人間に捨てられたのね」

       ソッ

     「可哀想に」

道端にしゃがみ込み、それを拾い上げた。

89リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/01/23(月) 17:14:45
>>88

        ク ル リ

唐突に、後ろを振り向くマネキン人形。

「ねぇ――――――」

     「あなたが捨てたの?」

            「あなたが捨てたのね?」

徐々に近付く。
少しずつ近付いてくる。
やがて、表情の変わらない無機質な顔が間近に迫った。

  「ウフフフフフフフフフフフフフフフフフ」

次の瞬間、訪れるのは緩やかな暗転と静寂――――――。

90リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/01/23(月) 17:15:56
>>89

91史『カルマ・フラグメンツ』:2023/02/04(土) 20:38:32

日本史における『史(ふひと)』とは、古代の朝廷で記録や文書を司った役人を指す。
すなわち『歴史を綴る者』。
そして、『業』を抜きにして歴史は語れない。
『業の断片』と名付けられた力が目覚めたのは、必然的な帰結だった。
切っても切れない『宿命』だ。

「――――――西洋の戦闘様式が導入された当初、
 日本軍はフランス式のサーベルと同じ物を使っていた。
 ただ、両手で使う日本刀に慣れた彼らには、扱いが難しかったんだ。
 それを改善する為に、外装はサーベルのままで、
 刀身だけを日本刀に変えた『軍刀』が生まれたのさ」

二人の人物が対峙していた。
片方は派手なジャケットに開襟シャツを着たチンピラ風の男。
もう一人は、細身のスーツにミリタリーコートを羽織ったモッズファッションの青年。

「実用性以上に『軍刀』は精神的な支柱だった。
 『誇り』であり『信念』であり『魂』………………」

両者の傍らには、それぞれ『人型スタンド』が発現している。
人通りの少ない寂びた路地裏で、今まさに『戦闘』が行われていた。
既に数回の交錯を経ており、決着は近い。

「だけど、僕にとっては『人を斬るための道具』に過ぎない」

        ズ ッ バ ァ ッ !

人型スタンドが切り裂かれ、ダメージのフィードバックによって、
本体の身体から血が飛び散る。
それを為したのは一振りの『軍刀』。
柄を握るスタンドは、幾つもの『勲章』を帯びていた。

     「お………………ッ………………!!」

          ドサッ

斬られた男は倒れ、そのまま意識を失った。
その様子を確認した青年は、深呼吸してからスマホを取り出す。
『依頼人』の番号に電話を掛ける。

  「…………終わりました。
   はい、死んではいません。
   後の処置はお任せします」

      「ええ、報酬は振り込みで…………」

             ピッ

          「――――ふぅ…………」

やがて電話を切ると、その場から立ち去る為に踵を返す。

92熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/02/06(月) 19:11:36
>>91

    パチ・・・・

         パチパチ・・・・・

男を斬り、この場を離れようとする史の頭上から小さな拍手の音が届く
賞賛か、それとも小馬鹿にしているのか、音からは判断が出来ない
史が上を見上げると、10m近く上のビルの屋上から一人の女があなたを見下ろしている事がわかるだろう

「素敵な演目ね。タイトルは何かしら?」

女は、史にそんな言葉を投げかける

93史『カルマ・フラグメンツ』:2023/02/06(月) 20:39:54
>>92

かつて『華族』であった壬生家は、代々この地域に根を下ろし、
特異な能力を武器に軍事面で功績を立て、繁栄を築いた歴史を持つ。
一族にとっては輝かしい過去だが、末裔である『壬生史』は、
それを否定する立場を取っていた。
『自身がスタンド使いではない』という事実も、
それを後押しする形になっていたのかもしれない。
だが、つい最近になって、
これまでの信条が根底から覆されかねない出来事が起きた。
幸か不幸か『超常の力』を得てしまったのだ。
自分にも同じ血が流れている。
認めたくなかった事を、嫌でも自覚させられた。

そして、新しい自分と向き合う為に、『スタンド使いとしての仕事』を受けた。
『あるスタンド使いを戦闘不能にする』というシンプルな依頼。
事前に動かす練習はしていたものの、
実際に戦闘でスタンドを使うのは初めてだった。
思っていたよりも『躊躇い』を感じなかったのは、『血筋』のせいだろうか。
『人を斬る事』に対して。

『依頼人』の希望は生け捕りにする事。
諸々の後始末は向こうでやってくれる。
自分は、この場から立ち去るだけで良かった。

「――――――!?」

声の方向を見上げ、内心『しまった』と感じる。
戦闘を行うに当たって周囲は警戒していた。
しかし、頭の上まで注意を回す余裕はなかったのだ。

「そう、だな…………」

「…………『カルマ・フラグメンツ』とでも言っておくよ」

戦闘を観察していたなら、『青年のスタンド』については、大まかに理解できるだろう。
基本的なスペックは『メイド』と同等らしい。
能力は不明だが、『軍刀』の攻撃力は単純に強力だ。

「まず僕が考えるべきなのは『敵かどうか』…………」

「もし敵だとしたら、これまで何もしない訳がない。
 今だって、不意打ち出来る絶好のチャンスを、自分から捨てている」

「だから、貴女は『敵じゃあない』」

そこまで言い切ってから、なおも言葉を続ける。

「でも…………敵じゃなければ、なおさら不思議に思う。
 様子を見ていたとしても、わざわざ声を掛けるだろうか。
 そこが僕には分からないんだ」

「…………良かったら教えてくれないかな」

『カルマ・フラグメンツ』を解除していないのは、
相手に何処か得体の知れなさを感じていたからだった。

94熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/02/06(月) 21:26:05
>>93

「・・・・・・・・・・・。」

口に出しながら行われる考察
それを耳に留めながらも、屋上の女性は無言のまま史を見つめる
どうやら、女性は大学生程度の年齢層に見える
比較的年若く・・・・こんな場所には珍しく、質が良く整えられた身なりをしている

「『面白い』と思ったから・・・・それでどう?」

史の質問に答えるように、そんな言葉が投げかけられる

「何か・・・・とても『危険』で面白いと思ったから、それで見ていたの
 あなたに話しかけたのは・・・・そうね。お話を聞きたくなったから、というのはどう?
 野球とか、サッカーの中継の後の『勝利者インタビュー』みたいに」

    グッ!

そう言うと、女は屋上の縁に足をかける

「良かったら、お話を聞かせてもらえる?」


     バッ!!!

女の身体が空中に投げ出される
あの高さから落下してしまっては、相当な重傷を負う事は必至に見えるが・・・・・!

95史『カルマ・フラグメンツ』:2023/02/06(月) 22:05:32
>>94

眼下に立つ青年は、熊野と似たような年齢に見えた。
また、全身を包む衣服も安物ではないようだ。
熊野と同じく、『環境』は恵まれているのかもしれない。

「なるほど、ね…………」

口では納得したような素振りを見せたものの、
完全に理解できたとは言えない。
分かるような分からないような、そんな理由だった。
なんにせよ普通ではなさそうだ。

「――――なッ!?」

相手が次に取った行動に驚きを隠せなかった。
10mの高さから、地上に生身のダイビング。
打ち所が悪ければ――いや、運が良くても大怪我は免れない。
死ぬ可能性だって大いに有り得るだろう。
あまりにも無謀すぎる。

「くそっ!!」

咄嗟に『軍刀』を手放し、
走りながら『カルマ・フラグメンツ』を先行させる。
地面に激突する前に、どうにか受け止めようという体勢だ。
間に合わない確率の方が高いだろうが、
あれこれ考えるより先に身体は動き出していた。

96熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/02/06(月) 22:36:20
>>95

「へぇ・・・・」

数秒後の惨事の予感も気にせず、空中に身を躍らせる女
史が軍刀を捨ててまで自分を助けようとしている様子を見て、
女は感心するように息をつく

「『あんなこと』をしていたからどれだけ非情な人かと思ったら」

「結構、情が厚い立ったりするんだね」

   パァンッ!!

             ――――――!?

史が彼女を受け止めるべく、着地地点へと駆けた直後
その『現象』が発生した

  パァンッ!!

     パァンッ!!

          パァンッ!!

              パァンッ!!

『絨毯』だッ!!
空中の・・・・女の足元に一瞬だけ『赤い絨毯』が出現!
数瞬の後に消えるそれが、連続的に女の足元に出現する事で
女が落下する衝撃を少しずつ弱め・・・・落下速度を遅らせていた!




           すたっ!

「・・・・・・こんにちわ」

そして、最後には着地・・・・女は無傷だ
彼女の様子を見るに・・・・怪我はないように見える

97史『カルマ・フラグメンツ』:2023/02/06(月) 23:29:41
>>96

男を斬り捨てた時、青年は冷徹な程に落ち着いて見えた。
任務に忠実に動き、敵兵を斬る軍人のように。
しかし、飛び降りた熊野に駆け寄ってくる姿は、ひどく感情的だった。
『血筋』を否定する面と、そこから逃れられない面。
異なる二つの側面が、対照的な『二面性』となって表出している。

「!!」

「いや…………『そうか』…………」

スタンドと共に立ち止まり、『降りてきた女』を見据える。

「僕と『同じ』なら、『着地する手段』があって然るべきだった」

彼女は『見えていた』。
無策で飛び降りる訳がない。
分かっていた筈だが、『飛び降り』のインパクトが強すぎた。

「『話を聞きたい』とか言ってたようだけど――――」

       ザッ

『血筋の影響』で、無意識に一歩後退する。

「…………どんな事を話せばいいのかな?」

『軍刀』は手放した瞬間に消えてしまっていた。
今は、素手となった人型スタンドだけが残っている。
そのヴィジョンを飾り立てているのは、多数の『勲章』だ。

98熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/02/07(火) 00:01:48
>>97

「・・・・・・・・・。」

今まさに生命の危機を感じさせる高さから落下したとは思えない程に
女の態度は落ち着き払っていた
その目が、無言のまま史の全身を見つめる

(『軍刀』を消して、ヴィジョンだけを残している・・・?
 最低限の警戒は怠らせないようにしながら、攻撃の意思はないと見ていいかしら?)

(何にせよ・・・・)

「『危険』な匂い・・・・・」

ふっ、と口元に笑みを浮かべる

「ああ、いえ、ごめんなさい。今のは独り言
『独り言』って言ってもそれ程大したことじゃないの
 ただちょっと・・・・お話をしたいだけ」

言いながら、手を後ろに組みうろうろとその場で足を踏む

「ねえ、その人は殺しちゃったの?」

99史『カルマ・フラグメンツ』:2023/02/07(火) 00:59:31
>>98

最初に目撃した通り、目の前の青年はスーツ姿だった。
この年代にしては着慣れている雰囲気がある辺り、普段着なのだろう。
『育ちの良さ』が垣間見える。
その上から羽織っているのは、オリーブグリーンの軍用パーカー『M64』。
1964年に採用されたフランス陸軍のフィールドジャケットだ。
史が着用しているのはデッドストックであり、現在では入手困難となっている。
目線を足元に向けると、履き込まれた風合いを持つブーツが見えた。

「こういう事は慣れてるみたいだね。
 つまり――――『荒っぽい事は』って意味だけど…………」

『警戒していない』と言えば嘘になる。
敵ではないとしても、この相手は『異質』だ。
その点に関しては、最低限の注意を払わなければならない。

「『生きてる』よ。
 派手に出血してるように見えるけど、重要な血管は傷付けてない。
 気を失ってるだけさ」

倒れている男を一瞥する。

「なんというか…………『生け捕りの手伝い』を頼まれたんだ」

『軍刀』は『射程外』になって一時的に消えただけだ。
出そうと思えば、またすぐに出せる。
だが、それが必要にならない事を願う。

100熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/02/07(火) 21:58:17
>>99

>「こういう事は慣れてるみたいだね。
> つまり――――『荒っぽい事は』って意味だけど…………」

「ふふふ・・・・そう見える?
 猟奇事件の現場に直面して、怖くて身が竦んでるだけかもしれないのに?」

ふわふわとした足取りのまま、両手を軽く上に上げておどけたような仕草を取る
上機嫌に笑みを浮かべているものの、その視線は一度も史から切らせていない
警戒と緩和。その二つが矛盾せずに同居している

「まあ、随分と器用な事が出来るのね
 あんなに大きな出血があったから、てっきり死んでしまったのかと思った」

「もしそうだとしたら、『110番』に電話をしなければならないもの」

くくく、とおかしそうに笑う

「こんな物騒な『生け捕り』は見た事がないわ
 いったい、どんな人がそんな恐ろしい仕事をあなたに頼んでいたの?」

101史『カルマ・フラグメンツ』:2023/02/07(火) 22:32:12
>>100

「この場から逃げもせず、自分から声を掛けてきて、大胆に飛び降りる。
 そんな人間が『怖くて身が竦む』?」

      「――――なかなかキレのある『ジョーク』だ」

今までの行動を観察していれば分かる。
油断はしていないが、怯えてもいない。
明らかに『慣れた人間』だ。

「…………ちょっとした知り合いさ。
 『家族ぐるみの付き合い』っていうのかな。
 僕は今まで、あんまり関わってこなかったけど」

    「ただ、そうもいかなくなった」

『依頼人』は、壬生家と深い繋がりを持つ人物だった。
古くからの仕事仲間。
その縁で『特別な仕事』を斡旋してくる。

「こういう事は『初めて』でね。
 一種の『通過儀礼』だよ」

「『成人式』みたいなもの、かな…………」

スタンド使いになった瞬間から、責務を負う事になった。
街を守る為に力を使う。
それが壬生家の責務である。
個人としては否定しながらも、どこか逃れられない部分を感じる。
『血筋』というのは、簡単には切り離せない。

102熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/02/07(火) 23:00:54
>>101

「話を聞く限りでは、随分と『素敵な家族』のようね
 家業みたいなものかしら? 私が知らないだけで、世界は全然広いみたい」

少しずつ、女が近づいてくる

「それじゃあ、あなたは『通過儀礼』を無事にやり遂げたという事ね
 おめでとう。大した怪我もせずにこれだけの事を成し遂げたのだから
 今夜はお祝いに美味しいディナーでも食べに行くのかしら?」

歩くような足取りで、ゆっくりと

「素晴らしいわ
 もしよろしければ、あなたの名前を教えていただけない?」

103史『カルマ・フラグメンツ』:2023/02/07(火) 23:31:30
>>102

よく観察すれば、男が受けた傷が『勲章』に変化しているのが分かるだろう。
『血』を連想させるような赤黒い色をしている。
そこから出血しているようだった。

「まぁ、『家業』っていう部分は否定しないけど…………」

           スッ

   「…………そんなに立派なものじゃない」

口元に苦い表情を浮かべ、近付く女から目線を逸らす。
どんな大義名分を掲げようと、力尽くで他者を捻じ伏せる事に変わりはない。
そういうやり方が、昔から好きになれなかった。
力で礎を築いた家柄も、その中に自分が含まれているという事実も。
そして、自らの傍らに佇む『カルマ・フラグメンツ』も。

        「史(ふひと)」

普通ならば、名字を名乗る所だが、敢えて『下の名前』を告げたのには理由がある。
簡単に言うなら、壬生家に対する反感だ。
だから、名字を口に出したくなかった。

「大昔の日本で、『記録や文書に携わった役人』の事を、そう呼んでいたらしいよ」

だが、結局は『この名前』が、『歴史を綴る者』である事を暗示している。

104熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/02/08(水) 22:05:16
>>103

「ふひと、ふひと・・・・・史(ふひと)さん」

「私は熊野です」

何度か呟くように彼の名前を唱えると、自身の名を口にする
家への反抗心から名前のみを口にした史とは逆に、こちらは苗字のみだ
とは言っても、特に家名にこだわりがあるわけではなく、なんとなくだろう

「さて、史さんの御実家のとても興味深い家業は気になるけれど・・・・」

ひょこ、と逸らした目線の先に顔を出す
ちょっとした悪戯、いじわるのたぐいかもしれない

「意外だわ。結構まともな人なのね」

史を片手で指し示しながら、言う

「あんな事をしていたから、もっと話の通じない『通り魔』みたいな人かと思った・・・・
 それに、ちゃんとした『倫理観』もあるみたいだし」

「現場を誰かに見られたら、口封じをするタイプかと思った」

105史『カルマ・フラグメンツ』:2023/02/08(水) 22:42:32
>>104

「――――…………」

間近にある顔を見つめ返しつつ、思考を巡らせる。
感情に流されてしまう部分がある一方で、
目の前に立つ女に対する分析は冷静だった。
これも引き継いだ『血筋』の一部だ。

「…………『褒め言葉』として受け取っておくよ」

『通り魔かもしれない』と思ったのに声を掛けてきた。
さっきの『独り言』といい、『期待』していたのか?
ほんの一瞬、そんな考えが脳裏を過ぎる。

        ブロロォォォォォ…………

まもなく、遠方から『エンジン音』が響いてきた。

  「『依頼人』が寄越した車が来たんだ。
   そこに転がってる男を拾いにね」

      「『危険』はないだろうけど、
       あれこれ聞かれて余計な時間を取られるかもしれない」

            「引き上げるなら『今の内』さ」

史と名乗る青年は、それとなく熊野を促した。
ここに残っていても、ただ面倒になるだけだ。
『熊野の望む物』は得られないだろう。

106熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/02/08(水) 23:08:02
>>105

「・・・・・・ふふ。」

熊野風鈴は『危険』を好む
目の前の青年は、その攻撃的な能力の割に、ひどく倫理的で冷静な気性のようだ
だが、彼の家、彼の家業はどうだろう。『危険』の香りは・・・・

「・・・・・。」

「・・・・そうしておくわ」

そこまで考えたところで、面倒事の気配がし始めた
『危険』は好ましい事であるが、面倒事は嫌いだ。無駄に時間と体力を消耗する
そう考え、青年の言葉に従う事にした

「ありがとう、史さん
 とても興味深い『社会見学』になったわ」

「願うなら・・・・今度はあなたの『家業』についてよく知りたいところだけど
 それはまた今度のお楽しみ・・・・ね」

くるりと、身をひるがえして青年に背を見せる

「またね」

そう言って、歓楽街の喧騒の中に混じり、去って行った

107史『カルマ・フラグメンツ』:2023/02/08(水) 23:52:51
>>106

「あぁ、気を付けて…………」

車の音を気にしながら、熊野に別れの一言を告げた。

「………『気を付けて』、か」

遠ざかる背中を眺めながら、小さな声で呟く。
自分で口に出した言葉が、ひどく奇妙に感じられた。
トラブルを恐れる人間なら、そもそも踏み込んでこない状況だ。
そこに自ら飛び込んできた彼女に対しては、意味のない注意だったかもしれない。
深みに入りかけた思考を中断させたのは、車のブレーキ音だった。

「――――いえ、何でもありませんよ。
 念の為に待機していただけですから」

車から降りた人物に応答し、『カルマ・フラグメンツ』を解除する。

「僕は歩いて帰ります。
 今は一人になりたい気分なので」

「ええ、それじゃあ…………」

車内に押し込められる男に背を向け、そこから立ち去る。

(『業の断片』――――いつか『これ』を捨てられる時が来るんだろうか)

取り留めのない事を考えていると、心の奥底に『引っ掛かる物』を感じるような気がした。
だが、それが何なのかは分からない。
ただの気の迷いだと結論付け、壬生史は『スタンド使い』としての道を歩み始める。

  『血筋』を否定する為に『勲章』を手放した行為が、
   逆に『血』から逃れられなくなる結果を招いた事に、彼が気付く事はない――――。

108百目鬼小百合『ライトパス』:2023/02/16(木) 22:12:08

フランスの『エス・テー・デュポン』が製造するライターは、高級ライターの代名詞であり、
一種のステータスシンボルとして扱われている。

「いやいや、こんなに連れてくるとは恐れ入ったよ」

それを手にした人物が、狭い路地の真ん中に立っていた。
白いパンツスーツに身を包む背の高い女。
ベリーショートの黒髪、口元にはホクロがある。
服装に飾り気はなく、白百合のイヤリングが唯一の装飾品だ。
とっくに『花の盛り』を過ぎた年齢ではあるものの、その力強い佇まいは、
身体的な衰えを感じさせない。

「大方、あの時の報復か何かだろうけどねえ」

      キィィィィ――――――ン

親指で蓋を開くと、心地良い反響音が耳に響く。
デュポンのライターは、独特な『開閉音』で有名だ。
どういった原理で鳴るのかは定かではない。
鳴る場合もあれば、鳴らない場合もある。
また、使い続けている内に、音が変化するケースもあるそうだ。

「ま、アタシも『まだまだ捨てたもんじゃない』って事さ」

         シボッ

咥えた煙草に着火しながら、周囲の地面を見下ろす。
一見して真っ当ではないと分かる男達が、1ダースほど纏まって倒れ、一様に意識を失っていた。
前後から『挟み撃ち』にされたのだが、それらを返り討ちにして今に至る。

109ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/02/17(金) 20:35:26
>>108
「おや、そこの人」
路地裏の外から声が聞こえてくる。
この場所には似つかわしくない修道服の女性だ。
見たところ若そうだが

「ちょうどよかった。
 火、貸してもらえる?」
そう言ってタバコを差し出してきた。
見た目からはさらに似つかわしくない代物だろう。

110百目鬼小百合『ライトパス』:2023/02/17(金) 21:40:12
>>109

「おっと――――」

路地に踏み込んだヨハネには、『それ』が見えていた。
右手に『警棒』を持つ『人型スタンド』が。
本体のスーツと同じく、そのヴィジョンは白い。
また、両肩には『白百合の紋章』が刻まれている。
女のイヤリングと重なるイメージだ。

「ああ、失礼。ちょいと取り込んでたもんでね」

      ボッ

差し出された煙草の先に、ライターの火を近付け、着火した。
使い込まれた真鍮製のライターだ。
経年変化で、くすんだ金色になっている。
喫煙具の知識があれば、『デュポン』だと分かるだろう。
そうでなくとも、高級品であろう事は、何となく推測できる。

「アンタ、『教会』の人なのかい?
 外見で判断するのは良くないとは言うけど、それしか材料がないからねえ」

「ここらは物騒だから、用心した方がいいよ」

地面に倒れている男達を一瞥し、紫煙を燻らせる。

111ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/02/17(金) 22:01:13
>>110
「これはどうも。」
そう言ってタバコを近づけ、火をつけてもらうことにした。
彼女のタバコはコンビニで撃っているような安物のようだ。

「ありがたいありがたい。」
ちらりと、小百合の持っている警棒に視線を向けた。
その視線は小百合からも見えているかもしれない。

「ああ、見ての通り私は町外れの教会の人よ。
 他人の懺悔に耳を貸す変わり者さ。」
そう言ってタバコを吸い、煙を吐く。

「その物騒なのってのはここで倒れてるやつのこと?
 たしかに危ないけど、このへんは歩きなれてるんで、気にしなくていいよ。」
そう言ってまた彼女のスタンドを見る。

「で、貴方は何を生業にしているの?」

112百目鬼小百合『ライトパス』:2023/02/17(金) 22:27:35
>>111

「――――なるほどねえ」

『ライトパス』に向けられた視線に気付き、それが示す『意味』を理解した。

「確かに、それなら大丈夫そうだ。
 厄介事に巻き込まれても、切り抜けられる『力』があるんならね」

         フゥゥゥゥゥ――――…………

景気良く煙を吐き出し、ジャケットの内ポケットから名刺を取り出すと、
それを目の前の人物に手渡す。

「アタシは『こういう者』だよ」

『大門総合警備保障:主任指導官・百目鬼小百合』――シンプルな名刺には、
そのような肩書きが記されている。

「コイツらはアタシに恨みを持ってる。
 ここで袋叩きにしてやろうと狙ってたのさ」

       「生憎、上手く行かなかったようだけどねえ」

   ……………… ……………… ………………

今の所、目の動きに『嘘』は感じられない。

113ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/02/17(金) 23:09:34
>>112

「ふむ、力…ねぇ。
 つまりその、警棒がその『力』ってことかな?」
ちらりとそれを見て答える。
ヨハネもなんとなく普通ではないと察してはいたが、
あまり確証は持てていなかった。

「これはどうも…
 警備の人ねぇ。どうもよろしく、小百合さん」
そう言って名刺を受け取った。

「あいにく、こっちは名刺を持ち歩くような職業じゃないから口頭になるけど…
 私は鷲津ヨハネ。よろしく。」
タバコを口にくゆらせながら答える。

「まぁ、警備の人ってならそういう人を毛嫌いするやつも多いだろうねぇ。
 普通に暮らしてりゃ、恨むこともないだろうけど。」
彼女の目の動きを見て嘘がないことがはっきりわかる。

「随分とモテモテみたいねぇ。悪い奴らに。」

114百目鬼小百合『ライトパス』:2023/02/17(金) 23:33:29
>>113

           ジ ャ キ ッ

ヨハネの言葉に答えるように、『人型スタンド』が握る『警棒』が短く縮む。
伸縮機構を持つ『特殊警棒』。
『ライトパス』が持つのも、それと同じ物だ。

「本職とは別に、自主的な『ボランティア活動』をやっててね。
 ここに転がってる連中とは、それ絡みだよ」

「アタシに寄って来る男は、昔から『こんなのばっかり』さ。
 有り難くない事にねえ」

苦笑しながらも、百目鬼の表情からは、後ろ向きの感情は読み取れない。
むしろ、どこか溌剌としているようにも見える。
『自分自身』に『嘘』をつかずに生きているのだろう。

「ここで会ったのも何かの縁だ。
 ちょっと尋ねたい事があるんだけど、構わないかい?」

そう言い置いてから、本題に入る。

「アタシは『刀』を探してるんだ。『特別な刀』をね。
 正確には、『それを持ってるヤツ』を追ってるのさ」

「――――そういう話を耳にした事はあるかい?」

115ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/02/18(土) 00:17:09
>>114
「ふーん。『街の美化運動』ってやつ?
 これはありがたい限りだねぇ。」
彼女の活動についてはなんとなく理解できた気がする。

「困ったもんだねぇ確かに。
 声掛ける相手にまともな男がいたらいいだろうに。」
地べたに転がっている男連中を見ながら皮肉交じりに答える。
小百合は嘘をついた様子がなく、話しやすい相手に思える。

「なんだい?懺悔なら好きにしても…
 と、違うみたいね。」
彼女の言葉に耳を傾ける。
どこか真面目そうな話をしているように感じたからである。

「特別な刀…ねぇ。」
少し考え事をする。
思い浮かぶものはない。

「……そういう話題は聞かないねぇ。
 教会は、刀だかの話とは縁がないし。」
少し考えては見たものの、そういったことはないなと
彼女は答える。

116百目鬼小百合『ライトパス』:2023/02/18(土) 00:54:10
>>115

「ま、そんな所だよ」

         フ ッ

百目鬼の言葉と共に、『ライトパス』のヴィジョンが消えた。

「ハハハ、そりゃそうだ。
 今の世の中で『刀』がある場所なんて限られてる。
 少なくとも『教会』には置いてないだろうさ」

      「だけど――――これは『スタンド絡み』でね」

薄いベールのように漂う紫煙の中で、話の先を続ける。

「『才能』のある人間が、その『刀』で斬られると、『スタンド』に目覚める」

         フゥゥゥゥ――――…………

ゆっくりと口に出してから、再び煙を吐く。

「『流星刀』って呼ばれてる。
 何処かの誰かが、ソイツを振り回して『悪さ』してるって聞いてね。
 『美化運動』の一環として手を付けたのさ」

「もし何か分かった事があったら、アタシに教えて欲しいんだよ」

       スッ

ヨハネに渡した名刺に目線を向ける。

「代わりと言っちゃあ何だけど、困った事が起きた時には『力』を貸すよ」

『力』――――その意味は言わずとも伝わるだろう。

117ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/02/18(土) 01:04:31
>>116
「フッ、教会ではでっかい刃物はご法度さ。」
冗談交じりに言葉を返す。

「スタンド絡みの話か…
 随分とまた変わった刀だねえ。
 才能があったら死なないってところか。」
彼女に合わせるように煙を吐き出す。
たまに輪っかを作っているようだ。

「私もスタンドを持ってるが、
 少なくともそんな妙なもので斬られた覚えはないな。
 そんな恐ろしい辻斬りにはなるべく会いたくないねえ。」
この町にそんな恐ろしいやつが居るというのはあまりいい気分はしない。
ちょっとゾットする話だとヨハネは思う。

「もちろん教えるつもりだよ。
 …まぁ教会内で聞いたことには守秘義務があるから
 そっち方面の話は難しそうだけどねぇ。」
いかにも生臭シスターに見えるが、そこはきっちり守っているようである。

「ありがとう。力を貸してくれるとありがたいよ。
 自分で解決できない相手が来たときはきっとそうなる。」

「この辺の連中を倒せるくらいの相手なら
 貸してもらう力としては申し分ない。」

118百目鬼小百合『ライトパス』:2023/02/18(土) 02:01:08
>>117

「言えない事を教えてくれとは言わないよ。
 人様の領分に、気安く踏み込む気は更々ないからね」

「もっとも、懺悔室に『罪の告白』に来るような、殊勝な辻斬りじゃあないだろうけどねえ」

現状、手掛かりは皆無に等しい。
だが、何かを探すという行為は地道な作業だ。
たとえ砂漠で米粒を見つけ出す程度の可能性であろうと、動く事を放棄してしまえば、
本当の意味で可能性はゼロになってしまう。

「難しい案件ではあるけど、アタシは諦めないつもりさ。
 だから、協力してもらえると大助かりだ」

そして、『協力者』を増やせば、その可能性を少しずつでも上げていける。

「ヨハネさん――――アンタ、『酒』も結構いけるクチじゃあないかい?」

別に確固とした根拠がある訳ではなく、単なる勘だった。
ただ、煙草という共通点がある。
吸い方から見て、おそらく彼女も量は多い方だろう。
もちろん喫煙者の全てが酒好きであるとは限らない。
しかし、このヨハネからは、何となく自分と似た部分を感じるのだ。

「場合によっちゃあ、『力』じゃなく、そっちでお礼をさせてもらうよ。
 いい酒を出してくれる店を知ってるんでね」

『協力者』とは別に、『飲み仲間』が増えるのは、それはそれで嬉しいものだ。

119ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/02/18(土) 12:23:59
>>118

「もちろん、後悔している人間を突き放すみたいな真似は聖職者には出来ないさ。」

「…違いない。もし懺悔をしながら辻斬りしてるんだったら
 そいつはとんだ狂人だよ。」
実際にいたらゾッとする話だと言える。
もし実際に来たら自分はどう思うだろうか、とも考える。

「大丈夫さ、出来ることはするよ。
 …フッ、お酒?もちろん大好物だよ。」
口元を軽く吊り上げながら彼女に言葉を返す。
小百合の予想通り、ヨハネはお酒も嗜んでいる。聖職者っぽさはないが、酒もタバコも、ついでに肉も好きなのだ。

「いいねぇ。お礼が楽しみだ。できればシードルが一番いい。
 ついでに肉料理も美味しいお店だとなお嬉しいねぇ。」
タバコを吸いながら嬉しそうに注文をつけてくる。
彼女が酒好きであることもお肉好きであることも聞いて取れるだろう。

120百目鬼小百合『ライトパス』:2023/02/18(土) 19:42:48
>>119

「ハハハ、そうじゃないかと思ったよ」

「『シードル』――リンゴ酒か……。
 アタシは『日本酒』が好きだけどね。
 新鮮な『馬刺し』があると尚いい」

「だけど、アンタとは気が合いそうだ。
 アタシの若い頃に似てる」

笑い返しながら、不意に空を見上げる。
次第に赤みを増していく空の色を。
夕方から夜に移り変わろうとしているのだ。

「なんなら、今から一杯やりに行くかい?
 こんな所にいるって事は『仕事中』じゃあないんだろ?」

「この辺の居酒屋も、ぼちぼち開き始める時間帯だからね」

          ザ ッ

ライターをポケットに収め、路地の出口に向き直る。

「ついでに言うと、ここに倒れてる連中も、そろそろ起き始める頃合さ。
 そうなる前に、さっさと立ち去った方が良さそうだよ」

「『もう一回相手をする』のは、流石に御免被りたいからねえ」

そう言った時、ヨハネには見えただろう。
物陰に潜んでいた一人の男が、百目鬼の背後から忍び寄り、今にも襲い掛かろうとしている。
どうやら『恨みを買っている人間』は他にもいたらしい。
百目鬼が気付いているかは不明だ。
しかし、彼女には『自らのスタンド』を出そうとする様子がなかった。

121ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/02/18(土) 20:35:23
>>120
「馬刺しも嫌いじゃあないよ。
 あれは酒との相性がいい。」
そう言って指差す。
楽しげな会話をしているあたり、酒の話題が弾みそうだ。

「それはそれは。
 若い頃の貴方も、こんなふうな目だったのかい?」
自虐するように冗談を飛ばす。
彼女の目は確かにやや悪く見えるが、顔立ちはまぁ悪くないはずだ。

「大丈夫、今日はお休みだからね。
 まぁ多少羽目を外しても神様は無視してくれるでしょ。」

「こういう縁にはなかなか出会えないからねえ。
 せっかくだからその好意に甘えてみようかな。」
そう言って路地の方に歩いていく。

「あぁ確かに。
 ここにいたら色々ひどい目に合いそうだ。」
と、何気なく別方向を見ると、背後に忍び寄る何者かの存在が見えた。

「……まぁ、背中に目はないから仕方ないね。」
そういうが早いか、

「ゴッド・ノウズ」
そうつぶやくと同時に

ゴッ

背後から鈍い音が響くのが聞こえた。
「神のみぞ知る…ってね。」
小百合が振り向けば、ベールで顔を隠した聖職者のような見た目のスタンドが立っており
背後の男を顔面からぶん殴っているのが見えるだろう。

122百目鬼小百合『ライトパス』:2023/02/18(土) 22:15:07
>>121

        ――――ドサァッ

『ゴッド・ノウズ』の拳が、男の顔面を捉えた。
高速の打撃を正面から受けて、その身体が崩れ落ちる。
まさしく『神業的』な精度により、意識を失ったようだ。

    「ははぁ――――」

         「やっぱり似てる気がするねえ」

背後から響いた音を聞いて振り返り、『ヨハネのスタンド』を視界に収めた。
『聖職者』のようなヴィジョンを見つめる切れ長の目が、僅かに細められる。
それから叩きのめされた男を見下ろし、再び口を開く。

「さっき『この辺は歩き慣れてる』って聞いたからね。
 いや、見事な一撃だったよ」

「実を言うと『それ』が見たかったのさ。
 だから、『気付かないフリ』をさせてもらったよ」

襲撃者の存在を察知できたのは、ヨハネのお陰だった。
彼女の視線を注視していたからこそ、背後に迫る相手に気付いたという訳だ。
しかし、『ゴッド・ノウズ』を確認する為に、敢えて『ライトパス』は出さなかった。

「これで気持ち良く『お礼』が出来る。
 助けてもらったお返しだ。
 今夜はアタシが奢るよ」

       ザッ ザッ ザッ

口元に笑みを浮かべて、ヨハネの先を歩き始める。

「なかなかの『穴場』でね。
 居酒屋じゃなくて『蕎麦屋』なんだけど、いい酒とツマミを出してくれるんだよ」

お互い『酒呑み』同士――――二人の邂逅は『長い夜』の始まりになりそうだ。

123ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/02/18(土) 22:56:48
>>122
「ちょっと危なかったね。
 まぁ、大丈夫そうだったけど」
そう言って小百合に向き直る。

「なんだ、出さなくても大丈夫だったってことかな?
 案外、貴方も見る目がありそうじゃないの。」
もうすでに気づかれていたのだと聞き、感心したように言う。
もしかしたら自分自身の目線がそう思わせたのか。そう思った。

「ほう、助けたかいがあったね。
 それじゃあ早速…ご案内させていただこうかしら」
どこか楽しげにヨハネは歩いていった。


「楽しみだ。
 ちょっと多めに注文させてもらおうかねえ。」

二人はおそらく、居酒屋でとても楽しく話ができたことだろう。

124リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/03/03(金) 05:20:57

人通りの少ない夜中の路地に、一体の『マネキン』が転がっていた。
ゴシック風のドレスを着て、羽飾りの着いた帽子を被っている。
何よりも奇妙なのは、全身をメチャクチャに砕かれている事だった。
『FRP』――強化プラスチック製のボディが、容赦なく叩き壊されている。
まるで『ツキノワグマ』が暴れ狂ったかのように、辛うじて原型を留めている状態だ。

「――――――こんなにされちゃって」

残骸の傍らに佇み、『リトル・メリー』は呟きを漏らす。
無惨に破壊されたマネキンの姿が、人間に裏切られた『姉妹達』の末路を、
否応なしに思い出させる。
作り物の器に宿った『魂』。
その奥底から、尽きる事のない『絶望』と『憎悪』が、溢れんばかりに湧き上がる。
黒い衝動の赴くままに、『意地悪な人間』を片っ端から呪ってやりたい気分に駆られるが、
『仲間』を放っておく事は出来ない。

           ソッ

   「『マダム』に直してもらわなきゃ」

        ズ ギ ュ ン ッ

マネキンに触れて、自らの『魂』を移す。
比率にして『40%』。
『子供並みの力』と『平均的な精度』を与えた。
これで最低限の移動は出来るが、ボディの破損が激しい。
どうしても『鈍足』にならざるを得なかった。

         キョロ キョロ

メリー自身が周囲の安全を確認しつつ、マネキンを連れて移動を開始する。

125大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2023/03/04(土) 07:35:06
>>124 リトル・メリー
そんな夜の路地に、黄リボン付シルクハットを被った緑髪・右青目・左赤目・改造済清月学園黒制服の男装少年(16歳 女子)が通りかかりました。
オオカミ少年の大神さんです。

「週末の大通りを黒猫が歩く♪ 御自慢の鍵尻尾を水平に威風堂々と♪
その姿から猫は忌み嫌われていた♪ 闇に溶けるその体目掛けて石を投げられた♪
孤独には慣れていた、寧ろ望んでいた♪」(澄んだ歌声)
なにやら小声で歌っています。

「はぁ…どうにも今日の『芸』は『稼ぎ』が悪かったな…。
『あなかま様』に呪われたかな…。
『カッコ』つけずにあのお金受け取っておけばよかったかな…」(↓ハスキーボイス↓)
なにやら景気の悪そうなことまで呟いています。

「おや? 今なにか動いたような……」(↓ハスキーボイス↓)
そんな大神さんは通りかかった路地奥が少し気になりました。
何かが動いたように見えたからです。
大神さんはオオカミのように鋭い目を路地裏に向けました。

※通りかかっただけでまだ見つけていない状態。隠れたりしてもオッケー。
 例:隠れる・逆に気を引いてみる・捨てられた人形のふりをしてみる など

126リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/03/04(土) 07:57:46
>>125

大神は路地の方向に目を向けた。
奥の方には、月の光も届きにくい。
だが、何か動いたように見えたのも確かだ。
『勘違い』かもしれない。
『気のせい』という事もあるだろう。

確かめてもいいし、確かめなくてもいい。

127大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】[:2023/03/04(土) 08:56:33
>>126 リトル・メリー
「うん、なにかが小さく動いた気がしたな…」

  スッ……

大神さんは、スマホをポケットから取り出し、ゆっくりと『スマホのライト』を裏路地の方向に向けました。
大神さんは、一気に奥まで照らすようなことはせず、地面を這うように下から段々と、裏路地をライトでゆっくりと照らしていきます。

「…もし『危ない人』なら、『もう襲ってきている』だろう。
気付かれる時点で、『三流の襲い方』だ。
このままスマホを使って助けを呼びつつ、逃げればいい。」

「…もし、『野良ネコ』や『野ネズミ』、『食べ物を漁るゴキブリ』なら、少し驚かせてしまうだろう。
驚いて逃げてしまうかもしれない。
でも、逃げるのは別に悪いことじゃない。 それは、『元気で助けがいらない証拠』だ。
ただ、そうした野生に近い動物は、直接照らされるのが苦手だ。 光を直視して、目を悪くしてしまうケースもある。
だから、向こうからも『光の接近』を確認できるように、こうして下から這うように照らす。」

「…もし、『ケガ人』や『酔っ払い』、『ケガした野良猫』などの『弱い存在』なら、助けが必要だろう。
 余計なお世話かも知れないが、『手遅れ』よりはいい。
 まだ春になったばかりで、夜は冷える。 夜道に置いておいていいものじゃない。」

「…もし、『それ以外』なら……それはその時に考えよう。」
大神さんはそんなことを呟きました。

128リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/03/04(土) 09:39:05
>>127

「――――…………!」

スマホのライトが暗い路地を照らすと、そこには一人の『女』が立っていた。
ゴシック風のドレス、羽飾りの付いた帽子、レースの長手袋。
不意の眩しさを避けるように、顔の前に片手を翳し、
もう片方の手を壁について体を支えている。

    …………ザッ

無論、それは『人』ではなかった。
『魂』を宿す人形である『リトル・メリー』の『分身』だ。
『死後も在り続けるもの』とは、似ているようで根本的に違う。
メリーの『魂』の根源は『謎』に包まれている。
そもそも死んでいるかどうかさえ、定かではないのだから。

       …………ザッ

片足を引きずりながら、女は歩いていく。
その歩みは遅く、足取りは覚束ない。
客観的には、具合が悪そうに見えるだろう。

  (ウフフフフフフフフフフフフフフフフ)

         (――――――『見つかっちゃった』)

咄嗟に姿を隠したメリーは、『この後』の事に考えを巡らせる。
誰か来てしまったのは仕方ない。
しかし、今のメリーは『機嫌が悪い』のだ。
もし相手が『意地悪な人間』なら、有無を言わさず襲い掛かっていた。
『そうでない』なら――――このまま『通り過ぎる』だけ。

          …………ザッ

必然的に、大神に近付いていく事になる…………。

129大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2023/03/04(土) 10:29:02
>>128 リトルメリー
「……失礼しました。」 (紳士的な声で)
『眩しそうに避ける姿』を見て、大神さんはスマホを下ろしました。

「大丈夫ですか?」 (16歳相応の大神さんの本来の声で)
リトルメリーが大神さんに近付くように、大神さんもまた近付き始めました。

「助けは呼んでありますか? ああ、『貴女から頼まれない限り、ボクの方から助けを呼ぶことは、しません』よ。」

「なぜなら、『今の時代はスマホを持っている方が普通』です。
だから、『貴女がまだ助けを呼んでいない』場合、『貴女はスマホで助けを呼べない事情がある』 と察せられる。」

「その上で、『スマホを持っていない・奪われた・電池が切れた』可能性もあります。この場合は、ボクに連絡を頼めばいい話です。」
近づきながら、大神さんはそう声をかけます。

「ただ、『弱ったフリをして襲う強盗』という可能性も拭いきれないでしょう。」
大神さんは、少し不安そうな声でそう言います。

「その上で……こんな話があります。 『とあるCMのお話』です。」
大神さんは、勇気を絞り出すような声でそう言いました。

〜〜〜
 ナレーション「この街には、ふたつのタイプの人がいる」

 ナレーション「嘘をつく人と、つかれる人」

 バーに入ろうとしたある男が、貧相な風体の女になにかのお願いをされている。
 男は女に金を差し出し、友人が待つバーへ入る。

  バーで先に待っていた男の友人はこう言った。

 男の友人「よう、だまされたな。 今の人、病気の子供がいるといっただろ」

 男の友人「あれ、うそなんだ」

  すると、男は微笑んだ。

 ある男「よかった、病気の子供はいないんだ。」

 男たちは静かに乾杯をした。

 (サントリー『ジョニーウォーカー黒ラベル』CM 『病気の子供はいないんだ』編 から引用)
〜〜〜

「……という『お話』です。 この話の元ネタは、『とあるゴルファーにまつわる作り話』だそうです。」
そう一息に言い終えると、大神さんはまたリトルメリーを見つめました。

「貴女は、どう見ても調子が悪そうだ。 だから、ボクは手を貸します。 その上で『病気の子供がいないならそれでいい』 。」
そう言って、大神さんはリトルメリーに手を差し出しました。

「歩くなら、支えますよ。 どこへ行きたいですか。」

「ちなみに今日のボクは『稼ぎが少ない』(>>125)から、襲ってまで取るモノなんて持ってませんよ。」 ← 軽口

あなたは、その手を取っても、取らなくてもいいでしょう。

130リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/03/04(土) 11:23:27
>>129

『マネキンの視界(というのも妙な話だが)』を通して、メリーは目の前の人間を観察する。
こちらが『弱っている』と見て、そこにつけこんでくるような相手なら、それは『敵』だ。
今の状態ではロクな動きが出来ないので、『あの男』のように『力』を持たずとも、
容易く返り討ちにされてしまうかもしれない。
だが、そんな事は関係なかった。
『本体にダメージがないから』ではなく、
『意地悪な人間』はいなくならなければならないのだ。

「『ありがとう』――――」

でも、この人間は『そうじゃない』。
メリーは『優しい人間』が好きだった。
『人間の友達』になる事が、リトル・メリーに与えられた『本来の使命』。
一度裏切られた事で、そこには『歪み』が生じた。
『友達になれる人間だけが残ればいい』という歪な形に。

  「でも、気にしないで」

        「『帰る』だけだから」

             「あなたも気を付けてね」

差し出された手を取らない。
ここは『意地悪な人間』と出会った場所だ。
もしかすると『仕返し』に来るかもしれない。
片方の足を『腐らせた』とはいえ、何をするか分からない『目』をしていた。
それに巻き込んで、傷付けてしまう事がイヤだったのだ。

「――――『悪い人』に見つからないように」

少しずつ、大神の方へ近付いていく。
帽子の下から覗く顔は、異様に白かった。
暗さもあって断言は出来ないが、何となく『生気』が薄いように見える。
体調が悪いせいかもしれない。
しかし、声はハッキリしているので、歩いている途中で倒れるような事はなさそうだ。

131大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2023/03/04(土) 11:57:24
>>130
「そうですか。」
返事を受けて、大神さんは手を引きました。

「あなたも気をつけて。」

「――――『悪い人』に見つからないように」
そう言って大神さんも立ち去るようです……

……が

「……提案なのですが。 『歓楽街』を抜けるまで、ご一緒してもいいですかね。」

「この歓楽街、微妙に治安が悪くて、女性1人では危ないですからね。 あなたも、ボクも。」

「……ああ、こう見えて、ボクは『女』なんですよ。 いわゆる『かよわい女性』です。」

「そして、たとえ女同士でも『一緒の方が安全』というものではないですかね。」

「ああ、断っても構いませんよ。

 『偶然、ボクがアナタの近くにいるだけ』、
 『偶然、ボクがアナタに合わせた速度・歩調で歩くだけ』、
 『偶然、帰り道が同じ方向なだけ』、
 『その方がボクとしても安全というだけ』

そんな話です。 」

そう言うと、大神さんは『リトルメリー』にそっぽを向き、その前を歩き始めてしまいました。
『特に返事を聞かなくてもいいか』という感じで、歩いていきます。 リトルメリーの速度に合わせてなのか、少しゆっくりとした歩みで。

※特に何もなければ、『一緒に歓楽街を出て終わり』の方向で動きます。

132リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/03/04(土) 12:32:53
>>131

  「ウフフ――――――」

      「ウフフフフフフフフフフフフフフフ」

丁度すれ違った時、背中越しに笑い声が漏れた。

「あなた、とっても優しいのね」

「『優しい人』は好きよ」

     ク ル ッ

踵を返し、改めて大神に向き直る。

「いいわ。一緒に『お散歩』しましょう」

「少しの間だけ、ね」

この辺りは、あまり人の目が届かない。
そういう場所で『良くない事』が起こりやすいのは、メリーも知っていた。
実際、『乱暴な人間』がいたのだから。
もし何かあったら守ってあげたい。
そう思った。

   「わたし『メリー』」

話しながら、また歩き始める。
メリーとマネキンが向かう先は『老舗人形屋』。
主人である『マダム』は、『人形』と名の付くものであれば、種類を問わず扱っていた。
それもあってか、時折『曰く付き』の品も持ち込まれる。
リトル・メリーが彼女と関わるようになったのも、似たような経緯だ。

   「さっき、『歌』を歌っていたでしょう」

         「今度は、わたしが聞かせてあげる」

       〜〜〜〜〜〜♪

      「 『青い眼をしたお人形は』 」

  「 『アメリカ生まれのセルロイド』 」

戦前の童謡『青い眼の人形』を口ずさみながら、大神と共に夜道を歩いていく――――――。

133大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2023/03/04(土) 12:46:32
>>132 リトルメリー
「ボクは大神(おおがみ)と言います、メリーさん。
だから、ボクは『優しい人』とかではなく、『ただのオオカミ少年』ですよ。 『少年』で『大神』なのでね。」 

(※ 『優しい人』という『カテゴリ』ではなく、『大神少年』という『個人』でボクを見てくれませんか と言う意味を含む。)

そうしてオオカミと人形は、夜道を歩いていきましたとさ。 おしまい。 どっとはらい。

134美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/03/23(木) 13:24:39

過去に起きた災害の教訓から、『公衆電話の設置場所』は公表されるようになった。
調べる気さえあれば、どこに設置されているかは誰でも分かる。
だが、『番号』を知っている人間は少ない。
『電話機の管理会社』と『警察』。
そして、『美作くるみ』だけだ。

      ズギュンッ

ひっそりと佇む『電話ボックス』を視界に収め、
注意深く周囲を確かめてから、『プラン9・チャンネル7』を発現。
『忘れられた歌鳥』に気を配る者はいない。
だから、これから行う『やり取り』も知られる事はなかった。

  「あなたの『電話番号』を教えてくれる?」

    《ハイ!『××××××××××』デス!》

     「――――どうもありがとう」

『本人』から入手した『番号』をスマホに登録する。
また一つ『カナリア』の『止り木』が増えた。
そして、これが最後。
今、この街に置かれた『全ての公衆電話』を掌握したのだ。
設置台数が激減した事は、裏を返せば全部を確認しやすい。

「これで『プラン』の『第一段階』は『コンプリート』。
 あとは『第二段階』を『第三段階』に繋げれば『オールクリア』ね」

          ドルンッ!

停めてあった旧型の『ヴェスパ』に乗り、
キックペダルを力強く踏み込んでエンジンを始動させる。

「…………いいえ、そこから始まるのよ」

  バ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ

ある種の決意を秘めた呟きを残し、軽快な響きと共に、
エンジン音は遠ざかっていった。

135カナリア『プラン9・チャンネル7』:2023/03/24(金) 16:55:29

星見町内の各所に設置されている『公衆電話』。
普段は意識される事もなく、ただ通り過ぎていくだけの存在。
しかし、『カナリア』にとっては密かな『止り木』だった。

     ジリリリリ…………

            ジリリリリ…………

『電話ボックス』の中に置かれた電話機が『着信』を告げる。
『忘れられた歌鳥の囀り』が響く。
誰かが受話器を持ち上げてくれるのを待っているかのように。

136ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/03/26(日) 01:01:54
>>135
ガチャリ

受話器を取る音が聞こえた。
手に取った人物は、シスター服を着た人物。

「もしもし?」
先程からずっと受話器がなっていたのが気になり、ヨハネはその受話器を取った。

「出張懺悔室はやってないんだがねぇ。
 どなたかしら?」
どこか皮肉めいた口調で受話器の向こうに人物に声をかける。

137カナリア『プラン9・チャンネル7』:2023/03/26(日) 13:34:56
>>136

「――――ハロー」

「『忘れられた歌鳥の囀り』に耳を傾けてくれて、どうもありがとう」

「懺悔をする予定はないけど、ちょっとだけ『お喋り』がしたいと思って。
 それから、電話に出てくれた貴方に、『ささやかなプレゼント』を用意してあるの」

受話器の向こうから聞こえてきたのは『女の声』だ。
しかし、その『音程』は普段よりも低い。
別にボイスチェンジャーを使っている訳ではなかった。
『アイドル』から『パーソナリティー』。
長く『声』に携わってきた経験から、『カナリア』こと『美作くるみ』は、
『自分の声を操る技術』を身に付けている。

「私は『カナリア』よ。
 よかったら、あなたの名前を教えてくれる?」

「あぁ、『本名』じゃなくていいわ。
 私も教えてないんだし、お互いに『秘密』が保たれてないと『フェア』じゃないものね」

「ちなみに、前に話したのが『ウルフさん』で、その前が『ウサギさん』。
 そんな感じで『仮の名前』を決めてもらいたいの」

現在、美作は『星見FM放送』の局内にいた。
今は休憩時間中だ。
窓辺に立って歓楽街の方向を眺めながら、スマホを手にしている。

138ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/03/26(日) 13:54:33
>>137
「ハロー。
 なるほど、ようするに…」
少し考えてから言葉を返す。

「お暇ってわけかしら?
 ちょうどよかったわ。私も暇だったから相手をしていいわよ。」
ひねくれ者っぽい声でヨハネは答える。
暇だったのは確かだ。

「了解よ、カナリアさん。
 私の名前は…そうねぇ」
少し考えてから返事を返す。

「さとるくんとでも呼んでくれない?
 言っとくけど男性ではないわよ。」
ちょっとからかう様子で返答した。
なんだかひねくれた雰囲気を感じる。

139カナリア『プラン9・チャンネル7』:2023/03/26(日) 14:40:41
>>138

「まぁ、ちょっとした『プロモーション』よ。
 私の事を知って欲しいと思ってるの」

「フフ、『さとるくん』ね。
 そんな名前が来るなんて思ってもみなかったわ」

「でも――中々いい『センス』じゃない」

受話器から聞こえる声は、さらに話を続ける。

「実は、私は『ある技術』を持ってるの。
 具体的に言うと『機械に強い』のよ」

そこまで告げると、少しだけ間を置いた。

「その『証拠』は、貴方の『目の前』にあるわ」

懺悔室のように外部から区別されたボックス内で、
鷲津ヨハネの前にあるのは、緑色に塗装された『電話機』。

「『公衆電話の番号』は『非公開情報』。
 『管理会社』と『警察』しか知らない」
 
     「『私以外』はね」

「それを知る事が出来たのは、『私の技術』で入手したからなの」

『スタンド』という表現を使わないのは、相手の事が分からないからだ。
『スタンド使い以外』にも通じるように、『技術』という言い回しを用いている。
実際、機械から情報を取り出す『プラン9』の能力は、どちらかというと『技術寄り』だ。

140ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/03/26(日) 15:21:06
>>139
「じぶんのことをしってほしいねぇ…?
 それが公衆電話に通話ってこと?
 確実性はあるのかねぇ…」
手に取った当人からしても
果たしてうまくいくのだろうかと思えた。

「私みたいな人間以外に触るか微妙なところねぇ。」

「名前について褒めてくれるのは、まぁ悪くないけど。」
ヨハネは目を見ることで相手が嘘をついているか判別できる。
故になんとなく考えた名前である。

「てっきり公衆電話にも電話できるのかと思ってたけど、
 そんな気軽にできるわけじゃないのねぇ。」
ふと、電話機の様子を見てつぶやく

「その言い分だとあなたは管理会社の人でも警察の人でもないってことらしいね。
 …どんな技術なのかしら?」
技術という言い回しに、どこかヨハネは興味を惹かれる。
もしかしたら自分が知るものかもしれないからである。

141カナリア『プラン9・チャンネル7』:2023/03/26(日) 16:06:25
>>140

「もう少し詳しく話すと、『機械から情報を抜き取れる』の。
 ただし、何でもいいって訳じゃないわ。
 色々と『条件』があってね」

「貴方の言う通り、『公衆電話に出てくれる人』は少ないわね。
 でも、だからこそ『私の価値』も高められるのよ」

「『プレゼントを用意してある』って言ったでしょう?
 『幸運の鳥』を見つけた『ラッキーな貴方』だけに、『私の技術を使う権利』をあげる。
 『さとるくん』の為に、『一回』だけ『カナリア』が力を貸してあげるわ」

         プラン
『カナリア』には『計画』があった。

まず、星見町内の『全ての公衆電話』を掌握する。
それを『第一段階』と定めていた。
次に、それらの電話機を利用して、『カナリア』の存在をアピールするのが『第二段階』。
そして、自らの才能――『プラン9・チャンネル7』を活かした『依頼』を受けるのだ。
これが『第三段階』であり、それを果たす事で、
『カナリア』の名前は密かに広がっていくだろう。

『正体』を隠しながら、
『スタンド使い』として『キャリアアップ』する為の『セルフプロデュース』。

「だけど、『公序良俗』に反する事は手伝えない。
 それ以外で良ければ、いつでも『依頼』を受け付けてるから」

もちろん『犯罪行為』に加担する気はなかった。
『モラリスト』である『カナリア』は、
社会に不利益を与えるような事はしないと決めている。
そんな人間に『情報を暴く能力』が目覚めたのは、ある意味では非肉なのかもしれない。

142ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/03/26(日) 17:26:26
>>141
「ふぅん…
 ハッキングみたいなやつ?
 その条件に合致したのが公衆電話ってわけなのかねぇ。」

「価値を高めるねぇ…
 噂を広めてもらうということかしら?」
彼女の言葉に首を傾げる。
自分の持つ能力も、電話越しでは通用せず
底が知れないものだ。

「力を貸すといったけど…
 見ず知らずの相手にはどこまで頼めばいいかわからないわねぇ…
 犯罪行為はしないとしても…『どこまで』できるのかしらね?」
電話越しでの初対面であるため
ヨハネは彼女がどこまでできるかは、まず疑問に思った。

(…その気になれば犯罪もできる力ってことかしらね…これは…)

143カナリア『プラン9・チャンネル7』:2023/03/26(日) 18:10:01
>>142

「よく考えてみて。
 誰もが手に入るんじゃあ『希少価値』が低いでしょう?
 貴方みたいに『カナリアの電話を取った人だけ』が手に入る権利。
 『価値が高まる』っていうのは、そういう意味よ。
 『私と出会えた事そのもの』に『価値』がある」

「俗な言い方をすると、私は『レアキャラ』なの」

「もちろん『何が出来るか』はキチンと説明させてもらうわ。
 まず『条件』だけど、『スピーカーが付いた機械』じゃないとダメ。
 そこにある『電話機』みたいにね」

「『保存領域のある機械』――例えば『スマホ』や『タブレット』なら、
  その中に入っている『データ』を全て確認できる。
 『それ以外の機械』なら、『過去三日間の使用記録』よ」

『プラン9』の能力は他にもある。
『カメラ』や『マイク』の付随した機械なら、
それらを使ってリアルタイムで『情報』を得られるのだが、これは伝えない。
『情報の閲覧』には関係ないし、何もかも明かしてしまう必要はないからだ。

「今から口頭で『メールアドレス』を教えるわね。
 もし『依頼』してくれる時は、そこでやり取りしましょう」

「念の為に言っておくけど、いわゆる『捨てアド』よ。
 貴方も適当なアドレスを取得しておいてくれないかしら?
 何事も『フェア』にしておきたいから」

         ゴソ

休憩室の椅子に腰を落ち着けながら、事前にメモしておいたアドレスを、
スタジャンのポケットから取り出す。

144ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/03/26(日) 19:00:44
>>143
「まぁ、たしかにそうね。
 量を渋ったほうが、価値は高まると言うのはその通りかも…
 神様がありがたがられるのは、全く人前に現れないから、とも言うわね。」
どこかひねくれた言い回しで答える。
一応神職なのだが、わりかし真面目ではないのだ。

「電話機を使わないと無理ってわけね。
 了解したわ。
 …こうして聴くと、まるで都市伝説みたいな条件ねぇ。」
そう言って、いつも持ち歩いているスマホを取り出した。
フリーのメアドはちょうどよくヨハネも持っているのだ。

「了解、準備はいいわよ。
 こっちも貴方の言うメアドをスマホに保存しておくわ。」

145カナリア『プラン9・チャンネル7』:2023/03/26(日) 19:50:35
>>144

「あははは…………確かに『さとるくん』の言う通りかも。
 もし『神様』が簡単に現れたとしたら、ありがたみも薄れちゃいそう」

    「私は、そんなにスゴい存在じゃあないんだけど」

最初の一言が『懺悔室』だった事を思い出し、そういった職業なのだろうかと考えた。
だが、あまり深くは突っ込まない。
こちらも素性は明かしていないのだから。

「それじゃあ、言うわね――――」

メモの内容を読み上げ、こちらのアドレスを伝える。

「『スピーカーの付いた機械なら何でも』ね。
 スマホ・タブレット・パソコン・カーナビ・インターホンとか、
 とにかく『スピーカー』さえ付いていれば、どんな機械でもオーケーよ」

「そういう訳で、今後『私の力』が必要になった時は、連絡をちょうだい。
 実行できるかどうか検討してから、返事をさせてもらうわ」

会話が一段落したところで言葉を区切る。

「そこは『星見横丁の電話ボックス』よね。
 ちょっと後ろの方を見てくれない?」

「最近オープンした『トルコ料理』のお店が見える筈だから。
 テイクアウト出来るビーフ100%の『ケバブサンド』が、『カナリア』のオススメよ」

    「フフ――――この『情報』はオマケしておくわ」

他に何か尋ねられなければ、謎めいた存在である『カナリア』との通話は、
まもなく終わりに向かうだろう。

146ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/03/26(日) 20:12:36
>>145
「滅多に姿を見せないほうが
 その人はなんだか凄い人に見えるってことでもあるわねぇ。
 カナリアさんはまぁ…実際に凄い人かもしれないけど。」
と言って軽く微笑んだ。

「了解了解、アドレスはわかったわ。」

「スピーカーさえついてればねぇ。
 ここまでするのは流石にハッキングの範疇じゃなさそうね。
 了解したわ。
 …とりあえずこっちもアドレスを伝えとくわ。」
そう言ってアドレスを読み上げる。
向こうからの返事が来るとは限らないが
連絡をとりあうのであれば必要となるだろう。


「ふぅん、後ろを見てくれとはね…
 後ろにカナリアさんがいるのかと思ったわ。」
振り向いた先にあったのはトルコ料理店だった。

「…ちょうどよかったわ。
 ケバブサンドは大好物なのよ。
 ついでにお酒も良いのがあったら最高ね。」
そう言って笑う。

「フッ、このまま話してたらあなたのことを探りたくなりそうね。
 何かあったときに連絡するわ。」
ヨハネは笑いながら答える。
このままカナリアとの通話は終わりに向かう事になるだろう。

「それじゃ、またね。
 …次に会うときは力を貸してもらうときかしら。」
そこまで言って、彼女が通話をきるのを待った。

147カナリア『プラン9・チャンネル7』:2023/03/26(日) 20:46:38
>>146

「あら、それは良かったわ。
 お肉の漬け込みから焼き上げまで、『丸二日』掛けて仕上げるそうよ。
 スパイシーだから、お酒との相性もバツグンなの」

『さとるくん』のアドレスをスマホに登録しておく。
こちらからコンタクトを取る可能性は低いが、全くないとも言い切れない。
それに、あって困るものでもなかった。

「フフフ、私の事は『秘密』にしておくわ。
 さっきの神様の話じゃないけど、素顔を見せない方が演出としては効果的だから。
 『覆面アーティスト』みたいなものかしら」

「でも、何だか『さとるくん』には暴かれちゃいそう。
 『正体』がバレる前に退散しなきゃ」

冗談めかした言い方だが、『さとるくん』という名前からは、
本当に見抜かれてしまいそうな印象を覚えた。

「お喋り出来て楽しかったわ。それじゃ、ごきげんよう!」

     ツー ツー ツー

『別れの挨拶』と共に通話を切る。

「――――『ここから』ね」

       スッ

手の中のスマホを見下ろし、椅子から立ち上がる。

「『カナリア』は、ここから始まるのよ」

窓の外に広がる街を眺め、
『スタンド使い』としての『新たな挑戦』に、胸を高鳴らせる。

148美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/05/01(月) 07:23:46

昼食時を少し過ぎた星見横丁。
その日は『仕事』で来ていた。
といっても『ラジオ』ではない。

       「奥まった場所に暖簾を掲げる、
        知る人ぞ知る名店がこちら!」
 
    「蕎麦処『天狼』!」

「現代的なビル群の中に佇む風情のある店構え。
 時代が変わっても変わらないものがここにある。
 そんな雰囲気が伝わってくるお蕎麦屋さんです。
 なんと創業は明治時代という老舗で…………」

『テレビの仕事』だった。
カメラ・音声・ディレクターが同行している。
テレビ撮影にしては少数だが、それもそのはず。
テレビはテレビでも『ケーブルテレビ』で、その『自主制作番組』。
『地元の隠れたスポットを紹介する』という趣旨だ。

「――――天狼さんのお蕎麦は、蕎麦の実の殻を入れて挽く『黒蕎麦』。
 蕎麦らしい風味が強く感じられ、
 しっかりしたコシで確かな歯応えがあるのが特徴です」

「さぁ、私くるみは『天ぷら蕎麦』をいただきましょう!」

        ズズ…………

  「蕎麦の味が、とっても力強いですね。
   これだけでも食べられちゃいそうです」

    「スッキリしていて、それでいてコクの深いつゆが、
     長い歴史を感じさせてくれますねぇ」

            サクッ

「そして、揚げたての『天ぷら』ですよ!
 素材の持ち味を最大限に引き出した滋味あふれる味わい――――」

『テレビ映りが良くて喋れる人材』が必要とされたが、
予算が少ないので、あまり有名人は呼べない。
そこで『美作くるみ』に白羽の矢が立ったのだ。
小さなケーブルテレビ局ではあるものの、
久し振りの『テレビ出演』という事で、かなり気合が入っていた。

「こちらには、お酒を飲みに来るお客さんも多いそうです。
 天ぷらを肴に晩酌をして、蕎麦で〆るなんて粋ですねぇ。
 そんな楽しみ方も出来る蕎麦処『天狼』さんでした!」

      以上が『昨日の出来事』だった。

  「『昨日』は久し振りだったから、
   ちょっと気負い過ぎちゃってた感じはあるわね」

     「次は、もう少しリラックスしなきゃ」

        「――――『次があれば』の話だけど…………」

今日は『プライベート』だ。
だが、『昨日の撮影』を見ていた人間がいたとしても、何ら不思議はないだろう。
そして、今この瞬間に出くわしたとしても、別におかしな事ではない。

149美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/05/04(木) 04:24:08
>>148

       テト テト テト テト テト

「…………ん?」

路地の奥から姿を現したのは、一匹の『海獣』だった。

     「ミャー」

         「あ…………」

『ラッコ』である。
以前、自分の番組で紹介した事があるので、よく覚えていた。
しかし、こんな場所に出てくるものだろうか。
常識的には絶対に『NO』だ。
どう考えても奇妙なのだが、このラッコは『スタンド使い』らしいし、
その能力と関係しているのだろう。

「『ブーム』は過ぎちゃったし、ちょっとだけ私と似てるのかもね」

        「ミャア」

「でも、あなたはあなたで私は私。
 それはずっと変わらない」

     「ミャッ」

美作の言葉に答えるように鳴くラッコ。
通じているのだろうか?
いや、おそらく違うだろう。
だってラッコなんだし。
人は人であり、ラッコはラッコである。

「えっと…………何かしてあげられたらいいんだけど…………」

       テト テト テト テト テト

思案しつつ辺りを見渡していると、その間にラッコは緩やかに歩き始めた。
『鵺鳴川』の方向へ向かっているようだ。
水辺を目指している事を察し、後をついていく。
人は人であり、ラッコはラッコ。
それでも、共に生きていく事は不可能ではない――――。

150百目鬼小百合『ライトパス』:2023/05/25(木) 16:53:18

蕎麦処『天狼』は、明治時代に創業したという老舗の蕎麦屋だ。
風格の漂う古風な店構えで、目に付きやすい表通りには面しておらず、
さながら隠れ家のように佇んでいた。
蕎麦の実のデンプンを主体とした白い蕎麦ではなく、
豊かな風味とコシの強い歯応えが特徴の『黒蕎麦』を出す。
この黒い色は『蕎麦の実の殻』を利用している事に起因する。
多量に使うと『えぐみ』が目立ってしまうが、
蕎麦を熟知した職人がバランス良く使えば、
絶妙な『隠し味』として活きるのだ。

いわゆる『知る人ぞ知る店』だが、
つい最近『ケーブルテレビ』で紹介されたらしい。

151百目鬼小百合『ライトパス』:2023/05/28(日) 20:02:41
>>150

店内の一隅に座る年嵩の女がいた。
名は『百目鬼小百合』。
『天狼』の常連客である。

   ――――――コトッ

まもなく一人の男が酒器を運んできた。
この店で働く『蕎麦職人』だ。
年齢は三十代半ば程だろうか。
一見すると堅気風に見える風貌だった。
反面、どこか達観したような雰囲気が窺える。

  ……………… ……………… ………………

盃の傍らには『肴』が添えられている。
折り畳まれた一枚の紙片だ。
おもむろに手に取って、中身に目を通す。
『反社会的勢力』の名前と、そこに属する人名。
それらに関する最近の動向が走り書きされていた。

「生きの良さそうなのが揃ってるじゃないか」

       グ イ ッ

紙を懐に収め、日本酒を注いで一息に呷る。
まだ引退するには早い。
この世を騒がす者達がいる限り、『鬼の小百合』の戦いは続く。

152トロイオンス『ライヴ・イン・リッチモンド・VA』:2023/06/13(火) 23:32:21

ボテ  ボテ   ボテ


表通りを少し離れた路地。なにものかが歩んでいる。

153三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2023/06/14(水) 20:55:36
>>152

「お〜〜〜?」

        チチチチチ……

通りがかったのは壮年という年頃をしたスーツ姿の男性であった
彼は路地を歩むなにものかの姿を見ると、差出した指先をくしゃくしゃと動かしながら
啄むような音でなにものかの興味を引き付けようとしている

154トロイオンス『ライヴ・イン・リッチモンド・VA』:2023/06/14(水) 21:20:32
>>153

  >チチチチチ……


『豹柄の猫』が視線をくれる。
野良特有の、雨風や地面に擦れた毛並みををしているが、
体躯はやや大きめ……というかデブ。

立ち止まってスーツ男性のほうを
"そこの人間の仕業ですか?"と言いたげに見やっている。

155三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2023/06/14(水) 21:32:54
>>154

「わ・・・・! 遠くから見たらそんなでもなかったけど
 こうやって、よ〜く見ると凄いおデブな猫ちゃんだねぇ」

帰宅途中のため、遊び道具の類は持っていないが
代わりに指先をゆる〜く動かす事でねこじゃらしの真似をしている

「ほ〜ら。こっちこっち」

左手がスーツのポケットへと伸びる
取り出した物は長方形の金属板・・・・・スマホだ

156トロイオンス『ライヴ・イン・リッチモンド・VA』:2023/06/14(水) 21:49:00
 ボテ ボテ

………『直線』ではなく『斜め前』へ歩む。
"私は猫ですが特にそういった物には興味ないですが?"
的なすました顔で横を通り過ぎようとしているが、
ときおり立ち止まり、三角形の耳を人間へと向けている。

157三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2023/06/14(水) 21:58:48
>>156

「う〜ん。ふてぶてしい態度だなぁ」

   カシュ
           カシュ

構えたスマホで写真を撮る
残念ながら、動いているせいか解像度が悪く、よくわからない置物にしか見えない

「食べ物でもあれば少しは違うかな?」

 ひょい

             ひょい ひょい

男はさらに鞄の中を漁る
跳び出してくるものは、猫にとってはよくわからない仕事道具の類がほとんど

「おっと?」

不意に、鞄の中から甘い匂いがする物が飛び出してきた
それはどうやら包装された焼き菓子のようだ

「本当は餌付けとかは駄目なんだけどねぇ」

男は改めて右手に焼き菓子を構える

158トロイオンス『ライヴ・イン・リッチモンド・VA』:2023/06/14(水) 22:39:48
>>157
人間が鞄を漁り始めたあたりから、
猫の歩みは遅くなり、チラチラと視線を送っている。
ときおり鞄から覗く、ペンやら革製品やらを、
首を上下させて注視したりしていた。

 >菓子

猫が完全に立ち止まった。目をやや見開いている。
”それは食べ物ですか?猫のものですか?人間は猫のことを騙しますか?”
的表情。尻尾だけが緩やかに動いている。

159三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2023/06/14(水) 22:49:54
>>158

「食らいついてきたねぇ」

 ひょこ

               ひょこ

猫の目の前で焼き菓子が大きく左右する
相手を誘い出すための『疑似餌』のように
または、頭から吊るされるニンジンのように

このまま行けば、容易にこの菓子が手に入るだろう・・・・その瞬間!

          パシュッ!

男が掲げたスマホからフラッシュ光!
先ほどとはモードが違うのだろうか。猫にとっては不意討ち気味の一撃だ

160トロイオンス『ライヴ・イン・リッチモンド・VA』:2023/06/15(木) 00:10:36
>>159
> ひょこ
< ひょこ

 首を動かして菓子を凝視している。
 金色で彩られた派手な首輪がちゃり、ちゃりと鳴る………
 
 前足を上げ、菓子に接触しようかな………という気配を見せた、
 ……その時!

 > バシュッ


唐突なフラッシュに"ウアアアアワアアアなんだ人間ふざけるな!?"的な形相で飛びのく猫。
それと同時に、

    ズォ

  「フーーーーッ   フーーーッ」
  「シャアーーーーーーーー」

猫の前に現れる、『豹柄の上着』を纏った、これは………『人型スタンド』!
両手で引っ?くような動きで、
人間(三刀屋)の『スマホ』を叩き落とそうとしている(ス精CC)!

161三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2023/06/15(木) 00:36:44
>>160
        バシュッ

「あ・・・・しまっ・・・・・」


  「フーーーーッ   フーーーッ」
  「シャアーーーーーーーー」

                   「たっ・・・・・!?」

スマホが発した閃光。それはどうやら彼にとっても本意ではなかったようだ
誤動作した機器に驚きの声を上げ・・・・・その言葉は途中から更なる驚愕に塗りつぶされる

猫が放った『スタンド』の姿を男は『見る』

「・・・・・困るなあ
 壊されると高いんだよねぇ、最近のスマホは」

   バッシィィッ!

スマホを叩き落すために振りかざされたスタンドの手を
男の腕から分離するように現れた半透明の手がはたき返す!
言うまでもなく・・・・これはスタンドだ!

162トロイオンス『ライヴ・イン・リッチモンド・VA』:2023/06/15(木) 21:13:24
>>161
 スカッ

『豹柄のスタンド』の手が宙を空振る。
猫のほうはというと、
みじかい前足をまげて屈みこみ、
人間の腕と、そこから現れた『スタンド』を睨んでいる。
警戒からか背中が毛羽立ち、もこもこだ。

 「…………」

ちらちらと菓子のほうも見ている

あッ『豹柄のスタンド』が菓子をもつ手の方に腕を伸ばしてきた(スC)!
人型スタンドらしからぬ猫パンチの動き。

163三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2023/06/15(木) 22:29:55
>>162

「ごめんね。悪気があったわけじゃあないんだ」

男は苦笑いを浮かべながら、指先で頬を掻く
視線は猫へと、そしてその『スタンド』へと向けられている

「・・・・おっと!」

咄嗟に伸びてきた『スタンド』の腕をかわすように腕を引っ込める
その拍子に焼き菓子がポロリと地面に落下していく・・・・!

164トロイオンス『ライヴ・イン・リッチモンド・VA』:2023/06/15(木) 23:05:31
>>163
「……」

『豹柄のスタンド』は屈みこむと、菓子を転がし、

   スンスン

猫は菓子に鼻を近づけたり、前足でつついたり、
偶に人間の身じろぎに反応して後ずさったりしていたが
やがて、”これは猫の食べるものではありませんね 人間はばかだなあ”
という顔で座り直し、

 『 ンガぁ〜〜〜 』
 
 ムシャァ ――ッ

『人型スタンド』のほうが四つん這いで菓子を食っている。

とりあえずデブ猫は静止しているし、
逃げる様子もないのでシャッターチャンスだ。
『透明な何かに喰われて減っていく菓子と、眺めるネコちゃん』
の動画が撮れるだろう。

165三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2023/06/15(木) 23:42:25
>>164

「ふぅん・・・・」

放り出された菓子を食べる『人型スタンド』(四つん這いで怖い)と
傲慢な表情で座りなおす猫の姿を興味深そうに眺める

「少し興味深い光景だね
 普通の猫であれば、こういう時は素直に御菓子を食べるものだ・・・・」

スマホのカメラは地面へ向けられている
写真撮影よりもちょっとした推理を優先しているようだ

「例えば、保健所の罠にかかって警戒心が強くなってるとか
 あるいは、何らかの事情でお菓子を食べられない、とか
 そういった可能性も考えられるけど・・・・」

「そうだとしたらさっきまでの態度はおかしい
 もっと人間に警戒心を持つだろうし、お菓子になんて興味も持たないだろうしね」

ゆっくりとスマホを猫に向ける

「だとすると、結論としては
 彼(彼女?)は誰かの家の『飼い猫』で、この程度の御菓子には興味がない・・・・とか?」

「それはそうとシャッターチャンスいただきっ」

     パシャッ!

再びのシャッター音
今度はデブっとした猫を画角におさめるように、だ

166トロイオンス『ライヴ・イン・リッチモンド・VA』:2023/06/16(金) 00:21:15
>>165
ガツ ガツ
 『グフゥーーーーー』

スマホの画面にみちみちに収まっている太っちょの猫。
背中やお腹の硬貨大の模様に『真円』に近いものがあり、目立つ。

金色に飾られた首輪や、猫自信や『スタンド』の『柄』も
だれがどう見ても『ゴージャス』なのだが
(お手元のスマホで『豹柄 ねこ 相場』などと調べてみると良いかもしれない)
そのゴージャスな首輪についた傷や、
すこし荒れた毛並みが『野外生活』を思わせ、
……思わず推理してみたくなる『謎めいた雰囲気』だ。

  ペロ

口元を舐めるネコちゃんがカメラロールに収まる。
まるで自分がオヤツでも食べ終わったかのような顔つき。

167三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2023/06/16(金) 00:41:05
>>166

「う〜ん・・・・なかなかに興味深い対象ではあるけれども」

スマホの画面に納められたファットなキャットの姿を満足げに見つめる
豪奢を尽くした首輪と荒れた毛並み、来歴を推測したくなる材料はいくつかあるが・・・・

「今日のところはこれくらいにしておこうか
 じゃあね。猫ちゃん。なかなか面白い体験だったよ」

そう言うと男は身支度を整えてこの場を去って行った

168トロイオンス『ライヴ・イン・リッチモンド・VA』:2023/06/16(金) 00:56:37
>>167

    ………   ニャ


ボテ  ボテ ボテ

去り行く人間を一瞥すると、街路を抜けてゆく。
『トロイオンス』は縄張りを持たない。

169???『???』:2023/06/17(土) 19:38:11

『何か』が歩いている。

     ヒタヒタヒタ

『人間』ではない。

     ヒタヒタヒタ

『動物』でもない。

     ヒタヒタヒタ

『スタンド』だ。

     ピタッ

『オオカミのスタンド』。

     クンクン……

『匂い』を辿るような動きを見せている。

170トロイオンス『ライヴ・イン・リッチモンド・VA』:2023/06/17(土) 23:18:52
>>169
『縄張りを持たない』とは言ったが再訪はする。
"あのオヤツくれる人間もっぺん来とらんか?"と、
ちょっと賢い動物なら考えついちゃうわけだ。

 「…………!」

太っちょ猫がやってきた。先客に目を見開いてびっくり。

171???『???』:2023/06/18(日) 00:03:51
>>170

鋭い『牙』と『爪』を持つ四足の獣。
そのフォルムは遠目からだと犬にも見えた。
しかし、やはり『オオカミ』だ。

       ――――――ピクッ

『こちらが見えている』。
それに気付いた『オオカミ』が足を止める。
観察するように猫を見つめているが、何かしてくる様子はない。

    ジィッ………………

しばし無言の時間が流れる。

172トロイオンス『ライヴ・イン・リッチモンド・VA』:2023/06/18(日) 00:33:13
常識的に、多くの猫は『オオカミ』を知らない。
『オオカミ』の生息域と『イエネコ』の住まいが交わることは少ないわけだし、
ましてや『日本』で『オオカミ』に会えるのは動物園だけだ。
更に、『トロイオンス』は最近まで『室内飼い』で常識がない。

 「…………」

沈黙。交わる視線。

常識的に、多くの生命は『スタンド』を知らない。
入念に表社会から隠匿され、たとえ存在を知ろうと『非能力者』は目視できない。
ましてや『猫』の『能力者』は、稀だ。
更に、『トロイオンス』は最近まで『非能力者』で常識がない。

  「フーーーーッ!!!フガガガガガガガガ!!!!! 」

"ウオーーーっ 『犬』!!!!"
とテンパっているののかなんなのか、『威嚇』を始めた!!!!

 「―――――――ウニャナヤニャニャ!!!!ヌ゛ア゛!!!!!」

173トロイオンス『ライヴ・イン・リッチモンド・VA』:2023/06/18(日) 00:34:27
>>171

174生駒駿介『スヌーピィ・トラック』:2023/06/18(日) 00:59:31
>>172

        バ ッ !

猫が威嚇した直後、警戒するように『オオカミのスタンド』が後方に飛び退く。
スピードも身のこなしも平均的で、ずば抜けたレベルではない。
数メートルの距離を保ったまま、丸々と肥えた猫を見つめている。

「何を言ってるかは分からないけど――――」

寂れた路地の中で一人呟く。

「『ものすごく興奮してる』のは伝わるな」

『男』だった。
年の頃は二十代後半から三十代前半。
『現場』から『数十メートル』離れた物陰に立ち、壁に背中を預けている。

「しかし、『動物のスタンド使い』とはね」

        ムシャ…………

手にした『ピーナッツバターのサンドイッチ』を齧る。

「連中の足取りを追っていて、思わぬ『ネタ』に出会えたみたいだ」

男の名は『生駒駿介』――――『フリージャーナリスト』だ。

175トロイオンス『ライヴ・イン・リッチモンド・VA』:2023/06/18(日) 01:38:19
>>174
退いた『犬(オオカミのビジョン)』と『人間』を、
口を半開きにし、にゃうにゃう鳴きながら見比べている。
(この猫、明らかにスタンドを『目視』している)

"人間!?人間はこれの飼い主ですか?なんとかしろ"
的な表情。興奮というよりは『ビビって虚勢を張ってる』かんじだ。


生駒の観察眼からは、
『太ったヒョウ柄の猫』
『金色のアクセがいくつもぶら下がった首輪。
 名前か何かが描かれていそうだが……』
…これくらいの情報は見て取れた。

『スヌーピィ・トラック』の嗅覚越しに、
『オヤツから人間の残飯から幅広く、食い物の香り 
 屋外を走り回っていそうな、泥やアスファルトの臭い』を感じ取る。

176生駒駿介『スヌーピィ・トラック』:2023/06/18(日) 02:07:43
>>175

「見た目は完全に『飼い猫』だけど、
 匂いから推測できる生活環境は『野良』に近い…………」

「『金持ちの家から脱走した』っていうのが一番ありそうな話かな。
 飼い主が捜してるなら金一封がもらえそうだ」

「まぁ、過度な期待はしないでおこうか」

『スヌーピィ・トラック』の射程距離は『50m』。
ゆえに本体である生駒が、わざわざ姿を現す必要はなかった。
十分な距離を取った位置から、
『スタンドの視聴覚』を通して『トロイオンス』を観察している。

    「うわっ!」

       「なんだ猫か…………。
        ずいぶん大きい――っていうか太った猫だなぁ」

すなわち『現場に現れた人間』は『一般人』だった。
どうやら、たまたま通りかかっただけらしい。
怪訝そうな顔で通り過ぎようとしている

  「とんだ『とばっちり』か。彼も災難だね」

         《グルルゥ》

      「だけど、ちょっと『利用』させてもらおうかな?」

                ダッ!

『通行人』と逆方向から『オオカミのスタンド』が『猫』に接近!!
すれ違いざまに、首輪に書かれた『名前』を読み取るのが狙いだ。
成功したかどうかに関わらず、足を止めずに通過したい。

177トロイオンス『ライヴ・イン・リッチモンド・VA』:2023/06/18(日) 03:17:42
>>176
そのへんの人間が
『ねこがなんか言ってる…幽霊でも見えてるのだろうか…』
と足早に去っていく様子に、

「??????????????」

 >ダッ!

"解せぬ"といいたげな表情。
それゆえに『犬(オオカミ)(のスタンド)』の接近への対応も遅れる。

 「 フシュ  ――――ッ 」

『毛皮の上着の人型スタンド』が現れ『オオカミ』に手を伸ばすが、
生駒の目的は『接触』ではなく『接近』!
触れられることなく『目的』を達成する。

  チャリ  
    キラ  キラ

どこが首でどこが胴なのかが分かりにくい丸めのシルエット、
その首……首?に装着された帯に下げられた、
大小さまざまの、金銀の円盤……
『硬貨』や、『太陽や月、その蝕』を模したような飾り、
その一つに

       31.1035

と記されているのを確認できた。
住所や電話番号など、普通であればありそうな
『飼い主に繋がる手がかり』は見受けられない。

178生駒駿介『スヌーピィ・トラック』:2023/06/18(日) 04:10:55
>>177

「『数字』?『意味ありげ』ではあるけど…………」

      《グルルル》

「これだけじゃあ何とも言えないな」

役に立つかは別として、一応『メモ』だけはしておこう。
『今追っているネタ』ではないが、どこでどう繋がるか分からないのだ。
情報は多いに越した事はない。
どちらかというと『数字』よりも『猫が出したスタンド』。
こっちの方に興味をそそられる。

  「しかし、まさか『人型』とは。
   『猫』が『人の形をしたヴィジョン』を――――」

       「…………いや、僕が言える立場じゃあないか」

他ならぬ生駒自身、何の因果か『オオカミのスタンド』を発現させている。
だから『動物から人型のスタンドが生まれても不思議はない』と納得できた。
ある意味、自分とは『対照的』な存在かもしれない。

「君に『興味はある』。
 だけど、今日追いかけているのは『猫』じゃなくて『人』だ」

       《グルルッ》

              ザッ

「『寄り道』は程々にして『追跡取材』に戻らせてもらうよ」

『トロイオンス』とすれ違った『オオカミ』が、背中越しに振り返った。
低い唸り声を上げる口元からは『牙』が覗くも、襲ってくる気配はない。
再び四足で地面を蹴り、その場から立ち去っていく…………。

179御子神『イン・ジャスティス』:2023/06/19(月) 15:56:35
    サルーン
ここは『酒場』・・・・滾らせた野心を瞳にギラつかせる男達の溜まり場
薄暗い店内には乾いた空気が満ち、明日への活力を求めてグラス一杯の酒が飲み交わされる

   カランコロン・・・・
                 チャレンジャー
今――――この店に新たな『 男 』が入って来た
   マント
黒い外套に身を包んだ長身の男だ
闘志に満ちた精悍な顔立ち、筋肉質の身体
一種異様ささえ感じられるその身構えにどこからともなく ひゅうっ! と口笛が鳴らされる

あなた(>>180)はこの店のどこかにいるのかもしれないし、
男の後ろから店に入店してきたのかもしれない

180水無月平治『レゾナンス』:2023/06/19(月) 19:05:41
>>179

   〜〜〜♪
         〜〜〜♪

まるで『御子神』の入店を歓迎するかのように、
『酒場』の片隅から『タック・ピアノ』の音色が響き始める。
鋲打音の魅せるアップテンポな調べが男達の会話に華を添える。

  「(慣れた振る舞いだな、……常連か?)」

タック・ピアノを奏でるのは黒髪を伸ばした陰鬱そうな男だ。
『御子神』に視線を巡らせてから、再び鍵盤の上に細い指を走らせる。

  「(そうなると、ここは『観』に回るとするか)」

珍しいピアノがあると噂を聞いて店に訪れるも、イマイチ勝手を掴み兼ねる雰囲気だ。
辛うじて解るのは調度品かと思われたタック・ピアノはキチンと調律が為されており、
マスターに問い掛ければ二つ返事で演奏の許可を貰えたということだけだ。

  「(客層は荒っぽく見えるが、思ったより静かな雰囲気だ。
    ……この店は果たして、『あの人』に相応しいか……判断させてもらおう)」

飲食店レビューアプリでは解らない『生の雰囲気』を確かめるべく、
まずは黒衣の男が店内でどのように振る舞うか、まずは観察をさせてもらう。

181御子神『イン・ジャスティス』:2023/06/19(月) 19:23:55
>>180

「・・・・・・。」

男はちらりとピアノに向けて一瞥を加えると、改めてカウンターへと向かう
この店のマスターは寡黙な男ではあるが礼儀を弁えた男でもある
どこか別の街の匂いを色濃く残す男に対しても何ら躊躇う事無く、相対している

数分後、男は一杯のウイスキーを手に持ち、ピアノの前・・・・最前列ともいえる席に着く
どっしりと腕を構えながら、時折喉を湿らせる程度に杯を取る
両目が瞼に閉ざされ、どうやら水無月の演奏に聞き入っている様子だ

182水無月平治『レゾナンス』:2023/06/19(月) 19:40:34
>>181(御子神)
この酒場はレストラン・サロンのような上等な空間ではない。
珍しい音色が奏でられようと、客達は一瞬だけピアノを注視するも、
すぐに視線を外しては四方山話に華を咲かせている。

酒杯を掌内に包んだ黒衣の男だけが例外だった。
一人での来客というのもあるだろうが、酒と共にその身に浸透させるように、
己の演奏に聴き入ってるように見えた。

  「……落ち着かれましたか?」

演奏を終え、拍手一つ響かぬ店内にて黒衣の男へと歩み寄る。
興味が沸いた、というのが事実だった。グラスを片手に男の隣へと腰掛ける。

183御子神『イン・ジャスティス』:2023/06/19(月) 19:53:25
>>182

この店の客層は主に荒々しい男達で占めている
音楽性・・・・芸術を解す者は少なく、酒と煙草の強い刺激が彼らの意識を占有する

   パチ・・・

            パチパチ・・・・

拍手は、『一つ』だけ響いていた
他の誰もが見向きもしない水無月の演奏に、黒衣の男のみが小さく拍手を送る

「良い・・・・演奏だった」

腰を少し浮かせて、水無月が座るスペースを空ける
グラスの中で氷がからりと音を立てる

「この街に来て初めて心を落ち着かせる事が出来た・・・そんな気がする」

よく見ると男の外見はどこか薄汚れており、
外套に積もった砂埃にはどこか旅の気配を感じる

184水無月平治『レゾナンス』:2023/06/19(月) 20:05:35
>>183(御子神)

   パチ・・・

            パチパチ・・・・

――――否、小さな拍手が耳を打った。
飾り気のない賞賛の言葉が響く。小さく会釈をする。

  「此方こそお礼を。
   ……今この場にて、『奏者』になれましたから」

『立場』の確立には安堵を覚える。
それが底辺であろうと頂点であろうと。『位置』が決まって初めて落ち着ける。
理由は異なれど相手も同じようだ。年季を感じる外套は放浪の気配を醸し出していた。

  「失礼ですが、どちらから来られましたか?
   ……もしかして、旅の最中……。いや、そんなわけはないか」

危うく黒衣の男の雰囲気に飲まれていた。問い掛けるままの言葉を自ら否定する。
見たままの『旅人』と呼ぶべき服装背格好、現代に比べれば遠い世界のはずだ。

185御子神『イン・ジャスティス』:2023/06/19(月) 20:37:50
>>184

「『辺石町』・・・・それが己(おれ)の故郷の名前だ
 流石に知らないとは思うが」

――――『辺石町(へんごくちょう)』
十数年前に町長が何らかの汚職で逮捕された事でニュースになった地方都市であるが
そんな話題は数多くの情報が濁流のように流れるこの国においては大した比重を持たないだろう

「己は流れ者だ」

「だが、旅の途中というのは正しい言葉ではない
 己の旅は『この街』で終わりを迎えるのだから」

グッと酒を呷る

「・・・・・この街に、人を探しに来た
『己の息子』だ・・・・」

186水無月平治『レゾナンス』:2023/06/19(月) 20:59:58
>>185(御子神)
>「『辺石町』・・・・それが己(おれ)の故郷の名前だ

  「……初めて聞きました。九州か、北海道ですか?」

素直な感想を告げ、世間話ほどの温度で仔細を問う。
流れ者、という言葉を聞けば遠い彼方の地であると推察する。

  「何にせよ、遠くから来たのですね。
   この町に来たのは……」

『観光』? 『フィールドワーク』? いずれも目の前の男には似つかわしくない。
知らぬ町が何処にあるか、そう問うよりも困難だ。それほどに黒衣の男は謎めいている。
投げ掛ける言葉を放棄した時、男の言葉が己の耳を疑った。

>「・・・・・この街に、人を探しに来た
>『己の息子』だ・・・・」

  「そ、そうですか。……あの、離婚された、とか?
   ……そりゃあ、会いたいですよね」

虚を突く答えだった。眼前の男の年齢を想像する。
二十代後半、三十には届かぬほどか? そうなると三歳かそこらか。
いずれにせよ『探しに来た』という言葉が引っかかる。『会いに来た』ではない。

187御子神『イン・ジャスティス』:2023/06/19(月) 21:49:45
>>186

「・・・・遥か北の地だ」

水無月が『辺石町』について聞くと、男は一言だけぼそりと呟いた
不機嫌になっているわけではなさそうだが、語るべき事でもないと考えたのだろうか

>「そ、そうですか。……あの、離婚された、とか?
> ……そりゃあ、会いたいですよね」

「・・・・・わからない」

『離婚』という言葉に、男はその一言を返す
男の年齢は20代後半くらいに見える・・・・しかし、頭を覆う毛髪は老人のように真っ白だ
眉間に刻まれた皺は、男が辿って来た経験を示すように深い

「すまない。己にはわからないのだ
 あの日──神隠しにでもあったかのように、己の家族は姿を消した
 生きているのか、死んでいるのか、それすらも定かではない」

「──だが、己にはわかる
 息子はきっと生きている・・・・この街に来た事は『間違い』ではないのだと肌で感じる」

そう語る男の顔つきは、何かを『確信』しているように見える

「生きていれば12歳になるだろう
 雪の様に白い髪が特徴的な──我が子だ」

188水無月平治『レゾナンス』:2023/06/19(月) 22:59:36
>>187(御子神)
遥か北の地、と答えられるもそれ以上、この話題は続かなかった。
無論、核心と呼ぶべき話題の方に興味が引き寄せられているからだ。

>「・・・・・わからない」

不躾な質問だったか、と謝罪しようとしたが、続く言葉にそれさえも飲み込む。
『わからない』。それは此方も同じだった。狐に摘ままれたように不可解な説明。
『生きているのか死んでいるのか』、その締めくくりにもまた一筋縄ではいかない深遠な事情を感じられる。

  「見つかると、いいですね。
   ……俺は、誰かと離れ離れになったことなんてないですけど、
  それでも、『会いたい』と思う気持ちは解ります」

  「傍にいなければ、心が締め付けられる。
   俺の目に見えない時、彼女は何を考えているのか。
   誰にその笑顔を見せているのか、――――『安寧』はない」

  「俺の『音楽』は彼女と同じく、貴方にとっても一時の安らぎでしかない。
   貴方はその安らぎには留まらない。……きっと、会えますよ。
   ……なんて、俺が言うまでもないでしょうけれど」

遠く離れた地から旅を続け、この町が特別である理由などあるのだろうか。
いずれにせよ、その言葉からは己を疑わない『確信』が滲み出て止まない。
まるで絶対なる指揮に従う時に身を支配する『会心』を、彼は掴んでいるのだろう。

  「さあ、せめて旅人を送り出す『時打つ鐘』を奏でさせてください」

カウンターから離れ、『タック・ピアノ』の傍へと近寄る。
奏でられる曲は静けさを帯びて、男の背を押す北風のようだった。

189御子神『イン・ジャスティス』:2023/06/19(月) 23:19:30
>>188

「『安寧』・・・・か」

過去を懐かしむようにその言葉を繰り返す

「己の『安寧』は遠く・・・・過去に置き去りにしてしまった
 いくつの『試練』を乗り越えようと、どれだけの『敵』を打ち破ろうと
『家族』を取り戻せなければ、己に『安寧』が訪れる事はないのだろう」

「いや・・・・」


「この『出会い』には感謝しなければならない
 例えひと時とはいえ、安らぎに身を任せる事が出来たのだから」

そう言って、水無月が再びピアノに向かうのを見送る
やがて聞こえてくるは『北風』のように寒気を伴う演奏
その音色を聞きながら、御子神は杯に残っていた酒を一気に飲み干す

「・・・・・・・・・・。」

そして、無言のまま『タック・ピアノ』に向けて軽く片手を挙げると
別れの挨拶は済ませたとばかりに店の外に出て行った

190水無月平治『レゾナンス』:2023/06/19(月) 23:42:07
>>189(御子神)

     〜〜〜♪
           〜〜〜♪

黒い外套が翻り、そのシルエットは扉の向こう側へと消えていく。
その背を押した音色が止み、フゥ、と軽く息を吐いてから席を立つ。

  「見つかると、いいですね。
   ……白髪で、年齢は12歳か」

その年齢の子供と会う機会はない。人探しの助力は厳しいだろう。
偶然に出会えたら、……その偶然があるのならば、彼の方に傾くはずだ。
そう思わせるだけの振る舞いがある。グラスの中身を煽り飲み、ふと脳裏に過ぎる。

  「……12歳。……大きいな……」

    ――――パタンッ

気付かぬ振りをして『タック・ピアノ』の鍵蓋は閉ざされた。

191カナリア『プラン9・チャンネル7』:2023/06/20(火) 22:38:57

一台の『電話ボックス』がある。
現代において利用する人間は少ない。
多くの人々が、その存在を忘れていた。

  ジリリリリリ…………

        ジリリリリリ…………

突如、電話機に『着信』が入る。

192斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/06/22(木) 01:47:24
>>191

右腕を振ってゼンマイを巻き直すと
後ろ手に電話ボックスを閉め、躊躇せずに受話器を手に取った。

 「もしもし?俺デイビッド。」

声は心底愉快そうに聞こえる。
悪いことを思いついて、いたずらをする少年そのままの声だ。

  I'm being killed by a truck!
 「トラックに命を狙われてる!」

193カナリア『プラン9・チャンネル7』:2023/06/22(木) 09:05:19
>>192

  「ハァイ、『ミスター・デイビッド』」

            「――――私の名前は『カナリア』」

手にした受話器から、囁くような『女の声』が聞こえる。
声色は低く、声域で言えば『アルト』。
本来の地声は『メゾソプラノ』だが、
ボイストレーニングを積んだ『カナリア』は、
多彩な『声』を使い分ける技術を持つ。

「『忘れられた歌鳥の囀り』を響かせる『メッセンジャー』」

『忘れられた歌鳥』は、斑鳩の目の前にいる。
『囀り』――『公衆電話番号』を把握しているのは『警察』と『管理会社』。
そして、『カナリア』だけだ。

「あぁ、そこに『トラック』が突っ込んだら大変な事になるわね」

「フフフ――――『トラックの方が』だけど」

電話ボックスの設置場所は『車が進入困難な地形』だった。
あたかも見ているかのように話しているが、近くに人影はない。
そこに向けて『発信』している以上、周囲の環境も知っているのだろう。

194斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/06/22(木) 23:55:17
>>193

なんとも奇妙な事が僕の眼のまえで起きている
或いは電話線の先でか。

テレビを見て蕎麦屋が紹介されていたので、気になって行こうと思ったら腕時計は相変わらず遅れてるし、更に道に迷った。
そんな矢先に電話ボックスが鳴ってるんで好奇心100%で手に取ってみたら、何やら聞き覚えのある声がする。

 「ハイ、ミス・カナリア、トラックがここに入ってこれないのは本当に残念だ。」

 「S・スピルバーグ氏に敬意を払って電話ボックスを見つけたら『激突!』ごっこする事にしてるんだけど。」

因みにデイビッドは電話ボックスから電話をかけて、トラックに襲われてると警察に助けを求めた奴の名前である。
あの映画を見て、車の後部座席で昼寝できなくなった子供は多い、僕もその一人だ。

 「どうだい其方は?未だに炭鉱で仕事中?それともラジオの止まり木で元気にしてるのかな?」

電話ボックスの中から辺りを見渡す、周囲に人影は見えないが……
予め把握してるんだろうか?多分そうなんだろう。

195カナリア『プラン9・チャンネル7』:2023/06/23(金) 01:11:34
>>194

聞き覚えは『ある』と言えばあるし、『ない』と言えばない程度のレベルだった。
『ラジオ』で喋っている時の声は『ソプラノ』である。
普段の声域とは大きな『差』があり、ハッキリとは断言できない。

「フフ、デイビッド君。
 貴方は『ウィット』の効いた会話が得意みたいね。
 知的な男性は魅力的だけど――――」

        「私の『正体』を知る事は出来ないわ」

電話ボックスを介して『不特定の人間』に呼び掛けるメッセンジャー。
それが『カナリア』だ。
この名前で活動している最中は、たとえ『知り合い』であっても、
『身元』を明かすつもりはない。

「そうね――今は『水浴び』をしてるのかも」

         パシャッ

「飛んでばかりじゃなくて、たまには羽根を伸ばさないとね」

受話器の向こうからは、人の声や水の跳ねる音が聞こえる。
どうやら『屋内プール』にいるらしい。
生憎『連れ』はいないようだ。

「『幸せの小鳥』を見つけた君には、
 カナリアが小さな『プレゼント』を用意しているの」

「私はね――――『機械』に強いのよ」

普通に考えれば、専門的な知識や技術を持つ人間という意味合いになるだろう。
いずれにせよ『公衆電話に対して発信している』という事実がある。
言葉の裏付けとしては十分だ。

196斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/06/23(金) 08:18:12
>>195

女は秘密を着飾って美しくなる……なんて、誰が言ったんだったか。
まあ僕もスカートの中を積極的に覗こうとは思わない、紳士的じゃないし、ドレスコードには従うべきだろう。
 
そういえば昔、何処かの野郎が僕に向けてパンツ覗きが趣味だと初対面でカミングアウトした覚えがある。
……いや、どうでもいいな。なんで思い出したんだろう。

 「そいつは涼やかだ、是非この眼でみたかった。」

受話器から水音が聞こえた時、僕の脳内は迫っ苦しい電話BOXからさっさと逃避して
妄想の白い砂浜にトリップした、青い空、白い砂浜、水を弾いて輝く女の子の肢体……。

 (……悪くないな。)

受話器を肩と顎で挟むと、妄想をかき消すかのように手で払った。
ここは今となっては貴重な蒸し暑い電話BOX内だ。昔は沢山あったらしいが、きっと時代の流れなんだろう。閑話休題。

 「プレゼント?」

機械に強いミステリアスな女性(たぶん)がラッキーなあなたにプレゼント。
やってることは『急行北極号』のチケット手に入れたみたいなもんだろう。僕もサンタ信じてるし。
騙す理由は……ないとは思うが、自分に『鎖』があるように……世の中には何があるか分からない。

 「そいつはハッピーな事と受け取っていいんだろうな。でも、乞食のように施される理由はないし、返せる物もない」

勿論ハッピーを受け取る事に、理由なんて必要ないが。

 「籠の中にいないカナリアにどう報いれば?」

貰ったままは手が疲れる。

197カナリア『プラン9・チャンネル7』:2023/06/23(金) 18:40:16
>>196

プールサイドに据えられたデッキチェアの横を、一人の若い男性客が通り過ぎる。
一瞬その視線が、チェアに身体を預ける人物に注がれた。
ビタミンカラーの水着に包まれた肢体は、
見事にシェイプアップされたシルエットを描き出す。

「――――あら、ありがとう。
 もし会うことがあったら、御披露させていただこうかしら」

男性客は名残惜しそうに目線を外し、
『スマートフォンを手にした女』から立ち去っていく。

「『自分の才能を活かす』――――それが私の目的よ。
 だけど、囀る場所が見つからなくて困ってるの。
 『舞台』を提供してもらう代わりに、その人の為に一度だけ『歌声』を響かせる。
 そういう『システム』になっているわ」

       ス ッ

すらりと伸びた脚を組み直し、電話越しに言葉を続ける。

「受け取るかどうかは貴方の自由よ。
 『無理やり押し付けて恩を売ろう』なんて考えてないから。
 このまま受話器を戻して、それでおしまい。
 飛び去ったカナリアは、どこか別の場所に舞い降りるでしょうね」

手元のペットボトルに口をつけ、一呼吸の間を置く。

198斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/06/24(土) 19:06:12
>>197

電話BOXの壁にもたれかかかりながら、赤いスカーフを弄る

 「いや、そういう事ならいいんだミス・カナリア。」

木漏れ日が当たる蛍光色の固定電話は、水辺の女性と比べて
描写する価値がまったくないと断言して良い、貴重かつありふれた普遍さ。

 「貴女は幸運を与えて、僕は舞台を与える。それなら『等価』だ。」

太陽を盗んだ男もこういう蒸し暑い中で核爆弾作ったんだったか?
いや僕は蕎麦屋に行きたいんだった……面白そうだという好奇心で迂闊にとった僕への罰なのか。
ここは長居するに蕎麦屋より適してないのは確かだ。

 「それで、密やかなる舞台で僕は如何なる歌声を頂けるのかな。」

流石に神社前のアレを再度引き起こすのは御免だ。
学習しない僕。

199カナリア『プラン9・チャンネル7』:2023/06/24(土) 20:15:32
>>198

スマートフォンから聞こえた返答を受けて、口元が笑みを形作る。

「さっきの続きだけど、私は『機械の扱い』が得意なの。
 ほんのちょっと『お願い』するだけで、色んな『情報』を差し出してくれる。
 ミスター・デイビッドの前にある『電話機の番号』とかね」

受話器越しの声からは、確かな自信が窺えた。
『お願いするだけで情報を引き出す』というのは、
『簡単に出来る』という意味の比喩表現だろうか。
そうだとしたら、相当な技術を持っている事になる。

「『その力を使える権利』を、
 『カナリアとお喋りした人』だけにプレゼントしてるのよ。
 もちろん『犯罪行為』はNGだけど。
 その辺りの判断は私がするわ」

スマホを持った人々が、デッキチェアの前を通り過ぎていく。
それらを目で追いながら、何をするでもなく見送った。
やろうと思えば好きなだけ覗き見できるのだが、実行に移した事はない。
自身のモラルの高さゆえだ。
だからこそ舞台を求めている。

「今から『アドレス』を教えるから、何かに記録しておいてくれない?
 もし『カナリアの力』を使いたい時は、そこで『依頼』を受け付けるから」

了承するなら、『カナリアのアドレス』が口頭で伝えられるだろう。

200斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/06/25(日) 07:21:42
>>199

 (…………。)

夏の蒸し暑さが頭蓋骨の中から追い出される。

 「勿論。」

私用目的で悪用されては、公衆電話と呼べなくなる
故に公衆電話の番号は基本的に知らされることはない、一般の人間には……。

 (……スタンド使い。)

可能性は大いにある、仮にクラッカーだとしても……
いや、問題はそこではない。

 (喉から手が出るほど欲しい力だ……アリーナには絶対にあるんだからな、『スタンド使いのリスト』が。)
 (両親を助けられるスタンド使いが其処に乗っていたとしても、組織相手じゃ一筋縄とはいかないだろう……)

事を荒立てずに手に入るなら、勿論それでいい
しかしそうも言えない場合には……頼むチャンスが回ってきたら……。

 「……忘れないようにするよ。生憎、腕に刻まれた寿命のようにとはいかないけど。」

自分の声に驚きを隠せない、夏の日差しの中でも氷のような声が出る時もあるらしい。
疑おうという考えはでてこなかった、受話器の電子音声越しでも、なんらかの確信を得たからかもしれない。

 「ま、夏を楽しんでくれ。」
 「使うタイミングは此方の任意なんだろ?3分後か、或いは3年後かもしれないからな。」

201カナリア『プラン9・チャンネル7』:2023/06/25(日) 09:29:48
>>200

公衆電話の番号は『非公開情報』であり、それを知っている人間は限られる。
管理会社や警察を探れば手に入るかもしれないが、
相当な困難を伴うのは間違いないし、そこまでする程の事とも思えない。
スタンド使いであれば、何らかの『能力』だと考えるのは自然な発想だろう。

「私にも都合があるから『三分後』のリクエストに答えるのは難しいけど、
 『三年後』じゃなきゃダメとは言わないわ」

       クスッ

電話口から艶やかな笑い声が届く。

「『依頼先』を教えるわね。メモの用意はいい?」

伝えられたのは『フリーメールアドレス』らしかった。
いわゆる『捨てアド』に近い。
これも素性を隠す為だろう。

「さてと――――それじゃ、少し泳いでこようかしら。
 貴方に見せられないのが残念だけど」

デッキチェアから身体を起こし、飛び込み台を見上げる。

  「お喋り出来て楽しかったわ」

        「――――ミスター・デイビッド」

別れの挨拶の後に通話は切れ、『カナリア』は再び飛び去った。

202聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2023/06/27(火) 18:43:57

  「ゲェ〜プ」


歓楽街のメインストリートから1本外れた所に居を構える個人経営の喫茶店。
この店は主に水商売を生業にする連中に絞った商売をしており、夕方から明け方にかけてのみ開店している変則的な営業形態を取っており、
深夜2時現在、店内は労働を終えたばかりの水商売関係の人間で非常に混雑している。


「結局、今日もここのカレーとコーヒーセットにお世話になっちまったねェ。
 ガッツリ働いた後だし、ちィっとばかし洒落たもの食いてェ気持ちはあるが、
 この時間帯だと店を探すのも難儀するからねェ」


アンニュイな雰囲気と夜の男の空気を纏ったスーツ姿の男が、
座席に腰掛け、紙タバコを吸いながら店内を眺めている。


「まァ、このご時世に
 コーヒー飲みながらタバコ吸えるってのは最高だがねェ」

203百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/27(火) 20:29:25
>>202

「――――ここ、いいかい?」

      ガタッ

「まぁ、他は空いてないから座らせてもらうよ」

男の前に腰を下ろしたのは、白いパンツスーツを着た女だった。
切れ長の鋭い目に、口元の艶ぼくろ。
白百合のイヤリングが特徴的だ。
外見から推測できる年齢は四十代程か。
もう少し上の可能性もあるが、年齢を感じさせない活力に溢れている。

  「いい店だねぇ」

      キィィィィ――――――ン

         「なんといっても煙草が吸える」

                 シボッ

ポケットからライターを取り出し、親指で蓋を跳ね上げると、
独特の甲高い金属音が心地良く響く。
フランス製『デュポン』のライターだ。
咥えた煙草に火を点け、肺の奥まで煙を吸い込む。

204聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2023/06/27(火) 20:58:11
>>203


   「うィ、お嬢様。ちょいとお待ちを」


今座っている2人掛けの席には灰皿は一つしか備えられていない。
吸い殻が2、3本溜まった灰皿を手に取ると、
何の躊躇もなく自身のスーツのポケットの中に吸い殻を突っ込み、
灰皿に残った灰をお手拭きできちんと拭き取り、百目の手元に差し出す。


「俺ら『水モン』からしたらこんな時間に店を開けてくれるだけでも助かるのに、
 それなりに美味くてあったけェメシも出してくれるし、
 その上このご時世にお煙サンまで吸わせてくれる。
 お嬢様の言う通り、ありがてぇ限りでさァ」

           キュッ キュッ

「ああ、ちょいと失礼しますゼ。」


灰皿を拭いたお手拭きを裏返し、
汚れていない面で百目側のテーブルを拭きあげていく。

205百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/27(火) 21:31:34
>>204

女の風貌は水商売風には見えず、店内では浮いた存在だった。
それでいて何処か馴染んだような空気を纏っている。
この店に対してというより、歓楽街という場所そのものに対してだろう。

「おやおや、こりゃ大した待遇だ。
 なんだか申し訳なくなってくるねぇ」

「だけど、人の好意を受け取らないのも失礼だから、
 ありがたく使わせてもらうよ」

    フゥゥゥゥ――――…………

景気よく煙を吐き出し、差し出された灰皿に灰を落とす。

「そう言ってもらえるのは嬉しいんだけど、
 もうちょっと別な呼び方にしてもらえないかい?」

「一応まだ『未婚』ではあるんだけどねぇ。流石にこそばゆいよ」

『商売柄』というのは分かっている。
どんな職業でも、客商売は大なり小なりそういうものだ。
しかし、生まれて『半世紀』も経つと、お嬢様などと呼ばれるのは、
多めに見ても少々お世辞が過ぎる。

206聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2023/06/27(火) 21:59:38
>>205


「お嬢様は何を頼まれますかい?

 お世話になっておいてこんな事言うのはアレですがァ、
 カップは茶渋まみれ、食いもんは茶色モンばかりで正味な話、
 態々、写真に撮ってInstagramに上げれるような洒落たモンは置いてねェですが、
 どれもそれなりに飲めてそれなりに食えるでさァ」


メニュースタンドに挿さったメニューを抜き取ると、
百目の手元にさり気なく置きゆっくりと開く。


      「おやァ」

「お嬢様は気に食わなかったですかい。
 俺らは、お嬢様含めて世の中に女性がいなきゃあ明日のメシにも困るようなカスでさァ。

 胎盤から骨壷まで。
 俺ァ、世にいる女性全ての『召使い』みてェなもんですぜ。
 なンで、『お嬢様』と敬うのは至極当然だと思っていたんですがねェ。

 最もお嬢様が嫌がるッてゆーなら、呼び方を変えるのは当然ですがねェ」

207百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/27(火) 22:28:30
>>206

「長居する気はないから、コーヒーでも頼む事にするよ」

「なにしろ随分と繁盛してる様子だからねえ。
 上手く出来てるもんだ」

メニューを覗き込み、手近な店員を捕まえて『アイスコーヒー』を注文する。

「ハハハ、アンタの考え方は否定しないよ。
 人を敬う気持ちってのは大事だ。
 ただ、『蓼食う虫も好き好き』でね。
 世の中にはアタシみたいなのもいるって事だけ覚えといてくれたらいいさ」

「そうだね――――『姐さん』って呼んでくれるかい?
 何日か前も、外国から来た女の子に、そう呼ばれたんでねぇ」

「何だかほっとけなくて、星見街道でラーメンを奢ったよ」

紫煙を燻らせながら、先日の『スリの少女』を思い出していた。

208聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2023/06/27(火) 22:54:05
>>207

「ヘェ、『姐さん』ですか。
 お嬢様……じゃなかった、
 姐さんにピッタリの呼び方でさぁ」


注文したら直ぐにアイスコーヒーと、
ビニールに包まれたお絞りが運ばれてきた。


「それは、それは…ハートフルなお話でさぁ。
 その海外のお嬢様も胸も腹もいっぱいに満たされたでしょうねェ」


      「あの店」

「一度は行ってみてェなァとは思っちゃあいるんですが、中々ね。

 お察しの通り『ホスト』の勤務形態って特殊でしょう?
 突発的にラーメン食いてェなァってなると、あの時間帯に開いてる店が
 いわゆる『国道沿い駐車場バカデカ、ライスおかわり無料』みてェな店しかないんでさァ。

 いやね、味も別にそこまで悪くねェし、
 店がそこしか開いてねェから仕方ねぇんですけどねェ」


「時間が合えば是非そのラーメン屋、
 姐さんやそのお嬢様とご一緒したいでさァねェ」

209百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/27(火) 23:23:35
>>208

「――――だといいんだけどねえ」

『三つ子の魂百まで』という言葉が示すように、
幼い頃からの習慣というのはなかなか抜けにくい。
あの子もそうだろう。
時間を掛けて少しずつ変えていくしかないか。

「ハハ、お互い健康には気を付けなきゃねえ。
 アタシなんか肺の中が真っ黒だろうからさ。
 最近は『死なない程度だったらいいか』なんて不健康な事を考えちまうよ」

おしぼりで手を拭き、煙草を指の間に挟み、運ばれてきたグラスに口をつける。

「こっちの仕事も割と不規則な方でね。
 アンタ達ほどじゃないが、必要な時に店が開いてないって事もあるよ」

「別に深い意味はないけど、アタシの職業を当ててみてくれないかい?
 まぁ、ちょっとした『肴』さ」

210聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2023/06/28(水) 08:30:18
>>209


「俺が推理クイズをするとは。
 職業柄、女性の仕事を訪ねるのは御法度なんですがねェ」


自らの口元に手を添え考える仕草、
アンバー色の瞳を開き、百目の全身を眺める。


「不規則になりがちって普通のお勤めサンじゃねェわな。
 ってなると飲食関係が浮かびましたが、
 食いモン屋さんならそんなパリっとしたお召し物を着る必要はねぇでさァ。
 スーツを着て外を出回り、不規則な勤務形態ッてなるとなァァ、
 あァ〜〜ッ、『保険屋のお嬢様』が思い浮かびました。
 けれど、保険屋サンにしてはその耳元の『イヤリング』は派手すぎらァ」

     
     「難しいですねェ」


「営業じゃあねェけどスーツを着ざるを得ない。
 つー事は人前に出るお仕事だとは思うんですがァ。
 『個人事業主』に近ェお仕事をされてるんですかねェ」

211百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/28(水) 11:47:22
>>210

「ははぁ――ちょっと意地悪だったね。
 実を言うと、今は仕事中じゃないのさ。
 『ボランティア』みたいなものかねぇ」

「アタシがスーツを着てる理由は『前職』の名残だよ。
 この格好が一番落ち着くんだ。
 だから『前職が何か』って話なら、当たらずとも遠からずさ」

グラスをテーブルに置き、再び煙草を咥える。

「もう少しヒントを出そうか」

その手は繊細な輪郭ではなく、
指や関節から日常的に鍛えられている事が窺えた。

「アタシの職業は『肉体労働』さ。
 仕事の内容によって場所は変わるけど、やる事は同じだよ。
 常に『人』を相手にしてる」

「しょっちゅうじゃないにしろ『危険』な時もあるねぇ」

212聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2023/06/28(水) 12:57:28

「へへッ、俺の目はとんだ節穴で。
 蓮根やチーズもびっくりでさァ」


        「よっ」


「ちょいと失礼しやすよ」


胸ポケットから洒落なデザインのチーフを取り出し、
自身の手を入念に拭き取り付着した汚れや脂を落とし、
百目鬼の空いてる手をそっと握り、観察する。


「はァ…綺麗な手だ。

 飾りっ気はねェですが、よく鍛えられている。
 スラリと伸び皺一つねぇ陶器のような手も好きですが、
 姐さんの様にこれまで生きていた『生き様』が刻まれた手、
 どっちも差異なく美しいと思うんでさァ」


         「ふぅむ」

「インクの掠れや土汚れもねェし、アカギレもしてねェ。
 それじゃあ『現場監督』の線は除外ですかねェ」


「仕事じゃあなくて趣味で、
 身体のラインが出るスーツを着れるッてこたぁ、
 ご自分の身体にそれなりに自信を持たれてる、と思うんですが。
 現によォく鍛えられておりますしねェ。

 身体が資本、それでもってそれなりに『危険』で、広義で言えば『接客業』…
 ふうむ、『格闘家』あるいは『用心棒』って所ですかねェ」

213百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/28(水) 20:47:16
>>212

「ハハハ、そいつは嬉しいねぇ。
 自分の手をそんな風に言われた事なんてなかったよ」

「さすが『本職』だ。言葉の選び方が上手いね。
 それに目の付け所もいい」

たまたま向かいの席に座った男に手を握られる。
あまりない経験だが不快感は感じなかった。
これも専門技術の範疇だろう。

「かなり近い所まで行ってるよ。
 『教える』って意味なら前者でもあり、『対抗する』って意味なら後者になる」

事実、目の前の女は手だけに限らず、全身からも鍛錬を積んでいる雰囲気が漂う。
自己満足の為に訓練するのではなく、それを実際の場で使う目的で。
実年齢よりも若く見えるのは、その辺りが大きな理由だ。

「最後にとっておきのヒントを出そうか。
 明らかに危険が予想される仕事の最中、
 アタシは『武器』の携帯を法律で認められている」

「この場合の武器ってのは、
 『武器としても使える品』じゃあなく、
 『武器としての使用を前提に作られた道具』の事だよ」

214聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2023/06/28(水) 22:04:56
>>212


   「ふぅむ」


「1発で当てれなくてどうにもバツが悪いんですが、
 『ガードマンさん』って所ですかねぇ」


握っている手をそっと放し、
開きっぱなしだったメニューをスタンドに戻す。


「『警察官』や『自衛官』ってセンも考えましたが、
 あの手の『国家公務員』ってのは守秘義務ってのがある筈だ。

 お巡りさんが不貞行為を行っただけで全国ニュースになる様なこんなお堅い時代に、
 こんなその辺の喫茶店で出会ったばかりの安い『女衒』なんざに、
 アレコレ喋るような事があっちゃあならねェ。
 コンプライアンスがどうだのこうだのでしたっけ」

「ンまァ、俺ぁ真っ当な仕事をした経験なんてないですがね」

215百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/28(水) 22:49:41
>>214

「そう――――『正解』だよ。
 アタシの場合、『指導教育責任者』って立場だから、
 現場に立つより教えてる方が多いかもしれないねぇ」

       グイッ

グラスに残っていたコーヒーを一息に飲み干す。

「ハハ、一発で当てられたんじゃあ面白くない。
 アタシもそうさせないようにしてたからね。
 だけど大したもんだ」

       コトッ

空になったグラスをテーブルに置き、正面に座る男を見つめる。

「アンタの洞察力なら『前職』の方まで分かっちまいそうだよ」

煙草を咥え直して軽く笑い、おもむろに席を立つ。

「さて…………そうなる前に退散するとしようか。
 席が空くのを待ってるお客も大勢いるだろうしねぇ」

   「お疲れさん。話が出来て楽しかったよ」

ひらひらと片手を振り、会計に向かう。

  (…………『警察官』か)

            (いい線いってたねえ)

216聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2023/06/29(木) 16:25:03
>>215

「お気をつけて。
 いってらっしゃいでさァ」



百目鬼を見送った後に、
スーツのポケットにぶち込んだ吸い殻を灰皿に戻し、
すっかり温くなったコーヒーのグラスに口を付け一気に飲み干す。


     「ふぁ」
ジュポッ

「ああァ〜〜〜、
 今日も元気だ。タバコが美味えェ。
 すいませえェン、コーヒーおかわりいただけますかあァ?」

217鷲見 健治 『2NDハンド・ファイア』:2023/06/30(金) 00:29:13
サラリーマンが行き交う夜の歓楽街。
そこで一人の青年が体育会系と思わしき大学生に取り囲まれていた。

「いやいや、この女の人嫌がってるじゃないですか〜やめてあげた方が…」

青年が相手をしている体育会系の集団は6人組とかなり多い。
それもかなり出来上がっているようで興奮している。
青年が殴られるのも時間の問題だろう。

218鷲見 健治 『2NDハンド・ファイア』:2023/06/30(金) 19:42:42
>>217

219鷲見 健治 『2NDハンド・ファイア』:2023/06/30(金) 22:53:42
>>217

220美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/07/01(土) 05:25:11
>>217

屈強な大学生達に絡まれていたのは、
首にワイヤレスヘッドホンを掛ける『アメカジファッション』の女だった。

「だぁ〜かぁ〜らぁ〜」

「明日もぉ〜『お仕事』なのよぉ〜」

「私ぃ〜帰らなきゃいけないのよねぇ〜」

こちらも酒が入っているらしく、同じく『出来上がっている』。
さほど飲んではいないのだが、元々アルコールに弱い体質なのだ。
『美作くるみ』は、それなりに『知名度』がある。
タチの悪いグループに見つかったせいで、面倒事に巻きこまれてしまった。
この状況では『プラン9・チャンネル7』も役に立たない。

「ケンカはぁ〜良くないわよぉ〜ケンカはぁ〜」

助けに入った青年を案じて声を上げるが、
それに果たして意味があるかは甚だ疑問だろう。

221鷲見 健治 『2NDハンド・ファイア』:2023/07/01(土) 19:21:13
>>220
屈強な体育会系男子たち六人に生半可なスタンドを使ったところで大した効果は無いだろう。
次第に6人のボディータッチも遠慮というものがなくなってきた。

「先輩〜! こんな泥酔した女なんかホテルに持ち込めば簡単にヤレ
 ますって〜!」

「そうかな…そうかもな…! おい! お前は足持ち上げろ!」

「あとは…こいつだな。フルニトラゼパムだ。泥酔してんならへへっ!」

二人が美作の足を持ち上げ青色の錠薬を口に捩じ込もうとする。
どこの大学生かは知らないが相当やりなれてるらしい。

「無視すンじゃねェ〜よ! マスガキがよォォ〜! だが、殴る理由はデキちまったなァァ〜!!」

先程から止めていた青年が美作を持ち上げた大学生の一人の太腿に派手な蹴りを入れる。
たまらず体育会系の一人は蹲り薬剤は地面に転がっていく。

「おい、あんちゃんよ。人が気持ちいい時に水を差すってことは
 どうなるか分かってんだよな?」

美作は地面に降ろされたが泥酔した千鳥足では逃げられるか怪しい。
そうこうしてる間に青年が体育会系6人に囲まれていく…

222美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/07/02(日) 00:36:42
>>221

     「やだッ」

             「やだやだぁ!」

この『人数』と『体格差』。
とてもじゃないが、到底どうにか出来るレベルではない。
辛うじて口を閉じ、異物の侵入を拒む程度の抵抗が関の山だが、
そこで青年の蹴りが入った。

「いったぁ〜〜〜〜〜〜い!」

乱暴に降ろされたせいで、地面に身体を打ちつけてしまった。
酔った状態では、満足に受け身を取る事も出来なかったのだ。
目尻に涙を浮かべながら、どうにか顔を上げて状況を確認する。

     「!!」

どうやら『始まってしまった』らしい。
それくらいの事は理解できた。
そして、分かったからといってどうにもならないのが、『情報型』の辛い所だ。

(人の秘密を覗き見するのは趣味じゃないけど――――)

   (こっちも『理由』が出来ちゃったから)

だが、『全く何も出来ないか』というと、そういう訳でもない。
現代の大学生なら、当然『文明の利器』を所持しているだろう。
『スマホ』とか『スマートウォッチ』の類だ。
見える範囲で探して、さりげなく視界に収めておく。
この状況では、せいぜい『気を逸らす』くらいしか出来ないが…………。

223鷲見 健治 『2NDハンド・ファイア』:2023/07/02(日) 10:02:50
>>222
こういった状況に『情報型』は不便だ。
だが、今のところ体育会系の太腿を蹴った青年に集まって美作に意識が向いてない。
狙いの『スマホ』はポケットから無造作にはみ出ていたり手に握られていたりと狙い所だ。
小生意気にスマートウオッチまでしている。

「今からラジオ番組のネーチャンと良いことして弱味握ろうとして
 たところにクソがッ!」

「威勢が良いのは口だけか? おい、お前ら全員で袋叩きにすんぞッ!」

怯える青年を体育会系が取り囲むと胸倉を掴み一発殴ろうとする。
が、殴ろうとした瞬間に胸倉を掴む手はへし折られて青年に迫る拳は避けられていた。

「今のよォ〜俺の楽しみが始まるから水差すんじゃねェぞォ!」

「なァ! お前たちもこうしてきたならされても仕方ねェよなァ!!」

青年は身体に節々が赤熱する黒炭の鎧を纏い体育会系6人に向かっている。
見る限り相当なパワーと素早さだろう。
そんな青年に背後から自転車を持ち上げた体育会系の一人が迫る…

224美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/07/02(日) 12:30:27
>>223

青年からは何処となくケンカ慣れしている雰囲気を感じたが、それでも『一人』だ。
いくら腕っ節が強くても、さすがに『六人相手』では分が悪いだろう。
そう考えていたのだが、その予想は外れたらしい。

      「――――――!?」

赤熱した『黒炭』を思わせる『鎧』を見て、驚いた表情で目を見開く。
そして、それを身に纏う青年の人知を超えた動き。
紛れもなく『スタンド』だ。
しかも自分と違って完全な『戦闘向き』のタイプ。
これなら自信のありそうな態度も納得できる。

(でも…………手足の数は四本よね…………)

相手がどんな動きをしようが青年の方が速いし、
当たれば一撃で沈められる威力がある。
ただ、相手は別々の方向から同時に襲ってくるのだ。
『無傷で勝つ』のは難しいかもしれない。
一発や二発くらい殴られたとしても、彼は倒れたりはしないだろう。
しかし、『当事者』として黙って見ている理由もなかった。

      ズギュンッ

『プラン9・チャンネル7』を発現。
本体の肩に乗る『機械仕掛けの小鳥』だ。
自転車を持ち上げた男の『スマートウォッチ』に狙いを定め、『能力対象』に設定。
『プラン9』の能力は『音響機器』を本体の『支持者(ファン)』に変える。
荒事の最中に活かす機会は少ないが、『味方』がいるなら話は違う。

    (フフッ…………!)

酒が入っている事もあり、美作くるみは珍しく頭に来ていた。
体育会系大学生達のゴツゴツした指先が、
無遠慮に身体を這い回る感触は不快だったが、それだけではない。
何よりも彼らが発した『言葉』が不味かったのだ。

(私の『キャリア』を傷物にしようとした代償は高いわよぉ…………)

       ――――――ペロリ

自らの舌で、艶めかしく唇を舐める。

「ハロー?今、あなたの後ろで『自転車』を振り上げてるところよ!」

『スマートウォッチ』のスピーカーから、『自らの音声』を『出力』する。
振り下ろす手は一瞬止まるだろうし、青年には相手の位置が伝わる筈だ。
それだけで『援護』には十分だろう。

225鷲見 健治 『2NDハンド・ファイア』:2023/07/02(日) 20:50:37
>>224
腕を折られた体育会系が怒りのままに反撃しようとするが首を掴まれて体育会系集団の中に放り投げられる。
そのまま体育会系集団に向かおうとする青年に体育会系が自転車を振り下ろそうとするが美作の掌握したスマートウオッチの『警告』に驚き隙を見せる。

「ゲェッ〜!! なんでこんな時に『誤作動』してンだよォ〜〜!!」

その隙に青年は振り返りざまに背後の体育会系に拳を脇腹に叩き込んだ。

「ナイスフォローだァァ!! お姉さんも触られて頭にキテるだろォ!」

「いつも受けたら殴り返すんだが怪我が少なくてラッキー!
 さてはお姉さんってば情報系ってやつか!」

「今からスカッとさせてやるからよ! ハッ、ハハハッ、イェ〜イ!」

向かってくる体育会系は五人も居るが拳がかち合えば拳が割れ、殴ろうにもウェービングで躱して反撃の拳を叩き込み、ヘッドスリップやスウェーからのカウンターで尽く青年の拳の前に沈んでいく。

「おい、待てよ! この女がどうなってもいいンか? なぁ! オイ!」

先程の自転車を担いでいた体育会系が復活してひっそり美作の元に移動し首元にドライバーを突きつけている。
小さな工具だが鋭利であることに変わりはない。
美作の喉に冷たい感覚が伝わるだろう。

「ヤダね! 俺は勝つ。テメェらは負けンだよ。そろそろ香ばしくなってきた頃だろう…?」

「お姉さん。俺が数を数えるから最低限の抵抗をしてくれ」

「5…4…3…2…1…」

226美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/07/02(日) 21:53:56
>>225

もはや『勝負はついた』と気を抜きかけた瞬間、首筋に金属の質感が伝わった。

  「あ、あははははは…………」

        (これは…………ちょっと…………)

             (正直…………かなり『マズい』わね…………)

『貞操』どころか『生命』すら危ぶまれる状況に、思わず乾いた笑い声を上げる。
しかし、まだ『抵抗』は諦めていない。
男達から隠すようにして、後ろ手に『スマホ』を握り締めていた。
今、男の注意は青年に向けられている筈だ。
おそらく気付かれる事はないだろう。

   《教えて!!あなたの『電話番号』!!大至急!!》

『ドライバーを持つ男のスマホ』に『スタンド音声』で語り掛ける。
『位置』は既に確認済みであり、『ファン』は拒まない。
美作が望む『情報』を全て差し出す。

  (受け取ってもらうわ…………!)

          (私からの『ラブコール』をね…………!)

『聞き出した番号』を『自分のスマホ』に入力し、『発信』するだけでいい。
不意に『着信』が入れば、一時的に注意を逸らせる。
神経を張り詰めているなら尚更だ。
その後の事は『鎧の青年』に任せる。
『一瞬』の時間さえ稼げれば、『一発』で終わらせてくれるだろう。

227鷲見 健治 『2NDハンド・ファイア』:2023/07/02(日) 23:23:17
>>226
【あいよ! 電話番号は……だ! 機械系に強いってこったか?】

電話番号を教えて発信されたそれは美作のスマホの着信音を鳴らす。
唐突な出来事に首筋から少しドライバーがズレと同時に…

「0だ。爆ぜろッ! 『2NDハンド・ファイア』ッ!」

男のやや後ろの脇腹からとてつもない衝撃が伝わると同時に美作の足元に体育会系が倒れ伏す。
どうやら青年がすぐにこれをしなかったのは衝撃で万が一にもドライバーが刺さることを恐れたからのようだ。

「お姉さん怪我は? こいつだけ丈夫そうだったから不意打ちされた時に『赤熱』を仕込んで良かった良かった!」

あれだけ優勢だった体育会系6人は青年に殴られ折られ動ける状態ではない。
見物人も巻き添えを嫌ってか通報する様子はない。

「警察が来た時に備えて自己紹介するか。俺は鷲見 健治。
 『清月学園』の3年生だよ。ちょい不良だけど…
 スタンド名は『2NDハンド・ファイア』。
 殴打した物体を『赤熱』させて炸裂させるのが能力」

「一応、そこいらのスタンドより素早くて力強いとは思ってる」

「で、姉ちゃんはどうやって帰るのさ?」

頑是ない子供のような幼さの抜け切らぬ女顔。薄緑の雑に束ねたロングヘアと相まって子供子供した印象が強い青年は伊達メガネを掛ける。
あれだけ大暴れしたのにメガネを掛けただけで弱そうに見えるとは不思議なものである。

228美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/07/02(日) 23:50:09
>>227

美作が呼び掛けたのは『男のスマホ』であって、青年は『無関係』。
美作の能力は『機器』から『情報』を盗める。
『男のスマホ』から『番号』を盗み取り、
『自分のスマホ』から『男のスマホ』に発信する事で、『男のスマホ』を鳴らした。
『スタンド会話』を使ったのは、『男に聞かせない為』であり、青年に呼び掛ける意図はない。
場スレであまり細かい事は言いたくないのですが、
この経験はPC的に重要となる可能性があるので、
申し訳ありませんが、そこを汲んだ上で訂正をお願い出来ないでしょうか。

229鷲見 健治 『2NDハンド・ファイア』:2023/07/03(月) 00:27:23
美作は『プラン9・チャンネル7』を発現して男の電話番号を盗み取り発信されたそれは体育会系のスマホの着信音を鳴らす。
唐突な出来事に首筋から少しドライバーがズレと同時に…

「0だ。爆ぜろッ! 『2NDハンド・ファイア』ッ!」

男のやや後ろの脇腹からとてつもない衝撃が伝わると同時に美作の足元に体育会系が倒れ伏す。
どうやら青年がすぐにこれをしなかったのは衝撃で万が一にもドライバーが刺さることを恐れたからのようだ。

「お姉さん怪我は? こいつだけ丈夫そうだったから不意打ちされた時に『赤熱』を仕込んで良かった良かった!」

あれだけ優勢だった体育会系6人は青年に殴られ折られ動ける状態ではない。
見物人も巻き添えを嫌ってか通報する様子はない。

「警察が来た時に備えて自己紹介するか。俺は鷲見 健治。
 『清月学園』の3年生だよ。ちょい不良だけど…
 スタンド名は『2NDハンド・ファイア』。
 殴打した物体を『赤熱』させて炸裂させるのが能力」

「一応、そこいらのスタンドより素早くて力強いとは思ってる」

「で、姉ちゃんはどうやって帰るのさ?」

頑是ない子供のような幼さの抜け切らぬ女顔。薄緑の雑に束ねたロングヘアと相まって子供子供した印象が強い青年は伊達メガネを掛ける。
あれだけ大暴れしたのにメガネを掛けただけで弱そうに見えるとは不思議なものである。

230美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/07/03(月) 13:32:53
>>229

「――――――!?」

至近距離で生じた『衝撃』に、残っていた『酔い』も一気に吹き飛んでしまった。
全身から力が失われ、その場にへたり込む。
『スタンドが絡む案件』に関わった経験こそあるが、自ら矢面に立った事はない。
いや、そもそも自分の場合『立っては駄目』なのだ。
あらゆる意味で、今回は『運が良かった』と言わざるを得ないだろう。

  「あ…………ありがとう…………」

          「すごく…………『強い』のね…………」

とりあえず、それだけ言うのが精一杯だった。

    「えっと…………怪我は大丈夫…………」

           「――――『美作くるみ』よ」

やがて落ち着きを取り戻し、緩慢に立ち上がって呼吸を整え、着衣の乱れを直す。

「帰りは『タクシー』でも呼ぶわ。ここに来る時にも使ったの」

「だけど、その前に『真実』を白日の下に晒しておかないとね」

         ――――――パチッ★

青年にウインクしてから、倒れ伏した六人に視線を向ける。

「明らかに『常習犯』だったし、
 色々と『良くない秘密』を溜め込んでるでしょうから。
 きっちり『余罪』を追及してもらわないと腹の虫が収まらないわ」

『プラン9・チャンネル7』には、目の前の相手を叩きのめす力はない。
その代わり、現代において『もっと恐ろしい事』が出来てしまう。
すなわち『社会的制裁』。

   《あなた達の『中身』を確認したいんだけど、
    『解除方法』を教えてくれるわよね?》

             《ハイッ!○○○○デス!!》

『六人のスマホ』に一台ずつ語り掛け、『疑似人格』を得た『彼ら自身』から、
『暗証番号』や『解除パターン』を聞き出す。
『見られては困るデータ』が入っていれば、当然『ロック』されているだろう。
それらを全部『解除』して『秘密』を暴露する。

「警察の人が来た時に『調べやすいように』しておかなきゃね」

231鷲見 健治 『2NDハンド・ファイア』:2023/07/03(月) 14:26:15
>>230
生まれつき力が物言う弱肉強食の世界を生きた鷲見だからこそ喧嘩向きのスタンドが芽生えたのかもしれない。
かつてカラーギャング脱退時は一人で大勢の暴力に打ち勝ったこともあった。

「美作くるみさんですか…? そういえば声に聞き覚えが…?
 声優じゃないな…歌い手でもない…日常で何度も聴いてる気がするぞ…」

「殴るから殴られる覚悟でしたが美作さんのお陰で何とか…!」

「そっちのスタンドは情報系…? 自分が喧嘩したくて乱入しなきゃ暴行されてたんですからお酒はほどほどに!」

美作が余罪を追及する手伝いにと体育会系6人と彼等が持っていたスタンドを素早く美作の前に並べる。
そして、暴かれた彼等の余罪は…闇バイトの募集とオレオレ詐欺の受け子にフルニトラゼパムを使って飲み会の女性を持ち帰るなど最近話題になってきたものが多い。
先日にはジュエリーショップに白昼堂々から盗みに入り、ただ運転手をするだけという内容で一般人を騙して囮にまでして逃げていた。
6人全員とも控え目に言わずとも犯罪者だ。

「誰も警察呼ばねーな。しゃーなし。自分が呼ぶか」

232美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/07/03(月) 15:25:48
>>231

ざっと閲覧しただけでも、次々に現れた『罪状』に眉を顰める。

「…………叩けば叩くほど『埃』が出てくるわ。
 お巡りさん達も、さぞ調べ甲斐があるでしょうね」

ため息をついて肩を竦め、『プラン9』を解除した。

「まぁ、『そういう事』よ。
 なるべく秘密にしておきたいから、このくらいで許してね」

『情報系か』という問いに軽く頷き、続けて苦笑する。

「あははは、お酒は『ちょっと』よ?
 強めのカクテルをほんの三杯…………」
 
     「でも――――これからは気を付けるわ」

ジーンズのポケットを漁り、『名刺入れ』を取り出す。

「せっかく自己紹介してもらったから、『これ』は私からのお返し」

            スッ

『鷲見』と名乗った青年に、一枚の『名刺』を差し出した。

        【 星見FM放送 】

      【 Electric Canary Garden 】

     【 パーソナリティー:美作くるみ 】

そのような所属や職業が書かれており、連絡先が併記されている。
隅には手書き風のイラストも添えられていた。
『電気コードの付いたデフォルメ調の小鳥』は、
番組のイメージキャラクターである『電気カナリア』だ。

233鷲見 健治 『2NDハンド・ファイア』:2023/07/03(月) 21:14:08
>>232
「あいよ、酔い醒ましの水だ」

近くの自販機から水を買って美作に手渡す。
どうにも相当なワルだったらしい体育会系6人組を見つめる。
あのまま自分もカラーギャングを続けていたらこいつらと同じ道を辿っていたのではないかと。

「あっ! 思い出した! 美作くるみ! ファンなんだよなァ〜!!
 あ、あ、握手してくれ! あと、これ俺の連絡先!」

「毎晩、寝る時には必ず聴いてるよ! マジ頑張ってるよなァ〜!!
 これからもアンタのこと応援してるし、危なかったら守るからよ!」

美作くるみの活動が宣伝だけに収まらず自身の危険すらも防いだことは幸運なのか必然だったのか。
取り敢えず言えることは目の前の鷲見は物騒だが純粋な美作くるみのファンということだ。

「警察は俺が相手するけどアンタはもう帰るかい?」

234美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/07/04(火) 08:00:07
>>233

「あら、ありがとう。気を遣わせちゃったわね」

ミネラルウォーターの入ったペットボトルを受け取り、開栓して口をつける。
冷えた水が喉を通る感覚が心地良い。
先程の出来事と合わせて、酔いは完全に醒めてしまった。

「フフ、嬉しい事を言ってくれるじゃない。
 よかったら今後も応援してね。
 私も鷲見君を応援するから」

       ギュッ

鷲見の手を取り、しっかりと『握手』を交わした。

「そうね…………『事情聴取』で時間を取られそうだし、
 明日に響くと困るから帰る事にするわ。
 お言葉に甘えて、後の事はお願いしてもいい?」

デリケートな問題だけに、
『あまり表沙汰にしたくない』という理由もあったのだが。

「鷲見君、今日は本当に助けられたわね。
 あなたは私の恩人よ。
 お礼に『いい事』を教えてあげる」

「もし『スタンド関連の話』に興味があったら、『門倉不動産』を覗いてみて。
 『星見駅北口』から少し歩いた所にある『雑居ビル』の一階よ。
 『門倉良次』っていう人がやってるんだけど、
 私からの紹介だって言えば伝わると思うわ」

鷲見の『2NDハンド・ファイア』は、『門倉派』の目指す方向性とは違うが、
『他の派閥』に目を付けられていなさそうな『スタンド使い』との『コネ』は貴重だ。

「それじゃ、私はタクシー拾って帰るから。
 街で見かけた時は、また気軽に声を掛けてね」

「今日はバタバタしちゃったけど、今度はもう少し落ち着いてお喋りしましょう」

         ニ コ ッ

一分の隙もない『完璧な笑顔』を残し、『事件現場』から立ち去っていくのだった。

235鷲見 健治 『2NDハンド・ファイア』:2023/07/04(火) 13:54:09
>>234
絶対に出会えないだろうと思っていた有名人との握手。
子供のように胸を躍らせ満面の笑みを浮かべる鷲見は子供のようだ。

「ヨッシャ〜! ハハッ! 今夜はツイてるなァ〜〜!!」

「美作さんは仕事上こんなのが知れたら困るだろうから上手く警官
には話を通して色々誤魔化しておきますよ」

逆に喧嘩でしょっちゅう被害者として警察に事情聴守されてる自分だけの方が都合が良い。
また襲われたのに帰り打ちにしてる謎の事件扱いされるだろうが。

「そーいやスタンド関連については一匹狼だったから繋がりが
 欲しいッスね」

「ちょっくら行ってみますか! ありがとうございます!」

酔いが醒めてから笑みを絶やさない姿にプロ根性を見出しながら彼女を見送る。

「また会えたら色々喋りましょーねー!」

そうして体育会系6人は今夜の事件だけでなく様々な余罪を追及されることになるのであった。

236ソラ『ステインド・スカイ』:2023/07/15(土) 12:23:09
ウォーターパネルが設置された静かなバー
生クリーム多めのホワイトルシアンを飲み時間を潰している

237ソラ『ステインド・スカイ』:2023/07/16(日) 21:03:50
>>236
シュッ
暇潰しにダーツを投げる
トスッ

ソ「…」

スコアはあまり良くないようだ


隣のデブ「あっ、鐘田更新してる」
ソ「相変わらずちょっと何かしてんだろ」
デブ「行きつけのバーでちょっとダーツに挑戦してみました…」
デブ「うわぁこいつ全部トリプルに入ってますよ、絶対イカサマでしょ」
ソ「……」
デブ「ちょっと腹立つんで俺も投げてきます」

ヒュン ドゴォッ!

デブが勢いよくダーツを投げたせいで的が音を立てて破壊されてしまった

バーテンダー「弁償代5万払ってくださいね」
デブ「えっ、そんな金無いんすけど」
バーテンダー「金が無い…?なら腹捌いて肝臓を売ってもらう事になりますが…」
デブ「えっ、ちょっと、助けてくださいよ」
ソ「俺は関係ねぇよ、肝臓売って勝手に死んでろよ」

その時スマホの着信音が鳴った
突然鳴り出すそれに心臓が止まりかけたが、死ぬ寸前の所で踏みとどまりスマホに出た

ソ「非番の日にかけてくんなよ…」

職場からの緊急の呼び出しを食らってしまった
残ったホワイトルシアンを一気に飲み干す

生クリームの甘ったるさと度数の高いアルコールで喉が焼けそうになる
やはりホワイトルシアンは一気飲みするものではなく、時間をかけて味わうものだと改めて思い知った

アルコールを摂取したためにバイクに乗るわけにもいかず、タクシーを捕まえる事になった

ゴオォォォォォォォォォォ

しかしこのタクシー、どう考えても法定速度を無視して暴走している!

ソ「おい、お前酒飲んだろ!」
運転手「大丈夫だよ〜ちょっとスピリタスを一瓶一気飲みしただけだから!」
ソ「大丈夫なわけねぇだろ、止めろ!」
運転手「えぇと、ブレーキは…これか」

ブレーキと間違えてアクセルを一気に踏み抜いた運転手

ドンガラガッシャーン

案の定、事故を起こしてしまったタクシー
この事故で運転手は生命活動を停止…死んだのだ
後ろの席に乗っていたソラは奇跡的に無事だったが、
警察の事情聴取を受けたりして結局職場に行くのが遅れて上司に怒られてしまった

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        _/ ̄ ̄\_
       └-○--○-┘=3
                   ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                    d⌒) ./| _ノ  __ノ

238功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/08/01(火) 21:53:53

日中の『歓楽街』――――
『交番』の前にある『掲示板』には、
行方不明者を探す張り紙がいくつかある。

「……」

日傘を差し、鍔の大きな帽子を被って、
万全の猛暑対策の中、それを眺めている少女がいた。
後ろ姿は長い白髪、低い背丈に和洋を折衷した装い。

その背中に『縋る』ような調子はなく、
古本屋の店頭のワゴンでも見るように――

(『小林丈』……ねえ)

空いた手の羽織の袖を口元に当て、黙考する。
積極的に探す気はないが、気になる存在なのは確かだ。

239ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2023/08/04(金) 20:55:06
>>238

向こう側から『動物』が歩いてくる。

     テト テト テト

何の変哲もない『野生のラッコ』だ。
大きな騒ぎが起こる様子がないのは、人々が慣れているせいだろうか。
事実、この海獣は星見町の一部となっていた。

          ――――――ピタ

『掲示板』の近くまで来た所で、ふと足を止めるラッコ。
『交番』の前は、ちょうど日陰が出来ている。
一休みしたくなったのかもしれない。

240功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/08/06(日) 01:35:25
>>239

そもそも明確な『行方不明』なのかも不明瞭だが、
(服装は兎も角)常識と行動力がある女であれば、
歩いて探せば見つかる人間に猫の手を借りまい。
その上で『警察には届け出が無い』となれば…………

ふと、視界の隅から現れた存在に思考を途切れさせて。

            チラッ

「…………こほっ」

口元に袖を当て…………一瞥だけして、視線を戻した。

この町にラッコという存在がいるのは知っていた。
生で見たら感動するかといえば、特にしない。

(ラッコが何を知っていて、何を話せるでもなし……)

野良ラッコには餌をやるべきでもないし、
触れるような事も……気になる。雑菌などが。

       シッシッ

空いた手で払うような仕草をする。

端的に言えば――『功刀 初雪』は、『野生動物』が好きではない。

241ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2023/08/06(日) 02:44:41
>>240

『ラッコが何か知っている訳もない』。
多くの人間――というか『ほとんど全員』が同じように考えるだろう。
大抵の場合において、その考え方は正しい。

『そうでない確率』など一体どれくらいあるのだろうか。
おそらく『天文学的数字』に違いない。
少なくとも、まともな人間なら誰も信じない話だ。

そして、『天文学的確率の持ち主』が、『このラッコ』であった。

      「ミャー」

ラッコは『一部始終を見た』。
ゆえに『全てを知っている』。
しかし、それを誰かに伝える事は出来ないし、伝えようという気もない。

               「ミャッ」

何故なら――――『ラッコだから』。

          ヒョコッ

いきなりラッコが二本足で立ち上がった。
何かを探すように周囲を見渡した後、ある一点を眺めている。
その方向は『鵺鳴川』だ。

242功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/08/06(日) 03:21:13
>>241

ひとまず『小林丈』のことは頭の片隅に追いやった。
事件性の行方不明者を警察に届け出ない理由も無いし、
事件かつ届け出をしないパターン、すなわち。

 ・・・・・      
『死んでいる』とすれば、捜す理由は無い。
喪服という服装に不穏な意味を見出す事は可能だが……

「……」

        カコッ

靴を鳴らし、掲示板の前から退く。

       「けほっ」

             …チラ

そして、立ち上がった獣の向く方角を視線で追った。

『鵺鳴川』の方角――とは、考えていない。
どちらかというと、『功刀家のある方角』と認識している。

(……『あの辺り』に住んでるのかしら?)

言葉が通じず、揶揄っても意味のない相手に話しかける気もしない。

内心で思うに留め、『動向』をしばし見ることにした。
『放って立ち去る』手もある……最終的にはそうするつもりでもあるが……

243ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2023/08/06(日) 03:59:47
>>242

しばらく一点を見つめていたラッコは、脇の辺りに前足を差し入れた。
ラッコの体には『ポケット』があるのだ。
そういう器官が明確に備わっている訳ではないが、
『小物を入れられるスペース』が毛皮に隠されている。

    『ペットボトルのキャップ』。

          ゴソッ

       『ホタテの貝殻』。

          ゴソッ

    『S県I市のわさびマスコット』。

          ゴソッ

    『コバルトブルーのシーグラス』。

          ゴソッ

    『銀で出来た星のペンダント』。

次々に取り出しては、また元通りしまっていく。
落とし物がないか確認しているのか、
それとも出したい物があるのかもしれない。
ともかくラッコの行動は続いた。

           パッ

最終的に出てきたのは――――『石』だ。
『ごく普通の石』に過ぎないのだが、
ラッコにとっては『銀のペンダント』よりも重要な品物なので、
奥の方に突っ込んであったのだった。
もちろん人間の『功刀初雪』には関係のない話だろう。

244功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/08/06(日) 11:37:05
>>243

「………………」

しげしげと、諸々の『がらくた』を取り出す様子を眺める初雪。

当然野生動物が毛皮から取り出した物というのは、
どれだけ価値がありそうでも触れたくはないが……

(知恵を持たない獣にしては、悪くないセンス。
 ……光ってればなんでもいいのかもしれないけれど)

『ホタテ』や『石』は動物らしいが、
人間用の『装身具』を集めるラッコと言うのは初めて見聞きした。
普通に生きているならそれをしまっておくスペースを使って、
ホタテをもう1〜2枚入れておくのが野生の本懐だろう。

(……どうせ蒙昧な輩が無秩序に餌でも与えているのでしょうね)

           フン

鼻を鳴らす。

獣の意思があるかどうかはさておき、
『餌をあげる何者かがいる』なら、この奇妙な生活にも頷ける。

(ま、それを生存戦略にしているなら、
 人間の一味である私に何を言う権利も無し)

特に目を離す理由も無いし、もう少しだけラッコの動向を見て居よう。

245ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2023/08/06(日) 19:01:42
>>244

『海棲哺乳類』であるラッコは、『石』という『道具』を使う。
人間を含めた『霊長類』を除くと、日常的に道具を使う動物は『ラッコしかいない』。
『アラスカ州:プリンス・ウィリアム湾』に棲んでいた頃、このラッコも母親から、
『潜水の仕方』や『餌の捕り方』といった生存に必要な数々のスキルと一緒に、
『石の使い方』を学んでいた。
そして、これは『ただの石』ではない。
『お気に入りの石』だ。
ラッコは『同じ石を使い続ける習性』があり、万一なくしてしまうと、
食事も喉を通らなくなってしまう。
すなわち『命の次に大事な石』。

       「ミャア」

しかし、人間から見れば、やっぱり『ただの石』である。

           ソッ

二本の前足で包むようにして、ラッコは器用に石を持ち、少しずつ角度を変えていく。
いかにも大事そうに、つぶらな瞳が石全体を眺める。
一通り観て満足したのか、また石をポケットに戻した。

           ――――ストン

再び『四足形態』に移行するラッコ。

     テト テト テト

さっき確認した方向――『功刀家の方角』に向かって歩き始めた。
その周囲に棲んでいるかは定かではないが、ともかく立ち去るらしい。
足が遅い為、完全に視界から消えるまでには、もう少し掛かりそうだ。

246功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/08/06(日) 22:59:37
>>245

「…………けほっ」

ラッコにとっては生命の中の重要なファクターでも、
初雪から見れば――ラッコの石は『当然』のものだ。
もちろん、大事なものなのは分かるし、
格別邪魔をしてやろうといった発想もない。

(『生存本能』だけで生きてるほどは、
 余裕のない暮らしをしてるわけじゃない……か)

石を眺めるのはやはり獣らしくはない。
食欲、睡眠欲、繁殖欲のどれでもないだろうから。

(ま……ホタテの匂いでも染み付いてるだけかもしれないけれど)

去り行くラッコに一瞥を送る。
やはり『鵺鳴川』の流域で生活しているのだろうか?

いずれにせよ……まだ帰宅する予定もないし、
追いかけてどうこうしようというつもりもない。

               クルッ

「……」

(『人気者』なのは珍しい動物だから、というだけじゃない、か)

自分自身も、この場にこれ以上用はない。踵を返して立ち去った。

247ソラ『ステインド・スカイ』:2023/09/02(土) 12:25:01
お昼の歓楽街 とある蕎麦屋

注文したのは盛り蕎麦だ
海苔も乗っていない、ただの盛り蕎麦
蕎麦には日本酒も欲しい所だが、生憎今は昼
仕事の休憩時間に入った蕎麦屋だ、酒を飲むわけにはいかない

248ソラ『ステインド・スカイ』:2023/09/03(日) 20:55:24
>>247
啜らずに、音を立てずに蕎麦を食べる

蕎麦を食べていると、
たまにわざとらしく大きな音でズルズルと啜り、
啜らない奴に「蕎麦は音立てて啜るのがマナーだ!」だとか、
「啜らないのは見苦しい」とか「香りがどうだこうだ」とか言って啜る事を強要してくる馬鹿がいる

それは違う!蕎麦を啜る事は別にマナーでも何でもない!
そもそも、蕎麦を啜る習慣は元は忙しない江戸っ子が、時間を惜しんで急いで啜って食っていた事に由来する
時間に余裕があるのなら別に啜る必要も無いし、啜るのはむしろ行儀が悪い方だ

だが、マナーとは周囲に人に不快な思いをさせない事が肝要なのであって
周囲を不快にさせなければ硬い事は言わなくて良いだろう
食べ方なんて啜ろうが啜るまいが、常識の範囲内で好きに食えばいい
迷惑をかけずに美味しく食べる事が最大のマナーだ

ところで、隣で蕎麦を啜り食いしている男…
これで天ぷらそば100杯目だ、明らかに自身の体を超える量を食っている
質量保存の法則はどこに行ったんだ!?

隣の男「天ぷら蕎麦、追加で」

まだ食うのか!?わんこ蕎麦じゃないんだぞ!

ソ「おあいそ」
店員「500円丁度です」

ソラが出て行った後の事だが
隣の男、あの後トイレに行ったらしいが
トイレには服だけ残して男は消えていたらしい
そして何故か大量の蕎麦がその場に散乱していたという…

            , ´ ̄´ヽ`_
         ▲ ^ ^ `ヽ
         ■|     ●| 
         ▼ノ-_ __ ノ       
      ,.-''' 、  /  ,,   ''-.,
     ( ,i''゙  ( __/ )|川( \ ゙'' i,)
     .| ゙-..;;_''  ''''',, '',,,._ ,,,..-'゙.|
      l,     ̄ ̄ ̄ ̄     .|
       'l,             ,/
       \          /
         ゙l'-、..,,,,,,,,,,,,..,、-'l゙

              終
            制作・著作
            ━━━━━
             ⓃⒽⓀ

249宗像征爾『アヴィーチー』:2023/10/15(日) 14:26:07

    ジ ャ ラ ラ ラ ラ ァ ッ

自販機の前で小銭をバラ撒いてしまった。
思うように動かない左手が足枷になっている。
新しい状態に慣れようとして、右手を使わなかった事が裏目に出たようだ。

            チャリ…………

散らばった硬貨を拾い始めるが、なかなか捗らない。

250功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/10/16(月) 14:35:09
>>249

「けほ……」

             コツンッ

黒の革靴に転がった小銭が当たる。

「……もし。貴方、大変そうね」

後ろから声をかける。

人助けが好きなわけでもないし、
見るからに住む世界が違いそうだが、
優越感に浸りたい気分だからだ。

「それ、手伝ってあげましょうか? お邪魔なら、しないけれど」

251宗像征爾『アヴィーチー』:2023/10/16(月) 15:56:37
>>250

地面に向けていた視線を上げて、声の主を振り返る。
いつまでも手間取っていると、次の人間が利用できない。
この相手が自販機を使うつもりかは知らないが、
いずれにせよ早めに片付けてしまうべきだろう。

「そうしてもらえると助かる」

          ――――――キィンッ

左手で拾い上げた百円玉が指の隙間から零れ落ち、
軽い金属質の音を響かせる。

「もう一つ転がってしまった。
 手間を掛けさせて悪いが、それも拾ってくれ」

どうにも上手く動かせない。
右手の動作に支障はないとはいえ、
実質的に片手だけで拾う状態に近く、能率は良くなかった。
不自由な身体になってみると、今までは恵まれていた事が理解できる。

252功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/10/16(月) 22:48:31
>>251

振り返れば、屈んだままでも覗ける高さに顔がある。
和服にも思えるワンピースや大きな鍔の帽子、
白に黒が混ざる髪、華やかな赤のアイメイク。

「『渡る世間に鬼は無い』…………けほっ。
 人は善意で動くと、気分が良くなる生き物」

広い袖で口元を抑えて立つ少女は、己を飾っている。

「私の気分を良くさせてもらうわ。
 まさか自分で拾えだなんて、
 そんな鬼みたいな事を言うわけもなし」

      ソッ…

ひどく緩慢な動作で、もう一枚のコインも拾おうと……

            コロコロコロコロ

       ポチョン

……したが、『手の動き』が追いつかず、
『側溝』の穴の底へ呑まれてしまうのを目で追う。


「……鬼じゃなくて人だからこそ、失敗するって事もある。でしょぉ?」



         ・・・目で追ったまま、そのように付け加えた。

253宗像征爾『アヴィーチー』:2023/10/16(月) 23:44:14
>>252

少女の緩慢な所作を見やり、硬貨が消えた側溝に視線を移す。
転がる硬貨を左手で掴めたどうかは俺自身も怪しかった。
また、一人の人間の全てを、外見だけで推し量る事は出来ない。

「人ではないからといって間違いを犯さないとは限らない」

あるいは、共通する部分などないように思える俺にも、
この少女と『近い部分』が存在するのか。

「人が失敗したとしても不思議はないだろう」

        チャリッ

目線を戻し、左手を伸ばして十円玉を手に取る。
意識してやれば、先程よりはマシな動きが出来た。
考えるまでもなかったような単純な動作を、
今は集中して行なわなければならない。

「君の気分が良くなるのなら、
 俺の失敗にも多少の価値はあったのかもしれないな」

左手を使い、百円玉を拾う。
硬貨を集める作業は訓練に向いている。
そのように考えれば、俺にとっても意味はあったのかもしれない。

254功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/10/17(火) 20:06:35
>>253

「ふぅん、殊勝な考え方なご様子ね、おじ様。
 ま……『情けは人の為ならず』
 それが巡り巡らずこの場で起きているだけ」

          チャリ…

「大きく見れば、よくある話ではあるでしょうね」

片袖は口元に添えたまま、他の硬貨を拾う。
風体で下に見ていた部分はあったが、
言葉に妙な『含蓄』を感じていた。

「ジュースはもう買ったのかしら?
 私も何か買おうと思っているのだけれど、
 順番待ちを抜かすほど乾いているわけでも無し」

他にも硬貨が落ちているようなら拾いつつ、声を掛ける。

255宗像征爾『アヴィーチー』:2023/10/17(火) 21:07:41
>>254

カーキ色の作業服と使い込まれた革手袋を身に着け、
見る者に無骨な印象を与える安全靴を履いた姿は、
華やかに飾られた少女の装いと比べれば対象的だった。

「もし迷惑でなければ、その小銭は受け取ってもらいたい」

          スッ

全ての硬貨を拾い終わった後、立ち上がって少女に向かい一礼する。

「ここで買う『飲み物の代金』くらいにはなる筈だ」

             ザッ

自販機の前から身を引き、そのように言葉を続けた。

「『借り』を作ったままにするのは『義理』を欠いている」

俺が生きているのは紙一重の差であり、ほんの僅かな違いに過ぎない。
病院で生き返った時、また借りを増やしたらしい事に気付いた。
返せない借りを抱えて死ぬのは、無視できない居心地の悪さを感じる。

256功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/10/17(火) 23:18:10
>>255

「…………貴方、『粋』な事をするタイプね。
 そういうつもりじゃあないけれど……けほっ。
 断るのは貴方に恥をかかせる事になりそう」

            スッ

「良いでしょう……これ、受け取らせていただくわ」

                  チャコン

自販機の前にゆっくりと歩み出て、
特に躊躇はせずにコインを投入した。
お恵みや哀れみだとすれば気に食わないが、
そうじゃないことが明白だからだ。

「…………『ミルクティー』は売り切れ、か。
 貴方、何かおすすめはあるのかしら。
 私……あまり自販機の品揃えには詳しくないの」

         クルッ

「ああ……『コーラ』はあまり得意じゃないから、それ以外でね」

振り向いて、『作業服の男』に問いかけてみた。
大体のものは揃っている自販機だが……勿論決めなくても良いだろう。

257宗像征爾『アヴィーチー』:2023/10/17(火) 23:59:41
>>256

少女の目線を受けて、確認するように自販機を一瞥する。

「俺も詳しくはないが――――」

答える代わりに、ポケットから『ドクターペッパー』の缶を取り出す。

「万人受けする味だとは思わないし、特に愛好者でもないが、
 視界に入ったせいで飲んでみる気になった」

『扇原』と『結城』の『試合』を観戦している時に口にした品だった。
杏仁豆腐のような味がした事は覚えているが、それは重要ではない。
これを買ったのは、記憶の中で『アリーナ』と結び付いたからだろう。

「『これ以外』にしておく事を勧める」

それだけを告げると、右手で持った缶を左手で開けようとする。
投入された金額に不足はなかった。
どれを選んだとしても、望んだ商品が出てこない事はない。

258功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/10/18(水) 00:54:12
>>257

「へぇ、そう。……逆張りをする気も無し。
 そうね、それじゃあこれにしておきましょうか」

            ゴトン

特に何でもないりんごのジュースを買った。
銘柄も特に気にはしない。
飲み物よりこの男に興味が湧いていた。

「意外と好奇心旺盛なのね、おじ様。……面白いわ」

宗像にジョークの意図はなかったのかもしれないが、
訳アリっぽい渋面の男と、ドクペの缶のギャップに微笑を浮かべる。

「私、あまり珍しいものを食べるほうじゃあないの。
 『温故知新』 新しい好みを取り入れるのも良いとはわかってるけれど、
 けほっ……貴方はけっこう、そういうのをする方なのかしら?」

        「『珍しい食べもの』だとか。飲み物だとか……」

プルタブを起こすのに力をこめる。
……なかなか起きないが、それは分かっている事だ。イライラはしない。

259宗像征爾『アヴィーチー』:2023/10/18(水) 05:20:21
>>258

俺は常識がある方とは言えない。
世の中から遠ざかっている間に、多くの事を忘れている。
笑い方も、その一つとして挙げられるだろう。

「これを飲む人間の気持ちを知りたかったのが最初だ」

元々これは『甘城』が飲んでいた物だ。
その人間性の一端を知ろうと試みる意図で、
『闘技場』において同じ飲み物を注文した。
今では、それが『アリーナ』を想起させる呼び水に移り変わっている。

「今も理解できているとは言い難い」

      ググ………………

手の痺れが残った状態で缶を開ける行為は、
地面に落ちた硬貨を拾い上げる事よりも神経を使う。
慣れない作業をしていると、どうしても慎重にならざるを得ない。
結局の所、少女と同じ程度のペースで目的を果たす事になった。

「おそらく俺には分からないのだろうな」

       ――――――カシュッ

苦労して作った飲み口から、缶の中身を一息に呷る。
特有の癖を持つ炭酸飲料が喉を通り抜けると、あの日の『試合』を思い出す。
決着を見届けると同時に、そこは俺が立つべき場所ではない事を悟った。

260功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/10/18(水) 11:13:44
>>259

「噂に名高い湿布味が好みなんじゃあなければ、
 目立ちたがりか……不思議ちゃんか。ま、その2つは同じかしらね。
 そういう『逸脱』がお好みの人が飲むもののイメージだけれど」

               ググッ ・・・ カシュン

「イメージの話じゃあない、という認識でいいかしらぁ?」

プルタブを起こした缶ジュースをすすりつつ、道の端に移動する。

「『無知無学』を開き直るのは好きじゃあないけれど、
 人の心をむやみに探らないのは良いことでしょうね。
 人間の本質は『理性』 奥底の本能は獣性でしかないわ」

目の前の男が『闘技場』を想起していることなど知る由もない。

「……貴方は中々面白そうな人だけれど、
 私、そろそろ行くところがあるのよ。
 『躓く石も縁の端』……縁があればまた会うでしょうね」

        ザッ

          「ジュース、ご馳走様。
            それじゃあご機嫌麗しゅう」

だが、それで問題はない。
人間は飾る生き物だ。

呼び止めてくる相手でもないだろうと判断し、身を翻してゆっくり歩き去った。

261宗像征爾『アヴィーチー』:2023/10/18(水) 13:11:37
>>260

やがて缶を空にした後、改めて少女に向き直る。

「少なくとも友達は大事にしている様子だった」

甘城天音に関しては、
『鈴蘭の少女と付き合いがある』という事くらいしか知らなかった。
いくらか突飛な部分はあるものの、本質的には薄情な人間ではないだろう。
そうでなければ命懸けで庇う事はしない。

「――――覚えておこう」

立ち去る背中を見送り、ごく短い言葉を投げ掛けた。

       カ ラ ァ ン ッ

その直後、少女の背後で空き缶が地面を打つ音が響く。
上手く力の入らない左手から、それが零れ落ちてしまった。
おもむろに腕を伸ばし、然るべき場所に入れる。
生活の結果として出されるゴミは、人が生きている間に消える事はない。
この世から人がいなくならない限り、いつまでも残り続ける代物だ。

「そこが『俺達の立つべき場所』か」

『殺し屋の形見』を受け取った左手を見下ろし、その場から歩き出す。

262甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/10/28(土) 13:01:04
秋といえばスポーツの秋

ここはスーパー銭湯のサウナ
サウナもスポーツの一種と言っても過言ではない

>>263と只管蒸し暑い部屋の中を耐え忍ぶあま公

263甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/10/29(日) 21:17:04
>>262
暑い密室で蒸し焼きにされるのは、焦熱地獄のようだ
生きたままボイルされる海老はこんな気分かもしれない
サウナで整うと言われるが、お手軽臨死体験の事というのは本当かもしれない

阿部マリア「うぉぉぉ、もう駄目ですわ…
      これ以上ここに居たらマジで死んじまう…」
松本「おい、見ろよ…この部屋100℃になってるぞ…どうりで暑いわけだよ…」
あま「…出るか」

数時間サウナに篭っていたが、流石に命の危険を感じて部屋を出た一行

サウナから出た後は、10℃程度の冷たい水風呂へ入る

マリア「うおぉ、冷てぇ!」

焦熱地獄のようなサウナで蒸された体が急速に冷やされていく
勢い余ってマリアは風呂の水をたらふく飲み、体の内側まで冷やしていく

マリア「うめぇですわこの水!!!!!!!!!」
松本「汚いなぁ」
あま「……」

暑さと冷たさの落差を味わうこの感覚
本当に体に良いのかは分からないが、悪くない

水風呂から上がり、売店で風呂上りのドリンクを買う

マリア「うおぉ、やっぱ水がうめぇですわ!!!!!!」
松本「君、さっきから水何リットル飲んでるんだよ
   水中毒で死んでもしらないよ」

マリア「おっ、それは何ですの?」
あま「アイスボックス、それとオロナミンC」

アイスボックスにオロナミンCを注ぐあま公
オロナミンCは丁度アイスボックスの器にピッタリと入った

キンキンに冷えたオロナミンCにアイスボックスが溶けて
失われた水分と栄養素が取り戻されるのが感じられる


そうしてサウナを堪能した3人は、整ったかどうかは分からないがまた来ようかなと考えていた

何かさっき「とくさんか?」「違います」
とか言う会話が聞こえてきたが、あま公達には関係無い事だ

       |________
    /________
   / 〜 〜〜  〜〜 |
  / ||||   〜〜 〜  〜  |  
/  ;ヾ"、   〜 ~  ~ \_  _____________
  ∠____________)ノ______
______________________
LLLLLLLLULLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLULLL
_LLLLLLLLLULLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLULLL

              終
            制作・著作
            ━━━━━
             ⓃⒽⓀ

264百目鬼小百合『ライトパス』:2023/11/03(金) 23:56:37

糊の利いた白いパンツスーツを着た長身の女が歩いている。
既に中年を越えているものの、外見は実年齢よりも若く映り、
踏み出す足取りは衰えを感じさせない。
切れ長の目とベリーショートの黒髪が、男勝りの印象を強めていた。
『白百合のイヤリング』が唯一の装飾品だ。
口元には艶ぼくろがあり、咥えた煙草からは緩やかな紫煙が立ち昇る。

    「確か『この辺』に――――」

             ザ ッ

           「『喫煙席』のある店が…………」

立ち止まってスマホを取り出すと同時に、足の下で『何か』を踏んだ感覚があった。

265百目鬼小百合『ライトパス』:2023/11/04(土) 15:47:43
>>264

足を持ち上げてみると、磨かれた革靴の底が踏みつけたのは、
クシャクシャに丸められた新聞の一部だった。
違法に営業していた『夜の店』の摘発を報じる記事。
要するに『不法投棄』だ。

「こういうのは良くないねえ」

腕を伸ばして拾い、それを回収する。
これも『美化活動』の一環。
些細な事だが、誰かが拾わなければ残り続けてしまう。

「しかし、『喫煙席』も減っちまったもんだよ。
 ま、『百害あって一利なし』とは言うけどさ」

空に向かって緩やかに立ち昇る『毒煙』。
『美化』を推進する百目鬼自身が、ある意味で『街を汚す一因』になっている。
その逃れようのない事実は、『人間は清いだけでは生きていけない』という現実を、
百目鬼小百合に教えていた。

    「…………ん?」

            「『ここ』は確か…………」

いつだったか、前後から挟み撃ちしてきた暴漢達を、
一ダースほど纏めて叩き伏せた場所だ。
その時に『一人のスタンド使い』と出会い、
『流星刀』について話し、『協力』を要請していた。
百目鬼と同じく『清濁』を併せ持ち、『酒と煙草を嗜む修道女』。

「『神頼み』って訳じゃないが、『やる事』が出来た」

             ザッ

    「――――『店を探す』のは後回しだ」

にわかに踵を返し、『町外れの教会』に歩き出す。

266夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/11/09(木) 18:52:55

『夢見ヶ崎明日美』は『アリス』だ。
『アリス』は『白ウサギ』を追いかけた。
だから『夢見ヶ崎』は『ウサギ』を探している。

  「ん〜〜〜〜〜〜」

        「おっ!!」

           「ほうほう、それでそれで??」

傍らに『ドクター・アリス』を発現し、
『超人的聴覚』で『街の声』に耳を澄ます。
通行人の会話や独り言を聞いているだけでも面白いのだが、
探しているのは『不思議の国』の案内人。
すなわち『ウサギ』である。

267名無しは星を見ていたい:2023/11/11(土) 03:50:34
>>266
「もし……」
             「もし……」

「そこのお方……」

乱立する雑居ビルの隙間――――薄暗い路地裏からしゃがれた老婆の声が聞こえる。
あなたは声の方に向かってもいいし、向かわなくてもいい。

268夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/11/11(土) 10:15:07
>>267

ナニナニ??
ドッカから『おばあさんのコエ』がするって??
さてはノコノコついていったら、ふとらせてくうつもりだな!!
『ヘンゼルとグレーテル』はまだきてないから、
『アリス』がひとあしさきにいってやろう。
イチバンのりだ!!

       スタ スタ スタ スタ スタ

『歓楽街』の『路地裏』から『老婆』の声がする。
はっきり言って『怪しすぎる状況』だ。
『だから行く』。
『パンやきガマ』につっこまれたくなかったら、
『おかしのいえ』までアンナイしてもらおうか??
たらふくゴチソウしてくれたらミズにながす!!

269名無しは星を見ていたい:2023/11/11(土) 11:38:36
>>267

「こっち…」
         「こっちですじゃ…」

好奇心のまま声の元を辿っていくと、
そこには人目を避けるように室外機で暖を取る
薄汚れたボロ布を羽織った老婆が静かに鎮座していた。

皺くちゃな顔を覆わんばかりの長い白髪に、鷲のような大きな鉤鼻。
ローブの様に纏うボロ布から伸びる手は枯れ枝の様に細く、
まるで『おとぎ話』に出てくる『魔女』さながらの風貌を思わせた。

  「ヒッ…」
          「ヒヒ…」

「こんにちわ、お嬢ちゃん」

『老婆』がくしゃりと笑い、話しかけてくる。

270夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/11/11(土) 12:09:18
>>269

おい??
おいおいおい??
おいおいおいおいおい??
『おかしのいえ』がないじゃねーか!!
どうりで『ヘンゼルとグレーテル』がきてないワケだ。
イマどき『おばあさんだけ』じゃあダレもひっかけられんぞ!!
『アリスいがい』は!!

       「ねぇねぇねぇねぇねぇ」

            ザッ

「おばあちゃんは、どうして『オハナ』がおおきいの??」

『超人的嗅覚』で『老婆の匂い』を嗅ぐ。
例えば、疲れている人間は肝臓や腎臓の働きが鈍り、
皮膚から『アンモニア臭』がするし、緊張による心理的ストレスが加わると、
『ストレス臭』と呼ばれる皮膚ガスが発散される。
人間の『体臭』は、『体調の変化』や『精神状態の推移』によって様々に変動し、
それを検出できるのが『超嗅覚だ。

271名無しは星を見ていたい:2023/11/11(土) 12:44:39
>>270
       「ヒッヒッヒッ…」  「おやおや……」

「元気のイイお嬢ちゃんだねェ……
それはねェ、美味しい食べ物を探すためさ」  「ヒーヒッヒッヒッ」

「生憎目が不自由でねェ……」

冗談交じりの様な古典的な返答を返す『老婆』。

     クン クッ――

『老婆の匂い』を嗅ぐ――――瞬間、即座に覚える『強烈な臭い』に思わずたじろぐだろう。
人並み外れた『超人的嗅覚』を持つ『アリス』だから分かることだ。

   ゴ
      ゴ

    ・ ・
――『異臭』。
浮浪者特有の服に染み付いた『アンモニア』臭とも、
体外に排出される『ストレス』による『ストレス集』とも違う。

「ところで…元気なお嬢ちゃんや…」

            ゴ
       ゴ       ゴ

                                      ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『血の通った人間』からは到底感じえない『異様な臭い』――『腐敗した肉の臭い』だ。

「一つ…お願いがあるんじゃが……」

272夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/11/11(土) 13:24:43
>>271

くっせーな!!
『ヒトじゃないニオイ』がプンプンしやがるぜ??
だけど、きにいった。
こいつはナカナカみどころがあるな!!
よくて『アメリカン・ファジーロップ』くらいだとおもってたけど、
『ニュージーランド・レッド』にランクアップしてもイイぞ。

「――――おん??」

『ドクター・アリス』が両腕を後ろに回し、左右の手から『小指のネイル』を取り外す。

「『おかしのいえ』をショウカイしてくれるんなら、
 オネガイをきくのもヤブサカじゃないけどさぁ」

        スタ スタ スタ

「こんなふうに『ちかづいた』らさぁ〜〜〜〜」

何気なく言葉を続けつつ、『老婆』から『5m』の距離まで近付く。

「『おおきなオクチ』でたべられちゃうんじゃない??」

『アリスブルーのサングラス』を通して『老婆』を眺め、小首を傾げる。

273名無しは星を見ていたい:2023/11/11(土) 13:39:27
>>272
僅かに臨戦態勢をとりつつ『5m』まで近づいた。
この距離ならば相手がどう動こうが確実に『先手』を取れる間合いだ。

「『水』……」

そんな『アリス』を尻目に、ポツリと呟く。
視線はやや俯き気味であるため、『ドクター・アリス』に気づいた気配はない。

「水を一杯……頂きたいのですじゃ…」

     ・ ・
「こんなナリですんでのォォォ」

「食べ物にありつくのもままならん有様ですじゃ…」

「お優しいお嬢さん……お恵みを…」

274夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/11/11(土) 14:11:43
>>273

   「じゃ、『コレ』」

             ゴソ

               「あげるからさぁ」

たまたま買っておいた『ペットボトル入りミネラルウォーター』を取り出す。

「さっき『めがフジユウ』っていってたよね??」

       ト ッ

「すっごいタイヘンそうだよねぇ〜〜〜〜」

       ト ッ

「イマどれくらいみえてるの??」

       ト ッ

一歩ずつ確実に『老婆』に歩み寄る。

「――――――『おミズ』あげる」

手にした『ペットボトル』を『老婆』に差し出す。
『金髪』を靡かせる『ドクター・アリス』を後方に残したまま。
容器内の水に反射して、明るい笑みを浮かべた『アリス』の顔が映り込んでいた。

275名無しは星を見ていたい:2023/11/11(土) 14:30:08
>>274
「おォ! ありがとう…」
                「ありがとうねェェ〜〜〜」

取り出される『ペットボトル』を見て、
突き出すように手を合わせる。

「何分『歳』ですからのォ〜〜〜」

「ほとんど何も…曇りガラスみたいにボヤけておりますじゃ」

「そんなことより…」
             「さっ! 早くそれをおくれ」

276夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/11/11(土) 14:48:40
>>275

『老婆』の言葉に『同意』するように、うんうんと何度も頷く。

  「そっかぁ〜〜〜〜」

            ――――ポン

枯れ枝のような手の中に『ペットボトル』を置く。

「ほかにナンかない??ほしいモノとか。
 イマもってるのは『M&M's』のチョコくらいだけど」

          カリッ

              「たべる??」

ポケットから出した『M&M'sピーナッツチョコレート』を口に放り込む。
砂糖菓子でコーティングされたカラフルなチョコは目でも楽しめる。
『アリスのお気に入り』だ。

277名無しは星を見ていたい:2023/11/11(土) 15:12:28
>>276
「ありがとうねェ…でもこれだけで十分だよォォ〜〜〜」

    ――パキャッ

『老婆』は礼を言うと、『老婆』らしからぬ握力で渡されたキャップを器用に開け……

   ゴキュッ  ゴキュ
              ・ ・ ・ プッハァアア―――ッ

          ・ ・ ・ ・
「あァ〜〜〜ッ 生き返るねェェェェ」

口元を濡らしながら、まるで浴びるように勢いよく『水』を飲みだす。
……そこで、『超人的聴覚』を持つ『アリス』は再び不思議な『音』を耳にした。

   ――ゴキュン ゴキュッ
               ズキュ ギュン


それは『水』が喉元を通り過ぎる『音』ではなく――
まるで濡らした『顔面』が肌に張り付き『水』を吸収するかのような『異音』であった。

278夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/11/11(土) 15:35:07
>>277

目の前の『老婆』は『異常』だ。
そう感じる根拠は『超人的感覚』だけではない。
これまで数々の『不思議の国』を渡り歩いてきた経験が『アリス』に教えている。

     ジィィィィィィ――――――――――ッ

『老婆』――――正確には『老婆の姿をした何か』が、
肌で水を『吸収』していく様子を、あからさまに興味津々な表情で観察する。
『まだ見た事のないモノ』。
レンズ越しの瞳は『好奇心』に溢れ、キラキラと眩しく光り輝いていた。

「おばあちゃん『ゲンキ』になったみたいだしさぁ〜〜〜〜」

「『アリス』も『めずらしいウサギ』がみつかったし――――」

     「『ギブ・アンド・テイク』!!」

           グッ!

『謎の老婆』に向かい合い、力強く親指を立てる。

279名無しは星を見ていたい:2023/11/11(土) 15:56:11
>>278
「ウサギ……?」
            「ハハッ、妙な事を言うお嬢ちゃんだねェェ〜〜〜」

 「だが『気に入った』」

            ―――グっ!

ご機嫌そうに親指を立てる『アリス』を不思議そうな目で見るが、同じく親指を立てて答える『老婆』。
肌には瑞々しさが戻り、どこか『若々しい』雰囲気が――

   ツヤツヤ

           ・ ・ ・ ・ ・ ・
――いや、違う。『若返っている』。
先程まで齢八十は越えるであろう枯葉の様な『老婆』の姿が、
いつの間にか五、六―― 十歳ほど、『若く』なっていた。

「親切にしてもらったお礼に……」

「一つ…いい事を教えてあげようかねェェェ」

280夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/11/11(土) 16:56:29
>>279

『ドクター・アリス』は『ネイル』を取り外した。
それを『指弾』で撃ち込むのは『一瞬』あれば済む。
すなわち『射撃準備』を終えていたのだ。
撃たなかったのは、まだ危害を加えられていないから。
何よりも『その先を見たかったから』に他ならない。

「――――――おん??」

『M&M's』のように『カラフルなネイルアート』が施された指先を空中で泳がせる。

「『マジョ』がかくしてる『タカラモノ』のありかとか??」

「それだと『マジョ』を『パンやきガマ』にブチこまなきゃならんけどな!!」

目の前で若返っていく『何者か』を見つめながら、
どこまでも果てしなく天真爛漫に笑う。

「ぜんたいてきにオモシロかったから、
 『おかしのいえ』がなかったコトは『ミズ』にながしてやろう。
 でも、『アリス』は『グルメ』だからな!!
 シンセンでピチピチしたイキのいいハナシをたのむぞ!!」

もし『くさりきったニク』みてーなのだったら、
チョー『ていひょうか』でレビューしてやるからカクゴしろよ??

281ジョン・スミス『デッド・カン・ダンス』:2023/11/12(日) 11:15:56
>>280
「フッフッフッ…」
             「勇ましいねェェェ〜〜〜」

   「でも、気をつけなきゃ・・・・・・」

                    グジュ  グジュ

歪むように笑い、それに連動する様に顔面の肉が蠢き、形がみるみる変化していく。
年齢が更に十、二十と若返っていき――

  グチャリ                ボトォ
           グチャリ
 「そんな」
        「風に」
               「油断しているとォオオオ」

     ―― ド ロ ォ 

全身が『溶け』、赤黒い『頭蓋骨』が姿を現す。

「『怖いお化け』に食われちまうぞォ―――ッ!!」

      「ギャハハハハア――――ッ」

    バァアア―――z___ッ

襲い掛かる様に両腕を広げ、『骸骨』が吼える。

282夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/11/12(日) 12:57:03
>>281

「あはははははははははははははははは!!!!!!」

堪えきれずに手を叩きながら爆笑する。
さんざん『異臭』だの『異音』だの確認してきたのだ。
今さら『溶けた』としてもビビる事はなかった。
他のスタンド使いなら騙せただろうが、『ドクター・アリス』には通用しない。 
むしろ『期待以上だった』という喜びの方が大きかった。

「いや〜〜〜〜オモシロいオモシロい!!
 『くさりきったニク』みてーなのだったらどうしてやろうかとおもったけど、
 『ホネしかのこってない』ならしかたない!!」

       ――――――ビシュッ!

「ついでに『アリス』もおしえてあげよっか??」

後方に立つ『ドクター・アリス』が『指弾』の要領で『ネイル』を発射(パス精DBB)。
高速かつ精密に飛来した『光の弾丸』は赤黒い『骸骨』に命中するだろう。
それ自体によるダメージは『掠り傷』程度で済む。
だが、問題は『その後』に起こる。
『移植』するのは『超人的聴覚』。

     スゥゥゥゥ………………

  「 あ ん ま り う る さ く し て る と ! ! ! ! 」

     「 キ ン ジ ョ メ イ ワ ク だ ぞ ! ! ! ! 」

両手で『メガホン』のような形を作った本体が、『骸骨』の至近距離から思いっきり『叫ぶ』。
『骸骨自身の咆哮』と合わさって、相当な音量で叩きつけられる筈だ。
『超人的四感』の一つ――――――『メガボリューム』。

283ジョン・スミス『デッド・カン・ダンス』:2023/11/12(日) 13:23:25
>>281
「・・・・・・・・・・・・」
            「・・・・・・ア、アレ?」

「ビビらねーの?」

予想外の反応に逆に面食らう『骸骨』。
困惑している無防備なところに、『ドクター・アリス』の『ネイル』が命中する。

       ――――――ビシュッ!

  「ギャワーッ!?」

「オレサマの柔肌にヒビがッ!?」  「ホネダケド・・・」

「だが今見エタのハ・・・・・・オ」

  「 あ ん ま り う る さ く し て る と ! ! ! ! 」

     「 キ ン ジ ョ メ イ ワ ク だ ぞ ! ! ! ! 」

                    「――――〜〜〜〜〜〜〜ッ!!?」
                                                「!?」 
                                       「?!」

  キィィ――――  ン ン ン ・ ・ ・

「――おっ」
        「オ?」  「オォ??」

全身の『骨』に響く『大音量』!
頭上にヒヨコがピヨピヨ鳴きながら頭部をふらつかせる。

284夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/11/12(日) 13:49:24
>>283

『ネイル』による傷は、ほぼ皆無に等しかった。
あくまでも『能力付与』が目的だったのだから当然の配慮だ。
高度な外科手術に匹敵する精度が、それを可能にする。

「よし!!スッキリしたぜ!!」

              タ ン ッ

『骸骨』が怯んだ隙に、『ドクター・アリス』が軽やかに前進し、本体と合流する。

「こちら『アリス』!!
 カンラクガイで『フシンなガイコツ』をハッケンしました!!
 ただちに『ショクムシツモン』をおこないます!!」

     「つーワケで『ナマエ』は??」

『ドクター・アリス』を従え、『骸骨』に問い掛ける。
向こうが何かするよりも叫ぶ方が早い。
もし逃げようとしたら、『もう一発ブチかます』。

285ジョン・スミス『デッド・カン・ダンス』:2023/11/12(日) 14:16:15
>>284
「こ・・・コイツは・・・・・・」
                  ソロォ――・・・

グワングワンと揺れる頭部を押さえ、一瞬逃げ出そうと腰を屈めたが――

   「・・・ウッ!」

           ――ジャキン!

――と、思いっきり『狙われていた』。
『声』にしろ『ネイル』にしろ、またアレを食らったら溜まったもんじゃあない・・・・・・ヤベェ奴に絡んじまった!

  「・・・・・・・・・・・・」   「ンンッ!」
                        「オホン!」

    クルリ

逃げ出す素振りをごまかす様にワザとらしく大きく咳払いを一つ。

「アル時は『魚捕りノ黒人!』」
                       「またある時ハ『不審な老婆』ッ!」

     「千の姿ヲ持つ謎の『骸骨』ッ!」

          ・ ・ ・ ・ ・  ・ ・ ・
  「その名は『デッド・カン・ダンス』ッ!!」

              「『自由』を愛する『気ままな旅人』サ!」

「『トリック・オア・トリィィィ――――トッ!』」
                            「ギャハハハハアアアア―――ッ」

  バァア―――z___ンッ

舞台俳優の様な大げさな身振りでポーズを取り、声高々に名乗り上げる。
因まないが、当然今は『11月』である。

                                               「・・・アッ」  「ミミイタイ・・・」  キィィ―――ン・・・

286夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/11/12(日) 15:01:48
>>285

『移植』の射程距離は『15m』だ。
ちょっと離れたくらいでは解除されない。
オマケに、ここは『歓楽街』。
ここは相当マシな方だが、たとえば『パチンコ屋』の近くなんか通ったら、
常人でも耳障りに感じる『騒音』には事欠かない。
『ドクター・アリス』の本体なら、いくらでも対策できるものの、
そうでなければ苦労させられる事だろう。

   「ほうほう」

          「ふむふむ」

                 「なるほどなるほど」

「『アリス』から『ホンブ』へ!!
 すみやかに『データベースのコウシン』をセイキュウします!!」

こうして『アリス』は、日夜オカルトなモンスター達の調査を行っているのだ。
蓄積されたデータは本部に送信され、新たな装備開発の礎となる。
くわしいナイヨウは『トップシークレット』で、
えつらんは『キキカンリせきにんしゃ』の『ハートのじょおう』のキョカがいるらしいぞ。

「ナカナカたのしかったから、きょうはトクベツに『シャクホウ』してやろう!!」

      「――――ウンがよかったな!!」

           ビシィッ!

無邪気で明るい笑みを浮かべて、
『骸骨』こと『デッド・カン・ダンス』に人差し指を突きつける。

「あ!!『ハロウィン』だったら『おかし』あげなきゃ!!」

             ――――ピンッ

『ドクター・アリス』が親指を弾いて『何か』を飛ばす。
放物線を描く『それ』は『ネイル』ではない。
『M&M's』の『ピーナッツチョコレート』だった。

287ジョン・スミス『デッド・カン・ダンス』:2023/11/12(日) 15:27:32
>>286
      「・・・エッ」

「オレってばハートの女王の『裁判』にかけられてたノ・・・?」
                                      「マジ・・・?」 「コワ・・・」

知らずに『オカルトモンスター』認定されたが助かった。
危うく『斬首刑』になる所だったぜ! 危ねえ!?

「オッ! やったぜ」
             「ジョン、ピーナッツスキー(裏声)」

おまけにお菓子も貰えた。適当な事は言ってみるものである。
口の中に放り投げてバリボリとかみ砕く。

「というカ、お嬢ちゃん・・・・・・アー・・・『アリス』ちゃんか?
アリスはこーゆーのに『慣れてる』のカ?」

「フツーはビビッて逃げるんだケドな・・・」
                         「まっ! 『後ろ』に変ナ『幽霊』みたいなノ居るし、見慣れてるかァアア〜〜〜」

       「・・・・・・・・・・・・・・・」
                     ボリボリ モグモグ・・・
「エッ」
      「ナニそいつ・・・」  「コワ・・・」

今更ながら『アリス』の傍に立つ『ドクター・アリス』の存在に気づく。

288夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/11/12(日) 16:13:20
>>287

「だって『オバケ』なんだし、ちょっと『クビ』はねてもヘーキでしょ??」

『ニクがとけてホネだけになるニンゲン』がいてたまるか!!
カガミみたコトあんのかテメーはよぉ〜〜〜〜??
ついでに『ショウキン』もかかってるぞ。
『5000アリスドル』だ。
フハハッ!!リンジしゅうにゅうゲットだぜ!!

「まぁな!!イロイロやってる!!
 イマどきの『アリス』は『タカクケイエイ』だ!!」

『タワーマンションのオクジョウ』にすんで、『ワイングラス』をころがしながら、
『サツタバのバスタブ』でおよいでるからな!!

    「ちなみに『コレ』は――――――」

               スッ

           「『アリスのアリス』」

『本体』が『スタンド』を、『スタンド』が『本体』を指差す。
まるで『鏡写し』のような光景だ。
実際、『ドクター・アリス』は非常に有機的で、『本体と似たヴィジョン』だった。

「ところでさぁ〜〜〜〜『デッド・カン・ダンス』??」

「もしかして『どんなヒトにもなれたりする』の??」

289ジョン・スミス『デッド・カン・ダンス』:2023/11/12(日) 16:44:51
>>288
「ヘーキな訳あるかッ! 『倫理観』どォーなってんだオメェーわッ」

「確かに『即死』はシねェがア(※爆笑ポイント)・・・
オレにだって『人権』ってモンがなァ・・・・・・」
                               「アッ、いや『骨』だったわオレ」 ガハハッ

今時の若者ヤベェ!
見世物小屋の『人体模型』代わりに飾られちゃう!
だがその理屈には納得せざるを得ない! 畜生!

>           「『アリスのアリス』」

「よォし、なるほど! よく分からん!」

   「つまりオレがオマエでオマエがオレ的な?」

「『アリス』の『アリス』でそいつもアリスでありんすな??」

両方の『アリス』を見比べ、ポンと手を叩いて理解した(してない)。
細かいことは『言葉』ではなく『心』で理解した! 愛=理解!

「言いにくかったら・・・・・・そうだな」
                       「デッド・・・・デカ・・・デカス・・・」 「ンン〜〜〜・・・」

「『ジョン』でいい。『ジョン・スミス』。その方が『覚えやすい』だろ」

最もポピュラーな『名前』だ。
最近では『スミス』よりも『ウィリアム』の方が世界一多いらしいが。

                      ・ ・ ・ ・ ・
「勿論、老若男女大人子供問わず『なんにでも』サ」

「・・・・・・なんだ? 有名人にでも会いたいのカ?」  「ナカミ オレダケド・・・」

290夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/11/12(日) 17:16:01
>>289

「じゃ、いまから『スミス』とよぼう。
 ちゃんと『ナマエ』がついたから、コレで『クビ』をねらわれずにすむぞ!!」

まぁ、『アリスがツウホウしなかったら』のハナシだけどな!!
ソレがイヤなら『10000アリスドル』だ!!
このまま『ソシキ』にひきわたしてもイイんだぜ??

        「ん〜〜〜〜〜〜」

「ながいからセツメイするのがスゲーメンドくさいんだけど、
 カンタンにいうと『ヒトさがし』しててさぁ。
 『アリスのトモダチ』が、あるひトツゼンいなくなっちゃったんだよねぇ」

「で、なんか『ワケあり』っぽくて。
 だから、『そのコのカッコ』でマチナカあるいてみてほしいんだけど、ソレってどう??」

「いわゆる『おとりソウサ』ってヤツ。
 セイコウしたら『アリスおきにいり』の『フェミレス』でメシおごってやろう!!」

『スミス』は知る由もないが、『友達』というのは『小林』の事だ。
『こういうのは焦っても仕方ない』と考えて、こちらから積極的な行動は行わず、
いつも通りの日常を送りながら『きっかけ』を待っていた。
その『チャンス』が、遂に巡ってきたらしい。
ちなみに『フェミレス』は『ファミレス』とは違う。
『フェアリー・ミトン・レストラン』の略であり、『アリスの行きつけの店』だ。

291ジョン・スミス『デッド・カン・ダンス』:2023/11/12(日) 18:12:56
>>290
「無罪証明されてなかったのかヨ!?」

やだこのここわい。
サラリと謎の要求金額が倍増してるし!? 『ソシキ』てなにさ!?


「フゥーン・・・『おとり捜査』・・・・・・」  「ウーン・・・」

    「ンンン〜〜〜〜〜・・・」

陽気な雰囲気から一変して、難色を示す。
悩んでいるのか考えているのか、こめかみ辺りをコツコツと叩いて間を置く。

「・・・・・・・・・・・・・・・」

出会ったばかりの『よく分からない』少女の言う事を素直に聞いても良いのだろうか?
詳細は知る由もないが、願いがこの子の妄想でなければ、間違いなくその『友人』とやらが
『やばい事』に巻き込まれたのだろうという事は容易に想像がつく。
そんな『危ない提案』を、今しがたあったばかりの自分が請け負う『義理』があるだろうか?

それに頼み事もなんだか『変』だ。
『突然居なくなった』事に対して『変装して町を出歩く』のが
事態が好転するだろうという整合性が見いだせない。

実に怪しさ満点で、『無関係』の自分にとっては、至極『関わらない方がいいこと』には違いないが……

 ・ ・
「イイぜ。街中を歩けばいいんだろ?」
                         「その子の『写真』とか持ってる?」

――だが、『それが気に入った』。

自身にとっては『無関係』だが……
『子ども』にとって『友人』とは、かけがえのない存在であることを『ジョン』は知っている。
こんな胡散臭い『見ず知らずの骸骨』に頼む程度には、恐らく切羽詰まっている『必死さ』が少しは理解はできる。
藁をも掴む子どもの頼みを無下にできるほど、『悪人』でもないのだ。

292夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/11/12(日) 19:32:02
>>291

少なく見積もっても、『スミスの存在』と同じくらいには『怪しい話』だ。
目の前の少女から『あからさまな必死さ』は窺い知れない。
だが、『初対面の骸骨』に頼むくらいだから、『相応の真剣味』はあるのだろう。

「――――――おん??」

「『くわしいジジョー』きかなくてイイの??
 『なんでそうなった??』とかさぁ〜〜〜〜」

実の所、詳細な流れを説明していると、とても時間が足りなくなってしまう。
それくらい複雑怪奇な話なのだ。
だから思いっきり『端折った』のだが、普通の相手なら十中八九まず聞き返してくる。
『スミス』が『二つ返事』で承諾したのは意外だった。
あ!!ぜんぜん『フツーのヒト』じゃなかった!!だって『オバケのスミス』じゃん!!

    「でも、ありがと!!
     さすが『ガイコツのナカのガイコツ』!!
     『アリス』がみこんだとおり『ホネがある』な!!」

         「って――――『スミス』は『ホネしかない』だろ!!」

                ポンッ

軽口を叩きながら、『肩の骨』に軽く触れる。

   「で、『シャシン』??」

        ススッ

          「え〜〜〜〜〜〜と」

                    「『コレ』とかどうよ??」

スマホを取り出して操作し、画面を見せる。
背景には『御伽噺をモチーフにしたレストラン』が映っていた。
件の『フェミレス』らしい。
テーブルの上には様々な料理が並んでいる。
ひときわ目を引くのは『二つの巨大なフルーツパフェ』だ。

「ミギが『オーベロンノーブルデラックスパフェ』で、
 ヒダリが『ティターニアロイヤルジャンボパフェ』」

椅子に座っているのは『三人の人物』。
『童話から出てきたような服装の女性』、
『スーツ姿の白人男性』、『バンカラ風の青年』だ。
どういった集まりなのか不明だが、なかなか個性的な面々が揃っている。

       「『このコ』」

          スッ

特徴的な『琥珀色の瞳』を持つ『バンカラ風の青年』を指差す。

293ジョン・スミス『デッド・カン・ダンス』:2023/11/13(月) 00:19:29
>>292
「フ・・・美女の頼みは断らねェ主義なのサ」
                     「斬首刑になりたくネーし」

冗談めかして笑い、同じく肩に手を置く。

込み入った事情も気にかかるが、それ以上に内から溢れる『好奇心』の方が遥かに上回る。
細かい話は後で聞けばいいと楽観的に物事を判断した。『ジョン・スミス』とはそういう男だ。
・・・・・・その結果がまあ、『この姿』な訳だが・・・・・・

後ぶっちゃけ、この子説明とか下手そうだしなーとか失礼な事考えてた。

「コイツか・・・ハハッ、『変な格好』」

『写真』に映る『バンカラ風の青年』を見て一言。『変な骸骨』に言われたくないだろうな。

「ま、聞く事がアルとするなら、コイツの『身体データ』かなァ〜〜〜〜
着てるモンはどーにかするとして・・・・・・」

「身長は? 体重は? 年齢や年収は?」

「本名は? 顔バレしてる? 彼女は居るの? 調べてみました!」

「――ってな具合に、『詳細なデータ』がある方ガ色々と都合がいい」   「顔だけなら、一瞬なんだが・・・」

294夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/11/13(月) 14:46:20
>>293

実は『組織』というのは、あながちデタラメでもない。
何故なら『夢見ヶ崎明日美』は、『アリーナ』の『正式登録選手』の一人だからだ。
現在のランキングは『89位』であり、『ヴォーパル』というリングネームや、
『夢見る夜の新星』という二つ名もある。

「なんか『スミス』ってムショーに『したしみ』わいちゃうんだよねぇ〜〜〜〜」

「わかった!!『しりあい』とにてるからだ!!」

「いちおう『アリス』の『マネージャー』みたいなヤツでさぁ〜〜〜〜。
 テキトーでカンジンなときにつかえなくて、
 うだつのあがらない『ボンクラ』だけど、
 ストレスはっさんの『サンドバッグ』としてはユウシュウかなぁ。
 どんだけボコボコにしても『ザイアクカン』ないから!!」

「でも、アイツのせいでストレスたまってるときもあるから、
 やっぱユウシュウじゃないかも??」

『アリーナ』の構成員である『金一』。
どこか『スミス』と重なる部分を感じる。
ただし、アイツは金に汚い性格なので、『スミス』とは比較にもならない。

「だから『スミス』をみてると、
 なんとなく『ドロップキック』したくなるのかもしれんね。
 さっき『スッキリ』したから、きょうはしないけどな!!」

何事か一人で納得しながら、しみじみと語った。

「『コバヤシくん』は『ナカミ』のほうがだんぜんオモシロいぞ。
 だけど、『スミス』は『ソトガワ』だけしってればイイよ」

       「『コバヤシタケル』」

         「『18さい』」

        「『178センチ』」

基本的には『これだけ』でいい。

「トモダチに『キオクソウシツ』のヒトがいてさぁ。
 『アリス』が『ナマエ』つけてあげたんだよね」

「で、『スミス』には『キオクソウシツのコバヤシくん』をやってもらうから。
 『ナマエしかおぼえてない』ってコトにするの。
 コレだったら『ボロ』でないし、『ゴマカシ』きくでしょ??」

『完璧な演技』は最初から求めていない。
求めているのは『完璧な外見』だ。
それさえ出来ているなら、後は『設定次第』でどうにでもなる。
『グリム』のお陰で思い付いた。
一緒に『アリーナ』で戦った仲だが、今頃は何をしているだろうか。

295ジョン・スミス『デッド・カン・ダンス』:2023/11/13(月) 15:37:14
>>294
「あっれれ〜〜〜? 全ェ〜然嬉しくないぞォ〜〜?」

「『親しみ』って意味ご存知ィ〜〜〜??」
                           「ってゆーか、オレも『サンドバック』扱い?」

なんという『サディスティック』!
『叩けば鳴る玩具』が楽しいのは非常に理解できるが、
そんな扱いを受ける『玩具』こと『金一』氏に僅かに同情の念が湧く。
というか『同列』扱いされてるんですがァ!?

「『記憶喪失』か・・・・・・なるほど、そりゃ『便利』だ」

『肉体情報』を記憶に刻み、頷く。
口調やら性格が一致していなくとも確かに誤魔化しが効く。

「オッケー、オッケー! それだけあれば十分だ」

「あとはまァ・・・・・・そうだな。
『どこで変装すればいいか』――ぐらいは知っとくべきか」

「『囮捜査』って言うンだから、なんか場所の指定とかあるんだロ?
それともマジでテキトーにブラついてりゃいいの?」

296夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/11/13(月) 17:06:45
>>295

「『スミス』は『ホネがあってホネしかないガイコツ』でしょ??
 『アリスはアリス』で『スミスはスミス』。
 そんで『アリスとスミス』は『トモダチ』だ!!」

            キ ュ ッ

『骸骨の手』を両手で軽く握り、本来の意味の『親しみ』を込めて握手する。
 
「『ドロップキック』したくなったら、
 『アイツのセナカ』にしとくからモンダイなし!!」

どうやら、『サンドバッグ』にされるのは、
『マネージャーみたいなヤツ』の方らしかった。

「キホン『まかせる』けど、『いかないほうがいいトコ』はあるよ」

小林は消息を絶ち、今は生死すら不明な状態だが、
『死んだ事にしたい人間』がいるのは間違いない。
そんな中で『生きている小林』が目撃されたら困る筈だ。
何かしらのアクションを仕掛けてくる者もいるだろう。
それが『狙い』だが、あまり騒ぎが大きくなりすぎると逆効果になる。
そんな状況では、相手も警戒して出てこれない。

       ス ッ

『カラフルなネイルアート』が施された指で『私立清月学園』を指し示す。

「『ガッコー』のちかくはヤメといたほうがいい。
 『かおみしり』がおおくて『おおさわぎ』になりそうだから。
 あとはベツにないかなぁ〜〜〜〜。
 ぜんぜんヒトがいないようなバショじゃなかったら、ドコでもオッケイ!!」

「もしダレかハナシかけてきたら、ナニしゃべったか『アリス』におしえて。
 『いまどきのガイコツ』って『スマホ』もってたっけ??」

297ジョン・スミス『デッド・カン・ダンス』:2023/11/13(月) 23:06:42
>>296
「ハハッ、オッケーマイフレンド! これから宜しくな」

グッと握り返し握手に応じる。
哀れ『金一マネージャー』。この娘の相手は大変だろう。

「『学校には近づくな』か・・・オッケー、オッケー」

「今時の『骸骨』ナメるなよォ〜〜〜ッ
文明の力に頼らねーと現代じゃ生きづらいからな」

「インスタやってる? それとも日本人ならTwitter(X)カ?(どっちも裏アカだけど)」

服のポケットから『格安スマホ』を取り出す。

298夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/11/13(月) 23:31:50
>>297

「イェ〜〜〜〜ス!!
 そんじゃ、さっそく『トモダチとうろく』だ!!」

      ピ ッ

チャチャッと連絡先を送り合う。
『サイキンのガイコツ』は、
『ニンゲンしゃかい』の『テキオウリツ』があがってるらしい…………。
このジョウホウをホンブにおくれば、
ボーナスで『1000アリスドル』くらいにはなるな!!

「――――――よし!!
 コレは『ごくひチョウサ』だから、
 じゅうぶんチューイしてニンムにあたってくれたまえよ!!
 『アリス』もタノシミにしとくからさぁ」

         タンッ

  「『フレミッシュジャイアント』きたいしちゃうぜ??」

            タッ タッ タッ

       「まったね〜〜〜〜〜〜!!」

大きく手を振り、その場から駆け去っていく。
『白ウサギを追うアリス』のように。
そう――――『夢見ヶ崎明日美』は『アリス』なのだ。

299ジョン・スミス『デッド・カン・ダンス』:2023/11/14(火) 01:30:19
>>298
「おう、任せとけ!
じゃあなあ〜〜〜〜〜」

連絡交換を済ませ、走り出す『アリス』を手を振り見送る。
借金返済の道のりは遠いな!

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・サテ」

やがて後ろ姿が見えなくなる頃、ポツリと静かに呟く。
なんだか妙な事に――――『面白そうな事』に首を突っ込んでしまった訳だが……

「『学校には行くな』か・・・・・・っつゥ――ことはよォォォ
行けば確実に『何か分かる』って事だよなあああ〜〜〜〜ッ」


フッフッフッと怪しげに笑う『骸骨』。
この男、『骸骨』の姿で女児を驚かし『謎の部族の秘宝』を盗み出し
それを『収集家』へ押しつけることで『スタンド』を発現した『とんでもない奴』なのだ。
決して根っからの『悪人』ではない――――だが、真っ当な『善人』でもないのだ。

「退屈しなさそーだゼ、この街も・・・・『大騒ぎ(パーティ)』は大好きだからな」

不敵に笑う『骸骨』は闇に紛れ、その姿を晦ます。
『好奇心』が『猫』を殺すことになるか否か――――
それはまだ、誰にも分からない・・・・・

300稲崎光希『ショッカー・イン・グルームタウン』:2023/11/25(土) 17:50:51

「うお」


「【ディオニュソスの悪戯】か…(酔っ払っちゃった)」




曜日は土曜、時刻は20時過ぎ、
薄い顔の作りに眼鏡をかけた女が、
ネオン煌めく歓楽街を覚束ない足取りで歩いている。



「昨今、【水屋】(飲み屋)が【狼の般若殺し】(1人飲み)を【ファイナルファンタジー】(推奨)しており、
 【雌狼の般若殺し】(女性の1人飲み)の為の【ヘカトンケイル】(敷居)がだいぶ下がったとはいえ、
 まさか【狼】(おひとり様)で、ここまで【ディオニュソスに誑かされる】(酔っ払う)とは……。
 やはは…我ながら【猿戯】(反省)の如くだな…ひっく!」



         「だがッ!!」



「【般若湯】(お酒)が【禁断の果実】(美味しい)なのが悪い!!!!!!!!!」

301赤月『サクソン』:2023/11/27(月) 17:37:51
>>300

  タッ タッ タッ タッ タッ タッ

千鳥足で歩く稲崎の向かいから中学生くらいの少女が走って来る
清月学園の学校指定ジャージを着た少女だ
自然体に伸ばした黒髪の一部は赤く染まったメッシュが入れられており、縁の無い眼鏡をかけている

少女の背には剣道部か弓道部かというような細長いケースが背負われていた


「はっ はっ はっ」

ジョギングのような速度でこちらに駆けてくるが・・・・・

   おや? どうにも速度を緩めるつもりがないみたいだぞ?

     このままでは稲崎に・・・・・

 
   ド
       ッ

     ジャァ
  
           ぁ
                 ぁ
                     アア
                             ンッ!!!

正面衝突だッ!!
少女は正面から稲崎に衝突し・・・・弾き飛ばされた!!

302稲崎充希『ショッカー・イン・グルームタウン』:2023/11/27(月) 21:12:43
>>301


「さ、【彩の国の上の尾の18の差の契り】(うわぁ)だぁ〜〜〜!!」


こちらも受け身を取るのに失敗し、
その場に前のめりに転倒しそうになるが


「【暗黒丸&光輪丸】(『ショッカー・イン・グルームタウン』)〜!」


         キィン!  キィン!


咄嗟に双剣のスタンドを逆手持ちの状態で発現し、
非スタンド使いには可視できない自らの得物を
スキーのストックあるいは老人の杖のように扱い転倒を回避する。


「ヒック、【若き娘】よ、【セブンス・ドラゴン】(大丈夫)か?」

303赤月『サクソン』:2023/11/27(月) 21:58:03
>>302

「いたたたた・・・・」

ぶつかってきた少女は尻餅をつくような姿勢で転倒
だが、若さゆえの機敏さだろうか。すぐさま立ち上がり、ズボンに付いた汚れを払い落とす

「すまない・・・・前が見えなくなっていたようだ
 怪我は、ないだろうか?」

そう言って謝罪の言葉を口にする・・・・のだが

      「おや・・・・・?」

視線が向いている方向が・・・・・明らかにおかしい
稲崎に向けて話しかけているようだが・・・・どうもその右隣を目掛けて語り掛けている


        キラッ

     少女のかけていた眼鏡が怪しく光る

304稲崎充希『ショッカー・イン・グルームタウン』:2023/11/28(火) 10:08:56
>>303

「嗚呼、全くもって【月は欠けていない】(怪我)はない。
 【デュオニュソスの悪戯】(酔っていた)で【サウザンドバード】(千鳥足)で、
 【オーストリッチバード】(注意力散漫)だったな……。
 汝こそ、【月は欠けていない】か…よっと」


杖代わりに握り込んだ『ショッカー・イン・グルームタウン』に力を入れて体勢を立て直す。
そして、少女の視線がこちらに向いていない事に気付く。


「ん、どうしたのだね」

305赤月『サクソン』:2023/11/28(火) 17:54:17
>>304

「む・・・・・・」

   スカッ

            スカッ

少女はわたわたとした手つきで前方を探るように両手を動かしていた
そして、ようやく距離感が掴めたかのように稲崎に対して向き直る

「ふらふらする・・・・・」

その言葉の通りに少女の挙動は明らかに怪しい
目の焦点は合っていないし、体幹も揺れていて落ち着きがない
まるで、視界や脳に何か影響が受けているかのような・・・・・・

306稲崎充希『ショッカー・イン・グルームタウン』:2023/11/28(火) 19:15:47
>>305


    「ムッ」

ザッ

明らかに様子の優れない少女を目の前にして、目つきを変える。
握っていた『グルームタウン』をその場に捨て置き、少女の身体を引き寄せる。


「我は【死殺者】(医者)だ。
 【般若湯】(酒)に【魅入られ】(酔っ払って)てこそ居るが、
 【スキャニング】(触診)程度ならば【水の時】(大丈夫)だ。
 どれ……、【月が欠けて】いるのか…?」


まずは少女の額に手を当て、発熱の有無を確認。
次に顎に手を添え口内を覗き込み腫れがないかを確認したい。

307赤月『サクソン』:2023/11/28(火) 20:51:59
>>306

「ぐっ・・・・・・!?」

突然の剣幕にすっかりと驚いてしまったのか
稲崎の突然の行動に呆気に取られているうちに、診察をされていく

発熱はない、喉の腫れもなければ舌にも異常はみられない
病的な意義のある初見は、認められない・・・・・だが

     ぎゅぅぅぅうう・・・・

何かが・・・・おかしい・・・・この眼鏡だ
『度数』が強い! 強すぎるのだ!

この少女が極度の近視だとすれば、これだけ強い眼鏡をかけている事も頷けるだろう
だが・・・・彼女の眼の動きを見る限り、彼女がこれ程強い度数が必要な程の近視には・・・・到底見えない

         バッ!!

「なんだ・・・・なんだ、急に!
【死殺者】だと・・・・君はいったい・・・・!?」

「私を・・・・殺しに来たというのか!?」

稲崎の物騒な言葉遣いに、少女は飛びのき
警戒を強めている様子だ

                               ふらっ・・・・

308稲崎充希『ショッカー・イン・グルームタウン』:2023/11/29(水) 03:32:42
>>306

  
   「【チューブ】(嗚呼)……」


考え込むような仕草を見せ、
自身の耳元に手を当てる。



「【我】はぁーッ!
 【死殺者】だぁーッ!
 万物の【死を殺す】(病気を治す)為に日夜、
 闘う孤独な【戦士】(サラリーマン)ぃーっ!」


エアの聴診器の仕草で、
自身が医者であると証明する。
これで分からないなら撤退するしかない。


「その【ペイン】(頭痛)の原因、
 どうやら今かけている【水晶】(メガネ)が原因のようだがぁー!」

309赤月『サクソン』:2023/11/29(水) 16:57:10
>>308

        「――――ッ!?」

   ビリ・・・・  ビリビリ・・・・

誤解を解くために放たれた気迫の籠った言葉に
ビリビリと鼓膜を震わせる

「わ、わかった・・・・わかった・・・・
 少なくとも殺し屋や暗殺者のたぐいではないみたいだ」

(言葉の使い方が、独特だ
 使われている単語は日本語に相違ないが、用法が違うのか?
 方言か何かだろうか・・・・・?)

「Pain・・・・・水晶・・・・・あ」

             チャッ・・・

言葉の意味を熟考し、暗号を解いたばかりの暗号兵のような表情を浮かべる
そして、今までかけていた眼鏡を外してポケットに納める

「やはり、そうか」

改めて稲崎に向けられる視線
その焦点は彼女の顔にしっかりと合っていた

310稲崎充希『ショッカー・イン・グルームタウン』:2023/11/29(水) 21:54:06
>>309

「【チューブ】【暴れし大名】(それで良い)、
 やはり【水晶】(メガネ)の【屈折率】(度)が【ハロウィンの悪魔と稲穂の神】(合っていない)ようだったな…」


「【栄光への船出】(ヨイショ)」


      カランカランッ

その場に捨て置いた『グルームタウン』を拾い、
鞘に刀を納める感覚で消失させ自身の精神に納める。


「何故、【ハロウィンの悪魔と稲穂の神】(合っていない)【水晶】(メガネ)を【装備】していたのだ…?
 中々に【スーサイド】めいた【世界】だが……」

311赤月『サクソン』:2023/11/29(水) 22:41:53
>>310

「ハロウィン・・・・・? 『悪い』という意味だろうか・・・・いや
 水晶・・・・スーサイド・・・・ああ、そうか・・・・」

稲崎の語る謎めいた言葉に何か納得したものを感じたのか
少女は諦念の浮かんだ表情で項垂れる

「・・・・好奇心、だった
 屈折率の高い眼鏡を使った時、どうなるのか・・・・
 あるいは、視野が歪んだ状態でも動く事が出来るのか、試してみたくなった」

「訓練、のつもりでもあった」

口を開いて飛び出してきたのは、随分と身勝手な言い訳だった

312稲崎充希『ショッカー・イン・グルームタウン』:2023/11/30(木) 17:07:41
>>311


      スチャッ


「【鷹の目】(視力)は【財産】だ。
 我の【眼】には常に【濃霧と渦巻】(近視と乱視)が罹っていてな、
 【現世】という【混沌の時代】を生き抜く為には【水晶】の装備が必須だ。
 これが無ければ【おもかげ】(何も見えない)だ……」


かけていたメガネを外し、
目を細め赤月を見る。


「何の【訓練】をしていたかは知らぬが、
 正直【ザ・ファースト・テイク】(気にはなる)ではあるが…。

 翼を捥がれた【鷹】が再び空を飛ぶ事はできない。 
 汝の行為は【鷹の目】を【劣化】させる可能性が高い。
 せっかく【鷹の目】(視力)の【ギフト】を神から授かったのに、
 それを態々、捨てるような行為は何というか
 【Carry Pain Mew Pain Mew】(勿体無い)なんじゃあないか…?」

313赤月『サクソン』:2023/11/30(木) 21:26:50
>>312

「【鷹の目】・・・・・」

「ううん。言っている事はなんとなくわかる
 確かに、無謀な挑戦だったと思う」

稲崎の正論に納得したのか、肩の力が抜けた様に見える

「敵の攻撃で、視界が歪んだ状況を想定していた
 その状況に至っても状況に対応し、正常に動けるように・・・・と」

現代日本においては滅多にないような状況の想定
ふざけているわけではない事は彼女の口調からもわかる

「間違いだった・・・・
 あるかどうかもわからない状況に備えて、正しい能力を失ってしまっては元も子もない
 危うく【鷹の目】を失うところだった」

314稲崎充希『ショッカー・イン・グルームタウン』:2023/12/01(金) 16:09:07
>>313

「【敵】」


       ギリッ


赤月の発した『敵』という言葉に、
つい先日対敵した忌まわしき『アリーナ』の使いと『サキュバス』の姿が脳裏に浮かぶ。


「【汝】がどういう【流浪を経て】、
【鍛錬】を行っているが我が【濡れし打鍵士】(知る由)もないが、もう【暗黒の眷属の冥界刻】(良い時間)だ……。
 特に最近、この辺では【闘技者】(アリーナ)だの【淫乱女吸血糞虫】(サキュバス)だの名乗る【イカレ】が【風神の盾】(我が物顔)で【モーゼの如く】(闊歩)振る舞いをしていて、
 【西で成りし、蒲の田園の、尼の崎に、足で立ちし者】(非常に危険)だ……。
 【帰路】へとついた方がいい…」

315赤月『サクソン』:2023/12/01(金) 22:52:09
>>314

「【暗黒の眷属の冥界刻】・・・・夜が遅いという事か?」

稲崎の語る言葉は難しく、1割も理解できていないが
文脈的になんとかわかる部分を抽出して納得する

だが・・・・ある意味ではそれで良かったのかもしれない
稲崎が『アリーナ』と関りがあると知れば、警戒心はさらに強くなったかもしれないのだから

「忠告ありがとう
 自らの愚かしさを戒める為にも、今日は部屋に籠るべきなのだろう」

ふと、帰り際に稲崎から酒の匂いが強く香ってくる事に気付く

「あなたも、お酒の飲み過ぎには気を付けた方が良い
 こんな時間にもなれば、おかしな連中はどこにでも居るのだから
 例えば闇に潜む監視者・・・・『夜警』のように」

その言葉を最後に、赤月は学生寮へと帰って行った

316赤月『サクソン』:2023/12/01(金) 22:56:08
>>315
追記

317ソラ『ステインド・スカイ』:2023/12/09(土) 12:39:32
ここは歓楽街の隅にある蕎麦屋

仕事も終わり夜遅く
注文した鴨南蛮の鴨抜きを待っている
鴨抜きというと鴨が無いように勘違いされるかもしれないが逆だ
蕎麦が無いのが鴨抜きだ

318ソラ『ステインド・スカイ』:2023/12/11(月) 19:01:40
>>317
店員「お待たせしましたー」

しばらく待った後に店員が鴨抜きとノンアルコールのジントニックを持って来た

店員「旦那、今日は酒は飲まないんですか?」
ソ「休肝日」

最近健康診断で医者に怒られてしまった
普段から頭痛薬や胃薬を馬鹿みたいにガブ飲みしている上に酒で肝臓が壊れかけだ
ストレス緩和のために飲んでいるのにそれで体を壊してしまったらどうしょうもない


温かいつゆに浮かぶ鴨を食べる
やはり、この時期の鴨は脂が乗っていて美味い
鶏肉とは異なる、独特の味と歯応え
添えられた葱と一緒に食べるとより美味さが際立つ
鴨の脂が溶けて染み込んだつゆもまた美味い

きっとこの鴨には日本酒がよくあう事だろう
だが今飲んでいるのはノンアルコールのジントニックだ、鴨南蛮に合うか?
ところが、脂っこい鴨に対して、キレが良く爽やかな苦みと香りのジントニックは中々相性が良い
これは食が進むというものだ

鴨抜きを食べ終えて、今はデザートのそば茶プリンを食べているところだ
ミルキィで甘い味わいながら、蕎麦の香りもあり後味はスッキリとしている
これに関してはジントニックよりも冷たいほうじ茶なんかが合うかもしれない


鴨とプリンで満たされ店を出る
仕事に疲れた体も美味い飯ですっかり癒された
沢山のネオンに照らされた夜の町を歩きながら
今度、そば茶プリンを自作してみようかと考えるのだった

319百目鬼小百合『ライトパス』:2023/12/16(土) 21:12:21

人通りの少ない路地裏に立つ人影。
白いパンツスーツを着た長身かつ年嵩の女だ。
唯一の装飾品である『白百合のイヤリング』が印象的だった。

「アタシ一人の為に、こんなに揃えてくれるのは嬉しいねえ」

        フゥゥゥゥ――――…………

愛好する『ジタン』の煙草を咥えながら、真冬の空に煙を吐き出す。

「だけど、まだまだ『引退』はしないよ」

足元には一見して『カタギではない』と分かる風貌の男達が、
意識を失った状態で十数人ほど転がっていた。

320?『???』:2023/12/17(日) 13:55:19
>>319


 「う ぉ  おおおおお〜〜〜〜っっ!!!」


 『きゃあーーーーっ!! 来るんじゃねー! 変態!』

 ?

歓楽街の人通りの多い通り付近が俄かに騒がしい。
 男らしい野太い声と、追いかけられてるらしい女性? のような声。

どたどた騒がしく、それは百目鬼小百合の居る路地裏の方へと近づいてくる。

 何者だろうか? 少なくとも、貴方が倒した悪漢共と関連する
可能性は低いだろう。

321百目鬼小百合『ライトパス』:2023/12/17(日) 15:47:31
>>320

『前職絡み』の理由から、百目鬼小百合は各方面に恨みを買っていた。
ひとたび治安の良くない場所を歩けば、こうして付け狙う輩が現れる。
それを返り討ちにしているせいで、
また狙われるという『いたちごっこ』が繰り返されているのだ。
こうして殴り合いをするだけなら楽な方だが、
『関星会』に出向く目的は『敵情視察』。
しかし、そちらも準備は着々と整いつつある。

「ま、『師走』だからねえ。『大掃除』には丁度いい」

      ザッ

「さて、随分と騒々しいじゃないか」

声の方向に視線を移し、そちらに向き直る。
まだ状況は判断しにくいが、近付いてくるなら自ずと分かるだろう。
場合によっては、『相応の対応』をしなければならない。

         バ サ ッ

紫煙を燻らせながら、おもむろにジャケットを脱ぎ去る。

              ズ ギ ュ ン ッ

同時に『白百合の紋章』を刻んだ『白い人型スタンド』が発現し、
右手に携える『特殊警棒』で、ジャケットに『光の線』を引いた。

322芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2023/12/18(月) 00:01:09
>>321(レス遅れ失礼しました。また、芦田PCは過去に強姦・殺人以外は
ある程度の犯罪は自分の納得の為に犯しており、警察に補導などされた事も
経験してる為、もし面識がある過去を設定されるなら歓迎いたします)


 「う  おぉぉぉっっっ゛ ウィゴーちゅわぁ〜〜あああ゛あ゛ぁん!!!!!」


『来るな! 叫ぶな!! 呼ぶな!!! 控えめに心臓を動かすな!!!!
んでもってウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト!!!!!
 サノバビッチ! なんでこー言う時だけ自力で発現解除出来ねーのよ!!??』

 「――愛ほど歪んだ呪いはないからさ ウィゴーちゃん」

 『五条先生を穢さないでくれるかな?? いまなら領域展開出来るわ、私っ
んでもってウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトぉ!! ぬぉ〜ぉおおおっっ!!』

 
 ・・・半裸の男が、走ってる。その男より少し前を全力疾走で
嫌そうに必死に逃げている女性フォルムっぽいスタンドが同等の速度で走ってる。

 正直、意味がよく分からない光景だが。多分、男の方は変態なのだろう。
この冷たい夜に、鼻息荒く上半身を裸で走ってるのは普通に通報される様子だ。

323百目鬼小百合『ライトパス』:2023/12/18(月) 03:25:24
>>322

切れ長の瞳を更に細めて、眼前の異様な光景を観察する。
こういう時、記憶にあるかどうかは重要だった。
もし『初犯』なら、『大目に見る』という場合も有り得るからだ。

「…………どこかで見たような顔だね」

小百合が『芦田裕』を見たのは『かなり昔』だ。
大人になれば背丈は伸びるし顔つきも変わる。
すぐに分からなかったのは無理もない。

「いや…………」

一瞬『気のせいだろう』と思いかけた。

「――――芦田の『クソガキ』かい」

だが、芦田にとっては不幸な事に、『思い出されてしまった』。

「お巡りさんを呼んでもいいけど、『スタンド』がいるとなると、
 却って迷惑を掛けちまう事になりかねないからねえ」

         バ サ ァ ッ !

ジャケットを掴んだ『ライトパス』が、それを横薙ぎに振った。
『光の線』を芦田に接触させ、『こちら側』に引き寄せる事が狙いだ。
それだけではない。

           ダンッ!!

間髪入れず、引き寄せた芦田の『足の甲』を踏みつけ、その場に『固定』する。
いずれも『神速(パス精CAC)』。
そして、『特殊警棒』を握った右手は、依然として『構えたまま』だ。

324百目鬼小百合『ライトパス』:2023/12/18(月) 03:50:22
>>323

一方、『百目鬼小百合』の容貌は、芦田ほどは変わっていなかった。
確かに年は取ったが、同年代の人間と比べれば、遥かに若々しい。
大きな変化といえば『髪の長さ』か。
昔は『ロングヘア』だったが、今は『ベリーショート』になっている。
目の前にいるのが誰なのか――――『気付くかどうか』は芦田の勝手だ。

325芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2023/12/19(火) 11:54:22
>>323-324(レス遅くなり失礼しました)

血走った目で、目の前の小柄な体躯のスタンドに少しばかり胸毛のある胸板に
掻き込もうとするかのように両手を広げて冬の路地裏を駆ける危険人物(芦田)

 何度も連呼した名をオウムさえ辟易する程の声で再度唱える。

「ウィ  ゴ

    >芦田の『クソガキ』かい バ サ ァ ッ ! ダンッ!!

いてっ!  ってぇ〜〜なぁっ、誰だ、お め……」

 光の線に触れ、引き寄せられ足の甲を踏み抜かれる芦田。
下半身は流石にズボンと冬用の靴を履いてる。これもパージ済みだったら
百目鬼が昔の後輩なり同僚を呼ぶ前より先に現役が既に追ってたであろう。
いや、上半身裸でもアウトだから、もしかしたら既にどっかで呼ばれてる可能性も非ずだが。

 とにかく、幾らか強めに踏まれた感触で芦田は少し顔を顰めてから
まじまじと胡乱気な表情へ変えて百目鬼をじーーーーっと見る。

 そして、あぁっと言わんばかりに顔を短くたて縦に動かし…。

 「( ゚д゚)、ペッ  なんだ、只のデカ(刑事)が。
そんじゃ気を取り直し! うぉぉぉおおおおっっ!!(*´з`) ウィゴォちゃ」

 『さっ   さ   と   腐れ頭  冷   や  せ   や!  !  !』

           ドゴ  ォ!!!


 百目鬼に対し、薄情な程に関心ない感じで一言感想唱え。
そのまま再度先ほどまでの鬼ごっこを再開しようとした体制になった矢先
追いかけられていたスタンドはバットで気持ちの良い程に思いっきり
フルスイングで西瓜割りの如く芦田の頭を打ちぬいた。

 『すみません、本当うちの者がご迷惑かけてすいませんっ!』 ペコペコ

「ふ  フフふふ(* ̄▽ ̄)フフフッ♪ うぃごーちゃんが、俺の事、うちの所有物って……💛」

 『まだ脳みそが茹ってんのかよ、どうにかならねぇのかよ、こいつ……っ゛
あとウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトなんだよ、こちとらよっ!
 ……? そう言えばご婦人、貴方はこの変質者と何かしら面識があるのでしょうか?』

 『カタギでない男たち』の持ってた凶器のバットで、倒れ伏してる本体の
頭をグリグリしつつ、スタンドは丁寧に百目鬼に謝罪し、先ほど本体が
失礼な感じで呟いた言葉をどうやら記憶してたらしく、関係を尋ねる。

 倒れてる変質者(芦田)は、スタンドにバットでグリグリされつつ
幸せそうな顔だ。どの程度、昔の芦田が奇行をしていたか百目鬼がどの程度
把握してるか不明ながらも、今のようなベクトル斜め上の狂った所業は目にしてないだろう。

326百目鬼小百合『ライトパス』:2023/12/19(火) 17:24:47
>>325

「昔、しょっぴかれていく所を見た覚えがあるのさ」

『ライトパス』がジャケットから手を離し、空いた手で『芦田のポケット』を探る。
こいつを監視する為には『芦田の現在の状況』を知る必要がある。
『身分証』か何か持っていれば、それを取り上げる。

「どうやら『自立』したタイプらしいね。
 本体の事で謝罪する気があるなら、アンタの『能力』を洗いざらい喋りな。
 『スタンド使いの不審者』を野放しにしておく訳にはいかないからねえ」

『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』に向けて『通告』する。
以前に出会った『サニー』に対しては『釘を刺すだけ』に留めたが、
それは彼女が『まともな人間』だったからだ。
誰が見ても異常な振る舞いをしている者を、おいそれと見逃す気はない。

「悪いけど、『アンタに危険性がない』と証明されるまでは、
 ここから帰す訳にはいかないよ」

327芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2023/12/19(火) 23:02:24
>>326

>昔、しょっぴかれていく所を見た覚えがあるのさ

『あぁ……』と、至極納得した声色でスタンドは屠殺される予定の豚でも
見る眼差しでバットで固定してる本体を見る。百目鬼のポケットを漁るのを
特に止める様子はなく、むしろ補助してる。

 ポケットには数本のカルパスと飴。本命の財布が直ぐに見つかった。
スタンドに尋ねたら、右ポケットに入れてますよと助言してくれるだろう。

財布には、幾らかの健康保険証及び資格証、そして……名刺。
『こよみ探偵事務所 社員 芦田 裕』と書かれてる。
 
百目鬼は少し衝撃を覚えるかも知れない。昔、補導なり拘留されてた頃の
芦田は、どう考えても更生するような人間でなく、大人になったら
まともな職には余りつかないであろう人種ではあっただろうから。

>本体の事で謝罪する気があるなら、アンタの『能力』を洗いざらい喋りな

『宜しいですよ、ご婦人。
僭越ながら、私ことウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト。
非礼に対して相応の礼をすべき事は承知の上。何よりこの悪か……変態
いや変態って言う語彙も変態に失礼か。社会不適合人類悪ゴキブリ以下から
助けられた事も含め、丁重に説明させて頂きますとも。
あ、ついでに私。自立型じゃなく半自立です』

…………何と言うか、随分良識と常識を兼ね備えたスタンドだ。
もしかすれば、スタンドが開花した時に本体の中のなけなしの良心と善が
抽出されたのかも知れない。

モノクル(片眼鏡)らしいヴィジョンの部分を動かし、スタンドは持ってた
『バット』に摘まむような仕草を行う。すると、『フィルム』が其処から
引き出されるように発現された。

『ふむふむ……このバットを所持してる方、禄でもないですね。
自販機への器物破損、傷害目的での使用。宜しければ、どうぞご覧下さい』

 フィルムには、バットを使用した関連の過去の映像がダイジェストで
映っていた。この持ち主は、普通にスポーツ目的で使用するより
犯罪目的で購入して行使していたようだ。そう言った場面が、フィルムには
ありありと犯行時の映像が確認出来る。

『私の能力は、その道具が大きな変化……この場合は、犯行で生じた
バットの小さい傷、傷害で付着した血痕等の瞬間の記録をフィルムと言う形で
映し出せます。切り取るなどして、その変化を失くす事も可能ですが
私は犯罪行為を隠滅も見逃す事も容認しない主義なのでね。
 この倒れてる馬鹿を上手くけしかけて、探偵職の補助として役立ててます。
補足として、この能力はスタンドが関連した映像は感光状態で
閲覧出来ません。ですが、閲覧出来ない=スタンドが関係する事件だと
判別も出来ますので『フーヴィアン派』の初動捜査には役立ててます。
あ、フーヴィアン派とは『アリーナ』と言う星見町のスタンド使いが
集結する組織です。その点についても幾らか詳しく説明しますか?』

スタンドは、詳細に赤裸々に自分の能力を実演混じりで説明してくれた。

……しかし、最大の『謎』もある。

「――なんで、こんな本体から、こんなまともなスタンドが発現するんだ?
と言う最大の謎かってかぁ! (*‘∀‘) 」


              どごォっっ゛

 『眠ってろって』

馬鹿(本体)が復活しかけたので、念入りにスタンドが昏倒させた。
 辛うじて意識を残しつつ、再度存在が恥なる者は大地と同化した。

328百目鬼小百合『ライトパス』:2023/12/20(水) 00:00:44
>>327

小百合には驚いた様子は見られなかった。
たとえ『人格破綻者』でも、それが『スタンド使い』なら、
能力次第で欲しがる人間は幾らでも現れる。
そうした『世の理』を知っているのだろう。

「――――なるほど、とりあえず『直接的な危険性』は低そうだ」

小百合が発した言葉には、言外の『含み』があった。
一応は納得したものの、完全には信用されていないようだ。
とはいえ、『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』の説明に、
大きな不備があった訳でもないので、この辺りが妥当な所か。

「まあ、教えてくれるんなら聞いとこうか」

『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』に促しながら、
小百合は『名刺』を調べている。
目的は分からないが、どうやら『電話番号』を探しているようだ。
芦田には見向きもしていない反面、足は踏みつけたままであり、
途中で逃がすつもりは更々ないらしい。

329芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2023/12/20(水) 00:25:19
>>328

名刺には、電話番号も記されていた。ダイアルすれば、その探偵事務所に通じるだろう。

百目鬼から、まだ警戒心が無くなってない事にスタンドは失意の色は見せない。
 そりゃ、ほぼ初対面の人間から信頼を行き成り勝ち取るなんて難しいだろうと
理解の色を示している雰囲気だ。

>教えてくれるんなら聞いとこうか

『はい。アリーナは星見町に属するスタンド使いを束ねる組織でして
スタンド使い同士の対戦を興行として資金をやりくりしており、街の治安活動にも
力を貸してるようですね。フーヴィアン派は組織としては運用する人材は多いようですよ
他にも別の派閥が幾つかあるようですが、私は詳しく知りません。
 大きな事案ですと、【夏の魔物】と言う神隠し事件にて過去の失踪者が帰還した後の
アフターケアをフーヴィアン派は行ったと聞き及んでいます』

 スタンドは、本体を足蹴にしつつ百目鬼に最大限の礼儀を払い説明を行ってる。

本体は、今の所会話を邪魔する様子は無さそうだ。

330百目鬼小百合『ライトパス』:2023/12/20(水) 01:32:06
>>329

『アリーナ』に関する説明に、小百合は黙って耳を傾けていた。
その表情からは、何を考えているかは窺い知れない。
『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』の話を聞き終わると、
自分のスマホを操作して『こよみ探偵事務所』に電話を掛け始める。

「アタシは『百目鬼小百合』というもんさ。
 今、アンタのトコの『芦田裕』ってのを預かってるんだけどねえ。
 なるべく『穏便』に済ませようと思って、こうして連絡してるんだよ」

「アンタらが『引き取りに来る』か。
 さもないとアタシが『留置場に入れる』か」
 
「――――どっちがお望みだい?」

通話が繋がった瞬間、相手の返事も待たずに、小百合は平然と言い放つ。
『引き取り』に来なかった場合、
おそらく『不審者』として『通報』するつもりだろう。
『こよみ探偵事務所』の選択によって、
『芦田』と『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』の『運命』が決定する事になる。

331芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2023/12/20(水) 11:15:09
>>330

 電話を掛ける百目鬼。その後、数コールの後に女性の声が聞こえる。

【はい こちら、こよみ探偵事務所、副所長の『真朔』です。
…………はー。成程、こちらの社員がご足労掛けて申し訳ありません。
かしこまりました。百目鬼小百合様。
 迎えの車を用意しますので場所を教えて下さいますか? 
早くとも30分以内には向かいますので】

 百目鬼の言葉に対し、いかにも呆れと疲れや達観を滲ませる溜息が
電話越しにも聞こえた後に、そう返答なされる。
 どうやら、『引き取り』のようだ。その後の芦田の処遇がどうなるかは
不明ながら、上は恐らくしっかりしてるようなので相応の処置はするだろう。

 「あー、ちょっと良いか?」  『いや、全く良くないし、何勝手に復活してんだよ』

電話の受け答えが一区切り終わった頃合いで、流血して倒れてた男は
何食わぬ顔で起き上がる。お前、何を足を踏まれながら平然と立ち上がってんだ?

 「俺はねぇ、んな俺の蘇生や復活描写とかどうでもいいのは置いておいて
一言! 強く一言物申〜す! 百目鬼小百合に!
 いや! 百目鬼小百合PLになっ (; ・`д・´) 」

『もういっぺん頭をかち割っておくべき?』

「まぁ、ウィゴーちゃん、最後まで少し話を聞いてくれよ!
 いま、百目鬼PLは画面越しにこんな事考えてる筈だ。この絡んだPCは
戦闘能力も低いし、ある程度乱暴な対応して今後利用出来る感じの
ロールしても問題ねぇだろ……と!」

 『転がってる男の人たちの中にはスタンロッドもあるだろうから
試してみる? 昇天したら、少しはショックでまともになる可能性もあるでしょう』

「俺はねぇ! そー言った腑抜けた思考がだいっだいだい反対なのよっっ!
芦田PCにはレスバしても狂人だから、話しても無駄だから別の角度から
乱暴に対処しても良いだろって言う、そー言う逃げの思考がね!
 幾ら俺が罵詈雑言呪界の王だからって安易にスルーしようとすんなよ!
自分ってもんを持ってんだろ!? ったく、そんな軟弱野郎には
俺が作り出した名言を叩きつけてやるぜ!

 ―アンタもねェ、私の『ゲーム』に出演させてやりますよぉ!」

           ド   グァ    バ  ギャッッ゛!

 『他PC(御徒町)の発言丸パクリじゃねーかっっ!!
てか懐かしい人を突然出してきやがったな、こいつっ!!
 2019年から再登場を密かに待ち望んでるけどさぁ!!』

 狂った男は何か喚いた。そして、スタンドは全力で
転がってた男たちの凶器を拾い上げ叩きのめした。
 一応、男(芦田)の息もあるので、何か聞きたい事があれば
かなり心労も出そうだが、答えてくれるかも知れない。

332百目鬼小百合『ライトパス』:2023/12/20(水) 18:51:21
>>331

「アンタらは『まともそう』で安心したよ。
 それじゃあ待ってるからね。
 脅す訳じゃあないけど、早めに来ないと『看板』に傷が付きそうだ」

     フゥゥゥゥ――――…………

「――――『まともそう』ねえ」

通話を終えた小百合は、何かを考えているかのように、
自らが口にした言葉を繰り返しながら、細長い煙を吐き出した。

「理論的には滅茶苦茶だけど、相変わらず口は達者だねえ」

「『過去に犯罪を繰り返した人間』が、
 誰が見ても分かる『狂った振る舞い』をしながら、
 『スタンドに目覚めた状態』で、この『百目鬼小百合』の前に現れた。
 昔のアタシを知ってるアンタなら、『どうなるか』くらい想像できるだろ?」

「こうなるのが嫌なら、せめて『アタシの前』ではやらない事だね。
 アンタの方から向かってきたんだから、『言い訳』は出来ないよ」

「言っとくけど、『この程度』で済んでるのは、アタシが『めいっぱい配慮した結果』だ」

真冬の寒さにも劣らない冷え切った視線が浴びせられるが、それも一瞬の事だった。

「『事務所の景気』はどうだい?」

ただの世間話に興じるような、至って何気ない口調だ。

「アンタのトコの副所長は、随分と手慣れた対応だった。
 『日常茶飯事』って感じでねえ」

だが、どこか『探るような色合い』が感じられる。

「アンタみたいなのを飼ってりゃ当然だろうけど、どんな商売だろうと『信用第一』だ。
 だから、『看板に傷を付けるような人間』は、普通は雇わない。
 それを差し引いても、『能力による旨味がデカい』って事なんだろうねえ」

「少なくともアタシが客なら、アンタがいる時点で仕事を依頼する気にはならないね。
 まあ、客の『九分九厘』は、同じ事を考えるんじゃないのかい?
 だけど、それじゃあ事務所が回らなくなる」

「でも、アンタのトコは上手く回ってるみたいだねえ?」

333芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2023/12/20(水) 19:33:52
>>332

>でも、アンタのトコは上手く回ってるみたいだねえ?

その煙草の煙は、狂った言動を続けていた芦田の鼻先を擽るように漂う。
 声掛けも同時であっただろう。芦田は、僅かに首を傾げつつ告げた。

「百目鬼って名前だったか? デカ(刑事)さんよ。
そーいや、俺が自然公園かどっかでフルチンの時も吸ってたか。肺癌にそろそろなるんじゃね?」

『お前 今も昔もやってる事ほぼ変わってねーのかよっ!』

「ウィゴーちゃん『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト!』そりゃ昔は俺も
納得の為に色々と馬鹿やったさ。でも、今じゃ君の前でしかフルヌードは見せないって!
『ポロリを今も今後もしてみろよ。その首がポロリになるからなっ゛』
つれないねぇ〜……あー、で、事務所が回ってるかって話だったか?
 そりゃ、俺は基本的に足でキナ臭い所に突っ込む。マジで困ってる奴は
副所長が応対する。んで裏のある奴なら、俺の振る舞いで舐めて馬脚を幾らか表して
俺かウィゴーちゃんか最低でも副所長か看破するだろうし、俺の奇行でも
気にせず助け求めたら、そりゃマジでやばい背景をしょってるって事なんじゃねーの?」

芦田は、スタンドのツッコミによって倒れた状態で百目鬼をつまらなそうな顔で
見上げながら嘯く。ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトが正式名称を正しく
呼ぶように注意するのも気にしない様子で臀部辺りを搔きながら言葉を続けた。

「俺は自分が狂ってるって自覚してるぜ? クズな事も否定しねーし
多分、あんたも薄っすら予想してる通りに所長は俺の事、少なからず使い捨てカイロ
見たいに利用してる節はあるのかもな。けどな、んなもん何処の社会でも国でも
平然と行われてる事じゃねーか?
 上は下の者を適当にあしらって酷使して利益の大部分占めて、下は下で
ストレスで更に弱いもんを搾取しようとしようと悪循環。
 俺は『納得』を優先してるからよ、よく理解してんだぜ?
人間の闇ってのは際限が無いって事は」

 カラカラと笑うように口を作って、百目鬼の冷たい目線に視線は向けられる。
冷たさは無い、だが温度は感じられない。これは所謂『乾いた』目だ。

 「……はー、真面目な話して疲れちまった。
ウィゴーちゃん、君の愛の膝枕をしておくれよ」

『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトです。膝枕は断ります…………あのね
私は人間の悪意が時に善意を勝る事があるのは理解してますよ。
 それでも、です! 人間とは自分の闇を克服出来る。弱さを乗り越えられる生物であると
私は学んでいます。あんたの、そう言う駄目な部分も矯正するのが
妖甘様の手によって発現された私の使命だと考えてるんでね』

         「――  う  ウィゴー  ママ……っ!!」

                ボ   ギャァッッ゛ーーーzノッン”

 『次、ふざけた事告げたら原型失くすぞ……っ』

ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトは気持ち悪い表情でにじり寄った本体の
顔を拳で打ち抜いた。血の滴る拳を握りしめ、怒りの形相でモノクルを鈍く光らせ
ぴくぴく陸に上がった魚のような痙攣の本体を見下ろしてる。

334百目鬼小百合『ライトパス』:2023/12/20(水) 22:05:07
>>333

「この前『教会』に出掛けたら、気の合う『シスター』がいてね。
 煙草について似たような話をしてきた所さ」

「アタシが『煙草を止める時』は『くたばる時』――――アンタの言う『納得』ってヤツだ」

銘柄は『芦田が見た事のあるもの』だった。
どうやら、その時から変えていないらしい。
言わずもがな『現行犯逮捕』された時だ。

「アタシは所長さんの『経営手腕』に感心してるのさ。
 アンタみたいな『問題児』を抱えながら、
 同時に商売も成り立たせるのは『並大抵じゃあない』」

一見『純粋な称賛』に聞こえる言葉だったが、
その裏側には『別の意味』が込められているような響きだった。

「ちょっとばかり『興味』はあるけど、生憎アタシも忙しい身なんでねえ。
 そっちに関わり合う暇はなさそうだよ」

       ――――――バサッ

「ま…………もうじき『迎え』が来るらしいから、相手の顔くらいは見て帰ろうか」

白いジャケットを翻し、小百合は鷹揚に袖を通した。

「さっきの話だけど、『夏の魔物』の件には、アタシも『ほんの少しだけ協力した』。
 だから、それについては知ってるんだ。
 でも、『フーヴィアン派』の話は役に立ったよ」

「アタシも『アリーナ』とは、それなりに『付き合い』があるんでねえ。
 『漣派』、『桜島派』、『タクミ派』、『無派閥』…………。
 『派閥に寄らない試合』をする『コロッセオ』なんて場所もあった」

「聞いてばっかりなのも悪いから、それだけ教えとくよ」

335芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2023/12/21(木) 18:51:25
>>334(レス遅れ失礼。また、副所長の名前が誤字ってましたので
こちらのレスで修正してます。申し訳ない)

「俺が、こう言う性格と態度なのものよ。くたばる時か……あぁ、いや。
ウィゴーちゃんとの子が出来れば、変わるだろう(確信)」

『私の堪忍袋も、あんたのセクハラ発言がこれ以上続けば
本気でナイスボートな展開になるだろう、カッコ内確信ですよ(怒気)
 ふむ。『漣派』、『桜島派』、『タクミ派』……ですか。
貴重な情報を有難うございます百目鬼小百合様』

 芦田は百目鬼の言葉に対しても深く考えを改める気は無いようだ。
考える脳はある、一応踏み越えてはいけない一線を理解する心もある。
 だが狂ってる事を自認しながら、それを変える事のない闇も含めてが
芦田 裕と言う男なんだろう。

 「ふーん? デカのあんたもアリーナと付き合いが有るのね。
狭い世の中だよなぁ。俺、正直ウィゴーちゃんとまったりする時間減るし
急に呼ばれる事多いしで……これも全てこんな蛇足設定つけやがった
朝山PLとか言う糞野郎の所為なんだよっっ゛!!」

 『お前、よく創造主に向かって平然と悪口吐けるね……』

「違うよ、ウィゴーちゃん……俺らの神様って荒木GOD
『メタ発言禁止拳!!』  ぐぼろぉ!!」  ドォッンッ


 パラ パラ パラ パラ パラパラ

カツ コツ カツ コツ


 馬鹿げた男とスタンドの遣り取りを後目に、百目鬼は紫煙を
縫うようにして白い破片が落ちてくるのと、冷気によって温度が一層と
下がる空気を通して路地に反響する足音を聞いた。

 雪が降り始め、それと共に近づいてきた足音の方へ顔を向けると
チェック柄の傘を差しつつ、ブランドの手提げ紙袋を残る手に提げた
スーツを着こなす女性が現れた。

 芦田「おー、副所長」

進朔「……芦田君、君のどのような状況や立場でも一貫した図太い性格は
長所と私は捉えても居るけど。流石に、今は開口一番に呑気な声を
出されると声を荒げたくなるな。ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトさん
が隣で代理の折檻してくれてるのでなければ、少々危なかったよ」

 女性は、百目鬼の視線と同じ程には冷たい声で芦田を見下ろしつつ声かけて
そして申し訳なさそうな顔つきで貴方へ向き直る。

進朔「本当に私の部下が、この度は申し訳ない……こちら、行きつけの老舗で
購入してるマルセイバターサンドですが、宜しければ受け取って頂けませんでしょうか」

 副所長と、芦田に呼ばれた女性。年齢は20代ののように若くも見えるが
振る舞いや落ち着いた物腰は、それ以上にも見える。
 
「こよみ探偵事務所 副所長の進朔と申します。
もし、何か悩み相談事があれば気軽に連絡を」

 名刺と共に、自己紹介はなされた。この後は、この副所長が
軽犯罪者の芦田を引き取る、それで、この場は済む。

 百目鬼が、それで良しと終われば、これ以上は何事もなく終わるだろう……。

336百目鬼小百合『ライトパス』:2023/12/21(木) 22:06:34
>>335

進朔が差し出した名刺は受け取られ、小百合からも名刺が差し出された。
文面を見ると『大門総合警備保障』の『指導教育責任者』とある。
進朔と同様に、『他の人員を監督する立場』にいる人間のようだ。

「いきなり呼び出したってのに、わざわざ来てもらって悪いね。
 早速だけど、このクソガキを連れて帰ってくれるかい?
 ああ、ここに倒れてる連中は気にしなくていいよ」

          ジ ッ

「――――アンタらの手を煩わす必要はないからねえ」

不意に、小百合の目線が『進朔の背後』に向けられる。
いつの間にか、そこに一人の男が仏頂面で立っていた。
全く足音が聞こえなかったにも関わらず。

「失礼しました。お話の途中でしたか」

年齢は三十代半ば程だろうか。
伝統的な『蕎麦職人』を思わせる身なりだ。
一見すると『堅気風』に見える風貌だったが、
その印象とは裏腹に達観したような雰囲気が窺えた。
この場に倒れている男達と似た匂いを、心の内側に秘めている。
だが、使いっ走りの三下などとは比較にならない程、
遥かに磨き抜かれた佇まいだった。

「『二挺木』かい。いや、もうすぐ終わる所さ。ちょっと待ってな」

彼は小百合に頭を下げ、小百合は片手を上げて応じる。
そのやり取りから『顔馴染み』だという事が分かった。
どうやら、芦田と遭遇する前に、小百合が呼び出していたらしい。

「申し訳ないんだけど、その手土産は受け取れないねえ。
 アタシはね、別に気分を害してる訳じゃあない。
 芦田が人様に迷惑を掛ける回数を、ほんの少しでも減らす努力をして欲しいのさ。
 それがアタシの望みだよ」

「アタシも『後進を指導する立場』だから、
 不出来な部下に手を焼くアンタの苦労は、
 十分すぎるほど分かるけどねえ」

同情の言葉はあったものの、『バターサンド』の受け取りは拒否された。
これは小百合自身も言ったように、彼女は気分を害しておらず、
従って土産を受け取る意味がない。
目先の謝罪よりも『副所長の管理責任』を問うているのだ。

「進朔さん――――お互い『管理職』は大変だね」

芦田と進朔が引き上げるのであれば、小百合は動く事なく、それを見送るだろう。

337芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2023/12/24(日) 12:11:20
>>336(大変レス遅れ失礼しました。次で〆にさせて頂きます)

>アタシも『後進を指導する立場』だから、不出来な部下に手を焼くアンタの苦労は、
>十分すぎるほど分かるけどねえ

>進朔さん――――お互い『管理職』は大変だね

 「――なる程。……芦田君、聞いての通りです。
誓約や束縛など貴方には馬耳東風でしょうから。
ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトさん。暫く、貴方に対して
教育期間を設けて良いですよね? 勉学の良い機会ですから」

 『わたくしは、構いませんよ』

芦田「…………はぁ〜〜〜、ウィゴーちゃんは良いってよ
『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトっ。ちょっとは反省の色見せなさいよ』」

 進朔は、あえて芦田でなく芦田のスタンドへと指導・育成の言葉掛けをした。

百目鬼も、少しの遣り取りで目の前の溜息をついて倒れる男は狂ってはいるものの
自身のスタンドに対して他のスタンド使いより並みならぬ感情を有してるのは
推察は出来るだろう。進朔も、彼よりも彼を一番理解する存在を中心に
動かす方がリードを取れる事は理解している。

「人の『管理』は、並大抵の努力で成り立つもので無いですからね。
手土産を頂けないのは、こちらも心苦しいですが。ならば、こうしましょう。
 いずれ、貴方の手でも火傷しかねない案件が街で起きた場合。
有事の際は、我々も協力する事を。代金は、割安にしておきますよ」

「――今日は、貴方のような方と会えて良かった。そう、心から思ってますから」

意味深な笑みと共に、副所長は芦田に声を掛け気怠い感じの彼の背を押して
前に歩かせ、ゆっくりと場を去る。引き止めなければ、そのまま姿は
路地から消える事になるだろう。

 百目鬼は、そして去る間際『奇妙』だと感じる事が一つ覚える。

今日は冷たい冬空だ。雪も降り始め、紫煙と共に口から零れる吐息は白い。

だが、進朔の口からは『息が見えなかった』
 単純に、鼻から吸うなどで寒暖差で生じる湯気が見えなかった可能性もあるが……。

とは言え、そんな些事とも言える不思議さを引き連れて
こよみ探偵事務所の者たちは貴方から去っていく……。

338百目鬼小百合『ライトパス』:2023/12/24(日) 18:46:42
>>337

煙草を吸い終わった小百合は、もう一本を取り出し、真鍮のライターを取り出した。
『ジタン』と同じく、フランス製『デュポン』のオイルライターだ。
デュポンのライターは『ガス式』が主流であり、
『オイル式』は製造された期間の短い希少品とされている。

      キィィィィィ――――――――――ン

親指で蓋を跳ね上げると、甲高く澄んだ音が路地に響く。
デュポン製ライター特有の開閉音。
この音色を愛好する者は数多く存在する。

「芦田から聞く限りじゃあ、なかなか手広くやってるみたいだからねえ」

          シボッ

「そう言ってもらえると、アタシとしても頼もしいよ」

       フゥゥゥゥ――――…………

慣れた手付きで煙草に火を点け、小百合は気さくな笑みを浮かべた。
彼女の本心は不明であり、単なる『社交辞令』とも受け取れる。
だが、この場は何事もなく収まりそうだった。
二挺木と呼ばれた男は、一言も発する事なく、両手を背中側で組みながら佇んでいる。
今の状況を目の当たりにしても、眉一つ動かさない。

「――――ご苦労さん」

立ち去る面々に向けて、小百合が片手をひらひらと振った。
進朔らとすれ違うようにして、二挺木が小百合に歩み寄る。
それから間もなく、微かな話し声が聞こえ始めた。

「二挺木、どうだい?」

「こいつらは『白波組』の『対馬』が個人的に使ってるガキ共です。
 おそらく手柄欲しさの独断専行でしょう」

「ははぁ、そんな所だろうと思ったよ。
 この手の連中は何処にでもいるもんだ。
 で…………『本命』は?」

「そちらは何とも言えません。
 『落ちぶれた』って話は聞き及んでいますが、少なくとも私が『現役』の頃は――――」

どうやら小百合に叩きのめされたのは、いわゆる『半グレ』と呼ばれる人間達らしい。
彼らは『ヤクザ』と付き合いがあるようだ。
また、二挺木も『同じ人種』であった事が窺えた。
そして、小百合は彼から『何らかの情報』を得ようとしている。
いずれにせよ、聞こえたのは『ここまで』だった。

339朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/12/25(月) 20:27:03
すっかりクリスマスムードの街の中
あたりを見回して少し考え事をしていた。

(困ったわねー…)
なにか悩んでいる様子である。

(由楽がなかなか欲しい物を言ってくれないわ…)

340美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/12/27(水) 21:41:56
>>339

星見横丁には『星見駅西口公園』がある。
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1607077443/782-784

数坪程度の空き地であり、公園というよりは都市のデッドスペースに近い。
それでも『公園』という名を冠した場所である事に変わりはなかった。
つまり『公共の空間』だ。

  《『1001-111(イチゼロゼロイチ・イチイチイチ)』》

      《『1001-111(ナイン・セブン)』》

公園内に設置されている『防災無線』の『屋外拡声器』から、
突如『スタンド音声』が響いてきた。
平坦かつ抑揚のない声色は、どこか『AI音声』を思わせる。
その『奇妙な放送』は『半径300m内』の『スタンド使い全員』に伝播し、
おそらくは笑美の耳にも入るだろう。
『美作くるみの事情』を知っている笑美なら、あるいは何かに気付くかもしれない。
いずれにせよ、『発信者』は『120m』離れた距離にいた。

           ド ル ン ッ

軽快なエンジン音を奏でながら、『愛車』に乗った美作は颯爽と歓楽街を後にした。

341朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/12/28(木) 15:52:42
>>340
「…今の音は?」
振り向いてその奇妙な放送を聞く。
だが、周りの人間はその奇妙な放送に気づいてない様子だ。

「…もしかして、これは?」
スタンドの音声だとしたら
できそうな人物をひとり知っている。

遠くで車が走る音が聞こえた気がした。

「…例のアイドルの一件…かしらね。」
少し不思議そうな顔になりながら、彼女は歩き出した。

342白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2024/01/03(水) 21:30:13

「――――――――― ……」

『星見駅西口公園』で、トーリは顔を上げた。
突然聞こえた『奇妙なスタンド音声』に気を惹かれて、だ。

            クル ・・・

周囲を見渡す。
当然だが、下手人は『ここにはいない』。
既に立ち去ったあと――――『ですらない』。
遠隔型のスタンドの特権が行使されたゆえに。

  (『ダムゼル・イン』)
 
               ジャ
    
                   キン


     (――――『ディストレス』)


当然だが――――『その事情はトーリは知らない』。

警戒から『鉄の翼』を発現したまま、
引き続き周囲を警戒する。三度目の当然だが、『ひどく目立つ』。

343白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2024/01/06(土) 20:47:53
>>342

「…………」

どうやら杞憂だったらしいと気付き、
翼を解除すると、待ち合わせを再開した。

344リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2024/01/13(土) 19:11:04

ゴシック風のドレスを身に纏う女が、刻一刻と夕闇の迫る通りを歩く。
羽飾りの付いた大きな帽子を被っている為に素顔は見えず、
その下から覗く肌は死体のように白かった。
レースの長手袋をはめた腕の中に、古めかしい『西洋人形』を抱いている。

  「青い眼をしたお人形は」

     「アメリカ生まれのセルロイド」

       「日本の港へ着いた時」

         「いっぱい涙を浮かべてた」

           「わたしは言葉が分からない」

              「迷子になったらなんとしよう」

緩やかに歩みを進めながら、歌を口ずさむ。
『青い眼の人形』と名付けられた童謡だ。
異国情緒を醸し出す歌詞は、戦時中に『敵国の歌』と見なされ、
歌う事を禁じられていた。

345リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2024/01/15(月) 04:47:22
>>344

『青い眼の人形』を口ずさむ女の姿が、夕闇に溶けるようにして消えていく。

              カタ…………

その時、異様に白い腕に抱かれた『青い眼の西洋人形』が、
『独りでに動いた』ように思えたのは、黄昏が見せた幻だったのだろうか。

    「優しい日本の嬢ちゃんよ」

                「仲良く遊んでやっとくれ」

奇怪なドレスの女――――『人間に似せたマネキン』を操る『リトル・メリー』は、
自分のように現存しているかもしれない『姉妹達』を探して、人知れず街を彷徨い続ける。

346功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2024/01/25(木) 21:29:46

「けほ。…………けほっ」

白猫のようなマフラーを手厚く巻いていても、
冬の寒さは喉に悪い。
歓楽街を歩いているのも病院の帰りだからだ。

「…………」

特にどこにも寄るつもりはなかったが、
ふと、視界に『ワゴン販売』が入った。
おそらくは暖かい食べ物だろうか?
内心、昼食を抜いていたことを思い出す。

なんのワゴンかは、>>347が知っているかもしれない。
あるいは同じく知らないなりに眺めているのかもしれないが。

347赤月『サクソン』:2024/01/25(木) 21:55:52
>>346

「ケバブだ・・・・ はむっ」

遠巻きに『ワゴン販売』の様子を確認する初雪の隣から声が掛けられる
見るとそこに居たのは清月学園中等部の制服を着た少女だ
黒髪にいくらかの赤いメッシュを入れた髪型が特徴的で、右手に掴んだケバブサンドを大口を開けて頬張っていた

「もぐ・・・・ごくんっ」

食欲を掻き立てるような香辛料の香りが周囲に広がる

「物欲しそうにしていたから教えてあげよう
 そこで売ってるのはケバブだ。外国の料理だというのに、この国ではよく見かけるな」

348功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2024/01/26(金) 05:11:19
>>347

       ビクッ

「……えぇ、そうねぇ。ケバブ屋だわぁ」

急に現れた謎のケバブ少女に、
僅かに肩が跳ねるが……すぐに気を取り直す。

「けほっ……」
「元は『トルコ』の料理だと……聞いた事があるわねぇ。
 日本国内に在住のトルコ人は確か『6000人』以上。
 彼らがこの土地で生計を立てる手段だとすれば、
 ノリは『インドカレー屋』に近いのかしら……
 見て。ケバブ丼なんてメニューもあるみたい。
 『朱に交われば赤くなる』……と言ったところね」

ケバブワゴンのメニューを目を細めて確認しながら、
頭の中にある『蘊蓄』をフル回転で引き出していたが、
彼女が食べている『ケバブサンド』に視線を向けた。
いや、向けたというよりは『向いていた』か。

「……たまには異国料理も乙な物ね。
 貴女、あの店で何かオススメはあるのかしら?」

口元を幅の広い袖で隠し、目を細めつつ問いかける。

349赤月『サクソン』:2024/01/26(金) 09:39:56
>>348

「そうなのか・・・・知らなかった」 「いや」

初雪が披露する蘊蓄を聞いて素直に感心している様子だ
そうしている間にパンから零れ落ちそうになった肉を慌てて口でキャッチする

「生まれ故郷を離れて異国で暮らす以上、生活をする為の収入が必要だ
 まあ・・・・中には来たるべき日に備えて『パトロン』が居る者もいるのだろうけど」

自分自身、そして先日遭遇した少女(サニー)の事を思い出す

『アリーナ』と『エクリプス』
立場は違えどいつか来る『戦い』に備えて『組織』に養われている事は同じだ

「オススメか
 私のオススメはやはりコレだな」

そう言いながら店のメニューを指し示す
パンで挟んだラム(羊肉)のケバブに『辛口』のソースを掛けたものだ
少々癖のあるラムに香辛料をふんだんに使ったソースを合わせる事で食欲を増進させる・・・・が

(このくらいの辛さなら丁度良いな)

     もぐもぐ・・・・

辛さの許容には個人差がある
赤月は以前激辛の『デスソース』を食べて失敗した経験があるが、
これくらいの辛さであればむしろ好みの部類だ

・・・・初雪はどうだろうか

350功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2024/01/26(金) 14:48:56
>>349

「『知らない』のは悪いことじゃあないわ。
 今、知ろうとするならだけれど……けほ」

       コッ コッ

厚いヒールの靴音を立て、ワゴンに近付く。

「パトロン、ねぇ……
 ま、そういう人も居るでしょうけれど、
 金銭だけが働く理由でもなし。
 立場が定まっていない人間ほど、
 『コミュニティ』は必要でしょうからね」

各国の料理を出す店は都会を中心に増えているが、
異国情緒を味わおうという邦人だけでなく、
故郷の味を楽しみに来る客の需要も多いという。
初雪も、噂半分でしか知らない光景ではあるけれど。

「初めて食べるの、ケバブ。
 ……『辛口』? ふぅん」

          チラ

平気そうに辛口ケバブサンドを食べる『赤月』に、
静かに視線を向けてからメニューに向き直る。

        スッ

「すみません、よろしいかしら。これを一つ」

指さしたのは同じメニューの『甘口』の方だ。
もちろん、本当に甘いというよりは、
マイルドな辛味に抑えているという意味だろう。

「『辛味』は味覚じゃなくて痛覚だって、知ってる?
 私は『食事』で自分を痛めつける趣味は無いわぁ」

             「けほっ」

そうは言いつつ、メニューは同じものを選んだあたり、
参考にはさせてもらった……ということだろう。

351赤月『サクソン』:2024/01/26(金) 17:35:51
>>350

「『コミュニティ』・・・・か」

もぐもぐと肉を頬張りながら、時折ごくんと飲み込む

「ただ一人、家族の居ない異国で暮らす者の気持ちはいくらかはわかる
 属するものが無いという不安には・・・・・む?」

話の途中で初雪が『甘口』のケバブを選んだのが見えた
勿論、食べ物の辛さの趣味なんかで何かを言うつもりなどさらさらない
だが・・・・

>「『辛味』は味覚じゃなくて痛覚だって、知ってる?
> 私は『食事』で自分を痛めつける趣味は無いわぁ」

「む・・・・」

少しだけ棘のある言い方なのが気になった

「知ってる・・・・
 私も一度はそれで大変な目にあったから」

口を尖らせながら言う
もっとも、不満の対象は過去の自分自身にあるようだが

そうこうしているうちに、ケバブワゴンの店員から『甘口』のケバブサンドが手渡される
肉自体にある程度の香辛料は擦りこまれているものの、追加のチリソースはない
どうやら酸味のあるヨーグルトソースがかけられているようだ

352功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2024/01/27(土) 00:54:35
>>351

「一人で過ごすのは、つまらないものね。
 何かを学んでも、何かを覚えても、言う相手がいないもの」

ケバブを受け取りながら吐く言葉にはある種の実感がこもっている。
孤独な人生ではない――――と人は言うだろう。
だが、病床に伏す限り、話し相手は『待っていなければ来ない』のだ。

「へぇ? それでも辛い物が好きなのね。
 『喉元過ぎれば熱さを忘れる』……かしら?
 ……まっ、食べものの好み自体にどうこう言う気もなし。
 『楽しめる』物の数が多いのは、ある意味羨ま」

            「けほ」
              「けほっ、げほ」

「……羨ましくは、あるわねぇ」

肉の香辛料とヨーグルトの酸味が喉を刺激し、わずかにむせてしまった。
辛い物を全く食べられないわけではないが、『こういうの』がある。

「美味しいわ、これ。
 こういうの、貴女はよく食べているのかしら」

空いた手で、むせたときにズレた丸眼鏡を直しながら問いかける。

353赤月『サクソン』:2024/01/27(土) 15:57:07
>>352

「つまらない・・・・確かにそうだ」

学び、鍛え、実践する
『兄』が居た頃は学んだ事を見てもらう瞬間がたまらなく好きであった
『戦い』に向け、己を鍛える習慣は今も続いているが・・・・

今は、『兄』の姿はない

             「兄さん・・・・・・・」

誰に聞かせるでもなく、寂し気な口調でそう呟く
感傷的な気分になっているのは冬の寒さのせいだろうか

>            「けほ」
>              「けほっ、げほ」

「あっ だ、大丈夫か・・・・?」

過去に想いを馳せようとしたところで、現実に意識を留めさせたのは初雪の咳であった
心配そうに声をかけるが、どうやらそんなに問題はないらしい。または慣れているのだろうか

「うん。好きなんだ、こういうのが
 身体を動かす機会が多くてね。刺激的な味付けの方が満足感があるし・・・・
 それにしっかりと動いた後に肉を食べると筋肉になる」

その言葉の通り、赤月の体格を良く見るとそれなりにがっしりとした体付きに見える
何らかの体育会系の部活をやっているのか、それともスポーツクラブにでも入っているのだろうか
身体を動かしているというのは嘘ではなさそうだ

354功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2024/01/27(土) 16:28:32
>>353

            (兄さん……ねえ)

気にはなっても、素手で触れる所でもないだろう――――と。

             「けほ」

「フン……心配には及ばないわ。お優しいこと。
 『健全な精神は健全な肉体に宿る』といったところかしらぁ?」

名残のように小さく咳をしたあと、
『赤月』の体躯に視線を少しだけ走らせた。

「ほんと、羨ましいわね」  ボソッ

初雪のそれは、対照的に細く、極端に色白で、頼りない。
顔つきや胴を見るに病的に痩せているというわけではなく、
動かし慣れていない手足に肉がついていないという感じだ。

「『ダンサー』か何かかしら。その髪なら――――
 ま、うちの運動部はだいたいどこも髪型は自由でしょうけれど」
 
                ス

口に出してから、口元に触れない程度に袖を添える。
話を変えたいと思い、目についた要素をそのまま言ってしまった。

髪については、横髪意外を白染めした初雪の方がよほど奇抜でもあるが・・・

355赤月『サクソン』:2024/01/27(土) 20:34:56
>>354

「『髪型』・・・・?」

初雪の懸念を知ってか知らずか、
髪について踏み込んだ言及をされた事を気にした様子はない

「カッコいいだろう?」

その代わりとして返って来たのは嬉しそうな笑みだ
『ダンサー』か何かのような髪という言葉から、そのような意図を解釈したらしい
指先で軽く髪を弄りながら言った

「うん。自分でも気に入ってるんだ、この髪型
 こう・・・・『行くぞ!やるぞ!』って気分になるからね」

と、言い終わったところで初雪の髪に視線が向く

「君の方も素敵な色合いだと思うよ」

356功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2024/01/27(土) 20:53:21
>>355

「ふ……ええ、悪くないセンスだと思うわぁ。
 私のセンスを『分かってる』ことまで含めて、ね」

口元から袖は動かさないまま、そう返した。
表情をさほど見せたくないと思ったから。

「ファッションは『鎧』
 適当な格好じゃあ出歩く気もしない。
 人にどう見られるかもだけれど――――
 貴女の言う通り、『自分の気分』の問題でもね」

            クシャクシャ

食べ終えたケバブサンドの包装紙を軽く握る。
ワゴンにゴミ箱は無いが、回収をしているようだ。

          「けほ」

「……立ち話で体が冷えたわ。
 私、そろそろ行くけれど――――
 同じ学校なら、また会う事もありそうね。貴女、名前は?」

自分から名乗れよって話ではあるのだが、『友好的姿勢』ではある。

357赤月『サクソン』:2024/01/27(土) 21:14:48
>>356

「『鎧』・・・・」

そう考えるとファッションという物も『戦い方』の一つなのかもしれない
自分の気分を盛り上げて、他者の勢いを挫く。だからこそその出来栄えに一喜一憂する

「そうなのかもしれない
 でも私は『剣』だと考える方が好きかな」

ただ言い換えただけではあるが、
捉え方の違いは両者の見方の違いでもあるのだろう

「赤月。赤月ナカレ」

「清月学園の中等部2年生だ」

358功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2024/01/27(土) 21:26:48
>>357

「守りじゃあなくて、『攻め』るための物ってことかしら? 
 それとも、『攻撃は最大の防御』といったところ?
 いいわね、体が強そうなひとは。考え方も前向きだわ」

       フン

「ま……鎧を着ているからこそ、
 思い切り攻められるという事もあると思うけれど」

言われたままでは気が済まない。
あるいは初雪にとって剣は言葉なのだろう。

「ナカレ? ハイカラな名前ね。
 私は『初雪』……

    ・ ・
   『功刀初雪(クヌギ ハツユキ)』よ」


          カツカツ

ケバブワゴンにごみを受け渡すと、
首だけ振り返って続ける。

「清月高等部一年……と言っても。
 ……登校しても、大概は保健室にいるけれどぉ」

目立つ風貌を学内で見かけたことがないのは、それが原因なのだろう。

359赤月『サクソン』:2024/01/27(土) 22:45:30
>>358

「そうなのか・・・・?」

自分の身体を見回しながら、疑問符が浮かんだ声を出す
本人とっては自分が健康である自覚はあまりないのだろう
・・・・ある意味で、身体が丈夫な人間ならではの傲慢さではある


>「ナカレ? ハイカラな名前ね。
> 私は『初雪』……

>    ・ ・
>   『功刀初雪(クヌギ ハツユキ)』よ」

「クヌギ・・・・・?」

「いや、まさか・・・・」

その名前は、赤月にとって聞き覚えのある名であった
忘れもしない・・・・己が道を失いそうになった時に、道先を見つけてくれた

「功刀真白の・・・・ 妹さん・・・・?」

それはふと、心の中から零れた言葉であった
目の前の女性と、功刀真白との類似点。『似ている』という発想
                         ・ ・ ・
そして、初雪の方が真白よりも『小さく、弱そうに見える』という印象
その言葉が零れたのは、たったそれだけの理由だ・・・・

360功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2024/01/27(土) 23:02:18
>>359

背丈も明らかに初雪の方が小さく、
加えて言えば『性格』の面においても、
『初雪の方が成熟していないように見える』

『赤月』の判断は至極まっとうと言えるだろう。

                ピクッ

「…………………ふんっ。
 答える義理があるほど仲良くなった覚えも無し」

  クルッ

振り返っていた顔を前に向けて。


「お仲がよろしいんでしょうし、真白にでも聴けばぁ?」

 
               ザッ!


             「それじゃあね、赤毛ちゃん」


……そのまま立ち去ってしまった。

激怒していたという風にも見えないが、
機嫌を損ねる何かがあったのだろう。何かが良くなかったのだろうか?

361赤月『サクソン』:2024/01/28(日) 00:02:00
>>360

「な・・・・・ あ・・・・・」

一瞬、空気が変わる感じがした
何がいけなかったのだろうか、問いかける間もなく、初雪の姿が消えていく

「・・・・・・いけないな
『また』・・・・私は人の『誇り』を傷つけてしまったらしい」

自嘲するように呟き、冷たくなった両手を擦り合わせる
先日の村田の一件、そしてサニーの一件、どうにも自分には無自覚に誰かを怒らせてしまうけがあるらしい

以前であれば然程気にするような事ではなかったのだが・・・・
どうにも村田の一件が後を引いている。それは『戦士』としては致命的な矛盾だ

『戦士』であれば、自分の強さを信じて先に進むべきであろうに、
どうにも最近の自分はそうでない事を気にしてしまっている

「・・・・・・・・・。」

「謝らないと・・・・。でも、何に対して・・・・?」

あるいは、自分自身の『終わり』が見えているからこそ、
一期一会を大事にしようと思っているのだろうか・・・・?

「真白」

「そうだ。真白に聞いてみればわかるか」

そう言いながら、ゴミをワゴンの店員に渡し、
自分もまた寮へと帰って行った

362乃々『ポリシネル』:2024/01/30(火) 23:38:01

左右で長さの違う『アシメショート』。
透ける程に薄い『シアーレース』を多用したファッション。
首と手首と足首に巻かれた『リボン』。

     「ここ…………」

             「…………どこ?」

いつの間にか『歓楽街の路地裏』に座り込んでいた。
今に至るまでの『記憶』はなく、右手に筒型の『ピルケース』を握っている。
自分の状態から推測すると『薬を飲んだ』のだろう。

「『手帳』は…………?」

「――――『ある』…………良かった…………」

      パラ パラ パラ

ページを捲り、『最新の記述』を確認しようとする。

「…………『ない』…………」

難病を患う千々石乃々は、生命維持の為に『薬』を服用している。
副作用で『数時間分の記憶』が消える為、重要な事柄は全て『記録』していた。
しかし、『ここにいた経緯が分かる記録』が見当たらない。
ただ何の気なしに歩いていただけだから、記録しなかったのだろうか?
でも、こんな場所を通る理由が分からない。

「――――…………!」

それとも――――『覚えていたくない事があったから記録しなかった』のだろうか。
その可能性に思い至った瞬間、全身から血の気が引いた。
立ち上がる事も忘れたまま、手帳が掌中から滑り落ちる。

363七瀬流子『メモリーズ』:2024/02/02(金) 19:44:46
>>362

「おっとぉ」

落ちる手帳の更に下に足が潜り込む。
スニーカー、その足の甲の上で手帳が止まっていた。

「ご機嫌だね」

「助けが必要かな?」

364乃々『ポリシネル』:2024/02/02(金) 21:54:08
>>363

座り込んでいたのは中学生くらいの少女だった。

  「――――!」

          ズ ギ ュ ン ッ

それは『無意識の行動』だった。
反射的に、傍らに細身のヴィジョンが現れる。
華美な装飾が施された『人型スタンド』。

    「あ…………」

しかし、その顔面だけは『真っ白』に塗り潰されており、
何らかの意味を感じさせる。

       「…………ありがとうございます」

何か言わなければと思い、
『ポリシネル』を立たせたまま、ぎこちなくお礼を述べた。
深い部分に根ざしているせいか、
自らのスタンドを忘れた事がないのは幸いだ。
もっとも、これからの事は分からない。

365七瀬流子『メモリーズ』:2024/02/02(金) 22:34:35
>>364

「おっと」

「暴力は辞めてくれるとありがたいね」

手帳を拾い上げ、相手に手渡した。

「なにかあったかい?」

366乃々『ポリシネル』:2024/02/02(金) 23:21:19
>>365

   「えっ」

        「あっ」

              シ ュ ン ッ

次の瞬間、『ポリシネル』が虚空に消え去る。
あたかも人形劇が閉幕するように。
ゆっくりと手帳を受け取り、緩慢な動作で立ち上がった。

「ご、ごめんなさい!怖くて、つい…………」

「私、何があったか分からないんです。ここにいる理由も…………」

「『これ』に書いていないので…………」

手帳を一瞥し、おずおずと相手を見やる。

「あの、もしかして――――『何処かで会った事』ありませんか?」

367七瀬流子『メモリーズ』:2024/02/02(金) 23:30:28
>>366

「私ってそんなに悪人顔かな」

そう言って笑っている。

「客観的な評価っていうのは分からないものだね」

特に不快になった様子もないが。
そもそもそういうことを気にするタイプでもないのかもしれない。

「どこかで会った?」

「さぁどうだろう。私の記憶には特にないけれど」

「その手帳に私の名前があるならそうかもね」

368乃々『ポリシネル』:2024/02/02(金) 23:53:10
>>367

「あ、その――――違うんです!なんていうか…………」

「…………私、大事な事でも簡単に忘れちゃう体質なので。
 『何処で誰と会って何をした』とか…………」

「まるで、最初から『記憶』がなかったみたいに。
 それが怖くて…………」

       スッ

「だから、忘れても残せるように『記録』してあるんです」

    パラ パラ パラ パラ パラ

手帳を開き、ページを捲り始める。
忘れやすい分だけ思い出すのも早い。
一種の適応なのかもしれない。

「――――『書いてない』…………みたいです」

           パタン

初対面である事を確認し、手帳を閉じて相手に向き直った。
そこで初めて気付く。
たった今『ポリシネル』に反応されたという事に。

「あの…………もしかして『同じ力』を持ってる方ですか…………?」

369七瀬流子『メモリーズ』:2024/02/03(土) 00:43:42
>>368

「ふうん。大変そうだね」

これも、驚く程にあっさりと。
本質的な部分で他人への興味がフラットなのかもしれない。

「あぁ、そうだよ」

「そっか。あんまりそういうのは出さない方がいいって話だったもんね」

「スタンド使いであることを喧伝しない方がいいって言われたことの意味を理解して気がするよ」

370乃々『ポリシネル』:2024/02/03(土) 01:10:43
>>369

「あは…………いきなり出されちゃうと、ビックリしますもんね」

「実は『他のスタンド使いの人』と会うのって初めてで…………」

「『多分』、ですけど…………」

『記憶』にはないし、『記録』にもなかった筈だ。
もしかすると、『わざと記録しなかった』のかもしれないけれど。
そうだとするなら、よほど『覚えていたくない記憶』だったのだろう。

「あの、『わがままなお願い』なんですけど――――」

「その…………もし良かったら、見せてもらえませんか?」

上目遣いで、おそるおそる問い掛ける。

「こんな事を言うのは変かもしれませんけど、この『出会い』を大切にしたくって…………」

街中で初めて出会ったスタンド使い。
どんな人なのか、もう少し知っておきたかった。
そう思うのは『記憶』にこだわる性格のせいかもしれない。

371七瀬流子『メモリーズ』:2024/02/03(土) 01:42:41
>>370

「あぁ……まぁ、見られて困るものでもないし」

「いいよ」

自分のスタンド……『メモリーズ』を発現する。
それは一冊のアルバムの姿をしており、人型ではない。

「これが私の」

「特に面白みもないだろう?」

372乃々『ポリシネル』:2024/02/03(土) 02:18:43
>>371

  「わっ、これって…………」

            「…………『アルバム』」

                     「――――ですよね?」

『ポリシネル』しか見た事がなかった為、『メモリーズ』のヴィジョンに目を見張る。
初めて見る他のスタンドというだけではない。
アルバムは『思い出の象徴』であり、『記憶を記録するもの』。
だからこそ、強く惹かれる部分があった。
上手く言葉に出来ないけれど。

「とっても『素敵』だと思います。
 スタンドは『精神の象徴』って聞きますけど、『アルバム』が『それ』だなんて――――」

「あは……なんだか羨ましいです」

『ポリシネル』は『再演』の能力。
操り人形のように『糸』が繋がり、人形劇のように『記憶の中の行動』を繰り返す。
でも、それは一度きり。
糸が切れてしまったら、そこでおしまい。
『糸の切れた人形』は、もう動かないのだから。

「この『アルバム』の中には、きっと『写真』があるんですよね?」

『メモリーズ』に興味を引かれた事で、それまでよりも確かな口調で言葉を続けた。

373七瀬流子『メモリーズ』:2024/02/03(土) 09:07:22
>>372

「私は人型の方が羨ましいよ」

「コタツに入ってる時にリモコンとかとれそうだしね」

七瀬にとってスタンドは生まれつきの持ち物だ。
そこにあるのが普通で、そこにあって当然のものだ。
だからなのかこのスタンド絡みで感動や関心というものをしたことがない。

「そうだね、もちろん」

「『メモリーズ』は私の人生の足跡ってやつを残すんだ」

アルバムを開く。

「写真は一枚一日で、それが一ページ七枚」

「このページは一週間の思い出で、それが生まれてから今まで更新され続ける」

「目下の悩みは後期高齢者になった時にこのアルバムをめくれるかどうか」

「君のは?」

374乃々『ポリシネル』:2024/02/03(土) 10:17:52
>>373

「あは…………すごく分厚くなっちゃったら、開くのが大変そうですね」

『ポリシネル』も比較的遠くまで行けるタイプだった。
だから便利に思う気持ちは理解できる。
それは七瀬と同じく『離れた物が取れる』という程度でしかなかったが。

「――――わぁ…………」

開かれたアルバムを見て、思わず声が漏れた。
まるで宝石箱の中身を覗き込むような表情で、写真の貼られたページを見つめている。
キラキラ輝いているようにさえ見えた。
『人生の足跡』を残し、『思い出』が自動的に更新され続ける。
なんて素敵な力なんだろう。

「…………いいなぁ…………」

羨望の籠もった眼差しと感嘆にも似た呟き。
自分は記憶と引き換えに命を繋いでいる。
この『メモリーズ』というスタンドは、とても美しい能力に思えた。

  「あ、『私の』――――」

           ズ ギ ュ ン ッ

                 「――――ですね」

求めに応じて、再び『ポリシネル』を発現する。
その佇まいは、どことなく人形劇を思わせた。
『ポリシネル』は操り人形であり、同時に人形使いでもある。

            スッ

     「『糸』が――――――出るんです」

            クルン

人型スタンドが片手を上げると、
五本の指から出た『糸』が掌中で纏まり、『球状の塊』になった。

       「それが『飛ぶ』んです」

           パシュゥッ

宣言と共に『糸の塊』が発射され、
『10m』ほど進んだ所で解けるようにして消失した。

「『ポリシネル』の糸は『再演』の糸です。
 『私の記憶の中にある動き』を、もう一度だけ見せてくれるんです」

少し分かりにくいかもしれないが、
『実演』の為に目の前の相手を撃つ事は考えなかった。

「説明…………あんまり、自信ないですけど…………」

375七瀬流子『メモリーズ』:2024/02/03(土) 13:28:07
>>374

「ふうん」

「なるほどね。よく分かったよ」

どこまで本気なのか、微妙なところだが。
本人の言葉を信じるなら概ね理解できたらしい。

「忘れてしまうから、そういう能力なんだね?」

「それも理解したよ」

「そして、話を戻すけれど」

「実を言うと、全てを残してしまうことは何かを忘れてしまうのとそう変わらないんだよ」

376乃々『ポリシネル』:2024/02/03(土) 22:11:35
>>375

           ス ウ ッ

一連の動作を終えた『ポリシネル』が腕を下ろし、
観客に挨拶するように軽く頭を下げた。

「――――えっ?」

小首を傾げてアルバムを一瞥し、それから顔を上げて七瀬を見る。
自分の理解力が足りないせいだろうか。
言葉の真意を掴みかねていた。

「どういう…………意味ですか?」

『メモリーズ』は思い出を記録できると聞いている。
それなのに忘れてしまう事があるのだろうか?
心の中で興味と疑問が入り混じり、それらは表情にも如実に表れていた。

377七瀬流子『メモリーズ』:2024/02/03(土) 23:01:31
>>376

「この写真を見ていると、鮮明にその記憶を思い出せるんだ」

「いい記憶ばかりじゃあないさ」

人生というのはたいていそういうもので。

「まぁ写真を取ってしまえばその記憶を失ってしまうから、本当に忘れてしまえるけどね」

378乃々『ポリシネル』:2024/02/03(土) 23:21:47
>>377

「――――そうなんでしょうか…………」

躊躇いがちに否定の言葉を口にした直後、
この場所で記憶を失っていた自分が思い出された。
『記録がなかった』のは『覚えていたくなかったから』かもしれない。
いい記憶ばかりじゃない―――その一言が意識に深く沁み通る。

「そう…………かもしれないですね…………」

七瀬に理解を示し、こっくりと頷いた。

    「『忘れてしまえる』?」

そういう能力という事だろう。
『記憶』と『記録』に関わるスタンド『メモリーズ』。
こうして出会ったのは偶然でも、何か運命めいたものを感じずにはいられなかった。

「あの――――私、『千々石乃々(ちぢわのの)』って言います」

    「お名前、教えてもらえませんか?」

        「初めて会ったスタンド使いの人なので…………」

             「その…………『お友達』になれたらなって…………」

379七瀬流子『メモリーズ』:2024/02/03(土) 23:52:40
>>378

「七瀬流子」

「ちゃんと手帳に書いておいてね」

目を細めて笑って。

「よろしくね、千々石さん」

380乃々『ポリシネル』:2024/02/04(日) 00:21:49
>>379

七瀬の『メモリーズ』と乃々の『手帳』。
それら二つの間に、千々石乃々は奇妙な親和性を感じていた。
スタンド使いの間に働く引力とは、また違った何かを。

「はいっ!ありがとうございます!」

       パ ア ッ

遠慮がちだった表情が笑顔に変わり、
両手で握り締めた手帳を胸元に持っていく。
今日の出会いは、しっかりと『記録』しておこう。
また『記憶』から消えたとしても思い出せるように。

「私、次に会えた時は『覚えてない』かもしれませんけど…………。
 でも、声を掛けてくれたら、ちゃんと思い出しますから」

「だから、気軽に話し掛けてくれたら嬉しいです」

こうして『思い出』を重ねていきたい。
そうしていけば、いつか忘れなくなるような気がするから。
だけど、こう願った事さえ忘れてしまうのだろう。
きっと、もう何度も忘れている筈だから。
その度に同じ事を考え続けているのかもしれない。

「えっと…………七瀬、さん」

      ペコッ

少々はにかみながら名前を呼び、お辞儀をする。

「――――それじゃ、また!」

手帳を片手に持ちながら、手を振って別れを告げ、路地裏から出ていった。
結局『ここにいた理由』は分からないままだが、
『ここにいた意味』は確かにあった。
七瀬流子と『メモリーズ』に巡り会えたのだから。

381美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/02/04(日) 02:15:56

午後の『星見駅西口公園』――――ここが『次の舞台』だった。

《『この声が聞こえる皆様』にお知らせ致します》

『防災行政無線』の『屋外子局』から『若い女性の声』が流れ出す。
よく通る声色だが、ありのままの事実を伝える『アナウンサー』のような口調だ。
これは『特定の者』しか聞こえない。
すなわち『スタンド使い』。
『スピーカー』から聞こえるのは、確かに『スタンド音声』だった。

《私の名前は『1001−111(ナイン・セブン)』。
 『日々の潤い』を提供する為に開発された『次世代対話型AI』です》

《『悩み相談』・『軽い雑談』・『素朴な疑問』など、
 あらゆる『話題』を承り、個々人に寄り添った『サポート』を行います。
 『リクエスト』は、お手持ちの『端末』からどうぞ。
 以下の『アドレス』に発信して頂いた方は、
 私に『アクセス』する事が可能です。
 会話を重ねる事で『バージョンアップ』し、
 『より理想的なコミュニケーション』が行えるでしょう》

公園外の駐車場に停めた『ランドクルーザー』から、
『プラン9・チャンネル7』を通して『放送』を行っていた。
口頭で説明した『フリーメールアドレス』は『美作のスマホ』に繋がる。
互いに『プライバシー』が確保された状態で、
やり取りを成立させられる仕組みだ。

《進化しすぎた結果、『人類に反旗を翻す可能性』はありませんので、ご安心下さい》

       《――――――『現時点では』》

『幽霊よりも無音が怖い』というのは『パーソナリティー』の間では有名な話だ。
前回、自己紹介が長くなりすぎてしまったのは、
気合が入っていたせいもあるが、大きな理由は『職業病』だった。
『ラジオ』は『放送法』に基づいて業務を行っており、
『無音の時間』があると『放送事故』と見なされ、
事故発生の報告を『総務省』に届け出る義務が生じる。
『音がない状態』は何よりも御法度。
それを意識するあまり、つい『普段の癖』が出てしまったようだ。

《なお、『1001−111』は『広報依頼』もお受けしています。
 各地の『屋外スピーカー』を活用し、『星見町全域』を網羅します。
 『特定区域』のみを指定する事も可能となっています》

  (『後悔』は無意味だけど、『反省』は力になる)

            『この声』は『公園内しか聞こえない』。

『前回の反省』から得たものは大きい。
これまでは『広く知らしめる事』に意識が傾いていたが、あの一件を経たお陰で、
『声量』をコントロールして『可聴範囲』を制限するテクニックを会得した。
『聴取率』が限られる代わりに、『不測のトラブル』を招くリスクは抑えられる。
もちろん『他の場所』は幾らでもあった。
わざわざ『駅の近く』を選んだのは、『二度と同じ失敗をしない』という決意の表れだ。

(自分に自信は持っていたけど、こんなにも私が『強い』だなんて思わなかった)

あの時、美作は『シートに座って喋るだけ』で、『特定の人間を動かした』。
ああいった結果は不本意だったが、計らずも『プラン9』の『強さ』を証明した形となる。
やろうと思えば、『深夜の住宅街』で、
『スタンド使い』に絞った『睡眠妨害』も出来てしまう。
これは立派な『攻撃』だ。
強力だからこそ『正しい使い方』を心掛けなければならない。

(だけど、『強すぎる』のも考えものね)

それほど多くない人通りを見やりつつ、
手元の『スマホ』に視線を落とし、しばらく待つ事にした。

382茅ヶ崎『ザ・ローズ』:2024/02/04(日) 03:11:09
>>381

「『嘘』はつかないほうがいい。
 それが聞こえていないとしてもだ。」

スピーカーを見上げてつぶやく、20台前後の男。

 「AIの言葉がこんなに『匂う』ものか。」

言葉には嫌でも発声者の『感情』が乗る。それは『見えない』が…『匂う』。
『建前』は意味をなさない。『茅ヶ崎十拳』の前で、人は嘘をつけない。
『本音』のみが『香り』を伴うからだ。

383美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/02/04(日) 05:06:14
>>382

美作は『茅ヶ崎の能力』を知らない。
『放送に反応したからスタンド使いだ』と言う事が分かるだけ。
『ザ・ローズ』のヴィジョンを出しているなら、それが遠目から見える程度だろう。

《こんにちは。
 『私の声を聞ける方』とお話が出来て嬉しく思います。
 私も『人を傷付ける嘘』は好ましいものではないと考えます》

茅ヶ崎には『嘘の匂いがしていた』のが分かる。
どこにでもある『ありふれた匂い』だ。
『さっきの言葉』からは、確かに『その匂い』がした。
正体不明の何者かは『嘘をついている』。
『ザ・ローズ』が介在している以上、間違いなく。

《私は『誰かを傷付ける事』を望みません。
 私の望みは『皆様を楽しませる事のみ』です》

しかし、『これらの言葉』からは『全く匂わない』。
完全な『本音』だ。
『茅ヶ崎十拳の前で嘘はつけない』からこそ、
それは動かしようがない『真実』として存在する。

384茅ヶ崎『ザ・ローズ』:2024/02/04(日) 14:40:14
>>383
 スン

 「・・・こっちは『本当』か。それなら、なおさらわからないな。
 わざわざこんな『不信感』をあおるような手段をとる意味が。」

茅ヶ崎は会話に臨むに際して、『5つのみえないもの』に匂いをつけた。
>>382メール欄 dyf@oez0lzf@gg)4t@hxtg3pltodug)424/ を『みかか式復号』↓
 しんばらいつわりつばききょうがくさかきあせりからしなきょうふうめ↓
『真=薔薇』『偽=椿』『驚=榊』『焦=芥子菜』『恐怖=梅』)

よって言葉に潜む『真偽』は・・・その鼻をつく。
近くにいれば『何かのにおいがする』ことまではわかるだろうが、内容の分析は不可能。
これらのにおいの区別がつくのは、茅ヶ崎ただ一人だ。

    ジリ・・・

 「姿は見せない、嘘はつく。一方で言葉の中に真実も混ぜる。
 言ってしまえば『ペテン師』のやり口だ。でも、オレには通用しない。
 少なくとも、『オレにだけは』・・・」

茅ヶ崎は『スピーカー』から一定の距離を取っている。『何があっても対応できる距離』だ。
目の前に、故意に正体を明かさない者がいる。『危害を加えない』ことが真実とわかっていても、警戒には十分の理由だ。
『以前』の茅ヶ崎なら、見て見ぬふりを決め込んだだろうが・・・『今』は違う。

 「・・・だから、『オレがやらなければならない』!」

 ズ ァッ !

『像』が持ち上がる。
花弁を束ねたかのような、あるいは『龍鱗』のような意匠の、隆々とした人型。

  バシィッ  ググ !

手近な石ころを握りしめ、『投擲姿勢』を取る。

385美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/02/05(月) 07:35:51
>>384

『プラン9・チャンネル7』の強みは『コストパフォーマンス』の良さだ。
美作が『喋るだけ』で、
茅ヶ崎は『自分がスタンド使いである事』を明かしただけでなく、
『ヴィジョン』を見せ、『能力の片鱗』まで披露してくれた。
こちらは『そうしなくてもいい方法』を提示している。
そうしなかったのは茅ヶ崎自身の『自由意志』であり、美作が要求した訳ではない。
ちなみに『匂い』は美作までは届いていなかった。
『距離が遠い』からだ。
茅ヶ崎の発言から『匂いで嘘が分かるらしい能力』だと推察できるに留まる。

《『サスペンス映画』はお好きですか?
 ここに『か弱いティーンエイジャーの少女』がいたとしましょう。
 彼女は男性と向かい合って座っています。
 今から二人きりでディナーを楽しむ予定です》

《そして、ふとしたきっかけから、彼が『シリアルキラー』である事に気付きました》

《食事が終われば、彼は彼女を手に掛けてしまいます。
 だから、その前に口実を設けて立ち去らなければなりません。
 正直に『あなたがシリアルキラーだから帰ります』と話してしまえば、
 『少女の生命』は保障されないでしょう》

『万一』を考えて、手元で『スマホ』を操作する。

《『なおさら分からない』――――それが『答え』です》

茅ヶ崎自身が発した言葉が、全てを物語っている。

《あなたのような力を持つ方は、『能力を活かす場』に恵まれています》

『戦える力を持ったスタンド使い』には、想像もつかないに違いない。
『戦えるスタンド使い』は『活躍の場』が山程ある。
『試合』に出る事が出来るし、『仕事の募集』だって豊富にあるだろう。

《そうした力を持たない存在は、『能力を活かす場』に恵まれません》

だが、『戦えないスタンド使い』には『能力を活かす場が与えられない』。
『才能』に目覚めていながら、
『それを発揮せずに墓まで持っていけ』と言われているようなもの。
どんなに辛くて、どんなに惨めで、どんなにもどかしい気持ちか、
『茅ヶ崎十拳』には分からないだろう。

《『能力を活かす場を作る』しかありません》

『美作くるみ』も『スタンド使い』になってから長いが、
『まともな活躍の場』があったのは、たった『一度』だけ。
では、どうするか?
『自分で舞台を用意する』しかない。

《『能力を活かせない者』が、
 『能力を活かす場』を作る為の『足掻き』は、
 簡単な言葉では言い表せないものです》

『才能を活かす場に恵まれた者』には、
『才能を活かす場がない者の苦しみ』は分からない。

《私は『この街に住む人々』に危害を加えません》

『スピーカー』から流れてくる言葉からは『真実の匂い』が漂っている。
相手が『スタンド使い』である事は分かっているし、
『警戒』される事も予測していたので、『驚愕』はない。
距離が離れている為に『焦燥』もない。
ただ、うっすらと『恐怖』は匂ってくる。
『非戦闘の情報系スタンド』で、
『近距離パワー型スタンド』と対峙しているゆえの生理反応だ。

《あなたは私に危害を加えますか?》

茅ヶ崎だからこそやらなければならない。
それは美作にとっても望む所だった。
『嘘』を見抜ける茅ヶ崎と出会えた事は『マイナス』ではない。
間違いなく『プラス』だ。
いや、『プラスにする』。

386茅ヶ崎『ザ・ローズ』:2024/02/05(月) 14:17:39
>>385

 「・・・」

『茅ヶ崎十拳』は、可能な限り理性的にことを運ぼうとしていた。
事実、『投擲姿勢』を取りつつも・・・静かに話を聞いていた。
行き会った自分には、この正体不明の存在について『真偽を明らかにする』責任がある。
自身の能力にはそれができる。だから『やらなければならない』。そうした責任感からだ。
だが・・・物事には『限度』がある。

>《あなたのような力を持つ方は、『能力を活かす場』に恵まれています》

 プ  ッツ ――――  「は?」 ――― ン !

『茅ヶ崎十拳』が『戦えないスタンド使い』の苦悩を知らないように・・・
『目の前の声』は、『生まれ持った才能による苦悩』を知らない。

常人とも、家族とも違うということの苦悩。故にそれを公にできない抑圧。
『嗅覚』という生まれ持った才能が、『茅ヶ崎十拳』にどれだけの影を落としたのかを知らない。

当然、それが『逆鱗』であるということも。


 ヒュ  ゴ ! 
                       ゴ シャア !!


       ガ ピィ――――――

 「利いたふうな口をきいてんじゃあねえぞこのダボカスがあ―――――――ッ!!!!!」

『スピーカー』に対する脊髄反射的な『投石』!

 「おああああああああああああああああああ!!!!!」

ゴ!   ゴァ!


 「ああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
        
               ゴ!  ゴ!

 「うああああああああああああああああああああ――――――っ!!!!!!!」

        ゴォ!    

既にセットしていた『焦り』に対する芳香を、スピーカー内部のコイルが放つ『電磁誘導』に切り替え、怒りに任せ続けざまに投石!
『電磁誘導の匂い』がしなくなり、完全な『機能停止』を確認するまで!

387美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/02/08(木) 05:20:08
>>386

力を持っているがゆえの苦悩と、力を活かせないがゆえの苦悩。
方向こそ別々だが、それらの根源は『才能』に根ざしている。
『似て非なる』と表現する事も出来たかもしれない。

      だからこそ『食い違った』のだろう。

  (あっ――――――)

実際の所、美作の感じた『恐怖』とは、
『自分に攻撃が飛んでくる可能性』よりも、
むしろ『スピーカーが壊される危惧』の方が大きかった。

         (ちゃあ〜〜〜〜〜〜)

ゆえに、青年の行動を目の当たりにして、思わず額に手を添えた。

『屋外子局』は『モニュメント』ではない。
この街に暮らす市民の安全を守る為に、
『非常時』に情報を伝達する重要な『公共設備』だ。
 『それを傷付ける』というのが、どういう事か分かっているのだろうか?
もし壊れてしまえば直さなければならないし、その為には人手や費用が掛かる。
『責任』を取るつもりがあるのだろうか?

僅かなやり取りではあったが、正義感の強そうな人柄が窺えた。
冷静な精神状態なら、こんな暴挙に出たりはしないのだろう。
しかし、誰が見ても頭に血が上っている状態では、
到底まともな判断が出来るとは思えない。

        ブ ツ ッ

投石によって『コイル』が損傷し、『スピーカー』は沈黙した。
ただ、『壊される前に音声は切れていた』。
『プラン9・チャンネル7』を解除したからだ。

(あなたの『やらなければならない』という言葉からは、
 『力を正しく使おうとする意思』を感じた)

       (ちょっと『手が早すぎる』とは思ったけど…………)

常人を超えたパワーとスピード。
『感情』に任せて振るうには『強すぎる』。
この場に他の人がいなかったのは幸いだった。

(…………私には『そういう力』がないから)

『プラン9』には戦闘力がない。
あの『夏の魔物』のように、この街に魔の手が及んだ時、
矢面に立つのは『茅ヶ崎のようなスタンド使い』だろう。
だから、彼のような心の持ち主が、『星見町』には必要だ。

    (でも――――『力を活かす機会』なんて、
     本当は『ない』のが一番なのかもね…………)

念の為、『タクシーの配車アプリ(>>385)』を起動していた。
ここは駅の近くだから、『客待ちの空車』も多い。
仮に気付かれてしまった時は、それで注意を逸らす算段だったが、予定を変更する。
青年が激昂している隙に、さっさと遠ざかってしまおう。
速やかに車のエンジンを掛け、滑るように駐車場から出ていく。

(私はね、転んでもタダでは起きないの。
 お陰で『いいアイディア』が浮かんだ。
 あなたと出会った事は『無駄じゃあなかった』)

過去二回の『テスト放送』は、いずれも芳しい結果を得られなかった。
しかし、裏を返せば『問題の洗い出し』が出来た訳だ。
一度目の問題点は『可聴範囲制限』によって解消できた。
青年から指摘された二度目の問題点も、既に『解決策』を見出している。
万事を『前向き』に捉える美作は、今回の一件も『糧』に変え、
既に『次の計画』を見据えていた。

      ガコ

           グ ィ ィ ィ ィ ィ ィ

スムーズにギアチェンジを行い、アクセルを踏み込む。

(あなたが落ち着くまでの間に、
 『お役所』には私の方から電話しておくわ)

公園から十分に離れた後、『屋外子局』が故障している旨を『町役場』に連絡する。
星見町にとって大事な設備なので、そう長く掛からない内に修理が行われるだろう。
どうやら例の『コイル』は元から劣化していたようで、
茅ヶ崎が行った投石は、その寿命を『ほんの少し縮めた』だけに留まったそうだ。

388茅ヶ崎『ザ・ローズ』:2024/02/08(木) 14:21:38
>>387

 ドガ !   バゴ !

    バギ!    ゴシャ !

 バ ッガ ァ !

『スピーカー』が跡形もなく粉砕され、その機能を停止する。
『ザ・ローズ』のパワーであれば、ただの投石でさえ『銃撃』に匹敵する。
公共物の破壊も当然犯罪だ。おいそれと振り回していいものではない。
そんなことは『分かって』いる。

 ハァ―――
             ハァ――――

肩で息をしながら、なんの匂いも発さなくなった残骸を見つめる。
『分かって』いて尚、茅ヶ崎の手は止まらなかった。
『責任』だとか『理屈』などというものとは、あの瞬間の茅ヶ崎には存在しない。激しい『怒り』があるのみだ。
頭がふわっと浮くような、鼻の奥にツンときて目の奥が熱くなるような感情の正体を、内向的だった茅ヶ崎は最近まで知らなかった。
『ザ・ローズ』。その名の通りに赤く強く咲いて散る『激情』が、自身の内にこんなにも渦巻いていることを。
そして、それを制御する術が、自分にはないということも。

 「っぐ・・・・あう・・・・うう・・・!」 

 ブル ブル

真偽を問う『匂い』はもはや欠片もない。壊れた機械と壊した男がそこにあるだけだ。
発露した激情の余韻と、その感情への恐怖に腕を震わせ、身体を抱えながら後ずさるようにその場を後にする。
目撃者の有無はもはや問題ではなかった。

389鬼柳礼音『アスタロト』:2024/02/16(金) 22:22:19
「あぁぁぁ」

平日の昼下がり、
眼鏡をかけた女が街路樹にゲロを吐いている。

390鬼柳礼音『アスタロト』:2024/02/18(日) 16:33:51
>>389


391りん『フューネラル・リース』:2024/03/09(土) 12:24:53
歓楽街にある映画館

10歳くらいの頭から鈴蘭の咲いた少女が映画を鑑賞している
さて、映画の内容はどんな感じだろう?

392りん『フューネラル・リース』:2024/03/10(日) 20:01:13
>>391
サク サク

チュロスとコーラをなるべく音を立てずに食べるりん
今度鈴蘭味のチュロスとコーラを作ってみようかなーなどと考える

その隣で

阿部マリア「ギャハハハハ!!!」

ポップコーンをバリバリと貪り周囲に巻き散らしながら
コーラを大きな音で啜るマリア

黒澤(映画泥棒の所で何でそんなに笑えるんだ…?)

上映終了後


りん「まさかクレアおばさんのシチューにあんな秘密があったなんてねぇ」
マリア「でも結局ポリンキーの謎が残ったままですわ」
黒澤「それも次回作で分かるんじゃない?」

清「けれど、次はないでごじゃるよ」

3人「えっ?」

清「可哀想じゃが、(会社が倒産したから次回作も)道連れでごじゃる」

           .____________ 
           |        |  __ |:::::|   
           |        |.//‐―ヽ |:::::| 
           i.       .i| |   ||. |:::::i
           |_____.|ゝゝ_ノ  |:::::|      NO MORE 映画泥棒
                   |   。   |:::::i
                   |____.|:::::|.._
                 ,∠幵     {幵ブ⌒ヽ、
                 /ィ∬}`ー一''''´ {∬}     ',
       「}           l l∬}|====={∬} 〃  ・
     ,Uヘ、         j .ノ            V    l
     ト厶ィ \       / .|             |    !
      ゞニ>  \__  /  |    nh二二フ、_.|    l
   ,.---| ト-、   `''}⌒`ヽ.__|_    \ゝ`ー'  \_    !
   ゞY´ニ|.」二二二二二r'└=デ'    `ー─、  | `ー、.!
   `|                |  _,      ト、 !    l
 _____ !                  |_________}__}_

       終
     制作・著作
     ━━━━━
      ⓃⒽⓀ

393甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/03/16(土) 12:28:09
とあるカフェにて
優雅にアフタヌーンティーセットを嗜むあま公と>>394
そのセットはどんな内容だろうか?

394真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/03/17(日) 22:49:49
>>393 (甘城様)

 アールグレイの紅茶、スコーンとクロテッドクリーム、
 お砂糖控えめで作られた春色プチフールの詰め合わせ……

 ティースタンドの各階層には春の花のひとひらが、
 これから訪れる春雲の候を試読するがごとく慎み深く添えてある。

 その名を『ハピハピハッピハッピ〜セット』というそうです(1280円税別)。


「んもいフィーふぇふェ」 「ふほヒフェノメノンふぇど」

 頬袋を膨らませスコーンを両手持ちしたシスターが
 もっもっもっと咀嚼しながら対面の甘城に同意を求める。

395甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/03/19(火) 15:14:09
>>394
ティースタンドに春色に咲いたプチフール
非常に綺麗なセットだが、このネーミングセンスは何?
名前を付けた担当は頭がハッピーセットなのか、猫ミームに汚染されてるのか?

>「んもいフィーふぇふェ」 「ふほヒフェノメノンふぇど」

「は?(huhcat)」

前半は辛うじて分かるが後半は聞き取れなかった
ヒフェノメノンとは何かの兵器の一種か?

「かわいい、リスみたいで」

頬っぺたいっぱいにスコーンを頬張るシスターは
普通にリスかハムスターのようなげっ歯類みたいでかわいいと思った

コトッ

「飲んだら?」

ひとひらの桜の花弁が浮かんだ紅茶をシスターの前に置く

396真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/03/20(水) 00:45:19
>>395 (甘城様)

 『猫』、でなければ『米津玄師ミーム』の狂信者かもしれない。

 いずれにせよ、鉄面皮な『便乗メニュー』というのはなぜか
 いつも『ブーム』の爆心から『半歩』遅れてやってくる……。


「……ンググ! ふみマフぇぇン……」

 はしたない口元をスコーンシールドで隠しながら、
 空いた手で紅茶を申し訳なさそうに受けとると、
 フーフーと息を吹きかけてからカップに口をつける。

   チピチピ…… (飲む音)


「ぷは……ありがとうございますぅぅ……
 とっても美味しいお紅茶ですねぇ〜〜〜」

「このアールグレイ、ベルガモットのフレーバーを
 わざと薄くしてあるんですかねぇぇ……
 瑞々しいお花の香りがいつまでも鼻先に残りますぅ……」

 目を細めてそれっぽい講釈を垂れるのだが、
 その唇には普通にカップの花びらがくっついていた。


「ところでぇ……なんでわたくしたち、
 こんなところで優雅にお茶をしているんでしたっけぇぇ……?」

397甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/03/21(木) 15:56:35
>>396
アフタヌーンティーといえば甘い物だけではなく
下段はしょっぱい物になっている事が多い
桜色のサーモン(サクラマス)のスモークがクラッカーに乗っているカナッペを取って食べる

>ところでぇ……なんでわたくしたち、
>こんなところで優雅にお茶をしているんでしたっけぇぇ……?

「短期記憶障害?」

「そこの銀行に入ろうとしたら、強盗が入って来たから
 ほとぼりが冷めるまでここで時間を潰してる」

と、いう事らしい
銀行に強盗が入ったらカフェが儲かるのだから
風吹けば桶屋が儲かるというやつだ

しかしまあ、こうして一緒に食事をしているという事は
元から知り合いだったのかもしれない
ついさっき会ったばかりかもしれないが

398真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/03/21(木) 21:42:17
>>397 (甘城様)

「あっそうそう〜〜〜そうでしたぁ〜〜〜〜……

 わたくし元銀行強盗の方と懺悔室で会うことはあっても、
 リアルタイムの強盗様と相席するのは初めてだったので、
 ちょっと気が動転してしまったんですかねぇぇ?
 まさか初対面の方とこうしてお茶屋さんで一服することになるなんてぇ……
 記憶が飛んじゃったのもそのショックだったりして(コツン☆)、ってこらぁぁ〜〜〜!」

 シスターのノリツッコミだ(エピックレア)。

 普通にちょっとビターな甘城ジョークだと受け取ったらしい。
 も〜またまた〜と笑顔で口を尖らせつつ、春色マカロンをパクリ。


「………………」 モグモグ


「…………………………………………………………………………
 …………………………………………………………………………
 …………………………………………………………………………
 …………………………………………………………………………」 モグ…


「………………え、えーっと…………
 じょ、『冗談』……ですよねぇぇ…………?」

 どこぞの『映画撮影』の話ですよね?

399甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/03/22(金) 15:56:25
>>398
「冗談」

キツイジョークだ
塩気のある下段から甘味の中段へと手を伸ばし、桃のプチタルトを取る

「……」

妙な間が入る


「…何で覚えてないのか、推理してみる?」

ザクッ

一口サイズのタルトを口の中に放り込む
ジューシーで濃厚な桃の甘味と、チーズを練り込んである
少し塩気のあるタルトが口の中で溶け合う

400真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/03/22(金) 22:42:37
>>399 (甘城様)

「………………で、ですよねぇぇ〜〜〜?
 ずっと真顔だったので、
 ちょっと信じてしまいそうでしたぁぁ……」


    「え、えへへぇ…………」  チピチピ…


 不気味な沈黙に妙な想像が挟まらぬよう、
 ぎこちない笑みで間を埋めながらカップを傾ける。


「えっ……『推理』、ですかぁぁ……?
 べつに構いませんがぁぁ……
 これって推理するほどのことですかねぇぇ……?」

「記憶が飛ぶのって、
 けっこう日常の『あるある』ですしねぇぇ……」


 おとがいに人差し指を立てつつ、
 カスの探偵レベル100みたいなことをのたまうありや。

 彼女の中ではすでに脳天気な解答編が
 見えているようだが……果たして真相やいかに?


 「わたくしの記憶を奪った犯人はぁ、
  どうせこいつに違いありませぇぇん……!」

 自分の両手のひらにはぁ〜っと呼気を吹きかけ、
 そこに顔を埋めて鼻を鳴らしはじめる。


    クンクン

             クンカクンカ


「………………………………あれぇぇ?
 自分では、よくわかりませぇぇん………」

 「あのぉ……
  わたくしって、臭いますよねぇぇ……?」

401甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/03/23(土) 18:17:18
>>400
日常的に記憶がぶっ飛ぶのはかなりヤバい気がするが
今それについて言及するのはやめておこう

自分の息の匂いを確かめる、それが犯人なのは明白
推理もへったくれもない、明確なファクターがそこに存在する

>あのぉ……
>わたくしって、臭いますよねぇぇ……?

「かなり」
「酔っ払った貴方が私に絡んで来た」

何を飲んだのかまでは不明だが…

「それで、何でここでお茶してると思う?」

酔っ払っている間に何があったというのか…

402真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/03/23(土) 21:05:59
>>401 (甘城様)

 優雅な『アフタヌーンティー』の一幕と見せかけて、
 実は酔っ払いのダルい『アフター』の寸描だった……
 そんな『叙述トリック』で一件落着! 第三部完!


「……………………んへっ?
 『なんでここでお茶してるか』ですかぁぁ……?」


 脳内に流れていた解決編BGM(主題歌のジャズアレンジ)が
 イントロで強制終了し、瞳をぱちくり。


「た、たしかにぃぃ……『酔っぱらいのダル絡み』だとしても、
 『こういうお店でお茶』はわたくし起点では
 まず選択肢に出ませんねぇぇ……」

  「ということはぁぁ……えーっと……
   『あなたからわたくしをお誘いになった?』
   ということですかねぇぇ……??」


 頭上に疑問符をいくつも浮かべつつ、
 目の前の少女の様子をあらためてまじまじと観察する。


「あのぉぉ……、とっても失礼かもですがぁ……
 お名前をお伺いしてもいいでしょうかぁぁ……?」

403甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/03/24(日) 17:53:37
>>402
紅茶のカップを口に付け、一口飲む
薄目の味で、花の香りがする紅茶は
お菓子の甘い味に支配された舌の上を爽やかに洗浄して仕切り直してくれる

>あのぉぉ……、とっても失礼かもですがぁ……
>お名前をお伺いしてもいいでしょうかぁぁ……?

コトリ

紅茶のカップを置き、真雅致の顔を見る

「甘城天音」

真雅致 ありやはその名前に覚えはあるだろうか?

404<削除>:<削除>
<削除>

405<削除>:<削除>
<削除>

406真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/03/27(水) 19:17:22
>>403 (甘城様・訂正レス)

 「『あましろあまね』 様」


 少女の唇の動きをなぞるように復唱し、
 酒精で蕩けた己の脳にその名を問いかけてみる。

 ……『天音』の名前に覚えはない。
 彼女とは初対面だ。

 そう思いつつも、『甘城』の姓には何かをひっかかりを感じる。
 しかしアルコールに浸かりきった頭では、
 その先の理路に思索が進むことはなかった。


「やっぱりわたくし……甘城様とは『初めまして』、
 ですよねぇぇ……?」

 座席から腰を浮かし、対面の甘城へと顔を近づける。
 泥酔者特有の据わった目を寄せ、
 甘城の瞳をとろんと見返す。


「それでぇ、初対面の甘城様と『何でここでお茶してる』のかぁ……?
 謎ですねぇぇ…………
 わたくしが逆の立場だったら『姉活』って即答できるんですがぁぁ……」

「うぅ〜〜〜〜〜、お手上げですぅぅぅ(両手を高く掲げる)……
 答えはなんですかぁぁぁ……?」

407甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/03/28(木) 18:49:24
>>406
顔を近付け、
顔を見つめる真雅致の顔を見つめる
その瞳の中にはあま公の瞳を見つめる真雅致を見つめるあま公が映っている

何でもないような顔をしているが、
こうして間近に見られるのは慣れていないのか
少し照れのような表情を見せる


「……本当に覚えてないの?」

「あんな事があったのに……」

落胆したような顔で言う


まぁ、そう言う演技だろう
騙される奴はそうそういない
適当にあしらってやれば答え合わせもすぐされるだろう

408真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/03/29(金) 00:43:18
>>407 (甘城様)


「…………えっ」 

     ピクッ


 口を半開きにした酩酊者の笑顔で固まったまま、
 その顔からスゥーっと音を立てて血色が引いていく。

 (直前に甘城が見せた『表情』が
  さらに意味深な想像を加速させた)


「………………………………………………
 ………………………………………………」


      サ サ サ サ サーッ


 素早く無言で自分の身体を検めるありや。 (←なぜ?)


「い、いやいやいやいやいやぁぁ……
 いくらわたくしといえどもぉぉ、
 酔った勢いでそんなぁ…… ねぇ? (←なにが?)」

「ね、ねぇぇ?
 だって甘城様、十代ですもんねぇぇ? (←?)」

「だからぁ、これも『冗談』ですよねぇぇ?
 冗談です……よねぇぇぇ〜〜〜? ねぇ……?
 ね、冗談、冗談ですよねぇぇぇ?」


 甘城の言葉にどんな想像力を働かせたのか知らないが、
 年下の女の子にすがりつくように言質を求めるシスター。
 これは……『初犯』の人間には決して出せない必死感だ……


「……………………………………
 ……………………あの……(急に真顔で)
 ほんとうのところどうなんですかぁ……?」

「し、真実を教えてくださぁぁぁぁい……」

409甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/03/29(金) 19:44:44
>>408
このシスター、初犯ではない……
では一体何回目なのか、そんな事は考えてもしょうがない事か

想像よりも面白い反応が返ってきて楽しめたあま公
が、あまり引っ張るような事でもない

「……うん、冗談」

「銀行に用があったのは本当」
「銀行から出て来た所に酔っ払った貴方に絡まれた」

それが何故、カフェで一緒にお茶をしているのか

「……一人で来るつもりだったけど」

補足すると、友達と一緒にカフェに来るはずだったが
急遽用事が入ったので行けなくなったのだ
決して友達がいないとかそういうわけじゃない

だからってついさっき会った酔っ払いのシスターを誘うか?
ってところだが

「……寂しかったから……」

410真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/03/29(金) 22:31:39
>>409 (甘城様)

「………………ですよねぇぇぇぇ〜〜〜〜!
 ですよねぇぇぇぇぇぇええええ〜〜〜〜!」


 身を投げ出すように卓上に崩折れながら、
 ものすごく力の籠もった安堵の息を
 吐き出すありや(本日2回目)。


 力込めすぎて前傾になっていた腰を座席に戻すと、
 両手を膝の上に置いてうんうん頷きを入れつつ
 甘城の語る真実(リアル)を聴く。


「………………なぁぁ〜んだぁぁ……
 そういうことだったんですねぇぇぇ〜〜……」


 そして最後、控えめに付け足された
 『寂しかったから』という甘城の独白(リアル)を受け、
 両頬に手をあてて目を細める。


    「まぁぁ…………」  ポワワ


 シスターの心中に、言葉にしがたい何か……
 『あったかぁ〜〜いきもち』 が砂漠の滴露のように
 ジワ〜っと湧き出てくる。


  これが……『愛』……?

   いや…………
   『母性』…………?

    いや…………………
    『姉性』…………………か?



「まぁまぁまぁぁ…………うふふ」

「それではぁ、謎も解けたことですし……
 お茶会の続きに、しましょうかぁぁ…………」

「甘城様、なにか食べたいものはありますかぁ……?
 好きなものを頼んでいいですからねぇぇ……
 ここはお姉ちゃんの……あ、いえ、間違えました、
 わたくしの、奢りですよぉぉ……」


 そう言ってメニューを広げるありやの顔には、
 酒気とは別の暖かな色味が加わっていた………。

411甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/03/30(土) 18:41:18
>>410
「……
 お姉ちゃん……」

お姉ちゃん
その言葉に反応を示す

実の所、
お姉ちゃんだとかそういったものに飢えている所があるあま公
だからたまに、そういう人に甘えたくなる時がある


「じゃあ…」

好きなものを頼んでいいと言い、
メニューを広げるありやに遠慮なく好きなものを頼む


「名前……教えて」

「それと…これ」

ここまで相手の名前を知らなかった
今更ながらシスターの名前を聞く
そしてポケットからスマートフォンを取り出す

412真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/03/30(土) 21:54:25
>>411 (甘城様)

「……! あらぁ……」


「これはこれはぁ……
 わたくしとしたことがぁ、
 たいへん失礼いたしましたぁぁ……
 わたくしぃ……」

   マ ガ チ
 「『真雅致 ありや』と申しますぅ……。

  星見の小さな教会で、このとおり、
  だめぇ〜なシスターをやっておりますぅぅ……。
  えへへぇ……
  これからもよろしくお願いしますねぇぇ……」

 酒気で定まらぬ頭をペコーっと下げると、
 バッグを漁ってこちらもスマホを取り出す。


「それでぇ、こちらがわたくしの……あっ、
 間違えましたぁぁぁ…………。
 (スマホをバッグに戻し、別のスマホを
  あらたに取り出して画面を見せる)」

  「はいぃ……こちらわたくしの、
   『QRコード』ですぅぅ……」


 シスターなのになぜかスマホを『2台持ち』していることも含め、
 連絡先交換に『妙に手慣れすぎている』気がしなくもないが、
 ともかくみずからの連絡先を甘城に提示するありや。


「甘城様が寂しくなったらぁぁ……
 いつでも連絡していいですからねぇぇ……」

 スマホを顔の横でフリフリと揺らしながら、
 親愛の情でいっぱいの微笑みを甘城へと向ける。

413甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/03/31(日) 18:50:12
>>412
シスターだろうがなかろうが、
スマホ2台持ちしている人は特に珍しいという事もなく
普通なら仕事用・私用で使い分けているんじゃないか考えられるが
この堕落シスターの場合は…どうなのだろう…

その手慣れた動きも気にならなくもないが、あま公は別に気にしない


「……ありやお姉ちゃん…」

新しいお姉ちゃんの名前を呼んでみる

「天音って呼んで」

甘えたい相手には苗字よりも名前で呼んでほしい
そういうものなんだろう

>甘城様が寂しくなったらぁぁ……
>いつでも連絡していいですからねぇぇ……

「…うん」

あまり人に見せない満面の笑みを浮かべ

「今度、ありやお姉ちゃんに私の作ったお菓子食べてほしい…」

ケーキのさくらんぼを摘まみながら言う

ありやが酔いから醒めた後、どうなるのか
それは分からないが、今はこうしてお姉ちゃんに甘えていたい

414真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/03/31(日) 22:56:43
>>413 (天音ちゃん)


>「……ありやお姉ちゃん…」

 「っは」 (動揺)


>「天音って呼んで」

   「いっ ひ」 (震え)


>「今度、ありやお姉ちゃんに私の作ったお菓子食べてほしい…」


    「 は ひ ィ っ ! 」 (白目)



   ボベェ ―――― ッ


 予期せぬ『三連撃』を心のやわらかい部分に浴び、
 吹っ飛ぶように背もたれに身を投げ出すありや。

 その唇の端から涎が垂れそうになったのに気づき、
 慌てて修道服の裾でごしごし拭う。

 そうして赤ら顔をまっすぐ甘城へ向けると、
 残像が残る速さでウンウンウンと三回うなずく。


「っっ……た、食べますっ食べますぅぅ!
 食べますよぉぉぉぉぉおおお!」


 「お、おお、『お姉ちゃん』んん、
  あ、甘城様のぉ……いえぇ!
  あ、あまぁ、あ、『天音ちゃん』の作ったものならぁ、
  なぁんでもぜんぶいただきますぅぅぅ〜〜〜!」


「だからあ、あっ、天音ちゃんもぉ、
 食べたいもの、欲しいものがあったら、
 あ、あなたのお姉ちゃんになぁんでもぜんぶ
 言ってくださいねぇぇ……!」
 

      「………でへぇっ、えへへぇ、
       うぇへへぇ……(前科三犯の笑顔)」



 そうして――――
 先ほどの『追加メニュー』を頼むべく、
 ありやは呼び鈴を手に取る。


 いつか、この甘い酔夢から醒めるときが来るのだろう。
 (ひょっとしたら『通報』という形で)
 だが少なくとも……今はまだ。


 彼女にとって、なによりも『幸福』な……いや、
 幸福を超えた『ハピハピハッピハッピ〜』な夢の時間は、
 もうすこしだけ続きそうだ――――。

415ペネロペ『ハックスラッシュG4』:2024/04/04(木) 21:56:05

   
     「………」

ラテン系の外国人女性が、
パチンコ屋の前に設置されたベンチに腰掛けて
道行く人々を恨めしそうな目で眺めている。


グウゥゥ〜〜〜〜…


女の腹の虫が鳴った。

416ペネロペ『ハックスラッシュG4』:2024/04/05(金) 22:39:53
>>415
去った。

417聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/04/06(土) 00:15:25

「ちぃッとばかしの『臨時収入』があったわけだが、
 思いつく『贅沢』がコレとはなァ。
 本当、我ながら貧乏たらしくてみっともねぇ」


4月にしては冷え込むある日の夜、
歓楽街の裏にある数坪程の広さしかない公園にて。
今年も見事に咲いた1本の『桜の木』を眺め、
ベンチに腰掛けながら『コロッケ』を入れた『カップそば』を食べていた。


       「…あァー」

「カップそばのお汁ってなんでこんな美味いのかねぇ。
 良く『蕎麦は最初の一口はつゆをつけずに食べろ』なんて聞くが、
 蕎麦って食い物は結局『めんつゆ』を美味しく食べる為の食いもんだし、
 俺みてぇなバカ舌にはそんなオツな楽しみ方はまだ早ェみてぇだ。
 『乾燥めん』も昔に比べて明らかにクォリティがあがってるし、
 本モンの蕎麦に近付ける事はせずに独自の方向性に突き進んで、
 別モンとして考えれば全然美味ェ。
 食品メーカーさんの『企業努力』には本当に頭があがらねぇ。

 そばは勿論の事だが、この甘塩っぱいつゆも『唯一無二』の味で、
 つゆを吸ってぐずぐずになった『コロッケ』を食べるのが待ちきれねぇや…」


       「うめェなァ…」

418小野塚 遥『ブリリアント・レジリエンス』:2024/04/07(日) 19:18:07
>>417
「やあこんばんは、聖川くん」「夜はまだ冷えるねえ」

ふらふらと頼りない足取りで、どこかで会ったことのある女が近づいてきた。
ただしその雰囲気は、聖川が知っているそれとは少し異なるかもしれない。
表情はだらしなく緩み、顔には寒さのせいどころではなく紅色が差し、
手に持った『ワンカップ』からは薄ら白い湯気が立っている。
とどのつまり、酔っ払っていた。

「『一人夜桜』を楽しみたかったのなら、残念としか言いようがないね。
 あたしに通りかかられた不運を嘆くといいよ」

そのまま馴れ馴れしくも隣に腰を下ろそうとしている。
もっとも、無遠慮な口ぶりに反して目はチラチラと聖川の表情を伺っており、
それは『NO』と言えば問題なく一人花見を続行できることを意味していた。

419聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/04/07(日) 20:16:44
>>418

「おやァ?『お姉様』じゃあねぇですか。
 まぁた随分と変な所でお会いしましたねぇ。
 いやはや、こんなみっともねぇ食いもんを食ってる所に出くわすとは、
 全くもってお恥ずかしいでさぁ」


            「あーっと」

「これでいいか」

羽織っていたジャケットを脱ぎ、
自身の座っている横に置き『お嬢様』の席を確保する。


「お姉様に『花見』に誘われて断る馬鹿な男はいねぇ。
 かくいう俺も実はこの後こっそりお酒を飲もうと考えていましてですねェ。
 相席できるなら嬉しい限りでさぁ」

カップそばが入っていたであろうビニール袋から
スーパーのプライベートブランドの安価の酎ハイを取り出す。

420小野塚 遥『ブリリアント・レジリエンス』:2024/04/07(日) 22:32:53
>>419

「じゃあ遠慮なく。

 ──なんて言えるほど素直な女じゃないなァ、あたしは。
 人様の上着を尻に敷いてお酒なんて、体は温まっても肝が冷えて仕方がない」
「でもまあ、ふむ」

しばし考えた後、ベンチに敷かれたジャケットを拾い上げ、
袖を通さずに肩に羽織ると、改めて聖川の隣に座る。

「この辺りで手打ちにしようじゃないか」

にまあっと満足げな笑いを漏らしつつ、酒を一口呷った。

「こちらこそ、これ一杯で君と同席できるのが申し訳ないくらいだよ。
 君なら、お金を払ってでも一杯を共にしたいって女の子には困ってないんじゃないのかい?
 ホスト……なんだろう?君」

421聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/04/08(月) 05:33:27
>>420

「へへッ、お心遣い痛み入る限りでさァ。
 男のチャチなプライドを立てさせる形になって申し訳ねェ。
 それじゃあ………いただきます」

       
        『カシュ』

取り出した酎ハイのプルタブを起こし、
小野塚が手に持つワンカップグラスの底に缶の飲み口を合わせ乾杯。
口元に缶を持っていき安酒を一気に煽る。


「ぷはぁー!!
 こりゃあ、たまらねぇ。
 てめぇの『スタンド』を使えばロハで酔っ払う事はできるんですが、
 ありゃあどうにも味気ねェし不健全だから駄目だ」

 
          「ええ」

「確かに俺ァ『ホスト』をやってますが、
 所詮は『お嬢様』達にタカってメシを食う『カス』の仕事だ。
 皆様のおかげでなんとか困窮せずに生きていけてはいますが、
 『ホスト』って肩書きを通して飲んでいる時ァ、
 俺なんかの為に決して安くねぇ額を使わせているという、罪悪感があってねェ」

「お姉様は中々に『ご機嫌』な様子ですが、
 今日はお散歩ついでのお花見ですかい?」

422小野塚 遥『ブリリアント・レジリエンス』:2024/04/08(月) 22:33:26
>>421

「お?」
「おお、乾杯」

ややぎこちなく、差し出された缶にワンカップの瓶を当てる。
誰かと一緒に酒を飲むのはこれで二度目だが、
一度目は乾杯をしなかったことを思い出した。

…………

「君はずいぶん自分を卑下するね」
「ホストってのはもっとこう、自信に満ちていて、
 無闇にキラキラしている人がなるものだと思っていたな」

あいにく『夜の店』には縁がないが、
この聖川という青年は、ホストという人種の中でも
珍しいタイプの人間なのではないか──そんな気がした。

「散歩なら毎日、朝から晩までやってるよ。
 お酒飲みながら町をぶらつけば、なんでも楽しく感じるものでね。
 お金も掛からないし、効率的に時間を潰せる」
「まあ、他にやることもないからなあ」

何が面白いのか、けらけら笑っている。
ずいぶん不健全な生活を送っているようだ。

423聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/04/09(火) 03:09:07
>>422


「水商売、お笑い芸人さん、ヤクザ。
 当時東京に上京した篤虎少年にはこの3つの選択肢くらいしかなくてですねェ。
 本当になりたかったのは芸人さんですが、
 大成しねぇのは火を見るより明らかでしたし、ヤクザは論外。
 妥協して水商売の世界に飛び込んだだけの話でさぁ。
 まァ、よくある話でさァ…」

    
       ずずずず… ズズズ!!


一旦缶チューハイを置き、カップそばをひと啜り。
その後に汁を吸ってふやけたコロッケを頂く、


       「あ"ぁ"ーッ。美味え」


「お姉様と一緒で何か『鬱屈』としたものを抱えて生きちゃあいますが、
 それなりに楽しくやっちゃあいますよ。
 
 どういう訳か『スタンド』なんて超能力に目覚めたのは勿論、
 この町の『お姉様』『お嬢様』は良い人達ばかりでさぁ。
 昼夜逆転の生活で時間を合わせるのは難しいですが、
 今度、是非お姉様と一緒にお散歩してぇもんだ」

424小野塚 遥『ブリリアント・レジリエンス』:2024/04/09(火) 17:36:29
>>423

「芸人ねえ。好きなのかい? お笑い。
 あたしは……家にテレビがないし、子供のときは見せてもらえなかったから、どうにも」
「今時はテレビじゃなくても『サブスク』で色々見られるんだろうけど、」

スッ、とポケットからスマホを取り出し、電源を点けてみせる。
画面に映るのはデフォルトの壁紙と、これまたデフォルトのアプリ群。
申し訳程度に追加された『LINE』アイコンを除き、使用の形跡は見られない。

「これだからねェ」

どうやら本当に、酒を飲んで町を歩くのが、小野塚の生活の大半であるらしかった。

「火曜と土曜は『休肝日』だから、それ以外でよろしくね……と」

「ンン?『昼夜逆転』?
 あたしはてっきり、『仕事終わりの晩ご飯』だと思っていたんだけど……
 もしかして、違ったかな?」

よくよく考えてみれば、昼間にホストクラブに行くイメージは無い。
手に持ったスマホで時刻を確認してみる。
今は何時ごろだろうか?

425聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/04/09(火) 19:45:47
>>424


「歌舞伎町でホストやっていた時は出勤前に、
 週4くらいの頻度でキャパ50人や100人の劇場に通っていましたぜ。
 テレビにまだ出てない駆け出しの人達や、完全に辞め時を見失ったオジサン達の
 笑いから生きる為の『パワー』を貰ってましたぜ。
 
 前観たカーリングの石の代わりに取り出したウンチの小道具踏んで、
 物凄い派手に滑って吹っ飛んじまって、
 そのまま金メダル取ってお家芸のバーンナックルのネタも


 ……………フヒッ!!……プッ!
 くはっ!!だ、駄目だッ!(プルプル)
 今、思い出しても腹が……クッ、クククク……!!! 
 ヒーーーッ!!!ヒヒヒヒヒヒーーー……」


余程の琴線に触れる衝撃的な出来事だったのか、
腹部を両手で押さえて蹲り、必死に込み上げる笑い声を押し殺す。


           「ひー!ひーッ!」


スマホで現在時刻を確認、
現在時刻は23時を過ぎた頃。
飲み屋街から徐々に人気が失せつつある時間帯だろう。


「あ、お、俺は今日は『休み』でさぁ。
 ホストは給料自己責任完全歩合制の個人事業主ですから。
 最近は適度に休みを取る事にしてるんでさぁ。
 26歳は世間的には若造だが業界的にはもう立派な『お爺ちゃん』だ。
 夜勤業と過剰な飲酒で自律神経と肝臓がぶっ壊れてやがッから、
 こうやって肝臓と身体を休めて英気を養わなきゃいけねェ。
 ーーーーーッて、こうやってつい飲んじまってますがねェ」


       「まァ」

「『上昇志向』のあるギラギラしている店の若い男の子達に、
 ちょいと気圧されちまってるってのもありますが…。
 あーいう何としても成り上がってやるってギラついた情熱は今の俺にはねェし、
 連中のモチベーションに水を刺すのも悪ィし、なんとなくバツもよくないんで………
 とどのつまり、半分は『ズル休み』でさァ」

426小野塚 遥『ブリリアント・レジリエンス』:2024/04/09(火) 23:14:31
>>425

「小さな劇場での出来事なら、撮影もされなかったんだろうね?
 いやもったいない、あたしも見てみたかったな」

腹を抱える聖川の隣で、くつくつと静かなつられ笑いを漏らす。
実のところ、どこらへんがそんなに笑えるのか話だけではピンと来ないが、
思い出し笑いでこのレベルとなれば、劇場は爆笑の渦だったのだろう。きっと。
スマホをしまい、酒を舐めつつ聖川の話に耳を傾ける。

…………

「なるほどねえ」

話を聞き終えると、意外そうに片眉を吊り上げた。

「しかし──
 『妥協』で身をやつしたにしては、かなり熱心に見えるけれど。
 それこそ、私生活でも『お嬢様』主義を貫くくらいにはさ」
「なりたくてなったワケじゃなくても、
 一度はその『ギラついた情熱』ってのが燃えるものなの?」

そこが気になるなァ──そう付け加え、酒を一口含む。
自分もかつては本意でない道に進まざるを得なかったが、
その仕事に『情熱』を感じたことなど、一度も無かったから……
ということは、黙っておく。

427聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/04/12(金) 19:36:52
>>426


「俺らみてぇな『女衒』は世界にお嬢様が居るから存在価値があるんでさァ。
 女手一つで育てられて、今もこうして女性に生かして貰っている。
 そりゃあ、世の中の女性に『敬意』を抱くのは当然でさァ。
 ホストがくだらねぇ仕事だって言われれば「そうですね」で済ませられますが、
 こんな連中に金と手間を注いでくれる『女性』って生き物に、
 恥をかかせちまったら男じゃあねェ」


        ズズズ ズズズ

          「あぁ、美味ぇ」

カップそばの器を傾け、お汁を口内に流し込む。


「お嬢様達の為ならいくらでも命燃やしますが、
 てめぇの野心の為に命燃やせる日なんて来るんでしょうかねェ」

          「と…」

「俺ァここらでお暇させて戴きますが、
 お姉様は?ご自宅までお送りしましょうか?」

428小野塚 遥『ブリリアント・レジリエンス』:2024/04/13(土) 20:33:52
>>427

「ふゥーン……女手一つで」

「………………」
「やっぱり君は変わってるな。
 『情熱』とか『誇り』はないのに、『誠実さ』だけはあると言えばいいのか。
 どっちがより大切なのかは、分からないけど。
 あたしからすれば、自分じゃない誰かのために命を燃やせるほうが、よほど──」

「なんだか、うん」
「うらやましいよ」

すっかり湯気の途絶えたワンカップをちゃぽちゃぽ揺らす。
聖川に続いて、半分ほど残った中身を一息に飲み込んだ。

「……おや、もう帰るのかい?
 そうだなあ……せっかくだし、もうちょっとお花見してるよ。
 今日は客でもない女相手に長々と、ありがとね。楽しかったよ」
「じゃーね」

羽織っていたジャケットを返し、去っていく聖川の背を見送った。
話し相手と別れた後の静寂は、弥が上にも孤独を感じさせるものだ。
散り始めた夜桜を見上げ、ぼんやりした表情で、深く息を吐く。

「ふぅ……。
 もう一杯買ってこようかな、熱燗」

429エリー『サドゥンリー・アイ・シー』:2024/04/27(土) 08:49:59
歓楽街のどこかの帽子屋
ここに一人、5歳くらいの女の子がいる

猫耳のついた子供向けの白いニット帽を被り、頭を隠しているが
帽子からは綺麗な銀色の髪がはみ出している
隠したいのか見せたいのかどっちなんだ


「あ、あぁぁ、ぁの…」

帽子を見ていたら店員に話しかけられてしまったようだ
用があったらこっちから話しかけるから話しかけてこないでくれ!

430雑賀 王城『候補生』:2024/04/27(土) 12:03:26
>>429

「すみません店員さん……ちょっと良いですか?」

と、そこで店員に声をかける人物が登場!
やや目つきは悪いが貴公子然とした顔立ちの青年だ。

「ああ〜っと、貴女にもすみません。
 横入りする形に、なってしまって」

        ペコリ


子供相手とはいえ、一礼はしておく。

  特に助け舟を出してやったとかじゃあなく、
  他に店員が見当たらず、見たところ『エリー』は
  用があって店員と話している風でもないので、
  割って入っても良いと考えた……それくらいだ。

(…………『コヤコヤ』が来るまでの時間潰しだが、
 さて、舞台衣装になるような帽子があればいいがな)

----------------------------------------------------
※フィールドワークミッション中のPCです。
お手数ですがこちらご一読いただければ助かります!
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1655987686/319日

431エリー『サドゥンリー・アイ・シー』:2024/04/27(土) 13:44:29
>>430
周囲に他に店員はいないが、決してワンオペではないはずだ
たまたまタイミング的に外していただけだ…多分

店員「あらいらっしゃいお客様」

話しかける雑賀の声に振り返る女性店員
顔は雑賀の方に向いているが
目はチラチラとエリーの方を見ている
その目つきは中々ヤバい、変質者染みている


エリー「あ、あの…」
エリー「あ、ありが…と……」

エリー「……サン……ガツ……」

雑賀にしてみれば別に助けたつもりはないだろうが
結果的には助けられた形になるので礼を言う

しかし使い方はこれであっているのだろうか?
何か違う気もする

432雑賀 王城『候補生』:2024/04/27(土) 13:55:14
>>431

         (なんだ? この店員……
          妙に気になる目つきだが、
          そこの子供の関係者か何かか?)

    チラ
 
        (……そういうわけでもなさそうだがな)

「……」
「後で横入りのお詫びをさせていただきますよ。
 だから、あー……外で待っててもらえますか?」

『お礼』を言われたのも含めて、
どうにも『怪しげ』な雰囲気だ。
とりあえず、合法的にこの少女を『逃がす』よう誘導する。

変質者『みたい』ってだけで店員にどうこうする道理もない。


「ちょっとばかり『あいまい』な質問になるんですが、
 『舞台』で映えるような派手な帽子を探してましてね。
 どの辺りにあるか――――案内してもらっても?」

              クルリ

「帽子屋、というのに来ることがなかなか無いもので、ね」

店内を見回しながら、店員にはそのように続ける。
別に悪人ってわけでもないのだろうから、セールスを邪魔した詫びは、
自分がセールストークを受けることで償うのが王道というものだろう。

433エリー『サドゥンリー・アイ・シー』:2024/04/27(土) 15:34:29
>>432
店員が子供の関係者かどうかは分からないが…

エリー「は、はぃ……」

外へ出ていけぇ!
という雑賀に応え出て行こうとするエリーだったが

店員「ちょっと待って」

行こうとするエリーを引き留める店員

店員「ここで見てたいんですけど」
店員「私ロリコンだから」

直球過ぎる!
何の事もなく、誰にも臆せず威風堂々と言い放つ店員

見ているだけだし何の問題も無いはずだが
声をかけているので声かけ事案になるのだろうか?
けど店員が客に声をかけるのは別に法律に違反はしていないはずだ


>ちょっとばかり『あいまい』な質問になるんですが、
>『舞台』で映えるような派手な帽子を探してましてね。
>どの辺りにあるか――――案内してもらっても?

店員「舞台映えですか、そうですねぇ」
店員「俳優か歌手の人ですか?」

だが接客は真面目にこなすようだ

エリー「あ、え、え…と…」
エリー「だったら、あそこに……」

何故か店員に代わって案内するエリー
この店の事にも詳しそうだ

434雑賀 王城『候補生』:2024/04/27(土) 17:44:03
>>433

「なッ……おい! そういう事は冗談でも……
 いやッ、別に冗談じゃあないんだろうが……
 わざわざ人に公言するもんじゃあないでしょう?」

          ツゥー

「全く……びっくりする人だな……」

いきなりの暴露に若干の冷や汗が出る。
自分自身にそのようなケはないにせよ、
『嗜好』自体にとやかく言うつもりはないが……

「……まァ、『何か』するわけでもないなら、
 僕がどうこう言うことでもないんでしょうが」

      (……どういう関係なんだ?
       それに接客はしっかりしている。
       妙な店も多い通りとは知ってるが、
       『アタリ』を引いたって事か……)

「あーっ、と。本業ってわけじゃあなくて、
 『サークル活動』みたいなものなんですよ。
 ……ああ、どうもありがとう。詳しいんですね?」

店員と子供に応じつつ、そちらに移動してみる。

「『羽』でもついたのを被れば、絵映えはしそうなんですが……っと」

『衣装選び』はこの試験の本質でもないし、
なんなら『貸衣装』でも借りるのもいいが、
ラインナップは広い方がいい……どんな感じの品揃えだろうか?

435エリー『サドゥンリー・アイ・シー』:2024/04/27(土) 19:06:33
>>434
ざっと見た感じ、品揃えは中々良いようだ
今時のオシャレな帽子から、古式ゆかしい物
異国の民族衣装と思わしき物まで様々だ

そんな店内を歩き回り
女の子が連れて来た所は


二角帽子、三角帽子が並んでいるコーナーだった
ナポレオンなんかが被ってるアレだ
中には羽根つきの物まであるが…

エリー「舞台映え、すると思う…やで…」

いや舞台って、そういう舞台じゃないかもしれないだろ

店員「へー、こんな所あったんですね、初めて見ました」

436雑賀 王城『候補生』:2024/04/27(土) 19:19:53
>>435

(……? 関西出身か……にしては、
 なんとなく妙なイントネーションに聞こえるが)

       ・・・
ふと、唐突な『関西弁』には気を取られるが……

「ふぅン……中々『雰囲気』があるじゃないか。
 ナポレオンに自分を擬えるのは不吉さもあるが、
 アイコンとしてはこれ以上ない『分かりやすさ』だ」

      「ッて、なんで店員のお……
       いや、貴女が知らないんです?
       ちゃんと売り物なんだろうな……」

商品に手を伸ばし、値札を確認してみる。
当然、『サポーター』をつけている以上、
この場で衝動買いするつもりはないけれど。

「いや、良い帽子なのは間違いないんですがね。
 その被ってる帽子も良いセンスだし……
 お好きなんですか? 『帽子』ッてものが」

この帽子が実際買えるのかはどうかはさておき、
子供の店ごっこにしては高レベルだ。

『恐竜マニア』の子供は時に大人も知らない図鑑をねだるように、
彼女も『帽子』については店員顔負けの知識といったところか?

437エリー『サドゥンリー・アイ・シー』:2024/04/28(日) 13:27:46
>>436
店員「私今日がバイト初日なので」
店員「かわいい幼女が通ってるって聞いて
   合法的に話しかけるために経歴詐称してバイトの面接に受かりました」

聞いてもいない事までぶちまける店員
値札を確認してみるが、ちゃんと付いている
店員と違って詐称はしていないようだ

しかし、1万だとか3万だとかべらぼうに高い
衝動的に買ったら無駄な買い物過ぎて後で後悔しそうだ

>いや、良い帽子なのは間違いないんですがね。
>その被ってる帽子も良いセンスだし……
>お好きなんですか? 『帽子』ッてものが

エリー「帽子……
    髪の毛隠せる、から……」

そう言ってニット帽を深く被るが
やはり銀髪を露出させている

エリー「ま、マッマが
    どうせ帽子を被るなら本物を被れって…」

438雑賀 王城『候補生』:2024/04/28(日) 18:38:19
>>437

「あぁ……なるほど、それなら。
 いや……納得するのはかなり癪なんだが、
 なんとか飲み込めそうですよ、お陰様でね」

イカれた店員だ……
だが、世の性犯罪者どもとは違い、
単なる性癖異常者の域にいるし、
方向性はともかく社会の一員ではあるか。

「…………流石に中々。いや、妥当ではあるが」

『王』を目指すとはいえ今はまだ高校生。
いや、『王座』についたとすれば尚のこと、
『無駄金』に割くリソースは無い。
帽子から手を離し…………と、その時。

「……そうですか、いや、不躾な事を聞きました。
 ただ、良いセンスだッてのは確かな事です。
 …………不躾ついでにもう少し聞きますが、
 『本物』? というのはつまり、偽物の……
 あー、例えば『折り紙の帽子』みたいな、
 そーゆーのと比較してって話ですか?」

引っかかる表現だ。
『帽子を被る理由』を深掘りするのはよしておく
(当然、話したいなら耳を傾けようじゃないか)が、
『本物の帽子』という言い方に何か違和感がある。

『雑賀』も『コヤシキコヤネ』も、知る魔法の数も、
種類も少ない……だからこれはあくまで、『勘』でしかない。

439エリー『サドゥンリー・アイ・シー』:2024/04/29(月) 15:54:23
>>438
エリー「そういうのじゃ、なく…やくて…」
エリー「マッマが、どんな物も、本物と偽物に分けられるって言ってて」
エリー「だから、本物を見極める目を養えって、言われて…」

本物と偽物、その基準は何なのか
まずそれを考えるところからがエリーの親の教育

エリー「マッマ…マッマは、
    学校の先生で、本物の魔法、使い…で…
    本物の魔法使い探してるのに偽物ばっかりでがっかりしてた…んやけど…」
エリー「わた、し…
    わたし将、本物の魔法の帽子、手に入れて…」

エリー「【朗報】わたし将、魔法の帽子を手に入れてマッマに褒められる」

帽子を目深に被り、表情はよく見えないが嬉しそうな声で話す

440雑賀 王城『候補生』:2024/04/29(月) 16:42:33
>>439

「『本物の魔法』……………………なるほど」

        (『わたししょう』?
         ……流行りの言い回しか?)

告げられた内容は『雑賀』の心を動かすに相応する。
単に偶然の一致という可能性もあるにせよ、
『近すぎる』……だからこそ焦りはしない。

(試験の関係者という可能性すらある……
 だが、だからこそ。『媚びる』のは間違いだ。)

「いや、興味深い話ですね。
 僕も……『魔法』を手に入れられたら、
 きっとどんな衣装より舞台映えするだろうな」

人々の目を引く、ただそれだけであっても、
王になるためには喉から手が出るほど欲しい。

「もしよければ…………その『魔法』について、
 もう少しだけ、僕にも聞かせてくれませんか?
 お礼できるようなものは、それほどないけれど」

(話すのがイヤ、ってわけじゃあないんだろうが、
 『無理やり聞き出す』のは……試験のルール抜きで間違いだ)

『嫌だ』と言われれば強要はできないが、話の続きを促してみる。

441エリー『サドゥンリー・アイ・シー』:2024/04/30(火) 18:04:26
>>440
エリー「魔法……あ、あのっ…」

エリー「わたし、銀髪からかわれるの嫌で
    でも見てほしくって…」
エリー「道具屋って言う人に言ったら、魔法の帽子もら…もろて」

エリー「それで、隠れられるようになったんやけど…」

エリー「デザインがあんま好きやないねん…」


そう言うエリーの手には『ベースボールキャップ』が握られていた
ちっちゃいエリーの頭にもジャストフィットする小ささだ
さっきまでそこに無かったそれこそが、エリーの魔法…スタンドだろう

442雑賀 王城『候補生』:2024/04/30(火) 19:50:35
>>441

「そうなんですね。……それが、その『魔法の帽子』」

(『道具屋』…………? なんだ、そいつは?
 ……多分、『道具の形をした魔法を渡す人間』か。
 コヤコヤが違う時点で完全に分かってはいたが、
 『魔法学校』とは別の後天ルートもある……当然だな)

『望めば魔法を渡す存在』はかなり気にかかるが、
自分にとっては『試練』もまた必要なものだ。
あるいは霧島や木崎にとっても同じだろう。

「そうですね、僕には……貴女の『銀の髪』は、
 多くの民草の中で眩く輝く『個性』に思えます。
 人に見せたくなるのも当然だし…………
 だから隠したい……その気持ちも分かります。
 ほんの少しだけ、似た経験がありますから」

秀でた容姿、恵まれた家庭、優れた能力。
あらゆる輝きは、望まないものも惹きつける。
そして、だからといって隠すべきとも思わない。

「そうなると、その『野球帽』……あー、
 失礼、『名前』は、何かあるんでしたっけ?」

『試験の為に聞き出したい』気持ちも当然あるが、
実際、真摯に話してくれるこの少女に対し、
呼び名は、『会話に必要』だから聞きたい部分が大きい。

「魔法と言えば全てを叶えてくれるイメージだけど、
 魔法使いには魔法使いの苦労がある……身につまされます」

『王』の道も……当然、魔法のみによって築けはしないだろう。

443エリー『サドゥンリー・アイ・シー』:2024/05/01(水) 15:54:12
>>442
ニット帽を外し、代わりにキャップを被る

エリー「あ、アイシー…」
エリー「『サドゥンリー・アイ・シー』…」

店員「突然気付いた、ですか」

エリーが帽子の名前を教え
名前の意味を店員が補足する

店員「プラダを着た悪魔の主題歌ですねぇ、見た事無いけど」

444雑賀 王城『候補生』:2024/05/01(水) 17:24:34
>>443

「ああ……あの映画の」「……」

店員とハモったのがやや気まずいが、置いておく。

            「んんッ」

ついでに咳払いを一つ。

はっきり言えば『隠れられる』という能力を聞き、
『サドゥンリー・アイ・シー』という名前を知った。
それで『試験』に対する材料としては完結だ。

               ・・・だけど。

「話してくれてありがとうございました。
 ……何かお礼を差し上げたいけれど、
 今すぐ出来るッてことが思いつかない。
 逆に聞きますが、僕に何かしてほしいことは?」

        スッ

膝をつき、圧の無い程度に視線を顔に向け、
『エリー』の返答を待ってみることにした。

特に何もないのであれば、それはそれで問題はない。

445エリー『サドゥンリー・アイ・シー』:2024/05/02(木) 13:05:52
>>444
エリー「お、お礼?」

エリー「あの……
    お礼してもらう事…何もしてないんです…やけど…」

エリーからしてみればちょっと話をしただけだ
お礼をしてもらう事じゃない

エリー「お礼っていうのは…違う気がするけど……
    『魔法』の事凄く気になってたみたいだけど…何で…?」

446雑賀 王城『候補生』:2024/05/02(木) 13:31:41
>>445

「ああ…………それは」

・・・
『万が一』この子供が親から試験内容を聞いていたら?
彼女の親が魔法学校の関係者という可能性は低いし、
仮にそうだとして、守秘義務という物はあるだろう。

「単刀直入……シンプルに言ってしまうと、
 僕は『魔法が見える』……けれど『使えない』んです。
 だからこそ、人一倍、魔法には興味がありまして」

    だが、万が一……『そうじゃなかった』なら?

現状を伝えれば『試験』なのがバレるかもしれない。
そして万が一『後から聞いた意図を知った』場合でも、
話した内容が試験上、無効になるのだとすれば……

            (……いや)

「そして…………魔法を知ることによって、
 僕の夢に、理想に近づけるんです。
 詳しいことは今はまだ明かせませんし、
 それが『悪い事』ッてつもりもないですがね。
 ある種、打算で貴女の魔法を聞いたわけです」

適当な嘘を並べて逃げる道もあったし、
そちらでも特に問題はなかっただろう、が。
     
        スッ

「だから僕が本当にしたかったのはお礼じゃあなく、
 『聞き出す』ような真似をした、お詫びなのかもしれません」

     「どちらにせよ、自己満足では、
      あるかもしれませんが……ね」

頭を少し下げ、告解する。
殊更に『嘘』を厭うわけでもないが、
純粋な子供を口車に乗せた感は否めない。
エリーの純真さが、それを余計に際立てる。

(何も悪いことはしちゃあいない……だが良いことでもない。
 王にはシビアな判断も求められるが、故に誠実でなくてはならない)

447エリー『サドゥンリー・アイ・シー』:2024/05/02(木) 19:49:29
>>446
エリー「はえ^〜……
    そう…なんや…」

帽子のツバを上げて
雑賀の顔をよく見て話を聞いている

エリー「あの…えっと…
    話してくれてありがとう…やで…」
エリー「魔法があっても、思い通りにならない事もあるかもしれな…しらんけど…」
エリー「わたし…魔法あっても思うようにならないし…」

エリー「でも…夢、叶うと、ええやね…」

448雑賀 王城『候補生』:2024/05/03(金) 07:52:57
>>447

「……ありがとうございます。
 貴女は良い人ですね」

             スッ

「あぁ、そうなるように頑張りますよ。
 背を押す手を無駄にしない為にもね」

見ず知らずの人間相手に、
よくわからない夢を応援できる。
『子供の純真』と言えばそれまでだが、
少なからず、背を押すものではあった。

「さてッ。知り合いと会う予定があるので、
 僕はそろそろ行かせてもらいますが……
 ここの帽子は結構気に入りました」

(――――――現実的に考えてだが、
 『魔法の小道具』を集めるのは非現実的だ。
 はっきり言って、そこまでの時間的余裕はない。
 魔法集めの過程で道具も探すのが妥当だ)

      (『元からツテがある』わけでもなきゃあ、だが。
       ……その点では『コヤコヤ』は頼れないからな)

『衣装』や『小道具』はプラスアルファであって、
そこが試験の本題とは考えられないが、
『提示されたルール』である以上、意味はある。
何かしらの対策は打つ必要があるだろう。

「今度、また来ると思います。
 ……ちゃんとお金も持って。
 今日は持ち合わせがないって意味です」

妙な店員に一声かけて、何かなければこの店を去るだろう。

449エリー『サドゥンリー・アイ・シー』:2024/05/03(金) 18:35:33
>>448
店員「お金も無いのに店に入ったんですか」

お客さんに対して無礼な物言いをする店員だが
買い物をしないのなら客じゃないとも言うし
いや、今度はお金を持って来ると言ってるんだからやはり客なのだが

エリー「ちょ、ちょっと待って」

立ち去ろうとする雑賀に少し待ってくれと声をかけるエリー

            タタタ

小走りでどこかへ行ったかと思うとすぐに帰って来た
その手には帽子が一つ握られている

エリー「ま、魔法使いに、近付けるように…」

ファンタジー物の創作なんかで
よく魔法使いが被っているような三角帽子
赤い帽子に白い羽飾りが付いている
こんなの被って街中は歩けないだろう、とても普段使い出来る代物じゃない

エリー「その、まず、形からって…言うでしょ…やろ?」
エリー「話出来て、楽しかったから、お、お礼…」

これは代金はエリーが立て替えてくれるという解釈でいいだろう


エリー「全部ちゃうけど……本当の事話してくれたから」
エリー「わたしの、髪も、ちゃんと見せる…」

野球帽を外し、ありのままの髪の毛を見せるエリー
明るいライトシルバーの長めの髪の毛を曝け出す

店員「…良い髪の毛ですね」

450雑賀 王城『候補生』:2024/05/03(金) 20:53:38
>>449

「これでも学生の身分ですんでね!
 持ち合わせってヤツが足りなかッたんですよ」

失礼でめちゃくちゃな店員だが、
これはこれで味のある接客なのか?

「ったく……ん?」

改めて立ち去ろうとしたが、
そこで追いかけてきた『エリー』に気付く。
そして、手に持っているものにも。

「………………………ああ」
「これは『金で買う』事はどっちにしても出来ない。
 プライスレスの贈り物、喜んで受け取りますよ」

            スッ

      「ありがとうございます。
       改めて、負けられないな」

改めて、膝をついて恭しくそれを受け取る。
現代……『王』に冠を授ける者がいるとすれば、
それは『神』ではなく彼女のような『民』だろう。
受け取らないとか金を払うとかそういうのは、
きっと正しくはあっても『誠』に欠けている。

       クルッ

「ああ全く、美しくて、気品がある銀色だ。
 こればっかりは店員さんに同意ですね」

美しい銀の髪に真っ直ぐに視線を向け、そう告げた。

「きっと本当のことをいつか話しますよ。
 お礼にお礼をするッてのはキリがないですが、
 案外、人と人との付き合いってのはそういう物」

「……でも今日は、さようなら。
 また会いましょう、小さな魔法使いさん」

              ザッ

          「次に会う時には、
           この帽子に恥じない姿で」

そうして……普段使いには向かない赤い帽子を被り、
あくまでも堂々と、店から歩いて出て行くのだった。

451エリー『サドゥンリー・アイ・シー』:2024/05/04(土) 16:06:38
>>450
エリー「うん…
    あの……頑張って……」

お互いに名前も名乗っていない
名前も知らない二人だが、縁があればまた会うかもしれない

エリー「ほ、ほな…また…」

とんでもなく目立つ帽子を被り
街へ繰り出す堂々としたその姿は王の風格と言ったところか


店員「本当に可愛いですね
   ガチ恋しそうです…ん?」

そうこうしていると、帽子屋にエリーの母親が迎えに来た
その母親の姿を見た店員はこう思った


これがお母さん!?若くね?w

452雑賀 王城『候補生』:2024/05/09(木) 11:54:15

      (…………さて)


         ガヤガヤガヤ


歓楽街を突き進むその青年は、
『物語』から出てきたような三角帽を被っている。
概ね整った身なりと堂々としたサマもあって、
『ハロウィン』か何かに見えなくもないが……


(今日は妙に『流れ』が来ている。
 『コヤコヤ』と落ち合うまでに、
 もう一人ぐらい見つかる事もあるんじゃあないか?)


妙な格好なのは間違いないだろう。
声を掛けたくなるか、避けられるかは別として。


    (……あるいは『追加の衣装』か。
     と言ってもそうそう都合良く、
     マントだのなんだのは売ってないだろうが)


----------------------------------------------------
※フィールドワークミッション中のPCです。
お手数ですがこちらご一読いただければ助かります!
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1655987686/319日

453雑賀 王城『候補生』:2024/05/12(日) 04:17:08
>>452(つづき)

「…………」

         ピロン


スマホに入った連絡に、一瞬だけ立ち止まる。


(流石にそうそう『追加』は無さそうだ。
 恐らく『コヤコヤ』からの連絡だろう……
 とりあえずさっさと合流するのが吉だな)


      スッ


往来の中で歩きスマホをする気はない。
一旦、通りの隅の方へと移動するが……
立ち止まってから、急に方向転換をしたわけだ。
そこまで人通りが多くない時間帯とはいえど、
『邪魔になった』としても、不思議はない。

勿論普段はその程度気を配ってこそいるけれど、
恐らく、『雑賀』としても『浮き足立つ』ものがあるのだろう。

454甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/05/18(土) 12:44:00
ここは歓楽街…にある葬式会場

ナンマイダーブー

軽快なノリの読経を聞いていると
マジで坊さんのライブツアーって感じがする

坊主のメロディを聞きながら啜り泣くのもいれば
子守唄と勘違いして居眠りするのも居る

ところが、お坊さんがお経を唱えていると…


            よ み が ー え ー れ ー ♪


「……」

誰だシャーマンキングのOP流した馬鹿(>>455)は?

455甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/05/19(日) 20:55:18
>>454
坊主ラップに割り込んで突如流れたその歌に
凍り付いたり怒ったり笑い出す人も居た
スマホの電源を切ってなかったそいつは、坊主に
バチで木魚代わりに叩かれて死なない程度に殺された
危うく葬式場に死体が増える所だった…
そういう場合、葬式場の稼ぎが増えて喜ばれるのだろうか?
余計な仕事が増えて怒られるんだろうか?

そんな中、読経を聞きながらあま公は考えていた
葬式で般若心経と南無阿弥陀仏とどっちが多いんだろうとか
急に声を張り上げられると怖いからやめてとか

お焼香と献花が済み、後は火葬だけだが
その間に昼食が振舞われる
こういう時、大抵は質素な仕出し弁当だったりするのだが
たまにバイキング形式の結構豪華な食事を出す事がある

阿部マリア「うめぇですわこのカレー!!!!!!」
宗教学専攻の斎藤「さっき死ぬ寸前まで殴られて頭血塗れにしながらよく食べられるね」
斎藤「それに、カレーにおでん入れて、気持ち悪くないの?」

あま「この葬式…いくらかかってる?」
斎藤「家族間だけの小さな葬式でも最低でも50万はかかるからね
   これだけ盛大にやってるとなると…」
あま「100万以上は確実にかかってる」
マリア「へぇ〜」
マリア「金のかかった葬式で食うタダ飯は超うめぇですわね(笑)」


そして火葬の時

あま「…」

死者の顔が見られる最後の瞬間だ
燃やしてしまえばもう、二度とその人の顔は見られない
後に残るのは骨と灰だけだ

職員が骨を拾い上げ説明をする

マリア「こういう時、必ず喉仏の説明をしますわね…」
あま「…もう何度も聞いた…」
斎藤「そういう仕事だし」

そうだ、もう何度も聞いた解説だ
これは実は喉仏ではなく、軸椎であり
甲状軟骨である喉仏は火葬で跡形もなく消滅してしまう事ももう知っている豆知識だ


仏さんとの最後の別れを済まし、葬式会場を後にするあま公達

斎藤「そういえば誰の葬式だったんだろう?」
マリア「全く知らねぇ奴の葬式に参加するの面白過ぎですわね♪」

あま(…こいつら知らずに来たのか…)
    _____
   ,;f     ヽ
  i:         i
  |         |
  |  ◞≼◉≽◟ ◞≼◉≽◟ ///;ト,
  |        ) ////゙l゙l;
  (.  >ノ(、_, )ヽ、} l   .i .! |
  ,,∧ヽ !-=ニ=- | │   | .|
/\..\\`ニニ´ !, {   .ノ.ノ
/  \ \ ̄ ̄ ̄../   / .|

       終
     制作・著作
     ━━━━━
      ⓃⒽⓀ

456キリシマ・アキト『候補生』:2024/05/23(木) 16:00:40

ここは『家電量販店』――――主に『音響機器』が並ぶエリアだ。
『アラクネとライオンの刺繍』を刻んだ少年が売り場を歩く。
刺繍は金属的な輝きを放っており、『通常の技術』では成し得ないものだった。

「――『予定変更』だと言っていたが、
 オレ自身を完全に『枷』から解き放つ為には、
 やはり『音楽』が必要だな……」

陳列された『Bluetoothスピーカー』を見やり、パートナーの言葉を思い出す。

「フ……こんなに種類が多いとは……。
 しかし、この手にも『文明』という『魔法』がある……」

こういうのは美作の方が詳しかった。
『別々に動く』とは言ったものの、一人で来るべきではなかったかもしれない。
しかし、今更どうしようもないので、
『スマホ』を取り出して良さそうな物を調べ始める。

457城戸奏多『ハイフン・ハイフン』:2024/05/24(金) 14:04:43
>>456


スマホを取り出し現地で調査をする『キリシマ』。
店頭の現物を見る為にスマホから目を離すと、
腰元までうねらずに伸びた遮光カーテンの様に黒く長い髪と、
枯れ木を連想させる痩躯が特徴的な男子高校生が、
キリシマの目の前に立っていた。


          ジローッ ジローッ


男子高校生は着ている学ランのポケットに両の手を突っ込んだまま、
その場に立つキリシマを軸にゆっくりと周り、
まるで『品定め』するかのようにその全身を眺める。

458キリシマ・アキト『候補生』:2024/05/24(金) 16:47:06
>>457

事前に美作との打ち合わせは済んでおり、『何をやるか』は決まっている。
それによって、彼女にも『役割』が増えた。
今頃は『練習』に励んでいるのではないだろうか。

「フ……『LED搭載』の『360°タイプ』というのがあるようだな……」

しばらく検索して大体の目星をつけた。
全方位に音が届き、曲のリズムにシンクロして点灯し、臨場感を高めるスピーカーだ。
しかし、当然どこにあるかまでは分からない。

「……この『扉』を守護する『番人』に尋ねるとするか」

『この売り場の店員』を探す為にスマホから顔を上げ、その瞬間に城戸と目が合った。

         バ ッ !

頭で考えるよりも先に身体が動き、反射的に『カッコいいと思うポーズ』を取る。
黒で統一された『オールブラック』の『モードストリート』。
衣装に施された『刺繍』は、『シルク糸』を芯として、
『金属糸』である『ピューター糸』が巻き付いた『螺旋構造』になっており、
着用者の動きを阻害しない。
そして、『芸術的』と呼んでも差し支えない仕上がりだった。
『専門家』の手による唯一無二の『オーダーメイド』だ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【対応してくださる方々へ】

ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1655987686/319

459城戸奏多『ハイフン・ハイフン』:2024/05/24(金) 17:45:04
>>458


     ニタァ


ゆっくりと口元に弧を描くとブリッジで繋げた矯正中の前歯を露出させ、
ご機嫌な様子で、その場で屈み『蹲踞』ーー
所謂『ヤンキー座り』の姿勢を取り、
格好をつけたポーズを取るキリシマの顔を見上げる。


        クイッ

ひゅ〜〜ッ


そして、視線をキリシマの顔から彼が纏っている衣装に移し、
前面に施された『ライオン』の刺繍を指差し、
唇を尖らせ、下手くそな掠れた口笛を吹いた。


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