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大河×竜児ラブラブ妄想スレ 新避難所

1まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2009/06/16(火) 03:01:04
ここは とらドラ! の主人公、逢坂大河と高須竜児のカップリングについて様々な妄想をするスレの避難所です。
アクセス規制で本スレに書けない、とかスレに書けないような18禁のエロエロ話を投下したい時とかに
お使いください。

105◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/19(金) 21:09:24 ID:???
 まだ竜児のが小さいのもあって、大河はそれを根もとまで咥えてくれていた。大河の鼻息が、薄くはない竜児の陰毛を揺らしてくすぐる。嬉しいかといえば、嬉しいに決まっていた。フェラチオ、とかいう、言葉はあまり好きになれないその行為があることは、竜児も当然知っていたし、映像で見たことならあった。しかしそれを好きな女に、大河に、してもらおうなどとは望むべくも無かった。なにせそれが気持ちいいかどうかもわからないのである。望むどころかほとんど念頭にすら無かったのだ。
 竜児が気持ちを落ち着かせるのと、それはひきかえだった。
 大河はおもむろに、竜児のそれを舌にまっすぐ載せるようにして、口腔の天井と挟むようにして、ちゅっちゅと吸い出したのだ。
「おう!?」
 驚いた。にわかに気持ちいいのである。自分のものが漲ってくるのを竜児は感じる。
「おまえ……そんなやり方、どこで」
 問われた大河は、ちょいちょいと上の方、竜児の顔あたりを指差してくる。
「……俺?」
 竜児を指しているのだとすれば、意味がわからない。しかし大河もそれ以上はジェスチャーでは答えられないらしく、あきらめて、またちゅっちゅと。
 巧い、と言うべきなのだろうか。本格的に、よくなってくる。竜児は大河にそのことを伝えたくなる。なるのだが。
「ああ……大河……」
 溜息して、呼んで、大河の淡色の髪をやさしく撫でるのが、竜児にはせいいっぱいだった。いいよ、の一言がまだどうにも恥ずかしい。
「大河……ああ……たい、が?」
 なにやら大河がぺちぺちと竜児の胸を叩いてくる。気づけば、淡色の髪からのぞく小さな耳は毒々しいほどに真っ赤。陰毛にくすぐったかった鼻息も感じない。胸を叩く力はにわかに強まりべちべちべち!べち!と……これは。
「……タップ、か? いでえっ!?」
 べっちーん! とすごい力で胸を突き飛ばされる。ふとんへと仰向けに倒れこみながら、竜児は見た。目もとにうっすら涙を浮かべて赤鬼のように睨んでくる大河の口から、いったいその小さな顎のどこに収まっていたというのか、勃起した竜児の陰茎がずろろとばかりに吐き出されたのを。年明けてわずかふた月あまり、早くも今年度の衝撃映像ベストワンが決まった瞬間であった。
「っぷはあっ! はー……っ! じぬがどおぼっどわっ! はーっ!」
 もう何も咥えていないのに、大河の言葉は翻訳が必要なのだった。
「……死ぬかと思った、か? じゃねえっ! 無理するなと言っただろう俺おまえ……っ! ひょっとして俺、おまえの頭抑えちまってたか?」
「黙れ下郎っ! ふおお……貴様のミスではない、私のミスだっ! だが衷心はありがたく思う! はーっ!」
 握った竜児の勃起が棍棒がわり、赤鬼大将軍・大河閣下の降臨であった。
 すると竜児の胸に赫かくと残るもみじの痕は、さながら地獄行きの通行手形か。しかし竜児はその痛みも忘れて、ひたすら大河が心配でならない。赤鬼大将軍様の正体は、ただ真っ赤になってはあはあ息を切らした愛くるしい少女なのだと、竜児は知っているから。腹筋だけで起き上がり、大河を抱こうと両手をオロオロとさまよわせ、
「だ、大丈夫かほんとに、おまえもう……いだあっ!?」
 べっちーん! ともう一発、胸をはたかれ竜児はふたたび仰向けになる。左右の胸に仲良く並んだ手形は二つ、地獄にだって二度行けるんである。一度たりとも行きたくはないが。
「ふー……大丈夫だってば。気持ち良かったんでしょ? 竜児。私嬉しいの。大丈夫、続けさせて?」
 息切れと一緒に赤鬼様も去って(棍棒がわりの竜児の勃起は残っている)、そこには頬もぷにっとリンゴ色にした、いつもの上機嫌の大河がいるのだった。竜児を大きな瞳で眺めるその微笑みからは、たしかに無理からくる痛々しさのようなものは微塵も感じられないのだが。
「おう……でももう、充分じゃねえか? おまえのおかげで、ちゃんと勃……」
 そう言って起き上がろうとしかけた竜児を、片手を上げて大河が制する。さすがの竜児も胸のもみじを三つにはしたくないので、ここはひとまずと退いて、素直に寝に戻った。どうせ三度なら地獄ではなく仏の顔を拝みに行きたいではないか。
「駄目よ。竜児の勃起はまだ完全体じゃない。続けさせて。大丈夫、もう無理はしないから」

106◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/19(金) 21:10:22 ID:???
 竜児のそれを人造最強生物みたいに呼んではいるものの、大河の表情は真剣そのもの。大きな瞳に星を散らせてまっすぐ竜児を見つめてくる。これは、竜児にはお手上げの目つきであった。
「……わかった。頼むよ」
 竜児の答えを聞いて、すぐに大河は目を細め、えっへへ〜♪ なんて笑いながら、さっそく竜児の勃起にちゅっとキスをくれたりなんぞする。よかったな、おまえ大河に気に入られたみたいだぞ……竜児はつい、大河に握られてキス責めされている手乗りドラゴン(たぶん第2形態)に心の声で語りかけてしまう。嫉妬はしていないとも……たぶん。
 しかし、これは。
 勃起と戯れている大河の顔を眺めていて、竜児はわかったような気がした。もちろん大河の手は特別で、その唇も特別で、触られれば格別な快感を感じるのは確かだが、わかった。これは眺めだと。この眺めが精神的に来るのである。背筋がなにやらゾクゾクとする。
 なにしろ自分の股間に顔をうずめているのは、好きな女、惚れた女、大河なのである。宝石のように煌く瞳を半ばうっとりと目蓋で隠し、優美なラインで彫られた鼻をこすりつけ、薄い花びらのような薔薇色の唇から桜色の小さな舌を一生懸命伸ばして舐め上げ、薄紅に染めた頬を可愛らしくふくらませたりすぼませたりして、せっせと頑張る大河はそれはもう美少女なのだった。くんかくんかと、竜児の陰毛に鼻をうずめて付け根の匂いを嗅いでも……、
「わあ嗅ぐなっ!」
「ん……臭いといえば臭いような……不思議と嫌いになれないような」
 気持ちとろんと微笑んだりしてちょっと変態の気があるにせよ、大河はすごい美少女なのだ。
 いやもうこの際はっきり言おう、この世で一番美しくて一番綺麗で一番可愛い娘なのだ、大河は。ちっこいけど、ちっこいから一番なのだ。ちっぱいけど、ちっぱいから一番なのだ。惚れた欲目なんじゃない。大河流に言えば、絶対絶対絶対絶対ずぅえぇええええぇ――――――っっっ!たいにっ!!そうなのだ。本当なのだ。マジなのだ。と、竜児は思う、とかは無しなのだ。
 その大河が、である。その、神の造物の奇跡、降り来たった天空の花嫁、息づく結晶となった無限の慈悲の証、真理も正義も頭を垂れるべき美の天使……もういいか? まあ、そんな可愛い可愛い大河が頬擦りしたり舐めたり咥えちゃったりしているのは、持ち主の竜児からしても、なんでおまえはそうなった、と、昔は可愛かったじゃないか、と、それが今や鬼の棍棒もそう遠くない馬色の青筋も馬並みなのね、と、お父さん僕のおちんちんはどこに行ってしまったんでしょうね、と、パパドゥユーリメンバー、と、本当にそれくらい凶悪な感じに勃起した男根、肉棒、まあそんなものなわけである。
 最愛のお姫様があろうことかおのれの股間に跪き、聖なるものであるかのように凶悪醜悪な肉棒にかしずくというこのコントラスト。この眺め、これがたまらないのだ、たぶん。主人と奴隷の反転、めまいを覚えるほどの美醜の無限の弁証法。しかも大河は小柄なお姫様で、背徳感もサイズの逆比例の二乗で増加するというもの。竜児。何をいっているのかなんだかよくわからないが、何かを考えていないといけないのだ俺は。竜児。意味はこの際、二の次だ。そうでもしてないとやばい感じがするんだ。「竜児」なんだ大河、俺を呼ぶな。俺は我慢しているんだ……!
「な、な、なんだ、大河……?」
「だから、さっきの答え。おちんちんの舐め方、竜児がえっちなキスで教えてくれたんじゃない」
「お、おう、そうか……と、ところで大河、もうそろそろ……おおぅ……っ!」
 薔薇の唇も半開き、桜色の舌をめいっぱい伸ばして、大河は竜児の肉棒を根もとから先端まで、つぅーっと舐め上げる。しかもうっとりと瞳を流し目にして、竜児の顔をうかがいながら、つつぅーっと。
「そ、それは反則だ大河っ……こっちを見ながらなんて……俺はそんなのは教えてないぞ……っ!」
 大河は小悪魔みたいにクスクス笑って、
「だって、竜児の反応見てないと、どうされるのが好きなのか知りようがないじゃない? これもあんたが教えてくれたことだけど」
 いい生徒でしょ、私……なんて微笑みながらのたまって。ああっ、また……っ! つつぅー……っ。こ、こっち見んな!
 逆だった。お姫様が奴隷のようにかしづく、のじゃなかった。どう見ても今や竜児は大河に支配されていた。やっぱりお姫様はお姫様で、下男は弄ばれるばかりなのだ。いけない、その認識はそれとして、変な喜びが湧いてきそうになって竜児は背筋がゾクゾクしてしまう。このゾクゾクが快感でないと信じたい……。

107◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/19(金) 21:11:15 ID:???
 それはともかく、思考の抽象的で清浄な天界から、肉体の具体的で淫靡な下界へと、こっち見んな大河に引きずりおろされた竜児はいきなり大ピンチなのだった。
 男の腰の奥のどこかにあるような無いような、入ったら最後の発射スイッチこそまだオンされてないが、大河はまるでそのスイッチのまわりでくるくる回って踊ってヘヘイ!な踊り子状態。いつスイッチをカチリと踏んで、あらやだ、3、2、1、爆射! 遺憾だわ殺す方向で……となってもおかしくない。言いたいことをなんとかお察し頂きたい。その時。
 察しの悪い踊り子に身をやつしたお姫様こと大河が、あーん、と大口を開けて――やばい、ここで先っぽをパクり、なんぞされたら――
「大河さま!」
 叫んだ竜児は言い間違い、下僕そのものになっていた。
「……さま?」
 パックリ寸前で大口を閉じて、大河がけげんそうに訊き返す。ひとまず助かったと竜児は思う。大河、と普通に呼びかけていたらそのままパックリの後、はひ?、とでも先っぽを口の中で転がされていたかもしれない。怪我の功名であった。
「あ、いや、なんでもねえ……っなんでもねえんじゃねえ、大河っ!」
 あっそ、と、やり直しとばかりあーんと大口を開けた大河をあわてて呼び止める。
「なによ」
「いや、もう、本当にいいんじゃないか? もう……そうだ、完全体! 完全体になったぞ俺は、大河!」
「えーっ。ほんとう?」
「本当だ、だからもうゴムを、をををおまえそれやばいいいい……っっっ!」
「だってこうしてないと維持できないじゃん、完全体」
 そう言って大河は、小さな手で握り具合も絶妙に、竜児のをゆっくりしごきあげる。このわずかな時間でさまざまなノウハウを開発、吸収して、完全体へと近づいているのはむしろ大河の方なんじゃないのかと竜児は思う。面白くなって来たところなのに……なんて、唇を蕾に尖らせて、末恐ろしいことまで、進化する大河さまはおっしゃる。
「いやだから……これ以上はもう、本当に、やばいんだって。完全体どころじゃなくて……」
 そこまで言ったところで、あの言葉を口にしたものかと、竜児の舌は重くなるのだったが、
「わかった! 竜児イキそうなのね? 射精しそうなのね!?」
 大河はいきなり察しもよく、その言葉を迷い無しに言い切って、ぱあっと笑顔の花を咲かせる。よりにもよって大河、本日一番の笑顔であった。しかも、はしゃぐついでに竜児のを、りゅんりゅんとしごくのだからたまらない。
「そ、そうだよ……だからやばいやばいやばいっ! だからもう止めよう、ゴムつけよう……っ!」
「えーっ。私見たいなー竜児のイクとこ。竜児の射精。見たーい見たーい私見たーい。ううん、見たいのは私だけじゃない。きっと誰もが見たがるはずよ。真のヒロインになるチャンス!」
 なんて一気にたたみかけて来る大河の言うことは、さっきの竜児の思考をも越える意味不明ぶりだった。
「射精したらそれはヒロインじゃねえだろ……とにかく、な? ひとまず止めにしようぜ。後でいくらでも見せてやるから……」
「えー、ほんとう? 後っていつ? 何時何分何秒? ていうか一回くらいいいじゃないよ、ねぇ? 竜児、あんたってさあ、ときどきずるいよね……私のはいっぱい見たくせに。ケチよねケチケチケチケチドケチ」
 痛いところを大河は突いてきた。たしかに大河はイクところを竜児に見られまくっていた。それからすると不公平なのは明らかだった。だがその不公平をここはなんとしても通したい竜児である。そこでなんとか論理のアクロバットを探すのだが、大河の手にりゅんりゅんされている刺激もあいまって、竜児の考えはなかなか焦点を結ばない。
 そうして黙ってしまった竜児を見て、長考は許さないということか、たんにしびれを切らしたのか、大河がふたたび口を使うべく、あーん、と……!
 窮地のさなかに開かれた、その大河の口の中を、竜児が見た時だった。
「待て大河! 最初はおまえの中で射精したい。おまえの中でイキたいんだよ!」

108◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/19(金) 21:12:12 ID:???
 大河は動きをとめて、きょとんと。
「最初は、私の、中で……?」
「そうだ。最初は、おまえの、中で」
 大河の大きな瞳を覗き込んで、竜児は慎重に言葉を区切って繰り返す。通じるか、はたして――
 大河の頬に朱が散る。瞳を開けているのも辛そうに目蓋をふるわせて、薔薇色の唇は小波に結んで何かを耐えるよう。
 通じた! 竜児は心で快哉を上げる。これは大河がほだされた時の表情、無意識に胸を片手で押さえるのはときめきの証。よつんばいになっていた大河は小さな尻すら跳ねさせて、
「ひゃっ! な、なんで……? 竜児を責めてる時は、平気だったのに……っ!」
 ふるふると震えだし、跳ねる尻を抑えられなくて困りだす。
「く、くやしいけど……わ、私も限界、だったみたい……こ、興奮、してたみたい……っ」
 竜児にしてみれば、してやったり、なのである。優しい声を作ってみせるも、魔界の欲情大浴場の番台に座っている若手ナンバーワン詐欺師のように凶眼がギラついているのは、今ここにおいては誤解だとはとても言えない。
「そうか……嬉しいよ、大河。さ、早くゴムをつけさせ」
「待って!」
 きっ、と大河は、驚くべき気丈さでもって竜児を睨みつけて言う。
「私にさせて。ゴムつけるの私にさせて」
「お、おう、そりゃかまわないが。おまえそんな状態じゃ……」
「大丈夫」
 そう断言して、震える大河はぎゅっと目を閉じる。竜児のモノもぎゅっと握り直す。
「おう……っ」
 漏れてしまった竜児の声は快感のものか感嘆のものか。どちらともつかぬ早さで大河の震えがぴたりと止まった。人体の不思議を目の当たりにして竜児は驚く。大河の瞳がすうっと開き、
「……ね!」
 竜児を見つけて確かな輝きを宿す。かっこいい、とすら竜児は思ってしまった。
「おう……すげえな、おまえ」
「まあ、そういうものだということよ。さ、竜児、袋を切って、ゴムを載せて。後は私がやる」
「お、おう」
 進化の止まらぬ大河の得た、新しい悟りの中身も気にはなったが、とりあえず竜児は言われるまま、ゴムを取り出し、精子袋をねじって勃起の先端にかぶせる。ここからが難しい……
「オッケー。後はまかせて」
 神技、であった。
 大河はまず空いた片手で筒を作って、上から下へするりと輪になったゴムを落とす。そのまま根もとを握っていた手とスイッチして空けた手でまた上からするり。その手をスイッチしてまたするり。するりするりと五回こすって、最後に始めに握っていた手を戻して、完成。
「おおう……っ!」
 竜児の勃起は薄いゴムに見事に包まれていた。罵倒と暴力と身だしなみのほかに、コンドーム着けが新たに大河の得意技に加わった瞬間であった。
「おおおおおう……っっっ!」
 感嘆するほかない。パチ、パチ、パチパチパチ……やがて竜児は拍手さえしていた。
「どう?」
 得意気に顎をしゃくった大河は、どうだ見たかと言わんばかりの表情で竜児を眺める。
「……すげえ」
「すごい?」
「すげえ! すげえなおまえ! なんだ、なんなんだどうやった!?」
「先にあんたのトライを見てたからね、きっとこうかなって。でなきゃ無理だったかも」
 なんと竜児のフォローまで忘れない、冴えまくりの大河は、
「惚れた?」
「おう、惚れた! 惚れ直した!」
 ふにゃんと目を細めて微笑む。そして大河はなぜか頭を垂れてつむじを竜児に向けてくる。

109◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/19(金) 21:12:55 ID:???
「……どうした、大河?」
「撫でて」
「お、おう!」
 竜児は慌てて、だけど優しく、淡色の髪に包まれた大河の頭を撫でてやる。
「もっと。いいこいいこして」
「おう、よーしよし。いいこだ、いいこだなー、大河は」
 竜児は犬か猫にするように両手で撫でてやる。大河も髪が乱れるのも気にせず竜児の両手にぐりぐりと頭を押しつけてくる。ほどなくふたりは、
「よーしよしよしよしよし、かーわいいですねー、可愛い虎ですねー……」
「うー……ぐるぐるぐる……」
 ムツゴロウと、あやされてのどを鳴らす虎になり果てていた。
 やがてようやく満足したのか、顔を上げた大河は満面の笑み。それを迎えた竜児も、絶対にスキは見せない、俺はおまえの上位の獣なのだ、従え! と、無法な地下サーカスの若手ナンバーワン調教師の鋭い眼で見つめ返す。微笑んでいるのだ。
 もう頼むことも頼まれることも要らない。
 竜児はくしゃくしゃになった大河の淡色の髪に何度も指を入れて、丁寧に梳きおろしてやる。大河はその間、瞳を閉じて髪を竜児にゆだねる。充分に梳いて、竜児は大河の頭にぽんと手を下ろして仕上がりを伝える。
「よし、いいぞ」
 長い睫毛に縁取られた目蓋を開けて、星振る瞳で竜児を見つけた大河は微笑む。
 瞳が語って言葉は要らない。どちらともなくお互いに顔を寄せて、口づけを交わす。二度、三度、唇をついばみあうけれど、それ以上、深いキスはしない。それでよかった。
 唇を離して、見つめあう。閉じそうになる目蓋を必死で支える。頬に薄紅が差す。高鳴る心臓。きっと。
 あんたも。
 おまえも。
 そしてもう、言葉は、
「して、竜児」
「しよう、大河」
 それだけで、いい。

(12章おわり、13章につづく)

110高須家の名無しさん:2009/06/19(金) 22:44:22 ID:???
俺「…して///」

111高須家の名無しさん:2009/06/19(金) 23:10:07 ID:???
規制で書けない
こっちで何か書こうかな

112◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/20(土) 01:03:06 ID:???
>>110
黒マッスル「やら(ry
あ、ありがとう……?

>>111
おおーついに職人さんが。いらっしゃいましまし。
ぜひぜひどうぞっ

113◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/20(土) 10:36:48 ID:???
◆eaLbsriOasです。思いついたら止まらない、それが恋心に似たSS心。
他意は無いの。代理投稿歓迎。

***

・避難所

「避難所にいるぞ」
「避難所……」
「避難所にいる。エロも書いてやる。今までみたいに、うちに来い。なごむSSも書くし、
 朝は寝ているけれど。だから、」
「なにを言ってるの!? そんなことしたら、また誤解されるじゃない! 嫌エロの人はまだ、
 納得し切ってないんだから! あんた、本当に嫌エロの人にどう思われてもいいの!?」
「いいよ。そうしたら今度は俺が暴れるから。まとめ人もいるところで、
 俺が誤解を解くために暴れてやる。アク禁にまきこまれて本スレには書けねえけど」
「な……な、んでよ……っ? なんで、そんなこと、するの! ……もうエロだけじゃない
 って言ってるじゃない! そんなこと、する必要はないんだったら!」
「……俺にだって、わからねえよ。でも、そうしたいんだ。……おまえ、泣くから。
 放っておけねえよ。SS腹へらしてないかとか、心配でたまらないんだよ。
 優しい避難所くんとしては」
「なっ……なによ、それ! 誰が、そんなこと頼んだ!? 子どもじゃないんだから
 放っておいてよ! 別に心配なんかしてほしくないっ!」
「――ああ、そうか。俺はエロだけじゃないから。……だから、おまえの傍にいるんだ」
「……はあ!?」
「エロだけじゃ、本当にはおまえの傍にはいられないんだぞ。俺は……
 俺は、避難所だ。おまえは、本スレだ。――本スレと並び立つものは、昔から
 避難所だと決まってる。だから、俺は避難所でやる。おまえの傍らに居続ける」

 本スレと並び立つために、避難所でやる。そう決めたのだ。笑われたって、
 バカにされたって――だが。

「……本、スレ……?」

 誰もバカになどしなかった。笑っている奴もいなかった。
 それじゃむしろ困るんだよな……と、避難所にいる奴は思った

114高須家の名無しさん:2009/06/20(土) 10:41:25 ID:???
>>109
いつもGJ
最初から読み直してみたけど、こいつら泰子の実家の2Fって状況を忘れているんだろうか…?

襖│∀・)ニヤニヤ ←泰子
襖│∀・)ニヤニヤ ←園子
襖│∀・)ニヤニヤ ←清児

115高須家の名無しさん:2009/06/20(土) 11:12:15 ID:???
>>113
登場人物がさっぱりわからないのwww

116◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/20(土) 14:27:06 ID:???
>>114
こんな長いの、最初から読み直してくれたなんて嬉しすぎる。
本当にほんとうにありがとう!

ちなみに私は推敲がてら何度もなんども読み直して、
おもしれーとか自画自賛しているw

>こいつら泰子の実家の2Fって状況を忘れているんだろうか…?
大河と竜児は途中から忘れてる、っていうかそのことを考えたくないみたい。
考えようとしないから。

ちなみに私は忘れていませんw

つまりなんというか、このSS、大河と竜児が勝手にいろいろやっているw
私は方向を指示する種をあたえて、あとは大河と竜児が勝手に展開してる。

基本的には脳内でシミュレートされているし、脳内だけで会話させることも
できるんだけど。感覚的には、大河と竜児は、私の指先とキーボードの間
あたりに棲んでいる感じ。

>>115
避難所くん(避難所にいる)と本スレちゃん(本スレにいる)w
スレチの可能性大w

117◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/20(土) 14:36:25 ID:???
まあ、というわけで、

>>113

のSS「避難所」は代理投稿しないでやってください。

たんに思いついて書いてみたらツボったんで、
避難所のみんなに見てもらいたくなっただけ、ということで。

やっぱまだほとぼりさめてないのかもしれないしね……。
失敬いたしました。

そうそう、大事なことを書き遅れていました。
昨夜、「並び寝る」12章の告知を本スレに
して下さった方、ほんとうにありがとうございました!

118高須家の名無しさん:2009/06/20(土) 16:21:01 ID:???
>つまりなんというか、このSS、大河と竜児が勝手にいろいろやっているw
>私は方向を指示する種をあたえて、あとは大河と竜児が勝手に展開してる。

恥ずかしいセリフ禁止!
でもいいぞもっとやれw

119高須家の名無しさん:2009/06/20(土) 19:22:00 ID:???
でも基本的に登場人物がいろいろやってくれる方が筆は乗りやすい

120◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/20(土) 20:48:40 ID:???
◆eaLbsriOasです。「竜虎並び寝る」13章をお贈りいたします。
いよいよ終わりも近づいてまいりました。泣かせるかも。

本スレへの告知誘導のみ、よろしくお願いいたします。

--テンプレ--
◆eaLbsriOas氏のSS「竜虎並び寝る」13章、投稿されました。
ドエロコメですので、読みたい方だけ
まとめサイトの新避難所のリンクから、どうぞ。
-----------

121◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/20(土) 20:49:20 ID:???
  13

「いだあっ!」
「いでえっ!」
 ふたりとも、同時に叫んでいた。それで竜児の動きも止まるのだから、やっぱり言葉は必要なのだ。
 驚いたのは、むしろ大河の方。
「えっ、竜児も痛いの?」
「いや、痛い、わけねえよな。何で俺、痛かったんだ……?」
「はあ? 何言ってるの? 意味わかんない。痛いから痛いって言ったんでしょ?」
「いや、でも、別にこいつが痛んだわけじゃねえし……」
 と、竜児はゴムに包まれた自分の勃起を見下ろす。
「ごたくはもういいわ。あんたが痛かろうと私が痛かろうと、そんなの我慢あるのみ。さあ来い犬っころ!」
 カモーン、なんて猪木ばりに両手で誘い、大河は威勢も良く竜児を犬呼ばわりする。とてもムードなんてあったものではない大河は、でも。
 痛みもあって涙目なのだ。恥もあって真っ赤なのだ。猪木だろうと犬呼ばわりされようと、もう竜児にはぜんぶひっくるめて大河が愛しくてたまらない。ムードなんか要らなかった。いや、これでムードは満点なのだった。
 ただ、なかなか、上手く挿入できないだけで。
「大河、脚、ひろげるぞ」
「お、オッケー!」
 竜児の目の前で仰向けになって、ふとんに広がった淡色の髪の小さな海原に浮かんだ大河は、恥ずかしさからか自然と膝を胸に寄せて折りたたんでしまっていた両脚を、ふたたび竜児の手にゆだねる。
 強く握れば壊れてしまうんじゃないかと怖くなる、白くて細い足首だった。竜児の手首ほどの太さもない、その左右の足首をそれぞれの手に握って、竜児は大河の脚を開く。眼下に、大河のミルク色の股間が、恥丘の淡色の茂みが、舌の色に似た桜色の秘唇が、あらわになる。
 ひとつ甘やかに吐息して、大河は竜児から瞳をそらす。
 最初に大河の裸身を見たときもそうだったと、今夜のことなのに遠いことのように竜児は思い出す。今はもう、なぜ大河が目をそらしたのかがわかる。恥ずかしくてたまらないから、ときめいてたまらないから、大河はそうするのだ。竜児を翻弄していた最初から、すでに大河は可愛かったと知ってしまう。だから竜児は、つい、
「可愛いよ、大河……」
 こぼしてしまう。大河を震えさせてしまう。
「も、もういいから……っ」
 大河は睨んでくるけれど、愛しくてたまらなくなる。
 竜児はふたたび大河の股間に視線を落として、大河の両脚を押し広げて。そして。
 そして、やはり戸惑う。
 繰り返し鍛えたはずのおのれの妄想も及ばぬところに、竜児は来てしまっていた。だから。
 どうすればいいのかが、よくわからない。
 たとえば、今。挿入するためには両手で両脚を広げていなければならないのに、挿入するためにはさらに手で自分の勃起を支えなければならない。どう考えても、手がもう一本必要ではないか。手が三本要る……そんな馬鹿な話はない。きっとやり方があるのだ。しかし。
 どうしてこんな大事なことを、大人たちはちゃんと教えてくれなかったのかと竜児は苛立つ。大河なのだから――大切な、誰よりも大切な女なのだから、初めから大事に扱いたいに決まっているというのに、誰もそのやり方を、竜児には教えてくれなかった。あるのは曖昧な教育と、猥雑な画像や動画、商品のようなものばかり。この先、大学に行ったところで、そしてその先であっても、それはきっと変わらないような気がする。無知な清い身体でいろと言う。そしてそんなふたりならば、痛めあうほかないとでもいうのか。
 無知な清い身体同士だから、ふたりで見つけるしかない。
 苛立ちを優しさに変える、魔法の力をふるうしかない。

122◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/20(土) 20:50:03 ID:???
「大河、左脚、持っててくれるか? 自分で」
「う、うん……」
 竜児は右手でつかんでいたミルク色の大河の脚をゆだねて、大河に膝をかかえさせて。そうして自由になった右手で、竜児は自分の勃起をつかむ。快感など無く、膝でいざって、ゴムで包まれた勃起の先端を大河の股間の秘めた花唇にあてがう。あてがえばもう、秘唇は勃起の先に隠れてまったく見えなくなる。大河の身体がびくりと震える。そして、
「いくよ、大河」
「うんっ……」
 ぐっ、と。
「痛っ」
「いてっ」
 ほぼ同時に小さく叫んで、ふたりは顔を見合わせる。
「また……?」
 それだけで、大河の言いたいことは竜児に充分伝わった。
 また、あんたも痛かったの? と。
 そして、今度は竜児も見つけたことがあった。
「わかった、大河。どうも、おまえが痛いと、俺も痛いらしい」
「……なに、それ……?」
「だから、おまえが痛むと、駄目なんだよ俺。どこがって、わけじゃねえ……強いて言えば、胸のあたりかどっかが。ぎゅっとなる。しめつけられたみたいに、なる」
「そんな……そんなこと、嘘でしょ……?」
「ところが嘘じゃねえんだ。なんだろうな? 思い出した。たまにしか無いからか。だけど、もう、だいぶ前から、俺はおまえが痛いと駄目なんだ……それがわかると、駄目なんだよ……」
 そしてそれが、俺には嬉しいんだ……とは、竜児は口にはしなかった。
 大河が、静かに泣き出したからだった。笑っているような、困っているような、そんな顔をして。竜児を見つめて、鼻をすすりながら言う。
「もう、やだ……やだよ竜児……あんた変。今日、あんた、おかしいよ……やめてよ……なんで、なんでそんな、素敵なことばっかり言うの……?」
「大河……」
「……言ったでしょ? 私、もう、落ちてるって……ずっと、ずっと前に、私もう落ちてたって。だから、もう、口説かなくていいんだってば……誘惑、しないでよ……私、おかしくなっちゃう」
「口説いてなんかいねえぞ、ただの事実だ」
「ほら……っ! もーっ! ……はあ、だめだ。あんたバカなんだった。思い出した。何言っても無駄だ。そーだった、うん。竜児ってバカなんだった」
 バカバカ、と繰り返して、大河は空いているちいさな右手の甲で涙をぬぐうものだから、
「素敵とか、バカとか。おまえ滅茶苦茶だぞ、言ってること」
 つい、竜児は薄い唇を尖らせてしまう。
 いつの間にか泣き止んでいた大河は、まだ濡れている瞳の星を縮めて、そんな竜児に微笑みかける。
「そんな顔しないでよ。怒んないで、ね? 竜児のそんなとこも、ぜんぶ、私、気に入ってるんだからさ」
 なんて言って、大河はひと瞬き、薔薇色の唇を蕾に変えて、ちゅっ、とキスまで飛ばしてみせるのだ。
「っ!? バカっ!」
 焦ってしまう。竜児は耳まで赤くしてしまう。
「ふふん、おあいにくさま。私はバカじゃないね。まあ……そんなこと、いいからさ……ねぇ、竜児、とどめをさしてよ、私に」
 偉そうに顎をしゃくってみせてから、大河はそんなことを言って、また竜児に耳を疑わせる。
「おう、と、とどめ!?」

123◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/20(土) 20:50:40 ID:???
「そ、とどめ。私がおかしくなっちゃう前に……もう、おかしくなってるんだけど……とどめ、さしてよ。ちょっとくらい痛いのなんて、我慢するから。だから竜児のを、ね? こう、おりゃっ! と」
「おりゃっ……と!?」
「そう、ずぶっ! と」
「ず、ずぶっ……と!?」
「そう。そんな風にして。私に、挿して……ね、つながろ? 私、つながりたいの、竜児と。すごく、すごく、すっごくすっごくすっごく、つながりたいの。もう、それが夢みたいになってるの……ううん、夢なの、竜児。だからお願い、叶えて? とどめをさして? ねぇ、お願い。お願いなの、竜児……私と……つながって、下さい……」
 下さい……と、明るかった声音もやがて切なくして、儚くして。大河のそれは確かにお願いだった。
 大河にお願いされたことなら、竜児には何度もあった。重く、切々としたお願いだって、その中にはあった。しかし、下さい、なんて……と竜児は驚く。
 それは初めてのはずだった。そんな言葉を、大河が口にしたのは。大河のことだから、それは最後なのかもしれなかった。こんな大河の瞳は見たことがないと感じた。一生に一度の、お願いなのかもしれなかった。
 とてもそんな途方もないことに、返す言葉など竜児に用意があるはずもなかった。この世のどこにも、そんな言葉はないように竜児には思えた。もちろん。
 答えは、決まっていたにせよ。
 おう、とだけ、竜児は言ったのかもしれない。それは口ぐせ。もしそれが口をついて出ていたのだとしら、それはきっと大河のために――きっと大河に応えるためだけに、竜児を作った者が竜児にしつらえておいてくれた言葉のはずだった。だから、きっと。
 仕掛けが働いてくれたのだろう、大河は満足そうに微笑むのだ。
 だから竜児も、微笑みを返すことができる。頷いてみせる。
 もう一度、竜児は手にとった自分の勃起の先を大河の秘唇にあてがう。大河はやはり震えて、息を大きく吸い込む。けれど。
 今度は、竜児は腰を進めない。進めずに、ゴムに包まれた勃起の先端で、大河の秘唇を優しく割るようにして、そこを優しくこすりはじめる。
 大河は痛まない。
「……えっ、えっ? 何……っ?」
 かわりに大河は甘い驚きの声をあげて、腰を跳ねさせる。
 大河の中を隠す泉から湧き出た、白い蜜をすくうようにして勃起の先に絡めて。むしろからめるために、竜児は勃起の先端で優しく秘唇を縦に舐め上げて、舐め下ろす。秘唇の上の方の敏感なところがくじられて、大河が腰を跳ねさせても、丹念にする。
「あっ! あっ! りゅうじっ、ひどいっ! そんなの、そんなの……っ! とどめ、さしてくれるって、言ったのに……っ!」
 大河の抗議も甘やかな声に、中毒になってしまった竜児は脳髄を痺れさせる。手の中で勃起が漲るのを感じる。
「ゴムが、引っかかるんだ、濡れてないと……きっと、たぶん。それでおまえが痛むんだ」
「そ……っ。う、うん……わかった」
 目を伏せて作業を眺める竜児の視界の端で、愛撫の意図を理解した大河が睨みを解くのが見える。
「角度も、あるのかもしれない」
 喘ぐのは止められずに、大河は訊きかえす。
「はっ、はっ……かく、ど……?」
「ああ、つまり……挿入する、角度だ。それが、わからねえ。誰も教えちゃくれなかった。俺が、自分で、見つけるしかねえ」
 言いながら、苛立ちが蘇るのを竜児は止めることができない。
「……私たちで、でしょ?」

124◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/20(土) 20:51:12 ID:???
 大河の言葉にはっとして、竜児は顔を上げる。苛立ちが刻んでいた眉根のひそみが、散って消えていくのを竜児は感じる。大河の言葉が沁みたからだった。大河の表情を見たからだった。
 竜児はもちろん一人ではなかった。そこには、傍には大河がいるのだった。大河は穏やかな顔をして竜児を見上げてくれていた。羞恥と快感に頬を桃に染めて、震えていたとしても、それは大河が竜児を信じてくれている顔、信じてゆだねてくれている顔。竜児の知っている、ありがたい表情だった。
 俺の方が、何度もなんども好きになってしまうよ、と、竜児は思う。
「腰、もっと上げたほうがいいのかな……?」
「えっ、おう、そうか。まあ、そうか、そうだな……」
 大河の尻はまだ敷ぶとんに近い低い位置にあった。だから大河の言うとおり、上げる以外にそこの角度を変える方向はないのだけれど。
「ふんっ」
 と大河は鼻息一発、薔薇の唇もへの字にして、腹筋を搾って宙にかがむように腰を折り上げる。
「おう……上げすぎ上げすぎ」
 途端に空へと晒された大河の股間の、今まで尻肉の内側に隠されていた秘唇の下向こうまで見えたような気がして、今さらながら目のやり場に困った竜児は、視線を宙にさまよわせてしまう。
「そう? じゃあ、こんくらい……?」
 大河は溜めた息をそろそろと吐きながら、尻を微妙な位置まで降ろして。さすがというべきか、ビタリと止めてみせる。
「むむ……これ結構キツイ……腹筋使うよね……」
「これでどうだ?」
 竜児は掴んでいた大河の右足首を、少し大河の頭の方に押すようにする。思い出したように、大河が脚に力を込めたのがわかる。
「おお……楽かも……」
 大河のそんな声に、まるで組体操でもしているような気持ちになって、つい竜児は笑ってしまって。それを大河に咎められる。
「なによ。笑うんじゃないよ」
「……いや。楽しくってさ。楽しくなっちまって、つい」
「楽しい……?」
 まだ、大河は瞳を眇めてくる。
「うん、楽しい……おまえといると楽しいよ、大河。いつでも……今でも」
 それは本当に竜児が思ったことで。思っていることで。そして、間違った言い訳では無かったようだった。
 反応も早く、大河は眇目も笑みの瞳に変えて、ちょっと鼻の下を伸ばすように唇も小波に結んで。照れているのか、ちょっと挙動不審に頭を揺らして、
「わ、私もっ……私も、竜児といると楽しいよ? 今だって……いつだって……っ」
 竜児を見つめて、なにか頑張るようにして言う。本当に頑張ったのかもしれなかった。なにせこいつは、俺の好きなひとは――大河は素直じゃない奴なのだ。だからいっそう、稀に見せてくれる素直さが、嬉しくもあるのだけど。
 その、嬉しさを携えるようにして、竜児は、
「よし、じゃあ、またやるぞ?」
「うん、さあ来いっ」
 勃起を秘唇にあてがった。
 もう一度、こすりつけるつもりだったのだ。大河も、そうだと思って返事をしたはずだった。なのに。
 魔法は、いつふるわれていたのだろう。
 無知の苛立ちを、ふたりで優しさに変える魔法は、いつ。
「おう……」
「は……っ」
 入って、いた。

125◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/20(土) 20:52:25 ID:???
 滑らかに、ひっかかりもなく。勃起の先は大河の秘唇を丸く押し広げ、その、中に埋まっていた。未知の感触。竜児は見た。むしろ見て確認できたのだった。顔を跳ね上げて大河を見た。
 はっ、はっ、と、薔薇色の唇をせいいっぱい大きく開けて、子犬のように細かい息を吐きながら。驚きに見開かれた大きな瞳の星も散らして、大河もまた、竜児を見返しているのだった。大河にはわかるのかと、竜児は思う。見ることなく、感覚で、大河には入ったことがわかるのか。
 竜児を見返して、大河は、細かく首を横に振る。
 伝わる。わかる。
 けれど、竜児は訊かないではいられない。
「痛く、ないか?」
「うん……痛く、ないよ……キツいみたい、だけど……痛くない……」
「そうか……よかった」
「入って、るの?」
 子犬のように喘ぎながら、大河は訊き返してくる。
「ああ、入った」
「……やったね」
 なんて、大河は言う。微笑む。嬉しいな、なんて言う。
 竜児もまた喜びながら、だが、しかし。
 なぜなんだろう、と思わずにはいられない。さっきまでの苦労が嘘のようだった。あまりに滑らかに挿入に成功していた。ゴムを濡らしたせいか、角度を変えたせいなのか。ふたりが交わした穏やかなやりとりで、勃起の漲りが少し緩んでいたことも、幸いしているのかもしれなかった。
 ともあれ、これを失うわけにはいかない。
「じゃあ、いくよ」
 言って、竜児は大河のうなずきを見て確認、腰を進める。
「はっ!」
 跳ねた大河の声に、竜児はわかった。今度は痛いのだ。腰を止める。戻そうと
「駄目っ!!」
 するのを、竜児を驚かせてすべての動きを止めるほどに、鋭い声で大河が叱咤する。
「駄目、駄目、駄目駄目駄目駄目駄目駄目っ! 駄目よっ! やめちゃ駄目っ!!」
 叱る声が、息がさえもが、中に埋まった竜児をキツく締めつけてくる。それはただの事実の感触。快感は無かった。竜児は大河の叱咤に意識を集中していた。叱咤を充分に心に沁み込ませながら、身体の不思議に馳せられる思いもあることを竜児は感じる。
「大河……」
「やめちゃ駄目……竜児、やめないで。やめたら、私、許さない」
 燃えるような、瞳だった。
 真剣、という。
 真剣となった大河の瞳は、だが、怖くはなく、ただ、絶対の覚悟となって竜児の目から心までをも貫く。折り返されて、竜児は自分の目にも真剣が宿るのを感じる。
「わかった。やめない」
 言って、なんて女だと竜児は舌を巻く。大きな瞳に光る真剣を宿したまま、大河は薔薇の唇を端に引いて笑ってみせるのだ。そして、こんなことまで言ってくる。
「よし、それでこそ私の竜児。さあ、言って。私はどうすればいい?」
「……そうだな、なるべく力を抜いてくれ。息を吐くと、いいと思う」
「わかった」
 言って、大河はすっと息を吸って、はあ……っ、と吐いてみせる。
「よし、いく」
 とだけ竜児は言って、勃起の先に意識を集中する。指を進めた時のことを思い出して、かすかな弛緩をうかがう、けれど。そこはひたすらにキツく狭く、そんな弛緩などは気配も見えない。
 迷いをふりはらい、竜児はむしろ大河が息を吐くのを読んで、そのタイミングで。
 押し進める。

126◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/20(土) 20:53:04 ID:???
「はっ! はっ!」
 伝わる。痛みがある。竜児は歯を食いしばってこらえる。大河にもらった真剣で、弱る心を斬り伏せる。鼓動は高鳴り、鼻息を荒くする。
「大河……息を吐いて……」
 出したためしの無い汗が竜児の額に結ぶ。すぐに雫となって、顎まで滑って大河の白い腹に落ちる。竜児は固唾を呑んで、大河が息を吐くのを読んで。
 また進める。
「はっ!」
 大河の吐息が跳ねる。痛い。辛い。
 おのれが杭か、針になったように竜児は感じる。虫を……美しい蝶と刺し止めるピンに。一切のロマンも無く、ただ酷薄な認識として、そう感じてしまう。
 そこは狭い。そこは熱い。大河の中に挿し込んだおのれから、幻のように大河の鼓動すら感じられるような気がする。幻ではないのかもしれないと、大河の小さな腹を見る。心臓までわずか20センチもあるか知れない。それを刺し止める……馬鹿なと首を振る。怖気づきそうになるのを真剣で払って、返した刀を大河に届ける優しい声に変えてみせる。
「息を吐いて……大河……息を吐いて」
「はっ、は……りう゛じ……」
 痛む声とも違う、吐きしぼるような妙な声。見れば、
「……た、大河?」
 はたして大河は顔面蒼白。いっそ青いほどで、
「も゛、も゛う゛、はげない゛……」
 もう、ハゲない……もう、吐けない、か?
「馬鹿っ! 吸っていいんだ! 吸え吸え! 息しろ!」
「い゛い゛の゛? ……っすー……うう……ううう……うううううう」
「吸ったら……吐くんだぞ? 忘れるなよ? 吐けよ?」
 薄い胸も小鳩のように膨らませて、大河は竜児を見てコクコクと。
「……うっ。っんはああああ〜〜〜〜っっっ! すうっっっ、はーっ! ふいーっ。はぁ……助かったんだぜ、竜児……ぐっじょぶ……」
 助けても、グッジョブも、ねえだろと。しかし。
 こいつは、ほんとに……竜児は思わずにはいられない。こいつは、ほんとに、こいつは、ほんとに、こいつは、ほんとに……。吹き出そうになる笑いを、折れた真剣の最後の仕事とばかり、なんとか斬り伏せて。切られた欠片を微笑みにして。
「よく、頑張ったな、大河」
 言ってやる。大河がどれだけお馬鹿でも、それは本当なのだから。
 だから竜児は大河を撫でてやりたい。右手を勃起から離し、さしのべて。なんともいえないいい笑顔でニコニコしている大河が、さあ撫でれ!とばかりに、あごを引いてつむじをその手に寄せるの見て、竜児は気づいた。
「あ、やべ……手……」
 気づいて、右手のひらを見る。勃起はつかんでいたけれど、見た目に汚れは無い。見た目、には。
「汚れちゃ、いねえけど」
「じゃあ気にすんな。気にしない。許可する。さあ、この頭を撫でるがいい! 撫でろ!」
「はいはい……」
 お馬鹿な上に偉そうで、でも痛みに耐えてよく頑張った大河の頭を、竜児だって感動して、撫でてやるのだ。
「返事は一回っ!」
 大河は叱るのも上機嫌な声音。

127◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/20(土) 20:54:04 ID:???
「おう……はい」
 そう叱られても、気をつけて返事しないと、なぜかはいはいと繰り返してしまいそうになるのを、竜児はなんとか一回に収める。そして撫でなで。
「よしよし、いい子だ。いい子だな、大河は」
「きゅーん……」
 なんと聞いたことのない声まで出してくる。本当に可愛いのだった。
 ほどなく大河は顔を上げて、竜児が撫でるにはその頭は遠くなる。満足するにはまだ早かったんじゃないのかというタイミングで。すると大河は、
「あのね竜児、ご褒美、足りないと思うの」
 子どものようにあどけない顔を竜児に向けて、そんなことを言う。
「おう……」
「あのね竜児、ちゅうとかあるべきだと思うの、ご褒美」
 頬すら赤らめず、ひたすらにあどけなく、大河はそんな恥ずかしいおねだりを平気でしてくる。
「お、おう……ちゅう……」
 赤面が移されたのか、かわりに竜児が倍は赤くなる。ついでに馬鹿も移されたのか、ちゅう……なんて復唱までする。
「ねぇ竜児、お願い」
 桜色の舌先をぺろと出して、乾いた唇を潤して薔薇の艶めきを取り戻させて、大河は準備万端よ、と。
 思わず固唾を呑んで、くやしく心臓をドキドキさせながら。それでも竜児は大事なことを確認しなければと思う。
 竜児の股間を、そしてそれとつながった大河の股間を、見る。
 勃起は半分ほども、埋まっただろうか。
 指の長さほどは、入っているようだった。
 大河の奥がどこまでなのかも、知れない。ひとまずこんなところではないかと、竜児も思う。
 幸いなことかもしれない。小さな大河の狭くてキツいそこは、それでも――勃起の先半分ほどでも、がっちりホールドしてくれているように感じる。なんというか、結合部さえこの位置で維持できれば、すぐに抜けるものでもないように、竜児にも思われた。
 この位置、この角度で、維持できれば。
「大河、枕、取ってくれ」
「へっ? ……枕?」
 いいかげんしびれでも切らしていたのか、薔薇の唇も蕾にして突き出し、うちゅ〜っ、とでもいうように、アピールタイムに入りかけていた大河は、まったく予期していなかったのだろう、竜児の依頼に一瞬、目を白黒させる。復唱してようやくわかったのか、これ? と自分の頭にしいた枕を右手で逆手ぎみに掴んでみせる。
「いや、隣の俺の……は、無理か、逆か。いや、大河、こっちの脚を持っててくれ、右手で。そう。それで、かわりに左の脚を俺が持つから、手を離して……そう。その左手で、届くか? 左の、俺の方の枕」
 ふたりでなにをやってんだか、だが、竜児が言ったとおりのことをふたりでやっているのである。
 ていていっ、と、股間を竜児に縫いとめられた大河は、左手を伸ばして隣のふとんの枕を掴もうとする。つかまえる。
「届いたっ!」
「よし……ああまて! ゆっくりだ、ゆっくり俺に渡してくれ……」
 細腕とも思われぬ力で、この枕であんたをぶっ叩いたろかいっ、的な速度で持ち上がった枕の勢いを、竜児は声で制して、自分の左手で譲り受ける。ふたりの股間が微妙につながっている今は、叩かれてはマズイのである。もちろん、普段だって叩かれたくは無いのだが。
「大河、こっちの脚も持っててくれ。そう、両手で、両脚とも……」
 いたって真剣ではあるのだ。あるのだが、大河のその格好を見て、連想の記憶というやつ、竜児の脳裏をやらしい言葉のカケラがふとよぎる。たしかそれは、まんぐり……まんぐり……なんとか。つまり今の大河の格好は、まんぐり……なんとか、のちっこいバージョン……いやいや、と竜児は首を振って妙な言葉を追い払う。
 自由になった両手で、竜児は浮いている大河の尻の下に枕を差し入れる。枕を両側から押して硬くし、しっかりと大河の尻を宙に支えられるようにする。
「よし、これでいい。大河」

128◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/20(土) 20:54:54 ID:???
「うん……」
 竜児の意図を知って、大河もそろそろと力を抜いて、枕に腰をゆだねてみる。薔薇の唇を結んだ大河は、ときどき、ふっ、ふっ、と鼻息を漏らす。わずかな具合の変化が大河にもたらすのは、痛みなのか、それとも。
 大河の動きに竜児も付き合って、膝を左右にいざり開いて、大河とのつながりを保つようにする。
 枕はちゃんと大河の腰を浮かし支えてくれたようだった。
「よし……」
 そうして竜児は、ようやく、上体を大河の方に倒していく。つながりの具合にあまり響かないように、腹筋と背筋に力を込めて、傾いていく。筋肉だけで支える限界が来る前に、竜児は大河の両わきに広がる淡色の髪海を手でかき分けて、髪を踏まないように手をつく。
 すべて今夜学んだことを竜児は生かす。
 ひたすらに大河を痛めないようにする。
 両手をついた自分の影に、光る大河が収まる。
 ちいさくて、綺麗で、可愛い大河。竜児の大河は、影の中でも煌く瞳を少し潤ませて、竜児を見上げて、
「おかえりなさい、竜児……」
 言って、微笑で迎えてくれるのだ。
 だから竜児は少し驚いて。
 素敵なこと言ってくれるじゃねえか、なんて思って。
 微笑みを返して、おう、ただいま、大河、なんて言って。
 ちょっとキメてやろう、なんて思ったのだ。
 なのに。
 ぼとぼとぼとっ、と音を立てて、大河の額に大粒の雨が降った。
 なんで雨がと、思う竜児の視界が急に歪む。
 可愛い大河をもっとよく見たいのに、これじゃ困るじゃねえかと思う。
 気づかせてくれたのは、優しい、優しい大河の声。
「泣かないで、竜児……」
「えっ? 俺、泣いてるのか……?」
 言われてみれば、肺が熱くて喘いでいるのだ。まるで泣いた時のように。
 泣いているのだ。俺は泣いているようだ。
 わけがわからない。
 泣く理由がない。
「あれ? 泣いてるなあ、俺。なんでだ……?」
 間抜けな声を出す。声はまだ、泣き声じゃないのに。
「泣かないで? 泣かないで? 竜児……」
 大河の声音が心配の色を帯びだす。そっちの方が竜児にはよっぽど気がかりだった。
 ぼたぼたと、まだ雨は降り止まない。たしかに、竜児は泣いていたけれど、
「おう、大河。気にするな。俺は泣いているみたいだけど平気だ」
 そんなことを言って、われながら変なことを言っているな、とすら余裕で思えるのだ。
 余裕で、だから、竜児は思い出す。
「おうそうだ、大河、俺、おまえに言わなきゃ」
 今度こそ、キメるのだ。なんか泣いているみたいだけど、俺は。
 言うんだ。
 ただいま、大河。
 これを。
 そう思って、言おうとして。
 急に喘ぎがきつくなった気がした。

129◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/20(土) 20:55:36 ID:???
「た、ただい、っは、はっ、はっ、はあっ! ああっ! うう、ううう……うぐううううう……っ!」
 雨が、どしゃぶりになった。
 もう、竜児は喘ぐか、呻くことしか出来ない。呻いて、呻いて、呻いて。
 ――大河、って、呼びたい。
 大河、って、呼ばなきゃ。
 でないとこいつ、心配しちまう。
 こいつまで、泣き出しちまう。
 こいつ泣き虫だから。
 俺は平気だって、伝えなきゃ。
 そうだ、キス。
 大河、って、優しく呼んで。
 俺はキスをするんだ。そして大河を、安心させる。
 呻きは、収まった。
 雨はまだ降っているけど、喘いでいるだけ。
「た」
 喘いだせいで、のどがへばりついていた。固唾を呑んで、のどをなんとかする。
「た、大河……」
 ようやく、そう呼んで。
 ひじを曲げて、背中も丸めて、大河に顔を近づける。
「竜児……だいじょうぶ……?」
 不思議と雨も止んで、視界が開ける。
 大河は慌てたような、心配そうなツラをして、涙目にこそなっていたけれど、大丈夫。
「よかった……間に合った。まだ泣いちゃいねえな?」
「っ!? 馬鹿っ! なに私の心配してんのよ!」
「いや、俺、ほんとに平気なんだ。なんだったんだろな……?」
 謎だよな、怪現象だな……なんてさも不思議そうに、あっけらかんと言って、竜児は大河を唖然とさせる。
「そうだ、おまえ、痛くないか? 大丈夫か?」
 さすがの大河も、これには、はああ……と盛大にため息するほかない。
「あんたさあ、いいかげんにしなさいよ? 私の心配はもういいっての。だからさ……だから、竜児……だから……」
 ちょっとは私にも、あんたのこと心配させてよ……そう、大河は言い募って、言葉のしまいには、もう、ほろほろと泣き出していた。
 大河のその言葉を聞いて、竜児には、なにかわかったような気がした。
「大河……」
「ね、竜児……もう、一人で、頑張んないでよ……私の、ために、だから、嬉しいけど……やだよ……だって、だって、ふたりで、生きていくって、決めたんだもん……っ!」
 大河が、手を自分の脚から離した。わかって、竜児は大河の頭を抱えるように抱きしめる。大河が竜児の胴に両手をまわしてしがみつく。熱い熱い額を、竜児の首に押しつける。
「大河……」
「ふ、ふううっ……ふ、ふた、ふたりで、生きていくんでしょ! 私たち、ふたりで、生きていくんでしょ! 私、ドジだし、乱暴だし、ろ、料理も、出来ないし、なんにも、なんにも出来ないけど! でも、頼ってよ! お願いだから、頼りにならないけど、頼ってよ……っ! 心配、あんたのこと、私にっ、心配、させ、てよ……っ!」
「大河……大河。大丈夫だよ、大丈夫……」
 泣いて、喘いで、それでもさっきの自分なんかよりもよっぽどちゃんと言葉を紡いで、吐き出してくる大河に、竜児がかけた言葉は、しかしいっそう大河の怒りに火をともしてしまう。
 大河の泣き声を、怒りの声音が塗りつぶす。
「だい、じょう、ぶ、なんかじゃ、ないっ! 大丈夫じゃ、ないっ! 違うのっ! 違うでしょっ!? 私の心配をするんじゃないっ!」

130◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/20(土) 20:56:27 ID:???
「ちがうちがう、大河、ちがうんだ」
「なにっ! なにが違うっていうのっ!? 違ってないっ! 適当なこと言うなこの……ばっ! ……だっ! ……あっ! えっ! ……りゅっ! ううう……なんかどれもイマイチなんだわ……」
 いきなり何の発声練習かと思いきや、大河はどうやら竜児を罵る呼び方の候補を探しては、この場ではいまいちと、順に放棄していたらしい。おいなんか最後、俺の本名までそのイマイチに入ってなかったか……? と竜児は思わずにはいられなかったのだけれど。
 これでも竜児は名うての、いや世界で一番の猛獣使い。まっすぐに、一言。
「頼ってるよ、大河」
「だから頼ってなんか……っ!? た、なに? 頼って、るの?」
 急に大河の声はあどけなく、可愛くなる。
 竜児は少し、身体を起こして。あごを引いて、暖かい大河の顔を覗き込む。一生懸命にあごを上げた大河が、また涙でぐしゃぐしゃにした大きな瞳を上目遣いにして、やはりあどけない顔をして竜児を見返している。
 ふたりの間で温められた暖かく湿った空気の中に、竜児は言葉をしっかりと送り出す。
「頼ってるよ、大河。もう、頼ってるんだよ」
「うそ……だって……っ。私……嘘つきは嫌いよ……? 竜児でも……」
「嘘じゃないよ。なあ、大河。俺、さっき、すげえ泣いただろ?」
「うん……泣いた。さっきあんた、死ぬほど泣いてた。うん。それは嘘じゃないね……」
「なんで泣いたのか、俺、わかんないって、言ってただろ?」
「うん……言ってた。それも、嘘じゃないね……」
「なんか俺、なんで泣いたのか、わかったような気がする」
「おお……それはすごいね。実に、興味深いね……じゃなくて、ほんとう? 聞かせてよ!」
「おまえが、おかえりなさいって、言ってくれたからだよ」
 ついと大河は瞳を眇める。
「えーっ? ……またまた、このスケコマシが。天然ジゴロ犬が。私を喜ばせようったってそうはいかないっての。……はっ、そうだ! あった! あったんじゃんまだ!」
「な、何がだ?」
「あんたを罵る言葉よ。このスケコマシ! ジゴロ犬! ……なによ、余裕で笑ってんじゃないよ。婚約ってのはこうもひとを変えるものかねえ」
 やだやだ、こわいこわいねえ婚姻制度は……なんて大河は言う。立っていれば、きっと外人みたいに肩をすくめて首を振っていたところか。
「……いや、悪い。まあ、俺の話を最後まで聞いてくれよ。……あの時、おまえにさ、おかえりなさいって言われてさ……おまえが言ってくれてさ、俺、すごく嬉しかったんだよ」
 大河が怒りと違う紅潮を頬にのぼらせる。それでも瞳は眇めたままで、今度は搦め手から来たよ、なんて言う。
 竜児はまた少し、ウケて笑って。
「搦め手じゃねえ、って……それでさ、俺は、おまえにしちゃあ素敵なこと言うじゃねえか、なんて思ってさ。だから俺も、ちょっとカッコつけて、おう、ただいま、って言おうとしたんだよ。そうしたら、そのかわりに……言えないかわりに、涙がどばっと出てきた」
「おお……それはすごい。ほんとに不思議……」
 頬を染めたまま、今度は大河も素直に大きな瞳をまあるくする。
「泣いてても、気分はさ、平気なんだよ。嬉しいだけで……嬉しすぎて泣いた、ってんでもなくて。そう、穏やかに、嬉しいだけでさ。でもまあ、どばどば涙が出てきて。それでまあ、平気だから、思い出して、もう一回、言おうとしたんだ。ただいま、大河、って。そしたらあれだ。本降り。どしゃぶり。また言えなくて、すげえ呻き声しか出てこねえ」

131◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/20(土) 20:57:52 ID:???
「そうだったそうだった。すっごいびっくりしたんだから! こいつとうとう狂ったか!? って」
「狂ったはひでえな……まあ、そんなだったわけだよ。しかも号泣してても、気分は平気なんだ。むしろおまえがつられて泣くことの方が心配だったりしてさ」
「奇怪千万……あとあんたいいひとすぎ」
「まったくだ……いや、奇怪千万の方な? でな、つまり……俺、頑張ってたんだよ、自分で言うのもなんだけど……さっきまで。おまえが裂けたりしないように、って。つながりたいけど、ちっこいおまえが、痛くなんかならないように、って」
 聞いて、もう、茶々入れもできず、大河はとろけてしまう。
「竜児……」
「おう、俺、おまえのその顔、大好きだぞ。たまらないよ……あれ? なんだ、どこまで話した?」
「えと……ちっこい私が、痛くならないように、って」
「そう、そうだ。ずっと、ずうっと、この夜の初めから、俺、頑張ってきたみたいなんだよ。……口説いてんじゃ、ねえぞ? ただの本当の話だぞ?」
「うん……うん……」
「うわあ、だめだ。その顔、おまえ、すげえ好きになる。あれ? ちょっとまて、なんだ、バカか俺は。悪い、どこまで話した?」
「ん……初めからね、ずっと頑張ってきた、って」
「そうそう。ほらな、すげえ頼りになるじゃん、おまえ。……あっぶね。また忘れるとこだ……でさ、まあ、自分でも気づいていないほど、頑張ってたんだろうな。気づいてたけど、それ以上に。でさ、それがさ、ようやくこうしてつながって……おまえと、つながることが出来て、さ……そうしてようやく、おまえに……ちょっと泣くぞ……心配すんなよ……いや適当に心配しろ……心配してくれ、ほどよく」
「うんっ……うんっ……」
「……おまえに、さ、帰ってきて、さ。わかるよな? 傍にいたけど、ずっとくっついていたけど、それでも、おまえに帰ってきて。帰ってきたらさ、おまえ、ちゃんと、っは、は、はあっ、はあっ、そのこと……っは……わかってたみたいに、さ、ぜんぶ、言ってもいねえのに、ぜんぶ、知っててくれたみたいに……!」
 大河は涙に抗うようにして微笑んで、しっかりと、やさしく、言ってくれるのだ。
「わかってたよ……知ってたよ……竜児……」
「そっ、そうか……っ。そうだよ、な、おまえ、ぜんぶ、わかってて、知ってて、くれて。だから、おかえりって、言って、くれて、俺、ただいまって、言おうと、して……あ、あ、あっ、あっ、あっ」
 なんだ、またかよ……言わせて、くれよ……
「あ、愛してるんだ、大河……っ!」
 大河はどうしたらよかったのだろう。
 私も愛してるって、言わなくちゃと、思って。


 でも、唇は、震えて、震えて。
 ふたりは、ようやく。


 キスを、するだけ。


(13章おわり、14章につづく)

132◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/20(土) 21:06:36 ID:???
泣いた子は素直に自己申告するように。

……はーい!(゚д゚)/

>>118
やばい、自分が言ったことのどこが恥ずかしいセリフだったのか
わかんない……天然じゃないはずなんだぜ。

>>119
そんなこと言うあなたも職人さんね!?
よーまーせーてーくーれーろー。

133高須家の名無しさん:2009/06/20(土) 21:07:49 ID:???
>>132
読ませてあげたいのはやまやまだが光景が降りてこなくてねぇ

134高須家の名無しさん:2009/06/21(日) 00:24:51 ID:???
           ノノノノノ
       ≡ ☆ノ゛゛゛゛ヽ
       ≡.ノノ*∂Д∂'ル <えっちだぁーーーーーああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!
       ≡. ⊂   ,,O
       ≡. ⊂\_)

135高須家の名無しさん:2009/06/21(日) 08:16:14 ID:???
>>132
こんな朝から昇り竜・・・
なんてことをしてくれるんだ!

136◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/21(日) 10:38:02 ID:???
雨でどんよりですのう。

まとめ人さん、まとめ作業お疲れ様でした。
まとめサイトへの収蔵、ありがとうございまーす!


>>133
光景で入るタイプでしたか。私は言葉とか出来事とか、かなー

>>134
落涙必至の感動編のはずが……ありがとう!

>>135
ラスト際なのにあんまえっちでなくて逆に不安だったんですが、
まったくの杞憂というやつだったようで……ありがとう!

137高須家の名無しさん:2009/06/21(日) 11:11:24 ID:???
>>132
ナマ挿入中出しはまだですか(´;ω;`)

138高須家の名無しさん:2009/06/21(日) 14:43:59 ID:???
>>137
りうじはそんなことする子じゃありません(´・ω・`)
いや待てよ、結婚後の猛烈ラブラブがあってもいいはず…!

なっ、中で出すまでやめないんだから!w

139◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/21(日) 18:08:42 ID:???
中田氏、それは男の欲望番外地……

>>137
「並び寝る」内ではそれは無いのう。すまんのうすまんのう。

>>138
結婚後とかに、まあ、なりますよね。婚前で、という設定の場合の
奥の手もいくつか無くは無いんですけどね……

でも今のとこは「並び寝る」終わったらエロ書く予定は中田氏、
いや無かったり。

140◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/21(日) 18:10:15 ID:???
・もんじゃ焼きタイガー

「なんかゲロみたい」
「どうもすいません。すいません。ちょっと残念な子なんで、ええ。本当にすいませんでした。
 ……ほらみろ、隣のお客さん吹いちまったじゃねえか。おまえ絶対言うと思ってたけど、
 迷いなく店内に響き渡る声で言うとは思わなかったわ……」
「なんか食べる気なくなった」
「自業自得すぎるだろ……だいいち、おまえが、もんじゃ食ったこと無い食べたい食べたいーっ、
 って言うから来たんだろ!? まあ、ためしに食ってみろって。美味いから」
「いい。ぜんぶあんたにあげる」
「おまえ一度に6つも頼んどいてそりゃねえだろ!? そうだなあ……見た目か……そうだ、大河、
 おまえちょっと目つぶってみろ」
「な、なんでよ。はっ、わかった、あんた私の唇を奪う気ね!? あんたってなんて色情狂犬病なの。
 しかもこんな油っくさい場所に誘い込んでだなんて。今日ほどあんたの異常性欲に
 驚かされたことはないわ、このオイルプレイマニアのダーティドッグ淫蕩犬!」
「ただの勘違いのせいで死にたい気分にまでなるのは嫌だからやめてくれ……。
 まあ、いいから、目つぶってみろって、騙されたと思って」
「騙すんならせめてもっとムードのあるところにしてよっ!?」
「だからキスなんかしねえって!」
「なんでキスしないのよ!?」
「して欲しいのかよ!?」
「あんたがしたいんでしょ!?」
「あー……ほら、まあ、頼む、落ち着いてくれ。どう見ても俺たち迷惑系だ。
 店員見てる。追い出される。なあ、俺も、いや、俺が悪かった。後でデザートもおごるから」
「……わかったわ。ホテルのデザートで手打ちよ。パークハイアットの展望ラウンジ。
 あそこすっごく眺めがいいの! 夜がいいかも! そこでなら……考えてあげてもよいわ……」
「真っ赤になって上目遣いか……大変貴重なものが見られてまことにありがたいが、
 絶賛勘違い継続中なのはわかった。……まあ、さておき、もんじゃだ。とにかく目を……
 いや、この際、鼻でいい。鼻に意識を集中してみろ。美味そうな匂いがするから」
「鼻!? あんたってどこまで変態……くん、くん、くんくんくん……っ」
「そう、そうだ。プレイじゃないぞ。匂いを嗅げ」
「くんくん、くんかくんかくんかくんかくんか……っはー……くんかくんかくんか……」
「そーう、そう。目もつぶってもっとちゃんと……ようしいい子だ、いい子だなー大河は。
 美味しそうな匂いだねー? 美味しそうな匂いがするねー? いーい子だ!」
「くんかくんか……はーっ……する……美味しそうな匂い……する……食いもの……」
「美味しいぞー? 食べるともっと美味しいぞー? 大河は、おこげのとことか好きだろう?」
「うん……好き……おこげ……美味しいよね……石焼ビビンパ……はっ、わかったわ竜児!
 私、石焼ビビンパが食べたい! カルビのつ」
「はいそこでストップ! ビビンパはまた今度な。今はもんじゃ焼きだ。おこげが好きな
 おませな少女のおまえに教えてやろう大河、もんじゃ焼きとはな、すべてがおこげだ!」
「おお……すべて……」
「そうだ。これがぜんぶおこげ。美味しいおこげだけで満腹したいという人類の夢をかなえた
 偉大なB級グルメだ!」
「おお……だけで……もはや神だね、考えたひとは……食べよ! 竜児! 早く食べたい!
 ほら早くっ! 世紀の大魔術に成功してマフィアのボスどもから万来の拍手を浴びて恍惚に
 うち震えるアングラ奇術師みたいな顔してないでさ!」
「お……おう、そうだな。食べよう、大河!」
「うんっ! ……で、どうやって食べるの、これ?」
「おう、食べ方な。それはこのヘラを使って……ああまて、いいか、まず俺が何回か、
 手本を見せるから、ちゃんと見て覚えてから、おまえもまねて食べること。
 そして絶対忘れちゃいけねえことは、火傷に注意すること、これだ。いいな?」
「うんっ、わかった!」
「よし、じゃあ、見ててくれ。このヘラで、まずこうして……火傷に注意な、押さえて……
 こうくるっと返して、熱いからふーっふーっとしてから、ぱくっと……うん、美味いなこの店」
「あう……ずるい竜児っ」

141◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/21(日) 18:11:55 ID:???
「ずるいっておまえ、手本なんだからしょうがねえだろ。いいか、もっかいやるぞ。
 よく見てろよ……こうして……火傷に注意な、絶対な……こう、ふーふー、ぱく」
「あー……も、もう、わかったよ! 完璧! 私も食べる!」
「待て! 念のためもう一回! 最後の手本だ!」
「えーっ!? うう……ひどい……変態……サド犬……っ」
「わあ泣くな泣くなおまえ! おまえのためだ! おまえが火傷するなんて俺は嫌なんだよ!
 な? な? ……よし、最後の一回、よく見とけよ……こう、火傷に注意して、こう、ぱく。
 わかったか?」
「ひっく……わ、わかった……」
「よし! じゃあ食べてよし! 火傷に注意な」
「わーいっ! うんっ! いっただっきまーす! っとこうしてこうあっっちゃああああっっ
 っってんめえふざけんなこのクソ餓鬼ゃあっっっ!? 訴えてやるっっっ!!」
「ダチョウ倶楽部か!! 馬鹿っおまえ火傷してないかちょっ手見せてみろ!
 あー赤い、やったな。ほら、俺の水飲んでないからこれに指つけろ。
 すいませーん! 店員さん! お水いただけますか? 氷入れて下さい!」
「うう……だ、大丈夫よこれくらい」
「いや、駄目だ。いいから冷やせ。火傷は最初が肝心なんだよ。……あ、すいません。
 ありがとうございます。……ほら」
「えっ、なに?」
「チェンジ。こっちのが冷ますのにいい。ちょっと冷たいだろうけどしばらく我慢だ。
 ……そう、赤くなったとこ、ちゃんと浸けとけ」
「うん……。えっ!? あんた、その水、飲むの? 替えてもらったら?」
「おう、なんでだ?」
「え、だ、だってその水、指、浸けたし……私の」
「俺はべつにかまわねえよ、おまえなら」
「っ!」
「……あ、それともあれか、おまえが嫌なのか? なら替えるか。ってもう口つけちまったけど」
「そんなことない! もん……嫌とかじゃ、ないもん。竜児がいいなら、いい。
 ……あのね竜児」
「おう、なんだ?」
「わ、私もっ……私も、ね? 今度、竜児が火傷したら、その指冷やしたお水、飲む」
「おう……べつにそんな無理することは」
「無理じゃない、もん……べつに……」
「そ、そうか……よし! じゃあ気をとりなおして、もんじゃ食べようぜ。早く食わないと、
 ほんとに焦げちまう」
「うん……でも私、もういいから。手、こんなだし……竜児食べて」
「……こうして、こうして、こう、ふーっふーっ」
「……」
「ふーっ、っと、ほら、大河」
「えっ、なに?」
「なにじゃねえよ。口あけろ。あーんしろ」
「っ! でも、これ……いいの……?」
「いいに決まってるだろ。俺一人じゃ食い切れねえし、それに……
 なんだよ、大河、おまえらしくもねえ。さ、いつもみたいに命令してくれよ、俺にさ。
 偉そうに、おまえらしく」
「う、うん。そうね、わかった。えと……りゅ、竜児っ! あ、ああああんたなんか……あれ?
 んと……かっ、飼い主の私が指を火傷したら、したら……その……
 すっ、素早くお水で冷やしてくれて……えと……てっ、店員さん呼んで、その……
 お水も気にしないで飲んでくれて……そ、それで、それで、
 あーんとかして、優しく食べさせてくれるの……」


***おしまい***

◆eaLbsriOasでした。代理投稿歓迎。

142◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/21(日) 18:39:26 ID:???
代理投稿お願いいたします、のがいいのかな……かも。
お願いいたします<(_ _)>

そういや、本スレで「並び寝る」12章の告知して下さった方、
ありがとうございました!
見落としてお礼が遅くなって申し訳ありませんor2

13章はまだ告知自体されてない、はず……。

143高須家の名無しさん:2009/06/21(日) 18:39:37 ID:???
貼ってくる

144高須家の名無しさん:2009/06/21(日) 18:40:31 ID:???
>>142
すぐに貼られないからって焦らないように

145◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/21(日) 19:01:29 ID:???
>>143
ありがとうございました!

>>144
肝に銘じます。

ちなみに「もんじゃ」が代理投稿されないよーとか考えて
書いたのではなく(さすがの私にしても気が早すぎ……)、

代理投稿の通例のようなものを知らない私なんで、
歓迎とか書いてきたけど、こりゃ希望とかお願いしますとかのが
いいのかな、と思ってつけたししてみた次第でした。

催促にとれるタイミングで書いてしまってごめんなさい。

146高須家の名無しさん:2009/06/21(日) 20:17:47 ID:???
通例というか代理投稿自体あまり無いね
それにほら、このスレお気に入り登録してる人もいるからこっちで読んじゃうって人もいるし
ただそのことについていちゃもんつけてくる人がいないあたり正直嬉しく思う

147高須家の名無しさん:2009/06/21(日) 20:33:55 ID:???
>>140
相変わらず脳内で竜虎が喋りだすいい文章だなぁ。
しかも夫婦漫才までw

148高須家の名無しさん:2009/06/21(日) 22:11:43 ID:???
13章告知しておきました。
でも、テンプレ使うの忘れててごめんなさい。

149◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/22(月) 00:00:35 ID:???
ひょっとしたら今夜も待ってくれてる方がいるかもしれないので……

「並び寝る」は次の14章かその次あたりが終章になります。
14章はだいぶ書けてますけど、とりあえず執筆(なんてな!)と推敲に
数日頂きたいと思ってます。まったりお待ち頂けると幸いです。

>>146
やっぱこういうのは稀なんですね。いつもお世話になっております……

>>147
ありがとう!
エディタには常に何本か漫才が書かれてたりします。
イチャコラしだして、オチがついたら完成、みたいな。

>>148
告知ありがとうございました! テンプレでなくてももちろん結構です。
テンプレは告知の文面を考えるお手間をとらせないためのものなので、
むしろお手数痛み入ります……

150◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/22(月) 08:16:52 ID:???
本スレの◆fDszcniTtkさんの討ち入り、いいよね……

ゆゆぽ文体に寄せてて。洞察があって。GJ

151高須家の名無しさん:2009/06/22(月) 12:31:24 ID:???
ただあの人は改行って何?状態だからな
それだけが唯一にして最大の欠点だが
あんだけすばらしい内容の前にはそんなことどうでもよくなってくる

152高須家の名無しさん:2009/06/22(月) 12:59:59 ID:???
◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g氏も長い文章は途中で改行してくれると読みやすいのだが

153高須家の名無しさん:2009/06/22(月) 13:01:38 ID:???
と思ったが上の短編ではちゃんと改行されてた

154高須家の名無しさん:2009/06/22(月) 19:06:13 ID:???
Style導入してプレビュースキルを得たらしい

ちなみに書き込み欄は枠をドラッグすれば大きさ変えられますよ

155◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/22(月) 19:59:50 ID:???
>>151
◆fDszcniTtkさんが改行しない理由は、わからないんですが、

>>152
私の「並び寝る」が改行できてないのはこういう理由です。

SS書きにもいろんなタイプがいると思うんですよ、たとえば、

大河と竜児って名前だけどセリフがぜんぜんぽくない、とか、
セリフは大竜っぽいけど、地の文がゆゆぽっぽくない、とか、
セリフも大竜っぽいし、地の文もゆゆぽっぽい、とか。

私の好みはタイプで言うと最後の、地の文もゆゆぽっぽい方がいいというクチで。
で、まあ、成果はともかく、書くときは似るように心がけたりもするわけです。

すると、どうにも改行しずらいんですよ。
ゆゆぽ文体って、たとえばこういう特徴があります。

--
例1:
なんとかと竜児は思う。かんとか。すんとか。
--
この場合、後ろの二つの主語は竜児で、「と竜児は思う」が省略されています。

--
例2:
あれして、これして、
「この馬鹿犬」
大河は言って微笑むのだ。
--
これはセリフの前の「あれして、これして、」の主語は、セリフの後の大河になります。

で、これがひと続きになるところとかがよくあります。「けれど」などの接続詞が
例1文の最後に置かれたりして、接続されます。

--
例3:
なんとかと竜児は思う。かんとか。すんとか。けれど。
あれして、これして、
「この馬鹿犬」
大河は言って微笑むのだ。
--

これがゆゆぽ文体の特徴のひとつです。

ではこれを、句読点で改行を入れて、スレで読みやすくします。

--
例4:

なんとかと竜児は思う。
かんとか。
すんとか。
けれど。
あれして、これして、

「この馬鹿犬」

大河は言って微笑むのだ。
--

なんというか、だいぶ意味あいが違ってきます。

まず、「かんとか」「すんとか」が、竜児の思ったことなのか、地の文の報告なのかが、
改行されたせいで主語が切れてしまってピンと来ません。

それでも一応、主語は竜児なんだなと思って読み進めます。
すると今度は「かんとか」「すんとか」に、けれど「あれして、これして」が並列されます。
するとセリフ前の時点では「あれして、これして」は、
まるで竜児が「あれして、これして」したかのように読めます。

ところがセリフをまたぐと大河だったのねー、みたいな文章になります。

というわけで、地の文にはうまいこと改行できない箇所が出てきます。
てか意味あいが変わるのが、書いた私には非常に辛いわけです。

改行して、意味あいの変化を補正する作業を全編にほどこせばいいわけですが、
ゆゆぽっぽさはさらになくなるし、私の能力と暇を越える作業量になります。

というわけで、「並び寝る」は私には改行できません。ごめんなさい……

156◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/22(月) 20:10:47 ID:???
>>153
>>154

SSSはエディタ上ですでに適度に改行されて書かれています。

なぜそれが出来るかというと、それはずばり、地の文がないからですw
地の文がないから、>>155で説明した問題が起こりません。

それともうひとつの理由は、「並び寝る」がテーブル命令による改行もしくは
印刷を想定して書かれた(つまり本スレに投稿するとか初めは考えて
いなかった)のに対して、

SSSは、特にその一回目は、本スレが議論で、ぎすぎすしていた時に、
議論を流すために書いたものだったということ、つまり、

SSSは初めっからここのみんなや本スレなど、2chのスレで読むことを
想定して書いたものなわけです。だから郷に入ればなんとやら、
適度に改行させていただいてます。

157高須家の名無しさん:2009/06/22(月) 20:11:00 ID:???
そんなに変わらないけどねえ

158高須家の名無しさん:2009/06/22(月) 20:13:11 ID:???
>>155
気持ちはわかる

だが


読みづらい

まあ内容はいいし作者がこだわり持つのは良いことです
というかこういうメーラーにも似たスクリプトの掲示板が悪い!

って結論でいいですかw

159◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/22(月) 20:29:47 ID:???
>>157
うまいことやれば、改行を入れるだけでもそうなのかも知れません。

前に●さんに4,5章の改行を入れてもらった時は、
さほど違和感なく。へーこうなるのか、なんて新鮮でした。
あれは●さんの技量によるのでしょう、きっと。

つまりまあ、私は改行が入れられないだめ人間だもの_ノ乙(、ン、)_
ということで。

ちなみに、次に地の文入りの次回作をここにうpる時は、
改行を使うつもりです。郷ひろみに従え。

あと、今回のここでの話とは関係なく、「並び寝る」の次章は、
改行がわりと多用されています。いつもどおりのとこもあるけど。

>>158
ごめんなさいね……ブラウザで見るとぐっと読みづらいんだよねまたこれ。
フォローありがとうございます……

160高須家の名無しさん:2009/06/22(月) 20:29:50 ID:kARerzm.
>>155
そこまで研究していたのですか……
ただただますますもって敬服するばかりですよ。

161高須家の名無しさん:2009/06/23(火) 02:48:18 ID:???
今さらながらの感想なので恥ずかしいのでこっちに。
◆fDszcniTtk氏のクリーム・ソーダからSundays,Octorberまでの一連作品は、
個人的にとらドラ!アフターストーリーだと思っている。

なんつーか、自分が想像していた原作版終了後の竜虎のラブラブっぷりが、
想像以上に描かれていたので、かなり満足してしまった。
まさしく、『これが読みたかった!』状態。我が人生に悔い無し。

うっは、俺キメエwwっうぇ

162◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/23(火) 11:11:05 ID:???
>>160
あ、あんたなにこっぱずかしいこと言ってんのよっ……あ、ありがと。

>>161
◆fDszcniTtkさんが読んだら喜んでくれますよ、きっと。

でも2chだと感想って案外難しいものだということも、みなさんから学びました。
エロパロスレとか、テンプレでマンセー禁止してますもんね、たしか。
感想マンセー過ぎるとアンチが湧いて荒れるってことですよね、たぶん。

--
あなたの作品が好きです、ただあなたの作品だけが好きなのです。
職人にそう伝えたいと、名無しは思う。
ひとつひとつの言葉をあげて、褒めてあげたいのだ。
想いの深さを示すように長く、長く感想を書いてあげたいのだ。けれど。
それはできない。アンチが湧いてしまう。
それは結局、職人を傷つけることになってしまう。
大好きな、あの職人を。

名無しは本当はマンセーしてあげたくて。きっと職人も、本当はマンセーが欲しくて。
でもそれは場所が許してくれなくて。
ふたりに出来るのは、ただ。
GJ、と。
ありがとう、と。
そうして。
穏やかでかすかな好意を、装うことだけ。
--

切ないわー、ゆゆぽ風に書いたら2ch切ないわー。泣けるわー。
勘違いだったら私恥ずかしくて死ねるわー。

163高須家の名無しさん:2009/06/23(火) 12:01:21 ID:Bo7XoS5.
本人かと思ったわwwww

164◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/23(火) 16:24:34 ID:???
>>163
ありがとう!

……これだと、俺は思った。きっと、ずっと――俺たちは、こうなんだって。

165◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/23(火) 16:28:27 ID:???
◆eaLbsriOas@避難所です。代理投稿歓迎。感想いつも拝見しています。ありがとう!
大河と竜児に「もんじゃ食べてきて」と言ったら、『もんじゃ焼きタイガー』になった。
「トランプしてみて」とだけ言ったら、こうなった。

***

・トランプしないの

「りゅうじぃ〜、ねぇ〜、つまんない男ぉ〜?」
「おまえって、俺呼ぶとき必ずなんかひでえこと付け足すのな……なんだ、大河?」
「なんかな〜いのぉ〜? も〜て〜な〜し〜な〜さ〜い〜よぉ〜」
「いでででっっ! おまっ、足の親指で巧みに肋骨狙うよやめろよ!? ……そうなあ、
 トランプでもすっか?」
「トランプぅ〜? ……暇ここに極まれり、ね。ま、いいか、そういやあんたとは
 やったこと無いし! やってやろうじゃないの!」
「おう、ようやく起き上がったか……ってまた寝っころがるのかよ!?」
「で、なに? なにすんの? ババ抜き?」
「ババ抜き二人はキツいだろ。そうだなあ、ブラックジャックとかどうだ?」
「おっ、いいわねえ。どこを切開するといいのかしらねえ、あんたの馬鹿を治すには。
 やっぱり頭骨?」
「頭の骨のことを言ってるんならそりゃ『ずこつ』じゃねえ、『とうこつ』だ。
 馬鹿に教えられるおまえはなんなんだ大河……てか、つまり、一言でいうとおまえ、
 トランプのブラックジャック知らねえな?」
「そうなのよさ!」
「だからそれマンガの方だろ……じゃあ、ポーカーは? ……いや、アホヅラ作るな、
 ぽ〜か〜とか俺にどうしろってんだ。おまえせっかく綺麗なんだからやめろよな。
 ……なんでそっぽ向くんだよ?」
「うるっさい。気にすんな。とっととトランプしろ」
「俺一人でどうしろってんだよ。おまえとするんだろ。いいからこっち向けよ」
「……」
「なんで顔赤くなってんだよ……ははあ。ま、気にすんなよ」
「きっ、気になんかしてないもん。……あんたの言うことなんか」
「まあ、そうだな。いろんな手があるからな。覚えてないと話にならねえし」
「い、いろんな手があるの? ほ、ほ、他のとかだと、どんな? び、美人とか?
 か、可愛い、とか? ひゃあっ、恥ずかしっ! もう、このシベリアンオンナスキー犬!」
「すまん、おまえが何を言っているのか、俺にはさっぱりわからねえ」
「えっ、何? も、もっと違う方向なわけ? なんだろ……なんだろ……」
「な、なんだなんだ、どうしたおまえ!? 鼻息荒くてトランプ飛ぶだろうが!?」
「うっさいっ!! 言うんじゃないよ!? ぜ、絶対あててみせるんだから……
 基本はいい感じの方向よね……素敵? なんか違う感じ……元気? つまんないわ、
 そんなの……繊細? なんか嬉しくない……うーん、ううーん、ううんうううううん……っ!
 ああっ! もうっ! くやしいけど降参よ! 降参してやるわこの視姦犬めがっ!」
「おう、わりと早かったな降参……」
「うっさいっての。で、何? 何なの? あんたの目には一体私はどう映っているわけ?」
「はあ? なんだ? 俺の目には……おまえが、どう映っている、か、だって?」
「すっとぼけんじゃないよこのスットコドッコ・イメクラ野郎! はっ、やばい!
 今のナシ! いい印象いい印象、えっと……ねぇ〜ン、竜児ぃ〜ンっ♪」
「うはあ!?」
「あんたってさぁあ? 私のことぉ、えっと……どぉんなふうにぃ、思ってるのぉ? ……えいっ☆」
「ぐはあっ!? う、ウインク……!」
「ねえぇんっ、ンもう……じらさないでよぉこのイケズぅうううンっ、教えてぇ?」
「……い、今か?」
「そぉ、い、ま! さっきのはぁ、ナシでぇ、ねっ☆」
「はっ、はあああ……い、今は……」
「っんうンっ、今はぁ?」
「今は……とりあえず……」
「んもうぅ、じ・ら・さ・な・い・でっ☆」
「とりあえず、キモい」
「ぅんんんだとごるぁああああっっっ!? ひとに生き恥晒させてさんざじらしまくった挙句に
 『とりあえず、キモい』たぁなにごとだてンめええええええ――――――――――っっっ!!」

166◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/23(火) 16:30:10 ID:???
「ひいいいいいぃぃぃぃ――――――――――ぃひいひぃひっっっ!?
 こっ、こっここここ殺さないでくれええええ――――――――っっっ!!」
「………………とりあえず、折る」
「具体的な感じがもっと嫌ああああっっっ!?」
「……」
「ひっ、知らねえ動き!?」
「……ぅ」
「ま、ま、待ってくれ、大河!! 言わせてくれ! 俺に! 俺がっ!!」
「問答無用っ!! 骨と一緒にキサマの心も折るっ! ほどよく5ケ所ちょちょいとねえっっっ!?」
「っおまえを普段どう思ってるか言わせてくれえええええ――――――っっっ!!」
「……あ、それ、聞きたいかも」
「たっ……たっ、たたた助かった……2度目……助かった……」
「ね、竜児っ、早く教えてよ! もうっ、なに17才の性欲過多のヨボ犬みたいにハァハァ息なんか
 切らしてんの? さっきなんかあったわけ?」
「さ、さすがの、俺も、つっこめねえ……っは、はあ……」
「……やっぱり一本くらい折っとく?」
「やっぱわかってんじゃねえかこの野郎!? いや、失言でした。ほんとどうもすいませんでした。
 許してください大河さん、いや大河さま、いや大河さまさんちゃん」
「よくてよ。さ、聞かせなさいよ」
「おう。その前に、命がけついでに、ひとつ訊きたいことがあるんだが……
 大河、おまえは何で、俺がおまえをどう思っているのか聞きたくなったんだ?
 馬鹿に教えると思って答えてくれ」
「えっ!? そ、そりゃあ、ほら、あんたが、私のことを、きっ、ききき綺麗だ、
 なんて言うから……」
「……で、他の印象も知りたいと?」
「そ、そう……だってあんた、他にもいろんな褒める手があるんだぜむひひっ、
 なんて言うから……」
「むひひっ、はねえだろ……なんだって? 褒める、手……それかあああ、手かあああああ……?」
「な、なによ。頭なんか抱えちゃって。大丈夫よ、今回は頭骨割るのは勘弁してあげるから」
「そう、『とうこつ』、良く出来ました……じゃねえよ、おまえ……俺は、
 ポーカーの手がいろいろある、って言ったんだよ。手、ってのはつまり……そうな、
 勝ち方、ってことだ」
「え? ……えっ、嘘っ!? あ、あんたポーカーの手だなんて言ってない! 言ってなかったよ!」
「その通りだ。俺は、『手はいろいろある』みたいな言い方をしちまった。
 『ポーカーの』を、省略したはずだ。それで、綺麗だって俺に言われた直後のおまえは、
 ポーカーのかわりに、そこに『褒め方の』を読み込んだ、ってわけだ。
 これが、まあ、その後に続いた滅茶苦茶の、原因、てか真相ってわけだ……はあ……」
「げ……生き恥さらしたこっちはため息も出ないっての……で? あんたはどっちが悪いって
 言いたいわけ。あんた? 私? ……それとも遺憾な事故だ、とか言うわけ」
「俺が悪い」
「そっ! えっ……?」
「まあ、多少は事故ってとこもある。でもまあ、俺が言葉を省略したのが原因だ。俺が悪い。
 ……ごめんな、大河。恥ずかしい思い、させて」
「っ! ……あ、そ、そうよっ! あんたが悪い! の、よ……わ、わかってんなら……
 いいの……ゆ、許す。……なによ、あんたの優しい微笑みとかマジキモい。
 どっかですずめが大量死するわ。折るよ?」
「折るのは勘弁な……でだ、俺はおまえのこと、綺麗だと思ってる」
「ひゃ……! な、な、なによそれっ!? なんなのいきなりっ!? そ、そ、それに、
 そんなこと、し、ししし知ってるってば! きっ、聞いたし! 何度も言わなくていい!」
「美人だな、とも思ってる」
「ひゃあっ!」
「美人てか、まあ、おまえは……美少女だよ、すごく」
「ひゃあっ! ひゃあっ! な、ななな、なに? どっ、どうして」
「可愛い、とも思ってる。すごく」
「はひゃっ! な、ななななんでっ!?」
「なんでって、おまえ、可愛いもんは可愛いんだよ。理由はねえ」
「きひゃあっ! ち、ちちちがうの! な、なんでそんなこといきなり言うのよっ!?」

167◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/23(火) 16:30:49 ID:???
「いきなりじゃないだろ。ほかの褒め方知りたかったんだろ、おまえ? だからだよ。
 褒め方、っていうか……まあ、たんなる俺の感想だけどな、おまえについての」
「は、は、恥ずかしいっ! そんなの、も、もっと、恥ずかしいじゃないっ!」
「おう、大河、そんなに座布団ぐしゃぐしゃっと抱きしめるな。駄目になるだろ?」
「うるっさいっ! こっ、こうでもしてないと、は、恥ずかしくって、私が駄目なの!
 お、おか、おかしくなりそうなの! ていうかなに!? あんたこそなによっ!
 そ、そそそんなこっぱずかしいことばっか言って! なっ、なのにあんたってば、
 しれっと顔色ひとつ変えないだなんて! あんたのがおかしいよ! くやしい……っ!」
「おう、そうか。恥ずかしがるはずなのか、俺は。そうか、そうかもな。まあ、なんてか、
 いたって平常心だ。たぶんあれだ、死線をくぐりぬけたせいなんじゃねえかな」
「そ、そんなのって……ずるいよ! くっ、くやしいくやしいくやしいっ! くやしいのっ!」
「おう……じゃあ、まあ、こんなところでやめとくか」
「えっ……ま、まだあるの……?」
「ある。聞きたいか?……それはうなずいてるのか? うなずいてるな? 聞きたいんだな?
 ……そうだなあ、お人形さんみたいだな、とはよく思う。おまえはちっこくて可愛いから」
「はう……っ」
「なんだその手は……座布団か? 座布団追加か? 仕方ねえ……ほれ。俺のも持ってけ。
 あーまたそんな、ぎゅっとかしやがって。……あとはな、まあ、おまえのナリもあるんだが、
 童話に出てくるお姫様みたいだ、なんてよく思ってる。……おまえ大丈夫か?」
「はあっ、はあっ……だ、だいじょぶ、なの……よ、さ……あとは?」
「あと、か……あとはな」
「あ、あと、は?」
「ドジ、だな、おまえは」
「ひゃあ……えっ?」
「そこはひゃあじゃねえだろ、ドジ……あとは、怒りんぼで、口が悪くて、泣き虫だ、おまえは」
「……な、なによっ! いいわよ、私の中身の話は! どうせ良いとこないもん!
 私知ってるもん! わざわざ鈍くさドンブリ野郎のあんたの口からなんてねえ!?
 あ、あんたの! あんたの……あんたの口からなんて、聞きたく、ない、もん……っ」
「まあそう怒るな。おい……泣くなよ、大河。ちゃんと続きがあるんだ」
「ひっく……な、なによっ……?」
「おまえはすごいドジで……だから、放っておけねえ、って思う」
「っ!」
「……あ、これ、ずいぶん前に聞かせたかもしれないな……あの春に、一度」
「竜児……っ」
「その顔も、可愛いぞ、大河……聞いたのは、要らないんだったよな? 俺もたいがいドジだな。
 おまえのこと言えねえ」
「い、嫌だよ……要らなくなんか、ない。要るの、何度でも……何度でも! 何度でも聞きたいの!」
「大河……」
「竜児……お願い。何度でも、いいから……聞かせて、欲しいの……」
「そうか、わかった。あとは――そう、おまえは……怒りんぼで、ひでえことばかり言うけど、
 でも……そうだな、難しいな。なんて言ったらいいのかな……」
「い、言って! 竜児、言って……っ」
「……一緒にいたい、って、思うんだ、それでも。俺は、おまえと一緒に、ずっと」
「っ! うぐ……っ」
「なあ、お願いだから泣くなよ、大河……泣かせるために言ってるんじゃねえんだ。やめちまうぞ?」
「駄目っ! っく、ま、まだ、さいごの、泣き虫、残ってるもん……言って!」
「……俺は、おまえが泣くと、駄目なんだ。今だって辛い。おまえの涙を止めたくてたまらなくなる。
 おまえを元気にしたくて……おまえの笑顔が欲しくて、たまらなくなるんだよ。
 俺はおまえの涙を止めるためにいるんだ、大河。……なのに、馬鹿だな、俺は。こんなに……
 こんなに、おまえを泣かせちまって……そうだ、大河」
「な、なによう……っ」
「トランプ、するか?」
「しないわよっ!! ……もうっ、竜児の、バカ……」


***おしまい***

168高須家の名無しさん:2009/06/23(火) 17:19:13 ID:7TMOdQrs
ニヤニヤが止まらねぇーwww

169高須家の名無しさん:2009/06/23(火) 17:49:20 ID:???
……なのに、馬鹿だな、俺は。こんなに……
 こんなに、おまえを泣かせちまって……そうだ、大河」
「な、なによう……っ」
「するか?」

ギシギシアンアン

正直すまんかったwww

170高須家の名無しさん:2009/06/24(水) 00:12:57 ID:???
投下してきてみた
仕事終わって夕方から眠ってたからさっきPC起動させたばかりなんだよ
昼休みはレンタルマギカ見てたし

>>162
こっちに作品の感想スレ立てればいいんじゃね
荒らしとか嘲笑とかは管理者判断でアク禁にされるしリモホも見られるし

171高須家の名無しさん:2009/06/24(水) 01:54:43 ID:???
>>170

>>162も分かるが、作者がこっち見ない場合もあるだろうし
何より、本スレが静かになったら寂しいとおも

172◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/24(水) 09:10:16 ID:???
>>168
ありがとう!

……これだ、って、私は思う。きっと、ずっと――私たちはこうなんだ、って。


>>169
アホかw ていうか、鋭い指摘だとも思いました。

竜児が死線をくぐりぬけてwおかしいほど冷静になってないと、
ギシアンはともかく、決定的なところまでいっちゃうんだよねこの流れ。
キスとか、告白とか。

実はこの「トランプしないの」は10行くらいのSSSにしたかったんだけど、
指先に棲む大河と竜児が漫才から勝手なことやりだして、こんな風に長くなった、
ある種の失敗作だったりします。

結果、笑い、萌え、泣き?と3つ揃ったものにはなって良かったんですけど。

ちなみに、そうやってふたりが勝手に長くしていって、竜児が最後の長い
セリフを言っているときに、自分の中の大河が自分の身体を使って泣き出したので、
ああここで終わるんだな、と気づいたという。


>>170
代理投稿ありがとうございました!

投下が多少遅れても、もうやきもきしたりはしない、はず。


>>171
直近のSSの感想は本スレでおkとして、

作品庫にある古いSSに遅まきながらとか、ややあらたまった感想つけるとかは
本スレでは向いてなさそうだから、そういうもののための
「季節外れの感想スレ」みたいなものはあってもいいのかも。

173高須家の名無しさん:2009/06/24(水) 11:41:40 ID:???
俺、この戦いが終わったら(どの戦い?)
能登×麻耶スレのまとめサイトを立ち上げようかなと思うんだ…

>>172
オムライスさんところとか感想スレとかあるしな
あそこは書き手にもまとめる側にもいろいろと参考になるから見て置くと良いだろう

174◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/24(水) 12:54:09 ID:???
>>172
おう、と、そのオムライスさんのとこの感想スレをぐぐって探したけど、
……わかんにゃい(涙

URL、教えて欲しいの……(能登のチワワ目、かわいくない

175高須家の名無しさん:2009/06/25(木) 00:19:41 ID:???
>>174
オムライス
ttp://vipmain.sakura.ne.jp/



掲示板
ってところから入るのだ
作者さんに感想一言というスレッドがある

176◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/25(木) 00:58:58 ID:???
>>175
URLありがとう!

飛んでみて、むしろブーン系小説なんてのがあるのかと、そのこと自体に
目が眩みそうですが。あったような気もしてきましたが。

作者さんに一言感想、とりあえず1の書き方は参考になるかな……。

177高須家の名無しさん:2009/06/25(木) 01:03:55 ID:???
>>176
いろいろ作品読んでみることをおすすめする

178まとめ忍 ◆SRBwYxZ8yY:2009/06/25(木) 02:18:30 ID:???
感想スレを作ってみました。


そしてオムライスのサイトを見ていたらこんな時間に…
時間泥棒か。

179◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/25(木) 09:07:36 ID:???
>>177
ありがとう……でも小説読むの苦手なんだ、実は私……
ぜんぶ読んでるのはグレッグ・イーガンくらい。

>>178
お疲れさまでーす。さすがまとめ忍さま。
やっぱりここは私めがスレを立てないとだめなのかと思っておりましたが、
下忍の私にはとうてい及ばぬことでございます。

そしてさっそく感想スレに書き込もうと、パーティードレスを着て
まとめサイトを見ていたら、こんなTシャツにスウェット姿に。

おしゃれ泥棒か。

180高須家の名無しさん:2009/06/25(木) 09:48:03 ID:uroKtE4k
>>178
どうもどうも

>>179
読むのは苦手だが書くのは得意ってのはある意味うらやましい

だが読み手の気持ちになるのも大切だ
まあ小説と言っても短編か長編までいろいろあるし
興味あるジャンルから読んでその世界観に浸れたらいいさ

181高須家の名無しさん:2009/06/25(木) 12:11:32 ID:???
>>179
とらドラも原作は読んでないの?

182◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/25(木) 13:21:24 ID:???
>>180
私が小説読むときに一番心理的にコストになるのってキャラを覚える、
というか自分の中でキャラの存在を立ち上げることだったり。

それがどうも面倒くさいらしく。小説はとりわけ最初の数ページがつらい。
スティーブン・キングとかだと100ページとかになってていよいよつらいw
「呪われた町」とか好きです。

まあ、小説読むのが苦手といっても多少は生きてきたので、ちらほら
読んではいます。でないとさすがに書けません……と言いたいところだけど、
小説って読んで無くても書けば書けるっぽいよね……


>>181
もちろんとらドラ!は原作読んでます。でないとゆゆぽ文体の模倣なんか
できないし、あり得ないw 今は2週目の9巻。大竜派にはキッツイっすね。

入り口はアニメだったんですけど。

というわけで私の大河と竜児は原作直系?なのでご安心を。
もちろん声は鈴宮&間島コンビでw

183高須家の名無しさん:2009/06/25(木) 15:23:02 ID:???
声誰www

184◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/25(木) 15:32:05 ID:???
>>183
いえーい、まちがえすぎw 道理でなんで一発変換されないんだろうと。

釘宮ですくぎゅううううううううううううううううううううううう……っっっ!

185高須家の名無しさん:2009/06/26(金) 09:28:12 ID:u3o545j2
ギシギシアンアン


「もう一度…」


ギシギシアンアン


「もう一度…」


ギシギシアンアン

……


「……もうだめ…」

「すまん、もう一度だけ…」

ギシギシアンアン

…………


「………竜児のえっち…」

「おぅ…」


終われ

186◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/26(金) 10:39:31 ID:???
>>185
意外な新鮮さw

しかしついに私以外のSSが避難所に(感無量

187◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/26(金) 20:37:29 ID:???
◆eaLbsriOasです。「竜虎並び寝る」14章をお贈りいたします。
お待たせいたしました。クライマックス、前半です。終章じゃねえのかよ!?

本スレへの告知誘導のみ、よろしくお願いいたします。

--テンプレ--
◆eaLbsriOas氏のSS「竜虎並び寝る」14章、投稿されました。
ドエロコメですので、読みたい方だけ
まとめサイトの新避難所のリンクから、どうぞ。
-----------

188◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/26(金) 20:38:12 ID:???
 14

 泣きながら、震えて。ぎこちなく、歯も閉じて。
 初めての時よりも、よっぽど初めてするような、竜児のキス。
 その唇に、大河もまた蕾と閉じた薔薇の唇を捧げる。逢わせる。
 潤いも無く荒れた竜児の唇が、途方もなく愛おしい。
 きっと私のために、格別に、喘いで、干からびて、割れた、竜児の唇。
 愛しています。
 愛しています。と。
 大河は自分の唇に想いを込めて、震えるその唇に届けようとする。
 やがて離れれば、微笑み。
 竜児のこわい、優しい目。こわくて、穏やかな目が、大河の魂を撫でる。
 愛を口にすべきだろうかと、大河は迷いながら薔薇色の唇を、そっと開く。
 その唇を竜児に吸われて、おねだりと思われたのだと気づく。
 今度はやらしいキスをしようねと、竜児の舌が誘うから。
 大河も桜色の舌を出して、捧げようとして。


 キスが魔法を解くと、物語は言う。


 その舌が、お砂糖になる。
 唇が、頬が、鼻が。
 目まで届いたとでもいうかのように、大河は瞳を大きく見開く。星を振るわせる。キスの、最中なのに。
 はたして。竜児も細い目をこれでもかとばかりに見開いていたのだ。
 竜児も、なの?
 お砂糖へと変わっていく波は止まらない。変化の震源は、もうひとつ。
 竜児の熱くて硬い肉をきつく包む大河の肉が、お砂糖へと変わる。途端に甘く甘くとろける。
「あっ!」
 大河はとうとう声を漏らす。瞳が甘い涙の雫をこぼす。
 腰が、のどが、ももが、胸が、すねが、腕が、足が、手が、お砂糖になっていく。
 気づけば、指の先、髪の毛の先までもが甘くなっていた。
 お腹の底、へその下に、とろけた砂糖が流れ込み、ふたたび流れ散る、濃くて甘い疼きの溜まりが現れる。
 ずきずきとそこが激しく疼く。
「あっ! あっ! あっ!」
 止められない声は、溶けて吐息となった砂糖の欠片だったのだ。
 竜児。
「り、りゅうじ……っ」
 私をお砂糖に変える、特別なひと。
 竜児だけにとろける、お砂糖の私。
「たっ、大河……おまえの中、熱くて、キツくて……とけそうだ……っ! へ、平気なわけが……っ!」
 無かったのだ、平気なわけが。
 平気なわけなど。
 大河の唇にまで振り落ちてくる、竜児の汗。
 桜色の舌を出して舐めてみれば、やはりしょっぱいのだ。でも、これは、きっと。
 お砂糖になった、竜児の雫。
 竜児も、なのだ。
 きっと大河だけにとける、お砂糖の竜児。
 竜児をお砂糖に変える、特別な私。
 嬉しい。
 嬉しい。
 私たち、こんなにくっついて。
 とうとう、つながっていて。
 平気なわけなど、無かったのだ。
 キスが魔法を解くと、物語は言う。
 キスが魔法を解いたのか、それともキスが魔法をかけたのか。大河にはわからない。竜児にも、きっとわからない。
 けれど、きっと、何が解けたのかはわかる。
 痛めないようにと思う竜児の気持ちが、痛がらないようにと思う大河の気持ちが、解けたのだ。
 心から身体が取り戻されたのだ。
 今や大河は、身体じゅうが甘かった。指の先まで甘いのだった。性器とそうでないところの区別など無かった。それは甘やかさの濃淡のようなもので、竜児に触れたところだけが格別に甘い。つながるところをひとが性器と呼ぶのだとしたら、竜児が触れたところは、そこがどこであろうと、大河の性器なのだった。だから。
 キスが途方も無く気持ちいいのだ。
 撫でられればそこが甘くなるのだ。
 乳を吸われるだけで絶頂しだのだ。
 つながるところは、身体ですらなくても、言葉でさえも、性器なのかもしれない。だから。
 可愛いと言われて震えたのだ。
 命令されて絶頂したのだ。
 ただ竜児だけが、大河のすべてを性器に変えることができる。
 ただ竜児だけに、大河はおのれを変えることを許したのだ。
 それを、好き、という。
 竜児、好き。
 竜児のことが、好き。
 私は竜児のことが好きなの。
 がまんできない。

189◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/26(金) 20:38:55 ID:???
「りゅ、竜児……っ!」
「た、大河……?」
 ふたりは動いてなどいなかった。しかもふたりは動いていた。
 ただ、つながったままでよかった。動く必要なんてなかった。
 それだけで、つながったところから、激しい快感がふたりの身体を貫く。貫く。貫く。
 大河の腰はひたすらに跳ねて、竜児のものを締めつける。竜児の尾骨から脳天へと快感が走る。
 ふたりは喘ぎ、震え、涙と汗を散らす。
「もう……がまんならないわ……」
「た、た、た、たい、が……?」
 狂おしい快感の嵐の中で、竜児はさらに驚かずにはいられない。
 さっきまで快感に苛まれて眉をひそめ、切なそうに目蓋を震わせ、桜色の舌を薔薇色の唇からのぞかせて甘く可愛く喘いでいた大河が。
 なんてちいさく、華奢で、熱く、濡れて、震えて、白く、淡色で、桃色で、甘やかに香り、可愛く、可愛く、可愛いのだと、竜児の脳髄を痺れさせていた大河が。
 その、大河が、大きな瞳にほとんど殺意の光すら溜めて、虎も虎、猛獣もいいとこの、ものっっっすごおおおおっっっい目つきで、やおら竜児をガン睨みしてきたのだ。
 わけがわからなすぎた。
 謎多き今宵においても、最高の謎の出現であった。
 大河は声音も低く、低く、低く。獣のように唸って。
 吼えた。
「この……犬っ!」
「ひっ!?」
「駄犬!」
「ひっ!?」
「グズ犬! エロ犬! 馬鹿犬! ドジ犬! ブス犬!」
「ひっ!? ひっ!? ひっ!? ひっ!? ひっ!?」
 なに犬、かに犬、あれ犬、これ犬、それ犬……と、ひたすら大河は竜児を罵り、睨む凄まじさもあいまって。
 ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ……と、ひたすら竜児は大河の罵りにのどを引きつらせて合いの手を入れるばかり。
 なんとここに来て深夜の罵倒のスーパーメドレー、悪口の天才・大河オンステージの開幕であった。
 やがてさすがに犬メドレーが終わったかと思いきや、
「グズ犬野郎! エロス野郎! スク水野郎! ドグズ野郎! ドブス野郎! ドエロ野郎!」
「ひっ!? ひっ!? ひっ!? ひっ!? ひっ!? ひっ!?」
 意味がかぶろうがおかまいなし、野郎メドレーのスタートなのだった。
 しかもその間、大河が叫ぶのにあわせるようにして、大河の熱くて狭い穴は竜児の勃起をぎゅうぎゅうと甘くきつく締めつけてくるのだ。ひとたびキスで解けてしまった魔法は、大河の罵倒の嵐の中でも絶賛解消中なのである。
 目と耳からは大河の罵倒、鼻と肌からは大河の愛撫、それもこれもと竜巻のごとく入り混じり、怒涛のごとく竜児の身体に流れ込む。地上にあって人の身体にこれ以上の混乱があるものかと。
 罵倒にあわせてひっひと律儀にのどを鳴らしながら、竜児の凶眼すらただひたすらに白黒と明滅、過剰する意味、絶対の無意味の狭間で狂気の淵に立たされる。右を向いても大河、左を向いても大河、上も下も前も後ろも大河大河大河大河。心も大河によって完全包囲、針すら立たぬ零次元に風前の灯火となったわずかな意識で竜児は思う。
 地獄の罵倒に天上の快楽、いったい大河は俺の身体に何を刻み込もうというのか。もしこの罵倒の渦の中でおのれが絶頂を迎えてしまったら、いったい俺の身体にどんな不滅の刻印が焼きつけられるというのか。もしこれでなくては――大河の天才的な罵倒に晒されながら、大河のめくるめく甘美な身体に包まれながらという、もし、コレでなくてはイケないカラダになったとしたら。どう考えても、どう考えても、どう考えても、それは。
 ド変態。
 弩のつく変態、ド変態。
 超々々弩級ドドドド変態。間違いない。
 もちろんそれも大河とのこと。愛だとは思う。愛があるとは思う。愛である。ただし。
 愛だとしても歪んだ愛。愛があっても歪んだ愛。歪んだ愛である。間違いない。
 永遠に続く罵倒、無限の濃度の愛撫にさらされながら、しかし竜児は思い始める。
 それでもいいのかもしれない、と。
 それでもいいのだろう、と。
 それでいいはずだ、と。
 それでいいのだ、と。
 それがいい、と。
 ド変態、歪んだ愛、なんであろうと。
 大河がそれを望むのであれば、それがいい、と。
 大河とともに在れるのなら、それでいい、と。
 心の中心、面積無し、線分無しの零次元の頂から、宇宙のすべてとなった大河という名の真っ暗闇の底なしの淵へ。
 落ちよう。堕ちよう。堕ちてしまおうと。
 あふれる愛を抱いたまま、竜児が一歩を踏み外そうとした。その時。

190◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/26(金) 20:40:59 ID:???
「竜児っ!!」
 最後にして最強の罵倒と見まがう大音声で、大河が竜児を竜児の名において呼び止める。
 一切の段階もなく、一挙に宇宙が晴れ上がる。
 晴れわたる透明な宇宙にひとつ、ちいさなちいさな光。あれこそは。
 あれこそはと、竜児は眼をかっと見開く。
 あれこそはと、竜児は落ちるのもかまわず足を踏み出す。狂おしく走る。
 あれこそはと、竜児は肩もはずれよと腕を伸ばす。指よちぎれよと空を掻く。
 あの光。あれは光の光。星の星。
 ただあれだけが欲しいのだ。
 俺はただ、あれだけがあればいいんだよ、と。
 命をさしだし、無限の距離を走りぬけ、絶対の距離を握りつぶし。
 竜児はついに、光をつかまえる。
「つかまえた!」
 光の名を叫ぶ。
「大河!」
 竜児がその手をひたすのは、淡色の髪の海。
 胸をあわせるのは、ミルク色の息づき。
 目をあわせるのは、星振る大きな瞳。
 自分の罵倒は棚に上げ、いきなりつかまえたと宣言され、大声でその名を呼ばれて驚く、ちいさくて華奢で、可憐な少女。
「りゅう、じ……?」
 驚きのあまり、大河は毒気と一緒に肝まで抜かれたように、そう、切れぎれに呼んだのも、つかの間。
 えいやと気合を入れなおすかのように睨み目、眉根もしかめて竜児を見返し、ふたたび気合一閃。
「竜児っ!」
「おうっ!」
 途端に大河は涙をぽろぽろこぼしだす。謎の極致である。
「やっと……返事、してくれた……」
 気合はどこへ行ったのやら、大河の声は安心のあまりに可愛く震えるのだ。
「大河……」
「ど、どうして返事してくれなかったのよお……っ! 呼んだのに……いっぱいいっぱいいっぱいいっぱい呼んだのにっ! あんたってば、ひっひっひっひっひ〜っ、なんて、キモい笑い声で笑ってばかりで、ちっとも返事してくれないんだもんっ!」
 それはおまえの呼び方が悪かったからじゃねえのかと、竜児は唖然として思う。だいいち、あれはひきつったのどがあげた悲鳴で、そんな珍妙なキモい笑い声じゃねえぞ、と。ひょっとしたら、ショックのあまりの狂気の淵で、大河の言うとおり本当に笑っていたのかもしれないが。
 しかしすると、言われてみれば。
 あの、凄まじい罵倒の嵐は、たしかにすべて、俺を呼んでいたのだと竜児は気づく。竜児のどこかを貶すだけの罵倒はひとつもなく、罵りとともに必ず竜児そのものを呼ぶ声であったと気づく。犬の、野郎のと、それはまあひどい呼び方ばかりで、それを耐えて受けとめてやれるのはたしかに竜児くらいのものだろうが。でも、たしかに。
 それはすべて、ひどかろうとなんだろうと、大河が竜児を呼ぶ声なのだった。
 大河の言葉が過去すら変える。
 宇宙の晴れ上がりが過去にまでも伸びてゆく。
 言葉の暴力の荒れ狂う不透明な闇に包まれていたとばかり思っていたのに、すでにそこは透明な宇宙で、竜児の傍にはずっと、ずうっと、あの光が。光の光、星の星が、またたいていたのだ。
 大河は、竜児を呼んでいたのだ。
「おまえは、俺を呼んでくれていたんだな……」
「そうよっ!」
 だけど、きっと、竜児はもう、愛に狂っていたのだろう。
 宇宙の晴れ上がりは先の罵倒の嵐を抜けて、今夜にひろがり、今日にひろがり。
 昨日へと、おとといへと、ひと月前へと、去年へと、秋へと、夏へとひろがり、ついには春へとたどりつく。
 大河が初めて竜児を犬と呼んだ、あの日のあの時へと。
 きっと、すでに恋に落ちていたのだと、大河が言ったあの時へと。
 忌々しくも苦々しくも感じたはずの、過去のすべての罵倒がひっくり返される。
 すべてが大河の甘く切ない呼び声であったと勘違いして、それが真実になる。
「おまえは、俺を呼んでくれていたんだな……」
「そうよっ! なんで二回言うのよっ!?」
 竜児は返事をかえす。大河の甘く切ない呼び声をひっくり返していたすべての罵倒にむけて、甘く優しく返事しかえす。
「おう」
「な、なんで今度は呼ぶ前に返事するのよっ! あっ! ……やだ、どうして……っ!?」
 応えるように大河の身体はふるふると震えるのだ。可愛いと言われて悦ぶ時のように、へその下が甘く疼いて、大河は驚いてしまう。
「う、うそ……私、やばい……どうしよ……りゅ、竜児の、返事、だけで……なんて……そ、そんな」
 あわあわと、大河は慌てだす。

191◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/26(金) 20:41:49 ID:???
 それでも見失うまじ、と竜児をふたたび睨みつける。
「竜児!」
「おう」
「あっ、あうう……っ」
 やっぱりもう、駄目なのだった。ただの竜児の返事だけで、大河のへその下はずきんと甘く疼くようになってしまった。そんな馬鹿なことって、あるわけない。でも、あるのだ。大河の身体は、本当にそうなってしまった。
 身体の奥まで、竜児のものになってしまうなんて。
 嬉しくて、くやしくて。
 でも大河は負けるわけにはいかないのだ。
「竜児っ!」
「おう!」
「竜児っ!」
「おう!」
「竜児っ! 竜児っ! 竜児っ! 竜児っ! 竜児っ!」
「おう! おう! おう! おう! おう!」
 ずきずきずきずきずきずきずきずきっ!
「へ、返事、も……だめ……っ」
 竜児の返事におへその下をぐっちょんぐっちょんにかき混ぜられ、とろけたお砂糖は一挙に脈打ちながら全身に散る。指の先ざきまでもが、へその下と同じ濃度で甘く甘く疼いて、もし今、竜児に触られたら、指先だけでもイってしまいそう。
 薔薇色の唇を開けたまま、大河はもう喘ぐことすらできなかった。気絶しないのがやっとだった。
 でも大河は負けるわけにはいかないのだ。
 愛してる、って言うの。
 愛してる、って言わなきゃ。名前を呼んで。
 竜児、愛してるって。
 そのために、一生懸命、全力で。
 私の竜児を呼ぶすべての呼び方で、この鈍くさいこと極まる最愛の男を呼びつけたのだ。
 快感に震える奥歯も噛み殺して、私は猛獣。
 睨みつける、愛しいひとを。
「竜児っ、い、いい? いいい一度しか、いいい言わないからね!」
「おう」
「へ、返事はいいから……」
 ずきずき。
 すごくキマらない、猛獣の私。
「りゅ、竜児っ!」
「おうっ!」
「……い、いいい一度しか言わないからね!」
「おう……でもそれさっき聞いたぞ……?」
「う、うるっさいっ! 黙ってろ!」
 ずきずき。
「りゅ、竜児っ!」
「……」
「返事っ!」
「お、おう……返事はいいのか?」
 ずきずき。
「へ、返事は、だめ……いい」
「ど、どっちなんだ……?」
「……いい、許す」
「おう、わかった」
「はう……」
 ずきずき。
 駄目なの。駄目すぎ。
 いかんともしがたく駄目であった。
 このままじゃ埒があかない。
 ひょっとしたら竜児は、との思いが大河にきざす。
 ひょっとしたら竜児のやつは、ぜんぶわかってやっているんじゃないの……? と大河は疑い出す。
 こいつは、この愛しの男は、もろもろ込みで、ドエロセックステクニックの限りを尽くし、私に、愛してると、言わせないつもりなんじゃないの……? と。
 それは許せない。
 そいつは許せないわねえ。
 そいつは許しちゃあおけませんわねえ。いくらこのアイラブドエロまんじゅうでも。
 ふつふつと、怒りが湧き起こってくる。
 なんだか、イケそうな気がしてくる。
 イケそうな気がする。エロでない意味で。
 駄犬が。この駄犬ふぜいが。犬めが。馬鹿犬めが。
 怒りよ。
 怒りよ怒り、出ておいで。
 出て来い。
 オルァ出て来んかい。
 来い、来い、来い、来い、来い――――――――来ぉいっ!
 来た、来たっ、来た来た来た来た来た来た来た来たっ――――――っ来たあああああぁぁぁぁっっっ!!

192◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/26(金) 20:42:32 ID:???
「――っよおっっっ! しゃあっ! 来たあっ! この野郎言ったらあっ! やいっ! やいやいやいやいやいっこの竜児っ!?」
「おうっ!」


 怒りよ。このひとにたどりつくまで、
 私を支え続けてくれた力。


「っ!? く、一度だけよ! 一度しか言わないからその犬耳かっぽじってよおおおおおっっっく、聞くことねえ!?」


 怒りよ。もう要らない力。


 涙を吹き飛ばして。お願い。
 怒りよ、私に、あんたの最後の力を、頂戴……!


「わっ、私はっ! 竜児っ! あんたのっ! ことが……っ!? ことを……っ!? ことがっ!? をっ!? がっ!? をっ……!?」


 怒りよ。お願い。


 愛に変わって。


「す、き」


 ――私の、ドジ。


「大河……」
「……好き」
「た、大河? 一度じゃ」
「好き……好き、好き好き好き好き好き好き好き好きいっ! あんたのことが好きっ! 私、あんたのことが好きっ! 好きなの! ずっと好きだったの! ずっとずうっと好きだったのっ! 大好きなの! 大好きでたまらないの! 許さない! なんでここにいるのっ!? 嬉しくて死んじゃうわこのっ、だっ、だっ、だだだ大好きなひとっ! 大好きっ! 竜児っ! だあい好きいっ! わ、私っ! 私っ、わた、し、は、ね? りゅうじ、あんたのこと、だいすき、なの……しゅ、しゅき…………」
 燃料切れ、であった。
 泣く力すら残ってなかった。
 ただ、ゆるゆると、大河は竜児の首に力なく腕を巻きつけ。
 口づけする力すらなく。
 ただ熱くなった目蓋を閉じて、竜児の頬にくっつける。
 鼻息で竜児の胸をくすぐる。


 大河は滅茶苦茶だった。
 愛してると言うんじゃなかったのかと。
 一度しか言わないんじゃなかったのかと。
 しかもいらんことも言ったんじゃないのかと。
 でもなんか、それなりに大満足なのだった。
 いいかげんな、女なのだった。
 はぁ、幸せ。
 はー、しゃーわせぇ、と。
 気だるい幸福感に包まれて。
 なんか疲れたし。
 竜児は最高の抱き枕だし。
 このまま寝ちゃおうかな、なんて。
 思ったり、思わなかったり。
「大河」
 なんか、ちょっと呼ばれたね。
 かなり気に入ってるの、この声。かなり、っていうか。
 最高だよね。誰にもやんない。独り占め。
「俺も、おまえのことが、す」
「ちょおおおっっっっと待ってくださいよおおおおっっっ!?」
 大河、再起動。
 体力が尽きたのじゃなかったのかと。
 きっと、たぶん、別体力。
 ご飯を2合食べて満腹しても、デザートはどんとこい。これが別腹。
 竜児に告白して体力が切れても、竜児の告白はどんとこい。これが別体力。
 竜児の頬から目蓋をひっぺがし。
 竜児の首に巻きつけた腕も解いて。
 睫毛よ整えと念じながら手の甲で涙をぬぐい。
 どさくさにまぎれよと鼻水も手で押さえてすすり。
 額や頬にはりついた髪だけでもせめて梳き。
 油断して竜児と目があって照れ笑いし。
 ああつまり鏡が欲しい。
「可愛いよ、大河」
「あう……っ」
 ずきずきと、震えて。
 今はこのひとが私の鏡。
 こわくて優しい目を星揺れる瞳で見つめて。
「じゅ、準備オッケーです」
「おう、そうか」
「は……っ」
 ずきずき。
 返事だけでこうなるなんて。慣れなかったらどうしようと、大河は将来がちょっと心配になる。
 慣れなければ、私はきっと、ずっとこのひとの奴隷。
 そんな思いまで嬉しいなんて。

193◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/26(金) 20:43:41 ID:???
「好きだよ、大河」
 準備なんて、出来ていなかった。
 準備しても、何度でも不意打ちなのだった。
 涙が出る。顔がくしゃくしゃになる。
 こんなことが私に起きて良いのかと思う。
 狂おしいほどに想えるひとが、私を想ってくれるなんて。
 私よりも大事に想えるひとが、私を自分より大事に想ってくれるなんて。
 竜児が、私を、好きだなんて。
 おかしくなりそう。
 また変なことしそう。だから。
 このひとに、頼るしか。
「た、助けて、竜児……」
「た、助ける?」
 告白したら救助を求められるとは、誰も思うまい。竜児だって思ってもみなかったのだ。さすがに慌てるほかない。
「な、なんだ? どうした? どっかヤバイのか? どうすればいいんだ? 大河?」
「ど、どうしよ、竜児、どうしよ……う、嬉しくて、わ、わ、私、おかしくなりそう……っ。ま、また、変なこと、しちゃいそう、なの……っ」
 だから助けて、助けて、竜児、と。
 あわあわと、開いた薔薇の唇も曖昧に蠢かせ。
 大河は可愛く懇願してくる。
 竜児の胸に途方もなくあたたかいものがこみ上げてくる。満ちる。
 この地上でただ俺にだけこの幸せが許されているのだと噛み締める。
 なんだってしてやろうと竜児は思う。
 なんだってしてやれると力を錯覚する。
 大河には。
 俺の大河。
「して、いいぞ、大河」
「え、えっ……?」
「していいんだよ、大河」
「りゅ、竜児……?」
「おかしくなっていい。変なことしていいんだよ、大河。俺がぜんぶ受け止めてやる。どんと来いだ」
 言って、竜児は優しく、いっそ朗らかな笑みを見せてくれるのだ。
 バカね、竜児って……そう大河は思う。
 本当に、どん、なんてしてやろうかしら、なんて。
 そうしたらびっくりして、なにすんだ、とか言うくせに。
 そう思って、そんなことが思えることが、すでに穏やかな心なのだと大河は気づく。
 やっぱりこのひとが、一番上手に私を助けてくれる。
 私の竜児。
 そう、思ったのに。
「大好きだよ、大河」
「はう……っ」
 好きだよと、大好きだよと、一体なにが違うという。
 竜児の言葉は今度は大河のへその下を直撃する。きついほどに甘い疼きが跳ねて、大河は思わず吐息してしまう。そして。
 前言撤回。
 竜児のバカ。
 助けて、って、言ったのに。
 嬉しくておかしくなるって、言ったのに。
 追い打ちかけてくるなんて。
 嬉しい。
 嬉しい。
 大好きだって、言ってくれた。私のこと。
 大好きな竜児が、私のこと。だから。
 お返し、しないと。 
「わ、私も、ね? 竜児のこと……」
「愛してるよ、大河」
 低く、甘く、落とそうとしてくる竜児の声音。
 今夜まで、こんな声を出すひとだなんて、大河は思わなかった。知らなかった。
 女の子なら、誰であってもきっと耐えられない。
 私は、もう駄目。
 竜児のバカ。
 お返しもさせてくれないなんて。
「わっ、わっ」
 ずきずきして、身体が勝手に上げる声を聞いてしまう。
 竜児のバカ。
 竜児ってば、ずるい。
 もう、二回も、ううん、三回も。愛してるなんて、言うんだもの。
 一度目は慌てて、二度目は涙して。
 そして三度目ときたら、優しくかき口説くようにして。なんて余裕。
 憎らしいったら。
 だから。
 ずるい、と大河は言おうとしたのだ。
 ずるい、竜児、と。ほんとうに。おねだりではなかったのに。
 薔薇色の唇を、そっと開いて。
 そこにすっと唇を寄せられて、大河は竜児に吸われてしまう。


 キスが魔法を解くと――


 ずきずきっ!

194◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/26(金) 20:45:04 ID:???
「あう……っ!」
 舌を竜児に嬲られる、その唇の合わせ目から、大河はひどく甘い声をあげた。
 お砂糖の涙を流す。
 がくがくと震えて、お砂糖の汗を散らす。
 竜児の腕の中で、ちいさな地震のようになる。
 へその下の甘い疼きが大河の全身を支配する。
 竜児を感じよ、と。
「大河……?」
 竜児の吐息のような呼び声を、顎をひいた大河が額で受け止める。
 子犬のように桜色の舌を出して、甘く嗚咽する。
「あっ! あっ! あっ!」


 おまえの肉に挿し込まれ、おまえの肉で締め上げる竜児を感じよ!


「りゅ、りゅうじ、だめ、お、おっきくしないで……っ!」
「すまん……っ! で、でも、駄目なんだ、おまえ、可愛くて……可愛いと……大河っ!」
「あーっ! お、おっき……おっきいの! ひ、ひどいっ、ひど……あーっ! す、すごっ!」
 ふたたび魔法が、解けたのだった。
 最後の怒りが大河にかけてくれたかりそめの魔法が。
 大河が竜児に愛を告白するために、身体から心を取り戻させてくれていた、怒りの魔法が。
 大河の尻が竜児を求めて跳ねる。


 これ以降は身体がおまえを支配するだろう。


「だ、だめっ、わ、わっ、私っ、ま、まだ……っ!」


 舌の根まで甘く震え、おまえはひとつの確かなことも言えない。


「ま、まだ、りゅ、りゅう、じ、に、い、言って……いって、いっ、て……っ!」


 おまえの甘い喘ぎは、愛する者の心からもまた、身体を取り戻させるだろう。


「たっ、大河っ、す、すごいよ、おまえの……穴……す、すごい……っ!」
「そ、そんなっ、そんな、えっちなこと、言っちゃ、だめっ! りゅ、りゅうじ……っ!」


 おまえの愛する者もまた、ひとたまりもなく身体に支配されるだろう。


「大河っ! だ、だめだ、よ……そんなに、腰を、おまえの、腰、動かしちゃ……っ!」
 感じる大河が腰を跳ねさせていた意味を、快感にとろけた脳で竜児は知る。
 つながりを深くするために。
 何度も何度もつながりを深くするために、勝手に。
 竜児とのために、ふたりのためにそうするように大河の身体は出来ていたのだ。
「だ、だめっ! りゅ、竜児っ! こ、腰、動かしちゃ、あーっ! さ、挿しちゃ、だめっ!」
「ご、ごめん、大河……で、でも、だめなんだ……っ。お、俺、ハメたい……大河に、ね、根もとまで、挿したい……!」
「あっ! あっ! あーっ! ひ、ひどっ! りゅ、りゅうじ、の、えっち! い、痛くしない、なんて、嘘つき! お、奥っ! あっ!」
「い、痛いのか? 痛いのか? た、大河……っ?」
「ひ、ひどいっ! ひどいっ! 痛く、ないのっ! き、きつくて、お、おっき……こ、こんなのっ!」
 指だけで、竜児の指を挿されただけで、大河は何度も激しく絶頂したのだった。
 竜児に優しく慎重に指を増やされながら絶頂させられて拡げられ、ふたりで痛みに耐えながらようやくつながり、そしてつながったまま愛しく言葉を交わして竜児の太さに馴染ませられた、大河の穴。
 竜児に変えられてしまった大河の穴
 竜児の勃起を熱く、硬く、きつく感じて。
 限界であった。
「い、イキそう、なんだな? 大河……」
 大河はコクコクとうなずいて、潤んで星の揺れる瞳で竜児を見上げる。
 薔薇色の唇を震わせて言う。
「い、言わないで、ね? 命令、しないで、ね? め、命令しちゃ、だめ。わ、私、命令、竜児に、命令されたら、イク娘に、なっちゃった、ん、だから……」
 可愛くてたまらなくなる。
「うん、うん……命令しないよ、大河。可愛いよ、大河、すごく……」
「わ、わた、私、りゅうじ、に、ちゃ、ちゃんと、言いたいこと、あるの」
 可愛くて、可愛くて、竜児は心を取り戻す。優しくなる。返事をかえしてやる。
「うん、うん……」
「あ、あの、ね、わた、し、りゅ、りゅうじ、の、こと、あ……」
 その時、大河の身体を襲う甘美な地震がにわかに激しさを増す。
「あ、あ……」
 甘い涙が眦から吹きこぼれる。
 大河は高まってしまう。
「あっ、あっ……!」
 その言葉は竜児の命令に似ているとでもいうのか。
 大河は高まる。


 高まる。
「大河……」
 高まる。


 私。
 駄目。
 無、理。


「あ、あっ! あ、あい、し、て……イ、ク……っっっ!!」


 なんだ、それ――


 大河は絶頂した。
 絶頂して、何度も何度も締めつけて。
 大河の穴は竜児の形になっていく。

(14章おわり、15章につづく)

195◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/26(金) 20:53:46 ID:???
というわけでもうちょっと続きます。次で終わりかな……?

196高須家の名無しさん:2009/06/26(金) 21:46:57 ID:???
感情表現がうますぎる!
エロと言うより愛を感じるなぁ。
ラストも楽しみに待ってます!

197高須家の名無しさん:2009/06/26(金) 23:33:46 ID:???
大河カワユスww

198まとめ忍 ◆SRBwYxZ8yY:2009/06/27(土) 01:57:15 ID:???
 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、
  | |  (・)。(・)|  
  | |@_,.--、_,>  
  ヽヽ___ノ  今週は忙しくてまとめサイトが更新できそうにないでござる
                             の巻

199◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/27(土) 02:38:49 ID:???
まとめ忍さま、今回ちょっと改行つかって書式で表現するところあったので、
まとめサイトに収録の折には、レス末尾と次レス一行目をそのまま離さないで
つなげてやって頂けると助かります。てか愛してます。ちょっとだけ……

>>196
ありがとう!
感情表現と言われて、むしろなるほどと。
今回、あらかじめ決めてあったことは、すべての罵倒の果てに告白、という
ミッションだけで、あとは大河と竜児が例によって勝手にやってます。
かなりカオスになりました……

ていうか、ほんとうにありがとうございます。褒められると伸びる子です。
あと貶されてもわりと書く子です(目標

>>197
ありがとう!
大河可愛いよね……まったく構想してなかったことをけっこうやってくれました。
告白のとことか、もっとなんか、まっすぐロマンティックにキメなくていいのかと。

自分で書記しといて吹き出しながら、これでいいのかと問えば、
大河は、いい、と言うので、まあそのまんまに……

200◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/27(土) 02:44:49 ID:???
>>198
お疲れさまです。どうかお気をつかわず。

……本当に、寝るんだよ。
私も寝るから。……おやすみなさい。

201◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/27(土) 14:50:12 ID:???
◆eaLbsriOas@避難所です。代理投稿歓迎。感想いつも拝見していまーす。ありがと!
暑いから、ぬるめのSSS3本。
***

・フラグ立て3

「大河ぁ、今日は何食べたい?」
「なんでもいい」
「まあ、そう言わずにさ。あるだろ? 肉ーっ、とか、魚ーっ、とか」
「べつにない。なんでもいい」
「それかほら、ごはん系がいいー、とか、麺がいいー、とかさ」
「うっさい。なんでもいいって言ってるでしょ!? あーなんかもうあったま来た! 言ったらあっ!
 あんた作るものぜんぶ美味しいから、なんだっていいの!」
「おう……っ。そりゃ……う、嬉しいけど、よ……」
「喜ぶな。キモい。前髪いじんな。ハゲんぞ。ニヤつくな。誰か死ぬ。あと転べ。ケガしろ」


・温度差

「あ〜つ〜い〜ね〜え〜……っと」
「ぎゃあ! おまっ、暑いのになんで触ってくんだよ!」
「竜児は触られて熱いんでしょ?」
「あちいよ! おまえ体温高けえんだよ、小鳥か!」
「てことは、私は冷たく感じるわけよ」
「おう……そうか、じゃあ仕方……なくねえよ!? おまえにだけ都合いいんじゃねえか!」
「あら、そんなことないわよ?」
「じゃあ、俺の得はなんだよ」
「竜児のふともも、冷たいかわりに汗でべとってして気持ち悪いし」
「それもおまえに都合悪いだけじゃねえか!? じゃあ触んなよ!」
「……」
「無視すんな!」
「……ちっ、あったまっちゃった。次こっち」
「冷えてるとこ潰してまわるな! あつぁっ!」


・夏のカップめん

 ずるずる……っ
「……やっぱ暑いね、カップめん」
「だろ? だから俺が冷麦茹でるって言ったじゃねえか。それをおまえが買ってきて、これじゃなきゃやだって」
「私も暑いんだから、いいじゃない」
「……?」
「夏に台所で火使うの暑いって、こないだあんた言ってたじゃない。汗だくで」
「大河……おまえまさか」
「……」
「俺が……台所で、火に張りついてなくていいように」
「カップめん食べたかったの。冷麦あきたの」
「おう……そうだよな」
「うん、そう……それだけ……はー、暑っ」
「そうだな……暑いな……」

***

202◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/27(土) 14:54:02 ID:???
そうそう、どなたが存じませんが「並び寝る」14章の本スレでの告知、
ありがとうございました! ポゥ!(マイケル追悼

203高須家の名無しさん:2009/06/27(土) 22:46:45 ID:???
名無しの世界でどなたか存じませんがって言葉自体あり得ないよ

204高須家の名無しさん:2009/06/27(土) 22:47:59 ID:???
>>201
     )、._人_人__,.イ.、._人_人_人_人_人
   <´ツンデレじゃ、ツンデレがここにおる! >
    ⌒ v'⌒ヽr -、_  ,r v'⌒ヽr ' ⌒'⌒ヽr ' ⌒'
// // ///:: <   _,ノ`' 、ヽ、_ ノ  ;;;ヽ  //
///// /::::   (y○')`ヽ) ( ´(y○')    ;;|  /
// //,|:::     ( ( /    ヽ) )+     ;| /
/ // |:::     +  ) )|~ ̄ ̄~.|( (       ;;;|// ////
/// :|::       ( (||||! i: |||! !| |) )      ;;;|// ///
////|::::    +   U | |||| !! !!||| :U   ;;; ;;;| ///
////|:::::       | |!!||l ll|| !! !!| |    ;;;;;;| ////
// / ヽ:::::       | ! || | ||!!|    ;;;;;;/// //
// // ゝ:::::::: :   | `ー----−' |__////


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