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【sage】雑談スレッド【マターリ】

178よしはら ◆7lqX359TUk:2008/02/20(水) 23:26:07
>176

検閲との関係ではそれくらいの要約で十分かもしれないけど、わいせつ表現規制の事例として本件を読むと、君の要約には一点、重大な欠落があるといわざるを得ないように思う。

チャタレー事件以来最高裁判決では、「わいせつ」概念は次のように定義されてきた。
すなわちわいせつ文書とは、「徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ,かつ,普通人の正常な性的羞恥心を害し,善良な性的道義観念に反するもの」である。
そして本判決では、本件で規制の対象となった、「関税定率法21条1項4号にいう「風俗を害すべき書籍,図画」等とは,わいせつな書籍,図画等を指すものと解すべきであ」るとされている。
つまり、本件はわいせつ表現規制の事例でもあるということだ。

ここで、本判決でも引用されている税関検査事件では、「わいせつ」概念の定義においては、チャタレー事件以来の定義がそのまま引用されているわけではないけれども、「性的秩序を守り、最小限度の性道徳を維持すること」が保護法益とされており、かつチャタレー事件・悪徳の栄え事件が引用されていることから考えると、チャタレー事件以来のわいせつ規制の枠組みが維持されていたと見るべきだろう。
ところが本判決では、反対意見でこそ「「わいせつ」とは,「徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ,かつ,普通人の正常な性的羞恥心を害し,善良な性的道義観念に反するもの」をいうとするのが確立した判例である」とされているが、法廷意見ではそのような概念定義は、注意深く排除されている。
また本判決は、税関検査事件を引用してはいるが、わいせつ性判断の箇所では、税関検査事件はおろか、チャタレー事件・悪徳の栄え事件などは、一切引用されていない。
これらのことが、何よりも重要だ。

君も引用するように、法廷意見は次のように言うにとどまる。
「本件写真集における芸術性など性的刺激を緩和させる要素の存在,本件各写真の本件写真集全体に占める比重,その表現手法等の観点から写真集を全体としてみたときには,本件写真集が主として見る者の好色的興味に訴えるものと認めることは困難といわざるを得ない」。
確かに法廷意見では、なお「一般社会の健全な社会通念」を基準とした判断がなされている。
しかし、「普通人」「正常な性的羞恥心」「善良な性的道義観念」といった要素は、そこには見られない。
いろいろとニュースを見る限り、このような微妙な判示の変化に着目したものは皆無で、君もそこに引きずられたんだろう。
だけど、わいせつ表現規制が、封建(制)的性道徳を保護法益としていることに対して憲法学説で批判が強かったことを思えば、本件のこの、封建制度の残滓を拭い去ったとも評価できるような(消極的)判示にこそ、着目しなければならないと思う。


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