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YOU、恥ずかしがってないで小説投下しちゃいなYO!2

1名無しさん:2010/02/13(土) 18:55:28 ID:UhsYlmek
前スレ
YOU、恥ずかしがってないで小説投下しちゃいなYO!
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/7864/1157295929/l100

2ファンタ ◆jz1amSfyfg:2010/02/16(火) 06:09:05 ID:ONeV1xYQ
【目指せ、甲子園─9】





翌日の夜。
私はまどかちゃんに電話をかけた。
要件は昨日うっかり聞きそびれた件について……一昨日、私を説得しにきた一年生の女の子についてだ。
あの子もまどかちゃんと同じく、私を野球部に勧誘しに来た。
しかし、野球部にはあの子以外に一年生の女の子が一人いる。
もし、私が入れば野球部にはまどかちゃんと一年生の女の子が二人、そして私がいる事になる。
女子選手は合計で四人、しかし高校野球の規約には『女子選手は一チームに三人まで』と決められている。
つまり、私がいると規約違反で大会への出場停止、さらには部活動の活動停止状態に陥る場合もある。
それなのに、なぜ私を勧誘するのか。そして、なぜ一昨日来たあの子が男子っぽい服装や言動をし、女子である事を指摘したら逃げ出したのか。
色々とわからない事だらけだけど、とにかく話を聞く事で何かわかるかもしれない。
フル充電した携帯電話を操作し、まどかちゃんの携帯にかける。

「…………」

一コール、二コール、出ない

「もしもし」

三コール目が終わった瞬間に繋がった。

「もしもし、まどかちゃん? 私、私〜」
「携帯にかかってきたんだから、みちる、お前なのはわかっている」

電話口の向こうから、呆れたような声が聞こえてくる。

「相変わらずまどかちゃんはシャレが通じないね」
「ほっとけ。で、何か用か?」
「うん。えーとね……」

本題に入ろうとしたところで一つの問題に気づく。
どこからどこまで話していいのか、という事だ。
一昨日のあの子の反応から、あの子が女子だというのは触れてはいけない感じの話題のような気がする。かといって、そこに触れないと何もわからないような気がする。
……まずは、まどかちゃんのあの子に対する認識から探ってみよう。
男子と思っているのか、それとも女子と思っているのか、そこから確かめてみよう。

「えーと…………あ」

もう一つ重大な事に気づいた。
『あの子』の名前がわからない……
聞いておくべきだったなぁ……

「どうした、みちる。何か用があるんじゃ無いのか?」

あるよっ! あるんだけど、名前がわからなきゃどうにもならないのっ!
『あの子』じゃ通じないだろうし、かと言って特徴言っても上手く伝わるかどうかわからないし……うーん…………

3ファンタ ◆jz1amSfyfg:2010/02/16(火) 06:10:16 ID:ONeV1xYQ
……あ、そういえば一昨日の放課後にあの子も一緒に来てたっけ……よし、この話題なら通じる! そこから名前を引き出さないと。

「えーとさ、一昨日の放課後にまどかちゃんと一緒に3人来てたよね?」
「ああ、青山と山吹と川村の事か」
「その中のさ、一番背が小さくて、少し女の子っぽい感じの顔した子いたじゃん」
「というと青山か」

よし、情報ゲット!

「へぇー、青山君って言うんだ」
「それで青山がどうかしたのか?」
「青山君ってさ、小さいしあんな感じの顔だからさ、女の子かなって思って」

この台詞に対する反応で、まどかちゃんの思っている青山君は、男子か、女子か、少しはわかるはず。

「まあ、確かに青山は女みたいな顔をしているが、アイツはれっきとした男だぞ。第一、お前も一緒にいる時に男子用の制服を着ていた姿を見ただろう」

決まった。
青山君はまどかちゃんには男で通している。何らかの理由でまどかちゃんが嘘をついている可能性もあるけど、まどかちゃんは嘘をつくのが致命的に下手だからなぁ……絶対に態度や口調に何らかの変化があるんだろうけど、それもないって事は、まどかちゃんも知らないって事になる。
一応、念のためにもう一回確認してみよう。

「ちなみに今の野球部の女子部員って何人いるの?」
「今は私、それと明石という一年が入ったから2人だ」

やっぱり、青山君は男子だと思われている。
これで私を誘った事に納得がいった。
しかし、男子と思われてるって事は、青山君は私と同じで元男って事になる。
身体測定とかでは一発で女だってバレるから、身体測定が終わった後に女体化したって事が一番無理がない考えかな。
だとすると、なんで男子のフリを……

「おい、聞いているか?」
「え、あっ、ご、ごめん! 聞いてなかった」
「まったく……私はやる事があるから電話をきるぞ」
「あ、うん、また明日ねー」
「ああ」

電話口から短い返事が聞こえ、少ししてから通話が終わった事を知らせる音が鳴り響いた。

4ファンタ ◆jz1amSfyfg:2010/02/16(火) 06:11:23 ID:ONeV1xYQ
数時間後。
まどかちゃんとの電話が終わってからも、考える事は終わらなかった。
考える内容はもちろん、青山君が男子のフリをしている理由だ。
色々と考えが浮かんでは消え、最終的な結論として考え至ったのは、野球部絡みの理由だという事だ。
もし、野球部以外の目的だったらまどかちゃんに隠す理由もない。それでも、まどかちゃんに隠さずを得ない理由があるのかもしれないが、今の私の頭では野球部以外の事で隠す理由が思い浮かばない。
そして、現在の部員が少ない事が野球部の問題なのは言うまでもない。
そう考えると、青山君が女体化した事を隠す理由もわからなくはない。
高校野球の規約で、女子選手は一チームに三人まで。とかいう訳のわからないルールがある以上、どうしても部員は三人までに抑えなければならない。
今の野球部の人数は8人、女子部員は青山君を入れると3人。となると、残りは男子部員しか募集できなくなる。
私のところに何回も勧誘活動を重ねてきた事から考えるに、今のところアテは私しかいないのだろう。
そう、アテは私しかいない。
しかし、私は女子となった身。
私を勧誘すれば、女子選手の定員オーバーで規約に反する事になる。
しかし、もし青山君が男のままだったら……?
女子部員は二人になり、私を入部させたとしても何の問題もなくなる。
もし、青山君がそう考えたとしたら……そして、女体化した事が誰にもバレていない事を利用し、女体化を隠して男子のフリを続けると思い至ったら……?
そして、その考えを実行したと仮定すると、一昨日に女子であると指摘した際に見せた、あの動揺っぷりの理由も説明がつく。
もし、私の口が軽かったりしたら、確実に誰かに話してしまっている。そう、誰かに話してしまいたい衝動に駆られるくらいの出来事なのである。
青山君も、私が誰かに口を滑らせ、そこから話が進んでいってしまったら、と考えてパニックに陥ったのか、それとも単にバレた事に対して、冷静さを失ったのか。
どちらにしろ、対処できないタイミングで女体化がバレたために動揺した、と考えられる。
……まあ、これは全部私の推測であって、実際の部分は大なり小なり異なるのかもしれないけど。

5ファンタ ◆jz1amSfyfg:2010/02/16(火) 06:12:16 ID:ONeV1xYQ
ああ、なんか考えすぎて頭がクラクラしてきた。

「明日は学校だし、今日はもう寝ようかな」

一人呟いて、部屋の電気を消し、布団の上に横たわる。
目を閉じたまま、しばらく何も考えずにいたが、一向に眠れそうにない、というよりは眠くない。

「まだ十時半だもんね」

そう、まだ十時半だ。いつもなら起きている時間である。
いつもより早いせいで、全然睡魔に襲われない。
かといって、他になにかして時間潰すのも気が乗らず、結局は寝る体勢のまま、あれこれと考え事をするハメになる。
色々としょうもない事を考えていたら、不意に野球部の事が頭に浮かんだ。
それに連動して、まどかちゃんと青山君の言葉を思い出す。
……もう、皆が私の事を邪魔者、厄介者扱いしない野球部。
それはとても魅力的に思える。
だけど、私が入った時に誰かが女体化したり、青山君の正体がバレたりしたら……その事を考えると、体の震えが止まらない。
あの悪意に満ちた視線、アレが再び自分向けられるのはもちろん、他の誰かに向く事だって嫌だ。
あんな事はもう経験したくない。
……でも、私が入らなければ多分困るよね。
特に青山君は、女体化を隠すというリスクを負ってまで、私を勧誘しに来たんだし……逆に言えば、入部してくれる人がいなく、それほど切羽詰まっていると言える。
でも、それでも私は怖い……野球部が怖い……
今でも、悪夢として思い出す。
たった一日で変わった野球部の事を……
たった一日で私の居場所が無くなった時の事を……
体が震えだしてきたのが、自分でもわかる。

「う……」

体の震えが止まらない。
暗闇に浮かぶのは、たくさんの敵意の籠った視線、視線、視線。
ここは私の部屋のはず、なのに見られている気がしてならない。
まるで悪夢の再現のように。
上も、下も、前も、後ろも、右も、左も、隙間無く。
私に向けられる。
たくさんの。
敵意の籠った。



視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線視線



そんな……そんな目で私を見ないで……誰か、誰か助けて……!

6ファンタ ◆jz1amSfyfg:2010/02/16(火) 06:13:40 ID:ONeV1xYQ
恐怖に震える私の体。
恐怖で真っ白になる私の頭。
そんな私の頭の片隅に、小さな、だけど確かな声が聞こえた。

『先輩、俺達はそんな事しません。絶対に』

この声は……青山君?
青山君の声で、私は我に返る。
もう、私を見ていたおびただしい数の目は周りには無くなり、体の震えもいつの間にか治まっていた。
でも、なんで青山君の声が……?

『先輩。信じてもらえない事は理解しています、だけどもう一度だけ俺達を、野球部を信じてください』

疑問に思ったところにもう一度、青山君の声が頭の中で再生された。
それで全てがわかった。
私は口では信じられないと言いながら、心の中では青山君達の野球部を信じているのだ。
私の悪夢を払拭出来るほど、信じてしまっている。
それに気づいた瞬間、口元がだらしなく緩む自分に気がついた。
なんだか、とても愉快で嬉しい気分になり、へにゃりとだらしなく緩む。
ちゃんとした口元に直すのは難しいだろうし、簡単に直せるとしても直す気はない。
もう、怖くはない。私の心は決まった。
私が決意すると同時に、控え目な弱さで部屋のドアがノックされる音が耳に入った。

「……お姉ちゃん、起きてる?」

ドアの向こう側から聞こえるくぐもった声、この声は妹のものだ。

「起きてるよ、入っておいで」

私がそう言うと、ドアが開きパジャマ姿の妹が入ってきた。

「それでどうしたの?」
「なんかね、部屋で寝ようとしたら、う〜んう〜んって、うなされるようなお姉ちゃんの声がしたから、大丈夫かなって思って」

それはついさっきまで見ていた悪夢のせいだ。声を出していたつもりはなかったんだけど、知らず知らすのうちに唸っていたらしい。

「ありがとう、もう大丈夫だからね。部屋に戻って寝てなさい」
「……うん……」

返事をしつつもなかなか動こうとせず、心配そうな表情で私の方を何度も見る。
やれやれ、しょうがない。

「ねえ、今日は久し振りに一緒に寝よっか?」
「っ、うん!」

妹は嬉しそうな笑顔を見せ、枕を取りに部屋へと戻っていった。
本当にうちの妹は、まだ小学四年生なのに心配性なんだから……
枕を持ってきた妹を私の隣りに招き入れる。と同時に程よい眠気に襲われる。

「じゃ、おやすみ」
「うん、おやすみ、お姉ちゃん」

隣りから聞こえる寝息に誘われ、私の意識も途切れた。

7ファンタ ◆jz1amSfyfg:2010/02/16(火) 06:14:29 ID:ONeV1xYQ
翌日、放課後。
授業を終えた私は、すぐさま野球部の部室へと足を運んだ。
室内に入って感じた第一印象は、ありきたりだが『懐かしさ』だった。
だけど、私がいた頃より全体的にキレイになってるかな。
そんな事を考えながら部室を少しの間眺めていると、部室のドアが開く音がした。

「こんにちはー……って、あの、どなたですか?」

声の聞こえてきた方に顔を向けると、ややおとなしそうな一人の女子生徒がいた。

「あ、私は今日、野球部に入部した者なんですけど……」

私がそう告げると、女子生徒はなにかを思い出したかのように、両手を合わせて微笑んだ。

「あ、先生から聞いてます。あなたがそうだったんですね。
わたしは一年でマネージャーの市村早苗です、よろしくお願いします」
「私は二年生の山岡みちるです、こちらこそよろしくお願いします」

お互いの自己紹介を終えると、市村さんが鞄から大きめのビニール袋を取り出し、私に手渡した。

「これは?」
「野球部の練習用ユニフォームですよ。部員の方には入部時に一人に一着ずつ配るんでず」

あ、そういえば去年ももらった記憶がある。
市村さんは、私にユニフォームを渡した後、練習の準備をすると言い残し、グラウンドの方に行った。
私も手伝おうとしたけど、やんわりと断られ、早く着替えた方が良いと言われた。
確かにここ、仕切りのカーテンが一応あるけど薄いからなぁ。
よし、さっさと着替えちゃおう。
上の方を着替え終え、下の方を着替えてる最中に外から声が聞こえてきた。

「……今日はいつになく不機嫌そうだったな」
「まあな」
「あっ、あれだろ。今日が月曜日だからだろ。週始めってめんどいよな〜!」

声から察するに男子生徒のものだ。
一人は聞き覚えがある……青山君の声だ。
その声が……こ、こっちに向かって来ている!?
ちょ、ちょっ、待っ、私まだ下穿いてないのにっ! 急がないと!

「うい〜っす……え?」

私がズボンを穿き終わったのと青山君がドアを開けたのは、ほぼ同時だった。
本当に危なかった……穿くのが一瞬遅かったら下着を見られるところだった。
青山君に気取られないように、何事もなかったかのように対応する。
その後、驚いたままの表情で固定されている、青山君と山吹君と川村君の三人に野球部に再入部する事を報告した。

8ファンタ ◆jz1amSfyfg:2010/02/16(火) 06:17:35 ID:ONeV1xYQ
さらにその後、少し遅れてやってきたまどかちゃんに再入部する事を伝えた。
今まで入らないと言い続けてきて、いきなり手のひら返したかのように入部するって言ったから怒声を飛ばされるかもしれない、と覚悟していたが、意外にも跳んできたのは涙目のまどかちゃんだった。

「ちょっ、まどかちゃん!?」
「よかった〜……みちるが入ってくれて本当によかった〜」

まどかちゃんは私を抱きしめながら、泣き出す寸前みたいな声を出していた。

「とりあえず、これで9人揃ったな!」
「ああ、間に合ったな」
「……大会に出られる」

青山君達も喜んでいるようだ……あの笑顔を見ると、本当に入ってよかったって思うよ。

「ところで、だ。なんで急に野球部に入ろうって思ったんだ?」

まどかちゃんが指でやや乱暴に涙を拭いながら、不思議そうな口調で聞いてきた。

「私が勧誘した時は頑固に断ったのに」
「それは青山君のおかげだよ」

私の言葉に皆が一斉に青山君の方を向く。

「青山が、か?」
「うん、青山君が『俺達を、野球部を信じてくれ!』って言ってくれたんだよ」
「そうか。青山、お前には礼を言わないとな」
「れ、礼とかいいですよ、俺はただ自分の考えを言っただけですし」

まどかちゃんが珍しく他人を褒めたせいか、青山君は少し照れている。

「でも、青山君が私に覆い被さってきた時はちょっとビックリしたかな」

その瞬間、部室内の空気が固まった。
あれ? なに、この空気?
そんなに変な事、言った?

「み、み、みちる、その後はどうなったんだ?」

まどかちゃんが何故か小刻みに震えながら訊いてきた。
確かその後は、私が青山君を女の子だって見破ったんだっけ……今の状況で言えるハズがない!

「そ、それは言えないよ。秘密だもん」
「っ!」

まどかちゃんがショックを受けたような顔になり……そのまま、青山君の方にゆっくりと振り向いた。

「青山ぁ……貴様、みちるにどんな不埒な事をしたのだ」
「不埒!? そんな事してませんよ!」
「そうか、あくまでシラを切る、か……なら、力づくで聞き出すまでだ」
「あ、あの、先輩……その金属バットでいったい何をするつもりなんです?」
「言っただろう……力づくで聞き出すと!」

次の瞬間、青山君は脚をフル稼動し部室から逃げ出した。

9ファンタ ◆jz1amSfyfg:2010/02/16(火) 06:18:08 ID:ONeV1xYQ
「逃がさんぞ!」

まどかちゃんはすぐさま、青山君を追いかけに行った。しかも金属バットを片手に握ったままで。
まどかちゃん、何か誤解してない?

「翔太の奴、先輩に襲いかかるなんて……なんて、うらやま……けしからん事を!」
「……今のが修羅場とか言う奴か?」

ん? この二人もなにか勘違いしてない?
もしかして、まどかちゃんは『私が青山君にレ【削除しました】プされた』って思ってるんじゃ……
顔から血の気が失せる感覚がした。
こ、このままじゃ青山君が危ない!

「ち、違うよ、まどかちゃん! それは誤解なの〜!」

私は急いで誤解を解くために、二人の後を追いかけに走った。





【目指せ、甲子園─9 おわり】

10ファンタ ◆jz1amSfyfg:2010/02/16(火) 06:18:49 ID:ONeV1xYQ
とりあえずここまで

9話になって、ようやく全員揃ったけど、まだ話は序盤で試合すらしていない……ちゃんと完結できるか不安です

とりあえず、次回も視点は主人公ではありません
マネージャーの市村さん視点を予定しております

では、また次回

11歩兵:2010/02/26(金) 21:40:22 ID:???
投下しようかな…
むぅ…迷う…

12名無しさん:2010/02/26(金) 22:03:33 ID:???
wktk

13名無しさん:2010/02/26(金) 22:05:39 ID:OXO07CrY
投下wktk

14名無しさん:2010/02/27(土) 00:12:35 ID:???
wkwk

15歩兵:2010/03/11(木) 00:07:20 ID:mUBoCl/o
よし、今だ、投下、


人生なんて何があるかわかんねぇ




人生なにがあるかわからない
みんなそう思ってる

それが面白い奴もいれば
それが不安な奴もいる

少なくとも俺は後者の方だと思う

いつ、どこで、何があるか知ってたらつまんねぇかもしれない

でも知らねぇよりマシだと思う

だってよ、知ってたらこんな白い天井見てなくてもよかったんだぜ?

正直なトコ退屈すぎて死にそうなんだけど・・・

「なんで事故っちまったのかねぇ?俺・・・」

16歩兵:2010/03/11(木) 09:10:19 ID:mUBoCl/o

ため息と一緒に呟いてもなんにも変わらない

どーせ周りは話し相手にもならない年寄りばっかり

青春真っ盛りの俺と違って、青春なんてと〜っくの昔に終わって、病気自慢ばっかしてやがる


そんなに自慢することじゃねぇだろ病気なんて

こんなことなら個室がよかったぜ・・・

「毅〜見舞いに来てやったぞ〜」

「ちっ、なんで毎回お前なんだよ」

「見舞いに来てやってるだけありがたいと思えよ」

そう言いながら近くの丸椅子に座るコイツは、幼稚園から高校の今現在に至るまで、見事にクラスが全て一緒だった斎藤 隆(たかし)、通称 アホの隆

んで俺が柴田 毅(つよし)このアホのツッコミ役になってやってる心の広い好青年だ

まぁ良く言えば幼なじみ
悪く言って腐れ縁てトコ


「誰がアホの隆だコラ?アホはてめぇの方だろーが」

コイツ読心術を使えるのか!?

「いやいや自分で喋ってんの気付かなかったのか?」
「・・・マジか?」

「やっぱりアホじゃんお前」

以後気をつけよう・・・

17歩兵:2010/03/11(木) 10:20:08 ID:mUBoCl/o
「んで?怪我の方はどうだ?」

「全治1ヶ月って言われてたけどもう歩けるんだぜ?でも退院はできねぇっていわれた、もう退屈すぎて治る前に死にそう」

「んじゃいっその事死んでくれ、全人類がそう望んでる」

「そこまで嫌われてねぇだろ!」

コイツ・・・真面目な顔して言いやがる

「そんな事より毅、お前大丈夫なのか?」

「怪我は何ともねぇって」

「そうじゃない、まだ童貞なのか?」

固まった

「その様子だとまだみたいだな」

「そ、そういうお前はどうなんだよ?」

「知らなかったか?俺はとっくの昔に済んでる」

フリーズした

「女体化確定だなこりゃ」


今、この世界では謎の病気?みたいなのが流行ってる

女体化現象、女体化症候群、とかいろんな呼び方されてるが、

まぁ簡単に言えば15〜16歳までにヤっとかないと女になっちまう、ってこと

「ま、まぁ誕生日はもうちょい先だしなんとかな「らねぇよ」…え?」

「はぁ…お前、誕生日は?」

ため息混じりに聞いてくる

「8月14日…」

「んで今日は?」

カレンダーを見る

「6月26日…」

「今日から一ヶ月後に退院、7月26日、もう夏休みに突入するぞ?入院中のお前を夏休みの計画に入れてる奴なんていると思うか?」

「ゔ…」

18名無しさん:2010/03/11(木) 22:10:02 ID:xxxTV4B2
続きwktk

19青色1号 ◆YVw4z7Sf2Y:2010/03/16(火) 02:27:15 ID:???
 〜青色通知回顧録〜

「っ……。……はぁいっ、おしまい」
「えっ、な、なんで!?」

 一糸纏わぬ姿の……見知らぬ男の子が素っ頓狂な声を上げる。……理由は簡単。私が、未だに慣れない下半身の異物感から早く解放されたいが為に――身体を彼から離したからだ。

「なんでって言われても、私の"お仕事"はもう済んだんだしね。……キミはもう、男の子でいられるでしょ? "童貞"じゃないんだから」
「……そんな……っ」

 確かに私は彼を受け入れた。
 それが仕事だから。けれど、その"後"までお世話をする筋合いは無いんだよ。

「あとはラブホテル備付の有線AV放送でも見て、"頑張って"ね?」

 私は脱ぎ散らかした服をいそいそと身に着けながら冷たく言い放つ。
 自分が頼った国の政策が、どこまでも自分本位に出来ているなんておめでたい考えだことで。

「……それとも、下に居る警察のお世話にでもなってみる? 強姦罪って結構重い刑罰だよぉ?」
「………っ」

 私は努めて彼を嘲るように笑う。
 それ以上はない。そう私はタカを括っているからだ。
 未経験な男の子にとって、私たちの体はもちろん未知の領域だ。
 映像という情報はあるとしても、それと実感とでは大きなギャップがあることに、彼らは大一番になってから気が付く。

「じゃ、コレは貰ってくねっ」

 私はテーブルに置かれた青い紙切れを手中に収めると、装飾の凝った宿泊施設から立ち去る。

 ……裸体を露出したまんまの男の子をその場に残して。

20青色1号 ◆YVw4z7Sf2Y:2010/03/16(火) 02:28:58 ID:???

 ―――なんて世の中の現実なんて、結局はそんなもの。

 いくら飴や餅を吊されていたって、そんな甘ったるいコトなんか転がってるワケがない。
 ……ふふっ、そういう意味では、このシステムはいい社会勉強を教えてるのかもね?

「―――お疲れ様でした」

 私服姿の警察官が、ホテルから出てきた私に平坦なトーンで話し掛けてくる。
 一応、私担当のボディガードらしいんだけど、そう思うなら部屋の前で待機していて欲しい。
 ……なんか色々な人権問題でムリらしいけど。

「はいっ、お疲れ様でした。今日はこれで最後ですし、帰っちゃっていいですよ?」
「いえ、そういうワケには……」
「お堅いなぁ、そんなんじゃモテませんよ?」
「結構です」
「……空気、読んでくれませんか?」

 あの手この手を駆使して、私のボディガード役の警察官は、漸く深々と頭を下げてその場から立ち去ってくれた。
 まったく、面倒な人が担当になっちゃったもんだなぁ。

 ………。

 あの人は、こんなことをずっと繰り返した生活をしていた。
 今、私はあの人同じ立ち位置に居るはずなのに、あの人はもう居ない。
 ……ただ、私の下半身に残る嫌な違和感だけがあの人と、私をつなぎ止める共通点。

 ……それを受け入れられない私が悔しくて、もどかしくて。

「………っ」

 ……泣くもんか。涙なら、とっくに涸れた。涸れ果てたんだ。
 私は独りで生きていくんだ。
 そして一人でも多く、救う。この理不尽な病気から。あの人が、そうしたように。
 それが私の選んだ道なんだから。

「……さぁて、明日も頑張るぞーっ! おーっ!!」

 私は、夜空に向かって明日への意志を振り上げる。

 ……その"明日"が、私のターニングポイントなるなんて……その時の私は知る由もなかった。


  〜青色通知回顧録〜

21青色1号:2010/03/16(火) 02:36:18 ID:???
ある人が投下してくれた動画が嬉しくて小躍りしてたらこんなの出来てました。

……もう過去の作品に固執するのはヤメよう、キリがない。

22名無しさん:2010/03/16(火) 20:09:31 ID:???
GJ!
別に固執してもいいと思うよ。
完結したからって、それで終わりにすることもないんだし。

23歩兵:2010/03/16(火) 23:10:46 ID:c1NROXTk
前に投下した小説のチラシのうr(ry下書きが消えた……

どうしよう…(;´゚ω゚)

24名無しさん:2010/03/18(木) 00:15:54 ID:???
>>23
頑張って復元するんだ
でも無理はしないでください

25ファンタ ◆jz1amSfyfg:2010/03/31(水) 03:57:39 ID:IrWe6Rr.
【目指せ、甲子園−10】





「あぁ・・・・・・暑い」

今年も例年並みに残暑が厳しい。グラウンドにいるだけで体中の水分が全部汗として流れていってしまうそうだ。
大して動いていないわたしですらこんなに暑く感じるのだから、練習している部員達の感じている暑さは計り知れない。
それでも、みんなは不満一つ漏らさずに頑張って練習をしている。
このチーム、夏休みが終わる頃には部員数の不足で秋の予選大会に出場できないような状態だったけど、部員達が積極的に勧誘をしたおかげで今では部員数が九人になった。これで秋の予選大会に出場できるから、練習にも熱が入るのだろう。
わたしもマネージャーとして、ただボーっとしている訳にはいかない。みんなが少しでも練習に集中できるように、わたしはわたしのできる事をしないと!

「おい、市村! ちょっとこっちに来てくれ!」

早速、呼ばれた。
今、わたしを呼んだのは二年生でキャプテンの坂本まどか先輩。腰まで届くストレートの黒髪が印象的な、綺麗な人である。

「はい、今行きます!」

坂本先輩の所まで走っていくと、ノック用のバットを手渡された。

「今から守備練習を行うので、打って・・・・・・ん、なにやら具合が悪そうだが大丈夫か?」
「あ、大丈夫ですよ。どこも悪くありませんから」
「・・・・・・そうか、もし具合が悪くなったら、あまり無茶はするな。辛かったら言えよ」
「はい」

鋭い目つきと素っ気ない口調のせいで怖がる人は多いけど、本当は野球部の部員達を思いやる優しい人だ。

「よし・・・・・・こっちの準備は済んだ。いつでもこい」

坂本先輩はショートの守備位置につくと、わたしの方に向き直り、言った。

「じゃあ・・・・・・いきますっ!」

ボールを軽く上に放る。
バットを握り、落ちてきたボールをショート方向に向かって、思いっきり狙い打つ。
割と本気で打ったその打球を、坂本先輩は涼しい顔でキャッチする。
それどころか

「ちょっと弱いか・・・・・・もっと強く打ってもいいぞ」

などと言ってくる。
さすが、甲子園経験者。
とはいえ、さすがに真正面に飛んだ打球ならキャッチされても仕方ないか。
次はちょっと左右に揺さぶってみよう。

「わかりましたっ」

わたしは打つ力を少し抜いて、コントロール重視の打球を放つ。
が、坂本先輩は先ほどと同じ涼しい顔で危なげなく打球を処理していく。

26ファンタ ◆jz1amSfyfg:2010/03/31(水) 03:59:21 ID:IrWe6Rr.
この人、本当に守備範囲が広いなぁ。打球の勢い次第とはいえ、二塁ベース上や三塁手が担当するような打球まで取れるなんて。
まあ、三年生の誰よりも守備が得意だったから、これくらいは当たり前とか思っているのかもしれないのけど。
その後も、一通り打球を捌き終えた坂本先輩はもう一人の先輩を呼んだ。

「おい、みちる」
「なに、まどかちゃん?」

坂本先輩の声に吸い寄せられるように、近づいたのは二人しかいない二年生の一人、山岡みちる先輩だ。
この人も、普段は坂本先輩と似ていて、腰まで届く長いストレートの黒髪だ。だけど、今はポニーテールにしている。
山岡先輩曰く、部活中は動きやすいし、坂本先輩と見分けもつくからポニーテールにしているようだ。
しかし、髪型と違って顔立ちは似てなく(綺麗か可愛いか、で言えば)可愛い方だ。
これで元男だというのだから『女体化症候群』って、本当にずるいなぁ・・・・・・うん、反則だ。

「・・・・・・という訳だ。では市村、頼む」
「え、何がですか?」
「・・・・・・話聞いていたか?」
「・・・・・・すいません」

山岡先輩について考え事をしていた間に、坂本先輩の話を聞き逃していたようだ。
坂本先輩の視線が痛い。
とりあえず、もう一度話してくれた坂本先輩の話によると、これから山岡先輩もノックを受ける事、ノッカーは変わらずわたしがやるという事、一年間のブランクがあるが全力で打球を打って大丈夫そうなので全力で、との事。
・・・・・・それ、本当に大丈夫なんだろうか。
いくら経験者とはいえ、一年のブランクがある相手に、坂本先輩と同じ勢いの打球を放って、まともな練習になるのだろうか。失礼な事とは思うけど、そう考えずにはいられない。

「遠慮せずにどうぞ」

わたしの思考を感じとったのか、山岡先輩がそう言った。
・・・・・・まあ、本人も言うんなら大丈夫だよね?

「じゃあ、いきますよ!」

ボールを軽く上に放り、山岡先輩の守備位置であるセカンドの方向に出来るだけ力を込めて、バットを振り抜いた。

「あっ」

しかし、打球のコントロールが狙いより上の方向に狂い、山岡先輩の頭上を通過し、外野の守備位置の方に落ちた。と思った。
が、打球は外野の方に向かう事なく、山岡先輩のグラブの中に収まっていた。

27ファンタ ◆jz1amSfyfg:2010/03/31(水) 04:01:18 ID:IrWe6Rr.
「嘘ぉ・・・・・・・・・・・・」

知らずのうちに、口からそんな台詞が洩れていた。
弾道はやや高めで、その場で手を伸ばして届く高さじゃない。それに加え、全力で振り抜いた打球のスピードはそれなりに速いものだった。
その高めの速い打球に瞬間的に反応して、ジャンピングキャッチをした。
とてもじゃないが、ブランクのある人間の反射速度と動きではなかった。
なんか、この人の事を知れば知るほど、反則じみているという思いが強くなる。

「次、いいですよ」

山岡先輩に促され、ノックを続ける。

「いきますよ!」

その後も、わたしは全力で打球を打ち続けた。





そして、数十分後

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・」

後先考えず、全力で打ちまくった結果、スタミナ切れを起こした。

「うっ、Tシャツが・・・・・・」

汗で濡れているせいで、肌に纏わりついて気持ちのいいものではない。
替えのTシャツ持ってきてるし、着替えてこよう。
疲労で若干重く感じる両足を引きずりながら、なんとか部室に辿り着く。

「はぁ、なんかいつもより部室が遠く感じたよ・・・・・・」

一人、愚痴を言いながら部室のドアを開ける。

「あ、早苗っ」

ドアを開けたわたしの目の前に真っ先に飛びこんできた光景は、下着姿の女子の姿だった。しかも、知らない人ではなく知っている人だ。

「そっ・・・・・・そんな格好で何をしてるんですか、望ちゃん!」

急いで中に入り、ドアを閉め、余りにも不用心な下着姿の女子部員を叱りつける。

「なんて、って・・・・・・汗かいたから、着替えついでに汗を拭いてたりとかだけど」
「鍵をかけてください! 今回はわたしだから良かったものの、もし先輩以外の人達だったらどうするつもりなんです?」
「大丈夫、男子が来たらカーテン閉めるつもりだったから」
「カーテン閉めるまでの間に見られるでしょう!」

まったく、この子は・・・・・・

「大丈夫だよ、次からは気をつけるからさ〜」
「わたしは今回の事を言ってるんです!」
「わかったから、友達にそんなに怒んないでよ〜」
「友達だから怒ってるんです!」

そう、この子・・・・・・明石望とわたしは小学生の頃から友達なのだが、ご覧の通り昔からどこか抜けている。

「まったく・・・・・・さっさと汗拭いて着替えてください」

そう言い、念のためにカーテンを閉めてやる。

28ファンタ ◆jz1amSfyfg:2010/03/31(水) 04:02:22 ID:IrWe6Rr.
わたしは一人っ子なので、兄弟姉妹がいる感覚ってよくわからないけど、手のかかる妹ってこんな感じなのだろうか。
背も小さめで体の起伏もなだらか、短めの髪を少し強引にツインテールにしているところなど実年齢より幼めに感じられる。

「ふんふふーん♪」

カーテンの向こう側から、脳天気な鼻唄と絹擦れの音が聞こえる。
あ、そういえばわたしも着替えに来たんだっけ。
望ちゃんの下着姿のインパクトに忘れていた。

「望ちゃん、わたしも着替えるので入りますよ」
「うん、わかったー」

一応、確認を取ってからカーテンの向こう側に入る。
中では、望ちゃんが練習用ユニフォームまで着替え終わり、練習に戻ろうとしているところだった。
さて、わたしも早く着替えて戻らないと。
ロッカーから替えのシャツを取り出し、汗でびしょ濡れのシャツを脱ぎ、そこである事に気づいた。

「うわ、ブラまで濡れてるよ」

思わず声に出してしまった。
まあ、シャツまで濡れている事を考えれば、簡単に連想できた事なんだろうけど。
しかし、こっちが濡れているって事は下の方も・・・・・・・・・・・・うっ、考えたくない。
それにしても、どうしよう。
さすがに下着の替えまでは持ってきてないし。かといって、このまま着けているってのも色々問題があるなあ・・・・・・だからといってノーブラで戻る気はない。

「今回は、しょうがないか」

どう考えたところで、下着の替えが無い以上はこのまま着けていくしかあるまい。
ブラがびしょ濡れなので、そのせいで白いシャツの胸の部分が濡れて、透けて見えるかもしれないのが困りどころだ。だからといって、ノーブラで行く気は全然ない。
はあ・・・・・・なんで白いシャツしか持って来なかったんだろう、わたし。
とはいえ、このままではリスクがあるので、ジャージの上半身用を羽織っていくつもりだけど。
おっと、予想外の出来事が起こったとはいえ、考え事にあまり時間を取られるのはよくない。
早く着替えないと。

急いでシャツを着て、ロッカーからジャージを引っ張り出そうとして、わたしの方を向いたまま棒立ちしている望ちゃんの存在に気づく。

29ファンタ ◆jz1amSfyfg:2010/03/31(水) 04:04:46 ID:IrWe6Rr.
「ま、まだ戻ってなかったんですか?」

やや呆れながらも、ジャージを羽織り、ロッカーを閉める。

「まあ、いいです。わたしも着替え終わったので一緒に戻りましょう」

わたしが声をかけても、反応しない。どうしたんだろうか。

「早苗さぁ・・・・・・」

望ちゃんがわたしをジッと見たまま、唇を動かす。

「なんですか?」

いつもと様子の違う望ちゃんを訝しく思いながらも、返事をする。
そんな望ちゃんはわたしに近寄ると、無造作に両手を上げ

「夏休み始まった時より大きくなってない?」

わたしの両胸を無造作に鷲掴み、何の遠慮もなく揉みしだく。

「ちょっ、望ちゃん!」

わたしは止めてほしいという意味を込めて、望ちゃんの両手を掴んで胸から引き剥がす。
望ちゃんは、引き剥がされた両手に視線を移すと、少しの間黙りこみ、それから大真面目な表情で

「うん、やっぱり大きくなってる!」

と言った。
いや、わたし的にはそれよりも人の胸を断りなしに揉んで謝りの一つもなしか。と思いの方が強かったりする。
とはいえ、これも昔からの望ちゃんの奇行の一つなので、パニックを起こさずに心の片隅で「またか・・・・・・」などと思う程度には慣れている。
慣れたくはなかったけど。

「ちっ、また大きく育ちやがって、この牛乳(うしぢち)め」

この言い方には少々ムカッときた。
誰が牛乳か。
わたしより山岡先輩の方がよっぽどデカ・・・・・・それはともかく、牛乳なんて言われるほど大きくはない。
確かに高校一年生の平均より大きいとは言われるが、それでも個人差の範囲内だ。
なので、牛乳なんて言われる謂れはない。

「まったく、誰が牛乳ですか。自分が貧乳だから周りの人が大きく見えているだけじゃないですか」

わたしとしては、少々仕返しを兼ねた反論だったのだが、これが最大の失敗だった事に気づかなかった。

「言ったね? 言っちゃったね? 人の気にしている事を。フフッフフフフフフフフフフ」

なんだか、俯いたまま笑い続けている。
凄く怖い。

「牛乳って言われるの、嫌なの?」

笑い続ていると思ったら、突然笑うのを止め、そんな事を聞いてきた。

「嫌に決まっているじゃないですか。当然ですよ」

わたしの返答に、ニヤリと笑い「そっかそっか、嫌なんだぁ・・・・・・」と呟く。

その呟きを聞いた途端、背中に言いようのない悪寒が走った。
俗に言う『嫌な予感』というやつだ。


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