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【場】『 歓楽街 ―星見横丁― 』 その2

1『星見町案内板』:2020/12/04(金) 19:24:03
星見駅南口に降り立てば、星々よりも眩しいネオンの群れ。
パチンコ店やゲームセンター、紳士の社交場も少なくないが、
裏小路には上品なラウンジや、静かな小料理屋も散見出来る。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
───────┘└─────┐            .: : : :.》.: :.:   ││
                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
                                          └┘└┘
★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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276度会一生『一般人』&御影憂『ナハトワハト』:2021/06/04(金) 17:52:49

       コツッ

夜も更けた歓楽街を、
ロングコートを羽織った男が歩いていた。
フードを目深に被っており、
片足を引きずっている所を見ると、脚が悪いらしい。
男は『杖』を携えていた。
銀の握りが付いた黒檀製の杖だ。
数km先の獲物を見つける程の高度な視力を持つ、
『鷲』の彫刻が施されていた。

       コツッ

男は『度会一生』と名乗っている。
本職は『ホワイトハッカー』。
セキュリティの不備を発見する為に、
意図的にハッキングを行う技術者だ。
今は一仕事を終え、
『外の空気』を吸いに出てきた所だった。
この行動には、度会の『裏の顔』も無関係では無い。

       コツッ

『スタンド使い達による一般人の被害』を抑える為、
『スタンド使いの監視』を目的とした『一派』のリーダー。
それが度会の『第二の顔』だった。
体が不自由な事もあり、普段は表を出歩く事は少ないが、
時々こうして自分自身の目で街の様子を確認している。

       コツッ

見る限り、彼は一人だった。
『連れ』はいない――――ように見える。
だが、実際は違う。

           (――――――………………)

度会の背後には、
『闇の衣を纏うスタンド使い』が同行している。
『力』を持たないリーダーの『懐刀』である『御影憂』。
『夜の帳』が降りた今、
『闇と同化する能力』を持つ御影の姿は、
スタンド使いを含めて、
あらゆる人間の『認識外』に置かれていた。

277薄島漣『イカルス・ライン』:2021/06/04(金) 21:13:16
>>276

  スイーーーーーーーーーッ


そんな度会たちの背後から、自転車(ママチャリ)で接近する男が一人。
この先のコンビニまで深夜の買い出しに行く途中だった。
歩道走行をしていることには、そこまで深い理由はない。
車道を走ると車が怖いとかそういう程度のことだ。

妙に何かを訴えかけるような『目』をしたその男は、度会が歩いていることに気付く。


「(あ、体の不自由な人が歩いているな。避けるか)」


 サッ


両者の距離が縮まったところで、ハンドルを切って車道へ移ろうとする。

ただし、背後にいる御影にはまったく気が付いていないため……
それは度会を最低限の動きでやり過ごせられればいいだけの動作となり、
御影が仮に全く気が付かず避けもしないならば、巻き込んでしまうかもしれない。

278度会一生『一般人』&御影憂『ナハトワハト』:2021/06/04(金) 22:25:45
>>277

(………………あ)

自転車の接近を理解しても、
御影は動じる素振りを見せなかった。
『ナハトワハト』を身に纏っている間、
本体の御影は『非実体化』している。
突っ込んできたのがバッファローの群れだったとしても、
そのまま『透過』するだけだ。

        スイッ

しかし、御影は動いた。
多くの自転車には『ライト』が付いている。
『闇の衣』にとって『光』は天敵である為、
それを避ける必要があったのだ。
『非実体化中』の御影は、高速の移動が可能となる。
『光』から逃れるのは何の問題もない。

            ――――ガッ

問題が起きたのは、度会の方だった。
あくまで最低限の動きだったせいか、
自転車が車道に移ろうとした時、
杖の先端がタイヤに触れてしまったのだ。
バランスを崩した度会の体は、歩道に倒れようとしている。

                    (………………)

御影は状況を静観していた。
本来なら助けなければならないのだが、
その為には『実体化』する必要がある。
ここで『実体化』すると、
自分の姿が露見する事になってしまう。
それは何よりも不味い事だ。
ゆえに、御影は度会を助ける事が出来なかった。

279薄島漣『イカルス・ライン』:2021/06/04(金) 22:46:48
>>278
            ――――ガッ

「ああ、っ!す、すみません!」

              キキッ

急ブレーキを踏んだ。
避けたつもりだったが、ぶつかってしまった。
歩行の補助のためにつかれる杖は、地面の凹凸を避けて安定した場所を求めるため、不規則な動きをするものだ。
そこまで計算せず、ギリギリを通ろうとした自分のミスだ。

慌てて自転車を止め、体勢を崩している足の不自由な男性に手を伸ばす。
自転車から降りている余裕はないだろう。
足はペダルから地面に移して安定させ、サドルから大きく身を乗り出し、男性の身体をどこでもいいから支えたい。


「ご、ごめんなさい!もっと大きく避けるべきでした……
普通の歩いている人を避けるつもりで走ってしまいました」

280度会一生『一般人』&御影憂『ナハトワハト』:2021/06/04(金) 23:07:08
>>279

「おっと…………」

            ガシッ

素早い判断で自転車から身を乗り出して腕を掴む。
そのお陰で、『杖の男』が倒れる前に支える事が出来た。
掴んだ手を見ると、多くの傷が刻まれている。
全て古い傷跡なので、最近の怪我では無いだろう。
まもなく体勢を立て直した男は、丁寧に頭を下げた。

「――――こちらこそ失礼しました。
 助けて頂いて感謝します」

(………………『ナイス』)

その光景を見て、闇と同化した御影は胸を撫で下ろした。
流石に大怪我にはならないだろうが、万一という事もある。
何にせよ、事故は起きないに限る。

「お急ぎですか?
 手間を掛けさせて申し訳ありません」

言いながら、何かを訴えるような『目』が視界に映る。
だから何だと言う事も無いが、妙に気になった。
この手の人間には、『力を持つ者』が少なくないからだ。

281薄島漣『イカルス・ライン』:2021/06/04(金) 23:21:44
>>280
「(……! すごい傷だ。
ヤクザの人かな……それとも元傭兵とか?)」


男性の傷跡が目に入り、表情を見て明らかにわかるくらい驚く。
気にはなったが、さすがに面と向かってズケズケと聞くのは失礼だろう。

「い、いえ、とんでもない!元はといえばこちらが悪いわけですし、当然の対応をしただけです。
そこのコンビニまで夜食を買いに行こうとしていただけで、やむを得ない火急の用とかじゃなくて……不要不急だったのに。
純粋にただ、軽率な運転でした。申し訳ありません」

改めて自転車を降り、度会に頭を下げた。

「(弱ったなぁ……コワイ人だったらコワイなァ……穏便に済みますように)」

傷だらけの男に、どのような経歴があるのか。
内心ちょっとビクビクしている。

282度会一生『一般人』&御影憂『ナハトワハト』:2021/06/04(金) 23:48:32
>>281

「どうぞ、頭を上げて下さい。
 この通り、怪我も無かった訳ですから…………」

普通なら、さっさと立ち去ってしまう所だ。
こうして話を引き伸ばしているのは、
相手の姿や声を覚える為だった。
同時に、『観察する時間』を作る為でもある。

(『何か』あるかと思ったが…………考え過ぎか?)

所詮『力』を持たない自分には、
『スタンド』を見る事は出来ない。
だが、御影は別だ。
ゆえに、『観察』するのは御影の役割だった。

           ススッ

               (………………)

度会が話している間に、御影が『自転車の男』に接近する。
『非実体化』している今、
その姿は『視認』も『干渉』も不可能。
それを利用して、あらゆる方向から男を観察する。

「お急ぎでなければ、
 その『コンビニ』までご一緒しても構いませんか?
 私も用事があったんですが、生憎場所が分からず、
 こんな時に限ってスマホも忘れてきたもので」

実際には、コンビニに寄る用事は無い。
これも『時間稼ぎ』の為だ。
出来れば、もう少し観察する時間を作っておきたかった。

283薄島漣『イカルス・ライン』:2021/06/05(土) 00:16:39
>>282
「いやあ、たいへん面目ない……あっ」

ポトリ。

男性を支えようとして体制が崩れたためか、薄島は一冊の『メモ帳』をポケットから落とす。
度会はともかく、至近距離で観察していた御影は、その内容を見ることもできただろう。

偶然開いたそのページの、メモ帳の内容は……手書きで書かれたどこかの『地図』。
それがどこなのかは……絵があまり達者でないのでわかりづらいが。
もしも『詳しい』のであれば、町内の『自然公園』だと気が付けるかもしれない。

場所がどこか、ということ以上に目を引いたのは、その地図に添えられたいくつかの『注釈』。
『立て札』や『張り紙』、『トイレのマーク』などに「不特定多数 C」「犬連れ B」「男性 C」などと書き添えられている。

参考:ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1621051851/58

「す、すみません。ヘヘ……
ああ、もちろんです。一緒に行きましょう」

自転車を押しながら、度会と一緒にコンビニへ歩く。

284度会一生『一般人』&御影憂『ナハトワハト』:2021/06/05(土) 00:34:37
>>283

「――――では、お言葉に甘えて」

メモ帳が落ちたのが見えたが、内容までは分からない。
しかし、見ようとする必要は無かった。
その役割は御影が果たしたからだ。

(………………何………………これ?)

一言で表現すれば『奇妙』だった。
何かの『記録』のようだが、
どういう意図があるのか全く読み取れない。
しかし、『場所』は分かった。
『自然公園』に何かあるのか?
少なくとも、この男が、
そこにいた事だけは間違いないが……。

「そういえば、最近この辺りは物騒らしいですね。
 噂ですが、少し前に『通り魔』があったとか――」

        コツッ

「『脚があらぬ方向に曲がっていた』そうですよ。
 何があったのか知りませんが……恐ろしい話です」

        コツッ

杖をついて歩きながら、『歓楽街の噂』を語る。
この話については詳しく知らないが、
事実無根の『噂話』とも思えなかった。
事実、救急車は呼ばれているのだから。

285薄島漣『イカルス・ライン』:2021/06/05(土) 00:48:26
>>284
メモ帳を拾い上げポケットに仕舞い、度会と一緒に二人で(本当は三人で)歩き出す。

「『通り魔』ですか。コワイですね……
僕なんて車が壊れちゃったお兄さんと仲良くなったりとか、
そんなことばかりの平和な町だと思っていたんですけど」

スタンドに目覚めてからこれまでの、薄島の素直な感想だった。
スタンドに目覚めはしたが、いまのところ荒事の気配もなく平和なものだ。
薄島自身があまり争いごとを好まないせいもあったが……

「足が……ですか。
凄まじいパワーですね。『お近づきにはなりたくない』なあ」

『噂』の話を聞いて、薄島は驚かない……驚いていない自分に、気が付いていない。
度会の手の傷を見たときの方が、明らかに驚いていたのだ。

286度会一生『一般人』&御影憂『ナハトワハト』:2021/06/05(土) 01:04:13
>>285

「はは……車が故障するのも、それはそれで大変ですね」

(もっとも、『化物』に襲われるよりは大分マシだが)

相槌を打つように愛想笑いを浮かべる。
度会は『スタンド使い』ではないが、
『スタンド』の存在を知っている。
ゆえに、車のトラブル以上の危険が潜んでいる事も、
また理解していた。

「素手でやったとしたら、
 尋常じゃあない腕力の持ち主でしょうね。
 格闘技の経験者か何かでしょうか?
 人体の急所とかツボとか、そういうのを知ってると、
 簡単に骨を折れたりするらしいですから」

(…………この男)

度会は、男の反応を見て妙な感覚を覚えた。
さほど驚いておらず、至って平然としている。
元々そういう性格なのかと思ったが、
さっきは表情に出る程に驚いていた。

(『可能性』としては有り得る――――か)

         コツッ

しばらく『三人』で歩いていると、
前方に目的の『コンビニ』が見えてきた。

287薄島漣『イカルス・ライン』:2021/06/05(土) 01:22:29
>>286
「修理が明け方になるってんで家まで送ってあげて、平和そのものでしたよ。
彼がその『通り魔』みたいな人じゃなくて、単に運が良かったんですかね」


薄島は、まだスタンド使いになって日が浅い。
スタンド使い同士の戦いも、ほとんど経験した事がないと言ってよかった。
ひとことで言えば、まだ『一般人』気分が抜けていないのだ……しかし、もしもの時のために対策はしていた。
そのひとつが、先程の『メモ帳』であった。町にある『使えそうな標識やメッセージ』を調査して回っているのだ。


「ああ、確かに……すごい格闘技の達人って可能性もあるのか。
僕はどっちかというと、なんて言ったらいいかな……そう、『超能力』とか『霊能力』とか、そういう異能の力なんじゃないかと」


『スタンド』という言葉を使わなかったのは、度会が『一般人』なら伝わらないかもしれない……そう思って気を使った結果だったが。


「実例は、ほとんど知らないに等しいんですけど。
この町にはけっこういる……んじゃないかと思います。『超能力者』」

288度会一生『一般人』&御影憂『ナハトワハト』:2021/06/05(土) 01:54:54
>>287

「ははは、『超能力』ですか。それは凄いですね。
 まるで映画か何かの世界みたいだ」

「その『通り魔』が本当に『超能力者』だったとしたら、
 困った事ですが……。
 相手が超常現象じゃあ、警察もお手上げでしょうから」

『スタンド使い』に対しては、警察も法律も役に立たない。
現状、それに対応しているのは『アリーナ』だ。
だが、度会は『アリーナ』も信用していない。
『アリーナ』が『スタンド使いの組織』だからだ。
『化物の集まり』に気を許すつもりは無い。

「ただ、たとえ『超能力者』でも、
 見た目が普通の人間と同じなら気付きにくい」

(化物共が人間面で歩いていると思うと反吐が出る)

「案外『すぐ近くにいる』なんて事もあるかもしれませんね」

事実、この場には、
『薄島以外のスタンド使い』がいるのだから。

          コツッ

「着きましたね。どうもありがとうございました」

「それに、とても面白いお話でしたよ。
 『超能力』についての話はね」

「――――では、失礼します」

頭を下げて、コンビニに入店して適当な品物を購入する。

(『顔』と『声』は覚えた……)

(まだ不確定ではあるが――念の為、
 あの男も『監視対象』に加える必要があるか)

           コツッ

密かに思考を巡らせながら店を出て、
『影』のように付き従う『懐刀』と共に、
夜の街に消えていく――――――。

289薄島漣『イカルス・ライン』:2021/06/05(土) 02:22:16
>>288
「いや、えっと…………そうですね」

(この人は知らないのだ。そういう反応でも、しょうがないか)

「なるほど、確かに……警察ではどうにもならないですね」

(この人の言う通りだ……警察が機能しないなら、そしてスタンド使いが大勢いるなら、なぜこの町はこんなに『平和』なんだ……?)


薄島は『アリーナ』をまだ知らない。
何らかのスタンド使いによる自警的な組織があるのだろうと想像はついたが、見た事はなかった。

(……やっぱり誰かがこの町の平穏を守っているんだな。
スタンド使いが野放しなら、もっと表立って凄い事になっているはず……だから)


「……!
そう、ですね……」

『案外すぐ近くにいる』と言われ、
『薄島をスタンド使いだと看破した』のかと思い、焦る。
さすがに御影の存在を示唆していたとは、気が付かない。


「ええ、こちらこそありがとうございました。
『通り魔』の話は、参考になりました。これからは夜道に気を付けます。
……『面白かった』ですか?」

(あんなに一笑に付した話が、『面白かった』?)

違和感を覚える。
先程のやりとり、興味深く感じた人間の反応とは思えなかった。
『ギャグとして面白かった』という受け取り方もできるが、度会はそういう面白がり方をする人物には見えない。


「ええ、お元気で」


最後に引っ掛かりを感じたものの、さほど大事には考えず。
当初の目的だった夜食のグリルチキン弁当を買って、度会と別れた。

290喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/06(日) 03:00:44
『場所』が環境で決まるというのならば、『時刻』はこの私が決めさせてもらおう。

『17時27分』は『日の入り』にはまだ早く、
でも私にとっては少しずつ落ちつかなくなる時間だ。
最近の私といえば、『人気のないところ』に行き、
『魔法使い』が誘う、ほんの小さな『過去旅行』を楽しむ毎日。

本日、この『路地裏』では、今はもうそこにはいない
『猫』の姿を再現できて興奮している真っ最中だ。

すこし尻尾のまがった灰色の猫。
おそらく『ロシアンブルー』の血が混ざっているのだろう。
ふれられないのは残念だがそのかわり逃げられるおそれはない。
時刻や位置を調整してさまざまな角度から猫を堪能している。
どうせだれも来ないだろうと思って猫の声をアフレコしてみたりしている。にゃーん。

291眠目倫『ノワール・デジール』:2021/06/06(日) 08:20:06
 歓楽街のメインストリートから一本入ったところにある『Quince Nail』――そこから更に裏に進んでやっと見つかる『野良猫の集会場』。
 そこは人気のない路地裏であり、人がいないということは動物が集まりやすいということである。
 眠目は猫缶を片手に、そこへと向かっていた。

――今日はぁ、素敵な目玉は見つかるかしらぁ?

 猫はご存知の通り、液体である。
 一塊としてのサイズも手頃で、まだ小さい子猫であれば『角瓶』に詰めることもできるだろう。
 そう、眠目は理想の目玉を見つけたら、子猫を『保護』し、飼い猫『マルメロ』に目玉を『移植』するつもりでいるのだ。
 もちろん、『保護』した猫が目が見えなくなることはない。現在『マルメロ』が使っている目玉が入るだけだ。

>>290

 路地裏についた眠目が見たのは、1mほどの球体に閉じ込められた猫の姿だった。
 『かぎしっぽ』のその猫は、子猫だろうか? それとも大人だろうか?
 どちらにせよ、目を観察したいと考えた眠目は球体の前で鳴き真似をしている女性に声をかけた。

「あのぉ、猫ちゃんに猫缶あげてもいいですかぁ?」

292喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/06(日) 09:05:00
>>291

   「―――はッ!?」

私が相手していた猫は、まだ『子猫』だ。
おそらく『親猫』とははぐれてしまったのか、
あるいは人間によって捨てられたのか………
ただ、過剰に痩せていたり病んでいるわけではなさそうで、、
この『路地裏』周辺でたくましく生きていたのだろうと思われた。

それはまぁいい。問題なのは、にゃーんの発声に夢中になって
背後からの接近にまるで気づいていなかった事だ。

恥ずかしい!がまず第一の感情。
そして第二に浮かんできたのは、『スタンド使い』だとバレるのは
よくないのではないか?という思いだ。
私が再現しているのは昨日の『16時02分』ごろ。
まだ明るいこの時間の陽光に紛れ、『光の塊』となった『球体』はあまり目立たないはずだ。
このまま解除してしまおうかと思ったが、おそらく背後の声の主は『猫好き』。
視線は猫に集中しているはずなので、解除で即座に『猫』が消えたらその事実を怪しむのは必定。
とはいえこのまま近づけたら、猫が『幻』だとバレてしまいこれもまた『問題』か―――

             ―――『問題』。

〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ●

◆問題名:『眠目倫は目玉(キトゥン)がお好き』
◆出題者:喜古&眼目
◆主な状況:
『路地裏』で「『夕暮れ』と『明け方』を再現する球体」を出すスタンドを用い、
『猫がいる夕暮れ』を出してにゃーんと戯れていた『喜古』。
その背後から子猫を『瓶詰め』しようと忍び寄る『眠目』。
目玉ハンター『眠目』の眼光を逸らし、『子猫の幻』を自然なかたちで解除せよ!

◆所持アイテム:持ち歩いても不自然ではない範囲の日用品。
◆成功条件:『子猫』が『幻』だとバレず、『スタンド使い』だともバレない
◆失敗条件:『スタンド使い』だとバレ、自分で出した『幻』に『にゃーん』だとか
        『アテレコ』していた事実がバレるという辱めを受ける。
◆備考:『過去』の『夕暮れ』『明け方』は自然な形なら喜古が言い切り可能。
      また、逆に眠目が言い切る事も可能。

〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ●

(改めて)>>291

      「だ……駄目ですッ!」

私はふるえ声で眠目の申し出を断る。
動揺が激しいのはきっと『時の変わり目』のせいだ。
『問題』への回答が下の下になってしまったのはもう仕方のないことなのだ………

293眠目倫『ノワール・デジール』:2021/06/06(日) 09:30:22
>>292

「だめですかぁ。残念です…」
「猫さん、また今度会いに来ますねぇ…」

 眠目は猫の顔立ちと『子猫』であることを覚えた。次遭った時に『保護』するつもりだろう。
 このあたりを縄張りにしている猫であれば猫缶を持参して何度か通えばまた会えるはずだ。

 そして眠目の視線が『子猫』から外れ、女性の方に向く。
 声が震えている女性が心配になったようで、気遣わしげな視線を向けている。

「大丈夫ですかぁ? なんだか具合が悪そうですが…。
 あ…そうだ、この近くに私のお店があるんですが…もしよければ、休んで行かれますぅ?」

 この季節は天気の移り変わりも激しい。
 時折具合を悪くしている人を見かけ、こうして『保護』することもある。看病にかこつけて目玉を観察するためである。
 場所を貸せば多少ガン見しても文句を言う人はいない。

 眠目は綺麗な目玉を見るためには努力を惜しまないのだ。

294喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/06(日) 09:54:58
>>293
ふりむくと女性。彼女はあんがい簡単に『子猫』から眼を逸らしてくれたので、
その間に『球体』ともども能力は解除しておく。
猫はふとしたタイミングで消えたり現れたりするものだから問題はないだろう。

   ⇒『CLEAR!』

「―――具合? ああ、そうですね。
     あまりよくはないかもしれません」

猫の話題からすぐ体調の話題に移行したので、その話題にのっていこう。
改めて眼前の女性を確認する。22歳の私よりすこしは年上だろうか?
『お店』と言ったが、休めるところというと『レストラン』みたいなところだろうか。それとも―――

「ええ、そう、じゃあ、せっかくなので―――

             ………ところでどういった『お店』なんです?」

ここは『歓楽街』。さまざまな種類の店舗がある。
勢いであやしげな店に行っていいものかどうかという欠片ほどの理性が働いた。

295眠目倫『ノワール・デジール』:2021/06/06(日) 10:09:45
>>294

「具合良くないのであれば無理しない方がいいですよ、歩けますかぁ…?」

 喜古の前にいる人――眠目は20代後半にさしかかったくらいの、黒髪ショートヘアでどことなく気怠げな雰囲気が漂う女性が喜古に手を伸ばす。
 伸ばした手の先、指には『柑橘モチーフ』で『ビタミンカラー』の『ネイル』が施されている。

「ああ、うちは『ネイルサロン』をやってましてぇ。
 ネイルって時間がかかるでしょう?
 だからお客様がゆっくりリラックスしながら施術を受けられるようにぃ、
 クッションとかソファとか準備してあるんですよぉ」
「今の時間はぁ、予約とかもないので気兼ねなくぅ」

 そう話していたところで、眠目はきょろきょろと周囲を見渡した。先程の『子猫』を見失ったことに気付いたようだ。

「あれ、猫さん、いなくなっちゃいましたねぇ。
 猫って気紛れですもんねぇ…」

296喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/06(日) 10:26:34
>>295
黒髪ショートヘアの眠目の姿を改めて確認する。
私はといえば、いつもと変わらず濃淡のあるミルクティー色の髪、
ピンクゴールドのスマートウオッチをつけ、ロングシャツワンピースを羽織っている。

眠目の手をとった私が、彼女の『ネイル』の装飾に気づくのと、
『ネイルサロン』を営んでいるという説明を聴いたのはほぼ同時だった。

 「『ネイルサロン』―――いいですね」

『歓楽街』ではそういう需要も高そうだ。
数えるほどしか行ったことはないけれど、
せっかくだから施術してもらうのもいいのかもしれない。

「猫は………そう、『夕方の幻』みたいに気まぐれだから。

  ただ、きっとこのへんを根城にしているのは間違いないとは思いますよ」

眠目の言葉に同調し、違和感を覚えないように念をおした。
あとは彼女について『ネイルサロン』に行ってみよう。

297眠目倫『ノワール・デジール』:2021/06/06(日) 10:40:10
>>296

「ではぁ、私のお店『Quince Nail』へ行きましょう」

 眠目は喜古の手を優しく、けれど逃げられない程度にしっかりと掴んで店へと誘導していった。

「猫さんたちはみんな気紛れで、そこがとっても可愛らしいですよねぇ。
 実は私、猫飼ってるんですよぉ。綺麗な『キトゥンブルー』の目をしていてぇ…」

 眠目が猫と住んでいるところは店舗から少し離れている。なので店舗には猫はいない。
 だが、先程まで猫の鳴き真似をしていた喜古ならば猫の話題がいいだろうと眠目は考えた。

――でもぉ、今の『キトゥンブルー』はちょっと色素が濃くなっててぇ、もう少し薄い方が好みなんですよねぇ…。



 しばらく歩くと、小さな美容室のような店が見えてきた。
 ガラス張りで店内が外から見えている。こざっぱりとした内装で、男女問わず入りやすそうだ。
 <まつエクとネイルの店『Quince Nail』>と看板に書かれたその店はガラス張りで外から中を覗くことができる。
 壁面にはメニューが書かれている。ネイルに深爪矯正、ハンドマッサージ、睫毛エクステ等々。様々なコースがあるようだ。

 眠目は鍵を開けて喜古に店内に入るよう勧める。

「どうぞぉ、気兼ねなく」

298喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/06(日) 10:57:48
>>297

「そうですかァ

         目が綺麗で………

 ああ、目が……
            そうですねェ
                        目がねェ………」

私も猫好きではあるので、眠目の猫談義を初めは楽しく聞いていたが、
なんというか彼女の話は『目』についてがやたらと多い気がした。
なんとなく気おくれしてしまい、話を聴くだけにとどめておき、相槌だけはしっかりと行う。

  ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ●

そうこうしているうちに辿りついたのが、『Quince Nail』という店だ。
小さいながらも綺麗な外装で好感がもてる。
すくなくとも、怪しい店というわけではなさそうだ。

  「それでは遠慮なく………よろしくお願いします」

眠目の誘導にしたがい、店へと入っていく。
『時の変わり目』には、こういうリラックスできる空間で
過ごすのも悪くないのかもな、などと考えながら。

299眠目倫『ノワール・デジール』:2021/06/06(日) 11:10:55
>>298

 多少、目玉に熱が入った言葉を聞き流しながらやってきた『ネイルサロン』。
 眠目は施術台の近くにあるソファに喜古を誘導した。

「どうぞぉ、ゆっくりしてください。
 具合が悪い方からお代は取りませんのでぇ」

 そう言って一度喜古から離れると、棚から基材となる『マッサージオイル』を取り出して『ゼラニウム』の精油を混ぜる。

「もし匂いとかだめでなければ、気分が楽になるマッサージはいかがですかぁ?」

 『ゼラニウム』は自律神経を整える作用があり、『薔薇』のような香りのする花だ。
 マッサージそのものにもリラックス効果があり、具合が悪いのであればすこしは楽になるだろう。

300喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/06(日) 11:27:55
>>299
私は言われるがままにソファに座る。

「え……お代は要らないって。
  いえいえ、親切にしてもらっているんだし払いますよ!」

具合が悪くてただ休ませてもらうだけというのなら、
好意にあまえてもいいが、その上でサービスを受けるのならば、
さすがに払わないといけないだろう。

「マッサージ………そういうのもやっているんですね。
 お金は払いますので、やってもらおうかな」

良い香りが鼻腔をくすぐる。身体的にではなく精神的に具合が悪いというか
『不安定』な心もちになっているのは事実なので、
そういうリラグゼーションにつながる施術はぜひお願いしたいところだ。

しかし、この女性。
はじめは『客の勧誘』なのだろうということでそんなに違和感はなかったが、
『お代は要らない』というのは逆にあやしく感じられる。
単純に具合のわるい人を放っておけない『善人』なのか、あるいは―――

301眠目倫『ノワール・デジール』:2021/06/06(日) 11:54:26
>>300

「ふふ、ありがとうございますぅ。
 でも、こういう小さな親切が、評判のいい店を作る足がかりなんですよ。
 親切にされたらぁ、なんとなくまた来ようって考えるでしょう?」

 ネイルは特に、一度やれば手入れのために二度三度、そして足繁く通うことになる。
 ポリッシュで施術すれば数日で欠けができ、ジェルネイルであれば数週間して爪が伸びてきたらオフするために来院することになる。そしてまたネイルをする。
 最初の一回で多少損が出ようと顧客を掴むことになればよし、と眠目は考えているらしい。

「ではぁ、マッサージ失礼しますねぇ。
 まずはハンドバスから…」

 眠目は喜古の手をいつの間にやら用意していたお湯の張られた洗面器につけ、優しくもみほぐし始める。

「もし痛ければ教えてくださいねぇ」

 問題がなければそのままオイルマッサージを行うようだ。
 施術の合間に世間話を挟みながらまったりとした時間が過ぎていく。
 ふと、眠目は疑問を抱いたように質問を投げかけた。

「そういえばぁ、お客様はどうしてあちらにぃ?」

 あそこは人は滅多に来ない。なぜいたのだろうか。

302喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/06(日) 12:14:00
>>301
「………なるほど。『小さな親切』」

私はこういう『店舗経営』のようなものに疎いが、初回無料キャンペーンのようなものか。
今はもう『18時』ちかく。今日の日没は『18時58分』だったはずだから、
それまでのざわつく心をここで癒していくのもいいだろう。

                     「―――おねがいします」

   ・・・・・・・・

ハンドバスから始まるマッサージは、私の期待どおり、
不安定な心情を軽減する効果があった。女性の言うとおり、
『初回』がよければまた来てみようと思わせる効果はたしかにある。

     ―――と。

「………あ。
            ………ええと。

  ………猫をみつけたから。

                 ………それを、追って?」

女性の疑問に多少ウトウトとしていた気持ちを引き戻される。
あまり回っていない頭で導きだした表面的な答え。

こまかく訊かれたらボロが出そうではあるが………
『魔法使いの能力を見られたくなくて
 人気のないところで過去を再現して遊んでいました』
なんて言うよりはよほどマシだろう。

303眠目倫『ノワール・デジール』:2021/06/06(日) 12:32:26
>>302

 眠目はマッサージを続けながら喜古のブラウンの目を覗き見る。
 うとうととしている喜古の目は少し見づらいが時折目を開くところから観察は可能だ。
 喜古の瞳はブラウン系だ。ブラウンは色の変化がわかりにくいが、血行がよくなってきているのかほのかに赤みが強くなってきているように見える。

「あぁ、なるほどです。猫さん、可愛かったですもんねぇ。
 そういえば『かぎしっぽ』の猫は『財産』を守ったり、『幸運』を呼ぶそうですよぉ。
 なにかいいことあるといいですねぇ」

 話しながらオイルでしっかりと手を揉み込む。

「はい、マッサージおしまいです。
 ……もうすこし、ゆっくりされていきますかぁ?」

 喜古が望むのであればネイルも行うことが可能だろう。

304喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/06(日) 12:50:56
>>303
喜古の『瞳』は日本人の中では色素が薄い部類に入るだろうが、
それでもあくまで日本人の範疇。それが眠目の好みの範疇に入るかは眠目しだいだろう。

『裏路地』の話題はさらりと流してもらったようでよかった。
『かぎしっぽの猫』が幸運を呼ぶとは知らなかったが―――
『過去再現』で無理やり呼びだした『猫』も私に幸運をくれるのだろうか。

「………そうね、それじゃあ『ネイル』もお願いします。
 絵柄とかリクエストできるのかな。できるのであれば………
 右手に『夕焼け』を、左手に『朝焼け』をイメージした図柄を」

二種の『時の変わり目』。

気持ちが『不安定』になる、私にとっての『逢魔が時』。
このふたつの『時間帯』には生憎なかばする複雑な感情がある。

ただ、マッサージをしてもらったからか、今の私は気分がいい。
『ネイル』が落ちるしばらくの間だったら、この二つを
爪の中に閉じこめてあげてもいいような心もちになっていた。

305眠目倫『ノワール・デジール』:2021/06/06(日) 13:20:21
>>304

――もうすこし、虹彩の色が薄い方が綺麗だけどぉ…黒より全然いいわぁ…。

「承知しましたぁ。
 では、ベースコートだけ塗ってから、ちょっと道具を準備しますねぇ。
 ……甘皮の処理はそこまで必要なさそうですしぃ、体験なのでポリッシュで簡単に施術しちゃいますねぇ」

 眠目はすぐ近くからベースコートを取り出し、喜古の爪に塗っていく。
 それを乾かしている間に他の道具を取りに行った。
 戻ってきた眠目の手にはネイビーとオレンジ、薄ピンクにブルーグレーのいわゆるマニキュアに、星のようなグリッター。更にトップコートがあった。

「ではぁ、本格的に施術していきますね。
 右手はオレンジからネイビーに変化するグラデーションネイルで、左手はピンクにブルーグレーで薄めに、自爪の色を生かした感じでいきますぅ」
「お客様は肌が白いのでぇ、ネイビーはかなりしっかり映えると思いますよぉ」

 眠目は右手から順々に施術していく。
 グラデーションができたらそこにグリッターで星を散らし、乾いたら今度はトップコートを塗っていく。
 今回はマットな印象の方が映えるだろうと艶なしのトップコートだ。

「いかがですかぁ?」

306喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/06(日) 13:40:50
>>305
私の爪が手際よく彩られていく。プロフェッショナルの技を堪能する。

右手の爪は『夕暮れ』のゆっくりと世界が醒めていくような感じ。
左手の爪は『明け方』のぞくぞくと世界が動き始めるような感じ。

色のチョイスやグラデーションも十分に満足できるものだ。
『右手』『左手』の両者の模様がそれぞれ存分に
『夕暮れ』と『明け方』を表現しており、それが不自然さなく馴染んでいる。

「―――ありがとうございます。
 高校生のころ、サッとやってもらった時とは大違い。
             やってもらって本当によかった」

心からの感謝を伝える。
まさか、『猫の過去発現』からこんな事が待ち受けているとは。
もしかすると、これこそが『かぎしっぽ猫』が
もたらしてくれた『幸運』なのかもしれない。

「………やっぱりお金、払いますよ。
 これだけのことをしてもらったんだから」

施術が終わったら、そろそろお暇するつもりだが、
その前にもう一度、支払いを打診してみる。

307眠目倫『ノワール・デジール』:2021/06/06(日) 13:54:27
>>306

「気に入っていただけたならよかったですぅ」

 眠目はにっこりと微笑みながら出来上がりを満足げに見つめる。
 グラデーションはやっていて楽しいが、どれくらいのバランスで変化させるか悩ましい面もある。今回は施術していて満足できる出来に仕上がった。

「お金……んー、そうですねぇ…。
 それなら、お金の代わりに一働き、お願いできますかぁ?
 もし、どこかで誰かに『ネイル』について聞かれたらぁ、
 このお店の名前を出していただければぁ」

 そう言いながら眠目は棚からチラシを一枚出して喜古に手渡した。

「一度タダでって言ったのですから、覆すつもりはないです。
 ただ、できればいろんな方にこのお店に来ていただければ私は嬉しいのでぇ」

――いろんな人が来れば、いろんな人の目が見れてぇ…幸せよねぇ。

「それではぁ、今日はありがとうございましたぁ。
 また、『かぎしっぽ』に会いに来たついでにでもいらしてください」

308喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/06(日) 14:25:37
>>307
「ああ、はい。じゃあなにかあれば真っ先にこのお店を紹介しますね」

完成した『ネイル』をもう一度確認し、その美しさに感嘆する。
そして、もらったチラシを丁寧に折りたたみ、バッグにしまう。

「―――こちらこそ、今日は本当にありがとうございました。
            また、そのうち寄らせてもらいますね」

私は女性に大きく礼をすると、このお店、『Quince Nail』を立ちさる。
超能力など使わなくてもこんなにも綺麗な『ネイル』を産みだせる。
『ネイリスト』はある種の『魔法使い』なのかもしれない。

〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ●

    帰りぎわにもう一度、『路地裏』にきてみるとッ!

  なんとォ! ホンモノの『かぎしっぽ』ちゃんにあえました〜〜〜!

  でも、ホレホレってネイルを自慢したら『シャーッ』って言われて

    やっぱり私は『過去』の方がいいかなって………

     声も私のアテレコの方がかわいかったし………

309赤月『サクソン』:2021/06/06(日) 21:52:50

夜の歓楽街、仕事を終えた大人達が遊興を求めて屯する中、
中学生くらいの少女が大通りを歩き回っていた

 「・・・・・・。」

          「・・・・・・・。」

その少女は道行く酔っ払いに何やら話しかけているようだが、
ぱっとした返答もなく、それを繰り返していた


 「・・・・・本当か! 本当に知っているんだな?」

           「(・・・ニヤリ) ああ、知っているぜぇ・・・
             詳しい話は向こうの路地裏の方でしようじゃないか」

そんな中、3人組の若者たちが少女の話を聞き、
お互いにニヤリとした笑いを浮かべ合いながら、路地裏へ連れて行く・・・・

310ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/06/06(日) 22:07:51
>>309
赤月の様子を偶然見ていた。

「、、、いや、あれはダメだろ」

距離があり、少女と若者の会話の内容を聞き取れたわけではなかったが、雰囲気だけでアウトな案件だと判断した。
一行のあとを追いかけて裏路地へ入っていく。

311赤月『サクソン』:2021/06/06(日) 22:17:46
>>310

  ボゴッ! 「っ!」

        ドゴッ! 「ぁ!」

  ・・・・ボゴッ!        「ぐぇっ!」

路地裏から激しい殴打の音とともに、呻き声が聞こえる・・・・
そこの角を曲がれば・・・恐らく凄惨な光景が見えるだろう

312ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/06/06(日) 22:22:54
>>311
「・・・!!」

声を聞いて咄嗟に駆け出す。

(思い過ごしかもしれないって少し様子を見るつもりだったのが裏目に出たか、、、!)

『グラム・スラム』を出し、臨戦態勢で角を曲がる。

「おい!何をしてる!」

313赤月『サクソン』:2021/06/06(日) 22:31:18
>>312

ジョンが角を曲がると、梅雨の暑さと湿気によるむっとする空気に混じって、
錆びた鉄の様な匂いがぷんっと鼻についた

・・・・・その場に広がっていたのは、まさに『凄惨な光景』であった

「なんだ・・・知らないのか・・・・」

       「あがっ・・・・! あがが・・・・!」

  「ぐううう・・・・」 
              「うがぁ・・・・」

頭から血を流して、二人の若者が地面に倒れている
彼らは頭を押さえてのたうち回りながら、前後不覚に陥ったように四肢をばたばたとさせる

  「あがぁ・・・・」

少女の隣には『トレンチコートを着た人型』のスタンドが立っている
そして・・・そのスタンドは右手で若者の一人の後頭部をアイアンクローの様に掴みながら
左手でその者の両目をひん剥いていた


「残念だ・・・今日もまた収穫は『ゼロ』 ・・・・ん?」

その少女はジョンの姿に気が付いた

314ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/06/06(日) 22:41:19
>>313
「あー、、、思ってたのとはなんか違ってたが」

気まずそうに頭を掻く。

「まあアウトはアウトか」

ポツリと呟いて、少女に近づいていく。

「なあ君、事情は知らんが、それくらいにしておいたらどうだ?」

315赤月『サクソン』:2021/06/06(日) 22:53:25
>>314

「うん、まあ彼らは特に情報を持ってないみたいだ
 無駄に傷つける必要もないか」

   バッ
       「う、うわああああああ!」

『人型スタンド』が両手を男から離す
その瞬間に男は一目散に逃げていった


   「はっ・・・・・うわあああああ!」
      「あ・・・わああああああああ!」

それに追従するようにして、地面をのた打ち回る男二人も魔法が解けたように立ち上がる
そして、恐ろしいものに会ったかのように彼らもまた全速力で逃げていった

「丁度・・・・別の人が現れてくれたみたいだからな」

少女の目はジョンの隣に立つ『グラン・スラム』を見据える

316ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/06/06(日) 22:58:44
>>315
両手を上げて『降参』のジェスチャーをする。

「勘弁してくれ、こっちは仕事をクビになったばかりでね。
オヤジ狩り、、、お兄さん狩りをしたところで大した実入りは期待できないぞ」

『情報』がどうとか言っていたのは聞こえなかった振りをしてとぼける。

317赤月『サクソン』:2021/06/06(日) 23:06:20
>>316

「む、待ってくれ、私は別に『暴漢』でも『強盗』でもない
 無防備な者を襲うのは・・・・駄目だ、私の『誇り』が傷つく」

『誇り』を傷つけてでも事を為すのは・・・・『最後』だけでいい
それまでは、この『誇り』を守り抜かなければならない

「第一、私は金目当てで人を襲ったわけではない
 そうだ、私が怪しい者ではないと示すため、名を名乗ろう」

「私の名前は赤月ナカレだ」

中学生相応の幼い顔つきをした少女はジョンの目の前に立ち、
胸に手を当てる様にして堂々と名を名乗る

「君はスタンド使いなのだろう?
 少し・・・・聞きたいことがある」

318ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/06/06(日) 23:28:55
>>317
>私は別に『暴漢』でも『強盗』でもない

「おっと、それはすまなかった。俺はジョンと呼んでくれ」

(見たところ中学生くらいか。まあ年齢で判断するのは良くないが、、、)

この前アリーナで見た氷山という少女を思い出す。
あの少女がアリーナで見せた戦いぶりや胆力、信念の強さには尊敬の念すら抱くほどだったが、、、

「で、聞きたいことというのは?」

319赤月『サクソン』:2021/06/06(日) 23:38:20
>>318

「聞きたい事は一つだけ、
 スタンド使いである君ならそうでない者に比べて知っている可能性が高い事だ」

ズイッと身を乗り出してジョンに近づく、
身長差からジョンの胸元近くに頭が近づいた
下から見上げる様にして言葉を放つ

「君は『アリーナ』という組織を知っているだろうか
 スタンド使いが集まった組織・・・・らしいのだが」

320ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/06/07(月) 20:22:13
>>319

「お、おう、、、」

必要以上に近づいてくる赤月に気圧される。

「『アリーナ』?」

もちろん知っている。
どういう組織なのか、ということの理解は乏しいが、この前試合を見に行った闘技場の場所を教えるくらいなら容易いことだ。

だが、、、

(教えて、大丈夫か、、、、?)

この少女に感じていたもの。それは『危うさ』だ。

さっきの男たちへの過激すぎると言ってもいい仕打ち。
彼女の口ぶりからすると『アリーナ』の情報を聞き出すためだったようだが、
それはつまり、『自分の目的のためならあれくらいのことをやっても構わないと思っている』ということだ。

赤月の真っ直ぐな視線を受け止めながら思案する。

(年に見合わない強い意志がありそうだ、、、
 だが、それに見合った思慮深さをこの子は持っているだろうか?
 なんつーか、真っ直ぐすぎるというか、障害があっても迂回せずに真正面から突っ込んでいきそうというか、、、)

その結果、誰かが傷つくことになるかもしれない。それはこの子自身であっても全く不思議ではない。

(試してみるか、、、)

だいぶ長考してしまった。今更知らないと言っても信じてもらえないだろう。
覚悟を決めて、口を開く。

「聞いたことはある、が、その前に質問に答えてほしい。
何のためにそれを知りたい?
それは君の言う『誇り』を汚すことのない理由か?
そうだとしたら、堂々と答えられるんじゃないか?」

321赤月『サクソン』:2021/06/07(月) 20:44:25
>>320

「そう、『アリーナ』だ」

回答に悩むジョンの返答を待ちながら、言葉を継いだ
そして、長考するジョンの表情を見上げる様にして凝視した

「『何のために』・・・・だと?
 それは・・・・」

疑問に答える為に言葉を吐き出そうとして、口ごもる
自分にとって、その『理由』は明確で、恥じるべき事など・・・・一切ない
だが、その『理由』をここで吐き出すわけにはいかない

(私に目覚めた力・・・『サクソン』は暗殺向きのスタンドだ
 だからこそ、私が抱える『殺意』だけは最後まで隠し続けなければならない
 そうでなければ、『目的』を果たす事など・・・)

「クッ!」

喉が詰まったかのように苦し気な表情を浮かべ、しばらくの間悩み続ける
そして、苦悩の表情のまま、問いかけの回答を返す

「私は・・・・私が『アリーナ』を調べる理由は『人探し』だ
『アリーナ』に所属する人間を探している」

322ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/06/07(月) 21:24:46
>>321

「人探し、ね」

表情を見れば、それだけではないのは明らかだったが、それ以上は問わなかった。
実のところ、本当に知りたいのは彼女の目的ではない。


知りたいのは、手がかりを知っていると思われる人間(俺のことだ)を前にして短慮を起こさずにいられるかどうか。


「悪いが、信じられないね、君には教えられない」


赤月に背を向け、その場を立ち去ろうとする。
同時に『グラム・スラム』でシャボン玉を出す(ジョンの前方に出すので、赤月からはジョンの身体の陰になって、シャボン玉は見えない)。

323赤月『サクソン』:2021/06/07(月) 21:40:59
>>322

「ま、待ってくれ!」

思わず、衝動的に声をかけて引き留めようとする
ジョンを引き留めるために駆け出そうとも思ったが、その足が途中で止まる

(待ってくれ?
 信用を得られなかった以上、情報を得られる可能性は低いのに、私はどうするというのだ?
 どうすればいい? 情報を前にして諦めるか、それとも力づくでも・・・)

心の中で二つの選択肢に挟まれ葛藤する
諦めるべきか、『戦士』の誇りを失ってでも尋問を行うべきか・・・・

(私は――――)

ジョンの背中から目を離し、その場で宙を見上げる
星々の輝き、天の兆候、それらを見て、赤月は一つの決断を下す

「わか・・・・った 心変わりをしたのなら改めて教えて欲しい」

項垂れる様に頭を下げ、ジョンの背中を見つめる
そして、その背中に力なく言葉を吐き出した

324ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/06/07(月) 22:00:15
>>323
シャボン玉を解除する。

「、、、そうだな。連絡先を聞いておこうか」

振り返り、スマホを出して赤月に見せる。

325赤月『サクソン』:2021/06/07(月) 22:11:49
>>324

「あ、あぁ・・・・」

のろのろとした動きでポケットからスマホを取り出す
心ここに在らずといった感じで画面を操作していくが、
その眼差しは嘆願するようにジョンを見つめていた

「む・・・」

新品のスマホだ カバーやフィルムも張られていない
画面をのぞき込めば、アプリも全然入っていない事がわかる
色々と弄っているようだが、ホーム画面とアプリを行き来しているだけの操作を繰り返し・・・・

「すまない、電話番号を出すにはどうすればいいんだ?」

とうとう観念したのか、スマホの操作がわからない事を正直に話し
ジョンに向けて自分のスマホを差し出してきた

326ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/06/07(月) 22:24:03
>>325
「マジかよ」

予想外の回答につい失言が漏れる。

「まあ、俺が見てやってもいいんだが、、、君の隠し事を俺が見るかもしれないとは思わないのか?」

そう言いながらも差し出された赤月のスマホに手を伸ばす。

327赤月『サクソン』:2021/06/07(月) 22:31:31
>>326

「隠し事も何も、使い方がわからなくて、全然使っていないからな」

その言葉の通りに、どこを確認しても、写真や連絡先の登録はない
メールも特にこれといったものはなさそうだ

「私の『後見人』から『目的』を果たすためには必須という事でもらったのだが、
 扱いには・・・・どうやらまだまだ勉強が必要のようだ」

328ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/06/07(月) 23:00:13
>>327
(やれやれ、思ったより世間知らずのお嬢様みたいだな、、、、)

赤月のスマホを操作し、電話番号とメールアドレスを確認する。
それを自分のスマホに登録しておく。

「『後見人』?」

予想していない単語が出てきて、思わず聞き返してしまう。

(誰だか知らないが、そいつがスマホを持たせたなら、通話の履歴くらいありそうなもんだが、、、、意図的に記録を残さないようにしてるのか、、、、?)

329赤月『サクソン』:2021/06/07(月) 23:08:37
>>328

「ああ この町へ越してくるのに、色々と世話になった人だ
 流石に未成年だけで諸々の手続きを行うことは出来ないからな」

通話の履歴を探しても、とくにそれらしい記録は見つからない
彼女と『後見人』は手紙で物事をやり取りしているからだ

「まだだろうか?
 それとも、心変わりして情報を話す気になったのかな?」

少しだけ、期待しているような目でジョンを見つめる

330ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/06/07(月) 23:21:25
>>329
「世話になった人、ね」

まともな親がいるなら、そんな人間の出る幕はないだろう。
さすがにそれを聞くのは憚られたが。

>まだだろうか?
「いや、、、もう終わった。
 必要ないかもしれないが俺の連絡先も入れといた」

スマホを赤月に返す。

「実を言うと俺もそこまで詳しくはないんだ。
 だが、調べる当てが無いわけでもない。少し時間をくれ」

331赤月『サクソン』:2021/06/07(月) 23:34:19
>>330

「ありがとう なるほど、そんな風に動かせば連絡先を登録できるか」

返されたスマホを弄り、連絡先を呼び出す
そこには登録されたジョン・ロブの名前がしっかりと記録されていた

「そう・・・・か・・・・」

詳しくはないというジョンの言葉に、露骨にしょんぼりとした表情を浮かべる
落胆に肩を落とした赤月だが、調べる当てがなくはないとの言葉を聞き、顔を上げる

「そうか!」

「ああ、調べてくれるならありがたい!」

332ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/06/08(火) 00:03:25
>>331
「その代わり、だ」

喜色を顕わにした赤月に水を差すような声音でぴしゃりと告げる。

「あまり一人で危ないことはするな。例えば、さっきやってたようなこととかな」

333赤月『サクソン』:2021/06/08(火) 00:13:39
>>332

「それ・・・は・・・・! それはだな・・・・」

歯切れの悪い言葉が続く
ジョンの語る忠告に対して、即座に返答が出来ない

「それは約束できない
 私の『目的』に・・・・他人を巻き込むわけにはいかない
 すまない、私にはそれだけの事しか言えない・・・」

334ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/06/08(火) 00:36:23
>>333
「やれやれ、、、本当に真っ直ぐな奴だな、君は」

あまりの馬鹿正直さに呆れながらも思わず苦笑する。

「適当に話を合わせておけばいいのに、そういうところだぞ、危なっかしいのは」

重たくなった空気を振り払うように、大げさなジェスチャーで肩を竦める。

「まあ、慎重にやれってことだよ。
せっかく骨を折って調べても、報告する相手がいなくなってたんじゃ、たまったもんじゃない」

今度こそ赤月に背を向けて、その場を立ち去ろうとする。

「元気でいろよ。じゃあな」

335赤月『サクソン』:2021/06/08(火) 00:53:31
>>334

「そうか・・・・やはり、君もそう思うか・・・」

薄々自分でも気づいていた事だが、
他人に言われると、そうかという気分にさせられる

「ああ、協力してくれてありがとう
 どうか君も達者でいてくれよ」

その場から立ち去るジョンを、今度は追いかけない
ジョンの姿を完全に見送った後でぽつりと独り言をこぼす

「危なっかしい・・・・か」

「私が得た力『サクソン』は暗殺向けのスタンド・・・・
『殺意』を隠し、『真実』を覆い、『左道』を歩まなければ使いこなせない
 学ばなければいけない、上手いやり方というものを」

「『そうする』と決めたのだから・・・・」

そして、彼女は夜の闇の中に消えていく

336ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/06/08(火) 19:38:55
>>335
「さて、善は急げだ」

スマホを操作しながら、何処かへと立ち去る。

337百目鬼小百合『ライトパス』:2021/06/08(火) 19:49:43

白いパンツスーツの女が歓楽街を歩く。
180cm近い長身は、遠くからでも目立つ。
外見から窺える年齢は四十台半ば程。
年嵩ではあるが、その足取りは淀みなく力強い。
ベリーショートの男勝りな風貌の中で、
『白百合』を象ったイヤリングが唯一の装飾品だ。

「さて、こうして出てきたはいいものの…………」

ここに来た理由は、
『黒羽』から聞いた『刀傷』の件について探るためだ。
しかし、手掛かりらしい手掛かりは皆無。
結局は、当てもなく歩き回るしかないのが実情だった。

「とりあえず――いつも通り適当に見回るかねぇ」

周囲に気を配りながら、辺りをブラつく。
効率は悪いが、今は他に方法を思い付かない。
口元には火の点いていない煙草を咥えていた。
この辺りは『路上喫煙禁止区域』。
よって、単なる気休めだが、ないよりマシだ。

338『我ら三連星(仮)』:2021/06/09(水) 18:54:04
>>337(次回ミッション予告的なもの)

ttps://picrew.me/image_maker/407340/complete?cd=Af7khrAkaT

ttps://picrew.me/image_maker/8386/complete?cd=8BfJZQVABp

「ほらっ 『こが坊』 おめーの欲しかったのって、コレだべ?
ちゃーんとネットで調べて欲しかったタイプの手に入れたんだから
褒めろよなー」

「……あざっす…………」

「んだよ、んだよー、そんな気のない返事はー? あ、さては
照れてんな? こんな美人なオラにプレゼントされて照れてんだろー!
うりうりうりぃー! 胸で頭蓋骨つぶしちまうぞーっ」

「っうぁ…………いや……勘弁で……」

貴方(小百合)が知人より聞いた刀傷事件を調査する為に歓楽街を
歩いていると、前方より二人組を見つけた。

一人はガングロで、まっ黄色に髪を染めたギャルと言う感じの高校生程度の女。
結構勝気なタイプなのか、幾らかありそうなバストを服越しに背が低い男を
羽交い絞めにする感じで明るいセクハラっぽいのを行っている。

対し、それを困った感じで受けてるのは大体中学生程度だろうか?
充血した半眼な目を彷徨わせ、受け取ったものを手から零れ落としそうにしつつ
しがみつく女から逃れようと抵抗してる。

その男子が女からプレゼントされたらしき物は……包装してるが
形状からして『ナイフ』か、それに類するもののようだ。

339百目鬼小百合『ライトパス』:2021/06/09(水) 20:03:28
>>338

(――――おやおや)

緩やかな歩調で歩きながら、それとなく横目で観察する。
男の方は困っている様子だが、二人は知り合いらしいし、
自分が手を出すべき場面でもない。
『片方が片方に殴られている』とかなら別だが。

(まぁ、大したアテにもならないとは思うが……)

          ザッ ザッ ザッ

(『酒の肴』ぐらいにはなるかもしれないねぇ)

はっきり言って期待はしていない。
だが、情報がないのも事実だ。
しばらく様子を見させてもらおう。

         バサッ

適当な場所で足を止め、おもむろにジャケットを脱ぐ。
歩き回ったせいで暑くなってきたように見えるだろう。
これなら急に立ち止まっても不自然には思われない。
とはいえ、ここは『歓楽街』。
歩いているのは自分一人だけではないのだから、
そうそう見つかる可能性はないだろうが『一応』だ。

340『我ら三連星(仮)』:2021/06/09(水) 20:53:10
>>339

貴方はジャケットを脱ぐと言う理由を示しつつ立ち止まる。
予想通り、歓楽街と言う人が多い通りでは二人組も貴方に気づかないし
通行人も友人らしい振る舞いに収まっている男女に関心を示すものも居ない。


ある程度、大き目の声は歓楽街の環境音に交えつつ聞こえてくる。

「そーいや、そろそろだっべ? 『あの計画』を実行すんのさー。
【がやがや】……さん、山分けするにしても、もうちょい
わたし等へ分け前くれても良くねーと思わねぇ? こが坊」

「……【がやがや】さんが立案者です……から
それに……『この力』……僕のが役立つんなら……本望……です」

「へへっ! こが坊の能力はすげーから便りにしてんぜ!」

「いや…………先輩……には…………負け……ます」

「おっ? おっ? なになに、何時になく素直じゃーん??
おめー 実は私に惚れてるだろ? ヒヒヒヒぃ〜♫」

「ぅ……む……むね……頭押し付け……やめて……です」


「――安心しろって、『何人消す事』になっても絶対に
こが坊は私が守ってやるって」

「…………えぇ…………僕……も……例え……『誰を犠牲』にしてでも」


そう、気掛かりな内容と共にガングロギャルと、不健康そうな男子は
路地裏に通ずる細道へと向かっていく。

人気が少ない方面だ……尾行するとなれば、気づきやすい。

341百目鬼小百合『ライトパス』:2021/06/09(水) 21:18:50
>>340

(『力』…………ね)

(ま、ちょっとだけ『興味』は出てきたよ)

何やら気になる単語は幾つか聞こえてきたが、
『文字通りの意味』に受け取っていいものかどうか。
しかし、手掛かりはない。
その一点があるからこそ、百目鬼小百合は動く事にした。

          ――――ザッ

脱いだジャケットを肩に掛け、距離を取って二人の後を追う。
通行人を遮蔽物にして見つからないようにはするが、
もし見つかったとしても、その時はその時だ。
相手の出方次第では『そちらの用意』もある。

(さて、果たして『蛇』が出るか…………)

(場合によっちゃあ『鬼』が出るかもしれないねぇ)

342『我ら三連星(仮)』:2021/06/10(木) 09:48:24
>>341(レス遅れ申し訳ない)

「それにしても、あちー! いや東京とかと比べれば我慢できるけどさー。
こが坊、おめーの能力で涼ませてくんねー?」

「いや…………僕……疲れます……てか、先輩の能力使えば……?」

「んだよ、こが坊のけちんぼーっ。それに、私の後始末めんどいって」

路地を抜ける二人組は、距離をとってるのが幸いしてか気づいてる感じは
見えなかった。そのまま二人とも細道を抜けて別の通りのほうに
曲がっていくのが見て取れる。

……?

その曲がり角となる通路に、どうやら『枯れ葉』がばら撒かれている。

夏の時期なのに、こんなに枯れ葉が落ちてるのは少し不思議だ。
とは言え、奇妙なのはそれ位。二人組を追うには、さしたる障害では無い。

343百目鬼小百合『ライトパス』:2021/06/10(木) 12:42:32
>>342

(おや、これは…………)

       ザッ

季節外れの『枯れ葉』が視界に入り、歩くペースを緩める。
バラ撒かれているのは一ヶ所だけか?
また、その近くに『葉を落としそうな木』はあるだろうか?

(妙と言えば妙だが、そうでもないと言えばそうでもない)

(だが――――『注意』しておくに越した事はない、か)

『枯れ葉』は踏まないように道を通る。
それが不可能ならば、『別の手段』を取る事にしよう。
まず、二人が曲がり角の向こうに消えるタイミングを待つ。

         ズギュンッ

          ライトパス
そして――――『 正道 』を発現。
空いている片手にジャケットを持たせ、
腕を振って風を起こす事で『掃除』する(破ス精CAC)。
新幹線にも匹敵するレベルの『神速』だ。
人並みのパワーでも、
『枯れ葉』を吹き飛ばす程度は余裕だろう。
これで退かせれば、それで良し。
もし全く動かないなどの不審な点があれば、
何らかの『能力』が関わっている可能性が推測できる。
『どっちなのか』は、やってみれば分かる事だ。

344『我ら三連星(仮)』:2021/06/10(木) 14:21:38
>>343

 ズギュン ブォンッッ  ゴォ……ッ

『枯れ葉』は道沿いに路地の抜ける部分に乱雑に撒かれていた。約30枚ほどは
飛び越えるには難しい程に通路を埋めてる。
周囲にあるのはコンクリート建物の壁のみが両側に確認出来て、葉が落ちるような
木々は生えてない。だからこその小さな異常に対して『超常』の力で対処しようと
百目鬼が力を振るうのは自然な選択。細道に吹き抜けた突風は何ら可笑しい事なく
彼と彼女が見えなくなった通りへ飛んでいき・・・。


  ぱさぱさっ   ぱさぱさっ

      ――しゅごぉぉっっ!!

……? いやっ 可笑しい! 今日の天気は気温高く無風に近かったにも
関わらず、『ライトパス』が起こした突風で飛散しかけた枯れ葉は通りで
旋回する軌道と共に小さな『竜巻』と化した! 


「おーおーっ、誰だがしらねーけど。お邪魔虫ってのは居るんだなぁ
こが坊は、やっぱ優秀だっペ。……で? てめー、誰だ おばさん」

 ズギュンッ

「今日は暑いし、だりーし。今からケツ撒いて逃げんなら
オラの『フロちゃん』で痛めつけるのは止めてやるよぉ」

『グゥゥ……ッ』

そう、竜巻の枯れ葉が入り口より少し後退し。それに入れ替わるようにして
ガングロギャルが勇み足で喧嘩口調と共に、指で撃つ仕草で百目鬼を指して
宣言する。その脇には『雪男』のような全長2m程度の巨漢のスタンドが
軽く唸りつつ貴方を睨んでいる。

どうやら、どちらの能力か不明だか貴方に勘付いての罠を張り、その罠を
踏んだ事で尾行は暴かれたようだ。

345百目鬼小百合『ライトパス』:2021/06/10(木) 15:30:18
>>344

「落ち着きな、お嬢ちゃん。
 あんまり喧嘩ばかりしてるとロクな大人になれないよ」

(問答無用で襲ってこない程度の冷静さはある、か)

「アンタの言う通り、『つけた』のは本当の事だ。
 気に障ったんなら謝るよ」

いきり立つ女を見据えて鷹揚に笑う。
『枯れ葉』と『雪男』か。
状況から見て、『雪男』が女のスタンドなのは分かる。
つまり、『枯れ葉』は男のスタンドだ。
おそらく後から出て来た方が荒事向きのようには思えるが、
まだ判断は下せない。

「アタシは『通りすがりのスタンド使い』さ。
 ちょうど『人』を探してる時に、
 アンタらの話が聞こえたもんでね」

「よかったら、
 ちょいと質問に答えてもらえるとありがたいんだけどねえ。
 なぁに、時間は取らせないよ。
 答えてくれるんなら、『冷たい飲み物』を奢ってもいい。
 アンタの連れの分も一緒にね」
 
「ただ、『どうしても嫌だ』ってんなら無理にとは言わない。
 このまま大人しく引っ込むさ」

『自らの目的』を語りながら、『ライトパス』の『警棒』で、
ジャケットの裏に『光の線』を引く。
当然、女からは見えないようにだ。
こちらの能力は知らないし、『一瞬以下』の出来事。
何をしたかも分かるまい。
『利益のない争い』をする気はないが、
もし攻撃してくるなら『迎撃する意思』はある。

346『我ら三連星(仮)』:2021/06/10(木) 18:39:14
>>345

「冷たい飲みもん〜? はっ! んなもんで口割るわけねぇっペ!
それに流れもんとか言って、本当は、あんたも『アリーナ』とか
そう言うのの傘下なんだろっ」

そう、ギャルは喧嘩腰に近い口調で貴方に応じる。だが、踏み込んで
攻撃してこようとはしない。そこまで単純では無いのか、別の理由があるか……。

「人探し? 言っておくけど、私はこの街の出身じゃねーし
こが坊と……って、そうやって色々こっちをペラペラじょーほー抜き出そうと
したって、そーはいかねーぞっ。さっさと私が怒らない内に
とっとと行けよ、おらぁ!」

   グゥン!

『グロォォオッ』

どうやら、このギャルは星見街出身ではないようだ。
そして、雪男の手に『アルミスコップ』が発現される。
いわゆる、除雪用具だ……。


雪男は毛を逆立てつつ、それを貴方に向けて威嚇の咆哮を放つ。

スタンドと女も段々機嫌が悪くなってるようだ。

347百目鬼小百合『ライトパス』:2021/06/10(木) 20:24:37
>>346

「さっきも街中で『物騒な単語』を堂々と喋ってたしねぇ。
 『あの計画』だとか『何人消す』とかね」

「暑くてイライラするのは分かるけど、
 何でもかんでも口に出してると、
 アタシみたいに『妙なの』が寄って来る元だよ」

この女は口が軽い。
これで『刀傷』について知っている人間だったら、
こちらとしては『満点』をやりたい所だったが、
そう都合良くもいかないようだ。
男の方が話は通じそうだが、後ろに引っ込んでしまった。
連れの女が知らないのなら、
男にしたって何か知っている保障はない。
これ以上は付き合っても時間の無駄か。

(『空振り』…………仕方ないねぇ)

「ハハハ、そりゃ怖い。
 そうなる前に退散するとしようか」
 
       ザッ

「ごめんよ、お嬢ちゃん」

軽く笑いながら、スタンドと共に一歩後退する。
だが、相手が『武器』を出した以上、油断はしない。
この場を離れるまでは警戒し続けておく。

(期待はしてないが、最後に試しておくとするか…………)

「――――『刀傷』」

この言葉に対する女の反応を窺う。

348『我ら三連星(仮)』:2021/06/10(木) 22:35:33
>>346(このまま下がる形であれば、次レスで〆ます)

「おーおーっ、さっさと帰れ帰れ! オラが何話そうか
あんたには関係ねーっペ」

ギャルだが、どうにも田舎訛な話し方をする女はシッシッと
追い払う仕草をする。貴方が退散するなら、追って攻撃する気はないようだ。
少なくとも、単純で粗野な部分が強いものの話が完全に通じないわけでは無い。
頭のオムツは良くないようだが。

>――――『刀傷』

「あん?? 刀がどーしたのよ。
オラ達のは『ゆ』…」 「先輩っ!」

「って、おっと! そうだな、こが坊!
これ、あの人からも口止めされてんだった。
ほら、さっさと居なくなれ、おらっ!」 ブンブンっ

スタンドの雪男の像の握るスコップを振り回せ威嚇する。
だが、近づかず大人しく姿を消せば彼等も追いはしないだろう。
これ以上は会話で有益な情報を引き出すのは難しそうだ……。

349百目鬼小百合『ライトパス』:2021/06/10(木) 23:28:41
>>348

(案の定『外れ』か…………。
 ま、予想通りっちゃあ予想通りだけどねぇ)

「分かった分かった。言う通りにするよ」

「だけど、ちゃんと『水分』は取っときな。
 『計画』の前にブッ倒れちまったら元も子もないだろ?」

もっとも、その方がいいのかもしれないが。
『計画』の詳細については知らないが、そんな気がする。
だが、こいつらとお喋りするのは、ここらが『潮時』だ。

「――――邪魔したね」

       ザッ

長居は無用。
先程の言葉通り、その場から立ち去る。
こっちにも『やる事』があるのだ。

(さて、余計な時間を食っちまった)

(だが――――『気にはなる』)

完全に離れてからスタンドを解除し、
再び『本来の目的』に戻った。

350『我ら三連星(仮)』:2021/06/12(土) 08:39:26
>>349(お疲れさまでした)

貴方の目指す『刃傷の男』
 どうやら、心当たりはガングロギャルには思い当たらなかったようだ。

『目的』が異なれば、悪に近しい人物らしいが状況を考えて引き下がる事を
小百合は選ぶ。


  ザッ  ザッ   ザッ

「……ふぃ〜〜っ! おっかなかったなぁ、おい! こが坊!
こんな始まってもねぇ時に、とっ捕まえられるようなヘマはできねぇっぺ」

「この街の…………使い手、ですかね。
結構……やり手な感じで…………ぶつからなくて良かった……です」

「こが坊、オラがマジでやれば勝ってたって! おめーも居るしな」

小百合が居なくなり、プレッシャーが去った二人は安堵と共に
雑談に興じる。

  コツ  カツ  コツ

            ――おい

「おっ! ――さんっ、おつかれーっす! 迎えに来てくれたんで!?」

    ――あぁ、近くまで来てたからな

「有難う……ございます。……実は、さっき……この街のスタンド使いらしき……
どうも……目を付けられかけて」

   ――危なかったな   ……大事の前の小事だからな

「へへっ! でも――さんが居れば、例えアリーナや、この街で幅きかせてた
エクリプスだってこわかないですよ! やっちまいましょう! おら達で!」

    ――あぁ……我ら三人、いや三連星は……


          ――『弓』を……手に入れる!

351赤月『サクソン』:2021/06/13(日) 21:43:39

「・・・・・・・・。」

  ヒュゴォォォオオオ・・・・

      バタバタバタ!!

歓楽街の一角にそびえるとある廃ビルの屋上
深夜、一人の不法侵入者がこのスペースにて動き回っていた

   『ゴォォ!!』

中学生程の娘だ、動きやすいスポーツウェアに身を包んでいる
そして、その傍にはトレンチコートを着た人型の『像』・・・・スタンドが出現している


     カカカッ!!

「まだだ・・・・この程度の速さでは、『アリーナ』に乗り込むには程遠い!」

彼女はスタンドを動かし、時に壁を殴り、時に空を蹴っていた
その様子を見る者がいれば、何かの訓練の様にも見える

352御影憂『ナハトワハト』:2021/06/13(日) 22:04:01
>>351

      (――――――………………)

   ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド
      
      ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド

赤月は『一人』ではなかった。
その存在を誰にも悟られる事なく、
訓練を見守る『影』があったのだ。
『闇の衣』を身に纏うスタンド使い――『御影憂』だ。
『最悪の気分』の中、
己の『飢え』を満たしてくれる『獲物』を探す最中、
その姿を見かけた。
密かに観察する事を決め、現在に至る。

353遊部『フラジール・デイズ』:2021/06/13(日) 22:15:29
>>351-352
(乱入出来ますかね? 可能なら、入る形のロールします)

詳細↓
【対応してくださる方々へ】
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1617983099/70n


  キィ……

屋上の扉が、半分程開いた。


その隙間から、視線が赤月に注がれる。

354赤月『サクソン』:2021/06/13(日) 22:23:04
>>352

深い闇の中、完全に姿を消した御影の存在に気が付く事はなかった
己の情報が観察によって密かにリークされている事も知らず、『スタンドの訓練』は続けられる

>>353
(私としては乱入OKです)

   バババッ!

地面に立てられた『鉄の柱』に向けて木人拳の要領で拳を繰り出す
鉄を曲げる程のパワーはないが、いくらかの傷がそこに生まれる

「誰だ!?」

扉を開く音に気が付き、誰何の声をあげる
視線が扉に向かって注がれた

355御影憂『ナハトワハト』:2021/06/13(日) 22:59:53
>>353-354

(『アリーナ』に乗り込む………………?)

最初はスタンドの能力を調べるつもりでいた。
だが、状況が変わった。
赤月の独り言が耳に入ったからだ。
何よりも気に掛かったのは『それ』だった。
その言葉から窺えるのは、『アリーナ』に対する敵対心。

(………………)

御影憂は『アリーナ』を嫌っていた。
それは身内を殺されたからではない。
殺されたのは『自分自身』だ。

(………………)

夜明けに見た『過去の記憶』を思い出す。
かつて『エクリプス』が健在であった頃、
一つの抗争が起こった。
片方は『エクリプス』、もう片方は『アリーナ』。
『戦争』と呼んでもいい血で血を洗う死線、
眼前に飛び交う暴力と血飛沫を見た。
まだ『七つ』の頃だった。

(………………)

『スタンド使い同士の戦い』に巻き込まれた時、
『従兄弟』が一緒だった。
彼を本当の兄のように慕っていた。
そして、彼はスタンド使いの攻撃から自分を助けるために、
瀕死の重傷を負った。
同時に、私は心に重症を負った。
心を閉ざし、『恐怖の記憶』に怯え続け、
病室でカウンセリングを受ける日々――――。

(………………)

同じ病院でリハビリを続けていた従兄弟は、
しばらくして他所の病院へ転院していった。
その時に交わした言葉は、今でも覚えている。
彼は言った。
『力のない人々を守るために必要な事をする。
準備を終えたら、いつか必ず迎えに来る』と。
私は頷き、それから何年もの月日が流れた。

(………………)

その間に、私の心には変化が起きていた。
悪夢の中で『恐怖の記憶』に苛まれ、目を開けた時、
私の身体は『闇の衣』に包まれていた。
自分の『力』を自覚し、そして思った。
『恐怖を与える側』になれば、
『恐怖を受ける側』にはならない。
それこそが、『恐怖に打ち勝つ唯一の方法』だと。

(………………)

しばらくして、私は長期入院していた病室を退院した。
『夜の狩り』が始まり、私は『恐怖』から解放された。
それが、今の御影憂の『全て』だ。

          ――――スッ

(………………『新手』)

一旦、赤月から離れ、新たに現れた侵入者に近付いていく。
『夜』の『ナハトワハト』は『絶対的』に『無敵』。
何者であろうと、触れる事も認識する事も出来ない。
こんな場所に来るのは、ロクな人間ではあるまい。
まずは、その姿でも拝見してやろう。

356遊部『フラジール・デイズ』:2021/06/13(日) 23:11:14
>>354-355(感謝します)

カツ カツ カツ

「……」


赤月の声掛けと共に、人影が一つ……姿を現す。

リュックを背負う、フード付きの黒いコートで顔を隠した謎の人物。
それが、赤月と6,7m程の距離を保ったところで立ち止まり
男性とも女性とも判別つかぬ声で静かな空間に告げる。

「良い夜だ、そう思いませんか?」

「こう言う月も姿を見せない空の日は、とても良い……。
秘密を覆い、真意を露わにせず動くには、とても良い……」


「……貴方の血が欲しい」

   ドドドドドドドドドド

「強い思いを乗せた血……」  チャキン

! 謎の人物は、袖口に隠してたらしいナイフを構えた……!

357赤月『サクソン』:2021/06/13(日) 23:24:49
>>355-356

闇夜に潜む『観察者』の事には気が付かず
赤月はただ目の前の闖入者に視線を集中させる

「・・・・・・チッ!」

目の前の人物が『ナイフ』を取り出すのを見た

(『アリーナ』の関係者・・・・?
 いいや、私はまだ彼らと直接接触した事はない・・・・情報が漏れるはずはない!)

(だとすると・・・・!?)

赤月の脳裏に一人の『少女』の顔が浮かぶ
この町に来て唯一、自身の『殺意』を告白した人物・・・・

(・・・・! いいや!そんなはずがない!
 彼女が私の情報を『アリーナ』に漏らすはずが・・・・!)

「秘密を覆うのに都合の良い夜だという事は同意する
 でも・・・・君が現れた事で、そんな夜も台無しになってしまったようだな!」

「何が目的だ?」

手元に武器となる『道具』は少ない
ほとんどの『道具』は訓練の中で消費してしまったからだ
唯一、使えそうなのはポケットに入れていた『ボールペン』くらいか

赤月はその『ボールペン』を『サクソン』の『ポケット』に忍ばせた

358御影憂『ナハトワハト』:2021/06/13(日) 23:46:58
>>356-357

(………………『フラジール』)

(こいつ………………『どっち』………………?)

現れた人影の姿を見て、すぐにその正体を直感した。
何故なら、『飯田咲良』からの情報を得ているからだ。
この怪しげな風体は、彼女から聞いた話と一致する。
そして、『フラジールのスタンド』は、
『本体とそっくり』である事も既に知っている。
ゆえに、『それ』が『スタンド』である可能性も、
考えの内に入っていた。

        フ…………

(まぁ………………『どっちでもいい』………………)

(私には………………『手出し出来ない』………………)

(『夜のナハトワハト』は………………『無敵』………………)

眉根を寄せながら、口元が三日月のような笑みを形作る。
ここで『争い』が起きるのであれば『好都合』だ。
まず『情報』が取れるし、
こいつらの『素性』や『危険の有無』も判断できる。
潰し合って共倒れしてくれるなら、それでもいい。
『特等席』で『高みの見物』をさせてもらおう。

       スゥ――――…………

(あっちも『やる気』だし………………)

赤月を一瞥しつつ、
浮遊して『全体が見える位置』に音も無く移動し、
二人のやり取りを『監視』する。

(………………『面白くなってきた』)

359遊部『フラジール・デイズ』:2021/06/14(月) 00:04:36
>>357

>何が目的だ?

「言った筈だ」

 ザッ

「『血』を望む、たったそれだけの簡単な事」

カツ コツ カツ コツ

謎の人物(フラジール)は赤月に歩きつつ接近している。

その距離は既に2,3mほど。一気に駆けよれば肉薄し
ナイフが刺さる絶妙な間合いだ。

「――行くぞっ」

 タンッ

360赤月『サクソン』:2021/06/14(月) 00:14:43
>>358-359

「なるほど・・・・『流血沙汰』がお望みか
 この国は治安が良いと聞いていたけど、中にはそうでない場所もあるのだな!」

赤月はまだ目の前の人物がスタンド使いである事を知らない
それ故に、一般人を制圧するのと同等のプランを練っていた

(まずは頭部に一撃・・・・『サクソン』を前に出してイニシアチブを確保する
 身柄を確保したら尋問を行うか!)

2-3mの距離を詰める様に『サクソン』を前進
そして、そのまま目の前の人物の側頭部に向けて右フックを打ち込む! パス精CCA
左手は『トレンチコートのポケット』の中に入れっぱなしだ

361御影憂『ナハトワハト』:2021/06/14(月) 00:30:58
>>359-360

(『始まった』………………)

『フラジール』は『ナイフ』。
あっちの『人型』は『拳』。
『スピード』に関しては、どちらも似たようなレベルらしい。

(いきなり『ナイフ』を出して襲い掛かる…………)

(………………『危ない奴』)

『咲良』からは、
『フラジール』は『アリーナ』の回し者だと聞いたが、
随分と物騒な奴を飼ってるものだ。
だから『アリーナ』は嫌いだ。
口では大義名分を掲げていても、
いざとなれば力のない者を犠牲にする事を躊躇わない。
結局の所、あいつらはそういう連中なのだ。
だからこそ、『自分達』が動かなければならない。

(………………何か『仕込んでる』)

赤月側の動きを見て、それを悟った。
目の前に『危険人物』がいるのに、
自ら片手を塞ぐ事など有り得ない。
明らかに、何らかの『布石』を打っている。

(………………『お手並み拝見』………………)

362遊部『フラジール・デイズ』:2021/06/14(月) 00:46:37
>>360-361

赤月は、ナイフを持ち接近する敵(フラジール)へ迎え撃たんと
『サクソン』を前に接近する!
 距離3mから2mへ間合いに入り……。


          ――フッ

!!? 赤月と『サクソン』。共有する視覚の中で、敵が『消えた』っ?!


(※御影には、問題なく闇の中より『フラジール』が見える。


>>359メ欄:2mno 2m no(2mの距離で赤月に対し舞台外指定)だ。
これにより、『フラジール・デイズ』は赤月を認知出来なくなり、逆も同様。
尚、舞台外指定時は従順なメイドの『トレ』と言う演技で動いている……。

 plll……。

 『トレ……これより、数m前に移動だ』

「了解しました」

そして、フラジール・デイズを赤月の背後のほうへ移動させる……。

363赤月『サクソン』:2021/06/14(月) 00:58:25
>>361-362

「な・・・・ 消えた!?」

スタンドを直進した直後に、目の前の人物の姿が消える
突然起きた予想外の事態に、経験の浅い赤月は驚き、一瞬だけ動きを止めた

「しまった・・・・!」

慌ててスタンドを自分の傍に戻し、周囲の警戒を始める

364御影憂『ナハトワハト』:2021/06/14(月) 01:05:12
>>362-363

(――――――………………?)

眉根を寄せた表情のまま、小さく首を傾げる。


              リアクション
(何………………その『反応』………………?)

『フラジール』は今も目の前に立っているというのに、
まるで急に見えなくなってしまったような…………。

(『まさか』――――――)

         オ ハ コ
それが自分の『十八番』だからこそ、感覚で分かる。

(――――――『同じタイプのスタンド』)

しかし、完全に同じスタンドというのは基本的に存在しない。
『フラジールの能力』も、
『ナハトワハト』と全く同一という訳ではないようだ。
眼前の光景を目撃した御影憂は、
『対象は限定されている』と考える。
そうでなければ、自分にも見えなくなっているはずだ。
少なくとも、『闇の中』なら、『ナハトワハト』が一枚上手。

(だけど………………『面白くない』)

笑みを浮かべていた口元を引き締め、心の中で呟く。
よりにもよって、
『アリーナ』の中に『似た能力を持つ者』がいた事は、
自分としては遺憾の極みだ。
降って湧いた思索を一旦胸の隅に追いやり、
改めて『任務』に集中する。

(………………『どうなる』かな………………)

365遊部『フラジール・デイズ』:2021/06/14(月) 01:35:53
>>363-364

赤月は警戒し、闇の中の女王とも言える御影は一部始終を見て
フラジールの能力が奇しくも自分に近しいと解答に到達する。

(さて……王手をかけるぞ)

屋上入り口の死角にて『私』は双眼鏡を片手に戦闘を見守っていた。

標的は『一人』 いま現在狼狽しており、フラジールは後ろにいる。
掛けてる携帯より、こう指示する。

「今より、懐中電灯で合図をする。それと共に舞台外指定解除と共に
標的の首にナイフを添えろ」

『了解しました』

そして、『私』は屋上の入り口を抜けると共に携行してる懐中電灯で
相手の顔目掛けて照らす!

注意が一気にこちらに向けると共に、背後よりフラジールは出現し
赤月へナイフを添えるだろう!

366赤月『サクソン』:2021/06/14(月) 01:47:24
>>364-365

   カッ!!

「くっ・・・・そこか!」

        ピタ・・・
            「はっ!」

懐中電灯が赤月の顔を照らした瞬間に、
赤月は『敵』の居場所を認め、入口の扉に向かって駆け出そうとした

しかし! その瞬間に背後に『フラジール』が出現!
ナイフが首に当てられる・・・・・
なすすべもなく、立ち止まる赤月・・・・その顔が悔しさに歪められた

「くそっ・・・・ここまでなのか・・・・!
 まだ何も成し遂げてないのに・・・こんな所で終わるのか・・・!」

傍に立つ『サクソン』が大人しくその腕を下げる
左手は相変わらず、ポケットの中に入れたままだ

367御影憂『ナハトワハト』:2021/06/14(月) 01:57:09
>>365-366

       「 ! ! ! ! ! 」

                ――――――ドシュゥゥゥッ!!

『懐中電灯』の光が見えた瞬間、
その場から高速で後退して間合いを取る。
『闇の中』において絶対的な強さを誇る『ナハトワハト』だが、
『光』は『天敵』。
嵐の中に咲く一輪の花のように、
この身を覆う『闇の衣』を容易く散らされてしまう。

(………………『油断』した)

『懐中電灯』の明かりは、御影を狙ったものではない。
当たったとしても、
せいぜい一部が照らされる程度で済むだろう。
『非実体化中』の御影は、高速の移動(スB)が可能になる。
一部が照らされた程度なら、
即座に逃れさえすれば『強制解除』には至らない。
助かったが――――内心、『恐れ』を感じた。

(『違う』………………)

自らの心に浮かんだ『恐怖』を頑なに否定する。
御影憂は『恐怖を与える存在』。
『恐怖を受ける側』であってはならない。
『アリーナ』と『エクリプス』の争いに巻き込まれた時、
明るい少女だった御影憂は『死んだ』。
今ここにいるのは、『闇の衣』を纏う『夜の狩人』なのだから。

(『アリーナのフラジール』………………)

       ジッ

(『アリーナに敵対するスタンド使い』………………)

              ジッ

(これで………………『決着』………………?)

距離を詰めてやり合う二人を交互に見据えながら、
戦いの成り行きを見守る。

368遊部『フラジール・デイズ』:2021/06/14(月) 20:37:16
>>366-367

「さて……これで終わりだ」

おもむろに、『私』は。こう言うスタンド使い相手に前もって用意していた
『ナイフ』を取り出す。同時に『フニクリ』も背負うリュックから出す。
『サクソン』に、フニクリの注射器を取り外して採血の準備は整えた。

 『貴方 ノ 強イ感情ノ 血ガ 必要ト サレテ マス』

「少しでも動けば、貴様の首に添えたナイフが頸動脈をかっ切るのが早い。
恐ろしいか? 私が憎いか? そうだ……その全てのリピドーをぶつける事も
できぬままに、お前の心血は全て私が頂こう……!」

 赤月自身の、胸元に『私』が持ってるナイフを突く!

と、同時に『フニクリ』の注射器で『サクソン』から、ほぼ無理やりとなるか
血を得る事にしよう……。

『恐怖』か『憎悪』になるか不明だが。ナイフで殺されると感じる感情が
強くない訳が無いのだ。『負の感情』の血液……頂くぞ!

369赤月『サクソン』:2021/06/14(月) 21:01:52
>>367-368

>『貴方 ノ 強イ感情ノ 血ガ 必要ト サレテ マス』

「私の・・・・『血』だと・・・?
 何を・・・・・! (プスッ) ・・・・・ッ!? く・・・・・ぁ・・・・・ッ!!」

『サクソン』のポケットの中で『最後の反撃』のために仕込みを行う赤月
だが、『照準』を正確に合わせるよりも前にその胸に『ナイフ』が突き立てられる!

驚きに全身の筋肉が硬直した瞬間
止めを刺すかのように『フニクリ』の注射針が『サクソン』の身体に突き刺さった・・・・
その『血』に混じるは強い『憎悪』の感情・・・・暴虐を恣にするスタンド使いへの『殺意』だ

             ビュオッ!

と、『フニクリ』の採血が終わる瞬間に、『サクソン』の左ポケットから何かが射出される
それは『袖箭』と化した『ボールペンのフタ』だ(>>366メル欄)
形状の変化を起さずに、末端が鈍のままの『フタ』だが、『袖箭』と化した事でそれ相応の威力を持つ
その物体が、赤月の背後に立つ『フラジール』の頭部に向かって放たれた!

「こんな所で・・・・死んでたまるか!」

さらにこれは赤月には予想できない事だが、
『サクソン』の能力により、『目撃者(御影)』がいる時、
『暗器』によって受けたダメージは回復せずに持続する・・・・
つまり、頭部にダメージを受けた場合はその衝撃によるめまいや激痛が
御影が見えている限り永続するという事だ!

370御影憂『ナハトワハト』:2021/06/14(月) 22:07:50
>>369-370

(『血を集めている』………………)

(………………とか言ってたっけ)

『別のスタンド』を見て、両の目を細める。
スタンドは多種多様――『そういったタイプ』も中にはいる。
だから、それは大した問題じゃあない。

(――――――………………)

咲良から聞いた話では、『フラジール』は、
何らかの目的で『スタンド使いの血』を集めている。
しかし、こんな強引に……
『辻斬り』じみた方法だったとは聞いていない。
『状況』が変わったのか?
たとえば、『期限』が迫っていて、
無理矢理にでも奪う必要が出てきたとか……。
それにしたって、
頭を下げるなり取引を持ちかけるなりすればいい。
力尽くというのは、
それらが全て失敗した場合にやるべき手段だ。
『ハナから腕尽く』というのは……何なんだ?

『力尽くしか出来ない奴』なら、それも有り得る。
だが、『フラジール』は、『咲良の能力』を聞いて、
『自分のスタンドに自分を襲わせた』という。
『フラジール』は知恵が働くタイプの人間だ。
力馬鹿ではない人間が力尽くをやるのは、
それなりの理由がある。
そう考えていた時、『答え』は向こうから転がってきた。

(………………『強い感情の血』)

それで辻褄が合う。
つまり、怒らせるか恐れさせるために、
こんなやり方を選んだという訳か。
納得はしたが……やはり面白くない。
『恐怖を与える者』として、その方法には賛同しかねる。
実際に危害を加えるのは『下の下以下』だ。

(『何か』飛ばした………………)

(………………『飛び道具』の使える人型スタンド)

赤月の能力を目撃し、思考はフラジールからそちらに移る。
それと同時に、『何か』を感じた。
心の琴線に触れるような『何か』だ。

(『そんなやり方』じゃあ………………)

『アリーナと敵対しているらしいスタンド使い』。
だが、あの様子は『アリーナ』の強大さを理解していない。
この御影憂は違う。
人知れず密かに立ち回り、
確実に『スタンド使いの情報』を集めてきた。
『情報』というのは、
使い方次第で『状況そのもの』を動かす力を持つ。

(………………『ダメ』)

371遊部『フラジール・デイズ』:2021/06/14(月) 22:35:30
>>369-370

赤月の胸に、刃差し込まれる。激痛、心臓に冷たい鋼が喰いこむ感触……は無い!

凶行を及ぼした、目の前の相手のナイフが腹部から抜かれたが血の一滴すら出ない。
どうやら、>>368(メ欄:刃がひっこむタイプ玩具)凶器は偽物のようだが
向けられた殺意は本物だった。

  ビュオッ!   ゴンっ

『……っ!』

 「目的は達した……恨んでも良いが、時間が無いのでな。もう用は無い
フラジール……? おい、フラジールっ」

引き下がり、フラジールに自身が襲った赤月を撤退までに足止めを
命じようとしたが、起き上がろうとするのに時間が異様に掛かっている。

(何だ? こいつのスタンド能力の影響か……?
…………仕方がない、見捨てるしかないか)

 タンッ!

「フラジール! 足首を掴んでても、そいつを止めておけ!」

(時間の猶予が少ない。フラジールが破壊されても一週間もすれば
再発現は出来るんだ。少なくとも、もう一人の血が要る)

難しいが、フラジールに赤月の拘束を命じ屋上の入り口向けて走る。

(※撤退可能なら、そのまま去りますし。追撃のロールがあれば、対応します)

372赤月『サクソン』:2021/06/14(月) 22:54:42
>>370-371

「く・・・ぅ・・・・どういう事だ!?」

胸を刺され、命を狙われた・・・そう思っていたのだが、『ナイフ』はニセモノだった
『スタンド血液』を抜き取られた事でふらふらと立ち眩みのような症状を呈するものの
自身の身体には傷一つついていない

「何故、『サクソン』の能力が発動している?」

『フラジール』の本体が遠ざかる足音が聞こえるが、流石に追いかける余裕はない
仕方なく、『頭部への衝撃』が持続し、足元に倒れ伏す『フラジール』に・・・・

「『サクソン』ッ!!」

自身のスタンド、『サクソン』が当て身の一撃を放つ!
狙いは『フラジール』を気絶させる事であった!

「はぁ・・・・ はぁ・・・・ ここに誰かいるんだろう?
 出てこい! 私は逃げも隠れもしない!」

一連の作業が終了した後、周囲の『闇』に向かって大声で呼びかける!
『サクソン』の『回復阻害能力』は『目撃者』がいなければ成立しない
しかし・・・・扉の影に隠れていた何者かが逃げ去った後も目の前の『フラジール』は倒れたままだった

つまり・・・・この場所には『もう一人』誰かがいるという事だ

(※『フラジール』本体は追わずに、『フラジール』を気絶させたいです)

373遊部『フラジール・デイズ』:2021/06/14(月) 23:07:23
>>372(お二人ともお疲れさまです。御影さん、ほとんど絡めず申し訳ない』

了解です。では、そのまま『フラジール』は自動で解除され
こちらは離脱と言う形にさせて頂きます。お付き合い感謝です

374御影憂『ナハトワハト』:2021/06/14(月) 23:22:55
>>371-372

(………………『ダミーナイフ』だったか)

だが、『スタンド』を利用して強制的に血を採るのは、
『スタンド攻撃』と呼んでも差し支えない。
『フラジール』は、『それ』を行った。
今までの『評定』は『注意』に留めていたが……。

(こいつ………………『危険』)

そして、『フラジールのスタンド』の様子がおかしい。
『飛び道具』を食らったのは見えたが……『麻痺』している?
あの『コートを着たスタンド』の能力か?
単純に撃つだけではなく、
何らかの効果が付与されていたらしい。
となると、『当たる』のは危険だ。

(でも………………)

(当たらなきゃ何の意味もない………………)

『マシンガン』だろうが『隕石群』だろうが、
この『闇の衣』の前では全て無意味と化す。
だが、これが『昼間』なら厄介だ。
『ナハトワハト』が『無敵』でいられるのは、
あくまでも『闇の中』だけなのだから。
しかし、『夜のナハトワハト』は『絶対的』に『無敵』。
何者であろうと、その姿を見る事は絶対に――――――。

  (――――――ッ!?)

      (………………『バレた』?)

  (『夜のナハトワハト』は『無敵』………………)

        (『そんな筈』が………………)

            (………………『ない』のに)

潜んでいる事を指摘されて激しく動揺するが、
分かった事もある。
あのスタンド使いは、『自分の能力』が発動した事で、
『他の誰かがいる』のが分かった。
つまり、『誰かいないと発動しない能力』だという事。
予想外の『不意打ち』を食らったが……『任務』は果たした。
一夜の収穫としては十分だし、姿を見せるメリットがない。

(『真っ直ぐ』なのは結構だけど………………)

『サクソン』という名のスタンド。
極めて正確な動作と飛び道具を持つ。
明るい場所で正面から戦えば、勝つのは向こうだろう。

(それだけじゃあ………………
 『どうにも出来ない相手』もいる………………)

            ナハトワハト   テリトリー
だが、『闇の中』は『 夜警 』の『領域』だ。
激しい怒りとは正反対の冷めきった表情で少女を見つめる。
『片方』は逃がしてしまった。
しかし、まだ『こっち』が残っている。
このまま闇に紛れて『尾行』し、『どこへ帰るか』見届ける。

375赤月『サクソン』:2021/06/14(月) 23:40:49
>>373
(了解です!お疲れさまでした)

>>374

     トンッ!

          シュウウウウウウ・・・・

「・・・・・!? 消え・・・・た? 気絶させただけなのに?
 まさか・・・・ここにいたのは『スタンド』?
 実体化していて・・・人間の様にしか見えない『スタンド』なんてものが・・・・?」

確保した『フラジール』を尋問するべく、気絶をさせようとしたがそれが裏目となったようだ
目の前で、『ダミーナイフ』を手にした『フラジール』が消えていく

(それにしても・・・・)

      「臆したのか!?」
      「こそこそするばかりではなく、この場に出て来い!」

(駄目だ・・・ 何の反応も返らない)

 (もう既にどこかに逃げた・・・? それとも、まだこの場にいる・・・?)

「くっ・・・・!」

―――赤月は迷う
このまま、自室のある『学生寮』に帰ってしまっては、
目に見えない『何者か』に拠点を教えてしまうようなものだ

そうなった場合、周囲の人間に迷惑がかかるかもしれない
この町に来て、初めて出来た『友達』にも・・・・

(駄目だ! このまま帰るわけにはいかない!)

だから、赤月は決断した
遠くへ・・・・ どこまでも遠くへ逃げようと・・・・

屋上から降りて『駅』へと向かう
そこで、切符を買うのだ・・・・『新幹線』の切符、そして向かう先は『O阪』だ
別にどこへ行っても構わないが、時間は夜だ、だいたいその辺りまで行った所で『終電』になるだろう

御影に止められることがなければそのまま『O阪』へ向かう


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