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【sage】雑談スレッド【マターリ】

1名無しさん@中島ゼミ:2007/03/14(水) 11:17:19
雑談用スレッドです。

83:2008/01/13(日) 17:51:18
>>80
横槍いれて申し訳ないのですが,この考え方だと,不利益処分かなにかがあってはじめて,文句が言えることになるんですかね。なんかそれはそれでおかしい気もしないでもないですねぇ。

>>81
強制入院といっても,勧告→告知→入院措置ですから,果たしてそんな悠長な時間が存在するのかということも問題になると思います。
また,例えば,ドラマの中でも出てきますが,大規模公共交通機関を停止することが非常に有効な感染防止手段だということはおそらく容易に理解できるところ,その停止の根拠が法定されていなければ,「公権力がなにもし得ないのは法律による行政の原理からすれば当然!」ということになるのでしょうが,でもそれはそれでいいのかなぁ,とも思いますねぇ。まあ,まだなんとなく考えているところなのでうまくいえませんが。

84よしはら ◆7lqX359TUk:2008/01/13(日) 18:24:09
>83

まず前半について。
僕の考え方からだと、国歌斉唱時不起立を原因として懲戒免職などがなされた場合に、思想・良心の自由(に関する平等)侵害を根拠に、合憲性を争っていくことになる。
その意味でいえば、事後救済だね。

君は、国歌斉唱不起立・国家政策への反対が、プライヴァシー権の射程に収まることを前提として、僕の論理は「おかしい」と言っているのかな?
それとも、他の憲法上の根拠をもって、「おかしい」と言っているのかな?
政治的主張としてではなく、人権論の俎上に載せて、「おかしい」点を指摘してほしいんだけど。

次に、後半について。
これは、適正手続保障が、公共の福祉による制約を受けうる人権か、ということが問題になると思う。
すなわち、きわめて重要な公共の利益をもってすれば、手続の法定なくして不利益処分を課しうる、というように、適正手続保障の、公共の福祉に基づく制約可能性を肯定すれば、君の言うように、行政はさまざまな非常手段をとりうることになる。
だけど、適正手続保障、とりわけその一内容である手続の法定について、法定されているかはall or nothingであるから、この限度までなら制約できるが、これ以上は制約できない、といった、表現の自由などに関する違憲審査基準適用の前提を欠く、というように理解すれば、手続法定に限定して言えば、法定されていれば合憲、法定されていなければ絶対的に違憲、ということになるだろう。
違憲審査基準の適用を全面化する芦部流憲法学に従えば、前者ということになるんだろうけど、僕などは、手続の法定はall or nothingの問題だから、簡単に前者であるとは言えないと考えている。

85:2008/01/13(日) 18:46:21
前半について。
そもそも,公権力は起立しない人物の名前を集める自由を有しているのかが,疑問です。「起立しなかったんだから名前調べられて管理されるのも当然だろう」なら,起立しないという表現行為に対して萎縮的ではないでしょうかね。何のために名前が使われるのか分からないのに。

後半について。
う〜ん,難しいですね。実際にそういう非常事態が起きたとき,どうやって行政は行動するんでしょうかね。。。

86よしはら ◆7lqX359TUk:2008/01/13(日) 19:19:41
>85

>「公権力は起立しない人物の名前を集める自由を有しているのかが,疑問」

そのような「自由」を国家は有していないでしょう。
国家は人権の享有主体ではないから。

君が主張するのは、国歌斉唱時不起立者の名簿を作成することが、教員の表現の自由に対して萎縮的効果を及ぼし、違憲だ、ということだね。

まず、起立しない行為は、公務員がその職務時間中に行っているということが重要だ。
ここで、公務員が行う行為は、いかなる時間であっても憲法問題となる、ということが主張されることがある。
首相がまったくプライヴェートな時間であっても、靖国神社に参拝することは違憲だ、ということが言われるのはその例だ。
これに対して、国歌斉唱時不起立は、公務員たる教員が、その職務時間中に、職務執行場所である学校で行う行為だ。
だから、そもそも国歌斉唱時不起立は、職務の執行であり、人権の行使ではない、と言うこともできる。
もっともここで、一般的な学説によれば、国公立大学の教員の教育活動は、完全に職務行為だけど、学問の自由・教授の自由によって、国家による不当な干渉から保護される、とされている。
そうだとすれば、国歌斉唱時不起立も、仮に職務行為であったとしても、表現の自由による保護を受ける場合も、限定的ではあれ、考えられないわけではない。

そうではあってもやはり、不起立者の名簿作成は、表現の自由侵害とは言いがたい。
というのも、通常学説で表現の自由に対する萎縮効果を生じさせると言われる場合は、表現の自由規制立法における要件設定が、漠然不明であるため、本来合憲的に行いうる表現活動を萎縮させてしまう、という場合だ。
国歌斉唱時不起立者の名簿作成は、そもそも法律における表現の自由規制もなく、その漠然性云々が問題とならない、という点で、従来学説が述べてきた「萎縮効果」論との乖離が甚だしい。
なので、この場面で萎縮的効果云々を持ち出すのは、ミスリーディングだ。

さらに、仮に国歌斉唱時不起立が他ならぬ表現の自由行使なのであれば、まさしくそれは、他者に伝達され、広く公的討議の対象となることで、その真価を発揮する。
教員が、表現の自由行使として、一般に広くアピール活動をしながら、他方でプライヴァシー権、あるいは表現の自由(!)に対する萎縮的効果を根拠に、言説の流通を阻害しようとするのは、明らかに矛盾だ。

87よしはら ◆7lqX359TUk:2008/01/13(日) 19:29:23
>86

失礼。
萎縮的効果論は、表現の自由規制立法の要件設定の漠然不明確の場合に限定されないね。
とはいえ、萎縮的効果論は、一定の表現の自由規制が存在することを前提として、それが本来合憲の表現活動を萎縮させてしまうというものだ。
国歌斉唱時不起立者の名簿作成においては、そもそもそのような「核」となる表現の自由規制が存在しない。

88:2008/01/13(日) 19:59:06
いや,まあ私が「表現行為に萎縮的」といったのがまずかったのですが,それは御勘弁いただくとして,さっきも言ったように「不利益処分」なき限りまったくもって対抗不可能になるということですか。
行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律3条・36条でなんとかなるかもしれません。でもこれはおそらく憲法上の権利レベルの問題ではなくなってしまいます。
先の公私区分論ですが,公的と考えられているところに,「私」が入り込む余地はないのでしょうか。

というか,吉原さんのお考えからは,この審議会が情報収集を「不適当」とすることこそが「不適当」となるのでしょうかね?
「国歌斉唱を拒否する<私>」を,「そういう拒否する<私>。それこそが<私>なんだ!」という<私>イメージを公権力がわざわざ名簿までお作りになって「承認」していただいている,と。
ならば,その「「承認」された<私>」リストを止めることは不適当になりうるのですかね?
極めて抽象的になりましたが。ちなみに,棟居先生流のプライバシー権理解(「人間が自由に形成しうるところの社会関係の多様性に応じて,多様な自己イメージを使い分ける自由」。棟居・人権論の再構成・173頁)を参考にしています。

89:2008/01/13(日) 20:17:27
まあその<私>は,公的に承認されなくても結構!ということもいえそうですが。

90よしはら ◆7lqX359TUk:2008/01/13(日) 20:32:28
>88

誤解してほしくないのは、僕も、国歌斉唱時不起立者の名簿作成は、きわめて不当だと考えている。
ただ、具体的な不利益処分が行われていない段階で、異議を唱えるための手段が、憲法には欠けている、ということを言いたいんだ。
合憲/違憲と、当/不当の問題は峻別しなければならない。
不起立者の名簿作成は、違憲とは言いがたいが、不当ではあるということだ。

現在の、とりわけ憲法学説外の一般的言説では、プライヴァシー権のもつ〈私的〉契機、〈人格〉の契機は無視されがちで、およそ個人のあらゆる情報は、プライヴァシー権によって保護されるといったイメージが定着しつつある。
だけど、そもそも憲法13条によってプライヴァシー権を保障しようとする限り、同じ13条によって保護される人格的自律権などと、整合的な解釈をしなければならない。
プライヴァシー権の射程が私的生活関係に局限されるというのは、プライヴァシー権が「自己情報コントロール権」として再解釈されたために見えにくくはなっているけど、現在の学説も前提としているはずなんだ。
人格的自律権の射程が、私的事項に限られるとされていることは、言うまでもなくて、この解釈も、同じ13条によって保障されるプライヴァシー権の射程が、私的生活関係に局限される一論拠になる。
そこではおそらく、〈人格〉の契機と〈私的〉契機とは、明確に区別されてはいないけどね。

国家を拒否する教員たちの自己イメージを、国家が管理し、名簿にしていると君は言うけど、そもそもそのような自己イメージは、教員たち本人が明らかにして、一般にアピールしたものだよね。
国家が勝手に教員たちの自己イメージを「歪曲」してこれを公知させれば、それは、君が言うところのプライヴァシー権を侵害したことになるのかもしれない。
だけど、不起立者の名簿作成においては、教員たちの自己イメージは、まさしく彼らがアピールしたそのままの形で保存されている。

君の言うところのプライヴァシー権は、もしかしたら、ドイツ憲法における一般的人格権の内容たる、自己叙述の権利と自己保全の権利をミックスしたものかもしれない。
でもそれにしても、自己が公的に――君の理解によれば表現の自由行使として――自己イメージをアピールした以上、それをそのままの形で国家が保存することが、自己叙述の権利を侵害するとは、言いがたいんじゃないかな。

91:2008/01/13(日) 21:12:47
>>不起立者の名簿作成は、違憲とは言いがたいが、不当ではあるということだ。
これはこれはどうも紛らわしい言い方をしてしまいすみません。
私の考えは,あまり深く考えずモヤモヤしたままのものなのでどうかお気にになさらずにお願いします。

>人格的自律
どうも,私にはこれがまだ良くわからないのですね。
書き込めば書き込むほど「ボロ」が出ますのでこの辺で。

92:2008/01/14(月) 02:42:04
よしはら氏が「国歌斉唱時不起立者の名簿作成は、
きわめて不当だと考えている」理由に興味がありますな。

93よしはら ◆7lqX359TUk:2008/01/14(月) 07:01:29
>92

国歌斉唱時不起立者の名簿作成が違憲ではないが不当である、と僕が考えているのは、次の理由によります。
すなわち、これまでの経緯上名簿作成は、不起立を理由とした、懲戒免職など不利益処分をスムーズに行うためのものです。
先に述べたように僕は、国歌斉唱時不起立を理由とする懲戒免職は、教員の思想・良心の自由を侵害して違憲だと考えています。
ですので、違憲な行為を当然に予定してなされる公権力の行為は、いまだそれ自体としては違憲とは言いがたいが、不当ではある、ということです。
事後救済では不十分だと考える山本君の問題意識と、その点では共通しています。

94:2008/01/14(月) 14:14:17
新聞によると、

>氏名を県条例が収集を禁じた「思想・信条の個人情報」と認定。
>県教委は、条例が禁止の例外としている「正当な事務・事業の実施の
>ために必要な情報」に当たるとして審議会に諮問した。

とありますね。
条例によって具体化された自己情報コントロール権を侵害するもの
だとすれば、県の行為(違法行為?)を合憲と解する余地はない気が
するけど、その点はどう考えればよいのでしょうか。

95:2008/01/14(月) 14:41:29
う〜ん。「行動を伴わざるを得ない私的な思想良心の自由の『堅持』」は保護の対象にならないものでしょうかね。露顕の強制のアナロジーとか。

96よしはら ◆7lqX359TUk:2008/01/14(月) 17:24:31
>94

僕は書き込み番号80で、思想・信条に関するプライヴァシー権というものを持ち出しました。
しかしそれは、思想・信条が内心にとどまっているか(もっともこの場合については、端的に思想・良心の自由によって保護すべきことは、書き込み番号82で先述しました)、ごく親しい人々の間でだけそれを明らかにした場合にだけ、問題となりうる人権だと考えています。
公立学校という公的場所で、広く自己の思想・信条を公知させた以上、もはやそれは教員の私的生活関係にとどまるものとは言えず、公的言説としての性格を獲得します(だからこそ山本君は、国歌斉唱時不起立行為を、表現の自由行使だと捉えました)。
そのため、少なくとも私的生活関係のみを保護の対象とする「憲法上の」プライヴァシー権によっては、起立しなかったという情報の流通を阻害することはできない、と考えざるを得ないと思います。

もっとも、法律・条例によって保障される各種権利が、憲法上の人権よりも広い範囲をカヴァーしていることも、十分ありえます。
本件条例も、憲法上のプライヴァシー権の射程を、条例によって拡張したものだと考えるべきだと思います。
法律や条例によってプライヴァシー権が保障される場合、憲法が保障している人権を具体化したと考えられる範囲については、法律・条例違反と同時に、憲法違反も観念することができると思います。
しかし本件のように、憲法上の人権の射程を拡張して法律・条例が権利を保障している場合、拡張した範囲については、法律・条例違反は観念しえても、憲法違反は観念しえない、と考えざるを得ないと思います。

97よしはら ◆7lqX359TUk:2008/01/14(月) 17:26:39
>95

書き込み番号96で述べたように、「行動を伴わざるを得ない私的な思想良心」であっても、ごく親しい人々の間でだけそれを明らかにした場合には、思想・良心に関するプライヴァシー権の保障が及ぶ、と考えられると思うよ。

98よしはら ◆7lqX359TUk:2008/01/14(月) 17:56:56
明日から再び授業が始まるので、ご意見をいただいても、ご返答するのがかなり遅くなってしまうおそれがあります。
申し訳ありませんが、どうぞお許しください。

99:2008/01/15(火) 02:42:55
>>96
>法律・条例違反は観念しえても、憲法違反は観念しえない

憲法第13条との関係に限っては、というご趣旨なのかもしれませんが、
いちおう、一般論として言えば、「法律による行政の原理」が憲法上の要請
である以上、違法だけど合憲、というのは基本的にあり得ないでしょうね。

>違憲な行為を当然に予定してなされる公権力の行為は、
>いまだそれ自体としては違憲とは言いがたい

「国歌斉唱時不起立を理由とする懲戒免職は、教員の思想・良心の自由を
侵害して違憲」(正当な理由にならない)という見解を前提にする限り、
違憲な行為を当然に予定してなされる公権力の行為は、
やはり違憲になるのではないでしょうか?

すなわち、
思想・良心の自由を侵害する違憲の行政処分が行われる
危険が高い情報であるとするならば、そのような情報の収集を合理化
するような、より積極的な理由がない限り、違憲の評価を避けられない。
本件の場合、公の場で行ったとはいえ、教員は別に、他者に対して
メッセージを発する趣旨で国歌斉唱を拒否したわけではない。
そうであれば、教育委員会が「正当な理由」なくそのデータの収集を
行うことに異議を唱えたとしても、別に、矛盾はしない。

・・・という見解になるのが自然であるように思いますが、いかがでしょう。

ちなみに、わが国では有名な「前科照会事件」及び
その伊藤判事補足意見がありますが、諸外国においても、例えば、
個人データ処理に係るEU指令は「加盟国は、人種又は民族、政治的意見、
宗教又は思想信条、労働組合への加入を明らかにする個人データの処理
及び健康又は性生活に関するデータの処理を禁止しなければならない」
として、政治的意見に関するデータの収集を禁止していますし、
アメリカの連邦最高裁判決には
「刑事裁判は公開で行われるものであり、有罪判決も公開されるが、
そのことは前科記録がプライバシー情報でないことを意味するわけではなく、
ある時点、ある場所で公にされた情報も、必ずしも万人に周知されている
わけではなく、当該情報を入手することが困難であれば、実際上不明瞭な
状態にあり、プライバシー情報としての性格を有する」
と判示したものがあります。
(DOJ V. REPORTERS COMM. FOR FREE PRESS 489 U.S. 749(1989))

つまり、公の場で明らかにされた情報であっても、
直ちに憲法上の保護の対象とはならないということではなく、
その内容に応じて、適宜、保護の程度を考えましょう、
ということのようです。あくまでご参考までに。

100よしはら ◆7lqX359TUk:2008/01/15(火) 03:18:05
>99

>「「国歌斉唱時不起立を理由とする懲戒免職は、教員の思想・良心の自由を
侵害して違憲」(正当な理由にならない)という見解を前提にする限り、
違憲な行為を当然に予定してなされる公権力の行為は、
やはり違憲になるのではないでしょうか?」

確かに、名簿作成が行われた場合、懲戒処分など不利益処分が行われる蓋然性がきわめて高い、という条件のもとでは、違憲の行為の前段階の行為である、名簿作成の段階から、違憲とするのが合理的であると言うこともできると思います。
しかしやはり、原則としては、別個に行われた公権力の行為は、一応別個のものとして評価する必要があると思います。
また、名簿作成が行われても、不起立者の人数・不利益処分の合憲性への疑いなどを勘案して、不利益処分が行われないこともありえます。
そのため本件事実関係の下では、名簿作成は不当の域には達しているが、いまだこれを不利益処分と一体として憲法上の評価を加え、違憲とすべき域には達していない、と考えるべきだと思います。

>「公の場で明らかにされた情報であっても、
直ちに憲法上の保護の対象とはならないということではなく、
その内容に応じて、適宜、保護の程度を考えましょう」

確かに、プライヴァシー権の射程として考えられる、私的生活関係の外延が不明確であることもあって、私的生活関係の範囲を無理やりに定め、これを絶対視することは許されないと思います。
その意味で、情報の性質などを考慮しながら、プライヴァシー権による保護が及ぶか、個別の判断が要請される、というのはそのとおりだと思います。

しかし原則としては、明確に表現の自由行使としてなされたものでなくても、政治的意見の発露は、国家の民主過程に重要な意義をもちます。
どれくらいの数の教員が、どの地域で不起立行為を行ったかに関心をもち、これに対する当否の判断を、国政に反映させようと考える一般国民は、決して少なくはありません。
場合によっては、(期待するのは難しいですが)公権力の側でも、あまりに不起立者が多いと、自主的に起立強制をやめるかもしれません。
不起立行為が公的言説としての性質を獲得する、と僕が述べたことの一つの論拠が、これです。

このように、本件不起立行為は、国政を是正するために、ぜひとも一般国民に公知させる必要があるものと考えられます。
そのためやはり、本件不起立行為の情報流通を、プライヴァシー権によって阻害するのは、情報の性質から言っても、許されない、と言わざるをえないと思います。

101名無しさん@中島ゼミ:2008/01/15(火) 08:35:49
「公的討議」はそこまで重要なもんですかね。公的な性格が出たらもはや思想良心の自由にさえ(「公的討議」に対する)「寛容」を強いる結果になってしまうことにはやはり直観的に疑問であります。

>「どれくらいの数の教員が、どの地域で不起立行為を行ったかに関心をもち、これに対する当否の判断を、国政に反映させようと考える」
>「本件不起立行為は、国政を是正するために、ぜひとも一般国民に公知させる必要があるもの」
これ、別に「氏名」は不必要ではないでしょうかね。不起立行為の存在および不起立行為の理由さえ明確になれば、充分なのではないでしょうかね。

102名無しさん@中島ゼミ:2008/01/15(火) 08:36:59
失礼。
誤:これ、別に「氏名」は不必要ではないでしょうかね。
正:これ、別に「氏名」は不必要ですよね。

103よしはら ◆7lqX359TUk:2008/01/15(火) 16:09:04
>101

>「「公的討議」はそこまで重要なもんですかね」

表現の自由の優越的地位を承認する従来の一般的な学説によれば、公的討議の重要性は強調されることになると思います。

>「公的な性格が出たらもはや思想良心の自由にさえ(「公的討議」に対する)「寛容」を強いる結果になってしまう」

僕の理解によれば、教員の不起立行為は、公的場所で一般にアピールする形で行われている以上、もはや思想良心の自由によって保護される対象ではなく、公的言説となります。

>「これ、別に「氏名」は不必要ではないでしょうかね。」

氏名が明らかにならなければ、本当にそれだけの人数が不起立行為を行ったのか確かめられないと思います。
氏名が秘匿されれば、メディアによる取材も著しく困難となり、一般国民が教員の詳しい意図などを知ることができなくなります。
結果として、法改正などを通じた、一般国民による適切な形での是正が困難となるおそれがあります。

104よしはら ◆7lqX359TUk:2008/01/15(火) 16:29:05
ところで、101の書き込みは、「ゆ」さんによるものでしょうか?
仮にそうだとすれば、公的討議の意義について、僕がゼミに在籍中におっしゃっていたことと、ずれがあるような気もするのですが……。

105101:2008/01/15(火) 18:19:08
いえ、別人です。

106よしはら ◆7lqX359TUk:2008/01/15(火) 20:54:31
>101=105

了解しました。
本名を出せとは言いませんが、可能であれば、ゼミの内部者にだけ分かるようなハンドルネームなどをつけて、書き込みをしてくださると、助かります。

107よしはら ◆7lqX359TUk:2008/01/17(木) 11:32:09
この問題について、いろいろなご意見をお聞きし、理解が深まりました。
このへんで、この議論からは失礼させていただきたいと思います。
ご多忙のなか貴重なご意見を下さり、どうもありがとうございました。

108:2008/01/19(土) 00:33:37
忙しさにかまけて、遅くなってしまいました。

情報の流通を阻害しないことは重要ですが、
それにとどまらず、行政機関が自ら思想・良心に関する
個人情報を収集するには、正当な理由が必要で、
今回の件は、その理由が見出せない、ということなのだろうと
思います。

誠実にお答えいただき、大変ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。

109:2008/01/23(水) 21:51:39
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080123ddm012040157000c.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080123-OYT1T00483.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080123/trl0801232115006-n1.htm

110:2008/01/23(水) 21:52:12
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080123/trl0801232007003-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080122/trl0801220834002-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080122/trl0801221216011-n1.htm
気になったニュース

111AK:2008/01/25(金) 20:14:07
鳩山法務大臣が、法曹合格者数の見直しを検討とか…。
やめてほしい…。

112:2008/01/25(金) 23:56:20
合格したあとも、ぜひその見解を維持していただきたい。

113:2008/01/26(土) 00:47:50
これですな。
http://www.asahi.com/national/update/0124/TKY200801240483.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080125-OYT1T00341.htm

ところで,↓の記事も興味深い。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080126k0000m040119000c.html
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080125/trl0801252047054-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080125/plc0801251845006-n1.htm

114:2008/01/26(土) 12:24:38
このニュースは興味なし?
http://www.asahi.com/politics/update/0124/TKY200801230409.html
被選挙権と選挙権では、話の性格が全く異なる気がする。

115:2008/01/26(土) 12:37:32
だいぶ前から小沢氏が言ってたやつですね。
「主権」論,以前のゼミで扱ってから,頭の中で疑問符だらけなもので,
テストが終わったらじっくり考えてみたいです。

116AK:2008/01/26(土) 13:32:29
朝日のリンクは携帯からじゃ見えないのよ〜。

117:2008/01/26(土) 23:08:39
八号館のラウンジの「地方出身者が書き込むスレ」で私の地元の話が盛り上がってるw
あんなに地元の奴いたんだwww

118:2008/01/31(木) 02:08:02
さて,次回のNHK「爆笑問題のニッポンの教養」は,「憲法」がテーマです。
で,気になる出演者は,長谷部恭男先生です。「みんなの憲法入門」。
2月5日23時。
http://www.nhk.or.jp/bakumon/nexttime/

ところで今月号の『UP』長谷部論文では,またも「絶対平和主義」と「立憲主義」との関係が取り上げられていますね。

119:2008/01/31(木) 18:50:38
ぼーっとNHKみてたら,「日教組の教研集会をホテルが開催拒否」のニュースの解説で,阪口先生がコメントしておられました。
右翼の抗議行動でお客の安全を問題視するなら,契約後にそれを問題視して開催を拒否するのではなくて,契約前にやるべきであった,と。
日教組側が仮処分までとった一方,それでもホテル側は開催を拒んでいるようです。

120:2008/02/01(金) 01:07:22
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080131-OYT1T00411.htm
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080131-OYT1T00615.htm

121:2008/02/01(金) 01:08:27
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080131/trl0801312029011-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080131/trl0801311733008-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080201/trl0802010016001-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080201/trl0802010012000-n1.htm
きになったニュース

122AK:2008/02/01(金) 08:36:43
殺人の時効成立後に出頭した犯人にたいする不法行為に基づく損害賠償(こっちの時効が成立するかが争われたのかな)が認められるか、ってのも高裁の判決が出たね。
ちゃんと原文を読んでみたいな。

123AK:2008/02/01(金) 15:31:00

除斥期間ね。

124よしはら ◆7lqX359TUk:2008/02/01(金) 22:00:53
もろです。
http://www.asahi.com/national/update/0201/TKY200802010357.html

125:2008/02/02(土) 11:27:31
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080201-OYT1T00483.htm
>>憲法の「集会の自由」にも反する企業判断

(・∀・)ニヤニヤ

126:2008/02/02(土) 11:29:34
http://mainichi.jp/select/jiken/archive/news/2008/02/02/20080202ddm041040025000c.html

 ◇社会おかしい兆候−−奥平康弘・東京大学名誉教授(憲法学)の話

 戦後「集会の自由」と言いながら「開催場所の確保」が課題となってきたが、公的施設であれ私的施設であれ、徐々に市民の側の権利が守られるべきだという考え方が確立してきた。今回、会場使用を認める裁判所の判断があるにもかかわらず、ホテル側が「公的秩序」を前面に出した対応をするのは、社会がおかしくなってきた兆候だ。

127:2008/02/02(土) 11:52:49
http://www.asahi.com/paper/editorial20080202.html
アサヒは社説を出しています。

どうでもいいのですが,「新s(あらたにす)」(http://allatanys.jp/index.html)は便利ですね。

128:2008/02/03(日) 07:00:17
http://www.asahi.com/national/update/0202/TKY200802020257.html

\(^o^)/

129:2008/02/03(日) 08:43:28
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080203-OYT1T00040.htm

130:2008/02/03(日) 21:06:56
http://www3.nhk.or.jp/news/2008/02/03/d20080203000105.html

131:2008/02/04(月) 01:53:31
>「今の学生はあまり勉強をしない」
>ということが裏付けられてしまった。

いつの時代の学生と比べているのだろうか。

132:2008/02/04(月) 16:18:32
http://www.asahi.com/national/update/0204/TKY200802040166.html
神奈川の不起立の件の続報。

http://www.asahi.com/politics/update/0202/SEB200802020019.html
〔引用開始〕小林節・慶大教授(憲法)は「橋下さんは憲法を紋切り型に解釈しているのではないか」と首をひねる。「地域の問題について住民の声を直接聞いて、その結果を地方自治体の意向として国に示して実現を図っていい、というのが憲法の考え方だ」と言う。

 奥平康弘・東大名誉教授(憲法)は「法的拘束力のない住民投票の是非について、わざわざ憲法を引き合いに出すこと自体が論外」と突き放した。「弁護士が『憲法』と言えば、いかにも説得力があるように聞こえるが、政治家として政治的な発言をしたまでのこと。人びとの注目を集め、目的は達成したんじゃないのかな」と冷ややかに語った。〔引用終了〕

133:2008/02/04(月) 16:22:23
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080204-OYT1T00369.htm
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080204-OYT1T00332.htm
取り扱いを巡っては、県の第三者機関が、「思想信条に該当する個人情報で氏名収集は『不適』」と答申していたが、県教委は「収集するのは客観的事実で、内面にかかわる個人情報ではない」と正反対の見解を元に従わない構えだ。

 県教委は同日午前の委員会で、「不起立者名は個人情報ではなく、あくまで職務上の行政情報にすぎない」との見解を示した。氏名収集の必要性について、「教職員の異動がある中で、起立するよう継続して指導するには、誰が起立しないか情報は不可欠」と強調した。

134:2008/02/04(月) 18:56:51
http://osaka.yomiuri.co.jp/tokusyu/h_osaka/ho80204a.htm
「政治の現場の生の憲法」の説明マダァー?
いつまでも「たかじんのそこまで言って委員会」のノリでいけると思ってるんでしょうね。

135:2008/02/04(月) 19:04:20
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/politics/20080204/20080204_003.shtml
「住民のあらゆる意見をくみ取ったうえで」は「住民投票」を排除しないんじゃないのー?

136よしはら ◆7lqX359TUk:2008/02/05(火) 02:17:05
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080205-OYT1T00089.htm

137よしはら ◆7lqX359TUk:2008/02/05(火) 02:19:31
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080205-OYT1T00081.htm

まさに小泉元首相の再来ですね。

138:2008/02/05(火) 13:07:39
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20080204AS1K0400104022008.html
社説の中では一番マシなのが日経かな?
それでもホテルが「公的」らしいが。
しかし,社説を書く高学歴者が私人間効力を無視しているのは,元をただせば,そういう方々に教育をしたはずの日教組の先生方,ということに・・・。

あと,二回目ですが,今日のNHK「爆笑問題のニッポンの教養」は,「憲法」がテーマです。
長谷部恭男先生が出演されます。「みんなの憲法入門」。
2月5日23時。
http://www.nhk.or.jp/bakumon/nexttime/

139:2008/02/05(火) 13:08:49
>>137
しかし実現はまぁ無理だと思いますが,市民会館も民営化とはこれいかに。

140:2008/02/05(火) 13:17:28
失礼。
>>138
先生方「のせい」
>>139
府立施設でしたね。

141:2008/02/05(火) 14:47:18
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080204-OYT1T00562.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080205/plc0802051134002-n1.htm
単純所持も処罰の方針

142:2008/02/05(火) 16:01:12
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080205-OYT1T00057.htm
http://mainichi.jp/select/seiji/archive/news/2008/02/05/20080205ddm002010065000c.html
「幹部」をどう考えるか。

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080205k0000e010014000c.html

143よしはら ◆7lqX359TUk:2008/02/06(水) 00:54:23
>139

もちろん、パフォーマンスという面が強くて、実際には大幅修正されるんだろうけど、一般人がこういった極端で分かりやすい政策に親近感を覚え、世論がそっちのほうへ流れていく危険性は少なくないね。

特に、橋下知事の政治的スタンスからは敵視されるであろう女性総合センターは、廃止される危険性が高いと思われて、危機感を感じてる。

144:2008/02/06(水) 13:01:31
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080205-OYT1T00672.htm
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080206-OYT1T00321.htm

145よしはら ◆7lqX359TUk:2008/02/07(木) 00:23:27
ttp://www.asahi.com/politics/update/0206/OSK200802060074.html
ttp://www.asahi.com/politics/update/0206/OSK200802060064.html

URLをそのまま入力するとNGワードが含まれているといわれるんだけど、NGワードは何だろう?

146:2008/02/07(木) 00:32:07
スプリプトによる広告目的のレスを防止するために,
URLだけのレスはNGでブロックされる場合があります。
なにか日本語を入力していただけると,URLをそのまま張ってもOKです。

147よしはら ◆7lqX359TUk:2008/02/07(木) 03:53:24
>146

了解。
迅速なレスポンスをどうもありがとう。

148:2008/02/07(木) 22:20:01
http://www.asahi.com/national/update/0207/TKY200802070355.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080207-OYT1T00391.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080207/trl0802071702020-n1.htm
合憲・違法
http://sankei.jp.msn.com/life/education/080207/edc0802072114001-n1.htm
>十分な準備ができていないのに開催すれば、より重大な問題になった
まったくよくわからん。

149:2008/02/07(木) 22:27:23
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008020700567
「合憲・違法」のつづき。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_date1&k=2008020700706
「法制度保障」?

150:2008/02/09(土) 15:16:40
一応言っておくと、
職務命令は合憲・合法、
再雇用拒否は違憲・違法でしょ。

151:2008/02/09(土) 16:13:12
最高裁が判決を見直したとしても、
もう住基ネットは使い物にならないと思うけどね。

152:2008/02/09(土) 22:48:52
>>150
書き方が不適切でどうも失礼致しました。
>>151
と仰いますのは?

153:2008/02/09(土) 23:01:00
http://sankei.jp.msn.com/world/mideast/080209/mds0802092132002-n1.htm
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080209-OYT1T00711.htm

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080208-OYT1T00960.htm
日弁連新会長
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080209/trl0802090336000-n1.htm
産経
http://www.asahi.com/paper/editorial20080209.html
朝日
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20080208AS1K0800508022008.html
日経・「「弁護士は多すぎ」は本当か」

154AK:2008/02/10(日) 21:47:24
流れをぶったぎってしまい、申し訳ないですが、「八号館」が携帯からアクセスできるようになりました。
これで、ダイアルアップの人でも、気軽に「八号館」を覗くことができますね!

155:2008/02/13(水) 13:10:30
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080213/plc0802130904006-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080213/trl0802131248007-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080213/trl0802131126004-n1.htm
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080213-OYT1T00309.htm
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080212-OYT1T00516.htm
うーん。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080213k0000e040037000c.html
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080213k0000e040059000c.html

156:2008/02/13(水) 18:32:19
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080213/stt0802131100003-n1.htm
まず憲法100回読んでくれ,話はそれからだ。

157:2008/02/13(水) 22:43:49
18才成人化は,どうなんでしょうね。

158名無しさん@中島ゼミ:2008/02/14(木) 00:16:59
http://wwwsoc.nii.ac.jp/genderlaw/info.htm#seimei08

159158=よしはら ◆7lqX359TUk:2008/02/14(木) 00:20:05
書き込み番号158で引用したインクをクリックしても、うまく飛べないようです。

僕が書き込み番号158でリンクを張りたかったのは、上記ページの「男女共同参画社会の発展を阻害する一部地方自治体の動向に憂慮する声明」です。

160よしはら ◆7lqX359TUk:2008/02/14(木) 01:14:30
>157

まだ僕もこの件に関して確固たる意見をもっているわけではないのですが、二つほど指摘しようと思います。

まず第一に、選挙成年と、私法上の成年を区別し、これらが異なっていても構わない、とする見解があります。
しかし近代市民社会においては、資本主義経済の担い手である中産階級の市民が、すなわち国政参加の資格(シティズンシップ)を有する(共和主義的な意味での)〈市民〉でもありました。
ですから、そのような沿革からすると、私法上の「一人前の市民」たる成年と、選挙成年が同一であるべきという主張には、合理性があります。

もっとも、しばしば指摘されるように、不可視の排除の構造を内在させていた近代市民社会の論理を、今なお貫徹する必要があるかについては、別異の配慮が必要であるように思われます。
近代市民社会において、経済の担い手である市民が、白人中産階級男性に限られていたというのは、いまさらいうまでもありません。
また、シティズンシップを有する〈市民〉が、社会連帯・共同体への忠誠を要求されることを思えば、憲法解釈として、国民国家を前提とする共和主義を採用するのであればともかく、そのような論理を採らないのであれば、必ずしも憲法から、国政に参加する〈市民〉概念が導出されるわけではありません。
国民国家に「所属」する「すべての」人々が、経済の担い手である市民であり、かつ国政に参加する〈市民〉でもある、という普遍主義的な観念が、〈市民〉概念にまとわりついていたことを思えば、〈市民〉概念によって、年齢に従って人々を切り分けるという営為自体の合理性も、疑いうるでしょう。

第二に、納税の義務との関連があります。
文脈は異なりますが、アメリカ独立戦争時の標語に、「代表なくして課税なし」というものがありました。
日本で成人年齢引き下げが議論される際、一定の未成年者は納税の義務を負担しているのに選挙で投票できないのはおかしい、という主張が聞かれることがありますが、その根拠の一つが、この「代表なくして課税なし」という理念であると思われます。
自分で(代表者の選出を通じて)決定したからこそ、その決定(すなわち課税)には従う、という論理です。

もっとも納税の義務は、とりわけ消費税などについては非常に幼年の者も負担しています。
また、いくら納税の義務を負担しているからといって、そのような非常に幼年の者に、選挙権を付与することは不合理です。
したがって、納税の義務を負担する一定の年齢の者は、すなわち選挙権を有する、というように、納税の義務が一義的な線引きを与えてくれるわけではありません。
とはいえ、納税の義務を負担し、かつ選挙権行使に必要な知的能力を有しているにもかかわらず、選挙権を行使できないのは不合理だ、と一般論として言うことはできるでしょう。
なおいうまでもなく、このような議論は選挙成年に関して当てはまることであって、納税の義務負担が私法上の成年引き下げをも要請するかについては、疑わしいです。

また憲法は30条で、納税の義務について詳細な決定を立法府の広範な裁量に委ねています。
そのためこの点からも、憲法には選挙成年の基準を決定する決め手に欠ける、といえます。
せいぜい憲法から言えるのは、30条に基づきいったん納税の義務負担者を決定したならば、それらの者ができるだけ選挙で投票できるような、15条3項の「成年者」決定が要請される、ということくらいでしょう。

161よしはら ◆7lqX359TUk:2008/02/14(木) 01:28:16
なお書き込み番号160で、憲法解釈として共和主義が云々という話をしましたが、伝統的な憲法解釈に関連づければ、各論者の憲法解釈の、共和主義との親和性は、選挙権に関する、いわゆる権利一元説と公務・権利二元説の対立において顕在化する可能性があります。

162:2008/02/16(土) 01:54:58
18歳を成人とするのも、20歳を成人とするのも、
別に構わないけれども、
重要なのは「一度決めたら安易に変えないこと」ではないか、
という気がします。

その時々の多数党の意思によって、自分たちに有利になるように
ルールが書き換えられるとしたら、
(というより、わざわざ自分たちに不利なルールにするわけがない!)
その結果の民主的正当性は大きく損なわれることになるでしょう。

163:2008/02/16(土) 03:22:45
森林法判決において,「近代市民社会における原則的所有形態である単独所有」が「憲法上」保障されている(正確には「共有物分割請求権」が憲法上保障されている)……という判示のアナロジーで(これを「法制度保障」というのかはよく分かりませんが),
「近代市民社会における原則的な市民のあり方であるところの,自らの意思に基づき行動する市民を支える意思主義」が憲法上保障されている!

とかなんとかいっても,結局は,自分の「意思」で行動できるのは何歳か,ということになりますね。(あ,思ったまま検証なしに書き込んでいるので批判があればお手柔らかに願います。)

164:2008/02/16(土) 10:48:54
自分の「意思」で行動できる、とは言っても、
国民の多くは、
地方交付税の存在すら知らないまま地域格差の議論に巻き込まれ、
シーレーンの意味も知らずに、アフガン派兵の議論に巻き込まれ、
人事院勧告の意義も知らずに、公務員批判の議論に巻き込まれるわけで、
別に、20歳を15歳にしたとしても、特に不都合は生じない気がします。
ただ、与党がより若者向きの姿勢を打ち出しやすくなるので、
そういう政策の推進をする前に、成人年齢を引き下げておくほうが
選挙戦略上は都合が良いでしょう。

165:2008/02/16(土) 12:01:43
ええ,政治的にはそうなんですよね。

166:2008/02/16(土) 12:59:32
国会にはいろんな先例があって、これが実質的意味の憲法
としての役割を果たしています。
例えば、本会議や委員会の定例日とかなんとか。

そういう先例は、ややもすると批判の対象にされますが、
やはり、そういう定められた手順というものを踏むことで、
国会の議決というのは信頼を生むわけです。

成人年齢というのも、それが恣意的に操作されるようなことが
あっては、やはり、国会の信頼性、正当性が損なわれることに
なるわけですから、そういう疑いをもたれないためには、
よほどの必要がない限り、変更することは許されない、というのが
憲法上の要請としてあるのではないか、というのが素朴な問題意識です。

167よしはら ◆7lqX359TUk:2008/02/16(土) 17:21:33
>162
「その時々の多数党の意思によって、自分たちに有利になるように
ルールが書き換えられるとしたら、
(というより、わざわざ自分たちに不利なルールにするわけがない!)
その結果の民主的正当性は大きく損なわれることになるでしょう。」

そのような民主主義理解も可能だとは思いますが、もっぱら「生者」による多数決主義として民主主義を理解する立場からは、まさしく「その時々の多数党の意思によって……ルールが書き換えられる」ことこそが、民主主義に適うことになります。
とはいえ、ここで「ゆ」さんが主張の基礎となさっているのは、反多数決主義として理解された立憲主義、ないしはそのような立憲主義と真に調和のとれた民主主義である、立憲民主主義であると思われますので、そのような前提でお話しします。

「その時々の多数党の意思によって、自分たちに有利になるようにルールが書き換えられるとしたら」とされますが、確かに法制定における法律の内容決定については、「切り札としての権利」などのアイディアなどによって、歯止めをかけることが立憲(民主)主義から要請される、と言うことができます。
しかし、成年年齢引き下げの議論においては、そのような法律の内容決定自体に参画できるかどうかという、前提問題が焦点になっているので、従来議論されてきた反多数決主義を前提とすれば、即、反多数決主義による規制の対象となるのか、疑問に思います。

また、「ゆ」さんの議論においては、一定の年齢層が民主的意思決定に参加することが、現在の多数党の有利になりうることが前提とされていますが、必ずしもそう言うことはできないように思います。
若者向けのキャンペーンに踊らされる若者が出てくることは確かでしょうが、現在の民主的討議において不可欠の役割を果たす、マス・メディアの影響力を勘案すれば、どちらに転ぶかははっきりしないのではないでしょうか。
多数党と少数党で、若者向けのキャンペーンの巧拙が歴然とし、固定化しているとの想定も、数年前からの事実としてはそうかもしれませんが、かつては必ずしもそうとは言えませんでした。
仮に少数党の方が若者向けのキャンペーンに長けている時代が来た場合、「ゆ」さんの理解を前提とすれば、成年年齢引き下げを容易に容認した方が、立憲(民主)主義に適うこととなるのではないでしょうか。

さらに「ゆ」さんにおいては、若者の具体的な政治的意思が、国政に相当直截に反映されることが前提とされているように思えますが、そのような理解は、いまなお憲法43条によって保障されると基本的には考えられている、「自由委任の原理」と齟齬をきたすのではないかとも思います。

168よしはら ◆7lqX359TUk:2008/02/16(土) 21:00:25
>163
「「近代市民社会における原則的な市民のあり方であるところの,自らの意思に基づき行動する市民を支える意思主義」が憲法上保障されている」

その場合の「意思」というものの内容が重要だね。

私法上の意思主義とは――マックス・ヴェーバーや川島武宜を参考にすれば――自己の生活空間を形成するために、自己の行為から生ずる結果を合理的に損得計算して、意思を決定したならば、それは法的に尊重されなければならない、という、私的自治と密接不可分の、近代の法理念だ。
そこで要請される知的能力は、自己の損得勘定をなしうることで足りる。

一方、選挙成人に要請される知的能力は、これとは異なる。
選挙において有権者は、自己および他者にとって「良い」政治体制がどのようなものかを、適切に判断することを要請される。
選挙とは、各有権者が自己の経済的利益を最大化する道具にすぎない、しかもそれが規範的にも要請される、と言うのであればともかく、そのような極論を採らないのであればなおさら、投票の際に要請される知的能力は、社会情勢などを見極め、公共的見地から政治体制の適否を判断できるようなものでなければならない。

だからやはり、私法上の成年と、選挙成年とは、別個のものと考えなければならないと思う。

ある憲法研究者(中島先生ではない)は、次のように言っていた。
有権者が一定年齢以上の者に限られているのは、一定の年齢に達すれば、(純粋な意味での)知的能力が十分備わるためではない。
(純粋な意味での)知的能力なるものは、年齢によって一律に備わるものではない。
選挙成年制度の根拠は、20歳あるいは18歳に達すれば、みな職業経験など一定の社会的経験を積むことにある、と。

投票には一定の社会公共的知識が要請されるという見地からすれば、この研究者の発想は、一定の合理性があると思う。

169:2008/02/17(日) 13:03:29
>>167
コメントありがとうございます。
いくつかのご指摘がありましたので、ご説明をさせていただきたい
と思います。

まず、
例えば、「消費税を何%にするか?」という問題であれば、
国会における多数決が最大限に尊重されるべきで、
極端な話、毎年税率を変更しても良いでしょう。

ところがまさに「法律の内容決定自体に参画できるか
どうかという、前提問題が焦点になっている」場合には、
単純に国会における多数決だから良し、とすることはできません。
なぜなら、それによって民主主義の過程自体が損なわれれば、
選挙を通じてそれを修正することが困難になるからです。

>仮に少数党の方が若者向けのキャンペーンに長けている時代が
>来た場合、「ゆ」さんの理解を前提とすれば、成年年齢引き下げを
>容易に容認した方が、立憲(民主)主義に適うこととなるの
>ではないでしょうか。

そのような場合、多数党がわざわざ自党に不利になるような
成人年齢の変更を容認することはなかなか期待できないと
思いますが、そもそも、それ以前の問題として、
少数党に有利になればそれで良い、と申し上げたのではありません。

民主主義の過程そのものに関わる問題(土俵作りの問題)
については、できる限りその恣意性を排除することが
国会の議決(試合の結果)に対する信頼を確保する上で重要です。

長年、満20歳を成人とする、とされてきたにもかかわらず、
ある日、成人年齢が18歳以上に引き下げられ、その結果、
次の選挙において、ある政党が獲得議席を増やす結果に
なったとしたら、どうでしょうか。
さらに、今度はなぜ17歳以上にしないのか、
という疑念を招くことにもなるのではないでしょうか。
そのような国会が、果たして信頼を維持できるでしょうか。

もちろん、成人年齢の変更を行う以上、
当然、選挙における有利不利は生じるわけですから、
だからと言って、一切変更を行うべきでない
などと言うつもりはありません。
例えば人口構造が大きく変化したなど、
やむにやまれぬ事情が証明できる場合などは、
変更は許されると考えるべきでしょう。

ただ、一度決定した成人年齢を変更するには、
慎重であるべきではないか。
それが立憲民主主義の理念に適うのではないか、
というのが書かせていただいた趣旨です。

170よしはら ◆7lqX359TUk:2008/02/17(日) 23:31:27
>169

大変ご丁寧にありがとうございます。

>「民主主義の過程そのものに関わる問題(土俵作りの問題)
については、できる限りその恣意性を排除することが
国会の議決(試合の結果)に対する信頼を確保する上で重要です。」

そもそも成人年齢を20歳とすること自体、歴史的経緯によるものであり、そこには「恣意性」がつきまとっています。
しかし、いったん成人年齢を線引きすれば、それを原則維持するのが、国会の議決に対する信頼確保に繋がる、というご趣旨だと理解しました。

私が掴みかねているのは、「ゆ」さんがおっしゃるところの「国会の議決に対する信頼」が憲法上どのように位置づけられ、保障されるのか、ということです。

国民に信頼されない国会(制度)は、その民主的正統性(legitimacy)を欠くため、より正統な統治形態が民主主義憲法からは要請される、というご趣旨でしょうか。
しかし、統治形態の正統性ということを言うと、国民に支持される統治形態を模索して次々と統治形態を変更していくことこそが、統治形態の正統性確保に役立つとも言えそうです。

「ゆ」さんの議論を拝見していると、プリコミットメント論、すなわち、立憲主義とは民主主義を抑制する消極的な機能を営むものではなく、立憲主義こそが民主主義を可能にする積極的な機能を営むものである。
民主主義が安定する以上、立憲主義は多数決主義として理解される民主主義と矛盾するものではない、という理解と、相当親和性があるように思います。
そして、「ゆ」さんにおいて民主主義は、自己拘束、つまり生者による無制約の多数決主義を認めない、立憲主義を内在させたものとして理解されていると拝見しました。
しかし日本国憲法の解釈として、そのような民主主義理解は必然でしょうか。

本件で言えば、「国会(制度)は国民に信頼されるものでなければならない」という前提が、「だから、より国民に信頼される国会(制度)を目指して、どんどん改革していこう」という主張ではなく、「真に国民に信頼される国会とは、制度がそれほど頻繁には変わらない国会であるはずだ。だから、今得られている国民からの信頼の程度で、憲法が要請する民主的正統性は十分確保されていると考え、あまり国会(制度)を改革するのはやめておこう」という結論に結びつくのは、必然だろうか、ということです。
「今得られている国民からの信頼の程度で、憲法が要請する民主的正統性は十分確保されていると考え」る、という点に対しては、「ゆ」さんのお考えとは異なるかもしれません。
しかし、成人年齢維持の根拠として民主的正統性をもち出し、国会(制度)の変革を抑制しようというご理解を維持するためには、変革が抑制された、現在の国会(制度)への国民の信頼の程度が、日本国憲法の要請する民主的正統性を十分満たすものである、という命題を前提としなければ、維持できないものと思われます。

171よしはら ◆7lqX359TUk:2008/02/17(日) 23:36:09
書き込み番号170の最終文がおかしいので、訂正させてください。

しかし、成人年齢維持の根拠として民主的正統性をもち出し、国会(制度)の変革を抑制しようというご理解を維持するためには、変革が抑制された、現在の国会(制度)への国民の信頼の程度が、日本国憲法の要請する民主的正統性を十分満たすものである、という命題を前提としなければならないものと思われます。

172:2008/02/19(火) 07:44:25
>>安西=南野ほか『憲法学の現代的論点〔第2版〕』(有斐閣、2008年予定)

工エエェェ(´д`)ェェエエ工
2年で改訂か・・・

173:2008/02/19(火) 12:47:31
メイプルソープ事件最判でました。
わいせつにあたらない,と。多数意見4反対意見1。
http://www.asahi.com/national/update/0219/TKY200802190099.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080219-OYT1T00325.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080219/trl0802191111003-n1.htm

174:2008/02/19(火) 12:48:30
つづき
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080219/trl0802191119004-n1.htm
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008021990114353.html
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2008021900034
http://www.47news.jp/CN/200802/CN2008021901000213.html

175:2008/02/19(火) 12:55:59
これの一審って,有名な「国敗れて三部あり」の判事が担当なさってたのね。。。

176:2008/02/19(火) 19:41:12
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080219115355.pdf
メイプルソープ最判。このURLは後で変更されるものと思われます。

・税関検査事件の「趣旨に徴」すれば,わいせつ物を税関検査による輸入検査の対象とすることは,合憲。
・「本件写真集における芸術性など性的刺激を緩和させる要素の存在,本件各写真の本件写真集全体に占める比重,その表現手法等の観点から写真集を全体としてみたときには,本件写真集が主として見る者の好色的興味に訴えるものと認めることは困難」。
・以前の判例との関係については,以前の事案は「本件写真集とは構成等を異にするカタログを対象とするものであり,対象となる処分がされた時点も異なるのであって,本件写真集についての上記判断は,上記第三小法廷判決に抵触するものではない」。
・もっとも,税関長においては,「本件写真集が本件通知処分当時の社会通念に照らして「風俗を害すべき書籍,図画」等に該当すると判断したことにも相応の理由がないとまではいい難く,本件通知処分をしたことが職務上通常尽くすべき注意義務を怠ったものということはできない」。
堀籠反対意見あり:「多数意見は,本件写真集の芸術性を重く見過ぎたものであり,〔以前の判例〕の趣旨を逸脱し,判断の仕方に問題がある」。

177:2008/02/19(火) 23:31:35
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080218/crm0802182216031-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080218/crm0802181141013-n1.htm
昔は「健全なアンダーグラウンド」だったのですが,最近はどうもよく分かりません>2ch
「脅迫罪」で逮捕されてますから,議論を呼びそうです。

178よしはら ◆7lqX359TUk:2008/02/20(水) 23:26:07
>176

検閲との関係ではそれくらいの要約で十分かもしれないけど、わいせつ表現規制の事例として本件を読むと、君の要約には一点、重大な欠落があるといわざるを得ないように思う。

チャタレー事件以来最高裁判決では、「わいせつ」概念は次のように定義されてきた。
すなわちわいせつ文書とは、「徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ,かつ,普通人の正常な性的羞恥心を害し,善良な性的道義観念に反するもの」である。
そして本判決では、本件で規制の対象となった、「関税定率法21条1項4号にいう「風俗を害すべき書籍,図画」等とは,わいせつな書籍,図画等を指すものと解すべきであ」るとされている。
つまり、本件はわいせつ表現規制の事例でもあるということだ。

ここで、本判決でも引用されている税関検査事件では、「わいせつ」概念の定義においては、チャタレー事件以来の定義がそのまま引用されているわけではないけれども、「性的秩序を守り、最小限度の性道徳を維持すること」が保護法益とされており、かつチャタレー事件・悪徳の栄え事件が引用されていることから考えると、チャタレー事件以来のわいせつ規制の枠組みが維持されていたと見るべきだろう。
ところが本判決では、反対意見でこそ「「わいせつ」とは,「徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ,かつ,普通人の正常な性的羞恥心を害し,善良な性的道義観念に反するもの」をいうとするのが確立した判例である」とされているが、法廷意見ではそのような概念定義は、注意深く排除されている。
また本判決は、税関検査事件を引用してはいるが、わいせつ性判断の箇所では、税関検査事件はおろか、チャタレー事件・悪徳の栄え事件などは、一切引用されていない。
これらのことが、何よりも重要だ。

君も引用するように、法廷意見は次のように言うにとどまる。
「本件写真集における芸術性など性的刺激を緩和させる要素の存在,本件各写真の本件写真集全体に占める比重,その表現手法等の観点から写真集を全体としてみたときには,本件写真集が主として見る者の好色的興味に訴えるものと認めることは困難といわざるを得ない」。
確かに法廷意見では、なお「一般社会の健全な社会通念」を基準とした判断がなされている。
しかし、「普通人」「正常な性的羞恥心」「善良な性的道義観念」といった要素は、そこには見られない。
いろいろとニュースを見る限り、このような微妙な判示の変化に着目したものは皆無で、君もそこに引きずられたんだろう。
だけど、わいせつ表現規制が、封建(制)的性道徳を保護法益としていることに対して憲法学説で批判が強かったことを思えば、本件のこの、封建制度の残滓を拭い去ったとも評価できるような(消極的)判示にこそ、着目しなければならないと思う。

179:2008/02/20(水) 23:36:19
ええ,だからこそ「要約」としては記述できなかったわけでして・・・。

180よしはら ◆7lqX359TUk:2008/02/20(水) 23:45:49
書き込み番号178の、最後から三文目がやや不正確なので、次のように訂正させてください。

しかし、「正常な性的羞恥心」「善良な性的道義観念」を保護法益とするという契機は、そこには見られない。

181よしはら ◆7lqX359TUk:2008/02/20(水) 23:47:06
>179

君も気づいていたんだね。
君が気づいていなかったことを前提に批判してしまって、すみません。

182:2008/02/20(水) 23:53:02
「封建制度の残滓を拭い去ったとも評価できるような(消極的)判示」なのか,
「封建(制)的性道徳」が「保護法益」であることは言うまでもない前提をなしているか,
それは私には分かりません。
「性交等の状況を直接的に表現」していたり,「比重,その表現手法等」次第では,
「主として見る者の好色的興味に訴える」物に認定される余地はあるのでありますから。


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